JP2019128454A - 金属調光沢膜及び色可変部材 - Google Patents

金属調光沢膜及び色可変部材 Download PDF

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Abstract

【課題】金属調光沢を呈し、電圧印加により金属調光沢の色相が変化する金属調光沢膜を提供する。【解決手段】チオフェン系化合物の電解重合物を含むポリチオフェン系有機膜と、エレクトロクロミック材料の電解重合物を含むエレクトロクロミック膜と、を互いに接触させて積層して含み、電圧を印加することで金属調光沢を発現する金属調光沢膜である。【選択図】図1

Description

本開示は、金属調光沢膜及び色可変部材に関する。
金色及び銀色等に代表される金属調の色合いは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色より得られる色合いに比べ、見た目が高貴な印象を与え、金属に似せた印象が得られる点で、様々な用途又は目的等において用いられている。
金属材料以外の材料で金属調を実現する技術は、従来から種々検討されている。
例えば非特許文献1には、アゾベンゼン誘導体が乾燥下でも持続可能な金色光沢結晶を形成することに関する研究成果が報告されている。
また、チオフェン系化合物が単独で金属調の光沢を呈することの報告もある。
例えば非特許文献2には、金色の光沢を呈する3−メトキシチオフェンの電解重合膜に関する報告がなされている。
更に、非特許文献3には、液晶を用いて作製され、液晶構造に基づいて金色や銀色等を呈するポリチオフェンに関する報告がなされている。
一方、チオフェン系化合物の一つとして、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(いわゆるPEDOT)が知られている。PEDOTは、薄膜として使用した場合の光透過性の良好なポリマーであり、種々の分野で一般に使用されている。したがって、通常は、金属調の光沢を呈しないポリマーとして広く知られている。
「金属光沢のある低分子有機結晶の創製」、高橋 裕等、J. Jpn. Soc. Colour Mater., 87〔12〕, 442-447(2014) "Electropolymerized films of 3-methoxythiophene with a potential sweep-induced gold-like luster", Polymer Journal (2016) 48, Takuya Tokuda, 1141-1149 "Crystal-Liquid Crystal Ordered Double Layer Electroactive Polymer Prepared with Phase Transition Sequential Polymerization, Showing Metallic Electrochromism-Bronze, Silver, and Gold", Hiromasa Goto, JOURNAL OF POLYMER SCIENCE, PART A: POLYMER CHEMISTRY 2013, 51, 3097-3102
上記した従来技術のように、従来から金属材料以外の材料で金属調を実現する技術が検討されており、チオフェン系化合物を用いて金属調の光沢を得ることも提案されている。
しかしながら、単一の化合物では、再現できる色調が限られ、化合物由来の特定の色調が再現されるに留まる。実用化の観点からすると、金属調の光沢を呈し、かつ、金属調の光沢の色種又は光沢の色種の変化を任意に選択できることが望まれる。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、金属調光沢を呈し、電圧印加により金属調光沢の色相が変化する金属調光沢膜を提供することにある。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、金属調光沢を呈し、電圧印加により金属調光沢の色相を変化させて調色又は調光を行う色可変部材を提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> チオフェン系化合物の電解重合物を含むポリチオフェン系有機膜と、エレクトロクロミック材料の電解重合物を含むエレクトロクロミック膜と、を互いに接触させて積層して含み、電圧を印加することで金属調光沢を発現する金属調光沢膜である。
<2> 前記チオフェン系化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン系化合物である前記<1>に記載の金属調光沢膜である。
<3> 前記エレクトロクロミック材料は、アニリン系化合物及びチオフェン系化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物である<1>又は前記<2>に記載の金属調光沢膜である。
<4> 前記エレクトロクロミック膜が、アニリン系化合物の電解重合物を含む前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の金属調光沢膜である。
<5> 前記ポリチオフェン系有機膜及び前記エレクトロクロミック膜の合計の厚みが1μm〜5μmである前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の金属調光沢膜である。
<6> 第1電極と、電解質と、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の金属調光沢膜と、第2電極と、をこの順に備えた色可変部材である。
<7> 前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも第1電極は、透明電極である前記<6>に記載の色可変部材である。
<8> 前記透明電極は、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、及びアンチモンドープ酸化スズから選択されるいずれか1つの薄膜電極である前記<6>又は前記<7>に記載の色可変部材である。
本発明の一実施形態によれば、金属調光沢を呈し、電圧印加により金属調光沢の色相が変化する金属調光沢膜が提供される。
また、本発明の他の実施形態によれば、金属調光沢を呈し、電圧印加により金属調光沢の色相を変化させて調色又は調光を行う色可変部材が提供される。
三電極式のセルの一例を示す概略図である。 400nm〜800nmの波長域におけるPEDOT/PANI複合膜の正反射率(%)を示すグラフである。 PEDOT/PANI複合膜の電圧印加による色変化の可逆性を示すグラフである。
以下、本開示の金属調光沢膜及び色可変部材について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
<金属調光沢膜>
本開示の金属調光沢膜は、チオフェン系化合物の電解重合物を含むポリチオフェン系有機膜と、エレクトロクロミック材料の電解重合物を含むエレクトロクロミック膜と、を互いに接触させて積層して含み、電圧を印加することで金属調光沢を発現する膜である。
従来から、金属材料以外の材料で金属調を実現する技術が検討されており、チオフェン系化合物を用いて金属調の光沢を得ることも提案されている。しかし、非特許文献2に報告されている3−メトキシチオフェンの電解重合膜では、有機溶剤に溶解する比較的分子量の高くない化合物に由来して得られる発色であり、化合物由来の色調が得られるに留まる。また、非特許文献3に報告されているポリチオフェンでは、金色や銀色等の発色は液晶構造に基づいて発現した構造色であり、液晶由来の色調が得られるに留まる。このように、単一の化合物では再現できる色調が限られ、化合物由来の特定の色調が再現されるに留まるため、任意の金属調光沢を発現し、かつ、金属調光沢の色種又は光沢の色種の変化を任意に選択できる技術の提供が望まれている。
本開示は、上記に鑑みたものであり、チオフェン系化合物の電解重合物を含むポリチオフェン系有機膜とエレクトロクロミック材料の電解重合物を含むエレクトロクロミック膜とを互いに接触させて積層した積層構造を有する。
これにより、電圧印加した場合に、いずれも金属調の光沢を示さないポリチオフェン系有機膜とエレクトロクロミック膜とから金属調の光沢が発現し、更に電圧に変化を与えることにより、金属調の光沢色を変化させることができる。
本開示の金属調光沢膜は、例えば、電圧が正の場合は金色を呈し、電圧を下げて負に近づけていくと、金色から緑色の金属調の光沢へ変化させる膜とすることができる。
−ポリチオフェン系有機膜−
本開示の金属調光沢膜は、ポリチオフェン系有機膜を有する。
ポリチオフェン系有機膜は、チオフェン系化合物を電界重合して得られる膜を指す。具体的には、本開示のポリチオフェン系有機膜は、電解重合法により芳香族化合物であるチオフェン系化合物を電解酸化させることで製膜された膜である。
チオフェン系化合物は、5員環構造を持つチオフェン及びその誘導体が含まれる。
チオフェン誘導体としては、3,4−エチレンジオキシチオフェン系化合物が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)及びその誘導体が含まれる。EDOTは、それ自体は透明性の膜で金属調の光沢は呈しないが、後述するエレクトロクロミック膜の表面に積層した際に相互作用し合って良好な金属調の光沢を呈する。かかる観点から、チオフェン系化合物の中でも、EDOTがより好ましい。
金属調光沢膜におけるポリチオフェン系有機膜の膜厚としては、数nm〜5μmの範囲が好ましく、1μm〜3μmがより好ましい。膜厚が数nm以上であると、良好な金属調の光沢を得るのに適している。また、膜厚が厚すぎると、光の透過率が低下する傾向があるため、5μm以下であることが好ましい。
膜厚は、電解重合の電圧印加のサイクル数で制御することができる。
電解重合法では、適当な溶媒と電解質とを含む溶液を容器に収容し、例えば図1に示すように、作用極、対極、及び参照電極を溶液に挿入して三電極式のセルを作製し、電極に定電位を印加することで、陽極である作用極に高分子(ポリチオフェン)を成長させることができる。
三電極式のセルの例としては、ビー・エー・エス株式会社製のセル等が挙げられる。
電解重合は、常法により、作用電極と参照電極との電位差を一定にした定電位法で通電することで行える。セルでは、作用極(例:白金電極、透明電極(ITO、FTO等)付基材(ガラス等)など)、対極(例:銀線、白金線など)、及び参照電極(例:白金電極、Ag/AgCl電極、Ag/AgNO電極など)を目的等に応じて適宜選択すればよい。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(AN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロエタン(DCE)等を使用することができる。
電解質としては、溶液の導電性を向上させる成分であればよく、例えば、アルカリ金属のハロゲン化物又は硝酸塩(例:塩化ナトリウム)、オキソ酸(例:硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、過塩素酸)などを使用することができる。
上記のうち、電解質としては、後述するチオフェン系化合物のうち、特に3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を用いてエレクトロクロミック膜の表面にポリチオフェン系有機膜を積層した際に良好な金属調の光沢を発現させ得る観点から、硝酸が好ましい。
チオフェン系化合物を電解重合する際に印加する電圧としては、−1.0V〜1.5Vの範囲であることが好ましく、−0.5V〜1.0Vの範囲であることがより好ましい。
チオフェン系化合物を電解重合する際の電圧印加のサイクル数としては、1回〜20回が好ましく、5回〜15回がより好ましく、7回〜13回がさらに好ましい。
−エレクトロクロミック膜−
本開示の金属調光沢膜は、前記ポリチオフェン系有機膜の表面に直接、エレクトロクロミック材料の電解重合物を含むエレクトロクロミック膜が配置されている。これにより、金属調の光沢を発現させることができる。
エレクトロクロミック材料としては、有機材料及び無機材料のいずれも使用可能であるが、ポリチオフェン系有機膜の表面に形成した際に良好な金属調の光沢を呈する点で、アニリン系化合物及びチオフェン系化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
即ち、エレクトロクロミック膜としては、アニリン系化合物の電解重合物及びチオフェン系化合物の電解重合物からなる群より選択される少なくとも一つの電解重合物であることが好ましい。
中でも、上記と同様の理由から、エレクトロクロミック膜は、アニリン系化合物の電解重合物であることがより好ましい。
なお、電解重合物とは、一態様として化合物を電界重合して得られる膜を含む。したがって、本開示におけるエレクトロクロミック膜が電解重合物である場合、エレクトロクロミック膜は、電解重合法により芳香族化合物であるアニリン系化合物又はチオフェン系化合物を電解酸化させることで製膜された膜である。
アニリン系化合物としては、アニリン及びその誘導体が含まれ、アニリン誘導体としては、例えば、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン等が挙げられる。
また、チオフェン系化合物には、5員環構造を持つチオフェン及びその誘導体が含まれ、好ましい態様等の詳細については、既述の通りである。
上記の中では、ポリチオフェン系有機膜を積層した際に良好な金属調の光沢を発現させ得る観点から、アニリンが好ましい。
金属調光沢膜におけるエレクトロクロミック膜の膜厚としては、数nm〜5μmの範囲が好ましく、200nm〜1μmがより好ましい。膜厚が数nm以上であると、エレクトロクロミック特性を発現して金属調の光沢を幅広く変化させるのに適している。また、膜厚が厚すぎると、光の透過率が低下する傾向があり、5μm以下であることが好ましい。
膜厚は、電解重合の電圧印加のサイクル数で制御することができる。
電解重合法では、適当な溶媒と電解質とを含む溶液を容器に収容し、作用極、対極、及び参照電極を溶液に挿入して三電極式のセルを作製し、電極に定電位を印加することで、陽極である作用極に高分子(ポリアニリン)を成長させることができる。
電解重合は、常法により、作用電極と参照電極との電位差を一定にした定電位法で通電することで行える。セルでは、作用極(例:白金電極、透明電極(ITO、FTO等)付基材(ガラス等)など)、対極(例:銀線、白金線など)、及び参照電極(例:白金電極、Ag/AgCl電極、Ag/AgNO電極など)を目的等に応じて適宜選択すればよい。
また、電解重合に使用する溶媒及び電解質については、既述のポリチオフェン系有機膜における場合と同様である。
エレクトロクロミック材料を電解重合する際に印加する電圧としては、−1.0V〜1.5Vの範囲であることが好ましく、0V〜1.2Vの範囲であることがより好ましい。
エレクトロクロミック材料を電解重合する際の電圧印加のサイクル数としては、1回〜40回が好ましく、10回〜35回がより好ましく、20回〜35回がさらに好ましい。
ポリチオフェン系有機膜及びエレクトロクロミック膜の合計の厚みとしては、1μm〜5μmであることが好ましい。本開示における金属調光沢膜は、合計の厚みが薄く、塗料として利用する際に重さやコストを抑えることができる点で優れている。
−その他−
本開示の金属調光沢膜は、膜全体を保護するため、上記のポリチオフェン系有機膜及びエレクトロクロミック膜のほか、更に透明な保護膜を有し、ポリチオフェン系有機膜及びエレクトロクロミック膜を保護膜で覆ってもよい。
本開示の金属調光沢膜の製造は、以下のようにして行うことができる。
即ち、溶媒と電解質(好ましくは硝酸)とエレクトロクロミック材料とを含む溶液中に導電性の基材(電極)を浸漬して電解重合法によりエレクトロクロミック膜を形成する工程と、前記エレクトロクロミック膜が形成された前記基材を、溶媒と電解質(好ましくは硝酸)とチオフェン系化合物とを含む溶液中に浸漬して電解重合法により前記エレクトロクロミック膜の表面にチオフェン系有機膜を形成する工程と、を有する方法により行うことができる。
具体的には、まず、適当な溶媒と電解質(好ましくは硝酸)とエレクトロクロミック材料(例えばアニリン)とを含む溶液を調製し、これを収容した容器内の溶液中に、作用極として所望の基材を浸漬した状態でサイクリックボルタンメトリー法により電解重合を行ってエレクトロクロミック(例えばポリアニリン)膜を形成する。その後、必要に応じて膜面に水洗等を施す。次いで、適当な溶媒と電解質(好ましくは硝酸)とチオフェン系化合物(例えば3,4−エチレンジオキシチオフェン;EDOT)とを含む溶液を収容した容器内の溶液中に、作用極としてエレクトロクロミック(ポリアニリン)膜が形成された基材を浸漬し、サイクリックボルタンメトリー法により電解重合を行って、エレクトロクロミック膜上にチオフェン系化合物(例えばEDOT)膜を積層する。
このようにして、金属調光沢膜を作製することができる。
上記の積層構造を有する金属調光沢膜は、電圧を印加することで金属調の光沢を発現する。
金属調の光沢を発現させる印加電圧としては、特に制限はないが、電解質が分解しない範囲で電圧を印加する観点から、−1.22V〜1.22Vの範囲が好ましい。例えば、電解質として水を用いる場合、印加電圧は、−1V〜1Vの範囲が好ましい。
印加電圧を変えることで、発現する色相を変化させることが可能である。
<色可変部材>
本開示の色可変部材は、既述の本発明の金属調光沢膜を備えている。したがって、電圧印加した際に金属調の光沢を呈し、金属調の光沢色を変化させることが可能である。
具体的には、本開示の色可変部材は、第1電極と、電解質と、既述の本開示の金属調光沢膜と、前記第1電極と対をなす第2電極と、をこの順に備えている。本開示の色可変部材は、更に、必要に応じて他の膜が設けられていてもよい。
なお、金属調光沢膜の詳細は、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
−第1電極−
本開示における第1電極としては、導電性の基材であれば使用に制限はなく、透明電極及び非透明電極のいずれも使用可能である。
なお、「透明」とは、電極の一方の面から入射した光量に対する、電極内部を通過して他方の面から出射した光量の比が80%以上であることをいう。
非透明電極としては、例えば、板状の金属基材、導電性樹脂基材等を用いることができる。
透明電極としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide;ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(Fluorine doped tin oxide;FTO)、及びアンチモンドープ酸化スズ(Antimony doped. Tin Oxide;ATO)から選択される薄膜電極、並びに、上記薄膜電極が透明基材(例えば、ガラス基材等)の上に製膜された薄膜電極付基材を使用することができる。
第1電極は、金属調光沢膜を外部から視認可能に構成する観点から、透明電極又はこれを有する薄膜電極付基材であることが好ましく、更には薄膜でもある観点から、薄膜電極であることがより好ましい。
第1電極の厚みとしては、特に制限はなく、目的又は用途等に応じて選択すればよい。例えば透明電極を使用する場合、透明電極の厚みは、1mm〜3mmの範囲であることが好ましい。
−第2電極−
本開示における第2電極としては、導電性の基材であれば使用に制限はなく、非透明電極及び透明電極のいずれも使用可能である。
非透明電極及び透明電極の詳細については、第1電極と同様であり、好ましい態様も同様である。
本開示の色可変部材は、変色状態の視認を可能とする点で、第1電極及び第2電極のうちの少なくとも第1電極が、透明電極である態様が好ましい。
−電解質−
電解質としては、溶液の導電性を向上させる成分であればよく、例えば、水、有機溶媒(例:エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、アセトニトリル)、固体電解質(例:N,N,N2’,N2’,N,N,N7’,N7’−octakis(4−methoxyphenyl)−9,9’−spirobi(9H−fluorene−2,2’7,7’−tetramine,Spiro−OMeTAD)などを使用することができる。
上記のうち、電解質としては、寿命が長い観点から、有機溶媒が好ましい。
−その他−
本開示の色可変部材では、上記した第1電極及び第2電極、電解質、並びに、金属調光沢膜のほか、色可変部材を保護するため、色可変部材を透明な保護膜で覆ってもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
−A.使用試薬−
・アニリン(純度:99質量%;アニリン系化合物):和光純薬工業株式会社
・3,4−エチレンジオキシチオフェン(純度:97質量%;3,4−エチレンジオキシチオフェン系化合物):Sigma Aldrich社
・アセトニトリル(純度:>99.5質量%):関東化学株式会社
・電解質:硫酸(純度:>96.0質量%、関東化学株式会社)
・電解質:硝酸(純度:69〜70質量%、関東化学株式会社)
・超純水:アドバンテック株式会社
−B.使用機材及び機器−
・FTO透明導電性基板(TEC−15、厚み:2.2mm):Sigma Aldrich社
・対極:白金ワイヤー
・Ag/AgCl参照電極(内部溶液:3M NaCl):ビー・エー・エス株式会社
・Ag/AgNO参照電極(内部溶液:0.01M AgNO,0.1M TBAP):ビー・エー・エス株式会社
・ポラリゼーションシステム:オートマチックポラリゼーションシステム HSV−110:北斗電工株式会社
・分光光度計:U−3900、株式会社日立製作所
−C.実験操作−
(1)ポリアニリン薄膜の作製
50mlビーカーに、超純水30ml、硝酸0.625ml、及びアニリン0.274mlを加え、よく撹拌した。三電極式のセル(ビー・エー・エス株式会社)を用い、作用極部分にFTO透明導電性基板を取り付け、対極部分に白金ワイヤーを取り付け、参照電極にAg/AgCl参照電極を取り付けた。
続いて、ポラリゼーションシステムを使用し、サイクリックボルタンメトリー法により電解重合を行ってポリアニリン(PANI)を製膜した。この際、電圧を50mV/secの速度で0V〜1.2Vでスイープし、電解重合のサイクル数を10回とした。
そして、電解重合により得られたポリアニリンの表面に付いたモノマーを超純水で洗い落とした。
以上のようにして、電解重合物であるポリアニリンからなる膜厚300nmのポリアニリン膜(PANI膜)を有するFTO透明導電性基板(PANI膜付FTO透明導電性基板)を作製した。
(2)PEDOT薄膜の作製
50mlビーカーに、アセトニトリル30ml、硝酸0.625ml、及び3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.32mlを加え、よく撹拌した。
三電極式のセル(ビー・エー・エス株式会社)を用い、作用極部分に上記(1)の操作で作製したPANI膜付FTO透明導電性基板を取り付け、対極部分に白金ワイヤーを取り付け、参照電極にAg/AgNO参照電極を取り付けた。
ポラリゼーションシステムを使い、サイクリックボルタンメトリー法により電解重合を行って、PANI膜付FTO透明導電性基板のPANI膜の上に膜厚2μmのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を製膜した。この際、電圧を50mV/secの速度で−0.5V〜1.0Vでスイープし、電解重合のサイクル数を10回とした。
そして、電解重合により得られたPEDOTの表面を布巾で擦り、PEDOTの表面に付いたモノマー等を除去した。
以上のようにして、FTO透明導電性基板上のPANI膜の上に、電解重合物であるPEDOTからなる膜厚2μmのPEDOT膜が積層された複合膜(PEDOT/PANI複合膜)を形成した。
結果、PEDOT膜/PANI膜/FTO透明導電性基板の積層体を得た。
(3)PEDOT/PANI複合膜の評価
上記(2)の操作で作製したPEDOT/PANI複合膜に電圧印加した際の色変化の色彩を、分光光度計を利用した正反射率測定により評価した。結果を図2に示す。
電圧印加は、ポラリゼーションシステムを利用して三電極式のセル中で60秒間行い、印加電圧を1.0V又は−0.5Vとした。
三電極式のセルは、作用極をPEDOT/PANI複合膜とし、対極を白金ワイヤーとし、参照電極をAg/AgCl参照電極とし、電解液を0.1M硫酸とした。また、正反射率を測定する際の入射角度は10°とした。
図2は、PEDOT/PANI複合膜の各電圧での400nm〜800nmの波長域における正反射率(%)を示す。
図2に示されるように、−0.5Vでは、波長500nm付近の反射率が比較的高く、緑の色相を呈し、電圧を−0.5Vから1.0Vへ変化させると、次第に反射曲線が変化して、500nm付近の反射率が低下し、金色の反射スペクトルと同様の、600nm〜750nm付近の反射率が上昇して、金色の金属調の色相に変化した。
このように、本実施例で形成したPANI/PEDOT複合膜は、電圧印加により金属調光沢を呈し、しかも印加電圧を変化させることで、金属調の光沢色が変化するものであった。
また、上記(2)の操作で作製したPEDOT/PANI複合膜の電圧印加による色変化の可逆性を、分光光度計とポラリゼーションシステムとを利用し、印加電圧による透過率変化により評価した。結果を図3に示す。
電圧印加は、三電極式のセル中で、1.0Vと−0.5Vとを20秒ずつ交互に印加することにより行った。
透過率は、波長633nmでの値(%)を用いた。
三電極式のセルは、作用極をPEDOT/PANI複合膜とし、対極を白金ワイヤーとし、参照電極をAg/AgCl参照電極とし、電解液を0.1M硫酸とした。
図3は、PEDOT/PANI複合膜の電圧印加による色変化の可逆性を示している。
図3に示されるように、電圧を1.0Vと−0.5Vとに切り換えると、透過率は可逆的に変化し、色相の変化が可逆的に起こることが示された。
本開示の金属調光沢膜は、色相の変化を利用する分野に広く適用することができ、例えば、色調可変な壁材等の建材、調光可能な窓等の機能材及び装飾材などの分野への適用に好適である。

Claims (8)

  1. チオフェン系化合物の電解重合物を含むポリチオフェン系有機膜と、
    エレクトロクロミック材料の電解重合物を含むエレクトロクロミック膜と、
    を互いに接触させて積層して含み、電圧を印加することで金属調光沢を発現する金属調光沢膜。
  2. 前記チオフェン系化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン系化合物である請求項1に記載の金属調光沢膜。
  3. 前記エレクトロクロミック材料は、アニリン系化合物及びチオフェン系化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物である請求項1又は請求項2に記載の金属調光沢膜。
  4. 前記エレクトロクロミック膜が、アニリン系化合物の電解重合物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属調光沢膜。
  5. 前記ポリチオフェン系有機膜及び前記エレクトロクロミック膜の合計の厚みが1μm〜5μmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属調光沢膜。
  6. 第1電極と、
    電解質と、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属調光沢膜と、
    第2電極と、
    をこの順に備えた色可変部材。
  7. 前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも第1電極は、透明電極である請求項6に記載の色可変部材。
  8. 前記透明電極は、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、及びアンチモンドープ酸化スズから選択されるいずれか1つの薄膜電極である請求項7に記載の色可変部材。
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