JP2020189895A - 潤滑剤用の疲労寿命向上剤として有用なポリマー - Google Patents

潤滑剤用の疲労寿命向上剤として有用なポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑油組成物が燃料経済性のためにより優れている低粘度を有する場合でさえも、変速機、エンジンまたは液圧ポンプにおけるような金属部品の耐疲労性を改善する、潤滑油組成物において使用するためのポリマー、そのようなポリマーを製造する方法およびそのようなポリマーを含む潤滑油組成物ならびにポリマーの使用。【解決手段】そのようなポリマーは、単官能性の連鎖移動剤(式(II))または多官能性の連鎖移動剤(式(III))を使用して製造された極性官能基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー、そのようなポリマーを製造する方法およびそのようなポリマーを含む潤滑油組成物に関する。本発明は、燃料経済性を必要としている低粘度潤滑油、例えば変速機油、ギヤ油、エンジン油または作動油における疲労寿命向上剤としての該ポリマーの使用にも関する。
本発明は潤滑の分野に関する。潤滑剤は、表面間の摩擦を低下させる組成物である。2つの表面間の自由な運動を可能にし、かつ該表面の機械的摩耗を低下させることに加えて、潤滑剤はまた、該表面の腐食を抑制することができ、および/または該表面の熱または酸化による損傷を抑制することができる。潤滑油組成物の例は、エンジン油、変速機油、ギヤ油、工業用潤滑油、グリースおよび金属加工油を包含するが、しかしこれらに限定されない。
典型的な潤滑油組成物は、ベースフルードおよび任意に1種以上の添加剤を含む。従来のベースフルードは、炭化水素、例えば鉱油である。用語ベースオイルまたはベースフルードは普通同義に使用される。ここで、ベースフルードは、一般的な語として使用される。
多種多様な添加剤を、該ベースフルードと、該潤滑剤の意図される使用に応じて組み合わせてよい。潤滑剤添加剤の例は、粘度指数向上剤、増粘剤、酸化防止剤、腐食抑制剤、分散剤、極圧添加剤、泡消し剤および金属不活性化剤を包含するが、しかしこれらに限定されない。
潤滑油製造者および自動車工業における相手先商標製品製造業者(OEMs)の目下最大の挑戦は、ますます厳しくなる燃料経済性もしくは燃費という目標である。ハードウェアの変化にもかかわらず、該潤滑剤の油粘度を低下させ、ひいては高温で潤滑膜をより薄くすることも、1つの手段である。この傾向の結果は、殊に変速機およびころ軸受における損傷レベルの増大である。
変速機の設計は、全ての滑りおよび転がり接触部位、すなわち伝動装置およびころ軸受が、全ての操作段階において十分に潤滑されることを保証しなければならない。損傷は、過剰な局部応力の結果であり、かつ該変速機の金属表面で、殊に伝動装置およびころ軸受で、2つの作用が生じうる:
1.連続的な表面材料の除去またはスカッフィングから生じる、摩擦対双方の表面摩耗後の急激な材料除去の結果としての摩耗
2.グレー・ステイニング(表面疲労、マイクロピッチング)またはクレータ(表面下疲労、ピッチング)によって目に見えるようになる疲労。この損傷は、金属格子中のせん断応力によって、表面下20〜40μmまたは100〜500μmで生じるき裂のために、材料がはがれ落ちるか、または折損されることにより引き起こされる。
グレー・ステイニング(マイクロピッチング)は、金属格子中の微小き裂と共に表面下20〜40μmで始まる。該き裂は、表面に伝播し、かつグレー・ステイニングとして目に見える材料のはがれ落ちをまねく。伝動装置の場合に、マイクロピッチングは、優先的に滑り接触の領域に起こる。
クレータ形成は、全ての速度範囲で観察されうる疲労損傷である。該損傷は、金属格子中のき裂と共に100〜500μmの深さで始まり、これが表面に伝播し、かつ材料の折損をまねいてクレータが生じる。歯車については、該損傷は優先的に、歯面の中央で、ころ軸受においては軌道輪上で発生する。
国際公開第2009/019065号(WO2009/019065)には、改善された抗疲労特性を有する極性および無極性のセグメントを有するポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)が記載されている。該極性ポリマーセグメントは、窒素含有モノマー単位から構成される。国際公開第2009/019065号には、ブロック状構造、すなわちそのポリマーの一端での極性基の集中が、該極性基の統計学的またはランダムな分布を有するポリマーの性能よりも優れていることが教示されている。
特開2018−16798号公報(JP 2018-16798)には、摩擦調整剤としてポリ(アルキレングリコール)含有PAMAの使用が記載されている。疲労挙動には触れていない。該ポリマーは、全く連鎖移動剤を使用せずに製造される。
欧州特許出願公開第2514774号明細書(EP2514774A1)および欧州特許出願公開第2336206号明細書(EP2336206A1)には、燃料油の低温特性を改良するためのポリ(アルキレングリコール)含有PAMAの使用が記載されている。該ポリマーは、全く連鎖移動剤を使用せずに製造され、殊に、硫黄含有連鎖移動剤が望ましくないことを言及している。
米国特許第3337516号明細書(US3337516A)には、潤滑エンジン油における清浄剤および耐摩耗添加剤としてのポリ(アルキレングリコール)含有油溶性ポリマーの使用が記載されている。記載された構造は、燃料燃焼副生物を可溶化し、ひいてはエンジンデポジットおよび摩耗に対して保護する。歯車の疲労損傷には触れていない。
特開2006−307042号公報(JP2006-307042)には、燃料油用のポリ(アルキレングリコール)系潤滑性向上剤の使用が記載されている。硫黄含有連鎖移動剤は使用されず、かつ歯車およびローラの疲労損傷は該特許公開公報で触れていない。
国際公開第2009/019065号 特開2018−16798号公報 欧州特許出願公開第2514774号明細書 欧州特許出願公開第2336206号明細書 米国特許第3337516号明細書 特開2006−307042号公報 国際公開第96/30421号 国際公開第97/47661号 国際公開第98/40415号 国際公開第98/01478号 国際公開第2004/083169号
Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第6版 J.-S. Wang, et al., J. Am. Chem. Soc, vol. 117, p. 5614-5615 (1995) Matyjaszewski, Macromolecules, vol. 28, p. 7901-7910 (1995)
したがって、本発明の課題は、潤滑剤組成物が燃料経済性にとってより優れている低粘度を有する場合でさえも、変速機、エンジンまたは液圧ポンプにおけるような金属部品の耐疲労性を改善する、潤滑剤組成物において使用するためのポリマーを提供することであった。
驚くべきことに、請求項1に定義されたような、単官能性の連鎖移動剤(式(II))または多官能性の連鎖移動剤(式(III))を使用して製造された極性官能基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)が、変速機、エンジンまたは液圧ポンプ用の潤滑剤組成物において使用される場合に、連鎖移動剤(CTA)を使用せずに製造されたPAMAに比べて、改善された耐疲労性を示すことが見出された。
したがって、本発明の第1の態様は、請求項1およびその従属請求項に定義されるポリマーである。
本発明の第2の態様は、そのようなポリマーを製造する方法である。
本発明の第3の態様は、本発明による少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種のベースフルードとを含む潤滑油組成物である。
本発明の第4の態様は、金属歯車または金属ころ軸受の耐疲労性を改善するための、潤滑油組成物におけるそのようなポリマーの使用である。
本発明のポリマー
本発明の第1の態様によれば、本発明は、
(a)式(I)
Figure 2020189895
[式中、
、R=H
=HまたはCH
X=OまたはNH
O=それぞれ独立して、炭素原子2〜4個を有するアルキレンオキシ基
=HまたはCH
p=1〜90、好ましくは1〜30、よりいっそう好ましくは1〜23]
の1種以上のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレート、
(b)任意に、1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート、
(c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート、
(d)任意に、1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート
を含むモノマー組成物を重合することによって得ることができる、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーに関し、
ここで、該ポリマーが、5000〜30000g/molの質量平均分子量を有し、かつ
該ポリマーが、式(II)
Figure 2020189895
[式中、
は、HまたはCHであり
は、炭素原子1〜18個を有する線状または分岐状のアルキル基、または式(III)
Figure 2020189895
の構造からなる群から選択される]
の1種以上の連鎖移動剤を使用して製造される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを製造するためのモノマー組成物は、該モノマー組成物の全質量に対して、
(a)式(I)のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートモノマー単位 1〜20質量%
(b)1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート 0〜5質量%、
(c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート 80〜99質量%、
(d)1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート 0〜20質量%
を含む。
本発明のより好ましい実施態様によれば、本発明のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを製造するためのモノマー組成物は、該モノマー組成物の全質量に対して、
(a)式(I)のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートモノマー単位 2〜12質量%
(b)1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート 0.1〜2質量%、
(c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート 86〜97.9質量%、
(d)1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート 0〜20質量%
を含む。
本発明のよりいっそう好ましい実施態様によれば、本発明のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを製造するためのモノマー組成物は、該モノマー組成物の全質量に対して、
(a)式(I)のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートモノマー単位 3〜10質量%
(b)1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート 0.1〜2質量%、
(c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート 88〜96.9質量%、
(d)1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート 0〜20質量%
を含む。
好ましくは、該ポリマーを製造するための上記で示されるモノマーa)〜d)の量は、該モノマー組成物の全質量に対して、合計で100質量%になる。
本発明によれば、該ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーは、好ましくは5000〜25000g/mol、より好ましくは8000〜22000g/mol、よりいっそう好ましくは10000〜20000g/molの質量平均分子量を有する。
請求項に係るポリマーの質量平均分子量は、標準としてポリスチレンおよび溶離液としてTHFを使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。
本発明によれば、該ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーは好ましくは1.5〜3、より好ましくは1.5〜2.5、およびよりいっそう好ましくは1.6〜2.0のPDIを有する。
本発明の好ましい実施態様において、本発明のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを製造するのに使用される式(II)の1種以上の連鎖移動剤の全量は、該モノマー組成物の全質量に対して、1〜10質量%、好ましくは2〜6質量%である。
本発明の好ましい別の実施態様において、該連鎖移動剤は、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
上記のとおり、式(I)の1種以上のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートに対応するモノマーa)に加えて、本発明によるポリマーを製造するためのモノマー組成物は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーb)、c)およびd)も含む。
用語アルキル(メタ)アクリレートは、アルキルメタクリレートおよびアルキルアクリレートならびにそれらの混合物を包含する。これらのモノマーは、当該技術において周知である。該エステル化合物のアルキル基は、線状、環状または分岐状であってよい。該モノマーは、個々に、または異なるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの混合物として、使用することができる。
本発明の一態様によれば、1種以上のアルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位(b)は、式(IV)
Figure 2020189895
[式中、Rは、水素またはメチルであり、Rは、炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜5個、より好ましくは1〜3個を有する線状、分岐状または環状のアルキル基を意味する]の1種以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位を含んでいてよい。
式(IV)によるモノマーの例は、とりわけ、飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレートおよびヘキシル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートである。好ましくは、該ポリマーは、メチルメタクリレートに由来する単位を含む。
本発明の別の態様によれば、1種以上のアルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位(c)は、式(V)
Figure 2020189895
[式中、Rは、水素またはメチルであり、Rは、炭素原子7〜15個を有する線状、分岐状または環状のアルキル基を意味する]の1種以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位を含んでいてよい。
成分(V)の例は、とりわけ、飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート;不飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えばオレイル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば環置換基を有するシクロヘキシル(メタ)アクリレート、例えばtert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびトリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレートを含む。
さらに、本発明の別の態様によれば、1種以上のアルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位(d)は、式(VI)
Figure 2020189895
[式中、Rは、水素またはメチルであり、Rは、炭素原子16〜30個を有する線状、分岐状または環状のアルキル基を意味する]の1種以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位を含んでいてよい。
成分(VI)の例は、とりわけ、飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えばヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを包含する。
さらなるモノマー
好ましくは、該モノマー組成物はさらに、モノマー(a)〜(d)に加えて、さらなるモノマー(モノマー(e))を含む。
本発明に従って使用できるさらなるモノマーは、炭素原子8〜17個を有するスチレンモノマー、アシル基中に炭素原子1〜11個を有するビニルエステル、アルコール基中に炭素原子1〜10個を有するビニルエーテル、分散性窒素官能化モノマー、複素環式(メタ)アクリレート、複素環式ビニル化合物、共有結合したリン原子を含有するモノマー、エポキシ基を有するモノマーおよびハロゲンを有するモノマーからなる群から選択される。
炭素原子8〜17個を有する適切なスチレンモノマーは、スチレン、アルキル置換基を側鎖に有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、アルキル置換基を環上に有する置換スチレン、例えばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン類、ジクロロスチレン類、トリブロモスチレン類およびテトラブロモスチレン類、ニトロスチレンからなる群から選択され;その際にスチレンが好ましい。
アシル基中に炭素原子1〜11個を有する適切なビニルエステルは、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル;好ましくはアシル基中に炭素原子2〜9個、より好ましくは2〜5個を有するビニルエステルからなる群から選択され、ここで、該アシル基は、線状または分岐状であってよい。
アルコール基中に炭素原子1〜10個を有する適切なビニルエーテルは、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル;好ましくはアルコール基中に炭素原子1〜8個、より好ましくは1〜4個を有するビニルエーテルからなる群から選択され、ここで、該アルコール基は、線状または分岐状であってよい。
分散性窒素官能化モノマーに由来する適切なモノマーは、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される。
適した複素環式(メタ)アクリレートは、2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノンからなる群から選択される。
適した複素環式ビニル化合物は、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルオキサゾール類および水素化ビニルオキサゾール類からなる群から選択される。
共有結合したリン原子を含有するモノマーは、2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルホスファト)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィト)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジエチルホスホネート、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジプロピルホスホネート、3−(ジメチルホスファト)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(エチレンホスフィト)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルジエチルホスホネート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルジプロピルホスホネートおよび2−(ジブチルホスホノ)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
エポキシ基を有する適切なモノマーは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アリルエーテル等である。
ハロゲンを有する適切なモノマーは、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリルおよびハロゲン化スチレン(例えばジクロロスチレン)等である。
好ましくは、該モノマー組成物は、該モノマー組成物の全質量に対して、モノマー(e)として、0〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、よりいっそう好ましくは0.2〜3質量%を含む。
好ましくは、該ポリマーを製造するための上記で示されるモノマーa)〜e)の量は、該モノマー組成物の全質量に対して、合計で100質量%になる。
本発明の方法
別の態様によれば、本発明は、上記で定義されるポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを製造する方法にも関し、該方法は、次の工程:
(i)請求項1およびその従属請求項に定義されるモノマー組成物を用意する工程、
(ii)該モノマー組成物のラジカル重合を開始させて、ランダムコポリマーを得る工程
を含む。
標準のフリーラジカル重合は、とりわけ、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第6版に詳述されている。本発明によれば、請求項1に定義される式(II)の連鎖移動剤は、このために使用される。
ATRP法自体は公知である。これは“リビング”フリーラジカル重合であるとみなされるが、しかしその機構の説明は限定することを意図するものではない。これらの方法において、遷移金属化合物は、移動可能な原子団を有する化合物と反応される。これは、移動可能な原子団の該遷移金属化合物への移動を包含し、その結果として該金属は酸化される。この反応は、エチレン基へ付加するフリーラジカルを形成する。しかしながら、該原子団の該遷移金属化合物への移動は可逆的であり、こうして該原子団は、成長するポリマー鎖へ移動して戻り、これが制御重合系の形成となる。それに応じて、該ポリマーの形成、分子量および分子量分布を制御することが可能である。
このATRP反応操作は、例えば、J.-S. Wang, et al., J. Am. Chem. Soc, vol. 117, p. 5614-5615 (1995)、Matyjaszewski, Macromolecules, vol. 28, p. 7901-7910 (1995)に記載されている。加えて、国際公開第96/30421号(WO 96/30421)、国際公開第97/47661号(WO 97/47661)、国際公開第97/18247号(WO 97/18247)、国際公開第98/40415号(WO 98/40415)および国際公開第99/10387号(WO 99/10387)の特許出願公開明細書には、上記で説明したATRPの変型が開示されている。加えて、本発明のポリマーは、例えば、RAFT法によって得ることもできる。この方法は、例えば、国際公開第98/01478号(WO 98/01478)および国際公開第2004/083169号(WO 2004/083169)に、詳細に記載されている。
該重合は、標準圧力、減圧または高められた圧力下で実施することができる。重合温度も重要ではない。しかしながら、重合温度は概して−20〜200℃、好ましくは50〜150℃およびより好ましくは80〜130℃の範囲内である。
本発明によれば、重合工程(ii)は、請求項1に定義される式(II)の連鎖移動剤の添加を含む。該連鎖移動剤は、油溶性メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2−メルカプトエタノール、またはそれらの混合物;テルペンの種類からの連鎖移動剤、例えばテルピノレンからなる群から選択される。特に好ましいのは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、またはそれらの混合物の添加である。
本発明によれば、式(II)の1種以上の連鎖移動剤の全量は、該モノマー組成物の全質量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜6質量%である。
該製造方法の重合工程(ii)は、ラジカル開始剤の不在下または存在下で行うことができる。好ましくは、工程(ii)は、全くラジカル開始剤なしで行われる。
ラジカル開始剤が使用される場合には、適したラジカル開始剤は、例えば、アゾ開始剤、例えばジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)および1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル;およびペルオキシ化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、tert−ブチルペルオクトエートである。
好ましくは、該ラジカル重合の全反応時間は、2〜10時間、より好ましくは3〜9時間である。
本発明の潤滑油組成物
上記で示されるとおり、本発明は、1種以上のベースフルードと、本発明による1種以上のポリマーとを含む潤滑油組成物にも関する。
該ベースフルードは、それらの使用に適合された/意図される使用に応じて選択された潤滑剤ベースフルード、鉱油、合成油または天然油、動物油または植物油に相当する。
本発明による潤滑油組成物を配合するのに使用されるベースフルードは、例えば、グループI、グループII、グループIII、グループIVおよびグループVとしての公知のAPI(アメリカ石油協会)ベースストックカテゴリーから選択される従来のベースストックを包含する。グループIおよびIIベースストックは、120未満の粘度指数(またはVI)を有する鉱油材料(例えばパラフィン系およびナフテン系油)である。グループIはさらに、グループIIとは、後者が、90%以上の飽和材料を含有し、かつ前者が、90%未満の飽和材料を含有する(すなわち10%以上の不飽和材料である)点で区別される。グループIIIは、120以上のVIおよび90%以上の飽和分レベルを有する最高レベルのミネラルベースオイルとみなされる。好ましくは、本発明の潤滑油組成物中に包含されるベースフルードは、APIグループIIおよびIIIベースフルードからなる群から選択される。最も好ましくは、該潤滑油組成物は、APIグループIIIベースフルードを含む。グループIVベースフルードは、ポリ−α−オレフィン(PAO)である。グループVベースフルードは、エステルと、グループI〜IVベースフルードに包含されない他の全てのベースフルードである。これらのベースフルードは、個々にまたは混合物として使用することができる。
本発明の好ましい実施態様において、該潤滑油組成物は、該潤滑油組成物の全質量に対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.5〜6質量%、よりいっそう好ましくは1〜5質量%、最も好ましくは2〜4質量%の、本発明による少なくとも1種のポリマーを含む。
本発明によるポリマー、ベースフルード、本発明の方法について上記で示された特性および好ましさの全てが、該潤滑油組成物に当てはまる。
さらなる添加剤
本発明による潤滑油組成物はさらに、該配合物における使用に適している他の任意のさらなる添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、抗乳化剤、消泡剤、潤滑性添加剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、清浄剤、染料、腐食抑制剤および/または付臭剤を包含する。
疲労寿命向上剤としての本発明によるポリマーの使用
本発明は、金属歯車または金属ころ軸受の耐疲労性を改善するための潤滑油組成物における添加剤としての、上記で定義されたポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの使用にも関する。
本発明の一態様によれば、該潤滑油組成物は、変速機油、ギヤ油、エンジン油または作動油、より具体的には、自動変速機油、手動変速機油、無段変速機油、デュアルクラッチ変速機油、ハイブリッド専用変速機油、ギヤ油配合物、工業用ギヤ油配合物、車軸油、エンジン油配合物または作動液である。
実験の部
本発明は、以下に、実施例および比較例を参照して詳細にさらに説明されるが、本発明の範囲を限定することを何ら意図するものではない。
定義および省略形
用語“C12〜15アルキル(メタ)アクリレート”は、(メタ)アクリル酸および炭素原子12〜15個を有する直鎖または分岐状のアルコールのエステルを指す。該用語は、特定の長さのアルコールとの個々の(メタ)アクリル酸エステル、および同様に異なる長さのアルコールとの(メタ)アクリル酸エステルの混合物を包含する。
ATF 自動変速機油
AMA C−アルキルメタクリレート=メチルメタクリレート(MMA)
12/15AMA C12/15アルキルメタクリレート(60%イソ化合物)
CTA 連鎖移動剤
R7=(III)であるCTA(II) 1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(式(III)に相当するR7である式(II)のCTA)
DI 分散剤−抑制剤
DDM ドデシルメルカプタン
HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
開始剤 ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
IPA イソプロピルアルコール
KV40 40℃での動粘度、ASTM D445に従って測定
KV100 100℃での動粘度、ASTM D445に従って測定
p=23であるモノマー(a) メトキシポリエチレングリコールメタクリレート
数平均分子量
MPR マイクロピッチング試験装置
質量平均分子量
OEM 相手先商標製品製造業者
PAMA ポリアルキル(メタ)アクリレート
PDI 多分散指数、M/Mによって計算される分子量分布
t−BPO tert−ブチルペルオキシド
t−DDM tert−ドデシルメルカプタン
VI 粘度指数、ASTM D2270に従って測定
Yubase 3 2.9cStのKV100を有するSK Lubricants製のグループIIIベースオイル
Yubase 4 4.2cStのKV100を有するSK Lubricants製のグループIIIベースオイル
試験方法
本発明および比較例によるポリマーを、それらの分子量およびPDIに関して特性決定した。該ポリマーの分子量は、商業的に入手可能なポリスチレン(PSt)標準を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定した。該決定は、溶離液としてTHFを使用するサイズ排除クロマトグラフィーにより行われる(流量:1mL/分;注入量:100μL)。
本発明および比較例によるポリマーを含む添加剤組成物を、ASTM D 2270によるそれらの粘度指数(VI)、ASTM D445による40℃(KV40)および100℃(KV100)での動粘度に関して特性決定した。
合成
数種のポリマーを、抗疲労寿命向上剤として潤滑油中の該ポリマーの有効性を実証するために合成した。詳細な組成の情報は、第1表に見出すことができる。合成したポリマーの分子量MおよびMおよびPDIも測定し、第1表に見出すことができる。
プロセス1(実施例2、3および4)
冷却器、撹拌機および熱電対を備えた4つ口ガラス製丸底フラスコに、第1表に示されたモノマーと、CTAと、溶媒とからなるモノマー混合物を装入した。該モノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間110℃に加熱した。
全開始剤の2質量%を、該フラスコに60分にわたって添加した。ついで、全開始剤フィード混合物の25質量%を、60分にわたって該フラスコに添加した。その後、残りの開始剤フィード混合物を、該フラスコに60分にわたって添加した。
該フィード終了の60および120分後に、tBPO 0.19gを該フラスコに添加した。反応混合物を、110℃で180分間保持し、ついでトルエンを真空下に120℃で除去し、実施例2、3および4を得た。
プロセス2(比較例1)
冷却器、撹拌機および熱電対を備えた4つ口ガラス製丸底フラスコに、第1表中の比較例1に示されたイソプロピルアルコールを装入し、窒素ガス雰囲気下に30分間80℃に加熱した。モノマーと、開始剤とからなるモノマー混合物を、該フラスコに180分にわたって供給した。該フィード終了の60分後に、イソプロピルアルコールを真空下に80℃で除去して比較例1を得た。
第1表:実施例および比較例の組成。
Figure 2020189895
開始剤、CTA、トルエンおよびIPA量は、全モノマー量に対して計算される。
** ポリスチレン校正によるSEC。
疲労寿命向上剤の評価
潤滑剤配合物
本発明によるポリマーの耐疲労性能を比較するために、配合物を、本発明によるポリマー3質量%、ATF DIパッケージ7.25質量%の処理率で製造し、かつ4.4cStのKV100に調節した。2種のベースフルードを、KV100をそのレベルに調節するのに使用した(Yubase 3およびYubase 4)。全ての配合物および粘度特性の概要は、第2表に見出すことができる。
第2表:耐疲労特性を決定するのに使用される配合物の概要。
Figure 2020189895
耐疲労性能の決定:
該耐疲労性の測定を、PCS Instruments製マイクロピッチング試験装置(MPR)を使用して行った。該装置は、3つのリングにより取り囲まれたローラ試験片からなる。
該装置は、速度、荷重、温度および滑り率のセットアップを可能にする搭載プロセッサにより操作される。その試験槽を油150mLで充填する。
該試験片、つまり該ローラと、該リングとは、それぞれ0.2および0.4μmの平均粗さを有するSAE 52100軸受鋼製である。これは、該ローラ試験片の表面疲労の迅速な形成を可能にする。
加速度計は、該試験槽の上部に配置され、かつ該試験にわたる振動を記録する。ついで、表面疲労の形成は、振動の増加により変換することができる。
試験条件は、次の第3表に記載される:
第3表:該耐疲労性を評価するためのプロトコルの記述。
Figure 2020189895
該振動は、該試験の全期間にわたり記録される。
該耐疲労性を数として表現することができる、定量化できる結果は、次のとおり得られる:
台形公式を使用する試験期間の範囲内の振動値の曲線の積分。該積分面積は、全試験期間にわたる“全損傷”に相当する。その面積が小さいほど、試験された生成物の耐疲労効果はより大きくなる。
決定された面積、およびそれから計算された耐疲労性の参考油に対するパーセンテージは、第4表にまとめられている:
第4表:疲労の低下の定量的な評価。
Figure 2020189895
第4表は、該振動曲線下の全面積が、実施例2、3および4について、比較例1に比べてはるかに低いことを示している。このことは、該モノマー組成物を本発明により定義される連鎖移動剤との組み合わせで使用して製造された実施例2、3および4のポリマーが、耐疲労性の最良の性能を示すことを意味する。このことは、HEMAを使用し、かつ連鎖移動剤を使用しない比較例1に対する耐疲労性の改善のパーセンテージ、すなわち、耐疲労性の32.2〜59.2%の改善にも示されている。
実施例2および3は、HEMAおよび請求項1に定義される式(II)の連鎖移動剤の組み合わせが、耐疲労性、すなわちそれぞれ32.2および44.6%の改善をもたらすことを示している。請求項1に定義される式(I)のモノマーおよび式(II)の連鎖移動剤の組み合わせも、比較例1の耐疲労性よりも優れている。
本発明によるポリマーは、金属歯車または金属ころ軸受を疲労損傷から効率的に保護することを可能にするものであり、これは潤滑油組成物が、達成することすら困難な4.4cStという低いKV100を有する場合でさえも可能である。

Claims (14)

  1. (a)式(I)
    Figure 2020189895
    [式中、
    、Rは、Hであり、
    は、HまたはCHであり、
    Xは、OまたはNHであり、
    Oは、それぞれ独立して、炭素原子2〜4個を有するアルキレンオキシ基であり、
    は、HまたはCHであり、
    pは、1〜90、好ましくは1〜30、よりいっそう好ましくは1または23である]
    の1種以上のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレート、
    (b)任意に、1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート、
    (c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート、
    (d)任意に、1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート
    を含むモノマー組成物を重合することにより得られる、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーであって、
    前記ポリマーが、5000〜30000g/molの質量平均分子量を有し、かつ
    前記ポリマーが、式(II)
    Figure 2020189895
    [式中、
    は、HまたはCHであり、
    は、炭素原子1〜18個を有する線状または分岐状のアルキル基、または式(III)
    Figure 2020189895
    の構造からなる群から選択される]
    の1種以上の連鎖移動剤を使用して製造される、前記ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  2. 前記モノマー組成物が、前記モノマー組成物の全質量に対して、
    (a)式(I)のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートモノマー単位 1〜20質量%
    (b)1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート 0〜5質量%、
    (c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート 80〜99質量%、
    (d)1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート 0〜20質量%
    を含む、請求項1に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  3. 前記モノマー組成物が、前記モノマー組成物の全質量に対して、
    (a)式(I)のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートモノマー単位 2〜12質量%
    (b)1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート 0.1〜2質量%、
    (c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート 86〜97.9質量%、
    (d)1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート 0〜20質量%
    を含む、請求項1または2に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  4. 前記モノマー組成物が、前記モノマー組成物の全質量に対して、
    (a)式(I)のポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートモノマー単位 3〜10質量%
    (b)1種以上のC〜Cアルキル(メタ)アクリレート 0.1〜2質量%、
    (c)1種以上のC〜C15アルキル(メタ)アクリレート 88〜96.9質量%、
    (d)1種以上のC16〜C30アルキル(メタ)アクリレート 0〜20質量%
    を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  5. 前記ポリマーが、5000〜25000g/mol、好ましくは8000〜22000g/mol、より好ましくは10000〜20000g/molの質量平均分子量を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  6. 1.5〜3、好ましくは1.5〜2.5、およびより好ましくは1.6〜2.0のPDIを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  7. 式(II)の1種以上の連鎖移動剤の全量が、前記モノマー組成物の全質量に対して、1〜10質量%、好ましくは2〜6質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  8. 前記連鎖移動剤が、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンまたはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に定義されるポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを製造する方法であって、前記方法が、次の工程:
    (i)請求項1〜8のいずれか1項に記載のモノマー組成物を用意する工程、
    (ii)前記モノマー組成物のラジカル重合を開始させて、ランダムコポリマーを得る工程
    を含む、前記方法。
  10. (x)1種以上のベースフルード;および
    (y)請求項1〜8のいずれか1項に定義される1種以上のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー
    を含む、潤滑油組成物。
  11. 前記組成物の全質量に対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.5〜6質量%、よりいっそう好ましくは1〜5質量%、最も好ましくは2〜4質量%の前記1種以上のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを含む、請求項10に記載の潤滑油組成物。
  12. 前記組成物がさらに、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、清浄剤、消泡剤、腐食抑制剤、酸化防止剤、耐摩耗添加剤、極圧添加剤または摩擦調整剤からなる群から選択される、少なくとも1種の添加剤を含む、請求項10または11に記載の潤滑油組成物。
  13. 金属歯車または金属ころ軸受の耐疲労性を改善するための潤滑油組成物における添加剤としての、請求項1〜8のいずれか1項に定義されるポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの使用。
  14. 前記潤滑油組成物が、変速機油、ギヤ油、エンジン油または作動油である、請求項13に記載の使用。
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