以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。以下の実施形態では、1個のデバイスを製造するための各種の処理を、基板に対して連続して施す、所謂、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式に用いる露光装置として説明する。
また、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。一例として、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
(第1実施形態)
まず、図1から図3を用いて、本実施形態の露光装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る処理装置の全体構成を示す模式図である。図2は、図1における円筒マスクを用いる場合の照明領域及び投影領域の配置を示す模式図である。図3は、図1における円筒マスクを用いる場合に適用される投影光学系の構成を示す模式図である。なお、図1〜図3に示す円筒マスクを用いる露光装置の基本構成は、国際公開WO2013/094286号公報、又は、国際公開WO2014/073535号公報に開示されている。図1に示すように、処理装置11は、円筒マスクDMと投影光学系PLを用いる第1露光装置(処理機構)EX1と、露光対象であるシート状の基板Pを円筒面状に支持する回転ドラム(22)の周囲に設置された第2露光装置EX2と、基板Pを第1露光装置EX1、第2露光装置EX2の順番で送る搬送装置9を含む。第1露光装置EX1及び第2露光装置EX2は、搬送装置9により基板P(シート、フィルム等)が供給されている。基板Pは、パターンが転写される被転写基板である。また、本実施形態の基板Pは、巻きつけられたドラム等に沿って変形するフレキシブル基板である。また、第2露光装置EX2は、基板Pの搬送方向において、第1露光装置EX1よりも下流側に配置されている。例えば、図示しない供給ロールから引き出された可撓性の基板Pが、順次、n台の処理装置を経て、処理装置11で処理され、搬送装置9により他の処理装置に送出され、基板Pが回収ロールに巻き上げられるデバイス製造システムがある。このように、処理装置11は、ロール・ツー・ロール方式のデバイス製造システム(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)の一部として構成してもよい。
第1露光装置EX1は、多数の画素部で構成される表示デバイス用のデバイスパターンのうち、少なくとも画素部に関わる第1パターンを基板Pに転写する。ここで、第1パターンは、直交する2つの方向に周期的に行列配置された繰り返しパターンである。第1露光装置EX1は、いわゆる走査露光装置であり、円筒マスクDMの回転と可撓性の基板Pの送りとを同期駆動させつつ、円筒マスクDMに形成されているパターンの像を、投影倍率が等倍(×1)の投影光学系PL(PL1〜PL6)を介して基板Pに投影する。なお、図1に示す第1露光装置EX1は、XYZ直交座標系のY軸を第1ドラム部材21の回転中心線AX1と平行に設定している。同様に、第1露光装置EX1は、XYZ直交座標系のY軸を回転ドラムである第2ドラム部材22の回転中心線AX2と平行に設定している。
図1に示すように、第1露光装置EX1は、マスク保持装置12、照明機構IU、投影光学系PL、露光遮断機構80及び制御装置14を備える。第1露光装置EX1は、マスク保持装置12に保持された円筒マスクDMを回転移動させるとともに、搬送装置9によって基板Pを搬送する。照明機構IUは、マスク保持装置12に保持された円筒マスクDMの一部(照明領域IR)を、照明光束EL1によって均一な明るさで照明する。投影光学系PLは、円筒マスクDM上の照明領域IRにおけるパターンの像を、搬送装置9によって搬送されている基板Pの一部(投影領域PA)に投影する。円筒マスクDMの移動に伴って、照明領域IRに配置される円筒マスクDM上の部位が変化し、また基板Pの移動に伴って、投影領域PAに配置される基板P上の部位が変化する。これにより、円筒マスクDM上の所定のパターン(マスクパターン)の像が基板Pに投影される。露光遮断機構80は、マスクパターンの像が基板Pに投影される状態と、マスクパターンの像を遮り、マスクパターンの像が基板Pに投影されない状態とに切り換える。制御装置14は、第1露光装置EX1の各部を制御し、各部に処理を実行させる。また、本実施形態において、制御装置14は、搬送装置9及び第2露光装置EX2も制御する。
なお、制御装置14は、上述したデバイス製造システムの複数の処理装置を統括して制御する上位制御装置の一部又は全部であってもよい。また、制御装置14は、上位制御装置に制御され、上位制御装置とは別の装置であってもよい。制御装置14は、例えば、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、例えば、CPU及び各種メモリーやOS、周辺機器等のハードウェアを含む。処理装置11の各部の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、各種処理が行われる。コンピュータシステムは、インターネット或いはイントラネットシステムに接続可能な場合、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置を含む。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。また、プログラムは、処理装置11の機能の一部を実現するためのものでもよく、処理装置11の機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものでもよい。上位制御装置は、制御装置14と同様に、コンピュータシステムを利用して実現することができる。
図1に示すように、マスク保持装置12は、円筒マスクDMを保持する第1ドラム部材21、第1ドラム部材21を支持するガイドローラー23、制御装置14の制御指令により第1駆動部26が第1ドラム部材21を駆動する駆動ローラー24及び第1ドラム部材21の位置を検出する第1検出器25を備える。
第1ドラム部材21は、所定の軸となる回転中心線AX1(以下、第1中心軸AX1とも呼ぶ)から一定半径で湾曲した曲面を有する円筒部材であって、所定の軸の周りを回転する。第1ドラム部材21は、円筒マスクDM上の照明領域IRが配置される第1面P1を形成する。本実施形態において、第1面P1は、線分(母線)をこの線分に平行な軸(第1中心軸AX1)周りに回転した面(以下、円筒面という)を含む。円筒面は、例えば、円筒の外周面、円柱の外周面等である。第1ドラム部材21は、例えばガラスや石英等で構成され、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)が第1面P1を形成する。すなわち、本実施形態において、円筒マスクDM上の照明領域IRは、回転中心線AX1から一定の半径r1を持つ円筒面状に湾曲している。このように、第1ドラム部材21は、所定の軸である回転中心線AX1から一定半径で湾曲した曲面を有している。そして、第1ドラム部材21は、駆動ローラー24に駆動されて、所定の軸である回転中心線AX1の周りを回転することができる。
円筒マスク(円筒状マスク)DMは、例えば平坦性の良い短冊状の極薄ガラス板(例えば厚さ100μm〜500μm)の一方の面にクロム等の遮光層でパターンを形成した透過型の平面状シートマスクとして作成される。マスク保持装置12は、円筒マスクDMを第1ドラム部材21の外周面の曲面に倣って湾曲させ、この曲面に巻き付けた(貼り付けた)状態で使用される。円筒マスクDMは、第1ドラム部材21に対して取り外し可能に設けられる。円筒マスクDMについては、後述する。
なお、円筒マスクDMを極薄ガラス板で構成し、その円筒マスクDMを透明円筒母材による第1ドラム部材21に巻き付ける代わりに、透明円筒母材による第1ドラム部材21の外周面に直接クロム等の遮光層によるマスクパターンを描画形成して一体化してもよい。この場合も、第1ドラム部材21が円筒マスクDMのパターンの支持部材として機能する。
第1検出器25は、第1ドラム部材21の回転位置を光学的に検出するもので、例えばロータリーエンコーダ等で構成される。第1検出器25は、検出した第1ドラム部材21の回転位置を示す情報、例えば、後述するエンコーダヘッドからの2相信号等を制御装置14に出力する。電動モーター等のアクチュエータ含む第1駆動部26は、制御装置14から入力される制御信号に従って、駆動ローラー24を回転させるためのトルク及び回転速度を調整する。制御装置14は、第1検出器25による検出結果に基づいて第1駆動部26を制御することによって、第1ドラム部材21の回転位置を制御する。そして、制御装置14は、第1ドラム部材21に保持されている円筒マスクDMの回転位置と回転速度の一方又は双方を制御する。
第2露光装置EX2は、基板Pの第1露光装置EX1でパターンを転写していない領域、或いは第1露光装置EX1でパターンの転写が完了していない領域にパターンを転写する。第2露光装置EX2は、所謂直描型の露光装置である。第2露光装置EX2は、例えば、国際公開WO2014/034161号公報に開示されているように、基板Pが長尺方向に一定速度で搬送されている間、ポリゴン走査ユニットPOによって1次元走査される描画用のレーザビームを基板P上にスポット光として集光し、スポット光の一次元走査の間に、レーザビームをパターンデータ(CADデータ)に基づいて高速にON/OFF変調することにより、基板P上に電子回路パターン等を描画(露光)するものである。露光装置EX2は、円筒マスクDMがなくても特定位置における基板Pに露光光(スポット光)を照射してパターニング処理をすることができる。ここで、第2露光装置EXは、直描型の露光装置に限定されず、種々の形式の露光装置を用いることができる。例えば、露光装置EX2は、所謂プロキシミティ露光を基板Pに施す処理装置も用いることができる。プロキシミティ方式の露光装置は、透過型の円筒マスクを第2ドラム部材22に支持された基板Pと微小なギャップで対向配置し、透過型の円筒マスクの内部に設置された照明機構からの照明光をマスクパターンに照射し、マスクパターンを透過した露光光(影像)を直接基板Pに照射することで、非接触露光するものである。また、第2露光装置EX2は、第2露光装置EX1と同様に、マスクパターンの像を投影光学系を介して露光する投影露光装置としても良い。さらに、第2露光装置EX2は、例えば、国際公開WO2014/034161号公報に開示された可変マスク(DMD:デジタルミラーデバイス)によって形成されるパターン像を投影露光するマスクレス露光装置を使って、第2ドラム部材(回転ドラム)22に巻き付けられた基板Pにパターンの露光を行ってもよい。
搬送装置9は、駆動ローラーDR4、第1ガイド部材31、基板P上の投影領域PAが配置される第2面P2を形成する第2ドラム部材22、第2ガイド部材33、駆動ローラーDR4、DR5、第2検出器35及び第2駆動部36を備える。
本実施形態において、搬送経路の上流から駆動ローラーDR4へ搬送されてきた基板Pは、駆動ローラーDR4を経由してエアターンバー等の第1ガイド部材31へ搬送される。第1ガイド部材31を経由した基板Pは、半径r2の円筒状又は円柱状の第2ドラム部材22の表面に支持されて、エアターンバー等の第2ガイド部材33へ搬送される。第2ガイド部材33を経由した基板Pは、搬送経路の下流へ搬送される。なお、第2ドラム部材22の回転中心線AX2と、駆動ローラーDR4、DR5の各回転中心線とは、何れもY軸と平行になるように設定される。
第1ガイド部材31及び第2ガイド部材33は、例えば、基板Pの搬送方向に移動することによって、搬送経路において基板Pに働くテンション等を調整する。また、駆動ローラDR4と駆動ローラDR5を、例えば、基板Pの幅方向(Y方向)に移動可能な構成とすることによって、第2ドラム部材22の外周に巻き付く基板PのY方向の位置等を調整することができる。なお、搬送装置9は、投影光学系PLの投影領域PAに沿って基板Pを搬送可能であればよく、搬送装置9の構成は適宜変更可能である。
第2ドラム部材22は、所定の軸となる回転中心線AX2(以下、第2中心軸AX2とも呼ぶ)から一定半径で湾曲した曲面を有する円筒部材であって、所定の軸の周りを回転する回転ドラムである。第2ドラム部材22は、投影光学系PLからの結像光束が投射される基板P上の投影領域PAを含む一部分を円弧状(円筒状)に支持する第2面(支持面)p2を形成する。本実施形態において、第2ドラム部材22は、搬送装置9の一部であるとともに、露光対象の基板Pを支持する支持部材(基板ステージ)を兼ねている。すなわち、第2ドラム部材22は、第1露光装置EX1(或いは第2露光装置EX2)の一部であってもよい。このように、第2ドラム部材22は、その回転中心線AX2(第2中心軸AX2)の周りに回転可能であり、基板Pは、第2ドラム部材22上の外周面(円筒面)に倣って円筒面状に湾曲し、湾曲した部分の一部に投影領域PAが配置される。
本実施形態において、第2ドラム部材22は、電動モーター等のアクチュエータを含む第2駆動部36から供給されるトルクによって回転する。第2検出器35も、例えばロータリーエンコーダ等で構成され、第2ドラム部材22と共に回転するスケール円盤の回折格子の回転位置変化を光学的に検出する。第2検出器35は、検出した第2ドラム部材22の回転位置変化を示す情報(例えば、後述するエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5、EM6の各々からの2相信号等)を制御装置14に出力する。従って、制御装置14内には、エンコーダヘッドEN1〜EM6の各々に対応したデジタルカウンタ回路が設けられ、制御装置14は、各カウンタ回路の計数値によって第2ドラム部材22の外周面で支持される基板Pの移動量を算出する。第2駆動部36は、制御装置14から供給される制御信号に従って、第2ドラム部材22を回転させるトルクを調整する。制御装置14は、第2検出器35による検出結果に基づいて第2駆動部36を制御することによって、第2ドラム部材22の回転位置を制御し、第1ドラム部材21(円筒マスクDM)と第2ドラム部材22とを同期移動(同期回転)させる。
本実施形態の第1露光装置EX1は、国際公開WO2014/034161号公報にも開示されているように、所謂、マルチレンズ方式の投影光学系PLを搭載することを想定した露光装置である。投影光学系PLは、円筒マスクDMのパターンにおける一部の像を投影する複数の投影モジュールを備える。例えば、図1では、中心面P3の左側に3つの投影モジュール(投影光学系)PL1、PL3、PL5がY方向に一定間隔で配置され、中心面P3の右側にも3つの投影モジュール(投影光学系)PL2、PL4、PL6がY方向に一定間隔で配置される。
このようなマルチレンズ方式の第1露光装置EX1では、複数の投影モジュールPL1〜PL6によって露光された領域(投影領域PA1〜PA6)のY方向の端部を走査によって互いに重ね合わせることによって、所望のパターンの全体像を投影する。このような第1露光装置EX1は、円筒マスクDM上のパターンのY方向サイズが大きくなり、必然的にY方向の幅が大きな基板Pを扱う必要性が生じた場合でも、投影モジュールPAと、投影モジュールPAに対応する照明機構IU側のモジュールとをY方向に増設するだけで良いので、容易にパネルサイズ(基板Pの幅)の大型化に対応できると言った利点がある。
なお、第1露光装置EX1は、マルチレンズ方式でなくてもよい。例えば、基板Pの幅方向の寸法がある程度小さい場合等に、第1露光装置EX1は、1つの投影モジュールによってパターンの全幅の像を基板Pに投影してもよい。また、複数の投影モジュールPL1〜PL6は、それぞれ、1個のデバイスに対応するパターンを投影してもよい。すなわち、第1露光装置EX1は、複数個のデバイス用のパターンを、複数の投影モジュールによって並行して投影してもよい。
本実施形態の照明機構IUは、光源装置13及び照明光学系を備える。照明光学系は、複数の投影モジュールPL1〜PL6の各々に対応してY軸方向に並んだ複数(例えば6つ)の照明モジュールILを備える。光源装置は、例えば水銀ランプ等のランプ光源、又はレーザーダイオード、発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。光源装置が射出する照明光は、例えばランプ光源から射出される輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、或いは、赤外波長域のパルス状の種光をファイバーアンプで増幅した後、波長変換素子(高調波発生結晶等)によって紫外パルス光(波長355nm)を得るファイバーアンプレーザ等である。光源装置から射出された照明光は、照度分布が均一化されて、例えば光ファイバー等の導光部材を介して、複数の照明モジュールILに振り分けられる。
複数の照明モジュールILのそれぞれは、レンズ等の複数の光学部材を含む。本実施形態において、光源装置から出射して複数の照明モジュールILのいずれかを通る光を照明光束EL1と称する。複数の照明モジュールILのそれぞれは、例えばインテグレータ光学系、ロッドレンズ、フライアイレンズ等を含み、均一な照度分布の照明光束EL1によって照明領域IRを照明する。本実施形態において、複数の照明モジュールILは、円筒マスクDMの内側に配置されている。複数の照明モジュールILのそれぞれは、円筒マスクDMの内側から円筒マスクDMの外周面に形成されたマスクパターンの各照明領域IRを照明する。
図2は、本実施形態における照明領域IR及び投影領域PAの配置を示す図である。なお、図2には、第1ドラム部材21に配置された円筒マスクDM上の照明領域IRを−Z側から見た平面図(図2中の左側の図)と、第2ドラム部材22に配置された基板P上の投影領域PAを+Z側から見た平面図(図2中の右側の図)とが図示されている。図2中の符号Xsは、第1ドラム部材21又は第2ドラム部材22の回転方向(移動方向)を示す。
複数の照明モジュールILは、それぞれ、円筒マスクDM上の第1から第6照明領域IR1〜IR6を照明する。例えば、第1照明モジュールILは、第1照明領域IR1を照明し、第2照明モジュールILは第2照明領域IR2を照明する。
第1照明領域IR1は、Y方向に細長い台形状の領域として説明するが、投影光学系(投影モジュール)PLのように、中間像面を形成する構成の投影光学系の場合は、その中間像の位置に台形開口を有する視野絞り板を配置できる為、その台形開口を包含する長方形の領域としても良い。第3照明領域IR3及び第5照明領域IR5は、それぞれ、第1照明領域IR1と同様の形状の領域であり、Y軸方向に一定間隔を空けて配置されている。また、第2照明領域IR2は、中心面P3に関して第1照明領域IR1と対称的な台形状(又は長方形)の領域である。第4照明領域IR4及び第6照明領域IR6は、それぞれ、第2照明領域IR2と同様の形状の領域であり、Y軸方向に一定間隔を空けて配置されている。
図2に示すように、第1から第6照明領域IR1〜IR6のそれぞれは、第1面P1の周方向に沿って見た場合に、隣り合う台形状の照明領域の斜辺部の三角部が重なるように(オーバーラップするように)配置されている。そのため、例えば、第1ドラム部材21の回転によって第1照明領域IR1を通過する円筒マスクDM上の第1領域A1は、第1ドラム部材21の回転によって第2照明領域IR2を通過する円筒マスクDM上の第2領域A2と一部重複する。
本実施形態において、円筒マスクDMは、パターンが形成されているパターン形成領域A3と、パターンが形成されていないパターン非形成領域A4とを含む。そのパターン非形成領域A4は、パターン形成領域A3を枠状に囲むように配置されており、照明光束EL1を遮光する特性を有する。円筒マスクDMのパターン形成領域A3は、第1ドラム部材21の回転に伴って移動方向Xsに移動し、パターン形成領域A3のうちのY軸方向の各部分領域は、第1から第6照明領域IR1〜IR6のいずれかを通過する。換言すると、第1から第6照明領域IR1〜IR6は、パターン形成領域A3のY軸方向の全幅をカバーするように、配置されている。
図1に示すように、Y軸方向に並ぶ複数の投影モジュールPL1〜PL6のそれぞれは、第1から第6照明モジュールILのそれぞれと1対1で対応しており、対応する照明モジュールによって照明される照明領域IR内に現れる円筒マスクDMの部分的なパターンの像を、基板P上の各投影領域PAに投影する。
例えば、第1投影モジュールPL1は、第1照明モジュールILに対応し、第1照明モジュールILによって照明される第1照明領域IR1(図2参照)における円筒マスクDMのパターンの像を、基板P上の第1投影領域PA1に投影する。第3投影モジュールPL3、第5投影モジュールPL5は、それぞれ、第3〜第5照明モジュールILと対応している。第3投影モジュールPL3及び第5投影モジュールPL5は、Y軸方向から見ると、第1投影モジュールPL1と重なる位置に配置されている。
また、第2投影モジュールPL2は、第2照明モジュールILに対応し、第2照明モジュールILによって照明される第2照明領域IR2(図2参照)における円筒マスクDMのパターンの像を、基板P上の第2投影領域PA2に投影する。第2投影モジュールPL2は、Y軸方向から見ると、第1投影モジュールPL1に対して中心面P3を挟んで対称的な位置に配置されている。
第4投影モジュールPL4、第6投影モジュールPL6は、それぞれ、第4、第6照明モジュールILと対応して配置され、第4投影モジュールPL4及び第6投影モジュールPL6は、Y軸方向から見て、第2投影モジュールPL2と重なる位置に配置されている。
なお、本実施形態において、照明機構IUの各照明モジュールILから円筒マスクDM上の各照明領域IR1〜IR6に達する光を照明光束EL1とする。また、各照明領域IR1〜IR6中に現れる円筒マスクDMの部分パターンに応じた強度分布変調を受けて各投影モジュールPL1〜PL6に入射して各投影領域PA1〜PA6に達する光を、結像光束EL2とする。そして、各投影領域PA1〜PA6に達する結像光束EL2のうち、投影領域PA1〜PA6の各中心点を通る主光線は、図1に示すように、第2ドラム部材22の第2中心軸AX2からみて、中心面P3を挟んで周方向で角度θの位置(特定位置)にそれぞれ配置される。
図2に示すように、第1照明領域IR1におけるパターンの像は第1投影領域PA1に投影され、第3照明領域IR3におけるパターンの像は、第3投影領域PA3に投影され、第5照明領域IR5におけるパターンの像は、第5投影領域PA5に投影される。本実施形態において、第1投影領域PA1、第3投影領域PA3及び第5投影領域PA5は、Y軸方向に一列に並ぶように配置される。
また、第2照明領域IR2におけるパターンの像は、第2投影領域PA2に投影される。本実施形態において、第2投影領域PA2は、Y軸方向から見て、中心面P3に関して第1投影領域PA1と対称的に配置される。また、第4照明領域IR4におけるパターンの像は、第4投影領域PA4に投影され、第6照明領域IR6におけるパターンの像は、第6投影領域PA6に投影される。本実施形態において、第2投影領域PA2、第4投影領域PA4及び第6投影領域PA6は、Y軸方向に一列に並ぶように配置される。
第1から第6投影領域PA1〜PA6のそれぞれは、第2面p2の周方向に沿って見た場合に、第2中心軸AX2に平行な方向において隣り合う投影領域(奇数番目と偶数番目)同士の端部(台形の三角部分)が重なるように配置されている。そのため、例えば、第2ドラム部材22の回転によって第1投影領域PA1を通過する基板P上の第3領域A5は、第2ドラム部材22の回転によって第2投影領域PA2を通過する基板P上の第4領域A6と一部重複する。第1投影領域PA1と第2投影領域PA2は、第3領域A5と第4領域A6が重複する領域での露光量が、重複しない領域の露光量と実質的に同じになるように、それぞれの形状等が設定されている。このように、第1〜第6投影領域PA1〜PA6は、基板P上に露光される露光領域A7のY方向の全幅をカバーするように、配置されている。
次に、本実施形態の投影光学系PLの詳細構成について図3を参照して説明する。なお、本実施形態において、第2投影モジュールPL2〜第5投影モジュールPL5のそれぞれは、第1投影モジュールPL1と同様の構成である。このため、投影光学系PLを代表して、第1投影モジュールPL1の構成について説明し、第2投影モジュールPL2〜第5投影モジュールPL5のそれぞれの説明は省略する。
図3に示す第1投影モジュールPL1は、第1照明領域IR1に配置された円筒マスクDMのパターンの像を中間像面P7に結像する第1光学系41と、第1光学系41が形成した中間像の少なくとも一部を基板Pの第1投影領域PA1に再結像する第2光学系42と、中間像が形成される中間像面P7に配置された第1視野絞り43とを備える。
また、第1投影モジュールPL1は、フォーカス補正光学部材44、像シフト補正光学部材45、ローテーション補正機構46及び倍率補正用光学部材47を備えている。フォーカス補正光学部材44は、基板P上に形成されるマスクのパターン像(以下、投影像という)のフォーカス状態を微調整するフォーカス調整装置である。また、補正光学部材45は、投影像を像面内で微少に横シフトさせるシフト調整装置である。倍率補正用光学部材47は、投影像の倍率を微少補正するシフト調整装置である。ローテーション補正機構46は、投影像を像面内で微少回転させるシフト調整装置である。
円筒マスクDMのパターンからの結像光束EL2は、第1照明領域IR1から法線方向(D1)に出射し、フォーカス補正光学部材44を通って像シフト補正光学部材45に入射する。像シフト補正光学部材45を透過した結像光束EL2は、第1光学系41の要素である第1偏向部材50の第1反射面(平面鏡)p4で反射され、第1レンズ群51を通って第1凹面鏡52で反射され、再び第1レンズ群51を通って第1偏向部材50の第2反射面(平面鏡)p5で反射されて、第1視野絞り43に入射する。第1視野絞り43を通った結像光束EL2は、第2光学系42の要素である第2偏向部材57の第3反射面(平面鏡)p8で反射され、第2レンズ群58を通って第2凹面鏡59で反射され、再び第2レンズ群58を通って第2偏向部材57の第4反射面(平面鏡)p9で反射されて、倍率補正用光学部材47に入射する。倍率補正用光学部材47から出射した結像光束EL2は、基板P上の第1投影領域PA1に入射し、第1照明領域IR1内に現れるパターンの像が第1投影領域PA1に等倍(×1)で投影される。
図1に示す円筒マスクDMの半径を半径r1とし、第2ドラム部材22に巻き付いた基板Pの円筒状の表面の半径を半径r2として、半径r1と半径r2とを等しくした場合、各投影モジュールPL1〜PL6のマスク側における結像光束EL2の主光線は、円筒マスクDMの中心軸線AX1を通るように傾けられるが、その傾き角は、基板側における結像光束EL2の主光線の傾き角θ(中心面P3に対して±θ)と同じになる。
第2偏向部材57の第3反射面p8が第2光軸AX4となす角度θ3は、第1偏向部材50の第2反射面p5が第1光軸AX3となす角度θ2と実質的に同じである。また、第2偏向部材57の第4反射面p9が第2光軸AX4となす角度θ4は、第1偏向部材50の第1反射面p4が第1光軸AX3となす角度θ1と実質的に同じである。上述した傾き角θを与えるため、図3に示した第1偏向部材50の第1反射面p4の光軸AX3に対する角度θ1を45°よりもΔθ1だけ小さくし、第2偏向部材57の第4反射面p9の光軸AX4に対する角度θ4を45°よりもΔθ4だけ小さくする。Δθ1とΔθ4は、図1中に示した角度θに対して、Δθ1=Δθ4=θ/2の関係に設定される。
図4は、図1の処理装置(露光システム)に適用される回転ドラムの斜視図である。図5は、図1の処理装置(露光システム)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための斜視図である。なお、図4においては、便宜上、第2から第4投影領域PA2〜PA4のみを図示し、第1、第5、第6投影領域PA1、PA5、PA6の図示を省略している。
図1に示す第2検出器35は、第2ドラム部材22の回転位置を光学的に検出するものであって、高真円度のスケール円盤(スケール部材)SDと、読み取り装置であるエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5、EN6を含む。
スケール円盤SDは、第2ドラム部材22の端部に回転軸STと直交するように固定されている。このため、スケール円盤SDは、回転中心線AX2回りに回転軸STと共に一体的に回転する。スケール円盤SDの外周面には、スケール部GPが刻設されている。スケール部GPは、第2ドラム部材22が回転する周方向に沿って、例えば20μmピッチで格子状の目盛が環状に配列され、かつ第2ドラム部材22とともに回転軸ST(第2中心軸AX2)の周囲を回転する。エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5、EN6は、回転軸ST(第2中心軸AX2)からみてスケール部GPの周囲に配置されている。エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5、EN6は、スケール部GPと対向配置され、スケール部GPにレーザビーム(1mm程度の径)を投射し、格子状の目盛からの反射回折光を光電検出することにより、例えば、0.1μm程度の分解能でスケール部GPの周方向の位置変化を非接触で読み取ることができる。また、各エンコーダヘッドEN1〜EN6は、第2ドラム部材22の周方向の異なる位置に配置されている。
エンコーダヘッドEN1〜EN6は、スケール部GPの接線方向(XZ面内)の変位の変動に対して計測感度(検出感度)を有する読み取り装置である。図4に示すように、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5、EN6の設置方位(回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向)を設置方位線Le1、Le2、Le3、Le4、Le5、Le6で表す場合、設置方位線Le1、Le2が、中心面P3に対して角度±θ°になるように、エンコーダヘッドEN1、EN2が配置される。なお、角度θは、例えば15°である。また、各設置方位線Le1〜Le6は、各エンコーダヘッドEN1〜EN6から投射されるレーザビーム(1mm程度の径)のスケール部GP上での投射位置を通るものとする。
図3に示す投影モジュールPL1〜PL6は、基板Pを被処理物体とし、基板Pに光を照射する照射処理を施す第1露光装置EX1の処理部である。第1露光装置EX1は、基板Pに対して2つの結像光束EL2の主光線が基板Pに入射する。投影モジュールPL1、PL3、PL5が第1処理部となり、投影モジュールPL2、PL4、PL6が第2処理部となり、基板Pに対して2つの結像光束EL2の主光線が基板Pに入射するそれぞれの位置が基板Pに光を照射する照射処理を施す特定位置となる。特定位置は、第2ドラム部材22の第2中心軸AX2からみて、第2ドラム部材22上の曲面の基板Pにおける、中心面P3を挟んで周方向で角度±θの位置である。エンコーダヘッドEN1の設置方位線Le1は、奇数番目の投影モジュールPL1、PL3、PL5の各投影領域(投影視野)PA1、PA3、PA5の中心点を通る主光線の中心面P3に対する傾き角θと一致し、ヘッドEN2の設置方位線Le2は、偶数番目の投影モジュールPL2、PL4、PL6の各投影領域(投影視野)PA2、PA4、PA6の中心点を通る主光線の中心面P3に対する傾き角θと一致している。このため、エンコーダヘッドEN1、EN2は、特定位置と第2中心軸AX2とを結ぶ方向に位置するスケール部GPを読み取る読み取り装置となる。
エンコーダヘッドEN3、EN4、EN5は、基板Pの送り方向の上流側、具体的には、第1露光装置EX1の露光位置(投影領域)よりも上流側に手前に配置されている。また、エンコーダヘッドEN6は、基板Pの送り方向の下流側、第1露光装置EX1の露光位置(投影領域)よりも下流側でかつ第1露光装置EX2の露光位置(投影領域)よりも上流側に配置されている。つまり、各エンコーダヘッドEN1〜EN6は、基板Pの送り方向において、上流側から下流側に向けて、エンコーダヘッドEN3、エンコーダヘッドEN4、エンコーダヘッドEN5、エンコーダヘッドEN1、エンコーダヘッドEN2、エンコーダヘッドEN6の順で配置されている。
エンコーダヘッドEN3、EN4は、基板Pの送り方向において、プリアライメント(ラフアライメント)を行う位置に配置されている。プリアライメントを行う位置とは、基板Pの送り方向において、第2ドラム部材22の上流側の部分であり、基板Pが第2ドラム部材22に巻きつけられた位置である。エンコーダヘッドEN5は、基板Pの送り方向において、第1露光装置EX1の為のファインアライメントの位置に配置されている。エンコーダヘッドEN6は、基板Pの送り方向において、第2露光装置EX2の為のファインアライメントの位置に配置されている。
図1及び図5に示すように、第2ドラム部材22の曲面に支持される基板Pの一部分に、図1に示す投影光学系PLにより投影されたマスクパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)する為に、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AMG1、AMG2、AMG3、AMG4が設けられている。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2、AMG3、AMG4は、基板P上に離散又は連続して形成された特定パターンを検出する為の検出プローブと、この検出プローブによる検出領域が、上述した特定位置よりも基板Pの送り方向の後方側(上流側)に設定されるように、第2ドラム部材22の周囲に配置されるパターン検出装置である。
アライメント顕微鏡AMG1、AMG2、AMG3、AMG4は、基板Pの送り方向において、上流側からこの順で配置されている。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、基板Pの送り方向において、プリアライメントを行う位置に配置されている。アライメント顕微鏡AMG3は、基板Pの送り方向において、第1露光装置EX1のアライメント位置に配置されている。つまり、アライメント顕微鏡AMG3は、基板Pの送り方向において、第1露光装置EX1のパターンが転写される領域よりも上流側に配置されている。アライメント顕微鏡AMG4は、基板Pの送り方向において、第2露光装置EX2のアライメント位置に配置されている。つまり、アライメント顕微鏡AMG4は、基板Pの送り方向において、第2露光装置EX2のパターンが転写される領域よりも上流側に配置されている。
図5に示すように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、Y軸方向(基板Pの幅方向)に一列に並んだ複数(例えば4つ)の検出プローブを有している。また、図示を省略したが、アライメント顕微鏡AMG3、AMG4は、基板Pの送り方向における位置が異なるのみで同様の構成である。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2、AMG3、AMG4は、第2ドラム部材22のY軸方向の両側端の検出プローブで、基板Pの両端付近に形成されたアライメントマークを常時観察または検出することができる。そして、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2、AMG3、AMG4は、第2ドラム部材22のY軸方向(基板Pの幅方向)の両側端以外の検出プローブで、例えば、基板P上に長尺方向に沿って複数形成される表示パネルのパターン形成領域の間の余白部等に形成されるアライメントマークを観察または検出することができる。
図5に示すように、XZ面内かつ回転中心線AX2からみたときに、アライメント顕微鏡AMG1による基板Pの観察方向AM1(第2中心軸AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケール部GPの径方向に設定される設置方位線Le3上に、エンコーダヘッドEN3が配置されている。また、XZ面内かつ回転中心線AX2からみたときに、アライメント顕微鏡AMG2による基板Pの観察方向AM2(回転中心線AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケール部GPの径方向に設定される設置方位線Le4上の各々に、エンコーダヘッドEN4が配置されている。このように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出プローブが第2中心軸AX2からみて第2ドラム部材22の周囲に配置され、エンコーダヘッドEN3、EN4が配置された位置と第2中心軸AX2とを結ぶ方向(設置方位線Le3、Le4)が、第2中心軸AX2とアライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出領域とを結ぶ方向と一致するよう配置されている。なお、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2及びエンコーダヘッドEN3、EN4が配置される回転中心線AX2周り方向の位置は、基板Pが第2ドラム部材22に接触し始めるシート進入領域IAと、第2ドラム部材22から基板Pが外れるシート離脱領域OAとの間に設定される。また、アライメント顕微鏡AMG3による基板Pの観察方向(第2中心軸AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケール部GPの径方向に設定される設置方位線Le5上に、エンコーダヘッドEN5が配置されている。アライメント顕微鏡AMG4による基板Pの観察方向(第2中心軸AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケール部GPの径方向に設定される設置方位線Le6上に、エンコーダヘッドEN6が配置されている。
アライメント顕微鏡AMG1、AMG2、AMG3、AMG4は、基板PのY方向の端部付近に形成されたアライメントマーク(数十μm〜数百μm角内の領域に形成)を、基板Pが所定速度で送られている状態で、撮像素子等により高速に画像検出するものであり、顕微鏡視野(撮像範囲)でマークの像を高速にサンプリングする。そのサンプリングが行なわれた瞬間に、対応するエンコーダヘッドEN3、EN4、EN5、EN6によって逐次計測されるスケール円盤SDの回転角度位置を記憶することにより、基板P上のマーク位置と第2ドラム部材22の回転角度位置との対応関係が求められる。
アライメント顕微鏡AMG1で検出したマークを、アライメント顕微鏡AMG2で検出したときに、エンコーダヘッドEN3によって計測されて記憶された角度位置とエンコーダヘッドEN4によって計測されて記憶された角度位置との差分値を、予め精密に較正されている2つのアライメント顕微鏡AMG1、AMG2の設置方位線Le3、Le4の開き角に対応した基準値と比較する。これにより、基板Pの位置ずれや伸びを検出することができる。例えば、差分値と基準値に差が生じている場合は、シート進入領域IAとシート離脱領域OAとの間で、基板Pが第2ドラム部材22上で僅かに滑っている、または送り方向(周方向)に伸縮していることを検出することができる。また、アライメント顕微鏡AGM3によるマーク位置の検出結果とエンコーダEN5による第2ドラム部材22の回転角度の検出結果と、上流側のアライメント顕微鏡AGM2によるマーク位置の検出結果とエンコーダEN4による第2ドラム部材22の回転角度の検出結果と、を比較することで、第1露光装置EX1で露光する直前の基板の変動を検出することができる。同様にアライメント顕微鏡AGM4の検出結果とエンコーダEN6の検出結果と、上流側のアライメント顕微鏡AGM3の検出結果とエンコーダEN5の検出結果と、を比較することで、第2露光装置EX2で露光する直前の基板の変動を検出することができる。制御装置14は、検出結果に基づいて、露光条件(投影像の微少回転誤差や倍率誤差等)を調整することで、基板に好適なパターンを転写することができる。
次に、図1に加え、図6A及び図6Bを用いて、露光遮蔽機構80について説明する。図6Aは、図1の処理装置(露光システム)に適用される露光遮蔽機構を説明するための模式図である。図6Bは、図1の処理装置(露光システム)に適用される露光遮蔽機構を説明するための模式図である。
露光遮断機構80は、円筒マスクDMのパターンの像が基板Pに投影される状態と、マスクパターンの像を遮り、円筒マスクDMのパターンの像が基板Pに投影されない状態とに切り換える。露光遮蔽機構80は、図6A及び図6Bに示すように、遮蔽板81と、遮蔽板81を移動させる駆動機構82と、を有する。遮蔽板81は、投影光学系PLの第2ドラム部材22側の端部と第2ドラム部材22の間に配置されている。つまり、遮蔽板81は、第2ドラム部材22と対面している。
遮蔽板81は、板状のY軸方向の長さが投影領域(投影視野)PA1〜PA6の全域を覆う長さであり、Y軸方向における位置が投影領域(投影視野)PA1〜PA6の全ての領域と重なる。また、遮蔽板81は、図6Aに示すように、ZX平面上の形状が、第2ドラム部材22に沿って曲がった円弧形状となる。遮蔽板81は、基板Pの搬送方向における長さが、投影領域(投影視野)PA1〜PA6の全域を含む長さよりも長い。つまり、基板Pの搬送方向において、投影領域(投影視野)PA1の上流側の端部と投影領域(投影視野)PA2の下流側の端部とを結んだ距離よりも長く設定される。
遮蔽板81は、少なくとも、投影光学系PL側の面が、投影光学系PLから出射された光(投影像を形成する光束)を遮る機能を備える。遮蔽板81は、投影光学系PLから出射された光の大部分を吸収するように、反射率を極力低くすることが好ましいが、一定の反射率を持っていても良い。
駆動機構82は、遮蔽板81と接続された支持部82aと、支持部82aを移動させる駆動部82bと、を有する。支持部82aは、棒状の部材であり、一方の端部が遮蔽板81に固定され、他方の端部が駆動部82bに支持されている。駆動部82bは、支持部82aを基板Pの搬送方向に沿って矢印84の方向に移動させる。駆動機構82は、遮蔽板81を投影領域(投影視野)PA1〜PA6と重ならない位置から投影領域(投影視野)PA1〜PA6と重なる位置に、または、投影領域(投影視野)PA1〜PA6と重なる位置から投影領域(投影視野)PA1〜PA6と重ならない位置に移動させる。遮蔽板81が投影領域(投影視野)PA1〜PA6と重なる位置とは、遮蔽板81が投影領域(投影視野)PA1〜PA6のそれぞれに照射される結像光束EL2を遮る位置であり、遮蔽板81aで示す位置である。つまり、駆動機構82は、遮蔽板81を、基板Pの搬送方向に沿って、遮蔽板81で示す位置と遮蔽版81aで示す位置との間の任意の位置に移動させることができる。
露光遮蔽機構80は、以上のような構成であり、本実施形態の駆動機構82は、支持部82aと駆動部82bとを遮蔽板81の一方の端部のみに設けたが、遮蔽81のY方向の両方の端部に設けてもよい。また、移動機構を設けていない側の端部に遮蔽版81の移動を補助するレール等の案内機構を設けてもよい。
次に、図7及び図8を用いて、円筒マスクについて説明する。図7は、図1の処理装置(露光システム)に適用される円筒マスクを説明するための斜視図である。図8は、図1の処理装置(露光システム)に適用される円筒マスクを説明するための部分展開図である。円筒マスクDMは、多数の画素部で構成される表示デバイス用のデバイスパターンを基板Pに転写するマスクである。
本実施形態の円筒マスクDMは、所定の中心線から一定半径の円筒状の外周面に沿って繰り返しパターン領域90と、緩衝領域92とが形成されている。具体的には、円筒マスクDMは、円筒マスクDMの回転方向、つまり円周方向に、繰り返しパターン領域90と、緩衝領域92とが交互に隣接して形成されている。なお、円筒マスクDMの円周方向に配置される繰り返しパターン領域90と緩衝領域92の数は特に限定されない。
繰り返しパターン領域90は、デバイスパターンのうち少なくとも画素部に関わる第1パターンが、外周面の周方向と中心線AX1の方向の各々に関して周期的に複数形成される。ここで、第1パターンとはカラーフィルタの各色に対応するパターンや、各画素の電極のパターン、各画素に形成される薄膜トランジスタ(TFT)のゲート/ソース/ドレインの電極のパターン、TFTの半導体層や絶縁膜用のパターン等である。繰り返しパターン領域90は、画素部に係る第1パターンに加え、他の繰り返しパターン、例えば基板の製造に必要なアライメントマークを転写するパターンを含んでいてもよい。
緩衝領域92は、繰り返しパターン領域90の第1パターンと異なる第2パターンが形成される。本実施形態の緩衝領域92は、第1パターンの周方向(図8のX方向)に伸びた配線と同じY方向の間隔で形成され、かつ、Y方向の幅が第1パターンの周方向に伸びた配線よりも太い配線のパターンが形成されている。また、第2パターンは、X方向の幅も第1パターンの周方向に伸びた配線の1つの繰り返しパターン、つまり1つの画素部の線幅よりも長い配線のパターンが形成されている。第2パターンは、形成されている太い配線が、対応する位置、つまりY軸方向の同じ位置に配置された、周方向の一方に隣接する繰り返しパターン領域90の第1パターンの周方向に伸びた配線及び周方向の他方に隣接する繰り返しパターン領域90の第1パターンの周方向に伸びた配線と繋がっている。
円筒マスクDMは、図8に示すように展開した場合の繰り返しパターン領域90の周方向の寸法(距離)がMLとなり、緩衝領域92の周方向の寸法がBLとなる。また、円筒マスクDM上において、繰り返しパターン領域90の第1パターンの画素部の周方向の寸法(画素ピッチ)はPXとする。円筒マスクDMは、2以上のn個の繰返しパターン領域90と、当該繰返しパターン領域90に挟み込まれたn−1個の緩衝領域92とを繋ぎ合わせた周方向の長さに露光時の倍率をかけた長さが、転写するデバイスパターンの全体の大きさとなる。つまり、形成するデバイスパターンの全体の大きさをLとすると、L=n・ML+(n−1)・BLとなる。例えば、円筒マスクDMの外周面の周方向に1個の繰返しパターン領域90と1個の緩衝領域92とを継ぎ合わせたマスクパターン領域のセットを、円筒マスクDMの外周面の周方向に120度の間隔で配置する場合、円筒マスクDMの外周面上には、3個の繰返しパターン領域90と3個の緩衝領域92とが周方向に交互に並ぶことになる。
また、円筒マスクDMは、種々の方法で製作することができる。例えば、円筒形状の部材に直描装置で描画して製作してもよい。また、円筒マスクDMは、第1パターンを全周に形成し、全周に繰り返しパターンを形成したマスクを製作し、その表面に緩衝領域92のパターンが形成され、それ以外は透明のマスクを積層してもよい。また、円筒マスクDMは、第1パターンを全周に形成し、全周に繰り返しパターンを形成したマスクを製作し、その一部に、緩衝領域92のパターンが形成された部材(例えばシート状のフィルム等)を貼り付けてもよい。本実施形態では、円筒マスクDMの外周面の周方向に沿って、少なくとも2個の繰返しパターン領域90(寸法ML)と、その繰返しパターン領域90に挟まれる1個の緩衝領域92(寸法BL)とが、円筒マスクDMの外周面の全周長(円筒マスクDMの直径×円周率)に収まるように形成されれば良い。従って、円筒マスクDMの外周面には、周方向に沿って1個の繰返しパターン領域90と1個の緩衝領域92とを継ぎ合わせたマスクパターン領域のセットが少なくとも2つ形成されることを意味する。1個の繰返しパターン領域90と1個の緩衝領域92とを継ぎ合わせたマスクパターン領域のセット数は、いくつでも良い。また、緩衝領域92の寸法BLは、図6A、6Bで説明した遮蔽板81のY方向に延びるエッジ部が、第2ドラム部材22の回転位置と同期して回動する際の周方向の追従精度と、そのエッジ部で遮られる露光光(投影光束)が基板P上に投射される際の半影ボケの周方向の寸法とによって決められる。一例として、緩衝領域92の寸法BLは数mm程度、好ましくは1mm程度に設定されるが、画素ピッチPX(μm)による条件から、20・PX≧BL≧PXの範囲に設定しても良い。
さらに、基板P上に形成されるディスプレイの幾つかの表示画面サイズ(例えば、36インチ、42インチ、46インチ、50インチ)に対応する為に、基板Pの長尺方向(搬送方向)に沿った表示画面サイズの長さをLXとしたとき、1個の繰返しパターン領域90と1個の緩衝領域92とを継ぎ合わせたマスクパターン領域の周方向の寸法ML+BLと、長さLXとが、nを整数として、LX=n・(ML+BL)の関係になるように設定しておくと良い。
次に、処理装置11の処理時の動作について説明する。処理装置11は、制御装置14により各部の駆動を制御することで、基板Pへのパターンの転写を実行する。処理装置11は、搬送装置9により基板Pを搬送方向に所定の一定速度(例えば10〜50mm/秒の範囲)で搬送する。処理装置11は、第2ドラム部材22に巻きつけられた基板Pに予め形成されているアライメントマークをアライメント顕微鏡AMG1、AMG2で検出する。同時にエンコーダヘッドEN3、EN4で第2ドラム部材22の回転角度位置を検出し、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2によるアライメントマークの位置の検出結果と、第2ドラム部材22の回転角度位置とに基づいて、基板Pの第2ドラム部材22上での位置を対応付ける。本実施形態では、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2による基板Pのアライメントマークの位置検出は、比較的にラフな精度で行うプリアライメントとして実行される。
さらに、処理装置11は、第2ドラム部材22に巻きつけられた基板P上の形成されたアライメントマークの位置をアライメント顕微鏡AMG3(図1参照)で検出する。同時に、アライメント顕微鏡AMG3の設置方位に対応したエンコーダヘッドEN5(図4、図5参照)で第2ドラム部材22の回転角度位置を検出し、アライメント顕微鏡AMG3によるアライメントマークの位置の検出結果と、第2ドラム部材22の回転角度位置とに基づいて、基板Pの第2ドラム部材22上での位置を対応付ける。このように、処理装置11は、アライメント顕微鏡AMG3でアライメントを実行する。アライメント顕微鏡AMG3によるアライメントマークの位置検出は、第1露光装置EX1による露光時の円筒マスクDMと基板Pとの相対的な位置関係を精密に合わせるファインアライメントとして実行される。
第1露光装置EX1は、第2ドラム部材22に巻きつけられて搬送される基板Pに円筒マスクDMのパターン(繰返しパターン領域90と緩衝領域92)の投影像を転写する。具体的には、処理装置11は、第2ドラム部材22の回転に同期させて、第1ドラム部材21とともに円筒マスクDMを回転させる。また、処理装置11は、光源装置13から光を射出させ、円筒マスクDMのパターンを基板Pに投影し、転写させる。なお、処理装置11は、アライメント顕微鏡AMG3でのアライメント結果(相対的な位置誤差)と、エンコーダEN1、EN2によって計測される第2ドラム部材22の回転角度位置に基づいて、逐次、露光位置等を微調整する。その微調整は、例えば、国際公開WO2008/029917号公報に開示されているように、円筒マスクDMを支持するマスク支持部の姿勢を複数の微動用アクチュエータ等で変位させたり、円筒マスクDMの回転方向の推力を調整したりすることで実行できる。さらに、本実施形態では、図3に示すように、投影モジュールPL1〜PL6の各々に、フォーカス補正光学部材44、像シフト補正光学部材45、ローテーション補正機構46及び倍率補正用光学部材47が設けられているので、それらの補正光学部材や補正機構を、アライメント顕微鏡AMG3によってファインアライメント時に計測された相対的な位置誤差に応じて、露光中に適宜駆動するようにしても良い。
処理装置11は、第2ドラム部材22に支持されて搬送される基板P上のアライメントマークをアライメント顕微鏡AMG4で検出すると共に、そのときの第2ドラム部材22の回転角度位置をエンコーダヘッドEN6で検出(カウンタ回路の計数値をラッチ)し、基板Pの第2ドラム部材22上での位置を精密に計測する。
引き続き、第2露光装置EX2(マスク方式、或いはマスクレス方式の露光装置)が、第2ドラム部材22に支持された基板Pにパターニングの為の露光光を照射し、円筒マスクDMの緩衝領域92が転写された基板P上の対応する領域に、繰返しパターン領域90中の一部のパターンと同等のパターンを転写する。第2露光装置EX2は、アライメント顕微鏡AMG4でのアライメント結果に基づいて露光位置を調整し、露光(描画)の実行と停止を切り換えることで、基板P上の緩衝領域92が転写された領域(寸法BLの範囲)に、選択的に繰り返しパターンを転写する。以上のことから、第2露光装置EX2による画素部のパターン露光が正しく行えるように、先の図8に示した円筒マスクDMの外周面の緩衝領域92に形成されるパターンは、全面を遮光性パターンとしたり、画素部分の領域のみを個別に遮光性パターンとしたりして、第1露光装置EX1によって緩衝領域92が転写される基板P上の領域内では、画素部分が未露光な状態となるようにしても良い。
以上の動作において、第1露光装置EX1に装着された円筒マスクDMの回転によって、繰返しパターン領域90と緩衝領域92との各パターン像が、基板P上に長尺方向に沿って交互に連続して転写され続けるが、基板P上に形成すべき1つの表示画面の長尺方向の長さLXで、第1露光装置EX1による露光を一時的に中断する必要がある。そこで、処理装置11は、第1露光装置EX1でのパターン像の転写を停止させると判定した場合、露光遮断機構80で遮蔽板81を同期移動させ、遮蔽板81によって結像光束EL2を遮る。具体的には、処理装置11は、駆動機構82による遮蔽板81の移動を円筒マスクDMの移動に同期させ、緩衝領域92のパターン像を転写している間に遮蔽板81を、投影領域(投影視野)PA1〜PA6のそれぞれに照射される結像光束EL2を遮る位置に移動させる。これにより、第1露光装置EXと対向する位置を通過する基板Pに結像光束EL2が照射されず、それ以降は、緩衝領域92に隣接した繰返しパターン領域90のパターン像の転写が阻止される。
処理装置11は、第1露光装置EX1で円筒マスクDMを用いることで基板Pに複数の繰り返しパターン領域90に対応したパターン(表示画素を構成するパターン)像と、緩衝領域92に対応したパターン(遮光性パターン)像とを交互に転写することができる。また、処理装置11は、第1露光装置EX1によるパターンの転写を一時的に中断する場合、円筒マスクDMの緩衝領域92が照明領域IRを通過している間に、露光遮蔽機構80の遮蔽板81を遮蔽板81aの位置まで同期移動させることで、引き続き転写され得る繰り返しパターン領域90に対応したパターン像の露光を阻止することができる。また、処理装置11は、第2露光装置EX2によって、基板P上の緩衝領域92に対応したパターン像が転写された領域(寸法BL)に対して、選択的に繰り返しパターンを転写するので、基板P上の緩衝領域92に対応した領域にも必要なパターンを転写することができ、表示画面サイズの長さLXの全体に渡って、画素用のパターン像を所定の繰り返しピッチで一様に転写できる。
これにより、処理装置11は、n個の繰り返しパターン領域90に対応したパターンとn−1個の緩衝領域92に対応したパターンとを継ぎ合わせた1つのデバイスパターンを転写することができる。なお、本実施形態の処理装置11は、第1露光装置EX1で緩衝領域にも所定のパターンが形成できるため、第2露光装置EX2によってパターンを転写しなくてもよい。また、処理装置11は、露光遮蔽機構80を用いてパターンの転写を停止するタイミングを調整することで、デバイスパターンに含まれるn個の繰り返しパターン領域90とn−1個の緩衝領域92のnの値を調整することができる。したがって、種々の大きさの表示画面を持つディスプレイ用パネルを、品種ごとに円筒マスクDMを交換することなく、簡単に形成することができる。
以上のように、円筒マスクDMに緩衝領域92を設けて、露光遮蔽機構80の遮蔽板81によって結像光束EL2を遮ることにより、基板Pの搬送や円筒マスクDMの回転を一時的に停止させたり、搬送速度や回転速度を一時的に低下させたりする必要性がなくなり、基板Pに転写されたパターンの端部が不鮮明になることが抑制される。これにより、デバイスパターンの端部に対する加工を正確に行うことができる。つまり、デバイスパターンの端部の配線の電極を繋げる処理や、端子を設ける処理を確実に行うことができ、パターンが断線することも抑制することができる。
また、円筒マスクDMは、デバイスパターンとして、外周面の周方向に関する全体寸法がL1の第1デバイスパターン(第1の表示パネル)の露光と、全体寸法がL2の第2デバイスパターン(第2の表示パネル)の露光とのいずれにも用いられるように、繰返しパターン領域の周方向の寸法をML、緩衝領域の周方向の寸法をBLとしたとき、ML>BL、であって、na×ML+(na−1)×BL=L1、nb×ML+(nb−1)×BL=L2、を満たすと共に、naとnbとが共に整数となるように、寸法BLと寸法MLを設定することが好ましい。これにより、1つのデバイスパターンに含める繰り返しパターン領域90の寸法MLや緩衝領域92の寸法BLを設定するだけで、つまり、露光遮蔽機構80で遮蔽を行うタイミングを切り換えるだけで、1つの円筒マスクDMで、大きさ(画面サイズ)が異なる複数種の表示パネル(ディスプレイ)やデバイスパターンを製造することができる。
本実施形態の円筒マスクDMでは、緩衝領域92の寸法BLを画素部の寸法(画素ピッチ)PXの1倍以上20倍以下に設定すると共に、円筒マスクDMの外周面の全周長を、n×(ML+BL)と等しく設定することが好ましい。円筒マスクDMの緩衝領域92の寸法BLを画素部の画素ピッチPXの1倍以上20倍以下とすることで、緩衝領域92が転写される基板P上の対応領域の搬送方向での寸法も、投影モジュールPL1〜PL6の投影倍率が等倍の場合は最大で20・PXとなり、第2露光装置EX2による基板P上の対応領域へのパターン転写を好適に行うことができる。円筒マスクDM上の緩衝領域92の寸法BLは、画素部の画素ピッチPXの整数倍とすることが好ましい。これにより、緩衝領域92が転写された基板P上の対応領域に、第2露光装置EX2によって画素部に応じた繰り返しパターンを転写した場合、表示パネルとして完成した表示画面中において、緩衝領域92に対応した表示部分をより目立たなくすることができる。円筒マスクDMの外周面の全周長(直径×円周率)を、n×(ML+BL)と等しくすることで、周方向に繰り返しパターン領域90と緩衝領域92とを交互に隙間なく形成することができる。これにより、円筒マスクの回転位置によらず、同じ形状のデバイスパターン(表示パネル)を、基板Pの長尺方向に沿って一定の間隔で並べて基板P上に転写することができる。
<第1実施形態の変形例>
以下、図9から図12を用いて、処理装置11の変形例に付いて説明する。図9から図12は、それぞれ露光遮蔽機構の他の例を説明するための模式図である。第1実施形態では、第1露光装置EX1の投影光学系PL(投影モジュールPL1〜PL6)と第2ドラム部材22の間に、第2ドラム部材22に沿って湾曲した遮蔽板81を回動するように配置した露光遮光機構80を設けた。図9に示す変形例では、投影光学系PLと第2ドラム部材22の間に配置した露光遮光機構80aの遮蔽板を、平板形状とし、投影光学系PLからの結像光束EL2の進行方向と直交した矢印84aの方向に移動する。このように、遮蔽板を平板とし、直線運動で移動させるようにしてもよい。
図10に示す変形例では、露光遮光機構80bの遮蔽板が投影光学系PLと円筒マスクDMの間に配置されている。露光遮光機構80bの遮蔽板は、円筒マスクDMの外周面の直径よりも僅かに大きな直径の曲面形状であり、円筒マスクDMの回転方向に沿った矢印84bの周方向に移動する。このように、投影光学系PLと円筒マスクDMの間でマスクパターンから投影光学系PLに入射する像光束を遮る位置に遮蔽板を配置してもよい。
図11に示す変形例では、露光遮光機構80cの遮蔽板が投影光学系PLと円筒マスクDMの間に配置され、露光遮光機構80cの遮蔽板を図9と同様の平板形状とする。露光遮光機構80cの遮蔽板(平板)は、マスクパターンから投影光学系PLに入射する像光束の進行方向と直交する矢印84cの方向に移動される。このように、遮蔽板を平板とし、直線運動で移動させるようにしてもよい。
図12に示す変形例では、露光遮光機構80dの遮蔽板を、先の図3で示した投影光学系PL(投影モジュールPL1〜PL6)内の中間像面P7に配置される第1視野絞り43の近傍に配置する。露光遮光機構80dの遮蔽板は、第1視野絞り43と平行な平板形状であり、中間像面P7を通る結像光束の進行方向と直交する矢印84dの方向に移動する。このように、第1視野絞り43の近傍で結像光束を遮ることができる位置に遮蔽板を配置してもよい。或いは、第1視野絞り43自体を矢印84dの方向に往復移動可能に設けて、第1視野絞り43の開口部の周囲の遮光部(遮蔽板に相当)で結像光束を遮るようにしても良い。中間像面P7、又はその近傍に露光遮光機構80dの遮蔽板を配置した場合、遮蔽板(又は第1視野絞り43の開口部)のエッジ部を、基板P上にシャープに結像させることができるので、エッジ部の基板Pでの半影ボケの幅を小さくでき、その結果、円筒マスクDMの緩衝領域92の寸法BLを、例えば、最大でも画素ピッチPXの10倍程度に小さくすることができる。
また、上記実施形態の露光遮光機構では、遮蔽板81等を複数の投影領域の全てを覆うことができる1枚の板状の部材としたが、これに限定されない。遮蔽板は、投影モジュールPL1〜PL6のそれぞれに分割して設け、投影領域毎に結像光束を遮蔽できるようにしても良い。この場合、露光遮光装置の複数の遮蔽板は、それぞれ同期して移動するように制御される。具体的には、基板P上の奇数番の投影領域PA1、PA3、PA5の各々に向かう結像光束を遮蔽する遮蔽板は、基板Pの搬送方向(ドラム部材22の周方向)に沿って同時に移動するように制御され、基板P上の偶数番の投影領域PA2、PA4、PA6の各々に向かう結像光束を遮蔽する遮蔽板は、基板Pの搬送方向(ドラム部材22の周方向)に沿って同時に移動するように制御される。
また、上記実施形態や変形例では、露光遮光機構(80、80a〜80d)の遮蔽板を、円筒マスクDMから基板Pまでの投影光路中のいずれかに配置したが、円筒マスクDMの外周面上の照明領域IR1〜IR6の各々に照明光を照射する照明モジュールIL(図1参照)内に配置しても良い。この場合、円筒マスクDM上の照明領域IR1〜IR6の各々に照射される照明光の円筒マスクDMの周方向に関する幅が、円筒マスクDMの回転に同期して徐々に狭くなるように、照明光が遮蔽板のエッジ部によって遮られるに制御される。
<円筒マスクの変形例>
ここで、上記実施形態や変形例における円筒マスクDMは、一例として、緩衝領域92内に形成される第2パターンが、繰り返しパターン領域90内に形成される第1パターンよりも太く、第1パターンと同様の配置間隔で並ぶ配線としたが、これに限定されない。以下、図13を用いて、円筒マスクの変形例を説明する。図13は、円筒マスクを説明するための部分展開図である。
図13に示す円筒マスクDMaは、円周方向に4つの繰り返しパターン領域90aが形成され、繰り返しパターン領域90aの間にそれぞれ緩衝領域92aが形成されている。つまり、図13に示す円筒マスクDMaは、4つの繰り返しパターン領域90aと4つの緩衝領域92aが交互に1つずつ形成されている。繰り返しパターン領域90aには、上述した繰り返しパターン領域90と同様に、画素部に対応する第1パターンが複数繰り返し形成されている。緩衝領域92aには、第2パターンとして、円周方向に直交する方向に延在するストライプ状の遮光部と、繰り返しパターン領域90aからストライプ状の遮光部を通って周方向に延びた配線パターンとを含む。
円筒マスクDMaは、図13に示すように、緩衝領域92aの第2パターンが全体に遮光部であって、第1パターンと同じ形状のパターン配列を持たない為、緩衝領域92aに対応した基板P上の領域には、何らのパターンも転写されない。しかしながら、処理装置11は、第2露光装置EX2によって、基板P上の緩衝領域92aに対応した領域内に、繰り返しパターン領域90内の第1パターン(画素部のパターン)の一部(緩衝領域92aの寸法BLに対応した画素数分のパターン)を、精密に位置合わせてして露光することができるので、緩衝領域92aに隣接する繰り返しパターン領域90aで転写された基板P上のパターン同士を継ぎ合わせることができる。
図14は、円筒マスクDMbの外周面に形成されるマスクパターンを展開して示したもので、本変形例の円筒マスクDMbは、8つの繰り返しパターン領域90bと、8つの緩衝領域(主緩衝領域)92bと、1つの副緩衝領域94とが形成されている。繰り返しパターン領域90b及び緩衝領域92bは、図13中の繰り返しパターン領域90a及び緩衝領域92aと同様の構成である。本変形例では、円筒マスクDMbの外周面に、4つの繰り返しパターン領域90bと4つの緩衝領域(主緩衝領域)92bとを周方向に交互に配置したパターンセットを、円筒マスクDMの回転中心線の方向(円周方向と直交する方向)に2組設ける。その2組のパターンセットの間には、円周方向に直線的に伸びたストライプ状の副緩衝領域94が配置されている。副緩衝領域94には、第1パターンと異なる第3パターンが形成されているが、本実施形態では緩衝領域92bと同様にストライプ状の遮光部が形成されている。図14に示すように円筒マスクDMbに副緩衝領域94を設けることで、基板P上に作成されるデバイスパターン(表示パネル)の基板搬送方向と直交する方向の長さを変えることができる。なお、図14では、4つの繰り返しパターン領域90bと4つの緩衝領域92bとによるパターンセットを、円筒マスクDMの回転中心線AX1の方向に2組配置したが、それ以上の組に分けて配置するように、繰り返しパターン領域90bや緩衝領域92bの個々の寸法(特に回転中心線AX1の方向の寸法)を、画素ピッチPXの整数倍と言う条件の下で変えても良い。
次に、図15から図17を用いて、図14に示す副緩衝領域94が形成された円筒ドラムDMbを用いる場合に好適な露光遮蔽機構について説明する。図15から図17は、それぞれ露光遮蔽機構の他の例を説明するための模式図である。図15に示す露光遮蔽機構80eは、露光遮蔽ユニット85aと、2つの露光遮蔽ユニット86aと、を有する。露光遮蔽ユニット85aは、先の図6に示した露光遮蔽機構80と同様の構成であるので説明を省略する。露光遮蔽ユニット86aは、投影光学系PL(投影モジュールPL1〜PL6の各々)と円筒マスクDMbの間に配置されている。露光遮光ユニット86aは、遮蔽板の形状と移動方向が異なるが基本的に露光遮蔽機構80と同様の構成である。露光遮光ユニット86aは、遮蔽板が平板形状であり、結像光束の進行方向と直交する方向であって、かつ、円筒マスクDMbの回転方向に直交する方向(回転中心軸AX1の延在方向)である矢印88aの方向(Y方向)に移動される。露光遮蔽ユニット86aの遮蔽板をY方向に移動させることで、副緩衝領域94を境界として、Y方向の一方側の繰り返しパターン領域90bと緩衝領域92bとのパターンセットからの投影光束を、遮蔽するか否かが切り換えられる。露光遮蔽ユニット86aを設けることで、基板Pに転写するデバイスパターンの円周方向と直交するY方向の大きさを変えることができる。なお、露光遮蔽ユニット86aは、緩衝領域92bが照明領域IR(IR1〜IR6)を通過している間に遮蔽板のエッジ部を同期移動させることが好ましい。なお、露光遮蔽ユニット86aの配置個数は特に限定されず1つでもよい。
図16に示す露光遮蔽機構80fは、露光遮蔽ユニット85bと、2つの露光遮蔽ユニット86bと、を有する。露光遮蔽機構80fは、露光遮蔽機構80eに対して、露光遮蔽ユニット85bと、2つの露光遮蔽ユニット86bとの配置位置を入れ換えている。露光遮蔽ユニット85bは、投影光学系PLと円筒マスクDMbの間に配置されている。露光遮蔽ユニット86bは、第2ドラム部材22と投影光学系PLとの間に配置されている。露光遮蔽機構80fのように、基板Pに転写すべきデバイスパターンのY方向の大きさを切り替える為の露光遮蔽ユニット86bの配置を、第2ドラム部材22と円筒マスクDMbの間に配置しても、図15の実施形態と同様に基板Pに転写すべきデバイスパターンのY方向の寸法を異ならせることができる。
図17に示す露光遮蔽機構80gは、露光遮蔽ユニット85cと、2つの露光遮蔽ユニット86cと、を有する。露光遮蔽機構80gは、露光遮蔽機構80fに対して、2つの露光遮蔽ユニット86cの配置を変更している。露光遮蔽ユニット86cの遮蔽板は、先の図12と同様に、投影光学系PL(投影モジュールPL1〜PL6の各々)内の中間像面に配置される第1視野絞り43の近傍に配置されている。露光遮蔽機構80gのように、基板Pに転写すべきデバイスパターン(表示パネル)のY方向の大きさを切り替える為の露光遮蔽ユニット86cの遮蔽板を、第1視野絞り43の近傍に配置しても、上記の図10、図11の各実施形態と同様に、基板Pに転写されるデバイスパターンのY方向の大きさを異ならせることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第2実施形態について、図18を参照して説明する。この図において、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。図18は、第2実施形態に係る処理装置(露光システム)の全体構成を示す模式図である。第2実施形態の処理装置101は、第1露光装置EX1と、第2露光装置EX2と、搬送機構109と、を有する。また、処理装置101は、プリアライメント用のアライメント顕微鏡AMG1と、第1露光装置EX1におけるファインアライメント用のアライメント顕微鏡AMG3と、第2露光装置EX2におけるファインアライメント用のアライメント顕微鏡AMG4と、を有する。搬送機構109は、第1露光装置EX1と第2露光装置EX2との間に配置された基板Pのバッファ部112と、第2露光装置EX2の下流側に配置された基板Pのバッファ部114とを有する。バッファ部112は、第1露光装置EX1と第2露光装置EX2との間で、基板Pを所定の長さに渡って一時的に蓄積する機構である。バッファ部114は、第2露光装置EX2と下流側の処理装置との間で、基板Pを所定の長さに渡って一時的に蓄積する機構である。
処理装置101は、バッファ部112を設けることで、第1露光装置EX1と対面する露光位置(投影領域)における基板Pの搬送速度と、第2露光装置EX2と対面する露光位置における基板Pの搬送速度とを、異なる値に設定することができる。これにより、第2露光装置EX2が、緩衝領域92(92a、92b)に対応した基板P上の領域にパターン露光する際の基板Pの搬送速度が、第1露光装置EX1を通る基板Pの搬送速度よりも遅い場合でも、第2露光装置EX2での基板Pの遅い搬送速度に合せるように第1露光装置EX1での基板Pの搬送速度を低下させることなく、パターン露光を高速に実行できる。また、円筒マスクDM(DMa、DMb)の緩衝領域92(92a、92b)の円周方向の寸法BLを、繰り返しパターン領域90(90a、90b)の円周方向の寸法MLよりも十分に短くしてある。そのため、第2露光装置EX2が、基板P上の緩衝領域92(92a、92b)に対応した領域にパターン露光する間は、基板Pの搬送速度を低下させ、緩衝領域92(92a、92b)に対応した領域へのパターン露光が完了したら、緩衝領域92(92a、92b)に対応した基板P上の次の領域がくるまで、即ち、繰り返しパターン領域90(90a、90b)に対応した基板P上の領域が通過する間、基板Pの搬送速度を高めることができる。それによって、バッファ部112で蓄積される基板Pの長さを短くすることができる。
処理装置101は、第1露光装置EX1と第2露光装置EX2との間にバッファ102を設けることで、第2露光装置EX2でのパターンの転写速度が遅い場合でも、第1露光装置EX1で連続して円筒マスクによる露光を行うことができる。これにより、効率よくパターンを形成することができる。
以上、第1実施形態、第2実施形態、及びそれの各変形例において、円筒マスクDMに形成される緩衝領域92(92a、92b)や副緩衝領域94は、第2露光装置EX2によって、基板P上の対応する領域中に、画素部に応じた第1パターンを露光するとしたが、緩衝領域92(92a、92b)の幅(寸法BL)や副緩衝領域94の幅を充分に小さくすることで、表示パネルの用途によっては、第2露光装置EX2による追加露光を行わなくても良い。この場合、緩衝領域92(92a、92b)や副緩衝領域94に対応した表示パネル上には画素が形成されないが、デジタルサイネージュ(電子広告)用のパネルでは問題無く使われることもある。また、基板Pの表面に塗布される感光層(フォトレジスト等)がポジ型でもネガ型でも、上記で説明したように、円筒マスクDM上の緩衝領域92(92a、92b)や副緩衝領域94の部分を遮光部(遮蔽部)にしておくことで、第2露光装置EX2による追加露光によって、基板Pの現像後には、追加露光された部分のレジストパターンが、繰り返しパターン領域90(90a、90b)に対応したレジストパターンと正確につながって現れる。
また、第1実施形態、第2実施形態、及びそれの各変形例において、円筒マスクDMは、透過型のマスクパターンとして形成したが、例えば、国際公開WO2008/029917号公報、国際公開WO2014/073535号公報に開示されているような反射型のマスクパターンとし、照明光学系を落射照明方式にしても良い。
<デバイス製造方法>
次に、図19を参照して、デバイス製造方法について説明する。図19は、第1実施形態のデバイス製造方法を示すフローチャートである。図19は、第1実施形態に係る処理装置(露光システム)を用いてデバイス製造方法を示すフローチャートである。
図19に示すデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL等の自発光素子による表示パネルの機能・性能設計を行い、必要な回路パターンや配線パターンをCAD等で設計する(ステップS201)。次いで、CAD等で設計された各種レイヤー毎のパターンに基づいて、必要なレイヤー分の円筒マスクDMを製作する(ステップS202)。また、表示パネルの基材となる可撓性の基板P(樹脂フィルム、金属箔膜、プラスチック等)が巻かれた供給用ロールFR1を準備しておく(ステップS203)。なお、このステップS203にて用意しておくロール状の基板Pは、必要に応じてその表面を改質したもの、下地層(例えばインプリント方式による微小凹凸)を事前形成したもの、光感応性の機能膜や透明膜(絶縁材料)を予めラミネートしたもの、でも良い。
次いで、基板P上に表示パネルデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、TFT(薄膜半導体)等によって構成されるバックプレーン層を形成すると共に、そのバックプレーンに積層されるように、有機EL等の自発光素子による発光層(表示画素部)が形成される(ステップS204)。このステップS204には、先の各実施形態で説明した第1露光装置EX1、EX2を用いて、フォトレジスト層を露光する従来のフォトリソグラフィ工程も含まれるが、フォトレジストの代わりに感光性シランカップリング材を塗布した基板Pをパターン露光して表面に親撥水性によるパターンを形成する露光工程、光感応性の触媒層をパターン露光し無電解メッキ法によって金属膜のパターン(配線、電極等)を形成する湿式工程、或いは、銀ナノ粒子を含有した導電性インク等によってパターンを描画する印刷工程、等による処理も含まれる。
次いで、ロール方式で長尺の基板P上に連続的に製造される表示パネルデバイス毎に、基板Pをダイシングしたり、各表示パネルデバイスの表面に、保護フィルム(対環境バリア層)やカラーフィルターシート等を貼り合せたりして、デバイスを組み立てる(ステップS205)。次いで、表示パネルデバイスが正常に機能するか、所望の性能や特性を満たしているかの検査工程が行なわれる(ステップS206)。以上のようにして、表示パネル(フレキシブル・ディスプレー)を製造することができる。
なお、上述の実施形態及び変形例の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報、特許公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。