JP2019141311A - せん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法 - Google Patents

せん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法 Download PDF

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俊一郎 宮崎
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Abstract

【課題】患者や看護師等に負担をかけることなく患者の自律神経の状態を把握することが可能なせん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法を提供する。【解決手段】間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データを計測する生体情報計測部2と、計測された時系列データを周波数解析して間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算する解析部4と、演算された値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するせん妄兆候判定部5を備え、このせん妄兆候判定部5は、非せん妄患者における比率LF/HFの既知の基準値Nと値Mが異なる場合に、せん妄の兆候ありと判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、せん妄の兆候を検知するせん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法に係り、特に、過活動せん妄、低活動せん妄及び混合型せん妄の兆候を早期に検知可能なせん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法に関する。
従来、集中治療室に入院中の重症患者や術後患者では、「せん妄」を発症し易く、その発見が遅れると入院が長期化したり、退院後の生存率が低下したりすることから、早期にせん妄を発見して適切な処置をすることが求められている。
そのためには、せん妄に関する専門知識を持った医師や看護師が、患者を常時観察し、状態の経時的な変化を速やかに捉えることが望ましい。ただし、多くの業務を抱えている医師等が特定の患者を常時観察することは困難であるため、次善の策として、例えば8時間毎に、CAM−ICUといったせん妄検知用アセスメントが実施されている。しかし、このアセスメントが実施されないタイミングで発症したせん妄は、当然のことながら速やかに発見され難いという課題があった。
また、せん妄は、不穏や問題行動等の症状を呈する過活動型せん妄と、不活発や動作緩慢等の症状を呈する低活動型せん妄と、両者が交互に出現する混在型せん妄、という複数のタイプに分類されている。このうち、特に低活動型せん妄は、一見して問題行動等が観察されないため、例え熟練した看護師であっても発症の8割が見逃されているのが実情である。
そこで、近年、自律神経の失調を評価して精神疾患の異常を速やかに検知するための技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
特許文献1には「心拍変動指標を用いた精神症状及び精神疾患発病リスク評価法及び評価装置」という名称で、精神疾患発病のリスクチェックのためのリスク評価法及び評価装置に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、被検者の心拍間隔測定値等について周波数分析を行い高周波数指標(HF)、低周波数指標(LF)及びそれらの比(LF/HF)を求める課題提示・周波数分析ステップと、周波数分析の結果から心拍(HR)、交感神経活動指標(LF/HF)及び副交感神経指標(HF)が算出される交感神経・副交感神経指標算出ステップと、算出された(LF/HF)及び(HF)が、予め算出されて記憶された健常者の交感神経指標及び副交感神経指標から定められた閾値と比較されて評価される指標比較評価ステップとから成り、(HR)、(LF/HF)及び(HF)は、被検者の安静状態時、課題遂行状態時及び課題遂行後の安静状態時の3つの状態それぞれにおいて得られ、閾値は、それぞれの状態における指標ごとに多元的に精神症状及び精神疾患発病リスクを反映するように設定されることを特徴とする。
このような特徴を有する発明において、健常者の(HR)、(LF/HF)及び(HF)は、最初の安静時には副交感神経にバランスが傾き、課題遂行時には(HF)が低下し、課題終了後にはまた元にもどる。そして、この健常な活動状態から大きく異なる反応が認められた場合、即ち、閾値との差が所定値より大きくなった場合は、異常として検出する。したがって、特許文献1に開示された発明によれば、自律神経の失調を評価し、うつ病などのストレス関連精神疾患の診断やリスクを明らかにすることができる。
次に、特許文献2には「患者を監視し、患者のせん妄を検出する監視システム」という名称で、生体情報計測用センサが不要なせん妄検出のための監視システムに関する発明が開示されている。
以下、特許文献2に開示された発明について説明する。特許文献2に開示された発明は、経時的に患者の画像データを得る監視ユニットと、得られた画像データから患者の運動事象を検出する画像分析ユニットと、検出された運動事象をせん妄典型運動事象及び非せん妄典型運動事象に分類する評価ユニットと、患者のせん妄の可能性及び/又は強度を示すせん妄スコアを決定するせん妄決定ユニットと、を有する監視システムことを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、監視ユニットにより患者の全身運動を捉え、せん妄の典型的な運動変化を検出することができる。また、画像データは患者の全身だけでなく、選択された体の一部を捉えることが可能である。よって、所望の部位のせん妄スコアを決定でき、その後決定されたせん妄スコアをモニタ上で評価できる。
さらに、特許文献2に開示された発明によれば、運動の持続時間やせん妄典型運動事象の持続時間、強度等からせん妄タイプインジケータを決定し、過活動せん妄、機能減退せん妄、並びに混合された過活動及び機能減退せん妄といったせん妄のタイプを示すことが可能である。
特開2013−233256号公報 特表2014−528314号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、安静状態時、課題遂行状態時及び課題遂行後の安静状態時の3つの状態における自律神経の失調を評価するものであって、持続的に被検者の状態を観察するものではない。一方、前述したように、せん妄の発症を速やかに検知するには、患者の状態を持続的に観察する必要がある。また、重症患者や術後患者に対して課題を繰り返し遂行させることは、患者は勿論のこと看護師等にとっても負担が大きい。
したがって、特許文献1に開示された発明を、せん妄検知の方法として使用することは不適切である。
次に、特許文献2に開示された発明においては、全身と、体の一部のせん妄スコアを決定できるため、患者が複雑な運動をしている場合には、同時期に決定された全身又は各部位の各せん妄スコアが全く異なり、正確にせん妄のタイプを示すことができない可能性がある。また、せん妄スコアと実際の臨床データとの比較がされておらず、このスコアとせん妄との相関関係が立証されていないことから、信頼性に欠けるおそれもある。
さらに、画像データを収集するために蓄積されるデータ量が膨大となり、高速処理能力を有するプロセッサを導入する必要性から、導入費用が嵩むおそれがある。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、患者や看護師等に負担をかけることなく持続的に患者の自律神経の状態を把握することが可能であり、しかもせん妄の発症及びそのタイプを速やかに検知することができるせん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1のせん妄スクリーニング装置に関する発明は、間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データを計測する生体情報計測部と、計測された時系列データを周波数解析して間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算する解析部と、演算された値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するせん妄兆候判定部を備え、このせん妄兆候判定部は、非せん妄患者における比率LF/HFの既知の基準値Nと値Mが異なる場合に、せん妄の兆候ありと判定することを特徴とする。
このような構成の発明において、生体情報計測部が計測する生体情報としては、例えば、心電図から得られる心拍間隔(R−R Interval)があり、その場合の時系列データとは心拍間隔変動時系列データである。
また、解析部における周波数解析とは、例えば、得られた心拍間隔変動時系列データからそのパワースペクトル密度PSDを求め、このPSDから低周波数成分LFと、高周波数成分HFを演算し、さらに低周波数成分LFと高周波数成分HFの比率LF/HFを演算するものである。これによって演算された高周波数成分HFは副交感神経活動指標であり、比率LF/HFは交感神経活動指標である。なお、低周波数成分LFは、交感神経優位と、副交感神経優位のいずれの場合でも出現する。
そして、せん妄兆候判定部においては、演算された比率LF/HFの値Mと、非せん妄患者における比率LF/HFの既知の基準値Nを比較し、その差に有意差がある場合には、せん妄の兆候ありと判定する。
次に、第2の発明は、第1の発明において、生体情報は、身体から発する生体電気、血管データ、心臓による身体胸部付近の振動のうちの少なくともいずれかが選択され、生体情報計測部は、選択された生体情報を検知するセンサであることを特徴とする。
このような構成の発明において、血管データとは、例えば、血液の脈動や血圧変化をいう。そして、生体電気、血管データ、心臓による身体胸部付近の振動は、いずれも間隔を空けて繰り返されるため、時系列データを計測することができる。また、センサは、心拍周期が計測できるものであれば心電計に限らず、例えば、脈波センサにより血流を計測する方式、加速度センサ、圧電センサやマイクロ波センサにより、心拍に由来する生体振動を捉える方式など心拍を直接もしくは間接的に計測する方式であれば何でもよい。
上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、いずれのセンサを使用する場合でもパワースペクトル解析が可能であるので、低周波数成分LF、高周波数成分HF及び比率LF/HFの値Mが演算される。
続いて、第3の発明は、第1又は第2の発明において、せん妄兆候判定部は、基準値Nよりも値Mが小である状態が所望の時間継続した場合に、兆候は、低活動せん妄兆候であると判定することを特徴とする。
このような構成の発明において、所望の時間とは、それぞれの病院で最適と考えられている時間の長さである。なぜなら、せん妄の発症頻度は、それぞれの病院で実施されているケアによって異なってくるとされるため、共通の値を決定することが困難だからである。ただし、基準値Nよりも値Mが小である場合がそれぞれの病院で設定される一定の時間継続する場合には、副交感神経優位の状態が継続していると考えられるため、せん妄のタイプのうち、低活動型せん妄の兆候が出現しているものと判定する。
さらに、第4の発明は、第1又は第2の発明において、せん妄兆候判定部は、基準値Nよりも値Mが大である状態が所望の時間継続した場合に、兆候は、過活動せん妄兆候であると判定することを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、基準値Nよりも値Mが大である場合が一定の時間継続する場合には、交感神経優位の状態が継続していると考えられるため、せん妄のタイプのうち、過活動型せん妄の兆候が出現しているものと判定する。
そして、第5の発明は、第1又は第2の発明において、せん妄兆候判定部は、基準値Nよりも値Mが大である状態と、基準値Nよりも値Mが小である状態を繰り返した場合に、兆候は、混合型せん妄兆候であると判定することを特徴とする
このような構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、基準値Nよりも値Mが大又は小である状態が繰り返される場合には、交感神経優位の状と態副交感神経優位の状態が繰り返されると考えられるため、せん妄のタイプのうち、混合型せん妄の兆候が出現しているものと判定する。
さらに、第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、せん妄兆候判定部と通信可能に接続される報知部を備え、せん妄兆候判定部は、兆候ありと判定した場合に、注意信号を発生させ、報知部へ注意信号を送信し、報知部は、注意信号を受信した場合に、警報を発生させることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第5のいずれかに記載の発明の作用に加えて、報知部として、例えば、病棟に設置されるパソコンや、職員それぞれが所持するタブレット、ウェアラブル端末が考えられる。また、警報は、例えば、光や文章としてパソコンのモニタ上に表示されたり、音がスピーカーによって発生したりするものである。
このような構成の発明においては、第1乃至第5のいずれかの発明の作用に加えて、せん妄兆候判定部によるせん妄の兆候ありとの情報が、直ちに職員全員又一部の職員によって認識される。
加えて、第7の発明は、第6の発明において、せん妄兆候判定部又は報知部の少なくともいずれかと通信可能に接続されるせん妄診断支援部を備え、せん妄兆候判定部からの注意信号、又は、報知部からの警報、をせん妄診断支援部へ送信し、せん妄診断支援部は、注意信号又は警報を受信した場合に、せん妄診断を支援するために予め設定されたせん妄診断支援プログラムが実行されることを特徴とする。
このような構成の発明において、せん妄検知支援プログラムとは、せん妄検知用アセスメントを実施する際の支援プログラムであって、例えば、モニタ上に複数の質問事項が順次表示されるものである。
上記構成の発明においては、請求項6の発明の作用に加えて、職員によって警報が認識された後、複数の質問事項に回答することにより、せん妄であるか否かが診断結果として速やかに表示される。
そして、第8の発明は、間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データを計測する生体情報計測工程と、計測された時系列データを周波数解析して間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算する解析工程と、演算された値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するせん妄兆候判定工程を備え、このせん妄兆候判定工程は、既知の非せん妄患者における比率LF/HFの基準値Nと値Mが異なる場合に、せん妄の兆候ありと判定することを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1の発明と同様な作用を有する。
第1の発明によれば、交感神経活動指標である比率LF/HFの値Mを演算可能であることから、患者や看護師等に負担をかけることなく持続的かつ客観的に患者の自律神経の状態を把握して、正確にせん妄の兆候を検知することができる。
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、複数種類の生体情報を測定することにより、比率LF/HFの値Mを演算可能であるので、患者の状態に応じて最も計測容易な生体情報を計測できる。また、同時に複数種類の生体情報に基づいた複数種類の値Mを計測し、それらを照らし合わせて最も適切な値を選択することも可能である。したがって、第2の発明によれば、患者の状態によってせん妄スクリーニング装置の使用が制限されることがなく、かつ精度の高い値Mを演算することが可能である。
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、せん妄のタイプのうち、従来では見逃されることの多かった低活動型せん妄の兆候を検知可能である。よって、低活動型せん妄患者の発見に大きく寄与することができる。
第4の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、せん妄のタイプのうち、過活動型せん妄の兆候を検知可能である。よって、突然の発症にも余裕をもって適切に対処することができる。
第5の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、せん妄のタイプのうち、混合型せん妄の兆候を検知可能である。また、過活動型せん妄と、低活動型せん妄が繰り返される周期を把握できるので、その都度それぞれ最適な処置を施すことができる。
第6の発明によれば、第1乃至第5のいずれかの発明の効果に加えて、せん妄の兆候ありとの情報が直ちに職員によって認識されるので、その後の診断確定に早期に取り掛かることができる。
第7の発明によれば、第6の発明の効果に加えて、速やかにせん妄検知用アセスメントを実施することができるとともに、その結果としてせん妄であるか否かが表示されるため、リアルタイムにせん妄診断を行うことができる。
第8の発明によれば、第1の発明と同様の効果を有する。
本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置の構成図である。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置におけるデータ処理工程を示すフロー図である。 (a)は本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で処理される心拍間隔変動時系列データであり、(b)はこの心拍間隔変動時系列データのパワースペクトル密度である。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを、非せん妄とせん妄のタイプ毎に示したグラフである。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、非せん妄患者の1例を示すものである。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、低活動型せん妄患者の1例を示すものである。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、過活動型せん妄患者の1例を示すものである。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、混合型せん妄患者の1例を示すものである。 本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で判定された低活動性せん妄の結果の有用性を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るせん妄スクリーニング方法の工程図である。
本発明の第1の実施の形態に係るせん妄スクリーニング装置について、図1乃至図7を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置の構成図である 。
図1に示すように、実施例1に係るせん妄スクリーニング装置1は、間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データをアナログ値として計測する生体情報計測部2と、計測された時系列データをデジタル化するA/D変換部3と、デジタル化された時系列データを周波数解析して間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算する解析部4と、演算された値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するせん妄兆候判定部5を備える。このせん妄兆候判定部5は、非せん妄患者における比率LF/HFの既知の基準値Nと値Mが異なる場合に、せん妄の兆候ありと判定し、注意信号を発生させて後述する報知部7へ送信する。
また、せん妄スクリーニング装置1は、解析部4及びせん妄兆候判定部5と通信可能に接続されるデータ蓄積部6と、せん妄兆候判定部5と通信可能に接続され、せん妄兆候判定部5による注意信号を受信して警報を発生させる報知部7と、報知部7と通信可能に接続され、その警報を受信して予めせん妄兆候判定部5に設定されたせん妄診断支援プログラムが実行されるせん妄診断支援部8を備える。なお、せん妄診断支援プログラムについては、後に説明する。
具体的には、生体情報計測部2は心電計である。また、生体情報としては心電図から得られる心拍間隔RRIであり、その時系列データは心拍間隔変動時系列データである。
さらに、A/D変換部3は、独立して設置されるA/Dコンバータであっても良いが、生体情報計測部2に内蔵されたものでも良い。
そして、解析部4、せん妄兆候判定部5、データ蓄積部6及びせん妄診断支援部8は、一つのCPU(中央制御ユニット)9に属し、報知部7は、例えば、病棟に設置されるパソコンや、職員それぞれが所持するタブレット、ウェアラブル端末である。
次に、せん妄スクリーニング装置1におけるデータ処理の流れについて、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置におけるデータ処理工程を示すフロー図である。図3(a)は本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で処理される心拍間隔変動時系列データであり、図3(b)はこの心拍間隔変動時系列データのパワースペクトル密度である。なお、図1で示した構成要素については、図2及び図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、せん妄スクリーニング装置1においては、まずステップS1の時系列データ処理において生体情報計測部2が心拍間隔RRIを計測し、収集する。この収集は180秒間行われ、それを1回目の心拍間隔変動時系列データとする。続いて、1回目の心拍間隔変動時系列データの計測開始時間よりも1心拍分遅れて、2回目の心拍間隔変動時系列データの収集を行う。以降、3回目以降の心拍間隔変動時系列データの収集を、同様に2回目以降の心拍間隔変動時系列データの計測開始時間よりもそれぞれ1心拍分遅れて連続して行う。これらの心拍間隔変動時系列データは、いずれもステップS2のA/D変換処理においてA/D変換部3によってデジタル化され、さらにその回数と関連付けられた心拍間隔変動時系列データとして、解析部4を介してデータ蓄積部6(図1参照)に蓄積される。
図3(a)は、横軸が時間T[sec]、縦軸がデジタル化された任意の心拍間隔変動時系列データを構成する心拍間隔RRI[sec]である。解析部4は、ステップS3のPSD演算処理においてこのような複数の心拍間隔変動時系列データから、それぞれ複数のパワースペクトル密度PSD[msec/Hz]を演算する。次いで、解析部4は、ステップS4の成分等演算処理において各PSDから低周波数成分LFと、高周波数成分HFを演算し、さらに低周波数成分LFと高周波数成分HFの比率LF/HFをそれぞれ演算する。ここで、演算された比率LF/HFをMと呼ぶ。
図3(b)は、横軸が周波数Frequency[Hz]、縦軸が任意の心拍間隔変動時系列データ群に基づくパワースペクトル密度PSD[msec/Hz]である。すなわち、低周波数成分LFを、周波数が0.04[Hz]以上、かつ0.15[Hz]以下の範囲内でのPSDの値をすべて合計した値とした。また、高周波数成分HFを、周波数が0.15[Hz]より大、かつ0.4[Hz]以下の範囲内でのPSDの値をすべて合計した値とした。
このように演算されたLF,HF及びMの値は、心拍間隔変動時系列データ毎に、解析部4によって、連続してデータ蓄積部6へ送られて蓄積される。
再び図2に戻ると、低周波数成分LFと高周波数成分HFの比率LF/HF=Mを演算した後、解析部4は、ステップS5の読み込み処理において非せん妄患者における比率LF/HFの基準値Nと、低活動型せん妄と判定される比率LF/HFの閾値Th(Th<N)と、過活動型せん妄と判定される比率LF/HFの閾値Th(Th>N)と、過去に演算された複数のMの値(Mと呼ぶ。)をデータ蓄積部6から読み込む。ここで、基準値N、閾値Th,Thは、それぞれ既知であって、予めデータ蓄積部6に入力されている。また、Mとは、過去の一定時間T[min]内における時系列データである。さらに、基準値Nは、幅を持たない数値であるほか、一定の幅を持つ値であっても良い。
続いて、ステップS6の比較処理においてせん妄兆候判定部5が最新のMと基準値Nの大小を比較し、せん妄の可能性があるか否かを判定する。詳細には、M=Nの場合は、せん妄の可能性はないと判定し、Bで示したステップS1の時系列データ処理に戻る。また、M≠Nの場合は、(1)M<Nの場合と、(2)M>Nの場合に分けて、それぞれ独立してその繰り返しの有無を判定する。なお、Bはフロー図の位置を示したものであって、何ら機能を発揮するものではない。Cもこれと同様である。
また、ステップS7,S7´の繰り返し判定処理において、(1)M<Nの場合と、(2)M>Nの場合は、せん妄兆候判定部5は、この(1)と(2)が繰り返されているか否かを判定する。具体的には、例えば、せん妄兆候判定部5は、過去の一定時間T/2=30[min]の間に、Mが、低活動型せん妄と判定される閾値Th以下になる状態と、過活動型せん妄と判定される閾値Th以上になる状態が交互に発生しているか否かを判定する。
Mが上記のような変動をしている場合だと、せん妄兆候判定部5は「混合型せん妄の兆候あり」と判定し、Cで示すようにステップS10の警報発生処理において報知部7に注意信号を送信して警報を発生させる。ここで、警報とは、パソコンやウェアラブル端末に表示される文章や点滅する光、あるいはスピーカーから発せられる音といった、人間が認識可能なものが考えられる。
これに対し、Mが変動をしておらず、かつ(1)M<Nの場合には、続くステップS8の維持判定処理において(1)が継続しているか否かを判定する。例えば、せん妄兆候判定部5は、過去の一定時間T=60[min]の間に、Mが低活動型せん妄と判定される閾値Th以下に維持されているか否かを判定する。維持されている場合には、せん妄兆候判定部5は「低活動型せん妄の兆候あり」と判定し、Cで示すように報知部7に注意信号を送信して警報を発生させる。
また、Mが閾値Th以下に維持されていない場合には、せん妄兆候判定部5は「混合型せん妄の兆候なし」かつ「低活動型せん妄の兆候なし」と判定し、Bで示した当初の時系列データ収集に戻る。
さらに、Mが変動をしておらず、かつ(2)M>Nの場合には、ステップS9の維持判定処理において(2)が継続しているか否かを判定する。例えば、せん妄兆候判定部5は、過去の一定時間T/2=30[min]の間に、Mが過活動型せん妄と判定される閾値Th以上に維持されているか否かを判定する。維持されている場合には、せん妄兆候判定部5は「過活動型せん妄の兆候あり」と判定し、Cで示すようにステップS10の警報発生処理において報知部7に注意信号を送信して警報を発生させる。
また、Mが閾値Th以上に維持されていない場合には、せん妄兆候判定部5は「混合型せん妄の兆候なし」かつ「過活動型せん妄の兆候なし」と判定し、Bで示した当初の時系列データ収集に戻る。
続いて、「図2に開示された判定方法が、非せん妄、低活動型せん妄、過活動型せん妄及び混合型せん妄の判定に有効であるか」という点について説明する。ただし、その前にまず「演算されたMが基準値Nと等しいか否か」という判定の有効性について、非せん妄の場合と3種類のタイプ毎のせん妄の場合の値Mを図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを、非せん妄とせん妄のタイプ毎に示したグラフである。
図4は、非せん妄(a,抜管後、b,経口挿管せん妄なし)、せん妄(c,低活動型、d,過活動型、e,混合型)の場合における、それぞれの比率LF/HFを縦軸にプロットした箱ひげ図である。なお、非せん妄の患者の人数は、それぞれa,抜管後が75名、b,経口挿管が27名であり、せん妄患者の人数は、それぞれc,低活動型が41名、d,過活動型が10名、e,混合型が18名であって、c,低活動型のうち26名は見過ごされていたものである。
ここで、a,抜管後の比率LF/HFを基準値Nとし、b,経口挿管せん妄なし〜e,混合型の比率LF/HFをそれぞれMとして扱った。これらN,Mは、いずれも1回分の心拍間隔変動時系列データに基づいて演算されている。よって、図4は、N,Mの中央値、最大値及び最小値、第一四分位数及び第三四分位数をそれぞれ示している。
図4に示すように、a,抜管後の値Nと、b,経口挿管せん妄なし〜e,混合型のMをそれぞれ比較し、student−t検定を行った結果、危険率0.01%において、c,低活動型及びd,過活動型では、a,抜管後との有意差が認められた。
しかし、同様に比較及び検定を行った結果では、b,経口挿管せん妄なし及びe,混合型では、a,抜管後との有意差は認められなかった。
これにより、1回分の心拍間隔変動時系列データに基づいて演算されたMを使用した場合では、c,低活動型及びd,過活動型のせん妄を精度良く検出可能であるが、d,過活動型のせん妄を精度良く検出困難であることが分かった。すなわち、せん妄兆候判定部5による「演算されたMが基準値Nと等しいか否か」という判定は、せん妄の種類を特定することは困難であるが、せん妄の発症を検出するという意味において有効であることが分かった。
そこで、次に、複数回分の心拍間隔変動時系列データに基づいて演算されたMを使用した比率LF/HFを図5乃至図8を用いて説明する。図5乃至図8は、横軸が時間[Hr]、縦軸が比率LF/HFであって、1時間毎に、1時間から最大28時間まで演算した比率LF/HFをプロットしたものである。また、それぞれの比率LF/HFは心拍間隔変動時系列データを180[sec]間収集することで、演算されている。
このうち、図5は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、非せん妄患者の1例を示すものである。
図5に示すように、正常な非せん妄患者の場合、およそ1〜16時間までが覚醒時であって、その時の比率LF/HFは1.0以上、かつ2.0未満である。一方、およそ17〜23時間までは睡眠時であって、その時の比率LF/HFは0.5未満である。なお、基準値Nは、覚醒時における比率LF/HFである。また、鎮静スケールRASS(Richimond Agitation−Sedation Scale)のスコアは、睡眠時において−4である。すなわち、患者は深い鎮静状態にある。
なお、参考として、表1にRASSスコアシートを示す。
Figure 2019141311
続いて、図6は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、低活動型せん妄患者の1例を示すものである。1〜26時間までの比率LF/HF、すなわちMは、0.2以上、かつ1.0未満という結果になった。この場合、RASSのスコアは、−2〜−3であり、軽い鎮静状態又は中等度鎮静状態にある。これに対し、Mが0.5以下の場合では、RASSのスコアは、−4である。
続いて、図7は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、過活動型せん妄患者の1例を示すものである。
図7に示すように、およそ1〜13時間までの比率LF/HF、すなわちMは、1.5以上、かつ2.5以下であるが、14〜16時間までのMは、2.5以上であるという結果になった。より詳細には、RASSのスコアは、1〜13時間までが−1〜+1であり、異常は視認されなかった。しかし、14〜16時間まででは、RASSのスコアは、+3〜+4であり、興奮した様子が少なくとも数時間持続して視認された。これ以降の16〜25時間では、混分に対して鎮静剤を使用したことによる鎮静期間であって、RASSのスコアは−4であった。
さらに、図8は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置で演算された比率LF/HFの値Mを時系列で示したグラフであって、混合型せん妄患者の1例を示すものである。
図8に示すように、およそ1〜14時間までの比率LF/HF、すなわちMは、1.0より小となる状態と、2.0より大となる状態が交互に発生し、しかも数分から数時間以内に1.0以上変動するという結果になった。この場合、RASSのスコアは、−4〜+3であり、傾眠と興奮を繰り返している様子が視認された。
図5乃至図8から分かるように、正常の非せん妄患者では、基準値Nは1.0以上、かつ2.0未満であり、この状態が覚醒している間中持続している。これに対し、低活動型せん妄患者では、0.2以上、かつ1.0未満であり、この状態が少なくとも数時間持続している。また、過活動型せん妄患者では、1.5以上であり、この状態が少なくとも数時間持続している。さらに、混合型せん妄患者では、1.0以下となる状態と2.0以上となる状態が数分から数時間以内毎に繰り返されるという結果になった。
このように、せん妄兆候判定部5が、基準値Nと、Mの値を比較した後、Mの値が一定時間内に基準値Nの範囲外で変動することなく持続しているか否か、又、Mの値が一定時間内に基準値Nの範囲外で変動しているか否か、を判定することで、非せん妄と、低活動型せん妄と、過活動型せん妄と、混合型せん妄を判別することができる。すなわち、「図2に開示された判定方法が、非せん妄、低活動型せん妄、過活動型せん妄及び混合型せん妄の判定に有効である」ことが分かった。
具体的には、例えば、非せん妄の基準値Nを1.0〜2.0(1.0と2.0を含む)とし、低活動型せん妄と判定される閾値Thを基準値Nの最小値である1.0とし、過活動型せん妄と判定される閾値Thを基準値Nの最大値である2.0とする。よって、Mが、混合型せん妄と判定されるのは、Mが1.0より小になる状態と、2.0より大になる状態が交互に発生している場合である。
上述のようにして判定された結果の有用性を、さらに図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施例1に係るせん妄スクリーニング装置1で判定された低活動性せん妄の結果の有用性を示すグラフであって、感度及び特異度を示したものである。
ここで、感度とはせん妄患者中における陽性者の割合であり、特異度とはせん妄患者中における陰性者の割合である。図9に示すように、感度は88%、特異度は72%となり、ROC曲線の下側の領域の面積(AU)は0.7894となった。
このように、せん妄スクリーニング装置1によれば、低活動型せん妄の有無を精度良く判定可能である。
次に、せん妄診断支援部8で実行されるせん妄診断支援プログラムについて説明する。このせん妄診断支援プログラムとは、例えば、ICUでのせん妄評価方法の評価手順を簡略化したCAM−ICUフローシートを、パソコンやウェアラブル端末の画面上で実行可能としたものである。よって、CAM−ICUフローシートの中に含まれる質問事項に対する回答を、前者では例えば手入力可能とし、後者では音声入力可能とし、その結果をそれぞれ画面上に表示可能とする。これにより、図2に示すように、せん妄診断支援部8が、ステップS11のせん妄診断支援処理において被検者がせん妄であるか否か、せん妄であれば低活動型か過活動型か、あるいは混合型のいずれであるかを判定できる。したがって、速やかにせん妄の種類ごとに適切な処置を行うことができる。なお、せん妄でないと判定された場合には、図2に示すステップS12の終了処理において終了するか否かが決定される。終了しない場合は、Bで示したステップS1の時系列データ処理に戻る。
以上、説明したように、実施例1に係るせん妄スクリーニング装置1によれば、患者に装着されている心電計である生体情報計測部2から、心拍間隔変動時系列データを常時収集し、さらに解析部5によって連続的に低周波成分LF、高周波成分HF及びその比率LF/HFをできるため、患者や看護師等に負担をかけることなく持続的に患者の自律神経の状態を把握することが可能である。
さらに、せん妄兆候判定部5によって、従来は検知することが困難であったせん妄の発症を、迅速に把握することができる。特に、比率LF/HFの大きさや時系列データに基づく判定により、せん妄のタイプを客観的かつ正確に知ることができる点が非常に有用性が高い。
加えて、せん妄スクリーニング装置1によれば、報知部7によって、せん妄が検知されたことを現場の看護師が直ちに認識可能であるから、この看護師と医師等の情報連携を円滑に行うことができる。また、その後のCAM−ICUフローシートによって、その患者がせん妄であるか否かを早期に診断することが可能である。したがって、せん妄のタイプ毎に適した処置を開始することができるので、患者の生存率やQOLの向上に大きく寄与することができる。
このほか、せん妄スクリーニング装置1において、解析部4、せん妄兆候判定部5、データ蓄積部6及びせん妄診断支援部8は、一つのCPU9に属し、報知部7は、例えば、病棟に設置されるパソコンや、職員それぞれが所持するタブレット、ウェアラブル端末であることから、安価であり、導入が容易である。また、生体情報計測部2で計測する生体情報は画像データでなく、CPU9が必ずしも高速処理能力を有しなくても足りることによっても、導入費用を抑制可能である。さらに、せん妄スクリーニング装置1は上記のようにコンパクトな構成であるから、所望の位置に配置したり、容易に移動させたりすることができて、使い勝手も良好である。
本発明の第2の実施の形態に係るせん妄スクリーニング方法について、図10を用いて詳細に説明する。図10は、本発明の実施例2に係るせん妄スクリーニング方法の工程図である。
図10に示すように、実施例2に係るせん妄スクリーニング方法100は、間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データをアナログ値として計測するステップS100の生体情報計測工程と、計測された時系列データをデジタル化するステップS101のA/D変換工程と、計測された時系列データを周波数解析して間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算するステップS102の解析工程と、演算された値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するステップS103のせん妄兆候判定工程を備える。
さらに、せん妄スクリーニング方法100は、ステップS103のせん妄兆候判定工程においてせん妄の兆候ありと判定された場合に出力される注意信号を受信して報知部7に警報を発生させるステップS104の報知工程と、この報知工程で発生した警報を受信して予めせん妄兆候判定部5に設定されたせん妄診断支援プログラムが実行されるステップS105のせん妄診断支援工程を備える。
ステップS100の生体情報計測工程においては、生体情報計測部2が心電計の場合、心拍間隔変動時系列データが計測される。しかし、これ以外に、身体から発する生体電気、血管データ、心臓による身体胸部付近の振動のうちの少なくともいずれかが異なる種類のセンサによって計測された場合であっても、心拍間隔変動を反映する時系列データを得ることができる。なお、ステップS100の生体情報計測工程は、図2に示すステップS1の時系列データ処理に相当する。
このような時系列データは、ステップS101のA/D変換工程によって、デジタル化される。なお、ステップS101のA/D変換工程は、図2に示すステップS2のA/D変換処理に相当する。
ステップS102の解析工程においては、図3を用いて説明したように、解析部4が、複数の心拍間隔変動時系列データから、それぞれ複数のパワースペクトル密度PSDを演算後、低周波数成分LFと、高周波数成分HFを演算し、さらに比率LF/HFをそれぞれ演算する。さらに、ステップS103のせん妄兆候判定工程のために、基準値N、閾値Th,Th及びN*をデータ蓄積部6から読み込む。なお、ステップS102の解析工程は、図2に示すステップS3のPSD演算処理乃至ステップS5の読み込み処理に相当する。
ステップS103のせん妄兆候判定工程においては、図2を用いて説明したように、非せん妄患者における比率LF/HFの既知の基準値Nと値Mが異なる場合に、せん妄の種類毎にそれぞれ兆候の有無と判定し、注意信号を発生させる。なお、ステップS103のせん妄兆候判定工程は、図2に示すステップステップS6の比較処理乃至ステップS9の維持判定処理に相当する。
ステップS104の報知工程においては、発生した注意信号を受信して人間が認識しうるような警報を報知部7に発生させる。なお、ステップS104の報知工程は、図2に示すステップS10の警報発生処理に相当する。
最後に、ステップS105のせん妄検知支援工程においては、せん妄診断を支援するために予め設定されたせん妄診断支援プログラムが自動的に実行され、非せん妄か、又はせん妄であればどのタイプのせん妄か、が診断される。なお、ステップS105のせん妄検知支援工程は、図2に示すステップS11のせん妄診断支援処理に相当する。
したがって、せん妄スクリーニング方法100によれば、実施例1に係るせん妄スクリーニング装置1を使用して、非せん妄か否かを自動的に検知可能であるため、せん妄の発症の可能性をリアルタイムで職員へ認識させることができる。
また、患者への質問を必要とするせん妄診断支援プログラムの実施を除き、患者や看護師が参加しなくても、せん妄の発生やそのタイプを判定することができるので、それぞれに対する負荷を最小限に留めることができる。
これ以外のせん妄スクリーニング方法100の効果は、せん妄スクリーニング装置1の効果と同様である。
なお、本発明に係るせん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法は、実施例1,2に示すものに限定されない。例えば、せん妄兆候判定部5は、M=Nであるか否かのみを判断して、M≠Nの場合にせん妄診断支援部8においてせん妄診断支援プログラムが自動的に実行される構成であっても良い。また、閾値Th、Thは、予めデータ蓄積部6に基準値Nの下限値及び上限値としてそれぞれ蓄積される代わりに、任意の際にパソコン画面上で入力されても良い。さらに、CAM−ICU以外のせん妄診断支援プログラムが実行されても良い。
本発明は、重症患者や術後患者に多発するせん妄の兆候を検知するせん妄スクリーニング装置およびせん妄スクリーニング方法として利用可能である。
1…せん妄スクリーニング装置 2…生体情報計測部 3…A/D変換部 4…解析部 5…せん妄兆候判定部 6…データ蓄積部 7…報知部 8…せん妄診断支援部 9…CPU 100…せん妄スクリーニング方法

Claims (8)

  1. 間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データを計測する生体情報計測部と、
    計測された前記時系列データを周波数解析して前記間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する前記低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算する解析部と、
    演算された前記値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するせん妄兆候判定部を備え、
    このせん妄兆候判定部は、非せん妄患者における前記比率LF/HFの既知の基準値Nと前記値Mが異なる場合に、せん妄の兆候ありと判定することを特徴とするせん妄スクリーニング装置。
  2. 前記生体情報は、身体から発する生体電気、血管データ、心臓による身体胸部付近の振動のうちの少なくともいずれかが選択され、
    前記生体情報計測部は、選択された前記生体情報を検知するセンサであることを特徴とする請求項1に記載のせん妄スクリーニング装置。
  3. 前記せん妄兆候判定部は、前記基準値Nよりも前記値Mが小である状態が所望の時間継続した場合に、前記兆候は、低活動せん妄兆候であると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のせん妄スクリーニング装置。
  4. 前記せん妄兆候判定部は、前記基準値Nよりも前記値Mが大である状態が所望の時間継続した場合に、前記兆候は、過活動せん妄兆候であると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のせん妄スクリーニング装置。
  5. 前記せん妄兆候判定部は、前記基準値Nよりも前記値Mが大である状態と、前記基準値Nよりも前記値Mが小である状態を繰り返した場合に、前記兆候は、混合型せん妄兆候であると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のせん妄スクリーニング装置。
  6. 前記せん妄兆候判定部と通信可能に接続される報知部を備え、
    前記せん妄兆候判定部は、前記兆候ありと判定した場合に、注意信号を発生させ、前記報知部へ前記注意信号を送信し、
    前記報知部は、前記注意信号を受信した場合に、警報を発生させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のせん妄スクリーニング装置。
  7. 前記せん妄兆候判定部又は前記報知部の少なくともいずれかと通信可能に接続されるせん妄診断支援部を備え、
    前記せん妄兆候判定部からの前記注意信号、又は、前記報知部からの前記警報、を前記せん妄診断支援部へ送信し、
    前記せん妄診断支援部は、前記注意信号又は前記警報を受信した場合に、せん妄診断を支援するために予め設定されたせん妄診断支援プログラムが実行されることを特徴とする請求項6に記載のせん妄スクリーニング装置。
  8. 間隔を空けて繰り返される生体情報の時系列データを計測する生体情報計測工程と、
    計測された前記時系列データを周波数解析して前記間隔の周期変動の低周波数成分LFと高周波数成分HFを演算し、この高周波数成分HFに対する前記低周波数成分LFの比率LF/HFの値Mを演算する解析工程と、
    演算された前記値Mに基づいてせん妄の兆候の有無を判定するせん妄兆候判定工程を備え、
    このせん妄兆候判定工程は、既知の非せん妄患者における前記比率LF/HFの基準値Nと前記値Mが異なる場合に、せん妄の兆候ありと判定することを特徴とするせん妄スクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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