JP2020045314A - ガス貯蔵剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガスの貯蔵圧力及び放出圧力を調整可能なガス貯蔵剤及びガス分離システムを提供すること。【解決手段】 2つの立方格子状の有機金属錯体を有し、一方の有機金属錯体における単位格子の1の頂点部分が、他方の有機金属錯体における1の単位格子内の空間に位置するように前記2つの有機金属錯体が相互貫入構造を形成するガス貯蔵剤。【選択図】 図2
Description
本発明は、ガス貯蔵剤に関する。
ガス貯蔵は、通常、ガスを圧縮するか、又はそれらを液化することによって行われる。その場合、幾つかの欠点として、加圧ガスを安全に維持することができる圧力調整器や重鋼製シリンダの必要性等が強調される。十分な容量を得るのに必要な高圧及びそれに対する安全性の問題を考慮すると、シリンダ形状とサイズは通常固定されることになり、特定の用途に合わせて容易に調整することはできない。このような制限は、その用途のために高圧を要する全ての商業ガスやそのような圧力では安全に圧縮できずに特定の容器が必要なガス又はガス混合物に関わってくる。
アセチレン(C2H2)は、0.2MPa以上に加圧された場合に酸素が存在しなくても爆発する可能性のある反応性の高いガスである。これはC2H2のC及びH2への発熱分解、並びに自己環化型反応に起因している。その結果、アセチレンは高圧下では貯蔵できないガスである。
通常、圧力が0.15MPa未満(ただし低容量につながる。)の気相下で貯蔵されるハイグレードのアセチレンを除き、実際のアセチレンの貯蔵のための方策として、多孔質カルシウムシリカ及びガラス繊維を充填した鋼管シリンダに含まれる有機溶媒(アセトン又はN、N−ジメチルホルムアミド)中にガスを溶解(約1.5MPaにて)させる技術がある。なお、このタイプのアセチレン貯蔵の主な用途は溶接・切断することである(特許文献1)。溶媒の存在は、製造者にとって費用が高く、取り扱いに時間がかかるともに、不適切な取り扱いをした場合、最終消費者に大きな安全性リスクをもたらすおそれがある。さらに、安全上の理由から、シリンダの寸法に直接関係する流量を制限したり、直立位置でのシリンダの使用を制限したりする等、その用途を制限することで使用中の溶媒の欠点を避けることが必要となる。アセチレンガスが流れている場合、通常の溶剤汚染は約2%〜5%である。流量のシリンダ寸法への依存性の結果として、低容量シリンダは限られた流量しか有し得ない。
溶媒の存在はいくつかの欠点をもたらす。前述のように、アセチレンの脱着(シリンダ使用)に伴う溶媒の蒸発は、ユーザーにとって大きな安全上のリスクになる。実際、溶媒の蒸発は、溶剤を含まない(乾燥した)多孔質物質のポケットを形成することがある。この状況では、アセチレンの初期貯蔵圧力が約1.5MPaであるため、脱着したアセチレンは爆発限界(0.2MPa)より高い圧力を有する泡を形成し得、従って自発的に爆発する可能性がある。溶媒の蒸発及びその後の爆発の危険性を制限するために、使用時のシリンダの流速は、通常、その内部容積との直接の関係で制限される。さらに、溶媒からのアセチレン脱気は吸熱プロセスであり、従って、その後、シリンダを冷却する。アセチレンの脱着及びその結果としての流速は減少し、温度が(室温まで)上昇するまでシリンダが明らかに消耗し、その連続使用が大幅に制限される。
主に溶剤を用いる貯蔵に関連する前述の欠点に基づいて、溶媒を使用せずに十分な容量でアセチレンを貯蔵できる解決策を提案することが非常に望ましい。溶媒技術とは別に、他の市販のアセチレン容器は0.15MPaに圧縮されたアセチレンに相当する。当該容器は、高純度(溶媒汚染なし)であるが溶媒を用いる容器と比較して貯蔵容量は低いことが示されている。
古典的吸着挙動(IUPAC I型等温吸着プロファイル)を示す吸着剤は、非常に低い使用圧力範囲、すなわち容器圧力が望ましくは0.2MPaより低く、容器出口の圧力に対応する0.1MPaより高い放出圧力のために、この様式においてほとんど利益を示さない。そこで、調整可能かつ低圧で十分な容量のアセチレン貯蔵及び放出のための貯蔵解決策が非常に望ましい。同様に、低圧(3MPa未満)で十分な量のガスを貯蔵する解決策は、その低い圧力に起因して安全性のリスクがより低く、全てのガス又は混合物にとって望ましい。
多孔質配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer)としても知られている金属有機フレームワーク(MOF:Metal−Organic Framework)は、多種の有機又は有機金属配位子との配位結合を介してフレームワークを形成する金属イオン系の結節からなる有機無機ハイブリッド材料の一種である。これらの材料は、多孔性で体積及び比表面積がともに高いために、過去数年間、科学的コミュニティの関心を高めている。これに加えて、MOFは高度に調整可能であり、異なる有機リガンドを使用する場合、異なる材料を得ることができる。またMOFは、独特の「呼吸」又は「柔軟性」構造を示し、これにより独特の吸着脱着特性を発揮し、ヒステリシス吸着及び脱着を伴うゲート開口圧力(貯蔵圧力)で開始する強い吸着の存在により主に特徴付けられる。貯蔵用途では、この特徴は、小さな圧力範囲で吸着量が強く迅速に増減するため、重要な意味を持ち、このことは、これらの材料が古典的なラングミュア型吸着等温線プロファイルを示す材料よりも高い仕事容量を達成することができることを意味する。
しかしながら、この特定の吸着プロファイルが重要な関心事であっても、柔軟性のあるMOFはほとんど研究されておらず、吸着プロファイルの調整は困難なままである。
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、ガスの貯蔵圧力及び放出圧力を調整可能なガス貯蔵剤及びガス分離システムを提供することを目的とする。
本願発明者らは鋭意検討したところ、下記構成を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明は、一実施形態において、2つの立方格子状の有機金属錯体を有し、
前記有機金属錯体は、少なくとも2種の金属原子を含み、
一方の有機金属錯体における単位格子の1の頂点部分が、他方の有機金属錯体における1の単位格子内の空間に位置するように前記2つの有機金属錯体が相互貫入構造を形成するガス貯蔵剤に関する。
前記有機金属錯体は、少なくとも2種の金属原子を含み、
一方の有機金属錯体における単位格子の1の頂点部分が、他方の有機金属錯体における1の単位格子内の空間に位置するように前記2つの有機金属錯体が相互貫入構造を形成するガス貯蔵剤に関する。
当該ガス貯蔵剤では、立方格子状の有機金属錯体を基礎構造として有しているので、ゼオライトや活性炭と比較して高い柔軟性を有する。また、一方の有機金属錯体の格子内の空間に、他方の有機金属錯体の格子が互い違いにはまり込むようにして相互貫入構造を形成している。吸着質であるガスは、この相互貫入構造内の空間(以下、「ガス取込み空間」ともいう。)に取り込まれる。ガス吸着前(大気圧)では、2つの有機金属錯体は、それぞれ配位子同士のπ−πスタッキング等によってエネルギー的に安定するように平たく折り畳まれたような配置(単位格子を側面視した場合に一組の対角がかなり接近した菱形の配置)をとる。言い換えると、ガス取込み空間は、最小の状態となる。一方、ガスの加圧を開始し、前述の安定化のエネルギーを破る程度にガスの圧力が高まると、2つの有機金属錯体の格子はそれぞれ起き上がり、互いが離間し始める(単位格子を側面視した場合に、接近していた一組の対角が離間した正方形状ないし矩形状の配置)。ガス取込み空間としては拡張ないし膨張し始める。さらにガスの圧力が高まり、ガス取込み空間のサイズがガス分子のサイズより大きくなった段階で、ガス取込み空間へのガスの取り込みが開始される。このときの圧力が貯蔵圧力となる。ガスの加圧を継続していくと、ガス取込み空間のサイズ変化の上限に達し、それ以上ガスが取り込まれなくなる。ガスの取り込み開始から停止までの取り込み量の変化は急峻であり、この一連の現象がゲート開口挙動に対応する。その後、ガスを減圧すると、ガス取込み空間からのガスの放出が開始する。ただし、錯体の格子構造はガス取込み空間内でのガスのパッキング効果により安定化されているので、ガスの圧力が一定程度の値に減じられるまでガスの放出量は漸減にとどまる。ガスの減圧を継続し、パッキング効果による安定化が破られる程度の圧力に到達すると、ガス取込み空間からガスが急激に放出されるようになる。このときの圧力が放出圧力となる。さらにガスを減圧していくと理論的にはガス取込み前の状態に戻る。減圧下でのこの一連の現象がゲート放出挙動に対応する。従って、ゲート開口放出挙動の1つの特徴は、ヒステリシスタイプの吸着−脱着曲線の存在である。
2つの有機金属錯体の相対的位置(すなわち、ガス取込み空間のサイズ)は、単位格子のサイズに応じて変動し得る。さらに、有機金属錯体は少なくとも2種の金属原子を含み、それらの存在比を変化させることにより悠紀金属錯体の柔軟性(変形性)を制御することができる。その結果、有機金属錯体自体の構造も歪みを有することができ(例えば、立方体形状の上面と底面の相対位置が平行に変位してずり変形を起こしたような四角柱形状等)、ガス取込み空間のサイズや形状を変化させることができる。当該ガス貯蔵剤では、立方格子状の有機金属錯体の相互貫入構造における格子間距離(錯体接近距離)や格子サイズ、異種金属原子の含有に起因する錯体自体の変形を制御することにより、貯蔵圧力及び放出圧力を調整可能となり、効率的なガス貯蔵性能を発揮することができる。
図1に、(a)古典的吸着挙動(IUPAC I型等温吸着プロファイル)及び(b)ヒステリシスタイプの吸着−脱着曲線の模式的説明図を示す。古典的吸着挙動(IUPAC I型等温吸着プロファイル)及びヒステリシスタイプの吸着−脱着曲線のいずれであっても、吸着圧力(貯蔵圧力:P2)は同程度である。しかし、ガス圧力をP2からP1まで減圧すると、前者ではガスの脱着がほとんど生じないのに対し、後者ではほぼ吸着したガスの全量が脱着する。吸着量から脱着量を減じた値がその作業圧力範囲で利用可能な作業容量に相当するので、ヒステリシスタイプの吸着−脱着挙動を示す当該ガス貯蔵剤は、従来と同程度の作業圧力範囲であっても大きな作業容量を示すことができる。当該ガス貯蔵剤では貯蔵圧力及び放出圧力を調整可能であるので、目的とするガスに応じた作業容量や作業圧力範囲、作業温度を設定することができる。
一実施形態において、当該ガス貯蔵剤では、前記有機金属錯体のそれぞれにおいて、
前記単位格子の各頂点部分をx軸、y軸及びz軸の直交座標系の中心においた場合、
前記中心には2つの金属原子が存在し、
前記2つの金属原子に対し、x軸方向及びy軸方向から4つのジカルボン酸イオン配位子がそれぞれパドルホイール型ユニットを形成するように配位して平面格子構造を形成し、
前記2つの金属原子に対し、z軸方向から2つ又は4つのピリジン誘導体配位子がそれぞれピラー配位子として配位して前記平面格子構造がz軸方向に積層された立方格子構造を形成していてもよい。
前記単位格子の各頂点部分をx軸、y軸及びz軸の直交座標系の中心においた場合、
前記中心には2つの金属原子が存在し、
前記2つの金属原子に対し、x軸方向及びy軸方向から4つのジカルボン酸イオン配位子がそれぞれパドルホイール型ユニットを形成するように配位して平面格子構造を形成し、
前記2つの金属原子に対し、z軸方向から2つ又は4つのピリジン誘導体配位子がそれぞれピラー配位子として配位して前記平面格子構造がz軸方向に積層された立方格子構造を形成していてもよい。
一実施形態において、前記ジカルボン酸イオン配位子が、下記式(1a)〜(1f)のいずれかで表されることが好ましい。
一実施形態において、前記ピリジン誘導体配位子が、下記式(2a)〜(2d)のいずれかで表されることが好ましい。
上記式で表されるジカルボン酸イオン配位子やピリジン誘導体配位子は、ガス取込み空間のサイズ(単位格子のサイズ)やガスとの親和性、ガス貯蔵剤の合成容易性、原料の入手容易性の点から好ましい。これらの配位子を用いることにより、目的とするガスに合わせた貯蔵圧力及び放出圧力の調整が可能となり、効率的なガス貯蔵が可能となる。
一実施形態において、前記金属原子として、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnのうちの2種を含むことが好ましい。中でも、前記金属原子はCu及びZnであることが好ましい。
有機金属錯体を形成する金属原子として、上記のような異種金属を用いることで立方格子状の有機金属錯体を効率的かつ簡便に作製することができるとともに、ガスの貯蔵圧力及び放出圧力の制御がより容易となる。
一実施形態において、当該ガス貯蔵剤は、非酸化性雰囲気下での25℃での爆発限界が0.2MPaであるガスの貯蔵に好適に用いられる。目的とするガスに合わせて貯蔵圧力及び放出圧力を調整可能であるので、高圧での取り扱いが困難なガスの貯蔵に適している。
一実施形態において、前記ガスがアセチレンであってもよい。
本発明は、他の実施形態において、1種以上のガスを貯蔵するガス貯蔵システムであって、
当該ガス貯蔵剤と、
前記ガスを加圧又は減圧をする加圧減圧機構と、
前記加圧減圧機構の圧力を制御する制御部とを備え、
前記ガス貯蔵剤の有機金属錯体を形成する金属原子の存在比を変更することにより前記ガスの前記ガス貯蔵剤への貯蔵圧力及び前記ガス貯蔵剤からの放出圧力が制御されるガス貯蔵システムに関する。
当該ガス貯蔵剤と、
前記ガスを加圧又は減圧をする加圧減圧機構と、
前記加圧減圧機構の圧力を制御する制御部とを備え、
前記ガス貯蔵剤の有機金属錯体を形成する金属原子の存在比を変更することにより前記ガスの前記ガス貯蔵剤への貯蔵圧力及び前記ガス貯蔵剤からの放出圧力が制御されるガス貯蔵システムに関する。
当該ガス貯蔵システムでは、ガス貯蔵剤の貯蔵圧力及び放出圧力を配位子の設計段階からではなく用いる金属の存在比を変更するだけで調整可能となるので、より効率的なガス貯蔵が可能となる。ひいては、目的とするガスに合わせたテーラーメイドのガス貯蔵システムの構築が可能となる。
以下に本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。なお、図の一部又は全部において、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
≪ガス貯蔵剤≫
図2は、本発明の一実施形態に係るガス貯蔵剤を模式的に示す図である。本実施形態のガス貯蔵剤は、2つの立方格子状の有機金属錯体(濃色の格子と薄色の格子)を有し、いわゆる相適応金属有機フレームワーク(フレキシブルMOF又はゲートオープニングMOFとも呼ばれる。)に対応する。さらに、一方の有機金属錯体における単位格子の1の頂点部分は、他方の有機金属錯体における1の単位格子内の空間に位置するように前記2つの有機金属錯体が相互貫入構造を形成する。言い換えると、ガス貯蔵剤は、2つの要素が連結したMOFファミリー(CAT:Catenated MOF)に属する。CATは、2つの独立した三次元の立方格子状フレームワークが相互に貫入する構造である。柔軟なフレームワークは、異なるタイプの柔軟性を呈することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係るガス貯蔵剤を模式的に示す図である。本実施形態のガス貯蔵剤は、2つの立方格子状の有機金属錯体(濃色の格子と薄色の格子)を有し、いわゆる相適応金属有機フレームワーク(フレキシブルMOF又はゲートオープニングMOFとも呼ばれる。)に対応する。さらに、一方の有機金属錯体における単位格子の1の頂点部分は、他方の有機金属錯体における1の単位格子内の空間に位置するように前記2つの有機金属錯体が相互貫入構造を形成する。言い換えると、ガス貯蔵剤は、2つの要素が連結したMOFファミリー(CAT:Catenated MOF)に属する。CATは、2つの独立した三次元の立方格子状フレームワークが相互に貫入する構造である。柔軟なフレームワークは、異なるタイプの柔軟性を呈することができる。
本実施形態のガス貯蔵剤では、吸着現象に加えてMOF相が進化しており、上記相互貫入構造により急峻なガス貯蔵に寄与するガス取込み空間容量をより高めることができる。従って、使用条件において吸着されたガスの残存量がほとんどなく、高い作業容量が生じる。ガス貯蔵剤の作業容量としては75v/v以上が好ましく、90v/v以上がより好ましい。作動圧力としては3.5MPa以下が好ましく、0.1MPa以上1.0MPa以下がより好ましい。使用条件でガス貯蔵剤に貯蔵されるガスの残量は無視できる程度に少ない。作動温度は−40℃以上150℃以下が好ましく、10℃以上30℃以下がより好ましい。
なお、使用条件は、通常の大気条件(典型的には、限定されないが0.1MPa及び298K)で説明される。貯蔵量は、低温及び/又は高圧でガス貯蔵剤が貯蔵するガスの量として定義され、残量は、使用温度及び圧力でガス貯蔵剤によって貯蔵されるガスの量に対応する。作業容量は、ガス貯蔵剤に貯蔵ないし充填されたガス量とガス貯蔵剤に貯蔵されたまま残っている量との差に相当する。従って、作業容量は、ガス貯蔵剤1単位(貯蔵−放出の1サイクル)当たりの使用(貯蔵)可能なガス量の総量を表す。
それぞれ独立した有機金属錯体(フレームワーク)は、代表的には、金属中心(好ましくは遷移金属)と、金属中心に平面内で互いに垂直に配位した平面格子形成配位子と、金属中心に対し前記平面に垂直に配位したピラー配位子とからなり、これにより立方格子状の構造が形成される。
本実施形態のガス貯蔵剤では、前記有機金属錯体のそれぞれにおいて、
前記単位格子の各頂点部分をx軸、y軸及びz軸の直交座標系の中心においた場合、
前記中心には2つの金属原子が存在し、
前記2つの金属原子に対し、x軸方向及びy軸方向から4つのジカルボン酸イオン配位子がそれぞれパドルホイール型ユニットを形成するように配位して平面格子構造を形成し、
前記2つの金属原子に対し、z軸方向から2つ又は4つのピリジン誘導体配位子がそれぞれピラー配位子として配位して前記平面格子構造がz軸方向に積層された立方格子構造を形成していてもよい。
前記単位格子の各頂点部分をx軸、y軸及びz軸の直交座標系の中心においた場合、
前記中心には2つの金属原子が存在し、
前記2つの金属原子に対し、x軸方向及びy軸方向から4つのジカルボン酸イオン配位子がそれぞれパドルホイール型ユニットを形成するように配位して平面格子構造を形成し、
前記2つの金属原子に対し、z軸方向から2つ又は4つのピリジン誘導体配位子がそれぞれピラー配位子として配位して前記平面格子構造がz軸方向に積層された立方格子構造を形成していてもよい。
一実施形態において、前記ジカルボン酸イオン配位子が、下記式(1a)〜(1f)のいずれかで表されることが好ましい。
中でも、上記ジカルボン酸イオン配位子としては、上記式(1a)〜(1c)のいずれかで表される化合物がより好ましい。
一実施形態において、前記ピリジン誘導体配位子が、下記式(2a)〜(2d)のいずれかで表されることが好ましい。
上記式で表されるジカルボン酸イオン配位子やピリジン誘導体配位子は、ガス取込み空間のサイズ(単位格子のサイズ)やガスとの親和性、ガス貯蔵剤の合成容易性、原料の入手容易性の点から好ましい。これらの配位子を用いることにより、目的とするガスに合わせた貯蔵圧力及び放出圧力の調整が可能となり、効率的なガス貯蔵が可能となる。
本実施形態のガス貯蔵剤では、得られる有機金属錯体の構造をほとんど変化させることなく、異種金属を含む有機金属錯体の調製により貯蔵圧力及び放出圧力並びにそれらが生じる温度を制御することができる。有機金属錯体を形成する金属原子として異種金属を併用したとしても、吸着様式を変化させることはない。従って、異種金属含有有機金属錯体(以下、「異種金属錯体」ともいう。)を調製することで、ガス貯蔵剤の作業容量(吸着量)を変更することなく、(固定された温度で)貯蔵圧力及び放出圧力を制御することができる。ゲート開口(貯蔵)及びゲート閉鎖(放出)の挙動がシフトするにつれて、たとえ全作業容量が同じままであっても、作業容量は、目標とする圧力及び温度の領域に適合するように高度に調整することができる。このような異種金属としては、一実施形態において、上述のSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnのうちの少なくとも2種であることが好ましい。中でも、前記金属原子はCu及びZnであることが好ましい。Cu及びZnを用いる2元系の有機金属錯体において、Cuの量が増加するにつれてゲート開口圧力(貯蔵圧力)が低下する傾向にある。
有機金属錯体を形成する金属原子として、上記のような金属を用いることで立方格子状の有機金属錯体を効率的かつ簡便に作製することができるとともに、ガスの貯蔵圧力及び放出圧力の制御がより容易となる。
なお、2つの有機金属錯体における異種金属の含有の形態は特に限定されず、例えば金属A及びBが含まれる場合、(a)一方の有機金属錯体は金属Aのみを含み、他方の有機金属錯体は金属Bのみを含む形態でもよく、(b)一方の有機金属錯体は金属A及びBを含み、他方の有機金属錯体は金属Aのみを含む形態でもよく、(c)一方の有機金属錯体は金属A及びBを含み、他方の有機金属錯体は金属Bのみを含む形態でもよく、(d)2つの有機金属錯体のそれぞれが金属A及びBの両方を含む形態でもよい。有機金属錯体の合成の容易性や2つの錯体の特性の均質性の点からは、形態(d)が好ましい。
上記の配位子や金属原子を組み合わせることにより、様々な形状を有する有機金属錯体の幾何学的形状(例えば、金属−カルボン酸イオンパドルホイール等)を得ることができる。図3は、ガス貯蔵剤を形成する有機金属錯体にて観察されるパドルホイール型金属有機結節構造の一例を示す模式図である。可能な金属−金属結合(MM結合)を有する錯体では、x軸方向及びy軸方向から4つのカルボン酸イオン基が2つの金属イオン(Zn)に配位し、酸素(O)が金属イオンを取り囲む平面を形成する。また、z軸方向が2つのピリジン誘導体配位子の窒素(N)により占められる。本明細書において、このような結節構造はCAT−A型と定義される。
異種金属錯体の具体例として、CAT−A1構造は、一般式[M2(bdc)2(bpy)]nを有する、金属、ベンゼンジカルボン酸(bdc)及び4,4’−ビピリジン(bpy)から構成され、少なくとも亜鉛(II)とともに銅(II)を用いて得られる。いずれの場合も、金属原子は、金属−カルボン酸イオンのパドルホイール構造を採用している(図2参照)。様々なCu/Zn比を有するCu−Zn系異種金属錯体は、Zn系有機金属錯体合成中のCuの組み込みによる混合金属合成プロセスによって調製される。Cu含有量及びCu/Zn比は、この工程中に導入される両金属原子量によって制御される。
異種金属錯体の相互貫入構造のタイプとしては、(1)同じ構造タイプ(結節又はフレームワーク)を別個に形成する2つ以上の金属からなるMOF、(2)類似又は異なる分子式を有する異なる構造を形成する2つ以上の金属から構成されるMOF、又は(3)2×2の類似構造及び/又は異なる構造を形成する3つ以上の金属の混合物からなるMOFが挙げられる。金属イオンの取り込みは、金属交換として公知の合成後修飾、又はワンポット混合金属合成によって行うことができる。
異種金属錯体のさらなる具体例を図4に示す。図4は、ガス貯蔵剤を形成する有機金属錯体にて観察されるパドルホイール型金属有機結節構造の別の例を示す模式図である。一般式[M2(bdc)2(dpe)]nを有する構造は、金属(Cu)、ベンゼンジカルボン酸(bdc)及び1,2−ジピリジルエチレン(dpe)からなるCAT−A2型構造と称される(図3(b)参照)。Zuに代えてCuを用いた場合でも、CuIIは単一のパドルホイール型錯体(Znを用いるCAT−A1型構造(図3(a)参照)に類似)を有するCAT−A2型構造を形成する。また、ZnIIは、金属結節が一般式[M2(bdc)2(dpe)2]nを有するビス(柱状化)ビス(ジカルボン酸金属)錯体構造に一致するCAT−B2型構造を形成する(図3(c)参照)。CAT−B2型構造は、CAT−A型構造と類似の条件で形成し得る。
本実施形態のガス貯蔵剤は、非酸化性雰囲気下での25℃での爆発限界が0.2MPaであるガスの貯蔵に好適に用いられる。目的とするガスに合わせて貯蔵圧力及び放出圧力を調整可能であるので、高圧での取り扱いが困難なガスの貯蔵に適している。そのような爆発性のガスとしてアセチレンが挙げられる。また、爆発性のガス以外のガスも貯蔵対象とすることができ、例えば、酸素、アセチレン以外の低炭素数(例えば、炭素数4以下)の炭化水素ガス、希ガス、窒素等の不活性ガス等を好適に貯蔵することができる。
(ガス貯蔵剤の製造方法)
ガス貯蔵剤の製造方法としては特に限定されず、MOFの製法として公知の手法を採用することができる。具体的には、ワンポット合成法(例えば、自己集積化法、ソルボサーマル法、マイクロ波照射法、イオノサーマル法、ハイスループット法等)、段階的合成法(例えば、金属有機結節構造前駆体錯体法、錯体配位子法、in−situ逐次合成法、合成後修飾法等)、ソノケミカル合成法、メカノケミカル合成法等が挙げられる。
ガス貯蔵剤の製造方法としては特に限定されず、MOFの製法として公知の手法を採用することができる。具体的には、ワンポット合成法(例えば、自己集積化法、ソルボサーマル法、マイクロ波照射法、イオノサーマル法、ハイスループット法等)、段階的合成法(例えば、金属有機結節構造前駆体錯体法、錯体配位子法、in−situ逐次合成法、合成後修飾法等)、ソノケミカル合成法、メカノケミカル合成法等が挙げられる。
ワンポット合成法の1つである自己集積化法を応用した製法例としては、例えば、金属中心を与える金属塩(例えば、金属硝酸塩等)と、平面格子構造を与える平面格子形成配位子とを溶媒に混合する。平面格子構造を有する錯体を含む混合物に対しピラー配位子及び溶媒を含む混合物を加え、この混合物を室温又は加熱下にて反応させることにより立方格子状の有機金属錯体が相互貫入したガス貯蔵剤を製造することができる。
配位子や金属塩を溶解させる溶媒としては特に限定されず、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン等の環状又は非環状のアミド系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、水等を用いることができる。各反応温度は、25℃以上150以下が好ましく、70℃以上120℃以下がより好ましい。反応時間は、2時間以上72時間以下が好ましく、6時間以上48時間以下が好ましい。反応後、濾過や遠心分離等で生成物を採取し、必要に応じて上記溶媒で洗浄した後、乾燥させることで目的のガス貯蔵剤を製造することができる。
≪ガス貯蔵システム≫
本発明は、一実施形態において、1種以上のガスを貯蔵するガス貯蔵システムであって、
上記ガス貯蔵剤と、
前記ガスを加圧又は減圧をする加圧減圧機構と、
前記加圧減圧機構の圧力を制御する制御部とを備え、
前記ガス貯蔵剤の有機金属錯体を形成する金属原子の存在比を変更することにより前記ガスの前記ガス貯蔵剤への貯蔵圧力及び前記ガス貯蔵剤からの放出圧力が制御されるガス貯蔵システムに関する。
本発明は、一実施形態において、1種以上のガスを貯蔵するガス貯蔵システムであって、
上記ガス貯蔵剤と、
前記ガスを加圧又は減圧をする加圧減圧機構と、
前記加圧減圧機構の圧力を制御する制御部とを備え、
前記ガス貯蔵剤の有機金属錯体を形成する金属原子の存在比を変更することにより前記ガスの前記ガス貯蔵剤への貯蔵圧力及び前記ガス貯蔵剤からの放出圧力が制御されるガス貯蔵システムに関する。
図示しない加圧減圧機構及び制御部としては、公知のものを用いることができ、協働してガスの圧力を制御する。加圧減圧機構としては、加圧ポンプ、減圧(真空)ポンプ等を用いることができる。制御部は、混合ガスの圧力以外に、温度、流量等を制御することが好ましい。制御部としては、公知のCPUやMPU等の電算機器を用いることができる。
本実施形態のガス貯蔵システムでは、ガス貯蔵剤の貯蔵圧力及び放出圧力を配位子の設計段階からではなく用いる金属の存在比を変更するだけで調整可能となるので、より効率的なガス貯蔵が可能となる。ひいては、目的とするガスに合わせたテーラーメイドのガス貯蔵システムの構築が可能となる。
これまで説明したガス貯蔵剤及びガス貯蔵システムでは、固体吸着剤(貯蔵剤)への気体の貯蔵である。従って、液状形態での貯蔵又は溶媒への溶解と比較して、本発明は、その方向にかかわらず容器の安全な取扱いを可能にする。溶媒の不存在は、より高いガス純度の目的にも役立つ。
以下、本発明に関して実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
全ての化学物質と溶媒は商業的品質で購入され、さらに精製することなく使用されています。なお、実施例で用いた成分の略号は以下のとおりである。
bdc:1,4−ビフェニルジカルボン酸
bpy:4,4’−ビピリジン
dpe:1,2−(ジピリジル)エチレン
DMF:ジメチルホルムアミド
bdc:1,4−ビフェニルジカルボン酸
bpy:4,4’−ビピリジン
dpe:1,2−(ジピリジル)エチレン
DMF:ジメチルホルムアミド
<ガス貯蔵剤の合成>
(合成例1:Cu−Zn−CAT−A1の合成)
異種金属錯体をZn−CAT−A1と同様の条件で作製した。最終の所望の金属比は、合成Cu:Zn投入比と合成後の材料上に観察される投入比との間の良好なフィッティングを用いて合成中に制御した。Cuの全金属に対する存在比が25%である錯体を以下の手順で合成した。まず、最小量のDMFに溶解したbdc(2当量)を硝酸亜鉛(II)(1.5当量)のエタノール−DMF(50:50)及び硝酸銅(II)(0.5当量)(Cu/[Zn+Cu]=25%)を含む。次いで、混合物を100℃に設定された恒温油浴(恒温油浴によって制御される温度)中に置いて、エタノール−DMF中のbpy(1当量)の溶液を混合物に滴下した。溶媒混合物は、全体的なエタノール:DMF=50:50(容量)であり、bpyの添加後、反応物を100℃(温度は恒温油浴によって制御される)で攪拌した。24時間〜48時間の反応後、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を遠心分離によって回収し、DMFで3回、エタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。粉末を数時間減圧下で乾燥させることでCu−Zn−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約44%であった。
(合成例1:Cu−Zn−CAT−A1の合成)
異種金属錯体をZn−CAT−A1と同様の条件で作製した。最終の所望の金属比は、合成Cu:Zn投入比と合成後の材料上に観察される投入比との間の良好なフィッティングを用いて合成中に制御した。Cuの全金属に対する存在比が25%である錯体を以下の手順で合成した。まず、最小量のDMFに溶解したbdc(2当量)を硝酸亜鉛(II)(1.5当量)のエタノール−DMF(50:50)及び硝酸銅(II)(0.5当量)(Cu/[Zn+Cu]=25%)を含む。次いで、混合物を100℃に設定された恒温油浴(恒温油浴によって制御される温度)中に置いて、エタノール−DMF中のbpy(1当量)の溶液を混合物に滴下した。溶媒混合物は、全体的なエタノール:DMF=50:50(容量)であり、bpyの添加後、反応物を100℃(温度は恒温油浴によって制御される)で攪拌した。24時間〜48時間の反応後、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を遠心分離によって回収し、DMFで3回、エタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。粉末を数時間減圧下で乾燥させることでCu−Zn−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約44%であった。
(合成例2:Zn−Cu−CAT−A1の合成)
異種金属錯体をZn−CAT−A1と同様の条件で作製した。最終の所望の金属比は、合成Zn:Cu投入比と合成後の材料上に観察される投入比との間の良好なフィッティングを用いて合成中に制御した。Zuの全金属に対する存在比が20%である錯体を以下の手順で合成した。最小量のDMFに溶解したbdc(2当量)を硝酸銅(II)(1.6当量)及び硝酸亜鉛(II)(0.4当量)の溶液に添加した(Zn/[Zn+Cu]=20%)。次いで、DMF中のbpy(1当量、2mmol)の溶液を、120℃に設定した油浴上に置いた混合物に滴下した。総溶剤量は250mlであった。添加後、反応物を120℃(温度は恒温油浴によって制御される)で撹拌した。24時間〜48時間の反応後、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を遠心分離によって回収し、DMFで3回、エタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでZn−Cu−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約89%であった。
異種金属錯体をZn−CAT−A1と同様の条件で作製した。最終の所望の金属比は、合成Zn:Cu投入比と合成後の材料上に観察される投入比との間の良好なフィッティングを用いて合成中に制御した。Zuの全金属に対する存在比が20%である錯体を以下の手順で合成した。最小量のDMFに溶解したbdc(2当量)を硝酸銅(II)(1.6当量)及び硝酸亜鉛(II)(0.4当量)の溶液に添加した(Zn/[Zn+Cu]=20%)。次いで、DMF中のbpy(1当量、2mmol)の溶液を、120℃に設定した油浴上に置いた混合物に滴下した。総溶剤量は250mlであった。添加後、反応物を120℃(温度は恒温油浴によって制御される)で撹拌した。24時間〜48時間の反応後、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を遠心分離によって回収し、DMFで3回、エタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでZn−Cu−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約89%であった。
(合成例3:Zn−Cu−CAT−A2の合成)
異種金属錯体をCu−CAT−A2と同様の条件で作製した。最終の所望の金属比は、合成Zn:Cu投入比と合成後の材料上に観察される投入比との間の良好なフィッティングを用いて合成中に制御した。Zuの全金属に対する存在比が20%である錯体を以下の手順で合成した。bdc(2当量)及びdpe(1当量)を、100mlのテフロン(登録商標)チャンバーに入れた40mlのDMFに溶解した。次いで、20mlのDMF中の硝酸亜鉛(II)(1.75当量)及び硝酸銅(II)(0.25当量)(Zn/[Zn+Cu]=12.5%)の溶液を攪拌下でbpy/bdc混合物に滴下した。テフロン(登録商標)チャンバーを、120℃で40時間プログラムされたオーブンに入れたステンレススチール製の密封オートクレーブに入れた。40時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでZn−Cu−CAT−A2型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約80%であった。
異種金属錯体をCu−CAT−A2と同様の条件で作製した。最終の所望の金属比は、合成Zn:Cu投入比と合成後の材料上に観察される投入比との間の良好なフィッティングを用いて合成中に制御した。Zuの全金属に対する存在比が20%である錯体を以下の手順で合成した。bdc(2当量)及びdpe(1当量)を、100mlのテフロン(登録商標)チャンバーに入れた40mlのDMFに溶解した。次いで、20mlのDMF中の硝酸亜鉛(II)(1.75当量)及び硝酸銅(II)(0.25当量)(Zn/[Zn+Cu]=12.5%)の溶液を攪拌下でbpy/bdc混合物に滴下した。テフロン(登録商標)チャンバーを、120℃で40時間プログラムされたオーブンに入れたステンレススチール製の密封オートクレーブに入れた。40時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでZn−Cu−CAT−A2型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約80%であった。
(参考合成例1:Zn−CAT−A1の合成)
bdc(2当量、85mmol)を最小量のDMFに溶解し、硝酸亜鉛(II)(2当量、85mmol)のエタノール−DMF(50:50)溶液に加えた。混合物を100℃に設定した恒温油浴上で加熱した。次いで、エタノール−DMF中のbpy(1当量、42.5mmol)の溶液を混合物に滴下した。全溶媒体積は900mlであり、溶媒組成はエタノール(50%体積)及びDMF(50%体積)であった。添加後(約20分〜1時間後)、反応物を100℃(温度は恒温油浴によって制御される)で撹拌した。24時間〜48時間の反応後、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を遠心分離によって回収し、DMFで3回、エタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥することでZn−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約98%であった。
bdc(2当量、85mmol)を最小量のDMFに溶解し、硝酸亜鉛(II)(2当量、85mmol)のエタノール−DMF(50:50)溶液に加えた。混合物を100℃に設定した恒温油浴上で加熱した。次いで、エタノール−DMF中のbpy(1当量、42.5mmol)の溶液を混合物に滴下した。全溶媒体積は900mlであり、溶媒組成はエタノール(50%体積)及びDMF(50%体積)であった。添加後(約20分〜1時間後)、反応物を100℃(温度は恒温油浴によって制御される)で撹拌した。24時間〜48時間の反応後、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を遠心分離によって回収し、DMFで3回、エタノールで3回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥することでZn−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約98%であった。
(参考合成例2:Cu−CAT−A1の合成)
bdc(2当量)及びbpy(1当量)を、100mlのテフロン(登録商標)チャンバーに入れた40mlのDMFに溶解した。次いで、20mlのDMF中の硝酸銅(II)(2当量、2mmol)の溶液を撹拌下でbpy/bdc混合物に滴下した。テフロン(登録商標)チャンバーを、120℃で24時間プログラムされたオーブンに入れたステンレススチール製の密封オートクレーブに入れた。24時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで2回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでCu−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約83%であった。
bdc(2当量)及びbpy(1当量)を、100mlのテフロン(登録商標)チャンバーに入れた40mlのDMFに溶解した。次いで、20mlのDMF中の硝酸銅(II)(2当量、2mmol)の溶液を撹拌下でbpy/bdc混合物に滴下した。テフロン(登録商標)チャンバーを、120℃で24時間プログラムされたオーブンに入れたステンレススチール製の密封オートクレーブに入れた。24時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで2回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでCu−CAT−A1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約83%であった。
(参考合成例3:Zn−CAT−B1の合成)
20mlのDMFに溶解した硝酸亜鉛(1当量、1mmol)、20mlのDMFに溶解したdpe(1当量、1mmol)及び20mlのDMFに溶解したbdc(1当量、1mmol)を一緒に混合した。この混合物を100℃に設定された恒温油浴(恒温油浴によって制御される温度)上に加熱し、この温度で撹拌した。18時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで2回洗浄して未反応種を除去した。 この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでZn−CAT−B1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約90%であった。
20mlのDMFに溶解した硝酸亜鉛(1当量、1mmol)、20mlのDMFに溶解したdpe(1当量、1mmol)及び20mlのDMFに溶解したbdc(1当量、1mmol)を一緒に混合した。この混合物を100℃に設定された恒温油浴(恒温油浴によって制御される温度)上に加熱し、この温度で撹拌した。18時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで2回洗浄して未反応種を除去した。 この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでZn−CAT−B1型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約90%であった。
(参考合成例4:Cu−CAT−A2の合成)
bdc(2当量)及びdpe(1当量)を、100mlのテフロン(登録商標)チャンバーに入れた40mlのDMFに溶解した。次いで、20mlのDMF中の硝酸銅(II)(2当量、2mmol)の溶液を撹拌下でbpy/bdc混合物に滴下した。テフロン(登録商標)チャンバーを、120℃で24時間プログラムされたオーブンに入れたステンレススチール製の密封オートクレーブに入れた。24時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで2回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでCu−CAT−A2型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約83%であった。
bdc(2当量)及びdpe(1当量)を、100mlのテフロン(登録商標)チャンバーに入れた40mlのDMFに溶解した。次いで、20mlのDMF中の硝酸銅(II)(2当量、2mmol)の溶液を撹拌下でbpy/bdc混合物に滴下した。テフロン(登録商標)チャンバーを、120℃で24時間プログラムされたオーブンに入れたステンレススチール製の密封オートクレーブに入れた。24時間後、容器を室温近くまで冷却させた後、結晶性沈殿物を回収し、DMFで3回、メタノールで2回洗浄して未反応種を除去した。この粉末を減圧下で数時間乾燥させることでCu−CAT−A2型の有機金属錯体を有するガス貯蔵剤を作製した。収率は約83%であった。
(参考合成例5:Zn−CAT−B1単結晶の合成)
Zn−CAT−B1の単結晶を積層法により製造した。硝酸亜鉛(II)、dpe及びbpyを最初にDMFに約75mmol・L−1の濃度で可溶化した。1mLのバイアル中で、DMF(100μl)中の亜鉛(II)、DMF溶媒(750μl)、DMF(100μl)中のbdc及びDMF(50μl)中のdpeの注意深い層形成を行った。バイアルを100℃の静置浴に置き、数日間加熱した。結晶が得られた後、単結晶X線回折による分析の前に母液中に保持した。
Zn−CAT−B1の単結晶を積層法により製造した。硝酸亜鉛(II)、dpe及びbpyを最初にDMFに約75mmol・L−1の濃度で可溶化した。1mLのバイアル中で、DMF(100μl)中の亜鉛(II)、DMF溶媒(750μl)、DMF(100μl)中のbdc及びDMF(50μl)中のdpeの注意深い層形成を行った。バイアルを100℃の静置浴に置き、数日間加熱した。結晶が得られた後、単結晶X線回折による分析の前に母液中に保持した。
<評価>
全ての種は、粉末X線回折(pXRD)、熱重量分析(TGA)、並びに195KでのCO2ガス吸着、195K、273K及び298KでのC2H2吸着、並びにエネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDX)によって特徴付けた。粒子サイズ及び粒度分布は、平均粒径の決定のために最小粒子数100個についてアメリカ国立衛生研究所が提供するImageJソフトウェアを用いて測定した。粒子内の金属比は、X線蛍光(XRF)及びSEM−EDXに備えられたエネルギー分散型X線分析(EDX)によって決定した。SEM−EDXを用いて元素マッピングを行い、粒子中に金属元素が均一に分布していることを確認した。金属比分析は、単一金属の化合物については行わなかった。全ての結果は理論的期待値(pXRD/ガス吸着)又は公表された結果と一致した。単結晶構造はX線回折測定にて解析した。
全ての種は、粉末X線回折(pXRD)、熱重量分析(TGA)、並びに195KでのCO2ガス吸着、195K、273K及び298KでのC2H2吸着、並びにエネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDX)によって特徴付けた。粒子サイズ及び粒度分布は、平均粒径の決定のために最小粒子数100個についてアメリカ国立衛生研究所が提供するImageJソフトウェアを用いて測定した。粒子内の金属比は、X線蛍光(XRF)及びSEM−EDXに備えられたエネルギー分散型X線分析(EDX)によって決定した。SEM−EDXを用いて元素マッピングを行い、粒子中に金属元素が均一に分布していることを確認した。金属比分析は、単一金属の化合物については行わなかった。全ての結果は理論的期待値(pXRD/ガス吸着)又は公表された結果と一致した。単結晶構造はX線回折測定にて解析した。
(熱重量分析(TGA))
リガンドTG8120を流動窒素中で用いてTGAを行った。約5mg〜10mgの試料を、窒素気流下、25℃から500℃まで5℃/minの昇温速度で加熱した。
リガンドTG8120を流動窒素中で用いてTGAを行った。約5mg〜10mgの試料を、窒素気流下、25℃から500℃まで5℃/minの昇温速度で加熱した。
(粉末X線回折(pXRD))
CuKα線を用いてRigaku SmartLab X線回折装置(40kV、40mA)でpXRDを実施した。pXRDデータは、5°/minの走査速度で、0.01°のステップで3°〜60°(2θ)で記録した。
CuKα線を用いてRigaku SmartLab X線回折装置(40kV、40mA)でpXRDを実施した。pXRDデータは、5°/minの走査速度で、0.01°のステップで3°〜60°(2θ)で記録した。
(XRF測定)
XRF測定はRigaku EDXL300分光計で行った。
XRF測定はRigaku EDXL300分光計で行った。
(SEM−EDX測定)
走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(SEM−EDX)測定は、30kVの加速電圧で作動する日立SU5000 FE−SEMに取り付けられたEDAX EDSを用いて行った。FE−SEM画像は、15kVの加速電圧で作動する日立SU5000 FE−SEMシステムを用いて収集した。試料をSEM試料ホルダ上の導電性炭素テープ上に置き、次いでオスミウムで被覆した。
走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(SEM−EDX)測定は、30kVの加速電圧で作動する日立SU5000 FE−SEMに取り付けられたEDAX EDSを用いて行った。FE−SEM画像は、15kVの加速電圧で作動する日立SU5000 FE−SEMシステムを用いて収集した。試料をSEM試料ホルダ上の導電性炭素テープ上に置き、次いでオスミウムで被覆した。
(吸着特性)
温度制御のためのクライオスタット(BELsorp−MAX)、小型冷却恒温槽又はDewar槽(BELsorp−mini−II)を備えた容積吸着装置(BELsorp−MAX及びBELsorp−mini−II装置)(BEL Japan、Inc.)でガス等温線吸着を行った。全ての試料を423Kで少なくとも6時間真空下での吸着測定前に脱気して、ゲスト分子(溶媒)を除去した。
温度制御のためのクライオスタット(BELsorp−MAX)、小型冷却恒温槽又はDewar槽(BELsorp−mini−II)を備えた容積吸着装置(BELsorp−MAX及びBELsorp−mini−II装置)(BEL Japan、Inc.)でガス等温線吸着を行った。全ての試料を423Kで少なくとも6時間真空下での吸着測定前に脱気して、ゲスト分子(溶媒)を除去した。
<結果>
図5は、アセチレンの等温吸着脱着曲線である。図5(a)は、Zn−CAT−A1型有機金属錯体([Zn2(bdc)2(bpy)2]n)を用いた場合の結果を示し、(b)はCu−CAT−A1型有機金属錯体([Cu2(bdc)2(bpy)2]n)を用いた場合の結果を示す。図(c)、(d)、(e)及び(f)は、それぞれ1.0%molのCu、5.6%molのCu、14.6%molのCu及び28.9%molのCuを含むCu−Zn異種金属錯体の結果である。図5において、忠実の菱形が吸着、中空の菱形が脱着を示し、273K及び298Kの結果を併記している。図5(c)〜(f)では、リファレンスとしてZn−CAT−A1型有機金属錯体の結果を併記している。密度は、単金属MOF結晶密度に基づいて計算されている。
図5は、アセチレンの等温吸着脱着曲線である。図5(a)は、Zn−CAT−A1型有機金属錯体([Zn2(bdc)2(bpy)2]n)を用いた場合の結果を示し、(b)はCu−CAT−A1型有機金属錯体([Cu2(bdc)2(bpy)2]n)を用いた場合の結果を示す。図(c)、(d)、(e)及び(f)は、それぞれ1.0%molのCu、5.6%molのCu、14.6%molのCu及び28.9%molのCuを含むCu−Zn異種金属錯体の結果である。図5において、忠実の菱形が吸着、中空の菱形が脱着を示し、273K及び298Kの結果を併記している。図5(c)〜(f)では、リファレンスとしてZn−CAT−A1型有機金属錯体の結果を併記している。密度は、単金属MOF結晶密度に基づいて計算されている。
図5及び表1に示すように、273Kでのゲート開口圧力の変位は、構造中のCuの取り込み量に相関することが分かる。対称性により、298Kでのゲート閉鎖圧力(放出圧力)も異種金属錯体の金属イオン組成に相関する。その結果、ガス貯蔵剤は表1の最後の列)に示すような所与の条件での作業容量を調整することができる。Zn−CAT−A1型有機金属錯体とCu−CAT−A1型有機金属錯体との間の結晶密度のわずかな変更により、28.9%molのCuから100%molのCuに至る際の作業容量の見掛けの増加が説明される。
表2に示す追加の評価(SEM)は、Zn−CAT−A1型有機金属錯体とCu−Zn−CAT−A1異種金属錯体とを比較したときに有意差が観察されないので、平均粒子径などの他のパラメータとの間に相関がないことを実証することも可能にする。
図6は、異なるガス貯蔵剤についての粉末X線回折(pXRD)により得られる解析チャートである。図6(a)は、Cu−Zn比を変化させたCAT−A1型有機金属錯体についてのチャートであり、(b)はCu−Zn比を変化させたCAT−A2型有機金属錯体についての実測及びシミュレーションによるチャートである。Cu−CAT−A2構造へのZnIIの取り込みは、XRF(11.3%molのZnを示す)及び粉末(pXRD)上のX線回折によって実証される。pXRDによれば、Cu−CAT−A2相の獲得を確認し、同様の条件で得られたとしてもZn−CAT−B2相は観察されないことが確認される。Zn−CAT−B2回折ピークがなく、Cu−CAT−A2構造とCu−Zn−CAT−A2構造の回折ピークの良好な一致は、材料の相が主金属(Cu)によって拘束されていることを示す。
Claims (9)
- 2つの立方格子状の有機金属錯体を有し、
前記有機金属錯体は、少なくとも2種の金属原子を含み、
一方の有機金属錯体における単位格子の1の頂点部分が、他方の有機金属錯体における1の単位格子内の空間に位置するように前記2つの有機金属錯体が相互貫入構造を形成するガス貯蔵剤。 - 前記有機金属錯体のそれぞれにおいて、
前記単位格子の各頂点部分をx軸、y軸及びz軸の直交座標系の中心においた場合、
前記中心には2つの金属原子が存在し、
前記2つの金属原子に対し、x軸方向及びy軸方向から4つのジカルボン酸イオン配位子がそれぞれパドルホイール型ユニットを形成するように配位して平面格子構造を形成し、
前記2つの金属原子に対し、z軸方向から2つ又は4つのピリジン誘導体配位子がそれぞれピラー配位子として配位して前記平面格子構造がz軸方向に積層された立方格子構造を形成している請求項1に記載のガス貯蔵剤。 - 前記ジカルボン酸イオン配位子が、下記式(1a)〜(1f)のいずれかで表される請求項2に記載のガス貯蔵剤。
- 前記ピリジン誘導体配位子が、下記式(2a)〜(2d)のいずれかで表される請求項2又は3に記載のガス貯蔵剤。
- 前記金属原子として、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnのうちの2種を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス貯蔵剤。
- 前記金属原子はCu及びZnである請求項5に記載のガス貯蔵剤。
- 非酸化性雰囲気下での25℃での爆発限界が0.2MPaであるガスの貯蔵に用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス貯蔵剤。
- 前記ガスがアセチレンである請求項7に記載のガス貯蔵剤。
- 1種以上のガスを貯蔵するガス貯蔵システムであって、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス貯蔵剤と、
前記ガスを加圧又は減圧をする加圧減圧機構と、
前記加圧減圧機構の圧力を制御する制御部とを備え、
前記ガス貯蔵剤の有機金属錯体を形成する金属原子の存在比を変更することにより前記ガスの前記ガス貯蔵剤への貯蔵圧力及び前記ガス貯蔵剤からの放出圧力が制御されるガス貯蔵システム。
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