JP2020178935A - 線量分布判定システム、深層学習装置、線量分布判定方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

線量分布判定システム、深層学習装置、線量分布判定方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】患部に照射される放射線の線量分布の、治療者に応じた違いを軽減する技術を提供する。【解決手段】本発明は、放射線の照射対象の患部である対象患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である対象患部情報を取得する取得部(通信部)20と、患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習の学習結果と、前記対象患部情報とに基づいて、前記対象患部に照射する放射線の線量分布を判定する制御部21と、を備える線量分布判定システム100である。【選択図】図1

Description

本発明は、線量分布判定システム、深層学習装置、線量分布判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
放射線治療のひとつに、強度変調放射線治療(intensity-modulated radiation therapy:IMRT)がある(特許文献1参照)。IMRTは、複数の方向から各方向に応じた強度の放射線を患部に照射する治療である。IMRTは方向と強度とを変更可能な治療であるため、医者や放射線技師等の治療者は患部における放射線の線量分布を患部の位置や形状に応じてさまざまに決定可能である。そのため、患部の形が不整形で複雑な場合や患部の近くに正常組織が隣接している場合であっても、治療者は患部に適切な線量分布の放射線を照射することができる。
特開2018−187089号公報
しかしながら、これまで患部における放射線の線量分布は治療者が個々の知識や経験に基づいて決定していた。そのため、治療者に応じて線量分布が異なる場合があり、治療者によっては治療が適切でない場合があった。
上記事情に鑑み、本発明は、患部に照射される放射線の線量分布の、治療者に応じた違いを軽減する技術を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、放射線の照射対象の患部である対象患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である対象患部情報を取得する取得部と、患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習の学習結果と、前記対象患部情報とに基づいて、前記対象患部に照射する放射線の線量分布を判定する制御部と、を備える線量分布判定システムである。
本発明の一態様は、上記の線量分布判定システムであって、前記深層学習を実行する深層学習部、をさらに備える。
本発明の一態様は、上記の線量分布判定システムであって、前記深層学習における目的変数の線量分布は、正規化された線量分布である。
本発明の一態様は、患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習を実行する深層学習部、を備える深層学習装置である。
本発明の一態様は、放射線の照射対象の患部である対象患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である対象患部情報を取得する取得ステップと、患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習の学習結果と、前記対象患部情報とに基づいて、前記対象患部に照射する放射線の線量分布を判定する制御ステップと、を有する線量分布決定方法である。
本発明の一態様は、上記の線量分布判定システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
本発明の一態様は、上記の深層学習装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
本発明により、患部に照射される放射線の線量分布の、治療者に応じた違いを軽減することが可能となる。
実施形態の線量分布判定システム100のハードウェア構成の一例を示す図。 実施形態における出力部24が表示する対象患部情報の一例を示す図。 実施形態における深層学習装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。 実施形態における線量分布判定装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。 図2に示す対象患部901、902、903及び904に照射する放射線の線量分布を線量分布判定装置2が判定した結果の一例を示す図。 図2に示す対象患部901、902、903及び904に照射する放射線の線量分布であって、複数の治療者によって決定された放射線の線量分布一例を示す図。 変形例における目的線量分布情報が示す規格化された線量分布である場合に実施形態における制御部21が判定する線量分布の実験結果の一例を示す図。 変形例の実験において複数の治療者によって決定された放射線の線量分布を示す図。 変形例の実験における目的線量分布情報が平均値正規化線量分布である場合に線量分布候補情報が示す線量分布を示す図。 変形例の実験において目的線量分布情報が示す線量分布であって、対象患部に照射される線量の最大値によって正規化された線量分布を示す図。 変形例における第2分布の値から第1分布の値を引き算した値を示す図。 変形例における第3分布の値から第1分布の値を引き算した値を示す図。
(実施形態)
図1は、実施形態の線量分布判定システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
線量分布判定システム100は、放射線治療において対象患部に照射される放射線の対象患部における線量分布を、対象患部情報と所定の深層学習によって予め学習された学習結果とに基づいて判定する。対象患部は、放射線治療における治療の対象となる患部であって、放射線の照射対象の患部である。すなわち、対象患部は放射線治療における標的体積である。対象患部情報は、対象患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である。より具体的には、対象患部情報は、同一の対象患部の複数の断面の位置及び輪郭を示す情報である。同一の対象患部の複数の断面は、例えば、所定の一軸上の異なる位置における対象患部の断面であってもよい。放射線治療はどのような放射線治療であってもよく、例えば、強度変調放射線治療(intensity-modulated radiation therapy:IMRT)であってもよい。所定の深層学習は、説明患部情報を説明変数とし、目的線量分布情報を目的変数(すなわち教師データ)とする深層学習である。説明患部情報は、所定の深層学習における学習の過程で用いられる情報であって患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である。目的線量分布情報は、所定の深層学習における学習の過程で用いられる情報であり、予め説明患部情報に対応付けられた情報であり、対応先の説明患部情報が示す断面における線量分布を示す情報である。所定の深層学習におけるアルゴリズムは、患部の位置と断面の輪郭と、線量分布との関係を学習可能なアルゴリズムであればどのような深層学習のアルゴリズムであってもよい。所定の深層学習におけるアルゴリズムは、例えば、オートエンコーダのアルゴリズムであってもよい。所定の深層学習におけるアルゴリズムは、例えば、リカレントニューラルネットワークのアルゴリズムであってもよい。所定の深層学習におけるアルゴリズムは、例えば、畳み込みニューラルネットワークのアルゴリズムであってもよい。所定の深層学習におけるアルゴリズムは、例えば、U−Netであってもよい。以下、患部の位置と断面の輪郭と、線量分布と、の関係を学習する深層学習を線量分布学習という。以下、患部の位置と断面の輪郭と、線量分布との関係を示す情報であって線量分布学習による学習結果を示す情報を関係情報という。
線量分布判定システム100は、深層学習装置1及び線量分布判定装置2を備える。深層学習装置1は、説明患部情報及び目的線量分布情報に基づき、線量分布学習によって関係情報を学習する。深層学習装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。深層学習装置1は、プログラムの実行によって制御部11、入力部12、記憶部13及び通信部14を備える装置として機能する。なお、深層学習装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
制御部11(深層学習部)は、深層学習装置1の各機能部の動作を制御する。制御部11は、説明患部情報及び目的線量分布情報に基づき、線量分布学習によって関係情報を取得する。
入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部12は、これらの入力装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部12は、自装置に対する各種情報の入力を受け付ける。各種情報は、説明患部情報及び目的線量分布情報を含む。
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部13は深層学習装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部13は、例えば、入力部12に入力された説明患部情報及び目的線量分布情報を記憶する。記憶部13は、例えば、線量分布学習の学習結果である関係情報を記憶する。
通信部14は、自装置と線量分布判定装置2とが通信するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部14は、有線又は無線を介して、線量分布判定装置2と通信する。通信部14は、ネットワーク9を介して関係情報を線量分布判定装置2に送信する。
線量分布判定装置2は、対象患部情報及び関係情報に基づき、対象患部情報が示す対象患部の各断面における線量分布の候補(以下「線量分布候補」という。)を判定する。線量分布判定装置2は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。線量分布判定装置2は、プログラムの実行によって通信部20、制御部21、入力部22、記憶部23及び出力部24を備える装置として機能する。なお、線量分布判定装置2の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部20は、自装置と深層学習装置1とが通信するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部20は、有線又は無線を介して、深層学習装置1と通信する。通信部20は、ネットワーク9を介して深層学習装置1が送信する関係情報を受信する。通信部20は、ネットワーク9を介して外部装置から各種情報を受信する。各種情報は対象患部情報を含む。通信部20には、1つの対象患部情報が入力されてもよいし、複数の対象患部情報が入力されてもよい。複数の対象患部情報の各対象患部情報は同一の面内に位置する異なる複数の対象患部の断面の輪郭を示す。なお、異なる対象患部は、必ずしも異なる臓器又は組織である必要は無い。1つの対象患部は、複数の臓器を含んでもよい。通信部20は、USB(Universal Serial Bus)等の外部記憶装置と通信し、外部記憶装置から対象患部情報を含む各種情報を取得してもよい。また、通信部20は、対象患部の各断面における線量分布候補を示す情報(以下「線量分布候補情報」という。)を、ネットワーク9を介して外部装置に送信する。通信部20は、USB等の外部記憶装置に線量分布候補情報を送信してもよい。
制御部21は、線量分布判定装置2の各機能部の動作を制御する。制御部21は、対象患部情報及び関係情報に基づいて対象患部の各断面における線量分布候補を示す情報(以下「線量分布候補情報」という。)を取得する。すなわち、制御部21は、対象患部情報及び関係情報に基づいて対象患部の各断面における線量分布候補を判定する。制御部21は、通信部20が複数の対象患部情報を受信した場合、対象患部情報ごとに線量分布候補情報を取得する。すなわち、線量分布判定装置2は複数の対象患部情報を受信した場合、対象患部情報ごとに対象患部情報が示す対象患部の各断面における放射線の線量分布を判定する。
入力部22は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部22は、これらの入力装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部22は、自装置に対するユーザの操作を受け付ける。
線量分布判定装置2に複数の対象患部情報が入力される場合、制御部21は合成処理を実行してもよい。制御部21は、合成処理の実行によって、複数の線量分布候補情報が示す同一面内の線量分布に基づき、同一面内の各位置における線量の和を算出する。制御部21は、合成処理の実行によって、算出した線量の和の分布を示す情報(以下「合成結果情報」という。)を取得する。合成結果情報は、対象患部に照射される放射線の線量分布を示す情報である。
記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部23は線量分布判定装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部23は、例えば、入力部22に入力された対象患部情報を記憶する。記憶部23は、例えば、通信部20を介して受信した関係情報を記憶する。記憶部23は、例えば、線量分布候補情報を記憶する。
出力部24は、各種情報を出力する。出力部24は、例えば、対象患部情報を出力する。出力部24は、例えば、線量分布候補情報を出力する。出力部24は、例えば、合成結果情報を出力する。出力部24は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部24は、これらの表示装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。
図2は、実施形態における出力部24が表示する対象患部情報の一例を示す図である。図2は、同一の面内に位置する異なる複数の対象患部の断面の輪郭を示す。すなわち、図2は、複数の対象患部情報が示す対象患部の断面の輪郭を1つの画像として表示した結果である。異なる対象患部の断面は異なる色又は模様によって示される。図2は、具体的には、対象患部901、902、903及び904の4つの対象患部の断面を示す。
図3は、実施形態における深層学習装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。通信部14が、説明患部情報及び目的線量分布情報を受信する(ステップS101)。制御部11は、説明患部情報及び目的線量分布情報に基づき、線量分布学習によって関係情報を取得する(ステップS102)。制御部11は通信部14を介して関係情報を線量分布判定装置2に送信する(ステップS103)。
図4は、実施形態における線量分布判定装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御部11は、通信部20を介して関係情報を取得する(ステップS201)。通信部20が対象患部情報を受信する(ステップS202)。制御部11が、対象患部情報及び関係情報に基づいて、対象患部情報が示す対象患部の各断面における線量分布を判定する(ステップS203)。通信部20及び出力部24がステップS203において判定された線量分布を示す情報を出力する(ステップS204)。通信部20が線量分布を示す情報を出力するとは、通信部20が線量分布を示す情報を、ネットワーク9を介して外部装置に送信することと、USB等の外部記憶装置に送信することとのいずれか一方又は両方である。
(実験結果)
図5及び図6を用いて、線量分布判定装置2が判定した線量分布と治療者が判定した線量分布との違いが小さいことを示す。
図5は、図2に示す対象患部901、902、903及び904に照射する放射線の線量分布を線量分布判定装置2が判定した結果の一例を示す図である。すなわち、図5は、線量分布判定装置2が判定した線量分布候補情報の実験結果の一例である。より具体的には、図5は合成結果情報の一例である。図5は、図2に示す対象患部901、902、903及び904に照射される放射線の線量分布を示す。
図6は、図2に示す対象患部901、902、903及び904に照射する放射線の線量分布であって、複数の治療者によって決定された結果の一例を示す図である。複数の治療者によって決定された結果とは、具体的には、放射線の線量分布が患者にとって望ましいか否かを複数の治療者が検討して決定した結果という意味である。このような複数の治療者が検討して決定する場合、治療者1人当たりが決定に要する時間は3時間や4時間等の数時間である。図6の結果は、図5の結果との違いが小さいことを示す。このことは、線量分布判定装置2が判定した線量分布に基づいた治療計画が患者にとって信頼に足る計画であることを意味する。
このように構成された実施形態の線量分布判定システム100は、深層学習によって学習された患部の断面の輪郭と線量分布との関係と、対象患部の断面の輪郭とに基づいて、対象患部に照射する放射線の線量分布を判定する。線量分布判定システム100の判定の結果は、図5及び図6に示すように、複数の治療者が判定した結果の平均値の一例との差が小さい結果である。そのため、線量分布判定システム100は、患部に照射される放射線の線量分布の、医者や放射線技師等の治療者に応じた違いを軽減することができる。
また、線量分布判定システム100が線量分布の判定に用いる学習結果は深層学習による学習結果であるため、機械学習による学習結果と異なり、人が特徴量を指定した学習結果ではない。このように、線量分布判定システム100は人が特徴量を指定した学習結果に代えて人の主観の影響が少ない学習結果を用いて線量分布を判定する。そのため、線量分布判定システム100が判定する線量分布は、機械学習による学習結果を用いて判定された線量分布よりも人の主観の影響が小さい線量分布である。人の主観の影響が小さいため、線量分布判定システム100が判定する線量分布は、機械学習による学習結果を用いて判定された線量分布よりも精度の高い線量分布を判定することができる。
また、従来の強度変調放射線治療では、治療者が知識や経験に基づいて線量分布を判定していたため治療計画の作成に時間がかかっていた。例えば、治療計画の作成には数十時間かかる場合があった。そのため、治療計画の作成に要する治療者の負担が大きいという問題があった。一方、線量分布判定システム100は、治療者の知識や経験に基づかずに線量分布を判定する。そのため、治療計画に要する治療者の負担を軽減することができる。実験結果によれば、従来は作成に10時間を要した治療計画が、線量分布判定システム100によって1時間で作成された。
(変形例)
深層学習装置1に入力される目的線量分布情報が示す線量分布は、対象患部における線量の平均値によって正規化された線量分布であってもよい。図7〜図13を用いて、目的線量分布情報が示す線量分布が平均値正規化線量分布である場合に制御部21が判定する線量分布の実験(以下「変形例の実験」という。)の実験結果を説明する。より具体的には、目的線量分布情報が示す線量分布が最大値正規化線量分布である場合と比較して、説明する。平均値正規化線量分布は、対象患部における線量の平均値によって正規化された線量分布である。最大値正規化線量分布は、対象患部における線量の最大値によって正規化された線量分布である。
図7は、変形例の実験における対象患部情報を示す図である。変形例の実験において対象患部情報は、患部901a、902a、903a及び904aの4つの患部の断面の輪郭を示す。901aは、PTVを示す。902aは、PTVと尿道の重複領域を示す。903aは、PTVと直腸の重複領域を示す。904aは、直腸を示す。図7において、PTVは、対象患部を示す。
図8は、変形例の実験において複数の治療者によって決定された結果の一例を示す図である。
図8が示す線量分布は、図7に示す患部901a、902a、903a及び904aに照射する放射線の線量分布である。図8は、患部に照射される放射線の線量がPTVと直腸の重複領域に照射される線量よりも多い線量であることを示す。図8は、患部に照射される放射線の線量が直腸に照射される線量よりも多い線量分布であることを示す。なお、図8における複数の治療者によって決定された結果とは、変形例の実験において、放射線の線量分布が患者にとって望ましいか否かを複数の治療者が検討して決定した結果という意味である。図6における複数の治療者によって決定された結果と同様に、このような複数の治療者が検討して決定する場合、治療者1人当たりが決定に要する時間は3時間や4時間等の数時間である。以下、変形例の実験において複数の治療者によって決定された線量分布を第1分布という。
図9は、変形例の実験における目的線量分布情報が平均値正規化線量分布である場合に線量分布候補情報が示す線量分布を示す図の一例である。図9が示す線量分布は、図7に示す患部901a、902a、903a及び904aに照射される放射線の線量分布である。図9は、患部に照射される放射線の線量がPTVと直腸の重複領域に照射される線量よりも多い線量であることを示す。図9は、患部に照射される放射線の線量が直腸に照射される線量よりも多いことを示す。以下、変形例の実験における目的線量分布情報が平均値正規化線量分布である場合に線量分布候補情報が示す線量分布を第2分布という。
図10は、変形例の実験において目的線量分布情報が示す線量分布であって、対象患部に照射される線量の最大値によって正規化された線量分布の一例を示す図である。図10に示す線量分布の正規化前の線量分布は、複数の治療者が判定した線量分布の結果の平均の線量分布である。図10が示す線量分布は、図7に示す患部901a、902a、903a及び904aに照射する放射線の線量分布である。以下、変形例の実験において目的線量分布情報が示す線量分布であって、対象患部に照射される線量の最大値によって正規化された線量分布を第3分布という。
図9及び図10は、図9が示す線量分布の方が、図10が示す線量分布よりも図8が示す線量分布に近いことを示す。このことは、制御部21が判定する線量分布は、目的線量分布情報が示す線量分布が平均値正規化線量分布である場合の方が、目的線量分布情報が示す線量分布が最大値正規化線量分布である場合よりも精度が高いことを示す。精度が高いとは、複数の治療者によって決定された結果に近いことを意味する。次に図11及び図12を用い数値によって、制御部21が判定する線量分布は、目的線量分布情報が示す線量分布が平均値正規化線量分布である場合の方が、目的線量分布情報が示す線量分布が最大値正規化線量分布である場合よりも精度が高いことを示す。図11及び図12の結果は、図9及び図10に示す断面とは異なる位置に位置する断面に対する結果である。図11及び図12の結果は、患部901a、902a、903a及び904aに代えて対象患部、直腸及び膀胱の断面に対する結果である。図11及び図12において、PTVは対象患部である。
図11は、第2分布の値から第1分布の値を引き算した値を示す図である。図11の1行目は、第2分布におけるPTVのD2%の値から第1分布におけるPTVのD2%の値を引き算した値の平均値が1.10%であることを示す。図11の1行目は、第2分布におけるPTVのD2%の値から第1分布におけるPTVのD2%の値を引き算した値の標準偏差が±0.64%であることを示す。平均値と標準偏差とは、具体的には、被験者15名の結果の平均値と標準偏差とを示す。図11の2行目は、第2分布におけるPTVのD98%の値から第1分布におけるPTVのD98%の値を引き算した値の平均値が2.50%であることを示す。図11の2行目は、第2分布におけるPTVのD98%の値から第1分布におけるPTVのD98%の値を引き算した値の標準偏差が±1.17%であることを示す。
図11の3行目は、第2分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が4.11であることを示す。図11の3行目は、第2分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.43であることを示す。なお、V35Gy領域とは、線量が35Gy以上の部位である。図11の4行目は、第2分布における直腸のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が4.11であることを示す。図10の4行目は、第2分布における直腸のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.43であることを示す。なお、V50Gy領域とは、線量が50Gy以上の部位である。図11の5行目は、第2分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が2.04であることを示す。図11の5行目は、第2分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±1.40であることを示す。なお、V65Gy領域とは、線量が65Gy以上の部位である。
図11の6行目は、第2分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が4.15であることを示す。図10の6行目は、第2分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±3.24であることを示す。図11の7行目は、第2分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が3.05であることを示す。図11の7行目は、第2分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.75であることを示す。図10の8行目は、第2分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が2.08であることを示す。図10の8行目は、第2分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±1.99であることを示す。
図12は、第3分布の値から第1分布の値を引き算した値を示す図である。図12の1行目は、第3分布におけるPTVのD2%の値から第1分布におけるPTVのD2%の値を引き算した値の平均値が3.18%であることを示す。図12の1行目は、第3分布におけるPTVのD2%の値から第1分布におけるPTVのD2%の値を引き算した値の標準偏差が±1.64%であることを示す。平均値と標準偏差とは、具体的には、被験者15名の結果の平均値と標準偏差とを示す。被験者15名は図11における被験者15名と同一である。図12の2行目は、第3分布におけるPTVのD98%の値から第1分布におけるPTVのD98%の値を引き算した値の平均値が2.28%であることを示す。図12の2行目は、第3分布におけるPTVのD98%の値から第1分布におけるPTVのD98%の値を引き算した値の標準偏差が±1.02%であることを示す。
図12の3行目は、第3分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が7.48であることを示す。図12の3行目は、第3分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±4.24であることを示す。なお、V35Gy領域とは、線量が35Gy以上の部位である。図12の4行目は、第3分布における直腸のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が5.28であることを示す。図12の4行目は、第3分布における直腸のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±3.72であることを示す。なお、V50Gy領域とは、線量が50Gy以上の部位である。図12の5行目は、第3分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が2.75であることを示す。図12の5行目は、第3分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における直腸のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.68であることを示す。なお、V65Gy領域とは、線量が65Gy以上の部位である。図12の6行目は、第3分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が4.43であることを示す。
図12の6行目は、第3分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV35Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.74であることを示す。図12の7行目は、第3分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が3.11であることを示す。図12の7行目は、第3分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV50Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.57であることを示す。図12の8行目は、第3分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の平均値が1.97であることを示す。図12の8行目は、第3分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値から第1分布における膀胱のV65Gy領域の体積の全体積に対する比の値を引き算した値の標準偏差が±2.19であることを示す。
図11及び図12は、図11の各行が示す平均値の平均値は、図12の各行が示す平均値の平均値よりも小さいことを示す。このことは、制御部21が判定する線量分布は、目的線量分布情報が示す線量分布が平均値正規化線量分布である場合の方が、目的線量分布情報が示す線量分布が最大値正規化線量分布である場合よりも精度が高いことを示す。
説明患部情報及び対象患部情報が示す輪郭は、例えば、計画標的体積(planning target volume:PTV)であってもよい。説明患部情報及び対象患部情報は、例えば、CT(Computed Tomography)画像であってもよい。線量分布候補情報は、判定線量分布候補を、放射線の本数の分布(放射線フルエンス)によって示してもよい。なお、通信部20は取得部の一例である。
深層学習装置1及び線量分布判定装置2は、それぞれネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、深層学習装置1及び線量分布判定装置2のそれぞれが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、入力部22及び制御部21と、出力部24とはそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。また、深層学習装置1及び線量分布判定装置2は、必ずしも異なる筐体で構成される必要は無く1つの筐体で構成されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
100…線量分布判定システム、 1…深層学習装置、 2…線量分布判定装置、 11、21…制御部、 12、22…入力部、 13、23…記憶部、 14、20…通信部、 24…出力部

Claims (7)

  1. 放射線の照射対象の患部である対象患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である対象患部情報を取得する取得部と、
    患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習の学習結果と、前記対象患部情報とに基づいて、前記対象患部に照射する放射線の線量分布を判定する制御部と、
    を備える線量分布判定システム。
  2. 前記深層学習を実行する深層学習部、
    をさらに備える請求項1に記載の線量分布判定システム。
  3. 前記深層学習における目的変数の線量分布は、正規化された線量分布である、
    請求項1又は2に記載の線量分布判定システム。
  4. 患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習を実行する深層学習部、
    を備える深層学習装置。
  5. 放射線の照射対象の患部である対象患部の位置と断面の輪郭とを示す情報である対象患部情報を取得する取得ステップと、
    患部の位置と断面の輪郭とを示す情報を説明変数とし前記患部に照射する放射線の線量分布を示す情報を目的変数とする深層学習の学習結果と、前記対象患部情報とに基づいて、前記対象患部に照射する放射線の線量分布を判定する制御ステップと、
    を有する線量分布判定方法。
  6. 請求項1から3のいずれか一項に記載の線量分布判定システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
  7. 請求項4に記載の深層学習装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
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