JP2020193901A - マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置 - Google Patents

マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2020193901A
JP2020193901A JP2019100412A JP2019100412A JP2020193901A JP 2020193901 A JP2020193901 A JP 2020193901A JP 2019100412 A JP2019100412 A JP 2019100412A JP 2019100412 A JP2019100412 A JP 2019100412A JP 2020193901 A JP2020193901 A JP 2020193901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
cancer
search
marker substance
marker
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019100412A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7207171B2 (ja
Inventor
藤田 雄一郎
Yuichiro Fujita
雄一郎 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2019100412A priority Critical patent/JP7207171B2/ja
Publication of JP2020193901A publication Critical patent/JP2020193901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7207171B2 publication Critical patent/JP7207171B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Abstract

【課題】マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置を提供する。【解決手段】疾患のマーカ物質の探索支援方法は、被検体において疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを質量分析して得られた第1のスペクトルデータを取得するステップ41と、病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを質量分析して得られた第2のスペクトルデータを取得するステップ41と、演算部により、第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解するステップ44と、演算部により、第1のスペクトルデータおよび第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップ45と、表示部により、抽出した因子に対応する第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示するステップ45とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置に関する。
病院等の臨床および研究の現場では、がん等の疾患患者から疾患に罹患した組織等の生体試料(以下、サンプルとも称する)を採取し、質量分析装置またはDNAマイクロアレイ等の分析装置を用いてサンプル内のタンパク質、脂質、核酸等の物質の定量的データを取得し、当該データを適切に解析することにより診断および/または治療に役立てることが望まれている。
たとえば、特開2014−44110号公報(特許文献1)には、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計(PESI−MS:Probe Electro Spray Ionization Mass Spectrometry)を用いて、被検者から採取した生体組織である試料をイオン化し、そのイオンを質量分析して得られたマススペクトルデータに対し、統計的機械学習の手法を適用することで、当該試料ががんである確率を求めるデータ解析手段が開示されている。
マススペクトルデータの横軸は質量電荷比(m/z)、縦軸は信号強度で表される。m/zは分子種の違いを表し、そのm/zに現れるピークの信号強度はその分子の量を表す。マススペクトルデータは試料にその分子種がどれくらい含まれているかの一覧になっている。
特開2014−44110号公報
このような生体試料の分析装置を用いて疾患に罹患したサンプルの定量的データを大量に収集し、収集した定量的データを解析することにより、疾患に罹患した組織に特異的に増加または減少する物質であるマーカを見つけることができれば、このマーカを用いて疾患の有無を診断することが可能となる。さらに、マーカの詳細を調べることで、その疾患の機序の解明または創薬に繋げることができる。
しかしながら、定量的データには分析装置個体の違いによる差である機差、測定日時の違いまたはサンプルを取得した日時からの日数の違いによる差である日間差、および、被検者の違いによる差である個人差などが含まれている。そのため、信頼性のある疾患マーカを見つけることが難しいという課題がある。
加えて、疾患のサブタイプとそのマーカの探索の支援を目的として定量的データを統計解析によりいくつかの集団に分けたいとする。このとき、定量的データには機差、日間差等の構造も含まれるため、疾患サブタイプ構造とそのマーカのみを取り出すことが難しいという課題がある。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、生体試料の分析装置から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の探索を支援するマーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置を提供することである。
この発明のある局面に従う疾患のマーカ物質の探索支援方法は、演算部と表示部とを備えたコンピュータを用いて、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援する方法であって、被検体において疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを質量分析して得られた第1のスペクトルデータを取得するステップと、病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを質量分析して得られた第2のスペクトルデータを取得するステップと、演算部により、第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解するステップと、演算部により、第1のスペクトルデータおよび第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、表示部により、抽出した因子に対応する第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示するステップとを備える。
本発明によれば、生体試料の分析装置から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の探索を支援するマーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るデータ解析システムの構成を示す概略図である。 コンピュータおよび解析装置のハードウェア構成を示す概略図である。 独立成分分析によって得られた独立成分の係数の分布の一例を示す図である。 データ解析の概要を説明するフローチャートである。 解析対象となるデータの絞り込みを説明する図である。 ピークマトリクスの整形を説明する図である。 独立成分スコアの分布の第1の例を示す図である。 独立成分スコアの分布の第2の例を示す図である。 独立成分スコアの分布の第3の例を示す図である。 複数の独立成分に対する独立成分スコアの例を説明するための図である。 HCAによるクラスタ分割の例を示すための図である。 2次元HCAによるクラスタ分割の例を示すための図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
[データ解析システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る解析装置を備えるデータ解析システム100の構成を示す概略図である。本実施の形態に従うデータ解析システム100は、臨床検査において、患者の生体試料を解析する装置の一例として、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計(PESI−MS:Probe Electro Spray Ionization Mass Spectrometry)を有する。
図1を参照して、データ解析システム100は、装置本体50、コンピュータ20、解析装置70、入力機器21,71およびディスプレイ22,72を備える。装置本体50は、PESI−MSである。装置本体50は、イオン化部50Aと、質量分析部50Bとを備える。
装置本体50は、コンピュータ20の制御下で、イオン化部50Aにおいて試料9の一部9aをイオン化し、質量分析部50Bにおいて当該イオン化した試料の質量分析を行なう。
イオン化部50Aは、イオン化室1、試料ステージ8、探針10、溶媒容器5、ポンプ6、ノズル7、高電圧発生部11、Z方向駆動部12およびX−Y方向駆動部13を備える。
イオン化室1は略大気圧に維持される。イオン化室1内には、試料9を保持する試料ステージ8と、試料ステージ8上の空間に配置された導電性の探針10と、所定位置にある探針10の先端付近に溶媒を噴射するノズル7とが配置されている。
探針10は、モータ、減速機構およびアクチュエータ等を含むZ方向駆動部12により、図中のZ軸方向に移動可能である。また、探針10は、高電圧発生部11から最大で数kV程度の高電圧を印加可能である。
一方、試料ステージ8は、モータおよび減速機構等を含むX−Y方向駆動部13により、図中のX軸方向およびY軸方向に移動可能である。これにより、探針10がZ方向に降下したときに、探針10の先端が接触する試料9表面上の位置がX−Y平面内で任意に移動可能である。
溶媒容器5中には、水、アルコール類、アセトニトリル等の所定の溶媒が貯留される。該溶媒は、ポンプ6が作動すると、該ポンプ6により略一定流量で溶媒容器5中から吸引され、ノズル7から微細液的として噴射される。
イオン化部50Aは、以上のような構成により、試料9をイオン化する。具体的には、試料ステージ8上の試料に探針10をわずかに接触させる。これにより、探針10の先端には試料9の一部9aが付着する。その後、探針10に高電圧発生部11により所定の高電圧が印加されると、捕捉されている試料9a中に大きな電場が作用し、クーロン斥力等により試料9aは電荷を有しながら離脱する(すなわち、エレクトロスプレーされる)。その過程で試料分子がイオン化される。こうしたイオン化に際してノズル7からの溶媒の噴射は必須ではないが、当該噴射により、試料9aの湿り気を保持することで良好にイオン化することができる等の利点がある。
なお、本実施の形態では、イオン化室1での試料のイオン化にエレクトロスプレーイオン化法を用いる構成を示したが、大気圧化学イオン化法など他の大気圧イオン化法を用いてイオン化を行なっても良い。
質量分析部50Bは、中間真空室2,3、分析室4および電圧発生部30を備える。質量分析部50Bは、大気圧に維持されるイオン化室1と高真空度の下でイオンの質量分離および検出を行なう分析室4との間に、段階的に真空度が高められた中間真空室2,3が備えられた差動排気系の構成となっている。なお、中間真空室が3つ以上であってもよい。
イオン化室1と第1中間真空室2とは、細径の脱溶媒管14を通して連通している。脱溶媒管14の両端開口の圧力差によって、イオン化室1内のイオンを含むガスは、脱溶媒管14を通して第1中間真空室2内へと引き込まれる。
第1中間真空室2内には、第1イオンガイド15が設置される。第1イオンガイド15は、イオン光軸Cに直交する方向に配列された複数枚の円盤状の電極板で構成される。イオンはこの第1イオンガイド15で収束される。
第1中間真空室2と第2中間真空室3とは、スキマー16の頂部に形成された小径の通過孔(オリフィス)を通して連通している。上記収束されたイオンは当該オリフィスを通過する。
第2中間真空室3内には、第2イオンガイド17が設置されている。第2イオンガイド17は、イオン光軸Cに沿って配置されたロッド電極から構成される、イオンは第2イオンガイド17により収束されて分析室4に送り込まれる。
分析室4内には、4本(図1では2本のみ図示)のロッド電極から構成される四重極マスフィルタ18と、到達したイオンの数(量)に応じた信号を出力するイオン検出器19とが配置されている。
電圧発生部30は、質量分析部50Bの各部に所定の電圧を印加する。
質量分析部50Bは、以上のような構成により、試料9のマススペクトルデータを生成する。具体的には、分析室4内の四重極マスフィルタ18には電圧発生部30から所定の電圧が印加され、その電圧に応じた質量電荷比(m/z値)を有するイオンのみが四重極マスフィルタ18の長軸方向の空間を通り抜け、それ以外の質量電荷比のイオンは途中で発散する。電圧発生部30から四重極マスフィルタ18に印加される電圧が所定の範囲で走査されると、その走査に従って四重極マスフィルタ18を通過しうるイオンの質量電荷比は所定の範囲で走査される。したがって、イオン検出器19に到達するイオンの強度を時間経過に伴って測定することで、所定の質量範囲のイオン強度情報、すなわちマススペクトルデータを得ることができる。
コンピュータ20は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)を主体として構成される。コンピュータ20は、例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。
コンピュータ20は、イオン検出器19による検出信号を受信し、例えばマススペクトルの作成等の各種のデータ処理を実行する。コンピュータ20は、試料9に対する質量分析を実行するために、イオン化部50Aおよび質量分析部50Bの各部の動作を制御する。コンピュータ20には、入力機器21およびディスプレイ22が接続される。コンピュータ20は、入力機器21に対する分析者の操作を受けて、コンピュータ20によるデータ処理の結果をディスプレイ22に出力する。
解析装置70は、演算処理部であるCPUを主体として構成される。解析装置70は、例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。解析装置70は、コンピュータ20と有線または無線で接続され、コンピュータ20からマススペクトルデータを受信する。解析装置70は、コンピュータ20から受信したマススペクトルデータに対し、さらなるデータ解析を行なう。解析装置70には、入力機器71およびディスプレイ72が接続される。解析装置70は、入力機器71に対する分析者の操作を受けて、解析装置70によるデータ解析の結果をディスプレイ72に出力する。ディスプレイ72は、「表示部」の一実施例に対応する。
図1では、解析装置70と通信するコンピュータ20が1台だけ図示されているが、これに限定されず、解析装置70は複数台のコンピュータ20と通信してもよい。また、たとえば、コンピュータ20中のマススペクトルデータのファイルを、USBメモリ等の記録媒体を介して、解析装置70に移すように構成してもよい。このように構成すると、解析装置70は、複数の装置本体50によるマススペクトルデータを解析することが容易となる。すなわち、解析装置70において、複数の装置本体50で測定された多くの患者のマススペクトルデータを解析することが容易となる。このような構成は、多くのがん患者においてがんに罹患することにより量が変動する物質、すなわち、がんマーカの探索を支援する上で好ましい。
図2は、コンピュータ20および解析装置70のハードウェア構成を示す概略図である。図2を参照して、コンピュータ20は、CPU28と、メモリ29と、入力インターフェイス(以下、入力I/Fとも称する)25と、表示コントローラ26と、通信インターフェイス(以下、通信I/Fとも称する)27とを備える。
コンピュータ20は、メモリ29に格納されるプログラムに従って動作するように構成される。メモリ29は、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)を含む。
ROMは、CPU28にて実行されるプログラムを格納することができる。RAMは、CPU28におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置であり、装置本体50による測定データおよびコンピュータ20による分析結果等、コンピュータ20で生成された情報を格納することができる。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
CPU28は、装置本体50を制御する。CPU28は、メモリ29のROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。
入力機器21は入力I/F25に接続される。入力I/F25は、コンピュータ20が入力機器21と通信するためのインターフェイスであり、入力機器21から各種信号を受信する。
表示コントローラ26は、ディスプレイ22に接続される。表示コントローラ26はディスプレイ22に、ディスプレイ22の表示内容を示す信号を出力する。ディスプレイ22がタッチパネルを備えるディスプレイである場合、入力I/F25はタッチパネルから、ディスプレイ22への分析者のタッチ操作を示す信号を受信する。
通信I/F27には、装置本体50および解析装置70が接続される。通信I/F27は、コンピュータ20が装置本体50および解析装置70と通信するためのインターフェイスであり、装置本体50および解析装置70との各々の間で各種信号を入出力する。
解析装置70は、CPU73と、メモリ79と、入力I/F75と、表示コントローラ76と、通信I/F77とを備える。解析装置70は、メモリ79に格納されるプログラムに従って動作するように構成される。
メモリ79は、図示しないROM、RAMおよびHDDを含む。ROMは、CPU73にて実行されるプログラムを格納することができる。RAMは、CPU73におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置であり、コンピュータ20から受信した情報、解析装置70で生成された情報を格納することができる。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
CPU73は、メモリ79のROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。CPU73は「演算部」の一実施例に対応する。
入力機器71は入力I/F75に接続される。入力I/F75は、解析装置70が入力機器71と通信するためのインターフェイスであり、入力機器71から各種信号を受信する。
表示コントローラ76は、ディスプレイ72に接続される。表示コントローラ76はディスプレイ72に、ディスプレイ72の表示内容を示す信号を出力する。ディスプレイ72がタッチパネルを備えるディスプレイである場合、入力I/F75はタッチパネルから、ディスプレイ22への分析者のタッチ操作を示す信号を受信する。
通信I/F77には、コンピュータ20が接続される。通信I/F77は、解析装置70がコンピュータ20と通信するためのインターフェイスであり、コンピュータ20との間で各種信号を入出力する。通信I/F77は「通信部」の一実施例に対応する。
よって、解析装置70は「マーカ物質探索支援装置」の一実施例に対応する。解析装置70、ディスプレイ72および入力機器71をまとめて装置80と呼ぶと、装置80は「コンピュータ」の一実施例に対応する。
[データ解析装置を用いた疾患の診断]
臨床機関および研究機関においては、このようなデータ解析システムを用いて、がん等に罹患した患者の組織等の生体試料(以下、サンプルとも称する)を解析することで、当該疾患の診断および/または治療に役立てることが望まれている。
具体的には、疾患にかかった組織においては、健常な組織に比べて、組織内の各物質の量のバランスが変化し、特異的に増加または減少する物質が発現すると考えられる。ここで、物質とは、例えば核酸、タンパク質、脂質等の分子を指す。また、疾患特異的にその量が増加または減少し、当該量の変化が疾患の指標となる物質は疾患の「マーカ物質」あるいは単に「マーカ」とも呼ばれる。なお、本明細書において、マーカ物質と「マーカ」は同義で用いられる。ゆえに、がん等の疾患に対するマーカを明らかにすれば、被検者の組織から採取したサンプルに含まれる当該物質の量を確認することで、当該組織が疾患に罹患したか否かを診断する助けとなる。そのため、マーカの探索およびその支援は重要である。
そこで、本実施の形態に係るデータ解析システム100では、同一組織の疾患に罹患した領域および疾患に罹患していない領域の各々からサンプルを採取し、これら2種類のサンプルを質量分析して得られたスペクトルデータに対して統計解析を行なう。このことにより、疾患に罹患した領域で量が多い、または、少ない物質の質量電荷比を明らかにする。換言すると、データ解析システム100は、生体試料の質量分析により得られた定量的データを基に、疾患のマーカ候補の探索を支援することができる。
具体的には、データ解析システム100では、疾患患者のサンプルを質量分析して得られたスペクトルデータの各ピークについて、独立成分分析を行なうことで、疾患特異的に存在量が変化する物質の探索を支援する。以下に、本実施の形態に従うデータ解析システム100におけるデータ解析方法の概念を説明する。なお、本実施の形態においては、疾患の一つとしてがんを例に説明する。
[データ解析方法の概念]
質量分析により得られるスペクトルデータにおいて、1つのピークは端的には質量電荷比とそのピーク強度で規定される。ピーク強度は、対応する質量電荷比の物質の量を示す。生体組織内の物質は、例えば、脂質、核酸、タンパク質、糖等に分けられ、これらは異なる組成、性質および機能を有する。本実施の測定プロトコルでは細胞由来の脂質が主に測定される。
一方、ある患者のある組織における物質の量は、当該患者および組織の様々な要素を反映すると考えられる。当該患者および組織の様々な要素とは、例えば、(1)患者の性別、年齢、生活習慣等の違い等のいわゆる個人差と呼ばれるもの、(2)組織ががんに罹患しているか否かによる差等である。これらデータに付属する条件を以下、「クラス」とも称する。
端的に考えると、ある物質について、同一患者の同一種類の組織において、がんに罹患した領域(以下、「がん領域」とも称する)における物質の量と、がんに罹患していない領域(以下、「非がん領域」とも称する)における物質の量との間には、理想的には、上記(1)の要素による差がなくなり、(2)の要素による差のみが存在することになる。したがって、がん領域および非がん領域の間でその量に差がある物質は、がんマーカの候補であるといえる。
しかし、一方では、当該物質の量の差は、必ずがんの有無が原因であるとは言い切れない。例えば、患者特有の遺伝的要因により、当該物質の量が変動しやすくなっている可能性もある。また、単に確率的に値が変動している(いわゆるノイズ)だけで、生物学的には意味がない可能性もある。
一方で、発見が所望されるマーカ候補は、万人、もしくは多くの患者のがん組織に共通して量が変化する物質である。ゆえに、1人の患者では無く、多くの患者の同一の組織において、がん領域および非がん領域の各々からサンプルを採取し、両サンプルを比較することが有効である。当該比較により、多くの患者においてがんに罹患したか否かでその量に差がある物質を抽出すれば、上記の個人差、確率的な変動等のノイズをキャンセルできると考えられる。換言すれば、多くの患者のがんに罹患した組織において、がん領域と非がん領域とでその量が異なる物質を見いだせば、マーカ候補とすることができる。以下、がん領域から採取したサンプルを「がんサンプル」、非がん領域から採取したサンプルを「非がんサンプル」とも称する。
さらに、それぞれの種類のがん(例えば、肝臓がん、腎臓がん等)には、いくつかのサブタイプがあることが明らかになっている。がん種だけでなくそのサブタイプまでを特定し、そのサブタイプに応じた薬剤の選定、および、治療方針の決定を行なうことが、個別化医療の観点からは望ましい。そのためには、そのがん種におけるサブタイプおよび各サブタイプのマーカの特定を行なう必要がある。
しかしながら、また、PESI−MS、その他の質量分析装置等の微量の物質を検出する分析装置は、その検出強度において、装置個体による差(機差)、および、同一装置においても測定日による差(日間差)が生じうることが知られている。具体的な機差の例としては、ある装置個体で測定したマススペクトルは、高m/z側のピークの信号強度が他の装置個体で測定したマススペクトルに比べて全体的に高い、または、低いことがある。日間差の例としては、試料を採取してから時間を経るに伴い、試料中の特定の分子が分解され、その分子由来のピークが試料を採取してからの日数に基づいて異なる強度を示す場合がある。また、日間差の他の例としては、装置を長期間にわたって使用することにより、検出器が汚染され、ピーク強度が影響を受ける場合もある。またこれらのクラスの「差」に対して影響を受けるピークは、必ずしもクラス毎に異なるわけではない。すなわち、複数のクラスの「差」に影響を受けるピークもある。たとえば、疾患の有無による差を表すピークが機差および/または日間差の影響も受けるピークである場合は、疾患の有無によるピーク強度への影響が、機差および/または日間差のピーク強度への影響に打ち消される可能性もある。そのため、機差および日間差等他のクラスの影響を考慮せずに、単にがん/非がんのクラスのみに着目し、クラス間で強度に有意差があるピークを探索するというアプローチではマーカを見つけることができない可能性がある。そのため、がん領域と非がん領域とを比較し、がんに起因する物質の存在量の変化を明らかにする上では、がん領域から採取したサンプルと非がん領域から採取したサンプルとの間で機差および日間差が無いことが望ましい。すなわち、同一患者の同一組織において採取されたがんサンプルおよび非がんサンプルを、同一装置により、同一日に測定したスペクトルデータを比較することが好ましい。
よって、本実施の形態では、まず装置本体50およびコンピュータ20により得られた複数のスペクトルデータを、非がん/がんのクラスのみが異なり、機差、日間差、個人差などは同一である2つのデータ群に分離する。次に、当該2つのデータ群を因子分解することで、がん/非がんのクラスにより量が変化する物質の探索を支援する。本実施の形態では、当該因子分解には、独立成分分析(ICA:independent component analysis)が用いられる。
独立成分分析は、多変量の信号を複数の加法的な成分に分離するための計算手法である。典型的なICAの応用として、複数の人間の会話を複数のマイクで録音し、当該録音データを基に特定の人物の声を抜き出す音源分離がある。以下に、ICAを用いて疾患の有無により量が変化する物質(すなわちがんマーカ候補)の探索を支援する方法の概念を説明する。
簡単な例として、まずは2人の話者の音声信号の分離を考える。具体的には、2人の話者が同時に発話し、その混合音声信号を2つのマイクで収音する場合を考える。そして、2つのマイクで各々収音された2つの混合音声信号のデータ(音声データ)を統計学的に分離することで、2人の音声を復元することを考える。
2人の話者の元の音声信号を各々ベクトルs1,s2とし、収音された2つの音声データをベクトルx1,x2とする。x1,x2は、x1とs2がそれぞれある強さでたし合わされたものと考えることができるので、係数a11,a12,a21,a22を使って、下記(1),(2)式で表せる。なお、各係数は、収音された各音声データに含まれる、元の各音声信号の強さを表す。
x1=a11・s1+a12・s2 (1)
x2=a21・s1+a22・s2 (2)
ここで、行列により、x1,x2を下記(3)式で、s1,s2を下記(4)式で、係数a11,a12,a21,a22を下記(5)式でそれぞれまとめるとする。
この場合、上記(1),(2)式は下記(6)式にまとめることができる。
x=As (6)
ここで、Aの逆行列をW、Wとxを基に推定される独立成分をyとすると、yは下記(7)式で表される。独立成分分析は、この定式化により、W,yを推定する問題である。
y=Wx (7)
具体的には、分離信号yが互いに独立になるようにxを用いて最適化の枠組みでWを推定する。当該最適化は、例えば、各種のソルバーを利用して行なわれる。
独立成分分析において、求める独立成分の数は分析者が妥当な数を指定する。また収音された音声データのベクトルの数(上記の例では収音マイクの数に相当)は、独立成分の数(上記の例では話者の数に相当)以上である必要がある。なお、独立成分分析についての詳細は公知であるので、これ以上の説明は省略する。
今回の実施例に、この独立成分分析を適用する。図6の下段のデータが上記の例の行列xに相当する。すなわち、あるm/zに対する行(横方向)のベクトルが1つのマイクにより収音された混合音声データに相当する。ここで、図6の下段のデータの横方向の強度の変動を考える。この変動には、サブタイプ差、機差、日間差等が由来の変動が混合して含まれる。
ここで、独立成分分析の結果、複数の独立成分yが得られ、そのうちの1つとして、下記(8)式で表される独立成分y1が得られたとする。なお、nを自然数とすると、この式での(m/zn;非がん)とは図6の非がんデータのm/znの横方向のベクトルを表す。また、(m/zn;非がん)ベクトルの係数をα1nと表す。一方、(m/zn;がん)とは図6のがんデータのm/znの横方向のベクトルを表す。また、(m/zn;がん)ベクトルの係数をα1n’と表す。また、以下、(m/zn;非がん)ベクトルおよび(m/zn;がん)ベクトルをm/zベクトルと総称する。また、以下、(m/zn;非がん)ベクトルの係数をα、(m/zn;がん)ベクトルの係数をα’と総称する。
y1=α11・(m/z1;非がん)+α11’・(m/z1;がん)
+α12・(m/z2;非がん)+α12’・(m/z2;がん)+・・・ (8)
(8)式において、あるm/zベクトルの係数が他のm/zベクトルの係数より大きい場合、独立成分y1において当該m/zベクトルは他のベクトルよりも強く含まれていると考えられる。
よって、(m/zn;非がん)ベクトルの係数α1nと、(m/zn;がん)ベクトルの係数α1n’とが、同程度である場合、独立成分y1において、当該(m/zn;非がん)ベクトルと(m/zn;がん)ベクトルとが同程度の強さで含まれていると考えられる。
一方、(m/zn;がん)ベクトルの係数α1n’が、(m/zn;非がん)ベクトルの係数α1nを含む他のm/zベクトルの係数より大きい場合を考える。この場合、独立成分y1において、(m/zn;がん)ベクトルが、(m/zn;非がん)ベクトルを含む他のm/zベクトルより強く含まれていると考えられる。非がんデータとがんデータに含まれる疾患の有無以外の機差や日間差と言った構造が同程度であるとすると、この独立成分y1はがんデータに特有の構造を反映していると考えられる。また、独立成分y1において、他の係数より大きいα1n’に対応するm/zが示す物質は、がんおよびがんのサブタイプのマーカ物質の候補である。
以上を図示すると、図3のようになる。図3では、独立成分y1に対するm/z=M0に対応する(m/zn;非がん)ベクトルの係数α1nおよび(m/zn;がん)ベクトルの係数α1n’の分布が示される。図3において、横軸は物質の質量電荷比m/zを示し、縦軸は係数の大きさを示す。図中のデータ点については、本明細書を通じて、黒丸はがんサンプルを示し、十字は非がんサンプルを示す。
図3左図のように、係数α1n≒α1n’である場合、この独立成分y1におけるm/z=M0の強さは非がんサンプルでもがんサンプルでも変わらないことを示している。
一方、図3の右図のように、α1n<α1n’である場合、この独立成分y1におけるm/z=M0の強さはがんサンプルで強くなることを示している。ここで、このα1n’の値が他のm/zベクトルの係数に比べて十分に大きければ、この独立成分y1はがんデータに特異的に含まれ、m/z=M0ががんおよびがんのサブタイプのマーカ候補であると考えられる。
以上の例では、簡単のために1つの独立成分y1に対する、1つの質量電荷比M0に対応する1つの物質についての結果のみを示した。実際には、独立成分分析により、複数の質量電荷比にそれぞれ対応する複数の物質の量に対し、一度に複数の独立成分yおよびその係数αおよびα’が算出される。以下、本明細書においては、係数αおよびα’を独立成分スコアとも称する。
以上のように、多数の患者のサンプルから得られた、がん/非がんのクラスのみが異なる複数のスペクトルデータを独立成分分析し、がんに罹患しているか否かで独立成分スコアαが二極化するm/z値を検出できれば、当該m/z値に対応する物質はがんマーカ候補であるといえる。
十分な数の独立成分を仮定して、このようながんデータでのみ独立成分スコアが大きい独立成分に着目することで、マーカ候補を抽出することができる。このアプローチによると、上述したような、複数のクラスに差があるサンプルが混在することにより、がん/非がんのクラス間のピーク強度の差が一見しただけでは分からない場合も、マーカの探索を支援することができる。
よって、本実施の形態においては、PESI−MSで検出したスペクトルデータにおいて検出された複数のピークについて独立成分分析を行ない、その中でがんに罹患しているか否かで独立成分係数αが二極化するピークを探索する。換言すると、PESI−MSで検出された複数の物質について、その量を独立成分分析することで、がんに罹患しているか否かで量が変わる物質の探索を支援する。これにより、信頼性の高いがんマーカ候補を網羅的に探索することの支援が可能となる。以下に具体的なデータ解析方法を説明する。
[データ解析方法]
図4は、データ解析の処理の流れを説明するフローチャートである。図4のフローチャートは、解析装置70のCPU73によって実行される。また、図4のフローチャートは、がんサンプルのスペクトルデータおよび非がんサンプルのスペクトルデータに対して実行される。図4のフローチャートは、「マーカ物質の探索支援方法」および「マーカ物質の探索支援プログラム」の一実施例に対応する。
ステップ41において、CPU73は、装置本体50およびコンピュータ20により取得された、がんサンプルおよび非がんサンプルのスペクトルデータを取得する。
ステップ42において、CPU73は、複数のスペクトルデータの各々について、複数のピークを検出し、各ピークに対応する質量電荷比およびピーク強度を検出する。さらに、CPU73は、サンプル毎の質量電荷比に対するピーク強度のマトリクスを作成する。当該マトリクスを「ピークマトリクス」とも称し、ピークマトリクスを作成することを「ピークマトリクス化」とも称する。
ステップ43において、CPU73は、ピークマトリクスを独立変数分析に適した形に整形する(後に詳しく説明する)。
ステップ44において、CPU73は、ピークマトリクスに対し、独立成分分析を行なう。
ステップ45において、CPU73は、独立成分分析の結果および所定のしきい値に基づいて、がんか非がんかで量が変化する物質、すなわち、がんマーカ候補を抽出する。さらに、CPU73は、抽出したがんマーカ候補に関連する情報を表示する。
ステップ46において、CPU73は、独立成分分析の結果に基づいて、ピークマトリクスをがんのマーカ候補に関するものだけにするダウンサイジングを行なう。
ステップ47において、CPU73は、がんのサブタイプおよびがんのサブタイプのマーカ候補を抽出する。さらに、CPU73は、抽出したがんのサブタイプおよびがんのサブタイプのマーカ候補に関連する情報を表示する。なお、がんのサブタイプとは、がんをその性質についてさらに細分化したものである。がんのサブタイプ、がんのサブタイプおよびそのマーカ候補を抽出する意義、具体的な抽出方法については後述する。なお、図4に示したデータ解析方法は、各ステップの少なくとも1つのステップの結果を、表およびグラフの少なくとも一方の形式で表示するステップをさらに備えてよい。このように構成すると、当該ステップに対応する処理の結果を、分析者が理解することの助けになる。
また、ステップ41〜47を行なうのは、解析装置70のCPU73に限定されず、例えば、コンピュータ20のCPU23であってもよい。
次に各ステップについて、詳細に説明する。
[スペクトルマトリクスの生成および整形]
まず、解析装置70は、複数の臨床および研究の現場の各々に設置される装置本体50およびコンピュータ20で得られたスペクトルデータを収集し、スペクトルデータの絞り込みを行なう。
図5は、解析対象となるスペクトルデータの絞り込みを説明する図である。図5には各スペクトルデータに関する条件(クラス)が表形式にまとめられている。例えば、スペクトルデータのIDであるデータID、がんサンプルであるか非がんサンプルであるか、サンプルが採取された臓器(組織)、サンプルが採取された患者のID、性別、年齢、サンプルのスペクトルデータが測定された日時、サンプルの測定に使用された装置本体50のIDなどが含まれている。以下に各クラスについて、適宜詳細に説明する。
上述したように、がんサンプルはがん領域から採取したサンプルであり、非がんサンプルは非がん領域から採取したサンプルである。がんサンプルおよび非がんサンプルが、同一患者の同一組織におけるがん領域および非がん領域からそれぞれ採取されたものであれば、がんサンプルの分析結果と非がんサンプルの分析結果とを比較すると、がんに起因する変化を抽出できる。すなわち、非がんサンプルは、がんサンプルの分析結果を検証するための比較対象であり、いわゆるコントロールである。
本実施の形態では、がんサンプルのスペクトルデータと非がんサンプルのスペクトルデータとを対比して、がんサンプルおよび非がんサンプルの間で量が異なる物質を探索する。そのために、がんサンプルか非がんサンプルかのみが異なり、個人差、組織による差、装置による差(機差)および、同一装置における測定日による差(日間差)などがない、2つのスペクトルデータ群を構築する。
これは、がんサンプルにおいて、非がんサンプルと比較してその量に差がある物質が検出されたときに、その差ががんに罹患にしていることに起因し、組織による差などの他の条件の違いに起因しないことを明確化するためである。例えば、極端な例として、肝臓からがんサンプルが、腎臓から非がんサンプルがそれぞれ採取された場合を考える。この場合、独立成分分析によりがんサンプルと非がんサンプルにおいて量の差がみられる物質が見いだされたとしても、その差ががんに罹患しているか否かによるものか、臓器による差によるものかが区別できない。よって、がんサンプルおよび非がんサンプルを比較するにあたっては、がん/非がん以外の条件である、患者、臓器などの条件を共通するように構成することが望まれる。
特に、PESI−MSは簡便に生体試料の質量分析データを取得できる装置である一方、その質量分析データには、機差および日間差が現れることが知られている。ゆえに、がんサンプルと非がんサンプルとの対比においては、装置IDおよび測定日も同一であることが望まれる。
図5では、データd1,d2,d3・・・に非がんサンプルのスペクトルデータに関する情報が表形式で示され、データd301,d302・・・にがんサンプルのスペクトルデータに関する情報が表形式で示されている。以下、がんサンプルのスペクトルデータを「がんデータ」とも称し、非がんサンプルのスペクトルデータを「非がんデータ」とも称する。図5の例では、データd1およびデータd301において、サンプルががんに罹患しているか否かは互いに異なるが、患者ID、測定日時、装置IDなどその他の条件は同じである。以下、このようながん/非がんのみが異なるデータを、互いに対となるデータであるとも称する。このような互いに対となるデータは、後の解析に使用される。
データd3およびデータd302も同様に、互いに対となるデータである。よって、データd3およびd302は、後の解析に使用される。
しかし、データd2については、互いに対となるデータが存在しない。すなわち、データd2には、患者ID(付随して患者の性別、年齢)、臓器、装置ID、測定日時が同一となる非がんデータがない。このような互いに対とならないデータは除外され、後の解析に使用されない。
また、患者ID、臓器、装置ID、測定日時が全て同一であるスペクトルデータにおいて、がんデータの数が2つ、非がんデータの数が1つのように数が不均衡となるなら、がんデータの1つを除外してデータ数を合わせることが望ましい。このようにがんデータと非がんデータのデータ数を合わせると、がんデータと非がんデータとの間でデータ数による解析結果の見た目の差が生じないので、適切な比較が行ないやすい。
上記のようにデータを絞り込んだ結果、がん/非がんの条件のみが異なり、他の条件は同じである2つのスペクトルデータ群(がんデータ群および非がんデータ群)が生成できる。
次に、生成した2つのスペクトルデータ群に含まれるスペクトルデータの各ピークを抽出する。そして、各ピークのm/z値およびピーク強度を抽出する。上述のように、本実施の形態では、複数のm/z値をそれぞれ有する複数のピークの各々について、複数のサンプルでの各々のピーク強度を独立成分分析することで、がんマーカ候補の探索を支援する。
図6の上段には、非がんデータおよびがんデータの各々のデータごとに、ピークのm/z値に対するピーク強度をまとめた表が示される。この上段の表のように、各ピークのm/z値に対するピーク強度をまとめた表を「ピークマトリクス」とも称する。各m/z値に対応する物質の量は上記のように、個人差、組織の差などの諸条件により変化するので、サンプルごとに同じm/z値に対するピーク強度は異なる。
ここで、独立成分分析をしたいのは、上述したように、同一のm/z値(すなわち、同一の物質)に対する非がんデータおよびがんデータの各々におけるピーク強度である。そのために、図6の上段の表を図6の中段のように行および列を転置し、さらに図6の下段のように非がんデータのピークマトリクスとがんデータのピークマトリクスを積重することで、各m/z値に対して、非がんデータおよびがんデータについて独立成分分析をする準備が整う。
図6の下段に示されるピークマトリクスの行方向(すなわち横方向)を1つのベクトルとして独立成分分析にかけると、各m/z値において、各データを構成する独立成分および独立成分スコアが算出される。
なお、独立成分の数k(k:自然数)は、n≧kの範囲(nはデータ数)で、分析者が任意に設定することができる。本実施の形態ではk=20と設定している。
すなわち、独立成分分析の結果、各m/zベクトルに対し、y1〜y20の合計20個の独立成分に対するサンプル毎の独立成分スコアαの分布が得られる。独立成分スコアの分布の3つの代表的な例が図7〜図9に示される。なお、ピークマトリクスを独立成分分析にかける前には、スペクトルデータの解析にて、通常、前処理として行なわれる標準化処理が行なわれる。
図7は、独立成分スコアの分布の第1の例を示す図である。図7は、第1の独立成分における独立成分スコアの分布を示している。図7の横軸はm/z値を示し、縦軸は独立成分スコアを示す。黒丸はがんデータを示し、十字は非がんデータを示す。なお、縦軸、横軸、黒丸、十字の定義は図8、図9においても同じである。以下、独立成分スコアを「ICスコア」とも称する。すなわち、がんデータおよび非がんデータは合わせて独立成分分析された後に、分析結果を示すグラフにおいて区別がつくように表示される。なお、ICスコアの絶対値の大小は、各データにおける当該独立成分の影響の大小を示す。すなわち、ICスコアは0に近いほど、各データにおける当該独立成分の影響が小さく、ICスコアが正負に大きいほど、各データにおける当該独立成分の影響が大きい。
図7において、ほとんどのm/z値において、ICスコアはがんデータおよび非がんデータ共に0付近の値をとる。すなわち、各データにおいて、第1の独立成分の影響が小さい。一方、図7において領域c1で示した部分では、非がんデータは0付近の値を示すが、がんデータは比較的高い(絶対値が大きい)ICスコアを示している。すなわち、図7の領域c1の部分に対応するm/z値で示される物質は、がんサンプルで絶対値が大きいICスコアを示すので、いわゆるがんマーカの候補であるとみなすことができる。
図8は、独立成分スコアの分布の第2の例を示す図である。図8は、第2の独立成分におけるICスコアの分布を示している。図8においてもほとんどのm/z値において、ICスコアはがんデータおよび非がんデータ共に0付近の値をとる一方、領域c2で示した部分では非がんデータについてのみ比較的低い(絶対値が大きい)ICスコアを示している。すなわち、図8で領域c2をつけた部分に対応するm/z値で示される物質は、非がんデータで絶対値が大きいICスコアを示すので、非がんサンプルの指標となりうる物質であるとみなすことができる。
図9は、独立成分スコアの分布の第3の例を示す図である。図9は、第3の独立成分におけるICスコアの分布を示している。図9においてもほとんどのm/z値においても、ICスコアはがんデータおよび非がんデータ共に0付近の値をとる。領域c3で示した部分は比較的高い値を示すが、がんデータおよび非がんデータの双方の値が高くなっている。すなわち、第3の独立成分は、がんデータと非がんデータとのICスコアが近似しているので、がん/非がんへの関連性は低いと考えられる。
図10は、複数の独立成分に対する独立成分スコアの例を説明するための図である。具体的には、図10は、20個の独立成分(ICナンバー1〜20と称する)において、図7〜図9で示した独立成分ごとのICスコアの分布をまとめて記載したものである。換言すると、図10に示す各ICナンバーのプロットは、図7〜図9に示した独立成分ごとのICスコアの分布を横軸方向(m/z方向)に圧縮し、その圧縮した分布をICナンバー順に一直線上に並べたものである。なお、図7,図8,図9で示した独立成分は、ICナンバー5,2,3の独立成分にそれぞれ対応する。
図10を参照して、20個の独立成分間でICスコアの分布を比較すると、がんデータと非がんデータとでICスコアの分布が近似している独立成分と、がんデータと非がんデータとでICスコアの分布が異なる独立成分とが存在することがわかる。後者の独立成分において、がんデータにおいて、非がんデータと比べて、ICスコアの絶対値が大きいデータ点に対応するm/z値は、がんマーカ候補であると判断できる。よって、図7〜図9のように各独立成分に対するICスコアの分布、または、図10のように複数の独立成分におけるICスコアの分布を基に、がんデータのICスコアの絶対値が大きいデータ点のm/z値を見いだせば、当該m/z値に対応する物質をがんマーカ候補とすることができる。
たとえば、図10では、複数のポインタt1で示した独立成分は、がんデータのデータ点のみが少なくとも1つのデータ点においてICスコアが、予め定められたしきい値「+K」より大きいか、しきい値「−K」より小さいかのいずれかを示す独立成分を示している。なお、本明細書においてKは正の数とする。Kは任意の値に設定することができる。すなわち、ポインタt1で示した独立成分は、がん領域か非がん領域かの差を反映した因子であると考えられる。そして、この独立成分において、ICスコアの絶対値がしきい値Kよりも大きいデータ点に対応するm/z値は、がんマーカ候補であると考えられる。
このようにして、本実施の形態に従うデータ解析システム100では、がんサンプルおよび非がんサンプル由来のマススペクトルデータの各ピーク強度を独立成分分析することにより、がんマーカ候補を抽出することができる。
[疾患のサブタイプおよびサブタイプマーカを探索する意義]
上記では、データ解析システム100において、疾患のマーカ候補を探索するデータ解析方法を説明した。以下では、上記のデータ解析方法を基に、疾患のサブタイプおよびサブタイプマーカを探索する方法を説明する。
がん等の疾患は、サブタイプと呼ばれるいくつかのタイプに分類できることが知られている。乳がんを例に挙げると、ルミナルA型、ルミナルB型・HER2陰性、ルミナルB型・HER2陽性などの複数のサブタイプに細分化される。サブタイプは、悪性度、進行速度、薬剤感受性などが異なる。肝臓がん、腎臓がんおよび大腸がんにおいても同様にサブタイプがある。よって、がん等の疾患に罹患したか否かを判定することに加え、サブタイプも特定することで、患者個人に最適な薬剤の選定、および、その他の治療方法を決定する、いわゆる「個別化医療」を行なうことが可能となる。このようなサブタイプの特定およびそれに基づく個別化医療は、実際に医療現場での導入が始まり、さらなる発展が期待されている。
これまでの各種がんのサブタイプは、病理分類に基づいて分類されたものが多かった。病理分類とは、細胞染色による見た目の違いなどの病理学的な見地からの分類を示す。しかし、がん細胞が有する種々の性質は、がん細胞が生成するタンパク質、脂質、代謝物などの生化学的な物質がもたらす悪影響によるものである。さらに、このような何らかの悪影響をもたらす物質に特異的に結合するなどしてその症状を抑える効力を有する薬剤は、分子標的薬または、分子標的抗がん剤など称され、近年着目されている。従って、生化学的な物質に着目したサブタイプ分類は、サブタイプの本質を捉えており、かつ、薬剤選定および創薬、その他の治療の決定の観点からも有用である。しかし、生化学的な観点に基づくサブタイプ分類は未だ十分になされていない。
よって、本実施の形態に従うデータ解析システム100では、上述した疾患マーカ物質の探索支援方法と同様の考え方により、疾患のサブタイプおよびサブタイプのマーカ候補の探索を支援する方法を実現する。疾患のサブタイプは、当該サブタイプ特異的に増加または減少する物質の違いで分類できると考えられる。従って、疾患に罹患したサンプルのスペクトルデータを存在する疾患のマーカの種類に基づいて分類すれば、がんのサブタイプを見いだすことができると考えられる。また、当該サブタイプにのみ特異的にピーク強度が大きいまたは小さい疾患のマーカ候補は当該サブタイプのマーカ候補であると考えられる。
[疾患のサブタイプおよびサブタイプマーカ候補の探索を支援する方法]
まず、前準備として、ピークマトリクスのダウンサイジングを行なう(図4のステップ46に相当)。具体的には、各がんのサブタイプおよびそのマーカ候補は、がんマーカ候補を分類することで得られるので、がんマーカ候補以外のピークの情報は不要である。よって、図6に示したピークマトリクスにおいて、上記の独立成分分析でがんマーカ候補とされたm/z値を残し、残りのm/z値を削除する。
これにより、ピークマトリクスは必要な情報のみにダウンサイジングできるので、サブタイプおよびサブタイプマーカ候補の探索を支援するための解析において、ノイズが減ることによって解析の精度を高めることができる。
本実施の形態において、がんのサブタイプの分類には、階層的クラスタリング(HCA:Hierarchical Cluster Analysis)を用いる。HCAは、異なる性質のものが混ざり合っている対象から似たものを集めてクラスタ(グループ)を作り、対象を分類する方法である。ピークマトリクスをHCAにかける前に、一般的なスペクトルデータの解析において、前処理として行なわれる標準化処理がなされる。
具体的には、ダウンサイジングされたピークマトリクスにおいて、HCAを用いて、サンプル毎(すなわち図6下段の列ごと)の性質を比較する。HCAの結果、がんマーカ候補となる物質の量の変動パターンが類似するデータ同士が同じクラスタに分類される。
図11は、HCAによるクラスタ分割の例を示すための図である。図11の横軸は、各データID(図11では227個、ただし並び順はデータID順ではない)を示し、縦軸は線でつながれるデータ間の「距離」を示す。データ間の距離とは端的にはデータ間の類似度を示す。具体的には、各データをつなぐ縦線の長さが短いほど、各データ間の距離は近く、各がんマーカ候補となる物質の存在量のパターンが近い。すなわち、同じクラスタに含まれるデータは、同じようながんマーカを有する、がんマーカのサブタイプであると言える。HCAの結果は、一般的に、図11のようにクラスタリングが分かりやすいように、距離の近いもの同士が近接するように表示される。従って、図11の横軸に並んでいる複数のデータIDは、各クラスタ内での距離が近いほど近接している傾向がある。
図11の例では、図中に記載したA〜Eの5つのクラスタに分けることができる。したがって、A〜Eの5つのクラスタは、各々がんのサブタイプであると考えられる。このように、HCAを用いてがんマーカ候補の物質に対するマススペクトル間の類似性を評価し、当該類似度に基づいてがんのサブタイプを見いだすことができる。
次に、2次元HCAにより、がんのサブタイプマーカ候補の探索を支援する方法を説明する。図12は、2次元HCAによるクラスタ分割の例を示すための図である。2次元HCAとは、端的には、データ間の類似性を評価するのに加え、ピーク強度の類似性も評価し、それぞれの類似性を1つの図にまとめたものである。すなわち、図6の下段のピークマトリクスにおいて、列ごとの類似性を評価するのに加え、行ごとの類似性も評価し、2次元のクラスタリングが行なわれる。図12の例では、中央に2次元HCAの結果がヒートマップr1で表されており、ヒートマップr1の左側には後述するツリー図r2が示され、ヒートマップr1の上方には後述するツリー図r2が示されている。
ヒートマップr1において、各行は図11で示した各データを示し、各列は図10で見いだされた各マーカ候補を示している。各セルの色の濃さはピーク強度が表されており、色が濃いほど高い(すなわち物質の量が多い)。
ツリー図r2には、ヒートマップr1を基に、図11と同様に各データ間の距離が示されている。ツリー図r2においても、データは図11と同じA〜Eのクラスタに分割され、図11と同じA〜Eのクラスタに分類できることが示されている。よって、必ずしもがんデータのHCAを行なわずとも、2次元HCAだけでもがんのサブタイプの探索を支援することは可能である。しかし、両解析を行なうことで、両解析の結果が一致することを確認することが可能であり、解析結果の信頼性が確認できる。
ツリー図r3には、各マーカ候補の距離がつなぐ線の長さで表されている。これによると、がんマーカ候補はA〜Eのサブタイプ候補に対応して5つにクラスタリングされる。
再びヒートマップr1を参照すると、たとえば図中の領域c4においては、特定のがんサブタイプ(ここではA)に対して、存在量が多いマーカ候補が存在することを確認できる。
このように、図12によりクラスタリングされたがんマーカ候補は、それぞれ対応するがんサブタイプのマーカ候補となる。なお、上記クラスタリングの手法は、HCAおよび2次元HCAに限定されず、クラスタリングによりサブタイプおよび/またはサブタイプのマーカ候補が抽出可能であれば良い。上記クラスタリングの手法は、たとえば、k−means法またはt−SNE(t-distributed stochastic neighbor embedding)であってもよい。
このように本実施の形態に従うデータ解析システム100においては、がんサンプルおよび非がんサンプルのマススペクトルを因子分解することで、がんマーカ候補を抽出できる。さらに、抽出されたがんマーカ候補をクラスタリングすることで、がんのサブタイプおよびサブタイプのマーカ候補の探索を支援できる。よって、生体試料の分析から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の探索を支援するマーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置を提供できる。
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る疾患のマーカ物質の探索支援方法は、演算部と表示部とを備えたコンピュータを用いて、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援する方法であって、
被検体において前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを質量分析して得られた第1のスペクトルデータを取得するステップと、
前記病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを質量分析して得られた第2のスペクトルデータを取得するステップと、
前記演算部により、前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解するステップと、
前記演算部により、前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、
前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示するステップとを備えてよい。
第1項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法によれば、生体試料の分析装置から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の探索を支援することができる。
(第2項)第1項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、
しきい値を取得するステップと、
前記演算部により、前記第1のスペクトルデータのスコアが前記しきい値より大きくなり、かつ、前記第2のスペクトルデータのスコアが前記しきい値より小さくなる因子を抽出するステップと、
前記演算部により、抽出した前記因子に対応する前記第1のスペクトルデータの質量電荷比を、前記マーカ物質の候補として抽出するステップと、
前記表示部により、抽出した前記マーカ物質の候補を表示するステップとをさらに備えてよい。
第2項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法によれば、病変領域においてスコアが大きくなる物質、すなわち、病変領域において存在量が増える物質を探索し、当該物質を病変領域のマーカ物質の候補とし、表示することができる。
(第3項)第1項または第2項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、前記因子分解するステップは、
前記演算部により、前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度をピークにおける質量電荷比ごとに配列したピークマトリクスを生成するステップと、
前記演算部により、前記ピークマトリクスを独立成分分析するステップとを含んでよい。
第3項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法によれば、ピーク強度をピークにおける質量電荷比ごとに配列したピークマトリクスを独立成分分析することで、疾患のマーカ物質の候補を探索することができる。
(第4項)第2項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、前記第1のスペクトルデータを取得するステップは、複数の被検体の同一組織の病変領域からそれぞれ採取された複数の前記第1のサンプルを質量分析して得られた、複数の前記第1のスペクトルデータを取得し、
前記第2のスペクトルデータを取得するステップは、前記複数の被検体の前記同一組織の非病変領域からそれぞれ採取された複数の前記第2のサンプルを質量分析して得られた、複数の前記第2のスペクトルデータを取得し、
前記因子分解するステップは、前記複数の第1のスペクトルデータおよび前記複数の第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解し、
抽出した前記マーカ物質の候補が複数ある場合、前記演算部により、前記複数の第1のスペクトルデータを複数のサブタイプに分類するステップと、
前記表示部により、前記複数のサブタイプを表示するステップとをさらに備えてよい。
第4項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索方法によれば、疾患のマーカ物質の候補だけではなく、疾患のサブタイプを探索できる。
(第5項)第4項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、演算部により、各前記複数のサブタイプにそれぞれ対応するマーカ物質の候補を探索するステップと、
前記表示部により、各複数のサブタイプにそれぞれ対応するマーカ物質の候補を表示するステップとをさらに備えてよい。
第5項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索方法によれば、疾患のマーカ物質の候補だけではなく、疾患のサブタイプのマーカ候補を探索し、当該マーカ物質の候補を表示できる。
(第6項)第4項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、前記因子分解するステップは、
前記演算部により、前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度をピークにおける質量電荷比ごとに配列したピークマトリクスを生成するステップと、
前記演算部により、前記ピークマトリクスを独立成分分析するステップとを含み、
前記分類するステップは、前記ピークマトリクスを、抽出した複数の前記マーカ物質の候補に対応する質量電荷比のみを含むようにダウンサイジングするステップと、
ダウンサイジングした前記ピークマトリクスを多変量解析することにより、前記複数の第1のスペクトルデータのクラスタ分割を行なうステップとを含んでよい。
第6項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索方法によれば、ピーク強度をピークにおける質量電荷比ごとに配列したピークマトリクスを独立成分分析することで、疾患のマーカ物質の候補を探索することができる。また、当該ピークマトリクスをダウンサイジングした上で多変量解析にすることにより、疾患のサブタイプのマーカ物質の候補を探索することができる。
(第7項)第1項〜第6項のいずれか1項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、前記第2のスペクトルデータを取得するステップは、前記第1のスペクトルデータと同日に同一の質量分析装置を用いて得られた前記第2のスペクトルデータを取得してよい。
第7項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法によれば、第1のスペクトルデータおよび第2のスペクトルデータ間には装置差および日間差が無い。よって、第1のスペクトルデータおよび第2のスペクトルデータの差を抽出すれば、当該差は病変によるものであると考えられる。
(第8項)第5項に記載の疾患のマーカ物質の探索支援方法において、前記複数のサブタイプにそれぞれ対応するマーカ物質の候補を探索するステップは、前記ピークマトリクスを多変量解析することにより、マーカ物質の候補のクラスタ分割を行なってよい。
第8項に記載の疾患のマーカ候補の探索方法によれば、抽出した疾患のマーカ候補を基に、疾患のサブタイプのマーカ候補を探索できる。
(第9項)第1項〜第8項のいずれか1項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法において、前記質量分析には、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計(PESI−MS:Probe Electro Spray Ionization Mass Spectrometry)50を用いてよい。
第9項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法によれば、PESI−MSで取得されるごく少量のサンプルを基に、疾患のマーカ候補を探索できる。
(第10項)第2項に記載の疾患のマーカ候補の探索方法において、前記病変領域は、がんに罹患した領域であり、
前記病変領域のマーカ候補は、がんのマーカ物質の候補であってよい。
第10項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法によれば、がんのマーカ物質の候補を探索できる。
(第11項)第1項〜第10項のいずれか1項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法において、前記ステップの少なくとも1つのステップの結果を、表およびグラフの少なくとも一方の形式で表示するステップをさらに備えてよい。
第11項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法によれば、当該ステップに対応する処理の結果を、分析者が理解することの助けになる。
(第12項)一態様に係る疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法は、演算部と表示部とを備えたコンピュータを用いて、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援する方法であって、
被検者の前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを定量的に分析することにより、第1の定量的データを取得するステップと、
前記病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを定量的に分析することにより、第2の定量的データを取得するステップと、
前記演算部により、前記第1および第2の定量的データを因子分解するステップと、
前記演算部により、前記第1の定量的データおよび前記第2の定量的データの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、
前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2の定量的データに基づく情報を表示するステップとを備えてよい。
第12項に記載の疾患のマーカ物質の候補の探索支援方法によれば、生体試料の分析装置から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の候補の探索を支援することができる。
(第13項)一態様に係る疾患のマーカ候補の探索プログラムは、演算部と表示部とを備え、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援するためのプログラムであって、
被検体において前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを質量分析して得られた第1のスペクトルデータを取得するステップと、
前記病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを質量分析して得られた第2のスペクトルデータを取得するステップと、
前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解するステップと、
前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、
前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示するステップとを前記演算部に実行させてよい。
第13項に記載のマーカ物質の候補の探索支援プログラムによれば、生体試料の分析装置から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の候補の探索を支援することができる。
(第14項)一態様に係るマーカ物質の探索支援装置は、第1のサンプルおよび第2のサンプルをそれぞれ質量分析して得られた第1のスペクトルデータおよび第2のスペクトルデータを取得する通信部と、
前記通信部により取得された前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータを解析する演算部とを備え、
前記第1のサンプルは、被検体において前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取されたサンプルであり、前記第2のサンプルは、前記病変した組織の非病変領域から採取されたサンプルであり、
前記演算部は、
前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解し、
前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出し、前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示してよい。
第14項に記載のマーカ物質の探索支援装置によれば、生体試料の分析装置から得られた定量的データを基に、疾患のマーカ物質の候補の探索を支援することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 イオン化室、2 第1中間真空室、3 第2中間真空室、4 分析室、5 溶媒容器、6 ポンプ、7 ノズル、8 試料ステージ、9,9a 試料、10 探針、11 高電圧発生部、12 Z方向駆動部,13 X−Y方向駆動部、14 脱溶媒管、15 第1イオンガイド、16 スキマー、17 第2イオンガイド、18 マスフィルタ、19 イオン検出器、20 コンピュータ、21,71 入力機器、22,72 ディスプレイ、26,76 表示コントローラ、29,79 メモリ、30 電圧発生部、50 装置本体、50A イオン化部、50B 質量分析部、70 解析装置、100 データ解析システム、25,75 入力インターフェイス、27,77 通信インターフェイス。

Claims (14)

  1. 演算部と表示部とを備えたコンピュータを用いて、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援する方法であって、
    被検体において前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを質量分析して得られた第1のスペクトルデータを取得するステップと、
    前記病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを質量分析して得られた第2のスペクトルデータを取得するステップと、
    前記演算部により、前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解するステップと、
    前記演算部により、前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、
    前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示するステップとを備える、マーカ物質の探索支援方法。
  2. しきい値を取得するステップと、
    前記演算部により、前記第1のスペクトルデータのスコアが前記しきい値より大きくなり、かつ、前記第2のスペクトルデータのスコアが前記しきい値より小さくなる因子を抽出するステップと、
    前記演算部により、抽出した前記因子に対応する前記第1のスペクトルデータの質量電荷比を、前記マーカ物質の候補として抽出するステップと、
    前記表示部により、抽出した前記マーカ物質の候補を表示するステップとをさらに備える、請求項1に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  3. 前記因子分解するステップは、
    前記演算部により、前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度をピークにおける質量電荷比ごとに配列したピークマトリクスを生成するステップと、
    前記演算部により、前記ピークマトリクスを独立成分分析するステップとを含む、請求項1または2に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  4. 前記第1のスペクトルデータを取得するステップは、複数の被検体の同一組織の病変領域からそれぞれ採取された複数の前記第1のサンプルを質量分析して得られた、複数の前記第1のスペクトルデータを取得し、
    前記第2のスペクトルデータを取得するステップは、前記複数の被検体の前記同一組織の非病変領域からそれぞれ採取された複数の前記第2のサンプルを質量分析して得られた、複数の前記第2のスペクトルデータを取得し、
    前記因子分解するステップは、前記複数の前記第1のスペクトルデータおよび前記複数の前記第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解し、
    抽出した前記マーカ物質の候補が複数ある場合、前記演算部により、前記複数の第1のスペクトルデータを複数のサブタイプに分類するステップと、
    前記表示部により、前記複数のサブタイプを表示するステップとをさらに備える、請求項2に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  5. 前記演算部により、各前記複数のサブタイプにそれぞれ対応するマーカ物質の候補を探索するステップと、
    前記表示部により、各前記複数のサブタイプにそれぞれ対応するマーカ物質の候補を表示するステップとをさらに備える、請求項4に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  6. 前記因子分解するステップは、
    前記演算部により、前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度をピークにおける質量電荷比ごとに配列したピークマトリクスを生成するステップと、
    前記演算部により、前記ピークマトリクスを独立成分分析するステップとを含み、
    前記分類するステップは、前記ピークマトリクスを、抽出した複数の前記マーカ物質の候補に対応する質量電荷比のみを含むようにダウンサイジングするステップと、
    ダウンサイジングした前記ピークマトリクスを多変量解析することにより、前記複数の第1のスペクトルデータのクラスタ分割を行なうステップとを含む、請求項4に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  7. 前記第2のスペクトルデータを取得するステップは、前記第1のスペクトルデータと同日に同一の質量分析装置を用いて得られた前記第2のスペクトルデータを取得する、請求項1から6のいずれか1項に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  8. 前記複数のサブタイプにそれぞれ対応するマーカ物質の候補を探索するステップは、前記ピークマトリクスを多変量解析することにより、マーカ物質の候補のクラスタ分割を行なう、請求項5に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  9. 前記質量分析には、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計(PESI−MS:Probe Electro Spray Ionization Mass Spectrometry)を用いる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  10. 前記病変領域は、がんに罹患した領域であり、
    前記病変領域のマーカ物質の候補は、がんのマーカ物質の候補に対応する、請求項2に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  11. 前記ステップの少なくとも1つのステップの結果を、表およびグラフの少なくとも一方の形式で表示するステップをさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマーカ物質の探索支援方法。
  12. 演算部と表示部とを備えたコンピュータを用いて、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援する方法であって、
    被検者の前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを定量的に分析することにより、第1の定量的データを取得するステップと、
    前記病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを定量的に分析することにより、第2の定量的データを取得するステップと、
    前記演算部により、前記第1および第2の定量的データを因子分解するステップと、
    前記演算部により、前記第1の定量的データおよび前記第2の定量的データの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、
    前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2の定量的データに基づく情報を表示するステップとを備える、マーカ物質の探索支援方法。
  13. 演算部と表示部とを備えたコンピュータを用いて、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援するためのプログラムであって、
    被検体において前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取された第1のサンプルを質量分析して得られた第1のスペクトルデータを取得するステップと、
    前記病変した組織の非病変領域から採取された第2のサンプルを質量分析して得られた第2のスペクトルデータを取得するステップと、
    前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解するステップと、
    前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出するステップと、
    前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示するステップとを前記演算部に実行させる、マーカ物質の探索支援プログラム。
  14. 演算部と表示部とを備え、疾病の指標となるマーカ物質の探索を支援する装置であって、
    第1のサンプルおよび第2のサンプルをそれぞれ質量分析して得られた第1のスペクトルデータおよび第2のスペクトルデータを取得する通信部と、
    前記通信部により取得された前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータを解析する演算部とを備え、
    前記第1のサンプルは、被検体において前記疾病に起因して病変した組織の病変領域から採取されたサンプルであり、前記第2のサンプルは、前記病変した組織の非病変領域から採取されたサンプルであり、
    前記演算部は、
    前記第1および第2のスペクトルデータのピーク強度を因子分解し、
    前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータの間でスコアの大きさが異なる因子を抽出し、
    前記表示部により、抽出した前記因子に対応する前記第1および第2のスペクトルデータに基づく情報を表示する、マーカ物質の探索支援装置。
JP2019100412A 2019-05-29 2019-05-29 マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置 Active JP7207171B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019100412A JP7207171B2 (ja) 2019-05-29 2019-05-29 マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019100412A JP7207171B2 (ja) 2019-05-29 2019-05-29 マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020193901A true JP2020193901A (ja) 2020-12-03
JP7207171B2 JP7207171B2 (ja) 2023-01-18

Family

ID=73548737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019100412A Active JP7207171B2 (ja) 2019-05-29 2019-05-29 マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7207171B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022107386A1 (ja) 2020-11-20 2022-05-27 日本たばこ産業株式会社 エアロゾル生成装置の電源ユニット

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009063776A1 (ja) * 2007-11-02 2009-05-22 Humanix Co., Ltd. 細胞観察をともなった細胞液捕獲と成分分析法および細胞液捕獲・分析装置
JP2012237753A (ja) * 2011-04-28 2012-12-06 Japanese Foundation For Cancer Research 質量分析データ処理方法及び装置
JP2016075574A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 キヤノン株式会社 質量顕微鏡装置
JP2017224283A (ja) * 2016-06-09 2017-12-21 株式会社島津製作所 ビッグデータ解析方法及び該解析方法を利用した質量分析システム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009063776A1 (ja) * 2007-11-02 2009-05-22 Humanix Co., Ltd. 細胞観察をともなった細胞液捕獲と成分分析法および細胞液捕獲・分析装置
JP2012237753A (ja) * 2011-04-28 2012-12-06 Japanese Foundation For Cancer Research 質量分析データ処理方法及び装置
JP2016075574A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 キヤノン株式会社 質量顕微鏡装置
JP2017224283A (ja) * 2016-06-09 2017-12-21 株式会社島津製作所 ビッグデータ解析方法及び該解析方法を利用した質量分析システム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022107386A1 (ja) 2020-11-20 2022-05-27 日本たばこ産業株式会社 エアロゾル生成装置の電源ユニット

Also Published As

Publication number Publication date
JP7207171B2 (ja) 2023-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Buchberger et al. Mass spectrometry imaging: a review of emerging advancements and future insights
AU2002241535B2 (en) Method for analyzing mass spectra
Watrous et al. The evolving field of imaging mass spectrometry and its impact on future biological research
US20020193950A1 (en) Method for analyzing mass spectra
JP6189587B2 (ja) 質量分析装置、及び該装置を用いた癌診断装置
AU2002241535A1 (en) Method for analyzing mass spectra
US7485852B2 (en) Mass analysis method and mass analysis apparatus
Masyuko et al. Correlated imaging–a grand challenge in chemical analysis
Boskamp et al. A new classification method for MALDI imaging mass spectrometry data acquired on formalin-fixed paraffin-embedded tissue samples
JP2017224283A (ja) ビッグデータ解析方法及び該解析方法を利用した質量分析システム
Hu et al. Spatial segmentation of mass spectrometry imaging data by combining multivariate clustering and univariate thresholding
EP1415141A1 (en) System and method for differential protein expression and a diagnostic biomarker discovery system and method using same
Mantini et al. Independent component analysis for the extraction of reliable protein signal profiles from MALDI-TOF mass spectra
WO2005074481A2 (en) Method for clustering signals in spectra
Chung et al. Next‐generation pathology practices with mass spectrometry imaging
JP7207171B2 (ja) マーカ物質の探索支援方法、探索支援プログラムおよび探索支援装置
CN113514530A (zh) 一种基于敞开式离子源的甲状腺恶性肿瘤诊断系统
Norris et al. Imaging mass spectrometry in clinical pathology
Zhang et al. Advances in mass spectrometry for clinical analysis: Data acquisition, interpretation and information integration
JP7158642B2 (ja) 質量分析装置及び質量分析システム
Gerhard et al. Statistical classification and visualization of MALDI-imaging data
Dowlatshahi Pour et al. Mass spectrometric profiling of lipids in intestinal tissue from rats fed cereals processed for medical conditions
Zou Using Novel Data Analysis Methods to Extract Information from Mass Spectrometry Imaging and Single Cell Mass Spectrometry Results
Denti et al. Comprehensive Spatial Lipidomics of Formalin-Fixed Paraffin-Embedded Tissue Guided by Mass Spectrometry-Imaging
US7386173B1 (en) Graphical displaying of and pattern recognition in analytical data strings

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220705

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221219

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7207171

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151