JP2020008883A - 偏光板複合体、偏光板セット、画像表示装置、偏光板複合体の製造方法、偏光板セットの製造方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置の視認性改善方法 - Google Patents

偏光板複合体、偏光板セット、画像表示装置、偏光板複合体の製造方法、偏光板セットの製造方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置の視認性改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止性能と明所コントラストとに優れ、更にはニジムラも防止できるとともに、光透過率にも優れる偏光板複合体を提供する。【解決手段】面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の前記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板複合体であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、上記光透過性基材(2)に、偏光された光が入射されるものであり、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されていることを特徴とする偏光板複合体。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板複合体、偏光板セット、画像表示装置、偏光板複合体の製造方法、偏光板セットの製造方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置の視認性改善方法に関する。
液晶表示装置は、省電力、軽量、薄型等といった特徴を有していることから、従来のCRTディスプレイに替わり様々な分野で用いられている。特に、近年急速に普及している携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器では、液晶表示装置が必須となっている。
このような液晶表示装置には液晶セルの画像表示面側に偏光素子が配置されており、通常、取扱い時に偏光素子に傷が付かないように硬度を付与することが要求されることから、偏光板保護フィルムとして、光透過性基材上にハードコート層を設けたハードコートフィルムを利用することにより、画像表示面に硬度を付与することが一般になされている。
また、このような液晶表示装置は、例えば、バックライト光源上に、観察者側とバックライト光源側とに一対の偏光板が、液晶セルを介してクロスニコルの関係となるように配置された構成が知られている。
そして、このような構成の液晶表示装置は、バックライト光源から照射された光が、バックライト光源側の偏光板、液晶セル及び観察者側の偏光板を透過し、表示画面にて映像が表示される。
従来、ハードコートフィルムの光透過性基材として、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられていた。また、通常、従来の液晶表示装置の偏光板としては、偏光子と光透過性基材とが積層された構造を有し、上記偏光板の光透過性基材にも、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。これは、セルロースエステルは、透明性、光学等方性に優れ、面内にほとんど位相差を持たない(リタデーション値が低い)ため、入射直線偏光の振動方向を変化させることが極めて少なく、液晶表示装置の表示品質への影響が少ないことや、適度な透水性を有することから、光学積層体を用いてなる偏光板を製造した時に偏光子に残留した水分を、光学積層体を通して乾燥させることができる等の利点に基づくものである。
しかしながら、セルロースエステルフィルムは、耐湿、耐熱性が充分でなく、ハードコートフィルムを偏光板保護フィルムとして高温多湿の環境下で使用すると、偏光機能や色相等の偏光板機能を低下させるという欠点があり、また、偏光板の光透過性基材として使用すると、透湿度が高すぎるため、耐湿試験を行うと褪色による、偏光度の低下をきたすこと等の問題があった。また、セルロースエステルは、コスト的にも不利な素材でもあった。
このようなセルロースエステルフィルムの問題点から、透明性、耐熱性、機械強度に優れ、かつ、セルロースエステルフィルムに比べて安価で市場において入手が容易な、あるいは簡易な方法で製造することが可能な汎用性フィルムを光学積層体の光透過性基材や偏光板の光透過性基材として用いることが望まれており、例えば、セルロースエステル代替フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムを利用する試みがなされている(例えば、特許文献2〜5参照)。
ところが、ポリエステルフィルムは、分子鎖中に分極率の大きい芳香族環を持つため固有複屈折が極めて大きく、優れた透明性、耐熱性、機械強度を付与させるための延伸処理による分子鎖の配向に伴って複屈折が発現しやすいという性質を有する。このようなポリエステルフィルムのような面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた光学積層体を画像表示装置の表面に設置した場合、光学積層体の表面での反射防止性能が著しく低下し、明所コントラストが低下してしまうことがあった。
また、このような構成の液晶表示装置において、バックライト光源から照射された光を効率よく表示画面まで透過させることは、表示画面の輝度向上に重要である。特に、近年急速に普及しているスマートフォン等のモバイル機器では、バッテリーの持続時間に直接影響するため、より効率よくバックライト光源からの光を表示画面まで透過させることが求められている。
このような液晶表示装置として、例えば、バックライト光源と該バックライト光源側の偏光板との間に、偏光分離フィルムを設ける等してバックライト光源側の偏光板に偏光された光を入射させ、表示画面の輝度を向上させたものが知られている。なお、上記偏光分離フィルムとは、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射してバックライト光源側に戻す機能を有するフィルムである。
ところが、このような構成の液晶表示装置のバックライト光源側の偏光板として、ポリエステルフィルムからなる保護フィルムを用いた偏光板を用いた場合、透過率が低下してしまうことがあった。これは、ポリエステルフィルムは、分子鎖中に分極率の大きい芳香族環を持つため固有複屈折が極めて大きく、優れた透明性、耐熱性、機械強度を付与させるための延伸処理による分子鎖の配向に伴って複屈折が発現しやすいという性質を有するためである。
このため、このようなポリエステルフィルムのような面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた偏光板を、液晶表示装置のバックライト側の偏光板として使用した場合、偏光分離フィルムを通過した特定の偏光成分の偏光状態を変化させてしまうため、透過率が低下してしまうことがあった。
特開平6−51120号公報 特開2004−205773号公報 特開2009−157343号公報 特開2010−244059号公報 WO2011/162198
本発明は、上記現状に鑑み、反射防止性能と明所コントラストとに優れ、更にはニジムラも防止できるとともに、光透過率にも優れる偏光板複合体、偏光板セット、画像表示装置、偏光板複合体の製造方法、偏光板セットの製造方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置の視認性改善方法を提供することを目的とする。
なお、本発明において、「視認性改善された状態」とは、少なくとも反射防止性能と明所コントラストに優れた状態を示し、更に、ニジムラも防止できている状態を、「視認性改善が極めてよくされた状態」という。
本発明は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の前記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板複合体であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、上記光透過性基材(2)に、偏光された光が入射されるものであり、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されていることを特徴とする偏光板複合体である。
本発明の偏光板複合体において、上記光透過性基材(1)は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上であることが好ましい。
また、上記光透過性基材(1)は、リタデーションが3000nm以上であることが好ましい。
また、本発明の偏光板複合体は、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)及び上記光学機能層の屈折率(nf)よりも大きい場合(np>nx,nf)、又は、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)及び上記光学機能層の屈折率(nf)よりも小さい場合(np<ny,nf)、上記プライマー層の厚みが3〜30nmであることが好ましい。
また、本発明の偏光板複合体は、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)よりも大きく、上記光学機能層の屈折率(nf)よりも小さい場合(nx<np<nf)、又は、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)よりも小さく、上記光学機能層の屈折率(nf)よりも大きい場合(nf<np<ny)、上記プライマー層の厚みが65〜125nmであることが好ましい。
また、本発明の偏光板複合体は、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)と上記光透過性基材の遅相軸方向の屈折率(nx)との間に存在する(ny<np<nx)ことが好ましい。
また、本発明の偏光板複合体において、上記光透過性基材(2)と偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±15°又は90°±15°となるように積層されていることが好ましい。
また、上記光透過性基材(2)は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.01以上であることが好ましい。
また、上記光透過性基材(2)の屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)と、上記光透過性基材(2)の平均屈折率(N)とが、下記式の関係を有し、かつ、上記進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が0°±2°であることが好ましい。
nx>N>ny
また、本発明は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有する光学積層体が、偏光子(1)上に設けられ、画像表示装置の表面に配置して用いられる偏光板(1)と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の前記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板(2)とを有する偏光板セットであって、上記光学積層体(1)と上記偏光子(1)とは、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とが垂直となるように配置され、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、上記光透過性基材(2)に、偏光された光が入射されるものであり、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されていることを特徴とする偏光板セットでもある。
本発明の偏光板セットにおいて、上記光透過性基材(1)は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上であることが好ましい。
また、本発明の偏光板セットにおいて、上記光透過性基材(1)は、リタデーションが3000nm以上であることが好ましい。
また、本発明の偏光板セットにおいて、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)及び上記光学機能層の屈折率(nf)よりも大きい場合(np>nx,nf)、又は、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)及び上記光学機能層の屈折率(nf)よりも小さい場合(np<ny,nf)、上記プライマー層の厚みが3〜30nmであることが好ましい。
また、本発明の偏光板セットにおいて、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)よりも大きく、上記光学機能層の屈折率(nf)よりも小さい場合(nx<np<nf)、又は、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)よりも小さく、上記光学機能層の屈折率(nf)よりも大きい場合(nf<np<ny)、上記プライマー層の厚みが65〜125nmであることが好ましい。
また、本発明の偏光板セットにおいて、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)と上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)との間に存在する(ny<np<nx)ことが好ましい。
本発明はまた、本発明の偏光板複合体又は本発明の偏光板セットを備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
本発明の画像表示装置は、バックライト光源として白色発光ダイオードを備えたVAモード又はIPSモードの液晶表示装置であることが好ましい。
上記バックライト光源と面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)との間に、偏光分離フィルムを有することが好ましい。
本発明はまた、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子とがこの順に積層され、前記画像表示装置の前記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板複合体の製造方法であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置する工程と、上記光透過性基材(2)と上記偏光子とを、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層する工程を有することを特徴とする偏光板複合体の製造方法でもある。
本発明はまた、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有する光学積層体が、偏光子(1)上に設けられ、画像表示装置の表面に配置して用いられる偏光板(1)と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の上記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板(2)とを有する偏光板セットの製造方法であって、上記光学積層体(1)と上記偏光子(1)とは、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とが垂直となるように配置され、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置する工程と、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層する工程を有することを特徴とする偏光板セットの製造方法でもある。
本発明はまた、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられる偏光板を備えた画像表示装置の製造方法であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置する工程と、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とを、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法でもある。
本発明はまた、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられる偏光板を備えた画像表示装置の視認性改善方法であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置するとともに、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とを、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層することを特徴とする画像表示装置の視認性改善方法でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体も“樹脂”と記載する。
本発明者は、鋭意検討した結果、面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた光学積層体と、光透過性基材と偏光子とが積層され、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられるとともに、偏光された光が入射される偏光板を有する偏光板複合体について、鋭意検討した結果、上記光学積層体及び偏光板を画像表示装置に設置する際に、上記光学積層体の光透過性基材の屈折率の大きい方向である遅相軸を、画像表示装置の表示画面に対して特定の方向となるようにすることで、反射防止性能及び明所コントラストを優れた画像表示装置とすることができることを見出した。
また、上記偏光板に面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた場合、該偏光板の光透過率には、該光透過性基材の屈折率の小さい方向である進相軸と偏光子の透過軸との間で角度依存性があることを見出した。すなわち、本発明者らは、上記偏光板の面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率の小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とが特定の角度範囲となるように積層することで、該偏光板の光透過率を向上させることができることを見出した。
そして、このような知見に基づき本発明者らは、更に鋭意検討した結果、従来、光学等方性材料として用いられてきたセルロースエステル等の材料からなる光学積層体の光透過性基材や偏光板の光透過性基材に対しても、敢えて複屈折率を持たせた光透過性基材とすることにより、光学等方性材料のまま用いるよりも、明所コントラスト及び光透過率を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、上述のように従来光学積層体や偏光板に用いられていたトリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムは、光学等方性に優れ、面内にほとんど位相差を持たない。このため、該セルロースエステルからなるフィルムを光透過性基材として用いた光学積層体又は偏光板の場合、該光透過性基材の設置方向は考慮する必要がなかった。すなわち、上述した反射防止性能及び明所コントラスト並びに光透過率の問題は、光学積層体及び偏光板の光透過性基材として、面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いたことにより生じたものである。
本発明の偏光板複合体は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体を有し、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される。
ここで、画像表示装置は、通常、室内に設置して用いられるものであるため、壁面や床面で反射した光の該画像表示装置の表示画面(光学積層体の表面)での反射を防止することで、反射防止性能を優れたものとすることができる。
本発明者らは、上記壁面や床面で反射し、上記画像表示装置の表示画面に入射する光は、その多くが上記表示画面の左右方向に振動した状態となっていることに着目し、上記光学積層体を、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置するものとしたのである。すなわち、本発明の偏光板複合体における上記光学積層体は、その用途を画像表示装置の表面に設置するものに限定し、該光学積層体を有する本発明の偏光板複合体を設置した画像表示装置は、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記壁面や床面で反射した光の振動方向に対して垂直な方向を向いた状態となっている。このように光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸の方向を特定の方向となるように上記光学積層体を設置してなる画像表示装置は、反射防止性能と明所コントラストとに優れたものとなる。
これは、上述した特定の状態で本発明の偏光板複合体を配置した構成の画像表示装置では、上記表示画面に入射する割合の多い左右方向に振動する光(S偏光)に対し、上記光透過性基材(1)の屈折率が小さい方向である進相軸の方向が平行となり、最表面での外光反射が低減できるためである。
この理由は、Nなる屈折率を有する基材表面の反射率Rは、
R=(N−1)/(N+1)
で表されるが、上記光学積層体における光透過性基材(1)のような屈折率異方性を有する基材においては、画像表示装置において上記構成とすることにより、上記屈折率Nは、屈折率の小さい進相軸の屈折率が適用される割合が増加するからである。
また、上記理由によって、面内位相差を有する光透過性基材(1)を用いた光学積層体であるにもかかわらず、画像表示装置への配置方向を考慮せずに光学積層体を設置した場合と、本発明のように、光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸の方向を特定の方向となるように光学積層体を設置した場合に、後者の場合の反射率が、前者の反射率よりも低くなっている。本発明における「反射防止性能が優れた状態」とは、このような状態のことを言う。
また、画像表示装置のコントラストは、暗所コントラストと明所コントラストとに分けられ、暗所コントラストは、(白表示の輝度/黒表示の輝度)として算出され、明所コントラストは、{(白表示の輝度+外光反射)/(黒表示の輝度+外光反射)}として算出される。いずれのコントラストの場合も分母の影響がより大きくなることで、コントラストが低下する。つまり、最表面での外光反射を低減できれば、結果として、明所コントラストが向上する。
なお、上記「上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、上記遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して0°±40°の範囲で光学積層体が画像表示装置に配置された状態を意味する。
また、本発明の偏光板複合体において、上記光透過性基材(1)の遅相軸と上記表示画面の上下方向との角度は、0°±30°であることが好ましく、0°±10°であることがより好ましく、0°±5°であることが更に好ましい。本発明の偏光板複合体において、上記光学積層体の上記光透過性基材の遅相軸と上記表示画面の上下方向との角度が0°±40°であることで、本発明の偏光板複合体による明所コントラストの向上を図ることができる。
なお、本発明の偏光板複合体では、上記光学積層体の上記光透過性基材の遅相軸と上記表示画面の上下方向との角度は0°であることが、明所コントラストの向上を図る上で最も好ましい。このため、上記光透過性基材の遅相軸と上記表示画面の上下方向との角度は、0°±40°であるよりも、0°±30°であることが好ましく、より好ましくは0°±10°となる。更に、上記光透過性基材の遅相軸と上記表示画面の上下方向との角度が0°±5°であると、該角度が0°である場合と同レベルの明所コントラストの向上を図ることができ、更に好ましい。
本明細書において、2つの軸のなす角度に関し、観察者側から見て、基準となる角度に対して時計回りになす角度をプラス(+)とし、基準となる角度に対して反時計回りになす角度をマイナス(−)とする。そして、特に表記せず角度を示した場合、基準となる角度に対して時計回りになす角度である場合(すなわち、プラスである場合)を意味する。
上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル等からなる基材が挙げられるが、なかでも、コスト及び機械的強度において有利なポリエステル基材であることが好適である。なお、以下の説明では、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)をポリエステル基材として説明する。
なお、本発明において、上記光透過性基材(1)としては、従来、光学等方性材料として用いられていたセルロースエステル等からなる光透過性基材であっても、敢えて複屈折率を持たせることで使用することができる。
上記ポリエステル基材は、ニジムラ発生を防止でき、視認性改善が極めて良好となることから、リタデーションが3000nm以上であることが好ましい。3000nm未満であると、本発明の偏光板複合体を液晶表示装置(LCD)で使用した場合、虹色の縞模様のようなニジムラが視認され、表示品位が低下することがある。一方、上記ポリエステル基材のリタデーションの上限としては特に限定されないが、3万nm程度であることが好ましい。3万nmを超えると、膜厚が相当に厚くなるため好ましくない。
上記ポリエステル基材のリタデーションは、薄膜化の観点から、5000〜25000nmであることが好ましい。より好ましい範囲は、7000〜2万nmであり、この範囲であると、上記光学積層体が画像表示装置に、上記ポリエステル基材の遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して0°±30°〜40°の範囲で配置された場合、つまり、上記ポリエステル基材の遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して完全な平行よりも少しずれた角度を持って配置されている場合であっても、ニジムラ防止性を更に良好にできる。なお、上記光学積層体は、上記ポリエステル基材の遅相軸の配置が、上記表示画面の上下方向に対して完全な平行より±30°〜40°であっても、リタデーションが3000nm以上であれば、ニジムラ防止性を有し、実質使用上に問題はない。
なお、上記リタデーションとは、ポリエステル基材の面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、ポリエステル基材の厚み(d)とにより、以下の式によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長589.3nm)することができる。
また、二枚の偏光板を用いて、ポリエステル基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求める。ここで、より大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。ポリエステル基材厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定し、単位をnmに換算する。屈折率差(nx−ny)と、フィルムの厚みd(nm)との積より、リタデーションを計算することもできる。
なお、屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することもできるし、分光光度計(島津製作所社製のUV−3100PC)を用いて、上記光学積層体における光学機能層の波長380〜780nmの平均反射率(R)を測定し、得られた平均反射率(R)から、以下の式を用い、屈折率(n)の値を求めてもよい。
光学機能層の平均反射率(R)は、易接着処理のない50μmPET上にそれぞれの原料組成物を塗布し、1〜3μmの厚さの硬化膜にし、PETの塗布しなかった面(裏面)に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから各硬化膜の平均反射率を測定した。ポリエステル基材の屈折率は、測定面とは反対面に同様に黒ビニールテープを貼ってから測定を行った。
R(%)=(1−n)/(1+n)
また、光学積層体となった後に光学機能層の屈折率を測定する方法としては、各層の硬化膜をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体又は粒状の透明材料用)に従ったベッケ法を用いることができる。なお、上記ベッケ法とは、屈折率が既知のカーギル試薬を用い、上記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線;ベッケ線が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法である。
なお、ポリエステル基材の場合は、方向によって屈折率(nx、ny)が異なるので、ベッケ法ではなく、光学機能層の処理面に上記黒ビニールテープを貼ることで、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニットVAR−7010 日本分光社製)を用いて、偏光測定:S偏光にて、光透過性基材の遅相軸を平行に設置した場合と、進相軸を平行に設置した場合との5度反射率を測定し、遅相軸と進相軸の屈折率(nx、ny)を上記式より算出もできる。
なお、本発明では、上記ポリエステル基材が後述するポリエチレンテレフタレート(PET)を原料とするPET基材である場合、上記nx−ny(以下、Δnとも表記する)は、0.05以上であることが好ましい。上記Δnが0.05未満であると、進相軸の屈折率が大きいため、上述した画像表示装置の明所コントラストの向上が図れないことがある。更に、上述したリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなってしまうことがある。一方、上記Δnは、0.25以下であることが好ましい。0.25を超えると、PET基材を過度に延伸する必要が生じるため、PET基材が裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。
以上の観点から、上記PET基材である場合のΔnのより好ましい下限は0.07、より好ましい上限は0.20である。なお、上記Δnが0.20を超えると、耐湿熱性試験でのPET基材の耐久性が劣ることがある。耐湿熱性試験での耐久性が優れることから、上記PET基材である場合のΔnの更に好ましい上限は0.15である。
なお、上記PET基材である場合の(nx)としては、1.66〜1.78であることが好ましく、より好ましい下限は1.68、より好ましい上限は1.73である。また、上記PET基材である場合の(ny)としては、1.55〜1.65であることが好ましく、より好ましい下限は1.57、より好ましい上限は1.62である。
上記nx及びnyが上記範囲にあり、かつ、上述したΔnの関係を満たすことで、好適な反射防止性能及び明所コントラストの向上を図ることができる。
また、上記ポリエステル基材が後述するポリエチレンナフタレート(PEN)を原料とするPEN基材である場合、上記Δnは、好ましい下限が0.05であり、好ましい上限が0.30である。上記Δnが0.05未満であると、上述したリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなるため、好ましくない。一方、上記Δnが0.30を超えると、PEN基材として、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。上記PEN基材である場合のΔnのより好ましい下限は0.07、より好ましい上限は0.27である。Δnが0.07よりも小さいと、上述した充分なニジムラ及び色味変化の抑制効果を得にくくなるためである。なお、上記Δnが0.27を超えると、耐湿熱性試験でのPEN基材の耐久性が劣ることがある。また、耐湿熱性試験での耐久性が優れることから、上記PEN基材である場合のΔnの更に好ましい上限は0.25である。
なお、上記PEN基材である場合の(nx)としては、1.70〜1.90であることが好ましく、より好ましい下限は1.72、より好ましい上限は1.88である。また、上記PEN基材である場合の(ny)としては、1.55〜1.75であることが好ましく、より好ましい下限は1.57、より好ましい上限は1.73である。
上記ポリエステル基材を構成する材料としては、上述したリタデーションを充足するものであれば特に限定されないが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−1,4−ナフタレート、ポリエチレン−1,5−ナフタレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレート、ポリエチレン−2,3−ナフタレート)などを例示することができる。また、ポリエステル基材に用いられるポリエステルは、これらのポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。上記ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、表示品質の高い液晶表示装置を作製することが可能な、光学積層体を得ることができる。更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりリタデーションの制御が可能であり、固有複屈折が大きく、膜厚が薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られる。
上記ポリエステル基材を得る方法としては、上述したリタデーションを充足する方法であれば特に限定されないが、例えば、材料の上記PET等のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された未延伸ポリエステルをガラス転移温度以上の温度においてテンター等を用いて横延伸後、熱処理を施す方法が挙げられる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステル基材の透明性が低下しやすくなり、横延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られるポリエステル基材の複屈折が小さくなり、リタデーションを3000nm以上とできないことがある。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。
また、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
上述した方法で作製したポリエステル基材のリタデーションを3000nm以上に制御する方法としては、延伸倍率や延伸温度、作製するポリエステル基材の膜厚を適宜設定する方法が挙げられる。具体的には、例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、また、膜厚が厚いほど、高いリタデーションを得やすくなり、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、また、膜厚が薄いほど、低いリタデーションを得やすくなる。
上記ポリエステル基材の厚みとしては、5〜500μmの範囲内であることが好ましい。5μm未満であると、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、500μmを超えると、ポリエステル基材が非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記ポリエステル基材の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は300μmであり、更に好ましい上限は150μmである。
また、上記ポリエステル基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であるものがより好ましい。なお、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明において、上記ポリエステル基材には本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
上記光学機能層は、ハードコート性能を有するハードコート層であることが好ましく、該ハードコート層は、硬度が、JIS K5600−5−4(1999)による鉛筆硬度試験(荷重4.9N)において、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。
上記ハードコート層は、上記光学積層体の表面のハードコート性を担保する層であり、例えば、紫外線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂と光重合開始剤とを含有するハードコート層用組成物を用いて形成されたものであることが好ましい。
上記光学積層体において、上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等及びこれらをエチレンオキサイド(EО)等で変性した多官能化合物、又は、上記多官能化合物と(メタ)アクリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)等を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量(数平均分子量300〜8万、好ましくは400〜5000)のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。なお、この場合の樹脂とは、モノマー以外のダイマー、オリゴマー、ポリマー全てを含む。
本発明における好ましい化合物としては、3以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。このような化合物を用いると形成するハードコート層の架橋密度を高めることができ、塗硬度を良好にできる。
具体的には、本発明においては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステル多官能アクリレートオリゴマー(3〜15官能)、ウレタン多官能アクリレートオリゴマー(3〜15官能)等を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。なお、上記溶剤乾燥型樹脂とは、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂をいう。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
また、上記ハードコート層用組成物は、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、上記光重合開始剤としては、具体例には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、上記電離放射線硬化型樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、上記電離放射線硬化型樹脂がカチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、上記光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
本発明において用いる開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する電離放射線硬化型樹脂の場合は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが、電離放射線硬化型樹脂との相溶性、及び、黄変も少ないという理由から好ましい。
上記ハードコート層用組成物にける上記光重合開始剤の含有量は、上記電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。1質量部未満であると、上記光学積層体におけるハードコート層の硬度を上述した範囲とすることができないことがあり、10質量部を超えると、塗設した膜の深部まで電離放射線が届かなくなり内部硬化が促進されず、目標であるハードコート層の表面の鉛筆硬度3H以上が得られないおそれがあるためである。
上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は2質量部であり、より好ましい上限は8質量部である。上記光重合開始剤の含有量がこの範囲にあることで、膜厚方向に硬度分布が発生せず、均一な硬度になりやすくなる。
上記ハードコート層用組成物は、溶剤を含有していてもよい。
上記溶剤としては、使用する樹脂成分の種類及び溶解性に応じて選択して使用することができ、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
特に本発明においては、ケトン系の溶媒でメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのいずれか、又は、これらの混合物を少なくとも含むことが、樹脂との相溶性、塗工性に優れるという理由から好ましい。
上記ハードコート層用組成物中における原料の含有割合(固形分)として特に限定されないが、通常は5〜70質量%、特に25〜60質量%とすることが好ましい。
上記ハードコート層用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、ブロッキングを防止する、屈折率を制御する、防眩性を付与する、粒子やハードコート層表面の性質を変える等の目的に応じて、従来公知の有機、無機微粒子、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を添加していてもよい。
また、上記ハードコート層用組成物は、光増感剤を混合して用いてもよく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
上記ハードコート層用組成物の調製方法としては各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
また、上記ハードコート層用組成物を上記光透過性基材(1)上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
上記光透過性基材(1)上に上記ハードコート層用組成物を塗布して形成した塗膜は、必要に応じて加熱及び/又は乾燥し、活性エネルギー線照射等により硬化させることが好ましい。
上記活性エネルギー線照射としては、紫外線又は電子線による照射が挙げられる。上記紫外線源の具体例としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
なお、上記ハードコート層の好ましい膜厚(硬化時)は0.5〜100μm、より好ましくは0.8〜20μm、カール防止性やクラック防止性が特に優れるので、もっとも好ましくは2〜10μmの範囲である。上記ハードコート層の膜厚は、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、任意の10点を測定した平均値(μm)である。ハードコート層の膜厚は、このほかの方法として、厚さ測定装置ミツトヨ社製のデジマチックインジケーターIDF−130を用いて任意の10点を測定し、平均値を求めてもよい。
上記ハードコート層用組成物中に帯電防止剤を含有させることで、上記ハードコート層に帯電防止性能を付与することがでる。
上記帯電防止剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば、第4級アンモニウム塩等のカチオン性帯電防止剤や、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の微粒子や、導電性ポリマー等を用いることができる。
上記帯電防止剤を用いる場合、その含有量は、全固形分の合計質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。
また、上記光学積層体は、上記ハードコート層上に更に低屈折率層を有することが好ましい。
上記低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有するフッ素系樹脂、4)シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機薄膜等のいずれかで構成される。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述したバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、上述したシリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.47以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は10nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
上記電離放射線で硬化する官能基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等もある。
上記熱硬化する極性基として好ましいのは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカ等の無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
更には、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、上記したフッ素原子を持つ重合性化合物や重合体とともに、上記に記載したような各バインダー樹脂を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
上記低屈折率層の形成においては、低屈折率剤及び樹脂等を添加してなる低屈折率層用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5mPa・s(25℃)、好ましくは0.7〜3mPa・s(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止層を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ、密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、後述するハードコート層における硬化手段と同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
上記光学積層体の製造方法としては、例えば、上述した方法で作製したポリエステル基材上にハードコート層用塗膜を形成し、必要に応じて乾燥させた後、上記ハードコート層用塗膜を硬化させてハードコート層を形成する。そして、必要に応じて上記低屈折率層を上記ハードコート層上に公知の方法で形成することで上記光学積層体を製造することができる。
また、上記ハードコート層用塗膜の乾燥の方法としては特に限定されないが、一般的に30〜120℃で3〜120秒間乾燥を行うとよい。
上記ハードコート層用塗膜を硬化させる方法としては、構成成分に応じて公知の方法を適宜選択すればよい。例えば、含有するバインダー樹脂成分が紫外線硬化型のものであれば、塗膜に紫外線を照射することにより硬化させればよい。
上記紫外線を照射する場合は、紫外線照射量が80mJ/cm以上であることが好ましく、100mJ/cm以上であることがより好ましく、130mJ/cm以上であることが更に好ましい。
上記光学積層体は、上記光透過性基材と光学機能層との間にプライマー層を有することが好ましい。
上記プライマー層は、上述したポリエステル基材とハードコート層の密着性向上を第一目的として設ける層であるが、該プライマー層の好ましい厚みは、上記プライマー層が設けられたことに起因した干渉縞の発生を防止する観点から、上記光透過性基材(1)の屈折率(nx、ny)、光学機能層の屈折率(nh)及びプライマー層の屈折率(np)との関係で、以下のように適宜選択される。
(1)プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)及び上記光学機能層の屈折率(nf)よりも大きい場合(np>nx,nf)、又は、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)及び上記光学機能層の屈折率(nf)よりも小さい場合(np<ny,nf)、上記プライマー層の厚みは、3〜30nmであることが好ましい。
(2)上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の遅相軸方向の屈折率(nx)よりも大きく、上記光学機能層の屈折率(nf)よりも小さい場合(nx<np<nf)、又は、上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)よりも小さく、上記光学機能層の屈折率(nf)よりも大きい場合(nf<np<ny)、上記プライマー層の厚みは、65〜125nmであることが好ましい。
(3)上記プライマー層の屈折率(np)が、上記光透過性基材(1)の進相軸方向の屈折率(ny)と上記光透過性基材の遅相軸方向の屈折率(nx)との間に存在する(ny<np<nx)場合、上記プライマー層の厚みは、干渉縞の防止の観点からは特に限定されない。なお、上記プライマー層と上記光透過性基材(1)との界面での反射量を減じて干渉縞を弱めるとの観点から、上記プライマー層の屈折率(np)は、(nx+ny)/2に近いほど好ましい。
上述した(1)及び(2)においてそれぞれプライマー層の厚みが好ましい理由は、(1)においては、プライマー層と光学機能層との界面(界面A)と、光透過性基材(1)とプライマー層との界面(界面B)とを比較したとき、外光入射に対する屈折率の変化の大小関係は、界面Aと界面Bとでは逆である。そのため、外光が界面で反射するとき、界面Aと界面Bの一方で自由端反射をすると、他方では固定端反射となり、位相が逆転しているので、プライマー層が薄いと両界面での反射光は干渉して強度が減少するからである。
一方、(2)においては、屈折率の変化が上記界面Aと界面Bとで同じであるから、界面Aと界面Bでの反射光の位相は同じでとなるから、プライマー層の光学膜厚は光の波長の1/4であるとき両界面での反射光は干渉して強度が減少するからである。ここで、(2)におけるプライマー層の厚みの範囲は、プライマー層の屈折率は、後述するように通常1.47〜1.63程度であることから、この範囲の中間値である1.55を屈折率とし、光の波長380〜780nmで計算した値である。
なお、プライマー層と光透過性基材及び光学機能層との屈折率の差が等しいときに両界面での反射率も等しくなり、上記(1)及び(2)での干渉による効果が最も発揮される。
上記プライマー層は、上記(1)の場合においては厚みが3〜30nmであることが好ましい。3nm未満であると、上記ポリエステル基材とハードコート層との密着性が不充分となることがあり、30nmを超えると、上記光学積層体の干渉縞防止性が不充分となることがある。上記(1)の場合におけるプライマー層の厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は20nmである。
また、上記プライマー層は、上記(2)の場合においては、厚みが65〜125nmであることが好ましい。この範囲を外れると、本発明の光学積層体の干渉縞防止性が不充分となることがある。上記(2)の場合におけるプライマー層の厚みのより好ましい下限は70nm、より好ましい上限は110nmである。
また、上記プライマー層は、上記(3)の場合においては、厚みは特に限定されず任意に設定すればよいが、好ましい下限は3nm、好ましい上限は125nmである。
なお、上記プライマー層の厚みは、例えば、上記プライマー層の断面を、電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察することにより、任意の10点を測定して得られた平均値(nm)である。非常に薄い厚みの場合は、高倍率観察したものを写真として記録し、更に拡大することで測定する。拡大した場合、層界面ラインが、境界線として明確に分かる程度に非常に細い線であったものが、太い線になる。その場合は、太い線幅を2等分した中心部分を境界線として測定する。
このようなプライマー層を構成する材料としては光透過性基材(1)との密着性を有すれば特に限定されず、従来、光学積層体のプライマー層として用いられているものを用いることができる。
ただし、従来の光学積層体用のプライマー層の材料から考えた場合、密着性や硬度も満たすものを選択すると、上記プライマー層の屈折率は1.47〜1.63の範囲となるが、プライマー層厚みを制御しない場合と比較し、上記光学積層体では、プライマー層の材料選択範囲が非常に大きく好ましい。
なお、上記光学機能層の屈折率(nf)は、上記(1)及び(2)での干渉による効果が最も発揮されるので、プライマー層と光透過性基材(1)及び光学機能層との屈折率の差が近いほど好ましく、(3)においては、界面の増加を抑制するとの観点から、プライマー層の屈折率に近いほど好ましい。
上記光学積層体において、上記プライマー層は、上述した材料と、必要に応じて光重合開始剤及び他の成分とを溶媒中に混合分散させて調製したプライマー層用組成物を用いて形成することができる。
上記混合分散は、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー等の公知の装置を使用して行うとよい。
上記溶媒としては、水が好ましく用いられ、水溶液、水分散液或いは乳化液等の水性塗液の形態で使用されることが好ましい。また、多少の有機溶媒を含んでもよい。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル)等が挙げられる。
上記他の成分としては特に限定されず、例えば、レベリング剤、有機又は無機微粒子、光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防汚剤、スリップ剤、屈折率調整剤、分散剤等が挙げられる。
上記プライマー層用組成物は、総固形分が3〜20%であることが好ましい。3%未満であると、残留溶剤が残ったり、白化が生じるおそれがある。20%を超えると、プライマー層用組成物の粘度が高くなり、塗工性が低下して表面にムラやスジが出たり、所望の膜厚が得られないおそれがある。上記総固形分は、4〜10%であることがより好ましい。
上記プライマー層用組成物の上記ポリエステル基材への塗布は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステル基材の製造過程で実施するのが好ましく、更には配向結晶化が完了する前のポリエステル基材に塗布することが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステル基材とは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向又は横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、更には縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向又は横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルム又は一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記プライマー層用組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸及び/又は横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
上記プライマー層用組成物をポリエステル基材に塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてポリエステル基材表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいはプライマー層用組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。
上記プライマー層用組成物の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独又は組合せて用いることができる。なお、塗膜は必要に応じポリエステル基材の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
また、上述したように、上記プライマー層の屈折率と厚みを上記特定の範囲としたことで、上記プライマー層による干渉縞防止性能が発現する。
このような屈折率が特定の関係を有するプライマー層やハードコート層は、上述したハードコート層用組成物やプライマー層用組成物に、高屈折率微粒子や低屈折率微粒子を含有させて屈折率を調整した組成物を用いて形成することが好ましい。
上記高屈折率微粒子としては、例えば、屈折率が1.50〜2.80の金属酸化物微粒子等が好適に用いられる。上記金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン(TiO、屈折率:2.71)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化セリウム(CeO、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)及びアンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.90〜2.00)等が挙げられる。なかでも、酸化錫(SnO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、燐錫化合物(PTO)、酸化アンチモン(Sb)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)及びアンチモン酸亜鉛(ZnSb)は、導電性金属酸化物であり、微粒子の拡散状態を制御し、導電パスを形成することで、帯電防止性を付与できるという利点がある。
また、上記低屈折率微粒子としては、例えば、屈折率が1.20〜1.45のものが好適に用いられる。このような低屈折率微粒子としては、従来公知の低屈折率層に用いられている微粒子を用いることができ、例えば、上述した中空シリカ微粒子や、LiF(屈折率1.39)、MgF(フッ化マグネシウム、屈折率1.38)、AlF(屈折率1.38)、NaAlF(氷晶石、屈折率1.33)及びNaMgF(屈折率1.36)等の金属フッ化物微粒子が挙げられる。
上記高屈折率微粒子及び上記低屈折率微粒子の含有量としては特に限定されず、例えば、ハードコート層用組成物に添加する樹脂成分の硬化物の、予め測定した屈折率の値との加重平均で、形成するハードコート層の屈折率が上述した関係を満たすよう、その他の成分との関係で適宜調整すればよい。
なお、上記ハードコート層は、上述の方法で形成したプライマー層上に上記ハードコート層用組成物を塗布してハードコート層用塗膜を形成し、必要に応じて乾燥させた後、上記ハードコート層用塗膜を硬化させて形成できる。
また、上記ハードコート層用組成物が紫外線硬化型樹脂を含む場合においては、上記プライマー層用組成物中に上記ハードコート層用塗膜の硬化に用いる開始剤を含有させておくことで、ハードコート層とプライマー層との密着性をより確実に得ることができる。
上記光学積層体は、硬度が、JIS K5600−5−4(1999)による鉛筆硬度試験(荷重4.9N)において、HB以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましい。
また、上記光学積層体は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。80%未満であると、画像表示装置に装着した場合において、色再現性や視認性を損なうおそれがある他、所望のコントラストが得られないおそれがある。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。
上記全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361に準拠した方法により測定することができる。
また、上記光学積層体は、ヘイズが1%以下であることが好ましい。1%を超えると、所望の光学特性が得られず、上記光学積層体を画像表示表面に設置した際の視認性が低下する。
上記ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に準拠した方法により測定することができる。
上記光学積層体は、上記光学機能層がハードコート層である場合、光透過性基材(1)上に、例えば、上述したハードコート層用組成物を使用してハードコート層を形成することにより製造することができる。また、上記光学機能層が上記ハードコート層上に低屈折率層が積層された構造の場合、光透過性基材(1)上に、上述したハードコート層用組成物を使用してハードコート層を形成した後、上述した低屈折率層用組成物を使用してハードコート層上に低屈折率層を形成することにより製造することができる。
上記ハードコート層用組成物及びハードコート層の形成方法、低屈折率層用組成物及び低屈折率層の形成方法については、上述したのと同様の材料、方法が挙げられる。
本発明の偏光板複合体は、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の上記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板を有する。
上記光透過性基材(2)としては、面内に複屈折率を有するものであれば特に限定されず、例えば、上述した光透過性基材(1)と同様のものが挙げられるが、なかでも、コスト及び機械的強度において有利なポリエステル基材であることが好適である。なお、以下の説明では、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)をポリエステル基材(2)として説明する。
上記偏光板において、上記ポリエステル基材(2)の面内において屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)との差nx−ny(以下、Δnとも表記する)は、0.01以上であることが好ましい。上記Δnが0.01未満であると、透過率向上効果が少なくなることがある。一方、上記Δnは、0.30以下であることが好ましい。0.30を超えると、ポリエステル基材を過度に延伸する必要が生じるため、ポリエステル基材が裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。
以上の観点から、上記Δnのより好ましい下限は0.05、より好ましい上限は0.27である。なお、上記Δnが0.27を超えると、耐湿熱性試験でのポリエステル基材(2)の耐久性が劣ることがある。耐湿熱性試験での耐久性が優れることから、上記Δnの更に好ましい上限は0.25である。このようなΔnを満たすことで、好適な光透過率の向上を図ることができる。
なお、本明細書において、光透過性基材が面内に複屈折率を有しているか否かは、波長550nmの屈折率において、Δn(nx−ny)≧0.0005であるものは、複屈折性を有しているとし、Δn<0.0005であるものは、複屈折性を有していないとする。複屈折率は、王子計測機器社製KOBRA−WRを用いて、測定角0°かつ測定波長552.1nmに設定して、測定を行うことができる。このとき、複屈折率算出には、膜厚、平均屈折率が必要となる。膜厚は、例えば、マイクロメーター(Digimatic Micrometer、ミツトヨ社製)や、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定できる。平均屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することができる。
なお、一般的に等方性材料として知られる、トリアセチルセルロースからなるTD80UL−M(富士フィルム社製)、シクロオレフィンポリマーから成るZF16−100(日本ゼオン社製)のΔnは、上記測定方法により、それぞれ、0.00007、0.00005であり、複屈折性を有していない(等方性)と判断した。
その他、複屈折を測定する方法として、二枚の偏光板を用いて、光透過性基材(2)の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求めることもできるし、裏面に黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニット、VAR−7010 日本分光社製)を用いて、偏光測定:S偏光にて、S偏光に対して、遅相軸を平行にした場合と、進相軸を平行にした場合の5度反射率を測定し、反射率(R)と屈折率(n)との関係を示す下記式(1)より、遅相軸と進相軸の各波長の屈折率(nx、ny)を算出することもできる。
R(%)=(1−n)/(1+n) 式(1)
また、平均屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することができ、光透過性基材(2)の厚み方向の屈折率nzは、上記の方法によって測定した、nx、nyを用いて、下記式(2)より、計算できる。
平均屈折率N=(nx+ny+nz)/3 式(2)
ここで、nx、ny、nzの算出方法を、具体例を挙げて説明する。
なお、nxは、光透過性基材(2)の遅相軸方向の屈折率、nyは、光透過性基材(2)の進相軸方向の屈折率、nzは、光透過性基材(2)の厚み方向の屈折率である。
(3次元屈折率波長分散の算出)
まずは、シクロオレフィンポリマーを例に挙げて、3次元屈折率波長分散の算出方法を具体的に説明する。
面内に複屈折率を有さないシクロオレフィンポリマーフィルムの平均屈折率波長分散を、エリプソメーター(UVISEL 堀場製作所)を用いて測定し、その結果を図1に示した。この測定結果より、面内に複屈折率を有さないシクロオレフィンポリマーフィルムの平均屈折率波長分散を、nxとny、nzの屈折率波長分散とした。
このフィルムを延伸温度155℃で自由端一軸延伸して、面内に複屈折率を有するフィルムを得た。膜厚は、100μmであった。この自由端一軸延伸したフィルムを、複屈折測定計(KOBRA−21ADH、王子計測機器)により、入射角0°及び40°のリタデーション値を4波長(447.6nm、547.0nm、630.6nm、743.4nm)で測定した。
各波長での、平均屈折率(N)と、リタデーション値とを元に、複屈折測定計付属の3次元波長分散計算ソフトを用いて、Cauchy又はSellmeierの式などを用いて、3次元屈折率波長分散を算出し、その結果を図2に示した。なお、図2中、nyはnzとほぼ重なって示されている。この結果より、面内に複屈折率を有するシクロオレフィンポリマーの3次元屈折率波長分散を得た。
(分光光度計を用いた屈折率nx、ny、nzの算出)
ポリエチレンテレフタレートを例に挙げて、分光光度計を用いた屈折率nx、ny、nzの算出方法を具体的に説明する。
面内に複屈折率を有さないポリエチレンテレフタレートの平均屈折率波長分散は、上記3次元屈折率波長分散の算出方法と同様に行った。
面内に複屈折率を有するポリエチレンテレフタレートの屈折率波長分散(nx、ny)は、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニットVAR−7010 日本分光社製)を用いて算出した。測定面とは反対面に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから、偏光測定:S偏光にて、光透過性基材(2)の配向軸を平行に設置した場合と、配向軸に対して直交する軸を平行に設置した場合との5度分光反射率を測定した。結果を図3に示す。反射率(R)と屈折率(n)との関係を示す上記式(1)より、屈折率波長分散(nx、ny)を算出した。より大きい反射率(上記式(1)により算出された屈折率)を示す方向をnx(遅相軸ともいう)とし、より小さい反射率(上記式(1)により算出された屈折率)を示す方向をny(進相軸ともいう)とした。ここで、配向軸とは、光源の上に、クロスニコル状態に設置された二枚の偏光板の間に、面内に複屈折率を有するフィルムを挟み、フィルムを回転させ、光漏れがもっとも少ない状態の時、偏光板の透過軸、又は、吸収軸と同一方向が、フィルムの配向軸とすることができる。また、屈折率nzは、上記平均屈折率(N)と上記式(2)とにより算出できる。
上記ポリエステル基材(2)を構成する材料としては、上述したΔnを充足するものであれば特に限定されないが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−1,4−ナフタレート、ポリエチレン−1,5−ナフタレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレート、ポリエチレン−2,3−ナフタレート)などを例示することができる。また、ポリエステル基材(2)に用いられるポリエステルは、これらのポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。上記ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、光透過率に優れる偏光板を得ることができる。更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりΔnの制御が可能であり、固有複屈折が大きいため、比較的容易に複屈折率を持たせることができる。
上記ポリエステル基材(2)を得る方法としては、上述したΔnを充足する方法であれば特に限定されないが、例えば、材料の上記PET等のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された未延伸ポリエステルをガラス転移温度以上の温度においてテンター等を用いて横延伸後、熱処理を施す方法が挙げられる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステル基材の透明性が低下しやすくなり、横延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られるポリエステル基材の複屈折が小さくなることがある。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。
また、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
上記ポリエステル基材(2)の厚みとしては、5〜500μmの範囲内であることが好ましい。5μm未満であると、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、500μmを超えると、ポリエステル基材(2)が非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記ポリエステル基材(2)の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は300μmであり、更に好ましい上限は150μmである。
また、上記ポリエステル基材(2)は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であるものがより好ましい。なお、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明において、上記ポリエステル基材(2)には本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
上記偏光子(2)としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。
上記偏光板において、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されている。上記偏光板は、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とが上述のように配置されるため、上述のような光透過率を優れたものとすることができる。すなわち、上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が上記範囲を外れる場合、具体的には、45°±15°未満である場合、上記偏光板の光透過率が極めて低いものとなる。これは、以下の理由によるものである。
光源と偏光子(2)との間に偏光分離フィルムを備えた偏光板では、通常、偏光子(2)の透過軸を透過する光の偏光軸の方向と、偏光分離フィルムを透過した偏光された光の偏光軸の方向とは、一致するように設置されている。このため、偏光子(2)と偏光分離フィルムとの間に、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)が設置され、かつ、上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、45°±15°未満の範囲である場合、偏光分離フィルムを透過した偏光された光の偏光軸が変化してしまい、偏光子(2)の吸収軸によって吸収されてしまい、偏光板の光透過率が極めて低くなってしまう。
上記偏光板において、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±15°又は90°±15°となるように積層されていることが好ましい。上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が上記範囲にあることで、上記偏光板の光透過率が極めて良好なものとなる。
上記偏光板において、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±5°となるように積層されていることがさらに好ましい。上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が上記範囲にあることで、上記偏光板の光透過率が極めて良好なものとなる。これは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、上記の範囲のとき、偏光された光が、上記光透過性基材(2)に入射する際の反射率を小さくすることができるからである。
この理由は、以下の理由による。
すなわち、偏光分離フィルムを透過した偏光された光が偏光板に入射する場合、上記光透過性基材(2)の進相軸と上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が0°であっても、90°であっても、上記偏光分離フィルムを透過した偏光された光は、その振動方向を保ったまま、光透過性基材(2)を通過する。しかし、この光が、空気界面から、光透過性基材(2)に入る場合、下記式によって反射が起こる。ここで、下記式中、ρは、反射率を示し、naは、光の振動方向と同じ方向の光透過性基材(2)の面内の屈折率を示す。
ρ=(1−na)/(1+na)
そして、上記偏光板の透過率τは、下記式によって求められるが、吸収率αは、材料が同じであるため、同じ値であることを考えれば、透過率τを大きくするためには、反射率ρを小さくすれば良い。
τ=1−ρ−α
すなわち、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、該光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とがなす角度が0°である場合、光は、光透過性基材(2)の面内において、最も小さい屈折率と空気の屈折率との差によって反射が起こるため、反射率を最も小さくでき、透過率を上げることができる。一方、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、該光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とがなす角度が90°である場合、光は、光透過性基材(2)の面内において、最も大きい屈折率と空気の屈折率との差によって反射が起こるため、反射率が最も大きくなり、結果として、透過率が低下する。
更に、上記偏光板では、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)の屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)と、上記光透過性基材(2)の平均屈折率(N)とが、下記式の関係を有し、かつ、上記進相軸と偏光子(2)の透過軸とのなす角度が0°±2°であるとき、光透過性基材(2)を等方性材料のまま用いたときよりも透過率を向上できるため最も好ましい。
nx>N>ny
なお、上記偏光板は、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)の偏光子(2)が積層されている側とは反対の面に、上記光透過性基材(2)の進相軸方向の屈折率nyよりも小さな屈折率を有する低屈折率層が設けられていてもよい。このような低屈折率層としては、屈折率が上記光透過性基材(2)の進相軸方向の屈折率nyよりも小さなものであれば特に限定されず、従来公知の材料からなるものが挙げられる。
上記偏光板は、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)に、偏光された光が入射される。
上記偏光板において、上記偏光された光としては特に限定されないが、例えば、液晶表示装置等の画像表示装置のバックライト光源から生じた光が、偏光分離フィルムを透過して偏光された光が好適に挙げられる。なお、上記偏光板の光源として従来公知の偏光光源を用いてもよい。
上記偏光分離フィルムは、上記バックライト光源から出射される光のうち、特定の偏光成分のみを透過し、それ以外の偏光成分を反射する偏光分離機能を有する部材である。上記偏光板を液晶表示装置に用いた場合、液晶セルと偏光分離フィルムとの間に上記偏光板が設けられた構成となり、上記偏光板は、特定の偏光成分のみを選択的に透過するので、偏光分離フィルムを用いて特定の偏光成分(上記偏光板を透過する偏光成分)以外の偏光成分を選択的に反射させ再利用することで、上記偏光板を通過する光の量を多くし、上記液晶表示装置の表示画面の輝度を向上させることができる。
上記偏光分離フィルムとしては、液晶表示装置に用いられている一般的なものを用いることができる。また、偏光分離フィルムとして市販品を用いてもよく、例えば、住友スリーエム社製のDBEFシリーズを用いることができる。
上記偏光板は、光透過性基材(2)と偏光子(2)とが、光透過性基材(2)の進相軸と偏光子(2)の透過軸とが特定の関係となるように積層されているため、光透過率が改善されたものとなる。
また、上記偏光板は、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層することで製造することができる。
上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と上記偏光子(2)との積層は、公知の接着剤を介して行うことが好ましい。
上記光学積層体と偏光板とを備えた本発明の偏光板複合体の製造方法もまた、本発明の一つである。
すなわち、本発明の偏光板複合体の製造方法は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子とがこの順に積層され、上記画像表示装置の上記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板複合体の製造方法であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置する工程と、上記光透過性基材(2)と上記偏光子とを、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層する工程を有することを特徴とする。
上記光学積層体及び偏光板の製造方法としては、上述した方法が挙げられる。
また、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有する光学積層体が、偏光子(1)上に設けられ、画像表示装置の表面に配置して用いられる偏光板と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の上記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板セットであって、上記光学積層体(1)と上記偏光子(1)とは、上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とが垂直となるように配置され、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、上記光透過性基材(2)に、偏光された光が入射されるものであり、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されていることを特徴とする偏光板セットもまた、本発明一つである。
本発明の偏光板セットにおける上記光学積層体及び上記光透過性基材(2)と偏光子(2)とを有し、バックライト光源側に配置される偏光板としては、上述した本発明の偏光板複合体における光学積層体及び偏光板と同様のものが挙げられる。
本発明の偏光板セットにおいて、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)は、上述した本発明の光学積層体と同様の理由により、リタデーションが3000nm以上であることが好ましく、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上であることが好ましい。
また、本発明の偏光板セットは、上述した光学積層体と同様の理由により、上記光透過性基材(1)と光学機能層との間にプライマー層を有し、上記プライマー層の厚みは、上述した(1)〜(3)に従って適宜選択されることが好ましい。
上記偏光子(1)としては特に限定されず、例えば、上述した偏光板複合体において説明した偏光板(2)と同様のものが挙げられる。
上記偏光子(1)と上記光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
本発明の偏光板セットにおいて、上記光透過性基材(1)と上記偏光子(1)とは、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とが垂直となるように配置されている。本発明の偏光板セットは、上記光透過性基材(1)と上記偏光子(1)とが上述のように配置され、更に、上記光透過性基材(1)の屈折率の大きい方向である遅相軸が、画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に設置されるため、上述した光学積層体と同様に、反射防止性能と明所コントラストとに優れたものとなる。
なお、上記「上記光透過性基材(1)と上記偏光子(1)とは、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とが垂直に配置されている」とは、上記光透過性基材(1)の遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とのなす角度が、90°±40°の範囲となるように、上記光透過性基材(1)と上記偏光子(1)とが設置された状態を意味する。
このような本発明の偏光板セットは、上記光学積層体の光透過性基材(1)と上記偏光子(1)とを、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光子(1)の吸収軸とが垂直となるように配置することで製造することができ、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される。
上述した本発明の偏光板複合体、又は、本発明の偏光板セットを備えてなる画像表示装置もまた、本発明の一つである。
本発明の画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよく、特に限定されないが、LCDが好適である。
上記の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、上記光学積層体又は上記偏光板が形成されてなるものである。
本発明の画像表示装置が、本発明の偏光板複合体又は本発明の偏光板セットを有する液晶表示装置の場合、光源装置の光源は、本発明の偏光板複合体又は本発明の偏光板セットの下側から照射される。なお、液晶表示素子と本発明の偏光板複合体又は本発明の偏光板セットとの間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
上記PDPは、表面に電極を形成した表面ガラス基板と、当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置され、電極及び、微小な溝を表面に形成し、溝内に赤、緑、青の蛍光体層を形成した背面ガラス基板とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又は、その前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に上述した本発明の偏光板複合体又は本発明の偏光板セットにおける上記光学積層体を備えるものでもある。
本発明の画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に上述した本発明の偏光板複合体又は本発明の偏光板セットにおける上記光学積層体を備えるものである。
ここで、本発明が偏光板複合体又は偏光板セットを有する液晶表示装置の場合、該液晶表示装置において、バックライト光源としては特に限定されないが、白色発光ダイオード(白色LED)であることが好ましく、本発明の画像表示装置は、バックライト光源として白色発光ダイオードを備えたVAモード又はIPSモードの液晶表示装置であることが好ましい。
上記白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光又は紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していることから反射防止性能及び明所コントラストの改善に有効であるとともに、発光効率にも優れるため、本発明における上記バックライト光源として好適である。また、消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
また、上記VA(Vertical Alignment)モードとは、電圧無印加のときに液晶分子が液晶セルの基板に垂直になるように配向されて暗表示を示し、電圧の印加で液晶分子を倒れ込ますことで明表示を示す動作モードである。
また、上記IPS(In−Plane Switching)モードとは、液晶セルの一方の基板に設けた櫛形電極対に印加された横方向の電界により、液晶を基板面内で回転させて表示を行う方式である。
上記偏光板複合体又は偏光板セットを用いた画像表示装置が、バックライト光源として白色発光ダイオードを備えたVAモード又はIPSモードであることが好ましいのは、以下の理由からである。
すなわち、本発明の画像表示装置は、表示画面に入射する割合の多い左右方向に振動する光(S偏光)の上記光学積層体又は偏光板での反射を低減させることができるが、結果として、多くのS偏光が透過することとなる。通常、これらの透過したS偏光は、表示装置内部で吸収されるが、観測者側に戻ってくる光もごく僅かであるが存在する。VAモード又はIPSモードは、液晶セルよりも観測者側に設置された偏光子の吸収軸が、表示画面に対して左右方向であるため、上記光学積層体又は偏光板を透過したS偏光を吸収することができ、より、観測者側に戻ってくる光を低下させることができるからである。
本発明の画像表示装置は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPCなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル(LCD)、PDP、ELD、FED、タッチパネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができ、なかでも、LCDに好適に使用することができる。
また、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有する光学積層体を備えた画像表示装置の製造方法も本発明の一つである。
すなわち、本発明の画像表示装置の製造方法は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられる偏光板を備えた画像表示装置の製造方法であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置する工程と、上記光透過性基材(2)と上記偏光子とを、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層する工程を有することを特徴とする。
本発明の画像表示装置の製造方法において、上記光学積層体及び上記光透過性基材(2)と偏光子(2)有する偏光板としては、上述した本発明の偏光板複合体における光学積層体及び偏光板と同様のものが挙げられる。
また、上記「上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置する」とは、上記遅相軸と、上記表示画面の上下方向とのなす角度が、0°±40°の範囲となるように、上記光学積層体を配置することを意味する。
上述した本発明の画像表示装置は、反射防止性能と明所コントラストとに優れ、視認性が改善されたものとなる。このような本発明の画像表示装置による視認性改善方法もまた、本発明の一つである。
すなわち、本発明の画像表示装置の視認性改善方法は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられる偏光板を備えた画像表示装置の視認性改善方法であって、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置するとともに、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とを、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層することを特徴とする。
本発明の画像表示装置の視認性改善方法において、上記光学積層体及び上記光透過性基材(2)と偏光子(2)有する偏光板としては、上述した本発明の偏光板複合体における光学積層体及び偏光板と同様のものが挙げられ、また、上記画像表示装置としては、上述した本発明の画像表示装置と同様のものが挙げられる。
また、上記「上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記画像表示装置の表示画面の上下方向とが平行となるように、上記光学積層体を配置する」とは、上記遅相軸と、上記表示画面の上下方向とのなす角度が、0°±40°の範囲となるように、上記光学積層体を配置することを意味する。
本発明の偏光板複合体及び偏光板セットは、上述した構成からなるものであるため、ポリエステルフィルムのような面内に複屈折率を有する光透過性基材を、光学積層体及び偏光板に用いた場合であっても、反射防止性能と明所コントラストとに優れる画像表示装置を得ることができ、更に、光透過率にも優れたものとなる。
このため、本発明の偏光板複合体及び偏光板セットは、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPC等に好適に適用することができ、なかでも、LCDに好適に適用することができる。
面内に複屈折率を有さないシクロオレフィンポリマーフィルムの平均屈折率波長分散を示すグラフである。 面内に複屈折率を有するシクロオレフィンポリマーフィルムの3次元屈折率波長分散を示すグラフである。 分光光度計により測定したnx及びnyの5度反射率を示すグラフである。 実施例等で用いた光源のスペクトルである。 実施例等における偏光板の層構成を示す模式図である。 実施例等で用いた保護フィルムの屈折率波長分散を示すグラフである。 実施例等で用いた偏光子の屈折率及び消衰係数を示すグラフである。
(明所コントラスト評価法)
反射率測定時のS偏光と光透過性基材の進相軸との関係が同じとなるように、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側の偏光素子上に、光学機能層を観測者側となるように光学積層体を設置し、周辺照度400ルクス(明所)において、表示画面の明所コントラストを目視にて評価した。
具体的には、明所コントラストは下記式により表され、一般に明所白輝度の変化率は小さく明所黒輝度の変化率は大きいので、明所コントラストは明所黒輝度に支配される。また、パネル本来の黒輝度は明所黒輝度に比べて小さく無視できるので、下記要領で黒さ(明所黒輝度)を評価して実質的に明所コントラストの評価とした。
すなわち、S偏光と光透過性基材の進相軸との角度が異なる2種類の液晶モニターについて、一方を液晶モニターA、他方を液晶モニターBとし、液晶モニターA、Bを並べ、15人の被験者により官能評価(黒表示した液晶モニターを50〜60cm離れた位置から目視観察し、どちらが黒く見えるかを評価)を行い、黒いと答えた人数が12人以上の液晶モニターを明所コントラストが優れ、人数が12人に満たない場合、つまりは11人以下の場合は劣る評価とした。なお、液晶モニターA、Bへ光学積層体を設置する角度は、各実施例、比較例毎に適宜角度を振って評価を行っている。なお、13人以上の被験者が、黒いと答えた場合には、特に優れているとした。
明所コントラスト:CR=LW/LB
明所白輝度(LW):外光がある明所(周辺照度400ルクス)にて、表示装置を白表示した時の輝度
明所黒輝度(LB):外光がある明所(周辺照度400ルクス)にて、表示装置を黒表示した時の輝度
(反射率測定方法)
測定側である、光学積層体の光学機能層を設けた側とは反対側に、黒ビニールテープ(ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅を貼った後、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニットVAR−7010 日本分光社製)を用いて、偏光測定:S偏光に対して、光透過性基材(1)の遅相軸を平行に設置した場合と、進相軸を平行に設置した場合との5度反射率を測定した。
(ニジムラの評価)
各実施例、比較例、参考例にて、上記明所コントラスト評価用に光学積層体を設置した液晶モニターを、正面及び斜め方向(約50°)、50〜60cm離れた位置から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観察を行い、ニジムラを評価した。
図4に、使用した液晶モニターのバックライト光源スペクトルを示す。
(リタデーションの測定)
光透過性基材(1)のリタデーションは、次のようにして測定した。
まず、延伸後の光透過性基材(1)を、二枚の偏光板を用いて、光透過性基材(1)の配向軸方向を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の波長590nmに対する屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求めた。ここで、より大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。光透過性基材の厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率差(nx−ny)と、フィルムの厚みd(nm)の積より、リタデーションを計算した。
(屈折率の測定)
エリプソメーター(UVISEL 堀場製作所社製)を用いて測定した。
(実施例1、比較例1)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.70、ny=1.60、(nx−ny)=0.10、膜厚120μm、リタデーション=12000nmの光透過性基材を得た。
次に、光学機能層として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を、MIBK溶媒に30質量%溶解させ、光重合開始剤(Irg184、BASF社製)を固形分に対して5質量%添加した光学機能層用組成物を、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗工し塗膜を形成した。
次いで、形成した塗膜を70℃で1分間加熱して、溶剤を除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、固定化し、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。S偏光と光透過性基材の進相軸を平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度が0°)に設置して測定した実施例1の光学積層体の反射率は、4.45%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸とを平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度が90°)に設置して測定した比較例1の反射率は、4.73%であり、実施例1の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、反射率測定時のS偏光と光透過性基材の進相軸との関係が同じとなるように、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側の偏光素子上に、光学機能層を観測者側となるように光学積層体を設置し、周辺照度400ルクス(明所)において、表示画面の明所コントラストを目視にて評価した。
実施例1の場合、表示画面に入射する割合の多い該表示画面に対して左右方向に振動するS偏光と、光透過性基材の進相軸を平行(光透過性基材の遅相軸が、表示画面の上下方向と平行、すなわち、光透過性基材の遅相軸と表示画面の上下方向との角度が0°)となるように設置し、比較例1の場合、S偏光と光透過性基材の遅相軸を平行(光透過性基材の遅相軸と表示画面の上下方向の角度を90°)に設置し、評価した。その結果、実施例1の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例1の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが特に優れていた。また、実施例1の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラも無く、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例1の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例1の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣り、反射防止性能も劣るものであった。
(実施例2、比較例2)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.8倍にて延伸を行い、nx=1.68、ny=1.62、(nx−ny)=0.06、膜厚80μm、リタデーション=4800nmの光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。得られた光学積層体を用いて、実施例1と同様(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を0°)にして反射率を測定し、明所コントラストを評価したところ、実施例2の光学積層体の反射率は4.46%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸を平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を90°)に設置して測定した比較例2の光学積層体の反射率は、4.63%で、実施例2の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例2の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例2の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが特に優れていた。また、実施例2の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラもなく、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例2の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例2の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣るものであった。
(実施例3、比較例3)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.70、ny=1.60、(nx−ny)=0.10、膜厚120μm、リタデーション=12000nmのフィルム上に、屈折率1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。得られた光学積層体を用いて、実施例1と同様(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を0°)にして反射率を測定し、明所コントラストを評価したところ、実施例3の光学積層体の反射率は4.36%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸を平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を90°)に設置して測定した比較例3の光学積層体の反射率は、4.48%であり、実施例3の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例3の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例3の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが特に優れていた。また、実施例3の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラもなく、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例3の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例3の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣るものであった。
(実施例4、比較例4)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.0倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.8倍にて延伸を行い、nx=1.68、ny=1.63、(nx−ny)=0.05、膜厚70μm、リタデーション=3500nmのフィルム上に、屈折率(np)1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。なお、光学機能層はプライマー層上に形成した。得られた光学積層体を用いて、実施例1と同様(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を0°)にして反射率を測定し、明所コントラストを評価したところ、実施例4光学積層体の反射率は4.38%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸を平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を90°)に設置して測定した比較例4の光学積層体の反射率は4.47%で、実施例4の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例4の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例4の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが特に優れていた。また、実施例4の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラもなく、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例4の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例4の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣るものであった。
(実施例5、比較例5)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.70、ny=1.60、(nx−ny)=0.10、膜厚38μm、リタデーション=3800nmのフィルム上に、屈折率(np)1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。なお、光学機能層はプライマー層上に形成した。得られた光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が30°となるように設置して測定した実施例5の光学積層体の反射率は4.39%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が30°となるように設置して測定した比較例5の光学積層体の反射率は、4.45%で、実施例5の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例5の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例5の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが優れていた。また、実施例5の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラは、偏光サングラス越しにて、うっすらと見える程度で、実使用上問題ないレベルであり、視認性が改善された状態であった。一方、比較例5の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは、偏光サングラス越しにて、うっすらと見える程度で、実使用上問題ないレベルであったが、実施例5の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣るものであった。
なお、実施例5の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の進相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターA’と、比較例5の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の遅相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターB’とについて、反射率及び明所コントラストを評価したところ、実施例5の光学積層体を用いた液晶モニターA及び比較例5の光学積層体を用いた液晶モニターBと同様の結果であった。
(実施例6、比較例6)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.70、ny=1.60、(nx−ny)=0.10、膜厚10μm、リタデーション=1000nmのフィルム上に、屈折率(np)1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。得られた光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とが平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度が0°)となるように設置して測定した実施例6の光学積層体の反射率は4.40%、S偏光と遅相軸とが平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度が90°)となるように設置して測定した比較例6の光学積層体の反射率は4.47%であり、実施例6の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例6の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例6の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが優れていた。また、実施例6の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラもなく、視認性が改善された状態であった。一方、比較例6の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例6の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣るものであった。
(実施例7、比較例7)
実施例1で得た光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が5°となるように設置して測定した実施例7の光学積層体の反射率は4.46%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が5°となるように設置して測定した比較例7の光学積層体の反射率は、4.72%であり、実施例7の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例7の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例7の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが特に優れていた。また、実施例7の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラも無く、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例7の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例7の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣り、反射防止性能も劣るものであった。
なお、実施例7の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の進相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターA’と、比較例7の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の遅相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターB’とについて、反射率及び明所コントラストを評価したところ、実施例7の光学積層体を用いた液晶モニターA及び比較例7の光学積層体を用いた液晶モニターBと同様の結果であった。
(実施例8、比較例8)
実施例1で得た光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が10°となるように設置して測定した実施例8の光学積層体の反射率は4.48%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が10°となるように設置して測定した比較例8の光学積層体の反射率は、4.68%であり、実施例8の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例8の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例8の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが特に優れていた。また、実施例8の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラも無く、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例8の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例8の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣り、反射防止性能も劣るものであった。
なお、実施例8の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の進相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターA’と、比較例8の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の遅相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターB’とについて、反射率及び明所コントラストを評価したところ、実施例8の光学積層体を用いた液晶モニターA及び比較例8の光学積層体を用いた液晶モニターBと同様の結果であった。
(実施例9、比較例9)
実施例1で得た光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が30°となるように設置して測定した実施例9の光学積層体の反射率は4.56%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が30°となるように設置して測定した比較例9の光学積層体の反射率は、4.64%であり、実施例9の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例9の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストが優れていた。また、実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラも無く、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例9の光学積層体を用いた液晶モニターBは、ニジムラは見られないが、実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣り、反射防止性能も劣るものであった。
なお、実施例9の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の進相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターA’と、比較例9の光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の遅相軸のなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターB’とについて、反射率及び明所コントラストを評価したところ、実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターA及び比較例9の光学積層体を用いた液晶モニターBと同様の結果であった。
(実施例10、比較例10)
ポリエチレンナフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.81、ny=1.60、(nx−ny)=0.21、膜厚40μm、リタデーション=8400nmのフィルム上に、屈折率(np)1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。なお、光学機能層はプライマー層上に形成した。得られた光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が0°となるように設置して測定した実施例10の光学積層体の反射率は4.37%であり、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が0°となるように設置して測定した比較例10の光学積層体の反射率は、4.79%であり、実施例10の光学積層体の方が反射防止性能に優れていた。
また、実施例1と同様にして評価した実施例10の光学積層体を用いた液晶モニターAは、比較例10の光学積層体を用いた液晶モニターBよりも表示画面の明所コントラストは特に優れていた。また、実施例10の光学積層体を用いた液晶モニターAは、ニジムラもなく、視認性改善が極めてよくされた状態であった。一方、比較例10の光学積層体を用いた液晶モニターBの表示画面は、ニジムラは見られないが、実施例10の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して明所コントラストに劣るものであった。
(比較例11)
実施例1で作製した光学積層体を用い、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が45°となるように設置して測定した反射率は、4.59%、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が45°となるように設置して測定した反射率も同様に4.59%であり、反射率に差はなく、反射防止性能は得られなかった。
実施例9の光学積層体を設置した液晶モニターAとし、比較例11のS偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が45°となるようにした光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターBとして、実施例1と同様にして明所コントラストを評価した。その結果、比較例11の光学積層体を用いた液晶モニターBの表示画面の明所コントラストよりも、実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターAの表示画面の明所コントラストが優れていた。比較例11のS偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が45°となるようにした光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターB’についても同様に明所コントラストを評価したところ、上記液晶モニターBと同様の結果であった。
次いで、実施例1、7及び8の光学積層体を用いた液晶モニターを液晶モニターAとし、実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターを液晶モニターBとして、同様に明所コントラストを評価したところ、実施例9の光学積層体を用いた液晶モニターBの表示画面の明所コントラストよりも、実施例1、実施例7及び実施例8の光学積層体を用いた液晶モニターAの表示画面の明所コントラストが優れていた。
(比較例12)
実施例3で作製した光学積層体を用い、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が45°となるように設置して測定した反射率は、4.42%、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が45°となるように設置して測定した反射率も同様に4.42%であり、反射率に差はなく、反射防止性能は得られなかった。S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が45°となるようにした光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターAとし、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が45°となるようにした光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターBとして、実施例1と同様にしてニジムラ及び明所コントラストを評価したところ、いずれの角度に設置した場合もニジムラは見られず、角度毎の明所コントラストにおいても差はなかったが、実施例3に係る光学積層体の光学積層体を用いた液晶モニターAと比較して、比較例12の光学積層体を用いた液晶モニターは、いずれの角度に設置した場合も明所コントラストは劣るものであった。
(参考例1)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部からなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.70、ny=1.60、(nx−ny)=0.10、膜厚28μm、リタデーション=2800nmのフィルム上に、屈折率(np)1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。得られた光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が30°となるように設置して測定した反射率は4.39%、S偏光と遅相軸とのなす角度が30°となるように設置して測定した反射率は4.45%であり、反射率に差があり、反射防止効果が得られた。明所コントラストにおいても、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が30°となるように設置した光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターAとし、S偏光と遅相軸とのなす角度が30°となるように設置した液晶モニターを液晶モニターBとして、実施例1と同様にしてニジムラ及び明所コントラストを評価したところ、液晶モニターAのほうが、明所コントラストは優れていたが、リタデーションが3000nm未満であったため、偏光サングラス越しでのニジムラが強く観測された。
なお、参考例1の上記液晶モニターAの光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターを液晶モニターA’とし、参考例1の上記液晶モニターBの光学積層体におけるS偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度をマイナス側に同角度とした液晶モニターを液晶モニターB’とし、液晶モニターA’及び液晶モニターB’について、反射率及び明所コントラストを評価したところ、参考例1の液晶モニターA及び液晶モニターBと同様の結果であった。
(参考例2)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率3.8倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体28.0質量部と水72.0質量部からなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.8倍にて延伸を行い、nx=1.66、ny=1.63、(nx−ny)=0.03、膜厚100μm、リタデーション=3500nmのフィルム上に、屈折率(np)1.56、膜厚100nmのプライマー層を設けた光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を有する光学積層体を得た。得られた光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸を平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を0°)に設置して測定した反射率は、4.41%、S偏光と光透過性基材の遅相軸を平行(S偏光と光透過性基材の遅相軸との角度を0°)に設置して測定した反射率は4.43%であり、反射率に僅かな差があり反射防止効果があった。また、S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が0°となるように設置した光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターAとし、S偏光と遅相軸とのなす角度が0°となるように設置した液晶モニターを液晶モニターBとして、実施例1と同様にしてニジムラ及び明所コントラストを評価したところ、いずれの角度に設置した場合もニジムラは見られなかったが、明所コントラストにおいては、いずれの角度に設置した場合も差が見られず、(nx−ny)=0.03と小さいため、明所コントラストが実施例4、5の光学積層体を用いた液晶モニターと比較すると劣っていた。
(参考例3)
nx=1.48026、ny=1.48019、(nx−ny)=0.00007、膜厚80μmであり、面内位相差が5.6nmであるトリアセチルセルロース(TD80ULM 富士フィルム社製)基材上に、実施例1同様の方法にて、屈折率(nf)1.53の光学機能層を設け光学積層体を作製した。
得られた光学積層体を用いて、S偏光と光透過性基材の進相軸を平行(S偏光と光透過性基材の進相軸との角度を0°)に設置して測定した反射率は、4.39%、S偏光と光透過性基材の遅相軸を平行(S偏光と光透過性基材の遅相軸との角度を0°)に設置して測定した反射率も同様に4.39%であり、反射率に差はなかった。上記反射率に差はないが、光透過性基材としてトリアセチルセルロースを用いたので、反射率に問題はない。S偏光と光透過性基材の進相軸とのなす角度が0°となるように設置した光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターAとし、S偏光と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が0°となるように設置して測定した光学積層体を設置した液晶モニターを液晶モニターBとして、実施例1と同様にしてニジムラ及び明所コントラストを評価したところ、いずれの角度に設置した場合も明所コントラストに差はなく、ニジムラも見られなかった。当該参考例3により、従来、液晶表示装置に用いられていた面内に複屈折率を有さない光透過性基材を用いた場合、明所コントラスト及びニジムラの問題が生じず視認性に問題ないことが確認できた。各実施例においては、この参考例3の視認性と同程度に優れた視認性が得られた。
(光透過性基材の作製)
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材(2)Aの作製)
セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル社製CAP504−0.2)を、塩化メチレンを溶剤として固形分濃度が15%になるように溶解後、ガラス上に流延し、乾燥させ、光透過性基材(2)Aを得た。波長550nmにおけるΔn=0.00002であり、平均屈折率N=1.4838であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)aの作製)
光透過性基材(2)Aを、160℃で1.5倍自由端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)aを作製した。3次元屈折率波長分散を算出した結果、波長550nmにおける屈折率nx=1.4845、ny=1.4835(Δn=0.001)であり、nz=1.4834であった。
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材(2)Bの作製)
光透過性基材(2)Bとして、シクロオレフィンポリマーよりなる、日本ゼオン社製未延伸ゼオノアを準備した。波長550nmにおけるΔn=0.00004であり、平均屈折率N=1.5177であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)bの作製)
光透過性基材(2)Bを、150℃で1.5倍自由端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)bを作製した。3次元屈折率波長分散を算出した結果、波長550nmにおける屈折率nx=1.5186、ny=1.5172であり、nz=1.5173であった。
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材(2)Cの作製)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、ガラス上にて、ゆっくりと冷却し、光透過性基材(2)Cを得た。波長550nmにおけるΔn=0.00035であり、平均屈折率N1.6167であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c1の作製)
光透過性基材(2)Cを、120℃で4.0倍固定端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c1を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.701、ny=1.6015であり、nz=1.5476であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c2の作製)
光透過性基材(2)Cを、120℃で2.0倍自由端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c2を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.6511、ny=1.5998であり、nz=1.5992であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c3の作製)
光透過性基材(2)Cを、120℃で二軸延伸の倍率を調整して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c3を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.6652、ny=1.6153であり、nz=1.5696であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c4の作製)
光透過性基材(2)Cを、120℃で二軸延伸の倍率を調整して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)c4を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.6708、ny=1.6189であり、nz=1.5604であった。
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材(2)Dの作製)
ポリエチレンナフタレート材料を290℃で溶融して、ガラス上にて、ゆっくりと冷却し、光透過性基材(2)Dを得た。波長550nmにおけるΔn=0.0004であり、平均屈折率N=1.6833であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材(2)dの作製)
光透過性基材(2)Dを、120℃で4.0倍固定端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材(2)dを作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.8472、ny=1.6466であり、nz=1.5561であった。
(偏光板透過率の計算)
透過率の計算は、2×2行列法や4×4行列法、拡張ジョーンズ行列法を用いて計算できる。実施例、比較例、参考例においては、シミュレーションソフト(LCDMaster、シンテック社製)を用いて、偏光板の透過率を計算した。図5に偏光板の層構成を示す。図5の実施例及び比較例部分に、各光透過性基材(2)の3次元屈折率波長分散を入れて上記計算を行った。面内に複屈折を有さないと判断した光透過性基材(2)は、平均屈折率N=nx=ny=nzとし、面内に複屈折を有すると判断した光透過性基材(2)は、実測値を用いた。各層の膜厚は、実施例、比較例、保護フィルム部分は80μmとし、偏光子(2)部分は20μmとした。
光源のスペクトルは図4に示した通りである。入射する光の偏光状態は、偏光分離フィルム透過後の偏光状態と同じとなるよう、直線偏光とし、偏光子(2)の透過軸方向に振動する光とした。
図6に、用いた保護フィルムの屈折率波長分散を示し、保護フィルムは、等方性材料とした。
図7に、用いた偏光子(2)の屈折率及び消衰係数を示した。なお、図7中、吸収軸方向と透過軸方向とはほぼ重なって示されている。
(実施例11)
光透過性基材(2)aの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材(2)の進相軸と、偏光子(2)の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例12)
光透過性基材(2)aの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材(2)の進相軸と、偏光子(2)の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例13)
光透過性基材(2)aの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材(2)の進相軸と、偏光子(2)の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例13)
光透過性基材(2)bの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例14)
光透過性基材bの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例14)
光透過性基材bの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例15)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例16)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が2°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例17)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が30°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例18)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が60°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例19)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例15)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例20)
光透過性基材c2の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例21)
光透過性基材c2の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例16)
光透過性基材c2の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例22)
光透過性基材c3の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例23)
光透過性基材c3の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例17)
光透過性基材c3の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例24)
光透過性基材c4の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例25)
光透過性基材c4の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例18)
光透過性基材c4の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例26)
光透過性基材dの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例27)
光透過性基材dの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例19)
光透過性基材dの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(参考例4)
光透過性基材Aの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例5)
光透過性基材Bの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例6)
光透過性基材Cの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例7)
光透過性基材Dの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例8)
入射する光の偏光状態をランダム光とした以外は、実施例5同様の方法にて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例9)
入射する光の偏光状態をランダム光とした以外は、実施例9同様の方法にて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例10)
入射する光の偏光状態をランダム光とした以外は、比較例3同様の方法にて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例11)
入射する光の偏光状態をランダム光とした以外は、参考例3同様の方法にて、偏光板の透過率を計算した。
実施例11〜27、比較例13〜19及び参考例4〜11に係る各評価結果を表1に示す。
入射する光の偏光状態を直線偏光としたときの透過率は、各材料ごとに、面内に複屈折を有さない場合の透過率を100として、面内に複屈折を有する偏光板の透過率を示している。入射する光の偏光状態をランダム光とした時の透過率も同様に、面内に複屈折を有さない場合の透過率を100として、面内に複屈折を有する偏光板の透過率を示している。
Figure 2020008883
表1に示したように、実施例11、12と比較例13との比較、実施例13、14と比較例14との比較、実施例15〜19と比較例15との比較、実施例20、21と比較例16との比較、実施例22、23と比較例17との比較、実施例24、25と比較例18との比較、及び、実施例26、27と比較例19との比較より、光透過性基材(2)の遅相軸と偏光子(2)の透過軸とが所定の角度範囲内にある実施例に係る偏光板は、当該角度範囲を外れる比較例に係る偏光板よりも光透過性に優れていた。
また、実施例11と参考例4との比較、実施例13と参考例5との比較、実施例15、20、22と参考例6との比較、実施例26と参考例7との比較より、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)を用いた実施例に係る偏光板は、面内に複屈折率を有さない光透過性基材(2)を用いた比較例に係る偏光板よりも、光透過性に優れていた。
実施例15、19、比較例15、参考例6と、参考例8〜11との比較より、偏光された光が入射することにより、光透過性基材(2)の遅相軸と偏光子(2)の透過軸とが所定の角度範囲内にある実施例に係る偏光板は、当該角度範囲を外れる比較例に係る偏光板よりも光透過性に優れていることが確認できた。
更に、実施例1〜10に係る光学積層体と、実施例11〜27に係る偏光板とを適宜組み合わせて偏光板複合体を製造したところ、得られた偏光板複合体は、反射防止性能と明所コントラストとに優れ、更にはニジムラも防止できるとともに、光透過率にも優れるものであることが確認できた。
本発明の偏光板複合体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、電子ペーパー、タブレットPC等に好適に適用することができる。
本発明は、面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、上記画像表示装置の前記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板複合体であって、上記光透過性基材(1)は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上であり、リタデーションが5000nm以上であり、上記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、上記光透過性基材(2)に、偏光された光が入射されるものであり、上記光透過性基材(2)と上記偏光子(2)とは、上記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されていることを特徴とする偏光板複合体である。

Claims (1)

  1. 面内に複屈折率を有する光透過性基材(1)の一方の面上に光学機能層を有し、画像表示装置の表面に配置して用いられる光学積層体と、
    バックライト光源側から、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材(2)と偏光子(2)とがこの順に積層され、前記画像表示装置の前記バックライト光源側に配置して用いられる偏光板とを有する偏光板複合体であって、
    前記光透過性基材(1)の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、
    前記光透過性基材(2)に、偏光された光が入射されるものであり、
    前記光透過性基材(2)と前記偏光子(2)とは、前記光透過性基材(2)の屈折率が小さい方向である進相軸と、前記偏光子(2)の透過軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように積層されている
    ことを特徴とする偏光板複合体。
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