JP2020162802A - 超音波装置及びその制御プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】できるだけ手間をかけない手法で、学習済みモデルを構築するためのペア画像を多量に取得できる超音波装置を提供する。【解決手段】超音波診断装置のプロセッサが、第一の超音波画像のデータ及び画質が劣化した第二の超音波画像のデータを、機械学習の学習用データとして用いる1つのペアとして取得する機能を実行するよう構成され、この機能は、メモリから第一の条件を読み出した後、第一の超音波の送受信及びそれによって得られたエコー信号に基づく第一の超音波画像の作成を、第一の条件を用いて行ない、さらに第一の超音波画像を表示し記憶する第一の機能と、メモリから第二の条件を読み出した後、第二の超音波の送受信と及びそれによって得られたエコー信号に基づく第二の超音波画像の作成を、第二の条件を用いて行ない、さらに第二の超音波画像をメモリに記憶する第二の機能と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、被検体の超音波画像を取得する超音波装置及びその制御プログラムに関する。
超音波装置は、超音波プローブから被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号に基づく超音波画像を取得する。例えば、超音波装置の一例である超音波診断装置においては、超音波画像を用いて様々な診断が行われる。
超音波画像を取得するために用いられる条件には、例えば送信周波数、送信音圧、デプス(depth)、ゲイン、ダイナミックレンジなど様々な条件がある(例えば、特許文献1参照)。これらの条件は、できるだけ良好な画質の超音波画像が得られるように設定される。
特開2017−143973号公報
ここで、ある被検体について良好な画質の超音波画像が取得された条件を用いて、別の被検体について超音波画像を取得した場合、画質が劣化することがある。例えば、皮下脂肪厚が厚くなるほど超音波の減衰が大きくなり、取得された超音波画像における特に深部領域のSN比が低下する。従って、ある被検体について良好な画質の超音波画像が取得された条件を用いて、より皮下脂肪厚が厚い別の被検体について超音波画像を取得した場合、画質が劣化することがある。この場合、例えば操作者は超音波の送信周波数を低くして深部領域のSN比が改善された超音波画像を取得する。
しかし、送信周波数を低くすると、超音波画像の空間分解能が悪化する。また、操作者は条件を変更する必要があり煩雑である。特に、操作に不慣れな操作者にとっては、困難を伴う場合もある。また、検査後に表示された超音波画像の画質が劣化している場合、改めて超音波画像を取得することはできない。そこで、本願発明者は、より良好な画質の超音波画像をより容易に取得するため、機械学習を用いた画質の向上手法について検討している。
その一般的な原理について説明する。先ず、機械学習には,入力データと教師データが必要である。ここでは、入力データはノイズやアーチファクトなどが含まれた断層画像(以下「低画質画像」)であり、教師データは,低画質画像と同じ関心部位を撮像した画像であるが、ノイズやアーチファクトを含まない理想的な画像(以下「高画質画像」)である。低画質画像のデータと高画質画像のデータを用いて学習を行って学習済みモデルを構築した後、この学習済みモデルに、新たに得られた別の低画質画像を入力すれば、あたかも高画質画像で撮影したような仮想高画質画像が出力として得られることになる。このような手法によれば、条件の変更が行なわれずとも、より良好な画質の超音波画像を取得することができる。
さて、この機械学習には,学習の際に「低画質画像」と「高画質画像」のペアを可能な限り多量に取得することが望ましい。そこで、できるだけ手間をかけない手法で、学習済みモデルを構築するためのペア画像を多量に取得するかが課題である。
上記課題を解決するためになされた一の観点の発明は、メモリ、ユーザインタフェース、プロセッサ、超音波プローブ及びディスプレイを備える超音波装置であって、前記メモリは、被検体の第一の超音波画像を取得するために用いられる第一の条件と、前記被検体において前記第一の超音波画像が取得された位置と同じ位置についての第二の超音波画像を取得するために用いられる第二の条件であって、前記第二の超音波画像が、前記第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である第二の条件が記憶されるよう構成され、前記ユーザインタフェースは、操作者の入力を受け付けるよう構成され、前記プロセッサは、前記ユーザインタフェースが前記操作者による入力を受け付けると、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを、機械学習の学習用データとして用いる1つのペアとして取得する機能を実行するよう構成され、前記機能は、前記メモリから前記第一の条件を読み出した後、前記超音波プローブによる第一の超音波の送受信と、該第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第一の超音波画像の作成を、前記第一の条件を用いて行ない、さらに前記第一の超音波画像を前記ディスプレイに表示し、なおかつ前記第一の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する第一の機能と、前記メモリから前記第二の条件を読み出した後、前記超音波プローブによる第二の超音波の送受信と、該第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第二の超音波画像の作成を、前記第二の条件を用いて行ない、さらに前記第二の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する第二の機能と、を含んでいる、超音波装置である。
上記観点の発明によれば、ユーザインタフェースが操作者の入力を受け付けると、機械学習の学習用データとして用いられる1つのペアとして、ディスプレイに表示される第一の超音波画像のほか、第二の超音波画像が取得され、これら第一及び第二の超音波画像のデータが記憶される。第二の超音波画像は、前記第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である第二の条件を用いて取得された画像である。従って、例えば被検体の診断を目的として取得される第一の超音波画像を取得するついでに、これと機械学習の学習データとしてペアとなる第二の超音波画像も取得できる。これにより、できるだけ手間をかけずに、学習済みモデルを構築するためのペア画像を取得することができる。
本発明の第一実施形態における超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 実施形態における機械学習の学習用データを取得するための処理を示すフローチャートである。 学習済みモデルを用いた超音波画像の画質改善の処理を示すフローチャートである。 実施形態の変形例における機械学習の学習用データを取得するための処理を示すフローチャートである。 第二実施形態のシステムの概略を示すブロック図である。 本発明の第二実施形態における超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 第二実施形態におけるサーバの構成を示すブロック図である。 第二実施形態の作用を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、本発明に係る超音波装置の一例として、診断等を目的として被検体の超音波画像を表示する超音波診断装置について説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2内に配列された素子2aをドライブしてパルス超音波信号を被検体(図示せず)に放射する送信ビームフォーマ3および送信機4を含む。パルス超音波信号は、被検体内において反射して素子2aに戻るエコーを生成する。エコーは、素子2aによって電気信号に変換され、電気信号は、受信機5によって受信される。受信されたエコーを表す電気信号、すなわちエコー信号は、受信ビームフォーマ6に入力され、この受信ビームフォーマ6において受信ビームフォーミングが行われる。受信ビームフォーマ6は、受信ビームフォーミング後の超音波データを出力する。
受信ビームフォーマ6は、ハードウェアビームフォーマであってもソフトウェアビームフォーマであってもよい。受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、受信ビームフォーマ6は、グラフィックス処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または論理演算を実行することができる他の種類のプロセッサのうちの任意の1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。受信ビームフォーマ6を構成するプロセッサは、後述のプロセッサ7とは別のプロセッサで構成されていてもよいし、プロセッサ7で構成されていてもよい。
超音波プローブ2は、送信ビームフォーミングおよび/または受信ビームフォーミングの全部または一部を行うための電気回路を含むことができる。例えば、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6の全部または一部は、超音波プローブ2内に設けられていてもよい。
超音波診断装置1は、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6を制御するためのプロセッサ7も含む。プロセッサ7は、超音波プローブ2と電子通信している。プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御して超音波データを取得することができる。プロセッサ7は、素子2aのどれがアクティブであるか、および超音波プローブ2から放射されるビームの形状を制御する。プロセッサ7はまた、ディスプレイ8とも電子通信しており、プロセッサ7は、超音波データを処理してディスプレイ8上に表示するための超音波画像にすることができる。「電子通信」という用語は、有線通信と無線通信の両方を含むように定義することができる。プロセッサ7は、一実施形態によれば中央処理装置(CPU)を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、または他のタイプのプロセッサなど、処理機能を実行することができる他の電子構成要素を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、処理機能を実行することができる複数の電子構成要素を含むことができる。例えばプロセッサ7は、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびグラフィックスプロセッシングユニットを含む電子構成要素のリストから選択された2つ以上の電子構成要素を含むことができる。
プロセッサ7は、RFデータを復調し、ローデータ(raw data)を生成する複合復調器(図示せず)を含むこともできる。別の実施形態では、処理チェーンの早いうちに復調を実行することができる。
プロセッサ7は、複数の選択可能な超音波モダリティに従った1つまたは複数の処理動作をデータに行うように構成されている。エコー信号が受信されるとき、データは走査セッション中にリアルタイムで処理することができる。この開示のために、「リアルタイム」という用語は、いかなる意図的な遅延もなく行われる手順を含むように定義される。
また、データは、超音波の走査中に一時的にバッファ(図示せず)に格納し、ライブ操作またはオフライン操作でリアルタイムではなく処理することができる。この開示において、「データ」という用語は、本開示においては、超音波装置を用いて取得される1つまたは複数のデータセットを指すように使用することができる。
超音波データは、プロセッサ7によって他のまたは異なるモード関連モジュール(例えば、Bモード、カラードップラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドップラ、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、など)で処理して超音波画像のデータを作ることができる。例えば、1つまたは複数のモジュールが、Bモード、カラードップラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドップラ、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、およびそれらの組合せ、などの超音波画像を生成することができる。画像ビームおよび/または画像フレームは保存され、データがメモリに取得された時を示すタイミング情報を記録することができる。前記モジュールは、例えば、画像フレームを座標ビーム空間から表示空間座標に変換するために走査変換演算を実行する走査変換モジュールを含むことができる。被検体に処置が実施されている間にメモリから画像フレームを読み取り、その画像フレームをリアルタイムで表示する映像プロセッサモジュールが設けられてもよい。映像プロセッサモジュールは画像フレームを画像メモリに保存することができ、超音波画像は画像メモリから読み取られディスプレイ8に表示される。
プロセッサ7が複数のプロセッサを含む場合、プロセッサ7が担当する上述の処理タスクを、複数のプロセッサが担当してもよい。例えば、第1のプロセッサを使用して、RF信号を復調および間引きすることができ、第2のプロセッサを使用して、データをさらに処理した後、画像を表示することができる。
また、例えば受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、その処理機能は、単一のプロセッサで実行されてもよいし、複数のプロセッサで実行されてもよい。
ディスプレイ8は、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。
メモリ9は、任意の既知のデータ記憶媒体であり、非一過性の記憶媒体及び一過性の記憶媒体を含む。非一過性の記憶媒体は、例えば、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。非一過性の記憶媒体は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体を含んでいてもよい。プロセッサ7によって実行されるプログラムは、非一過性の記憶媒体に記憶されている。
また、メモリ9を構成する非一過性の記憶媒体には、被検体の第一の超音波画像を取得するために用いられる第一の条件と、被検体において第一の超音波画像が取得された位置と同じ位置についての第二の超音波画像を取得するために用いられる第二の条件が記憶されている。第二の条件は、第二の超音波画像が、第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である。第一の条件及び第二の条件の詳細については後述する。
さらに、メモリ9を構成する非一過性の記憶媒体には、機械学習のアルゴリズムが記憶されている。
一過性の記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体である。
ユーザインタフェース10は、超音波装置1の動作を制御するための操作者の入力を受け付けることができる。例えば、ユーザインタフェース10は、ユーザーからの指示や情報の入力を受け付ける。ユーザインタフェース10は、キーボード(keyboard)、ハードキー(hard key)、トラックボール(trackball)、ロータリーコントロール(rotary control)及びソフトキー等を含んで構成されている。ユーザインタフェース10は、ソフトキー等を表示するタッチスクリーンを含んでいてもよい。
次に、本例の超音波診断装置の作用について基づいて説明する。先ず、機械学習の学習用データの取得について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
先ずステップS1では、ユーザインタフェース10が操作者の入力を受け付ける。ここでは、操作者は、超音波画像を表示させる指示を入力する。
ステップS1において、ユーザインタフェース10が操作者の入力を受け付けると、ステップS2以降において、プロセッサ7は、第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータを、機械学習の学習用データとして用いられる1つのペアとして取得する機能を実行する。具体的には、先ずステップS2では、プロセッサ7がメモリ9に記憶された第一の条件を読み出す。第一の条件は、第一の超音波の送受信の条件、第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号の処理条件及び画像処理条件を含んでいる。
次に、ステップS3では、プロセッサ7は、第一の超音波の送受信の条件を用いて超音波プローブ2による第一の超音波の送受信を行わせる。次に、ステップS4では、プロセッサ7は、第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく第一の超音波画像の作成を、第一の条件を用いて行なう。また、プロセッサ7は、第一の超音波画像をディスプレイ8に表示させ、第一の超音波画像のデータをメモリ9に記憶する。ステップS1〜S4の機能は、本発明における第一の機能の実施の形態の一例である。
例えば、第一の超音波画像は、操作者が被検体について診断を行なうために表示される。
次に、ステップS5では、プロセッサ7がメモリ9に記憶された第二の条件を読み出す。第二の条件は、第二の超音波の送受信の条件、第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号の処理条件及び画像処理条件を含んでいる。
ここで、第一の条件及び第二の条件について説明する。第一の条件は、被検体についての診断等を行なうために、出来るだけ良好な画質の第一の超音波画像を取得できるよう設定された条件である。一方、第二の条件は、第二の超音波画像が、第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である。例えば、第二の条件は、第二の超音波画像のSN比が第一の超音波画像のSN比よりも低下する条件を含んでいてもよい。また、第二の条件は、第二の超音波画像の深部感度が第一の超音波画像の深部感度よりも低下する条件を含んでいてもよい。
より具体的には、第一の条件及び第二の条件は、超音波の送信音圧を含んでいてもよい。この場合、第二の条件における第二の送信音圧は、第一の条件における第一の送信音圧よりも低い。
また、第一の条件及び第二の条件は、超音波の送信周波数を含んでいてもよい。この場合、第二の条件における第二の送信周波数は、第一の条件における第一の送信周波数よりも高い。
さらに、第一の条件及び第二の条件は、超音波の受信周波数帯域を含んでいてもよい。この場合、第二の条件における第二の受信周波数帯域は、第一の条件における第一の受信周波数帯域よりも狭帯域であり、なおかつ第二の受信周波数帯域における第二の中心周波数が第一の受信周波数帯域における第一の中心周波数よりも高い。
次に、ステップS6では、プロセッサ7は、第二の超音波の送受信の条件を用いて超音波プローブ2による第二の超音波の送受信を行わせる。例えば、プロセッサ7は、第一の条件における第一の送信音圧よりも低い第二の送信音圧で第二の超音波の送受信を行わせる。また、プロセッサ7は、第一の条件における第一の送信周波数よりも高い第二の送信周波数で第二の超音波の送受信を行わせてもよい。また、プロセッサ7は、第二の中心周波数を有する第二の受信周波数帯域で第二の超音波の送受信を行わせてもよい。第二の受信周波数帯域は、第一の条件における第一の受信周波数帯域よりも狭帯域であり、なおかつ第二の中心周波数は、第一の受信周波数帯域における第一の中心周波数よりも高い。
次に、ステップS7では、プロセッサ7は、第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく第二の超音波画像の作成を、第二の条件を用いて行ない、第二の超音波画像のデータをメモリ9に記憶する。ステップS5〜S7の機能は、本発明における第二の機能の実施の形態の一例である。
ここで、図2のフローチャートにおいては、一フレーム分の第一の超音波画像が取得された後に、一フレーム分の第二の超音波画像が取得されるようになっている。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば音線ごとに第一の超音波の送受信と第二の超音波の送受信とが交互に行なわれることにより、一フレーム分の第一及び第二の超音波画像が取得されてもよい。
以上のように、本例では、ユーザインタフェース10が操作者の入力を受け付けると、機械学習の学習用データとして用いられる1つのペアとして、ディスプレイ8に表示される第一の超音波画像のほか、第二の超音波画像が取得され、これら第一及び第二の超音波画像のデータが記憶される。第二の超音波画像は、前記第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である第二の条件を用いて取得された画像である。従って、例えば被検体の診断を目的として取得される第一の超音波画像を取得するついでに、これと機械学習の学習用データとしてペアとなる第二の超音波画像も取得できる。これにより、できるだけ手間をかけずに、学習済みモデルを構築するためのペア画像を多量に取得することができる。
以上のようにして第一の超音波画像及び第二の超音波画像が取得されると、プロセッサ7は、メモリ9に記憶された機械学習のアルゴリズムを読み出し、第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータを学習用データとして用いる機械学習を行なう。機械学習のアルゴリズムは、教師有学習である。この教師有学習において、第一の超音波画像は、正解のデータとして用いられる。
機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、例えば、下記の非特許文献1に記載されたアルゴリズムを用いてもよい。
非特許文献1:Kenji Suzuki, Junchi Liu et al. Neural Network Convolution (NNC) for Converting Ultra-Low-Dose to “Virtual” High-Dose CT Images. MLMI 2017: Machine Learning in Medical Imaging pp 334-343
機械学習は、学習用データとして用いられる第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータからなる1つのペアが取得されるたびに行われてもよいし、所要の数の複数のペアが取得されるたびに行なわれてもよい。
本例によれば、診断等を行ないながら、機械学習の学習用データとして第一の超音波画像のデータとペアとなる第二の超音波画像を取得することができ、継続的に機械学習を行なうことができる。これにより、学習済みモデルの精度をより高めることができる。
第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータを用いた機械学習によって得られた学習済みモデルは、メモリ9に記憶される。
次に、機械学習によって得られた学習済みモデルを用いた超音波画像の画質改善について、図3のフローチャートを用いて説明する。先ず、ステップS11においては、プロセッサ7は超音波プローブ2による超音波の送受信を行なわせ、得られたエコー信号に基づく超音波画像の作成を行なう。また、プロセッサ7は、得られた超音波画像をディスプレイ8に表示させる。
ステップS11において超音波画像を取得するために用いられる条件としては、例えば第一の条件が用いられてもよい。
次に、ステップS12においては、プロセッサ7は、ステップS11において取得された超音波画像を、学習済みモデルを用いて変換する指示が、ユーザインタフェース10において入力されたか否かを判定する。より詳細には、例えば操作者は、ステップS11においてディスプレイ8に表示された超音波画像の画質に基づいて、変換の必要があるか否かを決める。操作者は、画質が劣化しており変換の必要があると決定した場合、ユーザインタフェース10において変換を指示する入力を行なう。プロセッサ7は、この変換を指示する入力をユーザインタフェース10が受け付けたか否かを判定する。
ここで、「変換」とは、画質がより劣化している超音波画像を、より良好な画質の超音波画像に変換することをいう。画質の良否は、例えばSN比や深部感度などの観点で決定される。従って、本例の変換により、よりSN比や深部感度が低い超音波画像が、よりSN比や深部感度が高い超音波画像になる。
例えば、皮下脂肪厚が比較的厚くない被検体においては、第一の条件を用いて取得された超音波画像は、変換の必要がない比較的良好な画質である。一方、同じ第一の条件を用いても、皮下脂肪厚がより厚い被検体については、あたかも第二の条件を用いて取得されたような画質が劣化した超音波画像が取得される。このような画質が劣化した超音波画像が取得された場合、操作者はユーザインタフェース10において変換を指示する入力を行なう。
また、不慣れな操作者が、良好な画質の超音波画像を取得することができるように条件を調整することができず、画質が劣化した超音波画像が取得された場合にも、操作者はユーザインタフェース10において変換を指示する入力を行なう。
ステップS12において、ユーザインタフェース10が入力を受け付けたと判定された場合(ステップS12において「YES」)、ステップS13の処理へ移行する。ステップS13では、プロセッサ7は、メモリ9に記憶された学習済みモデルを用いて、ステップS11において得られた超音波画像の変換を行なう。より詳細には、ステップS11において得られた超音波画像のデータが、学習済みモデルに入力され、出力として画質が向上した超音波画像が得られる。
次に、ステップS14では、プロセッサ7は、ステップS13において学習済みモデルの出力として得られた超音波画像を、ディスプレイ8に表示させる。ステップS14において、変換後の超音波画像が表示された場合、及びステップS12において、ユーザインタフェース10が変換の入力を受け付けなかった場合(ステップS12において「NO」)、処理が終了する。
次に、第一実施形態の変形例について説明する。図4は、この変形例における機械学習の学習用データを取得するための処理を示すフローチャートである。図4におけるステップS11〜S13については、図2のフローチャートにおけるステップS1〜S3の処理と同一である。また、図4におけるステップS16〜18については、図2のフローチャートにおけるステップS5〜S7の処理と同一である。従って、ステップS14、15について説明する。
ステップS14では、ステップS4と同様にして第一の超音波画像が作成され、ディスプレイ8に表示される。ステップS15では、ステップS14において表示された第一の超音波画像を記憶する指示の入力をユーザインタフェース10が受け付ける。この入力は、操作者が行なう。ユーザインタフェース10が第一の超音波画像を記憶する指示の入力を受け付けると、プロセッサ7は、第一の超音波画像のデータをメモリ9に記憶する。
ちなみに、ステップS15における入力が行なわれるまで、複数フレームの第一の超音波画像が取得され表示されてもよい。
ステップS15においてユーザインタフェース10が前記入力を受け付けると、プロセッサ7は、ステップS16における第二の条件の読出しを行なう。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。本例では、図5に示すシステム100について説明する。第一実施形態においては、機械学習の学習用データの取得と、学習済みモデルの構築の両方が、超音波診断装置1において行なわれるが、第二実施形態においては、学習済みモデルの構築がサーバ101で行なわれる。以下、具体的に説明する。
システム100は、超音波診断装置20として、複数の超音波診断装置20A、20B、20Cを有し、なおかつサーバ101及びネットワーク102を有している。超音波診断装置20A、20B、20Cは、ネットワーク102を介してサーバ101と接続されている。
超音波診断装置20は、図6に示すように、ネットワーク102と接続され、このネットワーク102とデータの入出力を行なうネットワークインターフェース21を有する。超音波診断装置20におけるその他の構成は、第一実施形態の超音波診断装置1と同一である。
サーバ101は、公知の構成を備えている。図7には、サーバ101の本例における要部の構成が図示されており、プロセッサ103、メモリ104及びネットワークインターフェース105を備えている。本例では、機械学習のアルゴリズムは、超音波診断装置20のメモリ9ではなく、サーバ101のメモリ104に記憶されている。
本例の作用について、図8のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS31では、超音波診断装置20にて第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータが取得される。第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータの取得は、超音波診断装置20において、第一実施形態と同様に図2のフローチャートに沿って行なわれる。
次に、ステップS32では、超音波診断装置20のプロセッサ7は、ステップS31において取得された第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータを、ネットワークインタフェース21及びネットワーク102を介してサーバ101へ送信する。プロセッサ7は、第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータからなる1つのペアが取得されるたびにサーバ101への送信を行なってもよいし、所要の数の複数のペアが取得されるたびにサーバ101への送信を行なってもよい。
次に、ステップS33では、サーバ101のプロセッサ103は、メモリ104に記憶された機械学習のアルゴリズムを読み出して機械学習を行ない、学習済みモデルを構築する。プロセッサ103は、超音波診断装置20から送信された第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータを学習用データとして用いて機械学習を行なう。本例においても、機械学習は、第一の超音波画像のデータ及び第二の超音波画像のデータからなる1つのペアが送信されるたびに行われてもよいし、所要の数の複数のペアが送信されるたびに行なわれてもよい。
本例では、サーバ101は、複数の超音波診断装置20A、20B、20Cから学習用データを取得して機械学習を行なうことができるので、より多くの学習用データを手間をかけずに取得することができる。
次に、ステップS34では、サーバ101のプロセッサ103は、ステップS33において構築された学習済みモデルをネットワークインタフェース105及びネットワーク102を介して超音波診断装置20へ送信する。
本例では、サーバ101から送信された学習済みモデルを用いて、超音波診断装置20において取得された超音波画像の画質改善のための変換が必要に応じて行なわれる。本例でも、超音波診断装置20における画質改善は、図3のフローチャートに沿って行なわれる。
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、第二実施形態において、学習済みモデルを用いた超音波画像の変換が、サーバ101において行なわれてもよい。この場合、超音波診断装置20において取得された超音波画像のデータが、サーバ101へ送信され、このデータについて学習済みモデルを用いた変換が行なわれる。変換後の超音波画像は、サーバ101から超音波診断装置20へ送信され、ディスプレイ8に表示される。
サーバ101は、ワークステーションで構成されていてもよく、学習済みモデルを用いた変換後の超音波画像はサーバ101のディスプレイ(図示省略)に表示されてもよい。この場合、超音波診断装置20において取得された超音波画像の画質が劣化していても、改めて超音波画像を取得することなく、画質が改善された超音波画像をサーバ101上で表示することができる。
また、上記実施形態は、
メモリ、ユーザインタフェース、プロセッサ、超音波プローブ及びディスプレイを備える超音波装置の制御方法であって、
前記メモリは、被検体の第一の超音波画像を取得するために用いられる第一の条件と、前記被検体において前記第一の超音波画像が取得された位置と同じ位置についての第二の超音波画像を取得するために用いられる第二の条件であって、前記第二の超音波画像が、前記第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である第二の条件が記憶されるよう構成され、
前記ユーザインタフェースは、操作者の入力を受け付けるよう構成され、
前記制御方法は、前記プロセッサが、前記ユーザインタフェースが前記操作者による入力を受け付けると、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを、機械学習の学習用データとして用いる1つのペアとして取得する機能を実行する方法であって、
前記プロセッサは、
前記メモリから前記第一の条件を読み出し、
前記超音波プローブによる第一の超音波の送受信と、該第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第一の超音波画像の作成を、前記第一の条件を用いて行ない、
前記第一の超音波画像を前記ディスプレイに表示し、
前記第一の超音波画像のデータを前記メモリに記憶し、
前記メモリから前記第二の条件を読み出し、
前記超音波プローブによる第二の超音波の送受信と、該第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第二の超音波画像の作成を、前記第二の条件を用いて行ない、
前記第二の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する、超音波装置の制御方法としてもよい。
1、20 超音波診断装置
2 超音波プローブ
7 プロセッサ
8 ディスプレイ
9 メモリ
10 ユーザインタフェース
101 サーバ
102 ネットワーク
103 プロセッサ

Claims (11)

  1. メモリ、ユーザインタフェース、プロセッサ、超音波プローブ及びディスプレイを備える超音波装置であって、
    前記メモリは、被検体の第一の超音波画像を取得するために用いられる第一の条件と、前記被検体において前記第一の超音波画像が取得された位置と同じ位置についての第二の超音波画像を取得するために用いられる第二の条件であって、前記第二の超音波画像が、前記第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である第二の条件が記憶されるよう構成され、
    前記ユーザインタフェースは、操作者の入力を受け付けるよう構成され、
    前記プロセッサは、前記ユーザインタフェースが前記操作者による入力を受け付けると、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを、機械学習の学習用データとして用いる1つのペアとして取得する機能を実行するよう構成され、
    前記機能は、
    前記メモリから前記第一の条件を読み出した後、前記超音波プローブによる第一の超音波の送受信と、該第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第一の超音波画像の作成を、前記第一の条件を用いて行ない、さらに前記第一の超音波画像を前記ディスプレイに表示し、なおかつ前記第一の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する第一の機能と、
    前記メモリから前記第二の条件を読み出した後、前記超音波プローブによる第二の超音波の送受信と、該第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第二の超音波画像の作成を、前記第二の条件を用いて行ない、さらに前記第二の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する第二の機能と、を含んでいる、超音波装置。
  2. 前記第一の条件は、前記第一の超音波の送受信の条件、該第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号の処理条件及び画像処理条件のうち少なくともいずれか一つを含み、
    前記第二の条件は、前記第二の超音波の送受信の条件、該第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号の処理条件及び画像処理条件のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載の超音波装置。
  3. 前記第二の条件は、前記第二の超音波画像のSN比が前記第一の超音波画像のSN比よりも低下する条件である、請求項1又は2に記載の超音波装置。
  4. 前記第一の条件及び前記第二の条件は、超音波の送信音圧を含んでおり、前記第二の条件における第二の送信音圧は、前記第一の条件における第一の送信音圧よりも低い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波装置。
  5. 前記第二の条件は、前記第二の超音波画像の深部感度が前記第一の超音波画像の深部感度よりも低下する条件である、請求項1又は2に記載の超音波装置。
  6. 前記第一の条件及び前記第二の条件は、超音波の送信周波数を含んでおり、前記第二の条件における第二の送信周波数は、前記第一の条件における第一の送信周波数よりも高い、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の超音波装置。
  7. 前記第一の条件及び前記第二の条件は、超音波の受信周波数帯域を含んでおり、前記第二の条件における第二の受信周波数帯域は、前記第一の条件における第一の受信周波数帯域よりも狭帯域であり、なおかつ第二の受信周波数帯域における第二の中心周波数が前記第一の受信周波数帯域における第一の中心周波数よりも高い、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の超音波装置。
  8. 前記メモリは、さらに前記機械学習のアルゴリズムを記憶する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波装置。
  9. 前記プロセッサは、さらに前記機械学習のアルゴリズムを読み出し、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを学習用データとして用いる機械学習を行なって、学習済みモデルを取得する、請求項8に記載の超音波装置。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波装置とネットワークを介して接続されたサーバとを備えるシステムであって、前記サーバは、前記機械学習のアルゴリズムが記憶されたメモリとプロセッサを備え、
    前記超音波装置のプロセッサは、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを前記ネットワークを介して前記サーバへ送信する制御を行ない、
    前記サーバのプロセッサは、前記機械学習のアルゴリズムを読み出し、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを学習用データとして用いる機械学習を行なって、学習済みモデルを取得する、システム。
  11. メモリ、ユーザインタフェース、プロセッサ、超音波プローブ及びディスプレイを備える超音波装置の制御プログラムであって、
    前記メモリは、被検体の第一の超音波画像を取得するために用いられる第一の条件と、前記被検体において前記第一の超音波画像が取得された位置と同じ位置についての第二の超音波画像を取得するために用いられる第二の条件であって、前記第二の超音波画像が、前記第一の超音波画像よりも画質が劣化した画像となる条件である第二の条件が記憶されるよう構成され、
    前記ユーザインタフェースは、操作者の入力を受け付けるよう構成されており、
    前記制御プログラムは、前記ユーザインタフェースが前記操作者による入力を受け付けると、前記第一の超音波画像のデータ及び前記第二の超音波画像のデータを、機械学習の学習用データとして用いられる1つのペアとして取得する機能を前記プロセッサに実行させるよう構成され、
    前記機能は、
    前記メモリから前記第一の条件を読み出した後、前記超音波プローブによる第一の超音波の送受信と、該第一の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第一の超音波画像の作成を、前記第一の条件を用いて行ない、さらに前記第一の超音波画像を前記ディスプレイに表示し、なおかつ前記第一の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する第一の機能と、
    前記メモリから前記第二の条件を読み出した後、前記超音波プローブによる第二の超音波の送受信と、該第二の超音波の送受信によって得られたエコー信号に基づく前記第二の超音波画像の作成を、前記第二の条件を用いて行ない、さらに前記第二の超音波画像のデータを前記メモリに記憶する第二の機能と、を含んでいる、超音波装置の制御プログラム。
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