以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下に説明する各種の例示的態様は、適宜に組み合わせて実施しても構わない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
図1は、一実施形態に係るセンサシステムの構成例を示すブロック図である。図1に示すセンサシステム1は、例示的に、第1のセンサ2Aと、第2のセンサ2Bと、情報処理装置3と、を備えてよい。
センサ2A及び2Bと情報処理装置3とは、ネットワーク(NW)4経由で通信可能に接続されてよい。例えば、センサ2A及び2Bは、通信機器の一例であるルータ6を介してネットワーク4に接続されてよい。
センサ2A及び2Bは、例示的に、ドップラーセンサであってよく、マイクロ波等の電波をセンシング対象に照射し、センシング対象で反射して受信される反射波の変化を基に、センシング対象の「動き」を非接触で検出することができる。
例えば、センサ2A(又は2B)とセンシング対象との間の距離が変化すると、ドップラー効果によって、反射波に変化が生じる。反射波の変化は、例示的に、反射波の振幅及び周波数の一方又は双方の変化として捉えることができる。
センシング対象が例示的に人体等の生体であれば、センサ2A(又は2B)とセンシング対象との間の距離が生体の「動き」に応じて変化するから、生体情報(「バイタル情報」と称してもよい。)をセンシングできる。なお、「センシング」は、「検出」あるいは「測定」と言い換えてもよい。
生体の「動き」(「位置変化」と言い換えてもよい。)には、例示的に、生体の活動中の身体的な動きに限らず、生体の睡眠時等の安静時の心拍や呼吸に応じた生体表面(例えば、皮膚)の動きが含まれてよい。
生体表面の動きは、生体の臓器の動きに応じて生じる、と捉えてよい。例えば、心臓の鼓動に応じて皮膚に動きが生じる。また、呼吸に伴う肺臓の伸縮に応じて皮膚に動きが生じる。
これらの生体の「動き」に応じて、センサ2A(又は2B)が照射したマイクロ波の反射にドップラー効果による変化が生じるから、当該変化を基に、例えば、身体的な動きや心拍、呼吸等を示すバイタル情報をセンシングすることが可能である。
なお、以下では、便宜的に、人体の「身体的な動き」を便宜的に「体動」と称し、心拍や呼吸等に伴う人体表面の動きとは区別する。ただし、「体動」に、人体の身体的な動きと、心拍や呼吸等に伴う人体表面の動きと、が含まれる扱いにしてもよい。
センサ2A(又は2B)によってセンシングされたバイタル情報を基に、例えば、生体が睡眠中であるか覚醒中であるかといった、生体の睡眠状態を非接触で検出、判定、又は、推定することが可能である。
センサ2A及び2Bは、例示的に、寝室等の室内空間に備えられた寝具の一例であるベッド5に取り付けられてよく、ベッド5の利用者のバイタル情報を非接触でセンシングしてよい。なお、「利用者」は、センサ2A及び2Bによる「被観測者」あるいは「被験者」と称されてもよい。
ベッド5は、2人以上が就寝可能なサイズのベッドであってよい。例えば、ベッド5は、一般的なダブルベッドの幅(例示的に、1400mm)以上のベッドであってよい。以下では、非限定的な一例として、ベッド5が、図2や図4に例示するように、2人の利用者A及びBが並んで就寝可能なサイズのダブルベッドであることを想定する。
センサ2A及び2Bは、それぞれ、利用者A及びBに対応付けてベッド5に取り付けられてよい。
例えば、ダブルベッド5において、第1のセンサ2Aは、センシング範囲に、一方の利用者Aが就寝時に占有すると想定される第1の就寝領域の一部又は全部が含まれるようにベッド5に取り付けられてよい。
第2のセンサ2Bは、センシング範囲に、他方の利用者Bが就寝時に占有すると想定される第2の就寝領域の一部又は全部が含まれるようにダブルベッド5に取り付けられてよい。
第1及び第2の就寝領域は、例示的に、それぞれ、ダブルベッド5のベッド領域を、長手方向の中心線を中心に、幅方向の左右に分割した領域に相当してよい。
非限定的な一例として、第1のセンサ2Aは、第1の就寝領域に対して送信電波の指向性が形成されて、第1の利用者Aに向けて電波を照射可能な位置に取り付けられてよい。第2のセンサ2Bは、第2の就寝領域に対して送信電波の指向性が形成されて、第2の利用者Bに向けて電波を照射可能な位置に取り付けられてよい。
そのような取り付け位置(便宜的に「センサ取り付け位置」と称することがある。)の一例としては、図2及び図3に模式的に例示するように、マットレス52の裏側から利用者A(又はB)へ電波を照射可能な位置が挙げられる。
例えば、第1のセンサ2Aは、マットレス52が置かれるベッド5の床板(「底板」と称してもよい。)53(図3参照)の、利用者Aの就寝領域に対応する領域内に、送信電波の指向性が上方を向くように取り付けられてよい。
第2のセンサ2Bは、例えば、当該床板53の利用者Bの就寝領域に対応する領域内に、送信電波の指向性が上方を向くように取り付けられてよい。
センサ取り付け位置の他の一例としては、図4及び図5に例示するように、ベッド5のヘッドボード51が挙げられる。センサ2A及び2Bのヘッドボード51への取り付けは、埋め込みでよいし外付けでもよい。
例示的に、センサ2A及び2Bは、ヘッドボード51の高さにもよるが、マットレス52の表面から鉛直上方に数十センチメートル(cm)、非限定的な一例として30cm程度の位置に取り付けられてよい。
センサ2A及び2Bのセンシング範囲は、それぞれ、図2〜図5に模式的に例示するように、利用者A及びBの胸部が含まれるように設定されてよい。当該設定により、利用者A及びBの心拍や呼吸を測定し易くなる。また、センサ2A及び2Bのセンシング範囲は、互いの電波干渉をできるだけ避けるために、互いに重ならないように設定されてよい。
センサ2A及び2Bのセンシング範囲は、それぞれ、例えば後述するように、電波の送信電力を制御することで調整できる。
図2及び図3に例示したように、センサ2A及び2Bをベッド5の床板53に取り付ける態様では、利用者A及びBの心拍や呼吸を測定し易いように、利用者A及びBの少なくとも胸部を含む領域がセンシング範囲に含まれるように調整し易い。
一方、図4及び図5に例示したように、センサ2A及び2Bをベッド5のヘッドボード51に取り付ける態様では、例示的に、ベッド5の形状等の変化に伴う外乱の影響をセンサ2A及び2Bが受けにくい。
例えば、ベッド5のマットレス52の硬さが変化したり、リクライニングが可能なベッド5の形状が変化したりしても、センサ2A及び2Bによるセンシングに与える影響を抑制することができ、センシング精度の低下を抑制することができる。
なお、図2及び図3に例示したセンサ取り付け位置と、図4及び図5に例示したセンサ取り付け位置とは、適宜に組み合わせてもよい。例えば、センサ2A及び2Bの一方は、ベッド5の床板53に取り付け、他方は、ベッド5のヘッドボード51に取り付けられてよい。
センサ2A及び2Bが取り付けられたベッド5は、便宜的に、「マルチユーザ対応センサ付きベッド5」と称してもよい。
また、図1において模式的に例示するように、ベッド5が備えられた室内空間には、空調機7や照明器具8等が備えられていてもよい。
空調機7や照明器具8は、センサ2A及び2Bと同様に、ルータ6に接続されてよく、ルータ6及びネットワーク4経由で情報処理装置3と通信可能に接続されてよい。
空調機7や照明器具8は、ルータ6及びネットワーク4を経由した通信によって、情報処理装置3から動作が制御されてよい。
例えば、情報処理装置3は、センサ2A及び2Bのセンシング結果を用いて、空調機7の運転や照明器具8の調光を遠隔制御してよい。当該制御は、室内空間の環境(「室内環境」と称してよい。)を利用者にとって快適な環境に制御することであってよい。
情報処理装置3によって室内環境を制御することには、例示的に、利用者の快眠を助けるような、空調機7の温度制御や風量制御、風向制御、照明器具8の調光制御等が含まれてよい。そのような制御は、便宜的に、「快眠制御」と称してもよい。
なお、センサ5A及び5Bは、情報処理装置3によって制御されなくてもよい。別言すると、センサ5A及び5Bは、情報処理装置3宛の片方向の通信が可能であれば足り、情報処理装置3が送信した信号の受信をサポートしなくても構わない。
センサ2A及び2B、空調機7、並びに、照明器具8の一部又は全部と、ルータ6と、の間の接続は、有線接続でもよいし無線接続でもよい。空調機7や照明器具8は、家庭用及び業務用のいずれであってもよい。家庭用の空調機7や照明器具8は、所謂「家電」の一例であり、ネットワーク4と通信が可能な「家電」は、「情報家電」と称されてもよい。
ネットワーク4は、例示的に、WAN(Wide Area Network)や、LAN(Local Area Network)、インターネットに該当してよい。ネットワーク4には、無線アクセス網が含まれてもよい。例えば、ルータ6は、無線インタフェースによって無線アクセス網に接続して情報処理装置3と通信することが可能であってよい。
情報処理装置3は、既述のように、ネットワーク4経由でセンサ2A及び2Bのセンサ情報を受信(「取得」と称してもよい。)することが可能である。したがって、情報処理装置3は、センサ情報処理装置3と称してもよい。
受信したセンサ情報を基に、情報処理装置3は、利用者A及びBの体動や心拍、呼吸等の状態を判定(「推定」と称してもよい。)することができる。推定結果を基に、情報処理装置3は、既述のように室内環境を制御してよい。
情報処理装置3は、例示的に、1又は複数のサーバを用いて構成されてよい。別言すると、1つのサーバが情報処理装置3に該当してもよいし、複数のサーバを備えたサーバシステムが情報処理装置3に該当してもよい。サーバは、例えば、クラウドデータセンタに備えられたクラウドサーバに該当してもよい。
(センサ2A及び2Bの構成例)
次に、図6を参照して、センサ2A及び2Bの構成例について説明する。なお、図6に例示する構成例は、センサ2A及び2Bに共通であってよい。そのため、構成的にセンサ2A及び2Bを区別しない場合には、センサ2A及び2Bを「センサ2」と略記することがある。
図6に例示するセンサ2は、ドップラーセンサである。ドップラーセンサ2は、「マイクロ波センサ2」と称してもよいし、「RFセンサ2」と称してもよい。「RF」は、「Radio Frequency」の略称である。
ドップラーセンサ2は、例示的に、送信した電波と、当該送信電波の反射波と、を位相検波してビート信号を生成する。そのため、図6に示すように、ドップラーセンサ2は、例えば、アンテナ211、ローカル発振器(Oscillator, OSC)212、MCU(Micro Control Unit)213、検波回路214、オペアンプ(OP)215、及び、電源部216を備えてよい。
アンテナ211は、OSC212で生成された発振周波数をもつ電波を送信し、また、当該送信電波の反射波を受信する。なお、図6の例において、アンテナ211は、送受信に共用であるが、送受信に個別であってもよい。
OSC212は、例示的に、MCU213の制御に応じて発振動作して、所定周波数の信号(便宜的に「ローカル信号」と称してよい。)を出力する。ローカル信号は、アンテナ211から送信電波として送信されると共に、検波回路214に入力される。
OSC212の発振周波数は、例示的に、マイクロ波帯の周波数であってよい。マイクロ波帯は、例示的に、2.4GHz帯でもよいし、24GHz帯でもよい。これらの周波数帯は、日本の電波法で屋内での使用が認められている周波数帯の一例である。電波法の規制を受けない周波数帯を、ドップラーセンサ2の送信電波に用いても構わない。
MCU213は、例示的に、OSC212の発振動作を制御する。
検波回路214は、アンテナ211で受信された反射波と、OSC212からのローカル信号(別言すると、送信電波)と、を位相検波してビート信号を出力する。なお、検波回路214は、送信電波と反射波とをミキシングするミキサに置換されてもよい。ミキサによるミキシングは、位相検波と等価であると捉えてよい。
ここで、検波回路214によって得られるビート信号には、ドップラー効果によって、送信電波を反射した利用者A又はBの「動き」に応じた、振幅変化と周波数変化とが現われる。
例えば、「動き」の変化量(別言すると、ドップラーセンサ2に対する相対速度)が大きくなるほど、ビート信号の周波数及び振幅値は大きくなる傾向にある。
別言すると、ビート信号には、送信電波を反射したセンシング対象(例えば、利用者A又はB)の「動き」を示す情報が含まれる。センシング対象の「動き」には、既述のとおり、利用者の身体的な動きである体動と、心拍や呼吸に伴う人体表面(別言すると、皮膚)の動きと、がある。
心拍や呼吸に伴う人体表面の変化によって、利用者とドップラーセンサ2との間の距離が変化するから、当該距離変化に応じてビート信号の波形が変化する。したがって、ビート信号の波形変化に基づいて、利用者の体動に限らず、利用者の心拍数や呼吸数を検出することも可能である。
例えば、利用者の体動は、利用者の心拍や呼吸に応じた人体表面の動きに比べて、ビート信号の振幅値が大きく変化する傾向にあるため、振幅値の変化を基に検出することが可能である。
これに対し、利用者の心拍や呼吸に応じた人体表面の動きは、ビート信号において振幅値の変化よりも周波数の変化として現われ易いため、周波数の変化を基に検出することが可能である。
オペアンプ215は、検波回路214から出力されるビート信号を増幅する。増幅されたビート信号が、センサ情報として情報処理装置3宛に送信されてよい。
電源部216は、例示的に、MCU213、検波回路214及びオペアンプ215に駆動電力を供給する。
なお、OSC212の発振周波数及び出力信号強度は、ドップラーセンサ2Aとドップラーセンサ2Bとで同じでもよいし異なっていてもよい。別言すると、ドップラーセンサ2A及び2Bが送信する電波の周波数及びパワーは、同じでもよいし異なっていてもよい。
送信電波のパワーは、「送信電波強度」又は「送信電力」と言い換えてもよい。送信電力が大きいほど、電波の到達可能な空間範囲が拡大するから、センシング範囲を拡大できる。センサ取り付け位置とセンシング対象との距離に応じて、ドップラーセンサ2A及び2Bの送信電力が個別的に設定、調整されてよい。
(情報処理装置3の構成例)
次に、図7を参照して、図1に例示した情報処理装置3の構成例について説明する。図7に示すように、情報処理装置3は、例示的に、プロセッサ31、メモリ32、記憶装置33、通信インタフェース(IF)34、及び、ペリフェラルIF35を備えてよい。
プロセッサ31、メモリ32、記憶装置33、通信IF34、及び、ペリフェラルIF35は、例示的に、通信バス36によって、互いに通信可能に接続されてよい。
プロセッサ31は、処理部の一例であり、例示的に、情報処理装置3の全体的な動作を制御する。当該制御には、ネットワーク4を経由した通信を制御することが含まれてよい。当該制御には、ネットワーク4経由で空調機7及び照明器具8の一方又は双方を遠隔制御することが含まれてよい。
例えば、プロセッサ31は、通信IF34で受信された、ドップラーセンサ2A及び2Bのセンサ情報を基に利用者A及びBの睡眠に関する状態を判定してよく、当該判定の結果に応じて、空調機7や照明器具8の動作を制御する制御信号を生成してよい。当該制御信号は、例えば通信IF34を介して、空調機7や照明器具8に宛てて送信されてよい。
プロセッサ31は、演算能力を備えた演算処理装置の一例である。演算処理装置は、演算デバイス又は演算回路と称されてもよい。演算処理装置の一例であるプロセッサ31には、例示的に、CPUが適用されてよい。「CPU」は、「Central Processing Unit」の略称である。
CPUに代えて、例えば、MPU(Micro Processing Unit)等の集積回路(Integrated Circuit, IC)や、DSP(Digital Signal Processor)がプロセッサ31に用いられてもよい。なお、「演算処理装置」は、「コンピュータ」と称してもよい。
メモリ32は、記憶媒体の一例であり、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ等であってよい。メモリ32には、プロセッサ31が読み取って動作するために用いられる、プログラムやデータが記憶されてよい。「プログラム」は、「ソフトウェア」あるいは「アプリケーション」と称されてもよい。
記憶装置33は、種々のデータやプログラムを記憶してよい。記憶装置33には、ハードディスクドライブ(HDD)や、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ等が用いられてよい。
記憶装置33に記憶されるデータには、例示的に、通信IF34で受信された、ドップラーセンサ2A及び2Bのセンサ情報や、センサ情報を基に得られるバイタル情報、バイタル情報を基に推定される睡眠状態の判定結果等が含まれてよい。
記憶装置33に記憶されたデータは、適宜に、データベース(DB)化されてよい。DB化されたデータは、「クラウドデータ」や「ビッグデータ」等と称されてよい。なお、記憶装置33とメモリ32とを「記憶部」と総称してもよい。
記憶装置33に記憶されるプログラムには、図8や図9、図15〜図17にて後述する処理(「センサ情報処理」と称してよい。)を実行するプログラムが含まれてよい。当該プログラムは、便宜的に、「センサ情報処理プログラム」と称してよい。プログラムを成すプログラムコードの全部又は一部は、記憶部に記憶されてもよいし、オペレーティングシステム(OS)の一部として記述されてもよい。
プログラムやデータは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。記録媒体の一例としては、フレキシブルディスク、CD−ROM,CD−R,CD−RW,MO,DVD、ブルーレイディスク、ポータブルハードディスク等が上げられる。また、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の半導体メモリも記録媒体の一例である。
あるいは、プログラムやデータは、サーバ等からネットワーク4経由で情報処理装置3に提供(ダウンロード)されてもよい。例えば、通信IF34を通じてプログラムやデータが情報処理装置3に提供されてよい。また、プログラムやデータは、ペリフェラルIF35に接続された後述の入力機器等から情報処理装置3に入力されてもよい。
通信IF34は、例示的に、ネットワーク4に接続されて、ネットワーク4を経由した通信を可能にする。
通信IF34は、受信処理に着目すれば、センサ2A及び2Bが情報処理装置3宛に送信した情報を受信する受信部(「取得部」と称してもよい。)の一例である。
一方、送信処理に着目すれば、通信IF34は、例えば、プロセッサ31が生成した空調機7宛や照明器具8宛の制御信号を送信する送信部の一例である。通信IF34には、例示的に、イーサネット(登録商標)カードが適用されてよい。
ペリフェラルIF35は、例示的に、情報処理装置3に周辺機器を接続するためのインタフェースである。
周辺機器には、情報処理装置3に情報を入力するための入力機器や、情報処理装置3が生成した情報を出力する出力機器が含まれてよい。
入力機器には、キーボードやマウス、タッチパネル等が含まれてよい。出力機器には、ディスプレイやプリンタ等が含まれてよい。
(動作例)
以下、上述したセンサシステム1の動作例について説明する。
以下の動作例においては、複数(例示的に2人)の利用者A及びBの睡眠状態を、それぞれ、センサ2A及び2Bによって非接触で得られるセンサ情報を基に、情報処理装置3にて推定する例について説明する。
なお、以下において、ドップラーセンサ2A及び2Bのセンシング結果であるセンサ情報を、それぞれ、「検出値」又は「センサ値」と称することがある。また、利用者Aに対応するドップラーセンサ2Aのセンサ値を、便宜的に、「ドップラーセンサ値A」又は「センサ値A」と表記することがある。同様に、利用者Bに対応するドップラーセンサ2Bのセンサ値を、便宜的に、「ドップラーセンサ値B」又は「センサ値B」と表記することがある。
1台のベッド5で例えば2人の利用者A及びBが並んで就寝する場合に、図2〜図5に例示したように、各人が寝る位置(別言すると、就寝領域)に対応してドップラーセンサ2A及び2Bを設けることで、各人の体動や心拍、呼吸の状態を測定できる。
しかし、1台のベッド5で複数人が就寝するが故に、そのうちの誰か(例えば利用者A)に寝返りを打つ等の身体的な動き(体動)が生じると、当該体動に応じた振動が例えばベッド5のマットレス52や布団等を伝わり、他の利用者Bにも動きが生じ得る。
この場合、他の利用者Bに対応するセンサ値Bには、実は動いていない利用者Bに、あたかも利用者B自身の体動が生じたかのような振幅変化が現われる。
そのため、動いていない利用者Bを動いたかのように誤検出してしまうことがあり、利用者Bの体動検出精度が低下し、その結果、睡眠状態の推定精度も低下し得る。
逆に、利用者Bに寝返りを打つ等の体動が生じた場合には、振動が利用者Aに伝わり、センサ値Aに、利用者Aに利用者A自身の体動が生じたかのような振幅変化が現われる。
そのため、利用者Aの体動検出精度が低下し、その結果、利用者Aの睡眠状態の推定精度も低下し得る。
このように、1台のベッド5で複数の利用者A及びBが就寝する場合、各利用者A及びBに対応してセンサ2A及び2Bを設けても、利用者A及びBのいずれかに、寝返りを打つ等の体動が生じると、他者の体動検出精度が低下し得る。
仮に、複数の利用者に対応付けた各センサ2の電波周波数を互いに異ならせたとしても、寝返りを打つ等の体動の生じた利用者の振動に応じた振幅変化が他の利用者に対応するセンサ2のセンサ値に現われるから、体動検出精度が低下し得ることに変わりない。
睡眠中の体動の有無を示す情報は、睡眠の質(例えば、深さ)の推定に用いられる情報であるため、動いていない人を動いたかのように誤検出してしまうことは、可能な限り抑制したい。
ここで、寝返りを打つ等の体動の生じた利用者と、体動の生じていない利用者と、は、例えば、ドップラーセンサ値を周波数解析した結果における特定の周波数成分のデータの存否によって、区別することが可能である。
周波数解析には、高速フーリエ変換(FFT)や離散フーリエ変換(DFT)を用いてよい。特定の周波数成分は、例示的に、人体の心拍及び呼吸の一方又は双方を示す周波数成分である。なお、心拍を示す周波数成分は「心拍成分」と略称してよく、呼吸を示す周波数成分は「呼吸成分」と略称してよい。
心拍成分は、周波数解析結果において、呼吸成分よりも高い周波数レンジにピークが現われる傾向にある。例えば、人体の心拍成分は、0.7Hz〜3Hz程度の周波数レンジにおいてピーク周波数が現われる傾向にあり、人体の呼吸成分は、0.1Hz〜0.3Hz程度の周波数レンジにおいてピーク周波数が現われる傾向にある。
利用者がベッド5において寝返りを打つ等して大きく動くと、ドップラーセンサ値には、体動に応じた波形乱れが生じるため、周波数解析結果において、心拍成分及び呼吸成分の一方又は双方に対応するデータが欠落する(又は、識別困難になる。以下、同様。)
これに対し、同じベッド5において睡眠中で体動の生じていない他の利用者に対応するセンサ値には、一時的な波形乱れは生じるものの、周波数解析結果において、心拍成分及び呼吸成分は識別可能な状態で残存し易い。
したがって、体動の検出を示すセンサ値の周波数解析結果において、心拍成分及び呼吸成分の一方又は双方に対応するデータが欠落しているか否かで、いずれのドップラーセンサ2に対応する利用者に、寝返りを打つ等の体動が生じたかを判定又は推定できる。
例えば、体動検出の振幅変化を示す複数のセンサ値のうち、周波数解析結果において心拍成分及び呼吸成分の一方又は双方の欠落が検出されたセンサ値は、当該センサ値に対応する利用者自身に寝返りを打つ等の体動が生じたことを示す。したがって、当該センサ値から得られる体動量は、有効なデータとして処理してよい。
一方、体動検出の振幅変化を示す複数のセンサ値のうち、心拍成分及び呼吸成分の欠落が検出されないセンサ値は、当該センサ値に対応する利用者自身には体動が生じていないことを示す。したがって、当該センサ値から得られる体動量は、有効なデータとしては処理せずに補正してよい。
以上の処理により、各利用者の体動検出精度を向上でき、ひいては、睡眠状態の推定精度を向上できる。
なお、体動量を補正することは、例示的に、当該体動量を無効な値にすること、例えば0に補正することであってよい。別言すると、体動量を補正することは、体動量をマスクすること、と捉えてもよいし、正常(又は有効)な体動検出としては処理しないこと、と捉えてもよい。
体動検出を有効な体動検出としては処理しないことは、別言すると、体動検出を異常(又は無効)な体動検出(又は体動の誤検出)として処理すること、あるいは体動検出を無視すること、と捉えてもよい。
(第1実施例)
以下、図8〜図14を参照して、情報処理装置3による処理の第1実施例を説明する。
なお、以下では、利用者Aについて算出された体動量、心拍数、及び、呼吸数を、それぞれ便宜的に、「体動量A」、「心拍数A」、及び、「呼吸数A」と表記することがある。同様に、利用者Bについて算出された体動量、心拍数、及び、呼吸数を、それぞれ便宜的に、「体動量B」、「心拍数B」、及び、「呼吸数B」と表記することがある。
図8に例示するように、情報処理装置3は、ドップラーセンサ2A及び2Bが情報処理装置3宛に送信したドップラーセンサ値A及びBを受信する(処理P11a及びP11b)。ドップラーセンサ値A及びBは、例示的に、情報処理装置3の通信IF34にて受信され、情報処理装置3のプロセッサ31に入力される。
プロセッサ31は、例示的に、ドップラーセンサ値A及びBそれぞれの振幅成分を抽出し(処理P12a及びP12b)、抽出した振幅成分を基に、利用者Aの体動量A及び利用者Bの体動量Bを算出してよい(処理P13a及びP13b)。
例示的に、プロセッサ31は、振幅成分と判定閾値との比較により、判定閾値を超えた振幅成分を「体動検出」と判定し、「体動検出」と判定した振幅成分を、単位時間にわたって積算することで算出してよい。あるいは、プロセッサ31は、「体動検出」の有無を数値化したデータとして「体動量」を算出することとしてもよい。例えば、「体動検出」有りを「1」で表し、「体動検出」無しを「0」で表すこととしてもよい。
また、プロセッサ31は、上述した体動量の算出処理と並行して、センサ値A及びBのそれぞれを周波数解析し(処理P14a及びP14b)、周波数解析結果を基に、利用者A及びBそれぞれの心拍数及び呼吸数を算出してよい(処理P15a及びP15b)。
例えば、各センサ値A及びBは、FFT処理によって時間領域の信号から周波数領域の信号(便宜的に「周波数信号」と称してよい。)にそれぞれ変換される。
プロセッサ31は、各センサ値A及びBの周波数信号から、他に比べて相対的に大きな変化を示す周波数成分(便宜的に「FFTピーク周波数」と称してよい。)を検出してよい。ドップラーセンサ値のFFTピーク周波数は、心拍や呼吸に応じた特徴的な変化を示す周波数成分の一例である。
図11に、ドップラーセンサ値の時間変化の一例を示し、図12に、図11に例示したドップラーセンサ値のFFT結果の一例を示す。
図12に例示するように、ドップラーセンサ値のFFT結果には、既述のように、人体の心拍成分が、0.7Hz〜3Hz程度の周波数レンジにおいてピーク周波数が現われる傾向にある。また、人体の呼吸成分は、0.1Hz〜0.3Hz程度の周波数レンジにおいてピーク周波数が現われる傾向にある。
したがって、プロセッサ31は、心拍成分に相当するピーク周波数と呼吸成分に相当するピーク周波数とに基づいて、図11に例示したドップラーセンサ値の原信号波形から、呼吸成分に相当する信号波形と、心拍成分に相当する信号波形と、を分離できる。
図13に、心拍成分に相当する信号波形の一例を示し、図14に、呼吸成分に相当する信号波形の一例を示す。
プロセッサ31は、分離した信号波形のそれぞれにノイズ成分を除去するためのローパスフィルタリング(LPF)を適宜に施してよい。
プロセッサ31は、得られた信号波形から心拍数及び呼吸数を算出できる。例えば、心拍数であれば、プロセッサ31は、心拍成分に相当する信号波形の特徴点(例えば、振幅のピーク)を識別し、特徴点の時間間隔(例えば「秒」)を求めてよい。
プロセッサ31は、例えば、求めた時間間隔で1分(=60秒)を除することにより、1分あたりの心拍数を算出することができる。呼吸数についても同様にしてプロセッサ31において算出できる。
図8に戻り、プロセッサ31は、処理P13a及びP13b並びに処理P15a及びP15bで得られた、利用者A及びBそれぞれの体動量、心拍数、及び、呼吸数を、例えば記憶装置33(図7参照)に記憶してデータベース(DB)化してよい(処理P16)。なお、記憶装置33に記憶されたDBを便宜的に「DB33」と表記することがある。
図10(A)及び図10(B)に、DB33の登録内容の一例を示す。なお、図10(A)は、後述する体動量の補正処理(図8の処理P17)による補正前の登録内容の一例を示し、図10(B)は、当該補正処理による補正後の登録内容の一例を示す。
図10(A)及び図10(B)に例示するように、DB33には、利用者A及びB毎に、時間(例示的に、1秒)毎の体動量、心拍数、及び、呼吸数が登録されてよい。なお、図10(A)において点線枠で囲った部分は、利用者A又はBに、寝返りを打つ等の体動が生じて、呼吸数及び心拍数が欠落していることを表している。
図8に例示するように、プロセッサ31は、図10(A)に例示したDB33の登録内容に基づいて、体動量の補正処理を実施してよい(処理P17)。図9に、体動量の補正処理の一例を示す。
図9に例示するように、プロセッサ31は、DB33を参照してデータを読み出し(処理P170)、例えば同じ時間における利用者A及びBの体動量A及びBを比較して、体動量A>体動量Bであるか否かを判定してよい(処理P171)。
判定の結果、体動量A>体動量Bであれば(処理P171でYES)、プロセッサ31は、体動量A及びBを比較した時間における心拍数A及び呼吸数AがDB33に登録されているか否かを更に判定してよい(処理P172)。
判定の結果、心拍数A及び呼吸数Aの一方又は双方が登録されておらず、欠落していれば(処理P172でNO)、プロセッサ31は、利用者Aに寝返りを打つ等の体動が生じたと判定して、体動量Aを有効なデータとして維持してよい(処理P174)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。当該処理は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づいて体動を検出すること、と捉えてもよい。
一方、心拍数A及び呼吸数Aが登録されていれば(処理P172でYES)、プロセッサ31は、体動量Aは、他の利用者Bの体動の影響によって誤検出されたデータであると判定して、体動量Aを無効なデータ(例えば0)に補正してよい(処理P173)。
例えば図10(A)及び図10(B)の例では、図10(B)において利用者Aについて実線枠で囲んだ部分の体動量A(図10(A)において「1」)が「0」に補正される。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を、有効な体動検出としては処理しなくてよい。当該処理は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を行なわないこと、あるいは無視すること、と捉えてもよい。
また、比較処理P171において、体動量A>体動量Bでなかった場合(処理P171でNO)、プロセッサ31は、体動量A<体動量Bであるか否かを判定してよい(処理P175)。
判定の結果、体動量A<体動量Bであれば(処理P175でYES)、プロセッサ31は、体動量A及びBを比較した時間における心拍数B及び呼吸数BがDB33に登録されているか否かを更に判定してよい(処理P176)。
判定の結果、心拍数B及び呼吸数Bの一方又は双方が登録されておらず、欠落していれば(処理P176でNO)、プロセッサ31は、利用者Bに寝返りを打つ等の体動が生じたと判定して、体動量Bを有効なデータとして維持してよい(処理P178)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。当該処理は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づいて体動を検出すること、と捉えてもよい。
一方、心拍数B及び呼吸数Bが登録されていれば(処理P176でYES)、プロセッサ31は、体動量Bは、他の利用者Aの体動の影響によって誤検出されたデータであると判定して、体動量Bを無効なデータ(例えば0)に補正してよい(処理P177)。
例えば図10(A)及び図10(B)の例では、図10(B)において利用者Bについて実線枠で囲んだ部分の体動量B(図10(A)において「1」)が「0」に補正される。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を、有効な体動検出としては処理しなくてよい。当該処理は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を行なわないこと、あるいは無視すること、と捉えてもよい。
なお、比較処理P175において、体動量A<体動量Bでなければ(処理P175でNO)、プロセッサ31は、体動量A=体動量Bであると判定して(処理P179)、体動量A及びBを有効なデータとして処理(維持)して処理P170に戻ってよい。
プロセッサ31は、以上の処理を、DB33において未処理のデータが無くなるまで(処理P180でNOと判定されるまで)、処理P170以降の処理を繰り返してよい(処理P180でYES)。
未処理のデータが無くなれば(処理P180でNO)、プロセッサ31は、例えば図8に示すように、DB33に登録されている、各利用者A及びBの体動量、心拍数、及び、呼吸数のデータを基に、利用者A及びBそれぞれの睡眠状態を判定してよい(処理P18)。
例えば、プロセッサ31は、或る単位時間にわたって得られた「体動量」と閾値との比較を行ない、当該閾値以上の「体動量」が有った時間を、利用者A又はBが「覚醒」している時間であると判定してよい。
別言すると、プロセッサ31は、「覚醒」と判定した時間を除く時間において利用者A又はBが「睡眠中」であると判定してよい。プロセッサ31は、「睡眠」と判定した時間が、数分等の閾値時間以上にわたって継続した場合に、利用者A又はBが「睡眠中」であると判定してよい。
また、プロセッサ31は、利用者A又はBが「睡眠中」であると判定した時間において、心拍数及び呼吸数を基に、当該睡眠の深さ、例えば「レム睡眠」であるか「ノンレム睡眠」であるかを更に判定してよい。
例示的に、利用者の睡眠周期(又は段階)は、ステージ1〜5に分類することができる。ステージ1は「入眠期」、ステージ2は「軽睡眠期」、ステージ3は「中等度睡眠期」、ステージ4は「深睡眠期」と称される。ステージ1〜4が「ノンレム睡眠」と称され、ステージ5が「レム睡眠」と称される。
プロセッサ31は、利用者の心拍数、呼吸数、及び、体動量に基づいて、例示的に、ステージ3及び4の「ノンレム睡眠」と、ステージ5の「レム睡眠」と、を判定できる。
例えば、「レム睡眠」では、心拍数は上昇し且つ不規則に変化し、呼吸数は上昇する傾向にあり、かつ、体動量は無いか実質的に無いと判定してよいレベルを示す。
これに対し、「ノンレム睡眠」では、心拍数は下降し、呼吸数は下降して安定する傾向にあり、かつ、体動量は無いか実質的に無いと判定してよいレベルを示す。
したがって、プロセッサ31は、以上の「レム睡眠」及び「ノンレム睡眠」それぞれでの心拍数及び呼吸数の変化の傾向に基づいて、利用者A及びBの睡眠が「レム睡眠」であるか「ノンレム睡眠」であるかを判定できる。
プロセッサ31は、睡眠状態の判定結果に基づいて、ベッド5が備えられた室内環境を制御してよい。例えば、プロセッサ31は、或る室内空間において就寝している複数人それぞれの睡眠状態を推定できるから、当該室内環境を個人毎に適応させることができる。
例示的に、プロセッサ31は、睡眠状態の判定結果に基づいて、空調機7や照明器具8の動作を制御して、利用者A及びB毎に快眠を助けるような、温度制御や風量制御、風向制御、調光制御等の「快眠制御」を実施してよい(処理P19)。
例えば、睡眠状態の判定結果は、個人毎に、空調機7の風向きを調整したり、照明器具8の調光を制御したりするための情報に利用できる。
なお、利用者A及びBの睡眠状態の判定結果は、適宜に、レポート等として外部機器(図示省略)に出力されてよい(処理P20)。外部機器は、ディスプレイでもよいしプリンタでもよい。
ここで、上述のように睡眠状態の判定に用いる体動量は、図9にて説明したとおり補正されているので、動いていない人を動いたかのように誤検出してしまう確率を低減できる。別言すれば、利用者A及びBそれぞれの体動検出の精度を向上できる、したがって、利用者A及びBそれぞれの睡眠状態の判定精度を向上できる。
なお、上述した例は、1つのベッド5で2人の利用者A及びBが就寝する場合を例にしたが、3人以上の利用者が1つのベッド5で就寝する場合にも、各利用者に対応してベッド5にドップラーセンサ2を設けることで対応できる。
例えば、3以上のドップラーセンサ2のセンサ値のいずれかが、体動検出の振幅変化を示す場合に、各センサ値を周波数解析した結果において、心拍成分及び呼吸成分が欠落しているセンサ値に対応する利用者に、寝返りを打つ等の体動が生じたと判定してよい。そして、他のセンサ値に対応する利用者について検出された体動は、寝返りを打つ等した利用者の体動に起因して生じたと判断して無効にしてよい。
(第2実施例)
次に、図15及び図16を参照して、情報処理装置3による処理の第2実施例を説明する。なお、第2実施例において、センサシステム1、ドップラーセンサ2A及び2B、並びに、情報処理装置3の構成例は、第1実施例と同様でよい。
上述した第1実施例では、利用者A及びBの体動量、心拍数、及び、呼吸数をDB33にDB化した上で、データの比較処理を行なうことで、利用者A又はBの体動量を補正した。
第2実施例では、利用者A及びBの体動量、心拍数、及び、呼吸数をDB33にDB化しなくても、逐次的に、データの比較処理を行なうことで、利用者A又はBの体動量を補正する例について説明する。
逐次的なデータの比較処理により、第1実施例に比べて、体動量補正の処理遅延を抑制でき、ひいては、睡眠状態判定の処理遅延を抑制できる。したがって、睡眠状態判定のリアルタイム性を向上できる。
図15に例示するように、情報処理装置3は、ドップラーセンサ2A及び2Bが情報処理装置3宛に送信したドップラーセンサ値A及びBを受信する(処理P21a及びP21b)。ドップラーセンサ値A及びBは、例示的に、情報処理装置3の通信IF34にて受信され、情報処理装置3のプロセッサ31に入力される。
プロセッサ31は、第1実施例と同様に、センサ値A及びBそれぞれの振幅成分を抽出し(処理P22a及びP22b)、抽出した振幅成分を基に利用者A及びBの体動量A及びBをそれぞれ算出してよい(処理P23a及びP23b)。
体動量A及びBが算出されると、プロセッサ31は、例示的に、体動量A及びBをそれぞれの判定閾値と比較することにより、体動検出の有無を判定してよい(処理P24a及びP24b)。
例えば、体動量A(又はB)が、判定閾値以上であれば、「体動検出」有りと判定し、判定閾値未満であれば、「体動検出」無しと判定してよい。なお、体動量Aの判定閾値と、体動量Bの判定閾値と、は、例示的に、同じ値であってよい。
判定の結果、利用者Aの体動量Aについて「体動検出」無しであれば(処理P24aでNO)、プロセッサ31は、利用者Aの体動量Aを有効なデータとして扱ってよい(処理P25a)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。当該処理は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づいて体動を検出すること、と捉えてもよい。
同様に、利用者Bの体動量Bについて「体動検出」無しであれば(処理P24bでNO)、プロセッサ31は、利用者Bの体動量Bを有効なデータとして処理してよい(処理P25b)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。当該処理は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づいて体動を検出すること、と捉えてもよい。
一方、利用者Aの体動量Aについて「体動検出」有りであれば(処理P24aでYES)、プロセッサ31は、受信したセンサ値Aを周波数解析して(処理P26a)、利用者Aの心拍数A及び呼吸数Aを算出してよい(処理P27a)。
同様に、利用者Bの体動量Bについて「体動検出」有りであれば(処理P24bでYES)、プロセッサ31は、受信したセンサ値Bを周波数解析して(処理P26b)、利用者Bの心拍数B及び呼吸数Bを算出してよい(処理P27b)。
周波数解析には、第1実施例と同様に、FFTやDFTが用いられてよい。また、心拍数及び呼吸数の算出も、第1実施例と同様でよい。
なお、処理P26a(P26b)の周波数解析、あるいは、処理P26a(P26b)の周波数解析及び処理P27a(27b)の心拍数及び呼吸数の算出は、処理P24a(P24b)での判定結果に依存しないで開始されてもよい。
利用者Aの心拍数A及び呼吸数Aが算出されると、プロセッサ31は、心拍数A及び呼吸数Aが適正な値として算出されているか否か、別言すると、心拍数A及び呼吸数Aの一方又は双方が欠落していないかを判定してよい(処理P28a)。
同様に、利用者Bの心拍数B及び呼吸数Bが算出されると、プロセッサ31は、心拍数B及び呼吸数Bが適正な値として算出されているか否か、別言すると、心拍数B及び呼吸数Bの一方又は双方が欠落していないかを判定してよい(処理P28b)。
なお、以上の判定には、心拍数及び呼吸数のそれぞれについて判定閾値が用いられてよい。例えば、心拍数が、判定閾値以上であれば、心拍数有りと判定し、判定閾値未満であれば、心拍数が欠落していると判定してよい。同様に、呼吸数が、判定閾値以上であれば、呼吸数有りと判定し、判定閾値未満であれば、呼吸数が欠落していると判定してよい。
利用者Aの心拍数A及び呼吸数Aが有れば(別言すると、欠落していなければ)(処理P28aでYES)、プロセッサ31は、利用者Aの体動量Aを無効な値に補正してよい(例えば、0に補正してよい)(処理P30a)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出としては処理しなくてよい。当該体動量Aは、利用者A自身の体動ではなく他の利用者Bの体動に起因して生じたと考えられるからである。当該処理は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を行なわないこと、あるいは無視すること、と捉えてもよい。
一方、利用者Aの心拍数A及び呼吸数Aの一方又は双方が欠落していれば(処理P28aでNO)、プロセッサ31は、利用者Aの体動量Aを有効なデータとして処理(維持)してよい(処理P29a)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。体動量Aは、利用者A自身に寝返りを打つ等の体動が生じたと考えられるからである。当該処理は、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づいて体動を検出すること、と捉えてもよい。
利用者Bの体動量Bについても、プロセッサ31は、利用者Aについての上述した処理と同様の処理を実施してよい。
例えば、利用者Bの心拍数B及び呼吸数Bが欠落していなければ(処理P28bでYES)、プロセッサ31は、利用者Bの体動量Bを無効なデータに補正してよい(例えば、0に補正してよい)(処理P30b)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出としては処理しなくてよい。当該体動量Bは、利用者B自身の体動ではなく他の利用者Aの体動に起因して生じたと考えられるからである。当該処理は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を行なわないこと、あるいは無視すること、と捉えてもよい。
一方、利用者Bの心拍数B及び呼吸数Bの一方又は双方が欠落していれば(処理P28bでNO)、プロセッサ31は、利用者Bの体動量Bを有効なデータとして処理(維持)してよい(処理P29b)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。当該体動量Bは、利用者B自身に寝返りを打つ等の体動が生じたと考えられるからである。当該処理は、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づいて体動を検出すること、と捉えてもよい。
以上の処理の後、図16に例示するように、プロセッサ31は、利用者A及びBの睡眠状態を判定してよい(処理P31)。睡眠状態の判定は、第1実施例と同様でよい。ここで、第2実施例においても、利用者A及びBの一方が寝返りを打つ等して体動が生じた場合の、他方の体動検出は有効な体動検出としては処理されない。
したがって、第1実施例と同様に、動いていない人を動いたかのように誤検出してしまう確率を低減して体動検出精度を向上でき、また、睡眠状態の判定精度を向上できる。更に、第2実施例では、既述のとおり、利用者A及びBの体動量、心拍数、及び、呼吸数のデータを逐次的に比較処理するため、第1実施例に比べて、体動量補正の処理遅延を抑制でき、ひいては、睡眠状態判定の処理遅延を抑制できる。したがって、睡眠状態判定のリアルタイム性を向上できる。
なお、第2実施例においても、図16に例示するように、プロセッサ31は、睡眠状態の判定結果を基に、第1実施例と同様に、空調機7や照明器具8の動作を制御して、利用者A及びBの快眠を助けるような「快眠制御」を実施してよい(処理P32)。また、プロセッサ31は、第1実施例と同様に、睡眠状態の判定結果を、適宜に、レポート等としてディスプレイやプリンタ等の外部機器に出力してよい(処理P33)。
第2実施例も、1つのベッド5を3人以上が利用する場合に対応できることは、第1実施例と同様である。
(第3実施例)
次に、図17に例示するフローチャートを参照して、情報処理装置3による処理の第3実施例を説明する。なお、第3実施例において、センサシステム1、ドップラーセンサ2A及び2B、並びに、情報処理装置3の構成例は、第1実施例及び第2実施例と同様でよい。
図17に例示するフローチャートは、図9に例示したフローチャートの変形例に相当すると捉えてよい。別言すると、第3実施例において、情報処理装置3のプロセッサ31は、図8に例示した体動量補正処理P17において、図17に例示するフローチャートを実行してよい。
既述の第1実施例及び第2実施例では、ドップラーセンサ値A及びBのそれぞれを周波数解析して算出した心拍数及び呼吸数を、利用者A及びBのいずれに寝返りを打つ等の体動が生じたかの判定に用いた。
第3実施例では、心拍数及び呼吸数によらずに、時間的に先に寝返りを打つ等の体動が生じたことを示すセンサ値に対応する利用者に体動が生じたと判定する。例えば、センサ値A及びBを基に同時期に検出された体動量A及びBのうち、最先のタイミングで検出された体動量A(又はB)を有効とし、他方の体動量B(又はA)を無効とする。
第3実施例では、ドップラーセンサ値A及びBを第1実施例や第2実施例のように周波数解析した結果を用いなくても、体動が生じていないと推定される利用者の体動量を無効にできるため、第1実施例及び第2実施例に比して、処理を簡易化できる。
図17に例示するように、プロセッサ31は、DB33を参照してデータを読み出し(処理P190)、同時期にずれて検出された体動量A及びBのタイミングTA及びTBを比較してよい(処理P191)。
比較の結果、タイミングTBよりもタイミングTAの方が早ければ(処理P191でYES)、プロセッサ31は、体動量Aを有効なデータとして維持し、体動量Bを無効にしてよい(例えば、0に補正してよい)(処理P192)。
別言すると、プロセッサ31は、最初に寝返りを打ったことを示す体動に相当するセンサ値が得られたのがドップラーセンサ2Aであると判定して、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。これに対して、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出については、プロセッサ31は、有効な体動検出としては処理しなくてよい。
一方、TA<TBでなければ(処理P191でNO)、プロセッサ31は、TB<TAであるか否かを更に判定してよい(処理P193)。TB<TAであれば(処理P193でYES)、プロセッサ31は、体動量Bを有効なデータとして維持し、体動量Aを無効にしてよい(例えば、0に補正してよい)(処理P194)。
別言すると、プロセッサ31は、最初に寝返りを打ったことを示す体動に相当するセンサ値が得られたのがドップラーセンサ2Bであると判定して、ドップラーセンサ値Bの振幅変化に基づく体動検出を有効な体動検出として処理してよい。これに対し、ドップラーセンサ値Aの振幅変化に基づく体動検出については、プロセッサ31は、有効な体動検出としては処理しなくてよい。
TA<TBでもTB<TAでも無ければ(処理P191及びP193でいずれもNO)、TA=TBであるため、プロセッサ31は、体動量A及びBの双方を有効なデータとして維持してよい(処理P195)。
別言すると、プロセッサ31は、ドップラーセンサ値A及びBの振幅変化に基づく体動検出のそれぞれを有効な体動検出として処理してよい。
プロセッサ31は、以上の処理を、DB33において未処理のデータが無くなるまで(処理P196でNOと判定されるまで)、処理P190以降の処理を繰り返してよい(処理P196でYES)。
未処理のデータが無くなれば(処理P196でNO)、プロセッサ31は、例えば図8に例示したように、DB33に登録されている、各利用者A及びBの体動量、心拍数、及び、呼吸数のデータを基に、利用者A及びBそれぞれの睡眠状態を判定してよい(図8の処理P18)。
睡眠状態の判定は、第1実施例と同様でよい。ここで、第3実施例においても、利用者A及びBの一方に寝返りを打つ等の体動が生じた場合の、他方の体動検出は有効な体動検出としては処理されない。
したがって、第1実施例及び第2実施例と同様に、動いていない人を動いたかのように誤検出してしまう確率を低減して体動検出精度を向上でき、また、睡眠状態の判定精度を向上できる。
更に、第3実施例では、既述のとおり、ドップラーセンサ値A及びBの周波数解析結果を体動量の補正処理に用いなくてよいため、第1実施例及び第2実施例に比べて、体動量の補正処理を簡易化できる。したがって、プロセッサ31の処理量を低減できる。別言すると、プロセッサ31に求められる処理能力を緩和できる。
なお、第3実施例においても、図8に例示したように、プロセッサ31は、睡眠状態の判定結果を基に、第1実施例と同様に、空調機7や照明器具8の動作を制御して、利用者A及びBの快眠を助けるような「快眠制御」を実施してよい(図8の処理P19)。また、プロセッサ31は、第1実施例と同様に、睡眠状態の判定結果を、適宜に、レポート等としてディスプレイやプリンタ等の外部機器に出力してよい(図8の処理P20)。
第3実施例も、1つのベッド5を3人以上が利用する場合に対応できる。例えば、3以上のドップラーセンサ2のセンサ値のうち、判定時間において、体動検出を示すタイミングが最先のセンサ値を基に求められる体動量を有効とし、他のセンサ値を基に求められる体動量を無効にすればよい。
(比較例)
図18に、上述した第1〜第3実施例を含む実施形態に対する比較例を示す。図18は、1つのベッド500に2人の利用者A及びBが並んで就寝する場合に、1つのドップラーセンサ200とマイク900とを室内空間に設置した例を示している。
ドップラーセンサ200は、センシング範囲に利用者A及びBの胸部が含まれるように例えば室内空間の天井や壁等に設置される。別言すると、ドップラーセンサ200は、既述の実施形態とは異なり、利用者A及びBに共用である。
マイク900は、利用者A及びBの一方の呼吸音を集音可能な位置、例えば、利用者A(又はB)の枕元等に設置される。
図18の例において、ドップラーセンサ200のセンサ値を周波数解析すると、2人の利用者A及びBそれぞれの心拍成分及び呼吸成分が混合した周波数信号が得られる。
しかし、当該周波数信号からは、同じ利用者A又はBの心拍成分及び呼吸成分の組み合わせは特定できても、利用者A及びBのどちらの心拍成分及び呼吸成分であるかまでは特定できないか困難である。
そこで、マイク900で集音された一方の利用者A(又はB)の呼吸音を解析することで、一方の利用者A(又はB)の心拍成分及び呼吸成分の組み合わせを特定することが可能となる。
しかし、寝室等の室内空間にマイク900が設置されることについて、プライバシーを気にする利用者が多い。また、ベッド500の位置が変更されると、当該変更に応じてドップラーセンサ200の設置位置を変更しなくてはならず、ドップラーセンサ200とベッド500との配置関係に関して自由度が低い。
これに対して、既述の実施形態によれば、室内空間にマイク900を設置しなくてよいので、利用者のプライバシー保護が可能である。また、ドップラーセンサ2A及び2Bは、ベッド5に取り付けられるため、ベッド5の配置位置が変更されても、センサ2A及び2Bそれぞれのセンシング範囲と、対応する利用者A及びBと、の位置関係は変わらない。したがって、室内空間におけるベッド5の配置位置に関する自由度を向上できる。
なお、図18の例において、利用者A及びBの「体動」については、1つのドップラーセンサ2のセンサ値において、利用者A及びBの動きに応じた振幅変化が同等の周波数帯で混合しているため、周波数解析しても分離が困難である。
これに対し、既述の実施形態によれば、複数のドップラーセンサを用いて非接触で複数の利用者の体動の有無を精度良く検出でき、したがって、体動に基づく睡眠状態の推定精度を向上できる。
(その他)
なお、既述の各実施例を含む実施形態では、情報処理装置3がネットワーク4経由で各センサ2A及び2Bのセンサ値を受信する例について説明した。しかし、情報処理装置3は、例えば、ベッド5が設置された室内空間に設置されて、ネットワーク4を介さずに各センサ値を受信してもよい。
(付記)
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
送信した電波の受信波に基づいて体動を検出するセンサシステムにおいて、
前記受信波の振幅変化が検出され、かつ、前記受信波の周波数解析結果において心拍及び呼吸の一方又は双方を示す周波数成分の欠落が検出された場合に、体動を検出する、
センサシステム。
(付記2)
前記周波数成分の欠落が検出されない場合に、前記受信波の振幅変化に基づく体動の検出を、有効な体動検出としては処理しない、付記1に記載のセンサシステム。
(付記3)
ベッドの異なる位置に配置された複数のドップラーセンサと、
第1のドップラーセンサのセンサ値の振幅変化に基づいて体動が検出され、かつ、前記センサ値の周波数解析結果において心拍及び呼吸の一方又は双方を示す周波数成分の欠落が検出された場合に、第2のドップラーセンサのセンサ値に振幅変化が検出されても、前記第2のドップラーセンサのセンサ値に基づく体動の検出を、有効な体動検出としては処理しない処理部と、
を備えた、センサシステム。
(付記4)
ベッドの異なる位置に配置された複数のドップラーセンサと、
前記複数のドップラーセンサのセンサ値を取得し、振幅変化が検出された複数のセンサ値のうち、前記センサ値の周波数解析結果において心拍及び呼吸の一方又は双方を示す周波数成分の欠落が検出されたセンサ値を基に、体動を検出するセンサ情報処理装置と、
を備えた、センサシステム。
(付記5)
前記センサ情報処理装置は、
前記周波数成分の欠落が検出されないセンサ値に基づく体動の検出を、有効な体動検出としては処理しない、付記4に記載のセンサシステム。
(付記6)
前記センサ情報処理装置は、前記体動の検出結果と前記周波数解析結果とを基に、睡眠状態を判定する、付記4又は5に記載のセンサシステム。
(付記7)
ベッドの異なる位置に配置された複数のドップラーセンサのうちの第1のドップラーセンサの受信波の振幅変化に基づいて体動が検出され、かつ、前記受信波を周波数解析して心拍及び呼吸の一方を示す周波数成分の欠落が検出された場合に、第2のドップラーセンサの受信波の振幅変化に基づいて検出される体動量を、無効な値とする処理部、
を備えた、センサ情報処理装置。
(付記8)
ベッドの異なる位置に配置された複数のドップラーセンサのセンサ値を取得する取得部と、
振幅変化が検出された複数のセンサ値のうち、前記センサ値の周波数解析結果において心拍及び呼吸の一方又は双方を示す周波数成分の欠落が検出されたセンサ値に基づいて、体動を検出する処理部と、
を備えた、センサ情報処理装置。
(付記9)
前記処理部は、前記周波数成分の欠落が検出されないセンサ値に基づく体動の検出を、有効な体動検出としては処理しない、付記8に記載のセンサ情報処理装置。
(付記10)
前記処理部は、前記体動の検出結果と前記周波数解析結果とを基に、睡眠状態を判定する、付記7〜9のいずれか1項に記載のセンサ情報処理装置。
(付記11)
前記処理部は、前記判定の結果に基づいて、前記ベッドが備えられた室内空間の環境を制御する、付記10に記載のセンサ情報処理装置。
(付記12)
前記室内空間の制御には、前記室内空間に備えられた空調機及び照明器具の一方又は双方の制御が含まれる、付記11に記載のセンサ情報処理装置。
(付記13)
ベッドの異なる位置に配置された複数のドップラーセンサからセンサ値を取得する取得部と、
取得した前記複数のドップラーセンサのセンサ値を基に複数の体動が同時期にずれて検出された場合に、最先のタイミングで体動が検出された第1のドップラーセンサのセンサ値を基に体動を検出する処理部と、
を備えた、センサ情報処理装置。
(付記14)
前記処理部は、前記最先のタイミングよりも遅れて体動が検出された第2のドップラーセンサによる前記体動の検出を、有効な体動検出としては処理しない、付記13に記載のセンサ情報処理装置。
(付記15)
前記処理部は、最初に寝返りを打ったことを示す体動に相当するセンサ値が得られたドップラーセンサを、前記第1のドップラーセンサと判定する、付記13又は14に記載のセンサ情報処理装置。
(付記16)
ベッドの異なる位置に配置された複数のドップラーセンサのセンサ値を取得し、
振幅変化が検出された複数のセンサ値のうち、前記センサ値の周波数解析結果において心拍及び呼吸の一方又は双方を示す周波数成分の欠落が検出されたセンサ値を基に、体動を検出する
処理を、コンピュータに実行させるセンサ情報処理プログラム。
(付記17)
前記処理は、前記周波数成分の欠落が検出されないセンサ値に基づく体動の検出を、有効な体動検出としては処理しない、付記16に記載のセンサ情報処理プログラム。
(付記18)
ベッドにおいて、
前記ベッドの第1の就寝領域の一部又は全部を、電波によるセンシング範囲に含む第1のドップラーセンサと、
前記ベッドの第2の就寝領域の一部又は全部を、電波によるセンシング範囲に含む第2のドップラーセンサと、
を備えた、ベッド。
(付記19)
前記第1及び第2の就寝領域の一方は、前記ベッドの幅方向左側の領域であり、前記第1及び第2の就寝領域の他方は、前記ベッドの幅方向右側の領域である、付記18に記載のベッド。
(付記20)
前記ベッドは、ダブルベッドの幅以上の幅を有する、付記18又は19に記載のベッド。
(付記21)
前記ダブルベッドの幅は、1400mmである、付記20に記載のベッド。
(付記22)
前記ベッドは、ダブルベッドである、付記18〜21のいずれか1項に記載のベッド。
(付記23)
前記第1及び第2のドップラーセンサは、前記ベッドの、マットレスが置かれる床板に取り付けられた、付記18〜22のいずれか1項に記載のベッド。
(付記24)
前記第1及び第2のドップラーセンサは、前記ベッドのヘッドボードに取り付けられた、付記18〜22のいずれか1項に記載のベッド。
(付記25)
前記第1及び第2のドップラーセンサの一方は、前記ベッドの、マットレスが置かれる床板に取り付けられ、
前記第1及び第2のドップラーセンサの他方は、前記ベッドのヘッドボードに取り付けられた、付記18〜22のいずれか1項に記載のベッド。