1.第1実施形態
1−1.全体構成
図1は、第1実施形態に係る測位システムの構成を示すブロック図である。図1に示す測位システム100は、例えば遺失物又は迷子等の捜索に利用可能なシステムである。測位システム100は、「携帯無線端末」の一例である無線タグ装置2と、通信端末3とを有する。測位システム100では、通信端末3を利用して、無線タグ装置2が取り付けられた物体O1の現在位置を測定する。物体O1は、例えばユーザUの鞄等の所有物である。なお、物体O1は、子供の衣服又はペットの首輪等であってもよい。
本実施形態では、通信端末3は、例えばユーザUが携帯可能な通信端末である。通信端末3としては、具体的にはスマートフォン、携帯電話、タブレット、及びウェアラブル端末等が挙げられる。
また、無線タグ装置2及び通信端末3は、互いに近距離無線通信により接続可能である。近距離無線通信とは、無線PAN等の通信距離が数10m程度までの通信である。具体的には、近距離無線通信は、Bluetooth又はZigBee等の通信規格に準拠した通信である。なお、Bluetooth及びZigBeeは、それぞれ、登録商標である。
また、無線タグ装置2及び通信端末3は、それぞれ、移動体通信網5に接続する機能を有する。移動体通信網5は、複数の基地局を有する。各基地局は、例えばLTE(Long Term Evolution)、及びライセンスバンドのLPWA(Low Power Wide Area)等の通信規格に準拠した通信方式により無線タグ装置2及び通信端末3のそれぞれと通信する。特に、無線タグ装置2は、省電力化を図る観点から、NB−IoT等のeDRX対応のライセンスバンドのLPWAにより通信接続可能であることが好ましい。
また、無線タグ装置2は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波であるGPS信号等を受信し、受信したGPS信号等に基づいて自機の現在位置を測定する機能を有する。また、無線タグ装置2は、自機の移動速度を算出する機能を有する。
かかる測位システム100では、通信端末3と無線タグ装置2との間での近距離無線通信が切断された場合、無線タグ装置2は、移動体通信網5を介する通信が不能な状態から可能な状態に遷移する。そして、無線タグ装置2は自機の位置に関する情報を移動体通信網5に送信し、通信端末3は無線タグ装置2の位置をユーザUに対して通知する。通知の態様としては、例えば、緯度経度の表示、地名の表示、地図に位置を示すマークの表示、緯度経度の読み上げ、又は地名の読み上げ等が該当する。位置の通知によって、ユーザUは、無線タグ装置2が取り付けられた物体O1を紛失しても物体O1の現在位置を知ることができる。さらに、無線タグ装置2の省電力化を高めるために、無線タグ装置2は、GPS信号の受信の有無又は自機の移動速度に応じて移動体通信網5への接続を制御する。
次に、図2及び図3を参照しつつ、無線タグ装置2及び通信端末3の各構成を説明する。なお、以下では、「装置」という用語は、それぞれ、回路、デバイス、又はユニット等の他の用語に読替えてもよい。また、無線タグ装置2及び通信端末3が有する図示された各装置は、単数又は複数の機器で構成されてもよいし、一部の装置は適宜省略されてもよい。また、無線タグ装置2及び通信端末3は、図示された各装置以外の装置をさらに有してもよい。また、以下では、「通信モジュール」という用語は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、又はネットワークカード等の他の用語に読替えてもよい。
1−1A.無線タグ装置の構成
図2は、第1実施形態における無線タグ装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、無線タグ装置2は、処理装置21、記憶装置22、近距離無線通信装置23、無線通信装置24、GPS受信装置25、速度検出装置26及び電源装置27を備えるコンピュータシステムにより実現される。無線タグ装置2が有する各装置は、単体又は複数のバスで相互に接続される。
処理装置21は、「制御部」の一例であって、無線タグ装置2全体を制御するプロセッサである。処理装置21は、例えば単数又は複数のチップで構成される。処理装置21は、例えば演算装置及びレジスタ等を含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を含んで構成される。なお、処理装置21の一部又は全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成してもよい。かかる処理装置21は、各種の処理を並列的又は逐次的に実行する。処理装置21は、記憶装置22に記憶される各種プログラム等を読み出して実行することにより各種機能を実現する。なお、当該各種機能は、後で詳述する。
記憶装置22は、処理装置21が読取可能な記録媒体であり、処理装置21が実行する複数のプログラム、及び処理装置21が使用する各種のデータを記憶する。記憶装置22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等の記憶回路の1種類以上で構成される。
記憶装置22は、処理装置21が実行する測位プログラムP21を記憶する。また、記憶装置22は、通信端末3と近距離無線通信を行うために用いられる通信アドレスを含むペアリング情報D21を記憶する。通信アドレスは、例えBluetoothアドレス等の端末を識別できる情報である。また、記憶装置22は、移動体通信網5を介した通信において通信端末3を特定するための識別子を含む送信先情報D22を記憶する。なお、図示はしないが、記憶装置22は、移動体通信網5の接続において、自機を特定するための識別子に関する情報を記憶する。識別子は、例えば、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)が該当する。また、記憶装置22は、物体O1の種類及び利用目的に応じて定まる重要度を示す対象情報D23を記憶する。
近距離無線通信装置23は、「近距離無線通信部」の一例であって、所定の距離範囲内に存在する各種機器と近距離無線通信を行う。近距離無線通信装置23は、例えば近距離無線通信にかかる電波を送受信するアンテナと、アンテナに接続され信号を送受信するための通信回路とを含む近距離無線通信モジュールを備える。本実施形態では、近距離無線通信装置23は、通信端末3と近距離無線通信を行う。
具体的には、近距離無線通信装置23は、通信端末3から送信される接続要求を受信する。近距離無線通信装置23が通信端末3からの接続要求に対して応答することにより、無線タグ装置2と通信端末3との近距離無線通信による接続が確立する。また、近距離無線通信装置23は、通信端末3との近距離無線通信が確立した接続状態で通信端末3から送信されるデータ信号を受信する。データ信号を近距離無線通信により受信している状態から受信できなくなる状態に遷移すると無線タグ装置2と通信端末3との近距離無線通信が切断される。
無線通信装置24は、「無線通信部」の一例であって、移動体通信網5に接続する。無線通信装置24は、例えば、移動体通信網5と接続するための電波を送受信するアンテナと、アンテナに接続され信号を送受信するための通信回路とを有する無線通信モジュールを備える。また、無線通信装置24は、移動体通信網5から、在圏するセルに割り当てられたセルIDを取得する。セルIDは、在圏するセルを一意に識別する識別情報である。基地局は、自局の属するセルに在圏する無線タグ装置2に対する呼び出し信号であるページング信号P1を送信する。移動体通信網5は、位置登録要求及びページング信号P1に対する応答等を利用して、セルIDに基づく無線タグ装置2の位置を把握する。位置登録要求は、無線タグ装置2が在圏するセルの登録を要求する信号である。無線通信装置24は、移動体通信網5に対して位置登録要求を送信する。位置登録要求は、無線タグ装置2の位置に関する情報の一例である。
GPS受信装置25は、「受信部」の一例であって、複数のGPS衛星からの電波を受信して、無線タグ装置2の位置情報の生成に用いられる信号を出力する。当該信号を基にして前述の処理装置21が無線タグ装置2の位置を示す位置情報を生成する。当該位置情報は、無線タグ装置2の位置に関する情報の一例である。GPS受信装置25は、例えば、GPS信号を受信するGPSアンテナと、GPS信号を処理して処理装置21に信号を出力する回路とを含むGPSモジュールを備える。なお、無線タグ装置2は、衛星からの電波である衛星信号を受信して位置情報を生成するための信号を出力する受信装置を備えていればよく、GPS受信装置25の代わりに又はGPS受信装置25に加えて、例えば準天頂軌道の衛星からの電波を受信する装置等を備えてもよい。また、「受信部」としては、無線LANのアクセスポイントと通信する通信部であってもよい。その場合、アクセスポイントに割り当てられたネットワーク上の識別アドレス(MAC(Media Access Control)アドレス)と実際の位置とを互いに対応付けたデータベースを参照して位置情報を取得してもよい。
速度検出装置26は、無線タグ装置2の移動速度を算出するための加速度を取得する。速度検出装置26は、例えば加速度センサを含んで構成される。なお、速度検出装置26は、加速度センサ以外の他のセンサ、例えば角速度センサ等を含んでもよい。
電源装置27は、無線タグ装置2が有する各装置に電力を供給する。電源装置27は、電池と、電池からの電力を各装置に供給する電源回路とを備える。当該電池は、一次電池、二次電池又は太陽電池等、いかなる電池でもよい。
1−1B.通信端末の構成
図3は、第1実施形態における通信端末の構成を示すブロック図である。図3に示すように、通信端末3は、処理装置31、記憶装置32、近距離無線通信装置33、無線通信装置34、表示装置35、及び入力装置36を備えるコンピュータシステムにより実現される。通信端末の各要素は、単体又は複数のバスで相互に接続される。
処理装置31は前述の処理装置21、記憶装置32は記憶装置22、近距離無線通信装置33は近距離無線通信装置23、無線通信装置34は無線通信装置24と同様の構成である。ただし、記憶装置32は、測位プログラムP31を記憶する。記憶装置32は、通信端末3と近距離無線通信を行うために用いられる通信アドレスを含むペアリング情報D31を記憶する。また、記憶装置22は、移動体通信網5を介した通信において無線タグ装置2を特定するための識別子を含む送信先情報D32を記憶する。なお、図示はしないが、記憶装置32は、移動体通信網5の接続において、自機を特定するための識別子に関する情報を記憶する。また、処理装置31は、記憶装置32に記憶された測位プログラムP31を読み出して実行することによって、無線タグ装置2の測位に関する各種機能を実行する。
表示装置35は、ユーザUが視認可能な画像を表示し、画像によってユーザUに所定の通知を行う。表示装置35は、例えば液晶表示パネル等の表示パネルを備える。なお、当該所定の通知の内容としては、例えば、無線タグ装置2の現在位置を示す内容、及び無線タグ装置2との近距離無線通信が切断されたことを示す内容等が挙げられる。また、図示はしないが、通信端末3は、スピーカーを用いて音による通知を行ってもよいし、バイブレータを用いた振動による通知を行ってもよい。振動による通知では、無線タグ装置2の現在位置をユーザUに詳細に知らせることはできないが、ユーザUに無線タグ装置2との近距離無線通信が切断されたことを知らせることができる。
入力装置36は、ユーザUによる入力を受け付ける。入力装置36は、例えばキーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン及びセンサのうちの一部又は全てを含んで構成される。また、入力装置36と前述の表示装置35とは、タッチパネルで構成されてもよい。
1−1C.無線タグ装置の機能構成
図4は、第1実施形態における無線タグ装置の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、無線タグ装置2の処理装置21は、記憶装置22から測位プログラムP21を読み出して実行することによって、無線通信制御部210、活性化制御部211、近距離無線通信管理部212、位置情報管理部213、速度管理部214、ページング設定部215及び対象設定部216として機能する。
無線通信制御部210は、無線タグ装置2の位置に関する情報を移動体通信網5に対して送信するよう無線通信装置24を制御する。無線タグ装置2の位置に関する情報は、例えば、位置登録要求、及びGPS信号等の衛星信号等の位置特定用信号に基づく位置情報である。
活性化制御部211は、無線通信装置24及びGPS受信装置25のそれぞれを活性化または不活性化させる。
活性化制御部211は、無線通信装置24の動作を、移動体通信網5を介する通信が不能な状態または可能な状態に制御する。無線通信部の動作の一例は、移動体通信網5を介する通信が不能な状態にすること、または当該通信が可能な状態にすることである。具体的には例えば、活性化制御部211は、移動体通信網5を介する通信が不能な状態から可能な状態に無線通信装置24を遷移させる。すなわち、活性化制御部211は、無線通信装置24を活性化させる。また、活性化制御部211は、移動体通信網5を介する通信が可能な状態から不能な状態に無線通信装置24を遷移させる。すなわち、活性化制御部211は、無線通信装置24を不活性化させる。
より具体的には、活性化制御部211は、電源装置27による無線通信装置24への電力の供給を開始することにより無線通信装置24を起動させることで、無線通信装置24を活性化させる。一方、活性化制御部211は、電源装置27による無線通信装置24への電力の供給を停止することにより無線通信装置24の動作を停止させることで、無線通信装置24を不活性化させる。また、活性化制御部211は、電源装置27による無線通信装置24への電力の供給を停止せずに、無線通信装置24をスリープ状態とすることで、無線通信装置24を不活性化させてもよい。また、活性化制御部211は、スリープ状態を解除することで、無線通信装置24を活性化させてもよい。ここで、当該スリープ状態とは、無線通信装置24に電力は供給されているが、移動体通信網5に接続されておらず、移動体通信網5を介した送受信ができない状態をいう。無線通信装置24をスリープ状態とすることで、電力の供給が停止されている状態から活性化する場合に比べ、無線通信装置24を早急に活性化させることができる。
また、活性化制御部211は、GPS信号を受信不能な状態または受信可能な状態にGPS受信装置25の動作を制御する。具体的には例えば、活性化制御部211は、GPS信号を受信不能な状態から受信可能な状態にGPS受信装置25を遷移させる。すなわち、活性化制御部211は、GPS受信装置25を活性化させる。また、活性化制御部211は、GPS信号を受信可能な状態から受信不能な状態にGPS受信装置25を遷移させる。すなわち、活性化制御部211は、GPS受信装置25を不活性化させる。
より具体的には、活性化制御部211は、電源装置27によるGPS受信装置25への電力の供給を開始することによりGPS受信装置25を起動させることで、GPS受信装置25を活性化させる。一方、活性化制御部211は、電源装置27によるGPS受信装置25への電力の供給を停止することによりGPS受信装置25の動作を停止させることで、GPS受信装置25を不活性化させる。
近距離無線通信管理部212は、近距離無線通信装置23に近距離無線通信にかかる接続処理を行わせる。当該接続処理にあたり、近距離無線通信管理部212は、近距離無線通信装置23に通信端末3とのペアリングを実行させる。
近距離無線通信管理部212は、近距離無線通信装置23による通信端末3からの接続要求の受信の有無を検出することにより、通信端末3と近距離無線通信により接続できるか否かを判断する。また、近距離無線通信管理部212は、近距離無線通信装置23に接続要求に対する応答を実行させて、通信端末3との近距離無線通信による接続を確立させる。また、近距離無線通信管理部212は、近距離無線通信装置23による通信端末3からのデータ信号の受信の有無を検出することにより、通信端末3との近距離無線通信が切断されたか否かを判断する。
位置情報管理部213は、GPS受信装置25がGPS信号を受信できる場合、GPS受信装置25から出力される信号を基にして無線タグ装置2の現在位置を生成する。当該位置情報は、例えば緯度と経度とを含む。また、位置情報管理部213は、GPS受信装置25から出力される信号を基にして、GPS受信装置25によりGPS信号が受信可能であるか否かを判断する。
速度管理部214は、速度検出装置26が取得した加速度を積分することによって無線タグ装置2の移動速度を検出する。ここで、速度管理部214と前述の速度検出装置26とは、無線タグ装置2の移動速度を検出する「検出部」として機能する。また、速度管理部214は、移動速度が所定値以下であるか否かを判断する。所定値は、適宜設定可能である。かかる程度であると、移動速度を基にして無線タグ装置2が移動している状態か停止している状態であるかを的確に判断できる。
ページング設定部215は、移動体通信網5から送信される呼び出し信号であるページング信号P1の受信に関する無線通信装置24の動作を制御する。無線通信装置24の動作の一例は、ページング信号P1の受信に関する動作である。具体的には、無線通信装置24の動作は、例えばページング信号P1の間欠受信の間隔を変更することであり、より具体的には、ページング信号P1の間欠受信の間隔を変更する要求を移動体通信網5に通知することである。また、ページング設定部215は、例えば、自機の移動速度又はGPS信号の受信の有無に応じて当該無線通信装置24の動作を制御する。
図5、図6、図7及び図8は、それぞれ間欠受信の態様を説明するための図である。図5、図6、図7及び図8には、無線タグ装置2が移動体通信網5に接続されている接続状態P0と、無線タグ装置2のページング信号P1の間欠受信の間隔d1〜d3とが図示されている。なお、縦軸は、消費電流であり、横軸は、時間である。
ページング設定部215は、例えば、図5に示すページング信号P1の間隔d1から、図6に示すページング信号P1の間隔d2にするよう無線通信装置24の動作を制御する。つまり、ページング設定部215は、無線通信装置24に間隔d1をそれよりも短い間隔d2に変更させる。例えば、図5は、DRX(Discontinuous Reception)を適用した場合の受信態様を示しており、図6は、DRX等の省電力モードを適用していない通常のLTE方式による受信態様を示している。例えば、図5における間隔d1は、2.56秒であり、図6における間隔d2は、1.28秒である。
また、ページング設定部215は、例えば、図5に示すページング信号P1の間隔d1から、図7に示すページング信号P1の間隔d3にするよう無線通信装置24の動作を制御する。つまり、ページング設定部215は、無線通信装置24に間隔d1をそれよりも長い間隔d3に変更させる。例えば、図7は、eDRX(Extended Discontinuous Reception)を適用した場合の受信態様を示している。例えば、図7における間隔d3は、43分である。
また、ページング設定部215は、例えば、図5に示す状態から、図8に示すようにページング信号P1の受信を停止した状態にするよう無線通信装置24の動作を制御する。この制御によって、無線通信装置24は、位置登録要求を送信するが、下り信号を受信しない状態となる。例えば、図8は、PSM(Power Saving Mode)を適用した場合の受信態様を示している。ページング設定部215は、例えば24時間、下り信号を受信しない状態とする。図8に示す状態にすることで、無線通信装置24は、図5に示す状態と比較して消費電力を大幅に削減できる。
なお、ページング信号P1の間欠受信の間隔は、前述した期間に限定されない。ページング信号P1の受信を停止する期間も、前述した期間に限定されない。
対象設定部216は、無線タグ装置2が取り付けられる物体O1の重要度を設定する。重要度は、ユーザUの操作指示を受けて設定することができる。例えば、ユーザUが物体O1の種類及び利用目的を通信端末3に対して入力する。その入力に基づく信号を近距離無線通信装置23が受信し、その受信した信号を基にして、対象設定部216は物体O1の重要度を設定する。例えば、記憶装置22には物体O1の種類及び利用目的と、重要度とを互いに対応付けたデータが記憶されており、対象設定部216は、当該データを参照して物体O1の種類及び利用目的に応じた重要度を設定する。なお、ユーザUは、物体O1の種類ではなく、重要度を直接的に入力してもよい。
1−2.無線タグ装置の動作
図9は、第1実施形態における無線タグ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
以下では、通信端末3は、ユーザUが所有するスマートフォンである場合を例に説明する。また、以下では、ユーザUが、無線タグ装置2付きの物体O1と通信端末3とを持ち歩いている最中に物体O1をどこかに置き忘れた場合を例に説明する。この場合、まず、ユーザUが物体O1及び通信端末3の両方を持ち歩いている状態では、無線タグ装置2と通信端末3とが近距離無線通信で接続されている。その後、ユーザUが物体O1をどこかに置き忘れると、無線タグ装置2と通信端末3との間の近距離無線通信が切断される。当該近距離無線通信が切断されたら、測位システム100は、物体O1の測位処理を開始する。
以下、無線タグ装置2の動作を中心に順次説明する。なお、無線タグ装置2は、通信端末3とペアリング済みであるものとする。また、図9に示すフローチャートの実行前において、無線タグ装置2の無線通信装置24及びGPS受信装置25は、それぞれ不活性化されている。また、図9に示すフローチャートを説明するにあたり、ユーザUは物体O1及び通信端末3の両方を持ち歩いており、無線タグ装置2は、通信端末3との近距離無線通信による接続が確立されているものとする。
まず、近距離無線通信管理部212は、近距離無線通信装置23による通信端末3からのデータ信号の受信強度を元にした閾値判断により、通信端末3との近距離無線通信が切断されたか否かを判断する(ステップS11)。なお、当該閾値判断は、無線タグ装置2および通信端末3のいずれかが行う。ユーザUが物体O1を何処かに置き忘れて、無線タグ装置2と通信端末3とが互いの近距離無線通信による通信可能範囲外に位置すると、無線タグ装置2と通信端末3との間の近距離無線通信は切断される。
次に、通信端末3との近距離無線通信が切断されたと判断されたら(ステップS11のYes)、活性化制御部211は、無線通信装置24及びGPS受信装置25を活性化させる(ステップS12)。すなわち、近距離無線通信が切断されたと判断されたら、活性化制御部211は、移動体通信網5を介する通信が不能な状態から可能な状態に無線通信装置24を遷移させるとともに、GPS信号を受信不能な状態から受信可能な状態にGPS受信装置25を遷移させる。
例えば、活性化制御部211は、電源装置27による無線通信装置24への電力の供給を開始させることにより無線通信装置24を起動させることで、無線通信装置24を活性化させる。また、例えば、活性化制御部211は、電源装置27によるGPS受信装置25への電力の供給を開始させることによりGPS受信装置25を起動させることで、GPS受信装置25を活性化させる。なお、活性化制御部211は、スリープ状態を解除することで、無線通信装置24を活性化させてもよい。
ここで、通信端末3は、無線タグ装置2との近距離無線通信の切断を契機として、ユーザUに対して近距離無線通信が切断されたこと、又はそれに応じた内容の通知を行う。当該内容としては、例えば物体O1を紛失した可能性の示唆である。かかる通知により、ユーザUは、物体O1を紛失した可能性があることを知ることができる。
次に、無線タグ装置2の無線通信制御部210は、位置登録要求を移動体通信網5に対して送信するよう無線通信装置24を制御する(ステップS13)。なお、無線通信制御部210は、後述のステップS14〜S21において、無線タグ装置2が移動して在圏するセルが変わる度に、又は一定期間毎に、位置登録要求を移動体通信網5に対して送信するよう無線通信装置24を制御する。
次に、速度管理部214は、速度検出装置26が検出した加速度を基にして無線タグ装置2の移動速度を算出する(ステップS14)。移動速度は、無線通信装置24による移動体通信網5を介する通信が可能な状態になってから所定期間の平均速度を言う。所定期間は、適宜設定可能である。
次に、速度管理部214は、移動速度が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS15)。移動速度が所定値以下であると判断されたら(ステップS15のYes)、ページング設定部215は、変更前に比べてページング信号P1の間欠受信の間隔を無線通信装置24に短くさせる(ステップS16)。具体的には、ページング設定部215は、無線通信装置24に、ページング信号P1の間欠受信の間隔を短くする要求を移動体通信網5に対して通知させる。例えば、無線通信装置24は、ページング信号P1の間欠受信の間隔を図5に示す間隔d1から図6に示す間隔d2に変更する。なお、移動速度が所定値以下であっても、停止している場合には、ステップS16に移行せずにステップS17に移行させてもよい。
一方、移動速度が所定値を超えると判断されたら(ステップS15のNo)、ページング設定部215は、変更前に比べてページング信号P1の間欠受信の間隔を無線通信装置24に長くさせる(ステップS17)。ページング設定部215は、無線通信装置24に、ページング信号P1の間欠受信の間隔を長くする要求を移動体通信網5に対して通知させる。例えば、処理装置21は、ページング信号P1の間欠受信の間隔を図5に示す間隔d1から図7に示す間隔d3に変更する。
つまり、ページング設定部215は、ステップS16では移動速度が所定値を超える場合よりもページング信号P1の間欠受信の間隔を無線通信装置24に短くさせ、ステップS17では移動速度が所定値以下である場合よりもページング信号P1の間欠受信の間隔を無線通信装置24にさせる。なお、処理装置21は、ステップS17では、図8に示すようにページング信号P1の受信を停止した状態にしてもよい。
次に、位置情報管理部213は、GPS信号が受信可能か否かを判断する(ステップS18)。位置情報管理部213は、GPS信号を受信可能であれば(ステップS18のYes)、GPS受信装置25から出力される信号を基にして無線タグ装置2の現在位置を示す位置情報を生成する(ステップS19)。次いで、無線通信制御部210は、無線通信装置24に、移動体通信網5を介して通信端末3に向けて位置情報を送信させる(ステップS20)。
ここで、通信端末3は、当該位置情報を受信したら、無線タグ装置2の位置をユーザUに対して通知する。かかる通知により、ユーザUは物体O1の現在位置を知ることができる。
なお、前述のステップS18において、GPS信号を受信不可能である場合(ステップS18のNo)、無線タグ装置2の処理装置21は処理をステップS21に進める。この場合、通信端末3は、移動体通信網5からセルIDに基づく無線タグ装置2の位置情報を取得し、セルIDに基づく無線タグ装置2の位置をユーザUに対して通知する。かかる通知により、ユーザUは物体O1のおおよその現在位置を知ることができる。
次に、近距離無線通信管理部212は、通信端末3と近距離無線通信により接続されているか否かを判断する(ステップS21)。ユーザUが無線タグ装置2付きの物体O1を再び取得した場合、無線タグ装置2は、通信端末3と近距離無線通信により接続される。なお、近距離無線通信管理部212は、当該近距離無線通信により接続されていると判断されるまで、設定期間の間隔にてもしくは間欠受信間隔に従い、S18〜S20を繰り返し行う。
次に、通信端末3と近距離無線通信により接続されたと判断されたら(ステップS21のYes)、活性化制御部211は、無線通信装置24及びGPS受信装置25を不活性化させる(ステップS22)。すなわち、近距離無線通信による接続が再度確立したら、活性化制御部211は、移動体通信網5を介する通信が可能な状態から不能な状態に無線通信装置24を遷移させるとともに、GPS信号を受信可能な状態から受信不能な状態にGPS受信装置25を遷移させる。ユーザUが物体O1を再び取得して無線タグ装置2の近距離無線通信による接続が再度確立した場合、無線通信装置24及びGPS受信装置25を不活性化させることで、不活性化させない場合に比べて無線タグ装置2Bの電力消費を抑えることができる。
無線通信装置24の不活性化は、例えば、活性化制御部211が電源装置27による無線通信装置24への電力の供給を停止することにより無線通信装置24の動作を停止させることにより行われる。また、GPS受信装置25の不活性化についても同様である。また、スリープ状態とすることで、無線通信装置24を不活性化にしてもよい。
以上が、無線タグ装置2の動作の一例である。以上説明したように、無線タグ装置2は、処理装置21が有する速度管理部214及び速度検出装置26で構成される「検出部」と、GPS信号を受信するGPS受信装置25と、移動体通信網5を介して通信端末3と通信する無線通信装置24とを有する。また、処理装置21は、移動速度に応じて無線通信装置24の動作を制御し、移動体通信網5に対して無線タグ装置2の位置に関する情報を無線通信装置24に送信させる。移動速度に応じて無線通信装置24の動作を制御することで、無線タグ装置2の省電力化を図ることができる。
具体的には、処理装置21は、移動速度に応じて、移動体通信網5からの呼び出し信号であるページング信号P1の受信に係る無線通信装置24の動作を制御する。移動速度に応じてページング信号P1の受信に関する動作を制御することで、物体O1の移動速度に応じて無線タグ装置2の省電力化を図ることができる。
より具体的には、図9に示すフローチャートでは、処理装置21は、移動速度が所定値以下である場合、移動速度が所定値を超える場合よりもページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を短くさせ(ステップS16)、移動速度が所定値を超える場合、移動速度が所定値以下である場合によりもページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を長くさせる(ステップS17)。
移動速度が速い場合、無線タグ装置2の位置は、経時的に変化し易い。このため、移動速度が速い場合、折角、GPS信号に基づく位置情報を送信したり、セルIDに基づく位置情報を受信しても、すぐに位置が変わってしまうので、送信した位置情報が無駄になってしまう。また、無線タグ装置2の電力の消費も大きくなってしまう。そこで、移動速度が所定値を超える場合には、移動速度が所定値以下になるまで、ページング信号P1の間欠受信の間隔を長くして電力消費を抑制することを優先する。一方、移動速度が所定値であって移動速度が遅い場合には、無線タグ装置2の位置は経時的に変化し難いので、ページング信号P1の間欠受信の間隔を短くする。ページング信号P1の間欠受信の間隔を短くすることで、GPS信号が何らかの理由で一時的に受信不可能になる場合があっても、セルIDによる測位を好適に行うことができる。このため、ユーザUは、紛失した物体O1を早急に見つけ出すことができる。
また、前述したように、ステップS17では、処理装置21は、ページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を長くさせる代わりに、ページング信号P1を無線通信装置24に停止させてもよい。ページング信号P1の受信を停止させることで、間隔を長くするよりも消費電力をさらに抑制できる。
なお、前述の説明では、処理装置21は、移動速度が所定値を超える場合にはページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を長くさせ、移動速度が所定値以下である場合にはページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を短くさせたが、その逆であってもよい。つまり、処理装置21は、移動速度が所定値を超える場合にはページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を短くさせる。また、処理装置21は、移動速度が所定値以下である場合には、ページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を長くさせるか、ページング信号P1の受信を停止させてもよい。この処理によれば、移動速度が速いことで移動距離が長くなっても、正確かつタイムリーに無線タグ装置2の位置を把握できる。また、移動速度が遅い場合には無線タグ装置2の位置の変動は小さいので、無線タグ装置2の省電力化を図ることができる。つまり、この処理によれば、図5に示すステップS15、S16及びS17の処理に比べ、電力消費の過度な増加を抑えつつ、捜索を優先させることができる。
また、前述のように、処理装置21は、通信端末3との近距離無線通信が接続から切断に遷移する場合、無線通信装置24を活性化させる(ステップS12)。つまり、無線通信装置24の動作を通信が不能な状態から可能な状態に遷移させる。このため、通信端末3との近距離無線通信が切断されるまで、無線通信装置24は移動体通信網5を介する通信が不能な状態である。よって、無線タグ装置2が近距離無線通信により接続されている最中も近距離無線通信装置23が移動体通信網5を介する通信が可能な状態である場合に比べ、無線タグ装置2の電力消費を低減できる。さらに、本実施形態では、前述のように、処理装置21は、通信端末3との近距離無線通信が接続から切断に遷移する場合、GPS受信装置25を活性化させる(ステップS12)。このため、通信端末3との近距離無線通信が切断されるまで、GPS受信装置25はGPS信号の受信が不能な状態である。よって、無線タグ装置2の電力消費をさらに低減できる。
また、前述のように、通信端末3は、無線タグ装置2との移動体通信網5を介した通信が確立した場合、ユーザUに対して無線タグ装置2の位置を通知する。通信端末3は、GPS信号に基づく位置情報、及びセルIDに基づく位置情報のいずれか一方に基づく無線タグ装置2の位置の通知をユーザUに対して行う。このため、ユーザUは通知された位置を基にして捜索を開始することで、物体O1を容易に見つけ出すことができる。
また、図示では、無線タグ装置2の数は1つであるが、無線タグ装置2の数は複数であってもよい。また、測位システム100は、通信端末3以外の他の通信端末を有してもよい。
また、「携帯無線端末」は、携帯可能で、かつ移動体通信網5との通信接続が可能である端末であれば、無線タグ装置2に限定されない。例えば、「携帯無線端末」は、スマートフォン、携帯電話、タブレット、及びウェアラブル端末等であってもよい。ただし、「携帯無線端末」は、電池が内蔵された無線タグであると、省電力化を図るという利点を顕著に発揮され、有益である。
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態における無線タグ装置の動作を示すフローチャートである。なお、以下に例示する第2実施形態において第1実施形態と同様の事項については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本実施形態では、無線タグ装置2は、移動速度が所定値以下であるか否かの判断に加えて、物体O1の種類及び利用目的に応じて定まる重要度Lに応じてページング信号P1の受信に関する無線通信装置24の動作を制御する(ステップS23〜S25及びS16)。
具体的には、図10に示すように、ステップS15において移動速度が所定値を超えると判断されたら、ページング設定部215は、対象設定部216が設定した物体O1の重要度Lに応じてページング信号P1の受信に関する無線通信装置24の動作を制御する。
重要度Lの段階数は、適宜設定可能であるが、例えば図示の例では3段階とする。対象設定部216は、重要度Lを高い順に「1」、「2」及び「3」に分ける。重要度L=「1」は、重要度Lが最も高く、重要度L=「3」は、重要度Lが最も低いものとする。対象設定部216は、物体O1の種類及び利用目的に応じて重要度Lを設定する。例えば、重要度L=「1」は、子供等の人物である。重要度L=「2」は、ユーザUが所有する財布等である。重要度L=「3」は、多数の代替品が存在する傘等である。
ページング設定部215は、物体O1の重要度Lが「1」であるならば(ステップS23のL1)、変更前に比べてページング信号P1の間欠受信の間隔を無線通信装置24に短くさせる(ステップS16)。具体的には、ページング設定部215は、無線通信装置24に、ページング信号P1の間欠受信の間隔を短くする要求を移動体通信網5に通知させる。例えば、処理装置21は、図5に示す間隔d1から図6に示す間隔d2に変更するよう無線通信装置24の動作を制御する。
ページング設定部215は、物体O1の重要度Lが「2」であるならば(ステップS23のL2)、変更前に比べてページング信号P1の間欠受信の間隔を無線通信装置24に長くさせる(ステップS24)。具体的には、ページング設定部215は、無線通信装置24に、ページング信号P1の間欠受信の間隔を長くする要求を移動体通信網5に通知させる。例えば、処理装置21は、図5に示す間隔d1から図7に示す間隔d3に変更するよう無線通信装置24の動作を制御する。
ページング設定部215は、物体O1の重要度Lが「3」であるならば(ステップS23のL3)、ページング信号P1の受信を無線通信装置24に停止させる(ステップS25)。具体的には、ページング設定部215は、無線通信装置24に、ページング信号P1の間欠受信の間隔を停止する要求を移動体通信網5に通知させる。例えば、処理装置21は、図5に示す状態から、図8に示すようにページング信号P1の受信を停止した状態にする。よう無線通信装置24の動作を制御する。
処理装置21は、無線タグ装置2が取り付けられる物体O1の種類及び利用目的に応じてページング信号P1の受信に関する無線通信装置24の動作を制御することで、物体O1に応じて電力消費の過度な増加を抑えつつ、物体O1の種類及び利用目的によっては捜索を優先させることができる。具体的には、前述のように、移動速度が所定値を超えても物体O1が子供等である場合にはページング信号P1の間欠受信の間隔を短くすることで、GPS信号が何らかの理由で一時的に受信不可能であってもセルIDに基づく測位を好適に行うことができる。例えば子供が車や電車を通常利用しない場合、移動速度の所定値を歩行速度程度に設定しておく。そうすると、移動速度が所定値を超えてもページング信号P1の間欠受信の間隔を短くせず長くするので、正確かつタイムリーに子供の捜索を行うことができる。このため、子供の連れ去り時などの緊急事態において有用である。一方、物体O1が傘等である場合には、ページング信号P1を所定期間停止させることで、消費電力の抑制を優先させることができる。このようなことから、物体O1の種類及び利用目的によってページング信号P1の受信態様を変更することで、ユーザUの利便性を高めることができる。
なお、図示のフローチャートは一例であって、例えば、物体O1の重要度Lに応じてページング信号P1の間欠受信の間隔を長くしたり短くしたりすることのみならず、重要度Lに応じてページング信号P1の間欠受信の間隔を変更せずに変更前の態様を維持することを選択肢に加えてもよい。
3.第3実施形態
本発明の第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態における無線タグ装置の動作を示すフローチャートである。なお、以下に例示する第3実施形態において第1実施形態と同様の事項については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図11に示すように、本実施形態では、近距離無線通信の接続が切断されたと判断されたら(ステップS31のYes)、速度管理部214は、速度検出装置26が検出した加速度を基にして無線タグ装置2の移動速度を算出する(ステップS32)。
次に、速度管理部214は、移動速度が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS33)。移動速度が所定値以下であると判断されたら(ステップS33のYes)、活性化制御部211は、無線通信装置24及びGPS受信装置25を活性化させる(ステップS34)。すなわち、移動速度が所定値以下であるなら、活性化制御部211は、移動体通信網5を介する通信が不能な状態から可能な状態に無線通信装置24を遷移させるとともに、GPS信号を受信不能な状態から受信可能な状態にGPS受信装置25を遷移させる。
一方、移動速度が所定値を超えると判断されたら(ステップS33のNo)、活性化制御部211は、無線通信装置24及びGPS受信装置25を不活性化させたままにする。そして、近距離無線通信管理部212は、通信端末3と近距離無線通信により接続されているか否かを判断する(ステップS35)。通信端末3と近距離無線通信により接続されたと判断されたら(ステップS35のYes)、処理装置21は処理をステップS22に進める。一方、通信端末3と近距離無線通信により接続されていないと判断されたら(ステップS35のNo)、処理装置21は処理をステップS33に進める。
本実施形態では、前述のように、処理装置21は、移動速度に応じて無線通信装置24の動作を通信が不能な状態に制御するか通信が可能な状態に制御する(ステップS34)。移動速度に応じて上記のように制御することで、無線通信装置24が常に通信可能な状態である場合に比べて、無線タグ装置2の電力消費を抑制できる。
前述のように図11に示すフローチャートでは、処理装置21は、移動速度が所定値を超える場合、無線通信装置24の動作を通信が不能な状態に制御する。一方、処理装置21は、移動速度が所定値以下である場合、無線通信装置24の動作を通信が可能な状態に制御する(ステップS34)。移動速度が所定値を超える場合、移動体通信網5を介する通信を不能な状態にすることで、無線通信装置24における電力消費を抑制できる。一方、移動速度が所定値以下である場合には、無線通信装置24を、移動体通信網5を介する通信を可能な状態にし、GPS信号又はセルIDに基づく測位を開始する。測位を開始することで、紛失した物体O1を早急に見つけ出すことができる。
なお、図11に示すフローチャートは一例であり、処理装置21は、例えば、移動速度が所定値を超える場合、無線通信装置24の動作を、移動体通信網5を介する通信が不能な状態から可能な状態に制御してもよい。また、処理装置21は、移動速度が所定値以下である場合、無線通信装置24の動作を、移動体通信網5を介する通信が不能な状態に制御してもよい。この制御によれば、移動速度が速いことで移動距離が長くなっても、正確かつタイムリーに無線タグ装置2の位置を把握できる。また、移動速度が遅い場合には無線タグ装置2の位置の変動は小さいので、無線タグ装置2の省電力化を優先させる。
また、移動速度が所定値以下である状態から所定値を超えたら、活性化制御部211が無線通信装置24及びGPS受信装置25を不活性化させる処理を図11に示すスローチャートに加えてもよい。
4.第4実施形態
本発明の第4実施形態について説明する。図12は、第4実施形態における無線タグ装置の動作を示すフローチャートである。なお、以下に例示する第4実施形態において第1実施形態と同様の事項については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図12に示すように、本実施形態では、通信端末3との近距離無線通信が切断されたと判断したら(ステップS41のYes)、活性化制御部211は、無線通信装置24及びGPS受信装置25を活性化させる(ステップS42)。次に、無線通信制御部210は、無線通信装置24に位置登録要求を出力させる(ステップS43)。
次に、GPS信号を受信できると判断されたら(ステップS44のYes)、ページング設定部215は、変更前に比べてページング信号P1の間欠受信の間隔を長く設定し、その設定を移動体通信網5に通知するよう無線通信装置24の動作を制御する(ステップS45)。一方、GPS信号を受信できないと判断されたら(ステップS44のNo)、ページング設定部215は、変更前に比べてページング信号P1の間欠受信の間隔を短く設定し、その設定を移動体通信網5に通知するよう無線通信装置24の動作を制御する(ステップS46)。
つまり、ページング設定部215は、ステップS45ではGPS信号を受信できない場合よりもページング信号P1の間欠受信の間隔を長くし、ステップS46ではGPS信号を受信できる場合よりもページング信号P1の間欠受信の間隔を短くするよう無線通信装置24の動作を制御する。
本実施形態では、前述のように、処理装置21は、GPS信号を受信できるか否かに応じて無線通信装置24の動作を制御し、移動体通信網5に対して無線タグ装置2の位置に関する情報を無線通信装置24に送信させる。GPS信号を受信できるか否かに応じて無線通信装置24の動作を制御することで、無線タグ装置2の省電力化を図ることができる。
具体的には、処理装置21は、GPS信号を受信できるか否かに応じて移動体通信網5からの呼び出し信号であるページング信号P1の受信に係る無線通信装置24の動作を制御する。GPS信号を受信できるか否かに応じてページング信号P1の受信に関する動作を制御することで、無線タグ装置2の省電力化を図ることができる。
図12に示すフローチャートでは、処理装置21は、GPS信号を受信できない場合、GPS信号を受信できる場合によりもページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を短くさせ(ステップS46)、GPS信号を受信できる場合、GPS信号を受信できない場合よりもページング信号P1を無線通信装置24に受信させる間隔を長くさせる(ステップS45)。
GPS信号が受信できない場合、ページング信号P1の間欠受信の間隔を短くすることで、GPS信号に基づく測位の代わりにセルIDに基づく測位を好適に行うことができる。このため、GPS信号を受信できなくても、無線タグ装置の位置をセルIDによって特定できる。一方、GPS信号が受信できる場合、GPS信号に基づく位置情報を無線タグ装置2から通信端末3に送信できるので、ページング信号P1の間欠受信の間隔を長くする。長くすることで、消費電力を抑制することができる。また、ステップS45では、処理装置21は、ページング信号P1の間欠受信の間隔を長くする代わりに、ページング信号P1の受信を停止してもよい。ページング信号P1の受信を停止させることで、間欠受信の間隔を長くするよりも消費電力をさらに抑制できる。
なお、図12に示すフローチャートは一例であり、処理装置21は、例えば、GPS信号を受信できる場合、ページング信号P1の間欠受信の間隔を長くするか、又はページング信号P1の受信を停止し、GPS信号を受信できない場合、ページング信号P1の間欠受信の間隔を短くしてもよい。
5.第5実施形態
本発明の第5実施形態について説明する。図13は、第5実施形態における無線タグ装置の動作を示すフローチャートである。なお、以下に例示する第5実施形態において第1実施形態と同様の事項については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図13に示すように、通信端末3との近距離無線通信が切断されたと判断したら(ステップS61のYes)、活性化制御部211は、GPS受信装置25を活性化させる(ステップS62)。次に、位置情報管理部213は、GPS信号を受信できるか否かを判断する(ステップS63)。GPS信号を受信可能であれば、活性化制御部211は、無線通信部を活性化し(ステップS64)、無線通信制御部210は、位置登録要求を無線通信装置24に送信させる(ステップS66)。
一方、GPS信号を受信不可能であれば、活性化制御部211は、無線通信装置24を不活性化させたままにする。そして、近距離無線通信管理部212は、通信端末3と近距離無線通信により接続されているか否かを判断する(ステップS65)。通信端末3と近距離無線通信により接続されたと判断されたら(ステップS65のYes)、処理装置21は処理をステップS22に進める。一方、通信端末3と近距離無線通信により接続されていないと判断されたら(ステップS65のNo)、処理装置21は処理をステップS63に進める。
前述のように、処理装置21は、GPS信号の受信の有無に応じて無線通信装置24の動作を通信が不能な状態に制御するか通信が可能な状態に制御する。GPS信号の受信の有無に応じて上記のように制御することで、無線通信装置24が常に通信可能な状態である場合に比べて、電力消費を抑制できる。
より具体的に説明すると、図13に示すフローチャートでは、処理装置21は、GPS信号を受信できない場合、無線通信装置24の動作を通信が不能な状態に制御する。一方、処理装置21は、GPS信号を受信できる場合、無線通信装置24の動作を通信が可能な状態に制御する(ステップS63)。GPS信号が受信できない場合、無線通信装置24を通信が不能な状態のままにすることで、無線通信装置24における電力消費を抑制できる。一方、GPS信号が受信できる場合には、無線通信装置24を、移動体通信網5を介する通信が可能な状態にし、GPS信号又はセルIDに基づく測位を開始する。測位を開始することで、紛失した物体O1を早急に見つけ出すことができる。
なお、図13に示すフローチャートは一例であり、処理装置21は、例えば、GPS信号を受信できない場合、無線通信装置24の動作を通信が可能な状態に制御し、GPS信号を受信できる場合、無線通信装置24の動作を通信が不能な状態に制御してもよい。
また、図13に示すスローチャートには、GPS信号の受信している状態から再度受信しない状態になったら、活性化制御部211が無線通信装置24及びGPS受信装置25不活性化させる処理を加えてもよい。
6.変形例
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
(1)前述の第1、第2、第4実施形態では、無線タグ装置2は通信端末3との近距離無線通信が切断された場合も無線通信装置24を活性化させたが、例えば、通信端末3から出力されるビーコン信号の無線タグ装置2における受信強度が所定値を超える状態から所定値以下の状態に遷移した場合に、無線タグ装置2は無線通信装置24を活性化させてもよい。また、GPS受信装置25についても、例えば、通信端末3から出力されるビーコン信号の無線タグ装置2における受信強度が所定値を超える状態から所定値以下の状態に遷移した場合に、無線タグ装置2は無線通信装置24を活性化させてもよい。
(2)各実施形態では、無線タグ装置2は、1つの通信端末3との近距離無線通信が切断された場合に、無線通信装置24を活性化させたが、例えば、複数の通信端末3との近距離無線通信が切断された場合に、無線通信装置24を活性化させてもよい。
6.その他
上述した各実施形態では、記憶装置22は、処理装置21が読取可能な記録媒体であり、ROM及びRAMなどを例示したが、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、CD−ROM(Compact Disc−ROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ、データベース、サーバその他の適切な記憶媒体である。なお、記憶装置32についても同様である。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。また、プログラムは、電気通信回線を介して通信網から送信されても良い。
上述した各実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
上述した各実施形態において、基地局によって行われるとした特定動作(例えば、基地局による位置情報の特定)は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)を含むネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び/又は基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
上述した各実施形態において、説明した情報及び信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
上述した各実施形態において、入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
上述した各実施形態において、判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
上述した各実施形態において例示したシーケンスチャートにおいて、各ステップの順序を変更してもよい。すなわち、本発明の好適な態様における各処理の順序は、特定の順序に限定されない。
上述した各実施形態において例示した各機能は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組合せによって実現される。また、各機能は、単体の装置によって実現されてもよいし、相互に別体で構成された2個以上の装置によって実現されてもよい。
上述した各実施形態で例示したプログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称によって呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順又は機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
前述の各形態において、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
上述した各実施形態において、基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び/又は基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部又は全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、及び「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
上述した各実施形態における各機器は、それぞれ移動局である場合が含まれる。移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
上述した各実施形態において、「接続された(connected)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」されると考えることができる。
上述した各実施形態において、「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
上述した各実施形態において「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本願の全体において、例えば、英語におけるa、an及びtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数を含む。
本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されないことは当業者にとって明白である。本発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示的な説明を目的とし、本発明に対して何ら制限的な意味を有さない。また、本明細書に例示した態様から選択された複数の態様を組み合わせてもよい。