JP2020192604A - はんだ合金、はんだ粉末、ソルダペースト、はんだボール、ソルダプリフォーム、およびはんだ継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】はんだ浴槽のFe食われが抑制され、はんだ継手の機械的強度が高く、回路の短絡が発生しないはんだ合金、このはんだ合金を用いたはんだ粉末、ソルダペースト、はんだボール、ソルダプリフォーム、およびはんだ継手を提供する。【解決手段】はんだ合金は、質量%で、Cu:0.55〜0.75%、Ni:0.0350〜0.0600%、Ge:0.0035〜0.0200%、Fe:0.0020〜0.0100%、及び残部がSnである合金組成を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、Feの浸食が抑制されたはんだ合金、はんだ粉末、ソルダペースト、はんだボール、ソルダプリフォーム、およびはんだ継手に関するものである。
種々の電子機器類には、プリント基板に電子部品を搭載した実装基板が使用されている。実装基板には、単層基板であるものに加えて、充実した機能を実現するために複数の基板を積層したものが使用されている。基板間の導通や電子部品の基板への実装には、面実装により接続する方法や基板のスルーホールに端子を挿入して実装する方法が挙げられる。このようなプリント基板への実装工程としては、フローソルダリング、リフローソルダリング、マニュアルソルダリングなどが挙げられる。
これらの中で、ある程度の大きさを有する電子部品の実装には、接続強度などの観点から端子をスルーホールに挿入して実装する方法が採用されている。実装工程としては通常フローソルダリングが採用されている。フローソルダリングは、はんだ浴槽の噴流面をプリント基板の接続面側に当てることによりはんだ付けを行う方法である。
フローソルダリングでははんだ浴槽が必要になる。はんだ浴槽内では高温の溶融はんだが長時間流動しているため、耐食性の観点から、はんだ浴槽には主成分がFeであるステンレス等が用いられている。しかし、長時間の使用によりはんだ浴槽の内面がFe食われにより浸食されることがある。このようなFe食われが発生する原因は、はんだ合金中のSnとFeとが相互拡散により合金化し、これが溶融はんだ中のSnに溶解し易くなるためであると考えられている。はんだ浴槽の材質を検討し直すことは膨大な費用と時間がかかるため、Fe食われの発生を抑制することができるはんだ合金が検討されている。
特許文献1には、Fe食われを抑制するため、所定量のFeとGeを含有するはんだ合金が開示されている。
特許文献1に記載の発明は、はんだ浴槽の寿命を延長することに限らず、はんだ鏝の鏝先に施されているFeメッキのFe食われなど、Fe食われが発生しやすい過酷な環境下でのFe食われをも抑制することを目的としている。このように、同文献に記載の発明では、あらゆる環境下でのFe食われを抑制することのみに着目しているため、Fe含有量が多くGeも含有するはんだ合金が開示されている。
しかし、Snを主成分とするはんだ合金では、Feを多く含有する場合、SnFe化合物由来の針状結晶が析出し、回路が短絡するおそれがある。また、特許文献1に記載のはんだ合金は濡れ性を向上させるために多量のNiを含有し得る。Ni含有量が多いとはんだ合金の接合界面近傍でSnCuNi化合物が析出してしまい、はんだ継手の機械的強度が低下する懸念がある。
このように、従来のはんだ合金はFe食われにのみに着目して合金設計がなされており、従来のはんだ合金に当初から求められているはんだ継手としての機械的強度も確保しなければならない。よって、Fe食われに加えて、はんだ合金として最も重要であるはんだ継手の機械的強度が確保されるように合金設計がなされる必要がある。
本発明の課題は、はんだ浴槽のFe食われが抑制され、はんだ継手の機械的強度が高く、回路の短絡が発生しないはんだ合金、このはんだ合金を用いたはんだ粉末、ソルダペースト、はんだボール、ソルダプリフォーム、およびはんだ継手を提供することである。
本発明者らは、はんだ浴槽のFe食われに着目するとともに針状結晶の晶出を抑制するため、Fe含有量が少ないはんだ合金において、Geも同時に含有する合金組成について詳細に検討した。また、本発明者らは、はんだ継手の機械的強度が改善するように、SnCuNi化合物がはんだ合金の接合界面近傍に析出しないことに着目し、更にNi含有量を抑えた合金組成についても検討を行った。さらに、本発明者らは、はんだ継手の機械的強度が向上するためには、Cu3SnやCu6Sn5などの金属間化合物が電極とはんだ合金との接合界面で成長しないようにすることにも着目した。そこで、Fe含有量およびNi含有量が少なく、且つCuが所定量含有する合金組成について、詳細な検討を行った。
その結果、偶然にも、Fe含有量が従来のはんだ合金よりも少ない範囲ではんだ浴槽のFe食われが十分に抑制される知見が得られた。またFe含有量が少ないために針状結晶の析出も抑えられる知見が得られた。さらに、Ni含有量が少ないため、はんだ合金の接合界面近傍にSnCuNi化合物の析出が抑制される知見が得られた。これに加えて、Fe含有量やNi含有量が少なすぎると、Cu3SnやCu6Sn5などの金属間化合物が成長するため、これらの元素はある程度の量を含有する必要がある知見も得られた。
また、好適な態様として、NiとFe、CuとNi、CuとFe、およびGeとFeの少なくとも1組が、各々所定の関係を満たす場合には、上記効果が更に十分に発揮される知見が得られた。この他の好ましい態様として、さらにAsを含有するはんだ合金では、Asがはんだ合金の表面に濃化することによりソルダペーストの増粘抑制効果が発揮されるとともに黄色変化が抑制され、さらにははんだ合金の濡れ性も維持される知見が得られた。
これらの知見から得られた本発明は以下のとおりである。
(1)質量%で、Cu:0.55〜0.75%、Ni:0.0350〜0.0600%、Ge:0.0035〜0.0200%、Fe:0.0020〜0.0100%、及び残部がSnである合金組成を有することを特徴とするはんだ合金。
(1)質量%で、Cu:0.55〜0.75%、Ni:0.0350〜0.0600%、Ge:0.0035〜0.0200%、Fe:0.0020〜0.0100%、及び残部がSnである合金組成を有することを特徴とするはんだ合金。
(2)更に、合金組成は、質量%で、Ag:0〜4.0%を含有する、上記(1)に記載のはんだ合金。
(3)更に、合金組成は、下記(1)〜(5)式を満たす、上記(1)または上記(2)に記載のはんだ合金。
0.0430≦Ni+Fe≦0.0700 (1)
3.50≦Ni/Fe≦30.00 (2)
10.83≦Cu/Ni≦18.57 (3)
65.00≦Cu/Fe≦325.00 (4)
0.0060≦Ge+Fe≦0.0280 (5)
上記(1)〜(5)式中、Ni、Fe、Cu、およびGeは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
3.50≦Ni/Fe≦30.00 (2)
10.83≦Cu/Ni≦18.57 (3)
65.00≦Cu/Fe≦325.00 (4)
0.0060≦Ge+Fe≦0.0280 (5)
上記(1)〜(5)式中、Ni、Fe、Cu、およびGeは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
(4)更に、合金組成は、質量%で、As:0.0040〜0.0250%を含有する、上記(1)〜上記(3)のいずれか1項に記載のはんだ合金。
(5)上記(1)〜上記(4)のいずれか1項に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末とフラックスとを有するソルダペースト。
(6)上記(1)〜上記(4)のいずれか1項に記載のはんだ合金からなるはんだボール。
(7)上記(1)〜上記(4)のいずれか1項に記載のはんだ合金からなるソルダプリフォーム。
(8)上記(1)〜上記(4)のいずれか1項に記載のはんだ合金を有することを特徴とするはんだ継手。
本発明を以下により詳しく説明する。本明細書において、はんだ合金組成に関する「%」は、特に指定しない限り「質量%」である。
1. 合金組成
(1) Cu:0.55〜0.75%
Cuは、一般的なはんだ合金で使用されており、はんだ継手の接合強度を向上させる元素である。また、CuはSnに対して貴な元素であり、Asと共存することによりAsの増粘抑制効果を助長する。Cuが0.55%未満の場合には、はんだ継手の強度が向上しない。Cu含有量の下限は0.55%以上であり、好ましくは0.55%超えであり、より好ましくは0.60%以上である。一方、Cu含有量が0.75%を超えるとはんだ合金の融点が上昇し、電子部品に熱的損傷を与えてしまう。Cu含有量の上限は0.75%以下であり、好ましくは0.75%未満であり、より好ましくは0.70%以下である。
(1) Cu:0.55〜0.75%
Cuは、一般的なはんだ合金で使用されており、はんだ継手の接合強度を向上させる元素である。また、CuはSnに対して貴な元素であり、Asと共存することによりAsの増粘抑制効果を助長する。Cuが0.55%未満の場合には、はんだ継手の強度が向上しない。Cu含有量の下限は0.55%以上であり、好ましくは0.55%超えであり、より好ましくは0.60%以上である。一方、Cu含有量が0.75%を超えるとはんだ合金の融点が上昇し、電子部品に熱的損傷を与えてしまう。Cu含有量の上限は0.75%以下であり、好ましくは0.75%未満であり、より好ましくは0.70%以下である。
(2) Ni:0.0350〜0.0600%
Niは、Cu3SnやCu6Sn5などの金属間化合物が接合界面で成長することを抑制する元素である。Ni含有量が0.0350%未満の場合、これらの金属間化合物が成長してはんだ継手の機械的強度が劣化する。Ni含有量の下限は0.0350%以上であり、好ましくは0.0350%超えであり、より好ましくは0.0400%以上である。一方、Ni含有量が0.0600%を超えるとはんだ合金中の接合界面近傍においてSnCuNi化合物が多量に析出してはんだ継手の機械的強度が劣化する。Ni含有量の上限は0.0600%以下であり、好ましくは0.0600%未満であり、より好ましくは0.0550%以下である。
Niは、Cu3SnやCu6Sn5などの金属間化合物が接合界面で成長することを抑制する元素である。Ni含有量が0.0350%未満の場合、これらの金属間化合物が成長してはんだ継手の機械的強度が劣化する。Ni含有量の下限は0.0350%以上であり、好ましくは0.0350%超えであり、より好ましくは0.0400%以上である。一方、Ni含有量が0.0600%を超えるとはんだ合金中の接合界面近傍においてSnCuNi化合物が多量に析出してはんだ継手の機械的強度が劣化する。Ni含有量の上限は0.0600%以下であり、好ましくは0.0600%未満であり、より好ましくは0.0550%以下である。
(3) Ge:0.0035〜0.0200%
Geははんだ合金の酸化を抑制してはんだ合金の変色や濡れ性の劣化を防ぐとともに、Fe由来のドロスの発生を抑える元素である。Ge含有量が0.0035%未満の場合、はんだ合金の変色や濡れ性の劣化が発生する。Ge含有量の下限は、0.0035%以上であり、好ましくは0.0040%以上であり、より好ましくは0.0080%以上である。一方、Ge含有量が0.0200%を超えると、はんだ合金の表面に多量の酸化物が析出するために濡れ性が悪化し、これに伴いはんだ継手の機械的強度が劣化する。Ge含有量の上限は0.0200%以下であり、好ましくは0.0200%未満であり、さらに好ましくは0.0150%以下であり、特に好ましくは0.0120%以下である。
Geははんだ合金の酸化を抑制してはんだ合金の変色や濡れ性の劣化を防ぐとともに、Fe由来のドロスの発生を抑える元素である。Ge含有量が0.0035%未満の場合、はんだ合金の変色や濡れ性の劣化が発生する。Ge含有量の下限は、0.0035%以上であり、好ましくは0.0040%以上であり、より好ましくは0.0080%以上である。一方、Ge含有量が0.0200%を超えると、はんだ合金の表面に多量の酸化物が析出するために濡れ性が悪化し、これに伴いはんだ継手の機械的強度が劣化する。Ge含有量の上限は0.0200%以下であり、好ましくは0.0200%未満であり、さらに好ましくは0.0150%以下であり、特に好ましくは0.0120%以下である。
(4) Fe:0.0020〜0.0100%
Feは、鉄製またはステンレス製のはんだ浴槽ではんだ合金を溶融した場合にはんだ浴槽内面のFe食われを抑制するとともに、Niと同様にCu3SnやCu6Sn5などの金属間化合物が接合界面で成長することを抑制する元素である。また、上記範囲内ではSnFe化合物による針状結晶の析出が抑制され、回路の短絡を防ぐことができる。本発明における針状結晶とは、はんだ合金の断面SEM写真において、300μm×300μmの範囲で観察したときに、1つのSnFe化合物において、長径と短径との比であるアスペクト比が2以上の結晶を表す。
Feは、鉄製またはステンレス製のはんだ浴槽ではんだ合金を溶融した場合にはんだ浴槽内面のFe食われを抑制するとともに、Niと同様にCu3SnやCu6Sn5などの金属間化合物が接合界面で成長することを抑制する元素である。また、上記範囲内ではSnFe化合物による針状結晶の析出が抑制され、回路の短絡を防ぐことができる。本発明における針状結晶とは、はんだ合金の断面SEM写真において、300μm×300μmの範囲で観察したときに、1つのSnFe化合物において、長径と短径との比であるアスペクト比が2以上の結晶を表す。
Fe含有量が0.0020%未満であるとはんだ浴槽のFe食われが発生し、また、粗大なCu6Sn5化合物が析出する。Fe含有量の下限は0.0020%以上であり、好ましくは0.0050%以上である。一方、Fe含有量が0.0100%を超えると針状結晶が析出して回路が短絡する。Fe含有量の上限は0.0100%以下であり、好ましくは0.0100%未満であり、より好ましくは0.0080%以下である。
(5) Ag:0〜4.0%
Agは、結晶界面にAg3Snを形成してはんだ合金の信頼性を向上させることができる任意元素である。また、AgはSnに対して貴な元素であり、Asと共存することによりAsの増粘抑制効果を助長する。さらに、Ag含有量が上記範囲内であれば融点の上昇を抑制することができるため、はんだ浴槽内の設定温度を過度に高くする必要がなく、Fe食われを抑制することもできる。Ag含有量は好ましくは0〜4%であり、より好ましくは0.5〜3.5%であり、さらに好ましくは1.0〜3.0%であり、特に好ましくは2.0〜3.0%である。
Agは、結晶界面にAg3Snを形成してはんだ合金の信頼性を向上させることができる任意元素である。また、AgはSnに対して貴な元素であり、Asと共存することによりAsの増粘抑制効果を助長する。さらに、Ag含有量が上記範囲内であれば融点の上昇を抑制することができるため、はんだ浴槽内の設定温度を過度に高くする必要がなく、Fe食われを抑制することもできる。Ag含有量は好ましくは0〜4%であり、より好ましくは0.5〜3.5%であり、さらに好ましくは1.0〜3.0%であり、特に好ましくは2.0〜3.0%である。
(6) (1)〜(5)式の少なくとも1式
0.0430≦Ni+Fe≦0.0700 (1)
3.50≦Ni/Fe≦30.00 (2)
10.83≦Cu/Ni≦18.57 (3)
65.00≦Cu/Fe≦325.00 (4)
0.0060≦Ge+Fe≦0.0280 (5)
上記(1)〜(5)式中、Ni、Fe、Cu、およびGeは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
0.0430≦Ni+Fe≦0.0700 (1)
3.50≦Ni/Fe≦30.00 (2)
10.83≦Cu/Ni≦18.57 (3)
65.00≦Cu/Fe≦325.00 (4)
0.0060≦Ge+Fe≦0.0280 (5)
上記(1)〜(5)式中、Ni、Fe、Cu、およびGeは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
本発明に係るはんだ合金は、各構成元素の含有量が上述の範囲内である上で、さらに、Ni、Fe、Cu、およびGeの少なくとも2種が各々上記(1)〜(5)式の少なくとも1式を満たすことが望ましい。はんだ合金は各構成元素が独自に機能するのではなく、各構成元素の含有量がすべて所定の範囲である場合に、初めて種々の効果を発揮することができる。本発明では、各構成元素の含有量が上述の範囲であることに加えて、更にFe食われの抑制、はんだ継手の機械的強度の向上、および回路の短絡の抑制に関与するFe及びNi、Fe又はNiとその他の元素同士が所定の関係を満たすことにより、本発明の効果を更に十分に発揮することができる。
(1)式および(2)式、(3)式、(4)式、ならびに(5)式の少なくとも1つを満たすことが好ましく、(1)〜(5)式を同時に満たすことがより好ましい。
また、NiとFeは、(1)式が0.0430〜0.0700であることが好ましく、0.045〜0.0600であることがより好ましい。(2)式が3.50〜30.00であることが好ましく、6.25〜30.00であることがより好ましい。CuとNiは、(3)式が10.83〜18.57であることが好ましく、11.0〜15.0であることがより好ましい。CuとFeは、(4)式が65.00〜325.00であることが好ましく、81.25〜325.00であることがより好ましい。GeとFeは、(5)式が0.0060〜0.0280であることが好ましく、0.0100〜0.0200であることがより好ましい。
また、NiとFeは、(1)式が0.0430〜0.0700であることが好ましく、0.045〜0.0600であることがより好ましい。(2)式が3.50〜30.00であることが好ましく、6.25〜30.00であることがより好ましい。CuとNiは、(3)式が10.83〜18.57であることが好ましく、11.0〜15.0であることがより好ましい。CuとFeは、(4)式が65.00〜325.00であることが好ましく、81.25〜325.00であることがより好ましい。GeとFeは、(5)式が0.0060〜0.0280であることが好ましく、0.0100〜0.0200であることがより好ましい。
(7)As:0.0040〜0.0250%
Asははんだ合金の表面にAs濃化層を形成するために黄色変化を抑制する任意元素である。また、ソルダペースト中に本発明に係るはんだ合金をはんだ粉末として添加すると増粘抑制効果を発揮する。As含有量の下限は、Asを含有する効果が十分に発揮するようにするため、好ましくは0.0040%以上であり、より好ましくは0.0040%超えである。一方、Asが0.0250%以下では濡れ性が維持される。As含有量の上限は、好ましくは0.0250%以下であり、より好ましくは0.0200%以下であり、さらに好ましくは0.0100%以下である。
Asははんだ合金の表面にAs濃化層を形成するために黄色変化を抑制する任意元素である。また、ソルダペースト中に本発明に係るはんだ合金をはんだ粉末として添加すると増粘抑制効果を発揮する。As含有量の下限は、Asを含有する効果が十分に発揮するようにするため、好ましくは0.0040%以上であり、より好ましくは0.0040%超えである。一方、Asが0.0250%以下では濡れ性が維持される。As含有量の上限は、好ましくは0.0250%以下であり、より好ましくは0.0200%以下であり、さらに好ましくは0.0100%以下である。
本発明においてAsを含有する場合に形成されるAs濃化層とは、As濃度が、はんだ材料中の平均As濃度(はんだ合金の質量に対するAsの質量の割合)より高い領域をいい、具体的には後述の判定基準により存在を確認することができる。As濃化層は、はんだ合金の表面側の少なくとも一部に存在していることが好ましく、表面全体を覆っていることが好ましい。
本発明のようにAsを含有する場合にAs濃化層が形成されると、黄色変化が抑制されるとともにソルダペーストの粘度の経時変化が抑制できる理由は明らかでないが、以下のように推察される。粘度上昇はSnやSn酸化物とソルダペースト(フラックス)に含まれる活性剤等の各種添加剤との間で生じる反応により、塩が形成されたり、はんだ粉末が凝集すること等によって引き起こされると考えられる。本発明に係るはんだ合金のように表面にAs濃化層が存在すると、はんだ粉末とフラックスの間にAs濃化層が介在することになり、上述のような反応が起こりにくくなるため、上記の効果が同時に発現すると推察される。
(7−1)As濃化層の判定基準
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプル(はんだ材料が板状でない場合には、5.0mm×5.0mmの範囲にはんだ材料(はんだ粉末、はんだボール等)を隙間なく敷き詰めたもの)において、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを併用したXPS分析を行う。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。全3回の分析の全てにおいてS1≧S2となる場合、As濃化層が形成されていると判断する。
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプル(はんだ材料が板状でない場合には、5.0mm×5.0mmの範囲にはんだ材料(はんだ粉末、はんだボール等)を隙間なく敷き詰めたもの)において、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを併用したXPS分析を行う。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。全3回の分析の全てにおいてS1≧S2となる場合、As濃化層が形成されていると判断する。
ここで、S1、S2及びD1の定義は以下の通りである。
S1::上述のサンプルについて行ったXPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
S2:XPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
D1:XPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さ(Do・max(nm))より深い部分において、O原子の検出強度が最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さ(nm)。
S1::上述のサンプルについて行ったXPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
S2:XPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
D1:XPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さ(Do・max(nm))より深い部分において、O原子の検出強度が最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さ(nm)。
上記のAs濃化層の判定基準の詳細な条件は、実施例の記載に従う。本発明に係るはんだ合金のように、表面がAs濃化層を有することにより、はんだ合金の黄色変化を抑制するとともにソルダペーストの粘度上昇を抑制することができる。
(7−2)As濃化層の厚み
As濃化層の厚み(SiO2換算)は、0.5〜8.0nmが好ましく、0.5〜4.0nmがより好ましく、0.5〜2.0nmが最も好ましい。As濃化層の厚みが上記範囲内であれば、黄色変化が抑制され、濡れ性に優れたはんだ材料が得られる。
As濃化層の厚み(SiO2換算)は、0.5〜8.0nmが好ましく、0.5〜4.0nmがより好ましく、0.5〜2.0nmが最も好ましい。As濃化層の厚みが上記範囲内であれば、黄色変化が抑制され、濡れ性に優れたはんだ材料が得られる。
(7−3)黄色度
本発明において、はんだ合金のL*a*b*表色系における黄色度b*は、0〜10.0が好ましく、3.0〜5.7がより好ましく、3.0〜5.0が最も好ましい。はんだ材料のL*a*b*表色系における黄色度b*が上記範囲内であれば、黄色度が低く、はんだが金属光沢を有するため、はんだ継手の画像認識の自動処理の際に、はんだ継手が的確に検出される。
本発明において、はんだ合金のL*a*b*表色系における黄色度b*は、0〜10.0が好ましく、3.0〜5.7がより好ましく、3.0〜5.0が最も好ましい。はんだ材料のL*a*b*表色系における黄色度b*が上記範囲内であれば、黄色度が低く、はんだが金属光沢を有するため、はんだ継手の画像認識の自動処理の際に、はんだ継手が的確に検出される。
本発明において、黄色度b*は、CM−3500d2600d型分光測色計(コニカミノルタ社製)を使用して、D65光源、10度視野において、JIS Z 8722:2009「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*、a*、b*)から求めることができる。
(8)残部:Sn
本発明に係るはんだ合金の残部はSnである。前述の元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、前述の効果に影響することはない。
本発明に係るはんだ合金の残部はSnである。前述の元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、前述の効果に影響することはない。
2.はんだ粉末
本発明に係るはんだ粉末は、後述するはんだペーストに使用され、球状粉末であることが好ましい。球状粉末であることによりはんだ合金の流動性が向上する。本発明に係るはんだ粉末が球状粉末である場合、JIS Z 3284−1:2014における粉末サイズの分類(表2)において記号1〜8を満たすサイズ(粒度分布)を満たしていることが好ましい。より好ましくは記号4〜8を満たすサイズ(粒度分布)であり、さらに好ましくは記号5〜8を満たすサイズ(粒度分布)である。粒径がこの条件を満たすと、粉末の表面積が大きすぎず粘度の上昇が抑制され、また、微細粉末の凝集が抑制されて粘度の上昇が抑えられることがある。このため、より微細な部品へのはんだ付けが可能となる。
本発明に係るはんだ粉末は、後述するはんだペーストに使用され、球状粉末であることが好ましい。球状粉末であることによりはんだ合金の流動性が向上する。本発明に係るはんだ粉末が球状粉末である場合、JIS Z 3284−1:2014における粉末サイズの分類(表2)において記号1〜8を満たすサイズ(粒度分布)を満たしていることが好ましい。より好ましくは記号4〜8を満たすサイズ(粒度分布)であり、さらに好ましくは記号5〜8を満たすサイズ(粒度分布)である。粒径がこの条件を満たすと、粉末の表面積が大きすぎず粘度の上昇が抑制され、また、微細粉末の凝集が抑制されて粘度の上昇が抑えられることがある。このため、より微細な部品へのはんだ付けが可能となる。
はんだ粉末の真球度は0.90以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、0.99以上が最も好ましい。本発明において、球状粉末の真球度は、最小領域中心法(MZC法)を用いるCNC画像測定システム(ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョンULTRA QV350−PRO測定装置)を使用して測定する。本発明において、真球度とは真球からのずれを表し、例えば500個の各ボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
3.ソルダペースト
本発明に係るソルダペーストは前述のはんだ粉末、およびフラックスを含有する。
(1)フラックスの成分
はんだペーストに使用されるフラックスは、有機酸、アミン、アミンハロゲン化水素酸塩、有機ハロゲン化合物、チキソ剤、ロジン、溶剤、界面活性剤、ベース剤、高分子化合物、シランカップリング剤、着色剤の何れか、または2つ以上の組み合わせで構成される。
本発明に係るソルダペーストは前述のはんだ粉末、およびフラックスを含有する。
(1)フラックスの成分
はんだペーストに使用されるフラックスは、有機酸、アミン、アミンハロゲン化水素酸塩、有機ハロゲン化合物、チキソ剤、ロジン、溶剤、界面活性剤、ベース剤、高分子化合物、シランカップリング剤、着色剤の何れか、または2つ以上の組み合わせで構成される。
有機酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、プロピオン酸、2,2−ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、ジグリコール酸、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等が挙げられる。
アミンとしては、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−エチル−4′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、エポキシ−イミダゾールアダクト、2−メチルベンゾイミダゾール、2−オクチルベンゾイミダゾール、2−ペンチルベンゾイミダゾール、2−(1−エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2−ノニルベンゾイミダゾール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−tert−オクチル−6′−tert−ブチル−4′−メチル−2,2′−メチレンビスフェノール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−(1′,2′−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[(2−エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6−ビス[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]−4−メチルフェノール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素を反応させた化合物であり、アミンとしては、エチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられ、ハロゲン化水素としては、塩素、臭素、ヨウ素の水素化物が挙げられる。
有機ハロゲン化合物としては、trans−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、トリアリルイソシアヌレート6臭化物、1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
チキソ剤としては、ワックス系チキソ剤、アマイド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。ワックス系チキソ剤としては例えばヒマシ硬化油等が挙げられる。アマイド系チキソ剤としては、モノアマイド系チキソ剤、ビスアマイド系チキソ剤、ポリアマイド系チキソ剤が挙げられ、具体的には、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド、飽和脂肪酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、不飽和脂肪酸アマイド、p−トルエンメタンアマイド、芳香族アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、芳香族ビスアマイド、飽和脂肪酸ポリアマイド、不飽和脂肪酸ポリアマイド、芳香族ポリアマイド、置換アマイド、メチロールステアリン酸アマイド、メチロールアマイド、脂肪酸エステルアマイド等が挙げられる。ソルビトール系チキソ剤としては、ジベンジリデン−D−ソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール等が挙げられる。
ベース剤としてはノニオン系界面活性剤、弱カチオン系界面活性剤、ロジン等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体等が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、二種以上を使用することができる。また、ロジン 系樹脂に加えて、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、及び変性キシレン樹脂から選択される少なくとも一種以上の樹脂をさらに含むことができる。変性テルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等を使用することができる。変性テルペンフェノール樹脂としては、水添テルペンフェノール樹脂等を使用することができる。変性スチレン樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等を使用することができる。変性キシレン樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等が挙げられる。
溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。アルコール系溶剤としてはイソプロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2′−オキシビス(メチレン)ビス(2−エチル−1,3−プロパンジオール)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ビス[2,2,2−トリス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エリトリトール、トレイトール、グアヤコールグリセロールエーテル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等が挙げられる。グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール類、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
(2)フラックスの含有量
フラックスの含有量は、はんだペーストの全質量に対して5〜95%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。この範囲であると、はんだ粉末に起因する増粘抑制効果が十分に発揮される。
フラックスの含有量は、はんだペーストの全質量に対して5〜95%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。この範囲であると、はんだ粉末に起因する増粘抑制効果が十分に発揮される。
(3)はんだペーストの製造方法
本発明に係るはんだペーストは、当業界で一般的な方法により製造される。まず、はんだ粉末の製造は、溶融させたはんだ材料を滴下して粒子を得る滴下法や遠心噴霧する噴霧法、バルクのはんだ材料を粉砕する方法等、公知の方法を採用することができる。滴下法や噴霧法において、滴下や噴霧は、粒子状とするために不活性雰囲気や溶媒中で行うことが好ましい。そして、上記各成分を加熱混合してフラックスを調製し、フラックス中に上記はんだ粉末や、場合によっては酸化ジルコニウム粉末を導入し、攪拌、混合して製造することができる。
本発明に係るはんだペーストは、当業界で一般的な方法により製造される。まず、はんだ粉末の製造は、溶融させたはんだ材料を滴下して粒子を得る滴下法や遠心噴霧する噴霧法、バルクのはんだ材料を粉砕する方法等、公知の方法を採用することができる。滴下法や噴霧法において、滴下や噴霧は、粒子状とするために不活性雰囲気や溶媒中で行うことが好ましい。そして、上記各成分を加熱混合してフラックスを調製し、フラックス中に上記はんだ粉末や、場合によっては酸化ジルコニウム粉末を導入し、攪拌、混合して製造することができる。
4.はんだボール
本発明に係るはんだ合金は、はんだボールとして使用することができる。はんだボールとして使用する場合は、本発明に係るはんだ合金を、当業界で一般的な方法である滴下法を用いてはんだボールを製造することができる。また、はんだボールを、フラックスを塗布した1つの電極上にはんだボールを1つ搭載して接合するなど、当業界で一般的な方法で加工することによりはんだ継手を製造することができる。はんだボールの粒径の下限は、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、30μm以上が特に好ましい。また、はんだボールの粒径の上限は、3000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましく、300μm以下が特に好ましい。
本発明に係るはんだ合金は、はんだボールとして使用することができる。はんだボールとして使用する場合は、本発明に係るはんだ合金を、当業界で一般的な方法である滴下法を用いてはんだボールを製造することができる。また、はんだボールを、フラックスを塗布した1つの電極上にはんだボールを1つ搭載して接合するなど、当業界で一般的な方法で加工することによりはんだ継手を製造することができる。はんだボールの粒径の下限は、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、30μm以上が特に好ましい。また、はんだボールの粒径の上限は、3000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましく、300μm以下が特に好ましい。
5.ソルダプリフォーム
本発明に係るはんだ合金は、プリフォームとして使用することができる。プリフォームの形状としては、ワッシャ、リング、ペレット、ディスク、リボン、ワイヤー等が挙げられる。
本発明に係るはんだ合金は、プリフォームとして使用することができる。プリフォームの形状としては、ワッシャ、リング、ペレット、ディスク、リボン、ワイヤー等が挙げられる。
6.はんだ継手
本発明に係るはんだ合金は、ICチップなどのPKG(Package)の電極とPCB(printed circuit board)などの基板の電極とを接合してはんだ継手を形成することができる。本発明に係るはんだ継手は、電極およびはんだ接合部で構成される。はんだ接合部とは、主にはんだ合金で形成されている部分を示す。
本発明に係るはんだ合金は、ICチップなどのPKG(Package)の電極とPCB(printed circuit board)などの基板の電極とを接合してはんだ継手を形成することができる。本発明に係るはんだ継手は、電極およびはんだ接合部で構成される。はんだ接合部とは、主にはんだ合金で形成されている部分を示す。
7.はんだ合金の形成方法
本発明に係るはんだ合金の製造方法に限定はなく、原料金属を溶融混合することにより製造することができる。
本発明に係るはんだ合金の製造方法に限定はなく、原料金属を溶融混合することにより製造することができる。
はんだ合金がAsを含有する場合にAs濃化層を形成する方法にも限定はない。As濃化層の形成方法の一例としては、はんだ材料を酸化雰囲気(空気や酸素雰囲気)中で加熱することが挙げられる。加熱温度に限定はないが、例えば、40〜200℃とすることができ、50〜80℃であってもよい。加熱時間にも限定はなく、例えば、数分〜数日間、好ましくは数分〜数時間とすることができる。十分な量のAs濃化層を形成するためには、加熱時間は10分以上、さらには20分以上とすることが好ましい。
本発明に係るはんだ合金は、その原材料として低α線材を使用することにより低α線合金を製造することができる。このような低α線合金は、メモリ周辺のはんだバンプの形成に用いられるとソフトエラーを抑制することが可能となる。
本発明を以下の実施例により説明するが、本発明が以下の実施例に限定されることはない。
表1〜5の実施例及び比較例に記載のはんだ合金(質量%)を用いて、1.はんだ浴槽内でのFeの溶出抑制、2.針状結晶の析出抑制、3.Cuに対するIMC成長抑制、4.バンプ内でのSnCuNi形成抑制について評価した。また、表3〜5のAsを含有する実施例および比較例については、さらに、5.Asの表面濃化、6.増粘抑制、7.黄色度変化、8.はんだ濡れ性も合わせて評価した。
表1〜5の実施例及び比較例に記載のはんだ合金(質量%)を用いて、1.はんだ浴槽内でのFeの溶出抑制、2.針状結晶の析出抑制、3.Cuに対するIMC成長抑制、4.バンプ内でのSnCuNi形成抑制について評価した。また、表3〜5のAsを含有する実施例および比較例については、さらに、5.Asの表面濃化、6.増粘抑制、7.黄色度変化、8.はんだ濡れ性も合わせて評価した。
1.はんだ浴槽内でのFeの溶出抑制
容積が30LのSUS304製はんだ浴槽を用い、表1〜5に記載のはんだ合金を40kg投入し、280℃、12時間攪拌加熱した。加熱攪拌後、はんだ浴槽内の溶融はんだを冷却し、ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置)による元素分析にてFe含有量の増加量を測定した。
加熱攪拌によりFe含有量の増加が20ppm/12h未満であった場合には「○」と
評価し、20ppm/12h以上であった場合には「×」と評価した。
容積が30LのSUS304製はんだ浴槽を用い、表1〜5に記載のはんだ合金を40kg投入し、280℃、12時間攪拌加熱した。加熱攪拌後、はんだ浴槽内の溶融はんだを冷却し、ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置)による元素分析にてFe含有量の増加量を測定した。
加熱攪拌によりFe含有量の増加が20ppm/12h未満であった場合には「○」と
評価し、20ppm/12h以上であった場合には「×」と評価した。
2.針状結晶の析出抑制
表1〜5に記載のはんだ合金を、250℃で溶融し、全合金組成の固相線温度以下である100℃まで1分間で冷却した。冷却後のはんだ合金の断面SEM写真において、300μm×300μmの範囲を任意の3か所で行い、SnFe化合物由来の針状結晶の有無を確認した。本実施例における針状結晶とは、1つのSnFe化合物において、長径と短径との比であるアスペクト比が2以上の結晶を表す。
3か所すべてにおいて針状結晶が観察されなかった場合には「○」と評価し、少なくとも1か所において針状結晶が観察された場合には「×」と評価した。
表1〜5に記載のはんだ合金を、250℃で溶融し、全合金組成の固相線温度以下である100℃まで1分間で冷却した。冷却後のはんだ合金の断面SEM写真において、300μm×300μmの範囲を任意の3か所で行い、SnFe化合物由来の針状結晶の有無を確認した。本実施例における針状結晶とは、1つのSnFe化合物において、長径と短径との比であるアスペクト比が2以上の結晶を表す。
3か所すべてにおいて針状結晶が観察されなかった場合には「○」と評価し、少なくとも1か所において針状結晶が観察された場合には「×」と評価した。
3.Cuに対するIMC成長抑制
液状フラックスが塗布されたBare−Cu板を、280℃に加熱された表1〜5に示す合金組成を有する溶融はんだにディップし、はんだメッキCu板を作製した。このはんだメッキCu板を150℃に加熱したホットプレート上で300時間加熱処理を行った。冷却後のはんだ合金の断面SEM写真において、300μm×300μmの範囲を任意の3か所で行い、金属間化合物の最大結晶粒径を求めた。
本実施例において、最大結晶粒径とは、得られた画像から同定された金属化合物の中で、目視にて最大の結晶粒を選択し、選択した結晶粒について、間隔が最大となるように平行な2本の接線を引き、その間隔を最大結晶粒径とした。
結晶粒径の最大値が5μm未満の場合には「○」と評価し、最大値が5μm以上の場合には「×」と評価した。
液状フラックスが塗布されたBare−Cu板を、280℃に加熱された表1〜5に示す合金組成を有する溶融はんだにディップし、はんだメッキCu板を作製した。このはんだメッキCu板を150℃に加熱したホットプレート上で300時間加熱処理を行った。冷却後のはんだ合金の断面SEM写真において、300μm×300μmの範囲を任意の3か所で行い、金属間化合物の最大結晶粒径を求めた。
本実施例において、最大結晶粒径とは、得られた画像から同定された金属化合物の中で、目視にて最大の結晶粒を選択し、選択した結晶粒について、間隔が最大となるように平行な2本の接線を引き、その間隔を最大結晶粒径とした。
結晶粒径の最大値が5μm未満の場合には「○」と評価し、最大値が5μm以上の場合には「×」と評価した。
4.バンプ内でのSnCuNi形成抑制
上記「3.」と同様にはんだメッキCu板を作製し、上記「3.」と同様の方法でCu板とはんだ合金との界面での任意の3か所を観察し、はんだ合金中においてSnCuNi系化合物の有無を確認した。すべての箇所においてSnCuNi系化合物の形成がはんだ合金の界面近傍で観察されなかった場合には「○」と評価し、少なくとも1か所においてSnCuNi系化合物の形成が観察された場合には「×」と評価した。
上記「3.」と同様にはんだメッキCu板を作製し、上記「3.」と同様の方法でCu板とはんだ合金との界面での任意の3か所を観察し、はんだ合金中においてSnCuNi系化合物の有無を確認した。すべての箇所においてSnCuNi系化合物の形成がはんだ合金の界面近傍で観察されなかった場合には「○」と評価し、少なくとも1か所においてSnCuNi系化合物の形成が観察された場合には「×」と評価した。
5.Asの表面濃化
As濃化層の有無は、XPS(X線光電分光法:X−ray Photoelectron Spectroscopy)による深さ方向分析を用いて以下の様に評価した。
(分析条件)
・分析装置:微小領域X線光電子分光分析装置(クレイトス・アナリティカル社製AXIS Nova)
・分析条件:X線源 AlKα線、X線銃電圧 15kV、X線銃電流値 10mA、分析エリア 700μm×300μm
・スパッタ条件:イオン種 Ar+、加速電圧 2kV、スパッタリングレート 0.5nm/min(SiO2換算)
・サンプル:カーボンテープを貼ったステージ上に、表3〜5に示す合金組成を有するはんだ粉末を隙間なく平坦に敷き詰めたものを3つ用意し、サンプルとした。ただし、サンプルの大きさは5.0mm×5.0mmとした。はんだ粉末は、平均粒径が21μmであり、JIS Z3284−1:2014の粉末サイズ分類(表2)の5に該当するものを用い、大気中において乾燥装置を用いて60℃で30分間加熱して得られた。比較例8は加熱処理を行わなかった。
As濃化層の有無は、XPS(X線光電分光法:X−ray Photoelectron Spectroscopy)による深さ方向分析を用いて以下の様に評価した。
(分析条件)
・分析装置:微小領域X線光電子分光分析装置(クレイトス・アナリティカル社製AXIS Nova)
・分析条件:X線源 AlKα線、X線銃電圧 15kV、X線銃電流値 10mA、分析エリア 700μm×300μm
・スパッタ条件:イオン種 Ar+、加速電圧 2kV、スパッタリングレート 0.5nm/min(SiO2換算)
・サンプル:カーボンテープを貼ったステージ上に、表3〜5に示す合金組成を有するはんだ粉末を隙間なく平坦に敷き詰めたものを3つ用意し、サンプルとした。ただし、サンプルの大きさは5.0mm×5.0mmとした。はんだ粉末は、平均粒径が21μmであり、JIS Z3284−1:2014の粉末サイズ分類(表2)の5に該当するものを用い、大気中において乾燥装置を用いて60℃で30分間加熱して得られた。比較例8は加熱処理を行わなかった。
(評価手順)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルの中から、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを行いながらSn、O及びAsの各原子についてXPS分析を行い、XPS分析のチャートを得た。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルの中から、任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イオンスパッタリングを行いながらSn、O及びAsの各原子についてXPS分析を行い、XPS分析のチャートを得た。サンプル1個につき1つのエリアを選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。
XPS分析により得られたチャートの一例を図1〜3に示す。図1〜3は、同一のサンプルについて縦軸の検出強度(cps)のスケールを変更したものであり、横軸はスパッタ時間から算出したSiO2換算の深さ(nm)である。XPS分析のチャートにおいては、縦軸は、検出強度(cps)であり、横軸は、スパッタ時間(min)又はスパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深さ(nm)のいずれかから選択できるが、図1〜3においては、XPS分析のチャートにおける横軸を、スパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深さ(nm)とした。
そして、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となったSiO2換算の深さをDo・max(nm)とした(図2参照)。そして、Do・maxより深い部分において、O原子の検出強度が、最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さをD1(nm)とした。
次いで、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、最表面から深さ2×D1までの領域(SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S1)と、深さ2×D1からさらに2×D1だけ深い部分までの領域(SiO2換算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S2)(図3参照)とを求め、その比較を行った。
そして、以下の基準に基づいて評価を行った。
・全3回の測定の全てにおいてS1>S2となる
:As濃化層が形成されている(○)
・全3回の測定のうちの2回以下の回数でS1>S2となる
:As濃化層が形成されていない(×)
・全3回の測定の全てにおいてS1>S2となる
:As濃化層が形成されている(○)
・全3回の測定のうちの2回以下の回数でS1>S2となる
:As濃化層が形成されていない(×)
6.増粘抑制
表3〜5の実施例及び比較例のはんだ合金から得られたはんだ粉末と表6に示すフラックスを、フラックスとはんだ粉末との質量比(フラックス:はんだ粉末)が11:89となるように加熱撹拌した後、冷却することによりソルダペーストを作製した。これらのソルダペーストについて、JIS Z 3284−3:2014の「4.2 粘度特性試験」に記載された方法に従って、回転粘度計(PCU−205、株式会社マルコム製)を用い、回転数:10rpm、測定温度:25℃にて、粘度を12時間測定し続けた。そして、初期粘度(撹拌30分後の粘度)と12時間後の粘度とを比較し、以下の基準に基づいて増粘抑制効果の評価を行った。
表3〜5の実施例及び比較例のはんだ合金から得られたはんだ粉末と表6に示すフラックスを、フラックスとはんだ粉末との質量比(フラックス:はんだ粉末)が11:89となるように加熱撹拌した後、冷却することによりソルダペーストを作製した。これらのソルダペーストについて、JIS Z 3284−3:2014の「4.2 粘度特性試験」に記載された方法に従って、回転粘度計(PCU−205、株式会社マルコム製)を用い、回転数:10rpm、測定温度:25℃にて、粘度を12時間測定し続けた。そして、初期粘度(撹拌30分後の粘度)と12時間後の粘度とを比較し、以下の基準に基づいて増粘抑制効果の評価を行った。
12時間後の粘度 ≦ 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が小さく良好(○)
12時間後の粘度 > 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が大きく不良(×)
7.黄色度変化
表3〜5に示す合金組成を有するはんだボール(球径0.3mm)を200℃の恒温槽中で2時間加熱した。L*a*b*表色系における黄色度b*について、加熱前及び加熱後のはんだボールの測定を行い、加熱後のb*から加熱前のb*を引いた増加量(Δb*)を算出した。比較例8のみ加熱処理を行わないはんだボールを用いて恒温槽に導入した。
12時間後の粘度 > 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が大きく不良(×)
7.黄色度変化
表3〜5に示す合金組成を有するはんだボール(球径0.3mm)を200℃の恒温槽中で2時間加熱した。L*a*b*表色系における黄色度b*について、加熱前及び加熱後のはんだボールの測定を行い、加熱後のb*から加熱前のb*を引いた増加量(Δb*)を算出した。比較例8のみ加熱処理を行わないはんだボールを用いて恒温槽に導入した。
黄色度b*は、CM−3500d2600d型分光測色計(コニカミノルタ社製)を使用して、D65光源、10度視野において、JIS Z 8722:2009「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*、a*、b*)から求めた。なお、色彩値(L*、a*、b*)は、JIS Z 8781−4:2013の規格に基づいている。
Δb*の値がΔb*(基準)の70%以下である:○(良好)
Δb*の値がΔb*(基準)の70%より大きい :×(不可)
8.はんだ濡れ性
上記「6.」と同様にして作製したソルダペーストに関して、作製直後の各ソルダペーストをCu板上に印刷し、リフロー炉でN2雰囲気中、1℃/sの昇温速度で25℃から260℃まで加熱した後、室温まで冷却した。冷却後のはんだバンプの外観を光学顕微鏡で観察することで濡れ性を評価した。溶融しきれていないはんだ粉末が観察されない場合には「○」と評価し、溶融しきれていないはんだ粉末が観察された場合には「×」と評価した。
評価した結果を表1〜5に示す。
Δb*の値がΔb*(基準)の70%より大きい :×(不可)
8.はんだ濡れ性
上記「6.」と同様にして作製したソルダペーストに関して、作製直後の各ソルダペーストをCu板上に印刷し、リフロー炉でN2雰囲気中、1℃/sの昇温速度で25℃から260℃まで加熱した後、室温まで冷却した。冷却後のはんだバンプの外観を光学顕微鏡で観察することで濡れ性を評価した。溶融しきれていないはんだ粉末が観察されない場合には「○」と評価し、溶融しきれていないはんだ粉末が観察された場合には「×」と評価した。
評価した結果を表1〜5に示す。
表1〜5に示すように、実施例1〜100は、いずれの合金組成においても本発明の要件をすべて満たすため、はんだ浴槽内でのFeの溶出が抑制され、針状結晶の析出が抑制され、Cuに対するIMC成長が抑制され、バンプ内でのSnCuNi形成が抑制されていることがわかった。また、表3〜5のAsを含有する実施例については、さらに、Asの表面濃化が確認でき、ソルダペーストの増粘が抑制され、はんだ合金の黄色度の変化が抑制され、優れたはんだ濡れ性をも示すことがわかった。
一方、比較例1〜7および比較例9〜15は、いずれの合金組成においても本発明の要件の少なくとも1つを満たさないため、はんだ浴槽内でのFeの溶出抑制、針状結晶の析出抑制、Cuに対するIMC成長抑制、バンプ内でのSnCuNi形成抑制の少なくとも1つが劣った。比較例8は加熱処理を行わなかったため、Asの表面濃化が確認できず、ソルダペーストの増粘が抑制されず、はんだ合金が黄色変化することがわかった。
Claims (8)
- 質量%で、Cu:0.55〜0.75%、Ni:0.0350〜0.0600%、Ge:0.0035〜0.0200%、Fe:0.0020〜0.0100%、及び残部がSnである合金組成を有することを特徴とするはんだ合金。
- 更に、前記合金組成は、質量%で、Ag:0〜4.0%を含有する、請求項1に記載のはんだ合金。
- 更に、前記合金組成は、下記(1)〜(5)式の少なくとも1式を満たす、請求項1または2に記載のはんだ合金。
0.0430≦Ni+Fe≦0.0700 (1)
3.50≦Ni/Fe≦30.00 (2)
10.83≦Cu/Ni≦18.57 (3)
65.00≦Cu/Fe≦325.00 (4)
0.0060≦Ge+Fe≦0.0280 (5)
上記(1)〜(5)式中、Ni、Fe、Cu、およびGeは、各々前記合金組成の含有量(質量%)を表す。 - 更に、前記合金組成は、質量%で、As:0.0040〜0.0250%を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のはんだ合金。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末とフラックスとを有するソルダペースト。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだ合金からなるはんだボール。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだ合金からなるソルダプリフォーム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだ合金を有することを特徴とするはんだ継手。
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