以下、本発明に係る好適な実施の形態を、添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明が実施し得る唯一の実施の形態を示すためのものではない。
また、本発明の実施の形態で使われる特定の用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定の用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更することもできる。
添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明が実施し得る唯一の実施の形態を示すためのものではない。
本発明で使う用語は本発明における機能を考慮してできるだけ現在広く使われる一般的な用語を選択したが、これは当該分野の技術者の意図又は判例、新技術の出現などによって変わることもある。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当の発明の説明部で詳細にその意味を記載する。したがって、本発明で使う用語は単純な用語の名称ではなくて、その用語が有する意味と本発明の全般的な内容に基づいて定義されなければならない。
以下の実施例は本発明の構成要素及び特徴を所定の形態に結合したものである。それぞれの構成要素又は特徴は別途の明示的言及がない限り選択的なものと見なすことができる。それぞれの構成要素又は特徴は他の構成要素又は特徴と結合しなかった形態に実施可能である。また、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明する動作の順序は変更可能である。一実施例の一部の構成又は特徴は他の実施例に含まれることができ、あるいは他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられることができる。
図面の説明において、本発明の要旨をあいまいにすることができる過程又は段階などは記述せず、当業者の水準で理解可能な程度の過程又は段階も記述しなかった。
明細書全体を通じて、ある部分がある構成要素を「含む(comprising又はincluding)」というとき、これは、別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書でいう「…部」、「…器」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの結合によって具現化することができる。また、「ある(a又はan)」、「1つ(one)」、「その(the)」及び類似の関連語は、本発明を記述する文脈において(特に、以下の請求項の文脈において)本明細書に別に指示されたり文脈によって明らかに反駁されない限り、単数及び複数の両方を含む意味で使うことができる。
先ず、本明細書において使われる用語は、以下のように定義される。
本発明において、ユーザ機器(User Equipment,UE)は、固定していても移動性を有してもよく、基地局(base station、BS)と通信してユーザデータ及び/又は各種制御情報を送受信する各種機器がこれに属する。UEは、端末(Terminal Equipment)、MS(Mobile Station)、MT(Mobile Terminal)、UT(User Terminal)、SS(Subscribe Station)、無線機器(wireless device)、PDA(Personal Digital Assistant)、無線モデム(wireless modem)、携帯機器(handheld device)などとも呼ばれる。
また、本発明において、基地局は、一般に、UE及び他の基地局と通信する固定局(fixed station)を意味して、UE及び他の基地局と通信して、各種のデータ及び情報を交換する。BSはABS(Advanced Base Station)、NB(Node−B)、eNB(evolved−NodeB)、BTS(Base Transceiver System)、アクセスポイント(Access Point)、PS(Processing Server)などの用語とも呼ばれる。特に、UTRAの基地局はNode−B、E−UTRANの基地局はeNB、新たな無線アクセス技術ネットワーク(new radio access technology network)の基地局はgNBとも呼ばれる。
以下に説明する技法(technique)、装置、及びシステムは、様々な無線多元接続システムに適用することができる。例えば、多元接続システムは、CDMA(code division multiple access)システム、FDMA(frequency division multiple access)システム、TDMA(time division multiple access)システム、OFDMA(orthogonal frequency division multiple access)システム、SC−FDMA(single carrier frequency division multiple access)システム、MC−FDMA(multi carrier frequency division multiple access)システムなどを含むことができる。
CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(technology)によって具現化することができる。TDMAは、GSM(Global System for Mobile communications)、GPRS(General Packet Radio Service)、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)(i.e.,GERAN)などのような無線技術によって具現化することができる。OFDMAは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(evolved−UTRA)などのような無線技術によって具現化することができる。
UTRAはUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)の一部であり、3GPP(3rd Generation Partnership Project)LTE(Long Term Evolution)はE−UTRAを用いるE−UMTSの一部である。3GPP LTEは、下りリンク(downlink,DL)ではOFDMAを採用し、上りリンク(uplink,UL)ではSC−FDMAを採用する。LTE−A(LTE−Advanced)システムは3GPP LTEシステムが進化した形態である。説明の便宜のために、以下では、本発明が3GPPベースの通信システム、例えば、LTE/LTE−A、NR(New Radio Access Technology)システムに適用される場合を仮定して説明する。しかし、本発明の技術的特徴が3GPPベースの通信システムに制限されるものではない。例えば、以下の詳細な説明における移動通信システムが3GPPベースの通信システムを中心に述べられるが、3GPP LTE/LTE−A/NR特有の事項以外は、他の任意の(any)移動通信システムにも適用可能である。
3GPPベースの通信標準は、上位層からの情報を伝達するリソース要素に対応する下りリンク物理チャンネルと、物理層によって用いられるが、上位層からの情報を送信しないリソース要素に対応する下りリンク物理信号を定義する。例えば、物理下りリンク共有チャンネル(physical downlink shared channel,PDSCH)、物理ブロードキャストチャンネル(physical broadcast channel,PBCH)、物理マルチキャストチャンネル(physical multicast channel,PMCH)、物理制御フォーマット指示子チャンネル(physical control format indicator channel,PCFICH)、物理下りリンク制御チャンネル(physical downlink control channel,PDCCH)及び物理ハイブリッドARQ指示子チャンネル(physical hybrid ARQ indicator channel,PHICH)が下りリンク物理チャンネルとして定義されており、参照信号と同期信号が下りリンク物理信号として定義されている。
参照信号(reference signal,RS)は、gNBとUEが互いに知っている予め定義された特別な波形の信号を意味して、パイロット(pilot)とも呼ばれる。例えば、セル固有RS(cell specific RS)、UE固有RS(UE−specific RS,UE−RS)、ポジショニングRS(positioning RS,PRS)及びチャンネル状態情報RS(channel state information RS,CSI−RS)が下りリンク参照信号として定義される。
3GPP LTE/LTE−A標準は、上位層からの情報を伝達するリソース要素に対応する上りリンク物理チャンネル及び物理層によって用いられるものの、上位層からの情報を伝達しないリソース要素に対応する上りリンク物理信号を定義する。例えば、物理上りリンク共有チャンネル(physical uplink shared channel,PUSCH)、物理上りリンク制御チャンネル(physical uplink control channel,PUCCH)、物理ランダムアクセスチャンネル(physical random access channel,PRACH)が上りリンク物理チャンネルとして定義され、上りリンク制御/データ信号のための復調参照信号(demodulation reference signal,DMRS)と上りリンクチャンネルの測定に用いられるサウンディング参照信号(sounding reference signal,SRS)が定義される。
本発明において、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)/PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)/PHICH(Physical Hybrid automatic retransmit request Indicator CHannel)/PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)のそれぞれは、DCI(Downlink Control Information)/CFI(Control Format Indicator)/下りリンクACK/NACK(ACKnowlegement/Negative ACK)/下りリンクデータを伝達する時間−周波数リソースの集合又はリソース要素の集合を意味する。また、PUCCH(Physical Uplink Control CHannel)/PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)/PRACH(Physical Random Access CHannel)のそれぞれは、UCI(Uplink Control Information)/上りリンクデータ/ランダムアクセス信号を伝達する時間−周波数リソースの集合又はリソース要素の集合を意味する。
本発明において、UEがPUCCH/PUSCH/PRACHを送信するとは、それぞれPUSCH/PUCCH/PRACH上において、又はPUSCH/PUCCH/PRACHを介して、上りリンク制御情報/上りリンクデータ/ランダムアクセス信号を送信することと同一の意味で使用されてもよい。また、gNBがPDCCH/PCFICH/PHICH/PDSCHを送信するとは、それぞれPDCCH/PCFICH/PHICH/PDSCH上において、又はPDCCH/PCFICH/PHICH/PDSCHを介して、下りリンクデータ/制御情報を送信することと同一の意味で使用されてもよい。
本発明で使われる用語及び技術のうち具体的に説明しない用語及び技術については、3GPP LTE/LTE−A標準文書、例えば3GPP TS 36.211、3GPP TS 36.212、3GPP TS 36.213、3GPP TS 36.321及び3GPP TS 36.331などと、3GPP NR標準文書、例えば3GPP TS 38.211、3GPP TS 38.212、3GPP 38.213、3GPP 38.214、3GPP 38.215、3GPP TS 38.321及び3GPP TS 38.331などを参照することができる。
図1は、3GPPシステムに用いられる物理チャンネル及びこれらを用いた一般的な信号の送信方法を説明するための図である。
UEは、電源がついたり、新しいセルに進入したりした場合、基地局と同期を取るなどの初期セル探索(Initial cell search)の作業を行う(S201)。そのために、UEは基地局から主同期チャンネル(Primary Synchronization Channel;P−SCH)及び副同期チャンネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得することができる。その後、UEは基地局から物理放送チャンネル(Physical Broadcast Channel)を受信して、セル内放送情報を取得することができる。一方、UEは、初期セル探索段階で下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal;DL RS)を受信して下りリンクチャンネル状態を確認することができる。
初期セル探索を終えたUEは、物理下りリンク制御チャンネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)及びPDCCHに載せられた情報によって、物理下りリンク共有チャンネル(Physical Downlink Control Channel;PDSCH)を受信することで、より具体的なシステム情報を取得することができる(S202)。
一方、基地局に最初に接続するか、信号送信のための無線リソースのない場合、UEは基地局に対してランダムアクセス過程(Random Access Procedure;RACH)を行うことができる(S203〜S206)。そのために、UEは、物理ランダムアクセスチャンネル(Physical Random Access Channel;PRACH)を介して特定のシーケンスをプリアンブルで送信して(S203及びS205)、PDCCH及び対応するPDSCHを介してプリアンブルに対する応答メッセージを受信することができる(S204及びS206)。競合ベースのRACHの場合、さらに、衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)を行うことができる。
上述したような手順を行ったUEは、その後、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S207)及び物理上りリンク共有チャンネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャンネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)送信(S208)を行うことができる。特に、UEは、PDCCHを介して下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。このとき、DCIはUEに対するリソース割り当て情報のような制御情報を含み、その目的に応じてDCIのフォーマットは異なってもよい。
一方、UEが上りリンクによって基地局に送信したり、又はUEが基地局から受信する制御情報は、下りリンク/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含んでもよい。3GPP LTEシステムの場合、UEはPUSCH及び/又はPUCCHを介して、上述したCQI/PMI/RIなどの制御情報を送信することができる。
より多い通信機器がより大きい通信容量を要求することにより、既存の無線アクセス技術(radio access technology,RAT)に比べて向上したモバイルブロードバンド通信の必要性が台頭しつつある。また、複数の機器及びモノを接続していつでもどこでも様々なサービスを提供する大規模(massive)MTCが次世代通信において考慮すべき重要なイッシュの1つである。また、信頼性(reliability)及び遅延(latency)に敏感なサービス/UEを考慮した通信システムデザインが議論されている。このように進歩したモバイルブロードバンド通信、大規模MTC、URLLC(Ultra−Reliable and Low Latency Communication)などを考慮した次世代RATの導入が議論されている。現在、3GPPでは、EPC以後の次世代移動通信システムに対する研究が行われており、EPC以後の次世代移動通信システムは、新しいRAT(new RAT,NR)システム、5G RATシステム、又は5Gシステムなどとも呼ばれる。以下、説明の便宜のために、NRシステムと呼ぶことにする。
NR通信システムは、データレート、容量(capacity)、遅延(latency)、エネルギー消費及び費用面から、既存の第4世代(4G)システムより良い性能を支援することが求められる。よって、NRシステムは、帯域幅、スペクトル、エネルギー、シグナリング効率、及びビット当たりコスト(cost)の面で相当な進歩が必要である。
NRシステムは、OFDM送信方式又はこれと類似した送信方式を用いて、例えば、以下の表1に表されたニューマロロジーを用いることができる。
NRシステムは、LTEシステムのOFDMパラメータとは異なるOFDMパラメータに従ってもよい。また、NRシステムは、従来のLTE/LTE−Aのニューマロロジーにそのまま従いながら、従来のLTE/LTE−Aよりも大きいシステム帯域幅(例えば、100MHz)を有することができる。また、NRシステムは、1つのセルが複数のニューマロロジーを支援することもできる。すなわち、NRシステムでは、互いに異なるニューマロロジーに従って動作するUEが1つのセル内に共存してもよい。
3GPP LTE/LTE−Aシステムにおいて用いられる無線フレーム(radio frame)は、10ms(307200Ts)の長さを有して、10個の均等な大きさのサブフレーム(subframe, SF)からなる。一無線フレーム内の10個のサブフレームにはそれぞれ番号が付与されてもよい。ここで、Tsはサンプリング時間を示し、Ts=1/(2048*15kHz)で表される。それぞれのサブフレームの長さは1msであり、2個のスロットからなる。一無線フレーム内に存在する20個のスロットは0から19まで順にナンバリングされる。それぞれのスロット長は0.5msである。一サブフレームを送信するための時間は、送信時間間隔(transmission time interval, TTI)と定義される。時間リソースは無線フレーム番号(或いは無線フレームインデックス)、サブフレーム番号(或いはサブフレームインデックス)、スロット番号(或いはスロットインデックス)などによって分けられる。TTIとは、データがスケジュールされる間隔を意味する。例えば、現在のLTE/LTE−AシステムにおいてULグラント又はDLグラントの送信機会は1msごとに存在し、1msより短時間でUL/DLグラント機会が数回存在することはない。よって、既存のLTE/LTE−AシステムにおいてTTIは1msである。
図2は、新たな無線アクセス技術(new radio access technology,NR)において利用可能なスロット構造を例示する図である。
データ送信の遅延を最小化するために、NRシステムでは、制御チャンネルとデータチャンネルが時分割多重化(time division multiplexing,TDM)されるスロット構造が考慮されている。
図2において、斜線領域は、DCIを伝達するDL制御チャンネル(例えば、PDCCH)の送信領域を示し、黒い領域は、UCIを伝達するUL制御チャンネル(例えば、PUCCH)の送信領域を示す。ここで、DCIはgNB からUEへ伝達される制御情報であり、DCIはUEが知るべきセル設定(configuration)に関する情報、DLスケジューリングなどのDL固有(specific)情報、及びULグラントなどのようなUL固有情報などを含んでもよい。また、UCIは、UEからgNBへ伝達される制御情報であり、UCIはDLデータに対するHARQ ACK/NACK報告、DLチャンネル状態に対するCSI報告、及びスケジューリング要求(scheduling request,SR)などを含んでもよい。
図2においてシンボルインデックス1からシンボルインデックス12までのシンボル領域は、下りリンクデータを伝達する物理チャンネル(例えば、PDSCH)の送信に用いられてもよく、上りリンクデータを運ぶ物理チャンネル(例えば、PUSCH)の送信に用いられてもよい。図2を参照すれば、1つのスロットにおいてDL送信とUL送信とが順次行われ、DLデータの送信/受信と前記DLデータに対するUL ACK/NACKの受信/送信が1つのスロット内で行われる。よって、データ送信過程でエラーが発生した場合、データの再送信までにかかる時間を減らすことになり、これにつれて最終データ伝達までの遅延を最小化することができる。
図2に示すスロット構造においては、gNBとUEが送信モードから受信モードへ切り換えたり、受信モードから送信モードへ切り換えたりするための時間ギャップ(time gap)が必要である。送信モードと受信モードとの切り換えのために、スロット構造において、DLからULへ切り換えられる時点の一部のOFDMシンボルがガード期間(guard period,GP)として設定されてもよい。
NRシステムにおいて基本送信単位(basic transmission unit)はスロットである。スロット区間(duration)は正規(normal)サイクリックプレフィックス(cyclic prefix, CP)を有する14個のシンボルで構成されるか、又は延長CPを有する12個のシンボルで構成される。また、スロットは、使われた副搬送波間隔の関数によって時間的にスケールされる。
近来、議論されているNRシステムは、広い周波数帯域を用いて、高い送信率を維持しながら、複数のユーザにデータを送信するために、高い超高周波帯域(例えば、6GHz以上の周波数帯域)を用いる案を考慮している。しかしながら、超高周波帯域は高過ぎる周波数帯域を用いるため、距離による信号の減衰が激しく表れる特性を有する。よって、6GHz以上の周波数帯域を用いるNRシステムは、激しい伝播減衰の特性を補償するために、全方向ではなく、特定の方向にエネルギーを集めて信号を送信する狭ビーム(narrow beam)送信方法を用いる。NRシステムは、狭ビーム送信方法を用いることで、激しい伝播減衰によるカバレッジ(coverage)減少の問題を解決する。しかし、1つの狭ビームのみを用いてサービスを提供する場合、1つの基地局がサービスを提供可能な範囲が狭くなる。よって、基地局は複数の狭ビームを集めて、広帯域でサービスを提供することができる。
超高周波の周波数帯域、すなわち、ミリメートル波長(millimeter wave, mmW)帯域では、波長が短くなるため、同一面積に複数のアンテナ要素(element)を取り付けることができる。例えば、1cm程度の波長の30GHz帯域では、5cm×5cmのパネル(panel)に0.5ラムダ(lamda)間隔で2次元配列(dimensional array)の 形態として全100個のアンテナ要素を取り付けることができる。したがって、mmW帯域では、複数のアンテナ要素を用いて、カバレッジを増加させたり、処理量(throughput)を高めることが考えられる。
mmW帯域において狭ビームを形成するための方法として、基地局又はUEが複数のアンテナに適切な位相差を用いて同一の信号を送信することで、特定方向のみにおいてエネルギーが増加するビームフォーミング方式が主に考慮されている。ビームフォーミング方式は、デジタル基底帯域(baseband)信号に位相差を形成するデジタルビームフォーミング、変調されたアナログ信号に時間遅延(すなわち、循環シフト)を用いて位相差を形成するアナログビームフォーミング、デジタルビームフォーミングとアナログビームフォーミングとを両方用いるハイブリッドビームフォーミングなどを含むことができる。各々のアンテナ要素において送信パワー及び位相調節ができるようにトランシーバーユニット(transceiver unit, TXRU)を有すれば、各々の周波数リソースにおいて独立したビームフォーミングが可能となる。しかし、100個余りのアンテナ要素の全てにTXRUを設けるには、コスト面において実効性が低下する問題がある。すなわち、mmW帯域は、激しい伝播減衰の特性を補償するために、数多くのアンテナが用いられ、デジタルビームフォーミングは各々のアンテナごとにRFコンポーネント(例えば、デジタルアナログコンバータ(DAC)、ミキサー(mixer)、電力増幅器(power amplifier)、線形増幅器(linear amplifier)など)を必要とする。よって、mmW帯域においてデジタルビームフォーミングを具現化するためには、通信機器の値段が増加してしまう問題がある。したがって、mmW帯域のように、多くのアンテナが必要な場合は、アナログビームフォーミング又はハイブリッドビームフォーミング方式が考慮される。アナログビームフォーミング方式は、1つのTXRUに複数のアンテナ要素をマップし、アナログ位相シフター(analog phase shifter)でビーム(beam)の方向を調節する。但し、アナログビームフォーミング方式は、全帯域において1つのビーム方向のみを形成することができるため、周波数選択的なビームフォーミング(beamforming, BF)は提供できないというデメリットがある。ハイブリッドビームフォーミング方式は、デジタルビームフォーミングとアナログビームフォーミングとの中間形態であって、アンテナ要素がQ個であるとき、Q個よりも少ないB個のTXRUを有する方式である。ハイブリッドビームフォーミングの場合、Q個のアンテナ要素とB個のTXRUとの接続方式によって差異はあるが、同時に送信可能なビームの方向はB個以下に制限される。
図3は、TXRUとアンテナ要素の接続方式の例を示す図である。
図3(a)は、TXRUがサブ−アレイ(sub−array)に接続された方式を示している。この場合、アンテナ要素は1つのTXRUにのみ接続される。これとは異なり、図3(b)は、TXRUが全てのアンテナ要素に接続された方式を示している。この場合、アンテナ要素は全てのTXRUに接続される。図3において、Wはアナログ位相シフターにより乗じられる位相ベクトルを示す。即ち、Wによってアナログビームフォーミングの方向が決定される。ここで、CSI−RSアンテナポートとTXRUとのマッピングは、1:1(1−to−1)マッピングであってもよく、又は1:多(1−to−many)マッピングであってもよい。
上述したように、デジタルビームフォーミングは、送信する又は受信されたデジタル基底帯域信号に対して信号処理を行うため、多重のビームを用いて同時に多方向に信号を送信又は受信することができるが、一方、アナログビームフォーミングは、送信する又は受信されたアナログ信号を変調した状態でビームフォーミングを行うため、1つのビームがカバーできる範囲を超える多方向に信号を同時に送信又は受信することができない。通常、基地局は広帯域送信又は多重アンテナ特性を用いて、同時に複数のユーザと通信を行うが、基地局がアナログ又はハイブリッドビームフォーミングを用いて、1つのビーム方向にアナログビームを形成する場合、アナログビームフォーミングの特性上、同じアナログビームの方向内に含まれるユーザとしか通信できない。後述する本発明に係るRACHリソース割り当て及び基地局のリソース活用案は、アナログビームフォーミング又はハイブリッドビームフォーミングの特性から生じる制約事項を反映した上で提案される。
図4は、送受信機ユニット(transceiver unit,TXRU)及び物理的アンテナの観点からハイブリッドビームフォーミングの構造を概略的に示す図である。
複数のアンテナが用いられる場合、デジタルビームフォーミングとアナログビームフォーミングとを組み合わせたハイブリッドビームフォーミング法が台頭している。このとき、アナログビームフォーミング(又は、RFビームフォーミング)は、RFユニットがプリコーディング(又は、コンバイニング)を行う動作を意味する。ハイブリッドビームフォーミングにおいて、基底帯域(baseband)ユニットとRFユニットはそれぞれプリコーディング(又は、コンバイニング)を行い、これによって、RFチェーン(chain)の数とD/A(又はA/D)コンバータの数を減らしながらもデジタルビームフォーミングに近づく性能が得られるというメリットがある。便宜のために、ハイブリッドビームフォーミングの構造は、N個のTXRUとM個の物理的アンテナとで表現されることができる。送信端から送信するL個のデータレイヤーに対するデジタルビームフォーミングは、N−by−L行列で表され、その後、変換されたN個のデジタル信号は、TXRUを経てアナログ信号に変換された後、M−by−N行列で表されるアナログビームフォーミングが適用される。
図4において、デジタルビームの数はLであり、アナログビームの数はNである。NRシステムでは、アナログビームフォーミングをシンボル単位に変更できるように基地局を設計し、特定の地域に位置するUEに、より効率的なビームフォーミングを支援する方向が考慮されている。また、N個のTXRUとM個のRFアンテナを1つのアンテナパネル(panel)と定義するとき、NRシステムでは、互いに独立したハイブリッドビームフォーミングが適用可能な複数のアンテナパネルを導入する案が考慮されている。
基地局が複数のアナログビームを使用する場合、各々のUEにおいて信号受信に有利なアナログビームが異なることがある。よって、少なくとも同期信号、システム情報、ページングなどについては、基地局が特定のスロット又はサブフレーム(subframe, SF)において適用する複数のアナログビームをシンボルごとに変更して、全てのUEに受信機会を与えるようにするビームスイーピング動作(beam sweeping)が考慮されている。
図5は、新たな無線アクセス技術(new radio access technology,NR)システムのセルを例示する図である。
図5を参照すれば、NRシステムでは、既存LTEなどの無線通信システムにおいて、1つの基地局が1つのセルを形成していたこととは異なり、複数のTRP(Transmission Reception Point)が1つのセルを形成する案が議論されている。複数のTRPが1つのセルを形成する場合、UEをサービスするTRPが変更されても、絶えない通信が可能となり、UEの移動性を管理することが容易であるというメリットがある。
LTE/LTE−AシステムにおいてPSS/SSSは、全方位(omni−direction)に送信される。これとは異なり、NRシステムでは、mmWaveを適用するgNBがビーム方向を全方位に回しながらPSS/SSS/PBCHなどの信号をビームフォーミングして送信する方法が考慮されている。このとき、ビーム方向を回しながら信号を送受信することをビームスイーピング(beam sweeping)又はビームスキャニングという。本発明における「ビームスイーピング」は送信機側の動作を示し、「ビームスキャニング」は受信機側の動作を示す。例えば、gNBが最大N個のビーム方向を持つことができると仮定すると、gNBはN個のビーム方向のそれぞれに対してPSS/SSS/PBCHなどの信号を送信する。すなわち、gNBは、自分が持つことのできる又は支援しようとする方向をスイープしながら、それぞれの方向に対してPSS/SSS/PBCHなどの同期信号を送信する。又は、gNBがN個のビームを形成できる場合、複数のビームを束ねて1つのビームグループとして構成することができ、各々のビームグループにおいてPSS/SSS/PBCHを送受信することができる。このとき、1つのビームグループは、1つ以上のビームを含む。同方向に送信されるPSS/SSS/PBCHなどの信号が1つのSSブロックとして定義されてもよく、1つのセル内に複数のSSブロックが存在してもよい。複数のSSブロックが存在する場合、各々のSSブロックを区分するために、SSブロックインデックスを使用してもよい。例えば、一システムにおいて10個のビーム方向にPSS/SSS/PBCHが送信される場合、同方向へのPSS/SSS/PBCHが1つのSSブロックを構成することができ、当該システムでは、10個のSSブロックが存在することと理解されてもよい。
図6は、UEがTA(Timing Advance)値に基づいて、上りリンク信号を送信する例を示す図である。
移動通信システムは、1つの周波数帯域において複数のUEにサービスを提供しなければならないので、複数のUEを区分するための多様な方法が必要である。特に、1つの基地局内において全てのUEの信号が同一の基準時間に合わせて送信可能な下りリンクとは異なり、上りリンクの場合、UEが正確に同一の基準時間を有することができないため、UE間のマルチプレクシングのための方法が必要となる。
3GシステムのようにCDMAを用いる場合、基地局が互いに異なるコードを用いて互いに異なるUEを区分するように設計され、4Gシステムの場合、周波数又は時間軸上において独立してリソースを割り当て、互いに異なるUEを区分するように設計される。このとき、基地局が時間軸上においてリソースを動的にスケジュールするためには、複数のUEが基地局から受信された時間を基準として上りリンク信号の到着時間を合わせなければならない。
上りリンク時間同期を維持するために、基地局はUEにTA値(Time Advance value,TA value)を送信することができ、UEは基地局から受信されたTA値に基づいて、送信タイミングを早めたり遅らせたりして調節することができる。基地局は多様な方法によってUEのTA値を計算することができ、計算されたTA値をUEに送信することができる。このとき、TA値はTAコマンド(Timing Advance Command,TAC)を介して送信されてもよく、TAコマンドはTA値を指示する情報を意味してもよい。TAコマンドはランダムアクセス応答(Random Access Response,RAR)を介して送信されるか、又はMAC(Medium Access Control)CE(Control Element)を介して周期的に送信されてもよい。遊休モード(idle mode)のUEは、ランダムアクセス応答を介してTAコマンドを受信することができ、接続モード(connected mode)のUEは、ランダムアクセス応答又はMAC CEを介してTAコマンドを受信することができる。以下、UEがランダムアクセス応答を介してTAコマンドを受信する場合とMAC CEを介してTAコマンドを受信する場合について具体的に説明する。
例えば、UEがランダムアクセス応答を介してTAコマンドを受信する場合、UEが基地局にランダムアクセスプリアンブルを送信すると、基地局はUEから受信したランダムアクセスプリアンブルに基づいてTA値を計算する。基地局は、計算されたTA値を含むランダムアクセス応答をUEに送信して、UEは受信されたTA値を用いて上りリンク送信タイミングをアップデートする。
ランダムアクセス応答は、TAコマンド、ULグラント、仮C−RNTIを含んでもよい。
ULグラントは、スケジューリングメッセージの送信に用いられる上りリンクリソース割り当て及びTPC(transmit power command)を含む。TPCはスケジューリングされたPUSCHのための送信電力を決定するのに用いられる。また、UEは、ランダムアクセス応答に含まれたULグラントによってスケジュールされたメッセージを基地局に送信する。実施例によって、ランダムアクセスプリアンブル、ランダムアクセス応答メッセージ、及びスケジュールされたメッセージのそれぞれは、M1メッセージ、M2メッセージ、及びM3メッセージと呼ばれてもよく、M1メッセージ、M2メッセージ、及びM3メッセージのそれぞれは、メッセージ1(Msg1)、メッセージ2(Msg2)、及びメッセージ3(msg3)と呼ばれてもよい。
また、UEがMAC CEを介してTAコマンドを受信する場合、基地局はUEから周期的に又は任意的にサウンディング基準信号(Sounding Reference Signal,SRS)を受信して、受信されたサウンディング基準信号に基づいて、UEのTA値を計算することができる。また、基地局は、計算されたTA値をMAC CEを介してUEに通知することができる。このとき、MAC CEを介して送信される周期的なTAコマンドは、以前のTA値に対してアップデートされる値を含んでもよい。例えば、以前のTA値が100Tsであり、MAC CEを介して送信されたTAコマンドが指示するTA値が−16Tsである場合、UEは84Ts(100Ts−16Ts)を上りリンク信号の送信のためのTA値として決定することができる。また、UEは84Tsによって上りリンク信号を送信することができる。
これによって、LTEシステムでは、基地局がTA値をUEに送信して、UEは基地局から受信したTA値だけ時間を早めて上りリンク信号を送信する。
図6を参照すれば、UEは、下りリンクで送信される基準信号(LTEシステムの場合、同期信号とCRS)を用いて基地局と時間同期を取る。このとき、基地局と同期を取った時間は、実際の基地局の時間と所定時間だけ差異がある。例えば、基地局と同期を取った時間は、実際の基地局の時間と伝播遅延(propagation delay)だけ差異があり得て、伝播遅延は伝播が基地局とUEとの間の距離だけ到達するのにかかる遅延時間を意味してもよい。よって、UEが下りリンクを介して基地局と同期を取った時間を基準として、上りリンク信号を送信する場合、上りリンク信号を送信したUEによって、上りリンク信号が基地局に到達するまでの時間差が生じる。このとき、上りリンク信号を送信したUEによって、基地局とUEとの往復遅延(round−trip delay)時間だけ差異が生じ得る。よって、UEが基地局とUEとの往復遅延時間だけ早めて上りリンク信号を送信するように、基地局はTAコマンドを介してTA値をUEに送信する。
TAコマンドは、初期アクセス(initial access)過程において送信されるRACH信号に対する応答メッセージ(例えば、ランダムアクセス応答メッセージ)を介して送信されてもよい。また、初期アクセス過程が終了した後、接続モード(connected mode)では、UEから送信されるSRS又はPUSCH/PUCCHを介して測定された値に基づいて、TAコマンドがUEに周期的に送信される。
通常、TAコマンドが送信又は受信されない場合、時間の経過に応じてUEの位置変動などにより上りリンク信号の受信時間がずれてしまい、上りリンクに対する同期が取れない(out−of−sync)状態になり得る。よって、UEは、定められた時間の間にTAコマンドが受信されない場合、接続に対する再接続を行う。
通常、UEは移動性を有するため、UEが移動する速度及び位置などによってUEの送信タイミングが変動することができる。よって、UEが基地局から受信したTA値は、特定の時間の間に有効な値であり得る。TA値が特定の時間の間に有効であるようにするために、時間同期タイマー(Time Alignment Timer)を用いてもよい。
例えば、UEが基地局からTA値を受信した後、時間同期をアップデートすると、UEは時間同期タイマーを開始するか再開する。UEは、時間同期タイマーが動作中であるときにのみ上りリンク信号を送信することができる。時間同期タイマーの値は、システム情報又は無線ベアラ再構成(Radio Bearer Reconfiguration)メッセージのようなRRCメッセージを介して基地局からUEに送信されることができる。
時間同期タイマーが満了したり、時間同期タイマーが動作しない場合、UEは基地局と時間同期が取れないと判断して、ランダムアクセスプリアンブルを除いた何らの上りリンク信号も送信しない。
LTEシステムでは、各サービングセル(serving cell)ごとに独立したTAを適用するために、TAグループ(TA Group,TAG)が定義される。TAグループは同一のTAが適用される1つ以上のセルを含む。各々のTAグループにおいてTAが適用されてもよく、時間同期タイマーも各々のTAグループにおいて作動する。
TAグループのためのTAコマンドは、TAグループにおける現在の上りリンクタイミングに対する上りリンクタイミングの変化を16Tsの倍数で指示する。ランダムアクセス応答の場合、TAグループのための11ビットTAコマンド(TA)、TAのインデックス値でNTA値を指示する。UEがSCG(Secondary Cell Group)に設定(configure)された場合、TAのインデックス値は、0,1,2,…,256であってよく、UEがPCG(Primary Cell Group)に設定された場合、TAのインデックス値は、0,1,2,…,1282であってもよい。このとき、TAグループのためのTA値はNTA=16TAと与えられてもよい。
別の実施例によれば、TAグループのための6ビットのTAコマンドは、TAのインデックス値で現在のNTA値(NTA,old)を新たなNTA値(NTA,new)に調整することを指示する。このとき、TA値は0,1,2,…,63であってもよく、NTA,newはNTA,old+(TA−31)×16と示すことができる。このとき、NTA値を正の数又は負の数に調整することは、与えられた大きさだけTAグループのための上りリンク送信タイミングを早めたり遅らせたりすることを指示する。
n番目のサブフレーム上においてTAコマンドが受信された場合、受信されたTAに対応する上りリンク送信タイミングの調整は、n+6番目のサブフレームから適用できる。同一のTAグループのサービングセルに対して、n番目のサブフレーム及びn+1番目のサブフレームにおけるUEの上りリンク送信(例えば、PUCCH/PUSCH/SRS)が時間調整のためにオーバーラップされる場合、UEはn番目のサブフレームの送信を終了して、n+1番目のサブフレームのオーバーラップ部分を送信しない。
仮に、受信された下りリンクタイミングが変更され、変更された下りリンクタイミングが補償できないか、又はTAコマンドなく上りリンクタイミング調整によって部分的にのみ補償される場合、UEは変更された下りリンクタイミングに応じてNTAを変更する。
また、LTEシステムでは、1.4MHzから20MHzまでの多様なシステム帯域幅が定義されるが、副搬送波間隔(sub−carrier spacing,SCS)の場合、15kHzの単一ニューマロロジー(以下、ニューマロロジーは副搬送波間隔を称する。)が定義される。また、CP(cyclic prefix)の長さは、15KHzの副搬送波間隔に基づいて定義され、全てのシステム帯域幅に対して同様に定義される。
基本的に、UEは全てのシステム帯域幅を支援して、サンプリング周波数(sampling frequency)はシステム帯域幅によって1.92〜30.72MHzに設定される。多様なシステム帯域幅が定義されている環境において、UEは、初期アクセス過程では基地局のシステム帯域幅を知らないため、UEが現在接続する周波数バンドで定義される最小の帯域幅又はLTEシステムが支援する最小の帯域幅を基準として基地局への接続を試みる。このとき、UEは1.92MHzのサンプリング周波数を用いてトランシーバー(又は、送受信モジュール、通信モジュール)を運用するために、基地局によって送信されるTAコマンドは16Ts単位で適用されることが望ましい。このとき、Tsは1/30.72MHzであって、LTEシステムにおいて定義する最小のサンプリング時間(sampling time)に該当する。すなわち、16Tsは1.92MHzのサンプリング周波数に該当するサンプリング時間を意味する。これによって、LTEシステムでは、初期アクセス時と接続モード時とのTAに関する解像度(resolution)を一致させるために、TA値の基本単位(unit)が16Tsと定義(define)される。このとき、CP長は約5usecであって、全てのシステム帯域幅に対して同様である。よって、TAを介した上りリンク送信の時間調整(timing adjustment)は、システム帯域幅と関係なく約1/18CP長だけ誤差が生じる。
NRシステムでは、基本的な初期アクセス過程及びTAを用いた上りリンク送信の時間調整過程がLTEシステムと類似すると予想される。しかし、NRシステムの場合、LTEシステムとは異なり、数百MHzから数十GHz帯域まで運用される周波数帯域が様々であり、各々の周波数帯域によるユースケース(use case)又はセル環境が極めて異なる。よって、NRシステムでは、多様なニューマロロジーを支援(例えば、データチャンネルを基準として、15,30,60,120又は240kHzの副搬送波間隔を支援)する。また、多様なニューマロロジーを支援することに伴って、多様なCP長が定義され、通常、CP長は副搬送波間隔に反比例して決定される。また、NRシステムでは、1つのシステム帯域内で動作するサービスによって、UEごとに異なるニューマロロジーが用いられてもよい。UEごとに異なるニューマロロジーが用いられる場合、LTEシステムのようにTAコマンドを介して送信されるTA値を1つの基本単位に基づいて解釈するのは、シグナリングオーバーヘッドの面において非効率である。よって、本発明では、ニューマロロジーによってTA値の基本単位を設定する方法を提案する。このとき、TA値の基本単位は、絶対的なTA値(例えば、ランダムアクセス応答メッセージを介して送信されたTA値)及び相対的なTA値(例えば、接続モードにおいてTAコマンドを介して送信されたTA値)の全てに対して共通して適用されてもよい。
1.方法1:SSブロックの副搬送波間隔によってTA値の基本単位を設定
NRシステムでは、LTEシステムよりも広い周波数帯域を支援する。これによって、NRシステムでは、周波数帯域による周波数オフセットの差がLTEシステムよりも大きいため、時間及び周波数の同期が効率的に行われるように、周波数帯域によってSS(Synchronization Signal)ブロックの副搬送波間隔が定義される。
SSブロックの副搬送波間隔が大きいことは、その周波数帯域で送信されるデータチャンネルの周波数帯域が広いということを意味する。このとき、CP長は副搬送波間隔に反比例して短くなるため、SSブロックの副搬送波間隔に応じてTA値の基本単位(TTA)が設定されることができる。このとき、TTAはSSブロックの副搬送波間隔に反比例して決定されるか、又はSSブロックの副搬送波間隔に応じて定められた規則に基づいて決定されてもよく、実施例によって任意の値で決定されてもよい。
例えば、SSブロックの副搬送波間隔が15KHzであるとき、Tsは1/30.72MHzであり、TTAは4TSであってもよい。また、SSブロックの副搬送波間隔が120KHzであるとき、Tsは1/(8×30.72MHz)であり、TTAは4Tsであってもよい。上述した例において、Tsが固定された値と定義される場合、便宜のために、TTA=N×TsのNの値は、Tsの値に基づいてスケール(scaling)されてもよい。すなわち、Tsの値が1/(16×30.72MHz)に固定される場合、SSブロックの副搬送波間隔が15kHzであるとき、TTAは32Tsであってもよく、SSブロックの副搬送波間隔が120kHzであるときは、TTAは4Tsであってもよい。
2.方法2:周波数バンドによってTA値の基本単位を設定
方法1において提案した方法は、基地局が運用するキャリア周波数(carrier frequency)によって、全てのチャンネルの副搬送波間隔が大きいと仮定して、全てのチャンネルを代表するチャンネルとしてSSブロックを定義したものである。しかしながら、今までの議論によれば、NRシステムの場合、6GHz以下ではシステムの最小帯域幅(system minimum bandwidth)を5MHzと定義することができ、6GHz以上ではシステムの最小帯域幅を50MHzと定義することもできる。
SSブロックの副搬送波間隔が15kHzであるとき、SSブロックの周波数帯域は約4MHzに該当する。よって、3〜6GHz周波数帯域の場合でもSSブロックの副搬送波間隔は15kHzであるものの、データチャンネルの副搬送波間隔は30kHz又は60kHzであってもよい。また、副搬送波間隔が大きくなると、CP長は短くなるため、副搬送波間隔が小さいSSブロックのSCSに基づいてTTAを定義する場合、TA値の解像度が低くなり過ぎる問題がある。よって、周波数バンドによってTA値の基本単位を設定することがより適切である場合もある。このとき、周波数バンドは、キャリア周波数バンドを意味してもよく、標準で定義する周波数バンド番号(frequency band number)を意味してもよい。
以下の表2は、各々の周波数バンドによるSSブロックの副搬送波間隔、Ts及びTTAの値の例を示す。
表2を参照すれば、周波数バンドが高くなるほどTTAの値が小さくなり、SSブロックの副搬送波間隔が同一であっても、高い周波数バンドであるときにTTAの値がさらに小さい。また、表2において、Tsが固定された値と定義される場合、便宜のために、TTA=N×TsのNの値はTsによってスケールされてもよい。即ち、Tsの値が1/(16×30.72MHz)に固定される場合、表2のTTAは上から順に64Ts,32Ts,8Ts,4Tsと示される。
3.方法3:RACHニューマロロジーによってTA値の基本単位を設定
LTEシステム又はNRシステムでは、基本的に、初期アクセスの際、UEがRACHプリアンブル(preamble)を介して最初に上りリンク送信を試みて、このとき、TA値は0に設定される。TA値が0に設定されるとは、UEが下りリンク信号の受信時間を基準として上りリンク信号を送信することを意味する。このとき、基地局はUEから送信されたRACHプリアンブル信号の到達時間を計算して、RACHプリアンブル信号の到達時間に基づいて設定したTA値をRARメッセージを介してUEに伝達する。即ち、RARメッセージを介して送信されるTA値の解像度は、RACHプリアンブル信号の帯域幅によって決定され、RACHプリアンブル信号の帯域幅はRACHプリアンブルの副搬送波間隔に比例する。よって、RARメッセージを介して送信されるTA値の解像度は、今後、TAコマンドを介して送信され、UEが上りリンク信号を送信するときに用いられるTA値の基本単位であるTTAで使用できる。TTAはRACHプリアンブルの副搬送波間隔に反比例して決定されるか、RACHプリアンブルの副搬送波間隔によって定められた規則に基づいて決定されてもよく、又は実施例によって任意の値で決定されてもよい。
以下の表3は、RACHプリアンブルの副搬送波間隔によって決定されるTTAの例を示す。
表3を参照すれば、RACHプリアンブルの副搬送波間隔に反比例してTTAが決定される。また、表3において、Tsが固定された値で定義される場合、便宜上、TTA=N×TsのNの値はTsによってスケールされることができる。例えば、Tsの値が1/491.52MHzの固定された値で定義される場合、表3のTTAは、上から順に128Ts,64Ts,32Ts,16Tsと示される。
4.方法4:データチャンネルのデフォルトニューマロロジーによってTA値の基本単位を設定
上述のように、NRシステムは、1つのシステムにおいて多様なニューマロロジーを支援することができる。例えば、NRシステムでは、1つのシステムにおいて15kHz〜60kHzの互いに異なる副搬送波間隔を有するデータチャンネル(例えば、PDSCH、PUSCHなど)を同時に支援することもできる。しかし、互いに異なる副搬送波間隔を有するデータチャンネルを同時に支援しても、SSブロック、RACHのようなユーザ間の共通信号又は接続を確立する前に用いられるチャンネルの場合、副搬送波間隔が1つの値に固定されるしかない。このとき、SSブロック又はRACHのような信号のニューマロロジーを基準チャンネル又は基準信号として用いる場合、TA値の解像度が過度に低下又は上昇する問題が生じ得る。このとき、基準チャンネル又は基準信号は、TA測定のために用いられるチャンネルや信号を意味してもよい。
今までの議論によれば、NRシステムでは、データチャンネルのデフォルトニューマロロジー(default numerology)が定義されていない。しかし、データチャンネルのデフォルトニューマロロジーが定義される場合、データチャンネルのデフォルトニューマロロジーがTTAを決定するための基準値として利用できる。データチャンネルのデフォルトニューマロロジーがTTAを決定するための基準値として利用できるということは、データチャンネルのデフォルトニューマロロジーによってTTAが決定できるという意味を含んでもよい。また、データチャンネルのデフォルトニューマロロジーと類似した概念として、ブロードキャストチャンネル(例えば、RMSI(Remaining Minimum System Information)、OSI(Other System Information)、又はページング(paging)など)の送信のために用いられるPDSCH又はRACH message3(RACH msg3)の送信のために用いられるPUSCHのニューマロロジーがTTAを決定するための基準値としても利用できる。PDSCH又はPUSCHのニューマロロジーがTTAを決定するための基準値として利用できるということは、PDSCH又はPUSCHのニューマロロジーによってTTAが設定できるという意味を含んでもよい。このとき、TTAはデータチャンネルのデフォルトニューマロロジーの副搬送波間隔に比例して設定されるか、データチャンネルのデフォルトニューマロロジーの副搬送波間隔によって定められた規則に基づいて設定されてもよく、又は実施例によって任意の値で設定されてもよい。
以下の表4は、RMSIのニューマロロジーによって設定されるTTAの例を示す。
表4を参照すれば、ブロードキャストチャンネルの一例として、RMSIの副搬送波間隔によってTTAの設定が異なってもよく、TTAはRMSIの副搬送波間隔に反比例して設定されてもよい。また、表4において、Tsが固定された値で設定される場合、便宜上、TTA=N×TsのNの値はTsの値によってスケールされることができる。例えば、Tsの値が1/491.52MHzに固定される場合、表4のTTAは、上から順に64Ts,32Ts,16Ts,8Tsと示される。
5.方法5:システム情報によってTA値の基本単位を設定
上述したように、NRシステムは、1つのシステムにおいて15kHz〜60kHzの互いに異なる副搬送波間隔を有するデータチャンネルを同時に支援することができる。このとき、SSブロック、RACHのようなユーザ間の共通信号又は接続を確立する前に用いられるチャンネルは、接続する基地局が選好する副搬送波間隔を代表できないことがある。このとき、基地局は、システム情報によってTTAの値を直接設定することができる。また、基地局は選好する副搬送波間隔(preferred SCS)又は支援する最大の副搬送波間隔(supported maximum SCS)を設定して、選好する副搬送波間隔又は支援する最大の副搬送波間隔に基づいてTTAの値を設定してもよい。UEが複数のキャリア又は複数の帯域幅パートを割り当てられた場合、UEはUE固有(specific)メッセージを介して各キャリア又は各帯域幅パートにおいてシステム情報を受信することで、各キャリア又は各帯域幅パートごとにTTAの値が設定されてもよい。
6.方法6:ユーザごとに設定されるデータチャンネル又はTA測定のための基準チャンネルのニューマロロジーによってTA値の基本単位を設定
上述した方法1〜5は、RARメッセージを介したTA値と接続モードで受信したTAコマンドのTA値との基本単位が同一であることを仮定する。これによって、方法1〜5は、基本的に全てのユーザが同一の副搬送波間隔を用いると仮定してTTAを設定し、全てのユーザが同一の副搬送波間隔を用いると仮定しない場合には、効率的な時間整列(timing alignment)のために、基地局が現在支援する最大の副搬送波間隔に基づいてTTAを設定する。
RARメッセージを介したTA値と接続モードで受信したTAコマンドのTA値との基本単位が同一であると仮定する場合、UEによってTA値の解像度が低下するか、又は最大の副搬送波間隔を支援するためにTA値を送信するためのビット数を増加させなければならない問題が生じ得る。
上述した問題を解決するために、方法6では、ユーザごとに設定されるデータチャンネル又はTA測定のための基準チャンネルのニューマロロジーによってTA値の基本単位を設定する方法を提案する。また、方法6は、RARメッセージを介して受信されたTA値と接続モード(connected mode)でTAコマンドを介して受信したTA値との基本単位を異ならせて設定する方法を含む。
例えば、UEが遊休モード(接続セットアップ(connection setup)を終える前)である場合、TTAは、方法1〜5を用いて設定される。
しかしながら、UEが接続モード(接続セットアップを終えた後)である場合、UEは、データチャンネル(例えば、PDSCH又はPUSCH)の副搬送波間隔又はTA測定のための基準チャンネル(例えば、SRS)のSCSを設定することができ、データチャンネルの副搬送波間隔又はTA測定のための基準チャンネルの副搬送波間隔に基づいてTTAが決定されてもよい。また、下りリンクと上りリンクとの副搬送波間隔が異なる場合、TTAは上りリンクの副搬送波間隔に基づいて決定されることができる。
また、UEが複数のキャリア又は複数の帯域幅パートを割り当てられて動作する場合、割り当てられたキャリアに対して、キャリアごとにデータチャンネルの副搬送波間隔が異なってもよい。このとき、全てのキャリアに対して、方法1、3、4、5を同様に用いることが難しい場合があり、キャリアごとにTTAを異ならせて決定した方がより適切であることがある。(以下、キャリアは、1つのキャリア内で帯域幅パートを称してもよい)、このとき、TTAは割り当てられたデータチャンネルの副搬送波間隔に基づいて設定されるか、接続セットアップ(connection setup)メッセージを介して直接決定されてもよい。または、実施例によって、接続セットアップ段階の以前に設定されたTTAの値が承継されて用いられてもよい。
方法1−5の場合、TA値は1つの周波数帯域に対して同一のTA解像度を有する。よって、UEがRARメッセージを介して受信されたTA値をメモリに記憶させ、その後、接続モードにおいて相対的な値で決定されたTA値を受信する場合、UEはメモリに記憶されたTA値を用いてスケーリングの過程なく、そのまま足したり引いたりして用いることができる。
しかし、方法6の場合、UEは、RACH過程によって設定されたTA値をデータチャンネルの副搬送波間隔に合わせて使用する。よって、UEは、RARメッセージを介して受信したTA値をメモリに記憶させ、データチャンネルの副搬送波間隔が決定されると、副搬送波間隔の比率(ratio)に該当する分だけメモリに記憶されたTA値をシフト(shift)させることができる。このとき、メモリに対する1ビットの解像度はRARメッセージに該当するTTAであってもよい。
別の実施例によれば、UEは、周波数帯域又はシステムが支援する最大の副搬送波間隔によってメモリのビット解像度を決定することができる。また、UEは、メモリのビット解像度によって、RARメッセージを介して受信したTA値や接続モードでTAコマンドを介して受信したTA値をスケールしてメモリに記憶させることができる。
複数の周波数帯域によって動作するシステムにおいてTA値の基本単位を決定する方法
以下、上述したTA値の基本単位の設定方法を複数の周波数帯域によってサービスする通信システムに適用する方法について説明する。例えば、複数の周波数帯域によってサービスする通信システムは、LTEシステムの場合、キャリアアグリゲーション(Carrier aggregation)を含んでもよく、NRシステムの場合、キャリアアグリゲーション又は複数の帯域幅パート(multiple bandwidth part)を含んでもよい。すなわち、以下では、UEが複数の周波数帯域を割り当てられ、各周波数帯域に対してTA値の基本単位を設定するための基準チャンネルが異なるとき、TA値の基本単位を決定する方法について説明する。このとき、TAコマンドは、UEが割り当てられた複数の周波数帯域のうち1つの周波数帯域のみを介して送信されると仮定することができ、全ての周波数帯域を合わせてTAグループ(TA group,TAG)と称することができる。
以下、説明の便宜のために、TA値の基本単位は、UEに割り当てられたデータチャンネルの副搬送波間隔又はTA値を測定するためのSRSの副搬送波間隔であると仮定するが、上述した全ての基準チャンネルの副搬送波間隔の値が適用されてもよい。
TA値の基本単位は、複数のチャンネルのうち、TAコマンドを送信する周波数帯域の(基準チャンネルの)副搬送波間隔を基準として決定されてもよい。UEがTAコマンドを受信する場合、受信されたTAコマンドを基準としてTA値が決定される。このとき、TA値は、絶対的な時間によって計算されてもよく、UEが内定した基本単位(例えば、サンプル数)に合わせた値で計算されてもよい。決定されたTA値は、全ての周波数帯域に適用できる。
基地局がTA値を測定することを助けるために、UEがSRSのようなチャンネルを基地局に送信する場合、UEは少なくともTAコマンドを送信する周波数帯域を介してSRSを送信することが有利であり得るが、これに限定されない。実施例によって、基地局のロード又はTA値測定の精度を反映して、基地局がSRSの送信される周波数帯域を直接設定することができる。
TA値の基本単位を設定する周波数帯域が小さい副搬送波間隔で動作して、小さい副搬送波間隔によってTA値の基本単位が決定される場合、TA値の基本単位が大きくなり過ぎることがある。これによって、動作する副搬送波間隔が大きく、スロット長が短い周波数帯域では、TAがスロット長に比べて大きい単位として適用されてシンボル間に干渉が生じ得る。
上述した問題を解決するための方法として、TA値の基本単位を決定する基準として、割り当てられた周波数帯域のうち基準チャンネルの副搬送波間隔(又は、副搬送波間隔に相当する値でCP長の逆数)が最大の周波数帯域の副搬送波間隔に基づいて、TA値の基本単位が設定されてもよい。TAコマンドが受信される場合、UEは受信されたTAコマンドに基づいてTA値を決定して、決定されたTA値を全ての周波数帯域に適用する。このとき、基準チャンネルは、上述のように多様なチャンネル又は信号(signal)であってもよい。
例えば、複数の周波数帯域がUEに割り当てられた場合、UEは既に接続モード(connected mode)であるため、TAが適用されるPUSCH/PUCCH又はSRSが基準チャンネルとして適切であり得る。これによって、上りリンクチャンネルが割り当てられた周波数帯域のうち、PUSCH/PUCCH又はSRSの副搬送波間隔が最大のチャンネル/信号が基準チャンネルとして決定されてもよく、基準チャンネルの副搬送波間隔がTA値の基本単位を決定するための基準値として用いられてもよい。基準チャンネルの副搬送波間隔がTA値の基本単位を決定するための基準値として用いられるという意味は、基準チャンネルの副搬送波間隔に基づいてTA値の基本単位が設定できるという意味を含んでもよい。
また、上りリンクチャンネルが割り当てられない周波数帯域の場合は、PDSCH/PDCCHチャンネルの副搬送波間隔、上りリンクチャンネルが割り当てられた周波数帯域の場合は、PUSCH/PUCCH又はSRSの副搬送波間隔のうち最大値に基づいてTA値の基本単位が設定されてもよい。
また、上りリンクチャンネルが割り当てられない周波数帯域において、今後、上りリンクチャンネルが割り当てられる可能性を想定して、TA値の基本単位が設定されてもよい。例えば、上りリンクチャンネルが割り当てられない周波数帯域に対しては、上述した方法1〜4で与えられたチャンネルの副搬送波間隔に基づいてTA値の基本単位が設定されてもよい。また、上りリンクチャンネルが割り当てられた周波数帯域に対しては、PUSCH/PUCCH又はSRSの副搬送波間隔のうち最大値がTA値の基本単位として設定されてもよい。
また、上りリンクチャンネルが割り当てられなくても、今後、上りリンクチャンネルが割り当てられる可能性を想定して、設定された全ての周波数帯域に対して、上述した方法1〜4で与えられたチャンネルの副搬送波間隔のうち最大値に基づいてTA値の基本単位が設定されてもよい。
このとき、基地局がTA値を測定することを助けるために、UEがSRSのようなチャンネルを送信する場合、基準チャンネルとして決定した周波数帯域によってSRSを送信することが有利であり得る。しかし、実施例によって、副搬送波間隔が同一の複数のチャンネルが存在することができ、基地局のロードやTA値の測定の精度を反映して、基地局がSRSを送信するための周波数帯域を直接設定することができる。
図7は、TA値をサンプル数単位に換算して適用するとき、四捨五入又は切り上げ演算を適用する例を示す図である。
各々の周波数帯域において動作するサンプリング周波数(sampling frequency)が異なり、UEがTAコマンドから受信したTA値をサンプル数単位に換算して適用する場合、UEはTAコマンドから受信したTA値をそれぞれのサンプリング周波数に合うようにスケールした後、スケールされた値をサンプル数単位に変換して適用することができる。このとき、サンプル数単位に変換された値がサンプリング時間(sampling time)に対して整数ではない場合、UEは最も近い整数値を適用することができ、実施例によって切り上げ又は切り捨て演算を適用してもよい。例えば、図7を参照すれば、TA値の基本単位が16Tsと設定され、UEがTAコマンドから受信したTA値が4Tsである場合、UEは四捨五入演算に従ってTA値を適用することができる。このとき、4Tsは16Tsの1/2に該当する8Tsよりも小さい値であるため、適用されるTA値は0となり得る。これによって、UEは、上りリンク送信タイミングを調整せず、上りリンク信号を送信することができる。また、UEがTAコマンドから受信したTA値が10Tsである場合、10Tsは16Tsの1/2に該当する8Tsよりも大きい値であるため、四捨五入演算に従って16TsがTA値に適用されることができ、UEは16Tsだけ上りリンク送信タイミングを調整して、上りリンク信号を送信することができる。
別の実施例によれば、TA値を換算するとき、切り上げ又は切り捨て演算が適用されてもよい。例えば、TA値の基本単位が16Tsと設定され、切り上げ演算に従ってTA値が換算される場合、UEがTAコマンドから受信したTA値が4Ts又は10Tsであるとき、切り上げ演算に従っていずれも16TsがTA値に適用されることができる。
一方、TA値を絶対値に変換して適用する場合、UEは各周波数帯域において動作する単位に変換された絶対値を換算して、周波数帯域ごとに互いに異なるTA値を適用することができる。
連接したミニスロット(mini slot)に対するUEの動作に関する考慮事項
一方、通信システムでは、データ送受信の過程において、データ受信領域を向上させるために、パケットを複数のスロットに連接して送信する方法が用いられる。このとき、各々のスロットにおいては、受信された信号からデータを復調して復旧するために、チャンネル推定のための参照信号(reference signal,RS)が送信されてもよく、UEは参照信号を用いてチャンネルを推定して、信号を受信してもよい。このとき、送信機(例えば、UE)が連接したスロットの中間地点において時間トラッキングを行ったり、周波数を急激に変更したりすると、受信機(例えば、基地局)の観点から各スロットに該当するチャンネルの特性が変わる。よって、上述した場合を考えて、一般に、各スロットで推定されたチャンネルは、次のスロット又は以前のスロットに適用されず、推定したスロットにのみ適用されてもよい。
LTEシステム及びNRシステムでは、パケット送信の要求が発生する場合、データ送信のための時間遅延を減らすために、データ送信のためのデータチャンネルのスロットが短いミニスロット(mini slot)を定義して、ミニスロットを用いて低遅延(low latency)サービスを適用しようとする。ミニスロットの場合、スロット長が短いため、スロット間の時間間隔が小さいが、スロットごとにRSを送信する場合、オーバーヘッドの比率が大きくなり過ぎるという問題がある。これによって、スロットが連接して送信される場合、スロットごとにRSを送信せずに、1つのスロットにおいて送信したRSを次のスロット又は以前のスロットにおいて用いる方法が議論されている。
上述したように、RSが複数のスロットで共有される場合、送信機が連接したスロットの境界地点において時間トラッキング(time tracking)を行うと、受信機はこれを認知できず、RSが送信されたスロットにおいてチャンネルを推定して、チャンネル推定の結果を隣接したスロットに使用することによって、データ受信性能が大幅に低下するという問題点がある。上述した問題を解決するために、本発明では、UEがTAコマンドを受信して、TAコマンドを介して受信したTA値を反映する方法を以下のように提案する。
先ず、UEは、TAコマンドを受信して、TAを介して受信したTA値をUEの送信機に反映する過程においてRSを共有する方式によって、連接したミニスロットが割り当てられた場合、UEは送信機の送信時点を決定するとき、連接したミニスロットを送信する途中にTA値を反映しない。UEは、連接したミニスロットの送信が終了した後、任意の時点でTA値を送信機のパラメータとして適用する。また、TA値の反映時点が予め定義されていても、UEはTA値を遅延させて適用することができる。これによって、UEは送信したパケットが受信されるのに問題がないようにする。
第2番目にTAコマンドを送信した基地局及びTAコマンドを受信してTA値を適用するUEは、TA値を適用する時点を予め定義する。また、少なくとも連接したミニスロットの送信を試みる場合、TA値を正確に適用させることができる。これによって、基地局がTAをチャンネル推定値に正確に反映してデータの受信過程に適用させることができる。このとき、TA値を適用する時点は、ミニスロットの送信のために、ミニスロットを定義するために用いるスロット単位又はシンボル(例えば、OFDMシステムの場合はOFDMシンボル)単位で定義されてもよい。
また、UEの動作が複雑になり過ぎることを防止するために、TA値を適用する時点がミニスロットのスロット単位よりも大きい単位で定義されてもよい。また、TAコマンドを送信する基地局がTA値が適用される時点を避けて、連接したミニスロットをスケジュールするように制約を与える方法も可能である。上述した方法は、RSを共有しない連接したミニスロットの場合には適用できないこともある。
上述したように、TAコマンドを適用する過程において、時間遅延が発生して、時間遅延が発生した区間の間に更なるTAコマンドが受信され、最終的に、適用すべき累積されたTA値が大きくなり過ぎることがある。このとき、累積されたTA値を一度に適用する場合、基地局の受信機において時間トラッキング(time tracking)を受信したり、データを受信したりすることに問題が発生する可能性がある。上述した問題が生じることを防止するために、累積されたTA値は、複数の時点に分けて適用されてもよい。このとき、複数の時点に分ける基準は、予め設定した上限/下限値又は基地局が適用した上限/下限値に基づいて決定されてもよい。また、UEは、各々のTAコマンドを介して受信されたTA値ごとに適用せず、累積されたTA値を基準として任意に適用することができる。
図8は、本発明によるUEが上りリンク信号を送信する方法を示すフローチャートである。
図8を参照すれば、S800ステップでは、UEは第1のTAコマンドを含むランダムアクセス応答メッセージを受信する。
S810ステップでは、UEはランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルの副搬送波間隔(subcarrier spacing)及び第1のTAコマンドに基づいて第1の上りリンク信号送信のための第1のTA値を決定する。
例えば、ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルの副搬送波間隔に基づいて、TA値の基本単位が決定されてもよい。このとき、RACH msg3のサブキャリア間隔は、RACH設定によってUEに指示されることができる。また、第1のTA値は、TA値の基本単位及び第1のTAコマンドに基づいて決定されることができる。第1のTAコマンドは、UEが1つの上りリンクキャリアを介して上りリンク信号を送信する場合、UEが遊休モード又は接続モードであるとき、ランダムアクセス応答によって受信するTAコマンドを意味してもよい。また、第1のTAコマンドは、UEが接続モードであるとき、MAC CEによって受信するTAコマンドを意味してもよい。このとき、第1のTA値は第1のTAコマンドによって指示される値に比例して、ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルの副搬送波間隔に反比例してもよい。
ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルは、UEが遊休モード(idle mode)である場合、RACHメッセージ3(RACH msg3)を意味してもよく、UEが接続モード(connected mode)である場合、PUSCHを意味してもよい。
S820ステップでは、UEは第1のTA値に応じて第1の上りリンク信号を送信する。このとき、第1のTA値に応じて送信される第1の上りリンク信号は、ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルを含むことができる。例えば、遊休モードのUEは、第1のTA値によってRACH msg3を送信することができる。
図9は、本発明によるUEと基地局の構成を示す図である。
提案する実施例によるUE100は、トランシーバー110、プロセッサー120及びメモリ130を含むことができる。UE100のトランシーバー110は、無線周波数(radio frequency,RF)ユニット又は送受信モジュールとも呼ばれる。トランシーバー110は、各種の信号、データ及び情報を外部装置に送信して、各種の信号、データ及び情報を外部装置から受信するように構成される。また、トランシーバー110は、送信部と受信部とに分離されて具現化されてもよい。UE100は外部装置と有線及び/又は無線で接続されてもよい。プロセッサー120はUE100全般の動作を制御することができ、UE100が外部装置と送受信する情報などを演算処理する機能を行うように構成される。また、プロセッサー120は、本発明において提案するUE100の動作を行うように構成される。プロセッサー120は、本発明の提案に従って、データ又はメッセージを送信するようにトランシーバー110を制御することができる。メモリ130は演算処理された情報などを所定時間の間に記憶させることができ、バッファー(未図示)などの構成要素に取り替えられることができる。
図9を参照すれば、提案する実施例による基地局200は、トランシーバー210、プロセッサー220及びメモリ230を含むことができる。UE100と通信する場合、トランシーバー210は送受信モジュール又は無線周波数(radio frequency,RF)とも呼ばれる。トランシーバー210は、各種の信号、データ及び情報を外部装置に送信して、各種の信号、データ及び情報を外部装置から受信するように構成される。基地局200は、外部装置と有線及び/又は無線で接続されてもよい。トランシーバー210は、送信部と受信部とに分離されて具現化されてもよい。プロセッサー220は基地局200全般の動作を制御することができ、基地局200が外部装置と送受信する情報などを演算処理する機能を行うように構成される。また、プロセッサー220は、本発明において提案する基地局200の動作を行うように構成される。プロセッサー220は、本発明の提案に従って、データ又はメッセージをUE100又は他の基地局に送信するようにトランシーバー210を制御することができる。メモリ230は演算処理された情報などを所定時間の間に記憶させることができ、バッファー(未図示)などの構成要素に取り替えられることができる。接続ネットワークにおいて基地局200はeNB又はgNBであってもよい。
また、上述のようなUE100及び基地局200の具体的な構成は、上述した本発明の様々な実施例において説明した事項が独立的に適用されてもよく、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現化されてもよい。なお、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
本発明によるUE100のプロセッサー120は、第1のTAコマンドを含むランダムアクセス応答メッセージを受信するようにトランシーバー110を制御して、ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルの副搬送波間隔及び第1のTAコマンドに基づいて、上りリンク信号の送信のための第1のTA値を決定することができる。上述したように、第1のTAコマンドは、UEが1つの上りリンクキャリアを介して上りリンク信号を送信する場合、UEが遊休モード又は接続モードであるとき、ランダムアクセス応答を介して受信するTAコマンドを意味してもよい。このとき、ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルは、UEが遊休モード(idle mode)である場合にはRACHメッセージ3(RACH msg3)を意味してもよく、UEが接続モード(connected mode)である場合にはPUSCHを含んでもよい。例えば、UEが遊休モードであるとき、UEはランダムアクセス応答メッセージを介して第1のTAコマンドを受信することができ、第1のTA値は、第1のTAコマンドによって指示される値及びTA値の基本単位に基づいて決定されてもよい。このとき、TA値の基本単位は、RACH msg3の副搬送波間隔に基づいて決定されてもよい。
また、UEが接続モードであるとき、UEは、ランダムアクセス応答メッセージ又はMAC CEによって第1のTAコマンドを受信することができる。このとき、MAC CEによって送信される第1のTAコマンドは、周期的に送信されるTAコマンドを意味して、以前のTA値に対してアップデータされた値を指示することができる。このとき、第1のTA値は、第1のTAコマンドによって指示される値及びTA値の基本単位に基づいて決定されてもよい。UEが接続モードであるとき、TA値の基本単位は、ランダムアクセス応答以後に最初に送信されるPUSCHの副搬送波間隔に基づいて決定されてもよい。また、UEがMAC CEによって第1のTAコマンドを受信する場合、以前のTA値に第1のTAコマンドによって指示される値をアップデートして第1のTA値が決定されてもよい。
また、UEは、第1のTA値に応じて第1の上りリンク信号を送信するようにトランシーバー110を制御することができる。このとき、第1のTA値に応じて送信される第1の上りリンク信号は、ランダムアクセス応答メッセージを受信した後、最初に送信される上りリンクチャンネルを含んでもよい。例えば、遊休モードのUEは、第1のTA値によってRACH msg3を送信することができる。
また、UEが複数の上りリンク帯域幅パート(bandwidth part)を割り当てられた場合、TA値の基本単位は、複数の上りリンク帯域幅パートの副搬送波間隔のうち、最大値に基づいて設定されてもよい。例えば、UEは、第2のTAコマンドを含む下りリンクチャンネルを受信することができる。このとき、第2のTAコマンドは、UEが複数の上りリンク帯域幅パートを有する場合、基地局から送信されるTAコマンドを意味してもよい。また、UEは第2のTAコマンドに基づいて第2の上りリンク信号の送信のための第2のTA値を決定することができる。例えば、第2のTA値は、TA値の基本単位及び第2のTAコマンドによって指示される値に基づいて決定されてもよい。UEが複数の上りリンク帯域幅パートを割り当てられた場合、TA値の基本単位は、複数の上りリンク周波数帯域のうち、PUSCH、PUCCH又はSRSの副搬送波間隔のうち最大値と設定されてもよい。
また、複数の上りリンク帯域幅パートのうち、TA値の基本単位を設定するのに用いられる副搬送波間隔よりも小さい副搬送波間隔を有する上りリンク帯域幅パートにおいて上りリンク信号を送信する場合、第2のTA値は、TAに関する情報をTA値の基本単位に対して四捨五入演算を行うことで決定されてもよい。
上述した本発明の実施例は、様々な手段によって具現化することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現化することができる。
ハードウェアによる具現化の場合、本発明の一実施例は、1つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサー、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサーなどによって具現化することができる。
ファームウェアやソフトウェアによる具現化の場合、本発明の実施例による方法は、以上で説明した機能又は動作を実行する装置、手順又は関数などの形態として具現化することができる。ソフトウェアコードはメモリユニットに記憶させてプロセッサーによって駆動することができる。メモリユニットは、プロセッサー内部又は外部に位置して、既に公知された様々な手段によってプロセッサーとデータを送受信することができる。
以上、開示した本発明の好ましい実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現化して実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者に理解されるように、本発明の領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更することもできる。例えば、当業者は、上記の実施例に記載された各構成を組み合わせる方式で用いてもよい。したがって、本発明は、ここに開示した実施の形態に制限されるものではなく、ここに開示した原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えようとするものである。