以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。わかりやすく示すために図面の断面ハッチングを適宜省略する。説明上、方向として、X方向(第1方向)、Y方向(第2方向)、Z方向を用いる。X方向、Y方向は、水平面を構成する方向である。Z方向は、鉛直方向、高さ方向である。X方向は、足幅方向に対応する左右方向である。Y方向は、足長方向に対応する前後方向である。
(実施の形態1)
図1〜図17を用いて、本発明の実施の形態1の足裏測定装置について説明する。
[足裏測定装置]
図1は、実施の形態1の足裏測定装置1の構成を示す。実施の形態1の足裏測定装置1は、大別して、本体である測定器2と、情報処理装置であるPC(パーソナルコンピュータ)3とを有し、それらが相互に接続されている。測定器2とPC3とが連携して動作することで、足裏測定機能を持つ足裏測定装置1(言い換えると足裏測定システム)として構成されている。また、測定器2には操作器7も接続されている。操作器7は、測定器2を介してPC3と接続されている。操作器7は、撮像ボタン等を備え、測定作業者が操作して測定の際に適宜に撮像を指示することができる。
PC3は、測定器2の動作制御や、測定および判断の情報処理を行う。PC3は、利用者である測定作業者に対し、操作のための入力機器および出力機器を備え、ユーザインタフェースとして後述の画面を提供する。PC3は、測定作業者の操作に基づいて、通信を介して測定器2の照明や撮像の動作を制御して、測定器2から足裏の画像を含む測定データを取得する。PC3は、その画像を含む測定データに基づいて、画像処理等によって、対象者の足裏の寸法の測定や形状の判断等を行い、その結果を含む結果情報を格納し、画面に出力する。測定作業者や被測定者は、画面の結果情報を見ることで、足裏状態等を認識できる。また、PC3にプリンタが接続されている場合には、結果情報を用紙に印刷出力することもできる。PC3は、例えば汎用的なノートPCを適用できるが、これに限らず各種のコンピュータが適用可能である。PC3のハードウェア等の内部構成は公知であるため説明省略する。
PC3は、ソフトウェア構成としては、一般的なOSやミドルウェア上に、アプリケーションプログラムとして、足裏測定機能を実現するプログラム(足裏測定プログラム)がインストールされている。PC3のCPU等の処理装置は、記憶装置からそのプログラムを読み出して、そのプログラムに従った処理を実行する。これにより、足裏測定用の画面の提供を含め、足裏測定機能が実現される。
また、PC3には、各種の入力機器、出力機器や外部機器が接続されてもよい。PC3は、通信網を介して外部のサーバ装置等と接続されてもよい。例えば、PC3から外部のサーバ装置へ、測定データや結果情報等が送信され保存されてもよいし、外部のサーバ装置からPC3へ対象者の情報が送信、参照されてもよい。外部のサーバ装置で何らかの情報処理(例えば統計処理)を行ってもよい。
測定器2は、主に、箱状の筐体5で構成される。測定器2は、測定時に室内底面に置かれて動かないように固定される。測定器2は、撮像方式の測定器であり、対象者(被測定者)の左右の両足(右足および左足)を同時に測定する機能に対応しており、X方向で左右対称形状を有する。測定器2は、PC3からの制御に基づいて、筐体5内の照明状態を制御し、筐体5内のカメラによって、足載置板4上に載置されている両足の足裏状態を撮像する(後述の図5等)。カメラによってリアルタイムで動画として撮像しているデータが、通信を介してPC3へ送信、入力される。
筐体5は、上面(面P1)と、下面(面P2)と、Z方向に立つ4つの側面(面P3〜P6)とを有する。4つの側面は、第1側面として、X方向の左右にある2つの側面である左側面(面P3)および右側面(面P4)と、第2側面として、Y方向の前後にある2つの側面である前側面(面P5)および後側面(面P6)とを有する。左側面は左足側、右側面は右足側に対応する。前側面は、被測定者と向かい合う側、踵側に対応する。後側面は、足趾側に対応する。
測定器2には、筐体5の後側面(面P6)からZ方向に立っているハンドル6を備える。ハンドル6は、装置移動用および測定時支持用として機能する。ハンドル6は、より詳しくは、Z方向に延在する2本の棒部と、それらの間でX方向に延在する1本の棒部とを有する。なお、ハンドル6のZ方向に延在する棒部に伸縮調節機構等を設けてもよい。
また、測定器2には、筐体5の後側面で、ハンドル6の下方の付近に、装置移動用のキャスター機構(図2のキャスター機構20)を有する。利用者は、ハンドル6およびキャスター機構20を用いて測定器2を移動させて所望の位置に静止、固定させることができる。ハンドル6は、装置移動時に手で把持できると共に、測定時には被測定者がつかまって身体を安定させることができる。
足裏測定装置1では、対象者の足裏状態の測定の際、測定作業者のサポートに基づいて、対象者の両足を足載置板4上に載置した状態としてもらう。測定作業者は、その状態で撮像ボタンを押すことで、PC3に測定を行わせる。PC3は、対象者の両足の足裏状態を、筐体5内のカメラを用いて画像(2次元デジタルデータ)として取り込む。その際、足裏測定装置1では、筐体5内の複数の照明素子に対する2種類の照明制御を用いて、少なくとも2種類の画像(第1画像、第2画像)を取得する。第1画像は足裏外形画像、第2画像は足裏接地面画像である。PC3は、測定器2の2種類の照明素子の照度および照明タイミング等を制御し、第1照明状態の時の第1画像と、第2照明状態の時の第2画像とをほぼ同時に取得する。PC3は、取得した2種類の画像に基づいて、画像処理等を施すことで、足裏の外形や接地面を表す画像を得て、足裏の足長や足幅等の寸法を測定し、形状の異常を判断するための指標値を算出する。そして、PC3は、測定や判断の結果情報(画像を含む)を格納すると共に、表示画面に表示する。PC3は、足裏の撮像および測定に基づいて、自動的に、外反母趾や開帳足や垂下足等についても判断する。
また、足裏測定装置1は、対象者の足裏について、ある時点の1回の測定だけでなく、時系列で複数回の測定を行う用途の場合にも対応できる後述の経時管理の機能を有する。PC3は、対象者個人毎に、測定回毎に、結果情報を、履歴として記録保持する。
[測定器(1)−筐体、足載置板]
図1では、特に、測定器2の外観を斜視で示している。図2は、測定器2の上下面をZ方向で平面視したX−Y平面での構成を示す。図2では、上面(面P1)の構成と下面(面P2)の構成とを1つにまとめて示している。図3は、測定器2の第1側面(面P3、面P4)をX方向で平面視したY−Z平面での構成を示す。図3では、左側面(面P3)の構成と右側面(面P4)の構成とを1つにまとめて示している。図4は、測定器2の第2側面(面P5、面P6)をY方向で平面視したX−Z平面での構成を示す。図4では、前側面(面P5)の構成と後側面(面P6)の構成とを1つにまとめて示している。図5は、図4と同様の測定器2の第2側面の構成を示し、特に、図2のD−D断面の構成要素を含むX−Z平面の構成を示す。図5では、D−D断面の構成要素(照明素子E2,E8等)を含むが、断面ハッチングを省略している。また、図5では、照明光学系の光線や両足の例について、説明用に模式的に図示している。
図2等のように、筐体5の上面(面P1)は、外周部を除いて開口部に配置された足載置板4で構成されている。足載置板4は、人の体重に対して十分な剛性を持つ強化ガラス等の可視光透過性部材で構成されている。足載置板4の面は、人の両足を載置可能である面積が確保されている。足載置板4は、強化ガラスの他に、特殊な光学フィルム等は備えていない。足載置板4は、外周の4つの辺および4つの角隅の部分が、筐体5の4つの辺(左辺、右辺、前辺、後辺)のフレーム10や4つの角隅の部品等によって支持および固定されている。
筐体5の内面は、可視光透過性の足載置板4を除き、基本的に、照明補助のために、黒膜(可視光遮光膜)で覆われており、外光入射が防止されている。筐体5は、十分な剛性を持つ金属等によるフレーム10や、外側カバー等の部品で構成されている。例えば外側カバーの内面が黒膜となっている。フレーム10は、例えば、長方体ブロック状(棒状)または長方形板状等のものが、複数の組み合わせで、筐体5の長方体の12個の各辺、および所定の面内の位置に配置されている。
足載置板4は、特に、X方向の中央の位置X1でY方向に延在するフレーム11によっても支持されている。これにより、足載置板4の面(フレーム10等によって遮られずに可視光が透過する領域)は、左面の範囲KLと右面の範囲KRとに分けられている。足載置板4の面領域のうち、フレーム11よりも左側にある範囲KLは、左側のカメラ8Lに対応して左足の撮像が可能な範囲であり、フレーム11よりも右側にある範囲KRは、右側のカメラ8Rに対応して右足の撮像が可能な範囲である。範囲KL,KRは、カメラ8L,8Rの視野角度(図5等の視野角度α1)に応じた大きさを有する。対象者の両足は、範囲KL,KR内において載置されていればよい。より好ましくは、カメラ8の光軸に対応する位置(点QL,QR)を中心、基準位置として、両足が載置されるとよい。
筐体5の下面(面P2)にはカメラ8や基板21等が配置されている。また、後側面(面P6)には、インタフェース部50を有し、ケーブルを通じて、PC3や操作器7が接続されている。インタフェース部50には、図4の通信ポート52等が設けられている。後側面(面P6)の左右側面に近い位置には、ハンドル6の下端が接続されている。後側面の位置XL,XRには、キャスター機構20が接続されている。
[測定器(2)−カメラ]
図2の上下面の構成で、筐体5の下面(面P2)において、X方向で左右対称の所定の位置である位置XL,XRで、Y方向の中央の位置Y1に、2つのカメラ8(8L,8R)が設けられている。左側の位置XLに左側のカメラ8Lが、右側の位置XRに右側のカメラ8Rが配置されている。これらの位置XL,XRは、足載置板4で両足が載置される基準位置に対応させて設計されている。特に、下面(面P2)での位置XL,XRには、Y方向に延在するフレーム12,13が設けられている。そのフレーム12,13上に、カメラ8L,8Rが設置されている。
カメラ8(8L,8R)の光軸は、Z方向の上方を向いており、図3,図4等の光軸JL,JR(破線矢印)として示す。また、カメラ8(8L,8R)の撮像の視野角度α1(図3では特にY方向の角度、図5では特にX方向の角度)を示す。この視野角度α1に対応した足載置板4の面での範囲KL,KRが、撮像範囲(図3では特にY方向の範囲、図5では特にX方向の範囲)に対応する。
撮像素子である2つのカメラ8は、一般的なデジタルカメラ等が適用可能であり、比較的安価に実現できる。2つの各カメラ8は、光軸がZ方向の上方の足載置板4の足裏の基準位置に向いている。各カメラ8は、基準位置を含む範囲内の足裏状態を動画として撮像する。2つのカメラ8は、インタフェース部50の図4の通信ポート52(特に右側カメラ用ポート、右側カメラ用ポート)と接続されている(接続線については非図示)。
筐体5の下面(面P2)で、中央の位置X1には、Y方向に延在する平板状の基板21が設置されている。基板21は、インタフェース部50と接続されている。基板21上には、電源回路22や、制御IC23が設けられている。電源回路22は、インタフェース部50の図4の電源コネクタ54と接続されており、筐体5の各部(照明素子9やカメラ8)に必要な電力を供給する。
制御IC23は、インタフェース部50の図4の通信ポート52(特に制御IC用ポート)と接続され、筐体5内の複数の照明素子9と接続されている(接続線については非図示)。制御IC23は、例えばマイコン(ファームウェア)で構成されており、少なくとも照明制御機能を有する。制御IC23は、PC3からの制御に基づいて、複数の各照明素子9へ、照明制御用の信号を供給する。これにより、各照明素子9の照明(発光)のオン/オフのタイミング、照度等の状態が制御可能である。
また、実施の形態1では、2つのカメラ8として、動画撮影可能な汎用的なデジタルカメラを用いている。カメラ8からPC3へリアルタイムで動画を入力する。これにより、測定の際に、足載置状態のモニタが可能となっており、適切な足載置状態に調整してからの撮像が可能となっている。
実施の形態1では、2種類の画像(第1画像、第2画像)を得るに当たっての撮像手段が、2つのカメラ8として共通要素とされている。各種画像毎に別々のカメラ(例えば合計4つのカメラ)を用いる必要は無い。すなわち、光学系を含む装置構成がシンプルである。
カメラ8は、オン状態では、入射光による像を動画(時系列の複数の画像フレーム)として取り込んでデータとして出力する。動画のフレームレートも適宜に設定可能である。PC3は、カメラ8からの入力動画に基づいて、所定の撮像タイミングで画像(第1画像および第2画像)を取り込む。
[測定器(3)−照明素子]
図2等で、筐体5内には、複数の照明素子9(E1〜E10)が配置されている。実施の形態1では、複数の照明素子9は、同じ型であり同じ性能や形状を持つLED照明素子を用いている。このLED照明素子は、詳しくは、発光面に複数のLED素子が配列されている。複数の照明素子9は、役割で大別して、2種類の照明素子として、第1種照明素子、第2種照明素子を有する。第1種照明素子は、好適な足裏外形画像(第1画像)を得るための第1撮像に好適な第1照明状態を形成するために用いられる。第2種照明素子は、好適な足裏接地面画像(第2画像)を得るための第2撮像に好適な第2照明状態を形成するために用いられる。
図2で、第1側面である左側面(面P3)および右側面(面P4)では、筐体5のフレーム10に近接した位置に、2種類の複数の照明素子9が設けられている。実施の形態1では、第1種照明素子として、左右辺の外周側の4個のLED照明素子、前後辺の2個のLED照明素子、合計6個のLED照明素子を用いている。また、第2種照明素子として、左右辺の内周側の合計4個のLED照明素子を用いる。
まず、左側面(面P3)において、筐体5(特に外側カバー)の内面に、第1種照明素子として、2つの照明素子9(E1,E2)が設置されている。2つの照明素子9(E1,E2)は、Y方向で所定の位置(位置YA,YB)に配置されている。位置YAに照明素子E2、位置YBに照明素子E1が配置されている。また、左側面(面P3)において、筐体5(外側カバー)の内面の第1種照明素子の位置よりも装置内側で、足載置板4の外周側端に近い位置に、第2種照明素子として、2つの照明素子9(E7,E8)が設置されている。2つの照明素子9(E7,E8)は、Y方向で位置YA,YBに配置されている。位置YAに照明素子E8、位置YBに照明素子E7が配置されている。同様に、左右対称構成で、右側面(面P4)において、第1種照明素子として2つの照明素子9(E3,E4)、および第2種照明素子として2つの照明素子9(E9,E10)が設置されている。
また、第2側面である前側面(面P5)および後側面(面P6)では、筐体5のフレーム10に近接した位置に、第1種照明素子として、2つの照明素子9(E5,E6)が設けられている。前側面(面P5)で、筐体5(特に外側カバー)の内面に近接した位置で、X方向の中央の位置X1に、1つの照明素子9(E5)が設置されている。後側面(面P6)で、筐体5(外側カバー)の内面に近接した位置で、X方向の中央の位置X1に、1つの照明素子9(E6)が設置されている。第2側面の照明素子9(E5,E6)は、特に、左右の足裏外形のうちの内周側の足側面部を照明する。
すなわち、測定器2では、第1側面(面P3,P4)では、合計4個の第1種照明素子(E1〜E4)と、合計4個の第2種照明素子(E7〜E10)とが、左右対称形状で配置されている。第2側面(面P5,P6)では、合計2個の第1種照明素子(E5,E6)が配置されている。測定器2全体では、合計6個の第1種照明素子(E1〜E6)と、合計4個の第2種照明素子(E7〜E10)との、合計10個の照明素子9(E1〜E10)が配置されている。
実施の形態1で、照明素子9であるLED照明素子は、所定のサイズの長方形平板形状を有する。この照明素子9は、発光面に対する垂直方向である光軸を中心として、360度の範囲(断面では180度の範囲)で、所定の発光分布特性を有する。照明素子9は、それぞれ、光軸が所定の方向を向くように配置されている。第1種照明素子(照明素子E1〜E6)は、光軸の方向が、例えば図5(図6の光軸J2)、図3(図7の光軸J5)のように、筐体5内部へ向かうX方向またはY方向、すなわち水平方向である。この第1種照明素子の光軸方向は、足載置板4(特に足裏載置領域)とは交わらない方向として設計されている。この第1種照明素子の光軸方向は、変形例としては、X方向またはY方向(水平方向)に対してある程度の角度の範囲内で上または下に傾けた状態としてもよい。ただし、その場合にも、その第1種照明素子の光軸方向の直線が、足載置板4上の足裏載置領域に対して交わらないようにする。
実施の形態1では、照明素子9として、低消費電力・長寿命・低発熱性等の特性を持つ汎用的なLED照明素子を用いており、白色光を発光する。なお、照明素子9としては、これに限らず、他の種類の照明素子を用いてもよいし、複数種類の照明素子を組み合わせて用いてもよい。複数の照明素子9のサイズや数についても、上記に限らず可能である。例えば、第1種照明素子の配置位置として、筐体5の第1側面(面P3,P4)において、Y方向の中央の位置Y1に、第1側面のサイズに対応する1枚の長い照明素子が配置されてもよい。
第1種照明素子の配置位置としては、筐体5の第1側面や第2側面に近接する位置であればよく、上記に限らず可能である。変形例として、筐体5の第2側面(面P5,P6)における第1種照明素子の配置位置としては、X方向の例えば左右の足およびカメラ8の位置(XL,KR)に対応させた位置としてもよい。
実施の形態1では、第1種照明素子は、第1側面および第2側面の両方に配置されているが、これに限らず可能であり、変形例としては、第1側面のみに配置されてもよいし、第2側面のみに配置されてもよい。また、第2種照明素子は、第1側面のみに配置されているが、これに限らず可能であり、変形例としては、第2側面のみに配置されてもよいし、第1側面および第2側面の両方に配置されてもよい。
[測定器(4)−第1側面]
図3の第1側面で、特に右側面(面P4)での構成要素として、照明素子9(E3,E4,E9,E10)および拡散板31を有する。また、図2の位置X1での構成要素として、基板21、電源回路22、制御IC23、インタフェース部50、照明素子9(E5,E6)および拡散板32を有する。また、図2の位置XL,XRでの構成要素として、2つのカメラ8(8L,8R)を有する。また、Z方向でカメラ8のレンズから上側で照明素子9等から下側の領域には、前後面(面P5,P6)間でY方向に延在する遮蔽部材40(図4)が設けられている。
第1側面、例えば面P4の第1種照明素子である2つの照明素子9(E3,E4)には、それらに近接する位置で、それらの発光面の面積よりも大きい面積を持つ1つの拡散板31が、組み合わせて設置されている。また、第2側面、例えば面P5の第1種照明素子である1つの照明素子9(E5)には、それに近接する位置で、その発光面の面積よりも大きい面積を持つ拡散板32が、組み合わせて設置されている。
照明素子9に対して設けられる拡散板31,32は、照明素子9(LED照明素子)からの発光を一方面から入射して拡散して他方面から出射することで、照明素子9の発光分布を一様化した照明光にする。これにより、カメラ8の画像において照明による望ましくない輝度分布差が小さくなるようにしている。
[測定器(5)−第2側面]
図4の第2側面で、前側面(面P5)の中央の位置X1で、上面のフレーム10よりも下側の位置に、照明素子9(E5)および拡散板32が配置されている。同様に、後側面(面P6)の中央の位置X1で、上面のフレーム10よりも下側の位置に、照明素子9(E6)および拡散板32が配置されている。筐体5のX方向の位置XL,KRには、Z方向に延在するフレーム14,15が設けられている。各フレーム10によって体重を支える強度が確保されている。
後側面(面P6)で、インタフェース部50は、3つの通信ポート52(例えばUSBポート)として、左側カメラ用ポート、右側カメラ用ポート、制御IC用ポートを有し、電源コネクタ53、操作器用コネクタ54等を有する。3つの通信ポート52は、ケーブルを通じてPC3(PC3のインタフェース部)と接続されている。左側カメラ用ポートは左側のカメラ8Lと接続され、右側カメラ用ポートは右側のカメラ8Rと接続されている。制御IC用ポートは、制御IC23と接続されている。
電源コネクタ53には、図示しない電源ケーブルが接続されている。電源ケーブルおよび電源コネクタ53を通じて電源回路22へ電力が供給され、電源回路22から各部へ電力が供給される。電源電圧は例えば24Vである。
操作器用コネクタ54には、ケーブルを通じて図1の操作器7が接続されている。また、操作器用コネクタ54は、制御IC23と接続されている。操作器7の撮像ボタンが押された場合、対応する信号が、操作器用コネクタ54等を通じて制御IC23へ送信され、制御IC23から対応する信号が通信ポート52を通じてPC3へ送信される。
筐体5の下面(面P2)で、フレーム10の上側で、X方向の中央の位置X1に、基板21が配置され、その左右の位置XL,KRに、2つのカメラ8(8L,8R)が配置されている。
X方向で、筐体5の2つの第1側面(面P3,P4)と2つのカメラ8(8L,8R)との間の領域には、遮蔽部材40(40A,40B,40C)が配置されている。2つのカメラ8(8L,8R)間の領域には、遮蔽部材40Bが配置されている。左側面(面P3)と左側のカメラ8Lとの間の領域には、遮蔽部材40Aが配置されている。右側面(面P4)と右側のカメラ8Rとの間の領域には、遮蔽部材40Cが配置されている。遮蔽部材40は、所定の可視光反射性および遮光性等の光学特性を有する。遮蔽部材40は、実施の形態1では、黒色の合成スポンジ材料を用いている。この合成スポンジ材料は、合成樹脂等で構成される、柔軟性を持つ多孔性シートである。遮蔽部材40は、その合成スポンジ材料のシートが、図4のようにZ方向の凸型(山型または半山型)に撓んだ形状にされて、筐体5の側面およびカメラ8の間に固定されることで構成されている。なお、遮蔽部材40は、合成スポンジ材料に限らず、他の材料で構成されてもよい。
遮蔽部材40は、下面(面P2)に配置されている構成要素のうち、カメラ8の撮像画像に不要な部分(基板21や配線等)を遮蔽する機能と、照明素子9による照明がより好適になるように補助する機能とを少なくとも有する。後者の機能は、照明素子9から足載置板4に対して反射や回折等による間接的な照明光を形成するための機能である。例えば、照明素子E2からの光のうち、X方向よりもZ方向下方に進んだ光成分は、遮蔽部材40Aや遮蔽部材40Bで一部反射されて、その反射光が足載置板4の面(足裏載置領域)の方へ進む。
[測定器(6)−光学系(1)]
図5の第2側面で、2つの各カメラ8(8L,8R)の視野角度α1(特にX方向の視野角度)を示す。視野角度α1に対応する撮像範囲として、足載置板4の面での範囲KL,KRを示す。足載置板4における左側の範囲KL内の基準位置(光軸JLの位置XLに対応する)に左足が載置され、右側の範囲KR内の基準位置(光軸JRの位置XRに対応する)に右足が載置されている様子を模式的に示す。また、例えば左足で、足裏のうち、外形に対応する範囲を範囲M1で示す。足裏のうち、足載置板4の上面に接触している部分である接地面の範囲を範囲M2で示す。足裏のうち、足載置板4の上面に接触していない部分である非接地面、足側面部(外周側および内周側)の範囲を範囲M3で示す。範囲M3は、外形の範囲M1と接地面の範囲M2との差分である。
図5の第1側面の左側面(面P3)で、図2のY方向の位置YAにある構成要素として、第1種照明素子である照明素子9(E2)と、第2種照明素子である照明素子9(E8)とを示す。同様に左右対称構成で、右側面(面P4)では、第1種照明素子である照明素子9(E4)と、第2種照明素子である照明素子9(E10)とを有する。Y方向の位置YBでも同様である。
筐体5内の光学系の説明のために、照明素子E2や照明素子E8からの発光の光線の例を、矢印で模式的に示している。例えば、照明素子E2からの発光は、拡散板31を通じて各方向への光として拡散される。拡散された照明光は、筐体5内の構成要素によって反射や回折の作用を受けて、これにより、足載置板4(特に足裏載置領域)の方へ向かう照明光の成分が生じる。この照明光は、接地面の範囲M2に入射する光や、足側面部の範囲M3に入射する光を含む。その照明光は、Z方向で、足載置板4に入射して透過されて、足載置板4の上面や足裏で反射されて、足載置板4の下面から下方へ出射される。その反射光がカメラ8のレンズに入射される。これにより、好適な足裏外形画像が得られる。
また、例えば、照明素子E8からの発光(照明光)は、概略的にX方向で、足載置板4の外周の側端から足載置板4内に入射し、足載置板4内で上面と下面との間で反射を繰り返しながら、X方向の右へ進む。その照明光のうちの一部は、特に足裏の接地面の範囲M2で、屈折率の異なりから、Z方向の下方に反射される成分を多く生じる。その反射光のうちの一部がカメラ8のレンズに入射される。これにより、好適な足裏接地面画像が得られる。
また、例えば、第2側面でX方向の中央の位置X1にある照明素子9(E5,E6)からの発光は、拡散板32で拡散された照明光の一部が、筐体5内の構成要素によって反射や回折の作用を受けて、足載置板4(特に足裏載置領域)の方へ向かう照明光の成分が生じる。この照明光は、接地面の範囲M2に入射する光や、特に内周側の足側面部の範囲M3に入射する光を含む。その照明光は、Z方向で、足載置板4に入射して透過されて、足載置板4の上面や足裏で反射されて、足載置板4の下面から下方へ出射される。その反射光の一部がカメラ8のレンズに入射される。
照明素子9や遮蔽部材40は、カメラ8(8L,8R)の視野角度α1の範囲(範囲KL,KRをカバーする範囲)外の位置に配置されている。これにより、カメラ8の画像への照明の写り込みが防止、低減される。
[測定器(7)−光学系(2)]
図6は、図5のうち特に左上の角隅の箇所B1(筐体上面左辺フレーム付近)を拡大した構成を示す。なお、図5の右上の角隅の箇所(筐体上面右辺フレーム付近)も左右対称で同様の構成である。図6で、筐体5(特に外側カバー)内の左上角隅の領域では、フレーム10がY方向に延在している。そのフレーム10には、前述のX方向に延在するフレーム10や、Z方向に延在するフレーム10が接続されている。
第1種照明素子である照明素子E2およびそれと組になる拡散板31は、平板の矩形の長辺がY方向に延在し、短辺がZ方向に延在している。照明素子E2は、発光面が筐体5側面に平行に配置されている。照明素子E2の発光面の光軸J2の方向はX方向の左から右である。また、拡散板31は、照明素子E2の発光面に平行に配置され、フレーム10に対して固定されている。
照明素子E2からの発光は、拡散板31を通じて拡散されて一様化された発光分布の照明光となる。その照明光のうちの多くの成分は、筐体5内での反射、回折等の作用を通じて、間接的に、足載置板4の下面(特に足裏載置領域)に照射される。照明素子E2からの照明光のうちの一部の成分は、直接的に、足載置板4の下面(特に足側面部)に照射される。それらの照明光は、足載置板4および足裏で反射されて、カメラ8のレンズに入射する。
照明素子E2は、X方向の位置としては、筐体5(特に外側カバー)の左側面(面P3)の内面に近接した位置Xaに配置されている。この位置Xaは、足載置板4の透過する面領域のX方向の外周の位置Xb(左上角隅のフレーム10の右側面の位置)から、所定の距離DXで離れた位置である。この位置Xaは、第2種照明素子である照明素子E8の位置Xcからも所定の距離で離れた位置である。照明素子E2は、Z方向の位置としては、足載置板4の位置Zaから下方の所定の距離DZの位置Zbに配置されている。この位置Zbは、左上角隅のフレーム10よりも下側の位置である。このような配置関係によって、第1種照明素子(照明素子E2等)からの照明が、足載置板4で反射してカメラ8の画像に写り込む度合いが抑えられている。
図6のように、距離DX等があるので、照明素子E2の位置からの発光(照明光)は、足載置板4上の左足足裏(図5)に対して反射等を通じて間接的に当たる成分が多くなるように、好適なバランスで設計されている。照明素子E1,E3,E4についても同様に設計されている。第1画像での照明の写り込みが強くなりすぎないように、照明素子E2からの光のうち、ある程度までの光量の成分が、直接的に足側面部に対し照射されるように設計されている。そのため、第1画像では、照明の写り込み(白くなりすぎて形状がわかりにくくなること等)を抑えつつ、足裏外形が検出しやすくなる。
第2種照明素子である照明素子E8は、X方向の位置としては、足載置板4のX方向の左辺の外周の側端に近接した位置Xcに配置されている。図6では、特に、照明素子E8は、左上角隅のフレーム10に支持されるようにして、筐体5(外側カバー)内に固定されている。また特に、照明素子E8は、発光面の光軸J8の方向が、右斜め上方向となる向きで配置されている。照明素子E8の光軸J8が足載置板4の側端面に交わる位置関係となっている。照明素子E8からの発光は、図5のように、足載置板4の側端面から入射した光が、足載置板4内部の上面と下面との間で反射を繰り返しながらX方向に進む。
足載置板4上面において足裏が接触していない箇所(例えば足側面部の範囲M3)と、足裏が接触している箇所(接地面の範囲M2)とでは、屈折率が異なる。そのため、第2種照明素子からの照明光は、特に、接地面の範囲M2でZ方向の下方に反射される光成分を多く生じる。これにより、カメラ8では、足裏接地面領域をよく表す画像を撮像することができる。なお、照明素子E8の配置は、図6の配置に限らず可能であり、例えば発光面がZ方向に立つ配置等としてもよい。
図7は、図3のうち特に左上の角隅の箇所A1(筐体上面前辺フレーム付近)を拡大した構成を示す。なお、図3の右上の角隅の箇所(筐体上面後辺フレーム付近)も同様の構成である。図7で、筐体5(特に外側カバー)内の左上角隅の領域では、フレーム10がX方向に延在している。そのフレーム10には、前述のY方向に延在するフレーム10や、Z方向に延在するフレーム10が接続されている。
第1種照明素子である照明素子E5およびそれと組になる拡散板32は、平板の矩形の長辺がX方向に延在し、短辺がZ方向に延在している。照明素子E5の発光面の光軸J5の方向はY方向の前から後である。拡散板32は、フレーム10に取り付けられている。照明素子E5は、Y方向の位置としては、筐体5(特に外側カバー)の前側面(面P5)の内面に近接した位置Yaに配置されている。この位置Yaは、足載置板4の透過する面領域のY方向の外周の位置Ybから、所定の距離DYで離れた位置である。照明素子E5は、Z方向の位置としては、同様に、足載置板4の位置Zaから下方の所定の距離DZの位置Zbに配置されている。この位置Zbは、左上角隅のフレーム10よりも下側の位置である。
図7のように、照明素子E5の位置からの発光は、足載置板4上の足裏載置領域(特に踵側)に対して反射等を通じて間接的に当たる成分が多くなるように設計されている。照明素子E6についても同様に設計されている。
上記のように、実施の形態1では、第1種照明素子から直接的に足載置板4の面(足裏載置領域)へ照射される光の成分が少なく、筐体5内での反射や回折等の作用を通じて間接的に照射される光の成分が多いように設計されている。これにより、足裏の足側面部等に対する照明光量を確保すると共に、カメラ8の画像への照明の写り込みを防止、低減している。これにより、カメラ8の画像に現れる望ましくない輝度分布差を防止、低減しており、足裏の外形や接地面の検出の精度を高めている。
[測定器(8)−光学系(3)]
上記光学系を含む測定器2の構成では、他にミラーやレンズ等の光学素子は必須ではない。すなわち、装置構成として比較的シンプルである。また、上記光学系を含む測定器2の構成では、足載置板4よりもZ方向の上側には、照明素子9やカメラ8を含め、他の構成要素は配置されていない。すなわち、装置構成としてシンプルであり、小型、安価等が実現されている。
また、上記光学系を含む測定器2の構成では、筐体5の下面(面P2)の近くには、照明素子9が配置されておらず、筐体5の側面の付近に配置されている。後述のように、下面の位置の照明素子から足裏の方向へ照明する構成とする場合、カメラ8の画像への照明の写り込みが強くなり、好適な画像が得られにくく、足裏の外形と接地面との区別がしにくくなる。
上記光学系を含む測定器2の構成では、2種類の照明による好適な2種類の画像(第1画像、第2画像)が得られる。これらの2種類の画像では、それぞれ背景と足裏とのコントラストが大きくなり、足裏の外形や接地面の領域を区別して検出しやすい。そして、その足裏の外形と接地面とを用いて、測定および判断の精度を高めることができる。
[照明制御、撮像制御]
上記光学系を含む構成に基づいて、実施の形態1の足裏測定装置1は、PC3から測定器2の複数の照明素子9の照明制御、およびカメラ8の撮像制御を行うことで、2種類の画像(第1画像、第2画像)を取得する。足裏測定装置1では、測定作業者の撮像ボタン押下に応じて、ほぼ同時に、詳しくは所定の短い時間差(例えば数ミリ秒)のタイミングで、2種類の照明状態を切り替えて、2種類の画像を撮像して取得する。
(1)第1照明タイミングでは、第1種照明素子が第1照明状態(第1照度等の第1照明設定状態)に制御される。(2)第1撮像タイミングでは、第1照明状態の時の2つのカメラ8による第1画像が取得される。第1画像は、図5の範囲M1をよく表す足裏外形画像である。(3)第2照明タイミングでは、第2種照明素子が第2照明状態(第2照度等の第2照明設定状態)に制御される。(4)第2撮像タイミングでは、第2照明状態の時の2つのカメラ8による第2画像が取得される。第2画像は、図5の範囲M2をよく表す足裏接地面画像である。
上記光学系を含む測定器2の構成で、前述のように、2種類の複数の照明素子9である第1種照明素子および第2種照明素子は、それぞれの位置や光軸方向が設定されている。PC3および測定器2では、予め、2種類の照明素子9における、照明設定(第1照明設定、第2照明設定)を有する。この照明設定は、PC3のアプリケーションのユーザ設定で変更可能である。第1照明設定は、少なくとも第1照度の設定を含む。第2照明設定は、少なくとも第2照度の設定を含む。
[動作フロー]
図8は、足裏測定装置1の主な動作のフローを示す。図8のフローは、ステップS11〜S23を有する。図8のフローは、大別すると、ステップS1の撮像処理と、ステップS2の測定・判断処理とを有する。以下、ステップの順に説明する。
(S11) ステップS11で、測定作業者(被測定者自身でもよい)の操作に基づいて、測定器2およびPC3が電源オンで起動され、PC3の表示画面には、図9のようなメニュー画面が表示される。測定作業者は、必要に応じて、画面で設定を行うこともできる。測定器2の2つのカメラ8はオン状態にされる。PC3は、測定器2の2つのカメラ8から動画を入力し、モニタ画像として画面に表示する。
[メニュー画面]
図9は、PC3における第1画面例としてメニュー画面を示す。このメニュー画面は、モニタ領域G1、設定領域G2、操作領域G3、被測定者情報領域G4、測定・判断結果領域G5等を有する。モニタ領域G1には、カメラ8(8L,8R)からの動画が、所定のフレームレートでモニタ画像として表示される。モニタ画像のフレームレートは設定可能である。設定領域G2では、カメラ8や照明素子9等に関するユーザ設定が可能となっている。例えば、撮像時の全体的な明るさ等が設定可能である。
操作領域G3では、測定作業者が操作や指示を入力するための項目がボタン等で設けられている。例えば、「被測定者入力」、「撮像」(画像キャプチャ)、「測定・判断」、「結果出力」等のボタンがある。「被測定者入力」では、次に対象者とする被測定者の情報を入力して測定前の準備状態とすることができる。複数の被測定者がいる場合には、その複数の被測定者の情報から、1人ずつの情報を順に読み込み可能である。また、ID等の入力によって、被測定者情報の検索も可能である。「撮像」では、ソフトウェアの撮像ボタンとして、カメラ8による撮像(PC3への画像キャプチャ)を指示できる。「測定・判断」では、撮像画像を用いた測定・判断処理の実行を指示できる。「結果出力」では、測定・判断の結果情報の保存や出力(表示または印刷等)を指示できる。被測定者情報領域G4には、読み込まれた被測定者の基本情報(例えばID、性別、年齢、名前等)が表示され、それらの情報の手動登録も可能となっている。測定結果領域G5には、測定・判断の結果情報がある場合に表示され、測定前状態では値が表示されていない。
[撮像処理]
(S12,S13) ステップS1の撮像処理のうち、ステップS12,S13を有する。ステップS12では、対象者の両足を足載置板4上に載置してもらう。測定作業者は、モニタ画像を確認しながら、適切な両足載置状態の時に、撮像ボタンを押す。適切な両足載置状態は、両足が前述の撮像範囲内にあって左右足のバランスが崩れていない状態である。撮像ボタンは、ハードウェアの操作器7の撮像ボタンでもよいし、画面内に設けられたソフトウェアの撮像ボタンでもよい。
なお、対象者の両足の載置の際には、足裏が足載置板4の上面の撮像範囲(範囲KL,KR)内に載置されていればよく、基準位置からある程度ずれていたとしても、充分に高精度に測定が可能である。測定器2の光学系は、そのようなずれを許容するように設計されている。また、測定作業者が、画面のモニタ画像を見ながら、対象者の両足の載置位置を、好適な位置、すなわち基準位置付近に移動させるように、両足載置状態の調整作業を行うことも可能である。調整を行う場合、より好適な画像が得られるので、測定精度を高めることができる。
ステップS13で、PC3は、撮像ボタン押下の契機で、測定器2への照明制御を実行する。この際、前述のように、PC3は、2種類の照明制御のための制御信号を、制御IC23へ送信する。
PC3は、第1照明タイミングで、第1種照明素子を第1照明状態にするように、第1照明設定の制御信号(例えば第1照度の数値が指定された信号)を、制御IC23へ送信する。制御IC23は、その制御信号を受けると、対応する信号(例えば第1照度に対応する電圧値に変換された駆動信号)を、第1種照明素子である各照明素子9(E1〜E6)へ与える。これにより、第1種照明素子は、第1照度の第1照明状態で発光する。PC3は、第1照明タイミングに対応した第1撮像タイミングで、2つのカメラ8の動画のうちの左右の2つの画像フレームを、第1画像(第1キャプチャ画像)として取り込む。第1キャプチャ画像は、以降の第1画像(足裏外形画像)の処理の基本画像となる。
次に、PC3は、第2照明タイミングで、第2種照明素子を第2照明状態にするように、第2照明設定の制御信号(第2照度の数値が指定された信号)を、制御IC23へ送信する。制御IC23は、その制御信号を受けて、対応する信号を、第2種照明素子である各照明素子9(E7〜E10)へ与える。これにより、第2種照明素子は、第2照度の第2照明状態で発光する。PC3は、第2照明タイミングに対応した第2撮像タイミングで、2つのカメラ8の動画のうちの左右の2つの画像フレームを、第2画像(第2キャプチャ画像)として取り込む。第2キャプチャ画像は、以降の第2画像(足裏接地面画像)の処理の基本画像となる。
また、PC3は、上記第1、第2キャプチャ画像の取り込みの際に、第1前処理として、各画像の全体に対し、ノイズ除去・平滑化のために、公知のガウシアンフィルタをかけるフィルタ処理を施す。また、PC3は、第2前処理として、第1、第2キャプチャ画像の各画像について、左右の2つの画像を1枚の画像に連結・合成する処理を施す。例えば第1キャプチャ画像は、左右の2つのカメラ8(8L,8R)の2つの画像から構成されている。PC3は、処理冗長性を減らすため、左右の2つの画像を1枚の画像に連結・合成する。以下では、前処理後の画像を、第1、第2キャプチャ画像と称する。
図11は、ステップS1で得られるキャプチャ画像の例を示す。図11の(1)は、第1画像に対応する第1キャプチャ画像(第1カラー画像ともいう)を示し、(2)は第2画像に対応する第2キャプチャ画像(第2カラー画像ともいう)を示す。キャプチャ画像は、カメラ8の性能に応じたフルカラー画像である。図11では、実際にはグラデーションを持ち立体的な像を表すカラー画像(グレー画像でも同様)を、模式的な表現で図示している。カメラ8の画像は、行列状の複数の画素で構成され、各画素に値を有する。画像の背景はほぼ黒色である。画像111は、第1画像のうち右足裏の部分を示す。実線領域の白い部分では比較的輝度が高く、破線領域(ドットパターン)では比較的輝度が低い。画像112は、第2画像のうち右足裏の部分を示す。実線領域の白い部分では比較的輝度が高く、破線領域(ドットパターン)では比較的輝度が低い。
(S14) PC3は、ユーザ設定されている処理タイプが、通常処理タイプであるか、複数対象者の一括処理タイプであるか否かの確認に応じて、処理を分岐する。通常処理タイプは、対象者一人毎に、撮像処理と測定・判断処理とを続けて実行してその対象者の結果を出力するタイプである。複数対象者の一括処理タイプは、複数の被測定者について、順次に一括で各足裏画像を撮像する処理を行い、その後にそれらの複数の被測定者の足裏画像に基づいて測定・判断処理を順次に一括で実行するタイプである。一括処理タイプの場合(一括撮像処理が未終了の場合)(Y)には、ステップS12に戻り、次の被測定者について同様に繰り返される。通常処理タイプの場合(N)には、ステップS2(S15)に進む。
[測定・判断処理]
(S15) ステップS2の測定・判断処理は、ステップS15〜S22を有する。ステップS15で、PC3は、ステップS13で得た第1画像および第2画像の各画像(図11の各カラー画像)について、カラー/グレー変換処理を行うことで、グレー画像(第1グレー画像、第2グレー画像)を得る。カラー/グレー変換処理は、カラー画像のフルカラーの多階調を、所定のグレースケールの複数階調に変換する処理である。例えば、画素におけるR(赤),G(緑),B(青)の各値から、公知の所定の変換式に基づいて、HSB系の明度値(B)、あるいはYCrCb系の輝度値(Y)に変換される。また、このカラー/グレー変換処理では、次のステップS16の二値化処理で必要な閾値(二値化閾値)を算出して自動設定する。このグレー画像の段階では、足裏の外形や接地面等の領域とその外側の領域とがグラデーションで表現されており、明確には分離されていない。
(S16) ステップS16で、PC3は、ステップS15で得た各グレー画像(第1グレー画像、第2グレー画像)について、グレー/二値化変換処理を行うことで、二値化画像(第1二値化画像、第2二値化画像)を得る。このグレー/二値化変換処理では、上記二値化閾値を用いて、グレースケールの階調値が、白色(1)または黒色(0)の二値のいずれかの値に変換される。本例では、グレー/二値化処理として、公知の判別分析法による二値化処理を用いる。また、PC3は、二値化画像に対し、適度な回数で、公知の膨張・伸縮処理(二値化処理に伴う処理)を施すことで、ノイズ除去・平滑化を施す。ノイズは、例えば足裏外形領域内で、白値以外の黒値が点在する箇所である。
図12は、ステップS16で得られる二値化画像の例を示す。図12の(1)は第1二値化画像、(2)は第2二値化画像を示す。図示のように、二値化画像では、足裏の外形や接地面等の領域とその外側の領域とが二値によって明確に分離されている。第1二値化画像は、足裏外形がよく表されている。画像121は、足裏外形領域に対応する。第2二値化画像は、足裏接地面がよく表されている。画像122は、足裏接地面領域に対応する。なお、説明用に、左足画像では、足裏領域を、概略的に分けて、(a)足趾部、(b)前部、(c)中部、(d)後部として示す。また、第1足趾、第5足趾、踏まず部(いわゆる土踏まず)を示す。前部は足趾付け根部等に対応する。中部には踏まず部を有する。後部は踵部に対応する。
なお、PC3は、第1二値化画像の画像121から、足裏外形領域の輪郭線に対応する近似曲線等を算出してもよい。同様に、PC3は、第2二値化画像の画像122から、足裏接地面領域の輪郭線に対応する近似曲線等を算出してもよい。また、PC3は、足裏外形領域の面積や、足裏接地面領域の面積等を、画素数等によって算出してもよい。
(S17) また、ステップS17で、PC3は、ステップS15で得た第2グレー画像について、グレー/足圧分布変換処理(色変換処理)を行うことで、足圧分布画像を得る。このグレー/足圧分布変換処理(色変換処理)は、グレースケールの複数階調を、所定の色スケールの複数階調に変換する処理である。
図13は、ステップS17で得られる足圧分布画像の例を示す。この足圧分布画像は、色の分布によって、概略的に、足裏の接地状態による足圧の分布が表されている。足圧分布画像は、実際には所定の色スケール(例えば青色から黄色まで)のグラデーションを持つ画像であるが、図13では、模式的に、グラデーションを3つの色領域(領域131,132,133)に区分して図示している。例えば、領域131は青色、領域132は赤色、領域133は黄色である。また特に、領域134(二点鎖線)は、所定の色閾値以上となる領域を抽出した例を模式的に示している。この領域134は、足裏で特に足圧が高い箇所に対応する。このような領域134等の現れ方は、対象者毎に異なる。
なお、上記足圧分布画像の処理については、オプション機能としてもよく、ユーザ設定に応じて、上記足圧分布画像の処理を行わないようにしてもよい。
(S18,S19) ステップS18で、PC3は、第1画像(特に第1二値化画像)に基づいて、足長を測定する。また、ステップS19で、PC3は、第1画像(特に第1二値化画像)に基づいて、足幅を測定する。第1画像は、足裏外形領域をよく表しているので、足長、足幅を高精度に測定可能である。この際、PC3は、第1二値化画像から、例えば最大面積を持つ白値の塊(ブロブ)を検出する処理(ブロブ解析処理)を行い、その塊領域を、足趾領域を含む足裏外形領域とし、その塊領域を包含する最小矩形を算出する。
図14の(1)は、足長、足幅の測定について示す。図14の(1)では、図12の第1二値化画像の画像121に対応する足裏外形領域画像141を背景として、足長FL、足幅FW等を示す。右足画像の例で説明するが、左足画像でも同様である。PC3は、足裏外形領域画像141に対し、最小矩形140を算出して設定する。最小矩形140は、足裏外形領域を包含する最小の矩形である。なお、最小矩形140は、図示のように、足載置板4のX−Y平面における各足の載置(開き)の方向に応じた辺を持つ矩形として算出される。
PC3は、足裏外形領域画像141と最小矩形140との接点(接点p1〜p4とする)を抽出する。接点p1は最小矩形140の上辺に接する足趾側の接点である。接点p1は、例えば第2足趾が最も外側に出ている例を示すが、第1足趾になる場合もある。接点p2は最小矩形140の下辺に接する踵側の接点である。接点p3は最小矩形140の左辺(外周側)に接する外周側足側面部の接点である。接点p4は最小矩形140の右辺(内周側)に接する内周側足側面部の接点である。接点p3は例えば脛側中足点に対応する部分であり、接点p4は例えば腓側中足点に対応する部分である。
PC3は、最小矩形140の上辺の接点p1と下辺の接点p2とを結ぶ直線をとり、その直線の長さを、足長FLとして算出する。PC3は、最小矩形140の左辺の接点p3と右辺の接点p4とを結ぶ直線をとり、その直線の長さを、足幅FWとして算出する。なお、上記画像に基づいて、足長FL、足幅FWに限らず、他の寸法を測定してもよい。他の寸法の測定方式は、情報処理上で定義される。
(S20) ステップS20で、PC3は、第1画像(特に第1二値化画像)に基づいて、足趾角度を測定する。第1画像は、足裏外形領域をよく表しているので、足趾角度を高精度に測定可能である。また、PC3は、測定した足趾角度に基づいて、外反母趾指標値を算出し、外反母趾指標値に基づいて、外反母趾の判断を行う。なお、実施の形態1では、足趾角度に基づいて所定の計算によって外反母趾指標値を算出する。これに限らず、単純化して、足趾角度を外反母趾指標値とみなしてもよい。
図14の(2)は、足趾角度の測定について示す。図12の第1二値化画像の画像121に対応する足裏外形領域画像141を背景として、足趾角度θ1,θ2等を示す。右足画像の例で説明するが、左足画像でも同様である。PC3は、足裏外形領域画像141における、外周側の足側面部の接点p3と、内周側の足側面部の接点p4とを用いる。PC3は、例えば接点p4から、内周側の足側面部(踵から第1足趾まで)の形状を表す2本の近似線(曲線を直線で近似した線)をとる。例えば、第1近似線L11、第2近似線L12を実線で示す。第1近似線L11は、接点p4から足趾(例えば第1足趾の側端)の方向に側面に沿って延在する直線である。第2近似線L12は、接点p4から踵(踵の側端)の方向に側面に沿って延在する直線である。同様に、PC3は、接点p3から、外周側の足側面部の形状を表す2本の近似線をとる。例えば、第1近似線L21、第2近似線L22を示す。
PC3は、外周側および内周側のそれぞれで、2本の近似線が成す角度を、足趾角度として算出する。例えば、PC3は、内周側の第1近似線L11と第2近似線L12とが成す角度を、足趾角度θ1とする。PC3は、外周側の第1近似線L21と第2近似線L22とが成す角度を、足趾角度θ2とする。
PC3は、例えば、足趾角度θ1,θ2を、それぞれ、所定の角度閾値やその範囲と比較することで、外反母趾の形状の異常に関する可能性や度合いを、例えばいくつかのレベルで判定し、その判定結果を外反母趾指標値とする。例えば、足趾角度θ1が、所定の第1角度閾値以上で第2角度閾値未満の第1範囲内である場合には、第1足趾側の外反母趾の可能性や度合いが第1レベルであると判定され、外反母趾指標値として第1レベルとされる。
(S21) ステップS21で、PC3は、第2画像(特に第2二値化画像)に基づいて、接地比率を測定する。また、PC3は、測定した接地比率に基づいて、垂下指標値を算出し、垂下指標値に基づいて、垂下の状態の判断を行う。なお、実施の形態1では、接地比率に基づいて所定の計算によって垂下指標値を算出する。これに限らず、単純化して、接地比率を垂下指標値とみなしてもよい。垂下の状態は、縦アーチの崩れによって、足裏のうちで踏まず部の割合からも判断ができる。
図15は、接地比率の測定について示す。図15の上側の画像では、図12の第2二値化画像の画像122に対応する足裏接地面領域画像151を背景として、接地比率R1等を示す。図15の下側の画像では、接地比率の算出のために用いる、足裏外形領域画像141等を示す。PC3は、まず、足裏接地面領域画像151に基づいて、接地面領域のうちの横方向(最小矩形140の縦横の辺の方向を基準とする)で最も狭い幅となる位置を検出する。最も狭い幅を、幅H1で示す。幅H1に対応する、縦方向の位置を位置y1で示す。次に、PC3は、足裏外形領域画像141において、上記幅H1に対応する位置y1における、足裏外形領域のうちの横方向の幅を算出する。その幅H2を示す。
次に、PC3は、足裏接地面領域画像151において、上記幅H2に対応する線分を重ね合わせて、幅H2に対する幅H1の比率(H1/H2)を、接地比率R1として算出する(R1=H1/H2)。この接地比率R1は、足裏外形領域のうち足裏接地面領域が重なっている部分の比率を表している。もしくは、接地比率R1は、幅H2に対する幅H3の比率(H3/H2)と定義してもよい。幅H3は、幅H2の線分のうち、幅H1が重なっていない、内周側の踏まず部に対応する部分の長さである。他の処理例としては、PC3は、足裏の外形領域の面積と接地面領域の面積とを算出し、それらの面積比率を算出してもよい。
PC3は、算出した接地比率R1を、所定の比率閾値やその範囲と比較することで、垂下(扁平足を含む)の形状の異常に関する可能性や度合いを、例えばいくつかのレベルで判定し、その判定結果を垂下指標値とする。例えば、接地比率R1(=H1/H2)が、所定の第1閾値以上で第2閾値未満の第1範囲内にある場合には、垂下の可能性や度合いが第1レベルであると判定され、垂下指標値として第1レベルと出力される。
なお、上記画像に基づいて、外反母趾、垂下に限らず、他の形状の異常に関する指標値を算出してもよい。例えば、図13の足圧分布画像に基づいて、閾値以上となる領域134の数や位置から、ハイアーチ等の形状の異常に関する指標値を算出してもよい。
上記のように、第1画像(足裏外形領域)と第2画像(足裏接地面領域)との差分に基づいて、指標値を算出することで、高精度の判断が可能である。他の測定値や指標値の例としては、踏まず部の面積や面積比率等を用いてもよい。また、足圧分布画像に基づいて、重心位置や足圧が最も高い位置や左右足間の偏り等を算出してもよいし、それらの足裏状態を所定のいくつかのパターンに分類して判定してもよい。例えば、足圧が前寄りであるパターン、後寄りであるパターン等が判定可能である。なお、各形状の判断用指標値の閾値やその範囲等については、PC3のプログラムで設定されていて、適宜設定変更可能である。例えば、対象者の年齢等に応じて異なる閾値が設定されてもよい。
PC3では、ユーザ設定に応じて、以下の判断処理をさらに行ってもよい。PC3は、図13のような足圧分布画像から、所定の色閾値を用いて、その色閾値以上となる領域がある場合には抽出する。例えば領域134が抽出される。抽出される領域は、足裏で相対的に足圧が特に大きい箇所を表している。PC3は、その抽出された領域の数や位置を把握する。PC3は、その領域の数や位置の分析に基づいて、ハイアーチ等の形状の異常の指標値を算出する。また、変形例としては、図13のような足圧分布画像における所定の色のグラデーションを、所定の複数種類の色領域に区分する処理を施して、色領域区分画像を生成してもよい。
(S22) ステップS22で、PC3は、一括処理タイプの場合に複数の対象者の測定・判断処理が終了したかどうかを確認し、終了していない場合(N)にはステップS15へ戻って次の対象者について同様に繰り返す。通常処理または一括処理が終了した場合(Y)にはステップS23へ進む。
(S23) ステップS22で、PC3は、対象者の測定・判断処理の結果情報を、PC3内部または外部の記憶手段に保存すると共に、結果画面を表示する。結果情報は、前述の第1画像、第2画像、足圧分布画像、寸法の測定値、形状の判断結果等が含まれる。
[結果画面]
図10は、第2画面例として結果画面を示す。この結果画面は、結果画像領域G11、画像選択領域G12、操作領域G13、被測定者情報領域G4、測定・判断結果領域G5を有する。例えば、通常処理タイプの場合、ある被測定者の測定・判断処理が終了すると、自動的にこの結果画面が表示される。他にも、メニュー画面で対象者を指定して「結果出力」ボタンから、結果画面が表示できる。
結果画像領域G11では、画像選択領域G12で選択されている種類の画像が表示される。本例では、結果画像領域G11に、両足の足裏外形領域画像と足裏接地面領域画像とを重ね合わせた状態で表示しているが、個別の並列表示等も可能である。画像選択領域G12では、結果画像領域G11で表示する画像の種類が測定作業者によって選択可能である。同時に1種類以上の画像が選択可能である。選択項目の例として、「全部」、「カラー」、「グレー」、「足圧分布」、「外形」、「接地面」、「寸法,形状の異常」等がある。「全部」項目が選択された場合、結果画面内に全種類の画像が並列に並べられて表示される。「カラー」項目の場合、前述のカラー画像(キャプチャ画像)が表示される。「グレー」項目の場合、前述のグレー画像が表示される。「足圧分布」項目の場合、前述の足圧分布画像が表示される。「外形」項目の場合、前述の足裏外形画像(第1画像)(例えば第1二値化画像または足裏外形領域画像141)が表示される。「接地面」項目の場合、前述の足裏接地面画像(第2画像)(例えば第2二値化画像または足裏接地面領域画像151)が表示される。「寸法,形状の異常」項目の場合、前述の図14のような寸法測定用の画像(例えば足裏外形領域画像141)、足長FLや足幅FWを表す画像、形状判断用の画像(例えば足裏接地面領域画像151)、および形状の異常の指標値を表す画像等が表示される。前述の測定・判断処理中に使用した各画像を適宜に表示可能である。
測定・判断結果領域G5では、対象者の結果情報として、寸法の測定値や、形状の異常の判断値等の情報が、例えば表形式で整理されて表示される。例えば、左足、右足毎に、前述の足長、足幅、足趾角度(外反母趾指標値)、接地比率(垂下指標値)等の値が表示される。図示しないが、結果情報には、測定日時等の情報も付随する。
操作領域G13では、結果出力に係わる操作を指示するためのボタン等が設けられている。例として、「保存」、「やり直し」、「OK(戻る)」等がある。「保存」では、その被測定者の結果情報を記憶手段に保存するように指示できる。「やり直し」では、その被測定者の結果情報を破棄してやり直すように指示できる。「OK(戻る)」では、メニュー画面に戻るように指示できる。図示しない「印刷」が指定された場合、結果情報を所定の形式で印刷出力することができる。
なお、対象者毎の結果情報としては、画像のみ、寸法測定値・形状の判断値のみ、それらの両方、等の種類から選択して設定可能である。測定作業者や被測定者は、結果画面の画像や情報を見ることで、被測定者の足裏状態を詳しく見て確認することができ、寸法、形状の異常の可能性や度合い等を認識することができる。専門知識がある人の場合には、画像から多くを読み取ることもできる。集団健診等の場合には、複数の対象者の寸法等の情報を、効率的に測定可能である。また、必要に応じて、対象者個人の結果情報を、専門医療機関や靴選定等の用途に連携して役立てることも可能である。
通常処理タイプの場合、得られた対象者の結果情報が、基本情報に関連付けて、PC3の内部または外部のDB等に保存される。一括処理タイプの場合、得られた複数の対象者の結果情報が、基本情報に関連付けて、PC3の内部または外部のDB等に保存される。
また、PC3では、機能の1つとして、DBの対象者の結果情報に対し、条件を指定して、一部の情報を抽出することも可能である。PC3は、例えば、形状の判断値について、条件を指定して、その可能性や度合いが比較的高い人の情報を抽出して、アラートと共に出力させることも可能である。
[形状の異常]
なお、足裏の形状の異常に関する補足としては以下である。足趾の変形として、一般に外反母趾は、足趾(例えば第1足趾である母趾)が内側の方向に曲がるように変形している状態を称する。前述の足趾角度が大きいほど、外反母趾の可能性や度合いが高いといえる。踏まず部(いわゆる土踏まず)は、非接地面に対応し、アーチによって形成されている。アーチは、縦アーチ(内側アーチや外側アーチ)や横アーチ(前部アーチ)がある。統計的に標準的な足裏形状では、アーチの大きさが所定の大きさの範囲内にあり、一定の面積が確保される。開帳足とは、横アーチの崩れにより足幅が広くなった形状を指す。また、垂下足とは、開帳足が進行し、縦アーチも崩れることによって、足裏のうちで踏まず部の割合がさらに少ない状態となり、扁平足への移行状態といえる。垂下の度合いが大きい場合、踏まず部が無い状態となり、いわゆる扁平足に相当する。一般に、逆に、ハイアーチとは、踏まず部に対応するアーチ(特に縦アーチ)が高すぎる場合で、接地面積が減少する状態が呼ばれる。
なお、一般に、子どもの発育の段階に応じて、足趾角度や接地比率等が変化する。例えば、5歳〜15歳頃の期間では、足先がしまるにつれて足趾角度が少しずつ大きくなり、アーチの形成につれて接地比率が少しずつ小さくなる。そのため、年齢等に応じて、足裏の適切な状態は異なることが想定される。足裏測定装置1では、そのことを考慮して、判断用の閾値等が設定されている。足裏形状には個人差もあるが、足裏測定装置1では、個人に即した支援が可能である。
なお、足裏測定装置1により算出、判定等される判断情報は、あくまで概略的に可能性(疑い)や度合いを見積もる情報である。この判断は、専門医療行為そのものではないが、足からの健康や既存の医療等を支援することができる有用な情報である。
[外光防止カバー、基準マーク]
図16は、測定器2についての補足的な構成を示す。測定器2には、構成要素として、外光防止カバー161が付属している。外光防止カバー161は、測定器2本体に対して利用者が適宜に取り付けおよび取り外し可能な付属物である。足載置板4の上面よりも上側の両足付近空間では、なるべく外光が遮光された暗い状態とした方が、より好適な撮像ができる。そのため、測定時に外光防止カバー161を用いて外光遮光状態を形成する。
図16の外光防止カバー161の構成例では、概略的に箱状であり、筐体5および足載置板4の面に合わせたサイズ、および人の両足を十分に覆うことができるサイズを有する。外光防止カバー161は、足載置板4の面に対応する底面が開口となっている。外光防止カバー161は、上面に、両足を出し入れするための開閉穴部が設けられている。外光防止カバー161は、内面が黒膜(可視光遮蔽膜)で覆われており、外光入射が防止される。外光防止カバー161は、例えば合成樹脂等で構成できる。
被測定者の測定時には、足載置板4上に外光防止カバー161が設置され、外光防止カバー161内に被測定者の両足が挿入されて足載置板4上に載置される。その状態で撮像が行われる。これにより、撮像時に、より好適な照明状態が形成され、撮像画像で背景が黒色になる。
あるいは、他の構成例としては、被測定者の測定時に、足載置板4上に両足が載置された後に、両足を覆うように外光防止カバー161が設置される形態としてもよい。この場合、外光防止カバー161は、分離および接続が可能な複数の部品から構成される。
あるいは、外光防止カバー161は、被測定者の膝下等に対して着脱可能であるスカート形状の付属物としてもよい。なお、暗室内で測定器2を利用して撮像する場合等には、外光防止カバー161の利用は必須ではない。
また、図16の測定器2の構成例では、足載置板4のX−Y平面において、両足を載置する基準となる2つの位置(前述の範囲KL,KRの中央、カメラ8の光軸位置)に、基準マーク162が形成されている。基準マーク162は、例えばクロス(十字)形状としているが、これに限らず可能である(例えば矩形枠線等も可能)。被測定者に基準位置を伝えることができ、撮像画像において邪魔にならない形状であればよい。また、PC3は、画像内の基準マーク162と足裏との位置関係を判断する処理を行ってもよい。例えば、PC3は、基準マーク162からの距離閾値等を用いて、被測定者の足載置位置等の状態が好適かどうかを判断して、好適でない場合には、足位置を調整すべき旨の出力を行ってもよい。PC3は、他の処理例としては、画像の左右の足裏状態を比べて、左右の違いを判断し、左右の違いが大きい場合には、その旨を出力してもよい。
なお、足裏測定装置1の構成では、足載置板4の面領域(範囲KL,KR)内に足裏が入るように載置されていれば、その足位置が基準位置からある程度ずれていたとしても、カメラ8で撮像可能であり、充分に高精度の測定等が可能である。また、足裏測定装置1の構成では、前述のモニタ機能もあり、測定時に、足載置板4に載置された両足の状態をモニタして、基準位置に合わせるように調整してもらうことも可能である。また、足裏測定装置1は、測定作業者ではなく被測定者自身が一人で操作して利用する用途の場合でも、被測定者が画面のモニタ画像を確認しながら撮像することが可能である。
さらに、変形例の構成としては、PC3において、モニタ画像に基づいて、足載置板4の上面に対する対象者の両足の位置が、基準位置(基準マーク162)に対して所定の範囲内の位置にあるか、範囲外の位置(ずれが大きい位置)にあるかを自動的に判定する。そして、PC3は、対象者の足の位置が、範囲外にある場合には、足の位置を調整するように、アラートや指示等を出力するようにしてもよい。あるいは、PC3は、左右の画像の比較に基づいて、左右の足の偏り等を判定し、偏りが大きい場合には、アラートや指示等を出力するようにしてもよい。このような構成の場合、両足載置状態の調整を、測定作業者の負担少なく、容易に実現できる。
[経時管理]
足裏測定装置1のPC3は、対象者個人毎に、時系列の複数回の測定の結果情報を履歴として記録して管理する機能も有する。PC3は、対象者個人毎の複数回の結果情報から、経時変化を分析し、その分析結果情報を記録および出力することが可能である。PC3は、例えば対象者毎の結果情報や基本情報等を、内部のDBまたは外部システムのDBに保存し、セキュアに管理する。PC3は、指定された対象者個人の情報を履歴(DB)から検索して出力可能である。PC3は、例えば画面に対象者個人の時系列の複数回(例えば年毎)の結果情報を並べてグラフ等の形式で表示する。これにより、対象者個人の足裏状態の経年変化を視覚的に把握できる。
足裏測定装置1のPC3は、対象者個人毎に、例えば年毎の健診時の結果情報を記録保持しておく。PC3は、例えばある個人の前年の結果情報と今年の結果情報とで、寸法や指標値を比較し、差分値等に基づいて、経年変化度合いを判断する。例えば、足趾角度やその差分値の大きさから、外反母趾の傾向(発生、悪化、改善等)を判断できる。例えば、足趾角度がはじめて所定の閾値を越えた場合には、新たに外反母趾が発生していると推測できる。PC3は、1回の判断結果から、または複数回の経時変化の判断結果から、形状の異常の可能性(疑い)や度合いが高いと判断した場合、注意を要するものとして、結果情報にアラームを付記して出力してもよい。
なお、足裏測定装置1での対象者の測定時には、測定および対象者毎に、一意の識別情報(ID)と測定日時とを含む所定の情報が、結果情報に対応付けて付与され、記録される。対象者個人は、例えばそのIDで識別されてもよいし、そのIDに対して別の個人IDが関連付けられることで識別されてもよい。対象者の基本情報や結果情報の管理については、PC3で行ってもよいし、他の連携するシステムで行われてもよい。
[効果等]
上記のように、実施の形態1の足裏測定設定1によれば、比較的シンプルな、小型、軽量、安価等の装置構成で、子どもから老人までの人の足裏状態を容易かつ高精度に測定および判断が可能である。足裏測定設定1によれば、測定作業者の作業負担を少なくでき、多数の対象者の測定作業の場合でも、効率的に短時間で実現できる。スキルや専門知識があまり無い測定作業者の場合でも測定作業が可能である。足裏測定装置1によれば、個人や集団を対象として、身体測定や健康診断、医療や看護、靴選定等の各種の用途を含め、手軽に広範な用途に利用可能である。これにより、足からの健康促進やトラブル予防、運動能力促進等に貢献できる。例えば学校や会社や病院等で利用可能である。足裏測定装置1によれば、測定作業時に撮像に要する時間としては、一人あたり2〜3秒で済み、測定精度として±1ミリ程度が実現できる。測定器2の重量は例えば5kg程度に抑えられ、軽量であり、持ち運びや移動もさせやすい。
また、足裏測定装置1によれば、対象者個人毎の足裏状態を、経時変化を含めて記録、分析することもでき、より効果的に足からの健康促進やトラブル予防を図ることができる。また、集団の多数の結果情報について統計処理等を行うことで、集団における足裏状態の傾向や把握に活用することもできる。例えば、小学校の集団健診に適用でき、例えば年次の健診毎に、足裏測定設定1を用いて測定および判断を行い、結果情報を経年管理する。これにより、子どもの足の健全な発育を支援し、トラブルを予防することができる。また、その後、長期間で継続的に測定および記録を行ってもよい。過去の結果情報等を検索して参照し、活用することもできる。
足裏測定設定1によれば、2種類の照明制御に基づいて2種類の好適な画像を得ることができ、2種類の画像を用いて、足裏の寸法や形状の異常を、高精度に測定および判断することができる。なおかつ、足裏測定設定1では、その機能を実現するための光学系を含む装置構成として、比較的シンプルで小型等の構成を実現している。
また、上記では、PC3のプログラムに基づいた測定・判断処理例を説明したが、この内容に限るものではない。寸法や形状の異常等に関して、パラメータ等の定義の変更も可能である。PC3のプログラムは、機能の拡張や変更等に応じて、適宜更新や設定変更が可能である。
[他の実施の形態]
他の実施の形態(変形例)の足裏測定装置として以下も可能である。実施の形態1では、両足を同時に測定する構成としたが、これに限らず、前述の測定器2の構成のうちの左右の半分の部分を取り出した装置構成としてもよい。この装置では、片足を測定することができる。
実施の形態1では、カメラ8およびPC3について、リアルタイム動画入力が可能な構成としたが、これに限らず、指定された撮像タイミングでのみ静止画を撮像するカメラや他の種類の撮像素子を用いる形態でもよい。動画によるモニタ機能は必須ではない。
変形例として、ユーザ設定等に基づいて、前述の第1画像と第2画像との一方の画像のみを指定して撮像する構成も可能である。その場合、その指定された画像の種類に対応させて、前述の第1照明状態または第2照明状態となるように制御される。
[比較例]
図17は、実施の形態1の足裏測定装置1に対する、比較例の測定器の構成として、Y方向から第2側面を見たX−Z平面での概略構成を示す。この比較例の測定器の構成では、1つのカメラ80のみを用いて、両足の足裏をまとめて撮像する。このカメラ80は、実施の形態1のカメラ8と同程度の性能を持つものとし、例えば視野角度α1が同じとする。1つのカメラ80が、筐体5の下面の中央の位置X1に配置されている。フレーム10等で構成される箱状の筐体5内には、1種類の複数の照明素子が配置されている。例えば、筐体5の下面において、カメラ80の左右の位置(両足が載置される基準位置の下方の位置)に、照明素子171,172が配置されている。
この構成では、1つのカメラ80の視野角度α1によって、左右の各足の範囲(範囲KL,KR)を含む撮像範囲K0をカバーする必要がある。そのため、カメラ80の配置位置については、足載置板4との間のZ方向の距離として所定の距離D17の確保が必要である。そのため、装置が大型化してしまう。また、この場合、被測定者が足載置板4上に乗る際に比較的高さがあるので、特に子どもや老人の場合には乗り難い。
また、この構成では、筐体5内部空間が比較的大きいので、撮像に必要な照明量の確保のために、比較的多数の照明素子または大照明量の照明素子が必要となり、高コストとなる。
また、この構成では、カメラ80の撮像画像において、足裏の外形領域と接地面領域との区別がしにくくなる。そのため、その画像を用いる場合、寸法の測定精度が低くなる可能性があり、また、垂下等の形状の判断も行いにくい。
また、図17の構成では、足載置板4上の足裏(範囲M1)に対して直接的に照明できる位置に照明素子が配置されている。例えば、足裏下方付近に照明素子171〜174が配置されている。筐体5の側面に近い比較的下方の位置には照明素子173,174が配置されている。例えば照明素子173と足載置板4(特に足裏の領域)とのX方向の距離が比較的小さい。このような照明光学系の場合、照明素子173等から直接的に足載置板4の面に照射されて反射された光がカメラ80に入射する成分が多い。これにより、カメラ80の画像への照明の写り込みの度合いが強くなり、好適な画像が得られにくく、測定や判断がしにくい。
また、他の構成として、カメラ80の視野角度α1の範囲内に照明素子(例えば照明素子175)を配置した構成とする場合、カメラ80の画像への照明の写り込みの度合いが強くなり、測定や判断がしにくい。
また、他の構成として、足側面部に対して横方向(例えばX方向)で照明するように照明素子(例えば照明素子176,177)やミラー等を配置した構成とする場合、足載置板4よりも上側に部品を配置する必要があり、その部品を含めた筐体5の空間が大きくなる。そのため、装置の大型化、高コストとなる。
一方、実施の形態1の足裏測定装置1では、2つのカメラ8を用いているので(図5等)、筐体5のZ方向の距離を比較的小さく抑えることができ、装置の小型化等に寄与している。また、被測定者が足載置板4上に乗る際にも、比較的高さが低いので、子ども等の場合にも乗りやすい。
(実施の形態2)
図18、図19を用いて、本発明の実施の形態2の足裏測定装置について説明する。実施の形態2の足裏測定装置は、実施の形態1の足裏測定装置の変形例であり、基本構成は同様である。以下では、実施の形態2における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。図18は、実施の形態2の足裏測定装置1の測定器2の上下面(面P1,P2)を見たX−Y平面の構成を示す。図19は、図18に対応する第2側面(面P5,P6)を見たX−Z平面の構成を示す。
図18で、この測定器2は、実施の形態1に対して異なる構成点として、図2の第2側面の2つの照明素子9(E5,E6)は無く、代わりに、図18で第1種照明素子として1つの照明素子9(E5)および1つの拡散板33が配置されている。この照明素子9(E5)および拡散板33は、筐体5のX方向の中央の位置X1のフレーム11に対し、Y方向で所定の位置YCに配置されている。実施の形態2では、照明素子9(E5)および拡散板33として、部品が共通化および低減されている。この照明素子E5は、前述の照明素子E1等と同じ型(同じ形状や性能)のものである。拡散板33は、この照明素子E5の発光面をカバーするサイズのものを用いており、Y方向のサイズは照明素子E5と同程度である。
図19で、Z方向の所定の位置Zcに、照明素子E5が配置されている。この位置Zcは、足載置板4から所定の距離の位置であり、実施の形態2では、左右側面の第1種照明素子(E1〜E4)のZ方向の位置(図6での位置Zb)と同程度の位置としている。
拡散板33は、図示のようにX−Z断面では、矩形の上辺を欠く3辺(下辺、左辺、右辺)を持つ凹形状を有する。拡散板33の断面3辺に対応する各平面部(下面部、左側面部、右側面部)は、いずれも光拡散機能を持つ。拡散板33の断面下辺に対応する下面部のX方向のサイズは、その下面部の上に照明素子E5を載せることができるサイズである。拡散板33の断面左辺に対応する左側面部および断面右辺に対応する右側面部のZ方向のサイズは、位置Zcに照明素子E5を配置するために、足載置板4およびフレーム11との間でZ方向の所定の距離を確保できるサイズである。本例では、拡散板33の左側面部および右側面部は、フレーム11の左側面部および右側面部に対して固定されている。
照明素子E5の発光面の光軸J5の方向は、一点鎖線矢印で示すようにZ方向上方である。照明素子E5の発光面からの発光は、主に、拡散板33の左側面部および右側面部のそれぞれの部分を透過して拡散される。これにより、照明光が、図19中の光線の例(破線矢印)で示すように、両足の各足の内周側の足側面部に対して特に良く照明される。これにより、カメラ8(8L,8R)の撮像画像(第1画像)においては、踏まず部を含め、内周側の足側面部が好適に照明されている。これにより、第1画像から足裏外形領域を高精度に検出できる。
なお、拡散板33の下面部でも光拡散機能があるため、ある程度までの光量の光がZ方向下方にも出射されるが、この下方の光量は上記側面方向での光量よりも少なく、撮像画像への影響は小さい。なお、変形例として、照明素子E5の下側に拡散板33の下面部を設けない構成としてもよい。
この照明素子E5および拡散板33による構造物は、筐体5のフレーム10(特に中央のフレーム11)の下面からZ方向下方に凸部として出ている。この凸部は、カメラ8の視野角度α1の範囲外に配置されている。そのため、照明素子E5からのカメラ8の画像への照明の写り込みの度合いが抑えられている。なお、この照明素子E5からの照明光は、足載置板4の面(対応する撮像範囲)おける中央のフレーム11に近い外周寄りの位置の箇所で比較的強い照明となる。そのため、カメラ8の画像では、その外周寄りの位置の箇所で比較的白い色として写るが、足裏外形領域の外側は背景黒色として写る。そのため、その画像では、特に問題無く、足裏外形領域を高精度に検出可能である。
また、本例では、照明素子E5および拡散板33のY方向の配置位置としては、図18のように、Y方向の中央の位置Y1よりもやや前側面(面P5)寄りの位置YCとしている。照明素子E5および拡散板33の配置領域としては、概略的に、Y方向の中央の位置Y1よりも前側半分の領域としている。これは以下の理由からである。足載置板4における撮像範囲(範囲KL,KR)において、足の基準位置に対し、両足の内周側の足側面部をみてみる。その場合に、足の基準位置に対し、Y方向でやや前側面(面P5)寄りの位置には、図12等の例のように、踏まず部がある。この踏まず部の概略的な配置位置に対応させて、照明素子E5および拡散板33のY方向の位置YCが設計されている。この配置関係に基づいて、照明素子E5および拡散板33からの照明光が、両足の内周側の足側面部に対して好適に照明されるようにしている。すなわち、カメラ8の画像(第1画像)では、踏まず部が、より白に近い色で写ることになり、足裏外形が検出しやすくなる。
また、さらに言えば、カメラ8の画像の足裏領域としては、図11等の例のように、一般的に、足趾側(Y方向の後側)の方が、踵側(Y方向の前側)よりも足幅方向(X方向)で大きい領域となる。そのため、例えば左足(左側のカメラ8L)の画像をみた場合に、足趾側の領域と、踵側の領域とを比べると、足趾側の領域の方が、画像の外周の左辺(フレーム11側の辺)に近くなりやすい。画像の外周の左辺に近い位置は、上記のように照明素子E5による照明光の影響を受けやすい。そのため、照明素子E5および拡散板33のY方向の配置位置を、踵側に対応する前面(面P5)寄りの位置にしている。これにより、画像の外周の左辺に近い位置のうち、足趾側に対応する後面(面P6)寄りのY方向の位置では、相対的に、照明光の影響が小さくなる。これにより、例えば左足(左側のカメラ8L)の画像で、足裏外形の内周側の足側面部の形状を、足趾部および踵部に依らずに、より捉えやすくなる。
実施の形態2での照明制御については以下である。実施の形態2では、第2種照明素子は実施の形態1と同じであり、第1種照明素子については、第1側面(面P3,P4)の方の照明素子9(E1〜E4)と、中央の照明素子9(E5)とを有する。PC3は、前述の照明制御における第1画像のための第1照明タイミングでは、第1照明状態として、照明素子9(E1〜E4)を第1照度に設定し、かつ、照明素子9(E5)を所定の照度(第3照度とする)に設定する。これらの照度は独立に設定可能となっている。例えば、照明素子E5の第3照度は、第1照度と同じにされてもよいし、第1照度とは異なる照度(より大きい照度またはより小さい照度)にされてもよいし、いずれも可能である。また、前述の第2画像のための第2照明タイミングでは、第2照明状態として、第2種照明素子が第2照度に設定される。その際、照明素子E1〜E4および照明素子E5は、それぞれ、オフ状態にされてもよいし、所定の小さい照度に設定されてもよい。
実施の形態2の照明光学系でも、実施の形態1と同様に、複数の照明素子9、特に第1種照明素子は、概ねカメラ8の視野角度範囲外で、Z方向では所定の位置に配置されている。これらの照明素子9からの光は、筐体5内での反射、回折等を通じて、足載置板4上の足裏領域に対して、間接的に照射される成分が多い照明光として照射される。特に、照明素子E5からの照明光については、拡散板33の左右側面部を経由して、両足の内周側の足側面部に対して、直接的に、ある程度までの光量の照明光が照射されるように設計されている。そのため、カメラ8の第1画像において、照明の写り込みの度合いを抑えつつ、足裏外形を検出しやすくしている。
上記のように、実施の形態2の足裏測定装置1によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。実施の形態2の変形例として以下も可能である。変形例の測定器2の構成では、X方向の中央の位置X1、Z方向の所定の位置Zcで、Y方向ではいずれかの位置に、1つ以上の照明素子9(第1種照明素子)および1つ以上の拡散板33が配置される。例えば、2つの照明素子が配置される。この2つの照明素子は、照明素子E1等と同様に、光軸の方向が、X−Y平面内の例えばX方向(またはX方向から所定の角度で上下にずれた方向)とされる。この2つの照明素子として、中央のフレーム11に対し、左側面に対応する位置に、光軸がX方向左向きの左側照明素子が配置され、右側面に対応する位置に、光軸がX方向右向きの右側照明素子が配置される。左側照明素子からの照明光が、左足の内周側の足側面部によく照射され、右側照明素子からの照明光が、右足の内周側の足側面部によく照射される。
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。