JP2020099243A - 水稲種籾被覆組成物および水稲種籾被覆組成物の製造方法 - Google Patents

水稲種籾被覆組成物および水稲種籾被覆組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水系組成物で被覆処理された水稲種籾が被覆処理後の乾燥が不十分な場合や高湿度環境下で保管された場合であっても、カビの発生を抑制して種籾の劣化を防止することができ、播種後の発芽率が低下しない水稲種籾被覆組成物および被覆水稲種籾を提供する。【解決手段】酸化リモナイト(a)およびフェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)を含む水稲種籾被覆組成物とし、同水稲種籾被覆組成物からなる被覆層を水稲種籾表面に有する水稲被覆種籾となすこととした。【選択図】図1

Description

本発明は、水稲直播栽培における好適な水稲種籾被覆組成物および被覆水稲種籾に関する。
近年、水稲稲作栽培の生産コスト削減および省力化や水稲生産者の高齢化の観点から、水稲種籾(以下、単に種籾とも言う。)を湛水状態にある圃場に直接播種する直播栽方法が注目されている。
従来、直播栽培方法は、籾殻による浮力を抑制して湛水下の土壌へ種籾を確実に沈降定置させて発芽させるべく、還元鉄粉、焼石膏、水を含有してなる混合物を種籾の表面に被覆させて比重を大きくした被覆水稲種籾を播種することにより行われている。
このような被覆水稲種籾を作成するための被覆作業は、一般的に造粒装置に種籾、及び還元鉄粉と焼石膏との混合物を装填して水を噴霧することにより行われているが、種籾表面に付着させた鉄粉の酸化に伴う酸化熱が種籾に不用意に伝熱して種籾を熱劣化させ、結果、種籾の発芽率を低下させる問題があった。
特開2013−146266号公報 特開2015−77100号公報 再公表2017−082283号公報
しかしながら、上記従来の種籾被覆技術は、いずれも水溶性の樹脂を使用して水系で被覆処理を行うために、種籾を被覆処理した後の乾燥が不十分な場合や高湿度環境下で保管された場合には、被覆種籾の表面にカビが発生して被覆された種籾自体を劣化させやすいという課題があった。
本発明は、上記の従来の酸化鉄被覆技術が有する課題に鑑みて、水系組成物で被覆処理された水稲種籾が被覆処理後の乾燥が不十分な場合や高湿度環境下で保管された場合であっても、カビの発生を抑制して種籾の劣化を防止することができ、播種後の発芽率が低下しない水稲種籾被覆組成物および被覆水稲種籾を提供することにある。
すなわち、本発明は 、以下の[1]〜[3]の水稲種籾被覆組成物、および[4]の被覆層を有する被覆水稲種籾を提供する。
[1]酸化リモナイト(a)およびフェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)を含む水稲種籾被覆組成物。
[2]前記酸化リモナイト(a)の酸化ケイ素/酸化鉄の含有モル比率が0.1以上である前項1に記載の水稲種籾被覆組成物。
[3]前記酸化リモナイト(a)の酸化第二鉄/酸化鉄のX線解析の反射強度の比率が0.2以上である前項1〜2に記載の水稲種籾被覆組成物。
[4]前項1〜3に記載の水稲種籾被覆組成物からなる被覆層を水稲種籾表面に有することを特徴とする水稲被覆種籾。
本発明の水稲種籾被覆組成物は、従来の水系組成物で被覆処理することよる種籾のカビの発生、および種籾の活性低下が本質的に解決される。すなわち、褐鉄鉱(リモナイト)を酸化処理した酸化リモナイトと、その成分との相互作用の大きい特定の防カビ化合物とを組み合わせた被覆組成物を用いることにより、防カビ性を高めることができ、被覆種籾の保管時のカビの発生による活性低下が抑制され、活性維持された種籾の歩留まりが向上した水稲被覆種籾が得られる。
被覆組成物で被覆した水稲被覆種籾の写真である。
本発明者は、上記の課題を解決するために、以下のように鋭意検討を重ねた。水稲種籾表面に形成させる被覆層は、水系で処理されており、使用される被覆組成物は水との親和性が高く、種籾表面は吸湿しやすい状態にある。そのため、被覆処理後の乾燥が不十分な場合や湿度が高い環境下で保管する場合は、カビが発生し易くなる。
そこで本発明者は、被覆組成物に使用される酸化鉄の成分と防カビ化合物の構造が相互作用することで、防カビ性が高めることができるかを検討した。
その結果、酸化鉄の成分とフェノール性水酸基をもつ防カビ化合物は相互作用により、優れた防カビ性を示すことを見出した。具体的には、構造中にフェノール性水酸基をもつ防カビ化合物、あるいはフェノール性水酸基と類似の水酸基をもつ防カビ化合物と天然の褐鉄鉱(リモナイト)を酸化処理した酸化リモナイトとを組み合わせることで防カビ性が高まることを見出し、本発明に想到した。
この現象は、酸化リモナイトが含有する酸化ケイ素の粒子表面と防カビ化合物のフェノール性水酸基の間で水素結合力が働くことによると推測される。さらに、防カビ化合物のフェノール性水酸基は、酸化第二鉄(β―オキシ水酸化鉄)の粒子表面とも相互作用が働くと推測される。
以下、本発明の水稲種籾被覆組成物および被覆水稲種籾について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。本発明では、酸化ケイ素を含有成分として含む酸化リモナイト(a)およびフェノール性水酸基をもつ防カビ化合物(b)を含む水稲種籾被覆組成物で水稲種籾を被覆する。
[酸化リモナイト(a)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として使用される酸化リモナイト(a)としては、褐鉄鉱(リモナイト)を自然環境下で長時間酸化し、酸化第一鉄を酸化第二鉄に変化させたものが挙げられる。この褐鉄鉱(リモナイト)は、酸化第一鉄(FeO)と酸化第二鉄であるβ―オキシ水酸化鉄(FeOOH)を含んでおり、酸化処理により酸化第一鉄は酸化第二鉄(β―オキシ水酸化鉄)に変化して酸化第二鉄の含有量が増加する。なお、酸化リモナイト中には酸化ケイ素も多く含有されている。
上記の酸化第一鉄から酸化第二鉄への酸化変化については、X線回折における反射強度解析により、酸化第一鉄の(111)面と酸化第二鉄の(110)面の2θで示されるピーク強度の比率で追跡でき、酸化ケイ素については、蛍光X線(XRF)による元素分析にて含有量を測定できる。上記の酸化ケイ素の含有率は、酸化ケイ素/酸化鉄のモル比率で0.1以上であるものが挙げられる。好ましくは、0.2以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。さらに、上記の酸化第二鉄/酸化鉄の比率は0.2以上であるものが挙げられ、好ましくは、酸化第一鉄/酸化鉄の比率が0.3以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。
酸化リモナイトは、採掘後、屋外暴露等の酸化処理期間を経た後に、スパイクミル等の粉砕機による粉砕および篩による分級処理を施したものを用いてもよい。
本実施形態では、酸化リモナイト(a)は、酸化第一鉄、酸化第二鉄および酸化ケイ素を含有するが、酸化鉄については、FeO(酸化鉄(III))、α−FeO(α−酸化鉄(III))、β−FeO(β−酸化鉄(III))、γ−FeO(γ―酸化鉄(III))、ε−FeO(ε−酸化鉄(III))等の酸化鉄、δ−FeOOH(δ−オキシ水酸化鉄)、Fe(OH)水酸化鉄(III)等の水酸化鉄を含んでいてもよい。
酸化リモナイト(a)の平均粒径は、30〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは30〜80μmであり、さらに好ましくは30〜75μmである。平均粒径が30μm以上であると、嵩比重が大きいために必要な被覆層の体積が小さくて済み作業効率が向上する。平均粒径が100μm以下であると、水中で被覆層が崩壊して水稲種籾の表面から剥がれ落ちることが少なくなる。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50である。
本発明の被覆水稲種籾に被覆される被覆層中の酸化リモナイト(a)の含有量は、酸化リモナイト/水稲種籾の重量比率で0.1〜0.5が好ましく、より好ましくは0.2〜0.4である。酸化リモナイト(a)の重量比率が0.1以上であるとみかけの比重が増加して播種後に流されにくくなり、また0.5以下であると被覆層の維持が容易となる。また、酸化リモナイト(a)の被覆層中の含有量は、30〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは35〜50質量%であり、さらに好ましくは40〜50質量%である。30質量%以上であれば効果的に種籾の浮遊を防ぐことができ、50質量%以下であれば被覆層の強度を保つことができる。
上記リモナイトは、日本国内では、柏原鉱山(長野県上水内郡信濃町)及び第一阿蘇鉱山(熊本県阿蘇市)で産出される。鉱床より露天掘りによって採掘したリモナイトに酸化処理を施して酸化リモナイトとし、同酸化リモナイトをスパイクミル等の粉砕機による粉砕および篩による分級等の処理したものを使用する。
[フェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として使用されるフェノール性水酸基を有する防カビ化合物の種類は特に限定されないが、フェノール性水酸基およびそれと類似した特性の水酸基を有する防カビ化合物が、酸化リモナイト中の酸化ケイ素および第二酸化鉄との相互作用の観点から好ましい。
フェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)の例としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)、カテキン、アントシアニジン、フラボン、イソフラボン、フラボノール等のフラボノイド系、クマリン系、クルクミン系、リグナン系等のポリフェノール類、オルトフェニルフェノール、ヒノキチオール、ヒバ油等が挙げられる。これらは混合して用いることもできる。防カビ化合物としては、環境負荷の観点から、天然物から得られる防カビ化合物を使用することがより好ましい。防カビ化合物の例として、チアベンダゾール、フルジオキソニル等のイミダゾール類等もあるが、これらの構造のものは効果が低く好ましくない。
本実施形態の被覆組成物中の防カビ化合物(b)の含有量は、0.005〜3.000質量%であることが好ましく、より好ましくは0.010〜1.000質量%であり、さらに好ましくは0.050〜0.500質量%である。防カビ化合物の含有量が0.005質量%以上であれば防カビ効果が発現しやすく、また3.000質量%以下であると効果的に組成物に混合できる。
被覆組成物中の防カビ化合物は、フェノール性水酸基と被覆組成物中の酸化ケイ素あるいは酸化第二鉄との相互作用により、フェノール性水酸基が分極することで、防カビ性が得られると推測しており、酸化ケイ素あるいは酸化第二鉄の含有量に依存すると推測している。
[樹脂(c)]
本発明において被覆層に用いる樹脂の種類は特に限定されないが、被覆強度の観点から
エマルジョンとして用いることが好ましい。分散媒が水である水系の樹脂エマルジョン、あるいは生分解性樹脂エマルジョンが種籾の劣化の低減及び環境面の負担の観点からさらに好ましい。水系のエマルジョンに用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ジエン系樹脂、ビニルモノマーとアクリルモノマーとジエンモノマーの少なくとも2つの共重合樹脂、ポリ乳酸、アルギン酸、セルロース等が挙げられる。これらは混合して用いることも可能である。
ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートコアジペート等のポリブチレンサクシネート共重合体、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートコアジペート等のポリエチレンサクシネート共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸コポリマー、グリコール酸-カプロラクトンコポリマー、グリコール酸-炭酸トリメチレンコポリマー等のポリグリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリ3−ヒドロキシブチレート等が挙げられる。より好ましい水系の樹脂エマルジョンとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリグリコール酸共重合体である。
ポリウレタン樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等とポリイソシアネートの重付加体であるポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステルジオールとポリイソシアネートの重付加体であるポリエステルジオール系ウレタン樹脂、ポリカーボネートジオールとポリイソシアネートの重付加体であるポリカーボネート系ウレタン樹脂等が挙げられる。
共重合樹脂としては、酢酸ビニル重合体水性エマルジョン、アクリル酸エステル共重合体水性エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体水性エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン等が挙げられる。
本実施形態の被覆組成物中の樹脂固形分の含有量は、2〜50質量%であると取り扱いが容易であるため好ましく、より好ましくは3〜40質量%であり、さらに好ましく5〜30質量%である。樹脂固形分の含有量が、2質量%以上であると優れた被覆強度を有する被覆層が得られ、また50質量%以下であると被覆層を形成する際の作業性が良好となる。
[肥料成分(d)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として、必要に応じて肥料成分を加えてもよい。肥料成分(d)としては、例えばKHPO(リン酸二水素カリウム)、KHPO(リン酸水素二カリウム)、KPO(リン酸三カリウム)、KPO(ピロリン酸四カリウム)、KPO10(トリポリリン酸カリウム)、(KPO(メタリン酸カリウム、n=10000)のようなリン酸カリウム塩、およびMoO(酸化モリブデン(VI))、アデノシン、グアノシン、チミジン、シチジン、ウリジン、キサントシン、およびイノシン、並びにこれらの2’−デオキシ体が挙げられ、ヌクレオチドとしては、アデニル酸(アデノシン−5’−リン酸)、グアニル酸(グアノシン−5’−リン酸)、チミジル酸(チミジン−5’−リン酸)、ウリジル酸(ウリジン−5’−リン酸)、キサンチル酸(キサントシン−5’−リン酸)、およびイノシン酸(イノシン−5’−リン酸)、並びにこれらの2’−デオキシ体のようなヌクレオシド、ヌクレオチド、尿酸やイノシンなどが挙げられる。ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、フリー体であってもよいし、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩であってもよい。中でも好ましくは食品添加物である(KPO(メタリン酸カリウム、n=10000)、MoO(酸化モリブデン(VI))、イノシン、およびイノシン酸(イノシン−5’−リン酸)から選ばれる1種以上である。これらの肥料成分は、単独で用いてもよいし、複数で用いてもよい。
本実施形態の肥料成分の含有量は、0.01〜10.00質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜5.00質量%であり、さらに好ましくは0.05〜3.00質量%である。肥料成分の含有量が0.01質量%以上であると、肥料成分により生長促進効果が十分に得られる。肥料成分の含有量が10.00質量%以下であると、生産性およびコストの面で良好である。
[増粘剤(e)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として増粘剤(e)を加えてもよい。被覆組成物中に増粘剤(e)が含まれていることにより、酸化リモナイト(a)が組成物中で分離することを防止でき、組成成分が均一な状態の組成物を得ることができる。その結果、均一な組成を有する被覆層が得られる。
増粘剤(e)としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースナノファイバーのようなセルロース系化合物、およびポリエチレングリコールジステアレートのようなグリコール系、ポリアクリル酸ナトリウム塩、およびグアーガム、キサンタンガム、ガムエースおよびそれらの混合物を例示できる。これらの中でも食品添加物として知られているヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、キサンタンガム、およびそれらの混合物やセルロースナノファイバーを増粘剤(e)として好ましく使用できる。
本実施形態の増粘剤(e)の含有量は、0〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは0〜1質量%である。増粘剤(e)の含有量が5質量%以下であると、これを含む組成物が良好な取り扱い性を有するものとなる。
[分散剤(f)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として一般的な分散剤(f)を加えることができる。分散剤を被覆組成物に混合してから水稲種籾に被覆することで、粉体表面の濡れや分散性を向上させることができる。
分散剤(f)としては、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、使用する酸化リモナイト(a)の表面状態に合わせて公知の各種界面活性剤を選択して使用できる。具体的には、アニオン系界面活性剤として、デモール(登録商標)EP、ホモゲノール(登録商標)L−18、ポイズ(登録商標)520、同530(以上、花王株式会社製)などのポリカルボン酸型界面活性剤や、デモール(登録商標)N(花王株式会社製)などのナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物型界面活性剤などがあり、ノニオン系界面活性剤としては、サーフィノール(登録商標)TG、同104E(以上、日信化学工業株式会社製)などのアセチレングリコール型活性剤や、エマルゲン(登録商標)102KG、同103、同104P、同105、同106、同108、同109P、同120、同123P、同130K、同147、同150(以上、花王株式会社製)などのポリオキシエチレンラウリルエーテルや、エマルゲン(登録商標)210P、同220(以上、花王株式会社製)などのポリオキシエチレンセチルエーテルや、エマルゲン(登録商標)306P、同320P、同350(以上、花王株式会社製)などのポリオキシエチレンステアリルエーテルや、エマルゲン(登録商標)404、同408、同409V、同420、同430(以上、花王株式会社製)などのポリオキシエチレンオレイルエーテルや、ペグノール(登録商標)O−6A(東邦化学工業株式会社製)、チラバゾール(登録商標)L−01、同W−01(太陽化学株式会社製)などの脂肪酸エステル、ノイゲン(登録商標)ET(第一工業製薬株式会社製)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤や、ノナール210、同212(以上商品名、東邦化学工業株式会社製)などのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、複数で用いてもよい。
本実施形態の分散剤(f)の含有量は、0.01〜20.00質量%であることが好ましく、より好ましくは0.10〜10.00質量%であり、さらに好ましくは1.00〜10.00質量%である。分散剤(f)の含有量が0.01質量%以上であると、酸化リモナイト(a)の分散性が向上する効果が十分に得られる。分散剤(f)の含有量が20.00質量%以下であると、被覆層の崩壊性への影響が小さい。
[抑泡剤(g)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として抑泡剤(g)を加えることができる。被覆組成物中に抑泡剤(g)が含まれていると、被覆層を形成する際の作業性が向上する。
抑泡剤(g)としては、ノプコ(登録商標)8034、ノプコ(登録商標)8034−L、SNデフォーマー477、SNデフォーマー5013、SNデフォーマー247、SNデフォーマー382(以上商品名、サンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン(登録商標)903(以上、花王株式会社製)、アワブレークG−109、同SO−101、同L−01、同LJ−01、同H−01(以上、太陽化学株式会社製)等の市販品を使用できる。
本実施形態の抑泡剤(g)の含有量は、0.01〜2.00質量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜1.50質量%であり、さらに好ましくは0.10〜1.00質量%である。抑泡剤(g)の含有量が0.01質量%以上であると、良好な抑泡効果が得られる。また、抑泡剤(g)の含有量が2.00質量%以下であると、被覆層の崩壊性への影響が小さい。
[有機溶媒(h)]
本実施形態において、被覆組成物の材料として有機溶媒(h)を加えることができる。有機溶媒(h)は、分散媒として作用し、水と混和するものを用いることが好ましい。具体的には、有機溶媒(h)として、被覆層を形成する際の分散媒を乾燥させる時間の短縮、および組成物の殺菌の観点から、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールのようなアルコール類を用いることが好ましい。これらの中でも、環境負荷軽減の観点からエタノールを用いることがより好ましい。
本実施形態の有機溶媒の含有量は、被覆組成物中に含まれる分散媒全体に対して50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。有機溶媒の含有量を50質量%以下にすることで、低環境負荷で作業性および衛生面の優れた組成物となる。
特に有機溶媒(h)が添加された被覆組成物では、同有機溶媒(h)を上記防カビ化合物(b)の展開層として機能させることができる。例えば、フェノール性水酸基を有する被覆組成物を2種以上添加した場合には、被覆組成物中の酸化ケイ素あるいは酸化第二鉄との相互作用に応じたそれぞれ固有の極性に応じて移動距離を変化させることが推測される。
つまり、有機溶媒を固定相とし防カビ化合物を移動相とし、被覆層を形成する際の分散媒乾燥時の有機溶媒の揮発に伴い移動距離の異なる2種以上の防カビ化合物が、種籾表面の全域に形成された被覆層の厚み方向について内外で分布量を違えることが推測される。
[被覆組成物の製造方法]
本発明の水稲種籾被覆組成物を製造するには、酸化リモナイト(a)、フェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)、樹脂(c)、および上述したその他の添加剤(e)〜(h)が均一に分散できればよく、混合の方法および材料の添加する順番は限定されない。
例えば、全ての材料をまとめて一度に撹拌混合させてペーストを作製する方法、または樹脂(c)以外の材料を撹拌混合させて予めミルベースを作製し、そのミルベースに樹脂(c)を加えて、さらに撹拌混合させる方法を用いることができる。
ミルベースを作製する際の材料の組み合わせには特に制限はなく、最終的なペーストに全ての材料が含有され、均一に分散されていればよい。本発明においては、樹脂(c)の分散性が向上し、生産効率が良くなることから予めミルベースを作製する方法が好ましい。
[被覆水稲種籾の製造方法]
本発明の被覆組成物からなる被覆層を有する水稲被覆種籾の製造方法は、水稲種籾と上記酸化リモナイト(a)、フェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)、樹脂(c)を含む被覆組成物を混合処理して種籾表面に被覆層を形成した後、樹脂の分散媒を乾燥することにより行う。すなわち、水稲種籾被覆組成物の被覆層を水稲種籾表面に形成した後、同被覆層を乾燥することにより乾燥被覆層となし、同乾燥被覆層により被覆された水稲被覆種籾とする。
被覆組成物により被覆層を種籾表面に形成する場合、浸種処理を施していない水稲種籾の乾籾に被覆組成物を塗布後、乾燥することができればよく、塗布方法および乾燥方法については限定されない。例えば、転動造粒装置等の装置に浸種処理を施していない水稲種籾の乾籾を装填後、回転させながら被覆組成物を添加し、浸種処理を施していない水稲種籾の乾籾に被覆組成物を塗布した後、ステンレスバット等の容器やビニールシートや筵、新聞紙等の上で数時間から一昼夜室温雰囲気下で風乾させることにより機械特性に優れた樹脂被覆層を形成することができる。
上記のように被覆組成物を塗布乾燥する場合、被覆組成物の粘度は5000〜30000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは6000〜28000mPa・sであり、さらに好ましくは6000〜25000mPa・sである。粘度が5000〜30000mPa・sであればペーストとしての取り扱いに適する。
なお、上記塗布後の乾燥は、被覆組成物に含まれる分散媒等を蒸散させて種籾に固着する被覆層の硬度を上げることを目的とする。
被覆層の硬度は、50〜200Nが好ましい。被覆層の硬度が、50N以上であれば粉落ちしにくく、200N以下であれば発芽率が良好である。被覆層の硬度は、被覆層を形成した種籾ごと測定した値であり、測定器は株式会社ミツトヨ製の硬度計HH−411等を使用することができる。
また、被覆水稲種籾のコート比率(乾籾質量に対する被覆水稲種籾の被覆層の質量の割合(被覆層の質量/乾籾質量))は、0.1〜0.7であることが好ましく、0.3〜0.6であることがより好ましい。被覆水稲種籾のコート比率が、0.1以上であると被覆水稲種籾が十分に重くなり被覆水稲種籾が田圃の水に浮かぶことを防止でき、0.7以下であると圃場に被覆水稲種籾を播種した後の発芽タイミングの個体差がより小さくなり好ましい。
上記製造方法により得られた本発明の被覆水稲種籾は、浸種処理を施していない水稲種籾の乾籾に被覆組成物を塗布後、図1に示すように乾燥しているため、播種前に浸種処理を施し播種するか、あるいは浸種処理せずに播種することができる。
以下、本発明にかかる実施例及び比較例について、下記の順序に従って具体的に説明する。
(1)実施例及び比較例に用いる主たる基材:
(2)実施例及び比較例にかかる被覆組成物の調製例:
(3)実施例及び比較例にかかる発芽性及び防カビ性の検証実験:
なお、以下において、調製例1〜50でそれぞれ得られる被覆組成物1〜50は、同被覆組成物1〜50にてコーティング処理された種籾である実施例1〜50に対応し、調整例51〜58でそれぞれ得られた被覆組成物51〜60は、同被覆組成物51〜60にてコーティング処理された種籾である比較例1〜10に対応する。したがって、それぞれの対応関係に従い各種表中おける材料の種類や添加を同じくする。また、本発明は、以下の実施例に限定されることはない。
(1)実施例及び比較例に用いる主たる基材:
本発明の実施例及び比較例に用いる主たる基材としては、酸化リモナイト(a)、防カビ化合物(b)、樹脂エマルジョン(c)である。以下、これら主たる基材について説明する。
(酸化リモナイト(a))
採掘されたリモナイトを自然環境下で長時間酸化し、酸化第一鉄と酸化第二鉄(β―ヒドロキシ水酸化鉄)とを異なる比率で含有する酸化リモナイトを得ることができる。さらに、リモナイト中には酸化ケイ素が含まれているが、上記酸化処理によっては殆ど変化しない。
上記の酸化リモナイトに含まれる酸化第二鉄/酸化鉄の比率はX線回折で測定し、酸化ケイ素/酸化鉄の含有量は蛍光X線で測定した。
酸化リモナイトは、酸化第二鉄/酸化鉄のモル比率、及び酸化ケイ素/酸化鉄のモル比率ごとに、A〜Kの11種類に分けた。なお、各酸化リモナイトの具体的な酸化第二鉄/酸化鉄のモル比率、及び酸化ケイ素/酸化鉄のモル比率については後述する表3〜17に記載した。
(樹脂エマルジョン(c)及び防カビ化合物(b))
本発明の実施例で使用される樹脂エマルジョン(c)の種類を表1に、また、防カビ化合物(b)の種類を表2に示す。
(2)実施例及び比較例にかかる被覆組成物の調製例:
(調製例1〜4)
100mLのポリエチレン容器に分散剤(f)としてチラバゾールW−01(太陽化学社製)0.23g、抑泡剤(g)としてアワブレークL−01(太陽化学社製)0.23g、増粘剤(e)としてガムエースSG−30(太陽化学社製)0.11g、肥料成分(d)としてメタリン酸カリウム(太洋化学工業社製、(KPO)n、n≒10000)0.23g、フェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)として表2に記載の防カビ化合物A(プロピルパラベン(富士フィルム和光純薬製))を表3の通りにはかり取った。
そこに、水9.4g、有機溶媒(h)としてエタノール1.1gを加えた後、自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させた。
そこに、酸化リモナイト(a)として酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gを加え、自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させて調製したミルベースに、樹脂(c)として表1に記載の樹脂A(水系樹脂エマルジョンランディPL−3000(ミヨシ油脂社製、固形分濃度40%))5.5g及び樹脂B(NeoRezR−600(楠本化成社製、固形分濃度33%))0.73gを加えて自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させることで被覆組成物1〜4を得た。
(調製例5〜8)
樹脂B0.73gの代わりに樹脂C(NeoRezR−4000(楠本化成社製、固形分濃度35%))0.69gを用い、防カビ化合物Aの代わりに防カビ化合物B(アントシアニジン(富士フィルム和光純薬製))を表4の記載量を用いた以外は調製例1〜4と同様にして被覆組成物5〜8を得た。
(調製例9〜12)
防カビ化合物Aの代わりに、防カビ化合物C(ヒノキチオール(東京化成工業製))を表5に記載した量で用いた以外は調製例1〜4と同様にして被覆組成物9〜12を得た。
(調製例13〜16)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表6に記載の酸化リモナイトB25.5gを用いた以外は調製例1〜4と同様にして被覆組成物13〜16を得た。
(調製例17〜20)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表7に記載の酸化リモナイトC25.5gを用いた以外は調製例1〜4と同様にして被覆組成物17〜20を得た。
(調製例21〜23)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表8に記載の酸化リモナイトD25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物21〜23を得た。
(調製例24〜26)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表9に記載の酸化リモナイトE25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物24〜26を得た。
(調製例27〜29)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表10に記載の酸化リモナイトF25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物27〜29を得た。
(調製例30〜32)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表11に記載の酸化リモナイトG25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物30〜32を得た。
(調製例33〜35)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表12に記載の酸化リモナイトH25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物33〜35を得た。
(調製例36〜38)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表13に記載の酸化リモナイトI25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物36〜38を得た。
(調製例39〜41)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表14に記載の酸化リモナイトJ25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物39〜41を得た。
(調製例42〜44)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表15に記載の酸化リモナイトK25.5gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物42〜44を得た。
(調製例45〜47)
樹脂A5.5gと樹脂B0.73gの代わりに、表1及び表16に記載の樹脂D(ローンフィ
ックスEco700(昭和電工製、固形分濃度50%))4.88gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物45〜47を得た。
(調製例48〜50)
酸化リモナイトA(表3に記載)25.5gの代わりに、表17に記載の酸化リモナイトK25.5gを用い、樹脂A5.5gと樹脂B0.73gの代わりに、表1及び表17に記載の樹脂D4.85gを用いた以外は調製例1〜3と同様にして被覆組成物48〜50を得た。
(調製例51)
100mLのポリエチレン容器に分散剤(f)としてチラバゾールW−01(太陽化学社製)0.23g、抑泡剤(g)としてアワブレークL−01(太陽化学社製)0.23g、増粘剤(e)としてガムエースSG−30(太陽化学社製)0.11g、肥料成分(d)としてメタリン酸カリウム(太洋化学工業社製、(KPO)n、n≒10000)0.23gをはかり取った。
そこに、水9.4g、有機溶媒(h)としてエタノール1.1gを加えた後、自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させた。
そこに、表18に記載の酸化リモナイトA25.5gを加え、自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させて調製したミルベースに、樹脂A5.5gと樹脂B0.73gを加えて自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させることで防カビ化合物を添加していない被覆組成物51を得た。
(調製例52)
樹脂A5.5gと樹脂B0.73gの代わりに、表1及び表18に記載の樹脂D4.88gを用いた以外は調製例51と同様にして防カビ化合物を添加していない被覆組成物52を得た。
(調製例53)
100mLの分散剤(f)としてポリエチレン容器にチラバゾールW−01(太陽化学社製)0.23g、抑泡剤(g)としてアワブレークL−01(太陽化学社製)0.23g、増粘剤(e)としてガムエースSG−30(太陽化学社製)0.11g、肥料成分(d)としてメタリン酸カリウム(太洋化学工業社製、(KPO)n、n≒10000)0.23g、表2に記載の防カビ化合物D(チアベンダゾール(東京化成工業製))を表18の記載量はかり取った。
そこに、水9.4g、有機溶媒(h)としてエタノール1.1gを加えた後、自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させた。
そこに、酸化リモナイトA(表18に記載)25.5gを加え、自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させて調製したミルベースに、樹脂A5.5gと樹脂B0.73gを加えて自転公転型撹拌装置を用いて撹拌混合させることで被覆組成物53を得た。
(調製例54)
樹脂A5.5gと樹脂B0.73の代わりに、表1及び表18に記載の樹脂D4.88gを用いた以外は調製例53と同様にして被覆組成物54を得た。
(調製例55)
酸化リモナイトA(表18に記載)25.5gの代わりに、表19に記載の酸化リモナイトC25.5gを用いた以外は調製例51と同様にして防カビ化合物を添加していない被覆組成物55を得た。
(調製例56)
酸化リモナイトA(表18に記載)25.5gの代わりに、酸化リモナイトC(表19に記載)25.5gを用いた以外は調製例52と同様にして防カビ化合物を添加していない被覆組成物56を得た。
(調製例57)
酸化リモナイトA(表18に記載)25.5gの代わりに、酸化リモナイトC(表19に記載)25.5gを用いた以外は調製例53と同様にして被覆組成物57を得た。
(調製例58)
酸化リモナイトA(表18に記載)25.5gの代わりに、酸化リモナイトC(表19に記載)25.5gを用いた以外は調製例54と同様にして被覆組成物58を得た。
(調製例59)
酸化リモナイトA(表3に記載)の代わりに、表20に記載の酸化鉄(III)(関東化学社製)25.5gを用いた以外は調製例3と同様にして被覆組成物59を得た。
(調製例60)
酸化リモナイトA(表3に記載)の代わりに、表20に記載の酸化ケイ素(富士フィルム和光純薬社製)12.5gを用いた以外は調製例3と同様にして被覆組成物60を得た。
(3)実施例及び比較例にかかる発芽性及び防カビ性の検証実験:
(実施例1〜50)
18cmの造粒パンを備えた転動造粒装置に水稲種籾20gを装填した。造粒パンを回転させ、そこに調製例1〜調製例50で得た被覆組成物1〜50を1.5g、容器からヘラで掻きとって加えることにより、被覆組成物を種籾に被覆させた。
同様の操作を繰り返し、最終的に被覆組成物15gを種籾に被覆させた後に20cm×20cmのステンレスバット上で一昼夜乾燥させ、被覆水稲種籾1〜50を得た。得られた被覆水稲種籾1〜50をそれぞれ表3〜表17に示した実施例1〜50として防カビ性試験および発芽試験に供した。
(比較例1〜10)
18cmの造粒パンを備えた転動造粒装置に水稲種籾20gを装填した。造粒パンを回転させ、そこに調製例51〜調製例60で得た被覆組成物51〜60を1.5g、容器からヘラで掻きとって加えることにより、被覆組成物を種籾に被覆させた。
同様の操作を繰り返し、最終的に被覆組成物15gを種籾に被覆させた後に20cm×20cmのステンレスバット上で一昼夜乾燥させ、被覆水稲種籾51〜60を得た。
得られた被覆水稲種籾51〜60をそれぞれ表18〜表20に示した比較例1〜10として防カビ性試験および発芽試験に供した。
(発芽試験)
網目が2mmのステンレス製のメッシュを水面下8mmの位置に設置した。このメッシュ上に実施例および比較例で作製した被覆水稲種籾をそれぞれ100粒配置し、室温20℃の恒温室中で水面高さを保ちながら10日間の栽培を行い、発芽した種籾の数を計測し、発芽率を評価した。
(防カビ性試験)
200mm径、深さ50mmのシャーレに実施例および比較例で作製した被覆水稲種籾をそれぞれ100粒のせ、恒温恒湿装置に入れ、温度27℃、湿度65%で10日間暴露し、カビが発生した被覆水稲種籾の数を計測し、防カビ性を評価した。
かかる発芽試験及び防カビ性試験のそれぞれについて、実施例1〜50及び比較例1〜10の試験結果を表21、表22及び表23に示す。
表21、表22および表23に示されるように、実施例1〜50の被覆水稲種籾1〜50は、比較例1〜10の被覆水稲種籾51〜60と比較して、極めて良い防カビ性が示された。
また、実施例1〜50の被覆水稲種籾の発芽率は、高い湿度条件下で暴露されたにもかかわらず発芽率100%が示された。
一方、比較例1〜10の発芽率は低く、被覆水稲種籾の劣化が推測される。さらに、実施例17、実施例36、実施例42、実施例48の防カビ性の結果から、被覆組成物中の酸化ケイ素および酸化第二鉄の量に依存していることが示され、その相乗効果が大きいことが推測された。
特に、比較例3、比較例4、比較例7、比較例8は、フェノール性水酸基をもたない防カビ化合物を含有する被覆組成物の例であるが、実施例と比較して、防カビ性の効果が低いことが示された。このことから、フェノール性水酸基をもつ防カビ化合物が酸化リモナイト中の酸化ケイ素あるいは酸化第二鉄と特異的に相互作用していることが推測された。
さらに、実施例の被覆水稲種籾は、比較例に比較し、発芽率が維持されており、種籾の劣化が抑制されていると推測される。
以上の結果から、酸化リモナイトとフェノール性水酸基をもつ防カビ化合物を組み合わせた本発明の被覆水稲組成物から得られる被覆層の優れた防カビ効果と播種後の活性低下の抑制効果が明らかである。
本発明によれば、酸化リモナイトとフェノール性水酸基をもつ防カビ化合物を組み合わせた被覆組成物を被覆した水稲種籾は、高湿環境下で保管された場合でもカビの発生を抑制でき、保管性と歩留まり性とを向上することができる。
すなわち、本発明は 、以下の[1]〜[3]の水稲種籾被覆組成物、および[4]の水稲種籾被覆組成物の製造方法を提供する。
[1]酸化第二鉄と酸化ケイ素と酸化鉄とを含む酸化リモナイト(a)と、フェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)と、を含有する水稲種籾被覆組成物であって、前記酸化リモナイト(a)は、前記酸化第二鉄を前記酸化鉄に対してモル比率0.2〜0.8とすると共に前記酸化ケイ素を前記酸化鉄に対してモル比率0.13〜0.65とし、前記防カビ化合物(b)は、前記酸化リモナイト(a)に対して0.008質量%〜0.46質量%として、それぞれ含有することを特徴とする水稲種籾被覆組成物。
[2]前記防カビ化合物は、プロピルパラベン、アントシアニジン、ヒノキチオールのいずれかから選択されることを特徴とする請求項1に記載の水稲種籾被覆組成物。
[3]ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂とを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水稲種籾被覆組成物。
[4]分散剤(f)、抑泡剤(g)、肥料成分(d)、増粘剤(e)及び後述する酸化リモナイト(a)に対し0.008質量%〜0.46質量%の防カビ化合物(b)をそれぞれ水に攪拌・溶解した溶解撹拌液に、エタノール(h)を加えてさらに攪拌して混合した分散液を作製する工程と、酸化鉄に対する酸化第二鉄のモル比率が0.2〜0.8、且つ酸化鉄に対する酸化ケイ素のモル比率が0.13〜0.65である前記酸化リモナイト(a)を前記分散液に加えて攪拌混錬することによりプレペーストを作製する工程と、前記プレペーストに樹脂(c)を加えて攪拌混錬して水稲種籾の被覆組成物を作製する工程と、を含むことを特徴とする水稲種籾被覆組成物の製造方法。

Claims (4)

  1. 酸化リモナイト(a)およびフェノール性水酸基を有する防カビ化合物(b)を含む水稲種籾被覆組成物。
  2. 酸化リモナイト(a)の酸化ケイ素/酸化鉄の含有モル比率が0.1以上である請求項1に記載の水稲種籾被覆組成物。
  3. 酸化リモナイト(a)の酸化第二鉄/酸化鉄のX線解析の反射強度の比率が0.2以上である請求項1又は請求項2に記載の水稲種籾被覆組成物。
  4. 請求項1〜3に記載の水稲種籾被覆組成物からなる被覆層を水稲種籾表面に有することを特徴とする水稲被覆種籾。
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