JP2019116761A - ラック駆動装置および衛生洗浄便座装置 - Google Patents

ラック駆動装置および衛生洗浄便座装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一対のラック間に互いに離間して駆動歯車および従動歯車とが配置されたものにおいて、所定位相で停止した従動歯車に対してラックが係合するときに、両者の干渉的な接触を防止し、円滑な運動伝達を可能とする。【解決手段】駆動歯車および従動歯車は、ラックの基準線と従動歯車の中心との距離が、同基準線と駆動歯車の中心との距離以上で、且つ、ラックの運動と従動歯車の運動との相対運動における瞬間回転中心と従動歯車の中心との距離が、駆動歯車の運動とラックの運動との相対運動における瞬間回転中心と駆動歯車の中心との距離未満となるように構成される。また、従動歯車は、ラックが従動歯車から分離する際に、所定の位相で停止されるように停止位相が定められ、停止位相は、ラックが従動歯車と係合する際に、ラックと従動歯車との作用線上の位置で接触開始するように定められている。【選択図】図15

Description

本発明は、一対のラックを選択的に進退させるラック駆動装置および衛生洗浄便座装置に関する。
従来より、それぞれ向かい合う側壁に前後方向に延設された2つの噛合溝(ラック)を有する第1および第2ノズルと、第1および第2ノズルの噛合溝にそれぞれ係合する駆動ギヤと、駆動ギヤに離間して設けられ第1および第2ノズルの噛合溝にそれぞれ係合する従動ギヤと、駆動ギヤを正逆両回転方向に駆動可能なモータと、を備えるノズルユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このノズルユニットでは、2つの噛合溝のうち一方の噛合溝は、側壁の上部から下部の全高寸法の長さで形成され、下部において駆動ギヤと係合され、上部において従動ギヤと係合される。他方の噛合溝は、一方の噛合溝に連なって側壁の中間位置から下部までの長さで後側に長く形成され、駆動ギヤのみと係合される。また、従動ギヤは、一部が欠歯した凹部が形成される。第1ノズルを用いて局部洗浄を行なう場合、駆動ギヤを正転することにより、第1ノズルが前側に移動し、これに伴い第2ノズルが若干後側に移動するが、駆動ギヤの歯が第2ノズルの噛合溝から離れた時点で従動ギヤの凹部が第1ノズルの側壁に位置し、従動ギヤの回転がなくなると共に、第1ノズルのみが駆動ギヤの歯と噛合溝との係合を継続して第1ノズルを洗浄位置へ向けて前側に更に移動させる。そして、第1ノズルの小孔から洗浄水を放出して局部の洗浄を行なう。局部洗浄が終了すると、駆動ギヤを逆転することにより、第1ノズルを後側に移動させ、第1ノズルが所定位置まで移動すると、第1ノズルの噛合溝が従動ギヤと係合し、従動ギヤにより第2ノズルを若干前側に押し出す。第2ノズルが前側への押し出されると、駆動ギヤの歯が第2ノズルの噛合溝と係合し、第2ノズルが元の位置に戻る。なお、第2ノズルを用いて局部洗浄を行なう場合には、モータを逆の動作で駆動する。
特開2001−11923号公報
ここで、所定の停止位相(回動角度)で停止した平歯車(従動ギヤ)に対して接線方向にラックを侵入させて両者を係合(噛合)させるとき、平歯車に最初に接触させたい歯に対してこれよりも前方(ラック侵入側)に歯が存在するため、平歯車の前方の歯とラックが接触しないよう平歯車の停止位相を定める必要がある。しかし、このように平歯車の停止位相を定めただけでは、平歯車とラックとが両者の作用線から外れた位置で接触開始される場合が生じ、この場合、平歯車とラックとの正常な噛み合いが成立せず、動作不良を起こしたり、歯が破損したりする虞がある。
本発明のラック駆動装置および衛生洗浄便座装置は、一対のラック間に互いに離間して駆動歯車および従動歯車とが配置されたものにおいて、所定位相で停止した従動歯車に対してラックが係合するときに、両者の干渉的な接触を防止し、円滑な運動伝達を可能とすることを主目的とする。
本発明のラック駆動装置および衛生洗浄便座装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のラック駆動装置は、
所定の間隔を隔てて並ぶ有限の長さの一対のラックと、前記一対のラック間に互いに離間して設けられた2つの平歯車と、を備え、前記2つの平歯車のうち一方の平歯車は駆動源により駆動される駆動歯車として構成され、他方の平歯車は従動歯車として構成され、前記一対のラックがそれぞれ直線運動により前記従動歯車と係合・分離することで、前記駆動源からの駆動力を伝達するラックを切り替えて前記一対のラックを選択的に進退可能なラック駆動装置であって、
前記駆動歯車および前記従動歯車は、前記ラックの基準線と前記従動歯車の中心との距離が、前記基準線と前記駆動歯車の中心との距離以上で、且つ、前記駆動歯車により与えられた前記ラックの運動と該ラックと係合した前記従動歯車の運動との相対運動における瞬間回転中心と該従動歯車の中心との距離が、前記駆動歯車の運動と該駆動歯車と係合したラックの運動との相対運動における瞬間回転中心と該駆動歯車の中心との距離未満となるように構成され、
前記従動歯車は、前記ラックが前記従動歯車から分離する際に、所定の位相で停止されるように停止位相が定められ、
前記停止位相は、前記ラックが前記従動歯車と係合する際に、前記ラックと前記従動歯車との作用線上の位置で接触開始するように定められている、
ことを要旨とする。
この本発明のラック駆動装置は、所定の間隔を隔てて並ぶ有限の長さの一対のラックと、一対のラック間に互いに離間して設けられた2つの平歯車(駆動歯車,従動歯車)とを備えるものである。このラック駆動装置において、駆動歯車および従動歯車は、ラックの基準線と従動歯車の中心との距離が、同基準線と駆動歯車の中心との距離以上で、且つ、駆動歯車により与えられたラックの運動とそのラックと係合した従動歯車の運動との相対運動における瞬間回転中心と従動歯車の中心との距離が、駆動歯車の運動とその駆動歯車と係合したラックの運動との相対運動における瞬間回転中心と駆動歯車の中心との距離未満となるように構成される。これにより、従動歯車とラックとの作用線を従動歯車の内径側にシフトすることができ、ラックが従動歯車と係合するときに、より遠い位置から噛み合いを開始させることが可能となる。したがって、ラックが従動歯車から分離する際に、所定の位相で停止されるように従動歯車の停止位相を定め、停止位相としては、ラックが従動歯車と係合する際に、両者の作用線上の位置で接触開始するように定めることで、両者の干渉的な接触を防止し、円滑な運動伝達を行なうことが可能となる。
こうした本発明のラック駆動装置において、前記停止位相は、前記ラックが前記従動歯車と係合する際に、前記ラックと前記従動歯車との作用線と該従動歯車の歯先円とが交わる位置の近傍で該ラックと該従動歯車とが接触開始するように定められているものとしてもよい。こうすれば、従動歯車にラックが係合するときに、両者の干渉的な接触をより確実に防止することができる。
また、本発明のラック駆動装置において、前記従動歯車は、前記駆動歯車に比して隣接する歯同士の角度間隔が広いものとしてもよい。こうすれば、簡易な構成により、従動歯車にラックが係合するときに、両者の干渉的な接触を防止することができる。ここで、従動歯車を全歯歯車で構成した場合には、従動歯車の歯数が駆動歯車に比して少ないことに相当する。また、従動歯車は、転位平歯車で構成されてもよいし、不等速歯車で構成されてもよい。
本発明の衛生洗浄便座装置は、
それぞれラックを有すると共に進出位置において人体の局部に洗浄水を噴出可能な一対のノズルと、
前記一対のノズルの両ラックを選択的に進退させることで対応するノズルを進退させる上述した各態様のいずれかの本発明のラック駆動装置と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の衛生洗浄便座装置では、上述した本発明のラック駆動装置を備えるから、本発明のラック駆動装置が奏する効果、すなわち、所定位相で停止した従動歯車に対してラックが係合するときに、両者の干渉的な接触を防止し、円滑な運動伝達を可能とする効果を奏することができる。
衛生洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観図である。 ノズルユニット20の正面側の外観斜視図である。 第2ノズル24の裏面側の外観斜視図である。 駆動装置41および従動装置45が組み付けられたベース30の正面側の外観斜視図である。 駆動装置41および従動装置45が組み付けられたベース30の裏面側の外観斜視図である。 ノズルユニット20の一部を拡大して示す部分拡大図である。 ノズルユニット20を動作の様子を示す説明図である。 ノズルユニット20を動作の様子を示す説明図である。 ノズルユニット20を動作の様子を示す説明図である。 ノズルユニット20を動作の様子を示す説明図である。 ノズルユニット20を動作の様子を示す説明図である。 駆動ギヤ42および従動ギヤ46の歯形を示す説明図である。 駆動ギヤ42とラック26との噛み合いの様子および従動ギヤ46とラック26との噛み合いの様子を示す説明図である。 回転中の駆動ギヤ42にラック26が侵入して噛み合いを開始する様子を示す説明図である。 停止中の従動ギヤ46にラック26が侵入して噛み合いを開始する様子を示す説明図である。 変形例の従動ギヤ146の外観図である。 ラックGrの位置ベクトルr2と法線ベクトルnとを示す説明図である。 ラックGrとピニオンGpとの相対運動における瞬間回転中心Pinstを説明する説明図である。
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は衛生洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観図であり、図2はノズルユニット20の正面側の外観斜視図であり、図3は第2ノズル24の裏面側の外観斜視図である。また、図4は駆動装置41および従動装置45が組み付けられたベース30の正面側の外観斜視図であり、図5は駆動装置41および従動装置45が組み付けられたベース30の裏面側の外観斜視図であり、図6はノズルユニット20の一部を拡大して示す部分拡大図であり、図7〜図11はノズルユニット20を動作の様子を示す説明図である。なお、図2において、上下方向は、便器1に設置された衛生洗浄便座装置10(ノズルユニット20)の鉛直方向と平行な方向であり、前後方向は、第1および第2ノズル22,24の進退方向であり、左右方向は、上下方向および前後方向に直交する方向である。また、図6において、図6(a)は正面図であり、図6(b)は裏面図であり、図6(c)は側面図である。
便器1は、洋式便器であり、便器1の上面に衛生洗浄便座装置10が設置されている。衛生洗浄便座装置10は、図1に示すように、便器1の後方に設置される便座装置本体12と、便座装置本体12に回動自在に支持された便座14と、便座装置本体12に回動自在に支持された便蓋16と、使用者により操作される操作パネル18と、を備える。
便座装置本体12は、給水管(水道配管)に接続された洗浄水流路、止水弁、熱交換ユニット、洗浄の強さを調整する脈動ポンプ、洗浄水を噴出するノズルユニット20などを備えており、これらは樹脂製のハウジング内に収容されている。熱交換ユニットは、水タンクやヒータ、温度センサが設けられ、給水管からの水をヒータによって温水にする。
また、便座装置本体12は、衛生洗浄便座装置10を制御する図示しない制御装置を備える。制御装置は、操作パネル18や着座センサ13(図1参照)、水タンクの温度センサなどからの信号に基づいて、水タンク内のヒータや脈動ポンプ、ノズルユニット20(後述する切替バルブのモータやノズル駆動ユニット40のモータ44)を制御する。操作パネル18には、図示しないが、おしり洗浄を指示するおしり用洗浄スイッチやビデ洗浄を指示するビデ用洗浄スイッチ、洗浄の強さを調整するための洗浄強さ調整スイッチ、洗浄の停止を指示する停止スイッチなどが設けられている。
ノズルユニット20は、図2〜図5に示すように、第1および第2ノズル22,24や、第1および第2ノズル22,24を支持するベース30、ベース30から前方へ進出した洗浄位置とベース30内に収容された収容位置との間で第1および第2ノズル22,24を選択的に進退させるノズル駆動ユニット40(ラック駆動装置)、図示しない切替バルブなどを備える。
ベース30は、図4に示すように、前後方向に延在するノズル載置部としての2つの凹条部32,34が幅方向(左右方向)に並んで設けられている。各凹条部32,34には、第1ノズル22,第2ノズル24がそれぞれ載置される。なお、ベース30の後端部には、図5に示すように、開口30oが形成されている。
第1および第2ノズル22,24は、図2に示すように、互いに平行に延在する伸縮しない単段式のノズルであり、凹条部32,34の延在方向(前後方向)に沿って進退が可能となっている。本実施形態では、第1ノズル22は、おしり洗浄用のノズルとして構成され、第2ノズル24は、第1ノズル22よりも長尺に形成されたビデ洗浄用のノズルとして構成されている。第1および第2ノズル22,24の後端部には給水口22i,24iが設けられ、給水口22i,24iには図示しないホースの一端が接続される。ホースの他端には、切替バルブが接続される。切替バルブは、脈動ポンプよりも下流の洗浄水流路の洗浄水の供給先を第1および第2ノズル22,24のいずれから噴出させるかを切り替えるものであり、例えば、モータにより駆動されるロータリバルブとして構成される。なお、第1および第2ノズル22,24は、例えば給水時の水圧などにより伸縮が可能な多段式のノズルで構成されてもよい。この場合、第1および第2ノズル22,24は、収縮時に同じ長さとなるように構成されてもよい。
また、第1および第2ノズル22,24は、図3,図7〜図11に示すように、後端(基端)部から前端(先端)側へ向かって延在すると共に互いの歯先が向かい合うラック26,28を有する。ラック26,28は、本実施形態では、いずれも直線歯形であり、同じモジュール,圧力角(基準線上の圧力角)および歯数により形成されている。なお、ラック26,28の基準線は、モジュールをmとしたときに、基準線から歯先までの距離が1.00・mとなり、基準線から歯底までの距離が1.25・mとなるように定義される。
ノズル駆動ユニット40は、第1および第2ノズル22,24を選択的に前後に進退させるものであり、図2〜図5に示すように、駆動装置41と従動装置45と付勢部材としてのコイルスプリング48とを備える。
駆動装置41は、第1および第2ノズル22,24の両ラック26,28と係合(噛合)可能に2つの凹条部32,34の幅方向中央部における前端側に回転自在に支持された駆動ギヤ42と、ベース30の裏面に取り付けられ駆動ギヤ42を正逆両回転方向に駆動可能なモータ44と、を有する。駆動ギヤ42は、本実施形態では、インボリュート歯形の平歯車であり、両ラック26,28と同じモジュールおよび圧力角(基準円上の圧力角)により形成されている。歯車の基準円は、モジュールをmとし、歯数をzとしたときに、基準円直径dがm・zとなるように定義される。また、歯車は、ラックとの接触点が歯車の基礎円に接するようにラックの歯面に立てた法線(作用線)上を移動しながら噛み合いが進行する。歯車の基礎円は、基準円直径をdとし、圧力角をαとしたときに、基礎円直径dbがd・cosαとなるように定義される。駆動ギヤ42は両ラック26,28のそれぞれに対して係合(噛合)と分離とが可能となっており、駆動装置41は、駆動ギヤ42が両ラック26,28と係合した状態で駆動ギヤ42を回転駆動することにより、両ラック26,28に対して一方のラックを前進させると共に他方のラックを後退させるように対称な運動伝達が可能であり、駆動ギヤ42が両ラック26,28のうち一方のラックと係合し且つ他方のラックと分離した状態で駆動ギヤ42を回転駆動することにより、当該一方のラックのみを前後に進退させることが可能である。
従動装置45は、第1および第2ノズル22,24の両ラック26,28と係合(噛合)可能に2つの凹条部32,24の幅方向中央部における後端側に回動可能に支持された従動ギヤ46を有する。従動ギヤ46は、ラック26,28の長さよりも若干短い間隔で駆動ギヤ42と離間して配置される。これにより、ラック26,28は、駆動ギヤ42と従動ギヤ46とに対して同時に係合可能な区間(オーバーラップ区間)を有する。従動ギヤ46は、本実施形態では、インボリュート歯形の平歯車であり、駆動ギヤ42と同じモジュールおよび圧力角(基準円上の圧力角)で、且つ、駆動ギヤ42よりも少ない歯数となるように形成されている。
図12は、駆動ギヤ42および従動ギヤ46の歯形を示す説明図であり、図13は、駆動ギヤ42とラック26との噛み合いの様子および従動ギヤ46とラック26との噛み合いの様子を示す説明図である。例えば、駆動ギヤ42は、標準平歯車で構成され、従動ギヤ46は、転位平歯車で構成されている。図12に示すように、従動ギヤ46は、隣接する歯同士の角度間隔θ2が駆動ギヤ42の隣接する歯同士の角度間隔θ1よりも大きくなるように形成されている。すなわち、従動ギヤ46は、駆動ギヤ42よりも少ない歯数で形成されている。ここで、図13に示すように、ラック26(またはラック28)の基準線から駆動ギヤ42の回転中心までの距離を基準距離Aとすると、基準距離Aは、駆動ギヤ42の基準円直径dの1/2(基準円半径)に駆動ギヤ42の転位係数xとモジュールmとを乗じた値(転位量x・m)を加えて計算される。同様に、ラック26(またはラック28)の基準線から従動ギヤ46の回転中心までの距離を基準距離Bとすると、基準距離Bは、従動ギヤ46の基準円直径dの1/2に従動ギヤ46の転位係数xとモジュールmとを乗じた値を加えて計算される。上述したように、基準円直径dは、歯数zとモジュールmとを乗じたものであり、駆動ギヤ42および従動ギヤ46は、同一のモジュールで構成される。したがって、従動ギヤ46の転位係数xを駆動ギヤ42よりも大きくすることにより、従動ギヤ46の歯数を駆動ギヤ42よりも少なくしつつ、基準距離Bを基準距離Aと等しくする、すなわちラック26,28(第1および第2ノズル22,24)を平行に配置することができる。例えば、従動ギヤ46の転位係数xを駆動ギヤ42よりも値1.0大きく定めることで、基準距離Aと基準距離Bとが等しい関係を維持しつつ、従動ギヤ46の歯数zを駆動ギヤ42よりも2歯分少なくすることができる。これにより、従動ギヤ46は、駆動ギヤ42に対して共通のラック26,28と係合(噛合)すると同時に駆動ギヤ42よりも速い回転角速度で回転(回動)する不思議歯車として構成される。従動ギヤ46は両ラック26,28のそれぞれに対して係合(噛合)と分離とが可能となっており、従動装置45は、従動ギヤ46が両ラック26,28と係合した状態で一方のラックの直線運動により回動操作を伴って他方のラックに対して一方のラックと対称な運動伝達を行ない、他方のラックを駆動ギヤ42に係合させることが可能である。なお、実施形態では、駆動ギヤ42および駆動ギヤ42よりも後方に配置される従動ギヤ46は、基準距離Aと基準距離Bとが等しくなるように設定されたが、基準距離Bの方が基準距離Aよりも大きくなるように設定されてもよい。すなわち、ラック26,28(第1および第2ノズル22,24)は、それぞれ平行に配置されたが、先端に向かうにつれて両者が近接するように配置されてもよい。
また、従動ギヤ46の端面(ベース30側の端面)には、図6に示すように、回動中心から径方向に離間した位置に、ベース30の開口30oに挿通して外方へ突出する突起46pが設けられている。従動ギヤ46は、突起46pと開口30oとにより回動範囲が定められ、回動範囲の両回動端にて突起46pが開口30oの端縁に当接し位置決めされる。また、従動ギヤ46の突起46pには、コイルスプリング48の一端が係止されており、コイルスプリング48の他端は、ベース30の裏面に設けられた突起30pに支持されている。突起30pは、ベース30の表面に形成された2つの凹条部32,34の幅方向中央部における裏側に位置するように形成されている。これにより、図12に示すように、従動ギヤ46の周方向にはコイルスプリング48の引っ張り荷重による付勢力が付与される。従動ギヤ46に付与される周方向の付勢力(トルク)は、突起46pが従動ギヤ46の回転中心と突起30pとを通る直線上の中立点に位置しているときにはゼロとなり、突起46pが中立点よりも時計回り側に位置しているときには、時計回りの方向のトルクとなり、突起46pが中立点よりも反時計回り側に位置しているときには、反時計回りの方向のトルクとなる。
次に、こうして構成された本実施形態の衛生洗浄便座装置10(ノズルユニット20)の動作について図7〜図11を用いて説明する。本実施形態のノズルユニット20では、第2ノズル(ビデ洗浄用ノズル)24の方が第1ノズル(おしり洗浄用ノズル)22よりも長尺に形成され、第1および第2ノズル22,24がいずれも非作動の待避状態では、図7に示すように、第1および第2ノズル22,24の先端が前後同じ位置で揃い、第2ノズル24の後端が第1ノズル22の後端よりも後退側に突出している。このとき、駆動ギヤ42は、第1ノズル22のラック26と係合していると共に第2ノズル24のラック28と分離している。一方、従動ギヤ46は、コイルスプリング48により付与される図中、反時計回り方向の付勢力によって、突起46pがベース30の開口30oにおける一方の端縁に当接した状態で位置決めされ、第1ノズル22のラック26と分離(厳密には、ラック26の最も後端にある歯の後端側の歯面が従動ギヤ46との作用線(接触線)上の最も駆動ギヤ42側にある位置で接触)していると共に第2ノズル24のラック28と係合している。これにより、第2ノズル24は、コイルスプリング48から従動ギヤ46に付与される反時計回り方向の付勢力によって後退側に保持され、駆動ギヤ42と分離した状態が維持される。ここで、本実施形態では、コイルスプリング48から従動ギヤ46に付与される周方向の付勢力により従動ギヤ46の突起46pがベース30の開口30oの端縁に当接されることでコイルスプリング48の荷重をベース30のみで受けているから、当該荷重が第2ノズル24に作用することはない。これにより、ノズルに対する応力による変形や損傷を抑制し、ノズルの耐久性を向上させることができる。
衛生洗浄便座装置10の制御装置は、着座センサ13により使用者が便座14に着座していると判定し、かつ、操作パネル18のおしり用洗浄スイッチが押下されたと判定すると、図7の待機状態からモータ44により駆動ギヤ42を正回転(図中、反時計回りに回転)させて、駆動ギヤ42と係合するラック26を前進させる。ラック26に連結された第1ノズル(おしり洗浄用ノズル)22は、図8に示すように、ラック26の前進に伴って洗浄位置に向かって前進する。第1ノズル22が洗浄位置に到達すると、制御装置は、第1ノズル22の噴出孔に脈動ポンプからの洗浄水が供給されるよう切替バルブ(モータ)を制御する。これにより、第1ノズル22の噴出孔から人体の肛門部に向かって洗浄水が噴出され、おしり洗浄が開始される。制御装置は、操作パネル18の停止スイッチが押下されて、おしり洗浄の停止が指示されると、第1ノズル22への給水を停止する。そして、モータ44により駆動ギヤ42を逆回転(図中、時計回りに回転)させて、駆動ギヤ42と係合するラック26を後退側へ引き込む。ラック26に連結された第1ノズル22は、ラック26の後退に伴って収容位置に向かって後退し、ベース30内に収容されて図7の待機状態に戻る。
また、制御装置は、着座センサ13により使用者が便座14に着座していると判定し、かつ、操作パネル18のビデ用洗浄スイッチが押下されたと判定すると、図7の待機状態からモータ44により駆動ギヤ42を逆回転(図中、時計回りに回転)させて、駆動ギヤ42と係合するラック26(第1ノズル22)を後退させる。ラック26は、後退により従動ギヤ46と係合し、従動ギヤ46を時計回りに回転させる。ここで、従動ギヤ46にはコイルスプリング48から反時計回り方向に付勢力が付与されており、従動ギヤ46と係合したラック26には前進側の付勢力が作用するから、制御装置は、モータ44によりラック26の付勢力に打ち勝つ駆動力で駆動ギヤ42を逆回転駆動することにより、ラック26(第1ノズル22)を更に後退させることができる。従動ギヤ46は、ラック26の後退によって時計回りに回動することにより、従動ギヤ46と係合している他方のラック28(第2ノズル24)を前進させる。ラック28が前進すると、図9に示すように、ラック28が駆動ギヤ42と係合し、両ラック26,28が駆動ギヤ42および従動ギヤ46と同時に係合され、第1および第2ノズル22,24,駆動ギヤ42および従動ギヤ46が同時に動作する状態となる。従動ギア46に付与される周方向の付勢力は、中立点で反時計回りの方向から時計回りの方向に切り替わり、ラック26を後退側へ付勢すると共にラック28を前進側へ付勢する推力となる。従動ギヤ46は、やがて突起46pがベース30の開口30oにおける他方の端縁に当接して位置決めされ、図10に示すように、ラック28が従動ギヤ46から分離すると共にラック26が駆動ギヤ42から分離した状態となる。このため、従動ギヤ46に付与される時計回り方向の付勢力により、駆動ギヤ42から分離した待機側ラック26は、後退側に保持され、駆動ギヤ42との干渉が抑制される。そして、制御装置は、モータ44により駆動ギヤ42が更に逆回転(図中、反時計回りに回転)させて、ラック28を更に前進させる。ラック28に連結された第2ノズル(ビデ洗浄用ノズル)24は、図11に示すように、ラック28の前進に伴って洗浄位置に向かって前進する。第2ノズル24が洗浄位置に到達すると、制御装置は、第2ノズル24の噴出孔に脈動ポンプからの洗浄水が供給されるよう切替バルブ(モータ)を制御する。これにより、第2ノズル24の噴出孔から人体のビデ部に向かって洗浄水が噴出され、ビデ洗浄が開始される。制御装置は、操作パネル18の停止スイッチが押下されて、ビデ洗浄の停止が指示されると、第2ノズル24への給水を停止する。そして、モータ44により駆動ギヤ42を正回転(図中、反時計回りに回転)させて、駆動ギヤ42と係合するラック28を後退側へ引き込む。ラック28に連結された第2ノズル24は、ラック28の後退に伴って収容位置に向かって後退し、ベース30内に収容されて図7の待機状態に戻る。
従動ギヤ46は、両ラック26,28と係合した状態で、駆動ギヤ42の回転により後退する一方のラックによって回動し、これにより他方のラックを前進させて回転中の駆動ギヤ42と係合させる。図14は、回転中の駆動ギヤ42にラック26が侵入して噛み合いを開始する様子を示す説明図であり、図15は、停止中の従動ギヤ46にラック26が侵入して噛み合いを開始する様子を示す説明図である。なお、図14(a)および図15(a)は噛み合い直前の様子を示し、図14(b)および図15(b)は噛み合い直後の様子を示す。以下、ラック26を例として駆動ギヤ42および従動ギヤ46との噛み合いについて説明する。なお、ラック28との噛み合いについてはラック26と同様であるため、その説明は省略する。図14に示すように、駆動ギヤ42とラック26とは、互いの歯山同士が干渉的に接触することなく、ラック26の歯山が駆動ギヤ42の歯溝に入り込んで噛み合いが開始されるよう位相合わせされており、両者の接触点(噛み合い点)が作用線(図中、太線参照)上を移動するように噛み合いが進行していく。駆動ギヤ42によりラック26が前進させられると、ラック26は従動ギヤ26から分離し、従動ギヤ26は所定の位相(停止位相)で停止する。
局部洗浄が終了し、次に駆動ギヤ42の逆回転によってラック26が後退すると、従動ギヤ26は、図15に示すように、上記停止位相でラック26と噛み合いを開始する。本実施形態では、従動ギヤ46は、ラック26の基準線と従動ギヤ46の回転中心との距離(基準距離B)を同基準線と駆動ギヤ42の回転中心との距離(基準距離A)以上としつつも、従動ギヤ46は、その隣接する歯の角度間隔θ2が駆動ギヤ42のそれ(角度間隔θ1)よりも大きく、すなわち歯数が駆動ギヤ42よりも少なくなるように転位された転位平歯車として構成されている。上述したように、平歯車は、モジュールをmとし歯数をzとすると、基準円直径dがm・zであり、基礎円直径dbがd・cosαであるから、モジュールmが同一の駆動ギヤ42および従動ギヤ46では、従動ギヤ46の方が駆動ギヤ42よりも基礎円直径dbは小さくなる。また、平歯車と直線歯形のラックとの作用線は、平歯車の基礎円と接するようにラックの歯面に立てた法線と一致するから、基礎円直径dbが小さい方が、作用線上の噛み合い長さは長くなり、歯車とラックとをより遠い位置から噛み合い開始させることができる。したがって、図15に示すように、従動ギヤ46にラック26が侵入したときに、ラック26と最初に接触させる従動ギヤ46の歯の接触点の位置が、両者の作用線と従動ギヤ46の歯先円との交点(以下、限界接触点という)近傍の位置となるように、従動ギヤ46の停止位相を定めることにより、ラック26と最初に接触させる従動ギヤ46の歯よりも1つ前(ラック侵入側)の歯とラック26の歯との間にクリアランスδ2を確保し、従動ギヤ46とラック26とを互いに干渉させることなく作用線上で噛み合い開始させることができる。
以上の説明は、駆動ギヤ42および従動ギヤ46は、従動ギヤ46とラック26との相対運動における瞬間回転中心Pinstと従動ギヤ46の回転中心との距離が、駆動ギヤ42とラック26との相対運動における瞬間回転中心Pinstと駆動ギヤ42の回転中心との距離未満となるように構成されていると言い換えることができる。カミュの定理によれば、平歯車の正常な噛み合いが成立するためには、平歯車とラックとの接触点における共通法線は瞬間回転中心Pinstを通らなければならないこととされている。このため、瞬間回転中心Pinstを従動ギヤ46の回転中心に近づけるほど、従動ギヤ46とラック26との作用線を従動ギヤ46の内径側にシフトさせることができ、従動ギヤ46とラック26とをより遠い位置から噛み合い開始させることが可能となる。
なお、駆動ギヤ42はラック26の移動と同期回転しながらラック26と噛み合うから、上述した干渉の問題は生じないが、仮に駆動ギヤ42が停止中にラック26と噛み合う場合には、図14に示すように、駆動ギヤ42は、作用線上でラック26と噛み合いを開始する歯よりも1つ前(ラック侵入側)の歯がラック26の歯先よりも所定量δ1だけ歯元側に入り込んだ状態となっており、駆動ギヤ42とラック26とが干渉的に接触し、正常に噛み合いを開始することができない。
以上説明した実施形態のノズル駆動ユニット40(ラック駆動装置)では、ラック26,28の基準線と従動ギヤ46の回転中心との距離(基準距離B)が、同基準線と駆動ギヤ42の回転中心との距離(基準距離A)以上となり、駆動ギヤ42によって与えられたラックの運動とそのラックと係合した従動ギヤ46の運動との相対運動における瞬間回転中心Pinstと従動ギヤ46の中心との距離が、駆動ギア42の運動と駆動ギヤ42と係合したラックの運動との相対運動における瞬間回転中心Pinstと駆動ギヤ42の中心との距離よりも小さくなるように、駆動ギヤ42および従動ギヤ46が構成されている。これにより、従動ギヤ46とラックとの作用線を従動ギヤ46の内径側にシフトすることができ、ラックが従動ギヤ46と係合するときに、従動ギヤ46のより遠い位置から噛み合いを開始させることが可能となる。したがって、従動ギヤ46にラック26,28が侵入したときに、ラック26,28と最初に接触させる従動ギヤ46の歯の接触点の位置が限界接触点近傍の位置となるように、従動ギヤ46の停止位相を定めることにより、従動ギヤ46とラック26,28とを互いに干渉させることなく作用線上で噛み合い開始させることができる。この結果、従動ギヤ46とラック26,28との間の運動伝達をより円滑に行なうことが可能となる。
また、実施形態のノズルユニット20では、駆動ギヤ42および従動ギヤ46を全歯歯車で構成し、従動ギヤ46の歯数を駆動ギヤ42よりも少なくしたから、より簡易な構成によりラックと従動ギヤ46とを作用線上のより遠い位置から噛み合い開始させることができ、両者の干渉的な接触を回避することができる。
実施形態では、駆動装置41は、モータ44により駆動ギヤ42を直接駆動するものとしたが、これに限定されるものではなく、駆動ギヤ42とモータ44との間に1つ以上の中間ギヤを設けるものとしてもよい。また、従動装置45は、コイルスプリング48の一端を従動ギヤ46の突起46pに係止することで、従動ギヤ46に周方向の付勢力を付与するものとしたが、これに限定されるものではなく、従動ギヤ46とコイルスプリング48(付勢部材)との間に1つ以上の中間ギヤを設けるものとしてもよい。
実施形態では、第1および第2ノズル22,24は、それぞれ幅方向(左右方向、水平方向)の並びで配置されたが、上下方向の並びで配置されてもよい。
実施形態では、従動ギヤ46とベース30とに付勢部材としてのコイルスプリング48を設け、従動ギヤ46の回動角度に応じて従動ギヤ46に付与する付勢力の方向を切り替えることで、2つのラック26,28のうち待機側ラックを後退側に保持するものとした。しかし、2つのラック26,28をそれぞれにスプリングを設け、それぞれのスプリングによって2つのラック26,28を常時後退側に付勢するものとしてもよい。
実施形態では、従動ギヤ46は、全周に亘って等間隔に歯を有する全歯歯車により構成されたが、これに限定されるものではなく、図16の変形例の従動ギヤ146に示すように、ラック26,28とそれぞれ噛み合う部分に歯を有し、その他の部分において歯が欠落した欠歯歯車により構成されてもよい。
従動ギヤ46は、ラックの一定速度での運動に対して一定の角速度で運動する等速歯車で構成されてもよいし、角速度が変化する不等速歯車で構成されてもよい。以下、ラックと噛み合わせる従動ギヤ(ピニオン)を不等速歯車で構成する場合のピニオンの設計手法について説明する。上述したように、ピニオンとラックとが正常に噛み合うためには、ピニオンの任意の回転位置において接触点に立てた共通法線がピニオンとラックとの相対運動における瞬間回転中心Pinstを通ることが必要である。ここで、瞬間回転中心Pinstにおいては、ピニオンとラックとの相対速度ベクトルの大きさがゼロとなり、相対速度場は、瞬間回転中心Pinstの周りを回転するベクトル場となる。
いま、図17に示すように、ラック26の基準線をx軸とし、ピニオンGpの回転中心とラックGrの最短距離を結ぶ垂線をy軸とし、これらの交点を原点とした直交座標系を考えると、直線歯形のラックGrの圧力角をθ(θは一定)とし、原点からラックGrのある歯の基準点までの距離をb(bは変数)とすると、ラックGrの歯面の座標r2は、次式(1)の関係を有する。
x=-y・tanθ+b
但し、yは歯丈の高さであるため、-1.0・m<y<1.25・m …(1)
また、ラックGrは直線歯形であり、歯面のどの位置においても、歯面に立てた法線は同じ方向を向く。このため、ラックGrの歯面における単位法線ベクトルnは、位置(x,y)と角速度ωとからなるベクトル表現を用いて、次式(2)で表わすことができる。
n=(-cosθ,-sinθ,0) …(2)
ここで、図18に示すように、ラックGrが速度v2で移動し、これと噛み合うピニオンGpが角速度ω1で回転する場合において、角速度ω1が変化することを考える。ラックGrの移動は平行移動であるから、どの座標においても一定速度Vconstであり、ラックGrの速度ベクトルv2は、次式(3)で表わすことができる。一方、ピニオンGpのある座標r1(x1,y1)における速度ベクトルv1は、ピニオンGpの角速度ω1(0,0,ω1)とピニオンGpの回転中心からの位置ベクトルr1(x1,y1,0)との外積により求まり、次式(4)で表わすことができる。
v2=(Vconst,0,0) …(3)
V1=(ω1・y1,-ω1・x1,0) …(4)
式(3)および(4)により、ラックGrとピニオンGpとの相対速度ベクトルv21は、次式(5)で表わすことができる。
v21=v2-v1=(Vconst-ω1・y1,ω1・x1,0) …(5)
上述したように、瞬間回転中心Pinstは相対速度ベクトルv21の大きさがゼロとなる点であり、相対速度ベクトルv21の大きさがゼロとなるためには、次式(6)および(7)を満たせばよい。位置ベクトルr1(x1,y1,0)は、ピニオンGpの回転中心を原点とするから、これを図17のxy座標系の原点から見ると、瞬間回転中心Pinstの座標は、ラックGrの基準線とピニオンGpの回転中心との距離(基準距離)をaとすると、次式(8)で表わすことができ、ピニオンGpの角速度ω1によって計算できることがわかる。
x1=0 …(6)
y1=Vconst/ω1 …(7)
Pinst=(0,Vconst/ω1-a,0) …(8)
ここで、相対速度場は瞬間回転中心Pinstの周りを回転するベクトル場であるから、xy座標系の原点から見たある座標r(x,y,0)における相対速度ベクトルv21は、ラックGrおよびピニオンGpの相対角速度ω21(0,0,ω’)と、瞬間回転中心Pinstから座標rへの位置ベクトル(r−Pinst)との外積により求まり、次式(9)で表わすこともできる。なお、ラックGrの角速度はゼロであり、相対角速度ω21(=ω2−ω1)は、−ω1となる。カミュの定理により、ラックGrとピニオンGpとの接触点における法線は瞬間回転中心Pinstを通るため、相対速度ベクトルv21と上記法線とは直交し、両者のスカラー積はゼロとなる。したがって、上述した式(2)および(9)により次式(10)が成立する。式(10)を整理してω’を消去すると、次式(11)を得る。また、式(1)を用いて式(11)を更に整理すると、次式(12)を得る。
v21=[-ω'・[y-(Vconst/ω1-a)],ω'・x,0] …(9)
v21・n=cosθ・ω'・[y-(Vconst/ω1-a)]-sinθ・ω'・x=0 …(10)
x=1・tanθ・[y-(Vconst/ω1-a)] …(11)
y=b・sinθ・cosθ+cos2θ(Vconst/ω1-a) …(12)
上述したように、bは原点からラックGrのある歯の基準点までの距離(ラック位置)であり、θはラックGrの圧力角であり、VconstはラックGrの速度であり、ω1はピニオンGpの角速度であり、aはラックGrの基準線からピニオンGpの回転中心までの距離であるから、ピニオンGpを角速度が変化する不等速歯車とする場合には、各ラック位置bごとに、角速度ω1を指定することで、式(1)および(12)を用いて、ラックGrとピニオンGpとの接触点の座標(x,y)を計算することができる。瞬間回転中心Pinstは、ピニオンGpの角速度ω1により計算されるため、瞬間回転中心Pinstを操作するように角速度ω1を指定してピニオンGpの形状設計を行なうことで、作用線の位置を操作することができ、作用線の限界接触点をより遠方に設定することが可能となる。この結果、ラックGrとピニオンGpとをより遠い位置から噛み合い開始させることが可能となり、ラックGrとピニオンGpとの干渉するのを回避して、円滑な運動伝達を行なうことができる。
実施形態では、ノズル駆動ユニット40は、衛生洗浄便座装置10に用いられる第1および第2ノズル22,24を選択的に駆動するものに適用するものとしたが、これに限定されるものではなく、ノズル以外の一対の部材を駆動するラック駆動装置であればよい。
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、ラック26,28が「一対のラック」に相当し、駆動ギヤ42が「駆動歯車」に相当し、モータ44が「駆動源」に相当し、従動ギヤ46が「従動歯車」に相当する。
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、衛生洗浄便座装置の製造産業などに利用可能である。
1 便器、10 衛生洗浄便座装置、12 便座装置本体、13 着座センサ、14 便座、16 便蓋、18 操作パネル、20 ノズルユニット、22 第1ノズル、24 第2ノズル、22i,24i 吸水口、26,28 ラック、30 ベース、30p 突起、32,34 凹条部、40 ノズル駆動ユニット、42 駆動ギヤ、44 モータ、46,146 従動ギヤ、46p 突起、48 コイルスプリング、Gr ラック、Gp ピニオン。

Claims (4)

  1. 所定の間隔を隔てて並ぶ有限の長さの一対のラックと、前記一対のラック間に互いに離間して設けられた2つの平歯車と、を備え、前記2つの平歯車のうち一方の平歯車は駆動源により駆動される駆動歯車として構成され、他方の平歯車は従動歯車として構成され、前記一対のラックがそれぞれ直線運動により前記従動歯車と係合・分離することで、前記駆動源からの駆動力を伝達するラックを切り替えて前記一対のラックを選択的に進退可能なラック駆動装置であって、
    前記駆動歯車および前記従動歯車は、前記ラックの基準線と前記従動歯車の中心との距離が、前記基準線と前記駆動歯車の中心との距離以上で、且つ、前記駆動歯車により与えられた前記ラックの運動と該ラックと係合した前記従動歯車の運動との相対運動における瞬間回転中心と該従動歯車の中心との距離が、前記駆動歯車の運動と該駆動歯車と係合したラックの運動との相対運動における瞬間回転中心と該駆動歯車の中心との距離未満となるように構成され、
    前記従動歯車は、前記ラックが前記従動歯車から分離する際に、所定の位相で停止されるように停止位相が定められ、
    前記停止位相は、前記ラックが前記従動歯車と係合する際に、前記ラックと前記従動歯車との作用線上の位置で接触開始するように定められている、
    ラック駆動装置。
  2. 請求項1に記載のラック駆動装置であって、
    前記停止位相は、前記ラックが前記従動歯車と係合する際に、前記ラックと前記従動歯車との作用線と該従動歯車の歯先円とが交わる位置の近傍で該ラックと該従動歯車とが接触開始するように定められている、
    ラック駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載のラック駆動装置であって、
    前記従動歯車は、前記駆動歯車に比して隣接する歯同士の角度間隔が広い、
    ラック駆動装置。
  4. それぞれラックを有すると共に進出位置において人体の局部に洗浄水を噴出可能な一対のノズルと、
    前記一対のノズルの両ラックを選択的に進退させることで対応するノズルを進退させる請求項1ないし3いずれか1項に記載のラック駆動装置と、
    を備える衛生洗浄便座装置。
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