以下、レシートを電子レシート情報で受け取る買物客に対して、個人での使用回数に制限のあるクーポンを電子化した電子クーポン情報をその制限範囲内で適切に配信できる電子レシートシステムの実施形態について、図面を用いて説明する。
[電子レシートシステムの構成]
図1は、本実施形態における電子レシートシステム1の全体構成図である。
電子レシートシステム1は、POSシステム2と、サーバシステム3と、両システム2,3間を相互通信自在に接続するためのネットワーク4とを含む。ネットワーク4は、インターネットあるいはVPN(Virtual Private Network)等の広域通信網である。また電子レシートシステム1は、ネットワーク4上の基地局5を中継することで、無線通信機能を搭載した情報端末6と接続する。情報端末6は、例えば買物客が携帯する無線通信機器であり、パソコン、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等が該当する。
POSシステム2は、複数台(図では2台)のPOS端末21と、店舗サーバ22と、ルータ23と、LAN(Local Area Network)24とを含む。そしてLAN24に、各POS端末21と店舗サーバ22とルータ23とをそれぞれ接続することで、POSシステム2が構成される。LAN24は、有線LANでもよいし、無線LANでもよい。このようなPOSシステム2は、商品を販売する小売店舗等に構築される。
POS端末21は、買物客が買い上げる商品の販売データを登録処理する機能、その買物客との商取引を決済する機能等を有する。そしてPOS端末21は、商取引を決済する際にその商取引の明細を表すレシートデータを作成し、レシートを発行する。レシートは、紙レシートとして発行する場合と、電子レシートとして発行する場合とがある。紙レシートとして発行する場合、POS端末21は、プリンタ217(図3を参照)を制御して、所定のレシート用紙にレシートデータを印刷させる。電子レシートとして発行する場合、POS端末21は、読取装置で読み取った客識別情報である会員IDとともに電子化されたレシートデータをサーバシステム3に送信する。
店舗サーバ22は、その店舗で販売される各商品の情報を格納した商品マスタファイルを備える。情報は、各商品を個々に識別するための商品識別情報である商品IDを含む。また、その商品IDで識別される商品の名称(商品名)、1点当たりの価格(単価)、商品分類を表す分類コード等も、商品マスタファイルに格納される。分類コードは、例えば対応する商品IDで識別される商品が食品なのか雑貨なのか等の分類を識別するコードである。POS端末21からLAN24を経由して商品IDの問合せがあると、店舗サーバ22は、その商品IDを含む商品名,単価,分類コード等の商品情報を問合せ元のPOS端末21に応答する。
ルータ23は、LAN24とネットワーク4との間のデータ通信を中継する。POS端末21からLAN24経由でサーバシステム3宛に送信された電子レシート情報(電子化されたレシートデータ)は、ルータ23を介してネットワーク4上のサーバシステム3に送信される。
なお、図1では1店舗のPOSシステム2を示すが、典型的には、複数の店舗のPOSシステム2がネットワーク4に接続されて、サーバシステム3とともに電子レシートシステム1が構成される。
サーバシステム3は、電子レシートサーバ31とセンタサーバ32とを含む。電子レシートサーバ31は、各買物客に対して発行された電子レシート情報を一括して記憶する。詳しくは、電子レシートサーバ31は、電子レシート情報を保存するための記憶デバイスを備えており、ネットワーク4を介して受信した電子レシート情報をこの記憶デバイスで保存する。電子レシートサーバ31は、情報端末6からの要求があると、その情報端末6のユーザである買物客に対して発行された電子レシート情報を上記記憶デバイスから読み出し、ネットワーク4を介して情報端末6に送信する。
センタサーバ32は、電子化されたクーポンいわゆる電子クーポン情報を一括して記憶する。詳しくは、センタサーバ32は、電子クーポン情報を保存するための記憶デバイスを備えており、外部から入力された電子クーポン情報を上記記憶デバイスに格納する。因みに外部とは、ネットワーク4に接続されたコンピュータ装置でもよいし、例えば磁気ディスク、光ディスク、USBメモリ、半導体メモリ等の記録媒体からデータを読み取る読取装置であってもよい。センタサーバ32は、情報端末6からの要求があると、その情報端末6のユーザである買物客が小売店舗等で使用可能な電子クーポン情報を記憶デバイスから読み出し、ネットワーク4を介して情報端末6に送信する。
[情報端末の構成]
図2は、情報端末6の要部回路構成を示すブロック図である。
情報端末6は、携帯型の本体に、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、時計64、タッチパネル65、無線ユニット66等を備える。プロセッサ61と、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、時計64、タッチパネル65及び無線ユニット66とは、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含むシステム伝送路67によって接続される。
情報端末6は、プロセッサ61、メインメモリ62及び補助記憶デバイス63と、これらを接続するシステム伝送路67とによってコンピュータを構成する。
プロセッサ61は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ61は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、情報端末6としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
メインメモリ62は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ62は、プロセッサ61が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ62は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ61によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
補助記憶デバイス63は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)が補助記憶デバイス63として使用される。HDD(hard disk drive)、あるいはSSD(solid state drive)などが補助記憶デバイス63として使用されてもよい。補助記憶デバイス63は、プロセッサ61が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ61での処理によって生成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス63は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
時計64は、情報端末6の時刻情報源として機能する。プロセッサ61は、時計64によって計時される時刻情報を基に、現在の日付及び時刻を計時する。
タッチパネル65は、情報端末6の入力デバイス及び表示デバイスとして機能する。タッチパネル65には、上記のアプリケーションプログラムを起動するためのアイコンが表示される。
無線ユニット66は、無線LAN、モバイルデータ通信等を利用して、基地局5との間で無線によるデータ通信を行う。
このような構成の情報端末6は、アプリケーションプログラムである電子レシート端末プログラムP1をインストールすることによって、電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1に対するユーザ端末となる。すなわち情報端末6は、電子レシートサーバ31から配信される電子レシート情報を、無線ユニット66を介して受信し、レシート画像をタッチパネル65に表示することができる。また情報端末6は、センタサーバ32から配信される電子クーポン情報を、無線ユニット66を介して受信し、クーポンリストをタッチパネル65に表示することができる。
電子レシート端末プログラムP1は、情報端末6が電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1に対するユーザ端末として機能するようにプロセッサ61を制御する。電子レシート端末プログラムP1は、補助記憶デバイス63に保存される。また、この電子レシート端末プログラムP1とともに電子レシート管理領域W1が補助記憶デバイス63に形成される。
情報端末6のユーザが小売店舗からレシートを電子レシート情報として受け取るためには、予め会員登録をする必要がある。会員登録は、電子レシート端末プログラムP1の制御により情報端末6から実行できる。したがってユーザは、会員登録の前に情報端末6に電子レシート端末プログラムP1をインストールする必要がある。
電子レシート端末プログラムP1がインストールされた情報端末6において、ユーザが電子レシート端末プログラムP1を起動し、会員登録モードを選択すると、タッチパネル65に会員登録画面が表示される。そこでユーザは、氏名、年齢、性別、郵便番号等のユーザ情報を入力して、会員登録を行う。この会員登録により、サーバシステム3からユーザを識別するための会員IDが発行される。会員IDは、情報端末6の電子レシート管理領域W1に保存される。以下では、会員登録を行ったユーザを会員と称する。
[POS端末の構成]
図3は、POS端末21の要部回路構成を示すブロック図である。
POS端末21は、プロセッサ211、メインメモリ212、補助記憶デバイス213、時計214、キーボード215、ディスプレイ216、プリンタ217、スキャナ218、通信インターフェース219等を備える。プロセッサ211と、メインメモリ212、補助記憶デバイス213、時計214、キーボード215、ディスプレイ216、プリンタ217、スキャナ218及び通信インターフェース219とは、システム伝送路2110によって接続される。
POS端末21のプロセッサ211、メインメモリ212、補助記憶デバイス213及び時計214は、情報端末6のものと同様である。
キーボード215は、点数、金額等の数値を置数するための置数キーの他、乗算キー、小計キー、締めキー等の種々のファンクションキーを配設した専用の入力デバイスである。汎用のキーボードの任意のキーに、POS端末21で必要な機能を割り付けたものであってもよい。締めキーは、商取引の登録締めを操作者が宣言するためのキーである。
ディスプレイ216は、POS端末21で登録された商品の名称(商品名)、価格、合計金額、釣銭額等を表示するための表示デバイスである。ディスプレイ216は、POS端末21を操作する店員用と買物客用の2種類ある。なお、入力デバイスと表示デバイスとを兼用したタッチパネルを、キーボード215及びディスプレイ216の代わりに適用してもよい。
プリンタ217は、所定のレシート用紙に商取引の明細を表すレシートデータを印字する。レシートデータが印字されたレシート用紙は、カッタにより切断されて、紙レシートとして発行される。
スキャナ218は、バーコード、二次元データコード等のコードシンボルを光学的に読み取る。多くの商品には、その商品固有の商品コードをバーコード化したコードシンボルが付されている。スキャナ218は、買物客が購入する商品に付されたコードシンボルの読取りに供される。また、電子レシート端末プログラムP1がインストールされた情報端末6のタッチパネル65には、会員IDをバーコード化したコードシンボルが表示される。スキャナ218は、タッチパネル65に表示されたコードシンボルの読取りにも供される。すなわちスキャナ218は、会員IDの読取装置(第1の読取手段)としても機能する。
会員IDの読取装置は、スキャナ218に限定されるものではない。例えば情報端末6が近距離無線通信に対応した機器であり、この近距離無線通信を利用して会員IDを送信する仕組みの場合、会員IDを受信するための近距離無線通信デバイスが読取装置となる。
通信インターフェース219は、LAN24に接続される。通信インターフェース219は、LAN24を介して接続される機器と、予め設定された通信プロトコルに従いデータ通信を行う。
このような構成のPOS端末21は、アプリケーションプログラムである電子レシート発行プログラムP2をインストールすることによって、電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1の会計装置となる。すなわちPOS端末21は、会員との商取引で生成されるレシートを電子レシートとして発行することができる。またPOS端末21は、その会員から提示された電子クーポン情報に応じた値引処理を行うことができる。値引処理には、商品単位の値引と小計に対する値引とがある。なお、この実施形態では、クーポンによる値引を金額値引とするが、所定の率で金額を割り引く割引、あるいは商品の価格を通常の単価よりも低い金額とする価格変更等をクーポンによる値引としてもよい。
電子レシート発行プログラムP2は、POS端末21が電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1の会計装置となるようにプロセッサ211を制御する。電子レシート発行プログラムP2は、補助記憶デバイス213に保存される。
[電子レシートサーバの構成]
図4は、電子レシートサーバ31の要部回路構成を示すブロック図である。
電子レシートサーバ31は、プロセッサ311、メインメモリ312、補助記憶デバイス313、時計314、通信インターフェース315等を備える。プロセッサ311と、メインメモリ312、補助記憶デバイス313、時計314及び通信インターフェース315とは、システム伝送路316によって接続される。
電子レシートサーバ31のプロセッサ311、メインメモリ312、補助記憶デバイス313及び時計314は、情報端末6及びPOS端末21のものと同様である。
通信インターフェース315は、ネットワーク4に接続される。通信インターフェース315は、ネットワーク4を介して接続される機器と、予め設定された通信プロトコルに従いデータ通信を行う。
このような構成の電子レシートサーバ31は、アプリケーションプログラムである電子レシートサーバプログラムP3をインストールすることによって、電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1のサーバ装置となる。すなわち電子レシートサーバ31は、各POS端末21から発行された電子レシート情報を一括して保存する。また電子レシートサーバ31は、情報端末6からの要求に応じて該当する電子レシート情報をその情報端末6に送信する。
電子レシートサーバプログラムP3は、電子レシートサーバ31が電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1のサーバ装置となるようにプロセッサ311を制御する。電子レシートサーバプログラムP3は、補助記憶デバイス313に保存される。また、この電子レシートサーバプログラムP3とともにレシートファイルFL1が補助記憶デバイス313に形成される。レシートファイルFL1は、電子レシート情報を一括して保存するための領域として使用される。
[センタサーバの構成]
図5は、センタサーバ32の要部回路構成を示すブロック図である。
センタサーバ32は、プロセッサ321、メインメモリ322、補助記憶デバイス323、時計324、通信インターフェース325等を備える。プロセッサ321と、メインメモリ322、補助記憶デバイス323、時計324及び通信インターフェース325とは、システム伝送路326によって接続される。
センタサーバ32のプロセッサ321、メインメモリ322、補助記憶デバイス323、時計324及び通信インターフェース325は、電子レシートサーバ31のものと同様である。
このような構成のセンタサーバ32は、アプリケーションプログラムである電子クーポン管理プログラムP4をインストールすることによって、電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1のサーバ装置となる。すなわちセンタサーバ32は、商品の製造業者等が企画した電子クーポン情報を一括して保存する。またセンタサーバ32は、情報端末6からの要求に応じて、その情報端末6を携帯する会員が属するグループを配信先とする電子クーポン情報を情報端末6に送信する。
電子クーポン管理プログラムP4は、センタサーバ32が電子クーポン情報を配信可能な電子レシートシステム1のサーバ装置となるようにプロセッサ321を制御する。電子クーポン管理プログラムP4は、補助記憶デバイス323に保存される。また、この電子クーポン管理プログラムP4とともに会員ファイルFL2、クーポンファイルFL3及び配信管理ファイルFL4が補助記憶デバイス323に形成される。会員ファイルFL2は、会員に関する情報を一括して保存するための領域として使用される。クーポンファイルFL3は、電子クーポン情報を一括して保存するための領域として使用される。配信管理ファイルFL4は、電子クーポン情報毎に、その電子クーポン情報の配信を管理するための情報を保存するための領域として使用される。
[各ファイルの構成]
図6は、レシートファイルFL1に保存される電子レシートレコードFL1Rの構造を示す模式図である。電子レシートレコードFL1Rは、会員IDと、その会員IDで識別される会員に対して発行されたレシートデータとで構成される。
レシートデータには、店舗コード、取引日時、商品販売データ、使用クーポンデータ、決済データ等が含まれる。店舗コードは、小売店舗を識別するために店舗毎に割り当てられた一意のコードである。商品販売データは、会員が購入した商品の識別コードである商品ID、商品名、単価、販売点数、販売金額等で構成される。使用クーポンデータは、会員が使用した電子クーポン情報の識別情報であるクーポンID、値引額等で構成される。決済データは、会員との商取引の決済金額、支払種別等で構成される。
ここに、レシートファイルFL1は、取引の明細を示すレシートを電子化した電子レシート情報を、その取引の対象である客を識別する客識別情報(会員ID)と関連付けて記憶する第1の記憶部を構成する。
図7は、会員ファイルFL2に保存される会員レコードFL2Rの構造を示す模式図である。会員レコードFL2Rは、会員IDと、その会員IDで識別される会員の氏名、性別、年齢、郵便番号、取引実績データ、クーポン実績データ、ランク、配信停止フラグF0等で構成される。
氏名、性別、年齢及び郵便番号は、会員登録の際に入力されたデータである。取引実績データは、会員が商品を購入した実績を集計したデータである。取引実績データは、レシートデータに含まれる商品販売データを集計することで生成される。クーポン実績データは、会員が電子クーポン情報を使用した実績を集計したデータである。クーポン実績データは、レシートデータに含まれる使用クーポンデータを集計することで生成される。ランクは、会員の優待度である。例えば、買上の累積金額に応じて買物客毎にランクが設定される。買上の累積金額は、取引実績データから求めることができる。
配信停止フラグF0は、初期状態は“0”にリセットされており、対応する会員IDで識別される会員に対して電子クーポン情報の配信を停止する場合に“1”にセットされる。例えば、情報端末6のスクリーンショット機能を利用して、タッチパネル65の画面を画像として保存することで、配信済の電子クーポンを有効回数以上にわたって不正に使用することは可能である。そこで、このような不正を働いた会員に対しては、配信停止フラグF0を“1”にセットすることで、以後、電子クーポンの配信を停止することができる。
ここに、会員ファイルFL2は、客識別情報(会員ID)に関連付けて電子クーポン情報の配信を禁止する情報を記憶する第4の記憶部を構成する。
図8は、クーポンファイルFL3に保存されるクーポンレコードFL3Rの構造を示す模式図である。クーポンレコードFL3Rは、クーポンIDと、このクーポンIDによって識別される電子クーポン情報に係る商品ID、商品名、値引額、開始日、終了日、配信条件、有効回数等で構成される。
商品IDは、電子クーポン情報によって値引が適用される商品のIDである。商品名は、対応する商品IDで識別される商品の名称である。値引額は、電子クーポン情報によって値引される金額である。開始日および終了日は、電子クーポン情報を使える期間の開始と終了の日付である。配信条件は、電子クーポン情報の配信対象となる会員のグループを決定する条件である。グループは、会員レコードFL2Rを構成するデータのうち、客の属性を表す項目、例えば性別、年齢、郵便番号、ランク等で括ることができる。例えば、配信条件が「女性・20代」の場合には、20歳から29歳までの女性会員が電子クーポン情報の配信対象となる。同様に、配信条件が「ランク1位」の場合には、ランクが1位に設定された会員が電子クーポン情報の配信対象となる。有効回数は、会員が電子クーポン情報のクーポンを使用できる上限回数である。例えば、会員が一人当たり1回しか使えない電子クーポン情報の場合、有効回数は「1」となる。例えば、会員が一人当たり2回まで使用できる電子クーポン情報の場合には、有効回数は「2」となる。
ここに、クーポンファイルFL3は、取引で使用可能なクーポンを電子化した電子クーポン情報を記憶する第2の記憶部を構成する。このクーポンファイルFL3は、電子クーポン情報とともに有効回数を記憶する。
図9は、配信管理ファイルFL4に保存される配信管理レコードFL4Rの構造を示す模式図である。配信管理レコードFLR4は、クーポンIDと、会員ID及び許容回数Nの対データとで構成される。会員IDは、クーポンIDで識別される電子クーポン情報の配信対象であるグループに属する会員を識別するものである。許容回数Nは、初期値が電子クーポン情報の有効回数であり、対応する会員IDで識別される会員によって電子クーポン情報が使用される毎にカウントダウンされる。そして許容回数Nが“0”になると、会員は電子クーポン情報のクーポンを使用できなくなる。
ここに、配信管理ファイルFL4は、電子クーポン情報を識別するクーポン識別情報(クーポンID)とそのクーポン識別情報で識別される電子クーポン情報の配信対象である客の客識別情報(会員ID)とその客による電子クーポン情報の使用回数を表す情報(許容回数N)とを関連付けて記憶する第3の記憶部を構成する。
[電子レシートシステムの動作]
はじめに、会員がセンタサーバ32から電子クーポン情報を取得するまでの動作について説明する。
図10は、時計324によって計時される日付が翌日に切り替わる毎に、センタサーバ32のプロセッサ321が実行する更新処理の手順を示す流れ図である。この更新処理は、電子クーポン管理プログラムP4にしたがったものである。なお、図10に示すとともに以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
プロセッサ321は、Act1としてクーポンファイルFL3からクーポンレコードFL3Rを読み込む。因みに、クーポンファイルFL3には、商品の製造業者等が企画した電子クーポン情報に係るクーポンレコードFL3Rが多数保存されている。プロセッサ321は、この読み込んだクーポンレコードFL3Rに対し、Act2以降の処理を実行する。
すなわちプロセッサ321は、Act2としてクーポンレコードFL3Rの開始日が、時計324で計時されている日付と一致するか確認する。一致しない場合(Act2にてNO)、プロセッサ321は、Act3としてクーポンレコードFL3Rの終了日が日付と一致するか確認する。一致しない場合(Act3にてNO)、プロセッサ321は、Act13の処理に進む。
クーポンレコードFL3Rの開始日が時計324の日付と一致する場合(Act2にてYES)、プロセッサ321は、Act4としてクーポンレコードFL3RのクーポンIDをワークエリアに格納する。またプロセッサ321は、Act5としてクーポンレコードFL3Rの配信条件を認識する。
配信条件を認識したプロセッサ321は、Act6として会員ファイルFL2を検索する。そしてプロセッサ321は、Act7として会員レコードFL2R毎に配信条件を満足するか否かを判定する。配信条件を満足する会員レコードFL2Rを検出した場合(Act7にてYES)、プロセッサ321は、Act8としてその会員レコードFL2Rの会員IDとクーポンレコードFL3Rの有効回数との対データを、ワークエリアに格納する。会員レコードFL2Rが配信条件を満足しない場合には(Act7にてNO)、プロセッサ321は、会員IDと有効回数との対データをワークエリアに格納しない。
プロセッサ321は、Act9として会員ファイルFL2の検索を終了したか否かを判定する。終了していない場合(Act9にてYES)、プロセッサ321は、Act6の処理に戻る。すなわちプロセッサ321は、会員ファイルFL2の検索を続ける。そして配信条件を満足する会員レコードFL2Rを検出する度に、プロセッサ321は、その会員IDと有効回数との対データをワークエリアに格納する。
会員ファイルの検索を終了したならば(Act9にてNO)、プロセッサ321は、Act10として配信管理レコードFL4Rを作成する。配信管理レコードFL4Rには、Act1の処理でクーポンファイルFL3から読み込んだクーポンレコードFL3RのクーポンIDと、Act8の処理で作成した会員IDと有効回数との対データとが含まれる。作成された配信管理レコードFL4Rは、ワークエリアに格納される。その後、プロセッサ321は、Act13の処理に進む。
一方、クーポンレコードFL3Rの終了日が時計324の日付と一致する場合には(Act3にてYES)、プロセッサ321は、Act11として配信管理ファイルFL4を検索し、そのクーポンレコードFL3RのクーポンIDを記憶した配信管理レコードFL4Rを削除する。またプロセッサ321は、Act12としてそのクーポンレコードFL3RをクーポンファイルFL3から削除する。その後、プロセッサ321は、Act13の処理に進む。
なお、クーポンレコードFL3R及び配信管理レコードFL4Rの「削除」とは、ファイルからレコードを物理的に削除するだけを意味するものではない。例えばレコードに無効を表すフラグ情報を付加することでレコードを無効にする場合も「削除」に含まれる。
Act13では、プロセッサ321は、次のクーポンレコードFL3Rの有無を判定する。クーポンファイルFL3に次のクーポンレコードFL3Rがある場合(Act13にてYES)、プロセッサ321は、Act1の処理に戻る。そしてプロセッサ321は、Act1以降の処理を前記と同様にして実行する。
クーポンファイルFL3に次のクーポンレコードFL3Rがない場合には(Act13にてNO)、プロセッサ321は、Act14としてワークエリアに格納された配信管理レコードFL4Rを配信管理ファイルFL4に保存する。以上で、更新処理は終了する。
この更新処理により、配信期間内の電子クーポン情報に係る配信管理レコードFL4Rが、配信管理ファイルFL4に一括して保存される。各配信管理レコードFL4Rには、それぞれクーポンIDによって識別される電子クーポン情報の配信条件を満足する会員の会員IDと、その会員に対する許容回数Nとの対データが含まれる。
図11は、情報端末6のプロセッサ61が実行する処理のうちの一部であるクーポン確認処理の手順を示す流れ図である。また、図12〜図15は、クーポン確認処理の実行によりタッチパネル65に表示される種々の画面の一例を示す模式図である。プロセッサ61は、電子レシート端末プログラムP1にしたがって、このクーポン確認処理を実行する。なお、図11に示すとともに以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
電子レシート端末プログラムP1がインストールされた情報端末6のタッチパネル65には、電子レシート端末プログラムP1を起動するためのアイコンが表示されている。会員がこのアイコンにタッチすると、電子レシート端末プログラムP1が起動する。
電子レシート端末プログラムP1が起動すると、プロセッサ61は、Act21としてタッチパネル65の画面をトップ画面G1(図12を参照)とする。図12に示すように、トップ画面G1にはバーコードシンボル71が表示される。このバーコードシンボル71は、電子レシート管理領域W1に保存されている会員IDをバーコード化したものである。また、会員が電子クーポン情報を確認することを指示するためのクーポン確認アイコン72と、会員が電子レシート情報を確認することを指示するためのレシートアイコン73もトップ画面G1に表示される。
トップ画面G1を表示させた状態で、プロセッサ61は、Act22として画面がタッチされるのを待機する。タッチパネル65からの信号により画面がタッチされたことを検知すると(Act22にてYES)、プロセッサ61は、Act23としてクーポン確認アイコン72がタッチされたか確認する。クーポン確認アイコン72以外の画面領域がタッチされた場合(Act23にてNO)、プロセッサ61は、そのタッチ位置に応じた処理を実行する。例えばレシートアイコン73がタッチされた場合には、タッチパネル65にレシート一覧画面を表示させる。レシート一覧画面は、会員に対して発行された電子レシート情報の取引日付,店名、合計金額等の簡易情報を一覧にした画面であり、会員が所望の簡易情報表示欄にタッチすると、その欄の簡易情報に対応した取引のレシート画像がタッチパネル65に表示される。
クーポン確認アイコン72がタッチされた場合には(Act23にてYES)、プロセッサ61は、Act24として会員IDを検索用のキーとするクーポン要求コマンドをセンタサーバ32宛に送信する。すなわちプロセッサ61は、電子レシート管理領域W1から会員IDを読み込む。そしてプロセッサ61は、この会員IDを含むクーポン要求コマンドをセンタサーバ32に送信するように無線ユニット66に通知する。
この通知を受けて、無線ユニット66は、センタサーバ32の通信アドレスを送信先アドレスとし、情報端末6の通信アドレスを送信元アドレスとするクーポン要求コマンドを無線送信する。このクーポン要求コマンドには、電子レシート管理領域W1内の会員IDが含まれる。無線送信されたクーポン要求コマンドは、基地局5で受信され、ネットワーク4を経由してセンタサーバ32に送信される。
クーポン要求コマンドを受信したセンタサーバ32のプロセッサ321は、図16の流れ図に示す手順の受信処理を実行する。この処理は、電子クーポン管理プログラムP4にしたがったものである。なお、図16に示すとともに以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
クーポン要求コマンドの受信処理を開始すると、プロセッサ321は、Act41として会員IDを取得する。前述したように、クーポン要求コマンドには、そのコマンドの送信元である情報端末6のユーザである会員を識別するための会員IDが含まれる。プロセッサ321は、クーポン要求コマンドから会員IDを取得する。
会員IDを取得すると、プロセッサ321は、Act42としてその会員IDで会員ファイルFL2を検索し、この会員IDを含む会員レコードFL2Rの配信停止フラグF0を確認する。配信停止フラグF0が“1”にセットされていた場合(Act42にてNO)、当該会員IDで識別される会員に対しては電子クーポン情報の配信が停止されているので、プロセッサ321は、Act53の処理に進む。配信停止フラグF0が“0”にリセットされていた場合(Act42にてYES)、当該会員IDで識別される会員に対しては電子クーポン情報の配信が許容されているので、プロセッサ321は、Act43の処理に進む。
Act43では、プロセッサ321は、メインメモリ322の揮発性メモリ領域にクーポンリストを形成する。次いでプロセッサ321は、Act44として配信管理ファイルFL4を検索する。そしてプロセッサ321は、Act45として配信管理レコードFL4R毎に、取得した会員IDが含まれているか確認する。会員IDが含まれている配信管理レコードFL4Rを検出した場合(Act45にてYES)、プロセッサ321は、Act46としてその会員IDと対データを構成する許容回数Nが“1”以上であるか確認する。
許容回数Nが“1”以上の場合(Act46にてYES)、プロセッサ321は、Act47として配信管理レコードFL4RからクーポンIDを取得する。そしてプロセッサ321は、Act48としてクーポンファイルFL3から当該クーポンファイルを含むクーポンレコードFL3Rを読出し、このクーポンレコードFL3RのクーポンID、商品ID、商品名、値引額等で電子クーポンデータを作成する。プロセッサ321は、Act49として電子クーポンデータをクーポンリストに登録する。配信管理レコードFL4Rに会員IDが含まれていない場合(Act43にてNO)、あるいは許容回数Nが“0”の場合には(Act45にてNO)、プロセッサ321は、Act47、Act48及びAct49の各処理を実行しない。
プロセッサは、Act50として配信管理ファイルFL4の検索を終了したか確認する。終了していない場合(Act50にてNO)、プロセッサ321は、Act44の処理に戻る。すなわちプロセッサ321は、配信管理ファイルFL4の検索を続ける。そして、クーポン要求コマンドから取得した会員IDを含み、かつこの会員IDと対データを構成する許容回数Nが“1”以上である配信管理レコードFL4Rを検出する度に、プロセッサ321は、その配信管理レコードFL4RのクーポンIDを含む電子クーポンデータを作成する。そしてプロセッサ321は、この電子クーポンデータをクーポンリストに登録する。
配信管理ファイルFL4の検索を終了したならば(Act50にてYES)、プロセッサ321は、Act51としてクーポンリストに電子クーポンデータが登録されているか確認する。電子クーポンデータが登録されている場合(Act51にてYES)、プロセッサ321は、Act52としてクーポン要求コマンドの送信元である情報端末6宛にクーポンリストデータを送信するように通信インターフェース325に通知する。
この通知を受けて、通信インターフェース325は、クーポン要求コマンドの送信元である情報端末6の通信アドレスを送信先とし、センタサーバ32の通信アドレスを送信元とするクーポンリストデータをネットワーク4上に送信する。クーポンリストデータには、クーポンリストに登録された電子クーポンデータが含まれる。
一方、クーポンリストに電子クーポンデータが登録されていない場合には(Act51にてNO)、プロセッサ321は、Act53の処理に進む。Act53では、プロセッサ321は、クーポン要求コマンドの送信元である情報端末6宛にクーポン無し通知のデータを送信するように通信インターフェース325に通知する。
この通知を受けて、通信インターフェース325は、クーポン要求コマンドの送信元である情報端末6の通信アドレスを送信先とし、センタサーバ32の通信アドレスを送信元とするクーポン無し通知のデータをネットワーク4上に送信する。
ネットワーク4上に送信されたクーポンリストデータまたはクーポン無し通知のデータは、基地局5から無線送信され、送信先の通信アドレスを有する情報端末6で受信される。
ここに、プロセッサ321を主体とするセンタサーバ32のコンピュータは、通信インターフェース325と協働して配信手段を構成する。すなわちコンピュータは、会員IDを含むクーポン要求コマンドの受信に応答して、当該クーポン要求コマンドに含まれる会員IDと関連付けて配信管理ファイルFL4に記憶されているクーポンIDのうち、その会員IDと関連付けて記憶されている許容回数Nが“1”以上であり、配信が許容されるクーポンIDで識別される電子クーポン情報を当該クーポン要求コマンドの送信元に送信する。
図11に説明を戻す。
センタサーバ32宛にクーポン要求コマンドを送信した情報端末6のプロセッサ61は、Act25としてセンタサーバ32から送信されるデータを待機する。ここで、無線ユニット66を介してクーポン無し通知のデータを受信した場合には(Act25にてNO)、プロセッサ61は、Act26としてタッチパネル65の画面をクーポン無し通知画面G2(図13を参照)とする。図13に示すように、クーポン無し通知画面G2には、会員IDのバーコードシンボル71とともに使用可能な電子クーポン情報が無いことを告知するメッセージ74が表示される。したがって、クーポン確認アイコン72にタッチした会員は、このメッセージ74から、現時点において使用可能な電子クーポンは存在しないことを確認できる。
なお、クーポン無し通知画面G2に表示されるメッセージは、クーポンリストに電子クーポンデータが登録されていない場合(Act51にてNO)と、配信停止フラグF0が“1”にセットされていた場合(Act42にてNO)とで変えることも可能である。例えば、配信停止フラグF0が“1”にセットされていた場合には、電子クーポン情報の配信が禁止されていることを告知するメッセージを表示してもよい。
センタサーバ32からクーポンリストデータを受信した場合には(Act25にてYES)、プロセッサ61は、Act27としてタッチパネル65の画面をクーポンリスト画面G3(図14を参照)とする。図14に示すように、クーポンリスト画面G3には、会員IDのバーコードシンボル71とともにクーポンリスト75が表示される。また、会員が電子クーポン情報の選択終了を指示するための選択終了アイコン76もクーポンリスト画面G3に表示される。クーポンリスト75は、クーポンリストデータに含まれる電子クーポンデータの一覧を表す。具体的には、クーポンの対象となる商品の名称と値引額との一覧がクーポンリスト75に表わされる。したがって、クーポン確認アイコン72にタッチした会員は、このクーポンリスト75から、現時点において使用可能なクーポンの対象となる商品とそのクーポンを使用した場合の値引額とを確認できる。
このように電子レシートシステム1においては、電子クーポン情報毎に配信条件が設定されている。そして、この配信条件を満足する会員に対してのみ、電子クーポン情報が配信される。したがって、レシートを電子レシート情報で受け取る会員を配信条件によってグループ化し、そのグループ単位で電子クーポン情報を配信することが可能となる。
次に、電子クーポン情報を取得した会員がそのクーポンを使用して商取引の会計を行うときの動作について説明する。
クーポンリスト75を確認した会員は、そのリスト75から小売店舗で使用したい電子クーポン情報を探す。そして、使用したい電子クーポン情報があったならば、会員は、そのクーポンの対象となる商品名が表示されているクーポンリスト75の行にタッチする。この際、2以上の電子クーポン情報のクーポンを使用したい場合には、それぞれの行を連続してタッチする。そして、電子クーポン情報の選択を終えた会員は、選択終了アイコン76にタッチする。
クーポンリスト画面G3を表示させた状態で、プロセッサ61は、Act28として画面がタッチされるのを待機する。タッチパネル65からの信号により画面がタッチされたことを検知すると(Act28にてYES)、プロセッサ61は、Act29としてクーポンリスト75の行がタッチされたのか、Act30として選択終了アイコン76がタッチされたのかを確認する。クーポンリスト75または選択終了アイコン76以外の領域がタッチされた場合には(Act29にてNO、Act30にてNO)、プロセッサ61は、そのタッチ位置に応じた処理を実行する。
クーポンリスト75の行がタッチされた場合には(Act29にてYES)、プロセッサ61は、Act31としてそのタッチされた行に表示されている商品名及び値引額を含む電子クーポンデータ(クーポンID、商品ID、商品名、値引額等)をワークエリアに格納する。その後、プロセッサ61は、Act28の処理に戻り、再び画面がタッチされるのを待機する。
一方、選択終了アイコン76がタッチされた場合には(Act30にてYES)、プロセッサ61は、Act32としてタッチパネル65の画面をクーポン使用画面G4(図15を参照)とする。図15に示すように、クーポン使用画面G4には、会員IDのバーコードシンボル71とともに、クーポンIDを表すバーコード77が表示される。また、このバーコード77と関連付けて商品名と値引額も表示される。バーコード77は、ワークエリアに格納された電子クーポンデータに含まれたクーポンIDをバーコード化したものである。そして、このバーコード77と対応付けて、同電子クーポンデータに含まれる商品名と値引額とが表示される。したがって、タッチパネル65には、会員の会員IDとともに、その会員が選択した電子クーポン情報のクーポンIDがバーコードの形態で表示される。
なお、会員が電子クーポン情報を選択することなく選択終了アイコン76にタッチした場合には、ワークエリアに電子クーポンデータが格納されていないので、クーポン使用画面G4にバーコード77は表示されない。
電子クーポン情報のクーポンを使用する会員は、会計業務の担当者にクーポン使用画面G4を提示する。クーポン使用画面G4の提示を受けた担当者は、先ず、POS端末21のスキャナ218で、クーポン使用画面G4に表示されている会員IDのバーコードをスキャニングする。続いて担当者は、クーポン使用画面G4に表示されているクーポンIDのバーコード77と買上商品に付されている商品IDのバーコードとをスキャニングする。そして、スキャニングを終えたならば、担当者は、締めキーを入力して、商取引の登録締めを宣言する。
ここで、クーポンIDのバーコード77と商品IDのバーコードとをスキャニングする順番は、特に限定されない。クーポンIDのバーコード77をまとめてスキャニングしてから商品IDのバーコードをスキャニングしてもよい。逆に、商品IDのバーコードをまとめてスキャニングしてからクーポンIDのバーコード77をスキャニングしてもよい。あるいは、商品IDのバーコードをスキャニングする際に、担当者がその商品に対する電子クーポンの有無を確認し、電子クーポンがある場合に商品IDのバーコードとクーポンIDのバーコード77とを連続してスキャニングしてもよい。
ここに、スキャナ218は、クーポンIDを読み取る読取装置(第2の読取手段)として機能する。クーポンIDの読取装置は、スキャナ218に限定されるものではない。例えば情報端末6が近距離無線通信に対応した機器であり、この近距離無線通信を利用してクーポンIDを送信する仕組みの場合、クーポンIDを受信するための近距離無線通信デバイスが読取装置となる。
POS端末21のプロセッサ211は、スキャニングされたバーコードのデータを周知の技術で解析することにより、会員IDのバーコードなのかクーポンIDのバーコード77なのか商品IDのバーコードなのかを識別できる。
図17は、POS端末21のプロセッサ211が実行するスキャニング処理の手順を示す流れ図である。図18は、同スキャニング処理の中のクーポン判定処理の手順を具体的に示す流れ図である。図19は、POS端末21のプロセッサ211が実行する締めキー処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ211は、電子レシート発行プログラムP2にしたがって、これらの処理を実行する。なお、図17乃至図19に示すとともに以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
電子レシート発行プログラムP2が起動すると、プロセッサ211は、Act61として初期化を行う。この初期化により、メインメモリ212の揮発性メモリ領域に形成されているトランザクションバッファとクーポンバッファのデータがクリアされる。トランザクションバッファは、会員との商取引に係るデータを一時的に格納する領域である。クーポンバッファは、会員が使用する電子クーポン情報に係るデータを一時的に格納する領域である。また、この初期化により、会員フラグF1とクーポンフラグF2とが“0”にリセットされる。会員フラグF1は、レシートを電子レシート情報で受け取る会員との商取引の場合に“1”にセットされる1ビットの情報である。クーポンフラグF2は、電子クーポン情報のクーポンを使用する会員との商取引の場合に“1”にセットされる1ビットの情報である。会員フラグF1とクーポンフラグF2とは、例えば揮発性メモリ領域に記憶されている。なお、ディスプレイ216には、トランザクションバッファのデータを基に作成される画面が表示される。したがって、この初期化により、ディスプレイ216の画面も初期画面となる。
初期化を終えると、プロセッサ211は、Act62としてスキャニングが行われたか確認する。スキャニングが行われていない場合(Act62にてNO)、プロセッサ211は、Act63としてキー入力が行われたか確認する。キー入力が行われていない場合(Act63にてNO)、プロセッサ211は、Act62の処理に戻る。したがって、プロセッサ211は、Act62及びAct63の処理によりスキャニングが行われるかキー入力が行われるのを待機する。
スキャナ218によってバーコードのスキャニングが行われた場合(Act62にてYES)、プロセッサ211は、Act64として会員フラグF1を調べる。ここで、会員フラグF1が“0”にリセットされている場合、プロセッサ211は、Act65としてスキャニングされたバーコードが会員IDのバーコードであるか確認する。会員IDのバーコードでない場合(Act65にてNO)、プロセッサ211は、Act66としてスキャニングされたバーコードが商品IDのバーコードであるか確認する。商品IDのバーコードでない場合(Act66にてNO)、プロセッサ211は、そのバーコードの種類に応じた処理を実行する。
スキャニングされたバーコードが会員IDのバーコードであった場合には(Act65にてYES)、プロセッサ211は、Act67としてそのバーコードを解析して得られる会員IDに係る会員データをワークエリアに格納する。会員データは、会員IDを含む。また、その会員IDに関連付けて会員ファイルFL2に設定されている氏名、性別、年齢、ランク等を含んでもよい。氏名、性別、年齢、ランク等のデータは、会員IDのバーコードがスキャニングされる都度、センタサーバ32から取得してもよいし、予め会員ファイルFL2のローカルファイルを店舗サーバ22で保存し、このローカルファイルから取得してもよい。
プロセッサ211は、Act68として会員フラグF1を“1”にセットする。その後、プロセッサ211は、Act62の処理に戻る。したがって、次にバーコードのスキャニングが行われた場合には(Act62にてYES)、会員フラグF1が“1”にセットされているので(Act64にてYES)、プロセッサ211は、Act69の処理に進む。Act69では、プロセッサ211は、スキャニングされたバーコードがクーポンIDのバーコードであるか確認する。クーポンIDのバーコードでない場合(Act69にてNO)、プロセッサ211は、Act70としてスキャニングされたバーコードが商品IDのバーコードであるか確認する。商品IDのバーコードでない場合(Act70にてNO)、プロセッサ211は、そのバーコードの種類に応じた処理を実行する。
スキャニングされたバーコードがクーポンIDのバーコードであった場合には(Act69にてYES)、プロセッサ211は、Act71としてそのバーコードを解析して得られるクーポンIDに係る使用クーポンデータをクーポンバッファに格納する。使用クーポンデータは、クーポンIDと、そのクーポンIDに関連付けてクーポンファイルFL3に設定されている商品ID、商品名、値引額等を含む。商品ID、商品名、値引額等のデータは、クーポンIDのバーコードがスキャニングされる都度、センタサーバ32から取得してもよいし、予めクーポンファイルFL3のローカルファイルを店舗サーバ22で保存し、このローカルファイルから取得してもよい。
使用クーポンデータをクーポンバッファに格納した後、プロセッサ211は、Act72としてクーポンフラグF2を調べる。ここで、クーポンフラグF2が“0”にリセットされている場合(Act72にてNO)、プロセッサ211は、Act73としてクーポンフラグF2を“1”にセットする。クーポンフラグF2を“1”にセットするか、既にクーポンフラグF2が“1”にセットされていた場合(Act72にてYES)、プロセッサ211は、Act76の処理に進む。
一方、スキャニングされたバーコードが商品IDのバーコードであった場合には(Act66またはAct70にてYES)、プロセッサ211は、Act74の処理に進む。Act74では、プロセッサ211は、そのバーコードを解析して得られる商品IDから商品販売データを生成する。商品販売データは、商品IDと、その商品IDで識別される商品の名称(商品名)、単価、販売点数、販売金額等を含む。商品名及び単価のデータは、商品マスタファイルから取得する。販売点数は、通常は「1」であり、商品IDのスキャニングの直前に乗数がキー入力されている場合にはその乗数となる。販売金額は、価格に販売点数を乗算することで算出される。プロセッサ211は、商品販売データをトランザクションバッファに格納する。
次に、プロセッサ211は、Act75としてクーポンフラグF2を調べる。ここで、クーポンフラグF2が“0”にリセットされていた場合(Act75にてNO)、プロセッサ211は、Act79の処理に進む。クーポンフラグF2が“1”にセットされていた場合には(Act75にてNO)、プロセッサ211は、Act76の処理に進む。
Act76では、プロセッサ211は、図18の流れ図で示す手順のクーポン判定処理を実行する。すなわちプロセッサ211は、Act761として商品IDの照合を行う。
クーポン判定処理は、スキャニングされたバーコードがクーポンIDであり、Act71の処理を経て実行する場合と、スキャニングされたバーコードが商品IDであり、Act74の処理を経て実行する場合とがある。前者の場合、プロセッサ211は、Act71の処理でクーポンバッファに格納した使用クーポンデータの商品IDを、トランザクションバッファに既に格納されている商品販売データの商品IDと照合する。後者の場合、プロセッサ211は、Act74の処理でトランザクションバッファに格納した商品販売データの商品IDを、クーポンバッファに既に格納されている使用クーポンデータの商品IDと照合する。
プロセッサ211は、Act762として使用クーポンデータの商品IDと商品販売データの商品IDとが一致するか確認する。商品IDが一致する場合(Act762にてYES)、プロセッサ211は、Act763としてクーポンIDと会員IDとを検索用のキーとする回数要求コマンドをセンタサーバ32宛に送信する。すなわちプロセッサ211は、照合処理により一致した商品IDを含む使用クーポンデータから取得したクーポンIDと、Act67の処理で記憶した会員IDとを含む回数要求コマンドをセンタサーバ32宛に送信するように、通信インターフェース219に通知する。
この通知を受けて、通信インターフェース219は、センタサーバ32の通信アドレスを送信先アドレスとし、POS端末21の通信アドレスを送信元アドレスとする回数要求コマンドを送信する。回数要求コマンドには、照合処理により一致した商品IDを含む使用クーポンデータから取得したクーポンIDと、Act67の処理で記憶した会員IDとが含まれる。回数要求コマンドは、ルータ23からネットワーク4を経由してセンタサーバ32に送信される。
ここに、プロセッサ211を主体とするPOS端末21のコンピュータは、通信インターフェース219と協働して送信手段を構成する。すなわちコンピュータは、スキャナ218で読み取られた会員IDとクーポンIDとを含む回数要求コマンドをサーバ装置(センタサーバ32)に送信する。
回数要求コマンドを受信したセンタサーバ32のプロセッサ321は、図20の流れ図に示す手順の受信処理を実行する。この処理は、電子クーポン管理プログラムP4にしたがったものである。なお、図20に示すとともに以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
回数要求コマンドの受信処理を開始すると、プロセッサ321は、Act91としてクーポンIDと会員IDとを取得する。前述したように、回数要求コマンドには、電子クーポン情報のクーポンを使用する会員の会員IDとその会員が使用するクーポンのクーポンIDとが含まれる。プロセッサ321は、回数要求コマンドからクーポンIDと会員IDとを取得する。
プロセッサ321は、Act92として配信管理ファイルFL4を検索する。そしてプロセッサ321は、Act93として回数要求コマンドから取得したクーポンIDと一致するクーポンIDを記憶した配信管理レコードFL4Rの有無を判定する。該当する配信管理レコードFL4Rが有る場合(Act93にてYES)、プロセッサ321は、Act94としてその配信管理レコードFL4Rを配信管理ファイルFL4から読み出し、ワークエリアに格納する。
プロセッサ321は、Act95としてワークエリアに格納した配信管理レコードFL4Rから会員IDと許容回数Nとの対データを順に検出する。そしてプロセッサ321は、Act96としてその対データの会員IDが回数要求コマンドから取得した会員IDと一致するか確認する。一致しない場合(Act96にてNO)、プロセッサ321は、Act95の処理に戻り、次の対データを検出して会員IDを照合する。
配信管理レコードFL4Rには、会員IDが一致する対データが必ず格納されている。プロセッサ321は、会員IDが一致する対データを検出したならば、(Act96にてYES)、Act97としてその対データの許容回数Nを取得する。
プロセッサ321は、Act98として許容回数Nが“0”であるか“1”以上であるかを判定する。許容回数Nが“0”の場合(Act98にてYES)、プロセッサ321は、Act99の処理に進む。許容回数Nが“1”以上の場合には(Act98にてNO)、プロセッサ321は、Act99の処理を実行しない。Act99では、プロセッサ321は、回数要求コマンドから取得した会員IDで会員ファイルFL2を検索し、同一の会員IDが設定された会員レコードFL2Rの配信停止フラグF0を“1”にセットする。
その後、プロセッサ321は、Act100として許容回数Nを含む応答データを、回数要求コマンド送信元のPOS端末21に送信するように、通信インターフェース325に通知する。
この通知を受けて、通信インターフェース325は、回数要求コマンドの送信元であるPOS端末21の通信アドレスを送信先とし、センタサーバ32の通信アドレスを送信元とする応答データをネットワーク4上に送信する。応答データには、許容回数Nが含まれる。応答データは、ルータ23で受信され、LAN24を経由して回数要求コマンド送信元のPOS端末21に送られる。
ここに、プロセッサ321を主体とするセンタサーバ32のコンピュータは、通信インターフェース325と協働して応答手段を構成する。すなわちコンピュータは、会員IDとクーポンIDとを含む回数要求コマンドの受信に応答して、当該回数要求コマンドに含まれる会員IDとクーポンIDとに関連付けて配信管理ファイルFL4に記憶されている許容回数Nを回数要求コマンドの送信元であるPOS端末21に送信する。
また、プロセッサ321を主体とするセンタサーバ32のコンピュータは、上記Act99の処理により、制御手段を構成する。すなわちコンピュータは、許容回数Nが“0”であり、電子クーポン情報の配信が許容されない場合に、会員ファイルFL2の回数要求コマンドに含まれる会員IDに関連付けて記憶されている電子クーポン情報の配信を禁止する情報(配信停止フラグF0)を“1”にセットする。
なお、“1”にセットされた配信停止フラグF0は、例えば定期的あるいは不定期に実施されるサーバシステム3のメンテナンス業務において、係員により人為的に“0”にリセットすることができる。
図18に説明を戻す。
センタサーバ32宛に回数要求コマンドを送信したPOS端末21のプロセッサ211は、Act764としてセンタサーバ32から送信される応答データを待機する。そして応答データを受信したならば(Act764にてYES)、プロセッサ211は、Act765としてその応答データに含まれる許容回数Nが“0”であるか“1”以上であるかを判定する。許容回数Nが“1”以上の場合(Act765にてNO)、プロセッサ211は、Act766としてワークエリアにクーポン対象であることを示すステータス情報を格納する。許容回数Nが“0”の場合には(Act765にてYES)、プロセッサ211は、Act767としてワークエリアにクーポン対象外であることを示すステータス情報を格納する。以上で、クーポン判定処理が終了する。
図17に説明を戻す。
クーポン判定処理が終了すると、プロセッサ211は、Act77としてクーポン判定処理によってワークエリアに格納されたステータス情報を確認する。ステータス情報がクーポン対象であることを示す場合(Act77にてYES)、プロセッサ211は、Act78としてクーポン判定処理において商品IDの一致が確認された使用クーポンデータをクーポンバッファからトランザクションバッファに転送する。その後、プロセッサ211は、Act79の処理に進む。ステータス情報がクーポン対象外であることを示す場合には(Act77にてNO)、プロセッサ211は、Act78の処理を実行することなくAct79の表示更新処理に進む。
ここに、プロセッサ211を主体とするPOS端末21のコンピュータは、通信インターフェース219と協働して処理手段を構成する。すなわちコンピュータは、回数要求コマンドの送信に応答してセンタサーバ32から返信される許容回数NからクーポンIDで識別される電子クーポン情報の使用可否を判定し、使用可の場合にスキャナ218で読み取られた会員IDとクーポンIDとを含むデータ(使用クーポンデータ)をセンタサーバ32に送信する。
Act79では、プロセッサ211は、トランザクションバッファのデータを基に作成されるディスプレイ216の画面を更新する。したがって、Act74の処理においてトランザクションバッファに商品販売データが格納された場合には、この商品販売データを構成する商品名、単価、販売点数,販売金額等が画面に表示される。Act78の処理においてトランザクションバッファに使用クーポンデータが格納された場合には、この使用クーポンデータを構成する商品名、値引額等が画面に表示される。また、商品販売データの販売金額合計から使用クーポンデータの値引額合計を減じた金額が、取引金額として表示される。
ディスプレイ216の画面を更新した後、プロセッサ211は、Act62の処理に戻る。したがって、再びバーコードがスキャニングされた場合には、プロセッサ211は、Act69以降の処理を再度実行する。
一方、キーボード215のいずれかのキーが入力された場合には(Act63にてYES)、プロセッサ211は、その入力キーに応じた処理を実行する。すなわち入力キーが締めキーの場合、プロセッサ211は、図19の流れ図に示す手順の処理を開始する。
先ずプロセッサ211は、Act81として商取引の買上商品が登録済か確認する。すなわちプロセッサ211は、トランザクションバッファに商品販売データが格納されているか確認する。トランザクションバッファに商品販売データが格納されていない場合(Act81にてNO)、プロセッサ211は、商取引の買上商品が登録されていない状態で締めキーが入力された誤操作と判定する。この場合、プロセッサ211は、締めキーの入力をエラーとする。
トランザクションバッファに商品販売データが格納されている場合には(Act81にてYES)、プロセッサ211は、Act82として決済処理を実行する。この決済処理において、プロセッサ211は、買上商品の合計金額とその合計金額に対する支払金額及び支払種別(現金支払い、クレジット支払い等)とを含む決済データを生成する。そしてプロセッサ211は、Act83としてこの決済データをトランザクションバッファに格納する。
次いで、プロセッサ211は、Act84として会員フラグF1を調べる。会員フラグF1が“0”にリセットされている場合、すなわち電子レシート会員でない買物客との商取引の場合には、プロセッサ211は、Act85として紙レシートの発行を制御する。具体的にはプロセッサ211は、トランザクションバッファに格納されたデータで印刷データとしてのレシートデータを生成し、このレシートデータをプリンタ217に出力して、紙レシートを発行させる。
一方、会員フラグF1が“1”にセットされている場合、すなわち電子レシート会員との商取引の場合には、プロセッサ211は、Act86として電子レシートの発行を制御する。具体的にはプロセッサ211は、トランザクションバッファに格納されたデータで電子化されたレシートデータを生成し、このレシートデータとAct67の処理でワークエリアに格納した会員データの会員IDとをセンタサーバ32宛に送信するように、通信インターフェース219に通知する。
この通知を受けて、通信インターフェース219は、センタサーバ32の通信アドレスを送信先アドレスとし、POS端末21の通信アドレスを送信元アドレスとするレシートデータを送信する。レシートデータには、会員IDと商品販売データと使用クーポンデータとが含まれる。レシートデータは、ルータ23からネットワーク4を経由してセンタサーバ32に送信される。
レシートデータを受信したセンタサーバ32のプロセッサ321は、図21の流れ図に示す手順の処理を実行する。なお、図21に示すとともに以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
プロセッサ321は、Act111としてレシートデータから会員IDを取得する。また、プロセッサ321は、Act112としてレシートデータから取引明細データを取得する。取引明細データは、商品販売データまたは使用クーポンデータである。
プロセッサ321は、Act113として取引明細データが商品販売データなのか使用クーポンデータなのかを判別する。商品販売データの場合(Act93にてNO)、プロセッサ321は、Act114として、Act111の処理で取得した会員IDを含む会員レコードFL2Rの取引実績データを更新する。
使用クーポンデータの場合には(Act113にてYES)、プロセッサ321は、Act115として、Act91の処理で取得した会員IDを含む会員レコードFL2Rのクーポン実績データを更新する。またプロセッサ321は、Act116として使用クーポンデータのクーポンIDとAct91の処理で取得した会員IDとを検索キーとして配信管理ファイルFL4を検索する。そしてプロセッサ321は、Act117として検索キーとクーポンIDが一致する配信管理レコードFL4Rに含まれる対データのうち、検索キーと一致する会員IDと対データをなす許容回数Nを“1”だけ減じる。
ここに、プロセッサ321を主体とするセンタサーバ32のコンピュータは、更新手段を構成する。すなわちコンピュータは、取引で使用された電子クーポン情報のクーポンIDとその取引の対象である会員の会員IDとを含むデータ(利用クーポンデータ)の受信に応答して、配信管理ファイルFL4で上記データに含まれるクーポンID及び会員IDと関連付けて記憶されている許容回数Nを使用回数が増加するように更新する。
Act114またはAct17の処理が終了すると、プロセッサ321は、Act118として次の取引明細データが有るか確認する。次の取引明細データが有る場合(Act118にてYES)、プロセッサ321は、Act112の処理に戻り、それ以降の処理を前記と同様に繰り返す。
次の取引明細データが無い場合には(Act118にてNO)、プロセッサ321は、Act119としてPOS端末21から受信したレシートデータを電子レシートサーバ31に転送する。電子レシートサーバ31は、レシートデータをレシートファイルFL1に保存する。
このように電子レシートシステム1においては、会員が電子クーポン情報のクーポンを使用することにより、この会員に対する当該電子クーポン情報の許容回数Nが減じられる。そして、この許容回数が“0”になった会員IDの会員に対しては、たとえ配信期間内であっても当該電子クーポンが配信されなくなる。したがって、電子レシートシステム1によれば、電子クーポン毎に会員の使用回数を制限することができ、使用回数を超えた会員に対してはその電子クーポン情報を配信しないように制御することができる。
ここに、プロセッサ321を主体とするセンタサーバ32のコンピュータは、通信インターフェース325と協働して、取引を決済する会計装置(POS端末21)から電子レシート情報を受け取る受取手段を構成する。
[電子レシートシステムの効果]
電子レシートシステム1においては、センタサーバ32が、クーポンファイルFL3と配信管理ファイルFL4とを備えている。そして、配信管理ファイルFL4では、電子クーポン情報を識別するクーポンIDと、そのクーポンIDで識別される電子クーポン情報の配信対象である会員の会員IDと、その会員による電子クーポン情報の使用回数を表す情報として許容回数Nとを関連付けた配信管理レコードFL4Rを記憶している。
センタサーバ32のプロセッサ321は、POS端末21から、取引で使用された電子クーポン情報のクーポンIDとその取引の対象である会員の会員IDとを含むデータ(利用クーポンデータ)を受信すると、配信管理ファイルFL4で上記データに含まれるクーポンID及び会員IDと関連付けて記憶されている許容回数Nを、使用回数が増加するように、すなわち許容回数Nを減らすように更新する。そしてプロセッサ321は、情報端末6から、会員IDを含むクーポン要求コマンドを受信すると、当該クーポン要求コマンドに含まれる会員IDと関連付けて配信管理ファイルFL4に記憶されているクーポンIDのうち、会員IDと関連付けて記憶されている許容回数Nが“1”以上のクーポンIDを当該クーポン要求コマンドの送信元に送信する。換言すれば、許容回数Nが“0”になったクーポンIDの電子クーポン情報は配信されない。したがって、使用回数が有効回数に達した会員に対しては、その電子クーポン情報が配信されないように制御できるので、電子クーポン情報毎に会員の使用回数を適切に制限することができる。
ところで、許容回数Nが“0”になったクーポンIDの電子クーポン情報を配信しないように制御しても、例えば、情報端末6のスクリーンショット機能を利用して、タッチパネル65の画面を画像として保存することで、配信済の電子クーポンを繰り返し使用する不正が考えられる。
この点に関し、電子レシートシステム1では、POS端末21のプロセッサ211が、電子クーポン情報の使用に先立って会員IDとクーポンIDとを含む回数要求コマンドをセンタサーバ32に送信する。センタサーバ32のプロセッサ321は、回数要求コマンドの受信に応答して、当該回数要求コマンドに含まれる会員IDとクーポンIDとに関連付けて配信管理ファイルFL4に記憶されている許容回数Nを回数要求コマンド送信元のPOS端末21に送信する。POS端末21のプロセッサ211は、許容回数Nが“1”以上の場合に、クーポンIDで識別される電子クーポン情報の使用を許可する。つまり、許容回数Nが“0”の場合には、クーポンIDで識別される電子クーポン情報の使用が許可されない。したがって、配信済の電子クーポンを繰り返し使用する不正は、未然に防ぐことができる。
また、センタサーバ32は、会員IDに関連付けて配信禁止フラグF0を記憶した会員ファイルFL2を備えている。そして、センタサーバ32のプロセッサ321は、回数要求コマンドに対してPOS端末21に応答した許容回数Nが“0”のとき、該当する会員IDに関連付けられた配信禁止フラグF0を“1”にセットするようにしている。またプロセッサ321は、配信禁止フラグF0が“1”にセットされた会員IDを含むクーポン要求コマンドを受信した場合、そのクーポン要求コマンド送信元の情報端末6に対して全ての電子クーポン情報を配信しない。したがって、配信済の電子クーポンを繰り返し使用する不正を働いたユーザに対しては、電子クーポン情報の配信を禁止することができる。
[変形例]
前記実施形態では、POS端末21が電子レシート会員との商取引で生成した電子レシート情報をセンタサーバ32に送信し、センタサーバ32での処理を終えた後、センタサーバ32が電子レシートサーバ31に電子レシート情報を転送した。この点については、POS端末21が電子レシートサーバ31に電子レシート情報を送信し、電子レシートサーバ31が電子レシート情報をレシートファイルFL1に保存するとともにセンタサーバ32に転送するようにしてもよい。あるいは、POS端末21が電子レシートサーバ31とセンタサーバ32と対して並行して電子レシート情報を送信してもよい。
前記実施形態では、電子レシートサーバ31がレシートファイルFL1を備え、センタサーバ32が会員ファイルFL2とクーポンファイルFL3と配信管理ファイルFL4とを備えた。そして、センタサーバ32のプロセッサ321が、電子クーポン要求コマンド及び回数要求コマンドに対する情報処理を実行した。この点については、例えば電子レシートサーバ31がレシートファイルFL1と会員ファイルFL2と配信管理ファイルFL4とを備え、センタサーバ32がクーポンファイルFL3を備える。そして電子レシートサーバ31のプロセッサ311が、電子クーポン要求コマンド及び回数要求コマンドに対する情報処理を実行してもよい。
また、必ずしもサーバシステム3が、電子レシートサーバ31とセンタサーバ32とを備えていなくてもよい。1つのサーバ装置が電子レシートサーバ31としての機能とセンタサーバ32としての機能とを兼用することも可能である。あるいは、POSシステム2を構成する店舗サーバ22が、電子レシートサーバ31及びセンタサーバ32としての機能を有してもよい。その場合、電子レシートシステム1からサーバシステム3は省略される。
前記実施形態では、電子クーポン情報の使用回数を表す情報として許容回数Nを例示した。許容回数Nは、電子クーポン情報毎に設定された有効回数を初期値とし、対応するクーポンIDで識別されるクーポン情報のクーポンが使用される毎にカウントダウンするものである。使用回数を表す情報は、このような許容回数Nに限定されるものではない。例えば、使用回数をカウントアップするカウンタでもよい。この場合、カウンタが有効回数を超えたならば、そのカウンタと対データを構成する会員IDの会員に対して該当する電子クーポン情報を配信しないように制御すればよい。
また、前記実施形態では、クーポンファイルFL3において、クーポンID毎に有効回数を記憶した。この点に関しては、電子クーポン情報の有効回数が全て1回であると定義した場合、許容回数Nの初期値を“1”とすることで、有効回数を省略できる。
なお、サーバ装置(電子レシートサーバ31及びセンタサーバ32)の譲渡は一般に、本実施形態のプログラムがメインメモリに記憶された状態にて行われる。しかしこれに限らず、サーバ装置が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このサーバ装置とは個別に譲渡されたプログラムがユーザなどの操作に応じて書き込まれてもよい。プログラム等の譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]取引の明細を示すレシートを電子化した電子レシート情報を、その取引の対象である客を識別する客識別情報と関連付けて記憶する第1の記憶部と、前記取引で使用可能なクーポンを電子化した電子クーポン情報を記憶する第2の記憶部と、前記電子クーポン情報を識別するクーポン識別情報と、そのクーポン識別情報で識別される前記電子クーポン情報の配信対象である客の前記客識別情報と、その客による前記電子クーポン情報の使用回数を表す情報と、を関連付けて記憶する第3の記憶部と、前記取引で使用された前記電子クーポン情報の前記クーポン識別情報とその取引の対象である客の前記客識別情報とを含むデータの受信に応答して、前記第3の記憶部で前記データに含まれる前記クーポン識別情報及び客識別情報と関連付けて記憶されている前記使用回数を表す情報を使用回数が増加するように更新する更新手段と、前記客識別情報を含むクーポン要求コマンドの受信に応答して、当該クーポン要求コマンドに含まれる前記客識別情報と関連付けて前記第3の記憶部に記憶されている前記クーポン識別情報のうち、前記客識別情報と関連付けて記憶されている前記使用回数を表す情報から配信が許容される前記クーポン識別情報で識別される前記電子クーポン情報を当該クーポン要求コマンドの送信元に送信する配信手段と、を具備したことを特徴とするサーバ装置。
[2]前記客識別情報と前記クーポン識別情報とを含む回数要求コマンドの受信に応答して、当該回数要求コマンドに含まれる前記客識別情報と前記クーポン識別情報とに関連付けて前記第3の記憶部に記憶されている前記使用回数を表す情報を前記回数要求コマンドの送信元に送信する応答手段、をさらに具備したことを特徴とする付記[1]記載のサーバ装置。
[3]前記客識別情報に関連付けて前記電子クーポン情報の配信を禁止する情報を記憶する第4の記憶部と、前記応答手段により応答する前記使用回数を表す情報から前記配信が許容されない場合に、前記第4の記憶部に、前記回数要求コマンドに含まれる前記客識別情報に関連付けて前記電子クーポン情報の配信を禁止する情報を記憶させる制御手段と、をさらに具備したことを特徴とする付記[2]記載のサーバ装置。
[4]付記[1]乃至[3]のうちいずれか1に記載のサーバ装置と、取引の決済により電子レシート情報を生成し、この電子レシート情報を前記サーバ装置に出力する会計装置と、を備えたことを特徴とする電子レシートシステム。
[5]付記[2]または[3]に記載のサーバ装置と、取引の決済により電子レシート情報を生成し、この電子レシート情報を前記サーバ装置に出力する会計装置と、を備え、前記会計装置は、前記客識別情報を読み取る第1の読取手段と、前記クーポン識別情報を読み取る第2の読取手段と、前記第1の読取手段により読み取られた前記客識別情報と前記第2の読取手段により読み取られた前記クーポン識別情報とを含む前記回数要求コマンドを前記サーバ装置に送信する送信手段と、前記回数要求コマンドの送信に応答して前記サーバ装置から返信される前記使用回数を表す情報から前記クーポン識別情報で識別される電子クーポン情報の使用可否を判定し、使用可の場合に前記第1の読取手段により読み取られた前記客識別情報と前記第2の読取手段により読み取られた前記クーポン識別情報とを含むデータを前記サーバ装置に送信する処理手段と、を具備したことを特徴とする電子レシートシステム。
[6]取引の明細を示すレシートを電子化した電子レシート情報を、その取引の対象である客を識別する客識別情報と関連付けて記憶する第1の記憶部、前記取引で使用可能なクーポンを電子化した電子クーポン情報を記憶する第2の記憶部、及び、前記電子クーポン情報を識別するクーポン識別情報とそのクーポン識別情報で識別される前記電子クーポン情報の配信対象である客の前記客識別情報とその客による前記電子クーポン情報の使用回数を表す情報とを関連付けて記憶する第3の記憶部に対して情報の入出力を行うコンピュータに、前記取引で使用された前記電子クーポン情報の前記クーポン識別情報とその取引の対象である客の前記客識別情報とを含むデータの受信に応答して、前記第3の記憶部で当該データに含まれる前記クーポン識別情報及び客識別情報と関連付けて記憶されている前記使用回数を表す情報を使用回数が増加するように更新する機能と、前記客識別情報を含む電子クーポン要求コマンドの受信に応答して、当該電子クーポン要求コマンドに含まれる前記客識別情報と関連付けて前記第3の記憶部に記憶されている前記クーポン識別情報のうち、前記客識別情報と関連付けて記憶されている前記使用回数を表す情報から配信が許容される前記クーポン識別情報で識別される前記電子クーポン情報を当該電子クーポン要求コマンドの送信元に送信する機能と、を実現させるためのプログラム。