JP2020152344A - 乗り物用カメラの校正方法及び校正用マーカのセット - Google Patents

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Abstract

【課題】乗り物に取り付けられたカメラの校正工程に必要な時間を短縮する。【解決手段】乗り物用カメラの校正方法において、校正用マーカが複数並べて配置され、乗り物に取り付けられたカメラCAM1〜CAM4により撮像可能な前記校正用マーカML1〜ML6、MR1〜MR6を選択的に用いて校正を行う。また、乗り物用カメラの校正のために、校正用マーカを複数並べて配置した、校正用マーカのセットにおいて、複数の前記校正用マーカが、前記乗り物のサイズの可変方向に沿うように、並べて配置されている。前記構成により、校正用マーカを移動せずとも、サイズの異なる乗り物に取り付けられたカメラの校正が可能となり、校正工程にかかる時間を短縮することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両などの乗り物用カメラ装置の校正方法、及び校正用マーカのセットに関する。
車両に取り付けられたカメラで周辺環境を撮像し、運転者に各種情報を提示する、運転者支援技術が存在する。車両を上から俯瞰したトップビューを運転者に提示するシステムや、車両の後退を支援するためのリアビューを提示するシステム等である。かかる運転者支援技術において、撮像を精確に行う為に、カメラの校正(キャリブレーション)が必須である。
車載カメラの校正を簡易な設備で実施するために、例えば特許文献1は、車の形状に対応した2点と交わる線を含み、カメラ撮像範囲内に少なくとも2本配置される参照線RLと、この参照線RLの間に予め定められたパターン形状を有する校正用パターンとを有する測定領域と、画像処理部とを備え、画像処理部が、カメラで校正用パターン及び参照線が配置される測定領域MAを撮影することで測定用画像を生成し、前記2本の前記参照線に基づいて車の停車位置と前記パターン形状との座標関係を停車誤差として算出し、当該停車誤差をキャンセルした状態で前記パターン形状に基づいて前記カメラの取付姿勢に対応する外部パラメータを算出することを記載している。
特開2013−002820号公報
車両の生産工場はこれまで、軽自動車、普通車、大型車などの車両サイズ毎に異なる生産ラインを用いていた。そして、生産する車両のサイズに応じたカメラ校正用マーカ(ターゲット)を生産工場内に固定的に設置することにより、車載カメラの校正工程を行っていた。
ところが近年、異なるサイズの車両を同一の生産ラインで製造する混流生産が増加してきた。生産ラインの数を減らして製造コストを下げるためである。かかる混流生産においては、異なるサイズの車両に取り付けられたカメラを校正する際に、校正用マーカの移動を必要としていた。
例えば、小型車の為の生産ラインを、大型車の生産に用いようとした場合、大型車のリアカメラによって校正用マーカを適切な位置、角度で撮像することができない。これは、固定されている校正用マーカに対する車載カメラの相対的位置が、車両のサイズによって変わるためである。また、校正用マーカが大型車の車体の死角に入り、そもそもその校正用マーカを撮像できなくなることもある。
そのため、1つの生産ラインで異なるサイズの車両を生産する混流生産の場合には、固定設置されていた校正用マーカを、車両に応じて移動する必要があった。この校正用マーカの移動には時間がかかり、結果として、当該生産ラインで行われる校正工程に必要な時間が長くなるという、潜在的な問題点が存在していた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、乗り物に取り付けられたカメラの校正工程に必要な時間を短縮することを目的とする。
乗り物用カメラの校正方法において、校正用マーカが複数並べて配置され、乗り物に取り付けられたカメラにより撮像可能な前記校正用マーカを選択的に用いて校正を行う。また、乗り物用カメラの校正のために、校正用マーカを複数並べて配置した、校正用マーカのセットにおいて、複数の前記校正用マーカが、前記乗り物のサイズの可変方向に沿うように、並べて配置されている。前記構成により、校正用マーカを移動せずとも、サイズの異なる乗り物に取り付けられたカメラの校正が可能となり、校正工程にかかる時間を短縮することができる。
本発明によれば、乗り物に取り付けられたカメラの校正工程に必要な時間を短縮することができる。
小型車についての、本発明の一実施形態に係る校正方法を示す概念図。 大型車についての、本発明の一実施形態に係る校正方法を示す概念図。 本発明の一実施形態に係る校正方法を実施するための、校正システム2の構成図。 校正工程中に、車両αの後方カメラCAM4によって撮像された画像を示す模式図。 優先度に従った校正処理例を示すフロー図。 校正用マーカの差別化についての説明図。 立体マーカの説明図。 未使用の校正用マーカの消灯を示す図。 後退補助機能についての本発明の一実施形態に係る校正方法を示す図。 校正用マーカの配置例を示す概念図であり、(a)校正用マーカを横方向(水平)に配置した場合、(b)校正用マーカを縦方向に配置した場合。 本開示の実施形態に係る自発光式の校正用マーカM10を示す図であり、(a)正面図、(b)側面図。
以下、乗り物は自動車であり、該自動車に取り付けられた全周囲カメラの校正を行うという前提で、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
図1は、小型車についての、本発明の一実施形態に係る校正方法を示す概念図である。同図において、車両αは例えば軽自動車等の小型車である。車両α内の矢印は、車両αの進行方向を示している。車両αは、前方カメラCAM1、右方カメラCAM2、左方カメラCAM3、後方カメラCAM4を備えている。一般的に、前方カメラCAM1は車両αのフロント部分に、右方カメラCAM2および左方カメラCAM3は車両αのドアミラー部分に、後方カメラCAM4は車両αのリア部分に、それぞれ設けられている。
車両αは、校正を行うために、図示を省略する正対装置等の位置決め手段により、一定精度以内での位置決めが行われる。例えば、車両αの前輪軸を所定の位置へと固定してもよいし、車両αの後輪軸を所定の位置へと固定してもよい。
車両αの進行方向に沿うように、複数の校正用マーカが、車両αを挟んで二列、並べて配置されている。図1においては、車両αの右側(図の上側)に6つのマーカMR1〜MR6が、車両αの左側(図の下側)に6つの校正用マーカML1〜ML6が、それぞれ並べて配置されている。なお、並べて配置された校正用マーカの数は左右6つずつとは限らず、例えば左右に8つずつ等であってもよい。また、複数の校正用マーカを一列、もしくは三列以上並べて配置することを排除する意図ではない。
校正工程に先立って、事前の検証作業が行われる。すなわち、生産ラインに車両を固定し、車両が備える各カメラから、上述のように並んで配置されている複数の校正用マーカのうちのどれが撮像可能であり、どれが校正の精度が担保できるマーカであるかを前もって検証しておく。この検証作業により、前記校正用マーカのうち、適切なものをあらかじめ絞り込んでおくことができる。
絞り込みは、例えば以下のように行われる。車両αの後方カメラCAM4が撮像可能な校正用マーカは、MR5、MR6、ML5、ML6であるので、後方カメラCAM4の校正に用いる校正用マーカの候補を、これら4つの校正用マーカに絞り込む。同様に、前方カメラCAM1が撮像可能な校正用マーカは、MR1、MR2、ML1、ML2であるので、前方カメラCAM1の校正に用いる校正用マーカの候補を、これら4つの校正用マーカに絞り込む。右方カメラCAM2が撮像可能な校正用マーカは、MR3、MR4であるので、右方カメラCAM2の校正に用いる校正用マーカの候補を、これら2つの校正用マーカに絞り込む。左方カメラCAM3が撮像可能な校正用マーカは、ML3、ML4であるので、左方カメラCAM3の校正に用いる校正用マーカの候補を、これら2つの校正用マーカに絞り込む。
全周囲カメラシステムの場合、1つのカメラにつき、2つのマーカを対にして用いて校正を行う。そのため、本発明の一実施形態に係る校正方法においては、撮像可能な校正用マーカを、例えば以下のように選択的に用いて校正を行う。すなわち、前方カメラCAM1については、撮像可能なマーカはMR1、MR2、ML1、ML2であるところ、撮像した画像のより両端に映り込む校正用マーカMR2とML2を用いる。右方カメラCAM2については、撮像可能なマーカはMR3、MR4であるので、当該校正用マーカMR3とMR4を用いる。左方カメラCAM3については、撮像可能なマーカはML3、ML4であるので、当該校正用マーカML3とML4を用いる。後方カメラCAM4については、撮像可能なマーカはMR5、MR6、ML5、ML6であるところ、撮像した画像のより両端に映り込む校正用マーカMR5とML5を用いる。
図2は、大型車についての、本発明の一実施形態に係る校正方法を示す概念図である。生産ライン自体は図1と同じであり、車両Βが前方カメラCAM1、右方カメラCAM2、左方カメラCAM3、後方カメラCAM4を備えている点も、図1と同じである。校正用マーカMR1〜MR6、ML1〜ML6が、図1と同じ位置に並んで配置されている。校正工程に先立って、事前の検証作業が行われている点も同様である。
図2においては、車両Βは3列シート車等の大型車である。大型車である車両Βの場合、その全長が小型車である車両αよりも長い為、校正用マーカMR5及びML5は、後方カメラCAM4の視野に収まりきらず、後方カメラCAM4の校正に用いることができない。しかし、これらの校正用マーカMR5及びML5を後方カメラCAM4の校正に用いるために車両Βの後方の方向へと移動させようとすると、作業時間の増大を招く。
その為、本発明の一実施形態に係る校正方法においては、上述のように配置された校正用マーカを移動しない。その代わりに、撮像可能な校正用マーカを、例えば以下のように選択的に用いて校正を行う。すなわち、前方カメラCAM1については、撮像可能な校正用マーカはMR1、ML1であるので、当該校正用マーカMR1とML1を用いる。右方カメラCAM2については、撮像可能なマーカはMR2、MR3、MR4、MR5であるところ、撮像した画像のより両端に映り込む校正用マーカMR2とMR5を用いる。左方カメラCAM3については、撮像可能なマーカはML2、ML3、ML4、ML5であるところ、撮像した画像のより両端に映り込む校正用マーカML2とML5を用いる。後方カメラCAM4については、撮像可能なマーカはMR6、ML6であるので、当該校正用マーカMR6とML6を用いる。
ここで、小型車についての図1と、大型車についての図2を併せて参照すると、本発明の一実施形態に係る校正方法は、小型車であっても、大型車であっても、校正用マーカを移動せずに校正が可能となることが理解できる。校正用マーカを多数並べた上で、撮像可能な前記校正用マーカを選択的に用いて校正を行うからである。例えば、小型車(図1)の後方カメラCAM4の校正に用いられるのは、校正用マーカMR5、MR5であるのに対し、大型車(図2)の後方カメラCAM4の校正に用いられるのは、校正用マーカMR6、ML6である。このように本発明の一実施形態に係る校正方法であれば、小型車と大型車のサイズの違いを吸収し、柔軟な校正を行うことが可能である。
図3は、本発明の一実施形態に係る校正方法を実施するための、校正システム2の構成図である。校正システム2は、入力である撮像装置27と、処理を行う処理装置21と、出力である表示装置29とを備えている。処理装置21は、例えば車両α、Βに備えられたECU(Electronic Control Unit)であってよい。処理装置21は、揮発性メモリ22と、画像処理部23と、不揮発性メモリ24と、制御部25とを備えており、これらがデータバス26を介して接続されている。撮像装置27は第1〜第4撮像装置を備えており、第1撮像装置271、第2撮像装置272、第3撮像装置273、第4撮像装置274はそれぞれ、車両α、Βにおける前方カメラCAM1、右方カメラCAM2、左方カメラCAM3、後方カメラCAM4に対応する。表示装置29は、例えば、車両α、Βのフロントパネルに据え付けられたモニタであってよい。
撮像装置27によって撮像された、校正用マーカを含んだ画像は、処理装置21内の揮発性メモリ22に蓄積された後、制御部25による制御の下で、画像処理部23によって適宜画像処理がなされ、表示装置29によって表示される。すなわち、カメラCAM1〜CAM4が撮像した画像を加工して、例えば全周囲システムのトップビューを構成し、それをモニタに表示して運転者に提示することができる。
なお、制御部25は、工程機器Dからのキャリブレーション開始要求を、車両信号として受信することができ、この開始要求をトリガとして、本発明の一実施形態に係る校正方法を実施することができる。
不揮発性メモリ24には、各種プログラムが記憶されている。また、図4に基づき後述する、校正用マーカ撮像位置を示すデータを不揮発性メモリ24内に記憶してもよい。
次に、校正用マーカの優先度について説明する。図4は、校正工程中に、車両αの後方カメラCAM4によって撮像された画像を示す模式図である。なお、車両αは、図1に示した小型車であるとして説明する。この図に示された撮像画像には、校正用マーカMR4〜MR6、ML4〜ML6が映り込んでいる。校正用マーカMR5、MR6、ML5、ML6についてはその全体が映り込んでいるため、校正に用いる校正用マーカの候補となる。校正用マーカMR4、ML4は、その全体が映り込んではいないので、校正に用いる校正用マーカの候補とはならない。
全周囲カメラシステムの場合、1つのカメラにつき、2つのマーカを対にして用いて校正を行うが、校正用マーカの候補MR5、MR6、ML5、ML6のうち、後方カメラCAM4のより両端側に映っている校正用マーカは、校正用マーカMR5及びML5である。そこで、校正用マーカMR5及びML5を優先度1とする。一方で、校正用マーカMR6及びML6は、優先度2とする。
上記のように、校正に使用可能な校正用マーカに優先順位をつけておく利点は以下の通りである。図4の例における、優先度1の校正用マーカMR5及びML5の、画像処理部23による検知が、何らかの原因で失敗する事があり得る。また、当該校正用マーカMR5及びML5の検知に成功しても、画像処理の結果、校正の精度に問題が生じる事もあり得る。このような場合であっても、その次の優先度2である校正用マーカMR6及びML6を用いて校正処理を続行することができる。そのため、校正工程におけるエラー率を減らすことができる。すなわち、校正工程のやり直し作業が減り、校正工程に必要な時間の不必要な増大を防止することができる。
なお、図4において、校正用マーカMR5、MR6、ML5、ML6を取り囲む四角い枠は、車両αが使用し得る校正用マーカ撮像位置を示している。車両αの一定精度以内での位置決めがなされているのであれば、該車両αが備える後方カメラCAM4が撮像した画像の、校正用マーカ撮像位置が示す枠内に、校正用マーカが映り込んでいるはずである。従って、図5に基づき後述するように、この枠内に含まれる校正用マーカを画像内から探索して、校正に用いることができる。
図5は、上述の優先度に従った校正処理例を示すフロー図である。校正処理の処理主体は、図3に示した校正システム2である。当該フロー図は、1つのカメラが撮像した画像の中に、校正に使用可能な校正用マーカの候補が2つ(2組)ある場合を想定した例である。しかし、校正に使用可能な校正用マーカの候補が3つ(3組)以上あっても良く、当業者であれば処理フローを適宜変更して実装可能であろう。
以下、図5の処理フローを、図3のシステム構成図、図4の模式図も参照しつつ説明する。ステップS1において、校正システム2内の制御部25がキャリブレーション開始要求8を受信し、校正処理がスタートする。ステップS2において、画像処理部23は、不揮発性メモリ24から、自車両が使用する校正用マーカ撮像位置を読み出す。使用可能な校正用マーカは、撮像した画像の、校正用マーカ撮像位置内に映り込んでいるはずである。ステップS3において、画像処理部23が、読み出した校正用マーカ撮像位置に応じて、撮像した画像の中から優先度1のマーカを探索する。図4の例では、画像処理部23が、優先度1である校正用マーカMR5及びML5を探索する。この探索処理は、一般的な画像認識技術を用いてよい。
ステップS4において、画像処理部23による優先度1の校正用マーカの検出に成功した場合は、校正量の算出であるステップS5へと分岐する。ステップS4において、画像処理部23による優先度1の校正用マーカの検出に失敗した場合は、優先度2の校正用マーカを探索するステップS8へと分岐する。
ステップS5において、画像処理部23が、検出に成功した校正用マーカを用いて校正量を算出する。ステップS6において、画像処理部23が校正の成否判定を行う。成功した場合はステップS7へと分岐し、失敗した場合はステップS10へと分岐する。ステップS7においては、校正量が適切に算出済みであるので、画像処理部23がこの結果を適用し、校正処理を終了する。
ステップS8は、優先度1の校正用マーカの検出に失敗した場合に行われる処理であり、画像処理部23が優先度2の校正用マーカを探索する。図4の例では、画像処理部23が、優先度2である校正用マーカMR6及びML6を探索する。この探索処理は、一般的な画像認識技術を用いてよい。
ステップS9において、画像処理部23による優先度2の校正用マーカの検出に成功した場合は、校正量の算出を行うステップS5へと分岐する。ステップS9において、画像処理部23による優先度2の校正用マーカの検出に失敗した場合は、ステップS10へと分岐する。
ステップS10は、優先度1及び優先度2の校正用マーカの両方の探索に失敗した(ステップS4、S9)か、あるいは校正の成否判定(ステップS6)において失敗した場合に行われる。この場合、校正用マーカに対する車両の位置決めの不整合や、カメラの不具合など、様々な失敗要因が考えられる。そのため、操作者が原因を除外する。そして、再度ステップS1へと戻る。
例えば以上のような処理によって、カメラの校正処理を、校正用マーカMR1〜MR6、ML1〜ML6の移動を伴わずに実施することが可能になる。
図6は、校正用マーカの差別化についての説明図である。1つのカメラで撮像した画像に、複数の校正用マーカが映り込むことがある。画像処理時に、隣接する校正用マーカを誤認識しないように、隣接する校正用マーカ同士の間で、マーカ表示の差別化を行う。
かかる差別化の具体例として、図6に示すように、隣接する校正用マーカ同士の間で、表示を白黒反転させる。前記構成によれば、隣接する校正用マーカを誤認識することを防止できる。
なお、マーカ表示の差別化は、上記の白黒反転には限られない。例えば校正用マーカに含まれる丸形の数や大きさや形を隣接する校正用マーカごとに変える等、画像処理時の誤認識防止ができるような他の手段によって差別化してもよい。
校正用マーカは、図6に示すような平面マーカではなく、図7に示すような立体マーカであってもよい。立体マーカの説明図である図7において、立体マーカMは、第一の面1Aと第二の面1Bを有している。第一の面1Aと第二の面1Bは、図7において、立体マーカMを上から見た時に逆L字状となるように接しており、角度θが90度として角度付けされている。ただし、第一の面1Aと第二の面1Bとのなす角度θは90度でなくともよい。
立体マーカMが第一の面1Aと第二の面1Bとを有することにより、この校正用マーカを複数のカメラの校正に用いる事ができる。例えば、車両の前方に配置された前方カメラCAM1に対しては、立体マーカMの第一の面1Aがより正対に近い状態となる。よって、前方カメラCAM1はこの第一の面1Aを検知しやすい。一方、ドアミラーに配置された右方カメラCAM2に対しては、マーカMの第二の面1Bがより正対に近い状態となる。よって、右方カメラCAM2はこの第二の面1Bを検知しやすい。このように、立体マーカを用いることにより、複数のカメラから当該マーカを共通して用いることができる。
なお、図7において、誤認識を防止するために、第一の面1Aと第二の面1Bは白黒反転されている。例えば校正用マーカに含まれる丸形の数や大きさや形を第一の面1Aと第二の面1Bとの間で変える等、画像処理時の誤認識防止ができるような他の手段によって差別化してもよい。
次に、校正用マーカを複数並べて配置した場合、車両と校正用マーカとの位置関係にもよるが、校正用マーカが密集することで、天井からの照明が各校正用マーカに当たりづらくなることがある。すると、画像に含まれる校正用マーカの輝度が下がり、カメラによる当該マーカの検知に支障が出るおそれがある。この不都合を是正するために、自発光式の校正用マーカを用いてもよい。
自発光式の校正用マーカとしては、例えばブラスト加工をした透明なアクリル板にLEDバックライトを付加して、LEDバックライトを点灯することにより自発光させることができる。ただし自発光の方式はこれには限られず、例えば有機EL液晶等、種々の発光方式を用いることが可能である。自発光式とすることで、校正用マーカを複数配置しても、校正用マーカの輝度を維持して、カメラによる良質なマーカの検知を行うことができる。
図8は、未使用の校正用マーカの消灯を示す図である。この図にあるように、複数並べられている校正用マーカのうち、カメラの校正には不要である校正用マーカを消灯してもよい。消灯した校正用マーカは、マーカ内の輝度差が無くなり、カメラ側でこれを検知しなくなる。不要な校正用マーカをそもそも検知しないことにより、校正に係る画像処理の量を減らすことができるため、校正工程に必要な時間を抑えることができる。
また、校正用マーカが自発光式のものである場合、各校正用マーカの発光強度をそれぞれ、車両ごとに予め定められた発光強度で発光するようにしてもよい。
すでに述べたように、1つの生産ラインで生産される車両のサイズは異なることがある。すなわち、車載カメラからみた校正用マーカの相対位置、相対角度は、車両ごとに異なるものとなり得る。そのような場合であっても、上記構成により、車両ごとに適した発光強度で校正用マーカを自発光させることで、車載カメラからのマーカの検知効率を上げることができる。
次に、自動車工場の生産ラインなどの乗り物の製造設備における、本発明の一実施形態に係る校正方法の使用例を説明する。まず、乗り物、ここでは車両を校正工程へと移動する。校正用マーカが例えば図1のように複数並べて配置されており、図5に示したような処理フローにより、カメラの校正処理を行う。この校正処理が成功した場合は、校正処理の完了した車両を次の工程へと移動させる。この校正処理が失敗した場合は、操作者が失敗原因を除外して、校正処理をやり直す。
なお、自発光式の校正用マーカを用いる場合は、校正処理を開始する前に、校正用マーカを自発光させる、車両ごとに予め定められた発光強度で校正用マーカを発光させる、等の追加処理を行ってよい。
例えば上述のように、本発明の実施形態に係る校正方法を用いて、乗り物の製造工程に含まれる校正工程を行う。すると、製造設備に異なるサイズの車両が移動してきた場合であっても、校正用マーカの位置を移動せずに校正処理を続行できる。すなわち、生産ラインを止めずに校正を行い得るので、校正工程に必要な時間を短縮することができる。
なお、上記の例は、車両を上から俯瞰したトップビューを運転者に提示すべく、全周囲カメラを校正することを前提としている。すなわち、車両の両側に校正用マーカを複数並べて配置して、前記車両の前方カメラCAM1、右方カメラCAM2、左方カメラCAM3、後方カメラCAM4のそれぞれについて校正を行うものであった。一方、車両の後退を支援するためのリアビューを運転者に提示する目的であれば、後方カメラCAM4の校正のみでよい。
図9は、かかる後退補助機能についての本発明の一実施形態に係る校正方法を示す図である。後退補助の場合、1つのカメラあたり、通常1つの校正用マーカを用いて校正を行う。校正用マーカM1及びM2が、乗り物のサイズの可変方向である車両の進行方向に沿うように、一列、床面に並べて配置されている。ただし、複数の校正用マーカを二列以上並べて配置することを排除する意図ではない。車両は、この床面に配置された校正用マーカをまたいで走行し、校正工程へと入る。図示を省略する正対装置等の位置決め手段により、一定精度以内での車両の位置決めが行われ、後方カメラCAM4の校正が行われる。
この時、図9に示したように、小型車の後方カメラCAM4からは、校正用マーカM1もM2も撮像できる。そのため、後方カメラCAM4からの距離がより近い校正用マーカM1を、校正に用いるマーカとして選択できる。校正用マーカM1を優先度1、校正用マーカM2を優先度2として、優先度付きで選択してもよい。
一方、大型車のカメラCAM4からは、校正用マーカM1は撮像できない。校正用マーカM1が大型車の車体の下に入ってしまうからである。そこで、大型車については、校正に用いる校正用マーカとしてマーカM2を選択する。
このように、後退補助機能についても、校正用マーカの位置を移動せずに校正を行うことができる。
また、上述と同様に、校正用マーカM1とM2との間で色を白黒反転する等して表示の差別化を行い、画像処理時に発生し得る誤認識を防止してもよい。
次に、自動車工場の生産ライン等の省スペース化に対応した、本開示の更なる工夫について説明する。
既に説明したような構成であれば、同一の生産ラインに軽自動車、普通車、大型車など異なるサイズの車両が流れる混流生産の場合であっても、これに対応して車載カメラの校正を効率的に行うことができる。
ここで、車載製品の需要拡大により、生産能力の更なる向上を目的として、生産ラインの省スペース化が望まれるようになった。生産ライン自体を省スペース化できれば、工場に設置する生産ラインの数を増やすことができ、その結果、工場の単位時間あたりの生産能力が増大するからである。
校正用マーカには種類があるが、図9に示した校正用マーカM1およびM2のように、校正用マーカを床面に寝かせた状態で配置することが実際に行われていた。
一方、図7に示した立体マーカMのように、校正用マーカを衝立の如く立てて配置することもできる。また、校正用マーカを天井や梁等からぶら下げることや、壁や柱に貼り付けることも可能であろう。これらの例に共通しているのは、校正用マーカが床面から起きあがった状態で配置されていることである。この、床面から起きあがった状態での配置を、以下、校正用マーカを縦方向に配置する、と表現することがある。
ここで、校正用マーカを車両の左右に、例えば図1、図2に示したような位置に配置する事を考える。ある生産ラインにおいて、校正用マーカを床面に寝かせた状態で配置すると、車両の幅方向に広いスペースを、校正用マーカが占有することになる。一方、縦方向に配置された校正用マーカを用いれば、校正用マーカの占有領域が小さくなるため、生産ラインを省スペース化することができる。すると、同じ生産設備に対してより多くの生産ラインを設置することができるため、車両等の生産能力が向上する。
しかし、校正用マーカを例えば衝立の如く縦方向に配置し、1つの生産ラインの占有領域を狭めた場合に、新たな問題点が少なくとも2つ発生する。第1の問題点は、校正用マーカの輝度不足である。第2の問題点は、他の生産ラインがより近くに隣接することにより、周辺光が外乱要因となる事である。以下、この2つの問題点について、より詳しく説明する。
まず、第1の問題点である、輝度不足について説明する。図10は、校正用マーカの配置例を示す概念図であり、(a)校正用マーカを横方向(水平)に配置した場合、(b)校正用マーカを縦方向に配置した場合である。
図10(a)および図10(b)には、普通車である車両γ、天井に設置された天井照明L、が示されている。車両γの後部には、後方カメラCAM4が設置されているものとする。なお、ここでは後方カメラCAM4について例示しているが、前方カメラCAM1、右方カメラCAM2、および左方カメラCAM3についても同様である。
この時、図10(a)に示すように、横方向に配置された(床面に寝かされた)校正用マーカM10は、天井に配置された天井照明Lからの光をほぼ正面から受ける形になり、照度が高くなる。従って、車両γが備える後方カメラCAM4で、この校正用マーカM10を撮像した時には、充分な輝度が確保されている。そのため、後方カメラCAM4の校正を適切に行うことができる。
しかし、図10(b)に示すように、縦方向に配置された(立てられた)校正用マーカM10の場合は、天井照明Lから校正用マーカM10へと入る光束の量が、図10(a)の場合よりも少なくなる。すなわち、校正用マーカM10は照度不足の状態になる。すると、車両γが備える後方カメラCAM4で、この校正用マーカM10を撮像した場合、輝度が不足するため、後方カメラCAM4の校正を適切に行うことができない。
以上のように、校正用マーカM10を縦方向に配置した場合、当該校正用マーカについての輝度不足が発生する、という第1の問題点がある。
次に、第2の問題点である、周辺光による外乱について説明する。
上述のように、1つの生産ラインの占有領域を減少させると、当然ながら、隣接する生産ライン同士の相対距離は近くなる。すると、図10(a)(b)に示した車両γが有する後方カメラCAM4による撮像画像には、他の生産ラインにて発生した光が、映り込みやすくなる。
ここで、後方カメラCAM4は、例えばガンマ補正等の画像調整処理を行っている。この時、隣接する他の生産ラインが明るいと、その明るい光も加味した上で画像調整処理が行われる。すると、本来は輝度をより増大させるようにガンマ補正を行うべきところ、輝度の増大が行われないことになる。結果的に、輝度が不足した画像に基づいてカメラの校正を行うことになり、後方カメラCAM4の校正を適切に行うことができない。
上記の例のように、隣接する生産ラインから後方カメラCAM4に入る光が外乱、すなわち画像処理を外から乱す妨害情報となり、適切な校正ができなくなるおそれがある。これが、第2の問題点である。
そこで、本開示の校正方法においては、上記の第1及び第2の問題点も考慮して、校正用マーカを自発光させた上で、これをカメラで撮像して、カメラの校正を行う。
図11は、本開示の実施形態に係る自発光式の校正用マーカM10を示す図であり、(a)正面図、(b)側面図である。
図11(a)に示したように、校正用マーカM10の正面は、図6に示した平面マーカと同様に、白黒の表示を行ってよい。この校正用マーカM10は、図11(b)に示したように、発光層101と、光拡散層102と、光遮断層103とを積層状態で備えていてよい。なお、光遮断層103側をオモテ面、発光層101側をウラ面と、それぞれ表記する。図11(a)には校正用マーカM10のオモテ面が示されている。
発光層101には複数のLEDが並べて配置されており、複数のLEDがそれぞれ発光する。このLEDの光を一般的な光拡散層102を用いて拡散することにより、面発光の如き状態にする。そして、光拡散層102の表面に光遮断層103を設ける。校正用マーカM10のオモテ面において、光遮断層103が設けられた箇所は光が遮断され、光遮断層103が設けられていない箇所は光が透過するので、図11(a)に示すように、校正用マーカM10のオモテ面に模様(マーカ映像)が表示される。
なお、LEDによるバックライトの方式には、エッジ型と直下型があるが、例えば校正用マーカの大きさ等の要求仕様に応じて、適した方式を用いればよい。
例えば上述のようにして構成した校正用マーカM10に支持脚を取り付けて、衝立の如き外形(図3の工場設備側を参照)にすることで、校正用マーカM10を床面に対して自立させることができる。すなわち、校正用マーカM10を衝立式にすることができる。
なお、上記の校正用マーカM10に支持脚等を取り付けず、壁や柱などに立てかけることも可能であり、また、壁面等に取り付けることも可能である。いずれの場合であっても、校正用マーカM10は床面から起きあがった状態となり、校正用マーカM10が占める占有領域が小さくなる。
上記構成によれば、校正用マーカM10自体が発光するため、輝度不足に係る前記第1の問題点は解消される。
また、校正用マーカM10は一定の大きさを有しているため、撮像時にカメラが取り込む光のうち、大部分が、校正用マーカM10自体が発光する光となる。そのため、外乱光による影響は相対的に減じられる。ガンマ補正等の画像調整処理を行っても、外乱光によって生ずる上述のような輝度不足の状態にはならない。すなわち、上記構成により、他の生産ラインからの影響(外乱)を受けずに最適な照度の設定ができる。
従って、本開示の上記構成により、生産ラインを省スペース化することができ、かつ、周辺環境に依らず、カメラの校正を安定して行う事ができる。
次に、校正用マーカを自発光式にしたことから生じる、本開示の校正方法における更なる工夫について説明する。
自発光式の校正用マーカM10にLEDバックライトを用いる例について、既に説明した。ここで、LEDを用いる際の調光機能としてPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御を行うことがある。すなわち、LEDの点灯/消灯を、人間の目では識別できない高いサイクルで繰り返し、その各サイクルでの点灯時間の長さ(パルス幅)を変えることで調光を行うのである。
ここで、点灯/消灯を繰り返す自発光マーカ10をカメラで撮像すると、フリッカー(ちらつき)現象が生じ得る。
このフリッカー現象の発生を抑制するために、本開示の校正方法においては、前記校正用マーカの点灯周波数を、前記カメラのシャッター速度の周波数に応じて設定した状態で、前記校正用マーカを撮像して校正を行う。以下、その為の構成について、図3を再び参照して説明する。
図3に示した構成は、車両側と工場設備側の2つに分けて把握することができる。車両側の構成は、既に説明した通りである。
一方、図3の工場設備側については、下記の通りである。校正システム2における制御部25から、工程機器Dへと設定情報が読み出されている。また、工程機器Dから校正用マーカM10へと発光/消灯要求を示す信号が送信されている。以下、これらの情報処理について、より詳しく説明する。
まず、校正システム2には、撮像装置27が含まれている。例えば、後方カメラである第4撮像装置274(CAM4)などが含まれている。従って、校正システム2は、校正を行うカメラについての設定情報を予め入手して、不揮発性メモリ24等に保有しておくことができる。設定情報には、校正用マーカの発光強度や、点灯周波数等が含まれていてよい。これら以外の情報が前記設定情報に含まれていてよい。何パターンかに分けられた設定情報のセットが記憶されていてもよい。
工程機器Dは、車両が備える校正システム2に、ODB2アダプタ等を用いて接続される。そして、校正システム2側から工程機器D側へと、上記設定情報のうち少なくとも一部が送信される。
なお、この設定情報を工程機器Dが受け取る為の方法は、上記のODB2以外のものであってもよい。例えば車両γの車内に、バーコードが描かれたA4紙が配置されており、工程機器Dがこのバーコードを読み取ることで、上記の設定情報を受信してもよい。
そして、工程機器Dから校正用マーカM10へと、発光/消灯要求が送信される。この発光/消灯要求の内容は、前述の設定情報に応じたものであってよい。例えば、自発光の発光強度や、自発光に係る点灯周波数等が、前記発光/消灯要求によって指定されていてよい。
工程機器Dから発光/消灯要求を受け取った校正用マーカM10は、その要求の内容に応じて、校正用マーカM10自身を発光、あるいは消灯させる。校正用マーカM10は、例えば工程機器Dからの要求に応じた発光強度で発光してもよく、また、工程機器Dからの要求に応じた点灯周波数で発光してもよい。
例えば以上のようにして、車両側が有する設定情報に基づいて、校正用マーカM10の発光/消灯を制御することができる。
次に、この設定情報のバリエーションについて説明する。
設定情報に、自発光に係る点灯周波数が含まれ得ることは既に説明した。この点灯周波数は、カメラのシャッター速度の周波数に応じた値に設定されてよい。例えば、後方カメラCAM4のシャッター速度の周波数が、30fpsであるとする。この時、30fpsに近い値の点灯周波数に基づいて校正用マーカM10を点灯させると、上述のフリッカー現象が生じ得る。
そこで、フリッカー現象が生じないように、校正用マーカM10の点灯周波数を、カメラのシャッター速度の周波数からずらすのが好適である。
例えば、設定情報に含まれる上記点灯周波数の値は、カメラのシャッター速度の周波数とは互いに素となる値であってよい。より具体的な例を挙げると、カメラのシャッター速度の周波数が30fpsであった場合、点灯周波数を61fpsにする、等である。ただし、前記の数値に限定する意図はない。このような値であれば、フリッカー現象の発生が抑制される。
また、設定情報に含まれる点灯周波数の値は、カメラのシャッター速度の周波数(例えば30fps)の1.5倍から5倍、あるいは10倍や20倍等であってもよい。点灯周波数をこのような値とすることにより、カメラのシャッター速度が相対的に遅くなるため、フリッカー現象の発生が抑制される。
次に、上記の点灯周波数以外の設定情報の例を示す。設定情報には、校正用マーカの発光強度に係る情報が含まれていてよい。ここで前述のように、1つの生産ラインには、異なる大きさ(車種)の車両が入ってくる。すると、設置済みの校正用マーカM10と、車両が有するカメラとの間の相対位置、相対距離が、車種によって異なることがある。そこで、校正用マーカM10の発光強度を、カメラが取り付けられている乗り物に応じて設定した状態で、校正用マーカM10が自発光してよい。
ここで、車両が有するカメラから校正用マーカまでの距離が短いと、影ができやすく、また、撮像された画像の輝度は下がる。つまり、車両が有するカメラから校正用マーカまでの距離が短い場合には、校正用マーカM10の発光強度を強くし、車両が有するカメラから校正用マーカまでの距離が長い場合には、校正用マーカM10の発光強度を弱くできれば好適である。そこで、工程機器Dが車両側から取得する設定情報に、その車両に応じた発光強度情報を含んでおことで、車両毎に適切な発光強度で校正用マーカM10を自発光させることができる。
また、自発光式の校正用マーカは、上記のLEDを用いた構成以外のものであってもよい。例えば有機ELディスプレイのように、マーカ映像を(動的に)表示可能なディスプレイを、自発光式の校正用マーカが備えていてもよい。また、車載カメラの位置は、その車種によって異なる。例えば、大型の車は、小型の車よりも、カメラが上方に配置されている、等の事態が考えられる。
そこで、ディスプレイを有する校正用マーカについては、ディスプレイに(動的に)表示されるマーカ映像の位置および/またはサイズを、その車種等に応じて適切に変えることができれば好適である。すなわち、工程機器Dが車両側から取得する設定情報に、その車両に応じたマーカ映像の位置および/またはサイズに係る情報を含んでおことで、車両毎に適切な位置やサイズで、マーカ映像を表示することができる。
次に、自動車工場の生産ラインなどの乗り物の製造設備における、校正用マーカが衝立式である前提での、本発明の実施形態に係る校正方法の第2の使用例を説明する。まず、乗り物、ここでは車両を校正工程へと移動する。校正用マーカは衝立状に複数並べて配置されている。工程機器Dを車両のODB2コネクタに接続し、設定情報を読み出す。この設定情報には、上述のように、校正用マーカの点灯周波数、発光強度、マーカ映像の位置および/またはサイズ(ディスプレイ画面を有する場合)などの情報が含まれている。これらの設定情報に基づいて、工程機器Dから校正用マーカに発光要求を送信する。この発光要求を受け取った校正用マーカが自発光する。この自発光は、前述の設定情報に基づいて行われる。校正用マーカが自発光したら、工程機器Dから車両側(制御部25)へとキャリブレーション開始要求を送信する。その後は、図5に示したような処理フローにより、カメラの校正処理を行う。この校正処理が成功した場合は、校正処理の完了した車両を次の工程へと移動させる。この校正処理が失敗した場合は、操作者が失敗原因を除外して、校正処理をやり直す。そして最終的に、カメラの校正が適切に行われた乗り物(車両)ができあがる。
以上のように、乗り物用カメラの校正方法において、校正用マーカが複数並べて配置され、乗り物に取り付けられたカメラにより撮像可能な前記校正用マーカを選択的に用いて校正を行う。また、乗り物用カメラの校正のために、校正用マーカを複数並べて配置した、校正用マーカのセットにおいて、複数の前記校正用マーカが、前記乗り物のサイズの可変方向に沿うように、少なくとも一列、並べて配置されている。
上記構成により、校正用マーカを移動せずとも、サイズの異なる乗り物に取り付けられたカメラの校正が可能となり、校正工程にかかる時間を短縮することができる。
上記構成において、複数の前記校正用マーカは、前記乗り物のサイズの可変方向に沿うように、少なくとも一列、並べて配置される。このことにより、乗り物のサイズが変わっても、カメラによって撮像可能な校正用マーカを確実に備えることができる。なお、前記乗り物のサイズの可変方向は、前記乗り物の進行方向であってよい。
運転者にトップビューを提供する全周囲カメラシステムを提供するには、1つのカメラにつき、2つのマーカを対にして用いて校正を行う。そのため、複数の前記校正用マーカは、前記乗り物のサイズの可変方向に沿うように、前記乗り物を挟んで二列、並べて配置される。
上記構成において、1つのカメラによって撮像可能な校正用マーカであって、校正の精度も担保できる校正用マーカが複数ある場合、校正用マーカ毎に優先度をあらかじめ決定しておき、該優先度に従って前記校正用マーカを用いて校正を行ってもよい。
上記構成によれば、仮に何らかの原因で優先度の高い校正用マーカの検知に失敗した場合や、当該校正用マーカでは校正の精度に問題が生じた場合であっても、その次の優先度の校正用マーカを用いて校正を行うことができる。そのため、校正工程におけるエラー率を減らすことができる。すなわち、校正工程のやり直し作業が減り、校正工程に必要な時間の増大を防止することができる。
上記構成において、前記乗り物は車両であってよい。前記車両の後方カメラについて校正を行うことで、後退補助機能のためのリアビューを運転者に提示することができる。また、前記車両の前方カメラ、右方カメラ、左方カメラ、後方カメラについて校正を行うことで、車両を上から俯瞰したトップビューを運転者に提示することができる。
上記構成においては、校正用マーカを複数並べて配置しているため、1つのカメラに複数の校正用マーカが映り込むことがあり得る。この時、隣接する校正用マーカ同士で、マーカ表示の差別化を行うことができる。例えば、隣接する校正用マーカ同士の間で、表示を白黒反転させる。
上記構成によれば、隣接する校正用マーカの誤認識を防止することができる。
また、上記構成において、校正用マーカ同士が密集することで、生産ラインが備える天井照明が各校正用マーカに当たりづらくなることがある。その結果、画像に含まれる校正用マーカの輝度が下がり、前記カメラによる校正用マーカの検知に支障が出るおそれがある。前記の不都合を是正するために、校正用マーカのセットが、自発光式の校正用マーカを含んでいてもよい。
上記構成であれば、校正用マーカの輝度を維持して、校正用マーカの良好な検知を行うことができる。
また、複数並べられた校正用マーカのセットの中には、校正対象となるカメラについて、用いなくてもよいものが含まれうる。このような場合、自発光式の前記校正用マーカのうち、前記乗り物用カメラの校正には不要なものを消灯してよい。
上記構成であれば、乗り物に取り付けられたカメラの校正について不要なマーカを、そもそも検知できないようにすることができる。不要なマーカをそもそも検知しないことにより、校正に係る画像処理量を減らすことができるため、校正工程にかかる時間を抑えることができる。
また、自発光式の校正用マーカが、前記乗り物について予め定められた発光強度で発光するようにしてもよい。
上記構成の利点は以下の通りである。既に述べたように、混流生産においては、1つの生産ラインで生産される乗り物のサイズは異なることがある。すなわち、乗り物に取り付けられたカメラからみた校正用マーカの相対位置、相対角度は、乗り物ごとに異なるものとなり得る。そのような場合であっても、上記構成により、その乗り物に適した発光強度で校正用マーカを自発光させることで、カメラによる校正用マーカの検知精度を上げることができる。
また、校正用マーカとして、平面マーカではなく立体マーカを用いることも可能である。立体マーカは、第一の面と第二の面とを有しており、前記第一の面と前記第二の面とが、所定の角度で角度付けされている。
上記構成であれば、立体マーカの第一の面を、あるカメラに対してより正対するように位置付けつつ、第二の面を、別のカメラに対してより正対するように位置付けることが可能となる。このことにより、立体マーカを複数のカメラの校正に用いる事ができる。
また、乗り物用カメラの校正方法において、校正用マーカが床面から起きあがった状態で配置され、前記校正用マーカは自発光式の校正用マーカであり、乗り物に取り付けられたカメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行ってよい。また、前記校正用マーカは、衝立式の校正用マーカであってよい。
上記構成により、生産ラインを省スペース化することができ、かつ、周辺環境に依らず、カメラの校正を安定して行う事ができる。
上記構成において、前記校正用マーカは、前記自発光についてPWM制御を行う校正用マーカであり、前記校正用マーカの点灯周波数を、前記カメラのシャッター速度の周波数に応じて設定した状態で、前記校正用マーカが自発光し、前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行ってよい。また、前記校正用マーカの前記点灯周波数を、前記カメラのシャッター速度の周波数と互いに素となる値に設定してもよい。
上記構成により、校正用マーカをカメラで撮像しても、フリッカー現象の発生を回避することができる。
上記構成において、前記校正用マーカの発光強度を、前記カメラが取り付けられている前記乗り物に応じて設定した状態で、前記校正用マーカが自発光し、前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行ってよい。また、前記校正用マーカの発光強度を、前記校正用マーカを前記カメラで撮像する際の、前記校正用マーカと前記カメラとの間の距離が近いほどに発光強度が強くなるように設定し、前記校正用マーカが前記発光強度で自発光し、前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行ってよい。
上記構成により、車両毎に適切な発光強度で校正用マーカを自発光させることができる。
上記構成において、前記校正用マーカは、マーカ映像を表示可能なディスプレイを備え、前記ディスプレイに表示されるマーカ映像の位置および/またはサイズを、前記カメラが取り付けられている乗り物に応じて設定した状態で、前記校正用マーカが自発光し、前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行ってよい。
上記構成により、車両毎に適切な位置やサイズで、マーカ映像を表示することができる。
また、乗り物の製造方法が、上記構成を備えた校正方法によって乗り物用カメラを校正するステップを有していてよい。
上記構成により、上述の利点を備えつつ、カメラの校正が適切に行われた乗り物(車両)を提供することができる。
本発明は、上述の校正方法によって乗り物用カメラを校正するステップを有する、乗り物の製造方法も対象とする。また、上述のように並べられた校正用マーカのセットを備える、乗り物の製造設備も対象とする。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
本発明は、搭載するカメラの校正が必要な乗り物や電子機器等であって、同一の製造設備に異なるサイズのものが流入する製造設備において、適用が可能である。また、そのような乗り物や電子機器等の製造方法にも適用が可能である。
α、Β、γ 車両
2 校正システム
21 処理装置
22 揮発性メモリ
23 画像処理部
24 不揮発性メモリ
25 制御部
26 データバス
27 撮像装置
29 表示装置
CAM1〜CAM4 カメラ
D 工程機器
L 天井照明
MR1〜MR6 校正用マーカ
ML1〜ML6 校正用マーカ
M1、M2、M10 校正用マーカ

Claims (8)

  1. 乗り物用カメラの校正方法であって、
    校正用マーカが床面から起きあがった状態で配置され、
    前記校正用マーカは自発光式の校正用マーカであり、
    乗り物に取り付けられたカメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行う、
    乗り物用カメラの校正方法。
  2. 請求項1に記載の校正方法であって、
    前記校正用マーカは、衝立式の校正用マーカである、
    乗り物用カメラの校正方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の校正方法であって、
    前記校正用マーカは、前記自発光についてPWM制御を行う校正用マーカであり、
    前記校正用マーカの点灯周波数を、前記カメラのシャッター速度の周波数に応じて設定した状態で、前記校正用マーカが自発光し、
    前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行う、
    乗り物用カメラの校正方法。
  4. 請求項3に記載の校正方法であって、
    前記校正用マーカの前記点灯周波数を、前記カメラのシャッター速度の周波数と互いに素となる値に設定する、
    乗り物用カメラの校正方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の校正方法であって、
    前記校正用マーカの発光強度を、前記カメラが取り付けられている前記乗り物に応じて設定した状態で、前記校正用マーカが自発光し、
    前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行う、
    乗り物用カメラの校正方法。
  6. 請求項5に記載の校正方法であって、
    前記校正用マーカの発光強度を、前記校正用マーカを前記カメラで撮像する際の、前記校正用マーカと前記カメラとの間の距離が近いほどに発光強度が強くなるように設定し、
    前記校正用マーカが前記発光強度で自発光し、
    前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行う、
    乗り物用カメラの校正方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の校正方法であって、
    前記校正用マーカは、マーカ映像を表示可能なディスプレイを備え、
    前記ディスプレイに表示されるマーカ映像の位置および/またはサイズを、前記カメラが取り付けられている乗り物に応じて設定した状態で、前記校正用マーカが自発光し、
    前記カメラが、自発光した前記校正用マーカを撮像して前記カメラの校正を行う、
    乗り物用カメラの校正方法。
  8. 乗り物の製造方法であって、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の校正方法によって乗り物用カメラを校正するステップを有する、
    乗り物の製造方法。
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