JP2020052814A - ニューラルネットワーク、学習装置、学習方法、およびプログラム - Google Patents

ニューラルネットワーク、学習装置、学習方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】機械学習によって生成された学習モデルの不正利用を防止させる。【解決手段】ニューラルネットワークの1または複数のノード間に第1改変防止要素を備え、第1改変防止要素は、第1入力部と、第1出力部と、第1入力部および第1出力部の間に設けられ、重み係数が設定される複数の第1隠れノードとを有し、第1入力部が受け取る第1入力データと、第1入力データに応じて第1出力部が出力する第1出力データとが一致し、第1入力部から第1出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれは、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上である、ニューラルネットワークを提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、ニューラルネットワーク、学習装置、学習方法、およびプログラムに関する。
近年、CPU(Central Processing Unit)の高速化およびメモリの大容量化等が進歩し、これに伴い、機械学習技術が急速に進んできている。例えば、数十万から百万といったオーダーの学習データを用いる機械学習が可能となり、精度の高い識別技術および分類技術が確立されつつある(非特許文献1参照)。
Yangqing Jia, Evan Shelhamer, Jeff Donahue, Sergey Karayev, Jonathan Long, Ross Girshick, Sergio Guadarrama, and Trevor Darrell. Caffe: Convolutional architecture for fast feature embedding. In Proceedings of the 22nd ACM international conference on Multimedia (pp. 675-678). ACM.
大量の学習データに基づく機械学習を実行するためには大量の計算コストがかかる。また、大量の学習データを用意すること、および用意した学習データを機械学習に用いるために加工する前処理にも膨大な労力を要する。一方で、機械学習によって生成された学習モデルはデジタルデータであり、その複製は容易である。さらに、一般に学習モデル生成に用いられた学習データを、学習モデル自体から推測することは難しい。
このため、学習モデルを生成した者は、その学習モデルが第三者によって不正に利用されたとしても、不正を立証することが難しい。収集した学習データと、学習データに基づいて生成された学習モデルとはそれぞれ労力をかけて取得した価値あるものであり、不正利用から学習モデルを守ることが望まれている。なお、第三者が学習モデルを不正に利用する場合、当該第三者の用途に応じて学習モデルのパラメータ等を微調整することが一般的である。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、機械学習によって生成された学習モデルの不正利用を困難にさせることを目的とする。
本発明の第1の態様においては、ニューラルネットワークであって、前記ニューラルネットワークの1または複数のノード間に第1改変防止要素を備え、前記第1改変防止要素は、1または複数の第1入力ノードを有する第1入力部と、1または複数の第1出力ノードを有する第1出力部と、前記第1入力部および前記第1出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第1隠れノードとを有し、前記第1入力部が受け取る第1入力データと、前記第1入力データに応じて前記第1出力部が出力する第1出力データとが一致し、前記第1入力部から前記第1出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれは、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上である、ニューラルネットワークを提供する。前記第1改変防止要素に含まれる重み係数のうち少なくとも1つの重み係数の絶対値は、0.3未満でよい。
前記ニューラルネットワークは、当該ニューラルネットワークへの入力データを受け取る入力層と、前記入力データに応じた出力データを出力する出力層とを備え、前記第1改変防止要素は、前記ニューラルネットワークの複数のノード間に設けられ、前記ニューラルネットワークに含まれる複数のノードを、前記入力層に近い第1ノード群と、前記出力層に近い第2ノード群の2つに分割した場合に、前記第1ノード群に設けられた前記第1改変防止要素の数よりも、前記第2ノード群に設けられた前記第1改変防止要素の数の方が多くてよい。前記ニューラルネットワークの前記入力層から前記出力層に向けて、前記第1改変防止要素の密度が増加してよい。
本発明の第2の態様においては、コンピュータが実行する第1の態様のニューラルネットワークの学習方法であって、前記第1改変防止要素内の経路の重み係数は更新せずに、前記第1改変防止要素には含まれない重み係数を更新することにより、前記ニューラルネットワークを学習する、学習方法を提供する。
本発明の第3の態様においては、ニューラルネットワークのノード間に設けられ、1または複数の第2入力ノードを有する第2入力部と、1または複数の第2出力ノードを有する第2出力部と、前記第2入力部および前記第2出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第2隠れノードとを有する第2改変防止要素を学習する学習装置であって、予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2入力部および前記第2出力部のいずれか一方との重み係数の初期値である第1初期値と、前記第2改変防止要素の残りの重み係数の初期値である第2初期値とを設定する設定部と、前記第2入力部が受け取る第2入力データを取得する取得部と、前記第2改変防止要素が前記第2入力データに応じて前記第2出力部から出力する第2出力データを算出し、前記第2入力データおよび前記第2出力データの差分を誤差関数として算出する算出部と、前記第1初期値を固定したまま、前記誤差関数を用いて前記第2初期値を更新して学習する学習部と、を備え、前記第1初期値の絶対値が10以上である、学習装置を提供する。
前記学習部は、当該第2改変防止要素を埋め込む前の前記ニューラルネットワークの学習において、当該第2改変防止要素を埋め込むノード間に伝達されるデータを用いて学習してよい。前記算出部は、前記予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2初期値に含まれる重み係数が閾値以上になると、前記第2初期値に含まれる重み係数に応じて値が大きくなる項を更に含めて前記誤差関数として算出してよい。
前記算出部は、前記第2入力部から前記第2出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれにおいて、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10未満になると、値が大きくなる項を更に含めて前記誤差関数として算出してよい。
前記第2改変防止要素は、ノード間に第1改変防止要素を更に有し、前記第1改変防止要素は、1または複数の第1入力ノードを有する第1入力部と、1または複数の第1出力ノードを有する第1出力部と、前記第1入力部および前記第1出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第1隠れノードとを有し、前記第1入力部が受け取る第1入力データと、前記第1入力データに応じて前記第1出力部が出力する第1出力データとが一致し、前記第1入力部から前記第1出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれは、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上であり、前記学習部は、1または複数の前記第1改変防止要素の重み係数を更新せずに前記第2改変防止要素を学習してよい。
本発明の第4の態様においては、ニューラルネットワークの複数のノード間に設けられ、1または複数の第2入力ノードを有する第2入力部と、1または複数の第2出力ノードを有する第2出力部と、前記第2入力部および前記第2出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第2隠れノードとを有する第2改変防止要素の学習装置であって、予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2入力部および前記第2出力部のいずれか一方との重み係数の初期値である第1初期値と、前記第2改変防止要素の残りの重み係数の初期値である第2初期値とを設定する設定部と、前記第2入力部が受け取る第2入力データを取得する取得部と、前記第2改変防止要素が前記第2入力データに応じて前記第2出力部から出力する第2出力データを算出し、前記第2入力データおよび前記第2出力データの第1差分と、前記第1初期値と対応する重み係数の更新後の第2差分と、前記第2初期値と対応する重み係数の更新後の第3差分とを、誤差関数として算出する算出部と、前記誤差関数を用いて前記第1初期値および前記第2初期値を更新して学習する学習部とを備え、前記第1初期値の絶対値が10以上であり、前記算出部は、前記ニューラルネットワークの出力層により近い前記第2改変防止要素の前記第2差分および前記第3差分に乗じる係数を、より大きくして前記誤差関数として算出する、学習装置を提供する。
本発明の第5の態様においては、ニューラルネットワークのノード間に設けられ、1または複数の第2入力ノードを有する第2入力部と、1または複数の第2出力ノードを有する第2出力部と、前記第2入力部および前記第2出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第2隠れノードとを有する第2改変防止要素の学習方法であって、予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2入力部および前記第2出力部のいずれか一方との重み係数の初期値である第1初期値と、前記第2改変防止要素の残りの重み係数の初期値である第2初期値とを設定するステップと、前記第2入力部が受け取る第2入力データを取得するステップと、前記第2改変防止要素が前記第2入力データに応じて前記第2出力部から出力する第2出力データを算出し、前記第2入力データおよび前記第2出力データの差分を誤差関数として算出するステップと、前記第1初期値を固定したまま、前記誤差関数を用いて前記第2初期値を更新して学習するステップとを備え、前記第1初期値の絶対値が10以上である、学習方法を提供する。
本発明の第6の態様においては、第3の態様および第4の態様のいずれかに記載の学習装置により学習した、学習済みの前記第2改変防止要素を1または複数のノード間に埋め込んだ、ニューラルネットワークを提供する。
本発明の第6の態様においては、実行されると、コンピュータを第3の態様および第4の態様のいずれかに記載の学習装置として機能させる、プログラムを提供する。
本発明によれば、機械学習によって生成された学習モデルの不正利用を防止できるという効果を奏する。
本実施形態に係るニューラルネットワーク10の構成例を示す。 本実施形態に係る第1改変防止要素100の構成例を示す。 本実施形態に係る第2改変防止要素200の構成例を示す。 本実施形態に係る学習装置300の構成例を示す。 本実施形態に係る学習装置300の動作フローの一例を示す。
<ニューラルネットワーク10の構成例>
図1は、本実施形態に係るニューラルネットワーク10の構成例を示す。ニューラルネットワーク10は、入力したデータをノード間に伝播させ、入力データに応じたデータを出力する。ニューラルネットワーク10は、ノード間の接続、重み係数、パラメータ、および活性化関数等の設定および学習等により、画像認識、文字認識、および音声認識等に利用される。ニューラルネットワーク10は、入力層20と、複数のノード30と、出力層40とを備える。
入力層20は、当該ニューラルネットワーク10への入力データを受け取る。入力データは、1つのまたは複数のデータ値を含む。入力層20は、1つのまたは複数の入力ノード22を有する。入力ノード22は、入力データに含まれるデータ値が入力される。また、入力ノード22は、入力されたデータ値を当該入力ノード22に接続された1つのまたは複数のノード30に供給する。
ノード30は、入力層20および出力層40の間に複数設けられる。複数のノード30は、隠れ層または中間層として機能する。ノード30は、入力ノード22、他のノード30、自身のノード30、および出力層40等と接続され、入力側の接続から出力側の接続へと予め定められた方向にデータ値を伝播させる。
ノード30は、例えば、入力側に接続されたノード間に重み係数wが設定され、当該ノード30に向けて伝播されるデータ値uに当該重み係数を乗じた値w・uが入力される。ノード30は、入力側にn個の複数のノードが接続された場合、n個の接続によって当該ノード30に伝播されるn個のデータ値uに、接続ごとに設定された重み係数wをそれぞれ乗じたn個の値w・uが入力される。
ノード30は、例えば、入力されるデータ値w・uの総和Σw・uを出力側の接続へと伝播させる。ノード30は、総和Σw・uにバイアスパラメータbを加えた値Σw・u+bを伝播させてもよい。また、ノード30は、値Σw・uまたは値Σw・u+bを予め定められた関数f()に入力して算出された値を伝播させてもよい。
出力層40は、入力データに応じた出力データを出力する。出力層40は、1つのまたは複数の出力ノード42を有する。出力層40は、当該出力層40に含まれる出力ノード42から出力されるデータ値を、出力データとして出力する。出力ノード42は、当該出力ノード42に接続された1つのまたは複数のノード30から受け取るデータ値に基づく値を出力する。出力ノード42は、例えば、ノード30と同様に、ノード間の重み係数、バイアスパラメータ、および関数等を用いて算出された値を出力する。
以上のニューラルネットワーク10は、画像認識、文字認識、および音声認識等といった目的に応じて、入力ノード22、ノード30、および出力ノード42の数、接続、重み係数等のパラメータが設定される。そして、ニューラルネットワーク10は、教師あり学習、教師なし学習、および強化学習等の学習データに基づく機械学習により、重み係数等のパラメータが更新され、高い精度の識別機能および分類機能を有する学習モデルとして用いることができる。
このようなニューラルネットワーク10の学習には、大量の学習データを用い、大量の計算処理を実行するため、コストおよび労力が必要となる。その一方で、学習済みのニューラルネットワーク10は、デジタルデータとして記憶される学習モデルなので、複製が容易にできる。したがって、第三者が学習済みのニューラルネットワーク10を違法に入手して利用することも容易にできてしまう。また、このような第三者は、違法に入手した学習モデルを用途に応じて微調整して、改変することが一般的であり、学習モデルの不正利用を調整済みの学習モデルから判別することは困難であった。
そこで、本実施形態に係るニューラルネットワーク10は、第三者による当該ニューラルネットワーク10の微調整を困難にさせる改変防止要素をノード間に設け、学習モデルの不正利用を防止する。図1は、ニューラルネットワーク10が改変防止要素として第1改変防止要素100をノード間に備える例を示す。図1は、第1改変防止要素100が単一のノード30の置き換えとして設けられた例を示す。このような第1改変防止要素100について次に説明する。
<第1改変防止要素100の構成例>
図2は、本実施形態に係る第1改変防止要素100の構成例を示す。第1改変防止要素100は、第1入力部110と、複数の第1隠れノード120と、第1出力部130とを有する。
第1入力部110は、ニューラルネットワーク10の1つのまたは複数のノード30から伝播される値が入力される。ここで、第1入力部110に入力される1つのまたは複数の値xを、第1入力データとする。第1入力部110は、1つのまたは複数の第1入力ノード112を有する。第1入力ノード112のそれぞれは、複数の第1隠れノード120に接続され、接続された複数の第1隠れノード120へと第1入力データxを伝播させる。図2は、第1入力部110が1つの第1入力ノード112を有する例を示す。
複数の第1隠れノード120は、第1入力部110および第1出力部130の間に設けられる。第1隠れノード120は、例えば、入力側が第1入力ノード112と接続され、出力側が第1出力部130と接続される。また、第1隠れノード120の入力側および出力側は、他の第1隠れノード120に接続されてもよい。第1隠れノード120は、ニューラルネットワーク10のノード30と同様に、入力側の接続から出力側の接続へと予め定められた方向にデータ値を伝播させる。
第1隠れノード120は、例えば、入力側に接続されたノード間に重み係数wが設定され、当該第1隠れノード120に向けて伝播されるデータ値xに当該重み係数を乗じた値w・xが入力される。第1隠れノード120は、入力側にn個の複数のノードが接続された場合、n個の接続によって当該第1隠れノード120に伝播されるn個のデータ値xinに、接続ごとに設定された重み係数wをそれぞれ乗じたn個の値w・xinが入力される。また、第1隠れノード120は、一例として、値w・xinの総和Σw・xinを出力側に接続されたノードに伝播させる。
図2は、第1改変防止要素100が2つの第1隠れノード120を有し、2つの第1隠れノード120の入力側が1つの第1入力ノード112にそれぞれ接続される例を示す。また、図2は、2つの第1隠れノード120のうち一方の第1隠れノード120と、第1入力ノード112との間の重み係数をwとし、他方の第1隠れノード120と、第1入力ノード112との間の重み係数をwとした例を示す。
また、2つの第1隠れノード120の出力側は、第1出力部130に接続される。図2は、一方の第1隠れノード120が値w・xを第1出力部130に伝播し、他方の第1隠れノード120が値w・xを第1出力部130に伝播する例を示す。
第1出力部130は、第1改変防止要素100の内部から外部の1つのまたは複数のノード30へと値を伝播する。ここで、第1出力部130が出力する1つのまたは複数の値yを、第1出力データとする。第1出力部130は、1つのまたは複数の第1出力ノード132を有する。第1出力ノード132は、複数の第1隠れノード120に接続され、接続された複数の第1隠れノード120から伝播される値に基づく第1出力データを出力する。第1出力ノード132は、例えば、第1隠れノード120と同様に、ノード間の重み係数を用いて算出された値を出力する。このように、第1隠れノード120は、出力側に接続されたノード間にも重み係数wが設定される。
図2は、第1出力部130が1つの第1出力ノード132を有し、当該1つの第1出力ノード132が2つの第1隠れノード120の出力側とそれぞれ接続する例を示す。また、図2は、2つの第1隠れノード120のうち一方の第1隠れノード120と、第1出力ノード132との間の重み係数をwとし、他方の第1隠れノード120と、第1出力ノード132との間の重み係数をwとした例を示す。そして、第1出力ノード132は、値w・w・x+w・w・xを第1出力データyとして出力する。
以上の第1改変防止要素100においては、第1入力部110が受け取る第1入力データxと、第1入力データに応じて第1出力部130が出力する第1出力データyとが一致する。このような入力値と入力値に応じた出力値とが一致する性質を有する対応関係を、恒等写像と呼ぶ。第1改変防止要素100は、恒等写像の性質を有するように、重み係数が予め定められる。図2の例の場合、w・w・x+w・w・x=xより、次式を得る。
(数1)
・w+w・w=1
また、第1改変防止要素100の第1入力部110から第1出力部130までデータを伝達する全ての経路のそれぞれは、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上である。即ち、図2に示す第1改変防止要素100の例の場合、次式が成立するように重み係数が予め定められる。
(数2)
・w≧10, w・w≧10
以上のように、第1入力部110から第1出力部130までのそれぞれの経路に含まれるノード間の重み係数は、積の絶対値がそれぞれ10以上となり、積の総和が1となる。例えば、図2の例の場合、一方の経路に含まれる重み係数はw=991およびw=−0.1であり、他方の経路に含まれる重み係数はw=100.1、およびw=1である。したがって、積の絶対値は|w・w|=99.1≧10、|w・w|=100.1≧10、積の総和はw・w+w・w=1である。
以上の第1改変防止要素100は、入力データおよび出力データが一致するので、図1に示すようなニューラルネットワーク10のノード30として埋め込まれても、当該ニューラルネットワーク10の入出力応答にほとんど影響を与えない。その一方、ニューラルネットワーク10に埋め込まれた第1改変防止要素100の重み係数を変更すると、恒等写像の性質から逸脱して、当該ニューラルネットワーク10の入出力特性を変化させることができる。即ち、ニューラルネットワーク10の入出力特性は、第1改変防止要素100に含まれる重み係数の調整に対して敏感に反応することになる。
このような第1改変防止要素100は、各経路の重み係数の積の絶対値が10以上なので、1つの重み係数の値をz%だけ変更しても、当該1つの重み係数を含む経路の重み係数の積は10・z%以上変化することになる。そして、重み係数の積の総和も、1と比較して同程度変化することになる。即ち、第1改変防止要素100は、重み係数の調整量以上の変化を恒等写像の関係から逸脱させることができる。
ニューラルネットワーク10を不正に取得する第三者は、このような第1改変防止要素100を含むニューラルネットワーク10の具体的な設計および構成等の情報まで把握することは困難である。第三者が入手した学習モデルから具体的な情報を取得したくても、例えば、当該学習モデルが数千万個以上の個数のパラメータを含むので、それぞれのパラメータを解析することは現実的ではない。したがって、第三者は、当該ニューラルネットワーク10内の重み係数を微調整して使用する場合、第1改変防止要素100に含まれる重み係数も微調整することがある。第1改変防止要素100は、上述のように、重み係数が僅かに調整されても、調整量よりも大きく恒等写像の関係から特性から逸脱するので、当該ニューラルネットワーク10の学習動作とは無関係な値を出力する。即ち、第三者による第1改変防止要素100の微調整は、ニューラルネットワーク10の性能を低減させる。
一方、ニューラルネットワーク10を正当に取得したユーザは、このようなニューラルネットワーク10の具体的な設計および構成等を知り得るので、不用意に第1改変防止要素100に含まれる重み係数を微調整することはない。したがって、本実施形態に係る第1改変防止要素100は、正当なユーザによるニューラルネットワーク10の微調整を実行可能とする一方で、第三者によるニューラルネットワーク10の微調整を困難にさせ、不正使用を防止することができる。
このような第1改変防止要素100をニューラルネットワーク10に複数埋め込むことにより、第1改変防止要素100の重み係数を調節する可能性を高めるので、第三者のニューラルネットワーク10の微調整は、より困難になる。したがって、第1改変防止要素100は、ニューラルネットワーク10の計算処理に影響を与えない程度の範囲で、より多くの数が埋め込まれることが望ましい。
なお、ニューラルネットワーク10を微調整する場合、出力層40に近い位置の重み係数を調整することが多い。したがって、ニューラルネットワーク10は、出力層40に近い位置により多くの第1改変防止要素100が配置されることが望ましい。例えば、ニューラルネットワーク10に含まれる複数のノード30を、入力層20に近い第1ノード群と、出力層40に近い第2ノード群の2つに分割した場合に、第1ノード群に設けられた第1改変防止要素100の数よりも、第2ノード群に設けられた第1改変防止要素100の数の方を多くする。
この場合、更に、ニューラルネットワーク10の入力層20から出力層40に向けて、第1改変防止要素100の密度が増加するように、第1改変防止要素100が配置されることが望ましい。これにより、第三者がニューラルネットワーク10を微調整する場合に、第1改変防止要素100に含まれる重み係数を微調整する確率を高めることができる。
また、ニューラルネットワーク10の入力層20から出力層40に向けて、出力層40に近づくほど、より絶対値の大きい重み係数を含む第1改変防止要素100が配置されることが望ましい。これにより、第三者が微調整する可能性が高い第1改変防止要素100に、より絶対値の大きい重み係数を含ませるので、微調整によってニューラルネットワーク10の性能をより急峻に低減させる確率を高めることができる。
ここで、ニューラルネットワーク10を微調整する手法の一つとして、プルーニングによるモデル圧縮が知られている。モデル圧縮は、精度をある程度保ったままニューラルネットワーク10のパラメータ数を削減させるので、メモリ使用量を小さくすることができ、また、高速化できることもある。このようなモデル圧縮は、例えば、重み係数の絶対値が小さいものを優先的に削除する。
そこで、本実施形態に係る第1改変防止要素100は、当該第1改変防止要素100に含まれる重み係数のうち少なくとも1つの重み係数の絶対値が0.3未満であることが望ましい。図2の例の場合、w=−0.1であり、|w|<0.3に合致する。このように、第1改変防止要素100が絶対値が1よりも小さい重み係数を有すると、プルーニングによって当該重み係数が削除または0に調節されることがある。この場合、当該絶対値の小さい重み係数を含む経路が消滅する。各経路の重み係数の積の絶対値が10以上なので、10以上の絶対値が積の総和から消滅することになり、第1改変防止要素100は、恒等写像の特性をほとんど失うことになる。
例えば、図2に示す第1改変防止要素100の場合、w=0とすると、第1出力データyは、w・w・x=100.1・xとなる。即ち、第1出力データyは、第1入力データxの約100倍になるので、ニューラルネットワーク10の性能を大きく低減させることができる。このようなプルーニングは、重み係数の絶対値が小さいものを優先的に0にするので、第1改変防止要素100は、より小さい絶対値の重み係数を有することが望ましい。第1改変防止要素100は、例えば、絶対値が0.1未満の重み係数を1つ有することがより望ましい。
また、第三者は、学習データを用いてニューラルネットワーク10を再学習することがある。例えば、第三者は、ニューラルネットワーク10を微調整する場合、ニューラルネットワーク10の性能を向上させる場合、新たな学習データを取得した場合、および、プルーニング処理を実行した場合等に、当該ニューラルネットワーク10を再学習する。
第三者による再学習は、例えば、ニューラルネットワーク10に学習データを入力し、当該学習データに応じた出力データに基づき、重み係数等を微調整または更新する。したがって、第三者の再学習においても、第1改変防止要素100に含まれる重み係数を微調整することがあり、ニューラルネットワーク10は、再学習しているにも関わらず、性能が低減することになる。
一方、ニューラルネットワーク10を正当に入手したユーザは、第1改変防止要素100内の経路の重み係数は更新せずに、第1改変防止要素100には含まれない重み係数を更新することにより、当該ニューラルネットワーク10を学習すればよい。このように、第1改変防止要素100は、正当なユーザによるニューラルネットワーク10の再学習を実行可能に当該ニューラルネットワーク10に埋め込まれ、その一方で、第三者による再学習を困難にすることができる。
以上の本実施形態に係る第1改変防止要素100は、恒等写像の性質を有し、第1入力部110から第1出力部130までの経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上であり、また、絶対値が0.3未満の重み係数を少なくとも1つ有する例を説明した。このような第1改変防止要素100は、より多くの第1入力ノード112、第1隠れノード120、および第1出力ノード132が設けられることが望ましい。第1改変防止要素100の内部が複雑な構成となることにより、第三者による構造の解析は困難となり、また、ニューラルネットワーク10の微調整による性能低減の確率を高めることができる。
<第2改変防止要素200の構成例>
図3は、本実施形態に係る第2改変防止要素200の構成例を示す。第2改変防止要素200は、図2に示す第1改変防止要素100において、より多くの第1入力ノード112、第1隠れノード120、および第1出力ノード132が設けられた例を示す。第2改変防止要素200は、ニューラルネットワーク10のノード間に設けられ、第2入力部210と、第2隠れノード220と、第2出力部230とを有する。
第2入力部210は、1つのまたは複数の第2入力ノード212を有する。第2隠れノード220は、第2入力部210および第2出力部230の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される。第2出力部230は、1つのまたは複数の第2出力ノード232を有する。第2入力部210、第2入力ノード212、第2隠れノード220、第2出力部230、および第2出力ノード232は、図2における第1入力部110、第1入力ノード112、第1隠れノード120、第1出力部130、および第1出力ノード132とそれぞれ同様の動作をするので、ここでは説明を省略する。
第2改変防止要素200のように、ノードの数およびノード間の接続が増加すると、ノード間の重み係数の数も増加し、重み係数の値を解析的にそれぞれ算出することが困難になることがある。なお、図3に示す第2改変防止要素200は、複数の第2隠れノード220が第2入力部210および第2出力部230にそれぞれ接続される例を示す。即ち、複数の第2隠れノード220が一層の隠れ層を構成する例を示すが、これに限定されることはなく、複数の第2隠れノード220が複数の隠れ層を構成してもよい。この場合、異なる第2隠れノード220同士が接続され、より複雑な構成が形成されるので、重み係数の値を解析的にそれぞれ算出することがより困難になる。この場合、第2改変防止要素200の重み係数を、学習により算出してもよい。そこで、第2改変防止要素200の重み係数を学習する学習装置について次に説明する。
<学習装置300の構成例>
図4は、本実施形態に係る学習装置300の構成例を示す。学習装置300は、図3に示す第2改変防止要素200の重み係数を学習する。学習装置300は、取得部310と、記憶部320と、設定部330と、算出部340と、学習部350とを備える。
取得部310は、第2改変防止要素200の学習データを取得する。取得部310は、例えば、第2改変防止要素200に供給する複数の第2入力データの情報を取得する。取得部310は、例えば、外部のデータベース50等からこれらを取得する。取得部310は、例えば、ネットワーク60を介して、データベース50等にアクセスする。なお、取得部310は、第2改変防止要素200の情報をデータベース50等から取得してもよい。
記憶部320は、取得部310が取得した学習データを記憶する。また、記憶部320は、第2改変防止要素200の情報、学習装置300の設定値等を記憶してよい。また、記憶部320は、学習装置300が動作の過程で生成する(または利用する)中間データ、算出結果、閾値、およびパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。また、記憶部320は、学習装置300内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
設定部330は、第2改変防止要素200に含まれる複数の重み係数の初期値を設定する。設定部330は、複数の重み係数のうち予め定められた数の初期値を第1初期値として設定し、残りの重み係数の初期値を第2初期値として設定する。第1初期値は、第2隠れノード220と、第2入力部210および第2出力部230のいずれか一方との接続における重み係数の初期値である。第1初期値は、予め定められた値であり、例えば、絶対値が10以上の値である。
算出部340は、第2改変防止要素200の第2入力部210に第2入力データを供給し、第2入力データに応じて第2出力部230から出力される第2出力データを算出する。また、算出部340は、第2入力データおよび第2出力データの差分Eを誤差関数として算出する。算出部340は、第2入力データおよび第2出力データの差分Eに1つのまたは複数の項を加算した結果を誤差関数として用いてもよい。
学習部350は、第1初期値を固定したまま、誤差関数を用いて第2初期値を更新して学習する。学習部350は、誤差関数の値が最小となるように、第2初期値を設定した重み関数の値を順次更新する。学習部350は、学習結果を記憶部320に記憶する。
<学習装置300の学習動作例>
以上の学習装置300の学習動作について、次に説明する。図5は、本実施形態に係る学習装置300の動作フローの一例を示す。学習装置300は、図5のS410からS460の動作を実行することにより、第2改変防止要素200の重み係数の値を決定する。
まず、S410において、取得部310は、第2改変防止要素200の学習データを取得する。また、記憶部320は、取得部310が取得した学習データを記憶する。
次に、S420において、設定部330は、複数の重み係数の初期値を設定する。設定部330は、例えば、複数の第2隠れノード220のうち第2入力部210と接続された第2隠れノード220の、入力側の重み係数の初期値を第1初期値として設定する。即ち、設定部330は、第2隠れノード220および第2入力部210の接続における重み係数の初期値を第1初期値とする。第1初期値は、1と比較して絶対値が大きい値でよく、例えば、絶対値が10以上である。
また、設定部330は、残りの重み係数の初期値を第2初期値として設定する。設定部330は、第2初期値を10未満の値に設定する。設定部330は、例えば、第2初期値の絶対値を1以下の値に設定する。
次に、S430において、算出部340は、学習データのうち一つの第2入力データを第2改変防止要素200の第2入力部210に供給し、第2入力データに応じて第2出力部230から出力される第2出力データを算出する。
次に、S440において、算出部340は、第2入力データおよび第2出力データの差分Eを誤差関数として算出する。算出部340は、算出した誤差関数の値を学習部350に供給する。
次に、S450において、学習部350は、第1初期値を固定したまま、誤差関数を用いて第2初期値を更新して学習する。学習部350は、誤差関数が最小となるように、第2初期値を設定した重み係数の値を更新する。なお、学習部350による重み係数の更新については、既知のアルゴリズムを用いてよく、ここでは説明を省略する。学習部350は、記憶部320に更新した重み係数の情報を記憶する。
学習装置300は、学習を継続する場合(S460:Yes)、取得部310は次の第2入力データを更新後の第2改変防止要素200の情報を取得して、算出部340に供給する(S470)。学習装置300は、S430に戻り、算出部340が更新後の第2改変防止要素200を用いて次の第2出力データを算出する。学習装置300は、学習部350の学習が終了するまで、S430からS470の動作を繰り返す。
学習部350の学習が終了した場合(S460:No)、または学習結果が収束しなかった場合、学習装置300は、学習を終了させる。例えば、予め定められた数の学習データによる学習が終了した場合、また、誤差関数の値が閾値以下となった場合等に、学習装置300は学習を終了させる。
以上のように、本実施形態における学習装置300は、第2入力データおよび第2出力データの差分Eが最小となるように学習する。これにより、学習済みの第2改変防止要素200は、入力値および出力値が閾値の範囲内で一致する、ほぼ恒等写像の性質を有する。
また、学習装置300は、重み係数の第1初期値の絶対値を10以上とし、残りの重み係数の第2初期値の絶対値を1以下とする極端にアンバランスな初期値を与え、また、第1初期値を更新しない。これにより、学習装置300は、学習済みの第2改変防止要素200の第2入力部210から第2出力部230までの経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値を、1と比較して大きな値(例えば、10以上)に収束させるようにする。
重み係数の第1初期値の絶対値を10以上とすると、学習部350は、重み係数の積の総和を1に近づけるので、第1初期値および第2初期値の積の絶対値を、第1初期値の絶対値よりも小さい値とする確率が高くなる。即ち、学習装置300は、学習済みの第2改変防止要素200の少なくとも1つの重み係数の絶対値を1未満に収束させるようにする。設定部330は、第2初期値の絶対値をより小さくすべく、第1初期値の絶対値を100以上、および1000以上といった、より大きい値に設定してもよい。この場合、設定部330は、第2初期値の絶対値を0.3未満に設定してよい。
なお、学習装置300は、第2改変防止要素200の重み係数をより確実に収束させるべく、誤差関数に追加の項を更に含めてもよい。例えば、算出部340は、予め定められた数の第2隠れノード220の第2初期値に含まれる重み係数が閾値以上になると、第2初期値に含まれる重み係数に応じて値が大きくなる項Fを更に含めて誤差関数E+λとして算出する。
項Fは、例えば、重み係数が1以上になった場合に値が1よりも大きくなる関数である。また、項Fは、例えば、重み係数が0.3以上になった場合に値が1よりも大きくなる関数でもよい。これにより、学習済みの第2改変防止要素200の少なくとも1つの重み係数の絶対値を1未満へと、より確実に収束させることができる。なお、λは、例えば、1以下の予め定められた値である。また、λは、学習の経過に応じて値を0に近づけてもよい。
また、算出部340は、第2入力部210から第2出力部230までデータを伝達する全ての経路のそれぞれにおいて、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10未満になると、値が大きくなる項Fを更に含めて誤差関数E+λとして算出してもよい。項Fは、例えば、重み係数の積の絶対値が10未満になった経路が1つでも発生したことに応じて、値が1よりも大きくなる関数である。
これにより、学習装置300は、学習済みの第2改変防止要素200の第2入力部210から第2出力部230までの経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値を、10以上の値へとより確実に収束させることができる。なお、λは、λと同様に、例えば、1以下の予め定められた値である。また、λは、学習の経過に応じて値を0に近づけてもよい。また、算出部340は、誤差関数をE+λ+λとして算出してもよい。
以上のように、学習装置300は、第2改変防止要素200が第1改変防止要素100の機能と同様の機能を有するように学習する。したがって、学習済みの第2改変防止要素200をニューラルネットワーク10の1つのまたは複数のノード間に埋め込むことにより、第三者による当該ニューラルネットワーク10の不正利用を防止できる。第2改変防止要素200は、第1改変防止要素100よりもノードの数が多く複雑なので、第三者のニューラルネットワーク10の構造解析をより困難にさせることができる。
以上の本実施形態に係る学習装置300は、第2隠れノード220および第2入力部210の間の接続に設定された重み係数を第1初期値とした例を説明したが、これに限定されることはない。設定部330は、第2隠れノード220および第2入力部210の接続のうち、1つ以上の接続における重み係数の初期値を第1初期値とし、残りの重み係数を第2初期値としてもよい。また、設定部330は、第2隠れノード220および第2出力部230の間の1つ以上の接続に設定された重み係数を第1初期値とし、残りの重み係数を第2初期値としてもよい。学習装置300は、第2改変防止要素200の入出力間の経路において、重み係数の積の絶対値を1よりも大きく(例えば10以上)、かつ、1よりも小さい重み係数を有するように、学習可能であればよい。
なお、学習装置300は、実際にニューラルネットワーク10内で伝播しているデータを学習データとして用いることが望ましい。そこで、学習部350は、第2改変防止要素200を埋め込む前のニューラルネットワーク10の学習において、第2改変防止要素200を埋め込むノード間に伝達されるデータを用いて学習する。例えば、ニューラルネットワーク10の学習段階で、第2改変防止要素200を埋め込む位置を予め定め、当該位置において伝播されるデータを予めデータベース50等に記憶する。これにより、取得部310は、学習データとして、ニューラルネットワーク10を実際に伝播していたデータを取得して利用できる。
以上の本実施形態に係る第2改変防止要素200は、図2で説明したような第1改変防止要素100よりも規模の大きい構成を有する例を説明した。ここで、第2改変防止要素200は、ノード間に第1改変防止要素100を更に有してもよい。第1改変防止要素100は、解析的に重み係数の値を決定できるので、学習装置300による学習を必要としない。したがって、学習部350は、1つのまたは複数の第1改変防止要素100の重み係数を更新せずに第2改変防止要素200を学習できる。このように、第2改変防止要素200に第1改変防止要素100を埋め込むことにより、学習装置300の学習動作の負担の増加を抑制しつつ、より規模の大きい第2改変防止要素200を構成することができる。
以上の本実施形態に係る学習装置300は、第1初期値を固定したまま第2初期値を更新することで、第2改変防止要素200を学習する例を説明したが、これに限定されることはない。学習装置300は、第1初期値および第2初期値を更新して第2改変防止要素200を学習してもよい。この場合、学習装置300は、例えば、第1初期値および第2初期値に基づく誤差関数の項を用いて、第1初期値および第2初期値を更新する。
一例として、算出部340は、第2入力データおよび第2出力データの差分を第1差分Eとし、第1初期値と対応する重み係数の更新後の差分を第2差分Eとし、第2初期値と対応する重み係数の更新後の第3差分をEとする。そして、算出部340は、誤差関数をE+λ+λとして算出する。λおよびλは、λ等と同様の係数である。そして、学習部350は、当該誤差関数を用いて第1初期値および第2初期値を更新して学習する。
これにより、学習部350は、重み係数の値が第1初期値および第2初期値から大きくずれない範囲で、当該重み係数を更新することになる。したがって、学習装置300は、第1初期値および第2初期値を更新させて、1つの経路に含まれる重み係数の値を極端なバランスにして、学習できる。なお、算出部340は、誤差関数をE+λ+λ+λ+λとして算出してもよい。
また、算出部340は、このような第1初期値および第2初期値を更新させる学習を、ニューラルネットワーク10の出力層40により近い位置に埋め込まれる第2改変防止要素200に対して実行してもよい。また、算出部は、ニューラルネットワーク10の出力層40により近い位置に埋め込まれる第2改変防止要素200に対して、第2差分Eおよび第3差分Eに乗じる係数λおよびλの値を、より大きくして誤差関数として算出してもよい。
これにより、ニューラルネットワーク10の出力層40により近い位置における第2改変防止要素200が、よりアンバランスな重み係数を有することができる。ニューラルネットワーク10を微調整する場合、出力層40により近い位置の重み係数を調節することが多いので、このような学習による第2改変防止要素200を埋め込んだニューラルネットワーク10は、第三者による不正利用をより困難にさせることができる。
以上の本実施形態に係る学習装置300の少なくとも一部は、例えば、コンピュータ等で構成される。この場合、記憶部320は、一例として、当該学習装置300を実現するコンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、および作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部320は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、および/または当該アプリケーションプログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してよい。即ち、記憶部320は、HDD(Hard Disk Drive)および/またはSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでよい。
また、学習装置300は、例えば、制御部を含む。制御部は、CPU等のプロセッサであり、記憶部320に記憶されたプログラムを実行することによって、取得部310、設定部330、算出部340、および学習部350として機能する。制御部は、GPU(Graphics Processing Unit)等を含んでもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
10 ニューラルネットワーク
20 入力層
22 入力ノード
30 ノード
40 出力層
42 出力ノード
50 データベース
60 ネットワーク
100 第1改変防止要素
110 第1入力部
112 第1入力ノード
120 第1隠れノード
130 第1出力部
132 第1出力ノード
200 第2改変防止要素
210 第2入力部
212 第2入力ノード
220 第2隠れノード
230 第2出力部
232 第2出力ノード
300 学習装置
310 取得部
320 記憶部
330 設定部
340 算出部
350 学習部

Claims (14)

  1. ニューラルネットワークであって、
    前記ニューラルネットワークの1または複数のノード間に第1改変防止要素を備え、
    前記第1改変防止要素は、
    1または複数の第1入力ノードを有する第1入力部と、
    1または複数の第1出力ノードを有する第1出力部と、
    前記第1入力部および前記第1出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第1隠れノードと
    を有し、
    前記第1入力部が受け取る第1入力データと、前記第1入力データに応じて前記第1出力部が出力する第1出力データとが一致し、
    前記第1入力部から前記第1出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれは、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上である、
    ニューラルネットワーク。
  2. 前記第1改変防止要素に含まれる重み係数のうち少なくとも1つの重み係数の絶対値は、0.3未満である、請求項1に記載のニューラルネットワーク。
  3. 前記ニューラルネットワークは、
    当該ニューラルネットワークへの入力データを受け取る入力層と、
    前記入力データに応じた出力データを出力する出力層と
    を備え、
    前記第1改変防止要素は、前記ニューラルネットワークの複数のノード間に設けられ、
    前記ニューラルネットワークに含まれる複数のノードを、前記入力層に近い第1ノード群と、前記出力層に近い第2ノード群の2つに分割した場合に、前記第1ノード群に設けられた前記第1改変防止要素の数よりも、前記第2ノード群に設けられた前記第1改変防止要素の数の方が多い、請求項1または2に記載のニューラルネットワーク。
  4. 前記ニューラルネットワークの前記入力層から前記出力層に向けて、前記第1改変防止要素の密度が増加する、請求項3に記載のニューラルネットワーク。
  5. コンピュータが実行する請求項1から4のいずれか一項に記載のニューラルネットワークの学習方法であって、前記第1改変防止要素内の経路の重み係数は更新せずに、前記第1改変防止要素には含まれない重み係数を更新することにより、前記ニューラルネットワークを学習する、学習方法。
  6. ニューラルネットワークのノード間に設けられ、
    1または複数の第2入力ノードを有する第2入力部と、
    1または複数の第2出力ノードを有する第2出力部と、
    前記第2入力部および前記第2出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第2隠れノードと
    を有する第2改変防止要素を学習する学習装置であって、
    予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2入力部および前記第2出力部のいずれか一方との重み係数の初期値である第1初期値と、前記第2改変防止要素の残りの重み係数の初期値である第2初期値とを設定する設定部と、
    前記第2入力部が受け取る第2入力データを取得する取得部と、
    前記第2改変防止要素が前記第2入力データに応じて前記第2出力部から出力する第2出力データを算出し、前記第2入力データおよび前記第2出力データの差分を誤差関数として算出する算出部と、
    前記第1初期値を固定したまま、前記誤差関数を用いて前記第2初期値を更新して学習する学習部と、
    を備え、
    前記第1初期値の絶対値が10以上である、学習装置。
  7. 前記学習部は、当該第2改変防止要素を埋め込む前の前記ニューラルネットワークの学習において、当該第2改変防止要素を埋め込むノード間に伝達されるデータを用いて学習する、請求項6に記載の学習装置。
  8. 前記算出部は、前記予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2初期値に含まれる重み係数が閾値以上になると、前記第2初期値に含まれる重み係数に応じて値が大きくなる項を更に含めて前記誤差関数として算出する、請求項6または7に記載の学習装置。
  9. 前記算出部は、前記第2入力部から前記第2出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれにおいて、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10未満になると、値が大きくなる項を更に含めて前記誤差関数として算出する、請求項6から8のいずれか一項に記載の学習装置。
  10. 前記第2改変防止要素は、ノード間に第1改変防止要素を更に有し、
    前記第1改変防止要素は、
    1または複数の第1入力ノードを有する第1入力部と、
    1または複数の第1出力ノードを有する第1出力部と、
    前記第1入力部および前記第1出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第1隠れノードと
    を有し、
    前記第1入力部が受け取る第1入力データと、前記第1入力データに応じて前記第1出力部が出力する第1出力データとが一致し、
    前記第1入力部から前記第1出力部までデータを伝達する全ての経路のそれぞれは、当該経路に含まれるノード間の重み係数の積の絶対値が10以上であり、
    前記学習部は、1または複数の前記第1改変防止要素の重み係数を更新せずに前記第2改変防止要素を学習する、請求項6から9のいずれか一項に記載の学習装置。
  11. ニューラルネットワークの複数のノード間に設けられ、
    1または複数の第2入力ノードを有する第2入力部と、
    1または複数の第2出力ノードを有する第2出力部と、
    前記第2入力部および前記第2出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第2隠れノードと
    を有する第2改変防止要素の学習装置であって、
    予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2入力部および前記第2出力部のいずれか一方との重み係数の初期値である第1初期値と、前記第2改変防止要素の残りの重み係数の初期値である第2初期値とを設定する設定部と、
    前記第2入力部が受け取る第2入力データを取得する取得部と、
    前記第2改変防止要素が前記第2入力データに応じて前記第2出力部から出力する第2出力データを算出し、前記第2入力データおよび前記第2出力データの第1差分と、前記第1初期値と対応する重み係数の更新後の第2差分と、前記第2初期値と対応する重み係数の更新後の第3差分とを、誤差関数として算出する算出部と、
    前記誤差関数を用いて前記第1初期値および前記第2初期値を更新して学習する学習部と
    を備え、
    前記第1初期値の絶対値が10以上であり、
    前記算出部は、前記ニューラルネットワークの出力層により近い前記第2改変防止要素の前記第2差分および前記第3差分に乗じる係数を、より大きくして前記誤差関数として算出する、学習装置。
  12. ニューラルネットワークのノード間に設けられ、
    1または複数の第2入力ノードを有する第2入力部と、
    1または複数の第2出力ノードを有する第2出力部と、
    前記第2入力部および前記第2出力部の間に設けられ、入力側および出力側の接続に重み係数が設定される複数の第2隠れノードと
    を有する第2改変防止要素の学習方法であって、
    予め定められた数の前記第2隠れノードの前記第2入力部および前記第2出力部のいずれか一方との重み係数の初期値である第1初期値と、前記第2改変防止要素の残りの重み係数の初期値である第2初期値とを設定するステップと、
    前記第2入力部が受け取る第2入力データを取得するステップと、
    前記第2改変防止要素が前記第2入力データに応じて前記第2出力部から出力する第2出力データを算出し、前記第2入力データおよび前記第2出力データの差分を誤差関数として算出するステップと、
    前記第1初期値を固定したまま、前記誤差関数を用いて前記第2初期値を更新して学習するステップと
    を備え、
    前記第1初期値の絶対値が10以上である、学習方法。
  13. 請求項6から11のいずれか一項に記載の学習装置により学習した、学習済みの前記第2改変防止要素を1または複数のノード間に埋め込んだ、ニューラルネットワーク。
  14. 実行されると、コンピュータを請求項6から11のいずれか一項に記載の学習装置として機能させる、プログラム。
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