本願は、2014年5月18日に出願された「MIDFIELD COUPLER」と題された米国仮特許出願第61/994,960号に対する優先権の利益を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
無線電力伝送を達成することに関する問題は、埋め込み型デバイス/センサのサイズと電力伝送ソースとのミスマッチ、患者内のデバイス/センサの深さ、さらには、電力伝送ソースに対するデバイス/センサの空間的配置において生じ得る。本明細書では、これらの問題を克服し得るマイクロインプラントの無線電力供給のためのデバイス、システム、および方法を説明する。本明細書に記載されている電源は、組織容積の伝搬モードを介してエネルギー伝送を誘発し得る非定常エバネッセント場を生成し得る。電磁場のミッドフィールドと呼ばれるエネルギー伝送の領域は、およそ生体物質の波長に対応する、ソースからの波長距離にある。
ニアフィールド結合(誘導結合およびその共鳴増強誘導体)を使用する従来の無線電力供給アプローチでは、組織外の(ソース近傍の)エバネッセント成分は、組織内部では一過性のままであり、有効な深度浸透を可能にしない。従来のニアフィールド結合とは異なり、ミッドフィールドソースからのエネルギーは主に伝搬モードで搬送され、その結果、搬送深度は、ニアフィールドの固有指数関数的減衰よりはむしろ環境損失によって制限される。理論的な研究では、これらの特性を用いて実施されるエネルギー伝送は、ニアフィールドシステムよりも2〜3桁より効率的であることが示された。ミッドフィールド結合において、組織はエネルギーをトンネリングするための誘電体として作用し得、伝搬モードのコヒーレント干渉は、焦点面におけるフィールドを真空波長よりもずっと小さい寸法に限定し、ハイインデックス物質の回折限界の影響を受けたスポットサイズになり得る。この高エネルギー密度領域にインプラントを配置することにより、インプラントは、従来の無線電力供給方法を使用するシステムよりも数桁小さくなり、物質内により深く配置され得る。実際に、マイクロ波周波数での生体組織が示す高誘電率のために、本明細書に記載されている電源は、体内の深部に埋め込まれた1ミリメートル以下の大きさの埋め込み型デバイスに電磁エネルギーを送達するように構成され得る。
理論的基礎
本明細書で説明するデバイス、システム、および方法の基礎となる物理特性は、電源の任意の物理的実現によって達成可能な性能を制限する最適化手法から生じる。電力伝送は、ソースが受信コイルとの相互作用によって受信回路内の負荷による作業抽出をもたらすフィールドを生成したときに発生する。サブ波長受信コイルでは、最低次モードのみが重要であり、電力伝送機構は、動的磁場相互作用の電磁誘導特性によって説明され得る。コイルに伝送される電力は、
によって示され、ここで、BSはソースによって生成される磁場であり、MCはコイル内の電流による誘導磁化である。ソース導体の表面上の時間−高調波電流密度JSによって生成される電場および磁場は、電流密度を空間周波数成分に分解することによって求めることができ、空間周波数成分の各々は平面界面にわたる屈折および反射に関する通常の法則に従う。exp(−iωt)の時間依存性を有するフェーザ表示を使用すると、効率は以下のように定義される。
形式上、ηは全吸収電力に対するコイルで得られる電力の比である。この方程式は、組織内の散逸のみを考慮しており、実際には放射や抵抗損などの他の損失が発生する可能性があるが、身体に結合され得る電力量は、実質的には電場誘導加熱によって制限される。
この効率は、組織多層構造内のフィールドに固有であり、得られる効率の上限となる。この効率の式は、結合モード理論を使用して導出され得る。ソースと受信機との間のエネルギーの交換は、方程式
によって示される。ここで、anは、|an|2が構造内のエネルギーに対応するように正規化された振幅であり、Γnは固有の減衰率であり、ΓLは受信機における負荷による作業抽出の割合であり、κは結合係数である。ソースと受信機が共鳴状態ω=ωS=ωCで動作することは有利であり得る。電力伝送の効率は、以下のように定義される。
弱結合|κ|2/ΓSΓC<<1の限界では、式は以下に変換される。
これは、2つの効率の積である。左側の係数は、負荷がない場合のコイルへの電力伝送の効率として理解され得る。右側の係数は、負荷による電力抽出の効率に対応し、この係数は、インピーダンス整合条件ΓC=ΓLが満たされたときに最大となる。標準的な電力の論拠から、左側の効率を以下のように示すことができる。
これは上記で定義した効率である。2ポート集中素子ネットワークのような結合電気システムのための他の形式を用いて、等価な表現を求めることができる。
ソースJSは、効率を最大にするように選択され得る。大域最適解は、ソース構造と組織との間の平面に接する成分により電流を定義することによって、特定の電力供給構成に対して分析的に解かれ得る。すべてのソースについて、電磁的等価定理は、このような2次元電流密度が、フィールドの物理的なソースからz<0の下方半分の空間で区別できない全体集合Sから選択されることを可能にする。注目すべきことに、数8を最大化する最適化問題に対する解決策は、Sのベクトル空間構造の結果として閉形式で発見され得る。局所的最適化アルゴリズムとは対照的に、この得られる解決策は、無線電力供給源の任意の物理的な実現によって達成され得る性能の厳密な限界である。
この理論は、本明細書に記載されているように、外部電源および埋め込みデバイスを備えるシステムに適用され得る。図1は、空気104とハイインデックス物質106との間の界面の上に配置されるソース102の側面概略図である。ソース102は、面内ソース電流密度JSを生成し得る。このソース電流は、ダイアディックGreen関数GEおよびGHによって示されるように、電場ESおよび磁場HSを生成し得る。
ここで、ωは角周波数であり、μ0は空気の透気率である。横座標の各々にフーリエ変換を適用すると、フィールドの空間周波数スペクトルが得られる。
k0が空気の波数である場合、空気中のスペクトル成分は、
であり、これは空気中のエバネッセント場に対応する。
ソース102からハイインデックス物質106内に配置された受信コイルへのエネルギー伝送は、ソース102が、コイルとの相互作用によって受信回路内の負荷による作業抽出をもたらすフィールドを生成したときに生じ得る。コイルに伝送される時間平均電力は、以下のように示すことができる。
ここでMCはコイル上の誘導磁化である。したがって、フィールドに関する電力伝送効率は、以下のように定義される。
ここで、εは物質の誘電率であり、ECはMCによって生成される電場である。形式上、ηは、物質内で消費される全電力に対するコイルで得られる電力の比である。
上記のηで定義される電力伝送効率は、ソースJSの選択によって変更され得る。空気物質媒体が多層構造である場合、大域最適解は分析的に解かれ得る。生体物質の適切な分散モデルを用いて、ある周波数範囲にわたってそのような大域解を探索することによって、特定の生体組織(単数または複数)に対する最適な電力伝送が決定され得る。例えば、上述の理論を使用して、胸壁構造の近似のための最適な電力伝送を決定することができる。図2Aは、心臓の表面に取り付けられたコイルへの電力伝送の概略図である。胸壁は、図2Bに示すような多層構造によって近似され得る。図2Aに示されているように、電力供給構成は、皮膚の上に位置決めされたソース202(詳細は後述する)と、心臓組織層に挿入された受信コイル204(詳細は後述する)とから構成され得る。この近似された胸壁構造の最適な電力伝送は、適切な生体物質の適切な分散モデルを用いて、ある周波数範囲にわたって最適なソースJSを求めることによって決定され得る。
この例では、1.6GHzで最適な電力伝送が生じ得る。これを決定するために、理論的効率対周波数曲線は、組織の多層モデル(1cm空隙、4mm皮膚、8mm脂肪、8mm筋肉、16mm骨、∞心臓)における最適ηをx方向およびz方向に配向されたコイルの幅広い探索範囲(10MHz〜4GHz)にわたって求めることによって作成された。周波数上限は、コイルの自己共鳴周波数程度になるように選択された。コイル損失は、一様な組織に埋め込まれたワイヤのループの解析モデルと、制約Q<10(Qは品質係数である)を課すことによるインピーダンス整合を使用して考慮された。各々の組織タイプのデバイ分散モデルを使用すると、ピーク効率は1.6GHzで発生することが判明した。
図2Bに示されているように、JSの解は、出力フィールドを受信コイル204に収束させ得る高振動電流密度206を生成し得る。これらのフィールドは、ダイアディックGreen関数法を使用して、面内ソース電流密度JS(kx、ky)のスペクトル成分から計算された。この方法は、平面波成分が多層構造における伝搬の固有関数であるため、単純な伝達関数に縮小した。各深度zにおいて、例えば、磁場H(kx、ky、z)=GH(kx、ky、z)JC(kx、ky)を計算するために、ダイアドGH(kx、ky、z)を適用した。逆フーリエ変換により各深度のフィールドが得られる。
図2Cは、ソース(z=0)、皮膚表面(z=zskin=−1cm)、およびコイル(z=zcoil=−5cm)に対応する深さ平面における空間周波数スペクトルを示した図である。ソースおよび皮膚表面に対応する深さ平面において、出力フィールド208、210はそれぞれ、以下の式に対応する有意なエバネッセント成分から構成され得る。
受信コイル204の近くでは、出力フィールド212は、以下の式に対応する有意な伝搬モードから構成され得る。
ここで、kmuscleは筋組織の波数である。したがって、マイクロ波周波数での生体物質が示す高い誘電率のために、組織内の伝搬モードの完全な制御は、ソース「レンズ」が以下の式の範囲内にあるエバネッセント波成分に影響を与えたときに達成され得る。
図3Aは、そのようなレンズを有するミッドフィールドソースからの出力磁場の時間スナップショットを示し、図3Cは、ミッドフィールドソースに隣接する出力フィールドの正規化空間周波数スペクトルを示している。一方、図3Bは、4cmの直径を有し、10MHzで動作するコイルを備えた、対応するニアフィールドソースからの出力フィールドの時間スナップショットを示しており、組織内の最大電場が図3Aおよび図3Bの場合と同じになるように正規化されている。図3Dは、ニアフィールドソースに隣接する出力フィールドの正規化された空間周波数スペクトルを示している。図3Bに示されているように、ニアフィールドソースからのフィールドは、ミッドフィールドソースからのフィールドよりもはるかに迅速に減衰し、伝搬しない。同様に、図3Cに示されている空間周波数スペクトルは、数16を示し、一方、図3Dに示されている成分の大部分は、数17内にあり、空気中および組織物質内の両方で伝搬しない。
従来のニアフィールド結合とは異なり、ミッドフィールド電力供給は、マイクロ波周波数で生体物質が示す高い誘電率を利用してエネルギーの搬送を促進する。したがって、ソースと受信コイルとの間に組織が存在しない場合には、その利点が見られないことがある。例えば、図4Aは、組織物質が除去されたときのミッドフィールドソースからの出力磁場を示しており、図4Bは、組織物質が除去されたときのニアフィールドソースからの出力磁場を示している。図に示されているように、図4Aに示されているミッドフィールドソースからの磁場は、図3Aに示されているように、組織物質が存在する場合よりも迅速に減衰し得、伝搬しない。
ニアフィールド結合を用いた電力伝送とミッドフィールド結合を用いた電力伝送との差は、受信コイルの直径対電力伝送範囲の性能曲線によっても示され得る。図5は、固定電力伝送効率η=10-3および回路負荷10Ωに対する性能曲線を示した図である。所与の波長でこの効率を達成するためには、コイルのサイズおよび動作深度は、性能曲線の下にあるように制約される。曲線は、示された動作深度および組織の波長に対して、空気−筋肉半空間における最適な電力伝送の値を解くことによって生成され得る。
例えば、動作深度(ソースと受信コイル間の距離)が5cmの場合、ニアフィールドソースでは受信コイルの直径を少なくとも15mmにする必要があり得るが、ミッドフィールドソースでは受信コイルの直径は少なくとも2mmにするだけでよい。この性能曲線は、1ミリメートル以下の大きさの埋め込み型デバイスまで体内の深部に電磁エネルギーを搬送することが可能であることを示している。
デバイス
本明細書では、理論的に上述したようなミッドフィールドソースを実現するためのデバイス、システム、および方法を説明する。上述したような必要とされるレンズ特性を有するソースの実現は、従来のコイルまたは双極子素子よりも複雑な電磁構造を必要とする。1つの変形例では、ミッドフィールドソースは、1つまたは複数のサブ波長構造を備え得るミッドフィールドプレートと、サブ波長構造を励起するように構成された励起ポートとによって実現され得る。これらのミッドフィールドソースは、物質(例えば、組織)内部の伝搬フィールドを励起および制御して、そのことにより空間的に集束された適応ステアリングフィールドを物質内に生成するために、ソース近傍のエバネッセント場を操作し得る。エネルギーは、以下でより詳細に説明する埋め込みデバイスによって受け取られ得る。
本明細書に記載されているシステムは、従来の誘導結合技術では達成できない深さにおける埋め込みデバイスへの無線電力伝送を可能にし得る。さらに、インプラントは、外部電源よりもはるかに小さく(例えば、1桁、2桁、または3桁小さく)することが可能であり、物質(例えば、組織)内の深さよりさらに浅く(例えば、1桁、2桁、または3桁小さく)することが可能である。さらに、本明細書に記載されているシステムを介してインプラントに伝送され得る電力は、インプラント内の刺激送達および/または複雑な電子機器に電力供給するのに十分であり得る。
外部モジュール(ミッドフィールドソース)
本明細書では、インプラントに無線伝送され得る電力を生成するように構成されたミッドフィールドソースを説明する。いくつかの変形例では、ミッドフィールドソース全体がハンドヘルドデバイスに統合され得る。したがって、ミッドフィールドソースは、オンデマンドの使用に適している場合がある。他の変形例では、ミッドフィールドソースは、身体に装着されるか、または皮膚表面に貼り付けられるように構成され得る。図6A〜図6Cは、代表的な組織604の近くに配置されたミッドフィールドソース602の変形例の斜視図である。そこに示されているように、各々のミッドフィールドソース602は、平面表面606と、1つまたは複数のサブ波長構造608とを備え得るミッドフィールドプレートを備え得る。ミッドフィールドプレート上の1つまたは複数のサブ波長構造608は、以下でより詳細に説明するように、まとまってミッドフィールドソースを形成し得る1つまたは複数の無線周波数ポートによって励起され得る。
平面表面
いくつかの変形例では、本明細書に記載されているミッドフィールドソースの平面表面は、固体基板またはプレートを備え得る。例えば、平面表面は、いくつかの変形例では、パターン化された給電銅層を備え得るFR−4などのガラスエポキシ積層板を含み得る。他の変形例では、平面表面は、より低い基板損失のためにRogersまたはセラミックを含み得る。平面表面は、略平面の形状を有してよく、任意の適切な寸法を有してよい。厚さは、基板内の金属層の数に依存してよく、約1mm〜約3cmの範囲とし得る。いくつかの変形例では、固体基板は約6cm×6cmとしてよく、約1.6mmの厚さを有してよい。
他の変形例では、平面表面は、可撓性基板を備え得る。平面表面が可撓性基板を備えるいくつかの変形例では、可撓性基板は極薄型可撓性基板としてよく、患者の皮膚などの一様でない表面または曲面に適合するように構成され得る。例えば、平面表面は、いくつかの変形例では、極薄FR−4を備え得る。いくつかの変形例では、可撓性基板は、約10μm〜約1mmの厚さを有し得る。より具体的には、いくつかの変形例では、可撓性基板は約100μmの厚さを有し得る。厚さは、基板内の金属層の数および異なる層間の分離に依存し得る。
図28A〜図28Cに示されているように、平面表面は、患者の皮膚に接着するように構成され得る。絶縁のために、平面表面と皮膚との間にスペーサが配置され得る。いくつかの変形例では、平面表面2802は、バッテリ2804および回路2806と一緒になって、薄いパッチにまとめられ得る。これが、図28Aに示されているように、皮膚に接着され得る。別の変形例では、図28Bに示されているように、バッテリ2804がパッチから分離されてよく、パッチとバッテリ2804が皮膚に別個に接着されるように構成され得る。さらに別の変形例では、図28Cに示されているように、バッテリ2804と回路2806とが組み合わされてよく、パッチとは別個に皮膚に接着されるように構成され得る。患者の皮膚に接着するように構成された可撓性基板は、任意の適切な期間にわたって装着されるように構成されてよく、用途に応じて構成されてよい。例えば、いくつかの変形例では、本明細書に記載されているシステムは、オンデマンドの刺激のために使用されてよく、平面表面は、刺激の期間(例えば、約1時間から約数時間)の間、患者の皮膚に残され得るが、平面表面は、より長い期間、患者の皮膚に接着され得ることを理解されたい。他の変形例では、本明細書に記載されているシステムは、埋め込みデバイス内のバッテリを充電するために使用され得る。いくつかのこのような変形例では、平面表面は、約1分〜約10分の間、患者の皮膚に残され得るが、平面表面はより長い期間、患者の皮膚に接着され得ることを理解されたい。
サブ波長構造
上記で簡単に述べたように、平面表面は、ミッドフィールドプレートを形成するために1つまたは複数のサブ波長構造と組み合わされ得る。「サブ波長構造」は、フィールドの波長に対して定義され得る。λ0が空気中の波長であり、λmaterialが高誘電率物質内の波長である場合、空気中の波長λ0よりはるかに小さい寸法の波長の任意のソース構造をサブ波長構造と呼ぶことができる。高誘電率物質の比誘電率をnとすると、高誘電率物質内の波長は空気中の波長のルートn(nの平方根)倍小さい、すなわちλmaterial=λ0/ルートn(nの平方根)である。例えば、1.6GHzにおける筋肉の比誘電率は54であり、したがって、λmaterial=λ0/7.3である。したがって、λmaterialのような寸法を有する任意のソース構造は、サブ波長構造とし得る。より具体的には、各々のサブ波長構造dの最大寸法は、0.1λmaterial〜2λmaterialとし得る。この場合、サブ波長構造はエバネッセント場を生成し得、サブ波長構造が高誘電率物質に近接して配置されると、エバネッセント場は高誘電率物質の伝搬モードを介してエネルギー伝送を誘発し得る。ソースに隣接する出力フィールドの空間周波数スペクトルは、上記でより詳細に説明したように、数16の有意な成分を有する。
サブ波長構造は、本明細書でより詳細に説明するように、物質(例えば、組織)内の伝搬フィールドを生成し操作するように構成された任意の適切な設計を有し得る。いくつかの変形例では、サブ波長構造は、グラウンドプレーンにスロットを備え得る。他の変形例では、サブ波長構造は、基板の上に配置され得る金属ストリップまたは金属パッチを備えてよく、下にグラウンドプレーンを有してよいが、グラウンドプレーンは必ずしも必要というわけではない。金属ストリップまたは金属パッチは、銅のような(銅に限定されない)任意の適切な物質を含み得る。金属ストリップおよび金属パッチは、約30μmのような(約30μmに限定されない)任意の適切な厚さを有し得る。
適切なサブ波長構造の例が図7Aおよび図7Bに示されている。図7Aに示されている変形例では、サブ波長構造は、端と端をつけて配置された2つの線形金属ストリップ702、704を備え得る。金属ストリップ702、704は、それらの端部間に配置された(以下でより詳細に説明する)電圧源706によって励起され得る。金属ストリップの合計長さは、上述したように、誘電物質(例えば、組織)における磁場の波長の約1/10と、誘電物質(例えば、組織)における磁場の波長の約2倍との間とし得る。金属ストリップは、上述したように、平面基板の上部に配置され得る。図7Bに示されている変形例では、サブ波長構造は線形スロット710を備え得る。スロットは、図示されているように金属プレート708のような上述の平面表面に配置されてよく、スロット710は、電圧源712によって励起されてミッドフィールドプレート(以下でより詳細に説明する)を形成し得る。
サブ波長構造の他の変形例は図8A〜8Fに示されている。図8Aに示されているように、いくつかの変形例では、サブ波長構造は、円弧を形成し得る2つの湾曲した金属ストリップ802、804を備え得る。図8Bに示されているように、いくつかの変形例では、サブ波長構造は、完全な円弧の周りに延び、リング状の金属ストリップ806を形成し得る。他の変形例では、図8C〜図8Fに示されているように、サブ波長構造は1つまたは複数のスロットを備え得る。図8Cに示されている変形例では、サブ波長構造は円弧を形成するスロット808を備え得る。図8Dに示されている変形例では、サブ波長構造はリング状スロット810を備え得る。図8Eに示されている変形例では、サブ波長構造は、十字を形成する2つの線形スロット812、814を備え得る。図8Fに示されている変形例では、サブ波長構造は、その中間点で交差する線形スロット816と湾曲スロット818とを備え得る。図8A〜図8Fに示されているそれぞれの変形例では、各々のサブ波長構造は、単一の電圧源820(以下により詳細に説明する)によって励起され得る。つまり、構造には、電圧が固定される1つの点のみが存在する。
本明細書に記載されているサブ波長構造の各々の変形例は、ソースに隣接する電磁場を生成することができ、これらの電磁場の空間周波数スペクトルは、上記でより詳細に説明したように、数16の無視できない成分を有する。例えば、図17は、図7Aに示されているサブ波長構造を備えるミッドフィールドソースに隣接する横電場の空間周波数スペクトルを示しており、図7Aの金属ストリップの合計長さは、1.6GHzの動作周波数でλmuscleにほぼ等しく、ソースは空気−筋肉界面の約1cm上に配置される。図17に示されているように、電場は数16の無視できない成分を含む。
いくつかの変形例では、サブ波長構造は、印加されるフィールドの組織加熱効果を最小限に抑えるように構成され得る。電場は組織の加熱を誘導するので、組織の加熱効果を最小限に抑えるためには、サブ波長構造はソース近傍で優勢な磁場を生じるように構成され得る。追加的にまたは代替的に、サブ波長構造は、薄型になるように構成され得る。例えば、サブ波長構造は、薄型構造であるために、スロットおよび/またはパッチを備えることが望ましい場合がある。
他の変形例では、サブ波長構造は、ソース近傍で優勢な横磁場を生じるように構成され得る。これらの変形例のいくつかでは、サブ波長構造は、パッチサブ波長構造、すなわち下にグラウンドプレーンのある基板上のサブ波長金属プレート(図11Aに示されている)、パッチの片側がグラウンドプレーンに短絡され得る場合を除いてパッチサブ波長構造に類似するPIFAサブ波長構造(図11Bに示されている)、クロススロットサブ波長構造(図11Cに示されている)、スロット構造がスロットに近接しているがスロットに接触しない単極子によって励起される、開口結合円形スロットサブ波長構造(図11Dに示されている)、および/またはハーフスロットサブ波長構造(図11Eに示されている)を含み得る。
図18A〜図18Eは、図11A〜図11Eのサブ波長構造を備えるミッドフィールドソースによって生成された磁場を示す図である。図18Aは、図11Aに示されるようなパッチサブ波長構造で生成された磁場を示す図である。図18Bは、図11Bに示されるようなPIFAサブ波長構造で生成された磁場を示す図である。図18Cは、図11Dに示されるような開口結合円形スロットサブ波長構造で生成された磁場を示す図である。図18Dは、図11Cに示されるようなクロススロットサブ波長構造で生成された磁場を示す図である。図18Eは、図11Eに示されるようなハーフスロットサブ波長構造から生じる磁場を示す図である。図に示されているように、ミッドフィールドソースは、組織界面に平行であり、埋め込みデバイスに無線電力を伝送する組織内に生成された伝搬波に対して垂直な磁場を生成する。一方、図19は、従来の誘導結合ループソースによって生成された磁場を示している。図に示されているように、磁場は、組織界面に対して垂直に生成され、ループソースの下の組織内に配置されたインプラントへの所望の無線電力伝送の方向に平行である。
ミッドフィールドプレート
本明細書に記載されているような平面表面と1つまたは複数のサブ波長構造とを組み合わせて、ミッドフィールドプレートを形成することができる。ミッドフィールドプレートは、任意の適切な数のサブ波長構造(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上)を備えてよい。サブ波長構造の各々は同一のサブ波長構造としてよく、またはミッドフィールドプレートは、上述したような様々なサブ波長構造の組み合わせを備えてよい。
図9Aおよび図9Bは、2つ以上のサブ波長構造を備え得るミッドフィールドプレートの例を示している。図9Aに示されている変形例では、ミッドフィールドプレートは、完全なリング形状の構造を形成するように構成された2つの半円形サブ波長金属ストリップ902、904を備え得る。2つの電圧源906は、サブ波長構造を励起し得る。図9Aに示されている構成は、図8Bに示されている構成と同様であるが、図9Aの構成は、電圧が固定され得る2つの点を形成する2つの電圧源を備え得る。したがって、図9Aに示されている構成は、2つのサブ波長構造902、904を備え得る。図9Bは、図8Fに示されている構成と同様の十字形状を含むが、4つの電圧源908を有し、電圧を固定し得る4つの点、したがって4つのサブ波長構造910、912、914、916を形成する構成を示している。
いくつかの変形例では、ミッドフィールドプレートは、上述したように、電力伝送効率を最大にする最適なソースの性能に近くなる複数のサブ波長構造の組み合わせを備え得る。図14および図15は、そのような2つのミッドフィールドソースの構成を示している。図15に示されている変形例では、ミッドフィールドプレートは、図13Aに示されているサブ波長構造の4つの構成(以下により詳細に説明する)のアレイを含み得る。図13Aの4つの構成は、4つの構成のそれぞれが隣接する構成に対して90度回転された円形構成で配置され、線形スロットはアレイの中心の方向を向いている。この配置のサブ波長構造を備えるミッドプレートは、励起されると、上述したように、胸壁を横切って心臓に電力供給するための最適電流密度JSに近似し得る円形電流経路を生成し得る。図示されている変形例では、図13A〜13Bに関してより詳細に説明するように、マイクロストリップ伝送線路に接続された4つの独立した無線周波数ポートによって、ミッドフィールドプレートが励起されてミッドフィールドソースを形成し得る。各ポートにおける振幅および位相は、電力伝送効率を最大にするように選択され得る。ポート信号間の適切な位相については、アレイ構造は、最適電流密度に近似し得る円形電流経路を生成し得る。
図15に示されているミッドフィールドソースの使用が、図2Aの配置に示されているように近似された胸壁を介してシミュレートされる場合、kx軸に沿ったアレイの空間周波数スペクトルは、図2Cの210(皮膚表面)で示される理論的最適値と比較して図16Aに示されている。図16Aに示されているように、エバネッセントスペクトルは、理論的最適値に近似し得るが、放射モードの寄与は、平面構造の固有の指向性のために約2倍大きくなり得る。電力伝送効率の実験的測定値が図16Bに示されている。実験的研究は、直径2mmのコイルを有し、筋組織を模倣する誘電特性を有する溶液に浸漬されたインプラントに500mWの電力を伝送すると、図15に示されているようなサブ波長構造を有するミッドフィールドソースが、図16Bに示されているように、理論的結合の10%以内の効率を得ることができたことを示し、図16Cに示されているように、散乱スペクトルの顕著な最小値によって証明した。図15のミッドフィールドプレートは、何らかの方法で修正され得ることを理解されたい。例えば、図10Bは、スロットが各端部に屈曲部を含み得る場合を除いて、図15のミッドフィールドプレートと同様のサブ波長要素の構成を備えるミッドフィールドプレートを示している。これらの屈曲部は、ミッドフィールドプレートを励起することによって生成されるミッドフィールドソースの帯域幅を拡大し得る。
平面イマージョンレンズ
ソリッド・イマージョン・レンズは、空気−物質界面上またはその近傍に置かれたハイインデックス物質の半球状のドームを含み、半球状のドームは光がこれらの「禁制」屈折角に届くことを可能にする。この機能により、物質波長〜λ/nで設定された回折限界分解能で、光が自由空間波長よりもはるかに小さいスポットに集束することが可能になる。ソリッド・イマージョン・レンズは、画像化、データ記憶、およびリソグラフィを含む多くの用途において広範囲で使用されている。しかし、ソリッド・イマージョン・レンズは本質的に三次元であり、嵩高である。従来のソリッド・イマージョン・レンズをフラットな対応物と置き換えることで、ナノフォトニックチップ、または低周波数領域ではコンフォーマルな生体医療デバイスを含む複雑なシステムに統合する機会が得られる。
図14は、メタ表面に基づいた平面イマージョンレンズを示す図である。メタ表面は、光が表面全体に伝搬する際に電磁特性の急激な変化をもたらすサブ波長開口または散乱体の構造アレイからなるフラットなデバイスである。メタ表面の特性は、所望の空間的に変化する応答を生成するために個々のサブ波長素子のパラメータを変化させることによって調整され得る。この設計自由度は、光学的領域およびマイクロ波領域の両方において、負の屈折、光の渦、フラットなレンズ効果、ホログラム、および他の特殊な界面現象を生成するデバイスを作成するために使用されてきた。図14の平面イマージョンレンズは、空気からの放射線入射が物質の「禁制」角度に屈折することを可能にする、深いサブ波長間隔を有する電気的に薄い金属ストリップに基づいたメタ表面を使用する。この機能により、ソリッド・イマージョン・レンズの機能を再現する、薄く平坦なデバイスを作成することができる。このデバイスは、可撓性基板上に製造され得、マイクロ波周波数で動作し得る。
ソリッド・イマージョン・レンズは、空気または真空から物質に入射する光が自由空間波長よりもはるかに小さいスポットに集束することを可能にする光学ツールである。しかし、従来は、ソリッド・イマージョン・レンズは半球形のトポグラフィーに依存しており、非平面で嵩高であり、このことが多くの用途での統合を制限している。平面イマージョンレンズは、図14に示されている。結果として得られる平面デバイスは、空気と誘電物質との間の界面の近くに配置されたときに、空気から入射する電磁放射を自由空間波長よりも小さい物質内のスポットに集束させることができる。
光が空気から物質に集束されたときに、空気−物質界面での屈折が回折限界を決定する。界面のファーフィールドに配置される従来の光学レンズは、空気中の伝搬波成分のみを制御する。その結果、物質におけるそれらの集束分解能は、自由空間波長λでの回折限界である。これは、少なくとも部分的には、物質中のより高い波動ベクトル成分にファーフィールドの光を到達させることができないためである。これらの高い波動ベクトル成分は、臨界角よりも大きな角度で伝播する平面波に対応し、全内部反射によって物質内に閉じ込められる。
従来の反射および屈折とは異なる界面現象を可能にするために、界面での並進対称性を破るように、空気−物質の境界に、またはその近くにメタ表面が配置され得る。メタ表面は、入射光に一定の勾配∇Φの位相を付与することができ、伝搬はスネルの法則の一般化形式によって支配される。この法則は、ある角度θincで入射する放射線は、位相勾配が十分に大きい、|∇Φ|>k0−k0sin|θinc|であれば、禁制角度|θref|>θcriticalで屈折することを意味する。位相勾配は、変化するインピーダンスのサブ波長構造で表面を非周期的に変調することによって実現され得る。図14は、メタ表面を示している。メタ表面は、受動集中素子(抵抗器、コンデンサ、およびインダクタ)を備えた金属ストリップを含み得る。マイクロ波周波数では、これらの素子はパターン化された金属トレースまたは商用インピーダンス素子からなり得る。共鳴の間、ストリップ内の電流の位相は、[0,π]の間の値だけ駆動電場の位相と異なる。適切な受動素子を選択し、構造の固有インピーダンスと相互インピーダンスの両方を考慮することによって、伝送波の空間位相プロファイルは、この位相範囲内で整形され得る。離散的受動素子の使用は、素子を単に変更するだけでメタ表面を再構成できるので、設計を大幅に簡素化する。結合は設計上明白に考慮されるので、要素間の間隔をサブ波長にすることができる。位相範囲は、偏光の変化(ベリー位相)を利用し、磁気応答を有する素子を組み込み、および/または複数層をカスケードすることによって、完全な[0,2π]まで拡大され得るが、単層を使用して図14のイマージョンレンズで達成される限定範囲でも十分である。
「禁制」角度での屈折は、約1.5GHzの放射に対して∇Φ=π/0.55λの位相勾配を生成するためにメタ表面を使用して達成され得る。素子間の間隔は約λ/20であり、サンプリング要件を満たすようなサブ波長である。θinc=30°で入射するs偏光の平面波の場合、ビームは、臨界角θcritical=30°を十分に上回るθref=45°の異常な角度に完全に屈折する。メタ表面は偏光変換に依存しないので、標準のスネルの法則によって定められた角度で屈折した共偏光成分は存在しない。空間振幅プロファイルを変更する回折格子とは異なり、メタ表面は、その位相プロファイルを変調することによって入射波を屈折させ、したがって、望ましくない回折次数を生じさせない。
λ/20空隙がメタ表面と界面との間に導入されると、異常屈折が依然として発生する。この効果は、不満足な全内部反射に密接に関連している。メタ表面の下に物質が存在しない場合、入射波はメタ表面から完全に反射し、表面にエバネッセント波を形成する。このエバネッセント波は、表面に沿って位相勾配の方向に伝搬し、これは格子では実現できない挙動である。物質がメタ表面に近接して配置されると、エバネッセント場の位相は物質内の伝搬波に一致し、入射ビームが界面を横切るエネルギーの正味の搬送を伴って物質にトンネリングすることを可能にする。位相勾配に対する入射角を変化させることによって、透過ビームの角度スペクトルをほぼ完全に禁制領域内に入れることができる。その結果、一般化されたスネルの法則と一致するように見える。予測された角度の周りの広がりは、少なくとも部分的に開口部の有限サイズに起因する。
平面イマージョンレンズを設計するために、物質中のλ/ηスポットに集束する空気中のフィールドソースが探索され得る。平面的な界面を横切る集束はこれまで研究されてきたが、最適なフィールドソースの従来の表現は、ファーフィールドの光のみを考慮し、〜λ焦点スポットを生じるものである。界面におけるエバネッセント波を説明する、より一般的な手法を用いることができる。ソース平面(z=0とする)内の電流シートjsの空間上の最適化問題が定式化される。解は、集束度のメトリックを最大にする電流シートであると定義され得る。物質は散逸性であり、小さいがゼロでない損失を許容すると仮定する。集束メトリックとしての物質上で実行される作業の効率は、以下となる。
ここで、rfは焦点であり、αのダブルプライムは焦点における物体の分極率の虚数部であり、∈のダブルプライムは物質の誘電率の虚数部であり、αは焦点を中心とした「仮想」球の分極率に設定し得る。球は、背景にある物質と同じ誘電率を有し、任意に小さく(例えば、計算メッシュ単位の直径)され得る。電場Eは、グリーン関数G(r,r’)によって説明されるように、電流シートjsからの伝搬によって見つけられる。
最適化問題は、現在は演算子の形で考慮され得る。ディラックのブラケット表記法を使用すると、Eとjsはそれぞれヒルベルト空間の関数|Ψ>と|φ>として表され得る。それらは、演算子式である数19によって関連付けられ、ここで、Gのハットは、Greenの関数演算子である。焦点位置演算子Φのハットは、式1の分子が以下の式2のように表され得るように定義され得る。
同様に、電力損失演算子Σのハットは、以下の結果が得られるように定義され得る。
最適な集束は、ソース電流密度|φ>の選択が式1を最大にするときに生じる。したがって、集束は、最適化問題として提示され得る。
ここで、Sは、z=0平面の上の平面上のすべての電流シートの集合である。式4の形式は、演算子である数23と数24を含む一般化固有値問題である。
解は、数25を満たす二次元電流密度によって得られる。
ここで、λmaxは最大一般化固有値である。Bのハットが可逆的ならば、解|φmax>は演算子(Bのハット)-1(Aのハット)の標準固有値分解から得られる。数値計算は、(i)多層形状のためにグリーンの関数演算子を対角化する平面波基底を選択すること、および/または(ii)焦点軸を中心とした方位対称性に起因する縮重を利用することによって、大幅に加速され得る。この計算は、完全なシステム行列を明示的に形成する必要なしに、それぞれの空間周波数における二項積の逆に縮小される。この逆フィルタリング処理は、時間反転と密接に関連しており、物質損失を漸近的にゼロに近づけることによって透明媒質に一般化され得る。
物質が屈折率n=2を有する二次元形状を考察する。入射S偏光放射の場合、式4を数値的に解くことにより、4λ/nの距離で一線に集束するソースを得ることができる。線形のメタ表面を使用して、出射するフィールドが解と一致するように、垂直に入射する平面波を成形することができる。受動素子の必要なインピーダンス値は、ポイントマッチング法を用いて解かれ得る。焦点スポットの線幅は、0.42λ全幅半値(FWHM)のようなサブ波長とし得る。集束効果が入射波の位相(振幅ではない)変調によるものであることを検証するために、受動素子は、表面が回折格子開口として作用するように除去され得る。回折格子の焦点スポットはサブ波長(〜λ)ではない、すなわち、受動素子が除去されたときに、焦点における強度も4分の1に低下する。レンズ効果の基礎となる物理学は、ニアフィールド集束デバイスとは実質的に異なる。厳密にサブ波長間隔(典型的には、λ/10未満)でエバネッセント波を集束するニアフィールドプレートとは異なり、イマージョンレンズの集束能力は、少なくとも一部は伝搬波間の従来の干渉により生じたものであり、その結果、焦点面は多くの波長が除去され得る。我々のレンズの高分解能化は、ニアフィールドプレートのニアフィールド干渉効果ではなく、物質との相互作用時に入射波を禁制角度に結合する、ニアフィールド位相プロファイルの成形から得られる。集束はニアフィールドの固有の減衰に左右されないので、焦点スポットの強度は入射強度に匹敵するかまたはそれよりも高くなり得る。ソリッド・イマージョン・レンズと同様に、集束分解能は回折限界の影響を受けたままでいるが、スポットサイズは自由空間波長ではなく物質の関数となる。
次に、平面ソースが、マイクロ波周波数における屈折率が生体組織に近似する物質(実部n=8.8)より上のサブ波長距離(λ/15)に位置決めされる三次元形状を考察する。焦点軸を中心とした対称性のために、焦点におけるフィールドの偏光は任意に指定され得る。電場をx方向に直線偏光させるように設定すると、式4の解は、焦点軸を中心とした同心円状の電流からなる表面波となり得る。空気中では、結果として得られるフィールドは、エバネッセント場かつ非定常場であり、平面内で焦点軸に向かって伝搬する。ソース面における強度プロファイルは、有限円形領域内でのみ有意に非ゼロである。この領域の半径は、物質系の損失および焦点深度に直接関係する有効開口サイズを規定する。物質の焦点面において、フィールドは、ソース面から約2.3λ/n(物質の波長)の距離で、(FWHMで測定された)幅λ/11のスポットに収束する。波は空気中で発生するが、スポットサイズは、均一な物質のアッベの回折限界λ/(2nsinθap)に近づく。この場合、ソースは禁制波成分に到達することができるので、θapは開口が焦点に対応する半角である。
要するに、図14は、ソリッド・イマージョン・レンズの機能を有するミッドフィールドプレートを示している。デバイスの高集束分解能は、少なくとも部分的には、誘電物質との相互作用におけるサブ波長分解能を有するニアフィールドを制御するためのメタ表面の能力によって生じる。光周波数では、平面イマージョンレンズは、光学的な「集中」素子の特性の調整によって相互作用が説明される、密接に配置されたプラズモンアンテナまたは誘電体共鳴装置によって実現され得る。入射放射線の磁場成分と相互作用するサブ波長構造を組み込むことによって、メタ表面はさらに、光学インピーダンスを修正して、界面における反射を排除することができる。メタ表面の作製が本質的に単純であり、平面的であるので、メタ表面ベースのレンズは、ナノフォトニックチップまたはコンフォーマルな生体医療デバイスなどの複雑なシステムに統合され得る。
図14に示されている変形例では、ミッドフィールドプレートは、湾曲したサブ波長構造1402、1404、1406、1408、1410、1412、1414、1416のアレイと、サブ波長双極子1018とを備え得る。これらは、図示されているように、牛眼状パターンを形成するように入れ子構造にされ得る。この構造の選択は、より詳細に上述したように、組織内のサブ波長スポットに収束する伝搬フィールドを生成するように構成される。他の変形例では、ミッドフィールドプレートは、金属ストリップの代わりに、図14に示されているのと同じ構成を有するスロットを備え得る。図10Aは、図15のミッドフィールドソースの上面図である。図14のミッドフィールドソースは、図15のミッドフィールドソースよりも多くの励起ポートを備えるので、ソースとインプラントとの間の組織の特性に対してより不変であり得るが、図15のミッドフィールドソースは、幅広い種類の物質でうまく機能し得る。
励起ポート
本明細書に記載されているミッドフィールドプレートは、電源によって生成されるエバネッセント場を操作するように構成され得る。いくつかの変形例では、簡単に上述したように、ミッドフィールドプレートのサブ波長構造は励起ポートによって励起され得る。ミッドフィールドプレートが2つ以上のサブ波長構造を備えるいくつかの変形例では、各々のサブ波長構造は、別個の励起ポートによって励起され得る。ミッドフィールドプレートが2つ以上のサブ波長構造を備える他の変形例では、単一の励起ポートが2つ以上のサブ波長構造を励起し得る。
励起ポートは、無線周波数ポートを備え得る。無線周波数信号は、信号発生器(例えば、発振器)によって生成され得る。無線周波数信号は、任意の適切な周波数を有し得る。いくつかの変形例では、周波数は、約800MHz〜約1GHzであり得る。他の変形例では、周波数は、約2.3GHz〜約2.5GHzであり得る。上述したように、効率的な電力伝送のための最適な周波数は、ミッドフィールドソースと受信コイルとの間に配置される物質に依存し得る。例えば、胸壁構造の例では、最適周波数は、約1.6GHzとし得る。いくつかの変形例では、信号の周波数は調整可能とし得る。ソースの動作周波数を調整することにより、インプラントによって受信された電力を調整することができ、および/またはミッドフィールドソースを異なる物質内および物質内の異なる位置に配置されたインプラントに使用することができる。
2つ以上の励起ポートを備えるいくつかの変形例では、無線周波数信号は、例えば、制御盤上の電力分配器(例えば、ウィルキンソン電力分配器)を使用して、複数の無線周波数信号に分割され得る。いくつかの変形例では、無線周波数信号は、複数の無線周波数信号のそれぞれに対称的に分割され得るが、必ずしもそうである必要はない。また、単一の無線周波数信号を複数の無線周波数信号に分割するのではなく、デバイスは複数の信号発生器を備えてもよいことは理解されたい。各々の無線周波数信号は、制御盤から各々の無線周波数ポートにケーブル(例えば、セミリジッド型同軸ケーブル)を介して送信され得る。追加的にまたは代替的に、信号は、制御可能な位相を有する位相シフタ(例えば、アナログ400°、+3.5/−2.0°誤差)を介して供給され、および/またはその後増幅(例えば、利得14dB)され得る。このことにより、各々の無線周波数ポートで制御された位相および振幅信号が生成され得る。
複数の励起ポートの2つの例示的なアーキテクチャが、図12Aおよび図12Bに示されている。図12Aに示されているアーキテクチャでは、信号発生器1202によって生成された信号は分割され得、その後、各々の分割信号は、制御可能な可変減衰設定を有し得る減衰器1204を介して供給され得る。次に、信号は位相シフタ1206および増幅器1208を介して供給され得る。図12Bに示されているアーキテクチャは、増幅器と振幅制御素子とを組み合わせて単一の構成要素1210にすることによって、より少ない構成要素によるが、同じ制御された位相信号および振幅信号を生成することができる。さらに、以下でより詳細に説明する図21Aおよび図21Bは、複数の励起ポート2110に対する同様のアーキテクチャの別の概略図である。
ミッドフィールドソースが2つ以上のサブ波長構造を備えるいくつかの変形例では、2つ以上のサブ波長構造は単一の励起ポートによって励起され得る。すなわち、各々のサブ波長構造に対する励起は、別々に行われなくてもよい。これは、例えば、マイクロストリップを介して、1つの無線周波数ポートから複数のサブ波長構造に信号を搬送することによって達成され得る。例えば、図13Aおよび図13Bは、図9Bに関して説明したものと同様のサブ波長構造であり、線形スロット1302と、それらの中間点付近で交差する湾曲したスロット1304とを有するソースの一例を示しており、この場合、上述した4つのサブ波長構造は、同じ単一励起ポート1306を使用して励起される。リング形状のマイクロストリップ伝送線路1308は、誘電体(例えば、空気または基板1312)によって分離されたグラウンドプレーン1310の下に配置され得る。マイクロストリップ伝送線路1308上の各点は、異なる位相を有し得る。マイクロストリップ伝送線路1308の寸法を調整することによって、複数のサブ波長構造(例えば、図示されているような4つのサブ波長構造)は励起ポート1306によって励起され得る。
上述の信号発生器は電圧源であるが、他の変形例では、1つまたは複数のサブ波長構造が電流源によって励起され得る。さらに他の変形例では、電圧源または電流源は、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、またはこれらの素子の組み合わせなどのリアクタンス素子で置き換えられ得る。これらの変形例では、サブ波長構造は、平面波または導波路によって励起され得る。したがって、電流に対する電圧の比は、固定電流または固定電圧を有する代わりに、リアクタンス素子の位置で固定され得る。
リアルタイムの動的集束
本明細書に記載されているミッドフィールドソースのいくつかの変形例では、焦点領域は、入力ポート信号の振幅および位相によって与えられる自由度を使用して、ソースの機械的な再構成なしに動的にシフトされ得る。これは、ソースが(例えば、呼吸または心臓の鼓動のために)律動的な運動の臓器と相互作用するように構成された埋め込み型デバイス、または体内を移動するように構成された埋め込み型デバイスに電力供給するのに使用され得る臨床用途において有用であり得る。焦点領域をシフトさせるために、個々のサブ波長構造の励起をリアルタイムで再構成することができ、そのことにより空間的にシフトされた焦点領域を有するものを含む様々なフィールドパターンを合成することができる。図20は、ポート信号間の相対位相を調整することによって設計された空間的にシフトされた焦点を有するフィールドパターンを示している。図20の上の図は、ソースの真下の方向の伝搬波の形成を示している。図20の下の図は、焦点の調整を示している。
図21Aおよび図21Bは、4つの励起ポートを備えるミッドフィールドソースのコントローラの可能なアーキテクチャを示している。図21Aに示されているように、無線周波数信号は、信号発生器2102から生成され得、ウィルキンソン電力分配器のような電力分配器2104を介して対称的に複数の無線周波数信号に分割され得る。電力分割に続いて、信号は、可変減衰、素子2106を介する位相シフト、および素子2108を介する増幅のために、並列段に接続され得る。このことは、各々の励起ポート2110において、制御された位相信号および振幅信号を生成し得る。他の実施形態では、電力分割に続いて、信号は、位相シフトおよび可変増幅のための並列段に接続され得る。
位相シフタ2106、2108は、制御ユニット2112によって制御され得る。いくつかの変形例では、「欲張り」位相探索アルゴリズムを使用して、焦点領域を動的にシフトさせるために、ミッドフィールドカプラの各々の素子の位相および/または大きさの設定を変更し得る。いくつかの変形例では、アルゴリズムは、図21Bに示されているように、光ファイバ2114を介して中継され得る閉ループフィードバックに基づくことがある。他の変形例では、インプラントは、非接続で閉ループフィードバックおよび他の関連する制御アルゴリズムを実現し得る無線トランシーバを備え得る。例えば、フィードバックは、以下でより詳細に説明するように、インプラントによる受信無線エネルギーの検出電力レベルに基づき得る。インプラントモジュールからの電力測定フィードバックに基づいて、ソースとインプラントとの間の無線電力伝送を最適化するために、自動的かつリアルタイムで調整が行われ得る。
このような適応アルゴリズムの効果の一例が図22A〜図22Eに示されている。そこに示されている画像を生成するために、図21Bに示されているLEDを備えるインプラント2216が、図22Aに示されているように、筋組織を模倣した特性を有する溶液内で「S」字型の軌跡で移動した。図22Bは、上述したような実時間制御アルゴリズムが動作のために動的に追跡されたときのLEDのストロボ発光位置を示している。図22Cは、動的集束を伴わないLEDのストロボ発光位置を示している。図22Bと図22Cとを比較することによって分かるように、フィールドパターンは静的であり、適応アルゴリズムの場合と比較して非適応アルゴリズムの場合に中心に集束される。動きの「S」字型の軌跡上で、適応アルゴリズムは、静的な場合に発生した暗い領域を除去しており、焦点領域に固有のものよりもはるかに広いカバレッジ領域を示している。さらに、適応アルゴリズムの効果は、図22Dおよび図22Eにも見られる。図22Dは、LEDの点滅速度によって測定される、インプラントによって受信された電力を示す。示されているように、動的位相適応アルゴリズムは、デバイスが移動するにつれてより高いレベルの電力が伝送されることを可能にする。図22Eは、インプラントが移動しているときにアルゴリズムによって制御される位相固定ポート4に対する各々のポートの位相を示す。
内部モジュール(インプラント)
また、本明細書では、本明細書に記載されているようにミッドフィールドソースから電力を受け取るように構成され得るインプラントが記載されている。いくつかの変形例では、インプラントは、以下でより詳細に説明するように、標的部位(例えば、標的とされた神経、筋肉、または組織領域)に刺激(例えば、電気刺激)を与えるように構成され得る。追加的または代替的に、インプラントは、以下でより詳細に説明するように、標的部位で感覚機能を果たすように構成され得る。
ミッドフィールドソースは、出力フィールドをサブ波長のスポットに収束させて、組織の深部に高エネルギー密度領域を形成し得る高振動型電流密度を生成し得る。この領域の内部では、インプラント内のパワーハーベスティング構造を非常に小さくすることができる。システムはミッドフィールド領域で動作し得るので、インプラントは、主に横電磁場(すなわち、フィールドの振動方向は伝搬方向に対して垂直である)からエネルギーを得ることができる。これは、インプラントが主に軸方向電磁場(すなわち、フィールドの振動方向が伝搬方向に平行である)からエネルギーを得ることができるニアフィールド結合システムとは異なる。ミッドフィールドソースからの焦点領域は、本明細書で説明するように、入力ポート信号の振幅および位相によって与えられる自由度を使用して動的にシフトされ得る。インプラントは、本明細書に記載されているように、リアルタイムの動的集束の実現を可能にするために、受信電力検知および無線通信のための構成要素を組み込み得る。
インプラントは、受電装置、データトランシーバ、および/または刺激および検知構成要素から構成され得る。いくつかの変形例では、受電装置は、コイルと、異なる出力電圧要件のための1つまたは複数のAC−DC変換ブランチとから構成され得る。データトランシーバは、データ受信機、データ送信機、マルチアクセスプロトコル、および/または識別器、およびデジタルコントローラから構成され得る。刺激および検知構成要素は、電気刺激および光学刺激の両方のための電流ドライバ、電気検知のためのセンシングフロントエンド、電極、および/またはLED(発光ダイオード)を備え得る。これらの構成要素は、以下により詳細に説明されるが、インプラントが必ずしもこれらの構成要素の全てを備える必要はないことは理解されたい。
サイズと形状
インプラントは、任意の適切な形状および寸法を有し得る。いくつかの変形例では、本明細書に記載されているインプラントは、例えば、これらに限定されないがカテーテルまたは皮下注射針のような送達装置の内部に収まるように構成され得る。これらの変形例では、インプラントは、リード線および延長線を必要とせずに直接標的部位(例えば、標的とされる神経または筋肉領域)に注入され得る。図23Aは、ヒトの指の上に載せられた本明細書に記載のインプラント2302の一例の写真である。図23Bは、サイズ比較のために10フレンチ(〜3.3mm)のカテーテルシースに隣接してエポキシ封入される前の同じインプラント2302を示す。図23Cは、開胸手術によりウサギの下方心外膜に挿入された同じインプラント2302の写真である。図23A〜図23Cに示されている変形例では、インプラントは、直径2mmの無線電気刺激装置である。
いくつかの変形例では、インプラントは、円筒形、半円筒形、円形または長方形などを有し得る。いくつかの変形例では、インプラントは、約10μm〜約20mm、約100μm〜約10mm、または約1mm〜約5mmの直径(または最大断面寸法)を有し得る。より具体的には、いくつかの変形例では、インプラントは、約2mmの直径(または最大断面寸法)を有し得る。他の変形例では、インプラントの直径(または最大断面寸法)は、20mmより大きくし得ることを理解されたい。いくつかの変形例では、インプラントは、約10μm〜約20mm、約100μm〜約10mm、または約1mm〜約5mmの高さを有し得る。より具体的には、いくつかの変形例では、インプラントは、約3mmの長さを有し得る。他の変形例では、インプラントの長さは20mmより長くし得ることを理解されたい。
いくつかの変形例では、インプラントは、適切な物質内に封入され得る。例えば、いくつかの変形例では、インプラントは、エポキシに封入され得る。他の変形例では、インプラントは、セラミックまたはガラスに封入されてよく、いくつかの変形例では、インプラントを定位置で固定するのを助けるアンカーまたは他の構造を備えてよい。いくつかの変形例において、電極は、刺激および/または検知に加えて、固定するのに使用されるように構成され得る。例えば、電極は、図23Aに示されているように、かかりを備え得る。他の変形例では、電極は、組織にねじ込まれ得るねじ形状部を含み得る。他の変形例では、インプラントは、電極でもない固定構造を備え得る。例えば、インプラントは、ループまたはフックを備え得る。そのようなインプラントは、ループまたはフックを介して隣接組織を接合することによって組織に固定され得る。
コイル
コイルは、ソース(例えば、本明細書に記載されているソースによって生成される空間的に適応する電磁場)からエネルギーを受け取るように構成され得る。エネルギーは、コイル内の誘導電流のために、磁化としてコイルによって受け取られ得る。コイルは、例えば、これらに限定されないが、銅、金、またはアルミニウムなどの任意の適切な物質を含み得る。コイルは、任意の適切な巻数を含み得る。巻数は、ミドルフィールドソースの周波数に依存し得る。いくつかの変形例では、コイルは、約1巻〜約15巻を含み得る。図23Bは、内径2mmで巻かれた直径200μmの銅線を含む多重巻きコイル構造を含むコイル2304の一例を示している。
AC−DC変換およびチャージポンプ
AC−DC電力変換機構を備えるインプラントのいくつかの変形例では、AC−DC電力変換機構は、整流回路を備え得る。整流回路は、インプラントによって(例えば、上述のコイルによって)受け取られたエネルギー(例えば、本明細書に記載されているソースによって生成された空間的に適応する電磁場)をDC信号に変換するように構成され得る。いくつかの変形例では、AC−DC変換回路は、低電圧領域と高電圧領域に分割され得る。このことは、電磁的に弱く結合した領域で動作する無線電力供給インプラントの整流および電力管理の効率を高め得る。いくつかの変形例では、インプラントは、チャージポンプを備え得る。一変形例では、2つのダイオード(例えば、ショットキーダイオード)および2つのコンデンサ(例えば、10nFコンデンサ)がチャージポンプ構成内に配置され得る。低周波数では、コイルと整流器のインピーダンスを整合させるために、追加のコンデンサが使用され得る。チャージポンプおよびフラッシュ制御集積回路は、整流電圧をアップコンバートするために整流器の後に配置され得る。
集積回路
いくつかの変形例では、本明細書で記載されているインプラントは、集積回路を備え得る。例えば、図23Bに示されているように、コイル2304は、集積回路2306の上に配置され、集積回路2306に接続され得る。いくつかの変形例では、集積回路はパルス振幅を調整するように構成され得る。いくつかの変形例では、インプラントは、不揮発性メモリを備え得る。例えば、インプラントは、使用情報(例えば、駆動時間および電流ドライバの設定)などのデータを記録し、および/または(以下でより詳細に記載するように)センサからの測定値を記憶するように構成され得るフラッシュメモリを備え得る。いくつかの変形例では、各々のインプラントモジュールは、インプラントのメモリに記憶された識別タグのような、それ自体の識別タグを有し得る。いくつかの変形例では、インプラントは、後述するように、インプラントの様々な構成要素間の相互作用、インプラントと外部構成要素との間の通信、およびマルチアクセスプロトコルを調整するように構成され得るデジタルコアを備え得る。
エネルギー蓄積構成要素
いくつかの変形例では、インプラントは、エネルギー蓄積構成要素を備え得る。例えば、インプラントは、再充電可能なバッテリを備え得る。再充電可能なバッテリは、一時的にエネルギーを蓄積するように、および/または電力管理回路用の効率的なチャージポンプとして使用するように構成され得る。いくつかの変形例では、再充電可能なバッテリは、薄膜バッテリを備え得る。これらの変形例のいくつかでは、薄膜バッテリは、積み重ねられることによって、エネルギー密度を高め得る。いくつかの他の変形例では、再充電可能なバッテリは、リチウムバッテリを含み得る。エネルギー蓄積構成要素は、本明細書に記載されるように、外部電源に連続的に結合しなくてもインプラントを動作させることを可能にする。外部電源は、インプラントを充電するために使用されてよく、いくつかの変形例では、1週間または1ヶ月当たり、わずか数分から数十分の無線充電でインプラントを充電することができる。
センサ
本明細書に記載されている電源によるインプラントに送達可能な電力レベルはマイクロエレクトロニクス技術の要件を超える可能性があるので、慢性疾患の病態のリアルタイムの監視やインプラントによる閉ループの生物学的検知および制御などのより高度な機能が実施され得る。いくつかの変形例では、インプラントは、1つまたは複数のセンサを備え得る。いくつかの変形例では、センサは、例えば、温度センサを含み得る。他の変形例では、センサは、光学センサおよび/または撮像装置を備え得る。さらに他の変形例では、インプラントは、化学センサ、圧力センサ、酸素センサ、pHセンサ、流量センサ、電気センサ、歪みセンサ、磁気センサ、光センサ、または画像センサを備え得る。いくつかの変形例では、センサは、デバイスが動作する深さを決定することを可能にすることができる。いくつかの変形例では、センサは、1つまたは複数の電極を備え得る。
インプラントが1つまたは複数のセンサを備える変形例では、インプラントは、1つまたは複数の前置増幅器、アナログ/デジタル変換器、および/または1つまたは複数のセンサのためのドライバを備え得る。アナログ/デジタル変換器を有する変形例では、アナログ/デジタル変換器は、前置増幅器からの信号を離散化するために使用され得る。いくつかの変形例では、アナログ/デジタル変換器からの出力信号は、(より詳細に上述したように)インプラントの不揮発性メモリに記憶されてよく、または他の変形例では、(以下でより詳細に説明するように)無線周波数変調器を介してソースまたは他の外部構成要素に送信されてよい。
インプラントが1つまたは複数のセンサを備える変形例では、センサは、ソースまたはユーザにフィードバックを提供するように構成され得る。例えば、いくつかの変形例では、インプラントは、インプラントによって受信された瞬時電力レベルを検出するように構成された1つまたは複数のセンサを備え得る。この情報は、データ送信機(以下でより詳細に説明する)を介してソースに送信され得る。このことにより、本明細書でより詳細に説明するように、フィールドの焦点領域の適応集束が可能になる。他の変形例では、センサからの情報は、例えば、本明細書に記載されているようなユーザインタフェースを介して、ユーザに提供され得る。いくつかの変形例では、データは、インプラントの外部でさらに分析され、または保存され得る。1つまたは複数のセンサからの情報は、例えば、患者の無線のリアルタイムの監視、診断、および/または治療を可能にする。
刺激
いくつかの変形例では、本明細書に記載されているインプラントは、刺激を組織に送達するように構成され得る。刺激は、電気的、光学的、化学的(例えば、インプラントは薬物送達のために構成され得る)、または機械的な刺激のような任意の適切なタイプの刺激であり得るが、これらに限定されない。インプラントが電気刺激を送達するように構成されている変形例では、インプラントは、1つまたは複数の電極を介して電気刺激を送達し得る。インプラントは、(例えば、電気刺激、強度、持続時間、周波数、および形状に対する)刺激パラメータの範囲を送達することを可能にするプログラム可能な電流ドライバを備え得る。システムが本明細書に記載されているユーザインタフェースを備えるいくつかの変形例では、プログラム可能な電流ドライバは、(例えば、インプラントへの無線データリンク経由で)ユーザインタフェースを介してプログラムされ得る。図23A〜図23Cの変形例に示されているように、いくつかの変形例では、インプラントは2つの電極2308を備え得る。2つの電極2308は、図23Cにウサギの下方心外膜に挿入されて示されているように、インプラント2302の片側に配置されて、組織に挿入され得る。
図24Aは、受電装置(インプラント)の回路図である。図24Bは、データトランシーバの回路図である。図24Cは、刺激装置およびセンサの回路図である。
図25A〜図25Cは、組織を刺激するように構成され得るインプラント(例えば、ペースメーカとして構成されたインプラント)の回路図である。図25Aは、受信機の集中回路モデルを示している。図示されているように、(本明細書でさらに詳細に説明するように)ソースによってコイル2502にわたって発生したAC電圧Vcは、整流器回路2504を介してDC電力に変換される。図25Bは、回路が共鳴しているときのn番目の基準電力レベルでの等価回路を示している。図25Cは、回路構成要素の詳細を示す図である。図示されているように、インプラントは、整流器、チャージポンプ、パルス制御集積回路、蓄積コンデンサ、およびLEDを備え得る。他の変位例では、LEDは、電気刺激のために構成され得る一対の電極で置き換えられ得る。いくつかの変形例では、整流器回路は、チャージポンプ構成で配置された2つのダイオードおよび2つのコンデンサを備え得る。LEDまたは電極を駆動するのに必要な整流電圧を、例えば0.7Vから2Vにアップコンバートするために、チャージポンプは整流器の後に配置され得る。電荷は、コンデンサに一時的に蓄積され得る。パルスの周波数および幅を制御するために、パルス制御ユニットが使用され得る。図25A〜図25Cに示されている例では、回路はさらに、点滅周波数を介してパルス制御回路2506を流れる電力を符号化するように構成されたLEDを含む。整流器およびパルス制御ユニットの非線形特性は、回路が2つの基準点滅周波数で特徴付けられる場合、未知パラメータRcが推定されることを可能にする。環境依存パラメータRcが分かれば、伝送された電力が推定され得る。いくつかの変形例では、図25A〜図25CのLEDは、組織および/または神経を刺激するように構成され得る一対の電極によって置き換えられ得る。
データ送信
インプラントは、無線データ伝送が可能であり、いくつかの変形例では、インプラントとミッドフィールドソースまたは別の外部構成要素(例えば、外部ユーザインタフェース)との間の無線データリンクを備え得る。無線リンクは、一方向性または双方向性としてよく、したがって、これらの変形例のうちのいくつかでは、インプラントは、データ受信機を備え得る。無線リンクは、インプラントを駆動し(例えば、刺激装置を備える変形例では、刺激を活性化し)、インプラントを遠隔でプログラムまたは構成し(例えば、インプラント設定を調整し)、および/または1つまたは複数のセンサからデータを受信するように構成され得る。
埋め込まれたモジュールのデータ送信機は、パルス状の無線周波数変調を使用し得る。いくつかの変形例では、インプラントアンテナの品質係数が低いために従来の負荷変調がミッドフィールドでは機能しない可能性があり、信号対雑音比の低下および大幅なリンクマージンの変動を招く可能性があるため、無線周波数変調は望ましい場合がある。他の変形例では、実施しやすくするために、振幅シフトキーイングおよび周波数シフトキーイングのような非コヒーレント変調技術が使用され得る。外部モジュールでの検出を容易にするために、データキャリアとパワーキャリアは異なる中心周波数で動作し得る。いくつかの変形例では、インプラントは、インプラントの機能を調整し得る(例えば、多点刺激を調整する)マルチアクセスプロトコルを利用し得る。いくつかの変形例では、マルチアクセスプロトコルは、時分割多重化および周波数分割多重化を利用し得る。
無線データリンクのデータレートは、任意の適切なレート(例えば、数kbpsから10Mbps)とし得る。例えば、いくつかの変形例では、ソースからインプラントへのダウンリンクのデータレートは、数Mbps以下であり得るが、インプラントからソースへのアップリンクのデータレートは、例えば、10Mbps以上の範囲のようなより高いレートであり得る。
ユーザインタフェース
いくつかの変形例では、本明細書で記載されているシステムは、例えば、臨床医または患者によって使用され得るユーザインタフェースを備え得る。ユーザインタフェースのいくつかの変形例は、電源と一体化されてよく、他の変形例では、ユーザインタフェースは電源から分離されてよい。ユーザインタフェースが電源から分離されているいくつかの変形例では、ユーザインタフェースは、スマートフォン、タブレット、またはウェアラブルコンピュータなどのモバイルコンピューティングデバイスを備え得る。これらの場合、システムは、電源および/またはインプラントとモバイルコンピューティングデバイスとの間の双方向通信を可能にする無線または有線通信リンクを備え得る。このことにより、患者および/または臨床医は、モバイルコンピューティングデバイスのディスプレイを使用して、電源またはインプラントとインタフェースする(例えば、情報を受信または入力する)ことができる。
ソース、インプラント、およびユーザインタフェースは、本明細書ではシステムとして記載されているが、本明細書に記載されているデバイスは、単独で、または他のデバイスおよびシステムと組み合わせて使用され得ることを理解されたい。本明細書に記載されているシステムは、エンドユーザの特定のニーズまたは要件に基づいて構成され得ることも理解されたい。例えば、インプラントは、モジュール設計を有してよく、意図された使用に望ましいそれらの構成要素を含むように変更されてよい。いくつかの変形例では、埋め込まれたモジュールの上記の構成要素は全て、システムオンチップ(SoC)としての単一のダイまたはシステムインパッケージ(SiP)としての単一モジュールに囲まれた複数のダイに統合され得る。
方法/用途
また、本明細書に記載されているようなミッドフィールドソースを使用して、本明細書に記載されているようなインプラントに無線で電力を供給する方法も本明細書に記載されている。本明細書に記載されているインプラントは、任意の適切な位置に埋め込まれ得る。いくつかの変形例では、インプラントは、カテーテルまたは皮下注射針などの低侵襲的処置によって埋め込まれ得る。インプラントは、ヒトあるいは、ペット、家畜、またはウサギ、マウス、ラット、もしくは他のげっ歯類のような実験動物などの他の動物に埋め込まれ得る。インプラントは、これらに限定されないが、筋肉刺激、患者の心拍を調節するための刺激/検知、深部脳刺激、薬物送達、および/または生物学的、生理学的および化学的検知などの任意の数の用途に使用され得る。
本明細書に記載されているミッドフィールドソースは、インプラントに電力を伝送するために使用され得る。いくつかの変形例では、インプラントによって受信される電力は、より詳細に上述したように、ミッドフィールドソースの動作周波数または他のパラメータを調整することによって調整され得る。追加的にまたは代替的に、パラメータは、例えば、インプラントの動きを追跡するために、ミッドフィールドソースの焦点領域を修正するようにリアルタイムで調整され得る。
例えば、いくつかの変形例では、本明細書に記載されているシステムは、心臓ペーシングのために使用され得る。これらの例のいくつかでは、1つのインプラントが患者の右心室に送達され、別個のインプラントが左心室心外膜に送達され得る。インプラントは、脈管構造を通るカテーテルを介するような任意の適切な方法で送達され得る(例えば、インプラントは、冠状静脈洞および冠状静脈を介して左心室心外膜に送達され得る)。これらのインプラントは、リードレスペーシングを心臓に印加するように構成され得る刺激電極および検知電極の両方を備え得る。したがって、本明細書に記載されているシステムは、リードレス両心室ペーシングが低侵襲的処置のみで達成されることを可能にする。これは、処置の時間および複雑さを大幅に低減し得る。
本明細書に記載されているようなシステムを使用する無線心臓ペーシングの一例が、より詳細に上述した図23Cに示されている。図23Cに示されているように、ウサギの下方心外膜に無線電気刺激装置を埋め込んだ後、胸部が閉じられた。図23Cに示されている電気刺激装置は、直径約2mm、重量約70mgであり、抽出電力に依存する速度で2.4μJのパルスを生成することができた。その特徴的な寸法は、バッテリがないために、既存の市販のペースメーカよりも少なくとも1桁小さい寸法とした。図29に示されている可搬型バッテリ駆動ミッドフィールドソースは、インプラント2302の上約4.5cm(約1cmの空隙および3.5cmの胸壁)に位置決めされた。ミッドフィールドソースを用いて約1Wの電力を胸部に結合し、図23Dに示されているように、ソースの動作周波数を回路の推定共鳴周波数に調整し、数秒間維持した。ウサギの心臓活動は、図23Eに示されているECGによって監視された。心臓律動は、動作周波数を調整することによって、完全に無線で制御することができた。動作周波数が回路の共鳴周波数と一致したときに、パルス振幅は、図23EのECG信号の増加した速度および規則性によって示されるように、心臓をペーシングするのに十分であった。図23Fは、ECG信号のオフ共鳴セクションと共鳴セクションの両方の自己相関関数を示している。自己相関関数のピークは四角でマークされている。
同様の方法は、体内の任意の他の光刺激または電気刺激タスクに適用され得る。例えば、同様の方法は、ニューロンまたは筋細胞を刺激するために使用され得る。例えば、同様のシステムおよび方法は、深部脳刺激に使用され得る。深部脳刺激のための現在の処置は、頭蓋内に直径1cmを超える穴を穿孔して、リード線とリード線から刺激モジュールまでの延長線とを挿入するステップを含む。処置の侵襲性のために、一般的には、限られた数の標的部位のみが電極を配置するために選択される。さらに、リード線はMRI互換性がない場合がある。一方、本明細書に記載されているミッドフィールドソースと共に使用するためのインプラントは、他の低侵襲経路を介して脳に注入され得、リード線または延長線を必要としない。このことにより、より多くの標的部位を刺激することができ、MRI安全であり得る。さらに、複数のデバイスが埋め込まれて、同期して刺激するのに使用され得る。さらに、本明細書に記載されているようなシステムを使用することにより、感染が減少し、規制リスクが低減され得る。
別の例として、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、脊髄刺激のために使用され得る。新しいモデルの脊髄刺激装置のバッテリは、高い電力要件のために充電式である。しかし、それらの電力供給のアプローチは、誘導結合(またはニアフィールド結合)に依存している。ハーベスティング構成要素はこれらのシステム内では大きいので、皮下に配置されるのみで、深くは配置され得ない。したがって、これらのシステム内のリード線および延長線は、効果的な刺激のために電極の位置を潜在的に制限し得る。リード線の脱落および感染は、合併症の主な原因であり得る。本明細書に記載されているインプラントは、はるかに小さいので、インプラント全体が脊髄の標的神経領域に隣接して配置され得、リード線を必要としないことがある。繰り返すが、このことは、感染の減少、脊髄組織へのより少ない損傷、およびより効果的な刺激をもたらし得る。
さらに別の例として、本明細書に記載のシステムおよび方法は、末梢神経刺激に使用され得る。現在のほとんどのデバイスは、低周波刺激をサポートしており、電力要件がはるかに高いため、高周波低強度刺激をサポートするデバイスはごくわずかである。本明細書に記載されているシステムは、両方のモードをサポートすることができる。さらに、本明細書に記載されている双方向無線リンクは、異なるモード間で切り替えて、刺激パラダイムを個々の患者に合わせる能力を提供し得る。
上述したように、本明細書に記載されているシステムおよび方法はさらに、筋細胞を刺激するために使用され得る。例えば、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために使用され得る。本明細書に記載されているインプラントは、舌の近くの筋組織に注入されて直接埋め込まれ、その後、睡眠中に患者の気道を開くために電気刺激を送達するために使用され得る。筋収縮を強化するために、複数のインプラントモジュールが異なる筋群に注入され得る。必要に応じて、患者はミッドフィールドソースによりインプラントを充電することができる。追加的にまたは代替的に、データ伝送機能は、臨床医に送信され得る各々のOSA発作のタイムスタンプをダウンロードすることを可能にする。インプラントはさらに、取り外されなくても再プログラムされ得る。いくつかの場合において、再プログラミングは、収集されたデータに基づき得る。
本明細書に記載されているインプラントが興奮性細胞を刺激するために使用される場合、いくつかの変形例では、長期インプラントの埋め込みが望ましくない一時的治療用途に使用され得る。例えば、現在では、スクリーニング検査は、典型的には、永久インパルス発生器が埋め込まれる前に実施される。スクリーニング検査中に、患者は、一時的な外部インパルス発生器を受け取ることができる。インパルス発生器は、体内に外科的に配置され得る延長線およびリード線に接続し得る。この期間に、外部インパルス発生器は、患者の使用データおよび治療の有効性を収集する。しかしながら、本明細書に記載されているようなインプラントは、標的神経/筋肉領域に注入されるので、リード線を有する一時的発生器を不要にすることができる。さらに、本明細書に記載されているインプラントは、心臓手術後に患者における一時的なセンシングリードおよびペーシングリードの代わりに使用され得る。
本明細書に記載されているシステムおよび方法は、興奮性細胞の刺激以外の用途にも使用され得る。例えば、それらは医療用検知用途に使用され得る。バッテリのない埋め込みセンサは、典型的には、本質的に受動的センサであり、すなわち、効率的な無線電力供給アプローチがないために、検知された信号を調整するための能動回路はデバイス内に存在しない。信号状況の悪さを補うために、通常、高度で大型の外部リーダが必要とされる。センサの受動性はさらに、検出可能な刺激を制限し得る。本明細書に記載されているミッドフィールドソースおよびインプラントにより、手のひらサイズの外部モジュールから体内のほぼあらゆる場所にある小型の埋め込みモジュールに相当量の電力を伝送することができる。このことにより、例えば、心臓および脳における術後酸素検知などの連続的な監視のための多くの新しい検知用途が可能になる。
別の例として、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、ワイヤレス内視鏡に使用され得る。現在のカプセル内視鏡はバッテリ寿命が限られており、時には、小腸検査が不十分になることがある。この寿命制限は、本明細書に記載されているシステムによって対処され得る。さらに、本明細書で記載されているインプラントは、現在のカプセル内視鏡よりも大幅に小さいサイズにすることができるので、患者は複数のデバイスを同時に飲み込むことができる。各々のデバイスは、腸内で異なる方向に向きを合わせることができ、したがって、同じ場所で異なる角度から画像を取り込むことができ、その結果、視野を改善し、診断を向上させることができる。最後に、保持する可能性が減少し、外科的または内視鏡的回収の必要性が回避され得る。
本明細書に記載されているシステムおよび方法は、埋め込み薬物送達にも使用され得る。現在の埋め込み薬物送達システムは大きく、一般に、薬物が必要とされる部位に十分に近接して配置することはできない。本明細書に記載されているインプラントは、1つまたは複数の薬物リザーバをさらに備え得る。インプラントは、カテーテルを介して標的組織領域(例えば、腫瘍)に注入され得る、または送達され得る。薬物リザーバは、ミッドフィールドソースによって薬物を放出するために作動され得る。いくつかの変形例では、この作動は、本明細書に記載されるように、ユーザインタフェースを介して患者または臨床医によって制御され得る。
さらに、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、げっ歯類(例えば、マウス、ラットなど)などの実験動物を使用した実験室内実験にも使用され得る。インプラントのサイズが小さいことにより、以前は利用できなかった、または容易に実施することができなかった監視能力が可能になる。例えば、本明細書に記載されているインプラントは、パラメータを監視または検知し、および/または刺激を与えるのに使用され得る。インプラントは、例えば、電気信号を監視するために、げっ歯類の脳の上または脳の近傍に埋め込まれ得る。インプラントは、上述のミッドフィールドソースによって無線で電力供給され得、情報を元の外部モジュールに通信するように構成され得る。
実施例
本明細書に記載されているシステムは、ブタの組織容積を使用してインプラントへの電力伝送の2つのシミュレーションにおいて、つまり、心臓の左心室における第1のシミュレーション配置と、脳の皮質領域における第2のシミュレーション配置において使用された。ソースとインプラントは、少なくとも5cm離して配置された。図26Aおよび図26Bは、ブタ組織容積内のインプラント位置の磁気共鳴イメージング(MRI)再構成を示している。図26Aは、ブタの胸壁を横切って心臓表面上に配置されたインプラントに電力を伝送するための構成のMRI再構成を示している。T2強調スピンエコー・パルス・シーケンスを用いてMRI画像を取得し、画像をOsiriXソフトウェアパッケージを用いて再構成した。ソースの中心(白い点)とインプラントのコイル(灰色の点)は5cm離れていた(空隙1cm、不均質組織4cm)。図26Aのフィールドは、市販の電磁界シミュレータを用いて計算された。パターン化された金属プレートを組織多層(1cmの空隙、4mmの皮膚、8mmの脂肪、8mmの筋肉、16mmの骨、144mmの心臓)の5上に配置し、フィールドを時間領域ソルバによって計算した。
図26Bは、ブタの脳の下皮層領域に配置されたインプラントへの電力伝送のための構成のMRI再構成を示している。T2強調された高速スピンエコーを用いてMRI画像を取得し、OsiriXソフトウェアパッケージを使用して画像を再構成した。そこに示されている構成では、ソース−インプラント分離は5.5cmであった。組織に500mW(およそ携帯電話の出力電力)を結合すると、インプラントのコイルに伝送された電力は、心臓表面に配置されたインプラントについては195μW、下皮層に配置されたインプラントについては200μWと測定された。動作深度(すなわち、ソースとインプラントとの間の距離)が10cmに増加した場合でも、受信電力は実質的に(〜10μW)のままであった。
これらのレベルは、高度な集積回路の要件よりはるかに大きい。主な論文で報告されている性能特性で利用可能な用途の範囲を説明するために、下の表1は、最先端の集積回路の電力要件を示している。表は包括的ではないが、マイクロワット電力領域内の既存のソリッドステート回路機能を表している。これらのデバイスのほとんどは、現在のところ、ワイヤテザーまたは大きな(>2cm)ニアフィールドコイルのいずれかを使用して電力供給されている。
表1:選択された集積エレクトロニクスの製造プロセスおよび消費電力
これと比較して、心臓ペースメーカは約8μWを消費する。フィールドを再集束することができるのであれば、計算上の研究は、性能が中間組織の微細な構造および組成に影響されないことを示す。
組織の上で散逸される余分のエネルギーは、潜在的な安全上の懸念を引き起こし得る。高周波暴露の基本メトリックは比吸収率(SAR)であり、組織の基準容積上での電力損失積分として定義される。組織加熱に起因する健康への悪影響を防ぐために、電磁場ソースによって誘導されるSARに限界値が存在する。(i)全身平均SARが0.4W/kg未満であり、(ii)最大局所SAR(組織10gで平均化したもの)が10W/kgを超えない場合、システムはIEEE C95.3−2005規格に準拠している。これらの限界値は、携帯電話などの一般公衆の暴露(制御されていない環境)に対して5分の1に低減される。
電力伝送によって誘発された暴露レベルを評価するために、本明細書に記載されているようなソースを、擬人化ガラス繊維シェルで画定された模擬組織容積上で操作した。吸収力の空間分布は、図27Aに示されているように、身体および頭部を模倣する線量測定用液体を介してロボットプローブを走査することによって測定された。500mWの集束された電力を組織に結合すると、最大比吸収率(SAR)は、図27Bおよび図27Cに示されているように、組織10gで平均化して、身体では0.89W/kgであり、頭部では1.17W/kgであることがわかった。これらのレベルは、図27Dに示されているように、制御された環境の暴露閾値よりはるかに低い。図27Eは、組織に結合された電力が最大許容暴露レベルを満たすことが許容されている場合、図26Aおよび図26Bに示されている構成に対して、2.2mWおよび1.7mWがそれぞれ伝送され得ることを示している。低い体内平均吸収率(成人の体重に対して0.04W/kg未満)および局在分布は、電力伝送が中核体温に有意な影響を与える可能性は低いことを示唆している。図27Fは、電力レベルが安全閾値以下であることを示している。
埋め込み型ミッドフィールド受信機
送信機と受信機が互いの(空気中の)波長内にある、組織を介した従来の無線電力伝送技術は、送信機と受信機の構造のニアフィールド内の支配的なフィールドタイプが同じ場合の結合に依存している。例えば、外部送信機ループは、磁場を介して、埋め込まれた受信機ループに誘導結合される磁場を伝送することができる。別の例では、外部双極子が埋め込まれた双極子への電場と結合され得る。
しかしながら、ミッドフィールド外部送信機を使用すると、電場ベースの受信機(例えば、双極子アンテナ)が電場(例えば、接線Hフィールド)ベースの送信機に結合され得る。強い接線Hフィールド成分では、磁場は組織媒質を介して伝搬し得る。ミッドフィールド送信機では、電場と磁場は誘発された伝搬波では比例する。強い磁場成分を有するミッドフィールド送信機は、電場ベースの受信機に結合され得る。
ミッドフィールド送信機に結合された従来の受信機アンテナは、螺旋構造を含む。三次元製造技術を必要とする螺旋構造とは対照的に、双極子は、平面表面上などに容易に製造され得る。また、双極子は、螺旋構造よりも注入可能な(例えば、細長い)インプラントに容易に組み込まれ得る。
図29は、組織3001に埋め込まれた埋め込み型装置3000を示している。例示されている埋め込み型装置3000は、物質3006および外側インプラントケーシング3010内に封入された双極子アンテナ3002および受信機3004を含む。埋め込み型装置3000はさらに、外側インプラントケーシング3010上に随意の表面電極3008を含む。表面電極3008は、随意である。例えば、装置3000がアブレーションデバイスとして使用されるとき、表面電極3008は受け取ったエネルギーを組織3001に伝送する。しかしながら、埋め込みデバイス(例えば、埋め込みセンサ)内の電子機器に電力を供給するのを助けるために受信機が使用される用途では、電極3008は必要でない場合がある。
双極子アンテナ3002は、金属、半導体、ポリマー、または他の導電性物質などの導電性物質からなる。双極子アンテナ3002は、図29に示されているように、2つの直線状の薄導体を含み得、または折り返し双極子、短い双極子、ケージ双極子、ボウタイ双極子、またはバットウィング双極子などの他の双極子アンテナ形状を含み得る。直線状双極子以外の形状を使用すると、一般に、直線状の薄い双極子を含む装置の直径に対して装置3000の幅(例えば、直径)が増大する。
受信機3004は、ミッドフィールドカプラから信号を受信することができる任意の受信機とし得る。1つまたは複数の実施形態では、受信機は、約2.45GHzの周波数で送信された信号を受信することができるような、極超短波(UHF)受信機とし得る。空気中のこのような信号の波長は、約12.25センチメートルである。
物質3006は、高誘電低損失の物質、例えば、PREPERM(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、高誘電PTFE、Eccostock(登録商標)物質、またはRT/duroid登録商標)とし得る。物質3006は、ミッドフィールドカプラ基板1312の誘電率(図13参照)と、物質3006が埋め込まれる組織3001の誘電率との間の誘電率を有し得る。このような構成により、1つまたは複数の受信機の寸法は、一般に、そこに入射する信号の波長に比例するので、純粋に組織に埋め込まれる受信機に許容されるよりも大きな受信機にすることができる。したがって、純粋に組織結合された受信機は、ミッドフィールドカプラ基板1312の誘電率と物質3006が埋め込まれた組織3001の誘電率との間の誘電率を有する誘電体を含む受信機と比較して小さい。このことが、電力伝送リンクの効率を高め得る。
低誘電物質内に封入された小型アンテナに結合された埋め込み型受信機について考察する。受信機は、低誘電率の封入材に対して大きな誘電率を有する組織に埋め込まれる。高誘率の組織と低誘電率の封入材との間で、大きな電力損失が実現される。この損失を低減するために、物質3106は、例えば、組織の知覚されるインピーダンスと封入材の知覚されるインピーダンスとをより良く適合させるために、周囲の組織の誘電率に近い誘電率を有し得る。一般に、封入材として高誘電物質を使用する場合、封入材として低誘電物質を使用する場合よりも、受信回路の知覚されるインピーダンスの変化が小さくなる。すなわち、空気中の受信機のインピーダンスが「d1」であり、組織内の受信機のインピーダンスが「d2」であると仮定する。また、高インピーダンス封入材の場合、インピーダンス差|d2−d1|=Δ1であり、低インピーダンス封入材の場合、|d2−d1|=Δ2である。一般に、Δ2>Δ1である。より小さいインピーダンス変化は、受信機のインタフェースにおける適応インピーダンス整合ネットワーク(例えば、プログラム可能なインダクタおよび/またはプログラム可能なコンデンサ)のダイナミックレンジを減少させることを可能にする。より高い誘電率を有する封入材を使用する別の利点は、瘢痕組織または脂肪組織の形成のために生じ得る周囲の組織誘電特性の変化に対して受信機が影響を受けないことを含む。
電極3008は、随意であり、受信機3004に電気的に結合される導電性素子である。電極3008は、例えば、組織3001をアブレーションするために、受容機3004で受け取ったエネルギー(電場エネルギー)を電極3008と接触する組織3001に伝送する。
外側インプラントケーシング3010は、双極子アンテナ3002、受信機3004、および封入物質3006を取り囲む。1つまたは複数の実施形態において、外側インプラントケーシング3010は、ポリウレタン、シリコーン、セラミック、他のウレタンブレンド、Tecothane(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Pebax(登録商標)、ナイロン、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、熱可塑性物質、エポキシ、これらの組み合わせなどからなり得る。
送信機の位相および/または振幅の調整
埋め込まれた受信機にエネルギーを集束させるのに役立つ以前の解決策は、上述したように、インプラントに組み込まれた電力検出器を含む。外部送信機と埋め込み受信機との間に時間領域多重化通信システムを使用する場合、インプラントにおいて電力検出器を使用せずに、埋め込み受信機にエネルギーを集束させる(例えば、エネルギーをより効率的に集束させる)のを助けるために、位相および振幅が動的に調整され得る。
図30は、時間領域多重通信システム3100を示している。図示されているシステム3100は、外部ミッドフィールドトランシーバ3102と、埋め込み型トランシーバ3104とを含む。トランシーバ3102は、通信可能に結合されたミッドフィールドアンテナ3106を含み、トランシーバ3104は、通信可能に結合された電場ベースのアンテナ3108を含む。アンテナ3106およびアンテナ3108は、同じ周波数で信号を送受信するように(例えば、長さ、幅、形状、物質などにおいて)構成され得る。トランシーバ3104は、アンテナ3108を介してトランシーバ3102にデータ信号を送信し、アンテナ3106を介してトランシーバ3102によって送信された電力およびデータ信号を受信し得る。
外部ミッドフィールドカプラ(外部送信機)およびインプラントトランシーバ(インプラントアンテナを含む)は、RF信号の送信および受信の両方に使用され得る。T/Rスイッチは、外部送信機の各々のRFポートを送信(データまたは電力の送信)モードから受信(データの受信)モードに切り替えるために使用され得る(図31参照)。T/Rスイッチは、送信(データ送信モード)と受信(電力またはデータ受信)モードとの間でインプラントを切り替えるために使用され得る(図31参照)。
T/Rスイッチの(外部送信機上の)受信端子の出力は、インプラントからの受信信号の位相および/または振幅を検出する1つまたは複数の構成要素に接続され得る。この位相および振幅の情報は、送信信号の位相が受信信号と実質的に同じ相対位相になるようにプログラムするために使用され得る。これを達成するのを助けるために、トランシーバ3102は、図31に示されているように、位相および振幅整合ネットワーク3200を含み得る。ネットワーク3200は、図6Cのミッドフィールドカプラ602のような4つのポートを含むミッドフィールドカプラと共に使用するためのものである。図示されているネットワーク3200は、複数のスイッチ3204A、3204B、3204C、3204Dに電気的に結合されたミッドフィールドカプラ3202を含む。スイッチ3204A〜3204Dはそれぞれ、位相および/または振幅検出器3206A、3206B、3206C、3206D、および可変利得増幅器3208A、3208B、3208C、3208Dそれぞれに電気的に結合される。増幅器3208A〜3208Dは、位相シフタ3210A、3210B、3210C、3210Dにそれぞれ電気的に結合され、位相シフタ3210A〜3210Dは、ミッドフィールドカプラ3202を介して送信されるRF入力信号3214を受信する電力分配器3212に電気的に結合される。
ミッドフィールドカプラ3202は、本明細書に記載されている任意のミッドフィールドカプラとし得る。スイッチ3204A〜3204Dは、受信ライン(「R」)または送信ライン(「T」)のいずれかを選択する選択スイッチとし得る。ネットワーク3200のスイッチ3204A〜3204Dの数は、ミッドフィールドカプラ3202のポートの数に等しくし得る。ネットワーク3200の例では、ミッドフィールドカプラ3202は4つのポートを有するが、1つまたは複数の任意の数のポート(およびスイッチ)が使用され得る。単一ポートを有するミッドフィールドカプラの例では、電力分配器3212は不要である。
位相および/または振幅検出器3206A〜3206Dは、ミッドフィールドカプラ3202の各々のポートで受信された信号の位相(Φ1、Φ2、Φ3、Φ4)および電力(P1、P2、P3、P4)を検出する。位相および/または振幅検出器3206A〜3206Dは、1つまたは複数のモジュール(信号の位相または振幅を決定するなどの動作を実行するように構成された電気的または電子的構成要素を含み得るハードウェアモジュール)内に実装され得、例えば、位相検出器モジュールおよび/または振幅検出器モジュールを含み得る。検出器3206A〜3206Dは、ミッドフィールド検出器3202で受信された信号の位相および/または振幅を決定するように構成されたアナログ式および/またはデジタル式の構成要素を含み得る。
増幅器3208A〜3208Dは、位相シフタ3210A〜3210D(例えば、Φ1+Φk、Φ2+Φk、Φ3+Φk、またはΦ4+Φkだけ位相シフトされたPk)から入力(例えば、M)を受信し得る。増幅器の出力Oは、一般に、RF信号3214の振幅が図31の例では4*Mであり、増幅器の利得Pi*Pkを乗算したときの電力分配器の出力Mである。P1、P2、P3、および/またはP4の値が変化すると、Pkは動的に設定され得る。Φkは定数である。位相シフタ3210A〜3210Dは、検出器3206A〜3206Dからの位相に基づいてポートの相対位相を設定する。
ミッドフィールドカプラ3202から送信されるのに必要な送信電力がPttである状況を考察する。電力分配器3212に供給されるRF信号は、4*Mの電力を有する。増幅器3208Aの出力は、一般に、M*P1*Pkである。したがって、ミッドフィールドカプラから送信される電力は、M*(P1*Pk+P2*Pk+P3*Pk+P4*Pk)=Pttである。Pkを解くと、Pk=Ptt/(M*(P1+P2+P3+P4))が得られる。
各々のRFポートにおける信号の振幅は、それに結合されたミッドフィールドカプラのそれぞれのポートで受信された信号と同じ相対的な(スケーリングされた)振幅で送信され得る。増幅器3208A〜3208Dの利得は、ミッドフィールドカプラからの信号の送信と受信との間の損失を説明するために、さらに改善され得る。受信効率η=Фir/Ρttを考慮する。ここで、Pirは埋め込まれた受信機で受信される電力である。位相と振幅の同調が行われた場合の効率(例えば、最大効率)は、外部ミッドフィールドカプラにおけるインプラントの送信機から受信された振幅から推定され得る。この推定値は、
として得られ、ここで、Pitは、埋め込まれた送信機からの信号の元の電力である。埋め込まれた送信機からの信号の電力は、埋め込まれた送受信機3104からのデータとして外部トランシーバ3102に通信され得る。増幅器3108A〜3108Dで受信された信号の振幅は、インプラントがプログラムされた動作(単数または複数)を実行するための電力を確実に受け取るのを助けるために、決定された効率に従ってスケーリングされ得る。Pir’の推定されるリンク効率ηおよびインプラント電力(例えば、振幅)要件が与えられると、確実にインプラントがプログラムされた機能を実行するのに十分な電力を受け取るのを助けるために、PkはPk=Pir’/[η(P1+P2+P3+P4)]としてスケーリングされ得る。
位相シフタ3210A〜3210Dおよび増幅器3208Aのための制御信号、例えば、位相入力および利得入力はそれぞれ、図31に示されていない処理回路によって提供され得る。回路は、図31に示されている図をあまり複雑にならないように、または不明瞭にならないように省略されている。スイッチ3204A〜3204Dを受信ラインから送信ラインに、またはその逆に変更するために、同じまたは異なる処理回路が使用され得る。ここでも、この処理回路は、図31に示されている図をあまり複雑にならないように、または不明瞭にならないように図31には示されていない。このような処理回路の例については、図21Aの制御ユニット2112を参照されたい。
ミッドフィールドカプラの寸法(単数または複数)のカスタマイズ
どんな身体も、構造(例えば、組織、筋肉密度、脂肪含有量、軟骨、瘢痕組織、腱の構成、または骨などの他の構造特性)、輪郭、および/または形状は異なる。異なるミッドフィールドカプラ形状は、体内の受信機に電力伝送をより効率的に受け入れる、および/または身体の外部表面(例えば、表皮層のような皮膚)に無理なく適合するのに役立つさまざまな特性を提供し得る。第1の形状を有するミッドフィールドカプラは、第1の本体に電力を送達する上でより効率的であり得るが、第2の本体に電力を送達するには効率が悪い。
図32は、組織(例えば、ヒトまたは他の動物の皮膚)に貼り付けられたミッドフィールドカプラを示している。図示されているようなミッドフィールドカプラシステム3300は、ミッドフィールドカプラ3302、電子モジュール3304、RFコネクタ3306A、3306B、および成形バッキング層3308を含む。システム3300は、組織3310に貼り付けられた状態で示されている。
図33に示されている動作は、特定の身体の形状、輪郭、および/または構造に適応するようにミッドフィールドカプラを設計する方法を示している。この手順は、より多くの電力を消費する電子機器に電力を供給する、または標的領域でアブレーションを実行するのに高いフィールド強度が必要とされる場合に、またインプラントがニアフィールドよりも深くに、例えば、ミッドフィールドに埋め込まれる場合のように、解剖学的構造に効率的に電力を供給する、あるいはエネルギーを供給するための集束ミッドフィールド送信機の設計を可能にする。
動作3402において、磁気共鳴イメージング(MRI)デバイス、コンピュータ断層撮影(CT)デバイス、または他のイメージングデバイスを使用するなどして、解剖学的構造(例えば、構造3310)が画像化され得る。解剖学的構造は、インプラントが配置される領域を含む。動作3404において、画像化された構造は、既知の誘電特性を有する物質(例えば、組織、骨、腱、軟骨、瘢痕組織、臓器、体液および/または血管など)の幾何学的形状の単純化モデルに分解され得る。動作3406において、目標周波数(例えば、915MHz、2.45GHz、または他のマイクロ波周波数)での電流分布が決定される。動作3408において、決定された電流分布においてまたはその近傍でエネルギーを供給し得るミッドフィールドカプラの寸法(例えば、ストリップの幅/長さ、スロット幅/長さ、複数のスロット間の間隔、インピーダンス整合に使用され得るような1つまたは複数の受動構成要素(例えば、コンデンサまたはインダクタなどのプログラム可能な受動構成要素)の値、またはミッドフィールドカプラ3302のようなミッドフィールドソースのポート)が決定される。全ての電流分布が可能であるわけではないので、異なる埋め込み部位を選択するか、またはミッドフィールドカプラを最適効率未満で動作させる必要があり得る。電流分布は、先に説明した電流分布方程式を解くことによって決定され得る。
動作3410において、ミッドフィールドカプラのカスタマイズされたミッドフィールドプレートが作製(例えば、エッチング、メッキ、および/または印刷)され得る。プレートは、例えば、FR4、ポリイミド、または他の物質を含み得る標準的な製造技術および/または物質を使用することによって作製され得る。動作3412において、電気/電子構成要素がミッドフィールドカプラに電気的に結合され得る。構成要素は、RFコネクタ3306A〜3306Bのような1つまたは複数のコネクタ、電気/電子モジュール3304(例えば、1つまたは複数のトランジスタ、抵抗器、コンデンサ、トランシーバ(例えば、無線およびアンテナの送受信))、インダクタ、論理ゲート(例えば、プログラマブル論理ゲート)のようなデジタル論理、論理演算ユニット(ALU)、プロセッサなどを含み得る。電気/電子モジュール3304は、スイッチ3204A〜3204D、検出器3206A〜3206D、増幅器3208A〜3208D、位相シフタ3210A〜3210D、および/または電力分配器3212を含み得る。
動作3414において、物質3308のような絶縁材がミッドフィールドカプラ3302に貼り付けられ得る。絶縁材は、発泡体、ポリマー(例えば、プラスチック)、またはシリコーンを含み得る。物質3308は、ミッドフィールドカプラ3302の表面に貼り付けられて、ミッドフィールドカプラと組織3310との間に絶縁層を形成し得る。物質3308は、皮膚表面の形状に適合するように成形、切断、または3Dプリントされ得る。表面の輪郭の画像化は、カメラ、レーザー、またはキャストを使用して行われ得る。物質を組織3310に適合させることは、送信機を装着し、送信機の標的生体構造からの滑りまたは変位を最小限に抑えながら、患者の快適性を高めることができる。滑りを最小限に抑えることは、送信機の焦点領域が固定される無調整式のミッドフィールドカプラにとって重要であり得る。皮膚とミッドフィールドカプラユニットとの間にソフト界面を生成するために、追加のバッキング材が追加され得る。
その他の用途
本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、脛骨神経または脛骨神経の任意の神経枝(例えば、これに限定されないが後脛骨神経)、仙骨神経叢から始まる1つまたは複数の神経または神経枝(S1−S4、脛骨神経および/または陰部神経を含むが、これらに限定されない)を刺激することなどにより、便失禁または尿失禁(例えば、過活動膀胱)の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、過活動膀胱のような尿失禁の治療を助けるために使用され得る。尿失禁は、骨盤底の筋肉、骨盤底の筋肉を刺激する神経、内尿道括約筋、外尿道括約筋、および陰部神経もしくは陰部神経の神経枝のうちの1つまたは複数を刺激することにより、ミッドフィールド無線伝送を使用して治療され得る。
本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、舌下神経の神経もしくは神経枝、舌根(筋肉)、横隔神経(単数または複数)、肋間神経(単数または複数)、副神経(単数または複数)、および頸部神経C3−C6のうちの1つまたは複数を刺激することにより、睡眠時無呼吸および/またはいびきの治療を助けるために使用され得る。睡眠時無呼吸および/またはいびきの治療は、(酸素飽和度を測定するなどして)呼吸の減少、障害、または停止を検知するためにミッドフィールドカプラを使用してインプラントにエネルギーを供給することを含み得る。
本明細書に記載されているシステム、装置および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、バルトリン腺(単数または複数)、スキーン腺(単数または複数)、および膣の内壁のうちの1つまたは複数を刺激することにより、膣の乾燥の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、後頭神経、眼窩上神経、C2頸神経もしくはその神経枝、および前頭神経もしくはその神経枝のうちの1つまたは複数を刺激することにより、片頭痛の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、星状神経節および交感神経鎖C4〜C7のうちの1つまたは複数を刺激することにより、心的外傷後ストレス障害、ホットフラッシュ、および/または複合性局所疼痛症候群の治療を助けるために使用され得る。
本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、翼口蓋神経節神経ブロック、三叉神経、または三叉神経の神経枝のうちの1つまたは複数を刺激することにより、三叉神経痛の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、耳下腺、顎下腺、舌下腺、頬粘膜、口唇粘膜および/または舌粘膜の組織内の口腔粘膜の粘膜下層、軟口蓋、硬口蓋の外側部、および/または口腔底、および/または舌の筋繊維間、フォン・エブネル腺、舌咽神経(CN IX)(耳神経節を含むCN IXの神経枝を含む)、顔面神経(CN VII)(顎下神経節のようなCN VIIの神経枝および上頸神経節のようなT1−T3の神経枝を含む)のうちの1つまたは複数を刺激することにより、(例えば、投薬、化学療法または放射線療法がん治療の副作用、シェーグレン病、または他の口腔乾燥症の原因によって引き起こされる)口内乾燥症の治療を助けるために使用され得る。
本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、切断された神経の近位部からの電気出力を検知し、切断された神経の遠位部に電気入力を送達することによって、および/または、切断された神経の遠位部からの電気出力を検知し、切断された神経の近位部に電気入力を送達することにより、切断された神経の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、脳性麻痺の患者の1つまたは複数の筋肉、もしくは1つまたは複数の筋肉が影響を受ける1つまたは複数の神経支配を刺激することにより、脳性麻痺の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、骨盤内臓神経(S2〜S4)もしくはその任意の神経枝、陰部神経、海綿体神経(単数または複数)、下下腹神経叢のうちの1つまたは複数を刺激することにより、勃起障害の治療を助けるために使用され得る。
本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、子宮および膣の1つまたは複数を刺激することにより、月経痛の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、避妊、妊娠、出血、または痛みを助けるために、1つまたは複数のPHおよび血流量を検知すること、または電流または薬物を送達することにより、子宮内器具として使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、女性器(女性のクリトリスまたは他の感覚的活性部分を含む外部および内部を含む)を刺激すること、または男性器を刺激することにより、ヒトの性的興奮を誘発するのに使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、頚動脈洞、迷走神経、または迷走神経の神経枝のうちの1つまたは複数を刺激することにより、高血圧の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、三叉神経もしくはその神経枝、前篩骨神経、および迷走神経のうちの1つまたは複数を刺激することにより、発作性上室性頻拍の治療を助けるために使用され得る。
本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、声帯および反対側の声帯の活動を検知することによって、または声帯を支配する神経、左反回神経および/または右反回神経、そして迷走神経の刺激によりまさに声帯の1つまたは複数を刺激することによって、声帯機能不全の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、傷を治すための微小循環促進およびタンパク質合成の1つまたは複数を行うために組織を刺激し、結合組織および/または真皮組織の完全性を回復することにより、組織の修復を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、迷走神経もしくはその神経枝を刺激し、ノルエピネフリンおよび/またはアセチルコリンの放出を遮断し、および/またはノルエピネフリンおよび/またはアセチルコリンの受容体を妨げることの1つまたは複数により、喘息または慢性閉塞性肺疾患を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、腫瘍の近くまたは腫瘍内の1つまたは複数の神経を調節するように刺激して、例えば、エピネフリン/NE放出のような交感神経支配、および/またはAchのような副交感神経支配を低下させることにより、癌の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、血糖値またはケトン値のような糖尿病のパラメータを検出する人体内部のセンサに電力を供給し、そのようなセンサデータを使用してインスリンポンプからの外因性インスリンの送達を調整することにより、糖尿病の治療を助けるために使用され得る。本明細書に記載されているシステム、装置、および方法のうちの1つまたは複数は、例えば、血糖値またはケトン値のような糖尿病のパラメータを検出する人体内部のセンサに電力を供給し、ミッドフィールドカプラを使用して膵島β細胞からのインスリンの放出を刺激することにより、糖尿病の治療を助けるために使用され得る。
追加の実施例
実施例1は、主題(例えば、装置、方法、動作を実行するための手段、または、機械によって実行されたときに、機械が動作を実行するように構成し得る命令を含む機械可読メモリ)を含み得る、または使用し得るが、例えば、第1の周波数でマイクロ波信号を送受信する第1のトランシーバであって、第1のトランシーバからの信号をミッドフィールドカプラの表面に平行な無視できない磁場成分を有する信号に変換し、変換された信号を、空気中で測定されたときにマイクロ波信号の波長内にある組織内の位置に集束させるミッドフィールドカプラを含む第1のトランシーバと、ミッドフィールドカプラからの信号を受信する電場ベースのアンテナを含み、第1のトランシーバとほぼ同じ周波数で信号を送信する第2のトランシーバを備える少なくとも部分的に埋め込み可能な生体適合性デバイスとを含み得る、または使用し得る。
実施例2は、実施例1の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意に実施例1の主題を含む、もしくは使用するために実施例1の主題と組み合わせられ得る。この場合、電場ベースのアンテナは双極子アンテナである。
実施例3は、実施例1〜実施例2のうちの少なくとも1つの主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例1〜実施例2のうちの少なくとも1つの主題を含む、もしくは使用するために実施例1〜実施例2のうちの少なくとも1つの主題と組み合わせられ得る。この場合、第1トランシーバは、ミッドフィールドカプラに電気的に結合された位相検出器および位相シフタを備える位相整合ネットワークを備え、位相検出器は、第2のトランシーバから受信された信号の位相を決定し、位相シフタは、第2のトランシーバから受信された信号の決定された位相に基づいて、ミッドフィールドカプラに供給される信号の位相を調整する。
実施例4は、実施例3の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例3の主題を含む、もしくは使用するために実施例3の主題と組み合わせられ得る。この場合、位相シフタは、第2のトランシーバから受信された信号の決定された位相によって信号の位相を調整する。
実施例5は、実施例3の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例3の主題を含む、もしくは使用するために実施例3の主題と組み合わせられ得る。この場合、位相シフタは、第2のトランシーバから受信された信号の位相に一致するように信号の位相を調整する。
実施例6は、実施例1〜実施例5のうちの少なくとも1つの主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例1〜実施例5のうちの少なくとも1つの主題を含む、もしくは使用するために実施例1〜実施例5のうちの少なくとも1つの主題と組み合わせられ得る。この場合、第1のトランシーバは、ミッドフィールドカプラに電気的に結合された振幅検出器と可変利得増幅器とを備える振幅整合ネットワークを備え、振幅検出器は、第2のトランシーバから受信された信号の振幅を決定し、可変利得増幅器は、第2のトランシーバから受信された信号の振幅に基づいて、ミッドフィールドカプラに提供された信号の振幅を調整する。
実施例7は、実施例6の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例6の主題を含む、もしくは使用するために実施例6の主題と組み合わせられ得る。この場合、ミッドフィールドカプラは、2つ以上のポートを含み、振幅検出器は、ミッドフィールドカプラの個々のポートに電気的に結合された2つ以上の振幅検出器のうちの1つであり、第1のトランシーバは、無線周波数(RF)信号を受信し、RF信号を、ミッドフィールドカプラの各々のポートに対して1つの信号の2つ以上の信号に分割する電力分配器をさらに備え、可変利得増幅器は、複数の可変利得増幅器のうちの1つであり、各々の可変利得増幅器は、ミッドフィールドカプラの各々のポートと電力分配器との間に電気的に結合され、各々の増幅器は、電力分配器からの2つ以上の信号のうちの1つの信号を受信し、利得分だけ信号を増幅し、利得は、ミッドフィールドカプラの同じ個々に結合された振幅検出器によって決定された振幅に基づいて決定される。
実施例8は、実施例7の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例7の主題を含む、もしくは使用するために実施例7の主題と組み合わせられ得る。この場合、複数の増幅器の各々の増幅器の利得は、一定量が乗算された振幅検出器によって決定された振幅である。
実施例9は、実施例8の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例8の主題を含む、もしくは使用するために実施例8の主題と組み合わせられ得る。この場合、量は、数27であり、ここで、Pttは、特定の振幅であり、Piは、ミッドフィールドカプラのiポートの各々について振幅検出器において決定された複数の振幅のうちの振幅である。
実施例10は、実施例9の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例9の主題を含む、もしくは使用するために実施例9の主題と組み合わせられ得る。この場合、量Pkは、効率指標ηでさらに除算され、ここで、数28であり、Pitは、第2のトランシーバから送信された信号の振幅である。
実施例11は、実施例1〜実施例10のうちの少なくとも1つの主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例1〜実施例10のうちの少なくとも1つの主題を含む、もしくは使用するために実施例1〜実施例10のうちの少なくとも1つの主題と組み合わせられ得る。この場合、アンテナは、動物組織の誘電率とミッドフィールドカプラのミッドフィールドプレートが配置されたミッドフィールドカプラの基板の誘電率との間の誘電率を有する誘電物質内に封入される。
例12は、主題(例えば、装置、方法、操作を実行するための手段、または機械によって実行されたときに動作を実行するように機械を構成し得る命令を含む機械可読メモリ)を含み得る、または使用し得るが、例えば、マイクロ波信号を送受信する無線機と、無線機に電気的に結合されたミッドフィールドカプラであって、無線機からの信号をミッドフィールドカプラの表面に平行な無視できない磁場成分を有する信号に変換して、空気中で測定されたときのマイクロ波信号の波長内にある組織内の位置に信号を集束するミッドフィールドカプラと、ミッドフィールドカプラに電気的に結合された振幅検出器であって、ミッドフィールドカプラで受信された信号の振幅を決定する振幅検出器と、無線機とミッドフィールドカプラとの間に電気的に結合された可変利得増幅器であって、無線機からの送信信号を振幅検出器によって決定された振幅に合わせて増幅する可変利得増幅器とを含み得る、または使用し得る。
実施例13は、実施例12の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または位相検出器および位相シフタを備える位相整合ネットワークを含む、もしくは使用するために実施例12の主題と随意で組み合わせられ得る。位相シフタおよび位相検出器は、ミッドフィールドカプラに電気的に結合され、位相検出器は、ミッドフィールドカプラで受信された信号の位相を決定し、位相シフタは、決定された位相に基づいて、ミッドフィールドカプラに提供された信号の位相を調整する。
実施例14は、実施例13の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例13の主題を含む、もしくは使用するために実施例13の主題と組み合わせられ得る。この場合、位相シフタは、決定された位相によって信号の位相を調整する。
実施例15は、実施例12〜実施例14のうちの少なくとも1つの主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例12〜実施例14のうちの少なくとも1つの主題を含む、もしくは使用するために実施例12〜実施例14のうちの少なくとも1つの主題と組み合わせられ得る。この場合、ミッドフィールドカプラは、2つ以上のポートを含み、振幅検出器は、ミッドフィールドカプラの個々のポートに電気的に結合された2つ以上の振幅検出器のうちの1つであり、第1のトランシーバは、無線周波数(RF)信号を受信し、RF信号を、ミッドフィールドカプラの各々のポートに対して1つの信号の2つ以上の信号に分割する電力分配器をさらに備え、可変利得増幅器は、複数の可変利得増幅器のうちの1つであり、各々の可変利得増幅器は、ミッドフィールドカプラの各々のポートと電力分配器との間に電気的に結合され、各々の増幅器は、電力分配器からの2つ以上の信号のうちの1つの信号を受信し、利得分だけ信号を増幅し、利得は、振幅検出器によって決定された振幅に基づいて決定される。
実施例16は、実施例15の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例15の主題を含む、もしくは使用するために実施例15の主題と組み合わせられ得る。この場合、複数の増幅器の各増幅器の利得は、一定量が乗算された振幅検出器によって決定された振幅である。
実施例17は、実施例16の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例16の主題を含む、もしくは使用するために実施例16の主題と組み合わせられ得る。この場合、この場合、量は、数29であり、ここで、Pttは、特定の振幅であり、Piは、ミッドフィールドカプラのiポートの各々について振幅検出器において決定された複数の振幅のうちの振幅であり、また、数30であり、ここで、Pitは、ミッドフィールドカプラに送信された信号の振幅である。
実施例18は、主題(例えば、装置、方法、操作を実行するための手段、または機械によって実行されたときに機械が動作を実行するように構成し得る命令を含む機械可読メモリ)を含み得る、または使用し得るが、例えば、少なくとも部分的に埋め込み可能な生体適合性装置であって、外側ケーシングと、外側ケーシングによって覆われたマイクロ波信号を送受信する無線機と、無線機に電気的に結合され、外側ケーシングに覆われた電場ベースのアンテナと、外側ケーシング内の封入材であって、無線機とアンテナを取り囲み、動物組織の誘電率とミッドフィールドカプラの基板の誘電率との間の誘電率を含む封入材とを備える装置を含み得る、または使用し得る。
実施例19は、実施例18の主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意で実施例18の主題を含む、もしくは使用するために実施例18の主題と組み合わせられ得る。この場合、アンテナは双極子アンテナである。
実施例20は、実施例18〜実施例19のうちの少なくとも1つの主題を含み得る、もしくは使用し得る、または随意でケーシング上に露出され、無線機に電気的に結合された1つまたは複数の電極を含む、もしくは使用するために実施例18〜実施例19のうちの少なくとも1つの主題と組み合わせられ得る。