JP2019203392A - 風力発電装置およびその制御方法 - Google Patents

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雅典 栗原
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努 城井
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Abstract

【課題】風力発電装置の回転角検出センサの信頼性を向上すること。【解決手段】風力発電装置1は、所定の回転部16,19の回転角度を検出して出力する回転角検出センサ17,18と、所定の回転部の回転角度が予め定められた所定の角度に到達した場合に、回転角度が所定の角度に達したことを示す判定用信号を出力する判定用スイッチ211と、回転角検出センサからの検出信号と判定用スイッチからの判定用信号とを比較することにより、回転角検出センサの信頼性に関する所定の処理202〜204を実行する制御部20と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、風力発電装置およびその制御方法に関する。
近年、自然エネルギーを利用した再生可能エネルギー(太陽光発電・風力発電・波力発電など)の導入数が増加している。その中でも風力発電は、経済性、効率性および環境性に優れている再生可能エネルギーの1つとして挙げられ、導入量が増加している。
風力発電は、一般的に風況のよい平地、丘陵地、海岸付近、洋上に建設される。風エネルギーを効率良く電気エネルギー等へ変換するためには、設計どおりに風車翼のピッチ角およびヨー角に制御する必要がある。また、風車の設計寿命は、一般的に20年〜30年と言われているが、風車は厳しい環境に置かれるため、風車に設置されるセンサの期待寿命は風車の設計寿命を下回っていることが多い。そのため、風車のライフサイクルの中で、センサを1回もしくは複数回交換する必要がある。したがって、センサを保守するために、センサの状態を効率的に監視できることが望ましい。
特許文献1では、風車が規定値以上に旋回するのを防止するために、ヨー旋回が風車出力に与える影響を低減しながら、ナセルのヨー角が過大になることを防止するための運転制御方法を開示する。
特開2017−155601号公報
特許文献1は、得られたヨー角に基づき運転制御を実施しているが、ヨー角を検出するセンサの出力値の確からしさが考慮されていない。したがって、センサの経年劣化等により、ヨー角検出信号の計測誤差が増大するおそれがある。
一方、風力発電装置では、風車翼のピッチ角を制御している。風力発電装置では、運転時はファイン方向に、停止時はフェザー方向に、ピッチ角を制御している。ピッチ角を検出するピッチ角センサについてもヨー角センサ同様に、経年劣化等によりピッチ信号の計測誤差が増大するおそれがある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、回転角検出センサの信頼性を向上できるようにした風力発電装置およびその制御方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に従う風力発電装置は、所定の回転部の回転角度を検出して出力する回転角検出センサと、所定の回転部の回転角度が予め定められた所定の角度に到達した場合に、回転角度が所定の角度に達したことを示す判定用信号を出力する判定用スイッチと、回転角検出センサからの検出信号と判定用スイッチからの判定用信号とを比較することにより、回転角検出センサの信頼性に関する所定の処理を実行する制御部と、を備える。
本発明によれば、判定用スイッチは、所定の回転部の回転角度が予め定められた所定の角度に達した場合に判定用信号を出力するため、制御部は、回転角検出センサからの検出信号と判定用信号とを比較することにより、回転角検出センサの信頼性に関する所定の処理を行うことができる。
風力発電装置の全体構成を示す説明図である。 回転角検出センサと各リミットスイッチとが検出する回転角度の関係を示す説明図である。 風車のナセル位置と風向の関係を示す説明図である。 風車翼のピッチ方向を示す説明図である。 回転角検出センサ(ヨー角センサ、ピッチ角センサ)の側面図である。 回転角検出センサの上面図である。 回転角検出センサの内部構成図である。 回転角検出センサと所定の回転部との機械的な関係を示す説明図である。 リミットスイッチにより回転角検出センサの健全性を判定する方法を示す説明図である。 回転角検出センサの健全性を確認する処理のフローチャートである。 複数の回転角検出センサのうち優先して使用する回転角検出センサを選択する処理を示すフローチャートである。 回転角検出センサの検出信号を補正する処理のフローチャートである。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、以下に詳述するように、風力発電装置を制御するための重要なパラメータであるヨー角およびピッチ角を高い信頼性で測定できる技術を提案する。
このために本実施形態に係る風力発電装置は、回転角検出センサおよび判定用スイッチを備えている。風力発電装置の制御部は、判定用スイッチが動作したときに回転角検出センサが検出した回転角度と判定用スイッチの動作する所定の角度とを比較する。
これにより、風力発電装置の制御部は、回転角検出センサが正常に動作しているか否かといった健全性確認機能(自己診断機能)を実現できる。したがって、風力発電装置の信頼性を維持しながら効率的に運転することができ、さらに、回転角検出センサの異常を早期に発見することができる。
本実施形態に係る風力発電装置は、判定用信号と複数の回転角検出センサの検出する回転角度との偏差に基づいて、複数の回転角検出センサの優先度を決定することができる(センサ優先度決定機能)。すなわち本実施形態に係る風力発電装置では、偏差の少ない方の回転角検出センサを主な回転角検出センサとして選択できる。したがって、風力発電装置が複数の回転角検出センサを有する場合に、いずれの回転角検出センサにしたがって制御すべきか決定でき、信頼性およびユーザの使い勝手を向上できる。
本実施形態に係る風力発電装置は、回転角検出センサの検出信号を判定用スイッチの出力する判定用信号に基づいて補正する補正機能(較正機能)を得ることもできる。これにより、ユーザ(風力発電装置のオペレータ等)に安心感を与えることができ、使い勝手を向上することができる。
判定用スイッチが所定の頻度で判定用信号を出力できるように、判定用スイッチを所定の範囲に設けることもできる。判定用信号の出力頻度が高くなるほど、上述の健全性確認機能、センサ優先度決定機能、信号補正機能の実行頻度を高めることができる。
一つの例として、回転角検出センサがヨー角センサである場合、ヨー角センサに対応する判定用スイッチの動作する所定角度は、±360°以内に設定すればよい。また、回転角検出センサがピッチ角センサである場合、ピッチ角センサに対応する判定用スイッチの動作する所定角度は、20°以内に設定すればよい。
図1〜図12を用いて第1実施例を説明する。以下の説明は、本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明は以下の説明に限定されず、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。
図1は、風力発電装置1の全体構成を示す。図1の下側に風力発電装置1の機械的構造の概略を示し、図1の上側に風力発電装置1の制御構成の概略を示す。
風力発電装置1は、ヨー軸受部16を図示せぬヨー駆動装置により旋回させながら、効率良く風エネルギーを取り込み、風車翼13およびドライブトレイン15を回転させることにより、電気エネルギーや水素エネルギーなどに変換している。
先に機械的構造を説明する。風力発電装置1は、例えば、タワー10と、ナセル11と、ハブ12と、複数の風車翼13と、避雷リング14と、ドライブトレイン15と、コントローラ20とを備える。
「支持部」としてのタワー10は、ナセル11を回転可能に支持する。タワー10の上部とナセル11の下部との間には、「所定の回転部」の例であるヨー軸受部16が設けられている。
風車翼13と、ハブ12と、ナセル11とはタワー8によって支えられている。なお、ハブ12とナセル11を一体的に構成してもよい。
ナセル11には、風向計、風速計あるいは風向風速計(いずれも不図示)が設置されており、それら計測装置を雷から保護するために、避雷リング14または避雷針(図示せず)が設置されている。避雷リング14または避雷針の代わりに、翼やその他機器により、風向風速計を雷の直撃から保護することもできる。
ナセル11の内部には、例えばドライブトレイン15が設けられている。ナセル11の一端側にはハブ12が設けられている。ハブ12の外周には、翼軸受部19を介して各風車翼13が回動可能に設けられている。
回転角検出センサの一例としてのヨー角センサ17は、ヨー軸受部16の近傍に設けられており、ナセル11の回転角度(ヨー角)を検出する。回転角検出センサの他の一例としてのピッチ角センサ18は、各翼軸受部19の近傍に設けられており、風車翼13のピッチ角を検出する。なお、ヨー角センサ17およびピッチ角センサ18は、それぞれ複数ずつ設けることができる。同一のセンサが複数設けられていることを示すために、図1の上側では「a」「b」のアルファベットを符号17,18に添えている。
「制御部」としてのコントローラ20は、例えば、符号20a,20b,20cとして示すように、ナセル11の内部、タワー10の内部、あるいはハブ12の内部の少なくともいずれかに設けることができる。
風力発電装置1の制御構成について説明する。コントローラ20は、例えば、マイクロプロセッサ、メモリ、入出力回路、通信回路(いずれも不図示)といった複数の回路を備える制御盤として構成することができる。あるいは、コントローラ20は、シーケンサ、タイマー、制御リレー(いずれも不図示)等を含む制御盤として構成してもよい。
コントローラ20の制御機能に着目すると、コントローラ20は、例えば、通常制御部201と、センサ健全性確認部202と、優先センサ選択部203と、センサ出力補正部204とを備えている。
通常制御部201は、回転角検出センサ17,18の検出信号に基づいて、ナセル11の向きを制御したり、風車翼13の角度を制御したりすることにより、風力エネルギーをドライブトレイン15により電気エネルギーまたは水素エネルギー等へ変換させ、電力系統へ出力したりする機能である。すなわち、通常制御部201は、例えば風向、風速、ピッチ角、ヨー角の値などのセンサ情報を取得して、風車の運転を制御する。
「所定の処理」または「第1処理」の例であるセンサ健全性確認部202は、回転角検出センサ17,18が正常に動作しているか確認する機能である。この処理の詳細は、図10で後述する。「所定の処理」とは、回転角検出センサ17,18の信頼性に関する処理であり、センサ健全性確認部202と優先センサ選択部203とセンサ出力補正部204とのうち少なくともいずれか一つが該当する。
「所定の処理」または「第2処理」の例である優先センサ選択部203は、複数の回転角検出センサ17,18が設けられている場合に、いずれの回転角検出センサを主な回転角検出センサとして優先的に使用するか選択する機能である。この処理の詳細は、図11で後述する。
「所定の処理」または「第3処理」の例であるセンサ出力補正部204は、回転角検出センサ17,18の検出信号を補正する機能である。この処理の詳細は、図12で後述する。
ここで、本明細書では、ヨー角センサ17および/またはピッチ角センサ18のことを、「回転角検出センサ17,18」と表現する。ヨー角センサ17についてのみ本実施例の機能202〜204を適用してもよいし、ピッチ角センサ18についてのみ機能202〜204を適用してもよいし、ヨー角センサ17およびピッチ角センサ18の両方について絹202〜204を適用してもよい。いずれの場合も本発明の範囲に含まれる。回転角検出センサ17,18として、ロータリーエンコーダを用いてもよいし、他の形式のセンサを用いてもよい。
ヨー角センサ17、ピッチ角センサ18、角度判定用リミットスイッチ211、動作角度制限用リミットスイッチ212の配置関係を説明する。
ヨー軸受部16の近傍には、ヨー角センサ17と、ヨー角判定用リミットスイッチ211と、ヨー方向の動作制限用リミットスイッチ212とが配置されている。複数のヨー角センサ17a,17bを設けることもできる。
翼軸受部19の近傍には、ピッチ角センサ18と、ピッチ角判定用リミットスイッチ211と、ピッチ方向の動作角度制限用リミットスイッチ212とが配置されている。複数のピッチ角センサ18a,18bを設けることもできる。
図2は、回転角検出センサ17,18の検出する回転角度と、判定用リミットスイッチ211と動作制限用リミットスイッチ212の動作する角度との関係を示す。図2では、回転角検出センサ17,18を「RE」と、判定用リミットスイッチ211を「LS1」と、動作制限用リミットスイッチ212を「LS2」と、示している。
回転角検出センサRE(17,18)は、0°からθ4までの範囲で回転部16,19の回転角度を検出し、電気信号としてコントローラ20へ出力する。判定用リミットスイッチLS1(211)は、回転部16,19が予め定められた所定の角度θ1に達したときに、信号をコントローラ20へ出力する。判定用リミットスイッチLS1(211)の検出する所定の角度θ1は、回転角検出センサRE(17,18)の検出可能な角度範囲であって、0°よりも大きく、かつ、回転部16,19の上限角度θ4よりも小さな値に設定される。所定の角度θ1を小さい値に設定するほど、判定用リミットスイッチLS1(211)が判定用信号を出力する頻度を高めることができる。
動作角度制限用リミットスイッチLS2は、回転部16,19が予め定められた上限角度θ4に達したときに、信号をコントローラ20へ出力する。各リミットスイッチLS1(211),LS2(212)は、接触型の機械式リミットスイッチでもよいし、非接触型の近接スイッチ等でもよい。
回転角検出センサRE(17,18)の検出する回転角度と判定用リミットスイッチLS1(211)に設定された所定角度θ1との間に偏差δが生じた場合、偏差δに基づいて、上述の各機能202〜204が実行される。
すなわち、判定用リミットスイッチLS1(211)が判定用信号を出力したときにおける、回転角検出センサRE(17,18)の出力する回転角度との差分δから、回転角検出センサRE(17,18)の健全性を確認したり(機能202)、各センサRE(17a,17b、18a,18b)の優先度を決定したり(機能203)、出力信号を補正したり(機能204)することができる。
図3は、ナセル11の位置と風向との関係を示す。風力発電装置1は、一般的に、主風向の位置を基準に風車を設置している。主風向とは、主たる風の向きである。主風向の位置に風車を設置することで、風車のナセル位置が0°となる時間を最大化できる。
これに対し、例えば北向きなどの、主風向とは異なる方向に風車を設置した場合を検討する。この場合、風車建設場所の主風向から風が吹く可能性が一番高いため、その主方向へ風車位置を旋回させる必要があり、旋回先でナセルが留まる可能性が高い。したがって、ナセル位置が0°とはならず、ほぼ常に旋回した状態となるため、タワー10内の電力ケーブルや信号線等が捻じられ続けることになる。したがって、発生頻度の高い主風向に沿って風車を配置すれば、ナセル位置を0°にすることができ、ケーブル等がねじれるのを抑制できる。
ナセル11の方向と風向との間に偏差がみられる場合(風向偏差が一定値以上ある場合)、図示せぬヨー駆動装置を動作させて、風向偏差が0°となるようにナセル11を旋回させる。
図4は、風車翼13のピッチ角度を示す。一般的な大型風車は、風速変化に応じて出力を制御するために、風車翼13のピッチ角を制御している。風車停止中は、過回転を防止するために、ピッチ角をフェザー方向に固定している。フェザー方向とは、風向に対して平行な方向である。
図5〜図8を用いて、回転角検出センサとしての、ヨー角センサ17またはピッチ角センサ18の一例を説明する。
図5は、回転角検出センサ17,18の側面図である。ロータリーエンコーダ等のセンサ本体310と、センサ本体310に測定用歯車330の回転を入力する入力軸320とを備える。
図6は、回転角検出センサ17,18の上面図である。図6には、測定用歯車330の回転方向が示されている。
図7は、回転角検出センサ17,18とリミットスイッチ211,212とを一体化してなるセンサユニット300の構成例を示す。
図7では、ヨー角のセンサユニットと、ピッチ角のセンサユニットとを区別せずに図示しているが、実際には、ヨー角のセンサユニットには、一つまたは複数のヨー角センサ17と、ヨー角判定用リミットスイッチ211と、ヨー方向の動作角度制限用リミットスイッチ212とが設けられている。ヨー角センサ17には、測定用歯車330の回転が内部歯車341を介して伝達される。リミットスイッチ211,212には、測定用歯車330の回転が内部歯車341,342とカム351,352とを介して伝達される。
図7では、一つのカムから各リミットスイッチ211,212へ測定用歯車330の回転が伝わるかのように示している。しかし実際には、測定用歯車330が所定のヨー角度に達したことをヨー角判定用リミットスイッチ211へ伝達するカム351と、測定用歯車330がヨー方向の動作上限角度に達したことを動作角度制限用リミットスイッチ212へ伝達するカム352とがある。
ピッチ角のセンサユニットについても同様である。すなわち、ピッチ角のセンサユニットには、一つまたは複数のピッチ角センサ18と、ピッチ角判定用リミットスイッチ211と、ピッチ方向の動作角度制限用リミットスイッチ212とが設けられている。ピッチ角センサ18には、測定用歯車330の回転が内部歯車341を介して伝達される。リミットスイッチ211,212には、測定用歯車330の回転が内部歯車341,342とカム351,352とを介して伝達される。
図7では、一つのカムからリミットスイッチ211,212へ測定用歯車330の回転が伝わるかのように示しているが、測定用歯車330が所定のピッチ角度に達したことをピッチ角判定用リミットスイッチ211へ伝達するカム351と、測定用歯車330がピッチ方向の動作上限角度に達したことを動作角度制限用リミットスイッチ212へ伝達するカム352とがある。
なお、油圧式のピッチ角動作機構の場合、油圧シリンダのロッドの伸縮状態に基づいてピッチ角を決定する場合もある。この場合は、シリンダロッドの伸縮位置をピッチ角センサ18やリミットスイッチ211,212へ伝達するための構造を備えればよい。
図8は、所定の回転部としてのヨー軸受部16または翼軸受部19と測定用歯車330との接続関係を示す。図8に示すように、ヨー軸受部16または翼軸受部19の外歯と測定用歯車(ピニオン)330とを歯合させることにより、ヨー角またはピッチ角をヨー角センサユニットまたはピッチ角センサユニットへ伝達させる。
ピッチ制御を行う場合、ピッチ角をおおよそ0°〜110°の範囲で運転する。風車運転中は、ピッチ角を0°付近のファイン方向に設定する。風車停止中は、ピッチ角を110°付近に設定し、風を受けないように停止させている。
ヨー角制御では、ナセル11がおよそ2周〜3周(±720°〜±1080°)旋回しても制御できるように設計される。なお、ヨー角の絶対値が大きくなると、タワー10内のケーブルが大きく捻じれて、損傷する可能性があるため、ヨー角を元の値に戻すようになっている。
図9,図10を用いて、判定用リミットスイッチLS1(211)によりピッチ角センサ18またはヨー角センサ17の健全性を確認する方法を説明する。
図9では、例えば仮に、判定用リミットスイッチLS1(211)の動作する所定角度を30°に設定している。コントローラ20は、判定用リミットスイッチLS1(211が)動作した所定タイミングにおける、ヨー角またはピッチ角の値を確認する。所定タイミングにおいて回転角検出センサRE(17,18)が検出している回転角度が40°の場合、10°の偏差δが生じていることになる。
図10は、回転角検出センサの健全性を確認する処理を示すフローチャートである。コントローラ20は、確認対象の回転角検出センサ17,18から出力される信号を監視している(S11)。
コントローラ20は、判定用リミットスイッチ211からの判定用信号が検出されたか判定する(S12)。コントローラ20は、判定用信号が検出されない場合(S12:NO)、ステップS11へ戻って監視を続ける。
コントローラ20は、判定用信号が検出されると(S12:YES)、確認対象の回転角検出センサ17,18の出力した値(検出信号)を確認する(S13)。コントローラ20は、回転角検出センサ17,18の出力値と判定用リミットスイッチ211の所定角度との偏差が所定の閾値以上であるか判定する(S14)。
コントローラ20は、回転角検出センサ17,18の出力値と判定用リミットスイッチ211の所定角度との偏差が所定の閾値未満である場合(S14:NO)、ステップS11へ戻る。
コントローラ20は、偏差が所定の閾値以上である場合(S14:YES)、回転角検出センサ17,18の異常または判定用リミットスイッチ211の異常のいずれかであると判定する(S15)。この判定結果は、図外の風力発電装置管理センタ等へ送信することができる。管理者は、コントローラ20から受信する判定結果に基づいて、保守員を風力発電装置1へ派遣して点検させることができる。
図10の処理をピッチ角センサ18の健全性確認に適用する場合を説明する。ピッチ角は、カットイン風速により起動指令された場合に、ピッチ角をフェザー方向からファイン方向に制御する。反対に停止するときは、ファイン方向からフェザー方向に制御する。したがって、ピッチ角判定用リミットスイッチ211の所定角度を、フェザー方向とファイン方向との間の角度に設定することにより、少なくとも運転ステータスが変更した際にピッチ角センサ18の健全性を判定することができる。
図11は、複数の回転角検出センサのうち主な回転角検出センサを選択する処理を示すフローチャートである。すなわち、本処理は、複数の回転角検出センサについて優先度を設定する処理である。
風力発電装置1の信頼性を向上させるために、ヨー角センサ17またはピッチ角センサ18が複数設置される場合がある。この場合に、同種のセンサの中からどのセンサを優先して制御に使用するのか選択する必要がある。
コントローラ20は、対象の各回転角検出センサから出力される検出信号を監視すると共に(S21)、対象の各回転角検出センサに対応する判定用リミットスイッチ211が動作したか監視している(S22)。
コントローラ20は、判定用リミットスイッチ211が動作して判定用信号が出力されると(S22:YES)、対象の各回転角検出センサの出力値(検出信号)を確認する(S23)。
コントローラ20は、対象の各回転角検出センサの出力値と判定用リミットスイッチ211の所定角度との偏差を算出し、偏差の少ない方のセンサを主な回転角検出センサとして選択する(S24)。換言すれば、コントローラ20は、偏差に応じた優先度を回転角検出センサに設定し、最も優先度の高い回転角検出センサを主な回転角検出センサとして選択する。選択されなかった方のセンサは、副の回転角検出センサあるいは予備の回転角検出センサとなる。
このように、コントローラ20は、ピッチ角またはヨー角が変化して、判定用リミットスイッチ211が切り替わった際の偏差の少ない方がセンサとしての精度が高いと判断し、風力発電装置1の運転制御に使用する。
ここで、制御に使用する回転角検出センサ(主な回転角検出センサ)が頻繁に切り替わるのは、無駄に処理が繰り返されることになりかねない。そこで、例えば、切替判定に用いる偏差の値を調整したり、いったん切り替えた後は所定回数継続して使用したりしてもよい。
図12は、回転角検出センサ17,18の検出信号を補正する処理を示すフローチャートである。
ヨー角センサ17またはピッチ角センサ18の検出信号は、運転中にドリフトする場合がある。その場合、判定用リミットスイッチ211の所定角度に基づいてオフセットを調製し、検出信号を補正する。これにより、風力発電装置1の安定的な運転を継続することができる。
コントローラ20は、対象の回転角検出センサから出力される検出信号を監視すると共に(S31)、対象の回転角検出センサに対応する判定用リミットスイッチ211が動作したか監視している(S32)。
コントローラ20は、判定用リミットスイッチ211が動作して判定用信号が出力されると(S32:YES)、対象の回転角検出センサの出力値(検出信号)を確認する(S33)。
コントローラ20は、対象の回転角検出センサの出力値と判定用リミットスイッチ211の所定角度との偏差を算出し、偏差に基づいて回転角検出センサの検出信号を補正する(S34)。なお、頻繁な補正を避けるために、例えば、偏差量や現在の補正値を決定してもよい。
このように構成される本実施例によれば、回転角検出センサ17,18が正常に動作しているか確認する健全性確認機能(自己診断機能)を得ることができ、風力発電装置1の信頼性を維持しながら効率的に運転でき、さらに、回転角検出センサ17,18の異常を早期に発見できる。
本実施例によれば、複数の回転角検出センサ17,18の優先度を決定するセンサ優先度決定機能を得ることができる。したがって、風力発電装置1が複数の回転角検出センサ17,18を有する場合に、いずれの回転角検出センサ17,18にしたがって制御すべきか決定でき、信頼性およびユーザの使い勝手を向上できる。
本実施例によれば、回転角検出センサ17,18の検出信号を補正する補正機能(較正機能)を得ることができる。これにより、ユーザに安心感を与えることができ、使い勝手を向上することができる。
本実施例によれば、判定用リミットスイッチ211が所定の頻度で判定用信号を出力できるように、判定用リミットスイッチ211を所定の範囲に設けることができる。これにより、健全性確認機能、センサ優先度決定機能、信号補正機能の実行頻度を必要な水準まで高めることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されず、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。
1:風力発電装置、10:タワー、11:ナセル、12:ハブ、13:風車翼、14:避雷リング、15:ドライブトレイン、16:ヨー軸受部、17:ヨー角センサ、18:ピッチ角センサ、19:翼軸受部、20:コントローラ、202:センサ健全性確認部、203:優先センサ選択部、204:センサ出力補正部、211:判定用リミットスイッチ、212:動作角度制限用リミットスイッチ

Claims (11)

  1. 風力発電装置であって、
    所定の回転部の回転角度を検出して出力する回転角検出センサと、
    前記所定の回転部の回転角度が予め定められた所定の角度に到達した場合に、前記回転角度が前記所定の角度に達したことを示す判定用信号を出力する判定用スイッチと、
    前記回転角検出センサからの検出信号と前記判定用スイッチからの判定用信号とを比較することにより、前記回転角検出センサの信頼性に関する所定の処理を実行する制御部と、
    を備える風力発電装置。
  2. 前記回転角検出センサは複数設けられており、
    前記制御部は、前記所定の処理として、
    前記各回転角検出センサが正常であるか判定する第1処理と、
    前記各回転角検出センサのうちいずれの回転角検出センサを主の回転角検出センサとして選択するか判定する第2処理と、
    前記各回転角検出センサの検出信号を補正する第3処理と、
    のうち少なくともいずれか一つを実行する、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  3. 前記制御部は、前記所定の処理として、前記判定用スイッチが判定用信号を出力したときに前記回転角検出センサが検出した信号の示す回転角度と前記所定の角度とを比較し、前記回転角度と前記所定の角度との偏差に基づいて、前記回転角検出センサが正常であるか判定する、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  4. 前記回転角検出センサは複数設けられており、
    前記制御部は、前記所定の処理として、前記判定用スイッチが判定用信号を出力したときに前記各回転角検出センサが検出した信号の示す回転角度と前記所定の角度とをそれぞれ比較し、前記各回転角検出センサのうち、前記回転角度と前記所定の角度との偏差の小さい方の回転角検出センサを、主の回転角検出センサとして選択する、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  5. 前記制御部は、前記所定の処理として、前記判定用スイッチが判定用信号を出力したときに前記回転角検出センサが検出した信号の示す回転角度と前記所定の角度とを比較し、前記回転角度と前記所定の角度との偏差に基づいて、前記回転角検出センサの検出信号を補正する、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  6. 前記回転角検出センサは複数設けられており、
    前記制御部は、前記所定の処理として、
    前記各回転角検出センサが正常であるか判定する第1処理と、
    前記各回転角検出センサのうちいずれの回転角検出センサを主の回転角検出センサとして選択するか判定する第2処理と、
    前記各回転角検出センサの検出信号を補正する第3処理と
    を実施することができ、
    前記第1処理では、前記判定用スイッチが判定用信号を出力したときに前記各回転角検出センサが検出した信号の示す回転角度と前記所定の角度とをそれぞれ比較し、前記各回転角度と前記所定の角度との偏差に基づいて、前記各回転角検出センサが正常であるか判定し、
    前記第2処理では、前記判定用スイッチが判定用信号を出力したときに前記各回転角検出センサが検出した信号の示す回転角度と前記所定の角度とをそれぞれ比較し、前記各回転角検出センサのうち、前記回転角度と前記所定の角度との偏差の小さい方の回転角検出センサを、主の回転角検出センサとして選択し、
    前記第3処理では、前記判定用スイッチが判定用信号を出力したときに前記回転角検出センサが検出した信号の示す回転角度と前記所定の角度とを比較し、前記回転角度と前記所定の角度との偏差に基づいて、前記回転角検出センサの検出信号を補正する、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  7. 前記所定の回転部は、支持部上端でナセルの回動を支持するヨー軸受部であり、
    前記回転角検出センサは、前記ナセルのヨー角を検出するヨー角センサである、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の風力発電装置。
  8. 前記所定の回転部は、風車翼をハブの側面に回動可能に支持する翼軸受部であり、
    前記回転角検出センサは、前記風車翼のピッチ角を検出するピッチ角センサである、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の風力発電装置。
  9. 前記回転角検出センサと前記判定用スイッチとはユニット化されている、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  10. 前記判定用スイッチは、所定の頻度で判定用信号を出力するように所定の範囲に設けられる、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  11. 風力発電装置の制御方法であって、
    前記風力発電装置は、
    所定の回転部の回転角度を検出して出力する回転角検出センサと、
    前記所定の回転部の回転角度が予め定められた所定の角度に到達した場合に、前記回転角度が前記所定の角度に達したことを示す判定用信号を出力する判定用スイッチと、
    前記回転角検出センサおよび前記判定用スイッチからの信号が入力される制御部とを備えており、
    前記制御部は、
    前記判定用スイッチから判定用信号が入力された場合における前記回転角検出センサの検出信号の示す回転角度を確認し、
    前記回転角度と前記所定の角度との偏差を算出し、
    前記算出された偏差に基づいて前記回転角検出センサの信頼性に関する所定の処理を実行する、
    風力発電装置の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111664061A (zh) * 2020-06-15 2020-09-15 三一重能有限公司 风力发电机组中偏航系统的故障诊断方法及装置

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