JP2019137604A - 焼成用粘土組成物、焼成用粘土改質添加材、並びに焼成用粘土組成物及び焼成粘土製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミノケイ酸塩廃材料を有効活用して、焼成中のクリストバライトの生成を抑制できる焼成用粘土組成物の提供。【解決手段】耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料を添加して改質した焼成用粘土組成物において、該アルミノケイ酸塩廃材料中の特定金属カチオンに加えて、特定金属カチオンを含む金属カチオン源を更に添加する、あるいは熔剤性鉱物を比較的多く含む粘土を選択することにより、焼成用粘土組成物中の特定金属カチオン量を制御し、もって前記アルミノケイ酸塩廃材料の焼成中のクリストバライトの生成を抑制することができ、耐火度を向上させた焼成用粘土組成物を得られる。【選択図】図1
Description
本発明は、廃材料を利用した焼成用粘土組成物に関する。
石油クラッキング等の分野では、毎年多量のアルミノケイ酸塩廃材料(廃触媒、その微細な摩耗粉等)が、費用をかけて廃棄処分されており、新たな利用・活用法が求められている。他方で、長年の採掘により、焼成用ないし瓦用の良質の粘土、特に、耐火度の高い良質の粘土が減少している(非特許文献1)。
そこで、前記廃触媒等の廃材料を有効活用すべく、流動接触分解廃触媒あるいはその微細な摩耗粉を結合材(典型的には粘土)と組み合わせて陶磁器焼結体(焼成体)の製造に用いることが検討されている(特許文献1、2)。
原田達也ら、粘土科学 第51巻 第3号 95-106(2013)
中島剛ら、島根県産業技術センター研究報告 第48号 39-42(2012)
工業技術連絡会議窯業連合部会:日本の窯業原料、P875 (1992)
しかし、本発明者らが、アルミノケイ酸塩廃材料の一つである流動接触廃触媒を焼成相当温度で熱処理したところ、熱処理中にクリストバライトが生成してしまうことがわかった。クリストバライトは、石英と同様、二酸化ケイ素結晶の多形(同質異像)の一つであり、熱処理中、アルミノケイ酸塩廃材料中の二酸化ケイ素(SiO2)成分やアルミナ(Al2O3)成分からムライト(アルミノケイ酸塩鉱物)が形成されると同時に、余剰の二酸化ケイ素がクリストバライトとして析出したと考えられた。このクリストバライトには、互いに密度の異なる高温型(密度2.2g/cm3)と低温型(密度2.3g/cm3)と、があり、温度が200℃程度に達すると急激に膨張する性質を有する。従って、クリストバライトの存在は、焼成粘土製品の割れの原因となる。クリストバライトの生成を抑制する方法としては、アルミニウム源を添加する、ガラス量を15重量%以上とする等、いくつか報告されているが(特許文献3,4)、より簡便に、かつ安価にクリストバライトの生成を抑えつつ、アルミノケイ酸塩廃材料を有効活用する手段が望まれる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、アルミノケイ酸塩廃材料を有効利用する際に、特定金属カチオンの量を制御することで、クリストバライトの生成を抑制できることを見い出した。
すなわち、本発明の第一の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料;
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ;及び
(C)粘土、を含み、
前記(C)を主成分とすることを特徴とする焼成用粘土組成物であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、並びに前記(C)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料;
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ;及び
(C)粘土、を含み、
前記(C)を主成分とすることを特徴とする焼成用粘土組成物であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、並びに前記(C)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
本発明の第二の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料と、
(B)粘土と、を含み、
前記(B)粘土を主成分とする焼成用粘土組成物であって、
前記(B)粘土が、(C)1000℃〜1350℃の温度で熔解可能な熔剤性鉱物を含み、
少なくとも前記(A)及び(C)それぞれが、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含み、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料と、
(B)粘土と、を含み、
前記(B)粘土を主成分とする焼成用粘土組成物であって、
前記(B)粘土が、(C)1000℃〜1350℃の温度で熔解可能な熔剤性鉱物を含み、
少なくとも前記(A)及び(C)それぞれが、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含み、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
本発明の第三の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料、及び
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ
と、を含む焼成用粘土改質添加材であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、(3s−a)/30(mmol/g)以上である、焼成用粘土改質添加材である。
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料、及び
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ
と、を含む焼成用粘土改質添加材であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、(3s−a)/30(mmol/g)以上である、焼成用粘土改質添加材である。
かかる添加材を粘土に配合することで、簡便に、クリストバライトの生成を抑制しつつ、アルミノケイ酸塩廃材料を有効活用した焼成用粘土組成物を得ることを可能にする。
本発明の第四の態様は、
(C)前記第三の態様の焼成用粘土改質添加材と、(D)粘土と、を混合する工程を含み、
得られる焼成用粘土組成物の主成分が前記(D)粘土であることを特徴とする、焼成用粘土組成物の製造方法である。
(C)前記第三の態様の焼成用粘土改質添加材と、(D)粘土と、を混合する工程を含み、
得られる焼成用粘土組成物の主成分が前記(D)粘土であることを特徴とする、焼成用粘土組成物の製造方法である。
本発明の第五の態様は、
前記第一または第二の態様の焼成用粘土組成物を混練、成形し、焼成前成形品を得る工程、及び前記焼成前成形品を1000℃〜1350℃で焼成することを特徴とする、焼成粘土製品の製造方法である。
前記第一または第二の態様の焼成用粘土組成物を混練、成形し、焼成前成形品を得る工程、及び前記焼成前成形品を1000℃〜1350℃で焼成することを特徴とする、焼成粘土製品の製造方法である。
本発明により、クリストバライトの生成を抑制しつつ、アルミノケイ酸塩廃材料を有効活用し、耐火度の向上した焼成用粘土組成物を得ることができる。
[(一)本発明の第一の態様について]
本発明の第一の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料;
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ;及び
(C)粘土、を含み、
前記(C)を主成分とすることを特徴とする焼成用粘土組成物であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、並びに前記(C)粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
本発明の第一の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料;
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ;及び
(C)粘土、を含み、
前記(C)を主成分とすることを特徴とする焼成用粘土組成物であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、並びに前記(C)粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
(1−1)
本態様は、枯渇しつつある瓦用粘土等の焼成用粘土の一部に置き換えて耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料を使用することで、耐火度を向上させた焼成用粘土組成物を提供する。
本態様は、枯渇しつつある瓦用粘土等の焼成用粘土の一部に置き換えて耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料を使用することで、耐火度を向上させた焼成用粘土組成物を提供する。
特に本態様では、特定金属カチオンを含む金属カチオン源を少量添加することで、特定金属カチオン量を制御して割れの原因となる、アルミノケイ酸塩廃材料由来のクリストバライトの生成を抑制し、もってアルミノケイ酸塩廃材料を有効活用することができる。特定金属カチオンを含む金属カチオン源の添加によりクリストバライトの生成を抑制できるのは、焼成中、Al/Si比のより小さい長石類(たとえば、KAlSi3O8、NaAlSi3O8等)などのガラス質形成成分の生成が促進され、これがガラス化する際に余剰のSiO2が取り込まれるためではないかと考えている。
さらに、鉄分含量の少ないアルミノケイ酸塩廃材料を選択して用いることで、素地の白色化に寄与することができ、アルミノケイ酸塩廃材料の水分調整、たとえば乾燥粉を使用することで粘土組成物の水分量を調節することができる。
(1−2)
(i)
本態様で用いる成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料としては、耐火度がSK20以上である高耐火材料を用いる。これにより、添加された後の粘土組成物の耐火度を向上させることができる。実際にも、耐火度がSK18の粘土に対して、10重量%の廃触媒1(実施例参照、耐火度SK22相当)を添加する、すわなち、粘土:廃触媒1=90:10の重量比で添加することにより、耐火度がSK19にまで向上した。
(i)
本態様で用いる成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料としては、耐火度がSK20以上である高耐火材料を用いる。これにより、添加された後の粘土組成物の耐火度を向上させることができる。実際にも、耐火度がSK18の粘土に対して、10重量%の廃触媒1(実施例参照、耐火度SK22相当)を添加する、すわなち、粘土:廃触媒1=90:10の重量比で添加することにより、耐火度がSK19にまで向上した。
ここで、耐火度とは、軟化変形を起こす加熱の度合いを示すもので、同一の加熱条件によって同一程度の変形を示す標準ゼーゲルコーンの番号で示し、JIS R2001で定義され、JIS R2204を参照して測定することができる。そして、耐火度の程度はSK番号で表現され、SK番号が大きいほど耐火度は高い。
(ii)
本態様で用いることのできる高耐火材料であるアルミノケイ酸塩廃材料としては、接触分解廃触媒や接触分解触媒摩耗粉などの多孔質アルミノケイ酸塩の廃材料が例示できる。ここで、接触分解廃触媒とは、重油留分から低沸点炭化水素であるガソリンを製造する接触分解、たとえば流動接触分解に用いた触媒であって、繰返し再生利用等の結果、分解活性が低下したために装置から排出された触媒をいう。また、接触分解触媒摩耗粉とは、(流動)接触分解工程において触媒粒子間の摩擦により生じた微細な摩耗粉をいい、煙道に排出された排ガス中から電気集塵器により回収できる。
本態様で用いることのできる高耐火材料であるアルミノケイ酸塩廃材料としては、接触分解廃触媒や接触分解触媒摩耗粉などの多孔質アルミノケイ酸塩の廃材料が例示できる。ここで、接触分解廃触媒とは、重油留分から低沸点炭化水素であるガソリンを製造する接触分解、たとえば流動接触分解に用いた触媒であって、繰返し再生利用等の結果、分解活性が低下したために装置から排出された触媒をいう。また、接触分解触媒摩耗粉とは、(流動)接触分解工程において触媒粒子間の摩擦により生じた微細な摩耗粉をいい、煙道に排出された排ガス中から電気集塵器により回収できる。
かかる廃触媒は、たとえば、製油所等から廃材料として排出されたものを入手して使用することができる。
なお、後記(1−6−2)で説明するように、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料及び成分(B−2)のモレキュラーシーブ[成分(B)に(B−2)が含まれる場合]由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料及び成分(B−2)のモレキュラーシーブ[成分(B)に(B−2)が含まれる場合]由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、3s−aは焼成中に発生する余剰のSiO2の量と正の相関をもっている。このため、クリストバライト抑制の観点からは、前記焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの3s−a(mmol/g)が15(mmol/g)以下が好ましく、9(mmol/g)以下であることがより好ましく、さらに5(mmol/g)以下であることがより好ましい。
(iii)
また、前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料として鉄分の少ない廃材料を用いることで、焼成用粘土組成物から得られる焼成粘土製品の白色度を向上させることができる。より具体的には、アルミノケイ酸塩廃材料中、Fe2O3換算で、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の鉄分含量の廃材料を用いることができる。
また、前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料として鉄分の少ない廃材料を用いることで、焼成用粘土組成物から得られる焼成粘土製品の白色度を向上させることができる。より具体的には、アルミノケイ酸塩廃材料中、Fe2O3換算で、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の鉄分含量の廃材料を用いることができる。
得られる焼成粘土製品の白色度は、色彩色差計を用いてYxy表色系によって評価できる。良好な白色度のためには、Yの値が大きいことが好ましく、更にx及びyがそれぞれ0.33に近い値を示ことがより好ましい。Yの値が大きいほど白くなり、またx及びyがそれぞれ0.33に近い値を示すほど色相バランスがよいからである。
(iv)
前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料中の水分含量を低くする、より具体的には、好ましくは8重量%未満、より好ましくは5重量%未満とすることで、本態様の粘土組成物の水分量を調整することができる。
前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料中の水分含量を低くする、より具体的には、好ましくは8重量%未満、より好ましくは5重量%未満とすることで、本態様の粘土組成物の水分量を調整することができる。
(v)
前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料の粒径(メディアン径)は、バランスのとれた吸水率と収縮率を確保する観点からは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料の粒径(メディアン径)は、バランスのとれた吸水率と収縮率を確保する観点からは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
ここで、メディアン径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置によって得られた粒度分布データ(相対粒子量 vs.粒子径)の中央値を指し、積算分布曲線の50%を示す粒子径のことをいう。
(1−3)
本態様に用いる成分(B)の金属カチオン源は、
以下の塩(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ、である。
本態様に用いる成分(B)の金属カチオン源は、
以下の塩(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ、である。
なお、前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料中にも一般的には、Na2OあるいはK2O等の成分として、前記特定金属カチオンを微量に含んでいるものの、これら単独ではクリストバライトの生成を抑制できる程度の十分な量は含まれていないのが通常である(実施例、表1参照)。
(i)
前記(B−1)のアルミノケイ酸塩以外の金属塩中の対カチオンは、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンである。この中でも、カリウムイオンが、クリストバライト抑制効果の点で好ましい。
前記(B−1)のアルミノケイ酸塩以外の金属塩中の対カチオンは、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンである。この中でも、カリウムイオンが、クリストバライト抑制効果の点で好ましい。
ここで、当該金属塩はアルミノケイ酸塩以外の金属塩であるため、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料や成分(C)の粘土の主成分である粘土鉱物とも異なる。また、当該金属塩は、焼成中に長石類等のガラス質形成成分の生成を促進すると考えられる材であり、本発明の第二の態様に言及されるような熔剤性鉱物(アルミノケイ酸塩の一種と考えられる)そのものでもない。
前記(B−1)のアルミノケイ酸塩以外の金属塩中の対アニオンとしては、炭酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ポリリン酸イオン、ホウ酸イオン、ポリホウ酸イオン及び炭素数2〜4の低級脂肪酸イオンからなる群から選択されたアニオンを例示することができる。
また、対アニオンが多価アニオン(たとえば炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等)である場合、金属塩が対カチオンとして前記特定金属カチオンを含むことができる限り、さらに水素イオンを含んだ形態でもよい。たとえば、炭酸イオンには炭酸水素イオンも包含され、硫酸イオンには硫酸水素イオンも包含され、リン酸イオンにはリン酸一水素イオンやリン酸二水素イオンも包含される。
さらに、ポリリン酸イオンとは、縮合リン酸イオンであり、2分子のリン酸の縮合物に対応するピロリン酸イオン、3分子のリン酸の直鎖状縮合物に対応する三リン酸イオン等を包含する。同様に、ポリホウ酸イオンとは、縮合ホウ酸イオンであり、2分子のホウ酸の縮合物に対応するピロホウ酸イオン、3分子のホウ酸の直鎖状縮合物に対応する三ホウ酸イオン等を包含する。これらのアニオンも多価アニオンであるため、金属塩が対カチオンとして前記特定金属カチオンを含むことができる限り、さらに水素イオンを含んだ形態でもよい。
典型的なアルミノケイ酸塩以外の金属塩の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウムなどを例示でき、その中でも炭酸カリウムが、クリストバライトの抑制効果やコストの点で好ましい。
前記アルミノケイ酸塩以外の金属塩の分子量としては、比較的、低分子量の金属塩を用いることが、コスト等の点で好ましく、たとえば無水物(水和物なし)基準で、好ましく460以下、より好ましくは310以下、更に好ましくは200以下である。
(ii)
前記(B−2)にいうモレキュラーシーブとは、基本的には、
下記一般式(I):
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O (I)
を有する結晶性ゼオライトである。
前記(B−2)にいうモレキュラーシーブとは、基本的には、
下記一般式(I):
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O (I)
を有する結晶性ゼオライトである。
もっとも、Mは一種以上の金属カチオンを採ることができ、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の金属カチオンを少なくとも含む。nは金属カチオンの原子価を示し、xはシリカ(SiO2)/アルミナ(Al2O3)モル比であって2以上の数を示し、yは水(H2O)/アルミナ(Al2O3)モル比である。
モレキュラーシーブには、細孔直径がそれぞれ0.3nm,0.4nm.0.5nm,1nmである3A型、4A型、5A型、13X型などがあり、また形状として粉末、ビーズ、ペレット等の形状のものがあり、いずれも本発明に用いることができる。もっとも、使用前に粉末状に粉砕、たとえば30μm以下まで、粉砕して用いることが好ましい。
(1−4)
成分(C)の粘土とは、いわゆる焼成用ないし瓦用の粘土であり、そのほとんどが一種または二種以上の原土を混練して素地調製されている。本態様にいう粘土としては、公知の配合粘土を使用することができ、たとえば、日本における三大産地の瓦である三州瓦、淡路瓦、石州瓦に用いられる配合粘土や、その他の菊間瓦、越前瓦、西条瓦、津ノ井瓦、琉球瓦に用いられる配合粘土が挙げられる。
成分(C)の粘土とは、いわゆる焼成用ないし瓦用の粘土であり、そのほとんどが一種または二種以上の原土を混練して素地調製されている。本態様にいう粘土としては、公知の配合粘土を使用することができ、たとえば、日本における三大産地の瓦である三州瓦、淡路瓦、石州瓦に用いられる配合粘土や、その他の菊間瓦、越前瓦、西条瓦、津ノ井瓦、琉球瓦に用いられる配合粘土が挙げられる。
粘土の主成分は、岩石の風化によって生じた含水ケイ酸塩である粘土鉱物であり、化学成分としては、ケイ素、アルミニウム、鉄、マグネシウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び水を含んでいる。そして、粘土鉱物は、カオリナイト、モンモリロナイト、及びイライトの三つ族からなるとされている。それぞれの一般式は以下のとおりである。
カオリナイト:Al4Si4O10(OH)8
モンモリロナイト:XyAl2(AlySi4-yO10)(OH)8
イライト:Ky(AlFeMg4Mg)(AlySi8-y)O20(OH)4
ここでXは通常、Na、MgまたはAlである。
カオリナイト:Al4Si4O10(OH)8
モンモリロナイト:XyAl2(AlySi4-yO10)(OH)8
イライト:Ky(AlFeMg4Mg)(AlySi8-y)O20(OH)4
ここでXは通常、Na、MgまたはAlである。
セラミックス材料として、上記粘土鉱物以外にも、非粘土鉱物、たとえば、熔剤性鉱物(典型的には長石類)やシリカなどが副成分として含まれていてもよい。
(1−5)
本態様における焼成用粘土組成物中の主成分は、成分(C)の粘土である。ここで、成分(C)が主成分であるとは、焼成用粘土組成物の成分(A)、(B)及び(C)のうち、成分(C)が最大重量%を占めることをいう。好ましくは、成分(C)の粘土は、焼成用粘土組成物の50重量%超を占める。
本態様における焼成用粘土組成物中の主成分は、成分(C)の粘土である。ここで、成分(C)が主成分であるとは、焼成用粘土組成物の成分(A)、(B)及び(C)のうち、成分(C)が最大重量%を占めることをいう。好ましくは、成分(C)の粘土は、焼成用粘土組成物の50重量%超を占める。
重量比(C)/{(A)+(B)}は、向上した耐火度を得る観点から20以下であることが好ましく、より好ましくは9以下である。
他方、重量比(C)/{(A)+(B)}は、本態様の焼成用粘土組成物によって得られる、粘土瓦等の焼成粘土製品の強度維持の観点からは1以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、さらにより好ましくは6以上である。
(1−6)
(1−6−1)
本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数は、クリストバライトの生成を有効に抑制する観点からは、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、(A)アルミノケイ酸塩廃材料及び(B−2)モレキュラーシーブ[成分(B)に(B−2)が含まれる場合]由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、(A)アルミノケイ酸塩廃材料及び(B−2)モレキュラーシーブ[成分(B)に(B−2)が含まれる場合]由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び(C)粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上であり、{(3s−a)/15}+0.60b(mmol/g)以上であることがより好ましい。
(1−6−1)
本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数は、クリストバライトの生成を有効に抑制する観点からは、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、(A)アルミノケイ酸塩廃材料及び(B−2)モレキュラーシーブ[成分(B)に(B−2)が含まれる場合]由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、(A)アルミノケイ酸塩廃材料及び(B−2)モレキュラーシーブ[成分(B)に(B−2)が含まれる場合]由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び(C)粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上であり、{(3s−a)/15}+0.60b(mmol/g)以上であることがより好ましい。
他方で、本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、{(3s−a)/8}+1.2b(mmol)もあれば、クリストバライト生成抑制効果が十分に発揮されることから、経済的観点により、{(3s−a)/8}+1.2b(mmol)以下が好ましく、{(3s−a)/10}+1.2b(mmol)以下がより好ましい。
本態様の組成物においては、成分(B)の特定金属カチオンを含む金属カチオン源の添加により、焼成用粘土組成物中の特定金属カチオンの量を制御できる。もっとも、成分(B)以外にも成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料にも少量ではあるが前記特定金属カチオンが含まれるのが一般的である。また、粘土中にもモンモリロナイトや長石等に由来して特定金属カチオンが含まれるのが通常である(たとえば石州坏土では一価カチオン換算として0.60mmol/g程度の特定金属カチオンが含まれる[後記(1−6−3)参照]。これらの特定金属カチオンも、前記特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数の計算に組み入れられる。
本態様は特に、粘土中の特定金属カチオン量が比較的少なく、特定金属カチオン源の添加により、上記特定金属カチオン量の条件を満たすことができる場合に有用である。すなわち、本態様の典型例では、成分(B)の金属カチオン源由来の特定金属カチオンを加算することによって、はじめて、前記{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上、より好ましくは前記{(3s−a)/15}+0.60b(mmol/g)以上の条件を満たす。
理論に束縛されるものではないが、本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの前記特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数は、本態様の焼成用粘土組成物の焼成後における、クリストバライト生成を抑制するガラス質の量を反映したものになると推定している。
(1−6−2)
ここで、成分(B−2)のモレキュラーシーブが含まれていない場合、特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数の上限及び下限のうち(3s−a)に比例した項は、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料のクリストバライト生成を抑制するための寄与分として規定したものである。すなわち、アルミノケイ酸塩廃材料の焼成により、Al:Si=3:1(モル比)のムライトが形成する。そして、前記(A)中のアルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数をs(mmol)とした場合において、3s−a=0であれば、化学量論的にはアルミノケイ酸塩廃材料由来のすべてのSiがムライトの形成に使用されうると考えられる。しかし、3s−aが正の値であり、それがより大きいほどムライトを形成できず余剰のSiO2となるSiが増加することになると考えられる。これが、前記寄与分を(3s−a)に比例した量とした理由である。
ここで、成分(B−2)のモレキュラーシーブが含まれていない場合、特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数の上限及び下限のうち(3s−a)に比例した項は、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料のクリストバライト生成を抑制するための寄与分として規定したものである。すなわち、アルミノケイ酸塩廃材料の焼成により、Al:Si=3:1(モル比)のムライトが形成する。そして、前記(A)中のアルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数をs(mmol)とした場合において、3s−a=0であれば、化学量論的にはアルミノケイ酸塩廃材料由来のすべてのSiがムライトの形成に使用されうると考えられる。しかし、3s−aが正の値であり、それがより大きいほどムライトを形成できず余剰のSiO2となるSiが増加することになると考えられる。これが、前記寄与分を(3s−a)に比例した量とした理由である。
他方、成分(B−2)のモレキュラーシーブが含まれている場合、前記の説明中、「成分(A)」は「成分(A)及び成分(B−2)」に読み替える。成分(B−2)のモレキュラーシーブも成分(A)と同様、アルミノケイ酸塩の一種だからである。
なお、特定金属カチオンの一価カチオン換算でのモル数とは、特定金属カチオンが一価カチオンであるカリウムイオン、リチウムイオン及びナトリウムイオンである場合は、これら特定金属カチオンのモル数をいい;特定金属カチオンが二価カチオンであるバリウムイオンである場合は、この特定金属カチオンのモル数を2倍した数をいう。
また、組成物中のアルミニウム原子のモル数及びケイ素原子のモル数は、蛍光X線分析によって測定することができる。
(1−6−3)
他方で、特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数の上限及び下限のうち、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中に含まれる(C)粘土の含有量(g)であるb(g/g)に比例した項は、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、石州瓦粘土等の一般的な粘土中に通常含まれる特定金属カチオンに由来する量である。
他方で、特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数の上限及び下限のうち、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中に含まれる(C)粘土の含有量(g)であるb(g/g)に比例した項は、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、石州瓦粘土等の一般的な粘土中に通常含まれる特定金属カチオンに由来する量である。
非特許文献2によれば、代表的な石州瓦坏土中にはNa2O及びK2Oがそれぞれ0.44重量%及び2.15重量%含まれており(同文献の表1中の2006年〜2010年の5年間のデータの数平均を採用)、これらを合計すると、単位重量(g)の石州瓦坏土には約0.60mmol/gの特定金属カチオン(Na及びK)が含まれている計算になる。この粘土中の特定金属カチオンの量は、焼成後の粘土中に存在するガラス質の量に対応しており、粘土の焼成中にクリストバライト形成を抑制するのに必要十分な量に対応するものと推定している。
(1−6−4)
結局のところ、特定金属カチオン量である{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)は、本態様の焼成用粘土組成物のクリストバライト形成を抑制するためのガラス質形成に最低限必要な量と考えている。
結局のところ、特定金属カチオン量である{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)は、本態様の焼成用粘土組成物のクリストバライト形成を抑制するためのガラス質形成に最低限必要な量と考えている。
(1−7)
前記第一の態様の焼成用粘土組成物は、たとえば、前記特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数を制御しつつ、後記する本発明の第三の態様の焼成用粘土改質材[前記成分(A)と成分(B)を含有]と粘土とを混合する工程によって得ることができるが(後記する本発明の第四の態様)、必ずしもこれに限られない。
前記第一の態様の焼成用粘土組成物は、たとえば、前記特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数を制御しつつ、後記する本発明の第三の態様の焼成用粘土改質材[前記成分(A)と成分(B)を含有]と粘土とを混合する工程によって得ることができるが(後記する本発明の第四の態様)、必ずしもこれに限られない。
まず(C)粘土と前記成分(A)(耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料)を混合後、前記特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数を制御しつつ前記成分(B)(金属カチオン源)を混合する方法、あるいはまず前記特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数を制御しつつ粘土と前記成分(B)(金属カチオン源)を混合後、前記成分(A)(耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料)を混合する方法によって製造してもよい。
[(二)本発明の第二の態様について]
本発明の第二の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料と、
(B)粘土と、を含み、
前記(B)粘土を主成分とする焼成用粘土組成物であって、
前記(B)粘土が、(C)1000℃〜1350℃の温度で熔解可能な熔剤性鉱物を含み、
少なくとも前記(A)及び(C)それぞれが、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含み、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
本発明の第二の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料と、
(B)粘土と、を含み、
前記(B)粘土を主成分とする焼成用粘土組成物であって、
前記(B)粘土が、(C)1000℃〜1350℃の温度で熔解可能な熔剤性鉱物を含み、
少なくとも前記(A)及び(C)それぞれが、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含み、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物である。
(2−1)
本態様は前記第一の態様と同様、枯渇しつつある瓦用粘土等の焼成用粘土の一部に置き換えて耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料を使用することで、耐火度を向上させた焼成用粘土組成物を提供する。
本態様は前記第一の態様と同様、枯渇しつつある瓦用粘土等の焼成用粘土の一部に置き換えて耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料を使用することで、耐火度を向上させた焼成用粘土組成物を提供する。
特に本態様では、ガラス質形成成分である熔剤性鉱物(特定金属カチオン含有)を比較的多く含む粘土を使用することで、前記(A)のアルミノケイ酸塩廃材料由来の特定金属カチオンは必須とするものの、前記第一の態様にいう特定金属カチオンを含む金属カチオン源の添加を任意とした態様である。
もっとも任意に本発明の第一の態様で用いた特定金属カチオンを含む金属カチオン源を添加して、本態様の組成物中における特定金属カチオンの量をさらに調節してもよい。
本態様においてクリストバライトの生成を抑制できるのは、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料に由来する特定金属カチオンにより、Al/Si比のより小さい長石類(たとえば、KAlSi3O8、NaAlSi3O8等)などのガラス質形成成分の生成を促進すると同時に、本態様の粘土(B)中に比較的多く存在する熔剤性鉱物もガラス質形成成分として働き、これらがガラス化する際に余剰のSiO2が取り込まれるためではないかと考えている。
さらに、鉄分含量の少ないアルミノケイ酸塩廃材料を選択して用いることで、素地の白色化に寄与することができ、アルミノケイ酸塩廃材料の水分調整、たとえば乾燥粉を使用することで粘土組成物の水分量を調節することができる。
(2−2)
成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料は、前記第一の態様の(1−2)と基本的には同様である。但し、本態様のアルミノケイ酸塩廃材料は、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含む。
成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料は、前記第一の態様の(1−2)と基本的には同様である。但し、本態様のアルミノケイ酸塩廃材料は、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含む。
(2−3)
(2−3−1)
成分(B)の粘土については、基本的に前記第一の態様の(1−4)と基本的に同様である。
(2−3−1)
成分(B)の粘土については、基本的に前記第一の態様の(1−4)と基本的に同様である。
もっとも、成分(B)の粘土は本態様の焼成用粘土組成物の主成分である、すなわち焼成用粘土組成物の成分(A)及び(B)のうち、成分(B)[(C)熔剤性鉱物も含む]が最大重量%を占める。好ましくは、成分(B)の粘土は、焼成用粘土組成物の50重量%超を占める。
(2−3−2)
さらに成分(B)の粘土は、1000℃〜1350℃の温度、好ましくは1150℃〜1350℃の温度で熔解でき、焼成中にガラス化できるガラス質形成鉱物である(C)熔剤性鉱物を含み、該熔剤性鉱物は、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含む。粘土の主成分である粘土鉱物にも前記特定金属カチオンが含まれる場合もあるが[前記(1−4)参照]、本態様における粘土由来の特定金属カチオンは、主にこの熔剤性鉱物に由来する。
さらに成分(B)の粘土は、1000℃〜1350℃の温度、好ましくは1150℃〜1350℃の温度で熔解でき、焼成中にガラス化できるガラス質形成鉱物である(C)熔剤性鉱物を含み、該熔剤性鉱物は、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含む。粘土の主成分である粘土鉱物にも前記特定金属カチオンが含まれる場合もあるが[前記(1−4)参照]、本態様における粘土由来の特定金属カチオンは、主にこの熔剤性鉱物に由来する。
具体的な熔剤性鉱物としては、カリ長石、ソーダ長石、リチウム長石、バリウム長石、灰長石、霞長石(ネフェリン)、ネフェリン・サイアナイト、ネフェライト、絹雲母(セリサイト)およびこれらの固溶体からなる群から選択される一種以上を例示することができる。これらはアルミノケイ酸塩の一種である。なお、一般に長石と呼ばれているケイ酸塩鉱物は、カリ長石、ソーダ長石、バリウム長石等を含む固溶体である。
粘土中の熔剤性鉱物の分析については、たとえば、粘土の化学組成の平均値からノルム計算を行い、長石分として見積もることができる(非特許文献3参照)。典型的には本態様の焼成用粘土組成物中、20〜30重量%含まれることが好ましい。
なお、熔剤性鉱物は使用する粘土中に元々含まれているものに限られず、熔剤性鉱物の量を調節するために、別途、熔剤性鉱物を追加的に添加して、前記(B)成分の粘土として用いてもよい。
(2−4)
(2−4−1)
本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数は、クリストバライトの生成を有効に抑制する観点からは、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、成分(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、成分(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上であり、{(3s−a)/15}+0.60b(mmol/mol)以上であることがより好ましい。
(2−4−1)
本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数は、クリストバライトの生成を有効に抑制する観点からは、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、成分(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、成分(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上であり、{(3s−a)/15}+0.60b(mmol/mol)以上であることがより好ましい。
他方で、本態様の焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、{(3s−a)/8}+1.2b(mmol/g)もあれば、クリストバライト生成抑制効果が十分に発揮されることから、経済的観点により、{(3s−a)/8}+1.2b(mmol/g)以下、より好ましくは{(3s−a)/10}+1.2b(mmol/g)以下である。
(2−4−2)
本態様の組成物において、前記特定金属カチオンの多くは成分(C)の熔剤性鉱物に由来するが、少なくとも成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料に由来する特定金属カチオンも含まれる。好ましくは、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料中の一価カチオン換算での前記特定金属カチオンの総モル数は、前記焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たり(3s−a)/1000(mmol/g)以上が好ましく、(3s−a)/300(mmol/g))以上であることがより好ましく、さらに(3s−a)/150(mmol/g)以上であることがより好ましい。
本態様の組成物において、前記特定金属カチオンの多くは成分(C)の熔剤性鉱物に由来するが、少なくとも成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料に由来する特定金属カチオンも含まれる。好ましくは、成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料中の一価カチオン換算での前記特定金属カチオンの総モル数は、前記焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たり(3s−a)/1000(mmol/g)以上が好ましく、(3s−a)/300(mmol/g))以上であることがより好ましく、さらに(3s−a)/150(mmol/g)以上であることがより好ましい。
(2−4−3)
さらに、任意に本発明の第一の態様で用いた特定金属カチオンを含む金属カチオン源を添加して、本態様の組成物中における特定金属カチオンの量をさらに調節してもよい。すなわち、本態様の焼成用粘土組成物中に、以下の金属カチオン源(i)、(ii)または(iii):
(i)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(ii)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(iii)
前記(i)と前記(ii)の組み合わせ
がさらに含まれていてもよい。
さらに、任意に本発明の第一の態様で用いた特定金属カチオンを含む金属カチオン源を添加して、本態様の組成物中における特定金属カチオンの量をさらに調節してもよい。すなわち、本態様の焼成用粘土組成物中に、以下の金属カチオン源(i)、(ii)または(iii):
(i)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(ii)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(iii)
前記(i)と前記(ii)の組み合わせ
がさらに含まれていてもよい。
(2−4−4)
焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの特定金属カチオンの一価カチオン換算でのモル数の上限及び下限の式は、前記(2−4−1)で示したとおり、基本的に前記第一の態様と同様の式を採用している。特定金属カチオン量は、クリストバライトを生成抑制するガラス質の量に対応しているからである。
焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たりの特定金属カチオンの一価カチオン換算でのモル数の上限及び下限の式は、前記(2−4−1)で示したとおり、基本的に前記第一の態様と同様の式を採用している。特定金属カチオン量は、クリストバライトを生成抑制するガラス質の量に対応しているからである。
[(三)本発明の第三及び第四の態様について]
本発明の第三の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料、及び
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ
と、を含む焼成用粘土改質添加材であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、(3s−a)/30(mmol/g)以上である、焼成用粘土改質添加材である。
本発明の第三の態様は、
(A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料、及び
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ
と、を含む焼成用粘土改質添加材であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、(3s−a)/30(mmol/g)以上である、焼成用粘土改質添加材である。
また、本発明の第四の態様は、
(C)前記第三の態様の焼成用粘土改質添加材と、(D)粘土と、を混合する工程を含み、
得られる焼成用粘土組成物の主成分が前記粘土であることを特徴とする、前記第一の態様の焼成用粘土組成物の製造方法である。
(C)前記第三の態様の焼成用粘土改質添加材と、(D)粘土と、を混合する工程を含み、
得られる焼成用粘土組成物の主成分が前記粘土であることを特徴とする、前記第一の態様の焼成用粘土組成物の製造方法である。
ここで、成分(D)の粘土が主成分であるとは、得られる焼成用粘土組成物中の成分(A)、(B)及び(D)のうち、成分(D)が最大重量%を占めることをいう。好ましくは、成分(D)の粘土は、焼成用粘土組成物の50重量%超を占める。
(3−1)
本態様は、枯渇しつつある瓦用粘土等の焼成用粘土の一部に置き換えて使用することで、耐火度を向上させることができる改質添加材を提供する。
本態様は、枯渇しつつある瓦用粘土等の焼成用粘土の一部に置き換えて使用することで、耐火度を向上させることができる改質添加材を提供する。
特に本態様では、特定金属カチオン源を少量添加することで、割れの原因となる、アルミノケイ酸塩廃材料におけるクリストバライトの生成を抑制し、もってアルミノケイ酸塩廃材料を有効活用することができる。特定金属カチオンを含む金属カチオン源の添加によりクリストバライトの生成を抑制できるのは、焼成中、Al/Si比のより小さい長石類(たとえば、KAlSi3O8、NaAlSi3O8等)などのガラス質形成成分の生成が促進され、これがガラス化する際に余剰のSiO2が取り込まれるためではないかと考えている。
さらに、鉄分含量の少ないアルミノケイ酸塩廃材料を選択して用いることで、素地の白色化に寄与することができ、アルミノケイ酸塩廃材料の水分調整、たとえば乾燥粉を使用することで粘土組成物の水分量を調節することができる。
(3−2)
前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料及び前記成分(B)の特定金属カチオンを含む金属カチオン源については、それぞれ前記第一の態様の(1−2)及び(1−3)と同様である。
前記成分(A)のアルミノケイ酸塩廃材料及び前記成分(B)の特定金属カチオンを含む金属カチオン源については、それぞれ前記第一の態様の(1−2)及び(1−3)と同様である。
もっとも、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、前記(A)及び(B−2)[成分(B)として(B−2)を含む場合]由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)[成分(B)として(B−2)を含む場合]由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、焼成用粘土改質添加材の単位重量(g)当たり、(3s−a)/30(mmol/g)以上であり、より好ましくは(3s−a)/15(mmol/g)以上である。
他方で、本態様の焼成用粘土改質添加材の単位重量(g)当たりのカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、(3s−a)/8(mmol/g)以下であることが好ましく、(3s−a)/10(mmol/g)以下であることがより好ましい。
前記(1−6−2)でも説明したように、3s−aは、アルミノケイ酸塩廃材料に由来して、焼成中の余剰に発生するSiO2の量の指標となるパラメーターと考えられ、クリストバライト抑制に必要な特定金属カチオン量をこれに比例するものとして規定した。
(3−3)
本態様の焼成用粘土改質添加材を粘土と混合することにより、前記第一の態様の焼成用粘土組成物を簡便に製造することができる。
本態様の焼成用粘土改質添加材を粘土と混合することにより、前記第一の態様の焼成用粘土組成物を簡便に製造することができる。
これにより、粘土の改質、特に耐火度を向上させることができる。
また、Fe2O3換算で、2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の鉄分を有するアルミノケイ酸塩廃材料を用いることで、更に白色度を向上させることができる。
また、水分含量が、8重量%未満のアルミノケイ酸塩廃材料を用いることで、焼成用粘土改質添加材さらには、該添加材を含む焼成用粘土組成物の水分量を調節することができる。
なお、粘土については前記第一の態様の(1−4)と同様である。
[(四)本発明の第五の態様について]
前記第五の態様の焼成用粘土組成物は、通常用いられる方法によって、焼成粘土製品あるいは施釉焼成粘土製品の製造方法に用いることができる。
前記第五の態様の焼成用粘土組成物は、通常用いられる方法によって、焼成粘土製品あるいは施釉焼成粘土製品の製造方法に用いることができる。
すなわち、前記第一または第二の態様の焼成用粘土組成物を混練、成形し、焼成前成形品を得る工程、及び前記焼成前成形品を1000℃〜1350℃の温度、好ましくは1150℃〜1350℃の温度で焼成する工程を経て、焼成粘土製品を製造することができる。
また、前記焼成を行う前に、前記焼成前成形品の表面に釉薬を釉掛けする工程を更に含めることもできる。これにより施釉された焼成粘土製品を製造することができる。施釉は、成形品の乾燥後に行われるのが一般的であるが、成形品を素焼(たとえば800〜950℃の温度)した後に施釉してもよい。
[アルミノケイ酸塩廃材料]
本実施例で使用されたアルミノケイ酸塩廃材料は、以下の流動接触分解廃触媒1〜3(以下、それぞれ「廃触媒1」、「廃触媒2」、「廃触媒3」と呼ぶことがある)である。
本実施例で使用されたアルミノケイ酸塩廃材料は、以下の流動接触分解廃触媒1〜3(以下、それぞれ「廃触媒1」、「廃触媒2」、「廃触媒3」と呼ぶことがある)である。
廃触媒1:耐火度SK22相当(SK20とSK26の溶倒具合との比較から類推)、含水率7.8%
廃触媒2:耐火度SK35、含水率0.9%
廃触媒3:耐火度SK30、含水率0.5%
なお、典型的な瓦用粘土の一つである石州瓦粘土の耐火度はSK17〜19である。
廃触媒2:耐火度SK35、含水率0.9%
廃触媒3:耐火度SK30、含水率0.5%
なお、典型的な瓦用粘土の一つである石州瓦粘土の耐火度はSK17〜19である。
下記表1に廃触媒1〜3それぞれの主要成分の蛍光X線による分析値を示す。
*1:
各廃触媒の単位重量(g)当たりのアルミニウム原子のモル数をa、ケイ素原子のモル数をsとした場合の値である。
各廃触媒の単位重量(g)当たりのアルミニウム原子のモル数をa、ケイ素原子のモル数をsとした場合の値である。
上記廃触媒1〜3中にはNa2O及びK2Oが微量に含まれているが、これらの成分による特定金属カチオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン)のモル数への寄与は、それぞれの廃触媒1g当たり、0.084mmol/g(廃触媒1)、0.095mmol(廃触媒2)、及び0.159mmol(廃触媒3)であり、これだけでは、
アルミニウム原子のモル数をa(mmol)(廃触媒1:6.08mmol、廃触媒2:10.24mmol,廃触媒3:7.71mmol)、
ケイ素原子のモル数をs(mmol)(廃触媒1:10.23mmol、廃触媒2:6.97mmol,廃触媒3:7.75mmol)とした場合の、
(3s−a)/30(mmol)(廃触媒1:0.82mmol、廃触媒2:0.36mmol,廃触媒3:0.52mmol)より少なく、クリストバライトの生成を抑制するには不十分である。
アルミニウム原子のモル数をa(mmol)(廃触媒1:6.08mmol、廃触媒2:10.24mmol,廃触媒3:7.71mmol)、
ケイ素原子のモル数をs(mmol)(廃触媒1:10.23mmol、廃触媒2:6.97mmol,廃触媒3:7.75mmol)とした場合の、
(3s−a)/30(mmol)(廃触媒1:0.82mmol、廃触媒2:0.36mmol,廃触媒3:0.52mmol)より少なく、クリストバライトの生成を抑制するには不十分である。
また、上記表1から、廃触媒1〜3中の鉄分含量は、Fe2O3換算で0.37〜1.04重量%である。
また、上記廃触媒のX線回折分析を行ったところ、廃触媒1にはY型ゼオライト、石英及び非晶質アルミノケイ酸塩が;廃触媒2にはY型ゼオライト及び非晶質アルミノケイ酸塩が;廃触媒3にはY型ゼオライト、ムライト及び非晶質アルミノケイ酸塩のピークがそれぞれ観察された。
[試験例1]
アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒3に、全体で10重量%または5重量%の配合量となるように、すなわち、廃触媒重量:添加材重量=90:10または95:5となるように、添加材として種々の金属カチオン源(金属塩)またはその他の添加材(ホウ酸)を添加して、下記表2に示す種々の改質添加材である改質材1〜12を得た。但し、改質材1は比較品として、添加材を添加しなかった。
アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒3に、全体で10重量%または5重量%の配合量となるように、すなわち、廃触媒重量:添加材重量=90:10または95:5となるように、添加材として種々の金属カチオン源(金属塩)またはその他の添加材(ホウ酸)を添加して、下記表2に示す種々の改質添加材である改質材1〜12を得た。但し、改質材1は比較品として、添加材を添加しなかった。
次いで、得られた改質材1〜12を熱処理(1180℃、0.5時間)し、クリストバライトが生成していないかどうかをX線回折分析により確認した。得られたX線回折パターンは、図1〜図3に示す。
*1:
廃触媒重量:添加材(金属カチオン源またはその他の添加材)重量=100:0、90:10または95:15
*2:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンのみならず、用いた廃触媒3由来の特定金属カチオンも含まれる。また、一価カチオン換算でのモル数であるため、バリウムカチオン(2価カチオン)については、カチオン自体のモル数を2倍した。
*3:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での全金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の金属カチオンのみならず、用いた廃触媒3由来の金属カチオンも含まれる。また、全金属カチオンであるため、表2中、特定金属カチオン(カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオン)のみならず、マグネシウムカチオン及びカルシウムカチオンも含まれる。また、一価カチオン換算でのモル数であるため、バリウム、マグネシウム、カルシウムカチオンという2価カチオンについては、カチオン自体のモル数を2倍した。
*4:
効果の有無の判定は、X線回折パターンにおいて2θが21.6°付近にあるクリストバライトのピークが、ベースライン上のノイズレベル以下のもの(ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できない)を〇、ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できるが、添加材無添加の改質材1(比較品)のピーク強度(積分強度)の20%未満の場合を△、20%以上を×とした。なお、X線回折パターンの測定条件としては、(株)リガク製SmartLavでCu管球を用いて30kV,40mAとし、半導体検出器D/texUltraの0次元モードを用いてでスキャン速度を2°/minとした。また、図1〜3では縦軸スケールが微妙に異なるが、前記○、△、×の認定に際しては、図2に示す縦軸スケールを標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*5:
各改質材の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)は以下の表3のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした。なお、これらの改質材においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
廃触媒重量:添加材(金属カチオン源またはその他の添加材)重量=100:0、90:10または95:15
*2:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンのみならず、用いた廃触媒3由来の特定金属カチオンも含まれる。また、一価カチオン換算でのモル数であるため、バリウムカチオン(2価カチオン)については、カチオン自体のモル数を2倍した。
*3:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での全金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の金属カチオンのみならず、用いた廃触媒3由来の金属カチオンも含まれる。また、全金属カチオンであるため、表2中、特定金属カチオン(カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオン)のみならず、マグネシウムカチオン及びカルシウムカチオンも含まれる。また、一価カチオン換算でのモル数であるため、バリウム、マグネシウム、カルシウムカチオンという2価カチオンについては、カチオン自体のモル数を2倍した。
*4:
効果の有無の判定は、X線回折パターンにおいて2θが21.6°付近にあるクリストバライトのピークが、ベースライン上のノイズレベル以下のもの(ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できない)を〇、ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できるが、添加材無添加の改質材1(比較品)のピーク強度(積分強度)の20%未満の場合を△、20%以上を×とした。なお、X線回折パターンの測定条件としては、(株)リガク製SmartLavでCu管球を用いて30kV,40mAとし、半導体検出器D/texUltraの0次元モードを用いてでスキャン速度を2°/minとした。また、図1〜3では縦軸スケールが微妙に異なるが、前記○、△、×の認定に際しては、図2に示す縦軸スケールを標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*5:
各改質材の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)は以下の表3のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした。なお、これらの改質材においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
(試験例1の結果考察)
金属カチオン源としてカリウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、バリウム塩を用いた場合では、クリストバライト生成抑制効果が観察できたが、カルシウム塩やマグネシウム塩を用いた場合では抑制効果は観察できなかった。また、その他の添加材として、ガラス相の形成に寄与するホウ素源としてのホウ酸を添加したが、抑制効果は観察できなかった。
金属カチオン源としてカリウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、バリウム塩を用いた場合では、クリストバライト生成抑制効果が観察できたが、カルシウム塩やマグネシウム塩を用いた場合では抑制効果は観察できなかった。また、その他の添加材として、ガラス相の形成に寄与するホウ素源としてのホウ酸を添加したが、抑制効果は観察できなかった。
また、対アニオンとして炭酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオンのいずれでもクリストバライト生成抑制効果が確認できた。このことからアニオンの種類によらず必要量の特定金属カチオン源が供給されれば、クリストバライト生成効果が得られると考えられる。
[試験例2]
アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒3に、全体で0〜15重量%の種々の配合量となるように、添加材として金属カチオン源である炭酸カリウム(K2CO3)を添加して、下記表4に示す種々の改質添加材である改質材13〜19を得た。但し、改質材13は比較品として、添加材を添加しなかった。
アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒3に、全体で0〜15重量%の種々の配合量となるように、添加材として金属カチオン源である炭酸カリウム(K2CO3)を添加して、下記表4に示す種々の改質添加材である改質材13〜19を得た。但し、改質材13は比較品として、添加材を添加しなかった。
同様に、アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒1に、全体で0〜5重量%の種々の配合量となるように、添加材として金属カチオン源である炭酸カリウム(K2CO3)を添加して、下記表4に示す種々の改質添加材である改質材20〜22を得た。但し、改質材20は比較品として、添加材を添加しなかった。
同様に、アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒2に、全体で0〜3重量%の種々の配合量となるように、添加材として金属カチオン源である炭酸カリウム(K2CO3)を添加して、下記表4に示す種々の改質添加材である改質材23〜25を得た。但し、改質材20は比較品として、添加材を添加しなかった。
次いで、得られた改質材13〜25を熱処理(1180℃、0.5時間)し、クリストバライトが生成していないかどうかをX線回折分析により確認した。得られたX線回折パターンは、図4〜図6に示す。
*1:
廃触媒重量:添加金属カチオン源重量=99:1〜85:15
*2:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンのみならず、用いた廃触媒由来の特定金属カチオンも含まれる。もっとも、廃触媒3由来の特定金属カチオンの寄与はせいぜい0.16 mmol/g以下であり、廃触媒1由来の特定金属カチオンの寄与はせいぜい0.09 mmol/g以下であり、廃触媒2由来の特定金属カチオンの寄与はせいぜい0.10mmol/g以下である。
*3:
効果の有無の判定は、X線回折パターンにおいて2θが21.6°付近にあるクリストバライトのピークが、ベースライン上のノイズレベル以下のもの(ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できない)を〇、ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できるが、添加材無添加の(比較品)のピーク強度(積分強度)の20%未満の場合を△、20%以上を×とした。なお、X線回折パターンの測定条件としては、(株)リガク製SmartLavでCu管球を用いて30kV,40mAとし、半導体検出器D/texUltraの0次元モードを用いてでスキャン速度を2°/minとした。また、図4〜6では縦軸スケールが微妙に異なるが、前記○、△、×の認定に際しては、図4に示す縦軸スケール(=図2に示す縦軸スケール)を標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*4:
各改質材の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)は以下の表5のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした。なお、これらの改質材においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
廃触媒重量:添加金属カチオン源重量=99:1〜85:15
*2:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンのみならず、用いた廃触媒由来の特定金属カチオンも含まれる。もっとも、廃触媒3由来の特定金属カチオンの寄与はせいぜい0.16 mmol/g以下であり、廃触媒1由来の特定金属カチオンの寄与はせいぜい0.09 mmol/g以下であり、廃触媒2由来の特定金属カチオンの寄与はせいぜい0.10mmol/g以下である。
*3:
効果の有無の判定は、X線回折パターンにおいて2θが21.6°付近にあるクリストバライトのピークが、ベースライン上のノイズレベル以下のもの(ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できない)を〇、ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できるが、添加材無添加の(比較品)のピーク強度(積分強度)の20%未満の場合を△、20%以上を×とした。なお、X線回折パターンの測定条件としては、(株)リガク製SmartLavでCu管球を用いて30kV,40mAとし、半導体検出器D/texUltraの0次元モードを用いてでスキャン速度を2°/minとした。また、図4〜6では縦軸スケールが微妙に異なるが、前記○、△、×の認定に際しては、図4に示す縦軸スケール(=図2に示す縦軸スケール)を標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*4:
各改質材の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)は以下の表5のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした。なお、これらの改質材においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
(試験例2の結果考察)
廃触媒3に対して炭酸カリウムの添加量が5重量%以上[アルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数をs(mmol)とした場合に、改質材組成物1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数として、おおよそ(3s−a)/17[=0.88mmol]以上あれば、クリストバライト生成を完全に抑制できることがわかった。また、炭酸カリウムの添加量を15重量%[改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数として2.31mmol/g]にまで増やしたが、図4からすれば5〜7重量%程度[改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数として0.87〜1.16mmol/g]の添加でほぼクリストバライトのピークが消失し、それ以上添加しても生成抑制効果に大きな変化は観察されなかった。
廃触媒3に対して炭酸カリウムの添加量が5重量%以上[アルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数をs(mmol)とした場合に、改質材組成物1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数として、おおよそ(3s−a)/17[=0.88mmol]以上あれば、クリストバライト生成を完全に抑制できることがわかった。また、炭酸カリウムの添加量を15重量%[改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数として2.31mmol/g]にまで増やしたが、図4からすれば5〜7重量%程度[改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数として0.87〜1.16mmol/g]の添加でほぼクリストバライトのピークが消失し、それ以上添加しても生成抑制効果に大きな変化は観察されなかった。
また、廃触媒1に対して炭酸カリウムの添加量が5重量%以上[アルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数をs(mmol)とした場合に、改質材組成物1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数としておおよそ(3s−a)/26[=0.89mmol]以上あれば、クリストバライト生成を完全に抑制できることがわかった。
また、廃触媒2に対して炭酸カリウムの添加量が3重量%以上[アルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数をs(mmol)とした場合に、改質材組成物1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンの総モル数としておおよそ(3s−a)/19[=0.54mmol]以上あれば、クリストバライト生成を完全に抑制できることがわかった。
[試験例3]
アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒3に、全体で10〜30重量%の種々の配合量となるように、添加材として金属カチオン源である廃モレキュラーシーブ(以下、「MS」と略記することがある)を添加して、下記表6に示す種々の改質添加材である改質材26〜28を得た。用いたモレキュラーシーブは、蛍光X線による元素分析により、主にSiO2:44.3質量%、Al2O3:36.2質量%、CaO:9.2質量%、Na2O:7.3質量%、K2O:0.7質量%で構成されていることを確認した。また、TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、用いたモレキュラーシーブの吸湿量を測定したところ、該モレキュラーシーブには18.3質量%の水分が含まれていることを確認した。このため該モレキュラーシーブ1g当たり、Naイオンが1.93mmol、Kイオンが0.12mmol含まれている計算になる。すなわち、該モレキュラーシーブ1g当たり、特定金属カチオンを2.05mmol含まれている計算になる。
アルミノケイ酸塩廃材料に属する廃触媒3に、全体で10〜30重量%の種々の配合量となるように、添加材として金属カチオン源である廃モレキュラーシーブ(以下、「MS」と略記することがある)を添加して、下記表6に示す種々の改質添加材である改質材26〜28を得た。用いたモレキュラーシーブは、蛍光X線による元素分析により、主にSiO2:44.3質量%、Al2O3:36.2質量%、CaO:9.2質量%、Na2O:7.3質量%、K2O:0.7質量%で構成されていることを確認した。また、TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、用いたモレキュラーシーブの吸湿量を測定したところ、該モレキュラーシーブには18.3質量%の水分が含まれていることを確認した。このため該モレキュラーシーブ1g当たり、Naイオンが1.93mmol、Kイオンが0.12mmol含まれている計算になる。すなわち、該モレキュラーシーブ1g当たり、特定金属カチオンを2.05mmol含まれている計算になる。
なお、比較品として、添加材(金属カチオン源)を添加しなかった改質材13も対比のために表6において再度示した。
次いで、得られた改質材26〜28を熱処理(1180℃、0.5時間)し、クリストバライトが生成していないかどうかをX線回折分析により確認した。得られたX線回折パターンは、図7に示す。
*1:
廃触媒重量:添加金属カチオン源重量=100:0〜70:30
*2:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンのみならず、用いた廃触媒3由来の特定金属カチオンも含まれる。
*3:
効果の有無の判定は、X線回折パターンにおいて2θが21.6°付近にあるクリストバライトのピークが、ベースライン上のノイズレベル以下のもの(ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できない)を〇、ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できるが、添加材無添加の(比較品)のピーク強度(積分強度)の20%未満の場合を△、20%以上を×とした。また、図7では縦軸スケールが図2や図4とは微妙に異なるが、前記○、△、×の認定に際しては、図2または図4に示す縦軸スケールを標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*4:
各改質材の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)は以下の表7のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、アルミノケイ酸塩廃材料及びモレキュラーシーブ由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料及びモレキュラーシーブ由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした。
廃触媒重量:添加金属カチオン源重量=100:0〜70:30
*2:
改質添加材1g当たりに含まれる一価カチオン換算での特定金属カチオンのモル数(mmol/g)を示す。改質添加材1g当たりであるため、添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンのみならず、用いた廃触媒3由来の特定金属カチオンも含まれる。
*3:
効果の有無の判定は、X線回折パターンにおいて2θが21.6°付近にあるクリストバライトのピークが、ベースライン上のノイズレベル以下のもの(ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できない)を〇、ノイズとは区別できるピークとして明確に目視できるが、添加材無添加の(比較品)のピーク強度(積分強度)の20%未満の場合を△、20%以上を×とした。また、図7では縦軸スケールが図2や図4とは微妙に異なるが、前記○、△、×の認定に際しては、図2または図4に示す縦軸スケールを標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*4:
各改質材の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)は以下の表7のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土改質添加材中、アルミノケイ酸塩廃材料及びモレキュラーシーブ由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料及びモレキュラーシーブ由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした。
(試験例3の結果考察)
添加金属カチオン源として一定量のモレキュラーシーブを用いても、改質添加材中のアルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数s(mmol)とした場合に、おおよそ(3s−a)/19[=0.77mmol]以上の特定金属カチオンが含まれれば、クリストバライト生成を完全に抑制できることがわかった。
添加金属カチオン源として一定量のモレキュラーシーブを用いても、改質添加材中のアルミニウム原子のモル数をa(mmol)、ケイ素原子のモル数s(mmol)とした場合に、おおよそ(3s−a)/19[=0.77mmol]以上の特定金属カチオンが含まれれば、クリストバライト生成を完全に抑制できることがわかった。
[試験例4]
廃触媒3を含む改質添加材と粘土A(石州瓦粘土)を混合して、下記表8に示す粘土組成物1〜4を得た。用いた粘土Aは、蛍光X線による元素分析により、主にSiO2:71.0質量%、Al2O3:16.1質量%、CaO:0.34質量%、Na2O:0.42質量%、K2O:2.33質量%で構成されていることを確認した。但し、粘土組成物1及び3は比較品として、改質添加材中に特定金属カチオン源を添加しなかった。
次いで、得られた粘土組成物1〜4それぞれを熱処理(1180℃、0.5時間)し、クリストバライトが生成していないかどうかをX線回折分析により確認した。得られたX線回折パターンは、図8及び図9に示す。
廃触媒3を含む改質添加材と粘土A(石州瓦粘土)を混合して、下記表8に示す粘土組成物1〜4を得た。用いた粘土Aは、蛍光X線による元素分析により、主にSiO2:71.0質量%、Al2O3:16.1質量%、CaO:0.34質量%、Na2O:0.42質量%、K2O:2.33質量%で構成されていることを確認した。但し、粘土組成物1及び3は比較品として、改質添加材中に特定金属カチオン源を添加しなかった。
次いで、得られた粘土組成物1〜4それぞれを熱処理(1180℃、0.5時間)し、クリストバライトが生成していないかどうかをX線回折分析により確認した。得られたX線回折パターンは、図8及び図9に示す。
なお、改質添加材1g当たりの特定金属カチオンモル数は、粘土組成物1,3(比較品)で用いた改質添加材では0.16mmol/g、粘土組成物2,4で用いた改質添加材では0.84mmol/gに相当する。
*1:
各粘土組成物の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)及びb値(g/g)は以下の表9のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、粘土の含有量をb(g/g)とした。なお、これらの粘土組成物においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
各粘土組成物の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)及びb値(g/g)は以下の表9のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、粘土の含有量をb(g/g)とした。なお、これらの粘土組成物においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
*2:
粘土組成物単位重量(g)当たりの、廃触媒3及び添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンの一価換算での総モル数である。
粘土組成物単位重量(g)当たりの、廃触媒3及び添加金属カチオン源由来の特定金属カチオンの一価換算での総モル数である。
(試験例4の結果考察)
図8の粘土組成物2及び図9の粘土組成物4において、それぞれのクリストバライトのピークがほぼ消失したことに示されるとおり、改質添加材を粘土に添加して得られた焼成用粘土組成物においても、添加塩である炭酸カリウムの存在により焼成後のクリストバライトの生成が抑制された。
図8の粘土組成物2及び図9の粘土組成物4において、それぞれのクリストバライトのピークがほぼ消失したことに示されるとおり、改質添加材を粘土に添加して得られた焼成用粘土組成物においても、添加塩である炭酸カリウムの存在により焼成後のクリストバライトの生成が抑制された。
[試験例5]
廃触媒1と粘土Aまたは粘土Bとを混合して、下記表10に示す粘土組成物5及び6をそれぞれ得た。
蛍光X線による元素分析により、
用いた粘土Aは、主にSiO2:71.0質量%、Al2O3:16.1質量%、CaO:0.34質量%、Na2O:0.42質量%、K2O:2.33質量%で構成され;
用いた粘土Bは、主にSiO2:72.2質量%、Al2O3:15.5質量%、CaO:0.40質量%、Na2O:0.75質量%、K2O:2.94質量%で構成されていることを確認した。これらの組成データより、粘土A及びBそれぞれの単位重量(g)当たりの特定金属カチオン(一価カチオン換算)は、それぞれ0.63mmol/g及び0.87mmol/gである。
また、粘土A及びB中の熔剤性鉱物含有量については、長石分として、それぞれ約18.2重量%及び約23.6重量%程度であった。
廃触媒1と粘土Aまたは粘土Bとを混合して、下記表10に示す粘土組成物5及び6をそれぞれ得た。
蛍光X線による元素分析により、
用いた粘土Aは、主にSiO2:71.0質量%、Al2O3:16.1質量%、CaO:0.34質量%、Na2O:0.42質量%、K2O:2.33質量%で構成され;
用いた粘土Bは、主にSiO2:72.2質量%、Al2O3:15.5質量%、CaO:0.40質量%、Na2O:0.75質量%、K2O:2.94質量%で構成されていることを確認した。これらの組成データより、粘土A及びBそれぞれの単位重量(g)当たりの特定金属カチオン(一価カチオン換算)は、それぞれ0.63mmol/g及び0.87mmol/gである。
また、粘土A及びB中の熔剤性鉱物含有量については、長石分として、それぞれ約18.2重量%及び約23.6重量%程度であった。
次いで、得られた粘土組成物5及び6を、それぞれを熱処理(1180℃、0.5時間)し、クリストバライトが生成していないかどうかをX線回折分析により確認した。得られたX線回折パターンは、図10に示す。なお、図10では縦軸スケールが図8や図9とは微妙に異なるが、クリストバライトのピーク消失の有無認定に際して、図8または図9に示す縦軸スケールを標準[縦軸の強度差1000cps当たり約2cm縦軸長さ]としたX線回折パターンにおいて認定した。
*1:
各粘土組成物の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)及びb値(g/g)は以下の表11のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、粘土の含有量をb(g/g)とした。なお、これらの粘土組成物においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
各粘土組成物の単位重量(g)当たりの(3s−a)値(mmol/g)及びb値(g/g)は以下の表11のとおりである。ここで、単位重量(g)の焼成用粘土組成物中、アルミノケイ酸塩廃材料由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、アルミノケイ酸塩廃材料由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、粘土の含有量をb(g/g)とした。なお、これらの粘土組成物においては、成分(B)として(B−2)モレキュラーシーブを用いていないので、(3s−a)値(mmol/g)の算出に当たり、(B−2)モレキュラーシーブの寄与を考慮する必要はない。
*2:
粘土組成物単位重量(g)当たりの、廃触媒1及び粘土(熔剤性鉱物)由来の特定金属カチオンの一価換算での総モル数である。
粘土組成物単位重量(g)当たりの、廃触媒1及び粘土(熔剤性鉱物)由来の特定金属カチオンの一価換算での総モル数である。
(試験例5の結果考察)
図10の粘土組成物6におけるクリストバライトのピークの消失に示されるとおり、廃触媒1及び粘土(熔剤性鉱物)由来の特定金属カチオンの一価換算での総モル数を制御することにより焼成後のクリストバライトの生成が抑制された。
図10の粘土組成物6におけるクリストバライトのピークの消失に示されるとおり、廃触媒1及び粘土(熔剤性鉱物)由来の特定金属カチオンの一価換算での総モル数を制御することにより焼成後のクリストバライトの生成が抑制された。
[試験例6]
添加材無添加の瓦用粘土、及び各種添加材を添加した瓦用粘土のそれぞれを、押出成形機で直方体状に成形後、焼成(1180℃、0.5時間)し、色彩色差計を用いて、得られた焼成粘土製品1〜5の切断面を#800の研磨紙で研磨し、色彩測定を行った。その結果を下記表12に示す。
添加材無添加の瓦用粘土、及び各種添加材を添加した瓦用粘土のそれぞれを、押出成形機で直方体状に成形後、焼成(1180℃、0.5時間)し、色彩色差計を用いて、得られた焼成粘土製品1〜5の切断面を#800の研磨紙で研磨し、色彩測定を行った。その結果を下記表12に示す。
なお、表12中、焼成粘土製品2〜4における焼成前の、瓦用粘土:廃触媒1〜3の重量比はいずれも90:10であり、但し、焼成粘土製品5については、瓦用粘土:炭酸カリウム:廃触媒3の重量比は89.5:0.5:10である。廃触媒3に対して、5重量%の炭酸カリウムを添加(内添)した場合に相当する。
ここで、表中のY、x、yは、CIE1931表色系におけるCIExyY色空間のパラメーターであり、Yは明度を表し、xyは色度を示す。色彩色差計によって測定できる。
明度Yが大きいほど白く、xyがそれぞれ0.33付近の時に無彩色となるので望ましい。なお、xが大きいほど赤みが強く、yが大きいほど緑みが強く、それぞれが小さいほど青みが強いことになる。
添加材無添加の焼成粘土製品1に比べて、廃触媒を添加した焼成粘土製品2〜4では明度Yの増加が認められる。そして、明度Yの増加量は、鉄分含量の最も少ない廃触媒2を添加した焼成粘土製品3で最も大きい。
また、添加材無添加の焼成粘土製品1に比べて、廃触媒を添加した焼成粘土製品2〜4ではyの値はほぼ同じ値を示したが、xの値はやや少なくなり、理想の0.33の値に近づいている。
また、焼成粘土製品4と5を比較することにより、本願発明の(B)成分に相当する炭酸カリウムを添加しても、白色度に影響しないことがわかる。
[試験例7]
試験例6で得られた焼成粘土製品5及び焼成粘土製品1(比較品)について、切断面を#1200の研磨紙で研磨した後、表面を白金蒸着した断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)(図11〜図16)の取得、及び観察された断面中の塊(組織)についてのエネルギー分散型X線分光法(EDX)による元素分析を行った。
試験例6で得られた焼成粘土製品5及び焼成粘土製品1(比較品)について、切断面を#1200の研磨紙で研磨した後、表面を白金蒸着した断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)(図11〜図16)の取得、及び観察された断面中の塊(組織)についてのエネルギー分散型X線分光法(EDX)による元素分析を行った。
以下、図11〜図16を用いて、得られた結果を説明する。
(Laを含むアルミノケイ酸塩からなる組織:廃触媒由来)
図11は、試験例6の焼成粘土製品5の断面のうち、廃触媒に由来する、La(ランタン)を含むアルミノケイ酸塩の塊(直径がおよそ数10μmの組織)の存在が観察できる断面写真である(図11中の矢印参照)。
図11は、試験例6の焼成粘土製品5の断面のうち、廃触媒に由来する、La(ランタン)を含むアルミノケイ酸塩の塊(直径がおよそ数10μmの組織)の存在が観察できる断面写真である(図11中の矢印参照)。
この組織がLaを含むアルミノケイ酸塩の塊であることはEDXによる元素分析で確認できた[図12(a)及び図12(b)]。
すなわち、簡易定量では、当該組織[図12(a)の「1」]について、MgO:0.2重量%、Al2O3:42.5重量%、SiO2:54.6重量%、K2O:1.1重量%、Fe2O3:0.4、La2O3:1.3重量%であった[図12(b)]。
これに対して、当該組織の近傍にある部位[図12(a)の「2」]については、簡易定量では、Na2O:1.4重量%、MgO:0.3重量%、Al2O3:29.2重量%、SiO2:65.0重量%、K2O:2.1重量%、Fe2O3:2.0重量%であり[図12(c)]、この部位にはLaは含まれていない。
なお、このようなLaを含むアルミノケイ酸塩からなる組織は、焼成粘土製品1(添加材無添加、比較品)では観察されず、廃触媒に由来する組織と考えられる。実際にも、蛍光X線による定性分析から粘土にはLaが含まれていない一方で、廃触媒には表1からLa2O3換算で2.54重量%程度のLaが含まれていることが分かっている。
(ケイ素含量の多いアルミノケイ酸塩からなる組織:廃触媒由来)
図13(a)及び図13(b)[図13(a)を更に10倍拡大]は、同じく試験例6の焼成粘土製品5の断面のうち、廃触媒に由来する、ケイ素含量の多いアルミノケイ酸塩の塊(直径がおよそ数10μmの網目構造組織)の存在が観察できる断面写真である[図13(a)中の矢印参照]。このような数10μmの網目構造組織は焼成粘土製品1(添加材無添加、比較品)では観察されず、廃触媒に由来する組織と考えられる。
図13(a)及び図13(b)[図13(a)を更に10倍拡大]は、同じく試験例6の焼成粘土製品5の断面のうち、廃触媒に由来する、ケイ素含量の多いアルミノケイ酸塩の塊(直径がおよそ数10μmの網目構造組織)の存在が観察できる断面写真である[図13(a)中の矢印参照]。このような数10μmの網目構造組織は焼成粘土製品1(添加材無添加、比較品)では観察されず、廃触媒に由来する組織と考えられる。
この組織が、ケイ素含量の多いアルミノケイ酸塩の塊であることはEDXによる元素分析で確認できた[図14(a)及び図14(b)]。
すなわち、簡易定量では、当該組織[図14(a)の「1」]について、Al2O3:4.1重量%、SiO2:95.1重量%、K2O:0.8重量%であった[図14(b))。
これに対して、当該組織の近傍にある部位[図14(a)の「2」]については、簡易定量では、Al2O3:21.4重量%、SiO2:74.6重量%、K2O:1.9重量%、Fe2O3:2.1重量%であり[図14(c)]、当該組織においてケイ素含量が特に高くなっている。
(鉄分を多く含む微細粉からなる組織:粘土由来)
図15(a)及び図15(b)[図15(a)を更に10倍拡大]は、試験例6の焼成粘土製品1(添加材無添加、比較品)の断面のうち、粘土由来の鉄分含量の多い直径数10μm程度の塊(組織)の存在が観察できる断面写真である[図15(a)中の矢印参照]。当該組織は、数μmの10分の1程度の微細粒子が凝集した構造を有している[図15(b)]。
図15(a)及び図15(b)[図15(a)を更に10倍拡大]は、試験例6の焼成粘土製品1(添加材無添加、比較品)の断面のうち、粘土由来の鉄分含量の多い直径数10μm程度の塊(組織)の存在が観察できる断面写真である[図15(a)中の矢印参照]。当該組織は、数μmの10分の1程度の微細粒子が凝集した構造を有している[図15(b)]。
この組織が、鉄分含量の多い組織であることはEDXによる元素分析で確認できた[図16(a)及び図16(b)]。
すなわち、簡易定量では、当該組織[図16(a)の「1」]について、Al2O3:4.2重量%、SiO2:15.2重量%、Fe2O3:80.6重量%であった[図16(b)]。
これに対して、当該組織の近傍にある部位[図16(a)の「2」]については、簡易定量では、Al2O3:9.6重量%、SiO2:88.2重量%、K2O:1.1重量%、Fe2O3:1.1重量%であり[図16(c)]、当該組織において鉄分含量が特に高くなっている。
このような鉄分含量の多い組織は、焼成粘土製品5でも同様に観察されており、粘土に由来する組織と考えられる。
(考察)
以上から、上記図11や図13(a)の組織が観察できれば、廃触媒を添加した焼成粘土製品と考えられ、そのような添加剤が無添加の焼成粘土製品とを区別することも可能と考えられる。
以上から、上記図11や図13(a)の組織が観察できれば、廃触媒を添加した焼成粘土製品と考えられ、そのような添加剤が無添加の焼成粘土製品とを区別することも可能と考えられる。
Claims (15)
- (A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料;
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ;及び
(C)粘土、を含み、
前記(C)を主成分とすることを特徴とする焼成用粘土組成物であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、並びに前記(C)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物。 - 前記アルミノケイ酸塩以外の金属塩が、炭酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ポリリン酸イオン、ホウ酸イオン、ポリホウ酸イオン及び炭素数2〜4の低級脂肪酸イオンからなる群から選択されたアニオンを含むことを特徴とする請求項1に記載の焼成用粘土組成物。
- 単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/8}+1.2b(mmol)以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の焼成用粘土組成物。
- 単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、3s−a(mmol/g)が15(mmol/g)以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼成用粘土組成物。
- (A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料と、
(B)粘土と、を含み、
前記(B)粘土を主成分とする焼成用粘土組成物であって、
前記(B)粘土が、(C)1000℃〜1350℃の温度で熔解可能な熔剤性鉱物を含み、
少なくとも前記(A)及び(C)それぞれが、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びバリウムイオンからなる群から選択される一種以上の特定金属カチオンを含み、
単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記(B)の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/30}+0.60b(mmol/g)以上である、焼成用粘土組成物。 - 前記熔剤性鉱物が、カリ長石、ソーダ長石、リチウム長石、バリウム長石、灰長石、霞長石(ネフェリン)、ネフェリン・サイアナイト、ネフェライト、絹雲母(セリサイト)およびこれらの固溶体からなる群から選択される一種以上である、請求項5に記載の焼成用粘土組成物。
- 前記(A)中の一価カチオン換算での前記特定金属カチオンの総モル数が、前記焼成用粘土組成物の単位重量(g)当たり(3s−a)/1000(mmol/g)以上であることを特徴とする、請求項5または6に記載の焼成用粘土組成物。
- 単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)及び(B)に由来するカリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土組成物中、前記(A)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)、及び前記粘土の含有量をb(g/g)とした場合に、{(3s−a)/8}+1.2b(mmol)以下であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の焼成用粘土組成物。
- (A)耐火度がSK20以上であるアルミノケイ酸塩廃材料、及び
(B)以下の金属カチオン源(B−1)、(B−2)または(B−3):
(B−1)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンを含む、アルミノケイ酸塩以外の金属塩;
(B−2)
カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された一種以上の特定金属カチオンを含むモレキュラーシーブ;または
(B−3)
前記(B−1)と前記(B−2)の組み合わせ
と、を含む焼成用粘土改質添加材であって、
単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、単位重量(g)の前記焼成用粘土改質添加材中、前記(A)及び(B−2)由来のアルミニウム原子のモル数をa(mmol/g)、前記(A)及び(B−2)由来のケイ素原子のモル数をs(mmol/g)とした場合に、(3s−a)/30(mmol/g)以上である、焼成用粘土改質添加材。 - 前記アルミノケイ酸塩以外の金属塩が、炭酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ポリリン酸イオン、ホウ酸イオン、ポリホウ酸イオン及び炭素数2〜4の低級脂肪酸イオンからなる群から選択されたアニオンを含むことを特徴とする請求項9に記載の焼成用粘土改質添加材。
- 前記焼成用粘土改質材中における、カリウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択された特定金属カチオンの一価カチオン換算での総モル数が、前記焼成用粘土改質添加材の単位重量(g)当たり、(3s−a)/8(mmol/g)以下であることを特徴とする、請求項9または10に記載の焼成用粘土改質添加材。
- 前記アルミノケイ酸塩廃材料に含まれる鉄分が、Fe2O3換算で、2重量%未満であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の焼成用粘土改質添加材。
- (C)請求項9〜12のいずれか一項に記載の焼成用粘土改質添加材と、
(D)粘土と、を混合する工程を含み、
得られる焼成用粘土組成物の主成分が前記(D)粘土であることを特徴とする、焼成用粘土組成物の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の焼成用粘土組成物を混練、成形し、焼成前成形品を得る工程、及び
前記焼成前成形品を1000℃〜1350℃の温度で焼成することを特徴とする、焼成粘土製品の製造方法。 - 前記焼成を行う前に、前記焼成前成形品の表面に釉薬を釉掛けする工程を更に含むことを特徴とする、請求項14に記載の焼成粘土製品の製造方法。
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CN115159955A (zh) * | 2022-08-01 | 2022-10-11 | 佛山东鹏洁具股份有限公司 | 一种高塑性高透水性的高压注浆泥浆及其制作方法 |
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2019
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