JP2019097804A - 情報処理装置、情報処理方法、プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】アーティファクトが抑制された画像データを生成することのできる情報処理装置を提供する。【解決手段】被検体への光照射により発生する光音響波の受信信号を用いた処理を行う情報処理装置であって、アーティファクトの因子となる音源の位置を設定する位置設定手段と、音源から発生する光音響波の受信信号をシミュレーションすることにより、シミュレーション信号を算出するシミュレーション手段と、受信信号を用いて、光音響画像データを生成し、シミュレーション信号を用いて、シミュレーション画像データを生成する画像データ生成手段と、光音響画像データとシミュレーション画像データとの差分である差分画像データを生成する差分手段と、を有する。【選択図】図10

Description

本発明は、光照射により発生する光音響波に由来する受信信号を処理する情報処理装置に関する。
音響波を受信することにより得られた受信信号に基づいて画像データを生成する装置として、光音響装置が知られている。光音響装置は、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝搬・拡散したパルス光のエネルギーを吸収した被検体組織から発生した音響波(典型的には超音波であり、光音響波とも呼ぶ)を受信する。そして、光音響装置は、受信信号に基づき被検体情報を画像化する。
非特許文献1は、光音響波の受信信号から初期音圧分布を画像化する方法として、逆投影法の一つであるユニバーサルバックプロジェクション(UBP:Universal Back−Projection)を開示する。
"Universal back−projection algorithm for photoacou"stic computed tomography", Minghua Xu and Lihong V.Wang,PHYSICAL REVIEW E 71, 016706(2005)
ところで、音響波の受信信号を用いて画像データを生成する場合、音響波の発生位置以外にもアーティファクトとして画像に現れる。このアーティファクトが再構成画像の画質(コントラスト等)を低下させる原因となる。
そこで、本発明は、アーティファクトが抑制された画像データを生成することのできる情報処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、被検体への光照射により発生する光音響波の受信信号を用いた処理を行う情報処理装置であって、アーティファクトの因子となる音源の位置を設定する位置設定手段と、音源から発生する光音響波の受信信号をシミュレーションすることにより、シミュレーション信号を算出するシミュレーション手段と、受信信号を用いて、光音響画像データを生成し、シミュレーション信号を用いて、シミュレーション画像データを生成する画像データ生成手段と、光音響画像データとシミュレーション画像データとの差分である差分画像データを生成する差分手段と、を有する。
本発明に係る情報処理装置によれば、アーティファクトが抑制された画像データを生成することができる。
UBPによる時間微分処理及び正負反転処理を説明するための図 UBPによる逆投影処理を説明するための図 UBPによって得られた画像値の変動を示す図 第1の実施形態に係る光音響装置を示すブロック図 第1の実施形態に係るプローブを示す模式図 第1の実施形態に係るコンピュータとその周辺の構成を示すブロック図 第1の実施形態に係る画像生成方法のフロー図 第1の実施形態に係るアーティファクト成分の低減処理方法のフロー図 第1の実施形態に係るシミュレーションに用いた被検体モデルを示す図 第1の実施形態に係るアーティファクト成分の低減処理の効果を説明するための図 第1の実施形態に係るシミュレーションにおける点音源の設定例を示す図 第2の実施形態に係る画像生成方法のフロー図 第2の実施形態に係るアーティファクト成分の低減処理方法のフロー図 第2の実施形態に係るアーティファクト成分の低減処理の効果を示す図 第2の実施形態に係るアーティファクト成分の低減処理の効果を示す別の図
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状及びそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、光照射により発生した光音響波に由来する、2次元または3次元の空間分布を表す画像データの生成に関する発明である。光音響画像データは、光音響波の発生音圧(初期音圧)、光吸収エネルギー密度、及び光吸収係数、被検体を構成する物質の濃度(酸素飽和度など)などの少なくとも1つの被検体情報の空間分布を表す画像データである。
ところで、光音響イメージングの主な被検体である生体は、光を散乱及び吸収する特性を備える。そのため、光が生体の深部に進むにつれて、光強度が指数的に減衰する。その結果、典型的に、被検体表面付近では振幅の大きい光音響波が生じ、被検体深部では振幅の小さい光音響波が生じる傾向がある。特に被検体の表面付近に存在する血管から振幅の大きい光音響波が生じやすい。
非特許文献1に記載のUBP(Universal Back−Projection)と呼ばれる再構成法では、トランスデューサを中心とする円弧上に受信信号を逆投影する。その際、被検体の表面付近の振幅が大きい光音響波の受信信号が被検体深部に逆投影され、その結果被検体深部でのアーティファクトとなる。このため、被検体深部に存在する生体組織を画像化する際に、被検体表面から発生した光音響波に起因するアーティファクトにより画質(コントラスト等)が低下するおそれがある。
本発明は、アーティファクトによる光音響画像の画質低下を抑制することのできる発明である。以下、本発明に係る処理について説明する。
光音響波の受信信号は、一般的に図1(a)に示すようなN−Shapeとよばれる波形を持つことが知られている。UBPでは図1(a)に示すN−Shape信号に対して時間微分処理を行い、図1(b)に示す時間微分信号を生成する。続いて、時間微分信号の信号レベルの正負を反転する正負反転処理を行い、図1(c)に示す正負反転信号を生成する。なお、N−Shape信号に時間微分処理及び正負反転処理を施して生成された信号(投影信号とも呼ぶ)には、図1(c)の矢印A,Cで示すような負の値を持つ部分と、図1(c)の矢印Bに示すような正の値を持つ部分が現れる。
図2は、被検体内部の微小球形状の光吸収体10から発生した光音響波をトランスデューサ21及びトランスデューサ22で受信する場合にUBPを適用する例を示す。光吸収体10に光を照射すると、光音響波が発生し、光音響波はトランスデューサ21及びトランスデューサ22にてN−Shape信号としてサンプリングされる。図2(a)は、トランスデューサ21によりサンプリングされたN−Shape状の受信信号を光吸収体10に重畳して示した図である。なお、便宜上、トランスデューサ21から出力された受信信号のみを示すが、トランスデューサ22からも同様に受信信号が出力される。なお、典型的に光吸収体10は、被検体内部で背景組織よりも光吸収係数の大きな物質である。
図2(b)は、図2(a)に示すN−Shape状の受信信号に時間微分処理及び正負反転処理を施した投影信号を光吸収体10に重畳して示した図である。
図2(c)は、トランスデューサ21を用いて得られた投影信号をUBPで逆投影する様子を示す。UBPではトランスデューサ21を中心とした円弧上に投影信号を投影する。この場合、トランスデューサ21の指向角(例えば60°)の範囲に投影信号を逆投影している。その結果、あたかも領域31、32、及び33にわたって光吸収体10が存在するかのような画像となる。ここで、領域31及び33は負の値を持つ領域であり、領域32は正の値を持つ領域である。図2(c)において、負の値を持つ領域31及び33を灰色で塗りつぶした。
図2(d)は、トランスデューサ22を用いて得られた投影信号をUBPで逆投影する場合を示す。その結果、あたかも領域41、42、及び43にわたって光吸収体10が存在するかのような画像となる。ここで、領域41、43は負の値を持つ領域であり、領域42は正の値を持つ領域である。図2(d)において、負の値を持つ領域41及び43を灰色で塗りつぶした。
図2(e)は、複数のトランスデューサ21及び22のそれぞれに対応する投影信号をUBPで逆投影する場合の図を示す。このようにして逆投影された複数の投影信号を合成することにより、光音響画像データが生成される。
図2(e)に示すように、光吸収体10の内部の位置51においては、トランスデューサ21に対応する投影信号の正値の領域32と、トランスデューサ22に対応する投影信号の正値の領域42が重なる。すなわち、典型的に光吸収体10の領域では、正値の領域同士が優位に重なる。そのため、光吸収体10の領域では、典型的に光照射毎の画像データが正値となる傾向がある。
一方、光吸収体10の外部の位置52においては、実際には光吸収体が存在しない領域であるにもかかわらず、トランスデューサ21に対応する投影信号の正値の領域32と、トランスデューサ22に対応する投影信号の負値の領域43とが重なる。また、光吸収体10の外部の位置53においては、やはり光吸収体が存在しない領域であるにもかかわらず、トランスデューサ21に対応する投影信号の負値の領域32と、トランスデューサ22に対応する投影信号の正値の領域41とが重なる。このように光吸収体10以外の領域では、正値の領域と負値の領域とが複雑に重なる傾向がある。すなわち、光吸収体10以外の領域では、光照射毎に同一箇所の画像データが正値にも負値にもなる傾向がある。このような傾向となる理由としては、トランスデューサ22と光吸収体10との相対位置が光照射毎に変わることなどが考えられる。
次に、光音響波の受信位置の組み合わせを変えて複数回の光照射を行ったときの、光照射毎の画像データの値の変動について説明する。図3(a)は、非特許文献1に記載のUBPで再構成したときの光吸収体10の領域の画像データの値(画像値)の変動を示す。横軸は光照射の番号を示し、縦軸は画像値を示す。一方、図3(b)は、非特許文献1に記載のUBPで再構成したときの光吸収体10以外の領域の画像データの値(画像値)の変動を示す。横軸は光照射の番号を示し、縦軸は画像値を示す。
図3(a)によれば、光吸収体10の領域の画像値は、光照射毎に変動があるものの、常に正値となっていることが分かる。一方、図3(b)によれば、光吸収体10以外の領域の画像値は、光照射毎に正値にも負値にもなることが分かる。
ここで、全ての光照射に対応する画像データを合成することにより画像データを生成すると、光吸収体10の領域では正値の合成となるので最終的な画像値が大きくなる。一方で、光吸収体10以外の領域では、画像データの正値と負値とが相殺して、最終的な画像値が光吸収体10の領域よりも小さくなる。その結果、光音響画像データに基づいた画像上で光吸収体10の存在を視認することができる。
ところが、光吸収体10以外の領域では、光吸収体が存在しないにもかかわらず画像値が0とはならず、最終的な画像値が正値または負値となる場合がある。この場合、光吸収体10以外の位置にアーティファクトが発生し、光吸収体の視認性を低下させることとなる。
図2(f)は、光吸収体10の他に光吸収体11が存在する場合を示す。図2(f)においては、光吸収体10からの光音響波に対応する投影信号の正値の領域31〜33および負値の領域41〜43を示す。図2(f)に示すように光吸収体10のアーティファクトが光吸収体11の存在領域にも広がり、光吸収体11の視認性を悪化させる場合がある。反対に、光吸収体11のアーティファクトが光吸収体10の存在領域に広がり、光吸収体10の視認性を悪化させる場合もある。すなわち、関心領域の光音響画像データを生成するときに、関心領域以外に存在する音源(光吸収体)がアーティファクトの因子となる。
よって、関心領域を視認性よく確認したい場合、関心領域以外に存在する音源(光吸収体)に由来するアーティファクトを低減させることが望まれる。例えば、関心領域とは、光音響画像データのうち、診断の対象となる血管が存在する領域が挙げられる。また、「関心領域以外に存在する音源」とは、例えば診断の対象となる血管が存在する部分以外の輝度値の高い血管部分を意味する。これらの輝度値の高い血管部分は、強いアーティファクトを発生させ、周辺部分の血管の視認性を劣化させることがある。特に、被検体の深部における血管が存在する領域を関心領域とする場合、アーティファクトの因子となり得る音源としては表在血管や体毛などが挙げられる。
そこで、本発明者は、上記課題を解決するために、アーティファクトの因子となると考えられる音源の位置を設定し、この音源から発生する光音響波に由来する成分をシミュレーションにより計算することを着想した。さらに、本発明者は、光音響画像データからこの音源由来の成分を分離することで、光音響画像データに含まれるアーティファクトを低減することを着想した。また、本発明者は、光音響波の受信信号からこの音源由来の成分を分離することで、受信信号からアーティファクトとなる成分を低減することを着想した。
例えば、本発明によれば、シミュレーションにより設定した音源に由来するシミュレーション画像データを生成し、光音響画像データとこのシミュレーション画像データとの差分画像データを生成することができる。
また、本発明によれば、シミュレーションにより設定した音源に由来するシミュレーション信号データを生成し、光音響波の受信信号とシミュレーション信号との差分信号を生成することができる。さらに、本発明によれば、この差分信号を用いて画像データを生成することができる。
本発明によれば、上記のように設定した音源に由来するアーティファクト成分が低減された画像データを生成することができる。本発明に係るアーティファクト低減処理の詳細については、以下の実施形態の説明で述べる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、光音響装置により光音響画像データを生成する例を説明する。また、第1の実施形態では、光音響画像データからアーティファクト成分を低減する処理を説明する。以下、本実施形態の光音響装置の構成及び情報処理方法について説明する。
図4を用いて本実施形態に係る光音響装置の構成を説明する。図4は、光音響装置全体の概略ブロック図である。本実施形態に係る光音響装置は、光照射部110及び受信部120を含むプローブ180、駆動部130、信号収集部140、コンピュータ150、表示部160、及び入力部170を有する。
図5は、本実施形態に係るプローブ180の模式図を示す。測定対象は、被検体100である。駆動部130は、光照射部110と受信部120を駆動し、機械的な走査を行う。光照射部110が光を被検体100に照射し、被検体100内で音響波が発生する。光に起因して光音響効果により発生する音響波を光音響波とも呼ぶ。受信部120は、光音響波を受信することによりアナログ信号としての電気信号(光音響信号)を出力する。
信号収集部140は、受信部120から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、コンピュータ150に出力する。コンピュータ150は、信号収集部140から出力されたデジタル信号を、超音波または光音響波に由来する信号データとして記憶する。
コンピュータ150は、記憶されたデジタル信号に対して信号処理を行うことにより、被検体100に関する情報(被検体情報)の2次元または3次元の空間分布を表す光音響画像データを生成する。また、コンピュータ150は、得られた画像データに基づいた画像を表示部160に表示させる。ユーザーとしての医師は、表示部160に表示された画像を確認することにより、診断を行うことができる。表示画像は、ユーザーやコンピュータ150からの保存指示に基づいて、コンピュータ150内のメモリや、モダリティとネットワークで接続されたデータ管理システムなどのメモリに保存される。
また、コンピュータ150は、光音響装置に含まれる構成の駆動制御も行う。また、表示部160は、コンピュータ150で生成された画像の他にGUIなどを表示してもよい。入力部170は、ユーザーが情報を入力できるように構成されている。ユーザーは、入力部170を用いて測定開始や終了、作成画像の保存指示などの操作を行うことができる。
以下、本実施形態に係る光音響装置の各構成の詳細を説明する。
(光照射部110)
光照射部110は、光を発する光源111と、光源111から射出された光を被検体100へ導く光学系112とを含む。なお、光は、いわゆる矩形波、三角波などのパルス光を含む。
光源111が発する光のパルス幅としては、1ns以上、100ns以下のパルス幅であってもよい。また、光の波長として400nmから1600nm程度の範囲の波長であってもよい。血管を高解像度でイメージングする場合は、血管での吸収が大きい波長(400nm以上、700nm以下)を用いてもよい。生体の深部をイメージングする場合には、生体の背景組織(水や脂肪など)において典型的に吸収が少ない波長(700nm以上、1100nm以下)の光を用いてもよい。
光源111としては、レーザーや発光ダイオードを用いることができる。また、複数波長の光を用いて測定する際には、波長の変更が可能な光源であってもよい。なお、複数波長を被検体に照射する場合、互いに異なる波長の光を発生する複数台の光源を用意し、それぞれの光源から交互に照射することも可能である。複数台の光源を用いた場合もそれらをまとめて光源として表現する。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。例えば、Nd:YAGレーザーやアレキサンドライトレーザーなどのパルスレーザーを光源として用いてもよい。また、Nd:YAGレーザー光を励起光とするTi:saレーザーやOPO(Optical Parametric Oscillators)レーザーを光源として用いてもよい。また、光源111としてフラッシュランプや発光ダイオードを用いてもよい。また、光源111としてマイクロウェーブ源を用いてもよい。
光学系112には、レンズ、ミラー、プリズム、光ファイバー、拡散板、シャッターなどの等の光学素子を用いることができる。
生体組織に照射することが許される光の強度は、以下に示す安全規格によって最大許容露光量(MPE:maximum permissible exposure)が定められている。(IEC 60825−1:Safety of laser products、JIS C 6802:レーザー製品の安全基準、FDA:21CFR Part 1040.10、ANSI Z136.1:Laser Safety Standards、など)。最大許容露光量は、単位面積あたりに照射することができる光の強度を規定している。このため被検体Eの表面を広い面積で一括して光を照射することにより、多くの光を被検体Eに導くことができるので、光音響波を高いSN比で受信することができる。乳房等の生体組織を被検体100とする場合、高エネルギーの光のビーム径を広げて照射するために、光学系112の射出部は光を拡散させる拡散板等で構成されていてもよい。一方、光音響顕微鏡においては、解像度を上げるために、光学系112の光出射部はレンズ等で構成し、ビームをフォーカスして照射してもよい。
なお、光照射部110が光学系112を備えずに、光源111から直接被検体100に光を照射してもよい。
(受信部120)
受信部120は、音響波を受信することにより電気信号を出力するトランスデューサ121と、トランスデューサ121を支持する支持体122とを含む。また、トランスデューサ121は、音響波を送信する送信手段としてもよい。受信手段としてのトランスデューサと送信手段としてのトランスデューサとは、単一(共通)のトランスデューサでもよいし、別々の構成であってもよい。
トランスデューサ121を構成する部材としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料や、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。また、圧電素子以外の素子を用いてもよい。例えば、静電容量型トランスデューサ(CMUT:Capacitive Micro−machined Ultrasonic Transducers)、ファブリペロー干渉計を用いたトランスデューサなどを用いることができる。なお、音響波を受信することにより電気信号を出力できる限り、いかなるトランスデューサを採用してもよい。また、トランスデューサにより得られる信号は時間分解信号である。つまり、トランスデューサにより得られる信号の振幅は、各時刻にトランスデューサで受信される音圧に基づく値(例えば、音圧に比例した値)を表したものである。
光音響波を構成する周波数成分は、典型的には100KHzから100MHzであり、トランスデューサ121として、これらの周波数を検出することのできるものを採用することができる。
支持体122は、機械的強度が高い金属材料などから構成されていてもよい。照射光を被検体に多く入射させるために、支持体122の被検体100側の表面に鏡面もしくは光散乱させる加工が行われていてもよい。本実施形態において支持体122は半球殻形状であり、半球殻上に複数のトランスデューサ121を支持できるように構成されている。この場合、支持体122に配置されたトランスデューサ121の指向軸は半球の曲率中心付近に集まる。そして、複数のトランスデューサ121から出力された信号を用いて画像化したときに曲率中心付近の画質が高くなる。なお、支持体122はトランスデューサ121を支持できる限り、いかなる構成であってもよい。支持体122は、1Dアレイ、1.5Dアレイ、1.75Dアレイ、2Dアレイと呼ばれるような平面又は曲面内に、複数のトランスデューサを並べて配置してもよい。複数のトランスデューサ121が複数の受信手段に相当する。
また、支持体122は音響マッチング材210を貯留する容器として機能してもよい。すなわち、支持体122をトランスデューサ121と被検体100との間に音響マッチング材210を配置するための容器としてもよい。
また、受信部120が、トランスデューサ121から出力される時系列のアナログ信号を増幅する増幅器を備えてもよい。また、受信部120が、トランスデューサ121から出力される時系列のアナログ信号を時系列のデジタル信号に変換するA/D変換器を備えてもよい。すなわち、受信部120が後述する信号収集部140を備えてもよい。
なお、音響波を様々な角度で検出できるようにするために、理想的には被検体100を全周囲から囲むようにトランスデューサ121を配置してもよい。ただし、被検体100が大きく全周囲を囲むようにトランスデューサを配置できない場合は、半球状の支持体122上にトランスデューサを配置して全周囲を囲む状態に近づけてもよい。
なお、トランスデューサの配置や数及び支持体の形状は被検体に応じて最適化すればよく、本発明に関してはあらゆる受信部120を採用することができる。
受信部120と被検体100との間の空間は、光音響波が伝播することができる媒質で満たす。この媒質には、音響波が伝搬でき、被検体100やトランスデューサ121との界面において音響特性が整合し、できるだけ光音響波の透過率が高い材料を採用する。例えば、この媒質には、水、超音波ジェルなどを採用することができる。
図5(a)は、プローブ180の側面図を示し、図5(b)は、プローブ180の上面図(図5(a)の紙面上方向から見た図)を示す。図5に示された本実施形態に係るプローブ180は、開口を有する半球状の支持体122に複数のトランスデューサ121が3次元に配置された受信部120を有する。また、図6に示されたプローブ180は、支持体122の底部に光学系112の光射出部が配置されている。
本実施形態においては、図5に示すように被検体100は、保持部200に接触することにより、その形状が保持される。本実施形態では、被検体100が乳房の場合に、伏臥位の被検者を支持する寝台に乳房を挿入するための開口を設けて、開口から鉛直方向に垂らされた乳房を測定する形態を想定している。
受信部120と保持部200の間の空間は、光音響波が伝播することができる媒質(音響マッチング材210)で満たされる。この媒質には、光音響波が伝搬でき、被検体100やトランスデューサ121との界面において音響特性が整合し、できるだけ光音響波の透過率が高い材料を採用する。例えば、この媒質には、水、ひまし油、超音波ジェルなどを採用することができる。
保持手段としての保持部200は被検体100の形状を測定中に保持するために使用される。保持部200により被検体100を保持することによって、被検体100の動きの抑制および被検体100の位置を保持部200内に留めることができる。保持部200の材料には、ポリカーボネートやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等、樹脂材料を用いることができる。
保持部200は、被検体100を保持できる硬度を有する材料であることが好ましい。保持部200は、測定に用いる光を透過する材料であってもよい。保持部200は、インピーダンスが被検体100と同程度の材料で構成されていてもよい。乳房等の曲面を有するものを被検体100とする場合、凹型に成型した保持部200であってもよい。この場合、保持部200の凹部分に被検体100を挿入することができる。
保持部200は、取り付け部201に取り付けられている。取り付け部201は、被検体の大きさに合わせて複数種類の保持部200を交換可能に構成されていてもよい。例えば、取り付け部201は、曲率半径や曲率中心などの異なる保持部に交換できるように構成されていてもよい。
また、保持部200には保持部200の情報が登録されたタグ202が設置されていてもよい。例えば、タグ202には、保持部200の曲率半径、曲率中心、音速、識別ID等の情報を登録することができる。タグ202に登録された情報は、読み取り部203により読み出され、コンピュータ150に転送される。保持部200が取り付け部201に取り付けられたときに容易にタグ202を読み取るために、読み取り部203は取り付け部201に設置されていてもよい。例えば、タグ202はバーコードであり、読み取り部203はバーコードリーダである。
(駆動部130)
駆動部130は、被検体100と受信部120との相対位置を変更する部分である。本実施形態では、駆動部130は、支持体122をXY方向に移動させる装置であり、ステッピングモーターを搭載した電動のXYステージである。駆動部130は、駆動力を発生させるステッピングモーターなどのモーターと、駆動力を伝達させる駆動機構と、受信部120の位置情報を検出する位置センサとを含む。駆動機構としては、リードスクリュー機構、リンク機構、ギア機構、油圧機構、などを用いることができる。また、位置センサとしては、エンコーダー、可変抵抗器、リニアスケール、磁気センサ、赤外線センサ、超音波センサなどを用いたポテンショメータなどを用いることができる。
なお、駆動部130は被検体100と受信部120との相対位置をXY方向(2次元)に変更させるものに限らず、1次元または3次元に変更させてもよい。移動経路は平面的にスパイラル状やライン&スペースで走査してもよいし、さらに3次元的に体表に沿うように傾けてもよい。また、被検体100の表面からの距離を一定に保つようにしてプローブ180を移動させてもよい。このとき駆動部130は、モーターの回転数をモニターするなどしてプローブの移動量を計測してもよい。
なお、駆動部130は、被検体100と受信部120との相対的な位置を変更できれば、受信部120を固定し、被検体100を移動させてもよい。被検体100を移動させる場合は、被検体100を保持する保持部を動かすことで被検体100を移動させる構成などが考えられる。また、被検体100と受信部120の両方を移動させてもよい。
駆動部130は、相対位置を連続的に移動させてもよいし、ステップアンドリピートによって移動させてもよい。駆動部130は、プログラムされた軌跡で移動させる電動ステージであってもよいし、手動ステージであってもよい。すなわち、光音響装置は、駆動部130を有さずに、ユーザーがプローブ180を把持して操作するハンドヘルドタイプであってもよい。
また、本実施形態では、駆動部130は光照射部110と受信部120を同時に駆動して走査を行っているが、光照射部110だけを駆動したり、受信部120だけを駆動したりしてもよい。
(信号収集部140)
信号収集部140は、トランスデューサ121から出力されたアナログ信号である電気信号を増幅するアンプと、アンプから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを含む。信号収集部140は、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成されてもよい。信号収集部140から出力されるデジタル信号は、コンピュータ150内の記憶部152に記憶される。信号収集部140は、Data Acquisition System(DAS)とも呼ばれる。本明細書において電気信号は、アナログ信号もデジタル信号も含む概念である。なお、フォトダイオードなどの光検出センサが、光照射部110から光射出を検出し、信号収集部140がこの検出結果をトリガーに同期して上記処理を開始してもよい。また、信号収集部140は、フリーズボタンなどを用いてなされる指示をトリガーに同期して、当該処理を開始してもよい。
(コンピュータ150)
表示制御装置としてのコンピュータ150は、演算部151、記憶部152、制御部153を含む。各構成の機能については処理フローの説明の際に説明する。
演算部151としての演算機能を担うユニットは、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップ等の演算回路で構成されることができる。これらのユニットは、単一のプロセッサや演算回路から構成されるだけでなく、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。演算部151は、入力部170から、被検体音速や保持部の構成などの各種パラメータを受けて、受信信号を処理してもよい。
記憶部152は、ROM(Read only memory)、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの非一時記憶媒体で構成することができる。また、記憶部152は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の媒体であってもよい。なお、プログラムが格納される記憶媒体は、非一時記憶媒体である。なお、記憶部152は、1つの記憶媒体から構成されるだけでなく、複数の記憶媒体から構成されていてもよい。
記憶部152は、後述する方法で演算部151により生成される光音響画像を示す画像データを保存することができる。
制御部153は、CPUなどの演算素子で構成される。制御部153は、光音響装置の各構成の動作を制御する。制御部153は、入力部170からの測定開始などの各種操作による指示信号を受けて、光音響装置の各構成を制御してもよい。また、制御部153は、記憶部152に格納されたプログラムコードを読み出し、光音響装置の各構成の作動を制御する。例えば、制御部153が制御線を介して、光源111の発光タイミングを制御してもよい。また、光学系112がシャッターを含む場合、制御部153が制御線を介して、シャッターの開閉を制御してもよい。
コンピュータ150は専用に設計されたワークステーションであってもよい。また、コンピュータ150の各構成は異なるハードウェアによって構成されてもよい。また、コンピュータ150の少なくとも一部の構成は単一のハードウェアで構成されてもよい。
図6は、本実施形態に係るコンピュータ150の具体的な構成例を示す。本実施形態に係るコンピュータ150は、CPU154、GPU155、RAM156、ROM157、外部記憶装置158から構成される。また、コンピュータ150には、表示部160としての液晶ディスプレイ161、入力部170としてのマウス171、キーボード172が接続されている。
また、コンピュータ150および複数のトランスデューサ121は、共通の筺体に収められた構成で提供されてもよい。ただし、筺体に収められたコンピュータで一部の信号処理を行い、残りの信号処理を筺体の外部に設けられたコンピュータで行ってもよい。この場合、筺体の内部および外部に設けられたコンピュータを総称して、本実施形態に係るコンピュータとすることができる。すなわち、コンピュータを構成するハードウェアが一つの筺体に収められていなくてもよい。
(表示部160)
表示部160は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)FED、メガネ型ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどのディスプレイである。コンピュータ150により得られたボリュームデータに基づいた画像や特定位置の数値等を表示する装置である。表示部160は、ボリュームデータに基づいた画像や装置を操作するためのGUIを表示してもよい。なお、被検体情報の表示にあたっては、表示部160またはコンピュータ150において画像処理(輝度値の調整等)を行った上で表示することもできる。表示部160は、光音響装置とは別に提供されていてもよい。コンピュータ150は、光音響画像データを有線または無線で表示部160へ送信することができる。
(入力部170)
入力部170としては、ユーザーが操作可能な、マウスやキーボードなどで構成される操作コンソールを採用することができる。また、表示部160をタッチパネルで構成し、表示部160を入力部170として利用してもよい。
入力部170は、観察したい位置や深さの情報などを入力できるように構成されていてもよい。入力方法としては、数値を入力してもよいし、スライダーバーを操作することにより入力ができてもよい。また、入力された情報に応じて表示部160に表示される画像が更新されていってもよい。これにより、ユーザーは自身の操作によって決定されたパラメータにより生成された画像を確認しながら、適切なパラメータに設定できる。
また、ユーザーが光音響装置の遠隔に設けられた入力部170を操作し、入力部170を用いて入力された情報を、ネットワークを介して光音響装置に送信してもよい。
なお、光音響装置の各構成はそれぞれ別の装置として構成されてもよいし、一体となった1つの装置として構成されてもよい。また、光音響装置の少なくとも一部の構成が一体となった1つの装置として構成されてもよい。
また、光音響装置の各構成間で送受信される情報は、有線または無線でやりとりがなされる。
(被検体100)
被検体100は光音響装置を構成するものではないが、以下に説明する。本実施形態に係る光音響装置は、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを目的として使用できる。よって、被検体100としては、生体、具体的には人体や動物の乳房や各臓器、血管網、頭部、頸部、腹部、手指および足指を含む四肢などの診断の対象部位が想定される。例えば、人体が測定対象であれば、オキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンやそれらを含む多く含む血管や腫瘍の近傍に形成される新生血管などを光吸収体の対象としてもよい。また、頸動脈壁のプラークなどを光吸収体の対象としてもよい。また、皮膚等に含まれるメラニン、コラーゲン、脂質などを光吸収体の対象としてもよい。また、メチレンブルー(MB)、インドシニアングリーン(ICG)などの色素、金微粒子、またはそれらを集積あるいは化学的に修飾した外部から導入した物質を光吸収体としてもよい。また、生体を模したファントムを被検体100としてもよい。
次に、本実施形態に係る情報処理を含む画像生成方法を、図7を参照して説明する。なお、各工程は、コンピュータ150が光音響装置の構成の動作を制御することにより実行される。
(S100:制御パラメータを設定する工程)
ユーザーが、被検体情報の取得のために必要な光照射部110の照射条件(繰り返し周波数や波長など)やプローブ180の位置などの制御パラメータを、入力部170を用いて指定する。コンピュータ150は、ユーザーの指示に基づいて決定された制御パラメータを設定する。
(S200:プローブを指定位置に移動させる工程)
制御部153が、ステップS100で指定された制御パラメータに基づいて、駆動部130にプローブ180を指定の位置へ移動させる。ステップS100において複数位置での撮像が指定された場合には、駆動部130は、まずプローブ180を最初の指定位置へ移動させる。なお、駆動部130は、測定の開始指示がなされたときに、あらかじめプログラムされた位置にプローブ180を移動させてもよい。なお、ハンドヘルド型の場合、ユーザーがプローブ180を把持して所望の位置まで移動させてもよい。
(S300:光を照射する工程)
光照射部110は、S100で指定された制御パラメータに基づいて、被検体100に光を照射する。
光源111から発生した光は、光学系112を介してパルス光として被検体100に照射される。そして、被検体100内部でパルス光が吸収され、光音響効果により光音響波が生じる。光照射部110はパルス光の伝送と併せて信号収集部140へ同期信号を送信する。
(S400:光音響波を受信する工程)
信号収集部140は、光照射部110から送信された同期信号を受信すると、信号収集の動作を開始する。すなわち、信号収集部140は、受信部120から出力された、音響波に由来するアナログ電気信号を、増幅・AD変換することにより、増幅されたデジタル電気信号を生成し、コンピュータ150へ出力する。コンピュータ150は、信号収集部140から送信された信号を記憶部152に保存する。ステップS100で複数の走査位置での撮像を指定した場合には、指定した走査位置において、S200−S400のステップを繰り返し実行し、パルス光の照射と音響波に由来するデジタル信号の生成を繰り返す。なお、コンピュータ150は、発光をトリガーとして、発光時の受信部120の位置情報を駆動部130の位置センサからの出力に基づいて取得し、記憶してもよい。
(S500:光音響画像データを生成する工程)
画像データ生成手段としてのコンピュータ150の演算部151は、記憶部152に記憶された信号データに基づいて、光音響画像データを生成し、記憶部152に保存する。
信号データを空間分布としてのボリュームデータに変換する再構成アルゴリズムとしては、タイムドメインでの逆投影法やフーリエドメインでの逆投影法などの解析的な再構成法やモデルベース法(繰り返し演算法)を採用することができる。例えば、タイムドメインでの逆投影法として、Universal back−projection(UBP)、Filtered back−projection(FBP)、または整相加算(Delay−and−Sum)などが挙げられる。
例えば、コンピュータ150がUBPにより再構成を行う例を説明する。コンピュータ150は、式1に示すように、受信信号p(r,t)に対して時間微分処理及び反転処理(時間微分信号にマイナスを付与)を行い、投影信号b(r,t)を生成し、投影信号b(r,t)を記憶部152に記憶する。
ここで、rは受信位置、tは光照射からの経過時間、p(r,t)は受信位置rで経過時間tに受信された光音響波の音圧を示す受信信号、b(r,t)は投影信号である。なお、時間微分処理及び反転処理に加えてその他の信号処理を行ってもよい。例えば、その他の信号処理は、周波数フィルタリング(ローパス、ハイパス、バンドパス等)、デコンボリューション、包絡線検波、ウェーブレットフィルタリングの少なくとも一つである。
コンピュータ150は、記憶部152に記憶された受信信号に対して、時間微分処理及び信号レベルの正負を反転させる反転処理を含む信号処理を行う。これらの信号処理が行われた受信信号を投影信号とも呼ぶ。本工程では、記憶部152に記憶された各受信信号に対して、これらの信号処理を実行する。その結果、複数回の光照射及び複数のトランスデューサ121のそれぞれに対応する投影信号が生成される。なお、時間微分処理および反転処理はUBPに由来する処理であるため、その他の再構成を実行する場合は、コンピュータ150はこれらの信号処理を実行しなくてもよい。
続いて、コンピュータ150は、式2に示すように、信号データとしての投影信号b(r,t)に基づいて、光照射毎の光音響画像データとして初期音圧pの空間分布を示す画像データを生成する。その結果、2回以上の光照射のそれぞれに対応する画像データが生成され、2つ以上の画像データを取得することができる。
ここで、rは再構成する位置(再構成位置、注目位置とも呼ぶ)を示す位置ベクトル、p(r)は再構成する位置での初期音圧、cは伝搬経路の音速を示す。また、ΔΩは再構成する位置からi番目のトランスデューサ121を見込む立体角、Nは再構成に用いるトランスデューサ121の個数を示す。式1は、投影信号に立体角の加重をかけて整相加算すること(逆投影)を示している。
また、演算部151は、被検体100に照射された光の被検体100の内部での光フルエンス分布を計算し、初期音圧分布を光フルエンス分布で除算することにより、吸収係数分布情報を取得してもよい。この場合、吸収係数分布情報を光音響画像データとして取得してもよい。コンピュータ150は、光を吸収、散乱する媒質における光エネルギーの挙動を表す輸送方程式や拡散方程式を数値的に解く方法により、被検体100の内部における光フルエンスの空間分布を算出することができる。数値的に解く方法としては、有限要素法、差分法、モンテカルロ法等を採用することができる。例えば、コンピュータ150は、式3に示す光拡散方程式を解くことにより、被検体100の内部における光フルエンスの空間分布を算出してもよい。
ここで、Dは拡散係数、μaは吸収係数、Sは照射光の入射強度、φは到達する光フルエンス、rは位置、tは時間を示す。
また、複数の波長の光を用いて、S300、S400の工程を実行し、演算部151は、複数の波長の光のそれぞれに対応する吸収係数分布情報を取得してもよい。そして、演算部151は、複数の波長の光のそれぞれに対応する吸収係数分布情報に基づいて、分光情報として被検体100を構成する物質の濃度の空間分布情報を、光音響画像データとして取得してもよい。すなわち、演算部151は、複数の波長の光に対応する信号データを用いて、分光情報を取得してもよい。
(S600:光音響画像データからアーティファクトを低減する工程)
コンピュータ150は、S500で取得された光音響画像データからアーティファクト成分を低減する。コンピュータ150は、アーティファクトが低減された光音響画像データを記憶部152に保存する。
S600における本実施形態に係るアーティファクトの低減処理方法を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、便宜上、図9に示す被検体モデル1001を用いたシミュレーションにより、本実施形態に係るアーティファクトの低減処理方法を説明する。被検体モデル1001は、1辺の長さ5mmの立方体の計算空間を形成しており、計算空間中に光吸収体1002と光吸収体1003の2つの光吸収体が配置されている。ここで、光吸収体1002は直径1mmの球状の光吸収体であり、光吸収体1003は直径0.2mmの球状の光吸収体である。
(S610:光音響画像データに基づいた画像を表示する工程)
コンピュータ150は、S500で生成された光音響画像データに基づいた画像を生成し、表示部160に表示させる。例えば、図10(a)は、本工程で表示される光音響画像データに基づいた画像の例を示す。図10(a)に示す被検体モデル1001の画像には、光吸収体1002と光吸収体1003の画像が含まれている。
具体的には、被検体モデル1001に対して光照射したときに光吸収体1002と光吸収体1003から発生する光音響波を、紙面下側に配置した受信部が受信するときに得られる受信信号をシミュレーションにより作成した。続いて、シミュレーションにより得られた受信信号を用いて、式1にしたがって再構成することにより、図10(a)に示す画像を生成した。
本実施形態では、便宜上、シミュレーションにより光音響画像データを生成する例を説明したが、本来本工程では被検体100への光照射により発生する光音響波に由来する光音響画像データを生成する。
(S620:関心領域を設定する工程)
S610で表示された画像に対して、ユーザーが入力部170を用いて、観察対象とする関心領域を指定する。この関心領域が「アーティファクト低減の対象領域」に相当する。例えば、ユーザーが入力部170を用いて、表示部160に表示された画像(図10(a))に対して、点線で示した領域1004を関心領域として指定することができる。関心領域設定手段としてのコンピュータ150は、入力部170を介して関心領域を表す情報を取得し、この情報に基づいて関心領域を設定することができる。
また、関心領域設定手段としてのコンピュータ150が、S500で生成された光音響画像データを解析することにより、関心領域を設定してもよい。例えば、事前に診断領域が決まっているときに、コンピュータ150が診断領域の情報を取得し、診断領域内の光音響画像データを解析し、血管構造と思われる画像データを含む領域を関心領域としてもよい。
また、ユーザーが入力部170を用いて関心領域を設定したい対象範囲を指定し、コンピュータ150が指定された対象範囲内の光音響画像データを解析することにより、当該対象範囲の中から関心領域を設定してもよい。
なお、本実施形態では、以下の処理における計算対象の領域を制限するために関心領域を設定するが、計算空間の全領域を計算対象とする場合、関心領域を別途設定しなくてもよい。この場合、計算空間の全領域が関心領域として設定されたとみなすこともできる。
(S630:関心領域以外の領域の音源を設定する工程)
位置設定手段としてのコンピュータ150は、アーティファクトの因子となる音源の位置を設定する。すなわち、コンピュータ150は、ユーザーが指定した関心領域内の画像に影響を与えると思われる音源を決定する。例えば、ユーザーが入力部170を用いて、関心領域以外の領域において、アーティファクトの因子となると思われる音源の位置を指定してもよい。ここでは、光音響画像データ中で輝度値が非常に高い光吸収体が存在し、強い再構成アーティファクトが発生して周囲の光吸収体の視認性に影響を与えていると思われる領域(例えば、図10(a)における光吸収体1002の領域)を指定する。
また、コンピュータ150が、関心領域以外の領域において、ある基準値以上の輝度値を有するボクセルを、アーティファクトの因子となる音源として決定してもよい。例えば、関心領域以外の領域において上位10%以内の輝度値を持つボクセルを決定する、全ボクセルの輝度値の平均値以上の輝度値を有するボクセルを決定する、といった基準を設定して、アーティファクトの因子となる音源を決定してもよい。
なお、観察対象に影響を与える音源(アーティファクトの因子となる音源)を決定できる限り、いかなる方法を採用してもよい。すなわち、本発明においては、関心領域を設定せずに、アーティファクトの因子となる音源を決定してもよい。
(S640:シミュレーション信号を生成する工程)
次に、コンピュータ150が、シミュレーションにより、光が被検体モデル1001に照射された場合に、トランスデューサから出力される受信信号を算出し、記憶部152に保存する。シミュレーションにより算出された光音響波の受信信号をシミュレーション信号と呼ぶ。以下、シミュレーション信号を生成するための方法の一例を説明する。
まずコンピュータ150が、式2にしたがって、被検体モデル1001内部の光量分布を計算する。ここで、コンピュータ150は、照射光の光強度プロファイルおよび照射位置、ならびに被検体モデル1001での光の吸収や散乱を表す光学特性値などの情報を取得する。そして、コンピュータ150は、照射光に関する情報および被検体モデル1001の光学特性値を用いて、式2にしたがって、被検体モデル1001内部の光量分布を算出する。
次にコンピュータ150は、S630で設定された音源(光吸収体1002)の光吸収係数を設定する。例えば、コンピュータ150は、光吸収体1002が血管であるとして、血管の光吸収係数の統計値を光吸収体1002に対応するボクセルに設定してもよい。なお、このときコンピュータ150は、照射光の波長を表す情報を取得し、当該波長に対応する光吸収係数の統計値を設定してもよい。また、コンピュータ150は、血管の種別(動脈であるか静脈であるか、酸素飽和度がどの程度の血管であるか等)の情報を取得し、血管の種別に対応する光吸収係数の統計値を設定してもよい。また、コンピュータ150は、S630で設定された音源(光吸収体1002)のグルナイゼン係数についても同様に設定する。
次にコンピュータ150は、式4にしたがって、被検体モデル1001内部の光吸収体1002における光量、光吸収係数、グルナイゼン係数をかけることで、光吸収体1002で発生する光音響波の音圧p[Pa]を算出する。
=μ・Γ・Φ ・・・式4
式4において、μは光吸収体の吸収係数[/mm]である。Γはグリュナイゼン係数である。Φは光吸収体の位置における光量[J/mm2]である。グリュナイゼン係数Γは体積膨張係数に音速の2乗をかけた値を定圧比熱で除した値であって、生体では略一定値をとる。式4からわかるように、光音響効果により発生する光音響波の音圧は、光吸収係数と光強度に比例する。
式4で求められたpの被検体内部における分布が、「被検体内部の初期音圧分布:p(r)」として表される。
さらに、シミュレーションの次なるステップでは、被検体内部で発生した光音響波が、どのように生体内部を伝搬するか計算する。一般的に、生体などの非粘性媒体を伝搬する光音響波の伝搬は以下の光音響波動方程式を解けばよいとされている。
ここでp(r,t):圧力(音圧)、ρ(r):密度、c(r):音速 、Γ:グリューナイセン係数、H(r,t):単位時間、単位体積当たりの熱量、t:時間、r:位置である。単位時間、単位体積当たりの熱量H(r,t)は、熱閉じ込め条件のもとでは、単位体積当たりの熱量H(r)と光パルス関数I(t)に分離することができる。
また、単位体積当たりの熱量H(r)と、発生する初期音圧分布p(r)は、以下の関係にある。
ここで、μ(r):光吸収体(腫瘍等)の吸収係数[/mm]、Φ(r): 光吸収体の位置の光強度[J/mm2]である。
以上の結果をまとめると、熱閉じ込め条件が成り立つ条件での光音響波動方程式は以下になる。
通常はこの式を解くことで、光音響波の伝搬過程を再現できる。つまり、複数のトランスデューサ121の存在する受信位置rにおける、経過時間tでの光音響波の音圧p(r,t)をシミュレーションできるということになる。
光音響波の伝搬過程を再現計算に用いる光音響波動方程式は必ずしも式8に限定されない。演算量を適切な量にするために条件を限定する、もしくは適切な近似等を用いることで、式8を適宜変形、簡略化させたものを用いて光音響波の伝搬過程を計算してもよい。
なお、コンピュータ150は、S500で取得した光音響画像データに基づいて、シミュレーションにおける各種パラメータを設定してもよい。例えば、光音響画像データとして光吸収係数分布を取得する場合、コンピュータ150は、シミュレーションにおいて初期音圧を求めるときや光量を求めるときの光吸収係数として、光音響画像データを利用してもよい。また、光音響画像データとして初期音圧分布を取得する場合、コンピュータ150は、光吸収係数の設定や光量の算出を行わずに、光音響画像データの画像値を初期音圧として利用してもよい。なお、S500における計算の過程で光吸収係数や初期音圧が計算されている場合、これらの情報をシミュレーションに利用してもよい。
(S650:設定された全ての音源についてシミュレーションしたかを判定する工程)
コンピュータ150は、S630で設定された全ての音源に対応するボクセルから発生する光音響波の受信信号をシミュレーションにより算出したかを判定する。S630で設定された全ての音源に対応するシミュレーションが実行されていない場合、コンピュータ150は、残りのボクセルについてS640の工程を繰り返し実行する。例えば、図11に示すように、コンピュータ150は、光吸収体1002に対応する全てのボクセルに、点音源としての球体1005を順次設定していった場合のシミュレーション信号を繰り返し計算する。
このようにして得られたシミュレーション信号は、関心領域1004内のアーティファクト成分となる信号に相当する。
(S660:シミュレーション画像データを生成する工程)
コンピュータ150は、S640およびS650で生成されたシミュレーション信号を用いて、シミュレーション画像データを生成し、記憶部152に保存する。ここで、コンピュータ150は、シミュレーション信号を対して非特許文献1に記載のUBP(式1および式2)で再構成を行うことにより、シミュレーション画像データを生成する。このように生成されたシミュレーション画像データは、S630で設定された音源に由来するアーティファクトを含む画像データである。
(S670:光音響画像データとシミュレーション画像データとの差分画像データを生成する工程)
コンピュータ150は、S500で生成された光音響画像データと、S670で生成されたシミュレーション画像データとを記憶部152から読み出し、それぞれの画像データにおいて互いに対応するボクセルまたはピクセルの画像値の差分を算出する。すなわち、コンピュータ150は、S500で生成された光音響画像データと、S670で生成されたシミュレーション画像データとの差分画像データを生成し、記憶部152に保存する。シミュレーション画像データはS630で設定された音源に由来するアーティファクトを含む画像データであるため、差分画像データはアーティファクト成分が低減された画像データに相当する。例えば、図10(b)は、S500で生成された光音響画像データ(図10(a))からS660で生成されたシミュレーション画像データを減算することにより生成された差分画像データの例を示す。
本実施形態では便宜上、S630で設定された全ての音源に由来するアーティファクトを含むシミュレーション画像データを生成し、差分画像データを生成する例を説明した。ただし、S500で生成された光音響画像データから、シミュレーションによりS630で設定された音源に由来するアーティファクトを低減できる限り、いかなる方法を採用してもよい。例えば、図11に示すように、光吸収体1002をボクセルサイズ相当の球状の点音源の集合体として近似してもよい。そして、コンピュータ150は、ボクセルサイズ相当の球体1005の1つ1つから発生する光音響波に対応するシミュレーション画像データを順次生成し、S500で生成された光音響画像データから順次減算してもよい。
なお、各画像データを保存する記憶部は物理的に異なるものであってもよい。すなわち、ある画像データはコンピュータ150の記憶部152に保存され、別の画像データはネットワークを介して特定のサーバー(PACS等)に保存されてもよい。
図10(c)は、図10(a)における関心領域1004に対応する光音響画像データを拡大した画像である。また、図10(d)は、図10(b)における関心領域1004に対応する差分画像データを拡大した画像である。これらの画像を比較すると、図10(c)に示す画像と比べて、図10(d)に示す画像の方が、光吸収体1002の画像のコントラストが高いことが理解される。これは、差分画像データにおいては、関心領域外に存在する光吸収体1002に由来するアーティファクトが低減しているためと考えられる。すなわち、本実施形態に係るアーティファクト低減処理によれば、画像中のターゲット(血管等の光吸収体)の視認性を向上させることができる。
表示制御手段としてのコンピュータ150は、S670で得られた、アーティファクト成分の低減された画像データ(差分画像データ)に基づいて画像を生成し、表示部160に表示させる。画像データの画像値は、そのまま表示画像の輝度値としてもよい。また、画像データの画像値に所定の処理を加えて、表示画像の輝度を決定してもよい。例えば、画像値が正値の場合は画像値を輝度に割り当てとし、画像値が負値の場合は輝度を0とする表示画像を生成してもよい。
なお、差分画像データに基づいた画像は単独で表示されてもよいし、光音響画像データに基づいた画像と並べて表示されてもよい。並べて表示する場合に、各画像の表示色を異ならせてもよい。また、並べて表示する場合に、両画像を区別できるよう、文字や記号でラベルをつける、もしくは表示ウインドウの形状、大きさを異ならせるような表示させてもよい。
また、差分画像データに基づいた画像と、光音響画像データに基づいた画像を重畳表示してもよい。その際、各画像の色を異ならせて表示してもよい。一方の画像の彩度をもう一方の画像の彩度よりも低くすることにより、表示色を区別してもよい。また、互いに異なる色相で複数の画像を表示することにより、表示色を区別してもよい。例えば、一方の画像をグレースケール(無彩色)で表示し、もう一方の画像をカラー(有彩色)で表示してもよい。
また、差分画像データに基づいた画像と、光音響画像データに基づいた画像とを、同じ表示位置で切り替えて表示してもよい。
なお、差分画像データに基づいた画像と、光音響画像データに基づいた画像とを区別できる限り、並列、重畳、切り換えに限らず、いかなる表示態様であってもよい。
また、本実施形態においては、3次元の光音響画像データを例に説明を行ってきたが、これに限定されない。2次元の光音響画像データのピクセルデータに対して本実施形態に係る処理を適用することも可能である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、光音響波の受信信号からアーティファクトとなる信号成分を低減する処理を説明する。なお、第2の実施形態で用いる装置は、第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態に係る情報処理を含む画像生成方法を、図12を参照して説明する。図12に示す工程において、図7に示す工程と同様の工程については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、各工程は、コンピュータ150が光音響装置の構成の動作を制御することにより実行される。
本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、まずS100〜S400の工程を実行し、光音響波の受信信号を信号データとして記憶部152に保存する。
(S800:音響波の受信信号からアーティファクト成分を低減する工程)
コンピュータ150は、記憶部152に記憶された光音響波の受信信号からアーティファクト成分を低減する処理を実行する。コンピュータ150は、アーティファクト成分が低減された受信信号を記憶部152に保存する。アーティファクト成分に相当する信号については、シミュレーションにより生成する。以下、本工程の詳細について図13を参照して説明する。図13に示す工程において、図8に示す工程と同様の工程には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
まずコンピュータ150は、第1の実施形態と同様に、S610〜S650の工程を実行し、S630で設定された音源に由来する光音響波に対応するシミュレーション信号を生成し、記憶部152に保存する。
(S810:光音響波の受信信号とシミュレーション信号との差分信号を生成する工程)
コンピュータ150は、S400で取得され、記憶部152に保存された光音響波の受信信号から、記憶部152に保存されたシミュレーション信号を減算する。コンピュータ150は、この処理により、光音響波の受信信号とシミュレーション信号との差分信号を生成することができる。このように生成された差分信号が、アーティファクト成分が低減された受信信号に相当する。
以下、シミュレーションにより生成した信号を用いて、S800における信号処理を説明する。図14に示す波形は、縦軸を信号強度とし、横軸を時間に相当するサンプリング番号とした時間波形である。図14(a)は、S400で生成された受信信号の時間波形の例を示す。図14(b)は、S610〜S650の工程により生成されたシミュレーション信号(アーティファクト成分)の時間波形の例を示す。コンピュータ150は、図14(a)に示す受信信号から、図14(b)に示すシミュレーション信号を減算することにより、図14(c)に示すアーティファクト成分が低減された受信信号(差分信号)が生成することができる。
また、コンピュータ150は、図15(a)に示す受信信号に信号処理を施した時間信号からアーティファクト成分を減算してもよい。例えば、図15(a)は、図14(a)に示す受信信号に対して、信号処理として時間微分処理と正負反転処理を施した信号の時間波形の例である。また、図15(b)は、シミュレーション信号に対して信号処理として時間微分処理と正負反転処理を施した信号の時間波形の例である。コンピュータ150は、図15(a)に示す信号処理後の受信信号から、図15(b)に示す信号処理後のシミュレーション信号減算することにより、図15(c)に示す差分信号を生成してもよい。
なお、減算対象となる受信信号のサンプリング番号は、減算対象とする領域と音響波の受信位置との距離、超音波の音速、およびサンプリング周波数等から導出することが可能である。
(S900:アーティファクト成分が低減された受信信号から画像データを生成する工程)
コンピュータ150は、S800で生成されたアーティファクト成分が低減された受信信号(差分信号)を用いて、画像データ(差分画像データ)を生成し、表示部160に画像データに基づいた画像を表示させる。例えば、コンピュータ150は、図14(c)に示す差分信号に対して、式1および式2に示すUBPを適用することにより、アーティファクト成分が低減された画像データを生成することができる。また、コンピュータ150は、図15(c)に示す差分信号に対して、式1および式2に示すUBPを適用することにより、アーティファクト成分が低減された画像データを生成することもできる。この結果、図10(b)と同様の画像データを生成することができる。
なお、各画像データを保存する記憶部は物理的に異なるものであってもよい。すなわち、ある画像データはコンピュータ150の記憶部152に保存され、別の画像データはネットワークを介して特定のサーバー(PACS等)に保存されてもよい。
表示制御手段としてのコンピュータ150は、S900で得られた、アーティファクト成分の低減された画像データ(差分画像データ)に基づいて画像を生成し、表示部160に表示させる。画像データの画像値は、そのまま表示画像の輝度値としてもよい。また、画像データの画像値に所定の処理を加えて、表示画像の輝度を決定してもよい。例えば、画像値が正値の場合は画像値を輝度に割り当てとし、画像値が負値の場合は輝度を0とする表示画像を生成してもよい。
なお、差分画像データに基づいた画像は単独で表示されてもよいし、光音響画像データに基づいた画像と並べて表示されてもよい。並べて表示する場合に、各画像の表示色を異ならせてもよい。また、並べて表示する場合に、両画像を区別できるよう、文字や記号でラベルをつける、もしくは表示ウインドウの形状、大きさを異ならせるような表示させてもよい。
また、差分画像データに基づいた画像と、光音響画像データに基づいた画像を重畳表示してもよい。その際、各画像の色を異ならせて表示してもよい。一方の画像の彩度をもう一方の画像の彩度よりも低くすることにより、表示色を区別してもよい。また、互いに異なる色相で複数の画像を表示することにより、表示色を区別してもよい。例えば、一方の画像をグレースケール(無彩色)で表示し、もう一方の画像をカラー(有彩色)で表示してもよい。
また、差分画像データに基づいた画像と、光音響画像データに基づいた画像とを、同じ表示位置で切り替えて表示してもよい。
なお、差分画像データに基づいた画像と、光音響画像データに基づいた画像とを区別できる限り、並列、重畳、切り換えに限らず、いかなる表示態様であってもよい。
また、本実施形態においては、3次元の光音響画像データを例に説明を行ってきたが、これに限定されない。2次元の光音響画像データのピクセルデータに対して本実施形態に係る処理を適用することも可能である。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
150 コンピュータ
160 表示部

Claims (15)

  1. 被検体への光照射により発生する光音響波の受信信号を用いた処理を行う情報処理装置であって、
    アーティファクトの因子となる音源の位置を設定する位置設定手段と、
    前記音源から発生する光音響波の受信信号をシミュレーションすることにより、シミュレーション信号を算出するシミュレーション手段と、
    前記受信信号を用いて、光音響画像データを生成し、前記シミュレーション信号を用いて、シミュレーション画像データを生成する画像データ生成手段と、
    前記光音響画像データと前記シミュレーション画像データとの差分である差分画像データを生成する差分手段と、
    を有することを特徴とする情報処理装置。
  2. 被検体への光照射により発生する光音響波の受信信号を用いた処理を行う情報処理装置であって、
    アーティファクトの因子となる音源の位置を設定する位置設定手段と、
    前記音源から発生する光音響波の受信信号をシミュレーションすることにより、シミュレーション信号を算出するシミュレーション手段と、
    前記受信信号と前記シミュレーション信号との差分信号を算出する差分手段と、
    前記差分信号を用いて、差分画像データを生成する画像データ生成手段と、
    を有することを特徴とする情報処理装置。
  3. 前記画像データ生成手段は、前記受信信号を用いて、光音響画像データを生成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記シミュレーション手段は、前記シミュレーションにおいて、前記光音響画像データを用いて、前記音源から発生する光音響波の初期音圧を設定する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。
  5. 前記シミュレーション手段は、
    前記光音響画像データが初期音圧の空間分布である場合、前記シミュレーションにおいて、前記光音響画像データの前記音源の位置における画像値を前記音源から発生する光音響波の初期音圧として設定し、
    前記光音響画像データが光吸収係数の空間分布である場合、前記シミュレーションにおいて、前記音源に到達する光のフルエンスを算出し、前記光音響画像データの前記音源の位置における画像値を前記音源の光吸収係数として設定し、前記音源における光のフルエンスと光吸収係数とに基づいて前記音源から発生する光音響波の初期音圧を算出し、設定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記位置設定手段は、ユーザーからの指示に基づいて前記音源の位置を設定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
  7. 前記光音響画像データに基づいた画像を表示手段に表示させる表示制御手段を更に有し、
    前記位置設定手段は、前記表示手段に表示された前記画像に対するユーザーの指示に基づいて前記音源の位置を設定する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。
  8. 前記位置設定手段は、前記光音響画像データを解析することにより、前記音源の位置を設定する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。
  9. 関心領域を設定する関心領域設定手段を更に有し、
    前記位置設定手段は、前記関心領域以外の領域に前記音源の位置を設定し、
    前記画像データ生成手段は、前記関心領域における前記差分画像データを生成する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
  10. 前記差分画像データに基づいた画像を表示手段に表示させる表示制御手段を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
  11. 前記差分画像データに基づいた画像を表示手段に表示させる表示制御手段を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
  12. 前記差分画像データに基づいた画像と、前記光音響画像データとを区別できるように表示手段に表示させる表示制御手段を有する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の情報処理装置。
  13. アーティファクトの因子となる音源の位置を設定し、
    前記音源から発生する光音響波の受信信号をシミュレーションすることにより、シミュレーション信号を算出し、
    被検体への光照射により発生する光音響波の受信信号を用いて、光音響画像データを生成し、前記シミュレーション信号を用いて、シミュレーション画像データを生成し、
    前記光音響画像データと前記シミュレーション画像データとの差分である差分画像データを生成する
    ことを特徴とする情報処理方法。
  14. アーティファクトの因子となる音源の位置を設定し、
    前記音源から発生する光音響波の受信信号をシミュレーションすることにより、シミュレーション信号を算出し、
    被検体への光照射により発生する光音響波の受信信号と前記シミュレーション信号との差分信号を算出し、
    前記差分信号を用いて、差分画像データを生成する
    ことを特徴とする情報処理方法。
  15. 請求項13または14に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
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