JP2020188960A - 胸部x線画像の異常表示制御方法、異常表示制御プログラム、異常表示制御装置、及びサーバ装置 - Google Patents

胸部x線画像の異常表示制御方法、異常表示制御プログラム、異常表示制御装置、及びサーバ装置 Download PDF

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浩彦 木村
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春海 伊藤
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Masahito Tanaka
雅人 田中
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Abstract

【課題】1枚の胸部X線画像において、正常時の肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の情報を利用して、肺の異常状態を判定する。【解決手段】異常表示制御装置のコンピュータが、対象胸部X線画像を取得し、対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出し、肺野領域および肋骨領域を基に、肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで肺野領域を複数の局所領域に分割し、複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出し、第一指標と、正常時の肺血管の第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち対応する局所領域の基準第一指標とを複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて局所領域が異常状態であるか否かを複数の局所領域毎に判定し、異常状態であると判定された局所領域の画像と、局所領域の異常状態の内容と、をディスプレイに表示する。【選択図】図1

Description

本開示は、医用画像の処理技術に関し、さらに詳しくは胸部X線画像の異常判定技術に関する。
近年、医用画像を解析処理することで病変領域を検出する装置、ソフトウェア等が開発されている。そのような装置、ソフトウェア、または、それらを用いた診断は、コンピュータ支援検出(CAD)と呼ばれ、医師の読影作業の負担を軽減することができると期待されている。
また、医用画像のなかでも、胸部X線画像は、撮影機器及び撮影コストが安価で、普及率も高く、胸部疾患を診断する際の第一選択方法となっている。
胸部X線画像のCAD技術としては、例えば非特許文献1に開示されるように、検出すべき疾患の病変画像を機械学習する方法が主流となっている。しかしながら、病変画像を機械学習する方式では、学習させた病変以外を検出できる保証はない。病変画像を機械学習させるのではなく、正常胸部X線画像の特徴と比較を行い、異常状態を判定する技術として、特許文献1、特許文献2が提案されている。
特許文献1は、人体の胸部を動態撮影して、複数のフレーム画像を取得しておき、フレーム画像のうちの基準画像から肺野領域を抽出し、肺野領域を複数の小領域に分割し、小領域毎に画像解析を行って、小領域毎に換気や血流の状態が異常であるか否かを判定する技術である。この技術により、病変自体を直接検出する代わりに、病変によってもたらされた換気や血流の異常を推定することができる。
特許文献2は、胸部X線画像において、異常陰影の候補領域を検出して、候補領域の少なくとも一部を含む小領域を注目領域として設定し、さらに、注目領域の近傍に存在する小領域を近傍領域として設定し、注目領域および近傍領域が正常な人工画像を生成し、注目領域の人工画像と原画像との差と、近傍領域の人工画像と原画像との差を比較して、両差の違いの有無によって、注目領域が異常陰影であるかを判定する技術である。この技術により、正常な人工画像との違いを利用して異常を推定することができる。
X.Wang,Y.Peng,L.Lu,Z.Lu,M.Bagheri,R.Summers, Chest X−Ray8: Hospital−Scale Chest X−Ray Database and Benchmarks on Weakly−Supervised Classification and Localization of Common Thorax Diseases, CVPR2017 O.Ronneberger, P.Fischer, and T.Brox, U−Net:Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation, Medical Image Computing and Computer−Assisted Intervention(MICCAI), Springer, LNCS, Vol.9351: 234−−241, 2015 L.Long, E.Shelhamer, T.Darrell, Fully Convolutional Networks for Semantic Segmentation, In CVPR. 2015. Jinwon An, Sungzoon Cho, Variational Autoenconder based Anomaly Detection using Reconstruction Probability, December 27, 2015 SNU Data Mining Center 2015−2 Special Lecture on IE 「医用画像における円形・線状パターン検出のためのフィルタバンク構築」電子情報通信学会論文誌D−II Vol.J87−D−II No.1 pp175−185
国際公開第2009/090894号 特開2006−325937号公報
上記特許文献1では、動態画像、即ち、時系列の複数フレーム画像を用いて、小領域の面積変化率、および、血管領域の濃度変化率を基に、異常検知を行うものであり、1枚の胸部X線画像から異常を検知するものではない。
上記特許文献2では、肺がん等の結節、つまり孤立した小病変を対象としており、注目領域とその近傍領域を利用するという結節に特化した処理を行っている。よって、その他の多様な病変に対して考慮されておらず、更なる改善が必要とされていた。
本開示の一態様は、
読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像から異常状態を判定してディスプレイに表示する異常表示制御装置のコンピュータが、
前記対象胸部X線画像を取得し、
前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出し、
抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割し、
前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出し、
前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定し、
前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する、
胸部X線画像の異常表示制御方法である。
上記態様により、1枚の胸部X線画像において、正常時の肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の情報を利用して、肺の異常状態を判定することができ、更なる改善が実現できる。
第1実施形態における異常表示制御装置のブロック図。 第1実施形態における院内ネットワーク構成のブロック図。 第1実施形態におけるフローチャート。 右肺外縁を含む胸部X線画像を示す図。 右肺外縁のマスク画像を示す図。 胸部X線画像にマスク画像を重畳した画像を示す図。 右背側肺底の陰影を含む胸部X線画像を示す図。 右背側肺底の陰影のマスク画像を示す図。 胸部X線画像にマスク画像を重畳した画像を示す図。 右第6肋骨を含む胸部X線画像を示す図。 右第6肋骨のマスク画像を示す図。 胸部X線画像にマスク画像を重畳した画像を示す図。 U−Netのアーキテクチャを概略的に示す図。 肺野領域を設定する方法およびその領域の一例を示す図。 肺野領域を設定する方法およびその領域の一例を示す図。 肺野領域を設定する方法およびその領域の一例を示す図。 右肺野領域において肋骨の占める領域、及び、右肺外縁を示す図。 肺野領域と重なる肋骨の本数の違いにより、肺野領域を局所領域に分割する様子を示す図。 図12を、さらに、肺門からの距離がほぼ等距離となる曲線で分割する様子を示す図。 肺門の位置を示す図。 図12を、さらに、直線で分割する様子を示す図。 正常モデルの一例である確率密度分布を概略的に示す図。 次元削減による異常表示制御方法を説明する図。 積層オートエンコーダのネットワーク構成を示す図。 変分オートエンコーダのネットワーク構成を示す図。 第1実施形態におけるディスプレイの表示例を示す図。 第1実施形態の変形例における異常表示制御装置のブロック図。 第1実施形態の変形例におけるフローチャート。 グループ化の例を示す図。 グループ化の例を示す図。 第2実施形態における異常表示制御装置のブロック図。 第2実施形態におけるフローチャート。 第2実施形態におけるフローチャート。 第2実施形態におけるディスプレイの表示例を示す図。 第2実施形態の変形例における異常表示制御装置のブロック図。 第2実施形態の変形例におけるフローチャート。 第2実施形態の変形例におけるフローチャート。 グループ化の例を示す図。 グループ化の例を示す図。 第3実施形態における院内ネットワーク構成のブロック図。 第2実施形態に係る異常表示制御装置により実行される、異なる処理手順を概略的に示すフローチャートである。 第2実施形態に係る異常表示制御装置により実行される、異なる処理手順を概略的に示すフローチャートである。 第2実施形態の変形例に係る異常表示制御装置により実行される、異なる処理手順を概略的に示すフローチャートである。 第2実施形態の変形例に係る異常表示制御装置により実行される、異なる処理手順を概略的に示すフローチャートである。
(本開示に係る一態様を発明するに至った経緯)
まず、本開示に係る一態様を発明するに至った経緯が説明される。非特許文献1の方法では、前述したように、病変画像を機械学習する方式では、学習させた病変以外を検出できる保証はない。また、特許文献1の方法は、動態画像、即ち、時系列の複数フレーム画像を用いて、小領域の面積変化率、および、血管領域の濃度変化率を基に、異常検知を行うものであり、1枚の胸部X線画像から異常を検知するものではない。また、特許文献2では、肺がん等の結節、つまり孤立した小病変を対象としており、注目領域とその近傍領域を利用するという結節に特化した処理を行っており、その他の多様な病変に対して考慮されていない。そこで、本発明者は、1枚の胸部X線画像における肺血管パタンに着目し、肺血管パタンが肋骨または骨梁と重なる場合であっても、異常の有無を判定可能な、以下の発明の各態様を想到するに至った。
本開示の第1態様は、
読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像から異常状態を判定してディスプレイに表示する異常表示制御装置のコンピュータが、
前記対象胸部X線画像を取得し、
前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出し、
抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割し、
前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出し、
前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定し、
前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する、
胸部X線画像の異常表示制御方法である。
本開示の第2態様は、
読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像から異常状態を判定してディスプレイに表示する異常表示制御装置のコンピュータを、
前記対象胸部X線画像を取得する取得部、
前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出する領域抽出部、
抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割する分割部、
前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する指標抽出部、
前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定する判定部、
前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する表示制御部、
として機能させる異常表示制御プログラムである。
本開示の第3態様は、
ディスプレイと、
読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像を取得する取得部と、
前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出する領域抽出部と、
抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割する分割部と、
前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する指標抽出部と、
前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定する判定部と、
前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する表示制御部と、
を備える異常表示制御装置である。
この第1態様又は第2態様又は第3態様では、1枚の胸部X線画像のうちの、肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで肺野領域が局所領域に分割され、局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標が抽出され、この第一指標と、対応する局所領域の、正常時の肺血管の第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標とが比較されて、局所領域が異常状態であるか否かが判定される。したがって、第1態様又は第2態様又は第3態様によれば、局所領域毎に、異常状態を判定することができる。また、肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで肺野領域を分割した局所領域を用いることで、肺血管パタンが肋骨と重なる場合であっても、肺血管パタンを表現する第一指標に対する、肋骨外周のエッジの影響および/または肋骨に含まれる骨梁の影響を低減することができる。また、局所領域が異常状態であると判定されると、対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された局所領域の画像と、局所領域の異常状態の内容と、がディスプレイに表示される。このため、有益な情報をユーザに提示することができる。その結果、読影医だけでなく、臨床医又は放射線技師の診断又は自己学習、及び、医学生の教育又は自己学習にも利用することが可能である。
上記第1態様において、例えば、
前記判定では、前記局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第一指標のうち、前記第一指標が抽出された前記局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第一指標と、が前記局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記局所領域が異常状態であるか否かが前記局所領域毎に判定され、
前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
前記グループは、前記局所領域と重なる肋骨の本数が同一、かつ、前記胸部X線画像における肺門からの2次元距離が所定の範囲内にある局所領域の集合であり、前記複数の局所領域の全てはいずれか1つのグループに属してもよい。
この態様によれば、予め求められる基準第一指標については、基準第一指標を求めるための例えば学習用の画像数が少ない場合でも、基準第一指標を求めるための画像数を局所領域の画像数より増やすことができ、基準第一指標が求めやすくなる。また、肺血管の太さおよび密度、及び、肋骨骨梁の太さおよび密度が類似した局所領域が同じグループにされるので、予め求められる基準第一指標の精度低下が抑制される。
上記第1態様において、例えば、
前記判定では、前記局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第一指標のうち、前記第一指標が抽出された前記局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第一指標と、が前記局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記局所領域が異常状態であるか否かが前記局所領域毎に判定され、
前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
前記グループは、前記局所領域と重なる肋骨の本数が同一、かつ、前記胸部X線画像における肺門からの方向が所定の範囲内にある局所領域の集合であり、前記複数の局所領域の全てはいずれか1つのグループに属してもよい。
この態様によれば、予め求められる基準第一指標については、基準第一指標を求めるための例えば学習用の画像数が少ない場合でも、基準第一指標を求めるための画像数を局所領域の画像数より増やすことができ、基準第一指標が求めやすくなる。また、肺血管の方向、及び、肋骨骨梁の太さおよび密度が類似した局所領域が同じグループにされるので、予め求められる基準第一指標の精度低下が抑制される。
上記第1態様において、例えば、
前記異常表示制御装置の前記コンピュータが、さらに、
前記複数の局所領域のうち、肋骨が存在する肋骨局所領域を特定し、
特定された前記肋骨局所領域毎に、骨梁の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第二指標を抽出し、
前記肋骨局所領域毎に抽出された前記第二指標と、前記肋骨局所領域毎に予め求められた、正常時の骨梁の前記第二指標と同じ属性を表現する指標である基準第二指標のうち、対応する前記肋骨局所領域の基準第二指標と、を前記肋骨局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記肋骨局所領域が異常状態であるか否かを前記肋骨局所領域毎に判定し、
前記表示では、前記肋骨局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記肋骨局所領域の画像と、前記肋骨局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示されてもよい。
この態様によれば、1枚の胸部X線画像における、骨梁パタンに着目し、骨梁の異常状態を判定することができる。また、異常状態であると判定された肋骨局所領域の画像と、肋骨局所領域の異常状態の内容と、がディスプレイに表示されるため、有益な情報をユーザに提示することができる。その結果、読影医だけでなく、臨床医又は放射線技師の診断又は自己学習、及び、医学生の教育又は自己学習にも利用することが可能である。
上記第1態様において、例えば、
前記肋骨局所領域の判定では、前記肋骨局所領域毎に抽出された前記第二指標と、前記肋骨局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第二指標のうち、前記第二指標が抽出された前記肋骨局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第二指標と、が前記肋骨局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記肋骨局所領域が異常状態であるか否かが前記肋骨局所領域毎に判定され、
前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記肋骨局所領域の画像と、前記肋骨局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
前記グループは、前記肋骨局所領域と重なる肋骨の本数が同一の肋骨局所領域の集合であり、全ての前記肋骨局所領域はいずれか1つのグループに属してもよい。
この態様によれば、予め求められる基準第二指標については、基準第二指標を求めるための例えば学習用の画像数が少ない場合でも、基準第二指標を求めるための画像数を肋骨局所領域の画像数より増やすことができ、基準第二指標が求めやすくなる。また、肋骨骨梁の密度が類似した肋骨局所領域が同じグループにされるので、予め求められる基準第二指標の精度低下が抑制される。
上記第1態様において、例えば、
前記肋骨局所領域の判定では、前記肋骨局所領域毎に抽出された前記第二指標と、前記肋骨局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第二指標のうち、前記第二指標が抽出された前記肋骨局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第二指標と、が前記肋骨局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記肋骨局所領域が異常状態であるか否かが前記肋骨局所領域毎に判定され、
前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記肋骨局所領域の画像と、前記肋骨局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
前記グループは、肋骨の走行方向が所定の範囲内にある肋骨局所領域の集合であり、全ての前記肋骨局所領域はいずれか1つのグループに属してもよい。
この態様によれば、予め求められる基準第二指標については、基準第二指標を求めるための例えば学習用の画像数が少ない場合でも、基準第二指標を求めるための画像数を肋骨局所領域の画像数より増やすことができ、基準第二指標が求めやすくなる。また、肋骨骨梁の方向が類似した肋骨局所領域が同じグループにされるので、予め求められる基準第二指標の精度低下が抑制される。
上記第1態様において、例えば、
前記肺野領域および前記肋骨領域の抽出には、画素単位で予測を行うニューラルネットワークを使用して、正常状態の胸部X線画像である学習用胸部X線画像において前記肺野領域および前記肋骨領域が抽出されるように学習されたモデルを使用してもよい。
この態様では、画素単位で予測を行うニューラルネットワークを使用して、正常状態の胸部X線画像である学習用胸部X線画像において肺野領域および肋骨領域が抽出されるように学習されたモデルを用いて、肺野領域および肋骨領域が抽出される。したがって、画素単位で予測が行われるため、肺野領域および肋骨領域を高精度で抽出することができる。
本開示の第4態様は、
読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像を取得する取得部と、
前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出する領域抽出部と、
抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割する分割部と、
前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する指標抽出部と、
前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定する判定部と、
前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を外部の端末装置に送信する通信制御部と、
を備えるサーバ装置である。
この第4態様では、1枚の胸部X線画像のうちの、肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで肺野領域が局所領域に分割され、局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標が抽出され、この第一指標と、対応する局所領域の、正常時の肺血管の第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標とが比較されて、局所領域が異常状態であるか否かが判定される。したがって、第4態様によれば、1枚の胸部X線画像における肺血管パタンに着目し、肺血管パタンが肋骨や骨梁と重なる場合であっても、異常状態を判定することができる。また、局所領域が異常状態であると判定されると、対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された局所領域の画像と、局所領域の異常状態の内容と、が外部の端末装置に送信される。このため、有益な情報をユーザに提供することができる。その結果、読影医だけでなく、臨床医又は放射線技師の診断又は自己学習、及び、医学生の教育又は自己学習にも利用することが可能である。
(実施の形態)
以下、本開示の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。なお、各図面において、同じ構成要素には同じ符号が用いられ、適宜、説明は省略される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における、胸部X線画像の異常表示制御方法を実行する異常表示制御装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図2は、医療機関内のネットワーク構成410を概略的に示すブロック図である。
図2に示されるように、医療機関内のネットワーク構成410は、イントラネットワーク400を含む。このイントラネットワーク400には、異常表示制御装置100と、医用画像管理システム200と、胸部X線画像撮影装置300と、が接続されている。医用画像管理システム200は、胸部X線画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、核磁気共鳴画像法(MRI)による画像等を保存し、管理する。胸部X線画像撮影装置300は、患者又は健康診断受診者の胸部X線画像を撮影する。胸部X線画像撮影装置300により撮影された胸部X線画像は、医用画像管理システム200に送信されて保存される。
なお、異常表示制御装置100と、医用画像管理システム200と、胸部X線画像撮影装置300とは、必ずしも、同一の医療機関内のイントラネットワーク400上に接続されている必要はない。異常表示制御装置100、及び、医用画像管理システム200は、医療機関の外部に設けられたデータセンター、プライベートクラウドサーバ、パブリッククラウドサーバなどの上で動作するソフトウェアであってもよい。胸部X線画像撮影装置300は、病院内に設置されていても良いし、健康診断等で使用される巡回車の中に設置されていても良い。医用画像管理システム200として、例えば画像保存通信システム(PACS)が採用される。
図1に示されるように、異常表示制御装置100は、正常モデル格納部106、画像メモリ107、通信部108、ディスプレイ109、中央演算処理装置(CPU)120、メモリ121を備えている。異常表示制御装置100は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。
通信部108は、イントラネットワーク400を介して、医用画像管理システム200等と通信を行う。正常モデル格納部106は、例えばハードディスク又は半導体メモリ等により構成される。正常モデル格納部106は、予め定義された複数の局所領域(後述)の正常状態をモデルとして格納する。画像メモリ107は、例えばハードディスク又は半導体メモリ等により構成される。画像メモリ107は、取得された対象胸部X線画像を格納する。ディスプレイ109は、例えば、液晶モニタにより構成され、ユーザである医師又は放射線技師が、画像診断又は画像撮影後の画像確認を行う対象胸部X線画像を表示する。また、ディスプレイ109は、対象胸部X線画像が撮影された患者のカルテ情報、画像診断の結果を記入するレポート入力画面などを表示する。
メモリ121は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ121は、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去書き換え可能なROM(EEPROM)などを含む。メモリ121のROMは、CPU120を動作させる第1実施形態の制御プログラムを記憶する。
CPU120は、メモリ121に記憶されている第1実施形態の制御プログラムを実行することによって、検出部101、肺領域設定部102、肺領域分割部103、異常判定部105、表示制御部122、通信制御部123として機能する。検出部101は、画像メモリ107に保存された対象胸部X線画像から、少なくとも2本の肋骨、及び、肺野領域を決定するための、予め定義された複数の構造物を検出する。肺領域設定部102は、検出部101により検出された複数の構造物を利用して、肺野領域を設定する。
肺領域分割部103は、肺領域設定部102により設定された肺野領域を、検出部101により検出された少なくとも2本の肋骨を利用して、
(i)肋骨と重ならない肺野領域、
(ii)1本の肋骨と重なる肺野領域、
(iii)2本の肋骨と重なる肺野領域、
の3種類の局所領域に領域分割する。さらに、肺領域分割部103は、(i)、(ii)、(iii)の局所領域のうち、閾値以上の大きさの局所領域をさらに局所領域に分割する。その際、肺領域分割部103は、全ての局所領域内で肺血管の太さおよび密度の属性がほぼ一定になるように分割する。なお、肺領域分割部103は、全ての局所領域内で肺血管の太さおよび密度のいずれか一方の属性がほぼ一定になるように分割してもよい。すなわち、肺領域分割部103は、全ての局所領域内で肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性がほぼ一定になるように分割すればよい。
異常判定部105は、肺領域分割部103で分割された局所領域について、正常モデル格納部106に格納された、対応する局所領域の正常モデルを参照することにより、異常状態であるか否かを判定する。表示制御部122、通信制御部123の機能は、それぞれ、後述される。
図3は、第1実施形態に係る異常表示制御装置100により実行される処理手順を概略的に示すフローチャートである。まず、ステップS50において、通信制御部123(取得部の一例に相当)は、通信部108を介して、読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像を医用画像管理システム200から取得し、取得した対象胸部X線画像を画像メモリ107に保存する。ステップS100において、検出部101は、対象胸部X線画像を画像メモリ107から読み出して、その対象胸部X線画像から、少なくとも2本の肋骨、及び、肺野領域を決定するための、予め定義された複数の構造物を検出する。
ここで、胸部X線画像に描出される人体の解剖学的構造、または、解剖学的構造の一部、または、X線透過率が互いに異なる複数の解剖学的構造間の境界が胸部X線画像に描出される境界線、が「構造物」と定義される。特に、構造物の中でも、前記境界線、線状に描出される解剖学的構造、および線状に描出される解剖学的構造の一部、が「線構造」と定義される。線構造ではない構造物、すなわち、線状とは見做せない構造物が「領域構造」と定義される。線構造であっても、画像上では幅として1画素よりも大きいものがあるため「線構造」と「領域構造」の差は不明確になる恐れがある。そこで、例えば、構造物の(長軸方向長さ)/(短軸方向長さ)が閾値以上である構造物が「線構造」と定義されることも可能である。この閾値は、構造物が線状であると見做せるような適切な値に設定されればよく、例えば10又は100又は1000でもよい。線構造の例が図4A〜4Cと図5A〜5Cとに示され、領域構造の例が図6A〜6Cに示される。
図4Aは、右肺外縁を含む胸部X線画像Ixを示す図である。図4Bは、右肺外縁のマスク画像Pxを示す図である。図4Cは、図4Aの胸部X線画像Ixに図4Bのマスク画像Pxを重畳して表示した画像を示す図である。図5Aは、右背側肺底の陰影(即ち、肺実質の背側底部と腹側臓器との間のX線透過率の違いにより描出される境界線)を含む胸部X線画像Ixを示す図である。図5Bは、右背側肺底の陰影のマスク画像Pyを示す図である。図5Cは、図5Aの胸部X線画像Ixに図5Bのマスク画像Pyを重畳して表示した画像を示す図である。図6Aは、右第6肋骨が投影された領域を含む胸部X線画像Ixを示す図である。図6Bは、右第6肋骨のマスク画像Pzを示す図である。図6Cは、図6Aの胸部X線画像Ixに図6Bのマスク画像Pzを重畳して表示した画像を示す図である。図6Cでは、マスク領域を視認しやすくするために、その内部領域が斜線で表現されている。
マスク画像は、対応する胸部X線画像における構造物の占める領域を二値あるいはグレイスケールで表現した画像である。本実施形態では二値マスク画像として説明が行われる。このマスク画像は、検出部101を機械学習する際の学習データとして、医学知識を持った人により作成され、用意される。また、学習後の検出部101は、対象胸部X線画像を処理した結果として、マスク画像を出力する。
本実施の形態では、検出部101を機械学習する手段として、人工ニューラルネットワークが用いられる。具体的には、対象画像から画素単位で対象領域を抽出するセマンティックセグメンテーションを行う人工ニューラルネットワークとして、非特許文献2に開示されているU−Netが用いられる。セマンティックセグメンテーションは、画像を画素単位で領域分割することを意味する。
図7は、U−Netのアーキテクチャを概略的に示す図である。U−Netは、図7に示されるようなエンコーダECD及びデコーダDCDを備える畳み込みニューラルネットワークであり、U−netに入力画像が入力層ILに入力されると、U−netから出力画像が出力層OLに出力される。図4A、図5A、図6Aのような入力画像と図4B、図5B、図6Bのようなマスク画像との組を大量に与えて機械学習が行われる。
具体的には、図4Aのような胸部X線画像Ixを大量にU−Netに入力し、U−Netから図4Bのようなマスク画像Pxが出力されるように機械学習させて、右肺外縁用の検出部101が生成される。また、図5Aのような胸部X線画像Ixを大量にU−Netに入力し、U−Netから図5Bのようなマスク画像Pyが出力されるように機械学習させて、右背側肺底の陰影用の検出部101が生成される。また、図6Aのような胸部X線画像Ixを大量にU−Netに入力し、U−Netから図6Bのようなマスク画像Pzが出力されるように機械学習させて、右第6肋骨用の検出部101が生成される。そして、機械学習後の、例えば、右肺外縁用の検出部101に対象胸部X線画像が入力されると、機械学習させた構造物として右肺外縁が検出されることとなる。
本実施の形態では、予め定義された総計N(Nは1以上の整数)個の構造物について、それぞれ構造物検出を行うU−Netを予め機械学習させてN個の学習済みのU−Netを準備しておき、それらN個の学習済みのU−Netが、検出部101として用いられる。なお、N個の構造物を1個のU−Netで検出するMulti−class segmentationとしてU−Netを構築してもよい。なお、セマンティックセグメンテーションを行う人工ニューラルネットワークとして、U−Netに代えて、非特許文献3に開示されるような他のニューラルネットワークが用いられてもよい。
図3に戻って、ステップS200において、肺領域設定部102は、ステップS100で検出された構造物を用いて、肺野領域を設定する。
図8、図9、図10は、それぞれ、設定された肺野領域の一例を示す図であり、それぞれ別の方法で肺野領域が設定されている。図8において、右肺野領域RLおよび左肺野領域LLは、それぞれ、検出部101により検出された構造物(図8では境界線)を用いて、肺領域設定部102により設定された肺野領域である。なお、検出部101は、図8の肺野領域RL,LLの境界線を、1つのU−Netを用いて検出してもよいし、それぞれを別々のU−Netを用いて検出してもよい。
また、図9のように、検出部101は、肺野領域の境界線を、右肺野外縁の境界線RLO、右肺野内縁の境界線RLI、右背側肺底の境界線RLB、左肺野外縁の境界線LLO、左肺野内縁の境界線LLI、左背側肺底の境界線LLBのように、別々に検出してもよい。なお、検出部101による境界線の検出結果において、境界線が途切れて検出される場合や、別々の境界線同士の間が離れて検出される場合がある。この場合には、肺領域設定部102は、最も近い境界線上の点同士を直線で接続して補間してもよい。
また、肺領域設定部102は、図10のように、肺野領域の一部は輝度が低いという情報を利用して肺野領域または肺野領域の一部の設定を行ってもよい。図10には、設定された右肺野領域RLRおよび左肺野領域LLRが示されている。このような輝度情報を利用した領域設定の場合、心臓に重なる肺野領域や、肝臓に重なる肺野領域等は、後の処理で異常検知対象外になってしまう。この場合、肺領域設定部102は、右肺野領域RLRおよび左肺野領域LLRの領域に加え、検出部101により検出された、図9の背側肺底の境界線RLB,LLBおよび肺野内縁の境界線RLI,LLIも併せて、図8の肺野領域RL,LLを求めても良い。
図3に戻って、ステップS300において、肺領域分割部103は、ステップS200で設定された肺野領域、および、ステップS100で検出された肋骨領域を用いて、肺野領域と重なる肋骨の本数の違いにより、肺野領域を複数の局所領域に分割する。検出部101が、左右の第1肋骨から第12肋骨の計24本の肋骨領域を検出している場合が説明される。
図6Bは、右の第6肋骨の領域を示しているが、このような肋骨領域が左右の第1肋骨から第12肋骨の計24本分だけ検出されることになる。肺領域分割部103は、検出された肋骨領域を基に、肺野領域を、
(i)肋骨と重なっていない局所領域、
(ii)1本の肋骨と重なっている局所領域、
(iii)2本の肋骨と重なっている局所領域、
の3種類に分割する。
図11は、右肺野領域の一部を拡大した画像を示す図である。図12は、図11に示される肺野領域が分割された局所領域を示す図である。図11には、右第(i−2)肋骨RR(i−2)から右第(i+4)肋骨RR(i+4)の占める領域、及び、右肺野外縁の境界線RLOが、示されている。図11に示される肺野領域は、図12に示されるように複数の局所領域に分割される。図12において、各局所領域に記入された数字(0,1,2)は、局所領域と重なる肋骨の本数を表す。
図3に戻り、ステップS310において、肺領域分割部103は、面積が予め定めた閾値よりも大きい局所領域をさらに局所領域に分割する。肺領域分割部103は、全ての局所領域内で肺血管の太さおよび密度の属性がほぼ一定になるように、局所領域をさらに分割する。肺領域分割部103は、肺血管の太さおよび密度のいずれか一方の属性がほぼ一定になるように、分割してもよい。すなわち、肺領域分割部103は、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性がほぼ一定になるように、分割すればよい。
図13は、図12に示される局所領域がさらに分割された局所領域を示す図である。図14は、肺門の位置を示す図である。図15は、図13と異なる態様で分割された局所領域を示す図である。例えば、図13では、肺門からの距離がほぼ等距離となる曲線で分割されている。なお、図14に示されるように、左肺門HLLおよび右肺門HLRは、左右の肺において、気管支、肺動脈、肺静脈が出入りする領域である。また、肺領域分割部103は、図15のように直線で局所領域を分割してもよい。
なお、胸部X線画像では、肺動脈のX線吸収率が高いため、画像処理によって、肺動脈を容易に検出できる。そこで、画像処理によって検出された右の肺に対する肺動脈と、右肺野内縁の境界線RLI(図9)との交点を右肺門の位置とし、左の肺に対する肺動脈と、左肺野内縁の境界線LLI(図9)との交点を左肺門の位置としてもよい。なお、胸部X線画像において、中央陰影の中の気管・気管支は、周囲の中央陰影よりもX線吸収率が低いため、画像処理によって容易に検出できる。そこで、局所領域設定部103は、図15、図16、図17において、画像処理によって検出された左右の肺に対する気管支と、肺内縁の境界線との交点を、それぞれ、左肺門部CHLLおよび右肺門部CHLRの位置として検出してもよい。上記中央陰影は、胸部X線画像における、左右の肺に挟まれた領域のことである。
ここで、本開示が利用する胸部X線画像における肺の診断に関する医学知見について説明する。
肺の診断では肺野領域に存在する肺血管の走行に着目することが重要となる。図14のように、肺血管は、正常であれば、中枢の肺門から末梢の胸膜に向けて、分岐をしながら、太さが細くなっていく。また、現在の胸部X線撮像技術では、末梢の胸膜近辺の血管は視認できない。疾患により、正常時の状態よりも血管が太くなったり、細くなったりする等の変化を、正常時の血管の太さまたは密度との差異を利用することにより、異常検知を行うことができる。肺野領域を分割した局所領域をさらに分割した局所領域内では、その領域内における血管の太さおよび密度がほぼ揃っていると考えられる。そこで、局所領域毎に、正常時の血管の太さまたは密度を求めればよい。
ここで、肺野領域内には肋骨が走行している。この肋骨の走行により、胸部X線画像には、(A)肋骨と肺野領域間のエッジの存在、(B)肋骨内の骨梁パタンの存在、および、(C)肋骨と肺野領域のX線吸収率差による濃淡差、という影響がある。この影響を低減するために、本実施形態では、まず、肺野領域と肋骨とが重なる本数の違いで、肺野領域が局所領域に分割される。また、局所領域のうち、その面積が閾値よりも大きい局所領域については、さらに分割してもよい。図14のように、肺門から肺血管が分岐しつつ細くなっていくため、さらに局所領域を分割する場合は、図13のように肺門からの距離がほぼ等距離となる曲線で分割することが望ましい。局所領域の面積が閾値以下になることにより、局所領域内で血管の太さおよび密度がほぼ揃うので、図15のように直線で分割してもよい。
肋骨と肺野領域との間のエッジで分割することにより、局所領域において肋骨と肺野領域との間のエッジの影響を回避できる。また、肺野領域と肋骨とが重なる本数の違いで肺野領域を分割し、局所領域の面積が閾値よりも大きければさらに分割することにより、各局所領域内では、濃淡、および、骨梁の走行方向がほぼ揃うことになる。これは、後述される、肺血管の太さおよび密度の属性を表現する第一指標の正常モデルの構築の際、モデル化し易くなるという良い影響をもたらす。なお、第一指標は、肺血管の太さおよび密度のいずれか一方の属性を表現する指標でもよい。すなわち、第一指標は、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する指標であればよい。
図3に戻って、ステップS320において、異常判定部105は、肺領域分割部103により設定された局所領域から1つの局所領域を選択する。ステップS400において、異常判定部105は、選択された局所領域から、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する。この第一指標の抽出には、さまざまな技術が適用可能である。
例えば、血管を抽出した後、別途、血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する特徴量を抽出することができる。血管の抽出には、非特許文献5に記載の、ヘッセ行列の各画素から計算された最大固有値を用いて線状構造物を抽出する方法を適用することができる。また、ヘッセ行列の各要素を生成する帯域分割フィルタバンクを構築することにより、各解像度レベルでの線状構造物の抽出が可能となり、大きさの異なる血管領域を抽出することができる。また、帯域分割フィルタバンクにより各解像度レベルでの線状構造物を抽出した後、前景(線状構造物)の画素値と背景の画素値との比により、各解像度レベルでの密度が算出できる。例えば、上記の方法で、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出可能である。フィルタバンクの個数をFB個、密度として1次元(スカラー)の値を用いる場合、各局所領域からFB次元の特徴量が抽出できる。胸部X線画像から、肺血管のみの微小構造のみの特徴を抽出できることが理想であるが、実際には肋骨外周のエッジや、肋骨内の骨梁、などの微小構造が存在し、それらの影響を受けやすい。上述のように、肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで肺野領域を分割した局所領域を用いることで、肺血管パタンを表現する第一指標に対する、肋骨外周のエッジの影響や、肋骨に含まれる骨梁の影響を低減することができる。
また、明示的に、肺血管に関する第一指標、つまり特徴量を抽出するのではなく、局所領域の画像そのものから、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を含むことを期待して、画像を次元圧縮することで、少数次元の特徴量を抽出することもできる。この手法については、後述のステップS510で説明される。
図3に戻り、ステップS500において、異常判定部105は、正常モデル格納部106から、対応する局所領域の基準第一指標を抽出する。肺領域分割部103により分割された局所領域と、正常モデル格納部106に格納されている局所領域との対応付けについては、種々の方法を採用することができる。
例えば、正常モデル格納部106に基準第一指標を予め格納する際に、設定される局所領域に、図8,9,10のいずれかに示すような肺領域における当該局所領域の位置を示すインデックスを付加してもよい。インデックスとして、例えば、図8における領域RL、LLなどの外接矩形に対する、当該局所領域の中心座標の相対位置を利用することができる。基準とする外接矩形のX座標の始点、終点をそれぞれ0、1、同様に、外接矩形のY座標の始点、終点をそれぞれ0、1としたときの、局所領域の正規化中心座標(x,y)を定義できる。ここで、0<x<1、かつ、0<y<1である。正常モデル作成時の異なる症例間の局所領域の対応付け、あるいは、異常検知時の異常検知対象の局所領域と正常モデルの局所領域との対応付けは、この正規化中心座標(x,y)との距離が最小となる対象を探索することで決定できる。肺領域分割部103は、局所領域に分割する際に、対応する局所領域に同じインデックスを付加してもよい。異常判定部105は、付加されているインデックスを比較することにより、正常モデル格納部106から、対応する局所領域の基準第一指標を抽出することができる。
また、正常モデルを作成する際には、肺の大きさが正規化されている。そこで、異常判定部105は、今回の被験者の肺の大きさを正規化した上で、正常モデル格納部106の肺と今回の被験者の肺とを重ね合わせたときに、重畳する領域の面積が最も大きい局所領域を、対応する局所領域であると判断してもよい。
ステップS510において、異常判定部105(判定部の一例に相当)は、ステップS400で抽出した第一指標と、ステップS500で抽出した基準第一指標とを比較し、比較結果に基づいて局所領域が異常状態であるかを判定する。また、異常判定部105は、異常判定結果、つまり異常状態と判定した局所領域及び異常の内容をメモリ121に保存する。
基準第一指標については、予め正常な胸部X線画像を多数枚用意し、それらの各画像から、ステップS400の方法で、局所領域毎に第一指標を計算する。これらの第一指標の分布を、基準第一指標を表す正常モデルとして正常モデル格納部106に予め保存しておく。
図16は、正常モデルの一例である確率密度分布PDDを概略的に示す図である。異常判定部105は、局所領域毎に、例えば図16のような確率密度分布PDDを用いて異常状態か否かを判定する。図16において、横軸の「指標」は、ベクトルであり、例えばFB次元の特徴量を表し、確率密度分布PDDは、例えばFB次元の多次元空間における正規分布を表す。異常判定部105は、対象とする第一指標に関し、上述の正常モデルにおける第一指標の確率密度分布PDDに対し、局所領域から抽出された第一指標に対応する確率の値で正常らしさを判定する。例えば図16においては、抽出された第一指標P1、P2の正常らしさは、それぞれQ1、Q2である。そこで、異常判定部105は、第一指標P2は正常らしいと判定し、第一指標P1は異常らしい、と判定する。
ここで、分布が1次元の場合は、分布の最頻値または平均値(正規分布として近似している場合には両者は一致する)と比較した指標の大小により、指標が大きすぎて異常なのか、小さすぎて異常なのかを判定することができる。分布が多次元の場合は、分布の最頻値または平均値の多次元空間上の位置に対する、指標の多次元空間上の位置により、特定の次元の指標が小さすぎて異常なのか、大きすぎて異常なのかを判定することができる。これを利用すると、例えば、異常理由が、幅の「より広い/同じ/より狭い」血管が「増えている/減っている」と分類できる。
確率密度分布PDDを表す方法としては、比較的少数のパラメータによるパラメトリックモデルを用いて表す方法、特定の関数型を仮定せず、個々のデータにより分布の形を特定するノンパラメトリックモデルを用いて表す方法などがある。局所領域から抽出される第一指標が少数次元であれば、異常判定部105は、この確率密度分布を用いて異常状態か否かを判定する。例えばパラメトリックモデルを用いる場合は、正常モデルとして、確率密度分布を表すパラメータ(例えば正規分布の平均及び標準偏差)を正常モデル格納部106に格納する。
血管の太さおよび密度の属性を表現する特徴量を抽出した場合には、血管の太さが、正常状態よりも、太くなっている/細くなっている/異なる、血管の密度が、正常状態よりも、小さくなっている/大きくなっている/異なる、のように、異常の内容を設定することができる。例えば、肺炎による浸潤影、または、肺癌による結節影または腫瘤影が存在する局所領域では、血管パタンが見えづらくなり、血管の密度が正常状態よりも小さくなる。例えば、蜂巣肺化している局所領域では、通常の血管パタンが見えなくなり、蜂巣肺の壁のパタンが血管の代わりに抽出され、正常時の血管影の太さまたは密度よりも異なった値となる。例えば、心不全により胸膜肥厚が起こっている局所領域では、正常状態では血管パタンが見えない領域で、胸膜肥厚のパタンが血管の代わりに抽出され、正常時の血管影の太さまたは密度よりも異なった値となる。
一方、局所領域から抽出される第一指標が高次元の場合は、次元削減による異常判定方法を用いることができる。これは、前のステップS400で触れた、局所領域の画像そのものから、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を含むことを期待して、画像を次元圧縮することで、少数次元の特徴量を抽出する場合に利用できる。大量の正常状態の局所画像を用いることにより、正常状態の局所画像における、(P)濃淡値、(Q)肺血管の太さ、密度、および走行方向、が特徴量として抽出されることが期待できる。
図17は、次元削減時の再構成誤差を利用した異常判定方法を説明する図である。正常モデルを構築する機械学習時に、学習用データセットが分布する元の高次元オリジナル空間HDOSから、次元が削減された低次元部分空間LDPSを求めておく。ここで、正常データのみで学習用データセットを構成して低次元部分空間LDPSを求めた場合、得られた低次元部分空間LDPSは、正常データの特徴を反映した空間になっていると考えられる。局所領域から抽出される第一指標を、この低次元部分空間LDPSに投影した際、元の学習データと素性が近ければ(すなわち正常データであれば)、所定の閾値未満の再構成誤差ER1が得られることとなる。一方、異常なデータであれば、所定の閾値以上の再構成誤差ER2が得られることとなる。異常判定部105は、これを利用して、異常状態であるか否かの判定を行う。再構成誤差は、局所領域から抽出される第一指標を低次元部分空間LDPSに投影した(つまり次元圧縮した)際のベクトルと、元の高次元オリジナル空間HDOSにおけるベクトルとの距離で計算できる。次元削減を行う方法としては、主成分分析、積層オートエンコーダ、変分オートエンコーダ等の手法を用いることができる。
図18は、積層オートエンコーダ1200のネットワーク構成を示す図である。積層オートエンコーダ1200は、図18に示されるように、入力層IL、出力層OL、2以上の中間層MLを備え、中間層MLのニューロン数を入力層IL、出力層OLに比べて絞った砂時計型のフィードフォワードネットワークである。積層オートエンコーダ1200では、入力を再現するような出力を得るように、自己を教師データとして学習する。学習終了後には、中間層MLは、学習データセットの素性を良く表現できるような特徴表現になっている。このため、例えば中間層ML(i)の出力を次元削減データとすることができる。
図19は、変分オートエンコーダ1300のネットワーク構成を示す図である。変分オートエンコーダ1300は、図19に示されるように、入力層IL、出力層OL、2以上の中間層を備え、積層オートエンコーダ1200(図18)と同様に、中間層のニューロン数を入力層IL、出力層OLに比べて絞った砂時計型のネットワークである。変分オートエンコーダは、例えば非特許文献4に開示されている。図19は、非特許文献4の図2又は図3に相当する。
変分オートエンコーダ1300では、エンコーダECDが、画像xを入力として、画像xを生成する基となる潜在変数LVであるzの分布qφ(z|x)のパラメータを出力する。デコーダDCDは、分布qφ(z|x)からサンプリングしたzを基に、生成画像の分布pθ(x|z)を出力する。変分オートエンコーダ1300における学習は、データセットの各点xの対数周辺尤度logpθ(x)の変分下界の最大化により行われる。非特許文献4では、学習アルゴリズムは、アルゴリズム3として、説明されている。
変分オートエンコーダ1300を用いた異常判定は、以下のようにして行われる。対象胸部X線画像yを学習済のエンコーダECDに入力し、潜在変数LVの値がzの分布f(z|y)を得る。この分布からサンプリングして潜在変数zを得て、得られた潜在変数zを用いて対象胸部X線画像yの尤度pθ(y|z)を求める。異常判定部105は、その尤度pθ(y|z)により、異常または正常を判定する。非特許文献4では、判定アルゴリズムは、アルゴリズム4として、説明されている。
主成分分析の場合は、正常モデルとして、次元削減を行う行列を正常モデル格納部106に格納する。積層オートエンコーダ、変分オートエンコーダの場合は、正常モデルとして、学習後のネットワーク構造およびパラメータを正常モデル格納部106に格納する。
次元削減による手法の場合は、異常判定部105は、再構成誤差から異常理由を求めることが難しいため、異常判定結果として、異常状態と判定した局所領域を示す情報のみをメモリ121に保存する。
図3に戻り、ステップS520において、異常判定部105は、全ての局所領域が選択されたか否かを判定する。全ての局所領域が選択されていれば(ステップS520でYES)、処理はステップS610に進む。一方、全ての局所領域が未だ選択されていなければ(ステップS520でNO)、処理はステップS320に戻り、次の局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。ステップS610において、表示制御部122は、ステップS510で異常状態であると判定された局所領域および異常の内容をディスプレイ109に表示する。
図20は、ディスプレイ109の表示例を概略的に示す図である。図20に示されるように、表示制御部122は、対象胸部X線画像Ixと、異常状態と判定された局所領域AB1,AB2,AB3、AB4と、異常状態の内容を表すメッセージMsとをディスプレイ109に表示する。局所領域の名称及びメッセージMsは、予め定義されてメモリ121に保存されている。
以上のように、本開示の第1実施形態によれば、肋骨影と重なる肺野領域に対して、異常の有無を判定することができる。
また、どの位置の局所領域がどのように正常状態と異なるかという情報をユーザに提示できる。したがって、ユーザにとって有益であり、読影医だけでなく、臨床医及び放射線技師の診断及び自己学習、または医学生の教育及び自己学習にも利用可能である。
(第1実施形態の変形例)
図21は、第1実施形態の変形例における、胸部X線画像の異常表示制御方法を実行する異常表示制御装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図22は、図21の異常表示制御装置100により実行される処理手順を概略的に示すフローチャートである。図23、図24は、グループ化の例を示す図である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に、第1実施形態の変形例が説明される。
図21に示されるように、異常表示制御装置100は、グループ情報格納部104、正常モデル格納部106、画像メモリ107、通信部108、ディスプレイ109、CPU120、メモリ121を備えている。メモリ121のROMは、CPU120を動作させる第1実施形態の変形例の制御プログラムを記憶する。CPU120は、メモリ121に記憶されている第1実施形態の変形例の制御プログラムを実行することによって、検出部101、肺領域設定部102、肺領域分割部103、異常判定部105、表示制御部122、通信制御部123として機能する。
グループ情報格納部104は、複数の局所領域から構成されるグループのインデックスと、その構成要素である局所領域のインデックスとの対応付け情報を記録する。記録される対応付け情報については、予め、正常モデルを作成するために用意された胸部X線画像群を用いて、肺領域分割部103で領域分割された、肺野領域内の複数の局所領域を、所定基準にてグループ化することにより求めておく。例えば、局所領域を、局所領域と重なる肋骨の本数が同一、かつ、胸部X線画像における肺門からの2次元距離が所定の範囲内にある局所領域同士でグループ化する。図23に示されるグループ化の例では、肺門HLから最も近い位置にあり肋骨と重ならない局所領域群がグループG1、肺門HLから最も近い位置にあり1本の肋骨と重なる局所領域群がグループG2、肺門HLから次に近い位置にあり肋骨と重ならない局所領域群がグループG3、肺門HLから次に近い位置にあり1本の肋骨と重なる局所領域群がグループG4、・・・のようにグループ化されている。このグループ情報格納部104に、任意の局所領域のインデックスを問い合わせると、その局所領域が属するグループのインデックスを返す。
正常モデル格納部106は、局所領域のグループ毎に、正常状態をモデルとして格納する。異常判定部105は、肺領域分割部103で設定された局所領域について、正常モデル格納部106に格納された、対応する局所領域が属するグループの正常モデルを参照することにより、異常状態であるか否かを判定する。
図22において、ステップS50〜S310は、それぞれ、図3のステップS50〜S310と同じである。ステップS340において、異常判定部105は、肺領域分割部103により分割された局所領域から1つの局所領域を選択する。ステップS410では、異常判定部105は、選択された局所領域から、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する。ステップS529において、異常判定部105は、選択された局所領域について、グループ情報格納部104に問い合わせることにより、この局所領域が属するグループを特定する。ステップS530において、異常判定部105は、正常モデル格納部106から、ステップS529で特定したグループの基準第一指標を抽出する。ステップS540において、異常判定部105(判定部の一例に相当)は、ステップS410で抽出した第一指標と、ステップS530で抽出した基準第一指標とを比較し、比較結果に基づいて局所領域が異常状態であるかを判定する。また、異常判定部105は、異常判定結果、つまり異常状態と判定した局所領域および異常の内容をメモリ121に保存する。
ステップS550において、異常判定部105は、全ての局所領域が選択されたか否かを判定する。全ての局所領域が選択されていれば(ステップS550でYES)、処理はステップS610に進む。一方、全ての局所領域が未だ選択されていなければ(ステップS550でNO)、処理はステップS340に戻り、次の局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。ステップS610において、表示制御部122は、ステップS540で異常状態であると判定された局所領域および異常の内容をディスプレイ109に表示する。
局所領域と重なる肋骨の本数が同一である局所領域同士でグループ化することにより、同一グループ内では、濃淡値、および、骨梁に相当するエッジの太さおよび密度がほぼ一定になることが期待できる。また、肺門からの2次元距離が所定の範囲内にある局所領域同士でグループ化することにより、同一グループ内では、肺血管の太さおよび密度がほぼ一定になることが期待できる。そのため、予め求める正常モデル構築の際に、肺血管および骨梁の情報がモデル化し易くなり、かつ、異常検知性能が向上するという効果がある。
また、事前にグループ情報格納部104に格納されているグループのグループ化方法は、上記に限られない。例えば、局所領域を、局所領域と重なる肋骨の本数が同一、かつ、胸部X線画像における肺門からの方向が所定の範囲内にある局所領域同士でグループ化してもよい。図24に示されるグループ化の例では、肺門HLから見て時計の針がおおよそ10時から11時の方向にあり肋骨と重ならない局所領域群がグループK1、1本の肋骨と重なる局所領域群がグループK2、肺門HLから見て時計の針がおおよそ9時から10時の方向にあり肋骨と重ならない局所領域群がグループK3、1本の肋骨と重なる局所領域群がグループK4、2本の肋骨と重なる局所領域群がK5、・・・のようにグループ化されている。
局所領域と重なる肋骨の本数が同一である局所領域同士でグループ化することにより、同一グループ内では、濃淡値、および、骨梁に相当するエッジの太さや密度がほぼ一定になることが期待できる。また、肺門からの方向が所定の範囲内にある局所領域同士でグループ化することにより、同一グループ内では、肺血管に相当するエッジの向きがほぼ一定になることが期待できる。そのため、予め求める正常モデル構築の際に、肺血管および骨梁の情報がモデル化し易くなり、かつ、異常検知性能が向上するという効果がある。
(第2実施形態)
図25は、第2実施形態における、胸部X線画像の異常表示制御方法を実行する異常表示制御装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図26、図27は、第2実施形態に係る異常表示制御装置100により実行される処理手順を概略的に示すフローチャートである。図28は、第2実施形態におけるディスプレイ109の表示例を概略的に示す図である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に、第2実施形態が説明される。
図25に示されるように、第2実施形態の異常表示制御装置100は、正常モデル格納部106、第二正常モデル格納部130、画像メモリ107、通信部108、ディスプレイ109、CPU120、メモリ121を備えている。メモリ121のROMは、CPU120を動作させる第2実施形態の制御プログラムを記憶する。CPU120は、メモリ121に記憶されている第2実施形態の制御プログラムを実行することによって、検出部101、肺領域設定部102、肺領域分割部103、異常判定部105、表示制御部122、通信制御部123として機能する。
異常判定部105は、肺領域分割部103で分割された局所領域について、正常モデル格納部106および第二正常モデル格納部130にそれぞれ格納された、対応する局所領域の正常モデルを参照することにより、異常状態であるか否かを判定する。
図26において、ステップS50〜S520は、それぞれ、図3のステップS50〜S520と同じである。図26のステップS520でYESであれば、処理は図27のステップS560に進む。ステップS560において、異常判定部105は、肺領域分割部103で分割された複数の局所領域のうち、肋骨が存在する局所領域である肋骨局所領域を特定する。ステップS562において、異常判定部105は、特定された肋骨局所領域から1つの肋骨局所領域を選択する。ステップS564において、異常判定部105は、肋骨局所領域から、骨梁の太さおよび密度の属性を表現する第二指標を抽出する。なお、第二指標は、骨梁の太さおよび密度のいずれか一方の属性を表現する指標でもよい。すなわち、第二指標は、骨梁の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する指標であればよい。
ステップS564における抽出技術としては、ステップS400において、異常判定部105が局所領域から第一指標を抽出する際と同一の技術を利用することができる。肺血管は、胸部X線画像上において、図14で示したように中枢の肺門から抹消の胸膜に向かうにつれ、太さが細くなっていく。これに対して、骨梁の太さは、肺血管と比べさらに細く、肋骨内の位置に関わらず、ほぼ一定であり、骨梁は、肺血管と比べ明瞭なコントラストを持った微小な線として認識される。この骨梁の線の太さと密度を、帯域分割フィルタバンクなどの技術により表現する。結果として、第一指標を求めるための帯域分割フィルタバンクの周波数帯域と比較して、第二指標を求めるための帯域分割フィルタバンクの周波数帯域の方が高周波帯域であり、かつ、周波数帯域が狭くなる。
ステップS566において、異常判定部105は、第二正常モデル格納部130から、対応する肋骨局所領域の基準第二指標を抽出する。ステップS568において、異常判定部105は、ステップS564で抽出した第二指標と、ステップS566で抽出した基準第二指標とを比較し、比較結果に基づいて局所領域が異常状態であるか否かを判定する。
基準第二指標については、予め正常な胸部X線画像を多数枚用意し、それらの各画像から、ステップS564の方法で、肋骨局所領域毎に第二指標を計算する。これらの第二指標の分布を、基準第二指標を表す正常モデルとして第二正常モデル格納部130に予め保存しておく。
ステップS570において、異常判定部105は、全ての肋骨局所領域が選択されたか否かを判定する。全ての肋骨局所領域が選択されていれば(ステップS570でYES)、処理はステップS620に進む。一方、全ての肋骨局所領域が未だ選択されていなければ(ステップS570でNO)、処理はステップS562に戻り、次の肋骨局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。ステップS620において、図28に示されるように、表示制御部122は、対象胸部X線画像Ixと、異常状態と判定された局所領域AB1,AB2,AB3,AB4および肋骨局所領域AB5,AB6と、異常状態の内容を表すメッセージMsとをディスプレイ109に表示する。局所領域、肋骨局所領域の名称及びメッセージMsは、予め定義されてメモリ121に保存されている。
以上のように、第2実施形態では、第1実施形態で説明した肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標での異常状態の判定に加え、骨梁の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第二指標での異常状態の判定を行っている。したがって、第2実施形態によれば、疾患により胸部X線画像上に描出される骨梁の密度が正常時の状態よりも多くなったり、少なくなったりしたことを利用して異常検知が可能となる。このように、骨梁の密度の異常が検知できるため、例えば、腫瘍の骨転移のうち、骨梁が消失する異常を検知することによって溶骨型転移を検出することが期待でき、骨梁が増加する異常を検知することによって造骨型転移を検出することが期待できる。
(第2実施形態の変形例)
図29は、第2実施形態の変形例における、胸部X線画像の異常表示制御方法を実行する異常表示制御装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図30、図31は、第2実施形態の変形例に係る異常表示制御装置100により実行される処理手順を概略的に示すフローチャートである。図32、図33は、グループ化の例を示す図である。以下、第2実施形態と異なる点を中心に、第2実施形態の変形例が説明される。
図29に示されるように、異常表示制御装置100は、グループ情報格納部104、正常モデル格納部106、第二正常モデル格納部130、画像メモリ107、通信部108、ディスプレイ109、CPU120、メモリ121を備えている。メモリ121のROMは、CPU120を動作させる第2実施形態の変形例の制御プログラムを記憶する。CPU120は、メモリ121に記憶されている第2実施形態の変形例の制御プログラムを実行することによって、検出部101、肺領域設定部102、肺領域分割部103、第二グループ化部131、異常判定部105、表示制御部122、通信制御部123として機能する。
グループ情報格納部104は、複数の肋骨局所領域から構成されるグループのインデックスと、その構成要素である肋骨局所領域のインデックスとの対応付け情報を記録する。記録される対応付け情報については、予め、正常モデルを作成するために用意された胸部X線画像群を用いて、肺領域分割部103で領域分割された、肺野領域内の複数の肋骨局所領域を、所定基準にてグループ化することにより求めておく。例えば、肋骨局所領域を、肋骨局所領域と重なる肋骨の本数が同一である肋骨局所領域同士でグループ化する。図32に示されるグループ化の例では、1本の肋骨と重なる局所領域群がグループ1、2本の肋骨と重なる局所領域群がグループ2のようにグループ化されている。このグループ情報格納部104に、任意の肋骨局所領域のインデックスを問い合わせると、その肋骨局所領域が属するグループのインデックスを返す。
正常モデル格納部106は、局所領域毎に正常状態をモデルとして格納する。第二正常モデル格納部130は、予め定義された肋骨局所領域のグループ毎に正常状態をモデルとして格納する。異常判定部105は、正常モデル格納部106に格納された、対応する局所領域の正常モデルを参照することにより、局所領域毎に、異常状態であるか否かを判定する。さらに、異常判定部105は、肺領域分割部103で分割された肋骨局所領域について、グループ情報格納部104に記録された対応情報をもとに、その肋骨局所領域が属するグループを特定し、第二正常モデル格納部130に格納された、特定された肋骨局所領域のグループの正常モデルを参照することにより、肋骨局所領域のグループ毎に、異常状態であるか否かを判定する。
図30のステップS50〜S520は、それぞれ、図3のステップS50〜S520と同じである。ステップS520において、全ての局所領域が選択されていれば(ステップS520でYES)、処理は図31のステップS560に進む。ステップS560において、異常判定部105は、肺領域分割部103で分割された複数の局所領域のうち、肋骨が存在する肋骨局所領域を特定する。
図32に示されるグループ化の例では、肋骨局所領域と重なる肋骨が1本である肋骨局所領域群がグループ1、肋骨局所領域と重なる肋骨が2本である肋骨局所領域群がグループ2、のようにグループ化されている。
図31に戻って、ステップS582において、異常判定部105は、ステップS560で特定した肋骨局所領域から1つの肋骨局所領域を選択する。ステップS584では、異常判定部105は、肋骨局所領域毎に、骨梁の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第二指標を抽出する。ステップS585では、異常判定部105は、選択された肋骨局所領域について、グループ情報格納部104に問い合わせることにより、この肋骨局所領域が属するグループを特定する。ステップS586において、異常判定部105は、第二正常モデル格納部130から、ステップS585で特定したグループの基準第二指標を抽出する。ステップS588において、異常判定部105(判定部の一例に相当)は、ステップS584で抽出した第二指標と、ステップS586で抽出した基準第二指標とを比較し、比較結果に基づいて肋骨局所領域が異常状態であるかを判定する。また、異常判定部105は、異常判定結果、つまり異常状態と判定した肋骨局所領域および異常の内容をメモリ121に保存する。
ステップS590において、異常判定部105は、全ての肋骨局所領域が選択されたか否かを判定する。全ての肋骨局所領域が選択されていれば(ステップS590でYES)、処理はステップS620に進む。一方、全ての肋骨局所領域が未だ選択されていなければ(ステップS590でNO)、処理はステップS582に戻り、次の肋骨局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。ステップS620において、表示制御部122は、ステップS510で異常状態であると判定された局所領域および異常の内容、ステップS588で異常状態であると判定された肋骨局所領域および異常の内容を、それぞれ、ディスプレイ109に表示する。
肋骨局所領域と重なる肋骨の本数が同一である肋骨局所領域同士でグループ化することにより、同一グループ内では、骨梁に相当するエッジの密度がほぼ一定になることが期待できる。そのため、予め求める正常モデル構築の際に、骨梁の情報がモデル化し易くなり、かつ、異常検知性能が向上するという効果がある。
また、グループ情報格納部104に格納しておくグループのグループ化方法は、上記に限られない。例えば、肋骨局所領域を、肋骨の走行方向が所定の範囲内にある肋骨局所領域同士でグループ化してもよい。図33に示されるグループ化の例では、右上がり方向の肋骨局所領域群がグループL1、右下がり方向の肋骨局所領域群がグループL3、右上がり方向と右下がり方向の肋骨が重なった肋骨局所領域群がグループL2、のようにグループ化されている。
肋骨の走行方向が所定の範囲内にある肋骨局所領域同士でグループ化することにより、同一グループ内では、骨梁に相当するエッジの方向がほぼ一定になることが期待できる。そのため、予め求める正常モデル構築の際に、骨梁の情報がモデル化し易くなり、かつ、異常検知性能が向上するという効果がある。
(第3実施形態)
図34は、第3実施形態における、医療機関内のネットワーク構成410Aを概略的に示すブロック図である。第3実施形態では、図34に示されるように、医療機関のイントラネットワーク400には、サーバ装置500と、表示制御装置600と、医用画像管理システム200と、胸部X線画像撮影装置300と、が接続されている。
なお、サーバ装置500と、表示制御装置600と、医用画像管理システム200と、胸部X線画像撮影装置300とは、必ずしも、同一の医療機関内のイントラネットワーク400上に接続されている必要はない。表示制御装置600、及び、医用画像管理システム200は、医療機関の外部に設けられたデータセンター、プライベートクラウドサーバ、パブリッククラウドサーバなどの上で動作するソフトウェアであってもよい。
図34に示されるように、サーバ装置500は、正常モデル格納部106、画像メモリ107、通信部108、CPU150、メモリ151を備えている。メモリ151は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ151は、例えばROM、RAM、EEPROMなどを含む。メモリ151のROMは、CPU150を動作させる制御プログラムを記憶する。
CPU150は、メモリ151に記憶されている制御プログラムを実行することによって、検出部101、肺領域設定部102、肺領域分割部103、異常判定部105(判定部の一例に相当)、通信制御部123A(取得部の一例に相当)として機能する。通信制御部123Aは、通信部108を介して、対象胸部X線画像を医用画像管理システム200から取得し、取得した対象胸部X線画像を画像メモリ107に保存する。通信制御部123Aは、通信部108を介して、検出部101の検出結果と、異常判定部105の判定結果とを、表示制御装置600へ送信する。
表示制御装置600(端末装置の一例に相当)は、例えば、タブレット型コンピュータで構成され、医師又は放射線技師などの医療従事者が保持する。図34に示されるように、表示制御装置600は、CPU140と、メモリ141と、画像メモリ142と、通信部143と、ディスプレイ109と、を備える。
メモリ141は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ141は、例えばROM、RAM、EEPROMなどを含む。メモリ141のROMは、CPU140を動作させる制御プログラムを記憶する。CPU140は、メモリ141に記憶されている制御プログラムを実行することによって、表示制御部122、通信制御部123Bとして機能する。
通信制御部123Bは、通信部143を介して、サーバ装置500から送信された対象胸部X線画像のデータを受信し、受信したデータを画像メモリ142に格納する。また、通信制御部123Bは、通信部143を介して、サーバ装置500から送信された、異常状態と判定された局所領域のデータと、異常の内容を表すメッセージとを受信して、受信したデータおよびメッセージをメモリ141に格納する。表示制御部122は、サーバ装置500から送信された情報に基づき、図20と同様の画面を、ディスプレイ109に表示する。この第3実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
代替的に、サーバ装置500は、グループ情報格納部104(図21)をさらに備えてもよい。この場合には、上記第1実施形態の変形例と同様の効果を得ることができる。さらに代替的に、サーバ装置500は、第二正常モデル格納部130(図25)を備えるようにしてもよい。この場合には、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに代替的に、サーバ装置500は、グループ情報格納部104(図29)、第二正常モデル格納部130(図29)を備えてもよい。この場合には、上記第2実施形態の変形例と同様の効果を得ることができる。
(その他)
(1)第2実施形態に係る異常表示制御装置100により実行される処理手順は、図26、図27に示される手順に限られない。
図35、図36は、第2実施形態に係る異常表示制御装置100により実行される、異なる処理手順を概略的に示すフローチャートである。図35のステップS50〜S510は、それぞれ、図26(つまり図3)のステップS50〜S510と同じである。ステップS510に続くステップS515において、異常判定部105は、選択中の局所領域に肋骨が存在するか否かを判定する。選択中の局所領域に肋骨が存在すれば(ステップS515でYES)、処理は図36のステップS516に進む。一方、選択中の局所領域に肋骨が存在しなければ(ステップS515でNO)、処理はステップS320に戻り、次の局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。
図36のステップS516において、異常判定部105は、選択中の局所領域を肋骨局所領域とみなす。続くステップS564〜S568は、図27のステップS564〜S568と同じである。ステップS568に続くステップS572において、異常判定部105は、全ての局所領域が選択されたか否かを判定する。全ての局所領域が選択されていれば(ステップS572でYES)、処理はステップS620に進む。一方、全ての局所領域が未だ選択されていなければ(ステップS572でNO)、処理は図35のステップS320に戻り、次の局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。ステップS620は、図27のステップS620と同じである。
(2)第2実施形態の変形例に係る異常表示制御装置100により実行される処理手順は、図30、図31に示される手順に限られない。
図37、図38は、第2実施形態の変形例に係る異常表示制御装置100により実行される、異なる処理手順を概略的に示すフローチャートである。図37のステップS50〜S510は、それぞれ、図3のステップS50〜S510と同じであり、図37のステップS515は、図35のステップS515と同じであり、図38のステップS516は、図36のステップS516と同じである。図38のステップS584〜S588は、図31のステップS584〜S588と同じである。
ステップS588に続くステップS592において、異常判定部105は、全ての局所領域が選択されたか否かを判定する。全ての局所領域が選択されていれば(ステップS592でYES)、処理はステップS620に進む。一方、全ての局所領域が未だ選択されていなければ(ステップS592でNO)、処理は図37のステップS320に戻り、次の局所領域が選択されて、以上のステップが繰り返される。ステップS620は、図31のステップS620と同じである。
本開示によれば、読影対象である胸部X線画像の診断支援システム、および医学生又は研修医のための読影教育システムに利用可能である。
100 異常表示制御装置
101 検出部
102 肺領域設定部
103 肺領域分割部
104 グループ情報格納部
105 異常判定部
106 正常モデル格納部
107 画像メモリ
108 通信部
109 ディスプレイ
121 メモリ
122 表示制御部
123,123A 通信制御部
130 第二正常モデル格納部
200 医用情報管理システム
300 胸部X線画像撮影装置
400 イントラネットワーク
500 サーバ装置
600 表示制御装置

Claims (10)

  1. 読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像から異常状態を判定してディスプレイに表示する異常表示制御装置のコンピュータが、
    前記対象胸部X線画像を取得し、
    前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出し、
    抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割し、
    前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出し、
    前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定し、
    前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する、
    胸部X線画像の異常表示制御方法。
  2. 前記判定では、前記局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第一指標のうち、前記第一指標が抽出された前記局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第一指標と、が前記局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記局所領域が異常状態であるか否かが前記局所領域毎に判定され、
    前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
    前記グループは、前記局所領域と重なる肋骨の本数が同一、かつ、前記胸部X線画像における肺門からの2次元距離が所定の範囲内にある局所領域の集合であり、前記複数の局所領域の全てはいずれか1つのグループに属する、
    請求項1に記載の胸部X線画像の異常表示制御方法。
  3. 前記判定では、前記局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第一指標のうち、前記第一指標が抽出された前記局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第一指標と、が前記局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記局所領域が異常状態であるか否かが前記局所領域毎に判定され、
    前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
    前記グループは、前記局所領域と重なる肋骨の本数が同一、かつ、前記胸部X線画像における肺門からの方向が所定の範囲内にある局所領域の集合であり、前記複数の局所領域の全てはいずれか1つのグループに属する、
    請求項1に記載の胸部X線画像の異常表示制御方法。
  4. 前記異常表示制御装置の前記コンピュータが、さらに、
    前記複数の局所領域のうち、肋骨が存在する肋骨局所領域を特定し、
    特定された前記肋骨局所領域毎に、骨梁の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第二指標を抽出し、
    前記肋骨局所領域毎に抽出された前記第二指標と、前記肋骨局所領域毎に予め求められた、正常時の骨梁の前記第二指標と同じ属性を表現する指標である基準第二指標のうち、対応する前記肋骨局所領域の基準第二指標と、を前記肋骨局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記肋骨局所領域が異常状態であるか否かを前記肋骨局所領域毎に判定し、
    前記表示では、前記肋骨局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記肋骨局所領域の画像と、前記肋骨局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示される、
    請求項1に記載の胸部X線画像の異常表示制御方法。
  5. 前記肋骨局所領域の判定では、前記肋骨局所領域毎に抽出された前記第二指標と、前記肋骨局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第二指標のうち、前記第二指標が抽出された前記肋骨局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第二指標と、が前記肋骨局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記肋骨局所領域が異常状態であるか否かが前記肋骨局所領域毎に判定され、
    前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記肋骨局所領域の画像と、前記肋骨局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
    前記グループは、前記肋骨局所領域と重なる肋骨の本数が同一の肋骨局所領域の集合であり、全ての前記肋骨局所領域はいずれか1つのグループに属する、
    請求項4に記載の胸部X線画像の異常表示制御方法。
  6. 前記肋骨局所領域の判定では、前記肋骨局所領域毎に抽出された前記第二指標と、前記肋骨局所領域が予めグループ化されて構成されたグループ毎に予め求められた前記基準第二指標のうち、前記第二指標が抽出された前記肋骨局所領域が属する前記グループに対応する前記基準第二指標と、が前記肋骨局所領域毎に比較され、比較結果に基づいて、前記肋骨局所領域が異常状態であるか否かが前記肋骨局所領域毎に判定され、
    前記表示では、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記肋骨局所領域の画像と、前記肋骨局所領域の異常状態の内容と、が前記ディスプレイに表示され、
    前記グループは、肋骨の走行方向が所定の範囲内にある肋骨局所領域の集合であり、全ての前記肋骨局所領域はいずれか1つのグループに属する、
    請求項4に記載の胸部X線画像の異常表示制御方法。
  7. 前記肺野領域および前記肋骨領域の抽出には、画素単位で予測を行うニューラルネットワークを使用して、正常状態の胸部X線画像である学習用胸部X線画像において前記肺野領域および前記肋骨領域が抽出されるように学習されたモデルを使用する、
    請求項1から6のいずれかに記載の胸部X線画像の異常表示制御方法。
  8. 読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像から異常状態を判定してディスプレイに表示する異常表示制御装置のコンピュータを、
    前記対象胸部X線画像を取得する取得部、
    前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出する領域抽出部、
    抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割する分割部、
    前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する指標抽出部、
    前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定する判定部、
    前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する表示制御部、
    として機能させる異常表示制御プログラム。
  9. ディスプレイと、
    読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像を取得する取得部と、
    前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出する領域抽出部と、
    抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割する分割部と、
    前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する指標抽出部と、
    前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定する判定部と、
    前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を前記ディスプレイに表示する表示制御部と、
    を備える異常表示制御装置。
  10. 読影対象の胸部X線画像である対象胸部X線画像を取得する取得部と、
    前記対象胸部X線画像において、肺野領域および肋骨領域を抽出する領域抽出部と、
    抽出された前記肺野領域および前記肋骨領域を基に、前記対象胸部X線画像において、前記肺野領域と重なる肋骨の本数の違いで前記肺野領域を複数の局所領域に分割する分割部と、
    前記複数の局所領域毎に、肺血管の太さおよび密度の少なくとも一方の属性を表現する第一指標を抽出する指標抽出部と、
    前記複数の局所領域毎に抽出された前記第一指標と、前記複数の局所領域毎に予め求められた、正常時の肺血管の前記第一指標と同じ属性を表現する指標である基準第一指標のうち、対応する前記局所領域の基準第一指標と、を前記複数の局所領域毎に比較し、比較結果に基づいて前記局所領域が異常状態であるか否かを前記複数の局所領域毎に判定する判定部と、
    前記局所領域が異常状態であると判定されると、前記対象胸部X線画像のうち異常状態であると判定された前記局所領域の画像と、前記局所領域の異常状態の内容と、を外部の端末装置に送信する通信制御部と、
    を備えるサーバ装置。
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