JP2020167836A - 太陽電池診断装置および太陽電池診断方法 - Google Patents

太陽電池診断装置および太陽電池診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】屋外設置下において太陽電池ストリングの出力性能を精度よく診断することができる太陽電池診断装置を得ること。【解決手段】太陽電池診断装置10は、取得部31および性能診断部33を備える。取得部31は、太陽電池ストリング2に接続されたパワーコンディショナ3が最大電力点追従制御を実行している状態で得られる太陽電池ストリング2の出力電流値Impptおよび出力電圧値Vmpptと、日射計7で測定される日射強度IRとを取得する。性能診断部33は、取得部31によって取得された出力電流値Imppt、出力電圧値Vmppt、および日射強度IRと、太陽電池ストリング2の温度と、最大電力点追従制御の効率であるMPPT効率ηmpptとに基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光発電システムを構成し且つ屋外に設定される太陽電池ストリングの出力性能を診断する太陽電池診断装置および太陽電池診断方法に関する。
従来、太陽光発電システムの性能を診断する技術が知られている。例えば、特許文献1には、太陽電池アレイに接続されたパワーコンディショナが最大電力点追従制御を実行している状態で測定される太陽電池アレイの出力電圧値および出力電流値に基づいて、太陽電池アレイの性能劣化を診断する技術が開示されている。
特開2014−45073号公報
上記特許文献1に記載の技術では、最大電力点追従制御が実行されている状態で測定される太陽電池アレイの出力電圧値および出力電流値を用いるが、太陽電池アレイを診断する際に、最大電力点追従制御の追従性能は考慮されていない。そのため、特許文献1に記載の技術を用いて太陽電池ストリングの出力性能を診断する場合、かかる診断で得られる出力性能には、パワーコンディショナにおける最大電力点追従制御の追従性能による誤差が含まれるため、診断の精度に課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、屋外設置下において太陽電池ストリングの出力性能を精度よく診断することができる太陽電池診断装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の太陽電池診断装置は、取得部と、性能診断部とを備える。取得部は、太陽電池ストリングに接続されたパワーコンディショナが最大電力点追従制御を実行している状態で得られる太陽電池ストリングの出力電流値および出力電圧値と、日射計で測定される日射強度とを取得する。性能診断部は、取得部によって取得された出力電流値、出力電圧値、および日射強度と、太陽電池ストリングの温度と、最大電力点追従制御の効率である最大電力点追従効率とに基づいて、太陽電池ストリングの出力性能を診断する。
本発明によれば、屋外設置下において太陽電池ストリングの出力性能を精度よく診断することができる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態1にかかる太陽光発電システムに設けられた太陽電池ストリングの出力性能を診断する太陽電池診断装置を説明するための図 実施の形態1にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図 実施の形態1にかかる太陽電池診断装置の構成例を示す図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準日射強度における電流−電圧の出力特性の温度依存性を説明する図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準日射強度における電圧−電力の出力特性の温度依存性を説明する図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準温度時における電流−電圧の出力特性の日射強度依存性を説明する図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準温度時における電圧−電力の出力特性の日射強度依存性を説明する図 実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの性能に対応した等価回路モデルを用いて算出した基準温度時における電圧−電力の出力特性の日射強度依存性を説明するための図 実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの性能に対応した等価回路モデルを用いて算出した基準温度時における日射強度に応じた最大出力電力値、最大出力動作電圧値、および最大出力動作電流値を説明するための図 図9に示す表から抽出された日射強度毎の最大出力電力値と最大出力動作電圧値との組み合わせをプロットした図 図9に示す表から抽出された日射強度毎の最大出力動作電圧値と最大出力動作電流値との組み合わせがプロットされ、且つプロットされた点から求められる最大出力動作電圧値と最大出力動作電流値との関係を示す近似式を示す図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの定格値を示すモジュール定格情報を説明するための図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準温度時における日射強度に応じた最大出力電力値、最大出力動作電圧値、および最大出力動作電流値を説明するための図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの日射強度毎の最大出力電圧値と最大出力動作電流値との組み合わせをプロットした図 実施の形態1にかかる日射計で測定される日射強度の時間推移の一例を示す図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングの出力電力値の時間推移の一例を示す図 実施の形態1にかかる太陽電池ストリングへの日射強度と太陽電池ストリングの出力電力値の測定値による相関グラフを示す図 実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの特性値、太陽電池ストリングの定格出力値、および太陽電池ストリングの出力初期値を示す図 実施の形態1にかかる測定値と推定値との関係を示す図 図19に示す測定値と推定値とによって得られる日射強度と出力電力値との相関を示す相関グラフを示す図 実施の形態1にかかるMPPT効率による補正がない場合の出力性能診断値の一例を示す図 EN50530規定のテスト方法でのパワーコンディショナのMPPT効率の例を示す図 実施の形態1にかかるMPPT効率での補正がある場合の出力性能診断値の一例を示す図 実施の形態1にかかる太陽電池診断装置の処理の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態2にかかる太陽電池診断装置の構成例を示す図 実施の形態2にかかる太陽電池ストリングの構成例を示す図 図26に示す構成の太陽電池ストリングにおいて太陽電池モジュール内部の太陽電池セル間を接続するインターコネクタに部分断線が生じた状態を示す図 実施の形態2にかかる太陽電池ストリングの日射強度に対応したPm−V特性であって部分断線が生じる前と後の状態を示す図 実施の形態2にかかる太陽電池ストリングの部分断線が生じる前と後の日射強度に対応した出力電圧値、出力電圧値の変化、および推定温度誤差を示す図 実施の形態2にかかる太陽電池ストリングにおける太陽電池モジュールの直列接続数と太陽電池セルストリングの部分断線とによる影響を推定温度誤差として表現した図 実施の形態2にかかる太陽電池診断装置の故障判定処理の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態3にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図 実施の形態3にかかる太陽電池診断装置の構成例を示す図 実施の形態3にかかる性能保証判定部の構成例を示す図 実施の形態3にかかる太陽光発電システムの年間推定発電電力量をJISに準拠して求める場合の例を説明するための図 実施の形態3にかかる太陽光発電システムを測定した結果に基づいた太陽光発電システムの発電性能の検証の例を示す図 実施の形態3にかかる太陽電池診断装置の発電性能検証処理の一例を示すフローチャート 実施の形態1から3にかかる太陽電池診断装置の機能をコンピュータシステムで実現する場合のハードウェア構成を示す図
以下に、本発明の実施の形態にかかる太陽電池診断装置および太陽電池診断方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽光発電システムに設けられた太陽電池ストリングの出力性能を診断する太陽電池診断装置を説明するための図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる太陽光発電システム100は、直列に接続された複数の太陽電池モジュールを有する太陽電池ストリング2と、太陽電池ストリング2に接続されたパワーコンディショナ3とを備える。また、太陽光発電システム100は、太陽電池ストリング2の周囲に配置され、日射強度IRを測定する日射計7と、太陽電池診断装置10とを備える。
パワーコンディショナ3は、太陽電池ストリング2で発電された直流電力を交流電力に変換し、変換した直流電力を電力系統4へ出力する。かかるパワーコンディショナ3は、太陽電池ストリング2の出力電力を最大化する最大電力点追従制御を実行する。以下、最大電力点追従制御をMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と記載する。
MPPT制御では、太陽電池ストリング2の出力電力を最大化できる最適な電流値および電圧値の組み合わせで特定される最大電力点を求め、かかる最大電力点に太陽電池ストリング2の出力電圧と出力電流とを追従させる制御が行われる。パワーコンディショナ3は、かかるMPPT制御を実行することで、太陽電池ストリング2が供給可能な最大の直流電力に対応する交流電力を出力することができる。以下、パワーコンディショナ3がMPPT制御を実行している状態で太陽電池ストリング2から出力される電圧の値および電流の値を出力電圧値Vmpptおよび出力電流値Impptと記載する。
太陽電池診断装置10は、日射強度IR、出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、MPPT効率ηmppt、および太陽電池ストリング2の温度Tに基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。MPPT効率ηmpptは、最大電力点追従効率であり、太陽電池ストリング2の出力可能最大電力値Pmaxに対する、MPPT制御時における太陽電池ストリング2の出力電力値Pmpptの比である。出力可能最大電力値Pmaxは、日射強度および太陽電池温度下における太陽電池ストリング2が供給可能な最大の出力電力であり、照射される日射強度および設置下での太陽電池ストリング2の温度にて変化する特性を持つ。出力電力値Pmpptは、MPPT制御時において太陽電池ストリング2からパワーコンディショナ3に供給される出力電力である。
太陽電池診断装置10は、取得部31と、性能診断部33とを備える。取得部31は、日射計7によって測定された日射強度IRを取得し、測定器60によって測定された出力電圧値Vmpptおよび出力電流値Impptを取得する。また、取得部31は、パワーコンディショナ3からMPPT効率ηmpptを取得するか、またはパワーコンディショナ3の動作状態に応じたMPPT効率ηmppt値を取得部31にあらかじめ記憶させておき選定をする。
性能診断部33は、取得部31によって取得された日射強度IR、出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、MPPT効率ηmppt、および太陽電池ストリング2の温度に基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。
例えば、性能診断部33は、出力電圧値Vmpptおよび出力電流値Impptから出力電力値Pmpptを算出する。そして、性能診断部33は、下記式(1)の演算によって、出力電力値Pmpptを出力電力値Pmcalc25に換算する。出力電力値Pmcalc25は、出力電力値Pmpptを推定太陽電池ストリング温度Tcalcにより、基準温度である25度時の電力値へ換算した値である。なお、下記式(1)において、αPmaxは、太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュールの温度係数である。
Pmcalc25=Pmppt/{1+αPmax×(Tcalc−25)}
・・・(1)
次に、性能診断部33は、下記式(2)の演算によって、太陽電池ストリング2の最大出力電力値PmIRを求める。下記式(2)において、「1000」は基準日射強度であり、単位は、W/m2である。また、下記式(2)において、「Pm」は、太陽電池ストリング2の公称最大出力電力値であり、基準日射強度且つ基準温度での最大出力電力値である。「PmIR」は、基準温度時且つ日射強度IR時における太陽電池ストリング2の最大出力電力値である。
PmIR=Pm×IR/1000 ・・・(2)
次に、性能診断部33は、下記式(3)の演算によって、太陽電池ストリング2の出力性能を求める。すなわち、性能診断部33は、基準温度で換算した出力電力値Pmcalc25を太陽電池ストリング2の最大出力電力値PmIRで除算し、かかる除算結果をさらにMPPT効率ηmpptで除算することで、太陽電池ストリング2の出力性能診断値を求める。このようにMPPT効率ηmpptを用いることで、MPPT制御の追従性能による誤差を抑制することができる。かかる出力性能診断値は、太陽電池ストリング2における定格の出力電力性能に対する診断時の出力電力性能の比である。すなわち、性能診断値は、太陽電池ストリング2の診断時の出力電力性能を、太陽電池ストリング2の定格の出力電力性能で除算した値であり、太陽電池ストリング2の出力電力性能の劣化度と言うこともできる。
出力性能診断値=Pmcalc25/(PmIR×ηmppt) ・・・(3)
なお、性能診断部33は、日射強度IR、出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、および太陽電池ストリング2の温度Tに基づいて、最大出力電力値PmIRに対する出力電力値Pmcalc25の比を演算する構成であればよい。すなわち、性能診断部33は上述した演算以外の方法で最大出力電力値PmIRに対する出力電力値Pmcalc25の比を求める構成であってもよい。
このように、性能診断部33は、最大出力電力値PmIRに対する出力電力値Pmcalc25の比をMPPT効率ηmpptに基づいて補正することで、太陽電池ストリング2の出力性能診断値を求める。そのため、太陽電池診断装置10では、屋外設置下において太陽電池ストリング2の出力性能を精度よく診断することができる。
以下、太陽光発電システムの構成例を具体的に説明する。図2は、実施の形態1にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図である。図2に示す太陽光発電システム100は、太陽電池アレイ1と、太陽電池アレイ1に接続されたパワーコンディショナ3と、第1中継ケーブル5a,5bと、第2中継ケーブル6a,6bと、日射計7と、測定機能内蔵データロガー8と、信号変換器9とを備える。
第1中継ケーブル5a,5b、第2中継ケーブル6a,6b、日射計7、測定機能内蔵データロガー8、信号変換器9、および太陽電池診断装置10は、例えば、太陽電池アレイ1の診断の際に、サービスマンが持参し、サービスマンによって取り付けられる。なお、測定機能内蔵データロガー8と太陽電池診断装置10とは有線または無線によって通信可能に接続され、パワーコンディショナ3と信号変換器9とは有線または無線によって通信可能に接続される。また、信号変換器9と太陽電池診断装置10とは有線または無線によって通信可能に接続される。
太陽電池アレイ1は、直列に接続された複数の太陽電池モジュール70を各々有する太陽電池ストリング2a,2bを備える。なお、以下において、太陽電池ストリング2a,2bの各々を区別せずに示す場合、太陽電池ストリング2と記載する場合がある。
パワーコンディショナ3は、太陽電池アレイ1の発電電力を交流電力に変換し、電力系統4へ逆潮流する。かかるパワーコンディショナ3は、コンバータ21a,21bと、インバータ22と、電流検出部23a,23b,25と、電圧検出部24a,24b,26と、制御部27とを備える。
コンバータ21aは、制御部27によって制御され、太陽電池ストリング2aから入力された直流電力の電圧を電力系統4の電圧振幅よりも高い電圧へ昇圧する。コンバータ21bは、制御部27によって制御され、太陽電池ストリング2bから入力された直流電力の電圧を電力系統4の電圧振幅よりも高い電圧へ昇圧する。コンバータ21a,21bは、例えば、昇圧チョッパ回路であるが、トランス方式のDC(Direct Current)−DCコンバータなどであってもよい。なお、以下において、コンバータ21a,21bを各々区別せずに示す場合、コンバータ21と記載する場合がある。
インバータ22は、制御部27によって制御され、コンバータ21a,21bから入力された直流電力を交流電力へ変換する。かかるインバータ22は、例えば、フルブリッジ接続された不図示の複数のスイッチング素子を備える。各スイッチング素子が制御部27からの複数の駆動信号のうち対応する制御信号に従ってオンオフを繰り返すことで、コンバータ21a,21bからの直流電力が交流電力へ変換される。なお、スイッチング素子は、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)、またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子である。
電流検出部23aは、太陽電池ストリング2aからコンバータ21aへ入力される電流の値を検出する。電流検出部23bは、太陽電池ストリング2bからコンバータ21bへ入力される電流の値を検出する。
電圧検出部24aは、太陽電池ストリング2aからコンバータ21aへ入力される電圧の値を検出する。電圧検出部24bは、太陽電池ストリング2bからコンバータ21bへ入力される電圧の値を検出する。電流検出部25は、インバータ22から電力系統4へ入力される交流電力の電流の値である交流電流値Iacを検出する。電圧検出部26は、インバータ22から電力系統4へ入力される交流電力の電圧の値である交流電圧値Vacを検出する。
制御部27は、コンバータ21a,21bを制御するMPPT制御部28a,28bと、インバータ22を制御するインバータ制御部29とを備える。MPPT制御部28aは、電流検出部23aの検出結果および電圧検出部24aの検出結果に基づいて、コンバータ21aを制御し、太陽電池ストリング2aからの入力に対してMPPT制御を行う。MPPT制御部28bは、電流検出部23bの検出結果および電圧検出部24bの検出結果に基づいて、コンバータ21bを制御し、太陽電池ストリング2bからの入力に対してMPPT制御を行う。なお、MPPT制御部28a,28bを各々区別せずに示す場合、MPPT制御部28と記載する場合がある。
なお、図2に示す例では、太陽電池アレイ1が2つの太陽電池ストリング2a,2bで構成されるが、かかる太陽電池ストリング2の数は、図2に示す例に限定されない。すなわち、太陽電池ストリング2の数、コンバータ21の数およびMPPT制御部28の数は、各々数個以上であってもよい。また、複数列の太陽電池ストリング出力を、開閉器を介し並列化し接続箱にて太陽電池アレイ化する構成においては、太陽電池アレイ出力が上述の太陽電池ストリングに相当し、接続箱内の開閉器を開閉することで、個々の太陽電池ストリング出力として分割する構成であってもよい。
インバータ制御部29は、電流検出部25の検出結果および電圧検出部26の検出結果に基づいてインバータ22を制御することで、コンバータ21a,21bからの直流電力をインバータ22に交流電力へ変換させる。
第1中継ケーブル5aは、太陽電池ストリング2aの出力ケーブル51aに一端が接続され、パワーコンディショナ3におけるコンバータ21aの入力ケーブル53aに他端が接続されるシャント抵抗55aを有する。シャント抵抗55aの一端と他端は、測定機能内蔵データロガー8に接続される。第2中継ケーブル6aは、太陽電池ストリング2aの出力ケーブル52aとパワーコンディショナ3におけるコンバータ21aの入力ケーブル54aとの間に挿入される。
第1中継ケーブル5bは、太陽電池ストリング2bの出力ケーブル51bに一端が接続され、パワーコンディショナ3におけるコンバータ21bの入力ケーブル53bに他端が接続されるシャント抵抗55bを有する。シャント抵抗55bの一端と他端は、測定機能内蔵データロガー8に接続される。第2中継ケーブル6bは、太陽電池ストリング2bの出力ケーブル52bとパワーコンディショナ3におけるコンバータ21bの入力ケーブル54bとの間に挿入される。
日射計7は、日射強度IRを測定する。かかる日射計7は、太陽電池アレイ1の傍、具体的には、診断対象となる太陽電池ストリング2a,2bが設置される架台の傾斜面に太陽電池ストリング2a,2bと実質的に同じ位置で且つ同じ傾斜角となるように設置される。そのため、日射計7は、太陽電池ストリング2a,2bに入射する斜面日射量である日射強度IRをリアルタイムに測定することができる。
なお、日射計7として、日射変動に対する測定出力の応答速度性が太陽電池ストリング2a,2bを構成する太陽電池モジュール70の太陽電池と同等レベルの半導体式日射計などを用いることが望ましい。また、日射計7の分光感度は、太陽電池モジュール70の分光感度に近似した分光感度であることが好ましい。このように、日射計7として、太陽電池モジュール70の応答速度および分光感度特性に近似した半導体式日射計を選定することが好ましい。これにより、日射変動に対する応答速度性能とともに、太陽光スペクトルが天頂時に比べ変化する朝方および夕方における波長変化による誤差を小さくすることができる。
また、太陽電池ストリング2の表面である太陽電池ストリング面の平均斜面日射量を高精度測定するために、太陽光発電システム100は、太陽電池ストリング面の各位置に複数台設置された日射計7を有する構成であってもよい。この場合、太陽光発電システム100は、これら複数の日射計7で測定される斜面日射強度の平均値である平均日射強度を日射強度IRとして取得することができる。
測定機能内蔵データロガー8は、出力電圧値Vmppt1,Vmppt2および出力電流値Imppt1,Imppt2を繰り返し測定する。具体的には、測定機能内蔵データロガー8は、第1中継ケーブル5aと第2中継ケーブル6aとの間の電圧に基づいて出力電圧値Vmppt1を検出し、第1中継ケーブル5bと第2中継ケーブル6bとの間の電圧に基づいて出力電圧値Vmppt2を検出する。また、測定機能内蔵データロガー8は、シャント抵抗55aの端子間電圧に基づいて出力電流値Imppt1を検出し、シャント抵抗55bの端子間電圧に基づいて出力電流値Imppt2を検出する。なお、測定機能内蔵データロガー8、第1中継ケーブル5a,5b、および第2中継ケーブル6a,6bを含む構成が図1に示す測定器60に対応する。以下、出力電圧値Vmppt1,Vmppt2を各々区別せずに示す場合、出力電圧値Vmpptと記載する場合がある。また、出力電流値Imppt1,Imppt2を各々区別せずに示す場合、出力電流値Impptと記載する場合がある。
また、測定機能内蔵データロガー8は、出力電圧値Vmpptおよび出力電流値Impptの測定タイミングに同期したタイミングである同時刻タイミングで日射計7において測定された日射強度IRを繰り返し取得する。測定機能内蔵データロガー8は、同時刻タイミングで測定された出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、および日射強度IRを含む測定データを生成し、生成した測定データを太陽電池診断装置10へ出力する。
同時刻タイミングは、例えば、少なくとも、日射強度IR、出力電圧値Vmppt、および出力電流値Impptの間の測定時間の差が、数10m秒以下に設定される。これにより、太陽電池診断装置10による太陽電池ストリング2の出力性能の診断において日射量変動速度の影響を抑制することができる。
このように、測定機能内蔵データロガー8を用い、同時刻タイミングで測定された出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、および日射強度IRを含む測定データを生成するため、太陽電池診断装置10において同時刻タイミングを管理する必要性がない。なお、出力電圧値Vmppt、出力電流値Impptを、パワーコンディショナ3内蔵の電圧検出部24a,24b、電流検出部23a,23bの測定データを用いる構成とする場合では、日射強度IRとの測定時間差を考慮した同時刻タイミング処理を実施することになる。
信号変換器9は、パワーコンディショナ3に接続される。パワーコンディショナ3から取得したデータを太陽電池診断装置10で受信可能なデータに変換し、変換したデータを太陽電池診断装置10へ送信する。パワーコンディショナ3から信号変換器9によって取得されるデータは、パワーコンディショナ3の制御データであり、かかる制御データは、例えば、各MPPT制御部28a,28bのMPPT制御データを含む。MPPT制御データには、例えば各MPPT制御部28a,28bのMPPT効率ηmpptが含まれる。なお、制御データには、パワーコンディショナ3から出力される交流電力値である交流発電電力値のデータが含まれてもよい。また、MPPT制御データには、各コンバータ21へ入力される電圧、電流、および電力の値である太陽電池入力電流値、太陽電池入力電圧値、および太陽電池入力電力値などが含まれてもよい。
なお、太陽電池診断装置にパワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptが、出力電圧値Vmppt、および出力電流値Impptに対応して選択可能なように記憶設定する構成をとるならば、信号変換器9でパワーコンディショナ3に接続する必要性はない。
太陽電池診断装置10は、太陽電池ストリング2の出力性能の診断を行う。図3は、実施の形態1にかかる太陽電池診断装置の構成例を示す図である。図3に示すように、太陽電池診断装置10は、通信部11と、記憶部12と、処理部13と、入力部14と、表示部15とを備える。
通信部11は、測定機能内蔵データロガー8および信号変換器9と有線または無線によって通信を行う。記憶部12は、太陽電池ストリング2の特性情報などを記憶する。処理部13は、通信部11を介して、測定機能内蔵データロガー8および信号変換器9から取得した情報および記憶部12に記憶された情報に基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能の診断を行う。処理部13は、例えば、入力部14への操作が特定の操作である場合に、太陽電池ストリング2の出力性能の診断を行い、かかる診断結果を表示部15に表示する。
処理部13は、取得部31と、温度推定部32と、性能診断部33とを備える。取得部31は、測定機能内蔵データロガー8から測定データを取得する。かかる測定データには、上述したように、同時刻タイミングで測定された出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、および日射強度IRが含まれる。また、取得部31は、信号変換器9からパワーコンディショナ3の制御データを取得する。かかる制御データには、上述したように、MPPT効率ηmpptを含むMPPT制御データなどが含まれる。
温度推定部32は、太陽電池モジュール70の公称定格出力の等価回路から計算した診断対象となる太陽電池ストリング2の基準温度時における最大出力動作電圧値Vpmと最大出力動作電流値Ipmとの関係を示すVpm−Ipm特性と、取得部31によって取得された出力電流値Impptとに基づいて、出力電圧値Vpmcalc25を推定する。出力電圧値Vpmcalc25は、基準温度でのMPPT動作時における太陽電池ストリング2の最大出力動作電圧値Vpmの推定値である。なお、太陽電池ストリング2aの出力電圧値Vpmcalc25は、出力電流値Imppt1を用いて推定され、太陽電池ストリング2bの出力電圧値Vpmcalc25は、出力電流値Imppt2を用いて推定される。
温度推定部32は、取得部31によって取得された出力電圧値Vmpptと、推定した出力電圧値Vpmcalc25と、最大出力動作電圧値Vpmの温度係数である最大出力動作電圧温度係数βVpmに基づいて、各太陽電池ストリング2の温度を推定する。例えば、温度推定部32は、下記式(4)の演算によって、太陽電池ストリング2の温度の推定値である推定太陽電池ストリング温度Tcalcを求めることができる。
calc=(Vpmcalc25−Vmppt)/βVpm+25 ・・・(4)
なお、上記式(4)の最大出力動作電圧温度係数βVpmは、太陽電池モジュールの最大出力電力値の温度係数である最大出力温度係数αPmaxがほぼ同値の製品においては、温度推定部32は、出力電圧値Vmpptと、出力電圧値Vpmcalc25と、最大出力温度係数αPmaxに基づいて、下記式(5)の演算によって、太陽電池ストリング2の温度を推定することもできる。
calc=(Vpmcalc25−Vmppt)/αPmax+25 ・・・(5)
なお、太陽電池ストリング2aの推定太陽電池ストリング温度Tcalcは、出力電流値Imppt1から得られる出力電圧値Vpmcalc25と出力電圧値Vmppt1とを用いて算出される。また、太陽電池ストリング2bの推定太陽電池ストリング温度Tcalcは、出力電流値Imppt2から得られる出力電圧値Vpmcalc25と出力電圧値Vmppt2とを用いて算出される。また、上述した例では、温度推定部32は、取得部31によって取得された出力電流値Impptを用いたが、かかる例に限定されない。例えば、パワーコンディショナ3に接続されている太陽電池ストリング2が1列の構成では、温度推定部32は、取得部31に取得されるパワーコンディショナ3の制御データに交流発電電力値および太陽電池入力電圧値が含まれている場合、これらの情報とパワーコンディショナ3の直流―交流変換効率とMPPT効率ηmpptから太陽電池ストリング2の出力電流値Impptを推定することができる。そして、温度推定部32は、推定した出力電流値Impptに基づいて、出力電圧値Vpmcalc25を推定することができる。
ここで、太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュール70の特性について説明する。太陽電池モジュール70のカタログまたは納入仕様書には、基準条件における主要な定格値である公称定格値が明示されている。基準条件は、例えば、日射強度が基準日射強度であり且つ温度が基準温度であるという条件である。基準日射強度は、1000W/m2であり、基準温度は、25℃であるが、基準日射強度は、1000W/m2に限定されず、基準温度は25℃に限定されない。
また、公称定格値には、基準条件における最大出力電力値Pmである公称最大出力電力値Pm、基準条件における最大出力動作電圧値Vpmである公称最大出力動作電圧値Vpm、および基準条件における最大出力動作電流値Ipmである公称最大出力動作電流値Ipmが含まれる。公称最大出力電力値Pmの単位はワットであり、公称最大出力動作電圧値Vpmの単位はボルトであり、公称最大出力動作電流値Ipmの単位はアンペアである。
また、太陽電池モジュール70のカタログまたは納入仕様書には、最大出力温度係数αPmax、開放電圧温度係数β、および短絡電流温度係数αなどの主要な温度特性値が明示されている。最大出力温度係数αPmaxは、太陽電池モジュール70の温度が1℃上昇した場合に最大出力電力値Pmが変化する割合であり、単位は例えば[%/℃]である。
最大出力温度係数αPmaxは、最大出力動作電圧温度係数βVpm、および最大出力動作電流温度係数αIpmからなる。最大出力動作電圧温度係数βVpmは、太陽電池モジュール70の温度が1℃上昇した場合に最大出力動作電圧値Vpmが変化する割合であり、単位は例えば[%/℃]である。また、最大出力動作電流温度係数αIpmは、太陽電池モジュール70の温度が1℃上昇した場合に最大出力動作電流値Ipmが変化する割合であり、単位は例えば[%/℃]である。
最大出力動作電圧温度係数βVpmは、最大出力動作電流温度係数αIpmに比べて大きく、最大出力温度係数αPmaxに対する寄与率が大きい温度係数値である。例えば、結晶系太陽電池モジュールにおける最大出力温度係数αPmaxは、−0.2〜−0.5[%/℃]であり、最大出力動作電圧温度係数βVpmは、−0.2〜−0.5[%/℃]であり、最大出力動作電流温度係数αIpmは、−0.02[%/℃]である。
このように、最大出力動作電流温度係数αIpmは、最大出力動作電圧温度係数βVpmに比べて小さいため、不明の温度下で測定した太陽電池ストリング2の出力電流値Impptを、基準温度時における最大出力動作電流値Ipmと同値として扱うことができる。そこで、温度推定部32は、上述したように、最大出力動作電流温度係数αIpmを用いることなく、上記式(4)を用いて、推定太陽電池ストリング温度Tcalcを求めるようにしている。
なお、最大出力動作電圧温度係数βVpmおよび最大出力動作電流温度係数αIpmは最大出力温度係数αPmaxの測定時に同時測定される温度係数であることから、太陽電池モジュール70の製造メーカにとってはカタログまたは納入仕様書に記載することが容易な温度係数である。なお、結晶系太陽電池モジュールにおける最大出力温度係数αPmaxと最大出力動作電圧温度係数βVpmとの差は小さい。そのため、カタログまたは納入仕様書に最大出力動作電圧温度係数βVpmの記載がない場合、上記式(5)に示すように、最大出力動作電圧温度係数βVpmに代えて最大出力温度係数αPmaxを用いて推定太陽電池ストリング温度Tcalcを求めることができる。
晴天時において、太陽電池モジュール70の温度は夏期では70℃程度になる場合がある。βVpm=−0.4[%/℃]であるとすると、70℃での太陽電池ストリング2の最大出力電力値Pmは、太陽電池モジュール70の基準温度での最大出力電力値Pmよりも−18[%]の値になる。そのため、太陽電池診断装置10では、後述するように、太陽電池ストリング2の温度を用いて太陽電池ストリング2の出力性能の診断を行うようにしている。
次に、太陽電池ストリング2の特性について説明する。図4は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準日射強度における電流−電圧の出力特性の温度依存性を説明する図である。図5は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準日射強度における電圧−電力の出力特性の温度依存性を説明する図である。図4および図5は、基準日射強度において太陽電池モジュール70の温度が0℃、25℃および50℃である場合における太陽電池モジュール70の特性を示している。
図6は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準温度時における電流−電圧の出力特性の日射強度依存性を説明する図である。図7は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準温度時における電圧−電力の出力特性の日射強度依存性を説明する図である。図6および図7は、基準温度時における日射強度が日射強度1000W/m2、800W/m2、600W/m2、400W/m2、および200W/m2であるときの太陽電池モジュール70の特性を示している。
図6に示すように、太陽電池モジュール70は、日射強度IRの大きさに応じて電流−電圧の出力特性は変化する。最大電力点Pmに対応するところの最大出力動作電圧値Vpmおよび最大出力動作電流値Ipmが変化し、最大出力動作電流値Ipmに対応する最大出力動作電圧値Vpmは日射強度IRの大きさに応じて変わる。最大出力動作電圧値Vpmと最大出力動作電流値Ipmとの関係は太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュール70の数および種類によって変化する。そこで、太陽電池診断装置10は、太陽電池ストリング2の構成、すなわち太陽電池ストリング2における太陽電池モジュール70の数および種類に応じたVpm−Ipm特性を示すVpm−Ipm関係式の情報を記憶している。Vpm−Ipm関係式は、基準温度時における最大出力動作電圧値Vpmと最大出力動作電流値Ipmとの関係を示す関数であり、例えば、多項式である。
図7に示すように、太陽電池モジュール70は、日射強度IRの大きさに応じて最大出力電力値Pmが変化し、最大出力電力値Pmに対応する最大出力動作電圧値Vpmは日射強度の大きさに応じて変わる。例えば、図7に示すように、日射強度1000W/m2での最大出力電力値Pmである最大動作電力点Aに対応する最大出力動作電圧値Vpmは、日射強度200W/m2での最大出力電力値Pmである最大動作電力点Bに対応する最大出力動作電圧値Vpmと異なる。かかる最大出力動作電圧値Vpmは、基準温度時における最大出力電力値Pmを変数とする関数によって表現することができる。
最大出力電力値Pmと最大出力動作電圧値Vpmとの関係は太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュール70の数および種類によって変化する。そこで、太陽電池診断装置10は、太陽電池ストリング2の構成、すなわち太陽電池ストリング2における太陽電池モジュール70の数および種類に応じたPm−Vpm特性を示すPm−Vpm関係式の情報を記憶している。Pm−Vpm関係式は、基準温度時における最大出力電力値Pmと最大出力動作電圧値Vpmとの関係を示す関数であり、例えば、多項式である。
Vpm−Ipm関係式およびPm−Vpm関係式は、太陽電池モジュール70の性能に対応した等価回路モデルを用い、太陽電池ストリング2の構成毎に求めることができる。かかるVpm−Ipm関係式およびPm−Vpm関係式は、太陽電池ストリング2の構成毎に、日射強度IRに応じた最大出力電力値Pm、最大出力動作電圧値Vpm、および最大出力動作電流値Ipmを演算し、かかる演算結果に基づいて作成することができる。
図8は、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの性能に対応した等価回路モデルを用いて算出した基準温度時における電圧−電力の出力特性の日射強度依存性を説明するための図である。図9は、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの性能に対応した等価回路モデルを用いて算出した基準温度時における日射強度に応じた最大出力電力値、最大出力動作電圧値、および最大出力動作電流値を説明するための図である。図8および図9は、基準温度時における日射強度が日射強度1000W/m2、800W/m2、600W/m2、400W/m2、および200W/m2であるときの太陽電池モジュール70の特性を示している。
図10は、図9に示す表から抽出された日射強度毎の最大出力電力値と最大出力動作電圧値との組み合わせをプロットした図である。かかる図10によって、最大出力電力値Pmと最大出力動作電圧値Vpmとの関係が容易に理解できる。
図11は、図9に示す表から抽出された日射強度毎の最大出力動作電圧値と最大出力動作電流値との組み合わせがプロットされ、且つプロットされた点から求められる最大出力動作電圧値と最大出力動作電流値との関係を示す近似式を示す図である。図11に示す近似式は、5つの点に基づく近似式であるため、4次の多項式y(x)である。かかる多項式y(x)が上述したVpm−Ipm関係式である。
このように、太陽電池モジュール70が基準温度下である場合、任意の日射強度下において太陽電池ストリング2の構成毎の最大出力電力値Pmと最大出力動作電圧値Vpmとの関係式を、太陽電池モジュール70の等価回路を用いることで得ることができる。かかる関係式によって、任意の日射強度下において、太陽電池ストリング2が最大動作電力点で発電している場合、出力電圧値Vmpptによって出力電力値Pmpptを算出することができる。
また、最大出力動作電圧値Vpmと最大出力動作電流値Ipmとの関係式によって、任意の日射強度下において、太陽電池ストリング2が最大動作電力点で発電している場合、出力電流値Impptによって出力電圧値Vmpptを算出することができる。
太陽電池診断装置10の記憶部12は、各太陽電池ストリング2におけるVpm−Ipm関係式の情報とPm−Vpm関係式の情報とを含む太陽電池ストリング2の特性情報を予め記憶している。処理部13の温度推定部32は、記憶部12に記憶されるVpm−Ipm関係式の情報から出力電流値Impptに対応する基準温度時における出力電圧値Vpmcalc25を演算することができる。例えば、Vpm−Ipm関係式が図11に示す4次の多項式y(x)である場合、かかる多項式y(x)において出力電流値Impptを「x」として入力することで、y(x)の演算結果を出力電圧値Vpmcalc25として求めることができる。
なお、上述した例では、推定太陽電池ストリング温度Tcalcを求める際に、太陽電池モジュール70における最大出力動作電流温度係数αIpmをゼロとしているが、かかる例に限定されない。夏場における太陽電池モジュール70は70℃以上に達する状態もあり、αIpmが−0.02[%/℃]である場合、70℃における推定温度誤差は、−0.9%になる。かかる推定温度誤差を縮小する方法として、上記式(4)または上記式(5)においてαIpm=0として求めた推定太陽電池ストリング温度Tcalcを最大出力動作電流温度係数αIpmに基づいて再計算する方法を用いることもできる。
例えば、温度推定部32は、上記式(4)または上記式(5)によって求めた推定太陽電池ストリング温度Tcalcと最大出力動作電流温度係数αIpmとを用いて、基準温度時の出力電流値Impptである出力電流値Ipmcalc25を計算する。温度推定部32は、例えば、推定太陽電池ストリング温度Tcalcが70℃である場合、取得部31によって取得された出力電流値Impptを−0.9%だけ減少させた値を出力電流値Ipmcalc25とする。そして、温度推定部32は、Vpm−Ipm関係式から出力電流値Ipmcalc25に対応する出力電圧値Vpmcalc25を求める。その後、温度推定部32は、再計算した出力電圧値Vpmcalc25を用いて上記式(4)または上記式(5)の演算を行うことで、推定太陽電池ストリング温度Tcalcを再計算することができる。これにより、最大出力動作電流温度係数αIpmに関する推定温度誤差を縮小することができる。
次に、太陽電池診断装置10における処理部13の性能診断部33について説明する。性能診断部33は、取得部31によって取得された日射強度IR、出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、MPPT効率ηmppt、および太陽電池ストリング2の温度に基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。
まず、性能診断部33は、出力電圧値Vmpptと出力電流値Impptとを乗算することで出力電力値Pmpptを算出する。そして、性能診断部33は、上記式(1)の演算によって、出力電力値Pmpptを出力電力値Pmcalc25に換算する。次に、性能診断部33は、上記式(2)の演算によって、太陽電池ストリング2の最大出力電力値PmIRを求める。そして、性能診断部33は、上記式(3)の演算によって、太陽電池ストリング2毎の出力性能を求める。太陽電池ストリング2aの出力性能は、出力電圧値Vmppt1および出力電流値Imppt1から算出される出力電力値Pmppt1が用いられ、太陽電池ストリング2bの出力性能は、出力電圧値Vmppt2および出力電流値Imppt2から算出される出力電力値Pmppt2が用いられる。
なお、性能診断部33は、出力性能の診断において、パワーコンディショナ3からのMPPT制御データに基づいて、上記式(3)の演算を行っているが、かかる例に限定されない。例えば、性能診断部33は、太陽光発電システム100の発電環境などからMPPT制御動作が安定しているような場合、パワーコンディショナ3からのMPPT制御データを用いることなく、予め設定されたMPPT効率ηmpptに基づいて、上記式(3)の演算により出力性能診断を行うことができる。
また、日射強度の測定精度は、出力性能診断において重要である。太陽電池ストリング2の出力電流値Impptを用いて日射強度を推定する方法は、最大出力動作電流値Ipmが性能劣化の主要値であることからも適当ではない。一方、実施の形態1にかかる太陽光発電システム100では、日射強度IRを測定する日射計7として、例えば、太陽電池モジュール70の分光感度特性および応答速度に近似した半導体式日射計が選定される。これにより、日射変動に対する応答速度性能とともに、太陽光スペクトルが天頂時より変化する朝方および夕方における波長変化による誤差を小さくすることができる。
また、パワーコンディショナ3の性能によっては制御時定数による制御応答速度などの誤差によって、変動日射下での診断精度は日射強度の変動量で変化する場合がある。そのため、日射変動の少ない状態で出力性能診断を行うことで、出力性能診断値の精度を向上させることができる。また、出力性能診断値の精度の向上と出力性能診断値のばらつきの測定を行うために、統計的手法による性能診断が有効である。性能診断部33は、一定時間にわたり複数回の測定によって得られる測定データを用いて、変化する日射量帯に対する出力性能診断値の相関近似式を演算することで、高精度な出力性能診断値を得ることもできる。また、性能診断部33は、出力変動が小さい時間帯での測定データを選択的に用いることや日射強度が低く出力の相対効率が低下する領域を除外するなどの、高精度な出力性能診断値を得ることもできる。
以下、実施の形態1にかかる太陽電池診断装置10による太陽電池診断方法への理解を助けるために、太陽光発電システムの診断方法をさらに具体的に説明する。以下においては、直列接続される太陽電池モジュール70の数が10枚である太陽電池ストリング2の診断方法を一例に挙げて説明する。
図12は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの定格値を示すモジュール定格情報を説明するための図である。図13は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの基準温度時における日射強度に応じた最大出力電力値、最大出力動作電圧値、および最大出力動作電流値を説明するための図である。図14は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールの日射強度毎の最大出力電圧値と最大出力動作電流値との組み合わせをプロットした図である。
図12に示すモジュール定格情報から太陽電池モジュール70の等価回路モデルを作成することができる。また、作成した太陽電池モジュール70の等価回路モデルに基づいて、図13に示すように、日射強度に応じた最大出力電力値、最大出力動作電圧値、および最大出力動作電流値を求めることができる。そして、図13に示す情報に基づいて、図14に示すように、最大出力動作電圧値Vpmと最大出力動作電流値Ipmとの関係を示す近似式である多項式y(x)を得ることができる。
図15は、実施の形態1にかかる日射計で測定される日射強度の時間推移の一例を示す図であり、図16は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングの出力電力値の時間推移の一例を示す図である。図15に示す日射強度IRの時間推移と図16に示す出力電力値Pmpptの時間推移とは同じ期間での測定結果を示している。
図15に示す日射強度IRのデータと図16に示す出力電力値Pmpptのデータとに基づいて、日射強度IRと出力電力値Pmpptとの相関グラフを作成することができる。図17は、実施の形態1にかかる太陽電池ストリングへの日射強度と太陽電池ストリングの出力電力値の測定値による相関グラフを示す図である。図17に示す相関グラフによって、日射強度IRと出力電力値Pmpptの相関性を確認することができる。図17に示す相関グラフにおける全プロット点から得られる近似直線によって、日射強度IRに対する出力電力値Pmpptを得ることができるが、図17に示す近似直線では、太陽電池モジュール70の温度およびパワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptによる補正が行われていない。そのため、図17に示す近似直線を用いて出力性能診断を行う場合、診断精度が悪くなる。
そこで、性能診断部33は、日射強度IR、出力電圧値Vmpptおよび出力電流値Impptに加え、MPPT効率ηmpptおよび太陽電池ストリング2の温度を用いて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。
図18は、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの特性値、太陽電池ストリングの定格出力値、および太陽電池ストリングの出力初期値を示す図である。図18に示す太陽電池モジュール70の特性値は、図12に示す太陽電池モジュール70の特性値であり、最大出力温度係数αPmaxおよび最大出力動作電圧温度係数βVpmである。図18に示す太陽電池ストリング2の定格出力値は、図12に示す太陽電池モジュール70の公称最大出力電力値Pmに太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュール70の数を乗算して得られる。図18に示す太陽電池ストリング2の出力初期値は、各太陽電池モジュール70の出荷時に測定された基準日射強度時および基準温度時における各太陽電池モジュール70の最大出力電力値Pmを合計して得られる。
図19は、実施の形態1にかかる測定値と推定値との関係を示す図である。図19に示す例では、時刻毎に測定値と推定値とが関連付けられている。測定値は、出力電圧値Vmppt、出力電流値Imppt、日射強度IR、および、出力電力値Pmpptである。出力電力値Pmpptは、出力電圧値Vmpptと出力電流値Impptとを乗算することによって求められる。
性能診断部33は、記憶部12に記憶されるVpm−Ipm関係式に出力電流値Impptを代入して、図19に示す出力電圧値Vpmcalc25を算出することができる。出力電圧値Vpmcalc25は、基準温度でのMPPT動作時における太陽電池ストリング2の最大出力動作電圧値Vpmである。そして、性能診断部33は、出力電圧値Vmppt、出力電圧値Vpmcalc25、および最大出力動作電圧温度係数βVpmに基づいて、上記式(4)の演算によって、図19に示す推定太陽電池ストリング温度Tcalcを求めることができる。また、性能診断部33は、上記式(1)に、図19に示す値の出力電力値Pmppt、図19に示す値の推定太陽電池ストリング温度Tcalc、および最大出力温度係数αPmaxを代入することで、図19に示す出力電力値Pmcalc25を算出することができる。出力電力値Pmcalc25は、上述したように、出力電力値Pmpptを基準温度である25度時の電力へ換算した値である。
図20は、図19に示す測定値と推定値とによって得られる日射強度と出力電力値との相関を示す相関グラフを示す図である。図20に示す例では、日射強度IRに対応する出力電力は、出力電力値Pmpptを基準温度である25度時の電力へ換算した出力電力値Pmcalc25である。図20に示す相関グラフは、図17に示す相関グラフに比べ、日射強度IRに対する出力電力値のばらつきが温度補正により縮小されていることを示している。
図21は、実施の形態1にかかるMPPT効率による補正がない場合の出力性能診断値の一例を示す図である。性能診断部33は、太陽電池ストリング2の公称最大出力電力値Pmを、測定時の日射強度IRでの電力値に換算した最大出力電力値PmIRを上記式(2)の演算によって求める。なお、太陽電池ストリング2の公称最大出力電力値Pmは、図18に示す太陽電池ストリング2の定格出力値であり、記憶部12に記憶される。性能診断部33は、記憶部12に記憶される公称最大出力電力値Pmを用いて最大出力電力値PmIRを求めることができる。
図21に示す「定格値比」は、太陽電池ストリング2の定格出力値に対する測定時の太陽電池ストリング2の出力値の比である。かかる「定格値比」は、基準温度での出力電力に換算した出力電力値Pmcalc25を、最大出力電力値PmIRで除算することによって求められる。例えば、性能診断部33は、図18に示す太陽電池ストリング2の定格出力値で測定時の日射強度IRでの電力値に換算した最大出力電力値PmIRを、上記式(2)の演算によって求めることができる。そして、性能診断部33は、下記式(6)の演算によって、太陽電池ストリング2の定格出力値に対する測定時の太陽電池ストリング2の出力電力値の比を定格値比として演算することができる。
定格値比=Pmcalc25/PmIR ・・・(6)
また、図21に示す「初期値比」は、太陽電池ストリング2の出力初期値に対する測定時の太陽電池ストリング2の出力値の比である。かかる「初期値比」は、図18に示す太陽電池ストリング2の出力初期値を測定時の日射強度IRでの電力値に換算した最大出力電力値PmIR’で出力電力値Pmcalc25を除算することによって求められる。例えば、性能診断部33は、図18に示す太陽電池ストリング2の出力初期値で測定時の日射強度IRでの電力値に換算した最大出力電力値PmIR’を、下記式(7)の演算によって求めることができる。下記式(7)における「Pm’」は、図18に示す太陽電池ストリング2の出力初期値である。そして、性能診断部33は、下記式(8)の演算によって、太陽電池ストリング2の出力初期値に対する測定時の太陽電池ストリング2の出力値の比を初期値比として演算することができる。
PmIR’=Pm’×IR/1000 ・・・(7)
初期値比=Pmcalc25/PmIR’ ・・・(8)
図21に示す出力性能診断値は、パワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptが100%であれば、太陽電池ストリング2の出力性能診断値である。しかし、パワーコンディショナ3においてMPPT効率ηmpptを100%にすることは困難であり、MPPT効率ηmpptは、100%未満の値である。例えば、欧州規格EN(European Standard)50530に基づく静的/動的MPPTテスト方法による測定方法において測定条件に応じてMPPT効率が95%〜99.8%の性能差の製品が市販されている。図22は、EN50530規定のテスト方法でのパワーコンディショナのMPPT効率の例を示す図である。
したがって、図21に示す出力性能診断値は、太陽電池ストリング2の出力電力性能にパワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptが乗算された数値になっている。そのため、正確な太陽電池ストリング2の最大出力電力性能を得るためには、図21に示す出力性能診断値をパワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptによって補正する必要がある。
図23は、実施の形態1にかかるMPPT効率での補正がある場合の出力性能診断値の一例を示す図である。性能診断部33は、図21に示す「定格値比」をMPPT効率ηmpptで除算することによって、図23に示す「定格値比」を出力性能診断値として演算することができる。また、性能診断部33は、図21に示す「初期値比」をMPPT効率ηmpptで除算することによって、図23に示す「初期値比」を出力性能診断値として演算することができる。なお、性能診断部33は、測定条件内においてMPPT効率ηmpptが同一値とみなせる場合、図21に示す「定格値比」または「初期値比」の平均値をMPPT効率ηmpptで除算することで出力性能診断値を簡易に求めることもできる。
つづいて、太陽電池診断装置10の動作を、フローチャートを用いて説明する。図24は、実施の形態1にかかる太陽電池診断装置の処理の一例を示すフローチャートである。図24に示す処理は、例えば、入力部14への操作が特定の操作である場合に処理部13によって実行される処理である。
図24に示すように、太陽電池診断装置10の処理部13における取得部31は、同時刻タイミングで測定された日射強度IR、出力電流値Imppt、および出力電圧値Vmpptを測定機能内蔵データロガー8から取得する(ステップS10)。また、取得部31は、パワーコンディショナ3から信号変換器9を介してパワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptを取得する(ステップS11)。
次に、処理部13の温度推定部32は、Vpm−Ipm特性と、取得部31によって取得された出力電流値Impptとに基づいて、出力電圧値Vpmcalc25を推定する(ステップS12)。Vpm−Ipm特性は、基準温度時における最大出力動作電圧値Vpmと最大出力動作電流値Ipmとの関係を示す情報である。また、出力電圧値Vpmcalc25は、基準温度でのMPPT動作時における太陽電池ストリング2の最大出力動作電圧値Vpmである。
次に、温度推定部32は、取得部31によって取得された出力電圧値Vmpptと、推定した出力電圧値Vpmcalc25と、最大出力動作電圧温度係数βVpmに基づいて、推定太陽電池ストリング温度Tcalcを算出する(ステップS13)。推定太陽電池ストリング温度Tcalcは、太陽電池ストリング2の温度の推定値である。
次に、処理部13の性能診断部33は、出力電圧値Vmpptおよび出力電流値Impptから出力電力値Pmpptを算出し、算出した出力電力値Pmpptを出力電力値Pmcalc25に換算する(ステップS14)。
次に、性能診断部33は、公称最大出力電力値Pmと取得部31によって取得された日射強度IRとに基づいて、太陽電池ストリング2の最大出力電力値PmIRを算出する(ステップS15)。最大出力電力値PmIRは、基準温度時且つ日射強度IR時における太陽電池ストリング2の最大出力電力値Pmである。
次に、性能診断部33は、出力電力値Pmcalc25、最大出力電力値PmIR、および取得部31によって取得されたMPPT効率ηmpptに基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能診断値を算出する(ステップS16)。性能診断部33は、算出した出力性能診断値を表示部15に表示し(ステップS17)、図24に示す処理を終了する。
以上のように、実施の形態1にかかる太陽電池診断装置10は、取得部31と、性能診断部33とを備える。取得部31は、太陽電池ストリング2に接続されたパワーコンディショナ3が最大電力点追従制御を実行している状態で得られる太陽電池ストリング2の出力電流値Impptおよび出力電圧値Vmpptと、日射計7で測定される日射強度IRとを取得する。性能診断部33は、取得部31によって取得された出力電流値Imppt、出力電圧値Vmppt、および日射強度IRと、太陽電池ストリング2の温度と、最大電力点追従制御の効率であるMPPT効率ηmpptとに基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。これにより、パワーコンディショナ3における最大電力点追従制御の追従性能による影響を低減または排除できることから、屋外設置下において太陽電池ストリング2の出力性能を精度よく診断することができる。なお、上述した例では、性能診断部33は、太陽電池ストリング2の出力性能として出力性能診断値を算出したが、出力電力値Pmcalc25をMPPT効率ηmpptで除算した値を太陽電池ストリング2の出力性能として算出することもできる。
また、太陽電池診断装置10は、温度推定部32を備える。温度推定部32は、取得部31によって取得された出力電流値Impptおよび出力電圧値Vmpptと、出力電圧値Vmpptの温度係数である最大出力動作電圧温度係数βVpmまたは出力電力値Pmpptの温度係数である最大出力温度係数αPmaxとに基づいて、太陽電池ストリング2の温度を推定する。性能診断部33は、取得部31によって取得された出力電流値Imppt、出力電圧値Vmppt、および日射強度IRと、温度推定部32によって推定された太陽電池ストリング2の温度と、MPPT効率ηmpptとに基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。したがって、太陽電池診断装置10では、太陽電池ストリング2の温度を測定する必要がないため、温度計が不要となり、太陽電池ストリング2の出力性能の診断に用いる測定器を少なくすることができ、保守も容易になる。
性能診断部33は、1回の診断で必要となる測定データのデータ量が少なくない。そのため、太陽電池診断装置10の性能診断部33は、様々な日射条件下での測定データに基づいた統計処理を行うことで、出力性能の診断を高精度に行うことができる。例えば、性能診断部33は、長時間の観測結果により得られる時系列の日射量または出力性能診断値のデータを記憶部12に記憶し、記憶部12に記憶したデータに基づき、変動が少ない期間のデータを抽出するといった統計処理を実施することができる。これにより、出力性能の診断を高精度に行うことができる。また、性能診断部33は、記憶部12に記憶したデータに基づき、時系列の出力性能診断値の平均値を最終的な出力性能診断値とすることもできる。また、性能診断部33は、かかる統計処理の結果を記憶部12に記憶したり表示部15に表示したりすることもできる。
なお、性能診断部33は、日射量の変動が小さい時間帯で日射計7により測定され、かつ値が高い日射強度IRを用いて出力性能診断値を算出することで、精度の高い診断をすることができる。すなわち、天気予測などに基づいて日射量の変動が小さく値が高い日射強度IRが得られる時間帯を選択し、かかる時間帯で太陽光発電システム100の性能診断を行うことで、精度の高い診断をすることができる。また、入力部14への操作によって、日射強度IRが安定していることを診断条件または測定条件として性能診断部33に設定することもできる。「日射強度が安定している」とは、例えば、日射強度IRの変動範囲が予め設定された範囲内であることである。これにより、性能診断部33は、日射計7の測定結果に対して同様な条件での統計処理を加えた出力診断を行うことができる。
また、実施の形態1にかかる太陽電池診断方法では、取得ステップと、性能診断ステップと、を含む。取得ステップは、太陽電池ストリング2に接続されたパワーコンディショナ3が最大電力点追従制御を実行している状態で得られる太陽電池ストリング2の出力電流値Impptおよび出力電圧値Vmpptと、日射計7で測定される日射強度IRとを取得する。性能診断ステップは、取得ステップで取得された出力電流値Imppt、出力電圧値Vmppt、および日射強度IRと、太陽電池ストリング2の温度と、MPPT効率ηmpptとに基づいて、太陽電池ストリング2の出力性能を診断する。これにより、パワーコンディショナ3における最大電力点追従制御の追従性能による影響を低減または排除できることから、屋外設置下において太陽電池ストリング2の出力性能を精度よく診断することができる。
また、上述した例では、パワーコンディショナ3とは別に、第1中継ケーブル5a,5b、第2中継ケーブル6a,6b、測定機能内蔵データロガー8、および信号変換器9などを用いることで、パワーコンディショナ3として、汎用的なパワーコンディショナを用いることができる。なお、パワーコンディショナ3は、第1中継ケーブル5a,5b、第2中継ケーブル6a,6b、測定機能内蔵データロガー8、および信号変換器9などの機能を内蔵する構成であってもよい。すなわち、パワーコンディショナ3は、出力電流値Impptおよび出力電圧値Vmpptを測定する機能を有してもよく、また日射計7から直接日射強度IRを取得する構成であってもよい。また、クラウドサーバで太陽電池診断装置10を機能させることもでき、この場合、太陽電池診断装置10は、パワーコンディショナ3、測定機能内蔵データロガー8、および信号変換器9とはインターネットを介して接続される。これにより、太陽電池診断装置10は、インターネットを経由したリモートセンシングによる太陽光発電システム100の出力性能診断を実行することができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる太陽電池診断装置は、太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュール内部の太陽電池セル間を接続するインターコネクタの部分断線による電圧低下故障を検出することができる点で、実施の形態1にかかる太陽電池診断装置と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の太陽電池診断装置10と異なる点を中心に説明する。
図25は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池診断装置の構成例を示す図である。図25に示すように、実施の形態2にかかる太陽電池診断装置10Aは、通信部11と、記憶部12と、処理部13Aと、入力部14と、表示部15とを備える。処理部13Aは、取得部31と、温度推定部32と、性能診断部33Aとを備える。性能診断部33Aは、各太陽電池ストリング2の出力性能診断値を算出する診断値算出部34と、各太陽電池ストリング2の故障を判定する故障判定部35とを備える。診断値算出部34は、上述した性能診断部33と同様の処理を行う。
故障判定部35は、太陽電池アレイ1を構成する複数の太陽電池ストリング2間で出力電圧値Vmpptを比較し、各太陽電池ストリング2の故障を判定することができる。ここで、太陽電池アレイ1を構成する複数の太陽電池ストリング2が図1に示す2つの太陽電池ストリング2a,2bであるとする。そして、2つの太陽電池ストリング2a,2bが互いに同一仕様であるとする。すなわち、複数の2つの太陽電池ストリング2a,2bは共に、同一仕様の太陽電池モジュール70が同じ数だけ直列に接続された構成であるとして説明する。
この場合、故障判定部35は、下記式(9)を満たす場合に、太陽電池ストリング2aが故障していると判定し、下記式(10)を満たす場合に、太陽電池ストリング2bが故障していると判定することができる。下記式(9),(10)に示す「ΔVth」は、故障を判定するための閾値であり、例えば、太陽電池モジュール70内の太陽電池セルストリングにおけるインターコネクタの部分断線による出力電圧値Vmpptの降下電圧値に設定される。
mppt2−Vmppt1≧ΔVth ・・・(9)
mppt1−Vmppt2≧ΔVth ・・・(10)
また、故障判定部35は、温度推定部32によって推定された推定太陽電池ストリング温度Tcalc1と推定太陽電池ストリング温度Tcalc2との差に基づいて、太陽電池ストリング2a,2bの故障を判定することができる。推定太陽電池ストリング温度Tcalc1は、太陽電池ストリング2aの推定太陽電池ストリング温度Tcalcであり、推定太陽電池ストリング温度Tcalc2は、太陽電池ストリング2bの推定太陽電池ストリング温度Tcalcである。
この場合、故障判定部35は、下記式(11)を満たす場合に、太陽電池ストリング2aが故障していると判定し、下記式(12)を満たす場合に、太陽電池ストリング2bが故障していると判定することができる。下記式(11),(12)に示す「ΔTth」は、故障を判定するための閾値であり、例えば、太陽電池モジュール70内の太陽電池セルストリングにおけるインターコネクタの部分断線による太陽電池ストリング2における推定太陽電池ストリング温度Tcalcの上昇温度値に設定される。
calc1−Tcalc2≧ΔTth ・・・(11)
calc2−Tcalc1≧ΔTth ・・・(12)
また、故障判定部35は、温度推定部32によって推定された推定太陽電池ストリング温度Tcalcと不図示の温度計で上述した同時刻タイミングで測定された太陽電池ストリング2の温度との差に基づいて、太陽電池ストリング2の故障を判定することができる。不図示の温度計によって測定される太陽電池ストリング2の温度は、取得部31によって不図示の温度計によって上述した同時刻タイミングで測定されて取得される。以下、不図示の温度計によって測定される太陽電池ストリング2の温度を太陽電池ストリング2の代表温度と記載する場合がある。
また、取得部31は、複数の温度計から太陽電池ストリング2の温度を取得することもできる。この場合、故障判定部35は、複数の温度計から取得される太陽電池ストリング2の温度の平均値を太陽電池ストリング2の代表温度とすることができる。故障判定部35は、太陽電池ストリング2の代表温度である太陽電池ストリング2の温度の平均値と推定太陽電池ストリング温度Tcalcとの差に基づいて、太陽電池ストリング2の故障を判定することができる。
例えば、故障判定部35は、下記式(13)を満たす場合に、太陽電池ストリング2aが故障していると判定し、下記式(14)を満たす場合に、太陽電池ストリング2bが故障していると判定することができる。下記式(13),(14)に示す「Ta」は、不図示の温度計で測定された太陽電池ストリング2の温度である。また、下記式(13),(14)に示す「ΔTth」は、上記式(11),(12)に示す「ΔTth」と同じである。
calc1−Ta≧ΔTth ・・・(13)
calc2−Ta≧ΔTth ・・・(14)
また、2つの太陽電池ストリング2a,2bが互いに異なる数の太陽電池モジュール70を有しているとする。この場合、故障判定部35は、太陽電池ストリング2aの出力電圧値Vmppt1と太陽電池ストリング2bの出力電圧値Vmppt2との比較において、太陽電池モジュール直列数に応じた調整を行って、太陽電池ストリング2a,2bが故障しているか否かを判定する。例えば、太陽電池ストリング2aの太陽電池モジュール直列数がn個であり、太陽電池ストリング2bの太陽電池モジュール直列数がn個であるとする。n,nは、2以上の整数である。この場合、故障判定部35は、下記式(15)を満たす場合に、太陽電池ストリング2aが故障していると判定し、下記式(16)を満たす場合に、太陽電池ストリング2bが故障していると判定することができる。
mppt1−Vmppt2×n/n≧ΔVth ・・・(15)
mppt2−Vmppt1×n/n≧ΔVth ・・・(16)
ここで、太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュール70内部の太陽電池セル間を接続するインターコネクタ部分断線による電圧低下故障について説明する。図26は、実施の形態2にかかる太陽電池ストリングの構成例を示す図である。図26に示す太陽電池ストリング2は、直列に接続された太陽電池モジュール70〜70を備える。
また、図26に示す例では、太陽電池モジュール70内部における太陽電池セルの接続を等価回路にて表現している。図26に示すように、太陽電池モジュール70は、直列に接続された太陽電池セルストリング71〜71と、バイパスダイオード72〜72とを備える。太陽電池セルストリング71〜71は、例えば、複数の太陽電池セルが導線によって直列接続された構成を有している。なお、太陽電池モジュール70〜70も、太陽電池モジュール70と同様の構成である。以下、太陽電池セルストリング71〜71の各々を区別せずに示す場合、太陽電池セルストリング71と記載する場合がある。また、バイパスダイオード72〜72の各々を区別せずに示す場合、バイパスダイオード72と記載する場合がある。
図27は、図26に示す構成の太陽電池ストリングにおいて太陽電池モジュール内部の太陽電池セル間を接続するインターコネクタに部分断線が生じた状態を示す図である。図27に示す例では、太陽電池モジュール70内部の太陽電池セルストリング71と太陽電池セルストリング71との間を接続するインターコネクタにおいて断線部74により部分断線が生じている。この場合、図27において矢印で示すように、太陽電池ストリング2の他部分の発電電力は、部分破断を生じた太陽電池セルストリング71に並列に接続されたバイパスダイオード72を介してパワーコンディショナ3に供給される。かかる部分断線は、太陽電池ストリング2における故障の最小単位である。
図27に示す状態である場合、バイパスダイオード72によって2つの太陽電池セルストリング71,71がバイパスされている。そのため、太陽電池ストリング2の出力電圧値Vmpptは、2つの太陽電池セルストリング71,71分の電圧がバイパスダイオード72に置き換わり、低下する。また、太陽電池ストリング2の出力電力値Pmpptは、2つの太陽電池セルストリング71,71だけ電力値が低下する。このように、太陽電池ストリング2の出力電圧値Vmpptおよび出力電力値Pmpptの低下は、バイパスダイオード72によってバイパスされる2つの太陽電池セルストリング71単位で生じる。なお、太陽電池セルストリング71毎に1つのバイパスダイオード72が並列に設けられている場合、出力電圧値Vmpptおよび出力電力値Pmpptの低下は、太陽電池セルストリング71単位で生じる。
太陽電池ストリング2を構成する太陽電池モジュール70の数が多い場合、部分断線による出力電圧値Vmpptおよび出力電力値Pmpptの減少値が小さい。そのため、故障判定部35は、太陽電池モジュール70における部分破断を検出できない場合、誤差がある故障診断結果を出力してしまうことになる。そこで、故障判定部35は、上述したように、太陽電池セルストリング71における部分破断によって生じる電圧低下値および温度上昇値をΔVthおよびΔTthを用いて検出して太陽電池ストリング2の故障を判定する。これにより、太陽電池セルストリング71に部分破断が生じた場合でも、屋外設置下において太陽電池ストリング2の故障を検出することができる。
図28は、実施の形態2にかかる太陽電池ストリングの日射強度に対応したPm−V特性であって部分断線が生じる前と後の状態を示す図である。図29は、実施の形態2にかかる太陽電池ストリングの部分断線が生じる前と後の日射強度に対応した出力電圧値、出力電圧値の変化、および推定温度誤差を示す図である。図29に示す推定温度誤差は、太陽電池セルストリング71に部分断線が生じる前と後での推定太陽電池ストリング温度Tcalcの差である。
図29に示す例では、故障の最小単位である太陽電池セルストリング71の部分断線が生じた場合、太陽電池ストリング2の出力電圧値Vmpptは、10V程度低下し、推定太陽電池ストリング温度Tcalcは17℃程度上昇している。この場合、上述したΔVthは、太陽電池セルストリング71の部分断線によって生じる出力電圧値Vmpptの低下を検出することができるように設定される。また、上述したΔTthは、太陽電池セルストリング71の部分断線によって生じる推定太陽電池ストリング温度Tcalcの上昇が検出できるように設定される。
図30は、実施の形態2にかかる太陽電池ストリングにおける太陽電池モジュールの直列接続数と太陽電池セルストリングの部分断線とによる影響を推定温度誤差として表現した図である。図30に示す推定温度誤差は、図29に示す推定温度誤差と同様に、太陽電池セルストリング71に部分断線が生じる前と後での推定太陽電池ストリング温度Tcalcの差である。
図30に示すように、太陽電池ストリング2における太陽電池モジュール70の直列接続数に応じて、太陽電池セルストリング71の部分断線時における推定温度誤差が変化する。そこで、故障判定部35は、太陽電池ストリング2における太陽電池モジュール70の直列接続数に応じて上述したΔTthの値を変化させており、これにより、太陽電池ストリング2の故障に対する判定精度を向上させることができる。
また、上述した例では、故障判定部35は、不図示の温度計で上述した同時刻タイミングで測定された太陽電池ストリング2の温度を用いたが、かかる例に限定されない。例えば、太陽電池ストリング2の代表温度をサーモビューワーなどによる画像計測によって得ることもできる。
また、太陽電池診断装置10Aの故障判定部35は、不図示の温度計から太陽電池ストリング2の代表温度を取得できない場合、上記式(9),(10)の演算または上記式(11),(12)の演算を行う。また、太陽電池診断装置10Aの故障判定部35は、不図示の温度計から太陽電池ストリング2の代表温度を取得できる場合、上記式(13),(14)の演算を行うことができる。これにより、例えば、劣化の疑問が生じた太陽電池ストリング2の詳細診断時においては、太陽電池ストリング2の代表温度を測定し、推定温度との誤差診断を行うことで安価な診断と高精度診断の2段階設定が容易な構成をとることができる。
また、太陽電池モジュール70の部分断線による電圧低下と同様の電圧低下は、バイパスダイオード72が雷サージなどにより短絡故障した場合も同一現象として発生する。したがって、上述したΔVthまたはΔTthなどを調整することで、上記式(9)〜(14)の演算によって、故障判定部35によって太陽電池ストリング2におけるバイパスダイオード72の短絡故障を診断することもできる。すなわち、故障判定部35は、太陽電池ストリング2間の出力電圧値Vmpptの差または推定太陽電池ストリング温度Tcalcの差、あるいは推定太陽電池ストリング温度Tcalcと太陽電池ストリング2の代表温度との差に基づいて、バイパスダイオード72の短絡故障を診断することができる。
また、推定太陽電池ストリング温度Tcalcと太陽電池ストリング2の代表温度との差による故障判定は、太陽電池ストリング2間の開放電圧を比較することによる故障判定に比べ、比較する太陽電池ストリング2が少ない場合でも適切に適用できる。また、推定太陽電池ストリング温度Tcalcと太陽電池ストリング2の代表温度との差による故障判定は、各太陽電池ストリング2が互いに異なる日射面または異なる冷却環境に設置され、各太陽電池ストリング2間の温度差がある場合でも適用が可能である。
つづいて、太陽電池診断装置10Aの動作を、フローチャートを用いて説明する。図31は、実施の形態2にかかる太陽電池診断装置の故障判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、図31に示す例では、太陽電池ストリング2aに故障の判定処理のみを示している。図31に示す処理は、例えば、入力部14への操作が特定の操作である場合に処理部13Aの故障判定部35によって実行される処理である。例えば、故障判定部35によって太陽電池ストリング2の故障がないと判定された場合に、診断値算出部34によって太陽電池ストリング2の出力性能の診断が開始される。
図31に示すように、処理部13Aにおける取得部31は、太陽電池ストリング2a,2bの出力電圧値Vmppt1,Vmppt2を測定機能内蔵データロガー8から取得する(ステップS20)。次に、処理部13Aにおける故障判定部35は、|Vmppt1−Vmppt2|≧ΔVthであるか否かを判定する(ステップS21)。故障判定部35は、|Vmppt1−Vmppt2|≧ΔVthであると判定した場合(ステップS21:Yes)、出力電圧値Vmppt1と出力電圧値Vmppt2の差異に対応した太陽電池ストリング2aもしくは太陽電池ストリング2bに故障が発生したことを示す情報を表示部15に表示する(ステップS22)。
処理部13Aは、ステップS22の処理が終了した場合、または|Vmppt1−Vmppt2|≧ΔVthではないと判定した場合(ステップS21:No)、図31に示す処理を終了する。
以上のように、実施の形態2にかかる太陽電池診断装置10Aの取得部31は、太陽電池ストリング2aおよび太陽電池ストリング2bの各々の出力電圧値Vmppt1,Vmppt2を取得する。太陽電池ストリング2a,2bは、第1の太陽電池ストリングおよび第2の太陽電池ストリングの一例である。性能診断部33Aは、太陽電池ストリング2aの出力電圧値Vmppt1と太陽電池ストリング2bの出力電圧値Vmppt2との差に基づいて、太陽電池ストリング2aの故障を診断する。これにより、例えば、太陽電池セルストリング71の部分断線によって生じる出力電圧値Vmpptの低下を検出することができる。また、太陽電池ストリング2の温度測定を実施することなく、少ない測定データに基づいて、高い精度で太陽電池ストリング2の故障を判定することができる。
また、取得部31は、太陽電池ストリング2a,2bの出力電流値Imppt1,Imppt2および出力電圧値Vmppt1,Vmppt2を取得する。温度推定部32は、取得部31によって取得された出力電流値Imppt1,Imppt2および出力電圧値Vmppt1,Vmppt2と、最大出力温度係数αPmaxまたは最大出力動作電圧温度係数βVpmに基づいて、太陽電池ストリング2a,2bの温度を推定する。性能診断部33Aは、温度推定部32によって推定される太陽電池ストリング2aの温度と、温度推定部32によって推定される太陽電池ストリング2bの温度との差に基づいて、太陽電池ストリング2a,2bの故障を診断する。これにより、例えば、太陽電池セルストリング71の部分断線によって生じる出力電圧値Vmpptの低下を検出することができる。また、太陽電池ストリング2の温度測定を実施することなく、少ない測定データに基づいて、高い精度で太陽電池ストリング2の故障を判定することができる。
また、取得部31は、太陽電池ストリング2の温度の測定値である温度測定値を取得する。性能診断部33Aは、温度推定部32によって推定される太陽電池ストリング2の温度と、温度測定値との差に基づいて、太陽電池ストリング2の故障を診断する。これにより、例えば、太陽電池セルストリング71の部分断線によって生じる出力電圧値Vmpptの低下を検出することができる。また、温度測定値を用いることで、診断対象の太陽電池ストリング2を他の太陽電池ストリング2と比較することなく、診断対象の太陽電池ストリング2の診断を行うことができる。
また、上述した実施の形態2では、実施の形態1と同様に、パワーコンディショナ3とは別に、第1中継ケーブル5a,5b、第2中継ケーブル6a,6b、測定機能内蔵データロガー8、および信号変換器9などを用いる。そのため、パワーコンディショナ3として汎用的なパワーコンディショナを用いることができる。なお、パワーコンディショナ3は、第1中継ケーブル5a,5b、第2中継ケーブル6a,6b、測定機能内蔵データロガー8、および信号変換器9などの機能を内蔵する構成であってもよい。また、クラウドサーバで太陽電池診断装置10Aを機能させることもできる。
また、太陽電池診断装置10Aにおいて、設置環境下における太陽電池ストリング2の出力性能を性能基準値とすることで、かかる性能基準値を太陽電池ストリング2の保証期限内での出力性能保証に用いることができる。例えば、太陽電池診断装置10Aは、太陽電池ストリング2の経年製品の再販売における出力性能保証などに用いることができる。
実施の形態3.
実施の形態3にかかる太陽電池診断装置は、予め設定された期間における太陽光発電システムの実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定することができる点で、実施の形態1,2にかかる太陽電池診断装置と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の太陽電池診断装置10と異なる点を中心に説明する。
図32は、本発明の実施の形態3にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図である。図32に示すように、実施の形態3にかかる太陽光発電システム100Bは、太陽電池診断装置10に代えて、太陽電池診断装置10Bを備える点以外は、太陽光発電システム100と同様の構成である。
図33は、実施の形態3にかかる太陽電池診断装置の構成例を示す図である。図33に示すように、実施の形態3にかかる太陽電池診断装置10Bは、通信部11と、記憶部12と、処理部13Bと、入力部14と、表示部15とを備える。処理部13Bは、取得部31と、温度推定部32と、性能診断部33Bとを備える。性能診断部33Bは、診断値算出部34と、故障判定部35と、性能保証判定部36とを備える。性能診断部33Bにおける診断値算出部34および故障判定部35は、性能診断部33Aにおける診断値算出部34および故障判定部35と同じである。
性能保証判定部36は、太陽光発電システム100Bにおける予め設定された期間における実発電電力量が太陽光発電システム100Bの予め設定された期間における発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。これにより、太陽光発電システム100Bの発電性能コミッショニングを行うことができ、太陽光発電システム100Bの保証期間中において実発電電力量が発電性能設計値を満たすか否かを判定することができる。
太陽光発電システム100Bの発電性能設計値として、太陽光発電システム100Bの設置環境での発電電力量推定値を用いる方法がある。かかる発電電力量推定値は、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards)C8907:2005 「太陽光発電システムの発電電力量推定方法」で定められた方法により求めることができる。具体的には、発電電力推定量は、太陽電池アレイ1の出力性能、パワーコンディショナ3などの電力変換機器の性能、太陽電池アレイ1の方位、傾斜角、屋根設置または架台設置などの設置条件、および測定拠点場所の日射量、気温、風速、および風向などの環境条件を用いて求められる。なお、測定拠点場所の日射量、気温、風速、および風向などの環境条件は、過去の日射量、気温、風速、および風向などの気象データを記憶するデータベースを用いて設定される。
しかしながら、発電電力量設計値として用いられる発電電力量推定値は、過去の気象データからの発電電力量期待値であり、実際の設置環境下での太陽光発電システム100Bの発電出力は日射量と太陽電池モジュール70の温度により変動する。したがって、このように日射量と温度が異なる環境条件下で得られる太陽光発電システム100Bの実発電電力量と発電電力量推定値とを単純に比較しても、太陽光発電システム100Bの発電性能が設計値を満たすか否かを判断することは難しい。
そこで、性能保証判定部36は、太陽光発電システム100Bへの実際の日射量および温度に基づいて、太陽光発電システム100Bの実発電電力量を、発電電力量推定値を得るために用いられた環境条件での発電電力値に換算する。そして、性能保証判定部36は、換算した発電電力量と発電電力量推定値とを比較することで、実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。これにより、安価且つ高確度な発電性能の検証を行うことができる。なお、発電電力量推定値は、例えば、予め設定された期間における太陽光発電システム100Bの発電電力量の推定値であり、予め設定された期間は、例えば、1ヶ月、または1年などの期間である。
図34は、実施の形態3にかかる性能保証判定部の構成例を示す図である。図34に示すように、性能保証判定部36は、温度差演算部41と、日射量比演算部42と、換算部43と、判定部44とを備える。なお、発電電力量推定値の情報は、記憶部12に記憶されている。
温度差演算部41は、太陽光発電システム100Bを構成する太陽電池ストリング2の平均温度の期待値である温度期待値と、太陽電池ストリング2の平均温度の推定値または測定値との差である平均温度差と演算する。例えば、温度差演算部41は、設計時の加重平均太陽電池ストリング温度である加重平均太陽電池ストリング温度TCRを温度期待値として用いる。
また、温度差演算部41は、下記式(17)の演算によって、推定太陽電池ストリング温度Tcalcから得られる加重平均太陽電池ストリング温度である推定加重平均太陽電池ストリング温度Tcalcavを求める。下記式(17)において、Tcalc(t)は、測定時刻tにおける推定太陽電池ストリング温度Tcalcであり、IR(t)は、測定時刻tにおける日射強度IRである。推定太陽電池ストリング温度Tcalcは、温度推定部32によって算出される。なお、太陽電池ストリング2の温度を測定する温度計から測定値を取得できる場合、温度差演算部41は、推定太陽電池ストリング温度Tcalcに代えて、太陽電池ストリング2の温度の測定値を用いて下記式(17)の演算を行うこともできる。
calcav={Σ(Tcalc(t)×IR(t))/Σ(IR(t))}
・・・(17)
そして、温度差演算部41は、下記式(18)の演算によって、加重平均太陽電池ストリング温度TCRと推定加重平均太陽電池ストリング温度Tcalcavとの差である平均温度差ΔTMを求める。
ΔTM=Tcalcav−TCR ・・・(18)
日射量比演算部42は、太陽電池ストリング2への日射量の期待値である日射量期待値と、太陽電池ストリング2への日射量の測定値である日射量測定値との差である日射量比と演算する。例えば、日射量比演算部42は、設計時に用いられた月平均日傾斜面日射量Hsを日射量期待値として用い、測定日の1日あたりの傾斜面日射量である傾斜面日射量Hmeasを日射量測定値として用いる。日射量比演算部42は、取得部31によって取得される日射強度IRに基づいて傾斜面日射量Hmeasを算出することができる。
日射量比演算部42は、例えば、下記式(19)の演算によって、日射量期待値である月平均日傾斜面日射量Hsに対する日射量測定値である傾斜面日射量Hmeasの比である日射量比Hrを求める。
Hr=Hmeas/Hs・・・(19)
換算部43は、温度差演算部41で算出された平均温度差ΔTMと日射量比演算部42によって算出された日射量比Hrとに基づいて、出力影響率Prateを算出する。出力影響率Prateは、太陽光発電システム100Bの発電電力量の測定値を太陽光発電システム100Bの設計時における環境条件下での値に換算するための変数である。例えば、換算部43は、下記式(20)の演算によって、出力影響率Prate[%]を求める。
rate={1+(ΔTM×αPmax)}×Hr ・・・(20)
また、換算部43は、取得部31によって取得される各太陽電池ストリング2の出力電流値Impptおよび出力電圧値Vmpptに基づいて、各太陽電池ストリング2の出力電力値Pmpptを算出する。換算部43は、各太陽電池ストリング2の出力電力値Pmpptを積算し合計することで、太陽光発電システム100Bの実発電電力量Pを算出する。
換算部43は、下記式(21)の演算によって、太陽光発電システム100Bの発電電力量の測定値である実発電電力量Pと出力影響率Prateとから、太陽光発電システム100Bの設計時における環境条件下での値である換算電力量Pxを求める。なお、「設計時における環境条件下」とは、発電電力量推定値を算出する際に使用された環境条件であり、日射量および太陽電池モジュール70の温度の条件である。
Px=P÷Prate ・・・(21)
判定部44は、換算部43によって算出された換算電力量Pxと発電電力量設計値の一例である発電電力量推定値とを比較し、実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。例えば、判定部44は、換算電力量Pxが発電電力量推定値以上であれば、実発電電力量が発電電力量設計値を満たすと判定し、換算電力量Pxが発電電力量推定値未満であれば、実発電電力量が発電電力量設計値を満たさないと判定することができる。
また、判定部44は、換算電力量Pxを発電電力量推定値で除算することによって、発電電力量設計値に対する発電実績の充足率を求めることもできる。判定部44による判定結果は、表示部15に表示される。
このように、性能保証判定部36は、設計時の期待日射量と検証時の測定日射量との差である日射量比の影響と、設計時の期待平均温度と検証時の推定平均温度または測定平均温度との差である平均温度差の影響とによる発電電力量への影響率である出力影響率Prateを算出する。そして、性能保証判定部36は、かかる出力影響率Prateを用いて、実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。これにより、日射量の差と、気温および風速などで変化する太陽電池モジュール70の温度差の影響を排除することができ、設置環境下且つ保証期間中の太陽光発電システム100Bの発電性能の検証を安価且つ高確度に行うことができる。
なお、上述した例では、太陽光発電システム100Bの設計値において1日あたりの傾斜面日射量を基本測定単位としている。そのため、太陽光発電システム100Bのメンテナンスなどで測定データの収集ができない日があっても、測定データが確実に取得できた日のデータを用いればよく、これにより、発電性能の検証を月別に実施することができる。
また、太陽光発電システム100Bでは、日射量、気温、風速、および風向などの影響を換算することで、発電性能から季節の影響を除外することができ、また1日あたりの傾斜面日射量と発電電力量を測定単位とすることができる。そのため、太陽光発電システム100Bにおける発電性能の検証では連続的な常時の監視測定が必須ではなく、発電性能の検証に用いる測定機材を必要時のみ設置することができ、運用が容易である。なお、発電性能の検証に用いる測定機材とは、上述した第1中継ケーブル5a,5b、第2中継ケーブル6a,6b、日射計7、測定機能内蔵データロガー8、信号変換器9、および太陽電池診断装置10Bなどである。
図35は、実施の形態3にかかる太陽光発電システムの年間推定発電電力量をJISに準拠して求める場合の例を説明するための図である。ここでは、裏面開放型で架台設置に太陽電池ストリング2が設定されているとしている。また、太陽電池アレイ1の定格が2.2[kW]であり、太陽電池モジュール70の最大出力温度係数αPmaxが−0.478[%/℃]であり、パワーコンディショナ3のMPPT効率ηmpptが98.9[%]である。
図35において、日射量年変動補正係数KHDは、推定した期間日射量の確からしさを表す補正係数であり、経時変化補正係数KPDは、太陽電池モジュール70の汚れ、効率劣化、およびガラス面反射などを考慮した補正係数である。月平均気温TAVは、月間の平均気温である。温度補正係数KPTは、太陽電池モジュール70の温度による出力電力量の増減を補正する係数である。かかる温度補正係数KPTは、太陽光発電システム100Bの設置場所における加重平均太陽電池モジュール温度TCRmと最大出力温度係数αPmaxとから求められる。なお、加重平均太陽電池モジュール温度TCRmは月平均気温TAVに太陽電池モジュール70の設置形態別の温度上昇値を加算して計算される。
また、アレイ負荷整合補正係数KPMは、太陽光発電システム100Bに負荷を接続した場合に、パワーコンディショナ3の出力電圧値Vmpptが最大出力動作電圧値Vpmからずれることによって生じる出力電力量の減少を補正する係数である。アレイ回路補正係数KPAは、太陽電池アレイ1の配線抵抗などによって生じる抵抗損失および逆流防止デバイスによる損失を補正するための係数である。インバータ実効効率ηINOは、インバータ22の電力変換の実効効率である。
月別総合補正係数Kは、日射量年変動補正係数KHD、経時変化補正係数KPD、月平均気温TAV、温度補正係数KPT、アレイ負荷整合補正係数KPM、アレイ回路補正係数KPA、およびインバータ実効効率ηINOを乗算することによって求められる。なお、月平均気温TAVおよび月平均日傾斜面日射量Hsは、例えば、気象データベースによる設置場所近傍の気象データ値から得ることができる。
そして、月別総合補正係数Kと、月平均日傾斜面日射量Hsと、基準日射強度Gsと、標準状態における太陽電池アレイ1の定格出力値とから、下記式(22),(23)の演算により月平均日システム発電電力量EPdと月間システム発電電力量EPmが求められる。なお、基準日射強度Gsは、1kW/mである。
Pd=太陽電池アレイ定格×K×Hs/Gs ・・・(22)
Pm=太陽電池アレイ定格×K×Hs×D/Gs ・・・(23)
図36は、実施の形態3にかかる太陽光発電システムを測定した結果に基づいた太陽光発電システムの発電性能の検証の例を示す図である。図36に示す測定日数は、日射量が一定以上であり且つ測定記録を太陽電池診断装置10Bの取得部31が欠損なく取得できた日数値であり、設備メンテナンスなどによる停電の影響が除外されている。そのため、太陽電池診断装置10Bの性能保証判定部36は、1日あたりの実発電電力量である発電実績値を、太陽電池モジュール70の温度と日射量による出力影響率Prateによって除算することで、設計時の1日あたりの発電成績値を算出することができる。
図36に示す例では、性能保証判定部36による判定結果として、年間発電実績値が設計値比120%であることが示されている。温度影響度が−2.8%であるが、日射量影響度が119%であり、日射量影響度が高いため、年間発電実績値が設計値比120%となっている。性能保証判定部36は、太陽光発電システム100Bの発電性能として、設計値に対し104%の成績であったと診断することができる。また、性能保証判定部36は、太陽電池ストリング2の出力電力値Pmpptから太陽光発電システム100Bの発電性能を判定するため、太陽電池ストリング2の出力性能の影響を分析することができる。
また、太陽光発電システム100Bでは、日射量、気温、風速、および風向などの影響を除外して発電性能の検証を行うことができる。そのため、例えば、設計における経時変化補正係数KPDを複数の異なる時間点に設定し、初期値保証をシステム機器定格の公差下限値で診断を実施し、保証期間中は初期保証値に経年劣化保証分を加えた値を経時変化補正係数KPDとして発電性能の検証を行うことで、長期にわたる太陽光発電システム100Bの性能保証を行うことができる。
つづいて、太陽電池診断装置10Bの動作を、フローチャートを用いて説明する。図37は、実施の形態3にかかる太陽電池診断装置の発電性能検証処理の一例を示すフローチャートである。図37に示す処理は、例えば、入力部14への操作が特定の操作である場合に処理部13Bの性能保証判定部36によって実行される処理である。
図37に示すように、処理部13Bの性能保証判定部36は、設計時の加重平均太陽電池ストリング温度TCRと推定加重平均太陽電池ストリング温度Tcalcavとの差である平均温度差ΔTMを算出する(ステップS30)。また、性能保証判定部36は、日射量期待値と日射量測定値との差である日射量比を算出する(ステップS31)。そして、性能保証判定部36は、実発電電力量Pと、平均温度差ΔTMと、日射量比とに基づいて、換算電力量Pxを算出する(ステップS32)。
性能保証判定部36は、実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する(ステップS33)。性能保証判定部36は、ステップS33での判定結果を表示部15に表示し(ステップS34)、図37に示す処理を終了する。
以上のように、実施の形態3にかかる太陽電池診断装置10Bでは、太陽電池ストリング2を含む太陽光発電システム100Bの実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する性能保証判定部36を備える。かかる性能保証判定部36は、太陽電池ストリング2を含む太陽光発電システム100Bにおける予め設定された期間における実発電電力量が太陽光発電システム100Bの予め設定された期間における発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。予め設定された期間は、例えば、1ヶ月、または1年などの期間である。性能保証判定部36は、温度差演算部41と、日射量比演算部42と、換算部43と、判定部44とを備える。温度差演算部41は、太陽電池ストリング2の平均温度の期待値である温度期待値と、太陽電池ストリング2の平均温度の推定値または測定値との差である平均温度差ΔTMと演算する。日射量比演算部42は、太陽電池ストリング2への日射量の期待値である日射量期待値と、太陽電池ストリング2への日射量の測定値である日射量測定値との差である日射量比と演算する。換算部43は、平均温度差ΔTMと日射量比とに基づいて、太陽光発電システム100Bの発電電力量の測定値を太陽光発電システム100Bの設計条件下での値である換算電力量Pxに換算する。判定部44は、換算部43による換算結果に基づいて、太陽光発電システム100Bの実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。これにより、安価且つ高確度な発電性能の検証を行うことができる。また、太陽電池ストリング2の平均温度の推定値である推定太陽電池ストリング温度Tcalcを用いることで、温度測定を行うことなく、安価且つ高確度な発電性能の検証を行うことができる。
また、実施の形態3にかかる太陽光発電システム100Bの性能検証方法では、平均温度演算ステップと、日射量比差演算ステップと、換算ステップと、判定ステップとを含む。平均温度演算ステップは、太陽光発電システム100Bを構成する太陽電池ストリング2の平均温度の期待値である温度期待値と、太陽電池ストリング2の平均温度の推定値または測定値との差である平均温度差ΔTMとを演算する。日射量比差演算ステップは、太陽電池ストリング2への日射量の期待値である日射量期待値と、太陽電池ストリング2への日射量の測定値である日射量測定値との比である日射量比とを演算する。換算ステップでは、平均温度差ΔTMと日射量比とに基づいて、太陽光発電システム100Bの発電電力量の測定値を太陽光発電システム100Bの設計時における環境条件下での値である換算電力量Pxに換算する。判定ステップは、換算ステップによる換算結果に基づいて、太陽光発電システム100Bの実発電電力量が発電電力量設計値を満たすか否かを判定する。これにより、安価且つ高確度な発電性能の検証を行うことができる。また、太陽電池ストリング2の平均温度の推定値である推定太陽電池ストリング温度Tcalcを用いることで、温度測定を行うことなく、安価且つ高確度な発電性能の検証を行うことができる。
また、実施の形態3にかかる太陽光発電システム100Bの発電性能の検証方法は、1日あたりの発電電力量を基本単位とする方法である。そのため、太陽光発電システム100Bにおいて発電性能の検証が必要な場合に容易に発電性能の検証を行うことができる。
上述した太陽電池診断装置10,10A,10Bは、パーソナルコンピュータ、タブレット端末または汎用コンピュータといったコンピュータシステムにより実現される。図38は、実施の形態1から3にかかる太陽電池診断装置の機能をコンピュータシステムで実現する場合のハードウェア構成を示す図である。太陽電池診断装置10,10A,10Bの機能をコンピュータシステムで実現する場合、太陽電池診断装置10,10A,10Bの取得部31、温度推定部32、および性能診断部33,33A,33Bを含む機能は、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202、および記憶装置203により実現される。太陽電池診断装置10,10A,10Bが実行する太陽電池診断方法および性能検証方法の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されて記憶装置203に格納される。CPU201は、記憶装置203に記憶されたソフトウェアまたはファームウェアをメモリ202に読み出して実行することにより、太陽電池診断装置10,10A,10Bの機能を実現する。すなわち、コンピュータシステムは、太陽電池診断装置10,10A,10Bの機能がCPU201により実行されるときに、実施の形態1から3にかかる太陽電池診断方法および性能検証方法を実施するステップが結果的に実行されることになる太陽電池診断装置10,10A,10Bのプログラムを格納するための記憶装置203を備える。また、これらのプログラムは、太陽電池診断装置10,10A,10Bの機能が実現する処理をコンピュータに実行させるものであるともいえる。メモリ202は、RAMといった揮発性の記憶領域が該当する。記憶装置203は、ROM、フラッシュメモリといった不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスクが該当する。表示装置204の具体例は、モニタ、ディスプレイである。太陽電池診断装置10,10A,10Bの表示部15は、表示装置204により実現される。太陽電池診断装置10,10A,10Bの入力部14は、入力装置205により実現される。入力装置205の具体例は、キーボード、マウス、タッチパネルである。
なお、太陽電池診断装置10,10A,10Bを上記コンピュータシステムにより実現する場合、太陽電池モジュール70毎に公称定格値などから作成した太陽電池モジュール等価回路モデルを準備することも容易である。とくに、太陽電池モジュール70の最大出力点の近傍はPm−Vpm特性の変化が緩慢であることから、太陽電池モジュール70の公称定格値より作成した太陽電池モジュール70の等価回路モデルによる計算精度が高く、多様な種類の太陽電池モジュール70に対応することができる。さらに、太陽電池モジュール70の等価回路モデルを用いることで、太陽電池診断装置10,10A,10Bにより、Pm−Vpm特性およびVpm−Ipm特性などの演算を容易に行うことができる。例えば、太陽電池診断装置10,10A,10Bは、回路CAE(Computer Aided Engineering)環境下において、太陽電池ストリング2の公称定格出力およびケーブル損失などを太陽電池モジュール70の接続構成に応じて計算するプログラムや低照度化における出力補正などを容易に実装することができる。なお、太陽電池診断装置10,10A,10Bは、太陽電池モジュール等価回路モデルから事前に計算した結果を記憶部12に記憶することもでき、この場合、性能診断部33,33A,33Bは、記憶部12に記憶された計算結果を用いて診断を行うことができる。また、太陽電池診断装置10,10A,10Bとしてコンピュータシステムを用いることで、太陽電池モジュール70の経年変化によって温度係数が想定した値から変化してしまった場合の補正への対応も容易に行うことができる。そして、インターネット通信網を利用した太陽電池診断装置10,10A,10Bによるリモート監視といった応用も可能である。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 太陽電池アレイ、2,2a,2b 太陽電池ストリング、3 パワーコンディショナ、4 電力系統、5a,5b 第1中継ケーブル、6a,6b 第2中継ケーブル、7 日射計、8 測定機能内蔵データロガー、9 信号変換器、10,10A,10B 太陽電池診断装置、11 通信部、12 記憶部、13,13A,13B 処理部、14 入力部、15 表示部、21,21a,21b コンバータ、22 インバータ、23a,23b,25 電流検出部、24a,24b,26 電圧検出部、27 制御部、28,28a,28b MPPT制御部、29 インバータ制御部、31 取得部、32 温度推定部、33,33A,33B 性能診断部、34 診断値算出部、35 故障判定部、36 性能保証判定部、41 温度差演算部、42 日射量比演算部、43 換算部、44 判定部、51a,51b,52a,52b 出力ケーブル、53a,53b,54a,54b 入力ケーブル、55a,55b シャント抵抗、60 測定器、70,70〜70 太陽電池モジュール、71,71〜71 太陽電池セルストリング、72,72〜72 バイパスダイオード、74 断線部、100,100B 太陽光発電システム、IR 日射強度、Imppt,Imppt1,mppt2 出力電流値、Pmppt 出力電力値、Prate 出力影響率、Px 換算電力量、Tcalc,Tcalc1,Tcalc2 推定太陽電池ストリング温度、Vmppt,Vmppt1,mppt2 出力電圧値、αPmax 最大出力温度係数、βVpm 最大出力動作電圧温度係数、ηmppt MPPT効率。

Claims (7)

  1. 太陽電池ストリングに接続されたパワーコンディショナが最大電力点追従制御を実行している状態で得られる前記太陽電池ストリングの出力電流値および出力電圧値と、日射計で測定される日射強度とを取得する取得部と、
    前記取得部によって取得された前記出力電流値、前記出力電圧値、および前記日射強度と、前記太陽電池ストリングの温度と、前記最大電力点追従制御の効率である最大電力点追従効率とに基づいて、前記太陽電池ストリングの出力性能を診断する性能診断部と、を備える
    ことを特徴とする太陽電池診断装置。
  2. 前記取得部によって取得された前記出力電流値および前記出力電圧値と、前記太陽電池ストリングの前記最大電力点追従制御における出力電圧値の温度係数または前記太陽電池ストリングの前記最大電力点追従制御における出力電力値の温度係数とに基づいて、前記太陽電池ストリングの温度を推定する温度推定部を備え、
    前記性能診断部は、
    前記取得部によって取得された前記出力電流値、前記出力電圧値、および前記日射強度と、前記温度推定部によって推定された前記太陽電池ストリングの温度と、前記最大電力点追従効率とに基づいて、前記太陽電池ストリングの出力性能を診断する
    ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池診断装置。
  3. 前記取得部は、
    第1の太陽電池ストリングと第2の太陽電池ストリングとを含む複数の前記太陽電池ストリングの各々の前記出力電圧値を取得し、
    前記性能診断部は、
    前記第1の太陽電池ストリングの前記出力電圧値と前記第2の太陽電池ストリングの前記出力電圧値との差に基づいて、前記第1の太陽電池ストリングの故障を診断する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池診断装置。
  4. 前記取得部は、
    第1の太陽電池ストリングと第2の太陽電池ストリングとを含む複数の前記太陽電池ストリングの各々の前記出力電流値および前記出力電圧値を取得し、
    前記温度推定部は、
    前記取得部によって取得された前記出力電流値および前記出力電圧値と、前記温度係数とに基づいて、前記第1の太陽電池ストリングの温度および前記第2の太陽電池ストリングの温度を推定し、
    前記性能診断部は、
    前記温度推定部によって推定される前記第1の太陽電池ストリングの温度と、前記温度推定部によって推定される前記第2の太陽電池ストリングの温度との差に基づいて、前記第1の太陽電池ストリングの故障を診断する
    ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池診断装置。
  5. 前記取得部は、
    前記太陽電池ストリングの温度の測定値である温度測定値を取得し、
    前記性能診断部は、
    前記温度推定部によって推定される前記太陽電池ストリングの温度と、前記温度測定値との差に基づいて、前記太陽電池ストリングの故障を診断する
    ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池診断装置。
  6. 前記太陽電池ストリングを含む太陽光発電システムにおける予め設定された期間における実発電電力量が前記太陽光発電システムの前記予め設定された期間における発電電力量設計値を満たすか否かを判定する性能保証判定部を備え、
    前記性能保証判定部は、
    前記太陽電池ストリングの平均温度の期待値である温度期待値と、前記太陽電池ストリングの平均温度の推定値または測定値との差である平均温度差とを演算する温度差演算部と、
    前記太陽電池ストリングへの日射量の期待値である日射量期待値と、前記太陽電池ストリングへの日射量の測定値である日射量測定値との差である日射量比とを演算する日射量比演算部と、
    前記平均温度差と前記日射量比とに基づいて、前記太陽光発電システムの発電電力量の測定値を前記太陽光発電システムの設計条件下での値に換算する換算部と、
    前記換算部による換算結果に基づいて、前記実発電電力量が前記発電電力量設計値を満たすか否かを判定する判定部と、を備える
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の太陽電池診断装置。
  7. コンピュータが実行する太陽電池診断方法であって、
    太陽電池ストリングに接続されたパワーコンディショナが最大電力点追従制御を実行している状態で得られる前記太陽電池ストリングの出力電流値および出力電圧値と、日射計で測定される日射強度とを取得する取得ステップと、
    前記取得ステップで取得された前記出力電流値、前記出力電圧値、および前記日射強度と、前記太陽電池ストリングの温度と、前記最大電力点追従制御の効率である最大電力点追従効率とに基づいて、前記太陽電池ストリングの出力性能を診断する性能診断ステップと、を含む
    ことを特徴とする太陽電池診断方法。
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