JP2019097666A - 心拍測定装置、心拍測定方法及び心拍測定プログラム - Google Patents

心拍測定装置、心拍測定方法及び心拍測定プログラム Download PDF

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浩司 矢谷
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Abstract

【課題】ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することのできる心拍測定装置、心拍測定方法及び心拍測定プログラムを提供する。【解決手段】心拍測定装置10は、指を接触させて用いるセンサの周囲に配置され、指の脈波を表す複数の波形データを測定する複数の脈波センサ11a,11b,11c,11dと、複数の波形データに関するスコアを算出する第1算出部12と、スコアに基づいて、複数の波形データから1又は複数の波形データを選択する選択部13と、1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出する第2算出部14と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、心拍測定装置、心拍測定方法及び心拍測定プログラムに関する。
従来、主要な生体情報の一つである心拍数等の心拍に関する数値は、ユーザが自発的に測定装置を用いることで測定されたり、センサを体に固定することで自動的に測定されたりすることがある。センサを体に固定して心拍を測定する場合、例えば発光素子及び受光素子を含むセンサをベルトによって体表面に接触するように固定して、光の反射量の変動に基づいて心拍を測定することがある。
心拍の測定について、下記特許文献1には、ヒトの心拍をある時間にわたり測定して心拍信号を生成し、ヒトのある身体部位の動きをある時間にわたり測定して動き信号を生成し、心拍信号の信号品質が閾値を上回る場合に心拍信号に基づいて心拍を計算し、心拍信号の信号品質が閾値を下回る場合に動き信号に基づいて心拍を推定するポータブル装置が記載されている。
特開2014−530037号公報
心拍は、健康状態や運動状態によって変動するため、定期的に測定されることが望ましいが、ユーザに自発的に測定させるのでは、測定を忘れたり、測定する習慣が定着しなかったりして、必ずしも継続的に測定が行われないことがある。また、センサを体に固定して心拍を測定する場合、センサを常に身に着けていなければならないため、煩わしさを感じてセンサを外してしまったり、装着が習慣化されずに測定が行われなくなったりすることがある。
そこで、本発明は、ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することのできる心拍測定装置、心拍測定方法及び心拍測定プログラムを提供する。
本発明の一態様に係る心拍測定装置は、指を接触させて用いるセンサの周囲に配置され、指の脈波を表す複数の波形データを測定する複数の脈波センサと、複数の波形データに関するスコアを算出する第1算出部と、スコアに基づいて、複数の波形データから1又は複数の波形データを選択する選択部と、1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出する第2算出部と、を備える。
この態様によれば、センサの周囲に脈波センサを配置することで、ユーザがセンサを用いる場合に、センサの機能を妨げずに指の脈波を表す波形データを測定し、心拍を測定することができる。また、複数の脈波センサを配置して複数の波形データを測定し、そのスコアに基づいて波形データを選択して心拍に関する数値を算出するため、ユーザがどのような方向からセンサに指を接触させても、安定して心拍を測定することができる。そのため、ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することができる。
上記態様において、第1算出部は、複数の波形データの隣接するピークの間隔のばらつき、ピークの高さのばらつき及び所定の区間に含まれるピークの数に基づいて、スコアを算出してもよい。
この態様によれば、ピークの間隔のばらつき、ピークの高さのばらつき及び所定の区間に含まれるピークの数に基づいて、波形データが脈波を適切に表すものであるか否かを定量的に評価することができ、複数の脈波センサで測定された複数の波形データの中から信頼性の高い波形データを選択することができる。
上記態様において、センサは、指の指紋を、登録されたデータと照合して、ユーザ認証を行う指紋センサであり、複数の脈波センサは、指紋センサによりユーザ認証を行う際に、複数の波形データを測定してもよい。
この態様によれば、心拍の測定を意図せずとも、ユーザ認証が行われる度に心拍を測定することができる。これにより、心拍の測定を習慣化させなくても、継続的に心拍を測定することができる。
上記態様において、スコアに基づいて、指紋センサによるユーザ認証とは異なる追加認証を行う追加認証部をさらに備えてもよい。
この態様によれば、複数の波形データのスコアに基づいて、指紋によるユーザ認証とは異なる観点から追加認証を行うことで、ユーザ認証の安全性をより高めることができる。
上記態様において、第2算出部は、1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍数を算出し、心拍数の基準となる基準心拍数を記憶する記憶部と、
基準心拍数に基づいて定められる閾値に基づいて、第2算出部により算出された心拍数の採否を決定する決定部と、をさらに備えてもよい。
この態様によれば、基準心拍数に基づいて定められる閾値に基づいて心拍数をフィルタリングすることで、より高精度に心拍数を測定することができる。
上記態様において、指紋センサは、データの登録を受け付け、複数の脈波センサは、指紋センサによりデータの登録を受け付ける際に、複数の波形データを測定し、記憶部は、指紋センサによりデータの登録を受け付ける際に測定された複数の波形データに基づいて第2算出部により算出された心拍数を、基準心拍数として記憶してもよい。
この態様によれば、指紋センサにより指紋に関するデータの登録を受け付ける際に、併せて基準心拍数を測定することで、ユーザが必ずしも基準心拍数の登録を意図せずとも基準心拍数を測定し、登録することができる。
上記態様において、複数の脈波センサは、複数の波形データの振幅の上限及び下限を規定するリミッタ回路を含んでもよい。
この態様によれば、脈波センサが使用される環境によらず、波形データを適切に測定することができ、どのような環境でも安定的に心拍を測定できるようになる。
上記態様において、1又は複数の波形データの第1時点における隣接するピークの間隔と、第1時点に隣接する第2時点における1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔と、の統計を求める統計部をさらに備えてもよい。
この態様によれば、心拍に関するいわゆるポアンカレプロットに基づいて、心臓の健康状態を把握することができる。
上記態様において、第2算出部は、1又は複数の波形データのピークの高さの揺らぎに基づき、呼吸数を算出してもよい。
この態様によれば、心拍に関する数値のみならず、ユーザが必ずしも測定を意図せずとも呼吸数を測定することができる。
上記態様において、センサに指が接触した際の接触の態様に基づいて、複数の脈波センサによる複数の波形データの測定を省略するか否かを判定する判定部をさらに備えてもよい。
この態様によれば、ユーザの選択により心拍の測定を省略させ、センサの使用を短時間で終えることができるようになり、様々な使用態様に柔軟に対応できるようになる。
本発明の他の態様に係る心拍測定方法は、複数の脈波センサ及び演算部を備える心拍測定装置による心拍測定方法であって、センサに指を接触させている間に、当該センサの周囲に配置される複数の脈波センサが、指の脈波を表す複数の波形データを測定することと、演算部が、複数の波形データに関するスコアを算出することと、演算部が、スコアに基づいて、複数の波形データから1又は複数の波形データを選択することと、演算部が、1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出することと、を含む。
この態様によれば、センサの周囲に脈波センサを配置することで、ユーザがセンサを用いる場合に、センサの機能を妨げずに指の脈波を表す波形データを測定し、心拍を測定することができる。また、複数の脈波センサを配置して複数の波形データを測定し、そのスコアに基づいて波形データを選択して心拍に関する数値を算出するため、ユーザがどのような方向からセンサに指を接触させても、安定して心拍を測定することができる。そのため、ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することができる。
本発明の他の態様に係る心拍測定プログラムは、指を接触させて用いるセンサの周囲に配置され、指の脈波を表す複数の波形データを測定する複数の脈波センサ及び演算部を備える心拍測定装置の演算部を、複数の波形データに関するスコアを算出する第1算出部、スコアに基づいて、複数の波形データから1又は複数の波形データを選択する選択部、及び1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出する第2算出部、として機能させる。
この態様によれば、センサの周囲に脈波センサを配置することで、ユーザがセンサを用いる場合に、センサの機能を妨げずに指の脈波を表す波形データを測定し、心拍を測定することができる。また、複数の脈波センサを配置して複数の波形データを測定し、そのスコアに基づいて波形データを選択して心拍に関する数値を算出するため、ユーザがどのような方向からセンサに指を接触させても、安定して心拍を測定することができる。そのため、ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することができる。
本発明によれば、ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することのできる心拍測定装置、心拍測定方法及び心拍測定プログラムを提供することができる。
本実施形態に係る心拍測定装置をスマートフォンに搭載した例を示す図である。 本発明の実施形態に係る心拍測定装置の外観を示す図である。 本実施形態に係る心拍測定装置の回路図である。 本実施形態に係る心拍測定装置の機能ブロック図である。 本実施形態に係る心拍測定装置の物理的構成を示す図である。 本実施形態に係る心拍測定装置により測定される複数の波形データの例である。 本実施形態に係る心拍測定装置により実行される第1処理のフローチャートである。 本実施形態に係る心拍測定装置により実行される心拍測定処理のフローチャートである。 本実施形態に係る心拍測定装置により実行される第2処理のフローチャートである。 本実施形態に係る心拍測定装置により実行される第3処理のフローチャートである。 本実施形態に係る心拍測定装置により算出された心拍数と、正確な心拍数との関係の一例を表すグラフである。 本実施形態に係る心拍測定装置により実行される第4処理のフローチャートである。 本実施形態に係る心拍測定装置により描画されるポアンカレプロットの一例である。
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
図1は、本実施形態に係る心拍測定装置10をスマートフォン100に搭載した例を示す図である。心拍測定装置10は、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dが、指を接触させて用いる指紋センサ20の周囲に配置されるように、スマートフォン100に搭載される。なお、本例のスマートフォン100は、ディスプレイの反対側の面(背面)に指紋センサ20を備えるものであるため、同図では心拍測定装置10をスマートフォン100の背面に搭載した例を示している。指紋センサ20がスマートフォン100のディスプレイ側の面(表面)に設けられている場合、心拍測定装置10は、複数の脈波センサが指紋センサ20を囲むようにディスプレイ側の面に配置されてよい。また、本例のスマートフォン100は、主に人差し指の指紋を指紋センサ20により読み取るものであるが、指紋センサ20に接触させる指の種類は、親指、人差し指、中指、薬指及び小指のいずれであってもよいし、左右どちらの手の指であってもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る心拍測定装置10の外観を示す図である。本実施形態に係る心拍測定装置10は、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dを備える。第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dは、それぞれ光学式の脈波センサであってよく、指先に所定の波長の光を投光する投光部と、指先で反射した光を受光する受光部と、を含んでよい。投光部は、例えばLED(Light Emitting Diode)等であってよく、受光部は、例えばフォトダイオードであってよい。指先に投光された光は、一部が血管で吸収又は散乱され、一部が反射される。その反射率が、血管を流れる血液の体積に応じて変化するため、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって、脈動する血管を流れる血液の体積変化の波、すなわち脈波を測定することができる。なお、図1では心拍測定装置10の基板の片面を示しており、基板に搭載された脈波センサ以外の電気回路が図示されていないが、図示した面及び/又はその反対側の面には任意の電気回路が搭載されてよい。
また、基板にはCPU(Central Processing Unit)等の演算部、半導体記憶素子等の記憶部、通信部、入力部及び表示部等が搭載されてもよいし、基板に搭載されたコネクタを介して、演算部、記憶部、通信部、入力部及び表示部等と電気的に接続されてもよい。例えば、心拍測定装置10は、基板に搭載されたコネクタを介してスマートフォン100と電気的に接続され、スマートフォン100の演算部、記憶部、通信部、入力部及び表示部等と電気的に接続されてよい。
なお、図1及び図2に示す心拍測定装置10は一例であり、心拍測定装置10の外観は必ずしもこれらの図に示すようなものでなくてもよい。また、心拍測定装置10は、スマートフォン100に内蔵されていてもよく、スマートフォン100が心拍測定装置として機能してもよい。もっとも、心拍測定装置10は、必ずしもスマートフォン100に搭載されなくてもよく、部屋の入退室を管理する指紋認証システムに心拍測定装置10を搭載し、当該指紋認証システムが備える指紋センサの周囲に複数の脈波センサが配置されてもよいし、給湯ポッド等の日常的に用いる機械に心拍測定装置10を搭載し、機械の操作ボタンの周囲に複数の脈波センサが配置されてもよい。また、心拍測定装置10は、1つの装置により構成されるものに限られず、2以上の装置により構成されるものとしてもよい。例えば、心拍測定装置10のうち、複数の脈波センサを残りの部分とは別体の装置として構成し、相互に無線等によって通信可能に構成してもよい。この場合、例えば、給湯ポッド等の機械の操作ボタンの周囲に複数の脈波センサを配置し、心拍測定装置10の残りの部分をスマートフォン100に搭載することができる。心拍測定装置10が備える複数の脈波センサは、指を接触させて用いるセンサの周囲に配置されていればよく、指を接触させて用いるセンサには、指紋センサの他、タッチパネル、物理的又は仮想的なプッシュボタン等が含まれる。
図3は、本実施形態に係る心拍測定装置10の回路図である。心拍測定装置10の備える4つの脈波センサは、それぞれ受光センサ11pを含み、受光センサ11pは5Vの電源電圧の供給を受けて、受光した光の強度に応じた波形データを出力する。4つの脈波センサは、複数の波形データの振幅の上限及び下限を規定するリミッタ回路30を含む。リミッタ回路30は、オペアンプ33のネガティブフィードバックに第1ツェナーダイオード31及び第2ツェナーダイオード32を接続した回路であり、「Output」と記載した、出力される波形データの振幅の上限及び下限を所定の範囲に限定する。具体的には、本例のリミッタ回路30によって、出力される波形データの振幅が0から5Vの範囲に限定される。
脈波センサの受光センサ11pには、投光部により投光された光のみならず、日光や室内の照明等の外乱光も入射し得る。そのため、指を指紋センサ20に接触させる前後で受光センサ11pに入射する光量が大きく変動することがあり、リミッタ回路30を含まない場合には、脈波センサから出力される波形データの振幅が急激に変動することがある。そのため、脈波センサが使用される環境によっては、測定開始時からしばらくの間、脈波を表す波形データが適切に測定できない場合がある。複数の脈波センサがリミッタ回路30を備えることで、脈波センサが使用される環境によらず、波形データを適切に測定することができ、どのような環境でも安定的に心拍を測定できるようになる。
なお、図3では、受光センサ11pとリミッタ回路30を含む回路図を示したが、同図に示す回路は心拍測定装置10の回路の一部である。心拍測定装置10は、図3に示した回路以外に、投光部による投光を制御する回路や、測定された波形データにバンドパスフィルタを適用する回路及び波形データに基づいて心拍に関する数値を算出する回路等が含まれてよい。
図4は、本実施形態に係る心拍測定装置10の機能ブロック図である。心拍測定装置10は、指紋センサ20を備えるスマートフォン100に搭載され、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c、第4脈波センサ11d、第1算出部12、選択部13、第2算出部14、追加認証部15、記憶部16、決定部17及び統計部18を備える。
第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dは、指を接触させて用いるセンサの周囲に配置され、指の脈波を表す複数の波形データを測定する複数の脈波センサである。本実施形態において、センサは、指の指紋を、登録されたデータと照合して、ユーザ認証を行う指紋センサ20であり、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dは、指紋センサ20によりユーザ認証を行う際に、複数の波形データを測定してもよい。これにより、心拍の測定を意図せずとも、ユーザ認証が行われる度に心拍を測定することができ、心拍の測定を習慣化させなくても、継続的に心拍を測定することができる。
なお、センサがプッシュボタン等の指紋センサ以外のセンサである場合であっても、複数の脈波センサは、プッシュボタン等が押下されている間に指の脈波を表す複数の波形データを測定してよい。
第1算出部12は、複数の波形データに関するスコアを算出する。ここで、スコアは、複数の波形データが指の脈波をどの程度忠実に表しているかを示す信頼性に関するスコアであってよい。より具体的には、第1算出部12は、複数の波形データの隣接するピークの間隔のばらつき、ピークの高さのばらつき及び所定の区間に含まれるピークの数に基づいて、スコアを算出してよい。スコアの算出方法の詳細については、図7を用いて詳細に説明する。
選択部13は、第1算出部12により算出されたスコアに基づいて、複数の波形データから1又は複数の波形データを選択する。本実施形態に係る心拍測定装置10の選択部13は、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dにより測定された4チャネルの波形データそれぞれについて算出されたスコアに基づいて、1チャネルの波形データを選択する。
第2算出部14は、選択部13により選択された1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出する。本実施形態に係る心拍測定装置10の第2算出部14は、選択された1の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍数を算出する。なお、第2算出部14は、心拍数のみならず、選択された1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔や、ピークの間隔の分散、ピークの間隔の時間変化、心拍数の変化速度、心拍数の変化加速度等の心拍に関する数値を算出してもよい。また、第2算出部14は、選択部13により複数の波形データが選択された場合、複数の波形データの隣接するピークの間隔に関する情報を統合して、心拍に関する数値を算出してもよい。例えば、複数の波形データからそれぞれ信頼性が高い区間を抽出して1つの波形データとして合成して、合成した波形データのピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出してもよい。
第2算出部14は、選択部13により選択された1又は複数の波形データのピークの高さの揺らぎに基づき、呼吸数を算出してもよい。脈波を表す波形データの振幅は、呼吸に合わせて変動することが知られており、複数の脈波センサにより十分な長さの波形データが得られれば、波形データのピークの高さの揺らぎに基づき、単位時間当たりの呼吸数を算出することができる。これにより、心拍に関する数値のみならず、ユーザが必ずしも呼吸数の測定を意図せずとも、指紋センサ20によってユーザ認証を行う間等、呼吸数の測定以外の目的でセンサに触れている間に呼吸数を測定することができる。
追加認証部15は、第1算出部12により算出されたスコアに基づいて、指紋センサ20によるユーザ認証とは異なる追加認証を行う。追加認証は、複数の波形データのうち少なくとも1つの波形データについて、信頼性を表すスコアが閾値以上(又は閾値以下)であるか否かを判定することで行ってよい。このように、複数の波形データのスコアに基づいて、指紋によるユーザ認証とは異なる観点から追加認証を行うことで、ユーザ認証の安全性をより高めることができる。例えば、指紋が人工樹脂等によって偽造された場合、指紋センサ20によるユーザ認証は解除できる可能性があるが、追加認証部15によって脈波を表す波形データに基づいたユーザ認証を行うことで、生きた人の指であるか否かを判定することができ、不正なユーザ認証を防止することができる。また、指紋センサ20に指を接触させている人が強制的に指を接触させられている場合、波形データが乱れるため、脈波を表す波形データに基づいて算出されるスコアに基づいて追加認証を行うことで、不正なユーザ認証を防止することができる。
記憶部16は、心拍数の基準となる基準心拍数を記憶する。基準心拍数は、指紋センサ20により指紋に関するデータを登録する際に、複数の脈波センサにより測定した心拍数であってよい。より具体的には、指紋センサ20は、ユーザ認証の際に照合対象となるデータの登録を受け付け、複数の脈波センサは、指紋センサ20によりデータの登録を受け付ける際に、複数の波形データを測定し、記憶部16は、指紋センサ20によりデータの登録を受け付ける際に測定された複数の波形データに基づいて第2算出部14により算出された心拍数を、基準心拍数として記憶してよい。指紋センサ20により指紋に関するデータの登録を受け付ける際に、併せて基準心拍数を測定することで、ユーザが必ずしも基準心拍数の登録を意図せずとも基準心拍数を測定し、登録することができる。
決定部17は、基準心拍数に基づいて定められる閾値に基づいて、第2算出部14により算出された心拍数の採否を決定する。決定部17は、例えば、基準心拍数に20bpm(beats per minute)足した値を第1閾値とし、基準心拍数から20bpm引いた値を第2閾値として、算出された心拍数が第1閾値以下、第2閾値以上である場合には採用し、第1閾値以下、第2閾値以上でない場合には採用しないこととしてよい。基準心拍数に基づいて定められる閾値に基づいて心拍数をフィルタリングすることで、より高精度に心拍数を測定することができる。決定部17によるフィルタリングについては、図10を用いて詳細に説明する。
統計部18は、選択部13により選択された1又は複数の波形データの第1時点における隣接するピークの間隔と、第1時点に隣接する第2時点における1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔と、の統計を求める。本実施形態に係る心拍測定装置10では、統計部18は、選択部13により選択された1の波形データについて、第1時点における隣接するピークの間隔を横軸に示し、第1時点に隣接する第2時点における隣接するピークの間隔を縦軸に示した、いわゆるポアンカレプロットを作成する。心拍に関するポアンカレプロットは、健康状態であれば2次元ガウシアンで近似できる分布を示すことが知られている。そのため、心拍のポアンカレプロットが2次元ガウシアンから乖離しているか否かを判断することで、心臓に何らかの異常を抱えているか否かを判断することができ、心臓の健康状態を把握することができる。
判定部19は、センサに指が接触した際の接触の態様に基づいて、複数の脈波センサによる複数の波形データの測定を省略するか否かを判定する。本実施形態に係る心拍測定装置10の判定部19は、圧力の大小を検出できる指紋センサ20によって、指が比較的強く押下されたか否かに基づいて、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによる複数の波形データの測定を省略するか否かを判定する。具体的には、指紋センサ20に指が比較的強く押下された場合には、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによる複数の波形データの測定を省略し、指紋センサ20に指が比較的弱く押下された場合には、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによる複数の波形データの測定を行うこととしてよい。これにより、ユーザの選択により心拍の測定を省略させ、センサの使用を短時間で終えることができるようになり、様々な使用態様に柔軟に対応できるようになる。指紋センサ20がスマートフォン100に設けられている場合、急いでユーザ認証を終えたい場合には指を比較的強く押下してもらい、ユーザ認証を急がない場合には指を比較的弱く接触させてもらうこととして、ユーザに脈波センサの使用を強制させないようにすることができる。
心拍測定装置10は、複数の波形データからノイズを取り除く補正を行ってもよい。第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dにより測定される複数の波形データは、指を置いた直後について波形が乱れる傾向にあるため、波形が整った後半のデータに基づいて、波形が乱れた前半のデータを補正することとしてもよい。
なお、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dにより測定された波形データをインターネット等の通信ネットワークを介してサーバ装置に送信し、サーバ装置によって、複数の波形データに関するスコアを算出し、スコアに基づいて複数の波形データから1又は複数の波形データを選択し、選択された1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出して、算出された数値を、通信ネットワークを介して心拍測定装置10に送信することとして、心拍測定システムを構築してもよい。例えば、指紋センサ20、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dを搭載したスマートフォン100によって、指紋によるユーザ認証を行う際に脈波を表す複数の波形データを測定し、複数の波形データをサーバ装置に送信して、サーバ装置が第1算出部12、選択部13、第2算出部14、追加認証部15、記憶部16、決定部17及び統計部18等の機能を実行してもよい。
図5は、本実施形態に係る心拍測定装置10の物理的な構成を示す図である。心拍測定装置10は、ハードウェアプロセッサに相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、メモリに相当するRAM(Random Access Memory)10bと、メモリに相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fとを有する。これら各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では心拍測定装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、心拍測定装置10は、複数のコンピュータを用いて実現されてもよい。
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、指の脈波を表す複数の波形データに基づいて、ユーザの心拍に関する数値を算出するプログラム(心拍測定プログラム)を実行する演算装置である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々の入力データを受け取り、入力データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
RAM10bは、データの書き換えが可能な記憶部であり、例えば半導体記憶素子で構成される。RAM10bは、CPU10aが実行するアプリケーション等のプログラムやデータを記憶する。
ROM10cは、データの読み出しのみが可能な記憶部であり、例えば半導体記憶素子で構成される。ROM10cは、例えばファームウェア等のプログラムやデータを記憶する。
通信部10dは、心拍測定装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースである。
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルを含む。
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成される。
心拍測定プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。心拍測定装置10では、CPU10aが心拍測定プログラムを実行することにより、図4を用いて説明した様々な機能が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、心拍測定装置10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
図6は、本実施形態に係る心拍測定装置10により測定される複数の波形データの例である。同図では、上から順に、第1脈波センサ11aにより測定された第1チャネルの波形データと、第2脈波センサ11bにより測定された第2チャネルの波形データと、第3脈波センサ11cにより測定された第3チャネルの波形データと、第4脈波センサ11dにより測定された第4チャネルの波形データと、比較対象として既存の脈波センサ(cms−50e)により測定された波形データの一階微分と、を示している。これらのデータは、片方の腕(例えば左腕)のいずれかの指に既存の脈波センサを装着し、もう片方の腕(例えば右手)の人差し指で指紋センサ20に触れた場合に得られたデータである。
点線で示した第1チャネルの波形データ及び破線で示した第2チャネルの波形データからは、測定開始時に若干の波形が観察できるものの、10秒間の測定期間のうちほとんどの期間で波形が観察できない。一方、一点鎖線で示した第3チャネルの波形データは、10秒間の測定期間にわたって波形が観察できるものの、ピークが不明瞭であり、仮に波形の山を全てピークと捉えたとしても、その高さや間隔のばらつきが大きいことが読み取れる。二点鎖線で示した第4チャネルの波形データは、実線で示した比較対象となる波形データと類似した波形データとなっており、特にピークの位置は比較対象となる波形データとほとんど一致していることが読み取れる。従って、本例の場合、第4チャネルの波形データを選択し、第4チャネルの波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を求めることが望ましい。このような複数の波形データから、信頼性の高い1又は複数の波形データを選択するアルゴリズムについては、図8を用いて説明する。
波形データのばらつきは、ユーザが指紋センサ20に置く指の種類(親指、人差し指、中指、薬指、小指)、ユーザの指の大きさ、指を置く方向、指を押さえる強さといった様々な要因によって生じる。本実施形態に係る心拍測定装置10によれば、センサの周囲に配置された複数の脈波センサによって複数の波形データを測定し、信頼性の高い波形データを選択して、心拍数等を算出することで、どのような態様でセンサに指が置かれても、安定して心拍数等を算出することができる。
図7は、本実施形態に係る心拍測定装置10により実行される第1処理のフローチャートである。第1処理は、指紋センサ20によりユーザ認証を行う際に、心拍数を測定する処理である。
はじめに、指紋センサ20によって、ユーザの指紋を測定する(S10)。その際、ユーザの指が指紋センサ20に強くタッチされたか否かを判定する(S11)。指が強くタッチされた場合(S11:YES)、複数の脈波センサを起動せず、心拍数の測定を省略する。一方、指が強くタッチされなかった場合(S11:NO)、すなわち指が比較的弱くタッチされた場合、複数の脈波センサによりタッチされた指の脈波を表す複数の波形データを測定し、心拍数を算出する(S12)。心拍数を算出する処理については、次図を用いて詳細に説明する。
その後、指紋センサ20により測定された指紋を、登録されたデータと照合してユーザ認証を行う(S13)。照合結果が正しい場合(S14:YES)、波形データのスコアに基づいて、追加認証を行う(S15)。追加認証の結果も正常である場合(S16:YES)、スマートフォン100のロックを解除する(S17)。一方、指紋によるユーザ認証の結果が正しくなかった場合(S14:NO)と、追加認証の結果が正常でなかった場合(S16:NO)とは、スマートフォン100のロックを解除しない。なお、指紋センサ20が強く押下された場合(S11:YES)、脈波センサによる波形データの測定が省略されるため、追加認証を省略してもよい。ユーザ認証の安全性を優先する場合には、指紋センサ20に指が接触した際の接触の態様にかかわらず、脈波センサにより波形データを測定することとして、追加認証を行うこととしてもよい。また、心拍測定装置10をもっぱら心拍数の測定に用いる場合は、追加認証処理を省略してもよい。
最後に、算出された心拍数を記録し(S18)、第1処理が終了する。なお、指紋センサ20が強く押下された場合(S11:YES)、心拍数の測定が省略されるため、当然ながら心拍数の記録も省略される。
本実施形態に係る心拍測定装置10によれば、センサの周囲に脈波センサを配置することで、ユーザがセンサを用いる場合に、センサの機能を妨げずに指の脈波を表す波形データを測定し、心拍を測定することができる。また、複数の脈波センサを配置して複数の波形データを測定し、そのスコアに基づいて波形データを選択して心拍に関する数値を算出するため、ユーザがどのような方向からセンサに指を接触させても、安定して心拍を測定することができる。そのため、ユーザが必ずしも心拍の測定を意図せずとも心拍を測定することができる。
図8は、本実施形態に係る心拍測定装置10により実行される心拍測定処理のフローチャートである。同図では、図7の心拍数を算出する処理(S12)の詳細を示している。
はじめに、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって、それぞれ指の脈波を表す4チャネルの波形データを測定する(S120)。以下では、時刻0からTまでの区間の波形データを、Di[0,T](i=1〜4)と表す。ここで、インデックスiは、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dのいずれにより測定された波形データであるかを示す。また、Tは脈波の測定時間に応じて変動するが、例えば3〜10秒であったり、数分間であったりしてよい。
測定された波形データに対して、0.5〜3Hzのバンドパスフィルタを適用して、波形データをフィルタリングする(S121)。ここで、0.5〜3Hzは、30〜180bpmの心拍数に相当する。なお、バンドパスフィルタの設定は任意に調整されてよい。
次に、4チャネルの波形データDi[0,T]それぞれについて、波形データの始点を200msずつ0からT/2までずらした区間を抜き出す(S122)。これにより、4チャネルそれぞれについて、Di[t,T],t∈{0,200ms,400ms,…,T/2}という複数の波形データが抽出される。なお、本例では200ms間隔で波形データから区間を抜き出す場合について説明するが、この間隔は、心拍に関する数値を算出する処理の実行時間に応じてより短く設定されてもよいし、より長く設定されてもよい。区間を抜き出す間隔を短くすれば、複数の波形データの信頼性を表すスコアをより正確に求めることができるが、処理の実行時間が長くなる。複数の波形データから区間を抜き出す間隔は、信頼性を表すスコアの算出精度と処理の実行時間とを比較して決定されてよい。
抽出した各区間Di[t,T]について、ピーク数及びCV1=(PPIの分散)/(PPIの平均)を算出する(S123)。ここで、PPI(Peak to Peak Interval)は、隣接するピークの間隔であり、単位はms(ミリ秒)であってよい。CV1は、隣接するピークの間隔の変動係数(Coefficient of Variation)であり、隣接するピークの間隔のばらつきを評価する値である。
さらに、各区間Di[t,T]について算出したCV1について、平均及び分散を算出し、CV1が1σ(1標準偏差)以上乖離している区間を除外する(S124)。
次に、抽出した各区間Di[t,T]について、CV2=(ピーク高さの分散)/(ピーク高さの平均)を算出する(S125)。CV2は、ピークの高さの変動係数(Coefficient of Variation)であり、ピークの高さのばらつきを評価する値である。
さらに、各区間Di[t,T]について算出したCV2について、平均及び分散を算出し、CV2が1σ(1標準偏差)以上乖離している区間を除外する(S126)。
CV1及びCV2に基づくフィルタリングの後に残った区間のうち、区間に含まれるピーク数が最も多い区間をチャネルの代表区間とする(S127)。これにより、4チャネルについてそれぞれ1つの代表区間Di[t,T]が選択されることとなる。
4チャネルの代表区間のうち、その区間についてCV1×CV2/(ピーク数)によりスコアを算出し、スコアの値が最も小さい区間を選択する(S128)。CV1×CV2/(ピーク数)により算出されるスコアは、隣接するピークの間隔のばらつきが大きいほど大きく、ピークの高さのばらつきが大きいほど大きく、ピーク数が少ないほど大きい値となる。つまり、スコアが最も小さい区間とは、隣接するピークの間隔のばらつきが小さく、ピークの高さのばらつきが小さく、ピーク数が多い区間であり、データの信頼性が比較的高い区間である。
最後に、選択された区間のPPIにより心拍数を算出する。心拍数は、例えば、区間に含まれる複数のPPIの平均値の逆数に60を乗じることで算出してよい。以上により、心拍数を算出する処理(S12)が終了する。
本実施形態に係る心拍測定装置10によれば、ピークの間隔のばらつき、ピークの高さのばらつき及び所定の区間に含まれるピークの数に基づいて、波形データが脈波を適切に表すものであるか否かを定量的に評価することができ、複数の脈波センサで測定された複数の波形データの中から信頼性の高い波形データを選択することができる。
図9は、本実施形態に係る心拍測定装置10により実行される第2処理のフローチャートである。第2処理は、指紋の登録と同時に基準心拍数の登録を行う処理である。
スマートフォン100のユーザは、指紋によるユーザ認証を利用するために、自身の指の指紋を登録する必要がある。スマートフォン100は、指紋センサ20によりユーザの指の指紋の登録を受け付ける(S20)。
指紋センサ20により指紋の登録を受け付けている間に、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって、ユーザの心拍数を測定する(S21)。ユーザが指紋を登録する際には、ユーザ認証を行う場合よりも比較的長く指紋センサ20に指を接触させることが通常であり、この間、複数の脈波センサによって、比較的長い期間にわたって脈波を表す波形データを測定することができ、より信頼性の高い心拍数の測定を行うことができる。
その後、指紋センサ20により測定された指紋に関するデータを登録し(S22)、算出された心拍数を基準心拍数として記憶部16に記憶する(S23)。以上により第2処理が終了する。
図10は、本実施形態に係る心拍測定装置10により実行される第3処理のフローチャートである。第3処理は、第2処理が行われて、基準心拍数が記憶された後に行われる処理であり、算出された心拍数をフィルタリングする処理である。
はじめに、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって、ユーザの心拍数を測定する(S30)。心拍数は、測定された波形データの中で最も信頼性の高いデータに基づいて算出されるものの、4チャネルの波形データがいずれも適切に測定されておらず、最も信頼性の高いデータであっても、指の脈波を適切に表す波形データとなっていない場合があり得る。そこで、基準心拍数に基づいて定められる閾値と、算出された心拍数とを比較し(S31)、算出された心拍数が閾値の範囲内にあるか否かを判定する(S32)。
ここで、基準心拍数に基づいて定められる閾値は、例えば、基準心拍数に20bpm足した第1閾値と、基準心拍数から20bpm引いた第2閾値とであってよく、算出された心拍数が閾値の範囲内にあるか否かは、算出された心拍数が第1閾値以下、第2閾値以上であるか否かによって判定してよい。もっとも、閾値の設定は任意であり、第1閾値と第2閾値を基準心拍数に対して非対称に設定してもよい。
算出された心拍数が閾値の範囲内にある場合(S32:YES)、算出された心拍数を採用する(S33)。一方、算出された心拍数が閾値の範囲内にない場合(S32:NO)、算出された心拍数を採用せずに破棄する(S34)。以上により第3処理が終了する。
図11は、本実施形態に係る心拍測定装置10により算出された心拍数と、正確な心拍数との関係の一例を表すグラフである。同図では、指紋センサ20に指を5秒間接触させた場合に、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって脈波を表す複数の波形データを測定し、心拍数を算出した予測値(Estimated HR)を縦軸に示し、比較対象として指紋センサ20に触れた手と反対の手について既存の脈波センサにより測定した心拍数の参照値(Ground Truth HR)を横軸に示している。また、実線で示した三角は、決定部17により採用された心拍数を表し、破線で示した三角は、決定部17により採用されず破棄された心拍数を表している。
図11によれば、破線で示したデータ点にはばらつきがあるが、決定部17によるフィルタリングを経た後の実線で示されたデータ点は、正確な心拍数を表す参照値とほぼ比例関係にある。つまり、決定部17によるフィルタリングによって、高精度な心拍数の測定が行えていることが確認できる。
なお、決定部17による心拍数のフィルタリングは、必ずしも常に行わなくてもよい。例えば、第1算出部12により算出されるスコアが十分に小さく、波形データの信頼性が高いと判断される場合には、決定部17による処理を省略し、第1算出部12により算出されるスコアが比較的大きく、波形データの信頼性が低いと判断される場合には、決定部17による処理を実行して、基準心拍数に基づいて定められる閾値に基づいて、第2算出部14により算出された心拍数の採否を決定することとしてもよい。
図12は、本実施形態に係る心拍測定装置10により実行される第4処理のフローチャートである。第4処理は、心拍数のポアンカレプロットを描画する処理である。
心拍測定装置10は、はじめに、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって、ユーザの心拍数を測定する(S40)。そして、選択部13により選択された波形データの第1時点における隣接するピークの間隔と、第1時点に隣接する第2時点における選択された波形データの隣接するピークの間隔と、を集計する(S41)。
最後に、心拍測定装置10は、集計したピークの間隔の関係を、横軸に第1時点における隣接するピークの間隔を示し、縦軸に第1時点に隣接する第2時点における隣接するピークの間隔を示して、2次元プロットを行う(S42)。以上により第4処理が終了する。なお、プロットした結果は、スマートフォン100のディスプレイに表示されてもよいし、他の機器の表示部に表示されてもよい。
図13は、本実施形態に係る心拍測定装置10により描画されるポアンカレプロットの一例である。同図は、第1脈波センサ11a、第2脈波センサ11b、第3脈波センサ11c及び第4脈波センサ11dによって、ユーザの心拍数を5分間にわたって計測し、隣接するPPIの分布をプロットしたものである。
心拍測定装置10は、例えば10秒間等の比較的短い期間で測定された心拍数に基づいて、ポアンカレプロットを再構築してもよい。その場合、心拍数の測定が行われる度にプロット点を累積して1つのプロットを生成してもよいし、測定が行われる時間帯に応じてポアンカレプロットの再構築を行うアルゴリズムを修正して、時間帯毎にプロットを生成してもよい。
心拍測定装置10の統計部18は、隣接するPPIの標準偏差をSD1と表し、PPIの分散から(SD1)2を引いた値の平方根をSD2と表すとき、SD1/SD2という統計量を算出してもよい。SD1/SD2は、心臓に異常があるか否かを見分ける指標として用いることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
例えば、心拍測定装置10の複数の脈波センサは、日常的にある程度の時間、指を接触させることが想定される任意の場所に設けられてもよい。そのような場所としては、例えば、スマートフォンの側面、電話機の受話器、料理道具の取っ手部分等が想定される。心拍測定装置10の複数の脈波センサを、センサの周囲に限られない場所に配置する場合であっても、複数の脈波センサによって指の脈波を表す複数の波形データを測定し、複数の波形データに関するスコアを算出し、スコアに基づいて複数の波形データから1又は複数の波形データを選択し、選択された1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出することができる。
10…心拍測定装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11a…第1脈波センサ、11b…第2脈波センサ、11c…第3脈波センサ、11d…第4脈波センサ、11p…受光センサ、12…第1算出部、13…選択部、14…第2算出部、15…追加認証部、16…記憶部、17…決定部、18…統計部、20…指紋センサ、30…リミッタ回路、31…第1ツェナーダイオード、32…第2ツェナーダイオード、33…オペアンプ、100…スマートフォン

Claims (12)

  1. 指を接触させて用いるセンサの周囲に配置され、前記指の脈波を表す複数の波形データを測定する複数の脈波センサと、
    前記複数の波形データに関するスコアを算出する第1算出部と、
    前記スコアに基づいて、前記複数の波形データから1又は複数の波形データを選択する選択部と、
    前記1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出する第2算出部と、
    を備える心拍測定装置。
  2. 前記第1算出部は、前記複数の波形データの隣接するピークの間隔のばらつき、ピークの高さのばらつき及び所定の区間に含まれるピークの数に基づいて、前記スコアを算出する、
    請求項1に記載の心拍測定装置。
  3. 前記センサは、前記指の指紋を、登録されたデータと照合して、ユーザ認証を行う指紋センサであり、
    前記複数の脈波センサは、前記指紋センサにより前記ユーザ認証を行う際に、前記複数の波形データを測定する、
    請求項1又は2に記載の心拍測定装置。
  4. 前記スコアに基づいて、前記指紋センサによる前記ユーザ認証とは異なる追加認証を行う追加認証部をさらに備える、
    請求項3に記載の心拍測定装置。
  5. 前記第2算出部は、前記1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍数を算出し、
    前記心拍数の基準となる基準心拍数を記憶する記憶部と、
    前記基準心拍数に基づいて定められる閾値に基づいて、前記第2算出部により算出された前記心拍数の採否を決定する決定部と、
    をさらに備える請求項3又は4に記載の心拍測定装置。
  6. 前記指紋センサは、前記データの登録を受け付け、
    前記複数の脈波センサは、前記指紋センサにより前記データの登録を受け付ける際に、前記複数の波形データを測定し、
    前記記憶部は、前記指紋センサにより前記データの登録を受け付ける際に測定された前記複数の波形データに基づいて前記第2算出部により算出された前記心拍数を、前記基準心拍数として記憶する、
    請求項5に記載の心拍測定装置。
  7. 前記複数の脈波センサは、前記複数の波形データの振幅の上限及び下限を規定するリミッタ回路を含む、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の心拍測定装置。
  8. 前記1又は複数の波形データの第1時点における隣接するピークの間隔と、前記第1時点に隣接する第2時点における前記1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔と、の統計を求める統計部をさらに備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の心拍測定装置。
  9. 前記第2算出部は、前記1又は複数の波形データのピークの高さの揺らぎに基づき、呼吸数を算出する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の心拍測定装置。
  10. 前記センサに前記指が接触した際の接触の態様に基づいて、前記複数の脈波センサによる前記複数の波形データの測定を省略するか否かを判定する判定部をさらに備える、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の心拍測定装置。
  11. 複数の脈波センサ及び演算部を備える心拍測定装置による心拍測定方法であって、
    センサに指を接触させている間に、当該センサの周囲に配置される前記複数の脈波センサが、前記指の脈波を表す複数の波形データを測定することと、
    前記演算部が、前記複数の波形データに関するスコアを算出することと、
    前記演算部が、前記スコアに基づいて、前記複数の波形データから1又は複数の波形データを選択することと、
    前記演算部が、前記1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出することと、
    を含む心拍測定方法。
  12. 指を接触させて用いるセンサの周囲に配置され、前記指の脈波を表す複数の波形データを測定する複数の脈波センサ及び演算部を備える心拍測定装置の前記演算部を、
    前記複数の波形データに関するスコアを算出する第1算出部、
    前記スコアに基づいて、前記複数の波形データから1又は複数の波形データを選択する選択部、及び
    前記1又は複数の波形データの隣接するピークの間隔に基づいて、心拍に関する数値を算出する第2算出部、
    として機能させる心拍測定プログラム。
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