以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る放送局と受信機(受信装置とも呼ぶ)のシステム全体の構成例を示す図である。
放送局100は、放送局サーバ101、第1のセキュリティ機能102、第1の基本機能103を備える。
第1の基本機能103は、放送局100の基本的な機能であり、放送する番組の映像信号や音声信号等を符号化(エンコードとも言う)して多重化し、放送信号(放送信号は、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送、などいずれの放送波種別の放送信号であってもよい)として送出する機能を持つ。したがって送信信号は、衛星を経由する経路も含むものとする。その他に送信信号は、ケーブルによる経路を含んでもよい。
また放送局100は、放送する番組に、BML、HTML等のアプリケーション機能を同時に提供するサービスを付加することができる。この場合放送局100は、放送する番組にアプリケーション機能が付加されていることを示す第1の指定情報を伝送制御信号に配置して、第1の基本機能103により放送信号として送出することができる。
放送局サーバ101は、番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、その他のデータ等のメタデータを、放送信号により受信機に送出するために、予め保存しておくエリアである。
第1のセキュリティ機能102は、放送局が送出する放送波に含まれるコンテンツ(番組)の保護に関する設定を行うことができる。
サービス事業者装置(サービス事業者と称する場合もある)120は、放送局100と連携して、放送局100が放送する番組に付加されたアプリケーション機能を同時に提供するサービスにおいて、コンテンツの作成、管理、提供(配布とも呼ぶ)を行う。サービス事業者装置120は、アプリケーション管理・配布121とアプリケーションサーバー122を含む。
アプリケーション管理・配布121は、アプリケーションサーバー122に保存されているコンテンツやアプリケーションの管理や、受信機140への配布を行う。
アプリケーションサーバー122は、受信機140に対して提供するコンテンツやアプリケーションを保存するエリアである。
またサービス事業者装置120は、第1の指定情報を受信した受信機140からの要求に対応して、アプリケーションサーバー122に保存してあるアプリケーションやコンテンツをアプリケーション管理・配布121によりインターネット等の通信ネットワークを経由して、受信機140に送付する。
受信機140は、デジタル放送の受信機能(第2の基本機能141)、通信制御部142、第2のセキュリティ機能143、アプリケーション管理機能144、API(API:Application Programming Interface)145、アプリケーション146、および制御部147を含み、放送局100から放送された放送信号を受信して各種放送番組および各種サービス情報を受信したり、サービス事業者装置120から通信ネットワークを経由してアプリケーションを取得して動作させたりすることができる。
第2の基本機能141は、受信機の基本的な機能であり、放送局100から送られてくる放送波を受信し、放送波に含まれる符号化された映像信号(映像ストリームとも呼ぶ)、符号化された音声信号(音声ストリームとも呼ぶ)および伝送制御信号等の制御信号を分離し、映像信号および音声信号をデコードしたり伝送制御信号等の制御信号を解析したりする機能を持つ。
また第2の基本機能141は、受信機140に接続されている周辺機器、例えば表示器160、受信機140にバインドされているHDD(HardDiskDrive)162、リムーバルメディア170、との接続やデータの送受信の管理も行う。
アプリケーション管理機能144は、受信機140が予め備えているアプリケーションや通信ネットワークを経由して取得したアプリケーションの管理を行う。またアプリケーション管理機能144は、受信機140が予め備えているアプリケーション146や通信ネットワークを経由して取得したアプリケーション146の実行を、アプリケーションインターフェース(I/F)であるAPI145を介して制御する。
通信制御部142は、通信ネットワークとのI/Fを持ち、通信ネットワークを介してサービス事業者装置120が管理するアプリケーションやコンテンツを取得することができる。
表示器160は、スピーカ161を内蔵しており、第2の基本機能141においてデコードされた映像信号を表示領域に表示したり、音声信号をスピーカ161に出力したりする。なお、表示器160に内蔵されているスピーカ161は、USB等のI/Fにより接続した外部のスピーカであってもよい。また表示器160は、受信機140に内蔵されていても、あるいは受信機140とHDMI(登録商標)等のI/Fにより接続された外部の表示器であってもよい。
図2は、放送局200(図1の100に対応)の主な構成を概略的に示した図である。放送局200は、映像エンコーダ201、音声エンコーダ202、字幕エンコーダ203、ならびに伝送制御信号等の制御データ、サービスデータおよび受信機140で動作するアプリケーション145を制御するアプリケーション制御情報等を含む付属データを生成する付属データ生成部204を備える。また放送局200は、放送局サーバ211(図1の101に対応)、第1のセキュリティ機能212(図1の102に対応)および送受信部213が連携している。映像エンコーダ201、音声エンコーダ202、字幕エンコーダ203、付属データ生成部204、多重化部205、スクランブラ206、送信機207、送受信部213を合わせて第1の基本機能210(図1の103に対応)と呼ぶ。
映像エンコーダ201のコーデック種別は、MPEG−2、H.264(MPEG−4 AVC(AVC:Advanced Video Coding))、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)のいずれでもよいものとする。またコーデック種別は、これに限るものではない。
また多重化方式は、MPEG−2 Systemsの多重化方式あるいはMMT(Mpeg Media Transport)の多重化方式の方式を用いてもよいし、両方を混在して用いてもよいものとする。また多重化方式は、これに限るものではない。
映像エンコーダ201、音声エンコーダ202、字幕エンコーダ203、付属データ生成部204の各出力はストリーム化されており、これらのストリームは、多重化部205において多重化される。多重化されたストリーム(放送信号)は、スクランブラ206でスクランブルされ、スクランブルされた多重化ストリームとして送信機207に送出され、放送電波によりアンテナから送信される。
付属データ生成部204が生成する伝送制御信号は、テーブルと呼ばれる特定のフォーマットで構成されており、記述子と呼ばれる情報記述領域を持つ。
図3は、一実施形態に係る受信機300(図1の140に対応)の構成を詳細に示した図である。受信機300は、放送波を受信する受信機能である第2の基本機能315(図1の141に対応)を有する。
第2の基本機能315は、放送チューナ301、デスクランブラ302、CASモジュール303、デマルチプレクサ304、データ放送受信処理部305、映像デコーダ306、音声デコーダ307、字幕デコーダ308、解析部309、データ放送エンジン310を含む。
放送チューナ301は、放送波で送られてきたストリーム(放送信号)を復調する。復調されたストリーム(放送信号)は、デスクランブラ302に入力される。デスクランブラ302は、入力されたストリームをCAS(Conditional Access System)モジュール303からの鍵を用いてデスクランブルする。デスクランブラ302によりデスクランブルされたストリームは、デマルチプレクサ304に入力される。
デマルチプレクサ304は、多重化されているストリームを映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、字幕ストリーム、付属データに分離し、映像ストリームを映像デコーダ306に、音声ストリームを音声デコーダ307に、データ放送ストリームをデータ放送受信処理部305に、字幕ストリームを字幕デコーダ308に、付属データを解析部309にそれぞれ入力する。
映像ストリームは映像デコーダ306でデコードされ、音声ストリームは音声デコーダ307でデコードされ、字幕ストリームは字幕デコーダ308でデコードされる。
また付属データに含まれるアプリケーション制御情報、サービスデータ、伝送制御信号等を含む制御データは、解析部309で解析される。
またデマルチプレクサ304で分離されたデータ放送ストリームは、データ放送受信処理部305に送られ、受信処理が行われる。データ放送受信処理部305は、デマルチプレクサ304から送られてきたデータ放送ストリームから、データ放送として表示器328に表示する表示用信号を取り出し、この取り出した表示用信号をデータ放送エンジン310に入力する。データ放送エンジン310は、送られてきた表示用信号を解析し、合成器326を介して解析した内容を表示制御部327に出力する。表示制御部327は、送られてきた表示用信号の解析内容を元に、表示器328(図1の160に対応)に表示内容を表示する。
デコードされた映像信号および字幕信号は、合成器326で合成され表示制御部327を介して表示器328に出力される。表示制御部327は、ガンマ特性の設定、表示画面サイズの設定、表示信号レベルの設定などを行う。
また音声デコーダ307でデコードされた音声データは、スピーカ329(図1の161に対応)に出力される。
なお図3Aは、表示器328およびスピーカ329は、受信機300に内蔵されている例として記載しているが、例えばHDMI等のI/Fにより接続された外部の表示器およびスピーカであってもよい。表示制御部327は、表示器328が受信機300にHDMI等のI/Fで接続された外部の表示器の場合も、表示器328に表示する内容の制御を行う。
解析部309は、アプリケーション制御情報、サービスデータ、制御データの解析を行い、解析結果を随時制御部330に送付する。
制御データに含まれる伝送制御信号の中には、多重化されている映像信号の番組のチャンネル識別情報と番組識別情報とが含まれ、さらにこの多重化された映像信号の番組対してアプリケーション機能を同時に提供するサービスが付加されていることを示す第1の指定情報が含まれている。解析部309は、受信した制御データを解析することでこれらチャンネル識別情報、番組識別情報、および第1の指定情報を抽出し、この抽出結果を随時制御部330に送信する。
さらに受信機300は、全体的な動作を制御する手段として制御部330を有する。制御部330は、第2のセキュリティ機能322(図1の143に対応)、アプリケーション管理機能323(図1の144に対応)、API324(図1の145に対応)、アプリケーション325(図1の146に対応)を含む。
第2のセキュリティ機能322は、放送波に含まれる伝送制御信号の中からコンテンツの保護に関する情報を読み出し、ネットワークI/F341を介してホームネットワーク上の他の機器(図示しない)に出力する際や、接続されている周辺機器(図示しない、図1の162、170に対応)に出力する際にコンテンツ保護の処理を行う。 API324は、アプリケーション管理機能323とアプリケーション325とが連携して動作するためのI/Fである。
アプリケーション管理機能323は、受信機300が予め備えているアプリケーションや通信ネットワークを経由して取得したアプリケーションの管理を行う。またアプリケーション管理機能323は、受信機300が予め備えているアプリケーション325や通信ネットワークを経由して取得したアプリケーション325の実行を、アプリケーションインターフェース(I/F)であるAPI324を介して制御する。
なお、映像デコーダ306のコーデック種別は、放送チューナ301で受信する放送メディア、すなわち地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送、狭帯域CSデジタル放送等、受信する放送に応じたコーデック種別としてMPEG−2(地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域BSデジタル放送)、H.264(AVC:Advance Video Coding) (狭帯域CSデジタル放送)、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)(高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送)のいずれでもよい。またコーデック種別は、これに限るものではない。 通信制御部340は、通信ネットワーク351とのI/FであるネットワークI/F341と、リモートコントローラ(リモコン)352とのI/FであるリモコンI/F342を持つ。
さらに制御部330は、解析部309から送られてきた暗号化されたECM、EMMから、デスクランブルに必要なスクランブル鍵(Ks)を抽出するために、CASモジュール303に対してECM、EMMを復号するように指示を出す。CASモジュール303は、制御部330の指示にもとづき、ECM、EMMを復号しスクランブル鍵(Ks)を抽出する。CASモジュール303は、スクランブル鍵(Ks)を抽出すると、抽出したスクランブル鍵(Ks)を制御部330に送信する。制御部330は、CASモジュール303からスクランブル鍵(Ks)を受信すると、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ302に送信する。デスクランブラ302は、制御部330からスクランブル鍵(Ks)を受信すると、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。デスクランブラ302は、スクランブルされている放送信号をデスクランブルする際に、内部に保存してあるスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルを行う。
なお、デスクランブルに必要なスクランブル鍵(Ks)を抽出する過程は、図4A、図4Bを用いて詳細に説明する。
図4Aは、非特許文献2に記載の、限定受信方式の概念図を示したものである。
この方式は一般的には3重鍵方式と称されており、スクランブル鍵(Ks)401、ワーク鍵(Kw)402、マスター鍵(Km)403の3つの鍵が利用される。
スクランブル鍵(Ks)401と、ワーク鍵(Kw)402と、マスター鍵(Km)403は、放送局200が管理する鍵である。またワーク鍵402を用いてECMを暗号化する暗号化部405、マスター鍵403を用いてEMMを暗号化する暗号化部406も、放送局200が管理する暗号化部である。
一方受信機300に挿入されているCASモジュール303は、ワーク鍵422を用いてECMを復号化する復号化部425、マスター鍵423を用いてEMMを復号化する復号化部426は、受信機300に挿入されているCASモジュール303が管理する復号化部である。またCASモジュール303から入手したスクランブル鍵(Ks)を用いて放送波をデスクランブルするデスクランブラ420は、図3が示す受信機300が管理するデスクランブラ302である。
放送局200は、スクランブル鍵(Ks)を含むECM410およびワーク鍵(Kw)を含むEMM411を、各々の必要なタイミングで生成する。放送局200は、生成したECM410およびEMM411を、他の番組コンテンツ等と多重化し、その時点でのし放送波により送出するスクランブル鍵(Ks)401を用いてスクランブラ400によりスクランブルし、放送波により送信する。
受信機300は、CASモジュール303より入手したスクランブル鍵(Ks)421を用いて、受信した放送波をデスクランブラ420によりデスクランブルし、放送波に含まれている番組コンテンツをユーザに提供する。
限定受信方式の目的は、特定の放送局が放送する番組を視聴する権利を取得した加入者のみが、その放送局が放送する番組を視聴出来るようにすることである。このため、加入者の受信機300のみが、放送波で送られてくるスクランブル鍵(Ks)421を取り出せることが必要である。
ECM410は、放送局200が送信する受信機共通の関連情報である。ECM410は、スクランブル鍵(Ks)を含んでいる。このECM410は、ワーク鍵(Kw)402を用いて暗号化部405により暗号化されている。
EMM411は、放送局200が送信する受信機識別単位(CASモジュールID単位)の関連情報である。EMM411は、ECM410を暗号化するのに用いるワーク鍵(Kw)402を含んでいる。このEMM411は、マスター鍵(Km)403により暗号化部406により暗号化されている。つまり、受信機300は、放送局200が放送するマスター鍵(Km)と1対1に紐づけられた受信機識別単位(CASモジュールID単位)の関連情報であるEMMの中から、搭載したCASモジュール303から得られるCASモジュールID(カードID)により自分宛てのEMMを認識できれば、CASモジュール(ICカード)に秘匿されたマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し中に含まれるワーク鍵(Kw)を取り出すことができ、その取り出したワーク鍵(Kw)を用いて暗号化されたECMを復号し中に含まれるスクランブル鍵(Ks)を取り出すことができる。
マスター鍵(Km)423は、CASモジュール(ICカード)に秘匿された状態で格納されている。加入者は、特定の放送局200が放送する番組の視聴する権利を取得する際にCASモジュール(ICカード)303の識別情報であるCASモジュールID(カードID)を放送局に申請することで、放送局200は、管理する鍵管理システム(図示しない)により、申請されたCASモジュールID(カードID)に相対する加入者のCASモジュール303のマスター鍵(Km)423を判別することが可能となる。このようにして放送局200は、加入者のCASモジュール303のマスター鍵423と同一のマスター鍵403を前述の鍵管理システムから入手することができる。
つまり、放送局200は、加入者の申請の際に入手した情報CASモジュールID(カードID)によりマスター鍵(Km)403を用いて、EMM411を暗号化することができる。さらに放送局200は、加入者の申請の際に入手したCASモジュールID(カードID)の情報を、EMM411の非暗号化部分に設定することで、送信するEMM411を加入者ごとに設定することができる。
受信機300は、受信したEMM411の非暗号化部分にあるCASモジュールID(カードID)の情報から、自分宛てのEMM411を抽出し、抽出した自分宛てのEMM411をCASモジュール303に送信する。EMM411を受信したCASモジュール303は、内部に秘匿した状態で格納してあるマスター鍵(Km)423を用いてEMM411を復号化部426で復号し、ワーク鍵(Kw)422を抽出する。さらにCASモジュール303は、抽出したワーク鍵(Kw)422を用いて、ECM410を復号化部425で復号化し、中に含まれているスクランブル鍵(Ks)421を抽出する。CASカードモジュール303は、抽出したスクランブル鍵(Ks)421を制御部330に送信する。スクランブル鍵(Ks)421を受信した制御部330は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ420に送信する。制御部330からスクランブル鍵(Ks)を受信したデスクランブラ420は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。
受信機300のデスクランブラ420は、内部に設定しているスクランブル鍵(Ks)421を用いて受信した放送波をデスクランブル420し、放送波に含まれている番組コンテンツをユーザに提供する。
先に説明したように放送局200は、デスクランブル対象の映像より先行して、デスクランブル対象の映像のスクランブルキー(Ks)を持つECMを送付する。
図4Bは、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送の場合のECMおよびその中に含まれるスクランブル鍵(Ks)と、そのスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルする対象の放送信号の時間的な関係を示す図である。
440は、受信機300が受信する番組の放送信号の時間的な遷移である。441は、その放送信号440をデスクランブルするのに用いるスクランブル鍵(Ks)の時間的な遷移を示している。Ks0、Ks1、Ks2が、放送信号をデスクランブルするのに用いるスクランブル鍵(Ks)である。放送信号をデスクランブルするのに用いるスクランブル鍵(Ks)は、2000ms単位で更新される。
442は、受信機300が受信したECMおよびその中に含まれるスクランブル鍵(Ks)の時間的な遷移を表している。ECM1は、スクランブル鍵Ks0とKs1を含んでおり、ECM2はスクランブル鍵Ks1とKs2を含んでおり、ECM3はスクランブル鍵Ks2とKs3を含んでいる。このようにECMには、ODD(奇数)鍵とEVEN(偶数)鍵の両方のスクランブル鍵(Ks)を格納可能である。
図4Bに示すように、受信機300は、ECMに含まれるスクランブル鍵(Ks)を、そのスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルする対象の放送信号より1600ms先行して受信することができる。具体的には、時刻T11からT12の2000msにおける放送信号は、スクランブル鍵Ks2を用いてデスクランブルされる。このスクランブル鍵Ks2は、ECM2の中に配置されて放送局200より送られてくる。
受信機300がこのECM2を受信するタイミングは、T11より1600ms先行したT20のタイミングである。このように受信機300は、デスクランブルする対象の放送信号より先行してスクランブル鍵(Ks)を受信することで、受信した放送信号に対して遅延することなくデスクランブルすることが可能となる。
高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送における、ECMおよびその中に含まれるスクランブル鍵(Ks)と、そのスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルする対象の放送信号の時間的な関係は、図4Bにおけるスクランブル鍵(Ks)の更新周期を2000msから8000msに、ECMを先行して受信するタイミングを1600msから7600msに読み替えれば原理的には同一である。
図4Cは、非特許文献3に記載の、限定受信方式の概念図を示したものである。図4Cの概念図は、図4Aと同様である。図4Cの450、451、452、453、454、455、456、460、461、470、471、472、473、474、475,476は、それぞれ図4Aの400、401、402、403、404、405、406、410、411、420、421、422、423、424、425、426に対応している。
放送では、あまねく受信者に同じ信号が送られるために、スクランブル鍵(Ks)を長期にわたり使い続けると、スクランブル方式自体は省令告示で定められた公開方式であるので、鍵長分のすべての鍵の総当たり等でKsを解析することが可能である。このような事態が生じると、限定受信の目的を達成することができない。そのため、現状の放送においては、時間と共に変化するスクランブル鍵(Ks)が利用されている。非特許文献2では、同一のKsの使用時間を1つのECMあたり最短1秒程度と定めている。
次に受信機300が、デスクランブルする際の基本的な動作について説明する。
図5は、非特許文献5に記載の、受信機300がデスクランブルする際の基本構成図である。
受信機500は、チューナ部501(図3の301に対応)、デスクランブラ502(図3の302に対応)、TS(Tranport Stream)デコード部503(図3の304に対応)、映像・音声デコード部504(図3の306、307に対応)、表示部505(図3の327に対応)、制御部506(図3の330に対応)、キー入力部507(図3の342に対応)を含む。TSデコード部503は、送られてきたデスクランブル後の放送信号を解析して伝送制御信号を逐次抽出して、制御部506に送信する。制御部506は、TSデコード部503から送られてきた伝送制御信号をもとに、チューナ部501、デスクランブラ502、表示部505を制御することができる。また制御部506は、リモコン510からの操作入力の信号をキー入力部507を介して受け取ることができる。ICカード511(図3の303に対応)は、制御部506から与えられるコマンドにもとづきECMやEMMの処理を行い、ワーク鍵(Kw)、スクランブル鍵(Ks)を抽出することができるCASモジュールである。図5の受信機500は、チューナ部を1個搭載する場合である。
図6は、非特許文1に記載の、図5に示した受信機500が行う限定受信処理の処理フローチャートである。
ユーザによるリモコン510操作により特定のチャンネル(service_id)が選択された場合、制御部506は、現在受信中の放送波において、当該service_idのPMT(Program Map Table)が伝送されているかを、TSデコード部503で抽出されたPAT(Program Association Table)を受信して判断する(S601)。
判断の結果伝送されていない場合(S603のNo)、制御部506は、TSデコード503から送られてくるNIT(Network Information Table)を参照して当該service_idが伝送されている放送波を選局するため、チューナ部501を制御する(S610)。
制御部506は、選局した放送波に配置されたCAT(Conditional Access Table)の内部に含まれるEMMのPID(Packet Identifier)を認識し、EMMを受信する。制御部506は、受信したEMMの中から自分宛てのEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部506は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMをICカード511に送信する。制御部506からEMMを受信したICカード511は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存(S611)する。
また制御部506は、受信したPAT(S605)を参照して、選局したいservice_idのPMTを受信し(S606)、受信したPMTの内部に含まれるECM PIDを認識してECMを受信する(S607)。制御部506は、ECMを受信すると、ICカード511に対してECM受信コマンドを発行する。
ECM受信コマンドを受信したICカード511は、抽出済みのワーク鍵(Kw)を用いて暗号化されたECMを復号してスクランブル鍵(Ks)を取り出す(S612)。
ICカード511は、スクランブル鍵(Ks)を正常に取り出すと(S612のYes)、ECM受信コマンドに対する正常応答として、スクランブル鍵(Ks)を制御部506に送信する。
スクランブル鍵(Ks)を受信した制御部506は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ502に送信する。デスクランブラ502は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。
デスクランブラ502は、図4Bに示したような必要なタイミングにおいて、設定したスクランブル鍵(Ks)を用いてチューナ部501から送られてくる放送信号をデスクランブルする(S608)。
デスクランブラ502でデスクランブルされた放送信号に含まれる映像信号や音声信号は、TSデコード部503で分離された後、映像・音声デコード部504でデコードされる(S609)。デコードされた映像信号や音声信号は、モニタやスピーカー(図示せず)に出力する。
非契約ないし契約済みでもEMMが未受信の状態であれば、ECM受信コマンドの応答として、CASモジュール(ICカード)から非契約等のEMM未受信を意味する応答が返る(S612のNo)。その応答を受信した制御部506は、表示部505にて非契約などの所定のエラーメッセージを生成しモニターに表示する。
次に受信機300が、チューナ部を2個搭載する場合について説明する。
まずはじめに、ECMおよびEMMの更新周期と、CASモジュール(ICカード)の処理の関係について説明する。
上述したように非特許文献2では、スクランブル鍵(Ks)の更新周期つまりECMの更新周期は最短1秒程度と規定されている。
つまり、最大処理時間を考慮すると、非特許文献2準拠のCASモジュール(ICカード)は、この1秒のスクランブル鍵(Ks)の更新の間にECMとEMMの処理が可能な性能を持つCASモジュール(ICカード)であることが期待されることになる。
非特許文献2準拠のCASモジュール(ICカード)1つで、複数のチャンネル(複数のチューナ)を処理するためには、スクランブル鍵(Ks)の更新周期を伸ばす方法と、CASモジュール(ICカード)の性能を上げることにより1秒のスクランブル鍵(Ks)の更新周期の時間内に複数のECM、EMMの処理を可能とする方法とが考えられる。
実際には、非特許文献5では下記のように解説されている。
「 A−3−2 更新周期、
ECMの更新周期に関しては、本編5.8.5ECMの更新・再送に記載されている。ICカードの処理能力に応じたタイミングとしては、
・1ECMの処理最大800msを想定
・異なるECMの更新間隔は1000ms以上
という前提のもと、受信機仕様を想定している。本書ver1.0の改定に伴い、下記のことを想定して更新周期を見なおした。
・BS放送をTV画面でみながらBS裏番組録画が1枚のICカードで処理されきる。
・同様のことが任意のBSチャンネル2画面同時表示もICカードとして1枚で処理。
以上のことから、ECMの更新間隔が2000ms以上であれば、異なるTSにおける少なくとも入力に2つのスクランブルサービスが1枚のICカードで処理可能になる。」
つまり非特許文献2に準拠のCASモジュール(ICカード)は、スクランブル鍵(Ks)の更新周期1秒に対しては処理が可能であるので、ECMの更新周期を2秒とすることで、少なくとも2チャンネル(2つのチューナ)を処理することが可能となる。
すなわち、ECMの更新周期を2秒にすることで、非特許文献2準拠のCASモジュール(ICカード)であれば、そのコマンド応答性能に関わらず運用規定で2チャンネル(2つのチューナ)までを許容したことになる。
図7は、スクランブル鍵(Ks)の更新周期とECM、EMMの処理を概念的に示した図である。
701非特許文献2準拠のCASモジュール(ICカード)に対して期待されるECM、EMMの処理時間を表している。非特許文献2準拠のCASモジュール(ICカード)は、1000ms以内に、1つのECMおよびEMMの処理を完了することが期待されている。
702は、非特許文献5準拠のCASモジュール(ICカード)が、2つのチューナ部(第1チューナ部1と第2チューナ部)を持つ受信機に挿入された場合のECM、EMMの処理の様子を示している。702−1が第1チューナ部に対するECM、EMMの処理の様子、702−2が第2チューナ部に対するECM、EMMの処理の様子である。
チューナが2個の場合、CASモジュール(ICカード)は、受信機からのコマンドに従って、各々のチューナで受信した放送波に含まれるECMの処理、EMMの処理をシリアルに行う。第1チューナに対するECM、EMMの処理、第2チューナに対するECM、EMMの処理は、スクランブル鍵(Ks)の更新周期である2秒以内に行わなければならない。
図8は、図5に示したチューナ部を1つ持つ場合の受信機の基本構成に対して、チューナ部を2つ持つ場合の、放送波をデスクランブルする際の受信機800の基本構成図である。図8の図5との相違点は、チューナ部が1つ追加され第1チューナ部801−1と第2チューナ部801−2で構成されている点、2つのチューナ部に対応するために分配器813が追加されている点、内蔵の録画・記録部812が追加されている点である。それ以外の802から810および811は、図5の502から510および511と同一である。
受信機800は、第1チューナ部801−1と第2チューナ部801−2の2つチューナ部をもつことで、1つのチューナ部で選局した番組をモニタに出力すると同時に、他のチューナ部で選局した、モニタに出力している番組とは異なる番組を録画して録画・記録部812に保存することが出来る。録画・記録部812は、例えば内蔵のHDD(ハードディスクドライブ)である。
モニター出力するチャンネル1の放送波を第1チューナ部801−1で選局し、同時に録画・記録部812で記録するチャンネル2の放送波を第2チューナ部801−2で選局する場合の処理を説明する。
ユーザによるリモコン810操作によりモニターに出力するチャンネル1(service_id_1)が選択された場合、制御部806は、現在受信中の放送波において、service_id_1のPMTが伝送されているかを、TSデコード部803で抽出されたPATを受信して判断する。
判断の結果伝送されていない場合、制御部806はTSデコード部503から送られてくるNITを参照してservice_id_1が伝送されている放送波を選局するため、第1チューナ部801−1を制御する。
制御部806は、選局した放送波に配置されたCATの内部に含まれるEMMのPIDを認識し、EMMを受信する。制御部806は、受信したEMMの中から自分宛のEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部806は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMをICカード811に送信する。制御部806からEMMを受信したICカード811は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また制御部806は、受信したPATを参照して、選局したいservice_id_1のPMTを受信し、受信したPMTの内部に含まれるECM PIDを認識してECMを受信する。制御部806は、ECMを受信すると、ICカード811に対してECM受信コマンドを発行する。
ECM受信コマンドを受信したICカード811は、抽出済みのワーク鍵(Kw)を用いて暗号化されたECMを復号してスクランブル鍵(Ks)を取り出す。
ICカード811は、スクランブル鍵(Ks)を正常に取り出すと、ECM受信コマンドに対する正常応答として、スクランブル鍵(Ks)を制御部806に送信する。
スクランブル鍵(Ks)を受信した制御部806は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ802に送信する。デスクランブラ802は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。
デスクランブラ802は、図4Bに示したような必要なタイミングにおいて、設定したスクランブル鍵(Ks)を用いて第1チューナ部801−1から送られてきた放送信号をデスクランブルする。
デスクランブラ802でデスクランブルされた放送信号に含まれる映像信号や音声信号は、TSデコード部803で分離された後、映像・音声デコード部804でデコードされる。デコードされた映像信号や音声信号は、モニタやスピーカー(図示せず)に出力する。
予約録画は、ユーザが電子番組表(EPG、図示せず)等で所望の番組の録画予約を行う。制御部806は、録画予約の設定内容に従い、録画予約された番組の開始時刻近傍になった時点で第2チューナ部801−2を制御し、録画予約したチャンネルを選局する。
制御部806は、選局した放送波に配置されたCATの内部に含まれるEMMのPIDを認識して、EMMを受信する。制御部806は、受信したEMMの中から自分宛のEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部806は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMをICカード811に送信する。制御部806からEMMを受信したICカード811は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また制御部806は、PATを参照して、選局したいservice_id_2のPMTを受信し、受信したPMTの内部に含まれるECM PIDを認識してECMを受信する。制御部806は、ECMを受信すると、ICカード811にECM受信コマンドを発行する。
ICカード811は、1枚のICカード(1つのCASモジュール)で第1チューナ部801−1で選局された放送波に含まれるECMの処理と第2チューナ部801−2で選局された放送波に含まれるECMの処理の両方の処理を行うする必要がある。
ICカード811の処理は、受信機からの要求により処理を開始するものであるが、制御部806とICカード811との間のデータのやり取りは、制御部806からICカード811への要求に対する、ICカード811から制御部806への応答が返るまで、制御部806は次の要求をICカード811に送信できないルールになっている。
このため制御部806は、TSデコード部から連続してECMを受信した場合、ECMの再送周期等を鑑みて、ECMの処理を要求するタイミングを調整して、処理を要求するECM受信コマンドを発行する。
またEMMの処理においても同様に、ICカード811は、第1チューナ部801−1で選局した放送波に含まれるEMMの処理と、第2チューナ部801−2で選局した放送波に含まれるEMMの処理の両方の処理を行う必要があるため、制御部806は、各々のEMMの処理を要求するタイミングを、ECMの処理を要求するタイミングとも重複しないように調整してICカード811に対して、コマンドを発行する。
ICカード811は、第1チューナ部801−1で選局した放送波に含まれるECMを処理する時点では、既に契約済みのEMMを受信済みであり、その受信したEMMの中からワーク鍵(Kw)を抽出済みであれば、そのワーク鍵(Kw)を用いて、処理を要求されたEMCを復号化しスクランブル鍵(Ks)を抽出することができる。ICカード811は、EMCを復号化しスクランブル鍵(Ks)を抽出できると、制御部811に対してECM受信コマンドの正常応答として、スクランブル鍵(Ks)を制御部806に送信する。
スクランブル鍵(Ks)を受信した制御部806は、受信したスクラブル鍵(Ks)をデスクランブラ802に送信する。デスクランブラ802は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。デスクランブラ802は、設定したスクランブル鍵(Ks)を用いて第2チューナ部801−2で選局した放送波をデスクランブルする。デスクランブルされた放送波は、TSデコード部803でデコードし、録画・記録部812に所定の記録用フォーマット(例えば機器バインドの固有鍵にて暗号化したTSフォーマット)に変換して記録される。
録画・記録部821に保存されている録画した番組を再生する場合は、録画・記録部821に保存されている記録用フォーマットを、TSデコード部803でデコードされたフォーマットに戻し、映像・音声デコード部804においてモニターに出力する。
さらに受信機は、3個以上のチューナを搭載することができる。
受信機が3個以上のチューナを搭載する場合、例えば視聴中の番組以外に同時に異なる2チャンネルを録画可能ないわゆるW裏録機能に対応させる場合には、ECMの処理、EMMの処理が煩雑になる。
CASモジュール(ICカード)1つで2チャンネルまでの対応が可能とした場合、3つのチューナを確実に処理する場合には、CASモジュール(ICカード)を2つ搭載する必要がある。
図9は、図8に示したチューナを2つ持つ場合の受信機の基本構成に対して、チューナを3つ持つ場合の、放送波をデスクランブルする際の受信機900の基本構成図である。
図9の図8との相違点は、第3チューナ部901−3が追加されている点と、ICカードが1つ追加され第1ICカード911−1と第2ICカード911−2で構成されている点である。それ以外の902から910と912は、図8の802から810と812と同一である。
モニター出力するチャンネル1の放送波を第1チューナ部901−1で選局し、同時に録画・記録部912で記録するチャンネル2の放送波を第2チューナ部901−2で選局し、同時に録画・記録部912で記録するチャンネル3の放送波を第3チューナ部901−3で選局する場合の処理を説明する。
ユーザによるリモコン810操作によりモニターに出力するチャンネル1(service_id_1)が選択された場合、制御部906は、現在受信中の放送波において、service_id_1のPMTが伝送されているかを、TSデコード部903で抽出されたPATを受信して判断する。
判断の結果伝送されていない場合、制御部906はTSデコード部903から送られてくるNITを参照してservice_id_1が伝送されている放送波を選局するため、第1チューナ部901−1を制御する。
制御部906は、選局した放送波に配置されたCATの内部に含まれるEMMのPIDを認識して、EMMを受信する。制御部906は、受信したEMMの中から自分宛のEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部906は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMを予め決められた第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2のいずれかに送信する。制御部906からEMMを受信した第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また制御部906は、受信したPATを参照して、選局したいservice_id_1のPMTを受信し、受信したPMTの内部に含まれるECM PIDを認識し、ECMを受信する。制御部906は、ECMを受信すると、予め決められた第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2のいずれかに対してECM受信コマンドを発行する。
ECM受信コマンドを受信した第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2は、抽出済みのワーク鍵(Kw)を用いて暗号化されたECMを復号してスクランブル鍵(Ks)を取り出す。
第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2は、スクランブル鍵(Ks)を正常に取り出すと、ECM受信コマンドに対する正常応答として、スクランブル鍵(Ks)を制御部906に送信する。
スクランブル鍵(Ks)を受信した制御部906は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ902に送信する。デスクランブラ902は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。デスクランブラ902は、図4Bに示したような必要なタイミングにおいて、設定したスクランブル鍵(Ks)を用いて第1チューナ部901−1から送られてきた放送信号をデスクランブルする。
デスクランブラ902でデスクランブルされた放送信号に含まれる映像信号や音声信号は、TSデコード部903で分離された後、映像・音声デコード部904でデコードされる。デコードされた映像信号や音声信号は、モニタやスピーカー(図示せず)に出力する。
予約録画は、ユーザが電子番組表(EPG、図示せず)等で同時刻に異なる2チャンネルの所望の番組録画予約を行っており、制御部906は、録画予約の設定内容に従い、その番組の開始時刻近傍になった時点で、第2チューナ部901−2、および第3チューナ部901−3を制御して、録画予約したチャンネルを選局する。
制御部906は、選局した放送波に配置されたCATの内部に含まれるからEMMのPIDを認識して、EMMを受信する。、制御部906は、受信したEMMの中から自分宛のEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部906は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMを予め決められた第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2に送信する。制御部906からEMMを受信した第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また制御部906は、PATを参照して、選局したいservice_id_2のPMTを受信し、受信したPMTの内部に含まれるECM PIDを認識し、ECMを受信する。制御部906は、ECMを受信すると、予め決められた第1ICカード911−1あるいは第2ICカード911−2にECM受信コマンドを発行する。
ICカード911−1および911−2は、1つのICカードで2つのチャンネルまでの同時処理が運用規定により担保されいるため、予め、第1チューナー部901−1、第2チューナー部901−2、及び第3チューナ部901−3とCAS処理を行うCASモジュールである第1ICカード911−1および第2ICカード911−2の対応関係を、ユーザインタフェイス等の設定画面にて設定しておく必要がある(図示せず)。
例えば、第1チューナ部901−1と第2チューナ部901−2を第1ICカード911−1で処理し、第3チューナ部901−3を第2ICカード911−2で処理するよう対応付けているものとする。この場合、第1ICカード911−1のカードIDの情報で有料放送として提供されるチャンネルA、B、Cを視聴する権利を取得するために加入契約をし、第2ICカード911−2のカードIDの情報で有料放送として提供されるチャンネルD、E、Fを視聴する権利を取得するために加入契約をした場合には、例えば、チャンネルCを見ながら、チャンネルAとFを同時録画する場合には、第1チューナ部901−1でチャンネルCを、第2チューナ部901−2でチャンネルAを、第3チューナ部901−3でチャンネルFを選局するようにすれば、契約した有料放送のチャンネルと第1ICカード911−1および第2ICカード911−2の対応がとれる。
しかしながら、第3チューナ部901−3でチャンネルAの放送波を処理しようとした場合には、チャンネルAの放送波を視聴する契約を第2ICカード911−2では契約していないため、第2ICカード911−2ではチャンネルAを視聴する契約情報を含んだEMMを抽出することができず、その結果チャンネルAの放送波をデスクランブルすることができない。また、1つのICカード(CASモジュール)で異なる3チャンネル(例えばチャンネルA、B、C)を契約してEMMを受信していた場合に、異なる時間に、これら3チャンネルいずれか1つを視聴ないし録画することは可能だが、チャンネルAを見ながらチャンネルB、Cを同時録画という同時処理を行う場合も考えられる。しかし先に述べたように、非特許文献5に記載のように、1つのICカードで2つのチャンネル(チューナ)のTSの処理までしか同時処理ができない、という制限状態であると、1つのICカードで異なる3チャンネルのTSを同時に処理することができないなどの不具合がある。
そこで本実施形態では、主要なポイントとして次のことに着目している。
本実施形態では、ユーザの利便性のために複数のチューナを搭載した受信機において、複数のチューナと複数のICカードの紐付関係の設定をユーザが行う負担の軽減やコスト削減のため、極力少ないICカード(CASモジュール)で処理可能とするためのルール作りを行う。
そのため例えば、1つのCASモジュール(ICカード)であっても、同時受信処理可能なチューナ数を厳密に検討できることが重要である。
本実施形態では、ECMの再送周期、更新周期と、CASモジュール(ICカード)の仕様書等に記載されたコマンド応答性能等を考慮し、新たに、1事業体が1つのカードIDを設定したEMMを送信する頻度、または、受信機が1事業体あたりで一定期間内で処理すべきEMM個数を規定する。すなわち、新たに規定するのは、一定期間内に処理すべきEMMの個数であり、送出規定として一定期間内の送出個数で規定するか、受信機規定として一定期間内の処理個数で規定するかの手段である。これにより、1つのCASモジュール(ICカード)で何個のチューナによる同時受信処理を可能とするかを厳密に検討することが可能となる。これにより、受信機メーカの利便性が得られる。
本実施形態における要点の概要をまとめると以下のように記述することができる、
(1).アクセス制御方式(限定受信方式ないしコンテンツ保護方式)を運用する放送において、ECMの再送周期、更新周期、かつ1事業体あたりに同一受信機(CASモジュールID)宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を規定したデジタル放送送受信装置。
(1b).1つのCASモジュールID宛に送られるEMM及び又はEMM個別メッセージのうち、EMMを受信後からCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間における、処理が必要な最小のEMM個数を規定したデジタル放送送受信装置。
(2).アクセス制御方式(限定受信方式ないしコンテンツ保護方式)を運用する放送において、同時に2つを超える受信視聴ないし録画・記録を行う際に、ECMの再送周期、更新周期、かつ1事業体あたりに同一受信機(CASモジュールID)宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度が設定されており、当該受信機宛てのEMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからCASモジュールにコマンド発行するまでの猶予期間における、搭載した複数チューナの各々のEMM及び又はEMM個別メッセージ処理を前記EMM及び又はEMM個別メッセージ送出頻度からCASモジュールへの発行スケジュールを制御するデジタル放送受信装置。
(2b).アクセス制御方式(限定受信方式ないしコンテンツ保護方式)を運用する放送において、同時に2つを超える受信視聴ないし録画・記録を行う際に、ECMの再送周期、更新周期、かつ1事業体あたりに同一受信機(CASモジュールID)宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからCASモジュールにコマンド発行するまでの猶予期間における、処理が必要なEMM及び又はEMM個別メッセージの個数からCASモジュールへの発行スケジュールを制御するデジタル放送受信装置。
(3).アクセス制御方式(限定受信方式ないしコンテンツ保護方式)を運用する放送において、1事業体あたりに同一受信機(CASモジュールID)宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージの送出を、所定の頻度で送出するように制御するデジタル放送送信装置。
(4).上記(1).の記載内容において、1つのCASモジュールID宛のEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を、EMMを受信してからCASモジュールにコマンド発行するまでの猶予期間における、送信するEMMの個数で規定したデジタル放送送受信装置。
(5).上記(1).の記載内容において、1つのCASモジュールID宛のEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を、ECMないしスクランブル鍵の更新周期あたりに送信するEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で規定したデジタル放送送受信装置。
(6).上記(1).の記載内容において、1つのCAS ID宛のEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を、EMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからにCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間における、送信するEMM及び又はEMM個別メッセージの個数、かつECMないしスクランブル鍵の更新周期あたりに送信するEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で規定したデジタル放送送受信装置。
(7).上記(2).の記載内容において、CASモジュールへの発行スケジュールの制御を、当該CASモジュール宛てのEMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからにCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間において、送信するEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で制御するデジタル放送受信装置。
(8).上記(2).の記載内容において、CASモジュールへの発行スケジュールの制御を、当該CASモジュール宛てのEMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからにCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間において、ECMないしスクランブル鍵の更新周期あたりに送られるEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で制御するデジタル放送受信装置。
(9).上記(2).の記載内容において、CASモジュールへの発行スケジュールの制御を、当該CASモジュール宛てのEMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間において、送信するEMMの個数、かつECMないしスクランブル鍵の更新周期あたりに送られるEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で制御するデジタル放送受信装置。
(10).上記(3).の記載内容において、同一受信機宛てに送出するEMM/EMM個別メッセージの送出頻度を、当該CASモジュール宛てのEMM及び又はEMM個別メッセージを受信してからにCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間において、送信するEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で制御するデジタル放送送信装置。
(11).上記(3).の記載内容において、同一受信機宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を、ECMないしスクランブル鍵の更新周期あたりに送信するEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で制御するデジタル放送送信装置。
(12).上記(3).の記載内容において、同一受信機宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を、当該CASモジュール宛てのEMM/EMM個別メッセージを受信してからCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間において、送信するEMMの個数、かつECMないしスクランブル鍵の更新周期あたりに送られるEMM及び又はEMM個別メッセージの個数で制御するデジタル放送送信装置。
次に、本実施形態が有用な機能を発揮することを、その背景から説明する。
従来の標準規格、運用規定上では、1つのCASモジュール(ICカード)において異なる2チューナの同時処理を可能とするには以下を考慮する必要がある。そのため3チューナ以上の搭載受信機を想定する場合には、従来の標準規格、運用規格に加えて、搭載するCASモジュール(ICカード)のECMやEMM等のCASモジュール(ICカード)とのコマンド・応答に要する性能を把握する必要がある。
しかし、このCASモジュール(ICカード)のECMやEMMのコマンド応答性能とECMの送出頻度、更新周期、およびEMMを受信後処理までの猶予期間を決めても厳密にいくつまでのチューナ処理が可能かの詳細な検討が困難である。
一般的にECMは数秒おきに更新するため、再送周期が100ms毎に送られても、複数チューナを搭載する場合にはECM処理を優先せざるを得ない。
一方EMMは、ECMに比べて即時処理を必要としない属性のものであるが、場合によってはECMほどの即時性はないものの、可及的速やかな処理を要する場合がある。例えば、
(a)特定の放送局(事業体)が放送する番組を視聴する権利を取得したい視聴者Aが、加入に関する手続きや加入時のトラブル対応を、加入する放送局(事業体)のカスタマーセンターに電話して、電話の案内に従って自受信機で当該放送局のチャンネルを選局し、視聴者Aの受信機のカードID番号を告げる
(b)視聴者Aは、例えば電話を掛けたままの状態で、放送局(事業体)は、電話で告げられたカードID番号を設定したEMMを即時送信する
(c)視聴者Aの受信機がEMMを受信し、スクランブル鍵(Ks)を取り出せれば、当該チャンネルの放送信号をデスクランブルすることが可能となる(いわゆる鍵明けが可能となる)
(d)これにより、視聴者Aは、契約手続きの完了を確認できる、
上記(a)から(d)のシーンのような場合は、EMM処理もECMほどの即時性はないものの、可及的速やかな処理を要する場合があることは現実である。
このように事業体と視聴者が電話をしながら、視聴者が受信機の受信状態を確認しながら、視聴契約手続きを行う場合、受信機でEMMの受信をミスする場合も想定される。そこで放送局(事業体)は、受信機がEMMの受信をミスする場合を想定して、同一のカードIDを設定したEMMを、一定時間バースト的に送信することも想定される。
ECMは、スクランブル鍵(Ks)の更新に合わせて、同一Ksを使用する期間内で少なくとも1つを受信するように受信機がECMの受信制御してもよいが、EMMは、契約の可否等を制御するものであるため、受信機がEMMの受信制御せず、自分宛てに送信されたEMMは全て受信して、その受信したEMMを全てCASモジュール(ICカード)に送信して処理を依頼することが基本であると考えられている。
よって、受信機がEMMを受信後に、一定期間の猶予を持ってCASモジュール(ICカード)に対して処理することが望まれる。このためARIB規格では、CASモジュール提供者よりCASモジュール(ICカード)の応答性能が示されたことに併せて、受信機がEMMを受信した後にCASモジュール(ICカード)に対してEMM受信コマンド発行を行うまでの猶予期間が規定された。
この規定によると、EMMは同一CASモジュール(ICカード)宛てに送る頻度が低いという前提では、実質上さほど問題は起きにくいが、前述のように電話での鍵明けなどが行われる場合には、EMMを短時間で複数送ることも想定される。
最近では、チューナの搭載数も増え、多チャンネル録画機能を搭載した受信機や、さらに非特許文献6の 第一部 第五編 付録7に高度広帯域BS・CS放送用(いわゆる4K8K放送)CASと現行の広帯域衛星放送(いわゆる2K放送)のCASを一体のCASモジュールに搭載することがあり得る規定が行われた。
付録7において以下の記載がある、
「付録7 現行放送と高度BSデジタル放送の共用受信機について
高度BSデジタル放送の受信とARIB TR−B15に規定されるBSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送若しくはARIB TR−B14に規定される地上デジタルテレビジョン放送の少なくともいずれかの受信が可能な共用受信時において、BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送、地上デジタルテレビジョン放送の受信に同じCASモジュールを適用する際の規定を以下に示す。」とある。
しかし、現行の広帯域衛星放送(いわゆる2K放送)を受信する受信機において搭載チューナ数が多い場合や、また高度広帯域衛星放送(いわゆる4K8K放送)と現行放送(いわゆる2K放送)を受信する受信機が1つのCASモジュール(ICカード)で多数のチャンネルを受信し処理する場合が、今後十分あり得る。
このような状況で、非特許文献6と、非特許文献4および非特許文献5において、ECM(スクランブル鍵(Ks))の更新周期の違いや、また高度広帯域衛星放送(いわゆる4K8K)と現行放送(いわゆる2K)との間でECMやEMM応答性能が異なった場合には、受信機でのECMやEMMの処理に関して厳密なタイミング制御の検討が必須となる。
しかし現状のEMMに関する規定のみでは、各種の放送方式に対応できる、また多数のチューナを搭載した受信機を得るには、ECM、EMMの処理に関するタイミング制御の検討が困難である。
そこで、本実施形態では、例えば先の(1)〜(12)に記載したようにEMMの送信頻度を規定することにより、ECM、EMMの受信処理タイミングを厳密に設定することが可能となり、搭載チューナ数の仕様決定、またEMMの取りこぼし等の予期せぬ不具合を未然に防ぐことが可能となる。
図4Aに示す3重鍵構造の限定受信方式において、送出側の技術規定としてECMの更新周期を2000ms、再送周期を100msという規定内容に加え、“EMMを1事業体あたりに1つのCASモジュールIDに対して、30秒間で1つ送信する”という規定の内容を新たに加えたとする。
図10は、限定受信方式におけるECM、EMM、スクランブル鍵(Ks)の時間的な関係を示した図である。
上記条件においては、ECMの更新が2000msであることから、放送番組をスクランブルする鍵(Ks)も2000msで更新される。
なお、ECMに含まれるスクランブル鍵(Ks)と、含まれているスクランブル鍵(Ks)を用いて、放送信号をデスクランブルするスクランブル鍵(ks)の時間的関係の詳細は、図4Bに示した通りである。
図11は非特許文献4第五編図5.8−1に記載の、送信側がスクランブル鍵(Ks)を含むECMを送信するタイミングと、ECMに含まれるスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルする映像信号を送信するタイミングを図示したものである。横軸は、時間軸である。
送信側は、例えば放送局である。1101が、スクランブル鍵(Ks)を含むECMを送出している時間的な遷移を示している。1102が、ECMに含まれるスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルされる映像信号の時間的な遷移を示している。
T1+T2の区間が、同一のECMが送出される区間である。T3の区間が、T1+T2の区間で送られてきたECMに含でまれるスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルされる映像信号が送信される区間である。スクランブル鍵(Ks)を含むECMは、ECMに含まれるスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルされる映像信号よりT1(=1600ms)先行して、放送局から送信される。
図11に示す送出ルールに従う送受信系での受信機の限定受信の実装例を以下に示す。
図12は、図11に示す送出ルールに従う送受信系での受信機の限定受信の実装例である。1201は、受信した番組の時間的な遷移である。受信した番組1201は、時刻T11まではKs0でスクランブルされ、時刻T11からT12の間はKs1でスクランブルされ、時刻T12からT13の間はKs2でスクランブルされ、時刻T13からT14の間はKs3でスクランブルされていることを示している。
1202は、受信したECMの時間的遷移である。ECM2は、時刻T21のタイミングで受信機され、そのECMにはスクランブル鍵(Ks)であるKs1とKs2が含まれていることを示している
上記受信機は、番組を視聴中に、時刻T21でECM2を受信しCASモジュール(ICカード)に対しコマンド発行する。CASモジュール(ICカード)は、区間T21から区間T12の時刻の間にECMの処理を済ませる。CASモジュール(ICカード)は、ECMの処理により得られたスクランブル鍵Ks2を受信機に送信し、受信機はMULTI2方式のデスクランブラにセットして、時刻T12からKs2を用いてスクランブルされた番組をデスクランブルする。
また、区間T22からT13の間に他のチャンネルから切り換わった場合、受信機はECM3を受信し、CASモジュール(ICカード)にコマンド発行する。
受信機は、ECM3で伝送されるKs3をCASモジュール(ICカード)からの応答で得ることでデスクランブルを可能とする。
図7に示したように非特許文献2準拠のCASモジュール(ICカード)は、ECM、EMMの処理の合計値が1000ms以内に可能であることが期待されている。
受信機に搭載したCASモジュール(ICカード)の性能として、例えば、ECM処理時間を385ms、EMM処理時間を500msとした場合、何個のチューナが1つのCASモジュール(ICカード)で処理可能かは、以下の検討を経て可能となる。
区間T21からT12の間で自受信機宛てのEMMを受信した場合を想定すると、T21の時点でEMM処理は行っていないため、受信機は区間T21からT12の間の1600msではECMは4個処理可能である(図12のケース1)。
つまりこの状態のみであれば、CASモジュール(ICカード)は4チューナまで処理可能と思える。
次に受信機が、時刻T21〜T12の間で受信したEMMの処理を、もし時刻T12より開始した場合、CASモジュール(ICカード)はEMMの処理に500ms要するため、受信機は、CASモジュール(ICカード)からの4つのECMの処理完了の通知を受け取るタイミングが、次のスクランブル鍵Ks3を用いてデスクランブルを開始する時刻T22の時刻を100ms超えてしまう。つまり受信機は、このT12のタイミングEMMの処理を開始した場合、ECMの処理を終えなければならないT13までは1500msであり、ECMは3個までしか処理できない(図12のケース2)。
次に受信機が、ECMの更新タイミングであるT23でEMMを受信し処理を開始した場合には、区間T23からT14の間は残り1100msであり、ECMは2個まで処理可能である(図12のケース3)。つまり以上の前提では、1つのCASモジュール(ICカード)で処理可能なチューナは2チューナまでであることが検討可能となる。
以上はCASモジュール(ICカード)の性能とEMM処理猶予期間での1事業体あたりのEMM送出頻度の実施例を述べた。次に受信機で2個を超えるチューナを1つのCASモジュール(ICカード)で処理する場合の実施例を説明する。
図13は、図5に示した非特許文献5の第五編 図4.1−1で示された受信機の基本構成に対して、チューナ部を3個に増やし、および録画・記録部を追加した構成図である。
図13と図5の相違点は、チューナ部が2つ追加され第1チューナ部1301−1と第2チューナ部1301−2と第3チューナ部1301−3で構成されている点、3つのチューナ部に対応するために分配器1313が追加されている点、内蔵の録画・記録部1312が追加されている点である。それ以外の1302から1311、図5の502から511と同一である。
3個のチューナ部は、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送のいずれか、または3波選局可能なチューナでもよく、受信機の仕様として任意の3つのチャンネルを視聴または録画・記録できるものとする。
ここで用いるICカード1311(CASモジュール)は1つで3チューナの処理ができるECM、EMMの応答性能を有するものとする。例えばICカード1311の応答性能が、ECMの応答性能を300ms、EMMの応答性能を500msとする。受信機1300は、EMM受信後ICカード1311に対しEMM処理が必要な猶予期間内に、1事業体あたり1個のEMMを送信したとする。
図14は、図13に示した基本構成の受信機の限定受信の実装例である。
1401は、受信した番組の時間的な遷移である。受信した番組1401は、時刻T11まではKs0でスクランブルされ、時刻T11からT12の間はKs1でスクランブルされ、時刻T12からT13の間はKs2でスクランブルされ、時刻T13からT14の間はKs3でスクランブルされていることを示している。1402は、受信したECMの時間的遷移である。
図14の例で、Ks2を含むECM更新タイミングT21の時点から、放送コンテンツのスクランブル鍵がKs2に切り替わるT12までの1600msの間に、図13の3つのチューナである第1チューナ部1301−1、第2チューナ部1301−2、第3チューナ部1301−3で選局されているチャンネルの各々のECMと、少なくともいずれか1つのチャンネルのEMMが処理可能である。
図14に示すように、時刻T21からT12の間で第1チューナ部1301−1で受信したEMMを処理し、時刻T22からT13の間で第2チューナ部1301−2で受信したEMMを処理し、時刻T23からT14の間で第3チューナ部13010―3で受信したEMMを処理すればよい。つまりこの事例ではICカード1311のECM、EMMの処理時間の合計が
(ECM応答処理時間=300ms)×(3チューナ)+(EMM応答処理時間=500ms)=1400ms≦1600ms
であるICカード1311においては、3つのチューナに対して処理可能であることになる。
図13に示す受信機において、ユースケースとして、ある放送を視聴しながら、異なる2つの番組を録画(いわゆるW裏録)する場合について説明する。
ユーザによるリモコン1310操作によりチャンネル1(service_id_1)が選択された場合、制御部1306は、現在受信中の放送波において、当該service_idのPMTが伝送されているかをTSデコード部1303で抽出されたPAT受信して判断する。
判断の結果伝送されていない場合、制御部1306は、TSデコード部1303から送られてくるNITを参照して当該service_id_1が伝送される放送波を選局するため、第1チューナ部1301−1を制御する。
制御部1306は、第1チューナ部1301−1で選局した放送波に配置されたCATからEMMのPIDを認識して、EMMを受信する。制御部1306は、受信したEMMの中から自分宛のEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部1306は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMをICカード1311に送信する。
なお、制御部1306が、EMMをICカード1311に送るタイミングは、図14に示したようなタイミングである。制御部1306は、ICカード1311にEMMを送る適切なタイミングになるまで、受信したEMMを一時的に保存する。
制御部1306からEMMを受信したICカード1311は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また、予めユーザ操作により番組表(図示せず)を用いて、第1チューナ部1301−1で選局されモニタに出力しているチャンネルとは異なる、同時刻帯に放送予定の2つのチャンネルの番組A,Bを録画予約しておく。
制御部1306は、録画予約する際、予約対象の番組の少なくともservice_id、番組開始時刻(日時含む)、終了時刻ないし番組開始からの放送継続時間を、録画番組のスケジュール管理のメモリ領域(図示せず)に格納する。制御部1306は、録画予約した異なる2つのチャンネルの録画予約は、番組Aを第2チューナ部1301−2、番組Bを第3チューナ部1301−3で選局するように、スケジュール管理を行う。第2チューナ部1301−2、第3チューナ部1301−3で選局された番組においても、EMMを取得する手順は、第1チューナ部1301−1の場合と同じである。
リモコン1310で選択されたチャンネルは、第1チューナ部1301−1で選局される。制御部1306は、第1チューナ部1301−1で選局された番組の放送波のPATを参照して、選局したいservice_id_1のPMTを受信し、ECM PIDを認識してECMを受信する。制御部1306は、ECMを受信すると、ICカード1311にECM受信コマンドを発行する。
ECMを受信したICカード1311は、既に契約済みのEMMを受信してワーク鍵(Kw)を抽出済みであれば、正常応答としてスクランブル鍵(Ks)を制御部1306に送信する。スクランブル鍵(Ks)を受信した制御部1306は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ1302に送信する。デスクランブラ1302は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。
デスクランブラ1302は、設定したクランブル鍵(Ks)を用いて、スクランブル鍵(Ks)を送信してきたECMに対応した放送信号をデスクランブルし、TSデコード部1303に送る。デスクランブルされた放送信号を受信したTSデコード部1303は、選局されたチャンネルの映像や音声ESのPIDにより所定の映像、音声信号を抽出し、映像音声デコード部1304に送る。映像音声デコード部1304は、送られてきた映像、音声信号をデコードして、モニター14やスピーカー(図示せず)に出力する。
予約録画は、ユーザが電子番組表(EPG、図示せず)等で所望の番組に対して行う。制御部1306は、録画予約の設定内容に従い、録画予約された番組Aの開始時刻近傍になった時点で第2チューナ部1301−2を制御して、録画予約したチャンネルを選局する。
制御部1306は、現在受信中の放送波において、番組Aのservice_id_2のPMTが伝送されているかを、TSデコード部1303で抽出されたPAT受信して判断する。
判断の結果伝送されていない場合、制御部1306はTSデコード部1303から送られてくるNITを参照して、番組Aのservice_id_2が伝送される放送波を選局するため、第2チューナ部1301−2を制御する。
制御部1306は、第2チューナ部1301−2で選局した放送波に配置されたCAT内部に含まれるEMMのPIDを認識し、EMMを受信する。制御部1306は、受信したEMMの中から自分宛のEMMを、EMMの非暗号化部分に設定されているカードIDの情報から判断する。制御部1306は、自分宛のEMMをカードIDの情報をもとに抽出すると、そのEMMをICカード1311に送信する。制御部1306からEMMを受信したICカード1311は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
なお、制御部1306は、EMMをICカード1311に送るタイミングは、図14に示したようなタイミングである。制御部1306は、ICカード1311にEMMを送る適切なタイミングになるまで、受信したEMMを一時的に保存する。制御部1306からEMMを受信したICカード1311は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また制御部1306は、第2チューナ部で選局された番組の放送波のPATを参照して、選局したいservice_id_2のPMTを受信し、受信したPMTの内部に含まれるECM PIDを認識してECMを受信する。制御部1306は、ECMを受信すると、ICカード1311にECM受信コマンドを発行する。
ECM受信コマンドを受信したICカード1311は、既に契約済みのEMMを受信してワーク鍵(Kw)を抽出済みであれば、正常応答としてスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ1302にセットする。
番組Aは録画予約されたものであるから、録画記録する映像ES,音声ES、字幕ES等を含むパーシャルTSを制御部にて再構成し、受信機固有の暗号鍵で暗号化して、HDD等の録画・記録部1312に蓄積する。
予約番組Bの場合も番組Aと同様に、番組Aの場合の第2チューナ1301−2に代わり、第3チューナ1301−3が動作して録画・記録部1312に蓄積する。
予約録画した番組A、あるいは番組Bを再生する場合は、画面上に示したユーザインタフェース(図示せず)にて録画済みの番組リストを表示し、再生する番組を選択後、制御部1306は録画・記録部1312より読み出し、受信機固有の鍵でデスクランブルし、その圧縮状態の映像音声信号を得た後に、映像音声デコード部1304で圧縮信号をデコードして、モニターやスピーカー(図示せず)に出力する。
受信機は、複数のチューナ部を持つとき、そのチューナ部は2K放送に対応するチューナ部のみならず4K8K放送に対応するチューナ部、つまり高度広帯域衛星放送に対応するチューナ部を含んでもよい。
図15は、非特許文献6の第五編 図5−1に記載の高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル(以下4K8K)放送受信機の基本構成図である。
受信機1500は、チューナ部1501、デスクランブラ1502、MMT多重分離部1503、映像・音声デコード部1504、表示部1505、制御部1506、キー入力部1507を含む。MMT多重分離部部1503は、送られてきたデスクランブル後の放送信号を解析して伝送制御信号を逐次抽出して、制御部1506に送信する。制御部1506は、MMT多重分離部部1503から送られてきた伝送制御信号をもとに、チューナ部1501、デスクランブラ1502、表示部1505を制御することができる。また制御部1506は、リモコン1510からの操作入力の信号をキー入力部1507を介して受け取ることができる。CASモジュール1511は、制御部1506から与えられるコマンドにもとづきECMやEMMの処理を行い、ワーク鍵(Kw)、スクランブル鍵(Ks)を抽出することができるCASモジュールである。通信モジュール1515は、通信網と通信を行うためのモジュールである。図15の例は、CASモジュール1511が1つの場合である。
図16は、図15の基本構成に対して、チューナー部を3つ持つ場合の、放送波をデスクランブルする際の受信機1600の基本構成図である。
図16の図15との相違点は、チューナ部が3つ(第1チューナ部1601−1、第2チューナ部1601−2、第3チューナ部1601−3)で構成されている点と、3つのチューナ部に対応するために分配器1613が追加されている点と、HDD等の録画・記録部1612を追加されている点である。それ以外の1602から1611は、図15の1502から1511と同一である。
第1チューナ部1601−1、第2チューナ部1601−2、第3チューナ部1601−3は、4K8K放送の対応チューナ部である。受信機1600は、任意の3つのチャンネルを視聴または録画・記録できる仕様である。
ここで用いるCASモジュールは1つで3チューナの処理ができるECM、EMMの応答性能を有するとする。
非特許文献6によれば、送信側のスクランブル鍵(Ks)の更新周期は8000ms、ECM更新後にECMに含まれているスクランブル鍵(Ks)を用いて、放送信号のスクランブルを開始するまでが7600msである。
ICカード(CASモジュール)1611の応答性能が、例えばECMの応答性能を600ms、EMMの応答性能を650msであるとする。
受信機1600は、EMM受信後CASモジュール1611に対しEMM処理が必要な猶予期間の間に、1事業体あたり1個のEMMを送信したとする。
図17は、図16に示した基本構成の受信機の限定受信の実装例である。
1701は、受信した番組の時間的な遷移である。受信した番組1701は、時刻T11まではKs0でスクランブルされ、時刻T11からT12の間はKs1でスクランブルされ、時刻T12からT13の間はKs2でスクランブルされ、時刻T13からT14の間はKs3でスクランブルされていることを示している。1702は、受信したECMの時間的遷移である。
図17の例で、Ks2を含むECM更新タイミングT21の時点から、放送コンテンツのスクランブル鍵がKs2に切り替わるT12までの7600msの間に、図16の3つのチューナである第1チューナ部1601−1、第2チューナ部1601−2、第3チューナ部1601−3で選局した各々のECMと、少なくともいずれか1つのチャンネルのEMMが処理可能である。
図17に示すように、時刻T21からT12の間で第1チューナ部1601−1で受信したEMMを処理し、時刻T22からT13の間で第2チューナ部1601−2で受信したEMMを処理し、時刻T23からT14の間で第3チューナ部1601−3で受信したEMMを処理すればよい。つまりこの事例ではCASモジュール1611のECM、EMMの処理時間の合計が
(ECM応答処理時間=600ms)×(3チューナ)+(EMM応答処理時間=650ms)=2450ms≦7600ms
であるCASモジュール1611においては、3つのチューナに対して処理可能であることになる。
図16に示す受信機において、ユースケースとして、ある放送を視聴しながら、異なる2つの番組を録画する(いわゆるW裏録)場合について説明する。
ユーザのリモコン1610操作により特定のチャンネル(service_id)が選択された場合、制御部1606は、予め受信し記憶していたTLV−NITより当該service_idのTLV_stream_idを取得し、その搬送波周波数を取得し、第1チューナ部1601−1を制御して選局処理を行う。また制御部1606は、以下の処理を行う。
制御部1606は、第1チューナ部1601−1によりTLVストリームに変換された放送信号を、予め受信し記憶して置いたAMTからIPデータフロー情報を取得しMMT多重分離部1603に設定する。PAメッセージ内のPLT(Package List Table)を取得し、指定service_idのMPT(MMT Package Table)を伝送するIPデータフロー、パケットIDを取得しMMT多重分離部1603に設定する。当該パケットIDのMMTパケットを受信しPAメッセージを取得しPAメッセージ内のMPTを取得する。
また制御部1606は、第1チューナ部1601−1で選局したIPデータフローに配置されたCAT(MH)からEMMのPIDを認識し、EMMを受信する。制御部1606は、自分宛のEMMをCASモジュール1611の情報をもとに抽出すると、そのEMMをCASモジュール1611に送信する。
なお、制御部1606が、EMMをCASモジュール1611に送るタイミングは、図17に示したようなタイミングである。制御部1606は、CASモジュール1611にEMMを送る適切なタイミングになるまで、受信したEMMを一時的に保存する。制御部1606からEMMを受信したCASモジュール1611は、内部にもつマスター鍵(Km)を用いて暗号化されたEMMを復号し、ワーク鍵(Kw)を抽出し保存する。
また、予めユーザ操作により番組表(図示せず)を用いて、第1チューナ部1601−1で選局されモニタに出力しているチャンネルとは異なる、同時刻帯に放送予定の2つのチャンネルの番組C、Dを録画予約しておく。
制御部1606は、録画予約する際、予約対象の番組の少なくともservice_id、番組開始時刻(日時含む)、終了時刻ないし番組開始からの放送継続時間を録画番組のスケジュール管理のメモリ領域(図示せず)に格納する。制御部1606は、録画予約した異なる2つのチャンネルの録画予約は、番組Cを第2チューナ部1601−2、番組Dを第3チューナ部1601−3で選局するように、スケジュール管理を行う。第2チューナ部1601−2、第3チューナ部1601−3で選局された番組においても、EMMを取得する手順は、第1チューナ部1601−1の場合と同じである。
制御部1606は、第1チューナ部1601−1で選局した放送波に含まれるMPTのアクセス制御記述子を解析することで、ECMを格納したメッセージのパケットIDを取得ECMを受信する。制御部1606は、ECMを受信するとCASモジュール1611にECM受信コマンドを発行する。
ECM受信コマンドを受信したCASモジュール1611は、抽出済みのワーク鍵(Kw)を用いて暗号化されたECMを復号してスクランブル鍵(Ks)を取り出す。
CASモジュール1611は、スクランブル鍵(Ks)を正常に取り出すと、ECM受信コマンドに対する正常応答として、スクランブル鍵(Ks)を制御部1606に送信する。
スクランブル鍵(Ks)を受信した制御部1606は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ1602に送信する。デスクランブラ1602は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。デスクランブラ1602は、図17に示したような必要なタイミングにおいて、設定したスクランブル鍵(Ks)を用いてチューナ部1601−1から送られてきた放送信号をデスクランブルする。
デスクランブルされたアセットは、MMT多重分離部1603で映像・音声アセットを分離し映像・音声デコード1604で圧縮信号をデコードして、モニターやスピーカー(図示せず)に出力される。
予約録画は、ユーザが電子番組表(EPG、図示せず)等で所望の番組に対して行う。制御部1606は、録画予約の設定内容に従い、予め番組表で予約した同時刻帯に放送予定の番組Cの開始時刻より少し前の時間に制御部1606は、第2チューナ部1601−2を選局してTLVストリームを取得する。第1チューナ1601−1と同様の処理を経て、デスクランブラ1602でデスクランブルされたアセットをMMT多重分離部1603で録画する映像、音声、字幕等のアセットを分離し、受信機固有の暗号鍵で暗号化して、HDD等の録画・記録部1612に蓄積する。
予約番組Dの場合も予約番組Cと同様に、第3チューナ部1601−3で選局処理を行ったのちに録画・記録部1612に蓄積する。
予約録画した番組C、あるいは番組Dを再生する場合は、画面上に示したユーザインタフェース(図示せず)にて録画済みの番組リストを表示し、再生する番組を選択後、制御部は録画・記録部より読み出し、前述の受信機固有の鍵でデスクランブルし、その圧縮状態の映像音声アセットを得た後に、映像音声デコード部1604で圧縮信号をデコードして、モニターやスピーカー(図示せず)に出力する。
受信機は、複数のチューナ部を持つとき、そのチューナ部は2K放送に対応するチューナ部と4K8K放送に対応するチューナ部が混在してもよい。
図18の受信機構成は、2K放送運用規定である非特許文献5 第五編に記載の受信機の基本構成をベースに搭載チューナ数を増やした図13と、4K8K放送運用規定である非特許文献6 第五編に記載の受信機基本構成をベースに、搭載チューナ数を増やした図16の構成とを併せ持つ構成であり、4K8K受信用のチューナ部として2個、2K受信用のチューナ部として3個をもつ受信機の基本構成例である。
図18に示したCASモジュール1811は、非特許文献6の付録7にあるように非特許文献6第五編に準拠する4K8K放送用CASモジュールと非特許文献5および非特許文献6第五編に準拠する2K放送用ICカードの機能が一体になったCASモジュールである。この一体型CASモジュール1個を用いて、4K8K放送チューナ2個と2K放送チューナ3個を同時処理する場合の実施例を説明する。
第1チューナ部(4K8K)1801−1と第2チューナ部(4K8K)1801−2は、BS右旋円偏波のIF周波数から110CSの左旋偏波までIF受信帯域を持つと共に16APSKの変調方式にも対応したチューナ・復調部である。
第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、第5チューナ部(2K)1801−5は2K放送の地上デジタル、BSデジタル、広帯域CSデジタル放送受信用チューナ・復調部である。第1デスクランブラ1802−1は4K8K放送のスクランブル方式AES方式に対応しており、第2デスクランブラ1802−2は2K放送のスクランブル方式MULTI2方式に対応している。
またMMT多重分離部1803−1は4K8K放送で運用されるMMT・TLV方式の多重化方式に対応しており、TSデコード部1803−2はMPEG−TS方式の多重化方式に対応している。映像・音声デコード部1804−1は映像符号化に関しては4K8K放送で運用されるH.265|HEVC、音声符号化に関しては、MPEG−4 AAC、MPEG−4 ALS等に対応している。映像・音声デコード部1804−2は映像符号化に関しては2K放送で運用されるMPEG−2方式、音声符号化に関してはMPEG−2 AAC方式に対応している。
2K放送の選局、映像音声表示や録画・記録は図13の実施例と同様であり、4K8K放送の選局、映像・音声表示や録画・記録は図16の実施例と同様である。
受信機1800は、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6に準拠するため、自分宛てのEMMを受信後、CASモジュール1811に対しコマンドを発行するまでの猶予期間を30秒以下とする。
また新たに送信側の規定として“EMM処理猶予期間内に、1事業体が1つのカードIDを設定したEMMを送信する頻度は30秒間で1個”という規定を行った場合、または新たに受信機側の規定として、“1事業体あたり自受信機のCAS ID宛てのEMMを受信後、30秒間にEMMをCASモジュールに対し処理しなければならないのは少なくとも1個とし、
受信機において、規定以上ののEMMを受信した場合は無視、ないし破棄しても構わない。”との規定を行ったとする。
この運用規定の下、CASモジュール1811のECM、EMMの応答処理時間が、例えば2K放送でのECMの応答処理時間を300ms、4K8K放送でのECMの応答処理時間を600ms、EMMは2K放送および4K8K放送共に650msであった場合について、1つのCASモジュールで実装可能なチューナの数の検証とCASモジュールに関連する動作について説明する。
図19は、図18に示した基本構成の限定受信の実装例である。
1901は、受信した4K8K番組の時間的な遷移である。受信した番組1901は、時刻T11−4までと、時刻T11−4からT12−4の間と、時刻T12−4からT13−4の間と、時刻T13−4からT14−4の間とで、それぞれ異なるスクランブル鍵(Ks)スクランブルされていることを示している。1902は、1901の番組に対するECM、EMMの受信の時間的遷移である。1903は、受信した2K番組の時間的な遷移である。受信した番組1903は、時刻T11−2までと、時刻T11−2からT12−2の間と、時刻T12−2からT13−2の間と、時刻T13−2からT14−2の間とで、それぞれ異なるスクランブル鍵(Ks)スクランブルされていることを示している。1904は、1903の番組に対するECM、EMMの受信の時間的遷移である。
まず、2K放送の第3チューナ1801−3、第4チューナ1801−4、第5チューナ1801−5がCASモジュール1811で処理可能な条件を検証する。
図19に示すように非特許文献4および非特許文献5の記載に記載されている通り2K放送におけるスクランブル鍵(Ks)の更新周期は2秒であり、Ksの更新の1600ms前に、更新後のKsを含むECMの送出が開始される。ECMの更新もKsの更新周期と同一の2秒である。
つまりECM更新が行われ放送信号のKsの更新が行われる1600msの間に3チューナ分のECMの処理、およびこれに加えて30秒以内に3チューナで選局されているチャンネルが各々異なる事業体の場合、第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、第5チューナ部(2K)1801−5で伝送されるEMMを少なくとも1個ずつは処理することが必要である。
次に4K8K放送のチューナ2個つまり、第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2がCASモジュール1811で処理可能な条件を検証する。
図19に示すように非特許文献6に記載されている通り4K8K放送におけるスクランブル鍵(Ks)の更新が8秒であり、Ksの更新の7600ms前に更新後のKsを含むECMの送出が開始される。ECMの更新周期もKsの更新周期と同一の8秒である。
つまり、ECMが更新され、放送信号のKsが更新されるまでの7600msの間に第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2の処理が行え、前述2Kの場合と同様に第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2で選局されているチャンネルが異なる事業体の場合、30秒間の間に第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2で選局されているチャンネルで伝送されるEMMが少なくとも1個ずつ、つまり2個は処理できることが必要である。
上記から、まず2K放送のKs更新周期が4K8KのKs更新周期より短い、さらにECMとEMMではECMの方が即時の処理が求められる。このため優先順位としては、2K放送におけるECMの処理を行う場合、ECMの毎更新後1600ms以内に3チューナ分を行い、次に4K8K放送におけるECMの処理を行い、その次に2K放送あるいは4K8K放送におけるEMMを処理を行う、という処理の優先度付が妥当である。以上の処理の優先度付で1つのCASモジュール1811を用いた処理が可能かを検証する。
最も厳しい事例として5つのチューナ部(第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2、第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5)で受信している番組において、各々のスクランブル鍵(Ks)の更新タイミングが一致した場合を例に説明する。
まず、2K放送のチューナ部である第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5のECMを、ECM更新タイミングT21より処理を開始する。CASモジュール1811における2K放送のECMの応答処理時間を300msとしているので、2K放送の第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5の応答処理時間は900msである。
4K8K放送のECM応答時間がこの例では600msであるため、2K放送のスクランブル鍵(Ks)の更新タイミングの時刻T12−2までの区間の1600−900=700msで4K8KのECMが処理可能である。この区間で第1チューナー部(4K8K)のECMの処理を行う。
第1チューナ部1801−1のECM応答処理は受信機での処理マージンがないとした場合に300ms×3+600ms=1500msであり、この応答処理終了時から2K放送の次のECM更新タイミング時刻T22までは、500msしかないため、さらに4K8K放送のECMを処理するには短い。
次に同様に2K放送のECM更新タイミング時刻T22の時点で3つの2K放送用チューナ(第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5)のECM処理を行ったのち、今度は4K8K放送用チューナ(第2チューナ部(4K8K)1801−2)のECM処理を行う。
同様に次の2K放送のECM更新周期T23から3つの2K放送用チューナ(第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5)のECM処理を行う。2つの4K8K用チューナ(第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2)のECM処理は既に完了しており、4K8K放送のKs更新タイミングT12−4までにはまだ余裕があるので、2K放送ECM更新タイミングT13−2から3つの2K放送用チューナ(第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5)のECM処理を行った後に、第3チューナ部(2K)1801−3のEMM処理を行う。
次に、2K放送のECM更新タイミングT24では3つの2K放送用チューナ(第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、チューナ部(2K)1801−5)のECM処理のあと4K8Kチューナである第1チューナ部(4K8K)1801−1のEMM処理を行う。この時点で、2K放送のKs更新が4回分行われ8秒たったので4K8KのKs更新タイミングT12−4に移行する。
4K8K放送のKs更新タイミングT12−4以降において、4K8K放送のKs更新タイミングT11−4の処理フローチャートと異なるのは、第3チューナ部(2K)1801−3のEMM処理の代わりに第4チューナ部(2K)1801−4のEMM処理を、第1チューナ部(4K8K)1801−1のEMM処理の代わりに第2チューナ部(4K8K)1801−2のEMM処理を行う点である。
次に4K8K放送のKs更新タイミングT13−4以降では、タイミングT12−4以降との違いでは、第4チューナ部(2K)1801−4のEMM処理の代わりに第5チューナ部(2K)1801−5のEMM処理を行う。4K8Kチューナの搭載数はこの例では2個でありEMM処理の必要はない。
以上のような処理の順序を制御することで、4K8K放送のスクランブル鍵(Ks)更新タイミングT11−4、T12−4,T13−4と8秒×3=24秒間で第1チューナ部(4K8K)1801−1、第2チューナ部(4K8K)1801−2、第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、第5チューナ部(2K)1801−5のEMMが少なくとも1個ずつは処理が行えており、2KのECM更新タイミングから次のKs更新タイミングまでの毎1600msの間で第3チューナ部(2K)1801−3、第4チューナ部(2K)1801−4、第5チューナ部(2K)1801−5のECM処理が行われ、かつ、4K8K放送のECM更新タイミングからスクランブル鍵(Ks)更新までに7600msまでの間に第1チューナ部(4K8K)および第2チューナ部(4K8K)のECM処理が可能であった。
以上のように、2K放送用CASと4K8K放送用CASとが一体のCASモジュールの場合で、2K放送と4K8K放送のKs更新周期が異なる場合においても、ECM更新周期、EMM処理猶予期間に加え、EMM処理猶予期間内で1事業体あたりで処理必要なEMMの最小個数を規定することにより、ECMやEMMの処理を取りこぼすことなく処理タイミング制御が可能となる。
さらに、ECMの更新周期を2000ms、再送周期を100msという規定内容に加え、“EMMを1事業体あたりに1つのIDに対して、30秒間で1つ送信する”という規定を行ったとする。
この運用規定の下、CASモジュール(ICカード)の性能として、例えば、ECMの応答処理時間を295ms、EMMの応答処理時間を400msの場合の搭載可能なチューナの数を検証する。
図20は、図12と同じ受信機の限定受信の実装例である。
時刻T21でEMM処理を開始したとする。この場合、EMMの処理時間を除いた時刻T12までの間の残り時間は、1600ms−EMM処理時間400ms=1200msであり、この時間にECM処理を行う必要があるため、4チューナまで搭載可能である。
EMMは、30秒間に各事業体、つまり1チューナに対して1個しか送られてこない想定であるので、30秒間においてスクランブル鍵(Ks)の更新回数15回(30秒/2秒)の処理応答時間のあまりの時間で、4事業体のEMMの処理を、30秒の猶予期間内に処理することは可能であることが検証できる。
図20の例では、受信機処理のマージンを全く考えなければ、スクランブル鍵Ksを使う期間T11からT12の2000msの間で、ECM4個、EMM2個まで処理可能である。30秒間では、EMMの処理は、30個まで可能である。
しかし、上記の運用とは異なる条件下、例えば、上記例(例2)の条件のうち、EMMの送出頻度である1事業体あたりに1つのIDに対して、30秒間で8回送信する可能性があると規定される場合(例3)、4チューナで30秒の間に最大32個(8×4チューナ分)のEMMが送られることになり、机上計算上は、Ks更新周期2000msあたりで2個のEMMが処理可能であり、30秒の間では30個までのEMM処理が可能だが、最大32個のEMMが送られる可能性があるため、2個のEMMを処理できないことになる。
そのため、ECMの処理は可能であっても、EMMの処理能力からすると、3チューナまでを処理する、つまり30秒間でEMMを24個の処理であれば、対応可能となる。
実際の設計にあたっては、受信機でのEMMやECMを多重化された放送波から取り出す時間等のマージンを考慮した上で設計される。
上記のEMMの頻度の規定の仕方は、チューナが当該受信機の搭載CASモジュール(ICカード)のID宛のEMMを受信後、CASモジュール(ICカード)に対しての猶予期間あたりに送出する個数で規定した例であるが、規定する方法はこれに限らず、1事業体あたり、1つのカードIDあたりのEMMの送出頻度が定量的に規定されればよい。
例えば、Ksの更新周期あたりに1事業体あたり、1つのカードIDあたりのEMMの送出頻度であってもよい。例えば、2000msあたりに1事業体から一つのカードID宛に最大送信するEMMは最大2個というような規定方法である。
さらにEMMの送信頻度の規定として、送信側がバースト的にEMMを送る場合の送信頻度と受信側がEMMを受信後に、CASモジュールに対して処理を猶予する猶予期間との組み合わせによる規定、例えば、1事業体から1つのCAS ID宛に送出するEMMは、2秒あたりに最大3個、かつ30秒あたりに最大6個とする、というような規定方法もある。
上述は、契約情報やワーク鍵(Kw)をCASモジュール(ICカード)に対しで送るためのEMMについて述べたが、自動表示メッセージで用いられるEMM個別メッセージとは、その目的とCASモジュール(ICカード)での応答性能が異なる場合がある。
そのため、EMM、EMM個別メッセージの頻度の規定の仕方は、EMM、EMM個別メッセージを同じ頻度で規定する方法、または、EMMとEMM個別メッセージを別の頻度で規定する場合がある。例えば、“同一受信機宛てに送出するEMM/EMM個別メッセージは1事業体あたり30秒間で最大2個とする。”という規定の仕方は、同じ頻度で規定した場合である。なお、“最大2個”の数字は実際のCASモジュールの性能を鑑みて決定するものとして、この値に限定しない。またEMMとEMM個別メッセージの頻度を個々に規定する場合の例を示す。
“同一受信機宛てに送出するEMMは1事業体あたり30秒間で最大2個とし、同一受信機宛てに送出するEMM個別メッセージは1事業体あたり30秒間で最大3個とする。”、またはEMMとEMM個別メッセージとで、送出する時間の幅で変えることも可能である。“同一受信機宛てに送出するEMMは1事業体あたり30秒間で最大2個とし、同一受信機宛てに送出するEMM個別メッセージは1事業体あたり2秒間で最大3個とする。”
この例は、EMMを30秒間で、EMM個別メッセージの送信頻度スクランブル鍵(Ks)の更新周期と併せて規定した場合である。
このようにEMM、および、またはEMM個別メッセージの頻度は、2個を超えるチューナを搭載した受信機において、チューナ数の決定や受信機の制御部の処理のマージン等を検討を行うのに必要な条件であり、一方で頻度に関しては、放送事業者の加入申し込みの方法、例えば前述のように電話で受けつけ、電話を切らずにすぐ送る方法や、その場すぐには送らずに電話やネットで受け付け一定時間(例えば30分以内)等でEMMを送出する場合等、運用の実態に合わせて規定することが可能である。
上記は、EMM(EMM個別メッセージを含む)の送出頻度を運用規定で規定した例であるが、受信機でのEMMの取りこぼしを想定し、同一EMMを短時間に再送する場合も実際の運用としては想定される。そのため、運用規定では、EMM受信後、CASモジュールに対しての猶予期間内で受信処理すべき最少のEMM個数で規定する方法もある。例えば、“同一受信機宛てのEMM/EMM個別メッセージを受信した受信機は、CASモジュールに対し処理を要求すべき個数は、1事業体あたり30秒間で最少1個とする。30秒間でこれを超えるEMMは破棄してもよい。”等のように、EMM処理猶予期間で受信機が処理すべき最少個数を規定し、処理猶予期間内に受信した当該受信機(CAS ID)宛てのEMMは、規定を超えるものに関しては破棄しても構わないという方法である。
これまでに説明してきたように受信機としては、自分宛て(受信機に挿入されているCASモジュールのカードID宛て)ののEMMやEMM個別メッセージを受信後、CASモジュール(ICカード)に対し処理を要求するまでの猶予期間において、何個のEMMを処理する必要があるのかということを規定されるのが判りやすいが、これに限らず、単位時間あたり、1事業体あたりの自分宛てののEMMやEMM個別メッセージの送出頻度ないし、受信機で処理必要なEMMの個数を規定されればよい。
また、既に運用されている規定に多チャンネルチューナ搭載の受信機需要や、2K、4K、8Kを一体に搭載した受信機需要を鑑み、厳密な受信機設計を可能とするために過去の想定と矛盾なくEMMやEMM個別メッセージの送出頻度を規定するためには、上記と逆の検討過程を経ることで可能となる。
例えば図20に示した受信機の限定受信の実装例においては、4つのチューナ搭載が可能との暗黙の了解となされていた場合は、受信機は、自分宛て(受信機に挿入されているCASモジュールのカードID宛て)のEMMを受信後、CASモジュール(ICカード)に対し処理までの猶予期間30秒の間にはEMM処理は最大24個まで処理可能であり、24/4=6より、“1事業体あたり1つのCAS IDに対して30秒(EMM処理の猶予期間)あたりに送出するEMMは最大6個とする”との規定を行うことで、それ以前の暗黙事項を覆さずに規定化が可能である。もちろん、6個以下の個数は、6個以下の整数であればいかなる数字でもよい。
この6という数字はCASモジュールの性能を仮に試算した場合であり、実際のCASモジュールの性能により結果が変わり得るのはいうまでもない。送受信システムとして、CASモジュール性能の実態とECMの更新周期、EMMの処理猶予期間とを鑑みてEMMの送出頻度、またはEMMの処理猶予期間内で処理すべき最少のEMM個数が決められる。
また本実施例は主に非特許文献5で規定される広帯域衛星放送、非特許文献4で規定される地上デジタルテレビジョン放送、高度広帯域衛星放送、いわゆる4K8K放送である非特許文献6で規定される放送において、ECMの更新周期、再送周期に加え、1事業体あたりの1つのCAS ID宛の受信機が搭載するCAS ID宛のEMMを受信後に猶予可能な時間内に送られるEMMの個数、またはEMMの処理猶予期間内で処理すべき最少のEMM個数を規定することで、全く同じ効果が得られる。また、CASモジュールもそのパッケージ形状はICカードにとどまらずICチップ形状でも全く変わりないことは言うまでもない。
図21Aは、図18に示した受信機において、第1チューナ(4K8K)1801−1、第2チューナ(4K8K)1801−2、第3チューナ(2K)1801−3、第4チューナ(2K)1801−4、第5チューナ(2K)1801−5からECM、EMMを受信したタイムチャートの例を示している。受信機1800は、矢印の時刻にそれぞれECM、EMMを受信機は受信している。第2チューナ(4K8K)1801−2からEMM2121を受信後、第1チューナ(4K8K)1801−1からECM2110を、第2チューナ(4K8K)1801−2からECM2120を、第1チューナ(4K8K)1801−1からEMM2111を、第3チューナ(2K)1801−3からECM2130を、第4チューナ(2K)1801−4からECM2140を、第3チューナ(2K)1801−3からEMM2131を、第5チューナ(2K)1801−5からECM2150を順に受信していることを示している。横軸は、時間軸である。
図21Bは、図21Aで示したECM/EMMを図18の一体型CASモジュールが、ECM、EMMの処理を行う時間的遷移を示している。横軸は、時間軸である。
図18の一体型CASモジュール1811のECM、EMMの応答処理時間が、例えば2K放送でのECMの応答処理時間を300ms、4K8K放送でのECMの応答処理時間を600ms、EMMは2K放送および4K8K放送共に650msであった場合について、ECM、EMMの処理の時間的な遷移を示す。
例えば2160は、CASモジュールがEMM2121を処理している時間を表している。2161は、CASモジュールが、ECM2110を処理している時間を表している。2162は、CASモジュールが、ECM2120を処理している時間を表している。2163は、CASモジュールが、EMM2111を処理している時間を表している。また図2102−1は、CASモジュールは、EMM2121、ECM2110、ECM2120、EMM2111の順に処理していることを表している。
図2102−1、図2102−2、図2102−3は、制御部1806がEMM2121を受信した際、他優先度の高いバッファが無い事を確認し、制御部1806は一体型CASモジュール1811への処理を開始した直後に、2110、2120、2111、2130、2140、2131、2150の順に受信した場合のCASモジュールの処理について考察した図である。また一体型CASモジュール1881の処理は、並行しての処理が出来ないため、例えば2121の処理である2160の処理時間の間は、他の処理は行う事が出来ない。本考察では、最悪の条件での考察をするために、2102−1、2102−2、2102−3では、一番最初に2121の処理である2160の処理を行っている例である。
2102−1は、受信機がECM、EMMを受信したタイミング受信に処理した場合の、処理順序を表している。この例では、ECMの受信タイミングから、そのECMに含まれるスクランブル鍵(Ks)を使ってデスクランブルする放送信号を受信するタイミングまでの時間である1600msの中で、本来処理を終えなければならないECM2130、ECM2140、ECM2150の処理が、完了できていないことを示している。
そこで、非特許文献5に記載の
「4.1(8)
・EMM受信コマンド、EMM個別メッセージ受信コマンドについて、自身のカード宛てのEMM及びEMM個別メッセージを受信後、30秒以内に受信機からICカードに対して行うコマンドの発行を行うこと。(本編A−10に関連記載がある。)」
に従いECMの処理を優先させ、EMMの処理およびEMM個別メッセージの処理を遅らせた場合の例が、2102−2である。この例のように、ECMの処理の優先度を上げることで2KのECMの処理を、2KのECMの更新周期である2000ms以内に完了させるようにしたものである。しかしEMM2121からECM2150の処理時間の合計は
EMM2121の処理時間(650ms)+ ECM2110の処理時間(600ms)+
ECM2120の処理時間(600ms)+ ECM2130の処理時間(300ms)+
ECM2140の処理時間(300ms)+ ECM2150の処理時間(300ms)=2750ms
となり、2KのECMのうち、順序的に一番最後に受信機が受信したECM2150の処理が2000ms以内に完了していない。
従って、TR−B39 第五編 付録7 “現行放送と高度BSデジタル放送の共用受信機について“に記載される共用受信機を作成するためには、更なるECM、EMMの処理順序の工夫が必要となる。
図2102−3は、2K放送のECMの処理を最優先にした場合の処理の順序である。
2K放送のECMの処理を最優先にすることで、2K放送のECMの処理時間は以下のようになる。
EMM2121(650ms)+ ECM2130(300ms)+ ECM2140(300ms)+ ECM2150(300ms)=1550ms
となり、2KのECMのうち、順序的に一番最後に受信機が受信したECM2150の処理が2000ms以内に完了している。
図22は、図21で説明した、2K放送のECMの処理を最優先にするための、受信機がCASモジュールにECM、EMMの処理を依頼するフローチャートである。
まず、ECM、EMM処理を行うためのバッファについて説明する。図18に示す制御部1806は、MMT多重分離部1803−1あるいはTSデコード部1803−2からECMあるいはEMMを受信すると、CASモジュール1811にECM、EMMの処理を要求するために、処理要求送信処理を開始(S2200)する。
制御部1806は、CASモジュール1811にECM、EMMの処理の要求の順序制御のために、MMT多重分離部1803−1あるいはTSデコード部1803−2から送られてきたECM、EMMを、一時的に保存するECM受信バッファと、EMM受信バッファを管理する。各々のバッファをチューナの数だけ用意され、ECM受信バッファは1段バッファ、EMM受信バッファは複数段のバッファを持ち合わせる。
ECM受信バッファは、2K放送、4K放送8K放送に含まれているECMを一時保存するバッファである。2K用と4K8K用と区別できるように、2K用のチューナ用に用意されているバッファは2K用ECM受信バッファ、4K8K用のチューナ用に用意されているバッファは4K8K用ECMバッファとを区別する。EMM受信バッファは、2K放送、4K放送8K放送に含まれているEMMを一時保存するバッファである。おのおののバッファのデータは、制御部1806からCASモジュール1811への処理要求に対する応答が返ってくると消去される。
図22で説明した2K放送のECMの処理を最優先にするためのフローチャートの説明を行う。制御部1806は、最初の2K放送用ECM受信バッファの中を確認する(S2201)。
確認の結果2K放送用ECM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがある場合(S2202のYes)、制御部1806は、CASモジュール1811に処理要求のコマンドを発行し、その応答を待つ(S2208)。
確認の結果2K放送用ECM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがない場合(S2202のNo)、制御部1806は、次に4K8K放送用ECM受信バッファの中を確認する(S2203)。
確認の結果4K8K放送用ECM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがある場合(S2204のYes)、制御部1806は、CASモジュールに処理要求のコマンドを発行し、その応答を待つ(S2208)。
確認の結果4K8K放送用ECM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがない場合(S2204のNo)、制御部1806は、次にEMM受信バッファの中を確認する(S2205)。
確認の結果EMM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがある場合(S2206のYes)、制御部1806は、CASモジュールに処理要求のコマンドを発行し、その応答を待つ(S2208)。なお制御部1806は、EMMバッファ内の最旧の受信時刻をもつデータを抽出してCASモジュール1811に処理要求のコマンドを発行する。
確認の結果EMM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがない場合(S2206のNo)、制御部1806は、処理要求送信処理を終了する(S2207)。
S2208でCASモジュール1811から応答を受信した制御部1806は、再度S2201の処理に戻り、2K放送用ECM受信バッファ、4K8K放送用ECM受信バッファ、EMMバッファに処理要求待ちのデータがあるかの確認を継続する。
なお図22は、本発明のECM/EMMの処理についてのみの処理優先度を示している。それ以外の制御部1805とCASモジュール1811との間のコマンドについては、省略している。
次に、“1事業体あたり自分宛てのカードIDが設定されたのEMMを受信後、30秒間にEMMをCASモジュールに対し処理しなければならないのは少なくとも1個とする。それ以上のEMMを受信した場合は無視、ないし破棄しても構わない。”との規定に従った処理を行った場合の実施例を示す。
非特許文献5には、受信機のEMM処理猶予期間に関して、
・EMM受信コマンド、EMM個別メッセージ受信コマンドについて、自身のカード宛てのEMM及びEMM個別メッセージを受信後、30秒以内に受信機からICカードに対して行うコマンドの発行を行うこと。(本編A−10に関連記載がある。)
との記載がある。
また非特許文献6には、同様に受信機のEMM処理猶予期間に関して、
・EMM受信コマンド、EMM個別メッセージ受信コマンドについて、自身のカード宛てのEMM及びEMM個別メッセージを受信後、30秒以内に受信機からCASモジュールに対してコマンドの発行を行うこと。(付録4に関連記載がある。)
の記載がある。
本実施形態によれば、例えば、“同一受信機宛てのEMM/EMM個別メッセージでCASモジュールに対し処理すべき個数は、1事業体あたり30秒間で最少1個とする。30秒間でこれを超えるEMMは破棄してもよい。”
という規定を加えるものである。
この規定を加えた場合の、のEMM受信バッファ、及びその処理フローチャートについて説明する。
30秒を超えるEMMを破棄してもよい、の処理を実現するために、図18に示す制御部1806はEMMを受信した受信時刻を知る必要がある。このため制御部1806は、内部に持つEMM受信バッファに、EMMを受信した時刻を保存する保存エリアを持つ必要がある。
図23は、EMMを受信した時刻を保存する保存エリアを持つEMM受信バッファの例である。(A)が、受信した時刻を保存する保存エリアを持たない受信バッファの例である。(B)が、受信した時刻を保存エリア3201を持つ受信バッファの例である。
図24は、“同一受信機宛てのEMM/EMM個別メッセージでCASモジュールに対し処理すべき個数は、1事業体あたり30秒間で最少1個とする。30秒間でこれを超えるEMMは破棄する”規定を加えた場合の、受信機の処理フローチャートである。
図18を例に説明する。制御部1806は、MMT多重分離部1803−1あるいはTSデコード部1803−1からEMMを受信すると、CASモジュール1811にEMMの処理を要求するために、処理要求送信処理を開始(S2400)する。
制御部1806は、CASモジュール1811にEMMの処理の要求の順序制御のために、MMT多重分離部1803−1あるいはTSデコード部1803−1から送られてきたEMMを一時的に保存するEMMバッファを管理する。
制御部1806は、EMM受信バッファの中を確認する(S2401)。
確認の結果EMM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがある場合(S2402のYes)、制御部1806は、そのデータの受信時刻からの経過時間を確認する(S2404)。
確認の結果経過時間が30秒を過ぎている場合(S2404のYes)、該当するEMMのデータをクリアする(S2405)。制御部1806は、データをクリアした(S2405)後、再度S2401に戻って、処理を継続する。
確認の結果経過時間が30秒を過ぎていない場合(S2404のNo)、制御部1806は、CASモジュールに処理要求のコマンドを発行し、その応答を待つ(S2406)。制御部1806は、CASモジュール1811からの応答を受信すると、ECMとの優先度確認を行うために、処理を終了する。
制御部1806は、EMM受信バッファの中を確認(S2401)した結果、EMM受信バッファの中に、CASカードモジュール1811に要求送信待ちのデータがない場合(S2402のNo)、処理を終了する(S2403)。
なお、EMMの処理は即時性が低いため、図24の処理の開始は、例えば制御部1806がポーリング等で、処理の開始を制御してもよい。
さらに本実施形態は、図23に示したEMM受信バッファを持ち、図24に示すような処理フローチャートでEMMの処理要求を制御する場合、例えば事業体毎に管理し、処理待ちのEMMのバッファの受信時刻を判断し、30秒以内に受信したEMMがEMMバッファ内に既に存在する場合に、あとから受信したEMMを破棄する、という規定も考えらる。
図25は、図24に示す処理フローチャートに、“事業体毎に管理し、処理待ちのEMMのバッファの受信時刻を判断し、30秒以内に受信したEMMがEMMバッファ内に既に存在する場合に、あとから受信したEMMを破棄する”規定を加えた場合の、受信機のEMM受信の処理フローチャートである。
同様に図18を例に説明する。制御部1806は、MMT多重分離部1803−1あるいはTSデコード部1803−1からEMMを受信すると、受信したEMMをEMM受信バッファに格納するためのEMM受信処理を開始する(S2500)。
ここで、EMM受信バッファは、事業体ごとに1つのEMMデータだけを保存するエリアを持つものとする。
制御部1806は、受信したEMMデータの事業体を参照し、EMMバッファの中の同一事業体の保存エリアにデータが格納されているかの確認を行う(S2501)。
確認の結果同一事業体のデータが格納されている場合(S2501のYes)、制御部1806は、格納されているデータの受信時刻から30秒が経過しているかを確認する(S2502)。
確認の結果30秒以内の場合(S2502のYes)、制御部1806は受信したEMMデータを破棄し(2506)、処理を終了する(S2506)。
確認の結果30秒以内でない場合(S2502のNo)、同一事業体のバッファをクリアし(S2503)、受信したEMMを当該バッファに保存し(S2504)、処理を終了する(S2505)。
確認の結果同一事業体のデータが格納されていない場合(S2501のNo)、制御部1806は、受信したEMMを当該バッファに保存し(S2504)、処理を終了する(S2505)。
以上のように、1つのCASモジュール(ICカード)でいくつのチューナを搭載した受信機を設計可能かを検討するには、ECMの更新周期、ECMの再送周期、搭載するCASモジュール(ICカード)の応答性能に加え、EMMの1事業体あたりに1つのIDあたり送信する頻度、またはEMMの処理猶予期間内で処理すべき最少のEMM個数を送受信システム上で規定することによってECM、必要なEMMの処理を取りこぼすことなく、厳密に1つのCASモジュールで処理可能な搭載チューナ数の検討が可能となる。
TR−B39 第五編 「4.9.3.1 EMM セクション及びEMM 個別メッセージセクションの送出頻度」において、『受信機の処理負担を減らすため、同一受信機宛ての EMM/EMM 個別メッセージが集中して送られないように配慮し、同一受信機宛てに送るEMM またはEMM 個別メッセージは8 秒あたり最大8 個とする。』と規定されている。本規定は実質的に当該受信機のCASモジュールID宛てのEMMが搭載した、8K、4K、2Kの全チューナーにおいて、EMM処理猶予期間(例:30秒)にすべて同時送信されることはなければ、ECM処理以外で8秒間に8個受信したEMMをEMM受信後、EMM処理猶予期間(例:30秒)で可能な場合もあるが、搭載チューナーでのEMM送出タイミング次第ではある4K(または8K)チューナーにおいて、8秒間で8個のEMMが受信できても、受信後30秒間で処理しきれない可能性がある。本来、受信機で取りこぼすことなくEMM処理するためには30秒おきに8個のEMMを送るべきであるが、放送事業者が許容するのであれば、8秒間で8個受信したEMMはEMM処理猶予期間(30秒)過ぎても廃棄することなく、少なくとも30秒に1個のEMM処理を行い、キャッシュした8個分EMMをEMM猶予期間(例30秒)に1個処理し、遅くとも猶予期間×8(例:240秒)の間に処理することを許容しても本考案の目的は達せられるため、例外事例として規定されることは、本提案の目的や効果において何ら問題はない。ようは受信機がEMM処理を取りこぼすことなく行えるようにCASモジュールの性能を加味した上で送受で可能なルールを定めることが重要である。
上記したように本実施形態によると、少なくとも暗号化された第1キー(Kw)を含む第1制御情報(EMM)、暗号化された第2キー(Ks)を含む第2制御情報(ECM)及び、スクランブルコンテンツを含むサービス信号を受信するチューナ部と、前記チューナ部から出力された前記スクランブルコンテンツを受け取るデスクランブラと、少なくとも前記チューナ部、前記デスクランブラを制御する制御部と、前記制御部により制御され、前記第1制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1キー(Kw)を取得し、前記第2制御情報(ECM)から、取得された前記第1キー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2キー(Ks)を取得する、CASモジュールと、を備え、
前記制御部は、1事業体あたりの前記第1制御情報(EMM)を、規定で定められるEMM受信後CASモジュールへの処理猶予期間以内で最少R(1以上の整数)個を処理すべきであることを設定しており、前記1事業体の前記第1制御情報(EMM)を検出してから、EMM処理猶予期間以内にR個処理を行った後は前記1事業体の次の前記第1制御情報(EMM)を検出した場合、少なくとも前記EMM処理猶予期間以内の前記第1制御情報(EMM)について前記カード部に対するコマンド送出は抑制する、受信装置が提供される。
上記した実施形態は、これまでの説明から理解できるように、受信機としての機能と、送信機、送受信システムとしての特徴を有することは勿論である。以下に上記した実施形態におけるさらなる要点をまとめて記載する。
(1)同一受信機宛てに送出するEMM/EMM個別メッセージは1事業体あたり30(*1参照)秒間で最大 M(後述*2参照)個とする。
(2)同一受信機宛てに送出するEMM/EMM個別メッセージは1事業体あたり30(後述*1参照)秒間で最大 M(後述*2参照)個、かつ2(後述*3参照)秒間M2(後述*2,4参照)個とする。
(3)同一受信機宛てに送出するEMM/EMM個別メッセージは1事業体あたり2(後述*3参照)秒間で最大M2 (後述*2,4参照)個とする。
(4)同一受信機宛てに送出するEMMは1事業体あたり30(後述*1参照)秒間で最大M(後述*2参照)個とし、EMM個別メッセージは1事業体あたり30(後述*1参照)秒間で最大M3(後述*2,5参照)とする。
(5)同一受信機宛てに送出するEMMは1事業体あたり30(後述*1参照)秒間で最大M(後述*2参照)個とし、EMM個別メッセージは1事業体あたり2(後述*3参照)秒間で最大 M3(後述*2,5参照)とする。
同一受信機宛てに送出するEMMは1事業体あたり2(後述*3参照)秒間で最大 M*2個とし、EMM個別メッセージは1事業体あたり30(後述*1参照)秒間で最大M3(後述*2,5参照)とする。
*1・・・30秒は現運用規定で規定されるEMM/EMM個別メッセージ受信後にCASに対し処理を行うまでの猶予期間、
*2・・・ TR−B14とB15の個数は同一、TR−B39では別の値、
*3・・・ 2秒は現行放送(2K)での運用規定TR−B14、TR−B15でのECM(Ks)更新周期、高度BS・CS(4K8K)TR−B39では8秒、
*4・・・ M2はMの値が3個以上等の場合で、1つのKs更新周期内でバースト的に送る場合の規定を必要とした場合、
*5・・・ EMMとEMM個別メッセージのCASの応答時間性能は実際異なる。EMM個別メッセージの運用は少ないものの、EMMとは頻度を変えたいとの事業者要望を加味した規定案の場合。
さらに上記した受信機の構成による、以下に述べるように各種の効果を得ることができる。即ち、
(B1)
少なくとも暗号化された第1キー(Kw)を含む第1制御情報(EMM)、暗号化された第2キー(Ks)を含む第2制御情報(ECM)及び、スクランブルコンテンツを含むサービス信号を受信するチューナ部と、前記チューナ部から出力された前記スクランブルコンテンツを受け取るデスクランブラと、少なくとも前記チューナ部、前記デスクランブラを制御する制御部と、前記制御部により制御され、前記第1制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1キー(Kw)を取得し、前記第2制御情報(ECM)から、取得された前記第1キー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2キー(Ks)を取得する、CASモジュールと、を備え、
前記制御部は、
1事業体あたりの前記第1制御情報(EMM)を、規定で定められるEMM受信後CASモジュールへの処理猶予期間以内で最少R(1以上の整数)個を処理すべきであることを設定しており、前記1事業体の前記第1制御情報(EMM)を検出してから、EMM処理の前記猶予期間以内にR個処理を行った後は前記1事業体の次の前記第1制御情報(EMM)を検出した場合、少なくとも前記猶予期間以内の前記第1制御情報(EMM)について前記カード部に対するコマンド送出は抑制する、受信装置。
上記の(B1)の構成によると、厳密に1つのCASモジュールであったとしても、デスクランブルに必要なECMおよびEMMの処理を取りこぼすことなく、契約番組の視聴を可能とし得る、受信機(又は送信装置又は送受信機)を提供できる。
(B2)
受信機において、制御部は、前記チューナ部が、地上デジタルテレビジョン放送を受信している場合と、BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送を受信している場合とでは、前記第1制御情報(EMM)が送られてくる前記頻度が同一であることを前提として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数は同一であることを前提とし、前記頻度又は前記個数の判定するための情報を共通にして、前記第1制御情報(EMM)を処理する。
上記の(B2)の構成によると、TR−B14とTR−B15のEMM頻度(処理義務)の個数は同一としたことの利点がある。つまり、TR−B14とTR−B15は地デジ・BS・110CSの3波共用機が2K TVの標準的仕様であり、放送メディア(地デジ、BS、110CS)に関わらず、1事業体あたりのEMM処理頻度規定が同じほうがCAS処理において実装条件が複雑化しない。同じ条件であれば、受信機開発段階において検証が楽、送出個数での規定となった場合に、TR−B14とB15は同じB−CAS方式であり、EMM送信設備の共通化がはかれる。
(B3)
制御部は、前記チューナ部が、地上デジタルテレビジョン放送を受信している場合と高度広帯域衛星デジタル放送を受信している場合とでは、
前記猶予期間(例えば30秒)以内で前記第1制御情報(EMM)が送られてくる頻度が異なるとこを前提として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数が異なることを前提とし、前記頻度又な前記個数の判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)を処理する。
上記(B3)の構成によると、TR−B14は地上デジタルであり、運用規定上は有料放送を可能としているが、実質的に無料放送のみであり、EMMの運用の可能性は著しく低いため、有料放送必須のTR−B39とは別のEMMの方が、より多くのECMの処理が可能となる可能性が多く、TR−B14の頻度を低く設定することで、地デジチューナ搭載数の個数が増やせる可能性が高い。
(B4)
前記制御部は、前記チューナ部が、BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送を受信している場合と高度広帯域衛星デジタル放送を受信している場合とでは、
前記猶予期間(例えば30秒)以内で前記第1制御情報(EMM)が送られてくる頻度が異なるとこを前提として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数が異なることを前提とし、前記頻度又は前記個数の判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)を処理する。
上記(B4)の構成によれば、TR−B39準拠のCASモジュールにおけるEMM、ECMのコマンド応答性能が、TR−B14,15純拠のICカードのコマンド応答性能と異なっていてもTR−B39準拠のCASモジュールの性能に合せ他EMM頻度が設定可能、TR−B39では、通信路経由でもEMM取得が可能であるため、放送波のみのEMM伝送しかできないTR−B14とTR−B15と異なる頻度設定が可能(TR−B39のノを少なくする)、TR−B39はTR−B14やTR−B15のような2K放送に比べ、後発のデジタル放送を対象としているため新規4K8Kの有料放送加入者へのサービスを良くするため、一定時間のEMM送出個数を増やして、受信機でのEMMの取りこぼした場合でもなるべく早くEMM受信を行うことで加入申し込みから鍵明け(EMM受信)まで短時間にすることが可能である。また、TR−B39では通信路経由のEMM取得と放送波によるEMM取得とで優先順位を規定で定めるのも可能である、たとえば通信路経由では、すぐに有料視聴のための鍵開けを行うためECMに次いで通信経由のEMMを処理の優先順位を上げるなどもユーザー利便性の点において効果があるのはいうまでもない。
(B5)
前記制御部は、前記チューナ部が、地上デジタルテレビジョン放送を受信している場合とBSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送を受信している場合と高度広帯域衛星デジタル放送を受信している場合とでは、前記第1制御情報(EMM)が送られてくる前記頻度が同一であることを前提として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数は同一であることを前提とし、前記頻度又は前記個数の判定の情報を共通にして、前記第1制御情報(EMM)を処理する。
上記(B5)の構成によれば受信機での処理が単純化する。受信netowrk(地デジ、2KBS,2KCS、4K8KBS、4K110CS)によらず同じEMM処理タイミングが可能となる。
(B6)
前記制御部は、前記チューナ部が、BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送を受信している場合と高度広帯域衛星デジタル放送を受信している第1の場合とでは、
前記第1制御情報(EMM)が送られてくる前記頻度が同一であることを前提として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数は同一であることを前提とし、前記頻度又は前記個数の判定の情報を共通にして、前記第1制御情報(EMM)を処理し、
前記チューナ部が、地上デジタルテレビジョン放送を受信している第2の場合は、前記第1の場合とは、前記頻度又は前記個数の判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)を処理する。
上記(B6)の構成によると、EMMが送られてくる頻度がTR−B14は異なり、 B15とB39は同じ頻度としている。有料系を含むTR−B15、TR−B39と実質有料放送がない地デジ(TR−B14で分ける)とは上記(B3)と類似する利点がある。また、TR−B14での頻度を低く設定することで、地デジチューナ搭載数の個数が増やせる可能性が高い。
(B7)
前記チューナ部が、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と受信機毎に伝送され自動表示メッセージのポインタを示すEMM個別メッセージを受信し、
EMM個別メッセージを受信し、
前記制御部は、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と前記EMM個別メッセージと分けて処理する。
(B8)<EMMとEMM個別メッセージのEMM頻度(処理義務)の個数を別とする構成>
前記チューナ部が、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と受信機毎に伝送され自動表示メッセージのポインタを示すEMM個別メッセージを受信し、前記制御部は、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と前記EMM個別メッセージとの頻度が互いに異なることを前提として、前記第1制御情報(EMM)の前記頻度と前記EMM個別メッセージの前記頻度を判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)と前記EMM個別メッセージを処理する。
上記(B7)、(B8)の構成によると、EMMとEMM個別メッセージのEMM頻度(処理義務)の個数を別とする。これにより、EMMとEMM個別メッセージのCASモジュール応答性能が、異なる場合が十分想定され、短い応答時間、EMM個別メッセージのサイズがEMMに比べ小さいと予測され、応答性能が短いことが想定される。よって、その分EMMより頻度を上げる規定も可能となる。また、EMMに比べ、EMM個別メッセージはEMMメールや自動表示メッセージのID毎の個別性部分(例えば加入者の名前等)であり実際の利用頻度は少ないことが考えられ、また、契約を電話中に確認するなどの即時性が要求されにくいことからEMMの頻度を落とす、つまりEMM処理猶予期間より長いスパンでの個数設定ないし、同じ処理猶予期間でも個数を少なくすることで、EMMやECMの処理に回す時間が増えることが利点として期待される。
(B9)
前記第1制御情報(EMM)の前記頻度は、前記第1制御情報(EMM)の処理猶予期間に応じて、設定されている。
上記(B9)の構成によるとEMM頻度をEMM処理猶予期間で決める、これにより、猶予期間内の任意の時間に必要なEMMの個数を処理するという点では、猶予期間を設定した目的に対して利にかなった設定手段と言える。受信機のフローを考えるうえでもこの期間で決められると自由度があがる。
(B10)
前記第1制御情報(EMM)の前記頻度は、前記第1制御情報(EMM)の前記第2キー(Ks)の更新周期に基づいて設定されている。
上記(B10)の構成によると、EMM頻度をKs更新周期で決めている。EMM処理猶予期間は現在30秒でありKs更新周期の方が短い期間である。受信機において、EMMのフィルタリング性能を検討するにあたり短時間でどの程度の自分宛てのEMMが来る可能性があるのかという点では、短時間での個数での規定は意味がある。ただし、事業者が短時間で複数のEMMを発行する場合になる。また、短時間にEMMを複数発行するのは受信機でのEMMの取得ミスあるいは、なるべく早くEMMを取得してほしい場合に同じEMMを短時間に送出したい場合に有効。ただし、EMMの送信レートのみではEMMは処理猶予期間(30秒間)の設定が残っていると限りなくEMMのキャッシュ領域が増えるため、伝送レートではなくEMMの一時キャッシュ領域を見積るためにも個数での規定が有効である。
(B11)
<EMM頻度をKs更新周期で決める>
前記第1制御情報(EMM)の前記頻度は、前記第1制御情報(EMM)の処理猶予期間と、前記第1制御情報(EMM)の前記第2キー(Ks)の更新周期に基づいて設定されている,
上記(B11)の構成によると、(B11)の構成では、EMM頻度をKs更新周期で決めている。30秒間に1個受信してもらえばよくても、少しでも早く受信してほしい場合に例えば「受信機は30秒間で事業体あたり少なくとも1個の処理を必要とする。ただし、EMMの送出は2秒間で2個の割合で送出するがEMMを受信後はその後30秒間に取得したEMMは破棄、または受信しなくても構わない」といった規定にすれば、30秒間の処理猶予期間では1個でよいということから残りの時間を他のチューナのEMMやECM処理に回せ、かつ一定時間のEMMを多く送ることでより早くEMM受信が可能になり、視聴者がより短い時間で契約確認が可能になり、かつ受信機側も一時的なEMMキャッシュの量も見積りが可能となる。
上記の要点の他、本実施形態においては、以下に記載する放送信号送信システム。
の要素も含まれるものである、即ち、
(C1)
受信側において、
少なくとも暗号化された第1キー(Kw)を含む第1制御情報(EMM)、暗号化された第2キー(Ks)を含む第2制御情報(ECM)及び、スクランブルコンテンツを含むサービス信号を受信するチューナ部と、前記チューナ部から出力された前記スクランブルコンテンツを受け取るデスクランブラと、少なくとも前記チューナ部、前記デスクランブラを制御する制御部と、前記制御部により制御され、前記第1制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1キー(Kw)を取得し、前記第2制御情報(ECM)から、取得された前記第1キー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2キー(Ks)を取得する、CASモジュール(ICカード)を備え、送信設備が、1事業体あたりの前記第1制御情報(EMM)が送出する頻度が、EMM処理猶予期間(30秒)以内で最少R(1以上の整数)個であることを設定している、放送信号送信システム。
(C2)地上デジタルテレビジョン放送と、BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送とでは、
それぞれの前記送信設備が、前記第1制御情報(EMM)を送出する前記頻度が同一として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数が同一であるとし、
前記受信側で前記頻度又は前記個数の判定するための情報を共通にして、前記第1制御情報(EMM)を処理可能とした、上記C1記載の放送信号送信システム。
(C3)地上デジタルテレビジョン放送と高度広帯域衛星デジタル放送とでは、それぞれの前記送信設備が、EMM処理猶予期間(30秒)以内で前記第1制御情報(EMM)が送出する頻度が異なる、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数が異なり、前記受信側で前記頻度又な前記個数の判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)を処理できるようにした、C1に記載の放送信号送信システム。
(C4)地上デジタルテレビジョン放送とBSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送と高度広帯域衛星デジタル放送とでは、それぞれの前記送信設備が、EMM処理猶予期間(30秒)以内で前記第1制御情報(EMM)が送られてくる頻度が異なり、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数が異なり、前記受信側で前記頻度又は前記個数の判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)を処理できるようにした、上記(C1)に記載の放送信号送信システム。
(C5)BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送と高度広帯域衛星デジタル放送とでは、それぞれの前記送信設備が、前記第1制御情報(EMM)を送出する前記頻度が同一とし、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数を同一であるとし、前記受信側で前記頻度又は前記個数の判定の情報を共通にして、前記第1制御情報(EMM)を処理できるようにした、上記(C1)に記載の放送信号送信システム。
(C6)BSデジタル放送/広帯域CSデジタル放送と高度広帯域衛星デジタル放送との第1の場合では、それぞれの前記送信設備が、前記第1制御情報(EMM)が送られてくる前記頻度を同一として、又は、前記第1制御情報(EMM)の処理義務の個数を同一であるとし、前記受信側で前記頻度又は前記個数の判定の情報を共通にして、前記第1制御情報(EMM)を処理できるようにし、前記受信側で、地上デジタルテレビジョン放送の第2の場合は、前記第1の場合とは、前記頻度又は前記個数の判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)を処理できるようにした、上記(C1)に記載の放送信号送信システム。
(C7)前記送信設備が、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と受信機ごとに伝送される自動表示メッセージのポインタを示すEMM個別メッセージを送信し、前記受信側は、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と前記EMM個別メッセージと分けて処理する、上記(C1)に記載の放送信号送信システム。
(C8)前記送信設備が、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と受信機毎に送信される自動表示メッセージのポインタを示すEMM個別メッセージを送出し、前記受信側が、前記1事業体に対応する前記第1制御情報(EMM)と前記EMM個別メッセージとの頻度が互いに異なることを前提として、前記第1制御情報(EMM)の前記頻度と前記EMM個別メッセージの前記頻度を判定するための情報を異ならせて前記第1制御情報(EMM)と前記EMM個別メッセージを処理できるようにした、上記(C1)に記載の放送信号送信システム。
(C9)前記第1制御情報(EMM)の前記頻度は、前記第1制御情報(EMM)の処理猶予期間に応じて、設定されている、上記C1乃至C8の何れか1に記載の放送信号送信システム。
(C10)前記第1制御情報(EMM)の前記頻度は、前記第1制御情報(EMM)の前記第2キー(Ks)の更新周期に基づいて設定されている、上記C1乃至C8の何れか1に記載の放送信号送信システム。
(C11)前記第1制御情報(EMM)の前記頻度は、前記第1制御情報(EMM)の処理猶予期間と、前記第1制御情報(EMM)の前記第2キー(Ks)の更新周期に基づいて設定されている、上記C1乃至C8の何れか1に記載の放送信号送信システム。
以下に視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(音声信号や映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報、または外国語の副音声信号に対応した識別情報に関する本実施形態における設定方法の説明を行う。
それに先立ち、今後の説明で使用する用語の定義を行う。図1で説明したように、放送局100から送信される信号を放送信号と呼ぶ。この放送信号の送信媒体として放送波に限らず、ケーブルや通信ネットワークを利用しても良い。
また図1では、通信ネットワークを経由したアプリケーションの通信方法も説明した。このように有線または無線の通信ネットワークを経由して送信される信号を通信信号と呼ぶ。
上記放送信号と通信信号のどちらにも、少なくとも伝送制御信号(制御信号3100)と符号化信号3200のいずれかが含まれる。図1で既に説明したように、映像信号や音声信号は“符号化”され、それぞれ多重化して送信する。従って送信する映像信号も音声信号いずれも“符号化”された信号となる。ここでの符号化信号3200には、符号化映像信号VDOや符号化音声信号AUDだけでなく、字幕や文字スーパー、メタデータ、記号/コードなどが含まれる。
また本実施形態では、上記符号化信号3200をエレメンタリーストリームESとほぼ同義語として扱う。例えば図35で後述するように、上記符号化信号3200であるエレメンタリーストリームESをパケット化(分割)して送信するが、この送信形態をパケッタイズドエレメンタリーストリームPESと呼ぶ。
図35(b)が示すように、符号化映像信号VDOや符号化音声信号AUDと、それに先行するパケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHDと組み合わせてPESパケットを構成する。そして図35(a)と図33(a)が示すように、上記PESパケットに先行するトランスポートストリームパケットヘッダTSHDと組み合わせて放送信号として送信される。従って本実施形態では上記の符号化信号3200またはエレメンタリーストリームESに、トランスポートストリームパケットヘッダTSHDやパケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHDも含める。
本実施形態システムでは同様に、トランスポートストリームパケットヘッダTSHDやテーブル識別TID(図26(c))なども制御信号3100(伝送制御信号)の一部と見なす。
また本実施形態システムにおける他の実施例では図52を用いて後述するように、制御信号3100の中身や符号化信号3200の中身をMPEG(Moving Picture Experts Group)メディアトランスポートプロトコルパケットMMTP内に挿入して伝送する。従って同時に伝送する各種情報も、制御信号3100や符号化信号3200の一部として取り扱う。
具体的にはMPEGメディアトランスポートプロトコルパケットヘッダMMTH内に含まれるパケット識別子MPID(図53(a))や、インターネットプロトコルヘッダIPH内の各種情報も、制御信号3100や符号化信号3200内に含まれる。
ところで本実施形態における上記符号化映像信号VDOや符号化音声信号AUD(および字幕や文字スーパー、メタデータ、記号/コード)の違いは、上記エレメンタリーストリームESの“属性”の違いと見なす。また主音声(または主映像)と副音声(または副映像)との違いも、上記属性の違いと見なせる。さらに解説音声や外国語の言語毎の音声、手話付映像、字幕表示言語なども“属性の違い”として識別しても良い。そしてこれら属性の違いを表す情報を“識別情報”と呼ぶ。
一方で図26〜図30、図33、図35、図45、図52〜図53を用いて後述するように、制御信号3100の内部は階層構造とデータ構造を持つ。そして階層構造毎の各データ構造内に所定数値がバイナリコード(ビット列)の形で設定される。そしてこの所定数値が設定される個々の“枠”を、本実施形態では“パラメータ設定領域”と呼ぶ。
そして上記のパラメータ設定領域内に所定の数値あるいは所定範囲内の数値が設定された状態が、所定の“識別情報”を意味する。
本実施形態では、符号化信号3200の有する属性の中で
1)視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合する属性を有する符号化信号3200や
2)外国語の副音声信号に対応した属性を有する符号化信号3200
に関する識別情報を新たに設定(定義)する。そしてこの識別情報を放送信号または通信信号内に配置して送信する。
受信機140(図1)側は受信した放送信号または通信信号内に含まれる上記の識別情報を抽出/識別/判定して、上記の識別情報に対応した符号化信号3200を選択的に抽出する。すなわち上記識別情報が放送信号または通信信号内に含まれる場合には、対応した符号化信号3200を優先して選択できる。仮に上記識別情報が含まれない場合でも、受信機140はデフォルト音声信号を選択できるので、問題は生じない。
このようにして本実施形態では、受信機140が放送信号または通信信号から解説音声や手話映像や字幕を含む映像などの属性を判別可能な手段を具備する。また受信機140が優先的に「解説音声が放送されている場合に選択する」、「英語音声が放送されている場合に選択する」など副音声の内容を優先的に選択するための手段を具備する。
従来技術での受信機140は、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合する属性を有する符号化信号3200(例えば所定言語での字幕放送や手話放送あるいは所定言語での解説音声に対応したエレメンタリーストリームES)を判別する手段がなかった。そのため視聴者は選局チャンネル切替毎に映像信号や音声信号の切替作業が必要となっていた。
上記識別情報を新たに設定(定義)して送信すると、受信機140側はその識別情報を利用して上記属性を持つ符号化信号3200を選択的に抽出可能となる。その結果として、選局チャンネル切替毎の視聴者に拠る映像信号や音声信号の切替作業が不要となり、視聴者へのサービス向上につながる。すなわち視聴覚が自由でない視聴者における解説音声や、外国語放送を主として選択したい視聴者にもチャンネル変更や電源オンなどで都度音声選択操作を行う動作を必要としない。
つまり副音声のエレメンタリーストリームES(符号化信号3200)が、どのような種別の音声かを受信機140側が把握できなかった。たとえば視覚や聴覚が自由ではない視聴者対応のサービスあるいは在日外国人向けなどの外国語音声が放送サービスとして運用されている場合を考える。その場合には、受信機140の立ち上げ時や選局チャネルの変更毎にユーザー操作により適合した音声信号や映像信号に切り替える必要があった。特に視覚が自由ではない視聴者に取って、そのサービスの有無の確認から選局チャネルの切り替え操作に至るまで健常者のサポートなしには困難である。
下記に詳細に説明する本実施形態例では、受信機140は副音声エレメンタリーストリームES(符号化信号3200)の属性(内容)の把握が可能となる。その結果として受信機140が自動的に上記属性に合致した符号化信号3200を選択的に抽出し、視聴者(ユーザ)へ表示できる効果が生まれる。
特に本実施形態では、例えば一般社団法人 電波産業会(ARIB)が発行した既存の標準規格(例えば非特許文献1〜非特許文献3)で設定されているパラメータ設定領域の枠組みを変更しないでも良い。その代わりに上記パラメータ設定領域内に挿入する所定数値または所定の数値範囲を新たに設定して、“識別情報”としての意味を持たせても良い。
上記の本実施形態の実施は、運用規定(例えば非特許文献4〜非特許文献6に示す技術資料)のみの変更に対応する。上記標準規格の変更は、放送局100(図1)内に既に設置された設備の大幅な変更が伴い、多大な出費が発生する。本実施形態のようにパラメータ設定領域内に挿入する数値(あるいは数値範囲)の小変更は、多大な出費を伴う設備変更を不要とし、容易かつ迅速な対応を可能にする効果が生まれる。
放送サービスの一種である在日外国人向け外国語音声信号として、多言語音声を副音声信号で送信する場合の、“識別情報”の利用効果について説明する。
近年日本を訪れる海外観光客の増加や長期滞在の在日外国人の増加に伴い、国内での使用言語の多様化が急増している。その使用言語の多様化に応じ、副音声信号(エレメンタリーストリームES)として対応すべき言語の種類が増加する。そして多種類言語が副音声信号(エレメンタリーストリームES)として同時に送信された場合、ユーザ(視聴者)が聞きたい言語選択(副音声信号の選択)の煩雑さが増大する。
本実施形態システムでは詳細に後述するように、副音声信号内で使用される言語の“識別情報”を設定する。その結果として、チャンネル変更毎や電源オン時の言語選択の負担からユーザ(視聴者)を開放し、多言語音声提供サービスの利便性が向上する。
多言語による対応として実用上は、日本語、英語、中国語、韓国語の4ヶ国語で大半の在日外国人をカバーできる。そのため昨今の家電量販店でも、この4ヶ国語での案内で対応されている。
ところで受信機300が表示する字幕として上記多言語のサービスを対応させる場合、それら言語に応じた文字フォントを搭載する必要性が有る。しかし現在のテレビ受信機300では、中国語、韓国語の文字フォントを搭載していない。たとえば2020年の東京オリンピック・パラリンピックで多言語字幕サービスを行うにも、このフォントを搭載した受信機普及が必要となる。そして(中国語や韓国語などの)多言語フォントを搭載した受信機300の普及までには、時間が掛かる。さらに受信機300側に多くのフォントを搭載させるには、費用的な負担も発生する課題が生じる。
一方で副音声信号を利用した多言語サービスであれば、受信機300の対応は非常に容易となる。すなわち受信機300としては従来の音声信号のデコード処理で対応が可能なため、多言語音声サービスでの受信機300の新たな費用負担の増加は少ない。
さらに本実施形態システムにおいて、ユーザ(視聴者)が特定の言語音声サービスを一度設定するだけで、その後の音声切り替え操作を必要としないという効果が期待できる。なぜなら受信機300(内のデマルチプレクサ304)が多言語音声サービスを実施しているかを判断し、“識別情報”を利用してユーザ(視聴者)に最適な言語を優先的に選べる。
またそれに限らず、放送信号あるいは通信信号の送信経路の途中で、自治体あるいは施設、ケーブル局などで独自のローカル対応の副音声信号(エレメンタリーストリームES)を追加して、特定地域でのサービス利便性を向上させても良い。例えば緊急性を持つニュース以外のコンテンツに対し、(送信経路途中の各施設で)数分キャッシュして翻訳・多重化して各ローカルエリアで再送信する。
このように本実施形態システムに準拠した(所定の識別情報を設定した)副音声信号や副映像信号を(送信経路途中の各施設で)多重化することで、地域に密着した独自サービスを提供できる効果が有る。
図1の放送局100から受信機140に向けて放送信号が送信される。放送信号内では連続して繰り返し送信されるトランスポートパケットTSP内に、上記の制御信号3100と符号化信号3200が挿入される。
図26(a)が示すように上記制御信号3100は、上記トランスポートパケットTSP内のペイロードPYLD領域内に挿入される。そしてこのペイロードPYLD領域内の信号を集めてセクションSCTが構成される(図26(b))。同一内容の情報が複数セクションSCTに跨って記述可能にして、同一内容を持った制御信号3100の情報増大化に対応可能にしている。この場合に複数セクションSCT間の前後関係を判別可能にするため図26(c)に示すように、セクション番号SCNを設定する枠(パラメータ設定領域)が設けてある。
制御信号3100の内容は、異なる複数のテーブルに分類されている。そして機能や役割または内容毎に、テーブル名と設定値が予め定められている。そして各テーブルに対応した設定値が図26(d)が示すように、テーブル識別TID内に設定される。
これらテーブル毎に対応したパラメータ設定領域として、上記のテーブル識別TID以外にもパケット識別PID(図33(b)を用いて後述)が存在する。同一テーブルに対応したパラメータ設定領域を持つことで、受信機140側で所定テーブル抽出精度を高める効果が有る。
すなわち受信機140内のデマルチプレクサ304(図3)は始めに、上記パケット識別PIDの設定数値を利用して同一テーブル内容が記載されたトランスポートストリームパケットTSPを抽出する。その直後に上記テーブル識別TID内の設定数値を判断して所定のテーブルが採取できたかの確認ができる。そのためセクションSCT内の最初の位置に上記のテーブル識別TIDを配置することで、テーブル内容の確認迅速性を高める効果が有る。
なお上記テーブル識別TIDに続くシンタクス指示の枠(パラメータ設定領域)内には、“1”の数値が設定される。
プログラムアソシエーションテーブルPATを除く各テーブル内では、1個以上の記述子DCRが配置可能となっている。テーブル毎に明記する情報の内容別に複数種類の記述子DCRが定義されている。テーブル毎に設定可能な記述子DCRが予め定められている。そして放送局100は放送信号の内容に応じて適宜、各テーブルに設定する記述子DCR内容を選択可能になっている。
図26(d)における各設定値の上位2桁“0x”は、16進法での記述を意味する。以降では、数値の上位2桁に“0x”が付いている場合は16進法表示、“0x”が付かない表示は2進法(バイナリービット)表示を表す。
ここで設定値“0x02”で指定されるプログラムマップテーブルPMTは、放送番組を構成する各符号化信号を伝送するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDおよび有料放送の関連情報のうち共通情報を伝送するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDを指定する。
設定値“0x00”で指定されるプログラムアソシエーションテーブルPATは、放送番組に関連するプログラムマップテーブルPMTを伝送するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDを指定する。
設定値“0x01”で指定されるコンディショナルアクセステーブルCATは、有料放送の関連情報のうち個別情報を伝送するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDを指定する。
設定値“0x40”または“0x41”で指定されるネットワークインフォメーションテーブルNITは、変調周波数など伝送路の情報と放送番組を関連付ける情報を伝送する。そして設定値“0x4E〜0x6F”で指定されるイベントインフォメーションテーブルは、番組の名称、放送日時、内容の説明など、番組に関する情報の指示を行う。
本実施形態システムでは、視聴者に提供するコンテンツ内容を“サービス”と呼ぶ。そしてサービスの内容毎に異なるサービス識別(service_id)SVIDを対応させる(図27(e))。
上記プログラムマップテーブルPMT内のデータ構造を、図27(b)に示す。このプログラムマップテーブルPMTの放送局100側からの再送周期は、100ms前後となっている。またワンセグなどの部分受信階層の場合の再送周期は、200msとなる。いずれの再送周期も最大1秒となっている。
プログラム番号PRNは、放送番組番号識別に対応する。またこの番号は、上記対象サービスのservice_idと判断する。
また符号化信号情報ESIF毎に、符号化信号のストリーム形式識別STIDと符号化信号のパケット識別EPID、対応する1個以上の記述子DCRの組み合わせが設定される。
同一符号化信号情報ESIF内では、この符号化信号のストリーム形式識別STIDが基準となる。そしてこの符号化信号のストリーム形式識別STIDに対応したエレメンタリーストリームES(符号化信号3200)の少なくとも一部が、トランスポートストリームパケットTSPのペイロードPYLD内に添付される(図33(a))。そしてこのトランスポートストリームパケットTSP内のパケット識別PID内設定値が、符号化信号のパケット識別EPIDの枠(パラメータ設定領域)内に設定される。
ところで受信機140(図1)が上記プログラムマップテーブルPMTを受信すると、前記符号化信号のストリーム形式識別STIDが当該受信機140で対応するか否かを判定する。そして対応していない符号化信号のストリーム形式識別STIDが記述されている場合には、対応する符号化信号情報ESIFの内容を無効と判断する。
図26(c)が示すように、上記セクションSCT内で各種記述子DCRを記述できる。その中の一例として図27(a)では、上記プログラムマップテーブルPMT内で記述可能なアクセス制御記述子ACDR内のデータ構造を示す。ここで図27(a)と(e)内の上段は、パラメータ設定領域毎の配置ビット数を表す。そして放送信号としては、この配置ビット数が小さな値から昇順に沿って放送局100から送信される。
このアクセス制御記述子ACDRは、サービス全体が限定受信対象の場合、限定受信方式の共通情報ECM410(図4A)を送信するトランスポートストリームパケットTSP内のパケット識別PID内設定値とその伝送経路を指定する。
すなわちBSでは、(図示してない)限定受信方式記述子のみで共通情報ECM410(図4A)を送信するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDの設定値を指定する。一方で地デジは、B−CAS(BS Conditional Access Systems)と地上放送RMP(Right Management and Protection)管理センターTRMPのサイマルクリプトという同じスクランブル鍵Ks401(図4A)だが異なる2つのCAS(Conditional Access System)システムを運用している。
すなわち有料課金機能をもつB−CASの共通情報ECM410は、限定受信方式記述子で共通情報ECM410を送信するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDの設定値を指定する。
一方で有料機能を持たないTRMP方式の共通情報ECM410を送信するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDの設定値を、上記のアクセス制御記述子で指定する。
2000年のBSデジタル放送開始時には限定受信方式記述子のみだった。そして地デジでTRMP方式のサイマル運用をするにあたり、同一プログラムマップテーブルPMTで2つの異なる共通情報ECM410を送信するトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDの設定値を指定する。そして受信機300は対応するコンディショナルアクセスシステム識別CA_System_idの方式に合致した共通情報ECM410でスクランブル鍵Ks401を取得する。そのため、限定受信方式記述子と似て非なるアクセス制御記述子ACDRをつくり、プログラムマップテーブルPMTに両方記述している。
このアクセス制御記述子ACDR内の先頭に配置される記述子タグDSTGは最初のビットから8番目のビットまで枠組みされている。そしてこの内には、“0xF6”の値が設定される。また限定受信方式識別CAID内では、限定受信方式識別を記述する。具体的には所定の限定受信方式を識別する数値または地上デジタルテレビジョン放送に適用される識別値のみを設定する。
伝送情報TRTY内では、当該限定受信方式のECM の伝送経路タイプを記述する。本実施形態ではこのパラメータ設定領域内にビット表示で“111”を設定し、放送経路を示す。
有料視聴権に関する番組情報および制御情報からなる共通情報の識別ECM−PID内には、ECM410(図4A)が格納されたトランスポートストリームパケットTSPを示すパケット識別PID(図33(a))の値が設定される。
図27(c)は、プログラムアソシエーションテーブルPAT内のデータ構造を示す。なおこのプログラムアソシエーションテーブルPATの再送周期は、100ms前後に設定される。
トランスポートストリーム識別TSIDは、このプログラムアソシエーションテーブルPATが含まれるトランスポートストリーム自体の識別(transport_stream_id)を表す。
またネットワークパケット識別内には、対応するネットワークインフォーメーションテーブルNITのパケット識別PIDを設定する。図33(b)で後述するように、ネットワークインフォーメーションテーブルNITのパケット識別PIDは、“0x0010”が設定される。従ってこのパラメータ設定領域内には、“0x0010”が設定される。
プログラムアソシエーションテーブルPAT内では、サービス識別(service_id)SVID毎に対応するプログラムマップテーブルPMTのパケット識別PMPIDの組み合わせ(符号化信号情報ESIF)を定義する。
従ってプログラム番号PRNのパラメータ設定領域内に、対象サービスのservice_idを記述する。また同一符号化信号情報ESIF内の対応プログラムマップテーブルのパケット識別PMPIDのパラメータ設定領域内に、対応するプログラムマップテーブルPMTのパケット識別PMPIDの値を設定する。なお同一のパケット識別PID値に割り当て可能なプログラム(サービス)の最大数を4とする。すなわちプログラムマップテーブルPMTをマルチセクション化する場合など、異なるプログラム番号PRNに対して同一の対応プログラムマップテーブルのパケット識別PMPIDを指定する場合は、指定可能なプログラム番号PRNの数を最大4とする。このように割り当て可能なプログラム(サービス)の最大値を設定することで、受信機140内処理の煩雑さを防止する効果がある。ただし、部分受信階層のサービスに対してはプログラムマップテーブルPMTのマルチセクション伝送を行えないため、同一対応プログラムマップテーブルのパケット識別PMPIDに対し1つのプログラム番号PRNしか指定できない。
なお図27(c)から図27(b)に向かう破線矢印が示すように、プログラムアソシエーションテーブルPAT内で設定するプログラム番号PRNと同じ数値が、対応するプログラムマップテーブルPMT内のプログラム番号(放送番組番号識別)PRN内に記述される。
受信機300内のデマルチプレクサ304(図3)はプログラムアソシエーションテーブルPAT内で設定された対応プログラムマップテーブルのパケット識別PMPIDを利用し、対応するプログラムマップテーブルPMTが格納されたトランスポートストリームパケットTSPを抽出する。その抽出されたプログラムマップテーブルPMT内のプログラム番号(放送番組番号識別)PRNの設定値を判定して、抽出されたプログラムマップテーブルPMTの正否を確認できる。このように異なるテーブル間で同じ設定値が重複して設定されることで、テーブル獲得精度が向上する効果がある。
なお同様な重複設定は、図27(c)から(d)へ向かう破線矢印が示すトランスポートストリーム識別TSIDの重複設定でも見られる。
図27(d)は、ネットワークインフォメーションテーブルNIT内のデータ構造を示す。なおこのネットワークインフォメーションテーブルNITの再送周期は、1秒前後(最大3秒)に設定される。
ネットワーク識別NETIDは、地上デジタルテレビジョン放送では各送出マスター毎に1個割り振られる。また、BSデジタル放送では、全チャンネルを通して1個割り振られ、広帯域CSデジタル放送では放送開始当初に異なる2つのプラットフォーム事業者により開始された経緯(その後現在の1つに統合された)から2個割り振られ、高度BSデジタル放送では1個、高度広帯域CSデジタル放送では1個が割り振られる。
このネットワークインフォメーションテーブルNIT内では第2ループ(TSループ)領域STLPが存在する。この第2ループ(TSループ)領域STLP内で、対象ネットワークに含まれるトランスポートストリームの情報を記述する。
この第2ループ(TSループ)領域STLP内では、オリジナルネットワーク識別ORGIDのパラメータ設定領域が設定されている。本実施形態システムでは、分散システム(放送波に限らずケーブル経由も含めた放送信号の配信システム)に関係するラベルとして、ネットワーク識別NETIDとオリジナルネットワーク識別ORGIDの2領域を用いる。このオリジナルネットワーク識別ORGIDのパラメータ設定領域は、そのトランスポートストリームTSが元々の分配システムと異なる別の分配システムに移動した場合に、トランスポートストリームTS内のサービスを唯一に識別するのを助ける役割をする。
すなわち『オリジナルネットワーク識別ORGID ⇒ トランスポートストリーム識別TSID ⇒ サービス識別SVID』の道順をたどることで、サービスをユニークに参照できる。ここで上記の道順には、ネットワーク識別NETIDが含まれない。
所定のトランスポートストリーム中のサービスが別の分配システムに移動する場合、ネットワーク識別のみが変わり、オリジナルネットワーク識別ORGIDは変化しない。
従って分散システムに関係するラベルとしてネットワーク識別NETIDとオリジナルネットワーク識別ORGIDの2領域を用いることで、所定サービスが別の分配システムに移動しても(サービス識別SVIDが変更しないので)同じサービスをユニークに参照できる効果がある。
ところで本実施形態例では、このオリジナルネットワーク識別ORGIDのパラメータ設定領域内には、前述したネットワーク識別NETIDと同じ数値を記述しても良い。
そしてトランスポートストリーム識別TSIDに関するパラメータ設定領域内に設定される異なる数値毎に、1個以上の記述子DCRの組み合わせが可能となっている。この組み合わせはTS関連情報TSIFとして纏められるが、この個々のTS関連情報TSIFの組み合わせを“ループ”と呼ぶ。なお地上デジタルテレビジョン放送ではループ数は1となる。
第2ループ(TSループ)領域STLP内のTS関連情報TSIF(ループ)内に設定される記述子DCRの一例として、TS情報記述子TSDRを記述する。このTS情報記述子TSDR内では、当該トランスポートストリームTSに付随する様々な追加情報を記載する。
また本実施形態では、ネットワークインフォメーションテーブルNIT内の第2ループ(TSループ)領域STLPの中に必ずこのTS情報記述子TSDRを配置する必要がある。なおこの場合には、記述子タグDSTGのパラメータ設定領域内には“0xCD”が設定される。
図27(e)の上段は各パラメータ設定領域の配置ビットを示す。“49+8M”ビット目から“64+8M”ビット目(Mは“0”または自然数)に配置されたサービス識別(service_id)SVIDのパラメータ設定領域内には、当該階層をサービス階層とするサービスの service_id を記述する。またここに挿入する数値は、対応するプログラム番号PRNと同じ値となる。
また本実施形態システムでは、サービス識別(service_id)SVID毎に、受信機300のリモートコントローラ352(図3)に対して推奨するリモコンボタン番号が通知可能となっている。そして17ビット目から24ビット目までの8ビットのパラメータ設定領域内で、リモコンキーのID値を設定する。
すなわち上記リモコンキー識別RCIDは、図3に示す受信機300に付属するリモートコントローラ352に装備される“1”から“12”までの釦にデフォルトで各事業者を割り当てる機能に対応する。そして、一事業者に対して一つのリモコンキー識別RCIDのパラメータ設定領域内に記載された番号で該当ボタンに割り当てる。
なお図27(e)において、複数の異なるサービス識別SVIDを並列的に設定可能となっている。この場合にはTS情報記述子TSDR内に記載された全てのサービス識別SVIDに対して、共通の推奨するリモコンボタン番号が対応する。
ネットワークインフォメーションテーブルNIT内に必ず設置するTS情報記述子TSDR内に上記サービス識別(service_id)SVIDが存在するので、国内の至る所でリモコンボタン番号の誤りを防止できる効果がある。すなわち図3に示すリモートコントローラ352付き受信機300が国内の遠方に引っ越した場合、国内の至る所で上記の情報を利用してリモコンボタン番号をリセットできる。
上記のリモコンキー識別RCIDのパラメータ設定領域内に記載される番号に重複が起こらない場合には、リモコンキー識別RCIDのパラメータ設定領域内に記載される番号とリモートコントローラ352の番号が一致する。
このリモコンキー識別RCIDは原則として放送対象地域内でユニークであり基本的には、隣接エリア間で重複しないよう調整される。しかし他エリアからも受信したことで稀に、リモコンキー識別RCIDのパラメータ設定領域内に記載される番号が(隣接エリア間で)重複する場合が起きる。
この場合には、受信機300に設定されている視聴者居住地域設定により、対象放送局100(図1)を優先して割り当てる。その後、チャンネル設定と重複局のリストを表示し、視聴者が手動で割り当てても良い。またリモコンキー番号が足りない場合は、視聴者は域外局を除外しても良い。
図27(b)のプログラムマップテーブルPMT内データ構造を図28(a)に転記し、一部追記する。アクセス制御記述子ACDRを含めた他の記述子DCRの集合領域を、第1ループ領域FLPと呼ぶ。また1個以上の符号化信号情報ESIFの集合領域を、第2ループ(ESループ)領域SELPと呼ぶ。
すなわち上記第2ループ(ESループ)領域SELP内では1個以上の符号化信号情報ESIFを設定する領域が存在する。また符号化信号情報ESIF毎の先頭領域に、符号化信号のストリーム形式識別STIDが配置される。そして同一の符号化信号情報ESIF内で、複数の異なる記述子DCRを配置しても良い。
ここで符号化信号のストリーム形式STIDに関する同一の設定数値内(同一の符号化信号情報ESIF内)の最初の記述子DCRとして、ストリーム識別記述子SIDCを配置する。
このストリーム識別記述子SIDCは、対応する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対するラベル付けに使用される。この中の1ビット目から8ビット目に配置される記述子タグDSTG内には、“0x52”の数値が設定される。
また17ビット目から24ビット目に至る8ビットのパラメータ設定領域内は、コンポーネントタグ(component_tag)CMTGに対応した数値が設定される。特にプログラムマップテーブルPMT内に定義された全ての符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対し、上記コンポーネントタグ(component_tag)CMTGの数値設定(ストリーム識別記述子SIDCの配置)を必須とする。
選局・予約ともに、ユーザ(視聴者)の符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)選択は制御信号3100から行われるため、ユーザインタフェースと符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)を関連付けるコンポーネントタグ(component_tag)CMTGの数値は重要な意味を持つ。
受信機300内のデマルチプレクサ304(図3)は、選局時に上記コンポーネントタグ(component_tag)CMTGを元にして符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)を選択し、そのパケット識別PIDを見つけてトランスポートストリームTSより分離・デコードを行う。
従って選択(表示)中の符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)についてもコンポーネントタグ(component_tag)CMTGの数値が同一のものをデコードし続ける。つまり、例えば component_tag = ”0x11” の符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)を表示している場合には、少なくとも視聴中の番組内においては、視聴者が何も操作しない限りは“0x11”に対応した符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)をデコードし続ける。番組が切り替わりプログラムマップテーブルPMTが更新し、更新されたプログラムマップテーブルPMTにコンポーネントタグ(component_tag)DMTGの設定値が“0x11”に対応した符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)が存在する場合には、そのままのコンポーネントタグ(component_tag)DMTGの設定値が“0x11”に対応した符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)を提示するか、デフォルトのコンポーネントタグ(component_tag)CMTGを選択するかは商品企画による。
このため、受信機は、選択・受信していたコンポーネントタグ(component_tag)CMTGが番組の切り替わり等で無くなると、新たなコンポーネントタグ(component_tag)CMTGから選択し直すために、選局時と同様な処理を行うこととなる。
また、コンポーネントタグ(component_tag)CMTGの設定数値が同一のものをデコードし続けるという原則は、そのコンポーネントタグ(component_tag)CMTGの設定数値を持つパケット識別PIDの値が変更されても守られるが、プログラムマップテーブルPMTに定義されているパケット識別PIDの設定数値情報が変更されると、受信機においてPIDフィルタリング制御を行うため、表示上、選局動作と同じ現象が起こる。即ち、映像や音声のデコードが一旦途切れる可能性が高い。
よって、受信機での継続的な表示を望む場合は、パケット識別PIDの設定数値を途中で変えることはできる限り避けるべきである。番組内および番組間にわたって、構成する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)の種類数の増減は有り得るが、デフォルトの符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)が無くなることはない。
上述したように、受信機300での継続的な表示を行うためにはコンポーネントタグ(component_tag)CMTGの設定数値を変えてはならない。また映像信号および音声信号に付いて、デコード中のコンポーネントタグ(component_tag)CMTGの設定数値に対応した符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)がプログラムマップテーブルPMTから無くなった場合は、デフォルトで設定される符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に切り替える。
1個のプログラムマップテーブルPMT内において、符号化信号のストリーム形式識別STID内の同一設定値に対応した複数の映像信号または音声信号が定義され、さらに図30を用いて後述するイベントインフォメーションテーブルEIT内にコンポーネント記述子CMDR(音声コンポーネント記述子AUDR)が複数配置されている場合は、コンポーネントタグ(component_tag)CMTGの設定数値が小さい順に優先順位付けする。
このコンポーネントタグ(component_tag)CMTGのパラメータ設定領域内の設定値割当例を、図28(c)に示す。例えばデフォルトの映像ストリームや音声ストリーム、あるいは字幕や文字スーパーのメインストリームに対してそれぞれ“0x00”や“0x10”、“0x30”、“0x38”の数値を割当てても良い。
またデフォルト/メインではない映像ストリームや音声ストリーム、字幕/文字スーパーに対して“0x01〜0x0F”や“0x11〜0x2F”、“0x31〜0x37”、“0x39〜0x3F”の数値割当範囲を設定しても良い。
さらにワンセグ放送などの部分受信階層で使用される符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対して下記のように割当てても良い。すなわち例えばデフォルトの映像/音声ストリームとそれ以外の映像/音声ストリームに対してそれぞれ、“0x81”や“0x82”、“0x83あるいは0x85”、“0x84または0x86”の各数値(範囲)を割当ててもよい。
本実施形態システムでは、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対応した識別情報を設定する。そして放送局100またはサービス事業者装置120側は、上記識別情報を設置して放送信号または通信信号として送信する。また受信機140側は、上記の放送信号または通信信号内に設置された上記識別情報を基に、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)を選択・抽出してユーザ(視聴者)に対して表示する。
それに限らず、外国語の副音声信号に対応した識別情報を設定し、放送信号または通信信号内に配置して送信/受信し、受信機140側で外国語の副音声信号を選択・抽出してユーザ(視聴者)に対して表示する。
この識別情報の設定方法として、所定の規格内での既存パラメータ設定領域への割当数値(あるいは割当数値範囲)を規定しても良い。上記のパラメータ設定領域として、プログラムマップテーブルPMT内の配置可能な記述子DCR内の所定領域を使用しても良い。
図27を用いて説明したように、プログラムアソシエーションテーブルPATとプログラムマップテーブルPMTの再送周期は100ms前後と短い。それに比べてネットワークインフォメーションテーブルNITやイベントインフォメーションテーブルEITの再送周期は1秒前後(最大3秒)と長い。
従って再送周期が短いプログラムマップテーブルPMT内の記述子DCRの内に上記識別情報を配置可能にすると、デマルチプレクサ304からの上記識別情報へのアクセス時間の短縮化が図れる。例えばプログラムマップテーブルPMT内の記述子DCRの内に上記識別情報が配置された場合には、ユーザ(視聴者)が選局チャンネルを切替直後に視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)の表示が行える。そのため、ユーザ(視聴者)に対するサービスが向上する。
本実施形態における視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対応した識別情報あるいは外国語の副音声信号に対応した識別情報の設定方法として、既存配置のパラメータ設定領域に対する割当数値(範囲)の追加または小変更による再定義を行っても良い。
その一例として、プログラムマップテーブルPMT内に配置可能な記述子DCRであるストリーム識別記述子SIDC内のコンポーネントタグ(component_tag)CMTGを使用する。しかしそれに限らず、放送信号あるいは通信信号内に配置可能な任意のパラメータ設定領域を使用しても良い。
本実施形態では、視覚が自由でない視聴者に適合した音声信号の属性として、“解説音声”を想定している。上記解説音声とは、視聴者に表示される映像内容(の変化)を適宜音声で“解説”するサービスを示す。
また聴覚が自由でない視聴者に適合した音声信号の属性として、“特殊音声”を想定している。一般的に高齢になると、“高周波数の音が聞き辛い”と言われている。従ってこれらの聴覚特性を持った視聴者に対しては、“周波数変換可能な音声情報に関して、高周波数音声を低周波数音声に一部周波数シフト”させても良い。この処理を行った後の音声信号を、特殊音声と呼ぶ。
それだけでなく、聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)の例として、手話映像を含んだ映像信号や所定言語での字幕ストリームや文字スーパーなどを想定している。
しかしそれに限らず、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合したあらゆる符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対応した識別情報を対象にしても良い。
図28(c)に記載した割当対象内容3115−1の一覧を、図29(b)に転記する。この図29(b)に記載した割当対象内容3115−1を、所定規格で既に設定された数値(範囲)と仮に見なしても良い。
図29(c)は、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対応した識別情報あるいは外国語の副音声信号に対応した識別情報の設定方法例を示す。
図29(b)のようにデフォルトではない映像ストリームの属性を示す割当値(タグ値3110−1)の既存範囲が“0x01〜0x0F”に設定されていたと仮定する。それに対して上記割当範囲内の所定値(範囲)を手話映像を含む映像ストリームの属性に割当てても良い。図29(c)に示す実施例では、手話映像を含む映像ストリームの属性に対して、“0x0F”を割当てている。しかしそれに限らず、図29(b)内に記載した予約領域として割当てられた“0x90〜0xFF”内の任意数値(あるいはその範囲)を新規に設定してもよい。
同様に図29(b)内でデフォルトではない音声ストリームの属性に対応した既存の数値割当て範囲が“0x11〜0x2F”だった場合を仮定する。それに対して日本語での解説音声ストリームを“0x12”または“0x20”に、そして英語での解説音声ストリームを“0x13”または“0x21”に、日本語/英語の特殊音声ストリームを“0x14”/“0x15”にそれぞれ割当てても良い。
上記の例ではそれぞれの属性に対応した音声信号毎に所定の数値を割当てている。しかしそれに限らず、固定数値ではなく、設定可能な数値範囲を割り当ててもよい。またさらに予約領域として割当てられた“0x90〜0xFF”内の任意数値(あるいはその範囲)を新規に設定してもよい。
また図29(b)に示すようにワンセグなどの部分受信階層で使用される符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対して“0x80〜0x8F”が既に設定されている場合に、その範囲内の所定値を新規に設定しても良い。
図29(c)の実施例では、英語に対応した部分受信階層用解説音声を“0x84”に規定し、日本語に対応した部分受信階層用解説音声を“0x86”に規定している。また部分受信階層で使用される手話映像を含む副映像ストリームを“0x82”に規定している。
例えば部分受信階層で使用される符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)に対して、“0x84〜0x86”は部分受信階層以外からも直接参照が可能となっている。したがって『部分受信階層、および部分受信階層以外でも視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200に対してコンポーネントタグCMTGの設定値を“0x84”または“0x86”と規定』しても良い。
具体的方法としてたとえば、「部分受信階層、および部分受信階層以外でも視聴覚障がい者向け解説音声を行う場合は(音声の)コンポーネントタグCMTGの設定値を“0x84”または“0x86”とする」と規定した場合は、部分受信階層(ワンセグ)、部分受信階層以外の通常のテレビにおいても、視聴覚障がい者向け解説音声を優先的に選択することが可能である。
他の応用例として、上記のストリーム識別記述子SIDC内に配置されたコンポーネントタグCMTGに関するパラメータ設定領域に限らず、他の記述子DCR内に配置されるコンポーネントタグCMTGに関するパラメータ設定領域を利用しても良い。
再送周期が1秒前後(最大3秒)と長いがイベントインフォメーションテーブルEIT内に設定可能な記述子DCR内でも、上記コンポーネントタグCMTGに関するパラメータ設定領域が存在する。いずれかの記述子DCR内に設定しても良いが、複数の異なる記述子DCRで同様なコンポーネントタグCMTGの設定値を設定すると、検出精度が向上する効果が生まれる。
このイベントインフォメーションテーブルEIT内のデータ構造を図30(b)に示す。上記テーブルは、番組の名称、放送日時、内容の説明など番組に関する情報を指示する。ここでテーブル識別TIDのパラメータ設定領域内に設定する数値として、“0x4E”または“0x4F”、“0x50〜0x5F”、“0x60〜0x6F”内(図26(d))の適正な数値が記述される。
またサービス識別(service_id)SVIDは、図27(e)の該当箇所に設定する数値と一致させる。そしてトランスポートストリーム識別TSIDも、図27(d)の該当箇所に設定する数値と一致させる。このように数値を一致させて、ネットワークインフォメーションテーブルNITやプログラムマップテーブルPMT内で指定した内容と対応するイベントインフォメーションテーブルEITとの関係が確立する。
イベントインフォメーションテーブルEIT内のイベントループ領域EVLP内では、
イベント識別EVIDとそのイベントが開始する開始時間STM、終了する終了時間ETM、任意数の記述子DCRが組みとなってイベント情報EVIFを構成する。
このイベントの開始時間から終了時間に至るイベント期間の最大値は48時間とする。また1日のイベントの最大個数は、(サービス識別SVIDの同一設定値に対応する)1サービス当たり96個とする。このようにイベント条件に制限を掛けて、受信機300の処理簡易性を確保している。
コンポーネントタグCMTGの値が設定可能な記述子DCRとして、コンポーネント記述子CMDRと音声コンポーネント記述子AUDRが存在する。そしてこのコンポーネント記述子CMDR内では、イベントを構成する映像コンポーネントストリームに関する情報を記述する。
このコンポーネント記述子CMDR内のデータ構造を、図30(a)に示す。コンポーネント記述子CMDRに対応した記述子タグDSTGのパラメータ設定領域内には、“0x50”の数値が設定される。
また21ビット目から24ビット目に至る4ビット領域内では、コンポーネント内容CMCTを指定する。このコンポーネント記述子CMDRは映像コンポーネントストリームに関する情報を記述しているので、映像コンポーネントが該当する。従って上記コンポーネント内容CMCTとしては、映像を意味する“0x01”が記述される。
受信機300内のデマルチプレクサ304は、受信した放送信号内の該当箇所の設定数値が“0x01”の場合には有効(映像)と見なし、それ以外の場合には、該当するコンポーネント記述子CMDRは無効と判断する。
次の25ビット目から32ビット目に至る8ビット領域内にはコンポーネント種別(component_type)CMTYが指定され、この中に映像コンポーネント種別を示す数値が記述される。
33ビット目から40ビット目に至る8ビット領域には、前述したコンポーネントタグCMTGが配置される。図3に示す受信機300内のデマルチプレクサ304内部では、当該番組内で一意となるコンポーネントタグCMTGの設定値で、プログラムマップテーブルPMT内に配置されたストリーム識別記述子SIDC内のコンポーネントタグCMTGの設定値と対応させて利用できる。
さらに41ビット目から64ビット目に至る24ビット領域内にはISO_639言語コードLGCDに対応した数値が設定される。ここで日本語に対応した“0x6A706E”を設定しても良い。
最後の65ビット目から64+8Nビット目(Nは“0”もしくは自然数)のパラメータ設定領域には、コンポーネント記述情報CMTT(text_char)に対応した数値が入る。ここには複数映像コンポーネント存在時に映像種類名として16バイト(全角8文字)以下で記述する。改行コードは使用しない。コンポーネント記述がデフォルトの文字列である場合はこのフィールドを省略することができる。デフォルト文字列は「映像」。
音声コンポーネント記述子AUDR内のデーター構造を、図30(c)に示す。記述子タグDSTG内には、“0xC4”が設定される。
21ビット目から24ビット目に至る4ビット領域に対応するコンポーネント内容CMCTには、“0x2〜0x4”範囲内の数値が設定できる。本実施形態では、音声コンポーネントを示す“0x2”を設定しても良い。また受信機300内のデマルチプレクサ304内では、このパラメータ設定領域内に音声コンポーネントを示す“0x2”が設定されている場合には有効と見なす。一方でそれ以外の数値が設定された場合には、対応する音声コンポーネント記述子AUDRを無効と判断する。
また25ビット目から32ビット目に至る8ビット領域にはコンポーネント種別ACTY(component_type)が配置される。そしてここには、当該コンポーネントの音声コンポーネント種別を記述する。
さらに33ビット目から40ビット目に至る8ビット領域には、上述したコンポーネントタグCMTGが配置される。そしてこのパラメータ設定領域内には、当該番組内で一意となるコンポーネントタグ値を記述する。また図3に示す受信機300内のデマルチプレクサ304内部では、当該番組内で一意となるコンポーネントタグCMTGの設定値で、プログラムマップテーブルPMT内に配置されたストリーム識別記述子SIDC内のコンポーネントタグCMTGの設定値と対応させて利用できる。
65ビット目から88ビット目に至る24ビット領域にはISO_639言語コードLGCD(ISO_Language_code)が配置される。このパラメータ設定領域内には、(第1)音声コンポーネントの言語名を記述する。
次の89ビット目から112ビット目に至る24ビット領域ではISO_639言語コードLGCD2(ISO_Language_code2)が配置される。このパラメータ設定領域内にはエレメンタリーストリームESの多言語モードにおいて、第2 音声コンポーネントの言語名を記述する。
最後のコンポーネント記述情報DMTTでは、音声種類名として16バイトまたは全角8文字以下で記述する。1個のエレメンタリーストリーム(音声信号)によるデュアルモノラルの場合は、各音声種類名の間に改行コード1バイトを挿入し、合計33バイト(全角16文字)以下で記述する。またこのデフォルト文字列については、デュアルモノ以外は「音声」、デュアルモノの場合は「第1 音声CR(改行コード)第2 音声」と設定しても良い。
本実施形態例では、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報を設定する。放送局100側またはサービス事業者装置120側は、この識別情報を放送信号または通信信号内に配置して送信する。
受信機300内のデマルチプレクサ304内ではこの識別情報を利用し、受信した放送信号または通信信号内から視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号3200(エレメンタリーストリームES)を抽出してユーザ(視聴者)に表示する。
この識別情報が存在しない場合の不具合状況を、図31を用いて説明する。従来技術の課題を説明したように、従来技術では『選局チャンネル切替時には“デフォルト”のエレメンタリーストリームESを選択する』処理を要求する。またデフォルト音声信号以外の音声信号で解説音声が放送されている場合を想定する。
視覚障がい者が最初に解説音声を選択た後に選局チャンネルを切替えると、チャンネル切替直後にはデフォルトの音声信号が出力される。そのため選局チャンネルを切替える毎に、音声信号の切替処理が必要となる。
たとえば図31に示した例で単にデフォルト以外の音声信号を優先的に選択するというユーザーインターフェイスを具備し、ユーザーが副音声を選択したケースを想定する。チャンネルAを選局すると、英語音声に対応した副音声信号の属性を示すコンポーネントタグCMTGの値は“0x11”で設定される。また解説音声の属性をコンポーネントタグCMTGの値は“0x12”で設定される。
一方でチャネルBでの解説音声の属性を持つ副音声信号を示すコンポーネントタグCMTGの値は“0x11”で与えられる。最初にユーザ(視聴者)がチャネルBを視聴中に解説音声を選択した場合には、対応する副音声信号を示すコンポーネントタグCMTGの設定値“0x11”がデマルチプレクサ304内の記録領域に記録される。
その後でユーザ(視聴者)がチャンネルAに切り替えると、コンポーネントタグCMTGの設定値“0x11”に対応した音声信号が選択されて出力される。図31のチャンネルAでは、コンポーネントタグCMTGの設定値“0x11”に対応した音声信号は英語音声に対応した副音声信号なので、継続して解説音声を出力し続けるのは難しい。
また解説音声のみならず、英語副音声をチャンネルAで選択した場合も不都合が生じる。この場合のコンポーネントタグCMTGの設定値“0x11”なので、この値がデマルチプレクサ304内の記録領域に記録される。その後でユーザ(視聴者)がチャンネルBに切り替えると、チャンネルBでは解説音声が出力されてしまう。その結果、選局チャンネル切替前後で視聴者が意図した音声信号とは異なる音声信号が出力される。
図32は、識別情報としてコンポーネントタグCNTGへの設定値を使用した場合の受信機内の動作手順を示す図である。他の実施例と区別するため、図32の動作手順に対応した実施例を『第1の実施例』と呼ぶ。
図27(e)を用いた説明で既に、ユーザ(視聴者)にサービスを提供するサービス識別(service_id)SVIDと、それに対応するリモコンボタン番号(リモコンキー識別)RCIDが1対1対応する事を説明した。
図32の開始ステップS3500で、受信機内のリモートコントローラ352を用いて選局するチャンネル(service_id)が選択された場合を考える。受信機300内のデマルチプレクサ304(図3)は、最初にプロフラムアソシエーションテーブルPATの受信を行う(S3501)。そして放送信号内に該当するサービス識別SVID(サービスID)が定義されたプログラムマップテーブルPMTが送信されているか否かを判断する(S3503)。
前述したように上記サービス識別SVIDのパラメータ設定領域内に設定する数値は、プロフラムアソシエーションテーブルPAT内(およびプログラムマップテーブルPMT内)に配置されたプログラム番号PRN(放送番組番号識別)のパラメータ設定領域内に設定する数値と一致する。従ってプロフラムアソシエーションテーブルPAT内に配置されたプログラム番号PRN(放送番組番号識別)のパラメータ設定領域内の設定値を確認することで、サービス識別SVIDが定義されたプログラムマップテーブルPMTが送信されているか否かが判断(S3503)できる。
もしサービス識別SVIDが定義されたプログラムマップテーブルPMTが送信されてない場合には、予め受信していたネットワークインフォメーションテーブルNIT(S3502)を利用する。
具体的には放送チューナ301を制御して当該サービス識別SVID(の所定の設定値)が伝送されるトランスポートストリームTSを選局する。図27(d)と(e)から分かるように、ネットワークインフォメーションテーブルNIT内に配置されたTS情報記述子TSDR内に記載されたサービス識別SVID(サービスID)の領域内に設定されて数値を読み取って該当サービスIDが含まれる状況(S3503)を直接確認しても良い。
次に選局したトランスポートストリームTSに配置されたコンディショナルアクセステーブルCAT(S3504)からEMM(図4Aの個別情報EMM411参照)が格納されているトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDを受信する。
その後、自受信機宛てのCAS_IDのEMMを受信するためのフィルターをセットする(S3512)。
またPATより選局したいサービス識別SVID(サービスID)に対応したプログラムマップテーブルPMTを受信(S3505)し、ECM(図4Aの共通情報ECM410参照)が格納されているトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDを検知する。
そしてそのパケット識別PIDの対応設定値を利用してECMを受信しCASモジュール(ICカード)にECM受信コマンドを発行する。既にCASモジュール(ICカード)に契約済みのEMMを受信済みであれば正常応答としてECM受信コマンドの応答としてスクランブル鍵Ks(図4Aのスクランブル鍵(Ks)401)をCASモジュール(ICカード)から受信しデスクランブラにセットする(S3508)。
またプログラムマップテーブルPMT(S3505)に記載された選局チャンネルの映像信号や音声信号が格納されたトランスポートストリームパケットTSP内のパケット識別PIDを用いて対応する映像信号と音声信号を抽出し、映像デコーダ306と音声デコーダ307(図3)内に転送する。
前述のようにECM受信によりCASモジュール(ICカード)から得たスクランブル鍵(Ks)により(S3508)、デスクランブル(S3509)された圧縮状態の映像音声信号を得る。その後、映像デコーダ306と音声デコーダ307内で圧縮信号をデコード(S3510)して、表示器328やスピーカー329に出力する。
非契約ないし契約済みでもEMMが未受信の状態であれば、CASモジュール(ICカード)からのECM受信コマンドの応答として、非契約等のEMM未受信を意味する応答が返る。従って受信機300は表示器328にて“非契約”などの所定のエラーメッセージを生成しモニターに表示する(S3516)。
地上デジタルテレビジョン放送において、音声信号に対応したコンポーネントタグCMTGに対する設定値の既存の割当ては
○ 部分受信階層以外は“0x10〜0x2F”、
○ 部分受信階層においては、部分受信階層から直接参照される場合は“0x83〜0x86”、
○ 部分受信階層において部分受信階層以外から直接参照される場合は“0x84〜0x86”
と、予め定義されている。
またBS(Broadcasting Satellites)デジタルテレビジョン放送における音声信号のコンポーネントタグCMTGに対する設定値の既存の割り当ては
○ 部分受信階層以外は“0x10〜0x2F”、
○ 地上デジタル放送の部分受信階層以外およびBSデジタル放送いずれも
デフォルト音声信号は“0x10”と予め定義されている。
本実施形態における音声信号のコンポーネントタグCMTGの設定値に対して例えば、放送規格として新たに以下の値を固定値の運用する場合として割り当てる。
“0x20”⇒ 解説音声(日本語)
“0x21”⇒ 解説音声(英語)
“0x11”⇒ 多言語音声(英語)
“0x84”⇒ 解説音声(AAC 24kHz)
“0x86”⇒ 解説音声(AAC 48kHz)
また、部分受信階層の音声信号のうち、コンポーネントタグCMTGの値を“0x84〜0x86”に設定した場合は、部分受信階層以外からも直接参照が可能となっている。そのため例えば「部分受信階層、および部分受信階層以外でも視聴覚障がい者向け解説音声を行う場合はコンポーネントタグCMTGの設定値を“0x84”または“0x86”とする」と規定しても良い。この場合は、部分受信階層(ワンセグ)、部分受信階層以外の通常のテレビにおいても、視聴覚障がい者向け解説音声を優先的に選択することが可能となる。
さらに解説音声(日本語)、解説音声(英語)、多言語音声(英語)などの副音声信号が送られてきた場合には、本実施形態における受信機はデフォルト音声より優先して選択させる。そのユーザーインターフェイスを実行させる手段として、選択した副音声信号に対応したコンポーネントタグCMTGの設定値を受信機300内デマルチプレクサ304に設置された不揮発メモリ領域に記憶する。
図32に示す処理手順内部では、上記不揮発メモリ領域に記憶されたコンポーネントタグCMTGの設定値と同じ設定値を持った音声信号の有無を判定する(S3506)。
具体的には受信したプログラムマップテーブルPMT(S3505)内に配置されたストリーム識別記述子SIDC(図28(a))に記述されているコンポーネントタグCMTGへの設定値と上記不揮発メモリ領域に記憶された値を比較する。
あるいはイベントインフォメーションテーブルEIT内に配置された音声コンポーネント記述子AUDRに記述されているコンポーネントタグCMTGへの設定値と上記不揮発メモリ領域に記憶された値を比較する。図32のステップS3506内では、上記両者のいずれか一方を行ってもよい。しかし両者の比較を一緒に行うと、判定精度の向上が図れる。
その結果として放送信号内に含まれる音声信号内に該当する音声信号が無い場合(S3506のNoの場合)には、デフォルトの音声信号(音声エレメンタリーストリームES)を選択する(S3513)、
一方で放送信号内に含まれる音声信号内に該当する音声信号が有る場合(S3506のYesの場合)には、不揮発メモリ領域に記憶されたコンポーネントタグCMTGの設定値に対応した音声信号(音声エレメンタリーストリームES)を選択する(S3507)。
ユーザ(視聴者)の該当する音声信号を用いた視聴が終了する(S3515)まで、MPEGデコード(S3510)を続ける。
なお上記コンポーネントタグCMTG内への設定値の割り当ては上記例に限らず、音声信号(音声エレメンタリーストリームES)に割り当て可能なタグ値の範囲内で固定的な値として割り当てても良い。
上記に説明した実施形態例では、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報を、制御信号3100内に配置していた。
上記と異なる他の実施形態例では、上記の識別情報を符号化信号3200内(符号化信号3200を送信するトランスポートストリームパケットTSP内)に配置する。
連続する複数のトランスポートストリームパケットTSPのつながりの形態で放送信号が送信される。この1個のトランスポートストリームパケットTSP内は図33(a)が示すように、トランスポートストリームパケットヘッダTSHDとペイロードPYLDから構成される。前述した各種テーブルや符号化信号3200の実態は、上記ペイロードPYLD内に挿入される。
なお図33(a)内の下段は、各種情報が配置される位置を“ビット番号”で示している。放送局100から受信機140に向けて送信される場合は、ビット番号の若い順に送信される。そして1個のトランスポートストリームパケットTSPは、188バイト(188×8ビット)で構成される。
トランスポートストリームパケットヘッダTSHD内の最初の8ビット位置に同期バイトSYCが配置される。このパラメータ設定領域内に配置される設定値は“0x47”とする。
25ビット目と26ビット目の位置に、スクランブル制御TSCのパラメータ設定領域が配置される。ペイロードPYLD内のデータがスクランブルされてない場合には、この設定値が“00”となる。本実施形態では前半に記載したように、共通情報ECM410と個別情報EMM411(図4A)を用いて符号化信号3200にスクランブルを掛けている。従ってスクランブル制御TSCの領域内に“00”の設定値が入るケースは少ない 。
一方で偶数鍵を使用する場合にはスクランブル制御TSCの領域内に“10”の値が、奇数鍵を使用する場合には“11”の値が設定される。
29ビット目から32ビット目の位置に配置される連続性指標CCNTには、最大“1111”までの数値が入る。
12ビット目から24ビット目までの13ビットで構成されるパラメータ設定領域には、パケット識別PIDに関する情報(設定値)が配置される。このパケット識別PIDでは、ペイロードPYLD内に入る信号の種別と情報内容/信号内容3050に応じて設定値が変化する。
図33(b)は、従来から規定されている設定値の一覧を示す。プログラムマップテーブルPMTに関するパケット識別PIDの設定値は、プログラムアソシエーションテーブルPAT内で指定される。
また符号化映像信号や符号化音声信号、アプリケーションインフォメーションテーブルAITや有視聴権に関する制御メッセージECMが送信されるトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PID設定値は、上記プログラムマップテーブルPMT内で指定される。
視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報を符号化信号3200内(符号化信号3200を送信するトランスポートストリームパケットTSP内)に配置する方法として他に示す実施形態では、上記パケット識別PIDの設定値を利用しても良い。
すなわちパケット識別PIDの設定値あるいは設定値範囲を新規に規定する。放送局100は新規な規定に準拠した設定値をパケット識別PIDのパラメータ設定領域内に配置する。受信機300(内のデマルチプレクサ304)は、パケット識別PID内の設定値を解読して、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報と判別する。
図33(b)が示すように、従来の放送事業者毎に規定/運用可能な領域3400に対応した設定値範囲は、“0x0030〜0x1FC7”と“0x1FD0〜0x1FFE”の範囲と規定されている。従って他に示す実施形態では、上記範囲内の所定数値あるいは所定数値範囲を視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に割当てる。
“0x0030〜0x1FC7”と“0x1FD0〜0x1FFE”の設定値範囲の中で値が小さい領域は、既に従来の放送事業者(放送局100)が使用している可能性が高い。従って現状で放送事業者(放送局100)の使用可能性の低い“設定値が大きい範囲内”を新規に規定すると、放送事業者(放送局100)の大きな設備変更が不要な状態で対応し易い効果が生まれる。その一例として、“0x1FD0〜0x1FFE”の設定値範囲の一部を視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報、あるいは外国語音声に対応した識別情報に利用する。
他に示す実施形態での具体例を図33(c)に示す。すなわち“0x1FD0〜0x1FEE”の範囲内を所定の音声/映像/字幕に対応の割当領域3450に利用し、“0x1FF0〜0x1FFE”の範囲内を外国語に対応した副音声の割当領域3480に利用する。
上記の所定の音声/映像/字幕に対応の割当領域3450として、視覚が不自由な人向けの解説音声信号の割当領域3452および音声信号を聞き辛い人(例えば高齢者は高周波側音声が聞き辛くなる)向けの特殊音声信号割当領域3454(例えば音声信号内の高周波側成分のみ低周波側にシフトさせるなど)、字幕付映像信号割当領域3458、音声信号を聞き辛い人向けの手話映像を含んだ映像信号割当領域3456、各種言語対応字幕割当領域3460などに関する識別情報(設定値)を設定しても良い。
また外国語に対応した副音声の割当領域3480として、英語対応副音声割当領域3482、中国語対応副音声割当領域3484、韓国語対応副音声割当領域3486、ロシア語対応副音声割当領域34888などに関する識別情報(設定値)を設定しても良い。
上記識別情報(設定値)としての数値割当例を、図34に示す。従来の放送業者毎に規定/運用可能なPID値設定範囲領域に対して、ここで説明する実施形態で放送業者が使用可能な範囲領域が
〔実施形態1〕では“0x0030〜0x1FC7”の全てが適応し、
〔実施形態2〕では“0x0030〜0x1FC7”の一部のみが適応し
(残りの一部は“0x1FD0〜0x1FFE”の範囲内を含んでも良い)、
〔実施形態3〕では“0x1FD0〜0x1FFE”の範囲内のみが適応する。
視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報を符号化信号3200内に配置する他の方法として、パケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHD内に配置しても良い。
上記符号化信号3200内のデータ構造を、図35に示す。トランスポートストリームパケットTSP(図35(a))内のペイロードPYLD内に、エレメンタリーストリームのパケットが入る。そしてこの先頭に、パケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHDが配置される(図35(b))。
そしてこのパケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHD内の構造を図35(c)に示す。図35(c)内の上段部は、パラメータ設定領域毎を配置するビット番号を表す。
プレゼンテーションタイムスタンプPTSは、映像信号や音声信号、字幕信号などの間の同期表示に利用される。またデコーダタイムスタンプDTSは、受信機300内の映像デコーダ306や音声デコーダ307、字幕デコーダ308(図3)内でのデコードタイミング設定に利用される。
パケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHD内の先頭に配置される24ビットのパケット開始コードPSCD内には“0x000001”の数値が設定される。この値はバイナリー表示で“0”が23ビット連続する事を意味する。従って23ビット“0”が連続する場所を検知して、パケット開始コードPSCDの位置を確認できる。
図3の受信機300内のデマルチプレクサ304は、前述した同期バイトSYCの位置からトランスポートストリームパケットTSPの切れ目を検出できる。さらにパケット開始コードPSCDの位置を確認することで、より精度良く符号化映像信号VDOや符号化音声信号AUDを抽出できる。
視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報をパケッタイズドエレメンタリーストリームヘッダPESHD内に配置する方法として、ストリーム識別STIDのパラメータ設定領域内への設定値割付けを利用しても良い。
具体的な実施例を図35(d)に示す。視覚が不自由な人向け解説音声信号の割当領域3552に対して“0x00〜0x0F”の範囲を割り当て、その中の下位4ビットで対応言語を割当てても良い。
また音声信号を聞き辛い人向けの特殊音声信号の割当領域3554に対して“0x10〜0x1F”の範囲を割り当て、その中の下位4ビットで対応言語を割当てても良い。
さらに字幕付き映像信号の割当領域3558に“0x20〜0x2E”の範囲を割り当て、その中の下位4ビットで対応言語を割当てても良い。そして手話映像信号の割当て数値を“0x2F”に設定しても良い。
現状では視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)を、全ての番組で対応させるのは難しい。従って視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号が対応した番組を、ユーザ(視聴者)に対して事前に通知する手段が必要となる。
その具体化方法として本実施形態システムでは、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に関する識別情報を番組表やEPG(Electronic Program Guide)に設定しても良い。
番組表やEPG上に記載する識別情報の例を図36に示す。記号意味3006として音声解説が対応する識別情報として、区分番号3002が“90”、点番号3004として“60”に対応した特殊文字を設定する。
同様に字幕放送に対応する識別情報には、区分番号3002が“90”、点番号3004が“54”に対応した特殊文字を設定する。そした手話通訳放送に対応する識別情報として、区分番号3002が“90”、点番号3004が“53”に対応した特殊文字を設定する。
上記の識別情報として、図36に示す特殊文字を番組表やEPG上に記載する。それに拠りユーザ(視聴者)は、各種サービスに対応する番組を容易に選択できる。
またそれに限らず、ユーザ(視聴者)の番組選択などの機会などで、図36に示す特殊文字を受信機300内の表示器328(図3)の画面上に表示しても良い。
また図36の特殊文字を画面上に表示するタイミングとして、図37(の例えばS3604のタイミング)や図39(の例えばS3604のタイミング)の処理途中で行っても良い。
このように画面上に表示すると、ユーザ(視聴者)の番組選択の利便性が向上するだけでなく、ユーザ(視聴者)の番組選択が確実に行える効果が有る。
上記の特殊文字が掲載された番組表やEPGを応用した例を図37に示す。ユーザ(視聴者)の視聴開始(S3600)の段階で、番組表やEPGから上記の特殊文字を探す。
そして番組表やEPGを利用して、ユーザが“解説音声”または“特殊音声”、“手話表示の副映像”、“手話を含む映像”“日本語字幕”、あるいは“所定外国語の字幕表示”に対応する番組をリモートコントローラ352で選択する(S3601)。
すると受信機300内のデマルチプレクサ304(図3)は、ユーザが選択した映像/音声/字幕などを記憶する(S3602)。具体的には、今まで説明したコンポーネントタグ(Component_tag)CMTGまたはパケット識別PID、ストリーム識別STID内の設定値を内部メモリ領域内に記憶する。
次にユーザ(視聴者)が、現在視聴している選局チャンネルから別のチャンネルに選局チャンネル切替を希望した場合を考える。ユーザ(視聴者)は、番組表またはEPGから視覚/聴覚が不自由な人に対応する番組あるいは在日外国人に対応する番組が放送されているチャンネル(リモコンのボタン番号)を探す(S3603)。そしてその検索結果に基付き、ユーザの選局チャンネル切替(S3604)が行われる。
すると受信機300(内のデマルチプレクサ304)は、予めチャンネルスキャンを行って作成した“周波数、ネットワークID(図27(d)のネットワーク識別NETID)、リモコン割り当て番号(図27(e)のリモコンキー識別情報RCID(推奨リモコン番号)に対応)のリスト”から、周波数とネットワークID(図27(d)のネットワーク識別NETID)を抽出する。そしてチューナー切り替えとネットワークインフォメーションテーブルNITの取得を行う(S3605)。
地上デジタル放送では、サービス識別(service_id)は全国ユニークに割り付けられるが、TS情報記述子TSDR内のリモコンキー識別情報RCID(推奨リモコン番号)は、放送県域内ではユニークではあるが、隣接都道府県間では重複する値が割り当てられている。たとえば関東においても関東広域圏のNHK総合と群馬県域のNHK総合のリモコンキー識別情報RCID(推奨リモコン番号)は同じ値の“1”が割当てられる。
そこで、受信機300では、予め地上デジタル放送が放送されるUHFバンドの物理周波数をスキャンして地上デジタル放送に割り当てられたネットワーク識別から地上デジタル放送であることを識別し、受信地点での受信可能な地上デジタル放送波から作成した“周波数、ネットワーク識別、リモコンキー識別情報RCID(推奨リモコン番号)によるリストを作成する。
この際に、受信した際に上記受信可能なリストから重複したリモコンキー識別情報RCID(推奨リモコン番号)は、予めユーザが初期設定などのユーザインタフェースで設定した受信地の県域(都道府県など)から受信地の放送局を優先してそのリモコンキー識別に割当てる。
先のNHK総合の例では、受信地が群馬県であれば、関東広域ではなく群馬県域のNHK総合が選択される。また周波数は、同じ関東広域でも、スカイツリーや他のサテライト局から同じ放送波ではあるが周波数を変換して放送されており、テレビ受信機では、同一の放送局は受信感度(C/N)の高いほうを優先して受信チャンネルリストを生成する。
すると受信機300(内の制御部330)は、前述の予め周波数スキャンして生成した受信チャンネルリストより、ユーザーが選択したリモコンキー識別情報RCIDに相当する周波数とネットワーク識別を抽出し、放送チューナ 301 が受信する物理的条件(周波数など)を操作し、デマルチプレクサ304にてネットワークインフォメーションテーブルNITを取得して合致するトランスポートストリーム識別TSIDを抽出する。
そしてデマルチプレクサ304内部で記憶した“選局チャンネル切替直前の映像/音声/字幕などの情報”を用いて、該当するパケット識別情報PIDの設定値あるいはコンポーネントタグCMTGの設定値、ストリーム識別STIDの設定値を割り出す(S3606)。次に対応するパケット識別情報PIDの設定値から所定の符号化信号(エレメンタリーストリーム)を抽出する(S3607)。
以下に第2の実施例に付いて図38を用いて説明する。基本的な受信機の構成は図3で述べたとおりである。前述した第1の実施例との差異は、副音声の特定手段の違いにある。前述した第1の実施例では、音声信号に対応したコンポーネントタグCMTGの設定値をあらかじめ特定の音声サービスに関連付けて定義した。ここで説明する第2の実施例は、特定の音声信号が送信されるトランスポートストリームパケットTSPのパケット識別PIDの設定値を特定の値で定義する。例えば
“0x0310”を解説音声信号(日本語)に対応させ、
“0x0311”を解説音声信号(英語)に、そして
“0x0321”を多言語音声信号(英語)にそれぞれ対応させる。
このように割当てる。さらに副音声が送られてきた場合に、優先的に解説音声信号(日本語)または解説音声信号(英語)、多言語音声信号(英語)のいずれを選択させるユーザーインターフェイスを受信機300に具備させる。そして上記選択した後に、前記副音声信号に対応したパケット識別PIDの設定値を受信機300(内のデマルチプレクサ304)の不揮発メモリ領域に記憶する。
この受信機構成に対応した図38に示す動作フローにおいて、選択したパケット識別PIDの設定値に対応した副音声信号(エレメンタリーストリームES)が選択したチャンネルに含まれているか否かを判定する(S3706)。そして所望の副音声信号(エレメンタリーストリームES)が選択したチャンネルに含まれている場合(S3706の結果がYesの場合)は、その副音声信号(エレメンタリーストリームES)を再生する(S3507)。
一方で所望の副音声信号(エレメンタリーストリームES)が選択したチャンネルに含まれていない場合(S3706の結果がNoの場合)は、デフォルト音声信号(エレメンタリーストリームES)を再生する(S3513)ことが可能である。
第一の実施例と同様に、リモコンにより選局するチャンネル(サービス識別(service_id)SVID)が選ばれる(S3503)。
そして受信したプログラムアソシエーションテーブルPAT(S3501)から選局したいサービス識別(service_id)SVIDに対応したプログラムマップテーブルPMTを受信(S3505)し、選局チャンネル内の対応する映像信号や音声信号(エレメンタリーストリームES)の選択(S3507)に至る過程の途中で、パケット識別PIDの設定値に対する判定処理(S3706)が入る。
この判定処理において、あらかじめ優先的に選択する音声信号(エレメンタリーストリームES)に対応したパケット識別PIDの設定値が当該プログラムマップテーブルPMT内で配置されている(S3706の判定結果がYesの)場合は、対応する音声信号(エレメンタリーストリームES)に対応したパケット識別PIDを選択する(S3507)。
一方で当該プログラムマップテーブルPMT内に選択する音声信号(エレメンタリーストリームES)に対応したパケット識別PIDの設定値が配置されていない(S3706の判定結果がNoの)場合は、デフォルトの音声信号(エレメンタリーストリームES)に対応したパケット識別PIDの設定値を持つトランスポートストリームパケットTSPを抽出し(S3513)、そのペイロードPYLD内のデータを図3のデスクランブラ302に転送する。
前述のようにECM受信によりCASモジュールから得たスクランブル鍵(Ks)により、デスクランブル(S3509)された圧縮状態の映像音声信号を得た後に、映像デコーダ306と音声デコーダ307内で圧縮信号をデコードする。そしてデコード後の生信号を、表示器328やスピーカー329に出力する。
なお、このパケット識別PIDの設定値は上記例にとどまらず、音声信号(エレメンタリーストリームES)に割り当て可能な範囲内で固定的な値として割当ててもよい。
視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報の設定場所として、制御信号3100内に設定する方法と符号化信号3200に設定する方法について説明した。
本実施形態システムでは、上記識別情報を制御信号3100内と符号化信号3200内の両方に設定しても良い。両方に設定すると、上記符号化信号の検出精度と抽出精度が向上する効果が生まれる。
図39は、上記識別情報を制御信号3100内と符号化信号3200内の両方に設定した場合の受信機300(の内部のデマルチプレクサ304)が行う処理例を示す。
ユーザ(視聴者)が“解説音声”または“特殊音声”、“手話表示の副映像”、“手話を含む映像”“日本語字幕”、あるいは“所定外国語の字幕表示”を選択(S3601)場合には、デマルチプレクサ304内部で、ユーザが選択した映像/音声/字幕に対応するコンポーネントタグCMTGまたはパケット識別PID、ストリーム識別STIDなどのパラメータ設定領域内の設定値を記憶する(S3602)。
ユーザ(視聴者)が選局チャンネルを変更したい場合、番組表またはEPG内で図36に記載した識別情報(特殊文字)が記載された番組(視覚あるいは聴覚が自由でない人に対応する番組あるいは外国語に対応する番組)と対応選局チャンネルを探す(S3603)。そしてその検索結果に基付き、ユーザの選局チャンネル切替(S3604)が行われる。
すると受信機300(の内部の制御部330)は、前述の予め周波数スキャンして生成した受信チャンネルリストより、ユーザーが選択したリモコンキー識別情報RCIDに相当する周波数とネットワーク識別を抽出し、放送チューナ301が受信する物理的条件(周波数など)を操作し、デマルチプレクサ304にてネットワークインフォメーションテーブルNITを取得して合致するトランスポートストリーム識別TSIDを抽出する(S3805)。
次にプログラムアソシエーションテーブルPATから該当するプログラム番号PRNに対応したプログラムマップテーブルPMTのパケット識別PIDを抽出する(S3806)。
その後プログラムマップテーブルPMT内の記述子から該当するコンポーネントタグCMTGの設定値を検索し、それに対応するパケット識別情報PID(符号化信号のパケット識別情報EPID)の値を探す(S3807)。
そして上記のパケット識別情報PID(符号化信号のパケット識別情報EPID)値から、所定の符号化信号(エレメンタリーストリームES)を抽出する(S3808)。
その後、抽出した所定の符号化信号(エレメンタリーストリームES)に対してデスクランブル(S3509)とMPEGデコード(S3510)、ユーザ(視聴者)への表示(S3608)を行う。
図30(c)で説明したように、音声コンポーネント記述子AUDR内にコンポーネント種別ACTY(component_type)が配置されている。このパラメータ設定領域内に設定される既存の数値割り当てを図40に示す。
この定義では例えば、在日外国人向けの外国語音声、あるいは視覚障がい者向けの日本語による解説音声と英語による解説音声の両方がサービスされていても、その区別がつかない。
そこで第3の実施例では、音声コンポーネント記述子AUDR内に配置されたコンポーネントタグCNTGの設定値に対して、以下のように新たに割当てる。すなわち
日本語副音声信号に対して“0x20”を割当て、
英語副音声信号に対して“0x21”を割り当てる。
たとえば、前述の音声コンポーネント記述子AUDRにおいて、コンポーネント種別ACTY(component_type)と前述の固定運用として定義したコンポーネントタグCNTGの設定値の組合せで、受信機300はサービスされた副音声信号の内容を把握することが可能となる。その具体的な一例を、図41に示す。またコンポーネント種別ACTY(component_type)に割当てられた既存の設定値を図42に示す。
図41の記載例では、以下のようなルールで副音声信号(エレメンタリーストリームES)の属性を受信機300で把握できる。始めに図41内の(1)の例に付いて説明する。
音声コンポーネント記述子AUDRのコンポーネント種別ACTY(component_type)おいて、b6−b5が“01”となり、視覚障がい者用解説音声信号の属性を示す。次のb4−b0が“0011”の2/0モード(ステレオ)を表す。
またコンポーネントタグCNTGの設定値が“0x20”の日本語副音声信号を示す。従って(1)の例は“視聴覚障がい者向けの日本語による副音声信号”であることがわかる。
また例(2)に対する例(4)の違いは、コンポーネントタグCNTGの設定値が“0x21”となっているので、英語副音声信号を意味する。そしてコンポーネント種別ACTY(component_type)との組合せの結果として、例(4)は“視覚障がい者向け英語副音声信号(ステレオ)”であることが理解できる。上記表の他の事例も同様である。
また表には例示していないが、例(1)において、コンポーネント種別ACTY(component_type)の設定値を“00100111(0x27)”とすると、b4−b0が“00111”となる。従って視覚障がい者向け日本語副音声(3/1モード)となる。
図41の例(5)では、b6−b5の値が“00”となっている。一方既存技術(既存の規格)でも、b6−b5の値が実質的に“00”と設定するように運用されている。その結果として、図41の例(5)で設定した意味は、既に説明した実施例1と同様の結果となる。
このようにコンポーネント種別ACTY(component_type)内でb6−b5の値を固定的運用とする場合は、コンポーネントタグCNTGの設定値のみで定義する実施例1が有効となる。
第3の実施例に基付く受信機300(内のデマルチプレクサ304)が行う処理手順例を図43に示す。第1の実施例と同様にリモコンにより選局するチャンネル(service_id)が選ばれると、プログラムアソシエーションテーブルPATが受信される(S3501)。そして選局したいservice_idに対応したプログラムマップテーブルPMTに記載された選局チャンネルの映像信号や音声信号の選択(S3507)が行われる。
その一連の処理手順の途中で、設定済みのコンポーネント種別ACTY(component_type)の設定値とコンポーネントタグCNTGの設定値で定義された音声信号の存在可否判定(S3906)が行われる。
イベントインフォメーションテーブルEIT内に配置された音声コンポーネント記述子AUDR内のコンポーネント種別ACTY(compoment_type)とコンポーネントタグCNTGのパラメータ設定領域内の設定値を、受信機300内(のデマルチプレクサ304内)に予め記憶する。
S3906での存在可否判定では、上記で記憶した設定値を持つ音声信号(エレメンタリーストリームES)がプログラムマップテーブルPMT内に配置されているか否かの判定を行う。ここでイベントインフォメーションテーブルEITの再送周期は、プログラムマップテーブルPMTに比較して長い。そのためイベントインフォメーションテーブルEITは予め放送視聴していない時間に、制御部321内のメモリに予めキャッシュしてもよい。またそれにかぎらず、図8のように受信機800において複数のチューナ部(801−1、801−2)を搭載している場合には、放送視聴をしていないチューナ部によってイベントインフォメーションテーブルEITをデマルチプレクサ304(図3)で抽出して再送周期の長さに対応しても良い。
予めキャッシュしたイベントインフォメーションテーブルEIT内に配置された音声コンポーネント記述子AUDR内のコンポーネント種別ACTY(compoment_type)とコンポーネントタグCNTGのパラメータ設定領域内の設定値から判断し、所望の音声信号(エレメンタリーストリームES)がプログラムマップテーブルPMT内に配置されている場合(S3906の判定結果がYesの場合)には、その音声信号(エレメンタリーストリームES)に対応したパケット識別PIDを利用して、設定された音声信号(エレメンタリーストリームES)の選択を行う(S3507)。
一方でプログラムマップテーブルPMT内に配置されて無い場合(S3906の判定結果がNoの場合)には、デフォルトの音声信号(エレメンタリーストリームES)を選択する(S3513)。
前述のようにECM受信によりCASモジュールから得たスクランブル鍵(Ks)により、デスクランブルされた圧縮状態の映像音声信号を得た後に、映像音声デコード部で圧縮信号をデコードして(S3510)、モニターやスピーカーに出力する。
なお、所望の音声信号(エレメンタリーストリームES)が対応するパケット識別PIDは上記例に限らず、音声信号(エレメンタリーストリームES)に割り当て可能なパケット識別PIDの設定値範囲内で固定的な値として割り当てればよい。
上記の第3の実施例では、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報として、コンポーネントタグCNTGの設定値に固定値を割当てる運用を行っている。
それとは異なり第4の実施例では、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報として、パケット識別PIDの設定値に対して固定値を割当てる固定的運用を行う。
そしてさらに音声コンポーネント記述子AUDRのコンポーネント種別ACTY(component_type)の設定値との組合せによって、副音声信号の属性を把握することが可能とした例である。
音声信号に対応したパケット識別PIDのパラメータ設定領域内の設定値を例えば、以下のように固定的に運用する(固定値を割当てる)。すなわち
日本語副音声信号に対して“0x0310”を割当てる。また
英語副音声信号に対して“0x0311”を割り当てる。
第3の実施例と同様に、音声コンポーネント記述子AUDR内のコンポーネント種別ACTY(component_type)の設定値とパケット識別PIDへの上記設定値の組み合わせから、副音声信号の属性を把握できる。
図44は、上記第4の実施例における、組み合わせ設定例を示す。図44では、図41におけるコンポーネントタグCMTGへの設定値“0x20”を、パケット識別PIDの設定値“0x0310”に読み替える。また図41におけるコンポーネントタグCMTGへの設定値“0x21”を、パケット識別PIDの設定値“0x0311”に読み替えて表現した。
第1の実施例ないしは第2の実施例、第3の実施例、第4の実施例において、コンポーネントタグCMTGとパケット識別PIDのいずれを固定的運用とするかは、放送局100の設備改修が行い易い方法で選択すればよい。
また視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(解説音声信号や特殊音声信号、手話付き映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報として、いずれのパラメータ設定領域への設定値範囲を割当てるかは、前述同様の設備改修視点や選局チャンネルの切り替えや録画予約の利便性などを考慮して柔軟に判断しても良い。
具体的な上記識別情報の設定方法として第1の実施例ないしは第2の実施例のように、コンポーネントタグCMTGへの設定値やパケット識別PIDの設定値の割当て条件で指定しても良い。また第3の実施例ないしは第4の実施例のように、複数の異なるパラメータ設定領域の組み合わせを利用しても良い。
さらに上記識別情報の設定に利用するパラメータ設定領域として他に、ストリーム識別STID(図35(c))やコンポーネント内容CMCT(図30(a)と(c))を使用しても良い。またそれに限らず上記識別情報の設定に利用するパラメータ設定領域として、任意の記述子DCR内のパラメータ設定領域への設定値の割当てを活用しても良い。
また図30で説明したように、コンポーネント種別ACTY(component_type)やコンポーネントタグCMTGは、音声コンポーネント記述子AUDRやコンポーネント記述子CMDRは、イベントインフォメーションテーブルEIT内に配置される。
従ってこれらの識別情報を利用する事で、番組表やEPGからでも当該音声サービスの実施の有無が確認できる。またこの識別情報を(例えば図36の特殊文字の形態で)画面上に表示すると、録画予約時などに有効な情報として活用も可能である。
図30(c)で既に、音声コンポーネント記述子AUDR内データ構造の概要を示した。さらに詳細なデータ構造を図45に、また各パラメータ設定領域毎の具体的内容を図46に示す。図45と図46内の“text_char”は図30(c)のコンポーネント記述情報CMTTに対応し、このパラメータ設定領域内に任意な文字列を設定できる。
第5の実施例では上記のパラメータ設定領域では音声コンポーネント音声種別名として、16バイト以下(または全角8文字以下)の固定的文字列を設定する。
このような固定文字列の運用を行った場合の、当該音声信号(エレメンタリーストリームES)を対応させた例を示す。例えばこのパラメータ設定領域内に
“解説音声 日本語”や“解説音声 英語”、“外国音声 英語”を記述する。
またデュアルモノの場合は、“解説音声CR日本語 英語”や“外国音声CR英語”を記述する。
このように記述すると、受信機300は対応する音声信号の属性を容易に把握できる。そして受信機300に予め優先的に選択する副音声信号を設定するユーザーインタフェイスを具備させる。
そしてプログラムマップテーブルPMT内に『優先的に選択する音声信号に対応したパケット識別PID』が配置されている場合は、その音声信号を選択する。
一方でプログラムマップテーブルPMT内に『優先的に選択する音声信号に対応したパケット識別PID』が配置されて無い場合は、デフォルト音声信号を抽出する。
そしてECM受信によりCASモジュールから得たスクランブル鍵(Ks)により、デスクランブルされた圧縮状態の映像音声信号を得た後に、映像音声デコード部で圧縮信号をデコードして、モニターやスピーカーに出力する。
上記の第5の実施例を使用すると、任意に定義可能なtext_charであるため、送出設備を改修する必要が無く対応が容易となる効果が有る。なぜなら現状の規格でも上記コンポーネント記述情報CMTT(“text_char”)内に任意の文字列記載が許されている。
ここで上記第5の実施例を実現するには、副音声信号を運用する際の音声信号(エレメンタリーストリームES)の名称の運用のみをルール化すれば良い。
第6の実施例では、音声コンポーネント記述子AUDR内のコンポーネント種別ACTY(component_type)の設定値とコンポーネント記述情報CMTT内に挿入する文字列を一定の固定的ルールで運用する。そしてこれらの組合せで、副音声信号の属性を表現する。例えば文字列に、“日本語副音声”や“英語副音声”、“外国音声CR英語”などと記述するルールを規定する。この方法で受信機300は、サービスされた副音声信号の属性が把握できる。
図47の記載例では、第3の実施例における“0x20”に設定したコンポーネントタグCMTGを、“日本語副音声”に読替える。また“0x21”に設定したコンポーネントタグCMTGを、“英語副音声”に読み替えれば良い。また二重音声で日本語・英語で運用する場合は、“外国音声CR英語”とすれば、同様の効果がえられる。
第7の実施例では、音声コンポーネント記述子AUDR内のコンポーネント種別ACTY(component_type)とISO_639言語コードLGCD(ISO_639_language_code)との組合せを一定の固定的ルールで運用する。具体的な一例を図48に示す。音声コンポーネント記述子AUDR(component_type)内のISO_639言語コードLGCD(ISO_639_language_code)との組合せにより、受信機300は容易にサービスされた副音声信号の属性を把握できる。
第8の実施例は、コンポーネントタグCMTGと音声コンポーネント記述子AUDR内のISO_639言語コードLGCD(ISO_639_language_code)との組合せを一定の固定的ルールで運用する。その具体的な一例を図49に示す。受信機300はこれらの組合せで、副音声の属性を理解できる。
上記実施例のコンポーネントタグCMTG(component_tag)は割り当ての一例であり、デフォルト音声信号(エレメンタリーストリームES)以外に割り当て可能な“0x11〜0x2F”範囲内の数値を設定しても良い。
第9の実施例は、選択した番組に対応したイベントインフォメーションテーブルEIT内に配置される短形式イベント記述子における“event_name_char”ないし“text_char”に配置された特定の文字コードと、この特定の文字コードと選択した音声信号に対応するコンポーネントタグCMTとの組合せにより副音声信号の属性を規定する
たとえば、短形式イベント記述子における“event_name_char”ないし“text_char”に番組記号の[解]を含む場合において、
コンポーネントタグCMTの設定値が“0x20”の場合は視覚障がい者向け日本語副音声を示し、
“0x21”の場合は視覚障がい者向け英語副音声信号、
“0x22”の場合は聴覚障がい者向け日本語副音声信号、
“0x23”の場合は聴覚障がい者向け英語副音声信号をそれぞれ対応させても良い。
一方で短形式イベント記述子における“event_name_char”ないし“text_char”に番組記号の[解]を含まない場合は、コンポーネントタグCMTの設定値が“0x20〜0x23”の範囲内であっても、視聴覚障がい者向けの解説音声信号ではないと規定する。こうすると受信機300は、サービスされた副音声信号の属性を把握できる。
コンポーネントタグCMTの設定値は上記に限らず、デフォルト音声信号以外に割り当て可能な“0x11〜0x2F”範囲内の任意の設定値を指定しても良い。
さらに第8の実施例と組合せてもよい。すなわち短形式イベント記述子内の“event_name_char”ないし“text_char”に番組記号の[解]がある場合は、第8の実施例と認識する。
一方で短形式イベント記述子内の“event_name_char”ないし“text_char”に番組記号の[解]がない場合には、視聴覚障がい者向けの解説音声信号ではないと規定しても良い。
また、この短形式イベント記述子における“event_name_char”ないし“text_char”に配置する記号は[解]に限らず、規格により全放送局で統一的に運用可能なものであれば任意の記号を指定(規定)しても良い。
第10の実施例に付いて以下に説明する。本提案が主として視聴覚障がい者向け放送や在日外国人向け多言語放送の利便性を改善する目的であることから、地上デジタル放送のような受信対象が多い基幹放送に効果がある。しかし一方で、地上デジタル放送は放送局マスター設備がNHK、民放あわせ約200ある。そのため、必ずしもひとつのルールにならない可能性がある。以下はこうした事情の場合に上記実施例を複数規定し、内容の優先順位を設ける例を示す。
実施例11と12は、コンポーネントタグCMTG(component_tag)ないしパケット識別PIDの特定の値に意味を持たせる例である。たとえば、実施例11によるコンポーネントタグCMTG(component_tag)に特定の意味を持たせるルールを導入する。イベントインフォメーションテーブルEIT内の音声コンポーネント記述子AUDR内に配置されるコンポーネント種別ACTY(component_type)のb6−b5は、優先順位の低い規定であるとルール化する。
そして実施例11において音声コンポーネント記述子AUDRのコンポーネントタグCMTG(component_tag)の設定値を“0x20”とすると、仮にイベントインフォメーションテーブルEIT内の音声コンポーネント記述子AUDR内に配置されるコンポーネント種別ACTY(component_type)のb6−b5が“00”でも、解説音声(日本語)とみなせる。
ことが可能である。
また、望ましい例ではないが、実施例12においてパケット識別PIDの設定値に特定の意味を持たせるルールを導入しても良い。そしてイベントインフォメーションテーブルEIT内の音声コンポーネント記述子AUDR内に配置されるコンポーネント種別ACTY(component_type)のb6−b5は優先順位の低い規定であるとルール化する。するとプログラムマップテーブルPMT内に設定されたパケット識別PIDが優先される。
従ってこの場合に仮に、イベントインフォメーションテーブルEIT内の音声コンポーネント記述子AUDR内に配置されるコンポーネント種別ACTY(component_type)のb6−b5が“00”の場合でも、プログラムマップテーブルPMT内に設定されたパケット識別PIDが優先される。つまりこの場合はユーザー(視聴者)は、EPGの段階では優先選択設定した副音声が含まれるかは判別できない。
上記実施例12において、オンエアーのリアルタイム受信では、予め設定した副音声信号が自動選択可能となる。しかし録画再生時には、プログラムマップテーブルPMT内に設定されたパケット識別PIDが優先される。
このように実施例12は、録画予約などにも適用可能とする。例えば録画時には当該番組のプログラムマップテーブルPMT内に設定されたすべての音声信号(エレメンタリーストリームES)を記録(録画、蓄積)する。そして録画再生時には、プログラムマップテーブルPMT内に設定されたパケット識別PIDが優先される。
また現在の既存の運用規定では、音声コンポーネント記述子AUDRのコンポーネント種別ACTYのb6−b5は“00”で固定運用というルールになっている。
従って今後新たにb6−b5を運用する場合は、b6−b5の設定値で優先順位を規定してもよい。例えばb6−b5の設定値が“01”または“10”の場合は、このビットを優先させても良い。それと同時にb6−b5の設定値が“00”の場合は、コンポーネントタグCMTGまたはパケット識別PIDの設定値を優先させても良い。
上述した第1の実施例から実施例12で説明した内容を利用すると、副音声信号が視聴覚障がい者向け音声信号、または多言語音声信号の属性を持つ事を示す識別情報を映像信号または通信信号内に配置できる。そして受信機300はこの識別情報を利用して、対応する副音声信号が視聴覚障がい者向け音声信号、または多言語音声であること理解できる。
またさらにユーザ操作に基付き、デフォルト音声信号より優先して上記の音声信号を優先的に表示できる手段を設ける。この手段において、選局した番組のプログラムマップテーブルPMT内に上記優先すべき副音声信号が存在する場合は、その副音声信号を優先的に再生する。一方でプログラムマップテーブルPMT内に上記優先すべき副音声信号が存在しない場合には、デフォルトの音声信号を再生させる。
図26または図35に示した実施例では、トランスポートストリームパケットTSPを単位として放送信号を送信する方法を示している。それに限らず本実施形態システムでは、他の形式で放送信号または通信信号を送信しても良い。
他の実施形態システムシステムにおいて、図50は放送信号の送信形態、図51は通信信号の送信形態を示す。また図52(a)は図50に対応した送信信号内のデータ構造を、図52(b)は図52(b)は図51に対応した送信信号内のデータ構造をしめす。
MPEGメディアトランスポートプロトコルパケットMMTP内のMPEGメディアトランスポートプロトコルペイロードヘッダPMLH内には図52(d)と(e)に示すように、MPEGメディアトランスポートプロトコルパケットヘッダMMTHが配置されている。
またその中にパケット識別子MPIDが配置される(図53(a))。このパケット識別子MPIDのパラメータ設定領域内の設定値で、制御信号3100や符号化信号3200の識別が可能となっている。
例えば図53(b)に示すように、パケット識別子MPIDのパラメータ設定領域内の設定値として“0x0100〜0x7FFF”の範囲内の数値を設定した場合には、伝送データ部DATA(図52(c))内に符号化信号3200の中身(の一部)が入る。
またパケット識別子MPIDのパラメータ設定領域内に“0x8000”の値を設定した場合には、伝送データ部DATA(図52(c))内にはイベントインフォメーションテーブルEIT内の各種情報と類似した内容の情報が入る。
従って視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(音声信号や映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報を、上記パケット識別子MPID内の設定値(あるいは設定値範囲)に持たせても良い。
具体的には、従来の制御メッセージ以外でも割り当て可能な領域に対応する設定値範囲“0x0100〜0x7FFF”あるいは事業者設定可能領域に対応する設定値範囲“0x9000〜0xFFFF”内の一部に、視覚または聴覚が自由でない視聴者に適合した属性を有する符号化信号(音声信号や映像信号、字幕信号など)に対応した識別情報を対応させる。
図53(c)の例では“0x0100〜0x7FFF”の範囲を特定属性を持つ符号化信号の割り当て領域4300に設定している。そして図53(d)または図53(e)に示すように、各種の符号化信号の属性を提起しても良い。
この実施形態システムでは、MPEG2セクションメッセージ内に、図27や図30に示した各種テーブルに対応した情報が配置可能となっている。したがって上記のパケット識別子MPID内の設定値に限らず、この実施形態システム内でコンポーネントタグCMTGやコンポーネント識別ACTYに対応する情報(内の設定数値範囲)に上記の識別情報を持たせても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。