JP2019153898A - シミュレーション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設置現場におけるPLC機器の配置を調整し規定の通信性能を確認するまでの作業を短縮することのできるシミュレーション装置を提供すること。【解決手段】PLC機器又は電子機器が接続された伝送路網を模擬するシミュレーション装置において、送信状態のPLC機器を起点とし受信状態のPLC機器を終点とするように配列された伝送路網の二端子対回路特性行列と、送信状態のPLC機器の出力電力とを用いて、受信状態のPLC機器で受信される信号電力を算出する。また、雑音源となる電子機器を起点とし受信状態のPLC機器を終点とするように配列された伝送路網の二端子対回路特性行列と、雑音源となる電子機器の雑音電力とを用いて、受信状態のPLC機器で受信される雑音電力を算出する。【選択図】図6

Description

本発明は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)システムの通信品質をシミュレーションするシミュレーション装置に関する。
近年、電力線を通信回線として利用するPLC機器を実装した通信システムが普及してきている。特に、MHz帯域(例えば2MHz〜30MHz)を使用するPLCは高速PLC(ブロードバンドPLC)と呼ばれており、屋内(例えば工場建屋)の通信システムに実装されることが多くなってきている。
ところで、電力線は、高周波信号を流すことを想定しておらず、PLCに最適化したものではない。一般的に、MHz帯域の高周波信号の伝送路には同軸ケーブルを使用することがあるが、PLCの伝送路には元来の電力供給目的の平行線路が使用されている。一方、電力線には電力を必要とする電子機器が接続されるため、伝送路の特性が一意に決まらない問題が有る。
そこで、従来は電力線に電子機器が接続された状態を模擬して伝送路特性を評価する評価装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の評価装置は、電源コンセントに差込可能な差込プラグと、家電機器の入力インピーダンス特性と同等のインピーダンス特性を有する擬似負荷と、を備える。これにより、システム設置現場で電子機器の実物がなくとも実際の使用環境に近い擬似環境で伝送評価を容易に行うことが可能となる。
ところで、現場においてPLCシステムを設置する場合、ユーザサイドのセキュリティ状況及び機器稼働状況に従って現場への立ち入り時間を制限されることがある。PLCシステム設置時には、PLC機器の設置、調整、および通信の確認が現場作業として発生するが、これらの作業は短時間で終了することが望まれる。
特開2005−101789号公報
しかしながら、特許文献1に記載の評価装置は、模擬可能な装置が電子機器に限られているので、PLC機器間の通信品質まで評価するのは困難である。PLC機器間の通信品質を安定化させるためには設置現場での試行錯誤を繰り返すことが求められるという問題が有る。
本発明は上記問題点を改善するためになされたものであり、設置現場におけるPLC機器の配置を調整し規定の通信性能を確認するまでの作業を短縮することのできるシミュレーション装置を提供することを目的とするものである。
本発明の一態様に係るシミュレーション装置は、電力線上で分岐された分岐枝に電力線搬送通信機器又は電子機器が接続された伝送路網を模擬して通信品質を解析するシミュレーション装置であって、送信状態の電力線搬送通信機器を起点とし受信状態の電力線搬送通信機器を終点とするように配列された伝送路網の二端子対回路特性行列と、送信状態の電力線搬送通信機器の出力電力とを用いて、受信状態の電力線搬送通信機器で受信される信号電力を算出する信号電力算出手段と、雑音源となる電子機器を起点とし受信状態の電力線搬送通信機器を終点とするように配列された伝送路網の二端子対回路特性行列と、前記雑音源となる電子機器の雑音電力とを用いて、受信状態の電力線搬送通信機器で受信される雑音電力を算出する雑音電力手段と、前記受信電力算出手段が算出した信号電力と前記雑音電力手段が算出した雑音電力とを用いて解析した前記伝送路網の解析結果を出力する解析手段と、を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、種々の伝送路網の通信品質をシミュレーションにより模擬して解析でき、設置現場におけるPLC機器の配置を調整し規定の通信性能を確認するまでの作業を短縮することのできるシミュレーション装置を提供できる。
一般的な電力線搬送通信システムの構成例を示すブロック図である。 本実施の形態のシミュレーション装置を実現するハードウエア構成図である。 PLCシステムの伝送路を説明するための構成図である。 本実施形態においてPLC機器に着眼し配列を見直した伝送路を説明するための構成図である。 本実施形態において雑音源となる電子機器およびPLC機器に着眼し配列を見直した伝送路を説明するための構成図である。 本実施形態におけるシミュレーション手順を示す全体フロー図である。 図6における信号電力の計算を説明するためのフロー図である。 図6における雑音電力の計算を説明するためのフロー図である。 図7および図8における受信電力の計算を説明するためのフロー図である。 負荷および負荷を終端とする分岐路行列を縦続計算するための行列式に置換した伝送路の構成図である。 負荷および負荷を終端とする分岐路行列を持つ伝送路の構成図である。 分岐路行列および負荷を等価並列インピーダンスに置換した伝送路の構成図である。 送信状態のPLC機器を起点として受信状態のPLC機器を終点とする伝送路網行列Fにより送信状態のPLC機器の出力が影響を受ける様子を示す図である。 雑音源となる電子機器の1つを起点として受信状態のPLC機器を終点とする伝送路網行列Fにより雑音電力の出力が影響を受ける様子を示す図である。 信号電力対雑音電力比を示す図である。 信号電力対雑音電力比を横軸、PERおよびスループットを縦軸にとった対応関係図である。 伝送路の電力の減衰を測定および計算するための伝送路モデルを示す図である。 図17において分岐線路長を3mとしたときの送信端電力に対する受信端電力の比を測定および計算した結果を示す図である。 図17において分岐線路長を5mとしたときの送信端電力に対する受信端電力の比を測定および計算した結果を示す図である。
以下、PLCシステムを構築する伝送路網の通信品質をシミュレーションするシミュレーション装置の実施形態について説明する。一般的なPLCシステムは、電力線に配置され電力の供給や停止を行うための遮断器、電力線により供給される電力で動作する電子機器、および電力線を伝送路として使用するPLC機器等により構成される。
図1はPLCシステムの構成例を示す図である。同図に示すPLCシステム1は、柱上トランス等から分電盤2に電力線3が引き込まれている。分電盤2に設置されたサービスブレーカ4及び漏電遮断器5を経由して電力線3(L1相,L2相,中性(G))が各配電用遮断器6,7,8に接続されている。上段の配電用遮断器6から電力線11(L1)、中性線12(G)が引き出されている。電力線11(中性線12)に設けられた分岐点から分岐された分岐線にコンセントがそれぞれ配置され、各コンセントに電子機器13,14、PLC機器15,16が接続されている。例えば、電子機器13,14として冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機等が挙げられる。中段の配電用遮断器7からは電力線17(L2)、中性線18(G)が引き出され、それら電力線の分岐線に配置されたコンセントに照明機器19が接続される。照明機器19はスイッチ及び電燈の閉回路で構成されている。さらに下段の配電用遮断器8から電力線21(L1)、電力線22(L2)が引き出され、それら電力線の分岐線に配置されたコンセントに電子機器23が接続される。なお、図1では3つの電子機器13,14,23と、2つのPLC機器15,16が設置されているが、電子機器、PLC機器及び分岐線数には自由度があり、種々の設計変更が可能である。
本実施形態のシミュレーション装置は、図1に例示するPLCシステムを現場で構築するのに先立ち、コンピュータ上で種々の伝送路網を仮定してPLC機器間の通信品質を判定することを支援するように構成される。
次に、本実施形態のシミュレーション装置を実現するハードウエア構成について説明する。
図2は本実施形態のシミュレーション装置を実現するハードウエア構成例である。本実施形態のシミュレーション装置30は、マウスやキーボードなどの入力装置31、ハードディスクなどの補助記憶装置32、プログラムを実行して結果を出力する中央処理装置33、中央処理装置33で演算に必要なデータなどを補助記憶装置32から読み出して一時的に格納するための主記憶装置34、計算結果を表示するディスプレイなどの出力装置35などから構成される。
補助記憶装置32は、後述する信号電力対雑音電力比(SNR)とパケットエラーレート(PER)又はスループット(物理回線速度)との対応関係、各種パラメータ、計算プログラムを格納する。中央処理装置33は、制御装置33a及び演算装置33bが協働してプログラムを実行することにより、受信機側のPLC機器で受信される信号電力を算出する信号電力算出手段としての機能、受信機側のPLC機器で受信される雑音電力を算出する雑音電力手段としての機能、シミュレーションしたPLC機器間の通信品質を解析する解析手段としての機能を実現する。
次に、本実施形態のシミュレーション装置30において実施されるシミュレーション内容について詳細に説明する。図3から図5はシミュレーション対象となる伝送路網を示す図であり、図6から図9はシミュレーション装置30が実行するシミュレーション(計算手順)のフロー図である。
図6はシミュレーション装置30が実行するシミュレーションの全体フロー図である。シミュレーション装置30は、電力線、PLC機器及び雑音源の配置を計算する手順(ステップST1)、受信機側のPLC機器で受信される信号電力を計算する手順(ステップST2)、受信機側のPLC機器で受信される雑音電力を計算する手順(ステップST3)、伝送路網のSNRを計算する手順(ステップST4)、伝送路網のPER及びスループットを計算する手順(ステップST5)、伝送路網の通信品質を判定する手順(ステップST6)、の順でシミュレーションを計算する。以下、各ステップにおける処理内容について説明する。
<ステップST1:電力線、PLC機器及び雑音源の配置>
ステップST1では、電力線網上に所定のPLCシステムを構築することを想定し、電力線網を構成する遮断器および電力線に基づいて、通信品質をシミュレーションする伝送路網を仮定する。例えば、図1に示す電力線網が現場に設置されている場合、配電用遮断器6,7,8によって接続される電力線をベースに伝送路網が構成される。入力装置31及び又は補助記憶装置32から、電力線情報(配置位置、長さ)、遮断器情報(配置位置)、分岐点情報を取り込み、それらの構成要素に基づいて伝送路網を描いて出力装置35に表示出力する構成とすることができる。
図3は電力線網上に配置された遮断器および電力線に基づいて仮定された伝送路網の一例を示している。例えば、電力線b0の先端部から電力線b1、b2が上下に接続されており、上側に伸びた電力線b1の端部に対して、電力線b11、b13、b15が直接に接続されている。電力線b13と電力線b15の接続点となる分岐点に対して、分岐線b14が接続され、分岐線b14に設けられたコンセントに電気機器が接続される。一方、下側に伸びた電力線b2の端部に対して、電力線b21、b23、b25、b27が直接に接続されている。電力線b21と電力線b23の接続点となる分岐点に対して、分岐線22が接続され、分岐線b22に設けられたコンセントにPLC機器Aが接続される。また、電力線b25と電力線b27の接続点となる分岐点に対して、分岐線b26が接続され、分岐線b26に設けられたコンセントに別のPLC機器Bが接続される。PLC機器は変調方式にOFDMを用いるものとする。OFDM方式は、例えばIEEE−1901規格、HD−PLC規格で使用されている。
上記伝送路網を構成する伝送路(電力線、分岐線)は、分布抵抗R[Ω/m]、分布インダクタンスL[H/m]、分布静電容量C[F/m]、漏れコンダクタンスG[S/m]の分布定数線路を使用した電信方程式で表す。少なくとも、分布抵抗R[Ω/m]、漏れコンダクタンスG[S/m]は周波数の関数とする。PLC機器については、送信状態のときは送信時の出力インピーダンス、受信状態のときは受信インピーダンスを分岐線のコンセントの先に設定する。電子機器又はPLC機器が接続されないコンセントは開放のままとする。また、電子機器については、電子機器の等価インピーダンスを各分岐線に設けられたコンセントの先に設定する。電子機器の等価インピーダンスは、既知の測定方法を利用して測定することができる。例えば、以下の文献1-3に記載の測定方法を用いることができる。
文献1:A.K.M. Mahbub Ar RASHID, Nobuo KUWABARA, Masahiro MAKI, Yoshiharu
AKIYAMA, Hiroshi YAMANE, “Calculation of Longitudinal Conversion Loss and Input
Impedance for Indoor AC Mains Line Considering High-Speed PLC”, IEICE Trans.
COMMUN. Vol.E88-B, No.9, pp.3725-3732, September 2005
文献2:小川理、竹下和磨、“kHz帯PLCの伝送特性に関する基礎検討−伝送損失の簡易計算手法とデータ収集時間の推定−”、電力中央研究所 調査報告、R11015、2012年5月
文献3:東舞、山本直樹、木口章吾、“屋内配電系で利用される家電製品のインピーダンス特性”、 第19回(平成16年度)熊本県産学技術交流会講演論文集、pp.423-1019
<ステップST2:信号電力の計算>
ステップST2では、図7に示すように送信機から受信機へ信号が流れるように配列を見直し(ステップST21)、配列を見直した伝送路網に基づいて受信電力を計算する(ステップST22)。
ステップST21では、送信状態のPLC機器を起点とし、受信状態のPLC機器を終点とする伝送路網になるよう伝送路網の配列を見直す。伝送路網における分岐線(電力線)を回転させて配列を見直す場合、配列見直し前後で分岐点に相違がないようにする。図4は、PLC機器Aを起点となる送信状態のPLC機器とし、PLC機器Bを終点となる受信状態のPLC機器とするように、伝送路網の配列を変更した例を示している。送信機側となるPLC機器Aから出力される送信信号が、伝送路網Fを経由して、受信機側となるPLC機器Bに入力する二端子対回路網として計算可能な配列になるように電力線を回転させている(配列見直し操作)。具体的には、電力線b22は分岐点を起点にして90度右回転させ、電力線b26は分岐点を起点にして90度左回転させている。この配列見直し操作は、出力装置35に表示した伝送路網に対して、中央処理装置33が提供するユーザインターフェースを介して、入力装置31から行われるように構成することができる。
ステップST22では、図9に示すように配列変更後の伝送路網(図4)の行列式として二端子対回路特性行列を生成し(ステップST211)、二端子対回路特性行列を用いて二端子対回路網伝達関数を計算することで受信点での受信電力(信号電力)を求める(ステップST212)。PLC機器の変調方式にOFDMを用いる場合、信号電力は周波数毎の信号電力を計算する(ステップST213)。
ステップST211では、送信機から受信機へ信号が流れるように配列を見直した伝送路網について二端子対回路特性行列の行列式を生成する。伝送路網の特性を表す行列式の等式前後が、入力と出力とに分離して計算可能な基本行列(Fundamental matrix:F行列)またはABCD行列と呼ばれる行列を使用するものとする。本実施形態では伝送路網の二端子対回路特性行列としてF行列を使用する。なお、伝送路網の入出力関係が表せる行列であれば、T行列のような他の行列を使用してよい。
配列変更後の伝送路網の二端子対回路は、F行列を使用することにより、図10に示すように各要素の行列式を縦続計算で表現した伝送路特性となる。図10において、送信機側の出力電力に相当する電圧V1、電流I1および受信機側で受信される信号電力に相当する電圧V4、電流I4の間の関係は数式1に示すF行列により表される。
Figure 2019153898
ところで、配列変更後の伝送路網において、図11に示すように負荷Zや分岐Pb2がある場合は、数式2に示す計算を使用して、図12に示す並列インピーダンスZに置換可能である。
Figure 2019153898
また、並列インピーダンスZは数式3により直列の行列Pで置換可能である。
Figure 2019153898

従って、図11に示すような分岐を有する伝送路の特性は、以下の数式4で表される。
Figure 2019153898
このように電子機器のインピーダンス及び分岐を含む伝送路の伝送路特性は、各要素の行列式を縦続計算で表すことが可能となる。数式4において、左辺の電圧V1,電流I1は送信状態のPLC機器Aの出力電力を表しており、左辺の電圧V4,電流I4は受信状態のPLC機器Bの受信する信号電力を表している。
図13は送信状態のPLC機器を起点として受信状態のPLC機器を終点とする二端子対回路網(F行列)を通過した信号Psの減衰状態を模式的に示している。送信状態のPLC機器の出力Pは、二端子対回路網(F行列)によって影響を受け、受信状態のPLC機器において信号減衰した信号電力Pが検出される。数式4では、配列変更後の伝送路網Fの伝送路特性が二端子対回路特性行列(F行列)で表されている。送信状態のPLC機器Aの出力電力(V1,I1)はシミュレーション上の設定値であるので、数式4の二端子対回路網の伝達関数を計算することにより、受信状態のPLC機器Bにおいて受信される信号電力(V4,I4)が算出される(ステップST212)。ステップST213で実行される周波数毎の電力計算については後述する。
<ステップST3:雑音電力の計算>
ステップST3では、図8に示すように雑音源の電子機器から受信機へ信号が流れるように配列を見直し(ステップST201)、配列を見直した伝送路網に基づいて雑音電力を計算する(ステップST202)。
ステップST201では、雑音源の電子機器を起点とし、受信状態のPLC機器を終点とする伝送路網になるよう伝送路網の配列を見直す。伝送路網における分岐線(電力線)を回転させて配列を見直す場合、配列見直し前後で分岐点に相違がないようにする。図5は、電子機器Cを起点となる雑音源とし、PLC機器Bを終点となる受信状態のPLC機器とするように、伝送路網の配列を変更している。雑音源となる電子機器Cから出力される雑音信号が、伝送路網Fを経由して、受信機側となるPLC機器Bに入力する二端子対回路網として計算可能な配列になるように電力線を回転させている(配列見直し操作)。具体的には、電子機器Cが伝送路網Fの送信点になるように電力線b14を回転し、PLC機器Aが伝送路網Fの送受信点とならずに伝送路網Fに組み込まれるように電力線b22を回転している。この配列見直し操作は、上記同様に中央処理装置33が提供するユーザインターフェースを介して行われる。
ステップST202では、上記したステップST22と同様に図9に示すフロー図に従って雑音電力を計算する。図9に示すように配列変更後の伝送路網(図5)の行列式として二端子対回路特性行列を生成し(ステップST211)、二端子対回路特性行列を用いて二端子対回路網伝達関数を計算して受信点での受信電力(雑音電力)を求める(ステップST212)。PLC機器は変調方式にOFDMを用いる場合、雑音電力は周波数毎の雑音電力を計算する(ステップST213)。
ステップST211では、雑音源となる電子機器Cから受信機となるPLC機器Bへ信号が流れるように配列を見直した伝送路網について二端子対回路特性行列の行列式を生成する。信号電力の計算(ステップST22)と同様に、伝送路網の特性を表す行列式の等式前後が、入力と出力とに分離して計算可能なF行列またはABCD行列と呼ばれる行列を使用するものとする。なお、伝送路網の入出力関係が表せる行列であれば、T行列のような他の行列を使用してよい。
配列変更後の伝送路網の二端子対回路は、図10に示すように各要素の行列式を縦続計算で表現した伝送路特性となり、雑音源(電子機器C)の出力電力(雑音出力)に相当する電圧V1、電流I1および受信機側で受信される雑音電力に相当する電圧V4、電流I4の間の関係は数式1に示すF行列により表される。図14は雑音源の電子機器を起点として受信状態のPLC機器を終点とする二端子対回路網(F行列)を通過した信号Pの減衰状態を模式的に示している。雑音源となる電子機器の出力Pは、二端子対回路網(F行列)によって影響を受け、受信状態のPLC機器において減衰した雑音電力Pが検出される。雑音電力Pは周波数が高くなるのに応じて減衰率が大きくなる周波数特性を有している。雑音源の電子機器Cの出力電力(V1,I1)はシミュレーション上の設定値であるので、数式4の二端子対回路網の伝達関数を計算することにより、受信状態のPLC機器Bにおいて受信される雑音電力(V4,I4)が算出される(ステップST212)。
次に、ステップST213で実行される周波数毎の電力計算(信号電力及び雑音電力)について説明する。
図15に信号帯域における信号電力および雑音電力の一例を示している。SNR計算時は、信号電力Pは信号帯域を細分化した周波数毎に電力を求めて、総和を計算する。同様に、雑音電力Pは信号帯域を細分化した周波数毎に電力を求めて、総和を計算する。
いま、信号帯域をm区間に分けたとき、信号電力Pは数式5のように求められる。
Figure 2019153898
同様に、雑音電力Pは数式6のように求められる。
Figure 2019153898
OFDM変調方式を用いる場合、サブバンド毎に信号電力を求めてもよい。このとき、j番目のサブバンド信号電力PSS(j)は数式7のように求められる。
Figure 2019153898
同様に、j番目のサブバンド雑音電力PNS(j)は数式8のように求められる。
Figure 2019153898
ステップST213では、OFDM変調方式を用いる場合を想定して、数式7にしたがってサブバンド毎に信号電力を求めて、その総和を信号電力Pとして算出する。また、数式8にしたがってサブバンド毎に雑音電力を求めて、その総和を雑音電力Pとして算出する。
<ステップST4:SNRの計算>
次に、ステップST22で求めた信号電力と、ステップST202で求めた雑音電力との比率から、SNRを求める。IEEE−1901規格およびHD−PLC規格のようなOFDM変調方式を用いる通信方式では、サブバンド毎に信号電力および雑音電力の電力比を求めてもよい。
ステップST4では、上記ステップST213において求めた信号電力Pと雑音電力Pとを使用して、SNRを求める。SNRは信号電力および雑音電力の対数値をそれぞれS、Nとすると、数式9で表される。
SNR=P−P 数式9
また、j番目のサブバンドのサブバンド毎の信号電力対雑音電力比(SNRS(j))は、数式10で表される。
SNRS(j)=PSS(j)−PNS(j) 数式10
<ステップST5:パケットエラーレート・スループットの計算>
次に、パケットエラーレート(PER)・スループットの計算を実行する。これは、SNRに対するPER及びスループットの対応関係を使用することができる。SNRとPERの対応関係、SNRとスループットの対応関係は、事前に計算及び測定して準備しておく。図16はSNRとPERおよびスループットとの対応関係を示した図である。図16では横軸がSNRに対応し、縦軸(左側)がスループット(物理速度)に対応し、縦軸(右側)がPERに対応している。図16では横軸をSNRの値の代わりに信号電力の減衰量で表記している。上記の通りSNRは信号電力と雑音電力の大きさの比になるので、雑音電力を一定にしたまま、信号電力を所定範囲(例えば0dBから90dB)で減衰させれば、信号電力の減衰量でSNRを表示することができる。図16では信号電力を減衰させたアッテネータ(ATT)減衰量が示されている。例えば、事前の測定作業では、雑音源の電子機器Cの出力電力(雑音出力)を一意の電力値に設定し、PLC機器Aの送信電力の出力電力をアッテネータで順次減衰させて信号を重畳することで、各減衰量での信号電力と雑音電力の比から各SNRを求める。そして、各SNR(ATT減衰量)におけるPER及び物理速度(スループット)を実際に測定し、実際の測定結果を用いて図16に示すSNRとPERの対応関係、SNRとスループットの対応関係を作成する。ステップST5では、図16に示す対応関係を利用して、PLC機器Aの送信電力と、雑音源の電子機器Cの出力電力から、SNRをPER及びスループットに置き換える。シミュレーション時のPLC機器Aの送信電力は設計値とし、雑音源の電子機器Cの雑音電力は測定値または国際無線障害特別委員会(CISPR)規格の上限など想定値を設定する。
以上によりパケットエラーレート及びスループットを求めることができる。
<ステップST6:通信品質の判定>
ステップST5で求めたPERおよびスループットを指標として、通信品質を判定する。例えば、PERおよびスループットを指標として、「通信良好」、「通信可」、「通信不可」のいずれに該当するか判定する。すなわち、スループットが所定の値T以上であれば、「通信良好」と判定する。また、スループットが所定の値Tより小さいが、PERが所定の値Eより小さい場合は、「通信可」と判定する。そして、PERが所定値E以上であれば、「通信不可」と判定する。
ステップST6における通信品質の判定結果は、出力装置35に表示出力される。オペレータは、通信品質の判定結果が、「通信可」または「通信不可」の場合は、シミュレーションする伝送路網に中継器を配置するなどの改善策を講じて、再度シミュレーションを実行できる。「通信良好」の判定結果が得られるまで、伝送路網に任意の改善措置を加えて、図6のフロー図に示すシミュレーションを繰り返す。そして、シミュレーション上で「通信良好」の判定結果が得られる1つ又は複数の配置パターンを事前に知ることができる。オペレータは、事前のシミュレーションによって「通信良好」の判定結果が得られる1つ又は複数の配置パターン情報が得られる。現場作業では、事前に「通信良好」の判定結果が得られた配置パターンにしたがってPLCシステムを構築することで、設置現場におけるPLC機器の配置を調整し規定の通信性能を確認するまでの作業を短縮することができる。
本実施形態のシミュレーション装置30による通信品質のシミュレーション精度について検証した。検証では、図17に示す分岐を持つ伝送路モデルを使用した。使用した伝送路モデルは、送信端および受信端は50Ωで終端されている。分岐先は開放されている。
図17において分岐線路長を3mとしたときの送信端電力に対する受信端電力の比を測定および計算した結果を、図18に示す。また、図17において分岐線路長を5mとしたときの送信端電力に対する受信端電力の比を測定および計算した結果を図19に示す。図18および図19から本実施形態のシミュレーション装置30で伝送路の減衰を計算できることが明らかである。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている構成要素の大きさや形状、機能などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明のシミュレーション装置は、PLCシステムにおけるPLC機器間の通信品質のシミュレーションに適用することができる。
1 PLCシステム
2 分電盤
3,11,17,21,22 電力線
4 サービスブレーカ
5 漏電遮断器
6,7,8 配電用遮断器
13,14,23 電子機器
15,16 PLC機器
30 シミュレーション装置
31 入力装置
32 補助記憶装置
33 中央処理装置
34 主記憶装置
35 出力装置

Claims (2)

  1. 電力線上で分岐された分岐枝に電力線搬送通信機器又は電子機器が接続された伝送路網を模擬して通信品質を解析するシミュレーション装置であって、
    送信状態の電力線搬送通信機器を起点とし受信状態の電力線搬送通信機器を終点とするように配列された伝送路網の二端子対回路特性行列と、送信状態の電力線搬送通信機器の出力電力とを用いて、受信状態の電力線搬送通信機器で受信される信号電力を算出する信号電力算出手段と、
    雑音源となる電子機器を起点とし受信状態の電力線搬送通信機器を終点とするように配列された伝送路網の二端子対回路特性行列と、前記雑音源となる電子機器の雑音電力とを用いて、受信状態の電力線搬送通信機器で受信される雑音電力を算出する雑音電力手段と、
    前記受信電力算出手段が算出した信号電力と前記雑音電力手段が算出した雑音電力とを用いて解析した前記伝送路網の解析結果を出力する解析手段と、
    を具備したことを特徴とするシミュレーション装置。
  2. 前記電力線搬送通信機器の変調方式としてOFDMが用いられる場合、前記受信電力算出手段はサブキャリア毎に信号電力を算出し、前記雑音電力手段はサブキャリア毎に雑音電力を算出し、前記解析手段はサブキャリア毎の信号電力と雑音電力との電力比からパケットエラーレート及び又はスループットを求めることを特徴とする請求項1記載のシミュレーション装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113746501A (zh) * 2021-09-14 2021-12-03 北京中睿昊天信息科技有限公司 一种用于评价hplc深化功能的仿真装置系统和测试方法
JP7185682B2 (ja) 2018-03-13 2022-12-07 株式会社メガチップス 有線伝送路およびマルチキャリア変調を利用する通信システム

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