以下、この発明による位置指示器及び位置検出装置の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の実施形態の位置指示器100を用いる電子機器の例としてのタブレット型情報端末200の一例を示すものである。この例では、タブレット型情報端末200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備え、表示画面200Dの上部(表面側)に、静電容量方式の位置検出装置201を備えている。
使用者は、位置指示器100や指などの指示体によりタブレット型情報端末200の位置検出装置201のセンサ上において、位置指示の入力をする。位置検出装置201は、位置指示器100や指による位置検出装置201のセンサ上での指示位置を検出すると共に、位置指示器100の当該指示位置における回転角及び傾き角などの角度情報を検出する。
[実施形態の位置指示器100の構造的な構成]
この実施形態の位置指示器100は、ペン形状の外観を有するハウジング(筐体)1を備える。図2は、この実施形態の位置指示器100の構造的な構成の概要を示す。図2(A)は、位置指示器100のハウジング1の一部を破断して、その内部を示したもの、また、図2(B)は、図2(A)におけるA−A線断面図である。
ハウジング1は、絶縁材料例えば樹脂からなる中空の円筒状形状の絶縁体部により構成されている。なお、ハウジング1の絶縁体部の外表周面の少なくとも操作者が当該位置指示器100を把持する部分は、例えば金属からなる導電体部で覆われていてもよい。
ハウジング1の中空部内には、図2(A)に示すように、基板ホルダー2と、図示を省略した駆動電源としての電池が収納される。基板ホルダー2は、絶縁性の樹脂、例えば液晶ポリマーにより構成され、筆圧検出モジュール保持部2aと、プリント基板保持部2bとを備える。基板ホルダー2は、ハウジング1内においては軸心方向に移動しないように位置規制されている。
基板ホルダー2の筆圧検出モジュール保持部2aには、後述する中心電極Aを構成する芯体3に印加される筆圧を検出する筆圧検出モジュール4が保持されている。基板ホルダー2のプリント基板保持部2bには、プリント基板5が保持されている。
プリント基板5上には、この実施形態の信号処理回路が形成されている。すなわち、プリント基板5上には、抵抗やコンデンサ、スイッチ回路、IC(Integrated Circuit)、無線信号通信回路などからなる複数個の電子部品と、配線パターンが形成されており、信号処理回路は、これらにより構成されている。
信号処理回路を駆動する駆動電源の電圧は、図示を省略した電池から生成される。この電池は、この例では、充電式の2次電池が用いられる。なお、電池の代わりに、充電可能な電気二重層コンデンサを用いるようにしてもよい。
この例の筆圧検出モジュール4は、芯体3に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する可変容量コンデンサの構成とされている。この実施形態における筆圧検出モジュール4は、例えば特開2011‐186803号公報に記載されている周知の可変容量コンデンサを用いて構成される。
この例の筆圧検出モジュール4を構成する感圧用部品は、図2(A)に示すように、誘電体41と、端子部材42と、保持部材43と、導電部材44と、弾性部材45との複数個の部品からなり、筒状体46の中空部内に、軸心方向に並べられて収納されている。
この例の筆圧検出モジュール4として構成される可変容量コンデンサは、その一方の電極を構成する端子部材42と、他方の電極を構成する導電部材44との間に、誘電体41が挟まれて構成される。端子部材42と導電部材44とは、図示は省略するが、プリント基板5の配線パターンに接続される。
そして、導電部材44を保持する保持部材43が、筒状体46内を軸心方向に移動可能となるように構成されている。そして、導電性材料からなるコイルばねで構成される弾性部材45により、保持部材43が常時、芯体3側に付勢される。導電部材44と弾性部材45とは電気的に接続されており、弾性部材45を構成するコイルばねの一端が可変容量コンデンサの他方の電極として、プリント基板5の配線パターンに接続される。
芯体3は、この例では、芯体ホルダー6により保持される。そして、この芯体ホルダー6の棒状部6aが、筆圧検出モジュール4の保持部材43の凹穴43aに圧入嵌合され、これにより芯体ホルダー6が芯体3側に抜け落ちないように保持部材43に係合される。芯体3に印加される圧力は、芯体ホルダー6を介して筆圧検出モジュール4に伝達される。
すなわち、芯体3の先端3aに圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体3及び芯体ホルダー6は、芯体3の先端3a側とは反対側に変位し、この変位により、筆圧検出モジュール4の保持部材43が弾性部材45の弾性偏倚力に抗して誘電体41側に変位する。その結果、保持部材43に嵌合されている導電部材44が、誘電体41側に変位し、導電部材44と誘電体41との間の距離、さらには、導電部材44と誘電体41との接触面積が、芯体3に印加される圧力に応じて変化する。これにより、筆圧検出モジュール4を構成する可変容量コンデンサの静電容量が、芯体3に印加される圧力に応じて変化する。よって、この筆圧検出モジュール4を構成する可変容量コンデンサの静電容量を検出することで、筆圧が検出される。
芯体3は、この例では、第1の電極の例としての中心電極Aを構成するもので、導電性を有する材料、例えば金属で構成されている。なお、芯体3は、導電性金属粉が混入された樹脂で構成してもよいし、導電性を有するように構成されたフェルトからなるものであってもよい。
芯体3は、その先端3aとは反対側の端部3bが芯体ホルダー6の嵌合凹部6b内に嵌合されることにより、芯体ホルダー6に保持される。芯体3は、芯体ホルダー6に嵌合保持されている状態において、所定の力で引っ張ることで、芯体ホルダー6から引き抜くことができるように構成されている。この時、芯体ホルダー6は、基板ホルダー2の筆圧検出モジュール保持部2aとプリント基板保持部2bとの間の段差部の壁により係止されて、芯体3の先端3a側に脱落しないように構成されている。
なお、芯体3と芯体ホルダー6とが嵌合してハウジング1内に収納されている状態においては、芯体3の中心軸位置と、芯体ホルダー6の中心軸位置は、ハウジング1の中空部の中心軸位置と一致するような状態となる。そして、この状態において、芯体3の先端3aは、ハウジング1の軸心方向の一方の端部1bに形成されている開口1aから外部に突出するようになる。基板ホルダー2のプリント基板保持部2bは、図2(A)に示すように、ハウジング1の中空部の中心軸位置に、芯体3を挿通するための空間を備え、プリント基板5を、ハウジング1の中空部の中心軸位置からずれた位置において保持するように構成されている。
この実施形態では、芯体3を保持する芯体ホルダー6も導電性材料で構成されており、導電性の芯体3は、以下に説明するように、芯体ホルダー6を介して、プリント基板5に形成されている信号処理回路と電気的に接続されている。
すなわち、芯体ホルダー6の棒状部6aには、導電性金属などの導電性材料からなるコイルばね7が装着されており、芯体ホルダー6は、このコイル7により、基板ホルダー2に対して常に芯体3側に付勢されるように構成されている。
そして、この実施形態では、図2(A)に示すように、基板ホルダー2の筆圧検出モジュール保持部2aには、導電性を有する芯体ホルダー6及びコイル7を介して、導電性を有する芯体3を、プリント基板5の信号処理回路に電気的に接続するための導体端子部材8が設けられている。この導体端子部材8は、コイルばね7の一端が当接する当接板部8aと、当該当接板部8aとプリント基板5の信号処理回路に接続されている配線パターンに接続される延伸部8bとからなる。信号処理回路からの信号は、この導体端子部材8、コイルばね7、芯体ホルダー6を介して、中心電極Aを構成する芯体3に供給される。
ハウジング1の開口1a側の中空部内には、当該筐体の中心軸を囲むようにして、第2の電極を構成する3個の電極片91,92,93が配設されている。これら3個の電極片91,92,93は、例えば導電性金属材料や、導電性ゴムなどの導電性樹脂などで構成され、図2(A)のA−A断面図である図2(B)に示すように、芯体3とは、絶縁部材90により電気的に分離され、かつ、互いが電気的に分離されて配設されている。
この場合に、3個の電極片91,92,93は、互いに同一形状及び同一の大きさとされると共に、円周方向に互いに同じ距離だけ離れて形成されている。したがって、3個の電極片91,92,93は、この実施形態では互いに120度角間隔離れた位置に配置される。
絶縁部材90は、芯体3が挿入される貫通孔を有する円筒状の部材であり、この例では、基板ホルダー2のプリント基板保持部2bの、ハウジング1の開口1a側の端部に設けられている。この絶縁部材90の外周側面は、当該外周側面の径が開口1aに近づくにしたがって徐々に小さくなるようにされてテーパー状となる円錐台形状とされている。
そして、電極片91,92,93は、図2(A)及び(B)に示すように、絶縁部材90の円錐台形状の外周側面の周囲の所定角度範囲をそれぞれ覆うようにして、互いに分離して、例えば接着あるいは被着されて配設されている。すなわち、電極片91,92,93のそれぞれは、絶縁部材90の外周側面の周囲の120度より小さい角範囲を覆うものとされ、互いに同じ角範囲分だけ隔てられて配設される。この場合に、電極片91,92,93のそれぞれは、絶縁部材90の外周側面の周囲の60度〜90度の角範囲を覆うものが好ましく、この例では、90度の角範囲を覆うものとされている。したがって、この例では、電極片91,92,93のそれぞれは、30度の角範囲分だけ隔てられている。
これら電極片91,92,93は、図示を省略した結線部において、プリント基板5の信号処理回路に接続されている配線パターンのそれぞれに接続されている。
なお、3個の電極片91,92,93は、ハウジング1の開口1aの近傍に配置された絶縁部材90における円錐台形状の外周面部分に被着形成したり、印刷により形成したりしてもよい。
この実施形態では、以上のようにして、基板ホルダー2の筆圧検出モジュール保持部2aに、芯体ホルダー6を筆圧検出モジュール4を保持すると共に、プリント基板保持部2bに、プリント基板5と絶縁部材90及び3個の電極片91,92,93とを保持したものを、一つのモジュール部品として構成している。そして、このモジュール部品の筆圧検出モジュール保持部2a側に対して、電池収納部を連結し、それらを開口1aとは反対側の開口からハウジング1の中空部内に収納し、開口1aとは反対側の開口を、蓋部により閉塞する。そして、芯体3を開口1aから挿入して、芯体ホルダー6に嵌合させるようにすることで、位置指示器100を構成する。
なお、ハウジング1の開口1a側を、キャップ部として、ハウジング1の本体とは分離するようにし、当該キャップ部を、ハウジング1の本体にねじ込むように構成してもよい。
[位置指示器100の信号処理回路の構成例]
図3は、第1の実施形態の位置指示器100の信号処理回路の構成例を示すブロック図である。すなわち、位置指示器100の信号処理回路は、コントローラ10と、駆動電源としての、充電可能な2次電池などの電池11と、信号生成回路12と、スイッチ回路13,14,15,16,17,18と、DC/DCコンバータ19と、無線信号通信回路20を備える。そして、コントローラ10には、筆圧検出モジュール4を構成する可変容量コンデンサ4Cが接続されている。
図3に示すように、位置指示器100は電源スイッチ21を備え、電源スイッチ21がオンとされたときに、コントローラ10に電池11の電圧が、電源電圧VDDとして印加される。電源スイッチ21は、図2には示さなかったが、ハウジング1の外周側面に露呈して設けられている押釦が、使用者に押されることによりオンとされる。
コントローラ10は、例えばマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器100の後述のような処理動作を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源の例としての電池11からの電源電圧VDDが供給されている。コントローラ10は、後述するように、信号生成回路12を制御したり、スイッチ回路13,14,15,16,17,18のそれぞれをオン、オフ制御したりすると共に、可変容量コンデンサ4Cの容量を監視することで、位置指示器100の芯体3を介して印加される筆圧を検出する。この実施形態では、コントローラ10は、後述するように可変容量コンデンサ4Cの放電時間から筆圧を検出する。
信号生成回路12は、この第1の実施形態では、所定周波数f1、例えば周波数f1=1.8MHzの交流信号を発生する発振回路を備える。コントローラ10は、この信号生成回路12を構成する発振回路に制御信号CTを供給することで、当該発振回路をオン、オフ制御する。したがって、信号生成回路12を構成する発振回路は、コントローラ10からの制御信号CTに応じて、発生する交流信号を断続させ、これにより、信号生成回路12は、ASK(Amplitude Shift Keying)変調信号からなる信号Scを発生する。つまり、コントローラ10による信号生成回路12を構成する発振回路を制御することにより、信号生成回路12はASK変調信号を生成する。ASK変調に代えて信号生成回路12で生成される信号をOOK(On Off Keying)変調信号とするようにしてもよい。
そして、この実施形態では、コントローラ10は、信号生成回路12において、このASK変調信号により、後述するように、電極片91,92,93の選択状態を識別するための識別情報(ID(Identification))を出力信号に付加する制御を行う。すなわち、信号生成回路12は、機能としてID付加部120を備える。また、信号生成回路12は、コントローラ10からの制御信号CTによる制御により、ASK変調信号として、位置指示器100が指示する位置を位置検出装置201で検出させるためのみならず、位置指示器100から送出される信号の信号送出タイミングに同期させて位置検出装置201で信号復調を可能にさせるための連続送信信号(バースト信号)及び必要な付加情報とを含めた信号Scを生成するようにする。
信号生成回路12からの信号Scは、図示を省略したアンプで増幅された後、この実施形態では、芯体3を構成する中心電極Aに供給されると共に、スイッチ回路13,14,15のそれぞれを通じて、電極片91,92,93のそれぞれに供給される。スイッチ回路13,14,15は、コントローラ10からの切替制御信号SW1,SW2,SW3によりオン、オフ制御される。これにより、信号生成回路12からの信号Scは、電極片91,92,93に選択的に供給される。
また、電極片91,92,93は、この実施形態では、スイッチ回路16,17,18のそれぞれを通じてグランドに接続される。これらスイッチ回路16,17,18は、コントローラ10からの切替制御信号SW4,SW5,SW6によりオン、オフ制御され、電極片91,92,93に信号Scが供給されていないときには、例えばグランドに接続されるように制御される。
この場合に、切替制御信号SW4は、切替制御信号SW1の逆相の信号とされ、切替制御信号SW5は、切替制御信号SW2の逆相の信号とされ、切替制御信号SW6は、切替制御信号SW3の逆相の信号とされる。
すなわち、スイッチ回路13,14,15は、電極片91,92,93のうち、信号Scが供給されている電極片に接続されている1個のスイッチ回路がオンとされ、スイッチ回路16,17,18は、電極片91,92,93のうち、信号Scが供給されている電極片以外の2個の電極片に接続されている2個のスイッチ回路がオンとされる。
これにより、電極片91,92,93のうち、位置検出装置201のセンサが、信号Scが供給されている電極片とのみ静電結合し、信号Scが供給される電極片以外の2個の電極片による悪影響を阻害することで、当該電極片からの信号を識別し易くしている。
なお、スイッチ回路16,17,18を設けずに、電極片91,92,93のうち、信号Scが供給されていない電極片は、フローティング状態(スイッチ回路13,14,15のうち、信号Scが供給されていない電極片に接続されているスイッチ回路はオフとなっている)としてもよい。
DC/DCコンバータ19は、電池11の電圧を昇圧して、電圧VPの電源を生成する。この実施形態では、DC−DCコンバータ19は、コントローラ10により制御されて、例えば9Vと30Vというように、複数の信号レベルの出力電圧VPを生成する。なお、信号レベルを9Vから30Vまで可変制御させることようにしてもよい。信号生成回路12は、このように複数の信号レベルを備える電圧VPを駆動電圧として受けることで、信号Scの振幅を電圧VPに応じた振幅とする。
無線信号通信回路20は、位置検出装置201との間で、無線により信号を通信する回路であり、この例では、ブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信を用いている。なお、無線信号通信回路20は、Wi−Fi(登録商標)規格の無線通信を用いてもよいし、これに限らず、赤外線通信、光通信などを用いた無線通信を用いてもよい。
無線信号通信回路20は、この例では、位置指示器100に割り当てられた、それぞれの位置指示器を互いに識別するための識別情報を位置検出装置201に送信する。また、無線信号通信回路20は、位置検出装置201から送られてくるホバーモード及び位置指示モードから成るモード指示信号を受信する。コントローラ10は、この位置検出装置201から送られてくるモード指示信号に基づいて位置指示器100のモードがホバーモードと位置指示モードとの間で切り替えられて位置指示器100からの交流信号の送出制御が行われる。このコントローラ10による位置指示器100の交流信号送出制御のためのモード切替の設定動作については、以下に説明する。
<位置指示器100の処理動作例>
この第1の実施形態の位置指示器100のコントローラ10は、電源スイッチ21がオンとされて、コントローラ10に電源が投入されている状態において、位置検出装置201との無線信号の通信に基づいて、位置指示器100のモード切替設定動作を行うことで、交流信号の送出制御が行われる。図4は、この第1の実施形態の位置指示器100のコントローラ10による交流信号送出の切替設定動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。また、図5〜図7は、位置指示器100の動作説明のために用いるタイムチャートである。
なお、以下の説明においては、芯体3は中心電極Aと称し、また、電極片91,92,93は、それぞれ周辺電極B,C,Dと称することとする。
この実施形態では、位置指示器100の電源スイッチ21がオンとされると、無線信号通信回路20に電源電圧が供給されて、この無線信号通信回路20を通じて位置検出装置201との間での無線信号通信の動作が開始されて(ステップS101)、位置検出装置201との間での無線信号通信が可能であるか否か判別する(ステップS102)。ステップS102で、位置検出装置201との間での無線信号通信が可能ではないと判別したときには、コントローラ10は、信号生成回路12を構成する発振回路の発振動作を停止させるため、信号Scは送出されない(ステップS103)。そして、コントローラ10は、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
また、ステップS102で、位置検出装置201との間での無線信号通信が可能であると判別すると、コントローラ10は、位置指示器100をホバーモードでの信号送出状態に設定する(ステップS104)。
このホバーモードにおいては、コントローラ10は、無線信号通信回路20を通じて位置指示器100の識別情報を、位置検出装置201に無線送信すると共に、信号生成回路12で生成した交流信号を、中心電極A及び周辺電極B,C,Dの全てから位置検出装置201のセンサに対して送出するように信号送出制御する(図5(A)参照)。
すなわち、このホバーモードにおいては、コントローラ10は、切替制御信号SW1,SW2,SW3により、スイッチ回路13,14,15を常時オンとし、切替制御信号SW4,SW5,SW6により、スイッチ回路16,17,18を常時オフとする。そして、コントローラ10は、制御信号CTにより信号生成回路12を構成する発振回路を間欠的に駆動して、中心電極A、周辺電極B、周辺電極C、周辺電極Dのそれぞれから、図6(A),(B),(C),(D)に示すように、周期THで間欠的に、信号Scをバースト信号状に送出するようにする。
このホバーモードの処理は、位置指示器100が位置検出装置201のセンサ面に当接して特定の位置を指示する位置指示モードの処理とは異なり、位置検出装置201のセンサ上に位置指示器が近づいた状態(いわゆるホバー状態)を良好に位置検出装置201で検出するようにするための処理である。このホバーモードの処理では、位置指示器100からの交流信号を、中心電極Aのみからの送出に換えて、第1の導体を構成する中心電極A及び第2の導体を構成する3個の周辺電極B,C,Dの全てから交流信号を同時に送出することで、交流信号の送出エネルギーを大きくし、位置検出装置201のセンサでの、位置指示器100からの交流信号の検出を容易と成す。
ホバーモードにおいては、コントローラ10は、DC−DCコンバータ19を制御して電圧VPを、第1の信号レベル、例えば30Vとして、信号生成回路12から出力される信号Scの振幅を大きくする。一方、周期THにおける信号Scの信号送出期間のデューティー比を制御して信号Scを間欠的に送出することで、時間平均したときの消費電力が、後述する位置指示モードの際における第1の信号レベルよりも信号レベルが低い第2の信号レベルに設定された信号Scの送出時と同等となるようにする。すなわち、大きな信号レベルの信号Scを送出する際には、短い時間にて間欠的に信号を送出することで電力消費の増大を防止するようにしている。
このように、中心電極A、周辺電極B、周辺電極C、周辺電極Dの全てから交流信号を送出すると共に、信号Scの振幅を大きくすることにより、位置指示器100が、位置検出装置201のセンサ面よりも離れた、センサ面の上空位置(ホバー状態)にあっても、位置指示器100から送出される信号Scの送出エネルギーが、より大きくなって、位置検出装置201では、ホバー状態にある位置指示器100を、容易に検出することができるようにしている。
なお、上述の説明では、ホバーモードにおいては、各周期THで、中心電極A、周辺電極B、周辺電極C、周辺電極Dの全てから信号Scを送出するようにした。しかし、図6(E)、(F)、(G)、(H)に示すように、中心電極Aから各周期THで信号Scをバースト信号状に送出すると共に、周辺電極B、周辺電極C、周辺電極Dは、1周期THごとに切り替えて、選択的に信号Scを送出するようにしてもよい。また、中心電極Aには交流信号は供給せず、周辺電極B,C,Dに対してのみ、図6(B)〜(D)または図6(F)〜(H)に示すように、交流信号を供給するようにしてもよい。更には、電池などの駆動電源の残存電力量に制限が生じた場合には、中心電極Aのみに交流信号を供給することも考えられる。
位置検出装置201は、このホバーモードに設定された位置指示器100からの信号Scを受信すると、後述するように、位置指示器100の芯体3の先端3aの位置が、位置検出装置201のセンサ面に対して予め定められている近接距離、例えば5mm〜1cm以下の近接状態になったか否かを検出する。そして、位置検出装置201は、位置指示器100が近接状態にはないと判別すると、ホバーモードを設定する指示を位置指示器100に無線送信する。位置検出装置201は、位置指示器100が近接状態にあることを判別すると、位置指示モードの設定指示(位置指示モードへの変更指示)を位置指示器100に無線送信する。
なお、後述するように、この実施形態では、位置検出装置201が位置指示器100に対してモードの設定指示を行った後には、位置指示器100が位置検出装置201のセンサから、所定時間(例えば1秒)以下の短時間、近接状態を逸脱するように遠ざかったとしても、位置指示器100に即座にホバーモードへのモード変更指示を送信しない。これは、例えば1秒以下の短時間であれば、使用者は、引き続き位置指示器100による位置指示の入力操作をする意思が存在していると考えられるためである。すなわち、ホバーモードと位置指示モードとの間でのモード切替は、所定時間の切替ヒステリシスを設けている。
ステップS104でホバーモードでの交流信号送出状態になった位置指示器100のコントローラ10は、無線信号通信回路20で受信する位置検出装置201からの信号を監視して、位置検出装置201から位置指示モードの指示を受信したか否か判別する(ステップS105)。
このステップS105で、位置指示モードの指示は受信しておらず、ホバーモードの指示を受信していると判別したときには、コントローラ10は、処理をステップS104に戻し、ホバーモードでの信号送出状態を維持する。
また、ステップS105で、位置指示モードの指示を受信したと判別したときには、コントローラ10は、位置指示器100を位置指示モードの信号送出状態に切り替える(ステップS106)。
この位置指示モードにおいても、コントローラ10は、無線信号通信回路20を通じて位置指示器100の識別情報を、位置検出装置201に無線送信するように制御する。そして、この位置指示モードにおいては、位置検出装置201で位置指示器100による指示位置を検出させるようにすると共に、位置指示器100の回転角及び傾き角を検出させるようにするために、コントローラ10は、中心電極Aからは信号生成回路12で生成した交流信号を常に送出すると共に、周辺電極B、周辺電極C、周辺電極Dを順次に切り替えて選択的に信号Scを送出するようにする(図5(B)〜(E)参照)。
なお、位置指示モードにおいては、コントローラ10は、DC−DCコンバータ19を制御して、電圧VPを第1の信号レベルよりも信号レベルが低い第2の信号レベル、例えば9Vとする。このような低電圧となっても、位置指示モードとなっている位置指示器100は、位置検出装置201のセンサ面に当接し、あるいは十分に近接しているので、位置検出装置201では、位置指示器100からの送出信号を感度良く受信することが可能である。
この実施形態においては、位置指示モードにおいては、コントローラ10は、図5(B)及び図7(A)に示すように、中心電極Aと周辺電極Bとから信号Scを送出する期間TBと、中心電極Aと周辺電極Cとから信号Scを送出する期間TCと、中心電極Aと周辺電極Dとから信号Scを送出する期間TDとを順次に切り替える。そして、コントローラ10は、期間TBと期間TCと期間TDの総和の時間長の期間T(図7(A)参照)を1周期として、当該期間Tを繰り返すようにスイッチ回路13〜18を制御する。
すなわち、コントローラ10は、図7(B)〜(D)に示すように、信号Scを送出するために、期間TBでは切替制御信号SW1により周辺電極Bが接続されているスイッチ回路13をオン、期間TCでは切替制御信号SW2により周辺電極Cが接続されているスイッチ回路14をオン、期間TDでは切替制御信号SW3により周辺電極Dが接続されているスイッチ回路15をオン、にそれぞれ制御する。
また、コントローラ10は、図7(E)〜(G)に示すように、期間TBでは切替制御信号SW5及びSW6によりスイッチ回路17,18をオンにして、信号Scを供給しない周辺電極C,Dをグランドに接続し、期間TCでは切替制御信号SW4及びSW6によりスイッチ回路16,18をオンにして、信号Scを供給しない周辺電極B,Dをグランドに接続し、期間TDでは切替制御信号SW4及びSW5によりスイッチ回路16,17をオンにして、信号Scを供給しない周辺電極B,Cをグランドに接続するように、それぞれ制御する。
そして、この実施形態では、コントローラ10は、期間TB、期間TC,期間TDのそれぞれにおいては、信号生成回路12において、発振回路からの交流信号に、中心電極Aと周辺電極Bとによる送信期間であることを示す識別情報、中心電極Aと周辺電極Cとによる送信期間であることを示す識別情報、中心電極Aと周辺電極Dとによる送信期間であることを示す識別情報、を付加する制御を行う。さらに、この実施形態では、期間TBにおいては、筆圧検出モジュール4を構成する可変容量コンデンサ4Cの静電容量に基づいて芯体3に印加される筆圧を検出して、その検出した筆圧の情報(筆圧データ)をも付加するように制御する。したがって、この第1の実施形態においては、期間TBは、他の期間TC,TDよりも期間長が長いものとされる。
このときの期間TB,TC,TDにおけるコントローラ10における処理動作を、図5及び図7のタイミングチャートを参照しながら説明する。
すなわち、期間TBにおいては、図7(B)〜(D)に示すように、コントローラ10は、まずスイッチ回路13をオンにし、その他のスイッチ回路14,15はオフとして、3個の周辺電極B,C,Dの内の周辺電極Bを選択する状態にする。そして、この選択状態において、コントローラ10は、図5(C)に示すように、制御信号CTを、一定期間ハイレベルを維持する状態とし、信号生成回路12を構成する発振回路からの交流信号を一定期間連続して出力するように制御する。これにより、この期間TBでは、中心電極Aと周辺電極Bとは、周波数f1の交流信号が一定期間連続するバースト信号を放射する状態になる(図5(E)のバースト信号送信期間(AB)参照)。
この期間TBにおけるバースト信号送信期間(AB)中に、コントローラ10は、可変容量コンデンサ4Cが接続されている端子Pcを制御して、筆圧検出モジュール4を構成する当該可変容量コンデンサ4Cに加えられた筆圧を求める。すなわち、コントローラ10は、端子Pcをハイレベルとすることで可変容量コンデンサ4Cを充電する。次いで、コントローラ10は、端子Pcを入力状態に切り替える。このとき、可変容量コンデンサ4Cに蓄えられた電荷はこれと並列に接続された抵抗Rによって放電され、可変容量コンデンサ4Cの電圧Ec(図5(D)参照)は徐々に低下する。コントローラ10は、端子cを入力状態に切り替えてから、可変容量コンデンサ4Cの電圧Ecが、予め定めた閾値電圧以下に低下するまでの時間Tpを求める。この時間Tpは、求める筆圧に相当するものであり、コントローラ10は、この時間Tpから、筆圧を複数ビット、例えば10ビットの値として求める。
そして、コントローラ10は、期間TBにおいては、バースト信号送信期間(AB)を終了すると、制御信号CT(図5(C)参照)を、所定の周期Tdでハイレベルまたはロウレベルとして、信号生成回路12を制御することにより、発振回路からの交流信号についてASK変調を行う。このとき、コントローラ10は、初回は制御信号CTをハイレベルとして所定の時間、信号を送出する(図5(E)のスタート信号参照)。このスタート信号は、以降のデータ送出タイミングを位置検出装置201側で正確に判定することができるようにするために設けられているものである。すなわち、位置検出装置201が受信した位置指示器100からのスタート信号の信号送出タイミングに位置検出装置201でのASK復調などの信号処理を同期させるために設けられている。すなわち、位置検出装置201では、このスタート信号を利用して、位置指示器100から受信した信号のASK復調などの信号処理を同期させることができる。
なお、バースト信号送信期間(AB)及び後述するバースト信号送信期間(AC)、バースト信号送信期間(AD)におけるバースト信号を、位置指示器100から送出させる信号の送出タイミングとして利用して位置検出装置201での信号処理を同期させることもできる。
このスタート信号に続く2Tdの期間は、位置指示器100から信号Scを送出する電極、すなわち、この期間TBにおいては、中心電極Aと共に信号Scを送出する周辺電極Bを識別するための識別情報の送出区間である。コントローラ10は、この識別情報の送出区間には、この例では、図5(E)に示すように、周辺電極Bに対して2ビットの識別情報として、符号“00”を付与するように制御信号CTを制御する。2ビットの符号としたのは、3つの周辺電極B,C,Dのそれぞれを識別するためである。
周辺電極Bの識別情報に続いて、コントローラ10は、前述した動作により求めた10ビットの筆圧データを順次送信する。即ち、コントローラ10は、送信データが“0”のときは制御信号CT(図5(C)参照)をロウレベルとして信号生成回路12を構成する発振回路からの交流信号の発生を停止し、送信データが“1”のときは制御信号CT(図5(C)参照)をハイレベルとして信号生成回路12の発振回路から交流信号を発生させるように制御することでASK変調を行う(図5(E)の筆圧データ送信期間参照)。図5(C)では、送信する筆圧が“0101110101”であることを例示している。
10ビットの筆圧データの送信を終了すると、コントローラ10は、中心電極Aと周辺電極Bの選択期間を終了して、中心電極Aと周辺電極Cの選択期間TCに切り替えるようにするために、スイッチ回路13及びスイッチ回路15をオフにし、スイッチ回路14のみをオンにするように切替制御信号SW1,SW2,SW3により切替制御する(図7(B)〜(D)参照)。
そして、この中心電極Aと周辺電極Cの選択期間TCになると、コントローラ10は、期間TBと同様にして、図5(C)に示すように、制御信号CTを、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、信号生成回路12の発振回路からの交流信号を一定期間連続して、信号Scとして出力するようにする。これにより、中心電極Aと周辺電極Cは、一定期間連続してバースト信号を送出する状態になる(図5(E)のバースト信号送信期間(AC)参照)。
期間TCにおいて、このバースト信号送信期間(AC)を終了すると、コントローラ10は、制御信号CT(図5(C)参照)をハイレベルとしてスタート信号を送出した後、中心電極Aと共に信号Scを送出する周辺電極Cを識別するための識別情報の2ビット分の符号としてこの例では“10”を付与するように、制御信号CTを制御する。この例では、前述したように、中心電極Aと周辺電極Cの選択期間TCでは、筆圧検出動作は行わず、筆圧データの送信もしない。なお、中心電極Aと周辺電極Cの選択期間TCにおいても、筆圧検出動作を行なって、筆圧データの送信をするようにしても勿論よい。
期間TCにおいて、中心電極Aと共に信号Scを送出する周辺電極Cの識別情報の送出を終了すると、コントローラ10は、期間TCを終了して、中心電極Aと周辺電極Dの選択期間TDに切り替えるようにするために、スイッチ回路13及びスイッチ回路14をオフにし、スイッチ回路15のみをオンにするように切替制御信号SW1,SW2,SW3により切替制御する。
この中心電極Aと周辺電極Dの選択期間TDにおいては、コントローラ10は、中心電極Aと周辺電極Cの選択期間TCと同様にして、制御信号CT(図5(C)参照)を、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、信号生成回路12を構成する発振回路からの交流信号を一定期間連続して、信号Scとして出力するようにする。これにより、中心電極Aと周辺電極Dは、一定期間連続してバースト信号を送出する状態になる(図5(E)のバースト信号送信期間(AD)参照)。
そして、バースト信号送信期間(AD)を終了すると、コントローラ10は、制御信号CTをハイレベルとしてスタート信号を送出した後、中心電極Aと共に信号Scを送出する周辺電極Dを識別するための識別情報の2ビット分の符号としてこの例では“01”を付与するように、制御信号CTを制御する。この例では、中心電極Aと周辺電極Dの選択期間TDでも、筆圧検出動作は行わず、筆圧データの送信もしない。なお、この期間TDにおいても、筆圧検出動作を行なって、筆圧データの送信をするようにしても勿論よい。
期間TDにおいてバースト信号送信期間(AD)に続いて、中心電極Aと共に信号Scを送出する周辺電極Dの識別情報の送出を終了すると、コントローラ10は、期間Tdを終了して、中心電極Aと周辺電極Bの選択期間TBに戻るように、切替制御信号SW1、SW2、SW3を制御して、スイッチ回路13をオンにし、その他のスイッチ回路14,15はオフに制御する。そして、コントローラ10は、期間TBにおける上述した制御処理を行う。以下同様にして、ステップS106の位置指示モードにおいては、コントローラ10は、期間TB、期間TC、期間TDを順次に巡回的に切り替える制御を行う。
このステップS106の次には、コントローラ10は、無線信号通信回路20で受信する位置検出装置201からの信号を監視して、位置検出装置201からホバーモードの設定指示(ホバーモードへの変更指示)の信号を受信したか否か判別する(ステップS107)。このステップS107で、ホバーモードの指示を受信してはおらず、位置指示モードの指示を受信していると判別したときには、コントローラ10は、処理をステップS105に戻して、このステップS105の処理を繰り返す。
そして、ステップS107で、ホバーモードの指示を受信したと判別したときには、コントローラ10は、処理をステップS104に戻し、ホバーモードにおける処理を実行するようにし、その後、上述したステップS104以降の処理を繰り返す。
<位置検出装置201の構成例>
次に、以上説明した位置指示器100と共に使用される、この第1の実施形態の位置検出装置201の構成例について説明する。
図8は、この実施形態の位置検出装置201の概略構成例を説明するための図である。この例の位置検出装置201は、静電容量方式の位置検出装置の構成であり、いわゆるクロスポイント(相互容量)構成のセンサを備えており、指などの静電タッチ、特にマルチタッチを検出する場合は、第1の方向に配置された導体に送信信号を供給すると共に、第1の方向とは異なる第2の方向に配置された導体から信号を受信するように構成されている。また、指示体が、上述した位置指示器100のような、位置指示信号を送出のための電気回路と、この電気回路を駆動する駆動電源を備えたアクティブ静電ペンの場合には、第1の方向及び第2の方向に配置されたそれぞれの導体から信号を受信する構成となる。なお、クロスポイント型静電容量方式の位置検出装置の原理等については、この出願の出願人に係る出願の公開公報である特開2011−3035号公報、特開2011−3036号公報、特開2012−123599号公報等に詳しく説明されている。
この実施形態の位置検出装置201は、図8に示すように、タッチパネル(位置検出センサ)を構成するセンサ300と、制御装置部400とで構成されている。
センサ300は、この例では、下層側から順に、Y導体群302、絶縁層、X導体群301を積層して形成されたもので、X導体群301とY導体群302とを互いに直交する方向に交差したグリッド構成を備える。Y導体群302は、図8及び後述する図10に示すように、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数のY導体302Y1、302Y2、…、302Yn(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列配置したものである。また、X導体群301は、Y導体302Y1、302Y2、…、302Ynに対して交差、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数のX導体301X1、301X2、…、301Xm(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列配置したものである。
この実施形態のセンサ300では、X導体群301を構成する複数のX導体301X1、301X2、…、301Xmが第1の導体であり、Y導体群302を構成する複数のY導体302Y1、302Y2、…、302Ynが第2の導体である。このように、位置検出装置201では、X導体とY導体を交差させて形成したセンサパターンを用いて、指fgやアクティブ静電ペンを構成する位置指示器100などの指示体が指示する位置を検出する構成を備えている。
そして、この実施形態の位置検出装置201は、例えばスマートフォンと呼ばれる携帯機器などの電子機器に搭載されて使用される。このため、センサ300は、電子機器が備える表示画面の大きさに対応したサイズを有している。画面サイズが例えば4インチ前後の大きさの指示入力面(センサ面)300Sは、光透過性を有する、X導体群301とY導体群302とによって形成されている。
なお、X導体群301とY導体群302は、センサ基板の同一面側にそれぞれが配置される構成であってもよいし、センサ基板の一面側にX導体群301を配置し、他面側にY導体群302を配置する構成でもよい。
制御装置部400は、センサ300との入出力インターフェースとなるマルチプレクサ401と、指タッチ/ペン検出回路402と、制御回路403とからなる。
制御回路403は、位置検出装置201の全体の動作を制御するためのもので、この例では、MPU(microprocessor unit)で構成されている。この実施形態の位置検出装置201は、指タッチの検出と、位置指示器100などによるペンタッチの検出とを時分割で行うように制御する。すなわち、この実施形態の位置検出装置201では、図9に示すように、ペンタッチの検出を実行するペン検出期間PPと、指タッチの検出を実行する指タッチ検出期間PFとを交互に時分割で実行するようにしている。
制御回路403は、マルチプレクサ401及び指タッチ/ペン検出回路402を、指タッチ検出期間PFとペン検出期間PPとで切替制御するようにする。
制御装置部400は、指タッチ検出期間では、X導体とY導体を交差させて形成したグリッド構成のセンサ300のセンサパターンのそれぞれの交点における静電容量が、指がタッチされた位置で変化するので、その静電容量の変化を検出することにより指タッチの位置を検出するようにする。
また、制御装置部400は、ペン検出期間PPでは、位置指示器100から送出された信号Scをセンサ300で検出する。そして、制御装置部400は、この位置指示器100からの信号Scの受信情報に基づいて、位置指示器100がセンサ300のセンサ面300Sからある程度以上離れた距離、例えば5mm以上離れた距離にあるホバー状態にあるか、センサ300のセンサ面300Sに対して5mm以内の距離に近接したホバー状態にあるか、あるいはセンサ300のセンサ面300Sに当接している状態にあるかを判定し、その判定結果に基づいて、位置指示器100に対するモード指示信号を生成して、無線信号通信回路を通じて、位置指示器100に送信する。
そして、位置指示器100がセンサ300のセンサ面300Sに対して近接する状態にあるとき、及びセンサ300のセンサ面300Sに当接した状態にあるときには、位置検出装置201では、この位置指示器100からの信号Scを、センサ300のX導体群301(第1の導体:X導体)のみならず、Y導体群302(第2の導体:Y導体)でも受信する。そして、制御装置部400は、第1の導体及び第2の導体を構成するそれぞれの導体について、位置指示器100から送出された信号Scのレベルを測定して、受信信号が高レベルとなっている第1の導体及び第2の導体のそれぞれを特定することで位置指示器100によるセンサ300上での指示位置を検出するようにする。
また、センサ300のセンサ面300Sに当接した状態にあるときには、位置検出装置201では、位置指示器100の芯体3に印加された筆圧データを受信して当該筆圧を検知すると共に、位置指示器100の回転角及び傾き角を検出するようにする。
<位置検出装置201の制御装置部400の構成例>
図10は、位置検出装置201の制御装置部400の構成図の一例を示したもので、主としてペン検出回路402Pの部分を中心として抽出した構成例を示したものである。したがって、この図10の構成例の回路は、ペン検出期間PPにおいて動作するものである。このペン検出回路402Pは、信号処理装置の第1の実施形態を構成する。
この例のペン検出回路402Pは、図10に示すように、センサ300に対して設けられる導体選択回路411と、増幅回路412と、バンドパスフィルタ回路413と、検波回路414と、サンプルホールド回路415と、アナログ−デジタル変換回路(以下、AD変換回路という)416とを備えると共に、前述した制御回路403を備える。
さらに、ペン検出回路402Pには、無線信号通信回路417が、制御回路403に接続されて設けられる。この無線信号通信回路417は、位置指示器100の無線信号通信回路20と無線通信を行うためのもので、この実施形態では、ブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信が用いられている。
導体選択回路411は、前述したマルチプレクサ401の一部を構成する。増幅回路412と、バンドパスフィルタ回路413と、検波回路414と、サンプルホールド回路415と、AD変換回路416とは、前述した指タッチ/ペン検出回路402の内のペン検出回路の部分を構成する。
導体選択回路411は、制御回路403からの制御信号に基づいて、第1の導体301X1〜301Xmおよび第2の導体302Y1〜302Ynの中からそれぞれ1本の導体を選択する。導体選択回路411により選択された導体は増幅回路412に接続され、位置指示器100からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路412により増幅される。この増幅回路412の出力はバンドパスフィルタ回路413に供給されて、位置指示器100から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
バンドパスフィルタ回路413の出力信号は検波回路414によって検波される。この検波回路414の出力信号はサンプルホールド回路415に供給されて、制御回路403からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路416によってデジタル値に変換される。AD変換回路416からのデジタルデータは制御回路403によって読み取られて、制御回路403の内部のROMに格納されたプログラムによって、処理される。
すなわち、制御回路403は、サンプルホールド回路415、AD変換回路416、および導体選択回路411に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。そして、制御回路403は、AD変換回路416からのデジタルデータから、位置指示器100のホバー状態の検出、位置指示器100がセンサ300上で指示する位置座標の検出、位置指示器100の回転角及び位置指示器100のセンサ300のセンサ面300Sに対する傾き角の検出などの角度情報の検出のための信号処理を行う。
次に、制御回路403における位置指示器100のホバー状態の検出処理について説明する。
前述したように、位置指示器100は、ホバー状態においては、信号Scを、中心電極A及び周辺電極B,C,Dの全てから送出するようにする。そして、位置検出装置201では、このホバー状態の検出処理においては、センサ300で位置指示器100から送出される信号を受信し、制御回路403が、当該センサ面300Sにおける位置指示器100の中心電極A及び周辺電極B,C,Dからの信号の受信状態を判定することで、位置指示器100が、センサ面300Sに近接する所定の高さ(距離)以内のホバー位置に在るか否かを判定する。この例では、前述したように、近接する所定の高さ以内とは、センサ面300Sと位置指示器100の芯体3の先端との距離が、例えば5mm〜1cm以内、この例では、5mm以内とされる。
制御回路403は、この実施形態では、ホバー状態の検出処理のために、ソフトウエアプログラムによるソフトウエア処理機能として、図10に示すように、オブジェクト領域検出回路4031と、オブジェクト領域出現状態判定回路4032と、判定結果指示回路4033とを備える。
ここで、オブジェクト領域とは、中心電極A及び周辺電極B,C,Dのそれぞれから送出される信号によってセンサ300上で形成される感応領域である。以下の説明においては、説明の簡単のため、中心電極A及び周辺電極B,C,Dのそれぞれから送出される信号によってセンサ300上で形成されるオブジェクト領域のそれぞれを、中心電極Aのオブジェクト領域及び周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域と呼ぶことにする。
図11は、位置指示器100の芯体3の先端3aのセンサ面300Sからの距離の違いに応じたセンサ上のオブジェクト領域の出現状態の変化を説明するための図であり、便宜上、位置指示器100がセンサ面300Sに対して直立した状態となっている場合である。この図11の左側には、位置指示器100の芯体3の先端3aの、センサ面300Sからの高さ(距離)を示し、中央には、その時のセンサ面300S上に形成されるオブジェクト領域の出現状態を示し、右側には、そのときに制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルを示している。なお、図11では、信号レベルは、センサ面300Sの特定のY座標位置YiにおけるX座標方向の変化を示している。
図11(A)は、位置指示器100の芯体3の先端3aが、センサ面300Sよりも比較的遠く離れた高さh1の位置にある状態(第3のホバー状態)、例えば10cm以上離れた状態を示しており、センサ面300S上には、中心電極A及び周辺電極B,C,Dのそれぞれのオブジェクト領域が互いに分離されずに全体として一塊となったようなオブジェクト領域OB1が形成される。そして、この時に制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルは、全体として低い状態となる。
図11(B)は、位置指示器100の芯体3の先端3aのセンサ面300Sからの高さが、前記高さh1よりは小さいが近接状態の高さh3(例えば5mm〜1cm)よりも大きい高さh2の位置にある状態(第2のホバー状態)を示している。この時にも、センサ面300S上には、中心電極Aのオブジェクト領域と周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域とが互いに明確に分離されることなく全体として一塊となっているオブジェクト領域OB2が形成される。ただし、このときには、制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルにより、中心電極Aと周辺電極B,C,Dとが互いに識別可能となるような場合もある。
図11(C)は、位置指示器100の芯体3の先端3aのセンサ面300Sからの高さが、前記高さh2よりは小さい近接状態の高さh3の位置にある状態(第1のホバー状態)場合を示している。この時には、センサ面300S上には、中心電極Aのオブジェクト領域OBaと、周辺電極Bのオブジェクト領域OBbと、周辺電極Cに対応するオブジェクト領域OBcと、周辺電極Dに対応するオブジェクト領域OBdとが、互いに分離されて得られる。そして、この時に制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルは、各オブジェクト領域OBa、OBb、OBc、OBdに応じたものとなる。
なお、位置指示器100がセンサ面300Sに対して直立ではなく、所定の角度、傾いているときには、周辺電極B,C,Dに対応して形成されるオブジェクト領域OBb、OBc、OBdの一部は、中心電極Aのオブジェクト領域OBaと重なる場合があるが、少なくとも、周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域OBb、OBc、OBdの一つは、中心電極Aのオブジェクト領域OBaとは重ならずに、互いに分離した状態となる。
この実施形態では、制御回路403は、この図11(C)に示したように、中心電極Aに対応するオブジェクト領域OBaが、周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域OBb、OBc、OBdの少なくとも一つと重ならずに、互いに分離した状態となった時に、位置指示器100がセンサ面300Sに近接した状態となったと判定するようにする。
なお、中心電極Aのオブジェクト領域OBaが、周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域OBb、OBc、OBdの少なくとも一つと重ならずに、互いに分離した状態となったことのみに基づいて、位置指示器100がセンサ面300Sに近接した状態となったと判定するのではなく、中心電極のオブジェクト領域OBaで得られる信号レベルが所定の閾値レベルLth以上となったことを併せて検出したときに、位置指示器100がセンサ面300Sに近接した状態となったと判定するようにしてもよい。その場合には、閾値レベルLthを変化させることにより、近接状態として検出する位置指示器100の芯体3の先端3aの高さh3を変えることができる。
制御回路403では、オブジェクト領域検出回路4031で、位置指示器100から送出される信号によって形成されるオブジェクト領域の検出を行う。そして、オブジェクト領域出現状態判定回路4032において、検出されたオブジェクト領域の出現状態が、図11(A),(B),(C)のいずれの状態にあるかをチェックし、検出されたオブジェクト領域が、図11(C)の出現状態になっているかどうかを判定する。そして、オブジェクト領域出現状態判定回路4032は、その判定結果を、判定結果指示回路4033に渡す。判定結果指示回路4033は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032から受け取った判定結果に応じて、ホバーモードあるいは位置指示モードのいずれかの指示情報を、無線信号通信回路417を通じて位置指示器100に送信するようにする。
なお、前述もしたように、判定結果指示回路4033では、位置指示器100に対して位置指示モードの指示をしていた状態から、位置指示器100がホバーモードの指示を送信する状態になったと判定したとしても、即座にはホバーモードの指示を位置指示器100に対して送信せず、位置指示モードの指示をしていた状態から、ホバーモードの指示を送信する状態になったと判定する状態が所定時間以上、例えば1秒以上連続したと判別したときに、位置指示器100に対してホバーモードの指示を送信するようにする。
次に、位置検出装置201のペン検出回路402Pにおける、位置指示器100の指示位置、回転角及び傾き角を検出するときの動作について以下に説明する。
制御回路403は、この実施形態では、ソフトウエアプログラムによるソフトウエア処理機能として、図10に示すように、指示位置検出回路4034と、回転角検出回路4035と、傾き角検出回路4036とを備える。これらの指示位置検出回路4034と、回転角検出回路4035と、傾き角検出回路4036は、位置指示器100に位置指示モードを指示した状態、つまり、位置指示器100がセンサ面300Sに対して近接している第1のホバー状態において動作するように制御される。
このとき、位置指示器100は、前述したように、位置検出装置201からの位置指示モードの設定指示に応じて、中心電極Aから常に信号Scを送出すると共に、周辺電極B,C,Dからは、順次に切替選択されて信号Scを送出する位置指示モードの状態となっている。そして、位置検出装置201のセンサ面300Sにおいては、図11(C)に示したように、中心電極A及び周辺電極B,C,Dによって形成されるオブジェクト領域OBa,OBb、OBc、OBdが互いに分離して検出可能な状態となっている。
そして、位置指示モードにおいては、位置指示器100は、信号Scには、当該信号Scを供給する電極を識別する識別情報が含まれているので、ペン検出回路402Pの制御回路403では、その識別情報を検出することで、各オブジェクト領域OBa,OBb、OBc、OBdからの受信信号をそれぞれ識別して取得することができる。
位置指示器100の制御回路403の指示位置検出回路4034では、中心電極Aのオブジェクト領域OBaの重心位置を、位置指示器100によるセンサ300上の指示位置として検出する。ここで、オブジェクト領域OBaの重心位置とは、オブジェクト領域内のセンサ300上の複数の導体に得られる信号レベルを用いて算出される位置である。
すなわち、図12(A)に示すように、位置指示器100がセンサ面300Sに垂直となっているときには、図12(B)に示すように、オブジェクト領域OBaは真円形状となって、位置指示器100の芯体3による指示位置Ptは、オブジェクト領域OBaの中心位置に一致する。これに対して、図12(C)に示すように、位置指示器100が傾いている場合には、センサ面300S上のオブジェクト領域OBaは、図12(D)に示すように楕円となり、しかも、位置指示器100による指示位置Ptは、オブジェクト領域OBaの中心位置からずれた状態となる。
しかし、オブジェクト領域OBa内に含まれるセンサ300上の導体に得られる信号のレベルは、芯体3の先端3aの指示位置に応じた信号レベルとなっており、位置指示器100により指示された位置として、ほぼ正しく得られる。なお、オブジェクト領域OBb,OBc,OBdから検出される周辺電極B,C,Dの位置についても同様である。
回転角検出回路4035は、この例では、例えば周辺電極Bのセンサ面300SのY軸方向を基準とした向きとして検出する。回転角検出回路4035は、指示位置検出回路4034で検出された中心電極Aの位置座標(X0、Y0)を取得する。次に、周辺電極Bの位置座標(X1,Y1)を、上述の中心電極Aの位置座標の検出と同様にして検出する。そして、この2つの位置座標(X0、Y0)及び(X1,Y1)から、回転角θを検出する。
図13は、2つの座標値(X0、Y0)および(X1、Y1)が得られたときに位置指示器100のセンサ面300Sに垂直方向を軸とした回転角θを計算するための原理図である。この図13では、Y軸の正方向を基準(θ=0)とし、θの範囲を−180°<θ≦+180°として、座標値(X1、Y1)に対応する周辺電極Bの向きを定義するものである。このとき、位置指示器100の回転角θは、回転角検出回路4035において、X0、Y0、X1、Y1、より次の(1)式〜(5)式のように計算される。
次に、この実施形態では、制御回路403の傾き角検出回路4036は、位置指示器100の3つの周辺電極B,C,Dから送出された信号Scを受信して得られた各受信信号強度により、位置指示器100の傾き角を求める。受信信号強度として、X軸座標値検出の際のレベルを用いても良いし、Y軸座標値検出の際のレベルを用いても良いが、ここでは、X軸座標値検出の際のレベルを用いることにする。
図14は、3つの周辺電極B,C,Dから送出された信号Scを受信して得られた各受信信号強度V1,V2,V3を用いて位置指示器100の傾き角を求めるための原理図である。図14では、位置検出装置201のセンサ面300Sからの高さ方向をz軸に取り、位置指示器100の周辺電極B,C,Dの位置に相当する点をそれぞれ、B,C,Dとして構成される正三角形の中心Gがyz面上に、また周辺電極Bの位置に相当する点Bがz軸上にくるように座標軸を設定している。このときの各点の座標を、B点(0、0、z1)、C点(x2、y2、z2)、D点(x3、y3、z3)、G点(0、yg、zg)として表すと、位置指示器100の傾き角(θx、θy)は次の(6)式、(7)式に示すように求められる。
ここで、位置指示器100の3つの周辺電極B,C,Dの先端位置であるB点、C点、D点とセンサ面300Sからの距離(z1、z2、z3)は受信信号強度V1,V2,V3にほぼ反比例するので、αを比例係数として以下の(8)式、(9)式のように表す。
ここで、α/rは定数であるからこの値をあらかじめ求めておけば前記関係式よりθx、θyを求めることができる。
次に、以上のように構成される制御回路403における処理の流れの一例を、図15のフローチャートを参照しながら説明する。
制御回路403は、位置指示器100からの信号Scをセンサ300の導体群を通じて受信して、オブジェクト領域検出回路4031の機能によりオブジェクト領域の検出処理を実行する(ステップS201)。
ステップS201で、オブジェクト領域の検出処理を終了したら、制御回路403は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032の機能により、オブジェクト領域のセンサ面300S上における出現状態を検査し、オブジェクト領域が互いに分離して検出することできる状態であるか否かを判定する。オブジェクト領域が互いに分離して検出することができる状態であれば、それぞれのオブジェクト領域について、中心電極A、周辺電極B,C,Dのいずれのオブジェクト領域であるかの領域属性を判定する(ステップS202)。
そして、制御回路403は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032の機能により、中心電極Aのオブジェクト領域が、周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域と分離して識別可能であるか否か判別する(ステップS203)。
ステップS203で、中心電極Aによって形成されるオブジェクト領域が、周辺電極B,C,Dによって形成されるオブジェクト領域と分離して識別することできないと判別したときには、制御回路403は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032の機能により、前に位置指示モードの指示を位置指示器100に送信していた状態から、所定時間、例えば1秒が経過したか否か判別する(ステップS204)。
このステップS204で、前に位置指示モードの指示を送出していた状態から所定時間以上経過していると判別したときには、制御回路403は、判定結果指示回路4033の機能により、無線信号通信回路417を通じて、ホバーモードの設定指示を、無線信号により位置指示器100に送る(ステップS205)。このステップS205の次には、制御回路403は、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
また、ステップS203で、中心電極Aによって形成されるオブジェクト領域が、周辺電極B,C,Dによって形成されるオブジェクト領域と分離して識別可能であると判別したときには、制御回路403は、判定結果指示回路4033の機能により、無線信号通信回路417を通じて、位置指示モードの設定指示を、無線信号により位置指示器100に送る(ステップS206)。ステップS204で、前に位置指示モードの指示を送出していた状態から所定時間以上経過していないと判別したときにも、制御回路403は、このステップS206に進んで、無線信号通信回路417を通じて、位置指示モードの指示を、無線信号により位置指示器100に送る。
ステップS206により位置指示モードの設定指示を位置指示器100に送った後には、制御回路403は、指示位置検出回路4034の機能により、前述したようにして、位置指示器により指示されたセンサ300上の位置の座標を検出する(ステップS207)。
次に、制御回路403は、位置検出装置201が設けられている、あるいは位置検出装置201が接続されている電子機器の機能として、位置指示器100の回転角や傾き角の検出が要求されているか否かを判別し(ステップS208)、要求されていない判別したときには、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
また、ステップS208で、位置指示器100の回転角や傾き角の検出が要求されていると判別したときには、制御回路403は、回転角検出回路4035及び傾き角検出回路4036の機能により、前述したようにして、位置指示器100の回転角や傾き角を検出する(ステップS209)。その後、制御回路403は、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
なお、位置指示器100は、位置検出装置201のペン検出回路402Pから位置指示モード及びホバーモードの設定指示のいずれも受信しないときには、自身をホバーモードの状態にするようにするものである。
[第1の実施形態の効果]
上述した第1の実施形態の位置指示器100においては、ホバーモード時には、中心電極A及び周辺電極B,C,Dの全てから交流信号を送出するようにするので、位置検出装置201のセンサ300に送出される信号エネルギーは、大きくなり、位置検出装置201での位置指示器100のホバー状態の検出が容易になる。
しかも、上述の実施形態においては、ホバーモード時に中心電極A及び周辺電極B,C,Dに供給される交流信号は、位置指示モードの時よりも振幅が大きくされるので、その点でも位置検出装置201での位置指示器100のホバー状態の検出が容易になる。そして、交流信号の振幅を大きくしても、交流信号は位置指示器100から間欠的に送出されるため、消費電力の増加を抑えることができる。
そして、位置検出装置201では、位置指示器100からの受信信号に基づいて、位置検出装置201のセンサ300のセンサ面300S上での位置指示器100のホバー状態を識別し、位置指示器100が位置検出装置201のセンサ300のセンサ面300Sに十分に近接したホバー状態にある場合には、位置指示器100に位置指示モードの設定指示を送信するようにしているので、位置検出装置201では、位置指示器100がセンサ面300Sに当接していないホバー状態のときから、指示位置の検出ができるようになると共に、位置指示器100の回転角や傾き角を検出することができるようになる。
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の第1の実施形態では、位置検出装置201のペン検出回路402Pからは、ホバーモードの設定指示と、位置指示モードの設定指示の両方を位置指示器100に送るようにしたが、ホバーモードの設定指示は送出せずに、位置指示器100Aがセンサ面300Sに対して近接した所定の高さ(距離)になったら、位置指示モードの指示をセンサ300を通じて位置指示器100Aに送り、位置指示器100Aがセンサ面300Sに対して近接した所定の高さでない状態が、所定時間例えば1秒継続したら、位置指示モード解除指示を位置指示器100に送るように構成してもよい。
なお、上述の実施形態では、位置指示モード時には、信号生成回路12で生成された信号Scが中心電極Aと共に、供給される周辺電極B,C,Dを識別するために2ビットの識別情報を信号Scに含めるようにして位置指示器100から送出するようにした。しかし、信号Scが中心電極Aと共に、供給される周辺電極B,C,Dを識別する方法としては、この2ビットの識別情報を信号Scに含める方法に限られるものではない。
例えば上述の実施形態では、中心電極Aと周辺電極Bとに供給する信号Scには、筆圧データを含め、中心電極Aと周辺電極C、また中心電極Aと周辺電極Dとに供給する信号Scには、筆圧データを含めてはいない。そして、周辺電極B,C,Dは、周辺電極B→周辺電極C→周辺電極Dの順のように、所定の手順で順次切り替えられるものとされている。したがって、位置検出装置201では、筆圧データが含められている信号Scを受信しているときには、位置指示器100では中心電極Aと周辺電極Bが選択されていることを識別することができ、そして、その次の期間の信号Scのバースト信号は、中心電極Aと周辺電極Cから送出されており、その次の期間の信号Scのバースト信号は、中心電極Aと周辺電極Dから送出されていることを識別可能となる。
また、同様の考えから、中心電極Aと周辺電極Bとから信号Scが送出される期間の期間長と、中心電極Aと周辺電極C、また中心電極Aと周辺電極Dとから信号Scが送出される期間の期間長との違いから、位置指示器100で中心電極Aと周辺電極Bが選択されていることを識別し、その識別結果から中心電極Aと周辺電極C、また中心電極Aと周辺電極Dが選択されている状態を識別するようにすることもできる。
すなわち、要は、周辺電極B,C,Dは、例えば周辺電極B→周辺電極C→周辺電極Dの順に順次に切り替えられるものとされている場合には、中心電極Aと共に信号Scが供給されるいずれか一つの周辺電極が識別することができればよい。したがって、例えば中心電極Aと周辺電極Bとから信号Scが送出される期間の後にのみ、所定長の信号休止期間を設けたり、休止期間の代わりに、他と区別可能の所定の信号を挿入したりして、中心電極Aと周辺電極Bとから信号Scが送出される期間を識別することができるようにしてもよい。その他、中心電極Aと共に信号Scが供給されるいずれか一つの周辺電極が識別する方法としては、どのようなものであってもよい。
また、上述の実施形態におけるそれぞれのホバー状態の検出処理において、オブジェクト領域出現状態判定回路4032は、位置指示器100の芯体3の先端3aが、位置検出装置201のセンサ面に近接する状態を、中心電極Aが、周辺電極B,C,Dと識別可能となったか否かにより判定するようにしたが、中心電極Aではなく、あるいは中心電極Aだけではなく、周辺電極B,C,Dによって形成されるオブジェクト領域のそれぞれが互いに識別可能となったか否かにより判定するようにしてもよい。
また、オブジェクト領域出現状態判定回路4032は、中心電極Aのオブジェクト領域の大きさ及び/または周辺電極B,C,Dのオブジェクト領域の大きさが、所定の大きさか否かに基づいて、位置指示器100の芯体3の先端3aの、位置検出装置201のセンサ面への近接状態を判定するようにしてもよい。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、位置検出装置201のペン検出回路402Pの判定結果指示回路4033からの判定結果であるホバーモードの設定指示及び位置指示モードの設定指示は、無線信号通信回路417及び無線信号通信回路20を通じて位置指示器100に送るようにした。しかし、位置検出装置201のペン検出回路402Pからのホバーモードの設定指示及び位置指示モードの設定指示は、位置検出装置201のセンサ300から、位置指示器100の中心電極A(芯体3)を通じて伝送するようにすることもできる。この第2の実施形態は、その場合の一例である。
この第2の実施形態の位置指示器100Aの信号処理回路の構成例を図16に示す。この図16において、図3に示した上述した第1の実施形態の位置指示器100と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態では、図16に示すように、切替スイッチ回路22を設け、その共通接点端子を中心電極A(芯体3)に接続する。そして、この切替スイッチ回路22の一方の固定接点端子Tを、信号生成回路12の出力端に接続し、他方の固定接点端子Rを受信アンプ23を介してコントローラ10の信号受信端子に接続する。そして、コントローラ10は、この切替スイッチ回路22に切替制御信号SW7を供給する。その他は、図3に示した第1の実施形態の位置指示器100と同様に構成する。なお、この第2の実施形態では、コントローラ10は、無線信号通信回路20は、位置指示器100Aの識別情報のみを位置検出装置201に送るようにする。
この第2の実施形態の位置指示器100Aでは、コントローラ10は、ホバーモードにおいては、切替制御信号SW7により、切替スイッチ回路22を、図6に示した間欠的なバースト信号の送信期間では、固定接点端子Tに接続するようにすると共に、この間欠的なバースト信号の送信直後においては、センサ300からの信号を受信するのに十分な期間だけ、固定接点端子Rに接続するように切り替え制御する。
また、コントローラ10は、位置指示モードにおいては、切替制御信号SW7により、切替スイッチ回路22を、適宜の間欠的なタイミング、例えば図5(E)に示したバースト信号送信期間の直後において、センサ300からの信号を受信するのに十分な期間だけ、固定接点端子Rに接続するようにすると共に、他の期間は固定接点端子Tに接続するように切り替え制御する。
一方、位置検出装置201のペン検出回路402Pは、位置指示器100Aから受信したバースト信号に基づいて、当該バースト信号の受信が途絶えた時点をスタート時点として、判定結果指示回路4033から、ホバーモードの設定指示または位置指示モードの設定指示の情報を、センサ300を通じて位置指示器100Aに送信するようにする。
位置指示器100Aのコントローラ10は、位置検出装置201からホバーモードの指示を受信したときと、位置検出装置201から何も信号を受信できないときには、位置指示器100Aをホバーモードの状態とする。そして、位置検出装置201から位置指示モードの指示を受信したときに位置指示器100Aを位置指示モードに切り替えるようにする。
なお、この第2の実施形態の場合には、位置検出装置201のペン検出回路402Pは、ホバーモードの設定指示は送出せずに、位置指示器100Aがセンサ面300Sに対して近接した高さ(距離)になったら、位置指示モードの設定指示をセンサ300を通じて位置指示器100Aに送り、位置指示器100Aがセンサ面300Sに対して近接した所定の高さ(距離)でない状態が、所定時間例えば1秒以上継続したら、位置指示モード解除指示を位置指示器100Aに送るようにしてもよい。
[第3の実施形態]
上述の第1の実施形態の位置指示器100では、中心電極Aとしての芯体3には、常時、信号生成回路12で生成された信号Scを供給するようにしている。しかし、周辺電極B,C,Dとしての3個の電極片91,92,93のみではなく、中心電極Aをも含めて、信号Scを選択的に供給するようにしてもよい。第3の実施形態の位置指示器100Bは、そのように構成した場合の一例である。
図17は、この第3の実施形態の位置指示器100Bの信号処理回路の構成例を示す図である。この図17において、図3に示した上述した第1の実施形態の位置指示器100と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図17に示すように、この第3の実施形態の位置指示器100Bにおいては、信号生成回路12からの信号Scは、スイッチ回路24を介して中心電極A(芯体3)に供給され、また、中心電極Aは、スイッチ回路25を通じてグランドに接続される。そして、スイッチ回路24及び25は、コントローラ10からの切替制御信号SW8及びこの切替制御信号SW8と逆相の切替制御信号SW9により、オン・オフ制御される。その他は、図3に示した第1の実施形態の位置指示器100と同様に構成される。
この第3の実施形態の位置指示器100Bにおいては、ホバーモード時には、コントローラ10は、スイッチ回路13〜15及びスイッチ回路24をオン、スイッチ回路16〜18及びスイッチ回路25をオフとして、図18(A)に示すように、第1の実施形態の位置指示器100と同様に、中心電極A及び周辺電極B,C,Dの全てに、信号生成回路12で生成されたホバーモード時の交流信号を供給するようにする。この場合に、信号生成回路12から中心電極A及び周辺電極B,C,Dに供給されるホバーモード時の交流信号は、図6(A)〜(D)に示すような間欠的に送出される信号である。
また、この場合にも、図6(E)〜(H)に示すように、信号生成回路12から中心電極Aには常に交流信号を供給すると共に、周辺電極B,C,Dに対しては、順次に切り替えて供給するようにしてもよい。また、中心電極Aには交流信号は供給せず、周辺電極B,C,Dに対してのみ、図6(B)〜(D)または図6(F)〜(H)に示すように、交流信号を供給するようにしてもよい。
この第3の実施形態の位置検出装置201では、位置指示器100Bからの信号の受信信号に基づいて、ホバー状態の検出処理は、上述した第1の実施形態で説明したのと同様にして、ホバー状態の検出処理が行うことができる。
この第3の実施形態の位置指示器100Bにおいては、位置指示モード時には、コントローラ10は、切替制御信号SW1〜SW3(図18(E)〜(G)参照)及び切替制御信号SW8(図18(D)参照)により、スイッチ回路13〜15及びスイッチ回路24をオン・オフ制御して、図18(B)に示すように、信号生成回路12で生成された信号Scを送出する期間を、この例では、中心電極Aの期間TA、周辺電極Bの期間TB´、周辺電極Cの期間TC´、周辺電極Dの期間TD´の順に、切り替える。
そして、切替制御信号SW1〜SW3及び切替制御信号SW8によって、スイッチ回路24を介して信号生成回路12で生成された信号Scが中心電極Aに送出する期間TAでは、切替制御信号SW9によってスイッチ回路25をオフ制御するとともに、切替制御信号SW4〜SW6によってスイッチ回路16〜18をオン制御することで中心電極Aへの信号Scの送出に同期して全ての周辺電極B,C,Dをグランドに接続する制御を行う。すなわち、中心電極Aに信号Scを送出して位置指示器100Bが指示する位置を指示する際には、周辺電極B,C,Dをグランドに接続する制御を行うことで、周辺電極B,C,Dがセンサ300との間で静電結合されることで、中心電極Aが指示する位置がずれて検出されて視認誤差となる影響を抑制することができる。
そして、この第3の実施形態の例では、中心電極Aの期間TA及び周辺電極B,C,Dの期間TB´,TC´,TD´のそれぞれにおいて送出される信号Scは、図18(C)に示すように、全て同様に、前述したバースト信号送信期間と筆圧データ送信期間からなるものとし、図5(E)に示したように、バースト信号送信期間の後には、それぞれ2ビットの識別情報を付加するようにする。
この第3の実施形態における位置検出装置201では、上述した第1の実施形態とほぼ同様にして、ホバー状態の検出処理及び指示位置検出処理、回転角検出処理、傾き角検出処理を行うことできるので、その説明は省略する。
なお、上述の第3の実施形態の説明では、中心電極Aの期間TA及び周辺電極B,C,Dの期間TB´,TC´,TD´のそれぞれにおいて送出される信号Scには、識別情報を付加するようにして、位置検出装置201で、それらの期間TA,TB´,TC´,TD´を識別するようにしたが、この第3の実施形態においても、第1の実施形態の変形例で説明したようにすることで、識別情報を信号Scに付加することなく、位置検出装置201で、それらの期間TA,TB´,TC´,TD´を識別させるようにすることができる。
[第4の実施形態]
上述の第1の実施形態の位置指示器100では、中心電極Aと、周辺電極B,C,Dとに同じ周波数f1の信号を供給するようにしていた。しかし、中心電極Aに供給する信号と、周辺電極B,C,Dとに供給する信号とで、周波数を異ならしてもよい。第4の実施形態の位置指示器100Cは、そのように構成した場合の一例である。
図19は、この第4の実施形態の位置指示器100Cの信号処理回路の構成例を示す図である。この図19において、図3に示した上述した第1の実施形態の位置指示器100と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第4の実施形態の信号生成回路12Cが備える発振回路は、周波数f1の信号と、周波数f2の信号を生成する。そして、コントローラ10は、この信号生成回路12Cに対して、周波数f1の信号の発振を制御する制御信号CN1と、周波数f2の信号の発振を制御する制御信号CN2を供給する。
そして、信号生成回路12Cからの周波数f1の信号Sc(f1)は、常時、中心電極
Aに供給される。また、信号生成回路12Cからの周波数f2の信号Sc(f2)は、スイッチ回路13,14,15のそれぞれを介して、周辺電極B,C,Dのそれぞれに供給される。その他の構成は、図3に示した第1の実施形態の位置指示器100と同様である。
この第4の実施形態の位置指示器100Cにおいては、ホバーモード時には、コントローラ10は、スイッチ回路13〜15をオン、スイッチ回路16〜18をオフとして、図20(A)に示すように、第1の実施形態の位置指示器100と同様に、中心電極A及び周辺電極B,C,Dの全てに、信号生成回路12で生成されたホバーモード時の交流信号を供給するようにする。
この第4の実施形態の位置検出装置201においても、位置指示器100Cからの信号の受信信号に基づいて、ホバー状態の検出処理は、上述した第1の実施形態で説明したのと同様にして、ホバー状態の検出処理が行うことができる。ただし、この第4の実施形態では、中心電極Aから送出される信号の周波数はf1であり、周辺電極B,C,Dから送出される信号の周波数はf2であるので、位置検出装置201では、周波数の違いを利用して、中心電極Aから送出される信号の受信信号と、周辺電極B,C,Dから送出される信号の受信信号とを分離して処理することができる。
したがって、位置検出装置201では、上述したホバー状態の検出処理における中心電極A及び周辺電極B〜Dによって形成されるオブジェクト領域の検出処理において、中心電極Aによるオブジェクト領域と、周辺電極B〜Cによるオブジェクト領域の検出処理を分離して行うことができるようになる。
なお、この第4の実施形態の場合においても、信号生成回路12Cから中心電極A及び周辺電極B,C,Dに供給されるホバーモード時の交流信号は、図6(A)〜(D)に示すような間欠的に送出される信号となる。
また、この場合にも、図6(E)〜(H)に示すように、信号生成回路12から中心電極Aには常に交流信号を供給すると共に、周辺電極B,C,Dに対しては、順次に切り替えて供給するようにしてもよい。また、中心電極Aには交流信号は供給せず、周辺電極B,C,Dに対してのみ、図6(B)〜(D)または図6(F)〜(H)に示すように、交流信号を供給するようにしてもよい。
この第4の実施形態の位置指示器100Cにおいては、位置指示モード時には、コントローラ10は、図20(B)に示すように、信号生成回路12Cで生成された信号Sc(f1)は、中心電極Aに常時供給するようにする。また、コントローラ10は、切替制御信号SW1〜SW3(図20(C)〜(D)参照)により、スイッチ回路13〜15をオン・オフ制御して、図20(B)に示すように、信号生成回路12Cで生成された信号Sc(f2)を送出する期間を、この例では、周辺電極Bの期間TB´´、周辺電極Cの期間TC´´、周辺電極Dの期間TD´´の順に、切り替える。
そして、この第4の実施形態の位置指示器100Cでは、位置指示モード時には、中心電極Aからは、図5(E)の期間TBの送信信号として示したバースト信号送信期間と筆圧データ送信期間とを、繰り返し送信させるようにする。
位置検出装置201は、この位置指示器100Cからの受信信号から、周波数f1の成分を抽出し、その抽出した成分を制御回路403における指示位置検出回路4034で処理することで、位置指示器100Cによる指示位置の検出を行う。
また、第4の実施形態の位置指示器100Cでは、周辺電極B,C,Dの期間TB´´,TC´´,TD´´のそれぞれにおいて、周辺電極B,C,Dのそれぞれに送出する信号Sc(f2)は、図5(E)の期間TC,TDの送信信号として示したバースト信号送信期間の後に2ビットの識別情報を付加したものとする。
位置検出装置201は、この位置指示器100Cからの受信信号から、周波数f2の成分を抽出し、その抽出した成分を制御回路403における回転角検出回路4035及び傾き角検出回路4036で処理することで、位置指示器100Cの回転角及び傾き角の検出を行う。
なお、上述の第4の実施形態の説明では、周辺電極B,C,Dの期間TB´´,TC´´,TD´´のそれぞれにおいて送出される信号Scには、識別情報を付加するようにして、位置検出装置201で、それらの期間TB´´,TC´´,TD´´を識別するようにしたが、この第4の実施形態においても、第1の実施形態の変形例で説明したようにすることで、識別情報を信号Scに付加することなく、位置検出装置201で、それらの期間TB´´,TC´´,TD´´を識別させるようにすることができる。
[第5の実施形態]
上述の第4の実施形態の位置指示器100Cでは、中心電極Aとしての芯体3には、常時、信号生成回路12で生成された信号Sc(f1)を供給するようにしていた。しかし、周辺電極B,C,Dとしての3個の電極片91,92,93のみではなく、中心電極Aをも含めて、信号Sc(f1)及び信号Sc(f2)を選択的に供給するようにしてもよい。第5の実施形態の位置指示器100Dは、そのように構成した場合の一例であり、信号Scの周波数がf1のみを用いる第1の実施形態に対する第3の実施形態と同様の関係にある。
図21は、この第5の実施形態の位置指示器100Dの信号処理回路の構成例を示す図である。この図21において、図19に示した上述した第4の実施形態の位置指示器100Cと同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第5の実施形態の位置指示器100Dの信号処理回路は、図21に示すように、信号生成回路12Cからの周波数f1の信号Sc(f1)が、スイッチ回路26を通じて中心電極A(芯体3)に供給される。そして、中心電極A(芯体3)は、スイッチ回路27を通じてグランドに接続される。
そして、スイッチ回路26及び27は、コントローラ10からの切替制御信号SW10及び、この切替制御信号SW10と逆相の切替制御信号SW11により、オン・オフ制御される。その他は、図17に示した第4の実施形態の位置指示器100Cと同様に構成される。
この第5の実施形態の位置指示器100Dの動作は、位置指示器100Dの中心電極Aから送出される信号の周波数と、周辺電極B,C,Dから送出される信号の周波数が異なる点を除けば、第3の実施形態の位置指示器100Cと同様となるので、ここでは、その説明は省略する。なお、第3の実施形態の位置指示器100Bの場合における図18のタイミングチャートに対応する第5の実施形態の位置指示器100Dのタイミングチャートを図22に示す。
そして、同様に、この第5の実施形態においては、位置検出装置201では、中心電極Aからの信号成分と、周辺電極B,C,Dからの信号成分とを、周波数分離して処理する点を除けば、上述の第3の実施形態の場合と同様となるので、ここでは、その説明は省略する。
[その他の実施形態または変形例]
なお、上述の実施形態の位置指示器では、第2の電極を構成する電極片(周辺電極)は3個としたが、3個以上であってもよい。
また、上述の実施形態の位置指示器では、信号を送出する第2の電極を構成する電極片91,92,93(周辺電極B,C,D)は、ハウジング1の内周面側に設けるようにしたが、ハウジング1の外周壁面に形成するようにしてもよい。
なお、上述の実施形態の位置指示器では、第2の電極(周辺電極)は、複数個に分割したものとしたが、芯体(中心電極)の周囲をぐるりと囲むように環状に構成した1個としてもよい。