JP2019202307A - 送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 - Google Patents
送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019202307A JP2019202307A JP2018111448A JP2018111448A JP2019202307A JP 2019202307 A JP2019202307 A JP 2019202307A JP 2018111448 A JP2018111448 A JP 2018111448A JP 2018111448 A JP2018111448 A JP 2018111448A JP 2019202307 A JP2019202307 A JP 2019202307A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid
- flow path
- fine bubbles
- contact
- fine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Cleaning In General (AREA)
- Prevention Of Fouling (AREA)
Abstract
【課題】送液由来の汚染・汚濁物質の送液流路内面への付着・析出を溶液の変質を招かず防止する。【解決手段】送液する液体に溶存する気体物質を微小気泡として気化するとともに負に帯電させて、送液流路の液体接触面にクーロン力で吸着されることで微細気泡が稠密に分散吸着し液体接触面を膜状に被覆して、液体由来物質の付着あるいは析出を防ぐ。【選択図】なし
Description
本発明は、送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法に関する。
各種液体送液装置分野において、水溶液等の送液流路、とりわけ有機性の物質を含む場合や管径略5mm以下の細管路等において液体由来の物質が管路内面に漸次付着あるいは析出して管路を狭窄したり、微生物汚染を生起せしめたり等、送液管路の清浄を維持管理することが大きな課題となっている。
送液流路の上記のような内面汚染・汚濁に対して、流路内を薬剤により洗浄したり、管路を交換したりと定期的なメンテナンスを実施しているが、管自体の耐用年数よりも短期間での消耗となったり、薬剤コスト、メンテナンスコストを要するものであり、複雑で微細な流路機構を持つ装置分野(例えば医療分野や飲食品分野等)では大きな負担となっている。
また、装置分野によっては、薬剤等の流通が忌避されるものや洗浄・交換のための特別な機構を要するなど、流路の汚染・汚濁を洗浄することに限定されず、汚染・汚濁から流路を防護する簡便な装置又は方法が求められている。
これに対して、液体中に微細気泡を混相してその微細気泡の有する機械力により汚染・汚濁物を除去・洗浄する方法などが各方面により研究されており、微細気泡の生成方法に関する機械機構技術も登場している。([非特許文献1]、[特許文献1]、[特許文献2]など参照。)
「マイクロバブル研究の進展」,一般社団法人日本流体力学会『ながれ』,第34巻(2015)第5号
薬剤に因らない洗浄が期待される点では、微細気泡による洗浄を利用することも有効であるが、微細気泡の生成方法の多くが外部より気体(空気、オゾン等)を吹き入れるものであったり、溶液を高圧流体とする必要であったり、或いは微細気泡含有液として専用タンクに一時的に保持し洗浄時等にこれを使用する等、上述のような液体の品質保持や装置の構成上、実用的に利用することが困難であることが多い。
また、微細気泡水による洗浄も、流路が汚染・汚濁されたうえでその汚染・汚濁物質を洗浄するためにバッチ式に行い、かつその洗浄液は汚染・汚濁物質を高濃度に濃縮しているものであるため、処理排水として排出のうえ引き続いての清浄水での洗浄を要するものとなり、専用の薬剤使用の確実性やコスト面での微妙な差異性もあって、実用的には選択される例は極めて少ないものであった。
なお、特許文献1に開示される技術では、作用効果として洗浄のみならず「汚濁物質の付着を抑制する」ことが記載され開示されている(同文献中[請求項2]、[0011]、[0017])が、そのメカニズムは、微細気泡圧壊時に生成するフリーラジカルによる酸化分解とされており、溶液の種類、機器類によってはフリーラジカルによる酸化現象は忌避されなくてはならず、またこの特許文献には微細気泡の発生方法についての記載もないために、微細気泡由来の水溶液などの酸化性の変化の有無を確認したところその作用効果が確認できなかった。
特許文献3に開示されるマイクロバブルを利用した防汚装置についても微細気泡圧壊時の衝撃波が物資表面に物理的な力を作用する特性(同文献中[0021])に加え、実質的には溶液中に吹入れ注入する空気にオゾンを含有させて、同オゾンの殺菌効果により海生生物の付着を防止するものであった。
発明者らは特許文献2の微細気泡発生機構による微細気泡含有水の生成を確認のうえで、溶液流路が汚染・汚濁される以前に送液流路の清浄を維持する方法について研究を重ねた。とりわけ、特許文献1に開示されるような活性が生じた場合、溶液(溶媒、溶質)の変質を招くともに液送装置各部へのダメージが懸念されるために、溶液の変質を招かず、かつ汚染・汚濁物質の流路内面への付着・析出を防止する方法が求められていた。
また、外部より溶液中に気体(例えば、空気、水素、酸素、窒素、二酸化炭素等)を吹込むことなども溶液の組成への影響や微生物、塵芥の混入等が懸念されるため、溶液中に溶存する気体物質(標準状態で気体である物質)を微細気泡の気体として利用し、かつ、微細気泡による酸化分解等の物理化学反応のない方法も必要とされた。
研究検討の結果、溶液を送液する送液流路上に、液送の圧力、流量程度の条件で金属突起と接触させて溶液中に気体物質を減圧脱気させ、なおかつ気泡の液中脱気、成長過程で当該気体が金属表面と高速で接触、摩擦されかつ金属突起から高速で分離されることでより強く負に帯電した性質を有しうることを見出した。
この現象を生じせしめることで、溶液中から脱気して泡として液体に閉じ込められた気体が負に帯電した微細気泡とすることができ、静電気的に気液界面形成する液体分子(例えば水分子)の分極を介して気液界面の外周液層が負に帯電したものなる。
一般に溶液中の微小気泡の気液界面が活性(あるいは負に帯電)であることは古くから知られているが、主には気体を取り囲む液体分子の分極による緩やかな帯電状態(分極帯電)によるもので起泡分離現象(気泡分離)を生起せしめるが、本願発明者らはキャビテーションでの液中脱気と摩擦帯電を行うことでこの性質を増強するものである。
こうすることで、液体との流動帯電で正に帯電した固体物である送液流路内面の液体接触面に負に帯電した微小気泡がクーロン力によって吸引され、また微小気泡同士は同じ負の帯電による反発力を受けることで、稠密に分散吸着して液体接触面を膜状に被覆して、静電気的に中和安定した泡コート面となることで液体由来物質による汚染・汚濁物の付着・析出を防ぎうることを見出した。
ゼータ電位の測定によれば、固液界面には帯電分子等の静電気的な吸引と熱運動による拡散が混在した拡散電気二重層(正電荷、負電荷を帯電した分子等が拡散混然としている層)が形成されているとされるが、微細気泡とそれを取り巻く液体分子(水分子など)層ナノオーダーの1つの大きな帯電分子集団として送液流路内面の液体接触面の固体層の正の帯電を中和して電気的に安定させて付着できることも見出した。
上記の現象では、静電気的なクーロン力により効果的に液体接触面が泡コート面になるために、連続的に微細気泡が生成されるような構成であれば微細気泡の発生密度(個/mL等)は問題とならない。このため、送液流路と電気的に絶縁された金属小片と溶液の連続的な接触によるキャビテーションが生起しうる程度の単純な構成とし、微細気泡生成のための特別の高圧条件や流量制約(圧損による流量制約)のない、液送の圧力、流量程度の条件によってキャビテーションによる脱気と帯電を実現できる技術構成を開発するに至り、本願発明の具体化に成功した。
本願請求項1の発明は、標準状態で気体である物質が溶存した液体の送液流路上に、液体と流路内に突設された流路と電気的に絶縁された金属突起物との接触時の減圧脱気により粒径500nm以下の負に帯電した溶存気体の微細気泡を生成する微細気泡発生機構が直列配置され、微細気泡発生機構より下流の送液流路内面の液体接触面に、生成した微細気泡が液体接触面とのクーロン力と微細気泡相互の反発力とにより稠密に分散吸着し液体接触面を膜状に被覆して、液体接触面への液体由来物質の付着あるいは析出を防ぐことを特徴とした送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法である。
本願請求項2の発明は、請求項1の発明の金属突起物は、送液方向に直交して液体と接触するように突設され、突設方向に対する直交断面形状は送液方向に直交する方向に凸起しており、液体と接触する表面には送液方向と平行又は斜交する方向に螺旋溝又は条溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法である。
本願請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の微細気泡発生機構での微細気泡の生成は、動液圧0.01Mpa以上1.0Mpa以下、送液量1L/分以上1500L/分以下の送液条件によるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法である。
なお、微細気泡により汚濁物質の付着を抑制することが記載された特許文献1では技術的な開示が不足しており、また、微細気泡が液体接触面とのクーロン力と微細気泡相互の反発力とにより稠密に分散吸着し液体接触面を膜状に被覆させる技術的思想や具体的な構成は示唆されていないことから、本発明者らが到達した本発明とは本質的に異なるものである。
また、特許文献4では、生成したナノバブル水の噴霧において公知の高圧旋回流による気液混相流の生成とそれに続く減圧沸騰による溶存ガスの気化が説明され(同文献[0015])ているが、同文献の技術は貯留タンクに貯留されたナノバブル含有溶液を高圧圧送して高圧の圧縮空気により噴霧するとし(同文献[請求項1])、吹き付けるミスト内にナノバブル粒子を内蔵させることが最大の特徴とされ、マイナスに強く帯電することで到達後被射体に対してマイナス電荷効果を与えるものとされている(同文献[0018])。しかし、この場合の負の電荷は、ミスト(噴出液滴)の噴霧噴出帯電(例えば、「産業安全研究所特別研究報告」,NIS−SRR−NO.17,1999年,p59乃至63参照)として公知であって、そのミストのマイナス荷電効果についての開示が不足しているために、ナノバブルの有無とマイナス電荷効果との関係が不明である。
本発明の装置及び方法によれば、送液する液体に溶存する気体物質を微小気泡として気化するとともに負に帯電させて、送液流路の液体接触面にクーロン力で吸着されることで微細気泡が稠密に分散吸着し液体接触面を膜状に被覆して、液体由来物質の付着あるいは析出を防ぐことができる。
本発明を実施するための形態を説明する。
本発明は、送液装置分野における送液流路の清浄を維持する装置及び方法に関するものである。送液流路とは、液体の流通する空間、とりわけ吐出端部以外では外気、大気に開放されない閉鎖空間であって、液体がポンプなどの動力により圧送されて所定の動液圧で液送される連通した液体流通部全体を指す。具体的には送液管(金属製、樹脂製、ガラス製)、配管部材(継手、分岐、屈曲)、調整部材(バルブ)、ポンプ類、貯留槽、計測器類、熱交換器類、濾過器類等を含んで、何れも閉鎖系空間として流通液体と接触する部分をいう。送液管路のうち液体接触する面と液体中の微細気泡との作用によるものであるため、送液流路の内面全部が液体接触面となる場合と、その一部分が液体接触面となる場合とがある。
上記の送液流路において、実用上多くの場合、ポンプ等により0.1乃至0.5MPa程度、最低で0.01Mpa以上、最大でも1MPa以下の送液圧力(動圧力)で圧送され、流量は設備能力的に1L/分以上1500L/分以下の範囲で送液されている。本発明は、この条件での液体に帯電微細気泡を生成させるものである。
金属突起物の突設部位は、金属突起物と接触する直前の液体流速が、他の送液流路内で液体流速の概ね4乃至5倍となる程度に液体の断面積が絞られるように構成されており、その流速の液体に金属突起部が連続的に接触しつづけるように突設されている。好適には管路径が突設部位直前の径の1/2の径に絞られて当該絞り箇所に管内に向けた方向に突起物が突設されるよう構成させる。
金属突起物は、管路と電気的に絶縁されていることで、静電気効果を強く発揮することが出来るため上記の構成において樹脂等の絶縁物に嵌入固定してこれを管路上に流路の一部を構成するように配置又は管路内に部分品として嵌入する。
金属突起物は、送液方向に直交して液体と接触するように突設され、突設方向に対する直交断面形状は送液方向に直交する方向に凸起しており、液体と接触する表面には送液方向と平行又は斜交する方向に螺旋溝又は条溝が形成されている。こうすることで、液体と金属突起物の接触において、さまざまな通過流速条件を生ぜしめ、キャビテーション効果を簡易に実現することが出来る。
金属突起物の構成は、微細気泡の発生密度を向上する目的で前掲特許文献2の如く最適化した構成とすることが出来るが、本発明においては帯電微細気泡の静電気的な管路表面(液体接触面)の被覆が目的であるので、キャビテーション効果による微細気泡生成が認められる程度の簡易な構成でよい。
一方、金属突起物が金属であることは、金属の自由電子の放出性能を選択してキャビテーションによる減圧脱気と同時に析出気体を負に帯電させるうえで本願の需要な技術構成となる。金属としては強度・耐久性を考慮するとステンレス又はチタンが選択される。ステンレスは若干耐食性に劣るとされているが、現在ではスーパーステンレスと呼ばれる高耐食型の材料も登場しているので、適宜液体の性質に応じて金属材料を選択する。
金属突出物は、硬度の高い樹脂(例えば耐久性によりPOM材料等)に嵌入又は螺止されて、当該樹脂ごとに送液管路に配設される。上述のとおり当該樹脂が貫通流路を形成して流路の一部分を構成してもよいし、流通管路内の側壁面に接着固定されていてもよい。
金属突起物表面でのキャビテーションにより溶存気体の減圧脱気と同時に、気化気体は金属突起物との高速摩擦と高速分離によって強く帯電させられると同時に、気体の帯電電荷は泡表面を被覆する水分子に取り囲まれ(気液界面が形成されて)電気的に絶縁されることで帯電気泡が生成される。
本発明は標準状態で気体である物質が溶存した液体を送液する前提での技術に係るものである。標準状態はNTP(0℃、1a tm)であって物質は元素又は化合物である。標準状態で気体の物質は、元素の場合は、水素・窒素・酸素・フッ素・塩素・希ガスの11種類であり、化合物ではオゾン、二酸化炭素等が該当する。こうした物質を溶存した液体は特定の目的をもって管理されて生成されるものであるが、実用上は特段の脱気過程を経ていない限り空気由来の酸素、窒素が溶存している。
本発明では、液体に標準状態で気体である物質が飽和量まで溶存していることを必要とはしない。飽和量を超えて過飽和状態に気体を分散させた液体により本発明での微細気泡を生成すると、液体中の気体の気化が飽和量まで継続し、微細気泡が徐々に合一膨張し、結果μmオーダーの気泡を送液中で形成する。こうした小気泡は、静電気的な安定性を欠くうえに容易に流下して微細流路やフィルターにおいてチョーキング(目詰まり)を生じさせる危険性がある。本発明は、液体接触面を微細気泡で膜状に覆うのに十分な程度の微細気泡の生成でよく、飽和量以下の溶存気体の液体からの気化によるものであることが望ましい。
微細気泡を取り囲む液体分子は、直ちに内包気体の負の電荷により分極して気泡の外側に向けて負の極性となる。これに連続して分極液体分子が連接吸着し、周辺の液体(以下、この静電気現象の影響を受けない液体を「バルク液体」という。)とは吸着の電気的相互作用に限定しない範囲(拡散電気二重層のいわゆる「すべり面」)までの分子集団を作る。本願では、この微細気泡に周着する液体分子集団は泡膜に相当するものであって、バルク液体の中に同一の液体分子で取り囲まれた気体を核とした集合単位を静電気的に分離的に特定して微細気泡という。
帯電微細気泡はバルク液体とともに流路内を流下して、送液管路内面の液体接触面に到達し接触する。このとき送液流路内面は流通される液体との流動帯電により正に帯電しており、その固液界面には拡散電気二重層が形成されているが、上記の帯電微細気泡をクーロン力により吸引吸着する一方、帯電微細気泡同士は斥力が働いて略等離隔で水玉模様状に分布して液体接触面を微細気泡が一面に被覆する。
液体接触面に生成される微細気泡の泡被覆膜(泡コート)は、電位的な引力と反発力がバランスして安定的となる。また、泡コートが生成されたうえでは、流下してくる帯電微細気泡は拡散電気二重層のすべり面を境に静電気的に受ける作用が弱まるために泡コートから離れるようになるため、送液液体の機械力による泡コートの破壊剥離や固液接触が緩和抑制される。
なお、泡による被覆については、ペット用マイクロバブル発生器(参考:https:/ishimaru−Shoko.com/item/petspa/)の紹介において「マイクロバブルの気泡膜がペットのからだ全体を覆いますので、水圧・温度がかかりにくく、刺激のない・・・」として微細気泡の泡コートの作用効果が表現されているが、液体接触面に静電気的に安定な泡被膜が形成されることによる持続的な液体由来物質の付着あるいは析出を防ぐ作用効果やそれを実現する技術的思想及び構成は開示又は示唆されていない。
また、技術文献1において示唆されている微細気泡による管抵抗低減効果や、熱伝達抑制効果は、微細気泡の物性として示されるものであるものの、そのメカニズムは未解明とされている。本願発明者らは、微細気泡ではなく本願発明により流通路内面の液体接触面に生成される泡コートに起因する物性ではないかと推測しているが、本願出願時点ではそうした物性にかかる科学的な検証確認は行われていない。
さらに、微細気泡による洗浄効果が各方面で検証されているが、既に生成した付着物や析出物を剥離する作用は微細気泡の物性(主には浸透性と泡の機械力)によるものであって、本願発明は静電気的に安定的に流路内面に形成される微細気泡被膜により、液体由来物質の付着あるいは析出を防ぐ作用効果を発揮するための最適な構成を有するものである。
本発明では、泡コートが形成される範囲として微細気泡発生機構より下流の送液流路内面の液体接触面としているが、当然に実用的な制約のない場合(例えば冷却液であったり、流路上フィルター分離後の液体で十分な場合など)には、微細気泡を含有する流下液体を循環利用することがある。この場合は、標準状態で気体である物質が溶存した循環液体が金属突起物と接触することとなるが、帯電微細気泡の生成に影響を与えることはない。したがって本発明は、こうした循環流通の場合も金属突起物と再接触する直前までは微細気泡発生機構より下流の送液流路と考えるものであり、技術範囲に当然含んでいるものである。
なお、本願発明により生成される微粒気泡含有液体は、送液流路内面を泡カバーしてもなお液中に大量の微細気泡を含有している。このため、当該溶液を、例えば、送液管路外の固体物に対して流下あるいは塗布したり、固体物を浸漬したりしても、本願と同様の泡カバー効果を得ることが出来る。固体物は様々な環境下で正に帯電しているので、好適に本願の微粒気泡を静電気的に引付け付着させるために、作用効果として、固体表面が洗浄されたうえで、その状態が持続的に維持される。
例えば水溶液を本願装置を通水したうえで、金属表面あるいはガラス面を洗浄し、濡れ状態を拭払すると当該固体表面上に静電気的に稠密に分散吸着し膜状に被覆した状態となり、光沢性の著しい向上や平滑性(摩擦したときの滑り性)の向上を得ることが出来、かつ静電気的な塵芥の吸着を防ぐことが出来る。
上記の清浄平滑状態は、微細気泡を取り囲む液体分子(例えば水分子)が静電気的に掃く拡散してやがて消滅するものと考えられるが、本願発明者らの簡易な実施では、長期間(10日以上程度)は持続していることが観察されており、帯電気体に捕捉された液体分子のいわば泡膜は常温大気下程度の熱力学的環境では容易に崩壊せず、高い持続性があることを推定させている。
本願出願人らはこうした微細気泡含有液体の性質について科学技術的なメカニズムの確認作業を行っているところであるが、本願発明は、本願における構成での気体である物質が溶存した液体の送液流路の清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法であることに限定されず、本願と同一の構成により生成される微細気泡含有液体の作用効果が流路外の帯電固定物にも同様に及ぶことを見出しており、いわば気体である物質が溶存した液体より生成する帯電微細気泡による固体表面の清浄維持方法及び当該帯電微細気泡の生成装置をも、本願出願時点における技術思想として到達しており、本願の技術範囲に含まれている。
本発明の実施の例を開示する。実施例では特許文献2の技術による絶縁された金属突起を備えた微細気泡発生機構が直列配置した人工透析液の循環流路を構成した。人工透析液には本来的にタンパク性の溶存物質が含有されて透析液が流通しているため、その流通流路にはタンバク性の汚濁物が付着しやすく、また使用上は流通管路を清浄に保つためには、定期的な洗浄剤を含む消毒洗浄液によって定期的な洗浄を行わなければならない。
予め微細気泡発生機構に、水道水を0.05MPa、2.0L/分でワンパスにて流水したうえナノトラッキング法による微小気泡の発生を測定したところ、平均粒径200nmの微細気泡が2000万個/mL生成された。μmオーダーの小気泡は観測されなかった。同様に、RO分離浄水装置による純水50Lを用いてマグネットポンプにより0.05MPa、12.0L/分でワンパスにて通水したうえ測定したところ、平均粒径60nmの微細気泡が160万個/mL生成されることが確認された。
上記微細気泡発生機構を使用途上の人工透析液循環路に直列設置して透析液を循環流通した。当然に、微細気泡の剥離効果もあり緩やかに樹脂製配管路に付着していた白色の汚濁物質が剥離し、かつ新たな汚濁物質の付着が進行しなかった。この状態を略1ヶ月継続したところ、人工透析液循環路の汚濁物質はほぼ完全に剥離して、送液管路の内面は極めて清浄な状態となった。その後もタンパク性の汚濁物質の付着は観察されなかった。
同様の装置の未使用品に使用当初より微細気泡発生機構を人工透析液循環路に直列設置して透析液を循環流通した。この結果、従来であれば速やかにタンパク性汚濁物質の管路内付着が観察されるが、略1ヶ月運用継続のうえでもなお送液管路の内面は極めて清浄な状態を継続した。
本発明による人工透析装置の透析液の循環流路を経たうえでの廃液を分析した結果、特段の酸化分解物質は検出されず、予定範囲の組成の廃液であった。但し、雑菌の繁殖状況は確認されていないため、本発明による人工透析装置の透析液の循環流路も通常の定期的な殺菌溶液の循環を行っているが、その上でも従来の場合に大きな負担となっていた透析液循環管路内の汚濁物付着が発生しないため、人工透析装置の初期の性能が低下することなく作動され大きな成果を上げた。
本発明では、泡コートが形成される範囲として微細気泡発生機構より下流の送液流路内面の液体接触面としているが、当然に実用的な制約のない場合(例えば冷却液や、流路上フィルター分離後の液体で十分な場合など)には、微細気泡を含有する流下液体を循環利用することがある。この場合は、標準状態で気体である物質が溶存した循環液体が金属突起物と接触することとなるが、帯電微細気泡の生成に影響を与えることはない。したがって本発明は、こうした循環流通の場合も金属突起物と再接触する直前までは微細気泡発生機構より下流の送液流路と考えるものであり、技術範囲に当然含んでいるものである。
なお、本願発明により生成される微粒気泡含有液体は、送液管路内面を泡カバーしてもなお液中に大量の微細気泡を含有している。このため、当該溶液を、例えば、送液流路外の固体物に対して流下あるいは塗布したり、固体物を浸漬したりしても、本願と同様の泡カバー効果を得ることが出来る。固体物は様々な環境下で正に帯電しているので、好適に本願の微粒気泡を静電気的に引付け付着させるために、作用効果として、固体表面が洗浄されたうえで、その状態が持続的に維持される。
例えば水溶液を本願装置を通水したうえで、金属表面あるいはガラス面を洗浄し、濡れ状態を拭払すると当該固体表面上に静電気的に稠密に分散吸着し膜状に被覆した状態となり、光沢性の著しい向上や平滑性(摩擦したときの滑り性)の向上を得ることが出来、かつ静電気的な塵芥の吸着を防ぐことが出来る。
上記の清浄平滑状態は、微細気泡を取り囲む液体分子(例えば水分子)が静電気的に掃く拡散してやがて消滅するものと考えられるが、本願発明者らの簡易な実施では、長期間(10日以上程度)は持続していることが観察されており、帯電気体に捕捉された液体分子のいわば泡膜は常温大気下程度の熱力学的環境では容易に崩壊せず、高い持続性があることを推定させている。
本願出願人らはこうした微細気泡含有液体の性質について科学技術的なメカニズムの確認作業を行っているところであるが、本願発明は、本願における構成での気体である物質が溶存した液体の送液流路の清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法であることに限定されず、本願と同一の構成により生成される微細気泡含有液体の作用効果が流路外の帯電固定物にも同様に及ぶことを見出しており、いわば気体である物質が溶存した液体より生成する帯電微細気泡による固体表面の清浄維持方法及び当該帯電微細気泡の生成装置をも、本願出願時点における技術思想として到達しており、本願の技術範囲に含まれている。
Claims (3)
- 標準状態で気体である物質が溶存した液体の送液流路上に、液体と流路内に突設された流路と電気的に絶縁された金属突起物との接触時の減圧脱気により粒径500nm以下の負に帯電した溶存気体の微細気泡を生成する微細気泡発生機構が直列配置され、微細気泡発生機構より下流の送液流路内面の液体接触面に、生成した微細気泡が液体接触面とのクーロン力と微細気泡相互の反発力とにより稠密に分散吸着し液体接触面を膜状に被覆して、液体接触面への液体由来物質の付着あるいは析出を防ぐことを特徴とした
送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 - 前期金属突起物は、送液方向に直交して液体と接触するように突設され、突設方向に対する直交断面形状は送液方向に直交する方向に凸起しており、液体と接触する表面には送液方向と平行又は斜交する方向に螺旋溝又は条溝が形成されていることを特徴とする
請求項1記載の送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 - 前期微細気泡発生機構での微細気泡の生成は、動液圧0.01Mpa以上1.0Mpa以下、送液量1L/分以上1500L/分以下の送液条件によるものであることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018111448A JP2019202307A (ja) | 2018-05-24 | 2018-05-24 | 送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018111448A JP2019202307A (ja) | 2018-05-24 | 2018-05-24 | 送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019202307A true JP2019202307A (ja) | 2019-11-28 |
Family
ID=68725708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018111448A Pending JP2019202307A (ja) | 2018-05-24 | 2018-05-24 | 送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019202307A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009254950A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Yasutaka Sakamoto | 微細泡発生装置 |
JP2010094608A (ja) * | 2008-10-16 | 2010-04-30 | Nishi Nihon Kosoku Doro Maintenance Chugoku Kk | 洗浄・汚染防止方法、及び洗浄・汚染防止システム |
WO2016178436A2 (ja) * | 2015-05-07 | 2016-11-10 | 株式会社ウォーターデザイン | 液体処理ノズル、それを用いた液体処理方法、ガス溶解方法及びガス溶解装置 |
-
2018
- 2018-05-24 JP JP2018111448A patent/JP2019202307A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009254950A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Yasutaka Sakamoto | 微細泡発生装置 |
JP2010094608A (ja) * | 2008-10-16 | 2010-04-30 | Nishi Nihon Kosoku Doro Maintenance Chugoku Kk | 洗浄・汚染防止方法、及び洗浄・汚染防止システム |
WO2016178436A2 (ja) * | 2015-05-07 | 2016-11-10 | 株式会社ウォーターデザイン | 液体処理ノズル、それを用いた液体処理方法、ガス溶解方法及びガス溶解装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200182566A1 (en) | Compositions containing nano-bubbles in a liquid carrier | |
JP4029100B2 (ja) | 水処理装置および水処理方法 | |
US6132629A (en) | Method and apparatus for continuous or intermittent supply of ozonated water | |
US6203710B1 (en) | Liquid decontamination method and apparatus | |
RU2585635C1 (ru) | Способ обеззараживания и очистки жидких сред и технологическая линия для его реализации | |
JP3962212B2 (ja) | 水中での分子分極装置及びその方法 | |
US20120292262A1 (en) | Apparatuses and Methods for Purifying Liquids | |
JP6454003B2 (ja) | 気体混合液体を用いた洗浄装置 | |
JP2019202307A (ja) | 送液流路清浄維持装置及び当該装置を用いる送液流路清浄維持方法 | |
JP2007098217A (ja) | 超微細イオン化気泡発生方法及び発生装置及び原水処理装置 | |
JP2009254951A (ja) | 外気導入機能を有した微細泡発生装置 | |
JP2012196621A (ja) | 水滅菌装置及び水滅菌方法 | |
JP6104962B2 (ja) | オゾンの半減期を延長するための水の処理 | |
JP2007105728A (ja) | ナノバブルの利用方法及び装置 | |
JP4619971B2 (ja) | 排水処理方法および排水処理装置 | |
JP2009254950A (ja) | 微細泡発生装置 | |
KR102364742B1 (ko) | 미세 기포 발생기를 이용한 막 여과 수처리 시스템 | |
CN107344779A (zh) | 一种滑动弧放电低温等离子污水处理反应器 | |
WO2020217598A1 (ja) | 洗浄液生成装置、洗浄・コーティング液生成装置 | |
JP6708864B2 (ja) | Voc汚染水の浄化処理方法 | |
Stubenrauch et al. | Cleaning solid surfaces with liquid interfaces and foams: from theory to applications | |
Mwanga et al. | Micro and nanobubbles aided membrane processes | |
KR100893479B1 (ko) | 플라즈마 살균 필터 | |
JP6468048B2 (ja) | スライム剥離剤及びスライムの剥離方法 | |
KR20160021536A (ko) | 기체 혼합 액체를 이용한 세정 장치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191225 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201021 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201027 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210511 |