JP2020178517A - 蓄電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】入出力調整機能を持つレドックスフロー型二次電池として用いることによって、各出力源からの充電受入性、負荷への出力特性、充放電効率、さらに安全性に配慮して、電池の内部抵抗の範囲を規定するとともに、従来型の電力調整装置が不要になり、製作、維持管理が容易になるとともに、蓄電システムとしてのコスト低減が可能な蓄電池システムを提供することを目的とする。【解決手段】充放電可能な単電池が直列に積層された電池活物質流通型の蓄電池を1以上有する蓄電池システムであって、積層された電池活物質流通型の蓄電池の少なくとも一部の単電池の間には中間入出力端子が備えられ、積層された前記単電池は中間入出力端子により、同数又は異数の積層数から成るいくつかのスタックとして出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷に接続されることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、出力が変動する単数もしくは複数の電源及び/又は入力が変動する単数もしくは複数の負荷に、それぞれ単独および/又は複数が同時に入出力されるとともに、正・負極活物質が流体であり、正・負極に対し該活物質を流通させる電極をもつ二次電池式の蓄電システムに関する。
より詳しくは、レドックスフロー型二次電池の内部抵抗を規定して、良好な充電受入性を維持するとともに、短絡電流を安全な範囲にした、電力調整機能を持つ蓄電システムであり、電力調整機能によって、各種の電源からの入力を、直流の場合はほぼそのまま、交流の場合は整流して二次電池にそのまま入力して充電することが可能であり、広い分野への適用ができる。具体的には、限られた領域内や一つのビル内などでのマイクログリッドシステムの中心機器、各種電源からの電力を必要なところおよび期間に給電するための電力調整装置などの用途である。
蓄電池の中でも、電池活物質流通型のレドックスフロー二次電池は、大型化が容易、長寿命、高い安全性等といった特長とともに、流通型電極に大きな静電容量を持たせて、キャパシタ機能を付与したり、さらに、各単電池間に共通の活物質を供給できるという特徴のために単電池間の充電深度(SOC、State of charge)を別途揃える必要がないという特徴を持っている。そのため、入出力変動の激しい電源や負荷に対しても、たとえば均等充電や完全放電操作などの充放電制御が不要であり、さらに電池の内部抵抗を十分に低減すれば、優れた充電受入性や負荷追随性を発揮することが可能である。そして、レドックスフロー二次電池は、例えば、出力変動が不安定な太陽光発電や風力発電等に対して、単に需給調整を行うだけの電力貯蔵装置という従来の二次電池の機能だけでなく、複数の不規則な出力源から同時に直接入力するとともに、さらに、複数の負荷変動に対しても対応できる入出力調整機能をもつ蓄電システムとなる。
従来のレドックス電池フロー型二次電池に関する先願では、レドックス電池を他の積層二次電池と同様な電池として捉えて、取扱い性の改善や充放電効率向上に関するものであった。例えば、特許文献1には、電池セルにバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池システムが記載されている。特許文献1では、電解液は、溶解したバナジウム化合物と粒子状に分散したバナジウム化合物とを含み、両バナジウム化合物のバナジウム濃度の合計が1.7mol/L以上であり、電解液が循環する循環経路に、粒子状に分散したバナジウム化合物の粒径を小さく調整する粒径調整手段を備えることで、高濃度のバナジウム電解液を用いた場合であっても、完全溶解系と同じくその濃度に基づく電極反応性を得ることができるとされている。このような出願においてはレドックス電池を電力調整装置として用いることは想定されていない。
二次電池を用いる一般的な電力貯蔵設備において、電池本体と電源や負荷との入出力調整を行う電力調整装置(パワーコンディショナー)とそのコスト(製造費)の割合は、おおよそ1:1程度の場合が多い。これは、単電池間における充放電深度の均一性の維持や過充放電防止など、高度な二次電池本体の制御が必要になってくるためである。レドックスフロー二次電池の最大の特徴は、単電池間の電池活物質が共通ということであり、さらに、電極の材質や形状などに配慮すれば、過充放電耐久性も大きくなり、鉛二次電池やリチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池などと比べて、操作だけでなく維持管理や保守に要する負担が非常に軽減される。したがって、電力調整装置のコストも大きく下がり、場合によっては、ほとんど不要な場合も出てくる。これは、コストにおいて、大きな差別化要因となってくる。
上述のような電池システムとするためには、比較的大きな入出力に対しても、十分な充電受入性と出力特性を持っていることが重要であり、そのためには、従来のレドックスフロー型二次電池よりも面積低効率を小さくして、セルスタック全体の内部抵抗も小さくした電池とする必要がある。このような入出力調整機能を持つレドックスフロー型二次電池として用いることによって、各出力源からの充電受入性、負荷への出力特性、充放電効率、さらに安全性に配慮して、電池の内部抵抗の範囲を規定するとともに、従来型の電力調整装置が不要になり、製作、維持管理が容易になるとともに、蓄電システムとしてのコスト低減が可能な蓄電池システムを提供する。
すなわち、本発明の一態様は、充放電可能な単電池が直列に積層された電池活物質流通型の蓄電池を1以上有する蓄電池システムであって、積層された電池活物質流通型の蓄電池の少なくとも一部の単電池の間には中間入出力端子が備えられ、積層された前記単電池は中間入出力端子により、同数又は異数の積層数から成るいくつかのスタックとして出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷に接続されることを特徴とする。このとき、当該蓄電池システムは、出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷が、それぞれ単数もしくは複数で同時に入出力可能であるとしてもよい。また、蓄電池及び中間入出力端子間の単電池内部抵抗が0.05mΩ以上5mΩ以下となることが好ましい。また、複数の入出力を同時に受け入れるため、各入出力によって、上記の内部抵抗値に沿った中間端子を用いて充放電することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、単電池の内部抵抗を所定値以下に低減することにより、電圧降下による損失を低減でき、各出力源からの充電受入性、負荷への出力特性、及び充放電効率の良い蓄電池システムとすることができる。
このとき、本発明の一態様では、1以上の蓄電池のうちの任意の入出力端子の電圧値及び/又は電流値を検出又は予測する検出部と、検出部で検出又は予測された値に基づいて外部機器に対する入出力端子位置を制御する制御部とをさらに備えるようにしてもよい。
入出力端子の電圧値及び/又は電流値を検出しながら、その値に応じて外部機器に対する入出力端子位置を制御することにより、高い充電受入性と負荷との出力適合性を実現することができる。
また、本発明の一態様では、単電池もしくはスタックへの電池活物質送液量を制御して単電池の部抵抗値を0.05mΩ以上5mΩ以下としてもよい。
これにより、状況の変化に応じた適切な制御を行うことができる。
また、本発明の一態様では、出力が変動する電源設備や任意の入力値を選択できる電源としては、太陽光発電設備、風力発電設備、水力発電設備、バイオマス発電設備、回生電流発生設備、系統電源から選択される1以上の設備であるとしてもよい。
特に本発明は自然エネルギーによる発電のような、出力が変動する電源装置に対しても高い充電受入性を有することを特徴とする。
また、本発明では、1セルのみ、さらに数セル〜数100セル程度の積層ごとに中間入出力端子が備えられ、各入出力の電圧、電力に応じて、中間端子に接点素子等を介して接続される。入力を一度、蓄電池に貯めて出力する方法では、二次電池の内部抵抗に基づく充放電効率による損失を招くため、入出力に対して、できるだけ共通の単電池積層部分となるように中間端子を選択することが好ましい。この方法によって、二次電池を用いても、従来の「二次電池+電力調整装置」で構成される蓄電システムよりもエネルギー効率は大きく向上する。
本発明における積層電池内の中間端子の間隔は、1セルから数百セルと、入出力の性状によって任意に設定できる。本発明の目的である、マイクログリッド用などでは、種々の入出力に対応するため、間隔の数は多いことが好ましい。例えば、出力数kWの小型風車では10個の単電池(10セル)を一単位とする中間端子を使用し、さらに交流200Vの深夜電力を整流して受電する場合は、120セル分の中間端子とすることなどが好ましい。交流200Vの受電を、例えば、50セルだけで行う場合、電圧差に基づいて大きな電流による受電になり、本発明において規定した内部抵抗値では対応できなくなる。内部抵抗値をさらに小さくすれば、効率良く充電することは可能であるが、この場合、現実的な電池サイズを超えてしまうか、あるいは、達成困難な小さい面積低効率にしなければならない。
また、本発明の一態様では、充電時には、単電池の積層体の一部には電流が流れないように入出力端子位置を制御し、電流を流さない単電池の積層体を用いて電気特性の監視を行うようにしてもよい。
接続する入出力端子位置を制御することにより、単電池の積層体の一部に電流を流さないようにすることも可能であるため、モニタリングセルとして活用することが可能となる。
以上説明したように本発明によれば、入出力調整機能を持つレドックスフロー型二次電池として用いることによって、各出力源からの充電受入性、負荷への出力特性、及び充放電効率の良い蓄電池システムを提供することができる。このとき、中間端子間の積層単電池数における多様性は非常に重要である。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
このようなレドックス電池は従来の二次電池と異なり、積層された各単電池が電池活物質溶液である電解液を共有する限り、上述のように、とくに充放電深度のばらつきに配慮する必要がなくなる。さらに、積層された単電池群、例えばセルスタック両端の単電池をそれぞれ正極および負極として充放電を行う従来の二次電池(直列接続されて電池列を構成する鉛二次電池やリチウムイオン電池など)とことなり、セルスタック中の中間位置にある単電池に入出力端子(中間端子)を設けて、スタック内すべての積層単電池を用いることなく、単数もしくは複数の電源、負荷から入出力することも、レドックスフロー型二次電池は可能である。従来、各種の電源や負荷を二次電池と繋げて出力や負荷の平準化する場合、用いる二次電池は、通常、直列接続された全単電池を用いるが、これは、各単電池間にSOCのばらつきが生じさせないことが、定格どおりの電池容量や入出力を維持する上で重要な条件になっていたためである。
入力電源とセルスタックの電圧の関係は、例えば、入力となる電源側の開放電圧が200V、全セルスタックの回路電圧(OCV, Open circuit voltage)が150Vのとき、電圧差50Vが二次電池充電の駆動力であり、全セルスタックの内部抵抗が、0.05Ω(100セル直列で単電池あたり、0.5mΩ)ならば、充電初期に流れる電流は、1,000Aに達する。一般の充放電システムでは、このような大きな電流を流せるだけの電流容量を持っていず、また、二次電池自身も、大電流を流せる設計にはなっていない。一方、レドックスフロー型二次電池の内部抵抗は、他の二次電池と比較して大きい(上述の例で言うならば0.5Ω程度、単電池あたり5mΩ程度)とともに、電解液の送液量によって、内部抵抗、すなわち、充放電の電流値を制御することができる。従って、上述のように入出力において大きな電圧差があっても、内部抵抗と電流とから生じる充電時の損失(電圧降下による充電時の電圧効率の低下)はあっても、許容できる範囲において、充電受入性の上で問題はない。そして、この入出力と電池電圧の関係は、全セルを用いての充放電の場合でも、中間端子を用いての充放電の場合でも全く同様である。ここで、各入出力と接続される積層単電池数とその内部抵抗、入出力電圧の関係は、十分な効率を維持する上で、非常に重要になってくる。
バナジウムレドックス電池の場合、単電池の起電力は約1.4V以下である。一方、自然エネルギー源から得た起電力を蓄電する場合、その発電機構を積層型にして電気的に直列化して高い電圧にすることが好ましい。しかし、そのような構造をとることが難しい場合、通常、その起電力は1.5V程度までしか得られない。これ以上の電圧は水の電解電圧を超えるので、水の存在する自然界では、これ以上の高い起電力を発生させることが困難なためである。生化学的な反応を利用する電極による発電(生物電池、酵素電池など)や塩分などの濃淡起電力による発電からの出力をバナジウム系レドックスフロー型二次電池で対応する場合、レドックス電池側は1セル(単電池)だけで受電することが要求されてくる。低電圧をDC−DCコンバータで昇圧する方法もあるが、コンバータに用いる半導体の動作電圧を2V程度まで下げるようにするには困難で、通常は、少なくとも10V程度以上の電圧である必要がある。レドックスフロー型二次電池において、中間端子によって入出力電圧を単電池レベルにできることは重要である。太陽電池の場合も曇天や雨天の日は出力電圧が大きく低下して、通常のDC−DCコンバータでは受けられないことが多い。
本発明はこのレドックスフロー型二次電池を用いて、比較的小規模な電力系統(マイクログリッド)における、電力調整機能(パワーコンデイショニング)を有する蓄電システムに関するものである。また、被災地における電力調整装置として有用である。本システムによって、各種直流電源はほぼそのまま、交流電源は整流して、直接、本システムの二次電池に入力し、さらに、必要な負荷に対しては直接出力することが可能である。このとき、許容される電圧効率の低下以内で、各種入出力の中間端子を選択することができる。
二次電池による電力貯蔵において重要な点は、1:充電受け入れ性、負荷追随性(入出力密度)と2:エネルギー密度などであり、レドックス電池は、寿命特性や電解液が共通であるというメリットを持ちながら、エネルギー密度やコストの点で主要な電力貯蔵用二次電池として、広く普及するまでに至っていない。
レドックス電池における見掛けの単位面積あたりの面積抵抗率は、バナジウム系、鉄クロム系など、ともに0.5Ωcm2程度までの低減が見込まれるが、積層したスタックレベルで見ると、鉛二次電池やリチウムイオン電池などと比べて、かなり大きい。とくに、近年はリチウムイオン電池の普及によって、据え置き型二次電池も、リチウムイオン電池が、上記条件を満たし、発火しやすいという安全性の問題はあるものの、経済性の面でも優れた二次電池として、世界的に普及する兆しがある。
しかしながら、変電所設置型、スマートグリッド用、大型の回生電流受電用の二次電池としては、制御系(コンデイショナー)を含めた経済性の点で不十分であり、現在はいずれの分野も、二次電池を用いずに、グリッド(受給電)調整によって、効率向上等を図ろうとする傾向にある。安価な電池を用いる方法として、LIB(リチウムイオン二次電池)をEV(電気自動車)で使用した中古品のうち、据え置き型として十分に使用できるものを選択し、電力貯蔵設備を作る場合でも、制御系のコスト低減が不十分であり、電力貯蔵設備が導入できる分野は限定的になっている。
レドックス電池は、多孔質炭素繊維電極を用いることによって大きな電気二重層容量を持つこと、電極面積を大きくすること、もしくは電池列を並列化することによって、実質的に電池の内部抵抗を小さくし、入力、負荷への十分な対応性を持たせることができる。電解液(活物質)が共通でない従来の二次電池では、電池列を複数化する場合、それぞれの電池列にコンデイショナーを取り付けて、各電池列の均等化を図っているが、レドックス電池はその必要がない。
このレドックスフロー型二次電池の特性に基づいて、入出力の調整を電源と負荷を直接、二次電池本体に接続して、蓄電システムの簡素化、低コスト化等を図るのが、本発明の目的である。すなわち、本発明の一態様は、充放電可能な単電池が直列に積層された電池活物質流通型の蓄電池を1以上有する蓄電池システムであって、積層された単電池間、あるいは少なくとも一部の単電池の間に挿入された中間入出力端子を用いる。蓄電池群のスタック間、もしくは中間入出力端子間の単電池内部抵抗が0.05mΩ以上5mΩ以下、好ましくは0.5mΩ以上1.5mΩ以下であり、出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷などに併設されて使用されることを特徴とする蓄電池システムである。以下、本発明の一態様に係る蓄電池システムを実現する具体的構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムの一例を示した斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムを構成する単電池の一例を示す斜視図である。本発明の一実施形態に係る蓄電システム10は、例えば図1や図2に示すように、電極11と枠体12と隔膜13を有し、活物質液を含む複数の単電池(セル)20と、電極11と接するように単電池(セル)20を仕切る極板15と、活物質液を循環させるためのポンプ14などを備える。また、積層された単電池の一部では、極板15は入出力端子16を有する。
一例として、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムでは、40セルからなる積層体を1スタックとして、それを3基(3スタック)接続して使用する。また、1スタック中では、10セルごとに中間入出力端子16を備えるようにする。それぞれのスタックを構成する単電池の積層数は、各スタックで同数であってもよいが、異なる数であってもよい。以下、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムの各構成について簡単に説明する。
蓄電池システム10で用いられる電極11は、活物質液を流通、含浸する多孔質導電体であり、材質は炭素又は、鉛などの金属である。電極11は、例えば、炭素繊維フェルト(炭素繊維電極)を用いることが好ましい。また、炭素繊維電極を構成する炭素繊維は、繊維直径5μm以下のものの存在が顕微鏡観察(例えば走査型電子顕微鏡(SEM))によって確認できることが活物質補足性の点で好ましい。
単電池(セル)20は、図2に示すように、枠体12の中に1対以上の電極11が隔膜13を隔てて備えられている。単電池(セル)20内のそれぞれの電極11には、例えば、正極液・負極液流入管17、18を通じて活物質液が循環供給される。各正極液・負極液流入管17、18は、例えば外部のマニホールドと接続され、最終的には制御部により、活物質液の切り替えや流量が制御される。
蓄電池システム10で用いられる活物質液は、例えば、バナジウム系溶液や鉄・クロム系溶液が挙げられる。電極反応性を上げるには、電極との親和性があること、流動性が大きいことなどが重要な要件になる。また、硫酸酸性の場合は粘性率、導電率に配慮する必要がある。硫酸酸性バナジウム水溶液を活物質とする場合、バナジウム濃度が2.5M、全硫酸根濃度7Mを超えるような高濃度化は、粘性率が大きくなり、また、導電率が小さくなってセル抵抗は大きくなりやすい。その結果として、活物質利用率も小さくなり、エネルギー密度向上にはつながらない。なお、活物質液(通常の電解液だけでなく、懸濁液も含む)は、単電池(セル)20内に常に流通(循環)させてもよいし、間歇的に流通させてもよいし、あるいは流通させずに電極11を含浸させておくだけでも良い。
活物質液の例として、硫酸酸性バナジウム水溶液を用いる場合には、硫酸根濃度3〜7M(好ましくは2.5〜4.0M)、バナジウム濃度1.0〜2.5M(好ましくは1.5〜2.0M)とし、硫酸・塩酸酸性バナジウム溶液を用いる場合には、硫酸根濃度2〜7M(好ましくは2.0〜3.5M)、塩化物イオン濃度0.3〜2.5M(好ましくは1.0〜2.0M)、バナジウム濃度1.0〜2.5M(好ましくは1.5〜2.0M)とし、塩酸酸性鉄・クロム水溶液を用いる場合には、塩化物イオン濃度3〜5M(好ましくは3.5〜4.5M)、鉄・クロム濃度各1〜3M(好ましくは2〜3M)である。
隔膜13は、主にプロトン導電性の大きい陽、陰イオン交換膜である。例えば、フッ素樹脂系(ナフィオン(Nafion(登録商標)117,211など)やポリスチレンスルホン酸系、ポリオレフィン系などのイオン交換膜が用いられている。多孔質膜としては精密ろ過膜(MF)、限外ろ過膜(UF)、ナノろ過膜(NF)などの使用例がある。鉄・クロム系活物質液の体積抵抗率は塩酸に近い1Ωcm程度であるが、硫酸酸性のバナジウム水溶液を活物質とする場合は、この数倍以上の抵抗があり、隔膜のイオン交換容量や厚さに十分に配慮する必要がある。
このようにして構成されるセル20は、極板15により仕切られる。すなわち、一例として、複数のセル20は極板15を介して積層され、各極板15は隣接するセル20の電極11と接している。また、少なくとも一部の極板15には、入出力端子16が備えられている。このように直列に積層されるセル数を入出力端子16への接続の切り替えによって調整することにより、電力調整の機能を持たせることができる。
蓄電池システム10では、いくつかの入出力端子(トリムセル端子)16を用いて入出力(電圧)の最適化を図るため、極板(複極仕切板、バイポーラプレート)15は金属の入出力端子を持つ構造であることが好ましい。一方で、金属の極板を用いた場合には、セル内の活物質液と接触した際に溶解したり水素が発生したりする恐れがある。そこで、本発明では極板15は図2に示すように、金属シート21を導電性樹脂シート22、23で挟み込むようにして形成することで内部抵抗(セル面積抵抗率)を低減すると共に、入出力端子16を極板15の一端に有することで、極板全面に渡って均一な電位分布を作る配慮が必要なくなるようにしたものである。なお、図2に示す極板15A、15Bは、極板の構造を説明するために厚く図示したものであり、実際の極板の厚みを示すものではない。
極板15(バイポーラプレート)の一例としては、カーボンプラスチックスシート/入出力端子を持つ銅シート/カーボンプラスチックスシートという構成が好ましい。なお、極板15の両面に電極が接する複極仕切板(バイポーラプレート)の場合には、金属シートの両面を導電性樹脂シート22,23で挟み込む必要があるが、セルスタックの両端において片側のみが電極と接する単極仕切板(エンドプレート)の場合には、電極と接する面だけを導電性樹脂シート22,23で被覆してもよい。
さらに、本発明に用いるカーボンプラスチックスシートは樹脂にポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用い、熱融着、溶剤による溶着などの手段によって電極である導電性炭素繊維不織布と一体化することが好ましい。熱融着に適したカーボンプラスチックシートの樹脂はポリオレフィン系樹脂などであり、溶着に適した樹脂はポリ塩化ビニルなどである。また、熱融着によって、極板と電極を一体化することにより、セルの積層数が増加していく場合に、セルスタックをボルト等で抑える力を低減することができる。
ポンプ14は、活物質液を単電池(セル)20内の電極11に循環供給するために用いられる。本発明の一態様では、例えば後述する検出部などによりセルスタックの電圧又は任意のセルの電圧を測定し、制御部などにより、ポンプ14による活物質液の輸送を調節(オン・オフ制御を含む)することで、液輸送の所要動力を大きく低減できる。さらに、ポンプ14は、正極用ポンプと負極用ポンプのように正極と負極で分けて用いてもよいが、活物質液を正極及び負極の双方に送液可能である両軸式活物質液送液ポンプを用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る蓄電池システム10では、蓄電池10及び中間入出力端子16間の単電池20の内部抵抗が0.01mΩ以上1mΩ以下とすることを特徴とするが、この数値範囲は、以下の考察から導かれる。すなわち、上述したようなバナジウム系の水溶液を正極液・負極液として用いた場合、両者の酸化還元電位の差は約1.3Vとなる。入出力電流を100Aとした場合、1単電池(セル)当たりの内部抵抗による損失分を除いた効率は、表1のようになる。
したがって、表1より、高い電圧効率を得るためには、入出力端子間の単電池内部抵抗を0.05mΩ以上5mΩ以下とする必要があることが分かる。上述したような蓄電池システムの各構成とすることにより、単電池の内部抵抗を制御することができる。
図3は、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムにおける制御の一例を表した概念図である。本発明の一態様では、1以上の単電池の積層体34のうちの任意の入出力端子35の電圧値及び/又は電流値を検出又は予測する検出部32と、検出部32で検出又は予測された値に基づいて外部機器に対する入出力端子位置を制御する制御部33とをさらに備えるようにしてもよい。
このように、入出力端子35の電圧値及び/又は電流値を検出又は予測しながら、その値に応じて活物質液の流入出量や外部機器に対する入出力端子位置を制御するため、入出力密度及びエネルギー密度の大きい電力調整システムを実現することができる。本発明の一実施形態に係る蓄電池システム30は、電源設備31に電気的に直結することも可能であるため、発電電圧が低い場合であっても充電を行うことが可能となる。出力が変動する電源設備31としては、太陽光発電設備、風力発電設備、水力発電設備、バイオマス発電設備、回生電流発生設備(エレベータ、車両等)、系統電源から選択される1以上の設備を選択することができ、このような自然エネルギーにおいて、入力電圧の大きさに関わらず安定した操業と電池効率の向上が可能となる。
検出部32は、充放電の状況を的確に把握し、状況の変化に応じた適切な制御を行うための情報を取得する。検出部32としては、電流計、電圧計、活物質液の流量計等が挙げられる。検出部32は、複数の蓄電ユニット全体の状況を検出するが、各蓄電ユニットごとの個々の情報を取得するように設置するとより好ましい。
制御部33は、例えば、CPU、主記憶装置、外部記憶装置、通信装置、入力装置、出力装置、表示装置等を備えている。制御部33は、検出部32で検出された情報に基づいて制御を行う。
上述したように蓄電池システム30には入出力端子35が備えられており、制御部33は、出力電力等を安定させるために、複数設置された単電池の積層体34の中から所望とする電圧となるように接続する入出力端子35を選択する。また、活物質液は、例えば、タンク14に貯蔵され、ポンプ36により単電池の積層体34内を循環させる。したがって、例えば、制御部33は、ポンプ14の動作を制御することにより活物質液の流入出量を調整することができる。
本発明における単電池内部抵抗は、電池の充電深度、活物質である電解液流量(送液量)、電池の動作温度、さらに充放電電流密度(入出力密度)に依存し、所定の単電池内部抵抗の範囲とするため、上記各因子を調節することが好ましい。図4に示す充電電流の電解液流量と充電電圧効率の図において、正・負極液それぞれの相対設定流量40(流量制御目盛を40に設定、40セルスタックに対して7L/分を送液)、相対設定流量60(流量制御目盛を60に設定、40セルスタックに対して10L/分を送液)、および相対設定流量80(流量制御目盛を80に設定、40セルスタックに対して12L/分を送液)の条件では、相対設定流量40の場合が充電深度40〜60%の領域を外れると、単電池内部抵抗が5mΩを越えて、本発明の効果が得難くなった例である。相対設定流量40のときの充放電電圧曲線例を図5に示す。
活物質電解液の電極内流動抵抗を低減し、また、高い活物質利用率と充放電エネルギー効率(充放電におけるクーロン効率と電圧効率との積)を維持するためには、次のような手法をとることによっても達成できる。すなわち、電池本体(セルスタック)および電解液容器(タンク)を正負極液ともにそれぞれ複数化して、入出力値に応じて通電させるセルスタックおよびスタックに送液する電解液タンクを制御部によって限定する。これによって、例えば、充電時には、充電深度の小さい電解液を最適な規模(単電池積層数など)のセルスタックに供給して、高い充電受け入れ性を長く維持するとともに、逆に放電時には充電深度の高い電解液のタンクからセルスタックに送液して、大きな出力をできるだけ維持するというような制御が重要である。これによって、通常の定格入出力よりも高い入出力で充放電することが可能となる。
また、上述したような自然エネルギーによる発電に関して説明すると、例えば、自然エネルギーの発電装置31として、太陽光パネルを用いた場合、曇りや雨などの天候の場合には出力電圧が大幅に下がってしまう。この時、検出部32により太陽光パネルからの出力電圧を読み取り、その値に応じて制御部33によって単電池の積層体34の入出力端子35位置を切り替えるような構成(SEL)とすることができる。一例として、曇りや雨などの天候で出力電圧が低い時には、スイッチを単電池の積層体34の少ないセル数となるような入出力端子35に切り替えることで1セル分の電圧(例えば1.5V)で充電を行うことができる。一方で、晴れなどの天候で出力電圧が上昇している時には、入出力端子35を積層セル数が多くなる位置に切り替えることで、単電池の積層体34の出力電圧を調整することができる。切替スイッチは、機械的切替時の過電流発生などの問題点を解消する観点から、入出力印加がされていない時に切り替えることが望ましい。或いは、電解液の送液量や送液タンクの切り替え(Freq)を調整することにより、充電深度を調整することもできる。
また、これらの制御は検出部の実測値に限らず、予測によるものでも良い。例えば、上述した太陽光パネルや、風力発電の場合、その日の天候、日照時間、風速・風向きの予測等を事前にIoT技術により入手することにより、必要な入出力端子位置(SEL)や電解液送液の条件(Freq)を決定することもできる。さらには、入出力端子位置におけるセルスタックの電圧s(t)、太陽光パネルの電圧VP(t)、電流の変化量ΔI(t)、電圧の変化量ΔV(t)を監視して、これらをパラメータとする関数
SEL=f1(s(t),VP(t),ΔI(t),ΔV(t))
Freq=f2(s(t),VP(t),ΔI(t),ΔV(t))
を人工知能等による計算により決定しても良い。
SEL=f1(s(t),VP(t),ΔI(t),ΔV(t))
Freq=f2(s(t),VP(t),ΔI(t),ΔV(t))
を人工知能等による計算により決定しても良い。
また、検出部は、単電池の積層体(セルスタック)の入出力時の電圧及び/又は電流を検出することが好ましい。セルスタックへの充電時は、セルスタック印加電圧もしくは印加電流の許容域を超えないように、充電の途中で定電圧モードもしくは低電力化による充電電圧上昇を抑制したモードに切り替える制御になる。一方、放電時はセルスタックからの出力電圧の低下もしくは出力電流の増大を抑制するため、定電圧モードや低出力化によって、許容域を超えた放電電圧低下を防止するための制御となる。
このように、制御部によって、太陽光発電のように変動の激しい出力を整流(平滑はとくに不要)したのち、入出力端子を持つ直列のキャパシタ機能および二次電池機能を持つレドックスフロー型電池の単電池列の最適な入出力端子に入力する。一方、レドックスフロー型電池システムから負荷への出力時には、同様に制御部によって最適な入出力端子から負荷へと出力する。電源、負荷との入出力を同時に行なう場合は、入力をできるだけ電池反応を行わずにコンデンサ機能による処理後、直接、負荷側に入力されるように制御する。
一例として、1kW風車からの出力をダイオードによって全波整流し、単電池10セルを直列にしたスタックに直接入力した例を示す。風力発電出力の平均電圧と10セルスタックとの電圧差(0.027V)によって、蓄電池に充電される。これを図6(1kW風力発電充電受入性)に示す。この充電電流(5.3A)は、前期電圧差と電池内部抵抗(5mΩ)からオームの法則によって計算される値と同じであり、充電受入性は100%近くであったことが判る。
本発明は鉛二次電池やリチウムイオン電池などよりも電池内部抵抗を大きくすることが、安全上好ましい。一般に二次電池を短絡させると、火災にまで発展することが多い。一方、レドックフロー型二次電池では短絡事故を起こしても、その電池内部抵抗によって、短絡電流が規制され、過熱、発火するような電流までは流れず、さらに送液量を規制することによって、短絡電流を防止することができる。電池内部抵抗の下限を設定することは、非常に重要である。図7(短絡試験)に本発明における短絡時の電流を示す。送液停止時の短絡電流は急速に低下し、また、送液によって短絡電流は、電池の起電力と内部抵抗とから決定される。
また、自然エネルギーの発電装置以外にも、負荷が二次電池、例えば、LIB(リチウムイオン電池)の場合、蓄電池システムとLIBとは電源に対して並列接続することによって、LIBに対して最適、かつ、安全な充放電を行う制御機能を蓄電池システムが担うことになる。この制御とはLIBの最適充放電電圧および電流とする制御である。これによって、LIBを安全に使用することができるとともに、電力調整システム全体の蓄電効率も大きく高められる。
図8は、LIBモジュールを併設した蓄電池システム40の一例を示した概略図である。図8に示すように、検出部41において電源装置42及び/又は負荷装置43の電圧や電流を検出又は予測し、状況に応じて制御部41により単電池の積層体44の入出力端子の選択や単電池の積層体44間の直列・並列の変更を行うことができる。また、LIBモジュール用BMS45(バッテリマネージメントシステム)により、LIBモジュール46の充電深度等を調整し、各LIBの充電深度を均等化するように調整しても良い。このような構成とすることで、出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷に対して、LIB単独で接続するよりも、状況の変化に対して迅速に適応することが可能で信頼性の高いバッテリーシステムを構築することができる。
また、このように単電池の積層体44とLIBモジュールを併設することにより、急速充電装置として活用することも可能である。すなわち、例えば、太陽光パネル(PV)や深夜電力により、LIBモジュールに対して充電を行い。高電圧で放電して急速充電を行う際には、単電池の積層体44を並列接続することにより対応することが可能となる。
さらに、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムでは、出力が変動する電源装置と1以上の蓄電ユニットに対して電気的に並列接続されている二次電池とが継電器及び/又は開閉器によって電気的に直接接続することが可能な構成とすることができる。図9は、LIBモジュールを併設した蓄電池システムの他の例を示した概略図である。本発明の一態様に係る蓄電池システム50では、電源(太陽電池(PV)52A、風力発電(WT)52B、直流電源(DCPS)52C)の入力変動がLIB(56A,56B)の受け入れ範囲になれば、バッテリマネージメントシステム(BMS、検出部、制御部を含む)55により、単電池の積層体(レドックス電池)(54A,54B,54C)の入力と出力が同じ端子になるように継電器及び/又は開閉器によって入出力端子が選択されることにより、レドックス電池反応を行うことなく接続することが可能である。
本発明の蓄電池システムは入力電源と出力負荷とのコンデイショナー機能だけでなく蓄電機能を持たせることによって、激しい入力、負荷変動に対応できるようになっている。従来、このような機能は電気二重層キャパシタなどを用いることによって対応してきたが、ここで用いるレドックス二次電池を用いると、その蓄電容量は数桁大きくなり、効率よく適用できる範囲が大幅に向上する。例えば、回生電流受け入れや瞬動予備力に対する高効率対応も本発明のシステムを用いることによって可能になる。このとき、レドックス電池と、それに並列接続される二次電池(例えばLIB)とは、入出力電圧値がMPPTなどによって近接したあとは、入出力はレドックス電池反応を経由せずに、電源―LIB、LIB―負荷を直結することによって、レドックス電池を経由することによる電力の損失を回避することができる。本システムに対して入出力変動の激しい場合に機能させることで、有効に、効率よく作用する。しかし、安定した入出力状態が維持される場合は、レドックス電池反応による損失(充放電効率による損失)を回避するために、電源―LIB、LIB―負荷を直結することが好ましい。
レドックス電池およびLIB特性の経時変化などのために、最適な制御レベルは常に変化するが、これは例えば人工知能(AI)技術によって対応していくことができる。また、様々な因子(入力情報として、電源・負荷の種類、電流、電圧、温度、日時、各電解液の充放電深度など)に基づく各入出力量の予測に対応した制御はIoT技術によって対応できる。例えば、風力発電機の出力を受け入れる場合、非常に急激な出力変動に対応したレドックス電池の運転が求められ、安定な入力とは異なる送液ポンプの運転法が求められる。さらに入力される電源は風力発電機だけではなく、他からの入力にも合わせて対応する必要があり、これはIoT技術によって対応することになる。
本発明の一実施形態に係る電力調整システムに上述したようなレドックスフロー型電池を導入することによって、従来用いられていた各電源、各負荷ごとの入出力調整機能が大幅に、あるいは全く不要になり、各種、例えば、スマートグリッド、マイクログリッド、回生電力回収(有効利用)装置や間歇発電のための電力貯蔵設備などの経済性を大きく改善できる。
図10(A)は、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムの他の構成を示した概略図であり、図10(B)は、ブロック図である。蓄電池システムの一態様では、図10(A)に示すように、複数の単電池セルの積層体からなる蓄電ユニット(セルスタック)を電気的に並列に接続してもよい。このような構成とすることで、例えば、1ブロックから10ブロックの系統の1つに不具合が生じた場合であっても適宜、制御部により回路を切り替えることで支障なく作動し続けることができるため、より信頼性の高い電力調整システムとすることができる。
この時、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムでは、図10(A)に示すように、検出部(電流計)A1〜A10によりブロック電流を検出することにより、適宜、制御部によりスイッチング素子Q1〜Q10を操作することで、電力調整を行うことができる。スイッチング素子としては例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を用いることができる。
さらに、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムでは、直列に積層して接続されたセルスタックの各セルに対して、セル間同士の迂回回路等を設けてスイッチングにより積層数を変化させることができるように制御してもよい。このような構成とすると、セルスタックの一部が破損又は故障した場合であっても、迂回回路によって当該セルを回避するよう回路を接続しなおすことで、電力調整システムを停止させることなく、セルの交換を行うことも可能となる。
あるいは、本発明の一態様では、充電時には、単電池の積層体の一部には電流が流れないように入出力端子位置を制御し、電流を流さない単電池の積層体を用いて電気特性の監視を行うようにしてもよい。充電時に電流を流さない単電池の積層体から開路電圧等を測定し、モニタリングセルとして充電深度等の変化を監視することができる。
以上説明してきたように、各セルスタック単位、さらには、セルスタックの各セル単位での制御を行うことによって、より状況に即した細かな制御を行うことが可能となるが、その反面、多数のデータ処理と、その中から最適な条件の解を導き出すための計算量は膨大なものとなってしまう。そこで、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムでは、人工知能(AI)を用いた制御を行うとより効果的である。人工知能は、過去の実施データを蓄積し、機械学習させることで、各状況に応じた制御が可能となる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1.蓄電池システムの電気特性の測定>
見掛けの有効電極面積380cm2(厚さ3.5mm炭素繊維フェルト電極(19×20cm))の単電池40セルを積層したスタックを1基として、図8に示すように3基直列に接続した。単電池は、炭素(グラファイト板)バイポーラプレート/電極/隔膜(ナフィオン117)/電極/炭素バイポーラプレート、という構成とした。また、10セル積層毎に入出力端子(銅板)を挿入した。
見掛けの有効電極面積380cm2(厚さ3.5mm炭素繊維フェルト電極(19×20cm))の単電池40セルを積層したスタックを1基として、図8に示すように3基直列に接続した。単電池は、炭素(グラファイト板)バイポーラプレート/電極/隔膜(ナフィオン117)/電極/炭素バイポーラプレート、という構成とした。また、10セル積層毎に入出力端子(銅板)を挿入した。
電解液(活物質溶液)に1.7Mバナジウムおよび4M硫酸根を含有する硫酸酸性水溶液を使用し、電池の正極液としてバナジウム4価/5価、負極液としてバナジウム2価/3価の酸化還元状態で使用した。両者の酸化還元電位の差は約1.3〜1.4Vであった(遊離イオンとしての差は1.2V)。室温15℃環境下で測定し、1スタックへの送液量は、約10L/minとした。
また、図11に示すように、充電時には、単電池の積層体の一部には電流が流れないように入出力端子位置を制御し、当該単電池の積層体をモニタリングセルとして使用した。図11に示すような蓄電池システムに、ブレーカとダイオードを介してAC200Vで充電を行った。電源の接続に関して、一端は図11に示す蓄電池システムの右端に接続し、もう一端を1.(120セル)、2.(110セル)、3.(100セル)の箇所に接続して、それぞれで電気特性を測定した。結果を表2に示す。
このように、本発明の一実施形態に係る蓄電池システムを用いることで、低い面積低効率で充電を行えることが確認できた。
<実施例2.蓄電池システムの実証試験>
図12に示す構成と以下に示す条件において、実証試験を行った。
・電池:1.5kW級40セルスタックを3基直列で用いた。各セルスタックは10セル毎にトリミングセルとして中間端子板を挿入した。
・充放電制御:太陽光発電に対しては10セル毎のMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行った。他の入出力に対しては任意の中間端子を使用した。受電は10セル毎に中間端子板を挿入して全12分割されたセル群の一つを開路電圧(OCV)測定用に使用した。
・電解液:バナジウム濃度1.6Mの正・負極液を各300L使用した。各電解液のタンクは、500Lポリプロピレン製、各2基を設置し、今回は各1基ずつを使用した。1.6Mバナジウム電解液の想定蓄電容量は約9kAhである。
・太陽電池:20kWのものを屋上に設置した。並列接続によってレドックス電池が直接受電することを可能とした。
・風力発電装置:1kW垂直軸型(ダリウス+サボニウス型)のものを設置した。
・商用電力の受電:ダイオード1個による半波整流波を直接、中間端子板に入力した。中間端子の位置によって電流値を変更して、高率充放電や回生電力受電を想定した試験を実施した。
・エレベータ回生電力:エレベータの回生電力(160〜210V,数10A)を確認し、充電受入性の試験は、回生電流を想定した商用電源を用いて実施した。
・充放電試験装置:20A、60Vのものを使用した。(これに対応する電池本体は1スタック)
・ポンプ:インバータ制御6基(定格運転の場合180W程度)を使用した。
・電解液タンク:ポリプロピレン製500Lタンク4基(今回は2基のみ)を使用した。
・配管:PVC製フレキシブル管を使用した。
図12に示す構成と以下に示す条件において、実証試験を行った。
・電池:1.5kW級40セルスタックを3基直列で用いた。各セルスタックは10セル毎にトリミングセルとして中間端子板を挿入した。
・充放電制御:太陽光発電に対しては10セル毎のMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行った。他の入出力に対しては任意の中間端子を使用した。受電は10セル毎に中間端子板を挿入して全12分割されたセル群の一つを開路電圧(OCV)測定用に使用した。
・電解液:バナジウム濃度1.6Mの正・負極液を各300L使用した。各電解液のタンクは、500Lポリプロピレン製、各2基を設置し、今回は各1基ずつを使用した。1.6Mバナジウム電解液の想定蓄電容量は約9kAhである。
・太陽電池:20kWのものを屋上に設置した。並列接続によってレドックス電池が直接受電することを可能とした。
・風力発電装置:1kW垂直軸型(ダリウス+サボニウス型)のものを設置した。
・商用電力の受電:ダイオード1個による半波整流波を直接、中間端子板に入力した。中間端子の位置によって電流値を変更して、高率充放電や回生電力受電を想定した試験を実施した。
・エレベータ回生電力:エレベータの回生電力(160〜210V,数10A)を確認し、充電受入性の試験は、回生電流を想定した商用電源を用いて実施した。
・充放電試験装置:20A、60Vのものを使用した。(これに対応する電池本体は1スタック)
・ポンプ:インバータ制御6基(定格運転の場合180W程度)を使用した。
・電解液タンク:ポリプロピレン製500Lタンク4基(今回は2基のみ)を使用した。
・配管:PVC製フレキシブル管を使用した。
上記構成による蓄電池システムの実証試験における主な結果は以下の通りである。
(1)容量試験
50〜60mA/cm2の電流密度において、想定される理論容量に相当する放電容量を確認した。
(2)充放電試験
各種試験において、面積低効率2〜3Ωcm2(電圧効率例:87%)となった。
(3)充電受入性
太陽電池出力、風力出力、深夜電力および回生電力を想定した出力等の受入性を確認した。
(4)LED給電特性
照明用LEDはポンプを停止しても7基で1時間以上の照明が可能なことを確認した。またディスプレイLEDは2スタックを用いて同様に点灯できることを確認した。
(1)容量試験
50〜60mA/cm2の電流密度において、想定される理論容量に相当する放電容量を確認した。
(2)充放電試験
各種試験において、面積低効率2〜3Ωcm2(電圧効率例:87%)となった。
(3)充電受入性
太陽電池出力、風力出力、深夜電力および回生電力を想定した出力等の受入性を確認した。
(4)LED給電特性
照明用LEDはポンプを停止しても7基で1時間以上の照明が可能なことを確認した。またディスプレイLEDは2スタックを用いて同様に点灯できることを確認した。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、蓄電池システムの構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10,30,40,50 蓄電池システム、11 電極、12 枠体、13 隔膜、14 ポンプ、15 極板、16 (中間)入出力端子、17,18 正極液・負極液流入管、20 単電池(セル)、21 金属シート、22,23 導電性樹脂シート、31 電源設備、32 検出部、33 制御部、34 単電池の積層体、35 入出力端子、36 ポンプ、41 検出部・制御部、42 電源装置、43 負荷装置、44 単電池の積層体、46 LIBモジュール、52A 太陽電池(PV)、52B 風力発電(WT)、52C 直流電源(DCPS)、54A,54B,54C 単電池の積層体(レドックス電池)、55 BMS、56A,56B LIB
Claims (7)
- 充放電可能な単電池が直列に積層された電池活物質流通型の蓄電池を1以上有する蓄電池システムであって、
積層された少なくとも一部の前記単電池の間には中間入出力端子が備えられ、
積層された前記単電池は前記中間入出力端子により、同数又は異数の積層数から成るいくつかのスタックとして出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷に接続されることを特徴とする蓄電池システム。 - 当該蓄電池システムは、
前記出力が変動する電源装置及び/又は入力が変動する負荷が、それぞれ単数もしくは複数で同時に入出力可能であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。 - 前記蓄電池及び前記中間入出力端子間の前記単電池内部抵抗が0.05mΩ以上5mΩ以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓄電池システム。
- 前記1以上の蓄電池のうちの任意の前記入出力端子の電圧値及び/又は電流値を検出又は予測する検出部と、
前記検出部で検出又は予測された値に基づいて外部機器に対する入出力端子位置を制御する制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蓄電池システム。 - 前記単電池もしくは前記スタックへの電池活物質送液量を制御して前記単電池の内部抵抗値を0.05mΩ以上5mΩ以下とすることを特徴とする請求項4に記載の蓄電池システム。
- 前記出力が変動する電源設備は、太陽光発電設備、風力発電設備、水力発電設備、バイオマス発電設備、回生電流発生設備、系統電源から選択される1以上の設備であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
- 充電時には、前記単電池の積層体の一部には電流が流れないように前記入出力端子位置を制御し、該電流を流さない前記単電池の積層体を用いて電気特性の監視を行うことを特徴とする請求項4に記載の蓄電池システム。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023276841A1 (ja) * | 2021-06-30 | 2023-01-05 | Ntn株式会社 | 水ろ過システム |
WO2023232627A1 (de) * | 2022-06-03 | 2023-12-07 | TRUMPF Hüttinger GmbH + Co. KG | Sicherungs-auslösebeschleunigungsanordnung, stromwandleranordnung und energiespeichersystem |
-
2019
- 2019-04-22 JP JP2019081315A patent/JP2020178517A/ja active Pending
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WO2023232627A1 (de) * | 2022-06-03 | 2023-12-07 | TRUMPF Hüttinger GmbH + Co. KG | Sicherungs-auslösebeschleunigungsanordnung, stromwandleranordnung und energiespeichersystem |
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