JP2019168292A - レプチンを指標とする肌色悪化リスク評価方法 - Google Patents

レプチンを指標とする肌色悪化リスク評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】肌色悪化リスクを客観的に評価する方法を提供する。【解決手段】レプチンの量及び/又は発現量の測定値を指標として肌色が悪化するリスクを評価する方法、肌色悪化を予防又は改善するための美容方法、美容カウンセリング方法、肌色改善剤のスクリーニング方法を提供する。【選択図】図3

Description

本発明は、肌色悪化リスクを客観的に評価する方法に関する。具体的には、レプチンの量及び/又は発現量の測定値を指標として対象者の肌色が悪化するリスクを評価する方法に関する。
肌色は、個人の肌質や遺伝的素因により異なるが、生活習慣や環境の変化により変動することもある。また、生活習慣の乱れ、睡眠不足、疲労等の各要因により肌色が悪くなる場合と、同様の要因があっても肌色にあまり影響しない場合がある。しかし、このような肌色の悪化のリスクは、現在の肌色からは予測できないことが多い。
現時点における肌色は、例えば、明度、彩度、色相、ヘモグロビン量、メラニン量等によって評価することが可能であり、特定の装置を用いて測定することもできる(特許文献1、2)。しかし、例えば、血行不良や睡眠不足などの要因により将来肌色が悪くなりやすいか否かという傾向を判断するための客観的な指標がない。よって、顔色悪化を防ぐための対策を事前に講じることは困難である。
肌色の悪化を防止するためには、どの程度肌色が悪化しやすいかという傾向を理解し、要因をコントロールすることが重要である。例えば、肌色が悪くなる傾向が高い者は、現在の肌色が良好であっても睡眠不足といった要因で肌色が悪くなりやすい。よって、このようなリスク傾向を予め知っておけば、睡眠を多くとるなどの対策をあらかじめ講じることにより肌色の悪化が防止できる。このような傾向は、個人により異なり、自分がかかる傾向を有するのかも不明なこともあるし、各人の経験により感覚的に認識することがあっても、そのような主観に基づく感覚を客観的に判断する術もない。
また、化粧品の販売員や美容カウンセラーが、顧客に肌色の悪さを予防・改善する化粧品を薦めたり、生活習慣のアドバイスをする際に、その顧客にとってどのような化粧品やアドバイスが適切であるかという判断には、販売員やカウンセラーの経験や勘が必要であったり、販売員や美容カウンセラーによる評価のばらつきがあったり、長期にわたり顧客の肌を観察することが必要であるという問題があった。現状では、販売員や美容カウンセラーなどは主観的な判断を頼りに、患者の化粧品の種類や生活習慣等のアドバイスをするのが通常であるが、主観的要素が入り込むため、販売員や美容カウンセラーの技量により判断に差が生じる可能性を含んでおり、客観性に乏しいという問題がある。
特許第3798550号公報 特開2010−179012号公報 米国仮出願第60/981,181号明細書 特開2010−75639号公報
Biochem. J. 2006 Jan 1; 393(Pt 1): 7-20 PLoS Med. 2004 Dec;1(3):e62. Epub 2004 Dec 7 舛田勇二,化粧品および肌色の計測技術,色材協会誌,76(2), 78-83(2003)
上述のように肌色の悪くなりやすさは個人により異なり、その評価も各評価者の経験や技量等によりばらつきが大きい。よって、肌色悪化リスクを客観的に評価する方法は、被評価者側及び評価者側の双方から切望されている。さらに、肌色の悪さを予防/改善するための化合物や組成物を探索する際にも、肌色悪化リスクを評価できる客観的な指標があることが望ましい。
本発明者らの鋭意研究の結果により、肌色悪化のリスクはレプチン量に関連することが新たに発見された。すなわち、対象のレプチン量が少ないほど、肌色が悪化するような環境におかれると肌色が悪化しやすいことがわかった。
レプチンとは、脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンであり、食欲を抑制するホルモンとして知られている(非特許文献1、2)。また、皮膚の線維芽細胞は、皮下脂肪細胞の産生するレプチンに応答してコラーゲン等の細胞外マトリクス成分を産生することが報告されている(特許文献3)。また、レプチンなどのアディポサイトカインの分泌異常により皮膚の粘弾性の低下が起きることが示唆されている(特許文献4)。しかしながら、レプチンが肌色や肌色の悪化と関連することは知られていなかった。
本願は以下の発明を提供する。
(1)肌色悪化リスクを評価するための美容目的の方法であって、
対象から採取後の生体試料におけるレプチンの量及び/又は発現量の測定値を指標として該対象の肌色が悪化するリスクを評価することを含む、前記方法。
(2)前記測定値が低いほど前記対象の肌色が悪化するリスクが高いと評価する、(1)に記載の方法。
(3)前記測定値を、あらかじめ設定したレプチンの量及び/又は発現量の基準値と比較し、前記測定値が前記基準値よりも低い場合に前記対象の肌色が悪化するリスクが高いと評価する、(1)に記載の方法。
(4)前記基準値は、前記対象を含む又は含まない複数の対象から採取した生体試料のレプチンの量及び/又は発現量のデータに基づく値である、(3)に記載の方法。
(5)前記基準値は、前記対象の生体試料の採取時とは異なる時期に同じ対象から採取した生体試料のレプチンの量及び/又は発現量のデータに基づく値である、(3)に記載の方法。
(6)対象のレプチンの量及び/又は発現量を増加させることを含む、対象の肌色悪化を予防又は改善するための美容目的の方法。
(7)前記肌色悪化は、対象のレプチンの量及び/又は発現量の減少に起因する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法。
(8)肌色改善剤のスクリーニング方法であって、
採取後の生体試料に候補薬剤を添加すること;
該生体試料においてレプチンの量及び/又は発現量を測定すること;
測定したレプチンの量及び/又は発現量から、候補薬剤の皮膚の肌色改善作用を決定する工程;
を含む、前記方法。
(9)前記生体試料は血液又は細胞である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。
(10)前記肌色は肌色測定部分のヘモグロビン量で示され、前記肌色悪化は肌色測定部分のヘモグロビン量の減少で示される、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法。
(11)前記肌色は肌色測定部分のメラニン量で示され、前記肌色悪化は肌色測定部分のメラニン量の増加で示される、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法。
(12)肌色悪化リスクを評価するシステムであって、
あらかじめ設定したレプチンの量及び/又は発現量の基準値に関するデータを記憶するデータベース部と、
対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを入力するデータ入力部と、
前記データベース部で記憶されているレプチンの量及び/又は発現量の基準値を参照して、前記データ入力部に入力された対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータと比較して計算する、計算部と、
前記計算部による計算結果に基づいて肌色悪化リスクを評価する評価部と、
前記評価部により評価した結果を表示する表示部を有する、前記システム。
(13)前記表示部は、前記評価部により対象の肌色悪化リスクが高いと評価された場合、肌色悪化防止及び/又は肌色改善のための提案を更に表示する、(12)に記載のシステム。
(14)前記提案は、レプチンの量及び/又は発現量を増加させることである、(13)に記載のシステム。
(15)1又は複数のコンピュータにより実行される肌色悪化リスクを評価する方法であって、
あらかじめ設定したレプチンの量及び/又は発現量の基準値に関するデータを取得する手順と、
対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを取得する手順と、
前記基準値に関するデータと前記対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを比較して計算する手順と、
前記計算手順により計算された結果に基づいて肌色悪化リスクを評価する手順と、
前記評価手順により評価された結果を表示する手順を有する、前記方法。
(16)前記表示手順は、前記評価手順により対象の肌色悪化リスクが高いと評価された場合、肌色悪化防止及び/又は肌色改善のための提案を更に表示する、(15)に記載の方法。
(17)前記提案は、レプチンの量及び/又は発現量を増加させることである、(16)に記載の方法。
(18)対象の美容行為を支援する美容カウンセリング方法であって、
(15)〜(17)のいずれか1項に記載の方法により表示された結果及び/又は提案を対象に提示することを含む、前記方法。
本発明により、顧客のレプチン量に基づいて、簡便かつ客観的に肌色悪化リスクが評価できる。よって、スタッフの経験や技量によらず一定のレベルでカウンセリングを行い、肌色の悪化を予防または肌色を改善するための生活習慣などのアドバイスや化粧品を事前に提案することが可能になる。そして、スタッフの技量の差による判断のばらつきも軽減される。また、肌色の悪化を予防または改善するための化合物や組成物を探索する肌色改善剤のスクリーニングを簡便に行うことが可能になる。
図1は、血中レプチン量とメラニン量との関係を示す。 図2は、血中レプチン量とヘモグロビン量との関係を示す。 図3は、高レプチン群(7ng/ml以上)と低レプチン群(7ng/ml未満)における睡眠中断前後のヘモグロビン酸素飽和度(HbSO2%)を示す。 図4は、高レプチン群(10ng/ml以上)と中レプチン群(5ng/ml以上10ng/ml未満)と低レプチン群(5ng/ml未満)における睡眠中断前後のヘモグロビン酸素飽和度の変化(ΔHbSO2%)を示す。
肌色は、皮膚の色を指し、肌に対し視覚的に知覚する色のことである。肌色は、明度、彩度、色相、ヘモグロビン量、メラニン量、ヘモグロビン酸素飽和度(HbSO2%)等によって評価することが可能である。
例えば、酸化ヘモグロビン量や還元ヘモグロビン量などのヘモグロビン量およびメラニン量は、特許文献1、非特許文献3に記載のような装置や方法で測定することもできる。つまり皮膚の色は、皮膚に光が当たって入射し、その入射光が表皮を通って真皮の表面で反射することにより目に関知されるものであり、表皮にあるメラニンや、真皮上層血管膜中の酸化及び還元ヘモグロビンにより入射する光の一部が吸収され、その吸収が起こることにより肌の色として目に関知されることを利用するものである。ランベルト−ベールの法則を用い皮膚の反射率を吸光度に置き換えて、皮膚での光の吸収現象について、下記式1に示される吸光度モデルを立て、かかるモデルに従い、皮膚の吸光度スペクトルを酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン等それぞれの固有の吸光係数スペクトルで波長毎に重回帰分析するとより正確な値を求めることができる。重回帰分析は500nm〜700nmの波長領域内で実施することが好ましい。
log10(1/R)=mCM+hoHO+hCH+D (式1)
式1において、
R=皮膚の反射率
M=メラニン量
HO=酸化ヘモグロビン量
H=還元ヘモグロビン量
D=真皮の見かけ上の吸光度
m=メラニンの吸光係数
o=酸化ヘモグロビンの吸光係数
h=還元ヘモグロビンの吸光係数
である。
ヘモグロビン酸素飽和度(HbSO2%)は、上記方法により得た酸化ヘモグロビン量と還元ヘモグロビン量の総和に対する酸化ヘモグロビン量の割合を百分率で求めることにより得ることができる。HbSO2%値が高いと酸素と結合した酸化型ヘモグロビンが高いことを意味し、血流が良く肌の血色が良いことを示す。
あるいは、肌色は、特許文献2に記載の方法のように、特定の指標を用いて、明るめ、暗め、黄み、赤みなどの基準により測定してもよい。更に、肌色は、例えば、血色が良い/悪い、顔色が良い/悪い、バラ色に見える/青白く見える等というヒトの視覚により認識されることもあり、例えば、外観目視検査等により評価してもよい。
肌色悪化は、肌色が視覚的に悪くなることを言う。肌色悪化は、ヘモグロビン量の減少、血流量の減少、及び/又はメラニンその他の色素の増加で示されることがある。例えば、肌色悪化は、ヘモグロビン量の減少、及び/又はメラニン量の増加により示されることがある。また、肌色悪化は、特定の指標を用いて、明るめ、暗め、黄み、赤みなどの基準により測定することもできる。更に、肌色悪化は、血色が悪い、顔色が悪い、青白く見える等というヒトの視覚により認識されることもあり、例えば、外観目視検査等により評価することもできる。
レプチンは、脂肪細胞から分泌される16kDaのペプチドホルモンであり、食欲と代謝の調節に重要な役割を果たすことが知られている(非特許文献1、2)。また、レプチンは、視床下部の満腹中枢に作用し食欲を抑制することより、摂食ホルモンとしても知られている。レプチンは主に白色脂肪細胞で分泌され血流へ運ばれるが、一定の条件下で、胎盤、胃粘膜、骨髄、乳腺上皮、骨格筋、下垂体、視床下部や骨でも生成されることがある(非特許文献1)。
生体試料は、生物から得られる任意の試料をいう。例えば、血液、唾液、脂肪細胞、皮膚細胞等の細胞、尿、皮膚組織、角層、毛髪等がある。レプチン濃度やレプチンの発現量が測定できる試料が好ましい。このような試料として、例えば、血液や細胞等が挙げられる。
本願発明は、肌色悪化のリスクがレプチン量に関連するという本願発明者らによる新たな発見に基づく。つまり、対象から採取した生体試料におけるレプチンの量及び/又は発現量の測定値を指標とすることにより肌色悪化のリスクを評価することができる。
よって、本願は、対象から採取後の生体試料におけるレプチンの量及び/又は発現量の測定値を指標として該対象の肌色が悪化するリスクを評価する工程を含む、美容目的の肌色悪化リスク評価方法を提供する。
評価は、対象のレプチンの量及び/又は発現量の測定値が低いほど対象の肌色が悪化するリスクが高いと評価するものであってもよい。あるいは、対象の測定値が特定の値より低い場合にその対象の肌色が悪化するリスクが高いと評価するものであってもよい。例えば、対象の血中レプチン濃度が4.0ng/ml未満、5.0ng/ml未満、6.0ng/ml未満、7.0ng/ml未満、8.0ng/ml未満、9.0ng/ml未満の場合にその対象の肌色が悪化するリスクがあると評価してもよい。特定の実施形態では、7.0ng/ml未満の場合に肌色が悪化するリスクがあると評価してもよい。
また、対象のレプチンの量及び/又は発現量の測定値を、あらかじめ設定したレプチンの量及び/又は発現量の基準値と比較し、対象の測定値が基準値よりも低い場合に対象の肌色が悪化するリスクがあると評価することであってもよい。
基準値は、対象を含む又は含まない複数の対象から採取した生体試料のレプチンの量及び/又は発現量のデータに基づく値であってもよい。また、基準値は、対象の生体試料の採取時とは異なる時期に同じ対象から採取した生体試料のレプチンの量及び/又は発現量のデータに基づく値であってもよい。
「対象の測定値が基準値よりも低い」とは、例えば、対象のレプチンの量及び/又は発現量の測定値が基準値よりも10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上低いことを意味するものであってもよい。
あるいは、例えば、対象の血中レプチン濃度が基準値よりも1.0ng/ml以上、2.0ng/ml以上、3.0ng/ml以上、4.0ng/ml以上、5.0ng/ml以上、6.0ng/ml以上、7.0ng/ml以上、8.0ng/ml以上、9.0ng/ml以上低いことを意味するものであってもよい。
例えば、本願の方法は、対象から採取後の血液中のレプチン濃度の測定値を指標として対象の肌色が悪化するリスクを評価する美容目的の方法であって、測定時における対象の血液中のレプチン濃度を比較し、異なる時期に同じ対象から採取した血液中のレプチン濃度である基準値とを比較し、測定値が基準値より1.0ng/ml以上、2.0ng/ml以上、3.0ng/ml以上、4.0ng/ml以上、5.0ng/ml以上、6.0ng/ml以上、7.0ng/ml以上、8.0ng/ml以上、9.0ng/ml、又は10.0ng/ml以上低いレプチン濃度を示した対象は肌色が悪化するリスクを有すると評価するものであってもよい。
また、本願にかかる方法及び/又はシステムは、肌色が悪化するリスクの評価を統計的に行ってもよい。例えば、肌色とレプチン値と関連付ける関数を統計的手法により求め、その関数を用いて対象の肌色が悪化するリスクを評価してもよい。
例えば、本願の方法は、対象から採取後の血液中のレプチン濃度の測定値を指標として対象の肌色が悪化するリスクを評価する美容目的の方法であって、複数の異なる時期に同じ対象から採取した血液中のレプチン濃度のデータ又は複数の対象から採取した血液中のレプチン濃度のデータに基づき予め求めた肌色とレプチン値と関連付ける関数を用い、対象の血液中のレプチン濃度の測定値を関数にあてはめることにより、対象の肌色悪化リスクを統計的手法により求めるものであってもよい。
また、例えば、本願の1又は複数のコンピュータにより実行される肌色悪化リスクを評価する方法は、
統計的手法によりあらかじめ求めた肌色とレプチン値と関連付ける関数を取得する手順と、
対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを取得する手順と、
前記対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを前記関数に当てはめて計算する手順と、
前記計算手順により計算された結果に基づいて肌色が悪化するリスクの評価を統計的に行う手順と、
前記評価手順により評価された結果を表示する手順を有する方法であってもよい。
また、本発明は、対象のレプチンの量及び/又は発現量を増加させることを含む、対象の肌色悪化を予防又は改善するための美容方法を提供する。
本願にかかる方法は、美容目的であり、医師や医療従事者が行う医療行為は除かれることがある。また、本願にかかる方法は、対象の美容行為を支援する方法であってもよい。
ここで、レプチンは、睡眠により分泌量が増加することが報告されている(非特許文献2)。したがって、本発明で言うレプチンの量及び/又は発現量を増加させるとは、睡眠時間の確保、睡眠環境の改善、及び/又は睡眠の質を向上することによるものであってもよい。また、レプチンは、食欲と関連することも知られている(非特許文献1、2)。よって、栄養価の高い食事(例えば、「良質なタンパク質」「ビタミン(特にビタミンE)」「ミネラル(亜鉛・カルシウム・鉄分など)」「オメガ3油」が豊富に含まれている食品等)を規則正しく摂取することによりレプチンの分泌を促すような生活習慣を送ることによるものであってもよい。その他レプチンの量や発現と関連があると認められる要素を改善すること、後述するスクリーニング方法により得られる肌色改善剤を摂取すること等によるものであってもよいがこれらに限定されない。
よって、本発明の方法及び/又はシステムは、肌色悪化リスクが高いと評価された対象に上述のような助言を提示するものであってもよい。
更に、本願は、採取後の生体試料に候補薬剤を添加し、該生体試料においてレプチンの量及び/又は発現量を測定し、測定したレプチンの量及び/又は発現量が高い場合、レプチンの量及び/又は発現量の向上をもたらした候補薬剤は、皮膚の肌色改善作用があると判断する肌色改善剤のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、例えば、脂肪細胞、皮膚細胞などに候補薬剤を添加し、また対照として候補薬剤を加えずに、一定時間培養し、被験薬剤を加えた場合のレプチン産生量と被験薬剤を加えない場合のレプチン産生量を比較し、対照のものより例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、200%以上、300%以上、400%以上、又は500%以上高いレプチン量の産生を示した薬剤を肌色改善作用があると判断すればよい。
実験1:レプチンと皮膚色の関連性
対象の採血と肌測定を以下の方法にて実施し、血中レプチン量と肌状態との関連性を検証した。35〜44歳の健常女性125名を対象とした。対象は、規則正しいリズムで生活を送っている者を選定し疾病で治療中の者や夜中頻繁に起きることがある者を除外した。
また、対象には試験内容について説明をし、その上で試験参加への自由意志による文書同意が得られた。
血中レプチン量の測定:
恒温恒湿室にて上記対象から血液を採取した。採取した血液に、HUMAN LEPTIN RIA KIT(製造元Millipore Corporation, Cat. #HL-81K)を用いて、血中レプチン量を測定した。
肌色の測定:
肌色の測定は特許文献1に記載の方法に従った。被験部位は顔面であり、KONICA MINOLTA CM700dを用いて皮膚の反射スペクトルを測定した。特許文献1の図4の記載のメラニンおよびヘモグロビン各成分の吸光係数スペクトルを用い、測定した皮膚の反射スペクトルを上記式1に記載の計算式に当てはめ、500nm〜700nmの波長領域で重回帰分析を行うことにより、肌のメラニン量とヘモグロビン量を求めた。ヘモグロビン量が多いと肌の血色が良いことを示す。
結果:
図1に、血中レプチン量とメラニン量との関係を示す。図2に、血中レプチン量とヘモグロビン量との関係を示す。図1から分かるように、血中レプチン量が多い者は、肌のメラニン色素が少ないという関連性が認められた。また、図2から分かるように、血中のレプチンが高い者は、ヘモグロビン量が高い、ひいては肌の血色がよいという関連性が認められた。
実験2:睡眠中断による肌色の悪化とレプチン量との関連性
睡眠中断負荷
実験1における対象のうち30名について、2日間の睡眠中断を実施した。睡眠中断負荷は、試験開始当日と翌日の2日目に二晩連続でおこなった。睡眠中断負荷は、各対象が就寝後、夜中に起き、明るい照明のもと30分過ごさせることにより、睡眠を中断させ、体内リズムを狂わす負荷をかけた。
試験中は、以下の制限事項を設けた。
また、2日間の睡眠中断負荷の翌日に、被験部位の肌色を測定した。実験1と同様、被験部位は顔面であり、同じ装置・方法を用いて肌色の測定を行った。この測定により得られた酸化ヘモグロビン量と還元ヘモグロビン量の総和に対する酸化ヘモグロビン量の割合を百分率で求めることによりヘモグロビン酸素飽和度(HbSO2%)を得た。なお、測定精度向上のために、測定日は水以外の飲食を禁止した。
実験1において測定した血中レプチン濃度に基づき、高レプチン群(7ng/ml以上)と低レプチン群(7ng/ml未満)の2群に分けた場合の結果を図3に示す。血中レプチン濃度を高レプチン群(10ng/ml以上)、中レプチン群(5ng/ml以上10ng/ml未満)と低レプチン群(5ng/ml未満)の3群に分けた場合の結果を図4に示す。なお、試験開始日の各群の肌色は同等のレベルになるように調整した。統計的有意差検定には、2群比較は対応のないstudent T検定、3群の比較にはボンフェローニ法(Bonferroni法)による多重比較検定を用いた。
図3から分かるように、低レプチン群(7ng/ml未満)では、睡眠中断負荷をかけると負荷前に比べて、HbSO2の有意な減少が確認され(p<0.01)、肌色の悪化が認められた。一方、高レプチン群(7ng/ml以上)では、睡眠中断負荷をかけても負荷前と同レベルの肌色であり、睡眠中断負荷によるダメージによっても肌色の悪化が見られなかった。
図4から分かるように、高レプチン群(10ng/ml以上)、中レプチン群(5ng/ml以上10ng/ml未満)と低レプチン群(5ng/ml未満)の3群に分けると、血中レプチン濃度が低いほど睡眠中断負荷によるHbSO2の減少度(ΔHbSO2%)が高く、肌色悪化度が有意に高いことがわかった(p<0.1、p<0.01)。このことは、血中レプチン濃度と肌色悪化との関連性を如実に示している。
以上の結果から、測定時の肌色が同等であっても、レプチン量の少ない対象ほどダメージによる肌色の悪化が起こりやすいことがわかった。よって、対象のレプチンを指標とすることで、簡便かつ客観的に肌色悪化リスクを予測できる。
本発明により、レプチン量を指標とすることで、肌色悪化リスクを簡易かつ客観的に予測することが可能になり、このような方法/システムに基づいて肌色の悪化を予防する及び/又は肌色を改善するためのアドバイスの提供が可能になる。また、レプチン量を指標とすることで、肌色改善剤を探索するためのスクリーニングを簡便に行うことが可能になる。

Claims (7)

  1. 肌色悪化リスクを評価するための美容目的の方法であって、
    対象から採取後の生体試料におけるレプチンの量及び/又は発現量の測定値を指標として該対象の肌色が悪化するリスクを評価することを含む、前記方法。
  2. 前記測定値が低いほど前記対象の肌色が悪化するリスクが高いと評価する、請求項1に記載の方法。
  3. 対象のレプチンの量及び/又は発現量を増加させることを含む、対象の肌色悪化を予防又は改善するための美容目的の方法。
  4. 肌色改善剤のスクリーニング方法であって、
    採取後の生体試料に候補薬剤を添加すること;
    該生体試料においてレプチンの量及び/又は発現量を測定すること;
    測定したレプチンの量及び/又は発現量から、候補薬剤の皮膚の肌色改善作用を決定する工程;
    を含む、前記方法。
  5. 肌色悪化リスクを評価するシステムであって、
    あらかじめ設定したレプチンの量及び/又は発現量の基準値に関するデータを記憶するデータベース部と、
    対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを入力するデータ入力部と、
    前記データベース部で記憶されているレプチンの量及び/又は発現量の基準値を参照して、前記データ入力部に入力された対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータと比較して計算する、計算部と、
    前記計算部による計算結果に基づいて肌色悪化リスクを評価する評価部と、
    前記評価部により評価した結果を表示する表示部を有する、前記システム。
  6. 1又は複数のコンピュータにより実行される肌色悪化リスクを評価する方法であって、
    あらかじめ設定したレプチンの量及び/又は発現量の基準値に関するデータを取得する手順と、
    対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを取得する手順と、
    前記基準値に関するデータと前記対象のレプチンの量及び/又は発現量に関するデータを比較して計算する手順と、
    前記計算手順により計算された結果に基づいて肌色悪化リスクを評価する手順と、
    前記評価手順により評価された結果を表示する手順を有する、前記方法。
  7. 対象の美容行為を支援する美容カウンセリング方法であって、
    請求項6に記載の方法により評価された結果を対象に提示することを含む、前記方法。
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