JP2020080923A - 生体電極及びその製造方法 - Google Patents

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徹 宇田
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諒 二嶋
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Abstract

【課題】銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減できる生体電極及びその製造方法を提供すること。【解決手段】銀粉の少なくとも一部の表面を塩素化処理する第1工程と、導電性シリコーンゴムを含有する基材11上に、前記塩素化処理された銀粉を含有するコーティング層12を設ける第2工程とを有する、生体電極1の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、生体電極及びその製造方法に関し、例えば、少なくとも一部の表面に塩化銀が存在する銀粉を含有する生体電極及びその製造方法に関する。
従来から、金、銀、白金及び銅などの高導電性金属の薄板が生体電極用材料として用いられている。これらの高導電性金属製の生体電極用材料は皮膚との密着性が悪く、皮膚からの電気信号の検知が不十分である。そこで、これらの高導電性金属製の生体電極用材料を用いる際には、皮膚からの電気信号の検知を向上させるために皮膚にゲル、クリーム及びペーストなどを塗布する必要がある。また、高導電性金属製の生体電極用材料は硬質であるため、皮膚と長時間密着するには不適である。そこで、皮膚との長時間の密着を容易とするべく、ゲルなどの粘着材からなる生体電極が提案されている(非特許文献1参照)。この非特許文献1に記載の生体電極では、粘着材によってゲル、クリーム及びペーストなどの塗布を必要とすることなく、皮膚との密着性を改善している。
また、炭素系導電性シリコーンゴムの表面に、液状シリコーンゴムと銀粒子を含有する導電性の銀コーティング層を設け、銀コーティング層を皮膚に対する接触面とする生体電極が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の生体電極は、銀コーティング層がゴム材料を含有するため繰返し使用が可能であるだけでなく、柔軟性を有する銀コーティング層により皮膚との密着性が良好となる。また、特許文献1に記載の生体電極は、炭素系導電性シリコーンゴムと導電性の銀コーティング層の二層構造としているので、高い導電性が発現する。さらに、皮膚との接触面が導電性の銀コーティング層となるので、接触インピーダンスが低く、ペーストなどを使用しないドライ条件での測定においても安定した測定が可能である。さらに、生体電極の大部分を構成するのは炭素系導電性シリコーンゴムであり、銀は銀コーティング層として炭素系導電性シリコーンゴムの表面にコーティングされているので、電極の柔軟性が確保されると共に銀の使用量が少なく製造原価も低く抑えることが可能である。
また、生体電極では、分極電圧の変動を抑制するために塩化銀の使用が考え得る。塩化銀は、電極−生体間の電気伝導を塩化物イオンがキャリアとなって行うので、生体電極表面にイオンが蓄積しにくく分極電圧の変動を小さくすることが予想される。
国際公開第2018/008688号
医療機器学 80巻(2010)1号 p.28−37
しかしながら、非特許文献1に記載の生体電極では、粘着材によってゲル、クリーム及びペーストなどの塗布を必要とせずに皮膚との密着性が良好になる一方、粘着材にゴミ及びほこりが付着しやすく、粘着性が徐々に失われて繰り返し使用が十分にできない場合がある。また、特許文献1に記載の生体電極は、ゴム電極であるので、繰り返し使用が可能となる一方、フィラーとしての銀粉がイオン化する際に生じる電圧(分極電圧)の変動、および該電圧の変動が測定信号に混入して基線がふらつく電位変動ノイズ等の点から、測定精度に更なる改善の余地があった。
また、塩化銀粒子を用いることにより分極電圧の変動を小さくすることが期待できるが、塩化銀粒子は吸湿などにより凝集しやすく、使用前に粉砕する必要があると共に大きな粒子を取り除くために分級する必要があり取り扱いが煩雑である。また、粉砕及び分級後の塩化銀は保管時に再凝集するので、使用量毎に粉砕及び分級を行う煩雑さがある。さらに、塩化銀は腐食性が強く、塩化銀の粉砕及び分級に通常の金属部材を使用することができず特殊な処理装置が必要となる。その上、塩化銀粒子は光によって分解するので極力光が当たらないよう処理する必要があり、作業が煩雑になる。また、生体電極において、皮膚に接触する表面近傍のみに存在する塩化銀が分極電圧の抑制に作用する。このため、生体電極中に存在する塩化銀の大部分は分極電圧の抑制に作用せず、かえって電極の抵抗を増大させてしまうこともある。
そこで、本発明者らは、上述した塩化銀の特性に着目し、銀粒子の表面を部分的に塩素化処理することを着想した。そして、本発明者らは、表面を塩素化処理した銀粒子を生体電極に用いることにより、電位変動ノイズを低減できると共に塩化銀の粉砕処理及び腐食などに基づく問題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減できると共に粉砕処理などの手間及び腐食の問題を解消することが可能な、生体電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]銀粉の少なくとも一部の表面を塩素化処理する第1工程と、
導電性シリコーンゴムを含有する基材上に、前記塩素化処理された銀粉を含有するコーティング層を設ける第2工程と
を有する、生体電極の製造方法。
[2]前記塩素化処理が、次亜塩素酸類の水溶液により行われる、上記[1]に記載の生体電極の製造方法。
[3]導電性シリコーンゴムを含む基材と、
前記基材上に、少なくとも一部の表面に塩化銀が存在する銀粉、を含有するコーティング層と
を有する、生体電極。
[4]前記コーティング層は、前記銀粉として、凝集状の第1銀粉と、フレーク状の第2銀粉とを含有する、上記[3]に記載の生体電極。
[5]前記コーティング層中における、第1銀粉の含有量と第2銀粉の含有量の質量比(第1銀粉:第2銀粉)が1:3〜3:1である、上記[4]に記載の生体電極。
銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減できると共に粉砕処理などの手間及び腐食の問題を解消することが可能な、生体電極及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る生体電極の断面模式図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る生体電極の使用状態の説明図である。 図3Aは、本発明の実施の形態に係る生体電極の信号伝送部材の説明図である。 図3Bは、本発明の実施の形態に係る生体電極の信号伝送部材の他の例の説明図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る生体電極の他の例を示す図である。 図5は、実施例における電位差測定試験の説明図である。 図6は、実施例1および比較例1における電位差測定試験の評価結果を示す図である。 図7は、実施例1および比較例1における電位差測定試験の評価結果を示す図である。
<生体電極>
本発明の実施の形態に係る生体電極は、導電性シリコーンゴムを含む基材と、基材上に、少なくとも一部の表面に塩化銀が存在する銀粉を含有するコーティング層とを有する。本実施の形態に係る生体電極によれば、基材が柔軟性を有する導電性シリコーンゴムを含むので、生体への密着性が良好になると共に、長時間密着した際の生体への不快感を軽減できる。また、コーティング層が銀粉を含有するので、銀粉を介して生体とコーティング層との間の導電性が向上する。コーティング層に含まれる銀粉の表面の少なくとも一部に塩化銀が存在するので、生体電極の導電性を悪化させることなく銀粉がイオン化する際の電位変動を抑制でき、電位変動ノイズを低減することができる。さらに、塩化銀粒子の粉砕処理などの手間及び腐食が生じることがない。したがって、銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減でき、塩化銀粒子の粉砕処理などの手間及び腐食の問題を解消可能な生体電極を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら制限されるものではない。
図1は、本実施の形態に係る生体電極1の断面模式図である。本実施の形態に係る生体電極1は、生体からの電気信号の感知及び生体への電気刺激の伝達の少なくとも一方に好適に用いられるものである。本実施の形態の生体電極1は、生体(例えば、生物の皮膚)に直接、接触させて使用する、生体接触用の生体電極1である。図1に示すように、生体電極1は、導電性シリコーンゴムを含む基材11と、基材11上に設けられたコーティング層12とを備える。コーティング層12は、表面の少なくとも一部に塩化銀が存在する銀粉(不図示)を含有する。典型的には、該銀粉はコーティング層の表面の少なくとも一部に存在する。なお、本実施の形態において、コーティング層12に含まれる銀粉は少なくとも中心部に銀が残存し、銀粉全体が塩素化されて塩化銀となったものとは異なる。生体電極1は生体に直接、接触させて使用するものであるため、コーティング層12は所定の接触面積(最表面の面積)を有する。例えば、コーティング層の接触面積は0.2cm以上13cm以下が好ましく、1cm以上8cm以下がより好ましく、3cm以上7cm以下が更に好ましい。コーティング層の接触面積が0.2cm以上であることによって、インピーダンスが低くなってノイズが入りにくくなる。また、コーティング層の接触面積が13cm以下であることによって、測定時に体動の影響を受けにくく表面積が小さい部位の測定が可能となる。
図2は、本実施の形態に係る生体電極の使用状態の説明図である。図2に示すように、生体電極1では、例えば、基材11表面に測定器(不図示)に接続された信号伝送部材13を接続した状態で、コーティング層12の表面と生体14とを接触させる。これにより、生体14からの電気信号がコーティング層12、基材11及び信号伝送部材13を介して測定器に伝達されるので、生体14からの電気信号を測定することが可能となる。
図3A及び図3Bは、本実施の形態に係る生体電極1の信号伝送部材13の説明図である。図3Aに示す例は、信号伝送部材13として被覆線15を用いた例を示している。被覆線15は、導電性を有する金属製の芯線151と、芯線151を被覆する樹脂製の被覆材152とを含む。被覆線15は、芯線151の先端部が被覆材152から露出している。露出した芯線151の先端部は、接着テープ153などによって基材11の表面に固定される。このような構成により、基材11を流れる電気信号が、芯線151を介して被覆線15によって外部に伝送されるので、生体14からの電気信号を外部に伝送することができる。
図3Bに示す例は、信号伝送部材13としてフレキシブルプリント基板16を用いた例を示している。フレキシブルプリント基板16は、樹脂製のベースフィルム161と、ベースフィルム161上に設けられた金属製の導体箔162とを含む。導体箔162は、銅又は銅上に金がメッキされている。このような構成により、基材11を流れる電気信号が、導体箔162を介してフレキシブルプリント基板16によって外部に伝送されるので、生体14からの電気信号を外部に伝送することができる。
図3Aに示した例では、信号伝送部材13である所定の太さを有する被覆線15が基材11の上面側に配置される。このため、生体電極1の生体14への装着時に、生体14(図2参照、以下同様)に直接接触するコーティング層12に被覆線15の太さに基づく不均一な負荷が加わり生体14の装着部に凹凸感を感じる場合がある。これに対して、図3Bに示す例では、信号伝送部材13である薄板状のフレキシブルプリント基板16の表面が基材11の表面と略面一となる。これにより、コーティング層12にフレキシブルプリント基板16の厚さに基づく負荷が加わりにくくなるので、長時間装着していても装着部に凹凸感を感じにくく不快感を低減できると共に、生体電極1の軽量化及び小型化を実現できる。
図4は、本実施の形態に係る生体電極の他の例を示す図である。図4に示す例では、生体電極2は、基材11上に設けられた絶縁層17を備える。絶縁層17は、絶縁性ゴムを含有する。生体電極2では、基材11上に絶縁層17を設けた場合であっても、基材11の表面が生体14と直接接触しないため、絶縁層17によって生体14からの電気信号の伝送は妨げられない。そして、絶縁層17を設ける場合には、図3Bに示したように、信号伝送部材13としてフレキシブルプリント基板16を設けることにより、フレキシブルプリント基板16の表面と基材11の表面とが略面一になるので、絶縁層17を安定に保持することが可能になると共に生体電極2の湾曲を防ぐことができる。
以下、本実施の形態に係る生体電極1の各種構成要素について詳細に説明する。
基材11は、コーティング層12を支持する。基材11の形状に応じて生体電極1の全体としての形状が付与される。基材11は例えば、シリコーンゴムと導電性粒子とを含む導電性シリコーンゴムを含有する。基材11は、導電性シリコーンゴムを含有することにより、基材11とコーティング層12との間の高い密着性及び優れた導電性を有することができる。
基材11中に用いるシリコーンゴムとしては例えば、有機珪素ポリマーが用いられる。有機珪素ポリマーとしては、主鎖としてシロキサン結合(−Si−O−)を有し、側鎖としてメチル基、フェニル基、ビニル基などの炭化水素基又は水素を有するものが好ましい。シリコーンゴムとしては、付加反応型のシリコーンゴムを用いてもよく、縮合反応型のシリコーンゴムを用いてもよい。付加反応型のシリコーンゴムは、付加反応によって硬化するシリコーンゴムであり、例えば、側鎖として水素又はビニル基を有するシリコーンゴムが挙げられる。また、縮合反応型のシリコーンゴムは、縮合反応によって硬化するシリコーンゴムであり、例えば、水酸基を末端に有するシリコーンゴムが挙げられる。これらの中でも、コーティング層12との密着性をより好適に保持する観点から、付加反応型のシリコーンゴムが好ましい。
基材11中に用いる導電性粒子としては、各種カーボンブラックなどの導電性炭素粒子などが用いられる。導電性炭素粒子としては、基材11に導電性を付与できるものであれば特に制限はない。導電性炭素粒子としては、例えば、カーボンブラック、グラファイトなどの各種炭素粒子が挙げられる。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、基材11の導電性を向上する観点から、カーボンブラックとしてはケッチェンブラックが好ましい。
導電性粒子の平均粒径は基材11に導電性を付与できる範囲であれば特に制限はない。導電性粒子の平均粒径は、基材11の導電性を向上する観点及び基材11の柔軟性を確保する観点から、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。なお、導電性粒子の平均粒径は、電子顕微鏡写真により測定し、算術平均により算出した平均直径である。
基材11における導電性粒子の含有量は、基材11に導電性を付与できる範囲であれば特に制限はない。基材11中の導電性粒子の含有量は、基材11の導電性を向上する観点及び基材11の柔軟性を確保する観点から、基材11の全質量に対して、10質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。
導電性シリコーンゴムとしては、例えば、商品名「KE−3801M−U」(信越化学工業株式会社製)などの市販品を用いてもよい。
また、導電性シリコーンゴムは、架橋剤によって架橋した架橋体とすることができる。架橋剤としては例えば、商品名「C−8A」(2,5−ジメチルー2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン含有量80質量%、信越化学工業株式会社製)などの市販品を用いてもよい。
基材11の厚さは、基材11の柔軟性を確保できる範囲であれば特に制限はない。基材11の厚さは、基材11の柔軟性を確保する観点から、0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、0.4mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。典型的には基材11の厚さは、0.5mmまたは1mmとすることができる。
コーティング層12は、少なくとも一部の表面に塩化銀が存在する銀粉、を含有する。コーティング層12は、基材11と電気的に接続されており、コーティング層12の表面と信号伝送部材との間に電流が流れるようになっている。
銀粉としては、塩素化処理により表面の少なくとも一部に塩化銀を形成したものであれば特に制限はない。一例では、銀粉は、表面の全部または一部に塩化銀が存在する銀の粉である。銀粉としては、例えば、凝集状の銀粉及びフレーク状の銀粉などが用いられる。これらの銀粉は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フレーク状の銀粉とは、鱗片状の形状を有する銀粉である。フレーク状の銀粉としては、例えば、商品名「327077」(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)、商品名「FA−D−3」(DOWAエレクトロニクス株式会社製)などが挙げられる。
凝集状の銀粉とは、複数の粒子状の1次粒子が3次元状に凝集したものである。凝集状の銀粉としては、例えば、商品名「G−35」(DOWAエレクトロニクス社製)などが挙げられる。
銀粉の平均粒径は、生体電極1の電位変動ノイズを低減できる範囲であれば特に制限はない。凝集状の銀粉の平均粒径は、生体電極1の電位変動ノイズを低減する観点及び生体電極1の柔軟性を確保する観点から、4μm以上8μm以下であることが好ましい。フレーク状の銀粉の平均粒径は、生体電極1の電位変動ノイズを低減する観点から、5μm以上15μm以下であることが好ましい。銀粉の平均粒径は、電子顕微鏡写真により測定し、算術平均により算出した平均直径である。
コーティング層12における銀粉の含有量は、コーティング層12に導電性を付与できる範囲であれば特に制限はない。生体電極1の電位変動ノイズを低減する観点及び生体電極1の柔軟性を確保する観点から、コーティング層12の全質量に対して、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上75質量%以下であることが更に好ましい。
コーティング層12は、導電性を更に向上する観点から、銀粉として凝集状の第1銀粉とフレーク状の第2銀粉とを含有することが好ましい。また、コーティング層12中の第1銀粉と第2銀粉を含有する場合の銀粉の配合量は、生体電極1の電位変動ノイズを低減する観点から、第1銀粉の含有量と第2銀粉の含有量の質量比(第1銀粉:第2銀粉)が1:3〜3:1であることが好ましい。
コーティング層12中の銀粉は、塩素化処理剤と接触することにより、その表面の少なくとも一部に塩化銀が形成されたものである。塩素化処理では、銀粉の表面の一部を塩素化して塩化銀としてもよく、銀粉の表面から所定範囲の厚みまでを塩素化して銀粉の表面に層状の塩化銀を設けてもよい。この場合、銀粉は、コア部分が銀から構成され、シェル部分が塩化銀から構成されるコア−シェル粒子となる。この塩素化処理により、コーティング層12の表面に位置する銀粉の表面の少なくとも一部に塩化銀が存在するので、コーティング層12で銀粉がイオン化する際の分極電圧の変動を低減することが可能となる。
塩素化処理剤としては、銀粉の表面の少なくとも一部に塩化銀を形成できるものであれば特に制限はない。塩素化処理剤としては例えば、塩素水、次亜塩素酸及び次亜塩素酸塩などの次亜塩素酸類の水溶液、塩化ナトリウムなどの塩化物の水溶液などが用いられる。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、塩素化処理剤としては、コーティング層12の導電性を向上する観点から、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好ましい。塩素化処理は例えば、塩素水及び次亜塩素酸類の水溶液などと銀粉を接触させることにより行われる。
コーティング層12の厚さは、コーティング層12に導電性を付与できる範囲であれば特に制限はない。コーティング層12の厚さは、生体電極1の導電性を向上する観点及び生体電極1の柔軟性を確保する観点から、18μm以上80μm以下であることが好ましい。また、基材11とコーティング層12との密着性を向上してコーティング層12の剥離を防ぐと共に、生体との接触インピーダンスを低減する観点から、コーティング層12の厚さは30μm以上60μm以下であることがより好ましい。
コーティング層12は、バインダを含有してもよい。バインダとしては、例えば、上述した基材11に用いられるシリコーンゴムが挙げられる。これらのシリコーンゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、バインダとしては、所定量の硬化剤を配合したシリコーンゴムを用いてもよい。バインダとしては、例えば、商品名「KE−106」(シリコーンゴム:信越化学工業株式会社製)、商品名「CAT−RG」(硬化剤:信越化学工業株式会社製)とを配合したシリコーンゴムを用いることができる。
コーティング層12におけるバインダの配合量は、コーティング層12の導電性を向上する観点から、コーティング層12の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、15質量%以上35質量%以下が更に好ましい。
また、コーティング層12におけるバインダの配合量は、コーティング層12の導電性を向上する観点から、銀粉100質量部に対して、15質量部以上50質量部以下が好ましく、20質量部以上45質量部以下がより好ましく、25質量部以上40質量部以下が更に好ましい。
<生体電極の製造方法>
次に、本実施の形態に係る生体電極の製造方法について詳細に説明する。本実施の形態に係る生体電極の製造方法は、銀粉の少なくとも一部の表面を塩素化処理する第1工程と、導電性シリコーンゴムを含有する基材11上に、表面が塩素化処理された銀粉を含有するコーティング層12を設けて生体電極を作製する第2工程とを有する。本実施の形態に係る生体電極の製造方法により製造した生体電極は、基材が柔軟性を有する導電性シリコーンゴムを含むので、生体への密着性が良好になると共に、長時間密着した際の生体への不快感を軽減できる。また、コーティング層が銀粉を含有するので、銀粉を介して生体とコーティング層との間の導電性が向上する。しかも、コーティング層に含まれる銀粉の表面の少なくとも一部が塩素化処理されて塩化銀となっているので、生体電極の導電性を悪化することなく、銀粉がイオン化する際の電位変動を抑制でき、電位変動ノイズを低減することができる。さらに、塩化銀粒子の粉砕処理を行う必要がなく、該粉砕処理の手間及び腐食が生じることがない。したがって、銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減でき、塩化銀粒子の粉砕処理などの手間及び腐食の問題を解消可能な、生体電極の製造方法を実現できる。
第1工程では、銀粉の塩素化処理を行う。銀粉の塩素化処理は例えば、銀粉を分散させた水中に、銀粉が沈降しないように攪拌した状態で塩素水及び次亜塩素酸塩の水溶液などの塩素化処理剤を添加することにより行う。ここでは、塩素化処理後の銀粉は、塩素化処理によって表面の少なくとも一部に塩化銀が生成して表面が黒色化する。次に、塩素化後の銀粉を回収し、数回水洗して余分な塩素化処理剤を除去した後、銀粉を乾燥させることにより塩素化処理後の銀粉を得る。
塩素化処理剤としては、銀粉の少なくとも一部の表面に塩化銀を形成でき、かつ銀粉全体を塩素化しないものであれば特に制限はない。塩素化処理剤としては、例えば、塩素水、次亜塩素酸及び次亜塩素酸塩などの次亜塩素酸類の水溶液、塩化ナトリウムなどの塩化物の水溶液などが用いられる。塩素化処理剤としては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好ましい。塩素化処理は例えば、塩素化処理剤と銀粉を接触させることにより行われる。塩素化処理剤中の塩素、次亜塩素酸類の有効塩素濃度は、0.001質量%以上20質量%以下が好ましく、0.01質量%以上10質量%以下がより好ましい。塩素化処理剤の使用量は、銀粉100質量部に対して、20質量部以上300質量部以下が好ましく、50質量部以上200質量部以下がより好ましい。塩素化処理の温度は、10℃以上80℃以下が好ましく、20℃以上40℃以下がより好ましい。塩素化処理の時間は、1分以上1時間以下が好ましく、5分以上30分以下がより好ましい。
次に、第2工程では、未架橋のゴムに導電性粒子を配合して混練して生地を得た後、射出成形及び圧縮成形などにより成形して架橋することにより導電性シリコーンゴムを含有する基材を得る。ここでの生地には、架橋剤、架橋促進剤及びその他の一般的なゴム充填剤を適宜、配合してもよい。この工程では例えば、プレス架橋による一次架橋をした後、更に二次架橋を行う。また、導電性シリコーンゴムを所定の電極形状に成形してもよい。
より具体的には、所定量の導電性粒子を含有するシリコーンゴムと架橋剤とをニーダー及びロールなどの混連機により所定時間混練する。混練時の温度は、室温(20℃以上40℃以下)でよい。混練時間は、1分以上1時間以下でよい。次に、混練した生地を100℃以上300℃以下、1分以上1時間以下の条件で一次架橋した後、150℃以上350℃以下、1時間以上10時間以下の条件で二次架橋してシート状の基材11を作製する。
次に、第2工程では、上記第1工程で塩素化処理した銀粉とバインダ及び分散剤などを混合して銀ペーストを調製し、調製した銀ペーストを基材11上に塗布した後、加熱して硬化させることによってコーティング層12を設ける。
基材11上への銀ペーストの塗布は、例えば、浸漬、スプレー、ロールコータ、フローコータ、インクジェット、スクリーン印刷などが用いられる。銀ペーストの塗布厚みとしては、25μm以上200μm以下であることが好ましく、35μm以上100μm以下であることがより好ましい。これにより、基材11に対するコーティング層12の密着性を高めることができるので、コーティング層12の剥離を防止しやすくなると共に、接触インピーダンスを低くすることができる。
銀ペーストの硬化時の加熱温度及び加熱時間としては、シリコーンゴムを硬化できるように適宜設定することができる。加熱温度は、50℃以上200℃以下が好ましい。加熱時間は、10分以上10時間以下が好ましい。
なお、生体電極1上にフレキシブルプリント基板16を信号伝送部材13として設ける場合には、基材11上にフレキシブルプリント基板16を直接、形成することが好ましい。この場合には、基材11に対するフレキシブルプリント基板16の接着性を向上する観点から、ベースフィルム162上にプライマーなどの接着剤をスクリーン印刷などによって予め設けてもよい。また、基材11上に絶縁層17を設ける場合には例えば、まず絶縁層17を基材11上に直接、形成し、絶縁層17上に信号伝送部材13を配置した後、信号伝送部材13上に基材11を成形してもよい。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、基材11が十分な柔軟性を有する導電性シリコーンゴムを含むので、生体電極1の生体への密着性が良好になると共に、長時間生体に密着した際の生体への不快感を軽減できる。また、コーティング層12が銀粉を含有するので、銀粉を介して生体とコーティング層12との間の導電性が向上する。コーティング層12に含まれる銀粉の表面が塩素化処理されて塩化銀となっているので、生体電極の導電性を悪化させることなく、銀粉がイオン化する際の電位変動を抑制でき、電位変動ノイズを低減できる。また、コーティング層12を設ける際の、塩化銀粉の粉砕処理などの手間及び腐食などの問題が生じることがない。さらに、コーティング層12は、表面を塩素化処理した銀粉を含有しているので、生体電極の表面が多少磨耗した場合においても電位変動ノイズの悪化を防ぐことができる。銀粉は、次亜塩素酸塩水溶液などにより塩素化処理できるので、安全かつ簡易に塩素化できるだけでなく、安価で製造原価を低く抑えることができる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<銀粉の塩素化処理>
ビーカーに、純水1000mlと銀粉A(商品名:「FA−D−3」、平均粒径6.9μm、DOWAエレクトロニクス株式会社製)100gとを加えた。次に、ビーカーに攪拌羽をセットして銀粒子が沈降しないように400rpmで攪拌しながら、有効塩素濃度12質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製)100mlを約1分間かけて滴下し、滴下後5分間、水溶液の攪拌を続けた。攪拌を停止した後、銀粒子が沈降してから上澄み液を除去した。次に、純水1000mlを注ぎ、400rpmで1分間攪拌した後、攪拌を停止して再度上澄み液を除去して銀粒子を水洗した。同様の水洗浄作業を2回繰返し、最後に銀粉を乾燥させて水分を除去した。銀粉B(商品名:「G−35」、平均粒径6.1μm、DOWAエレクトロニクス株式会社製)に対しても同様に塩素化処理を行った。
<基材の作製>
導電性シリコーンゴム(商品名:「KE−3801M−U」;カーボンブラック含有、信越化学工業株式会社製)100質量部と、架橋剤(商品名「C−8A」;2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン含有量80質量%、信越化学工業株式会社製)1.0質量部とをニーダーで10分間混練した後、3分間ロールで混練して生地(カーボンブラック含有量6体積%)を得た。次に、得られた生地を180℃で4分間プレス架橋(一次架橋)した後、230℃で5時間二次架橋して導電性シリコーンゴムからなる厚さ1mmのシート状の基材を得た。
<コーティング層の作製>
バインダA(商品名:「KE−106」、信越化学工業株式会社製)100質量部、バインダB(商品名:「CAT−RG」、信越化学工業株式会社製)10質量部、塩素化処理後の銀粉A165質量部、塩素化処理後の銀粉B165質量部、分散剤A(商品名:「KF−6015」、信越化学工業株式会社製)10質量部、及び分散剤B(商品名「KF−6106」、信越化学工業株式会社製)10質量部を遠心攪拌して生地(銀ペースト)を得た。次に、上記のように作製した基材上に、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布した後、150℃にて30分間硬化させて、厚さ50μmのコーティング層を作成し、最終的に基材とコーティング層を有する生体電極を作製した。コーティング層の作製に用いた原料を下記表1に示す。
(比較例1)
実施例1において上記の<銀粉の塩素化処理>を行わなかった銀粉を使用した以外は、実施例1と同様にして生体電極を作製した。コーティング層の作製に用いた原料を下記表1に示す。
Figure 2020080923
(評価方法)
図5は、本実施例の電位差測定試験の説明図である。図5に示すように、本実施例の電位差測定試験では、脳波測定用導電性ペースト(商品名:「エレフィックス(登録商標)」、日本光電社製)101上に上記実施例1又は比較例1で作製した生体電極102と、市販の塩化銀電極(商品名:「脳波用皿電極」、日本光電工業株式会社製)103とを配置し、マルチメーター104で2電極間の電位差を10分間測定した。実施例1および比較例1の評価結果を図6及び図7に示す。
図6に示すように、銀粉の表面を塩素化処理した実施例1では、測定開始直後から600秒経過後まで電位変動が0.02mV/s以下であり、電位変動ノイズがほぼ発生しなかった(実線L1参照)。これに対して、銀粉の塩素化処理をしていない比較例1では、測定開始直後から200秒経過後まで大きく電位変動し、1秒毎の電位差変動が0.05mV/s以下まで安定化するまで400秒程度の時間がかかった(点線L2参照)。
また、図7に示すように、銀粉の表面を塩素化処理した実施例1では、測定開始時から電位差の絶対値はほぼ0となり、市販のAg/AgCl電極とほぼ一致する値となった(実線L3参照)。これに対して、銀粉の塩素化処理をしていない比較例1では、測定開始時に−120mV程度であった電位差が測定時間と共に増大したが、600秒経過後も−60mV程度となり、市販のAg/AgCl電極とは大きく異なる傾向となった(点線L4参照)。これは、比較例1では銀粉の表面が塩素化されていないために、銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減できなかったためと考えられる。これらの結果から、塩素化処理をした銀粉を用いることにより、電位変動ノイズを低減した生体電極を実現できることが分かる。
以上説明したように、本発明では、銀粉のイオン化に基づく電位変動ノイズを低減できる生体電極及びその製造方法を実現でき、特に医療用計測器、ウェアラブル計測器、健康モニタリング機器、ゲーム機器、介護、福祉、自動運転、エレクトロニクス配線などの各分野において好適に使用可能である。
1,2,102 生体電極
11 基材
12 コーティング層
13 信号伝送部材
14 生体
15 被覆線
151 芯線
152 被覆部材
16 フレキシブル基板
161 ベースフィルム
162 導体箔
17 絶縁層
101 脳波測定用導電性ペースト
103 塩化銀電極
104 マルチメーター

Claims (5)

  1. 銀粉の少なくとも一部の表面を塩素化処理する第1工程と、
    導電性シリコーンゴムを含有する基材上に、前記塩素化処理された銀粉を含有するコーティング層を設ける第2工程と
    を有する、生体電極の製造方法。
  2. 前記塩素化処理が、次亜塩素酸類の水溶液により行われる、請求項1に記載の生体電極の製造方法。
  3. 導電性シリコーンゴムを含む基材と、
    前記基材上に、少なくとも一部の表面に塩化銀が存在する銀粉、を含有するコーティング層と
    を有する、生体電極。
  4. 前記コーティング層は、前記銀粉として、凝集状の第1銀粉と、フレーク状の第2銀粉とを含有する、請求項3に記載の生体電極。
  5. 前記コーティング層中における、第1銀粉の含有量と第2銀粉の含有量の質量比(第1銀粉:第2銀粉)が1:3〜3:1である、請求項4に記載の生体電極。
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