JP2019088339A - 細菌または真菌の同定検査や薬剤感受性検査の判定を行う方法、および検査装置 - Google Patents

細菌または真菌の同定検査や薬剤感受性検査の判定を行う方法、および検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】細菌同定や薬剤感受性検査の判定を迅速化するための技術を提供する。【解決手段】細菌同定培養や薬剤感受性検査のための培養プレートの各々のウェル中の細菌の形状や数を顕微鏡観察することで細菌の分裂の様子をモニタする。そして、誘導期から対数期になった段階で細菌が増殖するかどうかを顕微鏡観察で得た画像から細菌の形状や数や面積を解析し、それらの経時変化をグラフ化する。そのグラフから一回の測定ごとに細菌が増殖したかどうかを判定し、それら判定結果を画面上に表示することにより、測定のたびごとに薬剤感受性の結果を提供する。【選択図】図12

Description

本発明は検査装置に関し、例えば、細菌または真菌の薬剤感受性の検査に用いる検査装置に関するものである。
近年、感染症患者に対する抗生物質の濫用により薬剤耐性菌の割合が増加し、それに伴い院内感染の発生件数も増加傾向にある。しかし、利益率の低下のため新規抗生物質の開発は減少傾向にあり、米FDAで認可された抗生物質の種類は年々減少している。そのため、感染症発生時にその起因菌の菌種同定検査及び薬剤感受性検査を実施し、抗生物質を適切に使用することによって、患者の早期回復、院内感染の拡大防止、さらに薬剤耐性菌の出現を抑制することは、極めて重要となっている。
病院の細菌検査室で通常実施されている検査方法では、感染症起因菌を培養し、その増殖の有無から菌種の同定と薬剤感受性を判定する。まず、患者から血液、咽頭ぬぐい液、喀痰などの検体を採取し、感染症起因菌を単独コロニーで得るための分離培養を1昼夜行う。単独コロニーから細菌懸濁液を調製し、同定培養や薬剤感受性検査のための培養を1昼夜行う。薬剤感受性検査の判定結果が得られ、適切な投薬が行われるには、患者からの検体採取後例えば3日目以降となる。増殖速度が遅く、長時間の培養が必要な感染症起因菌においては、さらに日数を要する。
分離培養の自動化・省力化を図るための検査装置として、培養シャーレ中の細菌コロニーの画像を取得して微生物や細胞を計測する検査装置などが開発されている(特許文献1)。また、薬剤感受性検査の簡易化を目的とした装置も発売されている(非特許文献1)。これらの装置では培養によって細菌が増殖し、培養液の濁度が増加することで判定を行う。
このような装置を用いない方法として、微量液体希釈法やKirby-Bauer法に基づくディスク法が挙げられる(非特許文献2)。
特開2005-261260号公報
Journal of Clinical Microbiology, 2000, vol. 38, No. 6, p. 2108-2111 日本化学療法学会雑誌, 2002, vol. 50, No. 5, p. 259-265
しかしながら、特許文献1や非特許文献1による装置では、判定可能な濁度になるまで細菌が増殖する必要があるため、例えば緑膿菌のような増殖の遅い菌の場合、単独コロニーが得られてから最短でも8時間以上の培養が必要となる。
また、非特許文献2による方法でも単独コロニーが得られてから判定結果が出るまでに18時間程度を要する。このため、判定結果取得の迅速化が求められている。
以上のように、従来の方法によると、細菌同定検査や薬剤感受性検査を行うには、分離培養後に得られる単独コロニーから細菌懸濁液を調製し、同定培養や薬剤感受性検査のための培養を1昼夜行う必要がある。培養を行った結果、細菌が増殖する条件では細菌が分裂し、培養液の濁度が増加する。このように従来法では、濁度が増加したかどうかで細菌の増殖を判定するため、判定に時間がかかりすぎるという課題がある。また、従来方法においては、細菌一つ一つの形状を判定に利用することはできない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、細菌同定や薬剤感受性の判定を迅速化することを可能とする技術を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明による検査装置は、細菌または真菌の同定検査や薬剤感受性検査を行う検査装置であって、複数のウェルを有し、各ウェルに抗菌剤と前記細菌または真菌とを含む培養液中の菌を予め設定した複数の時点において顕微鏡観察を行う顕微鏡観察光学系と、顕微鏡観察で得られる画像を表示画面上に表示するプロセッサと、を有している。そして、当該プロセッサは、画像に基づいて、細菌または真菌に対して抗菌剤が与えた影響を示す影響判定情報を、複数の種類の抗菌剤及び複数の種類の濃度について生成し、当該影響判定情報を時系列で表示するようにしている。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本発明の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本発明の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
本発明によれば、細菌同定や薬剤感受性の判定を迅速化することができるようになる。
本発明の実施形態による細菌検査装置の概略構成例を示す図である。 本発明の実施形態による細菌検査装置の光学系の概略構成例を示す図である。 本発明の実施形態による細菌検査装置における検査処理の概要を説明するためのフローチャートである。 顕微鏡画像からMIC判定をする処理(ステップ107)の詳細を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態による細菌検査装置で感受性検査を行って得られた画像(画像処理された画像)の例1を示す図である。 本発明の実施形態による細菌検査装置で感受性検査を行って得られた画像(画像処理された画像)の例2を示す図である。 本発明の実施形態による細菌検査装置で感受性検査を行って得られた別の画像(画像処理された画像)の例3を示す図である。 データベースとの比較によるMIC判定処理の概念を示す図である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた画像(生画像)の例1を示す図である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた画像(生画像)の例2を示す図である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた画像(生画像)の例3を示す図である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた画像(生画像)の例4を示す図である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた細菌の増殖の様子を示すグラフ(例)である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた細菌の増殖判定結果の表示例を示す図である。 本発明の実施例1において、感受性検査を行って得られた細菌の感受性判定結果の表示例を示す図である。 本発明の実施例2において、感受性検査を行って得られた複数の細菌の増殖の様子を示すグラフ(例)である。 本発明の実施例2において、感受性検査を行って得られた複数の細菌の増殖判定結果の表示例を示す図である。 本発明の実施例2において、感受性検査を行って得られた複数の細菌の感受性判定結果の表示例を示す図である。 本発明の実施例3において、感受性検査を行って得られた複数の細菌の増殖の様子を示すグラフ(例)である。 本発明の実施例3において、感受性検査を行って得られた複数の細菌の増殖判定結果の表示例を示す図である。 本発明の実施例3において、感受性検査を行って得られた複数の細菌の感受性判定結果の表示例を示す図である。 本発明の実施例3において、インターネットを介して感受性検査を行って得られた細菌の感受性判定結果を表示する例を示す図である。 本発明の実施例4において、感受性検査を行って得られた細菌の特徴量の経時変化の様子を示すグラフ(例)である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
(1)実施形態
<細菌検査装置の構成>
図1は、本発明の実施形態による細菌検査装置の概略構成を示す図である。細菌検査装置1は、カバー11と、載置台12と、顕微鏡観察光学系及び濁度測定光学系13と、温調16と、培養プレート18を搬送するためのグリッパ17と、グリッパ17の移動及び位置決めを制御する駆動制御装置19と、を有している。また、細菌検査装置1は、処理条件や生物学的試料に関する情報、抗菌剤の種類や濃度に関する情報、患者検体に関する情報、その他の各種情報を入力するためのコンピュータ20を含む。なお、コンピュータ20の構成については図示しないが、通常のコンピュータと同様、プロセッサ、メモリ、記憶装置、入力デバイス(キーボード、マウス、タッチパネル、マイク等)、出力デバイス(ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等)、記憶装置、通信デバイス等により構成される。
細菌検査装置1を用いて行う検査は、例えば、細菌または真菌の薬剤感受性検査である。ここで薬剤感受性検査とは、様々な抗菌薬を所定の濃度で含む培養液で培養し、どの条件で増殖したかによって細菌または真菌が薬剤耐性を持つかを検査すること、あるいは、細菌や真菌の最小発育阻止濃度MIC(Minimum Inhibitory Concentration)を判定する検査を意味する。細菌検査装置1を用いて検査を行う細菌の対象は、特に制限されない。例えば、黄色ブドウ球菌、腸球菌、肺炎球菌、大腸菌、緑膿菌、肺炎桿菌などが挙げられる。
また、細菌検査装置1を用いて検査を行う際には、臨床検体から分離培養によって得られた単独コロニーを用いて細菌懸濁液を調製することが多い。ただし、臨床検体にコンタミネーションの可能性が低く単独の細菌を含む場合には細菌懸濁液を調整せず、検体をそのままあるいは適宜希釈して使用しても良い。
さらに、細菌検査装置1を用いて検査を行う際には、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute, Wayne, P.A)で推奨されている方法に従って検体を採取、運搬し、分離培養を行うことが望ましい。抗菌薬の調製や培地の調製も同様であるが、これに限るものではない。また、培養温度や使用する培養液についても同様にCLSIで推奨されている方法に基づくことが望ましいが、これに限るものではない。
また、細菌検査装置1を用いて検査を行う際には、培養プレート(例えば、計96個のウェルを有する培養プレートを用いる)18に検体から調製した細菌懸濁液と培養液を混ぜ合わせて培養を行う。薬剤感受性検査を行うために各々のウェルの培養液にはそれぞれ異なる抗菌剤が特定の濃度で含まれるように設定されている。培養の手順は、次のようにする。まず培養プレート18に細菌懸濁液を導入する。そして、各々のウェルに含まれる培養液と混ぜ合わせた状態で温調16を35℃程度に設定する。さらに、培養プレート18の各々のウェルが設定した温度になるようにインキュベーションして培養を行う。また、細菌検査装置1では、インキュベーションしながら各々のウェルに含まれる細菌を顕微鏡観察光学系によりモニタすることができるようになっている。顕微鏡観察はインキュベーション開始から終了までの間、予め設定した時間で行い、細菌増殖の様子を連続的にモニタしても良い。また、適切な時間を設定してその設定時間にモニタを行い、インキュベーション開始時のモニタ結果と比較できるようにしても良い。なお、従来の細菌検査装置と同様に培養プレート18をインキュベーションしながら各々のウェルの濁度を濁度測定光学系により計測して、顕微鏡観察光学系のモニタ結果と比較しても良い。
<光学系の構成>
図2は、本発明の実施形態による細菌検査装置1で用いられる顕微鏡観察光学系及び濁度測定光学系の構成例を示す図である。図2において、培養プレート21(培養プレート18と同一物)は、光源22からの光によって照射される。光源は白色光源でも、ある波長領域にスペクトルをもつLEDなどの光源でも良く、フィルタ23によって適切な波長領域に調節される。顕微鏡観察を行う際には波長は特に限定する必要はないが、濁度測定を行う際には波長は600nm近傍の波長で培養プレート21を照射するように不要な波長領域はフィルタ23でカットされる。
顕微鏡観察の場合、光源22からの光は、ダイクロイックミラー24と対物レンズ25を経て培養プレート21に照射される。培養プレート21からの散乱光は、対物レンズ25を通してCCD素子27で測定され、顕微鏡観察画像が取得される。
濁度測定の場合、光源22からの光は、ダイクロイックミラー24によって濁度測定用の光は対物レンズ25を通り培養プレート21に照射される。照射された光は、培養プレート21の上方に設置されたホトダイオード26によって測定される。一方、ダイクロイックミラー24を通過した光は、光源22と反対側に設置されたホトダイオード26によって測定される。定法に従い、2つのホトダイオード26で測定された光量から濁度を算出することができる。
<MIC判定処理の内容>
図3は、本発明の実施形態による細菌検査装置1によって実行されるMIC判定処理を説明するためのフローチャートである。図3Aは細菌検査装置1における処理概要を示し、図3Bはステップ107の詳細を説明するためのフローチャートである。なお、ステップ101〜ステップ104までの処理は「人」が行う。従って、実際に自動化された処理(コンピュータ(プロセッサ)による処理)はステップ105〜ステップ113である。
(図3A:処理概要)
(i)ステップ101〜ステップ104
利用者は、装置に導入する検体となる細菌懸濁液を調製し(ステップ101)、当該細菌懸濁液を培養プレートに導入(ステップ102)してから培養プレートを細菌検査装置に導入する(ステップ103)。そして、利用者は、細菌検査装置1のコンピュータ20を用いて、検体情報や抗菌剤の情報等必要な情報を入力し、開始ボタン等を押下する等して検査開始を指示する(ステップ104)。検査開始の指示を受けると、細菌検査装置1は、装置内に導入した培養プレートを35℃程度にインキュベートして培養を行う。
(ii)ステップ105
コンピュータ20のプロセッサは、顕微鏡光学系を駆動し、予め設定した時間に培養プレートのウェルを顕微鏡観察して画像を取得する。なお、画像取得は、予め決められた時間を離散的に行っても良いし、或いは連続的に観察して予め決められた時間における画像を処理用の画像として取得しても良い。
(iii)ステップ106
上記プロセッサは、取得した画像は必要な処理を実施する。例えば、当該画像処理としては、図8〜11で示される生の画像データを、図4〜6で示されるように2値化処理したり、グレースケール画像データにする処理をしたりする。また、他の画像処理として、図4〜6の画像データを基に細菌の面積、細菌数、細菌の円形度、細菌のアスペクト比、細菌の周囲長等を算出する処理等が含まれる。
(iv)ステップ107
上記プロセッサは、ステップ106で得られた画像データを用いてMIC判定を試みる。当該処理の詳細は図3Bで示される通りであり、後述する。
(v)ステップ108〜ステップ109
上記プロセッサは、培養プレートの各ウェルの濁度測定を行い、濁度データからMICの判定を試みる。通常、濁度判定を行うには培養開始から18時間以上の時間経過を必要とするため、30分や1時間程度の経過時には濁度判定をすることはできない。従って、この程度の時間経過ではMIC判定不可である。
(vi)ステップ110
上記プロセッサは、さらにデータベース中の画像情報や濁度(数値)の情報と、上記ステップで得られた画像情報や濁度の情報とを比較してMICの判定を試みる(図7参照)。
(vii)ステップ111
上記プロセッサは、この時点でのMIC等の判定結果を表示する。具体的には、ステップ107で得られた判定結果(S/I/R判定、MIC判定、時系列グラフ、及び顕微鏡画像等)を表示する。
(viii)ステップ112
上記プロセッサは、MICの判定が最終的に確定できるまで細菌の増殖が進んでいるか(インキュベーションを継続するか)を判定する。細菌の増殖が進んでいないと判定された場合(ステップ112でYesの場合)は、上記プロセッサは、インキュベーションを継続し、画像取得からの工程を繰り返し行う。
細菌の増殖が進んでいると判定された場合(ステップ112でNoの場合)、処理はステップ113に移行する。つまり、培養プレートに含まれる抗菌剤について、MICが判定される、もしくはMICが判定可能な抗菌剤についての処理が完了し、残りの抗菌剤については判定が困難であると判断された場合には、処理はステップ113に移行する。
(ix)ステップ113
上記プロセッサは、画像から判定したMICと、濁度から判定したMICと、データベースとの比較から判定したMICを考慮して最終的なMICを決定し、検査を完了させる。この工程は培養プレートごとに設定された条件に基づいて自動的に実行される。なお、細菌検査装置1には複数の培養プレートが同時に設置できるが、培養プレートごとに条件を変更してもよいし、同じ条件で実施してもよい。
(図3B:ステップ107の詳細)
(i)ステップ1071
上記プロセッサは、上述の必要な処理が施された顕微鏡画像から、該当する培養条件において細菌が増殖しているか、増殖が阻害されているかを判定する。増殖しているかどうかの判定は、同一容器の異なる時間の画像から得た情報と比較して行なわれる。より具体的には、図4〜6に示される処理後の画像から、例えば細菌の面積を算出し、図12のようなグラフを作成して増殖か否かの判定を行なう。
(ii)ステップ1072
上記プロセッサは、ある抗菌剤濃度の組合せでの培養条件で増殖しているかどうかの情報を組合せて、増殖阻害となる最小の抗菌剤濃度(MIC、最小発育阻止濃度)を判定する。ここでは、培養プレート21に設けられた全てのウェルについてMIC判定が行われる。例えば、培養プレート21には96個のウェルがあり、ウェルには濃度(例えば、0μg/mL, 0.5μg/mL, 1μg/mL, 2.0μg/mL, 4.0μg/mL, 8.0μg/mL, 16.0μg/mL, ・・・・・)が異なる各種抗菌剤が入っている。このため、増殖阻害となる抗菌剤の最小濃度(MIC)が分かるようになっている。
(iii)ステップ1073
上記プロセッサは、さらに、参照データとして格納しているブレイクポイント(CLSI、米国臨床検査標準協会のブレイクポイントや、日本化学療法学会のブレイクポイント、EUCASTのブレイクポイントなど)と比較して、検査対象の細菌が該当する抗菌剤に対して感受性(S: sensitive)か、耐性(R: resistant)か、中間(I: intermediate)を判定する。例えば、ブレイクポイントが8(8μg/mLで菌が死滅する)であった場合、MIC判定が16(16μg/mLで菌が死滅)であったとしても臨床的には16μg/mL投与することはなく、この場合菌耐性(R)と判定されることとなる。
<顕微鏡観察画像の例>
図4乃至6は、顕微鏡で取得した画像(生の画像)に対して所定の処理(例えば、2値化処理)を実行して得られた画像の例を示す図である。
顕微鏡観察し、生画像データに対して所定の処理を実行した結果、図4乃至6に示すような画像が得られたとする。得られたデータは、コンピュータ(制御用PC)20に格納、及び保存され、細菌同定やMICの判定に利用される。ここで、図4は、例えば、アンピシリンを含まないミューラーヒントン培地での大腸菌(ATCC番号25922)を培養した様子を顕微鏡観察して得られた画像を2値化して表示したものである。培養開始から(a)0分、(b)180分の様子がそれぞれ示されている。同様に、図5は2μg/mLのアンピシリンを含む培養液中で大腸菌(ATCC番号25922)を培養した様子を、図6は16μg/mLを含む培養液中で大腸菌(ATCC番号25922)を培養した様子を、それぞれ顕微鏡観察し、所定処理(2値化処理)して得られた画像を示している。図4乃至6において黒い対象物が大腸菌を示している。
例えば、図5(b)では、アンピシリンを2μg/mLを含む培養液中での大腸菌(ATCC番号25922)がβラクタム系抗菌剤の作用により伸張化している様子が確認できる。
<データベースの画像との比較>
図7は、取得した画像(例えば、図4乃至6の画像)とデータベースに蓄積されている画像とを比較する処理の概要を示す図である。薬剤感受性検査では、検査対象の細菌に対して、抗菌剤の種類と濃度を変更した条件で培養を行い、細菌が増殖可能かどうかを検査してMICを決定する。ここでは、データベースは、細菌の種類ごとに、特定の抗菌剤の種類と濃度で培養した場合の細菌の画像を格納している。細菌の種類が同じであっても株が違うと薬剤に対する感受性が異なるため、抗菌剤の種類と濃度の条件でデータベースに格納されている複数の画像から、取得した検査対象の画像と類似している画像と比較を行いMICの決定を行うことが可能となる。また、ある抗菌剤についても様々な濃度について、データベースの画像と検査対象の画像とで比較を行うため正確なMICの決定ができる。例えば、図5(b)に示すように、細菌が伸張化している状態であれば抗菌剤の効果が現れているが細菌を死滅させるには至っていないということが判明するため、MICはこの濃度よりも高くなることがわかる。
また、画像同士を比較するのではなく、画像中に存在する細菌数、画像中に存在する細菌の面積、細菌の円形度、アスペクト比、周囲長など画像から抽出した特徴量を比較して細菌の同定や薬剤感受性を判定してもよい。この場合、データベースに格納している画像から、細菌の平均面積や円形度、アスペクト比、周囲長などの特徴量を抽出しておき、検査で取得した画像からこれらの特徴量を抽出して、特徴量同士を比較することでMIC判定を行う。コンピュータ(制御用PC)20が格納するデータ量が膨大な場合には、画像データベースや様々な細菌の特徴量のデータをサーバに格納して、MIC判定の際にアクセスして比較を行う形態であっても良い。これら顕微鏡観察によって得られた情報を利用してMICを決定できる。このため、濁度測定の結果からだけでなく、画像からもMICを決定でき、より正確な決定が可能となる。
(2)実施例
<実施例1>
図8乃至11は、腸球菌(Enteroccoas faecalis, ATCC29212)の顕微鏡観察画像(上記画像処理前の生画像データ)を示す図である。得られた画像データは制御用PCに格納、保存され、細菌同定やMICの判定に利用する。例えば図8はレボフロキサシンを含まないミューラーヒントン培地での腸球菌の様子を培養開始から(a)0分、(b)90分、(c)150分、(d)210分に撮影した画像である。同様に図9は0.5μg/mLのレボフロキサシンを含む培養液中、図10は1.0μg/mLを含む培養液中、図11は2.0μg/mLのレボフロキサシンを含む培養液中での腸球菌の画像であり、図8〜図11において白っぽく見える対象物が腸球菌である。
図8及び9では、培養開始から時間が経過するにつれて腸球菌が増殖して連鎖状に分裂していく様子が観察できる。また、図10及び11では、各々(c)150分後まではある程度腸球菌は分裂しているが、それ以降はほとんど分裂していない様子が観察できる。図12は、画像中に観察された細菌の面積の経時変化を表すグラフを示している。図12のグラフ中「菱形(ダイヤモンド形)」でプロットする抗菌剤なしと、「四角形」でプロットするレボフロキサシン濃度0.5μg/mLの条件での腸球菌は、時間経過に従って、細菌面積が増加している。一方、図12のグラフ中「丸形」でプロットするレボフロキサシン濃度1.0μg/mLの条件と、「三角形」でプロットするレボフロキサシン濃度2.0μg/mLの条件での腸球菌は、150分後まではある程度細菌面積の増加が見られたが、それ以降では細菌の面積はほぼ一定となっている。このように、図12のグラフから、それぞれの培養条件で腸球菌が増殖するかどうかを判定することができる。
図13は、図12のグラフからの判定結果を纏めた表を示している。抗菌剤を含まない条件では、培養開始から120分後までは増殖するかどうかは判定が難しく、Waitingと判定され、「W」と表示されている。その後、150分後からは細菌面積が増加しているため、Growthと判定されて「G」と表示されている。0.5μg/mLのレボフロキサシンを含む培養条件では、培養開始から90分後までは増殖するかどうかは判定が難しく、Waitingと判定され「W」と表示されている。その後、120分後からは細菌面積が増加しているため、Growthと判定されて「G」と表示されている。1.0μg/mLのレボフロキサシンを含む培養条件及び2.0μg/mLのレボフロキサシンを含む培養条件では、培養開始から120分後までは増殖するかどうかは判定が難しく、Waitingと判定され、「W」と表示されている。その後、150分後からも細菌面積は増加していないが、比較対象である抗菌剤を含まない条件では細菌面積が増加しているため、Inhibitと判定されて「I」と表示されている。図13に示すような増殖判定結果は測定ごとに更新され、徐々に情報が増えるように表示することが出来る。例えば、90分後には、60分と90分の測定結果からの判定結果を表示するだけであるが、120分経過後には、情報が追加されて0.5μg/mLのレボフロキサシンを含む培養条件でG判定であることを表示する。さらに時間が経過して測定回数が増えるごとに表示される情報が追加されることになる。
各抗菌剤には、細菌の種類について、MICによってR(Resistant)、I(Intermediate)、S(Sensitive)と判定するかどうかのブレイクポイントが定められている。図14は、図13に示す判定を、測定時間ごとに、また抗菌剤ごとに行い、ブレイクポイントと比較して各抗菌剤に対するR、I、Sを判定した結果を示している。図14は、ある細菌に対して、どの抗菌剤が有効、どの抗菌剤が無効であるかを纏めたものである。図14に示す表を同じ施設で分離された同じ種類の細菌のデータを複数の細菌についてまとめて、抗菌剤に対する感受性をR、I、Sで表して纏めたものがアンチバイオグラムである。つまり、アンチバイオグラムでは、ある特定の施設で、特定の種類の細菌が抗菌剤に対して、R、I、Sを示す確率(%)を記載している。図14はこの元となる表である。本発明の実施形態に従って薬剤感受性検査を行なうと、測定時間ごとに感受性判定した結果(R、I、S)が得られる。従って、従来のアンチバイオグラムの元となるデータがより詳細に得られることになる。さらに、図14は、それぞれの抗菌剤についての様々な濃度で感受性判定(R、I、S)したデータ、つまり図13から構成されている。このため、それぞれの抗菌剤についての結果を参照できる。また、図13は、測定時間ごとの観察結果に基づいて作成された図12に示すグラフから判定されている。このため、さまざまな抗菌剤濃度での培養条件で細菌の面積の時系列データを参照できる。このように、アンチバイオグラムの元となるデータをより詳細に参照できるため、細菌の種類だけでなく抗菌剤に対する感受性の情報が迅速かつ詳細に得られるようになる。
図14に示す表には抗菌剤レボフロキサシンの欄はグレーでハッチングされている。このように現在投与中の抗菌剤をハイライト表示(強調表示)しておき、投与中の抗菌剤の使用を継続すべきかどうかを判断しやすくすることも可能である。なお、強調表示としてはハイライト表示すること以外に、他の抗菌剤よりも大きく表示したり、太字で表示したり、点滅表示させたりしても良い。
また、図14の表の16hrsの列は、従来法によるMIC判定によってR、I、S判定を行なった結果であるが、それより左の列は60〜180分での測定結果をもとにR、I、S判定を行なった結果を示している。つまり、従来では、培養開始から一晩経過後にR、I、S判定が行なわれるが、本発明の実施形態によると、顕微鏡観察ごとにR、I、S判定結果を表示することができる。また、培養時間が経過するごとにそれまでの測定結果を踏まえて判定を行なうことができる。具体的には、測定回数が増えるに従って図12のグラフの情報が追加されて表示され、図13の判定結果が追加され、図14の結果も追加されて表示される。
以上のように、本発明により薬剤感受性の判定結果を迅速に表示することが可能となる。
<実施例2>
図15は、異なる患者から分離された大腸菌の検査結果を示す図である。具体的には、図15(a)は、アンピシリンを含む条件で患者Aから分離された大腸菌を培養した場合の細菌の面積の経時変化を示している。また、図15(b)は、アンピシリンを含む条件で患者Bから分離された大腸菌を培養した場合の大腸菌の経時変化を示している。図15(a)及び(b)は、ともに細菌の面積は培養開始時の細菌の面積で規格化している。
図15(a)では抗菌剤なしに比較して、アンピシリン512μg/mLでも若干面積が増加している。一方、図15(b)ではアンピリシン4μg/mLで増加が止まる傾向にあり、アンピシリン濃度8μg/mL以上だと、アンピシリンの作用によって細菌が破壊されて面積が減少傾向にあることがわかる。
図16は、患者A及びBのそれぞれから分離された大腸菌の増殖判定結果(MIC判定結果)を示す図である。図16(a)に示す患者Aから分離された大腸菌については、いずれも増殖と判定された。一方、図16(b)に示す患者Bから分離された大腸菌ではアンピシリン濃度8μg/mL以上では培養開始から180分後以降では増殖阻害と判定された。この結果から、患者AとBから分離された大腸菌は、株が異なることが判明した。従来では、薬剤感受性の判定結果は培養開始の翌日に得られるが、本発明によると、顕微鏡観察を行なうたびに細菌面積の変化を解析することで細菌の増殖判定を行うことができ、迅速に細菌の株の判定を行なうことが可能である。
また、図17は、患者A及びBのそれぞれから分離された大腸菌の感受性判定を行なった結果(ブレイクポイントとの比較結果)を示す図である。図17(a)に示す患者Aから分離された大腸菌については、アンピシリン耐性と判定された。一方、図17(b)に示す患者Bから分離された大腸菌ではアンピシリン感受性と判定された。
<実施例3>
図18は、異なる患者から分離された黄色ブドウ球菌の検査結果を示す図である。具体的には、図18(a)及び(c)は、患者Aから分離された黄色ブドウ球菌をアンピシリンもしくはバンコマイシンを含む条件で培養した場合の細菌の面積の経時変化を示している。また、図18(b)及び(d)は、患者Bから分離された黄色ブドウ球菌をアンピシリンもしくはバンコマイシンを含む条件で培養した場合の大腸菌の経時変化を示している。図18(a)乃至(d)は、いずれも細菌の面積は培養開始時の細菌の面積で規格化されている。
図18(a)では抗菌剤なしに比較して、アンピシリン0.125μg/mLでも若干面積が増加しており、アンピシリン濃度0.25μg/mL以上でアンピシリンの増殖が阻害された。一方、図18(b)ではアンピリシン濃度0.125μg/mLでも増殖はほぼ阻害されていた。また、図18(c)では抗菌剤なしとバンコマイシン濃度0.25μg/mLでは増殖が確認されたが、図18(d)ではバンコマイシン濃度0.5μg/mLまで増殖が認められた。つまり、患者Aから分離された黄色ブドウ球菌と、患者Bから分離された黄色ブドウ球菌はアンピシリン、バンコマイシンに対してのMICが異なることが判明した。図18に示したデータは培養開始から300分以内に得られた画像から解析した結果であることから、従来法と比較して迅速に細菌の株を識別できることがわかる。
図19は、患者A及びBそれぞれから分離された黄色ブドウ球菌についての増殖判定結果(MIC判定結果)を示す図である。図19(a)に示す患者Aから分離された黄色ブドウ球菌については、アンピシリン0.125μg/mLまでの濃度で増殖と判定され、アンピシリン0.25μg/mL以上の濃度で増殖阻害と判定された。また、バンコマイシン0.25μg/mLまでの濃度で増殖と判定され、バンコマイシン0.5μg/mL以上の濃度で増殖阻害と判定された。一方、図19(b)に示す患者Bから分離された黄色ブドウ球菌については、アンピシリン0.125μg/mL以上の濃度で増殖阻害と判定され、バンコマイシン0.5μg/mLまでの濃度で増殖と判定され、バンコマイシン1.0μg/mL以上の濃度で増殖阻害と判定された。この結果から、患者AとBから分離された黄色ブドウ球菌は、異なる株であると推察できる。
図20は、患者A及びBそれぞれから分離された黄色ブドウ球菌について感受性判定を行なった結果(ブレイクポイントとの比較結果)を示す図である。図20(a)に示す患者Aから分離された黄色ブドウ球菌については、アンピシリン耐性、バンコマイシン感受性と判定された。一方、図20(b)に示す患者Bから分離された黄色ブドウ球菌ではアンピシリン感受性、バンコマイシン中間と判定された。従来では、感受性の判定は培養開始の翌日に得られるが、本発明によると、顕微鏡観察を行なうたびに細菌面積の変化を解析することで細菌の増殖判定を行うことができ、各抗菌剤の濃度での細菌の増殖判定を利用して、迅速に細菌が薬剤に対して感受性か耐性かの判定を行なうことが可能である。
以上のように、本発明を利用することで例えば、院内感染ルートの特定を迅速化することが可能である。
また、図21に示すように、薬剤感受性結果が得られた時点で、検査室に設置したPCからネットワークを介して、医局に設置したPCに結果を送信することで、迅速な対応、例えば抗菌剤の変更、治療方法の変更などが可能となる。
<実施例4>
図22は、緑膿菌のメロペネムに対する感受性を調べた結果を示す図(グラフ)である。当該グラフは顕微鏡観察によって測定した画像中の緑膿菌の円形度を求め、その経時変化を示したものである。1つの画像中に複数個の緑膿菌が観察されるが、個々の緑膿菌の円形度を求め、画像中の細菌の平均値を算出した値をプロットした。なお、円形度は、4π×(面積)/(周囲長)^2で算出される値である。細菌が真円であれば、4π×πr^2/(2πr)^2=1となり、細菌が真円から外れると周囲長が大きくなるため値が減少する。
当該グラフ中、「菱形(ダイヤモンド形)」でプロットする抗菌剤なしは、培養開始から緑膿菌の円形度はほとんど変化しなかった。しかし、グラフ中「三角形」でプロットするメロペネム濃度0.125μg/mLと、×でプロットするメロペネム濃度0.25μg/mLでは培養開始から90分経過後から円形度が減少し始め、抗菌剤の作用によって緑膿菌が伸張化した。グラフ中*でプロットするメロペネム濃度0.5μg/mLと、「丸形」でプロットするメロペネム濃度1.0μg/mLと、+でプロットするメロペネム濃度2.0μg/mLでは、少し円形度が減少するものの、120分経過後からはあまり円形度は減少しなかった。この結果から、円形度が減少し続けるメロペネム濃度0.125μg/mLと0.25μg/mLでは、抗菌剤の作用によって細菌が伸張化しているが、緑膿菌はまだ死滅していないことが判明した。また、円形度の減少が止まるメロペネム濃度0.5μg/mL以上では、緑膿菌が死滅することが判明した。細菌は死滅していない場合には細菌の形状が変化するが、より高い抗菌剤濃度では細菌が死滅するため円形度は変化しなくなる。つまり抗菌剤濃度に応じて円形度が一旦減少し、さらに高い抗菌剤濃度で円形度が減少しなくなるが、その濃度をMBCと推定できる。本実施例は、細菌の面積の経時変化をプロットする代わりに、細菌の円形度の経時変化をプロットした例であるが、このように細菌数や細菌面積以外に細菌の増殖や発育の程度を表す指標となる特徴量の経時変化をプロットすることで、細菌のMIC(最小発育阻止濃度、Minimum Inhibitory Concentration)だけでなくMBC(最小殺菌濃度、Minimum Bactericidal concentration)を判定することが可能となる。
(3)まとめ
(i)本発明による薬剤感受性検査では、顕微鏡観察で得られる画像に基づいて、細菌または真菌に対して抗菌剤が与えた影響を示す影響判定情報を、複数の種類の抗菌剤及び複数の種類の濃度について生成し、当該影響判定情報を時系列で表示するようにしている。このようにすることにより、患者への治療法の選択を早めることができ、迅速に適切な投薬を行なうことが可能となる。つまり、本発明では、細菌同定培養や薬剤感受性検査のための培養液を顕微鏡観察することによって細菌が増殖したか否かを判定する。具体的には、細菌同定培養や薬剤感受性検査のための培養プレートの各々のウェルの顕微鏡観察を行うための光源と、ミラーと、対物レンズと、画像を取得するためのCCDとを備え、培養プレートの各々のウェルの吸光度を測定するための光源と、ミラーと、ホトダイオードとを備え、各々のウェルを観察あるいは測定するために培養プレートの位置を変更するためのXYZステージを備えた温度調節機能つきの検査装置を用いる。ここで、顕微鏡観察のための光源やミラーは、吸光度測定のための光源やミラーと同一であっても良いし、別々に設置しても良い。光源とミラーとの間に適切なバンドパスフィルタを設置することで濁度(波長600nm付近の吸光度)を測定することができ、バンドパスフィルタを別のフィルタに切替えることで白色光での顕微鏡観察が可能となる。また、顕微鏡観察画像を取得するCCD、あるいは吸光度測定用のホトダイオードの前にミラーを設置し、それぞれの測定の際にミラーを切替えても良い。XYZステージ上に培養プレートを設置し、35℃程度で温調しながら培養を行い、設定した時間にXYZステージを動作させて、培養プレートの各々のウェルの様子を観察する。XYZステージの制御や、バンドパスフィルタの切替えや、ミラーの切替えや、温調の設定などは検査装置に設蔵した制御用PCで条件を設定して制御を行う。また、培養プレート中のウェル観察を行うタイミングや吸光度測定を行うタイミングの設定や、結果の記録も制御用PCで行う。この検査装置で培養を行いながら顕微鏡観察することによってウェル中の細菌の形状や数を測定する。測定結果をPCで解析し、ウェル中の細菌の形状や数や面積の経時変化をグラフ化し、判定することによって1回の測定ごとに各ウェルで細菌が増殖したかどうかを判定する。また、複数の測定結果から、該当するウェルの細菌が今後増殖するかどうかを予測する。判定が困難な場合は該当する時間での判定を保留する。それらの結果を画面上に表示することにより、測定時間ごとに、細菌が増殖するかどうかの判定を行なうことができる。ある抗菌剤について濃度の異なる培養条件での結果を比較することで検査対象の細菌のMIC(最小発育阻止濃度:minimum inhibitory concentration)を判定することが出来る。参照データとしてブレイクポイントのデータを保持しておき、MICと比較することで、細菌の薬剤感受性(感受性(S: sensitive)か、耐性(R: resistant)か、中間(I: intermediate))を判定して表示することが可能になる。これにより、迅速な結果をユーザに提供することが可能となる。
本発明によれば、上述のように、培養プレート中の各々のウェル中の細菌を顕微鏡観察し、なおかつ各々のウェルに入っている培養液の濁度を測定することが可能となる。従来の細菌検査装置は培養液の濁度を測定することで細菌の増殖をモニタしているが、細菌の増殖に伴って培養液の濁度が増加し始めるには培養開始から5〜6時間程度かかる。また、薬剤感受性検査では使用する培養液や細菌の量が定められており、吸光度測定によって検査時間を短縮することは容易ではない。一般的に、細菌が分裂して培養液の濁度が増加する濃度に達するまで時間は細菌の分裂速度によって決まり、その速度は通常の培養条件下では劇的に変化しないためである。
しかし、本発明では、20倍程度の倍率の対物レンズを用いて顕微鏡観察することによって細菌の分裂の様子をモニタでき、細菌1つ1つが分裂しているかどうかを判定することができる。従って、誘導期(lag phase)から対数期(log phase)になると、細菌が分裂しているかどうかを判定できるようになる。一般的に30分〜3時間以内に細菌の増殖曲線は誘導期から対数期になるため、濁度による判定よりも早く細菌が増殖するかどうかを判定可能となる。
さらに、その判定結果を画面上に表示させることで、耐性菌の情報を顕微鏡観察が終了するたびことに提供することが出来る。培養時間が経過するとともに顕微鏡観察の回数も増え、複数個の判定結果を提供し、判定結果の確度を徐々に向上させることが可能となる。ある抗菌剤について複数の濃度で細菌の増殖を判定することでMICを決定でき、参照データとして保持しているブレイクポイントと比較することで細菌の薬剤感受性を迅速に判定することが可能となる。その結果、患者への治療法の選択を早めることができ、迅速に適切な投薬を行なうことが可能となる。
さらに、本発明では、薬剤感受性判定の結果を予め設定した時間ごとに表示するとともに、複数の細菌または真菌についての薬剤感受性判定の結果を並列表示するようにしている。このようにすることにより、細菌の株が同じか異なるかを判定することを補助したり、院内感染ルートの特定を補助することが可能となる。
(ii)本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するようにしても良い。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本発明を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
1 細菌検査装置
11 カバー
12 載置台
13 顕微鏡観察光学系及び濁度測定光学系
16 温調
17 グリッパ
18、21 培養プレート
19 駆動制御装置
20 PC(コンピュータ)
22 光源
23 フィルタ
24 ミラー(ダイクロイックミラー)
25 対物レンズ
26 ホトダイオード
27 CCD素子
本発明は細菌または真菌の同定検査や薬剤感受性検査の判定を行う方法、および検査装置に関する

Claims (1)

  1. 細菌または真菌の同定検査や薬剤感受性検査を行う検査装置であって、
    複数のウェルを有し、各ウェルに抗菌剤と前記細菌または真菌とを含む培養液中の菌を予め設定した複数の時点において顕微鏡観察を行う顕微鏡観察光学系と、
    前記顕微鏡観察で得られる画像を表示画面上に表示するプロセッサと、を有し、
    前記プロセッサは、前記画像に基づいて、前記細菌または真菌に対して前記抗菌剤が与えた影響を示す影響判定情報を、複数の種類の抗菌剤及び複数の種類の濃度について生成し、当該影響判定情報を時系列で表示する、検査装置。
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