JP2019170876A - 樹脂ブロック - Google Patents
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Abstract
【課題】たわみやすいが壊れにくい材料の樹脂ブロックをCAD/CAMシステムによる切削加工を行った際、切削不良を起こさない樹脂ブロックを提供する。【解決手段】破壊靱性値1.8MPa・m1/2以上、弾性率8.0MPa以下である樹脂材料からなる、切削加工機に固定するための機構を一つの面に有する略直方体形状樹脂ブロックであって、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面との辺部に面取り部を有し、該面取り部と、該対向する面を含む平面と該平行な面を含む平面との交線との最短距離が、0.8〜3.5mmであることを特徴とする樹脂ブロックである。【選択図】なし
Description
本発明はCAD/CAMシステムによる切削加工を行うために適した形状を有する樹脂ブロックに関するものである。
歯科治療における修復治療では、インレー、クラウン、ブリッジ等の歯科補綴物による修復が広く行われている。
歯科補綴物を作製する方法の一つとして、CAD/CAM(コンピューター支援設計・製造)システムを利用した切削加工による方法があり、精密な歯科補綴物を短時間で大量に作製することが可能であることから、広く使用されている。
このCAD/CAMシステムによる切削加工では、直方体、円柱、ディスク状等の形状のブロックが使用される。このブロックの構成材料としては、セラミックス製のセラミックブロック、樹脂製または樹脂と無機充填材を複合化した複合体製の樹脂ブロックが広く使われている。
従来、樹脂ブロックでは母材となる樹脂成分として、熱硬化性のアクリル系樹脂(アクリル系単量体の重合硬化物)が広く使われてきた(例えば、非特許文献1、2)。一方、その他の樹脂として、熱可塑性樹脂、特にポリアリールエーテルケトン樹脂が着目されている。熱可塑性樹脂は、機械的・電気的な特性、軽量で加工性に優れるといった特徴を有しており、電気部材、建築材料、農業資材や日用雑貨まで幅広い分野で活用される重要な材料となっている。これら熱可塑性樹脂材料は、強度を保ったままの軽量化への寄与、優れた耐薬品性、生産性の高さ、といった特性を活かして各種金属部品の代替材料としての用途に広がりを見せ、使用量は増加を続けており、特に近年では、医療用材料分野への活用も盛んに行われており、樹脂ブロックへの利用も提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、当該材料を切削加工する際に生じる問題点については何ら開示がなく、特に切削加工における切削不良ついては何ら意識されていない。
CAD/CAMデンタルテクノロジー P.78−91
日本歯科医師会雑誌10 P.19−28
従来の樹脂ブロックの材料は、母材となる樹脂成分として熱硬化性のアクリル系樹脂(アクリル系単量体の重合硬化物)が広く使われており、切削残りの巻き込みによる切削不良の問題は起こっていない。
しかし、本発明者らが検討した結果、樹脂ブロックの母材が熱可塑性樹脂のような大きくたわんでも壊れないという特徴を持つ材料の場合、切削機で切削している際、切削残りの部分がブロックに繋がった状態で残存し、それを切削具が巻き込むことにより切削具が動かなくなって異常を起こし、切削不良が生じるという問題が発生することが判明した。
熱可塑性樹脂は様々な有用性をもち、特に大きくたわんでも壊れないという特徴を持っている。目的の樹脂ブロックを切削機で切削している際、壊れにくいため切削残りが樹脂ブロックに繋がった状態で残存しやすく、その切削残りが大きくたわんでも壊れずに残るため、切削残りが切削軌道に侵入し、切削中に切削残りを切削具が巻き込むことにより切削具が動かなくなって異常を起こし、切削不良が生じやすくなると推察される。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、たわみやすいが壊れにくい材料の樹脂ブロックをCAD/CAMシステムによる切削加工を行った際、切削不良を起こさない樹脂ブロックを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、切削加工機に固定するための機構を一つの面に有する略直方体形状の樹脂ブロックにおいて、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面との辺部に面取り部を有し、該面取り部と、該対向する面を含む平面と該平行な面を含む平面との交線との最短距離が、0.8mm以上にすることで大きな切削残りの塊が切削具に引っかからず、切削不良の発生が格段に少なくなることが判明した。
即ち本発明は、切削加工機に固定するための機構を一つの面に有する破壊靱性値2.0MPa・m1/2以上、弾性率8.0MPa以下である樹脂材料からなる、略直方体形状樹脂ブロックであって、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面との辺部に面取り部を有し、該面取り部と、該対向する面を含む平面と該平行な面を含む平面との交線との最短距離が、0.8〜3.5mmであることを特徴とする樹脂ブロックである。
本発明の樹脂ブロックの材料はポリアリールエーテルケトン樹脂材料であることが好ましい。
本発明によれば、CAD/CAMシステムによる切削加工を行った際、切削不良の起こりにくい樹脂ブロックを提供することができる。
切削加工機に固定するための機構を一つの面に有する略直方体形状の樹脂ブロックにおいて、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面との辺部に面取り部を有し、該面取り部と、該対向する面を含む平面と該平行な面を含む平面との交線との最短距離が、0.8〜3.5mmであることで、たわんでも壊れない性質をもつ材料の樹脂ブロックでも、切削残りの部分が切削具に巻き込まれ、切削不良が生じるという問題を抑制することができる。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明によって上記の効果を奏することができる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者は以下のように推察している。
歯冠の形状は切削具の軸と垂直な面において円状のものが多く、切削具の軸と垂直な面が四角形の場合、その面の頂点部分に切削残りができてしまう。特にたわんでも壊れない性質をもつ材料の場合、その切削残りの部分が樹脂ブロックに繋がった状態で残存してしまう。CAD/CAMシステムによる切削加工では、切削具が不規則な方向に動くことで複雑な歯冠を形成することができるが、円状の切削加工を行う際に残存した切削残りがあると、それを切削具に巻き込むことで切削不良が生じてしまうことがある。そのため、切削具の軸と垂直な面の頂点をなくして、切削残りの量を減らすことで、切削残りの巻き込みを格段に減らすことができ、切削不良数の低下につながると推察している。
<樹脂ブロック>
本発明における樹脂ブロックとは、歯科補綴物の全部または一部を切削加工で作製する為の部材を表す。
本発明における樹脂ブロックとは、歯科補綴物の全部または一部を切削加工で作製する為の部材を表す。
本発明の樹脂ブロックは、切削加工機に固定するための機構を一つの面に有する、破壊靱性値1.8MPa・m1/2以上、弾性率8.0MPa以下である樹脂材料からなる、略直方体形状樹脂ブロックである。
破壊靱性とは、傷が入った時の破壊まで耐える力のことである。破壊靱性は大きくなるほど壊れにくくなるため、切削後に切削残りが樹脂ブロックに繋がった状態で残存しやすくなる。そして、残存した切削残りを切削具に巻き込むことで切削不良が起こる場合がある。破壊靱性が大きいほど切削残りを切削具に巻き込むことによる切削不良が起こりやすくなるため、そのような場合に本発明による切削不良の発生抑制効果が大きい。樹脂材料の破壊靱性値が1.8MPa・m1/2以上となると切削不良の発生が起こりやすくなり、本発明の切削不良の発生抑制効果が顕著となる。その点から、樹脂材料の破壊靱性値が2.0MPa・m1/2以上であることが好ましく、2.2MPa・m1/2以上であることがより好ましく、さらに2.5MPa・m1/2以上であることがより好ましい。
また樹脂材料の弾性率が小さい方が切削材料のたわみが大きくなり、切削残りが切削具の切削軌道内に入りこみやすくなる。そして切削残りが切削具の軌道内に入り込んで巻き込むことによる切削不良が起こりやすくなる。そのため、そのような場合に本発明による切削不良の発生抑制効果が大きい。樹脂材料の弾性率が8.0GPa以下となると切削不良の発生が起こりやすくなり、本発明の切削不良の発生抑制効果が顕著となる。その点から、樹脂材料の弾性率は7.0GPa以下であることが好ましく、さらに樹脂材料の弾性率が6.0GPa以下であることがより好ましい。また、樹脂材料の弾性率が低すぎると切削加工時に樹脂材料が変形しやすくなり切削加工自体がし難くなる。そのため、樹脂材料の弾性率は2.0GPa以上であることが好ましく、さらに樹脂材料の弾性率が3.0GPa以上であることがより好ましい。
また、本発明の樹脂ブロックは、直方体の角が面取りされた面取り部を有している。即ち、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具が切削具の軸と平行な面との辺部に面取り部を有し、該面取り部と、該対向する面を含む平面と該平行な面を含む平面との交線との最短距離(以下、単に面取り部距離ともいう。)が、0.8mm〜3.5mmである。該面取り部距離を0.8mm以上にすることで切削不良の発生が抑制される。特に、1.0mm以上にすることがより好ましく、1.2mm以上にすることがより好ましい。また、3.5mm以下にすることで作製可能な歯科補綴物の形が格段に多くなる。面取り部距離を長くしても本発明の効果に影響はないが、切削可能な範囲が狭くなり、歯科補綴物の形状によっては切削加工して製造することができなくなるためである。特に、3.0mm以下にすることがより好ましく、2.5mm以下にすることがより好ましい。面取り部の形状については特に限定されない。例えば、角を斜めに削った状態であっても、滑らかな丸みを帯びた円弧状であっても良い。
さらに、一辺の長さが5〜50mmの範囲から選択されるのが好適であり、略直方体形状樹脂ブロックの、切削加工機の切削具の軸と垂直な二つの面間の距離は、5mm以上が好適である。リブ等の局所的な突き出し部分が存在する場合は、局所的な突き出し部分を含む距離を意味する。
樹脂ブロックは、樹脂を構成成分とする材料である樹脂材料からなるものであり、通常歯科材料で使う材料を含めて、樹脂材料を特に制限なく使用可能である。
本発明における樹脂材料とは、樹脂のみまたは樹脂と充填材を複合化した樹脂複合体からなる材料を意味する。
樹脂材料の構成成分として使用することができる樹脂は特に制限されず、樹脂ブロックが上記した破壊靱性値及び弾性率を満足するものとなるものであれば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれも使用する事ができる。特に、結晶性の熱可塑性材料を使用することが好ましい。なぜなら、結晶性の熱可塑性樹脂材料は高い機械的な特性を有し、特に耐破断性に優れているためである。熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ尿酸、ABS樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリメチルペンテン、液晶ポリマー、などが挙げられる。特に、歯科補綴物として生体安全性が高いことから、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリールエーテルケトンが好ましい。さらに、高強度、高剛性を得られることから、ポリアリールエーテルケトンが特に好ましい。ポリアリールエーテルケトン樹脂材料は耐破断性が高く大きなたわみが発生しても破断しないという性質も持つため、切削機で切削している際、切削残りの部分がブロックに繋がった状態で残存し、その切削で残った部分をブロック切削途中に切削具が巻き込み、それにより切削具が動かなくなって異常を起こし、切削不良が生じるという問題が起こりやすい。そのため、本発明の効果が大きい。
ポリアリールエーテルケトン樹脂は、その構造単位として、芳香族基、エーテル基(エーテル結合)およびケトン基(ケトン結合)を少なくとも含む熱可塑性樹脂であり、多くは、フェニレン基がエーテル基およびケトン基を介して結合した直鎖状のポリマー構造を持つ。なお、ポリアリールエーテルケトン樹脂の構造単位を構成する芳香族基は、ビフェニル構造などのようにベンゼン環を2つまたはそれ以上有する構造を持ったものでもよい。また、ポリアリールエーテルケトン樹脂の構造単位中には、スルホニル基または共重合可能な他の単量体単位が含まれていてもよい。ポリアリールエーテルケトン樹脂の代表例としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。
これらポリアリールエーテルケトン樹脂の中でも、物性(強度等)の観点から、主鎖を構成するエーテル基とケトン基とが、エーテル・エーテル・ケトンの順に並んだ繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン、もしく、エーテル・ケトン・ケトンの順に並んだ繰り返し単位を有するポリエーテルケトンケトンが好ましい。
樹脂材料には構成成分として充填材が配合されていても良い。樹脂材料の構成成分として使用することができる充填材としては、特に制限されず、有機フィラー、無機フィラー、有機無機複合フィラーのいずれも使用することができる。特に、樹脂材料の樹脂成分が結晶性の熱可塑性樹脂材料の場合は、物性(強度等)の観点から無機充填材などの無機粒子を配合した熱可塑性樹脂複合材料にすることで歯科用途として適切な物性を付与することが容易となるため好ましい。
上述の樹脂材料における樹脂の配合量は特に限定されないが、歯科用途としての物性等の観点から、複合材料100質量部当たり、25質量部〜90質量部の範囲であることが好ましく、40質量部〜85質量部の範囲であることがより好ましく、50質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましい。
上述の樹脂材料における充填材の配合量は、複合材料100質量部当たり、10〜75質量部が好ましく、15〜60質量部がより好ましく、25〜50質量部がさらに望ましい。
無機充填材としては歯科材料として公知のものが特に制限無く利用できる。例えば、無機充填材の材質としては、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、および重金属(たとえばバリウム、ストロンチウム、ジルコニウム)を含むガラス;それらのガラスに結晶を析出させた結晶化ガラス、ディオプサイド、リューサイトなどの結晶を析出させた結晶化ガラスなどのガラスセラミックス;シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナなどの複合無機酸化物;あるいはそれらの複合無機酸化物に1族金属酸化物を添加した酸化物;シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属無機酸化物;などが挙げられる。例えば、樹脂としてポリアリールエーテルケトン樹脂を用いる場合には、充填剤としては、白色度が向上して審美性に有利なことから、シリカや該シリカと他の金属無機酸化物との複合無機酸化物からなるシリカ系粒子、及びチタニアや該チタニアと他の金属無機酸化物との複合無機酸化物からなる二酸化チタン系粒子が好適であり、それぞれ単独又は混合して用いる事ができる。
無機充填材の形状や粒径は特に制限されないが、形状としては球状や略球状であることが好ましく、粒径としては0.05μm〜5μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜3μmの範囲であることがより好ましい。なお、無機充填材の表面をシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理をして用いることも可能である。
上述の熱可塑性樹脂複合材料の製造方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱溶融して混練を行う、溶融混練工程を経て製造されることが好ましい。溶融混練を行う手法としては、公知の手法を特に限定せずに用いることが出来、例えば加熱装置付きミキサーによる溶融混練や、押出機(単軸溶融混練装置、二軸溶融混練装置、三軸溶融混練装置、四軸溶融混練装置など)による溶融混練を行う事ができる。これらの中でも、連続的に製造可能で、後述するように次工程での取り扱いが容易な粒状(ペレット状)の複合材料を得ることが容易である押出機による溶融混練が好ましく、二軸溶融混練装置による溶融混練が最も好ましい。
溶融混練工程を経た後の樹脂ブロックの作製方法は特に限定されない。例えば、溶融混練工程を経た直後の高温状態の溶融混練物を、そのまま射出成形や押し出し成形などで面取り部付きの型にいれることにより本発明の樹脂ブロックに成形することができる。また、溶融混練工程を経た直後の高温状態の溶融混練物を、一旦、ペレット状、パウダー状、あるいはブロック状などの二次加工部材に成形した後、これらの二次加工部材を用いてさらに射出成形や押し出し成形などで面取り部付きの型にいれることにより本発明の樹脂ブロックに成形することや、面取り部のない型により成形し、これにレーザーフォーミング、切断加工、切削加工、研磨加工等の各種加工により面取り部を加工することで本発明の樹脂ブロックに成形しても良い。また、異なる組成の溶融混練物を積層して成形することもできる。なお、二次加工部材の形状は、取り扱い易さの観点からペレット形状(特に直径0.5mm〜5mm、長さ1mm〜10mm程度の円柱状)であることが好ましい。ペレット形状の複合材料は、押出機(単軸溶融混練装置、二軸溶融混練装置、三軸溶融混練装置、四軸溶融混練装置など)からストランド状で押し出された複合材料を、所望の間隔で切断することで容易に得ることができる。さらに所望の形状に成形した後に、成形時の応力を緩和して優れた強度を発揮させるために、熱処理工程を実施しても良い。熱処理工程は、熱可塑性樹脂のガラス転移点以上で融点未満の温度で実施することが出来る。
本発明の樹脂ブロックを切削加工機に固定するための機構は、特に制限されない。例えば、固定される機構が一体成型されていてもよく、固定用ピンを樹脂ブロックに、接着、はめ込み、ネジ止め等の方法で連結し、当該固定用ピンを切削加工機本体あるいは切削加工機固定用ジグに対して固定してもよい。上記固定用ピンの種類や素材については特に制限が無く、例えば、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の金属製、樹脂製、セラミックス製等のピンが使用可能である。上記接着材についても特に制限はなく、イソシアネート系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系等の各種市販の接着材を使用することが出来る。また、一般的な固定方法としては、切削加工機本体あるいは切削加工機固定用ジグに対して、接着、はめ込み、ネジ止め等の方法で固定される。
<破壊靱性>
上記したように、破壊靱性とは、傷が入った時の破壊まで耐える力のことであり、本発明の樹脂ブロックは破壊靱性が1.8MPa・m1/2以上である。
上記したように、破壊靱性とは、傷が入った時の破壊まで耐える力のことであり、本発明の樹脂ブロックは破壊靱性が1.8MPa・m1/2以上である。
破壊靱性試験は、JIST6526,2012に準拠して行えばよい。ノッチを入れた長さ15mm、幅3.0mm、厚さ4.0mmの角柱棒状試験片を用い、万能試験機にて室温大気中、上部冶具支点間距離8mm、下部冶具支点間距離16mm、クロスヘッドスピード0.5mm/minの条件で4点曲げ試験を行い、その破壊強度とノッチ深さ(3点測定a1,a2,a3)から下式より破壊靱性値Klcを算出する(JIST6526,2012に準拠)。
a=(a1+a2+a3)/3
※使用条件:(amax−amin)/a ≦ 0.1
α=a/w
Klc={F・(S1−S2)・3√α・Y}/{b・w1.5・2(1−α)1.5}
Y=1.9887−1.326α−(3.49−0.68α+1.35α2)・α・(1−α)/(1+α)2
ここで、a:ノッチ深さ平均(m)、amax:a1、a2、a3の最大深さ(m)、amin:a1、a2、a3の最小深さ(m)、α:Vノッチの相対深さ、Klc:破壊靱性(MPa√m)、F:破壊荷重(mN)、b:試料の幅(m)、w:試料の厚さ(m)、S1:4点曲げ下部冶具の支点間距離(m)、S2:4点曲げ上部冶具の支点間距離(m)、Y:応力強度形状係数である。
a=(a1+a2+a3)/3
※使用条件:(amax−amin)/a ≦ 0.1
α=a/w
Klc={F・(S1−S2)・3√α・Y}/{b・w1.5・2(1−α)1.5}
Y=1.9887−1.326α−(3.49−0.68α+1.35α2)・α・(1−α)/(1+α)2
ここで、a:ノッチ深さ平均(m)、amax:a1、a2、a3の最大深さ(m)、amin:a1、a2、a3の最小深さ(m)、α:Vノッチの相対深さ、Klc:破壊靱性(MPa√m)、F:破壊荷重(mN)、b:試料の幅(m)、w:試料の厚さ(m)、S1:4点曲げ下部冶具の支点間距離(m)、S2:4点曲げ上部冶具の支点間距離(m)、Y:応力強度形状係数である。
<弾性率>
上記したように、弾性率とは、三点曲げ試験を行った際に得られる応力−歪み曲線において、応力と歪みの間の比例定数を表し、曲げ弾性率と同義であり、本発明の樹脂ブロックは弾性率が8.0GPa以下である。
上記したように、弾性率とは、三点曲げ試験を行った際に得られる応力−歪み曲線において、応力と歪みの間の比例定数を表し、曲げ弾性率と同義であり、本発明の樹脂ブロックは弾性率が8.0GPa以下である。
曲げ弾性率の測定は、JIST6526,2012に準拠して行えばよい。長さ15mm、幅4mm、厚さ1.2mmの角柱棒状試験片を用い、万能試験機にて室温大気中、支点間距離12mm、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で三点曲げ試験を行い、応力−歪み曲線を得て、下式により、弾性率EBを求める。
EB=(S3・F)/(4WB3・Y)
ここで、EB:弾性率(Pa)、S:支点間距離(m)、W:試験片の幅(m)、B:試験片の厚さ(m)、F/Y:応力−歪み曲線の直線部分の勾配である。
EB=(S3・F)/(4WB3・Y)
ここで、EB:弾性率(Pa)、S:支点間距離(m)、W:試験片の幅(m)、B:試験片の厚さ(m)、F/Y:応力−歪み曲線の直線部分の勾配である。
<樹脂ブロックの切削加工>
本発明の樹脂ブロックを用いて歯科補綴物を作製する方法を以下に説明する。
本発明の樹脂ブロックを用いて歯科補綴物を作製する方法を以下に説明する。
先ず、歯科医師により、患者の口腔内に支台が形成される。例えば、歯を削って支台が形成される。次に、歯科医師により、支台、隣接歯、対合歯等の印象が採得される。印象の採得は、アルジネート系印象材やシリコーン系印象材、デジタル印象装置等を用いて行われる。その後、歯科技工士又は歯科医師により、採得された印象から石膏模型が作製され、スキャニングマシーンを用いて石膏模型の形状がデジタル化される。又は、デジタル印象で採得されたデータからデジタル模型が作製される。
次いで、計測データを基に設計用ソフトウェアを用い、歯科補綴物のデジタルデータが作成される。歯科補綴物のデジタルデータに基づき、切削加工機で切削するためのデジタルデータが作成される。この際、好ましくは、樹脂ブロックが作製する歯科補綴物に対して十分なサイズを有していることをソフトウウェア上で確認する。
その後、本発明の樹脂ブロックを切削加工機に設置し、切削加工が行われる。樹脂ブロックの切削においては、切削加工機による切削加工が終了するまでの間、切削加工により形成される歯科補綴物と非切削部とが連結されている必要がある。そのため、歯科補綴物にはスプルーが設けられ、このスプルーによって歯科補綴物は非切削部に連結されている。切削加工機による切削加工が終了したら樹脂ブロックに残存しているスプルー部分が切り離される。形態修正及び研磨が行われた後、必要に応じて歯科補綴物の内面の前処理(サンドブラスト等による粗ぞう化)が行われる。このようにして作製された歯科補綴物は、必要に応じて内面の前処理(プライマー塗布等)が行われた後、患者の口腔内の支台に接着される。
上記切削加工は、切削加工機(CAM、ミリングマシーン)を用いて行われる。市販されている歯科用切削加工機を特に限定なく使用することができる。切削加工を行うには、切削具(バー)と切削加工(CAM)ソフトウェアが必要である。CAMソフトウェアは、切削具の動きと固定具を介して固定している樹脂ブロックの動きを制御するものであり、代表的なパラメーターとしては、各位置情報、送り速度、回転数が挙げられ、市販のソフトウェアを特に限定なく使用することができる。切削具は、市販の一般的なCAD/CAM用ミリングバーを特に制限なく用いることができる。特に、摩耗対策に、ダイヤモンドコート等のコーティングが施されていることが好ましい。一般に、切削具は粗切削用、中切削用、微細切削用等、切削の段階に応じて、複数の切削具が組み合わせて用いられる。簡便には、粗切削用(例えば1.0〜3.0mm径)を用いて大まかな歯冠形態を形成し、その後微細切削用(例えば0.4〜1.0mm径)を用いて表面性状を滑らかにしたり、咬合面等の微細な構造の表現を行ったりする。
<歯科補綴物>
本発明の樹脂ブロックは、CAD/CAMシステムによる切削加工による歯科補綴物の作製に用いることができる。歯科補綴物とは、歯や歯に関連する組織の欠損によって生じる顎口腔系の機能障害、審美性を回復することを目的として用いられる人工物である。例えば、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、義歯(全床、部分床)、人工歯、インプラント上部構造体、インプラントアバットメントなどが挙げられる。これらは、可撤式、固定式や支台歯の形式には限定されない。本発明の樹脂ブロックは、特に、切削加工時の切削残りが複雑形状となったり、少量薄皮状に出てきたりしてゆがみやすくなり、切削残りの巻き込みによる切削不良が発生しやすい、角が円状の複雑な形成となるクラウンやブリッジの作製に好適であり、切削加工するクラウンやブリッジの大きさが樹脂ブロックの大きさに近くなるほど好適である。
本発明の樹脂ブロックは、CAD/CAMシステムによる切削加工による歯科補綴物の作製に用いることができる。歯科補綴物とは、歯や歯に関連する組織の欠損によって生じる顎口腔系の機能障害、審美性を回復することを目的として用いられる人工物である。例えば、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、義歯(全床、部分床)、人工歯、インプラント上部構造体、インプラントアバットメントなどが挙げられる。これらは、可撤式、固定式や支台歯の形式には限定されない。本発明の樹脂ブロックは、特に、切削加工時の切削残りが複雑形状となったり、少量薄皮状に出てきたりしてゆがみやすくなり、切削残りの巻き込みによる切削不良が発生しやすい、角が円状の複雑な形成となるクラウンやブリッジの作製に好適であり、切削加工するクラウンやブリッジの大きさが樹脂ブロックの大きさに近くなるほど好適である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中に示した略号、称号については以下のとおりである。
<樹脂材料>
[熱可塑性樹脂]
・PEEK:ポリエーテルエーテルケトン(ダイセルエボニック社製:VESTAKEEP M2G)
[充填材]
・F1:球状シリカ、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物;平均粒径;1.0μm
<樹脂ブロックの作製>
樹脂材料としては、PEEKと、金属無機酸化物としてF1(平均粒径1.0μm)とを複合化したポリアリールエーテルケトン樹脂複合材料からなる樹脂材料を用いた。複合化方法は、以下のとおりである。まず、PEEKとF1を所定の量計量し、これを混練ラボプラストミル(東洋精機社製)へ投入して、試験温度370℃、回転数100rpmの条件で5分間溶融混練を行った後にペレット化して、溶融混練物をペレット化したポリアリールエーテルエーテルケトン樹脂複合材料として回収した。射出成形機SE18DUZ(住友重機械工業社製)に、12×14×18mmのキャビティーを設けた金型ユニットを設置した。予備乾燥機付きホッパーに複合材料を投入し、成形温度(シリンダ温度)を360〜400℃、流動化温度360℃、金型温度を180℃に設定し、射出圧力180MPa、射出速度50mm/secの条件で射出充填を行った。180MPaの保圧かけを40秒間保持した。金型による冷却時間300秒の後、金型ユニットを開いて12×14×18mmのブロック(以下、PEEK材ともいう)を取り出した。
[熱可塑性樹脂]
・PEEK:ポリエーテルエーテルケトン(ダイセルエボニック社製:VESTAKEEP M2G)
[充填材]
・F1:球状シリカ、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物;平均粒径;1.0μm
<樹脂ブロックの作製>
樹脂材料としては、PEEKと、金属無機酸化物としてF1(平均粒径1.0μm)とを複合化したポリアリールエーテルケトン樹脂複合材料からなる樹脂材料を用いた。複合化方法は、以下のとおりである。まず、PEEKとF1を所定の量計量し、これを混練ラボプラストミル(東洋精機社製)へ投入して、試験温度370℃、回転数100rpmの条件で5分間溶融混練を行った後にペレット化して、溶融混練物をペレット化したポリアリールエーテルエーテルケトン樹脂複合材料として回収した。射出成形機SE18DUZ(住友重機械工業社製)に、12×14×18mmのキャビティーを設けた金型ユニットを設置した。予備乾燥機付きホッパーに複合材料を投入し、成形温度(シリンダ温度)を360〜400℃、流動化温度360℃、金型温度を180℃に設定し、射出圧力180MPa、射出速度50mm/secの条件で射出充填を行った。180MPaの保圧かけを40秒間保持した。金型による冷却時間300秒の後、金型ユニットを開いて12×14×18mmのブロック(以下、PEEK材ともいう)を取り出した。
PEEK材の12×14mm面の一つを切削加工機に固定するための機構を有する面とすることとし、12×18mm面を切削具の軸と平行な面とすることとして、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面である他の12×14mm面の12mm辺部である2辺を800番耐水研磨紙で研磨し、面取り部を作製した。その後、切削加工機に固定するための機構を有する面とすることとした一つの12×14mm面に、アルミニウム製の切削加工機固定用ピンを12×18mm面が切削具の軸と平行な面となるようにエポキシ系接着剤で接着して、樹脂ブロックを得た。
得られた樹脂ブロックは、切削加工機固定用ピンを接着した一つの12×14mm面が切削加工機に固定するための機構を有する面であり、この切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面が他の12×14mm面であり、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面が2つの12×18mm面であり、対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面との辺部(12mm辺)に面取り部を有する。
<面取り部距離の測定方法>
切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面の延長線上でぶつかる交点と樹脂ブロックの縁までの最短距離をノギスで測定した。
切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面の延長線上でぶつかる交点と樹脂ブロックの縁までの最短距離をノギスで測定した。
<破壊靱性試験の試験方法>
破壊靱性試験は、JIST6526,2012に準拠して行った。
破壊靱性試験は、JIST6526,2012に準拠して行った。
回転式ダイヤモンドカッターを用いて、注水下で上記の樹脂ブロックの作製方法で作製したPEEK材を切断し、長さ15.0(±1)mm、幅3.0(±0.2)mm、厚さ4.0(±0.2)mmの角柱棒状試験片を各サンプル5本ずつ得た。この試験片は、試験機の支持棒の中心位置に試験片を載せて、3.0mm幅の面の上、試験片の長軸に垂直な方向に荷重を加えて試験する。これらのサンプルの表面を1500番耐水研磨紙で仕上げ研磨した。荷重を加える面と対向する面の試験片長の中心を結んで中心線を引く。ノッチを形成するカミソリがうまく導かれるように、切り込み器具のダイヤモンドブレードを用いて、試験片上の中心線に沿って、約0.5mmの深さまで切り込みを形成する。切り込み後、ノッチ形成に先立って、切り込み部の切りくずを除くために超音波洗浄する。洗浄後、3μm〜6μmの最大粒径を有するダイヤモンド研磨ペーストで切り込みを満たし、切り込みの中にカミソリを入れ、軽い力(5N〜10N)を加え、できるだけまっすぐな穏やかな前後運動を使って磨き、最終的に1.0mmの深さのVノッチを入れ、試料を超音波洗浄し、乾燥させる。そのサンプルを万能試験機にて室温大気中、上部冶具支点間距離8mm、下部冶具支点間距離16mm、クロスヘッドスピード0.5mm/minの条件で4点曲げ試験を行い、その破壊強度とノッチ深さ(3点測定a1,a2,a3)から下式より破壊靱性値Klcを算出した。
a=(a1+a2+a3)/3
※使用条件:(amax−amin)/a ≦ 0.1
α=a/w
Klc={F・(S1−S2)・3√α・Y}/{b・w1.5・2(1−α)1.5}
Y=1.9887−1.326α−(3.49−0.68α+1.35α2)・α・(1−α)/(1+α)2
ここで、a:ノッチ深さ平均(m)、amax:a1、a2、a3の最大深さ(m)、amin:a1、a2、a3の最小深さ(m)、α:Vノッチの相対深さ、Klc:破壊靱性(MPa√m)、F:破壊荷重(mN)、b:試料の幅(m)、w:試料の厚さ(m)、S1:4点曲げ下部冶具の支点間距離(m)、S2:4点曲げ上部冶具の支点間距離(m)、Y:応力強度形状係数である。
a=(a1+a2+a3)/3
※使用条件:(amax−amin)/a ≦ 0.1
α=a/w
Klc={F・(S1−S2)・3√α・Y}/{b・w1.5・2(1−α)1.5}
Y=1.9887−1.326α−(3.49−0.68α+1.35α2)・α・(1−α)/(1+α)2
ここで、a:ノッチ深さ平均(m)、amax:a1、a2、a3の最大深さ(m)、amin:a1、a2、a3の最小深さ(m)、α:Vノッチの相対深さ、Klc:破壊靱性(MPa√m)、F:破壊荷重(mN)、b:試料の幅(m)、w:試料の厚さ(m)、S1:4点曲げ下部冶具の支点間距離(m)、S2:4点曲げ上部冶具の支点間距離(m)、Y:応力強度形状係数である。
<曲げ弾性率>
曲げ弾性率の測定は、JIST6526,2012に準拠して行った。
曲げ弾性率の測定は、JIST6526,2012に準拠して行った。
熱可塑性樹脂複合材料については、上記の樹脂ブロックの作製の方法で作製したPEEK材を、回転式ダイヤモンドカッターを用いて、注水下で、4mm厚の射出成形体を1.2mmの間隔で切断し、長さ15mm、幅4mm、厚さ1.2mmの棒状試験片を各サンプル5本ずつ得て、樹脂ブロックの曲げ弾性率測定サンプルを得た。
これらのサンプルに対し、#1500耐水研磨紙で仕上げ研磨し、試験片中心部の幅と厚さをマイクロメーターで測定し、万能試験機AG−50kI(島津製作所)にて室温大気中、支点間距離12mm、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で三点曲げ試験を行い、応力−歪み曲線を得て、下式により、弾性率EBを求めた。
EB=(S3・F)/(4WB3・Y)
ここで、EB:弾性率(Pa)、S:支点間距離(m)、W:試験片の幅(m)、B:試験片の厚さ(m)、F/Y:応力−歪み曲線の直線部分の勾配である。
ここで、EB:弾性率(Pa)、S:支点間距離(m)、W:試験片の幅(m)、B:試験片の厚さ(m)、F/Y:応力−歪み曲線の直線部分の勾配である。
<実施例1>
PEEKを60gとF1を40gとを混合し、それを溶融混練・射出成形し、ポリアリールエーテルケトン樹脂複合材料よりなる、樹脂材料組成P1の樹脂ブロックを得た。樹脂材料の組成を表1に示す。また、組成P1の樹脂材料の弾性率と破壊靱性値を測定した。結果を表1に示す。
PEEKを60gとF1を40gとを混合し、それを溶融混練・射出成形し、ポリアリールエーテルケトン樹脂複合材料よりなる、樹脂材料組成P1の樹脂ブロックを得た。樹脂材料の組成を表1に示す。また、組成P1の樹脂材料の弾性率と破壊靱性値を測定した。結果を表1に示す。
そして、φ2.0mmとφ0.8mmのCAD/CAM用ミリングバー(山八CAD/CAMミリングバーダイヤコート:山八歯材工業製)を用いて歯科用切削加工装置DWX−50(ローランド製)で単根模型歯永久歯(A5−500)のジャケットクラウン形態下顎右側6番(ニッシン製)の歯冠の切削加工を行った。それぞれ10個ずつ切削加工を行い、切削残りによる切削不良が起こった樹脂ブロックの数を評価した。結果を表2に示す。
<実施例2〜9、比較例1〜3>
樹脂材料の組成を表1に示す組成にそれぞれ変更した以外は、実施例1に準じて、樹脂材料からなるPEEK材を作製し、それぞれの弾性率と破壊靱性を測定した。結果を表1に示す。
樹脂材料の組成を表1に示す組成にそれぞれ変更した以外は、実施例1に準じて、樹脂材料からなるPEEK材を作製し、それぞれの弾性率と破壊靱性を測定した。結果を表1に示す。
また、耐水研磨紙で削る量を変えて面取り部距離を表2に示すとおりに変更して面取り部を作製した以外は、表2に示す組成と面取り部距離とした以外は実施例1に準じて、樹脂ブロックを作製し、切削加工を10個ずつおこない、切削残りによる切削不良が起こった樹脂ブロックの数を評価した。結果を表2に示す。
評価結果について、面取り部距離が0.8mm以上である面取り部を有する実施例1〜9は、面取り部を有さない比較例1〜3と比較して切削不良数が少ない。
また、実施例7〜9より、面取り部距離が大きいほど、低弾性率、高靱性でも切削不良が少なくなった。さらに、実施例3,6,9、比較例1〜3より、面取り部距離が同じの場合、弾性率が低くなり、破壊靱性が高くなるほど切削不良が多くなるため、本発明の効果は大きい。
Claims (2)
- 破壊靱性値1.8MPa・m1/2以上、弾性率8.0MPa以下である樹脂材料からなる、切削加工機に固定するための機構を一つの面に有する略直方体形状樹脂ブロックであって、切削加工機に固定するための機構を有する面と対向する面と、該対向する面と隣接する切削加工機の切削具の軸と平行な面との辺部に面取り部を有し、該面取り部と、該対向する面を含む平面と該平行な面を含む平面との交線との最短距離が、0.8〜3.5mmであることを特徴とする樹脂ブロック。
- 樹脂材料の構成成分である樹脂がポリアリールエーテルケトン樹脂材料である、請求項1に記載の樹脂ブロック。
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JP7504280B1 (ja) | 2023-12-27 | 2024-06-21 | ポリプラ・エボニック株式会社 | 歯科ブロック材及び歯科ブロック |
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- 2018-03-29 JP JP2018065286A patent/JP2019170876A/ja active Pending
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