本発明によると、カートリッジを備えるエアロゾル発生システムが提供されており、カートリッジは、ニコチン供与源を含む第一の区画と、酸供与源を含む第二の区画とを備える。第一の区画は第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有し、第二の区画は第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有する。エアロゾル発生システムは、カートリッジと係合して第一の空気出口および第二の空気出口と流体連通するチャンバーを画定するように構成されたマウスピースをさらに備える。マウスピースは、チャンバーと流体連通する第三の空気吸込み口と、チャンバーと流体連通する第三の空気出口とを備え、第三の空気吸込み口は流れ面積を画定し、またマウスピースは、第三の空気吸込み口を通した流れ面積が可変であるように構成される。
本発明に関連して本明細書で使用される「空気吸込み口」という用語は、空気が通ってエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の中へと引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
本発明に関連して本明細書で使用される「空気出口」という用語は、空気が通ってエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分から外へ引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
本発明に関連して本明細書で使用される「流れ面積」という用語は、使用中に空気が通って流れる空気吸込み口また空気出口の総面積を記述するために使用される。空気吸込み口または空気出口が複数の開口部を含む実施形態において、空気吸込み口または空気出口の流れ面積は、複数の開口部の総流れ面積である。空気吸込み口または空気出口の断面積が気流の方向で変化する実施形態において、空気吸込み口または空気出口の流れ面積は、気流の方向における最小断面積である。本発明によるエアロゾル発生システムにおいて、第三の空気吸込み口の流れ面積は可変である。すなわち、エアロゾル発生システムは複数の構成間で変形可能であり、第三の空気吸込み口の流れ面積は異なる構成間で異なる。エアロゾル発生システムの所定の構成において、第三の空気吸込み口の流れ面積は、エアロゾル発生システムのその構成の場合で、気流方向で第三の空気吸込み口の最小断面積である。少なくとも一つの構成は、第三の空気吸込み口の最大流れ面積を画定しうる。少なくとも一つの構成は、第三の空気吸込み口の最小流れ面積を画定しうる。残りの構成は、第三の空気吸込み口の最大流れ面積と第三の空気吸込み口の最小流れ面積との間で、第三の空気吸込み口の一つ以上の流れ面積を画定しうる。
有利なことに、別個の空気吸込み口と別個の空気出口とを備えた別個の第一および第二の区画にニコチン供与源および酸供与源を提供することによって、本発明によるエアロゾル発生システムはニコチンと酸の間の反応化学量論の制御を容易にする。例えば、反応化学量論は、カーリッジの第二の区画を通る気流量に対して、カートリッジの第一の区画を通る気流量を変化させることによって制御されバランスが取られうる。
有利なことに、第一の空気出口および第二の空気出口と流体連通するチャンバーを画定するマウスピースを提供することによって、ならびにチャンバーと流体連通しかつ可変流れ面積を有する第三の空気吸込み口を備えることによって、本発明によるエアロゾル発生システムは第三の空気出口を通る気流の単位量当たりのニコチン塩粒子の総送達量の制御を容易にする。すなわち、第三の空気吸込み口の流れ面積を変化させることで、第三の空気出口を通る気流の単位量当たりのニコチン塩粒子の総送達量が制御される。第三の空気吸込み口の流れ面積を増大させると、第一および第二の空気出口を通る気流の総量と比較して、第三の空気吸込み口を通る気流の量が増大し、これが第三の空気出口を通る気流の単位量当たりのニコチン塩粒子の総送達量を減少させる。第三の空気吸込み口の流れ面積を減少させると、第一および第二の空気出口を通る気流の総量と比較して、第三の空気吸込み口を通る気流の量が減少し、これが第三の空気出口を通る気流の単位量当たりのニコチン塩粒子の総送達量を増大させる。
有利なことに、可変流れ面積を有する第三の空気吸込み口を備えるマウスピースを提供することでも、本発明によるエアロゾル発生システムを通したRTDのユーザーによる制御がなされうる。第三の空気吸込み口の流れ面積を増大させると、エアロゾル発生システムのRTDは減少しうる。第三の空気吸込み口の流れ面積を減少させると、エアロゾル発生システムのRTDは増大しうる。
第一の空気吸込み口、第一の空気出口、第二の空気吸込み口、第二の空気出口はそれぞれ、一つ以上の開口部によって形成されることが好ましい。第一の区画を通る気流量と第二の区画を通る気流量の比は、第一の空気吸込み口、第一の空気出口、第二の空気吸込み口、第二の空気出口のうちの少なくとも一つを形成する開口部の数、寸法、位置のうちの一つ以上を変化させることによって制御されうる。開口部の数、寸法、位置に関するこうしたバリエーションは、カートリッジを製造する時点で調整・決定されて、第一の区画を通る気流量と第二の区画を通る気流量の望ましい比を提供して、ニコチンと酸の間の望ましい反応化学量論を提供しうる。
マウスピースは、第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して移動可能な第二のマウスピース部品とを備えることが好ましく、ここで第一のマウスピース部品と第二のマウスピース部品の間の相対的運動は、第三の空気吸込み口を通した流れ面積を変化させる。第一のマウスピース部品は、カートリッジに対して固定されうる。第一のマウスピース部品は、カートリッジの少なくとも一部分と一体的に形成されうる。第一のマウスピース部品は、カートリッジの下流端から延びる管状部分を備えうる。
第二のマウスピース部品は、第一のマウスピース部品に対して摺動するように配置されうる。第二のマウスピース部品は、第一のマウスピース部品に対してねじれて配置されうる。第二のマウスピース部品は、第一のマウスピース部品に対してらせん運動をするよう配置されうる。
第三の空気吸込み口は、一つ以上の開口部によって形成されうる。一つ以上の開口部は、第一のマウスピース部品内に提供されうる。一つ以上の開口部は、第二のマウスピース部品内に提供されうる。一つ以上の開口部は、第一のマウスピース部品内に一つ以上の開口部を備え、第二のマウスピース部品内に一つ以上の開口部を備えうる。第二のマウスピース部品は、一つ以上の開口部が遮られない第一の位置と、一つ以上の開口部の少なくとも一部分が遮られる第二の位置との間で、第一のマウスピース部品に対して移動可能であることが好ましい。第二のマウスピース部品が第二の位置にある時、一つ以上の開口部は部分的にのみ遮られうる。第二のマウスピース部品は、第一のマウスピース部品に対して、一つ以上の開口部が完全に遮られる第三の位置に移動可能としうる。
本発明に関連して本明細書で使用される「遮られない」という用語は、空気が開口部の全面積を通して自由に流れることができるように、空気吸込み口または空気出口の少なくとも一部を形成する開口部が遮られないことを意味する。
本発明に関連して本明細書で使用される「遮られる」という用語は、開口部を通る気流が実質的に阻止されるように、空気吸込み口または空気出口の少なくとも一部を形成する開口部が遮られることを意味する。開口部は、遮られていない開口部の部分のみを通って空気が流れることができるように、部分的に遮られうる。
第三の空気吸込み口は、複数の開口部によって形成されうる。第二のマウスピース部品が第一の位置にある時、第三の空気吸込み口を形成するすべての開口部が遮られていないことが好ましい。第二のマウスピース部品が第二の位置にある時、第三の空気吸込み口を形成するそれぞれの開口部が部分的にのみ遮られうる。第二のマウスピース部品が第二の位置にある時、第三の空気吸込み口を形成する幾つかの開口部は遮られず、および第三の空気吸込み口を形成する残りの開口部は完全に遮られうる。第二のマウスピース部品が第二の位置にある時、第三の空気吸込み口を形成するすべての開口部は完全に遮られうる。
第三の空気吸込み口が複数の開口部によって形成され、かつ第二のマウスピース部品が第一のマウスピース部品に対して第三の位置に移動可能である実施形態において、第三の空気吸込み口を形成するすべての開口部は、第二のマウスピース部品が第三の位置にある時、完全に遮られうる。
上述の任意の実施形態において、第三の空気吸込み口の最大流れ面積は、約1.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルであることが好ましい。マウスピースが第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して第一の位置と第二の位置の間を移動可能な第二のマウスピース部品とを含む実施形態において、第三の空気吸込み口の最大流れ面積は、第二のマウスピース部品が第一の位置にある時に提供されることが好ましい。
第三の空気吸込み口は、複数の開口部で形成されうる。こうした実施形態において、第三の空気吸込み口を形成する開口部を通した総最大流れ面積は、約1.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルであることが好ましい。第三の空気吸込み口を形成する開口部は、第三の空気吸込み口の総最大流れ面積が第三の空気吸込み口を形成する開口部間で均等に分割されるように、同一の最大流れ面積を有しうる。第三の空気吸込み口を形成する開口部は、第三の空気吸込み口の総最大流れ面積が第三の空気吸込み口を形成する開口部間で不均等に分割されるように、異なる最大流れ面積を有しうる。マウスピースが第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して第一の位置と第二の位置の間を移動可能な第二のマウスピース部品とを含む実施形態において、第三の空気吸込み口の最大流れ面積は、第二のマウスピース部品が第一の位置にあり、かつ第三の空気吸込み口を形成するすべての開口部が遮られない時に提供されることが好ましい。
上述の任意の実施形態において、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、約0.6平方ミリメートル未満であることが好ましい。第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、ほぼゼロとしうる。すなわち、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、第三の空気吸込み口が完全に遮られることに対応しうる。マウスピースが第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して第一の位置と第二の位置の間を移動可能な第二のマウスピース部品とを含む実施形態において、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、第二のマウスピース部品が第二の位置にある時に提供されうる。第二のマウスピース部品が第三の位置へと移動可能である実施形態において、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、第二のマウスピース部品が第三の位置にある時に提供されうる。
第三の空気吸込み口は、複数の開口部で形成されうる。こうした実施形態において、第三の空気吸込み口を形成する開口部を通した総最小流れ面積は、約0.6平方ミリメートル未満であることが好ましい。第三の空気吸込み口を形成する開口部を通した総最小流れ面積は、ほぼゼロとしうる。すなわち、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、第三の空気吸込み口を形成する開口部が完全に遮られることに対応しうる。マウスピースが第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して第一の位置と第二の位置の間を移動可能な第二のマウスピース部品とを含む実施形態において、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、第二のマウスピース部品が第二の位置にあり、かつ第三の空気吸込み口を形成する少なくとも幾つかの開口部が少なくとも部分的に遮られる時に提供されうる。第二のマウスピース部品が第三の位置へと移動可能である実施形態において、第三の空気吸込み口の最小流れ面積は、第二のマウスピース部品が第三の位置にある時に提供されうる。
上述の任意の実施形態において、第三の空気吸込み口は、一つ以上の開口部で形成されうる。第三の空気吸込み口を形成する開口部の総数は、2〜10であることが好ましい。一部の実施形態において、マウスピースの少なくとも一部は、実質的に円形の断面形状を有し、その周りに第三の空気吸込み口を形成する開口部が提供される。第三の空気吸込み口を形成する開口部は、マウスピースの周りで等間隔であることが好ましい。
第三の空気吸込み口が一つ以上の開口部で形成されている実施形態において、それぞれの開口部は任意の適切な断面形状を有しうる。各開口部の断面形状は、正方形、長方形、円形または楕円形でありうる。各開口部は、実質的に円形断面の形状を有することが好ましい。各開口部の直径は、約0.4ミリメートル〜約0.6ミリメートルであることが好ましい。
第三の空気吸込み口が一つ以上の開口部で形成されている実施形態において、一つ以上の開口部は細長くしうる。マウスピースが第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して移動可能な第二のマウスピース部品とを含む実施形態において、それぞれの細長い開口部の最長の寸法は、実質的に第一のマウスピース部品と第二のマウスピース部品の間の相対運動の方向に延びうることが好ましい。有利なことに、一つ以上の細長い開口部で第三の空気吸込み口を形成することで、第三の空気吸込み口を通した流れ面積が、細長い開口部の一つ以上が徐々に遮られるまたは遮られなくなるのに伴い、連続的に変化されることを可能にする。例えば、マウスピースが第一のマウスピース部品と、第一のマウスピース部品に対して移動可能な第二のマウスピース部品とを含む実施形態において、一つ以上の細長い開口部の流れ面積は、第二のマウスピース部品が第一のマウスピース部品に対して移動するのに伴い、連続的に変化されうる。
一つ以上の細長い開口部のそれぞれは、任意の適切な断面形状を有しうる。例えば、それぞれの細長い開口部の断面形状は、実質的に長方形または実質的に楕円形としうる。
第三の空気吸込み口は、単一の細長い開口部で形成されうる。第三の空気吸込み口は、複数の細長い開口部を備えうる。第三の空気吸込み口は、二つまたは三つの細長い開口部を備えうる。
カートリッジの第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で互いに対して対称的に配置されうる。カートリッジは実質的に円筒形であり、カートリッジの第一の区画および第二の区画はカートリッジの長軸周りに対称的に配置されることが好ましい。
カートリッジおよびマウスピースは、任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成されうる。適切な材料には、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、および修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を含むLCPなど)が含まれるがこれらに限定されない。
カートリッジは、耐ニコチン性および耐酸性である一つ以上の材料で形成されうる。
有利なことに、カートリッジおよびマウスピースは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン(POM)、高密度ポリエチレン(HDPE)、および他の半晶質熱可塑性ポリマーから成る群から選択される一つ以上の材料で形成される。
カートリッジおよびマウスピースは、任意の適切な方法によって形成されうる。適切な方法には、深絞り図面、射出成形、ブリスタリング、吹き込み成形および押し出しが含まれるがこれに限定されない。
カートリッジは、第一および第二の区画のニコチンと酸が涸渇すると廃棄されるように設計されうる。
カートリッジは、再充填可能になるように設計されうる。
マウスピースは、カートリッジの第一および第二の区画のニコチンと酸が涸渇すると廃棄されるように設計されうる。
マウスピースは、再利用可能であるように設計されうる。
カートリッジは、任意の適切な形状を有しうる。カートリッジは実質的に円柱状であることが好ましい。本発明に関連して本明細書で使用される「円筒」および「円筒形の」という用語は、実質的に一対の向かい合った実質的に平面状の端面を有する正円柱を指す。
カートリッジは、任意の適切なサイズを有しうる。カートリッジは、例えば約5mm〜約50mmの長さを有しうる。例えば、カートリッジは約20mmの長さを有しうる。カートリッジは、例えば約4mm〜約10mmの直径を有しうる。例えば、カートリッジは約7mm〜約8mmの直径を有しうる。
カートリッジおよびマウスピースの組み合わせは、紙巻たばこ、葉巻、または細い葉巻などの可燃性喫煙物品の形状や寸法をまねてもよい。カートリッジおよびマウスピースの組み合わせは、紙巻たばこの形状および寸法をまねることが好ましい。
以下でさらに説明されるように、カートリッジは、第一の区画と第二の区画を加熱するように構成されたヒーターを受けるためのくぼみを備えうる。カートリッジは、第一の区画と第二の区画を誘導的に加熱するためのサセプタを含むくぼみを備えうる。
カートリッジは実質的に円筒形であり、くぼみはカートリッジの長軸に沿って延びることが好ましい。こうした実施形態において、くぼみは第一の区画と第二の区画の間に位置されることが好ましく、すなわち第一の区画と第二の区画がくぼみの両側に配置されることが好ましい。
ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン−HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。
ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶剤または非水性溶剤中のニコチン溶液、あるいは液体たばこ抽出物を含んでもよい。
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
例えば、ニコチン供与源は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される電解質形成化合物を含んでもよい。
ある特定の実施形態において、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。
ニコチン供与源は他の構成成分をさらに含んでもよく、構成成分には例えば天然風味、人工風味、酸化防止剤などが挙げられるがこれらに限定されない。
ニコチン供与源は収着要素および収着要素上に収着されたニコチンを含んでもよい。
収着要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。例えば、収着要素はガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
収着要素は多孔性の収着要素としうる。例えば、収着要素は多孔性プラスチック材料、多孔性高分子繊維、多孔性ガラス繊維から成る群から選択される一つ以上の材料を含む多孔性収着要素であってもよい。
収着要素はニコチンに関して化学的に不活性であることが好ましい。
収着要素は任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
ある特定の実施形態において、収着要素は実質的に円筒形のプラグとしうる。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒形のプラグとしうる。
他の実施形態において、収着要素は実質的に円筒形の中空管であってもよい。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒形の中空管としうる。
収着要素のサイズ、形状、組成は、所望の量のニコチンを収着要素上に収着できるように選んでもよい。
収着要素は有利なことに、ニコチンのための貯蔵部として作用する。
酸供与源は有機酸または無機酸を含みうる。酸供与源は有機酸を含むのが好ましく、カルボン酸を含むのがより好ましく、乳酸またはα−ケト酸もしくは2−オキソ酸を含むのが最も好ましい。
有利なことに、酸供与源は乳酸、3−メチル−2−オキソペンタン酸、ピルビン酸、2−オキソペンタン酸、4−メチル−2−オキソペンタン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、2−オキソオクタン酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択された酸を含む。有利なことに、酸供与源は乳酸またはピルビン酸を含む。
酸供与源は収着要素および収着要素上に収着された酸を含んでもよい。
収着要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば上記に列挙した材料)で形成されうる。
収着要素は酸に関して化学的に不活性であることが好ましい。
収着要素は任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
ある特定の実施形態において、収着要素は実質的に円筒形のプラグとしうる。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒形のプラグとしうる。
他の実施形態において、収着要素は実質的に円筒形の中空管であってもよい。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒形の中空管としうる。
収着要素のサイズ、形状、組成は、所望の量の酸を収着要素上に収着できるように選んでもよい。
収着要素は有利なことに、酸のための貯蔵部として作用する。
上述の任意の実施形態において、エアロゾル発生システムはエアロゾル発生装置をさらに備えることができ、エアロゾル発生装置はカートリッジの少なくとも一部分を受けるためのくぼみを画定するハウジングと、カートリッジの第一の区画および第二の区画の一方または両方を加熱するためのヒーターとを備える。
有利なことに、使用中に、第一の区画と第二の区画の一方または両方を周囲温度を超える温度に加熱することによって、第一の区画内のニコチンおよび第二の区画内の酸の蒸気濃度をそれぞれ制御して比例的に均衡にすることができ、ニコチンと酸の間の効率的な反応化学量論が得られる。有利なことに、これはニコチン塩粒子の形成効率、およびユーザーへの送達の一貫性を改善しうる。また有利なことに、未反応のニコチンおよび未反応の酸のユーザーへの送達が低減されうる。
マウスピースは、ニコチンおよび酸が第一および第二の区画から枯渇した時にカートリッジとともに廃棄されるために、カートリッジに取り付けられうる。
マウスピースは、エアロゾル発生装置およびカートリッジのうちの少なくとも一つに取り外し可能に取り付けられるように構成されうる。
ヒーターはニコチン供与源と酸供与源の両方を加熱するように構成されることが好ましい。特定の好ましい実施形態において、ヒーターはニコチン供与源および酸供与源の両方を摂氏約250度(℃)未満の温度に加熱するように構成されている。ヒーターはニコチン供与源および酸供与源の両方を約80℃〜約150℃、または約100℃〜約120℃の温度に加熱するように構成されることが好ましい。
ヒーターはニコチン供与源および酸供与源を実質的に同一の温度に加熱するように構成されることが好ましい。
本発明に関連して本明細書で使用される「実質的に同一の温度」という用語は、ヒーターに関してそれぞれの位置で測定されるニコチン供与源と酸供与源の間の温度の違いが約3℃未満であることを意味する。
ヒーターは電気ヒーターとしうる。
ヒーターはエアロゾル発生装置のくぼみ内に位置してもよく、カートリッジは、上述のように、ヒーターを受けるためのくぼみを含んでもよい。ヒーターは抵抗ヒーターとしうる。
カートリッジがくぼみ内に受けられる時に、ヒーターはカートリッジの少なくとも一部分を囲むように配置されうる。ヒーターは抵抗ヒーターとしうる。ヒーターは誘導ヒーターとすることができ、カートリッジは上述の通り、くぼみ内に受けられるサセプタを備えうる。
ヒーターが電気ヒーターである実施形態において、エアロゾル発生システムは、ヒーターに電力を供給するための電源と、電源からヒーターへの電力供給を制御するように構成されたコントローラとをさらに備えうる。
エアロゾル発生装置は、ヒーターの温度ならびにカートリッジの第一の区画および第二の区画の温度を検出するように構成された一つ以上の温度センサーをさらに備えうる。こうした実施形態において、コントローラは検出した温度に基づいてヒーターへの電力供給を制御するように構成されうる。
ヒーターは化学的加熱手段などの非電気的な加熱手段であってもよい。
ヒーターは、外部熱源からカートリッジの第一および第二の区画のうちの一方または両方へと熱エネルギーを伝達するように構成されたヒートシンクまたは熱交換器を備えてもよい。ヒートシンクまたは熱交換器は任意の適切な熱伝導性材料で形成されてもよい。適切な熱伝導性材料には例えば、アルミニウムおよび銅などの金属が挙げられるが、これらに限定されない。
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態によるカートリッジ2およびマウスピース4の長軸方向の断面図を示す。カートリッジ2は、ニコチン供与源を含む第一の区画6と、酸供与源を含む第二の区画8とを備える。ニコチン供与源は収着要素(PTFE芯など)を含んでもよく、その上にニコチンが吸着され、これが第一の区画6内に受けられる。酸供与源は収着要素(PTFE芯など)を含んでもよく、その上に酸が吸着され、これが第二の区画8内に受けられる。酸は、例えば乳酸でもよい。
第一の区画6は第一の空気吸込み口10および第一の空気出口12を備え、第二の区画は第二の空気吸込み口14および第二の空気出口16を備える。図1に点線矢印で示されている通り、使用中に空気は、第一の空気吸込み口10および第二の空気吸込み口14を通ってカートリッジ2へと引き出され、第一の空気出口12および第二の空気出口16を通ってカートリッジ2を出る。
カートリッジ2は、第一の区画6と第二の区画8の間で延びるカートリッジくぼみ18と、カートリッジくぼみ18内に位置するサセプタ20とをさらに備える。
マウスピース4は、第一のマウスピース部品22および第二のマウスピース部品24を備える。第一のマウスピース部品22は、カートリッジ2の下流端から延び、かつそれと一体的に形成される管状部分を備える。第二のマウスピース部品24は、第二のマウスピース部品24が第一のマウスピース部品24に対して回転できるように、第一のマウスピース部品22に回転可能に接続される。
マウスピース4は、第一の空気出口12および第二の空気出口16からの気流が受けられるチャンバー26を画定する。使用中に、第一の区画6および第二の区画8からチャンバー26に入るニコチン蒸気および酸蒸気は、混合され反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成し、これがマウスピース4内の第三の空気出口27を通ってユーザーに送達される。
第一のマウスピース部品22は第一の複数の開口部28を備え、第二のマウスピース部品24は第二の複数の開口部30を備える。第一の複数の開口部28と第二の複数の開口部30の組み合わせは第三の空気吸込み口32を形成し、空気はそれを通ってマウスピース4の外部からチャンバー26に直接入ることができる。
第二のマウスピース部品24は、第一のマウスピース部品22に対して、図2に示す第一の位置から、中間の第二の位置を通り、図3に示す第三の位置へと回転可能である。図2に示す第一の位置において、第一の複数の開口部28は、第二の複数の開口部30と完全に整列し、第三の空気吸込み口32の最大流れ面積を提供する。図3に示す第三の位置において、第三の空気吸込み口32が完全に遮られるように、第一の複数の開口部28は第二の複数の開口部30のどの部分とも整列しない。従って、図3に示す第三の位置は、第三の空気吸込み口32の最小流れ面積(ゼロ)を表す。第一の位置と第三の位置の間の中間の第二の位置(図示せず)では、第一の複数の開口部28は、第三の空気吸込み口32が部分的にのみ遮られるように、第二の複数の開口部30と部分的に整列する。従って、第二の位置において、第三の空気吸込み口32は、最大流れ面積と最小流れ面積の間の流れ面積を有する。第三の空気吸込み口32の流れ面積を変化させることによって、ユーザーは、第三の空気吸込み口32を通してチャンバー26に入る空気流量を変化させることができ、これが第三の空気出口27を通る気流の単位量当たりのニコチン塩粒子の総送達量を変化させる。
図4は、エアロゾル発生装置40と組み合わせた、図1のカートリッジ2およびマウスピース4を示す。エアロゾル発生装置40は、カートリッジ2を受けるためのくぼみ44を画定するハウジング42と、くぼみ44を囲む誘導ヒーター46とを備える。装置40は電源48と、電源48から誘導ヒーター46への電力供給を制御するためのコントローラ50とをさらに備える。使用中に、コントローラ50は、カートリッジ2のカートリッジくぼみ18内に受けられるサセプタ20を加熱するための、電源48から誘導ヒーター46への電力供給を制御する。サセプタ20はいったん加熱されると、第一の区画6および第二の区画8を加熱して、第一の区画6および第二の区画8内に受けられるニコチンおよび酸を揮発させる。
図5および図6は、本発明の第二の実施形態によるカートリッジ2およびマウスピース104を示す。カートリッジ2は、図1に関連して説明したカートリッジ2と同一である。マウスピース104は図1に関連して説明したマウスピース4と類似しており、類似の部品を示すために類似の参照番号が使用されている。
図5および図6に示すマウスピース104は、第一のマウスピース部品122および第二のマウスピース部品124を備える。第一のマウスピース部品122は、カートリッジ2の下流端から延びて、それと一体的に形成される管状部分を備える。第二のマウスピース部品124は、第二のマウスピース部品124が第一のマウスピース部品124に対して摺動できるように、第一のマウスピース部品122に摺動可能に接続される。
マウスピース104は、第一の空気出口12および第二の空気出口16からの気流が受けられるチャンバー26を画定する。使用中に、第一の区画6および第二の区画8からチャンバー26に入るニコチン蒸気および酸蒸気は、混合され反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成し、これがマウスピース104内の第三の空気出口27を通してユーザーに送達される。
第一のマウスピース部品122は第一の複数の開口部28を備え、第二のマウスピース部品124は第二の複数の開口部30を備える。第一の複数の開口部28と第二の複数の開口部30の組み合わせは第三の空気吸込み口32を形成し、空気はそれを通ってマウスピース104の外部からチャンバー26に直接入ることができる。
第二のマウスピース部品124は、第一のマウスピース部品122に対して、図5に示す第一の位置から、中間の第二の位置を通り、図6に示す第三の位置へと摺動可能である。図5に示す第一の位置において、第一の複数の開口部28は第二の複数の開口部30と完全に整列し、第三の空気吸込み口32の最大流れ面積を提供する。図6に示す第三の位置において、第一の複数の開口部28は、第三の空気吸込み口32が完全に遮られるように、第二の複数の開口部30のどの部分とも整列しない。従って、図6に示す第三の位置は、第三の空気吸込み口32の最小流れ面積(ゼロ)を表す。第一の位置と第三の位置の間の中間の第二の位置(図示せず)において、第一の複数の開口部28は、第三の空気吸込み口32が部分的にのみ遮られるように、第二の複数の開口部30と部分的に整列する。従って、第二の位置において、第三の空気吸込み口32は、最大流れ面積と最小流れ面積の間の流れ面積を有する。第三の空気吸込み口32の流れ面積を変化させることで、ユーザーは、第三の空気吸込み口32を通してチャンバー26に入る空気流量を変化させることができ、これが第三の空気出口27を通る気流の単位量当たりのニコチン塩粒子の総送達量を変化させる。