以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置100の上方斜視図である。図2は、操作装置100の分解斜視図である。図3(a)は、図1に示すZ1側から見た操作装置100の上面図であり、図3(b)は、図1に示すY2側から見た操作装置100の正面図である。図4は、図3(a)に示すIV−IV線における操作装置100の断面図である。図5は、図4に示すP部分の拡大断面図である。
本発明の第1実施形態の操作装置100は、図1及び図3に示すような外観を呈し、図2に示すように、操作者の操作によりその操作方向へ動作する操作体11を有した操作部材1と、操作体11の可動を自在に支持する支持体3と、操作体11に対して負荷を付与する可動負荷付与機構F5と、を備えて主に構成されている。また、可動負荷付与機構F5は、図4及び図5に示すように、操作体11と係合して動作する可動部材55と、可動部材55と隙間5gを挟んで対向する磁気発生機構FM5と、この隙間5gに存在する磁気粘性流体75と、を備えて構成されている。
また、第1実施形態の操作装置100では、上述の構成要素に加え、磁気発生機構FM5を固定する固定部材6(図2を参照)と、可動負荷付与機構F5の中に配設されるスリットスペーサS57と(図4及び図5を参照)、を有している。そして、この操作装置100は、操作部材1の操作部51(操作ノブ)が操作体11の一端側に係合され、操作者により操作部51が把持されて操作され、操作体11が両方向に回転動作するとともに、上下方向(図1に示すZ方向)にスライド動作するようになっている。
また、この際に、操作体11の回転動作を検出する回転検出手段(図示していない)を備えると、この操作装置100は、回転操作型の入力装置として用いることができる。例えば、この回転検出手段として、抵抗体パターンが形成された基板と抵抗体パターンを摺接する摺動子とから構成された、所謂、回転型可変抵抗器を用いると、この回転型可変抵抗器を操作体11に係合させることで、容易に操作体11の回転動作を検出することができる。なお、回転検出手段として、回転型可変抵抗器に限るものではない。例えば、永久磁石と磁気検出センサを用いた磁気式の角度回転検出装置であっても良い。
同様にして、操作体11のスライド動作を検出するスライド検出手段を備えると、この操作装置100は、押圧操作型の入力装置として用いることができる。例えば、このスライド検出手段として、箱状ケースに埋設された固定接点と固定接点と接離可能な可動接点とから構成された、所謂、プッシュスイッチを用いると、このプッシュスイッチを操作体11と連動する可動部材55の下方(図1に示すZ2方向)側に配設することで、容易に操作体11の押圧操作のON/OFF(スライド動作の一形態)を検出することができる。なお、スライド検出手段として、プッシュスイッチに限るものではなく、例えば、スライド型可変抵抗器を用いても良い。
先ず、操作装置100の操作部材1について説明する。操作部材1は、図2に示すように、操作者が把持する操作部51と、操作部51が一端側に係合された可動軸11jを有する操作体11と、を有している。そして、操作者により操作部51が把持されて操作されると、操作体11が両方向(図3(a)に示すX−Y平面の方向)に回転動作するとともに、上下方向(図3(b)に示すZ方向)にスライド移動するようになっている。
操作部材1の操作体11は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、poly butylene terephtalate)等の合成樹脂を用い、図2に示すように、円柱形状で回転中心である軸中心ACを中心とした可動軸11jと、可動軸11jの他端側に設けられ可動軸11jより一回り大きいサイズの係合部11rと、を有して、一体に射出成形されて作製されている。そして、図4及び図5に示すように、操作体11の係合部11rが可動負荷付与機構F5の可動部材55の上端部と係合している。
操作部材1の操作部51は、操作体11と同様に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、図2に示すように、円柱形状で射出成形されて作製されている。また、操作部51の中心部分には、図4に示すように、2つの凹形状の穴部を有しており、可動軸11jの一端側が深い穴部(第1穴部51h)に挿通されて係合されているとともに、後述するばね部材33の一部が浅い穴部(第2穴部51k)に収容されている。
次に、操作装置100の支持体3について説明する。支持体3は、図4に示すように、操作体11の可動軸11jが挿通される貫通孔13kを有するケース13と、可動軸11jが挿通され操作部51とケース13との間に配設されたばね部材33と、可動軸11jが挿通されケース13の上板部13Bの内側に配設された軸支持部53と、から主に構成されている。そして、この支持体3は、操作体11の可動(回転動作及びスライド動作)が自在になるように、操作部材1を支持している。
支持体3のケース13は、操作部材1と同様に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、図2に示すように、円筒形状の側壁部13Aと、側壁部13Aの片側の開口を覆う上板部13Bと、で、箱状に射出成形されて作製されている。また、ケース13の上板部13Bには、前述したように、操作体11の可動軸11jが挿通される貫通孔13kが設けられている。そして、ケース13には、図4に示すように、可動負荷付与機構F5が収容されている。
支持体3のばね部材33は、一般的なコイルばねを用いており、図4に示すように、一端側が操作部51の第2穴部51kに収容されているとともに、他端側がケース13の上板部13Bと当接されて、操作部51とケース13の間に配設されている。これにより、ばね部材33は、操作部51を上方(図4に示すZ1方向)に付勢することとなる。このため、例えば、操作者により操作部51が下方(図4に示すZ2方向)に操作されて(押圧されて)、操作体11及び操作部51が初期状態から下方にスライド移動した後に、押圧操作が中止された際に、このばね部材33により操作体11及び操作部51を初期状態に自動復帰させることができる。
支持体3の軸支持部53は、中央部に孔を有したリング形状をしており(図2を参照)、図4に示すように、操作体11の可動軸11jが挿通されて、ケース13の上板部13Bの内側に配設されている。また、軸支持部53は、後述する磁気発生機構FM5の第1ヨーク15の中央部分に設けられた開口部15kに収容されている。そして、軸支持部53は、操作体11の係合部11rの上面側と当接して、操作体11がケース13から外れるのを防止している。また、軸支持部53は、第1ヨーク15の開口部15kの内壁と当接することにより、軸中心ACに対する第1ヨーク15の位置決めを行っている。なお、軸支持部53は、亜鉛(Zn)等の非鉄金属をダイキャストして作製されている。
次に、操作装置100の可動負荷付与機構F5について説明する。図6は、可動負荷付与機構F5について説明する図であって、図6(a)は、可動負荷付与機構F5の上方斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すZ2側から見た可動負荷付与機構F5の底面図である。
可動負荷付与機構F5は、図4に示すように、可動軸11j(係合部11r)と係合して動作する可動部材55と、可動部材55と隙間5gを挟んで対向する磁気発生機構FM5と、この隙間5gに存在する磁気粘性流体75と、を備えて構成されている。更に、可動負荷付与機構F5の磁気発生機構FM5は、図6(a)に示すような円柱形状を呈し、図4及び図6(b)に示すように、通電により磁界を発生させるコイル35と、コイル35を囲むように設けられた第1ヨーク15と、可動部材55との隙間5gである第2隙間5gbを挟んで対向する第2ヨーク25と、コイル35への通電を制御する操作制御部(図示していない)と、を有して構成されている。そして、可動負荷付与機構F5は、操作者による回転操作を受けて、操作体11に可動負荷付与機構F5からの負荷を与えることにより、操作者に対して操作部材1の操作部51へ負荷を付与するように構成されている。
先ず、可動負荷付与機構F5の磁気発生機構FM5について説明する。図7は、磁気発生機構FM5を説明する図であって、図7(a)は、図6(a)に示す第1ヨーク15の上ヨーク15Aを省略した上方斜視図であり、図7(b)は、図6(a)に示す第1ヨーク15の下ヨーク15Cを省略した下方斜視図である。図8は、磁気発生機構FM5を説明する図であって、図8(a)は、図7(a)をZ1側から見た上面図であり、図8(b)は、図7(b)をZ2側から見た底面図である。図9は、磁気発生機構FM5を説明する図であって、図9(a)は、図6(a)に示す第1ヨーク15の上ヨーク15AをZ2側から見た下方斜視図であり、図9(b)は、図6(a)に示す第1ヨーク15の下ヨーク15CをZ1側から見た上方斜視図である。
磁気発生機構FM5のコイル35は、金属線材が環状に巻回されて形成されており、図7及び図8に示すように、軸中心ACが垂直に貫く仮想の横断面(仮想断面)において(図8を参照)、可動部材55よりもコイル35が外側に配設されている。また、コイル35は、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように円形のリング形状に形成されている。そして、このコイル35に通電することにより、コイル35の周囲に磁界が発生するようになる。なお、コイル35は、金属線材が巻回されて束ねられた形状となっているが、図2、図7及び図8では、簡略化して、表面を平坦にして示している。
次に、磁気発生機構FM5の第1ヨーク15は、図4に示すように、コイル35を囲むようにして設けられ、コイル35の上方側(図4に示すZ1側)を覆う上ヨーク15Aと、コイル35の下方側(図4に示すZ2側)を覆う下ヨーク15Cと、を有して構成されている。なお、詳細な図示はしていないが、上ヨーク15Aがケース13に固定されているとともに、下ヨーク15Cが固定部材6(後述するカバー36)に固定されている。
また、第1ヨーク15は、図8に示すように、コイル35と同様に、軸中心ACが垂直に貫く仮想断面において、可動部材55よりも第1ヨーク15が外側に配設されている。そして、この第1ヨーク15により、コイル35から発生する磁束が閉じ込められ、効率的に可動部材55側に磁界が作用することとなる。
また、第1ヨーク15(上ヨーク15A及び下ヨーク15C)は、図9に示すように、外形が円形形状の箱状に形成されており、円筒形状の外側壁15eと、外側壁15eに連続した上壁15a(上ヨーク15A)或いは底壁15c(下ヨーク15C)と、上壁15a或いは底壁15cの中央部分に設けられた開口部15kと、開口部15kから連続して延設された円筒形状の内側壁15fと、を有して構成されている。また、第1ヨーク15(上ヨーク15A及び下ヨーク15C)は、図8に示すように、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されている。
また、上ヨーク15A及び下ヨーク15Cは、重ね合わされて、図6(a)に示すような円筒形状の第1ヨーク15を形成している。その際には、上ヨーク15A及び下ヨーク15Cのそれぞれの外側壁15eに設けられた係合穴部15hに、図2に示す2つの固定ピンRP4が挿入されて(図7を参照)、上ヨーク15Aと下ヨーク15Cとが係合されるとともに、位置決めがされている(図4を参照)。
そして、第1ヨーク15の円筒形状において、開口部15kと内側壁15fの内面(軸中心AC側の面)とで形成された円柱形状の収容空間には、可動部材55が収容されている(図6及び図7を参照)。また、図4に示すように、第1ヨーク15の外側壁15eと内側壁15fとの間のリング形状の収容空間に環状のコイル35が収容されている。
また、第1ヨーク15は、図4及び図5に示すように、可動部材55の一方側(外側)に配設されて、上ヨーク15A及び下ヨーク15Cの内側壁15fが可動部材55との隙間5gである第1隙間5gaを挟んで対向している。
また、第1ヨーク15は、図4及び図5に示すように、可動部材55の外周面55pと対向する側、つまり第1ヨーク15の内側壁15f側において、上ヨーク15Aと下ヨーク15Cとで形成されたスリット(ヨークスリット)を有しており、第1ヨーク15の可動部材55と対向する側が分割された形状となっている。ここで、可動部材55と対向している上ヨーク15Aの部分を、第1ヨーク15の第1対向部TA5とし、可動部材55と対向している下ヨーク15Cの部分を、第2対向部TC5としている。この第1対向部TA5及び第2対向部TC5は、図4に示すように、可動軸11jに沿った押圧方向(図4に示すZ方向)に配設されている。
更に、図4及び図5に示すように、第1対向部TA5と第2対向部TC5との間のスリット(ヨークスリット)の幅は、第1ヨーク15と可動部材55との隙間5g(第1隙間5ga)より狭くなっている。これにより、コイル35への通電により磁界が発生し、例えば第1ヨーク15の第1対向部TA5から可動部材55側にかけて磁路が確実に形成されるとともに、可動部材55側から第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて磁路が確実に形成されるようになる。
また、本発明の第1実施形態では、第1ヨーク15のスリット(ヨークスリット)の部分には、図4及び図5に示すように、リング形状のスリットスペーサS57(図2を参照)が収納されている。このスリットスペーサS57は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用いて形成されており、第1ヨーク15(上ヨーク15A)の第1対向部TA5と第1ヨーク15(下ヨーク15C)の第2対向部TC5とを磁気回路においても分割している。なお、本発明の第1実施形態では、第1ヨーク15が、上ヨーク15A及び下ヨーク15Cの2つの部品で構成されているが、これに限るものではなく、3つ以上の部品で構成されていても良い。
次に、磁気発生機構FM5の第2ヨーク25は、図2に示すような円柱形状で形成されており、図4、図5、図6(b)及び図7(b)に示すように、可動部材55の他方側(内側)、つまり可動部材55の円筒形状における内周面55q側に配設され、可動部材55との隙間5gである第2隙間5gbを挟んで可動部材55の内周面55qと対向している。これにより、コイル35から発生した磁束が、第1ヨーク15の第1対向部TA5から第2ヨーク25に、第2ヨーク25から第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて確実に貫くこととなる。このため、可動部材55の動作する回転方向(図6(b)に示すX−Y平面を横切る方向)及び押圧方向(図4に示すZ方向)のそれぞれと垂直な方向、つまり仮想断面方向(図4に示すX平面に沿った方向)に確実に磁路が形成される。
また、第2ヨーク25の中心部分には、図6(b)、図7(b)及び図8(b)に示すように、下方に開放した係合穴25kが設けられており、後述する固定部材6の固定体16の係合軸16jが挿通されるようになる(図4を参照)。
次に、磁気発生機構FM5の操作制御部は、集積回路(IC、integrated circuit)を用いており、コイル35への通電量、通電のタイミング等を制御している。具体的には、例えば、操作者の操作により押圧操作がされた際に、操作体11のスライド動作を検出するスライド検出手段からの検出信号を受けて、操作制御部は、コイル35にある一定量の電流を流したり、操作体11の操作位置に応じて電流量を変化させたりしている。
また、操作制御部は、図示していない回路基板に搭載されて、コイル35と電気的に接続されている。なお、操作制御部及び回路基板は、磁気発生機構FM5の近傍に好適に配設されているが、これに限るものではない。例えば、操作制御部は、フレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits)等でコイル35と接続され、適用される製品の母基板(マザーボード)に搭載されていても良い。
次に、可動負荷付与機構F5の可動部材55について説明する。可動部材55は、鉄等の軟磁性体から形成されており、図2に示すように、軸中心ACを中心とした円筒形状に形成されている。そして、可動部材55の上端部は、図4に示すように、操作体11の係合部11rと係合されて、操作体11の可動軸11jと一体化している。これにより、操作体11の両方向への回転動作に伴って、可動部材55が両方向へ回転移動するとともに、操作体11の押圧方向へのスライド動作に伴って、可動部材55が押圧方向へスライド移動することとなる。
また、操作装置100が組み立てられた際には、図4に示すように、可動部材55は、前述したように、円筒形状の第1ヨーク15における内側の収容空間に配設され、可動部材55の外周面55pが第1ヨーク15の内側壁15f(第1対向部TA5及び第2対向部TC5)と対向するようになる。その際に、図8に示すように、軸中心ACを中心にして、可動部材55よりも第1ヨーク15及びコイル35が外側に配設されているとともに、可動部材55と第1ヨーク15が円弧形状を有して第1隙間5gaを形成している。なお、本発明の第1実施形態では、第1ヨーク15の内側壁15fが軸中心ACを中心とした円筒形状で形成され、可動部材55が軸中心ACを中心とした円筒形状に形成されているので、全周にわたって円弧形状で対向した第1隙間5gaを形成しているが、これに限るものではなく、可動部材55と第1ヨーク15の少なくとも一部が円弧形状を有して第1隙間5gaを形成していても良い。
また、可動部材55は、図8に示すように、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されている。これにより、可動部材55、第1ヨーク15及びコイル35が回転対称となるように形成されているので、第1隙間5gaに対して磁束密度の偏りがない磁路を形成でき、磁気発生機構FM5が発生させた磁界を効率的に作用させることができる。
また、円筒形状の可動部材55の内側には、前述したように、第2ヨーク25が配設され、その内周面55qが第2ヨーク25の外周と対向するようになる。これにより、コイル35から発生した磁束が、第1ヨーク15の第1対向部TA5から可動部材55に、可動部材55から第2ヨーク25に、第2ヨーク25から可動部材55に、可動部材55から第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて、確実に貫くこととなる。このため、可動部材55の動作する方向(回転方向や押圧方向)と垂直な方向(仮想断面方向)により確実に磁路が形成される。
しかも、本発明の第1実施形態では、可動部材55が軟磁性体からなるので、第1ヨーク15の第1対向部TA5から可動部材55を介して第2ヨーク25に、第2ヨーク25から可動部材55を介して第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて磁路が確実に形成されることとなる。なお、第2ヨーク25が軸中心ACを中心とした円柱形状で形成され、可動部材55が軸中心ACを中心とした円筒形状に形成されているので、第2ヨーク25及び可動部材55においても、全周にわたって円弧形状で対向した第2隙間5gbを形成している。
更に、本発明の第1実施形態では、第2ヨーク25も、図8に示すように、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されている。これにより、第1ヨーク15及びコイル35、可動部材55及び第2ヨーク25が回転対称となるように形成されているので、第2隙間5gbに対して磁束密度の偏りがない磁路を形成でき、磁気発生機構FM5が発生させた磁界を効率的に作用させることができる。
次に、可動負荷付与機構F5の磁気粘性流体75について説明する。図10は、磁気粘性流体75について説明する模式図であって、図10(a)は、磁界が印加されていない状態の磁気粘性流体75の図であり、図10(b)は、磁界が印加されている状態の磁気粘性流体75の図である。なお、図10(b)には、説明を分かり易くするために磁界(磁束)の流れを2点鎖線で示している。
磁気粘性流体75は、図10(a)に示すように、有機溶剤等の溶質SV中に、鉄やフェライト等の磁性を有した微細な磁性粒子JRが分散した物質であって、一般的にMR流体(Magneto Rheological Fluid)と呼称されている。この磁気粘性流体75は、磁界の強さに応じて粘性が変化する特性を有しており、同じような磁性流体(Magnetic Fluid)とは区別されている。両者の形態の大きな違いは粉体の粒子径であり、MR流体の方が1μm〜1mm程度で、磁性流体の方が10nm〜1μm程度で、MR流体の方が磁性流体と比べて粒子径が100〜1000倍程度、大きくなっている。
ここで、この磁気粘性流体75における“磁界の強さに応じて粘性が変化する”ことについて簡単に説明する。先ず、磁気粘性流体75に磁界がかかっていない場合、図10(a)に示すように、磁性粒子JRが不規則に溶質SV中に分散している。この際に、例えば可動部材55が動作する(図10(a)に示すX方向に対して垂直なZ方向にスライド移動)と、比較的低い抵抗力を受けながら可動部材55が容易に動作する。
次に、磁気発生機構FM5のコイル35に電流が流されて磁界が発生すると、図10(b)に示すように、磁気粘性流体75に対して作用する磁界に沿って(図10(b)ではX方向に沿って)、磁性粒子JRが直鎖状に規則的に揃うようになる。なお、この規則性の度合いは、磁界の強さに応じて変化している。つまり、磁気粘性流体75に対して作用する磁界が強くなればなる程、規則性の度合いが強くなる。そして、この直鎖状に揃った磁性粒子JRの規則性を崩す方向に対して、より強いせん断力が働き、結果として、この方向に対しての粘性が強くなってくる。特に、作用した磁界に対して直交する方向(図10(b)ではX方向に対して直交するZ方向)に最も高いせん断力が働いている。
そして、このような通電状態(図10(b)に示す状態)で、可動部材55が動作すると、可動部材55に対して抵抗力が生じ、可動部材55に係合した操作体11に、この抵抗力(負荷)が伝達するようになる。これにより、可動負荷付与機構F5は、操作者に対して可動操作(回転操作やスライド操作等)の負荷を付与することができる。その際に、操作制御部によりコイル35への通電量や通電のタイミング等を制御しているので、操作者に対して任意のタイミングで任意の負荷を自由に与えることができる。
この“磁界の強さに応じて抵抗力(負荷)が強くなる”ことを検証した結果を図11に示す。図11は、磁気発生機構FM5のコイル35に流す電流と操作体11にかかるトルクとの関係の一例を表したグラフである。横軸は電流(A)で縦軸がトルク(Nm)である。このトルクは、操作体11にかかる抵抗力(負荷)に相当する。図11に示すように、磁気発生機構FM5のコイル35に流す電流を大きくすると、それに伴って発生する磁界が強くなり、この磁界の強さに伴ってトルク、つまり操作体11にかかる抵抗力(負荷)が増大するようになる。
本発明の第1実施形態では、上述した特性を有した磁気粘性流体75を好適に用いている。つまり、図4及び図5に示すように、磁気粘性流体75が第1ヨーク15と可動部材55との隙間5gである第1隙間5gaに配設され、特に、図5に示すように、第1ヨーク15の第1対向部TA5及び第2対向部TC5と可動部材55との第1隙間5gaに充填されている。これにより、第1ヨーク15(第1対向部TA5)から可動部材55、可動部材55から第1ヨーク15(第2対向部TC5)にかけて形成された磁束を横切る方向(回転方向や押圧方向)に動作する可動部材55に対して、磁気粘性流体75により負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材55及び可動軸11jを介して操作体11に負荷がかかるようになる。従って、良好な操作感触が得られる操作装置100を提供することができる。
しかも、本発明の第1実施形態では、初期状態において、図4に示す第1対向部TA5における磁気粘性流体75に臨む第1対向面の面積と第2対向部TC5における磁気粘性流体75に臨む第2対向面の面積とが同じである。これにより、磁束の入口と出口とで磁束密度が同等になり、コイル35から発生した磁束を磁気粘性流体75の粘性の制御に効率的に作用させることができる。このことにより、回転動作する可動部材55に対して均等に負荷(回転負荷)を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
更に、本発明の第1実施形態では、図4及び図5に示すように、可動部材55と第2ヨーク25との隙間5gである第2隙間5gbにも磁気粘性流体75が充填されている。ここに充填された磁気粘性流体75にも、第1ヨーク15(第1対向部TA5)から可動部材55を介して第2ヨーク25に、第2ヨーク25から可動部材55を介して第1ヨーク15(第2対向部TC5)にかけて形成された磁束が作用することとなる。このため、可動部材55の動作する方向(回転方向や押圧方向)と垂直な方向(仮想断面方向)に磁性粒子JRを揃えることができ、より強い負荷をかけることができる。このことにより、更なる負荷を付与することができ、同等の磁界であっても、更に大きな操作感触を操作者に対して与えることができる。
最後に、操作装置100の固定部材6について説明する。固定部材6は、図2に示すように、磁気発生機構FM5の第2ヨーク25を固定する固定体16と、中央部分に貫通穴36kを有しケース13の上板部13Bと対向する側の開口を覆うカバー36と、カバー36を挟んで固定体16と係合する係止体56と、を備えて構成されている。
先ず、固定部材6の固定体16は、鉄等の金属材料からなり、図2に示すように、第2ヨーク25の係合穴25kに挿通される係合軸16jと、カバー36の貫通穴36kに挿通されて係止体56と係合する被係止部16nと、係合軸16jと被係止部16nとの間に設けられた鍔部16vと、から主に構成されている。なお、詳細な図示はしていないが、係合軸16jと被係止部16nには雄ネジが切られている。
そして、第2ヨーク25が係合軸16jと係合(ネジ止め)されるとともに、鍔部16vと係止体56(本発明の第1実施形態ではナット)とでカバー36を挟持して固定体16がカバー36に固定される。これにより、磁気発生機構FM5の第2ヨーク25が固定部材6(カバー36)に固定されることとなる。
次に、固定部材6のカバー36は、支持体3のケース13と同様に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、図2に示すように、円盤形状に射出成形されて作製されている。また、前述したように、カバー36の中央部分には、被係止部16nが挿通される貫通穴36kを有している。また、円盤形状の外周端部に4つの穴と、貫通穴36kの周縁部の近傍に2つの穴を有している。
そして、詳細な図示はしていないが、カバー36は、4つの穴を用いて、ケース13にネジ止めされて固定されているとともに、2つの穴を用いて、第1ヨーク15の下ヨーク15Cを固定している。
次に、固定部材6の係止体56は、所謂ナットを用いており、固定体16の被係止部16nにネジ止めされている。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作装置100は、操作部材1の操作量や操作方向に応じた抵抗力や推力等の外力(力覚)を付与する方法として、従来例1のようにモータ810を用いていないので、小型化が図れるとともに、消費電力を低減することができる。
最後に、本発明の第1実施形態の操作装置100における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第1実施形態の操作装置100は、動作されない初期状態において、操作体11の可動軸11jの軸中心ACが垂直に貫く仮想断面において、可動軸11jを中心にして、可動軸11jと係合した可動部材55と、可動部材55との隙間5gである第1隙間5gaを挟んで対向する第1ヨーク15と、通電により磁界を発生させるコイル35と、を備え、可動部材55よりも第1ヨーク15及びコイル35が外側に配設されているとともに、可動部材55と第1ヨーク15の少なくとも一部が円弧形状を有して第1隙間5gaを形成している構成とした。これにより、コイル35への通電により磁界が発生し、磁路が第1ヨーク15から可動部材55側に広がって形成されて、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが仮想断面方向の磁束に沿って揃うこととなる。このため、第1ヨーク15と可動部材55、及び可動部材55と第1ヨーク15にかけて形成された磁束を横切る方向、例えば可動軸11jの軸中心ACを中心とした回転方向や軸中心ACに沿った押圧方向等に動作する可動部材55に対して、磁気粘性流体75により負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材55及び可動軸11jを介して操作体11に負荷がかかるようになり、回転操作や押圧操作等の操作に対して、良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、仮想断面において、可動部材55、第1ヨーク15及びコイル35が、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されているので、磁気粘性流体75に対して磁束密度の偏りがない磁路を形成でき、磁気発生機構FM5が発生させた磁界を効率的に粘性の制御に作用させることができる。このことにより、可動部材55に対して均等にしかも効率的に負荷を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、可動部材55が軟磁性体からなるので、第1ヨーク15から可動部材55に、可動部材55から第1ヨーク15にかけて磁路が確実に形成されて、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが第1ヨーク15と可動部材55と互いに対向する対向面方向に揃うこととなる。このため、磁性粒子JRが揃った対向面方向を横切る方向に動作(回転動作及びスライド動作)する可動部材55に対して、より強い負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材55及び可動軸11jを介して操作体11により強い負荷がかかるようになり、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、第1ヨーク15の第1対向部TA5及び第2対向部TC5が可動軸11jに沿った押圧方向に配設され、円筒形状の可動部材55の外周面55pと対向しているので、第1ヨーク15の第1対向部TA5から可動部材55側にかけて磁路が確実に形成されるとともに、可動部材55側から第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて磁路が確実に形成されるようになり、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが仮想断面方向の磁束に沿って揃うこととなる。このため、仮想断面方向に対して交差(略直交)する方向(回転方向や押圧方向)に動作する可動部材55に対して、確実にしかもより強い負荷を付与することができる。このことにより、回転操作や押圧操作に対して、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、磁気発生機構FM5の第2ヨーク25と可動部材55の内周面55qとの第2隙間5gbに磁気粘性流体75が充填されているので、磁束を横切る方向に回転動作及びスライド動作(押圧方向への動作)する可動部材55に対して、更なる負荷(回転負荷や押圧負荷)を付与することができる。このことにより、同等の磁界であっても、更に大きな操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、第1対向部TA5の第1対向面の面積と第2対向部TC5の第2対向面の面積とが同じであるので、磁束の入口と出口とで磁束密度が同等になり、コイル35から発生した磁束を磁気粘性流体75の粘性の制御に効率的に作用させることができる。このことにより、回転動作する可動部材55に対して均等に負荷(回転負荷)を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態に係わる操作装置200の上方斜視図である。図13(a)は、図12に示すZ1側から見た操作装置200の上面図であり、図13(b)は、図12に示すY2側から見た操作装置200の正面図である。なお、図13では、説明を分かり易くするため、図12に示す操作部51を省略している。図14は、図13(a)に示すXIV−XIV線における操作装置200の断面図である。また、第2実施形態の操作装置200は、第1実施形態に対し、第1ヨーク215及び可動部材255の構成が主に異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の操作装置200は、図12及び図13に示すような外観を呈し、図14に示すように、操作者の操作によりその操作方向へ動作する操作体11を有した操作部材1と、操作体11の可動を自在に支持する支持体S3と、操作体11に対して負荷を付与する可動負荷付与機構F25と、を備えて主に構成されている。また、可動負荷付与機構F25は、図14に示すように、操作体11と係合して動作する可動部材255と、可動部材255と隙間5gを挟んで対向する磁気発生機構FN5と、この隙間5gに存在する磁気粘性流体75と、を備えて構成されている。
また、第2実施形態の操作装置200では、上述の構成要素に加え、図14に示すように、磁気発生機構FN5を固定する固定部材6と、可動部材255の下方側に配設されたスペーサS77と、を有している。そして、この操作装置200は、操作部材1の操作部51(操作ノブ)が操作体11の一端側に係合され、操作者により操作部51が把持されて操作され、操作体11が全方向に傾倒動作するようになっている。
先ず、操作装置200の操作部材1について簡単に説明する。操作部材1は、図12に示すように、操作者が把持する操作部51と、操作者の傾倒操作に伴って傾倒動作する操作体11と、を有している。そして、操作部材1の操作体11には、円柱形状で回転中心である軸中心ACを中心とした可動軸11jを有しており、可動軸11jの一端側には操作部51が係合されているとともに、可動軸11jの他端側には可動負荷付与機構F25の可動部材255が係合されている。
次に、操作装置200の支持体S3について簡単に説明する。支持体S3は、図14に示すように、可動軸11jと係合された軸支持部253と、可動部材255と磁気発生機構FN5(後述する第1ヨーク215)との間に配設されたリング体63と、から主に構成されている。そして、この支持体S3は、操作体11の可動(傾倒動作)が自在になるように、操作部材1を支持している。
支持体S3の軸支持部253は、弾性変形が可能なゴム材料を用いており、一端側が操作体11の可動軸11jを取り囲むようにして係合されているとともに、他端側が磁気発生機構FN5(後述する第1ヨーク215)と係合されている。そして、軸支持部253は、中間部分がシート状に形成されており、操作体11(可動軸11j)を支持しているとともに、操作体11の全方向への傾倒動作を可能にしている。
支持体S3のリング体63は、ポリアセタール(POM、polyoxymethylene)等の合成樹脂を用い、リング形状に射出成形されて作製されている。そしてリング体63は、図14に示すように、可動部材255の上方側と下方側にそれぞれ1つずつ配設されている。このリング体63は、可動部材255を回転可能に支持しており、ひいては操作体11の全方向への傾倒動作を支持している。なお、ここに装着されているリング体63は、可動部材255と磁気発生機構FN5との隙間5gの両端側を閉じる機能も有しており、この隙間5gに充填された磁気粘性流体75が漏れ出すのを防止している。
次に、操作装置200の可動負荷付与機構F25について説明する。可動負荷付与機構F25は、前述したように、図14に示すように、可動軸11jと係合して動作する可動部材255と、可動部材255と隙間5gを挟んで対向する磁気発生機構FN5と、この隙間5gに存在する磁気粘性流体75と、を備えて構成されている。更に、可動負荷付与機構F25の磁気発生機構FN5は、通電により磁界を発生させるコイル235と、コイル235を囲むように設けられた第1ヨーク215と、コイル235への通電を制御する操作制御部(図示していない)と、を有して構成されている。そして、可動負荷付与機構F25は、操作者による傾倒操作を受けて、操作体11に可動負荷付与機構F25からの負荷(傾倒負荷)を与えることにより、操作者に対して操作部材1の操作部51へ負荷を付与するように構成されている。
先ず、可動負荷付与機構F25の磁気発生機構FN5について説明する。磁気発生機構FN5のコイル235は、金属線材が環状に巻回されて形成されており、第1実施形態と同様に、軸中心ACが垂直に貫く仮想の横断面(仮想断面)において、可動部材255よりもコイル235が外側に配設されている。また、コイル235は、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように円形のリング形状に形成されている。そして、このコイル235に通電することにより、コイル235の周囲に磁界が発生するようになる。
次に、磁気発生機構FN5の第1ヨーク215は、図14に示すように、コイル235を囲むようにして設けられ、コイル235の上方側(図14に示すZ1側)を覆う上ヨーク15Eと、コイル235の下方側(図14に示すZ2側)を覆う下ヨーク15Fと、を有して構成されている。なお、詳細な図示はしていないが、上ヨーク15Eが固定部材6(後述する筐体76)に固定されているとともに、下ヨーク15Fが固定部材6(後述する蓋体96)に固定されている。
また、第1ヨーク215は、第1実施形態と同様に、軸中心ACが垂直に貫く仮想断面において、可動部材255よりも外側に配設されている。また、第1ヨーク215(上ヨーク15E及び下ヨーク15F)は、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されている。そして、この第1ヨーク215により、コイル235から発生する磁束が閉じ込められ、効率的に可動部材255側に磁界が作用することとなる。
また、上ヨーク15E及び下ヨーク15Fは、第1実施形態と同様に、重ね合わされて、円筒形状の第1ヨーク215を形成している。その際には、上ヨーク15E及び下ヨーク15Fが図示していない2つのピンで係合されるとともに、位置決めがされている。そして、第1ヨーク215の上ヨーク15E及び下ヨーク15Fのそれぞれは、図14に示すように、可動部材255と対向する内側部分が凹形状となっており、この第1ヨーク215の中央の内部に形成された球形状の収容空間には、可動部材255が収容されている。また、第1ヨーク215の外側部分の内部に形成されたリング形状の収容空間には、環状のコイル235が収容されている。
また、第1ヨーク215は、図14に示すように、可動部材255の一方側(外側)に配設されて、上ヨーク15E及び下ヨーク15Fの内側が可動部材255との隙間5gである第3隙間5gcを挟んで対向している。ここで、可動部材255と対向している上ヨーク15Eの部分を、第1ヨーク215の第3対向部TE5とし、可動部材255と対向している下ヨーク15Fの部分を、第4対向部TF5としている。この第3対向部TE5及び第4対向部TF5は、図14に示すように、軸中心ACに沿った方向(図14に示すZ方向)に配設されている。
更に、図14に示すように、第3対向部TE5と第4対向部TF5との間のスリット(ヨークスリット)の幅は、第1ヨーク215と可動部材255との隙間5g(第3隙間5gc)より狭くなっている。これにより、コイル235への通電により磁界が発生し、例えば第1ヨーク215の第3対向部TE5から可動部材255側にかけて磁路が確実に形成されるとともに、可動部材255側から第1ヨーク215の第4対向部TF5にかけて磁路が確実に形成されるようになる。なお、本発明の第2実施形態では、第1ヨーク215が、上ヨーク15E及び下ヨーク15Fの2つの部品で構成されているが、これに限るものではなく、3つ以上の部品で構成されていても良い。
次に、可動負荷付与機構F25の可動部材255について説明する。可動部材255は、鉄等の軟磁性体から形成されており、軸中心AC上に球中心SCを有した球形状に形成されている。そして、可動部材255の上端部には、図14に示すように、操作体11の可動軸11jと係合されて一体化している。これにより、操作体11の全方向への傾倒動作に伴って、可動部材255が球中心SCを中心として全方向へ回転動作することとなる。なお、可動部材255の球中心SCを中心として操作体11の傾倒を可能にしているのは、前述した2つのリング体63による可動部材255の支持によるものである。
また、操作装置200が組み立てられた際には、図14に示すように、可動部材255は、前述したように、第1ヨーク215における中央の内部に形成された球形状の収容空間に配設され、可動部材255の外周面255pが第1ヨーク215の第3対向部TE5及び第4対向部TF5と対向するようになる。その際に、図14に示すように、可動部材255の球中心SCを中心にして、可動部材255よりも第1ヨーク215及びコイル235が外側に配設されているとともに、第1ヨーク215及び可動部材255の一部が円弧形状を有して第3隙間5gcを形成している。この第3隙間5gcには、可動負荷付与機構F25の磁気粘性流体75が充填されている。
また、可動部材255は、仮想断面において、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されている。これにより、可動部材255、第1ヨーク215及びコイル235が回転対称となるように形成されているので、第3隙間5gcに対して磁束密度の偏りがない磁路を形成でき、磁気発生機構FN5が発生させた磁界を効率的に磁気粘性流体75に作用させることができる。このことにより、効率的に粘性の制御を行うことができ、可動部材255に対して効率的に負荷を付与することができ、
しかも、本発明の第2実施形態では、可動部材255が軟磁性体からなるので、第1ヨーク215の第3対向部TE5から可動部材255に、可動部材255から第1ヨーク215の第4対向部TF5にかけて磁路が確実に形成されることとなる。このため、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが揃った対向面方向を横切る方向に動作(回転動作)する可動部材255に対して、より強い負荷(回転負荷)がかかるようになる。
次に、可動負荷付与機構F25の磁気粘性流体75について説明する。磁気粘性流体75は、第1実施形態と同様に、有機溶剤等の溶質SV中に、鉄やフェライト等の磁性を有した微細な磁性粒子JRが分散した物質であって(図10を参照)、一般的にMR流体(Magneto Rheological Fluid)と呼称されている。この磁気粘性流体75は、磁界の強さに応じて粘性が変化する特性を有しており、同じような磁性流体(Magnetic Fluid)とは区別されている。
本発明の第2実施形態においても、第1実施形態で記述した特性を有した磁気粘性流体75を好適に用いている。つまり、操作装置200には、図14に示すように、磁気粘性流体75が第1ヨーク215と可動部材255との隙間5gである第3隙間5gcに配設されて充填されている。これにより、第1ヨーク215(第3対向部TE5)と可動部材255、可動部材255と第1ヨーク215(第4対向部TF5)にかけて形成された磁束を横切る方向(回転方向)に動作する可動部材255に対して、磁気粘性流体75により負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材255及び可動軸11jを介して操作体11に揺動負荷がかかるようになる。従って、良好な操作感触が得られる操作装置200を提供することができる。
しかも、本発明の第2実施形態では、初期状態において、図14に示す第3対向部TE5における磁気粘性流体75に臨む第1対向面の面積と第4対向部TF5における磁気粘性流体75に臨む第2対向面の面積とが同じである。これにより、磁束の入口と出口とで磁束密度が同等になり、コイル235から発生した磁束を磁気粘性流体75の粘性の制御に効率的に作用させることができる。このことにより、回転動作する可動部材255に対して均等に負荷(回転負荷)を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
最後に、操作装置200の固定部材6について説明する。固定部材6は、図12に示すように、操作体11の可動軸11jが挿通される貫通穴76kを有する筐体76と、筐体76の一方側(下方側、図12に示すZ2方向側)の開口を覆う蓋体96と、備えて構成されている。そして、前述したように、固定部材6の筐体76が磁気発生機構FN5(第1ヨーク215)の上ヨーク15Eを固定しているとともに、固定部材6の蓋体96が磁気発生機構FN5(第1ヨーク215)の下ヨーク15Fを固定している。
固定部材6の筐体76は、操作部材1と同様に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、図12に示すように、略立方体の箱状に射出成形されて作製されている。また、筐体76の天板部には、前述したように、操作体11の可動軸11jが挿通される貫通穴76kが設けられている。
次に、固定部材6の蓋体96は、筐体76と同様に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、図12に示すように、板状の矩形状に射出成形されて作製されている。そして、詳細な図示はしていないが、蓋体96は、筐体76にネジ止めされて固定されている。
以上のように構成された本発明の第2実施形態の操作装置200は、操作部材1の操作量や操作方向に応じた抵抗力や推力等の外力(力覚)を付与する方法として、従来例1のようにモータ810を用いていないので、小型化が図れるとともに、消費電力を低減することができる。
最後に、本発明の第2実施形態の操作装置200における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第2実施形態の操作装置200は、動作されない初期状態において、操作体11の可動軸11jの軸中心ACが垂直に貫く仮想断面において、可動軸11jを中心にして、可動軸11jと係合した可動部材255と、可動部材255との隙間5gである第3隙間5gcを挟んで対向する第1ヨーク215と、通電により磁界を発生させるコイル235と、を備え、可動部材255よりも第1ヨーク215及びコイル235が外側に配設されているとともに、可動部材255と第1ヨーク215の少なくとも一部が円弧形状を有して第3隙間5gcを形成している構成とした。これにより、コイル235への通電により磁界が発生し、磁路が第1ヨーク215から可動部材255側に広がって形成されて、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが仮想断面方向の磁束に沿って揃うこととなる。このため、第1ヨーク215と可動部材255、可動部材255と第1ヨーク215にかけて形成された磁束を横切る方向、例えば可動部材255の球中心SCを中心とした回転方向等に動作する可動部材255に対して、磁気粘性流体75により負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材255及び可動軸11jを介して操作体11に負荷がかかるようになり、傾倒操作等の操作に対して、良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、仮想断面において、可動部材255、第1ヨーク215及びコイル235が、軸中心ACを中心として、回転対称となるように形成されているので、磁気粘性流体75に対して磁束密度の偏りがない磁路を形成でき、磁気発生機構FN5が発生させた磁界を効率的に粘性の制御に作用させることができる。このことにより、可動部材255に対して均等にしかも効率的に負荷を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、第1ヨーク215の第3対向部TE5及び第4対向部TF5が軸中心ACに沿った方向に配設され、球形状の可動部材255の外周面255pと対向しているので、第1ヨーク215の第3対向部TE5から可動部材255側にかけて磁路が確実に形成されるとともに、可動部材255側から第1ヨーク215の第4対向部TF5にかけて磁路が確実に形成されるようになり、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが可動部材255の球形状の放射方向に形成された磁束に沿って揃うこととなる。このため、放射方向に対して直交する接線方向(回転方向)に動作する可動部材255に対して、確実にしかもより強い負荷を付与することができる。このことにより、傾倒操作に対して、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、可動部材255が軟磁性体からなるので、第1ヨーク215の第3対向部TE5から可動部材255に、可動部材255から第1ヨーク215の第4対向部TF5にかけて磁路が確実に形成されて、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが第1ヨーク215と可動部材255と互いに対向する対向面方向に揃うこととなる。このため、磁性粒子JRが揃った対向面方向を横切る方向に動作(回転動作)する可動部材255に対して、より強い負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材255及び可動軸11jを介して操作体11により強い負荷(傾倒負荷)がかかるようになり、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
また、第3対向部TE5の第1対向面の面積と第4対向部TF5の第2対向面の面積とが同じであるので、磁束の入口と出口とで磁束密度が同等になり、コイル235から発生した磁束を磁気粘性流体75の粘性の制御に効率的に作用させることができる。このことにより、回転動作する可動部材255に対して均等に負荷(回転負荷)を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
<変形例1>
上記第1実施形態では、可動部材55が収容される収容空間(第1ヨーク15と第2ヨーク25と軸支持部53と固定体16とで形成した収容空間)を満たすように磁気粘性流体75が充填されていたが、これに限るものではなく、磁気粘性流体75が隙間5gの少なくとも一部に存在していれば良い。
<変形例2>
上記第1実施形態では、第1ヨーク15の上ヨーク15A及び下ヨーク15Cとで、第1対向部TA5及び第2対向部TC5を構成したが、上ヨーク15A或いは下ヨーク15Cのみで内側壁15fを形成し、この内側壁15fが可動部材55と対向するようにして、第1対向部TA5及び第2対向部TC5を設けない構成でも良い。
<変形例3>
上記第1実施形態では、好適に第2ヨーク25を設ける構成としたが、第1ヨーク15のみ設けた構成でも良い。
<変形例4>
上記第2実施形態では、可動部材255と磁気発生機構FN5(第1ヨーク215)との隙間5gの内、2つのリング体63に挟まれた一部の隙間5g(第3隙間5gc)に磁気粘性流体75を充填した構成であったが、これに限るものではない。例えば、隙間5gの全てに磁気粘性流体75が存在していても良い。
<変形例5>
上記実施形態では、可動部材55及び可動部材255が好適に軟磁性体から形成されていたが、これに限るものではなく、合成樹脂等の非磁性体であっても良い。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。