JP2019201126A - 超電導磁石装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置を提供する。【解決手段】本発明は、ボビンに巻回される超電導線材及び線状部材を備え、前記線状部材は、前記ボビンの内側における上端及び下端、並びに、前記ボビンの外側における上端及び下端に、少なくとも配置される、ことを特徴とする。前記ボビンの内側における上端及び下端、並びに、前記ボビンの外側における上端及び下端において、前記線状部材の比率は、前記超電導線材の比率より高い。【選択図】図2A
Description
本発明は、超電導磁石装置に関する。
超電導磁石装置は、極低温に冷却された超電導線材に電流が流れることで、所望の磁場を発生させる装置である。超電導物質は、所定の温度以下となった際、電気抵抗がゼロとなる物質であり、常温での導電性金属よりも大きな電流を流せる。このため、超電導磁石装置は、強磁場が必要な装置、例えば、磁気共鳴イメージング装置、核磁気共鳴装置、荷電粒子の加速器、などに使用されている。
例えば、特許文献1には、所定空間をあけて対向配置された第一、第二の容器、上記第一、第二の容器内に同軸となるように配列収納され、上記第一、第二の容器の間に均一磁界を発生する、環状に巻回しされた複数の超電導コイルよりなる第一、第二のコイル群を備え、少なくとも一つの上記超電導コイルは、上記第一、第二の容器の対向面から遠ざかるにつれて、その巻回し高さが小さくなるように形成されることを特徴とする超電導磁石装置が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、超電導線材がソレノイド状に巻き回されて形成される第1層と、第1層と同軸上、かつ、外径側に超電導線材がソレノイド状に巻き回されて形成される第2層と、第1層と第2層との間に配置され、通液性を有する第1伝熱部材とを有し、第1層、第2層および第1伝熱部材が、第1伝熱部材を通過し硬化した熱可塑性樹脂によって固定された超電導磁石装置が開示されている。
しかしながら、例えば、無冷媒型超電導磁石装置に、特許文献1に記載の技術を適用すると、熱伝導性を向上させることができないという問題が発生し、特許文献2に記載の技術を適用すると、熱抵抗が大きくなってしまうという問題が発生する。
即ち、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、超電導磁石装置において、十分に安定した強磁場を発生させることができなかった。
即ち、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、超電導磁石装置において、十分に安定した強磁場を発生させることができなかった。
そこで本発明は、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、ボビンに巻回される超電導線材及び線状部材を備え、前記線状部材は、前記ボビンの内側における上端及び下端、並びに、前記ボビンの外側における上端及び下端に、少なくとも配置される、ことを特徴とする。
本発明によれば、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。また、本明細書において、「上」、「下」などは構成要素間の相対的な位置を示すものであって、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
≪超電導磁石装置の構成≫
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る超電導磁石装置100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る超電導磁石装置100の構成の一例を示す断面図である。図2Aは、図1に示す超電導磁石装置100の構成の一部を示す拡大図である。
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る超電導磁石装置100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る超電導磁石装置100の構成の一例を示す断面図である。図2Aは、図1に示す超電導磁石装置100の構成の一部を示す拡大図である。
図1及び図2Aに示すように、超電導磁石装置100は、超電導線材10、線状部材20、エポキシ樹脂30、ボビン40、などを備えている。超電導磁石装置100は、輻射シールド60に内包され、輻射シールド60は、真空容器50に内包される。
超電導磁石装置100は、極低温(例えば、絶対温度で4[K]から77[K]程度)に冷却された超電導線材10に大電流が流れることで、磁極110の中心部或いは磁極110の端部に強力な磁束120を発生させる。超電導磁石装置100において、超電導線材10を冷却する冷却方式は特に限定されるものではなく、例えば、超電導線材10は、冷凍機から固体熱伝導物質を介して冷却されてもよいし、液体ヘリウムや液体窒素などの極低温の液体冷媒によって冷却されてもよい。
超電導磁石装置100は、極低温(例えば、絶対温度で4[K]から77[K]程度)に冷却された超電導線材10に大電流が流れることで、磁極110の中心部或いは磁極110の端部に強力な磁束120を発生させる。超電導磁石装置100において、超電導線材10を冷却する冷却方式は特に限定されるものではなく、例えば、超電導線材10は、冷凍機から固体熱伝導物質を介して冷却されてもよいし、液体ヘリウムや液体窒素などの極低温の液体冷媒によって冷却されてもよい。
超電導線材10は、その構成が特に限定されるものではない。超電導線材10は、例えば、ステンレスまたは銅などの高強度の金属材質である基板、該基板及び超電導層の熱収縮に起因する熱歪みを防止する中間層、マグネシウムなどで形成される配向層、酸化物材料などで形成される超電導層、銀、金または白金などで組成されて超電導層を保護する保護層、銅またはアルミニウムなどの良伝導性の金属メッキであり超電導層への過剰電流の迂回経路となってクエンチを防止する安定化金属層、などを備えている。なお、超電導線材10を構成する層の種類、層の数は、当該構成に限定されない。
超電導線材10は、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端を避けるように、配置される。
超電導線材10は、図2Aに示すように、断面視において、略円形状となるように、配置される。即ち、超電導線材10は、図2Aに示すように、断面視において、4隅の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)を除くように、略円形状の領域(領域E)に配置される。なお、超電導線材10の形状は、断面視において、略円形状に限定されるものではなく、略楕円形状、略六角形状、など、任意の形状であってもよい。
超電導線材10は、図2Aに示すように、断面視において、略円形状となるように、配置される。即ち、超電導線材10は、図2Aに示すように、断面視において、4隅の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)を除くように、略円形状の領域(領域E)に配置される。なお、超電導線材10の形状は、断面視において、略円形状に限定されるものではなく、略楕円形状、略六角形状、など、任意の形状であってもよい。
超電導線材10は、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40に、所定の方法で、所定回数、巻回される。例えば、超電導線材10は、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、連続的に巻回され、ボビン40の内側からボビン40の外側へとソレノイド状に形成される。
超電導線材10は、その種類が特に限定されるものではないが、例えば、ニオブ・チタン(NbTi)材、ニホウ化マグネシウム(MgB2)材、銅酸化物系の高温超電導物質(例えば、YBa2Cu307-δ、Bi2Sr2Ca2Cu3010、など)からなる線材、などによって形成されることが好ましい。
ニホウ化マグネシウム材は、超電導状態となる温度(臨界温度)が、銅の熱伝導率が最大となる20[K]以上であるため、超電導線材10として用いられることがより好ましい。
また、高温超電導物質からなる線材は、常伝導転移温度が、窒素の沸点である77[K]より高くなるため、超電導線材10として用いられることがより好ましい。高温超電導物質からなる線材を適用することで、固体熱伝導物質を介した冷却方式のみならず、安価な液体窒素などの液体冷媒による冷却方式を採用することが可能になる。
ニホウ化マグネシウム材は、超電導状態となる温度(臨界温度)が、銅の熱伝導率が最大となる20[K]以上であるため、超電導線材10として用いられることがより好ましい。
また、高温超電導物質からなる線材は、常伝導転移温度が、窒素の沸点である77[K]より高くなるため、超電導線材10として用いられることがより好ましい。高温超電導物質からなる線材を適用することで、固体熱伝導物質を介した冷却方式のみならず、安価な液体窒素などの液体冷媒による冷却方式を採用することが可能になる。
線状部材20は、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、少なくとも配置される。
線状部材20は、図2Aに示すように、断面視において、略三角形状となるように、配置される。即ち、線状部材20は、図2Aに示すように、断面視において、4隅の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)に、配置される。
線状部材20は、図2Aに示すように、断面視において、略三角形状となるように、配置される。即ち、線状部材20は、図2Aに示すように、断面視において、4隅の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)に、配置される。
線状部材20は、断面視において、4隅の領域で、必ずしも密に配置される必要はなく、線状部材20と超電導線材10とが混在して配置されていてもよい。少なくとも、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端において、線状部材20の比率は、超電導線材10の比率より高ければよい。
線状部材20は、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40に、所定の方法で、所定回数、巻回される。例えば、線状部材20は、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、連続的に巻回され、ボビン40の内側からボビン40の外側へとソレノイド状に形成される。また、例えば、線状部材20は、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、1ターンずつ巻回され、分割して形成される。
線状部材20の直径は、超電導線材10の直径と略等しいことが好ましい。線状部材20の直径と超電導線材10の直径とを略等しくすることで、線状部材20が巻回された層の厚さと、超電導線材10が巻回された層の厚さとを、略等しくすることができる。これにより、超電導磁石装置100の製造工程を簡易化することができる。
線状部材20は、例えば、エポキシ樹脂、ガラス繊維、FRP(繊維強化プラスチック)などの絶縁物に対して熱伝導性に優れる高熱伝導材料、或いは、低抵抗材料、などで形成されることが好ましい。このような材料としては、例えば、銅線、ステンレス、鉄、アルミニウム、などの金属材料が挙げられる。線状部材20が、金属材料で形成されることで、ボビン40に線状部材20を巻回し易くすることができる。
また、線状部材20が、高熱伝導材料で形成されることで、超電導磁石装置100において、超電導線材10を効率的に冷却することが可能になる。また、線状部材20が、高熱伝導材料で形成されることで、超電導線材10の一部に発熱が生じた場合であっても、超電導線材10が効率的に冷却されるため、超電導磁石装置100において、安定した電流を流すことが可能になる。
また、線状部材20が、低抵抗材料で形成される場合、線状部材20の表面に絶縁皮膜が塗布される、或いは、線状部材20の表面に絶縁部材が設けられることが好ましい。これにより、超電導線材10を流れる電流が変化した場合に発生する誘導電流を低減させることができ、該誘導電流に伴う発熱を低減させることができる。
絶縁皮膜、絶縁部材は、その材料が特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂、などを用いることができる。
絶縁皮膜、絶縁部材は、その材料が特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂、などを用いることができる。
エポキシ樹脂30は、超電導線材10と線状部材20との間に形成される空隙に充填されて、超電導線材10と線状部材20とを接着し一体化する。超電導線材10と線状部材20との間にエポキシ樹脂30が充填されることで、超電導線材10、線状部材20、をそれぞれ固定することができる。
ボビン40は、超電導線材10及び線状部材20が巻回される巻胴部と、この巻胴部の両端から、軸CLを中心に、径方向の外側に伸びるフランジ部と、を備えている。
ボビン40は、断面視において、略コの字型の形状を有しており、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの非磁性金属材料、などによって形成される。なお、ボビン40と超電導線材10との間、及び、ボビン40と線状部材20との間には、電気絶縁を目的とした絶縁板などが設けられていてもよい。
ボビン40は、断面視において、略コの字型の形状を有しており、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの非磁性金属材料、などによって形成される。なお、ボビン40と超電導線材10との間、及び、ボビン40と線状部材20との間には、電気絶縁を目的とした絶縁板などが設けられていてもよい。
フランジ部は、その厚みが特に限定されるものではないが、フランジ部の厚みを増大させることで、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、線状部材20が配置される場合と同様の効果を得ることも可能である(図2B参照)。即ち、フランジ部の厚みを適切に調整することで、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、線状部材20を配置せずとも、高負荷率部分に超電導線材10が配置されることを回避することができる。これにより、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100を実現できる。
≪磁束密度分布のシミュレーション結果≫
ここで、図3を参照して、本実施形態に係る超電導磁石装置100における磁束密度分布のシミュレーション結果について、一例を挙げて説明する。
ここで、図3を参照して、本実施形態に係る超電導磁石装置100における磁束密度分布のシミュレーション結果について、一例を挙げて説明する。
図3に示すように、断面視において、超電導線材10が配置される略円形状の領域(領域E)において、磁束密度は低く、磁場は弱くなる。
また、断面視において、線状部材20が配置される略三角形状の領域(領域A,領域D)において、磁束密度は高く、磁場は強くなる。
また、断面視において、線状部材20が配置される略三角形状の領域(領域B,領域C)において、磁束密度はやや高く、磁場はやや強くなる。
超電導磁石装置100の内側へ向かって、磁束密度は低くなる傾向があり、超電導磁石装置100の外側へ向かって、磁束密度は高くなる傾向がある。
また、断面視において、線状部材20が配置される略三角形状の領域(領域A,領域D)において、磁束密度は高く、磁場は強くなる。
また、断面視において、線状部材20が配置される略三角形状の領域(領域B,領域C)において、磁束密度はやや高く、磁場はやや強くなる。
超電導磁石装置100の内側へ向かって、磁束密度は低くなる傾向があり、超電導磁石装置100の外側へ向かって、磁束密度は高くなる傾向がある。
即ち、本実施形態に係る超電導磁石装置100において、超電導線材10は、強磁場下に置かれ、線状部材20は、弱磁場下に置かれていることがわかる。
ここで、図4を参照して、比較対象となる従来例に係る超電導磁石装置100Xの構成について説明する。
図4に示すように、従来例に係る超電導磁石装置100Xでは、断面視において、超電導線材10は、略円形状の領域(領域EX)にも、略三角形状の領域(領域AX、領域BX、領域CX、領域DX)にも、配置されている。
略円形状の領域(領域EX)に配置される超電導線材10Xが受ける磁場強度は、略三角形状の領域(領域AX、領域BX、領域CX、領域DX)に配置される超電導線材10Xが受ける磁場強度より弱い。
超電導磁石装置100Xに流すことのできる電流は、領域AX、領域BX、領域CX、領域DXに配置される超電導線材10Xが受ける磁場強度に依存する。このため、超電導磁石装置100Xには、領域AX、領域BX、領域CX、領域DXに配置される超電導線材10Xの臨界電流値を、十分に下回るような電流が流れることになる。ここで、「臨界電流値」とは、超電導状態を維持することが可能な臨界の電流値である。
超電導磁石装置100Xに流すことのできる電流は、領域AX、領域BX、領域CX、領域DXに配置される超電導線材10Xが受ける磁場強度に依存する。このため、超電導磁石装置100Xには、領域AX、領域BX、領域CX、領域DXに配置される超電導線材10Xの臨界電流値を、十分に下回るような電流が流れることになる。ここで、「臨界電流値」とは、超電導状態を維持することが可能な臨界の電流値である。
従って、領域AX、領域BX、領域CX、領域DXに超電導線材10Xが配置される場合、領域AX、領域BX、領域CX、領域DXに超電導線材10Xが配置されない場合よりも、臨界電流値が小さくなってしまうため、超電導磁石装置100Xに流すことのできる電流も小さくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る超電導磁石装置100では、断面視において、略円形状の領域(領域E)のみに超電導線材10を配置し、略三角形状の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)には線状部材20を配置する。これにより、臨界電流値を大きくすることができるため、超電導磁石装置100Xに流すことのできる電流も大きくすることができる。
また、本実施形態に係る超電導磁石装置100では、自己磁場による強磁場部分(高負荷率部分)を避けて、超電導線材10を配置し、高負荷率部分には超電導線材10の代わりに、冷却性能の高い高熱伝導体の線状部材20を配置する。これにより、超電導磁石装置100において、超電導線材10が受ける磁場強度を、従来よりも、弱くすることができ、安定した強磁場を発生させることができる。
更に、本実施形態に係る超電導磁石装置100では、高負荷率部分に合わせて、超電導線材の性能を高くする、或いは、超電導線材の長さを長くする、などの調整を行わずに済む。これにより、超電導磁石装置100Xを、簡易な構成とすることができる。
本実施形態に係る超電導磁石装置100によれば、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、線状部材20を配置する。これにより、超電導線材10の高負荷率部分を緩和することができるため、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100を実現できる。また、超電導線材10の冷却方式に依らずに、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100を実現できる。
≪変形例≫
次に、図5を参照して、変形例に係る超電導磁石装置100Aの構成について説明する。図5は、変形例に係る超電導磁石装置100Aの構成の一例を示す断面図である。
次に、図5を参照して、変形例に係る超電導磁石装置100Aの構成について説明する。図5は、変形例に係る超電導磁石装置100Aの構成の一例を示す断面図である。
変形例に係る超電導磁石装置100Aが、本実施形態に係る超電導磁石装置100と異なる点は、本実施形態に係る超電導磁石装置100では、断面視において、4隅の領域に線状部材20のみが配置されるのに対して、変形例に係る超電導磁石装置100Aでは、断面視において、4隅の領域に、線状部材20と超電導線材10とが不均一に配置される点である。
超電導線材10は、断面視において、略円形状の領域(領域E)に配置される。更に、超電導線材10は、断面視において、4隅の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)にも、不均一に配置される。
線状部材20は、断面視において、4隅の領域(領域A、領域B、領域C、領域D)に、不均一に配置される。これらの領域において、超電導線材10に対する線状部材20の比率は、任意に設定されることが可能であるが、線状部材20の比率は、少なくとも、超電導線材10の比率より高いことが好ましい。これにより、超電導磁石装置100Aにおいて、臨界電流値を大きくすることができるため、安定した強磁場を発生させることが可能になる。
線状部材20の直径は、超電導線材10の直径と略等しいことが好ましい。線状部材20の直径と超電導線材10の直径と略等しくすることで、線状部材20が巻回された層の厚さと、超電導線材10が巻回された層の厚さとを、略等しくすることができる。これにより、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端において、超電導線材10と線状部材20とが混合して巻回されても、同一の層内で、段差が形成されずに済むため、超電導磁石装置100Aの製造工程を簡易化することができる。
超電導磁石装置100Aにおいて、磁場強度は、図3に示すように、断面視において、領域Eより、領域A、領域B、領域C、領域Dで、強くなる。しかしながら、超電導コイルが複数存在する場合、或いは、超電導コイルの半径に対して断面積が大きい場合などには、磁場強度が、これらの領域(領域A、領域B、領域C、領域D)の中でも、大きく変化してしまうことがある。
しかしながら、超電導磁石装置100Aによれば、線状部材20の配置を、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端において、適宜調整することが可能であるため、磁場強度を、ある程度制御することが可能になる。これにより、超電導コイルが複数存在する場合、或いは、超電導コイルの半径に対して断面積が大きい場合であっても、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100Aを実現できる。
しかしながら、超電導磁石装置100Aによれば、線状部材20の配置を、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端において、適宜調整することが可能であるため、磁場強度を、ある程度制御することが可能になる。これにより、超電導コイルが複数存在する場合、或いは、超電導コイルの半径に対して断面積が大きい場合であっても、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100Aを実現できる。
更に、超電導磁石装置100Aにおいて、高負荷率部分に、不均一に線状部材20が配置されることで、超電導コイルの熱伝導性を向上させることができ、また、超電導コイルの外部からの熱伝導によって、超電導コイルの冷却時間を短縮することができる。即ち、超電導線材10に発熱が生じた場合であっても、線状部材20への効率的な伝熱によって、超電導線材10の温度上昇を抑制することが可能な超電導磁石装置100Aを実現できる。特に、
本実施形態に係る超電導磁石装置100Aによれば、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、超電導線材10及び線状部材20を混合して配置する。これにより、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100Aを実現できる。特に、液体や気体などの冷媒を用いない無冷媒型超電導磁石装置であっても、安定した強磁場を発生させることが可能になる。
≪巻線工程≫
次に、図6A及び図6Bを参照して、超電導磁石装置100の製造工程の一部である巻線工程について説明する。
次に、図6A及び図6Bを参照して、超電導磁石装置100の製造工程の一部である巻線工程について説明する。
図6Aに示す例では、超電導線材10は、超電導線材巻線工程用ボビン201によって、線状部材20は、線状部材線工程用ボビン202によって、ボビン40にそれぞれ巻回される。
超電導線材10は、超電導線材巻線工程用ボビン201に巻かれている超電導線材10が、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、ボビン40の内側からボビン40の外側へと連続的に巻回されることで形成される。
線状部材20は、線状部材線工程用ボビン202に巻かれている線状部材20が、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、巻回されることで、形成される。
線状部材20は、任意に分割されて巻回されることが好ましい。例えば、線状部材20は、ボビン40の内側における上端とボビン40の内側における下端とで、分割されて巻回されることが好ましい。また、例えば、線状部材20は、ボビン40の外側における上端とボビン40の外側における下端とで、分割されて巻回されることが好ましい。なお、本実施形態に係る巻線工程によれば、線状部材20の巻き始めと巻き終わりは、各層の任意の位置に設定される。これにより、特に、ボビン40の外側においても、線状部材20を適切な位置に配置することが可能になる。
線状部材20は、任意に分割されて巻回されることが好ましい。例えば、線状部材20は、ボビン40の内側における上端とボビン40の内側における下端とで、分割されて巻回されることが好ましい。また、例えば、線状部材20は、ボビン40の外側における上端とボビン40の外側における下端とで、分割されて巻回されることが好ましい。なお、本実施形態に係る巻線工程によれば、線状部材20の巻き始めと巻き終わりは、各層の任意の位置に設定される。これにより、特に、ボビン40の外側においても、線状部材20を適切な位置に配置することが可能になる。
超電導線材10及び線状部材20は、ボビン40の内側からボビン40の外側へと、1層毎に、同時に巻回されることで、形成される。この際、超電導線材10の直径と線状部材20の直径とを略等しくすることが好ましい。これにより、超電導線材10で構成される層の厚さと線状部材20で構成される層の厚さとを均一にすることができるため、多数の層が巻回される場合であっても、巻き崩れが生じることを防ぐことができる。
図6Bに示す例では、超電導線材10は、超電導線材巻線工程用ボビン201によって、線状部材20は、複数の線状部材線工程用ボビン202(202a,202b)によって、ボビン40にそれぞれ巻回される。
超電導線材10は、超電導線材巻線工程用ボビン201に巻かれている超電導線材10が、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、ボビン40の内側からボビン40の外側へと連続的に巻回されることで形成される。
線状部材20は、線状部材線工程用ボビン202aに巻かれている線状部材20が、軸CLを中心として、所定の位置に巻回され、線状部材線工程用ボビン202bに巻かれている線状部材20が、軸CLを中心として、所定の位置に巻回されることで、形成される。
超電導線材10及び複数の線状部材20とが、ボビン40の内側からボビン40の外側へと、1層毎に、同時に巻回されることで、同一の層内で、段差が形成されることなく、設計自由度の高い超電導磁石装置100を実現できる。
本実施形態に係る巻線工程によれば、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、線状部材20を配置する。これにより、超電導線材10の高負荷率部分を緩和することができるため、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100を実現できる。
≪巻線工程の変形例≫
次に、図7を参照して、超電導磁石装置100の製造工程の一部である巻線工程の変形例について説明する。
次に、図7を参照して、超電導磁石装置100の製造工程の一部である巻線工程の変形例について説明する。
超電導線材10は、超電導線材巻線工程用ボビン(不図示)によって、線状部材20は、線状部材線工程用ボビン(不図示)によって、ボビン40にそれぞれ巻回される。
超電導線材10は、超電導線材巻線工程用ボビン201に巻かれている超電導線材10が、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、ボビン40の内側からボビン40の外側へと連続的に巻回されることで形成される。
線状部材20_1,線状部材20_2,線状部材20_3,線状部材20_4,線状部材20_5,線状部材20_6,線状部材20_7,線状部材20_8は、線状部材線工程用ボビン202に巻かれている線状部材20が、軸CLの方向に上下に配置された2つのボビン40の巻胴部を巻き芯として、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、1ターンずつ巻回されることで、形成される。
即ち、線状部材20_1,線状部材20_2,線状部材20_3,線状部材20_4,線状部材20_5,線状部材20_6,線状部材20_7,線状部材20_8は、全長が、1ターンの周長以下の長さとなっている。
線状部材20_1,線状部材20_2,線状部材20_3,線状部材20_4,線状部材20_5,線状部材20_6,線状部材20_7,線状部材20_8を短く分割して、1ターンずつ設けることにより、超電導線材10の電流が変化する際に、線状部材20に誘導される起電力を低減させることができる。また、クエンチ時において、線状部材20に発生する誘導起電力を大幅に低減させることができる。更に、ボビン40と線状部材20との間に電位差が発生することで絶縁破壊が生じることを防ぐことができる。
これにより、超電導線材10と線状部材20との間の絶縁距離を短く、且つ、線状部材20の表面に設けられる絶縁皮膜、絶縁部材などを薄くすることができるため、超電導磁石装置100における熱伝導性を向上させることができる。
本変形例に係る巻線工程によれば、ボビン40の内側における上端及び下端、並びに、ボビン40の外側における上端及び下端に、線状部材20を配置する。これにより、超電導線材10の高負荷率部分を緩和することができるため、安定した強磁場を発生させることが可能な超電導磁石装置100を実現できる。
10 超電導線材
20 線状部材
40 ボビン
100,100A 超電導磁石装置
20 線状部材
40 ボビン
100,100A 超電導磁石装置
Claims (7)
- ボビンに巻回される超電導線材及び線状部材を備え、
前記線状部材は、
前記ボビンの内側における上端及び下端、並びに、前記ボビンの外側における上端及び下端に、少なくとも配置される、
ことを特徴とする超電導磁石装置。 - 前記ボビンの内側における上端及び下端、並びに、前記ボビンの外側における上端及び下端において、前記線状部材の比率は、前記超電導線材の比率より高い、
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導磁石装置。 - 前記超電導線材及び前記線状部材は、前記ボビンにそれぞれ巻回される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超電導磁石装置。 - 前記線状部材は、
前記ボビンに、連続的に巻回される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超電導磁石装置。 - 前記線状部材は、
前記ボビンに、1ターンずつ巻回される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超電導磁石装置。 - 前記線状部材の直径は、前記超電導線材の直径と略等しい、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超電導磁石装置。 - 前記線状部材は、表面に絶縁皮膜が塗布される、或いは、表面に絶縁部材が設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の超電導磁石装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018095281A JP2019201126A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 超電導磁石装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018095281A JP2019201126A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 超電導磁石装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019201126A true JP2019201126A (ja) | 2019-11-21 |
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ID=68611355
Family Applications (1)
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JP2018095281A Pending JP2019201126A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 超電導磁石装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019201126A (ja) |
-
2018
- 2018-05-17 JP JP2018095281A patent/JP2019201126A/ja active Pending
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