JP2019536951A - ブレーキパッド摩耗センサ - Google Patents
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Abstract
車両ディスクブレーキシステムのブレーキパッド摩耗を測定するブレーキパッド摩耗測定システムは、第一の磁界を生成するように励磁可能である第一のコイルと、該第一のコイルに関連する第一のターゲットとを含む。該第一のコイルと該第一のターゲットは、該ディスクブレーキシステムの作動に応答して相対移動するように構成されている。該相対移動は、該第一のターゲットを該第一の磁界内で移動させて、該第一のコイルのインダクタンスに影響を及ぼさせる。また、該ブレーキパッド摩耗測定システムは、第二の磁界を生成するように励磁可能である第二のコイルと、該第二のコイルに関連する第二のターゲットも含む。該第二のコイルと該第二のターゲットは、該ディスクブレーキシステムの作動に応答して相対移動するように構成されている。該相対運動は、該第二のターゲットを該第二の磁界内で移動させて、該第二のコイルのインダクタンスに影響を及ぼさせる。該第一のコイルと該第一のターゲットは、該第一のコイルの該インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて増加するように構成されている。該第二のコイルと該第二のターゲットは、該第二のコイルの該インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて減少するように構成されている。
Description
本発明は、一般的には、ブレーキパッド摩耗感知システムおよび装置に関する。より具体的には、本発明は、ディスクブレーキシステムの内側ブレーキパッドおよび外側ブレーキパッドの両方における摩耗を測定するブレーキパッド摩耗センサに関する。
自動車のブレーキパッドを交換する必要がある場合には、感知してドライバーに知らせることが好ましい。公知の電子ブレーキ摩耗センサは、該内側ブレーキパッドにクリップで留められている抵抗回路センサを有している。該パッドがロータによって摩耗するにつれて該センサも摩耗し、その抵抗を変化させる。ピグテールハーネスが該センサに接続され、該センサは、車両内の感知モジュールに配線されている。
公知のアプローチに関しては、いくつかの問題がある。多数のワイヤーハーネスおよび追加的な感知モジュールは、この公知のアプローチを費用のかかる解決策にしている。車両サスペンションおよびホイール/ステアリングナックルエリアを介した該ハーネスのルーティングは、非常に難しく、および砂利による損傷を起こしやすい。さらに、該摩耗センサは、該パッドが交換される度に交換しなければならず、そのことは費用がかかる可能性がある。
ブレーキパッド摩耗を検出するために電子センサを採用している間は、該ブレーキパッドおよびブレーキキャリパーエリアが、多くの電子センサが耐えることのできない300度を超える温度に達する可能性があることを考慮することが重要である。
コストおよび実施の観点から、どのようなワイヤーハーネスも使用しないこと、および該パッド摩耗の情報をドライバーディスプレイへ送るコストを低減するためには、該車両上に既に現存する製品を利用しようとすることが望ましい。また、該ブレーキパッド摩耗センサおよび該ブレーキパッドが交換される場合に、必ずしも該ブレーキパッド摩耗センサを該ブレーキパッドとともに交換する必要がないことが好ましい。また、該ブレーキパッド摩耗センサは、診断(例えば、鼓動)能力を備えていることが望ましく、該センサは、制動時に見られる過剰な温度に耐えることができなければならない。
一つの態様によれば、車両ディスクブレーキシステムのブレーキパッド摩耗を測定するブレーキパッド摩耗測定システムは、第一の磁界を生成するように励磁可能である第一のコイルと、該第一のコイルに関連する第一のターゲットとを含む。該第一のコイルと該第一のターゲットは、該ディスクブレーキシステムの作動に応答して相対移動するように構成される。該相対運動は、該第一のターゲットを該第一の磁界内で移動させて、該第一のコイルのインダクタンスに影響を及ぼさせる。また、該ブレーキパッド摩耗測定システムは、第二の磁界を生成するように励磁可能である第二のコイルと、該第二のコイルに関連する第二のターゲットも含む。該第二のコイルと該第二のターゲットは、該ディスクブレーキシステムの作動に応答して相対移動するように構成される。該相対運動は、該第二のターゲットを、該第二の磁界内で移動させて、該第二のコイルのインダクタンスに影響を及ぼさせる。該第一のコイルと該第一のターゲットは、該第一のコイルの該インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて増加するように構成される。該第二のコイルと該第二のターゲットは、該第二のコイルの該インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて減少するように構成される。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該ブレーキパッド摩耗測定システムは、該第一および第二のコイルを励磁して該磁界を生成し、且つ該第一および第二のコイルの該インダクタンスを測定するように構成された制御部も含むことができる。該制御部は、該磁界内での該第一および第二のターゲットの移動きによって引き起こされた該第一および第二のコイルにおけるインダクタンスの変化に応答して、ブレーキパッド摩耗を示す信号を提供するように構成することができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該制御部は、該第一のコイルの該インダクタンスと、該第二のコイルの該インダクタンスとの間の差を計算するように構成することができる。また、該制御部は、計算された差に応答して、該ブレーキパッド摩耗を決定するように構成することもできる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該差は、該第一および第二のコイルの測定されたインダクタンス間の差とすることができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該差は、該第一および第二のコイルの測定されたインダクタンスの比とすることができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一のターゲットは、第一のターゲット面に沿って延び、および該第一のコイルの第一の巻線面と平行に向けられている面を有することができる。該第二のターゲットは、第二のターゲット面に沿って延び、および該第二のコイルの第二の巻線面と平行に向けられている面を有することができる。該第一のコイルに対する該第一のターゲットの移動は、該第一のターゲット面および該第一のコイル巻線面の両方に平行に延びている軸に沿わせることができる。該第二のコイルに対する該第二のターゲットの移動は、該第二のターゲット面および該第二のコイル巻線面の両方に平行に延びている軸に沿わせることができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一および第二のターゲット面は、同一平面上とすることができ、また、該第一および第二のコイル面は、同一平面上とすることができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一および第二のターゲットは、該第一のコイルに重なっている該第一のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて増加し、および該第二のコイルに重なっている該第二のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて減少するように構成することができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一および第二のターゲットは、先細形状を有することができる。
別の態様によれば、車両ディスクブレーキシステムのブレーキパッド摩耗を測定するブレーキパッド摩耗測定システムは、第一の磁界を生成するように励磁可能である第一のコイルと、第二の磁界を生成するように励磁可能である第二のコイルと、該第一および第二のコイルを励磁し且つ該第一および第二のコイルのインダクタンスを測定するように構成された制御部を支持するハウジングとを備えるセンサを含むことができる。第一のターゲットは、該ディスクブレーキシステムの作動に応答して、前記第一の磁界内で移動し且つ該第一のコイルの該インダクタンスに影響を及ぼすように構成することができる。第二のターゲットは、該ディスクブレーキシステムの作動に応答して、前記第二の磁界内で移動し且つ該第二のコイルの該インダクタンスに影響を及ぼすように構成することができる。該システムは、ブレーキパッド摩耗に応じた該第一のターゲットの移動により、ブレーキパッド摩耗の増加につれて、該第一のコイルの該インダクタンスが増加するように、且つブレーキパッド摩耗に応じた該第二のターゲットの移動によりが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて、該第二のコイルの該インダクタンスが減少するように構成することができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該制御部は、該磁界内での該第一および第二のターゲットの移動によって引き起こされる該第一および第二のコイルにおけるインダクタンスの変化に応答して、ブレーキパッド摩耗を示す信号を該センサから供給するように構成することができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該制御部は、該第一のコイルの該インダクタンスと、該第二のコイルの該インダクタンスとの間の差を計算するように構成することができ、該制御部はさらに、計算された差に応じて該ブレーキパッド摩耗を決定するように構成されている。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該差は、該第一および第二のコイルの測定されたインダクタンス間の差とすることができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該差は、該第一および第二のコイルの測定されたインダクタンスの比とすることができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一および第二のコイルは、センサハウジング内で同一平面上に配置することができ、また、該第一および第二のターゲットは、同一平面上に且つ該第一および第二のコイルの面に平行に配置することができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一および第二のターゲットは、該第一のコイルに重なっている該第一のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて増加し、および該第二のコイルに重なっている該第二のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて減少するように構成することができる。
単独の別の態様、または、任意の他の態様と組合せた別の態様によれば、該第一および第二のターゲットは、先細形状を有することができる。
本発明の上記のおよび他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下の説明を読めば、本発明に関連する当業者には明白になるであろう。
車両サスペンションの部品に取り付けられたディスクブレーキ部品を示す実施例の車両構成の概略図である。
実施例のディスクブレーキ構成に対して実施されたブレーキ摩耗センサシステムを示す概略図であり、該ディスクブレーキは、非制動状態で図示されている。
図2の該ブレーキ摩耗センサシステムを示す概略図であり、該ディスクブレーキは、ブレーキパッドが摩耗の第一のレベルにある第一の制動状態で図示されている。
図2の該ブレーキ摩耗センサシステムを示す概略図であり、該ディスクブレーキは、ブレーキパッドが摩耗の第二のレベルにある第二の制動状態で図示されている。
該ブレーキ摩耗センサシステムの一つの構成を示す概略図である。
該ブレーキ摩耗センサシステムの一つの構成を示す概略図である。
該ブレーキ摩耗センサシステムの別の構成を示す概略図である。
該ブレーキ摩耗センサシステムの別の構成を示す概略図である。
該ブレーキ摩耗センサシステムの機能を示すグラフである。
該ブレーキ摩耗センサシステムの別の構成を示す概略図である。
該ブレーキ摩耗センサシステムの別の構成を示す概略図である。
図1を参照すると、実施例の車両サスペンションシステム10は、車両16に接続されている、枢動運動のための上方制御アーム12および下方制御アーム14を含む。ステアリングナックル20は、該ナックルと制御アームとの間の相対運動を可能にするボールジョイントまたは類似物により、該制御アーム12、14の自由端に接続されている。該ステアリングナックル20は、車軸線26周りの回転(矢印Aを参照)用のホイールハブ24を支持するスピンドル22を含む。車輪またはリム30とタイヤ32は、公知の手段、例えば、ラグおよびラグナットによって該ホイールハブ24に取付けることができる。該ホイールハブ24は、該軸線26周りの該ハブ、リム30およびタイヤ32の回転を容易にするベアリング34を含む。該ステアリングナックル20は、該車両16を公知の方法で操向するために、それ自体がステアリング軸線36周りに回転可能である(矢印Bを参照)。
ダンパー40、例えば、ショックアブソーバーまたはストラットは、該下方制御アーム14に接続されたピストンロッド42と、該車両16の構造部、例えば、車両フレームに取り付けられたブラケットによって支持されているシリンダ44とを有している。該ダンパー40は、該車両16に対する該制御アーム14、16および該ステアリングナックル20の相対運動を抑制する。したがって、該ダンパー40は、該サスペンションシステム10、該車輪30および該タイヤ32の上下運動(矢印Cを参照)を生じさせる、道路38と該タイヤ32の衝突、例えば、凸凹、窪みまたは路上のデブリとの衝突を弱めて吸収するのを補助することができる。
該車両16は、該ハブ、車輪30およびタイヤ32と共に回転するために該ハブ24に固定されたブレーキディスク52を含むディスクブレーキシステム50を含む。また、該ディスクブレーキシステム50は、ブラケット56によって該ステアリングナックル20に固定されているブレーキキャリパー54も含む。したがって、該ディスク52と該キャリパー54は、ステアリング運動(矢印B)およびサスペンションの運動(矢印C)を介した該ステアリングナックル20と合わせて動く。該ディスク52は、該キャリパー54に対して回転し(矢印A)、および該キャリパーを貫通する外側径方向部分を有している。
図1に示す該サスペンションシステム10の構成は、ほんの一例であり、本発明の範囲を限定することを意図していない。本願明細書に開示されている該ブレーキパッド摩耗センサシステムは、ディスクブレーキを実施する如何なる車両サスペンション構成との利用のために構成することができる。例えば、図示されているサスペンションシステム10は、独立したフロントサスペンション、具体的には、上方および下方制御アーム/Aアーム(場合により、ダブルウィッシュボーンと呼ばれる)サスペンションであるが、他の独立サスペンションを用いることもできる。該ブレーキパッド摩耗感知システムをそれを用いて実施することができる独立サスペンションの実例は、限定するものではないが、スイングアクスル式サスペンション、スライディングピラー式サスペンション、マクファーソンストラット式サスペンション、チャップマンストラット式サスペンション、マルチリンク式サスペンション、セミトレーリングアーム式サスペンション、スイングアーム式サスペンションおよびリーフスプリング式サスペンションを含む。また、該ブレーキパッド摩耗感知システムは、限定するものではないが、サッチェル(Satchell)リンク式サスペンション、パナールロッドサスペンション、ワッツリンクサスペンション、WOBリンクサスペンション、マンフォード(Mumford)リンクサスペンションおよびリーフスプリング式サスペンションを含む懸架式サスペンションシステムを用いて実装することができる。さらに、該ブレーキパッド摩耗感知システムは、前輪ディスクブレーキまたは後輪ディスクブレーキに対して実装することができる。
図2〜図4を参照すると、該ディスクブレーキシステム50が、概略的かつより詳細に図示されている。該ブレーキシステム50は、該車両16への該キャリパー54の接続が、該ブレーキディスク52に対する該キャリパーの軸方向運動(「フロート」)を可能にしているシングルピストンフローティングキャリパーシステムである。このフローティングキャリパー構成において、該キャリパー54は、ブレーキ軸線60に平行に、該ディスク52に向かって、および該ディスクから離れて軸方向に動けるようになっている(矢印Dを参照)。
該ブレーキシステム50は、内側ブレーキパッド72を支持している内側ブレーキパッドホルダ70と、外側ブレーキパッド76を支持している外側ブレーキパッドホルダ74とを含む。該内側ブレーキパッドホルダ70は、ピストン80上に支持されている。該外側ブレーキパッドホルダ74は、フローティングキャリパー54上に支持されている。該ピストン80は、該フローティングキャリパー54上に支持されているか、または、該フローティングキャリパー内に形成されているシリンダ82内に設けられている。ブレーキ液84は、該ブレーキシステム50を作動させるために、ドライバーがブレーキペダル(図示せず)を作用させるのに応答して該シリンダ82内へ圧送される。
該ブレーキシステム50は、付勢部材(図示せず)、例えば、ばねによって付与される付勢によって、図2の非作動状態に維持されている。該ブレーキペダルが作用されると、該ブレーキ液84が該シリンダ82を充たして、図2〜図4に見られるように、流体圧力を該ピストン80に付与して該ピストンを左側へ圧迫する。このことは、該内側ブレーキパッドホルダ70およびパッド72を、該ブレーキディスク52に向かって該ブレーキ軸線60に沿って移動させる。該ディスク52に係合する該内側ブレーキパッド72は、該ピストン80およびシリンダ82のその支持により該フローティングキャリパー54に作用する反力を生成する。該ピストン80は、該内側ブレーキパッド72と該ディスクとの係合による、該ディスク52に向かう動きが阻止されるため、該シリンダ82内のブレーキ液圧は、図2〜図4に見られるように、該フローティングキャリパー54を右側へ圧迫して移動させる。該右側へ移動する該フローティングキャリパー54は、該外側ブレーキパッドホルダ74およびパッド76を、該ブレーキディスク52に向かって該ブレーキ軸線60に沿って移動させる。該内側パッド76は、最終的に該ディスク52に係合し、この時点で、該ディスクは、該内側ブレーキパッドと該外側ブレーキパッドとの間で締め付けられている。
該ブレーキパッド72、76がすり減るにつれて、これらのブレーキパッドは薄くなる。このことは、未使用の厚くてすり減っていない図3の該ブレーキパッド72、76を、古くて薄く、すり減っている図4の該ブレーキパッドと比較することによって説明される。図3と図4を比較して分かるように、該ブレーキシステム50の該フローティングキャリパー構成のため、該ピストン80および該キャリパー54はともに、図4の摩耗したパッドを作用させた場合に、該未使用のパッドを作用させたときに該ピストンおよび該キャリパーが移動する距離よりも多くの距離を移動する。
ブレーキパッド摩耗感知システム100は、該システムのどの部分も破壊することなく、該ブレーキパッド72、76における摩耗の量を測定する。この方法では、ルーチン保守中およびブレーキパッドの交換中の交換を要する該摩耗感知システム100の部分はない。該摩耗感知システム100は、このことを、ブレーキ部品がブレーキ作用中に移動する距離を直接測定することによって実現する。該ブレーキパッドが新しい場合、移動距離は短い。該パッドが摩耗するにつれて、該移動距離は増加する。この移動距離を測定および監視することにより、該摩耗感知システム100は、ブレーキパッド摩耗の程度と、該パッドがすり減っていると見なせる時点の両方を判断することができる。
上記移動距離は、さまざまな該ブレーキシステム50の部品を介して測定することができる。例えば、該移動距離は、該パッド72、76自体、該パッドホルダ70、74、該フローティングキャリパー54または該ピストン80を介して測定することができる。該移動距離は、動く部品自体の間で、または、動く部品と静止している部品との間で測定することができる。該静止している部品は、該ブレーキシステム50の部品、または、該車両16の部品、例えば、該サスペンションシステム10とすることができる。該ブレーキパッド72、76が新しいか、またはすり減っていない場合、該移動距離は、比較的小さい。該ブレーキパッド72、76が摩耗するにつれて、該移動距離は増加する。該移動距離の増加は、該ブレーキパッドに関する摩耗を示す。
図5A、図5Bを参照すると、該ブレーキパッド摩耗センサシステム100は、誘導センサ102およびターゲット104を含む。該センサ102は、第一の部品120上に取付けられている。該ターゲット104は、第二の部品122上に取付けられている。これまでの段落で説明したように、第一および第二の部品120、122は、さまざまなアイデンティティ、例えば、ブレーキシステム50の部品、車両16の部品およびサスペンションシステム10の部品を有することができる。該センサ102およびターゲット104は、少なくとも一つの部品、すなわち、該センサ102および/または該ターゲット104がブレーキ作用に応答して動く限り、ブレーキ作用に応答して動くように(図5A、図5Bの矢印を参照)、または、ブレーキ作用中に静止したままであるように取付けることができる。
誘導センサ
泥や腐食に影響されないことにより、および物理的接触を要しないことにより、該誘導センサ102は、該ブレーキパッド摩耗感知システム100への実装に対して理想的である。誘導近接感知は、該ブレーキパッド72、76に「交換時期」の指標を与える二元的な指標として、すなわち、「イエス/ノー」構成で実施することができる。また、誘導近接感知は、例えば、該ブレーキパッド72、76の「パーセント摩耗」の指標ならびに「交換時期」の指標を生成することができる可変出力構成を有する摩耗インジケータとして実施することができる。
泥や腐食に影響されないことにより、および物理的接触を要しないことにより、該誘導センサ102は、該ブレーキパッド摩耗感知システム100への実装に対して理想的である。誘導近接感知は、該ブレーキパッド72、76に「交換時期」の指標を与える二元的な指標として、すなわち、「イエス/ノー」構成で実施することができる。また、誘導近接感知は、例えば、該ブレーキパッド72、76の「パーセント摩耗」の指標ならびに「交換時期」の指標を生成することができる可変出力構成を有する摩耗インジケータとして実施することができる。
図5Aおよび図5Bを参照すると、該センサ102は、誘導コイル110と、該コイルを励磁し、および該ターゲット104を検出するためのLC回路112とを含む。該LC回路112は、インダクタ‐キャパシタ(LC)タンク回路と、該LCタンク回路をポンピングする発振器とを含む。該LCタンク回路の該インダクタは、該発振器が該LCタンク回路をポンピングしたときに磁界114を生成する該コイル110である。該ターゲット104が該センサ102から離れている場合(図5Aを参照)、アクチュエータは、該センサ102によって生成された該磁界114にほとんどまたは全く影響を与えない。該ターゲット104が該コイルの近傍に持って来られると(図5Bを参照)、渦電流が該アクチュエータの導電性金属内に生成される。該渦電流の大きさは、該ターゲット104の距離、材料およびサイズに応じて変化する。該渦電流は、該LCタンク回路の発振振幅を低減するという効果を有し、および該Lインダクタの有効インダクタンスを低減する逆磁界を生成する。
インダクタンス値Lは、LCタンク共振周波数を決める。該センサ102は、LCタンク回路における発振振幅の変化、または、LCタンク共振周波数の変化のいずれかを測定するように構成することができる。該LC回路112は、該ターゲット104を検出するために、この変化を測定するように構成されている。該センサ102が該ターゲット104を検出する方法は、該LC回路112の構成に依存する。一つの構成において、該LC回路112は、該アクチュエータの存在を検出するように構成することができ、すなわち、該ターゲット104が、該センサに対して特定の所定位置に達したときに切り替えられるイエス/ノースイッチとすることができる。別の構成では、該LC回路112は、該ターゲット104までの実際の距離を測定するように構成することができる。
図5Aおよび図5Bの実施例の構成の該ブレーキパッド摩耗センサシステム100は、摩耗パッド検出器(存在検出器)またはパッド摩耗検出器(距離検出器)として構成することができる。摩耗パッド検出器構成では、該システム100は、該ブレーキパッドが所定量の摩耗に達した場合のみを検出するように、および該パッドが摩耗して修理が必要であるという指示を与えるように構成されている。パッド摩耗検出器構成では、該システム100は、該パッドに関する該摩耗の量(例えば、%摩耗)を検出するように、および当該量、例えば、該パッドに関する摩耗の量または該パッドに残されている有用寿命に関する指標を与えるように構成されている。該システム100は、該パッドが摩耗した際に、定期的な警告、例えば、「残り50%」、「残り25%」、「残り10%」および「修理が必要」等を与えるように構成することができる。
動作時に、該ターゲット104の位置が、該センサ102の位置に対して変化した場合、すなわち、図5Aに示す該位置から図5Bに示す該位置へ変化した場合、このことは、該磁界114を変化させ、および該LC回路112に応答させ、該センサ102は、出力をセンサ制御部106へ供給し、該制御部は、ブレーキパッド摩耗を測定するための、および該ブレーキパッドが交換を必要とするか否かを判断するための関連する計算を実行する。該センサ102およびターゲット104の配置により、該摩耗感知システム100は、増加した該センサと該ターゲットとの間の距離に応じて増加した摩耗を検出するように、または、減少した該センサと該ターゲットとの間の距離に応じて増加した摩耗を検出するように構成することができることに留意すべきである。該センサ制御部106は、それらの計算の結果を主制御部108、例えば、車両ボディコントロールモジュール(BCM)に供給することができ、該モジュールは、必要な場合に、該車両のオペレータに警告を出すことができる。
一つの特定の構成において、該制御部106は、車両アンチロックブレーキシステム(ABS)制御部内に、または該制御部とともに実装することができる。このことは、タイヤ回転センサを採用している該ABSシステムが既に、該ブレーキパッド摩耗感知システム100を利用することができる領域までケーブル/配線が通されていることを必要としているため、便利である可能性がある。また、該制御部106を該ABS制御部内にまたは該制御部とともに実装することは、該制御部が主制御部108とやりとりしているため、便利である。このようにして、該システム100によって感知された該ブレーキパッド摩耗の指標は、該センサ制御部106を介して該主制御部108へ送ることができ、該主制御部は、例えば、計器パネル/ゲージクラスタを介して該車両のオペレータに、関連する警告/指標を提供することができる。
別の構成では、該センサ102は、パッド摩耗データを無線で該制御部106へ送ることができ、その場合、該制御部は、該データおよび/または該データを使用して実行した計算を該主制御部108へ伝達することができる。この構成では、例えば、該センサ制御部106は、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)センサからの信号を無線で受信するように、および該主制御部108とやりとりするように既に装備されているTPMS内に、または該TPMSとともに実装することができる。
さらなる構成では、該センサ制御部106は、該センサ102自体の中に一体化することができ、また、該センサは、パッド摩耗データおよび/または計算結果を該車両の主制御部108へ有線または無線のいずれかで直接送信することができる。
該センサ102およびターゲット104を取付けることができる該第一および第二の部品120、122は、さまざまなアイデンティティを有することができる。図1〜図4を参照すると、該第一の部品120は、フローティングキャリパー54とすることができ、そのことは、該センサ102を、該ブレーキの作用に応答して移動できるようにするであろう。別法として、該第一の部品120は、固定された部品、例えば、該取付ブラケット56、または、該サスペンションシステム10の部品とすることができる。該第二の部品122は、可動性のブレーキシステム部品、例えば、該キャリパー54、該ピストン80、該パッドホルダ70、74の一方、または、該パッド72、76の一方とすることができる。
該誘導検出コイルからの該ターゲットの距離(DS)の有効測定は、コイルのサイズ/直径に関連しているため、該コイル110が大きければ大きいほど、該測定は良好であるという結果になる。該ブレーキシステム50の該領域内の限定された空間により、および当該領域内に多くの金属製部品があるという事のため、大きなサイズ/直径のコイルは実行不可能である。さらに、ブレーキパッドの厚さは、その耐用年数にわたった変化が比較的小さい可能性がある(例えば、約10〜15mm)。この該センサ102用の限定された空間及び比較的小さな距離DSに加えて、例えば車両、ブレーキおよびサスペンション部品などの周囲の構造部に関連する若干の累積公差もあるため、該センサ102と該ターゲット104との間の軸方向距離の小さな変化を感知することは困難かもしれない。
図5Aおよび図5Bの該センサシステム100の該実施例の構成に示されているように、該ブレーキパッドの厚さは、該センサ102およびコイル110に対する該ターゲット104の横方向位置に変換することができる。該コイル110の面と、該ターゲット104の面との間の該軸方向距離を測定する代わりに、該コイル面とターゲット面との間隔が一定に維持され、および該ターゲットは、該コイルの上を横方向に移動するように構成される。該ターゲット104が該コイル110に対して移動するにつれて、該磁界114の近傍の該ターゲットの表面積が変化する。該コイル110の上の該ターゲット104の動きから生じるコイルインダクタンスの低下は、例えば、該LC回路の並列抵抗における共振周波数の増加、または、減少した信号振幅として測定することができ、また、該コイルに対する該ターゲットの位置を示すのに用いることができ、この位置は、関連するブレーキパッドの厚さの変化(および摩耗)に関連付けることができる。
図6A、図6Bを参照すると、該センサシステム100の一つの特定の構成において、該センサ102は、各々が、それ自体の専用のターゲット104を有している二つのコイル110を含むことができる。該ターゲット104の各々は、不規則な概して三角形状を有することができ、およびブレーキ作動に応答して、その対応するセンサコイル110の上を(矢印Eで示すように)横方向に移動するように構成されている。
該ターゲット104の不規則な形状と、該センサコイル110の該表面からの該ターゲットの間隔が一定にかつ小さく維持されているという事は、該ターゲットの存在に対する該センサ102の応答を向上させる。この可変ターゲット構成においては、図6Aに示すように、そのそれぞれのコイル110にさらされている各三角形状のターゲット104の領域は、該ターゲットが該コイルの上をまたは該コイルに沿って、スライドするかまたは移動する際に変化する。該ターゲット104が該コイル110に対して移動する際、渦電流が該ターゲット内に生成される。該コイル110に重なっている該ターゲット104の該表面積が変化する際、該渦電流が変化する。該渦電流は、該コイルの該インダクタンス(L)に影響を与える。より具体的には、該コイル110の上に配置された該ターゲット104の該表面積が増加するにつれて、該渦電流が増加し、および該コイルの該インダクタンスLが減少する。該コイル110の上での該ターゲット104の動きから生じるコイルインダクタンスの低下は、例えば、該LC回路の該並列抵抗における共振周波数の増加、または、減少した信号振幅として測定することができ、および該コイルに対する該ターゲットの該位置を示すのに用いることができ、この位置は、該関連するブレーキパッドの厚さの変化(および摩耗)に関連付けることができる。
図6Aおよび図6Bに示す該センサシステム100の構成は、単一のターゲットおよびコイルを含む誘導センサで生じる可能性がある問題に対処する。ブレーキパッド摩耗は、ブレーキ軸線60(図2〜図4を参照)に沿って測定され、該摩耗は、具体的には、該車両ブレーキの作用時に、部品122(例えば、ブレーキパッド70、74、ブレーキパッドホルダ72、76、ブレーキキャリパー54)が動く距離の変化として測定される。図6Aおよび図6Bにおいては、摩耗していない状態(図6A)と摩耗した状態(図6B)との間のその厚さの変化を図示できるように、該部品122は、単に例示のためにブレーキパッド72、76として図示されている。
該コイル110に対する該ターゲット104の動きの変化がブレーキパッド摩耗のみに起因している可能性がある限り、該単一センサ構成は正確である可能性がある。しかし、不運にも、ブレーキ作用中に該部品122が移動する距離に影響を及ぼす可能性のある、ブレーキパッド摩耗以外の変数が存在する。例えば、該ブレーキシステムの部品には、累積して不正確な測定の一因となり得る公差がある。該ブレーキパッド自体は、他の部品、例えば、該キャリパーに対して動くことができるため、誤差を生じさせる可能性がある。さらに、該ブレーキパッド以外のブレーキシステム部品および車両部品における摩耗も移動距離の変化の一因となって誤差を生じる可能性がある。
図6Aおよび図6Bにおける該センサシステム100の構成は、差の感知を実施することにより、誤差の原因を考慮している。このことを実行するため、該センサ102は、該コイル110およびそれらのそれぞれのターゲット104が、ブレーキパッド摩耗を示す測定された距離DSの逆誘導測定を実行できるように構成される。このことを説明するために、図6Aおよび図6Bでは、該コイル110は、それぞれ、符号C1およびC2で標記され、また、該ターゲットは、符号T1およびT2で標記されている。
該ターゲット104は、互いの鏡像であり、概してそれらのそれぞれのコイル110に中心を置き且つそれらのそれぞれのコイルに重なっているように配置されている。より具体的には、図6Aの摩耗していないブレーキパッド状態では、該ターゲットT1およびT2は、概して、それらの対応するコイルC1およびC2に中心を置き且つそれらの対応するコイルC1およびC2に重なっているように配置されている。図6Bの十分に摩耗したブレーキパッド状態では、該ターゲットT1およびT2は、それらの対応するコイルC1およびC2からずれている。これらの位置を比較すると、該ブレーキパッド72、76が摩耗するにつれて、該ターゲットT1の、そのコイルC1上に中心を置いている表面積が減少するが、該ターゲットT2の、そのコイルC2上に中心を置いている表面積は増加することが分かる。
該ブレーキパッド72、76が摩耗して厚さが薄くなる際、該ターゲット104はともに、該コイル110に対して同じ方向に動く。この動きは、該コイルC1、C2の該インダクタンスL1、L2の変化をもたらし、そのことは図7に図示されている。図7において、符号DSで標記された軸は、該軸に沿って右側へ増加しているブレーキパッド摩耗を示す。図7に示すように、ブレーキパッド摩耗(DS)が増加すると、該コイルC1における減少したインダクタンスL1(コイルC1の上の減少したターゲットT1の表面積)と、該コイルC2における増加したインダクタンスL2(コイルC2の上の増加したターゲットT2の表面積)とを生じる。該ターゲット104とコイル110の緻密な構成により、任意の量のブレーキパッド摩耗に対して、インダクタンスL1およびL2を、等しくかつ逆向きになるように変化させることができる。
該コイル110が、上述したように、LCタンク回路に実装されていることを思い起こすと、該センサ102は、動作中に、該LCタンク回路内の発振器の振幅の変化、または、該LCタンク回路の共振周波数の変化によるコイルC1およびC2のインダクタンスの変化を測定するように構成することができる。有利には、感知システム100は、ブレーキパッド摩耗を、該二つのコイルC1、C2の差として測定するように構成することができる。このことは、例えば、測定されたインダクタンスL1およびL2の差を測定すること、または、測定されたインダクタンスL1およびL2の比を計算すること、および当該差をブレーキパッド摩耗に関連付けることと同じように簡単である可能性がある。また、該ブレーキパッド測定は、該センサ102の非対称構成および差動モードを用いて、コモンモードエラーを相殺するアルゴリズムとすることもできる。
該センサシステムの構成要素、すなわち、該コイル110およびターゲット104の軸方向における誤差の原因は、該コイルにおける該インダクタンスL1、L2に同等にかつ逆向きに影響を及ぼすであろう。例えば、該ターゲットT1およびT2の、図6Aおよび図6Bの右側へのシフトは、インダクタンスL1の減少およびインダクタンスL2の増加を引き起こすであろう。該ターゲットT1およびT2の、図6Aおよび図6Bの左側へのシフトは、インダクタンスL1の増加とインダクタンスL2の減少を引き起こすであろう。該二つのコイルC1およびC2間の差を読み取ることは、軸方向の誤差の影響を受けないであろう。
同様のセンサ構成が図8Aおよび図8Bに図示されている。図8Aおよび図8Bの該センサ102は、図6Aおよび図6Bの該センサと同様の差動センサである。図8Aおよび図8Bにおいて、該センサ102は、図6Aおよび図6Bの並列構成とは対照的に、直列で配置されているターゲット104およびコイル110を含んでいる。このことは、例えば、ブレーキパッド摩耗の測定誤差の原因となり得る、車両および/またはブレーキシステムの部品の相対的な角運動、回転運動、捩じり運動または旋回運動から生じる誤差を避けるのを補助する際に有利になる可能性がある。また、並列または直列の選択も、空間利用可能性に依存する。
直列モードを利用することの別の利点は、該直列モードは、かなり幅広い範囲の移動距離DSを感知することができるということである。例えば、三つの異なる段階がある可能性がある。すなわち、段階1では、開始時の単一ターゲットモードにあり、感知を始めるために、T2が、図8AのようなC1の上のT1の位置にあることができる。このとき、T1は、該コイルC1およびC2の感知範囲の外側にある。段階2では、図8Aに示すような中間における差動感知モードにある。段階3では、終了時の単一ターゲットモードにあり、T1は、感知を終了するために、図8AにおけるC2の上のT2の位置にあることができる。当然のことながら、該差動モード感知の利益は、一つのターゲットだけが感知される開始および終了段階において失われる。
図8Aおよび図8Bの該センサシステム100は、図6Aおよび図6Bの該センサシステムのものと類似または同一の方法で差動インダクタンス測定を実施することを容易にする。該センサ102は、該コイル110とそれらのそれぞれのターゲット104とが、ブレーキパッド摩耗を示す該測定した距離DSの逆誘導測定を実行できるように構成されている。このことを説明するために、図8Aおよび図8Bでは、該コイル110は、それぞれ符号C1およびC2で標記され、また、該ターゲットは、符号T1およびT2で標記されている。
該ターゲット104は、互いの鏡像であり、概して、それらのそれぞれのコイル110に中心を置き且つそれらのそれぞれのコイルに重なっているように配置されている。図示されているように、該ターゲット104は、単一の構成要素として一緒に動くように、互いに相互接続することができる。図8Aの摩耗していないブレーキパッド状態では、該ターゲットT1およびT2は、概して、それらの対応するコイルC1およびC2に中心を置き且つそれらの対応するコイルC1およびC2に重なっているように配置されている。図8Bの十分に摩耗したブレーキパッド状態では、該ターゲットT1およびT2は、それらの対応するコイルC1およびC2からずれている。これらの位置を比較すると、該ブレーキパッド72、76が摩耗するにつれて、該ターゲットT1の、そのコイルC1上に中心を置いている表面積は減少し、一方、該ターゲットT2の、そのコイルC2上に中心を置いている表面積は増加することが分かる。
該ブレーキパッド72、76が摩耗して厚さが薄くなる際、該ターゲット104はともに、該コイル110に対して同じ方向に動く。この動きは、該コイルC1、C2の該インダクタンスL1、L2の変化をもたらし、そのことは図7にも図示されている。図7において、符号DSで標記された軸は、該軸に沿って右側へ増加しているブレーキパッド摩耗を示す。図7に示すように、ブレーキパッド摩耗(DS)が増加すると、該コイルC1における減少したインダクタンスL1(コイルC1の上の減少したターゲットT1の表面積)と、該コイルC2における増加したインダクタンスL2(コイルC2の上の増加したターゲットT2の表面積)とを生じる。該ターゲット104とコイル110の緻密な構成により、任意の量のブレーキパッド摩耗に対して、インダクタンスL1およびL2を、等しくかつ逆向きになるように変化させることができる。
該センサ102は、動作中に、該LCタンク回路内の該発振器の振幅の変化、または、該LCタンク回路の共振周波数の変化によるコイルC1およびC2のインダクタンスの変化を測定するように構成することができる。有利には、感知システム100は、ブレーキパッド摩耗を、該二つのコイルC1、C2の差として測定するように構成することができる。このことは、例えば、測定されたインダクタンスL1およびL2の差を測定すること、または、測定されたインダクタンスL1およびL2の比を計算すること、および当該差をブレーキパッド摩耗に関連付けることと同じように簡単である可能性がある。
該センサシステムの構成要素、すなわち、該コイル110およびターゲット104の軸方向における誤差の原因は、該コイルにおける該インダクタンスL1、L2に同等にかつ逆向きに影響を及ぼすであろう。例えば、該ターゲットT1およびT2の、図8Aおよび図8Bの右側へのシフトは、インダクタンスL1の減少およびインダクタンスL2の増加を引き起こすであろう。該ターゲットT1およびT2の、図8Aおよび図8Bの左側へのシフトは、インダクタンスL1の増加とインダクタンスL2の減少を引き起こすであろう。さらに、該コイルは円形であり、かつ対称的であるため、一方のターゲット104を図8Aおよび図8Bの上方へ動かそうとする旋回運動は、他方のターゲットの等しくかつ逆向きの下方への動きを生じさせるため、図8Aおよび図8Bにおける湾曲した矢印で大まかに示す旋回または回転は、該差を読み取ることに影響を及ぼさないであろう。そのため、この動きの該コイルC1、C2の該インダクタンスL1、L2への影響は同じになり、また、該コイルの間の差を読み取ることは影響を及ぼされないであろう。
当業者は、本発明の上記の説明から、改良物、変形例および変更例に気付くであろう。当技術分野の範囲内のそのような改良物、変形例および変更例は、添付クレームによってカバーされることが意図されている。
Claims (17)
- 車両ディスクブレーキシステムのブレーキパッド摩耗を測定するブレーキパッド摩耗測定システムであって、
第一の磁界を生成するように励磁可能な第一のコイル、および前記第一のコイルに関連する第一のターゲットであって、前記第一のコイルと前記第一のターゲットは、前記ディスクブレーキシステムの作動に応答して相対移動するように構成され、該相対移動は、前記第一のターゲットを前記第一の磁界内で移動させて、前記第一のコイルの前記インダクタンスに影響を及ぼす、前記第一のコイルおよび前記第一のターゲットと、
第二の磁界を生成するように励磁可能な第二のコイル、および前記第二のコイルに関連する第二のターゲットであって、前記第二のコイルと前記第二のターゲットは、前記ディスクブレーキシステムの作動に応答して相対移動するように構成され、該相対移動は、前記第二のターゲットを前記第二の磁界内で移動させて、前記第二のコイルの前記インダクタンスに影響を及ぼす、第二のコイルおよび前記第二のターゲットと、を備え、
前記第一のコイルと前記第一のターゲットは、該第一のコイルの前記インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて増加するように構成され、前記第二のコイルと前記第二のターゲットは、前記第二のコイルの前記インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて減少するように構成される、ブレーキパッド摩耗測定システム。 - 前記第一および第二のコイルを励磁して前記磁界を生成し、且つ前記第一および第二のコイルの前記インダクタンスを測定するように構成された制御部をさらに備え、該制御部は、前記磁界内での前記第一および第二のターゲットの移動によって引き起こされる前記第一および第二のコイルにおけるインダクタンスの変化に応答して、ブレーキパッド摩耗を示す信号を提供するように構成される、請求項1に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 前記制御部は、前記第一のコイルの前記インダクタンスと、前記第二のコイルの前記インダクタンスとの差を計算するように構成され、前記制御部はさらに、計算された差に応じて前記ブレーキパッド摩耗を決定するように構成される、請求項2に記載のブレーキパッド摩耗システム。
- 前記差は、前記第一および第二のコイルの測定されたインダクタンスの差を含む、請求項3に記載のブレーキパッド摩耗システム。
- 前記差は、前記第一および第二のコイルの測定されたインダクタンスの比を含む、請求項3に記載のブレーキパッド摩耗システム。
- 前記第一のターゲットは、第一のターゲット面に沿って延びている面を有し、および前記第一のコイルの第一の巻線面と平行に向けられ、
前記第二のターゲットは、第二のターゲット面に沿って延びている面を有し、および前記第二のコイルの第二の巻線面と平行に向けられ、
前記第一のコイルに対する前記第一のターゲットの移動は、前記第一のターゲット面および前記第一のコイル巻線面の両方に平行に延びている軸線に沿っており、
前記第二のコイルに対する前記第二のターゲットの移動は、前記第二のターゲット面および前記第二のコイル巻線面の両方に平行に延びている軸線に沿っている、請求項1に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。 - 前記第一および第二のターゲット面は同一平面上にあり、前記第一および第二のコイル面は同一平面上にある、請求項6に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 前記第一および第二のターゲットは、前記第一のコイルに重なっている該第一のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて増加し、および前記第二のコイルに重なっている前記第二のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて減少するように構成される、請求項1に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 前記第一および第二のターゲットは先細形状を有する、請求項8に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 車両ディスクブレーキシステムのブレーキパッド摩耗を測定するブレーキパッド摩耗測定システムであって、
第一の磁界を生成するように励磁可能な第一のコイルと、第二の磁界を生成するように励磁可能な第二のコイルと、前記第一および第二のコイルを励磁し且つ前記第一および第二のコイルにおけるインダクタンスを測定するように構成された制御部とを支持するハウジングを備えるセンサと、
前記ディスクブレーキシステムの作動に応答して、前記第一の磁界内で移動し且つ前記第一のコイルの前記インダクタンスに影響を及ぼすように構成された第一のターゲットと、
前記ディスクブレーキシステムの作動に応答して、前記第二の磁界内で移動し且つ前記第二のコイルの前記インダクタンスに影響を及ぼすように構成された第二のターゲットと、を備え、
前記システムは、ブレーキパッド摩耗に応じた前記第一のターゲットの移動により、前記第一のコイルの前記インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて増加するように、且つブレーキパッド摩耗に応じた前記第二のターゲットの移動により、前記第二のコイルの前記インダクタンスが、ブレーキパッド摩耗の増加につれて減少するように構成される、ブレーキパッド摩耗測定システム。 - 前記制御部は、前記磁界内での前記第一および第二のターゲットの移動によって引き起こされた前記第一および第二のコイルのインダクタンスの変化に応答して、ブレーキパッド摩耗を示す信号を前記センサから提供するように構成される、請求項10に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 前記制御部は、前記第一のコイルの前記インダクタンスと、前記第二のコイルの前記インダクタンスとの差を計算するように構成され、前記制御部はさらに、計算された差に応じて前記ブレーキパッド摩耗を決定するように構成される、請求項10に記載のブレーキパッド摩耗システム。
- 前記差は、前記第一および第二のコイルの測定されたインダクタンスの差を含む、請求項12に記載のブレーキパッド摩耗システム。
- 前記差は、前記第一および第二のコイルの測定されたインダクタンスの比を含む、請求項12に記載のブレーキパッド摩耗システム。
- 前記第一および第二のコイルは、センサハウジング内の同一平面上に配置され、前記第一および第二のターゲットは、同一平面上に且つ前記第一および第二のコイルの面に平行に配置される、請求項10に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 前記第一および第二のターゲットは、前記第一のコイルに重なっている前記第一のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて増加し、および前記第二のコイルに重なっている前記第二のターゲットの表面積が、ブレーキパッド摩耗に応じて減少するように構成される、請求項10に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
- 前記第一および第二のターゲットは先細形状を有する、請求項16に記載のブレーキパッド摩耗測定システム。
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