JP2019503212A - 圧力分散創傷予防及び治療デバイス - Google Patents

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Abstract

創傷及び無傷皮膚の予防及び治療の目的で圧力を分散させるドレッシング(被覆材)またはデバイスが提供される。圧力分散特性は、無傷皮膚領域または創傷に対して直接的に接触させられる独立気泡発泡体材料により実現される。また、この独立気泡発泡体材料は、水分を管理または吸収する能力も有する。これらのユニークな特徴により、フレキシブルなかつ使用が容易であり、患者の任意の所望の位置に応じたサイズに切断して使用することができるドレッシングが提供される。【選択図】図1

Description

(関連出願)
本出願は、米国特許仮出願第62/262、973号(2015年12月4日出願)に基づく優先権を主張するものである。上記出願は、その全文を引用することを以って本明細書の一部となす。
(技術分野)
本発明は、概して、創傷ケアに関し、特に、圧力関連創傷の予防及び治療に関する。
圧力関連創傷は、医療業界における重大な懸念事項である。患者の可動性の欠如は、たとえ短期間であっても、局所虚血及び褥瘡(圧迫潰瘍)の発症リスクを増加させる。このことは、寝たきりの人や、または車椅子生活の人には特に懸念されており、骨の突出部または身体の弱い皮膚下の血管系に対して一定の圧力が加わることによって、局所組織への血流や、組織及び皮膚の正常な機能を阻害する老廃物のリンパ系を介しての除去が減少する。これらの悪影響は、末梢組織の虚血及び神経障害に苦しむ糖尿病患者ではさらに悪化する。
圧力を分散させて圧迫点を除去することにより、これらの創傷が発生する可能性を減少させ、かつ、損傷した組織が完全に治癒する可能性を増加させることができると長い間考えられていた。現在、当分野では、様々な圧力分散デバイスが存在する。過剰な圧力による組織の損傷の防止に関しては、圧力が減少した好ましい環境を提供するための特殊な圧力調節ベッドが開発されている。さらに、足に褥瘡が発症する危険性がある患者、または褥瘡を有する患者には、固定ギブスがしばしば適用され得る。加えて、上記の例及び他の多く例が、褥瘡の予防及び治療のための方法として医療従事者により用いられる。
上述のデバイスに加えて、圧力分散特性を、安価な、ポータブルな、及びフレキシブルな形態に組み込むことが望ましい。例えば、米国特許第4、699、134号明細書(特許文献1)には、4つの別個の層を含む圧力緩和包帯が開示されている。しかし、この特許文献には、吸収性または水分管理特性は開示されておらず、また、この圧力緩和包帯は、意図する結果を達成するために複数の別個の層を必要とする。
米国特許出願公開第2012/0199134号明細書(特許文献2)には、かかと及び足首領域の周りの圧力を緩和するように設計されたかかと開放装置が開示されている。しかしながら、この特許文献にも、吸収性または水分管理特性は開示されていない。
米国特許第7、182、085号明細書(特許文献3)には、吸収性要素と別個の非吸収性圧力分散要素とを含む圧力緩和創傷被覆材が開示されているが、組み合わされた(すなわち、単一の要素、材料または層の)吸収性を有する圧力緩和デバイスは開示されていない。加えて、吸収性材料の空間的構成により、創傷との持続的な接触が可能ではないため、結果として治療の一貫性が異なることとなる。
米国特許第8、075、537号明細書(特許文献4)には、細胞が空間または壁及び閉塞性層によって互いに分離された細胞層内に配置される組織治療デバイスが開示されている。しかしながら、この特許文献には、提示されたデバイスの圧力分散特性は開示されていない。
米国特許出願公開第2014/0305004号明細書(特許文献5)には、複数の発泡体層から形成され、クッション性及び衝撃吸収性を足に対して提供するように設計された保護靴のインサートが開示されている。しかしながら、この特許文献には、創傷治療デバイスの成功の鍵である、水分を管理することができる物質は開示されていない。
国際公開WO2006/091735号公報(特許文献6)には、創傷の周囲の圧力を開放する開口部を有する圧力軽減包帯が開示されている。しかしながら、この特許文献には、水分を管理し、環境に対する保護障壁を提供することができる、創傷に対する一次接触面は開示されていない。
したがって、創傷ケアの分野では、最適な治癒環境を提供するために創傷に直接接触させることができ、かつ負荷荷重(圧力)を分散させることによる圧力緩和を提供することができる、単一の材料から作製された創傷被覆材が求められている。単一材料デバイスは、既存の多層型治療デバイスと比べて、治療の不変性、創傷に対する一定の接触、ドレッシング(被覆材)をその特性を損なうことなく所望のサイズに切断できること、褥瘡の予防及び治療における使用の容易さなどの様々な利点を有する。
米国特許第4、699、134号明細書 米国特許出願公開第2012/0199134号明細書 米国特許第7、182、085号明細書 米国特許第8、075、537号明細書 米国特許出願公開第2014/0305004号明細書 国際公開WO2006/091735号公報 米国特許第8、679、523号明細書 米国特許第7、160、553号明細書
本発明の一実施形態によれば、圧力分散デバイスが提供される。本発明の圧力分散デバイスは、ポリマー及び独立気泡を含む親水性の生体適合性ポリマーマトリックスを備える。本発明の圧力分散デバイスは、無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を分散させるべく、前記無傷皮膚領域または創傷に直接的に接触させて配置するように構成したことを特徴とする。
ある実施形態では、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させる。
別の実施形態では、当該デバイスに対して6.9キロパスカル(1ポンド/平方インチ)ないし345キロパスカル(50ポンド/平方インチ)の範囲の圧力が加えられた場合に、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させる。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし25.4ミリメートル(1インチ)の範囲の厚さを有する。
別の実施形態では、前記マトリックスは、前記無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収する。
別の実施形態では、前記マトリックスは、前記無傷皮膚領域または創傷に水分を供給する。
別の実施形態では、前記ポリマーは、少なくとも部分的に架橋されている。
別の実施形態では、前記ポリマーは、吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーである。例えば、前記吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、多糖類をさらに含む。加えて、前記多糖類は、デキストリン、グアーガム、ルーサン、フェヌグリーク、キサンタンガム、ハニーローカストビーンガム、ホワイトクローバービーンガム、キャロブローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、気体をさらに含み、前記気体は、前記独立気泡に含まれている。別の実施形態では、溶解形態の前記気体が、前記独立気泡内または前記独立気泡間に含まれている。
別の実施形態では、前記気体は、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、活性剤をさらに含む。前記活性剤は、抗菌剤、抗真菌剤、防汚剤、鎮痛剤、脱臭剤、ナノ粒子、栄養素、成長因子、生物製剤、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、超吸収性材料をさらに含む。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、2次元型の形状を有する。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、3次元型のシームレスな形状を有する。さらに、前記身体の部分は、手の指、足の指、手、足、膝、肘、かかと、切断患者の断端、または仙骨領域である。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、1層以上の前記生体適合性ポリマーマトリックスを含む。
別の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、連続気泡をさらに含む。
また、本発明によれば無傷皮膚領域または創傷の周囲の褥瘡を予防または治療する方法が提供される。本発明の方法は、ポリマー及び独立気泡を含む親水性の生体適合性ポリマーマトリックスを備えた圧力分散デバイスを無傷皮膚領域または創傷に直接的に接触させて配置するステップを含み、前記圧力分散デバイスによって、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を分散させるようにしたことを特徴とする。
ある実施形態では、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させる。
別の実施形態では、前記デバイスに対して6.9キロパスカル(1ポンド/平方インチ)ないし345キロパスカル(50ポンド/平方インチ)の範囲の圧力が加えられた場合に、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させる。
別の実施形態では、前記デバイスは、2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし25.4ミリメートル(1インチ)の範囲の厚さを有する。
別の実施形態では、前記マトリックスは、前記無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収する。
別の実施形態では、前記マトリックスは、前記無傷皮膚領域または創傷に水分を供給する。
別の実施形態では、前記ポリマーは、少なくとも部分的に架橋されている。
別の実施形態では、前記ポリマーは、吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーである。例えば、前記吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、前記デバイスは、多糖類をさらに含む。加えて、前記多糖類は、デキストリン、グアーガム、ルーサン、フェヌグリーク、キサンタンガム、ハニーローカストビーンガム、ホワイトクローバービーンガム、キャロブローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、前記デバイスは、気体をさらに含み、前記気体は、前記独立気泡に含まれている。別の実施形態では、溶解形態の前記気体が、前記独立気泡内または前記独立気泡間に含まれている。
別の実施形態では、前記気体は、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、前記デバイスは、活性剤をさらに含む。前記活性剤は、抗菌剤、抗真菌剤、防汚剤、鎮痛剤、脱臭剤、ナノ粒子、栄養素、成長因子、生物製剤、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、前記デバイスは、超吸収性材料をさらに含む。
別の実施形態では、前記デバイスは、2次元型の形状を有する。
別の実施形態では、前記デバイスは、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、3次元型のシームレスな形状を有する。さらに、前記身体の部分は、手の指、足の指、手、足、膝、肘、かかと、切断患者の断端、または仙骨領域である。
別の実施形態では、前記デバイスは、1層以上の前記生体適合性ポリマーマトリックスを含む。
別の実施形態では、前記デバイスは、連続気泡をさらに含む。
また、本発明によれば、無傷皮膚領域または創傷の周囲の褥瘡を予防または治療するシステムが提供される。本発明のシステムは、ポリマー及び独立気泡を含む親水性の生体適合性ポリマーマトリックスを備える。本発明のシステムは、前記マトリックスによって、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を分散させ、前記無傷皮膚領域または創傷の周囲の水分を管理し、かつ、前記無傷皮膚領域または創傷またはその真下に存在する組織に対して治療剤を送達するように構成したことを特徴とする。
ある実施形態では、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させる。
別の実施形態では、当該システムに対して6.9キロパスカル(1ポンド/平方インチ)ないし345キロパスカル(50ポンド/平方インチ)の範囲の圧力が加えられた場合に、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させる。
別の実施形態では、前記マトリックスは、2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし25.4ミリメートル(1インチ)の範囲の厚さを有する。
別の実施形態では、本発明のシステムは、前記無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収する。
別の実施形態では、本発明のシステムは、前記無傷皮膚領域または創傷に水分を供給する。
別の実施形態では、前記ポリマーは、少なくとも部分的に架橋されている。
別の実施形態では、前記ポリマーは、吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーである。例えば、前記吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、前記マトリックスは、多糖類をさらに含む。加えて、前記多糖類は、デキストリン、グアーガム、ルーサン、フェヌグリーク、キサンタンガム、ハニーローカストビーンガム、ホワイトクローバービーンガム、キャロブローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、前記治療剤は気体であり、前記気体は、前記独立気泡に含まれている。
別の実施形態では、溶解形態の前記気体が、前記独立気泡内または前記独立気泡間に含まれている。
別の実施形態では、前記気体は、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、本発明のシステムは、活性剤をさらに含む。前記活性剤は、抗菌剤、抗真菌剤、防汚剤、鎮痛剤、脱臭剤、ナノ粒子、栄養素、成長因子、生物製剤、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態では、本発明のシステムは、超吸収性材料をさらに含む。
別の実施形態では、前記マトリックスは、2次元型の形状を有する。
別の実施形態では、前記マトリックスは、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、3次元型のシームレスな形状を有する。さらに、前記身体の部分は、手の指、足の指、手、足、膝、肘、かかと、切断患者の断端、または仙骨領域である。
別の実施形態では、本発明のシステムは、1層以上の前記生体適合性ポリマーマトリックスを含む。
別の実施形態では、前記マトリックスは、連続気泡をさらに含む。
本発明の他の態様及び利点は、以下に詳細に説明される。
当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
本発明により意図される圧力分散デバイスの作製に使用される吸収性生体適合性ポリマーマトリックスの断面図。 両端部に開口を有する円筒状の3次元型圧力分散デバイスを示す図。 一方の端部に開口を有し、他方の端部が閉じている円筒状の3次元型圧力分散デバイスを示す図。 身体の突出部分(例えば、肘、膝、かかと)を受容するように形成された3次元型圧力分散デバイスを示す図。 本発明により意図される平面的な圧力分散デバイスを示す図。 本発明のデバイス及び比較対象の連続気泡創傷治療デバイスの圧力マッピングのための実験構成を示す図。 本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。 本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示す別のグラフ。 24時間湿潤後の、本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。 24時間湿潤後の、本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示す別のグラフ。 本発明のデバイス及び対照(本発明のデバイスが所定位置に存在しない場合)の圧力分布を示すグラフ。 本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。試験した各デバイスは、図7−11のデバイスの2倍の厚さを有する二層型デバイスである。 24時間湿潤後の、本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。試験した各デバイスは、図7−11のデバイスの2倍の厚さを有する二層型デバイスである。 乾燥及び単層厚さ条件下での、本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。 乾燥及び単層厚さ条件下での、本発明のデバイスの比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスに対する圧力周波数の減少を示すグラフ。 乾燥及び二層厚さ条件下での、本発明のデバイスと及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。 乾燥及び二層厚さ条件下での、本発明のデバイスの比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスに対する圧力周波数の減少を示すグラフ。 図14−図17に示した圧力分布データを要約したグラフ。 湿潤及び単層厚さ条件下での、本発明のデバイス及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。 湿潤及び単層厚さ条件下での、本発明のデバイスの比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスに対する圧力周波数の減少を示すグラフ。 湿潤及び二層厚さ条件下での、本発明のデバイスと及び比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスの圧力分布を示すグラフ。 湿潤及び二層厚さ条件下での、本発明のデバイスの比較対象の2つの連続気泡創傷治療デバイスに対する圧力周波数の減少を示すグラフ。 図19−図22に示した圧力分布データを要約したグラフ。
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
概して言えば、本発明は、褥瘡(pressure sore)が発生する危険性のある創傷または無傷皮膚領域に適用可能な圧力分散デバイス(pressure-distributing device)に関する。ある特定の実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、プロテーゼ(義肢等)から皮膚または創傷に加えられる力に起因する褥瘡の発生を防止するために、切断された四肢または付属器官の断端に存在する無傷皮膚領域または創傷と、プロテーゼ(義肢等)との間に適用される。本発明の圧力分散デバイスは、生体適合性ポリマーマトリクスを備え、該マトリクスは、ポリマー及び独立気泡と、独立気泡内に含まれる気体とを含む。本願発明者らは、本発明の圧力分散デバイスの様々な特性(例えば、厚さ、密度、独立気泡の大きさ及び数、ショア硬度など)を調節することにより、驚くべきことに、圧力分散デバイスを無傷皮膚領域または創傷に適用したときに、例えば無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ:psi)になるように、無傷皮膚領域または創傷に加えられた圧力を無傷皮膚領域または創傷から放射状に分散させることができることを見出した。いくつかの実施形態では、本発明の圧力分散デバイスは、約2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし約25.4ミリメートル(1インチ)、例えば約3.81ミリメートル(0.15インチ)ないし約25.15ミリメートル(0.99インチ)、例えば約6.35ミリメートル(0.25インチ)ないし約24.13ミリメートル(0.95インチ)、例えば、約7.62ミリメートル(0.3インチ)ないし約22.86ミリメートル(0.9インチ)、または例えば約10.16ミリメートル(0.4インチ)ないし約20.32ミリメートル(0.8インチ)の範囲の厚さを有する。また、本発明の圧力分散デバイスは、該デバイスに対して、6.9キロパスカル(1psi)ないし約345キロパスカル(50psi)、例えば17.2キロパスカル(2.5psi)ないし約276キロパスカル(40psi)、または例えば34.5キロパスカル(5psi)ないし約207キロパスカル(30psi)の範囲の圧力が加えられた場合に、無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0psi)ないし34.5キロパスカル(5psi)、例えば約0.007キロパスカル(0.001psi)ないし約17.2キロパスカル(2.5psi)、または例えば約0.007キロパスカル(0.001psi)ないし約6.9キロパスカル(1psi)の範囲になるように、無傷皮膚領域または創傷に加えられた圧力を無傷皮膚領域または創傷から放射状に分散させることができる。また、無傷皮膚領域または創傷の周囲の褥瘡を予防または治療する方法またはシステムも本発明により意図される。
本発明の圧力分散デバイスは、平面的または非平面的な形状を有し得る。また、本発明の圧力分散デバイスは、ポリマーを含む親水性の生体適合性ポリマーマトリクスを備える。マトリクスは、独立気泡及び壁部を含む。なお、マトリクスは、独立気泡と連続気泡との組み合わせであってもよいことを理解されたい。従来の独立気泡発泡体とは異なり、本発明のポリマー性マトリクスに含まれる独立気泡は、本発明の圧力分散デバイスが皮膚または創傷に直接的に接触させて配置したときに、無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収したり、無傷皮膚領域または創傷に水分を供給したりすることができる。いくつかの実施形態では、マトリクスは、実質的に独立気泡から成る。他の実施形態では、マトリクスは、約85%ないし約100%の独立気泡、例えば約90%ないし約99.9%の独立気泡、または例えば約99%ないし約99.5%の独立気泡を含む。
また、本発明の圧力分散デバイスは、気体を含み得る。気体は、治療剤(例えば、酸素などの気体)であり得る。気体は、独立気泡内に含まれるか、あるいは壁部内の水分中に溶解形態で含まれ得る。水分は、本発明の圧力分散デバイスに、使用前の包装形態では、約2.5重量%ないし約15重量%、例えば約3重量%ないし約10重量%囲、または例えば約5重量%ないし約9重量%の範囲の量で含まれ得る。例えば、過酸化物などの反応物を、マトリクスの構成要素の触媒(例えば、炭酸塩)と反応させて酸素気体を生成させたときに、気体形態及び溶解形態の治療剤を生成することができる。さらに、親水性の生体適合性ポリマーマトリクスは、本発明の創傷治療デバイスが、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、非平面的な3次元型形状に形成してもよい。また、生体適合性ポリマーマトリクスは、意図される使用位置に応じて、平面形状を有し得る。圧力分散生体適合性ポリマーマトリクスを使用して、創傷を治療するまたは圧力創傷の形成を予防する方法及びシステムも本明細書に開示される。
任意の治療剤(例えば、酸素、一酸化窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、空気などの気体)が、本発明の創傷治療デバイスの構成要素として意図される。ある特定の実施形態では、使用される治療剤は、酸素であり得る。当分野で既知のように、酸素が創傷治癒の目的のために供給される場合、創傷治癒中は酸素に依存するいくつかの代謝過程を助けることが知られている。本発明は、本発明の創傷治療デバイスによって圧力関連潰瘍の影響を受けやすい身体の部分の圧迫点を減少させることを可能にする圧力分散特性と併せて、創傷に酸素を大気濃度よりも高濃度で供給することによって創傷治癒を促進することができる。換言すれば、本発明は、身体における褥瘡が発生する可能性が高い領域に加わる圧力を該領域から分散させることができる創傷治療/予防デバイスを包含する。また、本発明のデバイスは、とりわけ被覆材(dressing)のサイズが、創傷または褥瘡に対して脆弱な領域よりも大きい場合には、創傷または損傷部位に加えられた力(例えば、横になることや衝突に起因する力)をより広い領域に分散して吸収することもできる。これにより、創傷に対する保護効果を提供することができ、従来の発泡体被覆材と比べて、創傷治癒を促進することができる。不十分な圧力緩和は、創傷または損傷部位での組織損傷を引き起こす恐れがある。治癒した新しい組織は薄く繊細であり、細胞層の厚さはほんのわずかなためである。新しい組織に力または荷重が加わると、新しい組織の脆弱な性質に起因して、治癒が取り消されるかまたは遅れる恐れがある。一方、本発明の独立気泡型圧力分散デバイスの特定の構成要素及びこれらの構成(例えば、気泡の配置及び大きさ、デバイスのエラストマー性、気体の存在など)は、例えば身体の特定の部分を長時間横にすることによって加えられる力などの加えられた垂直荷重または力をより効果的に放射状に分散させることを可能にする。
本発明の様々な実施形態を以下に詳細に説明する。
図1を参照すると、例示的な創傷治療デバイス100の一部の断面図が示されている(必ずしも一定の比率の縮尺ではない)。デバイス100は、形成された生体適合性ポリマーマトリクス120を含む。生体適合性ポリマーマトリクス120は、圧力を分散させるために使用される。マトリクスは、水膨潤性の架橋された生体適合性ポリマーネットワークを含む。例示的な生体適合性マトリクス及びそれを形成する技術は、Gibbinsらに2014年3月25日に付与された米国特許第8、679、523号明細書(特許文献7)、及びGibbinsらに2007年1月9日に付与された米国特許第7、160、553号明細書(特許文献8)に開示されている(これらの特許文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
マトリクス12は、独立気泡140及び壁部160を含む。すなわち、気体透過性及び弾性を有する複数の独立気泡140が、架橋された生体適合性ポリマーネットワークによって形成される。なお、いくつかの実施形態では、マトリクス120は、連続気泡135と独立気泡140との組み合わせを含むことを理解されたい。ある特定の実施形態では、生体適合性マトリクスは、ポリマーと酸素触媒とを含む生体適合性ポリマーマトリクスであり、独立気泡140は、酸素触媒と第2の反応物(例えば、過酸化物)との反応により生成される。デバイス100が創傷の治療等に使用されるときに、独立気泡140から酸素が送達されるように、送達可能な酸素が弾性独立気泡内に含まれている。概して言えば、気体酸素「GO」が独立気泡140内に含まれており、溶解酸素「DO」が壁部16内の水分中に含まれている。しかしながら、治療剤は酸素に限定されず、任意の治療気体を本発明で使用することができることを理解されたい。例えば、気体形態または溶解形態の一酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などの治療剤も、本発明の創傷治療デバイスで使用することができる。さらに、治療剤は、以下により詳細に説明するように、任意の適切な触媒を任意の適切な反応物と反応させることによって生成することができる。また、治療剤(例えば、気体)は、ポリマーマトリクスに混合させることにより導入してもよいことを理解されたい。加えて、マトリクスは独立気泡及び壁部に限定されず、マトリクスは、独立気泡、または独立気泡と連続気泡との組み合わせを含むことができることを理解されたい。加えて、第1の外層と、第2の外層と、第1の外層及び第2の外層間に配置された独立気泡発泡体とを有する3層型のマトリクスも本発明により意図される。
使用する気体、または気体を親水性の生体適合性ポリマーマトリクスに導入する方法に関わらず、親水性の生体適合性ポリマーマトリクス120は、水膨潤性ポリマーネットワークに架橋される生体適合性ポリマーまたはコポリマーから形成される。架橋した生体適合性ポリマーネットワークを十分に水膨潤性にすることにより、第2の反応物(例えば、過酸化物)を、架橋した生体適合性ポリマーネットワーク中に吸収することができる。
架橋したポリマーネットワークは、気体透過性及び弾性を有する独立気泡を形成することができるように可撓性を有するべきである。天然由来ポリマーまたは合成ポリマーなどの様々なポリマーを使用して、ポリマーネットワークを作製することができる。ポリマーは、親水性を有し、架橋可能な、かつ生体適合性を有するものが好ましい。例示的なポリマーとしては、これに限定しないが、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルビニルアセテート、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、またはこれらの任意の組み合わせなどの吸収性を有する生体適合性ポリマーが挙げられる。使用可能な他のポリマーとしては、ポリリシン、ポリエチレン、ポリブテラート、ポリエーテル、シラスティック、シリコーンエラストマー、ゴム、ナイロン、ビニル、架橋デキストラン、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。架橋ポリマーネットワークの形成に使用されるポリマーは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.25重量%ないし約20重量%、例えば約0.5重量%ないし約15重量%、または例えば約1重量%ないし約10重量%の範囲の量で含まれ得る。一方、脱水後は、架橋ポリマーネットワークの形成に使用されるポリマーは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約1重量%ないし約80重量%、例えば約5重量%ないし約70重量%、または例えば約10重量%ないし約60重量%の範囲の量で含まれ得る。
上述したように、ポリマーネットワークは、材料を実質的に不水溶性にするために、適切に軽度に架橋することができる。架橋は、例えば、照射によって、あるいは、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、または水素結合によって行うことができる。適切な架橋剤としては、N、N´−メチレン−ビスアクリルアミド、ビスアクリロイルススタミン、及びジアリル酒石酸ジアミドが挙げられ、本発明の創傷治療デバイスに、該デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.005重量%ないし約0.5重量%、例えば約0.01重量%ないし約0.25重量%、または例えば約0.025重量%ないし約0.15重量%の範囲の量で含まれ得る。脱水後は、架橋剤は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0.01重量%ないし約4重量%、例えば約0.05重量%ないし約3重量%、または例えば約0.1重量%ないし約2重量%の範囲の量で含まれ得る。
また、生体適合性マトリクスは、多糖類を含み得る。いくつかの実施形態では、多糖類は、非ゲル化多糖類であり得る。好適な多糖の一例は、デキストリンである。デキストリンは、一般構造(C10)x(xは6または7であり得る)を有するデンプンと糖との間の非架橋の炭水化物中間体である。ある特定の実施形態では、III型デキストリンが使用され得る。別の実施形態では、多糖類は、セルロースまたはセルロース誘導体であり得る。例えば、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、またはこれらの任意の組み合わせが本発明で使用され得る。さらに別の実施形態では、ガラクトマンナン高分子が、創傷治療デバイスで使用され得る。そのような高分子の一例は、グアーガムである。適切な多糖類の他の適切な例としては、ルーサン(lucerne)、フェヌグリーク(fenugreek)、ハニーローカストビーンガム(honey locust bean gum)、ホワイトクローバービーンガム(white clover bean gum)、キャロブローカストビーンガム(carob locust bean gum)、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサンなどが挙げられる。多糖類は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.005重量%ないし約25重量%、例えば約0.05重量%ないし約10重量%、または例えば約0.1重量%ないし約5重量%の範囲の量で含まれ得る。一方、脱水後は、多糖類は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0.5重量%ないし約60重量%、例えば約1重量%ないし約55重量%、または例えば約10重量%ないし約50重量%の範囲の量で含まれ得る。
上述したように、本発明の創傷治療デバイスはまた、酸素触媒及び第2の反応物を含む。触媒は、炭酸ナトリウムであり得る。また、他のアルカリ化合物またはアルカリ土類化合物も、これらが生体適合性を有する製品に適合する場合には触媒として使用され得る。加えて、2種類以上の触媒を使用してもよい。例えば、第1の触媒は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩からなる群より誘導されたものであり得る。また、第2の触媒には、これに限定しないが、有機化学物質及び無機化学物質(例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄、酸化マンガン、ヨウ化ナトリウム、及びこれらの均等物等)が含まれ得る。他の触媒としては、これに限定しないが、ラクトペルオキシダーゼまたはカタラーゼなどの酵素が挙げられる。触媒は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.005重量%ないし約5重量%、例えば約0.01重量%ないし約2.5重量%、または例えば約0.05重量%ないし約1重量%の範囲の量で含まれ得る。一方、脱水後は、触媒は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0.01重量%ないし約10重量%、例えば約0.05重量%ないし約7.5重量%、または例えば約0.1重量%ないし約6重量%の範囲の量で含まれ得る。
一方、本発明の創傷治療デバイスに使用される第2の反応物は、過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化尿素、過酸化ナトリウムであり得る。また、生体適合性及び/または生体吸収性に反する残余を残さない限り、他のペルオキシ化合物を使用してもよい。本発明は、マトリクス内で気体要素を生成することができ、かつ安全に及び効果的に使用することができる構成要素の使用も意図している。例えば、マトリクス中に酸性触媒を組み込んでおき、マトリクスを炭酸塩での灌流により、マトリクス中で炭酸ガスを生成することができる。第2の反応物は、創傷治療デバイスを発泡させて溶解酸素及び気体酸素を生成することができる量で、本発明の創傷治療デバイスに添加することができる。脱水後は、第2の反応物は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0重量%ないし約6重量%、例えば約0.001重量%ないし約3重量%、または例えば約0.01重量%ないし約1重量%の範囲の量で含まれ得る。
生体適合性マトリクスは、可塑剤をさらに含み得る。可塑剤は、グリセロール/グリセリン、水、プロピレングリコール、ブタノール、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、水は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約50重量%ないし約98重量%、例えば約60重量%ないし約95重量%、または例えば約70重量%ないし約80重量%の範囲の量で含まれ得る。脱水後は、水は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0重量%ないし約10重量%、例えば約0.1重量%ないし約5重量%、または例えば約0.5重量%ないし約2.5重量%の範囲の量で含まれ得る。
グリセロールが使用される場合、グリセロールは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.25重量%ないし約25重量%、例えば約0.5重量%ないし約12重量%、または例えば約1重量%ないし約10重量%の範囲の量で含まれ得る。一方、脱水後は、グリセロールは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約1重量%ないし約80重量%、例えば約5重量%ないし約70重量%、または例えば約10重量%ないし約60重量%の範囲の量で含まれ得る。
必須ではないが、生体適合性マトリクスは、水和制御剤をさらに含み得る。水和制御剤は、イソプロパノールなどのイソプロピルアルコールであり得る。あるいは、水和制御剤は、エタノール、グリセロール、ブタノール、プロピレングリコール、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。水和制御剤を含む場合、水和制御剤は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.05重量%ないし約5重量%、例えば約0.1重量%ないし約2.5重量%、または例えば約0.25重量%ないし約1重量%の範囲の量で含まれ得る。一方、脱水後は、水和制御剤は、本発明の創傷治療デバイス中に実質的に存在しない。
また、過硫酸アンモニウム、またはテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)が本発明の創傷治療デバイスに含まれ得る。過硫酸アンモニウムは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.005重量%ないし約0.5重量%、例えば約0.01重量%ないし約0.25重量%、または例えば約0.025重量%ないし約0.1重量%の範囲の量で含まれ得る。脱水後は、過硫酸アンモニウムは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0.025重量%ないし約5重量%、例えば約0.05重量%ないし約3重量%、または例えば約0.1重量%ないし約1重量%の範囲の量で含まれ得る。また、TEMEDは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥前の総重量に基づいて、約0.001重量%ないし約0.5重量%、例えば約0.01重量%ないし約0.25重量%、または例えば約0.025重量%ないし約0.15重量%の範囲の量で含まれ得る。一方、脱水後は、TEMEDは、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づいて、約0.01重量%ないし約3重量%、例えば約0.025重量%ないし約2重量%、または例えば約0.05重量%ないし約1重量%の範囲の量で含まれ得る。
さらに、1以上の活性剤が、本発明の創傷治療デバイスに組み込まれ得る。図1に示すように、1以上の活性剤110が、少なくともマトリクス120の皮膚接触部分180に含まれ得る。例えば、活性剤110は、マトリクス120の配合中に含めることにより、マトリクス120の全体にわたって組み込まれる。その代わりに及び/またはそれに加えて、活性剤110は、浸漬、コーティング、堆積、または噴霧の各方法、あるいは他の同様の既知の技術を用いてマトリクス120に組み込まれ得る。
本発明に組み込まれる活性剤は、デバイスの用途に基づいて選択される。活性剤及びその作用は当業者には既知であり、本発明のマトリクス中にこれらの活性剤を含める方法は本明細書に教示されている。本発明は、意図する用途に応じて、1種類以上の活性剤の包含を意図する。本発明の組成物またはデバイスは、1種類の活性剤を含んでもよいし、複数の活性剤を含んでもよい。
損傷組織の治療などの局所的治療に使用する場合、デバイスは、損傷組織の治療に役立つ活性剤を含む。例えば、デバイスは、創傷の治療、皮膚の治癒、または美容用途に使用される。このような場合には、活性剤は、創傷の治癒過程を補助及び促進することができる。
活性剤には、これに限定しないが、医薬剤、生物製剤、化学療法剤、除草剤、成長阻害剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗汚染剤、抗寄生虫剤、マイコプラズマ治療剤、脱臭剤、成長因子、タンパク質、核酸、血管新生因子、麻酔剤、鎮痛剤、ムコ多糖体、金属、創傷治療剤、成長促進剤、環境変化の指標剤、酵素、栄養素、ビタミン、ミネラル、炭水化物、脂肪、脂肪酸、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アミノ酸、血清、抗体及びその断片、レクチン、免疫刺激剤、免疫抑制剤、凝固因子、神経化学物質、細胞受容体、抗原、アジュバント、放射性物質、栄養素、ナノ粒子、触媒によって生成される治療剤、細胞または細胞過程に作用する任意の他の物質、または、これらの任意の組み合わせが含まれる。
本発明に使用することができる抗菌剤の例には、これに限定しないが、イソニアジド、エタンブトール、ピラジナミド、ストレプトマイシン、クロファジミン、リファブチン、フルオロキノロン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、リファンピン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ダプソン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、アンピシリン、アンホテリシンB、ケトコナゾール、フルコナゾール、ピリメタミン、スルファジアジン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ペンタミジン、アトバコン、パロモマイシン、ジクラザリル、アシクロビル、トリフルオロウリジン、ホスカルネット、ペニシリン、ゲンタマイシン、ガンシクロビル、イアトロナゾール、ミコナゾール、Zn−ピリチオン、または、銀塩(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、過ヨウ素酸塩)が含まれる。
本発明の組成物及びデバイスに組み込むことができる成長因子には、これに限定しないが、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、神経成長因子(NGF)、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子1及び2(IGF−1及びIGF−2)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、コルチコトロピン放出因子(CRF)、形質転換増殖因子α及びβ(TGF−α及びTGF−β)、インターロイキン−8(IL−8)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン、または、インターフェロンが含まれる。
本発明の組成物及びデバイスに組み込むことができる他の物質には、ムコ多糖体が含まれ、ムコ多糖体としては、これに限定しないが、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパリノイド、デルマタン硫酸、ペントサンポリ硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、セルロース、アガロース、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、リノール酸、または、アラントインが挙げられる。
創傷などの損傷組織の治療に特に有用なタンパク質には、これに限定しないが、コラーゲン、架橋コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、架橋エラスチン、これらの断片、または、これらの任意の組み合わせが含まれる。また、アジュバント、または免疫応答を高める組成物も、本発明の創傷被覆デバイスと共に使用することができる。
本発明において意図される他の創傷治療剤には、これに限定しないが、創傷に対する優れた治療を提供することが長い間知られている金属酸化物及びナノ粒子、例えば酸化亜鉛及び銀イオンが含まれる。本発明の方法及び組成物によるこのような物質の送達は、創傷ケアの新たな局面を提供する。
本発明の好ましい実施形態では、活性剤は、該活性剤が環境中に放出される、及び/またはデバイス内に保持されるように組成物またはデバイスに組み込まれることを理解されたい。局所的治療では、活性剤は、経皮経路または経粘膜経路を介して送達される。デバイスに組み込まれた活性剤は、所定の期間にわたって放出され、その放出速度は、マトリクスのポリマーの架橋量によって制御され得る。このようにして、本発明は、局所的な環境に影響を与え、微生物を死滅または阻害し、免疫応答を強化し、生理学的機能の他の変化をもたらし、長期間にわたって活性剤を提供する能力を有する。
本発明の別の実施形態では、活性剤は、創傷被覆デバイスのマトリクスのマイクロキャビティまたはマクロキャビティ内に直接組み込まれる。活性剤は、マトリクスに吸収させることによって、好ましくはマトリクスの重合中に混入させることによって組み込むことができる。活性剤を本発明の創傷治療デバイスに組み込む方法に関わらず、活性剤は、本発明の創傷治療デバイスの乾燥後の総重量に基づき、約0.1重量%ないし約25重量%、例えば約0.25重量%ないし約20重量%、または例えば約0.5重量%ないし約10重量%の範囲の量で含まれ得る。
本発明の組成物及び方法を用いて損傷組織を治療するための活性剤を投与することにより、従来技術のいくつかの問題を解決することができる。まず、本発明は、苦痛を伴う、損傷組織に対する膏薬または軟膏剤の再塗布を回避することができる。また、本発明は、活性剤が全身に送達されることによる悪影響を防止するために、活性剤を目標部位に直接的に送達することを可能にする。加えて、活性剤の注入とは対照的に、本発明は、活性剤を投与する方法であって、活性剤が損傷組織から即座に除去され投与が終了する方法を提供する。
また、本発明の圧力分散デバイスは、該デバイスが水分を吸収する能力を向上させるための1以上の超吸収性材料を含むことができる。水分は、独立気泡間に捕らえられ、デバイスに沿った1以上の位置に圧力が加えられた場合でもマトリクス内に保持される。適切な超吸収性材料には、架橋形態において、多量の流体を吸収することができる親水性ポリマーが含まれる。特に、本発明で有用な親水性ポリマーは、超吸収ポリマー(SAP)の作製に通常使用される、カルボキシル部分を含む吸水性ポリマーなどである。とりわけ、好適なカルボキシル含有吸水性ポリマーは、1種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの塩から誘導されたものである。加えて、本発明で有用な親水性ポリマーには、吸水性樹脂粒子に使用するための、または吸水性樹脂上にグラフトするための当分野で既知のコモノマーが含まれる。そのようなコモノマーには、アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩、ホスホン酸含有モノマー、セルロースモノマー、改変セルロースモノマー、ポリビニルアルコール、デンプン加水分解物、アクリルアミドコポリマーの加水分解物、またはアクリルアミドコポリマーの加水分解物の架橋産物が含まれる。エチレン性不飽和カルボン酸及びカルボン酸無水物モノマーの例には、これに限定しないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロルソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−スチレンアクリル酸(1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1、3)、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及び無水マレイン酸などのアクリル酸が含まれる。いくつかの実施形態では、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの塩から誘導され、部分的に中和されたポリアクリル酸産物及び部分的に中和されたポリアクリル酸の架橋産物を有するカルボキシル含有吸水性ポリマーが、特に好ましいポリマーである。なお、モノマーの混合物を使用してもよい。
本発明のデバイスは、その種々の用途に応じて、様々な物理的形態を取ることができる。本発明のデバイスは、所定位置に約1−5日間留置し、その後に除去してもよい。さらに、本発明のデバイスは、上述したような加えられた負荷荷重(圧力)を放射状に分散させる能力を変化させることなく、最大で該デバイスの重量の5倍の水分を吸収することができる。例えば、本発明のデバイスは、いくつかの実施形態では、該デバイスの重量の約5倍ないし約20倍の水分を吸収することができる。概して、図1の生体適合性ポリマーマトリクス120は、本発明の創傷治療デバイスが、ユーザの身体における任意の突出部分または体重の大部分がかかる部分に適合するように、任意の適切な平面的な2次元型形状または非平面的な3次元型形状に形成することができる。これにより、保護的な衝撃緩衝及び/または圧力緩和及び/または圧力分散を提供し、大きな力を受けている身体の特定部位での圧力を緩和または再分配し、褥瘡(圧迫潰瘍)の発生、または褥瘡などの既存の創傷の悪化を防止することができる。
その特定の物理的形状に関わらず、圧力分散デバイスの全厚は、負荷加重(圧力)が加えられた位置から圧力を放射状に分散させるために、約2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし約25.4ミリメートル(1インチ)、例えば約3.81ミリメートル(0.15インチ)ないし約25.15ミリメートル(0.99インチ)、例えば約6.35ミリメートル(0.25インチ)ないし約24.13ミリメートル(0.95インチ)、例えば約7.62ミリメートル(0.3インチ)ないし約22.86ミリメートル(0.9インチ)、または、例えば約10.16ミリメートル(0.4インチ)ないし約20.32ミリメートル(0.8インチ)の範囲に選択的に調節され得る。したがって、本発明のデバイスは、無傷皮膚領域または創傷に適用したときに、無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が約0キロパスカル(Oポンド/平方インチ:psi)になるように、無傷皮膚領域または創傷から圧力を放射状に分散させることができる。いくつかの実施形態では、圧力分散デバイスに加えられる圧力が、約6.9キロパスカル(1psi)ないし約345キロパスカル(50psi)、例えば約17.2キロパスカル(2.5psi)ないし約276キロパスカル(40psi)、または例えば約34.5キロパスカル(5psi)ないし約207キロパスカル(30psi)の範囲である場合に、無傷皮膚領域または創傷が受ける圧力が、約0キロパスカル(0psi)ないし約5キロパスカル(34.5psi)、例えば約0.007キロパスカル(0.001psi)ないし約17.2キロパスカル(2.5psi)、または例えば約0.007キロパスカル(0.001psi)ないし約6.9キロパスカル(1psi)の範囲になるように、無傷皮膚領域または創傷から圧力を放射状に分散させることができる。このように圧力を放射状に分散させるのに寄与するデバイスの厚さは、単層型デバイス、二層型デバイス、三層型デバイス、四層型デバイス、または任意の他の適切な数の層を有するデバイスにより実現することができる。さらに、本発明のデバイスの密度も、圧力分散能力に寄与し、その密度は、約9.6キログラム/立方メートル(0.6ポンド/立方フィート)ないし約36.8キログラム/立方メートル(2.3ポンド/立方フィート)、例えば約11.2キログラム/立方メートル(0.7ポンド/立方フィート)ないし約35.2キログラム/立方メートル(2.2ポンド/立方フィート)、または例えば約12.8キログラム/立方メートル(0.8ポンド/立方フィート)ないし約33.6キログラム/立方メートル(2.1ポンド/立方フィート)の範囲であり得る。加えて、マトリクスに含まれる独立気泡の密度(連続気泡が存在する場合は、連続気泡の密度も)も本発明のデバイスの圧力分散能力に寄与し、気泡の密度は、約244気泡/立方センチメートル(4、000気泡/立方インチ)ないし1037気泡/立方センチメートル(17、000気泡/立方インチ)、例えば約305気泡/立方センチメートル(5、000気泡/立方インチ)ないし915気泡/立方センチメートル(15、000気泡/立方インチ)、または例えば約366気泡/立方センチメートル(6、000気泡/立方インチ)ないし732気泡/立方センチメートル(12、000気泡/立方インチ)の範囲であり得る。
さらに、上述の特徴を有する本発明のデバイスは、無傷皮膚領域または創傷に加えられた荷重(圧力)を放射状に分散可能であることに加えて、組織浸軟を防止するために、無傷皮膚領域または創傷の表面での水分のレベルまたは量を管理することができる。換言すれば、本発明のデバイスは、皮膚または創傷を過度に乾燥させることなく浸軟を防止するために皮膚または創傷から十分な量の水分を吸収することができ、かつ、必要に応じて皮膚または創傷に水分を供給または提供することができる。このようにして、本発明のデバイスは、圧力創傷または褥瘡を予防及び/または治療するための適切な水分状態を維持することができる。
図1の生体適合性ポリマーマトリクス120を含む本発明の圧力分散デバイス(創傷治療デバイス)のいくつかの実施形態を図2−5に示す。本発明の創傷治療デバイスは、該デバイスが配置される身体の突出部分または湾曲部分に適合するように、任意の適切な形状にシームレスに形成できることを理解されたい。例えば、図2では、創傷治療デバイス200は、円筒状、スリーブ状、またはチューブ状の形状を有する。創傷治療デバイス200は、身体の突出部分(例えば、手、腕、手の指、脚、足、足の指など)を挿入して貫通させることができるように、第1の開口端部170と、その反対側の第2の開口端部190とを有する。創傷治療デバイス200の内部は、本体の突出部分の周りに隙間なく適合することができる皮膚接触面180を有しており、これにより、創傷治療デバイス200は、治療剤(例えば、酸素)及び所望に応じて1以上の活性剤を創傷に投与することができる。
一方、図3は、円筒状、スリーブ状、またはチューブ状の形状を有する創傷治療デバイス300を示す。しかしながら、この創傷治療デバイス300は、第1の端部170のみが開放されており、その反対側の第2の端部130は閉鎖されている。このようなデバイス300は、本体の突出部分(例えば、手、腕、手の指、脚、足、足の指など)を第1の開口端部170からデバイス300内に挿入することによって、本体の突出部分を治療するために使用することができる。創傷治療デバイス300の内部は、本体の突出部分の周りに隙間なく適合することができる皮膚接触面180を有しており、これにより、創傷治療デバイス300は、治療剤(例えば、酸素)及び所望に応じて1以上の活性剤を創傷に投与することができる。さらに、創傷治療デバイス300の閉鎖端部130は、身体の突出部分の露出端部に対する追加的な保護を提供することができる。例えば、ユーザが切断された腕を有する場合、閉鎖端部130は、衝突や擦過により生じ得る再損傷から腕の端部を保護することができる。このような3次元型のシームレス構造は、切断された四肢の断端に使用するのに特に好適である。シームを除去してシームレスにすることにより、本発明のデバイスは、断端とプロテーゼ(義肢など)との接触面に圧力が集中するのを避けることができる。シームが存在する場合は、シームに圧力が集中することとなる。
また、図4は、本発明の別の実施形態に係る、円錐形状を有する創傷治療デバイス400を示す。肘や膝などの円錐形状を有する身体の突出部分を、この創傷治療デバイス400の開口部150に挿入することにより、創傷治療デバイス400の皮膚接触面180が肘または膝の周りにフィットさせることができる。この創傷治療デバイス400は、かかとに配置することもできる。
加えて、図5は、本発明により意図される、別の実施形態に係る創傷治療デバイス500を示す。この創傷治療デバイス500は、生体適合性ポリマーマトリクス120を含む単一の材料層から作製され、略平坦な形状を有する。この創傷治療デバイス500の皮膚接触面180は、略平坦なまたはわずかに湾曲した皮膚領域上に配置される。なお、図示していないが、この創傷治療デバイス500は、生体適合性ポリマーマトリクス120を含む2以上の材料層も含み得ることを理解されたい。
本発明は、上述した創傷治療デバイスの製造方法をさらに包含する。一実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つの架橋可能な生体適合性ポリマーと酸素触媒(例えば、第1の反応物)とのゲル化混合物を用意するステップと、前記ゲル化混合物を適切な型(モールド)に注入して、所望の平面的な2次元型形状または非平面的な3次元型形状を形成するステップと、前記ゲル化混合物の前記生体適合性ポリマーを架橋して、水膨潤性の架橋生体適合性ポリマーネットワークを形成するステップと、前記ゲル化混合物を乾燥させて成形ゲルを形成するステップと、前記成形ゲルに第2の反応物を添加するステップと、前記酸素触媒(第1の反応物)と前記第2の反応物とを反応させることにより、前記成形ゲルに、酸素を含む複数の独立気泡(すなわち独立気泡及び壁部)または独立気泡及び連続気泡の組み合わせを生成するステップと、を少なくとも含む。
概して言えば、本発明の例示的な創傷治療デバイスの製造方法は、酸素を送達するための生体適合性マトリクスを生成する。生体適合性マトリクスの特徴は、気体を閉じ込める気泡または泡のアレイの形成である。気泡または泡は、第1の反応物を含むマトリクスに添加された第2の反応物が、マトリクスに浸透することにより形成される。第1の反応物及び第2の反応物が相互作用すると、マトリクス内に閉じ込められた酸素を遊離させる反応が生じる。例えば、マトリクスは、該マトリクス中に組み込まれた炭酸塩触媒(第1の反応物)を有する。次に、マトリクスを、第2の反応物(例えば、過酸化水素などの過酸化化合物)の存在下に置く。過酸化水素の触媒分解が起こって酸素気体が放出され、放出された酸素気体はその場で形成された気泡として閉じ込められる。過酸化水素反応物は、マトリクスの成分の一部ではなく、マトリクスの形成後に添加される。
この方法によれば、少なくとも1種類の架橋可能な生体適合性ポリマーのゲル化混合物が調製される。このことは、架橋可能な生体適合性ポリマーの溶液、または架橋可能な生体適合性ポリマーの混合物からなる溶液を調製することにより達成され得る。溶液は、水溶液か、または水成分が主要成分である溶液であることが望ましい。この方法によれば、上記した任意の活性剤をゲル化混合物に添加することができる。
気体酸素を生成するための触媒(例えば、第1の反応物)をゲル化混合物中に導入してもよい。例えば、触媒は、炭酸ナトリウムであり得る。また、上記した任意の触媒を使用してもよい。例えば、他のアルカリ化合物またはアルカリ土類化合物も、これらが生体適合性を有する製品に適合する場合には触媒として使用され得る。加えて、2種類以上の触媒を使用してもよい。例えば、第1の触媒は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩からなる群より誘導されたものであり得る。また、第2の触媒には、これに限定しないが、有機化学物質及び無機化学物質(例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄、酸化マンガン、ヨウ化ナトリウム、及びこれらの均等物等)が含まれ得る。他の触媒としては、これに限定しないが、ラクトペルオキシダーゼまたはカタラーゼなどの酵素が挙げられる。触媒は、第2の反応物と相互作用する物質であることが望ましい。
続いて、多糖類、可塑剤、及び/または水和制御剤が、ゲル化混合物に添加され得る。
次に、ゲル化混合物の架橋可能な生体適合性ポリマーを架橋させて、水膨潤性の架橋生体適合性ポリマーネットワークを形成する。このことは、ゲル化混合物中に既に存在する架橋剤を活性化すること、ゲル化混合物に架橋剤を添加または適用してゲル化混合物から溶媒を脱水または除去すること、及び/または、架橋が引き起こされる状況をゲル化混合物中に作り出すこと(例えば、pH、熱、電磁放射線及びX線を含む様々な形態の放射線、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギーなど)によって達成される。
例えば、ゲル化混合物は、架橋剤を活性化し、型(モールド)内でゲル化混合物を脱水することによって架橋させることができ、これにより、容易に取り扱うことができる成形ゲルが得られる。別の例として、ゲル化混合物は、モールドを従来のオーブン内に入れて、高温(例えば、45−65℃)に加熱し、皮革状ゴムと同様の堅さになるまで、2−20時間脱水することによって架橋させることができる。フルーツレザーまたはフルーツロールアップは、約10%ないし約20%の重力測定または重量ベースの水分含有量を有する。成形ゲルは、フレキシブルさ及び弾性を有し、水性流体、銀塩、及び酸素を含有する溶解した気体物質などの物質に対して透過性を有する半固体のスキャホールド(scaffold)であることが望ましい。特定の理論に拘束されることを望まないが、この物質は、架橋ポリマー間の分子間空間を介した移動によってマトリクスを透過すると考えられる。
次に、第2の反応物が成形ゲルに加えられる。これは、成形ゲルに第2の反応物の溶液を注ぐことにより、または、成形ゲルに、第2の反応物をスプレー、ブラッシング、コーティング、または塗布することによって実現され得る。ある特定の実施形態では、第2反応物は過酸化水素である。過酸化水素は、1重量%ないし30重量%の範囲またはそれ以上の濃度、例えば、3重量%ないし20重量%の範囲の濃度で使用され得る。他の過酸化物、例えば、これに限定しないが、過酸化尿素、過酸化ナトリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の他の過酸化化合物を使用してもよい。第2の反応物は、水溶液または水が主成分である溶液中に含まれることが好ましい。
第2の反応物は、成形ゲルに吸収され、膨潤性(例えば、水膨潤性)架橋生体適合性ポリマーのマトリクスに浸透する。膨潤度は、多糖類(例えば、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)を添加することによって、あるいは、水和制御剤(例えば、グリセロール)を添加することによって増加させることができる。架橋生体適合性ポリマーネットワークが十分な水膨潤性を有するようにすることにより、第2の反応物(例えば、過酸化水素)を架橋生体適合性ポリマーネットワークに適切に吸収させることができる。
本発明の方法によれば、第2の反応物が架橋生体適合性ポリマーのマトリクスに吸収されて該マトリックスに浸透し、触媒(すなわち、第1の反応物)と反応したときに、気体が生成される。生成される気体は、酸素気体であることが望ましい。本発明のマトリクスは、気体を閉じ込める気泡または泡のアレイを形成する。すなわち、触媒(第1の反応物)と第2の反応物との反応により、成形ゲルに、酸素を含む複数の独立気泡が生成される。
例えば、架橋生体適合性ポリマーマトリクスは、該マトリクス中に組み込まれた炭酸塩触媒(すなわち、第1の反応物)を有する。次に、架橋生体適合性ポリマーマトリクスを、第2の反応物(過酸化水素)の存在下に置く。過酸化水素の触媒分解が起こって酸素気体が放出され、放出された酸素気体はその場で形成された気泡として閉じ込められる。過酸化水素反応物は、マトリクスの成分の一部ではなく、マトリクスの形成後に添加される。
完成した形態では、溶液が注入されるモールドによって決定される任意の形状を有することができる平面的な2次元型または非平面的な3次元型の発泡体が形成される。上述した方法によって形成されたマトリクスは、創傷部位に加えられる垂直荷重または力を吸収して放射状に再分配することができ、これにより、創傷の治癒、創傷部位の保護、創傷部位での圧力分散、創傷部位の再損傷の防止、またはこれらの任意の組み合わせを促進するまたは向上させることができる。
本発明の方法は、反応を早めるために、成形ゲル及び第2の反応物を加熱するか、または成形ゲル及び第2の反応物にエネルギーを加えるステップをさらに含み得る。
本発明は、下記の実施例を参照することにより、より良く理解されるであろう。以下に説明する実施例で使用される全ての化学物質は、特に断らない限り、試薬等級以上であった。
実施例1:マトリックスの作製
酸素を送達するための例示的な創傷治療デバイスとして、酸素ガスを含有するポリマーマトリクスを作製した。このデバイスは、図2に示すような円筒状の独立気泡発泡体であり、酸素ガスは発泡体の独立気泡に含有されている。創傷治療デバイスの作製に使用される独立気泡発泡体の組成物/溶液は、概して、発明の詳細な説明の欄で上述した方法、並びに特許文献7及び特許文献8に開示された方法に従って作製した。
ゲルの調製
実施例1の3次元型のシームレスな生体適合性ポリマーマトリックスの作製に使用される成分及びこれらの濃度を下記の表1に示す。
Figure 2019503212
上記した成分を使用してゲルマトリックス溶液を調製した後、ゲルマトリックス溶液から形成された生体適合性ポリマーマトリックスを含む、実施例1の3次元型創傷治療デバイスを作製するために、様々な容積を有するプラスチックビーカを型(モールド)として使用した。プラスチックビーカ内にゲルマトリックス溶液を充填した後、プラスチックビーカ内により小さいビーカを配置した。このようにして、外側ビーカ及び内側ビーカからなるビーカセンブリによって、シームレスな円筒状のゲル状チューブを形成するためのモールドを構成した。この実験のために、様々な容積を有する8個のモールドを組み立てた。表2は、サンプル1−8のゲル状マトリックスを形成するために使用した8個のモールドのそれぞれについての内側ビーカ及び外側ビーカの容積を示す。
このような形状を有するモールドを構成する目的は、平面的なシート状ドレッシング以外の形状を有するゲル状マトリックスを成形するためである。
Figure 2019503212
ゲル状マトリックスの乾燥
サンプル1及び2
サンプル1及び2のゲル状マトリックスを、3.5時間(210分)後に外側のプラスチックビーカから取り出した。サンプル1は、内側のビーカから取り出そうと試みたが、そのプロセス中に分離した(ちぎれた)。サンプル2は、分離することなく取り出すことができた。サンプル1及び2は両方とも、乾燥ステップ中にゲル状マトリックスが内側ビーカによって支持されるように、内側ビーカに戻した。
ゲル状マトリックスをオーブン中で、50℃で16時間乾燥させた。オーブンから取り出した後、サンプル1のゲル状マトリックスを取り出そうと試みた。サンプル1のゲル状マトリックスは、このステップ中にさらに分離した。サンプル2のゲル状マトリックスは、発泡ステップのために内側ビーカに残した。
サンプル3−8
サンプル3−8のゲル状マトリックスを、約100時間後に他のプラスチックビーカから取り出した。サンプル3、5及び6のゲル状マトリックスは、内側ビーカから取り出すときに壊れた。全てのサンプルを、乾燥ステップ中に内側ビーカによって支持されるように、内側ビーカに戻した。ゲル状マトリックスをオーブン中で、50℃で16時間乾燥させた。オーブンから取り出した後、サンプル8のゲル状マトリックスを内側ビーカから取り出した。取り出しは困難であったが、マトリックスは分離しなかった。残りのゲル状マトリックスは、発泡ステップのために内側ビーカに残した。
発泡
サンプル1及び2
約50mLの20%過酸化物発泡溶液を調製した。この過酸化物発泡溶液を150mLのプラスチックビーカに注いだ。サンプル1及び2のゲル状マトリックスを、100mLのプラスチックビーカで支持した状態で、過酸化物発泡溶液中に浸漬させた。表3は、サンプル1及び2に用いられた発泡パラメータを示す。浸透ステップ及び発泡ステップは、100mLのビーカに支持された材料をさせた状態で実施した。サンプル1及び2は、3次元型形状の形成の実現可能性を調べるために作製した。
Figure 2019503212
サンプル2の発泡体は、プラスチックビーカの側面に依然として付着していた。サンプル2の発泡体は、上述した図3と同様のカップ状の形状であった。過酸化物溶液は、両面から過酸化物溶液に曝されるシート状ドレッシングを発泡させる場合と異なり、外面から材料全体に拡散させる必要があった。
サンプル1の発泡体は、発泡後にビーカに付着していなかったが、ビーカによって依然として支持されていた。形成された発泡体は半カップ状の形状であったが、これは前の処理ステップ中に材料を分離させることによって生じた。
サンプル3−8
約250mLの20%過酸化物発泡溶液を調製した。この発泡溶液を、浸漬させるサンプルに応じて、250mLまたは150mLのプラスチックビーカに注いだ。サンプル3−9のゲル状マトリックスを、プラスチックビーカに支持した状態で、過酸化物発泡溶液中に浸漬させた。ただし、サンプル8のゲル状マトリクスは、過酸化物浸漬ステップのための内側ビーカに入れなかった。表4は、サンプル3−8のゲル状マトリックスに用いられた発泡パラメータを示す。浸透ステップ及び発泡ステップは、ビーカに支持された材料を上下反転させた状態で実施した。
Figure 2019503212
発泡オーブンから取り出した後、形成された発泡体材料を支持ビーカから必要に応じて取り出した。サンプル3−6の発泡体は、上述した図3と同様の略カップ状の形状であった。
サンプル7及び8の発泡体は、上述した図2と同様の、壁部の厚さが大きい発泡体チューブに形成された。この発泡体チューブは、アームバンドと同様に、手や腕に装着するのに十分な大きさであった。チューブの周方向における壁部の厚さは均一ではなかった。これは、重合段階中に、内側ビーカが外側ビーカに対して中心が合わせされていなかったことが原因であった。壁部の厚さがより大きい部分は粘着性であった。このことは、発泡体のその部分において発泡が完了していないことを示す指標となり得る。
試験
酸素含有量及び吸収性試験のために、サンプル3、6及び8の発泡体からサンプル(試料)を採取した。サンプルは、その材料を最もよく代表する部分から採取した。酸素試験は、2つのサンプルを必要とし、その2つのサンプルの厚さは、サンプルの壁部の厚さのばらつきに起因して異なった。
吸収性
発泡体サンプルの吸収性は、下記の方法に従って測定した。発泡体の吸収性を試験するために、2cm×4cmの長方形状のサンプルを発泡体から切り取った。サンプルの「初期重量」を記録し、125mLのふた付きプラスチックカップ内に入れた。プラスチックカップ内にUSPグレードの水を充填した後、ふたを閉じて、上下反転させた。24時間±1時間後、カップを上下反転させて元の直立状態に戻し、ふたを開けた。発泡体サンプルをKimwipe(Ref.#34721)の上に30秒間載置した。30秒後、サンプルを裏返して、Kimwipeの乾燥部分に載置した。サンプルを裏返してから30秒後、サンプルの「24時間後の重量」を記録した。増加係数(吸収性)を、「24時間後の重量」を「初期重量」で除して算出した。目標は、発泡体サンプルが最小増加係数5を有することであり、この数値は、発泡体サンプルが、特許文献7及び特許文献8に記載されているような2次元型シート状創傷被覆材に匹敵する態様で創傷から滲出液を吸収できることを示す。
サンプル3、6及び8のデキストリンモールドから採取した発泡体サンプルの吸収性の結果を表5に示す。発泡体は、事前滅菌した状態で試験した。
Figure 2019503212
3つのサンプルは全て、吸収性の最低要件である最小増加係数5を満たした。最小増加係数5が吸収性の最低要件であるが、より高い吸収性値を有することが望ましい。サンプル8の発泡体は、様々な壁部厚を有し、粘着性部分を有していた。粘着性部分の発泡は完了していないため、吸収性の結果に影響した可能性がある。
酸素含有量
発泡体サンプルの酸素含有量は、下記の方法に従って測定した。発泡体の酸素含有量を試験するために、1.5cm×4cmの長方形状のサンプルを発泡体から2つ切り取った。発泡体サンプルの重量を記録し、300mLのBOD(Biochemical Oxygen Demand)ボトルに入れた。ボトル内に、通気したUSPグレードの水を充填した後、ふたを閉じた。24時間±1時間後、水の酸素含有量をオーシャンオプティクス社(Ocean Optics)製のNeofoxフェーズフルオロメータ及びFOXY酸素プローブを使用して測定した。この装置により、各試験サンプルについての、「NeofoxOppm」と呼ばれる抽出酸素値(ppm)が測定された。この値を用いて、各サンプルについて、発泡体サンプルのOppmを算出した。目標は、発泡体サンプルが14、354ppmの最小Oppm濃度を有することであり、この数値は、発泡体サンプルが、特許文献7及び特許文献8に記載されているような2次元型シート状創傷被覆材に匹敵する態様で溶解酸素を放出できることを示す。
サンプル3、6及び8の発泡体サンプルの酸素含有量の結果を表6に示す。発泡体は、事前滅菌した状態で試験した。表6において、「Neofox Oppm」はNeofox機器での測定値であり、「Oppm」はサンプル重量を包含した発泡体サンプルの酸素含有量である。
Figure 2019503212
平均Oppm値に基づいて、全てのサンプルが酸素含有発泡体ドレッシングの酸素含有量の必要条件を満たした。酸素含有量の必要条件は14、354ppmであるが、ドレッシング(創傷被覆材)中の酸素含有量はより高いことがより望ましい。サンプル6Bの発泡体は、個々のサンプルの酸素含有量の必要条件を満たさなかった。Oppmの計算には、試験したサンプルの重量を考慮した。この実験のために作製された発泡体は、対照の標準的なシート状の2次元型創傷被覆材よりも厚さが大きかった。これは、サンプルの重量が、対照の標準的なサンプルよりも大幅に大きかったことを意味する。したがって、重量が計算に考慮される場合、酸素値は低くなる。表6の一番端の列は、試験中に抽出されたOの量を示す。特許文献7及び特許文献8に開示された2次元型シート状創傷被覆材についての抽出O量(μg)は、1800ないし2500μgであった。したがって、抽出O量(μg)を比較すると、サンプル3及び6の発泡体は2次元型シート状創傷被覆材に匹敵する抽出O量を示し、発泡体チューブであるサンプル8の発泡体は、2次元型シート状創傷被覆材の2倍の抽出O量を示した。
上記の結果は、創傷治療デバイスが、平面シート状だけでなく、望ましいシームレスな3次元型形状にも発泡形成できることを示す。本発明の発泡体ドレッシングは、カップ状及びチューブ状の単純な形状に作製された。これらの形状は、身体の様々な部分を覆うために使用することができる。本発明の発泡体の吸水性は、最低要件を越えた。また、本発明の発泡体の酸素含有量は、百万分率(ppm)として計算した場合に、最低要件を満たした。さらに、酸素含有量を抽出酸素量(μg)として分析すると、本発明の3次元型創傷治療デバイスが十分な量の酸素を供給できることが示された。
この実施例では、両端部が開放されたチューブ状の発泡体と、一端部のみ開放されたカップ状の発泡体との2つの異なる発泡体をビーカモールドから作製したが、身体の突出部分の創傷を覆うための任意の他の適切な形状も考えられる。チューブ状の発泡体は、手、腕、足、足首、脚を覆うために使用することができる。別のアプローチは、発泡体をその軸線に沿って切断して、その切断された発泡体で付属器官の周りを包み込み、別の包帯を巻いて覆うことであろう。カップ形状の発泡体は、それを切断した場合には、付属器官の端部を覆うことができる。また、手の指に使用するために、より小さな発泡体カップを作製してもよい。別の実施形態では、1つの発泡体カップの底部を切断して発泡体チューブを作製してもよい。
実施例2:圧力分散試験
背景
以下の実験は、圧力分散能力を比較するために、本発明の圧力分散デバイスと、2つの市販の連続気泡発泡体創傷被覆材に対して行った。本発明の圧力分散デバイスは、該デバイスが、6.6mm(0.26インチ)の厚さを有する平面的な2次元型シート状ドレッシングの形態を有すること以外は、上述した創傷治療デバイス並びに特許文献7及び特許文献8に開示された創傷治療デバイスと同様の態様で作製した。以下の実験は、半定量的な圧力マッピングシステムを使用して行った。圧力は、力が分配される面の単位面積当たりに加えられる垂直力として定義される。人体の表面に加わる圧力は、軟組織間にせん断応力を発生させ、軟組織の血流及び代謝に影響を与え得る。一次創傷被覆材に圧力吸収特性を組み込むことは、圧力関連創傷の保護及び治癒促進のために望ましく、進歩した創傷被覆材市場における製品の差別化を提供する。
試験した3つの発泡体ドレッシングは、スミス・アンド・ネフュー社(Smith & Nephew)製のAllevyn(登録商標)非接着性発泡体ドレッシング、メンリッケ社(Molnlycke)製のMepilex(登録商標)発泡体ヒールドレッシング、及び本発明の発泡体ドレッシングであった。下記に示すように、3つのドレッシングは組成が互いに異なり、この組成の違いが、各ドレッシングの圧力吸収能力に影響を与えた。Allevyn(登録商標)発泡体ドレッシングは、水蒸気透過率(MVTR)が低い最上層と、吸収性ハイドロセルラーポリウレタン発泡体の中間層と、非粘着性の創傷接触層との3つの別個の層からなり、5.59mm(0.22インチ)の全厚、及び6.62グラムの質量を有している。Mepilex(登録商標)発泡体ヒールドレッシングは、一方の面にSafetac(登録商標)接着剤を含む連続気泡ポリウレタン発泡体であり、5.59mm(0.22インチ)の全厚、及び6.27gの質量を有している。このMepilex(登録商標)発泡体ヒールドレッシングは大きな8の字状または砂時計様パターンの形状を有するので、本試験では半分に切断して使用した。実施例1に関して上述したように、本発明の発泡体ドレッシングは、酸素を含有する独立気泡吸収性ポリアクリルアミド発泡体である。本試験に使用した本発明の発泡体ドレッシングは、6.60mm(0.26インチ)の全厚、及び1.67グラムの質量を有していた。シミュレートした使用は、一定期間(例えば、24時間)にわたる0.9%食塩水への曝露からなり、これは診療所における流体管理を示す。
実験構成
図6に示すように、Extreme Low FujiFilm Prescale(登録商標)7.2−28psi(米国ニュージャージー州マディソン所在のセンサプロダクト社(Sensor Products Inc.))650を使用して、サンプルドレッシングを介して印加された圧力の視覚的な「カラーマップ」を作成するとともに、ドレッシング及びコンクリート床間の圧力を評価するのに使用した。このフィルムの特定の圧力範囲は、49.6キロパスカル(7.2ポンド/平方インチ(psi))ないし193キロパスカル(28psi)の範囲である。フィルム650は、2つの接触面の間に配置されるように設計され、単回使用のドナーシートと、加えられた圧力によって変化する単回使用のレシーバーシートとを使用して機能する。色の変化の大きさは、製造業者から提供された色相関チャートを使用して、サンプルドレッシングを介してフィルムに圧力を加えた後にフィルム上に存在する色ピクセル数を測定することによって、おおよそ圧力に相関させることができる。ピクセルの数または周波数が大きいほど、試験目的のために創傷または無傷皮膚を模擬したフィルムが受けた圧力が大きいことを示す。
図6にさらに示すように、3.8kgのスチールシリンダ610(直径=44.45mm(1.75インチ)、高さ=304.8mm(12.0インチ))を含むシステム600を、試験対象に対して力を加えるために使用した。スチールシリンダ/重り610と、試験対象の特定のドレッシング630との間に、0.04kgの固形アルミニウムシリンダ620(直径=25.4mm(1.0インチ)、高さ=25.4mm(1.0インチ))を配置して接触面積を5.1cmに減少させ、理論圧力を74.5キロパスカル(10.8psi)に増加させた。第2の面は、滑らかなコンクリート床660である。濡れたまたは湿潤したドレッシング630に対して試験を実施する場合は(図9−10及び図13)、フィルム650に水が接触しないように、フィルム650を薄いポリエチレン(PE)層640で覆った。なお、この層640による影響は無視した。圧力を吸収するために、乾燥した発泡体ドレッシング630をアルミニウムシリンダ620とフィルム650との間に配置した。スチールシリンダ/重り610によって試験対象に対して力を10秒間印加した後、スチールシリンダ610は除去した。周囲温度及び湿度を、較正された湿度計を使用して記録した。その後、この試験を、残りの2つのドレッシングに対して行った(図7参照)。また、この試験を、各ドレッシングの同一領域に対して繰り返した(図8参照)。続いて、このシーケンスを、0.9%生理食塩水中に24時間浸漬させたドレッシングに対して2回繰り返した(図9及び図10参照)。次に、対照試験を実施して、本発明のドレッシング/デバイスの圧力分散能力を、ドレッシングが存在しない場合と比較した(図11参照)。その後、図7−図10で試験したドレッシングの2倍の厚さを有する二層型ドレッシングを使用して、図7−図11に要約した試験と同じ試験(乾燥した、または24時間浸漬した3つのドレッシングに対する各2回の試験)を行った(図12及び図13参照)。二層型ドレッシングを使用する場合、本発明のドレッシングの厚さは13.21mm(0.52インチ)であり、Allevyn(登録商標)ドレッシング及びMepilex(登録商標)ドレッシングの厚さは、11.18mm0(0.44インチ)であった。
サンプル分析
複数のスキャンに起因する変動を最小限に抑えるために、色相関チャートのスキャンを含めて、各サンプルドレッシングについてのフィルム650の圧力マッピングをスキャンしてインポートした。TIFFファイルをMS Paintで開き、各サンプルの関心領域を選択して個々の画像にコピーし、BMPファイルとして保存した。Image J(NIH Java(登録商標)画像処理プログラム)を使用して、異なる色強度のピクセルに0−255(0=黒、255=白)の範囲のビン値に割り当てることによってヒストグラムを作成した。その結果得られた出力をMS Excelにコピーし、ヒストグラムを散布図に変換した。255での白色背景色は削除した。簡単に言えば、より低いピクセル周波数を有するドレッシングが、ドレッシングの表面全体にわたってより良好に/より均一に圧力を分散させることができるドレッシングに相当する。色相関チャートスキャン内のピークには、フィルムの色濃度(0.1=least color、1.0=most color)に対して0.1−1.0の値を割り当てた。例えば、168の割り当て値は、0.8の色濃度に対応する。ピークの中間の値には、既知の値のピーク間の線形外挿法によって色濃度を割り当てた。FujiFilm Prescale(登録商標)の製造業者が提供する「連続圧力標準チャート」を使用して、色濃度を圧力に相関させた。
結果
乾燥ドレッシング及び24時間湿潤ドレッシングに対する二重反復試験を実施し、上記の方法に従って画像分析を行った。試験中の周囲温度及び湿度は、それぞれ24.9℃及び49.5%RHであった。画像化ソフトウェアによって特定のビンにグループ化されたピクセルの周波数または数を、おおよそ圧力に対してプロットした。
図7に示すように、乾燥した本発明の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力は、乾燥したAllevyn(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも81%低く、かつ、乾燥したMepilex(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも79%低かった。
また、図7に要約した試験の反復試験では、図8に示すように、乾燥した本発明の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力は、乾燥したAllevyn(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも71%低く、かつ、乾燥したMepilex(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも59%低かった。
また、各ドレッシングを0.9%の生理食塩水中に24時間浸漬させた場合には、図9に示すように、本発明の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力は、Allevyn(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも31%低く、かつ、Mepilex(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも50%低かった。
また、図9に要約した試験の反復試験では、図10に示すように、本発明の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力は、Allevyn(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも78%低く、かつ、Mepilex(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも84%低かった。
図11に示すように、本発明の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける圧力は、本発明の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングが所定位置に存在しない対照サンプルの真下の面が受ける圧力と比較して著しく低かった。
図12に示すように、乾燥した本発明の二層型の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力は、乾燥した二層型のAllevyn(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも95%低く、かつ、乾燥した二層のMepilex(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも97%低かった。
また、各ドレッシングを0.9%の生理食塩水中に24時間浸漬させた場合には、図13に示すように、本発明の二層型の独立気泡吸収性発泡体ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力は、二層型のAllevyn(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも62%低く、かつ、二層型のMepilex(登録商標)ドレッシングの真下の面が受ける平均圧力よりも84%低かった。
結論として、試験した本発明の単層型の独立気泡発泡体ドレッシングは、Allevyn(登録商標)連続気泡発泡体ドレッシング及びMepilex(登録商標)連続気泡発泡体ドレッシングよりも1.016mm(0.04インチ)厚く、これは、接触面間に若干厚いバリアを形成するのに有益であった。さらに、本発明の発泡体ドレッシングはポリウレタンドレッシングよりも約4倍少ない質量を有するにもかかわらず、酸素含有独立気泡は、より高密度のポリウレタン発泡体よりも良好な圧力吸収能力を示した。また、表面的にはこの観察は直観に反するかもしれないが、本発明のドレッシングの独立気泡内に閉じ込められた酸素は、より大きな弾力性を提供すると考えられる。これに反して、ポリウレタン発泡体は、重量が加えられると潰れる。
実施例3:圧力分散試験
背景
上記の実施例2で説明した図6の実験構成を、追加的なドレッシングを試験するために使用した。BS EN 13726−1:2002「一次創傷被覆材の試験方法」の「自由膨潤吸収能力」セクションに記載の手順に従って、「模擬使用」状態のドレッシングを湿潤させた。この試験方法では、ドレッシングサンプルを、40倍の標準生理食塩水に、37℃の温度で30分間浸漬させた。試験した様々なドレッシングを下記の表7に示す。
Figure 2019503212
サンプル分析
フィルムを、HP LaserJet M4555(高品質、600dpi、カラーの仕様)でスキャンし、TIFFファイルで保存した。TIFFファイルをPaintで開き、各ドレッシングサンプルの関心領域(1001ピクセル×1001ピクセル)を選択して個々の画像にコピーし、BMPファイルとして保存した。Image J(NIH Java(登録商標)画像処理プログラム)を使用して、異なる色強度のピクセルに0−255(0=黒、255=白)の範囲のビン値に割り当てることによってヒストグラムを作成した。その結果得られた出力を、さらなる分析のためにExcelにコピーした。白色背景の効果を決定するための同じ方法に従ってフィルムのブランク片を分析した。この対照フィルムの全てのピクセルは255の値を記録した。255値のピクセルをサンプル分析から捨てて、白色背景を除去した。
色相関チャートスキャン内のピークには、フィルムの色濃度(0.1=least color、1.0=most color)に対して0.1−1.0の値を割り当てた。例えば、168の割り当て値は、0.8の色濃度に対応する。ピークの中間の値には、既知の値のピーク間の線形外挿法によって色濃度を割り当てた。FujiFilm Prescale(登録商標)の製造業者が提供する「連続圧力標準チャート」を使用して、色濃度を圧力に相関させた。製造業者が提供する色チャートは線形ではないため、分析のx軸(圧力)は線形ではないことに留意されたい。列挙された6つの圧力間の補間は不可能であった。
結果
乾燥試験
乾燥ドレッシングサンプルを、上記の表7に示した各厚さ条件で3回試験した。上述した圧力フィルムの画像分析により、フィルム上の色分布を表すために、ピクセル数対圧力(psi)を示す折れ線グラフを作成した。
図14は、乾燥及び単層厚さの条件下での、本発明のドレッシング、Allevyn(登録商標)ドレッシング、及びMepilex(登録商標)ドレッシングの各発泡体創傷ドレッシングの試験結果を比較して示す(n=3)。各曲線は3回の試験の平均を示す。圧力周波数(フィルム上のピクセル数)がより低い曲線は、フィルムに伝達される圧力がより少ないため、より良好な圧力再分配特性を示す。図示のように、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、この条件下で最大の圧力再分配能力を示す。要約すると、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、Allevyn(登録商標)ドレッシング(四角印の曲線)及びMepilex(登録商標)ドレッシング(丸印の曲線)と比較して、最良の圧力再配分能力を示した。
図15は、乾燥及び単層厚さの条件下での、本発明のドレッシングとAllevyn(登録商標)ドレッシングとの比較、及び、本発明のドレッシングとMepilex(登録商標)ドレッシングとの比較を示す。各曲線は、本発明のドレッシングの他のドレッシングと比較した圧力周波数(フィルム上のピクセル数)の減少率(パーセント)を表す。乾燥及び単層厚さの条件下では、本発明のドレッシングは、Allevyn(登録商標)と比較して圧力周波数が61%ないし98%減少し(四角印の曲線を参照)、Mepilex(登録商標)と比較して圧力周波数が40%ないし97%減少した(丸印の曲線を参照)。最も顕著な改善は、フィルムが受ける圧力の上限において現れた。例えば、本発明のドレッシングは、110キロパスカル(16psi)では、Allevyn(登録商標)ドレッシングと比較して圧力周波数を約80%減少したことが示されている。
図16は、乾燥及び二層厚さの条件下での、本発明のドレッシング、Allevyn(登録商標)ドレッシング、及びMepilex(登録商標)ドレッシングの各発泡体創傷被覆材の試験結果を比較して示す(n=3)。各曲線は3回の試験の平均を示す。圧力周波数(フィルム上のピクセル数)がより低い曲線は、フィルムに伝達される圧力がより少ないため、より良好な圧力再分配特性を示す。図示のように、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、この条件下で最大の圧力再分配能力を示す。要約すると、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、Allevyn(登録商標)ドレッシング(四角印の曲線)及びMepilex(登録商標)ドレッシング(丸印の曲線)と比較して、最良の圧力再配分能力を示した。
図17は、湿潤及び二層厚さの条件下での、本発明のドレッシングとAllevyn(登録商標)ドレッシングとの比較、及び、本発明のドレッシングとMepilex(登録商標)ドレッシングとの比較を示す。各曲線は、本発明のドレッシングの他のドレッシングと比較した圧力周波数(フィルム上のピクセル数)の減少率(パーセント)を表す。乾燥及び単層厚さの条件下では、本発明のドレッシングは、Allevyn(登録商標)と比較して圧力周波数が66%ないし100%減少し(四角印の曲線を参照)、Mepilex(登録商標)と比較して圧力周波数が59%いし100%減少した(丸印の曲線を参照)。最も顕著な改善は、フィルムが受ける圧力の上限において現れた。例えば、本発明のドレッシングは、75.8キロパスカル(11psi)では、Mepilex(登録商標)ドレッシングと比較して圧力周波数が約70%減少したことが示されている。なお、図17は、複数のピーク及び谷が示されているが、これは、圧力スケールの上限ではピクセルカウントが低いことに起因すると考えられる。
図18は、乾燥及び単層厚さの条件下と、乾燥及び二層厚さの条件下とでの、本発明のドレッシング、Mepilex(登録商標)ドレッシング、及びAllevyn(登録商標)ドレッシングについてプロットした画像解析の出力の要約である。各曲線は3回の試験の平均を示す。圧力周波数(フィルム上のピクセル数)がより低い曲線は、フィルムに伝達される圧力がより少ないため、より良好な圧力再分配特性を示す。試験した全ての乾燥ドレッシングにおいて、二層厚さの条件下では、単層厚さの条件下よりも、より良好な圧力再分配能力を示した。この結果は、より厚いドレッシングが圧力に対してより良いバリア層を提供するという従来の研究及び考えと一致している。驚くべきことに、本発明の単層厚さドレッシングは、Mepilex(登録商標)二層厚さドレッシング及びAllevyn(登録商標)二層厚さドレッシングとほぼ同じ性能を発揮した。本発明のドレッシングの厚さは5.3mmであり、これは、二層厚さ(二倍厚さ)のMepilex(登録商標)(10.0mm)及び二層厚さ(二倍厚さ)のAllevyn(登録商標)(10.1mm)の厚さの約半分であった。この観察結果は、本発明のドレッシングの圧力再分配の効果を実証した。
湿潤試験
ドレッシングサンプルの湿潤は、BS EN 13726−1:2002「一次創傷被覆材の試験方法」の「自由膨張吸収能力」セクションに記載の手順に従って行った。この試験方法は、5cm×5cmのドレッシングサンプルを40倍の生理食塩水に、37℃の温度で30分間浸漬させた。この状態は、圧力がどのように再分配されるかを試験するための、ドレッシングにおける、臨床的に関連する量の生理食塩水吸収を示す。図19−23は、湿潤したドレッシングサンプルの全ての試験結果を示す。
図19は、湿潤及び単層厚さの条件下での、本発明のドレッシング、Allevyn(登録商標)ドレッシング、及びMepilex(登録商標)ドレッシングの各発泡体創傷ドレッシングの試験結果を比較して示す(n=3)。各曲線は3回の試験の平均を示す。圧力周波数(フィルム上のピクセル数)がより低い曲線は、フィルムに伝達される圧力がより少ないため、より良好な圧力再分配特性を示す。図示のように、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、この条件下で最大の圧力再分配能力を示す。要約すると、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、Allevyn(登録商標)ドレッシング(四角印の曲線)及びMepilex(登録商標)ドレッシング(丸印の曲線)と比較して、最良の圧力再配分能力を示した。
図20は、湿潤及び単層厚さの条件下での、本発明のドレッシングとAllevyn(登録商標)ドレッシングとの比較、及び、本発明のドレッシングとMepilex(登録商標)ドレッシングとの比較を示す。各曲線は、本発明のドレッシングの他のドレッシングと比較した圧力周波数(フィルム上のピクセル数)の減少率(パーセント)を表す。湿潤及び単層厚さの条件下では、本発明のドレッシングは、Allevyn(登録商標)と比較して圧力周波数が33%ないし92%減少し(四角印の曲線を参照)、Mepilex(登録商標)と比較して圧力周波数が47%ないし84%減少した(丸印の曲線を参照)。最も顕著な改善は、フィルムが受ける圧力の上限において現れた。例えば、本発明のドレッシングは、110キロパスカル(16psi)では、Allevyn(登録商標)ドレッシングと比較して圧力周波数を約65%減少したことが示されている。
図21は、湿潤及び二層厚さ条件下での、本発明のドレッシング、Allevyn(登録商標)ドレッシング、及びMepilex(登録商標)ドレッシングの各発泡体創傷ドレッシングの試験結果を比較して示す(n=3)。各曲線は3回の試験の平均を示す。圧力周波数(フィルム上のピクセル数)がより低い曲線は、フィルムに伝達される圧力がより少ないため、より良好な圧力再分配特性を示す。図示のように、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、この条件下で最大の圧力再分配能力を示す。要約すると、本発明のドレッシング(三角印の曲線)は、Allevyn(登録商標)ドレッシング(四角印の曲線)及びMepilex(登録商標)ドレッシング(丸印の曲線)と比較して、最良の圧力再配分能力を示した。
図22は、湿潤及び二層厚さの条件下での、本発明のドレッシングとAllevyn(登録商標)ドレッシングとの比較、及び、本発明のドレッシングとMepilex(登録商標)ドレッシングとの比較を示す。各曲線は、本発明のドレッシングの他のドレッシングと比較した圧力周波数(フィルム上のピクセル数)の減少率(パーセント)を表す。湿潤及び二層厚さの条件下では、本発明のドレッシングは、Allevyn(登録商標)と比較して圧力周波数が52%ないし83%減少し(四角印の曲線を参照)、Mepilex(登録商標)と比較して圧力周波数が51%いし87%減少した(丸印の曲線を参照)。最も顕著な改善は、フィルムが受ける圧力の上限において現れた。例えば、本発明のドレッシングは、75.8キロパスカル(11psi)では、Mepilex(登録商標)ドレッシングと比較して圧力周波数が約70%減少したことが示されている。
図23は、湿潤及び単層厚さの条件下と、湿潤及び二層厚さの条件下での、本発明のドレッシング、Mepilex(登録商標)ドレッシング、及びAllevyn(登録商標)ドレッシングについてプロットした画像解析の出力の要約である。各曲線は3回の試験の平均を示す。圧力周波数(フィルム上のピクセル数)がより低い曲線は、フィルムに伝達される圧力がより少ないため、より良好な圧力再分配特性を示す。試験した全ての湿潤ドレッシングにおいて、二層厚さの条件下では、単層厚さの条件下よりも、より良好な圧力再分配能力を示した。この結果は、より厚いドレッシングが圧力に対してより良いバリア層を提供するという従来の研究及び考えと一致している。また、試験した全ての湿潤ドレッシングにおいて、二層厚さ(二倍厚さ)の条件下では、単層厚さの条件下よりも、より良好な圧力再分配能力を示した。この結果は、より厚いドレッシングが圧力に対してより良いバリア層を提供するという従来の研究及び考えと一致している。乾燥試験と同様に、本発明の単層厚さドレッシングは、Mepilex(登録商標)二層厚さドレッシング及びAllevyn(登録商標)二層厚さドレッシングと同様またはそれ以上の圧力再分配能力を発揮した。興味深いことに、Mepilex(登録商標)発泡体及びAllevyn(登録商標)発泡体の圧力再分配能力は、ドレッシングが単層厚さの場合でも二層厚さの場合でもほぼ同じであった。
結論
この実施例は、本発明のドレッシング、Allevyn(登録商標)ドレッシング、及びMepilex(登録商標)ドレッシングに加えられた負荷荷重(圧力)を再分配する能力を調べた。本発明のドレッシングは、すべての条件下(乾燥、湿潤、単層厚さ、及び二層厚さ)で最良の圧力再分配能力を示した。その結果を表8に要約する。
Figure 2019503212
要約すると、本発明のドレッシングは、発泡体の特別に制御された酸素充填独立気泡構造に起因して、ユニークな圧力再分配特性を示す。この構成は、圧力下で潰れる連続気泡発泡体と比較して、より堅い支持構造を発泡体に与える。これらの結果は、本発明のドレッシングが、優れた圧力再分配特性を有し、臨床状況における褥瘡(圧迫潰瘍)の予防を改善し得ることを示唆している。
本明細書は、実施例を用いて、最良の実施の形態(ベストモード)を含む本発明の内容を開示し、かつ本発明を当業者が実施(任意の装置またはシステムの作製及び使用、並びに記載内容に組み入れられたあらゆる方法の実施を含む)することを可能にしている。本発明の特許される技術範囲は、特許請求の範囲の請求項の記載によって特定され、当業者が想到可能な他の実施形態もそれに含まれ得る。そのような他の実施形態は、各請求項の文言と異なっていない構成要素を含む場合、またはそれらが各請求項の文言とは実質的には異ならない均等な構成要素を含む場合、それらの請求項の特定する技術範囲内にあるものとする。

Claims (66)

  1. 圧力分散デバイスであって、
    ポリマー及び独立気泡を含む親水性の生体適合性ポリマーマトリックスを備え、
    無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を分散させるべく、前記無傷皮膚領域または創傷に直接的に接触させて配置するように構成したことを特徴とするデバイス。
  2. 前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
  3. 当該デバイスに対して6.9キロパスカル(1ポンド/平方インチ)ないし345キロパスカル(50ポンド/平方インチ)の範囲の圧力が加えられた場合に、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
  4. 当該デバイスが、2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし25.4ミリメートル(1インチ)の範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデバイス。
  5. 前記マトリックスが、前記無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデバイス。
  6. 前記マトリックスが、前記無傷皮膚領域または創傷に水分を供給することを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のデバイス。
  7. 前記ポリマーが、少なくとも部分的に架橋されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のデバイス。
  8. 前記ポリマーが、吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のデバイス。
  9. 前記吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
  10. 当該デバイスが、多糖類をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
  11. 前記多糖類が、デキストリン、グアーガム、ルーサン、フェヌグリーク、キサンタンガム、ハニーローカストビーンガム、ホワイトクローバービーンガム、キャロブローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
  12. 当該デバイスが、気体をさらに含み、
    前記気体が、前記独立気泡に含まれていることを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のデバイス。
  13. 溶解形態の前記気体が、前記独立気泡内または前記独立気泡間に含まれていることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
  14. 前記気体が、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
  15. 当該デバイスが、活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のデバイス。
  16. 前記活性剤が、抗菌剤、抗真菌剤、防汚剤、鎮痛剤、脱臭剤、ナノ粒子、栄養素、成長因子、生物製剤、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
  17. 当該デバイスが、超吸収性材料をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項16のいずれかに記載のデバイス。
  18. 当該デバイスが、2次元型の形状を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載のデバイス。
  19. 当該デバイスが、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、3次元型のシームレスな形状を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載のデバイス。
  20. 前記身体の部分が、手の指、足の指、手、足、膝、肘、かかと、切断患者の断端、または仙骨領域であることを特徴とする、請求項19に記載のデバイス。
  21. 当該デバイスが、1層以上の前記生体適合性ポリマーマトリックスを含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項20のいずれかに記載のデバイス。
  22. 当該デバイスが、連続気泡をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項21のいずれかに記載のデバイス。
  23. 無傷皮膚領域または創傷の周囲の褥瘡を予防または治療する方法であって、
    ポリマー及び独立気泡を含む親水性の生体適合性ポリマーマトリックスを備えた圧力分散デバイスを無傷皮膚領域または創傷に直接的に接触させて配置するステップを含み、
    前記圧力分散デバイスによって、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を分散させるようにしたことを特徴とする方法。
  24. 前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  25. 前記デバイスに対して6.9キロパスカル(1ポンド/平方インチ)ないし345キロパスカル(50ポンド/平方インチ)の範囲の圧力が加えられた場合に、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させることを特徴とする、請求項23または請求項24に記載の方法。
  26. 前記デバイスが、2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし25.4ミリメートル(1インチ)の範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項23ないし請求項25のいずれかに記載の方法。
  27. 前記マトリックスが、前記無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収することを特徴とする、請求項23ないし請求項26のいずれかに記載の方法。
  28. 前記マトリックスが、前記無傷皮膚領域または創傷に水分を供給することを特徴とする、請求項23ないし請求項27のいずれかに記載の方法。
  29. 前記ポリマーが、少なくとも部分的に架橋されていることを特徴とする、請求項23ないし請求項28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記ポリマーが、吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする、請求項23ないし請求項29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。
  32. 前記デバイスが、多糖類をさらに含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。
  33. 前記多糖類が、デキストリン、グアーガム、ルーサン、フェヌグリーク、キサンタンガム、ハニーローカストビーンガム、ホワイトクローバービーンガム、キャロブローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
  34. 前記デバイスが、気体をさらに含み、
    前記気体が、前記独立気泡に含まれていることを特徴とする、請求項23ないし請求項33のいずれかに記載の方法。
  35. 溶解形態の前記気体が、前記独立気泡内または前記独立気泡間に含まれていることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  36. 前記気体が、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  37. 前記デバイスが、活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項23ないし請求項36のいずれかに記載の方法。
  38. 前記活性剤が、抗菌剤、抗真菌剤、防汚剤、鎮痛剤、脱臭剤、ナノ粒子、栄養素、成長因子、生物製剤、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項37に記載の方法。
  39. 前記デバイスが、超吸収性材料をさらに含むことを特徴とする、請求項23ないし請求項38のいずれかに記載の方法。
  40. 前記デバイスが、2次元型の形状を有することを特徴とする、請求項23ないし請求項39のいずれかに記載の方法。
  41. 前記デバイスが、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、3次元型のシームレスな形状を有することを特徴とする、請求項23ないし請求項39のいずれかに記載の方法。
  42. 前記身体の部分が、手の指、足の指、手、足、膝、肘、かかと、切断患者の断端、または仙骨領域であることを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  43. 前記デバイスが、1層以上の前記生体適合性ポリマーマトリックスを含むことを特徴とする、請求項23ないし請求項42のいずれかに記載の方法。
  44. 前記デバイスが、連続気泡をさらに含むことを特徴とする、請求項23ないし請求項43のいずれかに記載の方法。
  45. 無傷皮膚領域または創傷の周囲の褥瘡を予防または治療するシステムであって、
    ポリマー及び独立気泡を含む親水性の生体適合性ポリマーマトリックスを備え、
    前記マトリックスによって、
    前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を分散させ、
    前記無傷皮膚領域または創傷の周囲の水分を管理し、かつ、
    前記無傷皮膚領域または創傷またはその真下に存在する組織に対して治療剤を送達するように構成したことを特徴とするシステム。
  46. 前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させることを特徴とする、請求項45に記載のシステム。
  47. 当該システムに対して6.9キロパスカル(1ポンド/平方インチ)ないし345キロパスカル(50ポンド/平方インチ)の範囲の圧力が加えられた場合に、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力が0キロパスカル(0ポンド/平方インチ)ないし34.5キロパスカル(5ポンド/平方インチ)の範囲になるように、前記無傷皮膚領域または創傷に加わる圧力を前記無傷皮膚領域または創傷から分散させることを特徴とする、請求項45または請求項46に記載のシステム。
  48. 前記マトリックスが、2.54ミリメートル(0.1インチ)ないし25.4ミリメートル(1インチ)の範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項45ないし請求項47のいずれかに記載のシステム。
  49. 当該システムが、前記無傷皮膚領域または創傷から水分を吸収することを特徴とする、請求項45ないし請求項48のいずれかに記載のシステム。
  50. 当該システムが、前記無傷皮膚領域または創傷に水分を供給することを特徴とする、請求項45ないし請求項49のいずれかに記載のシステム。
  51. 前記ポリマーが、少なくとも部分的に架橋されていることを特徴とする、請求項45ないし請求項50のいずれかに記載のシステム。
  52. 前記ポリマーが、吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする、請求項45ないし請求項51のいずれかに記載のシステム。
  53. 前記吸収性、エラストマー性、及び生体適合性を有するポリマーまたはコポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項52に記載のシステム。
  54. 前記マトリックスが、多糖類をさらに含むことを特徴とする、請求項52に記載のシステム。
  55. 前記多糖類が、デキストリン、グアーガム、ルーサン、フェヌグリーク、キサンタンガム、ハニーローカストビーンガム、ホワイトクローバービーンガム、キャロブローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、セルロース、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項54に記載のシステム。
  56. 前記治療剤が気体であり、
    前記気体が、前記独立気泡に含まれていることを特徴とする、請求項45ないし請求項55のいずれかに記載のシステム。
  57. 溶解形態の前記気体が、前記独立気泡内または前記独立気泡間に含まれていることを特徴とする、請求項56に記載のシステム。
  58. 前記気体が、酸素、窒素、一酸化窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項56に記載のシステム。
  59. 当該システムが、活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項45ないし請求項58のいずれかに記載のシステム。
  60. 前記活性剤が、抗菌剤、抗真菌剤、防汚剤、鎮痛剤、脱臭剤、ナノ粒子、栄養素、成長因子、生物製剤、またはこれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項59に記載のシステム。
  61. 当該システムが、超吸収性材料をさらに含むことを特徴とする、請求項45ないし請求項60のいずれかに記載のシステム。
  62. 前記マトリックスが、2次元型の形状を有することを特徴とする、請求項45ないし請求項61のいずれかに記載のシステム。
  63. 前記マトリックスが、非平面形状を有する身体の部分に適合するように、3次元型のシームレスな形状を有することを特徴とする、請求項45ないし請求項61のいずれかに記載のシステム。
  64. 前記身体の部分が、手の指、足の指、手、足、膝、肘、かかと、切断患者の断端、または仙骨領域であることを特徴とする、請求項63に記載のシステム。
  65. 当該システムが、1層以上の前記生体適合性ポリマーマトリックスを含むことを特徴とする、請求項45ないし請求項64のいずれかに記載のシステム。
  66. 前記マトリックスが、連続気泡をさらに含むことを特徴とする、請求項45ないし請求項65のいずれかに記載のシステム。
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