JP2020190769A - 自律走行型移動体、自律走行型掃除機、自律走行型掃除機の制御方法、およびプログラム - Google Patents

自律走行型移動体、自律走行型掃除機、自律走行型掃除機の制御方法、およびプログラム Download PDF

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卓男 姚
Takuo Yo
卓男 姚
康博 松井
Yasuhiro Matsui
康博 松井
田島 泰治
Taiji Tajima
泰治 田島
伊藤 則和
Norikazu Ito
則和 伊藤
中村 浩之
Hiroyuki Nakamura
浩之 中村
一輝 高木
Kazuteru Takagi
一輝 高木
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Abstract

【課題】自律走行型掃除機が走行不能となる状況の発生頻度を低減する。【解決手段】自律走行型掃除機Sは、自身を走行させる移動部31と、床面を清掃する清掃部33と、走行環境の情報を取得する環境計測センサ2と、環境計測センサ2の情報に基づいて走行環境の地図を作成する地図作成部36と、地図作成部36が作成した地図を記憶する記憶部37と、環境計測センサ2が取得した情報と地図に基づいて、自己の位置を判定すると共に、自身が走行不能な状況であるか否かを判定し、この状況を判定した位置および/または領域を記憶させる自己位置判定部35とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、自律走行型移動体、自律走行型掃除機、自律走行型掃除機の制御方法、およびプログラムに関する。
自律走行型掃除機は、動力源として二次電池を搭載して自立走行するロボットである。自律走行型掃除機は、回転ブラシを用いて塵埃を掻き込み、吸引ファンで吸引して掃除を行う。更に自律走行型掃除機は、制御部により、2個の駆動輪を駆動する各々個別の走行モータを制御して、移動中の走行不能となる状況に陥ることを防ぐ手段が提案されている。
特許文献1は、「自律移動装置が凹部の近傍に達すると、速度νを通常よりも低速の速度νMINまで低下させて凹部に接近する。床面検知センサによって凹部が検知されたとき、その検知された凹部が地図情報に予め記憶されている走行可能な凹部に相当すると判断でき、かつ、スキャン型距離センサによって認識された環境形状が該凹部に対応させて地図情報中に記憶した場所のものと一致する場合には、自律移動装置は、そのまま走行を続け、それ以外の場合には、一旦停止した後、一定量後退して、停止する。」と記載されている。
特開2005−157625号公報
特許文献1は、走行可能な凹部のみを地図情報に記憶し、走行不能な状況を記憶していない。さらに、走行不能な状況を検知すると、落下や転倒を防ぐため、自律移動装置を停止させている。よって、掃除が完遂できないおそれがある。
そこで、本発明は、自律走行型掃除機が走行不能となる状況の発生頻度を低減することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の自律走行型移動体は、自身を走行させる移動部と、走行環境の情報を取得する環境計測センサと、前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成する地図作成部と、前記地図作成部が作成した前記地図を記憶する記憶部と、前記環境計測センサが取得した情報と前記地図に基づいて、自己の位置を判定すると共に、自身が走行不能な状況であるか否かを判定し、前記状況を判定した位置および/または領域を記憶させる自己位置判定部と、を備えることを特徴とする。
本発明の自律走行型掃除機は、自身を走行させる移動部と、床面を清掃する清掃部と、走行環境の情報を取得する環境計測センサと、前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成する地図作成部と、前記地図作成部が作成した前記地図を記憶する記憶部と、前記環境計測センサが取得した情報と前記地図に基づいて、自己の位置を判定すると共に、自身が走行不能な状況であるか否かを判定し、前記状況を判定した位置および/または領域を記憶させる自己位置判定部と、を備えることを特徴とする。
本発明の自律走行型掃除機の制御方法は、自身を走行させる移動部と、床面を清掃する清掃部と、走行環境の情報を取得する環境計測センサと、制御部と、を備える自律走行型掃除機の制御方法であって、前記制御部が、前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成するステップ、前記環境計測センサの情報と前記地図に基づいて自己の位置を判定するステップ、自身が走行不能な状況であるか否かを判定するステップ、前記状況を判定した位置および/または領域を記憶部に記憶させるステップ、を実行することを特徴とする。
本発明のプログラムは、自身を走行させる移動部と、床面を清掃する清掃部と、走行環境の情報を取得する環境計測センサと、を備える自律走行型掃除機に、前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成する工程、前記環境計測センサの情報と前記地図に基づいて自己の位置を判定する工程、自身が走行不能な状況であるか否かを判定する工程、前記状況を判定した位置および/または領域を記憶部に記憶させる工程、を実行させるためのものである。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、自律走行型掃除機が走行不能となる状況の発生頻度を低減することができる。
本実施形態の自律走行型掃除機を左前方から見た斜視図である。 自律走行型掃除機の下面図である。 自律走行型掃除機の構成図である。 凹領域に進入して抜け出せない状況を示す図である。 凹領域に進入して抜け出せない状況を判定する処理を示すフローチャートである。 端末上で走行不能領域を指定する画面を示す図である。 凹領域を回避する処理を示すフローチャート(その1)である。 凹領域を回避する処理を示すフローチャート(その2)である。 凹領域を回避する処理を示すフローチャート(その3)である。 凹領域を回避する動作を示す図である。 凹領域に進入する動作を示す図である。 凹領域に進入したのちの1回目の走行動作を示す図である。 凹領域に進入したのちの2回目の走行動作を示す図である。 凹領域に進入したのちの3回目の走行動作を示す図である。 凹領域に進入したのちの4回目の走行動作を示す図である。 凹領域に係る情報を消去した後の走行動作を示す図である。 凹領域と回避範囲と回避動作開始線と減速開始線との関係を示す図である。 センサにより凹領域を検出して回避する動作を示す図である。 端末上で、走行不能領域を削除する画面を示す図である。 物(凸部)に乗り上げて走行不能な動作を示す図である。 物に乗り上げて走行不能になる状況を判定する処理を示すフローチャートである。 物を回避する処理を示すフローチャート(その1)である。 物を回避する処理を示すフローチャート(その2)である。 物を回避する処理を示すフローチャート(その3)である。 物の回避の動作を示す図である。 物に乗り上げたのちの1回目の走行動作を示す図である。 物に乗り上げたのちの2回目の走行動作を示す図である。 物に乗り上げたのちの3回目の走行動作を示す図である。 物に乗り上げたのちの4回目の走行動作を示す図である。 物に係る情報を消去した後の走行動作を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、各図を参照しながら詳細に説明する。本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立している必要はない。例えば、一の構成要素が複数の部材からなること、複数の構成要素が一の部材からなること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが互いに重複していることを許容する。また、本明細書に開示される技術的思想は本発明のみに必ずしも限られず、文脈上または技術上支障のない範囲において構成要素の追加、削除または置換を行うことができる。
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態に係る自律走行型掃除機は、周囲の地図を作成しながら、自律的に走行する掃除機である。
図1は、本実施形態に係る自律走行型掃除機Sを左前方から見た斜視図である。図2は、自律走行型掃除機Sの下面図である。図3は、自律走行型掃除機Sの構成図である。以下、これら図1〜図3を用いて、各実施形態に共通する自律走行型掃除機Sの構成と動作を説明する。
図1に示すように、自律走行型掃除機Sの筐体は、略円筒形であり、本体ケース1と、この本体ケース1の外側を覆うバンパシェード3を含んで構成される。筐体上面の前部には、赤外線受信機15が設けられている。筐体上面の中心点SPの付近には、環境計測センサ2が固定されており、筐体後部には、集塵ケース4が設けられている。
赤外線受信機15は、不図示の充電台に設けられた赤外線発信機が発光する赤外線を受光する。自律走行型掃除機Sは、赤外線受信機15が受光した赤外線の方向や強弱から充電台の位置を推定して、充電台に帰還する。
環境計測センサ2は、発光部と受光部とを備え、走行環境の情報を取得する。環境計測センサ2の発光部は、レーザ光を発光し、回転する鏡によりレーザ光を略水平に出射する。環境計測センサ2の受光部は、障害物によって反射されたレーザ光を受光する。発光部が出射したレーザ光が障害物を照射し、その反射光が受光できるようにするため、環境計測センサ2の発光部と受光部は、筐体上面の赤外線受信機15に遮られないような高さに設けられることが望ましい。
集塵ケース4は、この自律走行型掃除機Sが吸引した埃やごみを回収するケースである。
図3に示す移動部31は、図2に示した自律走行型掃除機Sの下部に設けられた一対の駆動輪5,6および補助輪14と、図3に示したホイール落下センサ13と、で構成されている。移動部31は、この自律走行型掃除機S自身を走行させる。
図2に示すように、駆動輪5,6は、自律走行型掃除機Sの左右両側に距離Dだけ離れて配置され、それぞれ不図示の走行モータおよび減速機で構成される車輪ユニットによって回転駆動される。駆動輪5,6は、制御部38の移動制御部32の指令によって回転することで、この自律走行型掃除機Sを前進、後退、旋回させる。移動制御部32は、障害物・段差検出部34や環境計測センサ2等のセンサから走行環境中の障害物情報を取得し、それらの情報を処理して、自律走行型掃除機Sの最適な走行制御指令を出す。補助輪14は、駆動輪5,6に従って自由回転する従動輪(キャスタ)であり、本体の外周付近に設けられる。
ホイール落下センサ13は、例えばフォトカプラであり、駆動輪5,6と筐体との間に内蔵される。自律走行型掃除機Sが持ち上げられた際にサスペンションの弾性によって駆動輪5,6が筐体から離れると、センサ光が遮られなくなり、ホイール落下センサ13を構成するフォトカプラはオンする。一方、自律走行型掃除機Sが床面に置かれた際に本体の重量によってサスペンションが圧縮されると、センサ光が遮られて、フォトカプラはオフする。ホイール落下センサ13は、この変化に応じた検知信号を制御部38に出力する。これにより制御部38は、駆動輪5,6が凹部に落下(脱輪)したか否かを検出することができる。
図3に示す清掃部33は、図2に示した回転ブラシ7、サイドブラシ8a,8b、集塵ケース4および筐体に内蔵する吸引ファン9(図3参照)で構成される。
図2に示す回転ブラシ7は、横幅がD0であり、自律走行型掃除機Sの下面、かつ駆動輪5,6に対する後方に設けられている。回転ブラシ7は、不図示の回転ブラシモータで回転駆動される。
サイドブラシ8a,8bは、自律走行型掃除機Sの前方側、左右方向の外側に設けられている。サイドブラシ8a,8bは、それぞれ不図示のサイドブラシモータで回転駆動され、自律走行型掃除機Sの前方外側の領域を、左右方向外側から内側に向かう方向に掃引するよう回転する。これにより、サイドブラシ8a,8bは、床面上の塵埃を中央の回転ブラシ7側に集めることができる。
自律走行型掃除機Sは、床の上の埃やごみを回転ブラシ7でかき込むと同時に吸引ファン9で吸引し、集塵ケース4へ回収する。
障害物・段差検出部34は、床面用測距センサ10a〜10dと、バンパセンサ11sと、バンパシェード3に内蔵する測距センサ12とで構成される。
床面用測距センサ10a〜10dは、赤外線を用いた測距センサであり、自律走行型掃除機Sの筐体下面の前後左右の4か所に設置される。これら床面用測距センサ10a〜10dにより、自律走行型掃除機Sは、床面までの距離を計測することができる。これら床面用測距センサ10a〜10dが階段等の大きな段差を検知することで、自律走行型掃除機Sは、階段等からの落下や脱輪を抑制できる。
バンパフレーム11fは、筐体下端部の側面全周または略全周に設けられている。左右一対のバンパばね(図示省略)は、バンパフレーム11fを筐体に対して外向きに付勢している。障害物との接触によって、バンパフレーム11fは筐体の内向きに移動する。このバンパフレーム11fの移動は、下ケース1sに固定されたバンパセンサ11sによって検知される。バンパセンサ11sは、例えばフォトカプラであり、バンパフレーム11fの移動によってセンサ光が遮られると、この変化に応じた検知信号を出力する。自律走行型掃除機Sが壁等の障害物に衝突した際、制御部38は、外部から作用する力に応じて前後、左右の走行方向を転換させ、障害物から遠ざかる。
測距センサ12は、障害物までの距離を検出するための赤外線センサである。測距センサ12は、赤外線を発光する発光部と、この赤外線が障害物で反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを有している。この受光部によって検出された反射光に基づいて、制御部38は、障害物までの距離を算出する。制御部38は、算出した各障害物までの距離データにより、自律走行型掃除機Sの周囲の障害物の形状を把握できる。
測距センサ12は、筐体の前面から側面にかけて、例えば計7つ設けられており、バンパシェード3内に固定されている。なお、バンパシェード3のうち少なくとも測距センサ12の近傍は、赤外線のみを透過させる樹脂またはガラスで形成されている。これにより紫外線や可視光が受光部に入り込んで、障害物までの距離を誤認識することを抑制する。
自律走行型掃除機Sは、掃除完了時に自律的に充電台に帰還して充電する機能を備える。そのため充電台には、赤外線を発光する赤外線発信機が設けられている。自律走行型掃除機Sは、赤外線受信機15によって赤外線を受光し、受光した赤外線の方向や強弱から充電台の位置を推定し、充電台に帰還できるような機能を備えている。
制御部38は、各種演算を処理するマイクロプロセッサと、各種の機能を実現するためのプログラムを保存するROM(Read Only Memory)と、演算結果やセンサデータを一時的に保存するRAM(Random Access Memory)を含んでいる。制御部38は更に、移動制御部32、自己位置判定部35、地図作成部36、記憶部37、通信部39を含んでいる。この制御部38は、記憶部37などに格納された制御プログラムを実行して、自律走行制御等の各種機能を実現するコンピュータである。
自己位置判定部35は、環境計測センサ2がレーザ光を発光してから、その反射光を受光するまでの時間に基づき、障害物までの距離を算出する。環境計測センサ2は、鏡の回転により、レーザ光の方向を時々刻々と変えるので、所定角度範囲内の障害物の距離データを取得することが可能である。環境計測センサ2がレーザ光を出射する角度範囲は、例えば360度が望ましい。レーザ光の角度範囲は、広い方がより広範囲の障害物を検知できるためである。しかし、この角度範囲は、例えば前方90度程度でもよい。これにより、制御部38は、障害物を検出し、その大きさを判定可能である。
環境計測センサ2の障害物検出分解能は、例えば1度以下が望ましい。障害物検出分解能が高い方が障害物をより高精度で検出できるためである。しかし、障害物検出分解能は、例えば5度程度でもよい。
環境計測センサ2は、測定周期のたびに、取得した障害物までの距離データを制御部38に入力する。環境計測センサ2は、レーザ光スキャン型のセンサに限られず、環境中の障害物の状況を計測可能なカメラや、ミリ波等の電波を用いた距離計測装置で構成されていてもよい。
自己位置判定部35は、走行環境中の障害物の配置から、自律走行型掃除機Sの自己位置と姿勢を判定する。自己位置判定部35は、環境計測センサ2で取得した障害物までの距離データを読み込み、この距離データの変化から自己位置と姿勢を算出する。また、自己位置と姿勢を算出する際、自己位置判定部35は、エンコーダーやレーザ、IMU(Inertial Measurement Unit)の等のセンサにより自律走行型掃除機Sの移動量を検出してもよい。また、環境計測センサ2と、エンコーダーやレーザ、IMUを併用してもよい。自己位置判定部35が算出する自己位置は、図1で示した自律走行型掃除機Sの中心点SPであり、かつ環境計測センサ2の位置である。
地図作成部36は、障害物・段差検出部34や環境計測センサ2から計測した障害物の位置情報から走行環境の地図を作成する。地図作成部36が作成した地図は、記憶部37に保存される。地図作成部36が作成する環境地図は、平面を格子状に区切り、各格子に障害物が存在する確率で表す占有格子地図である。この環境地図において、格子の値が大きいほど障害物の存在する確率が高く、格子の値が小さいほど障害物の存在する確率が低い。
記憶部37は、バックアップRAMで構成されており、例えば自己位置判定部35により算出する自律走行型掃除機Sの自己位置、地図作成部36によって作成される走行環境の地図や走行不能の場所および/または範囲等の情報を保存する。
通信部39は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線通信モジュールであり、ユーザが操作する端末との間で各種情報を送受信する。
このような構成の自律走行型掃除機Sは、主に部屋の中で使用され、人に代わってその部屋を自律的に掃除する。本発明の第1の実施形態で解決する課題については、図4を用いて説明する。
図4は、自律走行型掃除機Sが玄関のたたきなどの凹領域A1に進入して抜け出せない場合を示す図である。
部屋A2は、壁50に囲まれて形成される。この部屋A2の中には、段差51に囲まれて形成される凹領域A1が存在する。段差51は、自律走行型掃除機Sが乗り越えられない高さである。この凹領域A1は、例えば玄関のたたきなどである。この部屋は、説明の便宜上、図の上側が北になるように配置されているものとする。なお、部屋の方向と東西南北とは必ずしも一致している必要はない。
走行軌跡52は、自律走行型掃除機Sが走行した際の中心点SPの軌跡を示している。走行軌跡52は、自律走行型掃除機Sの中心点SP(図1参照)の軌跡である。この部屋A2において、自律走行型掃除機Sは、一定距離だけ前進するか、または壁50のような幅の広い障害物を検出すると旋回する。自律走行型掃除機Sは、旋回により走行方向を逆方向(180度)とし、かつ先に走行した軌跡から所定間隔D0だけ離れる。その後、自律走行型掃除機Sは、一定距離または、幅の広い障害物を検出するまで前進を続ける。このような走行を繰り返すことで、自律走行型掃除機Sは、部屋A2全体をカバーするように走行して掃除する。
自律走行型掃除機Sは、このような走行方式で自律的に移動する。本実施形態の説明では、このような走行方式を、「ジグザグ走行」と呼ぶ。
往路と復路との間隔D0は、図2に示すように、自律走行型掃除機Sの回転ブラシ7の幅である。ジグザグ走行によって部屋A2内を往復する際、往路と復路の掃除領域を重ねることができ、よって漏れなく部屋A2を掃除できるためである。なお自律走行型掃除機Sの旋回動作における制御誤差を考慮して、往路と復路との間隔は、回転ブラシ7の幅よりもやや狭く設定されてもよい。
自律走行型掃除機Sは、凹領域A1への落下を防止するため、床面用測距センサ10a〜10dを備える。しかし、床面用測距センサ10a〜10dが誤検知した場合や、凹領域A1に置かれた靴等の障害物を床面として誤認識した場合に、自律走行型掃除機Sは、凹領域A1に進入してしまうことがある。凹領域A1は自律走行型掃除機Sが乗り越えられない高さの段差51で囲まれているので、自律走行型掃除機Sは、凹領域A1から抜け出せない状況に陥る。この場合、自律走行型掃除機Sは、走行軌跡52に示すように走行し、部屋A2全体をカバーするように走行できず、掃除を完遂できない。
そこで、凹領域A1から抜け出せない場合、自律走行型掃除機Sは、凹領域A1に進入して抜け出せない状況であることを自律的に判定し、この凹領域A1の場所および領域を記憶してから走行を中断する。その後、ユーザが自律走行型掃除機Sを凹領域A1から取り出して走行を再開させたときに、自律走行型掃除機Sは、記憶した凹領域A1を回避する。これにより、自律走行型掃除機Sは、凹領域A1に進入して抜け出せない状況の発生頻度を低減させる。
以下、自律走行型掃除機Sが凹領域に進入して抜け出せない状況を判定し、凹領域の場所および範囲を記憶させる制御手法を説明する。
図5は、凹領域に進入して抜け出せない状況を判定し、凹領域の場所および範囲を記憶させる処理を示すフローチャートである。以下、図1から図3を参照しつつ、図5のフローチャートを説明する。
ユーザが自律走行型掃除機Sを起動し、掃除を開始させると、図5の処理が開始する。
制御部38は、環境計測センサ2により走行環境の情報を取得し、自己位置判定部35により自律走行型掃除機Sの自己位置推定を開始する(S1)。制御部38は、地図作成部36により走行環境の地図作成を開始する(S2)。
その後、制御部38は、障害物・段差検出部34により障害物や段差の情報を取得して、移動制御部32により障害物や段差を回避させながら、自律走行型掃除機Sを走行させる(S3)。制御部38は、自身の走行中に凹領域に落下したか否かを判定する(S4)。
一般的な家の玄関のたたきの面積は4m2以下である。そのため、凹領域への落下判定は、4m2を判定の上限範囲とする。制御部38は、自律走行型掃除機Sが判定上限範囲の4m2よりも狭い領域内を2回以上通過しても、その領域から抜け出せない場合、凹領域に落下したと判定する。
以下、図4を参照して自律走行型掃除機Sの走行動作を説明する。凹領域A1において自律走行型掃除機Sは、走行軌跡52に示すようにジグザグ走行を行う。位置r1で本体が段差51に衝突し、バンパフレーム11fが後退する。バンパフレーム11fの後退により、バンパセンサ11sのセンサ光が遮られ、段差51に衝突したと検知する。
自律走行型掃除機Sは、位置r1で段差51を検知したならば、西向きを経て南向きになるように回転することにより方向を変換し、ジグザグ走行を続ける。
自律走行型掃除機Sは、同様に位置r2で段差51を検知したならば、東向きを経て北向きになるように回転することにより方向を変換する。自律走行型掃除機Sは、位置r3で段差51を検知したならば、東向きを経て南向きになるように回転することにより方向を変換する。
自律走行型掃除機Sは、位置r4において、バンパセンサ11sにより西側の段差51を検出し、測距センサ12により、図4の北側の壁50を検出する。よって、自律走行型掃除機Sは、位置r4で左へのジグザグ走行を継続することができなくなるので、東向きになるように90度だけ回転して前進し、以降は南北方向のジグザグ走行から東西方向のジグザグ走行に変更する。
自律走行型掃除機Sは、位置r5でバンパセンサ11sにより段差51を検知したら、北向きを経て西向きになるように回転し、ジグザグ走行を続ける。自律走行型掃除機Sは、位置r6でバンパセンサ11sにより西側と北側の段差51を検出する。以降、自律走行型掃除機Sは、東西方向のジグザグ走行を継続できなくなる。これより、自律走行型掃除機Sは、凹領域A1を2回以上通過したと判定する。さらに、自律走行型掃除機Sは、凹領域A1の範囲が判定上限範囲である4m2よりも狭いため、凹領域へ落下したと判定する。
ただし、玄関のたたきの寸法はそれぞれ異なる。また、凹領域は玄関のたたきに限定されない。そのため、判定上限範囲は、4m2以下や4m2以上に設定してもよい。また、自律走行型掃除機Sが凹領域であることを判定する条件は、走行する方向を3回以上の所定回数だけ変更したことであってもよい。凹領域内を通過する回数が多ければ多いほど、凹領域から抜け出せない状況である可能性が高いためである。
なお、自律走行型掃除機Sが部屋を通過する方式は、ジグザグ走行に限定されない。自律走行型掃除機Sは、前進して障害物を検知したら、障害物の手前であたかも反射するように走行方向を変更するランダム走行方式で部屋を通過してもよい。さらに自律走行型掃除機Sは、抜け口を探索し、領域内周を一周探索しても抜け出せず、かつ、探索領域が判定上限範囲より狭いという条件を満たすと、自身が凹領域に落下したと判定してもよい。
図5に戻り説明を続ける、ステップS4において、制御部38は、凹領域に落下していないと判定したならば(No)、掃除が完遂したか否かを判定する(S6)。掃除が完遂したか否かの判定については、地図中の障害物以外のすべての場所を1回以上通過したら掃除完遂と判定する。制御部38は、掃除が完遂していないならば(No)、ステップS3に戻り、走行を続ける。
ステップS6において、制御部38は、掃除が完遂したならば(Yes)、ステップS7に進む。
ステップS7において、制御部38は、自己位置推定を停止する。制御部38は、地図の作成も停止し(S8)、自己位置推定の結果と作成した環境地図とを記憶部37に保存する。制御部38は、自律走行型掃除機Sの走行を停止させると(S9)、掃除を終了させる。
ステップS4において、制御部38は、凹領域に落下したと判定したならば(Yes)、抜け出せない領域を凹範囲として記憶部37に記憶し(S5)、ステップS7に進む。
図5の自律走行型掃除機Sは、自律的に凹範囲を判定し、判定した凹範囲の情報を記憶部37に保存する。しかし、自律走行型掃除機Sは、判定した走行不能の領域を外部端末に表示させて、その保存の要否について問い合わせる機能を備えてもよい。
図6は、端末100上で走行不能領域を指定する画面を示す図である。
端末100は、掃除機が作成した地図101を表示する画面を表示しており、地図101の中には走行不能領域102が表示されている。地図101の下側には、保存ボタン104と削除ボタン105とが表示されている。
制御部38は、通信部39を介して、通信機能を有する端末100に地図101と走行不能領域102の情報を送信する。これにより、端末100は、地図101と走行不能領域102を表示すると共に、走行不能領域102の情報の保存または削除について、ユーザに問い合わせる。ユーザが保存ボタン104をタップすると、走行不能領域102の情報が保存される。ユーザが削除ボタン105をタップすると、走行不能領域102の情報が削除される。
これに限られず、端末100は、自律的に判定した走行不能領域102の位置や広さが誤っていたときに備えて、この走行不能領域102の位置や広さをユーザに修正させる機能を有してもよい。端末100は、自律的に判定した走行不能領域102とは別に、作成した地図101の任意の場所を走行不能領域としてユーザに指示させる機能を有していてもよい。
図7Aと図7Bと図7Cは、凹領域を回避する制御のフローチャートである。
ユーザが自律走行型掃除機Sを起動し、掃除を開始させると、図7Aの処理が開始する。
制御部38は、記憶部37に凹領域の範囲情報が保存されているか否かを判定する(S20)。凹領域の範囲情報が保存されているならば(Yes)、制御部38は、ステップS21の処理に進む。凹領域の範囲情報が保存されていないならば(No)、制御部38は、図7CのステップS50の処理に進み、走行によって凹領域を検出する。
《走行による凹領域の検出》
図7CのステップS50〜S55の処理は、図5に示したフローチャートの各処理と同様である。ステップS50において、制御部38は、環境計測センサ2により走行環境の情報を取得し、自己位置判定部35により自律走行型掃除機Sの自己位置推定を開始する。更に制御部38は、地図作成部36により走行環境の地図作成を開始する(S51)。
その後、制御部38は、障害物・段差検出部34により障害物や段差の情報を取得して、移動制御部32によって障害物や段差を回避させながら自律走行型掃除機Sを走行させ(S52)、凹領域に落下したか否かを判定する(S53)。
ステップS53において、制御部38は、凹領域に落下したと判定したならば(Yes)、凹領域の範囲情報を記憶し(S54)、図7BのステップS40に進む。これにより制御部38は、凹領域を検出して、この範囲情報を記憶することができる。
ステップS53において、制御部38は、凹領域に落下していないと判定したならば(No)、ステップS55に進み、掃除が完遂したか否かを判定する。
ステップS55において、制御部38は、掃除が完遂していないならば(No)、ステップS52に戻り、走行を続ける。ステップS55において、制御部38は、掃除が完遂したならば(Yes)、図7BのステップS40に進む。
《凹領域の検出後の走行》
ステップS22〜S34は、凹領域の範囲情報を検知後の走行に係る処理である。
ステップS22において、制御部38は、回避範囲を設定する。ここで制御部38は、凹領域を検知後の1回目の走行では、凹領域の範囲よりも広い回避範囲を設定し、2回目以降の走行では、回避範囲を所定距離ずつ狭めてゆく。
凹領域を回避するために、自律走行型掃除機Sは、旋回動作によって走行方向を変更する必要がある。駆動輪5,6や補助輪14が凹領域の段差で脱輪したら、自律走行型掃除機Sは、走行不能になる。
自律走行型掃除機Sの駆動輪5,6および補助輪14は、この自律走行型掃除機Sの本体の外周近傍に設けられている。そのため、回避のために旋回しても駆動輪5,6または補助輪14が凹領域の段差で脱輪しないように、制御部38は、記憶している凹領域よりも回避範囲を広く設定する。
図8に示すように、駆動輪5,6が凹領域の段差に差し掛からなようにするため、自律走行型掃除機Sは、記憶した凹領域よりも駆動輪5,6の間隔Dの半分(D/2)だけ回避範囲A3を広く設定する。回避範囲A3は、自律走行型掃除機Sが最初に回避する範囲である。これにより、自律走行型掃除機Sは、走行不能な凹領域A1を確実に回避することができる。
凹領域の範囲情報には、所定誤差が含まれる。そのため、回避範囲A3は、凹領域の推定範囲にその推定誤差εを加えたものに設定するとよい。
また、自律走行型掃除機Sは、自己位置を推定するまでに所定の時間が掛かる。自己位置推定の処理周波数をX[Hz]として、自律走行型掃除機Sの走行速度をV[m/s]とする。このとき、一回の自己位置推定時間に、自律走行型掃除機Sは約(V/X)mだけ前進する。
よって、回避範囲は、駆動輪5,6の間隔Dの半分(D/2)と、凹領域の範囲の推定誤差εと、(V/X)mとを加算した距離dだけ凹領域の範囲を拡張するとよい。これを以下の式(1)に示す。
Figure 2020190769
以上のように、自律走行型掃除機Sは、回避範囲を凹領域よりも広く設定することで、駆動輪5,6が段差に差し掛かることを防ぐ。これにより自律走行型掃除機Sは、脱輪したり、走行不能領域に進入したりして、掃除を完遂できなくなる状況の発生頻度をより低下させることができる。
なお、本実施形態では、図8のように回避範囲A3を設定したが、回避範囲を設定せずに、判定した凹領域の範囲より大きな範囲を、予め凹領域の範囲として記憶してもよい。
図7Aに戻り説明を続ける。ステップS21において、制御部38は、回避範囲を設定する。制御部38は、凹領域を検出した後の1回目の走行においては、記憶している凹領域の情報を用いて、この凹領域よりも回避範囲を広く設定する。よって、制御部38は、凹領域の手前で回避動作を実行するので、凹領域に再び入り込んで走行不能となる状況の発生頻度を低減できる。
その後、制御部38は、自己位置推測を開始し(S22)、走行環境の新地図の作成を開始する(S23)。
ステップS24において、制御部38は、移動制御部32により障害物や段差を回避しながら自律走行型掃除機Sを走行させ、自己位置を常に取得する。そして、制御部38は、自身の走行中に凹領域に落下したか否かを判定する(S25)。
ステップS25において、制御部38は、凹領域に落下したと判定したならば(Yes)、抜け出せない領域を凹領域として、その範囲情報を記憶部37に記憶し(S26)、図7BのステップS40に進む。
ステップS25において、制御部38は、凹領域に落下していないと判定したならば(No)、自己位置が減速開始線に到達したか否かを判定する(S27)。この減速開始線については、後記する図10Aから図10Dで説明する。
ステップS27において、制御部38は、自己位置が減速開始線に到達したならば(Yes)、走行速度を減速し(S28)、床面用測距センサ10a〜10dの閾値を変えて感度を向上させる(S29)。走行速度を減速することによって、自律走行型掃除機Sは、床面用測距センサ10a〜10dで段差を検知した際の制動距離が短くなり、凹領域への落下を防止できる。床面用測距センサ10a〜10dの閾値を変えて感度を向上させることにより、自律走行型掃除機Sは、段差をより検出しやすくなる。
次に制御部38は、凹領域や段差を検知したか否かを判定する(S30)。制御部38は、凹領域や段差を検知したならば(Yes)、所定距離だけ後退して(S31)、ステップS33の処理に進む。この時の動作は、後記する図11で詳細に説明する。
ステップS30において、制御部38は、凹領域を検知していないならば(No)、ステップS32の処理に進む。
ステップS32において、制御部38は、自律走行型掃除機Sが回避動作開始線に到達したか否かを判定する。制御部38は、自律走行型掃除機Sの中心点SPの位置を自己位置として取得する。制御部38は、自己位置と回避動作開始線とを比較し、自己位置が回避動作開始線を跨いだら、回避動作開始線に到達したと判定する。この回避動作開始線は、後記する図10Aから図10Dで説明する。
ステップS32において、制御部38は、回避動作開始線に到達していないならば(No)、図7AのステップS24の処理に戻り、走行を継続する。制御部38は、回避動作開始線に到達したならば(Yes)、回避動作を実行すると(S33)、ステップS34の処理に進む。このとき、自律走行型掃除機Sは、図8の太破線に示すような旋回動作を実行し、ジグザグ走行を継続する。
図8を用いて、ステップS32,S33の回避動作を説明する。
部屋A2は、壁50に囲まれて形成される。この部屋A2の中には、段差51に囲まれて形成される凹領域A1が存在する。この凹領域A1は、例えば玄関のたたきなどである。
回避範囲A3は、この凹領域A1の外側の距離(D/2)の範囲である。回避範囲A3から距離(D+D0)/2には、回避動作開始線A4が示されている。回避動作開始線A4から距離Mには、減速開始線B4が示されている。
自律走行型掃除機Sは、直前の走行において凹領域A1に落下している。この自律走行型掃除機Sは、図8における部屋A2の南東から、凹領域A1の落下後における1回目の走行を行う。制御部38は、旋回動作の回転半径を(D0/2)に設定する。自律走行型掃除機Sは、壁などの障害物を検知すると、旋回動作により走行してきた軌跡から所定の間隔D0だけ離れ、かつ走行方向を逆方向(180度)に変更する。
走行軌跡55は、自律走行型掃除機Sが、凹領域A1の落下後1回目に走行した際の中心点SPの軌跡である。制御部38は、点b1〜b4に示すように、自律走行型掃除機Sの中心点SPが回避動作開始線A4に差し掛かると、太破線に示す回避動作を行い、凹領域A1を回避する。制御部38は、回転半径(D0/2)で旋回し、走行してきた軌跡から所定の間隔D0だけ離れ、かつ走行方向を逆方向(180度)に変更するので、回避動作の後にジグザグ走行に復帰できる。以上のようにして、自律走行型掃除機Sは、最終的に部屋A2をカバーするように走行する。
図9は、回避動作(旋回動作)の実行過程を示すイメージ図である。図9は、図8とは異なり、自律走行型掃除機Sが回避範囲A3の境界線に対して斜めに近づいた様子を示している。破線56は、旋回動作を実行する際の自律走行型掃除機Sの中心点SPの軌跡である。実線57は、自律走行型掃除機Sの駆動輪6の位置41の軌跡である。回避範囲A3は、制御部38が、図7AのステップS21で設定した回避範囲となる。回避時に駆動輪5,6が回避範囲A3内に進入すると、脱輪する可能性や、本体が落下する可能性が高まる。回避範囲A3に駆動輪5,6を進入させないため、制御部38は、回避範囲A3から距離(D+D0)/2だけ離れた回避動作開始線A4から回避動作を行っている。その後、自律走行型掃除機Sの中心点SPは、距離nだけ回避範囲A3に近づき、位置41は、(n+(D/2))だけ回避範囲A3に近づく。
θは、自律走行型掃除機Sの進行方向と回避範囲A3の境界線とが形成する角度を示す。点42は回避動作の開始点を示す。これらの幾何関係により、距離nは、以下の式(2)によって算出される。
Figure 2020190769
式(2)に示したように、nの範囲は0から(D0/2)までとなる。本体を落下させないためには、nが最大値の(D0/2)となる場合を考慮することが望ましい。距離D0は、自律走行型掃除機Sの回転ブラシ7の幅よりもやや小さく設定される。
よって、回避範囲A3と回避動作開始線A4との距離は、nの最大値と駆動輪の間隔Dの半分とを合算した値以上、例えば(D+D0)/2として設定することが望ましい。これにより、図8中の走行軌跡55に示すように、自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A4に到達して回避動作を実行しても、左右の駆動輪5,6が段差51に差し掛からなくなる。
図7Bに戻り説明を続ける。ステップS34において、制御部38は、掃除が完遂したか否かを判定する。掃除が完遂していないならば(No)、制御部38は、図7AのステップS24に戻り、走行を続ける。制御部38は、掃除が完遂したならば(Yes)、ステップS35の処理に進む。
ステップS35において、制御部38は、今回の走行にて、床面用測距センサ10a〜10dによって凹領域や段差を検知したか否かを判定する。ステップS30において1回でも凹領域や段差を検知していたならば、この判定結果はYesとなる。制御部38は、凹領域や段差を検知していないならば(No)、今回の回避動作開始線を次回の減速開始線に設定し(S36)、今回の回避範囲と回避動作開始線をLだけ狭めると(S37)、ステップS40の処理に進む。
例えば、ユーザが凹領域にスロープ等を配置して段差がなくなり、凹領域に自律走行型掃除機Sが行き来できるようにした場合を考える。凹領域に段差がなくなったにも関わらず、自律走行型掃除機Sが凹領域を回避し続ければ、この凹領域およびその周囲の回避範囲を掃除できず、よって清掃性が低下する。そのため、自律走行型掃除機Sは、凹領域に段差がなくなったことを検知し、凹領域の情報を記憶部37から削除することが望ましい。制御部38は、凹領域を検出した後の2回目以降の走行に備えて、ステップS37において次回の回避範囲を狭めている。これにより制御部38は、回避範囲内に凹領域が存在するか否かを探索できる。
ステップS35において、制御部38は、凹領域や段差を検知したならば(Yes)、凹領域情報に今回の検知情報をマージし(S38)、凹領域情報に基づいて回避範囲などを再設定すると(S39)、ステップS40の処理に進む。
ステップS40において、制御部38は、自己位置推定を停止する。制御部38は、地図の作成も停止し(S41)、自己位置推定の結果と作成した環境地図とを記憶部37に保存する。制御部38は、自律走行型掃除機Sの走行を停止させると(S42)、掃除を終了させる。
図10Aに示す1回目の走行の回避動作開始線A4aは、図10Bに示す2回目の走行の減速開始線B4bと等しい。図10Aに示す1回目の走行の回避動作開始線A4aを距離Lだけ狭めたものが、図10Bに示す2回目の走行の回避動作開始線A4bである。そして、図10Aに示す1回目の走行の回避範囲A3aよりも、図10Bに示す2回目の走行の回避範囲A3bは、距離Lだけ狭められている。
図10Bに示す2回目の走行の回避動作開始線A4bは、図10Cに示す3回目の走行の減速開始線B4cと等しい。図10Bに示す2回目の走行の回避動作開始線A4bを距離Lだけ狭めたものが、図10Cに示す3回目の走行の回避動作開始線A4cである。そして、図10Bに示す2回目の走行の回避範囲A3bよりも、図10Cに示す3回目の走行の回避範囲A3cは、距離Lだけ狭められている。
図10Cに示す3回目の走行の回避動作開始線A4cは、図10Dに示す4回目の走行の減速開始線B4dと等しい。図10Cに示す3回目の走行の回避動作開始線A4cを距離Lだけ狭めたものが、図10Dに示す4回目の走行の回避動作開始線A4dである。そして、図10Cに示す3回目の走行の回避範囲A3cよりも、図10Dに示す4回目の走行の回避範囲A3dは、距離Lだけ狭められている。図10Eのように、記憶部37に記憶した凹領域A1の全ての範囲に段差が検出されなかったならば、記憶部37から凹領域の情報が削除される。
以下、図10Aから図10Eまでを用いて、凹領域A1に係る情報を削除するまでの動作について説明する。
図10Aは、壁50内における自律走行型掃除機Sの、凹領域A1に落下後の1回目の走行動作を示している。
走行軌跡58aは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。凹領域A1は、直前の走行において落下した領域である。この凹領域A1は、1回目の走行においてスロープが設けられて進入可能となっている。
回避範囲A3aは、自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、凹領域A1から距離(D/2)の領域である。回避動作開始線A4aは、1回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示し、回避範囲A3aから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B4aは、1回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示し、回避動作開始線A4aから距離Mだけ離れている。
1回目の走行において自律走行型掃除機Sは、減速開始線B4aに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A4aに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A3aに進入することを抑止できる。
図10Bは、壁50内における自律走行型掃除機Sの、凹領域A1に落下後の2回目の走行動作を示している。
走行軌跡58bは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。
回避範囲A3bは、2回目の走行において自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、1回目の走行における回避範囲A3aよりもLだけ狭い領域である。
回避動作開始線A4bは、2回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示している。回避動作開始線A4bは、1回目の走行における回避動作開始線A4aよりもLだけ狭く、かつ回避範囲A3bから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B4bは、2回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示しており、1回目の回避動作開始線A4aと同一の位置である。
2回目の走行において、自律走行型掃除機Sは、減速開始線B4bに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A4bに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A3bに進入することを抑止できる。
図10Cは、壁50内における自律走行型掃除機Sの、凹領域A1に落下後の3回目の走行動作を示している。
走行軌跡58cは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。
回避範囲A3cは、3回目の走行において自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、2回目の走行における回避範囲A3bよりもLだけ狭い領域である。
回避動作開始線A4cは、3回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示している。回避動作開始線A4cは、2回目の走行における回避動作開始線A4bよりもLだけ狭く、かつ回避範囲A3cから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B4cは、3回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示しており、2回目の回避動作開始線A4bと同一の位置である。
3回目の走行において、自律走行型掃除機Sは、減速開始線B4cに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A4cに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A3cに進入することを抑止できる。
図10Dは、壁50内における自律走行型掃除機Sの、凹領域A1に落下後の4回目の走行動作を示している。
走行軌跡58dは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。
回避範囲A3dは、4回目の走行において自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、3回目の走行における回避範囲A3cよりもLだけ狭い領域である。
回避動作開始線A4dは、4回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示している。回避動作開始線A4dは、3回目の走行における回避動作開始線A4cよりもLだけ狭く、かつ回避範囲A3dから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B4dは、4回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示しており、3回目の回避動作開始線A4cと同一の位置である。
4回目の走行において、自律走行型掃除機Sは、減速開始線B4dに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A4dに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A3dに進入することを抑止できる。
図10Eは、凹領域A1に係る情報を消去した後の走行動作を示す図である。
複数回の走行によって凹領域A1に係る回避領域が無くなり、回避動作開始線が無くなったならば、記憶部37から凹領域A1に係る情報は削除される。
図10Fは、凹領域に落下したときの走行と、凹領域に落下後の1〜3回目の走行における凹領域と回避範囲と回避動作開始線と減速開始線との関係を示す図である。
自律走行型掃除機Sが凹領域に落下すると、この凹領域の情報が記憶される。
1回目の走行において、凹領域A1から距離(D/2)だけ離れて回避範囲A3aが設定される。この回避範囲A3aから距離(D+D0)/2だけ離れて回避動作開始線A4aが設定され、更に距離Mだけ離れて減速開始線B4aが設定される。
2回目の走行において、回避範囲A3bと回避動作開始線A4bは1回目よりも距離Lだけ狭められる。減速開始線B4bは、1回目の回避動作開始線A4aと同じ位置に設定される。
3回目の走行において、回避範囲A3cと回避動作開始線A4cは2回目よりも距離Lだけ狭められる。減速開始線B4cは、2回目の回避動作開始線A4bと同じ位置に設定される。
以降同様にして、各回避範囲と各回避動作開始線と各減速開始線とが設定される。
距離Lは固定値である。距離Lが小さければ小さいほど、自律走行型掃除機Sは、凹領域に落下するリスクが小さくなる。この距離Lは、床面用測距センサ10aから駆動輪5,6までの距離以下に設定してもよい。床面用測距センサ10aは、凹領域の段差を検知可能である。前回の走行で床面用測距センサ10aが段差を検知しない場合、制御部38が、床面用測距センサ10aから駆動輪5,6までの距離だけ回避範囲を縮小して、次の走行を行っても落下リスクが低い。
また、自律走行型掃除機Sは、回避領域を縮小しながら走行すると、次第に凹領域や段差に落下するリスクが高くなる。そのため、制御部38は、最初の走行における距離Lを大きめに設定し、2回目以降の走行において徐々に距離Lを減少させるようにしてもよい。また、制御部38は、距離Lを凹領域の大小に応じて値を変えてもよい。たとえば、凹領域が大きい場合には、距離Lを大きめに設定し、凹領域が小さい場合に距離Lを小さめに設定する。これにより、凹領域の削除までの走行回数が適切になる。
図11は、センサにより凹領域A1や段差51を検出して回避する動作を示す図である。
部屋A2は、壁50に囲まれて形成される。この部屋A2の中には、段差51に囲まれて形成される凹領域A1が存在する。
減速開始線B5は、自律走行型掃除機Sの前回の走行における回避動作開始線であり、今回の走行における減速を開始する線である。回避動作開始線A5は、自律走行型掃除機Sが今回の走行において回避動作を開始する線である。回避範囲A6は、自律走行型掃除機Sが今回の走行において回避する範囲である。
自律走行型掃除機Sは、今回の走行において減速開始線B5に到達したら減速し、床面用測距センサ10a〜10dの感度を上げて、凹領域A1の段差51があるかを検知する。
自律走行型掃除機Sが位置p5,p6に到着すると、制御部38は、床面用測距センサ10a〜10dで段差51を検知する。制御部38は、所定の距離だけ本体を後退させたのち、回避動作(旋回動作)を実行してジグザグ走行に戻る。回避動作の際に駆動輪5,6および補助輪14が凹領域A1に落下しないようにするため、制御部38は、駆動輪5,6の間隔Dの半分(D/2)またはそれ以上後退させることが望ましい。
第1の実施形態では、自律走行型掃除機Sが凹領域落下時の走行と同じ始点から走行させると想定している。これに限られず、ステップS22の新地図の作成開始後に、記憶部37で保存している凹領域に落下した走行の地図と新地図とを照合してもよい。地図を照合することにより、制御部38は、記憶している凹領域の範囲情報を新地図の座標へ変換する。走行の始点が異なると、作成地図の座標原点も変わるため、地図照合で座標変換が必要だからである。これにより走行始点が異なる場合でも、凹領域の範囲を回避可能となる。
第1の実施形態の自律走行型掃除機Sは、走行不能の凹領域が対処されて走行可能となった場合に対して、自律的に凹領域を探索し、走行不能領域の情報を記憶部37から削除する。一方、ユーザが意図的に走行不能領域の情報を削除したいときもある。たとえば、図12に示すように、端末100を用いて、記憶部37に記憶されている地図101を画面に表示する。ユーザが地図101の走行不能領域102,103をタップして指示することにより、自律走行型掃除機Sは、記憶部37から走行不能領域102,103の情報を削除する。
以上のように第1の実施形態の自律走行型掃除機Sは、凹領域に進入して抜け出せない状況を判定して、凹領域の場所および範囲を記憶する。そして、これ以降の走行において、自律走行型掃除機Sは、記憶部37に記憶した凹領域の範囲より大きい回避範囲を回避する。これにより、自律走行型掃除機Sは、走行不能となる状況の発生頻度を低減することができる。
自律走行型掃除機Sは、走行する度に回避範囲を徐々に縮小する。これにより凹領域にスロープなどが設けられて走行可能になった場合、自律走行型掃除機Sは、複数回の走行を経て凹領域の中まで掃除することが可能となる。また、凹領域の位置または広さが変わった時でも、自律走行型掃除機Sは、変化後の凹領域の位置や広さを検出可能となる。
更に自律走行型掃除機Sは、走行中に検出した段差の位置に基づき、凹領域の範囲の情報を修正している。これにより、自律走行型掃除機Sは、正確な凹領域の範囲を取得することができる。
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態に係る自律走行型掃除機Sは、第1の実施形態と同様に構成されている。第2の実施形態で解決する課題について、図13を用いて説明する。
図13は、自律走行型掃除機Sが凸部に乗り上げて走行不能な状況のイメージ図である。
壁70で形成する部屋A10の中に、たとえば、扇風機の台やホットカーペットのリモコン等のような測距センサ12や環境計測センサ2等のセンサで検出できない凸部71が存在する。部屋A10において、自律走行型掃除機Sは、ジグザグ走行で自律的に移動する。走行軌跡72(中心点SPの軌跡)で示したように、自律走行型掃除機Sは、凸部71に乗り上げて、降りられない状況に陥る。この場合、走行軌跡72に示すように、自律走行型掃除機Sは、部屋A10全体をカバーするように走行できず、よって掃除を完遂できない。
そこで、自律走行型掃除機Sが凸部71に乗り上げた場合、自律走行型掃除機Sは凸部71に乗り上げた状況を判定し、凸部71の位置を記憶部37に記憶してから走行を中断させる。その後、ユーザが自律走行型掃除機Sを部屋A10の他の場所に移動させ、掃除を再開させる。自律走行型掃除機Sは、記憶部37に記憶した凸部71を回避することによって、凸部71に乗り上げる状況の発生頻度を低減させる。
自律走行型掃除機Sが物などの凸部に乗り上げて走行不能になる状況を判定し、物の位置を記憶する制御手法を説明する。
図14は、物に乗り上げて走行不能になる状況を判定し、物の位置を記憶する処理のフローチャートである。
ユーザが自律走行型掃除機Sを起動し、掃除を開始させると、図14の処理が開始する。
制御部38は、環境計測センサ2により走行環境の情報を取得し、自己位置判定部35により自律走行型掃除機Sの自己位置推定を開始する(S60)。制御部38は、地図作成部36により走行環境の地図の作成を開始する(S61)。
その後、制御部38は、障害物・段差検出部34により障害物や段差の情報を取得して、移動制御部32により障害物や段差を回避させながら、自律走行型掃除機Sを走行させる(S62)。制御部38は、自身の走行中に物に乗り上げたか否かを判定する(S63)。
自律走行型掃除機Sが物(凸部)に乗り上げると、ホイール落下センサ13のセンサ光が遮られなくなってオンするので、制御部38は、物に乗り上げた状況を検知することができる。また、駆動輪5,6が回転しているが、一定時間経っても自己位置が変わらないときに、制御部38は、物に乗り上げた状況に陥ったと判定してもよい。
ステップS63において、物に乗り上げていないならば(No)、制御部38は、掃除が完遂したかを判定する(S65)。掃除が完遂したかの判定については、地図中の障害物以外の場所をすべて1回以上通過したら掃除が完遂と判定する。掃除が完遂していないと、ステップS62に戻り、走行をし続ける。掃除が完遂すると(Yes)、ステップS66の処理に進む。
ステップS63において物に乗り上げたならば(Yes)、制御部38は、ホイール落下センサ13により検出した物の位置を乗り上げた位置として記憶部37に記憶し(S64)、ステップS66の処理に進む。
ステップS66において、制御部38は、自己位置推定を停止し(S66)、地図作成も停止する(S67)。自己位置推定の結果と地図作成の結果を記憶部37に保存する。最後は、自律走行型掃除機Sの走行を停止させ(S68)、掃除を終了させる。
第2の実施形態の自律走行型掃除機Sは、第1の実施形態と同じように、判定した走行不能の位置の保存の要否について、ユーザに提示し、問い合わせをする機能を備えてもよい。自律走行型掃除機Sは、走行不能の領域を登録するか否かをユーザにより指示してもらう。さらに、自律的に判定した走行不能の位置があれば、修正できる機能を有してもよい。さらに、自律的に判定した走行不能の位置とは別に、地図の任意の場所に、ユーザが走行不能の位置を指示してもよい。
図15Aと図15Bと図15Cは、物(凸部)を回避する制御のフローチャートである。
ユーザが自律走行型掃除機Sを起動し、掃除を開始させると、図15Aの処理が開始する。制御部38は、記憶部37に乗り上げた物の位置情報が保存されているか否かを判定する(S70)。物の位置情報が保存されていないならば(No)、制御部38は、図15CのステップS100に進み、図14に示したフローチャートと同様な処理を行う。
《走行による物の乗り上げの検出》
図15CのステップS100において、制御部38は、環境計測センサ2により走行環境の情報を取得し、自己位置判定部35により自律走行型掃除機Sの自己位置推定を開始する。更に制御部38は、地図作成部36により走行環境の地図の作成を開始する(S101)。
その後、制御部38は、障害物・段差検出部34により障害物や段差の情報を取得して、移動制御部32によって障害物や段差を回避させながら自律走行型掃除機Sを走行させ(S102)、物に乗り上げたか否かを判定する(S103)。
ステップS103において、制御部38は、物(凸部)に乗り上げたと判定したならば(Yes)、乗り上げた物の位置を記憶し(S104)、図15BのステップS90に進む。これにより制御部38は、物の位置を検出して、この情報を記憶することができる。
ステップS103において、制御部38は、物(凸部)に乗り上げていないと判定したならば(No)、ステップS105に進み、掃除が完遂したか否かを判定する。
ステップS105において、制御部38は、掃除が完遂していないならば(No)、ステップS102に戻り、走行を続ける。ステップS105において、制御部38は、掃除が完遂したならば(Yes)、図15BのステップS90に進む。
乗り上げた物の位置情報には、所定の誤差が含まれる。制御部38が記憶した物の位置のみを回避すると、自律走行型掃除機Sは、再び物に乗り上げる可能性がある。よって、制御部38は、乗り上げた物の位置よりも、自己位置推定の誤差分だけ広い範囲を回避することが望ましい。
また、自律走行型掃除機Sは、自己位置を推定するまでに所定の時間が掛かる。自己位置推定の処理周波数をX[Hz]として、自律走行型掃除機Sの走行速度をV[m/s]とする。このとき、一回の自己位置推定時間に、自律走行型掃除機Sは約(V/X)mだけ前進する。
よって、回避範囲は、駆動輪5,6の間隔Dの半分(D/2)と、物(凸部)の位置の推定誤差εと、(V/X)mとを加算した距離dだけ物の位置を拡張するとよい。
以上のように、物の位置よりも回避範囲を広く設定することで、自律走行型掃除機Sが実際の走行不能な位置に乗り上げることを防ぎ、掃除を完遂できなくなるとなる状況の発生頻度をより低下させることができる。
なお、回避範囲を設定せずに、判定した物の位置より大きな領域を、物の領域情報として記憶してもよい。
図15Aに戻り説明を続ける。ステップS71において、制御部38は、回避範囲を設定する。
その後、制御部38は、自己位置推測を開始し(S72)、走行環境の新地図の作成を開始する(S73)。
ステップS74において、制御部38は、移動制御部32により障害物や段差を回避させながら、自律走行型掃除機Sを走行させ、自己位置を常に取得する。そして、制御部38は、自身の走行中に物に乗り上げたか否かを判定する(S75)。
ステップS75において、制御部38は、物に乗り上げたと判定したならば(Yes)、抜け出せない位置を乗り上げた物の位置として記憶部37に記憶し(S76)、図15BのステップS90に進む。
ステップS75において、制御部38は、物に乗り上げていないと判定したならば(No)、自己位置が減速開始線に到達したか否かを判定する(S77)。
ステップS77において、制御部38は、自己位置が減速開始線に到達したならば(Yes)、走行速度を減速し(S78)、床面用測距センサ10a〜10dの閾値を変えて感度を向上させる(S79)。走行速度を減速することによって、自律走行型掃除機Sは、床面用測距センサ10a〜10dで段差を検知した際の制動距離が短くなり、物への乗り上げを防止できる。床面用測距センサ10a〜10dの閾値を変えて感度を向上させることにより、自律走行型掃除機Sは、物をより検出しやすくなる。
次に制御部38は、物や凸部を検知したか否かを判定する(図15BのS80)。制御部38は、物や凸部を検知したならば(Yes)、所定距離だけ後退して(S81)、ステップS83の処理に進む。
ステップS80において、制御部38は、物や凸部を検知していないならば(No)、ステップS82の処理に進む。
ステップS82において、制御部38は、自律走行型掃除機Sが回避動作開始線に到達したか否かを判定する。制御部38は、自律走行型掃除機Sの中心点SPの位置を自己位置として取得する。制御部38は、自己位置と回避動作開始線とを比較し、自己位置が回避動作開始線を跨いだら、回避動作開始線に到達したと判定する。
図17Aに、物に乗り上げた後の1回目の走行の回避動作開始線A7aを示す。図17Bに2回目の走行の回避動作開始線A7bを示す。回避動作開始線A7bは、1回目の走行の回避動作開始線A7aよりも距離Lだけ狭まっている。
図17Cに3回目の走行の回避動作開始線A7cを示す。回避動作開始線A7cは、2回目の走行の回避動作開始線A7bよりも距離Lだけ狭まっている。
図17Dに4回目の走行の回避動作開始線A7dを示す。回避動作開始線A7dは、3回目の走行の回避動作開始線A7cよりも距離Lだけ狭まっている。
図15Bに戻り説明を続ける。ステップS82において、制御部38は、回避動作開始線に到達していないならば(No)、図15AのステップS74の処理に戻り、走行を継続する。制御部38は、回避動作開始線に到達したならば(Yes)、回避動作を実行すると(S83)、ステップS84の処理に進む。このとき、自律走行型掃除機Sは、図16の太破線に示すような旋回動作を実行し、ジグザグ走行を継続する。
図16を用いて、ステップS82,S83の回避動作を説明する。
部屋A10は、壁70に囲まれて形成される。この部屋A10の中には、凸部71が存在する。この凸部71は、例えば扇風機の台やホットカーペットのリモコン等などである。
回避範囲A8は、この凸部71から距離(D/2)である。回避範囲A8から距離(D+D0)/2には、回避動作開始線A7が示されている。回避動作開始線A7から距離Mには、減速開始線B7が示されている。
自律走行型掃除機Sは、直前の走行において凸部71に乗り上げて停止している。この自律走行型掃除機Sは、図16における部屋A10の南東側から1回目の走行を行う。制御部38は、旋回動作の回転半径を(D0/2)に設定する。自律走行型掃除機Sは、旋回動作により走行してきた軌跡から所定の間隔D0だけ離れ、かつ走行方向を逆方向(180度)に変更する。
走行軌跡73は、自律走行型掃除機Sが1回目に走行した際の中心点SPの軌跡である。制御部38は、自律走行型掃除機Sの中心点SPが回避動作開始線A7に差し掛かると、太破線に示す回避動作を行い、凸部71を回避する。制御部38は、回転半径(D0/2)で旋回し、走行してきた軌跡から所定の間隔D0だけ離れ、かつ走行方向を逆方向(180度)に変更するので、回避動作の後にジグザグ走行に復帰できる。以上のようにして、自律走行型掃除機Sは、最終的に部屋A10をカバーするように走行する。
第2の実施形態の回避動作は、第1の実施形態と同じように、回転半径が(D0/2)となる旋回動作である。よって、走行した走行軌跡から所定の間隔D0だけ離れ、走行方向を逆方向(180度)に変更することができ、回避動作が実行したあと、ジグザグ走行に復帰できる。
第2の実施形態の回避動作の実行も、第1の実施形態と同様である。回避時、本体が回避範囲内に進入すると、乗り上げる可能性が高まる。回避範囲に入らせないため、距離Dだけ回避範囲から離れた線を、回避動作開始線として設定する。
図15Bに戻り説明を続ける。ステップS84において、制御部38は、掃除が完遂したかを判定する。掃除が完遂していないならば(No)、制御部38は、図15AのステップS74に戻り、走行を続ける。制御部38は、掃除が完遂したならば(Yes)、ステップS85の処理に進む。
ステップS85において、制御部38は、今回の走行にて物や凸領域を検知したか否かを判定する。制御部38は、物や凸領域を検知していないならば(No)、今回の回避動作開始線を次回の減速開始線に設定し(S86)、今回の回避範囲と回避動作開始線をLだけ狭めると(S87)、ステップS90の処理に進む。
例えば、ユーザが物にスロープ等を配し、または物を除去して、自律走行型掃除機Sが行き来できるようにした場合を考える。自律走行型掃除機Sは、物がなくなったにも関わらず、この物の位置を回避し続ければ、この物およびその周囲の回避範囲を掃除できず、清掃性が低下する。そのため、自律走行型掃除機Sは、物がなくなったことを検知し、物に係る情報を記憶部37から削除することが望ましい。制御部38は、物を検出した後の2回目以降の走行に備えて、ステップS87において次回の回避範囲を狭めている。これにより制御部38は、回避範囲内に物が存在するか否かを探索できる。
ステップS85において、制御部38は、物や凸領域を検知したならば(Yes)、物の位置情報に今回の検知情報をマージし(S88)、物の位置情報に基づいて回避範囲などを再設定すると(S89)、ステップS90の処理に進む。
ステップS90において、制御部38は、自己位置推定を停止する。制御部38は、地図の作成も停止し(S91)、自己位置推定の結果と作成した環境地図とを記憶部37に保存する。制御部38は、自律走行型掃除機Sの走行を停止させると(S92)、掃除を終了させる。
第2の実施形態の自律走行型掃除機Sでは、第1の実施形態と同じように、記憶部37で保存した地図(物に乗り上げた走行の地図)と新地図を照合してもよい。地図照合をすることにより、走行の開始点が異なる場合でも、過去の乗り上げた物を回避可能となる。
制御部38は、物に乗り上げたことを判定して、その位置を記憶する。その後、制御部38は、記憶した物の位置情報を用いて、その周囲に回避範囲を設定する。よって、自律走行型掃除機Sは、過去に乗り上げた物(凸部)の手前で回避動作を実行するので、走行不能となる状況の発生頻度を低減できる。
また、たとえば、扇風機やホットカーペットが取り除かれたにも関わらず、自律走行型掃除機Sが、過去に乗り上げた物の位置を回避し続けると、回避範囲を掃除できないため、清掃性が低下する。そのため、制御部38は、走行する度に回避範囲を徐々に縮小する。そして制御部38は、記憶した凸部や、その回避範囲がないことを検知したならば、その凸部に係る情報を記憶部37から削除する。
以下、図17Aから図17Eまでを用いて、凸部71に係る情報を削除するまでの動作について説明する。
図17Aは、壁70内における自律走行型掃除機Sの、物に乗り上げた後の1回目の走行動作を示している。
走行軌跡74aは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。凸部71は、直前の走行において乗り上げた物の位置を示している。この物は、1回目の走行において除去されている。
回避範囲A8aは、自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、凸部71から距離(D/2)の領域である。回避動作開始線A7aは、1回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示し、回避範囲A8aから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B7aは、1回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示し、回避動作開始線A7aから距離Mだけ離れている。
1回目の走行において自律走行型掃除機Sは、減速開始線B7aに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A7aに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A8aに進入することを抑止できる。
図17Bは、壁70内における自律走行型掃除機Sの、物に乗り上げた後の2回目の走行動作を示している。
走行軌跡74bは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。
回避範囲A8bは、2回目の走行において自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、1回目の走行における回避範囲A8aよりもLだけ狭い領域である。
回避動作開始線A7bは、2回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示している。回避動作開始線A7bは、1回目の走行における回避動作開始線A7aよりもLだけ狭く、かつ回避範囲A8bから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B7bは、2回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示しており、1回目の回避動作開始線A7aと同一の位置である。
2回目の走行において、自律走行型掃除機Sは、減速開始線B7bに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A7bに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A8bに進入することを抑止できる。
図17Cは、壁70内における自律走行型掃除機Sの、物に乗り上げた後の3回目の走行動作を示している。
走行軌跡74cは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。
回避範囲A8cは、3回目の走行において自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、2回目の走行における回避範囲A8bよりもLだけ狭い領域である。
回避動作開始線A7cは、3回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示している。回避動作開始線A7cは、2回目の走行における回避動作開始線A7bよりもLだけ狭く、かつ回避範囲A8cから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B7cは、3回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示しており、2回目の回避動作開始線A7bと同一の位置である。
3回目の走行において、自律走行型掃除機Sは、減速開始線B7cに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A7cに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A8cに進入することを抑止できる。
図17Dは、壁70内における自律走行型掃除機Sの、物に乗り上げた後の4回目の走行動作を示している。
走行軌跡74dは、自律走行型掃除機Sが走行した際の軌跡である。
回避範囲A8dは、4回目の走行において自律走行型掃除機Sが進入を回避すべき領域であり、3回目の走行における回避範囲A8cよりもLだけ狭い領域である。
回避動作開始線A7dは、4回目の走行において自律走行型掃除機Sが回避動作(旋回)を開始する線を示している。回避動作開始線A7dは、3回目の走行における回避動作開始線A7cよりもLだけ狭く、かつ回避範囲A8dから距離(D+D0)/2だけ離れている。
減速開始線B7dは、4回目の走行において自律走行型掃除機Sが減速を開始する線を示しており、3回目の回避動作開始線A7cと同一の位置である。
4回目の走行において、自律走行型掃除機Sは、減速開始線B7dに到達すると、減速して床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。自律走行型掃除機Sは、回避動作開始線A7dに到達すると、回避動作(旋回)を開始するので、回避範囲A8dに進入することを抑止できる。
図17Eは、物に係る情報を消去した後の走行動作を示す図である。
走行によって凸部に係る回避領域が無くなり、回避動作開始線が無くなったならば、記憶部37から凸部の情報は削除される。
距離Lは固定値である。距離Lが小さければ小さいほど、自律走行型掃除機Sは、物に乗り上げるリスクが小さくなる。この距離Lは、床面用測距センサ10aから駆動輪5,6までの距離以下に設定してもよい。床面用測距センサ10aは、物(凸部)を検知できる。前回の走行で床面用測距センサ10aが物(凸部)を検知しない場合、制御部38が、床面用測距センサ10aから駆動輪5,6までの距離だけ回避範囲を縮小して、次の走行を行っても物に乗り上げるリスクが低い。距離Lは走行回数により変化してもよい。たとえば、乗り上げるリスクが低い最初の距離Lを大きめに設定し、徐々に距離Lを減少させるとよい。
自律走行型掃除機Sは、回避領域を縮小しながら走行すると、次第に物に乗り上げるリスクが高くなっていく。物に乗り上げる状況を防止するため、自律走行型掃除機Sは、前回の回避範囲に到着したら減速し、かつ床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させる。床面用測距センサ10a〜10dの感度を向上させることにより、制御部38は、凸部をより検出しやすくなる。また、走行速度を減速することによって、自律走行型掃除機Sは、床面用測距センサ10a〜10dで凸部を検知した際に制動距離が短くなり、より凸部の手前で停止させることができる。
ただし、1回目の走行では前回の回避動作開始線がないため、自律走行型掃除機Sは、距離Mだけ回避範囲に近づくと減速する。この距離Mは、距離Lよりも大きい値に設定されている。
凸部が存在する場合は、床面用測距センサ10a〜10dにより凸部を検知できる。記憶した凸部近傍で、床面用測距センサ10a〜10dが凸部を検知すると、所定の距離を後退して、回避動作(旋回動作)を実行することにより、ジグザグ走行に戻る。回避動作の際に本体が凸部に乗り上げないようにするため、制御部38は、駆動輪5,6の間隔Dの半分(D/2)またはそれ以上後退させることが望ましい。
以上の手段により、凸部がなくなった場合、複数回の走行を経て、その領域まで掃除させることが可能となる。また、凸部の位置が変わったときに対応可能となる。さらに、走行中に床面用測距センサ10a〜10dによって検出した凸部の位置、記憶した凸部の位置にマージして修正してもよい。これにより凸部の位置をより正確に取得することができる。
第2の実施形態の自律走行型掃除機Sは、凸部に乗り上げて走行不能となる状況に対して、自律的に凸部を探索する。ユーザが凸部を除去した場合、自律走行型掃除機Sは、凸部が無くなったことを検知して、凸部の位置情報を削除する。
一方、ユーザが意図的に走行不能な領域を削除したいときもある。第1の実施形態で記述したように、ユーザが端末を経由し、記憶した地図を呼び出して、走行不能領域を削除する機能を備えてもよい。
以上のように第2の実施形態の自律走行型掃除機Sは、物(凸部)に乗り上げて走行不能になる状況を判定し、その物の位置情報を記憶する。自律走行型掃除機Sは、次回からの走行において、記憶した物の位置より広い範囲を回避するので、走行不能となる状況の発生頻度を低減することができる。
自律走行型掃除機Sは、走行する度に回避範囲は徐々に縮小する。これにより物(凸部)が除去された場合、自律走行型掃除機Sは、複数回の走行を経て、除去された物が在った領域まで掃除させることが可能となる。また、凸部の位置が変わったときも、自律走行型掃除機Sは、変化後の凸部の位置を検知可能となる。
更に自律走行型掃除機Sは、走行中に検出した凸部の位置に基づき、凸部の位置や範囲情報を修正してもよい。これにより、自律走行型掃除機Sは、正確な凸部の位置や範囲を取得することができる。
本発明では、走行不能な状況を判定し、その位置および領域を記憶させている。そして、次回からの走行においては、記憶した走行不能な位置および領域より大きな回避範囲を設定し、回避動作を行うことにより、走行不能の発生リスクを低減することがきる。
さらに、回避範囲を徐々に縮小していくことにより、複数回の掃除を経て、その領域まで掃除させることが可能となる。また、走行不能な位置および領域が変わったときも対応可能となる。
さらに、検出した走行不能な位置および領域を参考とし、記憶した位置および領域を修正することより、正確な位置および領域を取得することができる。
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) 走行停止した状況は、上記実施形態に限定されない。例えば上下が狭い場所に挟まって走行停止した状況、コードや紐等が駆動輪5,6や回転ブラシ7、サイドブラシ8a,8bに絡みついて走行停止した状況、絨毯を吸い込んで回転ブラシ7が回転できない等の状況に対して、本発明の手段で対応してもよい。
(b) 第1、第2の実施形態では、各種の走行不能の状況に対して、それぞれに対応する手段を記述したが、同じ処理フローで、各種の走行不能の状況を同時に処理してもよい。
(c) 本発明は自律走行型掃除機に限られず、自立走行する任意の移動体に適用してもよい。
S 自律走行型掃除機
1 本体ケース
1s 下ケース
2 環境計測センサ
3 バンパシェード
4 集塵ケース
5,6 駆動輪
7 回転ブラシ
8a,8b サイドブラシ
9 吸引ファン
10,10a〜10d 床面用測距センサ
11s バンパセンサ
11f バンパフレーム
12 測距センサ
13 ホイール落下センサ
14 補助輪
31 移動部
32 移動制御部
33 清掃部
34 障害物・段差検出部
35 自己位置判定部
36 地図作成部
37 記憶部
38 制御部
39 通信部
41 位置
42 点
50 壁
51 段差
52 走行軌跡
55 走行軌跡
56 破線
57 実線
58a〜58e 走行軌跡
70 壁
71 凸部
72 走行軌跡
74a〜74e 走行軌跡
100 端末 (外部端末)
101 地図
102,103 走行不能領域
104 保存ボタン
105 削除ボタン
A1 凹領域
A2 部屋
A3,A3a〜A3d 回避範囲
A4,A4a〜A4d 回避動作開始線
A5 回避動作開始線
A6 回避範囲
A7,A7a〜A7d 回避動作開始線
A8,A8a〜A8d 回避範囲
B4,B4a〜B4d 減速開始線
B7,B7a〜B7d 減速開始線
B5 減速開始線

Claims (14)

  1. 自身を走行させる移動部と、
    走行環境の情報を取得する環境計測センサと、
    前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成する地図作成部と、
    前記地図作成部が作成した前記地図を記憶する記憶部と、
    前記環境計測センサが取得した情報と前記地図に基づいて、自己の位置を判定すると共に、自身が走行不能な状況であるか否かを判定し、前記状況を判定した位置および/または領域を記憶させる自己位置判定部と、
    を備えることを特徴とする自律走行型移動体。
  2. 自身を走行させる移動部と、
    床面を清掃する清掃部と、
    走行環境の情報を取得する環境計測センサと、
    前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成する地図作成部と、
    前記地図作成部が作成した前記地図を記憶する記憶部と、
    前記環境計測センサが取得した情報と前記地図に基づいて、自己の位置を判定すると共に、自身が走行不能な状況であるか否かを判定し、前記状況を判定した位置および/または領域を記憶させる自己位置判定部と、
    を備えることを特徴とする自律走行型掃除機。
  3. 前記自己位置判定部が走行不能な状況を判定した後の初回の走行において、前記移動部は、前記位置および/または前記領域よりも広い範囲を回避するように、自身を走行させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の自律走行型掃除機。
  4. 前記自己位置判定部が走行不能な状況を判定した後の初回の走行において、前記移動部は、前記位置および/または前記領域から所定の距離に到達したならば、回避動作を開始する、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の自律走行型掃除機。
  5. 障害物または/および段差を検出する障害物・段差検出部を更に備え、
    前記自己位置判定部が走行不能な状況を判定した後の走行において、前記障害物・段差検出部が前記位置および/または前記領域に関する障害物または/および段差を検出しなかったならば、前記移動部は、その次の走行において回避動作を開始する線の間隔を狭める、
    ことを特徴とする請求項4に記載の自律走行型掃除機。
  6. 次の走行において回避動作を開始する線の間隔を狭める距離は、前記自律走行型掃除機の車輪から前記障害物・段差検出部までの距離よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項5に記載の自律走行型掃除機。
  7. 前記自己位置判定部が走行不能な状況を判定した後の走行において、前記障害物・段差検出部が前記位置および/または前記領域に関する障害物または/および段差を検出したならば、前記移動部は、前記位置および/または前記領域を更新する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の自律走行型掃除機。
  8. 前記障害物・段差検出部は、前記移動部が回避動作を開始するよりも前に、障害物または段差を検出する感度を向上させる、
    ことを特徴とする請求項5に記載の自律走行型掃除機。
  9. 前記移動部は、減速した後に回避動作を開始する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の自律走行型掃除機。
  10. 前記移動部は、次の走行において回避する範囲を狭めた結果、当該範囲が消失したならば、前記す部に記憶された前記位置および/または前記領域を削除する、
    ことを特徴とする請求項5の自律走行型掃除機
  11. 前記状況を判定した位置および/または領域を外部端末に送信し、前記外部端末から前記位置および/または前記領域の記憶指示を受信する通信部、
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の自律走行型掃除機。
  12. 前記状況を判定した位置および/または領域を外部端末に送信し、前記外部端末から前記位置および/または前記領域の削除指示を受信する通信部、
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の自律走行型掃除機。
  13. 自身を走行させる移動部と、
    床面を清掃する清掃部と、
    走行環境の情報を取得する環境計測センサと、
    制御部と、を備える自律走行型掃除機の制御方法であって、
    前記制御部が、前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成するステップ、
    前記環境計測センサの情報と前記地図に基づいて自己の位置を判定するステップ、
    自身が走行不能な状況であるか否かを判定するステップ、
    前記状況を判定した位置および/または領域を記憶部に記憶させるステップ、
    を実行することを特徴とする自律走行型掃除機の制御方法。
  14. 自身を走行させる移動部と、
    床面を清掃する清掃部と、
    走行環境の情報を取得する環境計測センサと、を備える自律走行型掃除機に、
    前記環境計測センサの情報に基づいて走行環境の地図を作成する工程、
    前記環境計測センサの情報と前記地図に基づいて自己の位置を判定する工程、
    自身が走行不能な状況であるか否かを判定する工程、
    前記状況を判定した位置および/または領域を記憶部に記憶させる工程、
    を実行させるためのプログラム。
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