以下、本発明に係るカテーテル組立体について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1に初期状態を示す本実施形態に係るカテーテル組立体10Aは、患者(生体)に輸液や輸血等を行う場合に適用され、患者の体内に穿刺及び留置されて薬液等の導入部を構築する。カテーテル組立体10Aは、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテル(例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等)として構成され得る。なお、カテーテル組立体10Aは、末梢静脈カテーテルとして構成されてもよい。また、カテーテル組立体10Aは、静脈用カテーテルに限らず、末梢動脈カテーテル等の動脈用カテーテルとして構成されてもよい。
カテーテル組立体10Aは、図1及び図2に示すように、カテーテル12と、カテーテル12を固定保持するカテーテルハブ14と、カテーテル12内に抜去可能に挿入される中空の内針16と、内針16を固定保持するハウジング18と、カテーテルハブ14の上側に装着されるカテーテル操作部材20と、カテーテル12と内針16の間に抜去可能に挿入される補助部材22と、補助部材22を固定保持する補助部材ハブ24と、カテーテルハブ14及び補助部材ハブ24の基端に接続される針保護部材26と、ハウジング18に設けられてカテーテル12を支持する支持部材27とを備える。なお、内針16は、一部が軸方向に沿って切り欠かれていてもよい。また、内針16は、中実針であってもよい。
カテーテル組立体10Aは、使用前の初期状態で、カテーテル12、補助部材22及び内針16を順に重ねた多重管構造(多重管部)を形成している。
カテーテル12は、可撓性を有し、内部に内腔13が貫通形成されている。内腔13は、内針16及び補助部材22を収容可能且つ薬液や血液等を流動可能な直径に形成される。穿刺抵抗を減らすためにカテーテル12の先端は縮径している。カテーテル12の長さは、特に限定されず用途や諸条件等に応じて適宜設計可能であり、例えば、14〜500mm程度に設定され、あるいは30〜400mm程度に設定され、あるいは76〜200mm程度に設定される。
カテーテル12の構成材料は、特に限定されるものではないが、軟質樹脂材料が好適であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。
カテーテル12の基端部は、適宜の固着方法(かしめ、融着、接着等)によってカテーテルハブ14内の先端部に固着される。カテーテル12とカテーテルハブ14により、カテーテル部材17が構成されている。
カテーテルハブ14は、カテーテル12が血管内に挿入された状態で患者の皮膚上に露出され、テープ等により貼り付けられてカテーテル12とともに留置される。カテーテルハブ14は、先端方向に先細りの筒状に形成される。
カテーテルハブ14の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を適用するとよい。
カテーテルハブ14の内部には、カテーテル12の内腔13に連通して輸液剤を流通可能な中空部15が設けられている。この中空部15には、内針16の穿刺時に血液の逆流を防ぐとともに、輸液チューブのコネクタの挿入に伴い輸液を可能とする、図示しない止血弁やプラグ等が収容されてもよい。
図2に示すように、カテーテルハブ14の外周面の先端寄りには、径方向外側に突出し、カテーテルハブ14の周方向に周回する環状突起28が形成されている。カテーテルハブ14の基端側には径方向外方にフランジ状に突出し且つ周方向に延在するネジ部30が設けられており、内針16の離脱後に、図示しない輸液チューブのコネクタが接続される。
一方、カテーテル組立体10Aの内針16は、生体の皮膚を穿刺可能な剛性を有する中空管に構成され、カテーテル12の内腔13及びカテーテルハブ14の中空部15に貫通配置される。内針16は、カテーテル12よりも長い全長に形成され、その先端には鋭利な針先16aが設けられる。
多重管部は、図1に示す初期状態で、カテーテル12及び補助部材22から針先16aを露出している。内針16の内部には、内針16の軸方向に貫通するルーメンが設けられ、このルーメンは、内針16の先端開口に連通する。なお、内針16の外周面には、軸方向に沿ってフラッシュバック確認用の溝部が設けられてもよい。
内針16の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。内針16は、適宜の固着方法(融着、接着、インサート成形等)により、ハウジング18に強固に固着される。
ハウジング18には、初期状態で多重管部の一部、カテーテルハブ14、カテーテル操作部材20、補助部材ハブ24、針保護部材26、及び支持部材27が配設(収容)される。ハウジング18を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カテーテルハブ14で挙げた材料を適宜選択し得る。
ハウジング18は、図2に示すように、下壁32と、下壁32の先端側の側辺から上方に突出した一対の第1側壁34a、34bと、下壁32の基端部の側辺から上方に突出した一対の第2側壁35a、35bと、下壁32の基端部の上面から上方に突出して内針16の基端部を固定支持する針保持部36とを有する。
図3A及び図4に示すように、下壁32は、その先端部が基端側よりも上方に延出しており、下壁32の先端部の上面は円弧状に凹んでいる。下壁32の先端部の上面の幅方向(ハウジング18の長手方向と上下方向とに直交する方向)の中央には、カテーテル12が配設される横断面形状が半円形状の第1支持溝38が長手方向に沿って形成されている。第1支持溝38の内面の長手方向中央には、横断面形状が半円形状の第1凹部40が形成されている。これにより、カテーテル12の外面と第1支持溝38の内面との摺動抵抗を好適に抑えることができる。
第1支持溝38及び第1凹部40の横断面形状は半円形状に限られず、半円形状以外の円弧形状でもよい。また、カテーテル組立体10Aにおいて、第1支持溝38及び第1凹部40は設けられなくてもよい。この場合、カテーテル12は、下壁32の先端部の上面に接触する。
一対の第1側壁34a、34bは、下壁32とともに長手方向に平行に延び、先端側の上下幅が基端側の上下幅よりも幅狭となるように形成されている。各第1側壁34a、34bの上下方向略中央には、先端側に開口する切欠部42a、42bが形成されている。また、一方の第1側壁34aの切欠部42aよりもやや基端側には、矩形状の嵌合孔44が長手方向に延在している。切欠部42a、42b及び嵌合孔44は、支持部材27をハウジング18に対して保持するためのものである。一対の第2側壁35a、35bは、下壁32とともに長手方向に平行に延び、上下幅が一定に形成されている。針保持部36は、一対の第2側壁35a、35bの間に位置している。
ハウジング18は、針保持部36において内針16を保持しているため、カテーテル12に対してハウジング18を基端方向に移動させると、ハウジング18の移動に伴って内針16もカテーテル12に対して基端方向に移動させられる。すなわち、ハウジング18は、内針16の基端に固定された針ハブとしての機能も有する。なお、針保持部36は、ハウジング18とは別に成形し、ハウジング18に接着固定してもよい。
このカテーテル組立体10Aは、図1に示すように、初期状態でカテーテルハブ14及び針保護部材26がハウジング18から露出している。なお、カテーテル組立体10Aは、ハウジング18の長手方向中央に側壁を形成することによりカテーテルハブ14や針保護部材26等を囲う構成でもよく、ハウジング18に上壁を形成したり、蓋体を取り付けたりしてカテーテルハブ14や針保護部材26等を覆う構成でもよい。
カテーテル操作部材20は、カテーテルハブ14に装着されることで、内針16及びハウジング18に対しカテーテル12及びカテーテルハブ14を相対的に進退させる。詳細には、カテーテル操作部材20は、先端及び基端方向に延びる平板部46と、平板部46の先端から上方やや基端方向に延出した操作部48と、平板部46の基端に一体成形されてカテーテルハブ14に着脱自在なハブ装着部50とを有する。
操作部48は、ユーザの手指が接触され、カテーテル12の進退操作がなされる部分である。平板部46は、薄肉に形成されることにより、平板部46の面方向と直交する方向に容易に湾曲可能な可撓性を有する。平板部46(カテーテル操作部材20)を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カテーテルハブ14で挙げた材料を適宜選択し得る。
平板部46は、その先端から基端のやや手前まで一定の幅寸法で延在する幅広部(カム保持部)52と、平板部46の基端部を構成する一定の幅寸法の幅狭部(カム保持解除部)54とを有している。
幅狭部54は、平板部46の基端部のうち嵌合孔44が位置する方向の側部が切り欠かれることにより形成されている。幅広部52及び幅狭部54の境界部のうち嵌合孔44が位置する方向の側面には、先端方向に向かって嵌合孔44が位置する側に傾斜する第1傾斜面56が形成されている。ハブ装着部50は、先端方向への操作によってカテーテルハブ14を先端側に変位(前進)させることが可能に構成されている。なお、ハブ装着部50は、カテーテルハブ14に装着された状態でカテーテルハブ14に対して周方向に回転可能となっている。
補助部材22は、内針16の先端によるカテーテル12の内面の傷つき防止と、カテーテル12を血管内に挿入する際のカテーテル12の剛性強化のために、カテーテル12の内側に離脱可能に挿通された可撓性を有する長尺状の部材である。具体的には、カテーテル組立体10Aの初期状態において、補助部材22は、カテーテル12と内針16との間にカテーテル12の延在方向に沿って配置されている。本実施形態において、補助部材22はチューブ状に形成されており、補助部材22の内腔に内針16が挿通されている。
本実施形態の場合、カテーテル組立体10Aの初期状態において、補助部材22の最先端部は、カテーテル12の最先端部よりも基端側に位置している。補助部材22の最先端部は、カテーテル12の最先端部と同じ位置、あるいは、カテーテル12の最先端部よりも先端側に位置していてもよい。
補助部材22の形状は、チューブ状に限られず、円形の周方向の一部を切り欠いたC字状の断面を有する形状でもよく、あるいは、周方向に180°未満の弧状の断面を有する形状でもよい。また、補助部材22は、補助部材22の内外を貫通する隙間を有する構成、例えば、コイル状、メッシュ状等に構成されてもよい。
補助部材22の構成材料としては、樹脂材料(例えば、カテーテル12の構成材料として例示した樹脂材料から選択される1以上の材料)や金属材料(例えば、ステンレス鋼、超弾性合金等)が挙げられる。
補助部材ハブ24は、例えば、カテーテルハブ14と同様の硬質樹脂により構成され、補助部材22の基端部に固定されている。補助部材ハブ24は、中空状に形成されており、初期状態において、補助部材ハブ24の先端部がカテーテルハブ14の基端内周部に離脱可能に嵌合し、針保護部材26の先端部が補助部材ハブ24の基端内周部に嵌合するとともにカテーテルハブ14の基端外周部(ネジ部30)に離脱可能に係合している。
カテーテル組立体10Aにおいて、カテーテル12の径が比較的大きく剛性強化のための内側からの補助(支持)の必要性が低い場合には、補助部材22は設けられなくてもよい。この場合、補助部材ハブ24をそのまま設けておく構成としておけば、針保護部材26の構成は図示例のものと同じでよく、補助チューブが有る場合と無い場合とで針保護部材26を成形する金型を2つ用意する必要がない。すなわち、どちらの場合も同一形状の金型で針保護部材26を成形することができる。
また、カテーテル組立体10Aにおいて、補助部材ハブ24は設けられなくてもよい。この場合、補助部材22の基端部は直接、針保護部材26に固定されるとともに、針保護部材26の先端形状をカテーテルハブ14の基端内周部に離脱可能に嵌合する形状に形成される。また、カテーテル組立体10Aにおいて、補助部材22及び補助部材ハブ24は設けられなくてもよい。この場合も、針保護部材26の先端形状をカテーテルハブ14の基端内周部に離脱可能に嵌合する形状に形成される。
針保護部材26の内部には、板バネ状のシャッタ58が配置されている。初期状態において、シャッタ58は内針16の外面によって押圧されて圧縮されている。一方、内針16が針保護部材26に対して後退し、内針16の針先16aがシャッタ58よりも基端側に移動すると、内針16によるシャッタ58に対する押圧が解除され、シャッタ58は弾性復元力によって拡張する(開く)。これにより、針保護部材26内の針挿通路が遮断される。なお、針保護部材26から内針16が基端方向に抜け出ないように、針保護部材26の基端部内には抜け止め部材60が設けられている。
図1及び図2に示すように、支持部材27は、カテーテル12を支持する部材であって、ハウジング18の先端部に着脱可能である。支持部材27を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カテーテルハブ14で挙げた材料を適宜選択し得る。
支持部材27は、ハウジング18の長手方向に沿って延在したブロック状の支持部材本体62と、支持部材本体62をハウジング18に対して保持するカム64とを有している。支持部材本体62のうち下壁32に対向する下面は、下方に円弧状に突出している。支持部材本体62の基端面の下側部分は、下方に向かって先端方向に傾斜している(図3B参照)。
支持部材本体62の下面には、カテーテル12が配設される横断面形状が半円形状の第2支持溝66が長手方向に沿って支持部材本体62の先端から基端面まで第1支持溝38に対向するように形成されている。第2支持溝66の内面の長手方向中央には、横断面形状が半円形状の第2凹部68が形成されている。これにより、カテーテル12の外面と第2支持溝66の内面との摺動抵抗を好適に抑えることができる。
第2支持溝66及び第2凹部68の横断面形状は半円形状に限られず、半円形状以外の円弧形状でもよい。また、カテーテル組立体10Aにおいて、第2支持溝66及び第2凹部68は設けられなくてもよい。この場合、カテーテル12は、支持部材本体62の下面に接触する。
ハウジング18の第1支持溝38と支持部材本体62の第2支持溝66とで構成される空間にカテーテル12が摺動可能に配置される(図4参照)。すなわち、カテーテル12は、第1支持溝38の内面と第2支持溝66の内面の両方に摺動可能に接触することにより、ハウジング18と支持部材本体62の間で支持されている。
支持部材本体62のうち各第1側壁34a、34bに対向する各側面には、切欠部42a、42bに挿入される凸部70a、70bが設けられている。凸部70a、70bが切欠部42a、42bに挿入されることにより、支持部材本体62のハウジング18に対する基端方向への変位及び上下方向の変位が規制される。これにより、支持部材本体62がハウジング18に対して強固に保持されるため、支持部材本体62によりカテーテル12を一層安定して支持することができる。
カテーテル組立体10Aにおいて、一対の凸部70a、70bの少なくともいずれか1つは設けられなくてもよい。この場合、これら凸部70a、70bに対応する切欠部42a、42bについても設けられなくてもよい。このような構成であっても、カム64により支持部材本体62をハウジング18に対して保持することができる。
図3B〜図5Aに示すように、支持部材本体62には、カテーテル操作部材20の平板部46が挿通する挿通孔72と、挿通孔72に連通する第1配設孔74と、第1配設孔74に連通して支持部材本体62の側面に開口する第2配設孔76とが形成されている。挿通孔72は、支持部材本体62の先端面から基端面まで長手方向に沿って延在しており、支持部材本体62の先端部において支持部材本体62の上面に開口している。これにより、初期状態でカテーテル操作部材20の操作部48の一部を挿通孔72に配置することができる。
第1配設孔74と第2配設孔76とにより、カム64が配設される1つの配設孔78が形成されている。第1配設孔74は、支持部材本体62の長手方向略中央から基端面まで延在している。第2配設孔76は、支持部材本体62の側面に矩形状に開口しており、支持部材本体62がハウジング18に装着された状態で嵌合孔44に連通する。支持部材本体62の長手方向において、第2配設孔76は、第1配設孔74よりも短く且つ嵌合孔44よりも長く形成されている。
また、支持部材本体62のうち挿通孔72よりも上方には、長手方向に沿って貫通した一対の貫通孔80a、80bが支持部材本体62の幅方向(ハウジング18の幅方向)に互いに離間して形成されている。
カム64は、嵌合孔44に嵌合する第1位置と嵌合孔44から離脱した第2位置とに変位可能に配設孔78に配設されている。カム64が嵌合孔44に嵌合することにより、支持部材本体62は、ハウジング18に対して保持される。
カム64は、T字状の平板部材であって、第1配設孔74に配設されるストッパ部82と、ストッパ部82から第2配設孔76に向かって突出した突出部84とを有している。支持部材本体62の長手方向において、ストッパ部82は、第2配設孔76よりも長く形成されている。これにより、支持部材本体62がハウジング18から離脱した場合であっても、カム64が配設孔78から抜け出ることが阻止(防止)される。
ストッパ部82における平板部46に対向する面には、カテーテル12の先端側に向かって突出部84側に傾斜した第2傾斜面86が形成されている。第2傾斜面86の傾斜角度は、平板部46の第1傾斜面56の傾斜角度と同一に設定されている。
突出部84のうちカテーテル12の先端方向を指向する面には、平板部46とは反対側に向かってカテーテル12の基端方向に傾斜した案内面88が形成されている。すなわち、突出部84の先端部は、その先端に向かって徐々に幅狭に形成されているため、嵌合部に嵌合(挿入)可能となっている。
図5Aに示すように、挿通孔72に幅広部52が位置する状態において、カム64は、ストッパ部82が幅広部52に接触することにより、突出部84が嵌合孔44に嵌合する第1位置に保持される。すなわち、支持部材本体62は、カテーテル12の支持を維持するロック状態となる。従って、カテーテル操作部材20をハウジング18に対して先端側に変位させてカテーテル12の先端部を血管内に挿入する際に、カテーテル12に抵抗力が作用しても支持部材本体62がハウジング18から離脱することを抑制することができる。
カム64が第1位置に保持されているロック状態において、案内面88は、嵌合孔44を構成する壁面と第1側壁34a、34bの内面との境界部(角部90)に接触している。
一方、図5Bに示すように、挿通孔72に幅狭部54が位置する状態において、ストッパ部82と幅広部52との接触が解除されるため、カム64は、第1位置から嵌合孔44から離脱した第2位置に変位可能となる。すなわち、支持部材本体62は、ハウジング18から離脱可能な(カテーテルハブ14のハウジング18からの離脱を許容する)アンロック状態となる。
従って、アンロック状態でハウジング18に対してカテーテル操作部材20及びカテーテル部材17を相対的に先端方向に変位させると、支持部材27(支持部材本体62及びカム64)がハウジング18に対して先端方向に変位するとともに案内面88が上記角部90によって幅狭部54側に押されることによりカム64が第1位置から第2位置に変位して嵌合孔44から離脱する。この第2位置では、カム64のストッパ部82は、幅狭部54に接触している。そして、ハウジング18に対してカテーテル操作部材20及びカテーテル部材17を相対的に先端方向に変位させることにより支持部材27がハウジング18から離脱される。
次に、上記のように構成されたカテーテル組立体10Aの作用及び効果について説明する。
図1に示す初期状態のカテーテル組立体10Aでは、カテーテルハブ14、補助部材ハブ24及び針保護部材26が接続されるとともに、カテーテル操作部材20のハブ装着部50にカテーテルハブ14が装着されて、ハウジング18に一体的に配設されている。
また、初期状態では、カテーテル12、補助部材22及び内針16が同心状に重なる多重管部が、支持部材27により支持されている。具体的には、カテーテル12がハウジング18の第1支持溝38と支持部材27の第2支持溝66とで構成される空間に配設されることによりハウジング18及び支持部材27の両方に接触した状態で支持されている。このとき、支持部材本体62の挿通孔72にはカテーテル操作部材20の幅広部52が位置しているため、カム64が嵌合孔44に嵌合する第1位置に保持されている。すなわち、支持部材本体62は、カテーテル12の支持を維持するロック状態になっている。
カテーテル組立体10Aを使用する場合、まず、カテーテル組立体10Aを患者の皮膚に穿刺する穿刺操作を行う。穿刺操作において、ユーザ(医師、看護師等)は、ハウジング18を把持しつつ、カテーテル組立体10Aの先端部(内針16が挿通されたカテーテル12の先端部)を患者に押し当てるようにして、穿刺目標の血管に向かって皮膚に穿刺する。これにより、内針16及びカテーテル12の先端部が皮膚に穿刺される。この穿刺時には、上述したように、支持部材27によりカテーテル12を支持していることで、穿刺に伴う抵抗力を受けても、ハウジング18内での多重管部の撓みが抑制される。これにより、ユーザは違和感なく穿刺を行うことができる。
次に、ユーザは、図6Aのように、ハウジング18の位置を固定しつつ、カテーテル操作部材20を先端方向に操作してカテーテル部材17(カテーテル12及びカテーテルハブ14)を前進させる。この場合、ユーザは、例えば、カテーテル操作部材20の操作部48に手指を当てて、ハウジング18と相対的にカテーテル操作部材20を先端方向に進出させる。図6Aではカテーテル操作部材20は直線状のままであるが、実際には、カテーテル操作部材20が患者の皮膚に接触しないように、カテーテル操作部材20の平板部46を上方に湾曲させながら、カテーテル操作部材20を前進させる。
このとき、上述したように、支持部材本体62は、カテーテル12の支持を維持するロック状態となっているため、カテーテル12の挿入に伴う抵抗力を受けても、カテーテル12及び内針16等の多重管部が撓むことを抑制することができる。これにより、カテーテル12を血管内に違和感なく円滑に挿入することができる。
なお、このとき、ユーザの好みによっては、カテーテル操作部材20をハウジング18に対して進退させてもよい。このような場合であっても、支持部材本体62によりカテーテル12の支持が維持されているので、多重管部が撓むことを抑制することができる。
カテーテル12の先端を血管内の所定位置まで挿入すると、支持部材本体62の挿通孔72にはカテーテル操作部材20の幅狭部54が位置する。この状態で、ストッパ部82と幅広部52との接触が解除されるため、カム64は、第1位置から第2位置に変位可能になる。すなわち、支持部材本体62は、ハウジング18から離脱可能なアンロック状態となっている。
次に、ユーザは、カテーテル操作部材20及びカテーテル部材17の位置を保持しつつ、ハウジング18を基端方向に引っ張る。そうすると、ハウジング18が支持部材27に対して相対的に基端方向に変位するとともに案内面88が第1側壁34a、34bの角部90によって幅狭部54側に押されることによりカム64が嵌合孔44から離脱して第2位置に変位する。この状態で、カム64のストッパ部82は幅狭部54に接触している。また、一対の凸部70a、70bは切欠部42a、42bから離脱する。
なお、ユーザの好みによっては、ハウジング18の位置を保持しつつ、カテーテル操作部材20をハウジング18に対して先端側にさらに変位させてもよい。この場合であっても、ハブ装着部50が支持部材本体62の基端面に接触して支持部材本体62を先端方向に押すため、支持部材27がハウジング18に対して相対的に先端方向に変位するとともに案内面88が角部90によって幅狭部54側に押されることによりカム64が嵌合孔44から離脱して第2位置に変位する。
そして、ハウジング18を基端方向にさらに引っ張ると、図6Bのように、ハブ装着部50により先端方向に押された支持部材本体62及びカム64(支持部材27)がハウジング18から離脱し、カテーテル部材17及びカテーテル操作部材20がハウジング18から完全に抜け出るとともに、ハウジング18に固定された内針16がカテーテル12から抜去される。このとき、支持部材本体62の長手方向においてストッパ部82が第2配設孔76よりも長く形成されているため、カム64が配設孔78から抜け出ることはない。
また、針保護部材26及びシャッタ58によるセーフティ機能が発現する。すなわち、針先16aが針保護部材26内でシャッタ58よりも基端側に移動することに伴って、シャッタ58が針保護部材26内の針挿通路を遮断する。これにより、針保護部材26の先端からの内針16の再突出が阻止される。また、抜け止め部材60により、針保護部材26の基端側から内針16が抜け出ることが阻止されるため、針保護部材26による針先16aの保護が好適に維持される。
また、図6Bの状態からさらにハウジング18を基端方向に引っ張ると、カテーテルハブ14と針保護部材26との連結が解除される。これにより、図7Aのように、針保護部材26がカテーテルハブ14から分離する。このとき、補助部材ハブ24と針保護部材26とは連結されているため、針保護部材26によって補助部材ハブ24が基端方向に引っ張られ、補助部材22もカテーテル12から抜去されるに至る。
次に、ユーザは、図7Bのように、カテーテル操作部材20をカテーテルハブ14から離脱させる。これにより、カテーテル部材17は患者に留置される。なお、ユーザの好みによっては、カテーテル操作部材20をカテーテルハブ14に取り付けたままにしてもよい。
次に、内針16及び補助部材22が抜き取られた状態のカテーテル部材17の基端側(カテーテルハブ14の基端部)に、図示しない輸液チューブのコネクタを接続し、輸液チューブから患者への輸液剤(薬液)の投与を実施する。
上記の説明では、支持部材27がハウジング18から離脱した後、カテーテル部材17及びカテーテル操作部材20をハウジング18から離脱させた。しかしながら、ユーザの好みによっては、ハウジング18から一度離脱させた支持部材27を再度ハウジング18に装着し、カテーテル12を内針16に対して進退させてもよい。
この場合、ユーザは、カテーテル操作部材20及びカテーテル部材17の位置を保持しつつハウジング18を先端側に変位させることにより、支持部材本体62の基端をハウジング18の先端側から挿入する。これにより、各凸部70a、70bが各切欠部42a、42bに挿入されて第2配設孔76が嵌合孔44に連通する(対向する)。
そして、この状態でハウジング18の位置を保持しつつカテーテル操作部材20を基端方向にスライドさせる。そうすると、第2傾斜面86が第1傾斜面56によって嵌合孔44側に押されることによりカム64が第2位置から第1位置に変位して嵌合孔44に嵌合する。この状態で挿通孔72に位置する幅広部52とストッパ部82とが接触するため、カム64が第1位置に保持される。
なお、支持部材27のハウジング18への装着操作は、ハウジング18の位置を保持しつつカテーテル操作部材20及びカテーテル部材17を基端方向にスライドさせることにより、支持部材本体62の基端をハウジング18の先端側から挿入するようにしてもよい。
ハウジング18から離脱した支持部材27を再度ハウジング18に装着する場合には、カテーテル組立体10Aは、カム64を第2位置で保持する保持手段91を有していてもよい(図8参照)。保持手段91としては、例えば、カム64に設けた凸部92を、配設孔78を構成する壁面に形成した凹部94に嵌合させる構成を採用し得る。
また、保持手段91は、配設孔78を構成する壁面に凸部を設けカム64に凹部を形成する構成でもよいし、配設孔78を構成する壁面とカム64に互いに係合する凸部を設ける構成でもよい。なお、保持手段91は、第1傾斜面56により第2傾斜面86が嵌合孔44側に押された際に、カム64の第2位置の保持が解除される程度の保持力に設定されている。このような保持手段91を設けた場合、配設孔78からカム64の一部が突出すること(カム64が邪魔になること)が抑制されるため、支持部材27をハウジング18に対して円滑に挿入することができる。
また、上記の説明では、針保護部材26をカテーテルハブ14から分離する際に、補助部材ハブ24を針保護部材26につなげたままとし、補助部材22をカテーテル12から抜去した。但し、ユーザの好みによっては、針保護部材26をカテーテルハブ14から分離する際に、針保護部材26と補助部材ハブ24との切り離しも行い、補助部材22とカテーテル12の組立体を血管内に挿入してもよい。
以上説明したように、本実施形態において、支持部材27は、カテーテル12が内針16に対して先端側に進出する際にカテーテル12の支持を維持するロック状態とカテーテルハブ14のハウジング18からの離脱を許容するアンロック状態とに切り替え可能にハウジング18に設けられている。これにより、カテーテル12を血管内に違和感なく円滑に挿入することができ、且つカテーテルハブ14をハウジング18から容易に離脱させることができる。
また、ユーザは、カテーテル操作部材20をハウジング18に対してカテーテル12の先端側に変位させるだけで支持部材27をロック状態からアンロック状態に切り替えることができるので、カテーテル組立体10Aの操作性を向上させることができる。さらに、ロック状態でハウジング18に対する支持部材27の変位が規制されているので、支持部材27によってカテーテル12及び内針16等の多重管部を安定して支持することができる。
さらにまた、アンロック状態でカテーテル操作部材20がハウジング18に対してカテーテル12の先端側に相対的に変位することにより支持部材27がハウジング18から離脱されるので、カテーテルハブ14及びカテーテル操作部材20をハウジング18から容易に離脱させることができる。
本実施形態によれば、挿通孔72に幅広部52が位置している間、カム64は嵌合孔44に嵌合する第1位置に保持されて支持部材27がロック状態となるため、支持部材本体62によってカテーテル12を安定して支持することができる。また、カテーテル操作部材20をハウジング18に対してカテーテル12の先端側に相対的に変位させて挿通孔72に幅狭部54を位置させることにより、カム64は第1位置から嵌合孔44から離脱する第2位置に変位可能になり支持部材27がアンロック状態となる。そのため、簡易な構成で支持部材27をロック状態とアンロック状態とに切り替えることができる。さらに、カム64に形成した案内面88の作用によりカム64を第1位置から第2位置に容易に変位させることができる。
本実施形態によれば、カム64が配設孔78から分離することをストッパ部82により防止することができるので、カテーテル組立体10Aの操作性を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るカテーテル組立体10Bについて図9〜図13Bを参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係るカテーテル組立体10Bにおいて、第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9及び図10に示すように、本実施形態に係るカテーテル組立体10Bは、カテーテル12、カテーテルハブ14、内針16、ハウジング100、カテーテル操作部材102、補助部材22、補助部材ハブ24、針保護部材26及び支持部材104を備えている。
ハウジング100は、第1実施形態で説明したハウジング18と同様の材料で構成され、下壁106と、下壁106の側辺から上方向に突出する一対の側壁108a、108bと、下壁106の上面から上方に突出して内針16の基端部を固定支持する針保持部110を有する。
下壁106及び一対の側壁108a、108bで囲う内側には、多重管部の一部、カテーテルハブ14、補助部材ハブ24及び針保護部材26を収容する収容空間112が形成される。
一対の側壁108a、108bは、下壁106とともに長手方向に平行に延び、基端側及び中間側の上下幅が一定であり、中間側に対し先端側の上下幅が幅広となるように形成されている。各側壁108a、108bの先端側上部には、側壁108a、108bの内面を直線状に切り込んだ溝状のレール部114が設けられている。レール部114は、カテーテル操作部材102の左右の側縁を収容して、カテーテル操作部材102の進退をガイドする。一方の側壁108aには、支持部材104を取り付けるための配置用凹部116が設けられる。
配置用凹部116は、側壁108aの先端から基端方向に向かって切り欠かれて、下壁106とレール部114の間に位置している。配置用凹部116の形成位置の下壁106及び側壁108aには、支持部材104を回転自在に取り付ける上下一対の支承孔部118が設けられる。レール部114に重なる位置(上側の支承孔部118と配置用凹部116の間)には、後述する支持部材104のカム凸部152が収容される窓120が設けられている(図12B参照)。下壁106には、支持部材104の支持本体部148が開位置(図13Bの位置)に移動した際に、係止凸部164が挿入される係止凹部122が形成されている。
カテーテル操作部材102は、第1実施形態で説明したカテーテル操作部材20と同様の材料で構成され、カテーテル12を直接保持するとともにカテーテルハブ14に装着されることで、内針16及びハウジング100に対しカテーテル12及びカテーテルハブ14を相対的に進退させる。詳細には、カテーテル操作部材102は、先端及び基端方向に延びる操作板部124と、操作板部124の基端に一体成形されてカテーテルハブ14に着脱自在に装着されるハブ装着部125とを有する。
また、カテーテル操作部材102は、操作板部124に設けられて一定の幅寸法で延在する幅広部(カム保持部)126と、ハブ装着部125に設けられて一定の幅寸法の幅狭部(カム保持解除部)128とを有している。幅広部126及び幅狭部128の境界部には段差130が形成されている。
操作板部124は、ユーザの指が接触され、カテーテル12の進退操作がなされる部分である。操作板部124の長手方向に沿って延びる左右の側縁は、一対の側壁108a、108bの上面と一対のレール部114に配置される。操作板部124は、充分に薄肉に形成されることにより、操作板部124の面方向と直交する方向に容易に湾曲可能な可撓性を有する。
図9〜図11に示すように、操作板部124の上面には、上側リブ132及びタブ134、136が設けられ、操作板部124の先端には、先端反り部138が設けられ、操作板部124の下面には、保持部140及び下側リブ142が設けられる。上側リブ132及び下側リブ142は、操作板部124の長手方向に沿って複数設けられる。これら上側リブ132及び下側リブ142は、上下にそれぞれ突出し、操作板部124の幅方向に沿って直線状に延びることで、操作板部124の幅方向の強度を高める。これにより操作板部124は、外部から外力がかかってもハウジング100内での折れ曲りや撓み等が抑止され、一対の側壁108a、108bの上面及びレール部114に沿ってスムーズに進退する。
タブ134、136は、ユーザの指が直接当てられることを想定した部位であり、上側リブ132よりも高く突出している。タブ134、136の設置数は、図9に示す2つに限定されず、1つ又は3つ以上設けられてもよい。
図11に示すように、保持部140は、カテーテル12を含む上記多重管部を離脱可能に保持する。なお、図11では、説明に必要な構成要素のみを示している。保持部140は、左右で一組の突片144を操作板部124の長手方向に複数組(図示例では5組)有する。各突片144は操作板部124の下面から下方向に突出している。5組の突片144は、操作板部124の長手方向に沿って等間隔に設けられ、各箇所でカテーテル12に接触して保持する。なお、保持部140には、一組の突片144のみ設けられてもよい。あるいは、保持部140は設けられなくてもよい。
図12A及び図12Bに示すように、支持部材104は、円柱状の軸棒部146と、軸棒部146から横方向(軸棒部146の軸心と直交方向)に突出する支持本体部148とを有する。軸棒部146は、上下方向に短く延びて、その上端部と下端部が配置用凹部116の上下一対の支承孔部118にそれぞれ挿入される。支持部材104は、この軸棒部146を基点にハウジング100に回転自在に組み付けられる。
軸棒部146の下側には、支持部材104のハウジング100の組付状態で、配置用凹部116の上下幅に対応した連結補強部150が膨出形成されている。支持本体部148は、この連結補強部150に連結される。また、軸棒部146の上側には、一対のカム凸部152が一体成形されている。一対のカム凸部152は、所定位置(ハウジング100の組付状態で窓120に収容される位置)に設けられ、軸棒部146を挟んで互いに反対方向且つ同程度に突出している。
支持部材104は、軸棒部146及び一対のカム凸部152の支持本体部148を臨む位置に操作部材用溝部154を有する。操作部材用溝部154は、図9に示す初期状態で、先端側のカム凸部152の最先端から基端側のカム凸部152の最基端まで直線状に延在している。この操作部材用溝部154は、レール部114に対応する位置に配置されて、レール部114とともにカテーテル操作部材102の側縁を摺動可能に収容する。
一方、支持部材104の支持本体部148は、ハウジング100の組付状態で、上記の軸棒部146を基点とした回転により移動する部位である。具体的には、支持本体部148は、収容空間112内に位置してカテーテル12を接触支持可能な閉位置(図13A参照)と、閉位置と異なりハウジング100の外部及び配置用凹部116に位置してカテーテル12に非接触となる開位置(図13B参照)とに変位する。軸棒部146を軸心周りとした閉位置と開位置の角度は、カテーテルハブ14、補助部材ハブ24及び針保護部材26が容易に抜けるように90°以上であることが好ましい。本実施形態では、開位置においてカム凸部152がレール部114内に位置するように90°に設定している。
支持本体部148は、正面視で、配置用凹部116の上下幅に略一致する大きさのS字状に形成され、上下方向に弾性変形可能なバネ力を有している。支持本体部148の上面には、僅かに上方に隆起する隆起部156が設けられる。この隆起部156は、支持本体部148の閉位置で、カテーテル操作部材102に保持されたカテーテル12(多重管部)を下方から接触支持する。
また、支持本体部148の上部先端側には、先端方向且つ下方に傾斜する先端傾斜面158が形成され、支持本体部148の上部基端側には、基端方向且つ下方に傾斜する基端傾斜面160が形成される。さらに、支持本体部148の隆起部156に連なる端部には、軸棒部146から離れる幅方向外側且つ下側に向かって傾斜して突出するウイング162が一体成形されている。
支持本体部148の下面には、係止凸部164が下方に向かって突出形成される。係止凸部164は、支持本体部148の開位置でハウジング100の係止凹部122に挿入される。また、支持本体部148の下部側の基端には、基端方向に突出する接触用突起166が設けられる。この接触用突起166は、カテーテル操作部材102の進出時にハブ装着部125に接触して、支持本体部148の閉位置から90°離れた開位置への変位を誘導する。
支持部材104を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、カテーテルハブ14で挙げた材料を適宜選択し得る。なお、支持部材104は、ハウジング100に対して別体に設けられるだけでなく、ハウジング100に一体成形されてもよい。また、支持部材104は、ハウジング100の一方の側壁108aのみに設けられるものではなく、他方の側壁108bに設けられてもよく、これら側壁108a、108bの両方に一対設けられてもよい。また支持本体部148の回転方向は、ハウジング100の平面方向に限らず、上下を含む側面方向でもよい。
次に、上記のように構成されたカテーテル組立体10Bの作用及び効果について説明する。本実施形態に係るカテーテル組立体10Bの使用方法は、上述した第1実施形態に係るカテーテル組立体10Aの使用方法と基本的に同じであるため、詳細な説明を省略する。
本実施形態のカテーテル組立体10Bの初期状態では、ハウジング100の先端部に組み付けられた支持部材104の支持本体部148が閉位置に待機し、図9及び図13Aに示すように、カテーテル操作部材102の複数の保持部140に保持された多重管部が支持本体部148により接触支持されている。このとき、操作部材用溝部154には、カテーテル操作部材102の幅広部126が位置しているため、カム凸部152の回転が規制されている。すなわち、支持本体部148は、カテーテル12の支持を維持するロック状態となっている。また、各保持部140は、カテーテル12の外周面を軸方向の各箇所において弱い係合力で保持し、全体としてカテーテル12を強固に保持している。
カテーテル組立体10Bの穿刺時には、支持部材104によりカテーテル12を支持するとともに保持部140がカテーテル12を保持していることで、穿刺に伴う抵抗力を受けても、ハウジング100内での多重管部の撓みが防止される。これにより、ユーザは違和感なく穿刺を行うことができる。また、カテーテル組立体10Bは、内針16の強度を弱めて一層細く形成することも可能となり、患者の負担を軽減することができる。
カテーテル12の進出操作では、ユーザは、ハウジング100の位置を固定しつつ、カテーテル操作部材102の上側リブ132やタブ134、136に指を当てて、ハウジング100に対しカテーテル操作部材102を先端方向に進出(相対移動)させる。カテーテル組立体10Bでは、保持部140による多重管部の保持が継続して、カテーテル12がスムーズに進出する。
このとき、上述したように、支持本体部148は、カテーテル12の支持を維持するロック状態となっているため、カテーテル12の挿入に伴う抵抗力を受けても、カテーテル12及び内針16等の多重管部が撓むことを抑制することができる。これにより、カテーテル12を血管内に違和感なく円滑に挿入することができる。
なお、ユーザの好みによっては、カテーテル操作部材102をハウジング100に対して進退させてもよい。このような場合であっても、支持本体部148によりカテーテル12の支持が維持されているので、多重管部が撓むことを抑制することができる。
カテーテル12の先端を血管内の所定位置まで挿入すると、操作部材用溝部154にはカテーテル操作部材102の幅狭部128が位置する。この状態で、カム凸部152の回転の規制が解除されて回転可能となるため、支持本体部148は、閉位置から開位置への変位が可能となる。すなわち、支持本体部148は、カテーテルハブ14及びカテーテル操作部材102がハウジング100から離脱可能なアンロック状態となっている。
この状態で、カテーテル操作部材102及びカテーテル部材17をハウジング100に対して先端方向に相対的に変位させると、ハブ装着部125が支持本体部148の接触用突起166に接触して先端方向に押すことで、支持本体部148及びカム凸部152が軸棒部146を基点に回転する。
そして、支持本体部148が所定の回転角度(90°)回転した時に、支持本体部148の係止凸部164がハウジング100の係止凹部122に挿入され、支持本体部148が開位置に保持される。これにより、カテーテルハブ14及びカテーテル操作部材102をハウジング100から容易に離脱させることができる。
カテーテル組立体10Bの使用において、ユーザの好みによっては、ハウジング100から離脱させたカテーテル操作部材102を再度ハウジング100に装着し、カテーテル12を内針16に対して進退させてもよい。
この場合、ユーザは、ハウジング100をカテーテル操作部材102及びカテーテル部材17に対して先端方向に相対的に変位させることにより、カテーテル操作部材102の基端をハウジング100の先端側から挿入する。そうすると、操作板部124の側縁がレール部114に挿入され、操作板部124の段差130がカム凸部152に接触してカム凸部152を基端方向に押すことにより係止凸部164が係止凹部122から抜け出る。
これにより、カム凸部152及び支持本体部148が軸棒部146を基点に回転(カテーテル12の進出時とは逆回転)するため、支持本体部148が開状態から閉状態に切り替わる。このとき、ウイング162が斜め下側に延出しているので、支持本体部148の逆回転時にウイング162がカテーテル12に接触してカテーテル12が横方向にずれることを回避することができる。そして、カテーテル操作部材102をハウジング100に対して基端方向に引っ張ることにより、カテーテル12が支持本体部148に下方から支えられた状態で保持部140に保持される。
本実施形態によれば、ユーザは、カテーテル操作部材102をハウジング100に対してカテーテル12の先端側に変位させるだけで支持部材104をロック状態からアンロック状態に切り替えることができる。これにより、カテーテル組立体10Bの操作性を向上させることができる。また、ロック状態でハウジング100に対する支持部材104の変位が規制されているので、支持部材104によってカテーテル12及び内針16等の多重管部を安定して支持することができる。
本実施形態では、カテーテル操作部材102をハウジング100に対して先端側に進出させることにより支持部材104が閉状態から開状態に変位して保持される。これにより、カテーテルハブ14をハウジング100から離脱させる際にカテーテルハブ14と支持本体部148とが干渉することを抑えることができるので、カテーテルハブ14をハウジング100から容易に離脱させることができる。