JP2020081525A - バルーンカテーテル - Google Patents

バルーンカテーテル Download PDF

Info

Publication number
JP2020081525A
JP2020081525A JP2018222270A JP2018222270A JP2020081525A JP 2020081525 A JP2020081525 A JP 2020081525A JP 2018222270 A JP2018222270 A JP 2018222270A JP 2018222270 A JP2018222270 A JP 2018222270A JP 2020081525 A JP2020081525 A JP 2020081525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
balloon
light
catheter
catheter tube
light irradiation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018222270A
Other languages
English (en)
Inventor
政明 北山
Masaaki Kitayama
政明 北山
康史 三木
Yasushi Miki
康史 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2018222270A priority Critical patent/JP2020081525A/ja
Publication of JP2020081525A publication Critical patent/JP2020081525A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】カテーテルチューブ内に通電を行うリスクを回避して安全かつ簡素な構成で温熱治療等のバルーンカテーテルの特性を活かした光治療を行うことができるバルーンカテーテルを提供する。【解決手段】体内に挿入される側の遠位端13および体外に配置される側の近位端14を有するカテーテルチューブ10と、カテーテルチューブ10の遠位端13に拡縮可能に設けられたバルーン20と、カテーテルチューブ10内に挿通され、バルーン20内に光を照射する光照射部31を有する光ファイバ30と、を備える。光照射部31からバルーン20内に照射する光により光治療を行うことができ、特にバルーン20をカーボンナノチューブを含む材料で構成することにより、がん治療に有効な光治療を可能とする。【選択図】図3

Description

本発明は、カテーテル治療等に用いられるバルーンカテーテルに関する。
カテーテル治療は、カテーテルチューブを体内の血管、体腔、体内管腔部等を通して治療対象の臓器の組織まで挿入し、そのカテーテルチューブの先端に設けた処置手段によってその組織に対し目的の処置を行うものである。このようなカテーテル治療を行うにあたって、カテーテルチューブの先端にバルーンを設けたバルーンカテーテルを用いる場合がある。
従来のバルーンカテーテルとして、バルーン内のカテーテルチューブに離間して設けた一対の電気接点を、カテーテルチューブ内に通したワイヤで電気的に接続し、そのワイヤに電源から通電することで、電気接点を発熱させてバルーン内に供給した流体を加熱し、患部に対して温熱療法を施すものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特許第4991542号公報
しかしながら上記特許文献1に記載の従来のバルーンカテーテルにあっては、カテーテルチューブ内を通るワイヤに通電するため、構造が複雑になるとともに、漏電等の不具合が起こった場合には人体への悪影響が懸念されるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、カテーテルチューブ内に通電を行うリスクを回避して安全かつ簡素な構成で温熱治療等のバルーンカテーテルの特性を活かした光治療を行うことができるバルーンカテーテルを提供することを目的としている。
本発明に係るバルーンカテーテルは、体内に挿入される遠位端および体外に配置される近位端を有するカテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの前記遠位端に拡縮可能に設けられたバルーンと、前記カテーテルチューブ内に挿通され、前記バルーン内に光を照射する光照射部を有する光ファイバと、を備えることを特徴とする。
この構成により本発明に係るバルーンカテーテルは、拡張させたバルーン内に、光ファイバを通して光照射部から光を照射することができる。本発明に係るバルーンカテーテルによれば、光が照射されたバルーンを患部に近接あるいは接触させることにより、様々な光治療を体内の患部に対して行うことができる。光治療は、主に赤外光の照射による治療と紫外光の照射による治療とに分けられるが、例えば赤外光であれば血流増進や温熱療法等が挙げられ、紫外光であれば殺菌治療等が挙げられる。
本発明に係るバルーンカテーテルによれば、カテーテルチューブ内に通電してバルーン内に光を照射する構成ではないため、通電によるリスクを招くことがなく、安全かつ簡素な構成で温熱治療等のバルーンカテーテルの特性を活かした光治療を行うことができる。
本発明は、前記バルーンは、カーボンナノチューブを含む材料で構成されていることを特徴とする。カーボンナノチューブは、例えば中空の単層、2層あるいは多層のものが挙げられ、本発明ではいずれの構造のものも使用可能であるが、特に光治療に有効な点から単層カーボンナノチューブが好適に使用される。
カーボンナノチューブは光照射により発熱作用が生じるため、カーボンナノチューブを含む材料で構成されたバルーンは発熱する。これにより本発明に係るバルーンカテーテルは、光が照射されたバルーンを患部に近接あるいは接触させることにより、発熱するバルーンによって患部に対し温熱治療を施すことができる。
本発明においてバルーンに含まれるカーボンナノチューブは、半導体型カーボンナノチューブもしくは金属型カーボンナノチューブが挙げられる。半導体型および金属型のいずれのカーボンナノチューブも発熱作用が生じるので、バルーンによる温熱療法を行うことができる。
また、本発明においては、前記光照射部から照射される光が近赤外光であることを特徴とする。本発明において照射される近赤外光は、一般的な光治療あるいは光免疫療法に用いられる近赤外波長であって650〜900nm程度の波長が好適とされる。
上記波長の近赤外光は生体に強い影響を与えず、一般的なレーザ治療で用いられるレーザ光よりも低出力での照射が可能であり、照射対象を高熱化させることを回避することができる。このため本発明では、近赤外光をバルーンに照射することにより、低温(例えば40〜45℃程度)、かつ低侵襲での温熱療法が可能となる。
また、特に上記半導体型カーボンナノチューブは、上記波長の近赤外光が照射されると発熱作用を生じるとともに、高い光線力学効果を示すことにより活性酸素種を生成する。近年、光線力学的治療の分野において活性酸素種ががん細胞を死滅させることができるという知見が知られている(例えば、「Photodynamic and Photothermal Effects of Semiconducting and Metallic-Enriched Single-Walled Carbon Nanotubes」(https://pubs.acs.org/doi/10.1021/ja3079972)等参照)。
本発明では、患部に対してバルーンを近接あるいは接触させた状態で光照射部から近赤外光を照射することにより、活性酸素種を患部に作用させてがん細胞を死滅させることができる。このような治療は正常組織への侵襲性が少なく、患部のみに治療を施すことができる点できわめて有効な治療とされる。
本発明は、前記バルーンは、前記カテーテルチューブの軸心と略同心状に拡張するよう構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、カテーテルチューブの周囲の全周にわたる領域にバルーンを通して光を照射することができる。このため、例えばバルーンカテーテルを体内管腔に挿入した場合において、その管腔の全周にわたる広範囲な部分に対し光治療を効率よく行うことができる。
また、本発明は、前記バルーンは、前記カテーテルチューブの軸心に対し偏心した形状に拡張するよう構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、カテーテルチューブの周囲の一部にバルーンを通して集中的に光を照射することができる。このため、比較的小さな患部に対する局所的な光治療を効率よく行うことができる。
また、本発明は、前記光照射部に、該光照射部から照射される光を拡散光に変換する拡散体が設けられていることを特徴とする。本発明の拡散体としては、凹レンズやすりガラス、あるいは光拡散シート、光拡散フィルム等が挙げられる。
この構成によれば、光照射部から照射する光が拡散体で拡散されることにより、光はバルーン全体に均等あるいはそれに近い状態に照射される。このため、バルーンを近接あるいは接触させた患部に対し、光治療を効率よく行うことができる。特に、上述のバルーンがカテーテルチューブの軸心と略同心状に拡張するよう構成された形態と組み合わせることは、広範囲な患部に対して光を照射することができるため有効である。
また、本発明は、前記光照射部に、該光照射部から照射される光を集光させる集光レンズが設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、光照射部から照射する光が集光するので、比較的小さな患部に対する局所的な光治療を効率よく行うことができる。この構成は、上述のバルーンがカテーテルチューブの軸心に対し偏心した形状に拡張するよう構成された形態と組み合わせることにより、強い光を集中させて照射することができるため、ピンポイントで光治療を行う場合に特に有効である。
本発明によれば、カテーテルチューブ内に通電を行うリスクを回避して安全かつ簡素な構成で温熱治療等のバルーンカテーテルの特性を活かした光治療を行うことができるバルーンカテーテルを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの一部断面側面図である。 (a)は図1のIIA−IIA断面図、(b)は3ルーメンタイプのカテーテルチューブの一例を示す断面図である。 図1のIII部の拡大図である。 図3のIV−IV断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るバルーンカテーテルのカテーテルチューブおよびバルーンを示す断面図である。 (a)は本発明の第4の実施形態に係るバルーンカテーテルのカテーテルチューブおよびバルーンを示す断面図、(b)は第4の実施形態においてバルーンを偏心タイプとした場合を示すカテーテルチューブおよびバルーンの断面図である。 本発明の第4の実施形態の変形例を示すカテーテルチューブおよびバルーンを示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係るバルーンカテーテルのカテーテルチューブおよびバルーンを示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るバルーンカテーテル1を示している。このバルーンカテーテル1は、体内に挿入される側の遠位端13および体外に配置される側の近位端14を有する円柱状のカテーテルチューブ10と、カテーテルチューブ10の遠位端13に拡縮可能に設けられたバルーン20と、カテーテルチューブ10内に挿通され、バルーン20内にレーザ光等の光を照射する光照射部31を有する光ファイバ30と、を備えている。
カテーテルチューブ10は、可撓性を有する材料で形成されている。カテーテルチューブ10を形成する可撓性材料は特に限定されないが、高分子材料であることが好ましく、ポリアミド樹脂あるいはポリアミド系エラストマー等が特に好ましい。
図2(a)に示すように、カテーテルチューブ10は、その内部にバルーンルーメン15と光照射ルーメン16とを有する2ルーメンタイプである。
バルーンルーメン15は、バルーン20を膨らませて拡張させる空気等の流体をバルーン20内に供給するための流路である。ここではバルーン20内に供給する流体を空気として説明を続ける。図1に示すように、カテーテルチューブ10の遠位端13には、空気導出口15aが先端手前の位置に形成されている。バルーンルーメン15は、近位端14から空気導出口15aまでカテーテルチューブ10の軸心と略平行に貫通形成されている。
光照射ルーメン16には、光ファイバ30が挿通されている。光ファイバ30は、グラスファイバやプラスティックファイバ等の一般周知の光を伝導する繊維状部材からなるものである。カテーテルチューブ10の遠位端13には、光照射ルーメン16を外部に開口する光照射口16aが先端手前の位置に形成されている。光照射ルーメン16は、近位端14から光照射口16aまでカテーテルチューブ10の軸心と略平行に貫通形成されている。
光照射口16aは、上記空気導出口15aに対し軸方向にオフセットされた位置に形成されている。これにより、光照射口16aと空気導出口15aとが連通することが防止される。
なお、本発明に係るカテーテルチューブは、2ルーメンタイプに限られず、図2(b)に示すカテーテルチューブ11のように、バルーンルーメン15と光照射ルーメン16の他にガイドワイヤルーメン17を有する3ルーメンタイプのもの、あるいは4以上のルーメンを有するものも適用可能である。
図2(b)に示すカテーテルチューブ11のガイドワイヤルーメン17は、近位端14から遠位端13までその全長にわたり貫通形成されている。ガイドワイヤルーメン17には、バルーンカテーテル1を体内に挿入するに際してその進路をガイドするガイドワイヤ18が挿通される。
ここで、第1の実施形態のバルーンカテーテル1は、図2(a)に示す2ルーメンタイプのカテーテルチューブ10を備えるものとする。
バルーン20は、その内部に空気導出口15aが配置されるようにしてカテーテルチューブ10の遠位端13の外周部に設けられている。
図3に示すバルーン20は拡張した状態である。バルーン20はカテーテルチューブ10と同軸状の円筒状に形成されており、その軸方向両端部がそれぞれカテーテルチューブ10の外周面全周に気密的に接合されている。すなわちバルーン20は、その軸方向両端部にカテーテルチューブ10の外周面に所定長さ密着する環状の接合部20aを有し、その接合部20aがカテーテルチューブ10の外周面全周に気密的に接合されている。本実施形態のバルーン20は、カテーテルチューブ10の周囲全周にカテーテルチューブ10の軸心と略同心状に拡張するよう構成された"全周タイプ"である。
バルーン20の接合部20aをカテーテルチューブ10に接合する手段としては、接着剤による接着、熱溶着、溶剤による溶着、超音波溶着等の手段が好適に採用される。
バルーン20は、ゴム弾性を有する伸縮性材料で形成されている。その伸縮性材料としては、100%モジュラス(JIS K 6251に準拠して測定した値)が、0.1〜10MPaであるものが好ましく、1〜5MPaであるものが特に好ましい。
100%モジュラスが小さすぎるとバルーン20の強度が不足するおそれがあり、逆に大きすぎるとバルーン20が十分な大きさに拡張しないおそれがある。そのようなバルーン20の材料の具体例としては、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンエラストマー、高分子材料等が挙げられる。
バルーン20は、上述したように空気がバルーンルーメン15に供給されると拡張するが、通常は、自然状態に縮小してカテーテルチューブ10の外周面に張り付いた状態になるよう構成されている。
図3および図4に示すように、光照射ルーメン16に挿通された光ファイバ30の先端には、光照射口16a側に屈曲した屈曲部32が形成されており、その屈曲部32の先端面に光照射部31が形成されている。上記光源で発せられた光は、光ファイバ30を伝導して光照射部31からカテーテルチューブ10の側方(径方向外方)に向かって照射されるようになっている。バルーン20が拡張した状態において、その光はバルーン20内に照射される。
図1に示すように、カテーテルチューブ10の近位端14には、バルーン用枝管41と光照射用枝管45とが接続されている。
バルーン用枝管41は、その内部がバルーンルーメン15に連通するようにカテーテルチューブ10の近位端14に接続されている。バルーン用枝管41は、その先端にハブ42を有する。このハブ42には、空気供給用の図示せぬシリンジが接続され、そのシリンジからバルーン用枝管41を介してバルーンルーメン15に空気が送られるようになっている。バルーンルーメン15に送られた空気は導出口15aからバルーン20内に供給され、これによりバルーン20が拡張するようになっている。
光照射用枝管45は、その内部が光照射ルーメン16に連通するようにカテーテルチューブ10の近位端14に接続されている。光照射用枝管45は、その先端にハブ46を有する。このハブ46には、光ファイバ30にレーザ光等の所定波長の光を発する図示せぬ光源が接続される。
バルーン用枝管41および光照射用枝管45とカテーテルチューブ10との接続部には、この接続部を補強し、かつ保護するカバー50が設けられている。カバー50は筒状に形成されたものであり、バルーン用枝管41および光照射用枝管45とカテーテルチューブ10との接続部を覆うようにして設けられる。カバー50の材質は特に限定されないが、弾力性を有する高分子材料等が好ましく、また、熱収縮性を有するチューブ状のものを用いてもよい。
以上が本実施形態のバルーンカテーテル1の構成であり、次に、このバルーンカテーテル1の使用例とその作用について説明する。
本実施形態に係るバルーンカテーテル1の使用方法は、まず、バルーン20が縮小した状態でカテーテルチューブ10を遠位端13側から体内管腔等に挿入し、バルーン20を治療対象の患部に到達させる。次いで、バルーンルーメン15に空気を供給してバルーン20を拡張させ、バルーン20の外面を患部に接触させるか、または近接させる。
そして、上記光源から光ファイバ30に光を供給して光照射部31から所定周波数の光(レーザ光等)を照射する。光照射部31から発する光は、カテーテルチューブ10の光照射口16aから出射してバルーン20の内面を照射する。これによりバルーン20が接触または近接している患部に対し、バルーン20を通じて光治療を行うことができる。
光治療を行うにあたっては、目的の治療に応じて光ファイバ30に供給する光の種類(周波数)が選択され、例えば赤外光による血流増進や温熱療法や、紫外光による殺菌治療等が施される。
本実施形態に係るバルーンカテーテル1は、光ファイバ30を通してバルーン20内に光を照射する構成であり、カテーテルチューブ10内に通電してバルーン20内に光を照射する構成ではない。このため本実施形態のバルーンカテーテル1は、通電によるリスクを招くことがなく、安全かつ簡素な構成で温熱治療等のバルーンカテーテルの特性を活かした光治療を行うことができる。
また、本実施形態に係るバルーンカテーテル1のバルーン20は、カテーテルチューブ10の軸心と略同心状に拡張する全周タイプである。このため、カテーテルチューブ10の周囲の全周にわたる領域にバルーン20を通して光を照射することができる。したがって例えばバルーンカテーテル1を体内管腔に挿入した場合において、その管腔の全周にわたる広範囲な部分に対し光治療を効率よく行うことができる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態のバルーンカテーテル1は、上記第1の実施形態のバルーン20がカーボンナノチューブを含む材料で構成されている。第2の実施形態は、このようにバルーン20の材質が第1の実施形態と相違するのみであり、構造に関しては同一である。
カーボンナノチューブを含むバルーン20を構成するには、上述したバルーン20の材料(天然ゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンエラストマー、高分子材料等)を基材とし、その基材に、カーボンナノチューブを含有させる。それには、例えば可塑性を有する状態の成形前の基材中にカーボンナノチューブを添加して混練し、基材とカーボンナノチューブの混合物を成形したり、成形後の基材の内面および外面の一方または双方に、溶媒に分散させたカーボンナノチューブを塗布したりすることにより、カーボンナノチューブを含むバルーン20を得ることができる。
カーボンナノチューブは周知のようにグラフェンシートを円筒状に巻いた中空構造を有し、円筒の数の違いから、円筒が1本のみからなる単層カーボンナノチューブ、直径の異なる2本の単層カーボンナノチューブが同軸で重なった2層カーボンナノチューブ、さらに多層に重なった多層カーボンナノチューブに分けられる。
カーボンナノチューブは、高い熱伝導率を材料に付与するとともに、材料の強度、靭性、弾性、耐久性等の物理的特性を向上させることは周知のとおりである。特に、単層カーボンナノチューブは、物理的特性を向上させる点で他の構造のものよりも優位とされている。
本実施形態においてバルーン20の構成材料中におけるカーボンナノチューブの含有量(濃度)は、例えば5〜80重量%といった範囲が挙げられ、この範囲中では10〜70重量%が好ましく、20〜60重量%がより好ましい。
また、上記単層カーボンナノチューブは、上記グラフェンシートの「巻き方(カイラリティ)」、「巻く角度(カイラル角)」および「直径」の3つのパラメータによって、半導体性を示す半導体型と、金属性を示す金属型とにその構造態様を分けることができる。本実施形態のバルーン20に含まれるカーボンナノチューブは、半導体型および金属型のいずれの構造であっても採用することができる。
第2の実施形態のバルーンカテーテル1においては、カーボンナノチューブは光照射により発熱作用が生じるため、カーボンナノチューブを含む材料で構成されたバルーン20は発熱する。これにより本実施形態に係るバルーンカテーテル1は、光が照射されたバルーン20を患部に近接あるいは接触させることにより、発熱するバルーン20によって患部に対し温熱治療を施すことができる。
カーボンナノチューブが半導体型あるいは金属型のいずれであっても発熱作用は生じるので、バルーン20よる温熱療法が可能である。
また、本実施形態では、光ファイバ30からバルーン20に照射する光として、一般的な光治療あるいは光免疫療法に用いられる650〜900nm程度の波長の近赤外レーザ光が好適とされる。当該波長の近赤外レーザ光を照射することにより、生体に強い影響を与えず、一般的なレーザ治療で用いられるレーザ光よりも低出力での照射が可能であり、照射対象を高熱化させることを回避することができる。その結果、低温(例えば40〜45℃程度)、かつ低侵襲での温熱療法が可能となる。
また、本実施形態では、特に上記半導体型の単層カーボンナノチューブをバルーン20に含有させた場合、上記波長の近赤外光レーザ光等の近赤外光を照射すると、発熱作用を生じるとともに、高い光線力学効果を示すことにより活性酸素種を生成する。このような発熱と活性酸素種生成の2つのメカニズムは、大きな治療効果が期待される。
上記光線力学効果は、酸素の項間交差が行われることにより、安定状態の三重項酸素から励起一重項状態の活性酸素種が発生し、この活性酸素種の強い酸化作用によってがん細胞を死滅させることができる。このような治療は正常組織への侵襲性が少なく、患部のみに治療を施すことができるため、人体へのストレスを少なくする治療としてきわめて有効である。
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態を説明する。
第3の実施形態のバルーンカテーテル1は、上記第1の実施形態において、カテーテルチューブ10に代えて図2(b)に示した3ルーメンタイプのカテーテルチューブ11を有する。また、バルーン20に代えてカテーテルチューブ10の軸心に対し偏心した形状に拡張するよう構成されたバルーン21を有する。
第3の実施形態のバルーンカテーテル1は、構造がこれらの点で第1の実施形態と相違しており、その他の構成要素は共通している。バルーン21に関しては、第1の実施形態のようにカーボンナノチューブを含まない構成であってもよく、第2の実施形態のようにカーボンナノチューブを含む構成であってもよい。
図5に示すように、第3の実施形態のバルーンカテーテル1のカテーテルチューブ11は、バルーンルーメン15、光照射ルーメン16およびガイドワイヤルーメン17を有する。ガイドワイヤルーメン17には、バルーンカテーテル1を体内に挿入するに際しその進路をガイドするガイドワイヤ18が挿通される。
図5に示すように、第3の実施形態のバルーン21は、周方向の一部の領域に軸方向全長にわたって延びる接合部21aを有し、その接合部21aが、カテーテルチューブ11の外周面に気密的に接合されている。接合部21aはカテーテルチューブ11のガイドワイヤルーメン17側の外周面に接合され、これによりバルーン21はバルーンルーメン15および光照射ルーメン16側の部分が他の部分よりも偏って大きく拡張するようになっている。すなわちこの実施形態のバルーン21は、カテーテルチューブ11の軸心に対し偏心して片側に開くように拡張する"偏心タイプ"である。
第3の実施形態のバルーンカテーテル1によれば、偏心タイプのバルーン21を有することにより、カテーテルチューブ11の周囲の一部にバルーン21を通して集中的に光を照射することができる。このため、比較的小さな患部に対する局所的な光治療を効率よく行うことができる。
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態を説明する。
図6(a)に示すように、第4の実施形態のバルーンカテーテル1は、光ファイバ30の光照射部31に、この光照射部31から照射される光を拡散光に変換させる拡散体として凹レンズ35が設けられている。凹レンズ35は光照射部31に密着した状態でこの光照射部31に接着等の手段で接合される。光照射部31は凹レンズ35が密着するようにその表面が適宜に加工されている。
図6(a)に示す第4の実施形態においては、上記第3の実施形態の3ルーメンタイプのカテーテルチューブ11、および上記第1の実施形態の全周タイプのバルーン20が適用されている。バルーン20に関しては、第1の実施形態のようにカーボンナノチューブを含まない構成であってもよく、第2の実施形態のようにカーボンナノチューブを含む構成であってもよい。
この構成によれば、光照射部31から照射する光が凹レンズ35で拡散されることにより、光はバルーン20全体に均等あるいはそれに近い状態に照射される。特に上記光源から発せられる光が直進性の高い単一波長のレーザ光であった場合、凹レンズ35でその光を拡散させることにより、広い患部に対し光の照射が可能となる。
第4の実施形態においては、特に全周タイプのバルーン20と組み合わせることは、そのバルーン20を通して広範囲な患部に対して光を照射することができるため有効である。
なお、図6(a)は全周タイプのバルーン20を適用した例を示しているが、第4の実施形態では、図6(b)に示すように偏心タイプのバルーン21を適用してもよい。この場合には、バルーン21が近接あるいは接触する特定範囲の患部に対して拡散した光を均等に、かつ集中して照射することができる。
(第4の実施形態の変形例)
上記第4の実施形態の主旨は、光ファイバ30の光照射部31から照射される光を拡散光に変換させる拡散体を設けるものである。拡散体の具体例としては、上記凹レンズ35の代わりに、図7に示すようにすりガラス36を設けても同様の作用効果を得ることができる。また、すりガラス36の他には、光拡散シートや光拡散フィルム等を拡散体として適用しても同様の作用効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
続いて、本発明の第5の実施形態を説明する。
図8に示すように、第5の実施形態のバルーンカテーテル1は、光ファイバ30の光照射部31に、この光照射部31から照射される光を集光させる凸レンズで構成された集光レンズ37が設けられている。集光レンズ37は光照射部31に密着した状態でこの光照射部31に接着等の手段で接合される。光照射部31は集光レンズ37が密着するようにその表面が適宜に加工されている。
図8に示す第5の実施形態は、上記第3の実施形態の3ルーメンタイプのカテーテルチューブ11、および上記第3の実施形態の偏心タイプのバルーン21が適用されている。バルーン21に関しては、第1の実施形態のようにカーボンナノチューブを含まない構成であってもよく、第2の実施形態のようにカーボンナノチューブを含む構成であってもよい。
この構成によれば、光照射部31から照射する光が集光レンズ37によって集光するので、比較的小さな患部に対する局所的な光治療を効率よく行うことができる。なお、そのためには集光レンズ37による光の集光点がバルーン20あるいはバルーン20の近辺に位置することが望ましい。
第5の実施形態は、特に偏心タイプのバルーン21と組み合わせることにより、強い光を集中させて照射することができるため、ピンポイントで光治療を行う場合に特に有効である。
なお、本発明は上記各実施形態を含むものであるが、これら各実施形態のうちの任意の実施形態を2つ、あるいはそれ以上を適宜に選択するとともに、光ファイバ30を通して光照射部31から照射する光の種類(周波数)を適宜に選択することにより、目的に応じた様々な光治療を行うことができる。
本発明は、カテーテルチューブ内に通電を行うリスクを回避して安全かつ簡素な構成で温熱治療等のバルーンカテーテルの特性を活かした光治療を行うことができるバルーンカテーテルとして有効に利用することができる。
1 バルーンカテーテル
10、11 カテーテルチューブ
13 遠位端
14 近位端
20、21 バルーン
30 光ファイバ
31 光照射部
35 凹レンズ(拡散体)
36 すりガラス(拡散体)
37 集光レンズ

Claims (9)

  1. 体内に挿入される側の遠位端および体外に配置される側の近位端を有するカテーテルチューブと、
    前記カテーテルチューブの前記遠位端に拡縮可能に設けられたバルーンと、
    前記カテーテルチューブ内に挿通され、前記バルーン内に光を照射する光照射部を有する光ファイバと、を備えることを特徴とするバルーンカテーテル。
  2. 前記バルーンは、カーボンナノチューブを含む材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記カーボンナノチューブは半導体型であることを特徴とする請求項2に記載のバルーンカテーテル。
  4. 前記カーボンナノチューブは金属型であることを特徴とする請求項2に記載のバルーンカテーテル。
  5. 前記光照射部から照射される光が近赤外光であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  6. 前記バルーンは、前記カテーテルチューブの軸心と略同心状に拡張するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  7. 前記バルーンは、前記カテーテルチューブの軸心に対し偏心した形状に拡張するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  8. 前記光照射部に、該光照射部から照射される光を拡散光に変換する拡散体が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
  9. 前記光照射部に、該光照射部から照射される光を集光させる集光レンズが設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
JP2018222270A 2018-11-28 2018-11-28 バルーンカテーテル Pending JP2020081525A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018222270A JP2020081525A (ja) 2018-11-28 2018-11-28 バルーンカテーテル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018222270A JP2020081525A (ja) 2018-11-28 2018-11-28 バルーンカテーテル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020081525A true JP2020081525A (ja) 2020-06-04

Family

ID=70909435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018222270A Pending JP2020081525A (ja) 2018-11-28 2018-11-28 バルーンカテーテル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020081525A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022184670A3 (en) * 2021-03-01 2022-10-13 Ineb - Instituto Nacional De Engenharia Biomédica Reusable light-activated sterilization system for medical devices

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11188099A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Buaayu:Kk バルーンカテーテル
JP2000005189A (ja) * 1998-06-24 2000-01-11 Terumo Corp 異物除去用カテーテル
JP2007537839A (ja) * 2004-05-20 2007-12-27 ボストン サイエンティフィック リミテッド ナノチューブを含むバルーンを備えるバルーンカテーテル
JP2011206208A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Terumo Corp ホットバルーンカテーテル、治療装置及びその制御方法
JP2011527601A (ja) * 2008-07-11 2011-11-04 ネクエオン メドシステムズ, インコーポレーテッド 治療薬を血管壁内、又は血管壁を超えて送達するためのナノチューブ強化バルーン、並びにその製造、及び使用方法
JP2012512002A (ja) * 2008-12-17 2012-05-31 ザ スペクトラネティクス コーポレーション 偏心バルーンレーザーカテーテル

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11188099A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Buaayu:Kk バルーンカテーテル
JP2000005189A (ja) * 1998-06-24 2000-01-11 Terumo Corp 異物除去用カテーテル
JP2007537839A (ja) * 2004-05-20 2007-12-27 ボストン サイエンティフィック リミテッド ナノチューブを含むバルーンを備えるバルーンカテーテル
JP2011527601A (ja) * 2008-07-11 2011-11-04 ネクエオン メドシステムズ, インコーポレーテッド 治療薬を血管壁内、又は血管壁を超えて送達するためのナノチューブ強化バルーン、並びにその製造、及び使用方法
JP2012512002A (ja) * 2008-12-17 2012-05-31 ザ スペクトラネティクス コーポレーション 偏心バルーンレーザーカテーテル
JP2011206208A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Terumo Corp ホットバルーンカテーテル、治療装置及びその制御方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022184670A3 (en) * 2021-03-01 2022-10-13 Ineb - Instituto Nacional De Engenharia Biomédica Reusable light-activated sterilization system for medical devices

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200170702A1 (en) Ablation device with optimized input power profile and method of using the same
JP5225282B2 (ja) 接合二重バルーンカテーテル
US6811562B1 (en) Procedures for photodynamic cardiac ablation therapy and devices for those procedures
JP4988044B2 (ja) バルーンカテーテルシステム
JP2007511279A (ja) 可撓性アレイ
JP3648555B2 (ja) カラム状環境を照射する改良された光線治療用装置
US20120303011A1 (en) Catheters and Methods for Identification and Treatment of Bodily Passages
US20020052621A1 (en) Circumferential pulmonary vein ablation using a laser and fiberoptic balloon catheter
US20140235942A1 (en) Medical device and method for internal healing and antimicrobial purposes
WO2019181612A1 (ja) 医療デバイス
US20130165914A1 (en) Balloon catheter
JP2003530139A (ja) 体腔内微生物を衰弱または殺傷するための治療機器及び治療方法
AU2009238299A1 (en) Prevention of kinks in catheter irrigation tubes
JP7279018B2 (ja) 医療デバイス
JP2006271831A (ja) 医療用治療装置およびその装置の使用方法
JP2020081525A (ja) バルーンカテーテル
US20080125705A1 (en) Therapeutic treatment device for body lumen occlusion and method for occluding body lumen using the same
JP4785567B2 (ja) カテーテル
JP7384814B2 (ja) 光照射医療装置
JP2021010455A (ja) バルーンカテーテルおよびその作動方法
JPH07100214A (ja) バルーンカテーテル
JPH02185269A (ja) 光化学治療装置
KR20160104444A (ko) 광역동 치료가 가능한 내시경
KR102644509B1 (ko) Led 내시경 캡을 이용한 저준위 레이저 치료기
KR102481165B1 (ko) 벌룬 카테터를 이용한 괄약근 광 치료 장치 및 그 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210913

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20221007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221011

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20221012

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230404