JP2020146014A - トランスポゼース活性測定用ベクター、トランスポゼース活性測定用キット、トランスポゼース活性測定方法及び細胞分離方法 - Google Patents

トランスポゼース活性測定用ベクター、トランスポゼース活性測定用キット、トランスポゼース活性測定方法及び細胞分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、生細胞で、細胞のゲノムにレポーター遺伝子を導入することなくトランスポゼースの活性を測定できるトランスポゼース活性測定用ベクター、キット、トランスポゼース活性測定方法及び細胞分離方法を提供することを目的としている。【解決手段】 実施形態のトランスポゼース活性測定用ベクターは、第1及び第2のレポーター遺伝子断片と、両遺伝子断片の間に配置されたゲノム導入配列とを含む。第1及び第2のレポーター遺伝子断片はそれぞれ、レポーター遺伝子の塩基配列を二分割した5’側及び3’側の配列を含む。ゲノム導入配列は第1及び第2のトランスポゼース認識配列と、両認識配列の間に配置された目的配列とを含む。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、トランスポゼース活性測定用ベクター、トランスポゼース活性測定用キット、トランスポゼース活性測定方法及び細胞分離方法に関する。
核酸を細胞のゲノムに導入する技術において、トランスポゼースが用いられている。トランスポゼースの1種であるDNA型トランスポゼースは、両端にトランスポゼース認識配列である逆向き反復配列(Inverted Repeat Sequences:IR)を有するDNA配列を切り出す活性、及び切り出したDNA配列をゲノム上の他の位置に挿入する活性を有する酵素である。
一方、このような酵素を利用する実験や製品の製造などにおいては、正確な実験結果を得るため、又は安定した製品を提供するために、その酵素が適切に働くか否か、即ち、酵素の活性を要所で確認することが重要である。
細胞のゲノムへの核酸導入における酵素の活性を確認する方法として、例えば、導入された核酸配列(目的配列)を細胞から検出する方法がある。この方法では、例えば、細胞からDNAを抽出し、目的配列の増幅反応を行い、増幅産物の有無からを酵素の活性を測定することができる。或いは、目的配列とレポーター遺伝子とをつなげて、両者を同時に細胞のゲノムに導入する方法がある。この方法では、レポーター遺伝子からの信号が検出される細胞では目的配列も導入されたとみなすことができるため、信号を検出することにより酵素の目的配列導入活性を測定することができる。
本発明が解決しようとする課題は、生きた細胞で、細胞のゲノムにレポーター遺伝子を導入することなくトランスポゼースの活性を測定することができる、トランスポゼース活性測定用ベクター、トランスポゼース活性測定用キット、トランスポゼース活性測定方法及び細胞分離方法を提供することである。
実施形態に従うトランスポゼース活性測定用ベクターは、第1のレポーター遺伝子断片と、第2のレポーター遺伝子断片と、第1のレポーター遺伝子断片及び第2のレポーター遺伝子断片の間に配置されたゲノム導入配列とを含む。第1のレポーター遺伝子断片及び第2のレポーター遺伝子断片はそれぞれ、レポーター遺伝子をコードする塩基配列を二分割した5’側の配列及び3’側の配列を含む。ゲノム導入配列は、第1のトランスポゼース認識配列と、第2のトランスポゼース認識配列と、第1のトランスポゼース認識配列及び第2のトランスポゼース認識配列の間に配置された目的配列とを含む。
図1は、実施形態のトランスポゼース活性測定用ベクターの一例を示す模式図である。 図2は、実施形態のトランスポゼース活性測定用ベクターの一例を示す模式図である。 図3は、実施形態のトランスポゼース活性測定方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、実施形態のトランスポゼース活性測定方法における各分子の挙動を示す模式図である。 図5は、実施形態の細胞分離方法の一例を示すフローチャートである。 図6は、例1で作製されたベクター(pLuIRuC)の構成を示す模式図である。 図7は、例1で作製されたトランスポゼース活性測定用ベクター(pLuLacZuC)の構成を示す模式図である。 図8は、例2の実験結果を示すグラフである。 図9は、例2の実験結果を示す顕微鏡画像である。
以下に、図面を参照しながら種々の実施形態について説明する。各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際と異なる箇所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
実施形態に従うトランスポゼース活性測定用ベクターは、第1のレポーター遺伝子断片と、第2のレポーター遺伝子断片と、第1のレポーター遺伝子断片及び第2のレポーター遺伝子断片の間に配置されたゲノム導入配列とを含む。第1のレポーター遺伝子断片及び第2のレポーター遺伝子断片はそれぞれ、レポーター遺伝子をコードする塩基配列を二分割した5’側の配列及び3’側の配列を含む。ゲノム導入配列は、第1のトランスポゼース認識配列と、第2のトランスポゼース認識配列と、第1のトランスポゼース認識配列及び第2のトランスポゼース認識配列の間に配置された目的配列とを含む。また、実施形態によれば、トランスポゼース活性測定用ベクターを含むトランスポゼース活性測定用キット、並びにトランスポゼース活性測定用ベクターを用いたトランスポゼース活性測定方法及び細胞分離方法が提供される。以下、トランスポゼース活性測定用ベクター、トランスポゼース活性測定方法、細胞分離方法及びトランスポゼース活性測定用キットについて順に説明する。
・トランスポゼース活性測定用ベクター
実施形態に従うトランスポゼース活性測定用ベクター(以下、「第1のベクター」とも称する)は、トランスポゼースの活性の有無又は度合いを測定するためのベクターである。第1のベクターにより活性を測定されるトランスポゼースは、例えば、DNA型トランスポゼースである。DNA型トランスポゼースは、例えば、PiggyBac、SleepingBeauty、Frog Prince、Hsma、Minos、Tol1、Tol2、Passport、hAT、Ac/Ds、PIF、Harbinger、Harbinger3−DR、Himar1、Hermes、Tc3又はMos1などであるが、これらに限定されるものではない。
図1は、実施形態のトランスポゼース活性測定用ベクター(第1のベクター)の一例を示す模式図である。第1のベクター1は、環状DNA分子である。第1のベクター1は、例えばプラスミドベクターである。
第1のベクター1は、プロモーター配列2と、第1のレポーター遺伝子断片3と、ゲノム導入配列4と、第2のレポーター遺伝子断片5と、転写終結配列6とを含み、これらの各配列がこの順番で連結している。以下、プロモーター配列2と、第1のレポーター遺伝子断片3と、ゲノム導入配列4と、第2のレポーター遺伝子断片5と、転写終結配列6とを含む一連の配列をトランスポゼース活性測定ユニット7とも称する。
以下、各配列について詳細に説明する。
ゲノム導入配列4は、トランスポゼースにより切り出され得る塩基配列である。ゲノム導入配列4は、第1のトランスポゼース認識配列8及び第2のトランスポゼース認識配列9と、これら両認識配列の間に配置された目的配列10を含む。
目的配列10は、任意の配列であってよく、例えば、プロモーター配列と遺伝子と転写終結配列とを含む遺伝子発現カセット、遺伝子又はその一部、又は試験用の任意の塩基配列である。目的配列10は、約50〜約9000塩基の長さを有する塩基配列であることが好ましく、約50〜約2000塩基の長さを有する塩基配列であることがより好ましい。
第1のトランスポゼース認識配列8及び第2のトランスポゼース認識配列9は、互いに逆向きの同じ配列を含む塩基配列である。これらの配列は逆向き反復配列(Inverted Repeat Sequences:IR)とも称される。以下、第1のトランスポゼース認識配列8及び第2のトランスポゼース認識配列9をそれぞれ、第1のIR8及び第2のIR9とも称する。第1のIR8及び第2のIR9は、トランスポゼースの認識配列である逆向きの同じ配列を含めばよく、互いに異なる配列をそれぞれ含んでいてもよい。
トランスポゼースは、第1のIR8及び第2のIR9を認識して、そこに結合し、ゲノム導入配列4を切り出す。そのため、第1のIR8及び第2のIR9の塩基配列は、例えば、活性測定対象のトランスポゼースの種類に従って選択される。
トランスポゼースがPiggyBacである場合の第1のIR8及び第2のIR9の一例を以下の表1、2に示す。
Figure 2020146014

Figure 2020146014
トランスポゼースがSleepingBeautyである場合の第1のIR8及び第2のIR9のうち一方の塩基配列の一例を以下の表3に示す。他方は、例えば、下記配列の逆向き反復配列を含み得る。
Figure 2020146014
第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5はそれぞれ、一つのレポーター遺伝子をコードする塩基配列を二分割した5’側の配列及び3’側の配列を含む。第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5は、その間にゲノム導入配列4が配置されていることにより、レポーター遺伝子のレポーター活性が不活性化されている。第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5の塩基配列及び長さ、即ち、レポーター遺伝子の分割位置は、レポーター遺伝子の活性が不活性化されるように、レポーター遺伝子の種類によって選択される。第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5の塩基配列長は、互いに同じ(即ち、レポーター遺伝子を二等分して得られた断片)であってもよいし、異なっていてもよい。
レポーター遺伝子は、例えば、レポータータンパク質をコードする塩基配列である。レポーターター遺伝子は、例えば、青色蛍光タンパク質遺伝子、緑色蛍光タンパク質遺伝子又は赤色蛍光タンパク質遺伝子などの蛍光タンパク質の遺伝子;ホタルルシフェラーゼ遺伝子、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子又はNanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ遺伝子などの発光酵素タンパク質の遺伝子;キサンチンオキシダーゼ遺伝子又は一酸化窒素合成酵素遺伝子などの活性酸素生成酵素の遺伝子;或いはβ−ガラクトシダーゼ遺伝子又はクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子などの発色酵素タンパク質の遺伝子などである。
レポーター遺伝子は、細胞毒性が低く、かつ生細胞におけるレポーターの検出が可能な遺伝子であれば、後述する細胞分離方法においてトランスポゼース活性の高い生細胞の分離ができるためより好ましい。
第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5が連結されて形成されるレポーター遺伝子配列は、レポーター遺伝子由来の配列以外に、他の配列を含んでもよい。他の配列は、当該レポーター遺伝子から発現されるタンパク質が、レポーターとしての機能を失わない限りにおいては、何れの配列であってもよい。他の配列は、3の倍数の数のヌクレオチドからなる配列であり、且つ0〜20個のアミノ酸をコードする配列である。ただし、当該配列の両末端配列は、必ずしもアミノ酸をコードする必要はなく、アミノ酸をコードする配列の一部であってもよい。このような配列は、例えば、ゲノム導入配列4の切り出し後の痕跡配列を含む配列である。他の配列は、第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5が連結する領域に設けられてもよいし、その他のレポーター遺伝子配列内の領域に設けられてもよい。
また、レポーターとしての機能を失わない限りにおいては、レポーター遺伝子の任意の塩基を置換、或いは欠失させてもよい。
レポーター遺伝子がホタルルシフェラーゼ遺伝子である場合のレポーター遺伝子、第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5の塩基配列の一例を以下の表4〜6に示す。
Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014
しかしながら、レポーター遺伝子、第1のレポーター遺伝子断片3及び第2のレポーター遺伝子断片5の配列はこれらに限定されるものではない。
プロモーター配列2は、その活性により下流に連結された遺伝子の転写を開始できる公知のプロモーターの塩基配列であればよく、例えば、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター、シミアンウィルス40(SV40)プロモーター、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、ユビキチン(UbC)プロモーター、ヒトポリペプチド鎖伸長因子(EF1α)プロモーター又はサイトメガロウィルスエンハンサーとチキンβ−アクチンプロモーターのハイブリッド(CAG)プロモーター、マウス幹細胞ウィルス(MSCV)プロモーター、ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーターなどを用いることができる。
CMVプロモーターであるプロモーター配列2の塩基配列の一例を以下の表7に示す。
Figure 2020146014
プロモーター配列2は、第1のレポーター遺伝子断片3と第2のレポーター遺伝子断片5とが連結して生成するレポーター遺伝子を活性化できるよう(即ち、作動可能に)、第1のレポーター遺伝子断片3と連結されている。
転写終結配列6は、レポーター遺伝子の転写を終結するための配列である。転写終結配列6は、例えば、ポリ(A)配列を含む配列であってもよい。転写終結配列6は、例えば、シミアンウィルス40(SV40)のポリ(A)付加シグナル配列、ウシ成長ホルモン遺伝子のポリ(A)付加シグナル配列又は人工的に合成されたポリ(A)付加シグナル配列などである。ただし、転写終結配列6はこれらに限定されるものではなく、転写終結配列としての機能を有する限りにおいては、遺伝子配列を改変したものなどを用いてもよい。
ウシ成長ホルモン転写終結配列及びSV40転写終結配列の塩基配列の一例をそれぞれ表8及び表9に示す。
Figure 2020146014

Figure 2020146014
トランスポゼース活性測定用ベクター1内の、トランスポゼース活性測定ユニット7が存在する領域を除く領域には、任意の塩基配列が含まれる。このような塩基配列は、例えば、特定の機能を有する塩基配列であってもよいし、機能を持たない配列であってもよい。機能を有する塩基配列は、例えば、更なるレポーター遺伝子発現カセット、薬剤耐性遺伝子、複製開始タンパク質発現カセット及び/又は複製開始配列などである。
薬剤耐性遺伝子及び複製開始配列を含むトランスポゼース活性測定用ベクター1の一例を図2に示す。薬剤耐性遺伝子11及び複製開始配列12は、例えば、トランスポゼース活性測定ユニット7が存在する領域を除く何れかの領域に設けられてもよい。更なる実施形態において、薬剤耐性遺伝子は、異なる複数の遺伝子、例えば、薬剤耐性遺伝子Aと薬剤耐性遺伝子Bとを同時に含んでもよい(図示せず)。このような場合、薬剤耐性遺伝子Aをトランスポゼース活性測定ユニット7が存在する領域を除く何れかの領域に設け、薬剤耐性遺伝子Bをトランスポゼース活性測定ユニット7の目的配列10内に設けることができる。これにより、例えば、微生物及び哺乳動物など、薬剤の作用機構が異なる複数の生物種において、薬剤耐性細胞の選抜が可能となる。例えば、薬剤耐性遺伝子Aは、トランスポゼース活性測定用ベクター1を生産する際などに、当該ベクターが導入された細胞(例えば、大腸菌など)のスクリーニングに使用され、薬剤耐性遺伝子Bは、目的配列10が導入された細胞(例えば、哺乳動物)のスクリーニングに使用され得る。
薬剤耐性遺伝子11として、例えば、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子などを用いることができる。
複製開始配列12は、複製開始タンパク質が結合し、トランスポゼース活性測定用ベクター1の複製を開始させるための配列である。複製開始配列12として、例えば、シミアンウィルス40、エプスタイン・バー・ウィルス、マウス・ポリオーマ・ウィルス、ColE1などに由来する複製開始配列を用いることができる。複製開始タンパク質は、トランスポゼース活性測定用ベクター1が導入される細胞内にもともと存在するものであってもよいし、或いは当該細胞内に導入されたものであってもよい。複製開始タンパク質は、トランスポゼース活性測定用ベクター1内に複製開始タンパク質発現カセットを設け、そこから発現させてもよい。或いは、トランスポゼース活性測定用ベクター1とは別の複製開始タンパク質発現カセットを含むベクターを細胞に導入し、そこから発現させてもよい。
複製開始配列12を含むことにより、トランスポゼース活性測定用ベクター1が、導入された細胞内で複製されて数が増えるため、レポーター遺伝子から得られる信号が増幅され、より感度よくトランスポゼースの活性を測定することができる。
・トランスポゼース活性測定方法
実施形態によれば、以上に説明したトランスポゼース活性測定用ベクター1を用いたトランスポゼース活性測定方法が提供される。トランスポゼース活性測定方法は、対象のトランスポゼースの活性の有無又は度合いを測定する方法である。
図3はトランスポゼース活性測定方法の一例を示す概略フローを示す。当該方法は、次の工程を含む。
(S1)トランスポゼース活性測定用ベクターを細胞に導入すること、
(S2)細胞内にトランスポゼースを存在させること、
(S3)レポーター遺伝子からの信号の有無又は強度を測定すること、及び
(S4)前記測定の結果から、トランスポゼースの活性の有無又は度合いを決定すること。
上記各工程を行うことにより、トランスポゼースの活性を測定することができる原理について図4を用いて説明する。図4は、実施形態のトランスポゼース活性測定方法を実施した際の各分子の挙動の一例を示す模式図である。
トランスポゼース活性測定用ベクター(第1のベクター)1を細胞13に導入すると(工程(S1))、第1のベクター1は、核14内へ移行する(図4の(a))。また、活性を測定する対象であるトランスポゼース15を同じ細胞13内に存在させる(工程(S2))。当該トランスポゼース15もまた、核14内へ移行する(図4の(a))。
図4の(b)〜(e)では、核14内の各分子の挙動を示す。2つのトランスポゼース15がそれぞれ、第1のベクター1の第1のIR8及び第2のIR9を認識して、そこに1つずつ結合する(図4の(b))。
そして、トランスポゼース15は、第1のIR8及び第2のIR9の外側を切断する。それにより、ゲノム導入配列4が第1のベクター1から切り出される(図4の(c))。
ゲノム導入配列4の切り出しにより、第1のレポーター遺伝子断片3と第2のレポーター遺伝子断片5とが連結され、レポーター遺伝子16が形成される(図4の(d))。連結は、細胞13にもともと存在するDNA修復機構、例えば非相同末端結合により行われる。その結果、その上流に設けられたプロモーター配列2(図示せず)の活性により、レポーター遺伝子16からレポータータンパク質17が発現する。レポータータンパク質17は信号18を生じる。信号18の強度はレポータータンパク質17の発現量に相関する。
図4の(c)に示される切り出しにおいて、トランスポゼース15は、塩基配列の欠損を起こさずにゲノム導入配列4の両端を切断する。そのため、上記連結により、レポーター遺伝子16はヌクレオチド又はアミノ酸の欠損のない状態に修復され、そこから発現されるレポータータンパク質17はレポーターとして正常に機能し、信号18を生じる。
一方、切り出されたゲノム導入配列4は、図4の(e)に示すように、そこに結合する2つのトランスポゼース15同士が結合してトランスポソーム19を形成する。トランスポソーム19は、ゲノム20上の何れかの位置まで運ばれ、そこに挿入される。それによって、目的配列10が細胞13のゲノム20上に導入される。挿入は、ゲノム20上のランダムな位置に行われ得る。
以上のことから、例えば、工程(S3)において信号18の有無又は強度を測定した際に、信号18が得られた場合は、トランスポゼース15による目的配列10の切り出しが行われたとみなすことができる。
例えば、信号18が得られた場合に、トランスポゼース15が活性を有すると決定することができる。また、信号18が得られなかった場合に、トランスポゼース15が活性を有しないと決定することができる。或いは、信号18が予め設定された閾値以上の強度で得られた場合にトランスポゼース15が活性を有すると決定してもよい。そのような閾値は、例えば、活性を有することが既知であるトランスポゼースを用いて実施形態のトランスポゼース活性測定方法を実施した際に得られた信号18の強度とすることができる。
或いは、信号18の強度からトランスポゼース15の活性の度合いを決定してもよい。活性の度合いとは、検査対象のトランスポゼース全体のうち活性を有するものの割合、或いは細胞13内で発現した又は細胞13内に存在するトランスポゼースの量である。例えば、信号18の強度が強い程、レポータータンパク質17の発現量が多く、活性を有するトランスポゼースの割合又は量が多いと決定することができる。
このようにして、信号18の有無又は強度から、トランスポゼース15の活性の有無又は度合いを決定することができる。ここで、活性とは、トランスポゼース15がゲノム導入配列4を切り出す活性である。或いは、活性とは、トランスポゼース15がゲノム導入配列4を切り出し、目的配列10をゲノム20に導入する活性であってもよい。
以上に説明した実施形態のトランスポゼース活性測定方法によれば、工程(S1)〜(S4)を生細胞で行うことができる。したがって、例えば、生細胞におけるトランスポゼースの活性を正確に測定できるとともに、トランスポゼースの活性を決定した細胞を更なる分析などの工程の用いることが可能である。
また、実施形態の方法によれば核酸及び/又はレポータータンパク質の抽出など、細胞内のタンパク質が変性又は分解されるおそれのある工程を行う必要がないので、活性が測定されたトランスポゼースをインタクトな状態で更なる工程に利用することも可能である。また、当該方法によれば、核酸及び/又はレポータータンパク質の抽出などを行う必要がないので、迅速にトランスポゼースの活性を測定することができる。
また、実施形態のトランスポゼース活性測定方法によれば、レポーター遺伝子が細胞のゲノムに組み込まれない。そのため、それに起因する細胞への悪影響、例えば、細胞死や細胞のがん化などを防止することができる。
トランスポゼース活性測定方法は、例えば、活性の有無又は度合いが不明のトランスポゼースを対象として行われる。例えば、当該方法は、自ら合成したトランスポゼース、DNAやRNAの形態で細胞に導入したトランスポゼース、又は新規に発見若しくは開発されたトランスポゼースなどの活性の測定に用いることができる。或いは、トランスポゼース活性測定方法は、例えば、既存のトランスポゼースの活性の有無又は度合いを調査したいときにも用いることができる。例えば、商業的に入手したトランスポゼースの活性の測定、特定のプロセスにおけるトランスポゼースの活性の測定、新規のプロセスにおけるトランスポゼースの活性の測定、又はトランスポゼースを含む製品の品質管理などの用途にも用いることができる。或いは、実験などの一連の工程の一部としてトランスポゼースを用いた核酸の切り出し工程及び導入工程を行う場合に、更に次の工程に進むためにこれらの工程が適切に行われたか否かを確認したい場合にも用いることができる。しかしながら、用途はこれらに限定されるものではない。
細胞13は、例えば、ヒト、動物又は植物由来のもの、或いは細菌又は菌類等の微生物由来の細胞であり得る。細胞13は、好ましくは動物細胞であり、より好ましくは哺乳類細胞であり、最も好ましくはヒト細胞である。
細胞13は、生体外に取り出された細胞であってもよく、例えば、血液などの体液、組織又はバイオプシーなどから分離された細胞であってもよい。細胞13は、例えば、単離されたものであってもよいし、株化されたものであってもよい。或いは、細胞13は、生体内の細胞であってもよい。
工程(S1)における第1のベクター1の細胞13への導入は、例えば、細胞13が生体外に取り出された状態の細胞である場合、リポソーム法、リポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈殿法、カチオン性ポリマー、マイクロインジェクション、パーティクルガン又はソノポレーションなどの公知の方法で行われればよい。細胞13が生体内の細胞である場合、導入は、第1のベクター1を含む組成物を生体へ注射又は点滴することなどによって行うことができる。
工程(S2)においてトランスポゼース15を細胞13内に存在させる工程は、例えば、トランスポゼース15をコードするDNA又はRNAを細胞13に導入し、細胞13内でトランスポゼース15を発現させることにより行うことができる。その場合、例えば、トランスポゼース15は、それをコードする遺伝子を含むベクター(以下、「第2のベクター」とも称する)の形態で導入されてもよい。第2のベクターも第1のベクターと同様の方法で細胞13に導入することができる。
或いは、トランスポゼース15をタンパク質の形態で細胞に導入してもよい。その場合、リポソーム法、リポフェクション、カチオン性ポリマー又は細胞膜透過性ペプチドなどによりタンパク質形態のトランスポゼースを細胞に導入することができる。
工程(S1)及び工程(S2)は、同時に行ってもよいし、どちらかを先に行ってもよい。しかしながら、工程(S2)を先に行う場合、トランスポゼースがタンパク質として予め存在する細胞にトランスポゼース活性測定用ベクターを導入することで、トランスポゼースによるゲノム導入配列の切り出しがより迅速に行われるため好ましい。
工程(S3)における信号の検出は、例えば、生きたままの細胞13において行うことができる。しかしながら、細胞13からレポータータンパク質17を抽出して得られた抽出液において行ってもよい。
信号18は、蛍光、化学発光、生物発光、生物化学発光及び呈色などであってもよく、或いはタンパク質などの分子の呈示であってもよい。
信号18は、レポータータンパク質17自身から発せられるものであってもよい。或いは、信号18は、レポータータンパク質17と第1の物質との反応、例えば、酵素反応又は結合などにより生じるものであってもよい。第1の物質は、例えば、レポータータンパク質17が酵素である場合、その基質である。例えば、レポータータンパク質17がルシフェラーゼである場合、第1の物質は、ルシフェリンである。
或いは、信号18は、レポータータンパク質17と第1の物質との反応により生じる物質の存在を検出するための更なる検出試薬(第2の物質)に由来するものであってもよい。
このような第1及び/又は第2の物質は、工程(S3)の前に添加される。これらの物質は、その種類に応じて、細胞13の培養培地に添加してもよいし、細胞13に導入してもよい。或いは、細胞13から得られたレポータータンパク質抽出液に添加してもよい。
レポータータンパク質17が蛍光タンパク質である場合、例えば、蛍光顕微鏡やフローサイトメーターなどにより細胞13に励起光を照射して、細胞13を観察することにより、信号18が蛍光タンパク質から発生する蛍光として得られる。蛍光(信号18)の有無又は強度は、目視、イメージ解析ソフト、又はフルオロメーターなどにより測定することができる。
レポータータンパク質17がルシフェラーゼである場合、ルシフェリンを細胞13に添加し、顕微鏡で細胞13を直接観察することにより、信号18が化学発光として得られる。化学発光(信号18)の有無又は強度は、目視、イメージ解析ソフト、又はルミノメーターなどにより測定することができる。或いは、レポータータンパク質抽出液にルシフェリンを添加し、化学発光(信号18)の有無又は強度をルミノメーターなどで測定してもよい。
レポータータンパク質17がβ−ガラクトシダーゼである場合、5−ブルモー4−クロロー3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)やo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)などの基質をレポータータンパク質抽出液に加え、その溶液の吸光度を信号として測定してもよい。
レポータータンパク質17が一酸化窒素合成酵素又はキサンチンオキシダーゼである場合、基質をレポータータンパク質抽出液に加えた後に発生する活性酸素を信号として、その有無又は強度を電子スピン共鳴装置(ESR装置)などで測定してもよい。
レポータータンパク質17が重金属結合タンパク質である場合、測定可能な重金属を細胞13又はレポータータンパク質抽出液に加え、レポータータンパク質に結合した重金属を信号として、その有無又は強度を磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置、MRI撮像装置、又はX線コンピュータ断層撮影装置により測定してもよい。
信号18の測定及びトランスポゼース15の活性の測定は、一つの装置を用いて行われてもよい。装置は、例えば、第1のベクター1を導入した細胞13を収容する試料収容部と、試料収容部に収容された細胞13から信号18を検出する検出部と、検出部から送られた信号18の有無又は強度の情報からトランスポゼース15の活性の有無又は程度を算出するプログラムを備える情報処理部と、情報処理部で算出された結果を出力する出力部とを備える。
或いは、装置は、細胞13に第1のベクター1、並びに第2のベクター、第1の物質及び/又は第2の物質などの測定に必要な試薬を導入する導入部を更に備えてもよい。
・細胞分離方法
実施形態によれば、トランスポゼース活性測定用ベクター1(第1のベクター1)を用いる細胞分離方法が提供される。細胞分離方法は、トランスポゼースの活性に基づいて細胞を分離する方法である。
図5は細胞分離方法の一例を示す概略フローである。当該方法は、次の工程を含む。
(S11)トランスポゼース活性測定用ベクター1を細胞13に導入すること、
(S12)細胞13内にトランスポゼース15を存在させること、及び
(S13)レポーター遺伝子16からの信号18の有無又は強度に基づいて、細胞13を分離すること。
工程(S11)及び(S12)は前記トランスポゼース活性測定方法の工程(S1)及び(S2)と同様に行うことができる。
工程(S13)では、まず、例えば前記工程(S3)で説明した方法と同様に信号18の有無又は強度を測定する。そして、例えば、信号18が得られた細胞13と信号18が得られない細胞13とを分離する。或いは信号18の強度が閾値以上の細胞13と閾値未満の細胞13とを分離してもよい。
工程(S13)は、公知の何れかの手段により行われればよい。例えば、工程(S13)は、セルソーターなどのフローサイトメトリーの技術を用いて行うことができる。或いは、細胞13を顕微鏡で観察しながら所望の細胞を手作業で分離してもよい。その場合、細胞を吸引及び吐出できる微細なプローブなどを用いて分離を行うことができる。
例えば、信号18が得られた又は閾値以上の強度で得られた細胞13では、トランスポゼース15がゲノム導入配列4を切り出す活性を有するとみなすことができる。したがって、このような細胞を分離すれば、ゲノム導入配列4が第1のベクター1から切り出された細胞13及び/又は活性を有するトランスポゼース15を含む細胞13を分離することができる。
更に、ゲノム導入配列4を切り出す活性を有するトランスポゼース15は、加えてゲノム導入配列4をゲノム20に導入する活性を有するとみなすこともできる。そのため、信号18が得られた又は閾値以上の強度で得られた細胞13では、目的配列10のゲノム20への導入が行われた可能性が高い。故に、このような細胞を分離すれば、目的配列10が導入された細胞13を分離することが可能である。
以上に説明した実施形態の細胞分離方法によれば、目的の生細胞を分離することができる。したがって、分離された細胞を更なる分析などの工程に用いることが可能である。また、実施形態の細胞分離方法によれば、レポーター遺伝子がゲノムに組み込まれない。したがって、分離された細胞を用いる更なる工程において、それに起因する悪影響、例えば、細胞死や細胞のがん化を防止することができる。
・トランスポゼース活性測定用キット
実施形態によれば、トランスポゼース活性測定用キットも提供される。当該キットは、トランスポゼース活性測定用ベクター1(第1のベクター1)と、信号18を検出するための試薬とを含む。
第1のベクター1は、例えば、溶媒に含まれた組成物として提供される。溶媒は、例えば、エンドトキシンフリー水、PBS、TEバッファー又はHEPESバッファーなどを用いることができる。
試薬は、例えば、上記第1の物質、第2の物質、賦形剤、安定剤、希釈剤及び/又は補助剤などを含む。
キットは、リポソーム、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、塩化カルシウム又はアパタイト・ナノ粒子などの第1のベクター1を担持するためのキャリアを含んでもよい。第1のベクター1はこれらのキャリアに担持された状態で組成物に含まれていてもよい。
第1のベクター1及び試薬は、個別に又は何れかの成分が組み合わされて容器に含まれて提供される。
[例]
例1.トランスポゼース活性測定用ベクターの作製
PiggyBacトランスポゼースの認識配列である5’IR(配列番号1)と3’IR(配列番号2)との間にマルチクローニング配列を配した、表10に示す人工DNA(配列番号10)を合成した(BEX製)。
Figure 2020146014
サイトメガロウィルス(CMV)のプロモーター配列(配列番号7)とルシフェラーゼ遺伝子(配列番号4)とウシ成長ホルモン転写終結配列(配列番号8)とからなるルシフェラーゼ発現カセットが組込まれたベクター(pCMV−Luc)のルシフェラーゼ遺伝子内部に、上記人工DNA(配列番号10)を組込んだ。人工DNAは、ルシフェラーゼ遺伝子の5’側領域(配列番号5)と3’側領域(配列番号6)との間に組み込んだ。それによって、ベクター:pLuIRuC(配列番号11、表11)を得た(図6)。
Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014
次に、pLuIRuCのマルチクローニング配列内に、CMVプロモーター配列(配列番号12、表12)と、LacZ遺伝子(配列番号13、表13)と、シミアン40ウィルス(SV40)転写終結配列(配列番号9)とからなるβ−ガラクトシダーゼ発現カセットを組込んだ第1のトランスポゼース活性測定用ベクター:pLuLacZuC(配列番号14、表14)を作製した(図7)。
Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014

Figure 2020146014
例2.pLuLacZuCによるPiggyBac活性の測定
TexMACS培地(ミルテニーバイオテク製)で培養したヒトT細胞性白血病細胞(Jurkat、ATCC製)を遠心で回収した後、Opti−MEM(Gibco、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)で洗浄した後、1.0×10細胞/mlとなるようにOpti−MEMに縣濁した。
この細胞縣濁液100μLに、例1で作製したpLuLacZuCとPiggyBac発現用ベクター(pCMV−PiggyBac)とを表15に示す量で添加した。
Figure 2020146014
添加後、エレクトロポレーションによりJurkatに両ベクターを導入した。エレクトロポレーションは、CUY21 EDIT II(BEX製)を使用して、表16に示す条件で実施した。
Figure 2020146014
エレクトロポレーションが終了した後、細胞縣濁液に200μLのTexMACSを加え、48ウェル培養プレート(Nunc製)で37℃、5%CO雰囲気で培養した。
エレクトロポレーションから24時間後、培養プレートをインキュベータから取り出し、培養液100μLを96ウェルプレートに回収して、One−Glo Luciferase Assay System(プロメガ製)で、ルシフェラーゼの発光強度をルミノメーター(Infinite(登録商標)F200 PRO、テカン製)で測定した。測定は、キットと装置に添付のマニュアルに従って行った。
図8にルシフェラーゼ発光測定の結果を示す。pLuLacZuCのみを導入したJurkatに対して、pCMV−PiggyBacとpLuLacZuCとを共導入したJurkatでは高い発光強度が測定された。また、共導入Jurkatにおける発光強度は、導入したベクターの量に依存して増加した。
このことから、共導入したJurkatにおいては、pCMV−PiggyBacから発現されたPiggyBacが、pLuLacZuCの5’IR及び3’IRに挟まれた領域を切り出し、ルシフェラーゼ遺伝子が形成され、ルシフェラーゼが発現したことが示された。したがって、pLuLacZuCが、細胞集団におけるPiggyBacの活性を測定するためのベクターとして有効に機能することが明らかとなった。
更に、pLuLacZuCによって細胞ごとにPiggyBacの活性を測定できるか否かを検証した。エレクトロポレーションから24時間後、pLuLacZuC(10μg)とpCMV−PiggyBac(10μg)を共導入したJurkat、及びpLuLacZuC(10μg)を単独で導入したJurkatの培養プレートをインキュベータから取り出し、培養液100μLを4ウェル培養ディッシュに移した。ルシフェラーゼ基質(Live Cell Luciferase Assay Kit、プロメガ製)を添加し、培養ディッシュを発光顕微鏡システム(LV200、オリンパス製)の所定の位置にセットした後に、細胞の明視野像及び発光像を撮影した。
図9に、細胞の明視野像及び発光像をMetamorphソフトウェアで重ね合わせた像を示す。図9の(a)に示す通り、pLuLacZuCとpCMV−PiggyBacを共導入したJurkatでは発光細胞(図中矢印)が検出された。対して、図9の(b)に示す通り、pLuLacZuCを単独で導入した場合では、ルシフェラーゼ発光を有する細胞は検出されなかった。この結果は、pCMV−PiggyBacを共導入したJurkatではPiggyBacによる目的配列の切り出しが行われ、ルシフェラーゼ遺伝子が形成されて発現したことを示している。このことから、実施形態のトランスポゼース活性測定用ベクターによれば、トランスポゼースの活性の有無を細胞ごとに測定できることが示された。
1…トランスポゼース活性測定用ベクター
2…プロモーター配列
3…第1のレポーター遺伝子断片
4…ゲノム導入配列
5…第2のレポーター遺伝子断片
6…転写終結配列
7…トランスポゼース活性測定ユニット
8…第1のIR
9…第2のIR
10…目的配列
11…薬剤耐性遺伝子
12…複製開始配列
13…細胞15…トランスポゼース
16…レポーター遺伝子
17…レポータータンパク質
18…信号
20…ゲノム

Claims (28)

  1. トランスポゼースの活性を測定するためのベクターであって、
    第1のレポーター遺伝子断片と、第2のレポーター遺伝子断片と、前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片の間に配置されたゲノム導入配列とを含み、
    前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片はそれぞれ、レポーター遺伝子をコードする塩基配列を二分割した5’側の配列及び3’側の配列を含み、
    前記ゲノム導入配列は、第1のトランスポゼース認識配列と、第2のトランスポゼース認識配列と、前記第1のトランスポゼース認識配列及び前記第2のトランスポゼース認識配列の間に配置された目的配列とを含む、
    トランスポゼース活性測定用ベクター。
  2. 前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片は、その間に前記ゲノム導入配列が配置されていることにより、前記レポーター遺伝子のレポーター活性が不活性化されている請求項1に記載のベクター。
  3. 前記トランスポゼースは、DNA型トランスポゼースである請求項1又は2に記載のベクター。
  4. 前記DNA型トランスポゼースは、PiggyBac、SleepingBeauty、Frog Prince、Hsma、Minos、Tol1、Tol2、Passport、hAT、Ac/Ds、PIF、Harbinger、Harbinger3−DR、Himar1、Hermes、Tc3又はMos1である請求項3に記載のベクター。
  5. 前記第1のトランスポゼース認識配列及び前記第2のトランスポゼース認識配列は、互いに逆向きの反復配列を含む請求項1〜4の何れか1項に記載のベクター。
  6. 薬剤耐性遺伝子及び/又は複製開始配列を更に含む請求項1〜5の何れか1項に記載のベクター。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のトランスポゼース活性測定用ベクター、及び
    前記レポーター遺伝子から発現されるレポータータンパク質を検出するための試薬
    を含むトランスポゼース活性測定用キット。
  8. 第1のレポーター遺伝子断片と、第2のレポーター遺伝子断片と、前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片の間に配置されたゲノム導入配列とを含み、前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片はそれぞれ、レポーター遺伝子をコードする塩基配列を二分割した5’側の配列及び3’側の配列を含み、前記ゲノム導入配列は、第1のトランスポゼース認識配列と、第2のトランスポゼース認識配列と、前記第1のトランスポゼース認識配列及び前記第2のトランスポゼース認識配列の間に配置された目的配列とを含む、トランスポゼース活性測定用ベクター(以下、「第1のベクター」と称する)を用いて、トランスポゼースの活性を測定する方法であって、
    (S1)前記第1のベクターを細胞に導入すること、
    (S2)前記細胞内に前記トランスポゼースを存在させること、
    (S3)前記レポーター遺伝子からの信号の有無又は強度を測定すること、及び
    (S4)前記測定の結果から、前記トランスポゼースの活性の有無又は度合いを決定すること
    を含むトランスポゼース活性測定方法。
  9. 前記トランスポゼース活性測定用ベクターの前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片は、その間に前記ゲノム導入配列が配置されていることにより、前記レポーター遺伝子のレポーター活性が不活性化されている請求項8に記載の方法。
  10. 前記信号は、前記トランスポゼースによって前記第1のベクターから前記ゲノム導入配列が切り出されることにより、前記第1のレポーター遺伝子断片と前記第2のレポーター遺伝子断片とが連結され、前記レポーター遺伝子からレポータータンパク質が発現した場合に生じる請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記トランスポゼースの活性は、前記トランスポゼースが前記ゲノム導入配列を切り出す活性である、請求項8〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記トランスポゼースの活性は、前記トランスポゼースが前記ゲノム導入配列を切り出し、前記ゲノム導入配列を前記細胞のゲノムに導入する活性である、請求項8〜10の何れか1項に記載の方法。
  13. 前記第1のレポーター遺伝子断片と前記第2のレポーター遺伝子断片とが非相同末端結合により連結される請求項8〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 前記工程(S1)〜(S4)は、生細胞で行われる、請求項8〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 前記トランスポゼースは、DNA型トランスポゼースである請求項8〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 前記DNA型トランスポゼースは、PiggyBac、SleepingBeauty、Frog Prince、Hsma、Minos、Tol1、Tol2、Passport、hAT、Ac/Ds、PIF、Harbinger、Harbinger3−DR、Himar1、Hermes、Tc3又はMos1である請求項15に記載の方法。
  17. 前記トランスポゼース活性測定用ベクターの前記第1のトランスポゼース認識配列及び前記第2のトランスポゼース認識配列は、互いに逆向きの反復配列を含む請求項8〜16の何れか1項に記載の方法。
  18. 第1のレポーター遺伝子断片と、第2のレポーター遺伝子断片と、前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片の間に配置されたゲノム導入配列とを含み、前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片はそれぞれ、レポーター遺伝子をコードする塩基配列を二分割した5’側の配列及び3’側の配列を含み、前記ゲノム導入配列は、第1のトランスポゼース認識配列と、第2のトランスポゼース認識配列と、前記第1のトランスポゼース認識配列及び前記第2のトランスポゼース認識配列の間に配置された目的配列とを含む、トランスポゼース活性測定用ベクター(以下、「第1のベクター」と称する)を用いて、トランスポゼースの活性に基づいて細胞を分離する方法であって、
    (S11)前記第1のベクターを細胞に導入すること、
    (S12)前記細胞内に前記トランスポゼースを存在させること、
    (S13)前記レポーター遺伝子からの信号の有無又は強度に基づいて、前記細胞を分離すること
    を含む細胞分離方法。
  19. 前記トランスポゼース活性測定用ベクターの前記第1のレポーター遺伝子断片及び前記第2のレポーター遺伝子断片は、その間に前記ゲノム導入配列が配置されていることにより、前記レポーター遺伝子のレポーター活性が不活性化されている請求項18に記載の方法。
  20. 前記信号は、前記トランスポゼースによって前記第1のベクターから前記ゲノム導入配列が切り出されることにより、前記第1のレポーター遺伝子断片と前記第2のレポーター遺伝子断片とが連結され、前記レポーター遺伝子からレポータータンパク質が発現した場合に生じる請求項18又は19に記載の方法。
  21. 前記第1のレポーター遺伝子断片と前記第2のレポーター遺伝子断片とが非相同末端結合により連結される請求項18〜20の何れか1項に記載の方法。
  22. 前記工程(S13)において、前記信号の有無又は強度に基づいて、前記トランスポゼースの活性の有無又は度合いを決定し、それに基づいて前記細胞を分離する、請求項18〜21の何れか1項に記載の方法。
  23. 前記工程(S13)において、前記信号が得られた前記細胞と、前記信号が得られない前記細胞とが分離される、請求項18〜22の何れか1項に記載の方法。
  24. 前記工程(S13)において、前記信号の強度が予め定められた閾値以上で得られた前記細胞と、前記信号の強度が前記閾値未満の前記細胞とが分離される請求項18〜22の何れか1項に記載の方法。
  25. 前記細胞のゲノムに前記目的配列が導入された前記細胞が分離される、請求項18〜24の何れか1項に記載の方法。
  26. 前記トランスポゼースは、DNA型トランスポゼースである請求項18〜25の何れか1項に記載の方法。
  27. 前記DNA型トランスポゼースは、PiggyBac、SleepingBeauty、Frog Prince、Hsma、Minos、Tol1、Tol2、Passport、hAT、Ac/Ds、PIF、Harbinger、Harbinger3−DR、Himar1、Hermes、Tc3又はMos1である請求項26に記載の方法。
  28. 前記トランスポゼース活性測定用ベクターの前記第1のトランスポゼース認識配列及び前記第2のトランスポゼース認識配列は、互いに逆向きの反復配列を含む請求項18〜27の何れか1項に記載の方法。
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