JP2020201016A - 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム - Google Patents

蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2020201016A
JP2020201016A JP2019109940A JP2019109940A JP2020201016A JP 2020201016 A JP2020201016 A JP 2020201016A JP 2019109940 A JP2019109940 A JP 2019109940A JP 2019109940 A JP2019109940 A JP 2019109940A JP 2020201016 A JP2020201016 A JP 2020201016A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow path
energy conversion
mathematical formula
design
thermal efficiency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019109940A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6755442B1 (ja
Inventor
長谷川 真也
Shinya Hasegawa
真也 長谷川
麻利子 千賀
Mariko Chiga
麻利子 千賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai University
Original Assignee
Tokai University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai University filed Critical Tokai University
Priority to JP2019109940A priority Critical patent/JP6755442B1/ja
Priority to PCT/JP2020/022417 priority patent/WO2020250842A1/ja
Priority to US17/596,465 priority patent/US20220222403A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP6755442B1 publication Critical patent/JP6755442B1/ja
Publication of JP2020201016A publication Critical patent/JP2020201016A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/20Design optimisation, verification or simulation
    • G06F30/28Design optimisation, verification or simulation using fluid dynamics, e.g. using Navier-Stokes equations or computational fluid dynamics [CFD]
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B9/00Compression machines, plants or systems, in which the refrigerant is air or other gas of low boiling point

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Geometry (AREA)
  • Mathematical Optimization (AREA)
  • Fluid Mechanics (AREA)
  • Pure & Applied Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • Mathematical Analysis (AREA)
  • Computing Systems (AREA)
  • Algebra (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Heat-Exchange Devices With Radiators And Conduit Assemblies (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】振動流を利用したエネルギー変換装置が備える蓄熱器の熱効率を最大とする設計支援を行うための設計方法を提供する。【解決手段】エネルギー変換装置の設計方法であって、振動流に関する流体の方程式に基づいてエネルギー変換を行う蓄熱器における流路の流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスをパラメータに含む所定変数に関して熱効率を示す数式を作成する工程と、流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのうち、いずれか1つのパラメータを選択する工程と、熱効率を示す数式と蓄熱器の流路の形状を示す数式に基づいて選択したパラメータに関する数式を作成する工程と、設計対象となるエネルギー変換装置に関する選択したパラメータ以外の複数の設計値を適用し選択したパラメータに関する数式に基づいて熱効率が最大となる選択したパラメータの値を算出する工程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、振動流を利用したエネルギー変換装置が備える蓄熱器の熱効率を最大とする設計支援を行うための蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラムに関する。
振動流によるエネルギー変換を利用して、熱から発電を行ったり、仕事から冷熱を発生させたり、熱から冷熱、温熱を発生させたり、熱を輸送したりする、スターリングエンジン、パルス管冷凍機、GM冷凍機、スターリングクーラー、ヒートパイプ、熱音響機関等の様々な装置が開発されている。これらのエネルギー変換装置は、共通して作動流体が流通する管路と、管路の途中に設けられた熱が入力される蓄熱器とを備えている。蓄熱器は、例えば、単数から無数の狭い流路等を備える多孔質体により形成されている。ここでは、流体の振動流のひとつとして、熱音響現象を例にして説明する。
熱と音波とのエネルギー交換が行われる熱音響現象が古くから知られている。熱音響現象を利用した熱音響機関は、熱を与えて音波を発生させ、これを利用して物理的に発電を行ったり、逆サイクルを利用して冷熱を発生させてこれを利用したりするものである。
熱音響機関の蓄熱器に外部から熱を加えて流路の軸方向に閾値を超える温度勾配を付けると音波が生じ、流路内を伝播する音波が担う仕事流と熱流とのエネルギー交換が行われる。熱音響機関を用いれば、これまで利用されていなかった廃熱を用いてエネルギーが取り出せるため、廃熱回生デバイスとして注目されている。廃熱回生デバイスとして、例えば、スターリングエンジンの固体ピストンを音波に置き換えた進行波型熱音響機関が実現されている。進行波型熱音響機関は、熱流が高温部から低温部に向かい、その一方で仕事流は熱流と逆向きで低温部から高温部へと向かう原理によって稼働し、蓄熱器の中では熱流と仕事流との間のエネルギー変換が実行される。
この進行波型熱音響機関によれば、本質的には等温可逆サイクルが実現されるためにカルノー効率に漸近する熱効率を実現できる。等温可逆的な熱力学的サイクルを実現するためには、蓄熱器の流路の管壁に与えられる温度と流路内の流体の温度とが等温になるように流路径を小さく形成する必要がある。一方で、流路径が小さくなるほどに流体と管壁との間で発生する粘性散逸が大きくなるため、熱効率の低下が生じる。
従って、熱音響機関の蓄熱器においては熱効率を最大とするための最適な流路径が存在する。この最適な流路径を一意に決定することはこれまでの技術には存在せず、以下に示される文献に記載された技術のように数値計算や実験を行うことで決定していたのが実情である。
現在までに熱音響機関に対してシミュレーションを行えるプログラムとして、LosAlamos研究所によって公開されているDeltaECがある(非特許文献1)。このプログラムでは設計を行いたい構成や作動流体等のパラメータを入力することによって音場や出力を計算することができる。
これまでに報告されている高効率な熱音響機関は、1999年のBackhausの装置(非特許文献2)、2011年のTijaniの装置(非特許文献3)等があり、上記のDeltaECによって計算することで設計されたものである。DeltaECでは製作したい構成を設計者が入力するため、上述の蓄熱器のパラメータ等も設計者が決定する。従って、熱効率を高くする流路径を決定したい場合には、プログラム上で蓄熱器の流路径を変えながら計算を繰り返し行うことによって熱効率が高くなるような蓄熱器の流路径を探索するということが行われていた。
また、DeltaECを使用する以外に、熱音響理論を用いて自らプログラムを作成することによって数値シミュレーションを行って蓄熱器の流路径の最適化を行うことも可能である。例えば、2010年にUedaらは、蓄熱器の流路径を含むいくつかのパラメータを変更しながら熱効率を計算してパラメータの最適化を行った熱音響冷凍機の計算結果を報告している(非特許文献4)。
さらに近年でも2017年に、蓄熱器の流路径の値を変更しながら最適化を行った計算結果が報告されている(非特許文献5)。また、蓄熱器の流路径の最適化は、流路径が異なる複数の蓄熱器を用意し、それぞれに対して熱効率を測定する実験を繰り返すことによって実験的に行うことも可能である。
S. Garrett, "DELTAEC is also an acoustics teaching tool", Acoustics ’08 Paris. (Proceedings). S. Backhaus & G. W. Swift, "A thermoacoustic Stirling heat engine", Nature volume 399, pages 335-338. M. E. H. Tijani and S. Spoelstra, "A high performance thermoacoustic engine", J. Appl. Phys. 110, 093519 (2011). Y. Ueda, B. M. Mehdi, K. Tsuji, and A. Akisawa, "Optimization of the regenerator of a traveling-wave thermoacoustic refrigerator", J. Appl. Phys. 107, 034901 (2010). I. Farikhah and Y. Ueda, "Numerical Calculation of the Performance of a Thermoacoustic System with Engine and Cooler Stacks in a Looped Tube", Appl. Sci. 2017, 7, 672. N. Rott, Damped and thermally driven acoustic oscillations in wide and narrow tubes, Journal of Applied Mathematics and Physics (ZAMP), 20, 230-243, (1969). A. Tominaga, "Thermodynamic aspects of thermoacoustic theory," Cryogenics 35, 427-440 (1995). Richard Raspet, William V. Slaton, Craig J. Hickey, and Robert A. Hiller, "Theory of inert gas-condensing vapor thermoacoustics: Propagation equation," J. Acoust. Soc. Am. 112 (4), 1414-1422 (2002). William V. Slaton, Richard Raspet, Craig J. Hickey, and Robert A. Hiller, "Theory of inert gas-condensing vapor thermoacoustics: Transport equation," J. Acoust. Soc. Am. 112 (4), 1423-1430 (2002).
上述したように従来の技術によれば、蓄熱器の流路径を決定する場合には、1つの装置構成に対して蓄熱器の流路径を変更しながら最適な流路径を探索するという膨大な計算を行う必要がある。さらに、蓄熱器の設置位置などの熱音響機関の構成を動作させたい条件を変更するたびに、蓄熱器位置で形成される音場も変わるため、その都度蓄熱器の流路径の最適値の計算を繰り返し行う必要がある。
また、実験的に蓄熱器の流路径の最適化を行う場合には、流路径が異なる複数の蓄熱器を用意し熱効率を測定する必要があると共に、熱音響機関の装置構成によっては設計者の求める動作条件とならない可能性があり、コストや開発時間が膨大となる。従って、設計者の理想とする動作条件で最適な蓄熱器の流路径の熱音響機関の設計は予想が難しいという課題がある。
ここまで、分かりやすいように、熱効率が最適化された熱音響機関の蓄熱器における流路径を決定するための課題を例示して説明したが、熱音響機関に限らず、振動流を利用したエネルギー変換装置における蓄熱器の熱効率の最適化を行うパラメータとして、流路径の他に、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスも考えられる。これらについても上述のように、1つ1つ変更しながら、最適なパラメータを探索するという膨大な計算を行う必要がある。さらに、蓄熱器の設置位置などのエネルギー変換装置の構成や動作させたい条件を変更するたびに、蓄熱器位置で形成される音場も変わるため、その都度蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスの最適値の計算を繰り返し行う必要がある。
また、実験的に蓄熱器の流路径以外の周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのパラメータについて、最適化を行う場合も同様に、1つ1つ条件を変えながら熱効率を測定する必要があると共に、エネルギー変換装置構成によっては設計者の求める動作条件とならない可能性があり、コストや開発時間が膨大となる。従って、設計者の理想とする動作条件で最適な蓄熱器のパラメータのエネルギー変換装置の設計は予想が難しいという課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、振動流を利用したエネルギー変換装置が備える蓄熱器の熱効率を最大とする設計支援を行うための設計方法、設計装置及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、エネルギー変換装置の内部に封入された作動流体の振動流を利用した前記エネルギー変換装置の設計方法であって、前記振動流に関する流体の方程式に基づいてエネルギー変換を行う蓄熱器における流路の流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、及び比音響インピーダンスをパラメータに含む所定変数に関して熱効率を示す数式を作成する工程と、前記流路径(等価流路径)、前記周波数、前記温度勾配、前記比音響インピーダンスのうち、いずれか1つのパラメータを選択する工程と、前記熱効率を示す数式と前記蓄熱器の前記流路の形状を示す数式に基づいて選択した前記パラメータに関する数式を作成する工程と、設計対象となるエネルギー変換装置に関する選択した前記パラメータ以外の複数の設計値を適用し選択した前記パラメータに関する数式に基づいて前記熱効率が最大となる選択した前記パラメータの値を算出する工程と、を備える設計方法である。
本発明によれば、エネルギー変換装置の熱効率を示す数式と蓄熱器の流路の形状に基づいて、エネルギー変換装置の蓄熱器の流路径(等価流路径;等価流路径の説明は後述する。以降、等価流路径の併記を省略する。)、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出するための数式を作成することで、蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つの値を変更しながら最適化を行うような膨大な計算を省略することができ、設計効率を向上させると共に、設計費用を低減することができる。
また、本発明は、選択した前記パラメータに関する数式は、2次式以上の数式であって、前記熱効率が最大となるように前記2次式以上の数式を前記所定変数について微分して得られた導関数が0となる条件に基づいて、選択した前記パラメータに関する数式を作成するように構成されていてもよい。
本発明によれば、熱効率を最大とするように蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出するための数式を作成することができる。このとき、使用する流体の方程式もしくは選択するパラメータによっては数式が3次式以上となる場合には、微分して得られる導関数が0となる条件が複数存在するが、その中で熱効率が最大となる値を選択することで選択したパラメータを求めてもよい。
また、本発明は、前記作動流体は、気体及び/又は液体であって、前記流体の方程式に、前記気体及び/又は液体に関する数式を含むように構成されていてもよい。
本発明によれば、エネルギー変換装置に封入された作動気体が、気体、もしくは液体、もしくは気体と液体の両方であっても、蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出するための数式を作成することができる。
また、本発明は、前記流路の形状を示す数式は、円管、平行平板、多角形、ピンアレイ、及びランダムもしくはパターンを繰り返した流路のうち、いずれか1つとして設定するように構成されていてもよい。
本発明によれば、蓄熱器の流路の形状として一般的な円管または平行平板または多角形またはピンアレイまたはランダムもしくはパターンを繰り返した流路についての流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出するための数式を作成することができる。
また、本発明は、前記熱効率を示す数式を作成する工程において、前記蓄熱器内のエネルギー変換を熱音響理論に基づいて、仕事源を前記蓄熱器でのエネルギー変換に寄与する成分と粘性や熱伝導等に起因する散逸の成分とに分離する工程と、熱流束密度を前記蓄熱器のエネルギー変換に伴う成分と振動流によって生じる熱拡散の成分とに分離する工程により適用するエネルギー変換装置に対応する成分の追加もしくは削除を行う工程を更に備えるように構成されていてもよい。
本発明によれば、熱音響現象を利用したエネルギー変換装置についての蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出するための数式を簡便に算出することができる。
また、本発明は、前記流体の方程式は、進行波型のエネルギー変換に関する方程式であるように構成されてもよい。
本発明によれば、進行波型熱音響現象を利用したエネルギー変換装置についての蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出するための数式を簡便に算出することができる。
また、本発明の一態様は、入力部から選択した前記パラメータ以外の設計値を取得して選択した前記パラメータに関する数式に基づいて選択した前記パラメータの値を算出する演算部を備える設計装置である。
本発明によれば、設計対象のエネルギー変換装置の構成に合わせた設計値を入力するだけで、簡便に蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出することができ、エネルギー変換装置の構成が変化する毎に流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを変化させながら熱効率の最大点を計算する従来手法に比して設計に要する工程を単純化することができ、設計時間を大幅に削減することができる。
また、本発明の一態様は、取得された選択した前記パラメータ以外の設計値を用いて選択した前記パラメータに関する数式に基づいて選択した前記パラメータの値を算出する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明によれば、設計装置に設計対象のエネルギー変換装置の構成に合わせた設計値を入力するだけで、簡便に蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出する処理を実行させるプログラムを提供することができ、エネルギー変換装置の構成が変化する毎に流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを変化させながら熱効率の最大点を計算する従来手法に比して設計に要する工程を単純化することができ、設計時間を大幅に削減することができる。
本発明によれば、熱効率を最大とする振動流を利用したエネルギー変換装置を設計することができる。
本発明の実施形態に係るエネルギー変換装置の設計装置の構成を示すブロック図である。 熱音響機関の構成を示す図である。 蓄熱器の構成を示す図である。 エネルギー変換装置を設計するための数式の作成工程を示す図である。 エネルギー変換装置の設計支援プログラムのフローチャートを示す図である。 蓄熱器の流路の流路径を算出するために用いられる設計値を示す図である。 熱効率を最大にする蓄熱器の円管形状の流路径の計算結果を示す図である。 熱効率を最大にする蓄熱器の平行平板の流路径の計算結果を示す図である。 熱効率を最大にする蓄熱器の円管形状の流路径の計算結果を数値で示す図である。 熱効率を最大にする蓄熱器の平行平板の流路径の計算結果を数値で示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。本発明は、従来技術では決定に時間を要していた熱効率を最大にする振動流を利用したエネルギー変換装置の設計方法、設計装置及びプログラムである。
図1に示されるように、エネルギー変換装置の設計装置1は、操作者が情報を入力する入力部10と、入力部10から入力された情報に基づいて演算処理を行う演算部20と、演算部20の演算処理に必要な情報を記憶する記憶部30と、演算部20により演算された演算結果を出力する表示部40と、を備える。なお、演算部20と記憶部30とを合わせて演算処理部15と呼ぶ。
設計装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の情報端末装置により実現される。設計装置1は、サーバ装置であってもよく、ネットワークを介して上記の情報端末装置等の操作により入力された情報を取得して演算処理し、演算結果をこれらの情報端末装置等に提供してもよい。
入力部10は、キーボード、タッチパネル、音声入力装置、ジェスチャー入力装置等の演算に必要な情報を入力するインターフェースである。操作者は、入力部10にエネルギー変換装置の設計対象(蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンス)を選択し、選択した設計対象以外に設計に必要な設計値を入力する。なお、設計対象である蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスは独立して複数を設計できるようにして、必要となる設計値を入力するようにしてもよい。記憶部30は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置である。記憶部30は、演算に用いられる数式やパラメータ等の情報を記憶する。記憶部30は、後述のようにエネルギー変換装置の蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを求めるために作成されたそれぞれの数式を1つ以上記憶する。
演算部20は、入力部10により入力された情報に基づいて記憶部30に記憶された情報を読み出し、後述のエネルギー変換装置が有する蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つの演算処理を行う。なお、蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスを求めるために作成されたそれぞれの数式を1つ以上記憶しているため、独立してそれぞれの数式を演算してもよい。演算部20の演算処理の内容については後述する。
表示部40は、演算部20の演算結果の内容を出力する。表示部40は、例えば、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ、デジタルミラーデバイス(Digital Mirror Device)、プラズマディスプレイ、投影装置等の表示装置が用いられる。
上述した演算部20は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
また、プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、上記実施形態が有する1または複数のCPU等のコンピュータが実行するプログラムの一部または全部は、通信回線やコンピュータ読取可能な記録媒体を介して頒布することができる。
ここで、設計装置1に用いられる数式の作成工程を説明する。数式を作成するためには、大きく「振動流に関する流体の方程式に基づいてエネルギー変換を行う蓄熱器における流路の流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、及び比音響インピーダンスをパラメータに含む所定変数に関して熱効率を示す数式を作成する工程」、「蓄熱器の流路の形状を示す数式を準備する工程」、「流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのうち、いずれか1つのパラメータを選択する工程」、「熱効率を示す数式と蓄熱器の流路の形状を示す数式に基づいて選択したパラメータに関する数式を作成する工程」、「設計対象となるエネルギー変換装置に関する選択したパラメータ以外の複数の設計値を適用し選択したパラメータに関する数式に基づいて熱効率が最大となる選択したパラメータの値を算出する工程」を経て、蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つを算出する数式を作成している(図4参照)。
なお、「振動流を記述可能な流体の方程式に基づいてエネルギー変換を行う蓄熱器における流路の流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、及び比音響インピーダンスをパラメータに含む所定変数に関して熱効率を示す数式を作成する工程」、「蓄熱器の流路の形状を示す数式を準備する工程」、「流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのうち、いずれか1つのパラメータを選択する工程」は、順番に決まりはなく、どの工程から進めてもよい。
次に、演算部20において実行される演算処置に用いられる数式を導出するエネルギー変換装置の設計方法について説明する。ここから、熱音響現象を具体例にして、熱音響機関の設計方法のうち、蓄熱器の流路径の設計について説明する。なお、エネルギー変換装置の設計方法は、熱音響現象に基づいた熱音響機関に限定されず、流体の振動流を利用する、スターリングエンジン、パルス管冷凍機、GM冷凍機、スターリングクーラー、ヒートパイプ、熱音響機関等のエネルギー変換装置に適用可能である。また、蓄熱器の流路径以外に、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つについて設計をすることができる。
図2に示されるように、進行波型の熱音響機関100は、内部に作動流体が封入された管路110と、管路内に設けられた蓄熱器120と、を備える。管路110は、例えば、管軸が作動流体の流線方向となるように円管状に形成されている。なお、管路の形状は管状であれば、例えば、四角状や三角状でもよく、円管状に限定されない。作動流体は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合気体からなる不活性気体及び空気等の気体や、水やアルコールなどの液体や、これらの気体と液体の両方が存在する流体を用いることができるが、振動流を伝達できる流体であれば、これらに限定されない。
蓄熱器120は、作動流体の流線方向に沿って一端部が加熱されると共に、他端部が冷却される。これにより、蓄熱器120は、作動流体の流線方向に沿って温度勾配が形成される。蓄熱器120は、両端部間に温度勾配を形成して作動気体の自励振動を発生させ、作動気体により生成される音響パワーを増幅する。
図3に示されるように、本計算例で仮定する蓄熱器120は、単数から複数の小径の流路122を備える。流路122は、蓄熱器120において作動流体の流線方向に沿って開口するように単数から無数に設けられている。蓄熱器120は、例えば、セラミックスで形成されたハニカム構造体や、多数のステンレス鋼メッシュ薄板が積層された構造体により多数の流路122が形成されるが、ガラスパイプなどの細かい流路を形成し振動流が通過できる材料であればよく、これらに限定されない。また、流路122は発泡金属やスチールウールなどで形成される形状のほか、金属粉を充填したり凸凹のあるフィルムを丸めたり、異なる流路径(流路幅)・流路形状・厚さを持つ薄板等を組み合わせたりすることで形成されてもよく、このように流路が軸方向および流路径(流路幅)の方向に一様でないランダムもしくはパターンを繰り返した流路の場合の等価流路にも適用できる。
流路122は、例えば、円管形状、平行平板形状、多角形形状、ピンアレイ形状や、ランダムもしくはパターンを繰り返した流路に形成されている。本実施形態に係る熱音響機関100の設計方法は、熱音響機関100の蓄熱器120の1つの流路122の流路径(流路半径=r)についての最適値の求め方を提案するものである。この設計方法は、以下に例示する円管及び平行平板の流路122の形状に限らず、多角形やピンアレイ、ランダムもしくはパターンを繰り返した流路等の他の流路形状に適用してもよい。
以下、熱音響機関100の設計方法において、まず流路122の形状が円管である場合と、平行平板である場合についての式展開方法と流路122の流路径の求め方について記載する。また、計算例としては気体の場合について流体の式からRott(非特許文献6)およびTominaga(非特許文献7)の熱音響理論による展開方法を用いて、算出例を示した。上記の流体方程式や熱音響理論による展開方法は必須ではなく、流体の方程式であれば本手法を適用して、最適な流路122の流路径を求めることが可能である。
[振動流に関する流体の方程式に基づいてエネルギー変換を行う蓄熱器における流路の流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、及び比音響インピーダンスをパラメータに含む所定変数に関して熱効率を示す数式を作成する工程]
ここでは、熱音響機関100の熱効率ηを式で表すために流体の方程式を用いる。ここでは流体の方程式として、直交座標系の数式(1)の連続の式、数式(2)の運動量保存式、数式(3)のエネルギー方程式、数式(4)の状態方程式を例として用いるが、熱音響機関の100の熱効率ηを示すことが可能であれば以下の式に限らない。また、その他作動流体として液体を用いる場合や、液体と気体の両方が含まれている場合については、設計する装置の作動気体に対応する液体に関する数式、もしくは気体と液体に関する数式といった流体の方程式を用いればよく、以下の式に限らない。
Figure 2020201016
Figure 2020201016
Figure 2020201016
Figure 2020201016
ここで、ρ:密度、u:速度ベクトル、P:圧力、S:エントロピー、μ:粘性率、ε:第2粘性率、D:div u、T:温度、κ:熱伝導率、R:気体定数である。さらに数式(3)中のΦは散逸関数である。
数式(1)〜数式(4)までを線形長波長近似(非特許文献6、非特許文献7)をすることによって熱音響機関における複素圧力振幅Pの軸方向変化dP/dx、複素断面平均流速振幅Uの軸方向変化dU/dx、及び断面平均複素温度振幅Tについて数式(5)、(6)、(7)のように求めることができる。また、ここでは実施例として線形長波長近似し数式(5)〜(7)を求めたが、線形長波長近似は必ずしも必要ではなく、熱効率を表せるような式を求められれば数式(5)〜(7)の結果に限らない。
Figure 2020201016
Figure 2020201016
Figure 2020201016
ここで、j:虚数単位、ω:角周波数、γ:比熱比、P:平均圧、σ:プラントル数、C:定圧比熱、ρ:平均密度である。さらにχα、χνは、後述のωτα,νに関するパラメータに依存する熱的、粘性に関する熱音響関数である。τα,νは熱緩和時間および粘性緩和時間である。
音響インテンシティ(仕事流束密度)Iと熱流束密度Qは振動流の場合には以下のように表すことができる。
Figure 2020201016
Figure 2020201016
但し、Re[ ]は[]の実数、〜は複素共役を示す。
また、熱音響機関100の熱効率ηは、蓄熱器120の軸方向中心における熱流束密度Qと音響インテンシティIを用いて以下の数式(10)で表される。ここで仕事源Wは、数式(11)のように蓄熱器120内での音響インテンシティIの傾き(勾配)で表すことができる。数式(10)および数式(11)は、流路径の他に例えば、円管、平行平板、多角形、ピンアレイ、及びランダムもしくはパターンを繰り返した流路の流路幅や流路径に相当する代表長さについても適用できる。
Figure 2020201016
Figure 2020201016
以下、熱音響機関100の蓄熱器120の流路122の流路径を決定するために、数式(10)を変形する。数式(10)は、後述のように熱音響理論を用いて仕事源Wという指標と熱流束密度Qとを成分分離した結果に基づいて、流路径をパラメータとする2次式の形に変形される。数式(10)は、流路径の他に例えば、円管、平行平板、多角形、ピンアレイ、及びランダムもしくはパターンを繰り返した流路の流路幅や流路径に相当する代表長さについても適用できる。
本計算例においては数式(5)〜(7)を、仕事源Wを示す数式(11)に代入して展開することで、仕事源Wをさらに熱音響機関100のエネルギー変換に寄与する成分、粘性や熱伝導に起因する散逸の成分に分離することができる。また、Qにおいても数式(5)〜(7)を数式(9)に代入し展開することによってエネルギー変換に伴う熱流の成分と、振動によって生じる熱拡散に伴う熱流の成分とに分離することができる。今回の展開においてはTominaga(非特許文献7)による熱音響理論に基づき展開を行った。更に、数式(12)の関係を用いて数式を書き換えることで数式(13)、数式(14)に示されるようにWやQを分離することができる。本実施例では簡便化を行う場合についても示すためにWやQの分離を行ったが、熱効率を数式で記述できればよく、この分離工程は必須ではない。
Figure 2020201016
Figure 2020201016
Figure 2020201016
このとき、Wν:粘性による音響インテンシティのロス、W:熱拡散による音響インテンシティのロス、Wprog:進行波位相によるエネルギー変換、Wstand:定在波位相によるエネルギー変換を表す。
さらにはQprog:進行波成分による熱流束密度、Qstand:定在波成分による熱流束密度、Q:振動流による熱拡散効果による熱流束密度である。
本質的に高い熱効率を有する熱音響機関は、可逆的なエネルギー変換を可能とする進行波型熱音響機関である。本実施形態は、熱効率が高い進行波型のエネルギー変換を検討するためにPとUの位相差φを0と仮定する。本実施形態においては進行波型のエネルギー変換のみを仮定しているが、実施する設計条件によってWstandおよびQstandの成分を考慮することも可能であり、この例に限らない。φ=0とした場合、定在波に関する成分であるWstandおよびQstandは0となるため、以下、Wν、W、Wprog、Qprog、Qを用いる。数式(10)の熱効率の式は、上記のように分離したWν、W、Wprog、Qprog、Qと蓄熱器の長さdxを用いて書き換えると、熱音響機関100の熱効率ηは、以下の数式(15)のように表される。
Figure 2020201016
数式(15)に数式(13)、(14)を代入して整理すると、以下の熱効率ηの数式(16)を得ることができる。数式(16)に含まれる項については一例であり、その他熱音響現象のエネルギー変換に寄与する成分があれば必要に応じてそれらを適宜組み込むことができる。(非特許文献8、9)また設定する条件によって必要ない項がある場合には削除することも可能である。
Figure 2020201016
[蓄熱器の流路の形状を示す数式を準備する工程]
ここで、流路径に依存するパラメータはχυやχαを含む項である。このχυおよびχαを含む項を流路122の流路径で表すための式を用いる。また、この式は流路122の形状によって異なる。以下の説明においては、円管や平行平板を例として最適化手法を記載するが、使用する蓄熱器120の流路122の形状に対応する式を用いることによって、円管や平行平板に限らず流路122の流路径やそれに対応する代表長さを求めることが可能である。
[円管流路の場合]
まず円管流路の場合についての流路の形状を示す数式の例を示す。蓄熱器120の流路122の流路径が十分小さい状況においては、円管流路に対して以下の関係を用いることができる。
Figure 2020201016
[平行平板の場合]
次に、蓄熱器120の流路122が平行平板に形成されている場合について流路の形状を示す数式の例を示す。蓄熱器120の流路122が平行平板に形成され、且つ、平行平板の流路径(=2r:図3参照)が十分に小さい場合については、以下の関係を用いることができる。
Figure 2020201016
数式(17)および数式(18)の関係を数式(16)に代入することで熱効率の式を流路径に対応した形に書き換えることができる。
[流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのうち、いずれか1つのパラメータを選択する工程]
ここでは、蓄熱器の流路径を設計対象にしているため、パラメータωταに対して計算を行っていく。なお、流路径の他に、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれか1つのパラメータに関する設計を行う場合は、周波数を設計対象にする場合はパラメータλおよびΘ、温度勾配を設計対象にする場合はパラメータΘ、比音響インピーダンスを設計対象にする場合はパラメータznのように、選択したパラメータに対した計算を行っていけばよい。
[熱効率を示す数式と蓄熱器の流路の形状を示す数式に基づいて選択したパラメータに関する数式を作成する工程]
ここでは、例として数式(17)〜(18)にて示した円管流路と平行平板流路の場合を用いて、熱効率を示す数式と流路の形状を示す数式に基づいて流路径に関する数式を作成する、なお、流路形状については多角形やピンアレイ、ランダムもしくはパターンを繰り返した流路といった流路も用いることができ、式で表すことができればこれに限らない。
[円管の場合]
円管流路の場合には数式(17)を数式(16)に代入すると、熱効率は、以下の数式(19)のように表される。
Figure 2020201016
[円管について簡易的に表す場合]
また、数式(15)の中のWは、Wν、prog、Q、Qprogに比べて十分に小さいため、無視することで簡易的に以下に示す数式(20)に基づいてωταを求めることも可能である。
Figure 2020201016
[平行平板の場合]
平行平板の場合には数式(18)を数式(16)に代入すると、熱効率は、以下の数式(21)のように表される。
Figure 2020201016
[平行平板について簡易的に表す場合]
また、平行平板の場合にも円管の場合と同様に数式(15)の中のWは、Wν、Wprog、Q、Qprogに比べて十分に小さいため、無視することで簡易的に以下に示す数式(22)に基づいてωταを求めることも可能である。
Figure 2020201016
[設計対象となるエネルギー変換装置に関する選択したパラメータ以外の複数の設計値を適用し選択したパラメータに関する数式に基づいて熱効率が最大となる選択したパラメータの値を算出する工程]
[2次式を導出する場合]
ここでは、例として選択パラメータを流路径とした場合について熱効率が最大となるような値を算出する。例として数式(19)、(20)、(21)、(22)に示した熱効率の式は流路径のパラメータを含む無次元のパラメータωτα(τα:熱緩和時間、数式(27)参照)に対して2次式の形となる。したがって、ωτα(=X)を所定変数とする数式(23)の形に変形し、ωτα(=X)について微分して極値を求めることによって熱効率ηを最大とするωταを求めることができる。
実施例として2次式かつ流路径を設定したパラメータとした場合の算出方法、円管の場合の例、平行平板の場合の例に示すが、式は使用する流体の方程式もしくは選択するパラメータによっては数式が3次式以上となってもよい。このときは微分して得られた導関数が0となる条件が複数存在するが、その中で熱効率が最大となる値を選択することで選択したパラメータを求めてもよく、以下に示す例に限らない。
Figure 2020201016
数式(23)を微分して得られた導関数が0となる条件に基づいて導関数を整理してXに関する数式(24)を得る。
Figure 2020201016
数式(24)は、X(=ωτα)に関する2次式であるので、その解を求めると数式(25)を得る。
Figure 2020201016
[円管の場合]
円管の場合について流路径を算出する場合には、数式(21)の係数を数式(25)に戻し、整理するとωταは以下の数式(26)で表すことができる。
Figure 2020201016
また、ωταと流路半径rの関係は、以下の数式(27)で表される。
Figure 2020201016
数式(26)をrの形に直すと、数式(28)のように表される。
Figure 2020201016
[円管について簡易的に表す場合]
円管について簡易的に流路径を算出する場合には、数式(25)においてB=0とすることで数式(20)に対応させ、数式(20)の係数を代入して整理するとωταは以下の数式(29)で表すことができる。
Figure 2020201016
数式(27)を用いてrの形に直すと、数式(30)のように表される。
Figure 2020201016
上述したように、熱音響機関の設計方法によれば、熱効率の最大点となる蓄熱器120の流路122の流路径を求めることが可能となる。
[平行平板について表す場合]
平行平板の場合についても流路径を算出する場合には、数式(21)の係数を数式(25)に戻し、整理するとωταは以下の数式(31)で表すことができる。
Figure 2020201016
数式(27)を用いて流路の半径(=r)は、数式(32)のように表される。
Figure 2020201016
[平行平板について簡易的に表す場合]
平行平板の場合について簡易的に表す場合には数式(25)においてB=0とすることで数式(22)に対応させ、数式(22)の係数を代入して円管の場合と同様にして求めた結果は以下の数式(33)のように表され、数式(27)を用いて流路122の半径の形に直すと数式(34)のように表される。
Figure 2020201016
Figure 2020201016
上記の数式から、選択できるパラメータとしては(i)流路径、(ii)周波数、(iii)温度勾配、(iv)比音響インピーダンスの4つのパラメータが存在する。上記の数式の展開では(ii)〜(iv)を設定することによって(i)の流路径を決定したが、(i)〜(iv)の4つのパラメータのうち、4つを設定すれば残り1つのパラメータを熱効率が最大となるように決定できる。従って、熱音響機関の設計方法によれば、蓄熱器120の熱効率を最大にする流路径だけでなく、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスのいずれかを決定することができる。
[計算例]
上述の数式を用いて実際に計算した例を示す。
図6には、円管の場合、平行平板の場合に共通して使用した物性値等が示されている。本計算例では最適な流路半径rを決定するために、rを変更させながら熱効率を計算した結果と、本提案手法に係る最適化手法にてrを求めた結果を比較する。
なお、熱効率の数値計算において円管及び平行平板の場合ともに数式(16)を用いた。rの最適化は円管の場合には数式(28)、(30)を用い、平行平板の場合には数式(32)、(34)を用いて計算した。
図7には円管の場合の計算結果が示されており、図8には、平行平板の計算結果が示されている。図において、横軸はrが示されており、縦軸に熱効率が示されている。図において、数式(16)に基づいて、rを徐々に変更して数値計算した結果が線に示されている。この数値計算における熱効率が最大となる流路径の半径rの最適点が四角の点で示されている。
また、図において、数式(30)もしくは(34)に基づいて簡易的に求めた熱効率が最大となる流路径の半径rの最適点が三角の点で示されている。また、数式(28)もしくは(32)に基づいて求めた熱効率が最大となる流路径の半径rの最適点が丸の点で示されている。また、線種の違いは|z|の違いを示す。
図9には、円管の場合の最大熱効率点における数値が示されている。図10には、平行平板の場合の最大熱効率点における数値が示されている。なおそれぞれの図の(A)は、数式(16)に基づいて数値計算に基づいて描いた曲線の熱効率が最大になった流路径の半径rおよびその際の熱効率ηの値が示されている。
また、それぞれの図の(B)は数式(30)もしくは(34)に基づいて簡易的に求めた熱効率が最大になるように最適化した流路径の半径rおよびその際のrを用いて数式(19)もしくは(21)で求めた熱効率ηの値が示されている。また、それぞれの図の(C)は数式(28)もしくは(32)にて求めた熱効率が最大になるように最適化した流路径の半径rおよび数式(20)、(22)で求めた熱効率ηの値が示されている。
図7及び図8に示されるように、|z|が変化すると、熱効率の最大点が高くなるとともに、熱効率が最大となるrも変化する。また、実施形態に係る最適化手法を用いて求めたrの最適点は、各|z|における熱効率ηの最大点に一致した。
図9及び図10に示されるように、熱音響機関の設計方法によれば、簡易的に最適化する数式(30)、(34)に基づく熱効率ηを最大とするような流路径の計算結果は、各|z|に対して値で比較した際にもよく一致している。このように、熱音響機関の設計方法によれば、熱効率が最大となる際のrが簡便に求められる。
上述した熱音響機関の設計方法は、設計装置1(図1参照)を用いることにより熱音響機関の設計支援に用いられる。図5には、設計装置1において実行される処理の流れが示されている。設計者は、エネルギー変換装置におけるにおける蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスの中から値を求めたい一つの設計値を選択する。
入力部10には、エネルギー変換装置における蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスの中から選択された設計対象以外の複数の設計値(パラメータ)が入力される(ステップS100)。入力された複数の設計値の情報は、一時的に記憶部30に記憶される。
演算部20は、入力部10からエネルギー変換装置の設計対象のパラメータ以外の複数の設計値を取得する(ステップS102)。演算部20は、取得した複数の設計値に基づいて、設計対象の選択したパラメータに関する数式を作成し、設計対象となるエネルギー変換装置に関する選択したパラメータ以外の複数の設計値を適用し選択したパラメータに関する数式に基づいて熱効率が最大となる選択したパラメータの値を算出する(ステップS104)。なお、設計対象の選択したパラメータに関する数式は、都度、作成してもよいし、事前に作成した数式を記憶部30に保存しておいてもよい。表示部40は、演算部20により算出された算出結果を出力する(ステップS106)。このとき、設計対象が独立して並行に設計する場合は、1つ以上の設計対象を選択できるようにしてもよい。
引き続き、エネルギー変換装置の設計を行う場合は、最初のエネルギー変換装置における蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスから設計対象の選択に戻る。エネルギー変換装置の設計を終了する場合には、プログラムを終了する。ここで、引き続き、エネルギー変換装置の設計を行う場合、エネルギー変換装置の設計値の入力に戻ってもよい。
上述したように熱音響機関の設計方法によれば、従来までに行っていた膨大な計算や実験を行うことなく、設計者が求める条件下において熱効率を最大とできる蓄熱器の流路径、周波数、温度勾配、比音響インピーダンスを決定することできる。また、熱音響機関の設計方法によれば、蓄熱器の最適な流路径が製作可能であるかを事前に検討することが可能であり、設計の際の仕様変更などを考慮できるため、設計・開発に要する時間やコストを削減することができる。
以上のように、熱音響現象を例に説明を行ったが、本発明は、熱音響現象に基づいた熱音響機関に限定されず、流体の振動流を利用する蓄熱器を備えるスターリングエンジン、パルス管冷凍機、GM冷凍機、スターリングクーラー、ヒートパイプ、熱音響機関等のエネルギー変換装置に適用可能である。
1 設計装置
10 入力部
20 演算部
30 記憶部
40 表示部
100 熱音響機関
110 管路
120 蓄熱器
122 流路

Claims (8)

  1. エネルギー変換装置の内部に封入された作動流体の振動流を利用した前記エネルギー変換装置の設計方法であって、
    前記振動流に関する流体の方程式に基づいてエネルギー変換を行う蓄熱器における流路の流路径(等価流路径)、周波数、温度勾配、及び比音響インピーダンスをパラメータに含む所定変数に関して熱効率を示す数式を作成する工程と、
    前記流路径(等価流路径)、前記周波数、前記温度勾配、前記比音響インピーダンスのうち、いずれか1つのパラメータを選択する工程と、
    前記熱効率を示す数式と前記蓄熱器の前記流路の形状を示す数式に基づいて選択した前記パラメータに関する数式を作成する工程と、
    設計対象となるエネルギー変換装置に関する選択した前記パラメータ以外の複数の設計値を適用し選択した前記パラメータに関する数式に基づいて前記熱効率が最大となる選択した前記パラメータの値を算出する工程と、を備える、
    設計方法。
  2. 選択した前記パラメータに関する数式は、2次式以上の数式であって、
    前記熱効率が最大となるように前記2次式以上の数式を前記所定変数について微分して得られた導関数が0となる条件に基づいて、選択した前記パラメータに関する数式を作成する、
    請求項1に記載の設計方法。
  3. 前記作動流体は、気体及び/又は液体であって、
    前記流体の方程式に、前記気体及び/又は液体に関する数式を含む、
    請求項1または請求項2に記載の設計方法。
  4. 前記流路の形状を示す数式は、円管、平行平板、多角形、ピンアレイ、及びランダムもしくはパターンを繰り返した流路のうち、いずれか1つに関して設定する、
    請求項1から3のうちいずれか1項に記載の設計方法。
  5. 前記熱効率を示す数式を作成する工程において、前記蓄熱器内のエネルギー変換を熱音響理論に基づいて、仕事源を前記蓄熱器でのエネルギー変換に寄与する成分と粘性や熱伝導等に起因する散逸の成分とに分離する工程と、
    熱流束密度を前記蓄熱器のエネルギー変換に伴う成分と振動流によって生じる熱拡散の成分とに分離する工程により適用するエネルギー変換装置に対応する成分の追加もしくは削除を行う工程を更に備える
    請求項1から4のうちいずれか1項に記載の設計方法。
  6. 前記流体の方程式は、進行波型のエネルギー変換に関する方程式である、
    請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の設計方法。
  7. 入力部から選択した前記パラメータ以外の設計値を取得して請求項1から6のうちいずれか1項に記載の選択した前記パラメータに関する数式に基づいて選択した前記パラメータの値を算出する演算部を備える、
    設計装置。
  8. 取得された選択した前記パラメータ以外の設計値を用いて請求項1から6のうちいずれか1項に記載の選択した前記パラメータに関する数式に基づいて選択した前記パラメータの値を算出する処理をコンピュータに実行させる、
    プログラム。
JP2019109940A 2019-06-12 2019-06-12 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム Active JP6755442B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019109940A JP6755442B1 (ja) 2019-06-12 2019-06-12 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム
PCT/JP2020/022417 WO2020250842A1 (ja) 2019-06-12 2020-06-05 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム
US17/596,465 US20220222403A1 (en) 2019-06-12 2020-06-05 Design Method, Design Device, and Program for Regenerator

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019109940A JP6755442B1 (ja) 2019-06-12 2019-06-12 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6755442B1 JP6755442B1 (ja) 2020-09-16
JP2020201016A true JP2020201016A (ja) 2020-12-17

Family

ID=72432368

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019109940A Active JP6755442B1 (ja) 2019-06-12 2019-06-12 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20220222403A1 (ja)
JP (1) JP6755442B1 (ja)
WO (1) WO2020250842A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019078499A (ja) * 2017-10-26 2019-05-23 学校法人東海大学 枝管付きループ型熱音響機関

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019078499A (ja) * 2017-10-26 2019-05-23 学校法人東海大学 枝管付きループ型熱音響機関

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
千賀麻利子ほか: "一波長長さをもつループ型熱音響機関の効率計算", 日本音響学会 2014年 秋季研究発表会講演論文集, JPN6019040214, 26 August 2014 (2014-08-26), JP, pages 1509 - 1512, ISSN: 0004136861 *
羽鳥祥一ほか: "数値計算による多段熱音響エンジンの設計", 日本機械学会論文集(B編), vol. 76巻763号, JPN7018001769, March 2010 (2010-03-01), JP, pages 134 - 136, ISSN: 0004136862 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020250842A1 (ja) 2020-12-17
JP6755442B1 (ja) 2020-09-16
US20220222403A1 (en) 2022-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zolpakar et al. Performance analysis of the standing wave thermoacoustic refrigerator: A review
Zink et al. CFD simulation of thermoacoustic cooling
Lycklama à Nijeholt et al. Simulation of a traveling-wave thermoacoustic engine using computational fluid dynamics
Zink et al. CFD simulation of a thermoacoustic engine with coiled resonator
Wang et al. Numerical simulation on onset characteristics of traveling-wave thermoacoustic engines based on a time-domain network model
Tasnim et al. Computation of the flow and thermal fields in a thermoacoustic refrigerator
Saechan et al. Numerical studies of co-axial travelling-wave thermoacoustic cooler powered by standing-wave thermoacoustic engine
Skaria et al. Simulation studies on the performance of thermoacoustic prime movers and refrigerator
Avent et al. Principles of thermoacoustic energy harvesting
Liu et al. Comprehensive performance improvement of standing wave thermoacoustic engine with converging stack: Thermodynamic analysis and optimization
Olivier et al. Weakly nonlinear propagation in thermoacoustic engines: A numerical study of higher harmonics generation up to the appearance of shock waves
Chen et al. Effect of different working gases on the performance of a small thermoacoustic Stirling engine
Ghorbanian et al. Design and optimization of a heat driven thermoacoustic refrigerator
Matveev Thermoacoustic energy analysis of transverse-pin and tortuous stacks at large acoustic displacements
Zoontjens et al. Numerical study of flow and energy fields in thermoacoustic couples of non-zero thickness
Murti et al. Analysis of multi-cylinder type liquid piston Stirling cooler
Kumar et al. Numerical investigation of a 3D inertance pulse tube refrigerator from design prospective
Rahpeima et al. A numerical approach for optimization of the working fluid of a standing-wave thermo-acoustic refrigerator
JP6755442B1 (ja) 蓄熱器の設計方法、設計装置及びプログラム
Rulik et al. Application of CFD technique for modelling of the thermoacoustic engine
Babu et al. A critical review on thermoacoustic refrigeration and its significance
Wu et al. Constructal design of stack filled with parallel plates in standing-wave thermo-acoustic cooler
Fraigneau et al. A numerical model of thermoacoustic heat pumping inside a compact cavity
Dhuchakallaya et al. Design and experimental study of a cascade thermoacoustic engine for remote and rural communities
Al-Mufti et al. High fidelity analysis and optimization of a quarter wavelength thermo-acoustically driven refrigerator

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190619

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191010

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20191011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200310

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6755442

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250