JP2020140668A - 分析装置、分析方法及びプログラム - Google Patents

分析装置、分析方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】仕訳テストの作業効率を向上させる分析装置、分析方法及びプログラムを提供する。【解決手段】分析装置10は、仕訳データの正当性を分析する。分析装置10は、分析対象である複数の仕訳データを格納する記憶部100と、記憶部に格納された複数の仕訳データの各々を複数の分析ロジックに基づいて分析することで、複数の仕訳データの各々に対して、分析ロジックごとに決定される点数を付与する分析部102と、分析部により複数の仕訳データの各々に付与される点数を含む分析結果データを出力する出力部103と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、分析装置、分析方法及びプログラムに関する。
仕訳テストとは、会社の財務諸表を構成する一会計期間に発生した仕訳に対し、監査人が分析を行うことで、不正や誤謬による仕訳により財務数値に虚偽が発生していないかを検証する手続である(例えば非特許文献1参照)。
"財務諸表監査における不正",[online],平成23年12月22日,日本公認会計士協会 監査基準委員会,[平成31年1月10日検索],インターネット<URL:https://jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-24-240-2-20111215.pdf>
現在、仕訳テストは、基本的に監査人が仕訳データを人手で分析することで行うことが多い。仕訳テストは、監査対象企業から提供される膨大な仕訳データを分析する必要があることから、このような仕訳テストのやり方は効率的であるとはいえない。
そこで、本発明は、仕訳テストの作業効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る分析装置は、仕訳データの正当性を分析する分析装置であって、分析対象である複数の仕訳データを格納する記憶部と、記憶部に格納された複数の仕訳データの各々を複数の分析ロジックに基づいて分析することで、複数の仕訳データの各々に対して、分析ロジックごとに決定される点数を付与する分析部と、分析部により複数の仕訳データの各々に付与される点数を含む分析結果データを出力する出力部と、を有する。
本発明によれば、仕訳テストの作業効率を向上させることが可能な技術を提供することができる。
本実施形態に係る仕訳テストシステムの構成例を示す図である。 分析装置が行う処理手順の概要を示すフローチャートである。 分析装置に格納された仕訳データの概要を示す図である。 分析装置のハードウェア構成例を示す図である。 分析装置の機能ブロック構成例を示す図である。 分析ロジック1の具体例その1を説明するための図である。 分析ロジック1の具体例その2を説明するための図である。 分析ロジック2の具体例を説明するための図である。 分析ロジック3の具体例を説明するための図である。 分析ロジック4の具体例その1を説明するための図である。 分析ロジック4の具体例その2を説明するための図である。 分析ロジック5の具体例を説明するための図である。 分析結果データ例を示す図である。
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る仕訳テストシステムの構成例を示す図である。図1に示す仕訳テストシステムは、仕訳テストにおいて仕訳データの正当性を分析する分析装置10と、仕訳データの正当性を分析した結果を示す分析結果データを表示する端末20とを含む。分析装置10及び端末20は、通信ネットワークを介して相互に通信することができる。
分析装置10は、仕訳テスト対象の会社から提供された仕訳データを分析することで、仕訳データごとに、不正や誤謬が含まれている可能性を示す点数を付与する。また、分析装置10は、仕訳データごとに付与された点数を格納した分析結果データを端末20に出力する。分析装置10は、1又は複数のサーバから構成されていてもよいし、仮想的なサーバを用いて構成されていてもよい。また、端末20は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器等であってもよい。
図2は、分析装置10が行う処理手順の概要を示すフローチャートである。まず、分析装置10は、仕訳テスト対象の会社から提供された仕訳データを、オフライン又はオンラインで取得して、分析装置10が備えるDB(DataBase)に格納する(S10)。
ここで、分析装置10に格納された仕訳データの概要を図3に示す。仕訳データには、例えば、仕訳データを一意に識別する仕訳Noと、仕訳データが入力された日を示す入力日と、借方の勘定科目及び金額と、貸方の勘定科目及び金額とが格納されている。図3の例は一例に過ぎず、他のデータ項目も含まれ得る。また、図3の例では、1行が1件の仕訳データに該当するが、これに限定されず、1件の仕訳データが複数行から構成されるものであってもよい。後者の場合、1件の仕訳データを構成する複数の行に、同一の仕訳データIDが付与される。図2に戻り説明を続ける。
続いて、分析装置10は、データベースに格納された仕訳データを1件ずつ、分析ロジックに基づいて分析する。分析に用いる分析ロジックは、分析装置10内に予め複数定義されており、以下のパターンに分けられる。1つ目のパターンは、例えば、仕訳データに含まれる各データ値が正常値の範囲に含まれているか否かを分析するといったように、仕訳データ単体で不正や誤謬の可能性を判断する分析ロジックである。2つ目のパターンは、仕訳データに含まれる各データ値について分析対象となる仕訳データ全体の傾向から外れたデータ値の有無を分析するといったように、複数の仕訳データを総合的に分析することで不正や誤謬の可能性を判断する分析ロジックである。
分析装置10は、仕訳データをこれらの分析ロジックに従って分析することで、仕訳データごと、かつ、分析ロジックごとに点数を付与していく(S20)。点数は、例えば、点数が大きいほど不正や誤謬の可能性が高いことを示すものであってもよいし、点数が大きいほど、不正や誤謬の可能性が低いことを示すものであってもよい。本実施形態では、説明の便宜上、点数が大きいほど不正や誤謬の可能性が高いことを示すものとして説明する。
続いて、分析装置10は、各仕訳データについて分析が完了すると、仕訳データごと、かつ、分析ロジックごとに付与された点数を格納した分析結果データを出力する(S30)。
その後、監査人は、出力された分析結果データを参照し、点数の合計値が高い仕訳データを中心に仕訳データの内容を詳細に確認することで、不正や誤謬の有無を判断する。本実施形態に係る仕訳テストシステムによれば、不正や誤謬が含まれている可能性が高い仕訳データを自動的に抽出することができることから、監査人において仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
<ハードウェア構成>
図4は、分析装置10のハードウェア構成例を示す図である。分析装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
<機能ブロック構成>
図5は、分析装置10の機能ブロック構成例を示す図である。分析装置10は、記憶部100と、取得部101と、分析部102と、出力部103とを含む。取得部101と、分析部102と、出力部103ととは、分析装置10のCPU11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD−ROM等の記憶媒体であってもよい。また、記憶部100は、分析装置10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。
記憶部100は、仕訳テスト対象である複数の仕訳データを格納する仕訳データDB(DataBase)100aと、分析結果データを格納する分析結果データDB100bとを記憶する。
取得部101は、仕訳テスト対象の会社から提供された仕訳データを、オフライン又はオンラインで取得して仕訳データDB100aに格納する機能を有する。ここで、各企業にて作成する仕訳データのフォーマットは、各社独自仕様のフォーマットであることが多い。そのため、取得部101は、取得した仕訳データのフォーマットを、分析装置10が用いる所定のフォーマットに変換する機能を有していてもよい。
分析部102は、記憶部100に格納された複数の仕訳データの各々を複数の分析ロジックに基づいて分析することで、複数の仕訳データの各々に対して、分析ロジックごとに決定される点数を付与する機能を有する。
例えば、分析部102は、複数の仕訳データに対になる関係を有する第1データ項目と第2データ項目とが含まれている場合に、第1データ項目に第1データが格納され第2データ項目に第2データが格納される第1組み合わせパターンを有する仕訳データの数と、第1データ項目に第2データが格納され第2データ項目に第1データが格納される第2組み合わせパターンを有する仕訳データの数とを算出し、算出した仕訳データの数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データに対して所定の点数を付与するようにしてもよい。
また、分析部102は、複数の仕訳データについて、各々の仕訳データに含まれる入力時刻を比較することで、他の仕訳データと比較して入力時刻が乖離していると判定される仕訳データに対して所定の点数を付与するようにしてもよい。
また、分析部102は、複数の仕訳データのうち貸方の勘定科目又は借方の勘定科目が同一である複数の仕訳データについて、入力日が同一である仕訳データ群に含まれる仕訳データの数を、入力日が異なる他の仕訳データ群に含まれる仕訳データの数と比較することで、他の仕訳データ群と比較して仕訳データの数が乖離していると判定される仕訳データ群に含まれる仕訳データに対して所定の点数を付与するようにしてもよい。
また、分析部102は、複数の仕訳データについて、各々の仕訳データに含まれる金額を比較することで、他の仕訳データと比較して金額が乖離していると判定される仕訳データに対して所定の点数を付与するようにしてもよい。
また、分析部102は、複数の仕訳データについて、LOF(Local Outlier Factor:ローカル外れ値ファクタ)を用いて算出した、各々の仕訳データに含まれる入力時刻及び金額の2次元空間におけるスコアを比較することで、他の仕訳データと比較してスコアが外れていると判定される仕訳データに対して所定の点数を付与するようにしてもよい。
出力部103は、分析部102によって複数の仕訳データの各々に付与される点数を含む分析結果データを出力する機能を有する。
<分析処理>
続いて、分析部102が仕訳データを分析する際に用いる分析ロジックのうち、複数の仕訳データ全体を総合的に分析することで不正や誤謬の可能性を判断する分析ロジックの具体例を説明する。
(分析ロジック1)
分析ロジック1は、複数の仕訳データの中に、対になる関係を有する2つのデータ項目(以下、分析ロジック1の説明において、第1データ項目と第2データ項目と言う。)が存在し、かつ、第1データ項目及び第2データ項目に格納されるデータの組み合わせに規則性があることが前提となる。この前提において、第1データ項目及び第2データ項目に格納されるデータの組み合わせが通常とは逆になっている仕訳データが存在する場合に、当該逆になっている仕訳データに対して点数を付与する。
対になる関係を有する2つのデータ項目とは、例えば、借方の勘定科目及び貸方の勘定科目、借方の金額及び貸方の金額、並びに、仕訳データの入力者及び仕訳データの承認者などが挙げられる。
具体的には、分析部102は、まず、分析対象の複数の仕訳データを分析することで、第1データ項目にデータA(第1データ)が格納され第2データ項目にデータB(第2データ)が格納される組み合わせパターン1(第1組み合わせパターン)を有する仕訳データの数と、第1データ項目にデータBが格納され第2データ項目にデータAが格納される組み合わせパターン2(第2組み合わせパターン)を有する仕訳データの数とを算出する。
続いて、分析部102は、算出した組み合わせパターン1に対応する仕訳データの数と、組み合わせパターン2に対応する仕訳データの数とについて、数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データの数を、数が多い方の組み合わせパターンに対応する仕訳データの数で除算した値が、閾値A(所定の閾値)以下である場合に、数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データに対して所定の点数を付与し、他の仕訳データに対しては0点を付与する。
所定の点数は任意であるが、例えば、分析ロジック1を適用した結果、各仕訳データに付与する点数の合計が1になるように点数を付与するようにしてもよい。具体的には、「1」を数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データの数で除算した値を、各仕訳データに付与する点数としてもよい。
図6は、分析ロジック1の具体例その1を説明するための図である。図6の例では、対になる関係を有する2つのデータは、借方の勘定科目と、貸方の勘定科目である。以下の説明では、第1データ項目を借方の勘定科目とし、第2データ項目を貸方の勘定科目とする。閾値Aの値は任意であるが、図6の例では0.3であるものとする。また、図6に示すデータ項目の中で、「仕訳No」、「借方の勘定科目」、「借方の金額」、「貸方の勘定科目」及び「貸方の金額」は仕訳データに該当し、その他のデータ項目については、分析部102が分析を進める中で便宜上付与するデータを意図している(図7については「入力者」及び「承認者」も仕訳データに該当)。
図6に示す複数の仕訳データのうち、第1データ項目に広告宣伝費が格納され、第2データ項目に未払金が格納されている組み合わせパターン(組み合わせパターン1とする)である仕訳データの数は10件である。また、第1データ項目に未払金が格納され、第2データ項目に広告宣伝費が格納されている組み合わせパターン(組み合わせパターン2とする)である仕訳データの数は2件である。この場合、数が少ない方の組み合わせパターン(組み合わせパターン2)のを数が多い方の組み合わせパターンである組み合わせパターン1の数で除算した値は、2÷10=0.2であり、閾値Aの値(0.3)以下である。従って、分析部102は、組み合わせパターン2に対応する仕訳データ(No6、No9)に対して点数を付与する。
図6の例では、付与する点数は、「1」を数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データの数で除算した値を、各仕訳データに付与する点数としている。つまり、図6の例では、1÷2=0.5点を、No6及びNo9の仕訳データに付与している。
図7は、分析ロジック1の具体例その2を説明するための図である。図7の例では、対になる関係を有する2つのデータは、仕訳データの入力者と、仕訳データの承認者である。以下の説明では、第1データ項目を入力者とし、第2データ項目を承認者とする。閾値Aの値は任意であるが、図7の例では0.3であるものとする。
図7に示す複数の仕訳データのうち、第1データ項目に鈴木が格納され、第2データ項目に佐藤が格納されている組み合わせパターン(組み合わせパターン1とする)である仕訳データの数は14件である。また、第1データ項目に佐藤が格納され、第2データ項目に鈴木が格納されている組み合わせパターン(組み合わせパターン2とする)である仕訳データの数は2件である。この場合、数が少ない方の組み合わせパターン(組み合わせパターン2)のを数が多い方の組み合わせパターンである組み合わせパターン1の数で除算した値は、2÷14=約0.14であり、閾値Aの値(0.3)以下である。従って、分析部102は、組み合わせパターン2に対応する仕訳データ(No6、No9)に対して点数を付与する。
図7の例では、付与する点数は、「1」を数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データの数で除算した値を、各仕訳データに付与する点数としている。つまり、図7の例では、1÷2=0.5点を、No6及びNo9の仕訳データに付与している。
以上、図6の例では、借方の勘定科目及び貸方の勘定科目がそれぞれ広告宣伝費及び未払金である組み合わせが多いところ、組み合わせが逆である仕訳データについては仕訳データの入力誤りの可能性がある。同様に、図7の例では、入力者及び承認者がそれぞれ鈴木及び佐藤である組み合わせが多いところ、組み合わせが逆である仕訳データについては仕訳データの入力誤りの可能性がある。このような仕訳データの入力誤りを、膨大な数の仕訳データの中から人手で漏れなく抽出することは困難である。従って、分析装置10がこのような仕訳データを抽出して点数を付与することで、仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
(分析ロジック2)
分析ロジック2は、仕訳データの中に入力時刻が含まれている場合において、入力時刻が乖離している仕訳データが存在する場合、当該仕訳データに点数を付与する。
具体的には、分析部102は、分析対象の複数の仕訳データに含まれる仕訳データごとに、当該仕訳データの入力時刻を他の仕訳データの入力時刻と比較した場合の乖離度合いを示す値を算出する。当該乖離度合いを示す値とは、例えば「z得点の絶対値」又は「偏差値」であってもよい。続いて、分析部102は、算出した乖離度合いを示す値が閾値B(所定の閾値)以上である仕訳データに対して所定の点数を付与し、他の仕訳データに対しては0点を付与する。
所定の点数は任意であるが、例えば、乖離度合いを示す値の想定最大値tを予め定めておき、「乖離度合いを示す値をtで除算した値」と「1」のうち小さい方の値を点数とするようにしてもよい。
図8は、分析ロジック2の具体例を説明するための図である。図8の例では、乖離度合いを示す値は「z得点の絶対値」であるものとする。閾値Bの値は任意であるが、図8の例では1.5であるものとする。また、点数は、「(z値の絶対値)÷t」と「1」のうち小さい方とし、t=3とする。また、図8に示すデータ項目の中で、「仕訳No」、「借方の勘定科目」、「借方の金額」、「貸方の勘定科目」、「貸方の金額」、「入力者」、「入力日」及び「入力時刻」は仕訳データに該当し、その他のデータ項目については、分析部102が分析を進める中で便宜上付与するデータを意図している(後述する図12も同様)。
分析部102は、まず、分析対象の複数の仕訳データについて入力時刻の平均時刻と標準偏差とを算出する。図8の例では、各仕訳データの入力時刻の平均時刻は「14:10(14時10分)」になる。また、各仕訳データの入力時刻の標準偏差は「3:15(3時間15分)」になる。続いて、分析部102は、仕訳データごとにz得点の絶対値を算出する。z得点は、(入力時刻−分析対象の複数の仕訳データにおける入力時刻の平均時刻)÷(分析対象の複数の仕訳データにおける入力時刻の標準偏差)で算出することができる。算出した結果を図8の「z得点の絶対値」欄に示す。図8の例では、「z得点の絶対値」が閾値B以上である仕訳データは、No6とNo9の仕訳データである。また、No6とNo9の仕訳データのz得点の絶対値はそれぞれ2.91及び2.69であり、「(z値の絶対値)÷t」の値は、それぞれ、0.97及び0.90である。従って、No6とNo9の仕訳データに付与される点数は、それぞれ、0.97及び0.90になる。
なお、分析部102は、入力者が同一である仕訳データを抽出し、抽出した当該仕訳データに対して分析ロジック2を適用することとしてもよい。具体的には、分析部102は、入力者が同一である複数の仕訳データに含まれる仕訳データごとに、当該仕訳データの入力時刻を他の仕訳データの入力時刻と比較した場合の乖離度合いを示す値を算出する。続いて、分析部102は、入力者が同一である複数の仕訳データのうち、乖離度合いを示す値が閾値B(所定の閾値)以上である仕訳データに対して所定の点数を付与する。
複数の仕訳データの中で、入力時刻が通常の入力時刻よりも乖離している仕訳データについては、何らかの不正が行われた可能性が想定される。また、入力者が同一である仕訳データに対して適用する場合についても、ある入力者が通常入力を行う時刻とは異なる時刻に仕訳データを入力した場合には、何らかの不正が行われた可能性が想定される。このような仕訳データを、膨大な数の仕訳データの中から人手で漏れなく抽出することは困難である。従って、分析装置10がこのような仕訳データを抽出して点数を付与することで、仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
(分析ロジック3)
分析ロジック3は、借方の勘定科目(又は貸方の勘定科目)が同一であり、かつ、同一の入力日に入力された1以上の仕訳データを含む仕訳データ群の中で、仕訳データ群に含まれる仕訳データの数が乖離している仕訳データが存在する場合、当該仕訳データ群に含まれる仕訳データに点数を付与する。つまり、勘定科目が同一であり同日に複数入力されることが通常である仕訳データの中で、入力件数が乖離している(通常より入力件数が少ないか又は多い)仕訳データに対して点数を付与する。
具体的には、分析部102は、分析対象である複数の仕訳データの中から、貸方の勘定科目又は借方の勘定科目が同一である仕訳データ群(以下、「第1仕訳データ群」という。)を抽出する。続いて、分析部102は、抽出した第1仕訳データ群について、更に、入力日が同一である仕訳データ群(第2仕訳データ群)を抽出する。続いて、分析部102は、抽出した第2仕訳データ群に含まれる仕訳データの数を第2仕訳データ群ごとに算出する。続いて、分析部102は、第2仕訳データ群ごとに、当該第2仕訳データ群に含まれる仕訳データの数を、他の第2仕訳データ群に含まれる仕訳データの数と比較した場合の乖離度合いを示す値を算出する。当該乖離度合いを示す値は、例えば「z得点の絶対値」又は「偏差値」であってもよい。続いて、分析部102は、算出した乖離度合いを示す値が閾値C(所定の閾値)以上である第2仕訳データ群に含まれる仕訳データに対して、所定の点数を付与し、他の仕訳データに対しては0点を付与する。
所定の点数は任意であるが、例えば、乖離度合いを示す値の想定最大値tを予め定めておき、「乖離度合いを示す値をtで除算した値」と「1」のうち小さい方の値を点数とするようにしてもよい。
図9は、分析ロジック3の具体例を説明するための図である。図9の例では、乖離度合いを示す値は「z得点の絶対値」であるものとする。閾値Cの値は任意であるが、図9の例では1.5であるものとする。また、点数は、「(z値の絶対値)÷t」と「1」のうち小さい方とし、t=2とする。また、図9に示すデータ項目の中で、「仕訳No」、「借方の勘定科目」、「借方の金額」、「貸方の勘定科目」、「貸方の金額」及び「入力日」は仕訳データに該当し、その他のデータ項目については、分析部102が分析を進める中で便宜上付与するデータを意図している。
分析部102は、複数の仕訳データの中から、貸方の勘定科目又は借方の勘定科目が同一である第1仕訳データ群を抽出する。図9の例は、貸方の勘定科目が同一である仕訳データを抽出した例を示している。つまり、図9の例では、No1〜No19までの仕訳データが第1仕訳データ群に該当する。
続いて、分析部102は、抽出した第1仕訳データ群について、更に、入力日が同一である第2仕訳データ群を抽出し、それぞれの第2仕訳データ群に含まれる仕訳データの数を算出する。図9の例では、分析部102は、入力日が2018/4/10であるNo1〜No5の5件の仕訳データを含む第2仕訳データ群と、入力日が2018/4/20であるNo6〜No12の7件の仕訳データを含む第2仕訳データ群と、入力日が2018/4/23であるNo13の1件の仕訳データを含む第2仕訳データ群と、入力日が2018/4/30であるNo14〜No19の6件の仕訳データを含む第2仕訳データ群とを抽出する。
続いて、分析部102は、各第2仕訳データ群における仕訳データの数の平均と、各第2仕訳データ群における仕訳データの数の標準偏差とを算出する。図9の例では、平均及び標準偏差は、それぞれ「5件」及び「2.28」になる。続いて、分析部102は、第2仕訳データ群ごとにz得点の絶対値を算出する。z得点は、(仕訳データの数−各第2仕訳データ群における仕訳データの数の平均)÷(各第2仕訳データ群における仕訳データの数の標準偏差)で算出することができる。算出した結果を図8の「z得点の絶対値」欄に示す。図8の例では、「z得点の絶対値」が閾値C以上である仕訳データは、No13の仕訳データである。また、No13の仕訳データのz得点の絶対値は1.6であり、「(z値の絶対値)÷t」の値は、0.82である。従って、No13の仕訳データの点数は、0.82になる。
勘定科目が同一であり同日に複数入力されることが通常である仕訳データの中で、入力件数が乖離している仕訳データについては、入力日が誤っている可能性が想定される。このような仕訳データを、膨大な数の仕訳データの中から人手で漏れなく抽出することは困難である。従って、分析装置10がこのような仕訳データを抽出して点数を付与することで、仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
(分析ロジック4)
分析ロジック4は、仕訳データに含まれる金額(借方の金額及び貸方の金額)が、他の仕訳データに含まれる金額から乖離している仕訳データに点数を付与する。
具体的には、分析部102は、仕訳データごとに、当該仕訳データに含まれる金額を他の仕訳データに含まれる金額と比較した場合の乖離度合いを示す値を算出する。続いて、分析部102は、算出した乖離度合いを示す値が閾値D(所定の閾値)以上である仕訳データに対して所定の点数を付与し、他の仕訳データに対しては0点を付与する。
所定の点数は任意であるが、例えば、乖離度合いを示す値の想定最大値tを予め定めておき、「乖離度合いを示す値をtで除算した値」と「1」のうち小さい方の値を点数とするようにしてもよい。
なお、分析部102は、入力者又は承認者のいずれか一方が同一である仕訳データを抽出し、抽出した仕訳データに対して分析ロジック4を適用することとしてもよい。つまり、分析部102は、入力者又は承認者のいずれか一方が同一である複数の仕訳データを抽出し、抽出した仕訳データごとに、当該仕訳データに含まれる金額を他の仕訳データに含まれる金額と比較した場合の乖離度合いを示す値を算出することとしてもよい。
図10は、分析ロジック4の具体例その1を説明するための図である。図10の例は、分析部102は、入力者が同一である仕訳データを抽出し、抽出した仕訳データに対して分析ロジック4を適用する場合を示している。図10の例では、乖離度合いを示す値は「z得点の絶対値」であるものとする。閾値Dの値は任意であるが、図10の例では1.5であるものとする。また、点数は、「(z値の絶対値)÷t」と「1」のうち小さい方とし、t=2とする。また、図10に示すデータ項目の中で、「仕訳No」、「借方の勘定科目」、「借方の金額」、「貸方の勘定科目」、「貸方の金額」及び「入力者」は仕訳データに該当し、その他のデータ項目については、分析部102が分析を進める中で便宜上付与するデータを意図している(後述する図11も同様)。
まず、分析部102は、入力者が同一(図10の例では「鈴木」)である複数の仕訳データを抽出する。続いて、分析部102は、抽出した複数の仕訳データにおいて仕訳データに含まれる金額の平均と標準偏差とを算出する。図10の例では、各仕訳データの金額の平均は「2,288円」になる。また、各仕訳データの入力時刻の標準偏差は「5,123円」になる。続いて、分析部102は、仕訳データごとにz得点の絶対値を算出する。z得点は、(仕訳データに含まれる金額−金額の平均)÷(標準偏差)で算出することができる。算出した結果を図10の「z得点の絶対値」欄に示す。図10の例では、「z得点の絶対値」が閾値D以上である仕訳データは、No6とNo12の仕訳データである。また、No6とNo12の仕訳データのz得点の絶対値はそれぞれ1.5及び3.5であり、「(z値の絶対値)÷t」の値は、それぞれ、0.75及び1.73である。従って、No6とNo9の仕訳データの点数は、それぞれ、0.75及び1(1.73と1のうち小さい方)になる。
図11は、分析ロジック4の具体例その2を説明するための図である。図11の例では、分析部102は、承認者が同一である仕訳データを抽出し、抽出した仕訳データに対して分析ロジック4を適用する場合を示している。具体的な分析ロジックは、図10の説明と同一であるため、説明を省略する。
以上、図10の例では、ある入力者が通常入力する金額と比較して乖離した金額の仕訳データが存在する場合、その仕訳データについては入力誤り又は不正の可能性が考えられる。同様に、図11の例では、ある承認者が通常承認する金額と比較して乖離した金額の仕訳データが存在する場合、その仕訳データについては入力誤り又は不正の可能性が考えられる。このような仕訳データの入力誤りを、膨大な数の仕訳データの中から人手で漏れなく抽出することは困難である。従って、分析装置10がこのような仕訳データを抽出して点数を付与することで、仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
(分析ロジック5)
分析ロジック5は、複数の仕訳データの中で、入力時刻及び金額が他の仕訳データにおける入力時刻及び金額から乖離している仕訳データに点数を付与する。
具体的には、分析部102は、LOFを用いて、仕訳データごとに、入力時刻及び金額の2次元空間におけるスコアを算出し、算出したスコアが閾値E(所定の閾値)以上である仕訳データは、外れ値であるとみなして所定の点数を付与する。
なお、分析部102は、多数の仕訳データ(例えばN件以上など)を入力している入力者が入力する仕訳データを抽出し、抽出した仕訳データの中で、仕訳データごとに、入力時刻及び金額の2次元空間におけるスコアを算出し、算出したスコアが閾値E以上である仕訳データに対して所定の点数を付与することとしてもよい。LOFを用いたスコアの算出には、既知の算出方法を適用可能である。
所定の点数は任意であるが、例えば、スコアの想定最大値tを予め定めておき、「スコアをtで除算した値」と「1」のうち小さい方の値を点数とするようにしてもよい。
図12は、分析ロジック5の具体例を説明するための図である。図12の例では、閾値Eは1.5であるものとする。また、点数は、「スコア÷t」と「1」のうち小さい方とし、t=2とする。図12の「LOF(’r)」はスコアを示す。
図12は、入力者が「鈴木」である複数の仕訳データ(No1〜No16)について、金額及び入力時刻の2次元空間におけるスコアの算出例を示す。図12の例では、スコアが閾値E以上である仕訳データは、No3、No6、No9及びNo13である。また、No3、No6、No9及びNo13の仕訳データのスコアはそれぞれ1.8、1.9、1.6及び1.8であり、「スコア÷t」の値は、それぞれ、0.9、0.95、0.8及び0.9である。従って、No3、No6、No9及びNo13の仕訳データの点数は、それぞれ、0.9、0.95、0.8及び0.9になる。
以上、図12の例では、ある入力者が通常入力する金額及び入力時刻と比較して乖離した金額及び入力時刻の仕訳データが存在する場合、その仕訳データについては入力誤り又は不正の可能性が考えられる。このような仕訳データの入力誤りを、膨大な数の仕訳データの中から人手で漏れなく抽出することは困難である。従って、分析装置10がこのような仕訳データを抽出して点数を付与することで、仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
(分析結果データ)
図13は、分析装置10から出力される分析結果データの一例を示す図である。図13に示すように、分析結果データは、分析ロジックごとの点数と、分析ロジックごとの点数の合計点数が仕訳データごとに記述されたデータであってもよい。分析装置10から出力された分析結果データは端末20の画面に表示され、監査人は、当該画面を参照しながら、合計点数が高い仕訳データについて詳細に確認を行うことができる。
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、分析装置10は、複数の仕訳データを総合的に分析することで、不正や誤謬が含まれている可能性が高い仕訳データを自動的に抽出することができる。これにより、監査人は、不正や誤謬が含まれている可能性が高い仕訳データを中心に不正や誤謬が生じているか否かを確認すればよいため、仕訳テストを効率的に行うことが可能になる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
10…分析装置、11…CPU、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…端末、100…記憶部、101…取得部、102…分析部、103…出力部

Claims (8)

  1. 仕訳データの正当性を分析する分析装置であって、
    分析対象である複数の仕訳データを格納する記憶部と、
    前記記憶部に格納された複数の仕訳データの各々を複数の分析ロジックに基づいて分析することで、前記複数の仕訳データの各々に対して、分析ロジックごとに決定される点数を付与する分析部と、
    前記分析部により複数の仕訳データの各々に付与される点数を含む分析結果データを出力する出力部と、
    を有する分析装置。
  2. 前記複数の仕訳データは、対になる関係を有する第1データ項目と第2データ項目とを含み、
    前記分析部は、前記第1データ項目に第1データが格納され前記第2データ項目に第2データが格納される第1組み合わせパターンを有する仕訳データの数と、前記第1データ項目に前記第2データが格納され前記第2データ項目に前記第1データが格納される第2組み合わせパターンを有する仕訳データの数とを算出し、算出した仕訳データの数が少ない方の組み合わせパターンに対応する仕訳データに対して所定の点数を付与する、
    請求項1に記載の分析装置。
  3. 前記複数の仕訳データは、仕訳データが入力された入力時刻を含み、
    前記分析部は、前記複数の仕訳データについて、各々の仕訳データに含まれる入力時刻を比較することで、他の仕訳データと比較して入力時刻が乖離していると判定される仕訳データに対して所定の点数を付与する、
    請求項1又は2に記載の分析装置。
  4. 前記複数の仕訳データは、貸方の勘定科目と借方の勘定科目と仕訳データを入力した入力日とを含み、
    前記分析部は、前記複数の仕訳データのうち貸方の勘定科目又は借方の勘定科目が同一である複数の仕訳データについて、入力日が同一である仕訳データ群に含まれる仕訳データの数を、入力日が異なる他の仕訳データ群に含まれる仕訳データの数と比較することで、他の仕訳データ群と比較して仕訳データの数が乖離していると判定される仕訳データ群に含まれる仕訳データに対して所定の点数を付与する、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の分析装置。
  5. 前記分析部は、前記複数の仕訳データについて、各々の仕訳データに含まれる金額を比較することで、他の仕訳データと比較して金額が乖離していると判定される仕訳データに対して所定の点数を付与する、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の分析装置。
  6. 前記分析部は、前記複数の仕訳データについて、ローカル外れ値ファクタを用いて算出した、各々の仕訳データに含まれる入力時刻及び金額の2次元空間におけるスコアを比較することで、他の仕訳データと比較してスコアが外れていると判定される仕訳データに対して所定の点数を付与する、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の分析装置。
  7. 仕訳データの正当性を分析する分析装置が行う分析方法であって、
    分析対象である複数の仕訳データを記憶部に格納するステップと、
    前記記憶部に格納された複数の仕訳データの各々を複数の分析ロジックに基づいて分析することで、前記複数の仕訳データの各々に対して、分析ロジックごとに決定される点数を付与するステップと、
    前記点数を付与するステップにより複数の仕訳データの各々に付与される点数を含む分析結果データを出力する出力部と、
    を有する分析方法。
  8. 仕訳データの正当性を分析するコンピュータに、
    分析対象である複数の仕訳データを記憶部に格納するステップと、
    前記記憶部に格納された複数の仕訳データの各々を複数の分析ロジックに基づいて分析することで、前記複数の仕訳データの各々に対して、分析ロジックごとに決定される点数を付与するステップと、
    前記点数を付与するステップにより複数の仕訳データの各々に付与される点数を含む分析結果データを出力する出力部と、
    を実行させるためのプログラム。
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