JP2019214611A - 新規なfxr(nr1h4)結合および活性調節化合物 - Google Patents

新規なfxr(nr1h4)結合および活性調節化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】NR1H4レセプター(FXR)に結合し、FXRの作動薬として作用する化合物の提供。【解決手段】式(1)の化合物。[RはCOOHなど、Aはフェニル、ピリジルなど、Qは、フェニル、ピリジルなどを表し、YはNまたはCHから選択され、Zは例えばで表される特定の基を表す]【選択図】なし

Description

本発明は、NR1H4レセプター(FXR)に結合し、FXRの作動薬または調節因子として作用する化合物に関する。本発明は、更に前記化合物による前記核レセプターの結合を介する疾患および/または状態の治療および/または予防を目的とする化合物の使用にも関する。
多細胞生物は、細胞と体区画(body compartments)との間の高度な情報移動機構に依存している。伝達される情報は極めて複雑である可能性があり、細胞分化、増殖または再生に関わる遺伝子プログラムの変更を生じる可能性がある。シグナルやホルモンは、多くの場合にペプチド、脂肪酸またはコレステロール誘導体のような低分子量分子である。
これらのシグナルの多くは、特異遺伝子の転写を最後に変化させることによってそれらの効果を生じる。様々なシグナルに対する細胞応答を伝達するタンパク質の十分に研究された一群は、核レセプター(以後、「NR」と呼ぶことが多い)として知られる転写因子のファミリーである。この群のメンバーとしては、ステロイドホルモン、ビタミンD、エクジソン、シスおよびトランスレチノイン酸、甲状腺ホルモン、胆汁酸、コレステロール誘導体、脂肪酸(および他のペルオキシソーム増殖因子)のレセプター、並びにいわゆるオーファンレセプター、この群の他のメンバーに構造的に類似しているがそれに対するリガンドが知られていないタンパク質が挙げられる。オーファンレセプターは、細胞における未知のシグナル経路を指示することがあり、またはリガンド活性化なしで機能する核レセプターであることがある。これらのオーファンレセプターのあるものによる転写の活性化は、外来性リガンドの非存在下でおよび/または細胞表面に由来するシグナル形質導入経路を介して起こることがある (D. J. Mangelsdorf et al., Cell 1995, 83, 835; R. M. Evans, Mol. Endocrinol. 2005, 19, 1429)。
一般に、3個の機能性ドメインが、NRに画定されている。アミノ末端ドメインは、幾らかの調節機能を有すると思われる。その後に、通常は2個のジンクフィンガー要素を含んでなり、応答性遺伝子のプロモーター内に特異的ホルモン応答性要素(以後、「HRE」と呼ぶ)を認識するDNA結合ドメイン(以後、「DBD」と呼ぶ)が続く。「DBD」における特異的アミノ酸残基は、DNA配列結合特異性を付与することが示されている(M. Schena and K. R. Yamamoto, Science 1988, 241, 965)。リガンド結合ドメイン(以後、「LBD」と呼ぶ)は、既知のNRのカルボキシ末端領域にある。
ホルモンの非存在下では、LBDは、DBDとそのHREとの相互作用を妨げると思われる。ホルモン結合は、NRにコンホメーション変化を生じると思われ、このようにしてこの妨害を除く(A. M. Brzozowski et al., Nature 1997, 389,753)。LBDのないNRは、構成的にではあるが低レベルで転写を活性化する。
コアクチベーターまたは転写アクチベーターは、配列特異的転写因子、基礎転写機構間に架橋し、更に標的細胞のクロマチン構造を支配することが提案されている。SRC−1、ACTRおよびGrip1のような幾つかのタンパク質は、リガンド増進的にNRと相互作用する(D. M. Heery et al., Nature 1997, 387, 733; T. Heinzel et al., Nature 1997, 387, 43; K. W. Nettles and G. L. Greene, Annu. Rev. Physiol. 2005, 67, 309)。
ステロイドホルモンのような核レセプター調節因子は、細胞内レセプターに結合して、核レセプター−リガンド複合体を形成することによって特定の細胞の成長および機能に影響を及ぼす。核レセプター−ホルモン複合体は、次いで特異的遺伝子の制御領域においてHREと相互作用し、特異的遺伝子発現を変更する(A. Aranda and A. Pascual, Physiol. Rev. 2001, 81, 1269)。
ファルネソイドXレセプターα(Farnesoid X Receptor alpha)(以後、ヒトレセプターを指すときにはNR1H4と呼ぶことも多い)は、レチノイドXレセプターとヘテロ二量体方式で標的遺伝子のプロモーター領域へ結合するときに遺伝子を活性化するプロトタイプの2型核レセプターである(B. M. Forman et al., Cell 1995, 81, 687)。NR1H4に関連する生理学的リガンドは、胆汁酸である(D. J. Parks et al., Science 1999, 284, 1365; M. Makishima et al., Science 1999, 284, 1362)。最強のものは、ケノデオキシコール酸(CDCA)であり、胆汁酸ホメオスタシスに関与する幾つかの遺伝子の発現を調節する。共にファルネソイドと呼ばれるファルネソールおよび誘導体は、当初はラットオルソログを高濃度で活性化することが記載されているが、それらはヒトまたはマウスのレセプターを活性化しない。FXRは、肝臓、および食道、胃、十二指腸、小腸、結腸、卵巣、副腎および腎臓を含む全胃腸管中で発現する。細胞内遺伝子発現の制御以上に、FXRは、サイトカイン線維芽細胞成長因子15(齧歯類)または19(サル、ヒト)の発現をアップレギュレーションすることによってパラ分泌および内分泌シグナル表示にも関与していると思われる(J. A. Holt et al., Genes Dev. 2003, 17, 1581; T. Inagaki et al., Cell Metab. 2005, 2, 217)。
FXR調節因子として作用する小分子化合物は、下記の公表文献WO 2000/037077号公報、WO 2003/015771号公報、WO 2004/048349号公報、WO 2007/076260号公報、WO 2007/092751号公報、WO 2007/140174号公報、WO 2007/140183号公報、WO 2008/051942号公報、WO 2008/157270号公報、WO 2009/005998号公報、WO 2009/012125号公報、WO 2008/025539号公報、およびWO 2008/025540号公報に開示されている。更なる小分子であるFXR調節因子が、最近概説されている(M. L. Crawley, Expert Opin Ther. Pat. 2010, 20,1047; D. Merk et al., Future Med. Chem. 2012, 4, 1015)。
WO 2011/020615号公報において、本発明者らは、下記の一般式

(上記式中、可変基は、本出願明細書におけるのと同様に定義される)
のキラルシクロプロピリデン化合物を開示した。
本発明に内在する問題点は、一般的には向上した物理化学的特性、特にWO 2011/020615号公報に記載の化合物と比較して低下した疎水性、向上した水溶解度および一層良好な膜透過性を有するFXR−作動薬を生成することである。
前記の問題点は、下式(1)による化合物、その鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたは薬学上許容可能な塩によって解決した:

[式中、
Rは、COOR6、CONR、テトラゾリル、SONR、C1−6アルキル、SO−C1−6アルキルおよびHからなる群から選択され、Rは、HまたはC1−6アルキルからなる群から独立して選択され、RおよびRは、H、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルキレン−R、SO−C1−6アルキル(式中、Rは、COOH、OHおよびSOHからなる群から選択される)からなる群から互いに独立して選択され、
Aは、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、インドリル、チエニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリルであって、それぞれ必要に応じてOH、O−C1−6アルキル、O−ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびハロゲンからなる群から独立して選択される1または2個の基で置換されているものからなる群から選択され、
Qは、フェニル、ピリジル、チアゾリル、チオフェニル、ピリミジルであって、それぞれ必要に応じてC1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロゲンおよびCFからなる群から独立して選択される1または2個の基で置換されているものからなる群から選択され、
Yは、NまたはCHから選択され、
Zは、

(式中、
X=CH、N、NO、
は、水素、C1−3アルキル、C3−6シクロアルキル、C4−5アルキルシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−3アルキルは、必要に応じてハロゲン、ヒドロキシまたはC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されており、
およびRは、水素、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−3アルコキシ、C1−3ハロアルコキシおよびハロゲンからなる群から独立して選択される)
から選択される]。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、式(1)による化合物におけるR−Aは、

から選択される。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、式(1)による化合物におけるQは、

である。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、式(1)による化合物におけるZは、

である。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、式(1)による化合物は、下記のものから選択される:



上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、式(1)による化合物は、

(上記式中、Rは、COH、CONHSOMeおよびテトラゾリルからなる群から選択される)
である。
もう一つの態様では、本発明は、薬剤として使用するための式(1)による化合物に関するものである。
もう一つの態様では、本発明は、FXRによって伝達される疾患の予防および/または治療に使用するための式(1)による化合物に関するものである。
もう一つの態様では、本発明は、FXRによって伝達される疾患の予防および/または治療用の薬剤の調製のための式(1)による化合物の使用に関するものである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、疾患は、慢性の肝臓内または肝臓外胆汁鬱滞性疾患の幾つかの形態、肝線維症、肝臓の閉塞性または慢性の炎症性疾患、肝硬変、脂肪肝および関連症候群、アルコールによって誘発される肝硬変またはウイルス性形態の肝炎に関連した胆汁鬱滞性または線維症性の症状、主要肝切除(major liver resection)後の肝不全または肝虚血、化学療法随伴脂肪性肝炎(CASH)、急性肝不全、および/または炎症性腸疾患から選択される。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、疾患は、脂質およびリポタンパク質疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、および臨床的に顕在的な長期糖尿病の他の観察された症状などのII型糖尿病およびI型およびII型糖尿病の臨床合併症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のような、強制的脂質および具体的にはトリグリセリド蓄積およびその後の線維症促進経路の活性化による臓器の慢性的脂肪性および線維性変性に起因する疾患および状態、および肥満または代謝症候群(脂質代謝異常、糖尿病または異常に高い肥満度指数の複合疾患)、および/または慢性の閉塞性アテローム性動脈硬化症の終点として起こる急性心筋梗塞、急性発作または血栓症から選択される。
上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの態様では、疾患は、非悪性の過剰増殖性障害および悪性の過剰増殖性障害、具体的には、肝細胞癌、結腸腺腫およびポリープ症、結腸腺腫、乳癌、膵臓腺腫、バレット食道または胃腸管および肝臓の他の形態の腫瘍性疾患から選択される。
物理化学的特性の向上は、前の1,2−シクロプロピリデン環に代えて1,3−シクロブチリデンまたは1,3−アゼチジニリデン基上に極性ヒドロキシル基を導入することによって達成された。
驚くべきことには、生成する化合物は、FXRレセプターに対するそれらの活性を保持したが、一層高い水溶解度および/または膜透過性のような向上した物理化学的特性を示した。
本発明の化合物は、請求項1における式(1)による共通の化学構造を共有している。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、本発明は、式(1)による化合物の鏡像異性体、ジアステレオマーまたは薬学上許容可能な塩に関するものである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、式(1)におけるRは、COOR,CONR、SO2NRおよびSO−C1−6アルキルからなる群から選択される。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、式(1)におけるRは、Hである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、式(1)におけるRおよびRは、HおよびSO−C1−6アルキルからなる群から互いに独立して選択される。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、式(1)におけるRは、Hである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、式(1)におけるRは、SO−C1−6アルキルである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、Aは、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、インダゾリルおよびオキサジアゾリルからなる群から選択される。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、Aは、C1−6アルキル、更に好ましくは、C1−3アルキルから独立して選択される1または2個の基で置換されている。上記または下記の態様のいずれかと組合せたもう一つの好ましい態様では、Aは、未置換である。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、Qはフェニルである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、Qはハロゲンから独立して選択される1または2個の基、更に好ましくはハロゲンから選択される1個の基、特にCl、で置換されている。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、Zは、

である。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、X=CHである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、Rは、C3−6シクロアルキル、特にシクロプロピルである。
上記または下記の態様のいずれかと組合せた好ましい態様では、RおよびRは、ハロゲン、特にClから独立して選択される。
本発明の化合物は、プロドラッグ化合物の形態であることができる。「プロドラッグ化合物」とは、生体中において生理学的条件下で酵素、胃酸などと反応させることによって、例えば、酸化、還元、加水分解などそれらのそれぞれが酵素学的に行われるものによって、本発明による化合物に転換される誘導体を意味する。プロドラッグの例は、本発明の化合物におけるアミノ基がアシル化、アルキル化またはリン酸化され、例えば、エイコサノイルアミノ、アラニルアミノ、ピバロイルオキシメチルアミノを形成するか、またはヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、リン酸化されるかまたはボレートに転換され、例えば、アセチルオキシ、パルミトイルオキシ、ピバロイルオキシ、スクシニルオキシ、フマリルオキシ、アラニルオキシとなるか、またはカルボニル基がエステル化またはアミド化される化合物である。これらの化合物は、周知の方法によって本発明の化合物から製造することができる。プロドラッグの他の例は、本発明の化合物におけるカルボキシレートが、例えば、アルキル−、アリール−、コリン−、アミノ、アシルオキシメチルエステル、リノレノイルエステルに転換される化合物である。
本発明の化合物の代謝物も、本発明の範囲内にある。
本発明の化合物またはそれらのプロドラッグの、例えば、ケト−エノール互変異性のような互変異性が起こることがある場合には、例えば、ケトおよびエノール型のような個々の形態、並びに任意の比率のそれらの混合物は、それぞれ本発明の範囲内にある。同じことは、例えば、鏡像異性体、シス/トランス異性体、コンフォーマーなどの立体異性体に当てはまる。
所望ならば、異性体を、当該技術分野で周知の方法によって、例えば、液体クロマトグラフィーによって分離することができる。同じことは、キラル固定相を用いることによって鏡像異性体にも当てはまる。更に、鏡像異性体は、それらをジアステレオマーに転換することによって、すなわち鏡像異性的に純粋な補助化合物とカップリングした後、生成するジアステレオマーを分離し、補助残基を開裂することによって単離することができる。あるいは、本発明の化合物の任意の鏡像異性体は、光学的に純粋な出発材料を用いる立体選択的合成によって得ることができる。ラセミ混合物から純粋な鏡像異性体を得るためのもう一つの方法は、キラル対イオンを用いるエナンチオ選択的結晶化を使用することであろう。
本発明の化合物は、薬学上許容可能な塩または溶媒和物の形態であることができる。「薬学上許容可能な塩」という用語は、無機塩基または酸および有機塩基または酸などの薬学上許容可能な毒性のない塩基または酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が1個以上の酸性または塩基性基を含む場合には、本発明は、それらの対応する薬学上または毒物学上許容可能な塩、特にそれらの薬学上利用可能な塩も含んでなる。従って、酸性基を含む本発明の化合物は、これらの群上に存在することができ、本発明に従って、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩として用いることができる。このような塩の更に精確な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、またはアンモニアまたは有機アミン、例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンまたはアミノ酸との塩が挙げられる。1個以上の塩基性基、すなわち、プロトン化可能な基を含む本発明の化合物が、存在することができかつ無機または有機酸とのそれらの付加塩の形態で本発明に従って用いることができる。適当な酸の例としては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、および当業者に知られている他の酸が挙げられる。本発明の化合物がその分子に酸性および塩基性基を同時に含む場合には、本発明は、言及した塩形態に加えて、分子内塩またはベタイン(双性イオン)も包含する。それぞれの塩は、当業者に知られている通常の方法によって、例えば、これらを溶媒または分散剤中で有機または無機酸または塩基と接触させることによって、または他の塩とのアニオン交換またはカチオン交換によって得ることができる。本発明は、生理学的適合性が低いため、医薬で使用するには直接には適当でないが、例えば、化学反応または薬学上許容可能な塩の調製のための中間体として用いることができる本発明の化合物のあらゆる塩も包含する。
更に、本発明の化合物は、溶媒和物として水を含むもののような溶媒和物、またはアルコール、特にエタノールのような薬学上許容可能な溶媒和物の形態で存在することがある。
更に、本発明は、少なくとも1種類の本発明の化合物またはそれらのプロドラッグ化合物、または活性成分としてそれらの薬学上許容可能な塩または溶媒和物を薬学上許容可能なキャリヤーと共に含んでなる医薬組成物を提供する。
「医薬組成物」とは、1種類以上の活性成分、およびキャリヤーを構成する1種類以上の不活性成分、並びに任意の2種類以上の成分の結合、錯体形成または集合から、または1種類以上の成分の解離から、または1種類以上の成分の他の型の反応または相互作用から直接的または間接的に生成する任意の生成物を意味する。従って、本発明の医薬組成物は、少なくとも1個の本発明の化合物と薬学上許容可能なキャリヤーを混合することによって作製される任意の組成物を包含する。
本発明の医薬組成物は、更にプロドラッグ化合物または他の核レセプター調節因子のような活性成分として1種類以上の他の化合物を含んでなることもある。
これらの組成物は、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内および静脈内など)、目(眼)、肺(鼻またはバッカル吸入)または鼻内投与に適当であるが、任意の所定の症例における最も適当な経路は、治療を行う疾患の性質および重篤度、および活性成分の性質に依存する。それらは、単位投薬形態で好都合に提供されかつ薬剤学の分野で周知の方法のいずれかによって調製されることがある。
本発明の化合物は、スキームI〜IIIに記載の方法の組合せによって調製することができる。スキームIに表したように、3位において置換基Aで置換された4員環状ケトンは、金属化した芳香族またはヘテロ芳香族環M−Q−O−CHZ (M=金属、例えば、Li)と非プロトン性溶媒中で、好ましくは低温で反応して、置換基AおよびQを有するヒドロキシル置換した4員環を形成することができる。YがCHである場合には、2種類の異性体が形成できる(AおよびQは、互いに渡環(transannular)シスまたはトランスである)。最適化条件下では、2種類の異性体の主として一方を形成させることができる。2種類の異性体は、例えば、シリカゲルクロマトグラフィーまたは分取RP−HPLCのような当該技術分野で知られている適当な方法によって分離することができる。
スキームI
スキームIIには、本発明の化合物の合成に必要な4員環状ケトンを調製するのに用いられる方法が要約されている。オプションa)では、例えば、対応するハロゲン含有出発材料R−A−X(X=ハロゲン)のビニル化によって調製したビニルを有する中間体は、イン・シテューで形成したα,α−ジクロロケトンと反応して、2,2−ジクロロシクロブタノンを形成することができる。酢酸中還流下でZnを用いる脱ハロゲン化の後に所望の3−置換シクロブタノンが得られる。あるいは、ビニル中間体が、イン・シテューで生成した未置換ケテンと反応して、1段階で所望のシクロブタノン中間体を生成することができる。オプションb)では、3−メチレンシクロブタンカルボニトリルが出発材料として用いられる。 置換ヘテロ環は、当業者に知られている方法によってシアノ基から数段階で構築することができる。所望のシクロブタノンは、当業者に知られている条件および試薬を用いる環外二重結合の酸化的開裂によって、例えば、OsO、オゾンまたはRhCl/NaIOを酸化剤として用いることによって得ることができる。オプションc)は、置換アゼチジノンを調製するために用いた方法を示している。3−ヒドロキシ−アゼチジンとハロ−芳香族またはハロ−ヘテロ芳香族環との間のCu−またはPd−によって触媒されるC−Nクロスカップリングにより、対応するN−置換3−ヒドロキシ−アゼチジンが得られ、これは酸化によって所望のアゼチジノンに転換することができる。
スキームII
スキームIIIには、4員のヒドロキシを有する環の形成後に基Aの置換基の改質を行う幾つかの可能性が例示されている。例えば、脱離基X(例えば、臭化物)は、遷移金属によって触媒されるクロスカップリング反応によってシアノ基、カルボン酸エステル、メチルスルホニルまたはチオエステルで置換することができる。得られた誘導体は、当業者に知られている方法によって更に他の誘導体に転換することかできる。例えば、シアノおよびエステル基は、塩基性条件下で加水分解してカルボン酸を生成することができ、これは次いでアシル−スルホンアミドに転換することができる。ベンジルチオエーテルを塩素化してクロロスルホニル中間体を得ることができ、これはアンモニアと反応して、対応するスルホンアミドとなる。
スキームIII
結果として、本発明は、FXRに結合しFXRの作動薬または調節因子として作用する一般式(1)による化合物に関する。
本発明は、更に前記化合物による前記核レセプターの結合を介する疾患および/または状態の治療および/または予防を目的とする前記化合物の使用にも関する。更に、本発明は、前記化合物による前記核レセプターの結合を介する疾患および/または状態の治療および/または予防のための薬剤の調製を目的とする前記化合物の使用にも関する。具体的には、本発明は、慢性の肝臓内疾患または肝外胆汁鬱滞性疾患の幾つかの形態、胆線維症、急性の肝臓内胆汁鬱滞性疾患、異常な胆汁組成から起こる閉塞性または慢性の炎症性障害、食物脂肪および脂溶性食物ビタミンの摂取減少を伴う胃腸障害、炎症性腸疾患、脂質およびリポタンパク質障害、II型糖尿病およびI型およびII型糖尿病の臨床合併症、強制的脂質および具体的にはトリグリセリド蓄積およびその後の線維症促進経路の活性化による臓器の慢性的脂肪性および線維性変性に起因する疾患および状態、肥満および代謝症候群(脂質代謝異常、糖尿病および異常に高い肥満度指数の複合疾患)、慢性の閉塞性アテローム性動脈硬化症の終点として起こる急性心筋梗塞、急性発作、血栓症、細胞内細菌または寄生性原生動物による持続的感染症、非悪性の過剰増殖性障害、悪性の過剰増殖性障害、結腸腺腫および肝細胞癌、特に脂肪肝および関連症候群、慢性の肝疾患または外科的肝切除の結果としての肝不全または肝機能不全、B型肝炎感染、C型肝炎感染、および/またはアルコールによって誘発される肝硬変またはウイルス性形態の肝炎に関連した胆汁鬱滞性または線維症性の症状の予防および/または治療のための薬剤の調製における式(1)による化合物の使用に関する。
本明細書において表される薬剤は、本発明による化合物と薬学上許容可能なキャリヤーの組合せを包含する通常の方法によって調製することができる。
FXRを核胆汁酸センサーとすることが試みられている。結果として、それは、肝における合成産出量および(胆汁酸結合タンパク質を調節することによって)腸におけるそれらの再循環の両方を調節する。しかし、胆汁酸生理学の範囲を超えると、FXRは、コレステロール胆石、II型糖尿病、脂質代謝異常または肥満のような代謝障害、炎症性腸疾患のような慢性の炎症性疾患または胆汁鬱滞および多くの他の疾患の慢性的肝臓内形態など様々な疾患の病因に関連しかつ治療のための多くの多種多様な生理学的過程の調節に関係していると思われる(T. Claudel et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 2005, 25, 2020; Y. D. Wang et al., Cell Res. 2008, 18, 1087)。
FXRは、肝および胃腸管における応答遺伝子の複雑なパターンを調節する。この遺伝子生成物は、様々な生理学的過程に影響を与える。FXRの機能分析の過程で、分析された最初の調節ネットワークは胆汁酸合成の調節であった。LXRは、コレステロールの胆汁酸への転換の重要な酵素であるCyp7A1を調節核レセプターLRH−1の誘導によって誘発するが、FXRはLRH−1に対する主要な抑制因子であるもう一つの核レセプターであるSHPをコードするmRNAのアップレギュレーションによってCyp7A1の誘発を抑制する。FXRはこの経路の最終生成物であるコール酸(CA)またはCDCAのような一次胆汁酸を結合するので、これは遺伝子発現レベルに対するフィードバック阻害の一例と考えることができる(B. Goodwin et al., Mol. Cell 2000, 6, 517; T. T. Lu et al., Mol. Cell 2000, 6, 507)。SHPのよる胆汁酸合成の抑制と平行して、FXRは、肝細胞サイトゾルから胆汁が生成する小胆管分岐である小管への有毒な胆汁酸の輸出に関与するいわゆるABC(ATP結合カセット)トランスポーターの範囲を誘発する。FXRのこの肝保護機能は、肝における幾つかのABC−トランスポーターの過小または過剰発現が示されたFXRノックアウトマウスの分析によって最初に明らかになった(C. J. Sinal et al., Cell 2000, 102, 731)。更に詳細な分析により、主要な胆汁塩排出ポンプBSEPまたはABCB11(M. Ananthanarayanan et al., J. Biol. Chem. 2001, 276, 28857; J. R. Plass et al., Hepatology 2002, 35, 589)並びにリポタンパク質からリン脂質への脂質移動を仲介するキータンパク質であるPLTP(N. L. Urizar et al., J. Biol. Chem. 2000, 275, 39313)、およびリン脂質に対する二種類の重要な小管膜トランスポーターMRP−2(ABCC4)(H. R. Kast et al., J. Biol. Chem. 2002, 277, 2908)およびMDR−3(ABCB4)(L. Huang et al., J. Biol. Chem. 2003,278, 51085)が、FXRによるリガンド指定転写活性化の直接的標的であることが明らかにされた(M. Miyata, J. Pharmacol. Exp. Ther. 2005, 312, 759; G. Rizzo et al., Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 2005, 5, 289に要約されている)。
FXRが胆汁酸の合成、輸出および再循環の主要な代謝物センサーであると思われる事実は、胆汁流を誘発し、胆汁酸組成を更に親水性組成に変化させる目的でのFXRリガンドの使用を示唆した。ツール化合物としての最初の合成FXRリガンドGW4064(P. R. Maloney et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 2971; T. M. Willson et al., Med. Res. Rev. 2001, 21, 513)および半合成的人工胆汁酸リガンド6−α−エチル−CDCAの開発により、有効な作動薬によるFXRの超刺激(superstimulation)の効果を分析することができた。両リガンドは、胆管結紮動物での胆汁流を誘発することが示された。更に、胆汁分泌促進効果に加えて、肝保護効果を明らかにすることができた(R. Pellicciari et al., J. Med. Chem. 2002, 45, 3569; Y. Liu et al., J.Clin. Invest. 2003, 112, 1678)。この肝保護効果は、更に、マトリックス−メタロプロテアーゼTIMP−1および2組織阻害薬の抑制、肝星細胞におけるコラーゲン付着物分解マトリックス−メタロプロテアーゼ2の誘発、およびいずれも線維化促進(pro-fibrotic)因子であるα−コラーゲンmRNAおよび形質転換成長因子β(TGF−β)mRNAのFXR作動薬によるその後の減少から生じる抗線維化効果に限定された(S. Fiorucci et al., Gastroenterology 2004, 127, 1497; S. Fiorucci et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2005, 314, 584)。更に、抗胆汁鬱滞性活性は、胆管結紮動物モデル並びにエストロゲンによって誘発される胆汁鬱滞の動物モデルで明らかにされた(S. Fiorucci et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2005, 313, 604)。
遺伝子研究は、胆汁鬱滞の遺伝形式(進行性家族性肝内胆汁鬱滞=PFIC、I−IV型)では、FXR自身の核内分布はFIC1遺伝子における突然変異の結果として減少するか(PFICのI型では、バイラー病とも呼ばれる)(F. Chen et al., Gastroenterology 2004, 126,756; L. Alvarez et al., Hum. Mol. Genet. 2004, 13, 2451)、またはMDR−3リン脂質輸出ポンプをコードするFXR標的遺伝子のレベルが減少する(PFICのIII型)ことを明らかにしている。まとめると、FXR結合化合物は、原発性胆汁性肝硬変(PBC)または原発性硬化性胆管炎(PSC)のような慢性の胆汁鬱滞性疾患の最適治療計画において実質的な臨床的有用性を示すことの多くの証拠がある(G. Rizzo et al., Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 2005, 5, 289; G. Zollner et al., Mol. Pharm. 2006, 3, 231; S. Y. Cai et al., Expert Opin. Ther. Targets 2006, 10, 409に概説されている)。
FXR活性化が胆汁酸代謝および排泄に対して有する大きな影響は、胆汁鬱滞性症候群のみならず、胆石形成に対する療法に一層直接的に関係している。コレステロール胆石は、肝細胞から小管の管腔へ活発に送出されるコレステロールの溶解性が低いために生じる。混合ミセルの形成、従って、胆汁中の遊離コレステロールの見掛けの溶解度を決定するのは、3種類の主要成分である胆汁酸、リン脂質および遊離コレステロールの含量の相対比である。FXR多形は、胆石疾患の一因としての定量的形質座としてマップする(H. Wittenburg, Gastroenterology 2003, 125, 868)。合成FXRツール化合物GW4064を用いると、FXRの活性化により、コレステロール飽和指数(CSI)が向上し、かつC57L胆石感受性マウスでの胆石形成が廃止されるが、FXRノックアウトマウスでの薬剤投与は胆石形成に何ら効果を示さないことを明らかにすることができた(A. Moschetta et al., Nature Medicine 2004, 10, 1352)。
これらの結果は、コレステロール胆石形成の防止または外科的除去または衝撃波砕石術後に胆石の再形成の防止に用いることができる低分子作動薬の開発の良好な標的としてFXRを認めるものである(S. A. Doggrell, Curr. Opin. Investig. Drugs 2006, 7, 344で検討されている)。
従って、本発明の一つの態様では、式(1)による化合物および前記化合物を含んでなる医薬組成物は、コレステロール胆石としても知られている胆石症のような異常な胆汁組成から生じる閉塞性または慢性の炎症性障害の予防および/または治療に用いられる。
FXRが肝において小分子に対して刺激された活性化を示すその強力な肝保護および胆汁分泌促進並びに抗線維化効果の他に、FXRは、腫瘍性形質転換および消化管におけるポリープの発生およびそれらの腺腫への転移から腸を保護する役割を有すると思われる(S. Modica et al., Cancer Res. 2008, 68, 9589 and R. R. Maran et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2009, 328, 469)。腸における状況と同様に、FXRが存在しないと、最も有名な形態の肝癌である肝細胞癌(HCC)の形成が著しく増加する(I. Kim et al., Carcinogenesis 2007, 28, 940 and F. Yang et al., Cancer Res. 2007, 67, 863)。機能性FXRは、結腸腺腫および肝細胞癌の形成を防止するが、FXR活性化は肝切除後に肝再生を誘発する(W. Huang et al., Science 2006, 312, 233)。
FXR活性化に伴う肝保護、抗悪性および肝再生の組合せ効果は、重篤な肝疾患の治療におけるFXR作動薬の使用の目的で治療に利用することができる。一つの態様では、本発明による化合物および前記化合物を含んでなる医薬組成物は、HCCのような肝疾患の治療、肝再増殖の刺激、および主要肝切除、病因から独立した肝硬変および肝移植または主要肝手術の経過中における肝虚血の防止または治療に伴う副作用の緩和に用いられる。
最初の合成FXR作動薬の発見とそれの齧歯類への投与以来、FXRは is a key regulator of血清トリグリセリドの重要な調節因子であることが明らかになった(P. Maloney et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 2971; T. Willson et al., Med. Res. Rev. 2001, 21, 513)。過去6年間にわたって、合成作動薬によるFXRの活性化により、主として還元型VLDLの形態での血清トリグリセリドが有意に減少するが、総血清コレステロールも減少するという多くの証拠が公表されてきた(H. R. Kast et al., Mol. Endocrinol. 2001, 15, 1720; N. L. Urizar et al., Science 2002, 296, 1703; G. Lambert et al., J. Biol. Chem. 2003, 278, 2563; M. Watanabe et al., J.Clin. Invest. 2004, 113, 1408; A. Figge et al., J. Biol. Chem. 2004, 279, 2790; S. Bilz et al., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 2006, 290, E716)。
しかし、血清トリグリセリドの低下は、他に例を見ない効果というものではない。db/dbまたはob/obマウスに合成FXR作動薬GW4064を投与すると、血清トリグリセリド、総コレステロール、遊離脂肪酸、3−OHブチレートのようなケトン体が著しくかつ組み合わせて減少した。更に、FXR活性化により、肝細胞における細胞内インスリンシグナル伝達経路と連動して、肝グルコース新生からのグルコースの産出が減少するが、同時に肝グリコーゲンが増加する。インスリン感受性並びに糖耐性は、FXR投与によって肯定的に影響を受ける(K. R. Stayrook et al., Endocrinology 2005, 146, 984; Y. Zhang et al., PNAS 2006, 103, 1006; B. Cariou et al., J. Biol. Chem. 2006, 281, 11039; K. Ma et al., J. Clin. Invest. 2006, 116, 1102; D. Duran-Sandoval et al., Biochimie 2005, 87, 93)。体重の減少に対する効果も、最近、高脂質食餌を過剰投与したマウスで観察された(C. Lihong et al., American Diabetes Association (ADA) 66th annual scientific sessions, June 2006, Abstract Number 856-P)。この体重損失効果は、体重損失と筋骨型表現型を生じることが知られている線維芽細胞増殖因子であるFGF−19 のFXRの誘発から生じることがある(J. Holt et al., Genes Dev. 2003, 17, 1581; E. Tomlinson et al., Endocrinology 2002, 143, 1741)。最近の特許出願明細書では、FXR作動薬の of体重減少に対する効果が明らかにされた(WO 2004/087078号公報、WO 2003/080803号公報)。
まとめると、これらのFXR作動薬の薬理効果を、様々な治療方法に利用することができ、FXR結合化合物は、それらのインスリン感受性、グリコーゲン生成および脂質低下効果によりII型糖尿病の治療の良好な候補であると考えられる。
一つの態様では、本発明による化合物および前記化合物を含んでなる医薬組成物は、FXRによって伝達される全身的インスリン感受性および肝における細胞内インスリンシグナル伝達のアップレギュレーション、末梢グルコース摂取および代謝の増加、肝におけるグリコーゲン貯蔵の増加、肝で生成したグルコース新生から血清へのグルコースの産出量の減少によって克服することができるII型糖尿病の予防および/または治療に用いられる。
もう一つの態様では、前記化合物および医薬組成物は、PBC、PSC、進行性家族性胆汁鬱滞(PFIC)、アルコールによって誘発される肝硬変および関連の胆汁鬱滞のような慢性の肝臓内疾患、および肝外胆汁鬱滞性疾患の幾つかの形態または胆線維症の予防および/または治療に用いられる。
本発明は、胆汁酸およびリン脂質の腸内レベルを増加することによって克服することができる食物脂肪および脂溶性食物ビタミンの摂取減少を伴う胃腸疾患の予防および/または治療のための、式(1)の化合物または前記化合物を含んでなる医薬組成物にも関する。
もう一つの態様では、前記化合物または医薬組成物は、総血漿コレステロールの低下、血清トリグリセリドの低下、肝コレステロールの胆汁酸への転換増加、およびVLDLおよび肝における他のリポタンパク質のクリアランスおよび代謝変換の増加に対するFXRの好都合な効果によって緩和することができる臨床上明らかな疾患としての高コレステロール血症、高トリグリセリド血症およびアテローム性動脈硬化症のような脂質およびリポタンパク質障害からなる群から選択される疾患の予防および/または治療に用いられる。
もう一つの態様では、前記化合物および医薬組成物は、疾患の予防および/または治療であって、FXRを標的とする薬剤の脂質低下、抗胆汁鬱滞性および抗線維化の組合せ効果を、脂肪肝およびNASHのような関連症候群の治療、またはアルコールによって誘発される肝硬変またはウイルス性形態の肝炎に関連した胆汁鬱滞性または線維症性の症状の治療に利用することができる。
脂質低下効果と合わせて、機能性FXRの損失により、ApoEノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症が増加することも示された(E. A. Hanniman et al., J. Lipid Res. 2005, 46, 2595)。従って、FXR作動薬は、抗アテローム性動脈硬化症および心臓保護薬として臨床的有用性を有することがある。脈管の平滑筋細胞におけるエンドセリン−1のダウンレギュレーションも、このような有益な治療効果に寄与することがある(F. He et al., Circ. Res. 2006, 98, 192)。
本発明は、急性心筋梗塞、急性発作、または慢性の閉塞性アテローム性動脈硬化症の終点として起こる血栓症のような心臓血管障害の予防および外傷後治療のための式(1)による化合物または前記化合物を含んでなる医薬組成物にも関する。
腸および結腸のポリープ形成を制御することの他に、FXRは、乳癌組織および細胞系で発現するが健康な乳房組織では発現しないと思われ、ER陽性の乳癌細胞においてエストロゲンレセプターと相互作用すると思われる(K. E. Swales et al., Cancer Res. 2006, 66, 10120 and F. Journe et al., Breast Cancer Res. Treat. 2009, 115, 523)。
これは、FXRを、増殖性疾患、特にFXRの小分子応答性形態を発現する転移性癌形態の治療の潜在的標的と考えることもできるであろう。
もう一つの態様では、前記化合物および医薬組成物は、様々な形態の癌、特にある形態の乳癌、肝癌または結腸癌であって、FXRリガンドの干渉が有益な影響を有するような悪性の過剰増殖性障害の予防および/または治療に用いられる。
最後に、FXRは、腸における抗菌防御の制御に関わっていると思われるが(T. Inagaki et al., PNAS. 2006, 103, 3920)、正確な機構は提供されていない。しかしながら、これらの公表データから、FXR作動薬を用いる治療は炎症性腸障害(IBD)、特に腸の上部(回腸)が冒されている形態(例えば、回腸クローン病)の治療に有益な影響を与える可能性があり、これは、細菌増殖に対するFXR制御の作用部位であると思われるからである。IBDでは、適応免疫応答の脱感作は、腸の免疫系では幾分損なわれる。細菌の異常増殖は、次いで慢性の炎症性反応の確立を引き起こす引き金となることがある。従って、FXR性機構による細菌増殖の低下は、急性の炎症性症状の発現を防止するための重要な機構であることがある。
従って、本発明は、クローン病または潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患に関連した疾患を予防および/または治療するための式(1)による化合物または前記化合物を含んでなる医薬組成物にも関する。腸バリヤー機能のFXRによる回復および非偏共性(non-commensal)細菌負荷の減少は、細菌性抗原が腸免疫系に暴露されるのを減少させる上で有用であると思われ、従って、炎症性反応を減少させることができる。
本発明は、血清トリグリセリド、血糖およびインスリン感受性増加のFXRによる低下およびFXRによる体重損失によって克服することができる肥満および代謝症候群(脂質代謝異常、糖尿病および異常に高い肥満度指数の複合疾患)のような関連障害の予防および/または治療を目的とする化合物または医薬組成物にも関する。
もう一つの態様では、本発明の化合物または医薬組成物は、I型およびII型糖尿病の臨床合併症の予防および/または治療に有用である。このような合併症の例としては、糖尿病性腎障害、糖尿病性網膜症、 糖尿病性神経障害、または末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)が挙げられる。糖尿病の他の臨床合併症も、本発明に包含される。
更に、脂質および特にトリグリセリドの強制的蓄積およびその後の線維症促進経路の活性化による臓器の慢性の脂肪過多および線維症性変性から生じる状態および疾患は、本発明の化合物または医薬組成物を適用することによって予防および/または治療することもできる。このような状態および疾患は、肝のNASHおよび慢性の胆汁鬱滞性状態、腎臓の糸球体硬化症および糖尿病性腎障害、眼の黄斑変性および糖尿病性網膜症および脳のアルツハイマー病のような神経変性疾患、または末梢神経系における糖尿病性神経障害を包含する。
実際的使用では、本発明の化合物は、通常の薬学的調合手法に従って緊密な混合物における活性成分として薬学キャリヤーと組み合わせることができる。キャリヤーは、投与に所望な製剤の形態、例えば、経口または非経口(静脈内を含む)によって多種多様な形態を採ることがある。経口投与形態の組成物の調製では、通常の薬学媒体、例えば、経口液状製剤、例えば、懸濁液、エリキシルおよび溶液の場合には、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤、着色剤など、または経口固形製剤、例えば、粉末、硬質および軟質カプセル、および錠剤の場合には、澱粉、糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのキャリヤーのいずれかを用いることができるが、固形経口製剤が液状製剤より好ましい。
投与が容易であるため、錠剤およびカプセルが最も好都合な経口投薬単位形態であり、この場合には、固形薬学キャリヤーが明らかに用いられている。所望ならば、錠剤を標準的な水性または非水性手法によってコーティングすることができる。このような組成物および製剤は、活性化合物を少なくとも0.1%含むものとする。これらの組成物における活性化合物の割合は、変化することがあることはもちろんであり、好都合には単位の重量の約2%〜約60%であることがある。このような治療上有用な組成物における活性化合物の量は、有効な用量が得られるような量である。活性化合物は、例えば、液状ドロップまたはスプレーとして鼻内投与することもできる。
錠剤、丸剤、カプセルなどは、トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシ澱粉またはゼラチンのような結合剤、リン酸二カルシウムのような賦形剤、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、アルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、およびスクロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味料を含むこともある。投薬単位形態がカプセルであるときには、それは、上記種類の材料の他に、脂肪油のような液状キャリヤーを含むことがある。
様々な他の材料が、コーティングとしてまたは投薬単位の物理形態を変更する目的で含まれることがある。例えば、錠剤は、シェラック、糖または両者でコーティングすることがある。シロップまたはエリキシルは、活性成分の他に、甘味料としてスクロース、防腐剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素、およびサクランボまたはオレンジ香味のような香味料を含むことがある。
本発明の化合物は、主としてカルボン酸または同様なそのアニオン性アイソスターを表すので、またイオン性薬剤化合物の塩形態は薬剤化合物のバイオアベイラビリティーに実質的に影響する可能性があることは周知であるので、本発明の化合物は、様々な対カチオンとの塩として用いて経口利用可能な薬剤処方を得ることもできる。このような薬学上許容可能なカチオンは、とりわけ、アンモニウム、アルカリ金属ナトリウムまたはカリウムまたはアルカリ土類金属マグネシウムまたはカルシウムのような一価または二価イオン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エチレンジアミン、ジエチルアミン、ピペラジンなどの薬学上許容可能なアミン、またはリジンまたはアルギニンのようなある種のカチオン性アミノ酸であることがある。
本発明の化合物は、非経口に投与してもよい。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシ−プロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合した水で調製することができる。分散液は、グリセロール、液状ポリエチレングリコールおよびそれらの油中混合物で調製することもできる。通常の補完および使用条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するために防腐剤を含む。
注射用の用途に適する剤型としては、滅菌した水性溶液または分散液および滅菌した注射用溶液または分散液の即座の調剤のための滅菌した粉末が挙げられる。総ての場合に、形態は滅菌していなくてはならずかつ注射器が容易に使用できる程度まで流動性でなければならない。それは製造および保管の条件下では安定でなければならず、かつ細菌や真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。キャリヤーは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であることができる。
任意の適当な投与経路を用いて、哺乳類、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を供給することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、目、肺、鼻などを用いることができる。投薬形態としては、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾールなどを用いることができる。好ましくは、本発明の化合物は、経口投与される。
用いられる活性成分の有効用量は、用いられる特定の化合物、投与方式、治療を行う状態および治療を行う状態の重篤度によって変化することがある。このような投薬量は、当業者が容易に確かめることができる。
本発明の化合物が必要なFXRによる状態を治療または防止するときには、本発明の化合物を動物体重1kgあたり約0.1mg〜約100mgの一日用量を、好ましくは単回一日用量としてまたは1日2〜6回の分割用量で、または徐放性形態で投与するときに一般に満足な結果が得られる。大部分の大型哺乳類に対しては、総一日用量は約1.0mg〜約1000mgであり、好ましくは約 1mg〜約50mgである。70kgの成人の場合には、総一日用量は一般に約7mg〜約350mgである。この投薬計画は、最適の治療応答を提供するために調整することができる。
本発明の化合物は、適当な材料を用いて下記のスキームおよび実施例の手順に従って調製することができ、下記の具体例によって更に例示される。更に、当該技術分野における通常の技術と合わせて本明細書に記載の手順を利用することによって、本明細書に記載の本発明の追加化合物を容易に調製することができる。しかしながら、実施例に例示した化合物は、本発明と考えられる唯一の種類を形成するものと解釈すべきではない。実施例は、更に本発明の化合物の調製の詳細を例示する。当業者であれば、下記の調製手順の条件および過程の既知の変化を用いて、これらの化合物を調製することができることを容易に理解するであろう。本発明の化合物は、一般に上記したようなそれらの薬学上許容可能な塩の形態で単離される。
単離塩に対応するアミン不含塩基は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム水溶液のような適当な塩基を用いる中和、および遊離したアミン不含塩基の有機溶媒への抽出の後、蒸発によって生成させることができる。この方法で単離したアミン不含塩基は、更に、有機溶媒に溶解した後、適当な酸を加え、次いで蒸発、沈澱または結晶化によって別の薬学上許容可能な塩に転換することができる。単離した塩に対応するカルボキシル不含酸は、塩酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水溶液のような適当な酸を用いる中和、および遊離したカルボキシル不含酸の有機溶媒への抽出の後、蒸発によって生成させることができる。この方法で単離したカルボン酸は、更に、有機溶媒に溶解した後、適当な塩基を加え、次いで蒸発、沈澱または結晶化によって別の薬学上許容可能な塩に転換することができる。
本発明の化合物の調製の実例を、下記に示す。スキームに示されない限り、変数は上記と同じ意味を有する。下記に示される実施例は、本発明の特定の実施態様を示すものと解釈される。下記のような合成に用いられる適当な出発材料、成分および試薬は、例えば、Sigma-AldrichまたはAcros Organicsから市販されているか、または文献、例えば、「マーチの最新有機化学:反応、機構および構造 (March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structuire)」、第5版、John Wiley & Sons、またはT. Eicher, S. Hauptmann著 「複素環化合物の化学:構造、反応、合成および応用 (The Chemistry of Heterocycles; Structures, Reactions, Synthesis and Application)」、第2版、Wiley-VCH 2003、Fieser et al. 「ファイザーの有機合成のための試薬(Fiesers’Reagents for Organic Synthesis)」、John Wiley & Sons 2000に記載の手順によって日常的に調製することができる。
実施例1: メチル=3−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)ベンゾエート(1)
段階1: 4−((4−ブロモ−3−クロロフェノキシ)メチル)−5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)−イソキサゾール (1a)
(5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メタノール(13g,45.8ミリモル)をCHCH(DCM)(200ml)に溶解したものに、SOCl(40ml,336ミリモル)を滴下した。生成する混合物を室温で2時間撹拌し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(200ml)に溶解し、4−ブロモ−3−クロロフェノール(9.7g,47ミリモル)、KCO(40g,290ミリモル)およびNaI(12g,80ミリモル)をこの溶液に加えた。混合物を60℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却し、水(1000ml)で希釈し、酢酸エチル(EA)(500ml×3)で抽出した。合わせた有機相を塩水(500ml×3)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空濃縮した。残渣をシリカゲル(CC)上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物1a(19g,88%)を白色固形物として得た。
段階1: メチル=3−(2,2−ジクロロ−3−オキソシクロブチル)ベンゾエート(1b)
窒素雰囲気下で冷却器、オーバーヘッド攪拌機および圧力を均等にした滴下漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに、メチル=3−ビニルベンゾエート(5g,31ミリモル)を乾燥EtO(150ml)に溶解した。このフラスコに、亜鉛末 (6g,3当量)を加え、反応を30分間音波処理した。その後、トリクロロアセチルクロリド(8.7ml,2.5当量)を乾燥EtO(50ml)に溶解したものを、更に30分間音波処理を継続しながら滴加した。この工程中に、反応混合物を35℃に加熱した。音波処理を還流温度で2.5時間継続したところ、反応はH NMR分析によれば完結したと思われた。 反応を室温まで放冷し、水(約50ml)で反応停止した。これは、遅延発熱反応が起こるので、数分間だけ間隔を置いて滴加法で行った。水中で20分間撹拌した後、反応混合物をセライトのパッドで濾過し、EtOで洗浄した。有機層を、小分けした水(2x250ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(2x250ml)および塩水(1x250ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物1bを暗黄色の粘稠な油状生成物として得た(粗生成物8.7g)。
段階2: メチル=3−(3−オキソシクロブチル)ベンゾエート (1c)
粗製化合物 1b (8.7g)を、丸底フラスコ中で窒素雰囲気下にて氷酢酸(55ml)に溶解した。このフラスコに、亜鉛末(4.6g,2.2当量)を加え、反応を撹拌し、120℃まで3時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物をセライトのパッドで濾過し、これを何回かに分けたEAで洗浄した。合わせた溶液を減圧濃縮した後、EA(500ml)に溶解し、塩水(150ml×2)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、再度濃縮した。粗製混合物をクロロホルム(250ml)中で5分間撹拌し、焼結漏斗で濾過した。濾液を濃縮し、粗生成物を淡黄色油状生成物として得た。粗生成物をCCにより(PE/EA=9:1,PE=石油エーテル)で精製し、所望の生成物1c(2.5g,二段階に対して38%)を淡黄色油状生成物として得た。
段階3: メチル=3−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)ベンゾエート(1)
化合物1a (1.67g,3.5ミリモル)を乾燥THF(30ml)に撹拌溶解したものに、n−BuLi(ヘキサン中2.5M,1.2当量,1.69ml)を窒素雰囲気下にて−78℃で10分間かけて滴加した。これを、この温度で1時間撹拌した後、化合物1c(0.72g,1当量)を乾燥THF(10ml)に溶解したものを滴加し、この温度で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで徐々に加温し、一晩撹拌した。反応を、飽和塩化アンモニウム (50ml)とEA(250ml)の溶液で反応停止した。有機層を分離し、水性層EA(2x100ml)で洗浄した。合わせた有機抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、濃縮し、粗生成物を褐色油状生成物として得た。生成物をPE/EA(19:1〜3:1)を用いるCCによって分離した。反応および精製を同じ規模で2回繰り返し、合わせた生成物(3.15g)を同じ条件下で再精製し、最終生成物1(1.7g,19%)を得た。H NMR(CDCl): 7.93(m,1H),7.90−7.85(m,1H),7.50−7.30(m,5H),6.88(s,1H),6.75−6.72(m,1H),4.80(s,2H),3.88(s,3H),3.20−3.10(m,1H),3.00−2.91(m,2H),2.60−2.49(m,2H),2.15−2.08(m,1H),1.30−1.25(m,2H),1.15−1.10(m,2H)。
実施例2: 3−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)安息香酸(2)
化合物1(1.7g,2.84ミリモル)を、THF(100ml)に室温で溶解した。LiOH(285mg,4.2当量)を水(20ml)に溶解したものを加え、溶液を撹拌して、35℃に3日間加温した。その後、THFを減圧下で留去した。残っている水性溶液を水(25ml)で希釈し、EtO(2x50ml)で洗浄した。次いで、水性層を丸底フラスコに移し、1N HClを用いて酸性にしてpH6とした。形成した白色沈澱を濾別し、減圧下50℃で乾燥し、標題化合物2(1.3g,78%,単一異性体、H−NMRおよびLC−MSによる)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDOD) δ:7.98(s,1H),7.86 (d,J=7.6Hz,1H),7.58−7.48(m,5H),7.41(t,J=7.6Hz,1H),6.91(d,J=2.4Hz,1H),6.80(dd,J=8.8,2.4Hz,1H),4.95(s,2H),3.29−3.25(m,2H),2.96(m,1H),2.55−2.49(m,2H),2.37(m,1H),1.24−1.22(m,4H)。MS(ESI)m/z:584(582)[M−1]
関連の強いNOE(ROESYスペクトルからえられる。下記矢印)は、2つの芳香族残基が、実施例2では1,3−トランスに配向していることを示している。
実施例2への代替経路
段階1: 3−(3−ブロモフェニル)シクロブタノン(2a)
N,N−ジメチルアセタミド(9.0g,103ミリモル)を、1,2−ジクロロエタン(200ml)に溶解した。溶液を0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(63g,223ミリモル)を加えた。反応を、0℃で更に60分間撹拌した。次いで、1−ブロモ−3−ビニルベンゼン(15g,81.9ミリモル)と2,4,6−コリジン(10.5g,86.6ミリモル)を加えた。反応を、還流温度で一晩加熱し、水(300ml)を加えて反応停止し、室温で2時間撹拌した。混合物をDCM(300ml×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、真空濃縮した。CC(EA/PE=1:20)によって精製し、標題化合物2a(5.0g,27%)を淡黄色固形物として得た。
段階2: 3−(3−ブロモフェニル)−1−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)シクロブタノール(2b)
化合物1a(14g,29.6ミリモル)を乾燥THF(500ml)に−78℃で溶解したものに、n−BuLi(18.5ml,ヘキサン中1.6M,29.6ミリモル)を滴加した。混合物を−78℃で更に1時間撹拌し、化合物2a(6.5g,28.9ミリモル)を乾燥THF(50ml)に溶解したものを滴加した。生成混合物を−78℃で1時間撹拌した後、室温まで加温し、飽和のNHCl水溶液(500ml)で反応停止した。混合物をEA(500ml×2)で抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空濃縮した。残渣をCC(EA/PE=1:5)によって精製し、標題化合物2b(6.5g,37%)を白色固形物として得た。
段階3: 3−(3−シアノフェニル)−1−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)シクロブタノール(2c)
化合物2b(3.1g,5ミリモル)をDMF(50ml)に溶解したものに、アルゴン雰囲気下にてZn(CN)(500mg,4.3ミリモル)、Pd(dba)(300mg,0.33ミリモル)およびキサントホス(150mg,0.31ミリモル)を加えた。混合物を、マイクロ波照射下にて115℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(250ml)で希釈し、EA(250ml×2)で抽出した。合わせた有機層を塩水(100ml×3)で洗浄し、NaSO上で乾燥した。残渣をCC(EA/PE)によって精製し、標題化合物2c(1.2g,42%)を淡黄色固形物として得た。
段階4: 3−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)安息香酸(2)
化合物2c(15g,24.2ミリモル)をEtOH(750ml)に溶解したものに、NaOH水溶液(40g/水100ml)を加えた。生成混合物を還流温度に一晩加熱した後、室温まで冷却した。反応を真空濃縮して揮発性溶媒を留去し、水(1000ml)で希釈して、HCl水溶液(1N)でpHを2に調整した。形成した沈澱を濾過によって集め、粗生成物を黄色固形物(13.8g)として得た。分取用逆相HPLC(RP−HPLC)によって精製し、標題化合物2(8.0g,56%,単一異性体、H−NMRによる)を白色固形物として得た。
調製実施例3
段階1:メチル=3−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)ベンゾエート(3a)
メチル=3−ヨード安息香酸(4.5g,17.2ミリモル)をDMSO(30ml)に溶解したものに、3−アゼチジン−3−オール塩酸塩(1.3g,11.8ミリモル)、CsCO(9.5g,29.2ミリモル)、CuI(446mg,2.3ミリモル)およびL−プロリン(540mg,4.7ミリモル)を加えた後、混合物をアルゴン雰囲気下にて90℃で18時間加熱した。溶液をEAと水で希釈し、有機層を塩水で3回洗浄し、減圧下にて濃縮し、CC(PE/EA=2:1)によって精製し、化合物3a(1.6g,66%)を黄色固形物として得た。
段階2:メチル=3−(3−オキソアゼチジン−1−イル)ベンゾエート(3)
化合物3a(1.60g,7.7ミリモル)を乾燥DCM(30ml)に溶解したものに、デス−マーチン・ペリオジナン(6.5g,15.4ミリモル)を0℃で加え、混合物をN雰囲気下にて室温で2時間撹拌した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応停止し、EAで希釈した。有機部分を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下にて濃縮し、CC(PE/EA=4:1)によって精製し、化合物3(1.2g,75%)を白色固形物として得た。
実施例4: 3−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド(4)
化合物2(100mg,0.17ミリモル)をDCM(5ml)に溶解したものに、EDCI・HCl(100mg,0.52ミリモル)、DMAP(100mg,0.81ミリモル)およびMeSONH(40mg,0.42ミリモル)を加えた。混合物を30℃で一晩撹拌した後、EAで希釈して、HO、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。真空濃縮および分取TLCによる精製を行い、粗製の標的化合物を明黄色固形物として得た。RP−HPLC精製の結果、標題化合物4(38mg,33%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDOD) δ:7.87(s,1H),7.74(d,J=7.6Hz,1H),7.61−7.53(m,4H),7.50−7.46(m,2H),6.91(d,J=2.4Hz,1H),6.80(dd,J=8.8,2.4Hz,1H),4.95(s,2H),3.38(s,3H),3.30−3.28(m,2H),3.01(m,1H),2.57−2.51(m,2H),2.37(m,1H),1.25−1.23(m,4H)。MS(ESI)m/z:659[M−1]
実施例5: 3−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルホンアミド(5)
段階1:3−(3−(ベンジルチオ)フェニル)−1−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)シクロブタノール(5a)
化合物2b(619mg,1ミリモル)をアルゴン雰囲気下にてトルエン(20ml)に溶解したものに、KCO(276mg,2ミリモル)、フェニルメタンチオール(125mg,1ミリモル)、Pd(dba)(200mg,0.22ミリモル)およびキサントホス(75mg,0.16ミリモル)を加えた。次いで、混合物を115℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応を水(100ml)で希釈し、EA(100ml×2)で抽出した。合わせた有機層を塩水(100ml×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮乾固した。CCによる精製の結果、化合物5a(200mg,30%)を淡黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl) δ:7.36−7.32(m,3H),7.28−7.07(m,9H),7.01(d,J=7.2Hz,1H),6.82(d,J=2.0Hz,1H),6.66(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),4.75(s,2H),4.04(s,2H),3.06−3.00(m,2H),2.84−2.78(m,2H),2.44−2.38(m,3H),2.09(m,1H),1.24−1.18(m,2H),1.11−1.08(m,2H)。 MS(ESI)m/z:662[M+1]
段階2:3−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)ベンゼン−1−スルホニルクロリド(5b)
化合物5a(34mg,0.05ミリモル)をCHCN/HOAc/HO(1ml/37μl/25μl)に溶解したものに、2,4−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(20mg,0.1ミリモル)を加えた。混合物を、0−5℃で2時間撹拌した。反応を水で希釈し、CHCHで抽出した。合わせた有機層を5% NaHCO溶液、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。 濃縮乾固の結果、粗生成物5b(30mg)を無色油状生成物として得て、これを直接次の段階に用いた。
段階3:3−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)ベンゼンスルホンアミド(5)
化合物5b(30mg)をCHCN(2ml)に溶解したものに、NHOH(0.3ml)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。濃縮乾固および分取RP−HPLCの結果、標題化合物5(3.5mg,二段階に対して10%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl) δ:7.85(s,1H),7.77(d,J=7.6Hz,1H),7.54−7.41(m,5H),7.35(d,J=8.4Hz,1H),6.90(s,1H),6.75(d,J=8.4Hz,1H),4.83(s,2H),4.77(s,broad,2H),3.20(t,J=10.4Hz,2H),3.04(m,1H),2.58(t,J=10.6Hz,2H),2.17(m,1H),1.31−1.30(m,2H),1.20−1.16(m,2H)。MS(ESI)m/z:617[M−1]
実施例6: 1−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−(3−(メチルスルホニル)フェニル)シクロブタノール(6)
化合物2b(200mg,0.32ミリモル)をDMSOに溶解したものに、メタンスルフィン酸ナトリウム(50mg,0.46ミリモル)、CuI(20mg,0.1ミリモル)、L−プロリン(37mg,0.32ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(41mg,0.32ミリモル)を加えた。混合物を95℃で一晩撹拌した後、水で希釈し、EAで抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。減圧下にて濃縮乾固および分取RP−HPLCによる精製の結果、標題化合物6を白色固形物(35mg,21%,単一異性体、H NMRおよびLC−MSによる)として得た。H NMR(400MHz,CDCl) δ:7.84(s,1H),7.79(d,J=7.6Hz,1H),7.60(d,J=7.6Hz,1H),7.53(t,J=7.6Hz,1H),7.44−7.41(m,3H),7.34(t,J=7.2Hz,1H),6.90(d,J=2.8Hz,1H),6.75(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),4.83(s,2H),3.24−3.19(m,2H),3.08−3.04(m,4H),2.62−2.56(m,2H),2.17(m,1H),1.31−1.29(m,2H),1.20−1.16(m,2H)。 MS(ESI+)m/z:618(620)[M+1],600(602)[M−HO+1]
実施例7: メチル=5−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(7)
段階1:メチル= 1−イソプロピル-5-ビニル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(7a)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.89g,7.52ミリモル)を乾燥THF(40ml)に懸濁したものを−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液,3.7ml,5.91ミリモル)を滴加した。黄橙色懸濁液を−78℃で50分間撹拌した後、メチル=5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(WO 2011/020615号公報に記載の方法で調製、1.05g,5.37ミリモル)を乾燥THF(10ml)に溶解したものを滴加した。混合物を−78℃で1.75時間撹拌し、冷却槽を外し、混合物(灰白色懸濁液)を室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を、希NaHCO水溶液(150ml)とEA(150ml)との間に分配した。水性層をEA(それぞれ、50ml)で2回抽出し、合わせた有機層を水(それぞれ、50ml)で2回洗浄し、乾燥なしで濃縮し、2.74gの黄色油状生成物を得て、これは徐々に結晶化した。粗生成物をCC(CHCHで前吸着、ヘキサン/EA4:1)によって精製し、アルケン7a(590mg,57%)を無色油状生成物として得た。H NMR(DMSO−d)δ:7.02(s,1H),6.87(dd,J=17.3,11.2Hz,1H),5.94(dd,J=17.3,1.3Hz,1H),5.45(dd,J=11.2,1.3Hz,1H),4.80 (sept,J=6.6Hz,1H),3.79(s,3H),1.38(d,J=6.6Hz,6H)。C1014(194.23)。LC−MS(ESI):195[M+H]
段階2:メチル= 1−イソプロピル−5−(3−オキソシクロブチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(7b)
反応を、2本の乾燥封管(等量の2バッチ)で行った。バッチを精密検査および精製のために合わせた。単一バッチ手順:N,N−ジメチルアセタミド(0.22ml,2.34ミリモル)を窒素下にて−15〜−20℃で1,2−ジクロロエタン(12ml)に溶解したものに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.43ml,2.57ミリモル)を加え、不透明懸濁液を形成した。混合物を−15℃で10分間撹拌し、アルケン7a(151mg,0.78ミリモル)および sym−コリジン(0.42ml,3.12ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(3ml)に溶解したものを滴加した(黄色溶液が形成)。添加が完了したならば、冷却槽を外し、混合物を室温まで加温し(橙色の濁った溶液)、管を封じた。次いで、混合物を90℃で15時間撹拌した(褐色混合物)。水(5ml)を室温で加え、混合物を100℃で2時間撹拌した(濁った2相溶液)。室温まで冷却した後、混合物を合わせて、希NaHCO水溶液とCHCHの間に分配し、水性層をCHCHで3回(それぞれ30ml)抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、濾過して、濃縮し、褐色油状生成物(2.2g)を得た。CC(6×13cm,CHCHで前吸着,トルエン/EA3:1)によって精製し、シクロブタノン7b(115.5mg,31%)を黄色油状生成物として得た。H NMR(DMSO−d) δ:6.81(s,1H),4.58(sept, J=6.5Hz,1H),3.78(s,3H),3.85−3.73(m,1H),3.59−3.45(m,2H),3.37−3.24(m,2H,水シグナルが部分的に重複),1.39(d,J=6.6Hz,6H)。C1216(236.27)。LC−MS(ESI):237[M+H]
段階3: メチル=5−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(7)
ブロミド1a(368mg,0.78ミリモル)を乾燥THF(6ml)に溶解したものを−78℃に冷却し、1.6M n−ブチルリチウムのヘキサン(0.48ml,0.76ミリモル)溶液を滴加した。混合物を−78℃で20分間撹拌し、シクロブタノン7b(164mg,0.69ミリモル)を乾燥THF(4ml)に溶解したものを滴加した。混合物を−78℃で2.5時間撹拌し、飽和NHCl水溶液(1ml)をこの温度で滴加した。冷却槽を外し、混合物を室温まで加温し、室温で0.5時間撹拌した。次いで、混合物を希NHCl水溶液に加え、EAで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、濾過して、濃縮し、ほぼ無色の油状生成物516mgを得た。CC(4.5×23cm,CHCHで前吸着,溶離剤 ヘキサン/アセトン=2:1)によって精製し、回収シクロブタノン7b(31.3mg,19%,微黄色油状生成物)と不純な生成物(333mg)を得た。CC(4×22cm,ヘキサン/EA=1:1)または分取TLCによって再精製し、純粋な生成物7(210mg,48%)を白色フォームとして得た。H NMR(DMSO−d) δ:7.65(d,J=2.1Hz, 1H),7.62(s,1H),7.59−7.48(m,2H),6.92(d,J=2.4Hz,1H),6.76(dd,J=8.6,2.6Hz,1H),6.66(s,1H),5.49(s,1H),4.92(s,2H),4.42 (quint様m,J=6.5Hz, 1H),3.78(s,3H),3.24−3.11(m,2H,水シグナルが部分的に重複),3.04−2.90(m,1H),2.54−2.33(m,3H,DMSOシグナルが部分的に重複),1.32(d,J=6.5Hz,6H),1.26−1.08(m,4H)。C3130Cl(630.95)。LC−MS(ESI):630,632[M+H]
実施例8: 5−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(8)
エステル7(98.3mg,0.156ミリモル)を、THF(7.5ml)、MeOH(2.5ml)および水(2.5ml)の混合物に溶解し、LiOH・HO(65mg,1.56ミリモル)を室温で加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を希NHCl水溶液とEAの間に分配し、有機層を水で1回洗浄した。合わせた水性層を、EAで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、濾過して、濃縮し、ほぼ白色の固形物103mgを得た。生成物をCC(3×3.5cm,EA/EtOH=10:1−1:4)によって精製し、8(94.8mg,99%)を白色固形物として得た。H NMR(DMSO−d) δ:7.66−7.60(m,1H),7.62(s,1H),7.59−7.49(m,2H),6.91(d,J=2.5Hz, 1H),6.76(dd,J=8.6,2.4Hz,1H),6.38(s,1H),5.51 (s,1H,DOと交換可能),4.92(s,2H),4.31(quint様m,J=6.5Hz,1H),3.25−3.08(m,2H,水シグナルが部分的に重複),2.93−2.77(m,1H),2.57−2.43(m,1H,DMSOシグナルによって隠されている),2.43−2.29(m,2H,DMSOシグナルが部分的に重複),1.29(d,J=6.5Hz,6H),1.26−1.08(m,4H)。COHシグナルは、このスペクトルには現れない。C3028Cl(616.92)。LC-MS(ESI):616,618[M+H]
実施例8への代替経路
段階1:1−(3−メチレンシクロブチル)エタノン(8a)
メチレンシクロブタンカルボニトリル(5.0g,53.7ミリモル)を乾燥ジエチルエーテル(25ml)に溶解し、氷浴で冷却し、MeMgBr(26.8ml,80.5ミリモル,3M、エーテル中)を滴加した。混合物を室温で一晩撹拌し、0℃に冷却し、15%NaHSO水溶液(100ml)で慎重に反応停止した。混合物を室温で30分間撹拌し、層を分離した。水性相をペンタン(50ml)とジエチルエーテル(50ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を室温で真空留去し、粗生成物を帯黄色液状生成物として得た。
段階2:エチル=4−(3−メチレンシクロブチル)−2,4−ジオキソブタノエート(8b)
ナトリウム(1.15g,49.9ミリモル)を、乾燥EtOH(30ml,5%ジエチルエーテルで変性)に溶解した。化合物8a(5.5g,49.9ミリモル,粗製)を乾燥EtOH(45ml)に溶解し、上記で調製したナトリウムエトキシド溶液を加えた。この混合物を室温で15分間攪拌した後、シュウ酸ジエチル(6.8ml,49.9ミリモル)を滴加した。反応混合物を予備加熱(67℃)した油浴に入れ、この温度で4.5時間撹拌した。混合物を室温で一晩放置した。溶媒を留去し、EA(100ml)と1M HCl(70ml)を加え、有機相を分離した。水性相を、EA(50ml)で再抽出した。合わせた有機相を水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を、ヘキサン/MTBE9:1を溶離剤として用いてシリカ上で精製し、純粋な生成物8bを得た。収率:6.29g,二段階に対して56%。H−NMR(CDCl),δ(ppm):6.36(s,1H),4.85−4.80(m,2H),4.34(q,J=8.0Hz,2H),3.35−3.25(m,1H),3.05−2.85(m,4H),1.36(t,J=8.0Hz,3H)。
段階3:エチル=1−イソプロピル−5−(3−メチレンシクロブチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(8c)
化合物8b(6.29g,29.9ミリモル)を乾燥EtOH(65ml,5%MeOHで変性)に溶解し、イソプロピルヒドラジン塩酸塩(3.97g,35.9ミリモル)を加えた。反応混合物を、室温で3時間撹拌した。溶媒を留去し、油状残渣にEA(100ml)、水(50ml)および飽和NaHCO(50ml)を順次に加えた。層を分離し、水性相をEA(50ml)で再抽出した。合わせた有機相を塩水(70ml)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を真空で留去し、残渣を減圧下で乾燥した。収率:7.23g(NMRによれば、EtOAcを3.4%ふくむ。再計算した純粋な収率:6.98g,94%)。粗生成物8cは、HPLCおよびNMRによれば、98%純度である。H−NMR(CDCl),δ(ppm):6.62(s,1H),4.88−4.82(m,2H),4.42−4.32(m,3H),3.56−3.45(m,1H),3.17−3.07(m,2H),2.88−2.79(m,2H),1.49(d,J=8.0Hz,6H),1.37(t,J=8.0Hz,3H)。
段階4:エチル1−イソプロピル−5−(3−オキソシクロブチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(8d)
化合物8c(6.45g,26.0ミリモル)を、MeCN(77ml)と水(13ml)の混合物に溶解し、氷浴中で冷却した。この溶液に、RuCl×HO(0.19g,0.86ミリモル)を加えた後、NaIO(19.35g,90.9ミリモル)を少しずつ加えた。この添加中に、発熱が見られた。得られた粘稠なスラリーを、室温で45分間撹拌した。反応混合物を、Na水溶液(10%,260ml)、水(50ml)およびDCM(100ml)で希釈した。相を分離し、水性相をDCM(2×70ml)で抽出した。合わせた有機相をNa水溶液(10%,50ml)、水(100ml)、塩水(100ml)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。粗生成物(6.5g)をシリカ上で精製し、ヘキサン/MTBEで溶出し、純粋な生成物を油状生成物として得て、これは−20℃で保管すると固化した。収率:5.8g(二段階に対して78%)。H−NMR(DMSO−d), δ(ppm):6.78(s,1H), 4.57(h,J=8.0Hz,1H),4.26(q,J=8.0Hz,2H),3.85−3.75(m,1H),3.58−3.45(m,2H),3.35−3.25(m,2H),1.39(d,J=8.0Hz,6H),1.28(t,J=8.0Hz,3H)。
段階5:4−((4−ブロモ−3−クロロフェノキシ)メチル)−5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール(8e)
3−クロロ−4−ブロモフェノール(3.8g,18.3ミリモル)を(5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メタノール(3.47g,12.2ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(6.41g,24.4ミリモル)とトルエン(150ml)中で混合した。混合物を氷浴中で冷却し、DIAD(4.8ml,24.4ミリモル)をトルエン(10ml)溶液として滴加した。反応を室温で21時間撹拌し、溶媒をロータバップ上で留去し、黄色油状残渣が残った。これをDCM(200ml)に溶解し、シリカ(約20g)を加え、混合物を蒸発乾固した。この材料をシリカカラムの最上部に載せ、ヘキサン/MTBE9:1で溶出して精製した。生成物を含む画分をプールし、溶媒を減圧下にて留去し、純粋な生成物8eが無色の油状生成物として残り、これは、一晩真空乾燥したところ結晶化した。収率:5.07g(88%)。H−NMR(CDCl),δ(ppm):7.45−7.30(m,4H),6.90(s,1H),6.60−6.55(m,1H),2.15−2.07(m,1H),1.32−1.25(m,2H),1.20−1.11(m,2H)。
段階6:エチル=5−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(8f)
LiCl(0.684g,16.15ミリモル)を室温でTHF(20ml)に溶解し、iPrMgCl(2.0MのTHF溶液,8.1ml,16.15ミリモル)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、氷浴中で冷却し、化合物8e(2.55g,5.38ミリモル)のTHF(20ml)溶液を5分間かけて加えた。冷却槽を外し、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を−10℃まで冷却し、化合物8d(1.48g,5.92ミリモル)のTHF(16ml)溶液を素早く加えた。混合物を室温で90分間撹拌した後、0.5M NaHSO水溶液(35ml)とEA(50ml)を加えた。生成混合物を10分間撹拌し、層を分離し、水性層をEA(30ml)で抽出した。合わせた有機相をNaHCO水溶液(50ml)、塩水(50ml)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒の留去後に、粗生成物 (3.79g)を白色フォームとして得た。この粗生成物3.6gをシリカカラム上でヘキサン/EA3:2で溶出して精製し、純粋な生成物8fを白色フォームとして得た。収率:1.62g(49%)。H−NMR(DMSO−d), δ(ppm):7.65−7.47(m,4H),6.93−6.91(m,1H),6.79−6.72(m,1H),6.65(s,1H),5.48(s,1H),4.92(s,2H),4.42(h,J=8.0Hz,1H),4.26(q,J=8.0Hz,2H),3.32(s,2H),3.22−3.14(m,2H),3.05−2.90(m,1H),2.45−2.35(m,2H),1.35−1.10(m,14H)。
段階7:5−((1s,3s)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(8)
化合物8f(1.60g,2.48ミリモル)をTHF(100ml)に溶解した後、MeOH(50ml)、水(50ml)およびLiOH×HO(1.04g,24.8ミリモル)を順次に加えた。混合物を室温で4.5時間撹拌した後、減圧濃縮して、MeOHおよびTHFを留去した。残っている水溶液を、1M HCl水溶液(24ml)を加えて酸性にし、pHが4.05に達するようにした(pH電極コントロール)。既にpHが約7で沈澱が形成し始めた。形成した固形物を濾別し、フィルター上で水で洗浄し、室温で真空乾燥して、生成物8を白色粉末として得た。収率:1.40g(92%)。H−NMR(CDCl),δ(ppm):7.44−7.32(m,4H),6.91(d,J=4.0Hz,1H),6.78(s,1H),6.75(dd,J=4.0Hz,J=8.0Hz,1H),4.83(s,2H),4.35−4.20(m,1H),3.25−3.14(m,2H),3.04−2.90(m,1H),2.62−2.54(m,2H),2.21−2.11(m,1H),1.46(d,J=8.0Hz,6H),1.34−1.28(m,2H),1.20−1.14(m,2H)。13C−NMR(CDCl),δ(ppm):172.7,164.8,159.2,158.4,147.3,141.3,135.8,134.1,132.8,131.3,128.1,127.6,127.3,117.7,113.3,110.0,106.3,73.1,59.8,51.1,41.7,22.6,22.0,8.5,7.8。MS(ESI)m/z:616.4[M+1]
実施例8A: 5−((1r,3r)−3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(8A)
実施例8Aは、8について記載した通り粗生成物8fをエステル加水分解しかつ少量異性体(minor isomer)としての粗生成物8から分取RP−HPLCによって単離することによって調製することかできる。H−NMR(CDCl),δ(ppm):7.42−7.30(m,2H),7.11(d,J=8.0Hz,1H),6.75−6.65(m,1H),6.57(s,1H),4.79(s,2H),4.50−4.41(m,1H),3.96−3.85(m,1H),2.98−2.90(m,2H),2.67−2.57(m,2H),2.20−2.09(m,1H),1.51(d,J=8.0Hz,6H),1.32−1.14(m,4H)。 13C−NMR(CDCl),δ(ppm):172.6,166.2,159.2,158.4,147.4,141.2,135.7,134.6,132.8,131.3,128.1,127.7,127.5,116.8,113.5,110.0,105.8,75.1,59.8,51.2,41.8,25.4,22.6,8.5,7.8。MS(ESI)m/z:616.3[M+1]
主異性体(化合物8)および少量異性体(化合物8A)の渡環配置は、NOE実験によって確かめた。プロトン間のNOEを示している検出結果を、二重矢印によって下図に示す。

芳香族残基の1,3−トランス渡環配置を有する実施例8について検出されたNOE

芳香族残基の1,3−シス渡環配置を有する実施例8Aについて検出されたNOE
実施例9: メチル= 6−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボキシレート(9)
段階1:メチル=1−メチル−6−ビニル−1H−インダゾール−3−カルボキシレート(9a)
メチル=6−ブロモ−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボキシレート(60mg,0.22ミリモル)をDMF(10ml)に溶解したものに、トリブチル(ビニル)スズ(99μl,0.34ミリモル)、Pd(Ph(11mg,9μモル)を加えた。転化を完了した後、混合物を90℃で4時間Ar下にて撹拌した。次いで、溶媒を減圧留去した。CCによって精製し、化合物9a(52mg,88%)を得た。
段階2:メチル= 1−メチル−6−(3−オキソシクロブチル)−1H−インダゾール−3−カルボキシレート(9b)
実施例7/段階2に記載の手順に従って、化合物9bを9aから57%の収率で得た。H NMR(400MHz,CDCl) δ:8.14(d,J=8.4Hz,1H),7.31(s,1H),7.23(d,J=8.8Hz,1H),4.13(s,3H),3.99(s,3H),3.87−3.79(m,1H),3.58−3.51(m,2H),3.33−3.26(m,2H)。m/z:259[M+1]
段階3:メチル= 6−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボキシレート(9)
実施例7/段階3に記載の手順に従って、化合物9を9bから40%の収率で得た。
実施例10: 6−(3−(2−クロロ−4−((5−シクロプロピル−3−(2,6−ジクロロフェニル)イソキサゾール−4−イル)メトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシシクロブチル)−1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボン酸(10)
実施例8に記載の手順に従って、化合物10を化合物9から白色固形物として45%の収率で得た。H NMR(400MHz,CDCl) δ:8.14(d,J=8.0Hz,1H),7.48(d,J=8.8Hz,1H),7.43−7.32(m,4H),7.29(m,1H),6.92(d,J=2.4Hz,1H),6.76(dd,J=7.2Hz,2.4Hz,1H),4.84(s,2H),4.18(s,3H),3.45−3.40(m,1H),3.28−3.23(m,2H),3.19−3.10(m,1H),2.68−2.63(m,2H),2.21−2.14(m,1H),1.33−1.29(m,2H),1.20−1.15(m,2H)。m/z:638[M+1]
調製実施例11
段階1:メチル=5−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)ニコチネート(11a)
メチル=5−ブロモニコチネート(2.00g,9.26ミリモル)、アゼチジン−3−オール(1.01g,9.26ミリモル)、CsCO(9.06g,27.8ミリモル)、BINAP(1.15g,1.85ミリモル)およびPd(OAc)(0.44g,1.85ミリモル)を乾燥ジオキサン(115ml)中で混合したものを、N雰囲気下にて85℃で一晩加熱した。生成混合物を濾過し、減圧濃縮し、分取HPLCによって精製し、化合物11a(250mg,13%)を黄色固形物として得た。
段階2:メチル=5−(3−オキソアゼチジン−1−イル)ニコチネート(11)
化合物11a(250mg,1.20ミリモル)を乾燥DCM(15ml)に溶解したものに、デス−マーチン・ペリオジナン(1.014g, 2.40ミリモル)をN雰囲気下にて0℃で加え、溶液を室温で2時間撹拌した。生成溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応停止し、EAで希釈した。有機部分を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、CC(DCM/MeOH=150:1)によって精製し、化合物11(140mg,57%)を黄色固形物として得た。
調製実施例12
調製実施例11に記載したのと同様の手順を用いて、下記の化合物を調製した。
実施例13/1−13/9
下表は、上記の調製実施例および実施例に従って調製した更なる例を示している。総ての表記した化合物は、単一異性体として調製した。

実施例14/1および14/2
実施例1−13および上記のスキームに記載したのと同様の手順を用いて、適当な成分を用いることによって、下記の化合物を得た。
下記の化合物は、上記したのと同様の手順を用いることによって同じ方法で調製することができる。
分析
FRET活性分析
核レセプターFXRへ結合するリガンドを定量するためのリガンドが介在したコファクターペプチド相互作用の測定は、次のようにして行った:ヒトFXRαリガンド結合ドメインの調製:ヒトFXRαLBDを、N−末端のGSTタグ付き融合タンパク質として大腸菌株BL21(DE3)で発現させた。FXRリガンド結合ドメインをコードするDNAを、ベクターpDEST15(Invitrogen) にクローニングした。発現を、IPTG誘導性T7プロモーターによって制御した。リガンド結合ドメインのアミノ酸境界は、データベース見出しNM_005123(RefSeq)のアミノ酸187−472であった。FXR-LBDの発現および精製:形質転換した大腸菌株の一晩前培養したものをLB−アンピシリン培地で1:20に希釈し、OD600=0.4〜0.6の光学濃度まで30℃で成長させた。次いで、0.5mM IPTGを添加して、遺伝子発現を誘導した。細胞を、30℃、180rpmで更に6時間インキュベーションした。細胞を、遠心分離(7000×g,7分間,室温)によって集めた。最初の細胞培養物1リットルに、細胞を10mlリーシス緩衝液(50mMグルコース、50mM Tris pH7.9、1mM EDTAおよび 4mg/mlリゾチーム)に再懸濁し、氷上に30分間放置した。次いで、細胞に音波処理を施し、細胞破片を遠心分離(22000×g,30分間,4℃)によって除去した。上清10mlに、前洗浄したグルタチオン4Bセファローススラリー(Qiagen)0.5mlを加え、懸濁液を4℃で1時間緩やかに回転させ続けた。グルタチオン4Bセファロースビーズを遠心分離(2000×g,15秒間,4℃)によってペレット化させ、洗浄緩衝液(25mM Tris,50mM KCl,4mM MgClおよび1M NaCl)で2回洗浄した。ペレットを、最初の培養物1リットル当たり3mlの溶出緩衝液に再懸濁した(溶出緩衝液:20mM Tris,60mM KCl,5mM MgClおよび80mM 粉末として使用直前に添加したグルタチオン)。懸濁液を4℃で15分間回転させ、ビーズをペレット化し、最初の時の半分の容量の溶出緩衝液で再度溶出した。溶出液をプールし、60mM KCl,5mM MgCl並びに1mMジチオトレイトールおよび10%(v/v)グリセロールを含む20mM Hepes緩衝液(pH7.5)中で一晩透析した。タンパク質を、SDS−Pageによって分析した。
この方法は、精製細菌で発現したFXRリガンド結合ドメイン(LBD)とSRC−1の残基676−700(LCD2,676−700)に基づく合成ビオチン化ペプチドとの相互作用を調節する推定リガンドの能力を測定する。用いたペプチドの配列は、B−CPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPS−COOHであって、N−末端はビオチン化(B)されていた。FXRのリガンド結合ドメイン(LBD)は、ベクターpDEST15を用いてBL−21細胞におけるGSTとの融合タンパク質として発現した。細胞を、音波処理によってリーシスし、融合タンパク質をグルタチオンセファロース(Pharmacia)上で製造業者の指示に従って精製した。FXR−ペプチド相互作用に対するそれらの影響をスクリーニングするため、Perkin ElmerのLANCE手法を応用した。この方法は、ドナーからアクセプターである目的の結合パートナーに付着した蛍光団への結合依存性エネルギー移動に依存している。取扱いを容易にしかつ化合物蛍光からのバックグラウンドを減少させるため、LANCE手法は一般的な蛍光団ラベルを用い、時間分解検出分析は、20−60ng/ウェルのGSTに融合した組換え発現FXR-LBD、SRC1アミノ酸676−700を表す200−600nMのN−末端がビオチン化したペプチド、200ng/ウェルのストレプトアビジン−xlAPC接合体(プロザイム)および6−10ng/ウェルのEu W1024−抗GST(Perkin Elmer)を含むTrisを基剤とする緩衝液(20mM Tris−HCl pH 7.5;60mM KCl,5mM MgCl;35ng/μl BSA)中で、384ウェル/プレートで25μlの最終容積で行った。試料のDMSO含量は、1%に保った。分析混合物の生成および潜在的FXR調節リガンドの希釈の後、分析物をFIA−プレートブラック384ウェル(Greiner)中で、室温にて暗所で1時間平衡にした。LANCEシグナルは、Perkin Elmer VICTOR2VTMマルチラベルカウンターによって検出した。結果を、665および615nmにおける放射光間の比率をプロットすることによって可視化した。FXR-ペプチド形成の基底レベルは、添加リガンドの非存在下にて観察された。複合体形成を促進するリガンドは、時間分解蛍光シグナルにおける濃度依存性増加を誘導する。モノマー性FXRおよびFXR−ペプチド複合体のいずれにも等しく良好に結合する化合物は、シグナルが変化しないことが予想されるが、モノマー性レセプターに優先的に結合するリガンドは、観察されるシグナルが濃度依存的減少を誘導することが予想される。
化合物の抑制的潜在性を評価するため、EC50値を、例えば、下記の表1に示す化合物について測定した(A=EC50<25nM;B=25≦EC50<100nm;C=EC50 ≧100nM)。
哺乳類ワンハイブリッド(M1H)分析
FXRのリガンド結合介在活性化を定量するためのリガンドが介在したGal4プロモーター被動トランス活性化の測定は、下記のようにして行った:FXRリガンド結合ドメインをコードするcDNA部分を、CMVプロモーターの制御下で酵母GAL4 DNA結合ドメインへの融合体としてのpCMV−BD(Stratagene)へクローニングした。リガンド結合ドメインのアミノ酸境界は、データベース見出しNM_005123(RefSeq)のアミノ酸187−472であった。プラスミドpFR−Luc(Stratagene)を、酵母GAL4結合部位の5つのタンデム配列を有する剛性プロモーターを含み、レポーター遺伝子としてのフォティナス・ピラリス(Photinus pyralis;アメリカホタル)ルシフェラーゼ遺伝子を発現させるレポータープラスミドとして用いた。実験場の正確性を向上させるため、プラスミドpRL−CMV(Promega)を同時形質導入した。pRL−CMVは、構成的CMVプロモーターを含み、レニラ・レニフォルミス(Renilla reniformis)ルシフェラーゼの発現を制御する。 総てのGal4レポーター遺伝子分析は、L−グルタミン、および10%胎児ウシ血清、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウムおよび100単位のペニシリンし/ストレプトアビジン/mlを補足したイーグルBSSを含むを含むMEM中で5%COにて37℃で増殖させたHEK293細胞(DSMZから取得、ブラウンシュバイク、ドイツ)で行った。培地および補足物は、Invitrogenから得た。分析のため、96ウェルプレートでウェル当たり5×10個の細胞を、フェノールレッドおよびL−グルタミンを含まず、10%木炭/デキストラン処理したFBS(HyClone,サウスローガン,ユタ)、0.1mM非必須アミノ酸、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび100単位/mlのペニシリン/ストレプトアビジンを補足したイーグルBSSを含み、5%COにて37℃でインキュベーションした100μl/ウェルのMEMに播種した。翌日、細胞は、>90%コンフルエンスであった。培地を除去し、細胞を、前記の3種類のプラスミドを包含するOptiMEM−ポリエチレンイミンを基剤としたトランスフェクション試薬(OptiMEM, Invitrogen;ポリエチレンイミン,Aldrich Cat No. 40,827-7)20μl/ウェルを用いて一時的にトランスフェクションした。細胞の播種に用いたのと同じ組成を有するMEMを、トランスフェクション混合物の添加の2−4時間後に加えた。次いで、MEMで前希釈した化合物ストックを加えた(最終的ビヒクル濃度は、0.1%を超過しない)。細胞を更に16時間インキュベーションした後、ホタルおよびレニラルシフェラーゼ活性を、デュアル・ライト・ルシフェラーゼ・アッセイ系(Dyer et al., Anal. Biochem. 2000, 282, 158–161)を用いて同じ細胞抽出物で順次測定した。総ての実験は、3回ずつ行った。
実施例の化合物のFXR作動薬能力を評価するため、能力範囲を下記の表2に示したようにM1H分析で測定した(A=EC50<25nM;B=25≦EC50<100nm;C=EC50 ≧100nM)。
水溶解度分析
PBS,pH7.4における水溶解度を、下記のようにして測定した。10mM化合物貯蔵溶液/DMSOを、PBS(pH7.4)に加えて、200μMの理論最終濃度に到達させた。生成溶液/懸濁液を1250rpmで1時間振盪した後、室温で暗所に23時間保管した。この時点で、総ての沈澱を、3900rpmで30分か遠心分離することによって溶液から分離する。水溶解度は、有機溶媒(メタノール/水60:40,v/v)での較正標準(200μM)における基準ピークのピーク面積を緩衝液試料における対応するピークのピーク面積と比較することによって測定した。検出方法としては、230nmでのHPLC−UV/VISを用いた。
平行人工膜透過分析(PAMPA)
PAMPAのために、試験項目の5mM貯蔵溶液をDMSOで調製した。参照項目の5mM貯蔵溶液を、それぞれ、EtOH(カルバマゼピン、グアナベンツ)またはEtOH:HO 1:1(v/v)セフトリアキソンで調製した。化合物をPBS(pH7.4)で希釈し、各有機溶媒の5%と250μM参照化合物または10μM試験項目をそれぞれ含む出発溶液を得た。分析のため、Kansy et al.に記載のPAMPA(Kansy et al. J. Med. Chem. 1998, 41, 1007)の変更手順を用いた。低(セフトリアキソン)、中(グアナベンツ)および高透過(カルバマゼピン)に対する参照化合物を、内部コントロールとして包含した。
透過実験は、96ウェル・マルチスクリーン・イモビロン(アクセプター)によって被覆されたマルチスクリーン96ウェルトレイ(ドナー)中で行った。イモビロンプレートの疎水性フィルター材料を70%エタノールでプレウエットし、脂質溶液(ドデカンに溶解したレシチン)で処理した。ドナープレートを試験化合物および参照化合物で満たし、両プレートを互いに挿入し、オービタル・シェーカー上に100rpmで15分間置いた。輸送研究を、試験および参照化合物を含む150μlPBS緩衝液をドナープレートに加えることによって開始した。室温で15−16時間拡散させた後、アクセプターおよびドナープレートの内容物を集め、LC/MS検出(試験項目)を用いて、またはSpectramax Plus384(Molecular Devices)(参照項目)を用いるUV分光学によって定量した。参照項目であるセフトリアキソン、グアナベンツおよびカルバマゼピンに対する吸収極大は、それぞれ240nm、270nmおよび286nmであった。回収試料は、透過分析試料について記載した方法で調製し、同じ条件下で透過期間中典型的なバイアル中でインキュベーションした。
試験項目のLC/MS分析のため、100μlのインキュベートをアクセプターおよびドナー区画から取り出し、下記のようにアセトニトリル(ACN)沈澱のために処理した。更に、脂質層からの試験項目試料は、それぞれのウェルを150μlEAで洗浄することによって抽出した。溶液を1.5ml反応管に集め、溶媒を蒸発させた。乾燥した残渣を、アクセプターおよびドナー試料の組成を反映してPBS/DMSO/ACN混合物に再懸濁した(すなわち、5%DMSO、200μl ACN+ISTDを補足した100μl緩衝液)。それぞれの試料の最終的溶媒含量は、66%ACNであった。
ドナーおよびアクセプター区画からの試料および較正標準を、それぞれ200μlACN/ISTDまたは400μlACN/ISTDを添加によって沈澱させた。激しい振盪(10秒間)および遠心分離(4800×gで室温にて5分間)の後、粒子を含まない上清にLC−MS/MSを施した。膜区画は、上記のようにして抽出した。再構成の後、試料を激しく振盪し(10秒間)、遠心沈澱した(4800×gで室温にて5分間)。粒子を含まない上清にLC−MS/MSを施した。
本発明の化合物の分析のため、HPLC装置は、Accela U−HPLC ポンプとAccelaオートサンプラー(Thermo Fisher Scientific, 米国)からなっていた。質量分析法は、標準的ソフトウェアXcalibur 2.1を実行するPCに接続した加熱エレクトロスプレー(H−ESI2)インターフェース(Thermo Fisher Scientific, 米国)を備えたExactive質量分析機(精密質量のオービトラップ手法)で行った。
LCは、グラディエント方式(表3)で、ACN/0.1%ギ酸を有機相(A)とし、10mMギ酸アンモニウム/0.1%ギ酸を水性相(B)として用いて行い、ポンプ流量を500μl/分に設定した。分離は、プレカラム(Gemini C6−Phenyl,3μm,4×2.0mm)を備えたGemini C6−Phenyl,3μm,50×2.0mm(Phenomenex, ドイツ)上で行った。
MSチューンファイルとしては、一般的なチューンファイルを陽または陰イオンモードを応用して総ての分析物に用いた。内部質量較正のためのロック質量としては、溶媒系に偏在するフタル酸ジイソオクチル(m/z 391.28429)の[M+H]イオンを用いた。
分析物は、モノアイソトピック[M+H]または[M−H]イオンの予想質量付近の±トムソンを掃引することによって得た。Orbitrapの質量分機能を、50,000に設定した。それぞれの分析物の精密質量を、ピーク積分に用いた。更なる機器設定は、下記の通りであった:HCD−Gasオフ、AGC高ダイナミックレンジ、最大トラップ注入時間 100ms、シースガス30、補助ガス8、掃引ガス2、スプレー電圧4kV、キャピラリー温度250℃、ESI 2ヒーター温度250℃。
本発明の目的は、WO 2011/020615号公報に記載の化合物と比較して物理化学的特性が向上したFXR-作動薬を生成することであった。これは、前者の1,2−シクロプロピリデン環に代えて1,3−シクロブチリデンまたは1,3−アゼチジニリデン基上に極性ヒドロキシル基を導入することによって達成された。
驚くべきことには、生成化合物は、FXRレセプターに対して活性を保持したが、一層高い水溶解度および/または膜透過性のような向上した物理化学特性を示した。2つのシリーズの対応する化合物の直接比較を、表4に示す。
それぞれの場合に、水溶解度またはPAMPA膜透過性のいずれかまたは両方は、ヒドロキシ−シクロブチルまたはヒドロキシ−アゼチジニル残基の導入によって有意に向上する。大部分の核レセプター活性分子として、FXR作動薬は一般的に極めて親油性が高い(M. L. Crawley, Expert Opin. Ther. Patents 2010, 20, 1047)。従って、一層良好な水溶解度および膜透過性は、経口バイオアベイラビリティーと、一般に薬剤としてのこれらの化合物の臨床開発の適合性が一層良好になると思われる (L. Huang, J. Dong, S. Karki in Evaluation of drug candidates for preclinical development (Eds. C. Han, C. B. Davis, B. Wang),Wiley & Sons, Hoboken 2010, 187-217)。

Claims (14)

  1. 下式(1)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグまたは薬学上許容可能な塩:

    [式中、
    Rは、COOR6、CONR、テトラゾリル、SONR、C1−6アルキル、SO−C1−6アルキルおよびHからなる群から選択され、Rは、HまたはC1−6アルキルからなる群から独立して選択され、RおよびRは、H、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルキレン−R、SO−C1−6アルキル(式中、Rは、COOH、OHおよびSOHからなる群から選択される)からなる群から互いに独立して選択され、
    Aは、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、インドリル、チエニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリルであって、それぞれ必要に応じてOH、O−C1−6アルキル、O−ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびハロゲンからなる群から独立して選択される1または2個の基で置換されているものからなる群から選択され、
    Qは、フェニル、ピリジル、チアゾリル、チオフェニル、ピリミジルであって、それぞれ必要に応じてC1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロゲンおよびCFからなる群から独立して選択される1または2個の基で置換されているものからなる群から選択され、
    Yは、NまたはCHから選択され、
    Zは、

    (式中、
    X=CH、N、NO、
    は、水素、C1−3アルキル、C3−6シクロアルキル、C4−5アルキルシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C1−3アルキルは、必要に応じてハロゲン、ヒドロキシまたはC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されており、
    およびRは、水素、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−3アルコキシ、C1−3ハロアルコキシおよびハロゲンからなる群から独立して選択される)
    から選択される]。
  2. R−Aが、

    から選択される、請求項1に記載の化合物。
  3. Qが、
    である、請求項1または2に記載の化合物。
  4. Zが、
    である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 下記から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物:
  6. 薬剤として使用するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. FXRによって伝達される疾患の予防および/または治療に使用するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 疾患が、
    慢性の肝臓内または肝臓外胆汁鬱滞性疾患の幾つかの形態、
    肝線維症、
    肝臓の閉塞性または慢性の炎症性疾患、
    肝硬変、
    脂肪肝および関連症候群、アルコールによって誘発される肝硬変またはウイルス性形態の肝炎に関連した胆汁鬱滞性または線維症性の症状、
    主要肝切除(major liver resection)後の肝不全または肝虚血、
    化学療法随伴脂肪性肝炎(CASH)、
    急性肝不全、および/または
    炎症性腸疾患
    から選択される、請求項7に記載の使用のための化合物。
  9. 疾患が、
    脂質およびリポタンパク質疾患、
    糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、および臨床的に顕在的な長期糖尿病の他の観察された症状などのII型糖尿病およびI型およびII型糖尿病の臨床合併症、
    非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のような、強制的脂質および具体的にはトリグリセリド蓄積およびその後の線維症促進経路の活性化による臓器の慢性的脂肪性および線維性変性に起因する疾患および状態、および
    肥満または代謝症候群(脂質代謝異常、糖尿病または異常に高い肥満度指数の複合疾患)、および/または
    慢性の閉塞性アテローム性動脈硬化症の終点として起こる急性心筋梗塞、急性発作または血栓症
    から選択される、請求項7に記載の使用のための化合物。
  10. 疾患が、
    非悪性の過剰増殖性障害および悪性の過剰増殖性障害、具体的には、肝細胞癌、結腸腺腫およびポリープ症、結腸腺腫、乳癌、膵臓腺腫、バレット食道または胃腸管および肝臓の他の形態の腫瘍性疾患
    から選択される、請求項7に記載の使用のための化合物。
  11. FXRによって伝達される疾患の予防および/または治療用の薬剤の調製のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  12. 疾患が、
    慢性の肝臓内または肝臓外胆汁鬱滞性疾患の幾つかの形態、
    肝線維症、
    閉塞性または慢性の肝炎症性疾患、
    肝硬変、
    アルコールによって誘発される肝硬変またはウイルス性形態の肝炎に関連の脂肪肝および関連症候群、胆汁鬱滞性または線維症性症状、
    主要肝切除後の肝不全または肝虚血、
    化学療法随伴脂肪性肝炎(CASH)、
    急性肝不全、および/または
    炎症性腸疾患
    から選択される、請求項11に記載の使用。
  13. 疾患が、
    脂質およびリポタンパク質疾患、
    糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症および臨床的に明らかな長期糖尿病の他の観察された症状などのII型糖尿病およびI型およびII型糖尿病の臨床合併症、
    非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のような、強制的脂質および具体的にはトリグリセリド蓄積およびその後の線維症促進経路の活性化による臓器の慢性的脂肪性および線維性変性に起因する疾患および状態、
    肥満または代謝症候群(脂質代謝異常、糖尿病または異常に高い肥満度指数の複合疾患)、および/または
    慢性の閉塞性アテローム性動脈硬化症の終点として起こる急性心筋梗塞、急性発作または血栓症
    から選択される、請求項11に記載の使用。
  14. 疾患が、
    非悪性の過剰増殖性障害疾患および悪性の過剰増殖性障害、具体的には、肝細胞癌、結腸腺腫およびポリープ症、結腸腺腫、乳癌、膵臓腺腫、バレット食道または胃腸管および肝臓の他の形態の腫瘍性疾患
    から選択される、請求項11に記載の使用。
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