ここで、本発明を、本発明の全てではなくいくつかの実施形態が示される添付図面を参照しながら以下により完全に説明する。実際に、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。「又は」という用語(「/」とも示される)は、別様に示唆されない限り、代替的及び連言的な意味の両方で本明細書にて使用される。「図示の」及び「例示の」という用語は、品質レベルの指示のない例として使用される。「実質的に」、「概して」、及び「およそ」という用語は、別様に示されない限り、適切なエンジニアリング及び/若しくは製造許容範囲内、並びに/又はユーザ測定能力内のものを指す。同様の数字は、全体をとおして同様の要素を指す。
量子コンピュータの様々な実施形態において、1つ以上のレーザパルスを量子コンピュータの量子ビットに加えて、量子論理ゲートを実行に移すことができる。例えば、量子コンピュータが、トラップされたイオン量子コンピュータである場合、イオンを、量子コンピュータのイオントラップ内にトラップし、量子コンピュータの量子ビットとして使用することができる。1つ以上のレーザパルスを、イオントラップ内にトラップされた1つ以上のイオン(例えば、量子ビット)に加えて、1つ以上のイオンによって具現化された1つ以上の量子ビットで量子論理ゲートを実施することができる。様々な実施形態において、改善された量子論理ゲートを提供することによって、量子計算が直面する技術的問題に対する技術的解決策を提供するD状態のACシュタルクシフトゲートの性能のための、量子コンピュータ、システム、器具、及び対応する方法が提供される。短波長(例えば、紫外線波長)で高いレーザパワーを必要とする量子ゲートが直面する技術的問題に対処するために、このD状態のACシュタルクシフトゲートは、より長い波長及び中程度のレーザパワーで動作する解決策を提供する。例えば、紫外線を使用して、S1/2からP1/2への遷移でMolmer−Sorensen(MS)ゲートを動作させる例示的なP状態のゲートの技術的複雑さとは対照的に、このD状態のACシュタルクシフトゲートは、可視スペクトルの遷移波長λ0のレーザを使用して、S1/2多様体をD3/2多様体に連結する。様々な実施形態において、可視又は可視スペクトルという用語は、およそ380〜740nmの波長範囲の光を指す。例示的な実施形態では、遷移波長は、λ0=435nmである。様々な実施形態において、量子論理ゲートを実施するために使用される操作信号は、UV波長より長い波長(例えば、およそ375〜380nmより長い波長)によって特徴付けられるレーザパルスを含む。これらの動作上の利点は、量子論理ゲートを実装する技術的複雑さを著しく低減し、低い技術的オーバーヘッドを有する高忠実度の量子論理ゲートにつながる。
D状態のACシュタルクシフトゲートの様々な例示的な実施形態は、P状態のゲートに対して様々な利点を提供する。例えば、P状態のMolmer−Sorensen(MS)ゲートは、S1/2多様体とP1/2多様体とをレーザ連結することによって、S1/2多様体の2つの超微細状態間に位相ゲートを実装することができる。このD状態のACシュタルクシフトゲートにより、MSゲートと比較して、(a)ゲートレーザがkHz〜MHz(GHzではなく)周波数だけ分光学的に分離され得ることと、(b)ゲートが光学位相に対して本質的に非感応性であることと、(c)ゲートが量子ビットベースで斜めであることにより、ゲートが動的な連結解除スキームとより自然に適合するようになることと、を含む、いくつかの例示的な技術的利点が得られる。表1は、P状態及びこのD状態のACシュタルクシフトゲートのある特定の特徴間の比較を示す。
表1に見ることができるように、P状態のゲート構成は、紫外線波長で比較的高いレーザパワー(例えば、数10mW)を必要とし、拡張性を妨げる可能性が高い様々な他の技術的難しさに見舞われる。例えば、P状態のMSゲートは、GHzのレーザ変調を必要とし、光学位相に敏感であるが、P状態のACシュタルクシフトゲートは、クロック状態の量子ビットと直接組み合わせることができない。クロック状態の量子ビットの使用は、量子ビットの磁場ノイズに対する感度を低減又は排除することができる。提案されるD状態のACシュタルクシフトゲートに使用される近接離調(near−detuning)により、高忠実度ゲートの例示的な最先端の速度(<100マイクロ秒)を達成することは、D状態がゲート動作中に占有されることをもたらす。しかしながら、ゲート忠実度に対するこの占有率の効果は、パルス整形技術を使用して低減又は排除され得る。例えば、ゲート動作を実施するために1つ以上のイオンに提供される1つ以上の操作ソースのパルスは、ゲート動作の完了後にD状態に残っているイオンのゲート忠実度に対する効果を低減又は排除するように整形され得る。一例として、100μsのゲートは、およそ4μsのsin2(t)を使用して操作信号のオン/オフを行うことによって、残りのD状態の占有率による、<10−4エラーで実施され得る。
例示的な量子コンピュータシステム
図1は、例示的な量子コンピュータシステム100のブロックダイアグラムを提供する。様々な実施形態において、量子コンピュータシステム100は、計算エンティティ10と、量子コンピュータ110と、を備える。様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、コントローラ30と、イオントラップ50を封入する極低温及び/又は真空チャンバ40と、磁場発生装置70と、1つ以上の操作ソース64(例えば、64A、64B、64C)と、を備える。1つ以上のイオンをイオントラップ50内にトラップして、量子コンピュータ110の量子ビットとして作用させることができる。例示的な実施形態では、1つ以上の操作ソース64は、1つ以上のレーザ(例えば、光学レーザなど)、マイクロ波場ソースなどを含み得る。様々な実施形態において、1つ以上の操作ソース64は、イオントラップ50内の1つ以上のイオン(例えば、量子ビット)の制御された量子状態発展を操作及び/又は引き起こすように構成されている。例えば、1つ以上の操作ソース64が1つ以上のレーザを含む例示的な実施形態では、レーザは、1つ以上のレーザビームを、極低温及び/又は真空チャンバ40内のイオントラップ50に提供し得る。様々な実施形態において、操作ソース64を使用して、ゲート動作、冷却動作、漏れ抑制動作などを実施するために使用される操作信号を発生させることができる。例示的な実施形態では、1つ以上の操作ソース64は各々、対応するビーム経路66(例えば、66A、66B、66C)を介して、レーザビームなどをイオントラップ50に提供する。様々な実施形態において、少なくとも1つのビーム経路66は、ビーム経路66を介してイオントラップ50に提供される操作信号を変調するように構成された変調器を備える。様々な実施形態において、量子コンピュータ110の操作ソース64、変調器、及び/又は他の構成要素は、コントローラ30によって制御される。様々な実施形態において、磁場発生装置70は、イオントラップ50内にトラップされたイオン(例えば、量子ビット)が経験する磁場55を発生させるための、電圧源(例えば、電流ドライバ若しくは電圧ドライバ)、1つ以上の永久磁石、及び/又はそれらの組み合わせに連結された回路機構を備え得る。
様々な実施形態において、計算エンティティ10は、ユーザが、入力を(例えば、計算エンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110に提供し、量子コンピュータ110からの出力を受信すること、視認することなどを可能にするように構成される。計算エンティティ10は、1つ以上の有線若しくは無線ネットワーク20を介して、並びに/又は直接有線及び/若しくは無線通信を介して、量子コンピュータ110のコントローラ30と通信し得る。例示的な実施形態では、計算エンティティ10は、構成、フォーマットなどの情報/データ、量子計算アルゴリズムなどを、コントローラ30が理解及び/若しくは実装し得るコンピュータ言語、実行可能な命令、コマンドセットなどに変換することができる。
様々な実施形態において、コントローラ30は、イオントラップ50及び/若しくはイオントラップ50内のイオンの移送を制御する電気信号ソース並びに/又はドライバ、極低温及び/若しくは真空チャンバ40内の温度及び圧力を制御する極低温システム並びに/又は真空システム、操作ソース64、並びに/又は極低温及び/若しくは真空チャンバ40内の環境条件(例えば、温度、湿度、圧力など)を制御する他のシステムを制御するように構成され、かつ/又はイオントラップ50内の1つ以上のイオンの量子状態の制御された発展を操作し、かつ/又は発展を引き起こすように構成される。様々な実施形態において、イオントラップ50内にトラップされたイオンは、量子コンピュータ110の量子ビットとして使用される。
例示的なD状態のACシュタルクシフトゲートの概要
様々な実施形態は、D状態のACシュタルクシフトゲートを実施するための方法、並びにD状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態を実装するように構成及び/又はプログラムされた量子コンピュータ、システム、及び/又は器具を提供する。様々な実施形態において、D状態のACシュタルクシフトゲートを実施することは、1つ以上の操作信号を、量子コンピュータ110のイオントラップ50内にトラップされた1つ以上のイオン(例えば、2つのイオン)に加えることを含む。例えば、コントローラ30は、D状態のACシュタルクシフトゲートを実施するために、1つ以上の操作ソースに、1つ以上の操作信号を、イオントラップ50内にトラップされた1つ以上のイオン(例えば、2つのイオン)に提供させることができる。
様々な実施形態において、イオントラップ50内にトラップされたイオンは、171Yb+であってもよいが、他の電子的に類似するイオンであってもよい。本明細書で使用される場合、これらの電子的に類似するイオンは、1価にイオン化され、1価の価電子、低位D状態を有し、奇数の同位体を有し得る。171Yb+と電子的に類似するイオンの例としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又は他の電子的に類似するイオンを挙げることができる。本明細書で使用される場合、「低位D状態」という用語は、D状態が対応するP状態より低いエネルギーレベルを有することを示唆する。本明細書ではイオンという用語が使用されているが、トラップ50内にトラップされるオブジェクトは、低位D状態を有する他の原子オブジェクト(例えば、原子)であってもよく、それらに対してD状態のACシュタルクシフトゲートの様々な実施形態を実行に移すことができる。
様々な実施形態において、2つのレベルの量子ビット空間が定義される。例示的な実施形態では、2つのレベルの量子ビット空間の2つのレベルは、同じ一次量子数及び磁気量子数を有し得る。例えば、2つのレベルの量子ビット空間の2つのレベルは、イオンの超微細レベルであり得る。例示的な実施形態では、2つのレベルの量子ビット空間の第1のレベル(例えば、|↓>)は、F=0、m=0、2S1/2状態であり得、2つのレベルの量子ビット空間の第2のレベル(例えば、|↑>)は、F=1、m=0、2S1/2状態であり得る。様々な実施形態は、状態の異なるペアとして、量子ビット空間を定義し得る。例えば、例示的な実施形態では、量子ビット空間は、Ca、Sr、又はBa中の非ゼロ磁場クロック状態として定義され得る。様々な実施形態において、1つ以上の操作信号(例えば、ゲート操作信号)を使用して、2つのレベルの量子ビット空間のうちの少なくとも1つのレベルを、2D3/2多様体及び/又は2D5/2多様体のうちの少なくとも1つの状態に連結することができる。
様々な実施形態において、2つのスピン依存力(spin−dependent−force、SDF)のパルスを、中速量子ビットの回転パルス(例えば、πパルス)と共に、1つ以上の量子ビットに加えることを含むゲートが提供される。かかるゲートは、SDFパルスを加えることによって引き起こされる任意の望ましくないACシュタルクシフトの相殺を可能にする利点を提供する。様々な実施形態において、少なくとも1つのSDFパルスを1つ以上の量子ビットに加えることを含むゲートが提供される。例えば、例示的な実施形態例では、1つのSDFパルスのみを1つ以上の量子ビットに加えることを含むゲートが提供される。別の実施例では、例示的な実施形態において、3つ以上のSDFパルスを1つ以上の量子ビットに加えることを含むゲートが提供される。
図2は、例示的な実施形態による、D状態のACシュタルクシフトゲートを実施するために、例えば、量子コンピュータ110のコントローラ30によって実施される処理、手順、動作などを例示するフローチャートを提供する。図3は、例示的な実施形態の状態遷移ダイアグラムを提供し、図7は、別の例示的な実施形態の状態遷移ダイアグラムを提供する。ステップ/動作202で始まり、ゲート動作が開始される。例えば、コントローラ30は、ゲート動作を開始することができる。例えば、コントローラ30は、1つ以上のコマンドを(例えば、スケジュールされたコマンドの待ち行列から)実行して、ゲート動作を開始することができる。例示的な実施形態では、ゲート動作を開始することは、ゲートに対応する1つ以上のパラメータにメモリ(例えば、メモリ1110)からアクセスすること、1つ以上の操作ソース64(例えば、光学レーザ、マイクロ波場ソースなど)をオンにすること及び/若しくは暖機運転することなどを含み得る。
ステップ/動作204において、コントローラ30は、任意選択的に、量子ビット回転操作ソース64Aに、第1の分析操作信号を1つ以上のイオン(例えば、2つのイオン)に提供させる。様々な実施形態において、第1の分析操作信号は、π/2パルスである。例えば、π/2パルスは、可視レーザパルス、マイクロ波場/パルスなどであり得る。例示的な実施形態では、第1の分析操作信号は、D状態のACシュタルクシフトゲートの動作を分析することに対応する診断手順の一部であり得る。
ステップ/動作206において、コントローラ30は、第1及び第2のゲート操作ソース64B、64Cに、第1のスピン依存力(SDF)パルスを提供させる。様々な実施形態において、第1のSDFパルスは、第1のゲート操作ソース64Bによって発生した第1のゲート操作信号と、第2のゲート操作ソース64Cによって発生した第2のゲート操作信号とを含む、複合パルスである。例示的な実施形態例では、第1及び第2のゲート操作信号は、単一のゲート操作ソースによって発生する。例えば、例示的な実施形態では、第1のゲート操作ソース64Bは、第1のゲート操作信号及び第2のゲート操作信号の両方を発生させて提供する。例えば、第1及び第2のゲート操作信号は、単一のレーザ信号の変調であり得る。
様々な実施形態において、第1のゲート操作信号及び第2のゲート操作ソースは、第1のSDFパルスを提供するように相互作用し得る。様々な実施形態において、イオンに第1のSDFパルスを入射したときに、イオンは力を経験する。イオンが経験する力は、イオンの内部状態に依存する。例えば、第1及び第2のゲート操作信号は、イオンがS状態のセット内の特定の状態にあることが条件とされている各イオンに力を加えるように構成される。例えば、イオンがS1/2多様体の第1の内部状態にある場合、イオンは、イオンに第1のSDFパルスを入射したとき、及びイオンがS1/2多様体の第2の内部状態(第1の初期状態とは異なる)にあるときに第1の力を経験し、イオンは、イオンに第1のSDFパルスを入射したときに第2の力を経験し、第1の力と第2の力は異なる。例えば、第1のSDFパルスは、量子ビット空間のうちの一方の状態を、D3/2又はD5/2多様体のうちの1つ以上の状態に強く連結し、量子ビット空間のうちの他方の状態を、D3/2又はD5/2多様体の状態に弱く連結し得る。例示的な実施形態では、第1のSDFパルスは、量子ビット空間内のイオン及び/又はS1/2多様体の状態の占有率を明らかに変化させることなく、イオンの1つ以上の内部状態をイオンの運動状態に連結するように構成される。例示的な実施形態では、第1及び第2のゲート操作信号は、1つ以上のイオンの内部状態をそれらの運動状態に連結する一方で、S状態のセット(すなわち、2量子ビットレベル)の各々における1つ以上のイオンの占有率を高精度に維持するように構成される。
本明細書では、「量子ビット空間内のイオン及び/又はS1/2多様体の状態の占有率を明らかに変化させることなく」という言い回しは、イオンの占有率がS状態のセット内の状態(例えば、S1/2多様体の状態及び/又は量子ビット空間の状態)間で明らかに移動しないことを意味する。例えば、様々な実施形態は、Molmer Sorensenゲートではなく、ACシュタルクシフトゲートを提供する。様々な実施形態において、量子ビット空間(例えば、|↑>及び|↓>)を定義する2つのS状態は、ゲート中におよそ固定された占有率を有する。例示的な実施形態では、レーザ連結による占有率の転送は、非常に小さい(例えば、例示的な実施形態では、イッテルビウムイオンの場合、10−6又は10−7のレベル)。様々な実施形態において、ゲート中のD状態からの自発的な減衰により、S多様体内の非量子ビット状態(例えば、量子ビット空間内に存在しないS1/2多様体内の状態)への占有率の何らかの転送があり、これは、ゲート動作中の10−5〜10−4レベルにおけるS状態内の占有率の転送を引き起こす。しかしながら、レーザ連結による任意の占有率の転送は、量子ビット空間から漏れているイオンの(同様に非常に小さい)エラーと比較して、無視できるほど小さい。したがって、「高精度」とは、レーザ連結によって誘起された占有率の転送が、ゲート中の自発的放出による占有率の転送をはるかに下回ることを意味し、これは、既に10−4レベル未満である。
様々な実施形態において、第1のゲート操作信号は、第1のレーザ波長によって特徴付けられ、第2のゲート操作信号は、第2のレーザ波長によって特徴付けられ、第1及び第2のレーザ波長は、D状態のセットの超微細多様体内で対称的に離調される。様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作信号は、ビートノート周波数μ1=ωgate+δによって互いに離調される。様々な実施形態において、第1のSDFは、ビートノート周波数μ1で発振し、これは、ゲートモード周波数ωgateからδだけ離調された周波数であり、δは、正であっても、負であってもよい。様々な実施形態において、δ(例えば、|δ|)の絶対値は、ゲートモード周波数ωgateのおよそ0.1%〜10%の範囲内である。様々な実施形態において、δは、およそ数kHz〜数百kHzである。例示的な実施形態では、ωgateは、およそ2MHzのイオン結晶(例えば、ゲートモードと呼ばれる)の1つの通常モードの周波数に対応する。様々な実施形態において、第2及び第3の操作ソース64B、64Cは、ゲートレーザ(例えば、量子論理ゲートを1つ以上のイオンに加えるように構成されたレーザ)であり得る。
様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作信号は、可視スペクトル波長レーザ信号、ビーム、パルス、パルスのセットなどである。例示的な実施形態では、第1及び第2のゲート操作信号は、赤外線若しくはUV波長レーザ信号、ビーム、パルス、パルスのセットなどである。例えば、例示的な実施形態では、第1及び第2のゲート操作信号は、波長λ0≒435nmによって特徴付けられる。例示的な実施形態では、第1及び/又は第2のゲート操作信号は、およそ4μsのsin2(t)の上昇及び下降変調を含むようにパルス整形変調を介して整形される。例示的な実施形態では、イオンは、イッテルビウム171を含み、第1のゲート操作信号及び第2のゲート操作信号は、およそ435nmのレーザパルスを含む。様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作信号は、適用に適切なように、共伝播(例えば、平行方向への伝播)、非共伝播(例えば、非平行方向への伝播)、直交及び/若しくは垂直方向への伝播、並びに/又は逆伝播(例えば、反対方向への伝播)であり得る。
ステップ動作208において、コントローラ30は、量子ビット回転操作ソース64Aに、量子ビット回転操作信号を1つ以上のイオン(例えば、2つのイオン)に提供させる。様々な実施形態において、量子ビット回転操作信号は、πパルスである。例えば、量子ビット回転信号は、(例えば、ブロッホ球の)xy平面の軸線を中心として角度πラジアンだけ量子ビット回転(例えば、量子ビットの状態を表現するブロッホベクトルのブロッホ球上の回転)を引き起こし得る。例示的な実施形態では、量子ビット回転操作信号によって引き起こされる量子ビット回転は、ゲートに付随する不要な回転を別様に引き起こすであろう任意の単一イオンのACシュタルクシフトの相殺をもたらす。例えば、πパルスは、可視レーザパルス、マイクロ波場/パルスなどであり得る。様々な実施形態において、ステップ/動作204で分析操作信号を提供する量子ビット回転操作ソース64Aは、ステップ/動作208で量子ビット回転操作信号を提供する量子ビット回転操作ソース64Aと同じ又は異なる量子ビット回転操作ソース64Aであり得る。
ステップ/動作210において、コントローラ30は、第1及び第2のゲート操作ソース64B、64Cに、第2のSDFパルスを提供させる。様々な実施形態において、第2のSDFパルスは、第1のゲート操作ソース64Bによって発生した第3のゲート操作信号と、第2のゲート操作ソース64Cによって発生した第4のゲート操作信号と、を含む、複合パルスである。例示的な実施形態例では、第1及び第2のゲート操作信号は、単一のゲート操作ソースによって発生する。例えば、例示的な実施形態では、第1のゲート操作ソース64Bは、第1のゲート操作信号及び第2のゲート操作信号の両方を発生させて提供する。例えば、第3及び第4のゲート操作信号は、単一のレーザ信号の変調であり得る。
様々な実施形態において、第3のゲート操作信号及び第4のゲート操作ソースは、第2のSDFパルスを提供するように相互作用し得る。様々な実施形態において、イオンに第2のSDFパルスを入射したときに、イオンは力を経験する。イオンが経験する力は、イオンの内部状態に依存する。例えば、第1及び第2のゲート操作信号は、イオンがS状態のセット内の特定の状態にあることが条件とされている各イオンに力を加えるように構成される。例えば、イオンがS1/2多様体の第1の内部状態にある場合、イオンは、イオンに第2のSDFパルスを入射したとき、及びイオンがS1/2多様体の第2の内部状態(第1の初期状態とは異なる)にあるときに第1の力を経験し、イオンは、イオンに第2のSDFパルスを入射したときに第2の力を経験し、第1の力と第2の力は異なる。例えば、第2のSDFパルスは、量子ビット空間のうちの一方の状態を、D3/2又はD5/2多様体のうちの1つ以上の状態に強く連結し、量子ビット空間のうちの他方の状態を、D3/2又はD5/2多様体の状態に弱く連結し得る。例示的な実施形態では、第2のSDFパルスは、量子ビット空間内のイオン及び/又はS1/2多様体の状態の占有率を明らかに変化させることなく、イオンの1つ以上の内部状態をイオンの運動状態に連結するように構成される。第3及び第4のゲート操作信号は、1つ以上のイオンの内部状態を当該イオンの運動状態に連結する一方で、S状態のセット(すなわち、2量子ビットレベル)の各々における1つ以上のイオンの占有率を高精度に維持するように構成される。
様々な実施形態において、第3のゲート操作信号は、第1のレーザ波長によって特徴付けられ、第4のゲート操作信号は、第2のレーザ波長によって特徴付けられ、第1及び第2のレーザ波長は、D状態のセットの超微細多様体内で対称的に離調される。様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作信号は、ビートノート周波数μ2=ωgate+/−δによって互いに離調される。様々な実施形態において、第2のSDFは、ビートノート周波数μ2で発振し、これは、ゲートモード周波数ωgateから+/−δだけ離調された周波数である。様々な実施形態において、ゲートモード周波数ωgate及び離調周波数δの大きさは、ステップ/動作206のものと同じである。例示的な実施形態では、ゲートモードからのμ2の離調のサインは、ステップ/動作210では、ステップ/動作206のゲートモードからのμ1の離調のサインとは異なる場合がある。例えば、第1のSDFパルスは、ωgateからδだけ離調され得、第2のSDFパルスは、ゲートモード周波数ωgateから+/−δだけ離調され得る。様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作ソース64B、64Cは、ゲートレーザ(例えば、量子論理ゲートを1つ以上のイオンに加えるように構成されたレーザ)であり得る。様々な実施形態において、第3のゲート操作信号を提供する第1のゲート操作ソース64Bは、第1のゲート操作信号を提供する同じ又は異なる第1のゲート操作ソース64Bである。様々な実施形態において、第2のゲート操作信号を提供する第2のゲート操作ソース64Cは、第4のゲート操作信号を提供する同じ又は異なる第2のゲート操作ソース64Cである。様々な実施形態において、第3及び第4のゲート操作信号は、可視スペクトル波長レーザ信号、ビーム、パルス、パルスのセットなどである。例示的な実施形態では、第3及び第4のゲート操作信号は、赤外線若しくはUV波長レーザ信号、ビーム、パルス、パルスのセットなどである。例示的な実施形態では、第3及び/又は第4のゲート操作信号は、およそ4μsのsin2(t)の上昇及び下降変調を含むようにパルス整形変調を介して整形される。例示的な実施形態では、イオンは、イッテルビウム171を含み、第3のゲート操作信号及び第4のゲート操作信号は、およそ435nmのレーザパルス(例えば、λ0≒435nm)を含む。様々な実施形態において、第3及び第4のゲート操作信号は、適用に適切なように、共伝播(例えば、平行方向への伝播)、非共伝播(例えば、非平行方向への伝播)、直交及び/若しくは垂直方向への伝播、並びに/又は逆伝播(例えば、反対方向への伝播)であり得る。
ステップ動作212において、コントローラ30は、任意選択的に、量子ビット回転操作ソース64Aに、第2の分析操作信号を1つ以上のイオン(例えば、2つのイオン)に提供させる。様々な実施形態において、第2の分析操作信号は、π/2パルスである。例えば、π/2パルスは、可視レーザパルス、マイクロ波場/パルスなどであり得る。様々な実施形態において、ステップ/動作204で第1の分析操作信号を提供し、かつ/又はステップ/動作208で量子ビット回転操作信号を提供する量子ビット回転操作ソース64Aは、ステップ/動作212で第2の分析操作信号パルスを提供する量子ビット回転操作ソース64Aと同じ又は異なる量子ビット回転操作ソース64Aであり得る。例示的な実施形態では、第2の分析操作信号は、D状態のACシュタルクシフトゲートの動作を分析することに対応する診断手順の一部であり得る。
ステップ/動作214において、コントローラ30は、ゲート動作が完了したことを判定し得る。例えば、コントローラ30は、ゲート動作が実施されたことを示唆するように、(例えば、メモリ1110に記憶された)ログを更新することができる。様々な実施形態において、ログは、1つ以上の量子ビット記憶を含むことができ、ゲート動作によってアドレス指定された量子ビット及び/又はイオンに対応する量子ビット記憶を更新して、ゲート動作が実施されたことを示唆することができる。
ここで、D状態のACシュタルクシフトゲートの2つの例示的な実施形態をより詳細に説明する。D状態のACシュタルクシフトゲートの図3〜図6に関して記載される例示的な実施形態は、超微細多様体の外側で離調され、図7〜図10に関して記載される別の例示的な実施形態は、超微細多様体内で対称的に離調される。第1及び第2の例示的な実施形態の両方は、励起状態及び接地状態の選択時にわずかに異なる偏差で実施され得る。様々な実施形態において、S1/2(F=0)→D3/2(F=1)遷移は禁止されている。図3〜図6に関して記載される例示的な実施形態は、イオンの全ての運動サイドバンドと遠隔共鳴するという利点を有する。図7〜図10に関して記載される例示的な実施形態は、組み合わせで第1のSDFパルス(又は第2のSDFパルス)を提供する、2つのトーン(例えば、第1及び第2のゲート操作信号330A及び330B若しくは730A及び730B(又は第3及び第4のゲート操作信号))のみを使用して、時間非依存型ACシュタルクシフトをゼロにするという利点を有する。
D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態
図3〜図6は、D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態を例示する様々なダイアグラムを提供する。例えば、図3は、例示的な実施形態による、状態遷移ダイアグラムを提供し、図4は、例示的な実施形態による、表面イオントラップ内にトラップされたイオンに対する例示的なゲートの性能を示す概略ダイアグラムを提供し、図5は、例示的な実施形態による、位相ゲートプロトコルのブロッホ球表現を示すブロックダイアグラムを提供し、図6は、例示的な実施形態例による、性能測定結果を提供する。
図3のダイアグラム300は、D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態が、遷移波長λ0で操作信号330(例えば、330A、330B、SDFパルス)を使用して、2つのレベルの量子ビット空間を含むS1/2多様体320をD3/2多様体310にどのように連結するかを示す。ゲート操作信号330によって、D3/2多様体310の実線で表現される状態(例えば、F=2、m=−2、0、2、D3/2状態)に連結されている、S1/2多様体320の実線で表現される状態(例えば、F=0、m=0、S1/2状態、及びF=1、m=0、S1/2状態)。ゲート操作信号330を介して連結されていないD3/2多様体310及びS1/2多様体320の状態は、点線で示される。様々な実施形態において、量子ビット空間の一方の状態(例えば、|↓>)は、D3/2多様体310の少なくとも1つの状態に近接共鳴的に(ひいては、強く)連結し、量子ビット空間の他方の状態(例えば、|↑>)は、D3/2多様体310の状態に遠隔共鳴的に(ひいては、弱く)連結する。したがって、SDFパルスを加えることにより、量子ビット空間内のイオンに対する状態依存力が発生する。例えば、量子ビット空間の|↓>状態のイオンは力を経験するが、量子ビット空間の|↑>状態のイオンは、イオンにSDFパルスを入射したときにほとんど力を経験しない。
例示的な実施形態では、遷移波長は、λ0=435nmである。ダイアグラム300は、1価にイオン化されたイッテルビウム171(171Yb+)を有するトラップされたイオンアーキテクチャのレベルのスキームを示すが、同様のレベルのスキームが電子的に類似するイオンに適用される。本明細書で使用される場合、これらの電子的に類似するイオンは、1価にイオン化され、1価の価電子を有し、奇数の同位体を有し、低位D状態を有し得る。171Yb+と電子的に類似するイオンの例としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又は他の電子的に類似するイオンを挙げることができる。一実施例では、171Yb+は、遷移波長λ0=435nmによって特徴付けられる操作信号を使用して、S1/2多様体320をD3/2多様体310に連結することができる。
表2は、このD状態のACシュタルクシフトゲートに関するいくつかの性能分析推定値を示す。様々な実施形態において、ゲート時間は、(例えば、図2に記載及び/又は例示されるように)ゲート動作を実施する時間に対応する。様々な実施形態において、残りのモード占有率は、ゲート動作の完了時に元の運動状態に戻らないイオンの可能性に対応する。忠実度測定は、ゲート動作の忠実度を示唆する。自発的放出確率は、イオンが、ゲート動作の実施中に自発的放出によってD3/2多様体310から脱励起する確率を示唆する。
図4は、一実施形態による、ゲート動作の幾何学的構成400を示すブロックダイアグラムである。イオントラップ50を使用して、本明細書に記載されるD状態のACシュタルクシフトゲートを実装することができる。イオントラップ50を使用して、171Yb+又は電子的に類似するイオンなどのイオン52(例えば、52A、52B)をトラップすることができる。イオントラップ50は、1つ以上の操作ソースと(例えば、ビーム経路66を介して)連結される。例えば、第1のゲート操作ソース64Bは、第1のゲート操作信号420を発生させることができる。例示的な実施形態では、第1のゲート操作信号420は、様々な実施形態において、π/2可視光又はマイクロ波場/パルスである第1の分析操作信号を加えた後、及び第2のゲート操作信号430とおよそ同時に加えられる。様々な実施形態において、第1及び第2の操作信号は、ビートノート周波数μによって互いに離調される。例示的な実施形態例では、第1のゲート操作信号420の分極425は、ページの平面内にある。例えば、第2のゲート操作ソース64Cは、第2のゲート操作信号430を発生させることができる。例示的な実施形態例では、第2のゲート操作信号430の分極435は、ページの平面内にある。様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作信号は一緒になって第1のSDFパルスを形成する。一実施例では、2量子ビットゲートは、第1及び第2のゲート操作信号420、430の両方を使用するが、単一量子ビットゲートが、第1又は第2のゲート操作信号420、430のうちの1つを使用して実装されてもよく、マイクロ波操作信号(例えば、マイクロ波場/パルス)に対処する追加のマイクロ波を、第1又は第2のゲート操作信号420、430のうちの1つと組み合わせて加えることができる。第1のゲート操作信号420及び第2のゲート操作信号430は、互いに対して横断するように配置され得る。本明細書で使用される場合、「横断」という用語は、平行ではないことを意味する。例えば、第1の操作ゲート信号420及び第2のゲート操作信号430は、互いに伝播せず、ひいては、互いに横断する。例示的な実施形態では、第1のゲート操作信号420及び第2のゲート操作信号430は、互いに対しておよそ及び/又は実質的に垂直に及び/又は直交するように配置され得る。一実施例では、第1及び第2のゲート操作信号420、430は、イオントラップ50の表面の平面内で線形分極する(例えば、425、435)。例示的な実施形態では、第3のゲート操作信号は、第1のゲート操作信号420と幾何学的に実質的に同じであってもよく、第4のゲート操作信号は、第2のゲート操作信号430と幾何学的に実質的に同じであってもよい。例えば、第3のゲート操作信号は、第1のゲート操作信号420の分極425と実質的に同様に、イオントラップ50の表面の平面内に線形分極を有し得る。例えば、第4のゲート操作信号は、第2のゲート操作信号430の分極435と実質的に同様に、イオントラップ50の表面の平面内に線形分極を有し得る。しかしながら、例示的な実施形態例では、単一量子ビットゲートを実施するとき、第3及び第4のゲート操作信号は一緒になって第2のSDFパルスを形成し、第2のSDFパルスは、第1及び第2のゲート操作信号420、430の組み合わせによって形成された第1のSDFパルスの周波数よりもおよそ2δ多いか又はそれ未満の周波数を有する。様々な実施形態において、第3及び第4のゲート操作信号は一緒になって第2のSDFパルスを形成し、第2のSDFパルスは、2量子ビットゲートを実装するとき、第1のSDFパルスにおよそ等しい周波数によって特徴付けられる。様々な実施形態において、第3及び第4の操作信号は、ビートノート周波数μによって互いに離調される。様々な実施形態において、第1、第2、第3、及び/又は第4の操作信号は、残りのD多様体の占有率を低減するように構成された整形パルスであり得る。
171Yb+中でS1/2多様体をD3/2多様体に連結するために、2量子ビットのD状態のACシュタルクシフトゲートは、第1及び第2のゲート操作信号420、430であって、これらの組み合わせが、第1のSDFパルスである、第1及び第2のゲート操作信号420、430と、第2及び第3のゲート操作信号であって、これらの組み合わせが、第2のSDFパルスであり、第2のSDFパルスが、およそ遷移波長λ0で動作する、第2及び第3のゲート操作信号と、を含む。例えば、第1及び第2のゲート操作信号420、430(並びに第3及び第4のゲート操作信号)は、第1及び第2のゲート操作信号420、430(並びに第3及び第4のゲート操作信号)の相互作用がμ=ωgate+δのビートノート周波数をもたらすように、互いに離調され得る。このビートノート周波数は、第1/第2のSDFの発振周波数である。様々な実施形態において、ビートノート周波数は、ゲートモード周波数ωgateから+δだけ離調されるように選択され、δは、およそ数kHz〜数百kHzの範囲内である。例示的な実施形態では、遷移波長は、λ0≒435nmである。遷移波長λ0≒435nmが、171Yb+を使用する動作のために使用されるが、異なる波長のレーザが、他の電子的に類似するイオンに使用されるであろう。例示的な実施形態では、第1のゲート操作信号330Aの周波数(例えば、およそc/λ0、式中、cは、光の速度である)、及びD3/2多様体の基準状態の周波数は、オフセット周波数Δだけ互いからオフセットされる。例示的な実施形態では、オフセット周波数は、Δ≒12MHzである。例示的な実施形態では、第1及び第2のSDFパルスは、F=2、m=−2、0、+2、2D3/2状態に連結する。
イオントラップ50は、磁場55を発生させる磁場発生装置を含み得る。一実施例では、磁場55は、およそ5ガウスの磁場を提供し得るが、他の磁場値が使用されてもよい。このD状態のACシュタルクシフトゲートは、第1及び第2のゲート操作信号420、430並びに第3及び第4のゲート操作信号と組み合わせて磁場55を発生させることによって実装され得る、2量子ビットゲートを提供し得る。
図5は、例示的な実施形態による、位相ゲートプロトコル500のブロッホ球表現を示すブロックダイアグラムである。特に、プロトコル500は、記載される2量子ビットのD状態のACシュタルクシフトゲートを実装するように拡張され得る、2量子ビットゲート戦略を使用して単一量子ビットゲートを動作させることを実証する。プロトコル500は、|Ψ>=|↓>を表現する第1の状態510で開始し得る。ステップ/動作204に関して記載されるように、第1の分析操作信号(例えば、π/2レーザ又はマイクロ波場/パルス)を任意選択的に加えて、第1の状態510から、(|↓>+|↑>)/√2を表現する第2の状態520まで遷移させることができる。次いで、ステップ/動作206に関して記載されるように、第1及び第2のゲート操作ソースを使用して、ゲートモード周波数ωgateから+δだけ離調された周波数で発振する第1のSDFを加え、第1のSDFは、520で表現される状態を、530で表現される新しい状態(ei(Φ+φ ac )|↓>+|↑>)/√2に変換する。ステップ/動作208に関して記載されるように、量子ビット回転操作信号(例えば、πレーザパルス)を加えて、第3の状態530から、(|↓>+ei(Φ+φ ac )|↑>)/√2を表現する第4の状態540まで遷移させることができ、式中、φacは、イオンが経験するACシュタルクシフトであり、Φは、SDFパルスによって与えられる幾何学的位相である。ステップ/動作210に関して記載されるように、ゲートモード周波数ωgateから−δだけ離調された(例えば、第3及び第4のゲート操作信号の組み合わせから発生した)第2のSDFパルスを加えて、第4の状態540から、e(iφ ac )(e−iΦ|↓>+eiΦ|↑>)/√2を表現する第5の状態550まで遷移させることができる。最後に、第2の分析操作信号(例えば、π/2レーザパルス)を任意選択的に加えて、第5の状態550から、|Ψf>=cosΦ|↓>+sinΦ|↑>を表現する第6の状態560まで遷移させることができる。以下の図6に記載されるように、第6の状態560は、Pbright=|<↑|Ψf>|2=cos2Φのブライト/アップ状態の確率に対応する。
図6は、例示的な実施形態で達成された性能測定結果600を例示する。結果600は、測定スキーム610及び対応する性能プロット620を示す。プロット620は、ゲート操作ソースのパワーレベルの関数としてのブライト/アップ状態の確率を示す。特に、プロット620は、測定されたデータポイント630、理想的な理論上のブライト/アップ状態の確率曲線640、及び1000量子/秒の、独立して測定された速度での加熱効果を含むことによって導出される理論上のブライト/アップ状態の曲線650、を示す。プロット620に示されるように、類似性は、関連付けられた忠実度Fπ=87(1)%で、データと理論(独立して測定された加熱が含まれる)との間の良好な一致を示し、これは、幾何学的位相ゲートに期待される挙動の一貫性を実証する。追加的に、データは、〜13%の不忠実度(例えば、1−Fπ)がほぼ完全に加熱によるものであることと一貫しており、これは、奇数パリティゲートモードを使用することによって、2量子ビットゲートの場合ほぼ排除されることになる。
D状態のACシュタルクシフトゲートの別の例示的な実施形態
図7〜図10は、D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態を例示する様々なダイアグラムを提供する。図7は、別の例示的な実施形態による、状態遷移ダイアグラムを提供し、図8は、例示的な実施形態による、表面イオントラップ内にトラップされたイオンに対する例示的なゲートの性能を示す概略ダイアグラムを提供し、図9は、例示的な実施形態による、位相ゲートプロトコルの表現を示すブロックダイアグラムを提供し、図10は、例示的な実施形態例による、性能測定結果を例示するプロットを提供する。
図7のダイアグラム700は、D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態が、遷移波長λ0で1つ以上の操作信号730(例えば、730A、730B、これらを組み合わせてSDFパルスを提供する)を使用して、2つのレベルの量子ビット空間54を含むS1/2多様体720をD3/2多様体710にどのように連結するかを示す。状態は、ゲート操作信号730によって、D3/2多様体710の実線で表現される状態(例えば、F=1、m=−1、1、D3/2状態)に連結されている、S1/2多様体720の実線で表現される(例えば、F=0、m=0、S1/2状態、及びF=1、m=0、S1/2状態)。ゲート操作信号730を介して連結されていないD3/2多様体710及びS1/2多様体720の状態は、点線で示される。様々な実施形態において、量子ビット空間の一方の状態(例えば、|↑>)は、D3/2多様体710のうちの少なくとも1つの状態に強く連結し、量子ビット空間の他方の状態(例えば、|↓>)は、D3/2多様体710の状態に弱く連結する。したがって、SDFパルスを加えることにより、量子ビット空間内のイオンに対する状態依存力が発生する。例えば、量子ビット空間の|↓>状態のイオンは、イオンにSDFパルスを入射したときの量子ビット空間の|↑>状態のイオンとは異なる力を経験する。
例示的な実施形態では、遷移波長は、λ0=435nmである。ダイアグラム700は、1価にイオン化されたイッテルビウム171(171Yb+)を有するトラップされたイオンアーキテクチャのレベルのスキームを示すが、同様のレベルのスキームが電子的に類似するイオンに適用される。本明細書で使用される場合、これらの電子的に類似するイオンは、1価にイオン化され、1価の価電子、低位D状態を有し、奇数の同位体を有し得る。171Yb+と電子的に類似するイオンの例としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又は他の電子的に類似するイオンを挙げることができる。一実施例では、171Yb+は、遷移波長λ0≒435nmによって特徴付けられる操作信号を使用して、S1/2多様体720をD3/2多様体710に連結することができる。
図8は、一実施形態による、ゲート動作の幾何学的構成800を示すブロックダイアグラムである。イオントラップ50を使用して、本明細書に記載されるD状態のACシュタルクシフトゲートを実装することができる。イオントラップ50を使用して、171Yb+又は電子的に類似するイオンなどのイオン52(例えば、52A、52B)をトラップすることができる。イオントラップ50は、1つ以上の操作ソースと(例えば、ビーム経路66を介して)連結される。例えば、第1のゲート操作ソース64Bは、第1のゲート操作信号820を発生させ得る(例えば、第1のゲート操作信号820を、様々な実施形態において、π/2可視光又はマイクロ波場/パルスである第1の分析操作信号を任意選択で加えた後、及び第2のゲート操作信号830とおよそ同時に加えることができる)。様々な実施形態において、第1及び第2の操作信号は、ビートノート周波数μによって互いに離調される。例示的な実施形態例では、第1のゲート操作信号820の分極825は、ページの平面内にある。例えば、第2のゲート操作ソース64Cは、第2のゲート操作信号830を発生させることができる。例示的な実施形態例では、第2のゲート操作信号830の分極835は、ページの平面外にある。様々な実施形態において、第1及び第2のゲート操作信号は一緒になって第1のSDFパルスを形成する。一実施例では、2量子ビットゲートは、第1及び第2のゲート操作信号820、830の両方を使用するが、単一量子ビットゲートが、第1又は第2のゲート操作信号820、830のうちの1つを使用して実装されてもよく、マイクロ波操作信号(例えば、マイクロ波場/パルス)に対処する追加のマイクロ波を、第1及び第2のゲート操作信号820、830のうちの1つと組み合わせて加えることができる。第1のゲート操作信号820及び第2のゲート操作信号830は、互いに対して横断するように(例えば、伝播することなく)配置され得る。例示的な実施形態では、第1のゲート操作信号820及び第2のゲート操作信号830は、互いに対しておよそ及び/又は実質的に垂直に及び/又は直交するように配置され得る。一例では、第1及び第2のゲート操作信号820、830は、線形分極し(例えば、825、835)、第1のゲート操作信号820の分極825は、イオントラップ50の表面の平面内にあり、第2のゲート操作信号830の分極835は、イオントラップ50の表面の平面を横断し、かつ/又はおよそ直交する。例示的な実施形態では、第3のゲート操作信号は、第1のゲート操作信号820と幾何学的に実質的に同じであってもよく、第4のゲート操作信号は、第2のゲート操作信号830と幾何学的に実質的に同じであってもよい。例えば、第3のゲート操作信号は、第1のゲート操作信号820の分極825と実質的に同様に、イオントラップ50の表面の平面内に線形分極を有し得る。例えば、第4のゲート操作信号は、第2のゲート操作信号830の分極835と実質的に同様に、イオントラップ50の表面の平面内に線形分極を有し得る。様々な実施形態において、第3及び第4の操作信号は、ビートノート周波数μによって互いに離調される。
171Yb+中でS1/2多様体をD3/2多様体に連結するために、2量子ビットのD状態のACシュタルクシフトゲートは、第1及び第2のゲート操作信号820、830であって、これらの組み合わせが、第1のSDFパルスである、第1及び第2のゲート操作信号820、830と、第3及び第4のゲート操作信号であって、これらの組み合わせが、第2のSDFパルスであり、第2のSDFパルスが、およそ遷移波長λ0で動作する、第3及び第4のゲート操作信号と、を含む。例えば、第1及び第2のゲート操作信号820、830(並びに第3及び第4のゲート操作信号)は、第1及び第2のゲート操作信号820、830(並びに第3及び第4のゲート操作信号)の相互作用がωgate+δのビートノート周波数をもたらすように、互いに離調され得る。このビートノート周波数は、第1/第2のSDFの発振周波数である。様々な実施形態において、ビートノート周波数は、ゲートモード周波数ωgateからδだけ離調されるように選択され、δは、およそ数kHz〜数百kHzの範囲内である。例示的な実施形態では、遷移波長は、λ0≒435nmである。遷移波長λ0≒435nmが、171Yb+を使用する動作のために使用されるが、異なる波長のレーザが、他の電子的に類似するイオンに使用されるであろう。例示的な実施形態では、第1及び第2のSDFパルスは、F=1、m=−1、+1、D3/2状態に連結する。
イオントラップ50は、磁場55を発生させる磁場発生装置を含み得る。一実施例では、磁場55は、およそ5ガウスの磁場を提供し得るが、他の磁場値が使用されてもよい。このD状態のACシュタルクシフトゲートは、第1及び第2のゲート操作信号820、830並びに第3及び第4のゲート操作信号と組み合わせて磁場55を発生させることによって実装され得る、2量子ビットゲートを提供し得る。様々な実施形態において、第1、第2、第3、及び/又は第4の操作信号は、残りのD多様体の占有率を低減するように構成された整形パルスであり得る。
図9は、例示的な実施形態による、位相ゲートプロトコル900を表現するブロックダイアグラムである。特に、プロトコル900は、例示的な実施形態の2量子ビットのD状態のACシュタルクシフトゲートを動作させることを実証する。プロトコル900は、|Ψ>=|↓↓>を表現する第1の状態910で開始し得る。ステップ/動作204に関して記載されるように、分析操作信号(例えば、π/2レーザ又はマイクロ波場/パルス)を加えて、第1の状態910から、(|↓↓>+|↓↑>+|↑↓>+|↑↑>)/2を表現する第2の状態920まで遷移させることができる。次いで、ステップ/動作206に関して記載されるように、第1及び第2のゲート操作ソースを使用して、ゲートモード周波数ωgateからδだけ離調された周波数で振動する第1のSDFを加え、第1のSDFは、920で表現される状態を、930で表現される新しい状態(例えば、
式中、φACは、イオンが経験するACシュタルクシフトによる位相である)に変換する。ステップ/動作208に関して記載されるように、量子ビット回転操作信号(例えば、πレーザパルス)を加えて、第3の状態930から、状態
を表現する第4の状態940まで遷移させることができる。ステップ/動作210に関して記載されるように、ゲートモード周波数ωgateからδだけ離調された(例えば、第3及び第4のゲート操作信号の組み合わせから発生した)第2のSDFパルスを加えて、第4の状態940から、(|↓↓>+eiπ/2|↓↑>+eiπ/2|↑↓>+|↑↑>)/2を表現する第5の状態950まで遷移させることができる。最後に、第2の分析操作信号(例えば、π/2レーザパルス)を任意選択的に加えて、第5の状態950から、|Ψf>=(|↓↓>+|↑↑>)/√2を表現する第6の状態960まで遷移させることができる。
図10は、例示的な実施形態による、性能測定結果プロット1000を例示する。特に、プロット1000は、データ1010、及びランダム化ベンチマーキング(randomized benchmarking、RB)減衰曲線の最良適合線1020を示す。例えば、プロット1000は、対称的なサブ空間のランダム化ベンチマーキング(symmetric−subspace randomized benchmarking、SSRB)が99.50(5)%のゲート忠実度をもたらすことを例示する。残りの不忠実度は、ゲートプロトコル900の実施中に、主にレーザノイズ及び加熱に起因し、ゲート実施後の残りのD状態の占有率につながると考えられる。理論的モデル化は、D状態の占有率が10−4レベル未満に抑制され得ることを提案する。様々な実施形態において、磁場55が5ガウスに設定されると、自発的放出のエラーが10−4レベル未満に抑制される。
技術的利点
様々な実施形態は、D状態のACシュタルクシフトゲートを実施するための方法、並びにかかる方法を実装することができる量子コンピュータ、システム、及び/又は器具を提供する。短波長(例えば、紫外線波長)で高いレーザパワーを必要とする量子ゲートが直面する技術的問題に対処するために、D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態は、より長い波長及び中程度のレーザパワーで動作する解決策を提供する。例えば、紫外線を使用して、S1/2からP1/2への遷移でMolmer−Sorensen(MS)ゲートを動作させるP状態のゲートの技術的複雑さとは対照的に、D状態のACシュタルクシフトゲートの例示的な実施形態は、遷移波長λ0のレーザを使用して、S1/2多様体をD3/2多様体に連結する。例示的な実施形態では、遷移波長は、λ0=435nmである。これらの動作上の利点は、量子論理ゲートを実装する技術的複雑さを著しく低減し、いくつかの実施例では、低い技術的オーバーヘッドを有する高忠実度の量子論理ゲートにつながる。
D状態のACシュタルクシフトゲートの様々な例示的な実施形態は、P状態のゲートに対して様々な利点を提供する。例えば、P状態のMolmer−Sorensen(MS)ゲートは、S1/2多様体とP1/2多様体とをレーザ連結することによって、S1/2多様体の2つの超微細状態間に位相ゲートを実装することができる。このD状態のACシュタルクシフトゲートにより、MSゲートと比較して、(a)ゲートレーザがkHz〜MHz(GHzではなく)周波数だけ分光学的に分離され得ることと、(b)ゲートが光学位相に対して本質的に非感応性であることと、(c)ゲートが量子ビットベースで斜めであることにより、ゲートが動的な連結解除スキームとより自然に適合するようになることと、を含む、いくつかの技術的利点が得られる。
例示的なコントローラ
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、量子コンピュータ110の様々な要素を制御するように構成されたコントローラ30を更に備える。様々な実施形態において、コントローラ30は、量子コンピュータ110に、様々な動作(例えば、ゲート動作、冷却動作、移送動作、量子ビット相互作用動作、量子ビット読み取り動作など)、漏れ抑制動作など)を実施させるように構成され得る。例えば、コントローラ30は、例示的な実施形態のD状態のACシュタルクシフトゲートを実行に移すために、第1、第2、及び第3の操作ソース64A、64B、64Cに、操作信号を提供させるように構成され得る。様々な実施形態において、コントローラ30は、極低温及び/若しくは真空チャンバ40内の温度及び圧力を制御する極低温システム並びに/又は真空システム、操作ソース64、並びに/又は極低温及び/若しくは真空チャンバ40内の環境条件(例えば、温度、湿度、圧力など)を制御する他のシステムを制御するように構成され、かつ/又はイオントラップ50内の1つ以上のイオンの量子状態の制御された発展を操作し、かつ/又は発展を引き起こすように構成され得る。
図11に示されるように、様々な実施形態において、コントローラ30は、処理要素1105、メモリ1110、ドライバコントローラ要素1115、通信インターフェース1120、アナログ−デジタル変換素子1125などを含む様々なコントローラ要素を備え得る。例えば、処理要素1105は、プログラマブル論理装置(programmable logic device、CPLD)、マイクロプロセッサ、共処理エンティティ、特定用途向けプロセッサのための命令セット(application−specific instruction−set processor、ASIP)、集積回路、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array、PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の処理装置及び/若しくは回路機構など、並びに/又はコントローラを含み得る。回路機構という用語は、ハードウェア全体の実施形態、又はハードウェア及びコンピュータプログラム製品の組み合わせを指し得る。例示的な実施形態では、コントローラ30の処理要素1105は、クロックを含み、かつ/又はクロックと通信する。
例えば、メモリ1110は、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM(登録商標)、SONOS、レーストラックメモリ、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどのうちの1つ以上のような、揮発性及び/又は不揮発性記憶域などの非一時的なメモリを含み得る。様々な実施形態において、メモリ1110は、(例えば、量子ビット記録データ記憶、量子ビット記録データベース、量子ビット記録テーブルなどの)量子コンピュータの量子ビットに対応する量子ビット記憶、較正テーブル、実行可能な待ち行列、(例えば、1つ以上のコンピュータ言語、専門コントローラ言語(複数可)などの)コンピュータプログラムコードなどを記憶し得る。例示的な実施形態では、メモリ1110に記憶されたコンピュータプログラムコードの少なくとも一部分を(例えば、処理要素1105によって)実行することにより、コントローラ30は、本明細書に記載される1つ以上のステップ、動作、処理、手順などを実行する。
様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素1115は、各々が1つ以上のドライバを制御するように構成された、1つ以上のドライバ及び/又はコントローラ要素を含み得る。様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素1115は、ドライバ及び/又はドライバコントローラを備え得る。例えば、ドライバコントローラは、コントローラ30によって(例えば、処理要素1105によって)スケジューリング及び実行される、実行可能な命令、コマンドなどに従って、1つ以上の対応するドライバを動作させるように構成され得る。様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素1115は、コントローラ30が操作ソース64を動作させ、真空及び/又は極低温システムなどを動作させることを可能にし得る。様々な実施形態において、ドライバは、レーザドライバ、マイクロ波ドライバ、真空構成要素ドライバ、極低温及び/又は真空システム構成要素ドライバ、電流ドライバなどであり得る。例えば、ドライバ及び/又はドライバコントローラは、磁場発生装置70(例えば、電圧源(例えば、電流ドライバ若しくは電圧ドライバ)、永久磁石(複数可)、及び/又はそれらの組み合わせに連結された回路機構を含む)に、イオントラップ50の1つ以上の位置で特定の方向及び大きさを有する磁場を発生させるように構成され得る。様々な実施形態において、コントローラ30は、カメラ、MEMカメラ、CCDカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管などのような1つ以上の光学受信機構成要素から信号を通信及び/又は受信するための手段を備える。例えば、コントローラ30は、1つ以上の光受信機構成要素、較正センサなどから信号を受信するように構成された1つ以上のアナログ−デジタル変換機要素1125を備え得る。
様々な実施形態において、コントローラ30は、計算エンティティ10とインターフェース接続及び/又は通信するための通信インターフェース1120を備え得る。例えば、コントローラ30は、実行可能な命令、コマンドセットなどを計算エンティティ10から受信し、量子コンピュータ110から(例えば、光学収集システムから)受信した出力及び/又は計算エンティティ10への出力を処理した結果を提供するための通信インターフェース1120を備え得る。様々な実施形態において、計算エンティティ10及びコントローラ30は、直接有線及び/若しくは無線接続、並びに/又は1つ以上の有線及び/若しくは無線ネットワーク20を介して通信し得る。
例示的な計算エンティティ
図12は、本発明の実施形態と共に使用することができる例示的な計算エンティティ10の例示的な概略図を提供する。様々な実施形態において、計算エンティティ10は、ユーザが、入力を(例えば、計算エンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110に提供し、量子コンピュータ110からの出力を受信すること、表示すること、分析することなどを可能にするように構成される。例えば、ユーザは、計算エンティティ10を動作させて、(例えば、D状態のACシュタルクシフトゲートを含む)量子アルゴリズム及び/又は量子回路を発生させ、かつ/又はプログラムすることができ、量子アルゴリズム及び/又は量子回路は、コントローラ30が量子アルゴリズム及び/又は量子回路を受信し、量子コンピュータ110に量子アルゴリズム及び/又は量子回路を実施させることができるように提供され得る。
図12に示されるように、計算エンティティ10は、アンテナ1212、伝送機1204(例えば、無線機)、受信機1206(例えば、無線機)、並びに伝送機1204及び受信機1206のそれぞれに信号を提供し、それぞれから信号を受信する処理要素1208を含み得る。伝送機1204及び受信機1206のそれぞれに提供され、それぞれから受信される信号は、コントローラ30、他の計算エンティティ10などのような様々なエンティティと通信するための、適用可能な無線システムのエアインターフェース標準に従って、信号情報/データを含み得る。この点に関して、計算エンティティ10は、1つ以上のエアインターフェース標準、通信プロトコル、変調タイプ、及びアクセスタイプで動作することができる場合がある。例えば、計算エンティティ10は、ファイバ分散データインターフェース(fiber distributed data interface、FDDI)、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL)、Ethernet、非同期転送モード(asynchronous transfer mode、ATM)、フレームリレー、ケーブルによるデータサービスインターフェース仕様(data over cable service interface specification、DOCSIS)、又は任意の他の有線伝送プロトコルなどの有線データ伝送プロトコルを使用して通信を受信及び/又は提供するように構成さ得る。同様に、計算エンティティ10は、汎用パケット無線サービス(general packet radio service、GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、符号分割多元接続2000(Code Division Multiple Access 2000、CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access、WCDMA(登録商標))、世界移動体通信システム(Global System for Mobile Communication、GSM)、GSM革新のための強化データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution、EDGE)、時分割−同期符号分割多元接続(Time Division−Synchronous Code Division Multiple Access、TD−SCDMA)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、E−UTRAN)、エボリューションデータオプティマイズド(Evolution−Data Optimized、EVDO)、高速パケットアクセス(High Speed Packet Access、HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(High−Speed Downlink Packet Access、HSDPA)、IEEE802.11(Wi−Fi)、Wi−Fi Direct、802.16(WiMAX)、超広帯域(ultra wideband、UWB)、赤外線(infrared、IR)プロトコル、近距離通信(near field communication、NFC)プロトコル、Wibree、Bluetoothプロトコル、無線ユニバーサルシリアルバス(wireless universal serial bus、USB)プロトコル、及び/又は任意の他の無線プロトコルなどの様々なプロトコルのいずれかを使用して、無線外部通信ネットワークを介して通信するように構成され得る。計算エンティティ10は、かかるプロトコル及び標準を、ボーダゲートウェイプロトコル(Border Gateway Protocol、BGP)、動的ホスト構成プロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol、DHCP)、ドメイン名システム(Domain Name System、DNS)、ファイル転送プロトコル(File Transfer Protocol、FTP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol、HTTP)、HTTPオーバーTLS/SSL/Secure、インターネットメッセージアクセスプロトコル(Internet Message Access Protocol、IMAP)、ネットワークタイムプロトコル(Network Time Protocol、NTP)、シンプルメール転送プロトコル(Simple Mail Transfer Protocol、SMTP)、Telnet、トランスポートレイヤーセキュリティ(Transport Layer Security、TLS)、セキュアソケットレイヤー(Secure Sockets Layer、SSL)、インターネットプロトコル(Internet Protocol、IP)、伝送制御プロトコル(Transmission Control Protocol、TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(User Datagram Protocol、UDP)、データグラムコンジェスチョンコントロールプロトコル(Datagram Congestion Control Protocol、DCCP)、ストリーム制御伝送プロトコル(Stream Control Transmission Protocol、SCTP)、ハイパーテキストマークアップ言語(HyperText Markup Language、HTML)などを使用した通信のために使用することができる。
これらの通信標準及びプロトコルを介して、計算エンティティ10は、非構造付加サービス情報/データ(Unstructured Supplementary Service information/data、USSD)、ショートメッセージサービス(Short Message Service、SMS)、マルチメディアメッセージサービス(Multimedia Messaging Service、MMS)、デュアルトーンマルチ周波数信号(Dual−Tone Multi−Frequency Signaling、DTMF)、及び/又は加入者識別モジュールダイヤラ(Subscriber Identity Module Dialer、SIMダイヤラ)などの概念を使用して、様々な他のエンティティと通信することができる。計算エンティティ10はまた、例えば、そのファームウェア、ソフトウェア(例えば、実行可能な命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、及びオペレーティングシステムに、変更、アドオン、及び更新をダウンロードすることができる。
計算エンティティ10はまた、1つ以上のユーザ入力/出力インターフェース(例えば、処理要素1208に連結されたディスプレイ1216及び/又はスピーカ/スピーカドライバ、並びに処理要素1208に連結されたタッチスクリーン、キーボード、マウス、及び/又はマイクロフォン)を備えるユーザインターフェース装置を含み得る。例えば、ユーザ出力インターフェースは、アプリケーション、ブラウザ、ユーザインターフェース、インターフェース、ダッシュボード、スクリーン、ウェブページ、ページ、及び/又は本明細書で互換可能に使用される類似の単語を提供するように構成され、情報/データを表示又は可聴提示させるため、及び1つ以上のユーザ入力インターフェースを介して情報/データと相互作用させるように、計算エンティティ10上で実行され、かつ/又は計算エンティティ10を介してアクセス可能であってもよい。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド1218(ハード若しくはソフト)、タッチディスプレイ、音声/発話若しくは運動インターフェース、スキャナ、リーダ、又は他の入力装置など、計算エンティティ10がデータを受信することを可能にする多数の装置のうちのいずれかを含み得る。キーパッド1218を含む実施形態では、キーパッド1218は、従来の数字(0〜9)及び関連するキー(#、*)、並びに計算エンティティ10を動作させるために使用される他のキーを含む(又はそれらを表示させる)ことができ、英数字キーの完全なセット、又は英数字キーの完全なセットを提供するように起動され得るキーのセットを含むことができる。入力を提供することに加えて、例えば、ユーザ入力インターフェースを使用して、スクリーンセーバ及び/若しくはスリープモードなどのある特定の機能を起動又は起動解除することができる。かかる入力により、計算エンティティ10は、情報/データ、ユーザ対話/入力などを収集することができる。
計算エンティティ10はまた、揮発性記憶域若しくはメモリ1222、及び/又は不揮発性記憶域若しくはメモリ1224を含むことができ、これらは、埋め込まれてもよいし、かつ/又は取り外し可能であってもよい。例えば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM,RRAM(登録商標)、SONOS、レーストラックメモリなどであってもよい。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどであってもよい。揮発性及び不揮発性記憶域又はメモリは、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システムエンティティ、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、マシンコード、実行可能な命令などを記憶して、計算エンティティ10の機能を実装することができる。
結論:
本明細書に記載される本発明の多くの修正例及び他の実施形態は、前述の説明及び関連付けられた図面に提示される教示の利益を有する、本発明に関係がある当業者に着想されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正例及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられているが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。