以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図71を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
なお、以下の説明では、図1に示す状態のパチンコ機10に対して、紙面手前側を前方(正面)側として、紙面奥側を後方(背面)側として説明する。また、図1に示す状態のパチンコ機10に対して、上側を上方(上)側として、下側を下方(下)側として、右側を右方(右)側として、左側を左方(左)側としてそれぞれ説明する。さらに、図中(例えば、図2参照)の矢印U−D,L−R,F−Bは、パチンコ機10の上下方向,左右方向,前後方向をそれぞれ示している。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その左側部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿(図示せず)が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(センターフレーム86の下方において図示し、遊技領域の上半部においては図示せず)や風車(図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口140、可変入賞装置65、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。
ベース板60は、光透過性の樹脂材料から形成されるており、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能となっている。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口140及び可変入賞装置65は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
なお、ベース板60を木製の板部材から形成しても良い。この場合、センターフレーム86の外側において、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認不能に遮蔽することが可能となる。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口140へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口140へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口140へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、4R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「4R通常大当たり」は、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、所定の変動回数の間(本実施形態では、100変動回数)、大当たり確率がアップし、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口140へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口140へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
本実施形態では、後述する振分装置300の確変検出センサSE11の貫通孔を、大当たり遊技の1ラウンド目に遊技球が通過したと判定された時に、その大当たり遊技終了後の遊技状態が100変動回数の間、高確率状態となる。なお、確変検出センサSE11の貫通孔に遊技球が通過したと判定されなかったら大当たり遊技終了後の遊技状態が100変動回数の間、時短状態となる。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口140に付随する電動役物140a(電動役物)が開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物140aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物140aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口140へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口140に付随する電動役物140aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物140aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口140に付随する電動役物140aが開放される時間および1回の当たりで電動役物140aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口140に付随する電動役物140aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物140aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口140への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
なお、本実施形態では、第3図柄表示装置81は後述する背面ケース510の開口511aを埋めるように背面ケース510に締結固定され、センターフレーム86はベース板60の窓部を縁取るように配設されている。即ち、正面視では第3図柄表示装置81の外周を囲むようにセンターフレーム86が配設されているように見えるが、実際は、第3図柄表示装置81とセンターフレーム86とは前後に離れて配置されている。
第3図柄表示装置81は、例えば9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口140に付随された電動役物140aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口140の電動役物140aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物140aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物140aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の左右の領域において遊技盤13に組み付けられ、遊技盤13に発射された球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は2つに限定されるものではなく、例えば1つであっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の左右に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の下方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視下方には、球が入賞し得る第2入賞口140が配設されている。この第2入賞口140へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口140は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口140には電動役物140aが付随されている。この電動役物140aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物140aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口140へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物140aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口140へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物140aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物140aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口140へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口140へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口140にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口140に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口140に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口140に付随する電動役物140aが開放状態となりやすく、第2入賞口140に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口140へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口140への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
なお、本実施形態におけるパチンコ機10は、遊技盤13の構成が左右対称とされるため、「右打ち」で第1入賞口64を狙うことも、「左打ち」で第2入賞口140を狙うこともできる。そのため、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることを不要にできる。よって、球の打ち方を変化させる煩わしさを解消することができる。
第1入賞口64の下方には可変入賞装置65(図2参照)が配設されており、その略中央部分に特定入賞口65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口140への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,140にも入賞しなかった球は、アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。アウト口71は、特定入賞口65aの左右に一対で配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている(図示せず)。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板65b(図11参照)の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には駆動モータ631,731,782,861が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、可変入賞装置65周辺の構造について説明する。図5は、可変入賞装置65及び振分装置300の正面斜視図であり、図6(a)及び図6(b)は、可変入賞装置65の正面斜視図である。図6(a)では、特定入賞口65aへの球の流下を規制するように開閉板65bが閉鎖される開閉板65bの閉鎖状態が図示され、図6(b)では、特定入賞口65aへの球の流下を許容するように開閉板65bが開放される開閉板65bの開放状態が図示される。なお、図5及び図6の説明においては、図2を適宜参照する。
可変入賞装置65は、開閉板65bの開放状態(図6(b)参照)において、開閉板65bに着地する球を受け入れ、特定入賞口65aへ案内可能となるように、開閉板65bの開放状態において開閉板65bの板上面が背面側へ向けて下降傾斜するように形成される。
開閉板65bの左右中央部の上方には電動役物140aが配置されているので(図2参照)、開閉板65bに着地する球は、電動役物140aから逸れて流下する球に限定される。即ち、開閉板65bへの球の着地は、左右中央部では生じず、主に、電動役物140aよりも左右外側の部分において生じる。換言すれば、開閉板65bに着地する球の配置は、開閉板65bの左右外側寄りの位置に限定される。
なお、開閉板65bに着地した後の球の配置についてはこの限りではない。即ち、開閉板65bに着地した後の球の流れ方によっては、開閉板65bの左右中央位置寄りに球が配置されることは生じ得る。
特に、本実施形態では、電動役物140aを前側から覆う前意匠部材141(図2参照)が、開閉板65b側の空間を確保するように湾曲形成されている(ガラスユニット16(図1参照)と対向配置される前端部下端から背面側へ向かうにつれて下側に張り出す態様の湾曲面として形成されている)ので、開閉板65bの左右中央位置寄りにおいて跳ねた球が前意匠部材141と衝突して勢いを落とされる程度を低くすることができる。これにより、開閉板65bの左右中央位置寄りに球が配置される可能性を高めることができる。
なお、前意匠部材141の下部の湾曲形状の曲率半径の中心は、前後どちらに配置されるものでも良い。本実施形態では、横面視における曲率半径が前側下方に配置されるよう形成することで、開閉板65b側の空間をより大きく確保できるようにしている。また、前意匠部材141が左右端部において下側へ向かう程に左右幅が小さくなる形状とされることで、左右側において開閉板65bとの間に空間を確保し易くすることができる。
開閉板65bの開放状態においては、開閉板65bに着地した球はほぼ漏れなく特定入賞口65aに案内される。検出センサSE1の球通過孔163bの手前側には、後方へ向けて下降傾斜する傾斜流下面163a1が球を球通過孔163bに案内可能な上下位置で配設されている。
傾斜流下面163a1は、下面部163aにより左右外側に転動された球が抵抗少なく乗り移れるように下面部163aの左右端部よりも一段下がって形成されている。この傾斜流下面163a1よりも左右外側において開閉板65bに着地した球の流下抵抗を低減するため、傾斜流下面163a1の左右外側において案内板部163a2が形成されている。
案内板部163a2は、受入部材163の後壁部と左右内壁部とから、前側かつ左右内側へ延設される板状部であって、前端面が左右内側ほど後方へ配置がずれる傾斜面として形成される。
これにより、開閉板65bに乗り転動する球が案内板部163a2の前端面に当接した場合に、傾斜面の傾斜に沿って球の流下を案内することができるので、球を傾斜流下面163a1に抵抗少なく案内することができる。そのため、開閉板65bに球が乗った状態で開閉板65bが閉鎖動作を開始した場合において、その球が傾斜流下面163a1よりも左右外側に配置されていたとしても、開閉板65bの閉鎖動作が阻害される程度を低減することができる。
即ち、例えば、球の流れが悪くなり開閉板65bの閉鎖が滞ったり、開閉板65bの閉鎖動作により後方に流された球が受入部材163の後壁部で跳ね返って開閉板65bに再び当たり、開閉板65bを開放させる方向(前側)の負荷を与えることで開閉板65bが意図せず開いたり、等という動作不良が生じる可能性を低減することができる。
開閉板65bが開放状態から閉鎖状態へ動作する場合、開閉板65bは起き上がり動作で閉じる。即ち、開閉板65bに着地した球は、開閉板65bの動作により特定入賞口65aに案内される(飲み込まれる)ので、開閉板65bに乗っている球の左右位置に寄らず、開閉板65bに乗っている球はほぼ漏れなく特定入賞口65aに案内される。
この際、開閉板65bにおける球の配置が左右外側に寄っていたり、球の個数が多かったりすると、開閉板65bの閉鎖動作が遅れる可能性がある。これに対し、本実施形態では、受入部材163の下面部163a、傾斜流下面163a1及び案内板部163a2の形状を工夫しているので、特定入賞口65aに案内された球の流れを滞留させることなく、開閉板65bの閉鎖動作の迅速性を保つことができる。
また、受入部材163の形状を工夫する代わりに、開放状態において球が乗る開閉板65bの転動面は、平面状に形成される(図6(b)参照)。そのため、開閉板65bの開放状態において開閉板65bに着地した球は、一旦後方に流れてから、受入部材163の形状の作用により左右方向へ流され検出センサSE1の球通過孔163bに案内されることになるので、開閉板65b上で球の衝突が生じることを回避し易くすることができる。
即ち、開閉板65bに複数の球が同時に着地しても、その球が一旦後方に平行移動することになるので、開閉板65b上で球が互いに衝突することを回避することができる。従って、開閉板65bの転動面が下面部163aのように左右方向の傾斜面を有する形状とされ転動球に左右方向の流れが形成される場合に比較して、開閉板65b上での球の動きが不規則になる可能性を低くすることができるので、意図せぬ動作不良を未然に防ぐことができる。
受入部材163には、開閉板65bの閉鎖状態において、開閉板65bの左右両端部における回動先端部と当接し、開閉板65bの配置の再現性を高めるための当接面部163a3が形成されている。当接面部163a3は左右一対で形成されており、且つ、開閉板65bの形状に合わせた形状設計により点接触ではなく面接触可能に形成されているので、開閉板65bの配置を安定させ易く、且つ、当接時の負荷を面で受けることにより応力集中を避けることができるので耐久性を向上させることができる。
また、当接面部163a3の下側には、対向配置される開閉板65bと若干の隙間を空け略平行となる面形状で形成される補助当接面163a4が形成されている。補助当接面163a4は、何らかの理由で当接面部163a3と開閉板65bとの当接が不良となった場合のフェールセーフとして設けられている。
本実施形態では、当接面部163a3の手前側において球の流下を制限する被固定部材161が配置されており、基本的には球は当接面部163a3と衝突しないように構成されている。しかし、例えば、当接面部163a3と当接する開閉板65bの回動先端部が欠けた場合、閉鎖状態における開閉板65bの配置の再現性を保てなくなる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、開閉板65bと当接面部163a3との正常な当接が保てなくなった場合には、開閉板65bの左右端部における前後幅間部と補助当接面163a4との面当接を生じさせ、開閉板65bの配置の安定性を保てるように図っている。これにより、閉鎖状態における開閉板65bの配置の再現性を向上することができる。
なお、補助当接面163a4を、当接面部163a3の形状が正常な状況から開閉板65bと当接するように構成しても良い。この場合、当接面部163a3の形状が正常な状況から開閉板65bとの当接が生じるので負荷が蓄積され易いという不利益が生じ得るものの、負荷を分散させる面積を拡大できるので、開閉板65bとの当接により当接面部163a3が受ける局所的な負荷の大きさを低減することができる。
開閉板65bが開放状態から閉鎖状態へ動作する場合、開閉板65bへ受け入れられる途中の遊技球を、上述した前意匠部材141の形状によって開閉板65bへ押し込む態様で受け入れさせるよう構成することができる。
即ち、受け入れられる途中の状態(例えば、開閉板65bの回動先端と特定入賞口65aの開口枠部とに挟まれて横滑りしている状態)で、球が前意匠部材141の下部形状と当接した場合に、その湾曲形状に案内させることで特定入賞口65aの内側へ流下させることができる。これにより、開閉板65bから逸れた球が第3流路構成部336の正面側を落下する事態の発生を避け易くすることができるので、第3流路構成部336への視界を確保し易くすることができる。
開閉板65bの閉鎖状態においては、開閉板65bへの球の着地が生じないので、開閉板65bの閉鎖状態において開閉板65bの正面側を流下する球の配置は電動役物140aよりも左右外側に限定される。
従って、本実施形態の構成によれば、開閉板65bの閉鎖状態において特定入賞口65aに案内されずに流下する球の配置を、電動役物140aよりも左右外側位置に限定することができる。これにより、電動役物140aの下側において、電動役物140aの左右端部よりも左右内側位置における視界を確保することができる。
次いで、特定入賞口65aの下流側(特定入賞口65aを通過した球が流れる側)の構成について説明する。図7は、遊技盤13の正面斜視図であり、図8は、遊技盤13の背面斜視図である。なお、図7及び図8では、ベース板60に配設される構成の内、第1入賞口64、第2入賞口140及び可変入賞装置65以外の構成が取り外された状態が図示される。
図8に示すように、ベース板60の背面側における可変入賞装置65の後方位置には、第1入賞口64、第2入賞口140及び一般入賞口63(図2参照)に入球した球を球排出路(図示せず)へ流すための経路が形成される集合樋150が配設される。
集合樋150は、流路を形成する溝状部分を備え、溝状部分においてベース板60と対面する前側部が開放される。この開放部分がベース板60に閉じられることで、球排出路へ球を流すための経路が完成する。
集合樋150は、第1入賞口64に入球した球の流路を形成する第1流路部151と、第2入賞口140に入球した球の経路を形成する第2流路部152と、左右両側に配置される一般入賞口63に入球した球の流路を左右それぞれに形成する複数の第3流路部153と、を備える。
第1流路部151は、第1入賞口64の後方位置から左下方向へ傾斜する流路として構成され、第2流路部152は、第2入賞口140の後方位置から右下方向へ傾斜する流路として構成される。第3流路部153は、一般入賞口63の下方へ延びる流路として構成される。
従って、正面視では、第1入賞口64及び第2入賞口140が遊技領域の左右中央位置に配置される構成ながら、第1入賞口64及び第2入賞口140に入球した球の流れは、集合樋150によって左右中央位置から左右外側に寄せられる。これにより、第1入賞口64及び第2入賞口140の下方に空間を設けることができ、この空間を利用して可変入賞装置65及び後述する振分装置300を配設することができる。
図9は、ベース板60、可変入賞装置65、集合樋150及び振分装置300の分解正面斜視図であり、図10は、ベース板60、可変入賞装置65、集合樋150及び振分装置300の分解背面斜視図である。なお、図9及び図10では、ベース板60の下半部のみが図示され、その他の部分の図示が省略されており、且つ、ベース板60に組み付けられる他の構成についての図示が省略され、ベース板60の地が視認可能となっている。また、図9では、説明の便宜上、センターフレーム86がベース板60に組み付けられた状態で図示される。
可変入賞装置65、集合樋150及び振分装置300の固定について説明する。可変入賞装置65は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。集合樋150は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の背面側からタッピングネジ等により固定されている。
そして、振分装置300は、上部において挿通孔311が可変入賞装置65に締結固定され、左右部において挿通孔331が集合樋150に締結固定される。即ち、ベース板60に直接的に固定される可変入賞装置65や、集合樋150とは異なり、振分装置300の有無は、遊技盤13の完成に影響するものではない。
換言すれば、本実施形態における可変入賞装置65及び集合樋150は、振分装置300を配設する場合と、振分装置300を配設しない場合とで、そのまま流用することができる。これにより、振分装置300の有無に関わらず、可変入賞装置65と集合樋150との共通化を図ることができる。
次いで、可変入賞装置65及び振分装置300の詳細について説明する。可変入賞装置65は、特定入賞口65aを通して遊技領域から球を受け入れ可能に構成されており、振分装置300は、可変入賞装置65に受け入れられた球の流れる流下経路を構成している。本実施形態では、振分装置300の流下経路を流れる球の検出結果に基づいて遊技者が得られる利益が変化するように制御されるが、詳細は後述する。
図11は、可変入賞装置65の分解正面斜視図であり、図12は、可変入賞装置65の分解背面斜視図である。図11及び図12に示すように、可変入賞装置65は、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定される被固定部材161と、その被固定部材161の正面側に配置され被固定部材161に締結固定される前意匠部材162と、被固定部材161の背面側に配置され、被固定部材161に締結固定され、特定入賞口65aを通った球を受け入れ可能に構成される受入部材163と、その受入部材163の背面側に配置され、受入部材163に締結固定され、振分装置300との連結部分として介在する介在部材164と、受入部材163の背面側に配置され、受入部材163に締結固定され、開閉板65bの開閉状態を通電の有無によって切り替え可能に構成される状態切替装置165と、を備える。
被固定部材161は光透過性の樹脂材料から形成され、その正面側の形状は、ネジ挿通用の貫通孔、前意匠部材162との締結位置および特定入賞口65aを除き平坦面で形成される。一方、被固定部材161の背面側の形状は、外周部においてベース板60に面で当接される薄肉部の内側において背面側に張り出す立体的な形状となっている。
特に、薄肉部との境界部161aは横長略楕円の枠状に形成されており、この境界部161aを配設可能な大きさの貫通孔がベース板60に貫通形成される。即ち、境界部161aは、ベース板60の貫通孔に挿通される部分である。
境界部161aの内側では、特定入賞口65aと、その特定入賞口65aの下縁よりも若干下側において特定入賞口65aの下縁と平行な横長板状で後方へ延設される横長板状部およびその横長板状部の途中位置において下方に延設される縦長板状部を備えて左右一対の略T字形状で構成される延設支持板161bと、が形成される。
延設支持板161bは、特定入賞口65aの後方の範囲と、後述する振分装置300の流下経路と、の双方を支持するよう機能する。延設支持板161bの横長板状部から突設される突設支持部161cと、延設支持板161bの縦長板状部から突設される突設支持部161dと、境界部161aの下縁部上面から突設される突設支持部161eと、は振分装置300を支持する部分としての機能を有するが、詳細は後述する。
境界部161aの内側において、特定入賞口65aの左右中央位置下方において左右対称形状で突設される対称突設部161fは、振分装置300を流下する球と当接して球の流下を案内する機能を有する。
前意匠部材162に螺入する締結ネジを挿通するための複数の貫通孔161gは、境界部161aの内側および外側に配置される。受入部材163に挿通される締結ネジを螺入するため雌ネジ部を有する複数の被締結部161hは、境界部161aの内側に配置される。
介在部材164に挿通される締結ネジを螺入するため雌ネジ部を有する被締結部161iは、境界部161aの切れ目(左右中央位置)において境界部161aの外側に配置される。即ち、ベース板60に形成される貫通孔の内、境界部161aを挿通するための貫通孔と第2入賞口140及び電動役物140aを挿通するための貫通孔との連結部分(図9参照)に、被締結部161iは配設される。
前意匠部材162は、光透過性の樹脂材料から形成され、正面側は、ガラスユニット16(図1参照)との距離を均一とするべく平坦形状で形成される。前意匠部材162の背面側かつ被固定部材161の正面側の範囲において、球は流下可能とされる。
前意匠部材162の背面側には、被固定部材161の貫通孔161gと合う位置に配設され、貫通孔161gに挿通された締結ネジを螺入可能に形成される雌ネジ部を有する複数の被締結部162aと、その被締結部162aを上側から覆うような形状で背面側に延設される複数の延設部162b,162cと、を備える。
延設部162b,162cにより、被固定部材161と前意匠部材162との間を流下する球が被締結部162aに直接衝突することを回避することができるので、被締結部162aの耐久性を向上することができる。
更に、延設部162b,162cの上面が傾斜面として形成されることにより、球の流下経路を制限することができる。即ち、特定入賞口65aの左右縁部付近で延設される延設部162b(左右中央側の2箇所)の上面が左右外側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成されることで、延設部162bに乗った球が特定入賞口65a側に流れることを抑制することができる。即ち、延設部162bに乗った球は、延設部162bの左右外側を下方へ落下した後、内レール61(図2参照)に沿ってアウト口71へ向けて流下することになる。
また、左右両端に延設される延設部162c(左右両端の2箇所)の上面が左右内側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成されることで、延設部162cに乗って流れる球の流下経路を延設部162bに乗った球の流下経路とまとめることができる。これにより、流下する球の個数に比較して、流下する球が配置される範囲を狭めることができ(球の配置密度を高めることができ)、球に視認性を阻害されない部分(流下経路が構成されない空間)を確保することができる。
なお、図11に図示される前意匠部材162は無地で記載され、背面側の視認性が良好とされているが、前意匠部材162を無地で構成する必要はない。例えば、前意匠部材162の正面側に模様やキャラクターが図示されたシールを貼り付けて装飾するようにしても良いし、前意匠部材162に幾何学模様で溝を掘り、その溝に光が照射されることで幾何学模様が浮かび上がって視認されるようにしても良い。また、無地や、上述のような装飾が加えられた上で、前意匠部材162が非透過性となるように構成しても良い。
受入部材163は、光透過性の樹脂材料から正面側が開放された横長の枠状(または箱状)に形成され、上述した案内板部163a2と、当接面部163a3と、補助当接面163a4と、枠内側において流下面を形成する下面部163aと、下面部163aを流下した球が通過可能な貫通孔として配設される球通過孔163bと、被固定部材161の被締結部161hに合う位置に配置され被締結部161hに締結固定される締結ネジが背面側から挿通される複数の挿通孔163cと、介在部材164に挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部であって左右中央側に配設される一対の被締結部163dと、状態切替装置165に挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部を有する複数の被締結部163eと、を備える。
下面部163aは、左右中央部を頂点として左右外側へ向けて下降傾斜する左右傾斜面として形成され、その左右傾斜面の左右外端部から一段下がった位置において後方へ向けて下降傾斜する傾斜流下面163a1を備えていることで、傾斜流下面163a1の後端部を流下する球が球通過孔163bを抵抗小さく通過できるように配設される。
球通過孔163bは、受入部材163の背面側に係合される検出センサSE1に形成される検出用孔である。即ち、球通過孔163bを球が通過したことは検出センサSE1により検出される。
介在部材164は、光透過性の樹脂材料から形成され、後方へ向けて下降傾斜する光屈折面を有する本体部164aと、その本体部164aの上側部において貫通形成され受入部材163の被締結部163dに螺入される締結ネジを挿通可能な一対の挿通孔164bと、その挿通孔164bよりも上側に配置されLEDが配設される発光基板164cと、本体部164aの下端側左右両端部において振分装置300に挿通される締結ネジを螺入可能な雌ネジ部を有して形成される一対の被締結部164dと、本体部164aの上側部において貫通形成され被固定部材161の被締結部161iに螺入される締結ネジを挿通可能な挿通孔164eと、を備える。
発光基板164cは、LEDが配置される面が斜め前上方向を向く姿勢で配設され、組立状態において、正面視で特定入賞口65aの真上位置(図6参照)、且つ、第2入賞口140の真下位置に配置される。このような配置から、発光基板164cからの光は、第2入賞口140や特定入賞口65aへの入球を望みその箇所を斜め後下方向の視線で見つめる遊技者の視界に容易に入る。
従って、第2入賞口140や特定入賞口65aへの入球が検出された際に発光基板164cのLEDを点灯させるよう制御することで、第2入賞口140や特定入賞口65aへの入球が生じたか否かを遊技者に容易に把握させることができる。
上述の構成から、介在部材164は、被固定部材161及び受入部材163の双方に締結固定される。これにより、被固定部材161と受入部材163との締結固定のみで構成する場合に比較して、被固定部材161と受入部材163とを強固に固定することができる。また、介在部材164を介して被固定部材161及び受入部材163と連結固定される振分装置300の配置を安定させることができるので、被固定部材161及び受入部材163と振分装置300との相対的な位置ずれを抑制することができる。
状態切替装置165は、受入部材163の被締結部163eに螺入される締結ネジが挿通される複数の挿通部165aを有し、配線通し用、兼、放熱用の複数の開口を有して上側が開放される深底の箱状に形成される下ケース部165bと、その下ケース部165bに収容される電磁ソレノイド165cと、その電磁ソレノイド165cのプランジャーの先端に係合されプランジャーと共にスライド変位するスライド部165dと、下ケース部165bの前端部から回動先端部がはみ出すような配置で下ケース部165bに回動可能に支持され、スライド部165dのスライド変位に伴い回動する回動部165eと、複数の挿通孔165fに挿通される締結ネジにより下ケース部165bに締結固定される上蓋部165gと、を備える。
回動部165eの回動先端は、棒状部が係合可能に凹設されており、この凹設部に開閉板65bの右側端部から右方に突設される伝達突部65cが入り込み、係合される。伝達突部65cは、開閉板65bの開閉動作の回転軸を形成する金属製の軸棒部65dから偏心した位置に配置されている。このように構成することで、回動部165eの回動に伴って、開閉板65bの開閉動作を生じさせることができる。
図13及び図14は、振分装置300の分解正面斜視図である。図13では、振分装置300を上方から見た斜視図が図示され、図14では、振分装置300を下方から見た斜視図が図示される。
図13及び図14に示すように、振分装置300は、介在部材164の被締結部164dに螺入される締結ネジが挿通可能に貫通形成される一対の挿通孔311を有する上部材310と、その上部材310に上下方向で締結固定されると共に集合樋150の雌ネジ部に螺入される締結ネジを挿通可能に貫通形成される一対の挿通孔331を有する中部材330と、その中部材330と上部材310との間に収容され正面側にLED等の発光手段351が配設される基板350と、中部材330と上部材310との間の位置に収容され通電の有無によって状態を切り替え可能に構成される状態切替装置360と、中部材330の下方に配置され状態切替装置360の状態の切り替えに伴い前側位置と後側位置とで前後にスライド変位するスライド変位部材370と、中部材330との間にスライド変位部材370を挟むように中部材330の下方に配設されると共に集合樋150の雌ネジ部に螺入される締結ネジを挿通可能に貫通形成される挿通孔381を有する下部材380と、を備える。
各部の構成の詳細を説明する前に、振分装置300の機能の概要について説明する。振分装置300は、検出センサSE1の球通過孔163b(図12参照)を通過した球が流下する流下経路を構成する装置である。
球通過孔163bを通過した球は、上部材310の内部、上部材310と中部材330との間に形成される流路構成部334,335,336、下部材380の内部、という順で流下し、下部材380から流下した球は球排出路(図示せず)へ排出される。
振分装置300の内部を流下する球は遊技者が視認可能となるように構成されており、その流下態様により、遊技者の目を楽しませる単なる演出的効果のみでは無く、遊技者が得られる利益に変化を生じさせるといった遊技利益に関わる効果を奏する。
振分装置300の内部を流下する球の流下態様の違いは、主に、スライド変位部材370の配置により生じる。即ち、球が中部材330から下部材380へ向けて流下する時におけるスライド変位部材370の配置により、球が下部材380のどの箇所を通過するかに違いが生じる。
従って、遊技者の視線は、自ずと中部材330から下部材380へ向けて球が流下する箇所(後述するように、スライド変位部材370の配置箇所)に集まり易くなるので、本実施形態では、視線の集中を前提とした工夫が施されている。
次いで、振分装置300の各部の構成の詳細について説明する。上部材310は、光透過性の樹脂材料から形成される上面視コ字状の薄肉部材であり、上述の挿通孔311と、球を受け入れ可能に貫通形成される一対の開口部312と、目印として貼り付けられる有色(本実施形態では、赤色)透明の一対のシール部材313と、開口部312の下縁から外周部に沿って正面側に延設される一対の上面部314と、中部材330に螺入される締結ネジが挿通可能な貫通孔が形成される複数の挿通筒部315と、中部材330に挿通された締結ネジが螺入可能な雌ネジを有する被締結部316と、上部材310の下面から下方へ向けて突設される前後方向に長尺の部分であって左右に並べて配設される一対の前後長突設部317と、上部材310の下面から下方へ向けて突設される左右方向に長尺の部分であって一対の前後長突設部317の間に配設される一対の左右内突設部318と、上部材310の下面から下方へ向けて突設される左右方向に長尺の部分であって一対の前後長突設部317の左右外側に配設される一対の左右外突設部319と、基板350の上部を配置可能な大きさの凹部として形成される収容凹部320と、を備える。
開口部312は、可変入賞装置65の球通過孔163bを通過した球を受け入れ、下方へ流す役割を果たす通路状部(トンネル状部)であり、上前縁部は傾斜姿勢の検出センサSE1(図12参照)の板背面と面一となるように傾斜面で切断したような形状とされる。これにより、開口部312の上前縁部を検出センサSE1の板背面に接触させることができる。
また、開口部312は、球通過孔163bの開口方向視で球通過孔163bの開口内側に侵入しない程度の開口度合いで形成される。これにより、球通過孔163bを通過した球を開口部312に案内する際の流下抵抗を低減することができる。
シール部材313は、基板350の発光手段351から照射される光を受けて煌びやかに視認されることで、遊技者の注目を集める部材として機能するが、詳細は後述する。
上面部314は、上部材310の下方における球の流下経路に合わせて傾斜が形成される薄板部である。開口部312の正面側に配置される第1上面部314aは正面側へ向かうほど下降傾斜するように形成され、第1上面部314aの前端部と連結され左右内側に配置される第2上面部314bは左右内側へ向かうほど下降傾斜するように形成される。そして、左右の第2上面部314bの左右間隔が手前側ほど長くなるように構成されることで、第2上面部314bの間を通して球を視認する遊技者の視界の確保を図ることができる。
挿通筒部315は、締結ネジのネジ頭を受ける座グリが上面側に形成される。そのため、締結ネジを上側から挿通するという構成ながら、遊技者に締結ネジのネジ頭が視認されることを回避し易くすることができる。
挿通筒部315は、中部材330に形成される雌ネジ部を有する被締結部332dに合う位置に配置される。特に、左側の挿通筒部315に対応する被締結部332dは、回動部363を支持する支持部を兼ねるが、詳細は後述する。
被締結部316に螺入される締結ネジは、ネジ部が上向き、ネジ頭が下向きの姿勢で配置される。そのため、被締結部316を手前側に配置する構成ながら、斜め上から視認する遊技者に対してネジ頭が目立ちにくいようにされている。これにより、上部材310と中部材330とを強度に固定しながらも、締結ネジにより振分装置300の見映えが悪くなることを回避することができる。
被締結部316が右側にしか形成されていないのは、既に後側において挿通筒部315が2箇所に配設されているので前側における締結位置は1箇所で十分な点や、ネジ頭が下向きにされ目立ちにくいとはいえ不要であれば配設を省略した方が振分装置300の見栄えが良くなる点等が、理由である。なお、被締結部316の配置はこれに限定されるものではない。例えば、左側に配設されても良いし、左右一対で配設されても良い。
被締結部316の配置は、球の流下経路を避け、且つ、振分装置300の見映えの低下を最低限に抑えられる位置として設定されているが、詳細は後述する。
各一対で形成される前後長突設部317、左右内突設部318及び左右外突設部319の下面部は、それぞれ同一の箇所を基準として、その箇所から遠ざかるほど配置が下がるような湾曲面として形成される。この湾曲面は、前後長突設部317、左右内突設部318及び左右外突設部319で異なる形状とされており、この形状の違いにより球の流下態様を制御する意図がある。
中部材330は、上述の一対の挿通孔331と、後側において下底部を有する枠状(略箱状)に形成される後側枠状部332と、前側において下底部を有する枠状(略箱状)に形成される一対の前側枠状部333と、その前側枠状部333の左右外側において凹設され球の流下経路を構成する一対の第1流路構成部334と、その第1流路構成部334の前端部に連結されて球の流下経路を構成すると共に前側枠状部333の前側において凹設される一対の第2流路構成部335と、その第2流路構成部335の左右内側端部に連結されて球の流下経路を構成すると共に前側枠状部333の左右内側において凹設される一対の第3流路構成部336と、を備える。
また、中部材330は、第3流路構成部336の後端部の後ろ側において左右長尺形状で下底に貫通形成され球の排出路として機能する排出孔337と、その排出孔337及び第3流路構成部336を左右に仕切るよう前後方向に長尺の板状に形成される仕切り板部338と、第3流路構成部336の後方端部における下側面から左右長尺の矩形状凸部として突設される一対の位置合わせ突設部339と、を備える。
後側枠状部332は、球の流下経路を構成する前側部とは異なり球の流下経路を構成せず、主に基板350や状態切替装置360を支持する部分として構成される。後側枠状部332は、左右中央部の正面側端部において上下方向に貫通形成されスライド変位部材370を配置可能に構成される配置用貫通孔332aと、左右方向に長尺の貫通孔として下底部に貫通形成され状態切替装置360の被案内部362cのスライド変位を案内する案内孔332bと、下部材380に挿通される締結ネジが螺入可能に形成される雌ネジ部を有する複数の被締結部332cと、上部材310の挿通筒部315に挿通された締結ネジが螺入可能な雌ネジ部を上先端に有する円柱形状の被締結部332dと、を備える。
前側枠状部333は、枠内側および下底部表裏面に光拡散加工が施されていることで、前側枠状部333の奥側の視認性が低下することになる。前側枠状部333は、上面視略正方形状の枠状に形成されており、上部材310の被締結部316に螺入される締結ネジを挿通可能な座グリ孔として形成される挿通孔333aを備える。
第1流路構成部334、第2流路構成部335及び第3流路構成部336は、それぞれ球の流下経路を構成する部分であり、球の流下方向や、傾斜角度等が異なるように設計されているが、詳細は後述する。
なお、第2流路構成部335と第3流路構成部336との連結位置において正面側が開放される開放部335aは、可変入賞装置65の対称突設部161f(図12参照)が進入可能とするための空隙である。即ち、対称突設部161fは、振分装置300を流下する球に当接可能となるように、開放部335aを通して流路内側に進入するように配置される。
排出孔337は、仕切り板部338に仕切られる形で、左右一対で構成され、球が少なくとも2経路で排出可能な大きさで形成される。即ち、少なくとも、球の直径の2倍以上の左右長さで構成される。なお、本実施形態では、排出孔337の下側に配置される下部材380に複数の検出センサSE1が横並びにされているので、その検出センサSE1の球貫通孔の配置に合わせて排出孔337の形状を設計するようにすれば良い。
仕切り板部338は、上述のように第3流路構成部336を仕切る機能に加え、スライド変位部材370の変位を案内する案内部としての機能を奏するが、詳細は後述する。位置合わせ突設部339は、下部材380の突設部383aと嵌め合わされ、中部材330と下部材380との位置ずれを回避するための部分であるが、詳細は後述する。
基板350は、下側部353の方が上側部352に比較して左右長尺となる逆T字形状で形成されており、下側部353の左端側における下端部に位置合わせ用の凹設部354を備える。
凹設部354が、中部材330の内部形状として対応する部分と係合することで左右方向の位置決めがされ、左右長尺の下側部353が中部材330の後側枠状部332に前後から挟まれるように支持されることで前後方向の位置決めがされ、上部材310の収容凹部320に上側部352が収容されることで上方への脱落が防止されることで配置が固定されるよう構成されるが、発光手段351の配置の意図と共に詳細は後述する。
状態切替装置360は、中部材330の後側枠状部332に収容される装置であって、電磁ソレノイド361と、その電磁ソレノイド361に左右方向に直動変位するよう支持されるプランジャーの先端に係合されプランジャーと共にスライド変位するスライド部362と、左側の被締結部332dに挿通されることで回動可能に支持され、スライド部362のスライド変位に伴い回動する回動部363と、を備える。
スライド部362は、電磁ソレノイド361のプランジャーの先端の円板部361aを上側から受け入れ可能に凹設される凹設部362aと、右側面から右方に張り出す張出部362bと、下側面の前後中央部から下方に突設され左右方向に長尺の長円形状の断面で形成される被案内部362cと、を備える。
凹設部362aの形成方向から、円板部361aがスライド部362を上側から支える構成となるので、スライド部362が上方へ脱落することを防止することができる。そのため、円板部361aにスライド部362を接着剤等で固着せずとも、スライド部362の配置を円板部361aと中部材330の下底部との間で維持することができる。
被案内部362cは、中部材330の案内孔332bに挿通されることで、スライド部362の変位方向が左右方向からずれることを回避するための部分である。特に、本実施形態では左右方向に長尺に形成されるので、被案内部362cと案内孔332bとの係合により、スライド部362の姿勢維持を図ることができる。なお、被案内部362cの断面形状は必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、円形でも良いし、矩形でも良い。
回動部363は、上面視で略L字状に形成され、L字の接続部において上下方向に長尺の筒状に形成され中部材330の被締結部332dを挿通可能な大きさの貫通孔を有する支持筒部363aと、L字の短手側先端部から上方へ向けて円柱状に突設され張出部362bが有する貫通孔に挿通される上円柱部363bと、L字の長手側先端部から下方へ向けて円柱状に突設されスライド変位部材370の凹設部378に挿通される下円柱部363cと、を備える。
上述の構成により、回動部363は、支持筒部363aを中心軸として回動可能に構成される。この回動部363の変位は電磁ソレノイド361の状態の変化によって生じる。即ち、電磁ソレノイド361に通電されることでプランジャーがスライド変位しスライド部362が左右方向に変位すると、張出部362bの貫通孔に挿通されている上円柱部363bが変位し、これに伴い下円柱部363cが変位し、結果としてスライド変位部材370を変位させる。
スライド変位部材370は、中部材330と下部材380との上下間位置において前後方向にスライド変位するよう支持される部材であって、中部材330の後側枠状部332の下底部と下部材380とに上下から挟み込まれて支持される薄板部371と、その薄板部371から左右一対で上方に突設される上突設部376と、その上突設部376よりも後側において左右中央部で上方に突設される突設部の突設端部で凹設され回動部363の下円柱部363cを受け入れ可能に形成される凹設部378と、を備える。
薄板部371は、後側半部において左右一対で貫通形成される被支持孔371aと、左右中央部における正面側端部から上突設部376の配置間隔よりも短い左右幅で前後長尺に凹設される凹設部372と、その凹設部372の縁部に沿う突条形状で下方に突設される一対の下突条部373と、後側半部における左右縁部に沿う突条形状で上下両方向に突設される複数の上下突条部374と、後端部から下方に円柱状で突設され下部材380の案内長孔386に挿通される円柱突部375と、を備える。
下突条部373及び上下突条部374は、上下側に配置される中部材330又は下部材380と対面し摺動することを想定した部分であり、平面での接触に比較して、中部材330及び下部材380との接触面積を低減するための突条である。接触面積を低減することで、スライド変位部材370の変位抵抗を低減することができるので、スライド変位部材370の変位速度が遅くなることを防止することができる。
上突設部376は、正面視略台形状の柱状部であり、配置用貫通孔332aを通り後側枠状部332の下底部よりも上方に進入するように配置される。上突設部376の左右内側の隙間の幅長さは、中部材330の仕切り板部338の左右厚みよりも若干長く設計される。この構成により、仕切り板部338により、上突設部376の変位を案内することができる。
換言すれば、上突設部376は、左右内側の隙間に仕切り板部338を挟むように配置され、仕切り板部338との当接により左右方向の位置ずれが抑制されるよう構成される。これにより、スライド変位部材370の変位を良好に案内することができ、スライド変位部材370の変位方向を前後方向に維持することができる。
凹設部378は、スライド変位部材370の前後方向変位を生じさせるのに必要となる回動部363の下円柱部363cの変位に対応できるように、左右方向に長尺の長孔として形成される。
凹設部378が形成される突設部は、配置用貫通孔332aを通り後側枠状部332の下底部よりも上方に進入するように構成されることで、回動部363の下円柱部363cを容易に凹設部378に挿通することができる。
このように、配置用貫通孔332aの形状は、挿通を予定される上突設部376と、凹設部378が形成される突設部と、が配置される全範囲を内側に含む形状の貫通孔として設計される。
下部材380は、上述の挿通孔381と、左右に長尺の薄板状に形成される板状部382と、その板状部382の下側において複数(本実施形態では4個)の検出センサSE1を左右に並べて配置可能とする枠状に形成されるセンサ保持枠部389と、を備える。
センサ保持枠部389は、検出センサSE1を挿入する背面側面と、検出センサSE1の貫通孔を通る球が通過する上下側面と、が開口形成されており、その他の部分が閉鎖されてなる枠状に形成される。
板状部382は、センサ保持枠部389に上下方向の貫通孔が形成されたことと同様に、検出センサSE1の貫通孔と合う位置に貫通孔が形成され、左右内側の2個の検出センサSE1の中間位置において前後方向に長尺の突条形状で上方へ突設される突条部383と、その突条部383の前側端部から左右に離れた位置で突設される一対の突設部383aと、突条部383よりも後側の位置においてスライド変位部材370の被支持孔371aに挿通可能な位置で突設される一対の案内突設部384と、その案内突設部384よりも左右外側の両位置において前後方向に長尺の突条として形成される一対の案内突条385と、上面視において突条部383と同一直線上に延びる長孔状の案内長孔386と、前側面において後方に突の湾曲面形状で形成される湾曲面部387と、中部材330の被締結部332cに螺入される締結ネジを挿通可能に貫通形成される挿通孔388と、を備える。
突条部383は、スライド変位部材370の凹設部372の左右隙間幅よりも若干短い左右厚みの突条として形成され、スライド変位部材370は凹設部372で突条部383を挟むように配置される。即ち、突条部383は、スライド変位部材370の前後方向変位を案内する案内部として機能する。
突設部383aは、左右内側端部が、中部材330の位置合わせ突設部339の左右外側端部と同等の位置となるように設計される。即ち、一対の突設部383aの左右内側端部に、位置合わせ突設部339の左右外側端部が当接する形で、嵌め合わされることにより、下部材380を基準とした中部材330の左右方向の位置を適切に定めることができる。それと共に、下部材380の枠前部(突条部383を突設部383aとを前端側でつなぐ部分)の背側面と位置合わせ突設部339の前側面とを当接させることで、下部材380を基準とした中部材330の前後方向の位置を適切に定めることができる。
これにより、中部材330の構成としての第3流路構成部336と、下部材380の構成としての検出センサSE1と、の間に位置ずれが生じることを回避し易くすることができる。
案内突設部384は、左右長尺の長円形状に形成されており、スライド変位部材370の被支持孔371aに挿通され、スライド変位部材370の変位を制限する。即ち、スライド変位部材370の変位は、被支持孔371aの内部に案内突設部384が配置される範囲での変位に制限される。
これにより、スライド変位部材370と突条部383との衝突を生じさせないようにすることができるので、例えば、前方向の変位終端がスライド変位部材370と突条部383との衝突した位置で定まる構成に比較して、突条部383の耐久性を向上することができる。そのため、突条部383による案内効果を長く奏し続けることができる。
なお、案内突設部384は、破損したとしてもスライド変位部材370の動作に即座に影響が生じる部分では無く、突条部383への衝突を防止するための部分として機能する。そのため、通常は案内突設部384の破損が生じない状態で設定期間(例えば、3年)において使用を維持できる強度で設計するところ、案内突設部384が破損した後は突条部383とスライド変位部材370とが衝突する状態で使用をすることを見込んで、案内突設部384及び突条部383の強度を設計するようにしても良い。即ち、案内突設部384の寿命を設定期間未満として(例えば、2年)として、残りの期間を突条部383の強度で耐えるように設計しても良い。この場合、下部材380に使用する樹脂材料の設定自由度や、形状の自由度を向上することができる。
案内突条385は、スライド変位部材370の薄板部371の左右幅よりも若干長い隙間幅で配置され、薄板部371を隙間に配置可能に形成される。スライド変位部材370の変位は、案内突条385の左右内側における変位に制限される。これにより、スライド変位部材370の前後方向変位を、左右方向の位置ずれ小さく生じさせることができる。
案内長孔386は、スライド変位部材370の円柱突部375を挿通可能な左右幅で形成される長孔である。スライド変位部材370の変位の方向は、円柱突部375が案内長孔386に案内されることで前後方向に制限される。
湾曲面部387は、中部材330よりも下側を流下する球の流下を案内するための当接面である。本実施形態では、アウト口71に入球した球の流下を案内することになるが、詳細は後述する。
挿通孔388には、締結ネジがネジ頭を下側に向けた姿勢で挿通される。これにより、締結ネジが目立って視認されることを回避することができる。また、挿通孔388の配置は、複数の検出センサSE1が配置される範囲よりも左右外側かつ背面側とされる。これにより、挿通孔388に挿通される締結ネジが、検出センサSE1付近または検出センサSE1の貫通孔を通過する球を見る視界を遮る可能性を低くすることができる。
上述のように、スライド変位部材370は、複数の部分、即ち、薄板部371に対する案内突条385や、被支持孔371aに対する案内突設部384や、凹設部372及び下突条部373に対する突条部383や、円柱突部375に対する案内長孔386や、上突設部376に対する仕切り板部338等、に案内されて前後方向へ変位する。これにより、案内時の負荷を複数位置に分担させることができるので、負荷が局所的にかかることを回避でき、スライド変位部材370及びスライド変位部材370を案内する案内用部分の破損を回避することができる。
ここからも分かるように、スライド変位部材370は、単一の部材に案内されるものではなく、少なくとも、中部材330と、下部材380と、の複数部材に案内される。即ち、スライド変位部材370は、少なくとも、中部材330の仕切り板部338に一対の上突設部376が案内され、且つ、下部材380の突条部383に凹設部372が案内される。
そのため、中部材330と、下部材380との組み付けが不良で、配置ずれが大きいと、スライド変位部材370の動きが阻害される。ここで、中部材330と下部材380とは、球の流下経路を連続的に構成する部分として配置ずれを小さく抑えることが好ましい所、スライド変位部材370の変位が良好とされていることにより、配置ずれが小さいことを保証することができる。
換言すれば、中部材330に対する下部材380の配置ずれが過度に大きくなると、スライド変位部材370の変位が良好に行われないので、スライド変位部材370の変位が不良であることを検出することにより、中部材330及び下部材380の相対的な配置が不良となっている可能性があるとしてエラー報知を実行するよう制御することができる。
従って、中部材330及び下部材380の相対的な配置が不良な状態のままの遊技が継続されることを防止できるので、遊技者が不測の不利益を被る可能性を低くすることができる。
次いで、振分装置300の内部構造の詳細について説明する。なお、ここでは、振分装置300の内部における球の流下に関わる構成と、球の流下経路側に進入する構成と、について主に説明する。
図15は、受入部材163及び振分装置300の正面図であり、図16は、図15のXVI−XVI線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図であり、図17は、図15のXVII−XVII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図であり、図18は、図15のXVIII−XVIII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図である。
なお、図15から図18では、図示されている場合には、開閉板65bは閉鎖状態で図示され、スライド変位部材370は前側位置に配置された状態で図示される。まず、振分装置300の内部を流下する球の流下経路の詳細について説明する。
開閉板65bが開放状態(図6(b)参照)の時に開閉板65bに着地した球は、受入部材163の下面部163aを転動し球通過孔163bに案内される。球通過孔163bを通過した球は上部材310の開口部312を通過し、中部材330の第1流路構成部334に案内される。第1流路構成部334と、続く第2流路構成部335と、その先に続く第3流路構成部336とは、全て下降傾斜する傾斜流路として構成され、接続される流路同士が上面視で90度の角度を成す渦巻き状に形成される。
即ち、第1流路構成部334は前後方向正面側に球を流下させる傾斜流路として形成され、第2流路構成部335は第1流路構成部334を流下する球の流下方向を基準として90度回転した左右方向に球を流下させる傾斜流路として形成され、第3流路構成部336は第2流路構成部335を流下する球の流下方向を基準として先の回転方向と同方向に90度回転した前後方向背面側に球を流下させる傾斜流路として形成される。
このように、流下経路を屈曲角度が直角の渦巻き状に形成することで、球の流下速度が下流側に向かうにつれて増加する程度を低減することができる。詳述すると、第1流路構成部334を流下する球は正面側へ向けて加速するところ、続く第2流路構成部335での流下方向は前後方向成分を持たないので、第1流路構成部334での加速分から受ける影響を抑えた流下態様を実現することができる。更に、第2流路構成部335に続く第3流路構成部336では、第1流路構成部334での加速方向とは逆の後方へ向けた流下となるので、前後方向の加速分から受ける影響を抑えた流下態様を実現することができる。
従って、例えば、終始一貫して同方向(例えば、左方向)へ向けて流下する流下態様と異なり、下流側において球の流下速度が過大となることを回避し易くすることができる。換言すれば、流路全体において球の流下速度を均一にしやすくすることができ、球に対する遊技者の注目力を高く維持することができ、球を遊技者が見失う事態の発生を回避し易くすることができるという効果を奏する。
また、例えば、第2流路構成部335を形成しないことも可能だが、第2流路構成部335を形成した方が、球の詰まりや、逆流を防止し易くすることができる。第2流路構成部335が形成されない場合(第2流路構成部335の左右方向長さが0である場合)、即ち、第1流路構成部334と第3流路構成部336とが連結される場合、その連結箇所において、球の流下方向を手前側の流れから後方への流れに180度反転する必要が生じる。この場合、球の流下方向の切り替え角度が大きく、特に速度方向を前後に反転させる必要があるので、球を滑らかに流下させることが困難であり、球の滞留や詰まり、逆流が生じ易く、不具合が生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態のように、流下方向の切り替え角度が90度以下であれば(本実施形態では、90度)、球の速度方向の反転が生じないので、球を滑らかに流下させることができ、球の滞留や詰まり、逆流を回避し易くすることができる。
各流路構成部334〜336の接続端部における流路形状について説明する。第2流路構成部335と第3流路構成部336との接続端部においては、上述の対称突設部161fが球の流下方向を屈曲させる態様で球の流下を案内する部分として配設される。
対称突設部161fは、球の上流側に配置される部分よりも下流側に配置される部分の方が球の経路から退くよう形成される。例えば、隣り合って配置される仕切り板部338の左右幅よりも、対向配置される対称突設部161fの左右幅の方が長く形成される。また、開放部335a付近の第2流路構成部335の流路側面よりも、対向配置される対称突設部161fの左右端側の後端部の方が正面側に配置される(図17参照)。
これにより、球が対称突設部161fに衝突した場合に、球が過度に減速されたり、球の逆流が生じたり、することを防止することができる。
また、第2流路構成部335と第1流路構成部334との接続端部においては、中部材330の前側左右端部において湾曲形成される側壁部334aが、球の流下方向を屈曲させる態様で球の流下を案内する部分として形成される。
また、第1流路構成部334の上流側端部においては、正面側へ向かうほど配置が下がる湾曲面形状(図16参照)で第1流路構成部334の流下面部から上方へ突設される湾曲突部334bが、球の流下方向を屈曲させる態様で球の流下を案内する部分として形成される。
即ち、開口部312を通過した球は、湾曲突部334bを転動し、第1流路構成部334を流下し、流下中に側壁部334aに当接することで流下方向を切り替えられ、第2流路構成部335を流下し、流下中に対称突設部161fに当接することで流下方向を切り替えられ、第3流路構成部336を流下し、排出孔337に到達する。
側壁部334aは、被固定部材161の突設支持部161dと係合し、位置合わせ可能な形状から形成される。即ち、側壁部334aが左右の突設支持部161dに挟み込まれるように支持され、左右方向への位置ずれが規制されることで、可変入賞装置65と振分装置300との左右方向の位置合わせを行うことができる。
各流路構成部334〜336の長手方向の傾斜角度および長さの比について説明する。長手方向の傾斜角度については、第1流路構成部334は、水平に対する傾斜角度が約7度とされ、第2流路構成部335は、水平に対する傾斜角度が約5度とされ、第3流路構成部336は、水平に対する傾斜角度が約5度とされる。即ち、第1流路構成部334において傾斜角度が最大に設定され、第2流路構成部335及び第3流路構成部336では若干緩い共通の傾斜角度に設定される。
長さについては、各流路構成部334〜336は、上面視において外形正方形状に形成される前側枠状部333を内側側面とし、その前側枠状部333のなす正方形の中心と同じ中心を有する大きな正方形を外側側面とするように形成される。ここで、本実施形態では、前側枠状部333の一辺の長さが21mmとされており、上述の大きな正方形の一辺の長さが45mmとされることにより、周囲に幅12mmの流路が形成される。
そのため、通常使用される直径11mmの球に対して、流路とのクリアランスが球の両側の合計で1mmとされているので、球は幅方向の位置ずれがほとんどない状態で流下することになる。これは、ベース板60(図2参照)とガラスユニット16(図1参照)との間隔が19mm程度で規定されることから考えても、小さなクリアランスであるといえ、流下する球の位置ずれを抑制することができる。
正方形状の前側枠状部333の周囲を取り巻く正方形上に配置される各流路構成部334〜336の端部を構成する部分の内、第1流路構成部334の上流側の端部を構成する湾曲突部334bのみが正方形の頂点よりも内側(正面側)に配置されているので、第1流路構成部334は、第2流路構成部335及び第3流路構成部336に比べて短い。
上面視における実測値から言えば、第2流路構成部335及び第3流路構成部336により形成される流路は略同等の長さとされ(球中心間隔で33mm)、その長さは、第1流路構成部材334により形成される流路の長さ(球中心間隔で22mm)の約1.5倍とされる。
上述した各流路構成部334〜336の長手方向の傾斜角度および長さの比から、各流路構成部334〜336を球が通過するのに要する時間は一定では無いことが説明できる。即ち、傾斜角度が最大で且つ流路長さが最短の第1流路構成部334を通過する時間は、傾斜角度が緩められ且つ経路長さが1.5倍の第2流路構成部335及び第3流路構成部336を通過する時間よりも短い。
本実施形態では、このように構成することで、検出センサSE1の球通過孔163bを通過する際に配置が背面側へ移り、且つ検出センサSE1の非透過の樹脂部分に一部が隠されることで球の視認性が悪くなる状態から、球を早期に正面側に変位させることができ、遊技者に近く、球の視認性が高い状態へと状態を切り替えることができる。これにより、球通過孔163bを通過した球を遊技者が見失う事態が生じることを回避し易くすることができる。
更に、球の視認性が高い状態においては、球の流下速度を緩めることにより、球へ向けた視線を遊技者が素早く動かすことを不要とし、球に注目する遊技者の遊技負担(眼球の移動による目の疲れ)を低減することができる。
このように視認性が高くなる第2流路構成部335及び第3流路構成部336を流下する球に注目する際に、第2流路構成部335に沿って左右方向に球が流下する場合に比較して、第3流路構成部336に沿って前後方向に球が流下する場合の方が、正面視における球の変位量が小さくなるので、球に注目する遊技者の遊技負担を、第3流路構成部336を流下する球に注目する際に最小とすることができる。
換言すれば、長さ及び傾斜角度が同等であることから、第2流路構成部335を球が通過するのに要する時間と、第3流路構成部336を球が通過するのに要する時間と、は同等とされるところ、正面視における球の変位量が異なるので、結果として見かけ上の球の流下速度(正面視での球の変位速度)は、第3流路構成部336を流下する球の方が第2流路構成部335を流下する球よりも遅くなる。
遊技負担が最小とされ球に注目させ易い第3流路構成部336の後端部において球の流下経路は唯一変化し、それ以外の部分では球の流下経路は各流路構成部334〜336において共通とされる。従って、遊技者の視線は第3流路構成部336の後端部に自ずと集中し易いところ、このように視線を集中させる遊技者の遊技負担を有効に低減することができる。
また、第3流路構成部336の後端部に注目する遊技者の視界を確保するために、本実施形態では、第2流路構成部335の前側面に開放部335aが形成されるので(図17参照)、第3流路構成部336へ向かう視線を第2流路構成部335の肉部が妨げることを回避することができる。
更に、開放部335aの内側に配設される対称突設部161fは、流下する球との当接、案内のために必要な部分のみが形成され、その上下側においては形状部の形成が省略される。換言すれば、対称突設部161fは上下に薄肉の板状部として形成され、その上下側には空間が確保される(図18参照)。そのため、対称突設部161fが上下に厚みを持って形成される場合に比較して、第3流路構成部336の後端部へ向けた視線が対称突設部161fに妨げられる可能性を低くすることができ、視認性を向上することができる。
また、第3流路構成部336の後端部を中心とする視界側へ、開閉板65bから逸れてアウト口71へ向かう球が集まってくるように構成される(図5参照)。特に、本実施形態では、アウト口71に入球する球は、第3流路構成部336の下方を流下し、下部材380の湾曲面部387に当接し下方へ排出される。
従って、第3流路構成部336を流下する球を斜め上前側から視認する視線を前提とすると、アウト口71に入球する球は、第3流路構成部336の奥側を流下する。そのため、第3流路構成部336を流下する球と、アウト口71に入球する球とが前後で被って視認されることになるので、第3流路構成部336の後端部に注目する視界に入り込む球の総数が多くなる。
換言すれば、特定入賞口65aに入球して第3流路構成部336を流下する球か、特定入賞口65aには入球せずアウト口71に入球する球かに寄らず、球が第3流路構成部336の後端部に注目する視界に入り込む。
従って、特定入賞口65aへの球の向かい易さ、即ち、ベース板60に植設される釘構成(所謂ゲージの良し悪し)に関わりなく、発射された球の多く(他の入賞口63,64,140に入球した球を除く球)が集まる位置と前後方向で被る位置に、第3流路構成部336の後端部(遊技者の注目が集まる部分)が配置される。これにより、流下する球により、視線を効率的に第3流路構成部336の後端部に誘導することができる。
上述のように、正面側寄りの位置における視認性を向上したが、その上で、本実施形態では、背面側寄りの位置における視認性を、第3流路構成部336の後端部を除いて低下させるよう構成している。
例えば、中部材330の前側枠状部333の内側面には、プリズムに倣った形状で光拡散の作用を生じさせるための光拡散加工面333bが形成される。図17において、鋸歯状に視認される箇所が光拡散加工面333bであり、内側面のほぼ全内周、且つ、上下に亘って形成される。
光拡散の作用が生じると、光が複数方向に拡散されることで、面全体が光っているように視認されるので、表面を煌びやかに光らせ演出することができる一方で、光に視線が遮られ、その奥側の視認性が悪くなる。本実施形態によれば、基板350の発光手段351から光が照射される状態では視認性が悪くなり、逆に、光が照射されていない場合には、少なくとも光が照射される状態に比較して視認性を良くすることができる。
一方、光との間に遮蔽物があると、その遮蔽物の影が黒点として視認されることになり、その位置を判別し易くなる。
光拡散加工面333bと同様の加工面が他の部分にも形成されている。例えば、左右外突設部319の背側面に形成される光拡散加工面319aや、後側枠状部332の枠前部の背側面に形成される光拡散加工面332e等である(図17参照)。
また、同様の形状で形成される加工面としては、上部材310の第2上面部314bの背面側に延設される板状部であって組立状態において中部材330の前側枠状部333に蓋をする部分の上面側において形成される光拡散加工面314cや、中部材330の後側枠状部332よりも前側の部分の下側面全体に亘り形成される光拡散加工面340等が例示される。
これらの構成により、本実施形態では、各流路構成部334〜336から渦状に形成される流路の、背面側、下面側、渦の内側面および、その渦の上側面に、それぞれ光拡散加工面が形成されており、光照射による視認性の変化の効果を図っている。
光拡散加工面に光が照射されていない状態において、正面側から第3流路構成部336の後端部に注目する遊技者目線で、第3流路構成部336から左右方向に方向転換した球を前側枠状部333で隠して、即座に見え難くすることができる。
更に、斜め上からの方向視で第3流路構成部336を流下する球を視認する遊技者目線で、センサ保持枠部389に保持される検出センサSE1を通過し落下した後の球を見ようとしても、その視線は光拡散加工面340を通過することになるので、光拡散加工面340に光が照射されることにより、検出センサSE1を通過し落下した後の球の識別は困難となる。
本実施形態では、後述するように、第3流路構成部336の後端部を球がどのように流下するかによって、遊技者が得られる利益が変化するよう制御される。
従って、第3流路構成部336の後端部から球がどのように流下したのかを把握するために、第3流路構成部336の後端部における球の挙動を確認する必要が生じるので、第3流路構成部336の後端部への注目力をより一層向上することができる。
一方、発光手段351から光が照射されれば、球の影を黒点として視認し易い状態を構成することができる。このように、光の照射の有無を状況に応じて切り替えることで、球の視認性の良し悪しを切り替えることができる。また、黒点よりも正面側における球の配置の有無により、その黒点が球で隠される状況と、黒点が球に隠されずに見える状況を構成することもできる。
上述のように、各流路構成部334〜336の付近において光拡散加工面319a,332e,333b,340が形成されるが、一貫して、各流路構成部334〜336により形成される流路を流下する球と当接しない側の側面に形成される。
これにより、光拡散加工面319a,332e,333b,340が球との当接により削られることを避けることができるので、光拡散加工面319a,332e,333b,340の形状を長期間に亘り維持することができ、光拡散の作用を維持することができる。
更に、光拡散加工面319a,332e,333b,340に球が当接することで、球の流下が阻害されたり、球が減速の作用を受けたりすることを回避することができる。加えて、流路内部の視認性は確保できるようにすることで、球が各流路構成部334〜336により形成される流路を流下している最中にまで球の視認性が低下することを回避することができる。
なお、敢えて光拡散加工面319a,332e,333b,340を流路側に形成するようにしても良い。この場合、プリズムの大きさの設定次第では、光拡散の作用を生じさせる効果と、球との衝突により球を減速させる効果と、を生じさせるように図ることができる。
中部材330の前側枠状部333では、被締結部316との締結位置においては加工の難易度から光拡散加工面333bの形成が省略されており、対策なしでは視認性が高いまま維持される可能性がある。そこで、本実施形態では、締結ネジによる視認性の低下を図っている。
即ち、被締結部316に螺入される締結ネジが金属製であり、非透過性であることを利用して、光拡散加工面333bの形成が困難となる箇所における目隠しとすることができる。前側枠状部333に光が照射されると、光拡散加工面333bは煌びやかに光り、光拡散加工面333bの形成が省略されている部分では締結ネジが光を反射して光るので、光拡散加工面333bの形成が省略されている箇所も含めて、正面側からの視線における前側枠状部333の奥側の視認性を低下させることができる。
中部材330の光拡散加工面332eは、各流路構成部334〜336の背面側に形成されているが、この目的として、煌びやかに光らせることの他に、背面側に配設される基板350及び状態切替装置360の目隠しとしての機能を生じさせることが挙げられる。特に、状態切替装置360は基板350の背面側に配置されるので(図17参照)、基板350が目隠しとなり、状態切替装置360が遊技者に視認されることを防止し易くすることができる。
基板350は、中部材330の後側枠状部332に下支えされる形で収容されるが、左右中央部において後側枠状部332の下底部と隙間を空けて配置され、その隙間にスライド変位部材370が配置される(図18参照)。即ち、基板350は、スライド変位部材370を後側枠状部332の下底部との間で挟む位置に配置される。
詳述すると、基板350は、下側部353が左右端部において後側枠状部332に前後から挟まれるように支持される(図17参照)。この支持箇所において、後側枠状部332の下底部は肉厚とされる肉厚部332fを備えており(図16参照)、左右中央位置付近では、この肉厚分が無いことで隙間が生まれ、その隙間にスライド変位部材370を配置することができる(図18参照)。
図18に示すように、基板350の上側部352は、上部材310の収容凹部320の内側に進入し、介在部材164に形成される光拡散加工面164fと前後に対向配置される。
そのため、上側部352に配置される発光手段351から光が照射されることにより、介在部材164の光拡散加工面164fが煌びやかに光る演出効果を奏することができ、更に、介在部材164の背面側の範囲の視認性を低下させることができる。
ここで、上側部352に配置される発光手段351は光拡散加工面164fの下端部付近に光を照射するところ、光拡散加工面164fは、プリズムに倣った断面形状部が、表面に沿って上下方向全体に形成されるので、発光手段351から照射された光は上下幅の広い光として視認される。そのため、遊技者目線で、特定入賞口65aの上下に亘って発光しているように見せることができる。
なお、正面側からの視界において、光拡散加工面164fは、受入部材163の左右中央側位置に配置されるが、検出センサSE1の背面側に配置したとしても検出センサSE1が視界の妨げとなり良好に視認できないので、少なくとも一対の検出センサSE1の配置隙間内において形成されていれば、十分な効果を奏することができる。
なお、基板350の下側部353は、シール部材313や、その下側に配設され球が流下する部分へ向けて光を照射するよう配置されるが、詳細は後述する。
次いで、図19及び図20を参照して、第3流路構成部336の後端部を通過した球の流下経路の切り替えと、その意義について説明する。なお、図19及び図20の説明においては、図15から図18を適宜参照する。
図19は、図15のXVII−XVII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図であり、図20は、図15のXVIII−XVIII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図である。図19及び図20では、図示されている場合には、開閉板65bは閉鎖状態で図示され、スライド変位部材370は後側位置に配置された状態で図示される。
ここで、センサ保持枠部389に支持される左右4個の検出センサSE1と、各検出センサSE1への球の流下と、各検出センサSE1の機能について説明する。
4個の検出センサSE1は、2組が左右対称に配設されるものであり、機能を共通とする確変検出センサSE11と、通常検出センサSE12と、を備える。確変検出センサSE11は、左右方向内側に配設され、通常検出センサSE12は、左右方向外側に配設される。
この4個の検出センサSE1の機能は、開閉板65bの背後に配置される検出センサSE1とは異なる。開閉板65bの背後に配置される検出センサSE1は、賞球の払い出しを生じる入球センサである。即ち、特定入賞口65aに入球した球が背後の検出センサSE1に入球したと検出されると、所定個数(本実施形態では、1個の検出に対して10個)の賞球が払出制御装置111(図4参照)により遊技者側に払い出される。
一方、センサ保持枠部389に支持される検出センサSE1は、賞球の払い出しを生じる検出センサではなく、入球を検出することで、大当たり遊技終了後の遊技状態を変化させるための検出センサとして機能する。
なお、後述するように、本実施形態では、センサ保持枠部389に配設される検出センサSE1を確変状態への移行の有無の切替のために利用したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出センサSE1を次回大当たり獲得の有無の切替のための入球センサとして機能させても良い。
スライド変位部材370が前側位置に配置される場合(図17及び図18参照)、確変検出センサSE11の上側に薄板部371が被さるようにスライド変位部材370が配置され、確変検出センサSE11の貫通孔への球の通過が防止される。そのため、第3流路構成部336の後端部を通過する球は、スライド変位部材の上突設部376に案内されるようにして、通常検出センサSE12の貫通孔へ案内される。
上突設部376は、球と対向する前側面376aが、流路側を凹とした円弧形状で形成されているので、流れてきた球を滑らかに通常検出センサSE12の貫通孔へ向けて流すことができる。
一方、スライド変位部材370が後側位置に配置される場合(図19及び図20参照)、確変検出センサSE11の上方からスライド変位部材370が後方に退避し、確変検出センサSE11の貫通孔への球の通過が許容される。
即ち、球がいずれの検出センサSE1を通過するかは、スライド変位部材370の配置(前側位置または後側位置)と対応する。そして、大当たり遊技中に球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過したことが検出された場合に、その大当たり遊技後の遊技状態を確変状態とするように制御される。換言すれば、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過したと検出されず、通常検出センサSE12の貫通孔のみを通過した場合には、その大当たり遊技後の遊技状態を通常状態(又は時短状態)とするように制御される。
ここで、本実施形態において、大当たり種別として、確変大当たりと、通常大当たりとが用意されていることについて上述した。これを実現するために、本実施形態では、大当たり種別ごとにスライド変位部材370の動作パターンとして異なる動作パターンが用意されている。
換言すれば、スライド変位部材370は、確変大当たりの場合には、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過し易いような動作パターンで動作するよう制御され、通常大当たりの場合には、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過し難く、通常検出センサSE12の貫通孔を通過し易いような動作パターンで動作するよう制御されるが、制御の詳細については後述する。
このように、スライド変位部材370の配置は、遊技者が得られる利益に直結するものであり、その配置に自ずと遊技者の注目が集まることになる。一方、スライド変位部材370の配置を不正に切り替えようとする不正行為は少なからず発見されており、それに対する対策が重要視される。
前提として、スライド変位部材370の配置は、状態切替装置360の電磁ソレノイド361への通電の有無によって切り替えられる。即ち、電磁ソレノイド361に通電がされていない時は、電磁ソレノイド361のプランジャー及びスライド部362が付勢バネ(図示せず)によって右側に配置され、回動部363の下円柱部363cが正面側に配置されることで、スライド変位部材370は前側位置に維持される。
一方、電磁ソレノイド361が通電されると、電磁ソレノイド361のプランジャー及びスライド部362が電磁力によって左側に移動され、回動部363の下円柱部363c(図13参照、スライド変位部材370の凹設部378に挿入される部分)が背面側に変位することで、スライド変位部材370は後側位置に維持される。これが通常の動作態様であり、電磁ソレノイド361への通電と、スライド変位部材370の配置とが一対一で対応する。
上述した不正行為を行う者は、例えば、球払い出し開口や、外枠11と正面枠14(図1参照)との隙間等からピアノ線などの金属細線を振分装置300の内部に差し入れて、その金属細線をスライド変位部材370に押し当てて、スライド変位部材370を奥側へ押し込むようにして、確変検出センサSE11への球の入球が可能となる状態を不正に作り出そうとする可能性がある。
これに対し、本実施形態では、スライド変位部材370の配置として、薄板部371が第3流路構成部336の下底部よりも下側に配置されているので(図18参照)、第3流路構成部336に金属細線を通してスライド変位部材370に押し当てる場合に、薄板部371の前端部に押し当てるのは困難であり、上突設部376に押し当てることになる。上突設部376の前側面376aは、上述のように負荷を左右外側へ逃がすような湾曲面形状とされるので、金属細線を押し当てられたとしても、その負荷を左右外側に逃がすことができ、スライド変位部材370が不正に後側位置に変位させられる事態を回避し易くすることができる。
また、スライド変位部材370に到達するまでの経路が、一直線では無く渦状に巻いていることに加え、スライド変位部材370自体の配置もガラスユニット16(図1参照)の前側面から背面側に遠く(約10cm程度)離れているので、そもそも、金属細線をスライド変位部材370に到達させることを困難とすることができる。
これらの構成から、状態切替装置360の構成の設計自由度を向上することができるという効果も奏する。即ち、従来では、上述のような不正行為に対して、駆動力を伝達する機構の機械的な工夫(変位規制)によりスライド変位部材370の配置を維持するよう構成する場合が多く、その場合には、状態切替装置360の構成が制限されていた。これに対し、本実施形態では、そもそもスライド変位部材370に負荷がかけられ難く構成することにより、状態切替装置360に要求される条件を部分的に省くことができ、状態切替装置360の設計自由度を高めることができる。
また、第3流路構成部336を通して這わせた金属細線でスライド変位部材370に押し付け負荷を加える場合には、この金属細線自体が、第3流路構成部336を流下しようとする球の流下を阻害することになるので、球を確変検出センサSE11に到達させることを困難とすることができる。
上述のように、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過するか、通常検出センサSE12の貫通孔を通過するかにより、遊技者が得られる利益が大きく変化することから、誤入球は極力避けることが望ましい。
従来の機種では、確変検出センサSE11への入球が許容される状態においては通常検出センサSE12への入球を規制するように構成することが通常であったが、本実施形態では、確変検出センサSE11への入球が許容される状態(図19及び図20参照)において通常検出センサSE12への入球を規制するような可動部材は用意されておらず、通常検出センサSE12へも入球させることが可能な構成である。
このように構成しても、10個の球が流下した場合に少なくとも1個が確変検出センサSE11の貫通孔を通過すれば、大当たり遊技後の確変状態は確保されることになる。本実施形態では、このような考え方から、通常検出センサSE12の開閉を行う可動部材の配置を省略することにより、材料コストの低減を図ることができ、製品コストを低減することができる。また、可動部材を配置しない結果、その可動部材の故障や動作不良に伴うメンテナンスが不要になったり、可動部材の寿命以上にパチンコ機の使用年数を延ばすことができたりという良い効果を奏する。
一方で、可動部材とは別の工夫として、適切な側の検出センサSE1に球が案内されるようにするための工夫として、流路形状と、固定の突設部317,318,319の配置や形状とが工夫されている。即ち、スライド変位部材370が後側位置に配置されている状態で想定以上の球が通常検出センサSE12へ流れることを防止するような仕組みを、流路内部に固定配置される部分(即ち、突設部317,318,319)の形状により実現するように図っている。このことについて、以下で説明する。
まず、流路形状の工夫について説明する。第3流路構成部336の下底面336aは、短手方向において、左右方向中央側(仕切り板部338側)に向かうにつれて水平に対して5度の角度で下降傾斜する傾斜面として形成される(図15参照)。
この傾斜角度は、第2流路構成部335の長手方向の傾斜と、角度および方向が同様となるように設定されているので、第2流路構成部335から第3流路構成部336に球が流入する際の球の跳ね(仕切り板部338から離れる方向の跳ね)を低減することができる。
この短手方向の傾斜によって、第3流路構成部336を流下する球の配置を仕切り板部338側に寄せることができる。そのため、第3流路構成部336の後端部から検出センサSE1側へ流下する際の球を仕切り板部338に近接する側に配置することができるので、スライド変位部材370が後側位置に配置されている状態で、球が誤って通常検出センサSE12(仕切り板部338から離れて配置される検出センサSE1)の貫通孔を通過する事態が生じる可能性を低くすることができる。
また、下底面336aの短手方向の傾斜に関わらず、各流路構成部334〜336により構成される流路は、左右方向経路が第2流路構成部335によってのみ形成されており、その傾斜方向は左右中心側(仕切り板部338側)なので、左右方向の速度は左右内向きに生じることになる。これによっても、球が誤って通常検出センサSE12(仕切り板部338から離れて配置される検出センサSE1)の貫通孔を通過する事態が生じる可能性を低くすることができる。
次に、固定の突設部317,318,319の配置や形状の工夫について、説明する。第3流路構成部336を流下した球が最初に近接配置されるのは、左右内突設部318である。左右内突設部318は、突設部317,318,319の内で最も小さな突設部でありながら、検出センサSE1の中心よりも正面側、且つ、スライド変位部材370の上突設部376よりも正面側に配置されているので、仕切り板部338に摺動しながら第3流路構成部336の後端部を通過する球と漏れなく当接する。
左右内突設部318の突設先端面は、正面視では下に凹の湾曲面として構成され(図15参照)、且つ、突設部後端側の方が突設部前端側よりも左右外側および下側に拡がって形成され前後端部が凹形の湾曲面でつながるように形成される(図17参照)。従って、第3流路構成部336の後端部を通過し左右内突設部318に当接した球は、左右外向き成分と、下向き成分とが混合された方向の負荷を受け、流下する。
一方で、左右内突設部318は小型に形成されていることから、左右内突設部318から受けた負荷のみで球の流下方向が下方か左右外方向かに定まるものでは無く、あくまで勢い付けとして機能する。そして、左右内突設部318がスライド変位部材370よりも上流側に配置されることから、上述の勢い付けは、スライド変位部材370の配置に関わらず生じる。
左右内突設部318に当接した後の球の流下について場合を分けて説明する。スライド変位部材370が前側位置に配置された状態では、球は、上突設部376や、前後長突設部317(図18参照)に当接しながら、スライド変位部材370の薄板部371を転動し、通常検出センサSE12側へ流れる。
前後長突設部317の突設端部は、上突設部376と同様の用途を有する。即ち、球の流下方向を切り替えるための湾曲面として形成されるので、その湾曲面の曲率半径は、上突設部376の前側面376aの曲率半径とほぼ同じとされる。目安として、上突設部376は左右内側を始点とし、上面視で確変検出センサSE11の貫通孔の中心位置の後方位置を終点とする湾曲面を構成し(図17参照)、一方で、前後長突設部317は流路の天井面を始点とし、左右方向視で、スライド変位部材370の前側位置における前側面376aの終点位置(後端位置)と近接する位置を終点とする湾曲面を構成している(図18参照)。
ここで、薄板部371の上側面が左右外側へ下降傾斜する傾斜面として形成されており、左右内突設部318との当接により左右外側へ勢い付けされた球は、その勢いを活かして左右外方向へ流下することになるので、球の流下を滑らかに形成することができる。
更に、左右外方向へ流下する球の上方において左右外突設部319が形成されており、球跳ねが抑制されることによっても、球の流下を滑らかに形成することができる。左右外突設部319の目的が球の流下方向の切り替えでは無く球跳ねの抑制であることから、その形状は前後長突設部317とは大きく異なり、その突設端部は、確変検出センサSE11の上方から通常検出センサSE12の上方に亘って形成される大きな曲率半径の湾曲面として形成される。
特に、本実施形態では、左右外突設部319が検出センサSE1の開口の中心(即ち、流路の中心)よりも正面側に配設されていることから(図19参照)、左右外突設部319と球とが上下方向で当接する場合に、球の中心が左右外突設部319の厚み中心よりも後方側に配置され易い。そのため、左右外突設部319と球とが上下方向で当接した際に、球に対して後方向成分を有する負荷がかかり易いようにすることができるので、球が正面側に逆流することを防止することができる。
これらの構成から、複数の球が流下する場合に球詰まりが生じたり、球の逆流が生じたりすることを防止し易くすることができる。
スライド変位部材370が後側位置に配置された状態では、薄板部371や上突設部376が前後長突設部317よりも後方に退避しているので、球は、前後長突設部317に当接して流れる。
前後長突設部317は、突設端部(湾曲面)の面形状が、法線が第3流路構成部336の中心を通る形状とされており、確変検出センサSE11の貫通孔の中心位置の真後ろに厚み中心が配置されるので、当接した球に対して左右方向の成分が抑制された負荷を与えやすい。この負荷は、前後長突設部317の突設先端が凹状の湾曲面形状とされることから(図20参照)、球を前斜め下方に流す負荷として機能する。
そのため、左右内突設部318からの勢い付けでは右方に行き切らなかった球は、前後長突設部317からの負荷により前斜め下方への負荷を受け確変検出センサSE11側へ流れる。
ここで、前後長突設部317との衝突時の当たり所によっては、球が正面側に跳ね返る(逆流が生じる)可能性が危惧されるが、本実施形態では、上述のように、左右内突設部318との当接により左右外斜め下方に勢い付けされているので、球が正面側に跳ね返ったとしても、球は第3流路構成部336の下底部後端(図20参照)や、前側枠状部333の後側面(図19参照)に衝突するに留まり、第3流路構成部336を逆流する事態が生じることを回避し易くすることができる。
本実施形態で独特なのは、スライド変位部材370が後側位置に配置され球が確変検出センサSE11側へ流れる際にも、スライド変位部材370が前側位置に配置され球が通常検出センサSE12側へ流れる場合と同様に、左右内突設部318から負荷による左右外側へ向けた変位が球に生じることである。この用途については、後述する。
スライド変位部材370は、前側位置と後側位置とでスライド変位可能に構成されるところ、球がスライド変位部材370に向かって第3流路構成部336を流下している最中にスライド変位部材370が閉鎖動作(後側位置から前側位置へ向けた動作)をすると、球に前向きの負荷を与える可能性があり、球に第3流路構成部336を逆流させる方向(前向き)の負荷が与えられる可能性がある。
これを防ぐために、スライド変位部材370の変位動作を制御することが好ましい。例えば、球がスライド変位部材370に到達する前に閉鎖動作を完了させておくように制御すれば、動作中のスライド変位部材370に球が衝突する可能性を排除できるので、球が逆流する可能性を低くすることができる。
また、スライド変位部材370の上突設部376の前面が左右外側を向く湾曲面として形成されていたり、左右内突設部318が球にもれなく衝突するように配置されたりすることにより、第3流路構成部336の後端部に到達した球を左右外側に案内する作用を生じさせることができる。これにより、球の逆流が生じにくくすることができる。
また、スライド変位部材370の開放動作(前側位置から後側位置へ向けた動作)は球と対抗する方向の動作ではなく、球から離れる側への動作なので、例えば、球がスライド変位部材370の薄板部371に乗っている時に動作が実行されても、その球を正面側に押し返す負荷は生じにくい。従って、開放動作については、球の配置を考慮せず任意のタイミングで実行する制御としても、球の逆流が生じ易くすることは無いと考えられる。
球がスライド変位部材370の上面で前転回転しながら薄板部371を転動する(まだ左右外側に流れる前段階の)場合、スライド変位部材370の開放動作は、球に対して、回転を抑える方向(後転させる方向)の負荷を与えるので、球の回転を留めることができ、球の流れを停止させ自由落下に移し易い。
そのため、球が薄板部371を転動中にスライド変位部材370が開放動作した場合に、球がそれまでの転動の勢いで通常検出センサSE12に案内されることを回避し易くすることができ、球を確変検出センサSE11に案内し易くすることができる。
上述した振分装置300を備える本実施形態におけるパチンコ機10における、振分装置300の遊技者目線での見え方について説明する。以下では、一例として、水平方向に対する視線の角度が異なる状態で場合を分けて説明する。
図21は、可変入賞装置65及び振分装置300の正面図であり、図22は、図16の矢印XXII方向視における可変入賞装置65及び振分装置300の斜視図であり、図23は、図16の矢印XXIII方向視における可変入賞装置65及び振分装置300の斜視図である。
前提として、パチンコ機10を操作する遊技者は、操作ハンドル51(図1参照)を握り回転させることを除き、好みの姿勢で遊技を行うことができる。例えば、パチンコ機10から頭を十分に離して、水平または水平から5度程度下降傾斜する方向の視線(図22参照)でガラスユニット16(図1参照)の内側を見るようにして遊技を行っても良いし、パチンコ機10に頭を近づけて、水平から30度程度下降傾斜する方向の視線(図23参照)でガラスユニット16の内側を見るようにして遊技を行っても良い。一般的には、前者の方が広い視界を確保できるが、細かな部分には気付きにくい一方で、後者は視界が狭くなるが、その視界における細かな部分には気付き易い。
図21は、基準として図示するものであり、以下では主に、図22及び図23を対比しながら説明を行う。なお、図21から図23では、便宜上、開閉板65bの開放状態が図示される。
図21には、発光手段351が想像線で図示される。なお、発光手段351は左右対称に配設されているが(図13参照)、理解を容易とするために左半部のみが図示される。最上部に配置される発光手段351の機能については上述した通りであるので、ここでは下側部353に配置される左半部における3個の発光手段351について説明する。
まず、上側の発光手段351は、シール部材313に向けて光を照射する。シール部材313は上述のように、赤色透明に形成されているので、発光手段351から光が照射された場合、シール部材313の周辺が赤く照らされる。これにより、シール部材313及びその周辺に対する遊技者の注目力を向上することができる。シール部材313は第3流路構成部336の真上に配設されているので(図18参照)、第3流路構成部336に注目させることができる。
なお、上側の発光手段351の正面側においては、光拡散加工面332eの形成が省略されている(図18参照)。これにより、発光手段351からの光が光拡散加工面332eにより上下方向に引き延ばされるように視認されることを回避し、シール部材313周辺を集中的に光らせることができる。
なお、発光制御については何ら限定されるものではないが、例えば、大当たり遊技中に、第3流路構成部336を流下する球に注目させたい状況においてシール部材313に光を照射するように制御することで、シール部材313に注目させ、その下側に配置される第3流路構成部336の後端部に自然と視線を誘導することができる。
次に、下側において左右に並んで配置される発光手段351は、それぞれ、確変検出センサSE11と、通常検出センサSE12の真上位置に対応する。即ち、この発光手段351の制御を、球が確変検出センサSE11に入球した場合には確変検出センサSE11の真上位置に配置される発光手段351を発光させる一方、球が通常検出センサSE12に入球した場合には通常検出センサSE12の真上位置に配置される発光手段351を発光させるように制御することで、遊技者に対して、球の通過箇所を報知することができる。
これらの、下側において左右に並んで配置される発光手段351から照射される光は、光拡散加工面に向けられる。即ち、左右中央側の発光手段351は、光拡散加工面332eと対向配置されており(図18参照)、左右外側の発光手段351は、光拡散加工面319a(図17参照)と対向配置されている。光拡散加工面319a,332eは、各部の上下に亘って形成される。
従って、発光手段351からの光が視認される位置は、発光手段351のLEDの高さ位置に限定されるものではなく、上下に広がりがある範囲として形成される(上下に延びる帯状の光として視認される)。そのため、図21から図23に示すように、遊技者の視線の角度が変わったとしても、発光手段351からの光の視認性を向上することができる。
図22における水平からの下降傾斜の角度(5度)は、第3流路構成部336の傾斜角度と同じである。そのため、図22では、第3流路構成部336の後端部に配置されるスライド変位部材370の外形を視認することができる。但し、スライド変位部材370は前後方向に変位するため、この視界では、スライド変位部材370の変位による変化を把握し難い。
一方、図23に示すように、水平から30度の角度の方向視では、第3流路構成部336の後端部における視界の上下幅が狭まっているので、図22の方向視に比較して、第3流路構成部336の後端部における球の流下態様の切り替わりの確認の難易度が高くなる。但し、この視界では、スライド変位部材370が前後方向に変位する際の上突設部376の変位を把握し易い。
なお、中部材330の配置用貫通孔332aがスライド変位部材370の上突設部376を通すのに十分な最低限の大きさの開口として形成されているので、後側枠状部332の内部に配置される状態切替装置360(図17参照)を視認し難いように隠すことができている。
実際の大当たり遊技中には、ラウンド遊技中に特定入賞口65aに複数個の球が案内され、各流路構成部334〜336を順に流下する。各流路構成部334〜336に複数個の球が同時に配置される場合、奥側の球へ向けた視線が、手前側の球により妨げられる可能性がある。
例えば、第3流路構成部336に複数の球が配置される場合、それらの球は、図22では、同位置に配置される。従って、手前側の球によって、奥側の球が隠される。
また、球が通常検出センサSE12側へ流れる場合、第3流路構成部336の後端部から左右外方向へ流れることになる。第3流路構成部336から左右方向へ外れた後は前側枠状部333の光拡散加工面333bにより視認性が落ちるので、第3流路構成部336から左右方向へ外れる過程の球の動きを把握することが好ましいところ、第2流路構成部335の下流側端部位置(球P1の位置)から第3流路構成部336の上流側端部位置(球P2の位置)へ流入する球(第3流路構成部336から左右方向に若干ずれる球)があると、その球により、第3流路構成部336の後端部から左右方向へ外れる過程の球が隠される。
換言すれば、球が確変検出センサSE11へ流れたか、通常検出センサSE12へ流れたかの把握は、第3流路構成部336の後端部で球の流下方向が左右外側へ切り替わったか、否かを視認すれば可能であり、第3流路構成部336の内側および右縁部周辺に注目していれば良い。これに対し、本実施形態では、その視線の方向上の上流側における第3流路構成部336と第2流路構成部335との連結位置において、第3流路構成部336の内側および右縁部周辺を含む経路で球が流下し得るように構成される(球P1の位置から球P2の位置への移動)。そのため、上流側を流下する球の配置によっては、球が確変検出センサSE11へ流れたか、通常検出センサSE12へ流れたかを把握し損なう事態が生じ得る。
また、図23の視線では、第3流路構成部336の後端部を流れる球と、第2流路構成部335を流れる球とが、上下方向の配置で明確に分けられるので、上流側の球が目隠しとなる事態を回避し易い。一方で、第3流路構成部336の後端部において視認される流路の上下幅が狭い分、方向視で視認できる球の面積が小さくなる。
特に、第3流路構成部336の後端部を通過した球は、上述したように、スライド変位部材370の配置によらず、一旦右斜め下方へ流下した後において、確変検出センサSE11へ向かう流下経路か、通常検出センサSE12へ向かう流下経路か、が切り替わる。そのため、球の流下経路として、球が真下に流下するか、球の流下方向が右方へ切り替わるかで切り替えられる場合に比較して、切替位置において視認される球の面積が小さくなる。
切り替わりの態様としては、他に、球の流下経路が真下に流下するか、右方へ切り替わるかで切り替わるかという場合のように、切替位置がより上流側に配置される場合が想定される。例えば、左右内突設部318が形成されず、確変検出センサSE11へ向かう球は第3流路構成部336の後端部から真下へ流下する場合には、切替位置は、少なくとも第3流路構成部336の中心線後方の位置となる。
これに対し、本実施形態のように切替位置が第3流路構成部336の中心線後方よりも右側に変位している場合、球が第3流路構成部336の下底部よりも下方に落ちる(第3流路構成部336の下底部上面とスライド変位部材370の薄板部371の上側面との上下差分だけ落ちる、図18参照)ことで、第3流路構成部336自体に球の一部が隠される作用に加え、球が第3流路構成部336を通して視認される範囲よりも左右外側に変位することで、前側枠状部333に球の一部が隠される。
従って、第3流路構成部336の後端部を通過した球の、遊技者目線で視認可能な面積が小さくなるので、球がいずれの流下経路で流下したかの把握を行うことが困難となる。これにより、第3流路構成部336の後端部付近を流下する球に対する注目力を更に向上することができる。
このように、本実施形態によれば、第3流路構成部336の後端部を流下する球の流下方向を識別する方向視として説明した複数の方向視(図22及び図23参照)において、いずれにも長所および短所が設定される。これにより、振分装置300の視認の仕方をとっても、遊技者に一辺倒の遊技を要求するのではなく、遊技者に好みの視認方法を調整および選択させることができ、遊技態様に幅を持たせることができるので、遊技者が遊技に飽きる事態が生じることを回避することができる。
遊技者の視界の確保は種々の方法で実現することができるが、本実施形態では、特に、上部材310の第2上面部314b間に空隙が形成されることで、第3流路構成部336の屋根部が取り外されたような状態とすることができるので、第3流路構成部336を視認し易くすることができる。
図22及び図23の方向視について、振分装置300よりも正面側における視認性について説明する。図22及び図23では図示を省略しているが、振分装置300よりも正面側には、被固定部材161及び前意匠部材162(図5参照)が配置されるので、部材の厚みにより透過する光が少なくなることから、視界が遮られることになる。
前意匠部材162により視界が遮られる範囲が狭くなる分、図23の方向視の方が、図22の方向視に比較して、振分装置300の内部を流下する球を視認し易くなる可能性がある。
被固定部材161及び前意匠部材162は、基本的には、上述のように平坦形状とされおり、光の屈折が生じ難いように構成されている(図12参照)。これにより、振分装置300の視認性が悪くなることを回避することができる。
機能上、平坦形状とできない部分についても、視認性に与える影響が小さくなるように形成している。例えば、振分装置300を位置決め、係合するための突設支持部161c〜161eは、斜め下方向へ向く遊技者の視線を遮ることが無いよう、流路構成部334〜336を見る遊技者の視線の外方(上側後方、左右外側、左右側下方、)に配設されている。
また、例えば、対称突設部161fは、球の中心高さに形成され、強度上必要最低限の厚さで肉薄に形成されている(図18参照)。これにより、対称突設部161fが球と遊技者の目との間に配置されたとしても、球全体が隠されることを防止することができるので、流路構成部334〜336を流下する球の視認性を確保することができる。
被固定部材161と前意匠部材162との間には、特定入賞口65aから逸れた球が流下し、アウト口71へ向けて流下する。アウト口71へ向けて流下する球による視界への影響について説明する。
図22及び図23では、開閉板65bの開放状態でアウト口71へ向けて流下する球の配置の一例が図示される。開閉板65bの開放中は、開閉板65bの上方から流下した球は開閉板65bに乗り特定入賞口65a側へ案内されることになるので、アウト口71へ向けて流下する球は、開閉板65bの左右に逸れた球となる。これらの球は、延設部162bと延設部162cとの間を流下し、内レール61に案内されてアウト口71へ向けて流下する。
図22及び図23に示すように、遊技者目線では、内レール61を流れる球の配置は、各流路構成部334〜336よりも下方となるので、内レール61を流れる球により各流路構成部334〜336を流下する球の視認性が低下することを回避し易くすることができる。
一方で、内レール61を流下する球の流下は、第2流路構成部335を流下する球の流下と同様に、緩やかな角度で遊技領域の左右方向中央側へ向けて流れる態様であるので、第2流路構成部335を流下する球と同様に、遊技者の視線を遊技領域の左右中央位置に誘導する効果を奏する。この効果は、遊技者の視線をアウト口71に誘導すると共に、第3流路構成部336に誘導する。即ち、アウト口71及び第3流路構成部336の左右方向位置が同様の位置(左右中央位置)とされるので、遊技者が上下に視線を動かすことで、アウト口71及び第3流路構成部336の両方を視認可能となるような状態に視線を誘導する。
従って、遊技領域へ向けて打ち出した球が、効率的に特定入賞口65aに入球し易いか(大当たり遊技中の無駄球が少なくて済む状態か)、逸れて延設部162bと延設部162cとの間を流下する球が頻発するか(大当たり遊技中の無駄球が頻発する状態か)に関わらず、流下する球により遊技者の視線を第3流路構成部336に誘導するという効果を奏することができる。
即ち、球が特定入賞口65aに入球した場合には、第2流路構成部335を流下する状態において遊技者の視線を第3流路構成部336へ誘導でき、球が特定入賞口65aを逸れる場合には、内レール61を流下する状態において遊技者の視線を第3流路構成部336へ誘導することができる。
アウト口71へ向かう球は、無駄球として遊技において何ら作用を生じないことが通常であるが、本実施形態では上述のように構成することで、アウト口71へ向かう球に、遊技者の視線を第3流路構成部336へ誘導させる役割を持たせることができる。
なお、開閉板65bの閉鎖状態においては、球が開閉板65bの正面側を流れ第2流路構成部335の正面側を通過することで、第2流路構成部335の視界を低下させる可能性がある。
一方で、特定入賞口65aの左右中央位置上方に第2入賞口140及び電動役物140aが配設され、特定入賞口65aの左右中央位置下方に第3流路構成部336が配設されるという本実施形態の構成によれば、第2入賞口140及び電動役物140aにより球の流下を防止することができるので、球が第3流路構成部336の正面側を流下することを防止することができる。従って、開閉板65bの正面側を流下する球により第3流路構成部336及びその後端部周辺の視認性が低下する事態の発生を回避することができる。
本実施形態では、特定入賞口65aに入球した球がスライド変位部材370に到達するまでの時間を流路構成部334〜336の形成長さにより確保できているが、この弊害として生じやすい配置スペースの増大の回避を図っている。即ち、図22及び図23に示すように、遊技者目線において、可変入賞装置65の特定入賞口65aと、第3流路構成部336の配置の目安としてのスライド変位部材370と、の配置間隔を短く形成している。
そればかりか、スライド変位部材370が特定入賞口65aの下側後方に配置されているので(図18参照)、図23に示すように遊技者目線として高頻度で生じる後側斜め下方へ向く視線において、特定入賞口65aの外形にスライド変位部材370の外形が食い込むほどに近接配置しているように視認される。
加えて、左右長尺に構成した特定入賞口65aに入球し、その左右両端部に配置される検出センサSE1の球通過孔163bを通過した球の流下経路は、左右対称の各流路構成部334〜336を経由して特定入賞口65aの左右中央側下方に集められる。これにより、特定入賞口65aの左右幅を球が左右方向に流下する場合に比較して、スライド変位部材370に球が到達するまでの時間を短くすることができる。加えて、球の流下経路として必要とされる構造を、下側ほど左右長さが短くなる構造とすることができるので、湾曲形状の内レール61の下縁部付近に配置し易くすることができる。
特に、本実施形態では、特定入賞口65aがアウト口71に近接配置させる設計思想であるところ、第2流路構成部335の左右内側端部から真下に球を流下させる構造では無く、第2流路構成部335の左右内側端部から第3流路構成部336により球を後方へ流下させる構造を採用することで、アウト口71(湾曲面部387の正面側(上流側)に配設される開口)を第2流路構成部335の真下位置に形成することができる。これにより、特定入賞口65aとアウト口71との上下間隔の短縮化を図っている。
このように、遊技者目線における特定入賞口65a及びスライド変位部材370の上下配置幅および左右幅を短くできることで、一定の規格に正面視での大きさが制限される遊技領域の設計において、特定入賞口65a及びスライド変位部材370が占める範囲の上下幅を短縮化できるので、遊技領域の設計自由度を向上することができる。
例えば、本実施形態のように、特定入賞口65aの配置を遊技領域の下端付近に配置することができるので、可変入賞装置65を左右対称の遊技領域に有効に利用することができる。
次いで、振分装置300に入球後の球の流下と、その流下を考慮した可動役物(可変入賞装置65、スライド変位部材370)の作動パターンの一例について説明する。
まず、前提として、開口部312を通った球は、第1流路構成部334、第2流路構成部335、第3流路構成部336を順に流下する(図16及び図17参照)。各流路構成部334〜336を球が通過するのに要する時間は任意に設定可能であるが、本実施形態では、各流路構成部334〜336を約0.3秒で通過するように設計されている。
即ち、特定入賞口65aに入球してから第1流路構成部334を通過するのに0.3秒、第2流路構成部335を通過するのに0.3秒、第3流路構成部336を通過するのに0.3秒を要するように構成される。
従って、可変入賞装置65の開閉板65bが開放状態となった直後に球が特定入賞口65aに入球したとしても、0.9秒間は、第3流路構成部336の後方端部に配置される検出センサSE1に球が到達することは無いように構成される。これにより、開閉板65bが開放状態となった後の0.9秒間は、スライド変位部材370の位置に寄らず、球が確変検出センサSE11にも、通常検出センサSE12にも通過し得ないので、球の誤入賞を危惧せずにスライド変位部材370の作動パターンを設計することができる。
そのため、例えば、V確変アタッカーを備えるパチンコ機に一般的に見られるような、V入賞センサへの誤入賞を防ぐためにラウンド遊技R開始時に開閉板を短時間解放させる制御(開閉板の動作に不自然さを伴う制御)を不要とすることができる。これにより、特定入賞口を開閉する開閉板の動作態様が自然な動作となり、安心して遊技を楽しむ環境を遊技者に提供することができる。
また、上記例におけるV確変アタッカーを備えるパチンコ機では、V確変アタッカーの開放直後に入球する球が誤入賞を生じやすかったが、本件の可変入賞装置65では、後述するように、開放直後に入球する球によって、逆に好ましい効果(例えば、スライド変位部材370の動作を球で隠す効果)が生じるので、開放直後の球の入球を生じさせないようにする工夫を不要とすることができる。
なお、球の通過に要する時間は、各流路構成部334〜336の長さや傾斜、流路内壁部の形状など(平滑か、凹凸形状かなど)により任意に設定可能である。
図24を参照して、第1実施形態の第1制御例におけるROM202(図4参照)の内容について説明する。図24(a)は、主制御装置110内のROM202の電気的構成を示すブロック図であり、図24(b)は、第1当たり種別カウンタC2と特別図柄における大当たり種別との対応関係を模式的に示した模式図であり、図24(c)は、第2当たり乱数カウンタC4と普通図柄における当たりとの対応関係を模式的に示した模式図である。
図24(a)に示すように、主制御装置110のROM202には、上記した固定値データの一部として、第1当たり乱数テーブル202a、第1当たり種別選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル202c、および変動パターン選択テーブル202dが少なくとも記憶されている。
第1当たり乱数テーブル202aは、定期的(例えば、2msecごと)に更新される第1当たり乱数カウンタの大当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。始動入賞に基づいて取得した第1当たり乱数カウンタの値が、第1当たり乱数テーブル202aに規定されているいずれかの判定値と一致した場合に、特別図柄の大当たりであると判別される。
第1当たり種別選択テーブル202b(図24(b)参照)は、大当たり種別を決定するための判定値が記憶されているデータテーブルであり、第1当たり種別カウンタC2の判定値が、各大当たり種別、および特別図柄の抽選契機となった入賞口の種別に対応付けて規定されている。本実施形態のパチンコ機10では特別図柄の大当たりと判定された場合に、始動入賞に基づいて取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、第1当たり種別選択テーブル202bとが比較され、第1当たり種別カウンタC2の値に対応する大当たり種別が選択される。
具体的には、特別図柄1の抽選(第1入賞口64への入球に基づく抽選)で大当たりとなった場合には、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜9」の範囲には、大当たりA1が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b1参照)。
大当たりA1となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第1の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「10〜19」の範囲には、大当たりA2が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b2参照)。
大当たりA2となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第1の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンY(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「20〜39」の範囲には、大当たりB1が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b3参照)。
大当たりB1となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第2の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「40〜49」の範囲には、大当たりB2が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b4参照)。
大当たりB2となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第2の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンY(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「50〜79」の範囲には、大当たりC1が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b5参照)。
大当たりC1となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第3の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「80〜99」の範囲には、大当たりC2が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b6参照)。
大当たりC2となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第3の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンY(詳細は後述する)で変位するように制御される。
上述したように、特別図柄1の抽選(第1入賞口64への入球に基づく抽選)で大当たりとなると、いずれの場合であっても、4ラウンドの大当たり遊技が選択される。そのため、後述する特別図柄2の抽選で大当たりとなる場合に比較して大量の賞球を期待することはできない。一方で、4ラウンドの大当たり遊技は、15ラウンドの大当たり遊技に比較して短時間で終了するので、その後の大当たりの獲得を狙うための球の打ち出しを、早期に開始することができる。
一方、特別図柄2の抽選(第2入賞口140への入球に基づく抽選)で大当たりとなった場合には、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜99」の範囲には、大当たりaが対応付けられて規定されている(図24(b)の202b7参照)。
大当たりaとなった場合は、15ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第3の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
上述したように、特別図柄2の抽選(第2入賞口140への入球に基づく抽選)で大当たりとなると、いずれの場合であっても、15ラウンドの大当たり遊技が選択される。そのため、特別図柄2の抽選での大当たりを獲得した方が、特別図柄1の抽選での大当たりを獲得する場合に比較して大量の払い出し賞球を得ることができるので、遊技者が、特別図柄2の抽選を行うための遊技(第2入賞口140へ入球させるように球を発射するような遊技)を行うことのモチベーションを高めることができる。
また、スライド変位部材370の作動パターンが作動パターンXで固定となるので、スライド変位部材370の視認性を確保しないでも、遊技者に生じる不利益が大きくなる可能性が少ない。そのため、スライド変位部材370への視認性が若干悪くなるという短所があるが特定入賞口65aへの入球が生じ易い長所がある作動パターンとして第3の作動パターンがある時に、特別図柄2の抽選での大当たりの可変入賞装置65の作動パターンを第3の作動パターンで設定することで、短所の影響を低下させ、大当たり遊技に要する時間を短くすることができるという長所のみを際立たせることができる。
即ち、特別図柄2の抽選での大当たり遊技が間延びする可能性を低くすることができるので、遊技者にとって気持ちの良い(賞球の払い出しの時間効率が良い)大当たり遊技を実現することができる。
なお、特別図柄2の大当たり種別の設定は、これに限定されるものではない。例えば、特別図柄2の大当たり種別として、スライド変位部材370が作動パターンYで変位制御される大当たり種別を設けても良い。また、この大当たり種別は、少ない割合(例えば、20%程度)で設けるようにしても良い。
これにより、スライド変位部材370に対する遊技者の注目力を向上させることができるので、遊技者が大当たり遊技を漫然と遊技することを防止することができる。即ち、スライド変位部材370の変位動作を遊技者に視認させ、変位動作のタイミングで遊技者を一喜一憂させ、遊技者の興趣を高めることができる。
上述した通り、特別図柄の確変中は、普通図柄の当たり確率がアップし、普通図柄の変動時間が短くなり(3秒)、普通図柄の当たりとなった場合における電動役物140aの開放時間が長くなる(1秒×2回)ように設定される。よって、第2入賞口140へと球を入球させやすくなるので、特別図柄2の抽選が行われやすくなる。従って、一旦特別図柄の確変状態へと移行させることができれば、特別図柄の大当たりとなりやすく、且つ、大当たりとなった場合に大当たりa(利益バランスの良い大当たり)となりやすい特別図柄の確変状態が繰り返されやすくなるので、遊技者が多量の賞球を獲得し易くなる。これにより、遊技者に対して特別図柄の確変状態へと移行させることを強く期待させながら遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
第2当たり乱数テーブル202c(図24(c)参照)は、普通図柄の当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。具体的には、普通図柄の通常状態において、普通図柄の当たりとなる判定値として、「5〜28」が規定されている(図24(c)の202c1参照)。また、普通図柄の高確率状態において、普通図柄の当たりとなる判定値として、「5〜204」が規定されている(図24(c)の202c2参照)。本実施形態のパチンコ機10では、普通入賞口67を球が通過することに基づいて取得される第2当たり乱数カウンタC4の値と、第2当たり乱数テーブル202cとを参照し、普通図柄の当たりであるか否かを判定している。変動パターン選択テーブル202dは、変動パターンの表示態様を決定するための変動種別カウンタの判定値が表示態様毎にそれぞれ規定されているデータテーブルである。
図25は、各大当たり種別における1ラウンド目の可変入賞装置65の開閉板65bの作動パターンと、振分装置300のスライド変位部材370の作動パターンと、の計時変化を示した図である。
MPU201(図4参照)は、前記特図当り決定において大当りを決定した場合には、特図変動表示(図柄変動演出)の終了後に、(決定した種類の)大当り遊技の制御を開始する。以下、大当り遊技が付与される場合に行われる可変入賞装置65の開閉板65bと、振分装置300のスライド変位部材370と、の作動制御について説明する。なお、図25の説明では、図24を適宜参照する。
なお、本制御例では、大当たり種別の違いで駆動態様が異なるのは1ラウンド目のみであり、2ラウンド目以降は共通の駆動態様とされる。そのため、大当たり種別ごとの1ラウンド目の駆動態様についてそれぞれ説明する。
大当たりA1又は大当たりA2の場合には、第1の作動パターンに基づいて開閉板65bが動作するようMPU201が電磁ソレノイド165c(図11参照)を駆動制御する。MPU201は、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示せず)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
すなわち、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から変位させて特定入賞口65aへの入球が可能な開放状態とする。初回の開放状態は0.2秒間維持される。第1の作動パターンでは、この0.2秒間の開放動作を、1.0秒間隔で実行するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、開閉板65bに長時間動作を行わせる。
なお、初回の開放時間は、遊技球を発射し続ける場合に、少なくとも1個の遊技球が特定入賞口65aに入り得る期間よりも長く、規定個数(本実施形態では10個)の遊技球が特定入賞口65aに入るのに要する期間よりも短い期間として設定される。
そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
第1の作動パターンにおける0.2秒の開放時間は、開閉板65bの開放中に特定入賞口65aの左右片側に入球する球の個数を1個に制限するために設定される。特定入賞口65aの左右片側に複数の球が連なって入球する(以下、「連球で入球」とも称する)ことを防止するための開放時間の設定であり、特定入賞口65aへの入球個数を1個に限定する意図では無い。即ち、0.2秒の開放時間であっても、特定入賞口65aの左右両側に各1球ずつ球が到達し、一度に特定入賞口65aに入球することは生じ得ることである。
大当たりA1の場合には、作動パターンXに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。電磁ソレノイド361の駆動制御は、開閉板65bの駆動制御を基準として設定されるものであり、本実施形態では、開閉板65bが開放状態へ変位するのと同時に、スライド変位部材370が前側位置から後側位置へ変位するよう駆動制御される。
そのため、特定入賞口65aに入球した球は、各流路構成部334〜336(図19参照)を通過し、スライド変位部材370の前側を通り確変検出センサSE11(図20参照)を通過する。
この時、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が1個に限定されるので、他の球に視認性が低下させられることが無い。そのため、遊技者は、球が確変検出センサSE11を通過する状況を容易に視認することができる。
大当たりA2の場合には、作動パターンYに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。電磁ソレノイド361の駆動制御は、開閉板65bの駆動制御を基準として設定されるものであり、本実施形態では、開閉板65bが開放状態へ変位するのと同時に、スライド変位部材370が前側位置から後側位置へ変位するよう駆動制御され、0.8秒経過後にスライド変位部材370が後側位置から前側位置へ変位するよう駆動制御される。
上述の通り、各流路構成部334〜336(図17参照)を球が通過するのに要する時間は約0.9秒で設定されているので、球がスライド変位部材370に到達する前にスライド変位部材370は前側位置に変位される。
そのため、特定入賞口65aに入球した球は、各流路構成部334〜336(図17参照)を通過し、スライド変位部材370の上側を通り通常検出センサSE12(図17参照)を通過する。
この時、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が1個に限定されるので、他の球に視認性が低下させられることが無い。そのため、遊技者は、球が通常検出センサSE12を通過する状況を容易に視認することができる。
スライド変位部材370の変位開始時間としての0.8秒は、球が各流路構成部334〜336を通過するのに要する時間よりも短い時間としての思想と、球が第3流路構成部336に到達するのに要する時間よりも長い時間としての思想から、設定される。
即ち、本実施形態によれば、球が特定入賞口65aに入球してから約0.6秒で第2流路構成部335を通過し、第3流路構成部336に到達するので、開閉板65bの開放時間としての0.2秒の終了間際に球が特定入賞口65aに入球した場合であっても、その球が第3流路構成部336に到達してからスライド変位部材370を変位動作させることができる。
従って、特定入賞口65aへの入球が生じさえすれば、球の入球タイミングに寄らず、第3流路構成部336に配置される球によりスライド変位部材370の動作を隠すことができる(図22参照)。これにより、スライド変位部材370の変位動作が目立つことを回避することができ、確変検出センサSE11又は通常検出センサSE12へ入球する球として各流路構成部334〜336を流下する球に対する注目力を向上させることができる。
なお、スライド変位部材370の変位開始時間は、0.8秒に限定されるものではない。例えば、0.4秒に設定しても良い。この場合、球が第3流路構成部336に到達するよりも前にスライド変位部材370の変位を生じさせることができるので、球に視線が遮られる可能性は低く、スライド変位部材370の変位を遊技者に視認させることができる。
但し、この場合であっても、第2流路構成部335が被固定部材161の前板部に近接配置され、スライド変位部材370よりも手前側に配置されていることから、遊技者の目線は第2流路構成部335を流下する球に集まり易い。即ち、第2流路構成部335を流下する球に注目させることで(例えば、第3図柄表示装置81で「流れる球に注目!」等の表示をすることで)、スライド変位部材370の変位が遊技者に視認されることを回避し易くすることができる。
なお、一方で、本実施形態では各流路構成部334〜336が左右中央で区切られるように構成されているので、特定入賞口65aへの入球が左右片側であれば、入球が生じていない側の第3流路構成部336の後方に注目することで、流下する球に遮られることなくスライド変位部材370の変位を視認することができる(図22参照)。
このように、大当たりA1,A2の場合は、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球の個数が1個に限定されることにより、その球への注目力の向上を図ることができると共に、球が確変検出センサSE11を通過するか、通常検出センサSE12を通過するか、を容易に遊技者に視認させることができる。
大当たりB1又は大当たりB2の場合には、第2の作動パターンに基づいて開閉板65bが動作するようMPU201が電磁ソレノイド165c(図11参照)を駆動制御する。MPU201は、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示せず)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
すなわち、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から変位させて特定入賞口65aへの入球が可能な開放状態とする。初回の開放状態は1.0秒間維持される。第2の作動パターンでは、この1.0秒間の開放動作を、1.0秒間隔で実行するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、開閉板65bに長時間動作を行わせる。
なお、初回の開放時間は、遊技球を発射し続ける場合に、少なくとも1個の遊技球が特定入賞口65aに入り得る期間よりも長く、規定個数(本実施形態では10個)の遊技球が特定入賞口65aに入るのに要する期間よりも短い期間として設定される。
そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
第2の作動パターンにおける1.0秒の開放時間は、開閉板65bの開放中に特定入賞口65aの左右片側に複数の球が入球可能となる時間として設定される。特定入賞口65aの左右片側に複数の球が連なって入球する(以下、「連球で入球」とも称する)ことを許容するための開放時間の設定である。
本制御例では、球の発射間隔は0.6秒間隔とされるので、球の流下間隔が発射時と変化していない場合であっても、開閉板65bが1.0秒間で1回開放する間に、2個の球が特定入賞口65aに入球し得る。一方で、開閉板65bの開放間隔は1.0秒おきに制限されているので、2個の球が各流路構成部334〜336を通過する前に次の球が各流路構成部334〜336に入球することは規制することができる。
大当たりB1の場合には、上述した作動パターンXに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。また、大当たりB2の場合には、作動パターンYに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361を駆動制御する。そのため、大当たりB1の場合に各流路構成部334〜336を通過した球は確変検出センサSE11を通過し、大当たりB2の場合に各流路構成部334〜336を通過した球は通常検出センサSE12を通過する。
この時、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が1個の場合と、2個(以上)の場合とで各流路構成部334〜336の見え方が異なる。左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が1個の場合には、大当たりA1,A2の場合と同様に、他の球に視認性が低下させられることが無いので、遊技者は、球が確変検出センサSE11を通過する状況を容易に視認することができる。
一方、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が2個(以上)の場合には、上流側の球が下流側の球を見る遊技者の視線上に配置されることで、下流側の球の視認性が低下する可能性がある。そのため、球が確変検出センサSE11を通過するか、通常検出センサSE12を通過するかを知ろうと望む遊技者の、各流路構成部334〜336を流下する球に対する注目力を向上することができる。
大当たりC1、大当たりC2又は大当たりaの場合には、第3の作動パターンに基づいて開閉板65bが動作するようMPU201が電磁ソレノイド165c(図11参照)を駆動制御する。MPU201は、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示せず)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
すなわち、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から変位させて特定入賞口65aへの入球が可能な開放状態とし、第1の作動時間T1を限度に開閉板65bに長時間動作を行わせる。
そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
本制御例では、1ラウンド目のラウンド遊技R中において開閉板65bが開放状態を維持するので、特定入賞口65aの左右片側に複数の球が連球で入球する状況が生じ得る。一方で、開閉板65bの開放間隔が制限されているわけでは無いので、第2の作動パターンと異なり、2個の球が各流路構成部334〜336を通過する前に次の球が各流路構成部334〜336に入球することも生じ得る。従って、第2の作動パターンに比較して、第3の作動パターンの方が、各流路構成部334〜336の下流側に配置された球の視認性が、上流側に配置される球により低下する状況が生じ易い。
大当たりC1又は大当たりaの場合には、上述した作動パターンXに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。また、大当たりC2の場合には、作動パターンYに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361を駆動制御する。そのため、大当たりC1又は大当たりaの場合に各流路構成部334〜336を通過した球は確変検出センサSE11を通過し、大当たりC2の場合に各流路構成部334〜336を通過した球は通常検出センサSE12を通過する。
このように、確変検出センサSE11に球を通すか、通常検出センサSE12に球を通すかに関わらず、開閉板65bを開放状態のまま維持する制御態様としているが、スライド変位部材370に球が到達するのに要する時間を構造から管理しているので、球噛みによるスライド変位部材370の誤動作の可能性は排除することができる。
この時、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が1個の場合と、2個の場合とで各流路構成部334〜336の見え方が異なる。左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が1個の場合には、大当たりA1,A2の場合と同様に、他の球に視認性が低下させられることが無いので、遊技者は、球が確変検出センサSE11を通過する状況を容易に視認することができる。
一方、左右片側の各流路構成部334〜336に配置される球が2個の場合には、上流側の球が下流側の球を見る遊技者の視線上に配置されることで、下流側の球の視認性が低下する可能性がある。そのため、球が確変検出センサSE11を通過するか、通常検出センサSE12を通過するかを知ろうと望む遊技者の、各流路構成部334〜336を流下する球に対する注目力を向上することができる。
第3の作動パターンでは、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて特定入賞口65aに入球可能なタイミングに制限が無いので、第2の作動パターンに比較して、各流路構成部334〜336の球の配置が無秩序になり易い。そのため、検出センサSE1の視認性は低下し易い。
一方で、特定入賞口65aに入球可能なタイミングに制限が無いことは、ラウンド遊技Rの進行を早期に行わせることができる効果がある。即ち、ラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)としての規定個数の球の入賞を早期に満たしやすく、大当たり遊技が間延びすることを回避することができる。
特に、特別図柄2の大当たりは、100%の確率でスライド変位部材370が作動パターンXで駆動制御されるため、特定入賞口65aに入球させれば、確変検出センサSE11を球が通過することが約束されている。この場合、検出センサSE及びスライド変位部材370への遊技者の注目力はそもそも低い。
従って、検出センサSE1の視認性が悪くなることを許容しても遊技者が感じる不利益は小さい。第3の作動パターンでは、検出センサSE1の視認性が悪くなることは敢えて許容しながら、大当たり遊技が間延びすることを回避することを優先することで、大当たり遊技の短時間での進行の実現を図り、大当たり遊技に対する遊技者の興趣の向上を図ることができるようにしている。
大当たり種別に関わらず、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段は、ラウンド間第1インターバル時間Int1(2.0秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、ラウンド間第1インターバル時間Int1の経過後に、2ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
2ラウンド目では、1ラウンド目の開始と同様に、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から開放状態へ変位させて特定入賞口65aを開放するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、開閉板65bに長時間動作を行わせる。2ラウンド目以降は、スライド変位部材370は前側位置で常時維持されるので、特定入賞口65aに入球した球は通常検出センサSE12を通過して排出される(図17参照)。
そして、2ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、2ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
以降は、2ラウンド目と同様に、各ラウンド遊技Rの間にラウンド間第1インターバル時間Int1を挟んで3ラウンド目〜最終ラウンド(4ラウンド目)のラウンド遊技Rが繰り返されて、開閉板65bが閉鎖状態および開放状態の間で変位し、特定入賞口65aを開閉するよう電磁ソレノイド165cが駆動制御される。
そして、最終ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間第1インターバル時間Int1およびエンディング時間ED(11秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cが駆動制御され、当該時間の経過に伴って大当り遊技が終了する。
なお、本制御例では、開閉板65bの短開放の変位動作や、スライド変位部材370の駆動制御を、1ラウンド目のみで実行する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、全ラウンドで実行するようにしても良いし、1ラウンド目以外のラウンド(例えば、3ラウンド目や、8ラウンド目や、12ラウンド目等)で実行するようにしても良い。
このように、本制御例によれば、開閉板65bの開放パターン(第1の作動パターン〜第3の作動パターン)の違いによって、開閉板65bへの球の入球態様を変化させ、各流路構成部334〜336及び第3流路構成部336の下流側に配置される検出センサSE1の視認性を異ならせることができる。これにより、第3流路構成部336の下流側に配置される検出センサSE1の球の通過に注目する遊技者に球の発射態様を工夫する意欲を生じさせることができる。
例えば、検出センサSE1の視認性の低下は、複数の球が各流路構成部334〜336に同時に配置されることにより生じる場合があるので、必要に応じて(例えば、第2の作動パターン又は第3の作動パターンの大当たり種別において)意図的に球の発射間隔を広げることで、検出センサSE1の視認性の低下を抑制することができる。なお、第1の作動パターンでは、特定入賞口65aへの入球が制限されることから、発射態様によらず、検出センサSE1の視認性の低下を回避することができる。
一方で、球の発射間隔を広げると特定入賞口65aに規定個数の球が入球するまでの期間が延びるので、ラウンド遊技Rが間延びする可能性がある。即ち、検出センサSE1の視認性を優先する遊技態様と、ラウンド遊技Rの間延びを回避することを優先する遊技態様とで、ラウンド遊技Rの遊技の仕方を遊技者に選択させることができる。
例えば、スライド変位部材370の変位を視認するために、ラウンド遊技Rの開始後、若干の期間(例えば、1.0秒間)を空けて、特定入賞口65aへの入球を生じさせるようにしても良い。この場合、スライド変位部材370の変位が生じるタイミング(作動パターンYの場合においてラウンド遊技R開始から0.8秒経過したタイミング)で第3流路構成部336に球が配置される状況を回避することができるので、スライド変位部材370の変位動作が球で遮られることを回避することができる。
一方で、球発射までの期間を空けるようにすると特定入賞口65aに規定個数の球が入球するまでの期間が延びるので、ラウンド遊技Rが間延びする可能性がある。即ち、検出センサSE1の視認性を優先する遊技態様と、ラウンド遊技Rの間延びを回避することを優先する遊技態様とで、ラウンド遊技Rの遊技の仕方を遊技者に選択させることができる。
例えば、本実施形態によれば、各流路構成部334〜336及びスライド変位部材370が左右対称に構成され、左右のどちら側からも、特定入賞口65aを通して球を入球させることができる。
即ち、例えば、上述した球の発射間隔を広げる発射態様や、球発射までの期間を空ける発射態様については左側での入球において維持し、右側での入球については任意の発射態様で球を発射するように遊技しても、上述と同様の効果を図ることができる。
具体的には、特定入賞口65aへ向けた球の発射を左右に打ち分けるような発射態様として、少なくとも1発目の球を右側へ発射し、何発目か(例えば2発目)の球を左側へ発射し、残りの球を右側へ発射するように打ち分ければ良い。
この場合、各流路構成部334〜336としての右側流路を流下する球には注目せず、左側流路を流下する球に注目することで、他の球に視線が遮られることを回避しながら、左側流路を流下する球が確変検出センサSE11を通過するか否かを視認することができる。加えて、この場合は、特定入賞口65aの右側部分へ向けて絶えず球を発射し続けているので、特定入賞口65aに規定個数の球が入球するまでの期間が延びることを回避でき、ラウンド遊技Rが間延びすることを回避することができる。
なお、この左右への球の発射の打ち分けは、左側流路への入球を1個にすることが目的ではない。特に、左側流路を何発目の球が通過しきるまでの約0.9秒間において左側の各流路構成部334〜336に配置される球の個数を1個に制限できれば良く、その他の期間においては左右流路に任意に球を入球させるように打ち分ければ良い。
これにより、本実施形態のように特定入賞口65aの上方の開放幅が長くは無い場合(例えば、電動役物140aの配置や釘配置(図2参照)から球の入球経路が少数の経路に限定される場合)においても、特定入賞口65aへ向かう球同士が衝突して一方が特定入賞口65aの左右外側に零れる事態の発生を抑制することができる。なお、図2では釘配置を左右非対称としたが、左右対称の釘配置としても良い。
次いで、遊技盤13の背面側に締結固定される動作ユニット500の構造について説明する。動作ユニット500は、遊技盤13のベース板60(図2参照)に背面側から締結固定されるユニットである。
図26は、動作ユニット500の正面斜視図であり、図27は、動作ユニット500の背面斜視図である。なお、図27では、背面ケース510の開口511aに配設される液晶表示装置(可変表示装置ユニット80)の図示が省略され、開口511aを通して奥側を視認可能に図示される。また、図26及び図27の説明においては、図2を適宜参照する。
動作ユニット500は、底壁部511と、その底壁部511の外縁から立設される外壁部512とから正面側が開放された箱状に形成される背面ケース510を備える。背面ケース510は、底壁部511の中央に矩形状の開口511aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口511aは、第3図柄表示装置81の表示領域の外形(外縁)に対応した(即ち、第3図柄表示装置81の表示領域を正面視で区切ることが可能な)大きさに形成される。
背面ケース510は、外壁部512の正面側端部に遊技盤13の背面に沿う(例えば、平行に配置される)平面板として延設され、組立状態(図2参照)において遊技盤13を面支持する支持板部513を備える。
支持板部513は、遊技盤13のベース板60に形成される嵌合凹部(図示せず)と嵌合可能な形状で正面側へ向けて突設される位置決め凸部513aと、ベース板60に締結される締結ネジを挿通可能に穿設される複数の挿通孔513bとを備える。
ベース板60の嵌合凹部に位置決め凸部513aを嵌合させることによりベース板60に対して背面ケース510を位置決めし、締結ネジを挿通孔513bに挿通し、ベース板60に螺入することにより、遊技盤13と動作ユニット500とを一体的に固定することができるので、遊技盤13及び動作ユニット500の全体としての剛性の向上を図ることができる。
なお、位置決め凸部513aの形状は何ら限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、ベース板60の嵌合凹部の内形(本実施形態では、円形または長円形)よりも若干小さな外形の凸部でも良いし、組み付け時の作業性を考慮して、嵌合隙間が大きくなるような形状(更に小さな外形)の突部でも良い。また、嵌合凹部の内形が矩形状に形成される場合には、それに対応して位置決め凸部513aの形状も矩形状とされることは当然想定される。
動作ユニット500は、遊技盤13の背面側に配置され、各種発光手段や、各種動作ユニットが内部に配設されている。即ち、動作ユニット500は、背面ケース510と、その背面ケース510の内側右部に配設される第1動作ユニット600と、背面ケース510の内側下部に配設される第2動作ユニット700と、背面ケース510の内側上部に配設される第3動作ユニット800と、を備える。なお、背面ケース510の内側左部には、LED等の発光手段を有する基板と、その基板を前側から覆うように配設され光透過性材料から形成されると共に全体に亘って光拡散加工が形成される拡散装飾板LB1とが配設される。
具体的には、第1動作ユニット600は、開口511aの右方位置において、第2動作ユニット700は、開口511aの下方位置において、第3動作ユニット800は、開口511aの上方位置において、それぞれ背面ケース510の底壁部511に配設される。まず、この動作ユニット500の動作制御の概要について説明する。
図28から図35は、動作ユニット500の動作の一例を示す動作ユニット500の正面図である。図28では、演出待機状態の各動作ユニット600〜800が図示され、図29では、各動作ユニット600〜800の演出待機状態から第1動作ユニット600が張出状態に変化した状態が図示され、図30では、各動作ユニット600〜800の演出待機状態から第2動作ユニット700が張出状態に変化した状態が図示される。
なお、図30では、第2動作ユニット700が、図29に図示される第2動作ユニット700とは覆設部材787の前側を向く面が異なる状態で図示される。
図28から図35では、センターフレーム86の内側形状が想像線で図示される。この内側においては背面側に配置される第3図柄表示装置81が良好に視認可能となるが、センターフレーム86の外方においては、ベース板60が透明な樹脂部材から構成されているとはいえ、ベース板60に配設される釘や各種入賞口63,64,65a,140等やスルーゲート67等(図2参照)に視界が遮られ易い。そのため、例えば、図28に示すようにセンターフレーム86の外方に配置されている状態において、各動作ユニット600〜800の正面視における視認性が下がり易い。
なお、動作ユニット500の構成に合わせる関係上、センターフレーム86の枠形状が図2に示すセンターフレーム86とは異なるが、その役割は同様である。また、第3動作ユニット800の手前側においてセンターフレーム86の内枠形状が下に張り出す湾曲形状となっているが、センターフレーム86の外枠まで下方に湾曲しているものではなく、センターフレーム86の内枠側において、第3動作ユニット800を前側から覆うように円形の透明な装飾薄板が張出形成されるものである。従って、センターフレーム86の上側に乗った球を左右両側へ転動させるという役割も、図2で示すものと同様であり、実際のセンターフレーム86の枠上部(外枠上部)は、第3動作ユニット800の上側を左右に跨ぐように配設される。
図31及び図32では、各動作ユニット600〜800の演出待機状態から第3動作ユニット800が張出状態に変化した状態が図示される。図31では、第1装飾部材870が前側を向いており第3動作ユニット800の個別合体状態が図示され、図32では、第2装飾部材880が前側を向いており第3動作ユニット800の一連合体状態が図示される。
図31の状態と図32の状態とが切り替えられる変位は、直動変位と回転変位とを組み合わせた変位態様で生じるので、第3動作ユニット800の演出待機状態において実行すると、周囲の装飾部材と装飾部材870,880とが衝突して不具合が生じることから、第3動作ユニット800の張出状態において実行される。
換言すれば、本実施形態では、第3動作ユニット800が張出状態(又は、演出待機状態から装飾部材870,880の衝突を回避するのに十分な程度で下降変位した状態)となり、装飾部材870,880の変位を仮想円800F(図32参照)において許容する状態となっていることを前提に、反転変位(切替回転動作)を実行するように音声ランプ制御装置113(図4参照)で制御されるが、詳細は後述する。
図33では、張出状態の第3動作ユニット800と、張出状態よりも若干下降変位した中間演出状態における第2動作ユニット700が図示され、図34では、図33の状態から第1動作ユニット600が中間演出状態に変位した状態が図示され、図35では、図33の状態から、第3動作ユニット800が演出待機状態へ変位し、第1動作ユニット600が張出状態に変位した状態が図示される。
図28から図35に図示されるように、第3動作ユニット800の変位軌跡と、第1動作ユニット600の変位軌跡または第2動作ユニット700の変位軌跡と、は正面視で部分的に重なる。そのため、例えば、第3動作ユニット800が張出状態(図31参照)の時に、第1動作ユニット600又は第2動作ユニット700が演出待機状態から状態変化すると、衝突する可能性がある。
これに対して、本実施形態では、第1動作ユニット600の演出待機状態からの状態変化を、第3動作ユニット800が演出待機状態であることを条件として実行可能に制御したり、第3動作ユニット800の演出待機状態からの状態変化を、第1動作ユニット600が演出待機状態であることを条件として実行可能に制御したりすることで、第1動作ユニット600と第3動作ユニット800とが正面視で重なることを避けることができる。従って、第1動作ユニット600及び第3動作ユニット800の配置自由度を向上することができる(前後位置が重なることを許容できる)。
更に、本実施形態では、第2動作ユニット700の張出状態への状態変化を、第1動作ユニット600及び第3動作ユニット800が演出待機状態であることを条件として実行可能に制御したり、第3動作ユニット800が張出状態である場合の第2動作ユニット700の配置を中間演出状態(図33参照)にしたりすることで、第2動作ユニット700が他の動作ユニット600,800と正面視で重なることを避けることができる。従って、各動作ユニット600〜800の配置自由度を向上することができる(前後位置が重なることを許容できる)。
特に、第2動作ユニット700の視認状態として、開口511aにより近い張出状態で視認させる場合と、開口511aから若干退くものの第3動作ユニット800と近接配置した状態で視認させる場合と、の複数の状態を構成することで、第2動作ユニット700の演出装置としての機能の向上を図っている。
図28から図35に示すように、第1動作ユニット600は、第3図柄表示装置81の右側において変位動作する。第1動作ユニット600の第2装飾回転部材660は略直方体形状の箱状部材661を備え、箱状部材661は、演出待機状態において斜め左方向へ向く第1演出面661aと、その第1演出面661aの裏面側に形成される第2演出面661bと、第1演出面661a及び第2演出面661bに隣設する面としての第3演出面661cと、を備えている。各演出面661a〜661cには、任意で図形、模様、文字等による装飾が施されている。
第1動作ユニット600の演出待機状態においては、第2装飾回転部材660は、第3図柄表示装置81の右側という、センターフレーム86の配置によって正面側からの視認性が低下し易い箇所に配置されているものの、第1演出面661aを遊技者側に斜めに向けた姿勢(矢印F−Bを基準として手前側の面が矢印L側に45度傾いた姿勢)とされているので、第3図柄表示装置81とセンターフレーム86の開口の枠内側から、そのセンターフレーム86と第3図柄表示装置81との隙間を通る斜め方向視で第2装飾回転部材660を視認する遊技者目線における第1演出面661aの視認性を向上することができる。
一方、第1動作ユニット600の張出状態においては、第2装飾回転部材660は、第3図柄表示装置81の正面に張り出すことで、センターフレーム86の枠内側を視認する遊技者に対して正対する。この場合には、第2装飾回転部材660は第2演出面661bを真正面に向けた姿勢とされているので、第2装飾回転部材660を視認する遊技者目線における第2演出面661bの視認性を向上することができる。
このように、第2装飾回転部材660は、配置に応じて遊技者に視認させる演出面661a〜661cを切り替え可能に構成され、且つ、遊技者に視認させる各演出面661a〜661cの視認性を向上する目的で、配置に応じて姿勢を切り替え可能に構成される。
換言すれば、ガラスユニット16(図1参照)と平行な平面的な姿勢変化に限らず、遊技者の視線との関係を意図した角度変化を付けるよう設計されている。即ち、センターフレーム86の枠中央側の配置となるほど遊技者の視線が前後方向となり正対し易いので、演出面が前方向(矢印F方向)を向く方が視認性を良くすることができ、一方でセンターフレーム86の枠付近の配置となるほど遊技者の視線が斜めになり易いので、演出面をその視線と正対させるために斜めにした方が視認性を良くすることができる。
第2装飾回転部材660の変位に伴い、張出装飾部652bが連動して変位する。張出装飾部652bは、板正面に図形や絵柄等の装飾がされており、第1動作ユニット600の演出待機状態(図28参照)及び中間演出状態(図34参照)では、背面ケース510の右上隅に配置されることで遊技者から視認されないように隠される。
一方、張出装飾部652bは、第1動作ユニット600の張出状態(図28参照)では、正面視で第3図柄表示装置81の表示領域の右縁と前後で重なるようにセンターフレーム86の枠内側に配置されることで遊技者が視認可能となるよう構成されている。
この状態において、張出装飾部652bの外形右端部は、第3図柄表示装置81の右縁よりも右側に位置する。そのため、張出装飾部652bの板正面の装飾を利用して、あたかも第3図柄表示装置81の表示領域が拡大しているように遊技者に錯覚させる表示演出を行うことができる。
詳述すれば、第3図柄表示装置81の表示を視認可能な領域の右縁は第1動作ユニット600に規定されており、第1動作ユニット600の演出待機状態においては、第2装飾回転部材660の第1演出面661aの左縁と、第3図柄表示装置81の表示を視認可能な領域の領域右端RE1とが概ね一致する。
これに対し、第1動作ユニット600の張出状態においては、領域右端RE1を右側に超えるようにして張出装飾部652bが配置される。そのため、第3図柄表示装置81の表示と、張出装飾部652bの板正面の装飾とを関連させたり、一致させたりすることで、あたかも、第3図柄表示装置81の表示領域が領域右端RE1を超えて拡大しているかのように、遊技者に視認させることができる。これにより、意外性のある演出を実現することができる。
上述の表示と装飾とを一致させる例としては、例えば、第3図柄表示装置81に水玉模様を表示し、且つ、張出装飾部652bの板正面の装飾を同様の水玉模様にする例や、第3図柄表示装置81に変動表示される数字(例えば、抽選の当否を報知するための数字)の書体と同様の書体で、張出装飾部652bの板正面に、とある数字が記載されるようにする例が例示される。
上述の表示と装飾とを関連させる例としては、例えば、第3図柄表示装置81に虹色を構成する7色の内の6色が表示され、且つ、張出装飾部652bの板正面が残りの一色で着色される例や、第3図柄表示装置81に領域右端RE1に右端を合わせるようにして配置される木の棒が表示され、且つ、張出装飾部652bの板正面に炎を模した装飾がされることで、第1動作ユニット600の張出状態において着火を連想させる例が例示される。
なお、張出装飾部652bの演出態様は一種類に限定されるものでは無く、張出装飾部652bの明るさを制御することで複数種類の演出態様を構成することができるが、張出装飾部652bの明るさを変える発光手段については後述する。
また、張出装飾部652bの代わりに正面側に表示面を有する小型の液晶装置を配設することで、その液晶装置の表示を複数種類で変化させることができるので、領域右端RE1を超えて表示領域を拡大する際の第3図柄表示装置81の表示態様が制限されることを回避することができる。
また、張出装飾部652bの装飾と関連させる対象は、表示に限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、張出装飾部652bの装飾と、第2動作ユニット700の部材(例えば、覆設部材787)に形成される装飾(第1装飾、第2装飾)とを関連させるようにしても良いし、張出装飾部652bの装飾と、第3動作ユニット800の部材(例えば、第1装飾部材870、第2装飾部材880)に形成される装飾(第1覆設部875の装飾、第2覆設部885の装飾)とを関連させるようにしても良い。
図36は、第1動作ユニット600の正面斜視図であり、図37は、第1動作ユニット600の背面斜視図である。第1動作ユニット600は、第2装飾回転部材660が姿勢変化しながら回転するという複雑な変位態様で構成され、併せて第1装飾回転部材650の張出装飾部652bが第2装飾回転部材660を基準に相対変位することで、変位の前後で異なった外観を遊技者に視認させることができるよう構成される。
図38は、第1動作ユニット600の分解正面斜視図であり、図39は、第1動作ユニット600の分解背面斜視図である。
図38及び図39に示すように、第1動作ユニット600は、背面ケース510に締結固定される被固定手段610と、その被固定手段610に回動可能に支持される回動部材620と、その回動部材620を回動させるための駆動力を伝達する駆動伝達装置630と、回動部材620の回動先端部に一側の端部が回動可能に支持される被支持部材640と、その被支持部材640の他側の端部に回転可能に配設される第1装飾回転部材650と、その第1装飾回転部材650に回転可能に支持される第2装飾回転部材660と、被固定手段610の下半部の正面側に固定される装飾固定部材670と、を備える。
被固定手段610は、背面ケース510の底壁部511に前後に対向配置されるベース部材611と、そのベース部材611の正面側に配置されベース部材611との間に空間を作りながらベース部材611に締結固定される前蓋部材612と、を備える。
前蓋部材612は、駆動伝達装置630を配置するための伝達用配置部613と、その伝達用配置部613の正面側において装飾固定部材670を固定するための固定用部614と、その固定用部614よりも内側において回動部材620を回転可能に支持するための支持締結部615と、被支持部材640の他側の端部を案内する長孔として形成される案内長孔616と、を備える。
案内長孔616は、直線部と曲線部とが混在する独自の形状から形成されるが、その詳細および作用については後述する。
回動部材620は、長尺板状に形成される本体部621と、その本体部621の一端部(下側端部)に配設され被固定手段610の支持締結部615に外嵌支持される筒状部622と、直線方向に延びる長孔として本体部621の中間部に形成される伝達長孔623と、本体部621の他端部(上側端部)に筒状部622の軸方向と平行な穿設方向で円形孔として穿設される円形貫通孔624と、その円形貫通孔624を中心とした円の一部に沿ってギア歯状に形成されるギア歯部625と、を備える。
筒状部622の周りにはトーションばねSP1が巻き付けられている。トーションばねSP1は、一方の腕部が本体部621の側壁に当接され、他方の腕部が前蓋部材612の突片に当接されるよう構成され、回動部材620を起こす方向(正面視時計回り方向)に付勢力が生じるよう構成されている。
なお、筒状部622の軸支においては、支持締結部615が筒状部622に挿通された状態で、支持締結部615の先端部に形成されている雌ネジ部に締結ネジが螺入される。これにより、回動部材620は支持締結部615に脱落不能に軸支される。
伝達長孔623は、駆動伝達装置630の円筒部634aが挿通される案内孔として機能し、円形貫通孔624は被支持部材640の筒状部642が回転可能に挿通固定される挿通孔として機能するが、詳細は後述する。
駆動伝達装置630は、前蓋部材612の正面側に締結固定される駆動モータ631と、前蓋部材612の貫通孔613aを通して背面側へ突き出される駆動軸に固着される駆動ギア632と、その駆動ギア632に噛み合う状態で前蓋部材612の筒状部613bに軸支される伝達ギア633と、その伝達ギア633に噛み合う状態で前蓋部材612の筒状部613cに軸支される伝達ギアカム634と、を備える。
なお、伝達ギア633及び伝達ギアカム634に筒状部613b,613cが挿通された状態で、筒状部613b,613cの先端部に形成されている雌ネジ部に締結ネジが螺入される。これにより、伝達ギア633及び伝達ギアカム634は前蓋部材612に脱落不能に軸支される。
前蓋部材612には、筒状部613cを中心とした円弧に沿って貫通形成される円弧状孔613dが形成されており、その円弧状孔613dには、伝達ギアカム634の偏心位置において正面側に円筒状に突設される円筒部634aが挿通される。
伝達ギアカム634は、伝達ギア633と歯合するギア部を備える回転部材であって、上述の円筒部634aと、その円筒部634aを含む角度位置から外径方向へ板状に延設される延設部634bと、を備える。
円筒部634aは、円弧状孔613dに挿通され、その正面側において回動部材620の伝達長孔623に挿通される。ここで、円弧状孔613d及び伝達長孔623の幅長さは、円筒部634aの外径よりも、若干長くなるように設計される。これにより、円筒部634aが円弧状孔613d及び伝達長孔623を摺動する際の摺動抵抗を低減することができる。
延設部634bは、前蓋部材612に締結固定されるフォトカプラ式の検出センサKS1の検出溝に進入可能に構成されている。これにより、検出センサKS1の出力の変化を読み取ることで、音声ランプ制御装置113(図4参照)が伝達ギアカム634の姿勢を把握可能に構成される。
被支持部材640は、長尺の本体部641と、その本体部641の背面側から回動部材620の円形貫通孔624に挿通可能な円筒形断面で突設される筒状部642と、その筒状部642と平行に突設される筒状部643と、その筒状部643に軸支された状態で回動部材620のギア歯部625と歯合可能に形成される中間ギア644と、その中間ギア644よりも背面側に穴あきの底部を有する大径の筒状に形成される有底筒状部645と、その有底筒状部645が配置される端部の反対側の端部において正面側に延設される延設支持部646と、を備える。
上述の構成により、回動部材620の回動変位に伴い、ギア歯部625と、中間ギア644との間で歯合による駆動力伝達を生じさせることができる。
なお、回動部材620及び中間ギア644に筒状部642,643が挿通された状態で、筒状部642,643の先端部に形成されている雌ネジ部に締結ネジが螺入される。これにより、回動部材620及び中間ギア644は被支持部材640の本体部641に脱落不能に軸支される。
有底筒状部645は、底部の背面側が前蓋部材612の正面側縁部に近接配置され、底部の正面側において中間ギア644と第1装飾回転部材650のギア歯654aとが歯合可能となるように周面部に形成される開口645aと、筒状中心を中心とした円形で貫通形成され円筒支持部651aを挿通可能とされる挿通孔645bと、を備える。なお、形状の詳細については後述する。
延設支持部646は、第2装飾回転部材660を回転可能に軸支するための支持部として機能するが、詳細は後述する。
第1装飾回転部材650は、直交する回転軸を形成する本体部材651と、その本体部材651と有底筒状部645との間に軸支される前側回転部材652と、その前側回転部材652の装飾部652bの背面側に固定され正面側にLED等の発光手段が配設される電飾基板653と、前側回転部材652と同軸で後側に締結固定される後側回転部材654と、本体部材651に正面側から締結固定され配線通しとしての円筒状空間を形成する配線受部材655と、その配線受部材655の正面側に配置され本体部材651に背面側から挿通される締結ネジが螺入されることで締結固定される前側装飾部656と、配線受部材655と本体部材651とにより形成される円筒状部に外嵌軸支される軸直角回転部材657と、を備える。
本体部材651は、背面側に筒状に延設される円筒支持部651aを備えており、その円筒支持部651aは、先端部の直径位置に一対の雌ネジ部651bが形成され、その雌ネジ部651bを通る平面の片側において壁部を削減するように切りかかれる切り欠き部651cを備える。
円筒支持部651aは、内部に電気配線を挿通可能な太さで形成されており、切り欠き部651cは、電気配線の入口を確保するための開口部としての機能を有する。
円筒支持部651aは、基端側から順に、前側回転部材652の中心孔、後側回転部材654の中心孔、有底筒状部645の挿通孔645b、段付きリング状のカラーC1及び前蓋部材612の案内長孔616に挿通され、その先端部の雌ネジ部651bに皿状蓋部C2に挿通された締結ネジが螺入されることで締結固定される。
即ち、上述した円筒支持部651a、前側回転部材652、後側回転部材654、有底筒状部645、カラーC1及び皿状蓋部C2は、前後方向に延びる軸線O1に同軸で支持され、案内長孔616に沿って変位可能に構成される。
皿状蓋部C2は、円周部の一部に開口C2aが形成されており、この開口C2aは組立状態において、本体部材651の切欠き部651cと対向配置されることで、電気配線の通り道を形成する。
この電気配線は、一部の配線は軸直角回転部材657の内部を通り、第2装飾回転部材660の内部に案内され、電飾基板662に配設されるコネクタに端子が接続される。また、その他の配線は、本体部材651と配線受部材655との間に形成される隙間(上側、即ち半筒形状部655aの上下反対側において本体部材651と対向配置される側に形成される隙間)を通り、張出装飾部652bの背後に案内され、電飾基板653のコネクタに端子が接続される。
後側回転部材654は、背面側端部の円周部に沿ってギア歯654aが形成されており、このギア歯654aと中間ギア644とが歯合可能に形成される。なお、ギア歯654aは、後述する動作に十分な配置として、全円周に亘ってでは無く、円周の一部に沿って形成される。
前側回転部材652は、傘歯車として形成されるギア歯652aと、径外方に張り出す張出装飾部652bと、を備える。張出装飾部652bの背面側には電飾基板653が締結固定され、電飾基板653に配置される発光手段からの光により張出装飾部652bを点灯させたり、点滅させたりする演出を実行可能とされる。
前側回転部材652は、後側回転部材654に締結固定されているので、後側回転部材654と前側回転部材652とは一体的に回転動作する。
軸直角回転部材657は、本体部材651の半筒形状部651dと、配線受部材655の半筒形状部655aとにより形成される円形筒状部に回転可能に支持され、前側回転部材652のギア歯652aと歯合可能な傘歯車として形成されるギア歯657aを備える。
このように構成することで、前側回転部材652の回転と連動して軸直角回転部材657が回転する。即ち、前側回転部材652、後側回転部材654及び軸直角回転部材657は、連動するが、動作の詳細については後述する。なお、ギア歯652a,657aは、後述する動作に十分な配置として、全円周に亘ってでは無く、円周の一部に沿って形成される。
第2装飾回転部材660は、軸直角回転部材657に締結固定される箱状部材661と、その箱状部材661の内部において箱状部材661に固定される電飾基板662と、箱状部材661と軸直角回転部材657との間に配設され半筒形状部651d,655aの先端部に締結固定される配線留め板663と、を備える。
本実施形態では、後述する箱状部材661の回転に伴って、電飾基板662も回転変位することになるので、電飾基板662のコネクタに案内される際に半筒形状部651d,655aの間を通過している電気配線が捻じれたり、配置が無秩序になったりする可能性があるところ、配線を仮留めする貫通孔を有する配線留め板663の機能により、配線の捻じれや、無秩序に配置されることからの回避を図っている。
なお、本実施形態では、電気配線が電飾基板662に固定されていることから、電気配線に捻じれが生じることは避けられない。一方で、第2装飾回転部材660の回転変位は、1回転以上の回転で生じるものでは無く、135度の回転角度で反転する回転変位であるので、電気配線に過度な負担がかかったり、電気配線がねじ切れたりする事態を回避することができる。
第2装飾回転部材660は、略直方体形状から形成され、最長辺を有する長方形側面の最長辺と平行な回転軸(半筒形状部651d,655aにより形成される回転軸)で回転可能に構成される。
軸直角回転部材657は、配線留め板663が抜け止めとして機能し、半筒形状部651d,655aに脱落不能に支持される。第2装飾回転部材660は軸直角回転部材657に締結固定されるので、第2装飾回転部材660が半筒形状部651d,655aから抜ける事態が発生することを回避することができる。
電飾基板662は、板の厚み方向と箱状部材661の厚み方向とが一致するよう配設されている。電飾基板662の厚み方向の側面において、表側に配設され厚み方向に光軸が向くLED等の発光手段により第1演出面661aが照らされ、裏側に配設され厚み方向に光軸が向くLED等の発光手段により第2演出面661bが照らされ、裏側(第2演出面661bを照らす側)に配設され幅方向に光軸が向くLED等の発光手段により第3演出面661cが照らされる。
このように、電飾基板662に配設される発光手段は、各演出面661a〜661cを個別に照らすように機能するが、第3演出面661cを照らすLEDが裏側(第2演出面661bを照らす側)に配設されていることで、第2演出面661bが正面側に配置される状態(第1動作ユニット600の張出状態)において第3演出面661c(上側を向く面)を照らすLEDを発光させた場合に、そのLEDの光軸から角度をつけて進行する光により第2演出面661bを照らすことができる。
即ち、電飾基板662の背後にLEDが配置される場合と異なり、光が電飾基板662に隠されることを回避することができるので、第3演出面661cを照らす光により第2演出面661bも照らすことができる。これにより、第2演出面661bを照らす演出態様の種類を増加させることができたり、発光演出時の第2演出面661bの明るさを向上させたりすることができる。
装飾固定部材670は、光透過性の樹脂材料から、装飾用の文字や図形が遊技者に視認可能に形成され、その背面側から斜め左前方に光を照射する電飾基板671を備えている。装飾固定部材670の配置は第3図柄表示装置81の右側で固定であり、装飾固定部材670に対する遊技者の視線は、常に斜め右側に傾斜した視線となる。即ち、電飾基板671から照射される光の方向を左側に傾斜させることで、遊技者の目が配置され易い側に光を照射することができる。
装飾固定部材670は、下縁部および右縁部が背面側に嵩上げ形成されており、上縁部および左縁部と前蓋部材612との間に前後隙間が形成される。この前後隙間は、回動部材620が傾倒変位する際に通る隙間として機能する。
図40は、演出待機状態における第1動作ユニット600の正面図であり、図41は、演出待機状態における第1動作ユニット600の背面図であり、図42は、図40の矢印XLII方向視における第1動作ユニット600の側面図である。なお、形状の理解を容易とするために、ベース部材611(図38参照)及び締結ネジの図示は省略している。
演出待機状態において、駆動伝達装置630の円筒部634aの変位開始方向SD1は、伝達長孔623の長手方向に沿う(例えば、平行となる)ように構成される。これにより、円筒部634aが伝達長孔623に摺動しながら変位開始する際の変位抵抗を低減することができる。即ち、変位開始時は、変位途中に比較して慣性の補助を得られず、駆動モータ631で発生させる必要のある駆動力が大きくなり易いところ、本実施形態のように変位抵抗を低減するように構成することで、変位開始時に駆動モータ631にかかる負担の低減を図ることができる。
また、同様のことが、張出状態(図45参照)における円筒部634aの変位開始方向SD2についても成立するように構成される。即ち、本実施形態では、回動部材620の両終端位置(演出待機状態の位置、張出状態の位置)における伝達長孔623に配置される円筒部634aの変位方向が、伝達長孔623の長手方向に沿う(例えば、平行となる)ように円筒部634aの変位(即ち、伝達ギアカム634の形状)が設計される。これにより、回動部材620の両終端位置からの変位開始時に駆動モータ631にかかる負担の低減を図ることができる。
図41に示すように、中間ギア644に両側から、回動部材620のギア歯部625と、第1装飾回転部材650のギア歯654aと、が噛み合う。本実施形態では、ギア歯部625の半径R1と、ギア歯654aの半径R2とが同じ長さで設計されているので、中間ギア644に対するギア歯部625の回転角度と、中間ギア644に対する後側回転部材654の回転角度と、は同角度とされる。
従って、後側回転部材654の回転角度を、中間ギア644とギア歯部625との間で生じる回転角度(角度θ)の設計次第で、変化可能に構成することができる。
図42に示すように、前側回転部材652のギア歯652aと、軸直角回転部材657のギア歯657aとが噛み合っており、前側回転部材652に伝達された回転駆動力が、回転軸の直交する第2装飾回転部材660に伝達される。
第2装飾回転部材660の回転角度はギア歯657aの回転角度と同様であり、ギア歯657aの回転角度は前側回転部材652のギア歯652aの回転角度に比例する。即ち、第2装飾回転部材660の回転角度は、中間ギア644とギア歯部625(図41参照)との間で生じる回転角度に比例する。
なお、本実施形態では、ギア歯657aの回転角度と、ギア歯652aの回転角度とが同じ(ギア比が1)となるように構成されるので、第2装飾回転部材660の回転角度は、中間ギア644とギア歯部625との間で生じる回転角度と同じとなる。
次いで、第1動作ユニット600の演出待機状態からの変位について、時系列で説明する。図43は、中間演出状態における第1動作ユニット600の正面図であり、図44は、中間演出状態における第1動作ユニット600の背面図である。また、図45は、張出状態における第1動作ユニット600の正面図であり、図46は、張出状態における第1動作ユニット600の背面図である。なお、形状の理解を容易とするために、ベース部材611及び締結ネジの図示は省略している。
演出待機状態と中間演出状態との間で、回動部材620の回動角度は19度に設定され、中間演出状態と張出状態との間で、回動部材620の回動角度は26度に設定されている。
第1動作ユニット600の中間演出状態では、第2装飾回転部材660の箱状部材661が、幅の狭い第3演出面661cを正面側に向けた姿勢とされる。第1動作ユニット600の張出状態では、第2演出面661bが正面側を向くように構成される(図45参照)。
図44に示すように、案内長孔616は、上端部から上下方向に延びる直線上に形成される直線状部616aと、その直線状部616aの下端部と連結され曲線上(略円弧形状)に形成される曲線状部616bと、を備える。
第1動作ユニット600の中間演出状態では、軸線O1が直線状部616aの下端位置、即ち、直線状部616aと曲線状部616bとの連結部分に配置されている。一方で、図46に示すように、第1動作ユニット600の張出状態では、軸線O1が曲線状部616bの下端位置に配置されている。
従って、演出待機状態と中間演出状態との間における軸線O1の変位は、直線状部616aに沿う直線状変位となり、中間演出状態と張出状態との間における軸線O1の変位は、曲線状部616bに沿う曲線状変位となるように構成される。
第1動作ユニット600は、上述のように状態変化可能に構成されており、その状態変化の基端側に配置されるのは回動部材620である。即ち、回動部材620が駆動伝達装置630からの駆動力を受けて変位し、その回動部材620の変位に被支持部材640、第1装飾回転部材650及び第2装飾回転部材660が従動する。
そのため、対策なしでは、案内長孔616に案内される部分の摺動変位によって案内長孔616との間で生じる変位抵抗が大きくなる可能性があるが、本実施形態では、回動部材620の変位方向に案内長孔616の長手方向が沿うように構成されることで、その抑制を図っている。
例えば、演出待機状態(図41)からの回動部材620のギア歯部625の変位は、下方へ傾動する変位であるところ、案内長孔616も下方に延びるように形成されている。また、例えば、張出状態(図46参照)からの回動部材620のギア歯部625の変位は右斜め上方向に起き上がる変位であるところ、案内長孔616も右斜め上に延びるように形成されている。
このように、回動部材620の変位方向と、案内長孔616の長手方向と、を沿わせるようにすることで、案内長孔616の内部を変位する部分(及び軸線O1)の変位抵抗を抑制することができる。
次いで、図47を参照して、案内長孔616の形状が及ぼす効果について他の効果も含めて説明する。図47は、回動部材620の回動変位に伴う被支持部材640の変位量および変位角度を模式的に示す模式図であり、図48(a)及び図48(b)は、回動部材620が角速度一定の態様で傾倒方向に回動した場合における被支持部材640の従動側の変位量の大小関係を示す模式図である。なお、数値の正負は、正が下方への変位量、負が上方への変位量として図示され、図48(b)では、図48(a)の数値が棒グラフとして図示される。
図47では、回動部材620の回動に伴う被支持部材640の支持位置の配置が、回動部材620の回動角度として10度間隔で図示されるており、第1動作ユニット600の張出状態における姿勢の回動部材620が実線で図示される。
図47において、角度θは、軸線O1及び円形貫通孔624の中心を結ぶ線分と、円形貫通孔624の中心および筒状部622の中心を結ぶ線分と、の間の角度として図示されている。
案内長孔616は、軸線O1が配設される被支持部材640の端部を案内する長孔として機能する。案内長孔616における変位は、回動部材620の円形貫通孔624に連結される被支持部材640の筒状部642が回動部材620の回動に伴って変位することにより生じる変位であるので、以下において、被支持部材640の筒状部642を被支持部材640の主動側とも称し、軸線O1が配設される被支持部材640の端部を被支持部材640の従動側とも称する。
回動部材620を中心とする動作の概要について説明する。回動部材620に支持される被支持部材640の上下変位は、回動部材620の回動による回動先端(被支持部材640の主動側)の上下変位と、被支持部材640の姿勢変位に伴う被支持部材640の従動側の上下変位とが合算された結果として生じる。
演出待機状態においては、被支持部材640が縦姿勢であることに加え、回動部材620の変位の速度成分が上下に比較して左右方向が大きい(回動腕の配置が鉛直から左右45度の範囲)。即ち、上下方向の変位としては、小さくなる条件が2重に揃っている。
これらは共に、張出状態においては逆になり、上下方向の変位が大きくなる条件が2重に揃うことになる。従って、下降変位開始時は速度が小であり、下降変位終端において速度が大という状況が生じ易い構成となっている。
次いで、回動部材620を中心とする動作の詳細について説明する。演出待機状態から張出状態へ向けた回動部材620の変位(傾倒変位)について説明する。回動部材620が傾倒変位する場合、被支持部材640の従動側は主に自重により変位する。
そのため、案内長孔616が鉛直方向に形成される場合、被支持部材640の従動側は勢いよく落下する可能性がある。一方で、本実施形態では、第1動作ユニット600を中間演出状態(傾倒変位の途中位置、図44参照)で停止させられる方が好ましい。
そこで、本実施形態では、案内長孔616の形状として、直線状部616aの下方に曲線状部616bを組み合わせる態様を採用している。これにより、直線状部616aを自重により被支持部材640の従動側が変位し曲線状部616bに進入する際に、被支持部材640の従動側にかかる変位抵抗の増加を図ることができる。これにより、被支持部材640の従動側が中間演出状態における配置を超えて勢いよく落下することを防止し易くすることができる。
直線状部616aにおける被支持部材640の従動側の変位について説明する。被支持部材640の従動側が直線状部616aを変位する際、被支持部材640の主動側が直線状部616aの延長線を跨ぐ。即ち、演出待機状態では被支持部材640の主動側は直線状部616aよりも右側に配置され(図41参照)、中間演出状態では被支持部材640の主動側は直線状部616aよりも左側に配置される(図44参照)。そのため、回動部材620が方向転換せずに傾倒変位する間に、被支持部材640の従動側は上下方向に往復変位する。
これにより、回動部材620の回動角度の大きさに比較して、被支持部材640の従動側の上下方向の変位を小さく維持することができるので、被支持部材640の従動側が直線状部616aに配置されている間において、被支持部材640が、あたかも被支持部材640の従動側を中心として回動変位しているような変位態様で遊技者に見せることができる。
この変位態様によれば、被支持部材640の従動側を中心とした回動変位による助走を利用して左右方向のスライド変位を生じさせることができるので、変位開始時から被支持部材640全体を左右方向にスライド変位させる場合に比較して、変位に要する負荷を低く抑えることができる。そのため、被支持部材640の動作開始時に要する負荷を低減することができ、駆動モータ631に要求される性能の程度を低くすることができる。これにより、駆動モータ631の低コスト化を図ることができる。
一方で、被支持部材640の従動側の変位が小さく抑えられていながら、回動部材620の回動変位に伴い被支持部材640の主動部の変位は十分に確保されており、被支持部材640の主動部を基準とした被支持部材640の従動側の回転方向は背面視反時計回り方向に維持される(方向が切り替えられることが無い)。これにより、上述のように、被支持部材640の姿勢変化の方向および第2装飾回転部材660の回転方向は切り替えられることなく(反転することなく)維持される。
これにより、遊技者に対して、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が往復動作(戻り動作)しているような印象を与えることを回避することができ、第2装飾回転部材660の変位態様を勢いのある変位態様とすることができる。
また、回動部材620の回動変位に伴う被支持部材640の主動部の変位が十分に確保されている状況下においても、被支持部材640の主動部の変位方向は水平方向成分が大きく、且つ、重力方向に沿う方向(下方)向きの変位であるので、回動部材620を変位開始させるために要求される負荷を低減することができ、駆動モータ631に要求される性能の程度を低くすることができる。これにより、駆動モータ631の低コスト化を図ることができる。
曲線状部616bにより生じる作用について説明する。直線状部616aと曲線状部616bとの連結部に被支持部材640の従動側が配置される状態が第1動作ユニット600の中間演出状態として規定されている。上述のように、演出待機状態から中間演出状態までの回動部材620の回動角度は19度である。そのため、被支持部材640の従動側が曲線状部616bに配置される状態は、おおよそ、図48の角度幅20度〜45度の範囲に対応する。
まず、前提として、案内長孔616に曲線状部を採用する必然性は無い。即ち、上述のように中間演出状態において変位抵抗を増加させるために屈曲するような箇所の採用の有無に関わらず、案内長孔616を直線状の部分のみで構成しても良い。
一方、本実施形態では、敢えて曲線状部616bを採用することにより、変位終端において被支持部材640の従動側の速度が過大となることの防止を図っている。これについて、以下で説明する。
直線状部616aに案内される場合も、曲線状部616bに案内される場合も、回動部材620に連結される被支持部材640の主動側が下方変位する際に、被支持部材640の従動側が下方変位することは同じである。
違いとして、曲線状部616bに案内される場合において、曲線状部616bの上半部では、被支持部材640の従動側が被支持部材640の主動側の変位向き(左向き)と相反する向き(右向き)に変位案内されるように曲線状部616bが形成され、曲線状部616bの下半部では、被支持部材640の従動側が被支持部材640の主動側の変位向き(左向き)に沿う向き(左向き)に変位案内されるように曲線状部616bが形成される。
これにより、被支持部材640の主動側の下方への変位量が大きくなる前(傾倒開始側)においても、被支持部材640の従動側の変位が左右に振られていることで、被支持部材640の従動側の変位速度を大きく確保することができる。
これにより、回動部材620の傾倒変位の変位終端において被支持部材640の従動側の変位速度が過大となることを防止することができる。即ち、被支持部材640の従動側を特定の初期位置から終端位置まで任意の経路で上下変位させる場合、変位に要する時間が同じであれば、上下方向の速度を積分した結果は等しくなるので、変位開始時にゆっくりと変位する場合には、終盤に変位速度が大きくなる。
図47に比較として図示する上下方向に延びる直線上に案内される仮想軸線OE1に被支持部材640の従動側が配置される場合、回動部材620の傾倒変位開始側から、変位速度が漸増することになり、被支持部材640の変位終端(変位下端)において最大となる。換言すれば、回動部材620が10度回転して変位下端に到達する間の案内長孔616に案内される軸線O1の上下変位量UX1に比較して、同じ間の仮想軸線OE1の上下変位量UE1は大きくなる。
そのため、仮想軸線OE1の変位態様では、被支持部材640の従動側が跳ね戻る動作をする可能性があり、被支持部材640を変位下端で停止させる演出を行う場合には、第1動作ユニット600の演出に悪影響を与える。
これに対し、本実施形態では、案内長孔616に曲線状部616bを採用することで、被支持部材640の従動側の変位速度が大きくなる範囲を回動部材620の傾倒変位の変位開始側にも割り振るよう図っており、被支持部材640の従動側の変位速度の均一化を図っている。
この場合の均一化とは、変位の全範囲に亘って速度を同一となるように寄せることを意味するものばかりでは無く、速度の大小幅を抑制することを含む意味で用いられる。特に、本実施形態では、回動部材620の傾倒変位において、曲線状部616bへの進入開始側において被支持部材640の従動側の変位速度が漸増し、曲線状部616bの下半部に進入開始してから被支持部材640の従動側の変位速度が漸減するよう構成されている。
即ち、曲線状部616bに被支持部材640の従動側が案内されている場合において、被支持部材640の従動側の変位速度に速度差を設けることで、被支持部材640の変位が単調となることを回避することができる。
更に、曲線状部616bの下端側部において被支持部材640の従動側に要求される速度、即ち、単位時間に要求される変位量を小さくすることにより、回動部材620を上方へ動作(起き上がり動作)させる場合の駆動開始時に、単位時間に被支持部材640の従動側を持ち上げる変位量を小さくすることができるので、駆動モータ631にかかる負担を軽減させることができる。
次いで、図49を参照して、回動部材620の回動変位に伴う第2装飾回転部材660の回転について説明する。図49は、回動部材620の回転に伴う角度θ[度]の変化を示す模式図である。
角度θは、円形貫通孔624を中心とする回動部材620と被支持部材640との相対回転角度と同一視でき、第2装飾回転部材660の回転に直結する。即ち、角度θの大小に対応して、第2装飾回転部材660の回転角度の大小が規定される。
なお、本実施形態では、回動部材620のギア歯部625と第1装飾回転部材650のギア歯654a(図39参照)との回転伝達比、及びギア歯652aと軸直角回転部材657のギア歯657a(図38参照)との回転伝達比、が共に1に設定されている。そのため、角度θと、軸直角回転部材657との回転角度とは同一となることから、角度θの変化を、第2装飾回転部材660の姿勢の変化として把握することができる。
角度θの変化は、第1動作ユニット600の演出待機状態(図41参照)から第1動作ユニット600の中間演出状態(図44参照)までが45度であり、第1動作ユニット600の中間演出状態から第1動作ユニット600の張出状態(図46参照)までが90度である。
演出待機状態では、第2装飾回転部材660は第1演出面661aを45度だけ左方(第3演出面661cを45度だけ右方)に傾けた姿勢とされているので、角度θの変化に従って、状態が中間演出状態、張出状態と順に切り替えられるごとに、第2装飾回転部材660が45度回転することで第3演出面661cが正面側に向き(図43参照)、次いで第2演出面661bが正面側を向く(図45参照)。
角度θの設定は、被支持部材640の姿勢を規定するための案内長孔616の設計により実現されている。即ち、本実施形態では、第2装飾回転部材660の配置および角度θに応じた第2装飾回転部材660の姿勢の両方を満たすように案内長孔616が設計されている。
これにより、本実施形態のように、検出センサKS1として回動部材620の配置を検出するセンサしか配設しない場合であっても、検出センサKS1の出力を基にして第2装飾回転部材660の配置および姿勢を音声ランプ制御装置113(図4参照)が判定することができる。
即ち、検出センサKS1の検出溝に伝達ギアカム634の延設部634bが配置されていれば第1動作ユニット600の演出待機状態(図41参照)であると判定でき、その状態からの駆動モータ631の回転角度から回動部材620の回動角度、第2装飾回転部材660の配置および姿勢を判定することができる。
ここで、角度θの変化量は、回動部材620の回動角度量に比例するものではない。そのため、駆動モータ631の回転角度から第2装飾回転部材660の配置および姿勢を判定する際には、駆動モータ631の回転角度から比例計算で数値を求めれば良いわけではない。また、これにより、回動部材620を一定速度で回動する場合にあっても、第2装飾回転部材660の回転速度が一定となることを避けることができる。以下、このことについて説明する。
角度θの変化は、被支持部材640の従動側の変位速度の変化量の大小変化と概ね同様である。即ち、演出待機状態から中間演出状態までの角度変化(回動部材620が5度回動する間に約13度)に比較して、中間演出状態から張出状態までの角度変化の方が概ね大きい(被支持部材640の従動側が曲線状部616bの上半部に配置される間において、回動部材620が5度回動する間に約20度)。
一方で、中間演出状態から張出状態までの角度変化は、被支持部材640の従動側が曲線状部616bの下半部への進入位置程度から漸減し、最終的には演出待機状態から中間演出状態までの角度変化の水準以下になる(約7度まで低下する)。
このように、回動部材620の単位角度あたりの回動に対する角度θの数値が大小で変化するように構成されることで、同様に第2装飾回転部材660の回転角度の大小が変化するように構成することができる。即ち、角度θの数値が小さい範囲では、第2装飾回転部材660の回転角度が小さくなり易く、その姿勢を維持し易い状態とできる一方で、角度θの数値が大きい範囲では、第2装飾回転部材660の回転角度が大きくなり易く、遊技者側に向ける面(演出面661a〜661c)を迅速に変化させ易い状態とすることができる。
上述の構成から、第2装飾回転部材660の変位動作に緩急を形成することができる。第2装飾回転部材660の変位動作では、上述の通り、被支持部材640の変位に伴う配置変更および姿勢変更と、半筒形状部651d,655aにより形成される筒状部の中心に形成される回転軸を中心とした回転変位と、が同時に実行される。
半筒形状部651d,655aにより形成される筒状部を中心とした回転変位の回転角度(角速度)は、被支持部材640の従動側が案内長孔616の直線状部616aから曲線状部616bに進入するタイミングで目立って大きくなる。
即ち、傾倒変位において、中間演出状態に到達するまでは第2装飾回転部材660の回転角度は抑えられており、中間演出状態における被支持部材640の従動側の配置から多少上下(跳ね戻り)したとしても、第2装飾回転部材660が第3演出面661cを正面側に向ける状態(図43参照)での維持を図ることができる。
一方、中間演出状態から被支持部材640の従動側が下方へ変位すると、回動部材620が一定速度で回動する場合の第2装飾回転部材660の回転速度は増大し、回転方向の姿勢変化が目立って視認される。即ち、遊技者に対して、第2装飾回転部材660が瞬時に回転変位しているように視認させることができる。
なお、本実施形態では、回動部材620の回動終端(変位下端)において第2装飾回転部材660の第2演出面661bが正面側に向けられ、装飾固定部材670と近接配置された状態で一体的に視認される関係上(図28参照)、回動部材620が変位下端に配置された状態から被支持部材640の従動側が上方へ跳ね戻ることを防止できることが望ましい。
これに対し、本実施形態では、上述のように案内長孔616の曲線状部616bbを構成することで、被支持部材640の従動側の変位速度を均一化しているので、回動部材620が変位下端に配置された状態における被支持部材640の従動側の変位速度が過大となることを予め防止することができ、被支持部材640の跳ね戻りを防止することができる。
このように変位速度が均一化されていることに加え、回動部材620の下降変位終端における被支持部材640及び第2装飾回転部材660の中心部の配置(例えば、筒状部643の配置)が、回動部材620の回転軸としての支持締結部615に最接近するよう構成されている。これにより、回動部材620の回動先端側に支持される被支持部材640や第2装飾回転部材660の重量により回動部材620の回動先端が暴れることを回避でき、回動部材620の回動変位を安定させることができる。
加えて、曲線状部616bの下半部は、回動部材620の変位下端において被支持部材640の従動側の、回動部材620の円形貫通孔624を中心として跳ね戻る方向(左上方向)への変位を好適に妨害するように構成される。即ち、曲線状部616bの下半部は、左上方向に傾斜する方向が短手方向となっており、この方向への被支持部材640の従動側の変位を抑制することができるので、被支持部材640の跳ね戻りを防止することができる。
換言すれば、本実施形態では、被支持部材640の主動側の変位に追従して被支持部材640の従動側が変位する際の変位方向と、被支持部材640の主動側が変位終端で停止した場合における被支持部材640の従動側の変位方向と、が異なる。
前者は、案内が無ければ被支持部材640の主動側の変位方向(回動部材620の回動方向)に沿って左下方への変位となると想定されるが、本実施形態では、案内長孔616に案内されることで、案内長孔616に沿う方向として左右方向に若干振られ、下方へ変位する。
一方、後者は、被支持部材640の主動側を中心とした円上の軌道となるので、案内長孔616を沿う方向ではなく、案内長孔616の短手方向に沿う変位方向となる。これにより、被支持部材640の従動側の変位を抑制することができ、被支持部材640の跳ね戻りを防止することができる。
回動部材620の起き上がり方向変位の特徴について説明する。第1動作ユニット600の張出状態から演出待機状態への状態変化において、回動部材620は起き上がり方向に変位する。
回動部材620を起き上がり変位させる際に要する負荷(即ち、駆動モータ631で生じる駆動力)は、主に、回動部材620、被支持部材640及び被支持部材640に配設される第1装飾回転部材650及び第2装飾回転部材660を上昇変位させることと、第2装飾回転部材660を回転させることとに利用される。
即ち、第2装飾回転部材660の回転角度が小さいほど、回動部材620を起き上がり変位させる際に要する負荷を低減することができる。
ここで、図49に示すように、本実施形態では、第1動作ユニット600の張出状態から回動部材620が回動変位を開始する時点において、第2装飾回転部材660の回転角度に比例する角度θの値が最低となるように設計されている。そのため、回動部材620を起き上がり変位させる際に要する負荷の低減を図ることができる。
回動部材620の起き上がり方向変位の上昇変位終端において、被支持部材640の延設支持部646を中心とした第2装飾回転部材660の回転軸が、回動部材620の長手方向と沿う姿勢(上下方向を向く姿勢)で配置される。
そのため、回動部材620の上昇変位終端において第2装飾回転部材660の回転変位が停止される際に第2装飾回転部材660の回転方向の慣性力として回動部材620に与えられる負荷を、回動部材620が長手方向を軸としてねじられる態様の負荷として生じさせることができ、回動部材620はその負荷を長手方向に分散させることで局所的には僅かな弾性変位で耐えることができる。
そのため、第2装飾回転部材660の回転軸が回動部材620の長手方向と正面視で直交する場合に比較して、回動部材620が折れるように破損する事態を回避し易くすることができる。加えて、回動部材620の過度な弾性変位は、前蓋部材612との当接により抑制され、回動部材620で受けきれない負荷に関しては前蓋部材612が弾性変形することにより耐えるよう構成できるので、回動部材620の破損を防止することができる。
張出装飾部652bの変位について説明する。張出装飾部652bは軸線O1を中心に回転変位する部材であって、その回転角度は上述の角度θに対応する。従って、演出待機状態から張出状態への変化のように、被支持部材640の従動側の配置変化が小さい場合であっても、角度θが変化していれば張出装飾部652bは回転する。
演出待機状態から張出状態までの角度θの変化は約135度であり、張出装飾部652bは約45度で回転している。ここで、演出待機状態から張出装飾部652bが45度も反時計回りに回転すると、組立状態(図28参照)において他の動作ユニット800(左右の固定装飾部材)と衝突するように感じるが、本実施形態では、張出装飾部652bの回転の基準となる被支持部材640自体が時計回りに回転する態様で姿勢変化しているので、他の動作ユニット800(左右の固定装飾部材)に衝突することを回避することができる。
換言すれば、張出装飾部652bが被支持部材640を基準として変位可能に構成されることで、張出装飾部652bの変位に要するスペースを削減することができる。
例えば、張出装飾部652bが第1動作ユニット600の張出状態において被支持部材640を基準として固定配置される部分である場合、被支持部材640が張出状態の配置から演出待機状態の配置に変化すると、張出装飾部652bは被支持部材640の左上側に張り出し、他の動作ユニット800に衝突したり、第3図柄表示装置81の表示領域の正面側に張り出し表示を部分的に隠したり、という演出に対する悪影響を及ぼす可能性がある。
これに対し、本実施形態では、被支持部材640の従動側を基準として、被支持部材640の主動側の回転方向とは逆方向に、張出装飾部652bが回転変位するので、被支持部材640が第3図柄表示装置81側に張り出す際には連動して張り出し、被支持部材640が第3図柄表示装置81から退避する側に変位する際には連動して退避する。そのため、退避した状態における張出装飾部652bの配置を、第3図柄表示装置81から離れる側に形成することができる。
遊技者目線における、被支持部材640を基準とした張出装飾部652bの回転角度は、角度θの変化と、被支持部材640の姿勢変化と、の差によって求めることができる。即ち、角度θの変化幅である約135度と、被支持部材640の姿勢変化角度である約90度の差としての45度となる。
ここで、本実施形態では、角度θの変化と、被支持部材640の姿勢変化と、の差が、回動部材620の配置に関わらず等しいよう構成される。即ち、図47に示すように、角度θを、水平線の下側の角度a1,a2と、水平線の上側の角度b1,b2と、で分けた場合に、角度θと、被支持部材640の姿勢変化と、の差は、((a1+b1)−(a2+b2))−(b1−b2)=(a1−a2)と求められ、これは回動部材620の回動角度に等しい。
従って、被支持部材640の姿勢を基準とした張出装飾部652bの回転角度が、回動部材620の回動角度と等しくなるので、回動部材620を角速度一定で回動変位させると、被支持部材640の変位速度は一定ではないにも関わらず、被支持部材640の姿勢を基準とした張出装飾部652bの回転の角速度が一定となる。
そのため、遊技者に対して、被支持部材640に配設される張出装飾部652bが回動部材620を駆動させる駆動モータ631とは別の駆動手段で、一定角速度で駆動されているかのように視認させることができる。
このように構成することで、張出装飾部652bの被支持部材640を基準とした変位が、遊技者目線で、スライド移動である区間があったり、回転移動がある区間があったりするように見せることができ、張出装飾部652bの変位態様を、あたかも機械では無いような柔らかい変位態様として視認させることができる。
この作用は、被支持部材640の変位として、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が大きい区間と、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が小さい区間とを切り分けて設計することで実現することができる。即ち、張出装飾部652bは、回動部材620の回動角度に応じて被支持部材640に対して回転するところ、遊技者目線では、張出装飾部652bの変位が被支持部材640の変位として支配的となる側に影響される。
従って、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が大きい区間では張出装飾部652bが回転変位しているように視認させることができ、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が小さい区間では張出装飾部652bがスライド変位しているように視認させることができる。
上述したように、回動部材620は、演出待機状態、中間演出状態および張出状態を構成するように回動変位可能とされ、一方の変位終端から他方の変位終端へ変位する場合について説明したが、変位範囲の途中位置で逆方向へ変位するように駆動方向を切り替えても良い。
例えば、演出待機状態から中間演出状態まで回動部材620を回動変位させた後で、駆動モータ631の駆動方向を反転させることで、演出待機状態に戻すように制御しても良い。この場合、回動部材620を下降途中で停止させる必要があるので、停止位置を正確にするためには、回動部材620の回動速度を低めに設定させる必要が生じる可能性がある。
一方で、本実施形態では、演出待機状態に比較して、中間演出状態付近において角度θ(図49参照)の数値が増大傾向に変化する。角度θの大小は、上述のように、第2装飾回転部材660の回転の大小に対応する。
従って、第2装飾回転部材660の回転量が増大する中間演出状態付近において、駆動力の内で第2装飾回転部材660に振り分けられる分が多くなることから、相対的に、回動部材620の回動変位に振り分けられる分を少なくすることができ、自動的に回動部材620の回動変位を抑制することができる。
換言すれば、第2装飾回転部材660の回転量が増大することに伴って、回動部材620の回動速度を低下させることができるので、予め回動部材620の回動速度を低めに設定しておかなくとも、中間演出状態付近において回動部材620を停止させ易くすることができる。
次いで、第2動作ユニット700について説明する。第2動作ユニット700は、背面ケース510の開口511aよりも下側において底壁部511に締結固定される動作ユニットであって、第3図柄表示装置81(図28参照)を見る遊技者の視界を確保するために開口511aよりも下側に退避する演出待機状態(図28参照)と、第3図柄表示装置81の正面側に配置され注目を集める張出状態(図30参照)と、その間の状態としての中間演出状態(図35参照)とで、主に状態が切り替えられる。
図50は、背面ケース510及び第2動作ユニット700の分解正面斜視図であり、図51は、背面ケース510及び第2動作ユニット700の分解背面斜視図である。図50及び図51では、主に昇降反転演出装置770の周辺の部材が分解された状態で図示され、昇降反転演出装置770については非分解の状態で図示される。
図50及び図51に示すように、第2動作ユニット700は、背面ケース510の右下隅部に締結固定される右側前板部材710と、その右側前板部材710と背面ケース510との間に配置され背面ケース510の円筒状突設部511bを中心に回動可能とされる回動アーム部材720と、その回動アーム部材720に駆動力を伝達可能に構成される駆動伝達装置730と、回動アーム部材720の先端部が案内可能に連結され昇降変位可能に構成される昇降板部材740と、その昇降板部材740の背面側において背面ケース510の左下隅部に締結固定される左側後板部材750と、左右一組で構成され右側前板部材710及び左側後板部材750の前側に締結固定される一組の前側支持部材760と、金属棒702の前側において背面ケース510に締結固定される目隠し装飾部材768と、昇降板部材740及び前側支持部材760に昇降変位と前後方向変位とを組み合わせた態様で変位可能に構成される昇降反転演出装置770と、を備える。
右側前板部材710は、駆動伝達装置730の各構成を支持する伝達支持部711と、左縁部において背面側から凹設され背面ケース510との間に隙間を形成する隙間形成部712と、駆動伝達装置730の被検出部735の配置を検出するために配設される複数(本実施形態では3個)の検出センサ713と、左側部前側において上側へ向かう程に正面側に向かう態様で傾斜形成され昇降反転演出装置770の回転筒部774eを案内可能に形成される前上傾斜部714と、背面ケース510の背面側から挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部が形成される複数の被締結部718と、を備える。
検出センサ713は、フォトカプラ式の複数のセンサが、被検出部735が進入可能となる位置に検出溝を配置するようにして、間隔を空けて配設されている。各検出センサ713は、それぞれ、第2動作ユニット700の演出待機状態における被検出部735の位置、第2動作ユニット700の中間演出状態における被検出部735の位置、第2動作ユニット700の張出状態における被検出部735の位置、に合致するように配設される。
即ち、検出センサ713は、第2動作ユニット700が演出待機状態か、中間演出状態か、張出状態か、により出力を切替可能に構成されており、その出力結果から音声ランプ制御装置113(図4参照)が第2動作ユニット700の状態を把握可能に構成される。
回動アーム部材720は、背面ケース510の底壁部511から正面側に円筒形状に突設される円筒状突設部511bに軸支され、正面視くの字形状の長尺板状に形成される本体部721と、その本体部721の屈曲部において後方へ向けて円筒状に突設され内周側形状が円筒状突設部511bを挿通可能な大きさで形成される支持筒部722と、本体部721の右側端部において長尺方向に沿って長孔状に穿設される長孔部723と、本体部721の左側端部において前方(円筒状突設部711aの突設方向と平行な方向)へ向けて円筒状に突設され内周側に雌ネジが形成される円筒状被締結部724と、その円筒状被締結部724と支持筒部722との中間位置において後方へ円筒状に突設され内周側に雌ネジが形成される円筒状被締結部725と、支持筒部722の周囲に巻き付けられ背面ケース510との間で本体部721に上昇方向(左側部を持ち上げる方向)の付勢力を与えるトーションばねSP2と、を備える。
本体部721の左側部は、支持筒部722の基端側部に比較して正面側に配置がずれるように段が形成されており、その段により背面側に形成される隙間部に支持板701が配設される。
支持板701は、背面ケース510の底壁部511に締結固定される板状部であり、円筒状被締結部725を案内可能に穿設される円弧状の長孔部701aを備える。長孔部701aにリング状のカラーC3を挟んで挿通される締結ネジが円筒状被締結部725に螺入されることで、円筒状被締結部725を介して回動アーム部材720は支持板701に脱落不能に支持される。
支持板701は背面ケース510の底壁部511に締結固定されるので、回動アーム部材720の左側部は背面ケース510から正面側へ離間変位することが制限される。これにより、回動アーム部材720の左側にかけられる荷重により回動アーム部材720が正面側に傾倒する変位が生じることを防止することができるので、回動アーム部材720の変位を安定的に支持することができる。
本体部721の右側部は、背面ケース510と隙間形成部712との間の隙間に配置される。即ち、本体部721の右側部の前後方向の変位は、背面ケース510と隙間形成部712とにより制限される。
長孔部723は、幅中心を通り長尺方向に延びる直線が支持筒部722の中心を通る形状で形成される。従って、長孔部723に与えられる負荷が長孔部723の長尺方向を向く場合には、その負荷の回動アーム部材720の回動方向成分は0となる。
駆動伝達装置730は、回動アーム部材720の長孔部723を介して駆動力を伝達する装置であって、右側前板部材710に前側から締結固定される駆動モータ731と、その駆動モータ731の駆動軸に固定される駆動ギア732と、その駆動ギア732に歯合される伝達ギア733と、その伝達ギア733に歯合されるギアカム部材734と、を備える。
伝達ギア733及びギアカム部材734は、対応する位置において右側前板部材710の背面側に円筒状に突設される複数の円筒状突設部711aにそれぞれ軸支される。円筒状突設部711aの内周側には雌ネジが形成されており、伝達ギア733やギアカム部材734の軸孔に挿通される締結ネジが螺入可能となっている。これらの締結ネジが螺入固定されることで、伝達ギア733やギアカム部材734が円筒状突設部711aに脱落不能に軸支される。
伝達支持部711は、上述の円筒状突設部711aと、ギアカム部材734を軸支する円筒状突設部711aを中心とした円弧状に穿設される円弧状孔711bと、を備える。
ギアカム部材734は、回転軸部を中心とした円弧形状で正面側へ突設され円弧状孔711bに挿通可能に形成される被検出部735と、ギア部よりも長径となるように延設される延設部736と、その延設部736の先端部から背面側へ円筒状に突設される円筒状突設部736aと、を備える。
被検出部735は、右側前板部材710の検出センサ713の検出溝に配置可能に形成されており、検出センサ713からの出力によってギアカム部材734の姿勢を音声ランプ制御装置113(図4参照)が検出可能にするための部分として構成される。
円筒状突設部736aは、回動アーム部材720の長孔部723に挿通可能に形成されており、円筒状突設部736aの変位が長孔部723を介して回動アーム部材720に伝達される。
円筒状突設部736aの内周側には雌ネジが形成されており、リング状のカラーC3の中心孔に挿通される締結ネジが螺入可能となっている。この締結ネジが螺入固定されることで、回動アーム部材720が円筒状突設部736aに脱落不能に連結される。
昇降板部材740は、回動アーム部材720の回動に伴い昇降変位する部材であって、左端側に配置され上下方向に案内される被案内部材741と、その被案内部材741の下端側に締結固定される左右に長尺の横長部材742と、を備える。
被案内部材741は、背面ケース510に長尺方向を上下方向に揃えた姿勢で固定される金属棒702が挿通可能に形成され、金属棒702に沿った上下方向変位が可能とされる。被案内部材741の左右両側から背面側へ突設される突条部の先端が背面ケース510の底壁部511と当接することで、被案内部材741の軸回転が規制されることになり、被案内部材741の姿勢の安定化が図られている。
被案内部材741の姿勢が安定化されることに伴い、その被案内部材741に締結固定されている横長部材742の姿勢の安定化が図られている。
横長部材742は、回動アーム部材720の円筒状被締結部724が挿通可能な上下幅で左右に長尺の長円形状で穿設される長孔部743と、その長孔部743の上側において正面側に円筒状に突設される円筒状部744と、その円筒状部744を基準として左右に等距離だけ離れた位置における底部の下方に配設される一対の案内部745と、を備える。
長孔部743にリング状のカラーC3を挟んで挿通される締結ネジが円筒状被締結部724に螺入されることで、円筒状被締結部724を介して昇降板部材740は回動アーム部材720に脱落不能に支持される。
円筒状部744は、昇降反転演出装置770の挿通筒状部773が挿通され、昇降反転演出装置770を前後変位可能な状態で支持する部分である。即ち、昇降反転演出装置770は、昇降板部材740に固定されるのではなく、昇降板部材740を基準とした前後変位が可能な態様で昇降板部材740の正面側に配設される。
円筒状部744及び挿通筒状部773の周囲を巻くようにコイルスプリングCS2が配設される。コイルスプリングCS2の付勢力は、昇降板部材740と昇降反転演出装置770とを引き離す方向に作用する。
案内部745は、左右一対で構成されており、前後に長尺の板部745aと、その板部745aから左右外側へ突設される前後一対の軸部に回転可能に軸支される回転筒部745bと、を備える。
回転筒部745bは、上述した昇降反転演出装置770が前後変位する際に回転し、前後方向変位を案内する部分として機能するが、詳細は後述する。
左側後板部材750は、右側前板部材710の前上傾斜部714と同様に、右側部前側において上側へ向かう程に正面側に向かう態様で傾斜形成され昇降反転演出装置770の回転筒部774eを案内可能に形成される前上傾斜部751と、背面ケース510の背面側から挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部が形成される複数の被締結部752と、を備える。
目隠し装飾部材768は、光透過性の樹脂材料から立体形状に形成される立体装飾部768aを備え、その立体装飾部768aの背面側にはLEDが正面側に固定される基板が配置されており、LEDから照射される光で立体装飾部768aを光らせることができるよう構成される。
前側支持部材760は、それぞれ、締結ネジが挿通される挿通孔を有して構成される固定用板部761と、その固定用板部761の左右内側に隣設配置され板背面が上側へ向かう程に正面側に向かう態様で傾斜形成される受傾斜部762と、を備える。
固定用板部761は、挿通孔に正面側から挿通される締結ネジが、対応する雌ネジ部に螺入されることで右側前板部材710又は左側後板部材750の正面側に締結固定される板部である。
この固定位置において、受傾斜部762は、前上傾斜部714,751の前方に配置される。即ち、受傾斜部762及び前上傾斜部714,751により案内経路が形成され、この案内経路に昇降反転演出装置770の回転筒部774eが案内されることで、昇降反転演出装置770は前後方向に変位しながら昇降変位するよう構成されている。以下、この昇降変位について説明する。
図52(a)は、図28のLIIa−LIIa線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図であり、図52(b)は、図28のLIIb−LIIb線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図である。図52(a)及び図52(b)では、第2動作ユニット700の演出待機状態が図示される。
図53(a)は、図33のLIIIa−LIIIa線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図であり、図53(b)は、図33のLIIIb−LIIIb線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図である。図53(a)及び図53(b)では、第2動作ユニット700の中間演出状態が図示される。
図54(a)は、図30のLIVa−LIVa線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図であり、図54(b)は、図30のLIVb−LIVb線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図である。図54(a)及び図54(b)では、第2動作ユニット700の張出状態が図示される。
図52から図54に示す第2動作ユニット700の昇降反転演出装置770の昇降変位は、駆動伝達装置730の駆動力が回動アーム部材720に伝達されることで生じる。昇降反転演出装置770の昇降変位の際の駆動力伝達について説明する。なお、この説明では、図28、図30及び図33を適宜参照する。
演出待機状態(図28参照)からの駆動力伝達開始時において、ギアカム部材734の円筒状突設部736a(図51参照)の変位方向は、回動アーム部材720の長孔部723の長尺方向と平行になるように設計されているので、ギアカム部材734の回転開始時に生じる変位抵抗を抑制することができる。また、同様のことが、張出状態においても成立する。
一方、中間演出状態(図30参照)では、円筒状突設部736aの変位方向が長孔部723の長尺方向と直交することから、ギアカム部材734が回動アーム部材720から回転方向に受ける変位抵抗が極大化することで、ギアカム部材734の回転変位を停止させ易くすることができる。
図52から図54に示すように、第2動作ユニット700の昇降反転演出装置770は、センターフレーム86の下側においては背面側に配置され、センターフレーム86の内側へ向けて上昇変位することに伴って、前後方向においては正面側に変位するよう構成される。
この変位の変位抵抗は、昇降反転演出装置770の回転筒部774eが受傾斜部762及び前上傾斜部714,751に案内される構成と、昇降反転演出装置770の第1横板774b及び第2横板774cが昇降板部材740の回転筒部745bに案内される構成と、により、低減される。
即ち、一対の回転筒部774eは、左右対称な位置に配置される受傾斜部762及び前上傾斜部714,751(前上傾斜部751は、図52には図示されない左側に配置、図56参照)の傾斜角度と平行に並ぶよう設計されており、回転筒部774eが筒状部774d中心に転動することで、受傾斜部762及び前上傾斜部714,751に沿った変位を行う本体部材771の変位抵抗を低減することができる。
更に、前後に整列される回転筒部745bの配置として、前側の回転筒部745bを若干上側に配置する設計とすることで、本体部材771の傾倒変位の抑制を図ることができ、これにより回転筒部774eが受傾斜部762及び前上傾斜部714,751に過大な負荷を与えることを回避している。
即ち、本実施形態では、演出装置780の重心位置(回転軸位置)が本体部材771の前後中心よりも若干前側に位置するような設計とされており、本体部材771は常時、重力により前傾方向に付勢されている。この付勢力の影響から、第1横板774b及び第2横板774cには、前側が下がり、後側が上がるような変位が生じやすい。
これに対し、本実施形態では、第1横板774bの前側が下がる時に近接配置される前側の回転筒部745bが若干上方に配置されており、第2横板774cの後側が上がる時に近接配置される後側の回転筒部745bが若干下方に配置されている。従って、本体部材771の前傾変位を効果的に抑制することができる。
更に、この構成によれば、前側の回転筒部745bは、第2横板774cとの間に隙間が生じていることから第1横板774bとの間での転動を安定的に生じさせ、後側の回転筒部745bは、第1横板774bとの間に隙間が生じていることから第2横板774cとの間での転動を安定的に生じさせることができる。これにより、回転筒部745bの転動を正常に生じさせることができ、本体部材771が前後方向に変位する際の変位抵抗を低減することができる。
昇降反転演出装置770の正面側への変位は、上述の形状的な案内のほかに、コイルスプリングCS2の付勢力により生じる。そのため、昇降反転演出装置770が正面側へ変位する上昇変位時の方が、下降変位時に比較して、前後方向変位の変位抵抗を低減することができる。
昇降反転演出装置770の上下変位は、駆動モータ731の駆動力により行われるところ、その駆動力は、鉛直方向の変位と、前後方向の変位とに振り分けられる。鉛直方向の変位において、重力に対抗する必要性から、上昇方向の変位の負担が比較的大きくなるが、この場合における前後方向の変位をコイルスプリングCS2の付勢力により補助することができる。従って、昇降反転演出装置770を上昇変位させる際に要する駆動力が過大なることを回避することができる。
コイルスプリングCS2は、第2動作ユニット700の中間演出状態(図53参照)において自然長となるように長さが設定される。即ち、昇降反転演出装置770が中間演出状態の配置よりも下側に配置されている場合にはコイルスプリングCS2の付勢力が駆動モータ731の駆動力による昇降反転演出装置770の前後方向の変位を補助する方向に作用する一方、昇降反転演出装置770が中間演出状態の配置よりも上側に配置されている場合には、コイルスプリングCS2の付勢力は昇降反転演出装置770の前後変位に作用しない。
これにより、昇降反転演出装置770の配置を中間演出状態で維持し易くすることができる。例えば、第2動作ユニット700の演出待機状態から駆動モータ731を駆動制御し、第2動作ユニット700を中間演出状態で停止させるよう駆動モータ731を停止制御した場合に、停止タイミングが理想よりも若干早くなったとしても、コイルスプリングCS2の付勢力で第2動作ユニット700を中間演出状態側へ寄せるように変位させることができる。
また、例えば、同様に停止制御した場合に、停止タイミングが理想よりも若干遅くなったとしても、第2動作ユニット700が自重で下降し、且つ、その自重による下降がコイルスプリングCS2の付勢力で抑制されることにより、第2動作ユニット700を中間演出状態側へ寄せて配置を維持することができる。
また、例えば、第2動作ユニット700の張出状態から駆動モータ731を駆動制御し、第2動作ユニット700を中間演出状態で停止させるよう駆動モータ731を停止制御する場合に、昇降反転演出装置770が中間演出状態を下方へ過ぎるとコイルスプリングCS2の付勢力が変位抵抗として作用することから、中間演出状態よりも大きく下方変位することを防止し易くすることができる。そして、駆動モータ731を停止制御した後も、コイルスプリングCS2の付勢力が負荷されることで第2動作ユニット700を中間演出状態側へ寄せることができる。
ここで、昇降反転演出装置770について、昇降変位に伴い前後方向に変位させることによる作用について説明する。前提として、センターフレーム86により縁取られる枠の内外に変位して遊技者の注目を集める状態と遊技者の視界から退避する状態とで切り替えられる可動役物が知られている。
このような可動役物では、センターフレーム86の内側に配置されている時の見映えについて重視した設計のものがほとんどであり、センターフレーム86の外側に退避する状態においては、遊技者から注目はされないという仮定のもとで、見映えについて考慮しないことが多かった。
しかし、最近では、第3図柄表示装置81からセンターフレーム86までの前後距離が長く構成されており、センターフレーム86の内側を通り第3図柄表示装置81の表示領域を見るような視界の端において、センターフレーム86の後側外方位置(遊技領域の背後位置)にまで視線が届くので、センターフレーム86の後側外方位置に退避した状態の可動役物の見栄えが悪いと、遊技者の興趣を低下させる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、覆設部材787の正面側(図52における第1主装飾面787a1)だけでは無く、背面側(図52における第2主装飾面787b1)および上下面(図52における第1副装飾面787a2及び第2副装飾面787b2)に装飾面を形成した上で、昇降反転演出装置770の変位方向を、遊技者側(正面側)を基端として背面側へ向かう程に広がる(後方へ向かう程に下降傾斜する)線、即ち、遊技者の視界の端における視線の方向に沿った変位方向とすることで、各装飾面が遊技者の視界に容易に収まるように構成している。
これにより、覆設部材787の各装飾面を遊技者の視界に無理なく入れることができる。覆設部材787の各装飾面の詳細については後述するが、張出状態(図54参照)において遊技者が視認可能となる前側面(第1主装飾面787a1又は第2主装飾面787b1、図54では第1主装飾面787a1)と、演出待機状態(図52参照)において遊技者が視認可能となる上側面(第1副装飾面787a2又は第2副装飾面787b2、図52では第1副装飾面787a2)と、に形成される装飾(図形、模様、文字または絵柄など)が、互いに関連する装飾として形成される。
換言すれば、第1主装飾面787a1と第1副装飾面787a2とが互いに関連する第1装飾として形成され、第2主装飾面787b1と第2副装飾面787b2とが互いに関連する第2装飾として形成され、且つ、第1装飾と第2装飾とは互いに異なる装飾として形成される。
上側面に形成される装飾は、第2動作ユニット700の演出待機状態においてセンターフレーム86と、その奥側に配置される第3図柄表示装置81(図26参照)との前後隙間に配置されているので、センターフレーム86(図2参照)の外側に形成される遊技領域を流下する球に注目する状態と、第3図柄表示装置81で展開される表示演出に注目する状態と、を切り替えるように遊技者が目線を動かす際に視界に入り易い。
そのため、張出状態において覆設部材787を通して遊技者が視認可能となった装飾の内容(報知内容、例えば、「チャンス」や「大当たり」等)を、演出待機状態においても覆設部材787の上側面を通して遊技者が視認可能とすることができる。
これにより、第3図柄表示装置81を視認し易いように演出待機状態の配置に変位し、目立たないよう配置された覆設部材787に、遊技者の注目を継続して集めさせることができる。
また、後述するように、覆設部材787は遊技者側に向ける装飾面を切り替えるように回転変位可能に構成されているので、張出状態において遊技者が視認可能となる装飾面の内容が異なる場合を生じさせることができる。
例えば、張出状態における覆設部材787の外観を遊技者が確認する前に昇降反転演出装置770が演出待機状態に配置された場合(見逃した場合や、動作速度が過度に速い場合)、前側面からしか装飾面の内容を把握できない構成だと、演出待機状態ではその前側面の大部分が遊技盤13に隠されてしまうので、遊技者は第3図柄表示装置81の表示面で展開される液晶演出に注目せざるを得ず、覆設部材787に対する注目力は低下する。
一方、本実施形態のように、上側面からも装飾面の内容を把握できる構成を採用する場合、遊技者は、演出待機状態における昇降反転演出装置770を視認することで、張出状態において覆設部材787を通して遊技者が視認可能であった装飾の内容(報知内容、例えば、「チャンス」や「大当たり」等)について把握することができる。
これにより、張出状態における覆設部材787の外観を見逃した遊技者に対して、覆設部材787の状態により報知される内容を、演出待機状態でも覆設部材787の視認可能な装飾面で継続して報知することができる。これにより、演出待機状態か、張出状態か、等の各状態に関わらず、覆設部材787の注目力を高く維持することができる。
本実施形態では、第2動作ユニット700の昇降反転演出装置770の前後方向の変位は、遊技領域の後端面の背面側に配置されている状態から、遊技領域の後端面よりも前方に進入するような変位として構成されることについて説明する。
図52に示すように、第2動作ユニット700の演出待機状態において、覆設部材787の正面と、センターフレーム86の板背面とは対向配置されており、センターフレーム86は、覆設部材787側に突設形成される流路形成部86aを備える。
流路形成部86aは、センターフレーム86の左右入口からセンターフレーム86の内側に形成されるワープ流路(転動経路)に飛び込んだ球がセンターフレーム86の下縁部に到達した後、そのセンターフレーム86の下側転動面を流下した球を一旦後方に振り、再び前方に流して、遊技領域に配設される第1入賞口64へ向けて案内するための案内流路の後側部を形成する部分である(図9参照)。即ち、流路形成部86aにより、遊技領域の後端面BE1が、ベース板60(図2参照)の板前面よりも後方側に配置される。
流路形成部86aを流下した球は高確率で第1入賞口64に入球することから、流路形成部86aに対する注目力は高く、特に球がセンターフレーム86の内側に飛び込んだ際には、流路形成部86aに遊技者の視線が集まり易い。演出待機状態において(図52参照)、流路形成部86aの真後ろに演出装置780が配設されることから、演出待機状態における演出装置780が遊技者の視界に入り込む状態を構成し易くすることができる。
第2動作ユニット700の演出待機状態では、覆設部材787は後端面BE1の背面側に配置され(図52(a)参照)、第2動作ユニット700の中間演出状態では、覆設部材787の前面部が後端面BE1上に配置され(図53(a)参照)、第2動作ユニット700の張出状態では、覆設部材787の前面部が後端面BE1の正面側に配置される。
即ち、覆設部材787は、センターフレーム86の内側に向けて上昇変位すると同時に、遊技領域の前後位置と同じ前後位置に進入するように、正面側へ向けて変位する。従って、遊技者に対して、覆設部材787がセンターフレーム86に乗り上げて正面側へ移動してきている(遊技者側に迫ってきている)ように見せることができる。
なお、第2動作ユニット700は昇降変位に伴って演出装置780が前後方向の変位するところ、その前端面の前後位置は、張出状態において、第1動作ユニット600の張出状態における第2装飾回転部材660の第2演出面661bの前後位置と合う(一致する)ように構成される。
これにより、張出状態において正面視で近接配置される第1動作ユニット600の第2演出面661b(図29参照)と、第2動作ユニット700の演出装置780(図30)と、の前後位置が合うことになり、これらを一体的に視認させ易くすることができる。
一方で、演出装置780の前後方向の配置は、中間演出状態や演出待機状態では張出状態における配置よりも後方に下がるので、張出状態に比較して、第1動作ユニット600の箱状部材661と演出装置780とを分けて(独立で)視認させ易くすることができる。
昇降反転演出装置770は、昇降板部材740に連結支持される本体部材771と、その本体部材771を基準として変位可能に構成される演出装置780と、を備える。次いで、図55及び図56を参照して昇降反転演出装置770の詳細について説明する。
図55は、昇降反転演出装置770の分解正面斜視図であり、図56は、昇降反転演出装置770の分解背面斜視図である。なお、図55及び図56の説明では、図50及び図51を適宜参照する。
本体部材771は、左右方向に長尺に形成される下側長尺部772と、その下側長尺部772の左右中央位置から背面側へ円筒状で突設される挿通筒状部773と、下側長尺部772の左右両端部から背面側に延設される一対の案内延設部774と、上下に延びる連結部により下側長尺部772の左右中央位置と一体的に形成され左右方向に長尺に形成される上側長尺部775と、その上側長尺部775の左右両側部から背面側に配設され演出装置780の直動板部材784を左右方向に案内可能に構成される複数の案内部776と、上側長尺部775の左右中央に背面側から締結固定され駆動伝達装置を支持可能とされる伝達装置保持板777と、下側長尺部772及び上側長尺部775の正面側に締結固定される発光演出手段778と、を備える。
挿通筒状部773は、昇降板部材740の円筒状部744の内周側に挿通される部分であり、円筒状部744の内周に摺動可能な寸法関係で形成され、摺動により本体部材771は前後方向に変位する。即ち、挿通筒状部773が円筒状部744に挿通されることで、昇降板部材740を基準とする本体部材771の前後方向の傾倒変位を抑制することができる。
案内延設部774は、幅が上下方向を向く縦板774aと、その縦板774aの上端部に連結され幅方向が左右方向を向く第1横板774bと、その第1横板774bよりも下側において縦板774aに連結され幅方向が左右方向を向く(第1横板774bの幅と平行となる)第2横板774cと、縦板774aの左右外側面から左右外側へ向けて突設される上下一対の筒状部774dと、その筒状部774dに回転可能に軸支される回転筒部774eと、を備える。
第2横板774cは、第1横板774bの幅方向端部よりも左右内側に延びる態様で幅長さが長くされている。この幅方向の拡張部は、組立状態において昇降板部材740の下底部と上下方向に対向配置され、互いに当接することで、案内延設部774が前倒れする傾倒変位が抑制される。即ち、第2横板774cを昇降板部材740の下底部と上下方向に対向配置される程度に幅長さを確保することにより、昇降板部材740を基準として本体部材771が前倒れする傾倒変位を抑制することができる。
筒状部774dは、一対が鉛直方向に並ぶのではなく、上側の筒状部774dの方が、下側の筒状部774dに比較して前側にずれて配置される。このずれは、前上傾斜部714,751の傾斜と、一対の筒状部774dの中心を結ぶ直線の方向と、が平行になるように設定される(図52(a)参照)。即ち、前上傾斜部714,751の傾斜と平行に一対の筒状部774dが配置されることにより、上下一対の回転筒部774eを前上傾斜部714,751又は受傾斜部762に同時に当接させることができる。これにより、上下一対の回転筒部774eを安定して転動させることができ、局所的な負荷が生じることを回避し易くすることができる。
案内部776は、左右一対が上下に並ぶ態様で左右両側に配設され内周側に雌ネジが形成される複数の筒状部776aと、左右一対の筒状部776aを繋ぐように締結固定される複数の脱落防止板部776bと、を備える。
脱落防止板部776bは、複数の筒状部776aに対応する位置に穿設される挿通孔を備え、その挿通孔に背面側から挿通される締結ネジが筒状部776aに螺入されることで筒状部776aに締結固定される部分であり、直動板部材784の脱落を防止するための部分として機能するが、詳細は後述する。
伝達装置保持板777は、駆動モータ782を支持するためのモータ支持板部777aと、駆動モータ782の駆動軸を挿通可能な位置においてモータ支持板部777aに穿設される挿通孔777bと、その挿通孔777bの下側において正面側に円筒状に突設される円筒状突設部777cと、上下両端位置において締結ネジを挿通可能に穿設される一対の挿通孔777dと、背面側に締結固定される配線留め部材777eと、を備える。
円筒状突設部777cは、内周側に雌ネジが形成されており、伝達ギア781bに挿通された状態で締結ネジが螺入されることで、上下反転部材781を脱落不能に軸支する部分である。
挿通孔777dは、上側長尺部775の対応する部分に形成される雌ネジ部775aに螺入される締結ネジが挿通可能とされ、その締結ネジにより伝達装置保持板777が上側長尺部775に締結固定される。
配線留め部材777eは、駆動モータ782に接続される電気配線を伝達装置保持板777との間の隙間に保持し、留めるための部分であるが、伝達装置保持板777の外枠に沿った形状に形成することで、伝達装置保持板777の全体的な剛性の向上をも図ることができる。
発光演出手段778は、LED等の発光部材が正面側に配設される左右長尺板状の上下2枚の電飾基板778aと、その電飾基板778aの正面側に配設される光透過性の樹脂材料から形成される板部材であって光拡散加工が形成される光拡散部材778bと、を備える。
上側の電飾基板778aは、背面側に上下一対で配設される検出センサ778dを備える。検出センサ778dは、フォトカプラ形式の検出装置であって、検出溝に円弧状突設部781dが配置されることで演出装置780の上下反転部材781の姿勢を検出可能に構成されるが、詳細は後述する。
下側の光拡散部材778bは、背面側に複数の被締結部が形成され、その被締結部に、対応する位置において下側長尺部772に穿設される挿通孔に背面側から挿通される締結ネジが螺入されることで締結固定されることで、締結ネジが目立たないようにしている。
一方、上側の光拡散部材778bには、左右両側に締結ネジを挿通するための挿通孔778cが形成され、その挿通孔778cに正面側から挿通された締結ネジが上側長尺部775の雌ネジ部775bに螺入されることで、上側の光拡散部材778bが締結固定される。
この場合、締結ネジの頭部が正面側を向いており、対策なしでは目立ってしまう可能性があるが、本実施形態では、後述するように、常に覆設部材787が挿通孔778cの正面側を覆うような配置とされるので、挿通孔778cに固定される締結ネジの頭部を覆設部材787により隠すことができる。
そのため、締結ネジの頭部が正面側に向くような設計であっても、その締結ネジの頭部が目立つことで演出に悪影響を与える事態が生じることを回避することができる。換言すれば、覆設部材787が締結ネジを隠すように配置する設計とすることで、締結ネジの挿通方向の設計自由度を高めることができる。
演出装置780は、上側長尺部775の周囲に外形部が配置され変位可能に構成される装置であって、伝達装置保持板777の円筒状突設部777cに軸支される上下反転部材781と、その上下反転部材781の伝達ギア781bに駆動力を伝達する駆動ギア782aが駆動軸に固着される駆動モータ782と、上下反転部材781の長尺方向両端部のそれぞれに一側の端部が軸支される一対の中間腕部材783と、その中間腕部材783の他側の端部が軸支され案内部776に左右方向に変位を案内される一対の直動板部材784と、その直動板部材784と中間腕部材783との間に配設され左右方向に延びる回転軸で回転(反転)可能に構成される一対の軸回転部材785と、その軸回転部材785を直動板部材784と共同で軸支する一対の軸支部材786と、軸回転部材785の左右外側先端部に位相が固定された状態で脱落不能に嵌合固定される一対の端板部材785dと、その端板部材785dの前後に配置され、上側長尺部775の左右側部を覆う左右長さで形成される覆設部材787と、を備える。
上下反転部材781は、長尺板状に形成される本体板部781aと、その本体板部781aの中心部の背面側にギア状で突設される伝達ギア781bと、本体板部781aの長尺方向両端部から背面側へ円筒状に突設される一対の円筒状突設部781cと、伝達ギア781bの中心軸を中心とする円弧状に本体板部781aの正面側に突設される円弧状突設部781dと、を備える。
伝達ギア781bは、中心に前後方向に延びる円形孔を有し、この円形孔に伝達装置保持板777の円筒状突設部777cが挿通され、先端側から締結ネジが螺入されることで、伝達ギア781bを介して上下反転部材781が伝達装置保持板777に脱落不能に軸支される。
伝達ギア781bは、駆動ギア782aと歯合しており、駆動モータ782に通電され駆動ギア782aが回転すると、伝達ギア781bも連動して回転することで、上下反転部材781が回転する。即ち、上下反転部材781は駆動モータ782を通電することで回転駆動可能とされる。
円筒状突設部781cは、中間腕部材783を軸支する。即ち、中間腕部材783の一側支持孔783aが形成される端部は、上下反転部材781が回転変位することに伴い変位する円筒状突設部781cに追従して変位する。
円弧状突設部781dは、発光演出手段778の検出センサ778dの検出溝に配置可能に形成される。即ち、上下一対の検出センサ778dのどちらかに円弧状突設部781dが配置可能とされている。
そのため、検出センサ778dの出力を読み取ることで、上下反転部材781の姿勢を、円弧状突設部781dが検出センサ778dの検出溝に配置される2姿勢と、その間の姿勢(一対の検出センサ778dの検出溝の双方に円弧状突設部781dが配置されていない姿勢)と、で判定可能となっている。
中間腕部材783は、長尺棒状(幅狭板状)に形成されており、一側の端部で穿設され円筒状突設部781cに軸支される一側支持孔783aと、一側支持孔783aの反対側である他側の端部で内周側が貫通形成される円筒状の他側円筒状部783bと、その他側円筒状部783bを中心とする傘状のギア歯(傘歯車)として形成される傘歯部783cと、を備える。
円筒状突設部781cの内周側には雌ネジが形成されており、その雌ネジに一側支持孔783aに背面側から挿通される締結ネジが螺入される。これにより、中間腕部材783は、上下反転部材781に脱落不能に軸支される。
直動板部材784は、左右方向に長尺な方形板状に形成され、中間腕部材783の他側円筒状部783bに挿通される円筒状に突設される円筒状突設部784aと、その円筒状突設部784aの中心軸を中心とした円弧状で突設される円弧状板部784bと、円筒状突設部784aの上下両側において左右方向に平行に延びる長円状に穿設される一対の長孔部784cと、その長孔部784cの間の位置において上下一対で平行配置され背面側に突設される一対の支持板部784dと、その支持板部784dの中間部において互いに対向される側に突設され前後方向に延びる突条として形成される一対の突条部784eと、支持板部784dの端部に背面側に開口される筒状に配設され内周側に雌ネジが形成される一対の被締結部784fと、円筒状突設部784aと支持板部784dとの間で貫通形成される配置用孔784gと、軸支部材786との間でリング状金属部材785eを保持可能な半円形状面を有するリング保持半部784hと、軸支部材786との間で磁石Mgを保持可能となるように方形箱状に形成される磁石保持半部784iと、を備える。
円筒状突設部784aは、中間腕部材783の他側円筒状部783bの内周径よりも若干短い外周径で形成され、他側円筒状部783bの軸方向長さよりも若干長い突設長さとされ、内周側に雌ネジが形成されている。即ち、他側円筒状部783bに背面側から挿通される締結ネジが円筒状突設部784aの雌ネジに螺入されることで、中間腕部材783は、円筒状突設部784aに脱落不能に軸支される。
円弧状板部784bは、他側円筒状部783bの外周径よりも若干長い内周径の円弧形状で形成される。これにより、円弧状板部784bが組立状態で他側円筒状部783bと径方向で対向するように近接配置され、他側円筒状部783bの回転軸に対する傾斜変位を制限している。これにより、他側円筒状部783bを中心とした中間腕部材783の回動変位を安定させることができる。
長孔部784cは、本体部材771の筒状部776aが挿通される開口であり、筒状部776aに形成される雌ネジに、脱落防止板部776bの挿通孔に背面側から挿通される締結ネジが螺入されることで、直動板部材784が本体部材771に脱落不能に支持される。
その支持状態(組立状態)において、直動板部材784は長孔部784cの形成方向に沿ってスライド変位可能とされる。即ち、直動板部材784は左右方向にスライド変位可能に構成される。
支持板部784dは、軸回転部材785の金属棒785aの上下変位を抑制するように保持するための板状部であり、突条部784eは、金属棒785aの左右方向の配置を規定するための突条として機能するが、詳細は後述する。
配置用孔784gは、軸回転部材785の傘歯部材785cとの干渉を避けるための開口であるが詳細は後述する。
軸回転部材785は、左右一組で配設され直動板部材784に軸支される部材であって、金属材料から略円柱状に形成される金属棒785aと、その金属棒785aの長さ方向の中央位置において周方向に形成される凹設溝部785bと、金属棒785aの左右内側端部に配設され金属棒785aに固定される部材であって中間腕部材783の傘歯部783cと歯合する傘歯(傘歯車)が形成される傘歯部材785cと、金属棒785aの左右外側端部に配設され金属棒785aに固定される端板部材785dと、その端板部材785dの金属棒785aの周りに端板部材785dから嵩上げされる態様で配置されるリング状金属部材785eと、端板部材785dの左右内側部に突設される部分であって内部に形成される雌ネジ部に金属製ネジが螺入固定される回転位置安定用部785fと、を備える。
金属棒785aは、直動板部材784の一対の支持板部784dの間に配置され、凹設溝部785bに突条部784eが進入配置される。ここで、凹設溝部785bは、突条部784eと摺動可能となる寸法関係で構成されると共に、突条部784eに対して左右方向の変位が規制される寸法関係で構成される。
即ち、凹設溝部785bの溝幅は突条部784eの左右幅よりも若干長く設定され、凹設溝部785bの溝深部の直径は突条部784e間の隙間長さよりも短く設定され、凹設溝部785bが形成されていない部分の直径は突条部784e間の隙間長さよりも長く設定される。
これにより、金属棒785aを、直動板部材784の背面側において、軸回転可能かつ左右方向への変位が抑制される態様で支持することができる。
傘歯部材785cは、直動板部材784の配置用孔784gに進入するように配置される。傘歯部材785cが配置用孔784gに部分的に進入した状態において、直動板部材784の反対側(背面側)から中間腕部材783が傘歯部783cを傘歯部材785cと歯合させるように組み付けられる。
このように組み付けられた状態において、傘歯部材785cは、配置用孔784gに進入配置されているものの、金属棒785aが直動板部材784に支持されていることから正面側へは脱落不能とされ、背面側への変位は中間腕部材783により規制される。従って、傘歯部材785cは、直動板部材784及び中間腕部材783に脱落不能に支持される。
端板部材785dの筒状部785d1は、金属棒785aの先端部としての非円形状(例えば、D字断面形状)に対応する内周側形状で形成され、その内周側形状と金属棒785aの先端部とが締りばめの寸法関係で形成されることで、嵌合固定されている。
なお、端板部材785dを金属棒785aに固定する方法は、これに限られるものではない。例えば、接着剤などを利用して固着させる方法でも良いし、金属棒785aの先端部に雌ネジを形成し、その雌ネジに端板部材785dに挿通される締結ネジを螺入することで、金属棒785aに端板部材785dを締結固定する方法でも良いし、その他の方法でも良い。
リング状金属部材785eは、直動板部材784のリング保持半部784hに内嵌されるように保持される。リング状金属部材785eが保持され、リング状金属部材785eの内周側に金属棒785aを支持する端板部材785dの筒状部785d1が摺接するよう構成することで、端板部材785dの回転中心を傘歯部材785cの回転中心を通る軸線と一致し易くすることができ、金属棒785aの軸径方向に生じる負荷を低減することができる。
回転位置安定用部785fは、配設される金属ネジが、磁石Mgに吸着する部分としての機能を奏する。
軸支部材786は、方形板状に形成される部材であって、被締結部784fに螺入される締結ネジを挿通可能に穿設される挿通孔786aと、直動板部材784のリング保持半部784hとの間でリング状金属部材785eを保持可能な半円形状面を有するリング保持半部786bと、直動板部材784の磁石保持半部784iとの間で磁石Mgを保持可能な方形箱状に形成される磁石保持半部786cと、を備える。
挿通孔786aに背面側から挿通される締結ネジが被締結部784fに螺入され直動板部材784及び軸支部材786が組み立てられると、軸支部材786の板部に金属棒785aの背面側への脱落が規制され、リング状金属部材785eはリング保持半部784h,786bに保持され、磁石Mgは磁石保持半部784i,786cに保持される。
覆設部材787は、前後一組で左右内側が開口される箱状に形成される左右一対の部材であって、軸回転部材785の端板部材785dに締結固定され、逆側の面に異なる意味で読み取れる図形、模様、文字または絵柄などからなる装飾が形成される。
即ち、覆設部材787は、張出状態(図54参照)において遊技者に視認させる装飾面として形成される第1主装飾面787a1と、その裏面に形成される第2主装飾面787b1と、第1主装飾面787a1が正面側に配置された状態で演出待機状態(図52参照)となった場合に遊技者が視認可能な側に形成される第1副装飾面787a2と、その裏面に形成される第2副装飾面787b2と、を備える。なお、第2副装飾面787b2は、第2主装飾面787b1が正面側に配置された状態で演出待機状態(図52参照)となった場合に遊技者が視認可能な側に形成される。
覆設部材787は、端板部材785dに締結固定される前後2枚の部材から形成され組立状態(図26参照)において左右内側が開放された略箱状に形成される左右一対の部材であって、左右の各部材に向けて延設される複数の延設部787cと、その延設部787cの間の部分において左右外側へ退避するように凹設される凹設部787dと、を備える。
延設部787cは、覆設部材787の近接配置状態(図26参照)において、端部が互いに当接または近接配置されるよう形成される。これにより、左右一対の覆設部材787を一体的に視認させることができる。
凹設部787dは、覆設部材787の近接配置状態(図26参照)において、発光演出手段778の光拡散部材778bの中央に配置される円形状部や、上側長尺部775の左右中央上側の円弧板部等を視認可能に開放するための部分であり、これらの部分との干渉を少なくとも避ける形状で凹設形成される。
覆設部材787は、演出装置780の動作に伴い、第1主装飾面787a1を正面側に向けると共に第1副装飾面787a2を上側に向ける状態(図29、図52参照)と、第2主装飾面787b1を正面側に向けると共に第2副装飾面787b2を上側に向ける状態(図30参照)と、で状態を切り替え可能に形成される。まず、覆設部材787の状態を切り替える変位を構成する機構について説明する。
図57(a)及び図57(b)は、伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の正面図である。図57(a)では、一対の円筒状突設部781cが同一の鉛直線上に配置される上下反転部材781の縦配置状態(正立の縦配置状態とも称す)が図示され、図57(b)では、図57(a)に示す状態から上下反転部材781が円筒状突設部777cを中心に正面視反時計回りに約24度回転した状態が図示される。なお、図57(a)及び図57(b)では、理解を容易とするために、左側の軸回転部材785の端板部材785d及び右側の軸回転部材785の図示が省略される。
正立の縦配置状態では、円弧状突設部781dは、上側の検出センサ778d(図56参照)の検出溝に進入した状態で配置される。また、正立の縦配置状態から上下反転部材781を180度回転させた倒立の縦配置状態では、円弧状突設部781dは、下側の検出センサ778dの検出溝に進入した状態で配置される。
即ち、検出センサ778d(図56参照)の出力は、上下反転部材781が正立の縦配置状態か倒立の縦配置状態かで切り替わるように構成されており、検出センサ778dの出力から音声ランプ制御装置113(図4参照)は演出装置780の状態を判定することができる。
図57(a)及び図57(b)に示すように、上下反転部材781が回転変位されると、中間腕部材783が姿勢変化しながら左右方向に変位する。この姿勢変化の角度が、軸回転部材785の回転角度に対応し(比例し)、他側円筒状部783bの左右方向変位量が、直動板部材784及び軸回転部材785の左右方向変位量に対応する。
ここで、回転変位と左右方向変位(直動変位)とが生じる順序について説明する。これらの変位は、同時に同程度で生じるものではなく、回転変位の程度の方が大きくなる配置や、直動変位の程度の方が大きくなる配置等がある。
まず、概要の説明をすると、上下反転部材781、中間腕部材783及び直動板部材784の構成は、周知のスライダクランク機構となっている。即ち、円筒状突設部777cを中心に上下反転部材781が回転すると、上下反転部材781の円筒状突設部781cに軸支されている中間腕部材783の他側円筒状部783bが、正面視で円筒状突設部777cの中心部を通る移動軸HL1に沿って平行移動するように、他側円筒状部783bに連結される直動板部材784の変位方向が規制されている。左右の一対の直動板部材784は、移動軸HL1に沿って左右逆方向に同時に変位する。
図57(b)に示すように、図57(a)に示す縦配置状態から約24度回転するまでに、他側円筒状部783bは左右方向に長さL1変位している。長さL1は、下側長尺部772と上側長尺部775との連結部分(図55参照)の幅長さの半分の長さ(左右中心と左右幅端部との間の長さ)として図示される。
また、図57(a)から図57(b)への状態変化により、中間腕部材783の他側円筒状部783bを中心とした姿勢変化は、正面視時計回りに5度となっており、傘歯部783cの隣り合う歯の配置間隔としての角度である15度の半分以下の角度に抑えられている。
傘歯部材785cが中間腕部材783の手前側に配置されていることから、傘歯部783cと傘歯部材785cとの負荷の伝達(歯合伝達)は、互いの前後方向の対向位置、即ち、正面視における移動軸HL1上で生じる。
図58(a)は、図57(a)のLVIIIa−LVIIIa線における伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の断面図であり、図58(b)は、図57(b)のLVIIIb−LVIIIb線における伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の断面図である。
図58(b)に示すように、中間腕部材783の傘歯部783cは、軸回転部材785の傘歯部材785cのギア歯を押圧するように変位する(図58(b)においては、上方へ変位する)。なお、図58(b)では、理解を容易とするために、傘歯部783cと傘歯部材785cのギア歯とが重なって配置されるよう図示されており、この重なり幅が傘歯部783cと傘歯部材785cのギア歯との弾性変形により吸収される。
傘歯部783cが傘歯部材785cと歯合し、駆動力が伝達されることにより、軸回転部材785が回転変位する。図57(a)に示す状態から上下反転部材781が正面視反時計回りに180度回転変位する間に、右側の軸回転部材785は後転方向に回転し、左側の軸回転部材785は前転方向に回転する。
なお、上下反転部材781が180度回転する間に、中間腕部材783の傘歯部783cは他側円筒状部783bを中心に90度回転し、それに伴い軸回転部材785の傘歯部材785cは180度回転する。即ち、傘歯部材785cが金属棒785aを中心として回転する角度は、傘歯部783cの他側円筒状部783bを中心とした回転角度の2倍となるように構成される。
ここで、図58(a)の状態から図58(b)の状態までの変位による押圧に伴い生じ得る傘歯部材785cの変位量は、ギア歯の周方向の厚みに満たず、傘歯部材785cのギア歯を確実に回転させる量には満たない。即ち、当接する代表歯が隣設する歯の配置まで回転するまでの変位量(傘歯部材785cのギア歯が12等分で配置されていることによれば、角度30度の回転に要する変位量)よりは小さい。
傘歯部783cのギア歯は傘歯部材785cのギア歯を押圧するように変位するが、本実施形態では中間腕部材783及び傘歯部材785cが樹脂材料から形成されていることから、押圧を伴う変位が中間腕部材783及び傘歯部材785cの弾性変形により吸収されることにより、軸回転部材785の傘歯部材785cの回転方向の姿勢は、図57(a)の状態から図57(b)の状態まで維持される。
中間腕部材783及び傘歯部材785cの弾性変形は、上下反転部材781を介して中間腕部材783に伝達される駆動力に対して、磁石Mgから軸回転部材785の回転位置安定用部785f(図54参照)に生じる吸着力が対抗することにより生じる。
即ち、右側の軸回転部材785が後転方向に回転変位するのを制限するように、磁石Mgの磁力が下側の回転位置安定用部785fの金属ネジを吸着するように作用することで、右側の軸回転部材785は磁石Mgから前転方向の付勢力を受ける。従って、磁石Mgの吸着力は、右側の軸回転部材785の回転変位の変位抵抗を上昇させる方向に作用する。
また、左側の軸回転部材785に対しては、回転位置安定用部785fの配置が右側と同様に端板部材785dの前側とされている一方で、磁石Mgの配置が右側と逆の上側とされている(図55参照)。そのため、磁石Mgの磁力が上側の回転位置安定用部785fの金属ネジを吸着するように作用することで、左側の軸回転部材785は磁石Mgから後転方向の付勢力を受ける。従って、磁石Mgの吸着力は、左側の軸回転部材785の回転変位の変位抵抗を上昇させる方向に作用する。
本実施形態では、磁石Mgの吸着力は、図57(a)に示す状態から他側円筒状部783bが左右方向に長さL1変位するまでの間に傘歯部材785cに負荷される駆動力を超える負荷を発生可能となるように設計される。
これにより、図58(b)に示す傘歯部783cの変位量を吸収するように、中間腕部材783及び傘歯部材785cの弾性変形が生じることになる。そして、図57(b)に示す状態を超えて変位が継続されると、磁石Mgの吸着力を超えて傘歯部材785cが回転し、磁石Mgと回転位置安定用部785fの金属ネジとの配置が離れることで磁力が極端に低下することになり、磁石Mgの吸着力から開放された中間腕部材783及び傘歯部材785cが弾性回復しつつ回転変位する。
そのため、回転開始時においては、弾性回復分が軸回転部材785の回転方向の勢いを増すことになるので、回転開始時における回転速度を瞬間的に向上させることができる。この回転速度の向上は、軸回転部材785だけでなく、軸回転部材785に締結固定される覆設部材787(図55参照)でも同様に生じる。
これにより、駆動モータ782の駆動速度の変更を行うことなく、覆設部材787の動作の緩急をつけることができるので、駆動モータ782の制御設計の負担を低減しながら、覆設部材787の演出効果を向上することができる。
このように、本実施形態によれば、磁石Mgの吸着力により、軸回転部材785の回転変位が生じるタイミングを、中間腕部材783の傘歯部783cが回転開始するタイミングよりも遅らせることができる。
磁石Mgの吸着力を受ける回転位置安定用部785fは、上下一対で構成されており、覆設部材787の第1主装飾面787a1が正面側を向いている時には一方の回転位置安定用部785fが磁石Mgに近接配置され吸着力を受け(図52(b)参照)、向きが反転し覆設部材787の第2主装飾面787b1が正面側を向いている時には他方の(図52(b)参照、上側の)回転位置安定用部785fが磁石Mgに近接配置され吸着力を受ける。
即ち、正面側を向いている面が第1主装飾面787a1か第2主装飾面787b1かに関わらず、少なくとも近接配置状態(図29及び図30参照)において、磁石Mgの磁力は軸回転部材785の回転変位を制限する目的で有効に作用する。従って、近接配置状態からの変位において、軸回転部材785の回転変位が磁力により遅れる作用を回転変位の方向によらず(両方向で)生じさせることができる。
即ち、図58(a)に示す状態から図58(b)に示す状態までの間は、左右方向の直動変位の程度の方が、回転変位の程度に比較して大きい。そして、上下反転部材781が図57(b)を超えて正面視反時計回りに回転が継続されると、左右方向の直動変位の程度が落ち着き、回転変位が生じる。
本実施形態によれば、上述のようにスライダクランク機構を採用していることから、同様の作用が生じる。即ち、縦配置状態付近においては、円筒状突設部781cの変位は、左右方向に大きく上下方向に小さいので、中間腕部材783の左右方向変位は大きく回転量は小さい。そのため、直動板部材784の左右方向変位は大きく、軸回転部材785の回転変位は小さくなる。
一方、上下反転部材781の長尺方向が左右方向に近づくように倒れるほど、円筒状突設部781cの変位は、左右方向に小さく上下方向に大きくなるので、中間腕部材783の左右方向変位は小さく回転量は大きくなる。そのため、直動板部材784の左右方向変位は小さく、軸回転部材785の回転変位は大きくなる。
従って、縦配置状態から開始され縦配置状態で終了する上下反転部材781の回転動作において、まず直動板部材784の左右方向変位の程度が大きくなり、次いで軸回転部材785の回転変位の程度が大きくなり、再び直動板部材784の左右方向変位の程度が大きくなる。
このような順序で直動変位と、回転変位とが生じることで、上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分(図55参照)に覆設部材787の延設部787cが衝突することを回避することができる。次いで、覆設部材787の外観の変化について説明する。
図59(a)から図59(c)は、演出装置780の正面図である。図59(a)から図59(c)では、昇降反転演出装置770の反転動作が時系列で図示される。図59(a)では、上下反転部材781の正立の縦配置状態における演出装置780が図示され、図59(b)では、上下反転部材781が縦配置状態から90度回転した時における演出装置780が図示され、図59(c)では、上下反転部材781の倒立の縦配置状態における演出装置780が図示される。
上下反転部材781は、正立の縦配置状態(図57(a)参照)から正面視反時計回りに180度回転することで、倒立の縦配置状態に状態が変化する。倒立の縦配置状態では、正立の縦配置状態(図59(a)参照)を基準として、覆設部材787の姿勢が180度反転する。これにより、遊技者が視認可能な装飾面が切り替えられることになる(図59(c)参照)。
倒立の縦配置状態から上下反転部材781が正面視時計回り(反対回り)に180度回転変位することで、正立の縦配置状態(図57(a)参照)に戻る。従って、反転動作は、上下反転部材781を180度回転変位させるように方向を反転させて駆動モータ782(図56参照)を駆動する度に、図59(a)に示す状態と図59(c)に示す状態とで、状態を繰り返し切り替えることができる。
上述したように、図57(a)に示す状態から上下反転部材781が正面視反時計回りに180度回転変位する間に、傘歯部783cと噛み合うことで軸回転部材785が180度回転変位する。ここで、傘歯部783cの回転方向から、右側の軸回転部材785は後転方向に回転し、左側の軸回転部材785は前転方向に回転する。即ち、左右に配置される一対の軸回転部材785及び端板部材785dに締結固定される覆設部材787は、逆方向に回転する。
そのため、途中位置では、右側の覆設部材787は第2副装飾面787b2を正面側に向け、左側の覆設部材787は第1副装飾面787a2を正面側に向ける(図59(b)参照)。
これにより、覆設部材787の回転変位中に、左側の覆設部材787の第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)と右側の覆設部材787の第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)とが揃って視認されることを回避することができる。
従って、回転変位中の覆設部材787の装飾面を、敢えて左右で内容のずれたものとすることができ、装飾面の内容を遊技者に認識し難いように構成できるので、回転変位中の覆設部材787が遊技者に与える情報量を低くすることができる。
これにより、回転変位中の覆設部材787に対する遊技者の注目力を低減させることができる。また、回転変位が停止した時に左右一対の覆設部材787の装飾面が第1主装飾面787a1(又は第2主装飾面787b1)で揃うことから、覆設部材787の回転が停止するまで遊技者の視線を覆設部材787に維持し易いという効果も奏し得る。
回転変位は第2動作ユニット700の張出状態(図54参照)で実行されるが、この回転変位が停止し、左右一対の覆設部材787の装飾面が第1主装飾面787a1(又は第2主装飾面787b1)で揃った状態では、演出装置780が第3図柄表示装置81の表示領域の上下中央付近にまで上昇してきており(図30参照)、この状態で第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)に注目力が集まる可能性は低い。
特に、第3動作ユニット800が第2動作ユニット700と近接変位されるよう制御される場合などには特に、第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)への視界が第3動作ユニット800に遮られることになる。
一方で、第2動作ユニット700が演出待機状態となり(図52参照)、演出装置780が第3図柄表示装置81の表示領域よりも下側に配置されると、第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)が遊技者の視界に入り易くなる。
このように、第2動作ユニット700では、第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)を、張出状態においては回転変位中に揃って視認されることを防止したり遊技者側に面が向くことを防止したりすることで注目させず、演出待機状態においては遊技者に注目され得る側面として形成している。
これにより、第2動作ユニット700の見え方を配置に応じて変化させることができるので、第2動作ユニット700を配置するコスト(場所の占有、上手に隠す負担)に対する演出性能が過度に低くなる状態が生じることを回避し易くすることができる。
軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位後において、回転位置安定用部785fが磁石Mg(図54(b)参照)に吸着することで軸回転部材785及び覆設部材787の姿勢の安定化を図ることができる。
本実施形態では、磁石Mgに吸着する金属部材が金属製ネジで構成されるので、専用の金属部材を設計する場合に比較して、部材コストの削減や、メンテナンス性の向上を図ることができる。
上述したように、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位には左右方向の直動変位が伴うので、回転変位を実行可能な演出装置780の配置は制限されることになる。即ち、第2動作ユニット700の演出待機状態(図28参照)や中間演出状態(図33参照)では、回転変位を実行することで、左右に配置される右側前板部材710、左側後板部材750及び前側支持部材760や、その正面側に固定配置される立体装飾部768a等の装飾部材が覆設部材787に衝突することになる。
一方、第2動作ユニット700の張出状態(図30参照)では、左右方向に空間が確保されることで、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位を実行可能となる。
従って、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位を生じさせる駆動モータ731の駆動制御は、検出センサ713の出力から第2動作ユニット700が張出状態になっていると判定されていることを前提に実行可能に制御される。これにより、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位を正常に生じさせることができる。
延設部787cは、上下反転部材781の縦配置状態において互いに近接配置され、この状態において上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分と前後で対向配置される。そのため、この配置から覆設部材787を左右方向に延びる回転軸で回転変位させると、延設部787cが上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分に衝突することになり、不具合が生じる。
一方で、延設部787cが近接配置される構成は、左右一対の覆設部材787を一体的に視認させることができるという効果を生じさせるものであり、演出上必要となる構成であるので、維持できることが好ましい。
これに対し、本実施形態では、覆設部材787が、回転変位の前に、予め左右方向に長さL1だけ直動変位するよう構成される(図57参照)。長さL1の直動変位により、延設部787cを上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分の前後位置から退避させることができ、延設部787cと上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分とが衝突する不具合を回避することができる。
また、このように回転変位を構成することで、覆設部材787が左右方向に変位する間において長さL1では回転変位が生じず(又は制限され)、残りの長さL2において回転変位を生じさせることになるので、覆設部材787の回転中における左右方向の変位量を小さく抑えることができる。
これにより、回転中に覆設部材787の配置が大きく変化する場合に比較して、覆設部材787の注目力を低く抑えることができ、回転変位を目立たせなくすることができるので、各装飾面787a1〜787b2の設計として、回転変位中の見映えを無視した設計を行うことができるので、設計自由度を向上することができる。
なお、覆設部材787が回転開始するタイミングは、磁石Mgの吸着力の設計により任意に設定可能である。そのため、例えば、本体部材771の下側長尺部772と上側長尺部775との連結部の左右幅を長くする設計変更が生じたとしても、演出装置780の構成は同じとしながら、磁石Mgを吸着力の大きな磁石に変更することで、本実施形態と同様に、上述の連結部と延設部787cとの衝突を回避することができる。
図59において想像線で図示するように、挿通孔778cは、常に覆設部材787に隠されるよう配置される。これにより、挿通孔778cに挿通される締結ネジが遊技者に視認されることを防止することができ、締結ネジにより演出効果が低くなることを回避することができる。
本実施形態では、左右一対の覆設部材787に形成される各装飾面787a1,787a2,787b1,787b2の装飾(図形、模様または絵柄など)が、左右の覆設部材787で同一では無いことから、左右の装飾に合わせて挿通孔778cの配置が左右非対称とされている。
即ち、挿通孔778cは締結ネジが挿通される部分であるので、その位置で電飾基板787aにLEDを配置することができなくなる(図55参照)。また、締結ネジは金属製であり光を透過しないので、発光演出時に暗く視認され易い。
従って、左右の装飾において、明るく光らせて目立たせる箇所を避けて挿通孔778cを配置することが望ましく、そのようにした結果、挿通孔778cの配置が左右非対称とされている。
なお、挿通孔778cの配置を左右対称にすることは当然に許容される。特に、左右の覆設部材787で各装飾面787a1,787a2,787b1,787b2の装飾が同一の場合には、挿通孔778cを左右対称に配置することによる不利益は生じず、且つ、電飾基板778aの設計を容易とすることができる。
図59(b)に示すように、本実施形態では、昇降反転演出装置770の反転動作中に覆設部材787が左右に直動変位し、光拡散部材778bの中央部付近が延設部787cに囲まれていない状態においても、上下反転部材781、中間腕部材783及び直動板部材784等の機構部が視認されないように隠される。
即ち、正面視において、本体部材771の上側長尺部775の外形が、前側に配置される光拡散部材778bの外形に収まる形状に設計されており、直動板部材784の上下幅が、前側に配置される上側長尺部775の左右長尺部の上下幅に収まる形状に設計されている。また、上下反転部材781は前側に配置される上側長尺部775の円板部の外形に収まる形状に設計されており、中間腕部材783は変位軌跡が光拡散部材778bの外形に収まるように設計される。
これにより、演出装置780の変位を実現するための機構部を光拡散部材778bの背後に隠し、視認不能とすることができるので、反転動作中における演出装置780の外観による演出効果が低下することを回避することができる。
図26に戻って説明する。第3動作ユニット800は、演出待機状態において第3図柄表示装置81の表示領域の上側に配置され、背面ケース510に支持される左右一対の昇降アーム部材801(図31参照)の先端部に支持され、昇降アーム部材801が上下方向に駆動されることに伴って昇降変位可能に構成されるユニットである。
図60は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解正面斜視図であり、図61は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解背面斜視図である。なお、図60及び図61では、第3動作ユニット800の変位を構成する部分が図示されており、外側に配設される装飾部分としての装飾部材870,880の図示が省略されている。
図60及び図61に示すように、第3動作ユニット800は、昇降アーム部材801に保持される被保持部材810と、その被保持部材810の中心部に円筒部821が締結固定される固定円筒部材820と、円筒部821が内周側に挿通された状態で円筒部821に軸支される内側回転部材830と、その内側回転部材830が内周側に挿通された状態で本体部831に軸支される外側回転部材840と、その外側回転部材840の円筒状部842aに回動可能に連結される複数(本実施形態では5本)の中間腕部材850と、被保持部材810に収容される複数のギア部材を有し内側回転部材830、外側回転部材840及び中間腕部材850を変位させる駆動力を伝達するための駆動伝達装置860と、を備える。
被保持部材810は、円板形状の本体部材811と、その本体部材811に正面側から蓋をする孔空き蓋部材817と、を備える。
本体部材811は、中心部において固定円筒部材820の円筒部821を保持するために凹設され固定用の締結ネジを挿通する挿通孔や電気配線を挿通する貫通孔が形成される筒固定部812と、フォトカプラ式のセンサであって外側回転部材840の被検出部844を受け入れ可能な側に検出溝を向けて固定される検出センサ813と、駆動モータ861を保持するモータ保持部814と、伝達ギア863を脱落不能に軸支する円筒部として正面側に突設される複数の円筒状突設部815と、負荷応答ギア865を脱落不能に軸支する二重の円筒部として正面側に突設される複数の二重円筒突設部816と、を備える。
孔空き蓋部材817は、中央部に前後方向に穿設される円形孔818を備える。円形孔818は、開口方向視において、その内周縁部から、伝達ギア863及び負荷応答ギア865が内側に張り出すような寸法で設計される。
固定円筒部材820は、上述の円筒部821と、その円筒部821の正面側端部に形成される円形板部822と、その円形板部822に締結固定され正面側にLED等の発光手段が配設される円板状の電飾基板823と、その電飾基板823を正面側から覆うことができるような傘状(又は、お椀状)で光透過性の樹脂材料から形成される透光装飾部材824と、円筒部821の円形板部822側の外径よりも若干長い内径の円環状に形成され円筒部821と摺動可能に構成される摺動部材825と、を備える。
円筒部821は、背面側先端部に雌ネジが形成されており、その雌ネジに被保持部材810の筒固定部812の挿通孔に挿通された締結ネジが螺入されることで、固定円筒部材820が被保持部材810に回転不能に締結固定される。
円筒部821は内周側において軸方向に貫通形成されており、この貫通部分を通して筒固定部812の貫通孔に挿通された電気配線が正面側へ這わされ、電飾基板823の背後に配設されるコネクタに接続される。
電飾基板823は、LEDとして、五角形の頂点およびそれらの頂点から等距離離れた中心位置に配置される内側発光部823aと、円周上に等間隔で15箇所に配置される外側発光部823bと、を備える。内側発光部823aは、光軸が正面側(前方)を向くLEDから構成され、外側発光部823bは、光軸が径方向外側(直径方向)を向くLEDから構成される。
外側発光部823bは、円周上に等間隔に配置される15個のLEDから構成される。後述するように、外側発光部823bから照射される光は、円周上に等間隔で互いに密接して配置される第1装飾部材870の鍍金部871aに照射されることから、各第1装飾部材870に、3個のLEDからの光が照射されることになる。
外側発光部823bは電飾基板823に固定配置されており、第1装飾部材870は円の中心を軸として回転変位するように構成されるが、外側発光部823b及び第1装飾部材870は同軸の円上にそれぞれ等間隔で配置されるので、第1装飾部材870の回転方向の姿勢に関わらず、常に同数(本実施形態では、3個)のLEDからの光を各第1装飾部材870に照射することができる。
これにより、回転動作中に第1装飾部材870に照射される光LD1の光量の変化を抑制することができる。
摺動部材825は、内径側部が固定円筒部材820の円筒部821に摺動可能に構成される一方、外径側部が内側回転部材830の円形フランジ状部831aに摺動可能となるように形成される。
摺動部材825は、正面側にフランジ状部が形成されており、そのフランジ状部の内径側端部から後方に筒状で突設される筒状部を有するが、この筒状部の外径が、円形フランジ状部831aの内径よりも若干短く形成されることで、内側回転部材830に摺動可能に内嵌される。
摺動部材825を間に介在させることにより、固定円筒部材820と、その周りを回転可能に構成される内側回転部材830とが直接接触することを防止するようにしている。また、円筒部821の円形板部822側であり、同様に本体部831の円形フランジ状部831a側という強度的に有利な側に摺動部材825が配設されることで、摺動時や摺動不良時(意図せず変位抵抗が過大となった時)に生じる負荷によって固定円筒部材820や内側回転部材830が損傷したり変形したりする可能性を低減することができる。
内側回転部材830は、正面側端部に円形フランジ状部831aを有する円筒状の本体部831と、その本体部831の周囲を円周方向に5等分した位置において径方向に長尺方向を沿わせた姿勢で円形フランジ状部831aに締結固定される複数の金属棒832と、その金属棒832が挿通可能に形成され金属棒832に案内される形で直動変位可能に構成される複数の直動部材833と、その直動部材833の径方向外側部において回転可能に軸支される複数の回転部材834と、を備える。
本体部831は、上述の円形フランジ状部831aと、隣り合う金属棒832の中間の角度位置(5箇所)において円形フランジ状部831aを基端として突条状に後方に延びる複数の摺動突条部831bと、円形フランジ状部831aの反対側の端部において円周方向に間隔を空けて凹設形成される複数の凹設部831cと、を備える。
摺動突条部831bは、外側回転部材840の本体部841の内周側曲面と摺動可能に構成される部分であって、外側回転部材840との接触面積を減らし接触摩擦を低減するために突設先端が断面半円状に形成される。
摺動突条部831bの配置は、上述のように隣り合う金属棒832の中間の角度位置とされるが、換言すれば、外側回転部材840の中心軸を基準として金属棒832の反対側の位置(180度ずれた位置)とされる。
これにより、後述する切替回転動作において中間腕部材850が金属棒832に沿って径外方向に変位され、その中間腕部材850が軸支される外側回転部材840が径外方向に変位するよう負荷を受けたとしても、その外側回転部材840の変位を摺動突条部831bで受けることができるので、外側回転部材840の内側円周面と内側回転部材830の外側円周面との接触面積を低い状態で維持することができる。
凹設部831cは、中央円環ギア864の伝達突部864aが進入配置される部分であって、凹設部831cに伝達突部864aが配置されることで、互いの相対回転を不能として、中央円環ギア864の回転角度と内側回転部材830の回転角度とを一致させることができる。
直動部材833は、直動変位方向に並ぶように間隔を空けて配置され後方へ向けて円筒状に突設される一対の円筒状突設部833a,833bと、その円筒状突設部833a,833bを基準として本体部831の中心軸から離れた側に形成され回転部材834に挿通される円筒状の円筒状軸部833cと、その円筒状軸部833cの先端部において周方向に沿って凹設される凹設溝833dと、を備える。
凹設溝833dは、組立状態(図28参照)において回転部材834から突き出た側に配置されており、回転部材834に締結固定される装飾部材870,880の張出部873,883が摺動可能に外嵌されることで、回転部材834の径外方向への脱落を防止する変位規制用の溝として機能するが、詳細は後述する。
回転部材834は、傘歯車状に形成される傘歯部834aと、直動方向と平行に円筒状に突設される複数の円筒状突設部834bと、を備える。傘歯部834aは、全周に亘って形成されるものではなく、動作に必要となる3/4周(約270度)に亘って形成されている。
円筒状突設部834bは、内周側に雌ネジが形成されており、装飾部材870,880の挿通孔874,884に挿通された締結ネジを螺入することで、装飾部材870,880を回転部材834に締結固定するように機能するが、詳細は後述する。
外側回転部材840は、円筒状の本体部841と、その本体部841の周囲を円周方向に5等分した位置において径方向外方へ延設される複数(本実施形態では、5本)の延設腕部842と、本体部841の後側端部の円周に沿って外周側に形成されるギア歯843と、検出センサ813の検出溝に進入可能な配置で本体部841の径外方向に延設される被検出部844と、を備える。
延設腕部842は、本体部841の中心軸と平行に延びる円筒状部842aを備え、その円筒状部842aの内周側には雌ネジが形成されており、中間腕部材850の基端側棒部851に円筒状部842aを挿通した状態で雌ネジに締結ネジを螺入することで、中間腕部材850が延設腕部842に脱落不能に軸支される。
ギア歯843は、駆動伝達装置860の負荷応答ギア865と歯合可能に配設されることで、外側回転部材840の回転変位の有無を切り替える部分として機能するが、詳細は後述する。
中間腕部材850は、長尺に形成される部材であって、一端側が外側回転部材840の円筒状部842aに軸支される基端側棒部851と、その基端側棒部851の他端側において正面側に増厚される増厚部852と、その増厚部852の正面側端部から基端側棒部851の長尺方向と平行に延設される先端側棒部853と、その先端側棒部853の端部にギア歯を有して形成される回転伝達部854と、を備える。
回転伝達部854は、直動部材833及び回転部材834と連動する部分であって、円筒状突設部833aを挿通した状態で互いに回動可能な寸法関係で形成される被支持孔854aと、その被支持孔854aを中心とした円弧状に穿設される長孔であって円筒状突設部833bを挿通した状態で案内する案内孔854bと、被支持孔854aを中心軸とする傘歯車状に形成され回転部材834の傘歯部834aと歯合することで傘歯車を形成する傘歯部854cと、を備える。
駆動伝達装置860は、モータ保持部814に締結固定される駆動モータ861と、その駆動モータ861の駆動軸に固着される駆動ギア862と、円筒状突設部815に脱落不能に軸支され駆動ギア862を介して駆動力を伝達可能に歯合される複数の伝達ギア863と、その伝達ギア863に歯合される中央円環ギア864と、その中央円環ギア864の配置よりも前側にずれて配置され二重円筒突設部816に脱落不能に軸支される一対の負荷応答ギア865と、その負荷応答ギア865の背面側において二重円筒突設部816の二重筒に支持され負荷応答ギア865にかけられる回転方向の負荷に応じた抵抗が可変とされるトルクリミッタ866と、を備える。
中央円環ギア864は、環状に形成され、その内周側に固定円筒部材820の円筒部821を挿通可能に設計され、内側回転部材830の凹設部831cに進入配置可能となるように凹設部831cに対応する配置および形状で底板部から正面側に突設される伝達突部864aと、その伝達突部864aの内径側および外径側に配置される同軸二重円環形状で底板部から正面側に突設される支持円環状部864bと、を備える。
組立状態では、伝達突部864aが凹設部831cに進入配置された状態において、支持円環状部864bの間の隙間に内側回転部材830の本体部831の後方端部が中間ばめの寸法関係または締りばめの寸法関係で嵌合される。これにより、中央円環ギア864と内側回転部材830とを一体的に回転させることができる。
なお、凹設部831c及び伝達突部864aの配置については何ら限定されるものではない。例えば、円周方向に等間隔で配置されるようにしても良いし、円周方向に不等間隔で配置されるようにしても良い。
等間隔であれば、内側回転部材830と中央円環ギア864との姿勢を考慮せずとも、伝達突部864aと凹設部831cとの配置を合わせれば組み付けることができるので、組み付けを迅速に行うことが可能となる。本実施形態にように、内側回転部材830及び中央円環ギア864の形状が回転方向で対称(72度間隔で同じ)とされる場合には、内側回転部材830及び中央円環ギア864の姿勢が組み付け時にずれることによる影響は少ないと考えられるので、等間隔とすることは有効である。
不等間隔であれば、組み付け作業時において、内側回転部材830に対して中央円環ギア864の姿勢を合わせてから組み付けるという工数が1個増えるが、凹設部831cへの伝達突部864aの配置を利用して、内側回転部材830と中央円環ギア864との姿勢合わせを行うことができる。
負荷応答ギア865は、外側回転部材840のギア歯843と歯合可能に配設される。負荷応答ギア865にトルクリミッタ866が係合していることにより、内側回転部材830及び中央円環ギア864と、外側回転部材840と、の間の回転抵抗の大小に起因して、負荷応答ギア865の回転が許容される状態と、規制(制限)される状態と、が切り替えられるよう構成されている。
即ち、トルクリミッタ866は、所謂安全クラッチとして機能するものであり、所定の許容値を超える負荷がかかると接続を切り、駆動力の伝達を解除するよう構成される。本実施形態では、一方向の駆動力を伝達する装置(ワンウェイのトルクリミッタ)が、伝達方向を逆とする一組で構成され、トルクリミッタ866による駆動伝達の切り替えを双方向で応答性良く行えるように構成している。
図62は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解正面斜視図であり、図63は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解背面斜視図である。なお、図62及び図63では、第3動作ユニット800の装飾部分が図示されており、変位を構成するための部分の図示が省略されている。
図62及び図63に示すように、第3動作ユニット800は、上述した内側回転部材830と、その内側回転部材830の円筒状突設部834bに締結固定され円筒状突設部834bの一方の側面を覆う第1装飾部材870と、円筒状突設部834bに締結固定されると共に第1装飾部材870の反対側の側面から円筒状突設部834bを覆う第2装飾部材880と、を備える。
第1装飾部材870は、円筒状突設部834bに締結固定可能に形成される第1骨格部871と、その第1骨格部871の一側を覆うよう形成される第1覆設部875と、を備える。
第1骨格部871には、全体に鍍金処理がされており、光を反射し易いよう構成されている。
第1覆設部875は、枠の内側が無色で光透過性の樹脂材料で形成されており、その表面に図形や模様や、キャラクターの絵柄(以下、「絵柄等」とも称す)が描かれており、表面が正面側に向いた際には、その絵柄等を遊技者に視認させる。
本実施形態では、複数(5個)の第1覆設部875に、それぞれ独立した絵柄等が描かれている。そのため、電飾基板823による発光制御で強発光させる第1覆設部875を変更したり、第1覆設部875の配置を変更したりすることで、遊技者の注目を集める絵柄等を異ならせることができる。
例えば、遊技者目線で、第3図柄表示装置81側にいずれの第1覆設部875が停止するかに注目させるような表示演出を第3図柄表示装置81で実行すると同時に、内側回転部材830を回転させるように制御すれば、その回転に伴い第3図柄表示装置81側の第1覆設部875を継続的に変更することができるので、回転が停止するまでの期間に亘り、遊技者の視線を第1覆設部875に集めることができる。
第2装飾部材880は、円筒状突設部834bに締結固定可能に形成される第2骨格部881と、その第2骨格部881の他側を覆うよう形成される第2覆設部885と、を備える。
第2骨格部881は、第2覆設部885に収容される磁石Mg2を脱落不能に保持するための保持片881aを備える。
第2覆設部885は、隣設される第2覆設部885に収容される磁石Mg2の吸着力が作用する位置(近接位置)に金属製ネジが螺入固定されており、この金属製ネジに磁石Mg2が吸着することで、合体状態(特に、一連合体状態、図32参照)における第2覆設部885の一体性が確保できるように図っている。
第2覆設部885は、表面に図形や模様や、キャラクターの絵柄(以下、「絵柄等」とも称す)が描かれており、表面が正面側に向いた際には、その絵柄等を遊技者に視認させる。
本実施形態では、複数(本実施形態では、5個)の第2覆設部885に描かれる絵柄等は、複数(少なくとも2個、最大で5個)の第2覆設部885が組となるよう絵柄等が構成されており、5個の第2覆設部885が合体状態を構成した時に正面視で「円状体」として視認されるように各第2覆設部885をその円状体の一部を構成するように装飾している。
第2覆設部885に描かれる絵柄等は特に限定されるものではないが、本実施形態では、一連合体状態において第2覆設部885から把握される内容が第2装飾部材880の回転方向の配置が異なっても大きな違いが生じない絵柄として設計している。即ち、絵柄として明確な上下左右があるものではなく、回転させても外形の変化が目立たない(本実施形態では、円形状)を構成する設計としている。
そのため、複数の第2覆設部885同士を強固に一体化できる方が、第2覆設部885を遊技者に視認させる時の演出性能を向上させることができる。この点で、本実施形態では、合体状態において磁石Mg2の吸着力により第2覆設部885側が強固に一体化されるので、第2覆設部885が正面側に配置されている場合の合体状態における演出性能を向上させることができる。
なお、各第2覆設部885において、幅方向の片側に磁石Mg2が配設され、逆側に金属製ネジが螺入固定されている。後述する切替回転動作により第2覆設部885の向きが前後で反転した場合には、それに伴い正面視での磁石Mg2と金属製ネジとの配置も反転することになる。
この場合でも、各磁石Mg2が吸着する金属製ネジが、逆側に隣設される第2覆設部885に螺入固定される金属製ネジに入れ替わるだけであり、5個の第2覆設部885が円環状に配設されていることから一体化した際の吸着度合いに変化はない。
一方、本実施形態では、第1覆設部875には、磁石を収容していない。これにより、第1覆設部875側における一体化の強度は、若干弱くなっているが、これにより演出性能が低下することを回避するようにしている。
即ち、第1覆設部875には、それぞれ独立した絵柄等が描かれているので、合体状態における一体化の程度が弱く、第1装飾部材870の配置が多少ずれることがあっても、遊技者に視認させる絵柄等を認識できなくなる可能性は無い。従って、第1覆設部875に描かれる絵柄等を利用した演出の演出性能が低下することを回避することができる。
更に、第1覆設部875側の一体化の強度が弱くなっていることにより、昇降変位(からの停止)に伴い生じる振動や、一体回転動作や切替回転動作としての回転変位(からの停止)に伴い生じる振動により、合体している第1覆設部875同士の配置をずらすことができる。これにより、第1覆設部875が分割体ではなく、単一の円形部材から構成される従来機では実現不可能な変位態様で第1覆設部875を変位させることができるので、第1覆設部875による演出の演出効果を向上させることができる。
上述の事情から、複数の装飾部材870,880が近接配置される合体状態において、第1装飾部材870が前側を向く状態を個別合体状態とも称し(図31参照)、第2装飾部材880が前側を向く状態を一連合体状態とも称す(図32参照)。次いで、個別合体状態と一連合体状態とを切り替えるための動作について説明する。
図64(a)、図64(b)、図65(a)及び図65(b)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の背面図であり、図66(a)、図66(b)、図67(a)及び図67(b)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の正面図である。
図64から図67では、駆動モータ861(図60参照)の駆動力が伝達され、内側回転部材830が外側回転部材840に対して相対的に回転動作することにより変位する中間腕部材850の変位が時系列で図示される。
即ち、背面視および正面視において時系列で図示されており、個別合体状態(図64(a)、図66(a))から、内側回転部材830が45度ずつ回転する様子が図示されている。
なお、図64から図67では、金属棒832の軸線が仮想位置線832Fとして記載されており、この仮想位置線832Fの配置の角度変化が、内側回転部材830の回転角度に対応する。なお、個別合体状態(図64(a)、図66(a))からの内側回転部材830の回転角度が角度θ31で図示される。
図64から図67に示すように、個別合体状態から内側回転部材830が正面視(図66参照)反時計回りに回転すると(この回転動作を、以下において「切替回転動作」とも称する)、中間腕部材850の回動が許容されることから、内側回転部材830の外側回転部材840に対する相対的な回転が許容される。本実施形態では、外側回転部材840はトルクリミッタ866(図60参照)の抵抗により配置が維持され、内側回転部材830のみが回転動作する。
従って、図64から図67において、円筒状部842aの配置は維持されており、中間腕部材850は、外側回転部材840の円筒状部842aを中心に回動変位する。
上述の部材間の構成から、仮想位置線832Fは、被支持孔854aの中心を通る直線であり、被支持孔854aに直動部材833の円筒状突設部833aが締結固定されることから、被支持孔854aの配置変化は、直動部材833の配置変化に対応する。
図64及び図65に示すように、回転伝達部854が内側回転部材830の回転軸を中心とした径方向に変位し、同時に、周方向に変位するので、回転伝達部854に支持される回転部材834も同様に、内側回転部材830の回転軸を中心とした径方向に変位し、同時に、周方向に変位する。即ち、切替回転動作において、直動部材833は、径方向の変位を伴いながら、周方向に180度変位する。
切替回転動作に周方向の変位が含まれることから、径方向終端位置においても直動部材833、回転部材834及びそれに締結固定される装飾部材870,880の配置が固定されることなく、周方向への変位を保つことができるので、径方向の直動変位のみで変位が完結する場合(例えば、第2動作ユニット700で上述した反転動作)に比較して、切替回転動作中における演出効果を高く維持することができる。
なお、これに対し、第2動作ユニット700で上述した反転動作においては、傘歯部783c及び傘歯部材785c(図58参照)の弾性回復力を利用した加速度の高い回転動作を生じさせることで、直動方向外側変位終端(図59(b)参照)における覆設部材787の配置が固定されている印象を弱めるよう図っている。
即ち、覆設部材787の回転始期を遅らせ、且つ回転終期を遅らせないことにより、覆設部材787の回転速度の向上を図っており、左右方向外側変位終端において左右位置の変化幅が小さい期間(スライダクランクの死点付近の期間)が継続する状況にあっても、覆設部材787の回転速度を上昇させることで覆設部材787の動作による演出効果を高く維持するよう図っている。
切替回転動作に径方向の変位が含まれることから、中間腕部材850から外側回転部材840に径方向の負荷が生じ易く外側回転部材840の回転軸のずれが生じる可能性が考えられるが、本実施形態では、中間腕部材850の径方向の負荷が回転軸を中心として等間隔(72度間隔)で同様に生じるので、各負荷が互いに相殺し合うことになる。これにより、外側回転部材840の回転軸のずれを抑えることができるので、切替回転動作を正常に実行させ易くすることができる。
このように、第3動作ユニット800の回転動作における径方向変位(拡大縮小変位)は、円周方向の回転を伴いながら生じる。そのため、周囲の装飾部材との衝突を避けるために、第3動作ユニット800の切替回転動作は、第3動作ユニット800が張出状態となっていることが昇降アーム部材801の姿勢を判定する検出センサの出力により判定されている状態において実行可能となるように制御される。
また、回転伝達部854の上述の変位に伴い、回転部材834に締結固定される第1装飾部材870及び第2装飾部材880も同様に、内側回転部材830の回転軸を中心とした径方向に変位し、同時に、周方向に変位する。
中間腕部材850が回動変位することにより、傘歯部854c(図66及び図67参照)と、回転部材834の傘歯部834a(図60参照)とが歯合し、回転部材834及び回転部材834に締結固定される装飾部材870,880が金属棒832を軸として回転変位する。
この回転変位の角度は、仮想位置線832Fを基準とした中間腕部材850の回転角度としての角度θ32に比例する。また、その回転方向は、角度θ32が仮想位置線832Fから正面視反時計回り方向に離れるよう増大しており、回転部材834が中間腕部材850の正面側に配置されることから(図60参照)、仮想位置線832Fの径外方向側から見て反時計回り方向に設定される。
回転部材834は、一体回転状態において第1装飾部材870又は第2装飾部材880のいずれかが正面側を向く姿勢となるので、角度θ31の最大値としての最大角度θ31E(本実施形態では、180度)の回転によって、中間腕部材850の回転角度が最大値としての最大角度θ32E(本実施形態では、90度)となる場合に、回転部材834の傘歯部834aが半周回転(180度回転)するよう構成される。
即ち、回転部材834が金属棒832を中心として回転する角度は、傘歯部854cの被支持孔854aを中心とした回転角度の2倍となるように構成される。
ここで、上述の第2動作ユニット700の磁石Mgの作用として説明したものとは異なり、磁石Mg2(図62参照)の吸着力は、金属棒832を中心とする装飾部材870,880の回転変位に対して回転を遅らせるような作用を生じさせるものではない。
即ち、磁石Mg2は、隣設する第2装飾部材880との間で吸着力を生じるものであり、中間腕部材850の回動に伴い装飾部材880が金属棒832に沿って径外方向に変位することに伴い、隣設される第2装飾部材880の間に隙間が生じることで吸着力は失われ得る。
従って、金属棒832を中心とする回転変位が開始される前において、磁石Mg2の吸着力は失われることになり、金属棒832を中心とする装飾部材870,880の回転変位に対して回転を遅らせるような作用は生じない。
そのため、装飾部材870,880を回転変位させるために必要となる駆動力を低減することができる。即ち、駆動モータ861に要求される駆動力を低減することができるので、駆動モータ861の小形化を図ることができる。
更に、装飾部材870,880の回転変位を迅速に開始し、早期に終了させることができるので、金属棒832を中心とする回転変位に対する遊技者の注目度合いを低くすることができる。
装飾部材870,880の回転変位の開始時の迅速性は、内側回転部材830の回転角度に対する装飾部材870,880の回転角度を一定ではないように構成することでも保たれている。
例えば、中間腕部材850の回動の過程において、中間腕部材850が縮径配置され一体回転動作が可能な状態からの仮想位置線832Fの回転角度(内側回転部材830の回転角度)が45度である場合には角度θ32が18度であり(図66(b)参照)、更に45度の角度で仮想位置線832Fが回転した場合における角度θ32が27度とされる(図67(a)参照)。
即ち、角度θ32は、一体回転動作が可能な状態からの内側回転部材830の回転開始側の方が、回転途中に比較して小さくなるように設計されている。これにより、内側回転部材830の回転開始時において装飾部材870,880の回転変位の程度を抑制することができる。
駆動モータ861の駆動力は、内側回転部材830の回転、中間腕部材850の回動および装飾部材870,880の回転に利用されることになるが、上述のような構成から、一体回転動作が可能な状態からの内側回転部材830の回転開始時において装飾部材870,880の回転に要する駆動力を低減することができるので、内側回転部材830の回転開始時に駆動モータ861にかけられる負担が過度に大きくなることを回避することができる。
また、金属棒832を中心とする装飾部材870,880の回転変位は、正面視で円周方向に位置ずれしながら生じるので、回転変位中の装飾部材870,880の視認性を低く抑えることができる。これにより、装飾部材870,880の側面部(例えば、第1覆設部875と第2覆設部885との連結面)が視認される可能性を低くすることができ、装飾部材870,880の側面部の設計自由度を向上することができる。
切替回転動作の際、正面視において、中間腕部材850は、隣設される中間腕部材850と配置が重なる。また、自らが軸支される円筒状部842aが配設される延設腕部842に隣設される延設腕部842とも配置が重なる。そのため、対策なしでは、中間腕部材850が周辺の部分と衝突する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、中間腕部材850の構成を部位ごとに前後にずらすことで衝突の回避を図っている。即ち、中間腕部材850の基端側棒部851よりも、先端側棒部853及び回転伝達部854の方が後側に配置されるようにすることで、基端側棒部851と先端側棒部853及び回転伝達部854とが前後で重なるようにでき、切替回転動作の際に衝突することを回避することができる。
また、基端側棒部851は延設腕部842の前側に、先端側棒部853及び回転伝達部854は延設腕部842の後側に配置するようにすることで、切替回転動作の際に中間腕部材850が延設腕部842の前後に配置されるようにすることができ、中間腕部材850と延設腕部842との衝突を回避することができる。
図64から図67では、外側回転部材840を基準とした内側回転部材830の回転方向が、中間腕部材850の回動を許容する方向(個別合体状態における正面視反時計回り方向、図66参照)である場合を説明した。この場合、トルクリミッタ866を介して抵抗を生じる負荷応答ギア865にギア歯843が歯合されることで抵抗を受け、外側回転部材840の回転変位は制限される。
一方、内側回転部材830の回転方向が上述の逆方向(個別合体状態における正面視時計回り方向)である場合や、中間腕部材850の回動を許容する方向(個別合体状態における正面視反時計回り方向)での回転により中間腕部材850が回動を規制される状態に到達(例えば、個別合体状態から一連合体状態に到達)してからも同方向で回転を継続した場合には、外側回転部材840の回転を規制するトルクリミッタ866の許容値を超える負荷が負荷応答ギア865に負荷され、トルクリミッタ866による負荷応答ギア865の姿勢維持が解除され、内側回転部材830と外側回転部材840とが同期回転する。
換言すれば、回転方向に関わらず、中間腕部材850の回動が規制される状態において、中間腕部材850の回動の規制を継続する方向に内側回転部材830を回転させるように駆動した場合、内側回転部材830及び外側回転部材840が同期回転し、中間腕部材850、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が合体状態を維持したまま一体回転する(この回転動作を、以下において「一体回転動作」とも称する)。
一体回転動作は、中間腕部材850の回動が規制される状態で生じるものであり、本実施形態では、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が互いに近接配置された合体状態で生じる。
そのため、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の拡径方向の変位が生じる切替回転動作と異なり、周囲の装飾部材との衝突を考慮する必要が無いので、第3動作ユニット800の演出待機状態において一体回転動作を実行することができる。従って、本実施形態では、一体回転動作は、第3動作ユニット800の配置に関わらず、実行可能に制御される。
本実施形態では、上述のように、単一の駆動モータ861(図60参照)の駆動力により、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の拡径方向変位を伴う切替回転動作と、拡径方向変位を伴わない第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作と、を実行可能とされており、両駆動方向でいずれの動作も実行可能であるが、動作に優先順位があり、任意の回転方向で即座に任意の動作を実行可能なわけではない。
例えば、図64(a)及び図66(a)に示す状態からは、内側回転部材830を正面視反時計回りに回転させることで切替回転動作を実行可能であり、そのまま回転を継続すれば一体回転動作を実行可能であり、また、内側回転部材830を正面視時計回りに回転させることで一体回転動作を実行可能とされるが、即座には、正面視反時計回りの回転で一体回転動作を実行することはできない。
また、例えば、図64(a)及び図66(a)に示す状態から、内側回転部材830を正面視反時計回りに回転させ、中間腕部材850が回動を規制される状態に到達した後で、内側回転部材830を正面視時計回り(逆回り)に回転させた場合には、再び切替回転動作が実行されてしまい、即座には、正面視時計回りに一体回転動作を実行することはできない。
このように、本実施形態の第3動作ユニット800の動作態様は、駆動モータ861の回転方向に対して、中間腕部材850の変位が規制される状態か、又は許容される状態か、によって、内側回転部材830及び外側回転部材840の相対的変位が変化する。
そのため、本実施形態において、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、駆動モータ861の回転方向毎に、中間腕部材850の変位が規制される状態か、又は許容される状態か、を判定可能に制御され、その判定結果から、適切な駆動方向で駆動モータ861を駆動制御可能とされる。以下において、駆動モータ861の駆動制御の一例について説明する。
図68は、昇降アーム部材801の配置、駆動モータ861の駆動態様および検出センサ813の出力の一例を時系列で示すタイミングチャートである。図68に示すように、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、第3動作ユニット800の演出制御として通常演出と反転演出とを交互に繰り返すよう制御される。
反転演出時には、切替回転動作を含む動作を実行し、通常演出時には、切替回転動作を含まない動作を実行する。これは、切替回転動作において装飾部材870,880と周囲の装飾部材とが衝突することを避けるためである。
同様の目的から、突然停電が生じた場合等から再度電源を投入した場合や、朝一に電源投入した場合には、第3動作ユニット800を張出状態としてから駆動モータ861の回転制御を実行し、検出センサ813の出力から可動部分の状態を把握した後において、通常演出時の制御を実行するように制御される。これにより、電源投入時において検出センサ813の出力結果から可動部分の状態が把握できない場合であっても、誤って装飾部材870,880と周囲の装飾部材とが衝突する事態を回避することができる。
駆動モータ861の駆動方向として、正回転と、逆回転とを記載している。図68における正回転は、内側回転部材830を正面視時計回りに回転させる駆動態様(個別合体状態(図66(a)参照)において一体回転動作を即座に実行する駆動態様)に対応し、図68における逆回転は、内側回転部材830を正面視反時計回りに回転させる駆動態様(個別合体状態において、切替回転動作を即座に実行する駆動態様)に対応する。
まず、反転演出時に至る前における、通常演出時の駆動制御について説明する。この通常演出時には、第3動作ユニット800は個別合体状態とされており、駆動モータ861は停止するか、又は正回転の駆動制御のみが実行される。そのため、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の回転動作は、常に一体回転動作とされる。
切替回転動作は生じないので、周囲の装飾部材との衝突は生じ得ず、第3動作ユニット800の配置は演出待機状態または張出状態に任意のタイミングで切替可能である。例えば、昇降アーム部材801の上下動作により被保持部材810を昇降変位させている最中に駆動モータ861を駆動することで、昇降変位と同時に第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作を生じさせることもできるよう、制御される。
当然、昇降アーム部材801の配置が固定している状態において第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作を生じさせても良いし、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作を停止した状態で昇降アーム部材801の昇降動作を行うようにしても良い。
駆動モータ861の駆動の方向が正回転のみなので、外側回転部材840の被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入する度に検出センサ813の出力が切り替わり、この出力の切り替わりを判定することで音声ランプ制御装置113(図4参照)は外側回転部材840の姿勢を初期位置として判定することができ、この初期位置からの駆動時間を複数種類で設定することで、外側回転部材840を任意の姿勢で停止するよう制御することができる。
次いで、反転演出時における駆動制御について説明する。まず、反転演出時には、昇降アーム部材801が下降変位し、第3動作ユニット800が張出状態とされる。この状態で駆動モータ861は、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態となるまで正回転を継続するよう制御される。
検出センサ813の出力の切り替わりにより、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態が判定されたら、駆動モータ861を逆回転で駆動する。逆回転の駆動により、第3動作ユニット800では、切替回転動作が実行されるが、この間は外側回転部材840の回転はトルクリミッタ866の抵抗により規制されるので、検出センサ813の出力は維持される。
そのままの回転方向で駆動モータ861の駆動を継続すると、一連合体状態に到達し、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が実行される。一体回転動作開始後は、外側回転部材840も内側回転部材830と連動して回転開始するので、被検出部844が検出センサ813の検出溝から退避し、検出センサ813の出力が切り替えられる。即ち、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、検出センサ813の出力の切り替わりにより、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が開始されたと判定することができる。
一体回転動作が開始された後は、駆動モータ861は停止するか、又は逆回転の駆動制御のみが実行される。そのため、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の回転動作は、常に一体回転動作とされる。切替回転動作は生じないので、周囲の装飾部材との衝突は生じ得ず、第3動作ユニット800の配置は演出待機状態または張出状態に任意のタイミングで切替可能である。
駆動モータ861の駆動の方向が逆回転のみなので、外側回転部材840の被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入する度に、検出センサ813の出力が切り替わり、音声ランプ制御装置113(図4参照)は外側回転部材840の姿勢を判定することができる。
反転演出時から通常演出時に切り替わる際には、事前に、昇降アーム部材801が下降変位し、第3動作ユニット800が張出状態とされる。この状態で駆動モータ861は、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態となるまで逆回転を継続するよう制御される。
検出センサ813の出力の切り替わりにより、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態が判定されたら、駆動モータ861を正回転で駆動する。正回転の駆動により、第3動作ユニット800では、切替回転動作が実行されるが、この間は外側回転部材840の回転はトルクリミッタ866の抵抗により規制されるので、検出センサ813の出力は維持される。
次いで、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が実行される。一体回転動作開始後は、外側回転部材840が回転を開始することで、被検出部844が検出センサ813の検出溝から退避し、検出センサ813の出力が切り替えられる。即ち、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、検出センサ813の出力の切り替わりにより、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が開始されたと判定することができる。
一体回転動作が開始された後で、再び通常演出時に移行する。この通常演出時の駆動制御についての制限は、上述の反転演出時の前に配置されていた通常演出時において説明した駆動制御についての制限と同様である。
このように、本実施形態によれば、単一の検出センサ813を、第3動作ユニット800の回転態様の切り替えの判定(一体回転動作または切替回転動作)と、外側回転部材840の回転角度の基準の判定と、に兼用することができる。従って、各判定に個別の検出センサを利用する場合に比較して、検出センサ813の必要個数を削減することができる。
上述のように、一体回転動作を継続する状態または回転を停止している状態から、駆動モータ861の駆動方向を逆方向に切り替えることにより、切替回転動作を実行することができる。即ち、個別合体状態における第1装飾部材870の姿勢に関わらず、切替回転動作を実行し一連合体状態に切り替えることができる。
そのため、動作演出において、大当たり告知のタイミングで一連合体状態に切り替えるように制御する場合において、第1装飾部材870の姿勢から大当たり告知の有無を遊技者に予想されることを回避することができる。
更に、一連合体状態における装飾は、上述のように、遊技者に把握される内容が、第2装飾部材880の回転方向の配置によって大きく違わないように設計されている。即ち、切替回転動作の開始時における装飾部材870,880の回転方向の配置が異なる場合であっても、切替回転動作の終了時において一連合体状態として遊技者に把握される内容を同様のものとすることができる。
そのため、一連合体状態における絵柄が回転方向の配置で異なる場合と異なり、一連合体状態に到達した後において姿勢を合わせるための一体回転動作を省略することができるので、個別合体状態における第1装飾部材870の姿勢に関わらず、大当たり告知までの駆動制御を同一とすることができる。
このように、本実施形態では、駆動モータ861の駆動方向としての正回転と逆回転との双方で、切替回転動作および一体回転動作の双方の動作態様を実現することができる。従って、正回転と逆回転とで動作態様が固定されている場合に比較して、単一の駆動モータ861で多種多様な演出態様を実現することができる。
図69は、図28のLXIX−LXIX線における第3動作ユニット800の断面図である。図69に示すように、固定円筒部材820の円筒部821の開口は、被保持部材810の筒固定部812が配置される後端部から、電飾基板823が配置される前端部まで貫通しており、この開口を後端部から前端部まで電気配線が案内され、電飾基板823に配設されるコネクタに端子が接続される。この電気配線を通して電気が導通され、電飾基板823に配置されるLEDを発光制御可能に構成している。
電飾基板823の内側発光部823aから照射される光LH1は、透光装飾部材824の中央部側において正面側に膨出する膨出部824aを照らすように作用する。膨出部824aは、装飾部材870,880の合体状態において第1装飾部材870又は第2装飾部材880が円周上に配置される円の中央部において遊技者に視認可能とされる部分として機能する。
電飾基板823の外側発光部823bから照射される光LD1は、前側に配置される装飾部材870,880(図69においては第1装飾部材870)の内部に照射され、装飾部材870,880を内部から照らすように作用する。
本実施形態では、装飾部材870が前側に配置される個別合体状態(図69参照)と、装飾部材880が前側に配置される一連合体状態(図32参照)と、を切り替え可能とされているので、光LD1により、装飾部材870を照らす場合と、装飾部材880を照らす場合とを切り替えることができる。
個別合体状態(図69参照)では、第1骨格部871の鍍金処理されている鍍金部871aで正面側に反射することで、光LD1の向きを正面側に切り替えるよう構成している。これにより、光LD1の大部分が第1覆設部875に向かうように照射することができ、光LD1の照射時における第1覆設部875の明るさを良好に高めることができる。
ここで、本実施形態では、電飾基板823は固定配置されており、その周囲を装飾部材870,880が回転するように構成されているので、光LD1の照射方向と装飾部材870,880の配置との関係は装飾部材870,880の回転により変化し得る。例えば、回転中において、鍍金部871aの中心部に光LD1が照射される場合があれば、同じLEDから照射される光LD1が鍍金部871aの中心部からずれた位置に照射される場合も生じ得る。そのため、対策なしでは、光LD1による第1覆設部875の明るさの程度が装飾部材870,880の回転により変化し易くなり、一定明るさで発光させながら装飾部材870,880を一体回転動作させる演出を実行することが困難となる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、光LD1を反射可能に構成される鍍金部871aの形状が凹面形状とされ、この凹面形状の曲率半径は、電飾基板823の半径よりも小さくなるように形成され、且つ、その中心が正面視で第1覆設部875の中心部付近に配置されるよう設計される。
光LD1は外側発光部823bが配置される円の外径方向に光軸を向けるように配置されるので、光LD1は、鍍金部871aの凹面形状に反射されることで、その曲率半径の中心側へ向けて進行することになり、第1装飾部材870の各第1覆設部875の中央付近を照らす。
従って、外側発光部823bを基準とした鍍金部871aの配置によらず、複数の光LD1を、第1覆設部875の中央付近を照らすように反射することができる。これにより、第1覆設部875の前板部の中央付近に光を安定的に照射することができるので、一体回転動作中においても、第1覆設部875を均一な明るさで視認させることができる。
更に、第1骨格部871は、鍍金部871aへの鍍金処理と同様に鍍金処理が行われる部分であって、正面視で第1覆設部875の外方に配置される外鍍金部871bを備える。光LD1は、鍍金部871aと同様に外鍍金部871bでも反射されることになるが、鍍金部871aの配置に比較して外鍍金部871bが後方に配置されていることから、外鍍金部871bの光方の程度を弱めることができる。
これにより、第1覆設部875の外方において視認される光の強度が強すぎて、遊技者が眩しく感じ、第1覆設部875の枠の内側の視認性を低下させる事態を回避することができる。
電飾基板823は第1装飾部材870及び第2装飾部材880に前後から挟まれているが、つなぎ目において完全に閉塞されているものではないので、外側発光部823bからの光の全てがその内側に照射されるものではない。
まず、第1覆設部875の部材縁部875aと、その部材縁部875aに対向配置される第2覆設部885の部材縁部885aとの間には、図69において内部構造が視認可能な程度の隙間VA1が形成されている。この隙間VA1を通って外鍍金部871bが第1覆設部875の枠外方へ張り出しているので、隙間VA1を通った光LD1を外鍍金部871bで反射させることができる。
その上、金属棒832と対向配置される第1覆設部875の部材外端部875bと、第2覆設部885の部材外端部885bとの間には、金属棒832との部材干渉を避けるために要する領域を超える大きな隙間VA2が形成される。
隙間VA2は、第1に、金属棒832と装飾部材870,880との衝突を回避することで、金属棒832の長さを十分に確保できるようにし、金属棒832により直動部材833及び回転部材834の直動変位を案内する機能を確保できるようにする目的で形成される。
隙間VA2は、第2に、骨格部871,881に挿通される締結ネジであって、回転部材834の円筒状突設部834bに螺入されることにより装飾部材870,880を回転部材834に締結固定するための締結ネジの組み付け経路を確保できるようにする目的で形成される。
更に、隙間VA2は、第3に、骨格部871,881の透明部分を通過した光を進行させるための、光の通り道を確保できるようにする目的で形成される。装飾部材870,880は円周上に等間隔で配置されていることから、隙間VAを通り外方へ進行する光は、円周上の等間隔位置を通り、その円の中心から放射状に進行する光として視認される。
そのため、装飾部材870,880の一体回転動作を実行することで、隙間VA2を通過する光も同じように回転させることができる。これにより、外側発光部823bからの光の点灯態様を制御することを不要としながら(例えば、全点灯を継続したままで)、第3動作ユニット800の回転中心から径方向に放射状に出る光が回転する発光態様で視認される発光演出を実行することができる。
一連合体状態(図32参照)では、第2骨格部881の全体が透光性の樹脂材料から形成されていることにより、第2骨格部881による光LD1の反射作用を抑えている。
これにより、第2覆設部885の枠内に照射されるのは、光LD1の内、光軸から離れた光(弱い光)とすることができるので、第2覆設部885の光らせ方の度合いを弱くすることができる。一方で、光LD1の光軸方向の光は、隙間VA2を抜けるので、第3動作ユニット800の回転中心から径方向に放射状に出る光の強度を向上させることができる。
第2覆設部885の枠内には、有色(本実施形態では、円状体の色味として任意の色で設定)で光透過性の樹脂材料から形成され、内側に光拡散加工が形成される光拡散装飾部885cが円周方向に亘って配設される。そのため、光LD1の内、光拡散装飾部885cに入射した光は屈折され、光拡散装飾部885cの全体を面発光させるように作用する。
この面発光により、円周方向に亘って配設される光拡散装飾部885cを介して視認される光の均一化を図ることができ、5個の第2装飾部材880の各光拡散装飾部885cが遊技者に一体的に視認される効果を生じさせることができる。
ここで、複数の第2覆設部885同士を強固に一体化できる方が、第2覆設部885を遊技者に視認させる時の演出性能を向上させることができることは上述した通りであり、この一体化を、光拡散装飾部885cが円周方向に亘って連続的に繋がっているように視認させることで行うことができる。従って、第2覆設部885が正面側に配置されている場合の合体状態における演出性能を向上させることができる。
第2覆設部885の部材外端部885bは、金属棒832と対向する凹形状に形成されており、第1覆設部875の部材外端部875bと近接(当接)する端面885b1は、金属棒832が配設される平面を基準として第1装飾部材870側に張り出している。
これにより、一連合体状態(図32参照)において第3動作ユニット800を斜め方向から視た際に、背面側に配置される第1装飾部材870の第1覆設部875が遊技者の視界に入る程度を下げることができ、演出に与える影響を低減することができる。
これにより、第1覆設部875の枠部と、第2覆設部885の枠部とが、異なる色味で着色されている場合に、第2覆設部885が前側に配置されている時に、第1覆設部875の色味が視界に入ることを防止し易くすることができる。
特に、一連合体状態で、第3動作ユニット800を単独で張出状態とする場合には(図32参照)、他の動作ユニット600,700を共に張出状態とする場合に比較して(図33,F9参照)、第3動作ユニット800の周りに隙間が多く、第3動作ユニット800を斜め方向から視る視線が通り易い。そのため、対策なしでは、第3動作ユニット800の側面が視認されることで、演出効果を低下させ易い。
これに対し、本実施形態によれば、一連合体状態において、第2覆設部885の端面885b1を側面の前後幅の中央よりも後方寄りに配置しているので、斜め方向視で第3動作ユニット800の側面が視認されたとしても、側面の大部分を第2覆設部885の部分として視認させることができ、第1覆設部875が視認される程度を低くすることができる。これにより、一連合体状態において、第1覆設部875よりも、第2覆設部885を見せ易くすることができ、演出効果を向上することができる。
個別合体状態と一連合体状態とを切り替える切替回転動作では、駆動モータ861の駆動力が内側回転部材830に伝達されることで内側回転部材830は回転動作する一方で、外側回転部材840はトルクリミッタ866からの負荷により回転が止められる。
摺動突条部831bで接触面積の低減を図ってはいるが、内側回転部材830自体の回転抵抗が大きい場合には、外側回転部材840へ伝達される負荷は大きくなってしまい、トルクリミッタ866の負荷伝達の許容値を大きくせざるを得ず、トルクリミッタ866の小形化を阻害し易い。
そのため、内側回転部材830の回転抵抗を抑制できることが好ましい。そのために、本実施形態では、以下のような特徴を備えている。例えば、内側回転部材830の回転に係る固定円筒部材820との間の支持箇所は、摺動部材825と接触する前側端部と、中央円環ギア864に支持される後側端部のみであり、その他の部分では隙間を空けるように構成している。これにより、固定円筒部材820と内側回転部材830との間の接触面積を低減することができ、変位抵抗を低減し易く構成できる。
例えば、内側回転部材830は、中央円環ギア864に締結固定されているわけでは無いので、中央円環ギア864を基準とした前側への変位を抑制するためのストッパが必要と考えられるところ、摺動部材825がこのストッパの機能を果たしている。即ち、摺動部材825には内側回転部材830から前側へ押進する方向の負荷を受け得るが、摺動部材825は、その板前面が円形板部822の短径環状部822aと前後で当接する。
短径環状部822aは、外径が摺動部材825の外径と同程度の円環状突部として円形板部822の背面側に配設され、その最外径部において断面半円形状で背面側に突設される突条部822bが円環状に形成される。
この突条部822bが、摺動部材825の前面と前後方向で当接するので、短径環状部822aの背面全体と摺動部材825とが接触する場合に比較して、接触面積を低減することができる。これにより、内側回転部材830の回転方向の変位抵抗を低減することができる。
なお、内側回転部材830及び中央円環ギア864の間で締結ネジを用いていないので、その分、締結ネジの重量増加があった場合に想定される内側回転部材830の変位抵抗を削減することができる。
回転部材834に対する第1装飾部材870及び第2装飾部材880の固定について説明する。この固定の説明に当たっては、図62及び図63を適宜参照する。
第1装飾部材870の回転部材834への固定は、第1骨格部871の挿通孔872に挿通される締結ネジを第1覆設部875の枠後部に形成される被締結部876の雌ネジに螺入することで第1覆設部875を第1骨格部871に締結固定した状態とした後、第1骨格部871の半円状凹設部の端部から張り出す張出部873を凹設溝833dに進入させ(摺動可能に外嵌させ)、挿通孔874に挿通させた締結ネジを円筒状突設部834bに螺入させることで行うことができる。
第2装飾部材880の回転部材834への固定は、第2骨格部881の挿通孔882に挿通される締結ネジを第2覆設部885の枠後部に形成される被締結部886の雌ネジに螺入することで第2覆設部885を第2骨格部881に締結固定した状態とした後、第2骨格部881の半円状凹設部の端部から張り出す張出部883を凹設溝833dに進入させ(摺動可能に外嵌させ)、挿通孔884に挿通させた締結ネジを円筒状突設部834bに螺入させることで行うことができる。
このようにして、第1装飾部材870及び第2装飾部材880を回転部材834に締結固定することができ、回転部材834の直動変位または回転変位に伴い、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が直動変位または回転変位するように構成することができる。
固定の過程において、張出部873,883が直動部材833の凹設溝833dに進入することで、骨格部871,881の直動部材833上の配置(金属棒832の長尺方向の配置)が規定され、骨格部871,881が直動部材833から脱落することを防止することができる。
そして、骨格部871,881は回転部材834に締結固定されているので、回転部材834についても同様に、直動部材833上の配置(金属棒832の長尺方向の配置)が規定され、回転部材834が直動部材833から脱落することを防止することができる。
このように、本実施形態では、回転部材834の直動部材833への組み付けにおいて、直動部材833上の回転部材834の配置を規定する部分が回転部材834に固定される骨格部871,881に形成されるので、直動部材833上の配置を規定する部分が回転部材834自体に形成される場合と異なり、組み付けや分解の工数を減らすことができる。
即ち、例えば分解時においては、骨格部871,881を回転部材834に締結固定している締結ネジを取り外せば、骨格部871,881の直動部材833上の配置の規定を解除することができるだけでなく、回転部材834についても直動部材833上の配置の規定を解除することができる。これにより、作業効率を向上することができる。
図70及び図71を参照して、各動作ユニット600〜800の組み合わせ動作について説明する。図70(a)から図70(d)、図71(a)から図71(d)は、各動作ユニット600〜800の組み合わせ動作の例を時系列に沿って模式的に説明する動作ユニット500の正面模式図である。なお、図70及び図71の説明では、図33から図35を適宜参照する。
図70及び図71では、第1動作ユニット600の各演出面661a〜661c、第2動作ユニット700の各装飾面787a1,787a2,787b1,787b2及び第3動作ユニット800の各覆設部875,885における装飾が、文字などで識別可能に模式的に図示される。
即ち、第1演出面661aには、縦書きで「ノーマル」との文字が、第2演出面661bには、横書きで「発動」との文字が、第3演出面661cには、長手方向に沿って「!」の記号が、それぞれ図示されている。
また、第1主装飾面787a1には、「開戦」との文字が、第1副装飾面787a2には、「ピンチはチャンス」との文字が、第2主装飾面787b1には、「攻撃」との文字が、第2副装飾面787b2には、「忍耐!?」との文字が、それぞれ図示されている。
また、第1覆設部875の枠の内側には異なるキャラクターに対応する異なる英数字(「I」〜「V」)が図示され、第2覆設部885には5個で一体の「○」記号が図示されている。
図70(a)では、各動作ユニット600〜800が、それぞれ演出待機状態に配置されている(図28参照)。なお、第2動作ユニット700の上方には、正面視では見えないものの遊技者目線で視認可能な面としての第1副装飾面787a2が想像線で図示される。
また、図70(b)では、第1動作ユニット600が中間演出状態とされ、第2動作ユニット700が中間演出状態とされ、第3動作ユニット800が張出状態とされている。
第3動作ユニット800の一体回転動作を実行することで、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870の第1覆設部875を次々に入れ替えることができる。また、一体回転動作の継続中や、停止後に、第1動作ユニット600を中間演出状態とすることで、センターフレーム86の枠内部に第3演出面661cを張り出させ、動作ユニット600〜800の動きを賑やかにすることができる。
例えば、第3演出面661cが視認可能な場合に、抽選の大当たり期待度が上昇するよう演出を制御することにより、第1動作ユニット600の動作を視認した遊技者の興趣の向上を図ることができる。
一体回転動作が停止された際には、第2動作ユニット700の第1主装飾面787a1に形成される装飾と、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870に形成される装飾とを、一体的に視認させることができる。
これにより、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870に対する注目力を向上させることができ、その第1装飾部材870に形成される装飾に関連する表示演出を第3図柄表示装置81で開始しながら第3動作ユニット800を演出待機状態に戻すことにより、遊技者の視線を第3図柄表示装置81へスムーズに誘導することができる。
注目させる第1装飾部材870としては、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870に限定されるものではない。例えば、第1装飾部材870に光を照射可能に配設される外側発光部823b(図60参照)の点灯パターンを制御することにより、注目させる第1装飾部材870側へ光LD1を照射するLEDを点灯させ、その他のLEDを消灯させることで、任意の第1装飾部材870に注目させることが可能である。
この時、第1装飾部材870の一体回転動作を停止させた状態でLEDの点灯パターンを切り替えても良いし、第1装飾部材870の一体回転動作に合わせてLEDの点灯パターンを切り替えても良い。
第1装飾部材870の一体回転動作に合わせてLEDの点灯パターンを切り替える場合には、点灯させるLEDを回転方向で順次切り替えるようにして、光および第1装飾部材870が同軸円に沿って回転変位しているように遊技者に視認させても良い。また、点灯させるLEDは固定しておき、そのLEDから光を照射される位置に各第1装飾部材870が一体回転動作により順番に到達することを利用して、光が照射される第1装飾部材870を切り替えるようにしても良い。
図70(a)に示す状態では、第1動作ユニット600の第2装飾回転部材660及び装飾固定部材670が、共に縦長に形成される装飾を備えており一体的に視認させることができる。特に、装飾固定部材670の前側面が、演出待機状態における第1演出面661aと同様に、斜め方向を向く面として形成されていることにより、一体的に視認される作用が高められている。
一方、図71(a)に示す状態になると、図70(b)に示す途中経過で第2装飾回転部材660の下端部が装飾固定部材670と離れるように変位することに加え、第1動作ユニット600の第2装飾回転部材660は横長に形成される装飾となることから装飾固定部材670との一体感が低下し、今度は、同様に横長に形成される装飾を備える第2動作ユニット700の覆設部材787と一体的に視認させることができる。
図35では第2動作ユニット700の中間演出状態が図示されているが、図71(a)に図示されるように、第2動作ユニット700を張出状態とすれば、覆設部材787と第2装飾回転部材660との上下間隔が更に縮まり、一体的に視認される作用を高めることができる。
この時、張出装飾部652bが視認可能な位置に張り出しており、第3図柄表示装置81の右縁が領域右端RE1よりも右方に拡大しているように視認させる上述の作用により、第2演出面661bの配置が右縁寄りであっても窮屈な印象を遊技者に与えることを防止できる。
また、これにより、第2主装飾面787b1と同様に、第2演出面661bも第3図柄表示装置81の中央側に配置されているように遊技者に視認させることができ、第2主装飾面787b1と第2演出面661bとが一体的に視認される作用を高めることができる。
この場合において、張出装飾部652bの装飾を、第2演出面661bの装飾や、第2主装飾面787b1(第1主装飾面787a1)の装飾と関連する内容で形成することで、第2主装飾面787b1(第1主装飾面787a1)、第2演出面661b及び張出装飾部652bが一体的に視認される作用を高めることができる。
図70(c)及び図70(d)では、第1動作ユニット600及び第3動作ユニット800が演出待機状態とされ、第2動作ユニット700が張出状態とされている。第2動作ユニット700の反転動作について図70(d)に図示するが、第1動作ユニット600の張出状態において第2装飾回転部材660は、第2動作ユニット700の覆設部材787の左右外側に配置されるものでは無いので、第1動作ユニット600を張出状態としたままでも、覆設部材787の反転動作(図59参照)を実行することができる。
覆設部材787の反転動作においては、左右が異なる副装飾面787a2,787b2を正面側に向けることになるので、識別力を有しない状態とできることについて上述したが、図70(d)に示すように、異なる副装飾面787a2,787b2が組み合わさることで遊技者が内容を識別可能に構成しても良い。
図70(d)によれば、「ピンチ!?」との内容を遊技者が識別でき、この状態で第2動作ユニット700の駆動を停止させることで第2動作ユニット700のその後の動きに注目させることができるので、遊技者の視線を第2動作ユニット700に集めることができる。
例えば、抽選がはずれであることを報知する場合に、図70(d)の状態から図70(c)に戻すように制御し、抽選結果について未だ報知しない場合や抽選が大当たりであることを報知する場合に、図70(d)の状態から反転を継続し図71(a)に示す状態とするような制御を行うことで、遊技者の視線を第2動作ユニット700に集めることができる。
図71(a)では、第1動作ユニット600及び第2動作ユニット700が張出状態とされ、第3動作ユニット800が演出待機状態とされる。なお、第2動作ユニット700の上方には、正面視では見えないものの遊技者目線で視認可能な面としての第2副装飾面787b2が想像線で図示される。
図71(a)に示す状態では、第2演出面661bと、第2主装飾面787b1とが、近接配置され、それぞれに記載される文字が共に横書きであるので、遊技者に一体的に視認させ易い。また、その内容は、「攻撃発動」との一連の意味を成す内容となるので、尚更、一体的に視認させ易い。
第1動作ユニット600は、演出待機状態(図70(a)参照)においては、第1演出面661aと、装飾固定部材670とが、近接配置され、それぞれに記載される文字が共に縦書きであるので、遊技者に一体的に視認させ易い。また、その内容は、「ノーマルタイム」との一連の意味を成す内容となるので、尚更、一体的に視認させ易い。
このように、本実施形態では、第1動作ユニット600の各演出面661a,661bを、異なる部材の側面(例えば、第2主装飾面787b1又は装飾固定部材670の前面)と一体視させるように構成している。これにより、演出効果を向上することができる。
図71(b)から図71(d)では、第1動作ユニット600及び第2動作ユニット700が演出待機状態とされ、第3動作ユニット800が張出状態とされる。図71(b)に示す状態と、図71(c)に示す状態とは、第3動作ユニット800が一体回転動作を実行されることにより、第1装飾部材870の配置が異なる。一方で、いずれの状態から切替回転動作が実行されたとしても、遊技者に対して同一の一連合体状態として視認させることができる(図71(d)参照)。
即ち、第2装飾部材880が正面側を向く状態では、第1装飾部材870の配置の違いを遊技者が認識することはできないように構成されている。これにより、第3動作ユニット800の動作制御として、図柄変動中に第3図柄表示装置81で表示される表示演出の終盤に切替回転動作が実行されることで大当たりの当否を報知するよう設定される場合において、第1装飾部材870の配置から大当たりの当否の報知の有無を遊技者に予想されることを回避することができる。
換言すれば、表示演出の終盤における第1装飾部材870の配置に寄らず(図71(b)に示す状態であっても図71(c)に示す状態であっても)、大当たり当否の遊技者の期待感を、同様に保つことができる。従って、第3動作ユニット800に対する遊技者の注目力を高い状態で維持し続けることができる。
上述のように、各動作ユニット600〜800は、装飾を単独で視認される場合と、組み合わせで一体的に視認される場合とを形成可能とされる。そのため、各動作ユニット600〜800に形成される装飾は、各動作ユニット600〜800のみで完結するのではなく、各動作ユニット600〜800同士で互いに関連する装飾として設計される。
各動作ユニット600〜800の駆動制御は、その実行の可否が互いの配置に影響される。即ち、不適切なタイミングで各動作ユニット600〜800の駆動を実行すると、部材動作が衝突し故障する可能性があるので、駆動制御に当たっては、他のユニットの部材の配置を判定した上で行うように制御される。
例えば、第1動作ユニット600の張出状態への変化は、第2動作ユニット700の状態は任意で良く、第3動作ユニット800は演出待機状態と判定されている場合に実行されるよう制御される。
第1動作ユニット600の中間演出状態への変化は、第2動作ユニット700の状態は任意で良く、第3動作ユニット800の上下配置は任意で良く、回転動作は切替回転動作が生じていないと判定されている場合に実行されるよう制御される。
第2動作ユニット700の張出状態への変化は、第1動作ユニット600の状態は任意で良く、第3動作ユニット800は演出待機状態と判定されている場合に実行されるよう制御される。
第2動作ユニット700の中間演出状態への変化は、第1動作ユニット600の状態は任意で良く、第3動作ユニット800の上下配置は任意で良く、回転動作は切替回転動作が生じていないと判定されている場合に実行されるよう制御される。
第3動作ユニット800が張出状態へ変化し、回転は実行されないか一体回転動作のみが生じる制御は、第1動作ユニット600が中間演出状態または演出待機状態と判定され、第2動作ユニット700が中間演出状態または演出待機状態と判定される場合に実行される。
第3動作ユニット800が張出状態へ変化し、切替回転動作が生じる制御は、第1動作ユニット600が演出待機状態と判定され、第2動作ユニット700が演出待機状態と判定される場合に実行される。
上述のように、各動作ユニット600〜800の駆動制御は、任意のタイミングで可能とされるものではなく、他のユニットの部材の配置を判定した上で実行されるよう制御される。
次いで、第1実施形態における振分装置300の細部について、説明する。なお、振分装置300の細部の説明では、図1から図25を適宜参照する。まず、前意匠部材162に施される装飾の一例について説明する。
図72は、振分装置300の正面斜視図である。図72では、上記の図5で示した内容との差異として、前意匠部材162に光透過性の窓部162dが形成されている。
図72に示すように、振分装置300の正面側に配設される前意匠部材162は、前板が光透過性の樹脂材料で形成され、その前板の中央側範囲において周辺範囲よりも光透過性の高い範囲としての窓部162dが形成される。
本実施形態では、窓部162dの形状に合わせて中央側範囲が切り抜かれた光透過性のシール部材SL1が前意匠部材162の前板に貼り付けられている。この構成により、窓部162dの前後厚みが、その周囲においてシール部材SL1が貼り付けられている範囲の前後厚みに比較して薄くなり、前意匠部材162を光が透過する度合いに差を持たせることができるので、窓部162dの光透過性を高くすることができる。
窓部162dは、遊技者が振分装置300を見る際、視線が前意匠部材162の板部を通ることを考慮して、振分装置300の視認性を向上することを第1の目的として形成され、特に、振分装置300の内部を流下する球の流下態様が把握できないという遊技者からの不満を解消することを第2の目的として形成される。即ち、窓部162dは、振分装置300の形状を考慮した形状および大きさで形成される。
なお、周辺範囲よりも光透過性の高い部分としての窓部162dの形成手段は何ら限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、前意匠部材162の板部に導光板を配置したり、導光板と同様の機能を奏するよう複数の溝パターンを形成したりして、LED等の発光手段の発光のパターンごとに前意匠部材162の見え方を変化させるようにしても良いし、前意匠部材162に模様や絵柄を直接描いても良いし、前意匠部材162の窓部162dに相当する範囲を開口として形成しても良い。
また、窓部162dの形状は、図72に示す形状に限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、同一の上下幅で左右に延びる帯形状としても良いし、左右幅が上方に張り出す範囲の左右幅と同等となるように、左右外方に延設されている部分を省略した形状(ホームベースのような5角形形状)としても良いし、前意匠部材162の前板縁部の形状に沿った形状としても良い。
また、窓部162dは単一の範囲として形成されているが、これに限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、光透過性の高い範囲が、格子状部や梯子状部で仕切られる複数箇所の組み合わせで形成されても良いし、小窓が複数個整列する態様で範囲が区画されても良いし、窓部が無秩序に配列される態様で範囲が区画されても良い。また、窓部の形状が可変に構成されても良い。
また、シール部材SL1の表面形状は何ら限定されるものではない。例えば、シボ加工による表面形状のように多数の凹凸が形成させる表面形状でも良いし、表面に多数の溝形状や突条が形成されても良いし、平滑表面として形成されても良い。
なお、窓部162dの表面形状は、平滑面として形成されることが好ましいが、周囲(シール部材SL1の形成範囲に相当)よりも高い光透過性が確保できる態様であれば良く、上述のシール部材SL1の表面形状と同様の形状の他、種々の態様を採用することができる。
図73は、可変入賞装置65及び振分装置300の正面図である。図73では、上記の図21で示した内容との差異として、前意匠部材162に光透過性の窓部162dが形成されている。
図73に示すように、窓部162dは、左右対称形状で形成され、上下に短く左右に長い主窓部162d1と、その主窓部162d1の左右中央部の上方に連なって形成される副窓部162d2と、を備える。
本実施形態では、主窓部162d1及び副窓部162d2は、無色透明の樹脂材料から形成され、光透過性が高い状態で維持される。各部の形状について、以下で詳述する。
主窓部162d1は、正面視における外縁形状が、第2流路構成部335及び第3流路構成部336の視認性を確保するために十分な形状で設計される。即ち、図73に示すように、第2流路構成部335及び第3流路構成部336の球通路の上下幅と同等の上下幅で形成されると共に、第2流路構成部335の傾斜に合わせて左右外側へ向かう程上昇傾斜するV字形状とされる。
これにより、第2流路構成部335及び第3流路構成部336を流下する球を、正面視で主窓部162d1の内側に収めることができることから、第2流路構成部335及び第3流路構成部336を流下する球の視認性を向上することができる。
主窓部162d1の左右端は、球通過孔163bと同様の左右位置で形成される第1流路構成部334(図17参照)の左右幅の中央付近に設定される。即ち、主窓部162d1を通して第1流路構成部334の外壁の全体が見えるわけではなく、特に、側壁部334aの視認性は低くされる。
これにより、見栄えの良い形状とすることが要求される場合のように遊技者に視認されることを前提として設計する場合に比較して、側壁部334aの形状設計において、設計の自由度を向上することができる。
副窓部162d2は、正面視における外縁形状が、発光手段351からの光で照らされるシール部材313の視認性を確保するために十分な形状で設計される。即ち、図73に示すように、シール部材313を覆う矩形状に形成される。
これにより、第3流路構成部336を流下する球の視認性に加え、球の流下態様に基づいて点灯タイミングが制御される発光手段351により照らされるシール部材313の状態を遊技者が把握し易いように構成できるので、遊技者に快適な遊技を提供することができる。
図74は、図16の矢印XXIII方向視における可変入賞装置65及び振分装置300の斜視図であり、図75は、図73のLXXV−LXXV線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図である。図74及び図75では、上記の図23及び図18で示した内容との差異として、前意匠部材162に光透過性の窓部162dが形成されている。
図74に示すように、振分装置300を見下げる方向視(角度付きの方向視)で視認する場合、前側位置に配置されるスライド変位部材370の上突設部376の一部が開閉板65bの下側で視認される。
これに対し、スライド変位部材370が後側位置に移動すると、図74の方向視において上突設部376は開閉板65bの奥側に隠されることになる。従って、遊技者は、上突設部376が見えてさえいれば、第3流路構成部336を流下した球が確変検出センサSE11を通るのか、通常検出センサSE12を通るのかについて、容易に予想することができる。
上突設部376へ向けた視界は、上部材310の第2上面部314bの内側面314b1が正面側へ向かう程に左右外側へ向かって傾斜する傾斜面として形成されていることによっても、良好に確保されている。
即ち、第2上面部314bは、第2流路構成部335を流下する球の跳ね上がりを防止する天井面としての機能を果たしながら、内側面314b1を傾斜面として構成することで上突設部376への視界が不要に遮られることを回避している。
また、内側面314b1が傾斜面として構成されていることは、上面部314が前方へ向かう程に下降傾斜する傾斜面として構成されていることの短所を補っている。上面部314を上述のような傾斜面として構成する場合、図74に示すような見下げる方向視(角度付きの方向視)における上面部314の投影面積を大きくすることができることから、上面部314の光拡散加工面314cを介して光を視認させる演出の演出効果を向上し易いという長所がある一方で、上面部314の投影面積が大きくなることから、その下を流下する球を遊技者の視界から隠す範囲が広がる場合があるという短所がある。
換言すれば、上面部314が前方に向かう程に下降傾斜する傾斜面として構成されることは、光演出には有利に働く一方で、流下する球の視認性には不利に働く可能性がある。
これに対し、本実施形態では、内側面314b1が左右外側へ向かって傾斜する傾斜面として形成されていることにより、第2流路構成部335から第3流路構成部336へ球が進入する箇所において上面部314の投影面積を減らすことができ、上面部314の下を流下する球の視認性を向上することができる。
図74に示すように、振分装置300を見下げる方向視(角度付きの方向視)で視認する場合、シール部材313が副窓部162d2の内側には視認されないことから、対策なしでは、シール部材313の状態を視認するためにシール部材313が見えるように目の位置や視線角度を調整することを遊技者に強いることになり、快適な遊技を阻害する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、シール部材313に光を向ける発光手段351の光軸としての直線LL1は、シール部材313を通り、副窓部162d2を通ることから、発光手段351から照射された光の一部はシール部材313を通った後で副窓部162d2に到達する。そのため、直線LL1上の発光手段351が点灯しているか否かを、副窓部162d2を見ることで把握することが可能である。
シール部材313には光拡散加工がされていないので、発光手段351からの光の進行を留める作用は弱く、光を十分に副窓部162d2まで到達させることができる。これにより、発光手段351の点灯時には、シール部材313の色である赤色の光が副窓部162d2に到達することで、副窓部162d2を赤色に光らせることができる。
これにより、光が到達する前における副窓部162d2の無色透明の状態との違いが分かり易くされるので、遊技者は、発光手段351の点灯の有無を把握し易くなる。なお、シール部材313(又はシール部材313が配設される壁部)に光拡散加工を設けるようにしても良い。この場合、シール部材313を均一に発光させ易くすることができる。
図75に示すように、直線LL1は、第3流路構成部336を流下する球と重ならない位置(高さ位置)に配置される。即ち、第3流路構成部336を流下する球が配置され得る範囲よりも上側において直線LL1が配置される。
加えて、直線LL1は、特定入賞口65aに入球する球と重ならない位置に配置される。即ち、特定入賞口65aに入球した球が乗る下面部163aよりも下側において直線LL1が配置される。
更に、被固定部材161と前意匠部材162との間においては、上述のように、前意匠部材141(図7参照)により球の流下が阻害されることにより、球の流下範囲は前意匠部材141の左右幅よりも左右外側に寄せられる。そのため、被固定部材161と前意匠部材162との間を流下する球についても、直線LL1と重なることは避けられる。
従って、直線LL1上に、ベース板60の正面側(例えば、遊技領域)を流下する球や、特定入賞口65aに入球した球や、振分装置300(例えば、第3流路構成部336)を流下する球が配置されることで、光が球で反射して屈折する事態を回避することができる。これにより、球の流下態様に寄らず、発光手段351から照射された光を副窓部162d2に安定的に到達させることができる。
なお、本実施形態におけるシール部材313の配置は、遊技者が目線を変えなければシール部材313を視認し難い状態を継続できることが遊技者にとっての利益につながる場合がある。
例えば、常時シール部材313が視界に入る構成では、発光手段351が発光する度に光が遊技者の目に入るので、遊技者によっては眩しく感じるところ、本実施形態のように発光手段351を見え難く配置することで、遊技者の感じる眩しさを弱めることができる。
なお、本実施形態では発光手段351からの光が副窓部162d2に到達する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、直線LL1と交差する範囲において、被固定部材161に光拡散加工を形成することで、光が副窓部162d2まで到達し難いように構成しても良い。
この場合、図74に示す状態から視線を変えてシール部材313を直接見られるようにしなければ、シール部材313に向けて発光手段351が点灯しているか否かを把握し難いように構成することができる。そのため、遊技者が、遊技の好みとして、球が確変検出センサSE11に入球したか否かを知りたくない場合であっても、図74に示す視線を維持していれば目的を達成することができるので、このような遊技者の遊技負担を低減することができる。
なお、本実施形態では副窓部162d2が平滑な面形状から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、副窓部162d2の表裏面の少なくとも一方に光拡散加工を施したり、光が拡散し易いように内部に気泡部を設けたりするように形成しても良い。
この場合、副窓部162d2に到達した光が拡散することで、副窓部162d2を通して視認される光の面積を大きくすることができる。これにより、副窓部162d2が照らされていることを遊技者が気付き易くすることができる。
ここまでは、発光手段351を構成するLEDの内、シール部材313に光を向ける発光手段351、即ち、直線LL1上に配置されるLEDから照射される光について説明した。次いで、発光手段351を構成するLEDの内、最下段で左右4箇所に配置される複数のLEDから照射される光について説明する。
図76は、図75のLXXVI−LXXVI線における振分装置300の中部材330、スライド変位部材370、下部材380及び検出センサSE1の断面図である。図76では、発光手段351の配置が、想像線で図示される。
以下の説明では、発光手段351の内、最下段で左右内側に配置されるLEDを内側発光手段351cとし、最下段で左右外側に配置されるLEDを外側発光手段351dとして、改めて称して説明する。
まず、図76に示すように、内側発光手段351cの光軸(前後方向に延びる直線)は、光拡散加工面332eの内側に配置される。そのため、内側発光手段351cから光が照射される場合、左右に亘る範囲で形成される光拡散加工面332eが照らされる発光演出が実行される。
この発光演出は、確変検出センサSE11と通常検出センサSE12とで球の流れが分岐する分岐箇所BP1(図75参照、第3流路構成部336の後端部から連続的に繋がる左右に長い空間)の背面側で実行される。
そのため、内側発光手段351cが点灯している状況において、分岐箇所BP1を球が流れる場合、左右に亘る範囲で発光する光拡散加工面332eの手前側を流れる球が配置される箇所が影として視認されるので、遊技者は、影の変位を視認することで球がどのように流れたかを容易に把握することができる。
内側発光手段351cの光軸は、前後長突設部317を通る(図75参照)。また、左右内突設部318には光軸は通らないものの、光軸付近の光が通り得る配置とされており、左右内突設部318の突設端部は前後方向視および上下方向視で湾曲形成されている。
そのため、内側発光手段351から照射された光の一部は、前後長突設部317及び左右内突設部318の湾曲形状によって屈折することで、前斜め下方へ向けて進むようになり、この光は光拡散加工面340(図75参照)に到達し得る。
光拡散加工面340は、第3流路構成部336の下側面の全範囲に形成されているので(図14参照)、光拡散加工面340に光を到達させることで、第3流路構成部336の下底面の下側の空間の視認性を低下させることができる。従って、第3流路構成部336の内側を流下する球と、アウト口71(図75参照)を通過して第3流路構成部336の下側を流下するアウト球との区別をし易くすることができる。
一方、図76に示すように、外側発光手段351dの光軸(前後方向に延びる直線)は、光拡散加工面332eの外側(上側)であり、且つ、光拡散加工面319a,333bの内側に配置される。そのため、外側発光手段351dから光が照射される場合、光拡散加工面319a,333bが照らされる発光演出が実行される。
この発光演出は、確変検出センサSE11と通常検出センサSE12とで球の流れが分岐する分岐箇所BP1(図75参照、第3流路構成部336の後端部から連続的に繋がる左右に長い空間)の上側および正面側で実行される。
そのため、外側発光手段351dが点灯している状況において、分岐箇所BP1を球が流れる場合、その球の上側や手前側において光拡散加工面319a,333bが発光することになり、分岐箇所BP1を流れる球が光拡散加工面333bに隠されることになるので(図17参照)、遊技者は、分岐箇所BP1を球がどのように流れたかの把握がし難くなる。
加えて、光拡散加工面333bは上下に亘って形成されており、その上側には上面部314の光拡散加工面314cが配設される(図73参照)。そのため、分岐箇所BP1を前後方向視で視認し難くする作用に加えて、光拡散加工面333bを上側から覗き込むような角度の視線(図74参照)に対しても、光拡散加工面314cの発光により分岐箇所BP1を視認し難くすることができる。
また、光拡散加工面333bは上下に亘って形成されており、その下側には光拡散加工面340が配設されており、この光拡散加工面340は第2流路構成部335の下側裏面にまで形成される(図14参照)。そのため、分岐箇所BP1を前後方向視で視認し難くする作用とは別に、第2流路構成部335の下側面を発光させ、第2流路構成部335を球が流下する際に、その球が光(光拡散加工面340で拡散された光)を遮ることによる影を生じさせることで、球が流下していることを遊技者が把握し易くすることができる。
ここで、光拡散加工面333bは、分岐箇所BP1の前側に配設される(図17及び図75参照)。そのため、外側発光手段351dと光拡散加工面333bとの位置関係によっては、球で光が隠される事態が発生し得るところ、本実施形態では、外側発光手段351dの光軸(前後方向に延びる直線)が、分岐箇所BP1を球が流下する範囲の外側(上側)に配置されるので(図76参照)、分岐箇所BP1に配置される球により光が遮られる事態を回避することができる。
そのため、振分装置300内の球の流下態様によらず、外側発光手段351dを発光させることで、光拡散加工面333bを明るく照らすことができる。光拡散加工面333bが照らされた場合、その前側に配置される第2流路構成部335(図17参照)を流下する球が光を遮ることで影が生じるので、遊技者は、第2流路構成部335を流下する球の流下態様を把握し易くなる。
本実施形態では、分岐箇所BP1に配置される球により光が遮られる事態を回避するための工夫として、球の流下を滑らかにするための構成が採用されている。その構成について説明する。
分岐箇所BP1に到達し流下する球は、スライド変位部材370が後側位置に配置されている状態では(図20参照)、真下に流下して確変検出センサSE11を通過し、スライド変位部材370が前側位置に配置されている状態では(図18参照)、球案内部371bの傾斜に沿って左右外側へ流下して通常検出センサSE12を通過する。
スライド変位部材370が前側位置に配置されている状態における球の流下において、スライド変位部材370の左右外側端部を支持する板状部382の貫通孔縁部382aは、確変検出センサSE11の左右外側縁部と通常検出センサSE12の左右内側縁部とをつなぐように配設され、上面が左右外側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成される。そのため、貫通孔縁部382aの上面に到達した球は、左右方向外側へ流下し易い構成とされる。
これにより、球案内部371bの傾斜に沿って左右外側へ流下開始した球が、貫通孔縁部382aに橋渡しされた後において左右方向内側に逆流したり、跳ねたりする事態を回避し易くすることができ、球の流下を滑らかにすることができる。
なお、光拡散加工面319aは、分岐箇所BP1の前後幅の内側に配設される。そのため、光拡散加工面319aの背面側に球が配置される状況が生じ得ないので、外側発光手段351dと光拡散加工面319aとの位置関係に寄らず、球で光が隠されるという事態は発生し難い。
このように、内側発光手段351cと外側発光手段351dとは、単純に左右にずれて配置されているだけではなく、その前側において異なる前後位置で配置される光拡散加工面332e,319a,333bと各発光手段351c,351dの光軸との配置関係に意図的に差を設けて設計し、発光手段351c,351dからの光が到達する光拡散加工面332e,319a,333bを異ならせることで、光が到達し拡散され視認される前後位置を異ならせることができる。
上述の説明では、内側発光手段351cを発光させる場合と、外側発光手段351dを発光させる場合と、を別々に説明し、逆側の発光手段351c,351dは消灯している前提で説明したが、実際の各発光手段351c,351dの発光制御は片側ずつではなく、両点灯や、両消灯などの制御態様も生じ得る。以下、発光制御のパターンと、その際の振分装置300の内部流路の見え方について説明する。
図77(a)から図77(d)は、振分装置300の中部材330の正面斜視図である。図77(a)から図77(d)では、理解を容易とするために光拡散加工面の形状線としての筋の図示が省略されており、それぞれ、発光手段351c,351dの点灯および消灯の組み合わせが異なる場合について図示されており、発光手段351c,351dからの光により明るく光る範囲が網掛け模様で図示される。
即ち、図77(a)では、発光手段351c,351dが共に消灯されている両消灯状態が図示され、図77(b)では、内側発光手段351cが点灯し外側発光手段351dが消灯されている内点灯状態が図示され、図77(c)では、内側発光手段351cが消灯し外側発光手段351dが点灯されている外点灯状態が図示され、図77(d)では、発光手段351c,351dが共に点灯されている両点灯状態が図示される。
両消灯状態では、図77(a)に示すように、各光拡散加工面332e,319a,333bが照らされておらず、その奥側の視認性が確保されるものの、メリハリのない印象を遊技者に与える。特に、第3流路構成部336の上側を流れる球と、第3流路構成部336の奥側(下側)を流下するアウト球との区別がつき難い状態となる。
内点灯状態では、図77(b)に示すように、第3流路構成部336の下側の光拡散加工面340が照らされることで、第3流路構成部336の上側を流れる球の視認性を高く維持し、且つ、第3流路構成部336の奥側(下側)を流下するアウト球の視認性が低くなる。
更に、分岐箇所BP1の背面側において光拡散加工面332eが照らされることから、分岐箇所BP1における球の流れの視認性を向上することができる。その上、光拡散加工面332eの手前側に配置される光拡散加工面319a,333bは照らされない状態で維持されるので、分岐箇所BP1が光で目隠しされる事態を回避することができる。
即ち、内点灯状態では、第3流路構成部336から分岐箇所BP1へ至る範囲が光で照らされ、前側枠状部333を介して分岐箇所BP1を見ようとする視線も通ることから、分岐箇所BP1における球の流下態様を遊技者が把握し易くすることができる。また、球の流下態様を把握する上で注目すべき箇所に光が照らされているので、注目箇所を遊技者が見逃す可能性を低くすることができ、遊技者の遊技ストレスを低減することができる。
前側枠状部333の内側面には、全範囲に亘り光拡散加工面333bが形成されており(図13参照)、遊技者目線で前側枠状部333を透かして背後を視認することが困難となるように構成される。
前側枠状部333を透かして背後を視認する場合、前後方向視では、前側枠状部333の内側面の内、前後で対向配置される2側面を透かして背後を視認することになるので、透かして見る必要がある板が多い分、尚更、背面側を視認することが困難である。
同様のことが、前側枠状部333を、左右内側から斜め左右外側方向に傾斜する視線(正面側左右中央位置から、通常検出センサSE12へ向かう傾斜した視線)で奥側を透かして視ようとする遊技者にとっても言える。
即ち、本実施形態では、光拡散加工面333bが矩形筒形状の内側に亘って形成されるところ、この傾斜する視線上には、前側枠状部333の後側面と、左右内側面(仕切り板部338と対向配置される側面)とが配置される。そのため、透かして見る必要がある板が多い分、尚更、背面側を視認することが困難である。
このように、前側枠状部333によれば、前後方向視だけでなく、斜め方向視であっても、前側枠状部333の後側を透かして見ることを困難にすることができる。
外点灯状態では、図77(c)に示すように、光拡散加工面319a,333bが照らされることから、分岐箇所BP1において左右外側に流れた球が光で隠されることになるので、流下球の視認性が低くなる。
一方で、第2流路構成部335の奥側(下側)に形成される光拡散加工面340が照らされることから、第2流路構成部335を流下する球の視認性を向上することができる。即ち、外点灯状態では、手前側を流れる球の視認性を向上することで遊技者の注目力を向上する効果はあるが、分岐箇所BP1自体の視認性が低くなる。
両点灯状態では、図77(d)に示すように、光拡散加工面332e,319a,333bが広範囲で照らされる。光で照らされる状況としては、内点灯状態および外点灯状態の組み合わせであり、双方の効果を生じ得るが、有利な効果で補助し合うばかりではない。
例えば、光拡散加工面333bが照らされていることから、分岐箇所BP1を左右外側に流れる球が光に隠されるという特徴は、外点灯状態から引き継がれることになる。そのため、分岐箇所BP1の視認性を高める目的からすれば、内点灯状態で維持することが最適である。
発光手段351c,351dの点灯消灯に係る制御態様は、種々の態様が例示される。例えば、大当たり遊技において、確変検出センサSE11(図76参照)に球が入球する可能性があるラウンド遊技においては、分岐箇所BP1に遊技者が注目し易いように内点灯状態を構成するよう制御し、それ以外のラウンド遊技では、外点灯状態や両点灯状態を構成することで全体的に明るくするように制御しても良い。
また、例えば、ラウンド遊技の種類によらず両点灯状態と両消灯状態とを交互に切り替える態様で制御するようにしても良い。
また、発光手段351c,351dを点灯させるタイミングはラウンド遊技に限るものではなく、種々の態様が例示される。例えば、図柄変動中のリーチ正立後に発光手段351c,351dを点灯させるように制御しても良いし、入賞口63,64,140,65aやスルーゲート67に球が入球したことが検出されたら、発光手段を351c,351dを点灯させるように制御しても良い。
図73から図75に戻って、特定入賞口65a付近において球の流下を適正化するための構成について、改めて詳述する。図73に示すように、開閉板65bの左右外側に配置される延設部162bの上側面は左右外側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成されている。
そのため、開閉板65bが開放状態であるか閉鎖状態であるかに関わらず、開閉板65bの左右外側へ逸れた球であって延設部162bの上側面に乗った球を左右外側(開閉板65bが配置される側の反対側)へ流すことができるので、延設部162bに乗った球が特定入賞口65aの手前側を通り流下することを避けることができる。
従って、アウト口71へ流下する大部分の球の流下態様を、内レール61を転動する流下態様とすることができるので、アウト口71付近において球が跳ね上がる(高くバウンドする)事態の発生を回避することができる。これにより、跳ね上がった球により、主窓部162d1や、その奥側に配置される第3流路構成部336が隠され、視認性が低下することを回避することができる。
図74に示すように、開閉状態における開閉板65bの上側面は左右方向に延びる平面状に形成されている。一方で、第2流路構成部335は、左右中央側(仕切り板部338側)へ向かう程に下降傾斜している。
そのため、左右中央側に近づく程、開閉板65bと第2流路構成部335との上下間隔が長くなるので、開閉板65bの上側面を転動する球と、第2流路構成部335から第3流路構成部336へ向かって流れる球と、を区別し易くすることができる。
図74に示すように、開閉板65bは、上側面に乗った球を漏れなく特定入賞口65aへ流し込むような形状とされるが、球の流れが遅滞しないように種々の形状的な工夫がされている。
例えば、第1に、受入部材163の案内板部163a2は、開閉板65bの左右端部の上側面から後方に流れる球と当接し、その球を左右内側に案内するための板状部である。案内板部163a2は水平方向に延びる板状ではなく、開閉板65bから受入部材163へ向けて流れる球の上下位置変位に合わせて、左右内側に下降傾斜する方向に延びる板状に形成される。
即ち、案内板部163a2の前側端部は左右内側ほど後方に配置されるような傾斜面として形成されているところ、開閉板65bに乗る球が当接する左右外側端部付近よりも、開閉板65bよりも床面が低い受入部材163に受け渡される球が当接する左右内側部の方が、位置が下側になるように傾斜する方向に延びる。
これにより、案内板部163a2に当接する球の当接位置(球の全長における当接高さ)を安定させることができ、球をスムーズに案内することができる。なお、本実施形態では、球の全長における中心高さ位置で球と当接可能となるように、開閉板65bや受入部材163の床面との相対関係から案内板部163a2の配置が設計される。
例えば、第2に、開閉板65bの上側面後端部(回動基端側部)と、受入部材163の下面部163aとの高さ関係は、途中で逆転するように構成されている。即ち、下面部163aの高さ位置が最も高い左右中央位置においては開閉板65bの高さ位置の方が下であるが、下面部163aが左右側へ向かう程に下降傾斜しており、左右幅方向外側における一対の切替位置EP1でその上下が反転するよう構成されている。
本実施形態では、切替位置EP1は、開閉板65bと受入部材163との間における球の流下態様を切り替える位置としての性質を持っており、前側枠状部333の左右内側面(仕切り板部338と対向配置する側面)と同一平面上の位置(図74で前側枠状部333の真上位置)として設計される。
切替位置EP1の左右内側範囲(左右一対の切替位置EP1の間の範囲)では、球の転動面の上下位置の関係から、開閉板65bから受入部材163への球の転動が抑制される一方、受入部材163から開閉板65bへの球の転動は抵抗少なく生じ得る。
例えば、開閉板65bの左右中央位置付近で後方に跳ねた球が受入部材163(の内側後面)に衝突して再度前方に跳ねたとしても、球跳ねが収まって転動し始めた後では、球が開閉板65bから受入部材163に乗り上げることを抑制することができる。
なお、開閉板65bから受入部材163側に転動する球は、受入部材163に乗り上げるのではなく、球が下面部163aと当接し始めると、下面部163aの左右傾斜に沿って球が左右外側に流されることになる。
なお、開閉板65bの左右中央位置付近への球の落下は、前意匠部材141(図7参照)が球の落下を規制していることから生じにくいため、球跳ねも生じにくい構成であるといえる。但し、球同士の衝突などにより球跳ねは生じ得る。
切替位置EP1の左右外側範囲(左右一対の切替位置EP1よりも左右外側(球通過孔163bが配置される側)の範囲)では、球の転動面の上下位置の関係から、受入部材163から開閉板65bへの球の転動が抑制される一方、開閉板65bから受入部材163への球の転動は抵抗少なく生じ得る。例えば、他の球との衝突や遊技機の振動等により、下面部163aを転動している球に前側への速度が生じたとしても、球が開閉板65b側に逆流することを回避することができる。
切替位置EP1についての記載をまとめると、受入部材163側から球が前側に転動できる範囲を、一対の切替位置EP1の間の範囲に限定することで、球通過孔163b付近での球の逆流を回避して球の流下をスムーズにすることで、球が滞留する事態の回避を図っている。
加えて、一対の切替位置EP1の間の範囲からの球の後方への転動は、後方への流れが済んでから、左右方向の流れに切り替わるという転動態様ではなく、一対の切替位置EP1の間の範囲と球通過孔163bとを結ぶ斜めの直線方向に沿う転動態様となる。
換言すれば、前後方向および左右方向のように直角に交差する経路での流れではなく、一端が同位置に配置される前後方向直線と左右方向直線の他端同士を結ぶ斜辺に沿う流れとすることができるので、球の転動経路を短縮することができる(直角三角形において、斜辺の長さが、他の2辺の長さの合計よりも短いことに相当)。
更に、開閉板65bの左右位置に亘って球が後方に流れ易い場合に比較して、本実施形態のように、一対の切替位置EP1の間の範囲では球が前方に流れ易いよう構成することで、受入部材163に多数の球が同時に入球した場合でも、球の流れが停滞する事態を回避し易くすることができる。
図75に示すように、受入部材163は、一対の切替位置EP1の左右外側の範囲には形成されておらず(図16参照)、一対の切替位置EP1の左右中央側の範囲において前側に空間を空けるよう上昇傾斜する板状に形成される上面部163fを備えている。
上面部163fは、下面部163aの位置が高くなることで一対の切替位置EP1の間の範囲において球が詰まる可能性を低くするための工夫であり、上面部163fにより、球を配置する空間の上下幅を確保することができる。
これにより、一対の切替位置EP1の間の範囲における球詰まりを防いだり、球が乗った状態で開閉板65bが閉鎖変位する場合に開閉板65bと受入部材163との間で球が噛み込むことを回避したりすることができる。
対称突設部161fは、左右に延びる方向が、第2流路構成部335の傾斜角度に沿う方向(水平を基準として5度傾斜する方向)とされ、第2流路構成部335を転動する球の全長における中心高さ位置で球と当接する位置(第2流路構成部335の床底から5.5mm高い位置)に配設される。
これにより、分岐箇所BP1の視認性を確保する目的から対称突設部161fの形成厚みを最小限とする場合において、球の中心高さから外れた位置で球が対称突設部161fに当接することで、球を持ち上げる方向の負荷や球を床に押し付ける方向の負荷が対称突設部161fから球に生じる場合に比較して、球の転動をスムーズにすることができる。
なお、分岐箇所BP1の視認性が低下することを許容するのであれば、対称突設部161fの厚みを球の全長程度の厚みで形成することで、球の中心高さから外れた位置で対称突設部161fが球に当接する事態を回避することができる。
次いで、スライド変位部材370及びその周辺構造について、改めて詳述する。図78は、中部材330、状態切替装置360、スライド変位部材370及び下部材380の上面図である。図78では、理解を容易とするために、中部材330が想像線で透明視され、中部材330の下側に配設されるスライド変位部材370が透けて見えている。
スライド変位部材370は、分岐箇所BP1において前後方向にスライド変位する部材であるが、その前端部は、前側位置(図78参照)においても対向配置される排出孔337の側面と当接せず、隙間が維持される。隙間は、球が確変検出センサSE11に入球することを阻害するのに十分に短い寸法の隙間として形成される。
これにより、球の確変検出センサSE11への入球を防止する目的を達成しながら、スライド変位部材370の前端部が排出孔337の側面との当接により削れたり、変形したりする事態を回避することができる。
また、スライド変位部材370の前端部、即ち、薄板部371の前端部は、左右外側へ向かう程に配置が後方にずれる態様で傾斜形成される。これにより、薄板部371の前端部と排出孔337の側面との間に球が挟まれて滞留することを回避し易くすることができる。
即ち、薄板部371の前端部と排出孔337の側面との間に球が挟まれた場合であっても、薄板部371の前端部が傾斜面として形成されていることから、球に対して生じる負荷は左右外側へ向けた方向成分を有するので、球を左右外側に押し出すことができる。これにより、球詰まりを抑制することができる。
次いで、図79を参照して、スライド変位部材370の変位の案内についての工夫を説明する。スライド変位部材370の配置によって遊技者の利益が変わり得るので、スライド変位部材370の変位には、再現性(安定性)と、スムーズさと、が要求される。
図79(a)は、図78のLXXIXa−LXXIXa線における中部材330、スライド変位部材370及び下部材380の断面図であり、図79(b)は、図78のLXXIXb−LXXIXb線における中部材330、スライド変位部材370及び下部材380の断面図であり、図79(c)は、図78のLXXIXc−LXXIXc線における中部材330、スライド変位部材370及び下部材380の断面図である。なお、図79の説明においては、図13及び図14を適宜参照する。
図79(a)に示すように、上突設部376の正面側における薄板部371の上側面は左右外側ほど下側に位置する傾斜面として形成されており、この傾斜に沿って球が流れ得る。本実施形態では、この傾斜面を転動する球の流れを安定させるために、傾斜面の傾斜が変化するようなスライド変位部材370の姿勢変化を抑制するよう構成されている。
即ち、図79(a)に示すように、スライド変位部材370の薄板部371は、左右両端部だけでなく、下突条部373が下部材380の板状部382に当接支持される。これにより、凹設部372で左右に分けられる一対の球案内部371bのそれぞれを左右両側で下支えする(両持ちで支持する)ことができるので、スライド変位部材370の姿勢変化を抑制することができる。
換言すれば、左右一対の球案内部371bに球から与えられる負荷が異なる場合であっても(球がバランス悪い個数で乗ったとしても)、各球案内部371bについて左右両端部で下支えされていることから、球案内部371b及びスライド変位部材370の左右への傾き(前後方向に延びる軸を中心とした回動方向の変位)を抑制することができる。
また、凹設部372の縁部は、上側に仕切り板部338が配設されていることにより、上方への変位が規制される。即ち、スライド変位部材370の浮き上がり動作や、後傾方向の傾斜変位を抑制することができる。
これにより、スライド変位部材370の姿勢を適正な状態に維持し易くなり、前後方向変位の変位抵抗を抑制することができ、スライド変位部材370の動作不良を防止することができる。
球案内部371bは、上突設部376の突設基端側において前側に張り出し形成される板状部であって、球が転動可能とされる上側面が左右外側へ向かう程に下がる傾斜面として形成される。
球案内部371bと突条部383との接触は、点接触となるように構成されている。即ち、本実施形態では、凹設部372から突条部383側へ一対の半球状突設部372aが突設されており、間隔が埋まる際には、半球状突設部372aと突条部383とが点接触するよう構成される。
ここで、上述したように、球案内部371bは球が転動し得る上側面が左右方向に傾斜する傾斜面として形成されているので、球の自重により球案内部371bにかけられる負荷は、上下方向成分と左右方向成分とに分解されることになり、左右方向成分によりスライド変位部材370は左右方向(スライド変位部材370の変位方向である前後方向と交差する方向)に変位し得る。
この時、スライド変位部材370の凹設部372と突条部383との左右方向隙間を小さくした方が球案内部371bの左右位置が安定し易く好ましい一方で、接触摩擦が生じ易くなることから、機能上の問題が生じる可能性がある。
例えば、球が球案内部371bに乗った状態でスライド変位部材370を前後方向変位させる場合に、接触摩擦が過度に大きくなると前後方向変位が不良となる(例えば、変位が生じない)事態が発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、半球状突設部372aと突条部383との接触が点接触となるように構成されているので、摩擦力が生じる面積を低減することができ、接触摩擦を小さく抑えることができる。これにより、球が球案内部371bに乗った状態であっても、スライド変位部材370の前後方向変位を良好に実行することができる。
特に、球案内部371bに球が乗っている状態でのスライド変位部材370の前後方向変位は、確変検出センサSE11に球が入球し得ない状態から、確変検出センサSE11に球が入球可能な状態へ状態を切り替える変位動作であるので、この変位動作を良好に実行することで、遊技者が不利益を被ることを回避することができる。
尚且つ、この変位動作の変位速度を高速とすることで、スライド変位部材370の前後方向変位の時に球案内部371bに乗っている球の回転を変化させる作用を生じさせることができる。
図80(a)及び図80(b)は、スライド変位部材370と球案内部371bの上側面に乗る球との側面図である。図80(a)では、前側位置のスライド変位部材370に球が乗っている状態が図示され、図80(b)では、スライド変位部材370が後側位置に変位した状態が図示される。図80(a)及び図80(b)では、球の回転方向の例が矢印で図示される。
図80(a)に示すように、後方へ向けて転動しスライド変位部材370に到達した球の回転方向は前転方向である。その球がスライド変位部材370に乗っている状態でスライド変位部材370が後側位置へ前後変位するよう電磁ソレノイド361(図13参照)が駆動されると、スライド変位部材370から球に与えられる負荷は、球の回転方向(案内方向)を逆方向(後転方向)とするように作用する。
これにより、球の回転を抑制することができるので、重力の作用を球が受けやすい状態とすることができ、球を真下に落下させ易くなる。従って、スライド変位部材370に球が乗っている状態でスライド変位部材370が駆動された場合に、球が確変検出センサSE11に流下し易い構成とすることができる。
前後長突設部317は、分岐箇所BP1へ到達した球をスライド変位部材370側へ案内する機能を有する。換言すれば、前後長突設部317は、確変検出センサSE11へ球を案内する機能に留まるものではなく、確変検出センサSE11の上流側に配置されるスライド変位部材370の配置によらず球を適切に案内可能な形状部として構成される。
スライド変位部材370が後側位置に配置されている場合には、経路構成上、前後長突設部317に当接した球は確変検出センサSE11を通過する。このとき、前後長突設部317の端部の曲線が、上下方向幅に比較して前後方向幅が長い略円弧形状とされるので(図18参照)、当接した球に対して、前方向成分よりも下方向成分の方が大となる負荷を与えることになる。これにより、前後長突設部317に当接した球が前後方向に跳ね返り、第3流路構成部336を逆流する事態が生じることを回避することができる。
一方、スライド変位部材370が前側位置に配置されている場合には、球の流下方向はスライド変位部材370の形状に委ねられる。本実施形態では、スライド変位部材370の上突設部376の前側面376aが左右外側へ向かって湾曲する湾曲面を形成しているので、球はこの湾曲に沿って左右外側へ案内される。
ここで、スライド変位部材370が前側位置に配置されている状態において、前後方向に流れる球が勢いのままにスライド変位部材370に衝突すると、その衝突時の負荷によりスライド変位部材370が後方に押しのけられ、確変検出センサSE11への球の通過が可能な状態に切り替わる可能性が考えられる。
これに対し、本実施形態では、球がスライド変位部材370の上突設部376に衝突する前に前後長突設部317に当接することで、球の速度方向が下方寄りに修正される。そのため、球からの負荷によるスライド変位部材370の変位方向は主に下方向となるので、スライド変位部材370が後方に押しのけられる事態の発生を回避し易くすることができる。
また、球から与えられる、スライド変位部材370を後方に変位させる方向の負荷が小さくなることから、スライド変位部材370を前側位置に維持するための付勢力(電磁ソレノイド361(図13参照)が有する戻りバネの付勢力)を小さくできると共に、その付勢力に抗してプランジャーを駆動する電磁力を小さくすることができるので、結果として、電磁ソレノイド361の設計自由度を向上することができる。
分岐箇所BP1に球が配置されている状態でスライド変位部材370が後側位置から前側位置に変位した場合にも、球の逆流が生じることを回避し易くすることができる。
左右内突設部318は上突設部376の前側変位終端位置よりも前側において球と当接し、球の勢いが左右外側下方向へ向けられる。尚且つ、前後長突設部317により球の勢いが下方向へ向けられる。これにより、球の前後方向の速度が収まるので、自重による慣性で配置が安定し、スライド変位部材370から与えられる負荷程度では球の逆流が生じ難い状態とすることができる。
更に、球と上突設部376との当接は前後長突設部317と当接する高さ位置よりも球が下がった状態で生じるが、球が上突設部376と当接可能な程度に下がった状態では(図80(a)参照)、球と当接する箇所は球案内部371bであり、第3流路構成部336の下底面336aのよりも低い位置に配置される。これにより、上突設部376から前後方向の負荷を受けて球が手前側に変位したとしても、球案内部371bの上側面から下底面336aに乗り上がるために相当のエネルギーを必要とするので、球の逆流の程度を低くすることができる。
また、上突設部376は仕切り板部338側の前側端部が鋭角形状に形成されており、平面が球と前後方向で正面衝突する衝突態様ではない(図78参照)。即ち、上突設部376から球に対して与えられる負荷は、左右方向の負荷が大きく、前後方向の負荷は小さい。
これにより、上突設部376に当接した球を左右外側方向にスムーズに流すことができるので、分岐箇所BP1に球が配置された状態でスライド変位部材370が後側位置から前側位置に変位する制御態様とした場合に、上突設部376と排出孔337の前側面との間に球が噛み込んでしまい動作不良を生じる事態を回避し易くすることができる。
図78、図79(b)及び図79(c)に戻って説明する。スライド変位部材370を分岐箇所BP1側(前側)に張り出すよう構成している関係上、球案内部371bに乗った球の自重によりスライド変位部材370が前倒れ方向に変位する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、上突設部376よりも後側に形成される部分、即ち、上下突条部374が左右両側において前後に亘って形成される部分の、前後幅長さを十分に確保し、その前後幅に亘って後側枠状部332の下底部と当接可能に構成されている。これにより、スライド変位部材370の前傾方向に傾倒変位を防止することができる。
加えて、上下突条部374が前後に長く形成されていることから、スライド変位部材370を前傾方向に傾倒変位させる負荷がかけられた場合に後側枠状部332に与えられる負荷が一点に集中することを避けることができる。これにより、スライド変位部材370の変形を抑制(剛性を高める)することができる。
また、球案内部371bに球が乗り得る前側位置にスライド変位部材370が配置された状態では、凹設部378が形成される突設部(以下、突設部378aとも称する)の前側面が仕切り板部338の後側面と当接する。
換言すれば、スライド変位部材370は、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に当接する位置として前側位置が設定されている。この目的から、仕切り板部338の後側面には光拡散加工面が形成されず、突設部378aと前後で対向配置され互いに当接可能とされる面が平坦面で形成される。これにより、前側位置におけるスライド変位部材370の配置を安定させることができる。
回動部363の下円柱部363cは凹設部378の内側に配置されているので、下円柱部363cを介して伝達される電磁ソレノイド361の駆動力は、突設部378aの前側肉部を介して仕切り板部338の後側面にかけられる。
このように、駆動力が伝達される位置がスライド変位部材370の左右中央部であることから、スライド変位部材370にバランスよく駆動力を伝達することができる。即ち、前後方向変位時に、スライド変位部材370に上下方向軸を中心とする回転方向の姿勢ずれが生じることを回避し易くすることができる。
更に、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に面で押し付けられることにより、スライド変位部材370の姿勢を、上下方向軸を中心とする回転方向で修正し易くすることができる。
ここで、スライド変位部材370の姿勢維持や姿勢復帰を仕切り板部338と半球状突設部372aとの当接により実行する場合、仕切り板部338と半球状突設部372aとの当接面積が小さいことから、負荷が局所的にかかってしまい、半球状突設部372aの耐久性が劣化する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に面で押し付けられる前段階において、スライド変位部材370に上下方向軸を中心とする回転方向の姿勢ずれが生じていたとしても、駆動力の伝達により、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に面接触する過程でスライド変位部材370の姿勢ずれを解消することができ、適正な姿勢に修正することができる。
突設部378aに対する仕切り板部338は、前後方向変位時に当接することでスライド変位部材370の位置合わせをする目的の他、スライド変位部材370に与えられる前傾方向の負荷を受ける部分としての機能を有する。
即ち、スライド変位部材370が前側位置に配置される状態において、球案内部371bに乗った球の自重により、スライド変位部材370を前傾方向に姿勢変化させる方向の負荷が生じた場合において、スライド変位部材370に許容される隙間内で突設部378aが変位(前傾方向に変位)しかけると、突設部378aは仕切り板部338の後側面に押し付けられる。
この場合、仕切り板部338の後側面から突設部378aに対して反対方向の抵抗がかけられることで、突設部378aの変位が抑制されることから、スライド変位部材370の姿勢変化を抑制することができる。
次いで、各動作ユニット600,700,800の詳細について説明が不足していた部分について、改めて説明する。まず、第1動作ユニット600の詳細の説明として、回動部材620について説明する。
図81(a)は、回動部材620の正面図であり、図81(b)は、回動部材620の背面図であり、図81(c)は、図81(a)の矢印LXXXIc方向視における回動部材620の側面図である。
また、図82は、第1動作ユニット600の正面図であり、図83は、第1動作ユニット600の背面図である。図82及び図83では、案内長孔616に沿って変位する皿状蓋部C2が変位範囲の右端に配置された状態が図示される。
図81(a)から図81(c)に示すように、動作の実行の際に回動部材620に与えられる負荷との関係から、回動部材620は非対称形状で設計されている。以下、回動部材620の詳細と、回動部材620への作用とについて説明する。
回動部材620の本体部621は、停止時に負荷を受ける平らな側面として、第1側面621aと、第2側面621bと、第3側面621cと、を備える。筒状部622から近い順に、第1側面621a、第2側面621b、第3側面621cが形成されている。
第1側面621aは、回動部材620の傾倒変位側に形成される側面であって、前蓋部材612から正面側に断面コ字状で突設される基端側突設部617aに面で当接可能となる形状で形成される(基端側突設部617aとの関係で形状が設計される)。第1側面621aが基端側突設部617aに変位を規制されることにより、回動部材620の変位可能範囲が規定される(変位可能範囲の終端位置における回動部材620について、図45参照)。
第2側面621bは、回動部材620の起き上がり変位側に形成される側面であって、前蓋部材612から正面側に断面コ字状で突設される先端側突設部617bに面で当接可能となる形状で形成される(先端側突設部617bとの関係で形状が設計される)。第2側面621bが先端側突設部617bに変位を規制されることにより、回動部材620の変位可能範囲が規定される(変位可能範囲の終端位置における回動部材620について、図40参照)。
第3側面621cは、回動部材620の起き上がり変位側に形成される側面であって、前蓋部材612の正面側に外形略矩形の箱状に形成される矩形状箱部618に面で当接可能となる形状で形成される(矩形状箱部618との関係で形状が設計される)。第3側面621cが矩形状箱部618に変位を規制されることにより、回動部材620の変位可能範囲が規定される(変位可能範囲の終端位置における回動部材620について、図40参照)。
このように、回動部材620の変位終端では、回動部材620の各側面621a〜621cが、対応した前蓋部材612の部分に当接し、変位を規制される。特に、回動部材620の起き上がり側の変位終端において当接箇所が複数形成されている。
このように当接箇所を複数形成させることの目的として、当接時に受ける回動方向の負荷を複数箇所で分散させる目的と、回動部材620に生じ得る前後方向の負荷を複数箇所で分散させることで回動部材620の前後方向の変形を抑える目的と、がある。
回動部材620に生じ得る前後方向の負荷としては、例えば、第2装飾回転部材660の重みを受けることによる前倒れ方向の負荷や、第2装飾回転部材660の回転停止時の慣性による捻じれ方向の負荷(回動部材620の長手方向を軸とする回転方向の負荷)等が例示される。
特に、前倒れ方向の負荷は、筒状部622を支点とする前傾方向の負荷であるので、力のモーメントを考慮することにより、負荷を受ける当接位置が筒状部622から離れるほど、当接位置に生じる負荷は小さくなる。当接位置に生じる負荷を小さくすることを一つの目的として、第2側面621b及び第3側面621cが筒状部622から離れた位置に形成されている。
回動部材620の本体部621は、駆動モータ631との干渉を避けるために駆動モータ631から退避する方向に凹設形成される凹設部621dと、その凹設部621dを含む範囲であって、筒状部622を中心とする回動部分として基端側突設部617aと当接する範囲を含んで増厚形成される増厚部621eと、を備える。
回動部材620の回動基端側は、凹設部621dが形成されることで細幅となっているので、対策なしでは衝撃負荷による折損が生じる可能性が考えられるが、増厚部621eが形成されていることで、強度面での凹設部621dの影響を相殺することができる。これにより、回動部材620の折損を回避し易くすることができる。
更に、増厚部621eが基端側突設部617aと当接し得る箇所を含む範囲に形成されていることで、回動部材620と基端側突設部617aとの間で生じ得る衝撃負荷に対する回動部材620の耐久性を向上することができる。
図84は、第1動作ユニット600の正面図であり、図85は、第1動作ユニット600の背面図である。図84及び図85では、伝達ギアカム634の延設部634bの幅方向端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態が図示される。
延設部634bは、検出センサKS1の背面視での幅長さに比較して、3倍以上に長い幅長さ(周方向長さ)で形成される。ここで、延設部634bの幅長さを十分長く形成することは、検出に利用する目的の他に、構造的な目的がある。
即ち、本実施形態では、回動部材620の回動先端部の前側に被支持部材640が連結されており、その被支持部材640の前側に第2装飾回転部材660が配設されているので、回動部材620に前倒れ方向の負荷が与えられ得るところ、対策なしでは、回動部材620が前後方向に撓み変形し、動作不良を生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態のように、回動部材620に連結される円筒部634aの背後において、被固定手段610の背面と対向配置する延設部634bを幅広形状で形成することで、円筒部634aを介して延設部634bから被固定手段610に、回動部材620の前倒れ方向で与えられる負荷を、円弧状孔613dの広い角度範囲で受けることができる(負荷が生じる面積を大きく確保することができる)。これにより、単位面積当たりで受ける負荷を低減することができるので、延設部634bが破損することを回避しつつ、回動部材620の前傾変位を抑制することができる。
本実施形態では、延設部634bの幅長さを長く確保することで構造的に有利な効果を奏することができる一方で、延設部634bの端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態(図84参照)で回動部材620の起き上がり方向の駆動を停止させる制御態様であっても、慣性等の負荷により、回動部材620が初期位置側の終端位置(図40参照)まで到達するように構造が工夫されている。
例えば、第1に、各部材の慣性力が、回動部材620を初期位置側の終端位置へ変位させる方向で生じる。回動部材620自体の回動変位に伴う慣性力だけでなく、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が軸線O1を中心として背面視時計回りに回動される回動変位に伴う慣性力も、回動部材620を初期位置側の終端位置へ変位させる方向(回動部材620を背面視反時計回りに回動させる方向)で生じる。
例えば、第2に、中間ギア644を介して回動部材620のギア歯部625と歯車機構を構成するギア歯654aと一体動作するように配設される前側回転部材652の重心(本実施形態では、張出装飾部652bの中心と同じ)は、ギア歯654aの回転軸としての軸線O1の上下位置から左右に離れた位置に配置される。
そのため、前側回転部材652に生じる自重は、ギア歯654aを回転させる方向で生じる。本実施形態では、ギア歯654aが、前側回転部材652の自重により、背面視反時計回りに回転する方向に負荷を受ける。
この負荷が中間ギア644、ギア歯部625と順に伝達されることにより、ギア歯部625を介して、回動部材620に背面視反時計回りに回転する方向の負荷が与えられる。即ち、回動部材620の回動変位の慣性とは異なる負荷として、前側回転部材652の自重による回転方向の負荷が、回動部材620を初期位置側の終端位置へ変位させる方向で生じる。
このように、回動部材620に対して生じる慣性負荷や、前側回転部材652の自重による回転方向の負荷により、駆動モータ631の通電を切断した後においても回動部材620を回動させる負荷が生じるよう構成される。
そのため、図85に示すような、延設部634bが検出センサKS1の検出溝に配置されており、且つ、回動部材620が変位終端位置に到達していない状態で、駆動モータ631の通電を切断するように制御したとしても、上述の負荷により回動部材620の回動変位が継続され、回動部材620を初期位置側の変位終端位置(図40参照)に到達させることができる。
図86(a)、図86(b)、図87(a)、図87(b)及び図88は、案内長孔616、皿状蓋部C2、検出センサKS1及び伝達ギアカム634の延設部634bの背面図である。
図86(a)、図86(b)、図87(a)、図87(b)及び図88では、第1動作ユニット600の演出待機状態から開始される伝達ギアカム634の回転動作が時系列で図示される。
なお、図86(a)は、第1動作ユニット600の演出待機状態に対応し、図86(b)は、図85に図示される状態に対応し、図87(a)は、第1動作ユニット600の中間演出状態に対応し、図87(b)は、図83に図示される状態に対応し、図88は、第1動作ユニット600の張出状態に対応する。
皿状蓋部C2の開口C2aを通る電気配線の配置について説明する。矩形状箱部618に収容される基板に配設されているコネクタ618cに端部が固定される電気配線618dが開口C2aを通り第2装飾回転部材660に進入するように配設される。
電気配線618dは、ベース部材611(図39参照)へ向けて前蓋部材612から突設形成される仕切り部619の下側を迂回し、開口C2aに進入するように配設される。電気配線618bは、開口C2aを備える皿状蓋部C2の移動軌跡を考慮した長さで構成され、コネクタ618cと開口C2aとの間で、自重で撓むようにして配置される。
仕切り部619は、上下両端部に形成される柱状部619aと、その柱状部619aの間を連結するように長尺板状に突設される板状部619bと、を備える。柱状部619a及び板上部619bは、ベース部材611の前側面に当接する。
柱状部619aの内側には雌ネジが形成されており、柱状部619aと対応する配置でベース部材611に穿設される開口を通る締結ネジが螺入されることで、ベース部材611及び前蓋部材612が締結固定される。即ち、仕切り部619により、電気配線618dの配設位置を制限する作用だけでなく、ベース部材611及び前蓋部材612の剛性を確保する作用も生じさせることができる。
次いで、特に開口C2aの動きに注目して、電気配線618dの配置に対する工夫について説明する。まず、図86(a)から開始される皿状蓋部C2の下降変位に着目して説明する。皿状蓋部C2は、図86(a)、図86(b)、図87(a)、図87(b)、図88の時系列で下降変位する。
演出待機状態(図86(a)参照)から、延設部634bの幅方向端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態(図86(b)参照)までの動作では、皿状蓋部C2の上下配置は大きくは変わらない一方で、開口C2aの配置が背面視反時計回りに回転変位する。
これにより、皿状蓋部C2が本格的な下降変位を開始する前に、開口C2a付近の電気配線618dの配置を仕切り部619から離れる方向に寄せることができ、皿状蓋部C2が下降変位する過程で電気配線618dが皿状蓋部C2と仕切り部619との間に挟まることを防止することができる。
特に、皿状蓋部C2と仕切り部619とが最接近するタイミング(図87(b)参照)では、開口C2aは仕切り部619から電気配線618dを退避させる側(下側)を向く姿勢となっている。
これにより、電気配線618dを仕切り部619との間で挟む事態を回避することができるので、皿状蓋部C2を、仕切り部619に近接配置させるよう設計しても、電気配線618dが断線する等の不具合が生じることを回避することができる。
図86(a)から図88に示すように、皿状蓋部C2の下降変位中に、開口C2aの姿勢は、背面視反時計回りに継続的に回転変位している。皿状蓋部C2の下側変位終端では、開口C2aがコネクタ618cの反対側(下側)を向いており、敢えて電気配線618dに下向きの弛みが生じるように構成している。これにより、電気配線618d自体の長さを確保しながら、変位終端位置における電気配線の不要な弛み(例えば、前後方向へ弛むことによるばたつき)を回避することができる。
更に、電気配線618dの長さは、第1動作ユニット600の動作中において延設部634bと当接しない程度の長さで設計される。これにより、延設部634bと電気配線618dとの間に仕切りを設けなくとも、電気配線618dが延設部634bに接触し負荷を受ける事態の発生を回避することができる。
本実施形態では、皿状蓋部C2が伝達ギアカム634に最接近する状態(図88参照)において、延設部634bは、コネクタ618cから離れて配置(伝達ギアカム634の回転軸を基準としてコネクタ618cの反対側に配置)されることから、延設部634bとの接触を避けながら電気配線618dを配置する範囲を大きく確保することができるので、電気配線618dの長さの設計自由度を向上することができる。
次いで、図88から開始される皿状蓋部C2の上昇変位に着目して説明する。皿状蓋部C2は、図88、図87(b)、図87(a)、図86(b)、図86(a)の時系列で上昇変位する。
皿状蓋部C2の上昇変位では、変位下端位置(図88参照)から、皿状蓋部C2が仕切り部619に最接近するまで、開口C2aは仕切り部619側を向くことは無く、下側を向いている。これにより、電気配線618dの下方への弛みを確保しつつ皿状蓋部C2を上昇変位させることができる。
開口C2aの向きは、皿状蓋部C2が仕切り部619の下端を通過した後においても、徐々に回転しながらも、下側を向いた状態(開口C2a付近の電気配線618dを仕切り部619の長手方向に沿って配置させる状態)が維持される(図87(a)参照)。
そして、皿状蓋部C2が仕切り部619から十分離れた状態において、開口C2aが仕切り部619側を向く姿勢まで回転され(図86(a)及び図86(b)参照)、電気配線618dが仕切り部619と皿状蓋部C2との間に進入する(収容される)ように配置される。
これにより、電気配線618dを皿状蓋部C2と仕切り部619との間に挟むことにより断線を生じさせる事態の発生を回避することができ、皿状蓋部C2の上下変位に伴い電気配線618dに与えられる負荷の抑制を図ることができる。
換言すれば、仕切り部619と皿状蓋部C2との配置関係に対応して、開口C2aの配置を変化させることで電気配線618dの配置を制限し、皿状蓋部C2と仕切り部619との間隔が狭くなる時に電気配線618dが皿状蓋部C2と仕切り部619との間に配置されることを回避していることから、電気配線618dに与えられる負荷の抑制を図ることができる。
従って、電気配線618dが任意位置で配置される場合に比較して、電気配線618d及び皿状蓋部C2を近接配置するよう設計することができるので、電気配線618d及び皿状蓋部C2の配置の自由度を向上することができる。
また、電気配線618dの配置の制限を結束バンド等の別部材を利用してではなく、皿状蓋部C2の開口C2aにより実現している。皿状蓋部C2は、上述したように、第1装飾回転部材650の本体部材651との締結固定に利用される部材であるが、これを電気配線618dの配置制限に兼用している。
これにより、結束バンド等の電気配線618dを束ねるのに専用の部材を不要とすることができる。更に、結束バンドと異なり、皿状蓋部C2の配置に対応した適切な側に電気配線618dを配置できるように開口C2aの向きを変えることができるので、電気配線618dが突っ張ったり、屈曲したりする事態を回避し易くすることができる。
本実施形態では、開口C2aは、中心角度が約110の扇形状の開口として形成される。開口C2aが幅広の開口として形成されているので、開口C2aを通過させる電気配線618dの部分(接続端子等)として採用される形状の自由度を向上することができる。
次いで、開口C2aよりも正面側に配置される電気配線618dの配設構造について説明する。図89は、第1装飾回転部材650及び第2装飾回転部材660の正面斜視図である。
図89では、説明に必要な部分のみが図示され、その他の部分の図示が省略されている。即ち、第1装飾回転部材650の本体部材651及び配線受部材655、第2装飾回転部材660の電飾基板662及び配線留め板663が実線で図示されており、理解を容易とするために箱状部材661を想像線で図示し内部を視認可能としている。
また、図89では、電気配線618dの配設例が図示され、その電気配線618dが挿通される開口C2aを備える皿状蓋部C2が図示される。電気配線618dは、電飾基板653(図41参照)の端子に接続される配線と、電飾基板662の端子に接続される配線と、が本体部材651と配線受部材655との間で分岐する様子が図示される。
図89に示すように、配線留め板663は、半筒形状部651d,655aの外径よりも大きな直径の円板状部材であって、電気配線618dを挿通可能な長孔形状で穿設される配線挿通長孔663aと、その挿通長孔663aの両側に締結ネジを挿通可能な貫通孔として穿設される一対の挿通孔663bと、を備える。
配線留め板663の直径が半筒形状部651d,655aの外径よりも大きく形成されていることから、軸直角回転部材657(図39参照)が半筒形状部651d,655aから脱落することを配線留め板663により防止することができる。
配線留め板663の挿通孔663bを通る締結ネジは、半筒形状部651d,655aにそれぞれ形成される雌ネジに螺入される。これにより、配線留め板663及び半筒形状部651d,655aが一体的に固定される。
このように、配線留め板663は、軸直角回転部材657の脱落を防止する機能と、半筒形状部651d,655aを一体的に固定する機能と、を兼ね備えている。これに加えて、配線留め板663は、電気配線618dを仮留めする機能を備えている。
図89に示すように、電気配線618dは、配線留め板663の配線挿通長孔663aの内側を通り、挟まれることで変位が抑制される態様で仮保持されている。本実施形態では、第2装飾回転部材660の回転動作が、1回転以上の動作では無く、半回転未満の回転動作(約135度の回転動作)が往復方向に実行される回転動作とされるので、第2装飾回転部材660が複数回回転して電気配線618dが捻じ切られるという事態が生じることは無いように構成される。
第2装飾回転部材660が回転動作する際に電気配線618dに与えられる負荷(捻じれ方向の負荷)は、捻じれが生じ易い配線挿通長孔663a付近において大きくなると考えられるが、本実施形態では、配線挿通長孔663aが長孔状に形成され、電気配線618dは配線挿通長孔663aに挟まれて仮保持される態様とされるので、長孔形状内における電気配線618dの変位は許容されている。
そのため、電気配線618dに捻じれ方向の過負荷が生じたとしても、電気配線618dを配線挿通長孔663a内で変位させることで、負荷を逃がすことができる。これにより、電気配線618dの耐久性を向上することができる。
本体部材651の内部に配置される電気配線618dの捻じれ方向と、皿状蓋部C2の開口C2aの方向との関係について説明する。図86(a)から図88に示す皿状蓋部C2の回転動作と一体的に本体部材651は回転動作するので、本体部材651の内部に配置される電気配線618dには、本体部材651の回転方向の捻じれが生じる。即ち、回動部材620の傾倒方向の回動変位に伴って、背面視反時計回り方向の捻じれが生じる。
回動部材620の傾倒方向の回動変位に伴い、皿状蓋部C2の開口C2aも背面視反時計回りに変位するので、捻じれによって電気配線618dに与えられる負荷を低減することができる(電気配線618dの耐久性を向上させることができる)。
皿状蓋部C2は、案内長孔616に沿って上下方向に変位しながら回転動作している。ここで、図86(a)から図88までの時系列で、電気配線618dは、コネクタ618cと皿状蓋部C2との間における弛みが大きな状態から弛みが小さな状態へ変化する。
これに対応して、電飾基板662の回転動作は、電気配線618dの電飾基板662側の端子が背面側(本体部材651側)に配置される状態(図89参照)から、同端子が正面側(配線受部材655側)に配置される状態へ状態変化する動作として構成される。従って、電気配線618dを正面側に引っ張る態様の状態変化とすることができる。
即ち、図86(a)から図88までの時系列で、電気配線618dは、本体部材651内部における電気配線618dの弛みが大きな状態(電飾基板662側の端子が背面側に配置される状態)から弛みが小さな状態(電飾基板662側の端子が正面側に配置される状態)に状態が変化する。
従って、本実施形態では、弛みの大小関係が、コネクタ618cと皿状蓋部C2との間における関係と、本体部材651内部における関係とで、反転している(バランスしている)。これにより、第1動作ユニット600の動作に伴って電気配線618dに加えられる負荷を低減することができる。
本体部材651の内部に配置される部分の電気配線618dの捻じれ方向と、本体部材651と配線受部材655との間に配置される部分の電気配線618dの捻じれ方向と、の関係について説明する。
図86(a)から図88に示す時系列の動作において、本体部材651の内部に配置される電気配線618dは背面視反時計回りに捻じれる一方で、本体部材651と配線受部材655との間に配置される部分の電気配線618dは電飾基板662の回転方向(図89における下面視(電飾基板662側から挿通孔663bを見る方向視)で反時計回り)で捻じれる。即ち、互いに反対方向に捻じれる。
本実施形態では、第1動作ユニット600の演出待機状態における電気配線618dの捻じれを最小化するように設計しており、張出状態において、電気配線618dの捻じれが最大となるようにしている。
これにより、コネクタ618cと開口C2aとの間における電気配線618dの弛みが大きくても問題が生じ難い状態(演出待機状態、図86(a)を参照)においては敢えて弛ませて、電気配線618dに生じる負荷を低減する一方、コネクタ618cと開口C2aとの間における電気配線618dの弛みを小さくすることが好ましい状態(張出状態、図88参照)においては、本体部材651、配線受部材655及び電飾基板662の回転動作による捻じれを最大に生じさせ電気配線618dの弛みを抑制する(電気配線618dの変位を抑制する)ことができる。
このように、電気配線618dの耐久性向上の手段として、捻じれを最小とし、十分な弛みを生じさせる状態と、捻じれにより弛みを低減して周囲部材(例えば、延設部634b)と電気配線618dとの接触を回避する状態と、を切り替えるように構成される。
なお、別の実施形態として、図86(a)から図88に示す時系列の動作において、電飾基板662の回転方向を逆方向(図89における下面視(電飾基板662側から挿通孔663bを見る方向視)で時計回り)で構成しても良い。この場合、本体部材651の内部に配置される電気配線618dの捻じれ方向と、電飾基板662の回転動作による電気配線618dの捻じれ方向とが、同方向になるので、電気配線618dの捻じれ変形を相殺することができる。
次いで、第1動作ユニット600の動作における、張出装飾部652bの特徴について説明する。図90(a)、図90(b)、図91(a)、図91(b)及び図92は、案内長孔616、矩形状箱部618及び張出装飾部652bを模式的に示す正面模式図である。
図90(a)、図90(b)、図91(a)、図91(b)及び図92では、案内長孔616及び矩形状箱部618の外形が模式的に図示され、理解を容易とするために前側回転部材652のギア歯652aの図示が省略された状態で、第1動作ユニット600の演出待機状態からの張出装飾部652bの変位が時系列で図示される。
図90(a)では、第1動作ユニット600の演出待機状態(図40参照)に相当する配置が図示され、図90(b)では、伝達ギアカム634の延設部634bの幅方向端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態(図84参照)に相当する配置が図示され、図91(a)では、第1動作ユニット600の中間演出状態(図43参照)に相当する配置が図示され、図91(b)では、案内長孔616に沿って変位する皿状蓋部C2が変位範囲の右端に配置された状態(図82参照)に相当する配置が図示され、図92では、第1動作ユニット600の張出状態(図45参照)に相当する配置が図示される。
演出待機状態(図90(a)参照)では、張出装飾部652bが上面視で矩形状箱部618と重なる程度に右に寄せて配置されている。これにより、張出装飾部652bを遊技者の視界の外側に配置することができる(図28参照)。更に、本実施形態では、演出待機状態において張出装飾部652bは外縁部材73(図2参照)の後方に配置されることで、外縁部材73により視線が遮られ易いので、張出装飾部652bの視認性を下げることができる。
一方で、張出装飾部652bが上面視で矩形状箱部618と重なる程度に右に寄せて配置されている状態のまま張出装飾部652bが下降変位する場合、張出装飾部652bと矩形状箱部618とは衝突してしまい不具合を生じることになる。
これに対し、本実施形態では、張出装飾部652bの下降変位に先立ち、又は、張出装飾部652bの下降変位に伴って、張出装飾部652bの姿勢が変化するように構成される(図90(b)及び図91(a)参照)。この姿勢変化は、矩形状箱部618から退避する方向(正面視斜め左上方向、軸線O1を中心とした回転方向)への回転動作として生じるので、張出装飾部652bと矩形状箱部618との衝突を避け易くすることができる。
本実施形態では、この姿勢変化により、張出装飾部652bが矩形状箱部618の上方位置から退避した後で(図91(a)参照)、本格的な皿状蓋部C2及び張出装飾部652bの下降変位が開始される。
張出装飾部652bの下降変位は、軸線O1の下降変位に伴って生じるところ、下降変位においては、案内長孔616の形状に沿って軸線O1が矩形状箱部618に接近する方向(右方)に変位するため(図91(b)参照)、張出装飾部652bが矩形状箱部618に衝突する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、矩形状箱部618が、左側面に、案内長孔616の形状に沿って凹設形成される凹設部618aを備えている。特に、凹設部618aは、案内長孔616と矩形状箱部618が最も接近する箇所、即ち、案内長孔616の右端部の右方位置に凹設形成されている。このように、矩形状箱部618の形状の設計は、前側回転部材652と矩形状箱部618との衝突を避けることを一つの目的として検討される。
更に、軸線O1の下降変位に伴って、張出装飾部652bの姿勢変化が継続されるので、張出装飾部652bを矩形状箱部618から退避する方向に変位させることができる。本実施形態では、図91(a)から図91(b)への変位において、張出装飾部652bの左方向への変位寸法XL1(退避距離)が、軸線O1の右方向への変位寸法XR1以上(同等または超過)となるように、設計されている。これにより、張出装飾部652bと矩形状箱部618との衝突を避けることができる。
図91(a)から図91(b)までに示す状態では、軸線O1の左右方向変位と、張出装飾部652bの姿勢変化に伴う左右方向変位とが左右反対方向とされ、相殺するので、張出装飾部652bの左右方向変位が小さく抑えられていた。
これに対し、図91(b)から図92までに示す状態では、軸線O1の左右方向変位と、張出装飾部652bの姿勢変化に伴う左右方向変位とが左右同方向とされるので、変位が重ね合わされることにより、張出装飾部652bの左右方向変位量が大きくなる。
これにより、張出装飾部652bの姿勢変化としては常に軸線O1を中心とする回転動作が行われているにも関わらず、遊技者には、張出装飾部652bが、図90(a)から図91(b)までは小さな左右方向変位(細幅の変位軌跡)で上下方向に変位し、図91(b)から図92までは、左右方向に大きく変位するように案内されているように見せることができる。
従って、張出装飾部652bの変位を案内する構造(部材形状)と、遊技者が見る張出装飾部652bの変位により想定される構造と、の間に差を設けることができる。これにより、意外性のある演出を実行することができる。
即ち、張出装飾部652bの変位は、あたかも張出装飾部652bが矩形状箱部618の右側から左方へ飛び出すような変位として、遊技者に見せることができる。そのため、センターフレーム86(図30参照)の左右という、幅が狭く左右方向の変位が十分に確保できないであろう範囲において、左右方向に飛び出すという意外性のある変位を遊技者に見せることができることから、張出装飾部652bへの注目力を向上させることができる。
なお、便宜上、軸線O1の左右変位と張出装飾部652bの左右変位とを比較したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、軸線O1は第1動作ユニット600の構成の一部の回転軸なので、この回転軸を中心として回転動作可能に構成される皿状蓋部C2の左右変位と、軸線O1の左右変位との意味は同じである。そのため、上述の説明を、皿状蓋部C2の左右変位と張出装飾部652bの左右変位との比較として理解しても良い。
図93は、図85のXCIII−XCIII線における第1動作ユニット600の断面図である。図93では、軸線O1と中間ギア644の回転軸とが通る平面における断面図が図示される。図93に示すように、後側回転部材654は有底筒状部645に正面側から配置される一方、中間ギア644は本体部641に背面側から配置され、開口645aが形成され連通される箇所でギア歯654aと中間ギア644とが歯合している。
図93に示すように、配線留め板663の直径が、半筒形状部651d,655aの外径よりも大きく形成されており、軸直角回転部材657の内径が配線留め板663の直径よりも小さくされていることから、配線留め板663により軸直角回転部材657の軸方向の変位を規制することができる。
本実施形態では、軸方向基端側(図93上側)において半筒形状部651d,655aに形成される段部と、配線留め板663と、の間に軸直角回転部材657が若干の隙間を空けて配置されている。これにより、軸直角回転部材657の脱落防止と、半筒形状部651d,655aにより形成される筒状部の中心軸方向における軸直角回転部材657の配置の安定化を図ることができる。
配線留め板663の挿通孔663bを通る締結ネジは、半筒形状部651d,655aにそれぞれ形成される雌ネジに螺入される。これにより、配線留め板663及び半筒形状部651d,655aが一体的に固定される。
図93に示すように、張出装飾部652bの配置は、第2装飾回転部材660に比較して後側とされることから、第2装飾回転部材660に比較して第3図柄表示装置81(図2参照)と前後方向で近接配置される。換言すれば、第3図柄表示装置81が配置される開口511a(図26参照)に前後方向で近接配置される。
これにより、第3図柄表示装置81と張出装飾部652bとが離れて配置される場合に比較して、第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1に重なるように張出装飾部652bが配置され(図29参照)、表示領域が右側に拡大されているように遊技者に見せる(錯覚させる)作用を生じさせ易くすることができる。
特に、張出装飾部652bと第2装飾回転部材660とを同時に視認する場合(例えば、図29参照)には、第2装飾回転部材660が第3図柄表示装置81から手前側に離れて配置され、第3図柄表示装置の表示とは独立して視認し易いことから、逆に、第3図柄表示装置81に正面側から近接配置される張出装飾部652bを表示の一部として遊技者に見せる(錯覚させる)作用を際立たせることができる。
換言すれば、特に目立つ対象(第2装飾回転部材660に相当)を一つ用意することによって、それ以外の構成(第3図柄表示装置81の表示や、張出装飾部652bに相当)の判別度合いが低くなるように図っている。これにより、第3図柄表示装置81の表示と張出装飾部652bとを区別し難くすることができる。
張出装飾部652bは、硬質樹脂から形成される部分であって、途中で形状を変化させることはできないが、電飾基板653に配設されるLED等の発光手段の発光態様(色や明るさ等)を変化させるように制御することで、張出装飾部652bの見え方(色や明るさ等)を変化させることはできる。
そのため、第3図柄表示装置81の表示領域で表示される動画に合うように、電飾基板653に配設されるLED等の発光手段の発光態様を変化させることで、第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1に重なるように張出装飾部652bが配置され(図29参照)、表示領域が右側に拡大されているように遊技者に見せる(錯覚させる)作用を生じさせ易くすることができる。
次いで、第2動作ユニット700の詳細の説明を改めて行う。図94は、張出状態における第2動作ユニット700の正面図であり、図95は、図94のXCV−XCV線における第2動作ユニット700の断面図である。
第2動作ユニット700では、上述のように、スライド変位において、昇降変位と前後方向変位とが同期して生じる(斜めに傾倒した前後方向にスライド変位する)ように構成されているところ、前後方向変位が過度に目立たないように、変位が滑らかに生じるように工夫されている。
例えば、第2動作ユニット700のスライド変位において、斜めに傾倒した前後方向への変位は単一の変位から構成されているのではなく、上下方向の変位と、前後方向の変位と、の組み合わせで構成されている。
即ち、まず、回動アーム部材720に連結される昇降板部材740は、金属棒702の長尺方向(上下方向)に昇降変位するように左端部において金属棒702に案内されている。左端部では、その他に、左側後板部材750や目隠し装飾部材768が昇降板部材740の前後に配置されており、昇降板部材740が前後方向に自由に変位することを防止している。これにより、昇降板部材740の変位方向を、上下方向に制限することができる。
昇降板部材740の右側部は、回動アーム部材720に支持されている。昇降板部材740の右端部は、固定の部材(背面ケース510に固定される部材)に支持されてはいないが、演出装置780を介して間接的に固定の部材(前上傾斜部714,751及び受傾斜部762)に支持される(図54参照)。これにより、昇降板部材740の右端部が前後方向に自由に変位することを防止しており、昇降板部材740の変位方向を上下方向に制限することができる。
そして、昇降板部材740に支持される演出装置780は、前後方向に変位するように円筒状部744(図50参照)に案内される。このように、斜めに傾倒した前後方向へのスライド変位を実現するにあたって、構成部材としての昇降板部材740や演出装置780の変位の案内が、重力方向と、水平方向と、でそれぞれ分けて構成されている。
これにより、斜めに傾倒した前後方向に案内する構成に比較して、変位抵抗を低く維持するように構成することを容易とすることができる。
図94及び図95で図示される第2動作ユニット700の張出状態は、覆設部材787の状態を切り替える変位(図57参照)を実行するよう制御可能な状態である。即ち、本実施形態では、張出状態の他の状態(例えば、第2動作ユニット700の演出待機状態(図28参照)や第2動作ユニット700の中間演出状態(図33参照))では、覆設部材787の状態を切り替える変位を生じないように第2動作ユニット700が制御される。
このように制御することで、覆設部材787の状態を切り替える変位の実行時に覆設部材787の左右端部が到達する左右位置と重なる位置に、右側前板部材710や左側後板部材750を配設するように構成しても、覆設部材787が右側前板部材710や左側後板部材750と衝突する事態が生じることを回避することができる。従って、右側前板部材710や左側後板部材750の配置自由度を向上することができる。
覆設部材787の状態を切り替える変位に対する、演出装置780の構成の工夫について説明する。まず、覆設部材787の状態を切り替える変位の駆動力を生じる駆動モータ782(図56参照)は、演出装置780の左右中心位置(円筒状部744に挿通される挿通筒状部773の中心の真上に中心が配置される位置)に配置される。
これにより、駆動モータ782の自重により演出装置780の姿勢が左右に傾くことを回避するだけでなく、駆動モータ782から生じる駆動力の左右バランスを安定させることができる。
更に、覆設部材787の状態を切り替える変位を実行可能な第2動作ユニット700の張出状態(図95参照)において、昇降板部材740を支持する回動アーム部材720の円筒状被締結部724の左右位置は、演出装置780の左右中心位置と同等か、右側位置とされる。
このように、昇降板部材740の右側部分の支持を、支持位置としての円筒状被締結部724が左右方向に変位し得る回動アーム部材720のみで構成しつつも、特に演出装置780の配置や姿勢の変動が生じ易いと想定される時、即ち覆設部材787の状態を切り替える変位の実行時における円筒状被締結部724の配置を演出装置780の左右中心位置と同等か、右側位置に設定することにより、演出装置780の配置や姿勢の安定化を図ることができる。
なお、覆設部材787の状態を切り替える変位を実行する制御は、第2動作ユニット700が張出状態の時に限定して行われるが、覆設部材787の状態が切り替えられた後においては、第2動作ユニット700の状態を演出待機状態や、中間演出状態に変化させるよう制御することは可能である。
即ち、例えば、第2動作ユニット700の演出待機状態から、覆設部材787の状態を切り替え、且つ、第2動作ユニット700を中間演出状態とするためには、第2動作ユニット700を一旦、張出状態として、覆設部材787の状態を切り替える変位を実行してから、第2動作ユニット700を中間演出状態に変化させるよう下降変位させるよう制御される。
図95に図示されるように、光拡散部材778bは、一組の前側支持部材760の内側端部と前後方向視で重なる程度に左右方向に長く形成されている。これにより、前側支持部材760に支持される回転筒部774e(図54参照)が遊技者に見られないように隠すことができるので、回転筒部774eの配置や形状が遊技者に把握されることで演出装置780が前後方向に変位していることを遊技者に把握される事態を回避することができる。
更に、光拡散部材778bは、第2動作ユニット700の張出状態において、固定配置の立体装飾部768aと、正面視で左右一列に重なって視認される(図94参照)。この状態における光拡散部材778b及び立体装飾部768aの配置は、正面視における第3図柄表示装置81の下縁部に沿い、下縁部の左右長さに亘って配置される。
光拡散部材778b及び立体装飾部768aの背面側には、それぞれ正面側にLEDが固定される基板が配設されており、対応するLEDから照射される光により光拡散部材778b及び立体装飾部768aの発光演出を実行することができる。この発光演出により、第3図柄表示装置81の表示領域の下縁が光で区切られているように見せる演出をしたり、第3図柄表示装置81の表示領域の下縁を光で明るくするように演出したりすることができる。
従って、本実施形態によれば、光拡散部材778bを、回転筒部774e(図54参照)を隠す部材としての機能と、立体装飾部768aと合同で発光演出を行う部材としての機能と、を兼ね備えるように構成することができる。
図95に示すように、横長部材742は、立体装飾部768aの後方であって、光拡散部材778bの後方から外れている範囲(左側の範囲)において正面側間隔を空けて覆設される覆設カバー742aを備える。
覆設カバー742aは、横長部材742の上下幅に亘って形成される目隠し用の部材であって、横長部材742との間の隙間で電気配線を通すことができるように配設される。即ち、演出装置780に通電するための電気配線は、目隠し装飾部材768の後方から、覆設カバー742aと横長部材742との間の隙間を通って、演出装置780側に案内され、駆動モータ782や、電飾基板778aや、検出センサ778d(図56参照)等に接続される。
この時、電気配線の前方には、覆設カバー742aだけではなく、光拡散部材778bや立体装飾部768aが折り重なって配置されているので、遊技者の視線を遮り易い構成であり、電気配線が遊技者に視認されることを防止し易くすることができる。
換言すれば、本来は光演出のために配設される光拡散部材778bや立体装飾部768aを、電気配線の目隠しとして機能させるために電気配線の通り道の前方に配置することで、電気配線の目隠しのために必要となる覆設カバー742aの大きさを、最低限の大きさに抑えることができる。
なお、立体装飾部768aは、配置が固定されているので、演出待機状態(図31参照)や中間演出状態(図33参照)では横長部材742と前後に重ならず、電気配線の目隠しには使えない。
これを考慮して、本実施形態では、横長部材742の形成範囲を、正面視における光拡散部材778bの外方の範囲にしている。これにより、横長部材742及び光拡散部材778によって電気配線の目隠しを達成することができるので、第2動作ユニット700の状態(演出待機状態、中間演出状態、張出状態)に関わらず、電気配線が遊技者に視認されることを防止することができる。
図96及び図97は、伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の正面図である。図96では、一対の円筒状突設部781cが左右方向に延びる同一直線上に配置される上下反転部材781の横配置状態が図示され、図97では、上下反転部材781の倒立の縦配置状態(図59(c)参照)が図示される。
一対の中間腕部材783は、同一形状で形成されるものではなく、上下反転部材781の横配置状態における下側面から上方へ向けて湾曲形成される湾曲形成部783dを備える。湾曲形成部783dは、上下反転部材781の縦配置状態において中間腕部材783と駆動ギア782aとの衝突を避けるため、駆動ギア782aから退避する方向に張り出すように湾曲形成される。
図98は、昇降反転演出装置770の正面斜視図である。図98では、覆設部材787を透過して内側を視認可能とするために、覆設部材の外形が模式的に想像線で図示される。
図98に図示されるように、磁石Mgは一対の覆設部材787が互いに近接配置される側ではなく、左右両端部付近に配置されている。従って、磁石Mgの磁力は、覆設部材787同士を直接的に合体させるように作用するのではなく、一対の覆設部材787にそれぞれ独立して作用する。
これにより、例えば、一方の覆設部材787の動作が不良となった場合に、それにつられて他方の覆設部材787の動作も不良となることを避けることができる。
また、例えば、一対の覆設部材787が互いに左右方向に離れ始める変位開始時において、左右方向変位の逆方向に磁力が作用することを回避することができる。即ち、上下反転部材781が正立の縦配置状態から回転動作を開始する場合に、磁力が作用するタイミングを遅らせることができる。
これにより、一対の覆設部材787が互いに左右方向に離れ始める変位開始時において、磁石Mgにより覆設部材787に与えられる負荷の変化を抑制することができるので、左右方向に離れ始める変位開始時に磁石の吸着を剥す必要がある場合に比較して、一対の覆設部材787が互いに左右方向に離れ始める変位開始時に、急激な磁力の変化に伴い覆設部材787が振動したり、変位が不安定となり動作不良を起こしたりする事態を回避し易くすることができる。
図98に示すように、磁石Mgは、左右で上下反対側に配置されているが、この効果について説明する。磁石Mgと当接して磁力が負荷される金属ネジが固定される回転位置安定用部785fは、前後方向同じ側に配置される(上下反転部材781が正立の縦配置状態において正面側、図55参照)。そのため、磁石Mgに金属ネジとの関係で生じる負荷の方向は、左右両側において前後同方向となる。
詳述すると、例えば、上下反転部材781が正立の縦配置状態(図59(a)参照)から倒立の縦配置状態(図59(c)参照)に変化する場合、正面視左側の覆設部材787は前転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(上側に配置されている)金属ネジの前方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての前方向の負荷が生じる一方、正面視右側の覆設部材787は後転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(下側に配置されている)金属ネジの前方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての前方向の負荷が生じる。
また、例えば、上下反転部材781が倒立の縦配置状態(図59(c)参照)から正立の縦配置状態(図59(a)参照)に変化する場合、正面視左側の覆設部材787は後転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(上側に配置されている)金属ネジの後方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての後方向の負荷が生じる一方、正面視右側の覆設部材787は前転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(下側に配置されている)金属ネジの後方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての後方向の負荷が生じる。
このように、回転動作する覆設部材787と、姿勢を維持して覆設部材787を支持する本体部材771や直動板部材784と、の間で磁石Mgによって生じる負荷の方向が、左右両側において前後同方向となるように構成される。
ここで、左右両側において前後逆方向の負荷が生じる場合(例えば、左側の磁石Mgが下位置に配置されることで左右両側の磁石Mgの配置が下位置とされ、左側の軸回転部材785の回転位置安定用部785fの配置が正立の縦配置状態において磁石Mgの背面側に配置されるよう設計変更する場合)、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に生じる負荷により昇降反転演出装置770に与えられる変位のモードが、昇降反転演出装置770を上下方向に延びる回転軸で回転させる態様となる。
この場合、昇降反転演出装置770に上下方向に延びる回転軸での回転方向の振動が生じ易くなる。特に、本実施形態のように、磁石Mgの吸着を剥す過程で傘歯部材785c(図96参照)が弾性変形し、磁石Mgの吸着が剥がれた後で傘歯部材785cの弾性回復を利用して覆設部材787を勢いよく回転動作させる構成では、昇降反転演出装置770に、上下方向に延びる回転軸での回転方向の振動が生じ易くなることが想定される。
更に、昇降反転演出装置770から負荷を逃がすことが困難となり、昇降反転演出装置770が破損したり、昇降反転演出装置770の耐久性が低下したりする可能性がある。そのため、長期で、昇降反転演出装置770の変位を安定させるという目的からすると、対策が必要となると考えられる。
これに対し、本実施形態では、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に、回転動作する覆設部材787と、姿勢を維持して覆設部材787を支持する本体部材771や直動板部材784と、の間で生じる負荷の方向が、左右両側において前後同方向となるように構成されるので、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に生じる負荷により昇降反転演出装置770に与えられる変位のモードを、昇降反転演出装置770を前後方向に変位させる態様とすることができる。
そのため、昇降反転演出装置770の変位(前後方向成分を有する変位)により容易に相殺することができ、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に生じる負荷により昇降反転演出装置770に破損が生じることを回避することができる。
第2動作ユニット700では、演出装置780のスライド変位の方向(上下方向成分と前後方向成分を有する方向、即ち、左右方向と直交する平面内での方向)と、覆設部材787が互いに近接配置される状態(上下反転部材781の縦配置状態)からの変位開始方向(左右方向)と、が直交する。
そのため、一方の変位が、他方の変位の慣性により生じることを回避し易くすることができる。例えば、演出装置780のスライド変位が実行される場合に、意図せず、覆設部材787が互いに近接配置される状態からの変位(互いに離れる方向の変位)が開始される事態を回避し易くすることができる。
次いで、第3動作ユニット800の詳細の説明を改めて行う。まず、中間腕部材850の詳細について説明する。図99(a)は、中間腕部材850の正面斜視図であり、図99(b)は、中間腕部材850の背面斜視図である。
図99(a)及び図99(b)に示すように、中間腕部材850は、長尺の棒部の軸方向位置が、増厚部852において切り替わるという特徴的な形状をしている。
図99(a)に示すように、増厚部852は、隣合う回動部材850の先端側棒部853と対向配置され、先端側棒部853と対向配置される基端側補強部852aと、軸方向に沿って正面側から肉抜き形成される凹設部852bと、を備えている。
基端側補強部852aは、凹設部852bと同様に肉抜きされているが、相対的な肉抜き量が小さくされ、変形抵抗が大きくなるように設計している。これにより、回動腕部材850の回転先端側という、回転における慣性力が大きくなり易い側に形成される先端側棒部853と当接することになっても、変形量が過大となることを回避することができる。
凹設部852bは、増厚部852の弾性変形の変形抵抗を弱めるよう作用する。これにより、増厚部852の可撓性を確保することができ、中間腕部材850の耐久性を向上することができる。
増厚部852の短手方向の両側面には、湾曲形状で凹設形成される湾曲形状部852cが形成される。湾曲形状部852cは、合体状態において隣合う中間腕部材850の先端側棒部853の端部に形成される回転伝達部854の回転基端側に形成される湾曲形状部854dを滑らかに受け入れ可能な形状から形成される。
本実施形態では、個別合体状態(図66(a)参照)と一連合体状態とで、隣合う中間腕部材850同士が回動して近接配置される際の中間腕部材850の回動方向が逆転することになるので、中間腕部材850の短手方向側面のどちらの側面が湾曲形状部854dと近接配置されるかは、どちらの合体状態を構成するかで異なる。
この前提において、湾曲形状部852cが両側面に形成されていることから、いずれの合体状態においても湾曲形状部854dを滑らかに受け入れることができる。これにより、合体状態への状態変化をスムーズに実行することができる。
また、湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとが面で当接可能となるように設計されることで、合体状態において湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとの間で局所的に過大な負荷が生じることを抑制することができ、中間腕部材850の耐久性を向上することができる。
第3動作ユニット800は、昇降アーム部材801により昇降変位可能に構成されているが、その昇降変位の方向と、装飾部材870,880の合体状態からの直動部材833や回転部材834の変位開始方向と、が必ずしも直交する関係にはない。
例えば、図66(a)に示すように、回転部材834の変位開始方向として認められる仮想位置線832Fが72度間隔で異なる方向として設定されているので、全ての回転部材834の変位開始方向と、昇降変位の方向と、が直交することは生じ得ない。
そのため、第3動作ユニット800の昇降変位時に生じる負荷や慣性によって、意図せず、回転動作(一体回転動作や切替回転動作)が生じる可能性がある。この誤動作への対策についての工夫を説明する。
図100は、金属棒832と中間腕部材850との変位を模式的に示す第3動作ユニット800の模式図である。
図100では、金属棒832の仮想位置線832Fの内、個別合体状態において下方に延びる仮想位置線832Fと、仮想位置線832Fと中間腕部材850の長尺方向との角度とが0.5度変化するまで正面視反時計回りに回転した仮想位置線832Fと、が図示される。
即ち、図100において、角度θ51は45度であり、角度θ52は44.5度である状態が図示されている。
図100に示すように、中間腕部材850は、切替回転動作の開始時において、回転部材834の回転動作を抑制した状態で、金属棒832の長手方向に沿って回転部材834をスライド移動させることができるよう構成される。
図100における角度θ51,θ52の変化量は、金属棒832に対する中間腕部材850の回転角度を意味しており、傘歯部834a,854c(図61参照)の歯合回転が生じる角度に対応する。
ここで、ギア歯の噛み合いを正立させるためにはバックラッシュ(隙間)が不可欠であり、この隙間の大小の設定で回転の応答性の良し悪しが変わる。バックラッシュの設定には種々の態様を選択可能であるが、本実施形態では、バックラッシュを0.5度で設定している。
即ち、合体状態における角度θ51が、角度θ52に変化するまでの間には、バックラッシュ(隙間)が埋まるに留まり、歯合回転は開始されない。一方で、中間腕部材850の回動先端側部は仮想位置線832Fに沿って第3動作ユニット800の径方向外側にスライド移動している。
即ち、合体状態(個別合体状態)からの切替回転動作の開始時には、回動部材834の回転動作が抑制され、主に、金属棒832に沿ったスライド移動が生じるように構成される。
図101は、第3動作ユニット800の正面模式図である。図101の説明では、図100を適宜参照する。図101では、一連合体状態における第3動作ユニット800が図示され、第3動作ユニット800の変位に対する抵抗力を生じるトルクリミッタ866及び磁石Mg2が図示される。
ここで、内側回転部材830が外側回転部材840に対して僅かに回転動作(例えば、約5度(図100参照)の回転動作)する程度では、回転部材834に回転が生じないように構成されている。
これにより、本実施形態のように、複数の第1装飾部材870及び第2装飾部材880の合体状態を維持するために磁石Mg2を採用し、周方向で吸着力を発生さえる構成であっても、合体状態からの第1装飾部材870及び第2装飾部材880の変位を直動変位に限定できることから、磁石Mg2の磁力による合体を維持し易くすることができる。
換言すれば、合体状態からの変位開始時において、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が金属棒832を中心として回転動作する場合には、磁力の方向に直交する方向で第1装飾部材870及び第2装飾部材880が変位することから、磁力が消失し易いと考えられる。これに対し、本実施形態における、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の合体状態からの変位開始時の変位は、あくまで5個の磁石Mg2が配置される平面に沿う変位(金属棒832に沿うスライド方向の変位)であることから、磁力による合体状態を維持し易い。
これにより、意図しない負荷の影響などにより、内側回転部材830が意図せず僅かに回転動作(例えば、約5度回転動作)した場合であっても、複数の第1装飾部材870及び第2装飾部材880の合体状態を維持し易くすることができる。
図101に示すように、トルクリミッタ866は、正方向への回転では、所定の許容値を超える負荷がかかると接続を切り、抵抗を低減する(空転する)ように切替回転DR1が生じるように構成され、逆方向への回転では、抵抗が低減される(空転する)ように空転回転AR1が生じるように構成される。この正逆の回転が反対で構成される一組で、トルクリミッタ866は構成されている。
詳述すると、本実施形態では、左側のトルクリミッタ866は、正面視時計回りの回転では、かけられる負荷が許容値に達するまでは抵抗を生じ、許容値を超えると空転するという切替回転DR1が生じるように構成される一方、正面視反時計回りの回転方向では、空転するという空転回転AR1が生じるように構成される。
また、右側のトルクリミッタ866は、正面視時計回りの回転方向では、空転するという空転回転AR1が生じるように構成される一方、正面視反時計回りの回転方向では、かけられる負荷が許容値に達するまでは抵抗を生じ、許容値を超えると空転するという切替回転DR1が生じるように構成される。
このように、一組のトルクリミッタ866が、それぞれ異なる回転方向で安全クラッチとして機能することで、上述のように、両方向で切替回転動作を実行することが可能に構成されている。
更に、回転方向での許容値を超える負荷が生じない状態においては、トルクリミッタ866に組み付けられる負荷応答ギア865(図61参照)を介して外側回転部材840に正逆両方向の抵抗がかけられるので、意図しない負荷(昇降変位の慣性力や、扉開閉時の衝撃力)に起因して生じ得る外側回転部材840の回転動作を抑制することができる。従って、一組のトルクリミッタ866によって、外側回転部材840の姿勢維持を図ることができる。
図101に示すように、磁石Mg2は、第2覆設部885の幅方向片側に固定され、5個の第2覆設部885が円環状に合体した状態において、同心円状に配置される。磁石Mg2は、隣合って近接配置される第2覆設部885に固定される金属ネジNj2との間で吸着力を生じる。
このように構成することで、特定の第2覆設部885の幅方向両側に磁石Mg2が配設される場合(即ち、特定の第2覆設部885に両隣りで近接配置される第2覆設部885の双方が、その特定の第2覆設部885に接近する方向の付勢力を磁石Mg2から受ける場合)に比較して、合体状態において特定の第2覆設部885から離れた位置で第2覆設部885間に生じる隙間が大きくなることを回避し、全ての隣合う第2覆設部885間の隙間を均一化することができる。
また、上述のように、第2装飾部材880の合体状態からの変位は径方向外側へのスライド移動として構成され、金属棒832を中心とする回転動作が開始されるまでには磁力による合体が解除される程度にまで離れるところ(図100参照)、磁石Mg2の磁力が、第2装飾部材880が整列される同心円の円周を短縮する方向(同心円の中心を向く方向)に作用するので、第2装飾部材880の径方向外側へのスライド移動の抵抗力となる。
また、この抵抗力が、360度を5等分した各方向から同等の大きさで生じるので、第3動作ユニット800が磁石Mg2から受ける負荷のバランスをとることができる。即ち、磁力Mg2が不均一に作用する場合に比較して、第3動作ユニット800の配置を安定させ易くすることができる。
第2装飾部材880の形状は5個とも共通とされ、磁石Mg2の配置も共通なので、各磁石Mg2の前後位置は同等とされる。これにより、磁石Mg2の磁力により、第2装飾部材880に前後方向成分を有する負荷が与えられることを回避することができるので、合体状態からの変位開始時または合体状態への到達直前時において磁力が前後方向に生じ、第2装飾部材880が前後方向に振動する事態を回避し易くすることができる。
図102は、外側回転部材840及び中間腕部材850の正面図である。図102では、装飾部材870,880の個別合体状態に対応する配置状態が図示され、理解を容易とするために、中間腕部材850を想像線で図示し、後側に配置される外側回転部材840を視認可能としている。
図102に示すように、本実施形態では、中間腕部材850の一方向(図102では、正面視時計回り方向)への回転を規制する部分が少なくとも一箇所確保可能となるように構成され、多くは二箇所で中間腕部材850の回転を規制している。この中間腕部材850の回転を規制する構成について説明する。
まず、第1に、外側回転部材840の本体部841の外周面から径方向外側に突設される当接突設部845が挙げられる。当接突設部845は、隣合う延設腕部842の中間角度位置において、径方向外側へ向けて先細りする形状から形成され、内部が本体部841の軸方向と平行な方向に肉抜きされている。
この当接突設部845が、中間腕部材850の回転方向で中間腕部材850と対向配置され、中間腕部材850の増厚部852の湾曲形状部852cと当接可能に配置されることで、中間腕部材850の過回転を防止するよう構成している。
増厚部852は、凹設部852bにより弾性変形の変形抵抗が弱められている(図99(a)参照)。同様に、当接突設部845は肉抜きされている。これにより、中間腕部材850が高速で変位し、増厚部852の湾曲形状部852cと当接突設部845とが衝突した場合であっても、その際に生じる負荷を当接突設部845や増厚部852の弾性変形により吸収することができるので、当接突設部845や増厚部852の破損を回避することができる。
当接突設部845は、延設腕部842の中間角度位置としての全位置に配設されるのではなく、被検出部844が形成される角度位置においては形成が省略される。これにより、軸方向視における当接突設部845と被検出部844との配置をずらしており、外側回転部材840の成形金型の抜き方向を本体部841の軸方向に設定することができる。よって、成形金型の設計の容易化を図ることができる。
このように、本実施形態では、成形金型の設計の容易化の代償として当接突設部845の形成が省略されているが、本実施形態では、回動腕部材850の回転を規制する第2の構成として、増厚部852に基端側補強部852aが形成される。
基端側補強部852aは、隣合う回動部材850の回転方向で先端側棒部853(図99(a)参照)と対向配置され、先端側棒部853が過回転する際に当接可能に配置されることで、中間腕部材850の過回転を防止するよう構成している。
基端側補強部852aは、凹設部852bと同様に肉抜きされているが、相対的な肉抜き量が小さくされ、変形抵抗が大きくなるように設計している。これにより、回動腕部材850の回転先端側という回転における慣性力が大きくなり易い側と当接することになっても、変形量が過大となることを回避することができる。
湾曲形状部852cは、湾曲形状部854dと面で当接可能となるように設計されており、合体状態において湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとの間で局所的に過大な負荷が生じることを抑制することができ、中間腕部材850の耐久性を向上することができる。
このように、回動腕部材850の変位は、当接突設部845が対向配置される場合には、当接突設部845との当接に加えて、隣合う回動腕部材850の湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとを当接させたり、隣合う回動腕部材850の基端側補強部852aと先端側棒部853とを当接させたりすることができるような構成により、回動腕部材850の過回転が規制される。
一方、当接突設部845の配置が省略される場合であっても、隣合う回動腕部材850の湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとを当接させたり、隣合う回動腕部材850の基端側補強部852aと先端側棒部853とを当接させたりすることができるような構成により、回動腕部材850の過回転を規制することができる。
これらの当接の構成は、5個の回動腕部材850で互いに関連するように構成している(循環配置されている)。そのため、一見、一箇所の当接突設部845の形成が省略され、その省略箇所に対応する回動腕部材850についてのみ回転を規制する構成が少ないので、当接時の負荷が集中するかのように思えるが、実際は、5個の回動腕部材850の相互作用により、当接時の負荷の分散を図ることができる。
これにより、単一の回動腕部材850(当接突設部845の形成が省略された箇所に対応する回動腕部材850)の耐久性が極端に低下することを防止することができる。
また、本体部841の外周面から、当接突設部845の背面側端部に沿う一平面上に円環板状に延設される円環板状部846の形成も、当接突設部845と同様に、軸方向視で被検出部844と重なる箇所において省略されている。
円環板状部846の形成の省略は、上述の当接突設部845の形成の省略と同様に、成形金型の設計の容易化の代償として説明することができるが、円環板状部846の奏する効果は、円環板状部846の形成が省略されている箇所においても、隣合う回動腕部材850(を支持する構成)により実現される。
即ち、円環板状部846の効果は、回動腕部材850の前後位置のずれの修正として説明することができる。即ち、合体状態(図64(a)参照)から、回動腕部材850が径方向外側へ変位し(図65(a)参照)、再び合体状態へ向かう際に、回動腕部材850の先端の配置が意図せず前後に位置ずれした場合であっても、基端側棒部851(図99(b)参照)の背面側側面が円環板状部846と対向配置され当接可能とされていることで、その当接により回動腕部材850の前後位置を修正することができる。
この作用は、円環板状部846が省略されている場合には、円環板状部846との当接が生じないことから奏することができない。一方で、本実施形成では、回動腕部材850の先端側棒部853の背面側側面が延設腕部842の正面側側面と対向配置されるので、回動腕部材850の先端の配置が前後に位置ずれした場合であっても、先端側棒部853の背面側側面が延設腕部842の正面側側面と対向配置され当接可能とされていることで、その当接により回動腕部材850の前後位置を修正することができる。
このように、本実施形態では、円環板状部846と同様の作用を、延設腕部842によって生じさせるように構成している。これにより、円環板状部846の形成を一部省略しながらも、回動腕部材850の前後配置を修正する効果を、全回動腕部材850に生じさせることができる。
図103(a)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の背面図であり、図103(b)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の正面図である。図103(a)及び図103(b)では、一連合体状態における外側回転部材840及び中間腕部材850の相対配置で図示される。
図103(a)で図示される状態は、図65(b)の状態から仮想位置線832Fが最大角度θ31E(本実施形態では、180度)まで回転した状態(切替回転動作が完了した状態)に対応し、図103(b)で図示される状態は、図67(b)の状態から仮想位置線832Fが最大角度θ31E(本実施形態では、180度)まで回転した状態(切替回転動作が完了した状態)に対応する。
一連合体状態と、個別合体状態(図64(a)、図66(a)参照)とを比較すると、中間腕部材850の外側回転部材840に近接する短手方向の側が逆転するため、当接突設部845に当接する湾曲形状部852cが反対側になったり、湾曲形状部854dに当接する湾曲形状部852cが逆になったりという違いがある。
この違いに対応することを目的として、当接突設部845は、本体部841の径方向を基準として正面視で線対称形状とされており、一対の湾曲形状部852c及び湾曲形状部854dは、中間腕部材850の長手方向線(回動基端と被支持孔854aとを結ぶ直線)を基準として正面視で線対称形状とされている。
更に、湾曲形状部852cの形状に合わせて、当接突設部845の湾曲形状と、湾曲形状部854dの湾曲形状とを、同様の湾曲形状として設計している。これにより、個別合体状態においても、一連合体状態においても、同様の係合関係で合体状態を構成することができる。
また、合体状態では、中間腕部材850の増厚部852が当接突設部845と湾曲形状部854dとに両側から挟まれる位置関係で構成される。これにより、中間腕部材850の増厚部852が、いずれの回動方向に変位することも抑制することができるので、中間腕部材850の状態を維持し易くすることができ、合体状態を保持し易くすることができる。
図104及び図105は、第3動作ユニット800の正面図である。図104では、装飾部材870,880が最外径位置に配置された状態(個別合体状態と一連合体状態との中間の状態)が図示され、図105では、一連合体状態が図示される。
図106は、図105のCVI−CVI線における第3動作ユニット800の断面図であり、図107は、図104のCVII−CVII線における第3動作ユニット800の断面図である。第3動作ユニット800の構成として、金属棒832と中間腕部材850との前後配置は任意に設定可能である。
中間腕部材850を金属棒832の正面側に配置すれば、遊技者は中間腕部材850越しに金属棒832を視認することになるので、金属棒832の視認性を下げることができる。これに対して、本実施形態では、図106及び図107に示すように、金属棒832が中間腕部材850の正面側に配置されている。
この配置により、支持部材としての金属棒832が中間腕部材850を部分的に隠す遮蔽部材として機能する。これにより、装飾部材ではなく機能部材としての中間腕部材850が目立つことを避けることができ、第3動作ユニット800の見栄えをよくすることができる。
金属棒832は、露出した状態(図104参照)においては、表面の光沢により光を反射する演出部材としても機能するので、外側発光部823b(図107参照)から照射される光による光演出の演出効果を向上することができる。即ち、金属棒832を光演出用の反射部材として利用することができる。
中間腕部材850が金属棒832の正面側に配置される場合には遊技者の目に入る光が中間腕部材850により遮られる可能性があるが、本実施形態では中間腕部材850が金属棒832の背面側に配置されるので、中間腕部材850により光が遮られ、見栄えが悪くなることを回避することができる。
このように、本実施形態では、金属棒832が露出する状態としての切替回転動作の途中の状態(図104及び図107参照)において、金属棒832を介して光を反射可能に構成することで、光演出を実行する範囲を拡張することができる。即ち、電飾基板823(図60参照)が配設される透光装飾部材824の後方の範囲のみならず、正面視で透光装飾部材824の径方向外側に張り出すように配設される金属棒832が露出して視認される範囲ER1(図104参照)においても、反射光を遊技者に視認させることができる。
なお、光を受ける部分として、膨出部824aは、内周面に、光拡散形状が円環状に形成される光拡散形状部824b(図106及び図107参照)を備える。内側発光部823aから照射された光は光拡散形状部824bに照射可能とされ、その光を受けた光拡散形状部824bは円環状に明るく光る。
これにより、装飾部材870,880の合体状態のみならず、装飾部材870,880の円環配置が解除される切替回転動作の最中においても、光拡散形状部824bが円環状に明るく視認されることにより、第3動作ユニット800の円環形状を利用した演出効果を維持し易くすることができる。
図104及び図105に示すように、透光装飾部材824は、合体状態において視認される膨出部824aだけでなく、その膨出部824aよりも正面視で径方向外方に延びる延設部824cを備えている。
延設部824cは、合体状態においては装飾部材870,880に隠されることになり装飾部としての機能が低いが、図104に示す切替回転動作の途中において、機構部分の目隠しをする効果を奏する。
即ち、図104及び図107に示すように、延設部824cは、内側回転部材830の本体部831や、外側回転部材840の延設腕部842等(図61参照)、演出に利用し難い機構部分を遮蔽して目隠しできる程度の大きさで形成される。
そして、膨出部824aだけでなく、延設部824cの正面側にも装飾模様が施されているので、機構部分を遮蔽して目隠ししている範囲について装飾模様を視認させることができ、演出効果を向上することができる。
第3動作ユニット800の駆動制御の一例について説明する。まず、昇降アーム部材801が駆動制御されることによる第3動作ユニット800の昇降変位と、駆動モータ861が駆動制御されることによる第3動作ユニット800の回転変位との関係について説明する。
本実施形態によれば、第3動作ユニット800の昇降変位と、回転変位とは、独立して実行可能に構成されているが、例えば、第3動作ユニット800の昇降変位時の慣性負荷により、連動して第3動作ユニット800に回転変位が生じる可能性がある。この場合、第3動作ユニット800が姿勢変化したり、第3動作ユニット800の合体状態が解除されたりする(磁石Mg2の吸着力に対抗して装飾部材870,880が径方向外側へ変位する)ことにより、演出効果が低下する可能性がある。
これを回避するために、例えば、第3動作ユニット800の昇降変位と、第3動作ユニット800の回転変位(特に、一体回転動作)と、を同時に実行するように制御しても良い。
これにより、第3動作ユニット800の昇降変位時の回転変位を演出動作として遊技者に見せることができるので、演出効果の低下を防ぐことができる。更に、一体回転動作の継続中には、装飾部材870,880を径方向内側へ変位させる方向に負荷がかかり続けるので(図101参照)、第3動作ユニット800の合体状態が解除されることを回避することができる。
また、昇降変位と回転変位とを同時に実行する制御を行わないまでも、第3動作ユニット800の姿勢を、昇降変位により回動腕部材850が変位し難い姿勢となるように、予め第3動作ユニット800の回転方向の姿勢を調整するように制御しても良い。
検出センサ813による外側回転部材840の被検出部844の検出態様が変化することは(図68参照)、本実施形態では、内側回転部材830の回転態様が一体回転動作で実行されていることを意味する。そのため、これを前提に検出センサ813の検出態様と、第3動作ユニット800の制御とを関連付けて設計することが想定される。
この前提は、切替回転動作が、外側回転部材840の姿勢を維持した状態(内側回転部材830と外側回転部材840とが連動しない状態)で行われることに基づくものである。そのため、この前提が崩れる可能性がある状態は回避することが好ましい。
本実施形態では、内側回転部材830が駆動モータ861の駆動力で回転制御される際に、トルクリミッタ866によりかけられる抵抗が外側回転部材840の回転を抑制するように作用することで外側回転部材840の姿勢が維持される。
そのため、例えば、切替回転動作の実行中に金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗が大きくなり、内側回転部材830と外側回転部材840との間の動作抵抗が大きくなり、トルクリミッタによりかけられる抵抗を超える場合には、外側回転部材840と内側回転部材830とが連動して、切替回転動作が適切に実行できなくなる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗を低減するように構成している。
例えば、合体状態からの直動部材833及び回転部材834を変位させる中間腕部材850の回動先端の変位方向は、金属棒832の長手方向に沿う方向となる。即ち、金属棒832の回転方向と直交する方向に中間腕部材850が変位するので、金属棒832の回転の抵抗を生じ難くすることができ、金属棒832と、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850との間で生じる抵抗を小さく抑えることができる。
直動部材833及び回転部材834が径方向外方終端位置に配置される状態(図104参照)では、中間腕部材850の回動先端側(例えば、被支持孔854a)の変位方向が金属棒832の回転方向と沿うので、速度が不十分な場合等には特に、金属棒832と中間腕部材850とが平行移動する状態を構成し易い。この場合、切替回転動作が不良となる。
これに対し、本実施形態では、切替回転動作を開始したら合体状態に至るまで十分な速度で駆動を継続するという制御態様を採用しており、直動部材833及び回転部材834が径方向外終端位置に配置される状態(図104参照)では、装飾部材870,880が金属棒832を中心として回転動作するように慣性を受ける。
この慣性の影響で、装飾部材870,880に締結固定されている回転部材834が回転し、傘歯部834aと傘歯部854cとが歯合回転するので、中間腕部材850の回動先端側が径方向外方終端位置を通過して径方向内側へ回動する(図65(b)及び図67(b)参照)。
径方向外方終端位置を外れた状態では、中間腕部材850の回動先端側が金属棒832に沿う方向で変位し易くなり、金属棒832の回転動作に対する抵抗を小さく抑えやすくすることができる。
このように、本実施形態では、金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗の低減を、部材間の関係や、駆動制御の設計によって実現するように図っている。
切替回転動作中においては外側回転部材840の姿勢が維持され、被検出部844の配置が変化しないことから、切替回転動作の終了タイミングを、検出センサ813による被検出部844の検出態様の変化で判定することはできない。
例えば、合体状態に到達したタイミングで駆動モータ861を停止させる制御は、切替回転動作に必要十分な駆動時間を予め設定しておき、その駆動時間で駆動を停止するよう制御することで実現可能となるが、金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗の程度によっては、駆動時間が同じであっても変位量が異なる場合があり、合体状態となる前に駆動停止する可能性がある。この場合、演出効果が低くなる可能性がある。
これに対し、合体状態に到達したタイミングで駆動モータ861を停止させる制御態様ではなく、検出センサ813による被検出部844の検出態様が変化したことで、切替回転動作が終了して一体回転動作が始まったことを判定し(図68参照)、この判定後に駆動モータ861を停止させるよう制御しても良い。この制御により、切替回転動作の実行後に、装飾部材870,880が合体状態に到達していない状態で駆動モータ861の駆動が停止される事態を回避することができる。
駆動制御として、切替回転動作は第3動作ユニット800の張出状態において実行されることは上述の通りであるが、一体回転動作については、第3動作ユニット800の状態に左右されずに実行可能である。
駆動制御として、第3動作ユニット800の回転方向の配置に左右されず、切替回転動作を実行可能であるので、図68で上述したように、大当たり告知の有無を遊技者に予想されることを回避することができる。即ち、検出センサ813の検出溝に被検出部844が配置されている状態(図66(a)参照)からに限定されず、検出センサ813の検出溝に被検出部844が配置されていない状態からでも切替回転動作を実行することができる。
一方で、検出センサ813の検出溝に被検出部844が配置されている状態で切替回転動作を実行する場合と異なり、切替回転動作の終了後から被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入するまでは、検出センサ813の出力が変化しないので、制御態様を工夫する必要がある。
例えば、検出センサ813の出力によらず、切替回転動作に必要十分な駆動期間として予め設定される駆動期間で切替回転動作を実行するようにしても良いし、被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入するまで駆動モータ861の駆動を継続するよう制御するようにしても良い。
後者の場合、切替回転動作の終了後は一体回転動作に動作態様が移行して、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入することにより、既に切替回転動作が終了し装飾部材870,880が合体状態となっていることを判定することができる。
一方で、駆動モータ861の駆動を、切替回転動作から一体回転動作に移行して被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入するのに十分な時間長さで実行しているにも関わらず、検出センサ813の出力が変化しない場合には、その検出センサ813の出力に基づいて、第3動作ユニット800に動作不良が生じていると判定することができる。
また、後者の場合、第3動作ユニット800の任意の回転配置から、切替回転動作が実行され、一連合体状態(図32参照)が維持されている状態において、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入するまで駆動が継続される。
第3動作ユニット800の一連合体状態では、上述のように、回転配置が異なっても見映えが異なりにくい。そのため、一連合体状態で検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入するまで第3動作ユニット800の回転変位を継続しても、演出効果が低下することを回避し易くすることができる。
更に、図68に示す反転演出時から通常演出時に復帰させる制御をする場合には、被検出部844が検出センサ813の検出溝に既に配置されていることから、切替回転動作の終了後に検出センサ813の出力が変化するまでの期間を最短化することができる。換言すれば、検出センサ813の検出溝に配置されている被検出部844が検出溝から退避する程度の短い駆動期間で十分であるので、反転演出時から通常演出時に復帰させる制御に要する長さを最短化することができる。
このように、本実施形態によれば、通常演出時から反転演出時に切り替える切替回転動作を開始する第3動作ユニット800の回転配置の自由度の向上を図っており、通常は復帰動作が長期化する場合があるところ、復帰動作としての反転演出時から通常演出時への切替回転動作の短縮化を図っている。
即ち、第3動作ユニット800の回転配置の違いを戻すための復帰動作の一部(被検出部844を検出センサ813の検出溝に配置するまでの回転変位)を、回転配置が異なっても見映えが変わり難い一連合体状態において行うことで、復帰動作中の第3動作ユニット800の演出効果の低下を回避することができる。
更に、予め復帰動作の一部を行っておくことで、残りの復帰動作としての切替回転動作に要する期間の短縮化を図ることができる。
各動作ユニット600,700,800の内、複数の動作ユニット600,700,800で共通して採用されている構成について、その採用態様の違いの理由も含めて横断的な説明を行う。
まず、第1の横断的な説明として、各動作ユニット600,700,800で共通して採用されている検出センサKS1,713,778d,813について構成を確認し、その採用態様(センサの個数、被検出片の形状等)の違いの理由について説明する。
第1動作ユニット600の検出センサKS1は、第1動作ユニット600の配置を検出するための検出装置であって、検出溝に延設部634bが進入可能とされる。第1動作ユニット600が備える検出装置は1個の検出センサKS1のみである(図41参照)。回動部材620、被支持部材640、張出装飾部652b及び第2装飾回転部材660という複数の変位部材について、回動部材620の姿勢が定まれば他の変位部材の配置や姿勢が定まるように構成していることから、1個の検出センサKS1での検出結果により、複数の変位部材の配置や姿勢を判定することができる。これにより、検出装置の配設個数を低減することができる。
第2動作ユニット700の検出センサ713は、第2動作ユニット700のギアカム部材734の姿勢を検出するための検出装置であって、検出溝に被検出部735が進入可能とされる。第2動作ユニット700がギアカム部材734の姿勢を検出するための検出装置は3個であり(図50参照)、それぞれ、第2動作ユニット700の演出待機状態、中間演出状態、張出状態に対応する。
演出待機状態を判定する検出センサ713は、初期位置への復帰を判定するために必要となる。張出状態を判定する検出センサ713は、上昇変位終端位置への到達を判定するために必要となる他、昇降反転演出装置770の反転動作や、意図しない負荷の影響による位置ずれの判定のために必要となる。中間演出状態を判定する検出センサ713は、中間演出状態での上下位置への到達を判定するために必要となる他、意図しない負荷の影響による位置ずれの判定のために必要となる。以下、反転動作と、意図しない負荷の影響とについて、順に説明する。
まず、反転動作について説明する。第2動作ユニット700では、ギアカム部材734の回転動作に連動して生じる昇降反転演出装置770の上下変位の他、昇降反転演出装置770の反転動作(図59参照)が可能に構成される。
反転動作により昇降反転演出装置770が上下方向に変位する可能性があるので、例えば、単一の検出センサ713(演出待機状態を判定する検出装置)のみを採用する場合には、張出状態や中間演出状態における上下方向の位置ずれを判定することができず、適正な演出動作が実行できない可能性がある。
これに対し、本実施形態によれば、第2動作ユニット700の演出待機状態、中間演出状態、張出状態に対応した検出センサ713を備えている。そのため、例えば、張出状態で昇降反転演出装置770を反転動作させたことで昇降反転演出装置770が上下方向に変位したことを判定でき、この判定結果を基にギアカム部材734の姿勢を適正に(張出状態となるように)修正する方向に駆動モータ731を回転させることで、昇降反転演出装置770の配置を適正に保つことができる。
なお、本実施形態では、反転動作は第2動作ユニット700が張出状態の時(ギアカム部材734が動作終端側の時)にのみ許容されるので、反転動作時の位置ずれの修正は、ギアカム部材734を動作終端側に回転させれば良く、容易である。
次に、意図しない負荷の影響について説明する。第2動作ユニット700では、ギアカム部材734の回転動作により回動する回動アーム部材720に連動して生じる昇降板部材740の上下変位の他、その昇降板部材740の上下位置に対応した前後位置に変位するための昇降板部材740を基準とした昇降反転演出装置770の前後変位が生じる(図52から図54参照)。
そのため、遊技機の前後幅方向にかけられる負荷で昇降反転演出装置770が前後方向に変位することに伴って、昇降反転演出装置770及び昇降板部材740の上下位置が変動し、これに伴ってギアカム部材734の姿勢が変化する可能性がある。遊技機の前後幅方向にかけられる負荷としては、遊技者が遊技機を叩くなどする場合の衝撃負荷や、正面枠14を開閉する際の負荷等が例示される。
前後幅方向の負荷により昇降反転演出装置770が上下方向に変位する可能性があるので、例えば、単一の検出センサ713(演出待機状態を判定する検出装置)のみを採用する場合には、張出状態や中間演出状態における上下方向の位置ずれを判定することができず、昇降反転演出装置770が適正な配置に維持できない可能性がある。
これに対し、本実施形態によれば、第2動作ユニット700の演出待機状態、中間演出状態、張出状態に対応した検出センサ713を備えている。そのため、例えば、中間演出状態で前後幅方向の負荷が遊技機にかけられ、昇降反転演出装置770及び昇降板部材740の上下位置が変動した場合に、連動してギアカム部材734の姿勢が変化するので、昇降反転演出装置770が上下方向に変位したことを判定でき、この判定結果を基にギアカム部材734の姿勢を適正に(中間演出状態となるように)修正する方向に駆動モータ731を回転させることで、昇降反転演出装置770の配置を適正に保つことができる。
なお、中間演出状態に対応した検出センサ713にギアカム部材734の被検出部735が配置されている状態から、意図しない負荷により被検出部735が検出センサ713から外れたと判定された場合、本実施形態では、被検出部735がいずれの方向に外れたのかの判定まではできないが、先に演出装置780を下降変位させる方向に駆動モータ731を駆動するように制御している。これにより、第2動作ユニット700と第3動作ユニット800とが衝突する事態を未然に回避することができる。
本実施形態では、この駆動により、被検出部735が再度、中間演出状態に対応した検出センサ713に進入した場合には、意図しない負荷による被検出部735の変位は、演出装置780を上昇変位させる側に生じていたことが分かり、その時点で駆動を停止するようにすれば、意図しない負荷によって生じた影響を相殺することができる。
また、この駆動により、被検出部735が中間演出状態に対応した検出センサ713に進入することなく、演出待機状態に対応した検出センサ713に進入した場合には、意図しない負荷による被検出部735の変位は、演出装置780を下降変位させる側に生じていたことが分かり、再度上昇変位させるように駆動を継続して中間演出状態に対応した検出センサ713に被検出部735が進入した時点で駆動を停止するようにすれば、意図しない負荷によって生じた影響を相殺することができる。
なお、検出センサ713の検出溝に進入する被検出部735については、延設部634bで説明したような構造上の目的は生じないので、検出センサ713の検出幅に適切な幅長さの板状部として形成される。これにより、ギアカム部材734の姿勢を検出する分解能を高めることができる。
検出センサ778dは、第2動作ユニット700の上下反転部材781の姿勢を検出するための検出装置であって、検出溝に円弧状突設部781dが進入可能とされる。第2動作ユニット700が上下反転部材781の姿勢を検出するための検出装置は2個であり(図56参照)、それぞれ、上下反転部材781の正立の縦配置状態と、倒立の縦配置状態と、に対応する。
第2動作ユニット700は、上下反転部材781の正立の縦配置状態(図59(a)参照)と、倒立の縦配置状態(図59(c)参照)とにおいて、左右一対で配設される覆設部材787が近接する合体状態とされる。
例えば、単一の検出センサ778d(上下反転部材781の正立の縦配置状態を反転する検出装置)のみを採用する場合には、正立の縦配置状態からの上下反転部材781の姿勢ずれは判定できるので、判定結果に基づいて覆設部材787の合体状態を維持するように駆動モータ782を駆動制御することは可能である。一方で、倒立の縦配置状態からの上下反転部材781の姿勢ずれを判定することはできないので、倒立の縦配置状態における覆設部材787の合体状態が、意図しない負荷や、制御不良等により状態変化した場合であっても、その状態変化を検出センサ778dで判定することはできず、合体状態が解除された状態が継続することになり、演出上好ましくない。
これに対し、本実施形態によれば、上下反転部材781の正立の縦配置状態と、上下反転部材781の倒立の縦配置状態と、に対応した検出センサ778dを備えている。そのため、正立の縦配置状態か、倒立の縦配置状態かに関わらず、合体状態からの状態変化が生じたことを検出センサ778dにより判定することができ、その判定結果を基に合体状態に戻す側に駆動モータ782を駆動制御することで、覆設部材787を合体状態に戻すことができる。これにより、第2動作ユニット700の演出効果を向上することができる。
なお、検出センサ778dの検出溝に進入する円弧状突設部781dについては、延設部634bで説明したような構造上の目的は生じないので、検出センサ778dの検出幅に適切な幅長さの板状部として形成される。これにより、上下反転部材781の姿勢を検出する分解能を高めることができる。
第3動作ユニット800の検出センサ813は、第3動作ユニット800の外側回転部材840の姿勢を検出するための検出装置であって、検出溝に被検出部844が進入可能とされる(図60参照)。第3動作ユニット800が外側回転部材840の姿勢を検出するための検出装置は1個であり、この単一の検出装置が、外側回転部材840自体の回転と、外側回転部材840の回転が停止した状態における内側回転部材830の回転(切替回転動作)と、の判定に利用(兼用)される。
なお、検出センサ813の検出溝に進入する被検出部844については、延設部634bで説明したような構造上の目的は生じないので、検出センサ813の検出幅に適切な幅長さの板状部として形成される。これにより、外側回転部材840の姿勢を検出する分解能を高めることができる。
検出センサ813は、外側回転部材840の姿勢を検出する目的から配設され、個数も1個と少ないので、装飾部材870,880の合体状態からのずれを判定するには不十分である。例えば、検出センサ813に被検出部844が配置されていない姿勢で外側回転部材840が維持されている時に合体状態が解除されるような変位が生じても、それを検出センサ813で判定することはできない。
そのため、合体状態からのずれを判定してから、合体状態に復帰させるという制御よりは、一定の時間間隔で、装飾部材870,880を合体状態へ復帰させる方向(個別合体状態(図66(a)参照)では正面視で内側回転部材830を時計回りに回転させる方向、一連合体状態(図103(b)参照)では正面視で内側回転部材830を反時計回りに回転させる方向)に駆動モータ861を一定時間(例えば、短時間)回転させるよう駆動する制御が好ましいと考えられる。
この制御により、装飾部材870,880の合体状態が予期せず解除された場合であっても、一定の時間間隔での駆動モータ861の駆動により装飾部材870,880を合体状態に復帰させることができるので、装飾部材870,880の合体状態が解除されたまま長期に亘り維持されることを回避することができる。
第2の横断的説明として、磁石Mg,Mg2の作用について説明する。上述のように、第2動作ユニット700では磁石Mgが覆設部材787の姿勢維持に機能しており、第3動作ユニット800では磁石Mg2が装飾部材870,880の合体状態の維持に機能しているように、類似の技術を採用しているが、それぞれ、磁石Mg,Mg2が生じる負荷の方向の設計思想が異なるので、ここで説明する。
第2動作ユニット700では、左右にそれぞれ配設される磁石Mgと金属ネジとの間で生じる磁力の方向が、左右両位置において、前後方向で揃うよう設計されている。換言すれば、磁力の作用線が、覆設部材787の回転動作の回転軸としての金属棒785aと直交する平面に平行となるように設計されている。
この場合、磁石Mgの磁力が金属棒785aの軸方向に生じる場合と比較して、覆設部材787が互いに近接離反するスライド変位の抵抗として生じる磁力の程度(大きさ)を下げることができる。これにより、覆設部材787の動作開始時の動作抵抗を下げることができる。
一方、第3動作ユニット800では、装飾部材880に配設される磁石Mg2と金属ネジNj2との間で生じる磁力の作用線の方向が、装飾部材880の回転動作の回転軸としての5本の金属棒832が配置される平面(内側回転部材830の回転軸に直交する平面)と、平行な一平面上に配置されるよう設計されている。
この場合、磁石Mg2の磁力により装飾部材870,880に回転動作方向の負荷がかけられる程度を下げることができるので、磁力により、装飾部材870,880が回転動作方向にぐらつく誤動作を回避し易くすることができる。
第3の横断的説明として、第3図柄表示装置81等の表示装置における表示と、動作ユニット600,700,800とを一体的に視認させる演出について説明する。
第1動作ユニット600では、張出装飾部652bが第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1と重なって見えるよう配置される(図29参照)。そのため、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1付近に、張出装飾部652bを配置させる位置に対応する表示をすることで、表示領域と張出装飾部652bとをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
第2動作ユニット700では、第1副装飾面787a2が、センターフレーム86の内側下縁部と、開口511aの下縁部と、の間において高さを合わせて配置される(図26及び図52参照)。そのため、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域の下縁付近に、第1副装飾面787a2を配置させる位置に対応する表示をすることで、表示領域と第1副装飾面787a2とをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
第3動作ユニット800では、個別合体状態で遊技者が視認可能となる各第1覆設部875には異なる装飾がされており、張出状態では、その周囲を正面視で囲むように第3図柄表示装置81の表示領域が配置される。そのため、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域における第1覆設部875と近接した範囲において、第1覆設部875を配置させる位置に対応する表示をすることで、表示領域と第1覆設部875とをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
また、第3動作ユニット800が一体回転動作するように駆動制御すれば、各第1覆設部875が回転するルーレット状の動作演出を実行可能となるが、その際にも、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域における第1覆設部875と近接した範囲において、第1覆設部875と並走するように表示を動かすことで、表示領域と第1覆設部875とをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
次いで、図108を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、流路構成部334〜336の内部形状が固定である場合を説明したが、第2実施形態の振分装置2300では、内部形状を可変とする第1流路構成部2334を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施形態での第1流路構成部334の代替部として第1流路構成部2334を説明する際、右側に配設される構成について図示して説明するが、左側に配設される構成についても第1流路構成部2334とすることはできる。また、左右一方だけ第1流路構成部2334とし、他方は第1流路構成部334とするように、左右で構成を異なるようにしても良い。
図108は、図15のXVI−XVI線に対応する線における第2実施形態における振分装置2300の断面図である。図108に示すように、振分装置2300の第1流路構成部2334は、湾曲突部334bの下部において前後方向に穿設される貫通孔2410と、その貫通孔2410に沿って前後にスライド変位可能に案内されるスライド部材2420と、そのスライド部材2420をスライド変位させる駆動力を発生可能となるように後側枠状部332内部に配設されるソレノイド2430と、を備える。
図108では、ソレノイド2430の非励磁状態におけるスライド部材2420の前側配置FPが実線で図示されている。ソレノイド2430に通電されると、ソレノイド2430の駆動力によりスライド部材2420が後側配置RPまでスライド変位する。
本実施形態では、スライド部材2420の前側配置FPでは、スライド部材2420の上側面が、固定の流路の底面であって球が転動可能な底面2334cよりも内側(上側)に張り出し、後側配置RPでは、スライド部材2420の上側面が底面2334cよりも内側(上側)には張り出さない(没入する)ように構成される。
即ち、スライド部材2420の前側配置FPでは、スライド部材2420の上側面に球が当接し、スライド部材2420の後側配置RPでは、スライド部材2420と球とは当接しない。
スライド部材2420の上側面は、底面2334cと平行な平面として形成される。そのため、球が底面2334cを転動している際にスライド部材2420のスライド変位が生じても、球の流下態様に対する影響を小さく抑えることができる。
底面2334cを転動する球の流下方向は斜め前下方向であり、スライド部材2420のスライド変位の方向は前後方向であるので、スライド部材2420のスライド変位の方向が球の流下方向に沿う。そのため、スライド部材2420のスライド変位が、球の回転の強弱に影響する。
球は、底面2334cを前方へ向けて転動するので、進行方向(前方)へ向けて前転する方向の回転が生じることになる。ソレノイド2430が非励磁の状態(図108参照)から、ソレノイド2430に通電されることにより、スライド部材2420が前側配置FPから後側配置RPにスライド変位される場合、スライド部材2420の上側面を転動している球の下端に対して後方向への負荷(摩擦力)が生じる。そのため、球の前転方向の回転が加速され、球の回転の程度を大きくでき、球の転動速度を増速させることができる。
一方、ソレノイド2430が通電されている状態から、非励磁の状態(図108参照)へと変化されることで、スライド部材2420が後側配置RPから前側配置FPにスライド変位される場合、底面2334bを転動している球の下端に対してスライド部材2420の上側面を介して前方向への負荷(摩擦力)が生じる。そのため、球の前転方向の回転が減速され、球の回転の程度を小さくでき、球の転動速度を減速させることができる。
更に、底面2334bの上下位置よりも、前側配置FPにおけるスライド部材2420の上側面の上下位置の方が上側にあるので、スライド部材2420からの摩擦力に加えて、球を上側に押し上げる方向の負荷が生じる。そのため、下方へ向けて転動する球の上下方向の速度を低減させることができるので、球の流下速度を減速させることができる。
このように、本実施形態によれば、球が底面2334bを転動している時にスライド部材2420のスライド変位を生じさせる制御を実行することで、振分装置2300の内部を流下する球の流下速度を変化可能とすることができる。これにより、球が、球通過孔163bを通過してから分岐箇所BP1(図74参照)に到達するまでの時間を変化可能に制御することができる。
本実施形態では、スライド部材2420が第2流路構成部335よりも後方に配置されているので、スライド部材2420により球が影響を受けている最中の様子を、遊技者に把握され難くすることができる。
即ち、遊技者が視認し易く注目が集まり易い第2流路構成部335に球が導入される前段階でスライド部材2420と球との当接を生じさせることになるので、球に回転を付加したり、上下方向に変位させたりする様子を遊技者に把握され難くすることができる。これにより、第2流路構成部335を流下する球を視認する遊技者に与える違和感を小さくすることができる。
本実施形態では、球が底面2334cの上側に配置されている時にスライド部材2420が変位する場合には当接負荷が与えられる一方で、スライド部材2420の変位前後(停止時)に底面2334cの上側を通過する球にはスライド部材2420との当接負荷が与えられない。
従って、スライド部材2420の動作中に底面2334cの上側に配置される球と、スライド部材2420の停止中に底面2334cの上側に配置される球とで、流下態様(回転、回転の変化、流下速度、流下速度変化、等)を異ならせることができる。
次いで、図109を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が左右に並んで配置される場合を説明したが、第3実施形態の振分装置3300では、確変検出センサSE11の配置が通常検出センサSE12の後側に移動されることで、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が前後に並んで配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の配置の変更例として左右中央よりも右側において説明を行うが、左右よりも左側における構成は任意に設計可能である。例えば、左側においては、第1実施形態と同様に確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12を左右に並べて配置するようにして、振分装置3300の左右で確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の配置が異なるように構成しても良いし、左側においても、以下で詳述するように前後に並べて配置されるようにして、振分装置3300の左右で確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の配置が対称となるように構成しても良い。
図109(a)及び図109(b)は、図15のXVII−XVII線に対応する線における第3実施形態における振分装置3300の断面図である。図109(a)では、電磁ソレノイド361(図17参照)が非励磁とされ、スライド変位部材3370が前側位置に配置された状態が図示され、図109(b)では、電磁ソレノイド361に通電されスライド変位部材3370が後側位置に配置された状態が図示される。
また、図109(a)及び図109(b)では、第3流路構成部336を流れた後の球の案内経路が想像線で図示される。このように、スライド変位部材3370の配置によって、球の案内経路が変化される。
図109(a)及び図109(b)に示すように、振分装置3300の中部材3330には、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12への球案内経路を区画する後側枠状部3332が、左側から球を受入可能に開放される形状で構成されている。
スライド変位部材3370は、前側位置と後側位置とでスライド変位可能に構成されている。スライド変位部材3370の後側位置(図109(b)参照)は、上突設部376の前側面376aの右端部と、確変検出センサSE11へ球を案内する経路入口として後側枠状部3332に形成される開放部3332gの後側内面と、が左右で揃う(又は、前側面376aの右端部の方が若干前側に配置される)位置として設定される。
このようにスライド変位部材3370の位置を設定することで、スライド変位部材3370が前側位置に配置されていれば、第3流路構成部336を通過した球がスライド変位部材3370の前側面376aに当接しながら右側へ流され、通常検出センサSE12を通過する一方で、スライド変位部材3370が後側位置に配置されていれば、第3流路構成部336を通過した球がスライド変位部材3370の前側面376aに当接しながら右側へ流され、確変検出センサSE11を通過するように構成することができる。
即ち、通常検出センサSE12を通過する球の流下経路と、確変検出センサSE11を通過する球の流下経路とが、双方共に、第3流路構成部336を通過した後で右方に流れる流下経路で構成される。違いは、右方に流れる前後位置のみである。
そのため、正面側から第3流路構成部336を視認する遊技者目線で、球が確変検出センサSE11へ流れたか、通常検出センサSE12へ流れたかの判別を困難とすることができる。
スライド変位部材3370は、薄板部371の前端部から正面側に棒状に延設される一対の棒状案内部3371cと、上突設部376に一体的に形成される上前突設部3376bと、上突設部376に一体的に形成される上横突設部3376cと、を備える。
棒状案内部3371cは、上側面が球案内部371bの上面と面一とされ、第3流路構成部336を流下する球の球中心の左右両側に左右一対で形成されており、排出孔337の前側面を貫通して、第3流路構成部336の下面裏側に収容可能に構成される。
即ち、スライド変位部材3370が前側位置に配置される場合には、棒状案内部3371cは第3流路構成部336の下面裏側に配置されることで球とは当接せず、スライド変位部材3370が後側位置に配置される場合には、棒状案内部3371cは排出孔337の前側面と球案内部371bとの前後方向隙間に亘って配設される。
このように棒状案内部3371cを構成することで、スライド変位部材3370が後側位置に配置されている時に、球の下側左右部を棒状案内部3371cで支持することができ、球をスライド変位部材3370まで橋渡しすることができる。
これにより、スライド変位部材3370が後側位置に配置されている時に、球が通常検出センサSE12へ向けて流下する事態を回避し易くすることができる。即ち、棒状案内部3371cにより、流下球の誤案内を回避し易くすることができる。
また、第3流路構成部336を通過した球の配置が、球案内部371bの上面と面一で形成される棒状案内部3371cの上面に乗る配置とされることで、球と球案内部371bとが前後方向で正面衝突する事態を回避することができる。即ち、棒状案内部3371cにより、球と球案内部371bとが正面衝突して球が前方に逆流する事態や、球案内部371bの前側面と排出孔337の前側面との間に球が挟まって動作が不良となる事態を、回避し易くすることができる。
上前突設部3376bは、第1実施形態で上述した前後長突設部317(図18参照)と同様の形状部が、第1実施形態のスライド変位部材370の前側位置における相対位置と同様の位置関係で上突設部376と一体形成される形状部である。
上横突設部3376cは、第1実施形態で上述した左右内突設部318(図18参照)と同様の形状部が、第1実施形態のスライド変位部材370の前側位置における相対位置と同様の位置関係で上前突設部3376bと一体形成される形状部である。
これにより、上前突設部3376b及び上横突設部3376cが、当接した球に与える作用は、スライド変位部材3370の配置に関わらず、上突設部376付近を流下する球に対する作用として生じる。
換言すれば、前後長突設部317や左右内突設部318(図18参照)のように固定配置される場合と異なり、スライド変位部材3370が後側位置に配置される状態において、突設部3376b,3376cが、上突設部376の前方位置に到達した球を通常検出センサSE12側へ勢い付けする作用を排除することができる。
次いで、図110及び図111を参照して、第4実施形態について説明する。第1実施形態では、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が左右に並んで配置される場合を説明したが、第4実施形態の振分装置4300では、通常検出センサSE12の配置が確変検出センサSE11の後側に移動されることで、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が前後に並んで配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図110(a)及び図110(b)は、第4実施形態における第3流路構成部336の下流側の構成を模式的に示す第3流路構成部336、確変検出センサSE11、通常検出センサSE12及びスライド変位部材4370の模式上面図である。
図111(a)は、図110(a)のCXIa−CXIa線における第3流路構成部336、確変検出センサSE11、通常検出センサSE12及びスライド変位部材4370の模式断面図であり、図111(b)は、図110(b)のCXIb−CXIb線における第3流路構成部336、確変検出センサSE11、通常検出センサSE12及びスライド変位部材4370の模式断面図である。図111(b)では、分かり易さのために、上当接部4373の図示を省略している。
スライド変位部材4370は、確変検出センサSE11又は通常検出センサSE12の一方を球が通過不能に塞ぎ、他方を開放して球の通過を可能とするよう構成されており、確変検出センサSE11の上方で左右にスライド移動する前側スライド部材4371と、通常検出センサSE12の上方で左右にスライド移動する後側スライド部材4375と、を備える。
前側スライド部材4371と後側スライド部材4375とは、ソレノイドの駆動力により、互いに左右反対方向にスライド変位する。即ち、図110(a)及び図111(a)に示す前開放状態から、図110(b)及び図111(b)に示す後開放状態に状態変化する際に、前側スライド部材4371は左方にスライド移動し、後側スライド部材4375は右方にスライド移動するよう構成される。
前側スライド部材4371は、確変検出センサSE11の上方に被さるように配置されるスライド板4372と、左右内突設部318(図17参照)の形状と同様の形状で形成される上当接部4373と、を備え、不図示の連結部により一体的に形成される。即ち、図110において、スライド板4372及び上当接部4373は一体的にスライド変位する。
スライド板4372の上側面4372aは、第3流路構成部336の下底面336aと面一とされ、前後方向の傾斜が同一傾斜の傾斜平面として形成される(図111(b)参照)。そのため、後開放状態(図111(b)参照)において、上側面4372aの傾斜によって、上側面4372aを転動する球を通常検出センサSE12側へ流すことができる。一方で、前開放状態(図111(a)参照)では、下底面336aを通過した球は上当接部4373と当接し負荷を受けることで、下方(右下方)に流される。
従って、前側スライド部材4371は、前開放状態と、後開放状態とが変化すると、異なる箇所で球と当接するようになり、異なる方向に球を案内する(流す)ように状態が変化するよう構成される。
後側スライド部材4375は、通常検出センサSE12の上方に被さるように配置されるスライド板4376と、前後長突設部317(図17参照)の形状と同様の形状で形成される上当接部4377と、を備え、不図示の連結部により一体的に形成される。即ち、図110において、スライド板4376及び上当接部4377は一体的にスライド変位する。
スライド板4376の上側面4376aは、上側面4372aと前後逆の形状から形成される傾斜平面とされる(図111(a)参照)。そのため、前開放状態(図111(a)参照)において、上側面4376aの傾斜によって、上側面4376aに配置されている球を確変検出センサSE11側へ流すことができる。一方で、後開放状態(図111(b)参照)では、下底面336a及び上側面6372aを通過した球は上当接部4377と当接し負荷を受けることで、下方に流される。
従って、後側スライド部材4375は、前開放状態と、後開放状態とが変化すると、異なる箇所で球と当接するようになり、異なる方向に球を案内する(流す)ように状態が変化するよう構成される。
このように構成することにより、確変検出センサSE11の上方を後方に通過した後の球が、再び確変検出センサSE11の上方に戻り確変検出センサSE11を通過するという事態が生じ得ることから、第3流路構成部336を通過した球に対する注目力を向上することができる。
再び確変検出センサSE11の上方に戻る態様としては、例えば、上側面4372aを後方に球が通過するタイミングで、後開放状態から前開放状態に状態変化するようにソレノイドが駆動される場合が想定される。この場合、球は通常検出センサSE12を通過する前に上側面4376aに乗り上げることになり、上側面4376aの傾斜に沿って手前側に逆流し、確変検出センサSE11側に戻る。
このように、球が第3流路構成部336を通過するタイミングと、スライド変位部材4370の駆動タイミングとが合うと、球は確変検出センサSE11側に戻り得るように構成される。従って、確変検出センサSE11の上方を下流側に通過した球が確変検出センサSE11を通過することは無いように構成される遊技機に比較して、第3流路構成部336を通過した後の球や、スライド変位部材4370の駆動タイミングに対する注目力を向上することができる。
次いで、図112を参照して、第5実施形態について説明する。第1実施形態では、第3流路構成部336までは球の流路が共通であり、第3流路構成部336の後方に分岐箇所BP1が配置される場合を説明したが、第5実施形態の振分装置5300では、第3流路構成部336の上流側にスライド変位部材5370が配設され、第3流路構成部336の上流側で球の流路が変化する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図112(a)及び図112(b)は、図15のXVII−XVII線に対応する線における第5実施形態における振分装置5300の部分断面図である。図112(a)では、スライド変位部材5370が右側位置に配置され、スライド変位部材5370によって球が確変検出センサSE11へ案内される状態が図示され、図112(b)では、スライド変位部材5370が左側位置に配置され、スライド変位部材5370によって球が通常検出センサSE12へ案内される状態が図示される。
また、図112(a)及び図112(b)では、第1流路構成部334を流れた後の球の案内経路が想像線で図示される。このように、スライド変位部材5370の配置によって、球の案内経路が変化される。
スライド変位部材5370は、不図示の電磁ソレノイドにより左右方向にスライド変位可能に構成されており、球の転動面を構成する薄板部5371と、その薄板部5371の上面から上方に突設される上突設部5376と、を備える。
薄板部5371は、第1流路構成部334を通過した球が乗り上げ可能な程度に薄肉で形成される。上突設部5376は、球と対向する左側面5376aが、流路側を凹とした円弧形状で形成されているので、流れてきた球を滑らかに後方へ向けて流すことができる。
本実施形態によれば、振分装置5300のように、球の流下経路の前後幅が長く形成され、後側を流下する球に比較して、手前側を流下する球の視認性が高くなる構成を採用しながら、スライド変位部材5370の配置を、球の視認性が高くなる手前側としていることから、球の流下態様(流下経路)を遊技者に判別させ易くすることができる。
本実施形態では、スライド変位部材5370が右側位置に配置される場合、通常検出センサSE11への経路入口は特に塞がれておらず、球の入球が生じ得る構造とされる。一方で、通常検出センサSE11への経路入口の上流側を流下する球は、第1流路構成部334を流下する間に正面側に向けて流れている。
そのため、第1流路構成部334を通過した直後において、真逆の後方側への速度が生じ難いため、通常検出センサSE11への経路入口への球の進入が生じ難い構成となっている。そこで、本実施形態では、敢えて通常検出センサSE11への経路入口を塞ぐための部材を設けることを省略し、部材コストの削減を図っている。
次いで、図113を参照して、第6実施形態について説明する。第1実施形態では、左右の流路が仕切り板部338により分断され、流路同士が合流しない場合を説明したが、第6実施形態の振分装置6300では、右側の第3流路構成部336に、左側の湾曲突部334bの下流側から右方に延びる合流流路6341が連結される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図113は、図15のXVII−XVII線に対応する線における第6実施形態における振分装置6300の断面図である。図113に示すように、振分装置6300の右側の流路は、第1実施形態と同様に流路構成部334〜336から形成されている。
一方、振分装置6300の左側の流路は、湾曲突部334bの正面側に球1個分のスペースを空けた箇所から右方に直線的に延びる合流流路6341から形成され、この合流流路6341は、右側の流路としての第3流路構成部336に接続される。従って、本実施形態では、右側流路を流下する球と、左側流路を流下する球とが、流路が接続される接続箇所JP1で合流するので、球同士が衝突し得る。
合流流路6341は、流路下端に上げ床部6342を備える。上げ床部6342は、第3流路構成部336の下底面336aよりも高い位置の床面として形成される。これにより、合流流路6341から接続箇所JP1に流入する球と、右側流路を流下し第3流路構成部336を流下する球のとの高さ位置に差をつけることができるので、球同士の衝突時に生じる逆流の度合いを低減することができる。
接続箇所JP1における球同士の接触により、球同士の接触が生じない場合と比較して、球の流下を遅延させることができる。これにより、球同士の接触が生じる場合と、接触が生じない場合とで、球通過孔163b(図16参照)を通過した球が分岐箇所BP1に到達するまでの時間を変化させることができる。
スライド変位部材370の動作タイミングは球の入球態様によらず、開閉板65bの開放タイミングから一定動作で設定されるので、球が分岐箇所BP1に到達するタイミングを変化させることにより、スライド変位部材370が異なる配置の時に球を分岐箇所BP1に到達させることができる可能性がある。
球同士の接触の前提は、球の合流が発生することであり、合流流路6341を流下する球が存在することである。遊技者は、球同士の接触を生じさせたい場合には、左右一対の球通過孔163b(図74参照)にそれぞれ球を入球させるように発射強度を調節して遊技すればよく、球同士の接触を避けたい場合には、片側(右側)の球通過孔163bにのみ球を入球させるように発射強度を調節して遊技すればいい。
本実施形態によれば、球の発射強度の調節が、接続箇所JP1における球の接触の有無に関与し、球が分岐箇所BP1に到達するタイミングでのスライド変位部材370の状態と関与することから、遊技者の利益に直接的に影響する。従って、遊技者の、球の発射強度を調節する意欲を向上することができる。
また、本実施形態によれば、接続箇所JP1での接触は、球の連球の形成と密接に関連する。即ち、接続箇所JP1で接触した2球を、近接配置した状態で分岐箇所BP1へ流下させることができる。
次いで、図114及び図115を参照して、第7実施形態について説明する。第1実施形態では、分岐箇所BP1への流下経路が、流路構成部334〜336により構成される流路のみである場合を説明したが、第7実施形態の振分装置7300では、第1流路構成部334及び第2流路構成部335を経由せずに球が分岐箇所BP1へ流下可能に構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図114は、第7実施形態における振分装置7300の正面斜視図であり、図115は、図114のCXV−CXV線における振分装置7300の断面図である。図114及び図115に示すように、振分装置7300は、特定入賞口65aに入球した球が通過可能な経路として、球通過孔163bの他に、左右略中央位置において開口形成される球通過孔7163bを備える。
球通過孔7163bは、可変入賞装置65への入球を検出し、規定個数の入球の判定により開閉板65bを閉鎖状態に状態変化させるタイミングを検出するために利用される検出センサSE1と同様の機能を有する検出センサSE71の球通過開口として形成される。
球通過孔7163bの下流側には、後方に向けて下降傾斜する方向に矩形筒状断面で延設される筒状流路7164が配設される。筒状流路7164は、内部を球が流下可能となるように十分に大きく形成されており、その端部は、分岐箇所BP1の正面側上方まで延びている。即ち、球通過孔7163bを通過した球は、筒状流路7164の内部を流下して、分岐箇所BP1まで到達可能に構成される。
筒状流路7164を球が通過するのに要する時間長さは、流路構成部334〜336を球が通過するのに要する時間長さよりも短くなるように設定され、第1流路構成部334を球が通過するのに要する時間長さと同等となるように設定される。
そのため、例えば、振分装置7300が、上述した作動パターンY(図25参照)で駆動制御される場合において、上述のように、球通過孔163bを通過して流路構成部334〜336を通過する球はスライド変位部材370が前側位置に復帰した後の状態でしか分岐箇所BP1に到達できないのに対し、球通過孔7163bを通過して筒状流路7164を流下した球はスライド変位部材370が後側位置に配置されている間に分岐箇所BP1に到達する可能性がある。
特に、開閉板65bが開放状態に状態変化した直後に球通過孔7163bを通過した球は、スライド変位部材370が後側位置に配置されている間に分岐箇所BP1に到達し易い。
即ち、スライド変位部材370の駆動制御のパターンが同じであっても、特定入賞口65aに入球した球が、球通過孔163bを通過するか、球通過孔7163bを通過するかで、確変検出センサSE11を球が通過するか否かが変化するように構成することができる。これにより、特定入賞口65aの内側における球の流下態様に対する遊技者の注目力を向上することができる。
図114に示すように、遊技中における一般的な方向視で見る場合に、筒状流路7164によって分岐箇所BP1やスライド変位部材370や流路構成部334〜336の視認性が低下することを回避できるように筒状流路7164の配置を工夫している。
このように、本実施形態によれば、分岐箇所BP1の視認性は高く維持しながら、分岐箇所BP1へ球が案内される流路を増やしたことで、球が分岐箇所BP1へ到達するまでに要する時間長さの種類を増やすことができ、特定入賞口65aに対する遊技者の注目力を向上することができる。
次いで、図116を参照して、第8実施形態について説明する。第1実施形態では、第1動作ユニット600の案内長孔616が直線状部616aと曲線状部616bとが一箇所で連結され、その連結位置において軸線O1の経路が屈曲し軸線O1の変位方向が切り替えられる場合を説明したが、第8実施形態の第1動作ユニット8600では、案内長孔8616が、複数箇所(二箇所)で連結され、その連結位置において軸線O1の経路が屈曲し変位方向O1の変位方向が切り替えられる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図116は、第8実施形態における案内長孔8616と回動部材620との関係を模式的に示す正面模式図である。図116に示すように、案内長孔8616は、直線状部616aの下側において、左右に2度屈曲する。
即ち、案内長孔8616は、直線状部616aと、その直線状部616aの下端部と連結され曲線上(略円弧形状)に形成される第1曲線状部8616bと、その第1曲線状部8616bの下端部と連結され、第1曲線状部8616bとは曲率半径の中心が左右逆となる曲線上(略円弧形状)に形成される第2曲線状部8616cと、を備える。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、軸線O1が直線状部616aの下端位置、即ち、直線状部616aと第1曲線状部8616bとの連結部分に配置される場合、軸線O1の変位方向が切り替えられることから軸線O1の変位速度を低減する(落とす)ことができる。
加えて、軸線O1が第1曲線状部8616bの下端位置、即ち、第1曲線状部8616bと第2曲線状部8616cとの連結部分に配置される場合、軸線O1の変位方向が切り替えられることから軸線O1の変位速度を低減する(落とす)ことができる。
このように、軸線O1を停止させ易い途中位置を複数位置で構成することができるので、軸線O1を途中で止めて、途中で停止している第2装飾回転部材660(図43参照)の停止姿勢の種類(バリエーション)を増やすことができる。
次いで、図117を参照して、第9実施形態について説明する。第1実施形態では、第1動作ユニット600の案内長孔616が単一の経路で構成される場合を説明したが、第9実施形態の第1動作ユニット9600では、案内長孔9616が、直線状部616a及び曲線状部616bで構成される第1の経路と、その第1の経路の右側に連結される第2の経路と、を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図117は、第9実施形態における案内長孔9616と回動部材620との関係を模式的に示す正面模式図である。図117に示すように、案内長孔9616は、第1実施形態の案内長孔616と同様に直線状部616a及び曲線状部616bを備えることに加え、直線状部616a及び曲線状部616bの連結箇所から右方に傾斜して延びる角度維持部9616cと、その角度維持部9616cの右端から曲線状部616b側へ延びて曲線状部616bの途中位置と連結される連結部9616dと、を備える。
角度維持部9616cは、軸線O1が直線状部616aと曲線状部616bとの連結箇所に配置された状態(図43及び図44参照)から、回動部材620を傾倒側に回動させる場合に角度θが維持された状態で軸線O1が変位すると仮定した場合の、軸線O1の変位軌跡と同方向に形成される。
このように、軸線O1が角度維持部9616cを変位する間は角度θが維持されるので、第2装飾回転部材660の箱状部材661の回転方向の姿勢は、第3演出面661cが正面を向く姿勢(図43参照)が維持される。
換言すれば、回動部材620が回動変位する際に軸線O1が角度維持部9616cを変位する場合、回動部材620が傾倒方向に回動することに連動して回転する箱状部材661の回転態様として、角度維持部9616cの形成長さ(形成角度幅)に亘り、第3演出面661cが正面を向いた姿勢を維持することができる。
連結部9616dを軸線O1が変位する場合は、回動部材620の回動に伴う角度θの変化は許容されるので、回動部材620の回動に連動して、箱状部材661は回転する。
一方で、回動部材620の傾倒角度が同じ場合であっても、軸線O1が曲線状部616bに配置される場合の角度θの大きさと、軸線O1が連結部9616dに配置される場合の角度θの大きさと、は異なるので、軸線O1が変位する経路を左右で異ならせることで、回動部材620の回動に連動する箱状部材661の途中姿勢を異ならせることができる。
また、軸線O1が変位する経路が左右いずれであろうと、軸線O1が変位可能範囲の上端に配置される場合の角度θや、下端に配置される場合の角度θは、それぞれ一種類なので、軸線O1が変位可能範囲の上端または下端に配置されている場合における箱状部材661の姿勢は維持することができる(図40及び図45参照)。
換言すれば、本実施形態では、軸線O1が変位可能範囲の端部間(途中位置)に配置された状態における、軸線O1の配置に関連する被支持部材640及び第2装飾回転部材660(図43及び図44参照)の配置と、軸線O1の変位速度に関連する被支持部材640の変位速度および第2装飾回転部材660の箱状部材661の回転速度と、を複数種類で生じさせることができる。
案内長孔9616は、複数の経路で構成されているに留まり、軸線O1が変位可能な経路を制限する機構は備えていない。これにより、経路を制限する機構の不良による動作不良の発生を回避したり、構成を簡素化することによる製品コストの低減を図ったりすることができる。
一方で、軸線O1の変位経路の分岐は、回動部材620を介して軸線O1にかけられる負荷の方向で制御することができる。以下、これについて説明する。まず、回動部材620が傾倒方向に回動変位する場合を説明する。
第1に、軸線O1を左側の経路(直線状部616a及び曲線状部616b)で変位させる場合、回動部材620の回動変位が途中で停止しないように駆動モータ631(図40参照)を駆動制御する。
この場合、軸線O1は、直線状部616aの延びる方向(上下方向)に沿う変位の慣性で曲線状部616bに進入し、そのまま案内長孔9616の下端位置まで変位する。
第2に、軸線O1を右側の経路(角度維持部9616c及び連結部9616d)で変位させる場合、直線状部616a及び曲線状部616bの連結箇所に軸線O1が配置された段階で回動部材620を途中停止または減速させるよう駆動モータ631(図40参照)を駆動制御し、その後で再度、駆動モータ631を同方向に駆動制御する。
この場合、直線状部616aの延びる方向(上下方向)に沿う変位の慣性が減少するので、軸線O1が左側の経路を変位するか、右側の経路を変位するかの選択は、変位抵抗が少ない側が選ばれる。
ここで、角度維持部9616cへ軸線O1が進入する場合、角度θの大きさが維持されることから、回動部材620と歯合回転する中間ギア644(図44参照)や、中間ギア644よりも駆動力の伝達下流側の部材に駆動力を伝達する必要がない。即ち、その分だけ変位抵抗が少ないので、軸線O1を角度維持部9616b側に進入させることができる。
このように、本実施形態では、回動部材620の傾倒方向の駆動制御において、駆動モータ631を途中で停止制御させるか、停止させないかにより、軸線O1が変位する経路を選択するように制御することができる。
なお、回動部材620の起き上がり方向の変位では、軸線O1が回動部材620から斜め右上方向へ向けた負荷を受けるので、軸線O1が連結部9616dに進入するように変位する事態は生じ難くされ、曲線状部616bに沿って軸線O1を上昇変位させることができる。
本実施形態では、連結部9616dと曲線状部616bとの連結箇所は、曲線状部616bの途中位置に設定されているので、曲線状部616bの右側面が、曲線状部616bの下端位置に配置された軸線O1の右上側に配置される左上傾斜の面として形成される。
そのため、軸線O1が曲線状部616bの下端位置に配置された状態で、円形貫通孔624を中心とする円に沿って軸線O1が上方変位(跳ね戻り)することを防止することができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300により球が一旦手前側に流下した後で、後方に流下する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、手前側に流下する部分を構成することなく、複数回の経路屈曲や、球を減速させる減速凸部を形成することにより、球の流下に要する時間の確保を図っても良い。
上記第1実施形態では、第2入賞口140の前意匠部材141の下底面が湾曲面形状とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、当接により球の流下を遮ることができる形状であれば良い。例えば、傾斜平面形状で構成しても良いし、平面から細かな凸部が多数突設されるよう形成され、衝突した球に不規則な負荷を与えられるようにしても良い。
上記第1実施形態では、特定入賞口65aに入球した球が振分装置300を流下する際、専ら流路構成部334〜336を順に流下する場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、特定入賞口65aの左右中央部に下方へ貫通する開口が形成され、この開口を通り第3流路構成部336に球が直接流入可能に形成しても良い。
例えば、球が1球ずつ入球する場合には開口を球が通過することは無いが、複数球がまとまって特定入賞口65aに入球した場合に球が開口を通過し得るよう構成しても良い。この場合、特定入賞口65aに入球した球が開口を通過する場合と、開口を通過しない場合とで、球がスライド変位部材370に到達するまでに要する時間を変化させることができる。
上記第1実施形態では、検出センサSE11,SE12が特定入賞口65aよりも後方に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2流路構成部335の下流側端部の真下に検出センサSE11,SE12が配設されるようにしても良い。また、この場合において、第1流路構成部334と第2流路構成部335との順番を逆転させても良い。即ち、検出センサSE11,SE12への入球において、左右方向への流下の直後に各検出センサSE11,SE12への分岐が生じても良いし、前後方向流下(手前側へ向けた流下)の直後に各検出センサSE11,SE12への分岐が生じても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300単体での特徴として、各流路構成部334〜336の流路方向や傾斜について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パチンコ機10の島への設置の際に、日常的に行われる「ねかせ」を考慮して、この流路方向や傾斜について設計するようにしても良い。
ねかせとは、パチンコ機10を垂直な姿勢で設置するのではなく、前後方向に傾斜させた状態で設置することを言う。通常、パチンコ機は、約1度(四分五厘)後方に倒れた姿勢(ねかせ)で設置される。上述の振分装置300単体(ねかせが無い状態状態)での説明に比較して、約1度という設置角度を考慮すると、前後方向の傾斜を有する第1流路構成部334及び第2流路構成部336の傾斜の意味が変わってくる。
即ち、振分装置300単体では、上述のように、第1流路構成部334が前側へ水平から7度だけ下降傾斜し、第3流路構成部336が後側へ水平から5度だけ下降傾斜するように設計されているが、設置角度を合わせて検討すると、第1流路構成部334も第3流路構成部336も同様に6度だけ下降傾斜する流路を構成することになる。一方で、第2流路構成部335は、左右方向の傾斜であるので設置角度の影響を受けにくく、上述と同様に約5度の傾斜とみなすことができる。
この場合、振分装置300内の球の流下について、第1流路構成部334及び第3流路構成部336での球の加速度は同様とされ、第2流路構成部335において若干加速度が小さくなる。そのため、左右方向の球の流下速度を落とすことができるので、第2流路構成部335を流下する球を遊技者に視認させ易くすることができる。また、第1流路構成部334の方が第3流路構成部336よりも短いことは変わらないので、第1流路構成部334を、第3流路構成部336を通過するよりも短期間で通過させることができる。
このように、振分装置300の内部での球の流下は、前後方向の流路を有していることからパチンコ機10のねかせの影響を受ける。そのため、各流路構成部334,336の傾斜角度をねかせの角度(約1度)よりも小さくすると、ねかせの良し悪し(角度設定)により流路構成部334,336における球の流下方向が変わって(反転して)しまうので、傾斜角度はねかせの角度よりも大きな角度として設定する必要がある。
また、振分装置300の内部での球の流下が前後方向の流路を有しており、その流路が視認可能な構成では、その流路を流下する球の流速の僅かな違いから、パチンコ機10のねかせの程度を把握される可能性がある。敢えて、ねかせの程度を把握させたいなら、振分装置300の流路を視認し易い構成とすればいい。
一方、上記第1実施形態では、球の流下速度の僅かな違いから「ねかせ」の程度を把握されないように、各流路構成部334〜336の、前側周囲において被固定部材161や前意匠部材162が囲むように配置され、上側において可変入賞装置65が覆うように配設され、下側において光拡散加工面340で視認性を悪くするように構成されるようにしている。
このように、各流路構成部334〜336を流下する球の視認性を、通常の遊技者目線(正面視0度〜約30度程度の範囲)を除き、悪くするようにしている。これにより、各流路構成部334〜336を流下する球の流速を比較してパチンコ機10の「ねかせ」の程度を把握されることを回避することができる。
上記第1実施形態では、第1流路構成部334の傾斜の方が、第3流路構成部336の傾斜よりも大きい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、この傾斜の関係を逆転させても良いし、同様の傾斜で構成しても良い。
また、各流路構成部334〜336は、それぞれ直線状の流路が屈曲して渦状の流路を構成するものとして説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、蛇行する流路形状でも良いし、階段状に屈曲する流路形状でも良い。
また、各流路構成部334〜336の接続箇所で流路が直角に曲げられるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、接続箇所で流路が鋭角で曲げられても良いし、鈍角で曲げられても良い。また、各流路構成部334〜336としてクルーンを採用しても良い。
上記第1実施形態では、第3流路構成部336を球が通過するのに要する時間が0.3秒となるように設計される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第3流路構成部336を通過するのに要する時間が1秒(0.6秒以上)となるように設計しても良い。これにより、球が発射間隔(0.6秒)を維持したまま振分装置300に入球した場合であっても、第3流路構成部336を流下する上流側の球を、その下流側において第3流路構成部336を流下する球の目隠しとして機能させることができる。
上記第1実施形態では、流路構成部334〜336の経路長さを確保することで、球の流下時間を確保する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド変位部材370までの経路の内側両壁から遊技球の流下方向と交差する方向に長尺で形成され、互い違いに突設される突条を設け、この突条を遊技球に衝突させることで球を減速させるように構成しても良い。これにより、経路長さを長くせずとも、球の流下時間の確保を図ることができる。
なお、減速用の突条は、スライド変位部材370までの経路の全範囲に均等に配置するようにしても良いし、配置を不均等にしても良い。例えば、第1流路構成部334及び第2流路構成部335については突条を形成せず、第3流路構成部336においてのみ突条を構成することで、第3流路構成部336までは迅速に球を到達させる一方、球が第3流路構成部336を緩やかに流下するように構成することができる。
また、突条の突設方向は、左右方向から球の流下経路に沿って経路内側へ互い違いに突設されるような方向でも良いし、所定間隔を空けて下側から上方へ突設されるような方向でも良い。
左右方向からの突設の場合、突条から球に与えられる負荷が左右方向の成分を有するので、この負荷により球が通常検出センサSE12に誤って案内されないように配置を考慮することが好ましい。例えば、スライド変位部材370に最も近接する位置においては、左右外側の壁部から左右内側に突設させることで、突条からの負荷が通常検出センサSE12側へ向かわず仕切り板部338側へ向かうようにすることで、球が誤って通常検出センサSE12に案内されることを回避し易くすることができる。
下側から上方への突設の場合、突条自体がスライド変位部材370の目隠しとして機能する可能性があるので、遊技者の視線を考慮して、形成高さや形成位置を設計することが好ましい。
なお、突条は、出没可動に形成しても良い。この場合、出状態では球の流下をせき止めて、没状態となった場合に球の流下を再開可能としても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の手前側を流下する球により目隠しがされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振分装置300の前に、可動の化粧部材が配置され、その化粧部材によって流路構成部334〜336の目隠しがされるようにしても良い。この化粧部材は、駆動されても良いし、球の重みで動作するものでも良い。
また、球により目隠しがされる場合において、球が手前側に配置される場合に限られるものではない。例えば、スライド変位部材370の背面側に鏡が配設され、その鏡の反射を利用してスライド変位部材370の状態を視認させる場合には、球がスライド変位部材370と鏡との間に配置されれば、目隠し機能を生じさせることができる。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370に到達する球が目隠しされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入賞口64が、検出センサSE11,SE12のように遊技領域よりも後方に配置され、第1入賞口64が目隠しされるものでも良いし、他の一般入賞口63が目隠しされるものでも良い。
上記第1実施形態では、流路構成部334〜336が直線的で球を1個ずつ案内可能な流路から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、蛇行する流路として形成されても良いし、複数に枝分かれが生じる流路として形成されても良いし、流路幅の大小があり流路幅が大の箇所では球が滞留し易いよう構成されても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370へ向かう球により目隠しの効果が生じる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、他の入賞口63,64,65,140に入球した球を排出するための排出経路がスライド変位部材370の前側に配置され(例えば、手前側において交差するように配置され)、その排出経路および排出経路に配置される球によりスライド変位部材370が目隠しされるようにしても良い。
上記第1実施形態では、特定入賞口65aに入球した球は、専ら第1流路構成部334を通り第2流路構成部335側(手前側)に流れてくる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、特定入賞口65aの下流側に球を振り分けるシーソー状の振分機構が配設され、その振分機構により第2流路構成部335側に流れる球が選別されることで、一部の球が第2流路構成部335側に流れるようにしても良い。
振分機構は、球の自重で変位動作するものでも良いし、駆動装置で開閉板65bの開閉から一定動作するよう駆動されても良いし、パチンコ機の電源オンから一定のパターンで駆動されるように制御しても良い。
駆動制御する場合は、例えば、入球の種類が変化する場合において第2流路構成部335側に球が流れるように制御しても良い。例えば、特定入賞口65aへの入球において、カウント数(10個/ラウンド)を超える入球(超過入賞)があった場合に、第2流路構成部335側に球が流れるように構成しても良い。この場合、第2流路構成部335側を流下する球の個数と、超過賞球の払い出し個数とを照合でき、得られる追加利益を遊技者が早期に把握することができる。この場合において、スライド変位部材370及びその下流の構成は維持しても良いし、省略しても良い。
また、例えば、第1入賞口64に入球した球が振分装置300を流下するような構成においては、特別図柄1の保留個数が4個(満タン)の場合に入球があったら、その球は第2流路構成部335側に流すように構成しても良い。この場合、第2流路構成部335側を流れる球を視認することで、特別図柄1の保留個数が満タンであることを遊技者に気付かせることができる。この場合において、スライド変位部材370及びその下流の構成は維持しても良いし、省略しても良い。
球の自重で変位動作する場合は、球が到達する度に所定動作を繰り返すようにしても良いし、到達する球の個数によって異なる動作をするように構成しても良い。例えば、1個の球が特定入賞口65aに入球した場合には第2流路構成部335側へは流れず、2個以上の球がまとまって特定入賞口65aに入球した場合には第2流路構成部335側へ球が流れるようにしても良い。また、逆でも良い。
また、これらの動作態様は、特定入賞口65aの左右に一対で配設される検出センサSE1の下流でいずれも同じでも良いし、左右で異なるように構成しても良い。
ここで、特定入賞口65aからスライド変位部材370までの球の流下時間が長い場合、球排出時間が長いことにより遊技が間延びする可能性がある。そのため、例えば、上述の振分機構を利用して、特定入賞口65aに入球した何球目までかの球を第2流路構成部335側へ流下させ、それ以降の球については第2流路構成部335を経ずに排出するように構成しても良い。これにより、カウント数目の球が流路構成部334〜336を流下しきるのを待つ必要が無くなるので、ラウンド間長さを短く設定することができる。
上記第1実施形態では、第3図柄表示装置81の下側において振分装置300が配置され、遊技領域の下端部付近で球を手前側に流す場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、特定入賞口65aが第3図柄表示装置81の下縁よりも上側に配置され、振分装置300の流路構成部334〜336が、第3図柄表示装置81に近接配置または正面視で表示領域の手前側に配置されるよう構成しても良い。
この場合、振分装置300を流下する球を視認する視線を第3図柄表示装置81の表示領域側を向く視線にすることができる。この場合、振分装置300での球の流下により遊技者が得られる利益の大小と、液晶表示での報知の内容とを対応付けることで、遊技者は表示を確認することで大小いずれの利益を獲得できたのかを容易に把握することができる。
また、内レール61を転動する球が、第3流路構成部336を転動する球を基準として、正面視で下側にずれた位置で視認される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内レール61を転動する球が第3流路構成部336を転動する球を基準として、正面視で上下に位置ずれせず、重なって視認され得るような配置関係で構成しても良い。この場合、振分装置300に入球した球のみでなく、内レール61を転動する球を第3流路構成部336を流下する球の目隠しとして機能させることができる。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の作動パターンYとして、特定入賞口65aに入球した球が到達し得ない時間にスライド変位部材370を前側位置に切り替える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、開閉板65bの開放タイミングから、1.2秒経過後にスライド変位部材370が前側位置に切り替えられるように制御しても良い。
この場合、1.2秒が経過する前にスライド変位部材370に到達していた前流れ球については、確変検出センサSE11の貫通孔に入球させることができる。一方、その前流れ球を追うように流れ、1.2秒の経過後にスライド変位部材370に到達した後追い球は、通常検出センサSE12の貫通孔に入球することになる。
ここで、後追い球が、前流れ球の目隠しとして機能する位置関係であった場合、遊技者は、前流れ球の流れが確変検出センサSE11へ向けて(下方へ)切り替わるタイミングを、後追い球に隠されることで、視認することができない。その上、後追い球は通常検出センサSE12に入球するので、遊技者は、球が確変検出センサSE11に入球していないと思い込むと考えられる。
このように、あたかも確変検出センサSE11の貫通孔に球が入球していないように見せることができるので、時短状態と確変状態との表示演出を同様にして遊技者の期待感を維持させるような遊技機において、その表示演出の演出効果を向上することができる。
上記第1実施形態では、左右内突設部318に衝突した球は、その衝突による負荷だけでは通常検出センサSE12側には流れない場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右内突設部318に案内されるまでの球の速度や、回転が、複数種類で構成可能となるように左右内突設部318の上流側における流路を構成し(例えば、クルーンを配設したり、経路幅を広くしたりすることで球の流下方向の自由度を増加させ)、球の速度や、回転の違いによって、左右内突設部318との衝突による負荷だけで通常検出センサSE12に案内され得るように構成しても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370と、各突設部317〜319とが別体として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各突設部317〜319の少なくとも一つが、スライド変位部材370に一体的に形成されても良い。即ち、スライド変位部材370の上突設部376から各突設部317〜319の少なくとも一つが突設されるようにしても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の動作タイミングとして、球で隠される可能性を考慮した作動パターンYについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球で隠されるタイミングで発光手段351のLEDを発光させる制御を織り交ぜても良い。
上記第1実施形態では、案内長孔616の形状により軸線O1の変位抵抗を変化させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、案内長孔616の幅長さを変えて隙間の外相を形成することで変位抵抗を変えても良いし、磁力やコイルスプリングの付勢力を利用して変位抵抗を変化させても良い。
上記第1実施形態では、案内長孔616の形状を途中位置で屈曲する形状で構成したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、複数回屈曲する形状としても良い。この場合、軸線O1の上下方向変位の抵抗が増大する位置を複数位置で形成することができる。
また、案内長孔616の形状を、回動部材620の回動中における角度θの変化量の大小を変化させる目的から設計しても良い。例えば、回動部材620の回動中における角度θの大きさが維持できる範囲を部分的に形成できるように被支持部材640を案内可能な形状で案内長孔616を形成しても良い。
上記第1実施形態では、案内長孔616が固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、軸線O1が移動可能な案内長孔616が複数形成され、所定の切替手段(例えば、他の駆動装置や、回動部材620に当接して切り替えられるボタン式の切替装置)によって軸線O1が案内される案内長孔616を切り替えられるように構成しても良いし、案内長孔616を形状変化可能に構成しても良い。
上記第1実施形態では、第2装飾回転部材660が第3図柄表示装置81の右側に配置された状態で第1演出面661aを前斜め左側へ向ける構成について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第3図柄表示装置81の左側に配置された状態で演出面を前斜め右側へ向けるように構成しても良いし、第3図柄表示装置81の下側(上側)に配置される場合に演出面を前斜め上側(下側)へ向けるように構成しても良い。
上記第1実施形態では、回動部材620を変位の基端側に配置するよう構成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、直動変位する部材を変位の基端側に配置しても良い。一方で、直動の部材ではなく回動部材620を利用していることは、第2装飾回転部材660及び張出装飾部652bの回転角度を確保することに好適に機能する。
例えば、横スライドする部材を被支持部材640の主動側に固定する場合、第2装飾回転部材660及び張出装飾部652bの回転角度に影響する角度は、水平より上側の角度(角度a1等)に限定される。これに対し、回動部材620を利用する場合であれば、水平より上側の角度だけでなく、下側の角度(角度b1等)をも利用することができる。なお、この好適な効果に関わらず、被支持部材640の主動側に直動スライドする部材を連結するようにしても良い。
上記第1実施形態では、第2装飾回転部材660が直方体で形成され、直角に交差する3側面に装飾が施される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2装飾回転部材660が断面五角形で形成され、各側面が前側を向く姿勢で停止制御可能に構成されても良い。
上記第1実施形態では、装飾固定部材670は固定の装飾部材としたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、液晶表示装置が配設されても良い。この場合、第1動作ユニット600や第2動作ユニット700と一体視させ易い表示を容易に切り替えることができる。
上記第1実施形態では、回動部材620の回転軸と、第2装飾回転部材660とが直角に交差し得る場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2装飾回転部材660の回転軸が前後方向の成分を軸として(斜めな回転軸として)構成されても良い。
上記第1実施形態では、コイルスプリングCS2の付勢力の設定から、第2動作ユニット700を中間演出状態で維持し易くなるように構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回動アーム部材720の長孔部723付近に磁石を配設し、この磁石が右側前板部材710に配設される磁石との間で吸着力を生じさせるよう構成し、この吸着力が第2動作ユニット700の中間演出状態において生じ易くなるようにしても良い。
また、例えば、傾斜部751,762を直線的に形成するのではなく、波形状や鋸歯形状など屈曲した形状から形成しても良い。また、コイルスプリングCS2を利用する場合についても、コイルスプリングCS2が圧縮される場合にのみ付勢力が生じるものに限らず、コイルスプリングCS2の伸長変位に対する付勢力が生じるよう構成しても良い。
上記第1実施形態では、磁石Mgの吸着力を超えるまでは傘歯部783cと傘歯部材785cとが弾性変形することで軸回転部材785の姿勢が維持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ギアの弾性変形ではなく、回転する軸棒と、その軸棒を支持する支持筒との間の摺動摩擦に許容値を設けることで構成しても良い。
上記第1実施形態では、覆設部材787が下からせり上がり、遊技領域の後端部から前側に入り込む場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下降変位によって前側に張り出す態様でも良い。この場合において、センターフレーム86の上縁を下から前方へ越える態様でも良いし、遊技領域の上方(例えば、正面枠14の上方)から前側に張り出す態様でも良い。
上記第1実施形態では、覆設部材787の回転が逆方向となることで副装飾面787a2,787b2が揃って視認されないことで識別力を低下させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、副装飾面787a2,787b2を正面側に向けながら回転する態様ではなく、左右外側に向けながら回転する態様としても良い。また、同方向の回転であっても、回転角度をずらして回転させるように構成しても良い。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700及び第3動作ユニット800で共通して、リンク機構(中間腕部材783、中間腕部材850)の回転角度を利用して軸回転部材785や回転部材834を回転(反転)させるように構成されるが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転部材834を案内する金属棒832に一筆書き状に溝が掘られ、その溝に回転部材834から突設される突片が差し込まれるような構成では、溝の設計次第で、回転部材834の回転タイミングを規定することができる。
上記第1実施形態では、検出センサ813に被検出部844が配置された状態から、検出センサ813の出力が切り替わることで切替回転動作から一体回転動作に切り替わったと判定するように制御する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出センサ813に被検出部844が配置されていない状態で駆動モータ861の駆動方向を反転した後、被検出部844が検出センサ813に進入したことを検出することで、切替回転動作から一体回転動作に切り替わったと判定しても良い。
上記第1実施形態では、第1装飾部材870の構成と、第2装飾部材880の構成とが所々で異なるように構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、磁石Mg2が両装飾部材870,880に配設されるようにしても良いし、両装飾部材870,880に鍍金処理がされるようにしても良い。
上記第1実施形態では、トルクリミッタ866を配設することで切替回転動作と一体回転動作とを明確に分ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、粘性抵抗を生じるオイルダンパを設けるようにしても良い。なお、オイルダンパの場合、動作態様の切り替えによらず、常時抵抗が生じ続けるので、トルクリミッタの方が、一体回転動作に動作態様が切り替えられた後の回転方向の変位抵抗を低減することができ、一体回転動作に切り替えられた後の高速回転を実現し易い。
上記第1実施形態では、光LD1が鍍金部871aで正面側に反射される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、金属棒832で光を反射させても良い。一体回転動作中は、直動部材833が金属棒832の基端側(円の内径側)に配置されることで金属棒832が直動部材833に隠されるが、切替回転動作において直動部材833が金属棒832の先端側(円の外径側)に配置される場合には、金属棒832の基端側(円の内径側)が露出することで、光LD1を反射させることが可能である。
上記第1実施形態では、第3流路構成部336の下底面が左右内側に下降傾斜する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1流路構成部334の転動面(底面)が左右方向に沿って非傾斜(水平面と平行)となるように構成しても良いし、左右内側に下降傾斜するように構成しても良い。前者の方が、後者に比較して、第2流路構成部335への球の勢いを低減することができる。
また、例えば、第2流路構成部335の転動面(底面)が前後方向に沿って非傾斜(水平面と平行)となるように構成しても良いし、後方へ向かうにつれて下降傾斜するように構成しても良い。前者の方が、後者に比較して、第3流路構成部336への球の勢いを低減することができる。
また、第3流路構成部336について、転動面(底面)が左右方向内側に下降傾斜する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第3流路構成部336の転動面(底面)が左右方向に沿って非傾斜(水平面と平行)となるように構成しても良い。この場合、球が仕切り板部338側に付勢される度合いが下がるので、球との衝突や擦れによる仕切り板部338の損傷の度合いを低く維持することができる。
上記第1実施形態では、外側発光手段351dの光軸が、分岐箇所を通る球の軌跡の外側に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、外側発光手段351dの光軸が分岐箇所を通る球の軌跡の内側を通るように構成(配置位置を下げて構成)しても良い。この場合、外側発光手段351dを点灯している時に、分岐箇所を通る球が外側発光手段351dの光軸と重なることで、光を背面側に反射するように構成することができるので、光が光拡散加工面333bに到達しない状態(暗い状態)とすることができる。
即ち、外側発光手段351dの点灯は継続したままで、分岐箇所での球の流下態様と、光拡散加工面333b(及び光拡散加工面333bから拡散される光を受けて照らされる光拡散加工面314c,340)の明暗とを関連付けることができる。各光拡散加工面314c,333b,340は、球よりも遊技者目線での面積(投影される面積)が大きいので、分岐箇所での球の流下態様について遊技者に容易に把握させることができる。
上記第1実施形態では、発光手段351を点灯制御するタイミングとして、大当たり遊技中の説明をしたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、入賞口63,64,140等への入賞が検出されたことに起因して発光制御するようにしても良いし、枠ボタン22の入力操作があったことに起因して発光制御するようにしても良いし、規定個数(大当たり遊技のラウンド遊技の終了を規定する入賞個数、入賞口64,140の入球に基づく変動の最大保留回数)を超える入賞が生じたことに起因して発光制御するようにしても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の動作が不良である場合には、中部材330と下部材380との組み付け位置が不良となっていることから、スライド変位部材370の動作を確認することで、中部材330と下部材380との組み付けの良し悪しを製造段階で判定することができる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、スライド変位部材370の位置を検出する検出センサを備えるようにして、稼働時におけるスライド変位部材370の動作を検出するようにしても良い。この場合、製造段階では現れなかったものの、繰り返しの稼働や、何らかの外力の影響により、中部材330と下部材380との位置関係がずれた場合に、そのずれの発生をスライド変位部材370の動作不良により判定することができる。
上記第1実施形態では、分岐箇所BP1において球の流下方向を切り替えるスライド変位部材370の変位方向を前後方向の直動変位としたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転動作(例えば、ルーレット形式)としても良いし、球の流下を不規則にする形状部(例えば、漏斗状のクルーン)を配設し球が複数の方向に流下し得るようにしても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300を、球が、確変検出センサSE11と通常検出センサSE12とのいずれかを通過するかを切り替えるための装置として採用したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、始動入賞口(入賞口64,140)へ球を案内するための装置として採用しても良いし、特定入賞口65aへ球を案内する装置として採用しても良いし、その他の入賞口または入賞領域へ球を案内する装置として採用しても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300が遊技領域の下隅部に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振分装置300は、遊技領域の上隅部(例えば、センターフレーム86の上方)に配置されても良いし、左右隅部(センターフレーム86の左右縁部よりも左右外側)に配置されても良いし、遊技領域の中央側部に配置されても良い。例えば、遊技領域の上隅部に配置される場合、振分装置300を見る遊技者の目線は水平面に対して斜め上方向に傾斜するので、正面側へ向けて下降傾斜する流路部分において、下流側の球が上流側の球を隠すよう構成することができる。
また、流路構成部334〜336の構造が前後逆の傾斜となるように構成し、確変検出センサSE11,通常検出センサSE12を被固定部材161付近に配設するように構成しても良い。
上記第1実施形態では、窓部162dの形状を、正面視における流路構成部335,336の形状と、シール部材313の配置と、から設計する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、遊技者目線(斜め下方向視)でスライド変位部材370(だけ)を視認可能となる形状でも良いし、スライド変位部材370の視認性が低下するような形状でも良い。また、スライド変位部材370の前側位置または後側位置の一方では視認可能とされ、他方では視認不能となる形状でも良い。
また、第1実施形態では、流路構成部334〜336を左右一対で構成し、合流しないようにすることで、一つの流路に入球する球の個数を少なくでき(入球を分散させることができ)、球詰まりを回避し易くすることができる作用を生じさせながら、それぞれの流路を通過した球のいずれの経路もスライド変位部材370で切り替えられるようにしている。
この点、窓部162dの形状を、スライド変位部材370の左右一対の構成(例えば、球案内部371b、上突設部376)の内、片方のみが視認できてもう片方は視認できなくなるような形状でも良い。この場合、視認できなくなっている側での球の流下経路を遊技者に予想させることができるので、遊技者の興趣の向上を図ることができる。
上記第1実施形態では、球案内部371bに球が乗り得る状態からのスライド変位部材370の変位方向を後ろ方向(第3流路構成部336を流下する球の進行方向の順方向)として、摺動により球の前転方向の回転を抑制し、球の落下直前の状態における回転量を抑えて、球が一時停止しているように遊技者に見せることができる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、球案内部371bに球が乗り得る状態からのスライド変位部材370の変位方向を前方向(第3流路構成部336を流下する球の進行方向の逆方向)として構成しても良い。
即ち、球案内部371bを前方向に変位させて、球案内部371bが第3流路構成部336の下側に進入させることで、確変検出センサSE11を開放可能に構成する。上突設部376については、球案内部371bと別体で構成し、球案内部371bに球が乗り得る状態では分岐箇所BP1側に張り出すように配置する。球案内部371bに球が乗らない状態へ球案内部371bが変位する場合には、上突設部376が球案内部371bの変位と同じタイミングで前後逆方向に変位して、確変検出センサSE11への球の通路を確保するようにすれば良い。
この場合、球案内部371bのスライド変位時の球との摺動により、球の前転方向の回転を増速することができるので、球の落下直前の状態における回転量を増大させて、球が即座に落下(スムーズに落下)したように遊技者に見せることができる。
上記第1実施形態では、回動部材620の制御は、駆動モータ631の通電切断後に回動部材620に与えられる慣性負荷を考慮して、検出センサKS1の検出溝に延設部634bが配置されたことをもって駆動モータ631の通電を切断する制御態様としていたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出センサKS1の検出溝に延設部634bが配置されたことを検出センサKS1により検出したら、駆動モータ631の駆動電力を落として、短時間だけ弱めに回転させてから停止させるようにしても良い。これにより、回動部材620を変位終端位置(演出待機状態の位置)まで確実に到達させることができる。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700について、前上傾斜部714,751や受傾斜部762の溝を、真っすぐな傾斜溝から構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下端側で前側に湾曲するような、部分的なカーブを有する溝とすることで、演出装置780の変位を、上下スライド変位と、前後スライド変位と、前後方向の姿勢変位とを合わせた変位態様とすることができる。
なお、前上傾斜部714,751や受傾斜部762の溝の形状としては、種々の態様が例示される。例えば、左右方向視でくの字形状(又は逆くの字形状)としても良いし、S字に湾曲する形状としても良い。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700の反転動作について、磁力により反転動作の開始タイミングを遅らせることで、部材同士(例えば、本体部材771と覆設部材787、駆動モータ782と覆設部材787)の衝突を避けるように変位させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、中間腕部材783の傘歯部783cと軸回転部材785の傘歯部材785cとのギア数の設定により、部材同士の衝突を避ける設計手法でも良い。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700では、上端位置としての張出状態で回動アーム部材720の回動先端が演出装置780の左右中央と一致する左右位置に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回動アーム部材720の回動先端が演出装置780の左右中央よりも右寄りに配置されることで、昇降板部材740の左側を支持する金属棒702と、昇降板部材740の右側を支持する回動アーム部材720との支持位置間隔を長く確保することができる。これにより、昇降板部材740を安定して支持することができる。
上記第3動作ユニット800では、膨出部824aは、装飾部材870,880が個別合体状態か、一連合体状態かに関わらず、形状不変で遊技者に視認される部分として構成し、個別合体状態も、一連合体状態も、膨出部824aを一部(中央部)として遊技者に視認させる状態としたことで、膨出部824a、第1覆設部875及び第2覆設部885を互いに違和感の抑えた形状となるように設計する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、膨出部824aの正面に表示部が配設される位置関係で表示装置(セグ表示装置や、液晶表示装置)を配設しても良い。この場合、内側発光部823aからの光の照射態様(明暗や色)の変化で膨出部824aの視認性を変化させる場合と異なり、膨出部824aで視認される対象を表示部の表示態様を切り替えることで変化させることができるので、演出自由度を向上することができる。
また、例えば、第1装飾部材870又は第2装飾部材880のいずれか一方について、覆設部875,885の形状を、合体状態における円形状の中心側に延設するように設計変更し、その延設した部分によって膨出部824aを覆うように構成しても良い。この場合、個別合体状態または一連合体状態のいずれか一方において、膨出部824aが遊技者に視認されないように隠すことができるので、膨出部824a、第1覆設部875及び第2覆設部885の設計自由度の制限の程度を下げることができる。
上記第1実施形態では、第3動作ユニット800について複数の装飾部材870,880が磁力で吸着する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凹凸係合による負荷により合体状態を維持するものでも良いし、バネ部材による付勢力で合体状態を維持するように構成しても良い。
上記第1実施形態では、第3動作ユニット800の磁石Mg2の吸着力がトルクリミッタ866の抵抗力よりも小さくなるように設定することにより切替回転動作を実現しているが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、勢いをつけるような動作態様を採用することで、磁石Mg2の吸着力がトルクリミッタ866の抵抗力以上または同等である場合にも、切替回転動作を実現することができる。
勢いをつけるような動作態様としては、例えば、準備動作(予備動作)として、逆方向へ回転制御するようにしても良い。この場合、装飾部材870,880の回転変位に反動をつけることができると共に、中間腕部材850を合体状態における配置から径方向外方へ放る方向の負荷を生じさせることができる。これにより、磁力による吸着を解除し易くすることができる。
上記第1実施形態では、第3動作ユニット800の切替回転動作時のぐらつき抑制のための工夫として、装飾部材870,880が反転動作の前に径方向変位が生じるよう構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、反転動作の回転軸としての金属棒832が配置される平面上に磁力の作用線が書けるように磁石Mg2を配設するように構成する場合、合体状態からの装飾部材870,880の径方向変位の前に反転動作が生じたとしても、複数(5個)の装飾部材870,880間で生じる磁力は同一平面上で生じるので、切替回転動作時に第3動作ユニット800に生じるぐらつきを抑制することができる。
上記第1実施形態では、切替回転動作は、装飾部材870,880が180度反転動作する態様で構成したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、120度の反転動作で再び合体するように構成しても良い。この場合、切替回転動作の前後において、装飾部材870,880の正面視で視認される側を同じとしながら、覆設部875,885の視認される角度を異ならせる(例えば、動作前は右向き60度、動作後は左向き60度)とする動作演出を実行することができる。
また、複数の中間腕部材850の構造について、例えば、長さを非共通に構成したり、傘歯部854cの形成範囲や形状を非共通に構成したりすることで、切替回転動作において、180度の反転動作で合体状態を再構成する装飾部材870,880と、120度の反転動作で合体状態を再構成する装飾部材870,880とを、共存させるように構成しても良い。例えば、5個の装飾部材870,880の内、一個の装飾部材870,880は切替回転動作で120度反転するように構成し、その他(四個)の装飾部材870,880は切替回転動作で180度反転するように構成しても良い。
なお、切替回転動作における反転動作の角度は任意に設定可能である。上述した180度や120度でも良いし、0度でも、360でも、0度から360度の任意の角度でも設定可能である。
上記第1実施形態では、トルクリミッタ866が、左右一対で、外側回転部材840の回転軸よりも上側で、左右非対称位置に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右対称位置に配置するようにしても良しい、外側回転部材840の左側、右側または下側に一対のトルクリミッタ866の双方を配置するようにしても良いし、外側回転部材840の回転軸を挟んで対向する側(正反対の側)に配置されるようにしても良い。
上記第1実施形態では、複数(第1実施形態では、5個)の中間腕部材850が共通の形状で構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、金属棒832に沿ってスライド変位する直動部材833が配設される被支持孔854aや案内孔854bの形状を異ならせて、金属棒832に沿ったスライド変位の開始タイミングを直動部材833同士で差を生じさせるようにしても良い。
例えば、被支持孔854aを長孔または径の大きな孔として形成するよう設計変更し、対応して案内孔854bの形状を設計変更した中間腕部材850を混在させることで、切替回転動作における直動部材833の変位開始タイミングに差を設けることができる。
これにより、直動部材833に連結される回転部材834に締結固定される装飾部材870,880の合体状態からの径方向外側への変位タイミングに、装飾部材870,880同士で差を持たせることができるので、磁石Mg2と金属ネジNj2との吸着部分をせん断方向(径方向)で離すことができる。
この場合、吸着を剥すための負荷を低減することができるので、駆動モータ862に要求される駆動力を低減することができると共に、第3動作ユニット800の配置の安定を図ることができる。
なお、磁石Mg2と金属ネジNj2との吸着部分にせん断方向(径方向)の変位を生じさせる変位態様は、毎回生じるようにする必要は無い。例えば、せん断方向の変位を生じさせる変位態様が、合体状態から切替回転動作を実行する場合(往路)に生じる一方で、切替回転動作により合体状態に至る場合(復路)では生じないように構成しても良い。
例えば、中間腕部材850の設計を、合体状態(回動先端が内側回転部材830の回転軸側に配置されている状態)から、装飾部材870,880が最外径位置に配置される状態へ中間腕部材850が回動する変位態様と、装飾部材870,880が最外径位置に配置される状態から、合体状態へ中間腕部i850が回動する変位態様と、で態様を異ならせるように構成することで、磁石Mg2と金属ネジNj2との吸着部分にせん断方向(径方向)の変位を生じさせる変位態様を選択的に生じさせることができる。
上記第1実施形態では、各動作ユニット600,700,800ごとに、検出センサKS1,713,778d,813の個数を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、1個の検出センサKS1ではなく、複数の検出センサKS1が延設部634bを検出可能な位置に配置されるように構成しても良いし、3個の検出センサ713ではなく、2個以下または4個以上の検出センサ713を採用しても良い。なお、検出センサKS1の配置としては、第1動作ユニット600の中間演出状態または張出状態における延設部634bを検出可能な位置が例示される。
また、例えば、2個の検出センサ778dの内の片方のみを採用しても良いし、1個の検出センサ813ではなく、複数の検出センサ813が被検出部844を検出可能な位置に配置されるように構成しても良い。検出センサ813の配置としては、例えば、5個の検出センサ813を円周上等間隔で配置することにより、第3動作ユニット800の個別合体状態における第1装飾部材870の配置を5種類(回転方向で異なる5態様)で判定することができる。
上記第2実施形態では、スライド部材2420の配置によらず球の転動が継続される場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、前側配置FPにおけるスライド部材2420の上側面と、上部材310の上面部314の下側面との間隔が、球の直径と同等の長さとなるように構成しても良い。この場合、スライド部材2420が前側配置FPとなった場合には、球が、スライド部材2420の上側面と上面部314の下側面とに挟まれる状態を構成できるので、球の減速作用を強化し、球の滞留が生じ易くすることができる。
上記第2実施形態では、第1流路構成部2334の内側に突条を形成するという記載はしなかったが、第1流路構成部2334に球を減速させるための突条を突設するように構成しても良い。この場合において、突条の配設高さを、前側位置FPにおけるスライド部材2420に乗る球か、又は、スライド部材2420が後側配置BPの際に底面2334cに乗る球か、の一方と当接し、他方とは当接しない高さとして設定しても良い。この場合、突条による減速作用を、スライド部材2420が前側配置FPの状態か、後側配置BPの状態か、の何れかで生じさせることができる。
上記第3実施形態では、スライド変位部材3370は、薄板部371と上前突設部3376b及び上横突設部3376cとが一体形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、薄板部371が前側位置、後側位置に配置されるタイミングに合わせて、別部材としての上前突設部3376b及び上横突設部3376cが上下方向に出没し、球を当接する状態と、当接しない状態とを構成するようにしても良い。
なお、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の前後配置は何ら限定されるものではないが、本実施形態のように、後側を確変検出センサSE11とする方が、確変検出センサSE11への誤入賞を回避し易くすることができる。
上記第4実施形態では、スライド板4372及び上当接部4373や、スライド板4376及び上当接部4377が一体形成されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、これらが別部材として構成されると共に、タイミングを合わせて同期動作(連動)するように構成しても良い。なお、前後方向にスライド変位するよう構成しても良い。
上記第4実施形態では、スライド板4372の上側面4372aを球が後方に通過したタイミングでスライド部材4371,4375がスライド変位すると、上側面4376aの傾斜によって球が前側に戻される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、前開放状態におけるスライド板4372の後方に、追加の入球検出センサが配設されるように構成しても良い。
この場合、後開放状態から前開放状態に状態変化する際にスライド板4372に乗っていた球だけが追加の入球検出センサに案内されるよう構成することができる。追加の入球検出センサに球が入球することにより遊技者が得られる利益(例えば、確変検出センサSE11への入球により得られる権利よりも大きいものとして、複数回の大当たりの獲得や、上位の確変状態への移行の権利の獲得等)が大きいほど、第3流路構成部336を通過した球への注目力を向上することができる。
上記第6実施形態では、合流流路6341の下流側端部の上げ床部6342からの流路が左右方向に沿う流路として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上げ床部6342付近で、接続箇所JP1側が後方に向く湾曲流路として構成しても良い。これにより、上げ床部6342から接続箇所JP1に進入する球と、第2流路構成部335から接続箇所JP1に進入する球と、の双方共に後方への速度成分を有するようにでき、これらが衝突することによって、逆流が生じることを防止することができる。
なお、接続箇所JP1は、振分装置6300の左右中心位置に配置されるように構成しても良い。また、流路構成部334〜336の構造が前後逆の傾斜となるように構成し、確変検出センサSE11,通常検出センサSE12を被固定部材161付近に配設するように構成しても良い。この場合、球が接続箇所JP1で集まってから手前側に流下する状況を生じ易くすることができ、振分装置6300の内部を流下する球に対する注目力を向上することができる。
上記第9実施形態では、案内長孔9616が分岐を有する長孔として構成され、軸線O1への負荷の与え方によって、軸線O1が案内長孔9616のどこを通るかを切り替えるように構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、案内長孔9616の形状を切り替えるよう構成しても良い。即ち、案内長孔9616において、常に長孔として構成されるのは直線状部616aのみとされ、曲線状部616bと、角度維持部9616c及び連結部9616dと、は、長孔として構成される場合と、その長孔が塞がれる場合とが、交互に切り替わるように構成しても良い。この場合、軸線O1が誤った経路で変位することを防止することができるので、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が意図しない態様で変位することを防止することができる。
例えば、分岐を有する案内長孔9616において、いずれかの経路を塞ぐことで軸線O1の変位経路を制限する切替弁を備えるように構成しても良い。この場合、案内長孔9616の形状は固定としながら、切替弁により軸線O1の変位経路を制限することができるので、軸線O1が誤った経路で変位することを防止することができるので、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が意図しない態様で変位することを防止することができる。
<第1制御例>
以下、本発明の制御例について、添付図面を参照して説明する。まず、図118から図87を参照し、第1制御例として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一制御例について説明する。図118は、第1制御例におけるパチンコ機10の正面図であり、図119はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図120はパチンコ機10の遊技盤13の正面視下領域に設けられた可変入賞装置65の構造を模式的に示した模式図であり、図121はパチンコ機10の後面図である。
図118に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図118参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や球が入球可能な入球口63,64,640等を有する遊技盤13(図119参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域(遊技領域)に発射する球発射ユニット112a(図137参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。尚、遊技盤13に設けられた多数の入球口の内容については、図119を参照して後述する。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図118参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図118参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図21参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図119参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図118参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図119参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。つまり、本制御例では、球を遊技盤13に形成された遊技領域へと発射させるための発射手段と、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に基づいて発射強度を可変させる発射強度可変手段と、を有している。これにより、遊技者は、操作ハンドル51を操作するだけで、発射手段を用いた球の発射行為と、球の発射強度を可変させる発射強度可変行為と、を実行することができる。よって、遊技盤13に形成される遊技領域のうち、特定の遊技領域に向けて球を発射させる操作を片手で実行することができ、遊技者に過度な負担を強いること無く、遊技を実行させることができる。
本制御例では、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に基づいて発射強度を可変させるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、遊技者が発射強度を選択可能な発射強度選択ボタンを設け、その発射強度選択ボタンの操作結果(選択結果)に対応する発射強度で発射手段が球を発射するように構成しても良い。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図119に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入球口63、第1入球口64、第2入球口640、可変入賞装置65、普通図柄始動口(スルーゲート)67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図118参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入球口63、第1入球口64、第2入球口640、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図118参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図119を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図118参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図137参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図119の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図119の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
返しゴム69の左上側には第1図柄表示装置37が設けられている。この第1図柄表示装置37は、透明の樹脂(例えば、ABS)にて形成されている遊技盤13の裏面(遊技領域を形成する面とは反対側の面)に覆われるように配設されており、発射された球が第1図柄表示装置37に衝突しないように構成している。
この第1図柄表示装置37には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、主制御装置110(図20参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本制御例では、球が、第1入球口64、或いは第2入球口640へ入球(入賞)した場合に第1図柄表示装置37が作動し得るように構成されている。つまり、第1図柄表示装置37は、第1入球口64に球が入球した場合に実行される第1特別図柄抽選(特図1抽選)、及び、第2入球口640に球が入球した場合に実行される第2特別図柄抽選(特図2抽選)の抽選結果を示すための表示手段である。なお、本制御例では、特別図柄の種別を2種類(第1特別図柄、第2特別図柄)有するパチンコ機10を用いているため、第1図柄表示装置37にて2種類の特別図柄抽選(特図抽選)の結果が表示されるが、例えば、特別図柄の種別を1種類(第1特別図柄)のみ有するパチンコ機10であれば、第1図柄表示装置37に1種類の特別図柄に応じた表示領域を設ければ良い。
また、第1図柄表示装置37は、LEDにより、現在のパチンコ機10の遊技状態(例えば、通常状態、時短状態、確変状態)が何れであるかを点灯状態により示したり、特別図柄(第1図柄)が変動中(抽選結果を示すための図柄の組み合わせを停止表示させるための動的表示中)であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が遊技者に有利な大当たりに対応した図柄か不利な大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。また、特別図柄の変動を一時的に停止(中断)させている状態であることも点灯状態にて示すことが可能に構成している。複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。なお、本制御例では、発光手段(7セグメント表示装置)の発光色の組み合わせにより各種遊技状態を報知するように構成しているが、遊技者が各種遊技状態を識別可能な構成であれば良く、例えば、発光手段が点灯している期間と消灯している期間との長さ(点滅態様)を可変させることにより各種遊技状態を報知するように構成しても良い。
尚、本パチンコ機10では、第1入球口64、或いは第2入球口640への入球(入賞)があったことを契機として抽選(特別図柄の抽選)が行われる。そして、その特別図柄の抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行う。ここで、大当たりに当選したと判定されたことに基づいて、遊技者に有利な特典遊技状態となる大当たり遊技が実行される。
大当たり遊技が実行されると、可変入賞装置65の特定入賞口65aに球を容易に入賞させることが可能な開放状態となり、特定入賞口65aに球を入賞させることで多くの賞球を短期間で獲得可能な遊技が実行される。この大当たり遊技は、特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)された後に(場合に)実行されるものであり、所定時間(例えば1秒)のオープニング期間(可変入賞装置65の特定入賞口65aに球を入球させ難い閉鎖状態が設定される期間)と、開放状態が設定されるラウンド遊技期間と、1のラウンド遊技期間が終了した後に、次のラウンド遊技が開始されるまでの所定期間(例えば、0.5秒)、閉鎖状態が設定されるインターバル期間と、最後のラウンド遊技期間が終了した後に、所定期間(例えば、2秒)の閉鎖状態が設定されるエンディング期間と、からなる大当たり遊技期間が設定される。
このように、大当たり当選を示す特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)された後に、オープニング期間が設定することにより、大当たり遊技中において特定入賞口65aが開放状態となるタイミングに合わせて球を任意の方向に向けて発射させる準備を行うことができるため、大当たり遊技を円滑に行わせることができる。また、このオープニング期間を、今回の大当たり遊技の遊技内容を遊技者に報知する期間として用いることができるため、分かり易い遊技を提供することができる。
また、大当たり遊技の最終期間としてエンディング期間を設定することにより、最後のラウンド遊技が終了した直後から、新たな特別図柄の抽選が実行されることを抑制することができるため、大当たり遊技の終了後に実行される遊技に向けて、球を任意の方向に向けて発射させる準備を行うことができるため、遊技の切り替えを円滑に行わせることができる。
詳細な説明は後述するが、本制御例では、複数種類の大当たり遊技を実行可能に構成しており、当選した大当たりの種別に応じて、大当たり遊技中に実行されるラウンド遊技の数(ラウンド数)と、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態と、が異なるように構成している。このように構成することで、遊技者に対して、特別図柄の抽選による大当たり当選の有無だけでは無く、当選した大当たり種別や、当選時における遊技状態にも興味を持たせることができる。
なお、特別図柄の抽選で大当たり当選した場合に実行される大当たり遊技の各期間(オープニング期間、ラウンド期間、エンディング期間)の長さについても、大当たり当選した時点に設定されている遊技状態や、当選した大当たりの種別に応じて異なる長さを設定しても良く、例えば、大当たり遊技終了後に実行される遊技内容として、大当たり当選時の遊技内容とは異なる遊技内容が設定される大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技のエンディング期間(例えば、10秒)が、他の大当たり遊技のエンディング期間(例えば、2秒)よりも長くなるように設定しておき、そのエンディング期間中に遊技者に対して大当たり遊技終了後に実行される遊技内容を事前に案内する演出を実行可能に構成すると良い。これにより、遊技者に対して分かり易い遊技を提供することができる。
一方、大当たり当選時の遊技内容と、大当たり遊技終了後に実行される遊技内容とが同一となる大当たりに当選した場合には、その大当たりのエンディング期間(例えば、1秒)を、他の大当たり遊技のエンディング期間(例えば、2秒)よりも短くなるように設定するように構成すると良い。これにより、遊技者に対して効率良く遊技を行わせることができる。
また、大当たり当選時の遊技内容と、大当たり遊技終了後に実行される遊技内容とを実際に判別する構成を用いること無く、例えば、当選した大当たりの種別と、大当たり当選した時点における遊技状態とに基づいて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を予め規定しておき、その規定内容に応じて、各大当たり遊技のエンディング期間を予め設定しておけば良い。
具体的な説明は後述するが、本制御例におけるパチンコ機10では、特別図柄の抽選で大当たり当選する確率が異なる2つの状態(特別図柄の高確率状態、特別図柄の低確率状態)と、後述する普通図柄の抽選で当たり当選する確率が異なる2つの状態(普通図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)と、を組み合わせ、3種類の遊技状態を設定可能に構成している。具体的には、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)と、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)と、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)を設定可能に構成している。特別図柄の抽選も、普通図柄の抽選も、高確率状態である場合のほうが、低確率状態である場合よりも当たり当選し易くなるように構成しているため、本制御例におけるパチンコ機10にて設定可能な複数の遊技状態のうち、確変状態が、それ以外の遊技状態よりも特別図柄抽選で大当たりに当選し易い遊技状態となり、確変状態と時短状態が、それ以外の遊技状態よりも普通図柄抽選で当たりに当選し易い遊技状態となる。
また、普通図柄抽選で当たり当選した場合には、特別図柄抽選が実行され易くなる当たり遊技(普図当たり遊技)が実行されるように構成している。具体的には、第2入球口640に付設されている電動役物640が開放し、第2入球口640に球を入球させ易い状態が提供される普図当たり遊技が実行されるように構成している。よって、確変状態と時短状態、即ち、普通図柄の高確率状態が設定されている場合は、それ以外の遊技状態よりも、特別図柄抽選を実行し易い遊技状態となる。さらに、普通図柄の高確率状態が設定されている場合には、特別図柄抽選が実行されてから、その抽選結果が停止表示されるまでの期間(動的表示期間)として、普通図柄の低確率状態が設定されている場合よりも、短い期間が設定され易くなるように構成している。よって、変状態と時短状態、即ち、普通図柄の高確率状態が設定されている場合は、それ以外の遊技状態よりも、特別図柄抽選を短期間で実行させることができるため、新たな特別図柄抽選を実行し易い遊技状態となる。
詳細な説明は後述するが、本制御例では、大当たり遊技中に開放動作される可変入賞装置65内に、特定領域を設けており、大当たり遊技中に球が特定領域を通過した場合に限り、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態を設定可能に構成している。そして、当選した大当たり種別に応じて、大当たり遊技中に球が特定領域を通過し易い大当たり遊技(有利大当たり遊技)と、大当たり遊技中に球が特定領域を通過し難い大当たり遊技(不利大当たり遊技)と、を実行可能に構成している。以後、有利大当たり遊技、即ち、大当たり遊技中に球が特定領域を通過し易い大当たり遊技のことを確変大当たり遊技と称し、確変大当たり遊技が実行される大当たりのことを確変大当たりと称す。また、不利大当たり遊技、即ち、大当たり遊技中に球が特定領域を通過し難い大当たり遊技のことを通常大当たり遊技と称し、通常大当たり遊技が実行される大当たりのことを通常大当たりと称す。
なお、本制御例では、特別図柄の抽選で大当たりに当選しなかった場合は外れと判定され、遊技者に特典が付与されないように構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり抽選の抽選結果として上述した大当たりでは無い外れと判定された場合の一部において、上述した大当たりよりも遊技者に付与される特典が少ない(例えば、1ラウンドのみ可変入賞装置65を開放させる特典)小当たり遊技が実行されるように構成しても良い。第1図柄表示装置37には、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否か(小当たりであるか否か)が示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
図119に戻り説明を続ける。遊技盤13の表面に形成される遊技領域の左下方側には、球が入球することにより10個の球が賞球として払い出される複数の左一般入球口63aが配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口64、或いは第2入球口640への入球(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37にて実行される特別図柄の変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、普通図柄始動口(スルーゲート)67への球の通過をトリガとして普通図柄(第2図柄)を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は、15インチサイズの液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列(Z1〜Z3)が表示される(図230(a)参照)。第3図柄表示装置81の表示画面に表示される第3図柄(第1特別図柄(特図1)または第2特別図柄(特図2)の変動表示に対応して変動する装飾図柄)は、「1」から「9」の数字を模した識別情報が付された10種類の主図柄によりそれぞれ構成されている。これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示(動的表示)されるようになっている。本制御例の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図20参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
図122(b)に示した通り、本制御例のパチンコ機10では、主図柄szが数字を模した識別情報毎に異なる種類のキャラクタ(魚等)を用いて形成されている。このように、各識別情報に対応させたキャラクタを用いることで、遊技者に対して特別図柄の抽選結果を視覚的に報知することができるため分かり易い遊技を行わせることができる。また、本制御例のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う(例えば「777」)変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たり遊技が発生するよう構成されている。つまり、第3図柄は、主制御装置110による特別図柄の抽選結果を示すための図柄として第3図柄表示装置81に表示されるものである。
主表示領域Dmは、上・中・下のそれぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3は、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって左右方向へスクロールして変動表示が行われる。
具体的には、上図柄列Z1は右から左に向かって数字が昇順となるように図柄列が形成され、右から左へとスクロールして変動表示されるように構成されており、中図柄列Z2と下図柄列Z3は左から右に向かって数字が昇順となるように図柄列が形成され、右から左へとスクロールして変動表示されるように構成されている。さらに、各図柄列には、主図柄szの間に特別図柄の抽選結果を示さない副図柄(ブランク図柄)fzも形成されている。図122(b)では三角を模した図柄を用いてブランク図柄(副図柄)fzを表示している。
そして、図122(a)に示した通り、主表示領域Dmは、上下方向に形成される3つの有効ラインL1〜L3、及び、斜め方向に形成される2つの有効ラインL4,L5を有しており、各図柄列Z1〜Z3が停止表示された状態で、第3図柄(主図柄sz)が有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本制御例では、同一の主図柄の組合せ)で揃って停止されれば、大当たりとして大当たり動画が表示される。
図122(a)に示した通り、本制御例では、各有効ライン(L1〜L5)が、各図柄列Z1〜Z3の図柄表示位置を含むように形成されているため、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmに表示される各図柄列Z1〜Z3の全てが停止表示されるまで、対応する特別図柄の抽選結果を分かり難くすることができる。よって、最後の図柄列(本制御例では、中図柄列V2)が停止表示されるまでの間、主表示領域Dmにて実行される第3図柄の変動表示に興味を持たせることができる。
なお、本制御例では、上述した3つの図柄列(Z1〜Z3)のうち、特定の図柄列(図柄列Z2)、即ち、複数の図柄列のうち変動表示が最後に停止表示される図柄列に対して、他の図柄列よりも主図柄の数が多くなるように構成している。具体的には、特定の数字(例えば、「4」の数字)が付された主図柄の数を、他の図柄列よりも多くしている。これにより、特定の数字を模した識別情報がリーチ状態となった場合には、他の識別情報でリーチ状態となった場合よりも、有効ライン上を通過する大当たり図柄(特定の数字を模した識別情報)の数を増やすことができるため、遊技者に対して大当たり当選の期待度が高いのではと視覚的に予測させることができる。
なお、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示の態様は、上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、第3図柄表示装置81にて変動表示される図柄は上記に限られることはなく、例えば図形やキャラクタ等の画像と数字とを組み合わせた図柄を第3図柄として構成してもよい。さらに、第3図柄が変動表示される領域を可変させる構成にしてもよく、例えば、第3図柄表示装置81の表示画面上で特定の演出が実行される場合は、第3図柄の変動表示領域を小さくしたり、変動表示領域を遊技者が視認し難い位置(例えば、表示画面の隅部)へと移動させたりすることで、第3図柄が変動しているか否かを遊技者が分かり難くするようにしてもよい。また、特別図柄が変動している期間中に、第3図柄の変動を一旦停止(仮停止)させ、再度変動させるように構成してもよい。
さらに、本制御例では、第1特別図柄の変動に対応した第3図柄の表示態様と、第2特別図柄の変動に対応した第3図柄の表示態様とが同一(遊技者が識別困難な程度の相違も含む)となるように構成しているが、変動している特別図柄の種別に対応するように第3図柄の表示態様や表示領域を異ならせても良い。
次に、第3図柄表示装置81に実際に表示される内容について図122(b)を参照して説明をする。図122(b)に示した通り、主表示領域Dmにおける正面視左上には小表示領域Dm1が形成され、正面視右上には小表示領域Dm2が形成されている。この小表示領域Dm1は、特別図柄の抽選状況(抽選中(変動中)であるか否か、及び、抽選結果)を示すための識別情報(第4図柄)が表示される領域であって、第1特別図柄(特図1)の抽選状況を示すための第4図柄(特図1第4図柄)、或いは、第2特別図柄(特図2)の抽選状況を示すための第4図柄(特図2第4図柄)が小表示領域Dm1に表示されるように構成している。
また、小表示領域Dm2は、普通図柄の抽選状況(抽選中(変動中)であるか否か、及び、抽選結果)を示すための識別情報が表示される領域であって、普通図柄(普図)の抽選状況を示すための第4図柄(普図第4図柄)が小表示領域Dm1に表示されるように構成している。
このように小表示領域Dm1,Dm2を設けることにより、特別図柄の抽選状況や普通図柄の抽選状況を遊技者に報知することができる。なお、詳細は後述するが、本制御例のパチンコ機10では、第4図柄を、丸印とバツ印といった図形を模した表示態様で示しており、小表示領域Dm1,Dm2にて第4図柄を変動表示させることで(図122(b)の小表示領域Dm1参照)、特別図柄が変動している状況を示し、小表示領域Dm1,Dm2にて第4図柄を停止表示させることで(図122(b)の小表示領域Dm2参照)、特別図柄の抽選結果を示すように構成しているが、これに限ること無く、例えば、第4図柄として数字を用いた表示態様や、複数の色を示す表示態様を用いて、数字や、色を可変させる表示態様によって特別図柄が変動していることを示し、特定の図柄や色を示す表示態様を停止表示させることで、特別図柄の抽選結果を示すように構成しても良い。
さらに、本制御例では、第4図柄を用いて、特別図柄の抽選状況(抽選中(変動中)であるか否か、及び、抽選結果)を示すように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄が抽選中(変動中)であるか否かのみを報知するように構成しても良い。また、図122(b)に示した通り、本制御例では、特別図柄の抽選状況を示すための第4図柄が表示される第4図柄表示領域(小表示領域Dm1)を主表示領域Dmの左上側に、普通図柄の抽選状況を示すための普図第4図柄が表示される普図第4図柄表示領域(小表示領域Dm2)を主表示領域Dmの右上側に形成する例を示しているが、この第4図柄表示領域が形成される位置や、大きさを、主表示領域Dmの中央部分で実行される変動演出の演出態様に応じて可変させるように構成しても良い。
このように構成することで、第4図柄表示領域や普図第4図柄表示領域によって、変動演出が実行される領域が制限されてしまい、演出効果が低下してしまうことを抑制することができる。なお、この場合、第4図柄表示領域や普図第4図柄表示領域を第3図柄表示装置81の主表示領域Dmから削除し、可変表示装置ユニット80に設けられた発光手段(LED等)を用いて第4図柄の変動表示を実行するように構成しても良い。
図122(a)に示すように、主表示領域Dmの下方には、副表示領域Dsが形成される。この副表示領域Dsには、獲得済みの特別図柄抽選の権利(保留記憶)の数に対応させた保留図柄が表示されるように構成している。上述した通り、本制御例のパチンコ機10は、第1図柄表示装置37において変動表示が行われている場合や、当たり遊技が実行されている場合、即ち、新たな特別図柄抽選を実行することができない状態で、球が第1入球口64、或いは第2入球口640へ入球すると、その入球回数が各入球口に対して最大4回まで保留される。副表示領域Dsに対して表示される保留図柄は、保留された入球回数と同一の個数が表示される。本実施形態では、第1入球口64への球の入球に対して記憶される保留球数の最大値が4個、第2入球口640への球の入球に対して記憶される保留球数の最大値が4個に設定されているので、副表表示領域Dsには、保留図柄が最大8個表示される。
具体的には、図122(b)に示した通り、副表示領域Dsは、実行中領域Ds1aと、待機中領域Ds1bに区画形成される。待機中領域Ds1bは、特別図柄の保留球数に対応させた数の保留図柄を表示するための領域であって、保留記憶可能な上限数(8個)に対応した8つの台座hr1〜hr8が左から順に表示されている。そして、特別図柄の保留球を獲得した場合には、8つの台座hr1〜hr8のうち、保留図柄が表示されていない最も若い番号の台座に対して保留図柄が表示される。
図122(b)に示した例では、第1特別図柄の保留球を4つ保留記憶している状態であって、待機中領域Ds1bには、第1特別図柄の保留球(特図1保留球)に対応した表示態様(白色の丸印)の保留図柄が4つ(hz1〜hz4)、第1台座hr1〜第4台座hr4に表示されている。
実行中領域Ds1aは、現在実行中の特別図柄変動に対応して表示されていた保留図柄がシフトして表示される表示領域であって、実行中台座hr0に、実行中保留図柄hz0が表示される。つまり、新たな特別図柄変動が開始される場合には、待機中領域Ds1bの台座hr1に表示されていた保留図柄hz1が、実行中領域Ds1aの台座hr0へとシフトして表示される。このように構成することにより、例えば、待機中領域Ds1bに表示されている保留図柄に対して大当たり当選の期待度を示す予告演出(例えば、保留図柄の表示態様を可変させる演出)を実行した場合に、その予告演出が実行された保留図柄に対応した特別図柄変動が実行されていることを遊技者に容易に判別させることができる。
また、実行中の特別図柄変動に対応する保留図柄を表示可能とすることで、保留図柄の表示態様を可変させる演出を、実行中の特別図柄変動に対応する保留図柄に対しても実行することができるため、実行中の特別図柄変動に対応する保留図柄が表示されない場合よりも長い間、保留図柄の標示態様が可変されることを期待させながら遊技を行わせることができる。
本制御例では、副表示領域Dsの待機中領域Ds1bに表示される保留図柄の表示態様によって、表示されている保留図柄が第1特別図柄の保留球を示す保留図柄(特図1保留図柄)であるか、第2特別図柄の保留球を示す保留図柄(特図2保留図柄)であるかを遊技者が識別可能に構成しており、特図1保留図柄は白色の丸印(図122(b)参照)で、特図2保留図柄は黒色の丸印(図124(a)参照)で表示される。これにより、遊技者に対して現在の保留球数を特別図柄の種別毎に把握させることができるため、保留図柄の表示内容に基づいて第1入球口64へと球を入球させるための遊技を続行するか否かの判断を行わせ易くすることができる。
なお、図122(b)に示した通り、本制御例では、各特別図柄に対応する保留球数の個数に対応する数の保留図柄を表示し、若い番号の台座(最も若い番号の台座は台座hr1)に表示されている保留図柄に対応する保留球を用いて特別図柄抽選を実行するように構成している。つまり、特別図柄抽選に用いられる順に保留図柄を表示するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、保留球を獲得した順に保留図柄を表示し、各保留図柄に対して特別図柄抽選に用いられる順番を示すための消化順情報を付すように構成しても良い。このように構成することで、どのタイミングで獲得した保留球がどの保留図柄に対応しているかを遊技者に分かり易く報知することができる。
また、本制御例では、図122(b)に示した通り、最大で8個の保留図柄を横並びで表示可能に構成しているが、これに限ること無く、特図1保留図柄の表示領域と、特図2保留図柄の表示領域と、を区分けして表示するように構成しても良い。この場合、例えば、特図2保留を獲得し難い遊技状態(通常状態)が設定されている場合は、特図1保留図柄の表示領域を特図2保留図柄の表示領域よりも目立たせて表示し、特図2保留を獲得し易い遊技状態(確変状態、時短状態)が設定されている場合は、特図2保留図柄の表示領域を特図1保留図柄の表示領域よりも目立たせて表示するように構成しても良い。
なお、本第10制御例では、図2を参照して説明をした通り、パチンコ機10の遊技盤13が左右対象に構成されており、右打ち遊技を行った場合と、左打ち遊技を行った場合とで、同様の遊技結果が付与されるように構成しているため、表示されることが無いが、例えば、設定されている遊技状態に応じて、左打ち遊技よりも右打ち遊技のほうが有利な遊技方法となる場合と、右打ち遊技よりも左打ち遊技のほうが有利な遊技方法となる場合とを設定可能にしたパチンコ機10であれば、第3図柄表示装置81の表示画面に、遊技者に対して球を発射させる方向(遊技方向)を案内するための案内表示態様が表示されるように構成しても良い。このように構成することで、遊技者は案内表示領域に表示されている案内表示態様を視認するだけで、遊技盤のどの領域に向けて球を発射すれば良いのかを容易に把握することができるため、遊技者に分かり易い遊技機を提供することができる。
より詳細に説明をすると、案内表示領域として、遊技者に対して右打ち遊技を行わせることを案内するための「右打ち」の表示態様と、遊技者に対して左打ち遊技を行わせることを案内するための「左打ち」の表示態様と、が表示されるように構成すると良く、「右打ち」の表示態様は、右打ち遊技が遊技者にとって有利となる遊技状態、例えば、確変状態、時短状態中及び、大当たり遊技中に表示され、「左打ち」の表示態様は、右打ち遊技が終了してから所定期間(例えば、10秒間)表示されるように構成すれば良い。また、左打ち遊技が遊技者にとって有利となる遊技状態、即ち、通常状態中に、右打ち遊技が実行されていることを検知した場合にも、所定期間(例えば、10秒間)「左打ち」の表示態様が表示されるように構成すると良い。また、上述した各制御例において説明をした第3図柄表示装置81の表示面に表示される各種表示態様を適宜表示可能に構成しても良い。
<第1制御例の演出内容について>
次に、図123〜図131を参照して、本第1制御例のパチンコ機10の第3図柄表示装置81の表示面にて実行される各種演出内容のうち、特徴的な演出内容について説明をする。まず、図123(a)を参照して、通常状態中におけるリーチ成立時の表示画面について説明をする。図123(a)は、通常時(通常状態)にてリーチ状態となった場合に表示される表示画面の一例を示した模式図である。本制御例では、変動表示される第3図柄が、上図柄列Z1、下図柄列Z2の順で停止表示され、有効ラインL1〜L5(図122(a)参照)の何れかにて、大当たり当選を示す第3図柄の組合せの一部として上図柄列Z1、下図柄列Z2が停止表示された場合にリーチ状態となり、大当たり当選を示す第3図柄の組合せの一部として上図柄列Z1、下図柄列Z2が停止表示された有効ラインをリーチ有効ラインとして、中図柄列Z2が変動表示されるように構成している。そして、リーチ状態となってからは、中図柄列Z2が各識別情報(第3図柄)を遊技者が視認可能な低速度(主図柄(数字を模した第3図柄)が1つ移行するのに要する時間が約0.5秒の速度)で変動表示されるように構成している。
上述した通り、本制御例では、中図柄列が主図柄を10個(「1」〜「3」,「5」〜「9」の数字が付された主図柄が各1個、「4」の数字が付された主図柄が2個)有しているため、中図柄列Z2が低速度で変動表示されている場合には、1周するまでに要する時間が5秒(0.5×10)となる。そして、低速度で変動表示されている中図柄列Z2が、そのまま停止表示される。或いは、特定の移行条件が成立したことに基づいて異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するように構成している。
さらに、本制御例では、図123(a)に示した通り、どの第3図柄(図123(a)では、「9」を模した識別情報(カニを模した第3図柄))でリーチ状態となった場合であっても、リーチ中に変動表示される中図柄列Z2(図122(a)参照)が数字の「1」を模した識別情報(タコを模した第3図柄)が最初に視認可能となるように低速変動表示が実行されるように構成している。
加えて、本制御例では、リーチ状態となってからの中図柄列Z2の変動態様に応じて、変動演出の演出態様が可変するように構成しており、例えば、リーチ状態となってから中図柄列Z2が1周したタイミング(低速変動表示が実行されてから5秒経過後)や、2周したタイミング(低速変動表示が実行されてから10秒経過後)に異なる演出態様(リーチ態様)へと可変し得るように構成している。よって、本制御例のように、リーチ状態となってから最初に視認可能となる中図柄列Z2の識別情報を統一させることにより、遊技者に対して、どのタイミングで異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するのかを分かり易くすることができる。
なお、本制御例では、異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するタイミングをリーチ状態となってから中図柄列Z2が1周したタイミングや、2周したタイミングとしているがこれに限ること無く、例えば、リーチ状態となってから大当たりを示す組合せとなる識別情報(リーチ停止されている識別情報と同一の識別情報)がリーチ有効ラインを通過するタイミングや、大当たりを示す組合せとなる識別情報から一つずれた識別情報がリーチ有効ラインを通過するタイミングにて異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するように構成してもよい。このように、リーチ停止されている識別情報の種別に対応した特定の識別情報がリーチ有効ラインを通過することに基づいて異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するように構成することで、遊技者に対して、大当たりとなる組合せで中図柄列Z2が停止表示されるタイミングと、異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するタイミングとに関係性を持たせることができる。具体的には、リーチ状態となってから大当たりを示す組合せとなる識別情報(リーチ停止されている識別情報と同一の識別情報)がリーチ有効ラインを通過するタイミングで異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するように構成した場合には、遊技者に対して、大当たりとなる組合せで中図柄列Z2が停止表示されるタイミングと、異なる演出態様(リーチ態様)へと可変するタイミングとを重複させることができるため、大当たりを示す組合せとなる識別情報(リーチ停止されている識別情報と同一の識別情報)がリーチ有効ラインに接近する際に遊技者に大きな期待感を持たせながら変動演出を注視させることができる。
ここで、本制御例では、上述した通り、どの第3図柄でリーチ状態となった場合であっても、特定の識別状態(数字の「1」を模した第3図柄)が最初に視認可能となるように中図柄列Z2が低速変動表示されるように構成しているため、例えば、最終的に停止表示させる第3図柄の組合せを大当たりとなる第3図柄の組合せに対して1種類ずらした組合せ(リーチ1コマ外れ)とする場合(最終停止表示態様を予め決定する場合)には、リーチ状態となってから全ての第3図柄が停止表示されるまで(最終停止表示態様が停止表示されるまで)の期間が、リーチ状態となる第3図柄の種別によって異なってしまうという新たな問題が発生する。
具体的には、数字の「1」を模した第3図柄でリーチ状態となった場合には、中図柄列Z2は数字の「1」を模した第3図柄を特定の図柄として低速変動表示するため、最終停止表示態様としてリーチ1コマ外れで中図柄列Z2を停止表示させるには、リーチ状態となってから5.5秒(1周目)、10.5秒(2周目)を要し、数字の「6」を模した第3図柄でリーチ状態となった場合には、中図柄列Z2は数字の「1」を模した第3図柄を特定の図柄として低速変動表示するため、最終停止表示態様としてリーチ1コマ外れで中図柄列Z2を停止表示させるには、リーチ状態となってから8秒(1周目)、13秒(2周目)を要することになる。
よって、同一の変動時間が設定される変動パターンにて、異なる種別の第3図柄でリーチ状態を成立させるためには、第3図柄の停止表示タイミングからリーチ状態となるタイミングを逆算して設定する処理を実行する必要があった。つまり、変動開始タイミングからリーチ状態となるまでの期間がリーチ状態となる第3図柄の種別に応じて可変する統一性の無いリーチ演出が実行されてしまい演出効果が低下してしまうという問題があった。
これに対して、本制御例では、特別図柄の抽選の実行に伴って、特別図柄の抽選結果を示すための第1図柄の変動時間を主制御装置110において抽選により決定し、その決定した変動時間を、変動パターンコマンドにより音声ランプ制御装置113に対して通知する構成としている。そして、音声ランプ制御装置113は、変動パターンコマンドにより通知された変動時間に適合する演出期間の変動表示演出を選択して、第1図柄の変動表示に同期させて、第3図柄の変動表示演出を実行する構成としている。そして、主制御装置110から出力される変動パターンコマンドは、基本の変動時間を示す基本時間コマンドと、加算される変動時間を示す加算時間コマンドとで構成されており、加算時間コマンドに含まれる変動時間の長さに基づいてリーチ状態となる第3図柄の種別を可変させるように構成している。より具体的には、30秒の変動時間の変動パターンが決定された場合には、基本時間コマンドとして30秒に対応するコマンドが通知されると共に、加算時間として0秒に対応するコマンドが通知される。一方で、37秒の変動時間の変動パターンが決定された場合には、基本時間コマンドとして30秒に対応するコマンドが通知されると共に、加算時間として7秒に対応するコマンドが通知される。つまり、加算時間コマンドの通知内容により、基本時間よりも7秒長い変動種別であることを音声ランプ制御装置113側で識別可能に構成されている。これにより、加算時間コマンドの内容を確認するだけで、リーチ状態とする第3図柄の種別を設定することができる。
次に、図123(b)〜図126を参照して、通常状態が設定されている場合に実行される第2特別図柄変動(抽選)に関する演出内容について説明をする。まず、図123(b)を参照して、通常状態において、当たり当選している普通図柄変動の実行中における第3図柄表示装置81の表示内容について説明をする。図123(b)は、通常状態において、当たり当選している普通図柄変動の実行中に表示される表示内容の一例を模式的に示した模式図である。図123(b)に示した通り、普通図柄変動が実行されると、小表示領域Dm2に、普通図柄変動が実行されていることを示す変動表示態様(図では矢印で表示)が表示される。そして、主表示領域Dmの右下側に小表示領域Dm3が形成され、その中に普図当たり遊技にて開放動作される電動役物640を模したアイコンが表示されると共に、小表示領域Dm3が形成されたことを遊技者に報知するための強調表示(図では、6本の線で表示)が実行される。なお、図123(b)で示した状況は、当たり当選している普通図柄変動の実行中であるため、小表示領域Dm3に表示されるアイコンは、閉鎖状態の電動役物640を模した表示態様となっている。このように構成することで、遊技者に対して、間もなく普図当たり遊技が実行されるのでは?と予測させることができ遊技の興趣を向上させることができる。
なお、図123(b)では、当たり当選している普通図柄変動の実行中を一例に挙げて説明をしたが、抽選結果が外れである普通図柄変動の実行中の一部(例えば、外れ変動の1/100の確率)で小表示領域Dm3を形成し、電動役物640を模したアイコンを表示する演出(ガセ演出)を実行するように構成している。この場合、実行中の普通図柄変動(外れ変動)が停止表示するまでに、小表示領域Dm3が消滅する演出態様が設定される。このように構成することで、普通図柄抽選で当たり当選していない場合にも小表示領域Dm3が形成される演出表示が実行されることになるため、遊技者に対して普図当たり遊技が実行されることを期待させながら遊技を行わせることができる。また、図123(b)では、小表示領域Dm3にて電動役物640を模したアイコンを表示させることで普図当たり遊技の開始を示唆する演出について例示したが、これに限ること無く、例えば、副表示領域Dsや主表示領域Dmの一部にて普図当たり遊技の開始を示唆するコメントを表示するように構成しても良い。
また、主表示領域Dmにて実行中の第3図柄変動表示の表示態様を用いて普図当たり遊技の開始を示唆するように構成しても良い。この場合、普通図柄変動を実行させながら特別図柄変動も実行させている場合にのみ、普図当たり遊技が実行されることを示唆する演出が実行されることになるため、例えば、特別図柄抽選の実行契機となる第1入球口64よりも球を入球させ易いスルーゲート67に球を通過させ、普通図柄抽選のみを実行している遊技者に対しては普通図柄抽選の結果を予め示唆することが無くなる。よって、特別図柄変動も普通図柄変動も共に実行させる正常な遊技を行っている遊技者に対して特典(普通図柄抽選の結果を事前に示唆する演出の実行)を付与することができる。同様に、本制御例で用いられる小表示領域Dm3を用いた演出を、特別図柄変動が実行されていること、或いは、球を発射する遊技が継続して実行されていることを実行条件として設定しても良い。
加えて、実行されている遊技内容に応じて、普図当たり遊技の開始を示唆する示唆演出の期待度を異ならせるように構成しても良く、例えば、正常に遊技を行っている場合には、普図当たり遊技の開始を示唆する示唆演出が実行された場合に、ほぼ100%の割合で普図当たり遊技が実行され、特別図柄抽選を実行させることなく普通図柄抽選のみを実行させる遊技(止め打ち遊技)を行っている場合、即ち、正常な遊技を行っていない場合には、普図当たり遊技の開始を示唆する示唆演出が実行されたとしても約10%の割合でしか普図当たり遊技が実行されないように構成しても良い。このように構成することで、止め打ち遊技を実行している遊技者に対して、実行される示唆演出に基づいて普図当たり遊技の開始タイミングを把握され難くすることができ、ペナルティを科すことができる。
詳細は後述するが、本制御例では、普通図柄の抽選権利も最大で4個保留可能に構成しており、新たな抽選権利(普図保留)を獲得した場合に、獲得した抽選権利を用いた普通図柄抽選の結果を事前判別可能に構成している。そして、その事前判別結果を示すコマンド(情報)を、音声ランプ制御装置113へと出力可能に構成している。よって、普図当たり遊技の実行を示唆する示唆演出を当たり当選している普通図柄変動が実行されるよりも前段階、即ち、事前判別結果が当たり当選である普図保留を獲得している段階から普図当たり遊技が間もなく実行されることを示唆する示唆演出を実行することができる。この場合、図123(b)に示した示唆演出よりも、遊技者に分かり難い演出態様で示唆演出を実行するように構成すると良く、例えば、実行中の特別図柄変動に対応する特別図柄抽選の結果、或いは、獲得している特図保留に対する事前判別結果、を示唆する演出と同一の演出態様で示唆演出を実行するように構成し、実行された示唆演出によって、遊技者に有利な状況が間もなく訪れることのみを遊技者に報知するように構成しても良い。
このように、実際に普図当たり遊技が実行されるタイミングと、示唆演出の実行タイミングとが乖離するほど遊技者に普図当たり遊技が実行されることを示すための示唆演出の演出態様を分かり難く、ひいては、示唆演出の対象が普図当たり遊技であることを分かり難くすることにより、示唆演出が実行された場合における遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図124(a)を参照して、通常状態中に普図当たり遊技(ロング開放当たり遊技)が実行された場合の演出内容について説明をする。図124(a)は、通常時(通常状態中)において普図当たり遊技(ロング開放当たり遊技)が実行された場合に表示される演出内容の一例を模式的に示した模式図である。本制御例では、普通図柄の低確率状態が設定されている通常状態中では、普通図柄抽選で当たり当選する確率が1/100に設計されており、普通図柄の低確率状態で実行される普通図柄変動の変動時間が10秒に設計されている。そして、図119を参照して上述した通り、右打ち遊技を実行した場合、左打ち遊技を実行した場合の何れにおいても発射した球の約1/2がスルーゲート67を通過するように構成している。また、普通図柄の抽選権利(普図保留)を最大で4個記憶可能に構成している。
つまり、通常状態にて遊技を継続している間は、継続して普通図柄抽選が実行され、約1000秒に1回の割合で普図当たりに当選するように構成している。さらに、通常状態で普図当たり当選した場合には、電動役物640が5秒間開放される普図当たり遊技(ロング開放当たり)が実行されるように構成している。また、図119に示した通り、電動役物640は第1入球口64の下方に設けられているため、第1入球口64を狙う遊技を継続するだけで発射された球が第2入球口640へと入球し得るように構成している。よって、低確率で発生する普通図柄の低確率状態中における普図当たり遊技にて遊技者が球を第2入球口640へと入球させることが出来ない事態が発生することを抑制している。
通常状態にて普通図柄抽選で当たり当選した場合には、図124(a)に示した通り、小表示領域Dm2にて、普通図柄抽選の結果が当たりであることを示す組合せ(図では2つの丸印)で、識別情報(図柄)が停止表示され、普図当たり遊技が実行される。そして、主表示領域Dmの上側にて「電チューを狙ってね」のコメントが表示され、小表示領域Dm3には開状態の電チュー(電動役物640)を模したアイコンが表示される。なお、普通図柄抽選と、特別図柄抽選とは並行して(重複して)実行可能に構成しているため、特別図柄変動に対応して実行される第3図柄の変動表示、及び、小表示領域Dm1にて実行される第4図柄の変動表示は普図当たり遊技中も継続して実行される。
また、副表示領域Dsの待機中領域Ds1bには、第2入球口640に球が入球したことに基づいて獲得した第2特別図柄の保留記憶(特図2保留球)の数を示す特図2保留図柄(図では、黒丸で表示)が、獲得している第1特別図柄の保留記憶(特図1保留球)の数を示す特図1保留図柄(図では、白丸で表示)よりも優先して(待機中領域Ds1bの左側に)表示される。つまり、図124(a)に示した状態では、普図当たり遊技中に第2入球口640に球を4個以上入球させた後の状態であって、特図2保留を上限数である4個獲得した後の状態を示したものである。
本制御例では、第1特別図柄の抽選よりも、第2特別図柄の抽選を優先して実行するように構成しているため、後に獲得した特図2保留球のほうが先に獲得している特図1保留球よりも優先して特別図柄抽選が実行される。このように構成することで、通常状態中に普図当たり遊技が実行され、複数の特図2保留球を獲得した場合に、第2特別図柄抽選を優先的に連続して実行することが可能となるため、第2特別図柄の抽選が実行される1つの期間を遊技者に有利な有利期間(チャンスゾーン)として専用の演出を実行することができ、遊技者に分かり易い演出を提供することができる。
なお、本制御例では、待機中領域Ds1bに、獲得した特図1保留球と特図2保留球とを横並びに表示(最大で8個表示)するように構成しているが、例えば、特図1保留球のみを表示する特図1保留球表示領域と、特図2保留球のみを表示する特図2保留球表示領域と、を用いる場合であれば、優先して特別図柄抽選が実行される第2特別図柄の保留球を獲得していない場合は、特図1保留球表示領域を特図2保留球表示領域よりも目立たせるように表示し、第2特別図柄の保留球を獲得した場合に、特図1保留球表示領域よりも特図2保留球表示領域を目立たせるように切替表示すると良い。このように構成することで、遊技者に対して次に第1特別図柄の抽選が実行されるのか、第2特別図柄の抽選が実行されるのかを分かり易く報知することができる。
図124(a)に示した表示画面は、通常状態中における普図当たり遊技の終了タイミング、或いは、通常状態中における第2特別図柄変動の開始タイミングのうち何れかのタイミングとなるまで継続表示されるように構成している。つまり、普図当たり遊技中であっても、第2特別図柄変動が開始された場合には図124(b)を参照して後述するチャンスゾーン演出が実行される。一方、普図当たり遊技の終了タイミングを迎えても第2特別図柄変動が開始されない場合、例えば、長時間の変動時間(例えば60秒)が選択された第1特別図柄変動が実行されている間に普図当たり遊技(5秒)が実行された場合には、主表示領域Dmの上側に『チャンスゾーン待機中』の文字を表示し、現在実行中の第1特別図柄変動が終了すると、第2特別図柄変動が開始されることを遊技者に報知する待機画面が表示される。
なお、本制御例では、図124(a)に示した通り、第1特別図柄変動中に普図当たり遊技が実行された場合、実行中の第1特別図柄変動に対応して主表示領域Dmにて実行される第3図柄変動演出(図では、3本の矢印で表示)を継続表示しながら、主表示領域Dmの一部領域(図では右下に形成される小表示領域Dm3)にて普図当たり遊技中であることを報知しているが、この場合、実行中の第1特別図柄変動の抽選結果に基づいて普図当たり遊技が実行されたことを表示するために用いる表示領域の大きさを可変させるように構成すると良く、例えば、実行中の第1特別図柄変動が大当たり当選している場合は、小表示領域Dm3を図124(a)に示した例よりも小さく形成したり、小表示領域Dm3を形成しないように構成したりすると良い。このように構成することで、小表示領域Dm3が形成されることにより、大当たり当選を示す第3図柄変動演出の視認性が低下してしまうことを抑制することができる。また、小表示領域Dm3が形成されること無く普図当たり遊技が開始された場合に、実行中の特別図柄変動(第1特別図柄変動)が大当たり変動であることを遊技者に報知することができるため、小表示領域Dm3にて普図当たり遊技が実行されたことが報知されていない状態であっても、遊技者に対して電動役物640の作動状況を注視させることができる。このような構成を用いる場合には、実行中の特別図柄変動が大当たり変動で無い(外れ変動である)場合の一部においても、大当たり変動と同一の演出態様が実行されるように構成すると良い。
一方、実行中の特別図柄変動(第1特別図柄変動)が外れ変動である場合や、特別図柄変動が実行されていない場合は、小表示領域Dm3を図124(a)に示した例よりも大きく形成したり、主表示領域Dmの全面を用いて普図当たり遊技が実行されたことを表示するように構成しても良い。
つまり、第3図柄表示装置81の表示領域という限られた領域内において、複数の情報(抽選結果や当たり遊技状況)を、重複して表示する必要がある場合に、遊技者に有利となる情報が優先して表示されるように構成していれば良く、その技術思想に基づいて様々な表示態様で表示すれば良い。この場合、遊技者によって有利となる情報が異なる場合があり、例えば、特別図柄抽選で大当たり当選したことを示す情報を有利な情報とする遊技者もいれば、特別図柄抽選の結果よりも、出現率の低い演出を有利な情報とする遊技者もいる。そこで、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段に対する操作に基づいて第3図柄表示装置81の表示面に表示される各種情報の有利度合いを遊技者が任意に選択可能な有利度合い選択手段と、を設け、有利度合い選択手段により選択された有利度合いに基づいて第3図柄表示装置81の表示面に表示される各種情報に対応した表示態様を設定するように構成すると良い。これにより、遊技者に不快感を与え難い表示態様で各種情報を表示させることができる。
次いで、通常状態中に第2特別図柄抽選(変動)が実行されるチャンスゾーン中の演出内容について、図124(b)から図126を参照して説明する。図124(b)は、チャンスゾーンが設定された場合に実行される演出内容の一例を模式的に示した模式図である。図124(b)に示した通り、通常状態中に第2特別図柄抽選(変動)が実行されると、主表示領域Dmの上側に「チャンスゾーン突入」のコメントが表示される。このチャンスゾーンは通常状態中に獲得した全ての特図2保留を消化するまでの期間に設定される有利期間であって、基本的に最初の第2特別図柄抽選(変動)が開始されてから最後の第2特別図柄抽選(変動)が終了するまでの期間、第3図柄表示装置81の表示面に表示されるように構成している。これにより、遊技者に対して現在が有利期間であることを分かり易く報知することができる。
また、副表示領域Dsには、チャンスゾーン中に大当たり当選した場合には、高確率で確変状態を獲得できることを示すための案内表示態様として「確変GET高確率中」の文字が表示される。詳細な説明は後述するが、本制御例におけるパチンコ機10では、第1特別図柄抽選と第2特別図柄抽選とで大当たり当選する確率は同一だが、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合よりも、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合のほうが、大当たり遊技終了後に確変状態が設定され易くなるように構成している。よって、第1特別図柄抽選が主として実行される通常状態中において、第2特別図柄抽選が実行されるチャンスゾーンの期間は、通常状態におけるチャンスゾーン以外の期間よりも確変状態となる大当たり当選を獲得し易い期間となるため、図124(b)に示したように、高確率で確変状態を獲得できることを示すための案内表示態様として「確変GET高確率中」の文字が表示される。
なお、詳細な説明は後述するが、このチャンスゾーン中には、1回の特別図柄変動(第2特別図柄変動)中に、複数回の特別図柄変動が実行されたように見せる擬似変動演出を実行するように構成している。よって、副表示領域Dsにて表示されていた特別図柄の保留記憶数を示す表示態様(図124(a)参照)が非表示となり、主表示領域Dmの右上側に形成された小表示領域Ds11にて特図1保留数(図では特図1保留数が2個であることを示す「2」)が、小表示領域Ds12にて特図2保留数(図では、特図2保留数が3個であることを示す「3」)が表示される。
図124(b)に示した通り、小表示領域Ds11、及びDs12に表示される表示態様は、副表示領域Dsの待機中領域Ds1b(図124(a)参照)に表示される表示態様よりも遊技者が視認し難くなりように構成しているため、チャンスゾーン中は遊技者に特図保留数を把握させ難くすることができる。よって、チャンスゾーン中に疑似変動演出が実行された際に、実際に複数回の特別図柄抽選(変動)が実行されたのではと思わせることができ演出効果を高めることができる。なお、本制御例では、主表示領域Dmの一部領域(小表示領域Ds11、及びDs12)を用いて、特図保留数を表示するように構成しているが、これに限ること無く、チャンスゾーン中は特図保留数を遊技者に報知しないように構成しても良いし、第3図柄表示装置81の表示面以外の領域(例えば、可変表示ユニット80に設けられたLED)にて特図保留数を報知するように構成しても良い。さらに、遊技者に特図保留数を識別させ難く構成すれば良く、例えば、遊技者が容易に特図保留数を識別可能な数字を用いた表示態様から、各特図保留数に対応させて色を可変させる表示態様へと切替えても良い。このように構成した場合には、特図保留数を示すための表示態様を遊技者が容易に把握できたとしても、現在の特図保留数が容易に識別されてしまうことを抑制することができるため、本制御例と同様の効果を奏することができる。
また、図124(b)に示した通り、主表示領域Dmの右下側には、現在が第2特別図柄の変動中であることを示すウサギを模したキャラクタ1801が表示される。上述した通り、特別図柄抽選(変動)と、普通図柄抽選(変動)とは並行して(重複)して実行されるため、普図当たり遊技が実行されている期間が、第1特別図柄の変動期間中と重複する場合(図124(a)参照)と、重複しない場合とがある。第1特別図柄の変動期間中と重複して普図当たり遊技が実行された場合には、実行中の第1特別図柄変動が終了した後に第2特別図柄抽選が実行され、第1特別図柄の変動期間中と重複していない場合には、普図当たり遊技中に球が第2入球口640へと入球した直後(普図当たり遊技中)に第2特別図柄抽選が実行される。つまり、普図当たり遊技が実行された際の第1特別図柄の変動状況に応じて、第2特別図柄抽選の実行タイミングが異なることになり、現在実行されている特別図柄変動が第1特別図柄変動であるか第2特別図柄変動であるかを遊技者が正確に判別し難くなるという問題は発生する。
これに対して本制御例では、第2特別図柄変動が実行されると、主表示領域Dmにてキャラクタ1801が表示されるように構成しているため、現在実行されている特別図柄変動が第1特別図柄変動であるか第2特別図柄変動であるかを遊技者に分かり易く報知することができる。
次に、図125(a)、及び、図126を参照して、チャンスゾーン中に実行される変動演出のうち、疑似変動演出(特殊変動演出)の演出内容について説明をする。図125(a)は、特殊変動演出中において第3図柄が仮停止した際の表示画面の一例を模式的に示した模式図であって、図125(b)は、特図2保留球を獲得している状態で実行される特殊変動演出において第3図柄が再始動した際の表示画面の一例を模式的に示した模式図であって、図126は、特図2保留球を獲得していない状態で実行される特殊変動演出において第3図柄が再始動した際の表示画面の一例を模式的に示した模式図である。
ここで、特殊変動演出(疑似変動演出)の演出内容について説明をする。この特殊変動演出は、1回の第2特別図柄変動の変動期間中に第3図柄を停止表示(仮停止表示)させ、その後再始動させる変動演出であり、遊技者に対して複数回の特別図柄変動が実行されたと思わせる擬似的な変動演出である。まず、特殊変動演出の前半期間(約10秒)を用いて、リーチ演出を実行し、前半期間の終了タイミングにて、図125(a)に示した通り、外れを示す組合せ(図では「353」で表示)で第3図柄を仮停止表示(図では、第3図柄に波線を付して表示)させる。このタイミング、即ち、特殊変動演出の前半期間の終了タイミングでは、副表示領域Dsに特別図柄抽選の結果が外れであることを示唆する「残念」の文字が表示され、遊技者に対して、チャンスゾーン中に実行された1の第2特別図柄抽選が外れであったと思わせるように構成している。つまり、特殊変動演出の前半期間では、大当たり当選に期待を持たせたリーチ演出が外れを示す演出結果で停止表示(仮停止表示)される特殊前半演出が実行される。
その後、特殊変動演出の後半期間(約30秒)にて、仮停止していた第3図柄を再始動させる変動演出(特殊後半演出)が実行される。この特殊後半演出は、獲得済みの特図2保留数に応じてその演出態様を異ならせるように構成しており、例えば、特図2保留球を確保している状態では、図125(b)に示した通り、チャンスゾーン中の第2特別図柄変動に対応させた演出態様で特殊後半演出が実行され、特図2保留球を確保していない状態では、図126に示した通り、チャンスゾーンが終了した後に実行される第1特別図柄変動に対応させた演出態様で特殊後半演出が実行される。つまり、本制御例では、特殊変動演出として、実行中の第2特別図柄変動が終了した後に実行される特別図柄変動の種別を特図保留数に基づいて判別し、その判別結果に対応した演出態様で特殊後半演出の演出態様を設定している。よって、遊技者に対して、1回の第2特別図柄変動中に複数回の特別図柄変動が実行されたとより強く思わせることができる。
さらに、本制御例では、チャンスゾーン中の第2特別図柄変動に対応させた演出態様で特殊後半演出が実行される場合(図125(b)参照)には、獲得済みの特図2保留数に対応させて後半期間中に第3図柄を仮停止させる回数を異ならせるように構成している。なお、詳細な説明は省略するが特殊変動演出が実行される際に、特図2保留球、及び特図1保留球の何れも確保していない場合は、図125(a)に示した第3図柄の仮停止表示を実行することなく、第2特別図柄変動の変動期間の全てを用いて1回の変動演出(第3図柄を一度も仮停止表示させることの無い変動演出)を実行するように構成している。これにより、特図保留数を確保している状態にのみ上述した特殊変動演出が実行されることになるため、1回の第2特別図柄変動中に複数回の特別図柄変動が実行されたとより強く思わせることができる。
加えて、第2特別図柄抽選の結果が大当たりである場合にのみ、後半期間中に実行される第3図柄の仮停止回数を、獲得済みの特図2保留数と異ならせた演出態様が設定されるように構成している。よって、例えば、第3図柄が5回以上仮停止した場合には実行中の第2特別図柄変動が大当たり当選しているのではと遊技者に期待を持たせることができる。なお、上述した通り、本制御例では、第3図柄が仮停止表示された場合と、停止表示された場合とを遊技者が識別困難に構成しているため、仮停止回数を正確に判別し難い。よって、仮停止表示回数と停止表示回数とを混在させて5回以上仮停止表示したと思わせたり、仮停止表示の一部を停止表示と思い込み、実際には5回以上仮停止表示されたにも関わらず、仮停止表示回数が5回に到達していない状態と思わせたりすることができ、遊技者に演出結果を予測する楽しみを提供することができる。
なお、特殊変動演出の演出態様としてこれ以外の構成を用いても良く、例えば、1回の第2特別図柄変動中に仮停止表示された第3図柄の回数を遊技者に容易に把握させるための仮停止表示回数を示す表示態様を第3図柄表示装置81の表示面に表示するように構成しても良いし、1回の第2特別図柄変動中に仮停止表示された第3図柄の回数に応じて特殊変動演出の演出態様の少なくとも一部(例えば、背景の色や、第3図柄のエフェクト等)が段階的に可変するように構成しても良い。また、仮停止している第3図柄を再表示させるタイミングにて一時的に仮停止表示された回数を示す表示態様(例えば、1回目、2回目)を表示するように構成しても良い。
図126に示した通り、特図2保留球を確保していない状態で特殊変動演出が実行された場合には、チャンスゾーンが終了したことを示す表示態様として「チャンスゾーン終了」の文字が副表示領域Dsに表示され、主表示領域Dmにて実行される第3図柄の変動表示が第1特別図柄変動に対応する変動表示(水平方向へと第3図柄が変動する変動表示)となる演出態様が特殊後半演出として実行されるため、遊技者に対してチャンスゾーンが終了したと思わせた後に、特殊変動演出の演出結果、即ち、第2特別図柄の抽選結果が停止表示されることになる。よって、遊技者に対して意外性のある演出を提供することができる。
詳細な説明は後述するが、本制御例では、通常状態中における第2特別図柄変動のうち、一部において上述した特殊変動演出が実行され、それ以外は、1回の第2特別図柄変動に対して1回の変動演出が実行されるように構成している。よって、普図当たり遊技において複数個(最大で4個)の特図2保留球を獲得した場合に特殊変動演出が無用に長く実行されてしまうことを抑制することができる。
次に、図127を参照して、本制御例における大当たりエンディング期間中実行される演出内容について説明をする。図127(a)は、通常大当たり遊技のエンディング期間のうち、前半期間に表示される表示態様の一例を模式的に示した模式図であって、図127(b)は、確変大当たり遊技のエンディング期間のうち、前半期間に表示される表示態様の一例を模式的に示した模式図であって、図127(c)は、通常大当たり遊技のエンディング期間のうち、後半期間に表示される表示態様の一例を模式的に示した模式図であって、図127(d)は、確変大当たり遊技のエンディング期間のうち、後半期間に表示される表示態様の一例を模式的に示した模式図である。
本制御例では、通常状態中に大当たり当選した場合に実行される大当たり遊技が、遊技者にとって有利な遊技状態である確変状態が設定され易い大当たり遊技(確変大当たり遊技)である場合は、遊技者にとって有利な遊技状態である確変状態が設定され難い大当たり遊技(通常大当たり遊技)である場合よりも、大当たりエンディング期間が長く設定されるように構成している。具体的には、確変大当たり遊技では大当たりエンディング期間として17秒が、通常大当たり遊技では大当たりエンディング期間として15秒が設定されるように構成している。このように構成することで、大当たり遊技を介して遊技内容が大きく変わる(通常状態から確変状態へと移行する)ことをエンディング期間中(確変状態が設定されるよりも前)に、遊技者に分かり易く報知することができる。また、大当たり遊技終了後に実行すべき遊技の内容を長いエンディング期間を用いて遊技者に告知することができる。
また、本制御例では、上述した通り、確変大当たり遊技が実行された場合であっても、可変入賞装置65に入賞した球を特定領域(Vゲート)65v(図120参照)へと流下させないと確変状態が設定されないように構成している。よって、確変大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)65vへと流下させることができなかった場合には、確変大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることなく、通常大当たり遊技と同様に時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定される。
この場合、確変大当たり遊技のエンディング期間において確変状態が設定されることを示す報知演出が実行されてしまうと、報知演出の演出内容と実際に設定される遊技状態とが相違してしまい遊技者に不満感を与えてしまうという問題があった。さらに、確変大当たり遊技のエンディング期間(17秒)において実行される報知演出の演出態様を、通常大当たり遊技のエンディング期間(15秒)において実行される報知演出の演出態様へと切り替えた場合には、実際のエンディング期間の長さと報知演出の演出期間の長さが異なってしまい、遊技者に違和感のある報知演出を実行することになるという問題があった。
そこで、本制御例では、大当たりエンディング期間を前半期間と後半期間とに区分けし、さらに、後半期間の長さを大当たり遊技の種別に関わらず統一の期間(7秒間)とするように構成している。そして、後半期間に実行される報知演出の演出態様を大当たり遊技終了後に設定される遊技状態に応じて決定するように構成している。
具体的には、図127に示した通り、通常大当たり遊技が実行される場合には、大当たりエンディング期間中に実行される報知演出として、前半期間(8秒)に対して、時短状態が設定されることを示唆する「チャンスモード100回」の文字が表示され(図127(a)参照)、その後、後半期間(7秒)に対して、時短状態中に大当たり当選すると(第2特別図柄抽選で大当たり当選すると)、確変状態が設定され易いことを示すための遊技案内態様として「チャンスモード中に当たりとスーパーチャンスGET」の文字が表示される報知演出(図127(c)参照)を実行するように構成している。
一方、確変大当たり遊技が実行される場合には、大当たりエンディング期間中に実行される報知演出として、前半期間(10秒)に対して、確変状態が設定されることを示唆する「スーパーチャンスモード100回」の文字が表示され(図127(b)参照)、その後、後半期間(7秒)に対して、遊技内容とは直接関係の無い注意喚起態様として「カードの取り忘れにご注意下さい」の文字が表示される報知演出(図127(d)参照)を実行するように構成している。
本制御例では、上述した大当たりエンディング期間中に実行される報知演出の演出態様が、大当たり遊技が実行されるタイミングにて予め設定されるように構成されている。これにより、様々な制御処理が実行される大当たり遊技中において、報知演出の演出態様を決定するための処理を毎回実行する必要が無くなるため、大当たり遊技中に実行される制御処理の処理負荷を軽減させることができる。
ここで、確変大当たり遊技が実行されたにも関わらず、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vへと球を流下させることができなかった場合について説明をする。この場合、図127(b)に示した表示態様のうち、「スーパー」の文字を非表示にさせる処理と、大当たりエンディング期間の後半期間(7秒)にて実行される報知演出を、通常当たり遊技のエンディング期間の後半期間(7秒)にて実行される報知演出(図127(c)参照)へと切り替える処理とが実行される。
より具体的には、図127(a)に示した表示態様として「スーパー」の文字が表示される表示レイヤ(表示画層)と、「チャンスモード100回」の文字が表示される表示レイヤ(表示画層)とを異ならせており、大当たり遊技中に特定ゲートへと球を流下させることができたか否かの判別結果に基づいて「スーパー」の文字が表示される表示レイヤ(表示画層)に対する表示指示の有無を切り替え可能に構成している。これにより、簡易的な制御処理によって、大当たり遊技中に特定ゲートへと球を流下させることができたか否かの判別結果に対応した報知演出を実行することが可能となる。さらに、大当たりエンディング期間の後半期間という同一の長さで設定される期間において、演出態様を切り替えるように構成しているため遊技者に違和感を与えること無く報知演出の演出態様を切り替えることができる。
なお、本制御例では、大当たり種別によって大当たりエンディング期間の長さを異ならせているが、これに限ること無く、全ての大当たり種別に対して大当たりエンディング期間の長さを統一しても良い。また、本制御例では、全ての大当たり種別に対して同一の長さとなる期間として大当たりエンディング期間の後半期間を設定しているが、これに限ること無く、大当たりエンディング期間の前半期間が全ての大当たり種別に対して同一の長さとなるように構成しても良い。さらに、大当たり種別が3以上ある場合には、その全ての大当たり種別に対して同一の期間を設定する必要は無く、例えば、大当たり種別Aと大当たり種別Bとでは大当たりの前半期間が同一の長さとなり、大当たり種別Bと大当たり種別Cとでは大当たりの後半期間が同一の長さとなるように構成しても良い。
また、本制御例では、当選した大当たり種別に応じて異なる長さのエンディング期間を設定するように構成しているが、これに限ること無く、大当たり遊技中の遊技結果に応じてエンディング期間の長さを異ならせるように構成しても良い。
次に、図128〜図130を参照して、チャンスモード中に実行される演出内容について説明をする。本制御例のパチンコ機10は、大当たり遊技終了後に普通図柄の高確率状態が100回設定されるように構成している。さらに、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合には、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が50回設定されるように構成している。さらに、詳細な説明は後述するが、大当たり遊技中の球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことを報知するV報知演出を実行する場合と、V報知演出を実行しない場合とを設定可能に構成している。
そして、大当たり遊技中にV報知演出が実行された場合は、大当たり遊技終了後に確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されたことを遊技者に報知するための演出モード(スペシャルチャンスモード)が設定され、大当たり遊技中にV報知演出が実行されなかった場合、即ち、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過しなかった場合、或いは、球が特定領域(Vゲート)65vを通過したにも関わらずV報知演出が実行されなかった場合には、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されているか否かを遊技者が把握困難な演出モード(チャンスモード)が設定されるように構成している。
演出モードとしてチャンスモードが設定された場合には、主表示領域Dmの上側に「チャンスモード中」の文字が表示されると共に、副表示領域Dsの小表示領域Ds2に普通図柄の高確率状態が終了するまでの期間を示すための残期間報知態様が表示される(図128(a)参照)。図128(a)に示した例は、チャンスモードが設定されてから20回目の特別図柄変動が実行されている状態を示したものであり、残期間報知態様として、特別図柄変動があと80回実行された場合にチャンスモードが終了することを示す「80回」の文字が表示されている。
このように、演出モードとしてチャンスモードが設定された場合には、第3図柄表示装置81の表示面に表示される各種表示態様から、現在の遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを遊技者に把握させ難くすることができるため、現在の遊技状態が遊技者に有利な遊技状態(確変状態)であることを期待させながら遊技を行わせることができる。
また、大当たり遊技中にV報知演出が実行されなかった場合に限り、大当たり遊技終了後に確変状態が設定される場合であっても演出モードとしてチャンスモードを設定可能に構成しているため、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したこと、即ち、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを報知したにも関わらず、大当たり遊技終了後にチャンスモードが設定されてしまい、遊技者が戸惑ってしまう事態が発生することを抑制することができる。加えて、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したこと報知するV報知演出が実行された場合には、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されていることを示すための演出モードとしてスーパーチャンスモードが設定されるため、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
なお、本制御例では、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vを球が通過したにも関わらずV報知演出が実行されなかった場合には、大当たり遊技終了後の演出モードとしてチャンスモードが設定されるように構成しているが、これに限ること無く、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vを球が通過したにも関わらずV報知演出が実行されなかった場合の一部において、スーパーチャンスモードが設定されるように構成しても良い。この場合、例えば、大当たり遊技のエンディング時(今回の大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vへと球を通過させることが不可能(困難)となった後)に、今回の大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vを球が通過したかの判別と、V報知演出が実行されたかの判別を実行し、特定領域(Vゲート)65vを球が通過したとの判別結果と、V報知演出が実行されていないとの判別結果と、を得た場合の一部(所定の抽選で特定の抽選結果となった場合)において、大当たり遊技のエンディング期間中に、確変状態が設定されることを示す表示態様(図127(b)、及び図127(d))を表示するように構成し、大当たり遊技終了後の演出モードとしてスーパーチャンスモードを設定するように構成すると良い。
このように構成することで、大当たり遊技中にV報知演出が実行されなかった場合であっても、スーパーチャンスモードが設定される可能性を残すことができるため、大当たり遊技が終了するまで遊技者に期待感を持たせて遊技を行わせることができる。
以上、説明をした通り、本制御例では、大当たり遊技終了後に設定される演出モードとしてチャンスモードが設定された場合には、遊技状態として時短状態が設定されている場合と、確変状態が設定されている場合とが発生することになる。そして、何れの遊技状態が設定されている場合であっても、普通図柄の高確率状態が継続する期間の残期間が表示される。つまり、大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態として、通常状態よりも遊技者に有利となる有利遊技状態として、第1有利遊技状態(確変状態)と、第2有利遊技状態(時短状態)と、を設定可能に構成し、第1有利遊技状態は、所定の第1期間(大当たり遊技の終了後、特別図柄変動が50回実行されるまでの期間)継続し、第2有利遊技状態は、上述した第1期間よりも長い第2期間(大当たり遊技の終了後、特別図柄変動が100回実行されるまでの期間)継続するように構成し、大当たり遊技終了後に第1有利遊技状態が設定された後、第1期間が経過した場合には、第2期間を経過するまで第2有利遊技状態が設定されるように構成し、第2期間が経過した場合に通常状態が設定されるように構成した遊技機において、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されるか否かに関わらず、有利遊技状態が終了するまでの期間(第2期間)の残期間を示すための残期間報知を実行可能に構成している。
このように構成することで、遊技者に対して、通常状態よりも遊技者に有利となる有利遊技状態が継続する期間を分かり易く報知することができる。さらに、本制御例では、第2期間の残期間(チャンスモードの残期間)が設定されている状態において、現在の遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを遊技者に示唆するための遊技状態示唆演出を、残期間報知の報知態様(表示態様)を用いて実行可能に構成している。
ここで、図128(b)を参照して、チャンスモード中に実行される遊技状態示唆演出の演出内容について説明をする。図128(b)は、チャンスモード中に実行される遊技状態示唆演出の表示内容の一例を模式的に示した模式図である。図128(b)に示した通り、確変状態が設定されている状態でチャンスモードが設定された場合に所定の報知条件が成立すると、小表示領域Ds2に表示される残期間報知の表示態様が可変される遊技状態示唆演出(図128(b)では、白抜きの表示態様で表示)が実行される。そして、副表示領域Dsの小表示領域Ds1には、「大当たり期待度UP」のコメントが表示される。このように構成することで、遊技者に有利な有利遊技状態が終了するまでの期間を遊技者に報知しながら、有利遊技状態のうち、どの遊技状態が設定されているのかを遊技者に予測させる楽しみを提供することができる。なお、詳細な説明は省略するが、本制御例では、図128(b)に示した表示態様と同一の表示態様を、実行中の特別図柄変動が大当たり変動である場合、或いは、獲得済みの特図2保留球に大当たり当選する情報が含まれている場合であって、チャンスモードのうち、確変状態が設定され得る期間内(大当たり遊技終了後、特別図柄変動が50回実行されるまでの期間内)において表示可能に構成している。
このように構成することで、遊技者に有利な有利遊技状態が継続する期間示すチャンスモード中において、遊技者に対してより有利な様々な情報(確変状態が設定されていることを示す情報、大当たり当選に関する情報)を同一の表示態様を用いて表示することができるため、遊技者に分かり易い演出を提供することができる。また、実際には時短状態が設定されている場合であっても、大当たり当選に基づいて確変状態が設定されている場合に表示され易い表示態様を表示することができるため、設計値よりも高い割合で確変状態が設定されていると遊技者に思わせることができ、遊技者の遊技意欲を高めることができるという効果がある。
なお、上述した本制御例の技術思想とは別の技術思想を用いてチャンスモード中の演出を実行するように構成しても良く、例えば、確変状態中にチャンスモードが設定されている状態で、大当たり当選、或いは、獲得済みの特図2保留球に大当たり当選する情報が含まれている場合に、現在設定されている遊技状態が時短状態であることを示唆するための示唆演出(例えば、残期間報知の表示態様を、図128(a),(b)とは異なる表示態様(漢数字表示にする表示態様)で表示する演出)を実行するように構成しても良い。これにより、有利遊技状態において、確変状態よりも遊技者に不利となる時短状態中に大当たり当選したと遊技者に思わせることができ、遊技者の遊技意欲を高めることができる。また、遊技履歴として確変状態が設定された割合を実際よりも低く見せることができるため、次の大当たり遊技で確変状態が設定されることをより期待させながら遊技を行わせることができる。
以上、図128(a),(b)を参照して説明をした通り、本第1制御例では、チャンスモードが継続する期間(残期間)を示すための残期間報知態様の表示態様を可変させることにより、現在設定されている遊技状態を遊技者に示唆可能に構成することで、チャンスモードの残期間を注意深く見ている遊技者に対して、現在設定されている遊技状態を示唆する遊技状態示唆演出を把握させ易くすることができるように構成しているが、遊技状態示唆演出を、残期間報知態様以外を用いて実行しても良く、例えば、確変状態が設定されている場合のほうが、時短状態が設定されている場合よりも表示され易い第1表示態様(例えば、「チャンス」の文字)や、時短状態が設定されている場合のほうが、確変状態が設定されている場合よりも表示され易い第2表示態様(例えば、「ピンチ」の文字)を第3図柄表示装置81の表示面に表示するように構成しても良いし、第3図柄表示装置81の表示面に表示される第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の表示態様を可変させることにより遊技状態示唆演出を実行するように構成しても良い。
なお、本第1制御例では、特別図柄の高確率状態も、普通図柄の高確率状態も、特別図柄変動の実行回数が所定回数に到達した場合に終了するように構成しているため、図128(a),(b)に示した通り、チャンスモードが継続する残期間(特別図柄の高確率状態、或いは普通図柄の高確率状態が継続し得る残期間)を報知する残期間報知の表示態様を用いて、現在の遊技状態を示唆可能に構成しているが、例えば、特別図柄の高確率状態が、次に大当たり遊技が実行されるまで継続するように構成されたパチンコ機10にて、上述したチャンスモードの構成を用いても良い。この場合、チャンスモードの継続期間として、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定された場合に、その普通図柄の高確率状態が終了するまでの残期間(時短状態が終了するまでの期間)を残期間報知によって報知するように構成し、その残期間報知によって報知された残期間を経過した場合において、時短状態が設定されている場合には、通常状態へと移行したことを報知する演出を実行し、確変状態が設定されている場合には、次に大当たり遊技が実行されるまで特別図柄の高確率状態が継続することを示す表示態様、即ち、確変状態が継続する残期間が次回大当たりまでの期間であることを示す表示態様として「おめでとう」の文字が表示される演出を実行可能とし、チャンスモードが設定されている期間中において、所定の報知条件が成立した場合に、「おめでとう」の文字を表示させるように構成しても良い。
つまり、特別図柄抽選が実行される毎に更新されるチャンスモードの残期間に対応させて随時更新される残期間報知態様(図128(a)参照)に替えて、チャンスモードの残期間が存在していることを示すだけの表示態様、即ち、図128(a)に示した残期間報知態様のように、チャンスモード中に実行可能な特別図柄の残抽選回数を示さない残期間報知態様を用いても良いし、チャンスモードの残期間の長さに対応させて表示態様を可変(例えば、表示色を可変)させることにより、大まかにチャンスモードの残期間の長さを報知可能な残期間報知態様を用いても良い。さらに、残期間報知態様を複数表示可能に構成し、表示された複数の残期間報知態様の表示態様を組み合わせることにより、遊技者がチャンスモードの残期間の長さを把握可能となるように構成しても良い。
次に、図129及び図130を参照して、チャンスモード中において遊技者が操作手段を操作した場合に実行される演出内容について説明をする。本制御例では、遊技者が枠ボタン22(図119参照)に対して所定の操作を実行すると、その操作内容と、操作タイミングとに基づいて様々な演出(操作演出)を実行可能に構成している。詳細な説明は省略するが、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmに表示される背景画像を変更する操作演出や、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにて実行される変動演出の一部として遊技者に枠ボタン22を操作させるための案内報知を実行し、遊技者が枠ボタン22を操作した場合に、遊技者が枠ボタン22を操作しない場合とは異なる演出態様の演出を実行する操作演出や、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにて実行される変動演出を賑やかすための操作演出等が実行されるように構成している。これにより、遊技者に対して、球を発射させる行為以外の遊技を意欲的に行わせることができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。
ここで、上述した操作演出のうち、チャンスモード中に実行される各種操作演出の内容について説明をする。詳細は、図18を参照して後述するが、本制御例では、有利遊技状態(時短状態、確変状態)が設定された場合に、有利遊技状態が設定されてからの特別図柄変動回数に応じて異なる変動時間が選択され得るように構成している。具体的には、有利遊技状態が設定されてから特別図柄変動回数が「1回目〜20回目」の期間が、短い変動時間(例えば、5秒)が選択され易い第1期間(高速変動期間)となり、「21回目〜49回目」の期間が、第1期間よりも長い変動時間(例えば、10〜30秒)が設定され易い第2期間となり、「50回目」のみ、特定の変動時間(例えば、20秒)が設定される特定期間となり、「51回目〜100回目」の期間が、第2期間と同程度の変動時間(例えば、10〜30秒)が設定され易い第3期間となるように構成している。
つまり、チャンスモードが設定されてからの所定期間(第1期間)、即ち、大当たり遊技終了後の所定期間は、短い変動時間で特別図柄変動が実行され易くなるため、この第1期間中に大当たり当選した場合には、短い間隔で複数回の大当たり遊技を実行させ易くすることができる。これにより、前回実行された大当たり遊技の一環として次の大当たり遊技が実行されたのでは?と遊技者に思わせることが可能となり、遊技の興趣を向上させることができる。
そして、上述した第2期間や第3期間では、通常状態が設定されている場合よりは短い変動時間の特別図柄変動が実行され易く、第1期間よりは長い変動時間の特別図柄変動が実行され易くなるように構成している。これにより、チャンスモード中において、1回の特別図柄変動中に現在設定されている遊技状態が時短状態であるか確変状態であるかを示唆するための示唆演出を実行する期間を確保することができる。また、特定期間(有利遊技状態が設定されてから50回目の特別図柄変動)では、必ず特定の変動時間(20秒)の特別図柄変動が実行され、遊技者に対して確変状態が設定されていた(されている)状態であるか否かを示唆するための20秒間の示唆演出が実行されるように構成している。
このように、特別図柄変動の実行回数に応じて異なる変動時間を選択可能に構成することで、各変動回数に応じた演出を適切な期間を用いて実行することができる。
図129(a)は、演出モードとしてチャンスモードが設定されている状態であって、内部的に通常状態が設定されており、高速変動期間以外の期間中(通常変動期間中)に表示される表示内容の一例を模式的に示した模式図であって、図129(b)は、図129(a)に表示された表示演出中に枠ボタン22を操作した場合の演出態様を模式的に示した模式図である。本制御例では、チャンスモード中における通常変動期間では、第3図柄表示装置81の表示面に表示される背景画像を遊技者が任意に選択可能となり、枠ボタン22を遊技者が押下(操作)することで、海背景(海モード)と山背景(山モード)とを交互に切替表示されるように構成している。
図129(a)に示した通り、背景画像を切替可能な場合には、主表示領域Dmの右側下方に枠ボタン22を模したアイコンHR10が、操作可能な状態であることを示す表示態様(図では、ボタン押下方向に向けて矢印表示)で表示され、副表示領域Dsの小表示領域Ds1には、現在、海モードが設定されていることを示す「海モード」の文字が表示されている。この状態で遊技者が枠ボタン22を操作すると、図129(b)に示した通り、「海モード」から「山モード」へと切替表示される。
次に、図130を参照して、チャンスモードのうち、高速変動期間中における操作演出の内容について説明をする。本制御例では、高速変動期間(時短状態、確変状態が設定されてから20回目の特別図柄変動が終了するまでの期間)中に枠ボタン22を操作した場合に、背景画像が切替表示されない(難くなる)ように構成している。つまり、1回の特別図柄変動の変動時間として短い変動時間(5秒)が選択される高速変動期間において、背景画像を切替表示してしまうと、第3図柄表示装置81の表示面に表示される表示態様が頻繁に変化してしまい、特別図柄抽選の結果を遊技者が把握し難くなるため、背景画像が切替表示されない(難く)なるように構成している。しかしながら、高速変動期間中における枠ボタン22に対する遊技者の操作を全て無効にしてしまうと、遊技者の遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
そこで、本制御例では、高速変動期間中に遊技者が枠ボタン22を操作した場合には、背景画像の切替表示では無く、別の演出が実行されるように構成している。具体的には、図130(a)に示した通り、チャンスモードにおける高速変動期間中は、副表示領域Dsの小表示領域Ds1に「スペシャルモード」の文字が表示され、現在が高速変動期間中であることが遊技者に報知される。この「スペシャルモード」中は、特別図柄抽選の結果に関わらず、5秒の変動時間が設定された特別図柄変動が実行され、第3図柄の変動演出も「スペシャルモード」専用の変動演出が実行される。そして、「スペシャルモード」中も主表示領域Dmの右側下方にアイコンHR10が表示され、遊技者が枠ボタン22を押下すると、図130(b)に示した通り、小表示領域Ds2に表示される残期間報知の表示態様が可変される遊技状態示唆演出が実行される。
このように、遊技者が同一の操作(枠ボタン22の押下)をした場合であっても、その操作タイミングによって、実行される操作演出の演出内容を異ならせることにより、遊技者に対して様々なタイミングで枠ボタン22を操作しようと意欲的に遊技を行わせることができる。また、本制御例では、図129(a)、或いは図130(a)に示した通り、遊技者に対して枠ボタン22に対する操作(押下)を案内するための案内表示(アイコンHR10)を同一にし、遊技者が同一の操作(枠ボタン22の押下)をした場合に、その操作タイミングによって、実行される操作演出の演出内容を異ならせている。よって、枠ボタン22を実際に操作(押下)するまでは、どのような操作演出が実行されるのかを遊技者に分かり難くすることができるため、より意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。
なお、詳細は図18を参照して後述するが、本制御例では、高速変動期間に枠ボタン22を操作した場合に複数の操作演出を実行可能に構成しており、各操作演出が選択される割合を、設定されている遊技状態に応じて異ならせている。つまり、高速変動期間中に実行される各操作演出の出現割合によって、現在設定されている遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを予測することができる。よって、高速変動期間中に同一の操作演出が繰り返し実行された場合であっても、遊技者の遊技意欲が低下することを抑制することができる。
さらに、本制御例では、高速変動期間中であっても所定条件が成立している場合にのみ、枠ボタン22を押下した際に背景画像の切替表示が行われるように構成している。具体的には、高速変動期間中に獲得した第2特別図柄の保留球(特図2保留球)内に大当たり当選する情報が含まれている場合に、その大当たり当選する情報が含まれる特図2保留球に対応する大当たり特別図柄変動と、その大当たり特別図柄変動よりも前に実行される特別図柄変動(大当たり当選する情報が含まれている特図2保留球よりも前に獲得していた特図2保留球に対応する特別図柄変動)と、の変動時間を用いた特殊変動演出を実行可能に構成しており、その特殊変動演出を実行可能な条件を満たしている状態で遊技者が枠ボタン22を押下すると、現在表示されている背景画像(例えば、海モード)から専用の特殊背景画像(例えば、宇宙モード)へと背景画像の切替表示が行われるように構成している。つまり、高速変動期間中において遊技者が枠ボタン22を押下したことに基づいて背景画像の切替表示が実行された場合には、大当たり当選の期待度が高くなるやめ、遊技者に対して積極的に枠ボタン22を押下させることができる。
加えて、高速変動期間中であっても、枠ボタン22に対して特殊操作(長押し)を行うことで、背景画像の切替表示を実行可能に構成している。この特殊操作(長押し)は、遊技者が枠ボタン22を2秒間継続して押下した場合に操作が実行されたと判別されるものであり、枠ボタン22に対する通常操作(押下)よりも、操作が行われたと判別されるまでの期間を長くしている。よって、通常操作(押下)に比べて頻繁に実行し難い操作となるため、背景画像の切替表示を実行可能に構成しても、背景画像の切替表示が頻繁に行われてしまうことを抑制することができる。なお、本制御例では、通常操作よりも操作時間を長くした特殊操作として長押し操作を用いているが、これに限ること無く、例えば、操作手段として枠ボタン22に加えて、複数の操作部を有する操作手段(例えば、十字キー)を設け、複数の操作部を所定の順序で操作することにより行われる特殊操作を規定しても良い。
次に、図131を参照して、確変状態が設定されていることが遊技者に報知される「スーパーチャンスモード」中に実行される演出内容について説明をする。図131(a)は、「スーパーチャンスモード」中に第1特別図柄変動が実行された場合の演出内容の一例を模式的に示した模式図であって、図131(b)は、「スーパーチャンスモード」中に第2特別図柄変動が実行された場合の演出内容の一例を模式的に示した模式図である。
本制御例では、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されている場合には、第2特別図柄抽選が実行され易くなるように構成している。そして、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、高確率で確変状態が設定される(大当たり遊技中に特定ゲートへと容易に球を流下させることができる確変大当たり遊技が必ず実行される)ように構成している。そして、確変状態は特別図柄抽選が所定回数(50回)実行されるまで継続するように構成している。
つまり、一度確変状態が設定されると、所定回数(50回)の特別図柄抽選が実行されるまでに第2特別図柄抽選で大当たり当選(特別図柄の高確率状態での大当たり確率は1/50)に当選する限り、高確率で確変状態をループさせることができるように構成している。よって、確変状態中の遊技を実行している遊技者に対して、いち早く第2特別図柄抽選で大当たり当選するように意欲的に遊技を行わせることができる。
一方、確変状態が設定されている状態であっても、例えば、通常状態にて実行された第1特別図柄抽選で確変大当たりに当選し、その大当たり遊技終了後に確変状態が設定された直後、即ち、確変状態が設定された状態において、特図2保留球を獲得しておらず、且つ、特図1保留球を獲得している状態では、第1特別図柄抽選が実行される。本制御例では、上述した通り、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には100%の割合で確変大当たり遊技が実行されるのに対して、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合には50%の割合で確変大当たり遊技が実行され、残りの50%では通常大当たり遊技が実行されるように構成している。つまり、確変状態が設定されている状態であっても、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、確変状態をループさせることが出来ない場合がある。
このように確変状態中に第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合において、当選した大当たりが通常大当たり遊技が実行される大当たり種別(通常大当たり)であることを遊技者に早期に判別されてしまうと、遊技者の遊技意欲が低下してしまうという問題が発生するため、本制御例では、確変状態中に実行される第1特別図柄変動に対応する変動演出として、確変大当たりに対応する第3図柄(奇数の数字が付された識別情報)と、通常大当たりに対応する第3図柄(偶数の数字が付された識別情報)と、が同時にリーチ状態となる変動演出であるダブルリーチ演出が実行され易くなるように構成している。より具体的には、確変状態中に実行される第1特別図柄抽選で通常大当たりに当選した場合には、必ず上述したダブルリーチ演出が実行されるように構成している(図131(a)参照)。
これにより、確変状態中に実行される第1特別図柄抽選で通常大当たりに当選した場合において、通常大当たりに対応する第3図柄(偶数の数字が付された識別情報)のみがリーチ状態となるリーチ演出が実行されることを防止することができ、特別図柄の変動期間中に通常大当たりに当選することを遊技者に事前に予測されることを抑制することができる。
また、図131(a)に示した通り、本制御例では、「スーパーチャンスモード」中は、上述した「チャンスモード」中と同様に、小表示領域Ds11、及びDs12が形成され、遊技者に対して特図保留数が把握され難くなるように構成している。そして、主表示領域Dmの上側には現在が確変状態中であることを遊技者に報知するための表示態様として「スーパーチャンスモード中」の文字が表示される。
ここで、スーパーチャンスモード中において、図131(a)に示したダブルリーチ(確変大当たりに対応する第3図柄(1の数字が付された識別情報)と、通常大当たりに対応する第3図柄(2の数字が付された識別情報)と、が同時にリーチ状態となる変動演出であるダブルリーチ演出)が実行された場合には、実行中の特別図柄変動が第1特別図柄変動であることを遊技者に容易に把握されてしまう虞があるため、本制御例では、第2特別図柄変動に対応させて実行される変動演出においても、図131(a)に示したダブルリーチ演出を実行可能に構成している。即ち、大当たり当選した場合には必ず確変大当たり遊技が実行される第2特別図柄抽選に対応させた変動演出にて、通常当たりに対応する第3図柄を用いたダブルリーチ演出を実行可能に構成している。
このように構成することで、図127(a)に示したダブルリーチ演出が実行されたとしても、実行中の特別図柄変動が第1特別図柄変動であるか第2特別図柄変動であるかを遊技者に容易に判別させ難くすることができる。
さらに、本制御例では、第2特別図柄抽選に対応させた変動演出としてダブルリーチ演出が実行された場合には、中図柄列Z2が1周したタイミングでリーチ状態となる第3図柄の種別を図131(b)に示した通り、確変大当たりに対応する第3図柄(1の数字が付された識別情報と9の数字が付された識別情報)とに可変させる演出(確変ダブルリーチへの昇格演出)が実行されるように構成している。
このように構成することで、実行中の特別図柄抽選が大当たり当選している場合に、必ず確変大当たり遊技が実行されることを遊技者に事前に報知することができる。また、第1特別図柄抽選に対応させた変動演出としてダブルリーチ演出が実行された場合であっても、途中で確変ダブルリーチへと昇格するのではと遊技者に期待させながら遊技を行わせることができる。
なお、本制御例では、実行中のダブルリーチ演出を確変ダブルリーチ演出へと可変(昇格)させるための可変条件として、中図柄Z2の変動態様が所定態様(1周経過)となった場合に成立する可変条件を設定しているが、これに限ることなく、例えば、中図柄列Z2にて変動表示される第3図柄としてリーチ状態に対応する第3図柄(大当たりとなる組合せとなる第3図柄)がリーチ有効ラインを通過した場合に成立する可変条件を設定しても良いし、遊技者が操作可能な操作手段(枠ボタン22)に対する操作結果が特定の操作結果である場合に成立する可変条件を設定するように構成しても良い。
また、本制御例では、可変条件が成立した場合にリーチ状態となっている第3図柄の種別を可変するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、リーチ状態となる第3図柄の数を増加させるように構成しても良い。より具体的には、図131(a)に示したダブルリーチ状態から、ブランク図柄(図では三角印で表示)を消去し、上図柄列Z1として左から順に「3.2.1」を表示させ、下図柄列Z3として左から順に「1.2.3」を表示させた、トリプルリーチ演出を実行するように構成しても良い。このように構成した場合であっても、ダブルリーチ演出よりもトリプルリーチ演出のほうが、確変大当たりに対応した第3図柄のリーチ数を多くすることができるため、今回の特別図柄抽選にて確変大当たりに当選している可能性が高いことを遊技者に視覚的に報知することができる。
加えて、上述した技術思想を通常状態中に実行される変動演出に適用しても良く、例えば、通常大当たりに対応する第3図柄(偶数の数字が付された識別情報)のみがリーチ状態となる通常シングルリーチ演出中に可変条件が成立した場合に、リーチ状態である第3図柄の種別を確変大当たりに対応した第3図柄の種別へと切り替えても良いし、リーチ状態となる第3図柄の数を増加させるように構成しても良い。これにより、変動演出が終了するまで遊技者に対してより有利な演出結果が提供されることを期待させながら遊技を行わせることができる。
次に、図132を参照して、本制御例において選択される特別図柄の変動パターンと、実行される演出態様との関係について説明をする。図132(a)は、第3図柄の変動演出として、非リーチ変動演出が実行される変動パターンが設定された場合の演出の流れを示した模式図であって、図132(b)は、第3図柄の変動演出として、リーチ変動演出が実行される変動パターンが設定された場合の演出の流れを示した模式図である。
詳細な説明は、図25を参照して後述するが、本制御例では、特別図柄抽選の結果を示すための変動パターン(変動時間)として、基本時間と加算時間とを合算させた変動パターンを規定している。そして、基本時間に該当する期間を共通変動パターンとし、加算時間に該当する期間を特有変動パターンとするように構成している。
つまり、本制御例では、特別図柄抽選の結果を示すために第3図柄表示装置81の表示面にて実行される第3図柄変動の演出態様として、リーチ状態が表示されてから第3図柄が停止表示されるまでの期間を、リーチ状態となる第3図柄の種別に応じて異ならせるように構成している。そして、加算時間として設定された時間に応じた第3図柄をリーチ状態となる第3図柄として設定するように構成している。このように構成することで、第3図柄が変動を開始してからの所定期間の間に実行される第3図柄変動演出(基本時間に対応させて実行される第3図柄変動演出)を共通化させることができる。
具体的には、図132(a)に示した通り、非リーチ変動演出の場合は、加算時間が設定されないため、基本時間(8秒)に対応させた共通変動パターンが設定され、第3図柄変動演出が開始されてから所定期間が経過したタイミング(例えば、5秒経過タイミング)で上図柄列Z1が停止表示され、その1秒後に下図柄列Z3が有効ライン上にリーチ状態が発生しない停止表示態様で停止表示され、その2秒後に抽選結果が外れを示す停止表示態様で中図柄列Z2が停止表示される。その後、1秒間の停止表示期間(確定時間)を経て、特別図柄抽選の抽選結果が確定表示される。
図132(b)に示した通り、リーチ変動演出が実行される場合は、基本時間(30秒)が設定され、30秒間の共通変動パターンとして、リーチ状態となってから5秒が経過するまでの演出態様が設定される。つまり、リーチ状態となってから中図柄列Z2が1周するまでの演出態様が共通変動パターンとして設定される。その後、加算時間に応じた演出態様(リーチパターン、停止図柄)が設定される。
次に、図133を参照して、大当たり遊技のエンディング期間中に実行されるエンディング演出の演出態様について説明をする。図133(a)は、通常大当たり、図133(b)は、確変大当たりを対象としたエンディング期間の演出の流れを示したものであり、図133(c)は、確変大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)を流下しなかった場合の流れを示したものである。
図133に示した通り、本制御例では通常大当たりと確変大当たりとでエンディング期間(ED期間)を異ならせており、通常大当たりは15秒、確変大当たりでは17秒のED期間が設定されるように構成している。そして、それぞれ前半期間と後半期間とに区分けされたエンディング演出が実行されるように構成している(図127参照)。
本制御例では、大当たり遊技の開始タイミングにてエンディング期間における演出態様がセットされ、大当たり期間中にV入賞したか否か(特定ゲートへと球が流下したか否か)の判別をエンディング期間(ED期間)の開始タイミングで判別し、その判別結果に基づいてエンディング表示態様を切り替えるように構成している。
まず、図133(a)を参照して、通常大当たり遊技が実行された場合における大当たり遊技のエンディング期間中の演出内容について説明をする。本制御例では、大当たり遊技中に実行される各種処理が煩雑化してしまい、大当たり遊技中における処理負荷が増大してしまうことを抑制するために、大当たり遊技中のラウンド遊技(賞球を獲得可能な遊技)が実行されるよりも前(大当たり遊技の開始前、或いは、大当たり遊技におけるオープニング期間中)に大当たり遊技のエンディング期間中に実行される演出(エンディング表示演出)の演出態様を決定するように構成している。
通常大当たり遊技が実行された場合には、大当たり遊技のオープニング期間が終了するまでに、大当たり遊技終了後に「チャンスモード」が設定される(時短状態が設定される)ことを遊技者に示すためのエンディング演出の表示態様(図127(a),(c)参照)を設定する。そして、通常大当たり遊技では、その大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過することが無いため、大当たり遊技のエンディング演出として、予め設定してあるエンディング演出が実行される。
次に、図133(b)、及び図133(c)を参照して、確変大当たり遊技が実行された場合における大当たり遊技のエンディング期間中の演出内容について説明をする。確変大当たり遊技が実行された場合には、大当たり遊技のオープニング期間が終了するまでに、大当たり遊技中にV報知演出を実行するか否かを判定し、その判定結果に基づいてエンディング演出の演出態様を決定する。具体的には、特定領域(Vゲート)65vを球が通過し易いラウンド遊技(Vラウンド遊技)が実行される場合に、遊技者に対して特定領域(Vゲート)65vに球を通過させることを案内する案内報知と、実際に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことを遊技者に報知するV通過報知と、が実行されるV報知演出を実行するか否かを判定し、V報知演出を実行すると判定した場合は、エンディング演出として、大当たり遊技の終了後に「スーパーチャンスモード」が設定される(確変状態が設定される)ことを遊技者に示すための表示態様(図127(b),(d)参照)を設定する。一方、V報知演出を実行しないと判定した場合は、エンディング演出として、大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定されることを遊技者に示すための表示態様(図127(b)の表示態様に対して『スーパー』の表示を削除した表示態様と、図127(c)参照)を設定する。
V報知演出を実行する場合には、Vラウンド(1ラウンド目)遊技の開始に合わせて「Vを狙え」のコメント、及び、可変入賞装置65内の特定領域(Vゲート)65vの位置を模式的に示した模式図が第3図柄表示装置81の表示面に表示される案内報知が実行される。そして、球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合に、「V獲得!!」のコメントが第3図柄表示装置81の表示面に表示されるV通過報知が実行される。一方で、案内報知が実行されたにも関わらず、所定期間の間(例えば、3秒間)、球が特定領域(Vゲート)65vを通過していない場合は、遊技者に対して特定領域(Vゲート)65vへの球通過をより強調して案内する強調案内報知が実行される。そして、Vラウンド遊技が終了するまでに球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合には、上述したV通過報知が実行され、特定領域(Vゲート)65vに球を通過させること無くVラウンド遊技が終了した場合には、「V獲得ならず、残念!」の文字が表示される。
その後、大当たり遊技のエンディング期間が到来すると、実際のVラウンド遊技の遊技結果に基づいて、予め設定してあるエンディング演出の表示態様を差し替えるか否かの判別が実行される。ここで、上述した通り、大当たり遊技開始時において、V報知演出を実行すると判定した場合には、エンディング演出として「スーパーチャンスモード」が設定されることを示す表示態様(図127(b),(d)参照)が予め設定されているため、Vラウンド遊技中に球を特定領域(Vゲート)65vに通過させている場合は、エンディング演出の表示態様を切り替えることなく、エンディング演出が実行される。一方、Vラウンド遊技中に球を特定領域(Vゲート)65vに通過させることができなかった場合は、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されることになるため、エンディング演出の表示態様を「チャンスモード」が設定されることを示すための表示態様へと切り替える処理(差替処理)を実行し、差し替え後の表示態様(図127(b)の表示態様に対して『スーパー』の表示を削除した表示態様と、図127(c)参照)でエンディング演出が実行される。
また、V報知演出を実行しない場合には、通常大当たり遊技と同様に、大当たり遊技中にV報知演出が実行されず、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される各種演出表示からは、Vラウンド遊技が実行されていること、及び、球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことを把握することができない大当たり遊技が実行される。そして、Vラウンド遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したか否かに関わらず、予め設定された表示態様でエンディング演出が実行される。これにより、実際には確変状態が設定されているにも関わらず、大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定される状態を提供することができる。
さらに、確変状態が設定されている状態で「チャンスモード」が設定される場合は、大当たり遊技中(確変大当たり遊技中)にV報知演出が実行されないため、大当たり遊技中の演出によって確変状態が設定されることを事前に把握され難くすることができる。なお、本制御例では、V報知演出が実行されない大当たり遊技において球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合に、実際には確変状態が設定されているにも関わらず、大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定されるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、V報知演出が実行されている状態で球が特定領域(Vゲート)65vを通過したにも関わらず、所定の割合でV通過報知を実行しないように構成し、特定領域(Vゲート)65vを球が通過したにも関わらず、V通過報知が実行されなかった場合に、大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定されるように構成しても良い。また、この場合、通常大当たり遊技が実行される場合にも、V報知演出を実行可能に構成すると良い。
このように構成することで、V報知演出が実行されたにも関わらず、V通過報知が実行されない事象を現出させ易くすることができるため、V報知演出が実行された大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定されることに対して遊技者に違和感を与えることを抑制することができる。
次に、図134を参照して、大当たり遊技終了後に設定される演出モードの流れについて説明をする。上述した通り、本第1制御例におけるパチンコ機10では、大当たり遊技の終了後に普通図柄の高確率状態が予め定められた第1特定期間(特別図柄変動が100回実行されるまでの期間)設定される。そして、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合には、大当たり遊技の終了後に特別図柄の高確率状態が予め定められた第2特定期間(特別図柄変動が50回実行されるまでの期間)設定される。そして、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態が時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)である場合は、演出モードとして「チャンスモード」が設定される(図134(b)参照)。また、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態が確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)である場合は、大当たり遊技中の演出内容に応じて(V報知演出の有無に応じて)、大当たり遊技終了後に設定される演出モードを異ならせており、図134(a)に示した通り、大当たり遊技中(大当たり遊技のエンディング期間中)に、確変状態が設定されることが報知された場合、即ち、エンディング演出として「スーパーチャンスモード」突入の表示態様(図127(b)参照)が表示された場合は、演出モードとして「スーパーチャンスモード」が設定され(図134(a)の表示a参照)、大当たり遊技中(大当たり遊技のエンディング期間中)に、確変状態が設定されることが報知されなかった場合、即ち、エンディング演出として「チャンスモード」突入の表示態様(図127(a)参照)が表示された場合は、演出モードとして「チャンスモード」がされる(図134(a)の表示b参照)。
図134(a)の表示aに示した通り、大当たり遊技終了後に「スーパーチャンスモード」が設定された場合、その「スーパーチャンスモード」は、確変状態が終了するまで継続し、遊技状態が確変状態から時短状態へと移行する場合に、「チャンスモード」へと切替表示される。この場合、「スーパーチャンスモード」が設定されている間は、図131(a)に示した通り、残期間態様として確変状態が終了するまでの期間(最大で50回)が小表示領域Ds2に表示される。これにより、遊技者に最も有利な遊技状態が継続する期間を遊技者に分かり易く報知することができる。なお、図131(a)に示した表示内容に加え、確変状態が終了した後に、時短状態が50回設定されることを遊技者に予め報知する事前報知演出を実行するように構成しても良く、例えば、小表示領域Ds2に表示されている確変状態の残期間を示す残期間態様(図131(a)では、白抜きで「49回」と表示)が、所定期間以下(例えば、「10回」以下)となった場合に、後に設定される時短状態が継続する回数(50回)を示す残期間態様を、確変状態の残期間を示す残期間態様とは異なる表示態様(例えば、黒抜きで「50回」と表示)で表示させるように構成すると良い。これにより、確変状態が終了した後にも、通常状態よりも有利な遊技状態(時短状態)が設定されることを遊技者に事前に報知することができる。
また、「スーパーチャンスモード」が設定された時点で、確変状態の残期間を示す残期間態様(50回)と、時短状態の残期間を示す残期間態様(100回)と、を表示し、特別図柄変動が実行される毎に、各残期間態様を1ずつ減算させるように構成しても良いし、確変状態の残期間を示す残期間態様(50回)と、確変状態が終了した後に設定される時短状態の残期間を示す残期間態様(50回)と、を表示し、先に確変状態の残期間を示す残期間態様を減算していき、確変状態の残期間が0となり、時短状態へと移行した場合に、時短状態の残期間を示す残期間態様を減算していくように構成しても良い。このように構成した場合であっても、確変状態中の遊技を行っている遊技者に対して、確変状態が終了した後に通常状態よりも遊技者に有利な遊技状態が設定されることを事前に報知することができる。
次に、図134(a)の表示bと、図134(b)とを用いて、チャンスモード中の演出について説明をする。本制御例では、確変状態が設定される場合の一部と、時短状態が設定される場合に、演出モードとしてチャンスモードが設定される。そして、チャンスモード中には、図128を参照して上述した通り、残期間報知の報知態様を可変させる遊技状態示唆演出を実行される。この遊技状態示唆演出は、確変状態中のチャンスモードのほうが、時短状態中のチャンスモードよりも出現率が高くなるように設定されている。
次に、図135を参照して、チャンスモード中における操作演出の内容について説明をする。本制御例では、チャンスモード中に実行される操作演出(遊技者による枠ボタン22(操作手段)への操作に基づいて実行される演出)の演出態様を、遊技者による枠ボタン22(操作手段)の操作タイミング、操作方法、及び、設定されている遊技状態と、に応じて可変させるように構成している。具体的には、図135(a)に示した通り、時短状態が設定されている場合におけるチャンスモード中は、操作方法としてボタンPUSH「通常押し」を実行した場合には、特別図柄変動が20回実行されるまでの高速変動期間中において、実行中の変動演出がリーチ状態となるか否かを、第3図柄変動中に示唆する「リーチ示唆」、或いは、現在設定されている遊技状態を示唆する「状態示唆」の操作演出を実行可能に構成し、それ以降(特別図柄変動回数が21回目以降)は、背景モードを移行させる「背景モード移行」の操作演出を実行可能に構成している。また、操作方法として、ボタン長押し「長押し」を実行した場合には、特別図柄変動が20回実行されるまでの高速変動期間中に、背景モードを移行させる「背景モード移行」の操作演出を実行可能に構成し、特別図柄変動の回数が21回〜50回までの期間(第2期間中)に、現在設定されている遊技状態を示唆する「状態示唆」の操作演出を実行可能に構成し、それ以降(特別図柄変動回数が51回目以降)は、過去(「チャンスモード」が設定された時点(大当たり遊技終了後))に設定されていた遊技状態を示唆するため「過去状態示唆」の操作演出を実行可能に構成している。
また、図135(b)に示した通り、確変状態が設定されている場合におけるチャンスモード中は、操作方法としてボタンPUSH「通常押し」を実行した場合には、特別図柄変動が20回実行されるまでの高速変動期間中において、実行中の変動演出がリーチ状態となるか否かを、第3図柄変動中に示唆する「リーチ示唆」、現在設定されている遊技状態を示唆する「状態示唆」、或いは、背景モードを移行させる「背景モード移行」の操作演出を実行可能に構成し、特別図柄変動の回数が21回〜50回までの期間(第2期間中)に、「背景モード移行」、或いは「状態示唆」の操作演出を実行可能に構成し、それ以降(特別図柄変動回数が51回目以降)は、「背景モード移行」の操作演出を実行可能に構成している。また、操作方法として、ボタン長押し「長押し」を実行した場合には、特別図柄変動の回数に関わらず、背景モードを移行させる「背景モード移行」の操作演出を実行可能に構成している。
以上、説明をした通り、本制御例では、時短状態が設定される場合、或いは、確変状態が設定される場合の一部において、演出モードとして「チャンスモード」を設定可能に構成しており、そのチャンスモード中に実行される特別図柄変動の回数に応じて、チャンスモードの継続期間(時短100回)を複数の期間に区分けし、設定されている遊技状態及び期間毎に、遊技者が操作手段(枠ボタン22)を操作した場合に実行される操作演出の演出態様を異ならせるように構成している。これにより、チャンスモードが設定された場合において、操作演出により実行される操作演出の内容に基づいて現在設定されている遊技状態を遊技者に予測させることが可能となるため、遊技者に対して意欲的に操作手段を操作させる遊技を実行させることができる。
以上、説明をした通り、本制御例では、大当たり遊技終了後の所定期間の間が高速変動期間となり、枠ボタン22に対して「通常押し」の操作を実行したとしても「背景モード移行」の操作演出が、他の期間よりも実行され難くなるように構成しているが、高速変動期間(背景モード移行され難い期間)を、他のタイミングで設定しても良く、例えば、大当たり遊技終了後に実行される1回の特別図柄変動が終了するまでの期間を、通常時短変動期間とし、大当たり遊技終了後の2回目の特別図柄変動が実行されてから20回目の特別図柄変動が実行されるまでの期間が高速変動期間として設定されるように構成しても良い。
このように構成することで、例えば、大当たり遊技終了後の1回目の特別図柄変動期間中において、高速変動期間が設定されることを予告する予告態様として、「次変動から背景モードを変更できないよ!今のうちに希望の背景を選択してね」のコメントを副表示領域Dsに表示することで、遊技者に対して、背景モードを変更できない期間(高速変動期間)が急に設定されてしまい、所望する背景モードで遊技を実行することができず、遊技意欲が低下してしまう事態を抑制することができる。さらに、大当たり遊技終了後の1回の特別図柄変動期間を用いて、「チャンスモード」の遊技内容を遊技者に説明するための案内態様として、「チャンスモードは、確変状態の可能性もあるよ!諦めないで!」のコメントや「残回数の表示態様が変わるとチャンス!」のコメントも併せて表示するように構成しても良い。
なお、本第1制御例のように、大当たり終了後の1回目の特別図柄変動から高速変動期間が設定される場合においては、高速変動期間が設定される前に実行された大当たり遊技の遊技期間中(例えば、大当たり遊技のエンディング期間中)に、「チャンスモード」中の背景モードを選択可能に構成すると共に、「チャンスモード」が設定されると、所定期間の間(高速変動期間中)、背景モードを変更できない旨を遊技者に報知するように構成すれば良い。
図2に戻り、説明を続ける。第2図柄表示装置は、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本制御例においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入球口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態(開放状態)となる当たり遊技(普図当たり遊技)が実行されるよう構成している。
第2図柄の変動表示にかかる時間(普図変動時間)は、設定されている普通図柄の確率状態(低確率状態、高確率状態)に応じて異ならせており、普通図柄の低確率状態(通常状態)が設定されている場合は、普図変動時間として10秒が、普通図柄の高確率状態(確変状態、時短状態)が設定されている場合は、普図変動時間として3秒が設定されるように構成されている。これにより、普通図柄の低確率状態において普図当たり遊技が実行される頻度と、普通図柄の高確率状態において普図当たり遊技が実行される頻度とを大きく乖離させることが可能となる。つまり、普通図柄の低確率状態に対して普通図柄の高確率状態のほうが、普図変動時間を短くすることで単位時間当たりに実行され得る普通図柄抽選(普図抽選)の回数を増加させることができ、さらに、実行される普図抽選にて当たり当選し易くすることができる。よって、普通図柄の低確率状態が設定されている場合に普図当たり遊技を実行させ難くしながらも、普通図柄の高確率状態が設定されている場合に普図当たり遊技を実行させ易くすることができる。
なお、本制御例では、普通図柄の低確率状態よりも、普通図柄の高確率状態のほうが、設定される普図変動時間も、当たり当選確率も遊技者に有利となるように構成しているが、これに限ること無く、何れか一方のみが遊技者に有利となるように構成してもよい。例えば、普通図柄の確率状態に関わらず、同一時間の普図変動時間(例えば、3秒)が設定されるように構成し、当たり当選確率のみに差を持たせても良い。これにより、例えば、普通図柄の低確率状態中(通常状態中)に普図当たり遊技が実行され難くするために、普通図柄の変動表示にかかる時間(普図変動時間)が時短状態中よりも通常状態中のほうが長くなるように構成したパチンコ機10において、普通図柄の当たり遊技(普図当たり遊技)が実行され難い通常状態(普通図柄の低確率状態)から、普図当たり遊技が実行され易い時短状態(普通図柄の高確率状態)へと遊技状態が移行する場合に、通常状態中に実行された長時間の普通図柄変動(時短状態中よりも遊技者に不利となる普図当たり遊技)の実行中に時短状態へと移行してしまい、時短状態が設定されたにも関わらず、時短状態中の普通図柄抽選が実行されない期間が長時間設定されてしまうことを抑制することができる。
図2を参照して上述した通り、本制御例におけるパチンコ機10は、遊技盤13の遊技領域に各種装置が配設されており、可変表示ユニット80の左側に形成される左側領域に球を流下させる遊技(左打ち遊技)を実行しても、右側領域に球を流下させる遊技(右打ち遊技)を実行しても、遊技者が得る遊技価値に差が生じ無い(生じ難い)ように遊技盤13が構成されている。具体的には、図2に示した通り、遊技盤13の中央部の垂線に対して左右対称に各種装置が配設されており、可変表示ユニット80の下側領域に、球が入球することにより第1特別図柄の抽選契機となり得る第1入球口64と、その第1入球口64の下方位置に設けられ、球が入球することにより第2特別図柄の抽選契機となり得る第2入球口640と、その第2入球口640に付設され、普通図柄抽選で当たり当選した場合に実行される普図当たり遊技にて開放動作される電動役物640aと、その第2入球口640の下方位置に設けられ、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に実行される大当たり遊技にて開放動作される可変入賞装置65と、が配設されている。
左打ち遊技によって発射された球は、左側領域を流下し1/2の割合で左側領域に設けられたスルーゲート67を通過し、スルーゲート67を通過した球も、スルーゲート67を通過しなかった球も、遊技盤13に植設された釘によって、下側領域に設けられた第1入球口64に向けて流下する。ここで、釘の間から直下方向へと流下した球は、2つの一般入球口63へと入球する。なお、本制御例では、左側領域を流下する球の約1/50が2つの一般入球口63の何れかへと入球するように構成されており、一般入球口63へと球が入球した場合には、10個の賞球(特典)が付与されるように構成している。
第1入球口64には、15球に1球の割合で球が入球し得るように構成されており、球が入球した場合には、4個の球が賞球として払い出されるように構成している。第2入球口640は、電動役物640が閉鎖している状態(図2にて白色で示した状態)では、殆ど球が入球せず、電動役物640が開放している状態(図2にて黒色で示した状態)では、左打ち遊技にて発射され、左側領域を流下する球の約2球に1球の割合で球が入球するように構成されており、球が入球した場合には、1個の球が賞球として払い出されるように構成している。また、可変入賞装置65は、大当たり遊技が実行されていない状態では、殆ど球が入球せず、大当たり遊技中には約3球に2球の割合で球が入球するように構成されており、球が入球した場合には、15球の球が賞球として払い出されるように構成している。
ここで、可変入賞装置65について説明をする。この可変入賞装置65は、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に実行される大当たり遊技にて開放動作される可変入球手段であって、大当たり遊技中に可変入賞装置65へと入賞した球が可変入賞装置65の内部領域に設けられた特定領域(Vゲート)を通過することによって、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態を設定することができるように構成している。
また、当選した大当たりの種別に応じて、可変入賞装置65へと入賞した球が特定領域(Vゲート)を通過し易い大当たり遊技(確変大当たり遊技)と、通過し難い大当たり遊技(通常大当たり遊技)と、を実行可能に構成しており、本制御例では、可変入賞装置65へと入賞した球が特定領域(Vゲート)を通過し易い大当たり遊技、即ち、大当たり遊技中に正常な遊技を行えば特定領域(Vゲート)へと球を容易に流下させることが可能な大当たり(遊技)を確変大当たり(遊技)、可変入賞装置65へと入賞した球が特定ゲートを通過し難い大当たり遊技、即ち、大当たり遊技中に正常な遊技を行ったとしても特定領域(Vゲート)へと球を通過させることが困難な大当たり(遊技)を通常大当たり(遊技)と称して説明をする。
なお、上述した通り、確変大当たり遊技が実行されたとしても、その大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)へと球を通過させることができなかった場合は、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態(確変状態)が設定されることが無い。つまり、本制御例では、大当たり遊技が実行されたタイミングでは、その大当たり遊技終了後に設定される遊技状態が確定しないことになる。詳細な説明は後述するが、本制御例では、大当たり遊技の1ラウンド目に実行されるラウンド遊技にて、最も球を特定領域(Vゲート)へと通過させ易いラウンド遊技(Vラウンド遊技)が実行されるように構成している。よって、このVラウンド遊技が終了するまで、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を確定させることができない。このように大当たり遊技中の遊技結果によって大当たり遊技終了後に設定される遊技状態が確定するように構成することで、遊技者は大当たり遊技にて様々な特典(賞球、特別図柄の高確率状態)を獲得するための遊技を行うことができ、遊技の興趣を向上させることができる。
一方で、上述した構成を用いた場合、大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態を遊技者に報知するための報知演出の演出態様(例えば、大当たりエンディング期間の演出態様)を予め(例えば、大当たり遊技開始時に)設定しておくことが出来ず、出球に関する制御処理や表示に関する制御処理が密に実行される大当たり遊技中に報知演出の演出態様を設定しなければならず、パチンコ機10の制御処理が煩雑になってしまうという問題があった。
これに対して、本制御例では、確変大当たり遊技が実行される場合には、予め(大当たり遊技開始時に)報知演出の演出態様として大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを示す演出態様を設定しておき、報知演出が実行される直前に(例えば、大当たりエンディング期間の開始時に)特定領域(Vゲート)への球の通過結果に基づいて報知演出の演出態様を切り替えるか否かの判別を実行し、特定領域(Vゲート)を球が通過している場合には、予め設定しておいた演出態様の報知演出を実行し、特定領域(Vゲート)を球が通過していない場合にのみ、報知演出の演出態様を切り替えるように構成している。このように、大当たり遊技中に正常な遊技を行った場合、大当たり遊技終了後に設定され易い遊技状態を想定して予め報知態様の演出態様を設定しておき、想定外の遊技状態が設定されると判別された場合にのみ、報知態様の演出態様を切り替えるようにすることで、大当たり遊技中に報知演出の演出態様を設定するための制御処理が実行される頻度を低減することができる。
さらに、本制御例では、大当たりエンディング期間の長さを、確変大当たり遊技と通常大当たり遊技とで異ならせており、遊技者にとって有利となる確変大当たり遊技のほうが通常大当たり遊技よりも長いエンディング期間が設定されるように構成している。これにより、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを、実際に確変状態が設定されるよりも前に(大当たり遊技中に)遊技者に分かり易く報知することができる。一方、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されない場合には、その旨を長期間報知したとしても遊技者に不快感を与えてしまうだけであるため、エンディング期間が短くなるように構成している。
このように、大当たりエンディング期間の長さを、確変大当たり遊技と通常大当たり遊技とで異ならせてしまうと、確変大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)へと流下させることができなかった場合に、大当たりエンディング期間の演出態様を単に通常当たり遊技のエンディング期間に実行される演出態様へと切り替える処理を実行するだけでは、エンディング期間の長さが異なるためエンディング期間中に違和感のある報知演出が実行されてしまうという問題があった。また、確変大当たり遊技において球を特定領域(Vゲート)へと流下させることができなかった場合にのみ設定される専用の演出態様を予め用意してしまうと、その演出態様に対する画像データ(演出データ)を予め表示制御装置114のキャラクタROM234に記憶させておく必要があり、記憶容量が増加してしまうという問題があった。
これに対して、本制御例では、大当たりエンディング期間を前半期間と後半期間とに区分けし、後半期間の長さが大当たり種別(確変大当たり、通常大当たり)に関わらず共通の長さとなるように構成し、確変大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)へと流下させることが出来なかった場合に、大当たりエンディング期間の後半期間に対応する演出態様のみ通常当たり遊技のエンディング期間の後半期間に対して設定される演出態様へと切り替えるように構成している。これにより、確変大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)へと流下させることが出来なかった場合にのみ用いられる専用の演出態様を設けること無く、且つ、遊技者に違和感を与えることの無い報知演出を実行することができる。
なお、本制御例では、大当たりエンディング期間を前半期間と後半期間とに区分けし、後半期間の長さを大当たり種別に関わらず共通の長さとするように構成することで、確変大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)へと流下させることが出来なかった場合に実行される報知演出の演出態様を切替設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり遊技の最終ラウンド期間中から報知演出を実行することで、実際の大当たりエンディング期間よりも長い期間実行される報知演出を実行可能に構成しても良いし、大当たりエンディング期間が設定されてから所定期間の間、大当たり遊技の最終ラウンド期間中に実行されるラウンド演出を継続して実行し、その後、報知演出を実行することで、実際の大当たりエンディング期間よりも短い期間の報知演出を実行するように構成しても良い。
なお、本制御例では、図2に示した通り、パチンコ機10の遊技盤13の構成を左右対称に構成しているが、これに限ること無く、例えば、遊技者が獲得可能な特典量が左打ち遊技を行った場合と、右打ち遊技を行った場合とで大きく乖離しないように構成すれば良く、例えば、左側領域に設けられる一般入球口63の数を、右側領域に設けられる一般入球口63の数よりも少なくし、且つ、第1入球口64へと球が入球する割合を、右打ち遊技よりも左打ち遊技のほうが高くなるように構成し、左打ち遊技のほうが右打ち遊技よりも賞球を獲得し難いが第1特別図柄抽選を実行し易くし、右打ち遊技のほうが左打ち遊技よりも賞球を獲得し易いが第1特別図柄抽選を実行し難くするように構成しても良い。このように構成した場合には、通常状態中、即ち、第1入球口64へと球を入球させる遊技を実行している間は、遊技者が任意の遊技方法で遊技を行うことができ、第2入球口640へと球を入球させる遊技(時短状態や確変状態中の遊技)においては、左打ち遊技よりも右打ち遊技のほうが遊技者に有利な遊技とすることができる。
図2に戻り、説明を続ける。普通図柄始動口(スルーゲート)67は、可変表示装置ユニット80の左側の領域(左側領域)、及び、可変表示装置ユニット80の右側の領域(右側領域)の何れにも組み付けられており、左側領域のスルーゲート67は、遊技盤13の左側領域を流下する球の1/2が通過可能に構成されている。また、右側領域のスルーゲート67は、遊技盤13の右側領域を流下する球の1/2が通過可能に構成されている。普通図柄始動口(スルーゲート)67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。この第2図柄の当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球の普通図柄始動口(スルーゲート)67の通過回数は、合計で最大1回まで保留され、その保留球数が上述した第2図柄保留ランプ84において表示される。第2図柄保留ランプ84は、最大保留数分の1つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本制御例のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37a,37b及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の球の通過に対する最大保留球数は1回に限定されるものでなく、2回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の左方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の右方でも良い。また、本制御例では、左打ち遊技によって遊技盤13の左側領域を流下する球の殆どがスルーゲート67を通過するように構成しているが、これに限ること無く、一部の球のみがスルーゲート67を通過するように構成しても良い。
図2に戻り説明を続ける。可変表示装置ユニット80の下方(電動役物640の下方)には、左打ち遊技によって発射され左側領域を流下する球も、右打ち遊技によって発射され右側領域を流下する球も入賞し得るように、開口幅が約50ミリの可変入賞装置65が配設されている。このように、広い開口幅を有する可変入賞装置65を設けることにより、左打ち遊技によって電動役物640の左側を流下した球も、右打ち遊技によって電動役物640の右側を流下した球も可変入賞装置65へと入賞させることができる。
ここで、図120を参照して、可変入賞装置65の具体的な構成について説明をする。図120(a)は、可変入賞装置65の構造を模式的に示した模式図であり、図120(b)は、可変入賞装置65に入賞した球の流下経路を模式的に示した模式図である。図120(a)に示した通り、可変入賞装置65の内部には、案内部材65dが設けられており、開状態である開閉扉65b上を流下し特定入賞口65aに入賞した球が左右方向へと流下するように構成されている。
具体的には、左側領域を流下し、可変入賞装置65の左側から特定入賞口65aに入賞した球は、案内部材65dの左側斜面上の左案内流路65d1を流下し、第1開口部65a1へと誘導される。また、右側領域を流下し、可変入賞装置65の右側から特定入賞口65aに入賞した球は、案内部材65dの右側斜面上の右案内流路65d2を流下し、第2開口部65a2へと誘導される。
そして、第1開口部65a1或いは第2開口部65a2の下方には、可変入賞装置65に入賞した球を検知するための球検知センサ(65s1,65s2)が設けられており、この球検知センサが球を検知した場合に、賞球として15個の球を払い出すための払出制御が実行される。このように、左側領域を流下し可変入賞装置65へと入賞した球が通過し得る開口部(第1開口部65a1)と、右側領域を流下し可変入賞装置65へと入賞した球が通過し得る開口部(第2開口部65b1)と、を設け、各開口部に対して球検知センサを設けることにより、遊技者が大当たり遊技中に左打ち遊技を行っても、右打ち遊技を行っても、差の無い遊技を実行させることができる。
次に、図120(b)を参照して、特定入賞口65aに入賞した球の球流れについて説明する。図120(b)に示した通り、第1開口部65a1を通過した球は、第1球検知センサ65s1を通過し、誘導路65e上の第1流路65e1、第2流路65e2を流下し、切替弁65yの切替状態に応じて第3流路65e3、或いは第4流路65e4の何れかを流下する。
第3流路65e3の下流端には排出口65h1が設けられており、第3流路65e3を流下した球は、排出口65hに入球し、パチンコ機10の外部へと排出される。なお、図示はしていないが排出口65h1に入球した球が流下する排出路には球検知センサが設けられており、排出口65h1に入球した球数をカウント可能に構成されている。
第4流路65e4には特定領域(Vゲート)65vが設けられており、下流端には特定領域(Vゲート)65vを通過した球が入球する排出口65h2が設けられている。特定領域(Vゲート)には、通過した球を検知するための検知センサが設けられており、大当たり遊技中の所定期間内に特定領域(Vゲート)65vを球が通過したことを検知した場合にその検知結果を記憶しておき、大当たり遊技が終了する場合に、記憶結果を参照して大当たり遊技終了後の遊技状態が設定されるように構成している。
ここで、大当たり遊技中における切替弁65yの動作内容について説明をする。切替弁65yは図示しないVソレノイド209a(図137参照)を駆動源とする可変部材であって、Vソレノイド209aが通電していない状態(オフ状態)では、第2流路65e2を流下した球を第3流路65e3へと流下させるための閉状態(図120(b)参照)を維持し、Vソレノイド209aが通電した状態(オン状態)では、第2流路65e2を流下した球を第4流路65e4へと流下させるための開状態を維持するように構成されている。
このVソレノイド209aは通常オフ状態であり、大当たり遊技中の所定期間のみオン状態となるように駆動制御されている。具体的には、大当たり遊技中に実行される複数回のラウンド遊技のうち、特定のラウンド遊技(1ラウンド目のラウンド遊技)が開始された場合にオン状態となり、特定のラウンド遊技(1ラウンド目のラウンド遊技)が終了した場合、或いは、特定のラウンド遊技の遊技時間が所定時間(例えば、20秒)を経過した場合にオフ状態となるように駆動制御されている。つまり、大当たり遊技中に実行される大当たり制御の一環として切替弁65yが切替動作されるように構成している。
このように構成することで、大当たり遊技が実行されている場合(大当たり制御が実行されている場合)のみ、可変入賞装置65に球を入賞させることができると共に、可変入賞装置65へと入賞した球を特定領域(Vゲート)65vへと流下させることが可能となる。また、特定領域(Vゲート)65vを球が通過したことに基づいて付与される特典(特別図柄の高確率状態の設定)は、大当たり遊技の終了タイミング(大当たり遊技の終了時に実行される処理)にて付与されるように構成しているため、大当たり遊技中以外のタイミングにおいて球を特定領域(Vゲート)65vへ通過させる不正行為が行われたとしても、遊技者に特典が付与されることが無い。
なお、本制御例では、大当たり遊技中に実行される大当たり制御処理において、特定のラウンド遊技が開始されたタイミングに基づいて予め定められた規則に沿って切替弁65yを切り替えるための切替制御を実行するように構成しているが、それ以外の契機に基づいて切替制御を実行するように構成しても良く、例えば、大当たり遊技が開始されたことを切替制御の実行契機としても良いし、大当たり遊技のオープニング期間が終了したことを切替制御の実行契機としても良いし、大当たり遊技中に可変入賞装置65に入賞した球数を計測し、その計測結果が特定数となったことを切替制御の実行契機としても良い。また、可変入賞装置65に入賞した球数が特定数となったことを切替制御の実行契機とする場合には、大当たり遊技全体における球数を判別対象としても良いし、ラウンド遊技単位における球数を判別対象としても良い。このように構成することで、大当たり遊技中のどのタイミングで特定領域(Vゲート)へと球を通過させ易い状態が設定されるのかを遊技者に分かり難くすることができる。
さらに、大当たり遊技が実行される場合に設定されるオープニング期間の長さや、開閉扉65bの開閉パターンを大当たり種別毎に異ならせるように構成しても良い。このように構成することで、大当たり種別に関わらず切替弁65yに対して同一の切替制御を実行するように構成した場合であっても、特定領域(Vゲート)へと球を通過させ易い状態が設定される期間中に球を特定領域(Vゲート)65vへと到達させ易い大当たり遊技と、通過させ難い大当たり遊技と、を実行することができる。
次に、図121を参照して、本制御例におけるパチンコ機10の後面側の構成について説明をする。図121は、本第1制御例におけるパチンコ機10の背面図である。図121に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図21参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図137参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
<第1制御例におけるパチンコ機の遊技の流れについて>
次に、図136を参照して、本制御例における遊技の流れについて説明をする。図136は、第1制御例のパチンコ機10における遊技の流れを模式的に示した模式図である。本制御例のパチンコ機10は、図136に示した通り、遊技状態として、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)と、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)と、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)との3種類の遊技状態を設定可能に構成しており、初期状態(パチンコ機10の出荷時の状態、或いは、RAM消去スイッチ122を操作(押下)した状態で電源を投入した後の状態)では、通常状態が設定されるように構成している。
そして、通常状態中は、第1入球口64に球を入球させることで実行される第1特別図柄抽選を主とした遊技が実行される。特別図柄の低確率状態が設定される通常状態では、特別図柄の大当たり確率が1/200に設定されており、大当たり当選した場合には、大当たり種別として「大当たりA」(選択率1/2)と「大当たりB」(選択率1/2)との何れかが選択される。「大当たりA」が選択された場合には、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vへと球を通過させ易い大当たり遊技(確変大当たり遊技)が実行され、「大当たりB」が選択された場合には、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vへと球を通過させ難い大当たり遊技(通常大当たり遊技)が実行される。
そして、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合には、大当たり遊技終了後に確変状態が設定される。この確変状態は、特別図柄抽選(変動)の実行回数が50回に到達した場合、或いは、大当たり当選した場合に終了条件が成立し、他の遊技状態へと移行する。具体的には、確変状態が設定されている状態で、特別図柄抽選の実行回数が50回に到達した場合には、51回目の特別図柄抽選が実行されるまでに、遊技状態が確変状態から時短状態へと移行される。なお、本制御例では、確変状態から時短状態へと遊技状態を移行させる処理を、50回目の特別図柄抽選に対応する特別図柄変動が停止表示されたタイミングで実行するように構成しているが、51回目の特別図柄抽選が特別図柄の高確率状態が設定されている状態で実行されなければ良く、例えば、50回目の特別図柄抽選を実行した直後(50回目の特別図柄変動の開始時)に遊技状態を移行させても良いし、51回目の特別図柄抽選の実行直前(51回目の特別図柄抽選の実行条件は成立しているが、特別図柄抽選が実行されていないタイミング)に遊技状態を移行させても良い。
確変状態は普通図柄の高確率状態であるため、普通図柄の低確率状態である通常状態よりも普図当たり遊技により電動役物640が開状態となり易く、第2特別図柄抽選を主とした遊技が実行される。特別図柄の高確率状態が設定される確変状態では、特別図柄の大当たり確率が1/50に設定されており、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、大当たり種別として「大当たりC」(選択率3/10)、「大当たりD」(選択率4/10)、「大当たりE」(選択率3/10)の何れかが選択される。
「大当たりC」は、4ラウンドの確変大当たり遊技が実行される大当たり種別であり、「大当たりD」は、7ラウンドの確変大当たり遊技が実行される大当たり種別であり、「大当たりE」は、16ラウンドの確変大当たり遊技が実行される大当たり種別である。つまり、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、必ず、確変大当たり遊技が実行される。よって、確変大当たり遊技の実行確率の点では、第1特別図柄抽選よりも第2特別図柄抽選のほうが遊技者に有利な抽選となる。
また、詳細は、図141を参照して後述するが、本制御例では、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、必ず7ラウンド遊技が実行され、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、平均で8.8ラウンド(4ラウンドが30%、7ラウンドが40%、16ラウンドが30%)のラウンド遊技が実行される。よって、大当たり遊技中に獲得可能な賞球数の平均値の点でも第2特別図柄抽選のほうが第1特別図柄抽選よりも遊技者に有利となる。なお、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、4ラウンド遊技が実行される可能性があるため、大当たり遊技中に獲得し得る賞球数が最も少なくなり得るのは第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合となる。よって、大当たり遊技中に最低限獲得可能な賞球数の点では第1特別図柄抽選のほうが第2特別図柄抽選よりも遊技者に有利となる。
次に、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)について説明をする。通常状態中に実行された第1特別図柄抽選で「大当たりB」に当選した場合、確変状態中に実行された特別図柄抽選の回数が50回を超えた場合、或いは、確変大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)65vへと通過させることができなかった場合には、時短状態が設定される。この時短状態は、前回の大当たり遊技の終了後に実行された特別図柄抽選の回数が100回に到達するまで、或いは、100回に到達するまでに大当たり当選した場合に消滅するように構成している。つまり、大当たり遊技の終了後に時短状態が設定された場合(大当たりBに当選した場合)は、大当たり遊技終了後から特別図柄変動が100回実行されるまでの期間、時短状態が設定される(時短回数100回が設定される)。一方、確変状態に実行される特別図柄抽選の回数が50回を超えた場合には、確変状態終了後に、時短回数が50回設定される。
この時短状態中は、上述した確変状態と同様に普通図柄の高確率状態が設定される遊技状態であることから、電動役物640が開放されやすく、第2特別図柄抽選が主として実行される遊技状態となる。また、時短状態中に実行される特別図柄抽選の抽選確率は、通常状態と同一である。よって、時短状態は、通常状態と比べて第2特別図柄抽選が実行され易く、通常状態と同一の大当たり確率で特別図柄抽選が実行される遊技状態となる。つまり、第2特別図柄抽選の実行のし易さの点から、通常状態よりも遊技者に有利な遊技状態となる。
一方、時短状態は、確変状態よりも低い大当たり確率で特別図柄抽選が実行され、第2特別図柄抽選の実行のし易さは確変状態と同一である。つまり、特別図柄抽選による大当たり当選確率の点から、時短状態は、確変状態よりも遊技者に不利な遊技状態となる。なお、本制御例では、確変状態と時短状態とで、第2特別図柄抽選の実行のし易さが同一となるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、確変状態中に実行される第2特別図柄抽選の変動時間と、時短状態中に実行される第2特別図柄抽選の変動時間と、を異ならせ、例えば、確変状態中のほうが、通常状態中よりも短い変動時間で特別図柄変動を実行可能に構成しても良い。
<第1制御例における電気的構成について>
次に、図137を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図137は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37a,37b及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図138を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。図22は、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等を模式的に示した模式図である。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタ(C3)と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。
また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2と、普通図柄の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図156参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図167参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)からなる第1球口64への入球に対応する第1特別図柄保留球格納エリア203aと、4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)からなる第2入球口640への入球に対応する第2特別図柄保留球格納エリア203bと、が設けられており、第1特別図柄保留球格納エリア203aには、第1入球口64への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、及び変動種別カウンタCS1の各値がそれぞれ格納され、第2特別図柄保留球格納エリア203bには、第2入球口64への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、及び、変動種別カウンタCS1の各値が格納される。
そして、特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに格納されている各種値、或いは、第2特別図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに格納されている各種値のうち、次に抽選が実行される特別図柄種別に対応する特別図柄の情報を有しているを特別図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた特別図柄変動が開始される。
なお、本制御例では、特別図柄の種別が2種類(第1特別図柄、第2特別図柄)の構成を用いているが、これに限ること無く、特別図柄の種別を1種類としても良い。そして、第1特別図柄の始動条件(変動条件)、或いは、第2特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、対応する特別図柄種別の特別図柄保留球格納エリアの保留第1エリアに格納されている各種値を特別図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた特別図柄変動が開始されるように構成すれば良い。このように構成することで、複数の特別図柄種別を用いたパチンコ機10であっても、各々の特別図柄変動を円滑に実行することができる。
さらに、本制御例のように、複数の特別図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄)を有するパチンコ機10であれば、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とを同時に(並行して)実行可能に構成しても良く、この場合、各特別図柄保留球格納エリア(第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b)がそれぞれ特別図柄実行エリアを有するように構成すれば良い。これにより、各特別図柄の始動条件が成立した場合に、速やかに次の特別図柄変動を実行させることができる。
また、本制御例では、特別図柄の抽選結果が大当たりと外れのみとなるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、特別図柄の抽選結果が外れである場合の一部において、大当たり当選時よりも少ない特典(大当たり当選時とは異なる特典)を遊技者に付与可能な小当たりに当選し得るように構成しても良い。このように構成することで、大当たり当選しなかった場合であっても、遊技者に特典を付与する機会を設けることができるため、遊技の興趣を向上させることができる。この場合、主制御装置110のRAM203内に、小当たり種別カウンタを設け、取得した小当たり種別カウンタの値を特別図柄保留球格納エリアに格納可能に構成し、特別図柄の抽選を実行する場合に参照するように構成すれば良い。
加えて、特別図柄抽選で小当たり当選可能に構成した場合には、例えば、大当たり当選に基づく遊技状態の移行内容と、小当たり当選に基づく遊技状態の移行内容と、を異ならせるように構成しても良く、例えば、大当たり当選した場合は、大当たり遊技の開始時に遊技状態を通常状態へと移行させ、さらに、設定された大当たり種別に基づいて、大当たり遊技終了後に新たな遊技状態を設定可能に構成し、小当たり当選した場合は、小当たり当選時の遊技状態を維持したまま小当たり遊技を実行し、その小当たり遊技終了後も遊技状態を移行させないように構成しても良い。
このように構成することで、当選した当たり種別(大当たり、小当たり)に応じて、遊技状態の移行の有無や、移行内容を異ならせることができるため、バリエーションに富んだ遊技を提供することができる。
さらに、本実施形態のRAM203には、4つの保留エリア(保留第1エリア)からなるスルーゲート67への入球(球の通過)に対応する普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、普通図柄保留球格納エリア203bには、スルーゲート67への入球タイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4、及び普図変動種別カウンタCS2の各値がそれぞれ格納される。
そして、普通図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに格納されている各種値を普通図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた普通図柄変動が開始される。
次に、図138を参照して、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜999)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜999の値を取り得るカウンタの場合は999)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図39参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図167参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入球したタイミングでRAM203の第1特別図柄保留球格納エリア203aに、第2入球口640に入球したタイミングでRAM203の第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202aによって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。
ここで、図140(a)を参照して、第1当たり乱数テーブル202aについて説明する。図140(a)は、第1当たり乱数テーブル202aに規定されている内容を模式的に示した模式図である。この第1当たり乱数テーブル202aは、特別図柄の抽選において、大当たりと判別される乱数値(判定値)が規定されたテーブルである。
具体的には、第1当たり乱数テーブル202aには、大当たりと判定される判定値を遊技状態(特別図柄の確率状態)に応じて異ならせて規定している。図140(a)に示した通り、遊技状態として特別図柄の低確率状態(通常状態、時短状態)に対しては、第1当たり乱数カウンタC1の値のうち「0〜4」が大当たり判定値として規定されており、それ以外の値(「5〜999」)が外れの判定値として規定されている。また、遊技状態として特別図柄の高確率状態(確変状態)に対しては、第1当たり乱数カウンタC1の値のうち「0〜19」が大当たり判定値として規定されており、それ以外の値(「20〜999」)が外れの判定値として規定されている。つまり、第1当たり乱数テーブル202aの更新範囲は「0〜999」の1000個であるため、特別図柄の低確率状態において、大当たりと判定される確率は1/200(1000個のうち5個)となり、特別図柄の高確率状態において、大当たりと判定される確率は1/50(1000個のうち20個)となる。
なお、本制御例では、2種類の大当たり確率が遊技状態に応じて設定されるように構成しているが、これに限ること無く、大当たりに当選する確率を遊技状態に関わらず同一の確率となるように構成しても良いし、3種類以上の大当たり確率が設定されるように構成しても良い。この場合、例えば、特別図柄の状態と、普通図柄の状態と、を組み合わせることによって設定される最大で4種類の遊技状態毎に特別図柄の大当たり確率を異ならせるように構成しても良いし、単純に、特別図柄の状態を高確率状態、通常確率状態、低確率状態のように3種類以上設定可能にし、各状態に対して異なる大当たり確率を設定するように構成しても良い。
また、本制御例では、特別図柄の抽選結果として、「大当たり」と「外れ」の2種類の抽選結果が判定されるように構成しているが、これに加えて、第3の抽選結果として、「外れ」の1種として「小当たり」を判定可能に構成しても良い。この「小当たり」に当選した場合には、可変入賞装置65を「大当たり」よりも短い期間(1ラウンド分)開放させる小当たり遊技が実行されるように構成すると良い。このように構成することで、大当たり当選しなかった場合において、少量の特典(賞球)を遊技者に付与することができる。なお、「小当たり」を「外れ」の1種とする場合には、遊技者に対して小当たり遊技による賞球を付与可能であるが、大当たり当選していないため、遊技状態を可変させる(当選時の遊技状態とは異なる遊技状態を設定する)処理が実行されないように構成すると良い。これにより、大当たり当選に基づいて遊技者に付与される特典と、小当たり当選に基づいて遊技者に付与される特典と、を明確に異ならせることができる。
上述した通り、特別図柄の抽選結果として「小当たり」に当選し得るように構成する場合は、第1当たり乱数テーブル202aに「小当たり」に対応する第1当たり乱数カウンタC1の値を規定するように構成すれば良い。このように構成することで、特別図柄の大当たり抽選と小当たり抽選と、を同一の処理で実行することができるため、大当たり抽選と小当たり抽選とを異なる処理で実行する場合に比べ、主制御装置110の処理負荷を軽減することができる。また、1つの特別図柄抽選において、大当たりと小当たりとに重複して当選してしまうことを禁止することができる。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64へと入球したタイミングでRAM203の第1特別図柄保留球格納エリア203aに、第2入球口640へと入球したタイミングでRAM203の第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納される。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。本実施形態では取得した第1当たり種別カウンタC2の値を用いて、第1当たり種別選択テーブル202cを参照して大当たりに当選した場合の大当たり種別を判別するように構成している。ここで、図141を参照して大当たり種別選択テーブル202dの内容について説明をする。
図141(a)は、大当たり種別選択テーブル202dに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図141(a)に示した通り、この大当たり種別選択テーブル202dは、第1特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に参照される特図1大当たり用テーブル202d1と、第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に参照される特図2大当たり用テーブル202d2と、を有している。
まず、図141(b)を参照して、特図1大当たり用テーブル202d1の内容について説明をする。図141(b)は、特図1大当たり用テーブル202d1に規定されている内容を示した模式図である。上述した通り、この特図1大当たり用テーブル202d1は、第1特別図柄の抽選で大当たり当選した場合に設定する大当たり種別を選択するためのデータテーブルであって、取得した第1当たり種別カウンタC2の値に応じて異なる大当たり種別が規定されているものである。
具体的には、第1特別図柄(特図1)の大当たり種別としては、第1当たり種別カウンタC2の値(更新範囲「0〜99」)が「0〜49」の範囲に対して、大当たり種別として「大当たりA」が対応付けて規定されている。この「大当たりA」は、大当たりのラウンド数が7ラウンドであり、確変大当たり遊技が実行される大当たり種別であって、大当たり遊技終了後に時短カウンタ203hの値に「100」が、確変カウンタ203iの値に「50」が設定される大当たり種別である。なお、確変大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート)65vを球が流下(通過)しなかった場合は(非V時は)、大当たり遊技終了後に確変カウンタ203jaの値に「0」が設定される。さらに、「大当たりA」では、大当たり遊技のエンディング期間として「17秒」が設定されるように規定している。
特別当たり種別カウンタC2の取り得る100個の乱数値(カウンタ値)のうち、「大当たりA」に対応付けられている乱数値(カウンタ値)が50個であるので、第1特別図柄の抽選で大当たりになった場合に、「大当たりA」が決定される割合は50%(50/100)である。
また、図241(b)に示した通り、第1当たり種別カウンタC2の値が「50〜99」の範囲に対して、大当たり種別として「大当たりB」が対応付けて規定されている。この「大当たりB」は、大当たりのラウンド数が7ラウンドであり、通常大当たり遊技が実行される大当たり種別であって、大当たり遊技終了後に時短カウンタ203hの値に「100」が、確変カウンタ203jaの値に「0」が設定される大当たり種別である。さらに、「大当たりB」では、大当たり遊技のエンディング期間として「15秒」が設定されるように規定している。
第1当たり種別カウンタC2の取り得る100個の乱数値(カウンタ値)のうち、「大当たりB」に対応付けられている乱数値(カウンタ値)が50個であるので、第1特別図柄の抽選で大当たりになった場合に、「大当たりB」が決定される割合は50%(50/100)である。
即ち、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合に設定され得る2個の大当たり種別(大当たりA、大当たりB)は、大当たり遊技のラウンド数は同一であるが、大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート)65vへの球の通過のさせ易さを異ならせており、「大当たりA」のほうが「大当たりB」よりも大当たり遊技中に球を特定ゲートへと流下させ易い大当たり遊技が実行されるように構成している。よって、「大当たりA」は、「大当たりB」よりも有利な大当たり種別となる。
次に、図241(c)を参照して、特図2大当たり用テーブル202d2に規定されている内容について説明をする。図241(c)は、特図2大当たり用テーブル202d2に規定されている内容を模式的に示した模式図である。この特図2大当たり用テーブル202d2は、第2特別図柄抽選で大当たり当選し、大当たり種別を選択する際に参照されるデータテーブルである。
図241(c)に示した通り、本第1制御例における特図2大当たり用テーブル202d2には、第2特別図柄(特図2)の大当たり種別として、「大当たりC」〜「大当たりE」の3個の大当たり種別が規定されている。
具体的には、第2特別図柄(特図2)の大当たり種別として、特別当たり種別カウンタC2の値が「0〜29」の範囲に対して、大当たり種別として「大当たりC」が対応付けて規定されている。この「大当たりC」は、大当たりのラウンド数が4ラウンドであり、確変大当たり遊技が実行される大当たり種別であって、大当たり遊技終了後に時短カウンタ203hの値に「100」が、確変カウンタ203iの値に「50」が設定される大当たり種別である。なお、確変大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート)65vを球が流下(通過)しなかった場合は(非V時は)、大当たり遊技終了後に確変カウンタ203iの値に「0」が設定される。さらに、「大当たりC」では、大当たり遊技のエンディング期間として「17秒」が設定されるように規定している。
特別当たり種別カウンタC2の取り得る100個の乱数値(カウンタ値)のうち、「大当たりC」に対応付けられている乱数値(カウンタ値)が30個であるので、第2特別図柄の抽選で大当たりになった場合に、「大当たりC」が決定される割合は30%(30/100)である。
また、図241(c)に示した通り、第1当たり種別カウンタC2の値が「30〜69」の範囲に対して、大当たり種別として「大当たりD」が対応付けて規定されている。この「大当たりD」は、大当たりのラウンド数が7ラウンドであり、確変大当たり遊技が実行される大当たり種別であって、大当たり遊技終了後に時短カウンタ203hの値に「100」が、確変カウンタ203iの値に「50」が設定される大当たり種別である。なお、確変大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート)65vを球が流下(通過)しなかった場合は(非V時は)、大当たり遊技終了後に確変カウンタ203iの値に「0」が設定される。さらに、「大当たりD」では、大当たり遊技のエンディング期間として「17秒」が設定されるように規定している。
第1当たり種別カウンタC2の取り得る100個の乱数値(カウンタ値)のうち、「大当たりD」に対応付けられている乱数値(カウンタ値)が40個であるので、第2特別図柄の抽選で大当たりになった場合に、「大当たりC」が決定される割合は40%(40/100)である。
また、図241(c)に示した通り、第1当たり種別カウンタC2の値が「70〜99」の範囲に対して、大当たり種別として「大当たりE」が対応付けて規定されている。この「大当たりE」は、大当たりのラウンド数が16ラウンドであり、確変大当たり遊技が実行される大当たり種別であって、大当たり遊技終了後に時短カウンタ203hの値に「100」が、確変カウンタ203iの値に「50」が設定される大当たり種別である。なお、確変大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート)65vを球が流下(通過)しなかった場合は(非V時は)、大当たり遊技終了後に確変カウンタ203iの値に「0」が設定される。さらに、「大当たりE」では、大当たり遊技のエンディング期間として「17秒」が設定されるように規定している。
第1当たり種別カウンタC2の取り得る100個の乱数値(カウンタ値)のうち、「大当たりE」に対応付けられている乱数値(カウンタ値)が30個であるので、第2特別図柄の抽選で大当たりになった場合に、「大当たりE」が決定される割合は30%(30/100)である。
即ち、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合に設定され得る3個の大当たり種別(大当たりC、大当たりD、大当たりE)は、何れも確変大当たり遊技が実行されるが、大当たり遊技のラウンド数を異ならせており、最も多くのラウンド遊技が実行される「大当たりE」が最も遊技者に有利な大当たり種別となり、「大当たりA」が最も遊技者に不利な大当たり種別となる。
以上、説明をした通り、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、必ず確変大当たり遊技が実行されるため、50%の割合で確変大当たり遊技が実行される第1特別図柄抽選よりも、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態の面では、有利な大当たり種別となる。また、大当たり遊技中に実行されるラウンド遊技の数、即ち、大当たり遊技中に獲得可能な賞球数の面では、獲得し得る最大数は第2特別図柄抽選のほうが多く、獲得し得る最低数も第2特別図柄抽選のほうが少なくなるように規定している。また、平均的に獲得可能な賞球数では、第2特別図柄抽選のほうが多くなるように規定している。
よって、最低の条件において獲得可能な賞球数の面では、第1特別図柄抽選のほうが有利となり、それ以外の面では第2特別図柄抽選のほうが有利となる。なお、本制御例では、図241に示した大当たり種別を規定しているが、これに限ること無く、上述した各制御例にて設定され得る各大当たり種別と同一の技術思想に基づいて様々な大当たり種別を設定可能に構成しても良い。
なお、本制御例では、第1特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、全ての大当たりで同一のラウンド数の大当たり遊技が実行されるように構成しているが、これに限ることなく、選択された大当たり種別に応じて異なる数のラウンド遊技を実行可能に構成しても良い。また、本制御例では、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、全ての大当たりで大当たり遊技終了後に時短状態を同一期間(時短回数100回)設定するように構成しているが、これに限ること無く、大当たり当選の一部(設定される大当たり種別の一部)にて時短状態が設定されないように構成しても良いし、大当たり種別に応じて時短回数(時短終了条件)を異ならせるように構成しても良い。さらに、選択される大当たり種別に応じて大当たり遊技終了時に時短状態が設定される大当たり種別と、通常状態が設定される大当たり種別と、を設けても良い。
図138に戻り説明を続ける。動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆる短時間外れ、長時間外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様(変動時間)が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図167参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターン選択テーブル202d(図142参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
ここで、図142を参照して変動パターン選択テーブル202bの内容について説明をする。図142(a)は変動パターン選択テーブル202bに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図142(a)に示した通り、変動パターン選択テーブル202bには、遊技状態として通常状態を設定している状態で用いられる通常用テーブル202b1と、確変状態、或いは時短状態を設定している状態で用いられる確変・時短用テーブル202b2と、が規定されている。詳細については後述するが、本制御例では遊技状態に応じて変動パターンを選択するために用いるデータテーブルを異ならせているため、遊技状態に応じて選択される変動パターン(変動時間)を異ならせることができる。
次に、変動パターン選択テーブル202bに規定されている各テーブルの詳細な内容について、図142(b)及び図143を参照して説明をする。図142(b)は通常用テーブル202b1に規定されている内容を模式図に示した模式図である。この通常用テーブル202b1は、遊技状態として通常状態が設定されている場合に参照されるデータテーブルであって、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合のほうが、外れである場合よりも長い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように規定しており、抽選が実行された特別図柄の種別と、実行された特別図柄抽選の結果に応じて異なる変動パターンが規定されている。
まず、図142(b)を参照して、通常用テーブル202b1について説明する。図142(b)は、この通常用テーブル202b1の規定内容を示した図である。この通常用テーブル202b1には、特別図柄の抽選結果に対応させて、各種変動パターンがそれぞれ規定されており、その変動パターンのそれぞれに対して、変動種別カウンタCS1の値が割り付けされている。具体的には、特別図柄の種別(図柄種別)が第1特別図柄(特図1)で、当否判定結果が大当たりであって、取得した変動種別選択カウンタCS1の値が「0〜19」の場合は、変動パターンとして変動時間が33秒〜42秒のノーマル(リーチ)が規定されている。このノーマルが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間が30秒間、加算時間が3秒〜12秒の何れかを示す組合せのコマンドが出力される。詳細な説明は省略するが、本制御例では、取得した変動種別カウンタCS1の値に応じて加算時間が0.5秒単位でより詳細に設定されるように構成しており、例えば、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0」である場合には加算時間が「3秒」、「1」である場合には加算時間が「3.5秒」、「2」である場合には加算時間が「4秒」、「3」である場合には加算時間が「4.5秒」、「3」である場合には加算時間が「5秒」、「4」である場合には加算時間が「5.5秒」、「5」である場合には加算時間が「6秒」、「6」である場合には加算時間が「6.5秒」、「7」である場合には加算時間が「7秒」、「8」である場合には加算時間が「7.5秒」、「9〜11」である場合には加算時間が「8秒」、「12」である場合には加算時間が「8.5秒」、「13」である場合には加算時間が「9秒」、「14」である場合には加算時間が「9.5秒」、「15」である場合には加算時間が「10秒」、「16」である場合には加算時間が「10.5秒」、「17」である場合には加算時間が「11秒」、「18」である場合には加算時間が「11.5秒」、「19」である場合には加算時間が「12秒」となるように規定されている。
そして選択された基本時間(30秒)を示すコマンド(基本コマンド)と、加算時間を示すコマンド(加算コマンド)と、が音声ランプ制御装置113に対して通知された場合には、基本コマンドに含まれる情報に基づいて変動パターン(ノーマルリーチ)を設定し、加算コマンドに含まれる情報に基づいてリーチ図柄(第3図柄の種別)を設定するように構成している。これにより、リーチ状態となった場合に最初に遊技者が視認可能となる中図柄列Z2の第3図柄の種別を、常に特定の第3図柄(本制御例では数字の1を付した第3図柄)となるように構成したとしても、変動演出が実行されてからリーチ状態となるまでの期間を可変させること無く、様々な第3図柄の種別でリーチ演出を実行することができる。
また、取得した変動種別選択カウンタCS1の値が「20〜169」の場合は、変動パターンとして変動時間が43秒〜52秒のスーパー(リーチ)が規定されている。このスーパーが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間が30秒間、加算時間が13秒〜22秒の何れかを示す組合せのコマンドが出力される。本制御例では、取得した変動種別カウンタCS1の値に応じて加算時間が0.5秒単位でより詳細に設定されるように構成しており、その内容は上述したノーマルのパターンと同一であるため詳細な説明を省略する。
ここで、本制御例では、加算コマンドに含まれる情報(秒数)に応じて、リーチ演出の演出態様を可変可能に構成しており、具体的には、加算コマンドに含まれる秒数が「3秒〜12秒」の場合は、ノーマルリーチ演出(中図柄列Z2が1周程度変動した後に停止表示される演出)が、「13秒〜22秒」の場合は、スーパーリーチ演出(中図柄列Z2が2周程度変動した後に停止表示される演出)が実行されるように構成している。
このように構成することで、例えば、最初の所定期間中は同一の演出態様で変動演出が実行され、その後、演出態様が分岐する変動演出を実行する場合において、同一の演出態様が実行される期間を基本コマンド(基本時間を示す情報が含まれるコマンド)に基づいて設定し、分岐後の変動演出を加算コマンド(加算時間を示す情報が含まれるコマンド)に基づいて設定することが可能となる。よって、例えば、全体の変動時間が同一の場合であっても、その変動時間のうち、基本時間が占める割合、加算時間が示す割合を変更するだけで、音声ランプ制御装置113側で容易に異なる変動演出を設定することができる。
なお、本制御例では、ノーマルリーチが実行される場合の基本時間(30秒)と、スーパーリーチが実行される場合の基本時間(30秒)と、を同一にし、加算時間として設定された変動時間の長さに応じて、リーチ演出の演出態様を可変させるように構成しているが、これに限ること無く、ノーマルリーチ用の基本時間を30秒、スーパーリーチ用の基本時間を40秒に規定し、第3図柄の種別を決定するためだけに加算時間を「3〜12秒」の範囲から選択するように構成しても良い。
次いで、取得した変動種別選択カウンタCS1の値が「170〜198」の場合は、変動パターンとして変動時間が90秒のSP(リーチ)が規定されている。このSPが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間が55秒間、加算時間が35秒を示す組合せのコマンドが出力される。ここで、SPが決定された場合には、一旦リーチ状態となった第3図柄の変動演出が別の変動演出へと切り替わる演出が実行されるため、リーチ状態となった場合に最初に遊技者が視認可能となる中図柄列Z2の第3図柄の種別を、常に特定の第3図柄(本制御例では数字の1を付した第3図柄)となるように構成したとしても、遊技者に違和感を与えること無く、変動の途中で中図柄列Z2の第3図柄の表示順序を最終的に停止させる第3図柄に対応させて変更させることができるため、上述したノーマル、スーパーのように、加算時間を可変させてリーチ状態となる第3図柄の種別を設定する必要が無い。
また、図柄種別が特図1で、当否判定結果が外れの場合についても同様に、取得した変動種別選択カウンタCS1の値が「0〜179」の場合は、変動パターンとして変動時間が8秒の外れが規定されている。この外れが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間8秒、加算時間0秒を示す組合せのコマンドが出力される。ここで、外れが決定された場合には、第3図柄の変動演出として、リーチ状態にならずに外れを示す組合せで第3図柄が停止表示される変動演出が実行される。よって、加算時間を設定する必要が無い。
また、取得した変動種別選択カウンタCS1の値が「180〜198」の場合は、変動パターンとして変動時間が33秒〜52秒のリーチ外れが規定されている。このリーチ外れが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間が30秒間、加算時間が3秒〜22秒の何れかを示す組合せのコマンドが出力される。本制御例では、取得した変動種別カウンタCS1の値に応じて加算時間が0.5秒単位でより詳細に設定されるように構成しており、その内容は上述したノーマルのパターンと同一であるため詳細な説明を省略する。つまり、抽選結果が外れである場合にも、抽選結果が当たりである場合と同様の変動パターンコマンドが設定されるように構成している。なお、抽選結果が外れである場合には、最終的に停止表示される第3図柄が大当たりとなる組合せ以外となるように停止表示される第3図柄の種別を設定する必要があるため、音声ランプ制御装置113側では、当たり当選している場合に参照される加算コマンドに基づく第3図柄種別の設定内容から1つずらした第3図柄が設定されるように補正処理が実行される。これにより、リーチ外れ演出が実行されると、大当たりの組合せとなる第3図柄の近辺で第3図柄が停止表示(外れ停止表示)される演出態様を容易に設定することができる。
一方、特別図柄の種別(図柄種別)が第2特別図柄(特図2)である場合は、当否判定結果が大当たりであって、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜99」の場合は、変動パターンとして変動時間が40秒の特殊リーチが規定されている。この特殊リーチが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間が10秒間、加算時間が30秒を示す組合せのコマンドが出力される。また、取得した変動種別選択カウンタCS1の値が「100〜198」の場合は、変動パターンとして変動時間が10秒の特殊リーチが規定されている。この特殊リーチが決定されると、変動パターンコマンドとして、基本時間が10秒間、加算時間が0秒を示す組合せのコマンドが出力される。
ここで、本制御例では、通常状態が設定されている状態で第2特別図柄抽選が実行されると、図124(b)から図126を参照して上述したように、チャンスゾーン中の変動演出が実行されるように構成している。そして、音声ランプ制御装置113に対して基本時間(10秒)を示すコマンド(基本コマンド)と、加算時間(30秒)を示すコマンド(加算コマンド)が通知された場合には、基本コマンドに含まれる情報に基づいて変動パターン(特殊変動)を設定し、加算コマンドに含まれる情報に基づいて特殊リーチを設定するように構成している。より具体的には、通常状態が設定されている状態で第2特別図柄の変動パターンコマンドとして基本時間10秒を示す基本コマンドが通知された場合には、図124(b)に示した通り、上下方向に第3図柄が変動する特殊変動演出の演出態様が設定される。そして、基本時間の経過タイミングにて図125(a)に示したように第3図柄を停止表示(仮停止表示)させる演出態様が設定される。そして、加算時間0秒を示す加算コマンドを受信している場合は(変動パターンが特殊外れである場合は)、そのまま第3図柄を確定表示し変動演出を終了する。
一方、加算時間30秒を示す加算コマンドを受信している場合は(変動パターンが特殊リーチである場合は)、図125(b)や図126に示したように、仮停止している第3図柄が再始動する変動演出が設定される。
次に、図143を参照して、確変・時短用テーブル202b2の内容について説明をする。図143は、確変・時短用テーブル202b2に規定されている内容を模式的に示した模式図である。この確変・時短用テーブル202b2は、確変状態、或いは時短状態が設定されている場合において変動パターンを選択する際に参照されるデータテーブルであって、特別図柄の種別と、変動回数(大当たり遊技終了後からの特別図柄変動回数)と、特別図柄の抽選結果と、取得した変動種別カウンタCS1の値と、に応じて異なる変動パターンが選択されるように各変動パターンが規定されている。
ここで、本制御例では、大当たり遊技終了後には必ず普通図柄の高確率状態(確変状態、又は時短状態)が設定されるように構成されている。そして、設定された普通図柄の高確率状態が、時短終了条件が成立するまで継続するように構成している。本制御例では、時短終了条件として、普通図柄の高確率状態が設定されてからの特別図柄変動の実行回数が100回に到達した場合に成立する第1時短終了条件と、普通図柄の高確率状態が設定されている状態で実行された特別図柄抽選にて大当たり当選した場合に成立する第2時短終了条件と、を設けており、何れかの時短終了条件が成立した場合に、普通図柄の高確率状態から普通図柄の低確率状態へと移行するように構成している。
この普通図柄の高確率状態(確変状態、時短状態)中は、普通図柄の低確率状態(通常状態)よりも短い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように設定されている。よって、単位時間当たりに実行され得る特別図柄抽選の回数を増加させることができるため、遊技者に対して効率の良い遊技(特別図柄の抽選遊技)を提供することができる。
具体的には、図143に示した通り、普通図柄の高確率状態が設定されてからの特別図柄変動回数が「1回〜20回」の期間は、特別図柄の種別、特別図柄抽選の結果、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が「5秒」の変動パターン(短変動)が選択されるように規定している。つまり、普通図柄の高確率状態が設定されてからの所定期間(特別図柄変動が20回実行されるまでの期間)は、他の期間よりも短い変動時間で特別図柄抽選が実行される高速変動期間(第1期間)となる。この高速変動期間を設定することで、大当たり遊技の終了後に短期間で次の大当たり遊技を実行させ易くすることができるため、遊技者に対して、一の大当たり遊技に関連して次の大当たり遊技が実行されたのではと思わせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。また、この高速変動期間中は、変動時間が「5秒」の変動パターンが常に選択されるため、複数回の特別図柄抽選を跨ぐ演出(連続演出)の演出期間を設定し易くすることができる。
加えて、通常状態(普通図柄の低確率状態)が設定されている状態で大当たり当選した場合には、その大当たり当選に基づいて実行される大当たり遊技の終了時点では第2特別図柄の保留球(特図2保留球)を獲得していない可能性が高いため、獲得済みの第1特別図柄の保留球(特図1保留球)を用いた特別図柄抽選(特図1抽選)が実行され易く、確変状態、或いは時短状態(普通図柄の高確率状態)が設定されている常態で大当たり当選した場合には、その大当たり当選に基づいて実行される大当たり遊技の終了時点にて、特図2保留球を獲得している可能性が高いため、特図2保留球を用いた特別図柄抽選(特図2抽選)が実行され易くなる。
このように、普通図柄の高確率状態が設定された直後では、何れの図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄)の特別図柄抽選も実行され得るため、図143に示した通り、普通図柄の高確率状態が設定されてからの所定期間(特別図柄変動が20回実行されるまでの期間)は、図柄種別に関わらず同一の変動パターンが選択されるように構成している。これにより、何れの図柄種別の特別図柄抽選が実行された場合であっても同一の特別図柄変動を実行することができ、複数回の特別図柄抽選を跨ぐ演出(連続演出)の演出期間を設定し易くすることができる。
なお、本制御例は、図119を参照して上述した通り、左打ち遊技によって発射された球も、右打ち遊技によって発射された球も、普通図柄の高確率状態が設定されている場合には、第2入球口640へと2球に1球の割合で到達するように構成しているため、普通図柄の高確率状態中に球を発射させる遊技を継続して実行するだけで、特別図柄抽選を途切れること無く実行することができるように構成している。よって、普通図柄の高確率状態が設定された場合に、高速変動期間が終了するまでの期間、即ち、20回目の特別図柄変動が終了するまでの期間(5秒×20回)となる100秒を高速変動期間として予め設定しておき、20回の特別図柄抽選を跨ぐ連続演出として、100秒間の連続演出を容易に実行することができる。この場合、高速変動期間中に大当たり当選した場合にのみ、既に設定されている連続演出の演出態様を切り替える切替処理を実行すれば良く、高速変動期間中における演出を実行するための処理を簡素化することができる。
また、高速変動期間中において設定された100秒間の連続演出を一時的に停止するか否かの判別を行う判別手段を設け、例えば、実行中の特別図柄変動が停止表示されてから、次の特別図柄変動が実行されるまでの期間が所定期間(例えば、1秒)以上であると判別した場合、即ち、特別図柄変動が途切れたと判別した場合には、実行中の連続演出を一時的に停止させる処理を実行するように構成しても良い。これにより、高速変動期間中に遊技者が離席した場合であっても連続演出のみ先に進行してしまうことを抑制することができる。加えて、遊技者が操作可能な操作手段(例えば、枠ボタン22)を設け、その操作手段に対して所定の操作を実行した場合に、実行中の連続演出を一時的に停止させる処理を実行するように構成しても良い。
なお、本制御例では、高速変動期間中に選択される変動パターン(変動時間)として、同一の変動時間(5秒)が選択されるように構成しているが、これに限ること無く、5秒以外の変動時間が設定される変動パターンが選択されるように構成しても良い。この場合、特別図柄抽選の結果が大当たり当選している場合のほうが、大当たり当選していない場合よりも5秒以上の変動時間が設定され易くすると良い。このように構成することで、予め設定されていた100秒間の連続演出の演出態様を切り替えてから大当たり当選を示す特別図柄が停止表示されるまでの期間を長くし易くすることができるため、遊技者が抽選結果を十分に把握可能な演出態様で大当たり当選を報知することができ、演出効果を高めることができる。
また、高速変動期間として想定される時間(100秒)に対して、一括で連続演出の演出態様を設定するのでは無く、高速変動期間(100秒)を複数の期間に区分けし、例えば、第1高速変動期間(50秒)中に実行する第1連続演出を高速変動期間(第1高速変動期間)の開始タイミングで設定し、第2高速変動期間(50秒)中に実行する第2連続演出を、第2高速変動期間の開始タイミングで設定するように構成しても良い。このように構成することで、例えば、高速変動期間の前半で大当たり当選した場合に実行されない演出態様(連続演出の後半期間の演出態様)を予め設定する事態が発生することを抑制することができる。
さらに、高速変動期間の全期間に対して連続演出を実行する必要は無く、高速変動期間のうち特定の第1期間(例えば、高速変動期間中に実行される特別図柄変動(計20回)のうち、10回目から20回目の変動期間)のみ連続演出を実行するように構成しても良い。
図143に戻り説明を続ける。特別図柄の種別(図柄種別)が第1特別図柄(特図1)で、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「21回〜49回(第2期間)」であって、抽選結果(特別図柄の抽選結果)が「当たり」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」、即ち、全範囲において、変動時間が「30秒」の変動パターン(当たり)が選択されるように規定しており、抽選結果が「外れ」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜179」の範囲に対して変動時間が「30秒」の変動パターン(長外れ)が選択され、「180〜198」の範囲に対して変動時間が「5秒」の変動パターン(短外れ)が選択されるように規定している。
本制御例では、普通図柄の高確率状態(確変状態、時短状態)が設定されている場合には、主として第2特別図柄抽選が実行されるように構成されており、普通図柄の高確率状態が設定されてから21回以上の特別図柄変動が実行されている第2期間中は、継続して遊技を行っている限り第2特別図柄抽選が実行され易く構成されている。しかしながら、図119にて上述した通り、本制御例のパチンコ機10は、左打ち遊技を行っても、右打ち遊技を行っても第1入球口64、及び第2入球口640へと球を入球させることが可能な遊技盤13の構成を有しているため、例えば、確変状態、或いは時短状態中に遊技を中断した場合は、遊技再開後に第1特別図柄抽選が実行される場合がある。
上述した通り、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合は、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合とは異なり、通常大当たり遊技が実行される可能性(大当たり当選の50%)があり、第2特別図柄抽選が主として実行される遊技状態(確変状態、時短状態)にて、第1特別図柄抽選で通常大当たり遊技が実行される大当たりに当選した場合には、大当たり当選した中では遊技者に不利な抽選結果となる。また、本制御例では、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される変動演出(第3図柄を用いた変動演出)にて、大当たり当選の有無に加え、大当たり種別も遊技者に示唆可能に構成しており、例えば、奇数の数字が付されている主図柄szが大当たり当選を示す組合せで停止表示された場合には、確変大当たり遊技が実行される大当たり当選を示唆し、偶数の数字が付されている主図柄szが大当たり当選を示す組合せで停止表示された場合には、通常大当たり遊技が実行される大当たり当選を示唆するように構成している。
よって、確変状態、或いは、時短状態中に実行される変動演出にて、偶数の数字が付されている主図柄szにてリーチ状態(通常大当たり遊技が実行される大当たり当選を示す組合せとなる主図柄szの一部が停止表示され、残りの図柄列が変動表示されている状態)が創出された場合には、特別図柄変動が停止表示されるよりも前の時点から不利な大当たりに当選したのではと遊技者に思わせてしまい、遊技意欲が低下してしまうという問題があった。そこで、本制御例では、第2特別図柄抽選が主として実行される遊技状態(確変状態、時短状態)にて、第1特別図柄抽選で通常大当たり遊技が実行される大当たりに当選した場合には、図131(a)に示した通り、必ず、奇数の数字が付されている主図柄szと、偶数の数字が付されている主図柄szとの何れもがリーチ状態となる変動演出(ダブルリーチ演出)が実行されるように構成している。これにより、特別図柄変動が停止表示されるよりも前の時点から不利な大当たりに当選したのではと遊技者に思わせてしまうことを抑制することができる。
このダブルリーチ演出を実行するために、第2期間中における第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、変動時間が「30秒」の変動パターンが選択される。なお、確変状態、或いは、時短状態中に実行される変動演出として上述したダブルリーチ演出が、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合にのみ実行されてしまうと、ダブルリーチ演出が実行された時点で第1特別図柄の大当たり当選について遊技者に把握されてしまうため、本制御例では、第1特別図柄抽選で外れ当選した場合の一部(約80%)と、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合の一部(約25%)と、第2特別図柄抽選で外れ当選した場合の一部(約5%)とで、ダブルリーチ演出を実行するための変動パターン(30秒の変動時間)が選択されるように構成している。
このように構成することで、確変状態、或いは時短状態中にダブルリーチ演出が実行された場合に、該当する特別図柄抽選が第1特別図柄の抽選であるか第2特別図柄の抽選であるかを分かり難くすると共に、抽選結果が大当たりであるか否かも分かり難くすることができ、ダブルリーチ演出の演出結果が表示されるまで遊技者に期待感を持たせながら遊技を行わせることができる。
さらに、大当たり当選した場合には必ず確変大当たり遊技が実行される第2特別図柄抽選に対しても、ダブルリーチ演出を実行するように構成しているため、ダブルリーチ演出全体に対して確変大当たり遊技が実行される大当たりに当選したことを示す演出結果(奇数の数字を付した主図柄szが大当たり当選を示す組合せで停止表示する演出結果)を、第1特別図柄抽選に対してのみダブルリーチ演出を実行する場合に比べて創出し易くすることができる。よって、ダブルリーチ演出が実行された場合における確変大当たり遊技に対する期待度を高めることができる。
図143に戻り、説明を続ける。特別図柄の種別(図柄種別)が第1特別図柄(特図1)で、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「50回(特定期間)」である場合には、抽選結果(特別図柄の抽選結果)、及び、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が「20秒」の変動パターン(中変動)が選択されるように規定している。
本制御例では、大当たり遊技中に球が可変入賞装置65内の特定領域(Vゲート)65vを通過した場合に、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されるように構成しており、特別図柄の高確率状態を終了させるための確変終了条件として、特別図柄変動の実行回数が50回に到達した場合に成立する第1確変終了条件と、特別図柄の高確率状態が設定されている状態で特別図柄の大当たりに当選した場合に成立する第2確変終了条件と、を設けており、何れかの確変終了条件が成立した場合に、特別図柄の高確率状態から特別図柄の低確率状態へと移行するように構成している。
つまり、大当たり遊技中の遊技結果に応じて、大当たり遊技終了後に、特別図柄変動の実行回数が50回となるまで確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定され、その後、特別図柄の実行回数が50回となるまで時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定される場合と、大当たり遊技終了後に特別図柄変動の実行回数が100回となるまで時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定される場合と、がある。
第3図柄表示装置81の表示面では、現在設定されている遊技状態を遊技者に示唆するための遊技状態示唆演出が実行されるように構成しており、例えば、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことを報知するV報知演出が実行された場合には、現在の遊技状態が確変状態であることを遊技者に報知する報知演出(スーパーチャンスモード演出)が実行され、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合であってもV報知演出が実行されないように大当たり遊技中の演出態様が設定されている場合には、現在の遊技状態が確変状態であるかを分かり難くする共通演出(チャンスモード演出)が実行される。
そして、スーパーチャンスモード演出が実行されている場合には、特別図柄変動の50回目(特定期間)にて、確変状態が終了することになるため、特別図柄変動50回目に設定される「20秒」の変動時間を用いて、確変状態が終了し、次いでチャンスモード(時短)が設定されることを示す演出が実行される。また、チャンスモードが実行されている場合には、特定期間にて、確変状態が設定されていたか否かを示唆する演出が実行される。
このように、特定期間における特別図柄の抽選結果を示すための特別図柄変動期間を用いて、特別図柄の抽選結果以外の情報(遊技状態が移行することを案内するための情報や、過去に設定されていた遊技状態を示唆するための情報)を遊技者に報知する情報報知演出を実行する場合に、選択される特別図柄変動の変動時間を固定することで、特別図柄の抽選結果以外の情報を遊技者に報知するための情報報知演出の演出態様(演出時間も含む)のバリエーションを少なくすることが可能となる。
なお、本制御例では、確変状態が終了することとなる特別図柄変動(大当たり終了後50回目の特別図柄変動)の実行期間を特定期間とし、特別図柄変動の変動時間を「20秒」に固定しているが、これに限ること無く、確変状態が終了することとなる特別図柄変動の前後も含めて、例えば、大当たり終了後45回目〜52回目の特別図柄変動の実行期間が特定期間(固定された変動時間が選択される期間)とし、その特定期間中に実行される特別図柄変動の変動時間を用いて、情報報知演出を実行可能に構成しても良い。
また、上述した特定期間中に実行される特別図柄抽選の結果に応じて、情報報知演出の演出態様を可変させても良く、例えば、特別図柄抽選の結果が大当たりである場合には、確変状態が終了することを示す情報を報知しない演出態様へと可変させても良いし、実際に設定された遊技状態に関わらず、過去に設定された遊技状態(前回の大当たり遊技終了後に設定された遊技状態)が遊技者に不利な遊技状態(例えば、時短状態)であることを示す演出態様へと可変させても良い。
加えて、特定期間中において情報報知演出が実行されるタイミングを、特別図柄抽選の結果に応じて可変させても良く、例えば、特別図柄抽選で大当たり当選した場合のほうが、大当たり当選していない場合よりも、情報報知演出の実行タイミングが遅くなり易くすると良い。これにより、情報報知演出の演出内容だけで無く、実行タイミングについても遊技者に興味を持たせることができ、演出効果を高めることができる。
また、上述した例のように、特定期間中において情報報知演出が実行されるタイミングを、特別図柄抽選の結果に応じて可変させる場合には、予め特定タイミングで情報報知演出が実行されるように設定しておき、特定期間中に実行される特別図柄抽選の結果が所定の結果(例えば、大当たり)である場合に、情報報知演出が実行されるタイミングを上述した特定タイミングから可変させるように構成しても良いし、情報報知演出が実行されるタイミングを予め設定すること無く、特定期間中に実行される特別図柄抽選の結果に応じて複数の実行タイミングの中から一の実行タイミングを決定するように構成しても良い。
次に、特別図柄の種別(図柄種別)が第1特別図柄(特図1)で、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「51回〜100回(第3期間)」であって、抽選結果(特別図柄の抽選結果)が「当たり」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」、即ち、全範囲において、変動時間が「30秒」の変動パターン(当たり)が選択されるように規定しており、抽選結果が「外れ」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜179」の範囲に対して変動時間が「30秒」の変動パターン(長外れ)が選択され、「180〜198」の範囲に対して変動時間が「60秒」の変動パターン(第2超変動)が選択されるように規定している。
この第3期間は、遊技状態が時短状態となる期間である。つまり、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されていた場合であっても、確変終了条件が成立し時短状態が設定される期間である。この第3期間中も、上述した第2期間と同様に、第2特別図柄抽選が主として実行される期間ではあるが、実行される遊技方法によっては第1特別図柄抽選が実行される。時短状態中は第2特別図柄抽選を実行させたほうが、第1特別図柄抽選を実行させる場合よりも遊技者に有利な遊技となるため、この第3期間中に実行される第1特別図柄抽選は長い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように構成されている。これにより、万が一、時短状態の第3期間中に第1特別図柄抽選が実行された場合であっても、長い変動時間が設定される変動パターンで第1特別図柄変動が実行されるため、その間に、第2特別図柄の保留球を獲得し易くすることができる。よって、時短状態中に頻繁に第1特別図柄抽選が実行されてしまうことを抑制することができる。
なお、この第3期間中も、上述した第2期間中と同様にダブルリーチ演出(図131参照)が実行されるように構成しているため、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合、外れ当選の一部、及び第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合の一部、外れ当選した場合の一部で、変動時間が「30秒」の変動パターンが選択されるように規定している。
次に、確変状態、或いは、時短状態が設定されている場合における第2特別図柄抽選に対して規定されている各種変動パターンの内容について説明をする。
図143に示した通り、特別図柄の種別(図柄種別)が第2特別図柄(特図2)で、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「1回〜20回(第1期間)」である場合には、抽選結果(特別図柄の抽選結果)、及び、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が「5秒」の変動パターン(短変動)が選択されるように規定している。即ち、第1期間中は、第1特別図柄抽選が実行された場合と、第2特別図柄抽選が実行された場合とで同一の変動パターン(5秒変動)が選択される。
次に、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「21回〜49回(第2期間)」であって、抽選結果(特別図柄の抽選結果)が「当たり」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜149」の範囲に対して、変動時間が「10秒」の変動パターン(第2短変動)が、「150〜198」の範囲に対して、変動時間が「30秒」の変動パターン(長変動)が選択されるように規定しており、抽選結果が「外れ」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜191」の範囲に対して変動時間が「10秒」の変動パターン(第2短変動)が選択され、「192〜198」の範囲に対して変動時間が「30秒」の変動パターン(長変動)が選択されるように規定している。
主として第2特別図柄抽選が実行される普通図柄の高確率状態(確変状態、時短状態)である第2期間中は、上述したダブルリーチ演出が実行される変動パターン(30秒の変動時間が設定される変動パターン)以外は、変動時間が「10秒」の変動パターンが選択される。つまり、第2入球口640へと容易に球を入球可能な状態において第2特別図柄変動が短期間で終了するようにし、第2特別図柄抽選が効率良く実行されるように構成している。これにより、特図2保留球が上限まで記憶されている状態で第2入球口640へと多量の球が入球してしまう事態が発生することを抑制することができ、遊技者に気持ちの良い遊技を行わせることができる。
なお、本制御例では、短時間の変動時間として「10秒」を規定しているが、この変動時間をさらに短く規定しても良く、この場合、遊技盤13へと発射された球が第2入球口640へと到達し得る間隔(約1.2秒)よりも長い時間(例えば、3秒)を規定すると良い。このように構成することで、遊技者が継続して球を発射しているにも関わらず、特図2保留球が減少していき、第2特別図柄抽選よりも非優先に設定してある第1特別図柄抽選が実行されてしまう事態が発生することを抑制することができる。
次に、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「50回(特定期間)」である場合には、抽選結果(特別図柄の抽選結果)、及び、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が「20秒」の変動パターン(中変動)が選択されるように規定している。この特定期間中に設定される変動パターンについては、上述した第1特別図柄抽選に対応して選択される変動パターンと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
次に、特別図柄の種別(図柄種別)が第2特別図柄(特図2)で、変動回数(大当たり遊技終了後に実行される特別図柄変動回数)が「51回〜100回(第3期間)」であって、抽選結果(特別図柄の抽選結果)が「当たり」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜149」の範囲に対して、変動時間が「10秒」の変動パターン(第2短変動)が、「150〜198」の範囲に対して、変動時間が「30秒」の変動パターン(長変動)が選択されるように規定しており、抽選結果が「外れ」の場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜191」の範囲に対して変動時間が「5秒」の変動パターン(短変動)が選択され、「192〜198」の範囲に対して変動時間が「30秒」の変動パターン(長変動)が選択されるように規定している。
以上、説明をした通り、本第1制御例では、変動パターン選択テーブル202bとして、通常用テーブル202b1と、確変・時短用テーブル202b2と、を有しており、設定されている遊技状態に応じて、変動パターンを選択する際に参照するデータテーブルを異ならせるように構成している。これにより、設定されている遊技状態に応じて選択される変動パターンの種類を異ならせることができ、遊技者に多様な変動パターンで特別図柄抽選の結果を示すことができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
さらに、遊技状態として確変状態が設定されている場合と、時短状態が設定されている場合とで同一のデータテーブル(確変・時短用テーブル202b2)を参照して変動パターンを選択するように構成している。よって、時短状態が設定されているか確変状態が設定されているかを遊技者に分かり難くする演出モードである「チャンスモード」が設定されている状態において、実行される特別図柄抽選に対応して選択される変動パターンの種類によって、設定されている遊技状態が遊技者に把握されてしまうことを抑制することができる。なお、本制御例では、確変状態中の変動パターンを選択する際に参照されるデータテーブルと、時短状態中の変動パターンを選択する際に参照されるデータテーブルと、を同一としているが、これに限ること無く、異なるデータテーブルを参照させるように構成しても良い。
この場合、確変状態中の変動パターンを選択する際に参照される確変用データテーブルと、時短状態中の変動パターンを選択する際に参照される時短用データテーブルと、を設け、僅かな確率(例えば、5%)で選択される変動パターンの種別として、一方のデータテーブルにのみ規定されている特定変動パターンを設けると良い。これにより、特定変動パターンが選択された場合にのみ、選択された変動パターンの種別に基づいて現在設定されている遊技状態を遊技者が把握することができる。
加えて、確変用データテーブルと、時短用データテーブルとで、各変動パターンが選択される割合を異ならせるように構成しても良い。このように構成することで、「チャンスモード」中に実行される特別図柄抽選に対して選択される変動パターンの偏りを分析することによって、遊技者に現在設定されている遊技状態を予測させる楽しみを提供することができる。
なお、上述した通り、本制御例では、設定される遊技状態に応じて、変動パターンを選択する際に参照されるデータテーブルを異ならせるように構成しているが、遊技状態以外の条件によって参照するデータテーブルを選択するように構成しても良く、例えば、大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合において、前回の大当たり当選時に設定されていた遊技状態や、前回の大当たり当選時に設定された大当たり種別(特別図柄の停止表示態様)や、第3図柄表示装置81に停止表示された第3図柄の表示態様や、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65Vへと球が通過したか否か(V入賞したか否か)の結果等に基づいて、同一の時短状態中において変動パターンを選択する際に参照されるデータテーブルを異ならせるように構成しても良い。
この場合、選択された変動パターンを示すコマンド(変動パターンコマンド)を設定する際に、参照されたデータテーブル(変動パターン選択テーブル)の種別を示す情報が含まれるコマンドを設定するように構成すると良い。これにより、音声ランプ制御装置113側で、変動パターンコマンドを受信した場合に、今回設定された変動パターンの種別に加え、現在の遊技状態が設定された経緯も判別することが可能となる。よって、受信した変動パターンコマンドに基づいて、例えば、確変大当たり遊技が実行されたにも関わらず、球をV入賞させることが出来ず時短状態が設定されたことを判別し、専用の演出モード(例えば、「残念モード」)を設定することができる。
図138に戻り説明を続ける。第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜299の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり299)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理(図156参照)毎に、例えば定期的に更新され、球が普通始動口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル202cによって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブル202cによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄(第2図柄)の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブル202cは、普通図柄の低確率時用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
この第2当たり乱数テーブル202cに規定されている内容について、図140(b)を参照して説明をする。図140(b)は、第2当たり乱数テーブル202cに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図140(b)に示した通り、普通図柄の低確率状態である場合は、取得した第2当たり乱数カウンタC4が「0〜2」の値に普図当たりが規定され、普通図柄の高確率状態である場合は、取得した第2当たり乱数カウンタC4が「0〜149」の範囲に普図当たりが規定されている。
つまり、本制御例では、普通図柄の低確率状態が設定されている場合には、普通図柄の抽選で当たりとなる確率(1/100)が低確率に設定されている。これにより、普通図柄の低確率状態である通常状態と、普通図柄の高確率状態である時短状態と、で同一の遊技方法(左打ち遊技)が実行される本実施形態において、通常状態中に普図当たりに当選し難くすることができるため、通常状態中に普図当たり遊技が実行され第2入球口640内に球が入球する事態を発生し難くすることができる。一方、普通図柄の高確率状態が設定されている場合には、普通図柄の抽選で当たりとなる確率(1/2)が高確率に設定されている。これにより、時短状態中において普通図柄の当たり当選に基づく普図当たり遊技を実行し易くすることができる。
また、本制御例では、設定されている遊技状態に応じて普通図柄抽選の結果を示すための普通図柄変動の変動時間として異なる長さの変動時間が設定されるように構成されており、普通図柄の低確率状態が設定されている場合のほうが、普通図柄の高確率状態が設定されている場合よりも長い変動時間(例えば、10秒)が設定されるように構成している。このように、普通図柄抽選で当たり当選する確率と、普通図柄変動の変動時間の長さと、を遊技状態に応じて可変させることにより、普通図柄抽選で当たり当選し、第2入球口640へと球を入球させ易い遊技状態(確変状態、時短状態)を容易に設定することができる。
さらに、本制御例では、普通図柄の低確率状態が設定されている状態で実行された普通図柄抽選にて当たり当選した場合に、第2入球口640へと球を複数個入球させることが可能な動作態様(ロング開放)で電動役物640が開放動作される普図当たり遊技を実行可能に構成している。よって、普通図柄抽選で当たり当選し難い遊技状態(通常状態)であっても、一時的に第2入球口640へと球を入球させ易くすることができるため、どのような遊技状態が設定されている状態であっても、遊技者に対して第2特別図柄抽選が実行される可能性を残すことができ、遊技の興趣を向上させることができる。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜299)、タイマ割込処理(図156参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図167参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
図137に戻り説明を続ける。ROM202は、図138に図示した各種カウンタに対応して規定される各種データテーブル等を有している。ここで、図139(a)を参照して、本実施形態のパチンコ機10における主制御装置110のROM202の内容について説明をする。図139(a)は、本実施形態におけるパチンコ機10の主制御装置110のROM202の内容を模式的に示した模式図である。
図139(a)に示した通り、本実施形態におけるパチンコ機10の主制御装置110のROM202は、第1当たり乱数テーブル202a、変動パターン選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル202c、大当たり種別選択テーブル202dを少なくとも有している。なお、第1当たり乱数テーブル202a、変動パターン選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル202c、大当たり種別選択テーブル202dについては、図138に図示した各種カウンタを説明する際に上述したため、その説明を省略する。
図137に戻り、説明を続ける。RAM203は、図138に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図167参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図166参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図165参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図139(b)に示すように、第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b、普通図柄保留球格納エリア203c、第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203e、普通図柄保留球数カウンタ203f、遊技状態格納エリア203g、時短カウンタ203h、確変カウンタ203i、大当たり開始フラグ203j、大当たり中フラグ203k、確変設定フラグ203m、確変通過カウンタ203n、入賞個数カウンタ203o、残球タイマフラグ203p、残球タイマ203q、確変有効フラグ203r、確変有効タイマ203s、排出個数カウンタ203t、その他メモリエリア203zを有している。
第1特別図柄保留球格納エリア203aは、上限個数(本制御例では、4個)まで、第1入球口64に球が入球(始動入賞)したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。
第2特別図柄保留球格納エリア203bは、上限個数(本制御例では、4個)まで、第2入球口640に球が入球(始動入賞)したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。
特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、特別図柄の変動表示を開始するための各種カウンタ値が格納される記憶エリアであり、特別図柄が変動停止した場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203a、或いは第2特別図柄保留球格納エリア203bに各種カウンタ値が記憶されている場合に、その各種カウンタ値がシフトして記憶される記憶エリアである。本制御例では、第1特別図柄抽選よりも優先して第2特別図柄抽選が実行されるように構成しているため、第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203bの何れにも各種カウンタ値が記憶されている場合には、第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納されている各種カウンタ値が特別図柄保留球実行エリアへとシフトして記憶される。
第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファ(図138参照)より取得した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別カウンタC3、変動種別カウンタCS1の値がそれぞれ記憶される。MPU201は、タイマ割込処理(図156参照)の中で、球が第1入球口64へ入球(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C3,CS1の値を取得し、第1特別図柄保留球格納エリア203aにそれぞれ格納する。また、球が第2入球口640へ入球(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C3,CS1の値を取得し、第2特別図柄保留球格納エリア203bにそれぞれ格納する。
MPU201は、特別図柄変動(抽選)の実行開始タイミングであることを検出すると、大当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示の設定等の処理を実行するために、上述した第1特別図柄保留球格納エリア203a、或いは、第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(カウンタC1〜C3,CS1の各値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この特別図柄保留球実行エリアへシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
普通図柄保留球格納エリア203cはスルーゲート67への球の通過(始動入賞)検出に伴ってカウンタ用バッファ(図138参照)より取得した第2当たり乱数カウンタC4の値が記憶される記憶エリアである。主制御装置110のMPU201は、タイマ割込処理(図156参照)の中で、球がスルーゲート67を通過(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから第2当たり乱数カウンタC4の値を取得し、普通図柄保留球格納エリア203cに格納する。普通図柄保留球格納エリア203cは、一の始動入賞に対応するデータ(カウンタC4の値)が、最大4回分まで記憶(保留)できるように、4つの保留エリアを有している。普通図柄保留球格納エリア203cには、スルーゲート67へ通過(始動入賞)した順に保留球のデータが、データが空いている保留エリアの内、消化される順序の早い保留エリアから順に記憶される。
また、普通図柄保留球実行エリア(図示せず)は、始動入賞に基づいて、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、各カウンタ値が格納され、普通図柄の当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示(変動パターン)の設定等の処理において参照すべきデータ(カウンタC4の値)を記憶するためのメモリである。
なお、MPU201は、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、当たり抽選や、第2図柄表示装置83の表示の設定等の処理を実行するために、上述した普通図柄保留球格納エリア203cに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(第2当たり乱数カウンタC4の値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この普通図柄保留球実行エリア(図示せず)へシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
第1特別図柄保留球数カウンタ203dは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図156参照)の中で検出される第1入球口64への入賞に基づいて、第1図柄表示装置37で行われる変動表示演出(第3図柄表示装置81で行われる変動表示演出)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。第1特別図柄保留球数カウンタ203dは、電源投入後のRAM203の初期設定処理(図166のS1701参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、それぞれ最大値4まで1加算される。一方、第1特別図柄保留球数カウンタ203dは、変動表示演出が実行される毎に1減算される。
また、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(即ち、保留球数)は、第1入球口64に球が入球(始動入賞)したことに基づいて、第1特別図柄保留球格納エリア203aにカウンタ値が格納された場合に、主制御装置110から出力される第1特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。第1特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて第1特別図柄保留球数カウンタ203dが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
第2特別図柄保留球数カウンタ203eは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図156参照)の中で検出される第2入球口640への入賞に基づいて、第1図柄表示装置37で行われる変動表示演出(第3図柄表示装置81で行われる変動表示演出)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。第2特別図柄保留球数カウンタ203eは、電源投入後のRAM203の初期設定処理(図166のS1701参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、それぞれ最大値4まで1加算される。一方、第2特別図柄保留球数カウンタ203eは、変動表示演出が実行される毎に1減算される。
また、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(即ち、保留球数)は、第2入球口640に球が入球(始動入賞)したことに基づいて、第2特別図柄保留球格納エリア203bにカウンタ値が格納された場合に、主制御装置110から出力される第2特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。第2特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて第2特別図柄保留球数カウンタ203eが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
MPU201は、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)にカウンタ用バッファから取得される上記カウンタC1〜C3,CS1の各値がそれぞれ記憶された場合には、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納されたデータを、特別図柄大当たり判定処理(図158のS301参照)において参照し、その参照データに基づいて大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に対応する変動パターン及び停止種別を決定する。第1図柄表示装置37では、主制御装置110の制御により、この決定された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示が行われる。
また、ここで決定された変動パターン及び停止種別は、特図変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114へ通知される。そして、表示制御装置114の制御によって、第3図柄表示装置81では、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドにより通知された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示演出が行われる。
普通図柄保留球数カウンタ203fは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図156参照)の中で検出されるスルーゲート67を球が通過(以下「始動入賞」と称す)したことに基づいて、第2図柄表示装置83で行われる変動表示の保留球数(待機回数)を最大1回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203fは、スルーゲート67を球が通過したことに基づいて記憶される保留球数の合計を記憶するカウンタである。電源投入後のRAM203の初期設定処理(図166のS1701参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値まで1加算される(図164のS904参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fは、普通図柄の変動表示が実行される毎に1減算される(図163のS805参照)。
遊技状態格納エリア203gは、現在設定されている遊技状態を一時的に格納するための記憶領域であって、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態(時短カウンタ203hの設定状況、確変カウンタ203iの設定状況)に対応した遊技状態が記憶される。具体的には、時短カウンタ203hの値が0で、且つ、確変カウンタ203iの値が0である場合に通常状態が記憶され、時短カウンタ203hの値が0よりも大きい値で、確変カウンタ203iの値が0である場合に時短状態が記憶され、時短カウンタ203hの値が0よりも大きい値で、確変カウンタ203iの値が0よりも大きい値である場合に確変状態が記憶される。
さらに、大当たり遊技が実行されている状態では、大当たり遊技が実行されている状態であることを示す当たり遊技状態(大当たり状態)と、実行されている大当たり遊技に対応する大当たり種別を示す種別情報も記憶されるように構成されている。加えて、普図当たり遊技の実行中であることを示す普図当たり遊技中情報も記憶されるように構成されている。
そして、遊技状態格納エリア203gに格納(記憶)された情報に基づいて、状態コマンドが設定され、その状態コマンドが音声ランプ制御装置113へと出力される。音声ランプ制御装置113では出力された状態コマンドを受信し、従状態設定エリア223gに一時的に記憶する。
この遊技状態格納エリア203gに記憶された情報は、パチンコ機10の電源が断された場合であっても、その情報を保持可能に構成されており、パチンコ機10の電源を入れた際に実行される立ち上げ処理(図166参照)において、遊技状態格納エリア203gに記憶されている情報に対応する状態コマンドを設定するように構成している。
これにより、停電等によりパチンコ機10の電源が断された場合であっても、現在の遊技状態を音声ランプ制御装置113側が判別可能にすることができる。
時短カウンタ203hは、普通図柄の高確率状態が設定されている状態を示すためのカウンタであって、普通図柄の高確率状態が設定されている場合に対応する値が設定される。この時短カウンタ203hには、大当たり遊技終了後に、その当選した大当たり種別に対応した値が設定される(図170のS2103参照)。そして、大当たり遊技に当選した場合に0にクリアされる。これにより、大当たり遊技中は普通図柄の高確率状態が設定されないため、大当たり遊技中において遊技者に過度な特典を付与してしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、普通図柄の高確率状態が設定されると、時短カウンタ203jの値がセットされ、特別図柄抽選(変動)に基づいて、時短カウンタ203hの値が減算され、時短カウンタ203hの値が0となった場合に、普通図柄の高確率状態が終了し、普通図柄の低確率状態へと移行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、次回の大当たり遊技が実行されるまで(大当たり当選するまで)は、普通図柄の高確率状態が継続するように構成しても良い。この場合、時短カウンタ203hの値として、「10000」を設定するように構成すれば良い。
また、本実施形態では、普通図柄の高確率状態を終了させるための条件、時短カウンタ203hの値を減算させるための条件として、特別図柄抽選(変動)の回数に基づいて時短カウンタ203hの値を減算させる条件のみを設定しているが、これに限ること無く、例えば、主制御装置110の実行する各種処理の処理内容によって成立し得る終了条件が成立した場合に、時短カウンタ203hの値を減算するように構成してもよい。具体的には、普通図柄の高確率状態が設定されている状態で実行される各図柄抽選の抽選結果が所定の抽選結果(例えば、特殊外れ当選)となった場合、或いは、普通図柄抽選の結果が所定の抽選結果(例えば、特殊普図当たり当選)となった場合にも、時短カウンタ203hの値を減算させるように構成しても良い。
加えて、本実施形態では、時短カウンタ203hの値を1ずつ減算するように構成しているが、成立した終了条件の種別に応じて、時短カウンタ203hの値を複数まとめて(例えば、2)減算するように構成しても良いし、現状の時短カウンタ203hの値に関わらず、時短カウンタ203hの値が「0」になるように減算するように構成しても良い。このように構成することで、時短状態がいつまで継続するのかを遊技者に分かり難くすることができ、時短状態中の遊技に対して遊技者に興味を持たせることができる。
さらに、時短状態が設定される条件の成立内容(大当たり種別)に応じて、時短状態を終了させる条件を異ならせても良い。これにより、遊技者に対して、大当たり遊技を実行させることだけでは無く、実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別に対しても興味を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
確変カウンタ203iは、特別図柄の高確率状態が設定されている状態を示すためのカウンタであって、特別図柄の高確率状態が設定されている場合に対応する値が設定される。この確変カウンタ203iには、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことに基づいて、その大当たり遊技終了後に値が設定される(図170のS2102参照)。そして、大当たり遊技に当選した場合に0にクリアされる。これにより、大当たり遊技中は特別図柄の高確率状態が設定されないため、大当たり遊技中において遊技者に過度な特典を付与してしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、特別図柄の高確率状態が設定されると、確変カウンタ203iの値がセットされ、特別図柄抽選(変動)に基づいて、確変カウンタ203iの値が減算され、確変カウンタ203iの値が0となった場合に、特別図柄の高確率状態が終了し、特別図柄の低確率状態へと移行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、次回の大当たり遊技が実行されるまで(大当たり当選するまで)は、特別図柄の高確率状態が継続するように構成しても良い。この場合、確変カウンタ203iの値として、「10000」を設定するように構成すれば良い。
また、本実施形態では、特別図柄の高確率状態を終了させるための条件、確変カウンタ203iの値を減算させるための条件として、特別図柄抽選(変動)の回数に基づいて確変カウンタ203iの値を減算させる条件のみを設定しているが、これに限ること無く、例えば、主制御装置110の実行する各種処理の処理内容によって成立し得る終了条件が成立した場合に、確変カウンタ203iの値を減算するように構成してもよい。具体的には、普通図柄の高確率状態が設定されている状態で実行される各図柄抽選の抽選結果が所定の抽選結果(例えば、特殊外れ当選)となった場合、或いは、普通図柄抽選の結果が所定の抽選結果(例えば、特殊普図当たり当選)となった場合にも、確変カウンタ203iの値を減算させるように構成しても良い。
さらに、当選した大当たり種別と、特定領域(Vゲート)65vへの球の通過状況とに基づいて確変カウンタ203iに設定される値を異ならせても良いし、上述した時短カウンタ203hの値を減算する内容と同様に、特別図柄の変動回数以外の条件によって確変カウンタ203iの値を減算可能に構成しても良いし、確変カウンタ203iの値を減算するための減算条件が成立した場合に、確変カウンタ203iの値を一度に複数個減算可能に構成しても良い。これにより、特別図柄の高確率状態がいつまで継続するのかを遊技者に把握させ難くすることができるため、特別図柄の高確率状態中に実行される特別図柄抽選の結果を飽きること無く注視させることができる。
また、本制御例では、確変状態を終了させるための条件、即ち、確変カウンタ203iの値を減算させるための条件として、特別図柄抽選(変動)の回数に基づいて確変カウンタ203iの値を減算させる条件のみを設定しているが、これに限ること無く、例えば、主制御装置110の実行する各種処理の処理内容によって成立し得る終了条件が成立した場合に、確変カウンタ203iの値を減算するように構成してもよい。具体的には、特別図柄の高確率状態が設定されている状態で実行される各図柄抽選の抽選結果が所定の抽選結果(例えば、特殊外れ当選)となった場合、或いは、普通図柄抽選の結果が所定の抽選結果(例えば、特殊普図当たり当選)となった場合にも、確変カウンタ203iの値を減算させるように構成しても良いし、球が特定の入球口(例えば、第1入球口64、第2入球口640等)に入球したことに基づいて確変カウンタ203iの値を減算するように構成してもよい。
加えて、本制御例では、確変カウンタ203iの値を1ずつ減算するように構成しているが、成立した終了条件の種別に応じて、確変カウンタ203iの値を複数まとめて(例えば、2)減算するように構成しても良いし、現状の確変カウンタ203iの値に関わらず、確変カウンタ203iの値が「0」になるように減算するように構成しても良い。このように構成することで、確変状態がいつまで継続するのかを遊技者に分かり難くすることができ、確変状態中の遊技に対して遊技者に興味を持たせることができる。
さらに、確変状態が設定される条件の成立内容(大当たり種別)に応じて、確変状態を終了させる条件を異ならせても良い。これにより、遊技者に対して、大当たり遊技を実行させることだけでは無く、実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別に対しても興味を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
大当たり開始フラグ203jは、大当たりを開始させるか否かを示すフラグである。この大当たり開始フラグ203jがオンであれば、大当たりを開始させるタイミングであることを意味し、オフであれば、大当たりを開始させるタイミングではないことを意味する。この大当たり開始フラグ203jは、大当たりを示す変動表示の終了タイミングとなった場合にオンに設定される。また、大当たり開始フラグ203jは、大当たりの開始を設定した場合にオフに設定される(図168のS1903参照)。
大当たり中フラグ203kは、大当たり遊技(特別遊技状態)中であるか否かを示すフラグである。この大当たり中フラグ203kがオンであれば、大当たり中であることを意味し、オフであれば大当たり中でないことを意味する。大当たり中フラグ203kは、特別図柄の抽選により大当たりとなり、大当たり遊技(特別遊技状態)が開始されると共にオンに設定される(図168のS1903参照)。また、大当たり遊技(特別遊技状態)の終了時にオフに設定される(図170のS2105参照)。そして、特別図柄変動処理(図157参照)では、この大当たり中フラグ203kが参照されて、大当たり中であるか否かが判別される(図157のS201参照)。
確変設定フラグ203mは、大当たり遊技後に遊技状態を確変状態に移行させるか否かを示すフラグである。本パチンコ機10では、遊技状態が確変状態に設定されるか否かは、大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート)65v(図120参照))に球が入球(流下)したか否かにより決定される。ここで、この特定領域(Vゲート)65vへと球が入球(流下)したこと(特定領域(Vゲート)65vに設けられている確変スイッチの通過)を検出すると、確変設定フラグ203mがオンに設定される(図171のS2215参照)。一方、この確変設定フラグ203mは、大当たり遊技の終了時にオフに設定される(図170のS2105参照)。なお、この確変設定フラグ203mは、電源断時にはバックアップされ、復帰時(電源投入時)には電源断直前の状態に設定される。また、パチンコ機10が初期化された状態ではオフに設定される。
なお、電源投入時に確変設定フラグ203mがオンに設定されている場合には、確変スイッチに電源断前に通過したかを判別して、通過していると判別できた場合に、確変設定フラグ203mを正式にオンに設定して復帰するように構成してもよい。この場合、電源断前に確変スイッチを通過しているかの判別は、後述する確変通過カウンタ203nが0より大きい値であるかにより判別できる。このように構成することで、電源断されている状態で、確変設定フラグ203mのみをオンに書き換えて電源を再投入されるような不正を判別して、遊技店側の被害を低減することができる。
確変通過カウンタ203nは、大当たり遊技中の1つのラウンド(本実施形態では、大当たりの1ラウンド)で確変スイッチを通過した(特定領域を流下した)球の数をカウントするためのカウンタである。なお、この確変通過カウンタ203nと後述する排出個数カウンタ203tとの合計により可変入賞装置65の特定入賞口65aに入賞した球が全て排出されたかを判別することができる。この確変通過カウンタ203nは、確変スイッチを球が通過した(特定領域を流下した)場合に1ずつ加算されて更新される。また、可変入賞装置65に入賞した球の数と排出個数が一致するか否かの判定処理を実行した後に、初期値である「0」にリセットされる。なお、この確変通過カウンタ203nは、電源断時にはバックアップされる。また、初期化された状態では、0に設定される。
入賞個数カウンタ203oは、大当たり遊技における1つのラウンドで可変入賞装置65の特定入賞口65aに入賞した球の数をカウントするためのカウンタであり、特定入賞口65aへの入賞が検出されたことに基づいて、1ずつ加算されて更新される。一方、1つのラウンドが終了した場合に、可変入賞装置65に入賞した個数(入賞個数カウンタ203oの値)と排出された個数(排出個数カウンタ203tと確変通過カウンタ203nとの合計値)とが一致しているか判別された後に、初期値である「0」にリセットされる。なお、この入賞個数カウンタ203oの値は、電源断時にはバックアップされる。また、初期化された状態では、0に設定される。
残球タイマフラグ203pは、1のラウンドが終了し、特定入賞口65aが閉鎖した後の球はけ期間であるか否かを示すフラグである。この残球タイマフラグ203pがオンに設定されている場合は、球はけ期間であることを意味する。この残球タイマフラグ203pがオンに設定されている間は、後述する残球タイマ203qが1ずつ加算されて更新される。残球タイマ203qは、特定入賞口65aが閉鎖されてからの時間を判別するためのカウンタであり、可変入賞装置65内の遊技球が排出されるのに必要な時間が経過したかを判別するためのカウンタである。
残球タイマ203qは、予め設定されている1のラウンドが終了して可変入賞装置65の特定入賞口65aが閉鎖した場合に、可変入賞装置65に入賞した球が排出されるのに必要な時間が経過したかを判別するためのカウンタである。本実施形態では、可変入賞装置65に入賞した球が排出されるまでに必要な時間は0.5秒であり、本実施形態では、予め0.8秒に対応するカウンタ値が残球タイマ203qの上限値として設定されている。この残球タイマ203qの上限値(本実施形態では、0.8秒)となったことに基づいて、可変入賞装置65への入賞個数とその排出個数とが一致しているかの判別が実行される。一致しない場合には、エラーコマンドが設定されて、その旨が報知される。よって、可変入賞装置65内に遊技球が球詰まりしていることを早期に知らせることができる。
なお、入賞個数と排出個数が一致しない場合には、専用のフラグをオンに設定しておき、そのフラグがオンである場合には確変スイッチを遊技球が通過しても確変設定フラグ203mをオンに設定しない構成にしてもよい。このように構成することで、不正に確変状態が付与されることを抑制できる。
確変有効フラグ203rは、切替弁65yが球を特定領域(Vゲート)65vへと振り分け不可能な配置に切り替わった後に、遊技球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合に、その通過(入球)を有効とするか否かを判別するためのフラグである。この確変有効フラグ203rがオンに設定されている場合には、特定領域(Vゲート)65vを遊技球が通過することが正常な期間であることを示している。
確変有効タイマ203sは、上述した確変有効フラグ203rがオンに設定されてからの時間をカウントする為のカウンタである。この確変有効タイマ203sにより切替弁65yが特定領域(Vゲート)65vを球が流下不可能な配置に切り替わった後に、確変スイッチを正常に通過するのに必要な期間を判別することができる。本実施形態では、切替弁65yに到達した遊技球が確変スイッチを通過するのに要する時間は0.3秒である。確変有効タイマ203sの上限値は0.5秒に対応するカウンタ値に設定されており、それ以後に特定領域(Vゲート)65vを通過しても不正と判別して通過と判別しない。
これにより、不正に遊技球を特定領域(Vゲート)65v(V領域)に入球させて確変スイッチを通過させたり、確変スイッチの下方よりピアノ線等で遊技球を押し上げて通過させたり、電波等により磁気センサを通過と誤検出させたりする不正による被害を抑制できる。
排出個数カウンタ203tは、1のラウンドで可変入賞装置65から排出された遊技球の数をカウントするためのカウンタである。この排出個数カウンタ203tは、可変入賞装置65に入賞した球の数と排出個数との一致が判別された後に、初期値である0にリセットされる。
その他メモリエリア203zは、遊技に必要なその他のデータや、カウンタ、フラグ等が設定(記憶)される。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、パチンコ機10に設けられる演出用の駆動役物を動作させるための各種駆動モータが含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
なお、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合に、図示しない演出用の役物を駆動させるためにその他装置228へ役物駆動コマンドを送信したり、枠ボタン22への操作内容に対応した音声を音声出力装置226に出力させるための音声出力コマンドを設定したり、枠ボタン22への操作内容に対応した発光態様でランプ表示装置227を発光させるためのランプ出力コマンドを設定したりするように構成しても良い。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
ここで、本制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221が有するROM222に規定されている内容について説明をする。音声ランプ制御装置113のROM222には、図144(a)に示すように、変動パターン選択テーブル222aと、通常中特図2演出選択テーブル222bと、確変中演出選択テーブル222cと、連続予告実行選択テーブル222dと、V報知実行選択テーブル222eと、ボタン操作時演出選択テーブル222fと、が少なくとも記憶されている。
変動パターン選択テーブル222aは、図示しない変動パターン選択用のカウンタ値に各変動パターンの種別(ど外れ、リーチ外れ、リーチ各種等)の変動パターンがそれぞれ設定されている。音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンを選択する。これにより、変動時間や変動パターンの種別等の大まかな情報は厳守しつつ、音声ランプ制御装置113が多種多様の変動態様を選択することができる。よって、同じ変動表示態様等が頻繁に表示されることが防止でき、遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。
なお、本制御例では、実行される特別図柄変動に対応させて第3図柄表示装置81にて第3図柄が横スクロールで変動表示される変動演出(図123参照)が実行される。この変動演出では、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンが決定されるため、遊技者は、第3図柄表示装置81にて実行される変動演出を視認することで今回の特別図柄変動が大当たり当選しているか否かを予測しながら遊技(特図遊技)を行うことができる。
通常中特図2演出選択テーブル222bは、通常状態が設定されている間に実行された第2特別図柄変動のうち、加算時間が30秒の変動パターンが選択された場合の第3図柄の演出態様を選択する際に参照されるデータテーブルであって、第2特別図柄抽選の抽選結果(当否判定結果)、特図2保留数、特図1保留数、演出カウンタ223fの値に対応させて異なる演出態様(演出内容)が規定されている。
本制御例では、通常状態が設定されている状態において普通図柄抽選で当たり当選すると、電動役物640が5秒間開状態となる普図当たり遊技が実行される。そして、普図当たり遊技中に第2入球口640へと球を入球させることで第2特別図柄抽選を実行させることが可能に構成している。つまり、第2特別図柄抽選が実行され難い遊技状態(通常状態)において、所定の実行条件が成立した場合に(普図当たり当選した場合に)、所定期間の間(普図当たり遊技期間の間)、第2特別図柄抽選の抽選契機(特図2保留球)を獲得し易く(第2入球口640へと球を入球させ易く)することができるように構成している。
通常状態中に実行される第2特別図柄抽選では、通常用テーブル202b1(図142(b)参照)に示した通り、変動時間が「10秒」の変動パターンと、変動時間が「40秒」の変動パターンとが選択可能に構成されており、変動時間が「40秒」の変動パターンが設定されている第2特別図柄抽選が実行される場合に、通常中特図2演出選択テーブル222bを参照して変動演出の演出態様が設定される。
ここで、図145を参照して、通常中特図2演出選択テーブル222bの内容について説明をする。図145は、通常中特図2演出選択テーブル222bの内容を模式的に示した図である。この通常中特図2演出選択テーブル222bは、通常状態が設定されている間に実行された第2特別図柄変動のうち、加算時間が30秒の変動パターンが選択された場合の第3図柄の変動演出の演出態様を選択する際に参照されるデータテーブルであって、第2特別図柄抽選の抽選結果(当否判定結果)、特図2保留数、特図1保留数、演出カウンタ223fの値に対応させて異なる演出態様(演出内容)が規定されている。
通常用テーブル202b1(図142(b)参照)に示した通り、本制御例では、通常状態中に第2特別図柄変動が実行されると、基本時間(10秒)に対応させて、共通の外れリーチ演出が実行され(図125(a)参照)、その後、通常中特図2演出選択テーブル222bを参照して選択された演出内容(演出態様)として疑似変動演出(図125(b)〜126参照)が加算時間(30秒)の間に実行されるように構成している。
具体的には、抽選結果が大当たりであって、特図2保留数が3の場合は、特図1保留数に関わらず取得した演出カウンタ223fの値が「0〜79」の範囲に、変動パターンとして「疑似3演出」が、「80〜99」の範囲に、変動パターンとして「特殊疑似2演出」が規定されており、特図2保留数が2の場合は、特図1保留数に関わらず取得した演出カウンタ223fの値が「0〜99」の範囲に、変動パターンとして「疑似2演出」が、特図2保留数が1の場合は、特図1保留数に関わらず取得した演出カウンタ223fの値が「0〜89」の範囲に、変動パターンとして「疑似1演出」が、「90〜99」の範囲に、変動パターンとして「特殊疑似4演出」が規定されている。
また、抽選結果が大当たりであって、特図2保留数が0の場合は、特図1保留数が1〜4の場合に「特殊終了演出」が、特図1保留数が0の場合に「疑似無し演出」が設定される。
抽選結果が外れである場合には、特図2保留数が3の場合は、特図1保留数に関わらず取得した演出カウンタ223fの値が「0〜99」の範囲に、変動パターンとして「疑似3演出」が規定されており、特図2保留数が2の場合は、特図1保留数に関わらず取得した演出カウンタ223fの値が「0〜99」の範囲に、変動パターンとして「疑似2演出」が、特図2保留数が1の場合は、特図1保留数に関わらず取得した演出カウンタ223fの値が「0〜99」の範囲に、変動パターンとして「疑似1演出」が、特図2保留数が0の場合は、「疑似無し演出」が規定されている。
以上、説明をした通り、本実施形態では、第2特別図柄の疑似変動演出の演出態様を設定する際に、特図2保留数及び特図1保留数の有無を判別し、次に実行される特別図柄抽選に対応する演出態様で疑似変動演出を実行するように構成している。このように構成することで、1の特別図柄変動期間中に実行される疑似変動演出を、あたかも次の特別図柄変動に対応させた変動演出と思わせ易くすることができる。
さらに、疑似変動演出にて実行される疑似変動回数(第3図柄の仮停止回数)が、獲得済みの特図2保留数に対応させた回数となるように構成しているため、通常状態中に実行された普図当たり遊技中に獲得した特図2保留が全て使用されたと思わせることができる。よって、大当たり当選している疑似変動演出が実行された場合は、通常状態中に実行された普図当たり遊技中に多くの特図2保留を獲得した結果として、大当たり当選したと遊技者に思わせることができる。また、外れ当選している疑似変動演出が実行された場合は、特図2保留を全て消化したと思わせた後に、次に特図2保留を用いた変動演出が実行されるため(チャンスゾーンが継続するため)、遊技者に以外性のある演出を提供することができる。
また、本制御例では、大当たり当選した場合にのみ設定される疑似変動演出(特殊疑似2演出、疑似4演出)を設けているため、疑似変動演出にて実行される疑似変動回数と、特図2保留数とに対して遊技者に興味を持たせることができる。
次に、図146を参照して、確変中演出選択テーブル222cの内容について説明をする。図146は、確変中演出選択テーブル222cの内容を模式的に示した模式図である。この確変中演出選択テーブル222cは、確変状態(時短状態)中、即ち、普通図柄の高確率状態中に実行される特別図柄変動の変動パターンとして、基本時間が30秒の変動パターンが選択された場合における変動演出を設定する際に参照されるデータテーブルである。この確変中演出選択テーブル222cは、実行される特別図柄変動に対する変動演出の演出態様を設定する際に参照されるものであり、変動表示設定処理(図182のS4113参照)にて実行される特図1演出態様設定処理(図183のS4903参照)にて、確変状態であることを遊技者に報知する演出モードである「スーパーチャンスモード」中であって(図183のS5005:Yes)、今回実行される変動パターンの変動時間(基本変動時間)が「30秒」である場合(図183のS5007:Yes)、又は、変動表示設定処理(図182のS4113参照)にて実行される特図2演出態様設定処理(図184のS4907参照)にて、確変状態であることを遊技者に報知する演出モードである「スーパーチャンスモード」中であって(図184のS5112:Yes)、今回実行される変動パターンの変動時間(基本変動時間)が「30秒」である場合(図184のS5114:Yes)、に参照される。
本制御例では、普通図柄の高確率状態において第1特別図柄抽選が実行された場合に、第1特別図柄抽選でのみ当選し得る大当たり(通常大当たり遊技が実行される大当たり)に当選したことが、第1特別図柄抽選の抽選結果が停止表示されるよりも前に遊技者が把握してしまう事態が発生することを抑制するために、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、通常大当たり遊技が実行される大当たり当選を示すための第3図柄(偶数の数字が付された第3図柄)と、確変大当たり遊技が実行される大当たり当選を示すための第3図柄(奇数の数字が付された第3図柄)と、が何れもリーチ状態となるダブルリーチ演出を実行するように構成している。
さらに、普通図柄の高確率状態である確変状態、或いは、時短状態において、上述したダブルリーチ演出が実行された場合に、実行中の特別図柄抽選が第1特別図柄抽選であることを遊技者に把握させ難くするために、大当たり当選した場合には必ず確変大当たり遊技が実行される第2特別図柄抽選に対応する変動演出においても、上述したダブルリーチ演出を実行するように構成している。また、普通図柄の高確率状態が設定されている状態で実行される第1特別図柄変動と、第2特別図柄変動とは、何れも変動時間が「30秒」の変動パターンを選択可能に構成しており、この「30秒」の変動パターンが選択された場合においてダブルリーチ演出が実行されるように構成している。このように、特別図柄の種別に関わらず、同一の変動時間(30秒)を設定し、同一の変動演出となるダブルリーチ演出を実行するように構成しているため、実行される変動演出によって実行中の特別図柄変動の図柄種別を遊技者に把握されてしまうことを抑制することが出来ると共に、変動演出に用いられる演出データを共通化することにより、パチンコ機10にて実行される各種演出に用いられる演出データの容量を抑えることができる。
図146に示した通り、確変中演出選択テーブル222cには、図柄種別(特別図柄の種別)と、抽選結果(特別図柄抽選の結果)と、演出カウンタ223fの値とに応じて異なる演出態様が規定されている。具体的には、図柄種別が第1特別図柄(特図1)であって、抽選結果が確変大当たり(大当たりA)である場合は、演出カウンタ223fの値が「0〜49」の範囲に「確変シングルリーチ」が、「50〜99」の範囲に「ダブルリーチ」が規定され、通常大当たり(大当たりB)である場合は「ダブルリーチ」が、外れの場合は「非リーチ」が規定されている。
また、図柄種別が第2特別図柄(特図2)であって、抽選結果が確変大当たりである場合は、演出カウンタ223fの値が「0〜49」の範囲に「特殊ダブルリーチ」が、「50〜99」の範囲に「確変ダブルリーチ」が規定され、外れの場合は、演出カウンタ223fの値が「0〜4」の範囲に「ダブルリーチ」が、「5〜10」の範囲に「確変ダブルリーチ」が、「11〜99」の範囲に「非リーチ」が規定されている。
このように構成することで、確変状態において第1特別図柄抽選が実行される場合も、第2特別図柄抽選が実行される場合も「ダブルリーチ」(図131(a)に示した、通常当たりに対応する第3図柄を含む2以上の第3図柄がリーチ状態となるリーチ演出)が実行されることになるため、遊技者に対して、「ダブルリーチ」が実行された場合に、何れの特別図柄抽選に対応する第3図柄変動演出が実行されているのかを分かり難くすることができる。
さらに、「特殊ダブルリーチ」が設定されると、最初に「ダブルリーチ」の演出態様が設定され、その後、図131(b)に示した「確変ダブルリーチ」へと演出態様が可変するリーチ演出が実行される。よって、第1特別図柄抽選に対応して「ダブルリーチ」が実行された場合であっても、途中で「確変ダブルリーチ」へと昇格することを期待させながら遊技を行わせることができる。なお、この「特殊ダブルリーチ」において、リーチ演出の演出態様が可変するタイミングは、中図柄列Z2が1周、或いは2周したタイミングとしているが、これに限ること無く、遊技者が操作ボタン22を操作したタイミングに基づいて演出態様を可変しても良い。
なお、通常状態中に第2特別図柄変動が実行される場合において、変動時間が「10秒(基本時間10秒、加算時間0秒)」の変動パターン(特殊外れ)が選択された場合には、図125(a)に示した外れリーチ演出が実行された後、そのまま外れを示す表示態様で第3図柄が停止表示される。一方、変動時間が「10秒(基本時間10秒、加算時間0秒)」の変動パターン(特殊当たり)が選択された場合には、10秒間の図柄変動の後、大当たり当選を示す表示態様(例えば、「777」)で第3図柄が停止表示される。
このように、通常状態中に実行される第2特別図柄変動に対応する変動演出として、1回の特別図柄変動期間中に擬似的に複数回の変動演出を実行する特殊変動パターンと、1回の特別図柄変動期間中に1回の変動演出を実行する通常変動パターンと、を設けることにより、どのタイミングで新たな第2特別図柄変動が実行されたのかを遊技者に分かり難くすることができるため、チャンスゾーンが継続することを期待しながら遊技を行わせることができる。
また、チャンスゾーン中の実行される変動演出(疑似含む)の回数が多い程、大当たり当選の期待度を高めることができるため、チャンスゾーンが長時間継続することを期待させながら遊技者に遊技を行わせることができる。
加えて、本制御例では、1回の特別図柄変動期間中に擬似的に複数回の変動演出を実行する特殊変動パターンにて実行される1回の疑似変動時間(10秒)と同一時間となるように通常変動パターンの変動時間(10秒)が規定されているため、例えば、特殊変動パターンで実行された第2特別図柄変動の後に、通常変動パターンで実行された第2特別図柄変動が実行された場合に、第3図柄表示装置81の表示面では、10秒間の変動演出が繰り返し実行されることになる。よって、特殊変動パターンとして疑似変動演出が繰り返し実行されているのか、特殊変動パターンと通常変動パターンとが連続して実行されているのかを遊技者に分かり難くすることができる。よって、どのタイミングで新たな第2特別図柄変動が実行されたのかを遊技者に分かり難くすることができるため、チャンスゾーンが継続することを期待しながら遊技を行わせることができる。
なお、本制御例では、通常状態中の第2特別図柄変動として、変動時間が「40」秒の変動パターンが選択された場合に、特殊変動パターンの変動演出を実行するように構成しているが、これに限ること無く、通常状態中に実行される第2特別図柄変動に対応する変動時間として「40秒」以外の変動時間を選択可能に構成しても良い。また、本制御例では、特殊変動パターンの変動演出の一部である疑似変動時間を基本的に10秒で固定し、大当たり期待度が高い場合に、10秒以外の長さで疑似変動演出が実行され易くなるように構成している。このように構成することで、1回の変動演出の実行期間が長くなることを、期待させながら遊技者に遊技を行わせることができる。
図144(a)に戻り、説明を続ける。連続予告実行選択テーブル222dは、主制御装置110側から受信した入賞情報コマンドに含まれる入賞情報(大当たり当選の有無)に基づいて、複数の特別図柄変動の期間を跨いで実行される連続予告演出の実行条件を成立させるか否かを決定する際に参照されるデータテーブルである。ここで連続予告演出の実行条件が成立すると、枠ボタン22への操作を有効に判別する特殊有効時間が設定される。そして、特殊有効時間内に枠ボタン22が操作された場合に、連続予告演出が実行される。
この連続予告演出が実行されると、通常の背景モード(海モード、山モード)とは異なる背景モード(空モード)へと移行し、実行条件の成立対象となった入賞情報に対応する特別図柄抽選の結果が表示されるまでの期間を用いた連続演出が実行される。詳細な説明は後述するが、本実施形態では、普通図柄の高確率状態が設定されている期間のうち、高速変動期間(普通図柄の高確率状態が設定されてから、20回目の特別図柄変動が実行されるまでの期間)中は、他の期間に比べて枠ボタン22への操作に基づいて背景モードが移行し難くなるように構成している。そのような高速変動期間中であっても、枠ボタン22を操作することにより背景モードを移行させることができるため、遊技者に対して意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。
また、通常の背景モード移行とは異なり、大当たり当選の期待度を高めた背景モード移行を実行させることができるため、演出効果を高めることができる。さらに、高速変動期間中は、他の期間に比べて特別図柄変動の変動時間が短くなり易いため、他の期間のように背景モードを移行させてしまうと、肝心な特別図柄抽選の結果を見逃してしまう虞があることから、背景モード移行し難くなるように構成している。しかしながら、連続予告演出が実行されることに基づいて背景モード移行する場合には、複数回の特別図柄変動の変動時間を用いた連続予告演出が実行されるため、背景モード移行後に即座に連続予告演出の演出結果が表示されることが無い。よって、背景モード移行を実行したとしても、遊技者に分かり易い演出を提供することができる。
さらに、本制御例では、高速変動期間中に枠ボタン22を操作した場合に、背景モード移行以外の演出(操作演出)を実行可能にし、高速変動期間中であっても、遊技者に意欲的に枠ボタン22を操作させることで遊技に早期に飽きてしまうことを抑制するように構成している。その中で、連続予告演出の実行条件が成立したことに基づいて背景モード移行が実行されることにより、遊技者に対して意外性のある演出を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
ここで、図147(a)を参照して、連続予告実行選択テーブル222dの内容について説明する。図147(a)は、連続予告実行選択テーブル222dの内容を模式的に示した模式図である。図147(a)に示した通り、連続予告実行選択テーブル222dには、受信した入賞情報に含まれる抽選結果(特別図柄の抽選結果)と、特図2保留数(第2特別図柄の保留球数)と、取得した演出カウンタ223fの値と、に対応させて、連続予告演出の実行条件を成立させるか否かが規定されている。
具体的には、抽選結果が「大当たり」で、特図2保留数が「3」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜79」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立する「連続予告有」が、「80〜198」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立しない「連続予告無」が規定されている。また、特図2保留数が「4」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜149」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立する「連続予告有」が、「150〜198」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立しない「連続予告無」が規定されている。
一方、抽選結果が「外れ」で、特図2保留数が「3」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜194」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立しない「連続予告無」が、「195〜198」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立する「連続予告有」が規定されている。また、特図2保留数が「4」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜189」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立しない「連続予告無」が、「190〜198」の範囲には、連続予告演出の実行条件が成立する「連続予告有」が規定されている。
上述した通り、本制御例では、特図2保留数が多いほど、連続予告演出の実行条件が成立し易く、さらに、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合のほうが、外れである場合よりも連続予告演出の実行条件が成立し易くなるように構成している。このように構成することで、遊技者に対して連続予告演出を実行させようと意欲的に遊技(第2入球口640へと球を入球させる遊技)を行わせることができ、パチンコ機10の稼働を高めることができる。加えて、特図2保留数が多い程、連続予告演出の実行条件が成立した場合における大当たり期待度が高くなるように構成している。よって、大当たり期待度の高い連続予告演出を実行させるために、意欲的に遊技(第2入球口640へと球を入球させる遊技)を行わせることができ、パチンコ機10の稼働を高めることができる。
本制御例では、主制御装置110側から入賞情報コマンド(特別図柄に対する入賞情報コマンド)を受信した場合に、連続予告実行選択テーブル222dを参照して、連続予告演出の実行条件の成立の有無のみを判定(決定)するように構成しており、連続予告演出の実行条件が成立した場合であっても、その時点で連続予告演出が実行されず、実行条件が成立した後、特定の期間内にて枠ボタン22を操作した場合に連続予告演出が実行されるように構成している。これにより、1回の特別図柄変動期間中に第2入球口640へと球が複数入球し、複数の入賞情報コマンドを受信した場合には、実行条件の成立対象となる入賞情報を遊技者に分かり難くすることができる。よって、連続予告演出が実行された場合に、その連続予告演出がいつまで継続するのかを遊技者に分かり難くすることができ、連続予告演出の演出内容が単調になることを抑制することができる。
なお、本制御例では、上述した通り、連続予告演出の実行条件が成立したことを遊技者に報知(示唆)しないように構成しているが、これに限ること無く、実行条件が成立したことを遊技者に報知(示唆)するための報知(示唆)演出を実行するように構成しても良く、例えば、副表示領域Dsに「待機中」の文字を表示することで、連続予告演出の実行条件が成立したことを遊技者に報知(示唆)するように構成しても良い。このように構成することで報知(示唆)演出が実行された場合に、連続予告演出を実行させようと意欲的に枠ボタン22を操作させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、本制御例では、図129(a)に示した通り、遊技者による枠ボタン22への操作を有効に判別する有効期間が設定されていることを(有効期間中であることを)遊技者に報知可能な有効期間報知態様として、主表示領域Dmの右側下方に枠ボタン22を模したアイコンHR10を表示するように構成しているが、連続予告演出の実行条件が成立した場合に設定される特殊有効時間が設定されているのか、通常の有効時間が設定されているのかを、アイコンHR10の表示態様からは判別できない(し難い)ように構成している。このように構成することで、遊技者は、枠ボタン22を操作するまで連続予告演出が実行されるのか、通常の操作演出が実行されるのかが分からないため、連続予告演出を実行させようと枠ボタン22を意欲的に操作させることができる。
なお、本制御例の構成とは異なり、アイコンHR10の表示態様によって、現在設定されている有効期間が特殊有効時間であるか、通常有効時間であるかを遊技者が判別可能となるように構成しても良いし、アイコンHR10が第3図柄表示装置81の表示面に表示される表示タイミングによって現在設定されている有効期間が特殊有効時間であるか、通常有効時間であるかを判別させるように構成しても良い。また、特殊有効時間が設定される期間を、通常有効時間が設定される期間(例えば、特別図柄変動が開始されてから3秒間)とは異ならせ、さらに、特殊有効時間が設定されていることを遊技者に報知(示唆)しないように構成しても良い。このように構成することで、遊技者に対してどのタイミングで枠ボタン22を操作したら連続予告演出が実行されるのかを分かり難くすることができるため、遊技者に対して意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。同様に、特殊有効時間が設定されていることを遊技者に報知(示唆)しないように構成した場合において、連続予告演出の実行条件が成立していることを報知(示唆)する演出(例えば、副表示領域Dsに「待機中」の文字を表示)のみ実行可能に構成しても良い。これにより、連続予告演出の実行条件が成立していない状態で無駄に枠ボタン22を操作させてしまうことを抑制することができる。加えて、連続予告演出の実行条件が成立している状態であって、特殊有効時間外に枠ボタン22を操作した場合に、現在が特殊有効時間外であることを遊技者に報知するための報知表示(例えば、副表示領域Dsに「今じゃない」の表示)を実行しても良いし、特殊有効時間を案内するための案内表示(例えば、副表示領域Dsに「2秒後にもう一度押してね」の表示)を実行しても良い。
また、本制御例では、第2特別図柄に対する入賞情報が含まれる入賞情報コマンドを受信した場合に、連続予告演出テーブル222dを参照して、連続予告演出の実行条件を成立させるための処理を実行するが、これに限ること無く、第1特別図柄に対する入賞情報が含まれる入賞情報コマンドを受信した場合にも連続予告演出の実行条件が成立するように構成しても良い。
図144に戻り説明をする。V報知実行選択テーブル222eは、大当たり遊技中にV報知演出を実行するか否かを決定する際に参照されるデータテーブルである。本制御例では、大当たり遊技中に開放動作される可変入賞装置65内に特定領域(Vゲート)65vを設けており、可変入賞装置65内に入賞した球が特定領域(Vゲート)65vを通過すると、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態(確変状態)が設定されるように構成している。そして、実行される大当たり遊技の種別に応じて、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過し易い大当たり遊技(確変大当たり遊技)と、その確変大当たり遊技よりも、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過し難い大当たり遊技(通常大当たり遊技)と、を実行可能に構成している。
具体的には、図120(b)に示した通り、可変入賞装置65内に切替弁65yを設け、切替弁65yの配置状況によって可変入賞装置65内に流入した球が、特定領域(Vゲート)65vを通過不可能(困難)な第3流路65e3と、特定領域(Vゲート)65vを通過可能な第4流路65e4とに振り分けられるように構成している。この切替弁65yは、確変大当たり遊技が実行された場合の1ラウンド目のラウンド遊技中にのみ球を第4流路65e4へと振り分け可能な配置状況へと切り替わるように駆動制御される。
V報知演出は、大当たり遊技を実行している遊技者に対して、球が特定領域(Vゲート)65vを通過可能な期間(V期間)、及び、特定領域(Vゲート)65vを狙うための遊技方法を案内するV案内演出と、現在がV期間であることを報知するV期間演出と、V期間中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことを報知するV成功演出と、V期間中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過しなかったことを報知するV失敗演出と、を実行可能な演出である。このV報知演出を実行することにより、確変大当たり遊技が実行された場合において、特定領域(Vゲート)65vに球を通過させるための遊技を容易に行わせることができると共に、特定領域(Vゲート)65vを球が通過したことが遊技者に報知されるため、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを遊技者に分かり易く報知することができる。
ここで、本制御例では、通常大当たり遊技が実行された後には、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されるように構成しており、時短状態が設定された場合には、演出モードとして「チャンスモード」が設定されるように構成している(図134参照)。さらに、大当たり遊技の終了後に確変状態が設定される場合の一部においても「チャンスモード」が設定されるように構成している。これにより、大当たり遊技終了後に「チャンスモード」が設定された場合であっても、内部的には確変状態が設定されている可能性を残すことができるため、遊技者に確変状態であることを期待させながら遊技を行わせることができる。しかしながら、大当たり遊技中にV報知演出が実行されてしまうと、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したか否かを大当たり遊技中に容易に把握できてしまうため、ひいては、球が特定領域(Vゲート)65vを通過したにも関わらず、大当たり遊技終了後に「チャンスモード」が設定されてしまうと、確変状態が消滅したと不信感を持たれてしまうという問題があった。特に、本制御例のように確変状態を終了させるための確変終了条件として、特別図柄変動が50回実行された場合に成立する確変終了条件を有するパチンコ機10においては、特別図柄抽選で大当たり当選することなく確変状態が終了してしまうため、特定領域(Vゲート)65vを球が通過したにも関わらず、確変状態が設定されなかったと強く思われてしまう虞があった。
そこで、本制御例では、大当たり遊技中にV報知演出を実行するか否かを決定する処理を実行し、その処理結果に基づいて大当たり遊技中のV報知演出の有無を決定する。そして、V報知演出を実行しない大当たり遊技中にて、球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合(大当たり遊技終了後に確変状態が設定される場合)に、その大当たり遊技終了後に「チャンスモード」を設定するように構成している。このように構成することで、内部的に確変状態が設定されているか否かを遊技者が判別することが困難となるため、「チャンスモード」を遊技している遊技者に対して不信感を与えること無く、確変状態が設定されていることを期待させながら遊技を行わせることができる。
ここで、図147(b)を参照して、V報知実行選択テーブル222eの内容について説明をする。図147(b)は、V報知実行選択テーブル222eに規定されている内容を模式的に示した模式図である。このV報知実行選択テーブル222eは、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図174参照)にて実行される大当たり関連処理(図180のS4218参照)において、確変大当たり遊技を開始するタイミングであると判別された場合に(図180のS4701:Yes)、今回の大当たり遊技中にV報知演出を実行するか否かを決定する際に参照される(図180のS4704)。
図147(b)に示した通り、V報知実行選択テーブル222eには、今回実行される大当たり遊技に対応する大当たり種別(大当たり当選した大当たり種別)と、取得した演出カウンタ223fの値とに対応させてV報知有無(V報知演出を実行するか否かの判定結果)が規定されている。具体的には、大当たり種別が「大当たりA」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜149」の範囲には、V報知演出を実行することを示す「V報知有」が、「150〜198」の範囲には、V報知演出を実行しないことを示す「V報知無」が規定されている。また、大当たり種別が「大当たりC,D,E」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜189」の範囲には、「V報知有」が、「190〜198」の範囲には、「V報知無」が規定されている。
第1特別図柄抽選で大当たり当選し、確変大当たり遊技が実行される大当たり種別「大当たりA」が設定された場合には、約75%の割合でV報知演出が実行される。ここで、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合には、50%が確変大当たり遊技(「大当たりA」)となり、残りの50%が通常大当たり遊技(「大当たりB」)となるように構成されている。よって、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合の約37.5%の割合で大当たり遊技中にV報知演出が実行され、約62.5%の割合で大当たり遊技中にV報知演出を実行報知演出が実行されないことになる。また、V報知演出が実行されなかった場合のうち、確変大当たり遊技が実行されている割合が約20%となるように構成されている。
一方、第2特別図柄抽選で大当たり当選し、確変大当たり遊技が実行される大当たり種別「大当たりC,D,E」が設定された場合には、約90%の割合でV報知演出が実行される。ここで、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合は、必ず確変大当たり遊技(「大当たりC,D,E」)となるように構成されている。よって、実際には第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合の約10%の割合でV報知演出が実行されない大当たり遊技が実行されることになる。このように、必ず確変大当たり遊技が実行される第2特別図柄抽選による大当たり当選に対してもV報知演出を実行しない場合を設けることにより、V報知演出が実行されなった場合、即ち、大当たり遊技終了後に「チャンスモード」が設定された場合において、遊技状態が確変状態である割合を高めることができる。
また、上述した通り、第1特別図柄抽選で確変大当たり遊技が実行される大当たり(「大当たりA」)に当選した場合と、第2特別図柄抽選で確変大当たり遊技が実行される大当たり(「大当たりC,D,E」)に当選した場合とで、V報知演出が実行される割合を異ならせている。具体的には、実際に確変大当たり遊技が実行され易い第2特別図柄抽選よりも、確変大当たり遊技が実行され難い第1特別図柄抽選のほうが、確変大当たり遊技が実行される場合において、V報知演出が実行され難くなるように構成している。このように構成することで、第1特別図柄抽選で大当たりに当選した場合に、その大当たり遊技中にV報知演出が実行されない頻度を高めることができるため、通常大当たり遊技が実行され得る第1特別図柄抽選に基づく大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定された場合にも遊技者に期待感を持たせ易くすることができる。
なお、本制御例では、図147(b)に示した通り、V報知演出の実行割合を、大当たり種別に応じて異ならせているが、それ以外の要素に応じてV報知演出の実行割合を異ならせても良く、例えば、大当たり当選した時点における遊技状態に応じてV報知演出の実行割合を異ならせたり、通常状態へ移行すること無く大当たり当選した回数(所謂、連荘回数)に応じてV報知演出の実行割合を異ならせたり、遊技者が枠ボタン22を操作した操作結果に応じてV報知演出の実行割合を異ならせても良い。このように様々な条件に応じてV報知演出の実行割合を異ならせることで、見た目上の確変割合(大当たり当選全体におけるV報知演出が実行される割合)を複数設定することができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
本制御例では、確変大当たり遊技が実行される場合、即ち、特定領域(Vゲート)65vに球を通過させることが可能な大当たり遊技が実行される場合にのみ、上述したV報知演出を実行可能に構成しているが、これに限ること無く、通常大当たり遊技が実行される場合にもV報知演出を実行可能に構成しても良い。この場合、確変大当たり遊技にてV期間(特定領域(Vゲート)65vに球を通過させることが可能な期間)が設定されるタイミング(1ラウンド目のラウンド遊技が実行されるタイミング)に合わせてV報知演出を実行し、最終的にV期間中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過しなかったことを報知するV失敗演出を実行するように構成すれば良い。さらに、大当たり遊技中に正常に遊技を行ったにも関わらず、V失敗演出が実行されるように構成した場合には、例えば、確変大当たり遊技にて特定領域(Vゲート)65vに球を通過させたにも関わらずV失敗演出を実行し、大当たり遊技終了後に「チャンスモード」を設定するように構成しても良い。
また、本制御例では、第1特別図柄抽選で大当たり当選した場合も、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合も、確変大当たり遊技中にV報知演出を実行しないパターンを設定可能に構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり当選した場合には必ず確変大当たり遊技が実行される第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合には必ずV報知演出を実行するように構成しても良い。
図144(a)に戻り、説明を続ける。ボタン操作時演出選択テーブル222fは、演出モードとして「チャンスモード」が設定されている場合に、遊技者が操作手段である枠ボタン22を操作したことに基づいて実行される操作演出の演出態様を決定する際に参照されるデータテーブルであって、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図174参照)にて実行される枠ボタン入力監視・演出処理(図186のS4107参照)にて、チャンスモード中に枠ボタン22に対して有効な操作が実行されたと判別された場合に(図186のS5314:Yes)、参照される(図186のS5315参照)。このように、遊技者が枠ボタン22を操作した場合に実行される操作演出の演出態様を、ボタン操作時演出選択テーブル222fを参照して可変させることにより、遊技者に対してバリエーションに富んだ操作演出を提供することができる。
ここで、図148(a)を参照して、ボタン操作時演出選択テーブル222fの内容について説明をする。図148(a)は、ボタン操作時演出選択テーブル222fに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図148(a)に示した通り、ボタン操作時演出選択テーブル222fには、時短状態が設定されている場合に参照される時短状態選択テーブル222f1と、確変状態が設定されている場合に参照される確変状態選択テーブル223f2と、が規定されている。
本制御例では、時短状態が設定される場合と、確変状態が設定される場合の一部において、演出モードとして「チャンスモード」が設定されるように構成されている。そして、設定されている遊技状態に関わらず、「チャンスモード」中は共通の変動演出が実行されるように構成されている。さらに、確変状態が設定されている場合と、時短状態が設定されている場合とで、同一の変動パターンテーブル(確変・時短用テーブル202b2)を参照して変動パターン(変動時間)が選択されるように構成されている。これにより、「チャンスモード」中に実行される特別図柄変動、及び、その特別図柄変動に対応して実行される第3図柄の変動演出からは、現在設定されている遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを把握し難くすることができるため、遊技者に対して現在が確変状態であることを期待させながら遊技を行わせることができる。
しかしながら、「チャンスモード」を遊技している遊技者に対して、現在設定されている遊技状態を示唆可能な情報を提供しないと、「チャンスモード」中の遊技に早期に飽きてしまうという問題があった。そこで、本制御例では、「チャンスモード」中に複数種類の操作演出を実行可能に構成し、設定されている遊技状態に応じて、各操作演出の実行割合を異ならせるように構成している。つまり、実行され得る操作演出の種類は同一だが、各操作演出が選択される割合を異ならせることにより、実際に実行される複数の操作演出に基づいて現在の遊技状態を予測することができるように構成している。これにより、遊技者に対して遊技状態を予測する楽しみを提供することができる。
なお、通常状態が設定されている場合に実行される操作演出の演出態様や、確変状態が設定されていることを報知する演出モードである「スーパーチャンスモード」中に実行される操作演出の演出態様や、変動演出の一環として実行される操作演出の演出態様についても同様に複数種類の演出態様のうち、何れかの演出態様を決定して実行するように構成しているが、その詳細な説明は省略する。
次に、図148(b)を参照して、操作時演出選択テーブル222fに規定されている時短状態選択テーブル223f1の内容について説明をする。図148(b)は、時短状態選択テーブル223f1の内容を模式的に示した模式図である。この時短状態選択テーブル223f1は、時短状態が設定されている「チャンスモード」中における操作演出の演出態様を決定する際に参照されるデータテーブルであって、枠ボタン22が操作されたタイミングと、遊技者が枠ボタン22に対して実行した操作方法の種別と、取得した演出カウンタ223fの値とに応じて異なる操作演出の演出態様が規定されている。
具体的には、図148(b)に示した通り、操作タイミングが高速変動期間(第1期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜149」の範囲には、操作演出が実行されないことを示す「無」が、「150〜189」の範囲には、実行中の変動演出がリーチ状態となるか否かを、第3図柄変動中に示唆する演出を示す「リーチ示唆」が、「190〜198」の範囲には、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が規定されている。
ここで、本制御例では、遊技者が枠ボタン22に対して実行可能な操作方法が複数設定されており、枠ボタン22を押下した状態が2秒未満である場合に判定される「通常押し」と、枠ボタン22を押下した状態が2秒以上継続した場合に判定される「長押し」と、が設定されている。そして、遊技者の操作方法に応じて異なる操作演出が実行されるように構成している。これにより、遊技者が任意に操作方法を選択することで様々な操作演出を実行することができる。よって、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することが出来る。
なお、本制御例では、遊技者が操作可能な操作方法として、上述した2種類の操作方法を用いているが、これに限ること無く、例えば、パチンコ機10に枠ボタン22以外の操作手段(例えば、第2枠ボタン)を設け、遊技者が押下した枠ボタンの種類に応じて異なる操作演出が選択されるように構成しても良いし、所定期間(例えば、2秒間)の間に、複数の操作手段に対して実行された操作の順序に対応させて複数の操作方法を設定するように構成しても良い。さらに、遊技者が枠ボタン22を押下した時点で「通常押し」と判定し、その後、その押下状態が所定期間(例えば、2秒)継続した場合に、「長押し」と追加判定することで、「長押し」専用の操作演出を実行するように構成しても良い。
さらに、遊技者が操作可能な操作手段として、遊技者が押下可能な枠ボタン22の構成以外に、遊技者が上下左右方向に傾倒操作可能なレバー部材や、遊技者が回動操作可能な回動部材から成る操作手段を設けても良い。また、遊技者が部材を直接操作するのでは無く、所定の検知領域を有する近接センサを設け、その検知領域内に進入させた手を近接センサに検知させることで所定の操作を実行したと判定可能な操作手段(例えば、タッチセンサ等)を設けても良く、遊技者が任意に所定の操作を実行可能であって、その操作内容に応じて異なる操作方法を選択できるものであれば良い。
また、本制御例では、「通常押し」と、「長押し」の2種類の操作方法を有する構成について説明をしたが、これに限ること無く、3種類以上の操作方法を設けても良いし、操作方法を1種類しか設けなくても良い。ここで、操作方法を1種類しか設けない場合には、当該操作が実行される間隔に応じて異なる操作演出が実行されるように構成しても良い。これにより、操作方法自体は1種類であっても、様々な操作演出を遊技者に選択させることが可能となる。
図148(b)に戻り、時短状態選択テーブル223f1の内容の説明を続ける。操作タイミングが通常時短変動期間(第2期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲には、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。
そして、操作タイミングが特定期間(50回目の特別図柄変動中)の場合、操作方法、及び取得した演出カウンタ223fの値に関わらず、操作演出が実行されないように構成されている。最後に、操作タイミングが通常時短変動期間(第3期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲には、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、過去(「チャンスモード」が設定された時点(大当たり遊技終了後))に設定されていた遊技状態を示唆するための演出を示す「過去状態示唆」が規定されている。
次に、図149を参照して、操作時演出選択テーブル222fに規定されている確変状態選択テーブル223f2の内容について説明をする。図149は、確変状態選択テーブル223f2の内容を模式的に示した模式図である。この確変状態選択テーブル223f2は、確変状態が設定されている「チャンスモード」中における操作演出の演出態様を決定する際に参照されるデータテーブルであって、枠ボタン22が操作されたタイミングと、遊技者が枠ボタン22に対して実行した操作方法の種別と、取得した演出カウンタ223fの値とに応じて異なる操作演出の演出態様が規定されている。
具体的には、図149に示した通り、操作タイミングが高速変動期間(第1期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜119」の範囲には、操作演出が実行されないことを示す「無」が、「120〜139」の範囲には、実行中の変動演出がリーチ状態となるか否かを、第3図柄変動中に示唆する演出を示す「リーチ示唆」が、「140〜189」の範囲には、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」、「190〜198」の範囲は、背景モードを移行することを示す「背景モード移行」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が規定されている。
また、操作タイミングが通常時短変動期間(第2期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜169」の範囲には、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が、「170〜198」の範囲には、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。
そして、操作タイミングが特定期間(50回目の特別図柄変動中)の場合、操作方法、及び取得した演出カウンタ223fの値に関わらず、操作演出が実行されないように構成されている。最後に、操作タイミングが通常時短変動期間(第3期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲には、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、過去(「チャンスモード」が設定された時点(大当たり遊技終了後))に設定されていた遊技状態を示唆するための演出を示す「過去状態示唆」が規定されている。
以上、説明をした通り、大当たり遊技終了後の演出モードとして「チャンスモード」が設定された場合には、時短状態である場合と、確変状態である場合と、で異なるデータテーブルを参照して操作演出の演出態様が選択されるように構成しており、設定されている遊技状態に応じて各演出態様が選択される割合を異ならせている。よって、実行される操作演出の演出態様に基づいて現在設定されている遊技状態を遊技者に予測させることが可能となるため、遊技者に意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。
また、特定の操作タイミングにおいて、演出モードとして「チャンスモード」が設定され得る複数の遊技状態(確変状態、時短状態)のうち、遊技者に有利となる有利遊技状態(確変状態)が設定されている場合に実行され易い演出態様(有利演出態様)として、例えば、「第1期間」中の「通常押し」により実行される「状態示唆」の操作演出を設けているため、「第1期間」中の「通常押し」により「状態示唆」の操作演出が実行された場合に、有利遊技状態が設定されているのでは?と期待感を持たせながら遊技を行わせることができる。
さらに、「第1期間」中に操作演出を複数回実行可能に構成しているため、「第1期間」中に上述した有利演出態様で操作演出が実行された回数が増加すればするほど、有利遊技状態が設定されている期待度を高めることができるため、遊技者により意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。
加えて、特定の操作タイミングにおいて、演出モードとして「チャンスモード」が設定され得る複数の遊技状態(確変状態、時短状態)のうち、遊技者に有利となる有利遊技状態(確変状態)が設定されている場合にのみ実行される演出態様(確定演出態様)として、例えば、「第1期間」中の「通常押し」により実行される「背景モード移行」の操作演出を設けているため、「第1期間」中の「通常押し」により「背景モード移行」の操作演出が実行された場合に、有利遊技状態が設定されていることを把握することができる。
また、上述した有利演出態様や、確定演出態様として、他の条件下(例えば、「第2期間」中の「通常押し」)において選択され得る演出態様を用いている。より詳細には、「状態示唆」の演出態様は、「第1期間」中の「通常押し」により実行された場合には、確変状態が設定されている期待度が高くなり、「第2期間」中の「通常押し」により実行された場合には、時短状態が設定されている期待度が高くなるように構成している。このように構成することで、遊技者に対して、「チャンスモード」が設定されているどの期間中にどの演出態様で操作演出が実行されたのかを分析しながら遊技を行わせる楽しみを提供することができる。
以上、図148、及び図149を参照して、遊技者が操作手段(枠ボタン22)を操作した場合に、選択され得る操作演出の演出態様の内容、及び、選択される際に参照されるデータテーブル(ボタン操作時演出選択テーブル222f)の内容について説明をしたが、本第1制御例では、設定されている遊技状態に応じて異なるデータテーブルを参照するように構成している。そして、各データテーブルには、同一の演出態様が、選択割合を異ならせて規定されている。これにより、実行される操作演出の演出態様だけでは現在の遊技状態を遊技者に把握させ難くし、複数回の操作演出を実行することより、各演出態様の選択割合を把握することで現在の遊技状態を把握可能にすることができる。よって、遊技者に対して操作演出を複数回実行させようと意欲的に遊技を行わせることができる。
なお、本制御例では、設定されている遊技状態に応じて異なるデータテーブルを参照するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、現在設定されている遊技状態と、現在設定されている演出モードと、に基づいて、異なるデータテーブルを参照して操作演出の演出態様を選択するように構成しても良い。これにより、確変状態が設定されている場合において、演出モードとして「スーパーチャンスモード」が設定されている場合と、「チャンスモード」が設定されている場合とで、異なる操作演出を実行することができる。
ここで、演出モードとして「スーパーチャンスモード」が設定されている場合には、例えば、現在の遊技状態が設定されていることを示唆する演出態様である「状態示唆」を実行する必要が無いため、代わりに、「リーチ示唆」の演出態様や、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報に特定の抽選結果(大当たり当選や、所定時間以上の変動時間が設定される変動パターン)を示す情報が含まれているか否かを示唆する「先読み示唆」の演出態様を規定すると良い。これにより、「スーパーチャンスモード」が設定されている状態においても、遊技者に操作演出を意欲的に実行させることができる。
さらに、操作演出の演出態様を選択するためのデータテーブル(ボタン操作時演出選択テーブル222f)の種別を、大当たり当選時の遊技状態や、大当たり種別(特別図柄の停止表示態様)、第3図柄表示装置81の表示面に表示された第3図柄の停止表示態様、或いは、大当たり遊技中におけるV入賞の有無に応じて異ならせるように構成しても良い。
この場合、例えば、遊技状態として時短状態が設定され、且つ、演出モードとして「チャンスモード」が設定される場合において、通常大当たり遊技の終了後に「チャンスモード」が設定される場合と、確変大当たり遊技中に球をV入賞させることができず、その大当たり遊技終了後に「チャンスモード」が設定される場合と、で「チャンスモード」中に実行される操作演出の演出態様を異ならせることができる。具体的には、確変の大当たり遊技終了後に時短状態が設定された「チャンスモード」中には、前回の大当たり遊技が確変大当たり遊技であったことを示唆する「過去大当たり種別示唆」の演出態様を規定すると良い。これにより、実際には時短状態が設定されているにも関わらず、確変状態が設定されているのではと遊技者に思わせることができる。また、前回の大当たり遊技が確変大当たり遊技であったにも関わらず、V入賞させることができなかったことを報知する「過去遊技履歴報知」の演出態様を規定しても良い。これにより、今後実行する遊技の内容を改め易くすることができる。
次に、図144(b)を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図144(b)に示すように、音声ランプ制御装置113のRAM223には、コマンド記憶領域223a、入賞情報格納エリア223b、特別図柄保留球数カウンタ223c、特図変動開始フラグ223d、停止種別選択フラグ223e、演出カウンタ223f、従状態設定エリア223g、普通図柄保留球数カウンタ223h、特殊演出中フラグ223i、V入賞フラグ223j、V演出実行フラグ223k、V報知フラグ223m、時短中カウンタ223n、特殊連続予告フラグ223o、演出モード記憶エリア223p、連続予告実行中フラグ223q、SW有効時間カウンタ223r、特殊有効時間カウンタ223s、操作中カウンタ223t、その他メモリエリア223zが少なくとも設けられている。
コマンド記憶領域223aは、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ出力された各種コマンドがそのコマンドに対する処理が実行されるまで一時的に記憶され領域である。詳細には、リングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図61参照)が実行されると、コマンド記憶領域223aに記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
入賞情報格納エリア223bは、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(第1エリア〜第4エリア)とを特別図柄に対して有しており、これらの各エリアには、主制御装置110から出力された入賞情報コマンドに含まれる入賞情報が第1エリアから順に格納される。この入賞情報格納エリア223aに格納される情報により、保留球の抽選結果等が変動開始前に音声ランプ制御装置113により判別できる。
本制御例では、第1特別図柄の保留球を最大で4個、第2特別図柄の保留球を最大で4個、それぞれ保留記憶可能に構成しているため、入賞情報格納エリア223bには、第1特別図柄用の4つの保留エリアと、第2特別図柄用の4つの保留エリアとが形成される。なお、本制御例では、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とは同時に実行されないように構成しており、第1特別図柄の保留球と、第2特別図柄の保留球とをともに有している状態で新たな特別図柄抽選を実行する場合には、第2特別図柄の保留エリアのうち、最古に記憶された入賞情報(第1エリアに記憶された入賞情報)が実行エリアへと移行するように構成されている。そして、第2エリア〜第4エリアに格納されている各入賞情報が1つ若い番号の保留エリアへとシフトするように構成されている。即ち、本制御例のパチンコ機10は、第2特別図柄抽選が第1特別図柄抽選よりも優先して実行されるように構成されている。
なお、本制御例のパチンコ機10とは異なり、例えば、特別図柄の種別に関わらず、保留球を獲得した順番に応じて特別図柄抽選が実行されるパチンコ機10(所謂、入賞順消化のパチンコ機10)であれば、入賞情報格納エリア223bに8つの保留エリアを設け、主制御装置110から出力された入賞情報コマンドに含まれる入賞情報が第1エリアから順に記憶されるように構成すれば良い。また、第1特別図柄抽選と、第2特別図柄抽選と、を同時に(重複して)実行可能なパチンコ機10(所謂、同時変動タイプのパチンコ機10)であれば、本制御例の構成に対して、1つの実行エリアに替えて、第1特別図柄用の第1実行エリアと、第2特別図柄用の第2実行エリアと、を設け、各特別図柄に対応した保留エリアの第1エリアに記憶されている入賞情報が各特別図柄に対応した実行エリアへと移行するように構成すれば良い。
特別図柄保留球数カウンタ223cは、主制御装置110から送信された保留球数コマンドに対応する値を計数するためのカウンタであって、第1特別図柄の保留球数を計数するための第1特別図柄保留球数カウンタ223c1と、第2特別図柄の保留球数を計数するための第2特別図柄保留球数カウンタ223c2と、を有している。即ち、特別図柄に対応する保留球の数が、主制御装置110より出力される保留球数コマンドに基づいて設定される。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて各特別図柄の保留球数をカウントし、特別図柄保留球数カウンタ223cにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入球口64への入球によって第1特別図柄の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において新たな第1特別図柄抽選を実行するために第1特別図柄の保留球数を減算した場合に、加算後または減算後の第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を、音声ランプ制御装置113へ送信する。また、第2入球口640への入球によって第2特別図柄の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において新たな第2特別図柄抽選を実行するために第2特別図柄の保留球数を減算した場合に、加算後または減算後の第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンド(特図2保留球数コマンド)を、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド、特図2保留球数コマンド)を受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d、或いは、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値を取得して、特別図柄保留球数カウンタ223c(第1特別図柄保留球数カウンタ223c1、第2特別図柄保留球数カウンタ223c2)に格納する。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄保留球数カウンタ223cの値を更新するので、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203eと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄保留球数カウンタ223cの値は、保留図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄保留球数カウンタ223cに格納すると共に、格納後の特別図柄保留球数カウンタ223cの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223cの値分の保留球数を第3図柄表示装置81の副表示領域Ds1(図122(b)参照)に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄保留球数カウンタ223dは、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203eと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81に表示される保留図柄の数も、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、特別図柄抽選の実行が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
特図変動開始フラグ223dは、電源投入時に初期値としてオフに設定され、主制御装置110から出力された特別図柄の変動パターンを通知する特図変動パターンコマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。なお、特図変動開始フラグ223dは、第1特別図柄に対応する第1特図変動開始フラグ223d1と、第2特別図柄に対応する第2特図変動開始フラグ223d2と、を有しており、主制御装置110から送信された特図変動パターンコマンドが示す特別図柄の種別に対応させてオン、オフの設定がされる。
特図停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から出力される特別図柄の変動停止種別を通知する停止種別コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。なお、この特図停止種別選択フラグ223eは、第1特別図柄に対応する第1特図停止種別選択フラグ223e1と、第2特別図柄に対応する第2特図停止種別選択フラグ223e2と、を有しており、主制御装置110から送信された停止種別コマンド(特図停止種別コマンド)に含まれる特別図柄の種別に対応させてオン、オフの設定がされる。
演出カウンタ223fは、変動パターンの選択や、各種演出の選択等に使用されるカウンタであって、「0〜198」の範囲で繰り返し更新される。なお、メイン処理が実行される毎に1ずつ加算されて更新される。なお、詳細な説明は省略するが、この演出カウンタ223fは、複数のカウンタから構成されており、それぞれ更新規則が異なるように規定されている。何れのカウンタも、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図174参照)が実行される毎にカウンタの更新処理が実行されるように構成している。そして、メイン処理の実行間隔内において変動パターンの選択や、各種演出の選択処理を複数種類実行する場合には、演出カウンタ223fが有する異なるカウンタの値を取得して処理を実行するように構成している。これにより、同一タイミング(メイン処理の同一周期内)において演出カウンタ223fの値を用いる処理が複数回実行された場合であっても、演出カウンタ223fの同一値を用いて各種演出等を選択することを抑制することができる。
従状態設定エリア223gは、主制御装置110から出力される状態コマンドに対応したデータが設定される。従状態設定エリア223gに設定されるデータにより、現在の遊技状態を音声ランプ制御装置113でも判別することができる。なお、状態設定コマンドは、電源投入時にも主制御装置110より出力されて、バックアップされた遊技状態が音声ランプ制御装置113により判別可能に構成されている。さらに、従状態設定エリア223gには、現在設定されている遊技状態を記憶する現遊技状態記憶領域と、現在の遊技状態が設定される以前に設定されていた遊技状態を記憶する過去遊技状態記憶領域と、を有しており、現在の遊技状態がどのような過程を経て設定されたのかを算出可能に構成している。これにより、例えば、時短状態が設定されている場合において、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されたのか、それとも、大当たり遊技終了後に確変状態が設定され、その後、確変終了条件が成立したことを契機に時短状態が設定されたのかを判別し、その判別結果に基づいた演出(過去の遊技状態を遊技者に示唆するための過去状態示唆演出)を実行することができる。また、従状態設定エリア223gは、通常状態、確変状態、時短状態の他に、大当たり遊技状態、普図当たり遊技状態、といった遊技状態も記憶することができるように構成している。
普通図柄保留球数カウンタ223hは、主制御装置110から送信された普図保留球数コマンドに対応する値を計数するためのカウンタであって、主制御装置110のMPU201のRAM203が有する普通図柄の保留球数を計数するための普通図柄保留球数カウンタ203fの値と同期してその値が加算、減算されるものである。なお、詳細な内容は、上述した特別図柄保留球数カウンタ223cに対して、対象を特別図柄から普通図柄へと変更した点で相違するだけでありそれ以外は同一であるため省略する。
特殊演出中フラグ223iは、通常状態中に第2特別図柄変動が実行されることを示すためのフラグであって、通常状態中に第2特別図柄変動が実行される条件が成立した場合にオンに設定される。具体的には、通常状態において第2特別図柄変動が実行される場合、或いは、第1特別図柄変動が実行されている状態で特図2保留を獲得した場合にオンに設定される。そして、特殊演出中フラグ223iがオンに設定されている状態で第1特別図柄変動が実行される場合、即ち、特図2保留が0の場合にオフに設定される。本制御例では、特殊演出中フラグ223iがオンに設定される期間を示すために、「チャンスゾーン」演出(図124(b)参照)が実行される。
V入賞フラグ223jは、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート)65vを通過したことを示すためのフラグであって、球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合にオンに設定される。具体的には、主制御装置110にてV入賞コマンドが設定された場合に(図171のS2216参照)、そのV入賞コマンドが送信される。そして、音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図175のS4112参照)にて実行される入賞コマンド処理(図177のS4212参照)においてV入賞コマンドを受信したと判別した場合に(図177のS4407:Yes)、オンに設定される。
このV入賞フラグ112jは、大当たり関連処理(図180のS4218参照)において実行されるエンディング処理(図181のS4715参照)にて参照され(図181のS4801)、今回の大当たり遊技中に特定領域(Vゲート)65vを球が通過したか(V入賞したか)が判別される。そして、エンディング処理(図181のS4715参照)にてオンに設定されていると判別した場合に(図181のS4801:Yes)、オフに設定される。
本制御例では、大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)65vに通過させる(V入賞)ための演出としてV報知演出を実行可能に構成しており、V入賞の有無に応じて、V入賞時(Vラウンド終了時)と、大当たり遊技のエンディング時とに実行される演出の演出態様を可変させるように構成している。さらに、V報知演出が実行されているか否かに応じて、V入賞時の演出態様と、大当たり遊技のエンディング時の演出態様とを可変させるように構成している。このように、V入賞の有無に基づいて可変設定される演出を、V入賞時とは異なるタイミング(エンディング時)で実行可能とするために、V入賞の有無をV入賞フラグ112jの設定状況により判別可能に構成している。
V演出実行フラグ223kは、大当たり遊技中にV報知演出を実行することを示すためのフラグであって、大当たり遊技中にV報知演出を実行すると決定した場合にオンに設定されるものである。具体的には、大当たり関連処理(図180のS4218参照)において、大当たり開始コマンドを受信したと判別した場合(図180のS4701:Yes)であって、今回の大当たりが確変大当たりである場合に(図180のS4703:No)、V報知実行選択テーブル222eを参照してV報知演出の実行の有無が決定される。そしてV報知演出を実行すると判別した場合に(図180のS4705:Yes)、オンに設定される(図180のS4706参照)。
そして、大当たり関連処理(図180のS4218参照)において実行されるエンディング処理(図181のS4715参照)にて、V入賞フラグ112jがオンに設定されていない場合、即ち、大当たり遊技中にV入賞が発生しなかった場合に参照され(図181のS4802)、オンに設定されていると判別した場合には(図181のS4802:Yes)、エンディング演出の演出態様を切り替えるための処理を実行し(図181のS4804)、その後、オフに設定される(図181のS1804)。
本制御例では、確変大当たり遊技が実行される場合には、その大当たり遊技中にV報知演出を実行するか否かを決定し、V報知演出の実行を決定した場合には、その時点でエンディング期間中の演出態様として、確変状態が設定されることを示すための演出態様(図127(b),(d)参照)を設定するように構成している。つまり、確変大当たり遊技中にV報知演出を実行する場合には、V入賞した時点で遊技者に対してその旨が報知されるため、エンディング期間に実行されるエンディング演出においても、遊技者に確変状態が設定されることを示すための演出態様(図127(b),(d)参照)が設定されるように構成している。よって、大当たり遊技中にV入賞しなかった場合には、エンディング演出の演出態様を、時短状態が設定されることを示すための演出態様(図127(a),(c)参照)へと切り替える処理を実行する。
一方、確変大当たり遊技中にV報知演出を実行しない場合には、V入賞したとしてもその旨を遊技者に報知すること無く、エンディング演出の演出態様として、時短状態が設定されることを示すための演出態様(図127(a),(c)参照)が予め設定されるため、大当たり遊技中にV入賞しなかった場合であっても、エンディング演出の演出態様を切り替える処理を実行する必要が無い。
時短中カウンタ223nは、時短状態(普通図柄の高確率状態)が設定される期間を計測するためのカウンタであって、普通図柄の高確率状態が設定される場合に(大当たり遊技終了後に)、予め定められた値(本制御例では「100」)が設定される。そして、時短中カウンタ223nの値が1以上である状態で特別図柄変動が実行されると、その値が1減算され、時短中カウンタ223nの値が「0」となった場合に、普通図柄の低確率状態へと移行したと判別する。また、時短中カウンタ223nの値に基づいて、普通図柄の高確率状態における詳細な期間を判別するように構成している。
特殊連続予告フラグ223oは、演出モードとして「チャンスモード」が設定されている高速変動期間(第1期間)中に連続予告演出の実行条件が成立したことを示すためのフラグであって、連続予告演出の実行条件が成立した場合にオンに設定される。この特殊連続予告フラグ223oがオンに設定されると、操作手段に対する操作を有効に判別可能となる特殊有効期間が設定され、その特殊有効期間中に操作手段に対して特定の操作が行われた場合に、連続予告演出が実行される。
具体的には、音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図175のS4112参照)の一部である入賞コマンド処理(図177のS4212参照)にて、特図用入賞情報コマンド(特別図柄に対応する入賞情報コマンド)を受信した場合に実行される特図用入賞情報コマンド処理(図178のS4406参照)において、現在が高速変動期間中である(時短中カウンタ223nの値が75よりも大きい)と判別された場合に(図178のS4502:Yes)、連続予告実行選択テーブル222dを参照して連続予告演出を実行すると判別した場合に(図178のS4506:Yes)、オンに設定される(図178のS4507)。
そして、第2特別図柄変動に対応する変動演出を選択するための特図2演出態様設定処理(図184のS4907参照)にて、「チャンスモード」が設定されている場合に実行されるチャンスモード中演出設定処理(図185のS5116参照)にて、特殊連続予告フラグ223oの設定状況が参照され(図185のS5210)、オンに設定されている場合に、枠ボタン22への操作を有効に判別可能な特殊有効期間として、特殊有効時間タイマ223sに3秒に対応する値が設定され(図181のS5211)、その後、オフに設定される。
このように、連続予告演出の実行条件が成立した場合にのみ、操作手段への操作が有効に判別される特殊有効期間を設定し、その特殊有効期間内に遊技者が操作手段に対して特定の操作を実行した場合にのみ、連続予告演出を実行可能とすることで、連続予告演出を実行しようと遊技者に意欲的に遊技を行わせることができる。また、連続予告演出を実行するための複数の情報(連続予告演出の実行条件が成立したか否かを示す情報や、特殊有効期間が設定される期間(設定されている期間)を示す情報や、連続予告演出を実行させために操作手段に対して行う操作内容を示す情報)を、遊技者に報知するための報知演出の報知態様を可変させることにより、連続予告演出の実行難易度を容易に可変調整することができる。
なお、この場合、特別図柄抽選で大当たり当選した場合(する場合)に、連続予告演出の実行条件が成立し易くなるように構成すると良い。これにより、遊技者に対して連続予告演出を実行させようと意欲的に遊技を行わせることができる。加えて、連続予告演出の実行条件が成立している状態において、特殊有効期間外に遊技者が操作手段に対して特定の操作を実行した場合に、特殊有効期間が設定されるタイミングを遊技者に案内する案内報知演出を実行するように構成すると良い。これにより、遊技者に対してより意欲的に操作手段を操作させることができ、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。
演出モード記憶エリア223pは、普通図柄の高確率状態中に設定される各種演出モードが格納される記憶領域であって、時短中カウンタ223nの値に応じて異なる演出モードが記憶される。そして、現在の演出モードを判別する際に、格納されている演出モードが読み出される。具体的には、チャンスモード中演出設定処理(図185のS5012参照)にて、時短中カウンタ223nの値が読み出され(図185のS5201)、読み出した値に対応する演出モード(高速期間(高速変動期間)、通常第1期間(第1期間)、通常第2期間(第2期間))が設定され記憶される。そして、普通図柄の高確率状態が低確率状態へと移行した場合に記憶されている情報がクリアされる。
連続予告実行中フラグ223qは、第3図柄の変動演出として連続予告演出が設定されていることを示すためのフラグであって、連続予告演出が実行されている場合にオンに設定される。そして、チャンスモード中演出設定処理(図185のS5012参照)にて、設定状況が判別され(図185のS5208)、オンに設定されている場合には(図185のS5208:Yes)、連続予告演出に対応する演出態様が決定される。そして、連続予告演出が終了した場合にオフに設定される。このように構成することで、連続予告演出中に実行される新たな変動演出において、連続予告演出に対応しない別の演出態様が設定されることを抑制することができる。
SW有効時間タイマ223rは、第3図柄の変動表示期間内に設定される枠ボタン22の操作を有効に判別する操作有効期間を計測するためのタイマであって、操作有効期間が設定される場合に、操作有効期間の長さに対応する値が設定され、時間の経過に伴って、値が減算されるように構成している。そして、操作有効期間中に遊技者が枠ボタン22を操作した場合に、その値が0にクリアされる。このように、枠ボタン22の操作を有効に判別する操作有効期間を設定することにより、操作手段(枠ボタン22)を操作した場合に実行される演出(操作演出)が過剰に実行されることを抑制することができる。
なお、本制御例では、遊技者が操作可能な操作手段として枠ボタン22のみを設けているが、例えば、操作手段として、枠ボタン22(第1操作手段)以外に、第2操作手段等の複数の操作手段を設ける場合には、各操作手段に対して異なる操作有効期間を設定する場合がある。その場合は、各操作手段に対してSW有効時間タイマ223rを設けることで、各操作手段の操作有効期間を重複して設定することができる。
特殊有効時間タイマ223sは、特殊連続予告フラグ223oがオンに設定されている状態で、チャンスモード中演出設定処理(図185のS5012参照)が実行された場合にのみ設定される、枠ボタン22への操作を有効に判別する操作有効期間(特殊操作有効期間)を計測するためのタイマであって、特殊操作有効時間が設定される場合に、その特殊操作有効時間の長さに対応する値が設定され、時間の経過に伴って、値が減算されるように構成している。そして、枠ボタン入力監視・演出処理(図186のS4107参照)において、特殊操作有効期間内であるか否かが判別され(図186のS5306)、有効時間内であると判別した場合に(図186のS5306:Yes)、枠ボタン22の操作が有効に取り扱われる。本制御例では、通常の操作有効期間(SW有効時間タイマ223rの値が0よりも大きい期間)内に枠ボタン22を操作した場合と、特殊操作有効期間(特殊有効時間タイマ223sの値が0よりも大きい期間)内に枠ボタン22を操作した場合とで異なる操作演出が実行されるように構成しており、具体的には、特殊操作有効期間内に枠ボタン22を操作した場合には、次に実行される特別図柄変動から対象となる特別図柄変動が終了するまでの複数の特別図柄変動期間を跨いだ連続予告演出が実行されるように構成している。そして、その連続予告演出が実行された場合には、背景モードが専用の背景モード(天国モード)へと移行するように構成している。よって、通常の枠ボタン22への操作により背景モード移行が抑制されている期間内においては、背景モード移行が実行されるだけで遊技者に対して大当たり当選の期待度を高めさせることができる。
操作中カウンタ223tは、遊技者が枠ボタン22を押下している期間を計測するためのカウンタであって、遊技者が枠ボタン22を計測して押下している場合に、時間経過に伴ってカウンタの値が更新されるものである。この操作中カウンタ223tが計測した値に基づいて、遊技者が枠ボタン22に対して実行した操作の種別が判別される(図186のS5313参照)。
その他メモリエリア223zは上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
図137に戻り説明を続ける。表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図121参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図121参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
<第1制御例における表示制御装置の電気的構成について>
次に、図150〜図155を参照して、本第1制御例における表示制御装置114の電気的構成について説明する。図150は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本制御例において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、一般的にNAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本制御例では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有する。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本制御例において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図187のS6001参照)の終了後に実行される初期設定処理(図187のS6002参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図155参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本制御例では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図189(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
なお、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、一般的にNAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235dが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、特図入球口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図187のS6003,S6004参照)。
ここで、図151を参照して、電源投入時変動画像について説明する。図151は、表示制御装置114が電源投入直後において、常駐用ビデオRAM235に対して格納すべき画像データをキャラクタROM234から転送している間に、第3図柄表示装置81にて表示される電源投入時画像を説明する説明図である。
表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、図151(a)に示す電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させる。
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、図151(b)に示すように、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、図151(c)に示すように、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は図151(b)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合は図151(c)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、特図入球口64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、図151(b)及び(c)に示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に特図入球口64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
図150に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。ここで、図152を参照して、背面画像と、その背面画像のうち、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。図152は、4種類の背面画像と、各背面画像に対して常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲を説明する説明図であり、図152(a)は、「街中ステージ」に対応する背面Aに対して、図152(b)は、「森ステージ」、「川ステージ」、および「空ステージ」に対応する背面B〜Dに対してそれぞれ示したものである。
各背面A〜Dに対応する背面画像は、図152に示すように、いずれも第3図柄表示装置81において表示される表示領域よりも水平方向に長い画像が、キャラクタROM234に用意されている。画像コントローラ237は、その画像を水平方向に左から右へスクロールさせながら背面画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像の描画をおこなう。
各背面A〜Dに用意された画像(以下、「スクロール用画像」と称す。)は、いずれも位置aおよび位置cのところで背面画像が連続するように画像が構成されている。そして、位置cから位置dの間の画像および位置aから位置a’の間の画像は、表示領域の水平方向の幅分の画像によって構成されており、位置cから位置dの間にある画像が表示領域として第3図柄表示装置81に表示された後に、位置aから位置a’の間にある画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示させると、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
背面種別選択テーブル(図示せず)に基づいて背面種別の変更が決定され、ステージが「街中ステージ」、「森ステージ」、「川ステージ」、または「空ステージ」に変更されると、MPU231は、対応する背面画像のまず位置aから位置a’の間を表示領域の初期位置として設定し、その初期位置の画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像コントローラ237を制御する。そして、時間の経過とともに、表示領域をスクロール用画像に対して左から右に移動させ、順次その表示領域が第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御し、更に、表示領域が位置cから位置dの間の画像に到達した場合、再び表示領域を位置aから位置a’の画像として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。よって、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像を、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
一方、背面Eにおける背面画像は、時間の経過とともに、(a)→(b)→(c)→(a)→・・・の順で、第3図柄表示装置81に表示される。具体的には、背面Eは、島にそびえる山の画像と、山のふもとに広がる砂浜の画像と、島を囲む海の画像とが、その表示される位置が固定された状態で第3図柄表示装置81に表示される。一方、山の上に広がる空の画像は、その色調が時間経過とともに変化する。
ステージが「島ステージ」に変更されると、背面Eの初期背面画像として、朝やけを示すオレンジ色の空が表示される。そして、時間の経過とともに空の色調がオレンジ色から徐々に鮮やかな青色に変化して、所定時間経過後、昼を示す鮮やかな青色の空が表示される。次に、時間の経過とともに空の色調が鮮やかな青色から徐々に黒色に変化して、所定時間経過後、夜を示す黒色の空が表示される。その後、時間の経過とともに空の色調が黒色から徐々に白みはじめ更にオレンジ色に変化する。そして、所定時間経過後、朝やけ示す背面画像に戻る繰り返し背面画像が第3図柄表示装置81に表示される。
次いで、各背面画像において、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。初期ステージである街中ステージに対応する背面Aは、図152(a)に示すように、その背面Aの全範囲、即ち、位置aから位置dに対応する画像データが全て常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。通常、初期ステージである「街中ステージ」を表示させたまま、ステージを変更せずに遊技が行われる場合が多いので、多頻度で表示される「街中ステージ」に対応する背面Aの画像データを全て背面画像エリア235cに常駐させておくことで、キャラクタROM234へのデータアクセス回数を減らすことができる。よって、表示制御装置114にかかる処理負荷を軽減することができる。
一方、「森ステージ」に対応する背面B、「川ステージ」に対応する背面C、および「空ステージ」に対応する背面Dは、図152(b)に示すように、その背面の一部領域、即ち、位置aから位置bの間の画像に対応する画像データだけが常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。また、島ステージに対応する背面Eに対応する画像データが、電源投入後の立ち上げ処理の中で常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納され、常駐される。
ここで、即座に背面画像を変更するためには、全ての背面画像について全範囲の画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておくことが理想的であるが、そのようにすると常駐用ビデオRAM235として非常に大きな容量のRAMを用いなければならず、コストの増大につながるおそれがある。
これに対し、本パチンコ機10では、ステージが変更された場合に最初に表示される背面画像の初期位置を、位置aから位置a’の範囲に固定し、その初期位置を含む位置aから位置bの間の画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納しておく構成としているので、キャラクタROM234を読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、変動開始時の抽選によりステージの変更が決定された場合に、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されている画像データを用いることによって、即座にその背面B〜Dの初期位置を第3図柄表示装置81に表示させることができ、また、時間経過とともにスクロール表示または色調を変化させながら表示させることができる。また、背面B〜Dについては、一部範囲の画像に対応する画像データだけを格納するので、常駐用ビデオRAM235の記憶容量の増大を抑制でき、コストの増大を抑えることができる。
また、背面B〜Dは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて位置aから位置bの範囲を左から右に向けてスクロールさせている間に、位置b’から位置dの画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送完了できるように、その位置aから位置bの範囲が設定されている。これにより、位置aから位置bの範囲をスクロールさせる間に位置b’から位置dの画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置aから位置bの範囲をスクロールさせた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、位置b’から位置dの範囲をスクロールさせて第3図柄表示装置81に表示させることができる。
同様に、背面Eは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて画像を表示させている間に、残りの画像の画像データがキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送が完了できるように、画像データの範囲が設定されている。これにより、画像を表示させている間に残りの画像に対応する画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて画像を表示させた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、残りの画像を時間経過とともに、順次、第3図柄表示装置81に表示させることができる。
なお、背面B〜Eにおいて、通常用ビデオRAM236に格納される画像データは、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236a(図150参照)に設けられた背面画像専用のサブエリアに格納される。これにより、背面画像専用のサブエリアに格納された背面画像データが、他の画像データによって上書きされることがないので、背面画像を確実に表示させることができる。
また、背面B〜Dにおいて、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される画像データと、通常用ビデオRAM236に格納される画像データとでは、位置b’から位置bの間の画像に対応する画像データが重複して格納される。そして、MPU231による画像コントローラ237の制御により、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置bまでの画像を第3図柄表示装置81に表示させ、次いで、通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて位置b’からの画像を第3図柄表示装置81に表示させることで、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
更に、MPU231は、通常用ビデオRAM236の画像データを用いて、位置cから位置dの間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御すると、次いで、MPU231は、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cの画像データを用いて、位置aから位置a’の間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。これにより、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像が、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
図150に戻って、説明を続ける。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、特図入球口64、または第2入球口640への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
また、本制御例では、設定される背景モード(背面画像)に応じて表示態様が異なる第3図柄が表示されるように構成している。よって、第3図柄エリア235dには、背景モードが切り替わる毎に、切り替わり後の背景モードに対応する第3図柄の表示画像データが格納される。これにより、第3図柄エリア235dに全ての背景モードに対応する全ての第3図柄に対する画像データを格納する必要が無くなるため、記憶容量の削減を図ることができる。
なお、本制御例では、遊技者が操作手段(枠ボタン22)を操作することにより背景モードを切替可能に構成しているため、短期間の間に複数回の背景モード移行が実行される場合がある。そこで、本制御例では、背景モードを切り替えた後の所定期間(例えば、10秒間)は、切替前の背景モードに対応する画像データを第3図柄エリア235dから消去しないように構成している。これにより、頻繁に背景モードを切り替える事象が発生したとしても、第3図柄エリア235dへと画像データを格納する処理が煩雑に実行されることを抑制することができる。また、第3図柄記憶エリア235dに対して、予め、複数の背景モード毎に対応させた複数の第3図柄の画像データを格納するように構成しても良い。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」や「老人」、「少女」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画像エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画像エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
なお、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、背面画像変更フラグ233w、背面画像判別フラグ233x、デモ表示フラグ233y、確定表示フラグ233zを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア234a1に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。なお、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
オープニング演出は、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行して、通常時には閉鎖されている大開放口が繰り返し開放されることを遊技者に報知するための演出であり、ラウンド演出は、これから開始されるラウンド数を遊技者に報知するための演出である。エンディング演出は、特別遊技状態の終了を遊技者に報知するための演出である。
なお、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図153を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図153は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本制御例では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。なお、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。なお、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、遊技者によって選択されているステージ(「街中ステージ」、「森ステージ」、「川ステージ」、「空ステージ」、「島ステージ」のいずれか)に対応する背面A〜Eのいずれかを表示させるか、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させるかを特定する情報が記載されている。また、背面種別は、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、背面A〜Eのいずれかを表示させることが特定される場合は、背面A〜Eのうち抽選により決定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
なお、本制御例では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図153の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図155参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種多様な演出画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図154を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図154は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
なお、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図154のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図154のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
なお、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図154の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図155参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図154の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、図151(a)〜(c)に示す電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図187参照)の中でオンに設定される(図187のS6005参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図199(b)のS7605参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図189(b)のS6301参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図189(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(図189(b)のS6309参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図190〜図195参照)および表示設定処理(図196〜図198参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図199(a)のS7501参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図199(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図200参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図155参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図155参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。なお、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図155参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図189(b)のS6303参照)の中で、ポインタ更新処理(図198のS7205参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図155参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置114の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図155を参照して、描画リストの詳細について説明する。図155は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図155に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といったスプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本制御例では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図189(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図196のS7207参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233iは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233iは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図187のS6002参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233iは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233iの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図200参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図200のS7713参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図200のS7714参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233jは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図201のS7802参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233jは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233jの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理の描画処理(図189(b)のS6306参照)が実行される度に行われる。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
背面画像変更フラグ233wは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像の種別を変更するか否かを判別するためのフラグである。この背面画像変更フラグ233wがオンであれば、背面画像の種別を変更することを意味し、オフであれば変更を行わないことを意味する。背面画像変更フラグ233wは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドを受信した場合にオンに設定される(図195(a)のS7001参照)。また、この背面画像変更フラグ233wは、通常画像転送設定処理において参照され(図200のS7709参照)、背面画像の変更処理が実行される際にオフに設定される(図200のS7710参照)。これにより、音声ランプ制御装置113から受信した背面画像変更コマンドや演出モード変更コマンドに対応した背面画像を表示することができる。
背面画像判別フラグ233xは、設定されている背面画像種別を示すフラグである。このフラグは、例えば1バイトで構成されており、各ビットに対して各背面種別が対応付けられている。この背面画像判別フラグ233xのうち、いずれかのビットがオンであれば、そのオンのビットに対応する背面種別が現在の背面種別として設定されていることを意味する。例えば、背面画像判別フラグ233xの0ビット目がオンであれば、背面Aが設定されていることを意味する。この背面画像判別フラグ233xは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドを受信した場合に、そのコマンドにより通知された背面画像に対応するビットがオンに設定される(図195(a)のS7002参照)。この際、他のビットは全てオフに設定される。この背面画像判別フラグ233xにより、容易に現在設定されている背面種別を特定することができる。
デモ表示フラグ233yは、デモ演出中であるか否かを示すフラグである。このデモ表示フラグ233yがオンであればデモ演出中であることを意味し、オフであればデモ演出中でないことを意味する。このデモ表示フラグ233yは、表示設定処理(図196参照)において、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定した場合にオンに設定され(図196のS7221参照)、デモ用表示データテーブル以外の他の表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに対して設定された場合にオフに設定される(図191(a)のS6505、図192(a)のS6705、図192(b)のS6805、図193のS6905参照)。このデモ表示フラグ233yにより、現在がデモ演出中であるか否かを容易に判別することができる。
確定表示フラグ233zは、確定表示演出の実行中であるか否かを示すフラグである。ここで、確定表示演出とは、変動パターン後に停止図柄を所定期間(例えば、1秒)停止表示(確定表示)する演出を示す。この確定表示フラグ233zがオンであれば、確定表示演出中であることを意味し、オフであれば、確定表示演出中でないことを意味する。確定表示フラグ233zは、表示設定処理(図196参照)の中で、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定した場合にオンに設定され(図196のS7214)、確定表示データテーブル以外の他の表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに対して設定された場合にオフに設定される(図191(a)のS6505、図192(a)のS6705、図192(b)のS6805、図193のS6905参照)。この確定表示フラグ233zにより、現在が確定表示演出中であるか否かを容易に判別することができる。
<第1制御例における主制御装置により実行される制御処理について>
次に、図156から図172のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本制御例では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
本第1制御例では、上述した通り、第1特別図柄の抽選権利(特図1保留)と、第2特別図柄の抽選権利(特図2保留)と、を共に記憶している状態において、第2特別図柄の抽選を優先的に実行するように構成している。また、大当たり遊技が実行されている間に、可変入賞装置65内に配設された特定領域(Vゲート)65Vに球を通過させることにより、大当たり遊技の終了後に特別図柄の高確率状態が設定されるように構成している。さらに、遊技者に有利な遊技状態である確変状態を終了させるための終了条件として、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に成立する終了条件以外に、特別図柄抽選が所定回数(例えば、50回)実行された場合に成立する終了条件を設けるように構成している。
図156は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では999)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では999)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本制御例ではそれぞれ、999,99,999)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1,C2,C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37a,37bにおいて表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行する(S104)。その後、第1入球口64への球の入球(始動入賞)や第2入球口640への球の入球(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図157〜図162を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図163および図164を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、次いで、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための発射停止スイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図157を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理の一処理である特別図柄変動処理(S104)を説明する。図157は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。特別図柄変動処理(図157のS104参照)は、特別図柄を、取得した各カウンタ値に基づいて、各種判定(当否判定)や決定を行い、所定の制御によりその決定された変動表示態様で、第1図柄表示装置37に変動表示を可能に制御したり、第3図柄表示装置81にて第3図柄、第4図柄の変動表示演出を実行させるための各種コマンドを設定したり、判定結果(当否判定結果)を示す表示態様で停止表示させるための制御が実行される。以下、特別図柄変動処理(図157のS104参照)について説明する。
この特別図柄変動処理(S104)では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中(大当たり遊技中)であるかを判別する(S201)。具体的には、大当たり中フラグ203kがオンであるかを判別する。判別の結果、特別図柄の大当たり中(大当たり遊技中)であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
S201の処理において、特別図柄の大当たり中(大当たり遊技中)ではないと判別した場合は(S201:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、即ち、新たな特別図柄抽選(変動)を実行可能な状態であれば、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(第1特別図柄の抽選に基づく変動表示の保留回数N1)と、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(第2特別図柄の抽選に基づく変動表示の保留回数N2)を取得する(S203)。次に、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(N2)が0よりも大きいかを判別する(S204)。第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(N2)が0でなければ(S204:Yes)、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(N2)を1減算し(S205)、演算により変更された第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンドを設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理の外部出力処理の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223cに格納する。
S206の処理により保留球数コマンドを設定した後は、第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、第2特別図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトし、S208の処理へ移行する。
一方、S204の処理において、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(N2)が0である場合は(S204:No)、S203の処理で取得した第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が0よりも大きいかを判別する(S210)。
S210の処理において、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が0であると判別した場合は(S210:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S210の処理において、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が0でない(即ち、1以上である)と判別した場合は(S210:Yes)、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を1減算し(S211)、演算により変更された第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを設定する(S212)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理の外部出力処理の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223cに格納する。
S212の処理により保留球数コマンドを設定した後は、第1特別図柄保留球格納エリア203aに格納されたデータを、S207の処理と同一の手法によりシフトして(S213)、処理をS208の処理へと移行する。S207、またはS213の処理後に実行されるS208の処理では、特別図柄大当たり判定処理を実行し(S208)、次いで、特別図柄変動パターン選択処理を実行し(S209)、その後、本処理を終了する。この特別図柄大当たり判定処理(S208)および特別図柄変動パターン選択処理(S209)の詳細については図158および図159を参照して後述する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、次いで、変動時間が経過したか否かを判別する(S214)。変動時間が経過していなければ(S214:No)、第1図柄表示装置37の表示を更新し(S215)、その後、本処理を終了する。S215の処理では、特別図柄の変動時間を計測するための変動時間カウンタの値が更新され、更新後の変動時間カウンタの値に対応させて第1図柄表示装置81の表示が更新される。この変動時間カウンタには、特別図柄変動パターン選択処理(S209)にて選択された変動パターンに対応する変動時間を示す値が、特別図柄変動の開始タイミングでセットされ、その後、S215の処理を実行する毎に更新(減算)される。一方、S214の処理で変動時間が経過したと判別された場合は(S214:Yes)、即ち、S215の処理で更新された変動時間カウンタの値が0である場合は、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S216)。停止図柄の設定は、特別図柄変動パターン選択処理(S209)によって予め行われる。この特別図柄変動パターン選択処理(S209)が実行されると、実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりA〜Eのいずれかが決定される。
尚、本制御例では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37において青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には赤色のLEDを点灯させ、大当たりCとなる場合には、緑色のLEDを点灯させ、大当たりDとなる場合には、青色のLEDと緑色のLEDを点灯させる。また、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S216の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37において実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S217)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S217:Yes)、大当たり開始フラグ203jをオンに設定し(S218)、時短カウンタ203h、確変カウンタ203iの値をクリア(0に設定)し(S219)、S220の処理へと移行する。S218の処理によって、大当たり開始フラグ203jがオンに設定されると、主制御装置110にて実行されるメイン処理の大当たり制御処理(図113のS1804参照)が実行された場合に、S1901:Yesへ分岐して、オープニングコマンドが設定される(S1902)。その結果、第3図柄表示装置81において、大当たり演出が開始される。
S217の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の外れであれば(S217:No)、S218,S219の処理をスキップして、更新処理を実行し(S221)、その後、S220へと移行する。
ここで設定された状態コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理の外部出力処理(S1801)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、状態コマンドを受信すると、状態コマンドに含まれる遊技状態を取得する。これにより、音声ランプ制御装置113の把握する状態を、実際のパチンコ機10の状態に一致させることができる。S220の処理では、特図確定コマンドを設定し(S220)、本処理を終了する。
次に、図158を参照して、特別図柄変動処理(図157のS104)の一処理である特別図柄大当たり判定処理(S208)について説明する。図158は、この特別図柄大当たり判定処理(S208)を示すフローチャートである。
特別図柄大当たり判定処理(図158のS208)では、まず、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に記憶されている各カウンタ値を取得する(S301)。そして、第1当たり乱数テーブル202a(図140(a)参照)に基づいて、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たり判定値と一致するか否かを判定し、その抽選結果(判定結果)を取得する(S302)。
S302の処理を終えると、次に、今回の抽選結果が大当たりであるかを判別し(S303)、大当たりであると判別した場合は(S303:Yes)、特別図柄の抽選結果を大当たりに設定し(S304)、取得した当たり種別カウンタC2の値に基づいて、第1図柄表示装置37に表示する特別図柄の大当たり図柄をセットし(S305)、本処理を終了する。一方、S303の処理において今回の抽選結果が大当たりでは無いと判別した場合は(S303:No)、第1図柄表示装置37に特別図柄の外れ図柄をセットし(S306)、本処理を終了する。
次に、図159を参照して、特別図柄変動処理(図157のS104)の一処理である特別図柄変動パターン選択処理(S209)について説明する。図159はこの特別図柄変動パターン選択処理(S209)を示すフローチャートである。
特別図柄変動パターン選択処理(図159のS209)では、まず、特別図柄大当たり判定処理(図158のS208)において、特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否か、即ち、特別図柄の大当たりが設定されているか否かを判別する(S401)。
S401の処理において、特別図柄の大当たりが設定されていると判別された場合には(S401:Yes)、大当たり種別選択テーブル202d(図141(a)〜(c)参照)と、取得している第1当たり種別カウンタC2の値とに基づいて、大当たり種別を決定する(S402)。次いで、特別図柄実行エリアに格納されている変動種別カウンタCS2の値を取得し(S403)、遊技状態格納エリア203gに記憶されている情報に対応する現在の遊技状態(通常状態、潜伏状態、確変状態)に対応した変動パターン選択テーブル202dを読み出す(S404)。
そして、S403の処理で取得した変動種別カウンタCS2の値と、S404の処理で読み出した変動パターン選択テーブル202dとに基づいて変動パターンを選択し(S405)、S405の処理で選択した変動パターンに基づいて、特図変動パターンコマンドを設定する(S406)。ここで設定される特図変動パターンコマンドには、特別図柄抽選の抽選結果、特別図柄の変動時間を示す情報が含まれており、主制御装置110のメイン処理の外部出力処理(図167のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
次に、特別図柄の停止図柄を示す特図停止種別コマンドを設定し(S407)、第1図柄表示装置37で特別図柄の変動開始を設定し(S408)、選択した変動パターンの変動時間を示す値を特図変動時間カウンタ(図示せず)の値にセットし(S409)、本処理を終了する。S407の処理で設定される特図停止種別コマンドには、今回の特別図柄変動の結果を示す停止図柄の種別、即ち、リーチ外れや、リーチにならない外れといった大まかな種別を示す情報が含まれており、主制御装置110のメイン処理(図167)の外部出力処理(図167のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
一方、S401の処理において、特別図柄の抽選結果が外れであると判別した場合には(S401:No)、S402の処理をスキップしてS403の処理へ移行する。
次に、図160を参照して、特別図柄変動処理(図15のS104参照)にて実行される更新処理(S221)の内容について説明をする。図160は、更新処理(S221)の内容を示したフローチャートである。この更新処理(S221)では、特別図柄変動の変動時間が経過した場合(変動停止時)に実行される処理であって、確変状態が継続して設定される期間の残期間を更新したり、時短状態が継続して設定される期間の残期間を更新したりするための処理が実行される。
更新処理(S221)が実行されると、まず確変カウンタ203iの値が0よりも大きい、即ち、現在が特別図柄の高確率状態であるかを判別し(S501)、確変カウンタ203iの値が0よりも大きいと判別した場合は(S501:Yes)、確変カウンタ203iの値を1減算(更新)し(S502)、次いで、更新後の確変カウンタ203iの値が0であるかを判別し(S503)、0であると判別した場合は(S503:Yes)、遊技状態格納エリア203gに時短状態を設定し(S504)、S505の処理へ移行する。また、S501の処理において確変カウンタ203iの値が0よりも大きくない(0である)と判別した場合(S501:No)は、現在が特別図柄の高確率状態では無いため、確変カウンタ203iの値を更新するための上述したS502〜S504の処理をスキップしてS505の処理へ移行する。
また、S503の処理において、確変カウンタ203iの値が0では無い、即ち、確変カウンタ203iの値が0よりも大きく、確変状態(特別図柄の高確率状態)が継続する場合も(S503:No)、S504の処理をスキップしてS505の処理へ移行する。
S505の処理では、時短カウンタ203hの値が0よりも大きいかを判別し、0よりも大きいと判別した場合、即ち、現在が普通図柄の高確率状態である場合は(S505:Yes)、時短カウンタ203hの値を1減算し(S506)、減算後の時短カウンタ203hの値が0であるかを判別する(S507)。S507の処理において時短カウンタ203hの値が0であると判別した場合は、遊技状態格納エリア203gに通常状態を設定し(S508)、確変カウンタ203iの値、時短カウンタ203hの値、現在の遊技状態を示す状態コマンドを設定し(S509)、本処理を終了する。また、S505の処理において時短カウンタ203hの値が0よりも大きく無い(0である)と判別した場合(S505:No)、或いは、S507の処理において時短カウンタ203hの値が0では無いと判別した場合(S507:No)は、そのままS509の処理へ移行する。
次に、図161を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図156)の一処理である始動入賞処理(S105)を説明する。図161は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。始動入賞処理(図161のS105)は、第1入球口64、第2入球口640のいずれかにに球が入球(始動入賞)したか判別して、始動入賞した場合には、保留上限個数(第1入球口64、第2入球口640に最大4個)まで、取得した各カウンタ値を第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bにそれぞれ格納する処理である。
また、保留球に基づいて取得された各カウンタ値が、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bにそれぞれ記憶されると、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bのそれぞれに記憶されている各カウンタ値に基づいて、事前に当否判定結果や選択される変動パターン等を予測する処理(所謂、先読み処理)が実行される。以下、始動入賞処理(図161のS105)について説明する。
始動入賞処理(図161のS105)では、まず、球が第1始動口である第1入球口64に入球(始動入賞)したか否かを判別する(S601)。ここでは、第1入球口64内に設けられた球検知スイッチ(図示せず)への球の入球を検出する。球が第1入球口64に入球した(始動入賞があった)と判別する(S601:Yes)、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を取得し(S602)、その取得した値(N1)が4未満であるかを判別する(S603)。
つまり、現時点で第1入球口64に対する保留個数が上限値である4個よりも少ない状態であるか(即ち、保留個数が上限値まで記憶されていないか)が判別される。取得した値(N1)が4未満であると判別した場合には(S603:Yes)、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を1加算し(S604)、音声ランプ制御装置113に対して第1入球口64の保留個数(第1特別図柄の抽選権利保留数)を通知するための保留球数コマンドを設定する(S605)。
そして、各種カウンタ値(第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1)の各値をカウンタ用バッファから読み出し(取得して)、RAM203の第1特別図柄保留球実行エリアの対応する保留球数の記憶エリアに各々保留(格納)し(S606)、S607の処理へ移行する。
また、S601の処理で球が第1入球口64に入球していないと判別した場合(S601:No)、或いは、S603の処理で、現時点で第1入球口64に対する保留個数が上限値であると判別した場合(S603:No)は、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を加算する処理をスキップして、S607の処理へ移行する。
次に、S607〜S612までの各処理については、S601〜S606までの各処理で実行された第1始動口(第1入球口64)への球の入賞に対して行われた処理と同様の処理が、第2入球口640に対して実行される処理であることが相違するのみであるので、詳細な説明は省略する。
S601〜S612までの各処理を実行後、先読み処理を実行し(S613)、本処理を終了する。
この先読み処理(S613)については、図162を参照して後述するが、新たに第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶された各カウンタ値から当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理が実行される。なお、本制御例では、新たに記憶された各カウンタ値に基づいて当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、新たな始動入賞があった場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶(格納)されている全ての保留記憶に対して当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理を実行するように構成しても良い。
また、本制御例では、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに新たな情報(入賞情報)を格納する場合、即ち、特別図柄の抽選権利を新たに獲得した場合に、特別図柄の抽選権利(入賞情報)の内容を事前に判別する構成としているが、これに限ること無く、例えば、球がスルーゲート67を通過した場合や、普通図柄の抽選結果に応じて、特別図柄の抽選権利(入賞情報)の内容を事前に判別するように構成しても良い。
上述した通り、本制御例では、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)または第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(N2)を加算した場合に、加算された入賞に関する情報(入賞情報)に基づいた先読み処理(S613)を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、S603の処理で第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が上限数(4)であると判別した場合(S603:No)、即ち、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で第1入球口64に球を入球させた場合に先読み処理(S613)を実行することができるように構成しても良い。これにより、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態においても、先読み処理を実行させるために遊技者に継続して遊技を行わせることができる。また、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で第1入球口64に球を入球させた場合に付加価値を付与することができるため、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で第1入球口64に球が入球した際に遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。
次に、図162を参照して、始動入賞処理(図161のS105)の一処理である先読み処理(S613)について説明する。図107は、この先読み処理(S613)を示すフローチャートである。
先読み処理(図162のS613)では、まず、新たに第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶された格納エリアから各種カウンタ値である、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1の各値を読み出す(S701)。そして、読み出したデータを先読み保留記憶エリアの空いている記憶エリアのうち、入賞順序がもっとも小さいエリアに記憶する(S702)。
次に、新たに先読み保留記憶エリアに記憶された各カウンタ値に基づいて、当否判定結果を判定する。なお、ここでは、特別図柄の低確率状態である場合の当否判定と、特別図柄の高確率状態である場合の当否判定との両方が判別される。これは、新たな保留記憶が発生したタイミング(第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに新たな保留(入賞情報)が記憶されたタイミング)と、今回新たに保留された入賞情報に基づいて大当たり判定が実行されるタイミングとにはタイムラグが発生することから、今回新たに保留された入賞情報に基づく大当たり判定が実行されるタイミングで設定されている遊技状態(特別図柄の確率状態)を予測することが困難だからである。
次に、当否判別結果が大当たりであるか否かを判別する(S703)。判別結果が大当たりであると判別した場合は(S703:Yes)、読み出した各種カウンタ値に基づいて、大当たり種別と、変動パターンと、を特定可能な情報を含む入賞コマンドを設定し(S704)、その後、本処理を終了する。
一方、S703の処理における判別結果が大当たりでは無いと判別した場合は(S703:No)、読み出した各種カウンタ値に基づいて、外れ当選と、変動パターンと、を特定可能な情報を含む入賞コマンドを設定し(S705)、その後、本処理を終了する。
ここで、S704、或いはS705の処理で設定された入賞コマンドは、上述した当否判定結果を示すための情報(当否判定結果に基づいて異なる意味を持たせる情報)に加え、共通情報として、S701の処理によって読み出された各種カウンタ値の値を示すための情報も含んで設定される。そして、本処理で設定された入賞コマンドが主制御装置110のメイン処理(図167参照)にて実行される外部出力処理(S1801)によって音声ランプ制御装置113に対して出力される。
音声ランプ制御装置113側では、入賞コマンドを受信した場合に、入賞コマンドに含まれる各種情報に基づいて、保留球の表示態様を可変させて(例えば、保留球の色を通常とは異なる色で可変して)表示させたり、変動開始前に予告図柄等を表示して遊技者に当否判定結果を示唆したりする演出(先読み演出)を実行できる。
なお、本制御例では、特別図柄の確率状態が1つ(特別図柄の低確率状態)しかないため、入賞コマンドに設定する情報(当否判定結果)を遊技状態に関わらず設定することができるが、例えば、特別図柄の確率状態を複数(特別図柄の高確率状態、特別図柄の低確率状態)有する遊技機においては、特別図柄の高確率状態の場合の当否判定結果と、特別図柄の低確率状態の場合の当否判定結果とを判別し、各判別の結果に基づいた入賞コマンドを設定するように構成しても良いし、特別図柄が高確率状態であっても、低確率状態であっても大当たりと判定される判定値(第1当たり乱数カウンタC1の値)を規定し、その判定値を読み出した場合のみ特別図柄の大当たりを示す入賞コマンドを設定するように構成しても良い。
このように構成することで、音声ランプ制御装置113側に対して、特定の大当たりであることを事前判別した場合のみ大当たりを示す入賞コマンドを出力することになるため、先読み演出が実行されない特別図柄変動に対して、大当たり当選の期待感を持たせることができる。
さらに、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納(記憶)されている保留記憶(入賞情報)に基づく特別図柄の抽選が行われる際の遊技状態を正確に判別して、その遊技状態に基づいて当否判定を実行するように構成してもよい。この場合には、変動パターンの選択を保留球数によって可変するのではなく、変動開始時の保留球数に関わらず一定の変動パターンを選択するように構成することで判別が可能となる。先読みを実行する場合に、その保留球が変動開始されるまでの変動順序を保留記憶されている情報に基づいて判別することで変動開始時の遊技状態を判別できる。
また、本制御例では、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに新たな保留記憶(入賞情報)が格納(記憶)された場合に、その入賞情報に基づく先読み処理を実行し、その先読み処理の中で当否判定を事前に予測する構成を用いているが、これに限ること無く、主制御装置110の先読み処理において、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに新たに格納(記憶)された入賞情報(保留記憶)の内容(各カウンタ値)を示す情報を入賞コマンドとして設定し、音声ランプ制御装置113側で受信した入賞コマンドに含まれる情報に基づいて当否判定結果を予測するように構成しても良い。
このように構成することで、主制御装置110の処理負荷を軽減することができる。また、音声ランプ制御装置113側で、先読み演出を実行するか否かを判別する処理を実行し、先読み演出を実行すると判別した場合に、主制御装置110から受信した入賞コマンドに含まれる情報を解析(当否判定結果の予測)するように構成すると良い。これにより、先読み演出を実行しない場合には、具体的な先読み処理(当否判定結果の予測)が実行されないため、パチンコ機10にて無駄な制御が実行されることを抑制することができる。また、無題に実行された先読み処理の結果を遊技者に不正に取得されてしまう不具合を抑制することができる。
次に、図163を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理の一処理である普通図柄変動処理(S106)について説明する。図163は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。普通図柄変動処理(S106)は、第2図柄(普通図柄)の変動表示や、電動役物640aの開放時間などを制御するための処理であり、普通図柄変動(抽選)に関連する様々な処理(普通図柄変動を実行する処理、実行する普通図柄変動の変動態様(変動時間)を設定する処理、実行中の普通図柄変動を更新する処理、普通図柄変動を停止させる処理、普通図柄抽選の結果が当たりである場合に実行される普図当たり遊技の遊技内容を決定する処理)が実行される処理である。
この普通図柄変動処理(図163のS106)では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるかを判別する(S801)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされてから(当たり図柄が停止表示してから)電動役物640aの開閉制御がなされている最中まで(当たり遊技が終了するまで)が含まれる。普通図柄(第2図柄)の当たり中であると判別した場合には(S801:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でないと判別した場合には(S801:No)、第2図柄表示装置83の普通図柄が変動表示中であるかを判別する(S802)。普通図柄の変動表示中では無い、即ち、現在が新たな普通図柄変動(抽選)を実行可能な状態であると判別した場合は(S802:No)、次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を取得し(S803)、その値が0よりも大きいかを判別する(S804)。
S804の処理で普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0であると判別された場合には(S804:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値が0よりも大きいと判別した場合は(S804:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1減算する(S805)。つまり、S804の処理において新たな普通図柄変動を実行するための条件(普通図柄変動に用いるための入賞情報が保留記憶されていること)が成立していると判別された場合は、保留記憶されている入賞情報を用いて普通図柄変動を実行するため、普通図柄保留球数カウンタ203fの値を1減算する。
次に、普通図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S806)。S806の処理では、普通図柄保留球格納エリア203cの普通図柄保留1〜普通図柄保留4に格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、普通図柄保留1→実行エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S807)。
次に、時短カウンタ203hがオンであるか否か、即ち、現在が普通図柄の高確率状態(時短中)であるか否かを判別し(S808)、時短カウンタ203hがオンに設定されていると判別した場合は(S808:Yes)、高確率時用の第2当たり乱数テーブル202c(図140(b)参照)の当たり判定値に基づいて当否判定結果(抽選結果)を取得し(S809)、S811の処理へ移行する。一方、時短カウンタ203hがオフであると判別した場合は(S808:No)、低確率時用の第2当たり乱数テーブル202c(図140(b)参照)の当たり判定値に基づいて、当否判定結果が取得され(S810)、S811の処理へ移行する。
S811の処理では、今回の普通図柄変動(抽選)が当たりであるかを判別し(S811)、当たりであると判別した場合は(S811:Yes)、当たり時の表示態様である「○」の表示態様を設定し(S812)、S814の処理へ移行する。一方、S811の処理で、今回の普通図柄変動(抽選)が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S811:No)、外れ時の表示態様である「×」の表示態様を設定し(S813)、S814の処理へ移行する。
S814の処理では、現在の遊技状態が時短中(普通図柄の高確率状態)であるかを時短カウンタ203hの値を参照して判別し(S814)、時短中(普通図柄の高確率状態)であると判別した場合は(S814:Yes)、普通図柄の変動時間を3秒に設定し(S815)、本処理を終了する。一方、S814の処理で時短中(普通図柄の高確率状態)では無いと判別した場合は(S814:No)、普通図柄の変動時間を10秒に設定し(S816)、本処理を終了する。
なお、本制御例では、上述した通り、設定される普通図柄の確率状態に応じて、普通図柄の変動時間を異ならせているが、これに限ること無く、設定されている遊技状態に関わらず、常に変動時間として3秒が設定されるように構成してもよい。このように構成することで、遊技状態が切り替わるタイミングにおいて、具体的には、一般的に長い変動時間が設定され易い通常状態(普通図柄の低確率状態)から、短い変動時間が設定され易い時短状態(普通図柄の高確率状態)へと遊技状態が切り替わる大当たり遊技終了のタイミングにおいて、長い変動時間の普通図柄変動が実行されており、時短状態が設定されたにも関わらず、時短状態中の普通図柄抽選が実行されない事態が発生することを抑制することができる。
なお、普通図柄の変動時間の設定方法については、本制御例の構成に限ること無く、遊技状態に応じて変動時間を異ならせたり、普図保留球数に応じて変動時間を異ならせたり、取得した所定値に応じて変動時間を異ならせたりしても良く、例えば、本制御例では、普通図柄変動の変動時間を、設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)と、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普図保留数)と、に基づいて可変設定するように構成しても良い。さらに、設定された普通図柄の変動時間によって、第2入球口640への球の入球のし易さが異なるように構成しても良い。
このように、設定される普通図柄の変動時間の長さに応じて、第2入球口640への球の入球具合を可変させるように構成することで、第2入球口640への球の入球のし易さを遊技状態に応じて容易に可変することができるため、様々な遊技性を創り出すことができる。
一方、S802の処理において、普通図柄(第2図柄)が変動表示中ではないと判別した場合には(S802:No)、第2図柄表示装置83において実行している普通図柄の変動時間が経過したかを判別し(S817)、変動時間が経過していないと判別した場合は(S817:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S817の処理において変動時間が経過していると判別した場合は(S817:Yes)、次に、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S818)。S818の処理では、今回の普通図柄の抽選が当たりである場合には、第2図柄表示装置83には「○」図柄が停止表示(点灯表示)されるように設定する。一方、普通図柄の抽選が外れである場合には、第2図柄表示装置83には「×」図柄が停止表示(点灯表示)される。つまり、上述したS812、或いはS813の処理で設定された表示態様を停止表示させるための設定が行われる。
S818の処理により、停止表示を設定すると、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S812の処理、或いはS813の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、今回の普通図柄の抽選結果は当たりであるかを判別する(S819)。普通図柄の抽選結果が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S819:No)、そのまま本処理を終了する。一方、今回の普通図柄の抽選結果は当たりであると判別した場合には(S819:Yes)、現在の遊技状態が時短中(普通図柄の高確率状態)であるかを時短カウンタ203hの値を参照して判別し(S820)、時短中(普通図柄の高確率状態)であると判別した場合は(S820:Yes)、普図当たり遊技の遊技内容として、電動役物640aの開放時間が1秒間×2回の遊技内容(開放動作)を設定し(S823)、S822の処理へ移行する。
一方、S820の処理で時短中(普通図柄の高確率状態)では無いと判別した場合は(S820:No)、普図当たり遊技の遊技内容として、電動役物640aの開放時間が5秒間×1回の遊技内容(開放動作)を設定し(S821)、S822の処理へ移行する。
S822の処理では、S821、或いはS823の処理において設定されたシナリオに基づいて電動役物640aの開閉制御開始を設定し(S822)、本処理を終了する。
次に、本制御例における電動役物640aの開閉制御態様(開放パターン)について説明をする。本制御例のパチンコ機10では、普通図柄の当否判定を行うタイミング(S808〜S811の処理を行うタイミング)にて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて普通図柄の当否判定を実行し、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミング(S817の処理で変動時間が経過したと判別したタイミング)にて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するように構成している。
即ち、本制御例では、普通図柄に関する変動処理(抽選処理)と、特別図柄に関する変動処理(抽選処理)とが独立して実行されるように構成されており、さらに、特別図柄に関する変動処理(抽選処理)の結果に基づいて普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)が可変するように構成している。よって、普通図柄に関する変動処理(抽選処理)が実行されている期間中に並行して実行される特別図柄に関する変動処理(抽選処理)の結果によっては、普通図柄の当否判定を行うタイミングでは普通図柄の高確率状態が設定され、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングでは普通図柄の低確率状態が設定される場合が発生する。
このような状況において、例えば、普通図柄の当否判定を行うタイミングにて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定してしまうと、普通図柄の低確率状態が設定されている状態で、電動役物640aがロング開放(普通図柄の高確率状態中が設定されている場合に実行される開放パターン)してしまうという問題があった。
そこで、本制御例では、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングにおける普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)を判別し、その判別結果に基づいて電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するように構成している。これにより、設定されている遊技状態に応じた開放パターンで電動役物640aを開放させることができる。
なお、本制御例では、普通図柄の当否判定を行うタイミングにおける普通図柄の確率状態に基づいて普通図柄の当否判定を実行し、普通図柄の当たり遊技にて可動させる電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングにおける普通図柄の確率状態に基づいて電動役物640aの開放パターンを設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、普通図柄の当否判定を行うタイミングで普通図柄の高確率状態が設定されており、且つ普通図柄の当たり遊技にて可動させる電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングでも普通図柄の高確率状態が設定されている場合にのみ、電動役物640aがロング開放するように構成しても良いし、普通図柄の当否判定を行うタイミングで設定されている遊技状態に基づいて、電動役物640aの開放パターンを設定するように構成しても良い。
また、詳細な説明は省略しているが、普通図柄変動処理(図108のS106参照)において決定された各種情報(普通図柄抽選の結果、普通図柄変動の変動時間、普図当たりシナリオ等)は、それぞれ各種情報の内容を示すコマンドが設定され、主制御装置110のメイン処理(図167参照)の外部出力処理(図167のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
次に、図164を参照してスルーゲート通過処理(S107)の内容について説明をする。図164は、スルーゲート通過処理(S164参照)の内容を示したフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図156参照)の中で実行され、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し実行エリアに格納するための処理である。また、取得した普通当たり乱数カウンタC5の値を用いて、実際の当否判定が実行されるよりも前に(普通図柄変動処理(図163のS106参照)にて当否判定(S811参照)が実行されるよりも前に)、抽選結果(当否判定結果)を事前に取得するための処理である。
スルーゲート通過処理(S107)では、まず、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したか否かを判定する(S901)。ここでは、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したと判定されると(S901:Yes)、次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を取得し(S902)、次いで、その取得した普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4よりも大きくないか(普通図柄の保留球数が上限値に到達していないか)を判別する(S903)。
S903の処理で、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4よりも大きい(上限値の4である)と判別した場合は(S903:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4よりも大きくないと判別した場合は(S903:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)に1を加算し(S904)、第2当たり乱数カウンタC4の値を普通図柄保留球格納エリア203cに格納し(S905)、第2当たり乱数テーブル202c(図140(b)参照)に基づいて抽選結果を事前に取得し(S906)、普通当たり判定結果(S906の処理にて取得した事前判別結果)を含む普図用入賞情報コマンドを設定し(S907)、本処理を終了する。
S907の処理で設定された普図用入賞情報コマンドは、上述した各制御例にて設定される特別図柄の事前判別結果を示す入賞情報コマンドと同一の処理によって音声ランプ制御装置113へと通知される。このように構成することで、保留記憶されている普通図柄の抽選権利に対応する普通図柄抽選の抽選結果を事前に判別し、その事前判別結果に基づいた演出を実行することが可能となる。
具体的には、チャンスゾーンが設定されている状態において、即ち、通常状態中に普図当たり遊技が実行されたことに基づいて第2特別図柄抽選が実行されている状態において受信した普図用入賞情報コマンドに普通図柄の当たり当選を示す情報が含まれている場合には、次に普図当たり遊技が実行されるまでチャンスゾーンを継続させる演出を実行することができる。この場合、次に普図当たり遊技が実行されるまでの間に、第2特別図柄抽選が全て終了し、第1特別図柄抽選が実行される場合であっても、その第1特別図柄抽選に対応して実行される変動演出の演出態様として、第1特別図柄抽選に対応した演出態様(例えば、図122(b)に示した水平方向に第3図柄を変動させる演出態様)では無く、第2特別図柄抽選に対応した演出態様(例えば、図124(b)に示した垂直方向に第3図柄を変動させる演出態様)が設定されるように構成すると良い。このように構成することで、通常状態において所定期間内に複数回の普図当たり遊技が実行される場合には、チャンスゾーンを長期間設定することができ演出効果を高めることができる。
また、チャンスゾーンが設定されてから所定回数の第2特別図柄抽選が実行されたにも関わらず、チャンスゾーンが終了しない場合には、間もなく次の普図当たり遊技が実行されることを遊技者が把握することができるため、チャンスゾーン中に実行される第2特別図柄抽選の回数に対して遊技者に興味を持たせることができる。加えて、本制御例では、チャンスゾーン中に実行される第2特別図柄抽選に対応した変動演出として、第3図柄を複数回仮停止させる疑似変動演出を実行するように構成している。つまり、遊技者に対して第2特別図柄抽選の実行回数を分かり難くすることができる。よって、チャンスゾーンがいつ終了するのか、或いは、チャンスゾーンが延長されている期間であるか否かを遊技者に予測させる楽しみを提供することができる。
次に、図165を参照して、NMI割込処理について説明をする。図165は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S1601)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図166を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図166は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。
この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理(図166)では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1701)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本制御例では1秒)を実行する(S1702)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S1703)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図121参照)がオンされているか否かを判別し(S1704)、オンされていれば(S1704:Yes)、処理をS1712へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S1704:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1705)、記憶されていなければ(S1705:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS1712へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1705:Yes)、RAM判定値を算出し(S1706)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S1707:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1712へ移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S1712の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S1712)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S1713、S1714)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAM203の初期化処理(S1713、S1714)を実行する。
また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S1713、S1714)を実行する。RAMの初期化処理(S1713、S1714)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S1713)、その後、RAM203の初期値を設定する(S1714)。RAM203の初期化処理の実行後は、S1710の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S1704:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S1705:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1707:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S1708)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S1709)、S1710の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
次に、音声ランプ制御装置113に対して、各種演出を実行することを許可する演出許可コマンドを出力する(S1710)。その後、割込みを許可し(S1711)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図167を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図167は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では、大別して、カウンタの更新処理と、電源断時処理とが実行される。
メイン処理(図167参照)においては、まず、タイマ割込処理(図156参照)の中でRAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1801)。具体的には、タイマ割込処理(図156参照)におけるスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図157参照)や始動入賞処理(図161参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理(図167のS1801)により、主制御装置110の各種処理にて設定された各種コマンドを音声ランプ制御装置113に送信し、第3図柄表示装置81にて表示される各種演出(変動演出、装飾演出等)を設定するための情報とする。また、大当たり制御処理(図158参照)で設定されたオープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。さらに、その他制御処理において設定された各種コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1802)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1803)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、音声ランプ制御装置113にて大当たり演出を実行させるためのコマンドの設定や、可変入賞装置65の特定入賞口65aを開放動作するための大当たり制御処理を実行する(S1804)。
大当たり制御処理(S1804)の詳細な内容については、図168〜図172を参照して後述するが、この大当たり制御処理(S1804)では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65a(以下、入賞口等と称す)を開放し、入賞口等(特定入賞口65a)の最大開放時間が経過したか、又は入賞口等(特定入賞口65a)に球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると入賞口等(特定入賞口65a)を閉鎖する。この入賞口等(特定入賞口65a)の開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本制御例では、大当たり制御処理(S1804)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次いで、第2入球口640に付随する電動役物640aの開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1806)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図163参照)のS822の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS821の処理、S823の処理、によって設定された期間が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1807)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動パターン選択処理(図159のS209)によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて開始する。本制御例では、第1図柄表示装置37A,37BのLEDの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動パターン選択処理(図159のS209)によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動パターン選択処理(図159のS209参照)のS407で設定された表示態様で、停止図柄を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。
さらに、本制御例では、一方の特別図柄が大当たりを示す表示態様(大当たり図柄)で停止表示された場合に、他方の特別図柄を、外れを示す表示態様(外れ図柄)で停止表示させるように構成しており、そのための停止表示も実行される。
次に、第2図柄表示装置の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1808)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図163参照)のS815の処理、S816の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理(S1808)では、普通図柄変動処理(図163参照)のS818の処理によって第2図柄表示装置の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動処理(図163参照)のS812の処理またはS813の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1809)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1809:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本制御例では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1810)、既に所定時間が経過していれば(S1810:Yes)、処理をS1801へ移行し、上述したS1801以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1810:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1811,S1812)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1811)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本制御例では999、999)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1811の処理と同一の方法によって実行する(S1812)。なお、このS1812の処理では、変動種別カウンタCS1の値と同様に普図変動種別カウンタCS2の値も更新される。
ここで、S1801〜S1808の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1、普図変動種別カウンタCS2の値についてもランダムに更新することができる。よって、特別図柄や普通図柄の抽選に関する判定値を更新するための処理内容を把握され難くすることができ、当たりに対応する判定値が取得されるタイミングを狙った不正遊技が実行されることを抑制することができる。
また、S1809の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1809:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図165のNMI割込処理が実行されたということなので、S1813以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1813)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1814)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1815)、RAM203のアクセスを禁止して(S1816)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1809の処理は、S1801〜S1808で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1811とS1812の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1801の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1801の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(図166,S1701)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1801の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走したりすることなく正確な制御を行うことができる。
次に、図168を参照して、大当たり制御処理(S1804)の内容について説明をする。図168は、大当たり制御処理(S1804)の内容を示したフローチャートである。この大当たり制御処理(S1804)は、主制御装置110のメイン処理(図167参照)において、実行される処理であって、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口65aを開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理(S1804)では、まず、大当たり開始フラグ203jがオンであるか否かを判別する(S1901)。大当たり開始フラグ203jがオンであると判別した場合は(S1901:Yes)、大当たり用オープニングコマンドを設定し(S1902)、大当たり開始フラグ203jをオフ、大当たり中フラグ203kをオンにそれぞれ設定し(S1903)、本処理を終了する。一方、S1901の処理において、大当たり開始フラグ203jがオフであると判別した場合は(S1901:No)、次に、現在が特別図柄の大当たり中であるか(即ち、大当たり中フラグ203kがオンであるか)否かを判別する(S1904)。S1904の処理において、現在が大当たり中ではない(大当たり中フラグ203kがオフである)と判別した場合は(S1904:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S1904の処理において、現在が大当たり中である(大当たり中フラグ203kがオンである)と判別した場合は(S1904:Yes)、次いで、新たなラウンドの開始タイミングであるか否かを判別する(S1905)。
S1905の処理において、新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合は(S1905:Yes)、ラウンド数に応じた特定入賞口65aの開閉動作を設定するための大当たり動作設定処理を実行し(S1906)、本処理を終了する。この大当たり動作設定処理の詳細については図114を参照して後述する。
一方、S1905の処理において、新たなラウンドの開始タイミングではないと判別した場合は(S1905:No)、次に、現在実行されているラウンドのエンディング期間の開始タイミングであるかを判別する(S1907)。ここで、本制御例では、大当たりの最終ラウンドが終了した場合に、エンディング期間の開始タイミングであると判別する。エンディング期間の開始タイミングであると判定した場合は(S1907:Yes)、エンディングコマンドを設定し(S1908)、本処理を終了する。ここで設定されたエンディングコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理の外部出力処理の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、エンディングコマンドを受信すると、表示用エンディングコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用エンディングコマンドが受信されると、第3図柄表示装置81において大当たりの終了を示すエンディング演出が開始される。
本第1制御例では、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に、大当たり種別選択テーブル202d(図141(a)参照)を用いて大当たり種別を決定する処理を実行し(図159のS402)、決定された大当たり種別に対応するエンディング期間が設定されるように構成している。よって、S1908の処理では、大当たり種別に対応して決定されたエンディング期間の長さに対応した表示用エンディングコマンドが設定される。なお、本第1制御例のように、大当たり当選時にエンディング期間の長さを設定するのでは無く、大当たり遊技中におけるV入賞の有無(特定領域(Vゲート65V)への球の通過の有無)に応じて大当たり遊技のエンディング期間の長さを決定しても良い。
具体的には、大当たり制御処理(図168のS1804参照)において、エンディング期間の開始タイミング(最終ラウンドの終了タイミング)と判別した場合に、今回の大当たり遊技中にV入賞したか(確変設定フラグ203mがオンに設定されているか)を判別し、確変設定フラグ203mがオンに設定されていると判別した場合は、確変状態が設定されることを示す17秒間のエンディング表示(図127(b),(d)参照)を行うために大当たり遊技のエンディング期間として17秒を設定し、確変設定フラグ203mがオンに設定されていないと判別した場合は、時短状態が設定されることを示す15秒間のエンディング表示(図127(a),(c)参照)を行うために大当たり遊技のエンディング期間として15秒を設定するように構成しても良い。
このように構成することで、大当たり遊技中の遊技結果に応じて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を異ならせることが可能なパチンコ機10において、実際に設定される遊技状態に応じたエンディング期間を設定することができる。
また、このように大当たり遊技中の遊技結果に応じて大当たり遊技のエンディング期間を異ならせる構成を用いる場合には、大当たり遊技中の遊技結果が確定してからエンディング期間が開始するまでの間の何れかのタイミングにて大当たり遊技のエンディング期間を決定するように構成すれば良く、例えば、本第1制御例のパチンコ機10であれば、1ラウンド目のラウンド遊技が終了した後に(球を特定領域(Vゲート65V)へと入賞させることが可能なラウンド遊技が終了した後に)、V入賞の有無を判別し、その判別結果に基づいて、2ラウンド目〜最終ラウンド目のラウンド遊技が実行されている期間中に大当たり遊技のエンディング期間を設定するように構成しても良い。
さらに、上述した例では、大当たり遊技中におけるV入賞の有無に基づいてエンディング期間の長さを設定するように構成しているが、これに替えて、例えば、本第1制御例のように当選した大当たり種別に基づいて、予め大当たり遊技のエンディング期間を設定しておき、具体的には、確変大当たりに当選した場合には17秒、通常大当たりに当選した場合には15秒のエンディング期間を予め設定しておき、大当たり遊技中の遊技結果に基づいてエンディング期間の長さを可変させる必要が生じた場合、即ち、確変大当たり遊技が実行されたにも関わらず、大当たり遊技中にV入賞させることができなかった場合に、予め設定されているエンディング期間の長さを可変させるように構成しても良い。このように構成することで、大当たり遊技中にエンディング期間の長さを設定する頻度を抑制することができる。
一方、S1907の処理において、現在実行されているエンディング期間の開始タイミングではないと判別した場合は(S1907:No)、次に、大当たりの終了タイミングであるかを判別する(S1909)。ここで、大当たりの終了タイミングとは、エンディング演出の実行期間が経過した場合を示す。S1909の処理において、大当たりの終了タイミングであると判別した場合は(S1909:Yes)、大当たり終了後の遊技状態を設定するための大当たり終了処理を実行し(S1910)、本処理を終了する。この大当たり終了処理の詳細については図170を参照して後述する。一方、S1909の処理において、大当たり終了のタイミングではないと判別した場合には(S1909:No)、特定入賞口65aへの入賞に応じた制御を行うための入賞処理を実行し(S1911)、特定入賞口65aに対して入球した球が正常に排出されたかを判別するための異常処理を実行し(S1912)、その後、本処理を終了する。入賞処理および異常処理の詳細については図171および図172を参照して後述する。
次に、図169のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり動作設定処理(S1906)の詳細について説明する。図169は、この大当たり動作設定処理(S1906)を示すフローチャートである。この大当たり動作設定処理(S1906)は、大当たり制御処理の中で実行され、上述した通り、ラウンド数に応じた特定入賞口65aの開閉動作を設定するための処理である。
この大当たり動作設定処理(図169参照)が開始されると、まず、1ラウンドの開始タイミングであるかを判別する(S2001)。S2001の処理において、1ラウンドの開始タイミングであると判別した場合は(S2001:Yes)、切替弁65y(Vソレノイド209a)の動作シナリオの開始を設定して(S2002)、大当たり種別に対応する特定入賞口65aの開放パターンを設定する(S2003)。
ここで、詳細な説明は省略するが、本制御例では、1回の大当たり遊技中に複数回実行されるラウンド遊技のうち、特定のラウンド数(1ラウンド目)に実行されるラウンド遊技の内容を、大当たり種別に応じて異ならせており、具体的には、特定の大当たり種別(確変大当たり)の場合のみ、1ラウンド目のラウンド遊技として、球が特定領域(Vゲート65V)へと流下させ易くなるように切替弁65yを動作させるラウンド遊技が実行されるように構成している。このように構成することで、長期間実行される大当たり遊技のうち、特定の期間のみ球を特定領域(Vゲート65V)へと流下させる確率を高めることができるため、遊技者が集中力を切らすこと無く大当たり遊技中の遊技を実行することができる。
なお、本制御例では、確変大当たり遊技における1ラウンド目が実行される場合に、第3図柄表示装置81の表示面にて遊技者に対して特定領域(Vゲート65V)へと球を流下させるチャンス期間であることを示すための案内報知態様として「Vを狙え」の文字が表示されるV報知演出を実行可能に構成している。これにより、遊技者に対して、長期間実行される大当たり遊技のうち、特定領域(Vゲート65V)へと球を流下させ易い特定の期間を分かり易く報知することができる。さらに、球が特定領域(Vゲート65V)を流下したことを検知手段が検知したことに基づいて、第3図柄表示装置81の表示面に球が特定領域(Vゲート65V)を流下したことを案内するための案内報知態様として「VGET」の文字が表示されるように構成している。これにより、遊技者に対して、大当たり遊技終了後に確変状態が設定される条件を満たしたことを分かり易く報知することができる。
なお、上述した案内報知の報知態様を、条件成立に応じて可変させても良く、例えば、特定ゲートへと球を流下させ易い特定期間の経過時間、或いは残時間に基づいて「Vを狙え」の文字色を可変させたり、表示領域の大きさを可変させたり、より強調した内容の文字(例えば「早くVを狙うんだ」)に可変させたりすると良い。これにより、特定領域(Vゲート65V)へと球を流下させ易い状況にて遊技者が球を発射しない事態が発生することを抑制することができる。
また、本制御例では、可変入賞装置65へと入賞した球の流路を切り替えるためのV役物として切替弁65yを設け、その切替弁65yの動作パターンを可変させることで球が特定ゲートへと流下しやすい期間とし難い期間とを設定可能としているが、これに限ること無く、例えば、大当たり遊技開始時から共通の動作パターンで切替弁65yを動作させるように構成し、特定入賞口65aが開放状態となるタイミングを大当たり種別によって可変させることにより、球が特定領域(Vゲート65V)へと流下しやすい期間とし難い期間とを設定可能に構成しても良い。これにより、切替弁65yの動作パターンを共通化することができるため、切替弁65yの動作内容を把握されたとしても今回の大当たり遊技が球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させ易い大当たり遊技であるか否かを遊技者に把握され難くすることができる。また、切替弁65yの動作内容を統一化することができるため、Vソレノイド209aに対する負荷を軽減することができ、V役物(切替弁65y)の故障を抑制することができる。
一方、S2001の処理において、今回のラウンドが1ラウンド目ではないと判別した場合は(S2001:No)、S2002,S2003の処理をスキップして、通常の特定入賞口65aの開放を設定し(S2004)、処理をS2005へと移行する。S2005の処理では、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定して(S2005)、本処理を終了する。
ここで設定されたラウンド数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理の外部出力処理(S1801)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、ラウンド数コマンドを受信すると、新たに開始されたラウンド数を第3図柄表示装置81において表示するための表示用ラウンド数コマンドを設定する。これにより、大当たりのラウンド数に合わせて第3図柄表示装置81の表示内容を更新することができる。
この大当たり動作設定処理(図169参照)を実行することにより、大当たりの各ラウンドにおいて特定入賞口65aを開放することができると共に、1ラウンド目に特定領域(Vゲート65V)を球が通過可能に設定することができる。これにより、大当たりA,C〜Eでは、1ラウンド目に遊技者が球を発射するだけで、ほぼ確実に球が特定領域(Vゲート65V)を通過するので、大当たり遊技の終了後に確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)を設定することができる。
次に、図170のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり終了処理(S1910)の詳細について説明する。図170は、この大当たり終了処理(S1910)を示すフローチャートである。この大当たり終了処理(S1910)は、大当たり制御処理(図168のS1804参照)の中で実行され、上述した通り、大当たり終了後の遊技状態を設定するための処理である。
この大当たり終了処理(S1910)では、まず、確変設定フラグ203mがオンであるかを判別する(S2101)。S2101の処理において、確変設定フラグ203mがオンであると判別した場合は(S2101:Yes)、大当たり中にVゲート(特定領域)65vを球が通過したことを意味するので、確変カウンタ203iの値の値に50を設定し(S2102)、S2103の処理へ移行する。一方、S2101の処理において、確変設定フラグ203mがオフであれば(S2101:No)、S2102の処理をスキップして、S2103の処理へ移行する。
S2103の処理では、時短カウンタ203hの値に100を設定し(S2103)、次いで、時短カウンタ203hの値、確変カウンタ203iの値に基づいて、状態コマンドを設定する(S2104)。ここで設定された状態コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理の外部出力処理(S1801)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、状態コマンドを受信すると、その状態コマンドで通知された遊技状態に合わせて従状態設定エリア223gを更新する。これにより、音声ランプ制御装置113において、パチンコ機10の遊技状態を正確に把握することができる。次いで、大当たり中フラグ203kおよび確変設定フラグ203mを共にオフに設定して(S2105)、本処理を終了する。
この大当たり終了処理(図170参照)を実行することにより、大当たり遊技中にVゲート(特定領域)65vを球が通過したか否かに応じて大当たり終了後の遊技状態を正確に設定することができる。
次に、図171のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される入賞処理(S1911)の詳細について説明する。図171は、この入賞処理(S1911)を示すフローチャートである。この入賞処理(S1911)は、大当たり制御処理(図168参照)の中で実行され、上述した通り、特定入賞口65aへの入賞に応じた制御を行うための処理である。
この入賞処理(S1911)では、まず、現在がラウンド有効期間であるかを判別する(S2201)。ここで、ラウンド有効期間とは、ラウンド遊技が設定されている期間、即ち、特定入賞口65aの開放状態からインターバル期間が終了するまでの期間である。S2201の処理において、ラウンド有効期間でなければ(S2201:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S2201の処理において、現在がラウンド有効期間であると判別した場合は(S2201:Yes)、次いで、特定入賞口65aへの入賞を検出したかを判別し(S2202)、特定入賞口65aに対する入賞を検出していれば(S2202:Yes)、入賞個数カウンタ203oの値に1を加算して更新し(S2203)、特定入賞口65aへの入賞を検出したことを示す入賞コマンドを設定して(S2204)、S2205の処理へ移行する。これに対し、S2202の処理において、特定入賞口65aへの入賞を検出していなければ(S2202:No)、S2203,S2204の処理をスキップし、S2205の処理へ移行する。
S2205の処理では、入賞個数カウンタ203oの値が10以上であるかを判別し(S2205)、入賞個数カウンタ203oの値が10以上であれば(S2205:Yes)、S2207の処理へ移行する。一方、S2205の処理において、入賞個数カウンタ203oの値が9以下であると判別した場合は(S2205:No)、ラウンド時間(30秒)が経過したかを判別し(S2206)、ラウンド時間が経過していれば(S2206:Yes)、S2207の処理へと移行する。なお、このS2206の処理では、今回の大当たりの各ラウンド遊技の開始から30秒間が経過した場合にラウンド時間が経過したと判別する。なお、本制御例では、大当たり種別、ラウンド数に関わらず同一のラウンド時間経過及び個数入賞によってラウンド遊技の終了条件が成立するように構成しているが、これに限ること無く、大当たり種別に応じてラウンド遊技の終了条件を異ならせても良いし、実行されるラウンド数によってラウンド遊技の終了条件を異ならせてもよい。
S2207の処理では、特定入賞口65aの閉鎖を設定し(S2207)、特定入賞口65aの閉鎖が設定されたことを示す閉鎖コマンドを設定する(S2208)。次いで、今回の特定入賞口65aの閉鎖が1ラウンドの終了に基づく閉鎖であるかを判別し(S2209)、1ラウンドの終了に基づく閉鎖であると判別した場合は(S2209:Yes)、Vソレノイド209aをオフに設定して(S2210)、処理をS2211へと移行する。一方、S2209の処理において、今回の特定入賞口65aの閉鎖が1ラウンド以外のラウンドが終了したことによる閉鎖であると判別した場合は(S2209:No)、流路ソレノイド(確変ソレノイド)2665kがオンに設定されていないので、S2210の処理をスキップして、処理をS2212へと移行する。
S2211の処理では、残球タイマフラグ203p、確変有効フラグ203r、ラウンド終了フラグ203をオンに設定し(S2211)、処理をS2212へと移行する。また、S2205の処理において入賞個数カウンタ203oの値が9以下と判別され(S2205:No)、且つ、S2206の処理においてラウンド時間が経過していないと判別された場合には(S2206:No)、S2207〜S2211の処理をスキップして、処理をS2212へと移行する。
S2212の処理では、ラウンド終了フラグ203がオンであるかを判定し(S2212)、ラウンド終了フラグ203がオフであれば(S2212:No)、S2213の処理へ移行する。一方、S2212の処理においてラウンド終了フラグ203がオンであると判定した場合は(S2212:Yes)、次いで、確変有効フラグ203rがオンであるかを判別する(S2217)。S2217の処理において、確変有効フラグ203rがオフであれば(S2217:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、確変有効フラグ203rがオンであれば(S2217:No)、確変有効タイマ203sの値に1を加算し(S2218)、次いで、確変有効タイマ203sの値が上限値であるかを判別する(S2219)。そして、確変有効タイマ203sの値が上限値でなければ(S2219:No)、S2213の処理へ移行し、特定領域(Vゲート65V)への球の通過を監視して確変設定フラグ203mを更新する処理を実行する。これにより、確変有効タイマ203sが上限値でないと、特定領域(Vゲート65V)を球が通過したか判別されるので、球はけの時間を考慮して確変状態を設定できる。また、有効と判別される時間に上限があるので、不正に特定領域(Vゲート65V)に球を通過させて確変状態が付与されることを抑制できる。
一方、確変有効タイマ203sの値が上限値であれば(S2219:Yes)、確変有効フラグ203r、ラウンド終了フラグ203をオフに設定し(S2220)、確変有効タイマ203sの値をリセットして(S2221)、本処理を終了する。
また、S2213の処理では、球が特定領域(Vゲート65V)を通過したか否かを判別し(S2213)、球が特定領域(Vゲート65V)を通過していなければ(S2213:No)、本処理を終了する。一方、球が特定領域(Vゲート65V)を通過していれば(S2213:Yes)、確変通過カウンタ203nの値に1を加算し(S2214)、確変設定フラグ203mをオンに設定し(S2215)、V入賞コマンドを設定し(S2216)、本処理を終了する。
次に、図172のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される異常処理(S1912)を説明する。図172は、この異常処理(S1912)を示すフローチャートである。この異常処理(S1912)は、大当たり制御処理(図168参照)の中で実行される処理であり、上述した通り、特定入賞口65aに対して入球した球が正常に排出されたかを判別するための処理である。
異常処理(S1912)では、まず、現在がラウンド有効期間であるかを判別し(S2301)、ラウンド有効期間でなければ(S2301:No)、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンド有効期間であると判別した場合は(S2301:Yes)、次いで、球が排出口65h1を通過したかを判別する(S2302)。このS2302の処理では、排出口65h1(図120(b)参照)を通過した球を検知可能な球排出口スイッチ(図示せず)が球の通過を検知している否かで判別される。
S2302の処理において、球が排出口65h1を通過したと判別した場合は(S2302:Yes)、排出個数カウンタ203tの値に1を加算し(S2303)、S2304の処理へ移行する。一方、S2302の処理において、球が排出口65h1を通過していなければ(S2302:No)、S2303の処理をスキップしS2304の処理へ移行する。
S2304の処理では、残球タイマフラグ203pがオンであるかを判別する(S2304)。残球タイマフラグ203pがオフであると判別した場合は(S2304:No)、そのまま本処理を終了する。一方、残球タイマフラグ203pがオンであれば(S2304:Yes)、球はけ期間中であるので、残球タイマ203qの値に1を加算して更新する(S2305)。次に、残球タイマ203qの値が上限値であるかを判別し(S2306)、残球タイマ203qの値が上限値でなければ(S2306:No)、そのまま本処理を終了する。一方、残球タイマ203qの値が上限値であると判別した場合は(S2306:Yes)、次いで、排出個数(確変通過カウンタ203nの値と、排出個数カウンタ203tの値との合計値)が入賞個数(入賞個数カウンタ203oの値)と一致しているかを判別する(S2307)。
S2307の処理において、排出個数と入賞個数とが一致していないと判別した場合は(S2307:No)、エラーコマンドを設定し(S2308)、S2309の処理へ移行する。エラーコマンドを音声ランプ制御装置113が受信することにより、エラー表示(例えば、入賞個数不一致エラーの文字を表示)がされ、ホールコンピュータに対して、エラー信号の出力がされる。よって、第4流路65e4(図120(b)参照)が閉鎖されている期間(切替弁65yが閉状態となる期間)に、不正に球を第4流路65eへと流入させて特定領域(Vゲート65V)を通過させる不正行為を抑制できる。
一方、S2307の処理において、排出個数と入賞個数とが一致したと判別した場合は(S2307:Yes)、S2308の処理をスキップし、S2309の処理へと移行する。S2309の処理では、残球タイマフラグ203pをオフに設定し(S2309)、次いで、残球タイマ203qの値をリセットする(S2310)。その後、入賞個数カウンタ203o、排出個数カウンタ203t、確変通過カウンタ203nの値をそれぞれリセットし(S2311)、本処理を終了する。
この異常処理(図172参照)を実行することにより、可変入賞装置65の内部で球詰まりが生じる等により、特定入賞口65aへと入球した球が正常に排出されなくなってしまう不具合の発生を早期に検出し、報知することができる。
<第1制御例における音声ランプ制御装置により実行される制御処理について>
次に、図173から図186を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図173を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図173は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S4001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S4117の電源断処理(図174参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S4002)。図174を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断の発生情報を受信すると(図174のS4114参照)、S4117の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S4117の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S4002:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS4117の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S4003)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S4006の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S4003:Yes)、S4004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S4003:No)、S4008へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S4003:Yes)、S4004へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS4117の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S4003:No)、S4008へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S4002:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S4117の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS4004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S4004の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S4004)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S4005:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S4006)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S4005:No)、RAM223の異常を報知して(S4007)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S4008の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S4008)。電源断フラグはS4117の電源断処理の実行時にオンされる(図119のS4116参照)。つまり、電源断フラグは、S4117の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS4008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS4117の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S4008:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S4009)、RAM223の初期値を設定した後(S4010)、割込み許可を設定して(S4011)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS4008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS4004からS4006の処理を経由してS4008の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S4008:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS4009をスキップして、処理をS4010へ移行し、RAM223の初期値を設定する(S4010)。
なお、S4009のクリア処理をスキップするのは、S4004からS4006の処理を経由してS4008の処理へ至った場合には、S4004の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図174を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図174は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、該メイン処理が開始されてから、又は、前回S4101の処理が実行されてから1ミリ秒以上が経過したか否かが判別され(S4101)、1ミリ秒以上経過していなければ(S4101:No)、S4102〜S4111の処理を行わずにS4112の処理へ移行する。S4101の処理で、1ミリ秒経過したか否かを判別するのは、S4102〜S4111が表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1ミリ秒以内)で編集する必要がないのに対して、S4112のコマンド判定処理やS4113の変動表示設定処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S4112の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S4112の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動表示演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S4101の処理で1ミリ秒以上経過していれば(S4101:Yes)、まず、S4103〜S4113の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信するコマンド出力処理を実行する(S4102)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS4108の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S4103)、その後電源投入報知処理を実行する(S4104)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS4105の処理へ移行する。
S4105の処理では客待ち演出が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S4106)。客待ち演出では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S4107)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。この枠ボタン入力監視・演出処理(S4107)の詳細については、図186を参照して後述する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、次いで、ランプ編集処理を実行し(S4108)、その後音編集・出力処理を実行する(S4109)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S4109の処理後、液晶演出実行管理処理を実行し(S4110)、次に、演出更新処理を実行する(S4111)。S4111の処理を実行後、S4112の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS4108のランプ編集処理が実行される。なお、S4109の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S4111の処理後、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理(S4112)が実行され、S4113の処理へ移行する。このコマンド判定処理(S4112)の詳細については、図175を参照して後述する。
S4113の処理では、第3図柄表示装置81において変動表示演出を表示させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し、そのコマンドを表示制御装置114に送信するために設定する処理である変動表示設定処理を実行する。この変動表示設定処理の詳細については、図182を参照して後述する。
S4113の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S4114)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S4114の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S4114:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S4116)、電源断処理を実行する(S4117)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S4118)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S4114の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S4114:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S4115)、RAM223が破壊されていなければ(S4115:No)、S4101の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S4115:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図175を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S4112)について説明する。図175は、このコマンド判定処理(S4112)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S4112)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図174参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。以下、コマンド判定処理(S4112)の詳細を説明する。
コマンド判定処理(S4112)が実行されるとまず、状態コマンドを受信したかを判別し(S4201)、受信したと判別した場合は(S4201:Yes)、状態コマンド受信処理を実行し(S4202)、本処理を終了する。この状態コマンド受信処理(S4202)は、現在の遊技状態を示す状態コマンドを受信し、その遊技状態に応じたモード演出態様を設定し、第3図柄表示装置81の表示面にて対応する演出態様(例えば、背面画像)を表示するための表示用コマンドが設定される。例えば、確変状態を示す状態コマンドを受信した場合は、図131に示したスーパーチャンスモードに対応する表示用コマンドが設定され、時短状態を示す状態コマンドを受信した場合は、図128に示すチャンスモードに対応する表示用コマンドが設定される。なお、実際に設定される遊技状態と、実行されるモード演出における演出態様の切替制御の詳細については後述する。この状態コマンド受信処理(S4202)の詳細については図176を参照して後述する。
S4201の処理において状態コマンドを受信していないと判別した場合は(S4201:No)、次に、特図変動パターンコマンドを受信したかを判別し(S4203)、受信したと判別した場合は(S4203:Yes)、受信した特図変動パターンコマンドに対応する特図変動開始フラグ223dをオンに設定し(S4204)、受信したコマンドから変動パターンコマンドを抽出する(S4205)。そして、本処理を終了する。
S4203の処理において特図変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合は(S4203:No)、次に、特図停止種別コマンドを受信したかを判別し(S4206)、受信したと判別した場合は(S4206:Yes)、受信した特図停止種別コマンドに対応する停止種別選択フラグ223e(第1特図停止種別フラグ223e1、第2特図停止種別フラグ223e2)をオンに設定し(S4207)、受信したコマンドから停止種別を抽出する(S4208)。そして、本処理を終了する。
S4206の処理において特図停止種別コマンドを受信していないと判別した場合は(S4206:No)、次に、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか判別する(S4209)。ここで、保留球数コマンドを受信したと判別した場合には(S4209:Yes)、受信した保留球数コマンドから保留球数を抽出し、対応する値を特別図柄保留球数カウンタ223c、普通図柄保留球数カウンタ223hに格納する(S4210)。具体的には、特別図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d,第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(即ち、特別図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた特別図柄保留球数カウンタ223cの値を更新する。
また、普通図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の普通図柄保留球数カウンタ203fの値(即ち、普通図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた普通図柄保留球数カウンタ223hの値を更新する。
ここで、保留球数コマンドは、球が各種入球口(第1入球口64、第2入球口640、スルーゲート67)に入球(始動入賞)し、各種保留球数カウンタの値が加算された場合、或いは、各種変動開始処理を実行する際に、各種保留球数カウンタの値が減算されたときに主制御装置110から送信されるものであるので、始動入賞時や変動表示設定時毎に、S4210の処理によって、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223c、普通図柄保留球数カウンタ223hの値を、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d,第2特別図柄保留球数カウンタ203e、普通図柄保留球数カウンタ203fの値に合わせることができる。
よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113のRAM223が有する特別図柄保留球数カウンタ223cの値が、主制御装置110の各種保留球数カウンタ203d,203e,203dの値とずれてしまっても、始動入賞時、変動表示設定時、即ち、各種保留球数変更されることに基づいて保留球数コマンドが通知されれば、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223cの値を修正し、主制御装置110の各種保留球数カウンタ第1特別図柄保留球数カウンタ203d,第2特別図柄保留球数カウンタ203e,普通図柄保留球数カウンタ203fの値に合わせることができる。
また、S4209の処理において、保留球数コマンドを受信していないと判別した場合は(S4209:No)、主制御装置110より入賞コマンドを受信したか判別する(S4211)。S4211の処理において、入賞コマンドを受信したと判別した場合は(S4211:Yes)、入賞コマンド処理を実行し(S4212)、本処理を終了する。この入賞コマンド処理(S4212)は、受信した入賞情報コマンドに含まれる入賞情報に対応する図柄種別(特別図柄、普通図柄)を解析し、その解析結果に対応する記憶領域(音声ランプ制御装置113のRAM223内の入賞情報格納エリア223b)に格納(記憶)する処理と、受信した入賞情報に基づいた演出(先読み演出)を実行するための処理を行うものである。なお、入賞コマンド処理(S4212)の詳細な内容については、図177を参照して後述する。
S4211の処理において、入賞コマンドを受信していないと判別した場合は(S4211:No)、次に、図柄確定コマンドを受信したかを判別し(S4213)、図柄確定コマンドを受信したと判別した場合は(S4213:Yes)、第3図柄の停止表示を設定し(S4214)、本処理を終了する。停止コマンドを受信していないと判別した場合は(S4213:No)、次いで、普図関連コマンドを受信したかを判別し(S4215)、受信したと判別した場合は(S4215:Yes)、普図関連処理を実行し(S4216)、その後、本処理を終了する。なお、普図関連処理を実行し(S4216)の詳細な説明は、図124を参照して後述する。
S4215の処理において、普図関連コマンドを受信していないと判別した場合は(S4215:No)、大当たり関連コマンドを受信したかを判別し(S4217)、受信したと判別した場合は(S4217:Yes)、大当たり関連処理を実行し(S4218)、その後、本処理を終了する。なお、大当たり関連処理(S4218)の詳細な説明は、図180を参照して後述する。一方、大当たり関連コマンドを受信していないと判別した場合は(S4217:No)、その他のコマンドに応じた処理を実行し(S4219)、本処理を終了する。
次に、図176を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される状態コマンド受信処理(S4202)について説明する。図176は、この状態コマンド受信処理(S4202)を示したフローチャートである。この状態コマンド受信処理(S4202)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図175参照)の中で実行されるものであって、設定されている遊技状態に応じて第3図柄表示装置81に表示される表示モードを異ならせて設定するための処理を実行するものである。以下、状態コマンド受信処理(S4202)の詳細を説明する。
状態コマンド受信処理(S4202)が実行されると、まず、現在設定されている遊技状態が変更されるか否かを判別する(S4301)。ここでは、従状態設定エリア223gに設定されている遊技状態と、今回受信した状態コマンドが示す遊技状態とが、相違するか否かが判別される。S4301の処理において、遊技状態に変更がないと判別した場合は(S4301:No)、そのまま本処理を終了する。遊技状態に変更があると判別した場合は(S4301:Yes)、変更後の遊技状態が通常状態であるかを判別する(S4302)。
S4302の処理において、変更後の遊技状態が通常状態であると判別した場合(今回受信した状態コマンドが通常状態を示すコマンドである場合)は(S4302:Yes)、通常モードを示す表示用コマンドを設定し(S4303)、S4304の処理へ移行する。
S4302の処理において、変更後の遊技状態が通常状態では無いと判別した場合(今回受信した状態コマンドが通常状態を示すコマンドでは無い場合)は(S4302:No)、次いで、変更後の遊技状態が時短状態であるかを判別し(S4306)、遊技状態が時短状態である(今回受信した状態コマンドが時短状態を示すコマンドである)と判別した場合は(S4306:Yes)、時短中カウンタ223nの値に100を設定し(S4307)、チャンスモードを示す表示用コマンドを設定し(S4308)、S4304の処理へ移行する。
S4306の処理において、遊技状態が時短状態はないと判別した場合は(S4306:No)、次いで、V報知フラグ223mがオンであるか否かを判別する(S4309)。V報知フラグ223mがオフの場合は(S4309:No)、上述したS4308の処理へ移行する。V報知フラグ223mがオンである場合は(S4309:Yes)、V報知フラグ223mをオフに設定し(S4310)、スーパーチャンスモードを示す表示用コマンドを設定し(S4311)、S4304の処理へ移行する。
S4304の処理では、従状態設定エリア223gの現状態エリアに設定されている遊技状態を過去状態エリアに設定し(S4304)、従状態設定エリア223gの現状態エリアに受信した状態コマンドが示す情報に対応する遊技状態を設定し(S4305)、本処理を終了する。
ここで、S4308およびS4311の処理で設定されたコマンドが表示制御装置114に通知されることにより通常状態中における変動演出表示が実行されることになる。このように、本制御例では、音声ランプ制御装置113にて、主制御装置110から出力された状態コマンドに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域にて表示される各種表示態様の種別(モード、背景)を設定し、その種別を示すコマンドを表示制御装置114へと出力するように構成している。
このように構成することで、例えば、音声ランプ制御装置113側で設定されている遊技状態に対してそれぞれ変動演出表示の表示態様を設定する必要を無くすことが可能となる。つまり、現在設定されている遊技状態に対応する各種表示態様の種別を示すコマンド(種別コマンド)と、特別図柄の変動表示に対応する変動パターンコマンド(共通コマンド)とを表示制御装置114に出力するだけで、表示制御装置114側で受信した種別コマンドと、共通コマンドとに基づいて、現在の遊技状態と受信した変動パターンとに対応した表示態様で第3図柄表示装置81に表示させる表示データを設定することができる。よって、音声ランプ制御装置113の処理負荷を軽減させることができる。
なお、上述したように、音声ランプ制御装置113から受信した複数のコマンドを表示制御装置114側で組み合わせることにより第3図柄表示装置81に表示させる表示データを設定するように構成した場合には、表示制御装置114側から音声ランプ制御装置113側へと設定後の表示データの内容を示す情報(確認情報)を出力するように構成し、音声ランプ制御装置113側で受信した確認情報が適正であるかを判別する判別手段を設け、その判別結果が適正では無いと判別した場合に、適正な情報を示す簡易的な表示用変動パターンコマンドを設定し、既に設定されている表示データの内容を簡易的な表示データに書き換えるように構成すると良い。
このように構成することで、音声ランプ制御装置113が主制御装置110から受信した各種コマンドに対して適正な表示データが設定されなかった場合に、適正な情報を示す簡易的な表示データを設定することができ、その簡易的な表示データに基づく変動演出表示を表示することができる。よって、実際の遊技結果(特別図柄の抽選結果)とは異なる内容の変動演出表示が実行されてしまい、遊技者の遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。また、上述した簡易的な表示データにとしては、例えば、どの遊技状態にも対応しない特殊モード(例えば、黒背景のモード)を表示する表示データや、第4図柄の変動表示を実行する表示データといった、通常の変動演出表示にて用いる表示データよりもデータ量の少ない表示データを用いれば良い。
なお、本制御例では、上述した構成を用いているがこれに限ること無く、音声ランプ制御装置113側で、現在の遊技状態と、受信した変動パターンとに基づいた表示用変動パターンコマンドを設定するように構成しても良い。
次に、図177を参照して、コマンド判定処理(図175のS4112参照)にて実行される入賞コマンド処理(S4212参照)の内容を説明する。図177は、入賞コマンド処理(S4212)の内容を示したフローチャートである。この入賞コマンド処理(S4212)は、主制御装置110から特別図柄抽選の抽選権利を獲得した場合に設定される入賞コマンド(入賞情報コマンド)や、普通図柄抽選の抽選権利を獲得した場合に設定される普図用入賞情報コマンドや、大当たり遊技中に球が特定ゲート(確変スイッチ)を流下(通過)した場合に設定されるV入賞コマンドを受信した場合に実行される処理である。
入賞コマンド処理(S4212)が実行されると、まず、受信した入賞コマンド(入賞情報コマンド)の情報を入賞情報格納エリア(入賞情報記憶エリア)223bの対応する領域に格納(設定)し(S4401)、今回受信したコマンドが普図用入賞情報コマンドであるかを判別し(S4402)、普図用入賞情報コマンドであると判別した場合は(S4402:Yes)、受信したコマンドの中に当たり情報(普図当たり当選している入賞情報)が含まれているかを判別し(S4403)当たり情報があると判別した場合は(S4403:Yes)、次いで、時短カウンタ203hの値が0よりも大きいか、即ち、現在が普通図柄の高確率状態であるかを判別する(S4404)。
ここで、現在が普通図柄の高確率状態では無い、即ち、通常状態であると判別した場合は(S4404:No)、通常状態中に普図当たり当選する普通図柄抽選の抽選権利を獲得した状態であって、チャンスゾーンが設定される可能性が高い場合であるため、電チューロング開放を示唆するための表示用コマンドを設定し(S4405)、S4406の処理へと移行する。S4405の処理で表示用コマンドが設定されると、他の音声ランプ制御装置での制御処理にて設定される各種表示用コマンドと同一の制御内容で表示制御装置114へと通知され、通常状態中に普図当たり遊技が実行され電動役物640aがロング開放(5秒間開放)することを示唆する示唆演出(例えば、第3図柄表示装置81の表示面の主表示領域Dmに小表示領域Dm3が形成されるか否かを煽る演出)が実行される。
なお、本制御例では、通常状態中に普図当たり当選する普通図柄抽選の抽選権利を獲得した場合にのみ上述した示唆演出が実行されるように構成しているが、これに限ること無く、普図用入賞情報コマンドに特定の外れ当選を示す入賞情報が含まれていると判別した場合にも、上述した示唆演出が実行されるように構成すると良い。これにより、示唆演出が実行された場合に普図当たり遊技が実行される場合と、実行されない場合とを設定することができるため、遊技者に今後実行される遊技内容を予測させながら遊技を行わせることができる。
さらに、本制御例では、通常状態中に普図当たり当選する普通図柄抽選の抽選権利を獲得した場合に、示唆演出が実行されるように構成しているが、この構成に加え、実行中の特別図柄抽選、或いは、入賞情報格納エリア223bに格納されている特別図柄抽選の事前判別結果に基づいて、実際に普図当たり遊技が実行されるタイミング、即ち、普図当たり当選を示す普図用入賞情報コマンドに対応する普通図柄抽選が実行されるタイミング(普図当たり遊技が実行されるタイミング)の遊技状態が通常状態であるか否かを判別する事前遊技状態処理を実行し、通常状態であると判別した場合に、上述した示唆演出を実行するように構成しても良い。これにより、チャンスゾーンが設定されることをより的確に示唆することが可能となる。
図177に戻り説明を続ける。S4402の処理で、普図用入賞情報コマンドを受信していないと判別した場合(S4402:No)、S4403の処理で当たり情報が無いと判別した場合(S4403:No)、S4404の処理で時短カウンタ203hの値が0よりも大きいと判別した場合(S4404:Yes)もS4406の処理へ移行する。
S4406の処理では、特図用入賞情報コマンド処理を実行し(S4406)、S4407の処理へ移行する。この特図用入賞情報コマンド処理(S4406)の詳細については図178を参照して後述する。
S4407の処理では、今回受信したコマンドがV入賞コマンド(入賞処理(図171のS1911参照)にて確変スイッチ(特定ゲート)へと球が流下した場合に設定されるコマンド(S2216参照))であるかを判別し(S4407)、V入賞コマンドである場合は(S4407:Yes)、V入賞フラグ223jをオンに設定し(S4408)、S4409の処理へ移行する。また、S4407の処理において、V入賞コマンドを受信していないと判別した場合は(S4407:No)、S4413の処理へ移行する。
S4409の処理では、V演出実行フラグ223kがオンであるか否かを判別する(S4409)。V演出実行フラグ223kがオンである場合は(S4409:Yes)、V演出実行フラグ223kをオフに設定し(S4410)、V入賞を報知するための表示用コマンドを設定し(S4411)、V報知フラグ223mをオンに設定し(S4412)、S4413の処理へ移行する。また、S4409の処理において、V演出実行フラグ223kがオフである場合も(S4409:No)、S4413の処理へ移行する。
S4413の処理では、その他の処理を実行し(S4413)、本処理を終了する。
次に、図178を参照して、入賞コマンド処理(図177のS4212)にて実行される特図用入賞情報コマンド処理(S4406)の内容を説明する。図178は、特図用入賞情報コマンド処理(S4406)の内容を示したフローチャートである。
特図用入賞情報コマンド処理(S4406)が実行されると、まず、従状態設定エリア223gに設定されている情報に基づいて現在の遊技状態を抽出し(S4501)、時短中カウンタ223nの値が75より大きいか否かを判別する(S4502)。時短中カウンタ223nの値が75より大きいと判別した場合は(S4502:Yes)、次いで、特殊連続予告フラグ223oがオンであるか否かを判別する(S4503)。特殊連続予告フラグ223oがオフであると判別した場合は(S4503:No)、連続予告実行選択テーブル222d(図147(a))を用いて連続予告の有無を選択し(S4504)、次いで、連続予告の実行があるか否かを判別する(S4505)。連続予告の実行があると判別した場合は(S4505:Yes)、特殊連続予告フラグ223oをオンに設定し(S4506)、S4507の処理へ移行する。
また、S4502の処理において、時短中カウンタ223nの値が75以下であると判別した場合と(S4502:No)、S4503の処理において、特殊連続予告フラグ223oがオンであると判別した場合と(S4503:No)、S4505の処理において、連続予告の実行がないと判別した場合も(S4505:No)、S4507の処理へ移行する。
S4507の処理では、受信した特図用入賞情報コマンドに含まれる情報に基づいた表示用コマンドを設定し(S4507)、本処理を終了する。
次に、図179を参照して、コマンド判定処理(図175のS4112参照)にて実行される普図関連処理(S4216)の内容を説明する。図179は、普図関連処理(S4216)の内容を示したフローチャートである。この普図関連処理(S4216)は、主制御装置110から普通図柄抽選が実行されたことを示す普図変動パターンコマンドや、普図当たり遊技が開始されたことを示す普図当たり開始コマンドや、普図当たり遊技の終了を示す普図当たり終了コマンドを受信した場合に実行される処理である。
普図関連処理(S4216)が実行されると、まず、普図変動パターンコマンドを受信したかを判別し(S4601)、受信したと判別した場合は(S4601:Yes)、表示用普図変動開始コマンドを設定し(S4602)、次いで、時短中カウンタ223nの値が0よりも大きいか、即ち、普通図柄の高確率状態であるかを判別する(S4603)。時短中カウンタ223nの値が0よりも大きいと判別した場合は(S4603:Yes)、そのまま本処理を終了し、0よりも大きく無いと判別した場合は(S4603:No)、今回受信した普図変動パターンコマンドが普図当たりに当選している普通図柄抽選に対応する普図変動パターンコマンドであるかを判別し(S4604)、普図当たりに当選していないと判別した場合は(S4604:No)、そのまま本処理を終了する。
一方で、普図当たりに当選していると判別した場合は(S4604:Yes)、ロング開放当たりが実行される普図当たり変動であるため、ロング開放待機中を示す表示用コマンドを設定し(S4605)、本処理を終了する。S4605の処理で表示用コマンドが設定されることで、図123(b)に示した表示態様が第3図柄表示装置81の表示面に表示される。これにより、遊技者に対して間もなくチャンスゾーンが設定される可能性が高い状態であることを容易に予測させることができる。
なお、本制御例では、普通図柄変動が当たり変動であるか否かに基づいて図123(b)に示した表示態様(小表示領域Dm3を形成する表示態様)を表示させる処理を用いているが、これに限ること無く、特定の普図外れ変動(例えば、普図当たり変動と同一の変動時間が設定される普図外れ変動の一部)にて図123(b)に示した表示態様(小表示領域Dm3を形成する表示態様)を表示させるように構成しても良い。
また、実行中の特別図柄変動に対応する変動演出(第3図柄変動演出)の内容に応じて小表示領域Dm3の表示領域の大きさを可変させるように構成しても良く、例えば、第3図柄変動演出にて大当たり期待度の高い変動演出(例えば、リーチ演出)が実行されている場合は、大当たり期待度の高い変動演出(例えば、リーチ演出)が実行されていない場合よりも小表示領域Dm3の表示領域が小さくなるように表示内容を可変させるように構成すると良い。このように、独立して実行される特別図柄抽選の抽選結果を示唆する変動演出と普通図柄抽選の抽選結果を示唆する変動演出とに関係性を持たせて表示内容を可変制御することにより、遊技者に対して無駄に多くの遊技情報が提供されてしまい遊技者が混乱してしまうことを抑制し、分かり易い遊技を提供することができる。
図179に戻り、説明を続ける。S4601の処理にて普図変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合は(S4601:No)、次に、普図当たり開始コマンドを受信したかを判別し(S466)、普図当たり開始コマンドを受信したと判別した場合は(S4606:Yes)、次いで、時短中カウンタ223nの値が0よりも大きいかを判別し(S4607)、0よりも大きく無いと判別した場合は(S4607:No)、ロング開放中を示す表示用コマンドを設定し(S4608)、本処理を終了する。S4608の処理で表示用コマンドが設定されることで、図124(a)に示した表示態様が第3図柄表示装置81の表示面に表示される。これにより、遊技者に対してロング開放当たりが実行されていることを容易に把握させることができる。また、S4607の処理にて、時短中カウンタ223nの値が0よりも大きいと判別した場合は(S4607:Yes)、S4608の処理をスキップして本処理を終了する。
S4606の処理で、普図当たり開始コマンドを受信していないと判別した場合は(S4606:No)、普図当たり終了コマンドを受信したかを判別し(S4609)、受信したと判別した場合は(S4609:Yes)、時短中カウンタ223nの値が0よりも大きいかを判別し(S4610)、時短中カウンタ223nの値が0であると判別した場合は(S4610:No)、次いで、普通図柄保留球数カウンタ223hの値が1以上であるかを判別し(S4611)、1以上であると判別した場合は(S4611:Yes)、特殊演出中フラグ223iがオンに設定されているかを判別し(S4612)、オンに設定されていないと判別した場合は(S4612:No)、チャンスゾーン突入を示す表示用コマンドを設定し(S4613)、特殊演出中フラグ223iをオフに設定し(S4614)、本処理を終了する。一方、S4610〜S4612の処理において、上述した判別結果以外の判別結果であると判別した場合は、そのまま本処理を終了する。
次に、図180を参照して、大当たり関連処理(S4218)の内容について説明をする。図180は、大当たり関連処理(S4218)の内容を示したフローチャートである。大当たり関連処理(S4218)では、大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、大当たりに当選した場合に、主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
大当たり関連処理(S4218)では、まず、今回受信したコマンドが、大当たり開始コマンドであるかを判別する(S4701)。大当たり開始コマンドであると判別した場合には(S4701:Yes)、表示用大当たり開始コマンドを設定する(S4702)。ここで設定される表示用大当たり開始コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図174参照)のコマンド出力処理(S4102)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用大当たり開始コマンドを受信すると、大当たりの開始を示唆する演出を第3図柄表示装置81に表示する。
次いで、今回の大当たり遊技が通常大当たり(遊技)であるかを判別し(S4703)、通常大当たりであると判別した場合は(S4703:Yes)、チャンスモード突入(時短状態が設定される)ことを示すエンディング表示態様を設定し(S4708)、本処理を終了する。一方、通常大当たりでは無いと判別した場合(S4703:No)、即ち、確変大当たりであると判別した場合は、V報知実行選択テーブル222e(図147(b))を用いてV報知演出の実行有無を選択し(S4704)、次いで、V報知演出があるか否かを判別する(S4705)。V報知演出があると判別した場合は(S4705:Yes)、V演出実行フラグ223kをオンに設定し(S4706)、スーパーチャンスモード突入(確変状態が設定される)ことを示すエンディング表示態様を設定し(S4707)、本処理を終了する。
一方、S4705の処理において、V報知演出がないと判別した場合は(S4705:No)、上述したS4708の処理へ移行する。
つまり、本制御例では、図141を参照して上述した通り、設定される大当たり種別(通常大当たり、確変大当たり)に応じて異なる長さのエンディング期間が設定されており、大当たり遊技が開始されるタイミングにて今回実行される大当たり遊技のエンディング期間に対応させたエンディング表示態様(図133参照)を予め設定するように構成している。このように構成することで、各種制御(大当たり遊技の進行状況に応じて可変表示させる大当たり遊技情報の可変表示制御(例えば、獲得した賞球数を示すための情報を表示させる制御や実行中のラウンド遊技数を示すための情報を表示させる制御)や、大当たり遊技中に可変入賞装置65へと入賞した球数に応じて賞球を払い出すための賞球払出制御)が頻繁に実行される大当たり遊技期間中にエンディング表示態様を設定するための表示制御を実行する必要が無くなるため、音声ランプ制御装置113、表示制御装置114の処理負荷を軽減させることができる。なお、本制御例では、大当たり遊技の開始タイミングにてエンディング表示態様を設定する処理を実行しているが、これに限ること無く、大当たり遊技が実行されることが確定している特別図柄の大当たり変動中にエンディング表示態様を設定しても良いし、大当たり遊技期間のうち、制御処理が少ない期間に実行される音声ランプ制御装置113のメイン処理の残余期間を用いて設定するように構成しても良い。
一方、S4701の処理にて、大当たり開始コマンドを受信していないと判別した場合は(S4701:No)、次に、ラウンド数コマンドを受信したかを判別し(S4709)、ラウンド数コマンドを受信したと判別した場合は(S4709:Yes)、ラウンド数に基づいて表示用ラウンド数コマンドを設定し(S4710)、今回のラウンド数が1ラウンド(Vラウンド)であるかを判別する(S4711)。1ラウンド(Vラウンド)であると判別した場合は(S4711:Yes)、V演出実行フラグ223kがオンであるか否かを判別する(S4712)。V演出実行フラグ223kがオンであると判別した場合は(S4712:Yes)、V入賞を案内する表示用コマンドを設定し(S4713)、本処理を終了する。また、S4711の処理で今回のラウンド数が1ラウンド(Vラウンド)では無い、即ち、1ラウンド目以外のラウンド遊技が開始されると判別した場合と(S4711:No)、S4712の処理において、V演出実行フラグ223kがオフであると判別した場合も(S4712:No)、そのまま本処理を終了する。
S4709の処理でラウンド数コマンドを受信していないと判別した場合は(S4709:No)、次に、エンディングコマンドを受信したかを判別し(S4714)、受信したと判別した場合は(S4714:Yes)、エンディング処理を実行し(S4715)、本処理を終了する。また、S4786の処理にてエンディングコマンドを受信していないと判別した場合は(S4714:No)、そのまま本処理を終了する。
次に、図181を参照して、エンディング処理(S4715)の処理について説明をする。図181は、エンディング処理(S4715)の内容を示したフローチャートである。このエンディング処理(S4715)は、上述した大当たり関連処理(図180のS4218参照)にてエンディングコマンドを受信したと判別した場合に実行される処理であって、エンディング期間中に実行されるエンディング表示態様を最終的に決定するための処理を実行するものである。
エンディング処理(S4715)が実行されると、まず、V入賞フラグ223jがオンに設定されているかを判別し(S4801)、オンに設定されていると判別した場合は(S4801:Yes)、V入賞フラグ223jをオフに設定し(S4805)、既に設定されているエンディング表示態様に対応するエンディング表示の実行を設定し(S4804)、本処理を終了する。また、S4801の処理においてV入賞フラグ223jがオンに設定されていないと判別した場合は(S4801:No)、V演出実行フラグ223kがオンであるかを判別し(S4802)、V演出実行フラグ223kがオフであると判別した場合は(S4802:No)、そのままS4804の処理へ移行する。
一方、S4802の処理において、V演出実行フラグ223kがオンであると判別した場合は(S4802:Yes)、エンディング期間のうち、後半期間(7秒)の表示態様を切り替えるための表示切替コマンドを設定し(S4803)、S4804の処理へ移行する。
S4803の処理において表示切替コマンドが設定されると、表示制御装置114へと通知され、予め確変状態が設定されることに対応して設定されていたエンディング期間の後半期間の表示態様(図236(d)参照)を、時短状態が設定されることに対応する表示態様(図236(c)参照)へと切り替える処理が実行される。本制御例では、この表示切替コマンドに基づいて切り替えられる表示態様の表示期間を一定(7秒)にしているため、容易に表示態様を切り替えることができる。
次に、図182を参照して、変動表示設定処理(S4113)の内容について説明をする。図1827は、変動表示設定処理(S4113)の内容を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S4113)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図174参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理(S4113)では、まず、RAM223に設けられた特図1変動開始フラグ223d1がオンかを判別する(S4901)。そして、特図1変動開始フラグ223d1がオンではない(即ち、オフである)と判別した場合(S4901:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S4905の処理へ移行する。一方、特図1変動開始フラグ223d1がオンであると判別した場合(S4901:Yes)、特図1変動開始フラグ223d1をオフに設定し(S4902)、次いで、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを取得した変動パターン種別に基づいて生成するための特図1演出態様設定処理を実行し(S4903)、入賞情報格納エリア223bのうち第1特別図柄に対応するデータをシフトし(S4904)、S4905の処理へ移行する。特図1演出態様設定処理(S4903)の詳細については図183を参照して後述する。
S4905の処理では、RAM223に設けられた特図2変動開始フラグ223d2がオンかを判別する(S4905)。そして、特図2変動開始フラグ223d2がオンではない(即ち、オフである)と判別した場合(S4905:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S4909の処理へ移行する。一方、特図2変動開始フラグ223d2がオンであると判別した場合(S4905:Yes)、特図2変動開始フラグ223d2をオフに設定し(S4906)、次いで、特図2演出態様設定処理を実行し(S4907)、入賞情報格納エリア223bのデータのうち第2特別図柄に対応するデータをシフトし(S4908)、S4909の処理へ移行する。特図2演出態様設定処理(S4907)の詳細については図184を参照して後述する。
S4909の処理では、RAM223に設けられた特図1停止種別選択フラグ223e1または特図2停止種別選択フラグ223e2がオンかを判別する(S4909)。そして、特図1停止種別選択フラグ223e1または特図2停止種別選択フラグ223e2がオンではない(即ち、オフである)と判別した場合(S4909:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、そのまま本処理を終了する。一方、特図1停止種別選択フラグ223e1または特図2停止種別選択フラグ223e2がオンであると判別した場合(S4909:Yes)、オンに設定されている特図1停止種別選択フラグ223e1または特図2停止種別選択フラグ223e2をオフに設定し(S4910)、次いで、コマンドから抽出した停止種別に基づいて表示用特図1または特図2停止種別コマンドを設定し(S4911)、その後、本処理を終了する。
次に、図183を参照して、特図1演出態様設定処理(S4903)の内容について説明をする。図183は、特図1演出態様設定処理(S4903)の内容を示したフローチャートである。この特図1演出態様設定処理(S4903)は、変動表示設定処理(図182のS4113参照)にて、第1特別図柄の変動演出を設定する際に実行されるものであって、設定されている遊技状態に対応した変動演出の演出態様を設定するための処理が実行される。
特図1演出態様設定処理(S4903)が実行されると、まず、時短中カウンタ223nの値が0より大きいか否かを判別する(S5001)。時短中カウンタ223nの値が0より大きいと判別した場合は(S5001:Yes)、時短中カウンタ223nの値を1減算し(S5002)、減算後の時短中カウンタ223nの値を示すための表示用コマンドを設定し(S5003)、S5004の処理へ移行する。S5001の処理において、時短中カウンタ223nの値が0であると判別した場合は(S5001:No)、S5002およびS5003の処理をスキップし、S5004の処理へ移行する。
S5004の処理では、演出モード記憶エリア223pに記憶されている演出モードを読み出し(S5004)、次いで、スーパーチャンスモードであるか否かを判別する(S5005)。スーパーチャンスモードであると判別した場合は(S5005:Yes)、変動パターンコマンドが示す基本コマンドに含まれる変動時間(基本時間)を抽出し(S5006)、基本変動時間(基本時間)が30秒であるかを判別する(S5007)。基本変動時間が30秒であると判別した場合には(S5007:Yes)、確変中演出選択テーブル222c(図29参照)に基づいて演出態様(演出内容)を決定し(S5008)、決定した演出態様を示す表示用変動パターンコマンドを設定し(S5009)、本処理を終了する。一方、基本変動時間が30秒では無いと判別した場合には(S5007:No)、S5011の処理へ移行する。
一方、S5005の処理において、スーパーチャンスモードではないと判別した場合は(S5005:No)、次いで、チャンスモードであるか否かを判別する(S5010)。チャンスモードではないと判別した場合は(S5010:No)、変動パターンコマンドが示す基本コマンドに対応する演出態様を決定し(S5011)、上述したS5009の処理へ移行する。S5010の処理において、チャンスモードであると判別した場合は(S5010:Yes)、チャンスモード中演出設定処理を実行し(S5012)、S5009の処理へ移行する。チャンスモード中演出設定処理(S5012)の詳細については図185を参照して後述する。
次に、図184を参照して、特図2演出態様設定処理(S4907)の内容について説明をする。図184は特図2演出態様設定処理(S4907)の内容を示したフローチャートである。この特図2演出態様設定処理(S4907)は、変動表示設定処理(図182のS4113参照)にて、第2特別図柄の変動演出を設定する際に実行されるものであって、設定されている遊技状態に対応した変動演出の演出態様を設定するための処理が実行される。
特図2演出態様設定処理(S4907)が実行されると、まず、現在の遊技状態が通常状態であるかを判別し(S5101)、通常状態であると判別した場合は(S5101:Yes)、チャンスゾーン突入を示す表示用コマンドを設定し(S5102)、次いで、特殊演出中フラグ223iをオンに設定し(S5103)、通常中特図2演出選択テーブル222b(図145参照)に基づいて演出態様を決定し(S5104)、決定した演出態様を示す表示用変動パターンコマンドを設定し(S5105)、本処理を終了する。
一方、S5101の処理において、通常状態では無いと判別した場合は(S5101:No)、次に、時短中カウンタ223nの値が0より大きいか否かを判別し(S5106)、時短中カウンタ223nの値が0より大きいと判別した場合は(S5106:Yes)、時短中カウンタ223nの値を1減算し(S5107)、減算後の時短中カウンタ223nの値を示すための表示用コマンドを設定し(S5108)、S5109の処理へ移行する。S5106の処理において、時短中カウンタ223nの値が0であると判別した場合は(S5106:No)、S5107およびS5108の処理をスキップし、S5109の処理へ移行する。
S5109の処理では、演出モード記憶エリア223pに記憶されている演出モードを読み出し(S5109)、次いで、スーパーチャンスモードであるか否かを判別する(S5110)。スーパーチャンスモードであると判別した場合は(S5110:Yes)、変動パターンコマンドが示す基本コマンドに含まれる変動時間(基本時間)を抽出し(S5111)、基本変動時間(基本時間)が30秒であるかを判別する(S5112)。基本変動時間が30秒であると判別した場合には(S5112:Yes)、確変中演出選択テーブル222c(図146参照)に基づいて演出態様(演出内容)を決定し(S5113)、上述したS5105の処理を実行し、本処理を終了する。一方、基本変動時間が30秒では無いと判別した場合には(S5112:No)、S5115の処理へ移行する。
一方、S5110の処理において、スーパーチャンスモードではないと判別した場合は(S5110:No)、チャンスモード中演出設定処理を実行し(S5114(S5012))、S5115の処理へ移行する。チャンスモード中演出設定処理(S5114(S5012))の詳細については図185を参照して後述する。
S5115の処理では、変動パターンコマンドが示す基本コマンドに対応する演出態様を決定し(S5115)、上述したS5105の処理を実行し、本処理を終了する。
次に、図185を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるチャンスモード中演出設定処理(S5012(S5114))について説明する。図185は、この特図1演出態様設定処理(図183のS4903参照)および特図2演出態様設定処理(図184のS4907参照)にて実行されるチャンスモード中演出設定処理(S5012(S5114))を示したフローチャートである。
チャンスモード中演出設定処理(S5012(S5114))では、まず、時短中カウンタ223nの値を読み出し(S5201)、読み出した時短中カウンタ223nの値が99であるか否かを判別する(S5202)。時短中カウンタ223nの値が99であると判別した場合は(S5202:Yes)、演出モード記憶エリア223pに高速期間を設定し(S5203)、S5208の処理へ移行する。S5202の処理において、時短中カウンタ223nの値が99ではないと判別した場合は(S5202:No)、次いで、読み出した時短中カウンタ223nの値が79であるか否かを判別する(S5204)。時短中カウンタ223nの値が79であると判別した場合は(S5204:Yes)、演出モード記憶エリア223pに通常第1期間を設定し(S5205)、S5208の処理へ移行する。S5204の処理において、時短中カウンタ223nの値が79ではないと判別した場合は(S5204:No)、次いで、読み出した時短中カウンタ223nの値が49であるか否かを判別する(S5206)。時短中カウンタ223nの値が49であると判別した場合は(S5206:Yes)、演出モード記憶エリア223pに通常第2期間を設定し(S5207)、S5208の処理へ移行する。S5206の処理において、時短中カウンタ223nの値が49ではないと判別した場合は(S5206:No)、S5207の処理をスキップし、S5208の処理へ移行する。
S5208の処理では、連続予告実行中フラグ223qがオンであるか否かを判別する(S5208)。連続予告実行中フラグ223qがオンであると判別した場合は(S5208:Yes)、変動パターンコマンドが示す基本コマンドに対応する連続演出態様を決定し(S5209)、S5214の処理へ移行する。S5208の処理において、連続予告実行中フラグ223qがオフであると判別した場合は(S5208:No)、特殊連続予告フラグ223oがオンであるか否かを判別する(S5210)。特殊連続予告フラグ223oがオンであると判別した場合は(S5210:Yes)、特殊有効時間タイマに3秒に対応する値を設定し(S5211)、特殊連続予告フラグ223oをオフに設定し(S5212)、S5213の処理へ移行する。S5210の処理において、特殊連続予告フラグ223oがオフであると判別した場合にも(S5210:No)、S5213の処理へ移行する。
S5213の処理では、変動パターンコマンドが示す基本コマンドに対応する演出態様を決定し(S5213)、S5214の処理へ移行する。S5214の処理では、決定した演出態様を示す表示用変動パターンコマンドを設定し(S5214)、本処理を終了する。
次に、図186を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される枠ボタン入力監視・演出処理(S4107)について説明する。図186は、この枠ボタン入力監視・演出処理(S4107)を示したフローチャートである。この枠ボタン入力監視・演出処理(S4107)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図174参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において演出効果を高めるために遊技者の操作に応じた演出(操作演出)を実行させるために、枠ボタン22の操作に基づいて表示用コマンドを生成し設定する。
本制御例では、遊技者が複数の操作方法で枠ボタン22を操作可能に構成しており、具体的には、枠ボタン22を短時間(2秒未満)押下する「通常押し」と、枠ボタン22を長時間(2秒以上)押下し続ける「長押し」と、を判別可能に構成している。そして、判別された操作内容に応じて異なる操作演出を実行可能に構成している。これにより、遊技者に対して様々な操作演出を実行しようと枠ボタン22を様々な操作方法で操作させることができるため、遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。なお、本制御例では、判別可能な操作方法として2種類の操作方法を用いているが、これに限ること無く、操作方法を1種類にしても良いし、3種類以上設けても良い。また、本制御例では、遊技者が操作可能な操作手段を枠ボタン22の1種類としているが、これに限ること無く、遊技者が操作可能な操作手段を複数個設けても良い。そして、判別可能な操作方法を、個々の操作手段に対する操作だけで無く、複数の操作手段に対して実行された操作内容の組合せで判別するように構成しても良い。加えて、複数の操作手段を設けた場合には(例えば、第1操作手段と第2操作手段)、第1操作手段に対して第1操作を実行した場合と、第2操作手段に対して第2操作を実行した場合とで、同一の操作が実行されたと判別(同一の操作方法と判別)するように構成しても良い。このように構成することで、例えば、第1操作手段の配置位置と、第2操作手段の配置位置とを離間させている場合において、遊技者が操作し易い操作手段を選択して操作を楽しむ行うことができる。
枠ボタン入力監視・演出処理(図186のS4107)では、まず、SW有効時間が0より大きいか、即ち、SW有効時間が設定されているか(SW有効時間カウンタ223rの値が0よりも大きいか)を判別する(S5301)。なお、このSW有効時間は、枠ボタン22を使用する変動パターンの演出が選択されている場合に各変動パターンに対応して設定されるものである。SW有効時間が設定されていると判別した場合には(S5301:Yes)、SW有効時間カウンタ223rの値を経過に対応する値を減算し(S5302)、S5303の処理へ移行する。一方、S5301の処理において、SW有効時間カウンタ223rの値が0であると判別した場合は(S5301:No)、S5302の処理をスキップし、S5303の処理へ移行する。
S5303の処理では、特殊有効時間タイマの値が0より大きいか否かを判別する(S5303)。特殊有効時間タイマの値が0より大きいと判別した場合は(S5303:Yes)、特殊有効時間タイマの値を減算し(S5304)、S5305の処理へ移行する。特殊有効時間タイマの値が0であると判別した場合は(S5303:No)、S5304の処理をスキップし、S5305の処理へ移行する。
S5305の処理では、操作中カウンタ223tの値が0より大きいか否かを判別する(S5305)。操作中カウンタ223tの値が0であると判別した場合は(S5305:No)、次いで、有効時間内であるか否かを判別する(S5306)。有効時間内であると判別した場合は(S5306:Yes)、次いで、枠ボタン22が押下されたか判別する(S5307)。枠ボタン22が押下されたと判別された場合には(S5307:Yes)、操作中カウンタ223tの値に2秒に対応する値を設定し(S5308)、S5309の処理へ移行する。)。S5306の処理において、有効時間内ではないと判別した場合と(S5306:No)、S5307の処理において、枠ボタン22が押下されていないと判別した場合には(S5307:No)、S5308の処理をスキップし、S5309の処理へ移行する。
一方、S5305の処理において、操作中カウンタ223tの値が1以上であると判別した場合は(S5305:Yes)、次いで、枠ボタン22を押下中であるか否かを判別する(S5310)。枠ボタン22を押下中であると判別した場合は(S5310:Yes)、操作中カウンタ223tの値を減算し(S5312)、減算した操作中カウンタ223tの値が0であるか否かを判別する(S5313)。減算した操作中カウンタ223tの値が0であると判別した場合は(S5313:Yes)、S5314の処理へ移行する。減算した操作中カウンタ223tの値が0ではないと判別した場合は(S5313:No)、S5309の処理へ移行する。
一方、S5310の処理において、枠ボタン22を押下中ではないと判別した場合は(S5310:No)、操作中カウンタ223tの値をクリアし(S5311)、S5314の処理へ移行する。
S5314の処理では、現在がチャンスモード中であるか否かを判別する(S5314)。現在がチャンスモード中であると判別した場合は(S5314:Yes)、ボタン操作時演出選択テーブル222f(図148参照)を用いて実行する演出を選択し(S5315)、S5309の処理へ移行する。
S5314の処理において、現在がチャンスモード中ではないと判別した場合は(S5314:No)、今回の操作方法と、実行中の演出内容と、に対応したボタン演出を設定し(S5316)、S5309の処理へ移行する。S5309の処理では、その他のボタン処理(背景変更等)が実行される。
図186を参照して上述した枠ボタン入力監視・演出処理(S4107)では、省略したが、本制御例では、SW有効時間と特殊有効時間とは、枠ボタン22の操作を受け付けた時点で残期間が0になるように構成している。即ち、各有効時間が設定されている期間中に実行される操作演出の回数が1回となるように構成している。これにより、操作演出が過剰に実行されることを抑制することができる。
なお、SW有効時間と特殊有効時間の残期間に対する処理は、これに限ること無く、例えば、10秒間の有効時間が設定された場合において、有効時間が設定されてから所定期間内(例えば、1秒以内)に、枠ボタン22の操作を受け付けた場合(図186のS5310:No,S5313:Yes)に、当該特別図柄変動期間中に、新たな有効時間を設定するように構成しても良い。このように構成することにより、遊技者が枠ボタン22を操作するタイミングによって、1回の特別図柄変動期間中に実行される操作演出の回数を異ならせることができる。
<第1制御例における表示制御装置の制御処理について>
次に、図187から図201を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。なお、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図187を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図187は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源装置115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本制御例のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S6001)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図188を参照して、ブート処理(S6001)について説明する。図188は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S6001)を示すフローチャートである。
上述したように、本制御例では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S6101)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S6102)。これにより、MPU231は、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S6102の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S6102の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S6103)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S6104)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図187のS6001参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図187のS6002参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S6105)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S6001)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
なお、図188に示すブート処理では、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S6102の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S6103〜S6105の処理を実行するようにしてもよい。
また、S6101の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S6101及びS6102の処理を含めて複数回繰り返した後、S6103〜S6105の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本制御例では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S6101及びS6102の処理を行わずに、S6103〜S6105の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図187の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S6002)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。なお、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S6003)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S6003の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S6004)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S6004の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S6005)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図199(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図199(a)のS7502参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図189(b)参照)において、電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図189(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(図189(b)のS6309参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、特図入球口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されており、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S6005の処理の後、割込許可を設定し(S6006)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S6006の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図189(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図189(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S6201)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図189(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図189(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リストを作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図189(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S6301)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S6301:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S6302)を実行し、次いで、表示設定処理(S6303)を実行する。
コマンド判定処理(S6302)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。なお、このコマンド判定処理の詳細については、図190〜図195を参照して後述する。
表示設定処理(S6303)では、コマンド判定処理(S6302)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。なお、この表示設定処理の詳細については、図196〜図198を参照して後述する。
表示設定処理(S6303)が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S6304)。このタスク処理では、表示設定処理(S6303)もしくは簡易表示設定処理(S6309)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次に、転送設定処理を実行する(S6305)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。なお、転送設定処理の詳細については、図199および図200を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S6306)。この描画処理では、タスク処理(S6304)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S6305)により設定された転送指示とから、図155に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する(S6306)。なお、描画処理の詳細については、図201を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S6307)。そして、V割込処理を終了する。S6307の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S6301の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S6301:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S6308)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S6309)を実行して、S6304の処理へ移行する。
次いで、図190〜図195を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S6302)の詳細について説明する。まず、図190は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図190に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S6401)、未処理の新規コマンドがなければ(S6401:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S6401:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S6303)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S6402)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S6403)。
そして、未処理のコマンドの中に、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別する(S6404)。そして、表示用変動パターンコマンドがあれば(S6404:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S6405)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図191(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S6405)の詳細について説明する。図191(a)は、変動パターンコマンド処理(S6405)を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理(S6405)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6501)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S6501の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本制御例のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S6501で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S6502)。そして、S6501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6503)、ポインタ233fを0に初期化する(S6504)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S6505)、変動パターンコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S6505の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S6501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S6502の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S6503の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図190の説明に戻る。S6404の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S6404:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S6406)、表示用停止種別コマンドがあれば(S6406:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S6407)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図191(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S6407)の詳細について説明する。図191(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理(S6407)では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA〜G、小当たりA〜C、リーチ外れ、完全外れ、のいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S6601)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図189(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S6602)。
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S6602の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンに設定し(S6603)、コマンド判定処理に戻る。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S6602の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S6304)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S6603によって設定された停止図柄判別フラグからS6602の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
なお、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S6601の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS6602の処理によって設定される。
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本制御例のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
図190に戻り、説明を続ける。S6406の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S6406:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用オープニングコマンドがあるか否かを判別し(S6408)、表示用オープニングコマンドがあれば(S6408:Yes)、オープニングコマンド処理を実行して(S6409)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図192(a)を参照して、オープニングコマンド処理(S6409)の詳細について説明する。図192(a)は、オープニングコマンド処理を示すフローチャートである。このオープニングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したオープニングコマンドに対応する処理を実行するものである。
オープニングコマンド処理では、まず、オープニング表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6701)。その後、オープニング表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定し(S6702)、設定したオープニング表示データテーブルを基に、時間データを計時カウンタ233hに設定する(S6703)。その後、ポインタ233fを0に初期化する(S6704)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6705)、オープニングコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
図190に戻り、説明を続ける。S6408の処理において、表示用オープニングコマンドがないと判別されると(S6408:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用ラウンド数コマンドがあるか否かを判別し(S6410)、表示用ラウンド数コマンドがあれば(S6410:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行して(S6411)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図192(b)を参照して、ラウンド数コマンド処理(S6411)の詳細について説明する。図192(b)は、ラウンド数コマンド処理を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6801)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6802)。
そして、S6801の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6803)、ポインタ233fを0に初期化する(S6804)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6805)、ラウンド数コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図190に戻って説明を続ける。S6410の処理において、表示用ラウンド数コマンドがないと判別されると(S6410:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用エンディングコマンドがあるか否かを判別し(S6412)、表示用エンディングコマンドがあれば(S6412:Yes)、エンディングコマンド処理を実行して(S6413)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図193を参照して、エンディングコマンド処理(S6413)の詳細について説明する。図193は、エンディングコマンド処理を示すフローチャートである。このエンディングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用エンディングコマンドに対応する処理を実行するものである。
エンディングコマンド処理では、まず、表示用エンディングコマンドによって示されるエンディング演出の表示態様に対応したエンディング表示データテーブルを決定し、その決定したエンディング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6901)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6902)。
次いで、S6901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6903)、ポインタ233fを0に初期化する(S6904)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6905)、エンディングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図190に戻り、説明を続ける。S6412の処理において、表示用エンディングコマンドがないと判別されると(S6412:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用変動停止コマンドがあるか否かを判別し(S6414)、表示用変動停止コマンドがあれば(S6414:Yes)、変動停止コマンド処理を実行して(S6415)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図194(a)を参照して、変動停止コマンド処理(S6415)の詳細について説明する。図194(a)は、変動停止コマンド処理を示すフローチャートである。この変動停止コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動停止コマンドに対応する処理を実行するものである。
この表示用変動停止コマンドとは、音声ランプ制御装置113の変動表示設定処理(図182のS4112参照)において設定された表示用変動パターンコマンドの終了タイミング、即ち、主制御装置110における各特別図柄の変動パターンを設定する処理にて設定された変動パターン(変動時間)の終了タイミング(主制御装置110が停止コマンドを設定するタイミング)にて、音声ランプ制御装置113から出力される表示用停止コマンド(正常停止コマンド)を示すものである。
変動停止コマンド処理では、まず、表示用変動停止コマンドによって示される変動停止データテーブルを決定し、その決定した変動停止データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6931)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6932)。
次いで、S6931の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動停止データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6933)、ポインタ233fを0に初期化する(S6934)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6935)、変動停止コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図190に戻り、説明を続ける。S6414の処理において、変動停止コマンドがないと判別されると(S6414:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用報知コマンドがあるか否かを判別し(S6416)、表示用報知コマンドがあれば(S6416:Yes)、報知コマンド処理を実行して(S6417)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図194(b)を参照して、報知コマンド処理(S6417)の詳細について説明する。図194(b)は、報知コマンド処理を示すフローチャートである。この報知コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した(表示用)報知コマンドに対応する処理を実行するものである。
この報知コマンドは、主制御装置110にて設定された各種異常状態を示すためのコマンドを音声ランプ制御装置113が受信した場合に設定される各種報知コマンドのうち、表示制御装置114に出力された表示用報知コマンドを表示制御装置114が受信した場合に実行される処理である。
報知コマンド処理では、まず、報知コマンドによって示される報知態様に対応した表示(報知)データテーブルを決定し、その決定した表示(報知)データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6951)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6952)。
次いで、S6951の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示(報知)データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6953)、ポインタ233fを0に初期化する(S6954)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6955)、報知コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
なお、本制御例では、音声ランプ制御装置113の設定した各種報知コマンドのうち、報知対象が第3図柄表示装置81(表示装置)であることを示す表示用コマンドのみを表示制御装置114が判別するように構成しているが、これに限ること無く、表示用コマンド以外の発光用コマンドや、音声出力用コマンドや、役物駆動用コマンドといった関連コマンドも一旦受信し、表示制御装置114の処理にて設定されたデータ内容(表示態様)を示すための情報を追加した状態で、関連コマンドを対応する制御装置に出力するように構成しても良い。
図190に戻り、説明を続ける。S6416の処理において、表示用報知コマンドがないと判別されると(S6416:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、背面画像変更コマンドがあるか否かを判別し(S6418)、背面画像変更コマンドがあれば(S6418:Yes)、背面画像変更コマンド処理を実行して(S6419)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図195(a)を参照して、背面画像変更コマンド処理(S6419)の詳細について説明する。図195(a)は、背面画像変更コマンド処理を示すフローチャートである。この背面画像変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した背面画像変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
背面画像変更コマンド処理では、まず、オン状態で背面画像変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S7503)に通知する背面画像変更フラグ233wをオンに設定する(S7001)。そして、背面画像種別(背面A,B)毎に設けられた背面画像判別フラグ233xの各ビットのうち、背面画像変更コマンドによって示された背面画像種別に対応するビットをオンに設定すると共に、その他の背面画像種別に対応するビットをオフに設定して(S7002)、この背面画像変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
通常画像転送設定処理では、S7001の処理により設定される背面画像変更フラグ233wがオンされていることを検出すると、S7002の処理によって設定される背面画像判別フラグ233xから、変更後の背面画像種別を特定する。
また、タスク処理では、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A,Bのいずれかを表示させることが規定されていた場合、S7002によって設定された背面画像判別フラグ233xから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像の範囲に対応する画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)と、そのRAMのアドレスを特定する。
なお、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面画像変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面画像変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面画像変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S7002の処理では、2以上の背面画像コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよいし、後に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよい。また、任意の1の背面画像変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
ここで、図190の説明に戻る。S6418の処理において、背面画像変更コマンドがないと判別されると(S6418:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S6420)、エラーコマンドがあれば(S6420:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S6421)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図195(b)を参照して、エラーコマンド処理(S6421)の詳細について説明する。図195(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S7101)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S7102)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S7101の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S7102の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
なお、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S7102に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図190の説明に戻る。S6416の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S6420:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S6422)、S6401の処理へ戻る。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS6401の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S6401:Yes)、再びS6402〜S6422の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S6401〜S6422の処理が繰り返し実行され、S6401の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
なお、V割込処理(図189(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S6308)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図191(a)参照)および停止種別コマンド処理(図191(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図191(a)参照)では、S6501の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bに格納されているので、S6502の処理では、転送データテーブルバッファ233eにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図196〜図198を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S6303)の詳細について説明する。図196は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図196に示すように、まず、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S7201)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S7201:No)、先に実行されるコマンド判定処理において新規コマンドが処理されていないと判断して、S7202〜S7204の処理をスキップし、S7205の処理へ移行する。一方、新規コマンドフラグがオンであれば(S7201:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理において新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S7202)、S7203〜S7204の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S7203の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S7203)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S7203:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S7204)。
ここで、図197を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。図197は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S7301)。
タスク処理(S6304)では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S7301の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S7302)、表示設定処理に戻る。
ここで、図196の説明に戻る。警告画像設定処理(S7204)の後、又は、S7203の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S7203:No)、次いで、S7205の処理へ移行する。
S7205では、ポインタ更新処理を実行する(S7205)。ここで、図198を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図198は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S7401)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S7401の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S7402)。その結果、End情報であれば(S7402:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S7403)、デモ用表示データテーブルであれば(S7403:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S7404)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S7405)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S7403の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S7403:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S7406)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S7402の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S7402:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図196に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を取得する(S7206)。タスク処理(S6304)では、先に展開された警告画像などと共に、S7206の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S7207)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S7208)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S7208:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S7208:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S7209)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S7209:No)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S7210)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S7211)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S7212)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S7213)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S7214)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S7215)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233dに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種多様な演出画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
なお、S7215の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S6304)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S7215によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S7209の処理において、確定表示フラグがオンであれば(S7209:Yes)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S7216)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S7216:No)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、確定表示演出の終了から一定時間経過後に、第3図柄表示装置81にデモ演出を表示させるための処理を行う。
まず、デモ表示データテーブルを取得して表示データテーブルバッファ233dへ設定し(S7217)、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S7218)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S7219)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S7220)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S7221)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S7216の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S7216:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
なお、V割込処理(図189(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S6309)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図199及び図200を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S6305)の詳細について説明する。まず、図199(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S7501)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S7501:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S7502)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図199(b)を参照して後述する。
一方、S7501の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S7501:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S7503)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図200を参照して後述する。
次いで、図199(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S6305)の一処理である常駐画像転送設定処理(S7502)について説明する。図199(b)は、この常駐画像転送設定処理(S7502)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S7601)、転送指示を送信していれば(S7601:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S7602)。このS7602の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S7602の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S7602:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S7602:Yes)、S7603の処理へ移行する。また、S7601の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S7601:No)、S7603の処理へ移行する。
S7603の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S7603)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S7603:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S7604)、本処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送することができる。なお、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM235の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM235の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S7603の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S7603:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S7605)、本処理を終了する。これにより、V割込処理(図189(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図189(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(図189(b)のS6309参照)ではなく、コマンド判定処理(図190〜図195参照)および表示設定処理(図196〜図198参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図200参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図199(a)のS7501:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
次いで、図200を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S6305)の一処理である通常画像転送設定処理(S7503)について説明する。図200は、この通常画像転送設定処理(S7503)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S6303)のポインタ更新処理(S7205)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S7701)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S7702)、転送データ情報であれば(S7702:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S7703)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S7704)、S7705の処理へ移行する。
また、S7702の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S7702:No)、S7703及びS7704の処理をスキップして、S7705の処理へ移行する。S7705の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S7705)、転送指示を設定していれば(S7705:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S7706)。
このS7706の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S7706の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S7706:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S7706:Yes)、S7707の処理へ移行する。また、S7705の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S7705:No)、S7707の処理へ移行する。
S7707の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S7707)、転送開始フラグがオンであれば(S7707:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S7708)、S7703の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S7713の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S7707:No)、次いで、背面画像変更フラグ233wはオンか否かを判別する(S7709)。そして、背面画像変更フラグ233wがオンではなく、オフであれば(S7709:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
一方、背面画像変更フラグ233wがオンであれば(S7709:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグ233wをオフに設定した後(S7710)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグ233xのうち、オン状態にある背面画像判別フラグ233xに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S7711)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグ233xに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S7712)、S7713の処理へ移行する。
S7713の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S7713)。このS7713の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233iを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233iより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S7713の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S7713:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S7713の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S7713:No)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S7714)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。なお、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S7714の処理の後、格納画像データ判別フラグ233iを更新し(S7715)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233iの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、表示用停止種別コマンドに対応する処理が実行され、その結果、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別された場合は、ファンファーレ演出において使用する画像データを遅滞なくキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。また、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本制御例では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図201を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S6306)の詳細について説明する。図201は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S6304)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S6305)により設定された転送指示から、描画リスト(図155)を生成する(S7801)。即ち、S7801の処理では、タスク処理(S6304)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、各スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S6305)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
なお、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233jによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S7802)。ここでは、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233jが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
なお、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示装置81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S7802の処理の後、描画対象バッファフラグ233jを更新する(S7803)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233jの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図189(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
以上、説明をした通り、本第1制御例では、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とが重複して(並行して)実行されることが無いように構成しており、第2特別図柄の抽選のほうが、第1特別図柄の抽選よりも優先して実行されるように構成している。そして、第1特別図柄の抽選よりも第2特別図柄の抽選のほうが遊技者に有利となる抽選が実行されるように構成している。さらに、設定されている遊技状態に応じて第2特別図柄の抽選の実行し易さを異ならせるように構成している。具体的には、普通図柄の低確率状態が設定されている場合(通常状態)よりも、普通図柄の高確率状態が設定されている場合(時短状態、確変状態)が設定されている場合のほうが、第2特別図柄の抽選権利を取得し易くなるように、普通図柄の当たり当選時に実行される当たり遊技(普図当たり遊技)にて開放動作される電動役物640aが付随する入球口(第2入球口640)に球が入球した場合に、第2特別図柄の抽選権利を取得し得るように構成している。つまり、初期の遊技状態である通常状態にて遊技を行う場合には、第2特別図柄抽選よりも第1特別図柄抽選のほうが実行され易く構成し、第1特別図柄の抽選にて大当たり当選したことを契機に、普通図柄の高確率状態を設定可能にし、普通図柄の高確率状態が設定された場合に、第1特別図柄の抽選よりも有利となる第2特別図柄の抽選を実行するように構成している。このように構成することで、設定される遊技状態に応じて遊技者への有利度合いを大きく異ならせることができるため、遊技者に対して有利度合いの高い遊技状態が設定されることを期待しながら意欲的に遊技を行わせることができる。
また、普通図柄の低確率状態が設定されている状態で実行される普通図柄抽選にて当たり当選した場合に、電動役物640が5秒間開放される普図当たり遊技を実行可能に構成している。このように構成することで、遊技者に不利な遊技状態である通常状態であっても、一時的に第2特別図柄抽選を実行させ易い期間を提供することが可能となるため、通常状態を遊技している遊技者に対して、特別図柄抽選大当たり当選を目指す遊技と、普通図柄抽選で当たり当選を目指す遊技と、を実行させることができ、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。
さらに、本制御例では、通常状態中に実行される第2特別図柄抽選に対応して第3図柄表示装置81の表示面にて実行される特図2変動演出の演出態様を、記憶している第2特別図柄の抽選権利数、即ち、特図2保留数に基づいて可変させるように構成している。具体的には、第2特別図柄抽選の結果が大当たりである場合に実行される特図2変動演出の演出態様として、変動演出の前半期間に抽選結果が外れであることを示す疑似外れ変動演出を実行し、後半期間において、疑似外れ変動演出にて停止(仮停止)された第3図柄を再始動させて抽選結果が大当たりであることを示す疑似当たり変動演出を実行するように構成し、その疑似当たり変動演出にて第3図柄が一時的に停止(仮停止)する回数を、特図2保留数に対応させて可変させるように構成している。このように構成することで、第2特別図柄抽選の結果が大当たりであることを示す組合せで第3図柄が停止表示(確定表示)されるまでに、第3図柄を複数回疑似停止させる変動演出を実行することが可能となる。つまり、複数回の第2特別図柄抽選を経て大当たり当選したと思わせることができる。
これにより、普図当たり遊技中に獲得した複数の特図2保留のうち、最初に実行される第2特別図柄抽選に用いられた特図2保留で大当たり当選した場合であっても、遊技者に対して、複数の特図2保留を普図当たり遊技中に獲得したため大当たり当選したと思わせることができるため、普図当たり遊技中により意欲的に特図2保留を獲得するための遊技を行わせることができる。
また、第2特別図柄抽選で大当たり当選した場合における特図2保留数が0の場合は、上述した疑似当たり変動演出として、第1特別図柄抽選が実行される場合に第3図柄表示装置81の表示面に表示される変動演出(第1特別図柄抽選に対応して第3図柄表示装置81の表示面にて実行される特図1変動演出の演出態様)を模した変動演出を実行するように構成している。このように構成することで、特図2保留を獲得していない状況で擬似的に特図2変動演出が繰り返されることを抑制することができるため、遊技者に対して擬似的な変動演出が実行されていることを識別させ難くすることができる。また、特図1変動演出を模した擬似的な変動演出が実行された後に、第2特別図柄抽選で大当たり当選したことを示す組合せで第3図柄が停止表示(確定表示)されるため、遊技者に対して意外性のある変動演出を実行することが可能となる。
本制御例では、確変大当たり遊技が実行される場合には、予め(大当たり遊技開始時に)報知演出の演出態様として大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを示す演出態様を設定しておき、報知演出が実行される直前に(例えば、大当たりエンディング期間の開始時に)特定ゲートへの球の流下結果に基づいて報知演出の演出態様を切り替えるか否かの判別を実行し、特定ゲートを球が流下している場合には、予め設定しておいた演出態様の報知演出を実行し、特定ゲートを球が流下していない場合にのみ、報知演出の演出態様を切り替えるように構成している。
さらに、本制御例では、大当たりエンディング期間の長さを、確変大当たりと通常大当たりとで異ならせており、遊技者にとって有利となる確変大当たりのほうが通常大当たりよりも長いエンディング期間が設定されるように構成している。これにより、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを、実際に確変状態が設定されるよりも前に遊技者に分かり易く報知することができる。一方、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されない場合には、その旨を長期間報知したとしても遊技者に不快感を与えてしまうだけであるため、エンディング期間が短くなるように構成している。
このように、大当たりエンディング期間の長さを、確変大当たりと通常大当たりとで異ならせている場合において、確変大当たり遊技中に球を特定ゲートへと流下させることができなかった場合には、大当たりエンディング期間の演出態様を単に通常当たり遊技のエンディング期間に実行される演出態様へと切り替える処理を実行するだけではエンディング期間の長さが異なるためエンディング期間中に違和感のある報知演出が実行されてしまうという問題があった。また、確変大当たり遊技において球を特定ゲートへと流下させることができなかった場合にのみ設定される専用の演出態様を予め容易してしまうと、その演出態様に対する画像データ(演出データ)を予め表示制御装置114のキャラクタROM234に記憶させておく必要があり、記憶容量が増加してしまうという問題があった。
これに対して、本制御例では、大当たりエンディング期間を前半期間と後半期間とに区分けし、後半期間の長さを大当たり種別に関わらず共通の長さとするように構成し、確変大当たり遊技中に球を特定ゲートへと流下させることが出来なかった場合に、大当たりエンディング期間の後半期間に対応する演出態様のみ通常当たり遊技のエンディング期間の後半期間に対して設定される演出態様へと切り替えるように構成している。これにより、確変大当たり遊技中に球を特定ゲートへと流下させることが出来なかった場合にのみ用いられる専用の演出態様を設けること無く、且つ、遊技者に違和感を与えることの無い報知演出を実行することができる。
なお、本制御例では、大当たりエンディング期間を前半期間と後半期間とに区分けし、後半期間の長さを大当たり種別に関わらず共通の長さとするように構成することで、確変大当たり遊技中に球を特定ゲートへと流下させることが出来なかった場合に実行される報知演出の演出態様を切替設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり遊技の最終ラウンド期間中から報知演出を実行することで、実際の大当たりエンディング期間よりも長い期間実行される報知演出を実行可能に構成しても良いし、大当たりエンディング期間が設定されてから所定期間の間、大当たり遊技の最終ラウンド期間中に実行されるラウンド演出を継続して実行し、その後、報知演出を実行することで、実際の大当たりエンディング期間よりも短い期間の報知演出を実行するように構成しても良い。
このV入賞装置2650は、上述した第8制御例のV入賞装置2650(図194〜図196参照)と同一内容で構成されているため、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、可変表示ユニット80の右側領域の構成、及び、右側領域を流下した球がスルーゲート67、一般入球口63、第1入球口64、第2入球口640、V入賞装置2650へと入球する割合については、上述した左側領域と同一であるため、その詳細な説明は省略する。以上、説明をした通り、本制御例では、設定されている遊技状態に関わらず、ひいては大当たり遊技が実行されているか否かに関わらず、遊技者が右打ち遊技を実行しても左打ち遊技を実行しても同様の特典が付与されるように構成している。よって、遊技者は自分の気分に合わせて任意の遊技方法で遊技を行うことができる。
なお、本制御例では、図230に示した通り、パチンコ機10の遊技盤13の構成を左右対称に構成しているが、これに限ること無く、例えば、遊技者が獲得可能な特典量が左打ち遊技を行った場合と、右打ち遊技を行った場合とで大きく乖離しないように構成すれば良く、例えば、左側領域に設けられる一般入球口63の数を、右側領域に設けられる一般入球口63の数よりも少なくし、且つ、第1入球口64へと球が入球する割合を、右打ち遊技よりも左打ち遊技のほうが高くなるように構成し、左打ち遊技のほうが右打ち遊技よりも賞球を獲得し難いが第1特別図柄抽選を実行し易くし、右打ち遊技のほうが左打ち遊技よりも賞球を獲得し易いが第1特別図柄抽選を実行し難くするように構成しても良い。このように構成した場合には、通常状態中、即ち、第1入球口64へと球を入球させる遊技を実行している間は、遊技者が任意の遊技方法で遊技を行うことができ、第2入球口640へと球を入球させる遊技(時短状態や確変状態中の遊技)においては、左打ち遊技よりも右打ち遊技のほうが遊技者に有利な遊技とすることができる。
上記各制御例では、主制御装置110において第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N)が更新される度(即ち、増加した場合や、減少した場合にそれぞれ)に、保留球数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110において第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N)が増加する場合だけ、保留数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する。また、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信された変動パターンコマンドを受信すると、特別図柄2保留球数カウンタ223bの値を1減らすように構成する。これにより、主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ保留数コマンドを送信する回数と、音声ランプ制御装置113が保留数コマンドを受信する回数とをそれぞれ減らすことができるので、主制御装置110および音声ランプ制御装置113の制御的負担を軽減することができる。
上記各制御例においては、第1入球口64への入賞は最大4回まで、スルーゲート67の通過は最大1回まで保留されるように構成したが、最大保留球数はこれに限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。また、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留球数を、第3図柄表示装置81の一部において、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしてもよく、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留球数を通知するように構成してもよい。
また、上記各制御例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。また、特別図柄の抽選結果を示すための第3図柄の動的表示の表示態様と、普通図柄の抽選結果を示すための装飾図柄の動的表示の表示態様と、を遊技者が識別困難となるように、例えば、表示制御装置114が有する共通の画像データを用いて各表示態様を設定するように構成しても良い。
上述した各制御例では、遊技者に各図柄の抽選結果を示すための第3図柄表示を1つの表示手段(第3図柄表示装置81)にて実行しているが、それ以外の構成を用いてもよく、例えば、第3図柄のうち、遊技者に強調して表示される主図柄を表示する表示手段と、従図柄を表示する表示手段とで異なる表示手段を設けてもよい。また、表示手段の構成として、液晶ディスプレイ以外の構成を用いても良い。
上述した各制御例では、遊技者に有利となる遊技状態(時短状態)の場合と、その時短状態よりも遊技者に不利となる遊技状態(通常状態)の場合とで、遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行されるように構成しているが、遊技状態に応じて異なる遊技盤13の狙う領域を異ならせるように構成しても良く、例えば、通常状態の場合は遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行され、時短状態の場合は遊技盤13の右側領域を狙う右打ち遊技が実行されるように構成しても良い、また、時短状態中に左打ち遊技を実行させ、通常状態中に右打ち遊技を実行させてもよい。
さらに、上述した各制御例では、何れの遊技状態が設定されている場合も、大当たり遊技が設定されている場合も、遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行されるように構成しているが、これに限ること無く、時短状態が設定されている場合と、大当たり遊技中は右打ち遊技を実行させ、通常状態中のみ左打ち遊技を実行させるように構成しても良い。このように構成することで、実行させる遊技方法(右打ち遊技、左打ち遊技)に応じて遊技者に有利な状態であるか否かを遊技者に分かり易く理解させることができる。
上述した各制御例では、遊技者が操作可能な操作手段として、遊技者が押下動作することにより、操作手段が操作されたことが判別される枠ボタン22を用いているが、それ以外の構成を用いてもよく、遊技者が左右または前後に傾倒させることで操作されたことを判別可能なレバー状に構成された操作手段や、遊技者が接触または近接したで操作されたことを判別可能なタッチセンサ式の操作手段や、所定の電波を発信することで操作されたことを判別可能な無線式の操作手段等を用いても良い。また、枠ボタン22を音声ランプ制御装置113に対して電気的に接続させており、枠ボタン22を、パチンコ機10にて実行される演出の演出態様を、遊技者の操作に基づいて可変させるための演出用操作手段として用いているが、枠ボタン22に対する遊技者の操作に基づいてパチンコ機10で実行される各種演出の演出態様を可変させることができれば良く、例えば、枠ボタン22を表示制御装置114に対して電気的に接続させても良いし、操作手段(枠ボタン22)からの出力信号を入力可能にし、表示制御装置114、音声ランプ制御装置113、音声出力装置226、ランプ表示装置227へと出力可能な演出設定信号を生成可能な制御装置を設けても良い。このように構成することで、演出用操作手段を複数設けた場合であっても、複数の演出用操作手段から出力される出力信号(操作信号)を集中管理することができるため、演出用操作手段への遊技者の操作に対する演出態様を円滑に設定することができる。
さらに、上述した第1制御例では、大当たり遊技終了後に有利遊技状態(確変状態、時短状態)が設定された場合に、所定期間の間(特別図柄変動が20回実行されるまでの間)、短時間の変動時間が選択される高速変動期間を設定可能に構成し、その高速変動期間中は、枠ボタン22を操作した場合に背景モード移行演出が実行されない(され難い)ように構成している。これにより、短時間の変動時間が選択され易い期間中に、操作演出として背景モード移行演出が実行されてしまい、特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄の停止表示態様を遊技者が把握し難くなる事態が発生することを抑制することができる。
また、第1制御例では、高速変動期間中に枠ボタン22に対して第1操作、即ち、通常状態が設定されている状態においては、背景モード移行演出が実行される操作(「通常押し」)を行った場合に、背景モード移行演出とは異なる演出態様の操作演出が実行されるように構成している。これにより、高速変動期間中においても遊技者に対して意欲的に枠ボタン22を操作させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
加えて、本第1制御例では、高速変動期間中であっても、上述した第1操作(「通常押し」)以外の第2操作(「長押し」)を実行することで、背景モード移行演出を実行可能に構成している。このように構成することで、第3図柄の停止表示態様が把握し難くなることを承知した上で背景モード移行演出を実行させようとする遊技者に対して背景モード移行演出を提供することができる。本第1制御例では、第1操作が実行されたと判別するのに要する期間よりも第2操作が実行されたと判別するのに要する期間のほうが長くなるように構成している。これにより、背景モード移行演出が実行される頻度を抑えることができるため、過剰に第3図柄の停止表示態様が把握し難くなることを抑制することができる。
なお、本実施形態のように、所定条件が成立していない場合において、操作手段に対して第1操作を行うことで実行される第1操作処理を、所定条件が成立した場合においては、操作手段に対して第1操作を行ったとしても実行されないようにする(され難くする)技術思想を他の技術に用いても良く、例えば、パチンコ機10にて出力される音声の大きさ(音量)を調整する音量調整処理や、第3図柄表示装置81として液晶ディスプレイを用いた場合に、その液晶ディスプレイの輝度を調整する輝度調整処理を上述した第1操作処理として適用し、所定条件が成立していない場合(例えば、特別図柄変動が実行されていない場合)には第1操作処理を実行可能にし、所定条件が成立している場合(例えば、特別図柄変動が実行されている場合)には第1操作処理を実行困難にするように構成しても良い。
また、上述した所定条件として、特別図柄変動の有無だけでは無く、パチンコ機10において異常が発生した場合に成立する条件や、大当たり遊技中に成立する条件を設定可能に構成しても良い。
さらに、このように構成されたパチンコ機10において、所定条件が成立している場合に、上述した第1操作を実行した場合に、第1操作処理とは異なる第2操作処理(例えば、第1操作処理が実行されないことを報知する処理)を実行するように構成すると良い。これにより、第1操作処理が実行されないことを遊技者が容易に把握することができる。なお、これに限ること無く、第1操作処理とは関連しない別の操作演出を実行するように構成しても良い。
加えて、上述した所定条件が成立している場合においても、本制御例と同様に第1操作とは異なる第2操作を実行することにより、上述した第1操作処理が実行されるように構成すると良い。また、本第1制御例では、1の操作手段(枠ボタン22)に対する操作方法を異ならせることで第1操作と第2操作とを実行可能に構成しているが、これに限ること無く、複数の操作手段をパチンコ機10に設け、第1操作手段(例えば、枠ボタン22)を操作することで第1操作を実行可能にし、第2操作手段(例えば、枠ボタン22以外に設けられた枠ボタン)を操作することで第2操作を実行可能にするように構成しても良い。また、この場合、第1操作よりも第2操作のほうが実行し難くなるように構成すると良く、例えば、第1操作手段を遊技者が常時操作可能なパチンコ機10の前面側に配置し、第2操作手段を遊技者が操作困難なパチンコ機10の背面側(図121参照)に配置するように構成すると良い。
さらに、上述した第1操作手段と第2操作手段と、を設けた場合には、第1操作手段に対する操作を有効に判別する第1操作有効判別期間と、第2操作手段に対する操作を有効に判別する第2操作有効判別期間と、を統一して設定しても良いし、異なる期間を設定しても良い。各操作有効判別期間を統一した場合には、有効期間の判別処理を簡素化することができる。また、異なる期間を設定した場合には、操作する操作手段の種別に応じて、その操作を有効と判別する期間が異なるため、様々な操作手段を様々なタイミングで操作しようと意欲的に遊技を行わせることができる。
以上、説明をした第1制御例では、通常状態と、その通常状態よりも遊技者に有利となる複数の有利遊技状態(確変状態、時短状態)を設定可能に構成し、有利遊技状態のうち、何れかの遊技状態が設定された場合において、設定された遊技状態が終了するまでの期間では無く、次に通常状態が設定されるまでの期間(残期間)を、遊技者に報知可能に構成している。
ここで、従来より、遊技者にとって有利となる有利遊技状態(例えば、確変状態や時短状態)が設定された場合に、その有利遊技状態が継続する期間(特別図柄変動回数)を遊技者に報知するものがある。具体的には、有利遊技状態が継続する期間を示す残期間表示態様として「100回」を表示し、特別図柄抽選が実行される毎に、残期間表示態様の値を1減算表示するものがある。これにより、現在設定されている有利遊技状態中にあと何回の特別図柄抽選を実行することができるのかを遊技者に容易に把握させることができるものであった。
また、近年の遊技機では、遊技者にとって有利となる有利遊技状態として複数の状態種別を設定可能なものがあり、有利遊技状態として、通常有利遊技状態(例えば、時短状態)と、その第1有利遊技状態よりもさらに有利な最有利遊技状態(例えば、確変状態)と、を設定可能なものがある。
このように構成されたパチンコ機10では、遊技状態が、最有利遊技状態から通常有利遊技状態へと移行する場合において、最有利遊技状態が継続する期間を示すための残期間表示態様を遊技者に報知し、その後、通常有利遊技状態が設定されると、通常有利遊技状態が継続する期間を示すための残期間表示態様を用いて遊技者に報知するものであった。
つまり、最有利遊技状態が設定されている状態において、最有利遊技状態が継続する期間(残期間)を遊技者に把握させることは可能であるが、最有利遊技状態が終了した後に設定される遊技状態がどのような遊技状態であるか、また、最有利遊技状態が終了した後に設定される遊技状態が継続する期間がどの程度であるかを遊技者が把握することができないものであった。
よって、遊技者は最有利遊技状態が終了した場合に、最有利遊技状態よりも遊技者に有利となる遊技状態が設定されるのか、それとも最有利遊技状態よりも遊技者に不利となる遊技状態(例えば、通常状態)が設定されるのかを把握することができず、最有利遊技状態中において、何を目指して遊技を行えば良いのかを分かり難くしてしまうという問題があった。
これに対して、本制御例では、上述した通り、複数種類の有利遊技状態が連続して設定される場合において、その複数種類の有利遊技状態が終了するまでの期間、即ち、次に通常状態が設定されるまでの期間を対象として有利遊技状態残期間表示態様を表示するように構成している。このように構成することで、異なる種別の有利遊技状態が連続して設定される場合には、連続して設定される有利遊技状態を跨ぐように有利状態残期間表示態様が表示されるため、遊技者に対して安心して遊技を行わせることができる。
さらに、本第1制御例では、連続して設定される複数の有利遊技状態(確変状態、時短状態)を跨いだ一つの有利遊技状態期間の残期間を報知している場合に、現在設定されている遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを遊技者が識別困難な演出を実行可能に構成している。よって、有利遊技状態期間中において設定されている遊技状態を分かり難くすることができるため、遊技者により有利な遊技状態が設定されていることを期待させながら遊技を行わせることができる。
本第1制御例では、連続して設定される複数の有利遊技状態(確変状態、時短状態)を跨いだ一つの有利遊技状態期間の残期間を報知している場合に、現在設定されている遊技状態や、過去に設定されていた遊技状態を示唆可能な示唆演出を実行可能に構成している。これにより、遊技状態期間中に実行される示唆演出の内容に対して遊技者に興味を持たせることができる。
さらに、第1制御例では、有利遊技状態期間に中に複数種類の演出態様で操作演出を実行可能に構成しており、設定されている遊技状態に応じて各演出態様の選択割合を異ならせている。よって、有利遊技状態期間中に実行される操作演出の演出態様に基づいて現在の遊技状態を遊技者に予測させることができるため演出効果を高めることができる。また、設定されている遊技状態に応じて各演出態様の選択割合を異ならせているだけであるため、有利遊技状態期間中に実行される操作演出の回数を増加させるほど予測精度を高めることができる。よって、遊技者に対して意欲的に操作手段(枠ボタン22)を操作させることができる。なお、本制御例では、図149を参照して上述した通り「チャンスモード」中に枠ボタン22が操作された場合であって、操作演出の演出態様として「リーチ示唆」が選択された場合には、実行中の特別図柄変動がリーチ状態となるか否か、リーチ状態となる場合にはそのリーチラインやリーチ図柄を遊技者に示唆する「リーチ示唆」演出が実行されるように構成していたが、これに限ること無く、例えば、入賞情報格納エリア223bに格納されている第2特別図柄に関する入賞情報の中にリーチ状態となる入賞情報があるかを判別し、その判別結果に基づいてリーチ状態となる第2特別図柄変動が実行される旨を当該第2特別図柄変動が実行されるよりも前に遊技者に報知するように構成しても良い。このように、操作演出の演出対象を、実行中の特別図柄変動だけでは無く、保留記憶されている特別図柄変動(今後実行される特別図柄変動)にまで広げることにより、より演出効果を高めることができる。
また、上述した第1制御例では、枠ボタン22を遊技者が操作することにより、背景モード移行や特別図柄抽選の結果を示すための演出が実行されるように構成していたが、遊技者が操作手段を操作することにより実行可能な機能として、例えば、パチンコ機10の音声出力装置226(図137参照)から出力される音量を調整する音量調整機能や、液晶ディスプレイで形成される第3図柄表示装置81の表示面における輝度を調整する輝度調整機能を用いても良い。この、音量調整機能や、輝度調整機能についても、上述した背景モード移行と同様に、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される第3図柄の変動演出を見え難くする虞があるため、所定条件が成立した場合、具体的には、特別図柄変動の変動時間として短い変動時間が選択され易い期間(高速変動期間)が設定された場合に、それ以外の期間が設定されている場合よりも実行され難くなるように構成しても良い。
上述した第1制御例では、高速変動期間が設定されている間も、背景モード移行を実行し得る構成としているが、これに限ること無く、完全に背景モード移行が実行されないように構成しても良い。また、上述した第1制御例では、操作手段を操作することにより実行される操作演出として特定の演出態様(背景モード移行)が実行され易い第1期間と、その第1期間よりも実行され難い第2期間と、を設けているが、特定の演出態様で操作演出が実行される割合を異ならせた期間を3つ以上設定可能に構成しても良い。
<第2制御例>
次に、図202から図210を参照して、第2制御例について説明をする。本第2制御例では、上述した第1制御例に対して、第3図柄表示装置81の表示面に各種画像を表示するための構成、及び制御内容を異ならせている点で相違している。それ以外の要素は同一であり、同一の要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
上述した第1制御例では、図122(b)を参照して上述した第3図柄表示装置81の表示面に表示される各図柄列Z1〜Z3を一つの画層に表示させるように構成していた。これに対して、本第2制御例では各図柄列Z1〜Z3を構成する主図柄szと、副図柄fzと、を異なる画層に表示させるように構成している点で相違している。そして、異なる画層に表示される主図柄szと、副図柄fzとを同期させて表示制御することにより、上述した第1制御例と同様に各図柄列Z1〜Z3を変動表示させることを可能に構成している。
ここで、従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報として、第3図柄を変動表示させるものがあった。また、その第3図柄の変動表示中に様々な演出(変動演出)を実行し、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示唆することで大当たり当選を期待させながら遊技を行わせることができるものがあった。
ところで、一般的な遊技機として、複数の第3図柄(例えば、1〜9の数字が付された第3図柄)によって形成される図柄列を複数(例えば、3つ)用いた図柄変動表示を実行し、1の図柄列を除いた他の図柄列にて所定の第3図柄が停止表示された場合に、大当たり期待度を高めた演出(例えば、リーチ演出)を実行するものがある。しかしながら、従来の遊技機では、図柄列を形成する各図柄の順序を可変すること無く、変動表示の変動速度のみを可変させた変動表示が実行されている。よって、図柄列の変動表示を用いた変動演出の演出効果を高めることができないという問題があった。
また、1の図柄列に特別図柄抽選の結果を示すための識別情報(主図柄)以外の識別情報(副図柄)を配置することで、変動表示のバリエーションを増加させるものも提案されているが、このような構成を用いたとしても、主図柄と副図柄とで形成される図柄列の変動表示速度を可変させるだけでは変動演出の演出効果を高めることができないという問題があった。
さらに、主図柄や副図柄の配置や種別を異ならせた複数の図柄列を予め容易しておき、特定の変動演出を実行する場合に、図柄列そのものを可変させることにより変動演出の演出効果を高めるものもあるが、実行される変動演出に応じて異なる図柄列を変動表示させる制御を実行する必要があるため、表示制御が煩雑になるという問題があった。
これに対して、本制御例では、図柄列表示を複数の画層(レイヤ)を用いて実行するように構成している。具体的には、図柄列を構成する主図柄と、副図柄と、を別の画層(レイヤ)に表示するように構成している。そして、通常時は、主図柄と副図柄とを同期させて変動表示させることにより、図柄列を形成する各種図柄を特定の配列(図122(b)参照)で変動表示させながら、主図柄の変動表示内容と、副図柄の変動表示内容と、を異ならせることにより、特定の図柄配列以外の態様で図柄列を変動表示可能に構成している。
このように構成することで、特定の図柄列を形成する第3図柄(主図柄、副図柄)の画像データを用いながら、特定の図配列以外の態様で第3図柄の変動表示を容易に行うことができ、演出効果を高めることができるという効果がある。
ここで、図202を参照して、本第2制御例にて第3図柄表示装置81の表示面にて表示される表示内容について説明をする。図202(a)は、本第2制御例のパチンコ機10に形成される表示画層と、表示画面との関係を示した模式図であり、図202(b)は、主図柄画層srの表示がオフ、副図柄画層frの表示がオンに設定されている場合に実行される表示演出の一例を示した図であり、図202(c)は、図202(b)の表示演出の演出結果の一例を示した図である。
図202(a)に示した通り、本第2制御例では、主図柄szが表示される主図柄画層srと、副図柄fzが表示される副図柄画層frと、が重複形成されており、主図柄画層srが副図柄画層frよりも前面(遊技者目線で手前側)に配置されるように構成している。なお、図202(a)では、主図柄画層srと、副図柄fzのみを標記しているが、実際には、第3図柄表示装置81の表示面に表示される各種画像を表示する各画層(レイヤ)が重畳されている。
具体的には、図155を参照して上述した描画リストに記載されているように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライトに対応させて各画層(レイヤ)が形成されている。そして、表示画像が重複している箇所については、手前側の画層(レイヤ)に表示される表示画像が優先して視認可能となる。
このように構成された本第2制御例では、主図柄画層srに表示される主図柄szと、副図柄画層frに表示される副図柄fzと、がともに変動表示された場合には、主図柄szが副図柄fzよりも優先して表示されるため、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報(主図柄sz)が、特別図柄抽選の結果を示さない識別情報(副図柄fz)に隠れてしまい、遊技者が特別図柄抽選の結果を視認し難くなる事態が発生することを抑制することができる。また、特別図柄抽選の結果を遊技者に視認し易くするために主図柄szと副図柄fzとが重複しないように変動表示制御する必要が無いため、変動表示制御を簡素化することができると共に、第3図柄表示装置81の表示面という限られた表示領域を最大限に利用して主図柄szの変動表示を実行することができる。
なお、本制御例では、図202(a)に示した通り、主図柄画層srを副図柄画層frよりも手前側(優先的)に配置し、主図柄szが副図柄fzよりも優先して表示されるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、副図柄fzが主図柄szよりも優先して表示されるように、副図柄画層frを主図柄画層srよりも手前側(優先的)に配置するように構成しても良い。このように構成することで、各図柄(主図柄sz、副図柄fz)を変動表示させている際中において、主図柄szの表示態様を遊技者に視認させ難くすることができる。よって、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)変動が停止表示されるまで特別図柄抽選の結果を遊技者が把握し難くなるため、最後まで期待感を持たせた第3図柄の変動演出を実行することができる。
次に、図202(b)及び図202(c)を参照して、各図柄画層に対する表示制御により実行される変動演出について説明をする。上述した通り、本制御例では、図柄列を構成する主図柄szと、副図柄fzとを独立して表示させることが可能に構成している。さらに、各画層に対して表示設定される表示画像を、表示するか否かを設定可能に構成している。つまり、内部的には各画層に対する表示制御を実行しながら、その画層そのものを対象に表示の有無(オン、オフ)を設定可能に構成している。
図202(b)では、主図柄画層srの表示がオフに設定され、副図柄画層frの表示がオンに設定されている場合の表示画面の一例を示したものであって、第3図柄表示装置81の表示面には、各図柄列Z1〜Z3のうち、副図柄fzのみが変動表示されている。そして、副表示領域Dsには、主図柄szが表示されるまでに副図柄fzが停止表示することで、今回の第3図柄変動において有効となるリーチラインを遊技者に予告するためのリーチライン予告演出が実行されたことを示す「リーチライン予告スタート」の文字が表示される。その後、副図柄fzが停止位置に応じた演出結果が表示される。
図202(c)に示した例では、副図柄fzが「ひし形状」に停止表示され、有効ラインL4、及び有効ラインL5(図122参照)においてリーチ状態となることを示す演出結果として、副表示領域Dsに「ダブルリーチ確定」の文字が表示される。そして、このリーチライン予告演出が終了すると、主図柄画層srの表示がオンに設定され、有効ラインL4、及び有効ラインL5(図122参照)においてリーチ状態となる主図柄szの種別が何になるのかを遊技者に示唆するための変動演出が実行され、その後、ダブルリーチ演出(図131参照)が実行される。
このように、本第2制御例では、主図柄szの変動表示と、副図柄fzの変動表示と、を異ならせて実行することが可能であるため、先に副図柄fzを変動表示させることにより、主図柄szが停止表示される箇所を遊技者に報知し、その後、主図柄szを変動表示させることにより、リーチ状態となる主図柄szの種別を報知することができる。よって、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄変動演出の演出結果を段階的に示すことができ、分かり易い演出を提供することができる。
なお、図202(b),(c)を参照して説明をしたリーチライン予告演出では、副図柄fzの停止表示位置によって、主図柄szの停止表示位置のみを遊技者に事前に報知しているが、これに加え、例えば、停止表示された副図柄fzの配置によって、停止表示される主図柄szの種別、即ち、特別図柄抽選の結果を示すように構成しても良い。具体的には、例えば、リーチライン予告演出の演出結果として、有効ラインL2(図122(a)参照)を形成する領域以外の全ての領域に副図柄fzが停止表示された場合には、有効ラインL2(図122(a)参照)に、特定の主図柄szの組合せ(例えば、上から「3.4.1」の組合せ)が停止表示されるように構成すると良い。
ここで、特定の主図柄szの組合せが停止表示された場合には、第3図柄の変動表示が再始動し大当たり当選の期待度が高まる変動演出(所謂、擬似連変動演出)が実行されたり、そのまま、当たり遊技(大当たり遊技や、小当たり遊技)が実行されたりするように構成すると良い。このように構成することで、リーチライン予告演出が実行された場合に、その演出結果に対して遊技者により興味を持たせることができる。
さらに、副図柄fzのみを先に変動表示させるリーチライン予告演出が実行される場合において、今回のリーチライン予告演出が主図柄szの停止表示位置のみを事前報知するものであるか、停止表示される主図柄szの種別も事前報知するものであるかを遊技者に分かり易くするために、例えば、副図柄fzが停止表示された後に(図202(c)参照)、停止表示された各副図柄fzを用いて形成される表示態様(例えば、各副図柄fzを線で繋いで表示される図形表示)の種別によって、今回のリーチライン予告演出の演出結果を報知するように構成すると良く、例えば、図202(c)に示した状態(副図柄fzがひし形に停止表示した状態)において、ひし形の図形が表示された場合は、今回のリーチライン予告演出の演出結果が主図柄szの停止位置を事前に示すものとなり、4つの副図柄fzを繋いだハート形の図形が表示された場合は、特定の主図柄szが停止表示されることを事前に示すものであることを遊技者に報知するように構成すると良い。
このように、副図柄fzが停止表示されてから、主図柄szが停止表示されるまでの間に、停止表示されている副図柄fzを用いた演出(演出結果事前報知)を実行することにより、特別図柄抽選の結果を示すための変動演出(第3図柄を用いた変動演出)の結果をより段階的に遊技者に示すことができるため、実行される変動演出に対して継続して興味を持たせることができる。
次に、図203を参照して、表示制御装置114のキャラクタROM234が有するキャラクタ記憶エリア234a2に予め記憶されている各種図柄の内容について説明をする。本制御例では、上述した第1制御例と同様に、背面画像として海背景用の背面画像と、山背景用の背面画像と、を設定可能に構成している。具体的には、遊技者が枠ボタン22を操作したことに基づいて背景モード移行が実行された場合に、現在設定されている背面画像(例えば、海背景)を、現在設定されていない背面画像(例えば、山背景)へと切り替えるように構成している。
さらに、本第2制御例は、設定されている(表示されている)背面画像の種別に応じて、第3図柄(主図柄sz)の表示態様を異ならせるように構成している。このように構成することで、背面画像の種別に応じた表示態様の主図柄szを変動表示させることが可能となるため、背面画像を切り替えた場合の演出効果を高めることができる。
ここで、背面画像に対応して表示される主図柄szの画像データの内容について、図203(a)、及び、図203(b)を参照して説明をする。図203(a)は、海画像(海背景)が設定されている場合に用いられる海用主図柄の画像データを示す模式図であって、図203(b)は、山画像(山背景)が設定されている場合に用いられる山用主画像の画像データを示す模式図である。これら各画像データは、表示制御装置114のキャラクタROM234が有するキャラクタ記憶エリア234a2に予め記憶されおり、パチンコ機10に電源が投入された場合、或いは、背景モード移行が実行された場合に、キャラクタ記憶エリア234a2から対応する画像データが読み出され、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235d、或いは、第3図柄列エリア235gに格納される。なお、各図柄に対応する画像データを読み出す処理や常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納する処理の内容については、上述した第1制御例と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
図203(a)に示した通り、海用主図柄szに対応する画像データには、9種類(タコ、ハリセンボン、カメ、サメ、エビ、アンコウ、ジュゴン、エンゼルフィッシュ、カニ)の態様図柄に、それぞれ数字「1〜9」が付された主図柄を示す画像データ(D1〜D9)が記憶されている。この主図柄画像データD1〜D9は、実際に変動表示される順序に対応させてキャラクタ記憶エリア234a2に予め格納されている。よって、主図柄に対応する画像データを読み出す際には、画像データD1から順番に読み出しで第3図柄エリア235dへと格納するだけで良い。
また、本第2制御例では、図柄列Z1と図柄列Z3(図122(a)参照)、即ち、リーチ状態となった場合に停止表示されている図柄列を、9個の主図柄(画像データD1〜D9に対応する主図柄)で形成しているのに対して、図柄列Z2(図122(a)参照)、即ち、リーチ状態中に変動表示される図柄列を、10個の主図柄で形成するように構成している。具体的には、上述した図柄列Z1を形成する9個の主図柄(画像データD1〜D9に対応する主図柄)に、サメの態様図柄に数字の4を付した変更用主図柄(画像データDAに対応する主図柄)を加えた10個の主図柄で、図柄列Z2を形成するように構成している。そして、図柄列Z2は、数字の9を付した主図柄szが通過した後に、数字の4を付した主図柄szが通過し、その後、数字の1を付した主図柄szが通過するように変動表示されるように構成している。これにより、図柄列の変動表示が1周するまでの間に、特定種別の主図柄sz(本制御例では数字の4を付した主図柄)を複数回通過させることができるため、その特定種別の主図柄szを対象にリーチ状態が成立した場合に、大当たり当選する可能性(リーチ状態の有効ライン上に、大当たりの組合せとなる主図柄szが停止表示される可能性)が高いことを遊技者に視覚的に示唆することができる。よって、遊技者に対して、どの種別の主図柄szでリーチ状態が成立するのかに対しても注目させることができ、演出効果を高めることができる。
同様に、図203(b)に示した通り、山用主図柄szに対応する画像データには、9種類(ゾウ、ライオン、ジュゴン、サイ、クジャク、クマ、イノシシ、ネズミ、ヘビ)の態様図柄に、それぞれ数字「1〜9」が付された主図柄を示す画像データ(D1〜D9)が記憶されている。この主図柄画像データD1〜D9は、実際に変動表示される順序に対応させてキャラクタ記憶エリア234a2に予め格納されている。よって、主図柄に対応する画像データを読み出す際には、画像データD1から順番に読み出しで第3図柄エリア235dへと格納するだけで良い。
そして、海背景が表示されている場合と同様に、図柄列Z1と図柄列Z3(図122(a)参照)、即ち、リーチ状態となった場合に停止表示されている図柄列を、9個の主図柄(画像データD1〜D9に対応する主図柄)で形成しているのに対して、図柄列Z2(図122(a)参照)、即ち、リーチ状態中に変動表示される図柄列を、10個の主図柄で形成するように構成している。具体的には、上述した図柄列Z1を形成する9個の主図柄(画像データD1〜D9に対応する主図柄)に、サイの態様図柄に数字の4を付した変更用主図柄(画像データDAに対応する主図柄)を加えた10個の主図柄で、図柄列Z2を形成するように構成している。そして、図柄列Z2は、数字の9を付した主図柄szが通過した後に、数字の4を付した主図柄szが通過し、その後、数字の1を付した主図柄szが通過するように変動表示されるように構成している。これにより、図柄列の変動表示が1周するまでの間に、特定種別の主図柄sz(本制御例では数字の4を付した主図柄)を複数回通過させることができるため、その特定種別の主図柄szを対象にリーチ状態が成立した場合に、大当たり当選する可能性(リーチ状態の有効ライン上に、大当たりの組合せとなる主図柄szが停止表示される可能性)が高いことを遊技者に視覚的に示唆することができる。よって、遊技者に対して、どの種別の主図柄szでリーチ状態が成立するのかに対しても注目させることができ、演出効果を高めることができる。
さらに、本第2制御例では、上述した主図柄szに対応する画像データを、キャラクタ記憶エリア234a2から読み出し、図柄列を表示させるための図柄列データとして第3図柄列エリア235gに格納するように構成している。つまり、図柄列Z1〜Z3のうち、主図柄に対応する主図柄列画像データ(副図柄fzの表示位置を飛ばした間隔で各主図柄szが表示される画像データ)を、図柄列単位で生成し、第3図柄列エリア235gに格納するように構成している。そして、この主図柄列画像データを用いて、主図柄画層srに主図柄szを変動表示させるように構成している。このように構成することで、各図柄単位の画像データを変動表示させるよりも、表示制御に用いる画像データの数を削減することができるため、表示制御の処理負荷を軽減させることができる。
また、上述した通り、本第2制御例では、図柄列Z1〜Z3を形成する各図柄のうち、主図柄szと、副図柄fzとを、独立させて変動表示させることが可能に構成しているため、各図柄列が有する複数の主図柄szを1つの画像データ(主図柄列画像データ)で形成し、変動表示させたとしても、副図柄fzの変動表示態様を可変させることにより様々な変動表示を実行することができる。よって、表示制御に用いる画像データの数を削減したとしても演出効果が低下してしまうことを抑制することができる。
さらに、各図柄列を形成する第3図柄のうち、特別図柄の抽選結果を示すための識別情報である主図柄szに対しては、主図柄列画像データを用いて図柄列単位で変動表示を実行し、特別図柄の抽選結果を示さない識別情報である副図柄fzに対しては、図柄単位で変動表示を実行するように構成しているため、特別図柄の抽選結果を示す主図柄szの変動表示の内容を変えること無く、副図柄fzの変動表示の内容を可変させることで様々な変動演出を実行することができる。つまり、第3図柄の変動表示演出を多様化するにあたり、停止表示の表示態様が予め決定されている主図柄szは、予め定められた変動表示を実行したまま副図柄fzの変動表示の内容を可変させることで様々な変動演出を実行することができる。よって、特別図柄の抽選結果を示すための第3図柄の変動表示演出を、確実に且つバリエーションの富んだ内容に容易にすることができる。
なお、本第2制御例では、図柄列を形成する全ての主図柄szを1の画像データ(主図柄列画像データ)が有するように構成しているが、これに限ること無く、全ての主図柄sz(1〜9の数字が付された各主図柄sz)のうち、一部の主図柄sz(例えば、偶数の数字が付された通常主図柄sz)の図柄列のみを生成する通常主図柄列画像データと、残りの主図柄sz(例えば、奇数の数字が付された確変主図柄sz)の図柄列のみを生成する確変主図柄列画像データと、を第3図柄列エリア235gに格納し、格納された画像データを用いて主図柄szを主図柄画層srに変動表示させるように構成しても良い。
この場合、例えば、対象となる特別図柄抽選の抽選結果が確変大当たりである場合、即ち、奇数の数字が付された主図柄szを用いて大当たりとなることを示す組合せを停止表示させる場合において、確変主図柄列画像データを用いた変動表示のみ予め定められた変動表示を実行したまま、通常主図柄列画像データを用いる変動表示の内容を可変させることが可能となる。具体的には、通常主図柄列画像データを用いた変動表示を、確変主図柄列画像データを用いた変動表示よりも高速で実行し、遊技者が奇数の数字が付された確変主図柄szのみ視認可能となるように構成しても良い。これにより、今回の第3図柄変動が、確変主図柄szのみ変動表示されており、確変主図柄szしか停止表示されない状態、即ち、通常図柄(偶数の数字が付された主図柄)が停止表示されること無く、通常大当たり当選し得ない状態であることを遊技者に報知することができる。
また、主図柄szを形成する画像データを、通常主図柄列画像データと、確変主図柄列画像データとに分けて生成する構成を用いる場合には、通常主図柄列画像データを用いて通常主図柄を表示する通常主図柄画層(レイヤ)と、確変主図柄列画像データを用いて確変主図柄を表示する確変主図柄画層(レイヤ)と、異ならせるように構成し、特別図柄抽選の結果に応じて、通常主図柄画層、或いは、確変主図柄画層に表示される主図柄szを表示するか否か(各画層の表示を有効(オン)にするか否か)を決定するように構成しても良い。さらに、上述した第1制御例のように、図柄列を形成する図柄列画像データを生成すること無く、各図柄単位の画像データを用いた変動表示制御を実行するように構成しても良い。
次に、図203(c)を参照して、副図柄fzの画像データの内容について説明をする。図203(c)は、キャラクタ記憶エリア234a2に予め記憶されている副図柄fzの画像データを模式的に示した図である。この画像データは、表示制御装置114のキャラクタROM234が有するキャラクタ記憶エリア234a2に予め記憶されおり、パチンコ機10に電源が投入された場合、或いは、背景モード移行が実行された場合に、キャラクタ記憶エリア234a2から対応する画像データが読み出され、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納される。なお、各図柄に対応する画像データを読み出す処理や常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納する処理の内容については、上述した第1制御例と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
図203(c)に示した通り、本第2制御例のるキャラクタ記憶エリア234a2には、副図柄fzの画像データとして、三角印を模した通常の副図柄fz(図122(b)参照)の画像データSD1、泡を模した予告演出用の副図柄fzの画像データSD2、数字の16を模した特殊副図柄fzの画像データSD3が少なくとも格納されている。なお、図202(c)では省略しているが、予告演出用の副図柄fzは、設定されている背景モードに対応させた表示態様で表示されるものであり、図202(c)にて示した泡を模した予告演出用の副図柄fzは、海背景が設定されている場合に用いられる副図柄fzである。よって、キャラクタ記憶エリア234a2には、山背景が設定されている場合に用いられる副図柄fzとして木の葉を模した予告演出用の副図柄fz(図示せず)の画像データ(図示せず)も予め格納されている。
ここで、本第2制御例では、第3図柄表示装置81の表示面に変動表示される第3図柄のうち、特別図柄抽選の結果を示さない副図柄fzのみを副図柄画層frに表示可能に構成しており、主図柄画層srにて予め定められた変動パターン(変動時間、停止表示位置)で変動表示される主図柄szとは独立させて副図柄fzを第3図柄表示装置81の表示面に変動表示させることができるように構成している。よって、副図柄fzを用いた様々な変動演出を主図柄szの変動表示内容を可変させること無く容易に実行することができる。また、副図柄fzを用いた様々な変動演出を実行した場合に、その一部が主図柄szと重複表示されたとしても、主図柄画層srのほうが副図柄画層frよりも優先表示されるように配置しているため、遊技者が主図柄szを視認し難くなる事態が発生することを抑制することができる。
本第2制御例では、副図柄fzを用いた変動演出として、図202(b)、及び図202(c)を参照して説明をしたリーチライン予告演出以外にも、様々な変動演出を実行可能に構成しており、例えば、副図柄fzを、画像データSD2を用いた予告演出用の表示態様に切り替え、第3図柄の変動表示開始時に、主図柄szの変動方向(例えば、左方向)に対して逆方向(右方向)へと変動表示させる変動開始時予告演出や、副図柄fzの一部を、画像データSD3を用いた特殊表示態様に切り替え、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の変動停止時に停止表示される特殊表示態様の副図柄fz(数字の16を模した副図柄fz)の個数や配列に応じて、大当たり種別を示唆する大当たり種別示唆演出を実行可能に構成している。
このように、特別図柄抽選の結果を示す識別情報(主図柄sz)とは異なる識別情報(副図柄fz)であって、且つ、特別図柄抽選の結果を示す識別情報(主図柄sz)が変動表示されている期間中に変動表示可能な識別情報(副図柄fz)を用いて様々な変動演出を実行可能にすることで、変動表示される副図柄fzに対しても遊技者を注視させることができる。
また、本第2制御例では、主図柄szの変動表示制御とは異なり、副図柄fzの変動表示制御を各図柄単位で実行するように構成しているため、各図柄列Z1〜Z3に形成される複数の副図柄fzのうち、一部のみ(例えば、最終的に停止表示される主図柄szの近傍のみ)の表示態様を変動演出用の表示態様へと切り替える制御を容易に実行することができる。また、通常であれば、主図柄sz間に1つ表示される副図柄fzの個数が2個以上となるように表示することもできるし、一部の副図柄fzのみ表示させないようにすることができる。
また、副図柄fzの表示態様を可変させるタイミングは、特別図柄変動の開始タイミングでも良いし、大当たり当選したことを示す特別図柄が停止表示されるタイミングでも良い。
最後に図203(d)を参照して、本第2制御例における変動用主図柄に用いられる各画像データの内容について説明をする。図203(d)は、変動用主図柄に用いられる各種画像に対応する画像データの内容を模式的に示した模式図である。この変動用主図柄とは、図柄列Z2、即ち、リーチ状態中に変動表示される図柄列に設けられた10個目の主図柄のことであって、キャラクタ記憶エリア234a2に記憶される主図柄表示データのうち、画像データDAが用いられる主図柄のことである。
従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報(第3図柄)を変動表示させ、特定の識別情報が停止表示した場合に、特別図柄抽選の結果が大当たりであることを示すものがある。この場合、遊技者に対して停止表示される識別情報が特定の識別情報となるか否かを煽るための変動演出が実行される。ここで、一般的には、複数種類の識別情報が特定の順序で形成される図柄列を複数用いた変動演出が実行される。具体的には、特定の順序で、1〜9の各数字が付された複数の識別情報(例えば、主図柄sz)が形成される図柄列を複数用いた変動演出が実行される。
このように構成された遊技機では、第3図柄変動の演出効果を高めるために、変動表示中の第3図柄の表示態様を可変させる変動演出が実行されるが、変動表示中の識別情報(第3図柄)を可変させる場合において、識別情報に付されている1〜9の数字、即ち、特別図柄抽選の結果を示すための具体的な情報を変更してしまうと、例えば、1〜9の各数字が付された9個の第3図柄を用いて変動表示が実行されたにも関わらず、変動途中で5の数字が付された第3図柄を、6の数字が付された第3図柄へと切り替えた場合には、6の数字が付された第3図柄が消滅してしまうため、第3図柄の変動表示中に特別図柄抽選の結果を変更したのではと遊技者に不信感を与えてしまう虞があった。
また、例えば、1〜9の各数字が付された9個の第3図柄を用いて変動表示を実行し、途中で新たに6の数字が付された第3図柄を追加し、計10個の第3図柄を用いた変動表示へと切り替えた場合には、変動表示される第3図柄の個数が途中で増加したことに対応するための表示制御を実行する必要があり、制御内容が難化してしまう虞があった。
これに対して、本制御例では、1〜9の数字が付された各主図柄と、変更用主図柄と、により10個の主図柄によって図柄列Z2を形成するように構成している。よって、1〜9の数字が付された各種図柄を残したまま、図柄列を形成する主図柄の数を可変させること無く、主図柄の表示態様を可変させることが可能となる。また、変更用主図柄の表示態様を様々な表示態様へと可変させたとしても、図柄列Z2を形成する主図柄の個数が変わることが無いため、図柄列Z2に対する表示制御を容易に実行することができる。
図203(d)に示した通り、本第2制御例のるキャラクタ記憶エリア234a2には、変更用主図柄の画像データとして、数字の4を付した通常主図柄szの画像データDA1、数字の7を付した通常主図柄szの画像データDA2、Vの文字を模したV主図柄szの画像データDA3、数字の16を模した特殊主図柄szの画像データDA4、バツ印を模した残念主図柄szの画像データDA4が少なくとも格納されている。なお、図202(d)では省略しているが、通常主図柄szは、設定されている背景モードに対応させた表示態様で表示されるものであり、図202(d)にて示した「サメ」を模した通常主図柄sz、及び、「ジュゴン」を模した通常主図柄szは、海背景が設定されている場合に用いられる主図柄szである。よって、キャラクタ記憶エリア234a2には、山背景が設定されている場合に用いられる通常主図柄szとして「サイ」、或いは「イノシシ」を模した通常主図柄sz(図示せず)の画像データ(図示せず)も予め格納されている。
ここで、通常時における第3図柄の変動表示演出においては、画像データDA1を用いた変更用主図柄が図柄列Z2に表示されるように構成されており、特別図柄抽選で大当たり当選した場合の一部、或いは、特別図柄抽選で外れ当選した場合のごく一部において、画像データDA2を用いた変更用主図柄が図柄列Z2に表示されるように構成されている。即ち、通常時は数字の4を付した「サメ」を模した変更用主図柄szが変動表示されることで、通常大当たり当選を示唆する主図柄(偶数の数字を付した主図柄)が5個、確変大当たり当選を示す主図柄(奇数の数字を付した主図柄)が5個、計10個の主図柄によって図柄列Z2が形成されるのに対して、特別図柄抽選で大当たり当選した場合の一部、或いは、特別図柄抽選で外れ当選いた場合のごく一部においては、数字の7を付した「ジュゴン」を模した変更用主図柄szが変動表示されることで、通常大当たり当選を示唆する主図柄(偶数の数字を付した主図柄)が4個、確変大当たり当選を示す主図柄(奇数の数字を付した主図柄)が6個、計10個の主図柄によって図柄列Z2が形成されることになる。
これにより、現在実行されている特別図柄抽選にて遊技者に有利な大当たり(確変大当たり)に当選したのでは?と遊技者に期待感を持たせることができる。なお、数字の7を付した「ジュゴン」を模した変更用主図柄szを用いる条件としては、特別図柄抽選の結果が大当たりである場合のほうが、それ以外(外れ)である場合よりも成立し易くなれば良く、特別図柄抽選の結果が外れである場合には用いられないように構成しても良い。また、特別図柄抽選で大当たり当選した場合のうち、通常大当たりに当選した場合よりも、確変大当たりに当選した場合のほうが用いられ易くなるように構成すると良い。これにより、見た目上の主図柄の各種別数(偶数、奇数の数)と、確変大当たり当選の割合とを対応付けることができ、分かり易い遊技を提供することができる。
また、画像データDA3に示したV主図柄szは、通常時は表示されていない表示態様であり、第3図柄(主図柄)の変動表示中に特殊条件が成立した場合に変更用主図柄として表示されるものである。このV主図柄szは、リーチ状態となる主図柄szの種別に関わらず、そのリーチ状態の有効ライン上に停止表示された場合に、大当たり当選を示す組合せとなる汎用主図柄として用いられる。このように汎用主図柄を用いることにより、例えば、大当たり当選する組合せとなる主図柄がリーチ状態の有効ライン上を通過した場合であっても、図柄列Z2がもう1周するのを待たずに、大当たり当選を示す組合せで第3図柄(主図柄)が停止表示することを期待させることができる。
なお、詳細な説明は省略するが、第3図柄の変動表示演出において、通常主図柄(偶数の数字を付した主図柄sz)と確変主図柄(奇数の数字を付した主図柄sz)とでダブルリーチ状態となった場合に、重複する各リーチ状態の有効ライン上にV主図柄が停止表示した場合には、遊技者に有利となる側の主図柄にて大当たり当選したことを示すように構成すると良い。これにより、ダブルリーチ状態となった場合にV主図柄を変動表示させても遊技者に不信感を抱かせることを抑制することができる。さらに、本制御例では、V主図柄を汎用主図柄として用いているが、これに限ること無く、V主図柄を用いて大当たり当選を示す組合せが停止表示された場合には、今回実行される大当たり遊技に加え、少なくとも、後1回の大当たり遊技が実行される権利を既に獲得済みである(保留記憶されている特図保留内に大当たり当選を示す入賞情報がある)ことを示す重複大当たり示唆図柄として用いても良いし、V主図柄が変動表示されるだけで大当たり遊技の実行権利を複数獲得済みであることを示唆するように構成しても良い。このように構成することで、V主図柄が変動表示された場合に、遊技者に対してより期待感を持たせながら遊技を行わせることができる。
次いで、画像データDA4に示した特殊主図柄sz、及び画像データDA5に示した残念主図柄szは、第3図柄の変動表示中に用いられるものでは無く、大当たり当選を示す組合せで主図柄szが停止表示された後に実行され得る昇格演出にて用いられる変更用主図柄である。ここで、本制御例では、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に、遊技者に有利となる有利大当たり遊技(確変大当たり遊技)と、その有利大当たり遊技よりも遊技者に不利となる不利大当たり遊技(通常大当たり遊技)と、を実行可能に構成しており、例えば、確変大当たりに当選した場合において、通常大当たり遊技が実行されることを示唆する通常主図柄sz(偶数の数字を付した主図柄sz)を用いた組合せで大当たり当選したことを停止表示した場合の一部(又は、全部)において、停止表示された主図柄szの種別を確変主図柄sz(奇数の数字を付した主図柄sz)へと可変させるための昇格演出を実行可能に構成している。
この昇格演出中は、主図柄szを用いて特別図柄抽選の結果(大当たり、外れ)を示唆する期間では無く、今回当選した大当たりが確変大当たりであるか通常大当たりであるかを示唆するための期間となるため、変更用主図柄として、確変大当たりであることを示す画像データDA4に示した特殊主図柄sz、或いは、通常大当たりであることを示す画像データDA5に示した残念主図柄szが設定される。このように、主図柄szを用いて遊技者に報知すべき内容が可変するタイミングに合わせて、変更用主図柄の表示態様を可変させることにより、遊技者に分かり易い演出を提供することができる。
なお、本第2制御例では、昇格演出によって大当たり当選を示す組合せで停止表示された主図柄szの種別を、通常主図柄szから確変主図柄szへと昇格させる演出を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり遊技中に実行されるラウンド遊技の数(ラウンド数)を、少ないラウンド数を示す主図柄から、そのラウンド数よりも多いラウンド数を示す主図柄へと昇格させる演出を実行するように構成しても良い。この場合、変更用主図柄として、実行され得るラウンド数を示唆する表示態様で複数の画像データを用意しておき、実際に当選した大当たり種別に応じて対応する画像データを用いて変更用主図柄の表示態様を決定するように構成しても良い。
また、本制御例では、数字の1〜9を付した9個の主図柄szと、上述した変更用主図柄szとを用いて図柄列Z2の主図柄列画像データを生成し第3図柄列エリア235gに格納するように構成しているが、これに限ること無く、変更用主図柄szを主図柄列画像データに含めずに、第3図柄エリア235dに格納しておき、副図柄fzと同様に図柄単位で変動表示制御を実行するように構成しても良い。このように構成することで、一度設定された図柄列Z2のうち、変更用主図柄szの表示態様を容易に可変させることができる。
また、主図柄szが表示される主図柄画層srとは別に、変更用主図柄szが表示される変更用主図柄画層sr1を配置し、この変更用主図柄画層sr1を用いて変更用主図柄szを表示するように構成しても良い。この場合、変更用主図柄szが表示されるのは、図柄列Z2のみであるため、変更用主図柄画層sr1の表示領域を図柄列Z2の表示領域のみとし、変更用主図柄画層sr1を主図柄画層srよりも非優先で且つ、副図柄画層frよりも優先して表示される位置に配置するように構成すると良い。これにより、副図柄fzにより変更用主図柄szが隠れてしまうことを抑制し、且つ、主図柄szの表示を邪魔すること無く変更用主図柄szを表示することができる。
図203(a)〜(d)を参照して上述した各画像データは、キャラクタ記憶エリア234a2に格納されている第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)を示す画像データのうちの一部であって、実際には他の画像データも格納されている。例えば、主図柄表示データとして格納されている各画像データのそれぞれには、異なるアクションを示す表示態様(例えば、対象となる生き物が驚いている表示態様や、喜んでいる表示態様)に対応する画像データが格納されており、特別図柄抽選の結果が特定の抽選結果(例えば、大当たり)である場合に、画像データを差し替えることで、停止表示された第3図柄(主図柄sz)の表示態様を可変させることができる。
具体的には、大当たり当選したことを示す第3図柄が停止表示された場合(7の数字が付された「ジュゴン」が通常表示態様で停止表示された場合)に7の数字が付された「ジュゴン」が驚いた表情となる特殊表示態様へと切替表示されるように構成している。これにより、第3図柄の表示態様によっても遊技者に対して大当たり当選したことを報知することができる。また、この特殊表示態様に対応する画像データを第3図柄変動が開始してからの所定期間(例えば、0.2秒間)に用いるように構成し、第3図柄変動が開始された直後に、遊技者に対して特別図柄抽選で大当たり当選していることを示唆する演出を実行するように構成しても良い。
次に、図204を参照して、本第2制御例における第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の変動表示の流れについて説明をする。図204は、第3図柄の変動表示演出と第3図柄表示装置81の表示面に表示される図柄列の表示内容との関係を模式的に示した図である。図204では、第3図柄変動演出の一例として、大当たり当選を示す変動時間60秒の変動パターンを用いている。
図204に示した通り、特別図柄変動の開始を示す変動パターンコマンドを音声ランプ制御装置113が受信すると、今回受信した変動パターン(コマンド)に基づいて、主図柄szおよび副図柄fzの変動表示態様を決定する。具体的には、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図174参照)にて実行される変動表示設定処理(図182のS4113参照)において、予告演出の有無、リーチ演出の有無、停止図柄を決定し、対応する表示用コマンドを設定する。その後、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図174参照)にて実行されるコマンド出力処理(図174のS4102参照)にて、設定した表示用コマンドを表示制御装置114へと送信する。
変動表示設定処理(図182のS4113参照)において設定された表示用コマンドを表示制御装置114が受信すると、表示制御装置114のコマンド判定処理(図190のS6302参照)にて実行される変動パターンコマンド処理2(図209のS6455参照)にて、受信した表示用コマンド(変動パターンコマンド)を解析し、解析結果に基づいて変動表示テーブルを決定し、現在設定されている背景モードに対応する主図柄szを用いた主図柄列の画像データ(主図柄列画像データ)を第3図柄列エリア235gから読み出し、現在設定されている背景モードに対応する副図柄fzに対応する画像データを第3図柄列エリア235gから読み出し、表示画像を生成し、第3図柄表示装置81の表示面に表示する。
そして、第3図柄変動演出が実行されてから10秒間は、通常変動期間が設定される。この通常変動期間は、図柄列Z1〜Z3が全て変動表示されている期間であって、遊技者が枠ボタン22を操作することにより、背景モード移行を実行可能な期間として設定される。この通常変動期間中に背景モード移行が実行された場合には、主図柄szと、副図柄fzと、のうち、背景モードに対応した表示態様で表示されている各図柄が、移行後の背景モードに対応した表示態様へと切り替わる制御が実行される。
その後、図柄列Z1、及び図柄列Z3が停止表示されてリーチ状態となると、40秒間のリーチ変動期間が設定され、今回の特別図柄の抽選結果が大当たりであるかを示唆する(煽る)リーチ演出が実行される。このリーチ変動期間中は、背景モード移行が実行されないように構成しており、枠ボタン22を操作した場合には、パチンコ機10に搭載されている装飾用の各種LEDの発光態様が可変する装飾演出が実行される。また、リーチ演出の一部において、枠ボタン22の操作を有効に判別する有効期間(SW有効期間)が設定される操作演出を実行するように構成しており、設定された有効期間内に枠ボタン22が操作されることにより、枠ボタン22が操作されない場合には実行されない演出が実行される。具体的には、枠ボタン22を操作した場合には、今回の特別図柄抽選が大当たり当選していることを報知する確定報知や、大当たり当選している可能性が高いことを示す示唆報知が実行可能に構成している。このように構成することで、特別図柄の抽選結果をいち早く把握しようとする遊技者に対して意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。また、操作演出中に枠ボタン22を操作しないと見ることができない演出を設けているため、様々な演出を見たいと思う遊技者に対しても意欲的に枠ボタン22を操作させることができる。
上述した通り、リーチ変動期間中は、背景モード移行が実行されないように構成しているため、今回の特別図柄の抽選結果が大当たりであるかを示唆する(煽る)リーチ演出の実行中に背景モードが切り替わってしまい、それに伴い第3図柄の表示態様も切り替わることにより、遊技者に分かり難いリーチ演出となることを抑制することができる。また、背景モード移行が実行されないリーチ変動期間中に操作演出を実行するように構成しているため、例えば、操作演出にて設定されるSW有効期間を遊技者に報知しない変動演出(所謂、隠れ操作演出)を設定可能に構成したとしても、遊技者に対して積極的に枠ボタン22を操作させることができる。
なお、この場合、第3図柄表示装置81の表示面にて、背景モード移行が実行されない期間であることを遊技者に報知するための報知態様(例えば、「リーチ中は、ボタンを押しても背景モードが変わらないよ」のコメント表示)を設定したり、隠れ操作演出の実行中であることを遊技者に報知するための報知態様(例えば、「リーチ中のどこかのタイミングでボタンを押したら特別な演出が実行されるよ」のコメント表示)を設定したりすると良い。これにより、遊技者に対して安心して操作演出を実行させることができる。
そして、リーチ変動期間が終了するタイミングにて、大当たり当選を示す主図柄szの組合せのうち、通常主図柄sz(偶数の数字が付された主図柄sz)の組合せで第3図柄が停止表示され、その後、大当たり当選した通常主図柄szを、確変主図柄(奇数の数字が付された主図柄sz)へと昇格させるための昇格演出が実行される。この昇格演出が実行される際に、今回の大当たり当選が確変大当たりであるか否かを判別し、その判別結果に基づいて、副図柄fzの表示態様、及び、主図柄szのうち変更用主図柄szの表示態様を決定する。そして、昇格演出用の図柄列を用いた昇格演出を、昇格変動期間(10秒)を用いて実行する。
ここで、昇格演出用の図柄列として、例えば、変更用主図柄szの表示態様が画像データDA4を用いた表示態様(図203(d)参照)となり、副図柄fzの表示態様が画像データSD3を用いた表示態様(図203(c)参照)となっている場合は、通常の確変主図柄sz(奇数の数字が付された主図柄sz)に加えて、遊技者に有利な有利大当たりに当選していることを示す図柄を多く表示することができるため、遊技者に対して今回の昇格演出にて確変大当たりへと昇格する可能性が高いことを視覚的に報知することができる。
次に、図205を参照して、本第2制御例にて実行される変動演出の内容について説明をする。図205は、同一の変動パターンコマンドに対して実行される第3図柄の変動演出の演出例を示したものであって、図202(a)は、演出例に用いられる変動パターンの流れを模式的に示した図であり、図202(b)は、通常演出の流れを模式的に示した図であり、図202(c)は、リーチライン予告演出(図202(b)参照)の流れを模式的に示した図であり、図202(d)は、副図柄fzの変動方向を通常とは異ならせた予告演出の流れを模式的に示した図である。
図205(a)に示した通り、主制御装置110にて、60秒間の変動時間が設定された変動パターンを示す変動パターンコマンドが設定された場合には、音声ランプ制御装置113にてリーチ演出が実行される表示用変動パターンコマンドが設定される。さらに、リーチ演出が実行されるまでの期間を用いて、副図柄fzを用いた様々な予告演出が実行される。本第2制御例では、上述した通り、各図柄列を形成する主図柄szと、副図柄fzと、を独立させて変動表示可能に構成しているため、主制御装置110から受信した変動パターンコマンドに応じて主図柄szを特定の変動パターンで変動表示させながら、副図柄fzの変動パターンのみ可変させることで様々な変動演出(予告演出)を実行することができる。
具体的には、図205(b)に示した演出Aでは、上述した第1制御例のパチンコ機10と同様に、主図柄szと副図柄fzとが同期した第3図柄変動表示(図202(a)参照)が実行され、リーチ状態となる通常パターンを示している。このように、独立して変動表示される主図柄szと、副図柄fzと、を同期させるように表示制御することにより、見た目上は主図柄szと副図柄fzとが一つの図柄列として変動表示されているように思わせることができる。
次に、図205(c)に示した演出Bでは、第3図柄の変動開始から所定期間(15秒間)の間、主図柄画層srの表示がオフに設定され(非表示に設定され)、その間に、副図柄fzの変動表示を停止表示させるリーチライン予告演出が実行される演出パターンを示している。つまり、主図柄szに対しては、上述した205(a)と同一の表示制御が実行されるが、通常変動期間の前半期間(15秒)にて主図柄画層srが非表示に設定されるため、遊技者が主図柄szの変動表示を視認できないように構成している。
そして、その通常変動期間の前半期間(15秒)を用いて、副図柄fzを変動表示させ(図202(b)参照)、通常変動期間の前半期間(15秒)の終了タイミングにて、副図柄fzを停止表示させることにより、今回の第3図柄変動表示にて主図柄szが停止表示される位置が表示される(図202(c)参照)。その後、通常変動期間の後半期間(15秒)になると、主図柄画層srの表示がオンに設定され(表示に設定され)、通常変動期間の後半期間(15秒)を用いて、主図柄szの変動表示が実行され、図205(b)と同様に、変動開始から30秒後にリーチ状態となる。
つまり、図205(c)に示した演出Bが実行された場合、即ち、リーチライン予告演出が実行された場合には、主図柄szが停止表示される前に、主図柄szが停止表示される位置のみを遊技者に報知することができるため、今回の第3図柄変動表示が、ダブルリーチになるのか、シングルリーチになるのか、リーチにならないのかを事前に(第3図柄の変動開始から15秒後に)把握することが可能となる。よって、リーチになるか否かを把握するのに30秒要する通常パターン(図205(b)参照)に対して、主図柄szがリーチ状態となり得ない位置に副図柄fzが停止表示された場合には、遊技者に対して過度な期待感を持たせる期間を短くすることができる。
また、主図柄szがリーチ状態となり得る位置に副図柄fzが停止表示された場合には、遊技者に対して、どの主図柄szによってリーチ状態となるのかを期待させながら残りの変動時間を楽しませることができる。なお、本第2制御例では、主図柄szがリーチ状態となり得る位置に副図柄fzが停止表示された場合には、必ず、リーチ状態となるように構成しているため、副図柄fzの停止表示タイミングにて、今回の第3図柄変動がリーチ状態となるか否かを遊技者に容易に判別させることができる。
最後に、図205(d)に示した演出Cでは、上述した演出Aと同様に主図柄szに対しては通常表示が実行され、副図柄fzに対しては、変動開始から所定期間(3秒)のみ演出Aとは異なる演出が実行される演出パターンを示している。具体的には、変動開始時に表示される副図柄fzの表示態様として画像データSD2(図203(c)参照)を用いた表示態様が設定され、主図柄の変動表示方向(左方向)とは逆方向(右方向)へと副図柄fzを変動表示させる副図柄逆変動表示が実行され、その後、通常の副図柄fzを用いた変動表示が主図柄szの変動表示と同期して実行される演出パターンである。
この演出Cに示した演出パターンのように、第3図柄変動表示が開始されたタイミングにて、主図柄szの変動表示方向と、副図柄fzの変動表示方向とを異ならせることにより、遊技者に対して意外性のある演出、即ち、主図柄szと副図柄fzとが同一の図柄列で形成されており、同一方向にしか変動表示しないと認識していた遊技者に対して、認識していない態様で副図柄fzが変動表示されるため意外性のある演出を提供することができる。
以上、説明をした通り、本第2制御例では、主図柄szと副図柄fzとを独立させて変動表示可能に構成し、特別図柄の抽選結果に基づいて設定される変動パターンコマンドに対応させて主図柄szの変動表示態様を設定し、その主図柄szの変動表示態様を可変させること無く、副図柄fzの変動表示態様のみを可変させることで様々な変動演出を実行可能に構成している。このように構成することで、主図柄szの変動表示結果が、特別図柄の抽選結果とは異なる結果となる事態が発生し難くすることができる。
また、副図柄fzを先に変動表示させる場合において、例えば、副図柄fzを拡大表示し、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmを副図柄fzが覆うような変動表示を実行し、その間に、主図柄szの変動表示位置や、図柄種別を可変させるように構成しても良い。
<第2制御例における表示制御装置の電気的構成について>
次に、図206から図208を参照して、本第2制御例における表示制御装置114の電気的構成について説明をする。図206は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。本第2制御例のパチンコ機10では、上述した第1制御例のパチンコ機10に対して、表示制御装置114のキャラクタROM234のキャラクタ記憶エリア234a2に格納されている画像データの内容を変更した点と、常駐用ビデオRAM235に第3図柄列エリア235gを追加した点で相違している。それ以外は、上述した第1制御例と同一である。同一の構成に対しては同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本第2制御例のキャラクタ記憶エリア234a2には、図203を参照して上述した通り、各背景モードに対応した主図柄表示データの各画像データD1〜D9、副図柄表示データの各画像データSD1〜SD3等、変更用主図柄表示データの各画像データDA1〜DA5等が格納されている点で上述した第1制御例のキャラクタ記憶エリア234a2と相違し、それ以外に格納されている画像データについて同一である。なお、本第2制御例にて新たに格納された各画像データの詳細については、図203を参照して上述したため、その説明を省略する。
第3図柄列エリア235gは、キャラクタ記憶エリア234a2に格納された主図柄szの画像データを複数読み出して予め図柄列として一つの画像データ(主図柄列画像データ)を生成し、その生成した主図柄列画像データを格納するための記憶領域である。主図柄画層srに主図柄szを変動表示させる場合には、この第3図柄列エリア235gに格納された主図柄列画像データを読み出し、表示データテーブルに規定されている描画内容に基づいて表示位置座標を可変設定することにより主図柄szを変動表示させる。このように構成することで、主図柄szを変動表示させる場合に用いる画像データの数を、主図柄sz単位で生成される画像データを用いる場合に比べて減少させることができるため、表示制御の処理負荷を軽減させることができる。
次に、図207を参照して、本第2制御例のパチンコ機10にて用いられる表示データテーブルの内容について説明をする。図207は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本制御例では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。本第2制御例のパチンコ機10では、上述した第1制御例のパチンコ機10における表示データテーブル(図153参照)に対して、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)に関する描画内容を異ならせている点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容についてはその詳細な説明を省略する。
図207に示した通り、表示データテーブルの描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、遊技者によって選択されている背景モード(「海モード」、「山モード」のいずれか)に対応する背面A,Bのいずれかを表示させるか、背面A,Bとは異なる背面画像を表示させるかを特定する情報が記載されている。また、背面種別は、背面A,Bとは異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、背面A,Bのいずれかを表示させることが特定される場合は、背面A,Bのうち抽選により決定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、背面A,Bとは異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
なお、本制御例では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
次に、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)を第3図柄表示装置81に表示させるためのスプライトの種別について説明をする。まず、副図柄(副図柄1、副図柄2、・・・)は、1つ前の変動演出において停止表示された各副図柄fzの停止位置を示す表示位置座標が設定される。これにより、1つ前の変動演出における副図柄fzの停止位置から変動演出が開始される。なお、図202(a)に示した通り、主図柄szとは異なり、副図柄fzには固有の数字が付されておらず、全ての副図柄fzが共通の表示態様で表示されている。よって、1つ前の変動演出において停止表示された各副図柄fzの位置を示す表示位置座標を設定するだけで、容易に1つ前の変動演出における副図柄fzの停止位置から変動演出を開始することができる。
なお、詳細な説明は図208を参照して後述するが、本第2制御例では、副図柄fzの表示態様として複数の表示態様を設定可能に構成しており、第3図柄表示装置81に表示させる各副図柄fzの表示態様に応じて、描画リストにて表示に用いる画像データの格納先を指定することにより対応する表示態様で各副図柄fzを表示させるように構成している。ここで、1つ前の変動演出において停止表示されている各副図柄fzの表示態様と、今回の変動演出にて用いられる副図柄fzの表示態様が異なる場合は、変動演出の開始タイミング、即ち、表示データテーブルのアドレス「0001H」に対応する描画情報から副図柄fzの表示態様を異ならせるように構成しても良いし、1つ前の変動演出における副図柄fzの表示態様を用いて変動演出を開始し、副図柄fzの表示態様を遊技者が視認困難となる高速変動中に副図柄fzの表示態様を可変させるように構成しても良い。
前者の場合は、変動演出が開始される前、即ち、副図柄fzが停止しているタイミングで今回の変動演出にて用いられる表示態様で副図柄fzが表示されるため、これから実行される変動演出の演出内容を事前に遊技者に把握させることができ、演出効果を高めることができる。また、後者の場合は、遊技者が気付き難いタイミングで副図柄fzの表示態様を可変させることができるため、遊技者に違和感を与えること無く、スムーズに副図柄fzの表示態様を可変させることができる。
次に、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)を第3図柄表示装置81に表示させるためのスプライトの種別のうち、主図柄szを表示させるためのスプライトについて説明をする。主図柄列(主図柄列1、主図柄列2、・・・)は、表示すべき第3図柄の主図柄szを特定するための図柄列種別情報として、図柄列種別オフセット情報が記憶されている。このオフセット情報は、各主図柄szに付された数字の差分を表す情報である。主図柄szの種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における主図柄szの表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各主図柄szには固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その主図柄szに付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各主図柄szに付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき主図柄szを特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、主図柄szが高速に変動表示されている時間となるように設定されている。主図柄szが高速に変動表示されている間は、その主図柄szが遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、主図柄szの数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
さらに、本第2制御例では、第3図柄表示装置81に表示される各主図柄szの画像データが、図柄列単位で1の画像データ(主図柄列画像データ)となるように構成している。例えば、図柄列Z1にて変動表示される数字の1〜9が付された各主図柄szに対して、数字の3が付された主図柄szが画像データの先頭となり、次いで、主図柄szに付された数字が「3→2→1→9→8→7→6→5→4」の順となるように、所定の間隔(副図柄fzが表示される間隔)を開けた主図柄列画像データが生成され、第3図柄列エリア235gに格納されている。そして、主図柄列画像データの表示位置座標を時間経過に基づいて可変させることにより、図柄列Z1を形成する主図柄szのみが変動表示される画像が主図柄画層srに表示されるように構成している。なお、主図柄画層srに形成される表示領域の大きさ(座標範囲)は、主図柄列画像データに含まれる全ての画像を表示不可能な大きさに設定されており、図202(a)に示した通り、最大で3個の主図柄szが表示可能な大きさに設定されている。
よって、図柄列種別オフセット情報に含まれるオフセット情報に基づいて、主図柄画層srに表示すべき主図柄szの種別を特定し、その特定した主図柄szを表示させるべき位置に対応させて主図柄列画像データの表示範囲が決定され、その表示範囲にて各主図柄szの表示が実行される。このように、主図柄szの配置関係を可変させること無く、変動表示を実行する場合には、上述した第1制御例のように、個々の主図柄sz単位で画像データを設け、1つ前の変動演出における主図柄szの停止図柄のオフセット情報に基づいて、今回の変動演出を開始する際に表示される各主図柄szの図柄種別を特定し、その後、実行される変動演出の内容に応じて、各主図柄szの画像データの表示位置(表示位置座標)を同期させながら可変設定するよりも、所定の順序で且つ所定の間隔を設けながら複数の主図柄szが規定される図柄列画像データを生成し、その図柄列画像データを用いて変動演出を実行するように構成した場合のほうが、表示制御処理の負荷を軽減することができる。
なお、本第2制御例の表示制御方法を用いた場合には、主図柄szの配列を可変させたり、主図柄szの配置間隔を可変させたりすることが困難となるため、その場合は、上述した第1制御例のように各主図柄szに対応する画像データを用いて各主図柄szを変動表示させる表示制御を実行した方がよい。また、上述した第1制御例の構成と、本第2制御例の構成と、を融合させ、特定の主図柄szのみ図柄単位の画像データを用い、特定の主図柄以外の複数の主図柄に対しては主図柄列画像データを用いるように構成しても良い。この場合、特定の主図柄に対しては、用いる画像データを可変させたり、表示位置の変更具合(変動表示速度)を可変させたりする制御を容易に実行することができると共に、特殊な表示制御を実行することなく、常に同期した変動表示内容で表示される複数の主図柄szに対しては、その複数の主図柄szを変動表示させる際の表示制御の処理負荷を軽減することができる。
図柄列単位で1の画像データ(主図柄列画像データ)を生成している本第2制御例では、図柄列Z1、図柄列Z2、図柄列Z3のそれぞれに対して(各図柄列に対して)異なる描画内容が設定されるように構成しており、図柄列Z2に対しては、変動表示される数字の1〜9が付された各主図柄szに対して、数字の4が付された主図柄szが画像データの先頭となり、次いで、主図柄szに付された数字が「4→5→6→7→8→9→1→2→3」の順となるように、所定の間隔(副図柄fzが表示される間隔)を開けた主図柄列画像データが生成され、第3図柄列エリア235gに格納されている。また、図柄列Z3に対しては、変動表示される数字の1〜9が付された各主図柄szに対して、数字の1が付された主図柄szが画像データの先頭となり、次いで、主図柄szに付された数字が「1→2→3→4→5→6→7→8→9」の順となるように、所定の間隔(副図柄fzが表示される間隔)を開けた主図柄列画像データが生成され、第3図柄列エリア235gに格納されている。
このように構成された各図柄列Z1〜Z3に対応する主図柄列画像データを用いて全ての図柄列Z1〜Z3が左方向へと変動表示するように表示制御することにより、主図柄画層srには、各図柄列Z1〜Z3にて表示される主図柄szのみが変動表示される。なお、上述した通り、図柄列Z1〜Z3毎に、主図柄列画像データの先頭に位置する主図柄szの種別が異なるように構成している。これにより、パチンコ機10の電源をオンした状態(初期状態)において、第3図柄表示装置81の中央位置、即ち、有効ラインL2(図122(a)参照)上には、上から順に「3.4.1」の数字が付された主図柄szが停止表示される。つまり、各主図柄列画像データの先頭位置となる主図柄szに付された数字を異ならせるように構成することにより、主制御装置110から変動パターンコマンドを受信していない初期状態においては、各図柄列Z1〜Z3を形成する主図柄列画像データの先頭位置が有効ラインL2上となるように初期表示設定をするだけで、大当たりとなる組合せとは異なる主図柄szの組合せを停止表示することができ、初期状態における表示制御を簡素化することができる。
次に、図208を参照して、本第2制御例における描画リストの内容について説明をする。図208は、第2制御例におけるパチンコ機10の描画リストの内容を模式的に示した模式図である。この描画リストは、上述した第1制御例の描画リスト(図155参照)に対して、第3図柄を表示するためのすプライドの種別を変更している点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容については、その詳細な説明を省略する。
描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図208に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、副図柄(副図柄1,副図柄2,・・・)、主図柄列(主図柄列1,主図柄列2,・・・)エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といったスプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。
つまり、副図柄fzの画像に対する描画指示内容としては、画像データが格納されているRAM種別として常駐用ビデオRAM235を示す情報と、第3図柄エリア235dに格納されている副図柄fzに対応する複数の画像データSD1〜SD3(図203(c)参照)の中から、今回の描画指示に用いられる画像データを示すアドレスが記載されている。また、主図柄szの画像に対する描画指示内容としては、画像データが格納されているRAM種別として常駐用ビデオRAM235を示す情報と、第3図柄列エリア235gに格納されている主図柄列に対応する複数の画像データ(主図柄列画像データ)の中から、今回の描画指示に用いられる画像データを示すアドレスが記載されている。
<第2制御例における制御処理内容について>
次に、図209、及び図210を参照して、本第2制御例における制御処理内容について説明をする。本第2制御例では、上述した第1制御例に対して、表示制御装置114にて実行される制御処理内容を異ならせている点で少なくとも異ならせている。また、音声ランプ制御装置113にて設定される変動演出の演出態様の種別内容も異ならせている。それ以外の内容については同一であり、同一の内容については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、本第2制御例では、音声ランプ制御装置113にて設定される第3図柄の変動演出態様の内容を異ならせており、具体的には、図205を参照して上述した通り、第3図柄のうち、副図柄fzに対してのみ様々な変動演出を実行させるための表示用コマンドを設定可能に構成している。しかしながら、変動演出に対応する表示用コマンドの設定方法については、上述した第1制御例の変動表示設定処理(図182のS4113参照)と同一であり、具体的な設定内容が異なるだけであるため、その詳細な説明を省略する。また、本第2制御例にて実行される副図柄fzに対して実行される各種変動演出の内容についても、図205を参照して上述したためその詳細な説明を省略する。
まず、本第2制御例における表示制御装置114にて実行される制御処理内容について説明をする。図209は、変動パターンコマンド処理2(S6455)を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理2(S6455)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものであって、上述した第1制御例のパチンコ機10の表示制御装置114にて実行される変動パターンコマンド処理(図191のS6405参照)に対して、今回の変動演出中に用いられる変更用主図柄szおよび、副図柄fzの種別を決定し、常駐用ビデオRAM235の各種記憶エリアに格納するための処理を追加した点で相違している。それ以外の処理内容は同一であるため、同一の処理内容については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
変動パターンコマンド処理2(S6455)では、まず、樹陰した変動パターンコマンド(表示用変動パターンコマンド)を解析し(S6501)、今回の変動パターンコマンドが大当たり当選を示すための変動パターンコマンド(主制御装置110にて実行された特別図柄抽選において大当たり当選した場合に選択される変動パターンコマンド)であるかを判別する(S6551)。そして、大当たり変動であると判別した場合は(S6551:Yes)、次いで、今回の表示用変動パターンコマンドに昇格演出の演出態様を示す情報が含まれているかを判別し(S6552)、昇格演出の演出態様を示す情報が含まれていると判別した場合は(S6552:Yes)、昇格専用図柄列の変動用主図柄にコマンドに対応した変更用主図柄を決定して、第3図柄列エリアに格納し、S6554へと移行する。また、S6551の処理において、今回の変動が大当たり変動ではない場合した場合、或いは、S6552の処理において昇格演出を実行しないと判別した場合は、次に、S6554へと移行し、S6501の処理で解析した情報に基づいて、今回受信した変動パターンの中に、副図柄fzを用いた予告演出(図205参照)を実行するための情報が含まれているかを判別し、副図柄fzの予告演出が実行されると判別した場合は(図209のS6554:Yes)、今回の副図柄予告演出にて用いられる副図柄fzの表示態様を決定し、その決定した表示態様に対応する画像データをキャラクタROM234のキャラクタ記憶エリア234a2から読み出し、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納する(S6555)。
その後、受信した変動パターンコマンドに対応した変動表示データテーブルを決定して、表示で0用の表示変動パターンを設定し、上述した第1制御例の表示制御装置114にて実行される変動パターンコマンド処理(図191のS6405参照)と同一のS6502〜S6505の処理を実行し、本処理を終了する。
次に、図210を参照して、背面画像変更コマンド処理2(S6469)の内容について説明をする。図210は、背面画像変更コマンド処理2の内容を示したフローチャートである。この背面画像変更コマンド処理2(S6469)は、上述した背面画像変更コマンド処理(図195(a)のS6419参照)に対して、背面画像変更フラグ233wがオンに設定された場合に、変更後の背面画像(背景モード)に対応する第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の種別を決定し、第3図柄エリア235d、第3図柄列エリア235gに格納する処理を追加した点で相違している。それ以外の処理は同一であるため、同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
背面画像変更コマンド処理2(S6469)が実行されると、まず、背面画像変更フラグ233wをオンに設定し(S7001)、変更後の背面画像(背景モード)に対応する第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の種別を決定して、第3図柄エリア235d、第3図柄列エリア235gに決定した種別に対応する画像データを格納する(S7002)。その後、変更後の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ223xをオンに設定し(S7051)、本処理を終了する。
<第2制御例の変形例について>
次に、図211を参照して、上述した第2制御例の変形例について説明をする。上述した第2制御例では、第3図柄を構成する主図柄szを主図柄画層srに表示(描画)し、副図柄fzを副図柄画層frに表示(描画)するように構成しており、主図柄画層srの表示内容と、副図柄画層frの表示内容とを同期させて表示制御することで、主図柄szと、副図柄fzとが特定の順列のまま規則的に変動表示されるようにし、さらに、副図柄fzに対する表示制御内容のみを可変設定することにより、特別図柄抽選の結果を示すための主図柄szに対する変動表示内容を可変させること無く、様々な変動演出を実行可能に構成していた。
これに対して、本変形例では、上述した第1制御例と同様に1の画層に対して、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)を表示(描画)するように構成し、さらに、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)を表示(描画)する画層を複数(2つ)設けるように構成している点で相違している。そして、その2つの画層(第3図柄画像A、第3図柄画像B)に対して表示される第3図柄の表示制御内容を可変させることにより、特殊な変動演出を実行可能に構成している点で相違している。それ以外の内容については、上述した第2制御例と同一であり、同一の内容についてその詳細な説明を省略する。
図211(a)は、本第2制御例の変形例のパチンコ機10に形成される表示画層と、表示画面との関係を示した模式図であり、図211(b)は、トリプルリーチ演出中に表示される表示画面の一例を示した図であって、図202(c)は、トリプルリーチ演出によりトリプルリーチ状態となった場合の表示画面の一例を示した図である。
図211(a)に示した通り、本第2制御例の変形例では、第3図柄が表示される画層として第3図柄画層Aと、第3図柄画層Bと、が重複形成されており、第3図柄画層Aが第3図柄画層Bよりも前面(遊技者目線で手前側)に配置されるように構成している。なお、図211(a)では、第3図柄画層Aと、第3図柄画層Bのみを標記しているが、実際には、第3図柄表示装置81の表示面に表示される各種画像を表示する各画層(レイヤ)が重畳されている。
そして、第3図柄画層Aと、第3図柄画層Bとに対して、第3図柄の変動表示を同期させて実行することにより、見た目上は、上述した第1制御例の図125(b)を参照して示した第3図柄の変動表示と同一の変動表示を実行可能に構成している。
このように構成された本変形例では、上述した第2制御例と同様に、第3図柄画層Aに表示される第3図柄と、第3図柄画層Bに表示される第3図柄と、を独立して変動表示制御することができるため、例えば、図211(b)に示した通り、第3図柄画層Bに表示される第3図柄にて「9」のシングルリーチとなった状態で、第3図柄画層Aの第3図柄変動を継続させることが可能となる。この状態では、第3図柄画層Aの第3図柄変動の結果次第では、リーチ状態となる第3図柄が増加するため、副表示領域Dsにて「リーチ!昇格チャンス」の文字が表示される。
そして、図211(c)に示した通り、第3図柄画層Aに表示される第3図柄にて「1」と「9」のダブルリーチが成立すると、見た目上は、3つの第3図柄がリーチ状態となる「トリプルリーチ」となる。このように、複数の画層を用いて第3図柄を重複して変動表示させることにより、1つの画層で第3図柄を変動表示させる場合には、各第3図柄の図柄列の順序を可変させる表示制御を必要とする変動演出を容易に実行することができ、演出効果を高めることができる。
なお、このように、複数の第3図柄画層に対して第3図柄の変動表示を異ならせる場合には、例えば、優先して表示される側の画層(第3図柄画層A)にて表示される第3図柄を、特別図柄抽選の結果を示すための真の第3図柄とし、非優先側の画層(第3図柄画層B)にて表示される第3図柄を、装飾用の第3図柄とし、特別図柄の抽選結果に基づいて設定される変動パターン(主制御装置110にて設定される変動パターン)に基づいて、第3図柄画層Aの第3図柄の変動パターンを決定し、音声ランプ制御装置113側にて、決定された第3図柄画層Aの第3図柄の変動パターンに基づいて(大当たり当選の有無や、リーチの種別に基づいて)、第3図柄画層Bにて表示される第3図柄の変動演出内容を決定するように構成すると良い。そして、特別図柄抽選で大当たり当選している場合のほうが、していない場合よりも、第3図柄画層Aと第3図柄画層Bとで異なる変動表示制御が実行されるように構成すると良い。
また、本変形例では、第3図柄画層Aの変動表示と第3図柄画層Bの変動表示とを完全に異ならせた変動演出について説明をしたが、これに限ること無く、例えば、変動開始タイミングを0.2秒ずらして実行し、その後、第3図柄変動の高速変動中に、変動表示内容を同期させる変動演出を実行するように構成しても良い。このように、変動演出の一部期間のみ第3図柄画層Aの変動表示と第3図柄画層Bの変動表示とを異ならせることで、遊技者に若干の違和感を与えることができるため、遊技者に対して変動表示をより抽選させることができる。
以上、説明をした通り、上述した第2制御例、及び第2制御例の変形例では、特別図柄抽選の抽選結果を示すための識別情報を有する主図柄szを含む図柄で構成される図柄列Z1〜Z3の各第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)に対して様々な表示制御を実行するように構成しているが、第3図柄表示装置81の表示面において表示領域が重複するように動的表示される図柄であれば、図柄列Z1〜Z3が有する図柄(第3図柄)以外の図柄を設けても良い。
例えば、第3図柄変動の実行中において、図柄列Z1〜Z3が有さない特殊図柄が図柄列Z1〜Z3の表示領域と重複する表示領域にて動的表示されるように構成しても良い。また、上述した特殊図柄は、第3図柄変動が実行されている期間中に動的表示されるものであれば良く、第3図柄変動の実行中に特殊図柄の動的表示を開始させたり、第3図柄変動の実行中に特殊図柄を停止表示、或いは、非表示にさせたりするように構成しても良い。
このように構成した場合においても、主図柄szの変動表示態様(変動パターン)を、特別図柄抽選の結果に基づいて決定しておけば良く、特殊図柄に対しては、上述した副図柄fzと同様に演出用の変動パターンを設定することが可能となる。また、上述した特殊図柄は、副図柄fzとは異なり図柄列Z1〜Z3が有する図柄では無いため、第3図柄変動の開始タイミングや停止タイミングにおいて第3図柄表示装置81の表示面に表示されていなくても遊技者に違和感を与えることが無い。よって、副図柄fzよりも設定可能な変動パターンの種別を多様化させることができ、演出効果をより高めることができる。
また、この特殊図柄の動的表示態様を、上述した第3図柄の動的表示態様と異ならせるように構成すると良く、例えば、第3図柄の動的表示方向が左方向(図202(a)の視点で左方向)である場合には、特殊図柄の動的表示方向が第3図柄の動的表示方向とは異なる方向(例えば、図202(a)の視点で右方向)となるように構成すると良い。これにより、第3図柄変動表示が実行されている期間中において、第3図柄変動表示の表示領域と重複した表示領域において特殊図柄を動的表示させたとしても、遊技者に特殊図柄の動的表示が実行されたことを分かり易く報知することができる。
なお、上述した例では、特殊図柄の動的表示方向を、第3図柄の動的表示方向とは異なる方向として真逆の方向としているが、動的表示方向を異ならせていれば良く、例えば、左右方向では無く、上下方向(図202(a)の視点で上下に移動する方向)や、前後方向(図202(a)の視点で奥側から手前側へと、或いは、手前側から奥側へと移動する方向)、斜め方向(移動方向を示す移動線を90度未満の角度でズラした斜め側へ移動する方向)としても良い。さらに、上述した例では、第3図柄変動中に特殊図柄の変動表示が実行されたことを分かり易く報知するために、第3図柄の動的表示方向と、特殊図柄の動的表示方向と、を異ならせたパターンを説明したがこれに限ること無く、動的表示される第3図柄の大きさと、特殊図柄の大きさを異ならせることで、第3図柄変動中に特殊図柄の変動表示が実行されたことを分かり易く報知するように構成しても良い。さらに、第3図柄変動が実行されるよりも前に、特殊図柄の動的表示を実行させたり、第3図柄変動が停止表示(遊技者が識別困難な程度揺動している表示状態も含む)された後に特殊図柄の動的表示を実行させたりするように構成しても良い。
一方、上述した例とは逆の技術思想として、第3図柄変動中に特殊図柄の変動表示が実行されたことを分かり難く報知するために、各図柄(第3図柄、特殊図柄)の動的表示方向や大きさが同一となるように構成しても良い。このように構成することで、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される各種変動表示を注視してないと特殊図柄の動的表示が実行されたことを把握することができないため、特殊図柄の動的表示が実行されたことを知りたい遊技者に対して、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される各種変動表示に継続して興味を持たせることができる。
なお、上述した通り、特殊図柄は第3図柄とは異なり常時表示させなくても良いため、第3図柄のように停止表示された場合の表示態様に応じて特別図柄の抽選結果を示すものでは無く、例えば、特殊図柄の動的表示が開始されたことにより、特別図柄の抽選結果が大当たり当選している可能性が高いことを遊技者に報知するように構成しても良い。このように、動的表示される図柄の種別に応じて、特別図柄の抽選結果を示すための情報が提供されるタイミング(動的表示開始タイミング、停止表示タイミング)を異ならせることにより、動的表示される各種図柄に応じて遊技者が注視すべきタイミングを異ならせることができるため、演出効果を高めることができる。
また、このように動的表示が開始されることで、特別図柄抽選で大当たり当選している可能性が高いことを示す特殊図柄を用いる場合には、動的表示が実行されることを示唆する待機表示態様として特殊図柄の少なくとも一部を第3図柄表示装置81の表示面に表示させるように構成すると良い。例えば、特殊図柄として、複数の魚が群れを為している表示態様の特殊図柄を用いる場合には、その特殊図柄の変動方向側の先頭付近に表示される魚のみを表示させるように構成すると良い。このように構成することで、特殊図柄の動的表示が開始されることを期待しながら遊技者に遊技を行わせることができる。この場合、特殊図柄を示す表示態様の全部では無く、一部を第3図柄表示装置81の表示面に表示させるように構成すると良い。これにより、待機表示態様として特殊図柄が表示された場合に、既に、特殊図柄が動的表示されていると誤認されてしまうことを抑制することができる。
また、上述した第2制御例では、第3図柄を形成する主図柄szと、副図柄fzとを異なる画層に表示するように構成し、各画層に対して実行される表示制御内容を異ならせることにより、主図柄szの変動表示態様と、副図柄fzの変動表示態様と、を異ならせるように構成しているが、これに加え、例えば、副図柄fzを表示可能な画層として第1副図柄画層と、第2副図柄画層と、を設け、第1副図柄画層に表示される副図柄fzと、第2副図柄画層に表示される副図柄fzとが重複して表示されるように構成しても良いし、何れか一方のみが表示されるように構成しても良い。また、複数の表示画層に表示される副図柄fzの停止表示位置を異ならせるように表示制御した上で、図202(b)に示したリーチライン予告演出を実行することで、主図柄szが停止表示される位置をより限定するように構成しても良い。
以上、説明をした第2制御例では、各図柄列Z1〜Z3を構成する1の図柄(主図柄sz)と、他の図柄(副図柄fz)と、を表示させる表示画層を異ならせ、各表示画層単位で表示制御を実行可能に構成することで様々な変動演出を実行可能に構成しているが、第3図柄表示装置81の表示面にて変動表示される第3図柄の図柄列を形成する各図柄の種別(主図柄sz、副図柄fz)に対して異なる表示制御を実行可能な構成であれば、同一の表示画層に対して表示される構成であっても良い。この場合、各表示制御の結果として表示される表示対象が重複した場合に、何れの表示対象を表示させるかを予め規定する必要がある分、表示制御処理が複雑になるが、上述した第2制御例にて説明をした各演出と同様の効果を奏することができる。
また、同一の表示画層に対して複数の表示制御の結果を表示させる構成を用いる場合であっても、図柄列Z1〜Z3を構成する複数の図柄種別(主図柄sz、副図柄fz)以外の図柄、即ち、特別図柄の変動表示に対応して第3図柄表示装置81の表示面にて動的表示される第3図柄以外の図柄(例えば、特別図柄抽選の結果が特定の結果(大当たり当選)である可能性が高いことを示すために、特別図柄変動中の所定期間に動的表示される装飾図柄)も含む各種図柄を対象として上述した第2制御例にて説明をした各種表示制御処理を実行しても良い。
上述した第2制御例では、操作演出として背景モード移行演出が実行された場合に、主図柄szの表示態様を、切り替え後の背景モードに対応する表示態様へと切り替えるように構成しているが、背景モード移行演出が実行された場合に、主図柄szの表示態様だけで無く、副図柄fzの表示態様も切り替えるように構成しても良い。この場合、キャラクタ記憶エリア234a2に格納される副図柄fzの画像データとして、各背景モードに対応する画像データを格納しておき、背景モードが切り替わる際に、切り替え後の背景モードに対応する画像データを読み出して、第3図柄エリア235dに格納すれば良い。
加えて、操作演出として背景モード移行演出が実行される場合に、実行中の特別図柄抽選の結果を判別し、その判別結果に基づいて背景モード切り替え後に表示される副図柄fzの種別を決定しても良い。具体的には、実行中の特別図柄抽選の結果が大当たり当選している場合のほうが、大当たり当選していない場合よりも決定されやすい副図柄fzの種別として、「数字の16」を模した表示態様や、「V」を模した表示態様を設けると良い。このように構成することで、背景モード移行演出を実行し、背景モードを切り替えることにより、特別図柄変動が停止表示されるよりも前に、特別図柄抽選の結果を予測し易くすることができるため、遊技者に対して積極的に操作演出を実行させることができる。
さらに、設定される背景モードと、表示される副図柄fzの種別と、の組合せによって特別図柄抽選の結果が大当たり当選である可能性を異ならせても良く、例えば、第1の演出モード(海モード)においては通常用いられる副図柄fzの種別(海モード用の表示態様)が、第2の演出モード(山モード)において用いられた場合には、実行中の特別図柄抽選が大当たり当選している可能性が高いことを示すように構成しても良い。このように、背景モードと副図柄fzの種別とを組み合わせた演出を実行することにより、副図柄fzの種別を増加させること無く、多様な演出を実行することができる。
また、本制御例では、操作演出として背景モード移行演出が実行される場合に、第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の表示態様を可変させる処理を実行するように構成しているが、それ以外に、第3図柄表示装置81の表示面に形成される有効ラインL1〜L5(図122(a)参照)の数や位置を可変させても良い。
さらに、図202(a),(b)で示したリーチライン予告演出が実行され、副図柄fzが停止表示された状態(図202(b)参照)にて、背景モード移行演出が実行された場合には、リーチライン予告演出にて報知された主図柄szの停止表示位置を可変させるように構成しても良く、この場合、実行中の特別図柄抽選の結果が大当たり当選である場合のほうが、大当たり当選以外である場合よりも主図柄szの停止表示位置が可変し易くなるように構成しても良いし、反対に、大当たり当選の場合よりも、大当たり当選以外であるほうが主図柄szの停止表示位置が可変し易くなるように構成しても良い。
<第3制御例>
次に、第3制御例について、図212から図222を参照して、第3制御例について説明をする。上述した第1制御例では、大当たり遊技中に開放動作される可変入賞装置65内に特定領域(Vゲート65v)を形成し、大当たり遊技中に遊技球が特定領域(Vゲート65v)を通過すると、その大当たり遊技終了後に確変状態を設定するように構成していた。
そして、図120に示した通り、幅広(開口幅50ミリ)の大入賞口65aに入賞した球を、第1流路65e1及び第5流路65e5を用いて1箇所に集め、第2流路65e2を流下させることで、Vゲート65vへと到達し得るように構成していた。しかしながら、上述した第1制御例の可変入賞装置65の構成では、可変入賞装置65の左側(第1流路65e1の上流側)から入賞した球、即ち、左打ち遊技によって発射された球が左側領域を流下した後に可変入賞装置65へと入賞した場合と、可変入賞装置65の右側(第5流路65e5の上流側)から入賞した球、即ち、右打ち遊技によって発射された球が右側領域を流下した後に可変入賞装置65へと入賞した場合と、で可変入賞装置65に入賞したタイミングから、Vゲート65へと到達し得るタイミングが異なるため、確変大当たり遊技が実行される場合には、左打ち遊技を行っても、右打ち遊技を行っても、可変入賞装置65へと入賞した球がVゲート65vへと到達可能とするために、球が第4流路65e4を流下可能な状態に切替弁65yを長期間位置させる必要があった。また、可変入賞装置65に入賞した球がVゲート65vを通過可能な期間を長く設定することに伴い、Vゲート65v(特定領域)の球通過を有効に判別する期間(V有効期間)の長さも長く設定する必要があるため、大当たり遊技中の不正行為、即ち、不正な遊技によって球をVゲート65V(特定領域)に通過させる行為を発見し難くなるという問題もあった。
これに対して、本第3制御例におけるパチンコ機10では、左打ち遊技によって発射された球が左側領域を流下した後に可変入賞装置65に入賞する場合と、右打ち遊技によって発射された球が右側領域を流下した後に可変入賞装置65に入賞する場合と、で可変入賞装置65に入賞した球が特定領域を通過するまでの期間がほぼ同一となるように構成している。このように構成することで、特定領域への球通過を有効に判別する期間(V有効期間)の長さを短くすることが可能となり、大当たり遊技中の不正行為、即ち、不正な遊技によって球をVゲート65V(特定領域)に通過させる行為を発見し易くすることができる。
上述した通り、本第3制御例では、可変入賞装置65内の構成を変更した点と、可変入賞装置65内に設けられた切替弁65yの切替制御の内容を変更した点とで、上述した第1制御例と相違しており、それ以外の内容については同一である。同一の内容については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
まず、図212を参照して、本第3制御例におけるパチンコ機10の遊技盤13の構成について説明をする。図212は、本第3制御例におけるパチンコ機10の遊技盤13を模式的に示した正面図である。図212に示した通り、本第3制御例におけるパチンコ機10の遊技盤13は、上述した第1制御例におけるパチンコ機10の遊技盤13の構成(図119参照)に対して、電動役物640の下方領域に植設される釘部材の配置を異ならせている点で相違している。具体的には、上述した第1制御例におおけるパチンコ機10の遊技盤13では、左側領域を流下した球、或いは、右側領域を流下した球が可変入賞装置65の特定入賞口65aの開口幅方向に対して満遍なく入賞し得るように釘が植設されているのに対して、本第3制御例におけるパチンコ機10の遊技盤13では、左側領域を流下した球は可変入賞装置65の特定入賞口65aの左端側に、右側領域を流下した球は可変入賞装置65の特定入賞口65aの右端側に入賞し易くなるように、電動役物640の下方にハの字状に複数の釘部材が植設されている。
つまり、本第3制御例では、左打ち遊技によって左側領域を流下した球も、右打ち遊技によって右側領域を流下した球も入賞し得るように広い開口幅の特定入賞口65aを有する可変入賞装置65を設けた上で、特定入賞口65aの開口幅方向の中央部付近での球の入賞を抑制するために、可変入賞装置65の中央部上方に入賞阻害部材として電動役物640を設け、さらに、特定入賞口65aの開口幅方向の両端部付近での球の入賞を誘導するための誘導部材としてハの字状に植設された複数の釘部材を設けている。
このように構成することで、大当たり遊技中に右打ち遊技を行った場合も、左打ち遊技を行った場合も、可変入賞装置65の特定入賞口65aにおける開口幅方向の両端部付近への球入賞を促進させることができる。詳細な説明は、図213を参照して後述するが、本第3制御例の可変入賞装置65は、その内部構造が左右対称(特定入賞口65aの開口幅方向を左右方向と見て左右対称)となるように構成しており、特定入賞口65aへの球の入賞位置を左右対称位置にすることで、特定入賞口65aへと入賞した球が可変入賞装置65内の各領域(例えば、特定領域)を通過するまでの期間に誤差が生じ難くすることができる。
次に、図213を参照して、第3制御例のパチンコ機10における可変入賞装置65の内部構造について説明をする。図213(a)は、可変入賞装置65のうち、特定入賞口65a付近の構造を模式的に示した模式図であり、図213(b)は、特定入賞口65aに入賞した球の流下経路を模式的に示した模式図である。
本第3制御例の可変入賞装置65も、上述した第1制御例の可変入賞装置65の構成(図120参照)と同様に、大当たり遊技状態中に開状態となる開閉扉65bで受け入れた球が、案内部材65dによって、特定入賞口65aの両端部側に設けられた第1開口部65a1、或いは、第2開口部65a2へと誘導されるように構成している。そして、第1開口部65a1を流下した球は、球検知センサ65s1(図213(b)参照)を通過し、賞球として15個の球が払い出される払出制御が実行される。同様に、第2開口部65a2を流下した球は、球検知センサ65s2(図213(b)参照)を通過し、賞球として15個の球が払い出される払出制御が実行される。
図212を参照して上述した通り、本第3制御例では、特定入賞口65aの中央部付近から球が入賞し難くなるように構成されているため、開状態の開閉扉65bで受け入れた球を円滑に第1開口部65a1、或いは、第2開口部65a2へと誘導することができる。よって、第1開口部65a1、或いは、第2開口部65a2を流下する前の入賞球が増加してしまい、球詰まりが発生することを抑制することができると共に、特定入賞口65aへと入賞したにも関わらず賞球が払い出されない(球検知センサ65s1,65s2を球が通過しない)事態が発生することを抑制することができる。
図213(b)に示した通り、本第3制御例の可変入賞装置65は、上述した第1実施形態にて用いられた可変入賞装置65(図120(b)参照)に対して、特定入賞口65aに入賞した球(球検知センサ65s1、或いは球検知センサ65s2を通過した球)が、排出口65へと誘導される経路が左右対称に構成されている点で大きく相違している。
まず、球検知センサ65s1を通過した球は、第1流路65r1を切替弁65yに向けて流下し、図213(b)に示した通り、切替弁65yが閉状態(Vゲート65Vが配設された流路を塞ぐように突出している状態)である場合には、切替弁65yの上面を流下し、第1排出口65h1へと誘導される。なお、第1流路65r1を球が流下するのに要する時間(ta)が約2秒となるように構成されている。同様に、球検知センサ65s2を通過した球は、第2流路65r2を切替弁65yに向けて流下し、図213(b)に示した通り、切替弁65yが閉状態(Vゲート65Vが配設された流路を塞ぐように突出している状態)である場合には、切替弁65yの上面を流下し、第2排出口65h2へと誘導される。なお、第2流路65r2を球が流下するのに要する時間(tb)も、上述した時間taと同じく約2秒となるように構成されている。
つまり、本第3制御例では、左打ち遊技によって特定入賞口65aの左側端部付近に入賞し、第1開口部65a1を通過した球も、右打ち遊技によって特定入賞口65aの右側端部付近に入賞し、第2開口部65a2を通過した球も、同位置の流下時間を経て切替弁65yに到達するように構成している。
そして、切替弁65yが閉状態(Vゲート65Vが配設された流路を、球が通過となるように埋没している状態)になると、図214に示した通り、第1流路65r1を流下した球が、埋没状態の切替弁65y(図214では点線で表示)を通過して、第1Vゲート65v1を通過して、第3排出口65h3へ流入する。また、第2流路65r2を流下した球も、埋没状態の切替弁65yを通過して、第2Vゲート65V2を通過して、第4排出口65h4へ流入するように構成されている。
本第3制御例では、球が可変入賞装置65に入賞した個数(球検知センサ65s1,65s2が検知した球の累計数)が所定個数に到達した場合に、切替弁65yが閉状態(図213(b)参照)から開状態(図214参照)へと切り替わるように構成しており、所定個数目の球が球検知センサ65s1、或いは球検知センサ65s2を通過してから切替弁65yに到達するまでの時間(約2秒)よりも、球が可変入賞装置65に入賞した個数が所定個数に到達し、切替弁65yが開状態となるのに要する時間(約0.5秒)のほうが短くなるように構成している。よって、上述した所定個数目の球がそのままVゲート65Vを通過可能に構成している。よって、切替弁65yが開状態となった場合に確実に球を特定領域(Vゲート65V)へと流下させることができる。
なお、本第3制御例における可変入賞装置65の構造は、上述した第1実施形態における振分装置300(図13参照)の構造と同一であるが、説明の便宜上、図213、及び図214に示した通り簡素化した図で示している。よって、本第3制御例における可変入賞装置65の詳細な構成については、上述した第1実施形態の内容が勿論適用させるものであり、その説明を省略する。
<第3制御例における電気的構成について>
次に、図215、及び図216を参照して、本第3制御例における電気的構成について説明をする。本第3制御例では、上述した第1制御例に対して、大当たり遊技中に実行される大当たり制御の内容を異ならせている点、及び、その相違点に基づく各種処理内容を異ならせている点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。具体的には、主制御装置110のMPU201が有するRAM203の内容を一部変更した点と、音声ランプ制御装置113のMPU221が有するRAM223の内容を一部変更した点で相違し、それ以外の構成については同一である。
ここで、図215を参照して、本第3制御例における主制御装置110のMPU201が有するRAM203の構成について説明をする。図215は、主制御装置110のMPU201が有するRAM203の内容を模式的に示した模式図である。図215に示した通り、本第3制御例のRAM203は、上述した第1制御例のRAM203の構成(図139(b)参照)に対して、V期間タイマ203caを追加した点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
V期間タイマ203caは、特定領域(Vゲート65v)に球を通過させることが可能となるように、切替弁65yを開状態に位置させる期間を計測するためのものであって、特定領域(Vゲート65v)へと球を通過させることが可能な条件が成立した場合に所定時間(5秒)が設定される。そして、主制御装置110のメイン処理(図167参照)の大当たり制御処理4(図217のS1854参照)にて実行される大当たり中更新処理(図220のS1954参照)において、V期間タイマ203caの値が更新され、V期間が経過した(V期間タイマ203caの値が0となった)場合に、切替弁65yが閉状態へと切り替わるように構成している。
本第3制御例では、確変大当たり遊技中の特定ラウンド数目のラウンド遊技(1ラウンド目のラウンド遊技)において、特定入賞口65aへの球の入賞数(球検知センサ65s1,65s2の検知した球数)が所定個数(2個)であると判別された場合に、特定領域(Vゲート65v)へと球を通過させることが可能なV条件が成立し、切替弁65yを所定期間(5秒間)開状態へと切り替えるように構成している。
つまり、大当たり遊技が開始されてからの時間経過に基づいて切替弁65yを切替制御するのでは無く、大当たり遊技中に可変入賞装置65へと入賞した球の個数に基づいて切替弁65yを切替制御するように構成している。このように構成することで、大当たり遊技中に正常に遊技を行っているにも関わらず、球を可変入賞装置65へと入賞させることができなかった期間中に切替弁65yの開状態期間が終了してしまい、球を特定領域(Vゲート65v)へと通過させることができない事態が発生することを抑制することができる。
さらに、本第3制御例では、切替弁65yを開状態へと切り替えるV条件を成立させた球、即ち、所定個数(2個)目に球検知センサ65s1、或いは65s2を通過した球が切替弁65yに到達するまでに要する期間(約2秒)よりも、V条件が成立してから切替弁65yが開状態へと切り替わるのに要する期間(約0.5秒)のほうが短くなるように構成しており、少なくともV条件を成立させた球が特定領域(Vゲート65v)を通過可能に構成している。このように構成することで、V条件が成立した場合に確実に特定領域(Vゲート65v)へと球を通過させることができる。
なお、本制御例では、V条件が成立し、切替弁65yを開状態へと切り替えた状態を所定期間(5秒間)継続するように構成している。即ち、切替弁65yの開状態を終了させるための終了条件として、所定期間が経過した場合に成立する期間経過終了条件のみとしているが、これに限ること無く、例えば、球が特定領域(Vゲート65v)を通過した場合に成立するV通過終了条件を設けても良いし、Vラウンド遊技(1ラウンド目のラウンド遊技)の終了条件が成立した場合、或いは、Vラウンド遊技の終了条件が成立してから所定期間(例えば、Vラウンド中に可変入賞装置65へと入賞した球が何れかの排出口65hに到達するまでに要する4秒間)経過した場合に成立するラウンド終了条件を設けても良い。このように様々な終了条件を設定しておき、先に何れかの終了条件が成立した場合に切替弁65yの開状態を閉状態へと切り替えるように構成しても良い。これにより、切替弁65yが開状態となる期間を極力短くすることができるため、球が特定領域(Vゲート65v)を無用に通過することを抑制することができる。よって、Vゲート65vに設けられている球検知センサに球が衝突してしまい、球検知センサが物理的に破壊されてしまう可能性を低くすることができる。
次に、図216を参照して、本第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221が有するRAM223の内容について説明をする。図216は、第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221が有するRAM223の内容を模式的に示した模式図である。図216に示した通り、本第3制御例のRAM223は、上述した第1制御例のRAM223の構成(図144(b)参照)に対して、Vタイマ223caを追加した点で相違しており、それ以外は同一である。同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
Vタイマ223caは、特定領域(Vゲート65v)へと球を通過させることが可能な期間(V入賞可能な期間)が設定されてからの経過時間を計測するためのタイマであって、V入賞可能な期間となった場合に主制御装置110にて設定されるV期間コマンドを音声ランプ制御装置113にて受信した場合に、所定期間(3秒)に対応する値が設定される。そして、特定領域(Vゲート65v)を球が通過するまでVタイマ223caの値は更新(減算)され続け、値が0となった場合(所定期間が経過した場合)に、V入賞させる案内を強調した強調案内報知が実行される。
つまり、V入賞可能な期間が最大で5秒間設定されるのに対して、V入賞可能な期間が設定されてから3秒が経過した時点で強調案内報知が実行されるように構成している。ここで、上述した通り、通常であれば、V条件を成立させた球がそのままV入賞するように構成されており、そのV条件を成立した球がV入賞するまでに要する時間が約2秒となるように構成している。即ち、Vタイマ223caの値が0に到達した場合は、V条件を成立させた球がV入賞しなかった場合が考えられる。よって、追加の球を用いてV入賞を狙う必要があるため、強調案内報知が実行されるように構成している。これにより、V入賞可能な期間が設定されたにも関わらず、遊技者の遊技内容によって、V入賞させることができなかったという事態が発生することを抑制することができる。
なお、本制御例では、V条件が成立してからの経過時間に基づいて強調案内報知を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、V条件を成立させた球が特定領域(Vゲート65v)を有さない領域(例えば、排出口65h1を有する流路(図213(b)参照))を通過したことを検知した場合に強調案内待機報知を実行するように構成しても良い。また、本制御例では、切替弁65yを開状態へと切り替える契機となった球が特定領域(Vゲート65v)を通過していないことを検知した場合に、上述した強調案内報知を実行するように構成しているが、これに替えて、可変入賞装置65内の流路において異常(例えば、球詰まり)が発生したことを外部に報知するための異常報知を実行するように構成しても良い。
また、本制御例では、所定個数目(2個目)の球の入賞を球検知センサ65s1,65s2が検知した場合に、即座に切替弁65yを開状態へと切り替える切替制御を実行するように構成しているが、この場合、所定個数目(2個目)よりも前に可変入賞装置65へと入賞した球(1個目の入賞球)が、開状態である切替弁65yに誘導され、特定領域(Vゲート65V)を通過してしまう場合がある。そこで、所定個数目(2個目)の入賞を検知した場合に、その2個目の入賞球が切替弁65yに到達するまでの時間(約2秒)を考慮した待機時間(約1.5秒)を設定し、その待機時間経過後に切替弁65yを開状態へと切替制御するように構成しても良い。これにより、切替弁65yを開状態へと切り替える契機となった球のみを特定領域(Vゲート65V)へと通過させ易くすることができる。
さらに、本制御例では、1回の大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート65v)を通過することで、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態を設定するように構成しており、1回の大当たり遊技中に複数の球が特定領域(Vゲート65V)を通過しても遊技者に付与される特典(特別図柄の高確率状態の提供)が変わらないように構成しているが、それ以外に、例えば、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート65V)を通過した球数に応じて、遊技者に付与される特典の内容を異ならせたパチンコ機10を用いた場合には、上述した待機時間を設定することにより、過剰に球が特定領域(Vゲート65V)を通過してしまうことを抑制することができる。
なお、大当たり遊技中に特定領域(Vゲート65V)を通過した球数に応じて、遊技者に付与される特典の内容を異ならせたパチンコ機10を用いた場合には、例えば、当選した大当たりの種別に応じて、切替弁65yを開状態へと切り替える契機となる入賞数(V入賞条件)を異ならせたり、切替弁65yを開状態へと切り替える契機となる入賞数の球が可変入賞装置65に入賞してから切替弁65yを開状態へと切り替えるまでの待機時間を異ならせたり、切替弁65yを開状態から閉状態へと切り替える条件(V終了条件)を異ならせたりすると良い。
具体的には、遊技者に有利となる大当たり遊技として、1回の大当たり遊技中に複数の球が特定領域(Vゲート65V)を通過し易くするために、V入賞条件として少ない球数を設定すると良い。これにより、大当たり遊技が実行されてからV入賞条件が成立するまでの期間を短くすることができるため、V入賞条件が成立している状態で長時間の大当たり遊技を実行させることができ、複数の球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させ易くすることができる。また、待機時間を短くしても良い。これにより、V入賞条件を成立させた球よりも前に可変入賞装置65へと入賞した球(第1流路65r1、第2流路65r2を流下中の球)も特定領域(Vゲート65V)を通過し得るようにすることができる。さらに、V終了条件を、特定領域(Vゲート65V)への球の通過数に関わらず経過時間に基づいて成立させるように構成しても良い。このように構成することで、遊技者に有利となる大当たり遊技が実行された場合に、数多くの球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させようと意欲的に遊技を行わせることができる。
一方、遊技者に不利となる大当たり遊技に対しては、上述した有利となる大当たり遊技に対して、1回の大当たり遊技中に複数の球が特定領域(Vゲート65V)を通過し難くするために、V入賞条件として多い球数を設定したり、待機時間を長く設定したり、V終了条件を、特定領域(Vゲート65V)へ球が1個通過した場合に成立する条件としたり、球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させるのが困難な程度の時間経過(例えば、0.1秒経過)で成立する条件としたりすると良い。
このように構成することで、実行される大当たり遊技の種別に応じて、大当たり遊技中に球が特定領域(Vゲート65V)を通過する期待度を大きく異ならせることができる。さらに、可変入賞装置65内の球流路として、通常流路と、その通常流路よりも短期間の間に球を切替弁65yに向けて流下させることが可能な特別流路と、を設けると良い。具体的には、特別流路内には球の流下を滞らせる遅滞手段(例えば、クルーン)を備え、通常流路から排出される球よりも特別流路から排出される球のほうが数珠つなぎで排出され易くなるように構成すると良い。
この場合、切替弁65yが開状態となるタイミングと、特別流路から球が排出されるタイミングとが合致した場合には多くの球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させ易くすることができる。さらに、この場合、遊技者に対して、可変入賞装置65内に入賞した球が通常流路を流下させ易くするか、特別流路を流下させ易くするかを選択可能に構成すると良く、例えば、左打ち遊技を実行した場合には、可変入賞装置65に入賞した球が特別流路よりも通常流路を流下し易く、右打ち遊技を実行した場合には、通常流路よりも特別流路を流下し易くなるように構成すると良い。また、この場合、大当たり遊技中に第3図柄表示装置の表示面を用いて、左打ち遊技が、特定領域(Vゲート65V)へと1個の球を通過させ易い安定遊技である旨と、右打ち遊技が、特定領域(Vゲート65V)へと球を通過させ難いが、タイミングが合えば大量の球を特定領域(Vゲート65V)へと通過可能なチャレンジ遊技である旨を案内する遊技案内表示を実行すると良い。また、過去の大当たり遊技において、左打ち遊技を実行したか、右打ち遊技を実行したかを記憶、具体的には、大当たり遊技中に球検知センサ65s1,65s2の何れの球検知数が多いかを判別し、その判別結果に基づいて大当たり遊技中の遊技方法を判定して結果を記憶する記憶手段を設け、その記憶手段に記憶されている遊技方法と、大当たり遊技中の遊技結果(特定領域(Vゲート65V)への球の通過数)を過去履歴として表示する履歴表示を実行すると良い。
これにより、大当たり遊技中に実行する遊技方法を遊技者に選択させる楽しみを提供することができる。なお、上述した制御例では、特定領域(Vゲート65V)を通過した場合に付与される特典を、特別図柄の高確率状態としているが、これに限ること無く、例えば、遊技者に有利となる抽選結果となり易い抽選の権利を付与したり、大当たり遊技とは異なる第2大当たり遊技を付与したりしても良い。この場合、上述した特典が付与される権利を所定数を上限として記憶可能な付与権利記憶手段を設けると良い。これにより、短期間で複数の付与権利を獲得した場合であっても、確実に所定数を条件に特典を付与することができる。また、本制御例では、大当たり遊技中に可変入賞装置65内に入賞した球について説明をしたが、これに限ること無く、例えば、特別図柄の抽選で大当たり以外の抽選結果である場合の一部において、可変入賞装置65を短期間開放させる小当たり当選を設定しておき、小当たり当選した場合に実行される小当たり遊技中に可変入賞装置65内に入賞した球を対象に上述した構成を用いても良い。加えて、普通図柄の抽選で当たり当選した場合に実行される当たり遊技において、球が入賞可能となる可変入球手段(例えば、電動役物640)に対して上述した構成を用いても良い。
また、本制御例では、開状態である切替弁65yを通過した球の全てが特定領域(Vゲート65V)を通過可能に構成しているが、これに限ること無く、開状態である切替弁65yを通過した球の一部が特定領域(Vゲート65V)を通過可能となるように、振分部材を設けても良い。また、本制御例では、球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させ易い第1状態と、通過させ難い第2状態とに可変可能な可変手段として、複数の流路のうち、球が流下する流路を切り替える切替弁65yを用いているが、可変手段の構成はこれに限られること無く、例えば、球を所定期間の間、滞留させる滞留位置と、滞留させない開放位置とに可変可能な構成とし、所定期間の間球を滞留させることにより特定領域(Vゲート65V)への球の通過を有効に判別する期間内に球を特定領域(Vゲート65V)へと通過させ易くする可変手段を設けても良い。また、可変入賞装置65内に複数の可変手段を設けても良い。
<第3制御例における主制御装置の制御処理内容について>
次に、図217から図220を参照して、本第3制御例における主制御装置の制御処理内容について説明をする。本第3制御例では、上述した第1制御例に対して、大当たり制御処理(図168のS1804参照)に替えて大当たり制御処理4(図217のS1854参照)を、入賞処理(図171のS1911参照)に替えて入賞処理4(図218のS1953参照)を、実行する点で相違し、それ以外は同一である。同一の制御処理内容については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
まず、図217を参照して、大当たり制御処理4(S1854)の内容について説明をする。図217は、大当たり制御処理4(S1854)の内容を示したフローチャートである。この大当たり制御処理4(S1854)では、上述した大当たり制御処理(図168のS1804参照)に対して、大当たり開始時に実行される制御内容と、大当たり遊技中に球が可変入賞装置65に入賞した場合に実行される制御内容と、を変更し、さらに、大当たり遊技中にV期間タイマ203caの値を更新する制御内容を追加した点で相違している。それ以外の内容は同一である。同一の内容については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
大当たり制御処理4(S1854)が実行されると、まず、大当たり開始フラグ203jがオンに設定されているかを判別し(S1901)、オンに設定されていると判別した場合は(S1901:Yes)、次いで、オープニングコマンドを設定し(S1902)、大当たり開始フラグ203jをオフに設定し、大当たり中フラグ203kをオンに設定し(S1903)、本処理を終了する。一方、S1901の処理において、大当たり開始フラグ203jがオンに設定されていないと判別した場合は(S1901:No)、次に、現在が大当たり遊技中であるか(大当たり中フラグ203kがオンに設定されているか)を判別し(S1904)、大当たり遊技中では無いと判別した場合は(S1904:No)、そのまま本処理を終了する。
S1904の処理において、大当たり遊技中である(大当たり中フラグ203kがオンに設定されている)と判別した場合は(S1904:Yes)、次に、新たなラウンドの開始タイミングであるかを判別し(S1905)、開始タイミングであるかと判別した場合は(S1905:Yes)、特定入賞口65aの開放を設定し(S1951)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定し(S1952)、本処理を終了する。
一方、S1905の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでは無いと判別した場合は(S1905:No)、上述した第1制御例の大当たり制御処理(図168のS1804参照)と同一のS1907〜S1910の処理を実行し、本処理を終了する。また、S1909の処理において、大当たりの終了タイミングでは無いと判別した場合は(S1909:No)、入賞処理4を実行し(S1953)、その後、異常処理を実行し(S1912)、次いで大当たり中更新処理を実行し(S1954)、本処理を終了する。
次に、大当たり制御処理4(図217のS1854参照)にて実行される入賞処理4(S1953)の内容について、図218を参照して説明をする。図218は、入賞処理4(S1953)の内容を示したフローチャートである。この入賞処理4(S1953)は、上述した第1制御例の入賞処理(図171のS1911)に対して、切替弁65yが開状態となり得るVラウンド(1ラウンド)中の制御処理内容を異ならせている点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容については、同一の符号を付して、その詳細な内容の説明を省略する。
入賞処理4(S1953)が実行されると、まず、上述した第1制御例の入賞処理(図171のS1911)と同一のS2201〜S2204の処理を実行し、S2204の処理を終えた場合、或いは、S2202の処理にて球が特定入賞口65aに入賞していないと判別した場合(S2202:No)に、Vラウンド処理を実行する(S2251)。このVラウンド処理(S2251)の詳細については図219を参照して後述するが、1ラウンド目のラウンド遊技(Vラウンド遊技)が実行される場合において、切替弁65yの開閉制御を行うための処理が実行されるものである。
Vラウンド処理(S2251)を終えると、次に、上述した入賞処理(図171のS1911参照)と同一のS2205〜S2208の処理、S2211〜S2221の処理を実行し、本処理を終了する。
次に、入賞処理4(図218のS1953参照)において実行されるVラウンド処理(S2251)の内容について、図219を参照して説明をする。図219は、Vラウンド処理(S2251)の内容を示したフローチャートである。
Vラウンド処理(S2251)が実行されると、まず、現在が1ラウンド中(Vラウンド中)であるかを判別し(S2401)、1ラウンド中では無いと判別した場合は(S2401:No)、そのまま本処理を終了する。一方、現在が1ラウンド中であると判別した場合は(S2401:Yes)、次に、入賞個数カウンタ203oの値が「2」であるか、即ち、1ラウンド目のラウンド遊技中における可変入賞装置65への球の入賞数が「2」であるかを判別し(S2402)、「2」であると判別した場合は(S2402:Yes)、Vソレノイド209aをオンに設定し(S2403)、V入賞可能な期間(特定領域(Vゲート65V)へと球を誘導することが可能な期間)を示すV期間コマンドを設定し(S2404)、V期間タイマ203caに5秒に対応する値を設定し(S2405)、本処理を終了する。一方、S2402の処理において、入賞個数カウンタ203oの値が「2」では無いと判別した場合は(S2402:No)、そのまま本処理を終了する。
以上、説明をした通り、本制御例では、大当たり遊技中に実行される特定ラウンド遊技において、可変入賞装置65へと入賞した球の個数が所定条件を満たした場合に(入賞数が2個となった場合に)、球が特定領域(Vゲート65v)を通過し易くなるように切替弁65yを開状態へと切り替える制御処理を実行するように構成している。これにより、大当たり遊技中において、可変入賞装置65に球を入賞させていない状態で切替弁65yが開状態へと切り替わることを抑制することができる。
なお、本制御例では、大当たり遊技中の特定ラウンド(1ラウンド)目のみ切替弁65yを開状態へと切り替え可能なVラウンドとなるように構成しているが、これに限ること無く、複数のラウンドを、切替弁65yを開状態へと切替可能なVラウンドとして設定可能に構成しても良い。この場合、Vラウンド処理(S2251)において、新たに実行されるラウンド遊技のラウンド数を判別し、判別されたラウンド数のラウンド遊技がVラウンドであるかを判定する。
そして、Vラウンドと判定された場合に、当該Vラウンド中における入賞個数カウンタ203oの値に基づいて切替弁65yの状態を切替制御するように構成すれば良い。また、この場合、複数設定されるVラウンド毎にVソレノイド209aをオンに設定する条件(切替弁65yを開状態に切り替える条件)を異ならせても良い。
また、Vラウンド遊技が実行されている場合において、Vソレノイド209aをオンに設定する条件が成立するまでの遊技内容を第3図柄表示装置81の表示面に報知させる報知手段を設けても良く、例えば、Vラウンドが開始された場合に、今回のラウンド遊技がVラウンドであることを示すVラウンド報知と、Vソレノイド209aがオンに設定される条件を成立させるまでに必要な入賞数を示す必要入賞数報知と、を実行するように構成すると良い。これにより、遊技者に対して、特定領域に球を通過させようと意欲的に遊技を行わせることができる。
次に、図220を参照して、大当たり中更新処理(S1954)の内容について説明をする。図220は、大当たり中更新処理(S1954)の内容を模式的に示したフローチャートである。この大当たり中更新処理(S1954)では、大当たり遊技中に設定されたV期間タイマ203caの値を更新するための処理が実行される。
大当たり中更新処理(S1954)が実行されると、まず、V期間タイマ203caの値が0よりも大きいか、即ち、Vソレノイド209aがオンに設定されている状態であるかを判別する(S1961)。そして、V期間タイマ203caの値が0よりも大きく無い(0である)と判別した場合は(S1961:No)、そのまま本処理を終了する。S1961の処理において、V期間タイマ203caの値が0よりも大きいと判別した場合は(S1961:Yes)、次に、V期間タイマの値を更新し(S1962)、更新後のV期間タイマ203caの値が0であるかを判別し(S1963)、0では無いと判別した場合は(S1963:No)、ソレノイド209aをオフにするタイミングでは無いため、そのまま本処理を終了する。
一方、S1963の処理において、V期間タイマ203caの値が0であると判別した場合は(S1963:Yes)、Vソレノイド209aをオフに設定し(S1964)、V期間終了を示すコマンドを設定し(S1965)、本処理を終了する。
<第3制御例における音声ランプ制御装置の制御処理内容について>
次に、図221、及び図222を参照して、本第3制御例における音声ランプ制御装置の制御処理内容について説明をする。本第3制御例では、上述した第1制御例に対して、大当たり関連処理(図180のS4218参照)に替えて大当たり関連処理4(図221のS4258参照)を、演出更新処理(図174のS4111参照)に替えて演出更新処理4(図222のS4151参照)を、実行する点で相違し、それ以外は同一である。同一の制御処理内容については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
まず、図221を参照して、大当たり関連処理4(S4258)の内容について説明をする。この大当たり関連処理4(S4258)は、上述した第1制御例の大当たり関連処理(S4218)に対して、主制御装置110からV期間コマンドを受信した場合に実行される制御処理内容を追加した点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
大当たり関連処理4(S4258)が実行されると、まず、上述した大当たり関連処理(図180のS4218参照)と同一のS4701〜S1713の処理を実行する。そして、S4709の処理において、ラウンド数コマンドを受信していないと判別した場合には(S4709:No)、次に、V期間コマンドを受信したかを判別し(S4751)、V期間コマンドを受信したと判別した場合は(S4752:Yes)、Vタイマ223caに3秒に対応する値を設定し、本処理を終了する。
また、S4751の処理においてV期間コマンドを受信していないと判別した場合は(S4751:No)、その後、上述した大当たり関連処理(図180のS4218参照)と同一のS4714〜S1715の処理を実行し、本処理を終了する。
次に、図222を参照して、演出更新処理4の内容について説明をする。図222は、演出更新処理4の内容を示したフローチャートである。この、演出更新処理4では、大当たり遊技中に設定されたVタイマ223caの値を更新する処理と、Vタイマ223caの値が0となった場合における演出態様を設定するための処理と、を実行可能に構成している。
図222に示した通り、演出更新処理4が実行されると、まず、Vタイマ223caの値が0よりも大きいかを判別し(S5401)、0よりも大きい値であると判別した場合は(S5401:Yes)、次いで、V期間タイマ203caの値を更新し(S5402)、更新後のV期間タイマ203caの値が0であるかを判別する(S5403)。
S5403の処理にてV期間タイマ203caの値が0であると判別した場合は(S5403:Yes)、次に、V演出実行フラグ223kがオンに設定されているかを判別し(S5404)、即ち、現在実行されている大当たり遊技中にV報知演出を実行している場合は、V入賞の案内を強調得する表示用コマンドを設定し(S5405)、その他各種カウンタ及び各種タイマの更新回数を実行し、本処理を終了する。
以上、説明をした通り、本第3制御例では、右打ち遊技を行っても左打ち遊技を行っても入賞可能な箇所に可変入賞装置65を配置し、さらに、何れの遊技方法で球を発射させた場合であっても、球が入賞してから切替弁65yへと到達するまでの期間に大きな差が生じ無いように構成している。よって、大当たり遊技中において、球が特定領域(Vゲート65v)を通過したことを有効に検知する期間(V有効期間)を無用に長く設定することなく、円滑に大当たり遊技を実行させることができる。また、V有効期間を短くすることにより、不正遊技によって球を特定領域へと通過させる行為を監視し易くすることができる。
また、可変入賞装置65への入賞数に基づいて切替弁65yの切替制御を実行するように構成しているため、大当たり遊技中に発生した球詰まり等により、球を可変入賞装置65へと入賞させることが出来ない状態で切替弁65yが開状態になることを抑制することができる。なお、本制御例では、ラウンド遊技単位で球の入賞数を計測し、計測結果が所定の計測結果となった場合に、そのラウンド遊技期間内における所定期間の間、切替弁65yが開状態となるように構成しているが、これに限ること無く、大当たり遊技が開始されてからの入賞数の累計値や、大当たり遊技中に所定の計測条件が成立してからの入賞数の累計値、或いは、複数の大当たり遊技における入賞数の累計値が所定の計測結果となった場合に、切替弁65yを開状態へと切り替える制御を実行するように構成しても良い。
また、切替弁65yが開状態となる期間の長さの最長期間を、ラウンド遊技が終了するまでの期間に限定すること無く、例えば、次に実行されるラウンド遊技に跨がって、切替弁65yが開状態を継続するように構成しても良い。
また、本第3制御例では、図213(b)に示した通り、一つの切替弁65yが、第1Vゲート65v1、第2Vゲート65V2の何れも塞ぐように構成しているが、これに限ること無く、各Vゲートを塞ぐように、2つの切替弁65yを設け、例えば、球検知センサ65s1が所定個数目の入賞を検知した場合には、第1Vゲート65V1を覆う側の切替弁のみを開状態とし、球検知センサ65s2が所定個数目の入賞を検知した場合には、第2Vゲート65V2を覆う側の切替弁のみを開状態とするように構成しても良い。これにより、開状態となる切替弁の範囲を縮小することができるため、無用にVゲート65Vを球が通過することを抑制することができる。
<第4制御例>
次に、図223から図231を参照して、第4制御例について説明をする。本第4制御例は、上述した第1制御例に対して、主制御装置110のMPU201が有するROM202、及びRAM203の一部構成を変更した点と、音声ランプ制御装置113のMPU221が有するROM222、及びRAM223の一部構成を変更した点とで相違している。また、主制御装置110のMPUが実行する制御内容と、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する制御内容の一部を変更した点で相違している。それ以外の内容は同一であり、同一の内容については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
上述した第1制御例では、大当たり遊技終了後に、遊技者に有利な有利遊技状態として、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)或いは、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)を設定可能に構成していた。そして、大当たり遊技終了後に確変状態が設定された場合には、特別図柄抽選が50回実行されるまで確変状態が継続し、その後、50回の特別図柄抽選が実行されるまで、即ち、大当たり遊技終了後からの特別図柄抽選回数が100回に到達するまで、時短状態が設定されるように構成していた。一方、大当たり遊技終了後に時短状態が設定された場合には、特別図柄が100回実行されるまで時短状態が継続するように構成していた。
つまり、上述した第1制御例では、大当たり遊技終了後に何れの有利遊技状態(確変状態、時短状態)が設定された場合であっても、特別図柄抽選で大当たりに当選しない限り、特別図柄抽選が100回実行されるまでは有利遊技状態が継続するように構成していた。そして、大当たり遊技終了後に有利遊技状態(確変状態、時短状態)が設定された場合には、有利遊技状態が終了するまでの期間、即ち、遊技者に不利となる通常状態が設定されるまでの期間を遊技者に報知するように構成していた(図128(a)参照)。
このように構成することで、通常状態よりも遊技者に有利な有利遊技状態を複数有するパチンコ機10において、現在設定されている有利遊技状態(確変状態、或いは時短状態)が終了するまでの期間では無く、遊技者に不利となる不利遊技状態(通常状態)が設定されるまでの期間を遊技者に把握させることができる。よって、現在設定されている有利遊技状態(例えば、確変状態)が終了するまでの期間、即ち、確変状態が終了して時短状態が終了するまでの期間を遊技者に報知する場合に比べて、遊技者に有利となる有利遊技状態が継続する期間を予め把握させることができるため、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
さらに、上述した第1制御例では、複数の有利遊技状態(確変状態、時短状態)のうち、より有利となる確変状態が継続する期間が、特別図柄抽選が50回実行される期間となるように予め規定しており、大当たり遊技が終了してから50回の特別図柄抽選が実行されるまでの期間において、現在設定されている遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを遊技者に示唆可能な示唆演出を実行可能に構成していた(図128(b)参照)。これにより、有利遊技状態が設定されている状態で、次に不利遊技状態が設定されるまでの期間を報知するパチンコ機10において、現在設定されている遊技状態が、複数の有利遊技状態のうち何れかであるのかを遊技者に予測させる楽しみを提供することができるものであった。
これに対して、本第4制御例のパチンコ機10では、大当たり遊技終了後に確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されると、特別図柄の高確率状態を低確率状態へと移行させるための抽選(所謂、転落抽選)を実行可能に構成し、転落抽選に当選した場合に、遊技状態を確変状態から時短状態へと移行させるように構成している。つまり、上述した第1制御例では、確変状態が設定されると、特別図柄抽選が50回実行されるまでは確変状態が継続するように構成していたが、本第4制御例では、特別図柄抽選が50回実行されるまでに転落抽選に当選してしまうと、その時点で確変状態が終了してしまうように構成している。
このように構成することで、有利遊技状態が設定されている期間において実行される示唆演出によって確変状態が設定されていると把握した場合であっても、いつまで確変状態が継続するのかを遊技者に分かり難くすることができるため、実行される示唆演出の内容をより注視させることができる。
また、本第4制御例では、有利遊技状態が設定されている期間に実行される示唆演出として、現在設定されている遊技状態の示唆だけでは無く、転落抽選に当選したことで確変状態が終了したタイミングも示唆可能に構成している。
<第4制御例の電気的構成について>
次に、図223から図226を参照して、本第4制御例の電気的構成について説明をする。本第4制御例は、上述した第1制御例に対して、特別図柄の高確率状態を低確率状態へと移行させる抽選(転落抽選)を実行可能に構成している点で大きく相違しており、転落抽選を実行するための構成を追加した点で相違している。
まず、図223を参照して、本第4制御例の主制御装置110のMPU201が有するROM202の構成について説明をする。図223は、第4制御例のパチンコ機10のROM202の内容を模式的に示した模式図である。図223に示した通り、本第4制御例のROM202は、上述した第1制御例のROM202(図139(a)参照)に対して、大当たり種別選択テーブル202dの内容の一部を変更した点と、新たに転落抽選テーブル202daを追加した点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
まず、大当たり種別選択テーブル202dの内容について、第1制御例との相違点を主に説明をする。本第4制御例では、上述した第1制御例に対して、第2特別図柄(特図2)の抽選で大当たり当選した場合に選択される大当たり種別の内容を異ならせており、詳細な内容については、図224(a)を参照して後述するが、大当たり当選時の遊技状態、及び、選択される大当たり種別に応じて時短カウンタ203hに設定される値、即ち、普通図柄の高確率状態が設定される期間を異ならせるように構成している。これにより、大当たり遊技終了後に設定される有利遊技状態(確変状態、或いは時短状態)が継続する期間の長さを異ならせることができる。よって、大当たり遊技の終了後に有利遊技状態が設定された場合に、有利遊技状態が継続する期間の長さを遊技者に把握され難くすることができる。そのため、有利遊技状態が継続する期間(不利遊技状態が設定されるまでの残期間)を遊技者に報知するための報知演出に対して興味を持たせることができる。
ここで、図224(a)を参照して、本制御例において第2特別図柄抽選(特図2抽選)にて大当たり当選した場合に大当たり種別を選択するための参照される特図2大当たり用2テーブル202ddの内容について説明をする。図224(a)は、特図2大当たり用2テーブル202dd2に規定されている内容を模式的に示した模式図である。
図224(a)に示した通り、特図2大当たり用2テーブル202dd2には、取得した第1当たり種別カウンタc2の値と、当選時の遊技状態と、に応じて、大当たり遊技終了後に設定される時短カウンタ203hの値を異ならせた大当たり種別が規定されている。つまり、大当たり当選時に選択された大当たり種別に応じて大当たり遊技終了後に設定される有利遊技状態(確変状態、或いは時短状態)が継続する期間の長さを異ならせている。
具体的には、大当たり種別として、取得した第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜29」の範囲には、当選時の遊技状態が通常状態、或いは時短状態である場合には「50」が、確変状態である場合には「100」が時短カウンタ203hの値として設定され、確変カウンタ203iの値として「50」を設定可能な「大当たりC」が、取得した第1当たり種別カウンタC2の値が「30〜69」の範囲には、当選時の遊技状態が通常状態、或いは時短状態である場合には「100」が、確変状態である場合には「90」が時短カウンタ203hの値として設定され、確変カウンタ203iの値として「50」を設定可能な「大当たりD」が、取得した第1当たり種別カウンタC2の値が「70〜99」の範囲には、当選時の遊技状態が通常状態、或いは時短状態である場合には「100」が、確変状態である場合には「100」が時短カウンタ203hの値として設定され、確変カウンタ203iの値として「50」を設定可能な「大当たりD」が規定されている。
なお、各大当たり種別に対応して実行されるラウンド遊技の内容、及び、特図2大当たり用2テーブル202dd2に規定されている確変カウンタ203iに設定される値の説明、エンディング期間(S)については、上述した特図2大当たりテーブル202d2と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
以上、説明をした通り、本第4制御例では、大当たり当選時に選択された大当たり種別と、大当たり当選時の遊技状態とに応じて、時短状態が継続する期間を異ならせており、例えば、大当たり種別として大当たりDが選択された場合には、大当たり当選時が時短状態であれば「100」が、確変状態であれば「90」が時短カウンタ203hに設定されることになる。よって、大当たりDが選択された場合に実行される大当たり遊技終了後に、第3図柄表示装置81の副表示領域Dsの小表示領域Ds2に表示される残期間報知態様の表示態様に応じて、前回大当たり当選した時点の遊技状態が確変状態であったのか、時短状態であったのかを遊技者に把握させることができる。
このように構成することで、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)よりも遊技者に有利となる有利遊技状態を複数種類有するパチンコ機10であって、現在設定されている遊技状態を具体的に報知すること無く、有利遊技状態が設定されていることのみを報知可能な報知演出が実行されるパチンコ機10において、有利遊技状態中に大当たり当選した場合に、どの遊技状態が設定されている状態で大当たり当選したのかを、事後的に遊技者が把握することが可能となる。よって、過去の遊技結果を基に、今後の遊技を予測させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本制御例では、図224(a)に示した通り、大当たり当選時に設定されている遊技状態に応じて時短カウンタ203hに設定される値を異ならせることにより、大当たり遊技終了後に表示される残期間報知態様(有利遊技状態が終了するまでの残期間を報知する態様)の表示内容によって大当たり当選時に設定されていた遊技状態を遊技者に予測させるように構成していたが、これに限ること無く、例えば、時短カウンタ203hに対して異なる値が設定された場合であっても、大当たり遊技終了後に表示される残期間報知態様の表示態様を共通化し(例えば「70」の表示)、有利遊技状態中における特別図柄抽選の実行回数が所定回数(例えば、10回)に到達した場合に、残期間報知態様の表示態様を、実際の時短カウンタ203hの値に対応させて可変表示するように構成しても良い。
このように構成することで、大当たり遊技が終了してから所定期間が経過した後に、前回の大当たり当選時に設定されていた遊技状態を遊技者に把握させることが可能となる。よって、有利遊技状態中において遊技者に対して、大当たり当選を目指す遊技と、過去に設定されていた遊技状態を把握する遊技と、を重複して実行させることができるため、遊技者に対して有利遊技状態中の遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。
また、本制御例では、大当たり当選時に設定されている遊技状態に応じて時短カウンタ203hに設定される値を異ならせることにより、大当たり遊技終了後に表示される残期間報知態様(有利遊技状態が終了するまでの残期間を報知する態様)の表示内容によって大当たり当選時に設定されていた遊技状態を遊技者に予測させるように構成していたが、大当たり当選時に設定されていた遊技状態を、遊技者に事後的に把握させることが可能なタイミングであれば、他のタイミングで示唆可能に構成しても良く、例えば、大当たり遊技中において実行される大当たり遊技演出によって、大当たり当選時に設定されていた遊技状態を遊技者に報知するように構成しても良い。この場合、大当たり当選時に設定されていた遊技状態を直接報知する演出を実行してもよいし、大当たり遊技終了後に設定される有利遊技状態の継続期間を示唆する演出を実行してもよい。
図223に戻り、説明を続ける。転落抽選テーブル202daは、後述する転落抽選カウンタCd1の判定値が記憶されているデータテーブルである。第1入球口64、または第2入球口640へ球が入球した際(始動入賞の際)に取得された転落抽選カウンタCd1の値が、転落抽選テーブル202daに規定されているいずれかの判定値と一致した場合に、特別図柄の低確率状態へと移行するように(転落するように)設定される。
ここで、図224(b)を参照して、転落抽選テーブル202daの内容について説明をする。図224(b)は、転落抽選テーブル202daの内容を模式的に示した模式図である。図224(b)に示したとおり、転落抽選テーブル202daには、特別図柄の確変状態において転落と判定される判定値として、「0,1」の2つの判定値が規定されている。ここで、転落抽選カウンタCd1は、「0〜999」の範囲で値が更新されるループカウンタである。転落抽選カウンタCd1の取り得る1000個の値のうち、転落と判定される判定値が2個存在するので、特別図柄の確変状態において、転落する(特別図柄の低確率状態へと移行する)確率は、1/500となる。
なお、本制御例における転落抽選テーブル202daには、特別図柄の確変状態において転落か否かを判定するための判定値(特別図柄の確変状態用の判定値)のみが規定されており、特別図柄の低確率状態用の判定値は規定されていない。既に特別図柄の低確率状態となっている場合において、特別図柄の低確率状態へと移行させるか否かを判定するのは処理の無駄だからである。
本制御例では、この転落抽選テーブル202daと、定期的に更新される転落抽選カウンタCd1とが比較されて、特別図柄の確変状態から特別図柄の低確率状態へと移行させる(転落させる)か否かが判定される。即ち、有利遊技状態のうち、最も遊技者に有利な有利状態である確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)から、有利遊技状態の1つではあるが、確変状態よりは遊技者に不利となる時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)へと移行するタイミングをランダムにすることができる。よって、遊技者に対して、確変状態がなるべく長く継続するように期待させながら遊技を行わせることができる。
なお、本制御例では、大当たり遊技終了後に、特別図柄の高確率状態の最大継続期間(50回)が確変カウンタ203iの値によって規定されており、その最大継続期間(50回)よりも、長い期間、普通図柄の高確率状態が継続するように構成している。つまり、転落抽選の抽選結果に基づいて、どのタイミングで特別図柄の高確率状態が低確率状態へと移行(転落)したとしても、普通図柄の高確率状態が設定されている状態となるように構成している。よって、遊技状態としては、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)から、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)へと移行することになるため、転落抽選に当選したタイミングを、普図当たり遊技の実行頻度によって遊技者に把握されることが無い。
このように構成されたパチンコ機10では、有利遊技状態中(普通図柄の高確率状態中)において、現在の遊技状態が確変状態であるか時短状態であるかを遊技者が把握困難となるため、大当たり当選時に設定されていた遊技状態を事後的に示唆する示唆演出の演出内容に対して遊技者に興味を持たせることができる。
本制御例では、特別図柄の高確率状態から特別図柄の低確率状態へと移行(転落)するか否かが抽選(判定)されていたが、他の状態へと移行することを抽選(判定)してもよい。例えば、普通図柄の高確率状態から普通図柄の低確率状態へと移行するか否かを、変動毎に実行される抽選により判別してもよい。これにより、有利遊技状態がいつまで続くのかをランダムとすることができるので、変動毎に有利遊技状態が継続することを願って遊技を行わせることができる。また、例えば、特別図柄の低確率状態から特別図柄の高確率状態へと移行するか否かを抽選可能に構成してもよい。
さらに、本制御例では、上述した転落抽選を特別図柄抽選が行われる毎に実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、特別図柄抽選が実行される特別図柄の種別に応じて、転落抽選の実行のし易さを異ならせても良く、例えば、普通図柄の高確率状態中に主として実行される第2特別図柄抽選が行われる場合のほうが、第1特別図柄抽選が行われる場合よりも転落抽選が実行され易くなるように構成しても良い。このように構成することで、第1特別図柄抽選が行われることに基づいて実行された転落抽選によって特別図柄の高確率状態が低確率状態へと移行してしまい、遊技者に有利な遊技を行わせ難くなることを抑制することができる。
また、転落抽選の実行タイミングにて、転落抽選の実行回数を決定する回数決定手段を設け、転落抽選の実行契機が成立した場合に実行される転落抽選の回数を異ならせるように構成しても良い。この場合、回数決定手段により決定される回数の範囲を「0〜5」とし、その平均値が1回となるように設計すると良い。このように構成することで、特別図柄抽選が実行される回数と、転落抽選が実行される回数とを乖離させることができるため、どのタイミングで特別図柄の高確率状態が低確率状態へと移行するのかをより分かり難くすることができる。なお、この場合、回数決定手段により決定された回数(転落抽選の実行回数)を、示唆可能な示唆手段を設け、遊技者に対して、転落し易い期間(回数決定手段により複数回が決定された期間)と、転落し難い期間(回数決定手段により0回が決定された期間)と、を示唆可能に構成すると良い。これにより、示唆手段による示唆内容に基づいて、転落の有無を予測しながら遊技を行うことができる。
さらに、本制御例では、特別図柄抽選の実行を転落抽選の実行契機としているが、これに限ること無く、例えば、普通図柄抽選が実行される場合に転落抽選を実行するように構成しても良いし、遊技盤13に設けられた特定の入賞口(例えば、一般入球口63)に球が入球した場合に転落抽選を実行するように構成しても良い。
次に、図225を参照して、本第4制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221が有するROM222、及びRAM223の内容について説明をする。本第4制御例は、上述した通り、転落抽選の機能を有している点で上述した第1制御例と相違している。そして、音声ランプ制御装置113にて設定される各種演出内容についても、転落抽選の結果に基づいた演出を実行可能に構成している点で相違している。それ以外の構成については同一であり、同一の内容については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図225(a)は、第4制御例におけるパチンコ機10のROM222の内容を模式的に示した模式図であって、図225(b)は、第4制御例におけるパチンコ機10のRAM223の内容を模式的に示した模式図である。
まず、図225(a)を参照して、ROM222の構成について説明をする。図2254(a)に示した通り、本第4制御例では、上述した第1制御例に対して、ボタン操作時演出選択テーブル222f(図148参照)に替えてボタン操作時演出選択2テーブル222dfを設けた点で相違しており、それ以外は同一である。同一の内容については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図226(a)を参照して、ボタン操作時演出選択2テーブル222dfの内容について説明をする。図226(a)は、ボタン操作時演出選択2テーブル222dfに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図226(a)に示した通り、本第4制御例では、上述した第1制御例に対して、大当たり遊技終了後に確変状態が設定される場合に参照されるデータテーブルを、確変状態選択テーブル223f2(図149参照)から確変状態選択2テーブル222df2に変更している点で相違し、それ以外は同一である。
ここで、図226(b)を参照して、確変状態選択2テーブル222df2に規定されている内容について説明をする。図226(b)は、確変状態選択2テーブル222df2に規定されている内容を模式的に示した模式図である。この確変状態選択2テーブル222df2は、上述した確変状態選択テーブル223f2(図149参照)と同様に、大当たり遊技終了後に確変状態が設定された場合において、操作演出として実行される演出態様を選択する際に参照されるデータテーブルであって、確変状態選択テーブル223f2(図149参照)に対して、操作演出の演出態様を選択する要因に転落抽選の抽選結果を追加した点、及び、転落抽選の抽選結果に基づく情報を示唆可能な演出態様を選択可能にした点、各演出態様の選択割合を一部変更した点で相違している。それ以外の内容は同一であり、同一の内容についてはその詳細な説明を省略する。
確変状態選択2テーブル222df2には、上述した確変状態選択テーブル223f2(図149参照)と同様に、遊技者が枠ボタン22(操作手段)を操作したタイミング、操作方法と、取得した演出カウンタ223fの値に加え、転落抽選の抽選結果に基づいて設定される短転落フラグ223daの設定状況に対応させて、操作演出として実行される演出態様が規定されている。この短転落フラグ223daの詳細については後述するが、転落抽選に当選したことにより、確変状態の継続期間が所定期間(例えば、特別図柄抽選回数が20回以内)であったことを示すためのフラグであり、確変状態が短期間で終了した場合にオンに設定されるものである。
確変状態選択2テーブル222df2のうち、短転落フラグ223daがオフに設定されている場合に参照されるエリアには、上述した確変状態選択テーブル223f2(図149参照)と同一の内容が規定されているため、詳細な説明を省略する。ここでは、短転落フラグ223daがオンに設定されている場合に参照されるエリアの規定内容について具体的に説明をする。
短転落フラグ223daがオンに設定されている場合は、操作タイミングが高速変動期間である第1期間(特図変動回数が1回〜20回の期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜149」の範囲には、操作演出が実行されないことを示す「無」が、「150〜189」の範囲には、実行中の変動演出がリーチ状態となるか否かを、第3図柄変動中に示唆する演出を示す「リーチ示唆」が、「140〜189」の範囲には、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」、「190〜198」の範囲は、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が規定されている。
また、操作タイミングが通常時短変動期間(第2期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜189」の範囲には、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が、「190〜198」の範囲には、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、現在設定されている遊技状態を示唆するための演出を示す「状態示唆」が規定されている。
そして、操作タイミングが特定期間(50回目の特別図柄変動中)の場合、操作方法、及び取得した演出カウンタ223fの値に関わらず、操作演出が実行されないように構成されている。最後に、操作タイミングが通常時短変動期間(第3期間)中で、操作方法が「通常押し」であって、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜189」の範囲には、背景モードを移行されることを示す「背景モード移行」が、「190〜198」の範囲には、前回の大当たり遊技終了後に確変状態が設定されたが、早期に転落抽選に当選してしまい時短状態へと移行したことを報知するための演出を示す「早期転落報知」が規定されている。また、操作方法が「長押し」の場合には、取得した演出カウンタ223fの値が「0〜198」の範囲に、過去(「チャンスモード」が設定された時点(大当たり遊技終了後))に設定されていた遊技状態を示唆するための演出を示す「過去状態示唆」が規定されている。
なお、本第4制御例における各種操作演出に対しても、上述した第1制御例同様に、今回実行される特別図柄変動に対する抽選結果だけでは無く、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報に基づいた操作演出を実行しても良く、例えば、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報を用いて、転落抽選に当選するタイミングを事前に判別し、その判別結果に基づいた操作演出を実行可能に構成しても良い。具体的には、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報を特別図柄抽選の実行順に読み出し、各入賞情報に含まれている転落抽選カウンタcd1の値を示す情報が、転落抽選に当選する値を示しているかを判別する。なお、この場合、音声ランプ制御装置113のROM222に転落抽選に当選する転落抽選カウンタcd1の値に対応する情報を予め記憶させておき、その記憶されている情報と、入賞情報に含まれている転落抽選カウンタcd1の値を示す情報と、に基づいて判別を実行するように構成すれば良い。
そして、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報のうち、特別図柄抽選の実行順が確定している入賞情報、即ち、第2特別図柄抽選が、第1特別図柄抽選よりも優先して実行される本制御例においては、第2特別図柄抽選に対する入賞情報に、転落抽選に当選することになる入賞情報が存在しない場合は、現在実行中の特別図柄変動の残変動時間と、入賞情報格納エリア223bに格納されている第2特別図柄抽選の入賞情報のそれぞれに対応する特別図柄変動の変動時間と、を算出する処理を実行し、転落抽選に当選し得ない期間、即ち、確変状態が継続する期間(最有利期間)を決定する。そして決定された最有利期間を遊技者に報知する最有利期間示唆の演出態様を操作演出として実行すれば良い。
このように構成することで、転落抽選に当選し得ない期間を遊技者に示唆(報知)することができるため、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。また、この最有利期間示唆の表示態様としては、最有利期間として結果された各変動時間の合計時間のうち、少なくとも一部の時間を表示するように構成すると良い。これにより、最有利期間が少なくとも継続する時間を遊技者に把握させることができる。また、最有利期間を時間で表示することにより、最有利期間中に特別図柄抽選を何回実行させることができるのかを遊技者に把握させ難くすることができるため、長い変動時間の変動パターンのほうが大当たり当選の可能性が高く設定されているパチンコ機10であっても、遊技者に対して、特別図柄変動の変動パターンとして短い変動時間が設定されることを期待させるという斬新な遊技性を提供することができる。
なお、上述したように、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報に基づいて操作演出を実行する場合には、遊技者が枠ボタン22(操作手段)を操作した直後から操作演出を実行するように構成しても良いし、遊技者が枠ボタン22(操作手段)を操作し、操作演出の演出態様が決定された状態において新たに特別図柄変動が開始されたタイミングで操作演出を実行するように構成しても良い。この場合、遊技者による枠ボタン22(操作手段)の操作を受け付けたことを遊技者に報知する報知手段と、操作演出が実行されるまでの待機期間中であることを報知するための報知手段と、を設けると良い。これにより、枠ボタン22を操作したにも関わらず、操作演出が実行されないことについて遊技者が不信感を覚えてしまうことを抑制することができる。なお、この最有利期間を報知する演出において、上述したように最有利期間を時間で表示するのでは無く、特別図柄変動の実行回数で表示するように構成しても良い。また、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報の中に、転落抽選に当選することを示す情報を有する入賞情報があると判別された場合には、転落抽選に当選し、特別図柄の高確率状態が低確率状態へと移行するまでの期間を算出し、転落抽選に当選することを示唆する演出や、特別図柄の高確率状態が終了するまでの残期間を示唆する演出を実行するように構成しても良い。
<第4制御例における制御処理内容について>
次に、図227から図229を参照して、本第4制御例における主制御装置110のMPU201が実行する制御処理内容のうち、上述した第1制御例とは異なる点について説明をする。本第4制御例のパチンコ機10は、上述した通り転落抽選の機能を有している点と、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態の継続期間を変更した点と、で上述した第1制御例のパチンコ機10とは相違しており、この相違点に関する制御内容が相違している。具体的には、上述した第1制御例のパチンコ機10における主制御装置の制御内容に対して、特別図柄大当たり判定処理(図158のS208参照)に替えて特別図柄大当たり判定処理5(図227のS258参照)を、先読み処理(図162のS613参照)に替えて先読み処理5(図228のS653参照)を、大当たり終了処理(図170のS1910参照)に替えて大当たり終了処理5(図229のS1960参照)を実行するように構成している点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
まず、図227を参照して、特別図柄大当たり判定処理5(S258)の内容について説明をする。図227は、特別図柄大当たり判定処理5(S258)の内容を示したフローチャートである。この特別図柄大当たり判定処理5(S258)が実行されると、上述した特別図柄大当たり判定処理(図158のS208参照)と同一のS301の処理を実行し、その後、確変カウンタ203iの値が0よりも大きいかを判別する(S351)。ここで、確変カウンタ203iの値が0よりも大きく無い、即ち、特別図柄の高確率状態では無いと判別した場合は(S351:No)、上述した特別図柄大当たり判定処理(図158のS208参照)と同一のS302〜S307の処理を実行し、本処理を終了する。
一方、S351の処理において、確変カウンタ203iの値が0よりも大きい、即ち、特別図柄の高確率状態であると判別した場合は(S351:Yes)、次いで、取得した転落抽選カウンタCd1の値と、転落抽選テーブル202daに規定されている値とを比較し(S352)、転落抽選に当選したか否かを判別する(S353)。
転落抽選に当選したと判別した場合は(S353:Yes)、確変カウンタ203iの値を0にリセットし(S354)、特別図柄の高確率状態が低確率状態へと移行したことを示すための転落コマンドを設定し(S355)、上述した特別図柄大当たり判定処理(図158のS208参照)と同一のS302〜S307の処理を実行し、本処理を終了する。なお、この場合、特別図柄の低確率状態が設定された状態で特別図柄抽選(S302)が実行される。一方、S353の処理において、転落抽選に当選していないと判別した場合は(S353:No)、S353〜S355の処理をスキップして、上述した特別図柄大当たり判定処理(図158のS208参照)と同一のS302〜S307の処理を実行し、本処理を終了する。なお、この場合、特別図柄の高確率状態が設定された常態で特別図柄抽選(S302)が実行される。
以上、説明をした通り、本第4制御例では、特別図柄抽選の実行条件が成立した状態(特別図柄大当たり判定処理5(図227のS258参照)が実行された状態)において、実際に特別図柄抽選を実行する前に、転落抽選を実行するように構成している。このように構成することで、転落抽選の抽選結果に応じた特別図柄抽選を即座に実行することができるため、遊技者に対して公正な遊技を提供することができる。
なお、転落抽選の実行タイミングと、特別図柄抽選の実行タイミングとを、本制御例とは異ならせるように構成しても良く、例えば、特別図柄抽選を実行した後に、転落抽選を実行するように構成しても良い。この場合、特別図柄の高確率状態が設定されている状態で特別図柄抽選が実行され、その直後に転落抽選が実行されることになるため、特別図柄の高確率状態で実行された特別図柄抽選の抽選結果が停止表示されるまでに(特別図柄変動が停止表示されるまでに)、転落抽選に当選し特別図柄の低確率状態が設定される事象が発生することになる。このような状態が発生した場合には、例えば、第3図柄表示装置81の表示面にて、現在実行中の特別図柄変動が、特別図柄抽選が高確率状態で実行された最後の変動となり、次回の特別図柄抽選が特別図柄の低確率状態で実行される旨を示すための転落報知演出を実行するように構成すると良い。このように構成することで、遊技者に対して実行中の特別図柄変動の結果をより注視させることができる。
また、本制御例では、転落抽選に当選すると、次に特別図柄抽選が実行されるよりも前に特別図柄の高確率状態を低確率状態へと移行させる処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、転落抽選に当選した場合に、特別図柄の高確率状態が継続する回数を2以上減算(確変カウンタ203iの値を2以上減算)したり、特別図柄の高確率状態中に実行され得る特別図柄抽選の残回数を所定回数(例えば、2回)にしたりするように構成しても良い。このように構成した場合であっても、転落抽選に当選したことにより、遊技者に最も有利となる遊技状態(確変状態)がいつまで継続するのかを遊技者に分かり難くさせることができるため、緊張感を持たせた遊技を行わせることができる。
本制御例では、転落抽選にて当選しなかった場合、即ち、特別図柄の高確率状態が継続した場合にて、その旨を遊技者に示唆、或いは報知するための演出を実行しないことで、特別図柄の高確率状態が継続する期間(継続している期間)を遊技者に分かり難く構成しているが、これに限ること無く、転落抽選にて当選しなかった場合の一部において、その旨を遊技者に報知するように構成しても良い。この場合、例えば、転落抽選テーブル202daに、当選(転落)と判定される転落抽選カウンタCd1の値だけでは無く、特定外れと判定される値(例えば、998,999)を規定しておき、当該値と判定した場合に、特定外れを示すコマンドを設定することで、遊技者に対して転落抽選の結果が特定外れであることを示すための演出を実行するように構成しても良いし、転落抽選の抽選結果が外れであることを示すためのコマンドを設定し、音声ランプ制御装置113側で転落抽選の抽選結果が外れであることを示すためのコマンドを受信した場合に、転落抽選の抽選結果が外れであることを示す演出を実行するか否かの抽選を行い、その抽選で演出を実行すると判別した場合に外れ演出を実行するように構成しても良い。
次に、図228を参照して、本第4制御例における先読み処理5(S653)の内容について説明をする。図228は、先読み処理5(S653)の内容を示したフローチャートである。この先読み処理5(S653)は、上述した第1制御例にて実行される先読み処理(図162のS613参照)に対して、特別図柄保留球格納エリア(第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b)に格納された各種カウンタを読み出す処理において、読み出される各種カウンタの種別を異ならせた点で相違し、それ以外は同一である。同一の処理内容については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
先読み処理5(S653)が実行されると、新たに特別図柄保留球格納エリア(第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b)に格納された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、転落抽選カウンタCd1、変動種別カウンタCS1を読み出し(S751)、その後、上述した第1制御例にて実行される先読み処理(図162のS613参照)と同一のS702〜S705の処理を実行し、本処理を終了する。
以上、説明をした通り、本第4制御例では、始動入賞処理(図161のS105参照)において、新たに特別図柄の抽選権利(特図保留)を獲得した場合に(特別図柄保留球格納エリアに新たな入賞情報を格納した場合に)実行される先読み処理5(S653)において、転落抽選カウンタCd1の値も読み出すように構成し、取得した転落抽選カウンタCd1の値も含む入賞コマンドを設定し、音声ランプ制御装置113へと送信可能に構成している。これにより、音声ランプ制御装置113側にて獲得済みの特図保留球の中に、転落抽選に当選する転落抽選カウンタCd1の値を示す情報が含まれているかを判別することが可能となる。よって、転落抽選に当選するまでの期間を示唆する示唆演出を実行可能にすることができる。
次に、図229を参照して、大当たり終了処理5(S1960)の内容について説明をする。図229は、大当たり終了処理5(S1960)の内容を示したフローチャートである。この大当たり終了処理5(S1960)は、上述した第1制御例の大当たり終了処理(図170のS1910参照)に対して、時短カウンタ203hの値を設定するための処理内容を異ならせている点で相違し、それ以外の内容は同一である。同一の内容については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
大当たり終了処理5(S1960)が実行されると、まず、上述した第1制御例の大当たり終了処理(図170のS1910参照)と同一のS2101,S2102の処理を実行し、その後、大当たり当選時の遊技状態と、大当たり種別とに対応する値を時短カウンタ203hに設定し(S2153)、今回設定した確変カウンタ203iの値、及び時短カウンタ203hの値に基づいて状態コマンドを設定し(S2104)、大当たり中フラグ203k、確変設定フラグ203mをオフに設定し(S2105)、本処理を終了する。
ここで、S2153の処理内容について詳細に説明をする。本制御例では、遊技状態格納エリア203gに、現在の遊技状態と、前回の大当たり当選時に設定されていた遊技状態と、大当たり当選した場合に選択される大当たり種別と、を一時的に記憶可能に構成している。そして、S2153の処理が実行される場合に、遊技状態格納エリア203gに記憶されていた大当たり当選時の遊技状態と、大当たり種別とを読み出し、大当たり種別選択テーブル202dに規定されている値を時短カウンタ203hに設定する。
本制御例では、大当たり終了処理5が実行される時点、即ち、大当たり遊技中のラウンド遊技が全て終了した時点で、時短カウンタ203hに設定する値を決定している。このように構成することで、大当たり遊技のラウンド遊技中に成立し得る設定条件、例えば、ラウンド遊技(Vラウンド遊技)中に特定領域(Vゲート65V)を通過した場合に成立する設定条件の成立の有無に応じて時短カウンタ203hに設定する値を異ならせることができる。
なお、本制御例で用いた構成に関わらず、例えば、大当たり遊技開始時、または当選した大当たり種別を選択する時点において、大当たり当選時における遊技状態に基づいた時短カウンタ203hの値を決定しておき、その決定内容に応じた値を大当たり終了処理5(S1960参照)にて設定するように構成しても良い。このように構成することで、大当たり遊技の期間中に大当たり当選時の遊技状態を示す情報を保持する必要が無くなるため、記憶容量の軽減化を図ることができる。
次に、図230、及び図231を参照して、本第4制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する制御処理内容のうち、上述した第1制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する制御処理内容と異なる点について説明をする。本第4制御例は、上述した第1制御例に対して、転落抽選を実行する点が大きく相違しており、音声ランプ制御装置113のMPU221にて実行される制御処理内容についても、転落抽選に関する処理を実行する点で相違している。
具体的には、コマンド判定処理(図175のS4112参照)に替えてコマンド判定処理5(図230のS4162参照)を実行する点で相違している。それ以外の内容は同一であるため、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
まず、図230を参照して、コマンド判定処理5(S4162)の内容について説明をする。図230は、コマンド判定処理5(S4162)の内容を示したフローチャートである。図230に示した通り、このコマンド判定処理5(S4162)では、上述した第1制御例のコマンド判定処理(図175のS4112参照)に対して、大当たり関連コマンドを受信していないと判別した場合に(S4217:No)、次いで、主制御装置110から転落コマンドを受信したか判別し(S4251)、転落コマンドを受信したと判別した場合に(S4251:Yes)、転落関連処理(S4252)を実行する点で相違している。なお、S4251の処理において転落コマンドを受信していないと判別した場合(S4251:No)、或いは、転落関連処理(S4252)を実行した後は、上述した第1制御例のコマンド判定処理(図175のS4112)と同一のS4219の処理を実行し、本処理を終了する。
次に、図231を参照して、コマンド判定処理5(図230のS4162参照)にて実行される転落関連処理(S4252)の内容について説明をする。図231は、転落関連処理(S4252)の内容を示したフローチャートである。この転落関連処理(S4252)は、主制御装置110にて実行される転落抽選(図227のS352,S353参照)において、転落抽選に当選したと判別された場合に設定される転落コマンド(図227のS355参照)を受信した場合に実行される処理であって、転落コマンドを受信したタイミング(特別図柄の高確率状態が終了したタイミング)を判別するための処理を実行するためのものである。
転落関連処理(S4252)が実行されると、まず、時短カウンタ203hの値を読み出し(S5501)、時短カウンタ203hの値が80以上であるかを判別する(S5502)。時短カウンタ203hの値は、大当たり遊技終了後に設定される時短回数(普通図柄の高確率状態中に実行可能な特別図柄抽選の回数)に対応する値がセットされ、特別図柄抽選が実行される毎に1減算されるものであるため、例えば、大当たり遊技終了後に時短回数100回がセットされた場合であれば、大当たり遊技終了後に実行された特別図柄抽選の回数が20回に到達するまでに転落抽選に当選したか否かが判別される。つまり、S5502の処理では特別図柄の高確率状態が設定されたにも関わらず、早期に転落抽選に当選した状態であるか否かが判別される。
S5502の処理において、時短カウンタ203hの値が80以上であると判別した場合は(S5502:Yes)、短転落フラグ223daをオンに設定し(S5503)、従状態設定エリア223gに時短状態を設定し(S5504)、本処理を終了する。一方、S5502の処理において、時短カウンタ203hの値が80以上では無いと判別した場合は(S5502:No)、S5503の処理をスキップしてS5504の処理を実行し、本処理を終了する。
S5503の処理にて短転落フラグ223daをオンに設定することにより、枠ボタン入力監視・演出処理(図186のS4107参照)において、チャンスモード中に枠ボタン22を操作したと判別し、確変状態選択2テーブル222df2(図226(b))を参照して演出態様を選択する場合に、短転落フラグ223daがオフに設定されている場合と異なるデータテーブルを参照して演出態様を選択することになる。よって、遊技者に対して、実行される操作演出の演出態様によって転落抽選の結果を事後的に把握させることができるため、演出効果を高めることができる。
<第2制御例における演出例について>
次に、図232を参照して、上述した第2制御例にて実行される第3図柄の変動演出のうち、副図柄fzの変動方向を主図柄szの変動方向とは異ならせて実行する演出である逆変動表示演出(図205(d)参照)の内容について説明をする。図232は、逆変動表示演出中に表示される表示内容の一例を示した模式図である。
上述した通り、第2制御例では、特別図柄の抽選結果を示すための識別情報が含まれる主図柄szと、その主図柄szとは異なる副図柄fzとを独立して表示制御可能に構成しており、例えば、図202(b)に示した通り、主図柄szの変動表示よりも先に副図柄fzを変動表示させて、その後、主図柄szが停止表示されるよりも前に副図柄fzを停止表示させることにより、主図柄szの停止表示位置のみを遊技者に報知するリーチライン予告演出を実行させることができるように構成している。それ以外にも、図205(d)に示した通り、特別図柄変動の開始タイミングに合わせて主図柄szの変動表示方向とは異なる方向へと副図柄fzを所定期間(3秒間)変動表示させる逆変動表示演出を実行可能に構成している。
この逆変動表示演出の内容について図232を参照して説明をする。まず、特別図柄抽選の結果を示すための変動パターンコマンドが、主制御装置110から送信される。そして、その変動パターンコマンドを音声ランプ制御装置113側で受信すると、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される変動演出の演出態様を決定するための処理(変動表示設定処理(図182のS4113参照))にて、主図柄szに対する演出態様(変動パターン)を決定処理が実行される。これにより、主制御装置110にて実行された特別図柄抽選の結果に基づいて、特別図柄の抽選結果を示すための識別情報(識別図柄)である主図柄szの演出態様を確実に設定することができる。よって、実際に実行された特別図柄抽選の結果とは異なる抽選結果を示すための主図柄szが停止表示されることを抑制することができる。
その後、音声ランプ制御装置113にて決定された主図柄szの演出態様に基づいて、副図柄fzの演出態様を設定するための処理が実行される。具体的には、主図柄szに対する演出態様として、リーチ状態となる演出態様が設定されたか否かが判別され、リーチ状態となる演出態様が設定されたと判別した場合に、副図柄fzの演出態様を選択する処理が実行される。なお、主図柄szに対する演出態様として、リーチ状態となる演出態様が設定されなかった場合は、主図柄szに対して設定された演出態様に対応する変動パターンが副図柄fzに対して設定されるように構成している。これにより、特別図柄の抽選結果に基づいて設定された演出態様(変動パターン)で変動表示される主図柄szと同期させて副図柄fzを変動表示させることができる。よって、主図柄szと副図柄fzとを、あたかも特定の順序に並んで配置されている図柄列として変動表示させているように遊技者に思わせることができる。
なお、上述した例では、主図柄szに対する演出態様がリーチ状態となる場合に、副図柄fzの演出態様を選択するための処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、リーチ状態のうち、特定のリーチ状態(例えば、スーパーリーチ状態)となる演出態様が設定された場合に、副図柄fzの演出態様を選択するための処理を実行するように構成しても良いし、主図柄szに対して設定された演出態様が非リーチ状態である場合の一部においても、副図柄fzの演出態様を選択するための処理を実行可能に構成しても良い。つまり、特別図柄抽選の結果が大当たりである可能性が高いことを示す演出態様で主図柄szの演出態様が設定された場合に、副図柄fzの演出態様が選択される処理を実行し易くなるように構成すれば良い。このように構成することで、副図柄fzとして通常の演出態様(主図柄szの演出態様に同期する演出態様)とは異なる演出態様が設定(実行)されただけで、遊技者に対して大当たり当選の期待感を持たせることができる。
また、上述した例では、副図柄fzの演出態様を選択する処理が実行されない場合には、主図柄szの演出態様に対応した演出態様(同期演出態様)が副図柄fzに対して設定されるように構成しており、副図柄fzの変動表示が主図柄szの変動表示と同期する変動演出が実行されるように構成している。これにより、第3図柄表示装置81の表示画面上では、主図柄szの変動表示に追従するように副図柄fzが変動表示されるため、上述した第1制御例における第3図柄の変動表示(図122(b)参照)と同一の変動表示が実行されることとなる。よって、遊技者に対して、複数の主図柄szと、複数の副図柄fzと、が、図122(b)に示した様に、所定の順序(1(主図柄sz)→三角印(副図柄fz)→2(主図柄sz)→・・・)を為す図柄列として変動表示制御されていると思わせることができる。
よって、主図柄szの演出態様と、副図柄fzの演出態様とを異ならせて設定した場合に、遊技者に意外性のある演出を提供することができるため、演出効果を高めることができる。また、主図柄szに対する演出態様を設定する処理と、副図柄fzに対する演出態様を設定する処理と、を異ならせているため、主図柄szと副図柄fzとが同期しないパターンで変動表示させる処理を容易に実行することができる。つまり、上述した第1制御例のように、全第3図柄(主図柄sz及び副図柄fz)に対して、演出態様(変動パターン)を設定するように構成しているパチンコ機10では、例えば、副図柄fzの変動表示態様のみを異ならせた演出態様(変動パターン)を設定する際に、全第3図柄(主図柄sz及び副図柄fz)を対象に、副図柄fzの変動表示態様のみを異ならせた演出態様(変動パターン)を設定する必要があるが、第2制御例のように主図柄szに対する演出態様と、副図柄fzに対する演出態様と、を独立して設定可能に構成することで、副図柄fzに対する演出態様のみを可変設定するだけで良く、第3図柄の演出態様を設定するための処理を軽減させることができる。
図232に戻り説明を続ける。副図柄fzの演出態様を選択する処理が実行されると、まず、特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否かが判別され、その判別結果を参照して、図示しない副図柄演出選択テーブルを用いて、副図柄fzの演出態様が選択される。ここで、副図柄演出選択テーブル(図示せず)には、特別図柄抽選の結果と、主図柄szに対して設定された演出態様と、に対応させて所定の割合で副図柄fzの演出態様が規定されている。具体的には、特別図柄の抽選結果が「大当たり」であって、主図柄szの演出態様として「ダブルリーチ」が設定された場合には、60%の割合で「リーチライン予告演出」が選択され、20%の割合で「逆変動表示演出」が選択され、20%の割合で「副図柄演出無し」が選択されるように規定されている。
また、特別図柄の抽選結果が「大当たり」であって、主図柄szの演出態様として「シングルリーチ」が設定された場合には、20%の割合で「リーチライン予告演出」が選択され、20%の割合で「逆変動表示演出」が選択され、60%の割合で「副図柄演出無し」が選択されるように規定されている。
さらに、特別図柄の抽選結果が「外れ」であって、主図柄szの演出態様として「ダブルリーチ」が設定された場合には、40%の割合で「逆変動表示演出」が選択され、60%の割合で「副図柄演出無し」が選択されるように規定されており、主図柄szの演出態様として「シングルリーチ」が設定された場合には、5%の割合で「リーチライン予告演出」が選択され、5%の割合で「逆変動表示演出」が選択され、90%の割合で「副図柄演出無し」が選択されるように規定されている。
このように規定された副図柄演出選択テーブル(図示せず)を用いて、「逆変動表示演出」が選択された場合には、次に、副図柄fzの表示態様を選択するための表示態様選択処理が実行される。この表示態様選択処理では、今回の第3図柄変動演出(副図柄fzの演出態様)に用いられる副図柄fzの表示態様を選択するための処理が実行されるものであって、特別図柄抽選の結果、及び、設定される大当たり種別に応じて副図柄fzの表示態様が選択される。なお、ここで選択され得る副図柄fzの表示態様は、上述した第2制御例において、図203(c)を参照して説明をした、表示制御装置114のキャラクタROM234が有するキャラクタ記憶エリア234a2に記憶されている表示態様となる。
つまり、音声ランプ制御装置113にて実行される表示態様選択処理において、副図柄fzの演出態様を特定するための表示用副図柄態様コマンド(表示用コマンド)が設定され、設定された表示用副図柄態様コマンド(表示用コマンド)を表示制御装置114が受信した場合に、キャラクタ記憶エリア234a2から対応する画像データを読み出す処理が実行される。
表示態様選択処理では、例えば、図203(c)に示した通り、副図柄fzの通常表示態様である「三角印」の表示態様SD1と、大当たり期待度が高いことを示す「泡」を模した表示態様SD2と、大当たり当選した場合に、遊技者に有利な有利大当たり遊技(16ラウンド遊技)が実行されることを示す「数字の16」を模した表示態様SD3とのうち、何れかの表示態様が選択されるように構成しており、今回の特別図柄抽選の結果が大当たりである場合のほうが、大当たり以外である場合(外れの場合)よりも、表示態様SD2を選択し易くなるように構成し、さらに、今回実行される特別図柄抽選の結果に基づいて有利大当たり遊技が実行される場合のほうが、有利大当たり遊技が実行されない場合(大当たり当選していない場合、大当たり当選しているが、有利大当たり遊技以外の大当たり遊技が実行される場合)よりも、表示態様SD3を選択し易くなるように構成している。
このように構成することで、副図柄fzに対して設定される演出態様と、副図柄fzに対して設定される表示態様と、の両方に対して遊技者に興味を持たせることができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
図232は、副図柄fzの演出態様として「逆変動表示演出」が実行され、副図柄fzの表示態様として「泡」を模した表示態様SD2が設定されている状態を示したものであって、図232の視点で左方向へと主図柄szが変動表示され、図232の視点で右方向へと副図柄fzが変動表示される「逆変動表示演出」が実行されている。このように、第3図柄表示装置81の表示面にて第3図柄(主図柄sz、副図柄fz)の変動表示として、主図柄szと副図柄fzとが逆方向へと変動表示されることで、遊技者に意外性のある変動演出を提供することができる。さらに、副図柄fzを用いた演出態様として、主図柄szの変動表示方向とは異なる変動表示方向に副図柄fzを変動表示させるため、遊技者に対して、副図柄fzの演出態様が通常とは異なる演出態様であることを遊技者に分かり易く報知することができる。
なお、図232に示した表示画面では、表示面に表示されている全ての副図柄fzが、上述した表示態様選択処理により選択された「泡」を模した表示態様SD2で表示されているが、これに限ること無く、複数の副図柄fzのうち、いずれかの副図柄fzの表示態様のみを可変させても良い。この場合、最終的に停止表示される主図柄szの近傍に配置される副図柄fzの表示態様のみを上述した表示態様選択処理により選択された表示態様へと可変させ易くなるように構成しても良い。これにより、副図柄fzの表示態様に基づいて、主図柄szの停止表示態様を予測させ易くすることができる。
加えて、図232に示した表示画面では、表示面に表示されている全ての副図柄fzの大きさが同一である例が表示されているが、副図柄fzの大きさ(拡大率)や、回転角度、半透明値などを異ならせて設定しても良い。この場合、各副図柄fzを表示するための表示データテーブル(図207参照)に規定する値を変更すれば良い。
また、図232では、第3図柄変動が開始されるタイミングで、副図柄fzの表示態様が通常の「三角印」の表示態様SD1から「泡」を模した表示態様SD2へと切り替わり、逆変動表示演出が実行される例を示しているが、これに限ること無く、第3図柄変動が開始されるよりも前のタイミングとして、前回の第3図柄変動が停止表示されてから、今回の第3図柄変動が開始されるまでの期間にて副図柄fzの表示態様を切り替えたり、今回の第3図柄変動が開始されてから停止するまでの期間にて副図柄fzの表示態様を切り替えたりしても良い。
なお、前回の第3図柄変動が停止表示されてから、今回の第3図柄変動が開始されるまでの期間にて副図柄fzの表示態様を切り替える処理を実行する場合には、例えば、先読み処理によって入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報に含まれるかを解析し、次に実行される特別図柄抽選(変動)が特定の抽選結果(例えば大当たり当選)となる場合において、停止表示されている副図柄fzの表示態様を可変させるように構成しても良い。この場合、次に実行される特別図柄抽選(変動)の抽選結果を示すための主図柄szの演出態様を設定するよりも前に、次に実行される副図柄fzの変動演出に用いられる表示態様が決定されることになる。このように、入賞情報格納エリア223bに格納されている入賞情報を用いることにより、特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄変動の演出態様に用いる各態様を遊技者に報知するタイミングを異ならせることができるため、遊技者に対して、実行される第3図柄変動演出に興味を持たせることができる。
また、今回の第3図柄変動が開始されてから停止するまでの期間にて副図柄fzの表示態様を切り替える処理を実行する場合には、第3図柄変動が開始される時点において副図柄fzを切替前の表示態様で表示しても良いし、表示態様を切り替える処理が実行された後に、副図柄fzを表示するように構成しても良い。
<大当たり遊技中に実行される切替弁の切替制御について>
上述した各制御例では、大当たり動作設定処理(図169のS1906参照)や、Vラウンド処理(図219のS2251参照)を用いて説明をした通り、特定のラウンド遊技(Vラウンド遊技)が開始されたと判別された場合に、切替弁65y(図120(b)、或いは、図213(b)参照)に対する制御処理を実行するように構成していた。つまり、実行される大当たり遊技が確変大当たり遊技である場合にのみ、特定のラウンド遊技(Vラウンド遊技)が実行されるように構成し、通常大当たり遊技である場合には、特定のラウンド(Vラウンド遊技)が実行されないように構成していた。このように構成することで通常大当たり遊技中に球がV入賞(特定領域(Vゲート65V)へと通過)することを抑制することができるものであったが、実行される大当たり遊技の種別に応じて、切替弁65yに対する制御処理の内容を可変させる必要があるため、大当たり遊技中の処理負荷を増大させてしまうという問題があった。
そこで、上述した各制御例にて用いられた切替弁65yに対する制御処理内容以外の制御処理を用いても良く、例えば、通常大当たり遊技においてもVラウンド遊技が実行されるが、そのVラウンド遊技を終了させる条件を確変大当たり遊技と異ならせ、Vラウンド遊技中に球が可変入賞装置65へと入賞し得ないように構成しても良い。また、上述したVラウンド処理(図219のS2251参照)が実行される第4制御例のように、Vラウンド遊技が実行されてからの球の入賞数に基づいて切替弁65yを切替制御する場合には、通常大当たり遊技においては、切替弁65yを切替制御するための球の入賞数を、Vラウンド遊技を終了させるための入賞数(例えば、10個)よりも多い数に設定することで切替弁65yの切替制御が実行されないように構成しても良い。
また、切替弁65yの制御内容(切替条件)を、確変大当たり遊技と、通常大当たり遊技とで同一に設定し、通常大当たり遊技の実行中に球が特定領域(Vゲート65V)を通過したとしても、その通過を有効に処理しないように構成しても良い。つまり、通常大当たり遊技中に球が特定領域を通過したとしても、その大当たり遊技中に特別図柄の高確率状態が設定されないように構成しても良い。
さらに、大当たり遊技の種別に関わらず、大当たり遊技が開始されてから(大当たり遊技のオープニング期間が設定されてから)、所定期間経過した場合に切替弁65yが所定期間の間、開状態となるように切替制御を実行し、大当たり遊技における開閉扉65bの開放パターンを大当たり遊技の種別に応じて異ならせるように構成することで、大当たり遊技種別毎のV入賞確率を異ならせるように構成しても良い。
上述した第2制御例、及び第2制御例の変形例では、主図柄szの演出態様(変動パターン)も、副図柄fzの演出態様(変動パターン)も、音声ランプ制御装置113にて設定(選択)するように構成しているが、これに限ること無く、表示制御装置114にて演出態様(変動パターン)を設定するように構成しても良く、この場合、特別図柄抽選の結果を示す主図柄szの演出態様のみ音声ランプ制御装置113にて設定し、副図柄fzの演出態様を表示制御装置114にて設定するように構成すると良い。
以上、第2制御例、及び第2制御例の変形例について説明をしたが、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される各種図柄を動的表示させる変動演出の演出態様を設定する場合において、動的表示される図柄の種別に対して独立して演出態様を設定し、独立して表示制御を実行するように構成するものであれば良く、上述した制御例にて示した構成以外の構成を用いても良い。
例えば、副図柄fzを表示するための表示画層を複数設け、図211を参照して上述した第2制御例の変形例のように、副図柄fzを重複させて変動表示可能に構成しても良い。
また、複数の表示画層を設け、各画層に対して表示の優先順位を設定し、第3図柄表示装置81の表示面において、各表示画層に表示される表示態様が重複した場合には、優先順位の高い画層に表示される表示態様が遊技者に視認可能となるように表示制御されていたが、これに限ること無く、例えば、優先順位が設定されない表示画層を設け、第3図柄表示装置81の表示面に複数の表示画層に表示された表示態様を重複させて表示するように構成しても良い。この場合、例えば、図232に参照した「逆変動表示演出」を実行する場合において、「三角印」の副図柄fzの中に、「泡」を模した副図柄fzが表示される重複副図柄が表示されるように表示制御(各副図柄の半透明値、拡大率を設定)し、副図柄fzの表示態様が「三角印」から「泡」へと可変することを事前に示唆可能な表示態様で表示するように構成しても良い。
以上、説明をした通り、上述した第1制御例、及び第4制御例では、遊技状態として通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)と、その通常状態よりも遊技者に有利となる有利遊技状態として、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)と、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)と、の2種類の有利遊技状態を設定可能に構成している。さらに、確変状態が終了した後に時短状態が設定されるように構成している。
そして、有利遊技状態が設定された場合には、次に、通常状態が設定されるまでの期間、例えば、確変状態が設定された場合には、確変状態の終了後に設定される時短状態が終了し、通常状態が設定されるまでの期間を有利遊技状態の継続期間として遊技者に報知可能に構成している。このように構成することで、現在設定されている遊技状態が終了するまでの期間では無く、遊技者に有利となる有利遊技状態が終了するまでの期間を遊技者に報知することができるため、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
加えて、複数の有利遊技状態が連続して継続する期間を1の有利遊技状態の継続期間として報知する場合において、第3図柄表示装置81にて実行される各種演出の内容及び実行頻度によって、現在設定されている詳細な遊技状態を遊技者に把握させることができるように構成している。このように構成することで、通常状態が設定されるまでの期間を把握しながらも、現在の遊技状態を予測しながら遊技を行わせることができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
また、上述した第1制御例、及び第4制御例では、複数の有利遊技状態のうち、遊技者により有利となる最有利遊技状態(確変状態)が先に設定され、その後、最有利遊技状態(確変状態)よりも不利となる通常有利遊技状態(時短状態)が設定されるように構成しているが、複数の有利遊技状態が連続して設定され得る構成であれば良く、例えば、遊技状態として、通常状態と、確変状態と、時短状態と、に加え、潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)も設定であって、確変状態よりも潜確状態のほうが遊技者に有利となるように構成したパチンコ機10では、特別図柄、或いは、普通図柄が高確率状態である遊技状態(確変状態、時短状態、潜確状態)が、遊技者に有利な有利遊技状態となる。そして、特別図柄の高確率状態が継続する期間を示す確変カウンタ203iの値のほうが、普通図柄の高確率状態が継続する期間を示す時短カウンタ203hの値よりも大きくなるように設定可能に構成する。
このように構成されたパチンコ機10にて、例えば、大当たり遊技終了後に確変状態として、確変カウンタ203iの値として「100」を、時短カウンタ203hの値として「50」を設定可能に構成することで、大当たり遊技終了後には、有利遊技状態として確変状態が設定され、その後、潜確状態が設定されることになる。このような場合であっても、上述した第1制御例、及び第4制御例のように、複数の有利遊技状態が連続して継続する期間、即ち、確変状態の後に設定される潜確状態が終了するまでの期間を1の有利遊技状態の継続期間として報知すると良い。また、この場合、有利遊技状態の継続期間中に、現在設定されている遊技状態が他の遊技状態へと移行する可能性があるか否かを遊技者に示唆可能な移行示唆演出を実行可能に構成すると良い。これにより、有利遊技状態中に他の遊技状態へと移行する可能性があることのみを遊技者に把握させることができるため、有利遊技状態中に実行される遊技の内容を、予測させる楽しみを提供することができる。さらに、有利遊技状態の継続期間中に、現在設定されている遊技状態が他の遊技状態へと移行する可能性がある場合において、移行後の遊技状態が遊技者により有利となる遊技状態であるか否かを示唆可能な有利移行示唆演出を実行可能に構成しても良い。さらに、有利遊技状態中に遊技状態が移行するタイミングを示唆する示唆演出を実行するように構成しても良い。このように構成することで、通常状態が設定されるまでの期間を把握しながらも、その期間内における遊技を楽しませることができる。
また、上述した第1制御例、及び第4制御例では、有利遊技状態中に大当たり当選した場合には、有利遊技状態が終了するように構成しているが、複数の有利遊技状態のうち、遊技者により有利となる最有利遊技状態(確変状態)が先に設定され、その後、最有利遊技状態(確変状態)よりも不利となる通常有利遊技状態(時短状態)が設定されるように構成しているため、有利遊技状態中に大当たり当選することにより遊技者に不利とならないが、例えば、複数の有利遊技状態のうち、遊技者により有利となる通常有利遊技状態(確変状態)が先に設定され、その後、通常有利遊技状態(確変状態)よりも遊技者に有利となる最有利遊技状態(潜確状態状態)が設定されるように構成したパチンコ機10では、通常有利遊技状態中に大当たり当選するよりも、大当たり当選すること無く、最有利遊技状態が設定される場合のほうが、遊技者に有利となり得る場合がある。
よって、有利遊技状態中に実行される特別図柄抽選の結果として大当たり当選することが遊技者に有利となる期間と、不利となる期間とを遊技者が識別可能な期間演出を実行するように構成すると良い。これにより、期間演出によって識別した内容に基づいて特別図柄抽選の結果を注視することができるため、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に設定される大当たり種別として、通常有利遊技状態中に設定されると遊技者に不利となる大当たり種別と、通常有利遊技状態中に設定されたとしても遊技者に不利とならない大当たり種別と、を有するパチンコ機10であれば、上述した期間演出の演出内容と、大当たり当選時に設定される大当たり種別とに基づいて、遊技者に有利な大当たり当選であるか否かを示唆する演出を実行するように構成しても良い。これにより、特別図柄抽選で大当たり当選を目指すだけの遊技では無く、大当たり当選するタイミングと、大当たり当選時に設定される大当たり種別と、に対しても遊技者に興味を持たせることができる。
上述した第1制御例では、大当たり遊技終了後に複数種類(2種類)の有利遊技状態(確変状態、時短状態)の何れかが設定されるように構成しているが、これに限ること無く、大当たり遊技終了後に通常状態が設定され得るように構成しても良い。このように構成することで、大当たり遊技終了後に有利遊技状態が設定されることを期待しながら遊技者に遊技を行わせることができる。
また、上述した第1制御例では、大当たり遊技中に実行される大当たり遊技演出の演出結果に応じて、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されたことを報知する演出モード(スーパーチャンスモード)と、大当たり遊技終了後に通常状態よりも遊技者に有利となる有利遊技状態(確変状態、或いは時短状態)が設定されたことを報知する演出モード(チャンスモード)と、を設定するように構成している。これにより、大当たり遊技中に実行される大当たり遊技演出において、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを報知したにも関わらず、大当たり遊技終了後にチャンスモードが設定されるという無意味な演出が実行されることを抑制することができる。
このように構成された第1制御例の技術に対して、例えば、大当たり遊技終了後に設定される演出モードを遊技者が任意に選択可能な演出モード選択手段を設け、予め、演出モード選択手段により任意の演出モードを選択可能にしておくことで、大当たり遊技中に実行される大当たり遊技演出の演出態様、及び、大当たり遊技終了後に設定される演出モードを、演出モード選択手段により選択された内容に対応させて設定するように構成しても良い。具体的には、演出モード選択手段により、大当たり遊技終了後に設定される演出モードとして、実際に設定される遊技状態を報知する「完全告知モード」と、有利遊技状態が設定されていることのみを報知する「チャンス告知モード」と、を選択可能に構成し、パチンコ機10にて特別図柄抽選が実行されていない期間において、遊技者が操作手段(枠ボタン22)を操作することで何れかの演出モードを選択可能に構成する。
遊技者により選択された演出モードを一時的に記憶する記憶手段を設け、その記憶手段に記憶された演出モードを識別可能な情報を第3図柄表示装置81の表示面の一部(例えば、副表示領域Ds)に表示しておき、現在設定されている演出モードを常に遊技者が識別可能に構成する。そして、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に、記憶手段に記憶されている演出モードを読み出す。例えば、記憶手段に「完全告知モード」が記憶されている場合には、大当たり遊技演出として、大当たり遊技中に球を特定領域(Vゲート)65vに通過させる(V入賞)ことを案内する演出としてV報知演出を実行し、実際に球が特定領域(Vゲート)65vを通過した場合には、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されることを示す表示態様でエンディング画面を表示し(図127(b),(d)参照)、通過しなかった場合には、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されることを示す表示態様でエンディング画面を表示する(図127(a),(c)参照)そして、大当たり遊技終了後に確変状態が設定された場合には、現在の遊技状態が確変状態であることを示す「スーパーチャンスモード」(図131(a)参照)が設定され、大当たり遊技終了後に時短状態が設定された場合には、現在の遊技状態が時短状態であることを示す「チャンスモード」(図128(a)参照)が設定される。このように構成することで、設定される遊技状態、及び、遊技状態を決定するための契機となるV入賞の有無を遊技者に確実に報知することができる。
一方、記憶手段に「チャンス告知モード」が記憶されている場合には、大当たり遊技演出として上述したV報知演出を実行しないようにし、大当たり遊技終了後には、設定される遊技状態に関わらず「チャンスモード」が設定される。このように構成することで、設定される遊技状態、及び、遊技状態を決定するための契機となるV入賞の有無を遊技者に報知すること無く、遊技を行わせることができる。なお、演出モード選択手段による演出モードの選択がされていない場合は、パチンコ機10の初期状態と同様に、記憶手段には「初期モード」が記憶されており、上述した第1制御例と同様に、大当たり遊技中にV報知演出を実行するか否かを抽選で決定し、その抽選結果に基づいた大当たり遊技演出を実行し、その大当たり遊技演出の演出結果に基づいて、大当たり遊技終了後の演出モードが設定される。
このように構成することで、遊技者が所望する任意の演出モードを違和感無く提供することができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。
さらに、パチンコ機10にて実行される各種演出を選択可能な手段として、チャンスモードが選択されている場合に実行される操作演出に対して選択される各種演出態様(図148参照)の選択割合を遊技者が任意に選択可能な演出頻度選択手段を設けても良い。具体的には、確変状態が設定されている場合と、時短状態が設定されている場合とで、選択される各種演出態様の選択割合を大きく乖離させたり、選択割合の相違を小さくさせたりすることができるように選択割合を遊技者が選択可能にする演出頻度選択手段を設けると良い。このような構成を用いた場合であっても、遊技者が所望する任意の演出モードを違和感無く提供することができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。
以上、説明をした第1制御例から第4制御例では、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に実行される大当たり遊技中に可変入賞装置65内に設けられた特定領域(Vゲート65V)を球が通過することで、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態(確変状態)が設定されるように構成されたパチンコ機10について説明をしたが、このように、遊技者に有利となる特典遊技が実行されている状態で球が特定領域を通過したことに基づいて特典遊技とは異なる特別遊技を遊技者に提供可能な構成として、例えば、特別図柄抽選で大当たり当選とは異なる抽選結果である小当たりに当選した場合に、特典遊技(大当たり遊技)とは異なる第2特典遊技(小当たり遊技)を実行可能にし、その第2特典遊技中に開放動作される可変入球手段(可変入賞装置65でも良いし、それ以外の入賞装置を別途設けても良い)に入球した球が通過し得る特定領域を設け、第2特典遊技中に球が特定領域を通過した場合に、第2特典遊技(小当たり遊技)の終了後に特典遊技(大当たり遊技)を実行可能な構成を用いても良い。
上記各実施形態では、主制御装置110において第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N)が更新される度(即ち、増加した場合や、減少した場合にそれぞれ)に、保留球数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110において第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N)が増加する場合だけ、保留数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する。また、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信された変動パターンコマンドを受信すると、特別図柄2保留球数カウンタ223bの値を1減らすように構成する。これにより、主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ保留数コマンドを送信する回数と、音声ランプ制御装置113が保留数コマンドを受信する回数とをそれぞれ減らすことができるので、主制御装置110および音声ランプ制御装置113の制御的負担を軽減することができる。
上記各実施形態においては、特図入球口64への入賞は最大4回まで、スルーゲート67の通過は最大1回まで保留されるように構成したが、最大保留球数はこれに限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。また、特図入球口64への入賞に基づく変動表示の保留球数を、第3図柄表示装置81の一部において、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしてもよく、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留球数を通知するように構成してもよい。
また、上記各実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。また、特別図柄の抽選結果を示すための第3図柄の動的表示の表示態様と、普通図柄の抽選結果を示すための装飾図柄の動的表示の表示態様と、を遊技者が識別困難となるように、例えば、表示制御装置114が有する共通の画像データを用いて各表示態様を設定するように構成しても良い。
上述した各実施形態では、遊技者に各図柄の抽選結果を示すための第3図柄表示を1つの表示手段(第3図柄表示装置81)にて実行しているが、それ以外の構成を用いてもよく、例えば、第3図柄のうち、遊技者に強調して表示される主図柄を表示する表示手段と、従図柄を表示する表示手段とで異なる表示手段を設けてもよい。また、表示手段の構成として、液晶ディスプレイ以外の構成を用いても良い。
上述した各実施形態では、遊技者に有利となる遊技状態(時短状態)の場合と、その時短状態よりも遊技者に不利となる遊技状態(通常状態)の場合とで、遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行されるように構成しているが、遊技状態に応じて異なる遊技盤13の狙う領域を異ならせるように構成しても良く、例えば、通常状態の場合は遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行され、時短状態の場合は遊技盤13の右側領域を狙う右打ち遊技が実行されるように構成しても良い、また、時短状態中に左打ち遊技を実行させ、通常状態中に右打ち遊技を実行させてもよい。
さらに、上述した各実施形態では、何れの遊技状態が設定されている場合も、大当たり遊技が設定されている場合も、遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行されるように構成しているが、これに限ること無く、時短状態が設定されている場合と、大当たり遊技中は右打ち遊技を実行させ、通常状態中のみ左打ち遊技を実行させるように構成しても良い。このように構成することで、実行させる遊技方法(右打ち遊技、左打ち遊技)に応じて遊技者に有利な状態であるか否かを遊技者に分かり易く理解させることができる。
上述した各実施形態では、遊技者が操作可能な操作手段として、遊技者が押下動作することにより、操作手段が操作されたことが判別される枠ボタン22を用いているが、それ以外の構成を用いてもよく、遊技者が左右または前後に傾倒させることで操作されたことを判別可能なレバー状に構成された操作手段や、遊技者が接触または近接したで操作されたことを判別可能なタッチセンサ式の操作手段や、所定の電波を発信することで操作されたことを判別可能な無線式の操作手段等を用いても良い。また、枠ボタン22を音声ランプ制御装置113に対して電気的に接続させており、枠ボタン22を、パチンコ機10にて実行される演出の演出態様を、遊技者の操作に基づいて可変させるための演出用操作手段として用いているが、枠ボタン22に対する遊技者の操作に基づいてパチンコ機10で実行される各種演出の演出態様を可変させることができれば良く、例えば、枠ボタン22を表示制御装置114に対して電気的に接続させても良いし、操作手段(枠ボタン22)からの出力信号を入力可能にし、表示制御装置114、音声ランプ制御装置113、音声出力装置226、ランプ表示装置227へと出力可能な演出設定信号を生成可能な制御装置を設けても良い。このように構成することで、演出用操作手段を複数設けた場合であっても、複数の演出用操作手段から出力される出力信号(操作信号)を集中管理することができるため、演出用操作手段への遊技者の操作に対する演出態様を円滑に設定することができる。
また、上述した第6実施形態では、役物当たり遊技の終了条件を選択するための切替ボタン群22z(切替ボタン22za、第1選択ボタン22zb、第2選択ボタン22zc)を設け、可動弁750や貯留装置(第1貯留装置770、第2貯留装置771)や第2枠ボタン(解除用ボタン)22b(1022b、1122b)や第3枠ボタン(解除用ボタン)22cの各動作制御の一部または全部を主制御装置110ではなく、音声ランプ制御装置113側で実行するように構成してもよい。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。また、大当たり抽選に係る確率の組み合わせ(通称、設定と称される)が複数段階設けられ、遊技店側で設定を変更することが可能に構成されているパチンコ機として実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしてもよい。
なお、複数段階の設定が設けられているパチンコ機としては、大当たり確率の組み合わせ(低確率状態における大当たり確率と、確変状態における大当たり確率との組み合わせ)を複数段階(例えば、6段階)のいずれかに設定することが可能なものが代表例として挙げられるが、これに限られるものではない。大当たり確率の組み合わせに代えて、又は加えて、例えば、大当たりとなった場合に決定される各大当たり図柄(各大当たり種別)の割合を、設定に応じて可変させることが可能なパチンコ機として実施してもよい。即ち、設定に応じて遊技者に有利な種別の大当たりが決定される割合を可変させたり、遊技者に不利な種別の大当たりが決定される割合を可変させたりしてもよい。より具体的には、例えば、ラウンド数が多い(例えば、16ラウンドの)大当たりが決定される割合を、設定に応じて可変させたり、ラウンド数が少ない(例えば、2ラウンドの)大当たりが決定される割合を、設定に応じて可変させたりすることにより、設定毎の有利度合いを可変させる構成としてもよい。また、例えば、大当たり終了後に多い時短回数(例えば、100回)が付与される大当たりが決定される割合を、設定に応じて可変させたり、少ない時短回数(例えば、0回)が付与される大当たりが決定される割合を、設定に応じて可変させたりしてもよい。更に、大当たり終了後に有利な遊技状態(例えば、確変状態)へと移行する(若しくは移行し易い)大当たりが決定される割合を、設定に応じて可変させたり、不利な遊技状態(例えば、通常状態)へと移行する(若しくは移行し易い)大当たりが決定される割合を、設定に応じて可変させたりしてもよい。また、特定の設定でのみ決定される割合が大幅に高くなる(他の設定ではほぼ決定されることがない)大当たり種別を設ける構成としてもよい。具体的には、例えば、設定を1から6の6段階で設定可能に構成しておき、最も有利な設定を設定6とする。そして、設定6では、大当たりとなった場合に2%の割合でラウンド数が6ラウンドの大当たりが決定される一方で、他の設定では0.01%の割合でしか6ラウンドの大当たりが決定されない構成としてもよい。このように構成することで、大当たりが6ラウンドで終了した時点で、最も有利な設定6である可能性が極めて高くなるので、遊技者に対して大当たりのラウンド数に注目して遊技を行わせることができる。また、これに代えて、又は加えて、例えば、設定6では、大当たり終了後に66回の時短回数が付与される大当たり種別となる割合が他の設定よりも高くなるように構成してもよい。このように構成することで、時短状態が終了する回数に注目して遊技を行わせることができる。また、これらに代えて、又は加えて、例えば、大当たり遊技の実行中に他の大当たり種別とは異なる作動パターンで大入賞口(若しくは大入賞口の内部の役物等)が作動する大当たり種別を設ける構成とし、当該大当たり種別が特定の設定で決定され易くなる(決定される割合が高くなる)ように構成してもよい。また、大当たりの確率の組み合わせを設定に応じて可変させる場合において、低確率状態では、遊技者に有利な設定であるほど大当たり確率を高くする一方で、確変状態では、遊技者に不利な設定であるほど大当たり確率を高くする構成としてもよい。本構成は、特に、確変状態において、特別図柄の抽選回数が多くなる程持ち球を増加させ易い(発射された遊技球の数よりも、払い出される賞球数の方が多くなり易い)タイプの遊技機において有効である。より具体的には、例えば、確変状態が次に大当たりに当選するまで継続する構成であり、且つ、確変状態では高確率で小当たりとなるタイプの遊技機に適用することで、高設定の優位性をより高めることができる。即ち、確変状態において大当たりとなる確率が低いと、次に大当たりとなるまでの抽選回数が多くなり易いので、小当たりとなって賞球を獲得する機会も多くなる。よって、確変状態になると、次に大当たりとなるまでの間により多くの賞球を獲得し易くなるので、遊技者にとって有利となる。
さらに、複数段階の設定を設定可能なパチンコ機10においては、設定されている設定値に基づいて、主制御装置110にて変動パターンを選択する際に参照される変動パターン選択テーブル202b(図142参照)の種別を異ならせたり、音声ランプ制御装置113にて第3図柄の変動パターン(変動演出)を選択する際に参照される変動パターン選択テーブル222aの種別を異ならせたり、変動演出として実行される詳細な演出態様を選択する際に参照される各種選択テーブルの種別を異ならせたりするように構成すると良い。このように構成することで、実行される変動演出の内容に応じて、パチンコ機10に設定されている設定値を予測することが可能となるため、遊技者が興味を持つ変動演出を実行することができる。
また、図148、或いは、図226を参照して上述した、操作演出の演出態様を選択する際に参照されるデータテーブルを、パチンコ機10に設定されている設定値に基づいて異ならせる場合には、操作演出の演出態様として、設定されている設定値を示唆するための「設定示唆」の演出態様を、各設定値に対して用いられる各データテーブルで選択割合が同一となるように規定しておき、「設定示唆」の演出態様で実行される操作演出の演出内容を、各設定値に応じて異ならせるように構成し、その他の演出態様の選択割合を設定値に応じて可変させるように構成すると良い。このように構成することで、設定値を直接示唆する「設定示唆」の操作演出が実行された場合には、その演出内容を、それ以外の操作演出が実行された場合には、各演出態様の選択割合を、複合的に把握することにより、パチンコ機10に設定されている設定値を予測することが可能となるため、実行される様々な操作演出に対して遊技者に興味を持たせることができる。
さらに、上述した通り、操作演出における各演出態様の選択割合は、設定されている遊技状態に応じても異ならせるように構成しているため、例えば、遊技者に不利となる設定「1」から遊技者に有利となる設定「6」までの6段階で設定値を設定可能なパチンコ機10において、設定「1」〜「3」が設定されており、且つ、遊技者に有利な第1遊技状態(確変状態)が設定されている場合に選択される操作演出の選択割合と、設定「4」〜「6」が設定されており、且つ、第1遊技状態よりも遊技者に不利な第2遊技状態(時短状態)が設定されている場合に選択される操作演出の選択割合とを同一にすることで、遊技者に不利となる設定値が設定されているパチンコ機10を遊技している遊技者に対しても、遊技者に有利となる設定値が設定されているのではと思わせることができる。
加えて、上述した第1制御例のように、第1遊技状態(確変状態)が設定されている場合と、第2遊技状態(時短状態)が設定されている場合とで、同一の演出モードである「チャンスモード」が設定されることで、遊技者に対して現在設定されている遊技状態を把握させ難くする構成を用いている場合には、上述した効果をより顕著にすることができる。また、上述した第1制御例のように、第1遊技状態が終了した後に第2遊技状態が設定されるパチンコ機10であって、実際に第1遊技状態が設定されていたか否かを判別困難にすることでより顕著に効果を奏することができる。
このように、パチンコ機10に設定されている設定値と、その他の遊技状況(大当たりの抽選結果、設定されている遊技状態、選択された変動パターン(変動時間))とに基づいて演出態様の選択割合を可変させるように構成することで、パチンコ機10に設定されている設定値を遊技者に容易に判別されてしまうことを抑制することができる。
また、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
上記した各実施形態、および各制御例について、その全部またはその一部を組み合わせて構成してもよい。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<経路構成手段を通る球が被通過手段の目隠しになるポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、を備え、前記経路構成手段は、所定方向視における、前記被通過手段の上流側で前記経路構成手段を流下する第1の遊技球の手前側で、その第1の遊技球の少なくとも一部と重なる位置に配置可能な変位可能手段を備えることを特徴とする遊技機A1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備え、球検出孔431付近が化粧板302によって認識し難く構成される遊技機がある(例えば、特開2017−185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、化粧板302により常に球検出孔431を認識し難く構成されているので、球検出孔431への入球を確認して遊技球の発射の継続または停止を行うという遊技態様に対応できず、遊技者が不満に感じる可能性があった。即ち、遊技球の発射操作と関連する部分において改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、経路構成手段において第1の遊技球の視認性を低下させる手段が所定の変位可能手段であるので、第1の遊技球が見え易い状態を構成可能とされる。従って、第1の遊技球が見え易い状態においては、第1の遊技球の流下を確認して、遊技球の発射操作の継続または停止の判断を行い易くなることから、遊技球の発射操作と関連する部分において改善することができる。
なお、所定の変位可能手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、別の遊技球でも良いし、遊技球の流下経路とガラスユニットとの間で変位可能に構成される装飾用部材でも良い。
なお、被通過手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、特定領域を構成する開口でも良いし、図柄の抽選に関わる入球口(例えば、始動口)でも良いし、賞球の払い出しに関わる賞球口でも良いし、遊技球が通過可能なその他の手段でも良い。
遊技機A1において、前記変位可能手段は、前記第1遊技球の上流側を流下する第2の遊技球であることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、被通過手段へ向けて案内される遊技球を利用して第1の遊技球の視認性を変化させることができるので、変位可能手段として他の装飾部材を用意する場合に比較して、材料コストや設計コストを低減することができる。
遊技機A2において、前記経路構成手段は、第1の遊技球の正面側に第2の遊技球を配置可能な前後幅長さで形成される前後方向経路を備えることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、第1の遊技球の正面側に、第2の遊技球を配置可能に前後方向経路が構成されるので、正面視において、第2の遊技球で第1の遊技球の少なくとも一部を隠すことができる。
遊技機A3において、前記前後方向経路は、前記第1の遊技球と前記第2の遊技球とが、発射装置に設定された発射間隔で前記経路構成手段を流下した場合に、前記第2の遊技球が前記第1の遊技球の少なくとも一部を隠すよう構成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、発射間隔のままで経路構成手段を複数の遊技球が流下した場合に、第1の遊技球を第2の遊技球で認識し難くする効果を奏することができる。これにより、認識し難い状況を平常時から生じさせることができる。
遊技機A3又はA4において、前記前後方向経路は、正面側構成部が、背面側構成部よりも遊技領域の中央側に配置されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A3又はA4の奏する効果に加え、被通過手段を見る遊技者の視線に沿う傾きを有する経路として前後方向経路を構成することができるので、第1の遊技球が第2の遊技球に隠される状態を生じ易くすることができる。即ち、目隠しの効果を向上させることができる。
遊技機A5において、前記正面側構成部は、被通過手段を見る遊技者の視線上に配置されることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、前後方向経路に配置される第1の遊技球と第2の遊技球との間隔の長短に関わらず、同様の目隠し効果を生じさせることができる。
即ち、通常であれば、第1の遊技球と第2の遊技球とが近接しているほど、目隠し効果を向上させることができると考えられるが、視線上に第1の遊技球および第2の遊技球が配置されている場合には、間隔の長短が及ぼす影響を無くすことができる。
遊技機A2からA6のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、第1の遊技球の正面側に第2の遊技球を配置可能な前後幅長さで形成される前後方向経路と、その前後方向経路の上流側で遊技球が左右方向に流下可能な左右幅で形成される左右方向経路と、を備えることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A2からA6のいずれかの奏する効果に加え、左右方向経路を流下する遊技球によっても遊技者の視線を遮ることができるので、遊技者が、被通過手段に対して左右に位置ずれしない視線で被通過手段を視認する場合に限らず、左右に位置ずれして、覗き見るような視線に対しても、目隠し効果を生じさせることができる。即ち、遊技者の視線の方向に寄らず、被通過手段への入球態様を認識し難くすることができる(全方位で目隠し効果を生じさせることができる)。
この作用は、前後方向に延びる流路の左右片側を壁部で封じることにより顕著に生じる。即ち、左右片側が壁部で封じられている構成では、左右片側においては壁部が目隠しとなるので、被通過手段への視界が通らない状態を構成し易くできる。
遊技機A1からA7のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、遊技球が前記被通過手段を第1の態様で通過する第1の流下経路と、遊技球が第2の態様で通過する第2の流下経路と、を備え、前記第1の遊技球が、前記経路構成手段のいずれの流下経路を流下するかに関わらず、前記所定の変位可能手段に少なくとも一部を覆われて視認され得るよう構成されることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A1からA7のいずれかの奏する効果に加え、被通過手段の通過の有無に関わらず、経路構成手段を流下する遊技球の流下態様を認識し難くし得るので、経路構成手段を流下する遊技球に対する注目力を向上させることができる。
なお、第1の態様や、第2の態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、球の流下方向が違う態様でも良いし、球が通過する検出センサが異なる態様でも良い。
遊技機A1からA8のいずれかにおいて、前記被通過手段の上流側において遊技球の流下方向を分ける分岐手段を備え、前記分岐手段は、受け入れた遊技球の流下方向を切り替える切替手段を備え、前記経路構成手段は、分岐手段で流下経路が分けられる遊技球であって前記切替手段に到達した遊技球が、所定区間は同じ経路を流下するよう構成されることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A1からA8のいずれかの奏する効果に加え、切替手段に到達した遊技球が所定区間は同じ経路を流下するので、切替手段に到達した遊技球が即座にその後の流下経路に対応した流下態様となる場合に比較して、遊技球の流下の把握を困難とすることができる。これにより、遊技球に対する遊技者の注目力を向上することができる。
遊技機A9において、前記経路構成手段は、流下する遊技球側に突設される突設部を備え、その突設部は、前記分岐手段における遊技球の分岐に作用することを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、突設部で遊技球の分岐に作用することができるので、例えば、弁体の移動により分岐を生じさせる場合に比較して、構造の耐久性を向上させることができる。
遊技機A10において、前記突設部は、所定方向に延びる第1突設部と、その第1突設部とは異なる方向に延びる第2突設部と、を備え、前記第1突設部の突設量と前記第2突設部の突設量とが異なるように構成されることを特徴とする遊技機A11。
遊技機A11によれば、遊技機A10の奏する効果に加え、遊技球の流下態様に応じて、第1突設部が遊技球に与える影響と、第2突設部が遊技球に与える影響とを異ならせることができる。これにより、固定の第1突設部および第2突設部を利用しながら、遊技球の流下態様に応じた所定のルールで遊技球を分岐させる作用を生じさせることができる。
<経路構成手段を通る球が被通過手段への導入をアピールするポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、を備え、前記経路構成手段は、前記被通過手段よりも上流側を構成する所定部を備え、その所定部は、前記被通過手段よりも目立つ側に配置され、前記被通過手段へ遊技球を案内可能に構成されることを特徴とする遊技機B1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備え、球検出孔431付近が化粧板302によって認識し難く構成され、大入賞部品300の状態の違いによって、化粧板302から外れた位置を遊技球が流下したり、化粧板302の後方に隠されるようにして遊技球が流下したりする遊技機がある(例えば、特開2017−185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、化粧板302から外れて流下する視認性の良い遊技球は、むしろ球検出孔431を逸れて流下するよう構成され、化粧板302の後方に隠されるように流下する遊技球の一部が球検出孔431に案内されるので、遊技球の見え易さの良し悪しと、遊技者が得られる利益の多少とが対応しておらず、遊技球に注目したことが無駄になり易いので遊技者が不満に感じる可能性があった。即ち、注目を集めた後の遊技球の流下態様を、注目する意義があるものにするという点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機B1によれば、目立つ側に配置される所定部を流下した遊技球が、被通過手段へ案内可能に構成されていることから、遊技球に対する注目力の向上度合いと、遊技球が被通過手段を通過することとを対応づけることができる。従って、所定部を流下した遊技球が被通過手段を通過する可能性を向上させることができるので、注目を集めた後の遊技球に注目する意義があるという点で改善することができる。
また、このように構成することで、所定部を流下する遊技球で遊技者の視線を誘導し易くすることができ、被通過手段に遊技球が向かうことを遊技者が見逃す可能性を低くすることができる。
なお、被通過手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、特定領域を構成する開口でも良いし、図柄の抽選に関わる入球口(例えば、始動口)でも良いし、賞球の払い出しに関わる賞球口でも良いし、遊技球が通過可能なその他の手段でも良い。
なお、目立つ側の態様は何ら限定されるものではない。例えば、遊技者の目を引き易い表示装置側でも良いし、入賞口側や始動口側でも良いし、遊技者にとって視認し易い前方側(手前側)でも良いし、特定の入球口への入球確率が際立って高くなる箇所として視線が集まり易い部分としてのステージ(主に、センターフレームにより形成される枠の下縁部において遊技球を一時滞留させる箇所)側や、大当たり獲得に直結するV入賞口側や、操作対象としての球貸し装置側や、演出操作ボタン側や、入球口から逸れた遊技球が流下する範囲(遊技者が、悔しくてついつい目で追ってしまう範囲)側や、発光手段での明暗での切替として明るい側や、その他の側でも良い。また、目立ちがたい側を敢えて形成し、相対的に目立たせるようにしても良い。
遊技機B1において、前記経路構成手段は、その経路構成手段へ入球した遊技球を、入球時よりも目立たなくする第2所定部を備え、前記所定部は、前記第2所定部よりも目立つ側に配置されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、経路構成手段に入球した遊技球が所定部を流下する前に、第2所定部において注目力を下げることで、所定部を流下する際の遊技球の注目力を際立たせることができる。
遊技機B1又はB2において、前記所定部は、遊技球の流下速度が異なる区間を備えることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B1又はB2の奏する効果に加え、遊技球の流下速度に差が無い場合に比較して、遊技者の視線を集める効果を向上することができる。
遊技機B3において、前記所定部を流下する遊技球の第1流下速度よりも、前記第2所定部を流下する遊技球の第2流下速度の方が高速となるよう構成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、経路構成手段に入球した遊技球が所定部に到達するまでの期間を短縮することができる。
遊技機B1からB4のいずれかにおいて、前記所定部は、所定方向視における遊技球の変位速度が異なる区間を備えることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B1からB4のいずれかの奏する効果に加え、実際の遊技球の流下速度の大小に関わらず、所定方向視における見かけ上の遊技球の変位速度が異なる区間を構成することができるので、任意の所定箇所において所定方向視における遊技球の変位速度を小さくすることにより、遊技者の視線を所定箇所に容易に集め、その他の部分から目を逸らさせることができる。
なお、見かけ上の遊技球の変位速度を異ならせる態様は何ら限定されるものではない。例えば、正面視において前後方向と直交する平面に配置される直線上を変位する場合と、前後方向成分を有する直線上を変位する場合とでの異なりでも良いし、直線上を変位する場合と、曲線状または蛇行状に変位する場合とでの異なりでも良いし、その他の異なりでも良い。
遊技機B1からB5のいずれかにおいて、前記経路構成手段へ遊技球を導入可能に構成される導入手段を備え、前記所定部は、所定方向視において前記導入手段の外方に配置されることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B1からB5のいずれかの奏する効果に加え、導入手段の視認性を確保することができる。従って、導入手段の視認性の確保と、被通過手段を通過する可能性の高い遊技球の注目力の向上とを両立させることができる。
遊技機B1からB6のいずれかにおいて、前記経路構成手段の正面側における遊技球が、前記被通過手段へ向けた視線または前記所定部を避けるよう流下するように構成する回避手段を備えることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B1からB6のいずれかの奏する効果に加え、経路構成手段の正面側において遊技球が流下可能に構成され、遊技球の流下経路が被通過手段へ向けた視線を避けるようにするための回避手段を備えているので、遊技領域の大きさの確保と、被通過手段へ向けた遊技球の視認性の確保と、を両立させることができる。
なお、回避手段の影響を受けた遊技球の流下態様は、何ら限定されるものではない。例えば、被通過手段の正面位置を避けて流下するものでも良いし、被通過手段と遊技者の目の位置とを結ぶ直線を避けて流下するものでも良いし、被通過手段へ向かう遊技球を遊技者が確認できる最後の位置を基準として、その位置の正面位置を避けて流下するものでも良いし、上述の最後の位置と遊技者の目の位置とを結ぶ直線を避けて流下するものでも良いし、その他でも良い。
遊技機B7において、前記経路構成手段は、流下する遊技球を受け入れ可能な受入状態と受入不能な非受入状態とで状態変化可能に構成される受入状態変化手段を備え、その受入状態変化手段は、前記受入状態から前記非受入状態への状態変化において、前記受入状態において受入状態変化手段に到達していた遊技球を経路構成手段側へ案内可能に構成されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B7の奏する効果に加え、受入状態変化手段に到達してから橋渡しされるように流下した遊技球が、被通過手段へ向けた視線を遮ることを防止することができる。
遊技機B7又はB8において、正面視で前記被通過手段の上方に配設され、遊技領域を区画する区画手段を備え、その区画手段は、遊技球が左右外側を流下可能に構成されることを特徴とする遊技機B9。
遊技機B9によれば、遊技機B7又はB8の奏する効果に加え、区画手段によって、被通過手段の正面位置を遊技球が流下する事態を避けることができるので、被通過手段へ向けた視界を確保し易くすることができる。
なお、区画手段の態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、遊技球の流下面を構成する板状部でも良いし、遊技球が入球可能な入球口構成手段でも良い。また、区画手段は、形状(外観)固定の手段でも良いし、形状(外観)可変の手段でも良い。
遊技機B9において、前記経路構成手段は、流下する遊技球を受け入れ可能な受入状態と受入不能な非受入状態とで状態変化可能に構成される受入状態変化手段を備え、前記区画手段の前記受入状態変化手段側の部分が、遊技球を前記受入状態変化手段側へ案内し易く構成されることを特徴とする遊技機B10。
遊技機B10によれば、遊技機B9の奏する効果に加え、受入状態変化手段へ受け入れられる途中の遊技球を、区画手段によって受入状態変化手段へ押し込む態様で受け入れさせるよう構成することができる。これにより、受け入れられる途中の状態で横滑りした遊技球が、受入状態変化手段から逸れて被通過手段の正面側を落下する事態の発生を避け易くすることができる。
例えば、受入状態変化手段として、左右方向軸で傾倒変位する開閉板を備える特別入賞装置が想定され、区画手段として特別入賞装置の特別入賞口の上方に配置される第1入賞口が想定される。開閉板の閉鎖間際に特別入賞口に到達した遊技球は、しばしば、開閉板の回動先端と、開閉板に蓋をされる開口の縁部との間に挟まれ、縁部の形成方向(開閉板の回動軸方向)に横滑りする。
横滑りした後の遊技球は、開閉板の回動先端の形成範囲のいずれの位置にも到達し得るので、開閉板の少なくとも一部が被通過手段の上方に配置される場合には、横滑りした後の遊技球が正面側に落下した後で被通過手段の正面位置を通過する可能性があり、横滑りした後の遊技球を正面側に落下させるべきでは無い。
横滑りした後の遊技球の正面側への落下を回避できない場合には、被通過手段の正面視上位置を避けて開閉板を配置する必要が生じるので、開閉板の設計自由度が低下することになる。
これに対し、遊技機B10によれば、横滑りした後の遊技球が開閉板の正面側へ落下することを回避し易くすることができ、開閉板の設計自由度を向上することができる。
遊技機B7からB10のいずれかにおいて、前記経路構成手段を流下する遊技球と、前記経路構成手段の正面側を流下する遊技球とが、類似の流下態様で流下するよう構成されることを特徴とする遊技機B11。
遊技機B11によれば、遊技機B7からB10のいずれかの奏する効果に加え、経路構成手段を流下し被通過手段を通過する可能性のある遊技球と、経路構成手段の正面側を流下し被通過手段を通過しない遊技球と、を区別し難くすることで、経路構成手段を流下する遊技球の個数を判別し難くすることができる。
換言すれば、経路構成手段に遊技球が入り易い場合と、入りにくい場合とを、経路構成手段付近を流下する遊技球から判別することを困難とすることができる。
遊技機B1からB11のいずれかにおいて、前記所定部を流下する球の後側から光を照射する発光手段を備えることを特徴とする遊技機B12。
遊技機B12によれば、遊技機B1からB11のいずれかの奏する効果に加え、所定部を流下する球の前側が光で反射し、球が見え難くなることを回避し易くすることができる。
<V通口への経路長さを省スペースで確保するポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、遊技球が前記被通過手段に流下可能な第1状態とその第1状態とは異なる第2状態とで切り替え可能に構成される状態切替手段と、を備え、前記経路構成手段は、遊技球の上下方向の変位を遅らせる遅延手段を備え、その遅延手段により遊技球を前記被通過手段へ向けて流下可能に構成されることを特徴とする遊技機C1。
パチンコ機等の遊技機において、第2大入賞口12に入球した遊技球の流下経路に左右に移動可能に構成される振分部75が配設され、振分部75の配置によって遊技球の流下方向を変化可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2014−155538号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、特定領域73への誤入賞や振分部75による球かみを防止するための振分部75の短期間動作が不可欠とされており、遊技者によっては振分部75の挙動を不信と感じ、安心して遊技を継続できない場合があった。
この解決のための手段の一例として、第2大入賞口12から振分部75までの流路長さを長くすることが想定される。例えば、振分部75の配置を、第2大入賞口12の真下から、遊技領域の左右中央部付近(第1大入賞口10付近)の位置に変えることで、第2大入賞口12から振分部75までの流路長さを長く確保することができる。これにより、特定領域73への誤入賞の可能性を低くすることができると考えられる。
一方、この手段を実行すると、第2大入賞口12から第1大入賞口10までの広範囲に亘って遊技球の流下経路の視認性を確保する必要が生じ、この範囲において遊技領域の設計自由度が制限される。即ち、特定領域73への誤入賞を回避するために、遊技領域の設計自由度が広範囲で制限されるという問題点があった。
換言すれば、遊技領域の設計自由度を高く維持しつつ、遊技球の誤入球を回避するという観点から改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、経路構成手段が所定の遅延手段を備えることから、正面視における経路構成手段の上下長さを短くし省スペースに抑えた場合でも、経路構成手段に入球した遊技球が被通過手段を通過するまでに経過する時間を長く確保することができる。
そのため、被通過手段への遊技球の入球の可否を切り替えるために状態切替手段を作動させる必要が生じるタイミングを経路構成手段への遊技球の入球から所定時間後にすることができるので、経路構成手段への入球の可否を切り替える開閉装置を短期間動作させることなく、誤入賞を回避することができる。そのため、開閉手段が慌ただしく動作しているという印象を遊技者に与えることを回避することができる。これにより、遊技領域の設計自由度を高く維持しつつ、遊技球の誤入球を回避することができる。
なお、遅延手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、流下経路に減速用の凸部を構成する態様でも良いし、前後方向成分を有する流下経路で遊技球を流下させる所定の流下経路を備える態様でも良い。
遊技機C1において、前記遅延手段は複数の所定の流下経路を備え、その所定の流下経路は、正面側へ向かう流下経路の方が、背面側へ向かう流下経路に比較して、流下する遊技球の加速度が大きくなるよう構成されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、所定の流下経路を流下する遊技球を遊技者に視認させる期間を長く確保することができる。
なお、遊技球の加速度の違いを生じる原因については、何ら限定されるものではない。例えば、所定の流下経路の水平面に対する傾斜の大小でも良いし、所定の流下経路の遊技球側の面形状の設計でも良い。
遊技機C1又はC2において、前記遅延手段は複数の所定の流下経路を備え、その所定の流下経路は、正面側へ向かう流下経路の方が、前後位置を維持して流下する流下経路に比較して、流下する遊技球の加速度が大きくなるよう構成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C1又はC2の奏する効果に加え、手前側を流れる遊技球を遊技者に視認させる期間を長く確保することができる。これにより、所定の流下経路を流下する遊技球に対する遊技者の注目力を向上させ易くすることができる。
なお、遊技球の加速度の違いを生じる原因については、何ら限定されるものではない。例えば、所定の流下経路の水平面に対する傾斜の大小でも良いし、所定の流下経路の遊技球側の面形状の設計でも良い。
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記遅延手段は複数の所定の流下経路を備え、その所定の流下経路は、所定方向視で前記被通過手段の手前に配置される手前位置を遊技球が通るように構成されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C1からC3のいずれかの奏する効果に加え、手前位置に遊技球が配置された場合に、被通過手段付近の視認性を低下させることができる。これにより、被通過手段付近の範囲に対する注目力を向上させることができる。
遊技機C4において、前記手前位置を複数個構成可能とされることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、複数の手前位置に遊技球が配置されることにより、手前側の遊技球によって奥側の遊技球の少なくとも一部を隠すことができる。被通過手段は奥側の遊技球よりも背面側に配置されているので、被通過手段へ向けた視界を複数の遊技球で遮ることができ、被通過手段の視認性を低下させることができる。
この場合、所定の流下経路への遊技球の入球間隔が短い場合、手前位置のいずれかに常に遊技球が配置される状態を構成可能となるので、被通過手段を視認不能な状態を構成可能となる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、上面視で渦を巻く態様で視認されるように形成されることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかの奏する効果に加え、同じ長さの経路構成手段を配設するために要する上下幅を短くすることができる。
また、折り返し経路が形成される場合に比較して、経路壁の厚みを薄くする必要が無いので、流路の強度を向上することができるし、180度で折り返される折り返し経路に比較して、球の詰まり等が生じる可能性を低くできる。
遊技機C1からC6のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、前後方向に延びる前後流路部を備えることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C1からC6のいずれかの奏する効果に加え、経路構成手段の左右幅を抑えられるので、左右対称で一対の経路構成手段を抑えられた左右幅で構成することができる。
遊技機C1からC7のいずれかにおいて、前記被通過手段は、前記経路構成手段の球受入部を基準として、斜め下後方に配置されることを特徴とする遊技機C8。
遊技機C8によれば、遊技機C1からC7のいずれかの奏する効果に加え、正面側から視認する遊技者の視界に被通過手段と経路構成手段の球受入部とを収め易くすることができる。
遊技機C1からC8のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、遊技球を受け入れ可能に構成される第1受入手段と、その第1受入手段とは異なる手段であって遊技球を受け入れ可能に構成される第2受入手段と、を備え、前記第1受入手段および前記第2受入手段の遊技球の受入態様により、遊技者が得られる利益が変化するように構成されることを特徴とする遊技機C9。
遊技機C9によれば、遊技機C1からC8のいずれかの奏する効果に加え、第1受入手段および第2受入手段が遊技球を常時受入可能に構成されており、更に、第1受入手段および第2受入手段の遊技球の受入態様により遊技者が得られる利益が変化するので、遊技球に対する注目力を向上させることができる。
なお、遊技球の受入態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、第1受入手段に限定して遊技球が受け入れられる態様でも良いし、第2受入手段に限定して遊技球が受け入れられる態様でも良いし、第1受入手段に所定個数受け入れられ第2受入手段に所定個数受け入れられる態様でも良い。また、各受入手段に対する入球の頻度が異なる態様でも良いし、入球位置が異なる態様でも良い。
遊技機C9において、遊技者が得られる利益の変化は、前記第1受入手段または前記第2受入手段の片方に限定して遊技球が受け入れられるか、前記第1受入手段および前記第2受入手段の両方に遊技球が受け入れられるかにより生じることを特徴とする遊技機C10。
遊技機C10によれば、遊技機C9の奏する効果に加え、遊技者が得られる利益の大小の設定の仕方により、遊技者が、遊技球を所定の発射態様で打ち出し易いようにすることができる。
なお、遊技者が得られる利益としては、何ら限定されるものではない。例えば、流下する遊技球の認識し易さでも良いし、流下する遊技球により得られる遊技に関連する利益(賞球の払い出し、大当たりの獲得、大当たり終了後の遊技状態が確変状態となること、遊技状態が通常状態になること(転落すること)等)でも良い。
遊技機C9又はC10において、前記経路構成手段は、第1受入手段および第2受入手段から前記被通過手段までが左右対称で構成されることを特徴とする遊技機C11。
遊技機C11によれば、遊技機C9又はC10の奏する効果に加え、左右どちらを主にして遊技球を発射しても、遊技者が不利益を被る可能性を低くすることができる。
遊技機C9からC11のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、流下する遊技球を受け入れ可能な受入状態と受入不能な非受入状態とで状態変化可能に構成される受入状態変化手段を備え、前記受入態様は、前記受入状態変化手段の形状または状態変化の態様により変化することを特徴とする遊技機C12。
遊技機C12によれば、遊技機C9からC11のいずれかの奏する効果に加え、受入状態変化手段の形状または状態変化の態様により受入態様が変化するので、遊技球の発射に関する遊技者の技術の熟練度が遊技者の得られる利益に与える影響を低くすることができる。
遊技機C12において、前記受入状態変化手段の状態変化の態様が、複数種類で構成されることを特徴とする遊技機C13。
遊技機C13によれば、遊技機C12の奏する効果に加え、一定の発射態様で遊技球が発射されている場合であっても、第1受入手段および第2受入手段への遊技球の受入態様を変化させることができる。これにより、受入状態変化手段の状態変化の態様から、遊技者が得られる利益を調整することができる。
<球の流下方向と平行に移動する開閉部材についてのポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、前記経路構成手段へ遊技球を導入可能な導入状態と前記経路構成手段へ遊技球を導入不能な非導入状態とで状態変化可能に構成される状態切替手段と、を備え、前記状態切替手段は、前記状態変化において生じる変位の方向が、遊技球の流下方向に沿うように構成されることを特徴とする遊技機XA1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備える遊技機がある(例えば、特開2017−185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、遊技球の流下方向と大入賞部品300の開閉板の開閉方向とが略直角方向であり、開閉が遊技球の転動に関与することなく開閉動作が完了することから、開閉板(状態切替手段)の役割について改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機XA1によれば、状態切替手段の変位の方向が、遊技球の流下方向に沿うように構成されるので、遊技球が状態切替手段に近接または当接している状態で状態切替手段の変位を生じさせることで、遊技球の転動態様を変化させるように影響させることができる。これにより、状態切替手段の役割を改善することができる。
例えば、遊技球が左方へ流下している際に、その遊技球が上に乗った状態で状態切替手段を右方にスライド移動させることで、遊技球に対して転動回転の順方向に回転させる負荷を与えることになるので、遊技球を加速させることができる。
また、逆に、遊技球が左方へ流下している際に、その遊技球が上に乗った状態で状態切替手段を左方にスライド移動させることで、遊技球に対して転動回転の逆方向に回転させる負荷を与えることになるので、遊技球の回転を遅らせることができる。
また、転動する遊技球の下端部をかすめるように状態切替手段がスライド移動すると、遊技球の転動方向のみではなく、転動方向に直交する方向の成分も有する負荷を遊技球に与えることができるので、遊技球の流下態様の変化を複雑かつ不規則に生じさせることができる。
これらの遊技球の流下態様に与える影響により、状態切替手段の開閉動作時に状態切替手段に乗っていた球の流下態様を様々に変化させることができるので、遊技球を視認する遊技者を飽きさせることなく、遊技に集中させることができる。
また、状態切替手段の開閉動作と遊技球との配置関係は、何ら限定されるものではない。例えば、遊技球の側面と擦れる配置関係でも良いし、遊技球に流下方向で対抗して遊技球と衝突するような配置関係でも良い。
遊技球と衝突する態様で変位する状態切替手段において、閉鎖動作の方向は何ら限定されるものではない。例えば、遊技球の流下方向と対抗する方向で閉鎖動作し、遊技球を跳ね返せるように構成しても良いし、遊技球の流下方向の順方向で閉鎖動作し、それ以降の遊技球の導入を抵抗少なく規制可能に構成しても良い。
遊技機XA1において、前記状態切替手段の状態変化は、前記状態切替手段と遊技球とが当接しながら実行可能に構成されることを特徴とする遊技機XA2。
遊技機XA2によれば、遊技機XA1の奏する効果に加え、状態切替手段の状態変化によって、遊技球に回転を生じさせることができる。
遊技機XA1又はXA2において、前記状態切替手段は、前記変位の方向と交差する方向に負荷の方向を変化させる変化手段を備えることを特徴とする遊技機XA3。
遊技機XA3によれば、遊技機XA1又はXA2の奏する効果に加え、状態切替手段の変位中に遊技球から与えられる負荷を逃がすことができ、状態切替手段に与えられる負荷を低減することができる。
<開放時は第1方向へ、閉鎖時は第2方向へ球を流す開閉部材についてのポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、前記被通過手段へ遊技球を導入可能な導入状態と前記被通過手段へ遊技球を導入不能な非導入状態とで状態変化可能に構成される状態切替手段と、を備え、前記状態切替手段は、前記導入状態で遊技球を第1方向に案内可能とされ、前記非導入状態で遊技球を第2方向に案内可能に構成されることを特徴とする遊技機XB1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備える遊技機がある(例えば、特開2017−185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、下側可動体371は前側に張り出す状態では遊技球を右方に案内するものの、後側に退避する状態では、遊技球とは当接せず自由落下となり、案内はしない。換言すれば、遊技球の流下に下側可動体371が影響しない。そのため、後側に退避している状態では、下側可動体371以外で遊技球の流下を案内する部分(枠部等)を用意することが必要であり、遊技球の流下を案内するための構成(部材)の個数を削減するという観点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機XB1によれば、状態切替手段が導入状態と、非導入状態とで、遊技球を異なる方向に案内するよう構成されるので、遊技球の流下経路を案内するための専用部材を不要とできるので、必要な構成(部材)の個数を削減することができる。これにより、限られたスペースで遊技球の流下方向の多様化を図ることができる。
なお、第1方向と第2方向との関係は何ら限定されるものではない。例えば、方向間の角度が鋭角でも良いし、直角でも良いし、鈍角でも良い。例えば、直角の場合において、前後方向に沿って流下する遊技球に対し、第1方向が下方、第2方向が左右方向に設定するようにしても良い。この場合、正面視において、状態切替手段に案内される前は遊技球の変位が僅かしか認められないようにしながら、状態切替手段による案内が開始された後の方向の差(違い)の最大化を図ることができる。
状態切替手段による案内の作用を生じさせる案内部の配置は何ら限定されるものではない。例えば、状態切替手段が備える可動部材に案内部が配設されても良いし、案内部は状態切替手段の周辺の非可動部に配設されており可動部材の動作によって遊技球が案内部に近接または当接し易い状態に切り替えられるように構成しても良い。
案内部が可動部材に配設される場合には、導入状態と非導入状態との状態切替が完了した後における案内に留まらず、状態を切り替える動作中において遊技球に与える影響も考慮した設計とすることが好ましい。
例えば、遊技球の流下方向に対抗する方向で変位する可動部材を状態切替手段が備える場合、流下方向と直交する平面形状の壁部を設けるよりは、流下方向と傾斜する面(平面、曲面等)形状の壁部を設ける方が、可動部材が遊技球に衝突した際に生じる負荷が、遊技球を逆流させる方向に大きくなる事態を回避し易くすることができる。これにより、遊技球の逆流を回避し易くすることができる。
遊技機XB1において、前記状態切替手段の状態変化は第3方向への変位により生じるものであり、前記第3方向は、前記第1方向および第2方向と直交することを特徴とする遊技機XB2。
遊技機XB2によれば、遊技機XB1の奏する効果に加え、案内されている遊技球から与えられる負荷により状態切替手段の動作不良が生じる可能性を低くすることができる。
遊技機XB1又はXB2において、前記経路構成手段は、左右一対の経路を備え、前記状態切替手段は、前記左右一対の経路からそれぞれ遊技球を受け入れ可能な一対の案内部を備え、それら一対の案内部において、前記第1方向および第2方向が、それぞれ左右対称に構成されることを特徴とする遊技機XB3。
遊技機XB3によれば、遊技機XB1又はXB2の奏する効果に加え、遊技球の流下する経路を複雑化することができる。また、一対の案内部において、第1方向および第2方向が、それぞれ左右対称に構成されるので、一対の案内部が遊技球から受ける負荷により状態切替手段が受ける変位を、左右で対称とすることができる。
これにより、例えば、左右一対の経路に遊技球を略同等の個数で入球させる場合等、遊技球から案内部が受ける負荷によって、状態切替手段の配置を均一化し易くすることができる。
遊技機XB3において、前記状態切替手段は、前記第3方向と交差する方向で張り出すように形成される張出部を備えることを特徴とする遊技機XB4。
遊技機XB4によれば、遊技機XB3の奏する効果に加え、張出部により他の部材との接触面積を低減することができ、状態切替手段の変位抵抗を低減することができる。
遊技機XB3又はXB4において、前記状態切替手段の導入状態または非導入状態において当接可能に構成される当接手段を備え、その当接手段との当接により、前記状態切替手段の左右方向の変位を修正可能に構成されることを特徴とする遊技機XB5。
遊技機XB5によれば、遊技機XB3又はXB4の奏する効果に加え、遊技球からの負荷を左右いずれの方向からも受け得るので、変位態様が無秩序になり易い状態切替手段の変位を、当接手段の作用により秩序的に戻すことができる。
<分離、反転、合体、回転が一連動作>
視認される面が変化するように変位可能に構成される変位手段を備え、前記変位手段は、第1変位部材と、第2変位部材と、を備え、所定態様の変位において、前記第1変位部材と前記第2変位部材とが相対変位するように構成されることを特徴とする遊技機D1。
パチンコ機等の遊技機において、ベースアーム220の先端部に配設される回動ベース214が複数回回転可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2016−116782号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、回動ベース214が回転変位するものの、遊技者側に見えている面は同一なので、変位手段への注目力を維持し難いという問題点があった。
これに対し、遊技機D1によれば、変位手段の視認される面を、変位に伴い変化可能に構成されるので、変位手段への注目力を維持することができる。
また、第1変位部材と第2変位部材とが相対変位することで、変位手段の外観を変化させることができるので、変位手段に対する注目力を向上させることができる。
遊技機D1において、前記所定態様の変位は、前記第1変位部材と前記第2変位部材とが集合配置される集合部を基準として近接離反する第1の変位と、前記第1変位部材と前記第2変位部材とが前記集合部を基準として回転動作する第2の変位と、を少なくとも含むことを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、第1変位部材と第2変位部材との相対動作を動的に生じさせ易くすることができる。即ち、集合部を基準とした変位として、第1の変位だけでは、集合部からの距離が最短または最長となる終端部において第1変位部材と第2変位部材との変位が低減され易く、第1変位部材と第2変位部材とが止まって見えてしまい、演出効果が低くなる可能性があるところ、第2の変位を混ぜることで、終端部においても回転方向の変位を生じさせることができるので、演出効果を向上させることができる。
遊技機D1又はD2において、前記所定態様の変位は、前記変位手段の視認される面が反転する第3の変位を少なくとも含むことを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、第3の変位により視認される面を反転させることで、第3の変位の前後で遊技者に視認させる装飾を顕著に異ならせることができる。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記第1変位部材および前記第2変位部材は、吸着または接着により固定可能に構成され、その固定に係る負荷は、前記第1変位部材および前記第2変位部材の変位を制限する向きで作用することを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、固定に係る負荷が第1変位部材および第2変位部材の変位を制限する向きで作用するので、固定に係る負荷を加味して、第1変位部材および第2変位部材の変位を設計することができる。
例えば、ギアに寄る駆動力伝達の場合に、形状の変形を加味しない場合には機械的に変位が生じる場合に、固定に係る負荷を加味すれば、その負荷による部材の弾性変化が顕在化することで、部材の変位タイミングの遅れを生じさせることができる。
また、固定の程度が第1変位部材および第2変位部材の視認される面に対応して異なるよう構成しても良い。
この場合、固定による作用が視認される面に対応して異なるので、遊技者が視認される側面における固定の程度に強弱を設けることができる。
これにより、例えば、同じ変位手段の、反転された面について、一方の面は固く合体して一体的に視認させ易く、他方の面は緩く合体して相対変位し易い状態で視認させ易くすることができる。
また、例えば、第1変位部材および第2変位部材の吸着の程度が固定位置ごとに異なるよう構成することで、第1変位部材および第2変位部材の固定の程度が異なる状態を構成することができる。
なお、吸着可能にする態様は何ら限定されるものではない。例えば、粘着テープで接着する態様でも良いし、磁石と金属部との吸着力を利用するものでも良い。また、磁石に吸着する金属部として、例えば、固定用のビス、ネジ等を利用するように第1反転部材や第2反転部材を設計しても良い。
遊技機D1からD4のいずれかにおいて、前記変位手段は、正逆方向に変位可能に構成され、所定状態において、正方向へは、第1変位態様で変位し、逆方向へは、前記第1変位態様とは異なる第2変位態様で変位し、前記第2変位態様は、所定態様での変位後、前記第1変位態様で変位するよう構成されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D1からD4のいずれかの奏する効果に加え、変位手段の変位態様が、正逆方向で異なるように構成され、第2変位態様は第1変位態様の前に所定態様が追加された変位態様として構成されるので、変位手段を退避させる際に変位手段に必要とされる変位量を低減することができる。これにより、退避時における変位手段への注目力を低減することができるので、相対的に、演出位置で変位する変位手段の注目力を向上させることができる。
従来機では、回転の態様が正逆方向で同様なので、演出位置(液晶表示領域の正面側位置)へ張り出して演出した後で、退避位置(液晶表示領域の外方位置)へ退避するまでに逆方向に再び複数回回転する必要があった。この場合、演出位置から退避する部材に視線が集まり易くなることが問題視される可能性があった。
なお、変位態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、回転変位でも良いし、直動変位でも良い。また、変位は平面上におけるものでも良いし、複数平面にまたがるものでも良いし、3次元的なものでも良い。
遊技機D5において、前記変位手段は、動作抵抗が所定量よりも大きくなると負荷伝達を解除するように構成される解除手段を備えることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D5の奏する効果に加え、変位手段の変位態様の変化を、変位手段の内部の構成の動作抵抗の大小により生じさせることができる。
遊技機D1からD6のいずれかにおいて、前記変位手段へ向けて光を照射する発光手段を備え、前記変位手段は前記第1変位部材および前記第2変位部材を備え、前記第1変位部材および前記第2変位部材は、視認される面が一側か、他側かで、発光手段からの光の視認態様を変化可能に構成されることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D1からD6のいずれかの奏する効果に加え、発光手段からの光に関して変位手段の見え方を、第1変位部材および第2変位部材の視認される面に対応して変化させることができる。
例えば、第1変位部材および第2変位部材が個別に発光しているように視認される場合と、第1変位部材および第2変位部材が一体的に発光しているように視認される場合とで変化させることができる。
遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記変位手段の配置を検出する検出手段を備え、前記検出手段は、前記変位手段の変位が許容可能な状態か否かを検出可能に構成されることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記変位手段の変位を許容可能な状態を検出手段により検出可能なので、変位手段が変位中に周囲の構造部と衝突することを回避することができる。
また、検出手段により変位手段の変位可能な区間を検出しつつ、変位手段の変位を実行することができるので、ある程度、演出位置から退避位置へ向けて変位した後で拡大縮小を含む変位態様で変位するように制御することで、演出位置から退避位置に変位する際に変位開始時から拡大縮小を含む変位態様で変位する場合に比較して、変位手段に対する注目力の上昇を押さえることができる。
遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記変位手段の状態を検出する検出手段を備え、その検出手段は、前記変位手段の変位について2種類以上の数値を検出可能に構成されることを特徴とする遊技機D9。
遊技機D9によれば、遊技機D1からD7の奏する効果に加え、検出手段の配設個数を削減することができる。なお、変位手段の変位についての数値の種類としては、種々の態様が例示される。例えば、異なる可動部材のそれぞれの配置や姿勢についての数値でも良いし、所定タイミングで動作態様が変化する場合にその動作態様の変化に関与する数値でも良い。
また、検出手段の配置は何ら限定されるものではない。例えば、変位手段の変位基端側に検出手段を配置することで、その変位手段の変位先端側に連結される第2変位手段の配置や姿勢を検出する構造を構成し易い。
遊技機D1からD9のいずれかにおいて、前記変位手段は前記第1変位部材および前記第2変位部材を備え、その第1変位部材および前記第2変位部材は遊技者側に向ける面が一側の面となる姿勢と、他側の面となる姿勢とで反転動作可能に構成され、前記第1変位部材および前記第2変位部材が一側の面を遊技者側に向ける場合には、第1変位部材および第2変位部材を区別可能とされる一方、前記第1変位部材および前記第2変位部材が他側の面を遊技者側に向ける場合には、第1変位部材および第2変位部材を区別不能に構成されることを特徴とする遊技機D10。
遊技機D10によれば、遊技機D1からD9のいずれかの奏する効果に加え、一側が遊技者側に向けられている場合の第1変位部材および第2変位部材の状態に関わらず、反転動作が生じることに対する遊技者の期待感を高く維持することができる。
<複数の被視認面を備える変位手段の配置により視認容易面を変えるポイント>
視認可能に構成される第1視認可能面および第2視認可能面を備える変位手段を備え、その変位手段は、配置に応じて、前記第1視認可能面が視認し易い第1状態と、前記第2視認可能面が視認し易い第2状態と、を切り替え可能に構成されることを特徴とする遊技機E1。
パチンコ機等の遊技機において、反転可能に構成される反転動作部71を備え、視認される面を変化させることで遊技者に視認される外観を変化可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2016−153095号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、反転動作部71の反転は、位置が固定された状態で行われるので、視認される面の変化により遊技者の視線を変化させることはできない。即ち、遊技者の視線を効率よく変化させるという観点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機E1によれば、変位手段が、配置に応じて、第1視認可能面が視認し易い状態と、第2視認可能面が視認し易い状態とが切り替えられるので、第1視認可能面または第2視認可能面を見たいと考える遊技者の視線を、変位手段の配置変化の経路に沿う態様で変化させることができる。
遊技機E1において、前記変位手段を視認可能に開放される開放部を備え、前記変位手段は、前記開放部側が視認され易いように構成されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、開放部を通して奥側を視認する遊技者が、変位手段の第1視認可能面または第2視認可能面を容易に視認できる。
遊技機E2において、前記変位手段は、開放部の中央側に配置される場合よりも、開放部の縁側に配置される場合の方が、配置が背面側に寄ることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、変位手段が開放部の中央側に配置される場合に変位手段を手前側で大きく視認可能としながら、変位手段が開放部の縁側に配置される場合に変位手段を見る際の視線の動きを少なくすることができる。これにより、変位手段の視認性と、変位手段を目で追う遊技者の疲労抑制と、の両立を図ることができる。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記変位手段は、複数組の前記第1視認可能面および前記第2視認可能面を備え、一の組の前記第1視認可能面および前記第2視認可能面が視認可能な状態において、他の組の前記第1視認可能面および前記第2視認可能面を視認し難く構成することを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、第1視認可能面および第2視認可能面に、組ごとに異なる文字や図形を施しておくことで、変位手段を視認する遊技者に対して、異なる文字や図形を視認させることができ、且つ、視認させることを目的としない組の第1視認可能面および第2視認可能面に関しては視認し難く構成することで、変位手段の外観がみっともなくなることを回避することができる。
例えば、第1の組には、抽選結果が大当たりである期待感が低いことを示す文字や図形が第1視認可能面および第2視認可能面に表示され、第2の組には、抽選結果が大当たりである期待感が高いことを示す文字や図形が第1視認可能面および第2視認可能面に表示される場合に、変位手段の配置に関わらず、変位手段を通して、大当たりの期待感の高低を確認することができる。この場合において、変位手段が表示装置の表示領域の正面側から退避した後においても、変位手段による大当たりの期待感についての表示を維持できるので、液晶表示装置から目線を外した遊技者に対しても、大当たりの期待感についての表示を視認させることを継続することができる。
なお、視認し難く構成する態様は何ら限定されるものではない。例えば、遊技者側とは異なる側の面(後側面、左右外側面、等)に配置するようにしても良いし、遮蔽手段で遮蔽することで視認性を落とすように構成しても良い。
遊技機E4において、視認される前記第1視認可能面および前記第2視認可能面の組を切り替える動作は、動作中において、前記第1視認可能面および前記第2視認可能面を認識され難いよう構成されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4において、視認される第1視認可能面および第2視認可能面の組を切り替える動作中(確定前)に、遊技者側に表示される第1視認可能面および第2視認可能面の組を予測されることを回避し易くすることができる。これにより、変位手段に対する注目力を向上させることができる。
なお、上述の切り替える動作中において第1視認可能面および第2視認可能面を認識され難いよう構成される態様については、何ら限定されるものではない。例えば、変位手段を高速で回転動作させ認識され難くしても良いし、第1視認可能面(第2視認可能面)の一部と、その他の部分とを結合分離可能に構成し、それら一部とその他の部分とを分離した状態で動作させることで認識され難くしても良いし、発光手段による明暗の設定により相対的に暗くする部分を作り認識され難くしても良い。
なお、この場合において、分離した状態の態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、上述の切り替える動作中において、第1視認可能面(第2視認可能面)の一部と、その他の部分との一方のみが視認され、他方は視認されないように背面側を向いて動作するよう構成しても良いし、それら一部とその他の部分とが同時に視認可能であるが配置がずれて視認される状態で動作するよう構成しても良い。
遊技機E5において、前記変位手段を視認可能に開放される開放部を備え、前記切り替える動作は、前記変位手段が前記開放部の中央側に配置されている状態で実行されることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E5の奏する効果に加え、切り替える動作を遊技者に視認させ易くすることができ、切り替える動作に対する注目力を向上させることができる。
遊技機E5又はE6において、前記切り替える動作中において、前記第1視認可能面の一部とその他の部分との、一方は正面側を向き、他方は正面側とは異なる側を向くことを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E5又はE6の奏する効果に加え、動作中において第1視認可能面の一部を視認可能とし、全体は視認不可能とすることで、動作中において第1視認可能面を認識され難くすることができる。
遊技機E1からE7のいずれかにおいて、前記第2視認可能面への視線の少なくとも一部を遮蔽可能に構成される第2変位手段を備え、前記変位手段は、前記第2変位手段と共に前記第1視認可能面を視認させるための第3状態に切替可能に構成されることを特徴とする遊技機E8。
遊技機E8によれば、遊技機E1からE7のいずれかの奏する効果に加え、第2変位手段により第2視認可能面の少なくとも一部を視認し難く構成することにより、変位手段の演出位置の設計自由度を向上させることができる。
遊技機E1からE8のいずれかにおいて、前記変位手段は、変位に伴って、所定方向視で視認される面を第1視認可能面と第2視認可能面との間で変化させるように構成されることを特徴とする遊技機E9。
遊技機E9によれば、遊技機E1からE8のいずれかの奏する効果に加え、所定方向視で視認される面が第1視認可能面と第2視認可能面との間で変化するので、遊技者の視線の変化量に依存せずに、視認し易い面を任意に変更することができる。
遊技機E9において、前記第1状態と前記第2状態とで前記変位手段の姿勢が変化することを特徴とする遊技機E10。
遊技機E10によれば、遊技機E9の奏する効果に加え、第1状態における変位手段の外観と第2状態における変位手段の外観との違いを、変位手段の姿勢を違えることにより大きくすることができる。
遊技機E9又はE10において、前記変位手段に近接配置可能に構成される補助手段を備え、前記第1状態では、前記変位手段は前記補助手段に近接配置され、前記第2状態では、前記変位手段は前記補助手段から離れて配置されることを特徴とする遊技機E11。
遊技機E11によれば、遊技機E9又はE10の奏する効果に加え、補助手段を変位手段に近接配置させ、一体的に視認させる状態と、補助手段と変位手段とを分けて視認させる状態とを構成することができ、変位手段が遊技者に与える印象を複数構成することができる。
なお、補助手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、配置が固定された手段でも良いし、可動の手段でも良い。
遊技機E11において、前記補助手段は、前記変位手段と一体的に視認させる状態と、前記変位手段とは分離して視認させる状態と、を切替可能に構成されることを特徴とする遊技機E12。
遊技機E12によれば、遊技機E11の奏する効果に加え、変位手段と補助手段とを一体的に視認させるか分離して視認させるかを切り替えることができるので、部材個数に対する視認可能態様のバリエーションを増やすことができる。
<変位手段の変位量と配設手段の変位量との同時点での比が区間で異なるポイント>
変位可能に構成される変位手段と、その変位手段に第1の部分が配設される配設手段と、前記配設手段の第2の部分を支持する支持手段と、を備え、その支持手段は、前記変位手段の変位中における前記第1の部分を基準とした前記第2の部分の配置を制御可能に構成されることを特徴とする遊技機F1。
パチンコ機等の遊技機において、傾倒変位可能なベースアーム220と、そのベースアーム220の傾倒先端側に回動可能に取り付けられた回動役物211と、その回動役物211を回動させるための駆動力を発生させる駆動モータ222と、を備え、ベースアーム220の変位と独立して回動役物211を回動可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2016−116782号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、回動役物211がベースアーム220の先端においてぐらつき易く、ベースアーム220の傾倒変位中に回動役物211を回動させると機構に不具合が生じる可能性がある結果、回動役物211の回動変位はベースアーム220の停止中に行うと想定されることから、変位の自由度が低くなっていた。
即ち、変位可能な部分の変位の設計自由度を高くするという観点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機F1によれば、配設手段が変位手段と支持手段とに少なくとも2点で支持され、その2つの支持点が変位手段の変位中に相対変位するように構成されており、支持手段により、第1の部分を基準とする第2の部分の配置を制御可能としているので、配設手段を安定的に支持しながら、変位手段の変位中に配設手段を変位させることができる。これにより、配設手段(変位可能な部分)の変位の設計自由度を高めることができる。
なお、支持手段の態様は、何ら限定されるものではない。例えば、固定のベース手段に形成される案内溝に変位を制限される態様で支持されても良いし、変位可能な第2の変位手段に連結されて支持されても良い。また、支持手段による制御は、電子制御に限定されるものではなく、第2の部分の変位を壁部で規制(案内)する等の機械的な制御も含まれる。
遊技機F1において、前記変位手段は、第1の区間および第2の区間を、変位可能に構成され、前記支持手段は、前記変位手段が前記第1区間を変位する場合に前記第2の部分を支持する第1範囲と、前記変位手段が前記第2区間を変位する場合に前記第2の部分を支持する第2範囲と、を備え、前記第1範囲において前記第2の部分が変位する方向と、前記第2範囲において前記第2の部分が変位する方向とが異なるよう構成されることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、変位手段の変位速度を一定とする場合であっても、配設手段の変位速度を異ならせることができ、支持手段は、第2の部分の変位方向の変化を許容するように構成されるので、第2の部分の変位方向が不規則に変化するとしても配設手段の変位を滑らかにすることができる。
遊技機F1又はF2において、前記支持手段は、前記第2の部分の変位を制限する制限部を備えることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、第1範囲と第2範囲との境界位置(制限部)において第2の部分の変位を制限することができるので、第2の部分を変位の大きい側から小さい側へ向けて変位させる場合に、第1範囲と第2範囲との境界位置(制限部)で第2の部分を停止し易くすることができる。
なお、第2の部分の第1の部分を基準とした変位に要する負荷の態様は何ら限定されるものではない。例えば、第2の部分が引かれる態様でも良いし、第2の部分が押進される態様でも良い。
なお、制限部の態様は何ら限定されるものではない。例えば、第2の部分の変位抵抗の増減を設定する態様でも良いし、第2の部分の変位方向を切り替える態様でも良い。
遊技機F2又はF3において、前記第1の区間は、前記第2の区間よりも前記変位手段の変位範囲の終端側に配置され、前記第2の区間における前記変位手段を基準とした配設手段の相対的な変位量は、前記第1の区間における前記変位手段を基準とした配設手段の相対的な変位量に比較して小さくなるように構成されることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F2又はF3の奏する効果に加え、変位手段の変位途中位置において、変位手段を基準とした配設手段の相対的な変位量が小さくなる区間を構成することができるので、変位手段の変位終端位置の他に、変位手段と配設手段とを一体的に視認し易い位置を設けることができ、結果として、変位手段と配設手段とを一体的に視認し易い位置を増やすことができる。
遊技機F1からF4のいずれかにおいて、前記第1の部分の変位速度を基準とした前記第2の部分の変位速度(の比)を変化可能に構成されることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F1からF4のいずれかの奏する効果に加え、変位手段の変位速度が一定の場合であっても、支持手段側における配設手段の第2の部分の変位速度を変化させることができるので、駆動手段の簡易な駆動制御(等速駆動)で、配設手段の変位速度を可変とするような動作演出を構成することができる。
遊技機F1からF5のいずれかにおいて、前記支持手段は、前記第2の部分の変位終端における変位速度を低減するよう構成されることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F1からF5の奏する効果に加え、第2の部分の跳ね戻りを防止することができ、変位終端において配設手段を早期に停止させ易くすることができる。
なお、第2の部分の跳ね戻りを防止する手法については何ら限定されるものではない。例えば、変位終端における第2の部分の変位速度(例えば、第1の部分が所定の単位長さ変位する場合の第2の部分の変位量)を低減するように構成する手法でも良いし、第1の部分が停止した状態における第2の部分の変位方向に壁を立てる等の形状的工夫により第2の部分の変位を規制するような手法でも良い。
また、第2の部分の変位量を低減する手法に限らず、第2の部分の変位抵抗を増加させるようにしても良い。例えば、第2の部分の変位終端において磁力等により負荷を与え、第2の部分の変位抵抗を向上するようにしても良いし、コイルスプリング等の付勢力で変位抵抗を向上するようにしても良い。
遊技機F6において、前記支持手段は、前記第1の部分の変位に伴う前記第2の部分の変位の変位軌跡と、前記第1の部分が変位終端で停止した場合の前記第2の部分の変位の変位軌跡とが、交差するよう構成されることを特徴とする遊技機F7。
遊技機F7によれば、遊技機F6の奏する効果に加え、第1の部分の変位に伴う第2の部分の変位を案内する機能を有する支持手段により、第1の部分が停止した場合における第2の部分の戻り変位(バウンド)を低減することができる。
遊技機F1からF7のいずれかにおいて、前記配設手段に変位可能に支持される被支持手段を備え、その被支持手段は、前記変位手段を基準とした前記配設手段の相対的変位量に応じた変位量で変位するように構成されることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F1からF7のいずれかの奏する効果に加え、配設手段と共同で変位する被支持手段により、複雑な演出を実行することができる。
なお、被支持手段の変位の態様は、何ら限定されるものではない。例えば、配設手段が変位する所定平面上を配設手段と並走するように変位する態様でも良いし、配設手段が変位する所定平面とは離れた位置において配設手段の変位態様(例えば、所定平面上のスライド変位態様)とは異なる変位態様(例えば、所定の軸を中心とした回転変位態様)でも良い。
なお、配設手段の変位量に係る配設手段の変位の態様については、何ら限定されるものではない。例えば、姿勢変化でも良いし、姿勢を維持したままでの変位でも良い。
遊技機F8において、前記第1の部分が所定方向に変位する間に、前記第2の部分は、前記第1の部分の変位軌跡と交差する方向に往復変位可能な区間を備えることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F8の奏する効果に加え、第1の部分が変位している間に、第1の部分に対する第2の部分の相対変位量が戻り変化する(例えば、増加後に減少する)態様とすることができるので、第2の部分の配置は維持しながら、被支持手段の変位量は大きくするという変位態様を実現することができる。
遊技機F8又はF9において、前記配設手段を基準とした前記被支持手段の(相対)回転の変位速度は、前記変位手段の変位速度と同等となるよう構成されることを特徴とする遊技機F10。
遊技機F10によれば、遊技機F8又はF9の奏する効果に加え、被支持手段の変位態様を、配設手段を挟んで変位手段と同等することができる。これにより、あたかも、被支持手段が独自の駆動手段で変位しているように遊技者に錯覚させることができる。
遊技機F1からF10のいずれかにおいて、前記配設手段は、自らの変位に伴い遊技者側に向ける面を第1面と第2面とで切り替えるように姿勢変化する姿勢変化手段を備え、その姿勢変化手段は、前記第2の部分が変位終端に配置された状態において、前記第1面または前記第2面が遊技者側に向けられる姿勢となるように構成されることを特徴とする遊技機F11。
遊技機F11によれば、遊技機F1からF10のいずれかの奏する効果に加え、姿勢変化手段の第1面または第2面が遊技者側に向けられることで、第2の部分が変位終端に到達したことを遊技者が把握できるので、変位手段による演出動作の終期を分かり易く構成することができる。
遊技機F1からF11のいずれかにおいて、前記第2の部分を通して前記配設手段に電気配線が挿通されるよう構成され、前記電気配線が内部に配置されると共に前記第2の部分に固定される配置手段を備え、前記配置手段は、前記電気配線を挿通可能な開口部を備え、その開口部は、周囲に形成される周囲部分との前記電気配線の接触を避けるよう変位可能に構成されることを特徴とする遊技機F12。
遊技機F12によれば、遊技機F1からF11のいずれかの奏する効果に加え、電気配線が周囲部分と接触することを避けることができる。
配置手段は、第2の部分が複数部材で構成される場合にそれら複数部材を合体させるための手段として構成しても良いし、第2の部分に別部材が配設される場合に、その別部材の第2の部分からの脱落を防止するための手段として構成しても良い。
<特徴AA群>
第1情報取得条件の成立に基づいて第1情報を取得可能な第1情報取得手段と、その第1情報取得手段により取得された前記第1情報に基づいて、第1判別を実行可能な第1判別手段と、その第1判別手段による第1判別結果を示すための第1識別情報を表示手段に動的表示させることが可能な第1動的表示手段と、その第1動的表示手段により動的表示される前記第1識別情報の第1動的表示態様を決定することが可能な第1動的表示態様決定手段と、第2情報取得条件の成立に基づいて第2情報を取得可能な第2情報取得手段と、その第2情報取得手段により取得された前記第2情報が記憶される第2情報記憶手段と、前記第2情報取得手段により取得された前記第2情報に基づいて、第2判別を実行可能な第2判別手段と、その第2判別手段による第2判別結果を示すための第2識別情報を前記表示手段に動的表示させることが可能な第2動的表示手段と、その第2動的表示手段により動的表示される前記第2識別情報の第2動的表示態様を決定することが可能な第2動的表示態様決定手段と、特定の前記第1判別結果を示すための第1識別情報または特定の前記第2判別結果を示すための第2識別情報が前記表示手段に停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、を有した遊技機において、前記第2識別情報の動的表示期間中に演出態様を実行可能な演出態様実行手段と、その演出態様実行手段により実行される演出態様を選択可能な演出態様選択手段と、を有し、前記演出態様選択手段は、前記第2情報記憶手段に記憶されている少なくとも前記第2情報の数に基づいて前記演出態様を選択するものであることを特徴とする遊技機AA1。
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果を示すための演出として抽選結果等に基づいて抽選で抽選結果を報知するための演出態様を決定して、その決定された演出態様を実行することにより、遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、演出態様の内容に遊技者が早期に遊技に飽きてしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AA1によれば、第2識別情報の動的表示期間中に実行される演出態様が記憶されている第2情報の数によって可変されるので、その後に実行されることが可能となっている第2識別情報の動的表示の回数に対応させた演出の実行が可能となり、特定の第2判定結果を示すための第2識別情報が表示されない場合にも、その後の遊技に対して継続して興味を持たせることで遊技者が早期に遊技に飽きてしまう不具合を抑制できる。
遊技機AA1において、前記第2識別情報の動的表示は、前記第1識別情報の動的表示よりも優先して実行されるものであり、前記演出態様実行手段は、特定の前記第2動的表示態様が実行されている場合に前記演出態様を実行するものであることを特徴とする遊技機AA2。
遊技機AA2によれば、特定の第2動的表示態様が実行されることで、第2情報が記憶されることに意欲を抱かせることができ、遊技者の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機AA1またはAA2において、前記演出態様は、前記第2情報が記憶されている数に対応して前記実行されている前記第2動的表示態様の期間が終了した後に連続して実行される次の前記第2識別情報の動的表示に跨がった期間で設定されているものであることを特徴とする遊技機AA3。
遊技機AA3によれば、遊技機AA1またはAA2の奏する効果に加え、演出態様は複数回連続して実行される第2識別情報の動的表示期間に跨がって実行可能に構成されているので、複数回の第2動的表示態様を1の動的表示のように見せて興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AA1からAA3のいずれかにおいて、遊技球が入球可能な第1入球手段と、前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、その第2入球手段に遊技球が入球可能な第1状態と前記第1状態よりも遊技球の入球が困難となる第2状態とに可変可能な可変部材と、前記可変部材を特定条件の成立に基づいて前記第2状態から第1状態へと所定条件が成立するまで可変させる可変制御手段と、前記特定条件の成立前に、前記特定条件の成立を事前に判別可能な事前判別手段と、を有した遊技機において、前記演出態様選択手段は、少なくとも前記事前判別手段の結果に基づいて特定の演出態様を選択することが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機AA4。
遊技機AA4によれば、遊技機AA1からAA3の奏する効果に加え、第2情報が取得され易くなる契機となる特定条件の成立を事前に判別した結果に基づいて特定の演出態様が選択されるので、第2情報の取得に対して期待を持たせることができるという効果がある。
<特徴AB群>(変動パターンの実行中の途中で特図2保留数によって、演出可変)
第1情報取得条件の成立に基づいて第1情報を取得可能な第1情報取得手段と、その第1情報取得手段により取得された前記第1情報に基づいて、第1判別を実行可能な第1判別手段と、その第1判別手段による第1判別結果を示すための第1識別情報を表示手段に動的表示させることが可能な第1動的表示手段と、その第1動的表示手段により動的表示される前記第1識別情報の第1動的表示態様を決定することが可能な第1動的表示態様決定手段と、第2情報取得条件の成立に基づいて第2情報を取得可能な第2情報取得手段と、その第2情報取得手段により取得された前記第2情報が記憶される第2情報記憶手段と、前記第2情報取得手段により取得された前記第2情報に基づいて、第2判別を実行可能な第2判別手段と、その第2判別手段による第2判別結果を示すための第2識別情報を前記表示手段に動的表示させることが可能な第2動的表示手段と、その第2動的表示手段により動的表示される前記第2識別情報の第2動的表示態様を決定することが可能な第2動的表示態様決定手段と、特定の前記第1判別結果を示すための第1識別情報または特定の前記第2判別結果を示すための第2識別情報が前記表示手段に停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、を有した遊技機において、前記第1識別情報の動的表示期間中に演出態様を実行可能な演出態様実行手段と、その演出態様実行手段により実行される演出態様を選択可能な演出態様選択手段と、を有し、前記演出態様選択手段は、前記第2情報記憶手段に記憶されている少なくとも前記第2情報の数に基づいて前記演出態様を選択するものであることを特徴とする遊技機AB1。
ここで、パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果を示すための演出として抽選結果等に基づいて抽選で抽選結果を報知するための演出態様を決定して、その決定された演出態様を実行することにより、遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、演出態様の内容に遊技者が早期に遊技に飽きてしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AB1によれば、第1識別情報が動的表示の開始時に決定された第1動的表示態様で動的表示されている期間に実行される演出態様が第2情報の記憶されている数に基づいて決定されるので、第1判別の結果だけでなく、第2判別が実行されることが可能であることに関する情報も演出態様から判別することができ、遊技者が遊技に早期に飽きてしまう不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機AB1において、前記演出態様選択手段は、少なくとも前記第2情報の数と動的表示されている前記第1識別情報の動的表示態様とに基づいて前記演出態様を選択するものであることを特徴とする遊技機AB2。
遊技機AB2によれば、遊技機AB1の奏する効果に加え、実行されている第1動的表示態様とその実行中における第2情報が記憶されている数により演出態様が選択されるので、多様な演出態様を実行できるという効果がある。
遊技機AB1またはAB2において、前記第2識別情報の動的表示は、前記第1識別情報の動的表示よりも優先して実行されるように構成され、前記演出態様は、その後に実行される前記第2識別情報の動的表示態様に関連する演出が実行されるものであることを特徴とする遊技機AB3。
遊技機AB3によれば、遊技機AB1またはAB2の奏する効果に加え、第2情報が記憶されている場合には、実行されている第1識別情報が終了した後には、第2識別情報の動的表示が開始されることになり、その第2動的表示態様と関連する演出態様を第2識別情報の動的表示の開始前に実行することができるので、優先して実行される第2識別情報の動的表示が開始されることを早期に遊技者に認識させることができるという効果がある。
遊技機AB1からAB3のいずれかにおいて、遊技球が入球可能な第1入球手段と、前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、その第2入球手段に遊技球が入球可能な第1状態と前記第1状態よりも遊技球の入球が困難となる第2状態とに可変可能な可変部材と、前記可変部材を特定条件の成立に基づいて前記第2状態から第1状態へと所定条件が成立するまで可変させる可変制御手段と、前記特定条件の成立前に、前記特定条件の成立を事前に判別可能な事前判別手段と、を有した遊技機において、前記演出態様選択手段は、少なくとも前記事前判別手段の結果に基づいて特定の演出態様を選択することが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機AB4。
遊技機AB4によれば、遊技機AB1からAB3の奏する効果に加え、第2情報が取得され易くなる契機となる特定条件の成立を事前に判別した結果に基づいて特定の演出態様が選択されるので、第2情報の取得に対して期待を持たせることができるという効果がある。
<特徴AC群>(特図2変動の疑似演出として、特図1変動演出を用いる)
第1の判別条件の成立に基づいて第1判別を実行する第1判別手段と、前記第1の判別条件とは異なる第2の判別条件の成立に基づいて第2判別を実行する第2判別手段と、前記第1判別手段の判別結果が予め定められた第1の判別結果になったことに基づいて遊技者に有利な第1特典遊技を実行する第1特典遊技実行手段と、前記第2判別手段の判別結果が予め定められた第2の判別結果になったことに基づいて遊技者に有利な第1特典遊技を実行する第2特典遊技実行手段と、前記第1判別が実行されたことに基づいて、当該第1判別の判別結果を示すための第1演出を実行する第1演出実行手段と、前記第2判別が実行されたことに基づいて、当該第2判別の判別結果を示すための演出として前記第1演出とは異なる第2演出を実行する第2演出実行手段と、を備え、前記第2演出実行手段は、少なくとも予め定められた特定条件が成立している場合に、前記第1演出の演出期間において実行され易い特定の演出態様を少なくとも含む演出態様の前記第2演出を実行可能に構成されていることを特徴とする遊技機AC1。
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果を示すための演出として抽選結果等に基づいて抽選で抽選結果を報知するための演出態様を決定して、その決定された演出態様を実行することにより、遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、演出態様の内容に遊技者が早期に遊技に飽きてしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AC1によれば、第2判別の判別結果を示すための演出として第1演出を実行可能とすることができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AC1において、前記第2演出実行手段は、前記第1演出の演出態様として、前記第1判別の結果を示す表示態様を少なくとも含む演出態様の前記第2演出を実行可能なものであることを特徴とする遊技機AC2。
遊技機AC2によれば、遊技機AC1の奏する効果に加え、第1判別の判別結果を示す表示態様を用いた第2演出を実行することができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AC2において、前記第2演出実行手段は、第2判別の判別結果を示す1の演出内で前記第2判別の判別結果を示すための第2演出態様と、前記演出態様とを実行するものであることを特徴とする遊技機AC3。
遊技機AC3によれば、遊技機AC2の奏する効果に加え、より意外性のある演出を実行することができるという効果がある。
<特徴AD群>(通常当たりでも確変含むダブル表示)
第1判別を実行可能な第1判別手段と、所定の動的表示態様で複数の第1識別図柄を表示手段に動的表示させた後に、前記第1判別手段による第1判別結果を示すための組み合わせで停止表示させることが可能な第1動的表示手段と、第2判別を実行可能な第2判別手段と、所定の動的表示態様で複数の第2識別図柄を表示手段に動的表示させた後に、前記第2判別手段による第2判別結果を示すための組み合わせで停止表示させることが可能な第2動的表示手段と、前記表示手段に特定の前記第1判別結果を示すための特定の組み合わせで前記第1識別図柄が停止表示された場合または前記表示手段に特定の前記第2判別結果を示すための特定の組み合わせで前記第2識別図柄が停止表示された場合に、遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、を有した遊技機において、前記特典付与手段は、前記特定の組み合わせのうち、第1特定組み合わせに対応する識別図柄の組み合わせで停止表示された場合に前記特典として第1特典を付与可能であり、前記第1特定組み合わせとは異なる第2特定組み合わせに対応する識別図柄の組み合わせで停止表示された場合に前記第1特典よりも遊技者に有利な第2特典を付与可能に構成され、前記遊技機は、前記特典付与手段により付与される前記特典の種別を決定可能な決定手段を有し、前記第1動的表示手段は、特定期間が設定されている場合には、1の第1識別図柄を動的表示させた状態で残りの識別図柄を前記第1特定組み合わせと前記第2特定組み合わせのうちいずれかの組み合わせとなることが可能な組み合わせで停止表示させる複数リーチ表示態様を表示させた後に、前記第1識別図柄を前記特定の組み合わせで表示させるものであることを特徴とする遊技機AD1。
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果を複数の図柄の組み合わせで報知する場合に、表示された図柄の種類によりその後に付与される特典が異なるように構成することで、遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技者が望む特典よりも低い特典が付与されない組み合わせを構成する一部の図柄が停止表示されることで、結果が報知されるよりも前に遊技に対する興趣が低下してしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者の興趣を向上できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AD1によれば、特定期間に識別図柄が特定の組み合わせで表示される場合に複数リーチ表示態様を経て特定の組み合わせが表示されるので、第1特典に対応した組み合わせと第2特典に対応した組み合わせの双方が表示される期待を長く持たせることができ、遊技の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機AD1において、前記決定手段は、前記特定期間において前記特定の第1判別結果である場合に前記第1特典を決定するものであることを特徴とする遊技機AD2。
遊技機AD2によれば、遊技機AD1の奏する効果に加え、決定手段により第1特典が決定される特定期間であっても、複数リーチ表示態様を経て特定の組み合わせが表示されるので、特定期間に第1判別が実行された場合にも第2特典が付与されることへの期待感を持ちやすくすることができるという効果がある。
遊技機AD2において、前記決定手段は、前記特定期間において前記特定の第2判別結果である場合に前記第2特典を決定するものであり、前記第2動的表示手段は、特定期間が設定されている場合には、1の第2識別図柄を動的表示させた状態で残りの識別図柄を2以上の異なる前記第2特定組み合わせのうちいずれかの組み合わせとなることが可能な組み合わせで停止表示させる特別複数リーチ表示態様を表示させた後に、前記第2識別図柄を前記特定の組み合わせで表示させるものであることを特徴とする遊技機AD3。
遊技機AD3によれば、遊技機AD2の奏する効果に加え、特定期間では、遊技者に有利な第2特典が特定の第2判定結果である場合に必ず付与されることを早期に認識させることができるという効果がある。
<特徴AE群>(確変当たり時のパンクED制御)
判別を実行可能な判別手段と、その判別手段による判別結果が特定の判別結果である場合に遊技者に有利な特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行される前記特典遊技の種別を複数の種別から決定可能な特典遊技種別決定手段と、特定の前記特典遊技が実行される場合に、遊技球が通過可能となる特定領域と、その特定領域を遊技球が通過した場合に前記特典遊技の実行後に設定される遊技状態として通常遊技状態よりも遊技者に有利となる有利遊技状態を終了条件が成立するまで設定することが可能な設定手段と、前記特典遊技が終了する場合に、該特典遊技の実行後に設定される前記遊技状態を示唆可能な示唆態様を実行する示唆態様実行手段と、を有した遊技機において、前記示唆態様は、第1示唆態様と第2示唆態様とが組み合わされて構成されており、前記通常遊技状態を示唆するための第2示唆態様と前記有利遊技状態を示唆するための第2示唆態様とは同一の期間で構成された示唆態様で構成されているものであることを特徴とする遊技機AE1。
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果が当たりとなり、その当たり種別によって異なる当たり遊技を実行して、特定の種別の当たり遊技中には、遊技球が入球可能な状態と困難な状態とに可変される可変入球領域が入球可能な状態に可変され、遊技球が入球することで当たり遊技後の遊技状態を遊技者に有利な遊技状態とすることで遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、特定の種別の当たり遊技が実行されても、可変入球領域に遊技球が入球しない場合が発生することで、その場合の報知制御における制御負荷が増大してしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、制御負荷を軽減できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AE1によれば、第2示唆態様を同一の期間としたことで、示唆態様を表示させる期間が可変することを抑制しながら特定領域への入球状態によって示唆する態様を設定することで特典遊技の終了時における示唆態様の報知制御を容易にして制御負荷を軽減することができるという効果がある。
遊技機AE1において、前記特典遊技が実行される場合に、実行される特典遊技の種別に対応して前記示唆態様実行手段により実行される前記示唆態様を設定する示唆態様設定手段と、前記特定の特典遊技中に前記特定領域に遊技球が入球しなかった場合に設定されている前記示唆態様のうち、前記第2示唆態様を前記特定の特典遊技以外に対応した第2示唆態様に切替えることが可能な切替手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機AE2。
遊技機AE2によれば、遊技機AE1の奏する効果に加え、特典遊技の終了時における制御負荷が集中することを抑制するように開始時に示唆態様を設定する構成であっても、示唆態様を表示するための期間を変動させることなく通常遊技状態に対応した示唆態様に切替えて示唆することができるので、制御負荷を抑制して正しい示唆を実行することができるという効果がある。
<特徴AF群>(大当たり種別に応じて異なる長さのED期間を設ける)
判別を実行可能な判別手段と、その判別手段の判別結果が特定の判別結果になったことに基づいて遊技者に有利な特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行される前記特典遊技の種別を複数の種別から決定可能な特典遊技種別決定手段と、前記特典遊技の実行中に予め定められた終了条件が成立したことに基づいて、前記特典遊技の終了を示すための期間として、実行中の前記特典遊技の種別に応じた長さの期間を設定する期間設定手段と、を備えることを特徴とする遊技機AF1。
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果を示すための演出として抽選結果等に基づいて抽選で抽選結果を報知するための演出態様を決定して、その決定された演出態様を実行することにより、遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、演出態様の内容に遊技者が早期に遊技に飽きてしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AF1によれば、特典遊技の種別に応じて異なる期間を設定することができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AF1において、前記期間設定手段により設定された前記期間を用いて特定演出を実行可能な特定演出実行手段を備えることを特徴とする遊技機AF2。
遊技機AF2によれば、遊技機AF1の奏する効果に加え、特典遊技の種別に応じて設定される異なる期間にて特定演出を実行することができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AF1またはAF2において、前記特典遊技の実行中に可変条件が成立した場合に、前記期間設定手段により設定された前記期間の長さを異なる長さに切替可能な期間切替手段を備えることを特徴とする遊技機AF3。
遊技機AF3によれば、遊技機AF1またはAF2の奏する効果に加え、特典遊技の実行中に可変条件が成立した場合にも期間の長さを異ならせることができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
<特徴AG群>(ED期間をV入賞の有無で可変させる)
判別を実行可能な判別手段と、その判別手段の判別結果が特定の判別結果になったことに基づいて遊技者に有利な特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、前記特典遊技の実行中に遊技球が通過可能となる特定領域と、前記特典遊技の実行中に前記特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記特典遊技の実行中に予め定められた終了条件が成立したことに基づいて、前記特典遊技の終了を示すための特定期間を設定する特定期間設定手段と、を備え、前記特定期間設定手段は、前記特典遊技の実行中に前記特定領域を遊技球が通過した場合と通過しなかった場合とで、異なる長さの前記特定期間を設定可能に構成されていることを特徴とする遊技機AG1。
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる抽選の結果を示すための演出として抽選結果等に基づいて抽選で抽選結果を報知するための演出態様を決定して、その決定された演出態様を実行することにより、遊技の興趣向上を図っているものがある(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、演出態様の内容に遊技者が早期に遊技に飽きてしまう問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AG1によれば、特典遊技の実行中に特定領域を遊技球が通過した場合と通過しなかった場合とで、異なる長さの特定期間を設定可能にしているため、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機AG1において、前記特定期間中に特定演出を実行可能な特定演出実行手段を有するものであることを特徴とする遊技機AG2。
遊技機AG2によれば、遊技機AG1の奏する効果に加え、特定期間内に特定演出を実行することができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AG2において、前記特定演出は、前記特典遊技中における前記特定領域への遊技球の通過状況を報知するための報知態様を少なくとも含むものであることを特徴とする遊技機AG3。
遊技機AG3によれば、特定演出に報知態様が含まれるため、遊技者に分かり易い遊技を提供することが出来るという効果がある。
<特徴AH群>(ボタン操作の制限制御)
判別結果を示すための識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記表示手段に特定の判別結果を示すための識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段と、を有した遊技機において、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作されたことに基づいて操作に対応した設定を実行することが可能な設定実行手段と、前記識別情報の動的表示期間において特定条件が成立している場合に前記操作手段が操作されたことに基づく前記設定の実行を規制する規制手段と、を有することを特徴とする遊技機AH1。
従来より、特別図柄抽選が実行された場合に、所定期間の特別図柄変動期間を介して抽選結果を報知(停止表示)するように構成し、特別図柄抽選が実行されてから、その抽選結果が停止表示されるまでの期間(特別図柄変動期間)を用いて様々な演出(変動演出)を実行することで遊技者が遊技に早期に飽きないよう工夫を凝らしているものが多々ある。その中で、複数の演出モードを予め容易しておき、各演出モードに対して特別図柄変動期間中に実行される変動演出の態様を異ならせるように構成しているものがある。
このように構成された遊技機では、演出モードが切り替わることにより、異なる変動演出を遊技者に提供することができるため、同一の変動演出ばかり提供されることにより遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。さらに、遊技者が操作可能な操作手段を操作することで、任意に演出モードを切替可能とする遊技機もある(例えば、特許文献1:特開2012−249877号公報)。このような遊技機では、複数の演出モードのうち、最も興味のある演出モードを遊技者自身が選択することができるため、興味の低い変動演出が実行されてしまい遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。また、演出モードを切り替えるために遊技者自身が操作手段を操作する必要があることから遊技の興趣を向上させることができる。
しかしながら、上述したように、遊技者が操作手段を操作することで、任意のタイミングで演出モードを切替可能とした場合には、例えば、特別図柄抽選の結果が停止表示される直前や、特別図柄変動期間として短時間の変動期間が設定される場合において、演出モードが切り替わることにより、特別図柄抽選の結果を遊技者が把握し難くなってしまうため、操作手段を操作しようとする意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者の遊技意欲を向上できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AH1によれば、識別情報の動的表示期間において特定条件が成立している場合に操作手段が操作されたことに基づく設定の実行を規制することができるため、操作手段が操作されたことにより不具合が発生することを抑制することができる。
遊技機AH1において、前記動的表示手段により前記識別情報が動的表示される動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段と、終了条件が成立するまで前記動的表示期間決定手段により決定される動的表示期間として短い動的表示期間が決定され易い短遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、前記特定条件は、前記短遊技状態が設定されていることが少なくとも成立条件の1つとして設定されているものであることを特徴とする遊技機AH2。
遊技機AH2によれば、遊技機AH1の奏する効果に加え、短遊技状態中において、操作手段が操作されたことに基づく設定の実行を規制することができるため、設定実行手段が実行されることにより、判別手段の判別結果を遊技者が把握し難くなることを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AH1またはAH2において、前記設定実行手段により実行された設定に基づいて、第1演出モードと、その第1演出モードとは異なる第2演出モードと、を少なくとも設定可能な演出モード設定手段を有することを特徴とする遊技機AH3。
遊技機AH3によれば、遊技機AH1またはAH2の奏する効果に加え、操作手段が操作されたことに基づいて異なる演出モードを設定することができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機AH1からAH3のいずれかにおいて、特定設定を実行可能な特定設定手段を有し、前記規制手段は、前記特定条件が設定されている場合に前記操作手段の操作に基づいて前記設定実行手段による前記設定の実行をさせずに前記特定設定手段による特定設定を実行可能に構成されているものであることを特徴とするAH4。
遊技機AH4によれば、遊技機AH1からAH3のいずれかの奏する効果に加え、特定条件が成立している期間に操作手段を操作することで設定の実行が規制される場合にも、特定設定が実行されるので操作手段を操作した遊技者に対して操作手段を操作したことによる作動を提供することで、操作手段の操作を意味のある行為にすることができるという効果がある。
遊技機AH4において、前記特定設定に基づいて、前記識別情報が停止表示されるよりも前に停止表示される前記識別情報の情報を示唆可能な示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を有するものであることを特徴とする遊技機AH5。
遊技機AH5によれば、遊技機AH4の奏する効果に加え、特定条件が成立している場合には、停止表示される識別情報の情報が示唆演出により停止表示前に識別可能となり、特定条件が成立している場合に操作することで多様な演出を実行して遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できるという効果がある。
<特徴AI群>(複数の遊技状態を跨いだ有利期間を報知)
判別を実行可能な判別手段と、その判別手段による判別結果が特定の判別結果である場合に遊技者に有利な特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、遊技状態として第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態と、前記第1遊技状態よりも遊技者に有利となり、前記第2遊技状態とは異なる第3遊技状態と、を少なくとも設定可能な遊技状態設定手段と、を有した遊技機において、前記遊技状態設定手段は、前記特典遊技実行手段に実行される前記特典遊技の終了後に、前記第2遊技状態を設定可能であり、前記第2遊技状態が設定されている状態において第1設定条件が成立した場合に前記第3遊技状態を設定可能であり、前記第3遊技状態が設定されている状態において前記第1設定条件とは異なる第2設定条件が成立した場合に前記第1遊技状態を設定可能であり、前記遊技状態設定手段により、前記第2遊技状態が設定された場合に、前記第2設定条件が成立するまでの期間に基づいて有利期間を決定する有利期間決定手段と、その有利期間決定手段により決定された前記有利期間を報知可能な報知手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機AI1。
従来より、遊技者にとって有利となる有利遊技状態(例えば、時短状態)が設定された場合に、その有利遊技状態が継続する期間(特別図柄変動回数)を遊技者に報知するものがある。具体的には、有利遊技状態が継続する期間を示す残期間表示態様として「100回」を表示し、特別図柄抽選が実行される毎に、残期間表示態様の値を1減算表示するものがある。これにより、現在設定されている有利遊技状態中にあと何回の特別図柄抽選を実行することができるのかを遊技者に容易に把握させることができるものであった。
また、近年の遊技機では、遊技者にとって有利となる有利遊技状態として複数の状態種別を設定可能なものがあり、有利遊技状態として、第1有利遊技状態(例えば、時短状態)と、その第1有利遊技状態よりもさらに有利な第2有利遊技状態(例えば、確変状態)と、を設定可能なものがある。
このように構成された遊技機では、例えば、第1有利遊技状態(例えば、時短状態)が設定されている場合に第1有利遊技状態が継続する期間(残期間)を遊技者に報知することは可能であるが、第1有利遊技状態が終了した後に、どの遊技状態が設定されるのかを報知することができないという問題があった。つまり、遊技者は第1有利遊技状態が終了した場合に、第1有利遊技状態よりも遊技者に有利となる遊技状態が設定されるのか、それとも第1有利遊技状態よりも遊技者に不利となる遊技状態が設定されるのかを把握することができず、第1有利遊技状態中において何を目指して遊技を行えば良いのか分かり難く遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者の遊技意欲を向上させることで遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AI1によれば、第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態が設定された場合に、報知手段により、再度第1遊技状態が設定されるまでの期間に基づいて決定された有利期間が報知されるため、第1遊技状態よりも遊技者に有利となる遊技状態を複数有する遊技機であっても、第1遊技状態よりも有利な遊技状態が設定される期間を把握することができる。よって、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AI1において、前記報知手段により前記有利期間であることが報知されている状態において、前記遊技状態設定手段により設定されている前記遊技状態を示唆するための示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を有するものであることを特徴とする遊技機AI2。
遊技機AI2によれば、第1遊技状態が設定されるまでの有利期間を遊技者に報知しながらも、現在設定されている遊技状態を示唆することができるため、実行される示唆演出の内容に興味を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AI2において、前記示唆演出実行手段は、前記報知手段により前記有利期間であることが報知されている状態において、前記遊技状態設定手段により設定されていた前記遊技状態を示唆するための過去示唆演出も実行可能であることを特徴とする遊技機AI3。
遊技機AI3によれば、示唆演出実行手段により、過去に設定されていた遊技状態を遊技者に示唆することができる。よって、過去示唆演出の内容に基づいて現在の遊技状態を予測したり、有利期間中における過去の遊技内容を解析したりすることができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AI2またはAI3において、前記報知手段は、前記有利期間の残期間を示すための残期間表示態様を表示手段に表示可能であり、前記示唆演出実行手段は、前記残期間表示態様を可変させることで、現在設定されている遊技状態、或いは、過去に設定されていた遊技状態を示唆可能であることを特徴とする遊技機AI4。
遊技機AI4によれば、有利期間の残期間を示すための残期間表示態様を可変させることにより、遊技状態に関する示唆演出が実行されるため、有利期間の残期間を注視する遊技者に対して示唆演出を分かり易く実行することができ、演出効果を高めることができるという効果がある。
遊技機AI1からAI4の何れかにおいて、前記報知手段により前記有利期間であることが報知されている状態において、前記第1設定条件が成立し得るタイミングを示唆可能な第2示唆演出手段を有することを特徴とする遊技機AI5。
遊技機AI5によれば、有利期間中において遊技状態が切り替わるタイミングを遊技者に予測させることができるため、有利期間中における遊技に遊技者が早期に飽きてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機AI1からAI5の何れかにおいて、前記第2遊技状態と、前記第3遊技状態のうち、遊技者に有利となる遊技状態を遊技者に報知可能な有利報知手段を有するものであることを特徴とする遊技機AI6。
遊技機AI6によれば、有利期間中に設定される複数の遊技状態の優劣を遊技者が把握することができるため、現在設定されている遊技状態が何れの遊技状態であるかの予測により興味を持たせることができる。
<特徴AJ群>(複数の図柄表示制御で1の図柄列を変動表示させる)
判別結果を示唆可能な示唆情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記示唆情報を動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記表示手段に特定の判別結果を示すための特定表示態様が表示された場合に遊技者に有利な特典を付与可能な特典付与手段と、を有した遊技機において、前記示唆情報は、複数の図柄で構成された図柄列で構成された第1図柄列と、その第1図柄列とは異なる複数の図柄で構成された図柄列で構成された第2図柄列とが少なくとも設定されており、前記動的表示手段は、第1図柄列を第1方向に動的表示させている期間に、前記第2図柄列を前記第1方向とは異なる第2方向に動的表示させることが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機AJ1。
従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報として、第3図柄を変動表示させるものがあった(例えば、特許文献1:特許第2514417号公報)。また、その第3図柄の変動表示中に様々な演出(変動演出)を実行し、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示唆することで大当たり当選を期待させながら遊技を行わせることができるものがあった。また、一般的な遊技機では、複数の第3図柄(例えば、1〜9の数字が付された第3図柄)によって1の図柄列を構成し、その図柄列を複数(例えば、3つ)用いた図柄変動表示を実行し、1の図柄列を除いた他の図柄列にて所定の第3図柄が所定位置に停止表示された場合に、大当たり当選の期待度を高めた演出(例えば、リーチ演出)を実行するものがある。このように複数の図柄列を用いて第3図柄を変動表示させながら特別図柄抽選の結果が大当たり当選であるか否かを示唆するための変動演出を実行することにより、遊技者に対して大当たり当選への期待度を徐々に高めることができるため、遊技の興趣を向上させることができるものであった。
しかしながら、従来の遊技機では、図柄列を形成する各図柄の順序を可変させることなく、図柄列単位で第3図柄を変動表示させるだけであるため、例えば、各図柄列の変動表示の速度を可変させたり、各図柄列の変動方向を可変させたり、各図柄列が表示される大きさを可変させたりする程度のバリエーションしか無く、図柄列の変動表示を用いた変動演出の演出効果をより高めることでさらなる遊技の興趣向上が求められているという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AJ1によれば、第1図柄列と第2図柄列とが互いに異なる方向に動的表示されるので第1図柄列と第2図柄列とを区別し易くなり判別結果を示唆情報より判別し易くできるという効果がある。
遊技機AJ1において、前記示唆情報が動的表示されることが可能な動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段を有し、前記第1図柄列は、前記動的表示期間の開始に基づいて前記第1方向に動的表示されるように構成され、前記第2図柄列は、特定条件の成立に基づいて前記第2方向へと前記第1図柄列で動的表示された図柄と前記第2図柄列を構成する図柄の一部が少なくとも重なる位置で前記第2方向へと動的表示されるものであることを特徴とする遊技機AJ2。
遊技機AJ2によれば、遊技機AJ1の奏する効果に加え、第1図柄列と第2図柄列とが重なる位置で動的表示されるので、表示領域を有効に利用した演出を実行することができるという効果がある。
遊技機AJ2において、前記示唆情報が動的表示されることが可能な動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段を有し、前記第1図柄列と第2図柄列とは、前記動的表示期間の開始に基づいて前記第1方向と前記第2方向とにそれぞれ動的表示されるように構成されているものであることを特徴とする遊技機AJ3。
遊技機AJ3によれば、遊技機AJ2の奏する効果に加え、第1図柄列と第2図柄列とは、動的表示期間の開始に基づいてそれぞれ第1方向と第2方向とにそれぞれ動的表示されるので、遊技の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機AJ1からAJ3の何れかにおいて、前記示唆情報を表示制御可能な表示制御手段を有し、前記表示制御手段は、前記第1図柄列の表示態様により前記判別結果を表示するように前記第1図柄列を表示制御可能であることを特徴とする遊技機AJ4。
遊技機AJ4によれば、遊技機AJ3の奏する効果に加え、第1図柄列の表示態様を用いて判別結果が表示されるため、第1図柄列の動的表示の表示態様を判別結果に基づいて表示制御すれば良く、第2図柄列の動的表示の表示態様を自由に設定することが可能となる。よって、示唆情報の動的表示における演出効果を高めることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AJ4において、前記第1図柄列を動的表示可能な第1表示画層と、前記第2図柄列を動的表示可能な第2表示画層と、を有し、前記遊技機は、前記第1表示画層における第1表示領域と、前記第2表示画層における第2表示領域との少なくとも一部が重複するように構成されるものであり、前記第1表示領域と、前記第2表示領域とが重複する箇所では、前記第1図柄列が前記第2図柄列よりも優先して遊技者に視認可能となるように表示可能であることを特徴とする遊技機AJ5。
遊技機AJ5によれば、遊技機AJ4の奏する効果に加え、第1図柄列と第2図柄列とが重複する場合には、第1図柄列のほうが遊技者に視認可能となるように表示される。よって、表示領域を有効に利用した演出を実行しながらも、判別結果を示すための表示態様を遊技者に分かり易く表示することができるという効果がある。
遊技機AJ4またはAJ5において、前記表示制御手段は、前記第1図柄列を構成する前記複数の図柄と、前記第2図柄列を構成する前記複数の図柄と、が所定の順序で配置された合算図柄列で構成されているように前記第1図柄列と前記第2図柄列とを表示制御可能であることを特徴とする遊技機AJ6。
遊技機AJ6によれば、遊技機AJ4またはAJ5の奏する効果に加え、第1図柄列と第2図柄列とを合算図柄列として動的表示させることができるため、遊技者に対して、合算図柄列が構成されていると思わせることができる。その中で、第1図柄列と第2図柄列とを逆方向に動的表示させることができるため、遊技者に意外性のある演出を提供することができ、演出効果を高めることができるという効果がある。
遊技機AJ6において、前記表示制御手段は、前記判別結果が前記特定の判別結果である場合よりも、前記特定の判別結果以外である場合のほうが、前記合算図柄列として前記第1図柄列と前記第2図柄列とを動的表示させ易くなるように表示制御可能であることを特徴とする遊技機AJ7。
遊技機AJ7によれば、遊技機AJ6の奏する効果に加え、判別結果が特定の判別結果である場合のほうが、合算図柄列として第1図柄列と第2図柄列とを動的表示され難くすることができる。よって、第1図柄列の動的表示と第2図柄列の動的表示とが異なる態様となった場合に、特定の判別結果への期待感を高めさせることができ、演出効果を高めることができるという効果がある。
<特徴AK群>(V確機のベロ制御をアタッカ入球数に基づいて実行)
遊技者に有利な特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により前記特典遊技が実行された場合に、遊技球が入球困難な第1状態からその第1状態よりも入球し易い第2状態へと可変可能な可変入球手段と、を有した遊技機において、前記可変入球手段に入球した遊技球が通過可能な第1特定領域と、その第1特定領域を遊技球が通過したことを検出可能な第1検出手段と、前記第1特定領域を通過した遊技球が通過可能な第2特定領域と、その第2特定領域を遊技球が通過したことを検出可能な第2検出手段と、前記第1特定領域を通過した遊技球を前記第2特定領域へと誘導可能な誘導路と、前記第2特定領域に遊技球が通過可能な許容状態と通過困難な規制状態とに可変可能な可変手段とを有し、前記可変手段は、前記第1検出手段により所定数の遊技球が検出されたことに基づいて前記規制状態から前記許容状態へと可変条件が成立するまで可変されるように構成されているものであることを特徴とする遊技機AK1。
従来より、大当たり遊技中に開放動作されるアタッカ内に特定領域を設け、大当たり遊技中に遊技球が特定領域を通過すると、その大当たり遊技終了後に確変状態を設定する遊技機(所謂、V確機)があった(例えば、特許文献1:特開2015−119807号公報)。このような遊技機では、大当たり遊技が開始されてからの経過期間に基づいて特定領域を遊技球が通過し易い第1状態を所定期間設定することにより、確変状態が設定される割合を予め規定可能に構成していた。
しかしながら、従来型の遊技機では、大当たり遊技が実行されてからの経過期間に基づいて第1状態が設定されてしまうため、例えば、大当たり遊技中に遊技機のトラブルによって遊技球をアタッカに入賞させることができない事態が発生したまま、第1状態が設定される所定期間が経過してしまい、遊技者の遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者の遊技意欲を向上させることで遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AK1によれば、可変入球手段に入球した遊技球の計測結果に基づいて、可変手段が許容状態へと可変されるので、可変入球手段に入球した数によって第2特定領域へと遊技球を通過させることが可能となり、遊技者に可変入球手段に入球させた数に対して興味を持たせて遊技の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機AK1において、前記可変手段は、前記第1特定領域を前記所定数目となる遊技球が前記許容状態に可変された状態の前記可変手段へと到達可能となる期間で前記許容状態へと可変されるものであることを特徴とする遊技機AK2。
遊技機AK2によれば、遊技機AK1の奏する効果に加え、第1特定領域を通過した所定数目の遊技球を第2特定領域へと入球させることが可能となり、第2特定領域を通過する遊技球を制御して、第2特定領域への入球数を制限することができるという効果がある。
遊技機AK1またはAK2において、前記第1特定領域を前記所定数目の遊技球が通過した後に、前記第2検出手段に遊技球が検出されるまでの期間を判別することが可能な期間判別手段と、前記期間判別手段の判別結果に基づいて異常処理を実行可能な異常処理手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機AK3。
遊技機AK3によれば、遊技機AK1またはAK2の奏する効果に加え、第1特定領域を所定数の遊技球を通過したにもかかわらず、誘導路上で滞留している場合等の不具合を早期に発見することができるという効果がある。
遊技機AK1からAK3の何れかにおいて、前記終了条件は、前記所定数目の遊技球が前記第2検出手段に検出された後に、次の遊技球が前記可変手段に到達する期間よりも短い期間が経過した場合に成立するように設定されているものであることを特徴とする遊技機AK4。
遊技機AK4によれば、遊技機AK1からAK3の何れかの奏する効果に加え、確実に所定数目の遊技球を第2特定領域に入球させることができるという効果がある。
遊技機AK1からAK4の何れかにおいて、前記第2検出手段に遊技球が検出されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段を有するものであることを特徴とする遊技機AK5。
遊技機AK5によれば、遊技機AK1からAK4の何れかの奏する効果に加え、特典遊技が実行された場合にも、第2特定領域へ遊技球を入球させることに対する意欲を持たせることができ、特典遊技が退屈になる不具合を抑制できるという効果がある。
<特徴AL群>(図柄列を可変させることで、図柄列内の一部図柄を切り替える)
判別を実行可能な判別手段と、その判別手段の判別結果を示すための識別図柄が表示される表示手段と、その表示手段に前記識別図柄を動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記識別図柄が動的表示された後、特定の前記判別結果を示すための前記識別図柄が表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段と、その特典付与手段により付与される特典種別を決定することが可能な特典種別決定手段と、を有した遊技機において、前記識別図柄が動的表示される期間を少なくとも含む動的表示期間を決定可能な動的表示期間決定手段と、その動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間のうち、第1期間では第1の結果を示すための前記識別図柄として第1識別図柄が表示され、第2期間では前記第1の結果とは異なる第2の結果を示すためのものであって、前記第1識別図柄とは異なる第2識別図柄が少なくとも表示されるように設定可能な設定手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機AL1。
従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報として、第3図柄を変動表示させるものがあった。また、その第3図柄の変動表示中に様々な演出(変動演出)を実行し、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示唆することで大当たり当選を期待させながら遊技を行わせることができるものがあった。また、一般的な遊技機では、複数の第3図柄(例えば、1〜9の数字が付された第3図柄)によって1の図柄列を構成し、その図柄列を複数(例えば、3つ)用いた図柄変動表示を実行し、1の図柄列を除いた他の図柄列にて所定の第3図柄が所定位置に停止表示された場合に、大当たり当選の期待度を高めた演出(例えば、リーチ演出)を実行するものがある。このように複数の図柄列を用いて第3図柄を変動表示させながら特別図柄抽選の結果が大当たり当選であるか否かを示唆するための変動演出を実行することにより、遊技者に対して大当たり当選への期待度を徐々に高めることができるため、遊技の興趣を向上させることができるものであった。
しかしながら、従来の遊技機では、第3図柄変動が開始されてから停止表示されるまでの変動期間中に特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄が変動するだけであるため、第3図柄の変動表示開始から変動表示終了までの期間中に、遊技者が遊技に飽きてしまい遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、第3図柄変動の期間中における遊技意欲の低下を抑制することにより、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AL1によれば、動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間のうち、第1期間で動的表示される第1識別図柄と、第2期間で動的表示される第2識別図柄とで異なる結果を示すことが可能となるため、動的表示手段により動的表示される識別図柄に対して、遊技者に継続して興味を持たせることができる。よって、動的表示期間中における遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AL1において、前記動的表示手段は、前記第1期間の終了時に前記第1識別図柄を停止表示可能であり、前記第2期間は、少なくとも前記第1期間が経過した後の期間であることを特徴とする遊技機AL2。
遊技機AL2によれば、遊技機AL1の奏する効果に加え、第1期間が終了し、第2期間が始まることを遊技者に分かり易く報知することができるため、演出効果を高めることができるという効果がある。
遊技機AL2において、前記動的表示手段は、前記第1の結果として、前記判別手段の判別結果が、前記特定の判別結果であることを示すための前記第1識別図柄を表示可能であることを特徴とする遊技機AL3。
遊技機AL3によれば、遊技機AL2の奏する効果に加え、動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間が経過するよりも前に、判別手段の判別結果を遊技者に報知することができるため、いち早く判別手段の判別結果を把握しようとする遊技者に対して、動的表示手段により実行される識別図柄の動的表示を注視させることができる。よって、遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができるため、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AL3において、前記動的表示手段は、前記第2の結果として、前記特典種別決定手段により決定された前記特典種別を示すための前記第2識別図柄を表示可能であることを特徴とする遊技機AL4。
遊技機AL4によれば、遊技機AL3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第2期間の終了後に前記特典種別を示すための識別図柄を表示することができる。つまり、判別手段の判別結果を表示した後に、特典種別決定手段により決定された特典種別を表示することができる。よって、判別手段の判別結果が特定の判別結果であることを遊技者に報知した後に、特典種別決定手段により決定された特典種別を遊技者に報知することができるため、少なくとも特典遊技が実行されるという安心感を持たせた状態で第2期間の動的表示を実行することができるという効果がある。
遊技機AL4において、前記特典種別決定手段は、少なくとも、第1特典種別と、その第1特典種別よりも遊技者に有利となる第2特典種別とを含む複数の特典種別のうち、何れかの特典種別を決定するものであり、前記第2識別図柄は、少なくとも前記特典種別決定手段により決定された前記特典種別を示すための情報が含まれている表示態様で表示されるものであることを特徴とする遊技機AL5。
遊技機AL5によれば、遊技機AL4の奏する効果に加え、第2識別図柄の表示態様が前記特典種別決定手段によって決定された特典種別を示しているため、第2識別図柄が動的表示されている期間中においても、決定された特典手段を遊技者に予測させることができ、演出効果を高めることができるという効果がある。
遊技機AL5において、前記動的表示手段により動的表示される複数の前記識別図柄が所定の順序で表示される図柄列を設定可能な図柄列設定手段を有し、前記動的表示手段は、前記図柄列設定手段により設定された前記図柄列に基づいて前記識別図柄を動的表示可能であり、前記図柄列設定手段は、第1期間中に設定される第1図柄列の少なくとも一部を形成する前記第1識別図柄を、前記第2識別図柄へと切り替えた第2図柄列を設定可能であることを特徴とする遊技機AL6。
遊技機AL6によれば、遊技機AL5の奏する効果に加え、第1図柄列の少なくとも一部を形成する第1識別図柄を第2識別図柄へと切り替えた第2図柄列が設定されるため、第1図柄列が有する識別図柄の数と、第2図柄列が有する識別図柄の数と、同一にすることができる。よって、動的表示手段により実行される識別図柄の動的表示態様を、設定される図柄列の種別に応じて可変させる必要が無いため、識別図柄を動的表示させるための処理負荷を軽減させることができるという効果がある。
遊技機AL6において、前記図柄列設定手段は、前記判別手段の同一の判別結果を示すための第1識別図柄を重複させた前記第1図柄列を形成可能であり、前記第2図柄列を設定する場合、前記重複している前記第1識別図柄の何れかを前記第2識別図柄へと切替可能であることを特徴とする遊技機AL7。
遊技機AL7によれば、第1図柄列に重複して含まれる第1識別図柄を第2識別図柄へと切り替えるため、第2期間中においても、第1期間中に実行された動的表示にて表示されていた各第1識別図柄を確認することが可能となる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
<特徴AM群>(ボタン操作の制限制御中に別操作で制限解除)
判別結果を示すための識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記表示手段に特定の判別結果を示すための識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段と、を有した遊技機において、操作可能な操作手段と、その操作手段に対する操作の種別として、第1操作と、その第1操作とは異なる第2操作と、を少なくとも判別可能な操作判別手段と、その操作判別手段の判別結果に基づいた設定を実行することが可能な設定実行手段と、前記操作判別手段により前記第1操作と判別された場合に、前記設定実行手段により第1設定が実行されることを規制する規制手段と、を有し、前記設定実行手段は、前記規制手段による前記規制中において、前記操作判別手段により前記第2操作が判別された場合に、前記第1設定を実行可能であることを特徴とする遊技機AM1。
従来より、特別図柄抽選が実行された場合に、所定期間の特別図柄変動期間を介して抽選結果を報知(停止表示)するように構成し、特別図柄抽選が実行されてから、その抽選結果が停止表示されるまでの期間(特別図柄変動期間)を用いて様々な演出(変動演出)を実行することで遊技者が遊技に早期に飽きないよう工夫を凝らしているものが多々ある。その中で、複数の演出モードを予め容易しておき、各演出モードに対して特別図柄変動期間中に実行される変動演出の態様を異ならせるように構成しているものがある(例えば、特許文献1:特開2012−249877号公報)。
このように構成された遊技機では、演出モードが切り替わることにより、異なる変動演出を遊技者に提供することができるため、同一の変動演出ばかり提供されることにより遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。さらに、遊技者が操作可能な操作手段を操作することで、任意に演出モードを切替可能とする遊技機もある。このような遊技機では、複数の演出モードのうち、最も興味のある演出モードを遊技者自身が選択することができるため、興味の低い変動演出が実行されてしまい遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。また、演出モードを切り替えるために遊技者自身が操作手段を操作する必要があることから遊技の興趣を向上させることができる。
しかしながら、上述したように、遊技者が操作手段を操作することで、任意のタイミングで演出モードを切替可能とした場合には、例えば、特別図柄抽選の結果が停止表示される直前や、特別図柄変動期間として短時間の変動期間が設定される場合において、演出モードが切り替わることにより、特別図柄抽選の結果を遊技者が把握し難くなってしまうため、操作手段を操作しようとする意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者の遊技意欲を向上できる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AM1によれば、第1操作に基づく第1設定が規制されている状態であっても、第2操作を実行することで第1設定を実行することができる。よって、様々な操作を実行しようと意欲的に遊技者に操作手段を操作させることができるという効果がある。
遊技機AM1において、前記設定実行手段は、前記規制手段による前記規制中において、前記操作判別手段により前記第1操作が判別された場合に、前記第1設定とは異なる第2設定を実行可能であることを特徴とする遊技機AM2。
遊技機AM2によれば、遊技機AM1の奏する効果に加え、規制中に第1操作を実行した場合に、第2設定が実行されるため、第1操作を実行したにも関わらず設定実行手段が何も実行しない事態を抑制することができる。よって、遊技者に意欲的に操作手段を操作させることができるという効果がある。
遊技機AM1またはAM2において、前記動的表示手段により前記識別情報が動的表示される動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段と、終了条件が成立するまで前記動的表示期間決定手段により決定される動的表示期間として短い動的表示期間が決定され易い短遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、前記規制手段は、前記短遊技状態が設定されている状態であって、前記操作判別手段により前記第1操作と判別された場合に、前記設定実行手段により第1設定が実行されることを規制し得るものであることを特徴とする遊技機AM3。
遊技機AM3によれば、遊技機AM1またはAM2の奏する効果に加え、短遊技状態中において、操作手段が操作されたことに基づく設定の実行を規制することができるため、設定実行手段が実行されることにより、判別手段の判別結果を遊技者が把握し難くなることを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AM3において、前記設定実行手段により実行された設定に基づいて、第1演出モードと、その第1演出モードとは異なる第2演出モードと、を少なくとも設定可能な演出モード設定手段を有することを特徴とする遊技機AM4。
遊技機AM4によれば、遊技機AM3の奏する効果に加え、操作手段が操作されたことに基づいて異なる演出モードを設定することができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機AM1からAM4の何れかにおいて、前記操作手段は、前記第1操作を実行するための第1操作部と、前記第2操作を実行するための前記第1操作部とは異なる第2操作部と、を有するものであることを特徴とする遊技機AM5。
遊技機AM5によれば、遊技機AM1からAM4のいずれかの奏する効果に加え、第1操作を実行する場合と、第2操作を実行する場合とで、異なる操作部に対して操作を実行することになるため、遊技者が第1操作と第2操作とを間違えて実行してしまうことを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AM5において、前記第2操作部は、前記第1操作部よりも遊技中の遊技者が操作し難い箇所に設けられていることを特徴とする遊技機AM6。
遊技機AM6によれば、遊技機AM5の奏する効果に加え、各操作部の操作のし易さを異ならせることにより、第1操作部を用いる第1操作を通常の操作とし、第2操作部を用いる第2操作を非常用の操作とすることが可能となる。よって、遊技者が何れの操作を実行するか悩んでしまうことを抑制することができるという効果がある。
<特徴AN群>(ボタン操作の制限制御中に操作で別内容を実行)
判別結果を示すための識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記表示手段に特定の判別結果を示すための識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段と、を有した遊技機において、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作されたことに基づいて操作に対応した第1設定を実行することが可能な第1設定実行手段と、前記操作手段が操作されたことに基づく前記第1設定の実行を規制する規制手段と、その規制手段により前記第1設定の実行が規制されている状態で、前記操作手段を操作した場合に前記第1設定とは異なる第2設定を実行する第2設定実行手段と、を有することを特徴とする遊技機AN1。
従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報として、第3図柄を変動表示させるものがあった。また、その第3図柄の変動表示中に様々な演出(変動演出)を実行し、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示唆することで大当たり当選を期待させながら遊技を行わせることができるものがあった。また、一般的な遊技機では、複数の第3図柄(例えば、1〜9の数字が付された第3図柄)によって1の図柄列を構成し、その図柄列を複数(例えば、3つ)用いた図柄変動表示を実行し、1の図柄列を除いた他の図柄列にて所定の第3図柄が所定位置に停止表示された場合に、大当たり当選の期待度を高めた演出(例えば、リーチ演出)を実行するものがある。このように複数の図柄列を用いて第3図柄を変動表示させながら特別図柄抽選の結果が大当たり当選であるか否かを示唆するための変動演出を実行することにより、遊技者に対して大当たり当選への期待度を徐々に高めることができるため、遊技の興趣を向上させることができるものであった。
しかしながら、従来の遊技機では、第3図柄変動が開始されてから停止表示されるまでの変動期間中に特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄が変動するだけであるため、第3図柄の変動表示開始から変動表示終了までの期間中に、遊技者が遊技に飽きてしまい遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、第3図柄変動の期間中における遊技意欲の低下を抑制することにより、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AL1によれば、動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間のうち、第1期間で動的表示される第1識別図柄と、第2期間で動的表示される第2識別図柄とで異なる結果を示すことが可能となるため、動的表示手段により動的表示される識別図柄に対して、遊技者に継続して興味を持たせることができる。よって、動的表示期間中における遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AN1によれば、第1設定が規制されている状態で操作手段が操作された場合に、第2設定が実行されるため、操作手段を操作したにも関わらず何も実行されない事態を抑制することができる。よって、遊技者に意欲的に操作手段を操作させることができるという効果がある。
遊技機AN1において、前記規制手段は、前記識別情報の動的表示期間において特定条件が成立している場合に前記第1設定の実行を規制可能であることを特徴とする遊技機AN2。
遊技機AN2によれば、遊技機AN1の奏する効果に加え、識別情報の動的表示が実行されている間に規制手段により第1設定の実行が規制されるため、第1設定が実行されたことにより、識別情報の動的表示結果を遊技者が把握し難くなることを抑制することができるという効果がある。
遊技機AN2において、前記動的表示手段により前記識別情報が動的表示される動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段と、終了条件が成立するまで前記動的表示期間決定手段により決定される動的表示期間として短い動的表示期間が決定され易い短遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、前記規制手段は、前記短遊技状態が設定されている状態であって、前記操作判別手段により前記第1操作と判別された場合に、前記設定実行手段により第1設定が実行されることを規制し得るものであることを特徴とする遊技機AN3。
遊技機AN3によれば、遊技機AN1またはAN2の奏する効果に加え、短遊技状態中において、操作手段が操作されたことに基づく設定の実行を規制することができるため、設定実行手段が実行されることにより、判別手段の判別結果を遊技者が把握し難くなることを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AN3において、前記設定実行手段により実行された前記第1設定に基づいて、第1演出モードと、その第1演出モードとは異なる第2演出モードと、を少なくとも設定可能な演出モード設定手段を有することを特徴とする遊技機AN4。
遊技機AN4によれば、遊技機AN3の奏する効果に加え、操作手段が操作されたことに基づいて異なる演出モードを設定することができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機AN1からAN4の何れかにおいて、前記操作手段は、第1操作を実行するための第1操作部と、前記第1操作とは異なる第2操作を実行するための前記第1操作部とは異なる第2操作部と、を有するものであることを特徴とする遊技機AM5。
遊技機AN5によれば、遊技機AN1からAN4の何れかの奏する効果に加え、第1操作を実行する場合と、第2操作を実行する場合とで、異なる操作部に対して操作を実行することになるため、遊技者が第1操作と第2操作とを間違えて実行してしまうことを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AN5において、前記第2操作部は、前記第1操作部よりも遊技中の遊技者が操作し難い箇所に設けられていることを特徴とする遊技機AN6。
遊技機AN6によれば、遊技機AN5の奏する効果に加え、各操作部の操作のし易さを異ならせることにより、第1操作部を用いる第1操作を通常の操作とし、第2操作部を用いる第2操作を非常用の操作とすることが可能となる。よって、遊技者が何れの操作を実行するか悩んでしまうことを抑制することができるという効果がある。
<特徴AO群>(ステージチェンジし難い状態でステージチェンジしたらチャンス)
判別結果を示すための識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記表示手段に特定の判別結果を示すための識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段と、を有した遊技機において、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作されたことに基づいて、演出モードとして第1演出モードと、その第1演出モードとは異なる第2演出モードと、を少なくとも設定可能な演出モード設定手段と、その演出モード設定手段による前記演出モードの設定を実行可能な第1期間と、その第1期間よりも前記演出モードの設定を実行し難い第2期間と、を設定可能な期間設定手段と、を有し、前記遊技機は、前記演出モードの設定が、前記第2期間中に実行されたほうが、前記第1期間中に実行されるよりも遊技者に有利な情報を提供可能であることを特徴とする遊技機AO1。
従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報として、第3図柄を変動表示させるものがあった。また、その第3図柄の変動表示中に様々な演出(変動演出)を実行し、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示唆することで大当たり当選を期待させながら遊技を行わせることができるものがあった。また、一般的な遊技機では、複数の第3図柄(例えば、1〜9の数字が付された第3図柄)によって1の図柄列を構成し、その図柄列を複数(例えば、3つ)用いた図柄変動表示を実行し、1の図柄列を除いた他の図柄列にて所定の第3図柄が所定位置に停止表示された場合に、大当たり当選の期待度を高めた演出(例えば、リーチ演出)を実行するものがある。このように複数の図柄列を用いて第3図柄を変動表示させながら特別図柄抽選の結果が大当たり当選であるか否かを示唆するための変動演出を実行することにより、遊技者に対して大当たり当選への期待度を徐々に高めることができるため、遊技の興趣を向上させることができるものであった。
しかしながら、従来の遊技機では、第3図柄変動が開始されてから停止表示されるまでの変動期間中に特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄が変動するだけであるため、第3図柄の変動表示開始から変動表示終了までの期間中に、遊技者が遊技に飽きてしまい遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、第3図柄変動の期間中における遊技意欲の低下を抑制することにより、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AL1によれば、動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間のうち、第1期間で動的表示される第1識別図柄と、第2期間で動的表示される第2識別図柄とで異なる結果を示すことが可能となるため、動的表示手段により動的表示される識別図柄に対して、遊技者に継続して興味を持たせることができる。よって、動的表示期間中における遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AO1によれば、演出モードが設定され難い第2期間において演出モードの設定がされた場合に、遊技者に有利な情報を提供することができるため、第2期間中において演出モードが設定されることを期待させながら遊技者に遊技を行わせることができる。よって、遊技者に対して意欲的に操作手段を操作させることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AO1において、前記演出モード設定手段は、前記第2期間中に前記演出モードの設定を実行する場合に、前記第1演出モード、及び前記第2演出モードとは異なる第3演出モードを設定可能であることを特徴とする遊技機AO2。
遊技機AO2によれば、遊技機AO1の奏する効果に加え、第3演出モードが設定されることで、第2期間中に演出モードが設定されたことを遊技者に報知することができるため、遊技者に分かり易い演出を提供することができるという効果がある。
遊技機AO1からAO3の何れかにおいて、前記動的表示手段により前記識別情報が動的表示される動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段と、終了条件が成立するまで前記動的表示期間決定手段により決定される動的表示期間として短い動的表示期間が決定され易い短遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、前記期間設定手段は、前記短遊技状態が設定されている場合に前記第2期間を設定可能であることを特徴とする遊技機AO4。
遊技機AO4によれば、遊技機AO1からAO3の何れかの奏する効果に加え、短遊技状態中において、演出モードが設定され難くすることができるため、演出モードが設定されることにより、判別手段の判別結果を遊技者が把握し難くなることを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AO1からAO4の何れかにおいて、前記期間設定手段により前記第2期間が設定されることを、前記第2期間が設定されるよりも前に遊技者に報知可能な報知手段を有することを特徴とする遊技機AO5。
遊技機AO5によれば、遊技機AO1からAO4の何れかの奏する効果に加え、遊技者に対して第2期間が設定されることを事前に把握させることができるため、所望の演出モードを設定した状態で第2期間を設定させることができる。よって、遊技者が所望しない演出モードにて第2期間が設定されてしまい遊技者の遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができるという効果がある。
<特徴AP群>(先読みでステージチェンジのし易さを可変)
情報取得条件の成立に基づいて情報を取得可能な情報取得手段と、その情報取得手段により取得された前記情報が記憶される情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶された前記情報に基づいて、判別を実行可能な判別手段と、その判別手段による前記判別の結果を示すための識別情報を表示手段に動的表示させることが可能な動的表示手段と、前記判別手段による判別結果が特定の判別結果であることを示すための識別情報が前記表示手段に停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、を有した遊技機において、前記情報記憶手段に記憶されている前記情報を、その情報に基づく前記判別手段による判別が実行されるよりも前に事前判別可能な事前判別手段と、切替条件が成立した場合に、第1演出モードから、その第1演出モードとは異なる第2演出モードへと演出モードを切替可能な切替手段と、を有し、前記切替条件は、前記事前判別手段の事前判別結果が第1事前判別結果である場合よりも、前記第1事前判別結果とは異なる第2事前判別結果である場合のほうが、成立し易いものであることを特徴とする遊技機AP1。
従来より、特別図柄抽選の結果を示すための識別情報として、第3図柄を変動表示させるものがあった。また、その第3図柄の変動表示中に様々な演出(変動演出)を実行し、遊技者に対して、特別図柄抽選の結果を示唆することで大当たり当選を期待させながら遊技を行わせることができるものがあった。また、一般的な遊技機では、複数の第3図柄(例えば、1〜9の数字が付された第3図柄)によって1の図柄列を構成し、その図柄列を複数(例えば、3つ)用いた図柄変動表示を実行し、1の図柄列を除いた他の図柄列にて所定の第3図柄が所定位置に停止表示された場合に、大当たり当選の期待度を高めた演出(例えば、リーチ演出)を実行するものがある。このように複数の図柄列を用いて第3図柄を変動表示させながら特別図柄抽選の結果が大当たり当選であるか否かを示唆するための変動演出を実行することにより、遊技者に対して大当たり当選への期待度を徐々に高めることができるため、遊技の興趣を向上させることができるものであった。
しかしながら、従来の遊技機では、第3図柄変動が開始されてから停止表示されるまでの変動期間中に特別図柄抽選の結果を示すための第3図柄が変動するだけであるため、第3図柄の変動表示開始から変動表示終了までの期間中に、遊技者が遊技に飽きてしまい遊技意欲が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、第3図柄変動の期間中における遊技意欲の低下を抑制することにより、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的としている。
遊技機AL1によれば、動的表示期間決定手段により決定された動的表示期間のうち、第1期間で動的表示される第1識別図柄と、第2期間で動的表示される第2識別図柄とで異なる結果を示すことが可能となるため、動的表示手段により動的表示される識別図柄に対して、遊技者に継続して興味を持たせることができる。よって、動的表示期間中における遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AP1によれば、事前判別手段による事前判別結果に応じて切替条件の成立のし易さを異ならせることができるため、演出モードが切り替わった場合における事前判別手段の事前判別結果を遊技者に予測させることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機AP1において、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段に対する操作を判別可能な操作判別手段と、を有し、前記切替条件は、前記操作判別手段により前記操作が判別された場合に成立し得るものであることを特徴とする遊技機AP2。
遊技機AP2によれば、遊技機AP1の奏する効果に加え、遊技者が操作手段を操作した場合にも切替条件が成立させることができるため、遊技者に対して意欲的に操作手段を操作させることができ、遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機AP2において、前記切替手段は、前記事前判別手段の判別結果が前記第2事前判別結果である場合に、前記第1演出モードから前記第2演出モードとは異なる第3演出モードへと切替可能であることを特徴とする遊技機AP3。
遊技機AP3によれば、遊技機AP2の奏する効果に加え、第3演出モードが設定されることで、事前判別手段による事前判別の結果が第2事前判別結果であることを遊技者に報知することが可能となる。よって、遊技者に分かり易い演出を提供することができるという効果がある。
遊技機AP1からAP3の何れかにおいて、前記動的表示手段により前記識別情報が動的表示される動的表示期間を決定する動的表示期間決定手段と、終了条件が成立するまで前記動的表示期間決定手段により決定される動的表示期間として短い動的表示期間が決定され易い短遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、前記切替条件は、前記短遊技状態が設定されている場合のほうが、前記短遊技状態が設定されていない場合よりも成立し難いものであることを特徴とする遊技機AP4。
遊技機AP4によれば、遊技機AP1からAP3の何れかの奏する効果に加え、短遊技状態中において、演出モードを切替難くすることができるため、演出モードが設定されることにより、判別手段の判別結果を遊技者が把握し難くなることを抑制することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機AP1からAP4の何れかにおいて、前記遊技状態設定手段により前記短遊技状態が設定されることを、前記短遊技状態が設定されるよりも前に遊技者に報知可能な報知手段を有することを特徴とする遊技機AP5。
遊技機AP5によれば、遊技機AP1からAP4の何れかの奏する効果に加え、遊技者に対して短遊技状態が設定されることを事前に把握させることができるため、短遊技状態が設定されるよりも前に切替条件を成立させようと操作手段を意欲的に操作させることができる。これにより、所望の演出モードを設定した状態で短遊技状態を設定させ易くすることができるため、遊技者が所望しない演出モードにて短遊技状態が設定されてしまい遊技者の遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができるという効果がある。
上述した各遊技機のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
上述した各遊技機のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
上述した各遊技機のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。