JP2019212874A - 複合インダクタ - Google Patents

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建新 盛
和久 佐野
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Abstract

【課題】コイル間の結合係数を極めて小さくできる複合インダクタを提供する。【解決手段】複合インダクタは、素体と、素体内に配置された複数のコイルとを備え、コイルは、順に接続されてコイルの1ターンを構成する、第1導体、第2導体、第3導体および第4導体を有し、互いに交差するX方向、Y方向およびZ方向において、第1導体を含む第1XY平面と第3導体を含む第2XY平面とは、Z方向にずれた位置にあり、第3導体は、第1導体よりもX方向にずれた位置にあり、複数のコイルは、X方向に沿って配列されている。【選択図】図1

Description

本発明は、複合インダクタに関する。
電子回路において、同一の電子部品を複数用いる場合がある。そのような場合に、実装面積を減らすため、複数の電子部品を一体化した複合電子部品を用いる。インダクタにおいても、複数のコイルを一体化した複合インダクタを用いることがある。一般的に複合インダクタは、それぞれのコイルが他のコイルに影響しないように、各コイル間の磁気結合を極力小さくしなければならない。
特開2007−12686号公報(特許文献1)には従来の複合インダクタが記載されている。この従来の複合インダクタは、フェライトからなる断面E字形状の第1のE型コアおよび第2のE型コアと、フェライトからなる板状のI型コアと、リング形状に巻回された第1コイルおよび第2コイルとを有する。第1のE型コアは、内部に第1コイルを収納し、第2のE型コアは、内部に第2コイルを収納し、第1のE型コアと第2のE型コアは、I型コアの両面に配置される。
特開2007−12686公報
前記従来の複合インダクタでは、第1のE型コアの中脚とI型コアの間、および、第2のE型コアの中脚とI型コアの間に、ギャップが設けられている。このギャップが磁気抵抗として機能するため、第1コイルと第2コイルとの磁気結合が抑えられている。しかしながら、第1コイルと第2コイルとの結合係数完全になくすことはできないという問題があった。
そこで、本開示の課題は、コイル間の結合係数を極めて小さくできる複合インダクタを提供することにある。
前記課題を解決するため、本開示の一態様である複合インダクタは、
素体と、
前記素体内に配置された複数のコイルと
を備え、
前記コイルは、順に接続されてコイルの1ターンを構成する、第1導体、第2導体、第3導体および第4導体を有し、
互いに交差するX方向、Y方向およびZ方向において、
前記第1導体を含む第1XY平面と前記第3導体を含む第2XY平面とは、Z方向にずれた位置にあり、前記第3導体は、前記第1導体よりもX方向にずれた位置にあり、
前記複数のコイルは、X方向に沿って配列されている。
本開示の複合インダクタによれば、各コイルの第1導体と第3導体は、Z方向に段差を有し、複数のコイルは、X方向に沿って配列されているので、コイル間の結合係数を極めて小さくできる。
複合インダクタの第1実施形態を示す簡略透視斜視図である。 第1コイルの巻回ループを説明する説明図である。 第1コイルおよび第2コイルの第1ループを説明する説明図である。 第1コイルおよび第2コイルの第2ループを説明する説明図である。 コイルが2ターンであるときの結合係数k12とS/lcの関係を示すグラフである。 コイルが6ターンであるときの結合係数k12とS/lcの関係を示すグラフである。 複合インダクタの第2実施形態を示す簡略透視斜視図である。 結合係数kとS/lcの関係を示すグラフである。 インダクタンスとコイル電流の関係を示すグラフである。 結合係数kとコイル電流の関係を示すグラフである。 複合インダクタの断面の磁束分布を示す図である。 複合インダクタの断面の磁束分布を示す図である。 複合インダクタの第3実施形態を示す簡略透視斜視図である。
複合インダクタの一実施形態では、
素体と、
前記素体内に配置された複数のコイルと
を備える。
前記コイルは、順に接続されてコイルの1ターンを構成する、第1導体、第2導体、第3導体および第4導体を有する。
互いに交差するX方向、Y方向およびZ方向において、
前記第1導体を含む第1XY平面と前記第3導体を含む第2XY平面とは、Z方向にずれた位置にあり、前記第3導体は、前記第1導体よりもX方向にずれた位置にあり、
前記複数のコイルは、X方向に沿って配列されている。
前記実施形態の複合インダクタによれば、各コイルの第1導体と第3導体は、Z方向に段差を有し、複数のコイルは、X方向に沿って配列されているので、コイル間の結合係数を極めて小さくできる。
また、複合インダクタの一実施形態では、
前記複数のコイルは、4つ以上あり、
前記複数のコイルのX方向の両端に位置する端コイルと前記端コイルに隣接するコイルとの間の間隔は、前記端コイル以外の他のコイルにおいて隣り合う2つのコイルの間の間隔と異なる。
前記実施形態によれば、4つ以上のコイルを有していても、コイル間の結合係数を極めて小さくできる。
また、複合インダクタの一実施形態では、隣り合う2つのコイルにおいて、一方のコイルの前記第1導体と他方のコイルの前記第3導体は、Z方向からみて重なる。
前記実施形態によれば、複合インダクタのX方向の大きさを小さくできる。
また、複合インダクタの一実施形態では、前記第2導体および前記第4導体を含む第3平面は、前記第1XY平面および前記第2XY平面に対して、直交している。
前記実施形態によれば、複合インダクタのX方向の大きさを小さくできる。
また、複合インダクタの一実施形態では、前記第2導体および前記第4導体を含む第3平面は、前記第1XY平面および前記第2XY平面に対して、傾斜している。
前記実施形態によれば、複合インダクタのZ方向の大きさを小さくできる。
また、複合インダクタの一実施形態では、前記複数のコイルは、X方向に直線状に配列されている。
前記実施形態によれば、複合インダクタのY方向の大きさを小さくできる。
また、複合インダクタの一実施形態では、前記第2導体および前記第4導体は、ビア導体から構成される。
前記実施形態によれば、素体およびコイルをシート積層して、複合インダクタを積層プロセスにより形成できる。
また、複合インダクタの一実施形態では、前記コイルは、巻回された導線から構成され、前記第2導体および前記第4導体は、前記導線を折り曲げて形成される。
前記実施形態によれば、コイル導線を巻回して形成できる。また、コイルを素体で封止して、複合インダクタをモールドプロセスにより形成できる。
また、複合インダクタの一実施形態では、前記素体は、磁性粉と樹脂を含有する。
前記実施形態によれば、素体は、磁性粉と樹脂を含有するので、直流重畳電流を大きくすることができ、かつ、絶縁性を高めることができる。
以下、本開示の一態様である複合インダクタを図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
(第1実施形態)
図1は、複合インダクタの第1実施形態を示す簡略透視斜視図である。図1に示すように、複合インダクタ10は、素体20と、素体20内に配置された第1コイル11および第2コイル12とを備える。複合インダクタ10は、例えば、車載用の先進運転支援システム(ADAS)など大電流容量のDC/DCコンバータ回路用のインダクタ等として用いられる。
素体20は、略直方体状に形成されている。素体20の表面は、第1端面21と、第1端面21に対向する第2端面22と、第1端面21と第2端面22の間に接続された第1側面25と、第1側面25に対向する第2側面26と、第1側面25と第2側面26の間に接続された底面27と、底面27に対向する天面28とから構成される。底面27は、複合インダクタ10を実装基板に実装するときの実装面である。
ここで、図示するように、X方向は、第1端面21と第2端面22の対向する方向であり、複合インダクタ10の長さ方向である。Y方向は、第1側面25と第2側面26の対向する方向であり、複合インダクタ10の幅方向である。Z方向は、底面27と天面28の対向する方向であり、複合インダクタ10の高さ方向である。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交している。
素体20は、例えば、磁性体から構成される。素体20は、好ましくは、磁性粉と樹脂を含有し、これにより、直流重畳電流を大きくできる。磁性粉として、例えば、鉄(Fe)、Fe−Si系、Fe−Si−Cr系、Fe−Si−Al系、Fe−Ni−Al系、Fe−Cr−Al系等の鉄系の金属磁性粉や、鉄を含まない組成系の金属磁性粉、鉄を含む他の組成系の金属磁性粉、アモルファス等の金属磁性粉、表面がガラス等の絶縁体で被覆された金属磁性粉、表面を改質した金属磁性粉、ナノレベルの微小な金属磁性粉、フェライト等を用いる。樹脂として、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いるのが好的であるが、ポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂等をそれぞれ用い、または、これらを混合したものを用いてもよい。なお、素体は、磁性体から構成されるが、非磁性体から構成されてもよい。
第1コイル11は、順に接続されてコイルの1ターンを構成する、第1導体111、第2導体112、第3導体113および第4導体114を有する。ここで、第1コイル11は、完全な1ターンのみでなく、1ターン以下を含んでもよい。
第1導体111を含む第1XY平面と第3導体113を含む第2XY平面とは、Z方向にずれた位置にあり、第3導体113は、第1導体111よりもX方向に位置する。具体的に述べると、第3導体113は、第1導体111よりもZ方向に位置し、つまり、第3導体113は、第1導体111よりも高い位置にある。第1導体111と第3導体113は、Z方向に段差を有し、第2導体112および第4導体114は、段差を構成する。
第2導体112および第4導体114を含む第3平面は、第1XY平面および第2XY平面に対して、直交している。これにより、第3平面が、第1XY平面および第2XY平面に対して直交しない場合にくらべて、第1コイル11のX方向の大きさを小さくできて、複合インダクタ10のX方向の大きさを小さくできる。
第1導体111および第3導体113は、扁平な導体であり、第2導体112および第4導体114は、柱状な導体である。第1導体111は、互いに直交する2辺から構成され、第3導体113は、互いに直交する3辺から構成される。第2導体112および第4導体114は、それぞれ、直線状に構成される。
第1コイル11は、さらに、第4導体114に順に接続される、第5導体115、第6導体116、第7導体117、第8導体118および第9導体119を有する。第5から第8導体115〜118は、コイルの1ターンを構成する。
第5導体115は、第1導体111のZ方向の正の方向に積み重ねられ、第6導体116は、第2導体112のX方向の負の方向に並べられ、第7導体117は、第3導体113のZ方向の正の方向に積み重ねられ、第8導体118は、第4導体114のX方向の負の方向に並べられ、第9導体119は、第5導体115のZ方向の正の方向に積み重ねられる。第5導体115と第7導体117とは、Z方向にずれた位置にあり、第7導体117は、第5導体115よりもX方向の正の方向に位置する。
このように、第1から第9導体111〜119は、順に接続されて、第1コイル11は、螺旋状に巻回される。
第2コイル12は、第1コイル11と同様に、第1から第9導体121〜129を有する。つまり、第1導体121、第2導体122、第3導体123および第4導体124は、順に接続されてコイルの1ターンを構成する。第5導体125、第6導体126、第7導体127および第8導体128は、順に接続されてコイルの1ターンを構成する。第1導体121を含む第1XY平面と第3導体123を含む第2XY平面とは、Z方向にずれた位置にあり、第3導体123は、第1導体121よりもX方向の正の方向に位置する。第5導体125と第7導体127とは、Z方向にずれた位置にあり、第7導体127は、第5導体125よりもX方向の正の方向に位置する。
第2コイル12の第1導体121の端部121aと第1コイル11の第1導体111の端部111aとは第1側面25に位置し、第2コイル12の第9導体129の端部129aと第1コイル11の第9導体119の端部119aとは第2側面26に位置する。第2コイル12は、第1コイル11と、同じ形状、つまり、同じターン数で同じ大きさである。
第1コイル11と第2コイル12は、X方向に沿って配列されている。第1コイル11と第2コイル12は、好ましくは、X方向に直線状に配列されている。これにより、複合インダクタ10のY方向の大きさを小さくできる。ここで、X方向に直線状に配列とは、第1コイル11のY方向の中央と第2コイル12のY方向の中央とを結ぶ方向が、X方向に一致することをいう。
第1コイル11と第2コイル12は、互いに接触しないように、段差の位置と方向とを揃えて配置されている。つまり、第1コイル11の第1導体111と第2コイル12の第1導体121は、同一の第1XY平面に配置され、第1コイル11の第3導体113と第2コイル12の第3導体123は、同一の第2XY平面に配置されている。
隣り合う第1コイル11と第2コイル12において、第2コイル12の第1導体121と第1コイル11の第3導体113は、Z方向からみて重なることができる。これによれば、複合インダクタ10のX方向の大きさを小さくできる。
前記複合インダクタ10によれば、各コイル11,12の第1導体111,121と第3導体113,123は、Z方向に段差を有し、第1と第2コイル11,12は、X方向に沿って配列されているので、コイル11,12間の結合係数を極めて小さくできる。また、複合インダクタ10の高さを抑えることができる。
第1コイル11の第1導体111の端部111aと第9導体119の端部119a、および、第2コイル12の第1導体121の端部121aと第9導体129の端部129aは、それぞれ、引き出し端子を構成する。4つの引き出し端子は、素体表面に設けられた4つの外部電極に電気的にそれぞれ接続され、これにより、第1コイル11および第2コイル12の2つのコイルを備えた複合インダクタ10となる。
第1導体111の端部111aおよび第1導体121の端部121aは、素体20の第1側面25にそれぞれ引き出される。第9導体119の端部119aおよび第9導体129の端部129aは、素体20の第2側面26にそれぞれ引き出される。なお、端部111a,119a,121a,129aは、ビア導体を介して、素体20の底面27に引き出されてもよい。
第1コイル11および第2コイル12は、素体20と第1導体111,121と第3導体113,123とをシート積層し、第2導体112,122および第4導体114、124はビア導体で構成することにより、複合インダクタ10をシート積層により形成ができる。
また、第1コイル11および第2コイル12は、素体20と第1導体111,121と第3導体113,123と第2導体112,122および第4導体114、124を印刷積層することにより、複合インダクタ10を印刷積層により形成ができる。
なお、第1コイル11および第2コイル12は、巻回された導線から構成されてもよく、このとき、第2導体112,122および第4導体114,124は、導線を折り曲げて形成される。これによれば、第1コイル11および第2コイル12を、導線を巻回して形成できる。また、第1コイル11および第2コイル12を素体20で封止して、複合インダクタ10をモールドプロセスにより形成できる。
次に、コイル11,12間の結合係数を極めて小さくできる理由を説明する。
図2は、第1コイル11の巻回ループを説明する説明図である。図2に示すように、第1コイル11のX方向の長さをlc、Y方向の幅をwc、Z方向の高さをhcとする。第1ループ1Aは、第1コイル11のX方向に投影されたループであり、第2ループ1Bは、第1コイル11のZ方向に投影されたループである。第1コイル11の巻回ループの磁束B1は、X方向から見た側面視の第1ループ1Aの磁束Bx1とZ方向から見た平面視の第2ループ1Bの磁束Bz1との合成磁束とみなすことができる。
図3と図4は、第1コイル11と第2コイル12の巻回ループのX方向の投影ループを説明する説明図であり、図4は、第1コイル11と第2コイル12の巻回ループのZ方向の投影ループを説明する説明図である。図3と図4に示すように、第2コイル12の旋回ループの磁束B2は、第1コイル11の旋回ループの磁束と同様に、X方向から見た側面視の第1ループ2Aの磁束Bx2とZ方向から見た平面視の第2ループ2Bの磁束Bzとの合成磁束とみなすことができる。図に示す「i」とは、それぞれの投影ループに流れる見かけの電流の向きを示す。
図3に示すように、第1コイル11の第1ループ1Aの磁束Bx1と第2コイル12の第1ループ2Aの磁束Bx2とは、同方向になるため、第1コイル11の第1ループ1Aと第2コイル12の第1ループ2Aとは、正の結合係数を持つ。
一方、図4に示すように、第1コイル11の第2ループ1Bの磁束Bz1のうち、第2コイル12の第2ループ2Bに回り込んだ磁束は、第2コイル12の第2ループ2Bの磁束の向きとは逆になり、第2コイル12の第2ループ2Bの磁束Bz2のうち、第1コイル11の第2ループ1Bに回り込んだ磁束は、第1コイル11の第2ループ1Bの磁束の向きとは逆方向になる。そのため、第1コイル11の第2ループ1Bと第2コイル12の第2ループ2Bとは、負の結合係数を持つ。
そして、正の結合係数と負の結合係数とが合成された結果が、第1コイル11と第2コイル12の間の結合係数となる。結合係数は、コイルピッチS(図1参照)とステップ高さhs(図2参照)で調整できる。したがって、寸法を調整すれば結合係数を極めて小さくできる可能性がある。寸法の調整は、ステップ高さhsを先に決めてから、コイルピッチSの値を調整してもよい。ここで、コイルピッチSとは、第1コイル11と第2コイル12のX方向の配列の間隔をいう。ステップ高さhsとは、各コイル11,12の第1導体111,121と第3導体113,123の高低差をいう。
次に、複合インダクタの構造と電気特性との関係を調べるために、複合インダクタの構造をFemtet(登録商標)で磁界解析した。ここで、素体の比透磁率を24.5とした。
図5は、各コイル11,12において、コイルの長さlcを1.0mm、コイルの幅wcを1.6mm、コイルのターン数を2、コイルのステップ高さhsをそれぞれ0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mmに固定した場合、第1コイル11と第2コイル12の間の結合係数k12と、コイルの長さlcに対するコイルピッチSの比率S/lcの値との関係の解析結果を示す。
図5の結果から分かるように、結合係数が0になるS/lcの値はhsに依存し、hs=0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm時のS/lcの値はそれぞれ0.66、0.72、0.83、1.05であった。但し、hsが0.7mm以上である場合、正と負の結合の平衡点が得られなくなるため、結合係数k12=0まで調整することができない。よって、上記の構造において、k12が0になるS/lcの値の上限値は約1.1であった。また、S/lcの値が0.66以下の場合、2つのコイル11,12が接近し接触するので、この数値は臨界のS/lcの値の下限値となる。なお、Sとlcの寸法のばらつきによる結合係数のばらつきは、x軸との交点における傾きが小さいほど鈍感になる。図5において最適なS/lcは、0.4,0.5である。
図6は、コイルの長さlcを2.0mm、コイルの幅wcを1.6mm、コイルのターン数を6とし、コイルのステップ高さhsをそれぞれ0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mmに固定した場合、第1コイル11と第2コイル12の間の結合係数k12とS/lcの値との関係の解析結果を示す。
図6の結果から分かるように、hs=0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm時の結合係数が0になるS/lcの値はそれぞれ0.75、0.78、0.89、1.05であった。但し、hsが1.0mm以上である場合、正と負の結合の平衡点が得られなくなるため、結合係数k12=0まで調整することができない。よって、上記の構造において、k12が0になる臨界のS/lcの値の上限値は図5と同様に約1.1であった。また、S/lcの値が0.75以下の場合、2つのコイル11,12が接近し接触するので、この数値は上記構造の臨界のS/lcの値の下限値となる。図6において最適なS/lcは、0.7,0.8である。
前述のように、S/lcの値の下限値は、隣接するコイルが接触しないように構造の寸法によって決められる。値の下限値はコイルの巻き数によって異なるが、1ターンであっても、S/lcの値が0.50より大きくなければならない。よって、臨界のS/lcの値の範囲は、0.50<S/lc≦1.1である。
S/lc<1の場合、第1コイル11(第3導体113)と第2コイル12(第1導体121)はZ方向から見て重なる。一方、S/lc≧1の場合、第1コイル11(第3導体113)と第2コイル12(第1導体121)は重ならない。
(第2実施形態)
図7は、複合インダクタの第2実施形態を示す簡略透視斜視図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、コイルの数が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、第2実施形態の複合インダクタ10Aは、第1コイル11と第2コイル12と第3コイル13と第4コイル14を有する。第1から第4コイル11〜14は、X方向に沿って配列されている。第1から第4コイル11〜14は、全て同じ形状である。
X方向の両端に位置する端コイル(第1コイル11および第4コイル14)と端コイルに隣接するコイル(第2コイル12および第3コイル13)との間の間隔は、端コイル以外の他のコイル(第2コイル12および第3コイル13)において隣り合う2つのコイル(第2コイル12および第3コイル13)の間の間隔と異なる。
具体的に述べると、両端の第1コイル11および第4コイル14と、内側の第2コイル12および第3コイル13とでは、周囲の状況が異なるため、第1コイル11と第2コイル12の間、および、第3コイル13と第4コイル14の間に、インダクタンス値に多少のアンバランスが生じる。それらのバランスを取るために、第1コイル11と第2コイル12の間の距離Se、および、第3コイル13と第4コイル14の間の距離Seと、第2コイル12と第3コイル13の間の距離Scとを、異ならせる。
これによれば、4つのコイル11〜14を有していても、コイル間の結合係数を極めて小さくできる。なお、コイルは、4つ以上あってもよく、複数のコイルのX方向の両端に位置する端コイルと端コイルに隣接するコイルとの間の間隔は、端コイル以外の他のコイルにおいて隣り合う2つのコイルの間の間隔と異なるようにすればよい。
図8は、距離Seを固定した場合の、コイル間の各結合係数と、Sc/lcの値との関係をFemtetで磁界解析した結果を示す。各コイル11〜14において、lc=1.0mm、wc=1.6mm、高さhs=0.41mm、距離Se=(Sc−50μm)である。
図8の結果より、Sc/lc=0.74mmである時、いずれの結合係数が極めて小さくになることが分かる。この臨界値において、複合インダクタの長さ、幅、高さは、それぞれ、約3.5mm、1.8mm、0.8mmであった。
図9は、複合インダクタのインダクタンス値と直流重畳電流との関係を示し、図10は、各コイル間の結合係数と直流重畳電流との関係を示す。
図9の結果から、コイルに流れる電流が大きくなるに伴い、磁気飽和によって各コイルのインダクタンス値が徐々に下がり、直流電流が5Aである時には、L値が約26%低下している。しかし、図10に示すように、直流電流に対してコイル間の各磁気結合係数の変動は僅かである。つまり、たとえ磁気飽和が発生しても、直流電流に依存することなく、磁気結合の極めて小さい特性を維持できることが分かる。
図11Aと図11Bは、複合インダクタの第2実施形態の断面の磁束分布を示す図であり、図11Aは、第1から第4コイル11〜14に同じ向きの電流を流した場合の磁界解析をした結果を示し、図11Bは、第2と第4コイル12、14に、第1と第3コイル11、13とは異なる方向の電流を流した場合の磁界解析をした結果を示す。図11Aと図11Bから分かるように、第1から第4コイル11〜14に同じ向きの電流としたほうが、直流重畳電流による結合係数の変化が小さい。
(第3実施形態)
図12は、複合インダクタの第3実施形態を示す簡略透視斜視図である。第3実施形態は、第1実施形態とは、コイルの形状が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように、第3実施形態の複合インダクタ10Bでは、第1コイル11Bにおいて、第2導体112および第4導体114を含む第3平面は、第1導体111を含む第1XY平面および第3導体113を含む第2XY平面に対して、傾斜している。同様に、第6導体116および第8導体118を含む第3平面は、第5導体115を含む第1XY平面および第7導体117を含む第2XY平面に対して、傾斜している。これによれば、第1コイル11BのZ方向の大きさを小さくできて、複合インダクタ10BのZ方向の大きさを小さくできる。
同様に、第2コイル12Bにおいて、第2導体122および第4導体124を含む第3平面は、第1導体121を含む第1XY平面および第3導体123を含む第2XY平面に対して、傾斜している。同様に、第6導体126および第8導体128を含む第3平面は、第5導体125を含む第1XY平面および第7導体127を含む第2XY平面に対して、傾斜している。これによれば、第2コイル12BのZ方向の大きさを小さくできて、複合インダクタ10BのZ方向の大きさを小さくできる。
第1から第3の実施形態のインダクタを用いると、実装面積を低減することができる。たとえば、長さ1.8mm、幅1.0mmのインダクタを幅方向に並べて実装する場合は、インダクタの間にギャップが必要である。たとえば1素子入のインダクタをギャップ0.5mmとして4つ並べる場合、幅方向は5.5mm必要である。しかし、4素子入の複合インダクタを用いれば、幅方向を3.5mmとすることができる。素子数が多ければ多いほど実装面積の低減効果は高い。
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第3実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
前記実施形態では、コイルの数量の増減は自由であり、コイルのターン数の増減は自由である。前記実施形態では、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに、直角以外の角度で交差するようにしてもよい。前記実施形態では、各コイルにおいて、第3導体は第1導体よりも低い位置にあってもよい。
前記実施形態では、複数のコイルは、X方向に直線状に配列されているが、X方向に千鳥状に配列されていてもよい。前記実施形態では、隣り合う2つのコイルにおいて、一方のコイルの第1導体と他方のコイルの第3導体は、Z方向からみて重ならなくてもよい。
前記実施形態では、複数のコイルは、全て同じ形状であるが、少なくとも一つのコイルが他のコイルと異なる形状であってもよい。つまり、少なくとも一つのコイルのターン数や大きさが、他のコイルのターン数や大きさと異なってもよい。
10,10A,10B 複合インダクタ
11,11B 第1コイル
111〜119 第1〜第9導体
12,12B 第2コイル
121〜129 第1〜第9導体
20 素体
1A,2A 第1ループ
1B,2B 第2ループ

Claims (9)

  1. 素体と、
    前記素体内に配置された複数のコイルと
    を備え、
    前記コイルは、順に接続されてコイルの1ターンを構成する、第1導体、第2導体、第3導体および第4導体を有し、
    互いに交差するX方向、Y方向およびZ方向において、
    前記第1導体を含む第1XY平面と前記第3導体を含む第2XY平面とは、Z方向にずれた位置にあり、前記第3導体は、前記第1導体よりもX方向にずれた位置にあり、
    前記複数のコイルは、X方向に沿って配列されている、複合インダクタ。
  2. 前記複数のコイルは、4つ以上あり、
    前記複数のコイルのX方向の両端に位置する端コイルと前記端コイルに隣接するコイルとの間の間隔は、前記端コイル以外の他のコイルにおいて隣り合う2つのコイルの間の間隔と異なる、請求項1に記載の複合インダクタ。
  3. 隣り合う2つのコイルにおいて、一方のコイルの前記第1導体と他方のコイルの前記第3導体は、Z方向からみて重なる、請求項1または2に記載の複合インダクタ。
  4. 前記第2導体および前記第4導体を含む第3平面は、前記第1XY平面および前記第2XY平面に対して、直交している、請求項1から3の何れか一つに記載の複合インダクタ。
  5. 前記第2導体および前記第4導体を含む第3平面は、前記第1XY平面および前記第2XY平面に対して、傾斜している、請求項1から3の何れか一つに記載の複合インダクタ。
  6. 前記複数のコイルは、X方向に直線状に配列されている、請求項1から5の何れか一つに記載の複合インダクタ。
  7. 前記第2導体および前記第4導体は、ビア導体から構成される、請求項1から6の何れか一つに記載の複合インダクタ。
  8. 前記コイルは、巻回された導線から構成され、前記第2導体および前記第4導体は、前記導線を折り曲げて形成される、請求項1から6の何れか一つに記載の複合インダクタ。
  9. 前記素体は、磁性粉と樹脂を含有する、請求項1から8の何れか一つに記載の複合インダクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023122951A1 (zh) * 2021-12-28 2023-07-06 深圳顺络电子股份有限公司 一种多相电感器及其制造方法

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